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1992-05-12 第123回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月十二日(火曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 太田 誠一君    理事 井奥 貞雄君 理事 中川 昭一君    理事 村上誠一郎君 理事 持永 和見君    理事 柳本 卓治君 理事 細谷 治通君    理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    石原 伸晃君       岩村卯一郎君    江口 一雄君       衛藤征士郎君    狩野  勝君       亀井 善之君    河村 建夫君       久野統一郎君    小林 興起君       関谷 勝嗣君    戸塚 進也君       林  大幹君    星野 行男君       前田  正君    池田 元久君       佐藤 観樹君    佐藤 恒晴君       沢田  広君    仙谷 由人君       富塚 三夫君    中村 正男君       早川  勝君    渡辺 嘉藏君       東  祥三君    宮地 正介君       正森 成二君    中井  洽君       菅  直人君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 羽田  孜君  出席政府委員         大蔵政務次官  村井  仁君         大蔵大臣官房総         務審議官    日高 壮平君         大蔵大臣官房審         議官      小川  是君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         国税庁長官官房         国税審議官   浅見 敏彦君         通商産業大臣官         房審議官    榎元 宏明君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     鶴田 六郎君         通商産業省産業         政策局商政課取         引信用室長   寺坂 信昭君         参  考  人         (社団法人リー         ス事業協会副会         長・専務理事) 小山  実君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会一般委員         長)      三木 繁光君         参  考  人         (日本銀行理事小島 邦夫君         大蔵委員会調査         室長      兵藤 廣治君     ————————————— 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   東  祥三君     矢追 秀彦君 同日  辞任         補欠選任   矢追 秀彦君     東  祥三君 五月六日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     小渕 恵三君 同日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     浅野 勝人君 同月十二日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     星野 行男君 同日  辞任         補欠選任   星野 行男君     久野統一郎君     ————————————— 四月二十四日  電波によるたばこ宣伝の廃止に関する請願(松  本龍君紹介)(第一七五六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国の会計税制及び金融に関する件      ————◇—————
  2. 太田誠一

    太田委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  金融に関する件調査のため、本日、参考人として社団法人リース事業協会副会長・専務理事小山実君、全国銀行協会連合会一般委員長三木繁光君及び日本銀行理事小島邦夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 太田誠一

    太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  4. 太田誠一

    太田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  5. 沢田広

    沢田委員 非常にお忙しい中、本委員会のために参考人としてそれぞれ御出席をいただきました関係者にお礼を申し上げます。御苦労さまであります。  しかし、残念ながら、参考人には不動産関係信販関係等お願いを申し上げたのでありますが、団体がまだ明確になっていない、こういうような理由で御出席がいただけなかったことでありますので、その点残念で、また遺憾であります。それぞれの業界がこういう場を通じて国民にみずから積極的に説明をし、その立場を明確にする義務があることを、出席しない関係者においてはぜひ銘記していただきたい。いない人に言ってもしょうがないですけれども速記録に残りますから、後で熟読玩味してもらいたいと願っておきたいと思います。  関係者の方はまあ肩も張ることでありますから、委員長の方から呼ばれた順で、リース関係小山参考人にまず質問をしていきたいと思います。順がそういうふうに並んでおりますので、ひとつ御勘弁をいただきたいと思います。どうぞお願いいたします。  では、質問ですが、いわゆるリースとはどういうものなのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  6. 小山実

    小山参考人 お答え申し上げます。  リースと申しますのは、もうよく御存じのことと思いますが、賃貸借意味いたします英語のリースからきた言葉でございまして、一般には、企業等が希望する機械設備等リース会社調達いたしまして、その企業等長期間にわたって賃貸する取引であると説明されております。リースは、賃貸期間が平均五年ないし六年程度というように長期にわたっておりまして、この点で短期賃貸であるレンタルと区別されておるわけでございます。  なお、我が国のリース産業は誕生いたしましてから約四分の一世紀を経過いたしたわけでございますが、企業の効率的な資金運用の実現、設備陳腐化回避等に資することから、企業の重要な設備調達手段といたしまして積極的に利用されてまいりました。このリースメリット企業に受け入れられまして、リース産業日本経済の重要な一翼を担うまでに成長したと考えております。その事業規模リース契約額で見ますと、平成二年度で八兆四千百五十億円、その民間設備投資に占める割合は約八%になっておりまして、リース会社の保有いたしますリース資産残高は、昨年九月末日現在で約十四兆六千億円でございます。
  7. 沢田広

    沢田委員 九十八兆ありますノンバンクの中で十四兆、しかもリースというものは雑業務を持っておりまして、必ずしも本来のリースだけでない、他の副業があるわけであります。不動産であるとかあるいは貸金業であるとか、そういうようなものも持っておると思うのでありますが、実態としてリースだけではどのぐらいになりますか。
  8. 小山実

    小山参考人 ただいま申し上げました数字リースだけの数字でございまして、先生御指摘のように、リース会社はいろいろ企業経営多角化観点から、あるいは、リース御存じのように固定金利長期リースするわけでございまして、資金調達との関係金利の変動のリスクを負うわけでございますので、リースに伴いますそれの調整と申しますか、意味をもちまして、いろいろ他の業務にも進出をしているわけでございます。  それで、私どもリース業協会リース業の健全な発展を図るための団体でございますので、リース会社が行っております他の事業につきましては十分に把握しておらないわけでございますが、近年いろいろ地価高騰との関係で、リース会社の行う貸金業についても問題が指摘されるようになってまいりましたので、先般、大手の二十五社につきましてその調査を昨年三月末日で行いました。それによりますと、リース資産残高は二十五社で約八兆円、割賦資産残高が約五兆五千億円、貸し金残高が十兆円、そういう結果になっておるわけでございます。
  9. 沢田広

    沢田委員 時間が限られておりますので手短にお願いをするわけでありますが、リース現状、例えば何社ぐらいあって、今金額は御明示いただきましたので、その損益プラスのものは何社ぐらいでマイナスのものが何社ぐらいで、金利はどのくらいで借りているといったようなものについて、現状損益についてお知らせをいただきたい。お願いいたします。
  10. 小山実

    小山参考人 リース会社の数でございますが、私ども協会に加入しておりますリース会社は、普通会員と申しますか、協会の運営に参加できる会員が五月一日現在で百四十一社でございます。それから賛助会員が二百七社でございます。  それからリース現状損益の問題でございますが、収益につきましては、売り上げに相当いたしますのがリース料収入でございまして、これに対する原価物件減価償却費資金コスト固定資産税保険料手数料等でございまして、その原価の中で重要なものが資金コストでございます。リース料固定でございますのに調達金利は変動いたしますので、これがリース会社収益を大きく左右するわけでございまして、このような金融情勢に影響されますリース会社収益状況は、金利反騰の時期には非常に困難な状況にあるわけでございまして、平成元年度及び平成二年度におきましては、それぞれ前年に比べまして約二〇%から三〇%程度減益となっておる状況でございます。
  11. 沢田広

    沢田委員 リースは、普通クレジット関係であらわされている各分類でどの分類を占めているわけでありますか。同時に、その割合を、ここではクレジット関係でいくと、銀行信販中小小売、百貨店、流通、電機、石油、こういうふうに分類されていますが、あなたの方はどの分類に入って、その他の業務はまだその他の業務に入っているのか、あるいはどの分類に包括されているのか、その点だけお答えいただきたいと思います。
  12. 小山実

    小山参考人 リース会社の行っております中心はリース業でございますが、これは産業分類でまいりますと、物品賃貸業という分類に入っておるわけでございます。それからなお、貸し金業務及び割賦販売についてはそれぞれの廃業の分野に属しておるわけでございます。
  13. 沢田広

    沢田委員 出たり入ったりで大変ですが、お許しをいただきたいと思います。  このリース金利上限手数料上限下限、そういうものについて一応お知らせいただきたいと思います。
  14. 小山実

    小山参考人 リースにおきます金利手数料につきましては、最初にも申し上げましたように、リース機械設備賃貸する事業でございまして、その構成要素といたしましては金利とか手数料が入っているわけでございますが、特にその内容において幾らを計上するかということについては何ら特段の規制はないものと理解しております。
  15. 沢田広

    沢田委員 いや、今やっておるリースの中で、金利についてはどの程度適用したものが最高の条件なのか、低いのはどの程度条件として運営されているのか、上限下限についてお示しをいただきたい、こう申し上げたわけです。
  16. 小山実

    小山参考人 リースの中で金利なり手数料がどの程度を占めているかという実情については、協会で特に調べておりませんのでつまびらかに御説明することはできないわけで、まことに申しわけないのでございますが、一般的な考え方といたしましては、金利につきましては、長期賃貸をするわけでございますから、そのときの長期プライムレートと申しますか、それにある程度そのときの金利情勢等を加えて、あるいはプラスになり、あるいはマイナスになる。それにリース物件取引規模あるいは相手方のユーザー信用力等もある程度勘案して、それぞれ適当に決まっておるのが実情でございます。
  17. 沢田広

    沢田委員 では、ちょっと通産省の方にお伺いいたしますが、日本クレジット産業協会から「日本消費者信用統計九二年版」というものが出されております。その中に金利の区分というものが出ているわけでありますが、今の業界ではなかなか内部がわからぬと言っておりますが、通産省としてはこのリースが、どういう金利とどういう金利でこの部類がつくられているか、構成についてひとつお答えいただきたいと思います。
  18. 寺坂信昭

    寺坂説明員 御説明いたします。  リース取引の個々の金利について私どもきちっと把握しているわけではございませんけれども一つ参考数字として申し上げますと、そのリース物件購入額、それからリース契約額、これとの差がございます。この差になっておりますものは金利あるいはその管理費、それからリース会社利益分あるいは保険料、そういったものが入っているわけでございますけれども平成二年度におきましてその物件購入額契約額、これの差が約二八%ぐらいございます。したがいまして、この二八%の数字に先ほど申しました金利、税、保険料管理費、そういったものが入っているわけでございます。その内訳の、金利部分がどの程度になるかにつきましては必ずしも十分に把握しているものではございません。
  19. 沢田広

    沢田委員 リースの場合に、そのリースをする法人であれ個人であれ、あなたについては月幾らですよというときには、これだけの金利が含まれていますということを明示しますか、それとも明示しませんか。包括ですか。
  20. 小山実

    小山参考人 リース賃貸でございますので、原財として一々の商談に当たっては明示をしないというふうに聞いております。
  21. 沢田広

    沢田委員 借りた側としては、その借りたものの中に当然リース金利が含まれていることになるわけですが、それを区分しないということは法律的にどうですか。
  22. 小山実

    小山参考人 法律的には特に問題はないのではないかというふうに考えております。
  23. 沢田広

    沢田委員 では、貸金業に入っているゆえんは、賃貸料でだけ取っているとすれば、どこに貸金業に入るゆえんがあるのですか。
  24. 小山実

    小山参考人 先ほど申し上げましたように、リース会社はいろいろな経営上の観点から、いわゆる金銭消費貸借と申しますか、貸金業規制法適用になる対象の金銭貸し付けについての定義があったかと思いますが、それに該当する貸付事業を行っているから貸金業規制法適用を受けている、こういうことでございまして、リースをやっておるから適用を受けているということではないというふうに考えております。
  25. 沢田広

    沢田委員 その中に金利を含めてお客さんからお金をもらうということであれば、リース賃貸でもあるかもしれぬが貸し金にもなるわけで、その貸し金金利明示するという義務もやはり負っているのではないか。リスクリスクとして計算されるでしょうけれども金利はゼロですという説明は少なくともないのじゃないか。五年なら五年、三年なら三年で契約するとする場合に、このリスクばかりがすべてではない、金利も包含されるということになれば、金利明示も必要になってくるのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  26. 小山実

    小山参考人 御指摘のように、金利一つ要素であるという意味ではそういう御意見もあろうかと思いますけれども、例えば建物とか土地の賃貸借とか、いろいろほかにも賃貸借の例もあるわけでございまして、そういうときにも金利というのはかなりな構成要素を占めているのだろうと思いますが、それと同じような関係で、賃貸借の場合に一々金利明示する必要はないのではないかというふうに私どもといたしましては考えております。
  27. 沢田広

    沢田委員 これは議論はやめますが、しかし普通の会社でいけば、金利利払いなら利払い金利利払いになるでしょうし、それから賃貸借で払えば賃貸借料で払うわけでしょうから、当然これは区分されていくのが筋道ではないかというふうに、これは税務関係から見てもそういうふうに、物が大きくなればなるほどそういうことが必要に迫られるだろうと思うのですね。これは後で、意見になりますから一応やめておきます。  リースさんの質問は予定を過ぎちゃっていますから詰めてまいりますが、損をしているところも、二〇%の減だと言いますが、損失の主な原因等はどういうもので、どういうものをリースしている者が赤字となっているのか、あるいは減益になっているといった表現の方がいいのかもしれませんが、それの主な原因それからその業態、お答えをいただきたいと思います。
  28. 小山実

    小山参考人 リースの場合には、一般的に四年なり五年なり長期にわたって賃貸をいたしまして、その原価の中に入っております金利分も、一応リース料が均等に納入されるわけでございますから、したがいましてその金利分も均等に入ってくる、こういうふうに考えるわけでございます。一方、調達面におきましては、それぞれの企業がそのときの、例えば金利がこれから上昇するであろうとか下降するであろうとかいうときに応じましてそれぞれ長期借り入れあるいは短期借り入れの比率をいろいろ変動させまして、なるべく調達リース料との金利リスクをマッチさせるように努力はいたしておるわけでございますが、残念ながらまだ日本で今リース会社が利用させていただいております多額の資金を、しかも長期固定金利で融通していただけるというところがなかなかないわけでございまして、そういう意味である程度金利リスクの大きな部分リース会社が負担しているというのが現状でございます。したがいまして、金利の下降する時期におきましてはリース契約をいたしましたときにある程度高い金利を織り込んだリース料をいただいておりますとコスト面で非常に助かるわけでございますが、今回のように急激な金利引き上げがございますと、長い間にわたりまして非常に低金利時代に安い料率で契約をいたしまして、利用業界には非常に喜ばれたわけでございますが、非常に大きなリスクの負担を負っておったのがすっかり裏目に出たと申しますか、ということで金利の差が非常にもろに影響をしてまいりました。そういう意味で、ここ二年ばかり非常に収益状況マイナスになってきている、こういう状況でございます。
  29. 沢田広

    沢田委員 リース貸金業ではない、言うならば品物を貸して賃貸で金を受け取ってやっているのである。じゃ貸金業に入っているのはおかしいということにもなるわけですが、リースはこのままでいいのでしょうか。これは現在の法律の中で、貸金業の法の中に含まれているわけですね、会員になっているかなってないかわかりませんが。そういうことで貸金業の中に入っていることは困る、こういうことなんですか。それとも、やはり貸金業法に入ることが適当である、こういうふうに考えているのですか、どうですか。
  30. 小山実

    小山参考人 先ほども申し上げましたように、リース業につきましては特に規制はないわけでございますが、現状を申し上げますと、逆に何ら法律的にも規制がないために、開業規制等につきまして、業界といたしまして日夜非常に激しい競争を繰り広げておりまして、その競争の結果、収益相当部分ユーザーの方に還元されているというのが実情であろうと思います。  それでリースにつきまして、私ども貸し金ではございませんので、別に貸し金規制を受ける必要はないというふうに考えております。ただ、今問題になっておりますのは、リース業ではなしにリー会社が兼業として行っております貸金業につきましていろいろなお話があるわけでございまして、それについてはリース会社であろうからどうこうということではなしに、貸金業全体について日本国の今後の金融秩序の中でどういうふうに行政なり法律において位置づけていかれるかということで、我々としてはそれを受けていくということであろうかと思っております。
  31. 沢田広

    沢田委員 落ちつくところに落ちついたわけですが、結果的にはリースは一番貸金業に縁がない。縁のないところの協会専務理事を出して大蔵委員会をごまかそう、こういうことで結果的には本来雑務が質問の材料、こういうことになるとそれは業界の何%ということになるわけでありますが、そういう意図的なものが、専務理事リースだから一番無難だ、こういうことできょう御出席をいただいたのだろうと思うのであります。これでリース関係については一応終わります。  終わりますが、念のためでありますが、ちょっとお伺いしておきます。これは通産も含めてですが、中小小売商団体系が、二百三十の企業がありますが、金利が一五%以上が三十五、二一から一五%未満が四十二、一〇%から一二%未満が五十四、八%から一〇%未満が六十二、六から八が二十四。これは銀行系では一〇%以下は二であとは八%以下ですね。それから流通系も大体主体は三%未満。  全部のを申し上げますと、なしというのが五十七、三%が四十四、六%が百十八、大きいのは八%が五十八、一〇%が七十八、一二%が七十一、それから一五%未満が四十九、一五%以上が四十九、こういういわゆる手数料割合になっていますね。  ですから、先にども述べたのでありますが、金利手数料とどういうことで取り扱っているのかということをお伺いしたわけでありますが、これは一五%以上になれば、金利として見れば制限金利なのでありますが、時間が参りましたが、一言ずつこの辺、感想なりをお述べいただければ幸いだと思います。
  32. 寺坂信昭

    寺坂説明員 御説明いたします。  今委員指摘数字は、恐らくクレジットにおきます手数料数字ではないかというふうに推測するわけでございますけれども、私ども販売信用にかかわりますクレジット、これを所管しております立場から申しますと、販売信用にかかわりますクレジット手数料、それからその種類、あるいは分割払いの回数、あるいは金利情勢、そういったもの、さらには、会社によっていろいろ差があるわけでございますけれども、おおむね現在におきまして一一%から一四%、その間にあるものでございます。  そのようなことでございまして、こういった販 売信用にかかわりますクレジット取引、これの手数料の中には金利以外にも信用調査費とか集金費とか事務管理費等々、いろいろなものが入っているわけでございます。このような手数料につきましては、企業のそれぞれの経営判断あるいは競争原理、そういったものの中で、もちろん法律の規定の範囲におきまして決まっていくものというふうに理解をしているわけでございます。
  33. 沢田広

    沢田委員 業界の方はいいです。まあ了解します。  それで、お手元に配ってありますノンバンクの表は、これは上場しているものだけなんですね。これ以外に上場してないものがあるわけですが、もう一つだけ、最後に東京リースの問題だけをちょっと御質問いたしますが、東京リースの場合を考えますと、千六百七十七億のリース料収入である。五五%を占めている。それから割賦販売の方で約一千億ですね。そしてその他が三百六十九億である。そうすると、さっき東京リース貸金業に入っている理由というのはどういうところにあるのかといったらば、主体は全部別なところにあるのだけれどもリースは違うのだ、割賦販売割賦販売法でやっているのでしょうからこれも入らないのだろうと思うのですね。そうすると三百六十九億のために貸金業に入っている、こういう説明をしたい、こういうことでしょうか。二ページ目ですね、お答えください。
  34. 小山実

    小山参考人 ただいまお配りいただきました資料を拝見しておりますと、はっきり融資についての収入を挙げている会社もあるわけでございますが、東京リースの場合その欄がないわけでございますから、多分その他のところに貸し金業務に伴う収入は入っておるのだろうと思います。
  35. 沢田広

    沢田委員 だけどその主体、業種というものはいろいろな多角経営をやっていますが、例えば貸金業法適用を受ける。まだ受けてない面もあるのですが、そうするとリース割賦販売がほとんど、八八%を占めておる。その他の収入は一二%である。その主たる業務というのは何かといったら、それはリース割賦販売になるんじゃないですか。それがなぜノンバンクの中に入り貸金業法に入る。こういう考えを持っているゆえんはどこにあるのですか。
  36. 小山実

    小山参考人 ノンバンクリース会社が入った理由というのは私どもはつまびらかにいたしませんが、東京リースはこういうふうに比較的、この数字からいきますと貸し金に伴う収入のウエートが低いわけでございますが、もう少し高いリース会社もあります。ですから、リース会社だからということではなしに、リース業会社が行っております貸し金業務がいわゆるノンバンクと申しますか、要するに銀行と違いまして預金等の受け入れを行わないで資金の融資を行っている会社という意味で多数ある、こういうことであろうかと思います。
  37. 沢田広

    沢田委員 これは大蔵省の方に伺いますが、今までの質疑の中で、こういうリースというものは貸金業法適用することは妥当なのかどうか、これがまず一つ。それから、割賦販売法に基づいて営業している部分はこれも貸金業法の中に入ることが適当なのかどうか。その点だけひとつ大蔵省の方からお答えください。
  38. 土田正顕

    ○土田政府委員 私ども貸金業規制法の施行をお預かりしておるわけでございますが、この貸金業規制法による対象となります貸金業というのは、いわば業種の全体、その会社の全体をとらえてそれに対して適正なる監督を及ぼすというような法制ではございませんで、会社はいろいろな事業を営むわけでございますが、その中で、貸金業に該当する部分事業についてのみ貸金業規制法によるところのいろいろな規制が及ぶものであるというふうに理解をしております。  したがいまして、先ほど御指摘がございました東京リースでございますが、たまたま実は私「会社四季報」を所持しておりますが、その中では確かにこのリース料、割賦収入その他が大半を占める会社でございますけれども、手元の数字によりますと、事業の中の九%は営業貸し付けであるというような記載もあるわけでございます。そのような営業貸し付けとして行っております貸金業という事業そのものについてのみ貸金業規制法が及ぶものである、そのように理解をしております。
  39. 沢田広

    沢田委員 わかりました。ですから、貸金業法適用を受ければプラスもあるかもしれないが、マイナスとしては、リースであり割賦販売をやっているものの業態についても立入調査なりあるいは事業報告を出す、こういう業務を併合的に負ってくる。嫌なら別の会社をつくりなさい、そういうことになってくると思うのでありますが、これは重ねてその点はどう受けとめておられるか、ひとつリースの方にお答えいただきたいと思います。
  40. 小山実

    小山参考人 法律にはそれぞれ法律の目的なり、それを受けた行政的な手段が明示されているわけでございまして、貸金業規制法でございましたら、貸金業規制法の目的なりそれに伴いますいろいろな行政手段というものから、どういう監督が行われるかということが決まるわけでございますので、私どもといたしましては、法律というものは厳正に守られるものであるというふうに理解しておりますので、貸金業法貸し金業務について何らか規制があるからどうこうということは別に考えておらないわけでございます。例えば、リース会社でも抵当証券を発行している、抵当証券業を行っている会社もあるわけでございますが、あれについては抵当証券業の規制等に関する法律がございましていろいろな監督規定があるわけでございますが、別にそれだからといってその法律に反対しているということも何にもないわけでございますので、それと同じようにお考えいただけたらいいと思います。
  41. 沢田広

    沢田委員 例えば全体の一%であろうと二%であろうと貸金業をやっていれば貸金業法適用を受けることは当然であるという、非常にわかりやすいお答えをいただきました。割賦販売法もあるけれども、そういうものにはかかわらず貸金業法適用を受けて運営をしていくというお気持ちでこれは入っておるんだということでありますから、我々の意思と一致をするわけでありまして、その点は明確にお答えいただきまして心から感謝を申し上げて、リースの方の方々に、これからますますいろいろな苦難があるでしょうし厳しい条件はあるでしょうがまた頑張っていただきたいし、今のお答えのように積極的に社会の公正と公平のために御努力をいただきたいとお願いをいたします。  次に、銀行協会の方、お待たせをいたしましたが、わざわざおいでをいただいておりまして心から厚くお礼を申し上げます。  それで、きょうはノンバンクを中心にしてお伺いをするわけなんでありますが、全銀協としてノンバンク現状についてどういう認識と理解をしておられるか、その点を簡単にお答えいただきたいと思います。
  42. 三木繁光

    三木参考人 御説明申し上げます。  ノンバンク現状につきましては、大きく言いまして私ども二つの認識がございます。  一つは、社会的に非常に大きな存在になったということでございます。ノンバンクは、私ども金融機関の貸し出しを補完するということで役割を果たしてこられたわけでございますが、ここ数年間規模的にも非常に大きくなった。先ほど御説明がございましたように、融資規模では九十八兆円に達したということが一つでございます。  それからもう一つは、巷間言われていることではございますが、このところのバブルの崩壊にもよるわけでございますが、延滞債権、不良債権、これが、全部のノンバンクではございませんが、一部のノンバンクにおいて発生し、経営の内容が相当厳しくなってきたということかと思います。非常に大きな存在になったということと経営内容が非常に悪くなってきた、この二つを認識しております。
  43. 沢田広

    沢田委員 小山さん、私の方の質疑は終わりましたから参考人は御退席いただいて結構ですから。また、聞いて御自由ではございますから。  続いて、ノンバンクの必要性、悪い面といい面があるわけなんですが、必要性はどこにあるのだろうか、それから悪いところはどこにあるのだろうか、その点率直に銀行協会の方から、ああこれは困ったものだ、ちょうどやくざの子供を抱えたようなものだ、こういうことになるのでしょうか、それとも、我々ができないところをうまくかっさらってきてくれるからこれは我々としては非常に有利な形態なんだ、できないところをうまくやってきてくれる、そういうふうにお考えになっているのでしょうか、その点ひとつ、私の表現は別でありますが、それらの点についてお答えいただきたいと思います。
  44. 三木繁光

    三木参考人 御説明いたします。  まず必要性の点でございます。これは、ノンバンクは、先ほど補完という言葉を使ったのでございますけれども、自由かつ柔軟、機敏というメリットを生かしまして国民のさまざまな資金ニーズにおこたえいただいたという点があろうかと思います。したがいまして、私ども金融機関の及ばないニッチを含めたそういう補完的機能があったということは率直に評価されてよろしいかと思いますし、これがまたノンバンクの必要性であり存在意義であろうと思うわけでございます。  それからもう一つは、ぐあいの悪い点について、どういうことがあり、どう思っておるかという御質問がと思うのでございます。この御指摘につきましては、先生のおっしゃっておりますのは、ノンバンクがバブル経済を助長した一人であり、また、そのバブル崩壊によりまして不良債権を抱えた、これが問題になっていくということ、それからまた、金融不祥事でノンバンクが関与したケースが見受けられた、散見されたということを憂慮されたものかと思います。これらの点につきましては、私ども銀行も、程度の差はございますが、深く反省しているところでございまして、銀行協会ベース、個別行ベース、それぞれ対応策を検討実施しているところでございまして、今御質問の、必要性と悪いところはどういうところかということはこんなところかと考えております。
  45. 沢田広

    沢田委員 今ノンバンクがこれだけ社会的に言われるようになったのは、ああいいことをした、いいことをしたと言って褒めていてなったわけではないのです。悪いことばかりやってしょうがないな、少し懲らしめなくてはいけないのじゃないかという声が今出ているわけですから、銀行協会といっても、発端は自分の方から金が出たんだから、生んだのは銀行協会の方が生んだのかもわかりませんが、生まれた子供がこういう悪さをやっているということについては、率直に言って、これはこうして直していかなければならぬ、あるいは、自己規制というか、銀行貸し出しを制限するとか、吸い上げるとか、自分の自主財源をつくらせるようにするとか、しっかりした方針を持たなければいかぬのじゃないかという気がするのです。悪い方は余りしゃべるのは勘弁してくれというのは随分他行に気を使ったお言力葉で、気持ちはわかりますが、こういう悪い面だけが横行していて果たしていいのかという国民の問いなのでありますから、その問いに対して、日本金融機関としてあるべき姿を求めて努力をしていく。銀行の方が景気悪いからノンバンクで大もうけしようというのはどう見ても、これは正しい金融業と言えるかというとなかなか言えないのじゃないかと思うのです。  お手元にも行っておりますように、金融機関から出ている金の大きさから見まして、それで九十八兆の出ている原因があるわけですから、ちょっと違うのは損保なり生命保険なりが入っているくらいで、ほとんど金融機関ですね。ですから、こういう状況から見ると、たしなめるところはたしなめていかないと本体にまで影響してくるのじゃないのかという危惧を私は持つものなのでありますが、その点はいかがでしょうか。
  46. 三木繁光

    三木参考人 先生のおっしゃるとおりと思われますが、ノンバンクが社会的に非常に大きな存在になりましたことから、やはりノンバンク自体がまず公共性への配慮ということに十分留意していただきたいと思うわけでございます。一つの考え方としましては、ノンバンク各社が原点に立ち返るということも大切でございまして、先ほどから出ておりますように、消費者金融クレジット信販リースと、いろいろな業態、形態があるわけでございますけれども、それぞれの本業を重視するということがまず必要ではなかろうかと思うわけでございます。  それと並びまして、先生御指摘の、ほかにもう少しどういうことをしたらいいかということについての御質問がと思いますけれども、公共性の配慮と健全性を保持するという観点からいたしますと、まずディスクロージャーの推進でございますとかノンバンク業界自体による自主ルールの整備といったことも必要ではなかろうかと思います。例えば、最終的な支払い能力を担保するための緩やかな自己資本比率の目安の設定でございますとか、与信リスクを分散するための一社に対する大口融資の上限を導入するというようなことも必要ではなかろうか、このように考えております。
  47. 沢田広

    沢田委員 非常に適切な、一部でありましても適切な御発言がありました。問題は、そういうことを、こういう事態になる前にもう三年も四年も前からこのことは言われていたわけでありますが、銀行協会等が特別委員会なりをつくって、みんな出ているのは銀行からなんでありますから、じゃうちの方も三割削減するとか、うちの方も五割削減するとか、そういうことをやっていって、そしてノンバンク自身の姿勢というものを、言うなら、今、放蕩息子みたいになっちゃったんですからね、余り金ばかりやってやるからいいかげんなことばかりやって、悪いことばかりやっている、こういう格好になっているわけですから、やはり小遣いのやり方は引き締めるとか下宿代のやり方も引き締めるとか、そういう形で姿勢を正していく、こういうことが求められていると思うんですね。今の御発言が実現されることを期待しますよ。とにかく、我々が法律でと言う前に自分でみずからを律するということも必要なことですから、今の御発言が協会の中で実現されることを当面とにかくお願いをいたしておきたいと思います。  それから、このノンバンク銀行関係で、いろいろと企業が悪くなる。飛ばしは実は別のところでやるわけでありますが、利息を延ばす、繰り延べてやる、ひどいのは三%まで利息をまけてやる、こういうようなことをやる、これは国民として許しがたいんですね。我々にまけてくれましたか。我々って、私もそうかもしれませんが、我々にまけてくれましたか。七・五を三%にまけるなんということを一般の大衆にやってくれましたか。一回だってないでしょう。それが、こういう不良な債権をつくっているところに七・五の金利を三%にまけてやる、こういうようなことをやるなんというのは、銀行の頭取以下やめて出直してもらわなければ国民に申しわけないんじゃないかと私は思うのですね。これは国民だって怒りますよ。自分の金利はどんどん下げられて、参った参ったと年金受給者なんか言っているときなんです。それが、悪いことをしながら、会社が悪くなったら金利は下げてもらって、利息も繰り延べてもらって、債権も繰り延べてもらうなんて、こんなばかな話は、まさに湯水のごとく金が流れるということと、文字どおりそのとおりでしょう。これは、協会としたって、これはとんでもない銀行だ、こういう銀行はたしなめなけりゃいかぬという、その権限を協会長は持ってやらなければ、日本金融市場そのものがやはり信用がなくなっていくんですから。今だってどんどん預金が減っているでしょう。郵便貯金にばかり打っちゃっているでしょう。そのうちには、かめに入れて床下へしまうようになってしまう。そういうふうに信用がなくなっているということをまずみずから御認識いただけるのかどうか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  48. 三木繁光

    三木参考人 お答え申し上げます。  ノンバンクが行き詰まりましたときに、私どもはすべてこれを支援しているというようなことは もちろんございません。私ども銀行といたしましても、ノンバンクを支援すべきかどうかについては、あくまでまずケース・バイ・ケースで判断しているわけでございます。  判断のポイントといたしましては、これは一般企業とまず同様でございまして、再建、更生の可能性があるのか、それから自分の銀行と親密度においてどの程度の親密度があるか、こういったことがまず最初でございますが、これに加えまして、ノンバンクの場合は、信用秩序への影響がどうであろうかとか、銀行の果たすべき役割がいかがなものかといったことを考えざるを得ないわけでございます。信用秩序の安定という点から申しますと、ノンバンクは既に非常に信用秩序の一翼を担う大きな存在になっておりますので、これが経営破綻ということに仮になりますと、貸出金融機関の経営問題、ひいては信用機構の問題ということにもなりかねないということも考える必要があろうかと思うわけでございます。既に幾つかのノンバンクにつきまして経営の再建策、金融支援策、これを検討もしくは実施しているわけでございますが、今後も個別ケースごとに極力金融システムヘの影響を配慮して関係者が最善の努力を図っていくということでございますが、あくまでケース・バイ・ケースでございます。  それからもう一つ銀行として大いに反省せよというお話でございますが、これはまことに私どももこの数年、ノンバンクに対しての貸し出しはそれなりに努力し、ウォッチしてやってきたつもりではございますけれども、いろいろ行き過ぎた面もございましたので、今回の経験をよく生かしまして、一層ノンバンクの内容をよく把握した融資をするよう心がけるつもりでございます。
  49. 沢田広

    沢田委員 やはり金融機関の公正化といいますか、社会における公正というものは国民の特に求められているところと思うのですね。特定の者が有利な条件を得るという形にならないで公平を期す、これが一番大きな条件だと思うのですね。今会長もつかれたばかりでしょうけれども、ぜひそういう意味において金融の姿勢を正していくということに今後も一層御努力をいただきたいし、これは私だけの発言ではないので、国民の多くの人が何かうさん臭いし、とにかくバブルのときには悪いことばかりやって、今になったら貸し出しを渋って一般庶民は泣き面にハチだ。それで特定の者だけには金利はまけてやるわ、利子は猶予してやるわ、それに対して一般の庶民からはどんどんぶったくるわ。ぶったくるだけだ。山賊か何か悪の標本みたいに今言われているという現状ですから、その点は銀行団も、これも必要悪なのかもわかりませんが、必要悪にしてもこれは通る話じゃないですね。私の話の中だって、通る話ないでしょう。我々から見ればそういうふうにしか映らないのですよ。その点を早速総会なり一総会は開けないでしょうが、役員会等を開いて銀行の姿勢というものをひとつ考えてもらいたい。  それから、ノンバンクの方針なんですね。これもひとつ銀行の方できちんと、金を出す以上、我々に金を貸すときには何に使うんだ、いつ返すんだ、それはどういうふうになるんだって大変厳しい条件でやってくるでしょう。しかし、こういうものについてはわっさわっさと何億、何億という金がどんどん出ちゃうんですよね。農林中金なんかだってこれは一ページ目に、千四百八十二億もわあっと出ちゃった。そういうふうに出ていっちゃった金がどこまで厳重にチェックされているのかということは全くわからない。これは銀行の皆さんの方も同じなんです。  時間を大体一時間で見ましたからもうこれで終わりますが、最後にここに五月三日の朝日でありますが、ノンバンクのエクイオンというのですか、それに私が言ったことが事実出ていますから。「融資残高約三千億円のうち、千百億円が延滞債権となり、同社に融資していた八十三の銀行ノンバンクに対し、元本の返済猶予と金利の一律三・一六%減免の支援をとりつけた。」だれがこういうことを勝手にやるんでしょうかね。「しかし、不動産価格の低迷で担保の処分が遅れたうえ、延滞債権はさらに五百億円も増えて、全融資残高の半分を超えた。この結果、九二年三月期の営業収入も当初見込みより六十億円減って百二十億円になる」ため、昨年夏の金利減免だけでは再建が困難になった。こういうことを去年の夏の時分からやっているのですね。そして今度は「三千三百億円の約定平均金利六・六%を三・一%まで、さらに軽減させて乗り切ることにした。」こういうことが許されていいんでしょうかね、協会としては。これは後、銀行局の方にも聞きますが、こういうことが許されていいのですか、お答えください。それで私の質問は終わります。
  50. 三木繁光

    三木参考人 お答え申し上げます。  今のエクイオンはちょっと個別の問題でございますし、たまたま私の銀行とそう親しい関係にございませんので、詳しい事情については存じないわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたとおり、ノンバンクノンバンクなるがゆえにすべて助けるということはございませんで、あくまでケース・バイ・ケース、そうしたことが社会的にも信用秩序安定の上からも望ましいかどうかという判断に立っているわけでございまして、基本的には一般企業を助けるか助けないかという判断と同じことでございます。  ただ、ノンバンクの場合は、私どもの融資がさらにその先の融資という形で回っておりますので、金融秩序とか信用不安が起きないようとかいうことは一般企業以上に考える必要があるということでございまして、先ほどと同じような答えになりますが、エクイオンのケースも同様な判断に立ったものと思われます。今後また十分注意をいたしたいと思います。
  51. 沢田広

    沢田委員 終わりますと言ったけれども、あなたの銀行だけで呼ぶのなら、それは話はまたあなたの銀行の方も長くはないのだから話すのですが、協会の会長として、こういうのがケース・バイ・ケースで許される、幾らでも下げることも、ないし延滞することも可能だ、こんなふざけた話がありますか。どこかの審査機関で審査をする——東洋信金も同じですよ。割賦販売じゃないけれども、支店を全部ばらばらにして、結果的には同じことなんですよ。だけれども、そういうことを許していい限界というものがあるのじゃないですか。こういうケースを許していいのですか。社会的正義、公平、公正という立場で許される範囲内ですか。じゃ、どこまで許すのですか。許される限界を言ってみてください。
  52. 三木繁光

    三木参考人 お答え申し上げます。  私ども全銀協では、昨年、一連の金融不祥事との関連におきまして、融資のあり方について、特に不動産融資のあり方について検討会を持ちまして、これを各行の指針として配付する、同時に不動産融資マニュアルというものを配付することにいたしました。これらは、この数年間におきまして、銀行の融資のあり方についても先生御指摘の問題があったという反省に立ったからでございます。  しかし、もう一つの御質問の、どういう限界まで許されるのかということにつきましては、ケースによるというほかないと思うのでございますが……。そういうことでございます。
  53. 沢田広

    沢田委員 これでやりとりは、今度は銀行局の方にしますが、こういう六・六を三・一まで下げるというのは非常に有利な条件でしょう、一般的に見たら。あなたの方の銀行だって、こんな金利を下げて、金利が取れない場合に延ばしてやるから、安くしてやるなんということは、本当に一万分の一ぐらいの確率しかない例じゃないですか。日常茶飯事に行われていることでないことだけは間違いないでしょう。——首を縦に振っておられるからそのとおりだ、こういう意味なんだと思うのです。延滞債権もこうやって繰り延べていく。これは異常なんです。だから、どこか、銀行とその相手だけじゃなくて、社会的な公正というものを期すべき方途を見出していかなければならぬ。どこかで、それはやむを得ないのだということを、きちんと、相対だけじゃなくて社会的に認知される、まあしょうがないと認められる、そうい う条件が必要だと思うのですが、その点だけお答えいただいて、後でまた同僚が質問されるそうですが、休憩していただきたいと思います。その点だけお答えください。
  54. 三木繁光

    三木参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。  それから、先ほどちょっと申しそびれましたが、全国銀行協会は私どもの任意団体でございますので、こういう限界までこうせよという、そこまでは参りませんが、先生のおっしゃいました公正、それから国民に不公平があってはならないという原則につきまして、引き続き傘下銀行に徹底するように努めたいと思います。
  55. 沢田広

    沢田委員 大変御苦労さまでございました。長時間にわたって御協力ありがとうございました。しかし、国民のためにあるべき銀行として今後御発展されることを祈念して、私の方は一応終わりますから御休憩ください。  続いて、大蔵省、通産省等に御質問させていただきます。  このノンバンクの問題は、大蔵大臣は前々から関係が深いし、非常に理解もある方ですから十分に御承知をいただいていることだと思っているわけでありますが、何がゆえに問題がこれだけ延びて、引き延ばして抵抗が多いのか。のぞかれるのが嫌だということなのかわかりませんが、どうしてこのノンバンクが、それはこの前の改正あるいはその前の国会の時分から、大蔵においては半ば了解して、よそへ行くと途端に反対になる。こういう人もなくはおりませんが、この辺、大蔵大臣、大局的な立場に立って、このノンバンクでいろいろなものにも影響しつつあるわけですから、腰を上げて、貸金業の中に入っているのだから貸金業と同じ扱いをするのだということだけで、それ以上厳しくしろとか毎月検査をやるぞとかと言っているのじゃないのですからね。貸金業法に定められた規制の範囲内において運営をするということが今まで我々の主張だったわけですからね。ですから、そういうことの範疇から外す理由はないのじゃないか、やはりその範疇に同様に含めても何ら支障はないのじゃないかと私は思うのです。殊さらにこれを免疫処分といいますか免疫にしておいて、土地においても五百億以上でなければ報告しなくていいよとか、一般貸金業だって同じなんですねぴですから、大蔵大臣、これだけを差別して、これだけは別扱いをしていくという発想は本来ないのだと思うのです。あのときもそういう話があったのですが、何といっても会期があした、あさってだという条件で、土地の暴騰が強いときだからという条件で、土地だけについてあそこの項目の中に入れたわけですね。ですから本来は、もっと時間があれば、あれも貸金業並みに扱うことになっていったと思うのです。時間切れでああいうふうになった結果が出たわけです。ですから、そういう立場から見ると、これは私ばかりじゃなくて、堀さんは今おりませんが、堀さんもそのことを受けて、我々みんな部会の中で、これはこういう時期になってしまったのだからとりあえず土地だけについてということの話がみんなにあって、それで、あした終わってしまうのだからしょうがないから何とかということになったわけですね。そういうことでうちの方はまとめてあるわけなんです。だから、少なくともあのときには、ノンバンク全部について貸金業と同じ扱いをしていこうという前提があった。しかも、大蔵においてはほぼ皆さんも理解して、そういう必要性、貸金業と区別する理由はない、大枠の議論をするとそういう状況です。時間の関係がありましたから細かいことはこれからいっぱい言っていきますが、大蔵大臣が、ああ、ようわかった、やはりそのぐらいの線までいかなくてはいかぬ。それは私の責任で党をまとめていきます、そう言ってくれれば、私は何も細かいことを言いはしないで、その中で公正な金融機関としてこれからも発達してもらうことを期待するのです。しかし、そこで枯れば粘るほどおかしくなりますからね。だからあえて言うのです。  それからもう一つ、これは後で答弁してもらいますが、中小企業のためだと言うのですね。ところが、本当に中小企業のためになっているかといえば、さっきもちょっと述べたように、なっていないのです。これはカード関係だけで、これはほかにも出ていますが、中小企業のためになっているかというと、中小企業貸金業法の方でやっている貸し金業者の方がためになっているのです。それがもっと零細な人たちを助けている。これは、いわゆる地上げ屋みたいに中間的にもうけていこうという人たちだけがこういうものの利用率が高い。それを借りてその上にもうけていこう、こういうことなんでありますから。さっき言った中小小売団体向けの関係金利は、さっき述べたとおりであります。それ以外にも、細かい数字は省略しますが、大体大枠にして、もうこの段階に来たら、これから国のためにもやはり公正な政治というものをつくるためには、そういう段階に入ったというふうに大蔵大臣も腹をくくってもらいたいということで最終的な話になっているのですが、大蔵大臣はどのような方向でこれから対応していただくのか、その決意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  56. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 ノンバンクにつきまして、もう、るるお話があったわけでございますけれども、近年事業者向けの貸し付けを中心にいたしまして著しく量的な拡大を遂げた結果、ノンバンクが担う資金仲介機能のあり方、あるいはノンバンク経営問題は、金融システムの安定及び健全な発展を図る上で、これはもう看過できないものであろうというふうに認識をいたしております。昨年の国会におきます証券及び金融に係る不祥事の再発防止に関する決議におきましても、こうした認識を踏まえまして、ノンバンクの経済活動が金融機関に匹敵する規模に達していることにかんがみまして、その実態把握を進めつつ適切な指導体制の確立を図ることとされております。私ども大蔵省といたしましては、かかる決議というものを踏まえながらノンバンクの実態把握を図ってまいる考え方でありますけれども、それとともに、今後業界団体における自主規制の活用を初めといたしまして、何らかの指導体制の整備をさらに図る必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。  貸金業法につきましては、昨年五月に議員立法による改正がなされておりまして、行政当局といたしましては、これを受けてノンバンク側の自主的な協力を前提にできる限りの実態把握に向けて努力をしているところでございますけれども、本法の再改正、こういったものなどにつきましてそういう中での議論というものをさらに詰めていく必要があるのじゃないのかなというふうに考えております。  なお、中小企業につきまして、本当に役に立っているのか、むしろ貸金業の方がという御指摘もあったわけでありますけれども、やはり一つの重要な資金供給先としての役割というものを幾つかの例の中からでも果たしているのではないかという認識を持っていることもあわせて申し上げておきたいと思います。
  57. 沢田広

    沢田委員 若干歯切れが悪いのでありますが、これは三月三十一日の大蔵省としての監視強化ということで、今銀行協会の会長が言ったように「不動産融資だけではなく各分野での融資内容の報告を義務づける、定期検査を含む検査権限の導入、経営業務内容の改善を強制する業務改善命令の導入など」こういうふうなことで、一般貸金業と大体歩調を合わせていくような方向が、自主ルールは自主ルールで結構なのですよ、しかしそういう方向で——これは間違いがあったら間違っていたと言っていただきたいのですが、一応とにかくこういう方向で進めている、こういうふうに報道されておりますね。これはうそですか。ガセネタですか。
  58. 土田正顕

    ○土田政府委員 ただいま御指摘の報道、私どもも読んでおるわけでございます。  そこで、全体につきましての考え方は、ただいま大蔵大臣から御説明申し上げましたように、当面ノンバンクの実態把握を図ってまいりたいと考えておりますのと同時に、今後、もちろんこれは 業界団体による自主規制の活用を初めとしてですが、何らかの指導体制の整備が必要であるのではないかというふうにも考えております。そこで、その際に具体的にどのような方法があるかということを研究しなければならないと思っておるわけでございますが、まだその報道にありましたほどの成案を得るには至っておりません。  それからさらに、従前から申し上げているところでございますが、貸金業規制法につきましては、そもそもこれは議員の方々の御苦心による議員立法であり、さらに昨年五月の改正も議員立法によって成立をしたわけでございます。そのような経緯もございますので、今後ともまず国会での御議論を十分踏まえてさらに検討を続けていきたいと考えております。
  59. 沢田広

    沢田委員 国会の議論をというのはいつまでのことを言っているのか。この国会でという意味でしょうな。次の国会なんてわけがわからないのですから。この国会でのという意味——国会のことを銀行局長から指図されるのは初めてのことですけれども、敬意は表しますが。審議を見てというのはこの国会で、こういうことで、時間がないから次へいきます、あなたに答えろといったって無理だろうから。  次に、「不動産会社ノンバンク 相次ぎ支援要請」ということで「過去最悪の倒産負債額」、こう出ているわけです。こういう状況になったのに全部ノンバンク関係をしてきている。それで、その中に入ってどういう状況かということを調べることができない、あるいは報告を求めることもできない。これは大臣に聞いておきますが、これでいいですか。認識をしていただくためにちょっと言っておきます。麻布建物が七千億、メーンバンクの三井信託などに金利利払い猶予を取りつけた。それから、第一不動産、第一コーポレーションのグループも「三井、安田、中央の各信託銀行日本債券信用銀行などにそれぞれ金利の棚上げや減免を要請、協力を得た。」これは誤報であるかどうかは別です。それから、海外リゾートのイ・アイ……あと省略しますが、長期信用銀行など主力五行に利払い猶予を求めた。まだ、ほかにもたくさんあるのですよ。日本モーゲージ、メーンは住友信託。それから、日貿信、安田信託、第一勧銀。アポロリース、さくら銀行、日債銀。総合住金、第二地銀協加盟行。地銀生保住宅ローン、地銀六十四行、生保二十四社。日本ハウジングローン。まだありますが、まさにこのツケがいろいろと、これは銀行経営の圧迫になりますよ。そうですね。しかも、これは一般庶民の金を使っているのですよ。我々のささやかなものを使っているのですよ。それをこう勝手気ままに使って、経営の責任もないわ、それはおれの勝手だ。そして、悪いことをやっても、金を貸してやるから何とか働けてやれ、こういうやくざ的な発想に基づく相互補助なんというのは日本でまかり通ってはならぬと思うのですね。少なくとももう少し秩序立った金融でなければならぬと思う。何でもかんでも助けりゃいいやというものでもないのですね。さっき銀行協会の会長も言ったのだ。大蔵としてはこういうことを見逃しているという罪悪感というものは感じませんか。こういうことを許していくことが、いかに国民に対して、経済なりいろいろな不信感なり、同じ悪いことをやらなければ損だという発想を植えつけるという役割しかないでしょう。あえて申し上げておきますと、全部挙がっていたものは、これは四月十五日の毎日に載っていたものですね。これはあきれる状況ですね。ですから、こういうことに対して、銀行局長、腹でもくくって、こんなものはだめだ、やはりそういうふうに——助けてやって何かうまい汁を吸おうという議員がいるとしたら、これも許しがたいですよ。そういうことを大臣が助けることになってしまうのですね。だから、これはきちっとやってもらわないと、さっき言ったようにささやかな要望でしょう、我々が言っているのは。貸金業と同じように中に立ち入って調べる権利と報告する義務を万が一の場合に備えて銀行局が持つ、大蔵省が持つということを言っているわけであって、それ以上のことを言っているわけじゃないのですね。せめて公正、公平、こういうものを保障していくという行政は最小限度に必要な条件だと私は思うのですね。さっきの答弁では私は不十分でありますし、そういう意味においてあえてこういうことをだんだん言っていかなくちゃならなくなるわけです、今度はどこの委員会へ行っても。だから、そういう状況の中で一歩前進させて、やはり庶民が安心して預金できるようにという形をとらなければならぬと思うのですね。これは相互の問題だと思うのですね。我々国民だけがばかにされて、勝手に適当なところでうまいことだけやっているという印象をぬぐい切れないでしょう。大臣、これはどうですか。
  60. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 基本的にはおっしゃるとおりだと思います。  一般論からいきますと、金融機関の融資、これは金融機関みずからが自主的な経営判断に基づいて決定することであって、相手の業種を問わず、個々の顧客の財務状況ですとか資金繰り、収益力、取引実績、経営者の人物、能力及び保有財産の担保力、こういったものを総合的に判断してやるということでありまして、経営不振に陥った企業に対する金融支援についても、基本的には金融機関みずからの経営判断によってやるものであろうというふうに思っております。  しかし、御指摘がございましたように、今挙げられた個々の問題というのは、やはりバブルというあのときの状況の中で、ちょっと一般の常識を外れたものでそういった問題を起こしてしまっておる。こういったものに対する救済ということについて、今公正あるいは公平という観点からお話があったわけであろうと思っておりますけれども、こういったものを確保されていかなければならぬものであろうというふうに考えております。
  61. 沢田広

    沢田委員 今も大変重要な御発言があったのですが、それはバブルのツケでこうなった、これは、経営者としての一つの見通しとみずからの識見の範疇に属することじゃないですか。だから、みんな、国民の大方が損しているのですよ。それは、みずからの一つの先見性なり、あるいはこういうときには株は買わない方がいいと思って認識したり、あるいはここは引き締める方がいいんだという経営をやっている人は、今ちゃんと残っているのですね。それを、ただ株に手を出したりあるいはバブルに乗っかった者が今日やけどをしているという現象なので、全体的にそれが多いからといって、すべてではないのですね、少なくとも。  銀行局長にあと聞きますが、ですから、こういうものの経営が、例えば貸借対照表なり損益計算書なりあるいは事業報告書なり、誤りがなかったということは保証できるのですか。バブルだけのツケでこうなったということか。そういうのが我々知りたい。不可抗力だったのか、あるいはそれは経営者の一つの完全なミスで発生したのか。検察当局でやられている今の事件だって、暴力団が絡んでいる問題だって、皆そうでしょう。それは、一つの見通しの誤りあるいはみずからの識見に問題があるんであって、これが社会的な不可抗力であったなんということは言えないと思うのですね。これは銀行局長、さっき挙げたことについて、ひとつ言ってください、時間がないから大物だけでもいいですから。第一不動産、麻布だとかコーポレーションとか、幾つかの問題について、なぜこういうことになって、利払いを猶予してやったりなんかしているのですか。少なくとも、大蔵委員会に報告でもして承認を求める案件です、PKOじゃないけれども。そのくらいの条件だと思うのですね。局長、答えてください。
  62. 土田正顕

    ○土田政府委員 大変に厳しい御指摘であると受けとめております。  確かに、御指摘のとおり、このバブル経済の消長の過程の中で、ノンバンクについても、また、そのノンバンクに対して金融を提供いたします銀行ないしはノンバンクの親会社、そのようなものについても、安易な業容拡大に走ったという批判 がございますことは事実であり、また、その状況を我々は厳しく把握しなければいけないと思っております。  まず、現在私どもがやっておりますのは、現在の法律の規定では必ずしもそこまでの権限は与えられておりませんけれども、自主的な協力によりましていろいろな情報を集めるということをやっておるわけでございます。  それで、その一例としまして、ことしの三月にノンバンクの現況についてアンケート調査も行ったわけでございますが、その内容は、もちろん詳細は申し上げませんけれども、バブルの崩壊のノンバンクに対する影響は顕在化しつつあり、延滞債権の増加の状況がはっきりと認められるということでございます。しかも、そこに至った原因といたしましては、一つは、ノンバンク自体につきまして審査部門の人員、体制が弱体であるという点もアンケート調査によって明らかになったと考えております。  他方、これに対する資金の供給者でございます金融機関でありますが、この金融機関がノンバンクに対しまして、メーンバンクと申しますか資金の主たる供給者と申しますか、そのような責任を果たすことができにくいような構造に実はなっておるということも明らかになりました。すなわち、資金調達先が二十先を超えるものがノンバンク調査対象の中で八割以上あったわけでございます。そのような多数の金融機関からそれぞれ分割して借りておりますと、金融機関側の一つないしは二つが支配的な影響力を行使できるというふうにはなかなかなっていないことがこのアンケート調査でも明らかになったと思うのでございます。  そこで、いわばこのような見通しの誤りその他によりまして、ノンバンクにつきましてはかなりの延滞債権が現在発生しております。これに対する金融機関の対応といたしましては、これは、先ほど参考人が言っておられましたように、もちろん経営不振に陥った企業一般に対する金融支援のあり方と同様に、基本的には金融機関みずからの経営判断により対処すべきものであるということではございますが、その経営判断に当たっては、やはり一つは、いわばこのような問題のある債権の発生を防ぐような前向きの態勢を今後とるべきである。それから、現在既に発生いたしました不良債権につきましては、大変遺憾なことでありますけれども金利の減免なり元本の返済猶予を講ずるという例がふえてきておることは私どもも承知しておりますが、それは、現在の状況の中で金融機関にとってのロス、損害を最も少なくする方法は何かということを考えながら、場合によってはその倒産を防止して、それでこの元本や金利の中の最大可能部分を回収しようという判断に出ているものもありますし、場合によりましては、これはむしろ倒産もやむを得ない、そして清算させた方がいいというふうに判断するものもありますし、そこはケース・バイ・ケースの判断を働かせていると思うのでございます。  私どもは、今後できれば、一つはディスクロージャーと申しますか、業界みずからが積極的に経営内容を開示する方向の手段を何らか考えてみたい。もう一つは、当局側のモニタリングと申しますか、いろいろな意味での情報の収集についてもなお努力してまいりたい。この二つの方向を基本といたしまして今後の対策を考えていきたいと思っております。
  63. 沢田広

    沢田委員 今の答弁ではちっとも、一生懸命努力するということを言っているだけですが、結果的には今担保能力もうんと落ちているのですね。例えば全部の不動産関係を見ても、マンションを担保にするとか、家を担保にするとか、土地を担保にするといっても、その価額も半分から三分の一に減っているわけですね。だから、貸した金はみんなオーバーローンになっているという形も出てきているのですし、事実上それが返済能力があるかどうかのチェックも大変なんだ。同様に、そこへ援助をするならば、給料を三割ぐらい減らすとか冗費はどんどん節約するとか、そういうことの再建の意欲をそのノンバンクならノンバンクが持っているかどうかということを確かめる必要もある。そうでもないのにのべたらに垂れ流しに金を出すなんということはどう考えてもあり得ない。  我々のところにも、どうしたらいいでしょうとそういうのが来ますよ。それは、土地も家も全部担保能力は下火になっちゃっているのだし、債権の方が上回っちゃっている。だから、バブルのときに返済しておけばいいものが残ったから、余計な重荷になっておる、そういう状況も出ている。だから、もうみんな給料を減らしなさい、僕はそういうふうに言ったり、減らせるものを減らしていわゆる金利を払っていく、こういうことが必要だというふうに指導するのですけれども、こういうものをそのままのべたらにしておいて、ちっともディスクロージャーもできない、内容はどうなのかわからない、悠然としている、そういうのが私たちの近辺には散見できるのですね。そういう形が、果たして融資をする相手がどうかということは極めて疑問である。  これは銀行局長、言えますか。相手がどういう生活態度をとっているか、生活姿勢がどうなっているか、垂れ流しに出していく相手側の生活条件はどうなっているか、どういう給料をもらっているか、どういう条件で働いているか言えますか。言えるなら言ってみなさい。
  64. 土田正顕

    ○土田政府委員 現在、貸金業規制法によって行政当局に与えられております権限の内容につきましては、委員よく御承知のとおりでございまして、私どもノンバンクに対しまして直接そのような情報を求めるという手段は極めて限られておるわけでございます。ただ、主力の金融機関がございます場合には、その金融機関を通じましてノンバンクの実態なり再建のための具体的手法なりにつきまして情報を手に入れることもございますし、また金融機関と今後のノンバンクの取り扱いにつきまして意見交換をすることもございますが、それがすべてのノンバンクに該当することではない、その金融機関が必ずしもノンバンクの内容について実態を知り得ない、そのようなケースもあるということは、これはまた委員指摘のとおりでございます。
  65. 沢田広

    沢田委員 やはり公的な補助を受けるのには、あらゆる商行為をやるにしても貿易をやるにしても、国の補助をもらうときには厳重な審査がありますね。いろいろな審査をやって、そして会計ももちろん、貸借対照表、損益計算書、帳簿類に至るまで全部それを示して、そしてそれなりの融資を仰ぐなり、あるいは補助なりを仰ぐということにしているわけだ。そういう一方はがんじがらめの行政をしておきながら、一方ではこんな野方図な状態を放置しておくなんということが許されていいわけないでしょう。あなたは銀行局長や官僚をずっと長くやっていたのだから、わかるでしょう。これがルーズじゃなくて何ですか。あなたは今答えられないでしょう。こういうふうに垂れ流しに利息をまけてやったり債権をまけてやるには、それだけの姿勢を相手が示す必要があるでしょう。銀行のお金を貸すにしても、あるいは国のお金を貸すにしたって、厳重な審査があるじゃないですか。それで、そのとおりはなかなか貸してくれないじゃないですか。こんな安易な出し方をするというのは前代未聞なのですよ。銀行局長だって、それは自分の経験の中から知っているはずですよ。それに比較して、余りにもこれはだらしかなさ過ぎるのじゃないのか。最悪の場合は審査を受ける必要があるだろうし、立入調査をしなければならぬ場合も起きるだろう。そういうことを、法律的に一般貸金業はそういう条件にあるのですから、その程度まではやはり受忍限度になっていくのじゃないか。もっと限度があるのだろうが、言葉で言えば当然の義務に、範疇に属するのじゃないか。その中でこういう行為が行われたら、いざとなったときには、それだけの援助が正しいのか正しくないのか、リベートをうんと取り過ぎているのか、取ってないのか、そういうことまで調べる権限があっていいのじゃないのか、こう言っているわけですから、銀行局長は、わか らぬ、わからぬ、それでいいやというのではそれはしょうがないですね。だめですね。だから、そういう形で答えられなかったら、答えられるような仕組みというものをつくらなければだめでしょう。それはどうですか、答えてください。
  66. 土田正顕

    ○土田政府委員 ノンバンクの著しい量的拡大の結果といたしまして、ノンバンクが担っております資金仲介機能が、委員の御指摘のように、最近非常に問題を多発させておるということは私どもも感じておるわけでございますが、そういう資金仲介機能のあり方、さらにはノンバンク経営問題、これが金融システムの安定、それからさらには健全な発展を図る上で今や看過し得ないものになった、そのような大きな問題になったという認識は私ども持っております。  そこで私どもは、先ほどから申し上げておりますような実態把握の努力も進めておりますが、それとともに、今後とも自主規制の活用を初めとして何らかの指導体制の整備が必要であるのではないかというふうに考えておりまして、昨年以来の国会の御議論をも十分に踏まえまして今後考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  67. 沢田広

    沢田委員 中小企業関係がありますから一応言っておくわけでありますが、結果的には金融機関からノンバンクに出ましてノンバンクから出ていく金の流通というものは我々はちょっと把握ができない。そこで、どういう金利状況で貸しているのか、そういうものが実は確かめたいところなんですね。ところが、金利関係からいくと、このアンケートでもその辺が極めて不明なんですね。しかもアンケートの中に、若干これは私は意図的に出したなと思うものも内容を見ていくと感じられるわけでありますけれども、そういう金利についてはどのように把握しておりますか、お答えいただきたいと思います。
  68. 土田正顕

    ○土田政府委員 貸し金業者の窓口から出ていきますところの貸し出しの金利につきまして、私どもいろいろな手法で可能な限り調査をしております。それでさしあたり、まず平均金利という非常に要約された概念でございますが、平均金利で私どもが得ておる数字貸し金業者と全国銀行で比較をしながら申し上げます。  平成三年三月末という時点でございますが、貸し金業者の平均金利は一〇・九六%、その内訳といたしまして、消費者向けの金利は一九・四七%、事業者向けの金利は九・五七%という数字を持っております。なお、これに対します全国銀行の総合金利は、この時点では七・六八四%という数字になっております。
  69. 沢田広

    沢田委員 じゃ、もう一つ続いて聞いておきますが、ノンバンク関係で、貸し付けてあります不動産関係でいわゆる担保能力が下落したことによった損益、含み損はどのぐらいになっていると見ておりますか。
  70. 土田正顕

    ○土田政府委員 お尋ねの数字につきましては、私どもお答えするに足る数字を現在持っておりません。
  71. 沢田広

    沢田委員 そういうものがなくて金を貸してあるなんということは、これは国民としては大変な被害を受けているということになるわけですね。銀行局長は何も業者の代表じゃないでしょうからね。国民の、預金している人は、公定歩合が下がっただけだって、年金者は、いやまたこれは弱ったなといって泣いているのですから、それ以外にこんなところへどんどん金が出ていったら、銀行なんか信用できないということにつながるわけです。そういうことについてディスクロージャーができない。じゃ、どれだけの金利でどれだけの含み損が出ているかぐらいの調査ができないで金を流すことを認めるという論拠はどこにあるのですか。これだけの損益がある、しかし将来の見通しがどうなっているか、そのぐらいのことははっきりチェックしてからでなければ金を出すものじゃないでしょう。人の金だからそう簡単に出せるのじゃないですか。自分の金だったらとても出せっこないですよ、百万円だって。それは銀行局長、少なくとも姿勢がおかしいよ。そんなものがわからないで金を出すのを認めるなんということはあり得ない。大臣、どうですか、こんな金融行政がありますか。
  72. 土田正顕

    ○土田政府委員 先ほどのお尋ねは、ノンバンクが持っておりますところの担保の含み損はというお尋ねでございまして、それにつきましては私ども数字を所持しておらないとお答えをいたしました。  そこで、今金を貸すのはおかしいというお尋ねがございました。それは、ノンバンクではなくて金融機関がそのようなノンバンクに金を貸すのはおかしいのではないか、こういうお話であろうかと思います。そこのところは前向きに、今後資金需要にこたえてノンバンクに融資をいたしますときには、当然そのノンバンクの業態の内容、個別企業の内容、それからその融資先の状況などを十分審査いたしまして金融機関としてはそのノンバンクからの融資要請に応じるべきでございます。ただ、現在問題となっておりますのは、そこは審査その他について大変不十分なところはあったかと思いますが、現実に多額の融資が金融機関からノンバンクに対して既に行われておりまして、そこの融資の管理、回収につきまして懸念を生じているケースが多い。そのときにノンバンクの業況についてどのように把握するかということにつきましては、最前申しましたように各金融機関それぞれ大変苦心をしておるわけでございますが、そのような問題のあるノンバンクにさらに大幅な追い貸しをするというようなことは、さすがに最近では金融機関は非常に制限的な態度をとっておるというように私どもは承知しております。  それで、むしろ最近の問題は、現在既に貸しておりますところの金融機関からノンバンクに向けての融資を、最もその損失の発生を少なくしながら回収するというためにはどのようにしたらいいかという手法をいろいろ考えまして、その結果、状況によりましては元本の返済猶予、金利の減免ということもやむを得ないという経営判断に達したというようなものが先ほど御指摘のようなケースであろうと存じます。  今後のいわば前向きの融資といたしまして、そのような問題のあるノンバンク金融機関が安易な追い貸しをすることはさすがにないとは思いますが、なお私どもは、金融機関に対しましては検査その他で目が届きますので、今後とも金融機関の審査態度につきまして十分にチェックしていきたいと考えておるところでございます。
  73. 沢田広

    沢田委員 結果的にはわからないということだし、だからわかるようにしろと今我々は言っているわけです。不明なところをはっきりさせていく、それも社会的に認知されるやむを得ない事情があるんならこれこれがあると答弁できるようにして、何だかわけがわからないうちにそうだろうと、そういう「だろう」でこういう金融行政が行われることは不適当である、こういうのが私の主張ですから、多分こうなっているからこうだろうという、それでこういう九十八兆もの金の中身が暗やみの中だけで操作をされるということは少なくともよろしくない。抑えるだろうとあなたが言つたからって、抑えるという保証にはならないでしょう。抑えるなら抑える理由がなければならぬ。また、受ける側においての姿勢もさっき言ったように必要なんですよ。そういうことがちっとも担保として今の答弁ではとられてない。だから貸金業の方と同じような条件は必要なんじゃないですかと言っているわけですね。だから、こういうことでこれ以上問題を大きくしちゃまずいと銀行局長が言えばとにかく自粛しなければならぬだろうし、だから一般貸金業と同等の条件にはやむを得ないんじゃないか。私がこんな二時間もかけてこの問題だけでやらなければならないということは、国民のためにも情けないと思っている。また、大蔵省が進んでそういうことはやっていくという筋のものでなければならぬし、これに反対している者はまた何だろうと気になる。国民にそういうものがわからなくしておくことがどうして国民のためになるという論理になるのか私にはわからぬ。銀行局長なり大蔵大臣は、ぜひそういう意味において、せめて一般貸金業並みに条件を 同じにするレベルまでは、それ以上のことは言ってないんですから、そのぐらいは大臣が責任を持って対応してもらわなければ、これはますます次々と出てきますよ。  飛ばしだってそうですよ。飛ばしも実は考えて質問の中に入れておったのですが、大臣がそういう答え、出てこないから、結果的にこれだけになってしまったのですが、まだまだ出てきますよ。そのときに、いつでもこんな言いざまで答えてなければならぬなんというのは恥ずかしいでしょう。飯ものどに通らぬでしょう。だから大臣も、これはすっきりして、きちんとやっていかなければ大蔵委員会が恥ずかしいですよ。恥をかくことですよ。大臣が、だれがどうこう言おうと一般貸金業並みの規制はやむを得ないんだということで、きちっとして、それ以上するかどうかは将来の問題として考えるとしても、それまではいわゆるナチュラルレベルといいますか、一般的な水準だということで納得してもらうということが必要だと思うのですね。それがどうも、審議会やったところが反対が出たからとか、反対の議員がいるからといって、そういうことでやればますます将来に禍根を残すということになると思うのですね。  銀行局長も腹をくくって、もうそう長くないんだろうから思い切ってやって、あの銀行局長のときには証券問題は起きだし飛ばしも起きだし、もう切られ与三郎以上にめった切りに切られているわけだね。だから、後は少しぐらい切られたって同じことだ。だから、ちゃんとここで根性を出した銀行局長としての役割を果たすことが必要ですよ。こんなくずぐずでいって野だれ死にして、ちっともいいことありませんよ、人間としても。私は、大臣がそういう事態を考えて決断をしてもらうことを期待してやまないのでありますが、お答えいただきたいと思います。
  74. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今ずっとるる御議論いただきました問題点、それで沢田委員がお持ちになります問題意識というものを私たちも十分理解できるものであると思っております。  いずれにいたしましても、ノンバンクというものが、先ほどからお話がありますように、社会的な存在が非常に大きくなってきたということであって、今後健全なきちんとした運営というものをしていかなければ、まさに社会不安を起こしてしまうことになるであろうと思っております。  そういう意味で、私どもは今まさに貸金業法に基づいてやれることは実はやっておるわけでありますが、これは実は国会で一つの方向を出していただいた、それに基づいてやっておるわけでありますけれども、さらに今御議論のあったことを私たちも問題点として意識しながら、これからこういった問題にどう対応していくのかということについて、我々としてもさらに勉強していきたいということを申し上げたいと存じます。
  75. 沢田広

    沢田委員 今の答弁で完全とまでは言えないのでありますが、銀行局長も腹をくくってやってもらうことも期待しながら、大臣も今言われた内容の上に立って、これからの法案の審議にも影響しますし、またその方が大蔵省としてもプラスがないわけじゃないのでありますし、他の野党もそれぞれの意見はあるでしょうけれども、今までの経過から見て、こういうことは当然行くべき方向にあるということにひとつ理解を示していただいて、決断されることを期待してやみません。  続いて、実は飛ばしと破産をやる予定であったのでありますが、きょうは概括的に、ずっと続いているわけでありますが、飛ばしは警察と法務になりますが、では簡単に、一つは飛ばしというのは粉飾決算になるのじゃないか、それから私文書偽造になるのじゃないか、それから一般の株主に対しては詐欺行為にもなるのじゃないか、背任行為になるのじゃないか、こういう細かくやっていこうと思ったのでありますが、飛ばしによって起こっていく内容からいって、今僕が三つか四つ挙げましたが、言うならば共同して決算をごまかすんですから、今言ったような法的な抵触条項は、これは今時間の関係で挙げませんが、なると私は考えているわけであります。今後も飛ばしはますます、決算がそろそろ終わりかけていますから公表されますけれども、飛ばしによった分は貸借対照表、損益計算書に記載する義務を負うというふうに、これは通達になってしまうんでしょうけれども法律は間に合いませんから、せめてそのぐらいは公に示していくということが必要なのではないかという二点についてひとつお答えをいただきたいと思います。一つ法律的にどうかということ、それからもう一つは飛ばしをやって得た利益については貸借対照表あるいは事業報告に公示する、明記する、こういうことを条件としていきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  76. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 飛ばしてございますが、私どもは、いわゆる含み損を持っております有価証券を会社が決算期を前にして別の会社に売買をする、しかもその売買の価格が時価よりもはるかに高い価格で売買をするというような形でその含み損を表面化しないというような取引であり、その仲介を証券会社の職員が行っていたというふうに把握をしているわけでございます。  御指摘の粉飾との問題でございますが、法律的にといいますか、私どもの現在の会計原則に照らしてみますと、まず有価証券を売却した会社につきましては、これは時価よりも高い価格で売却をしておりますけれども、一応売却ということで、その有価証券が売却した会社から別の会社に移っているわけでございまして、売買取引という形をとっておりますので、それを将来仮に売った会社が買い戻すという約束をしていたといたしますと、それは債務を負うことになりますので、そういうケースについてはそういう債務を負っているということを明示する必要があるというふうに考えるわけでございますが、そういう買い戻し債務を負っていないケースにつきましては、売った会社はともかく売却をしたということで、その売却取引が財務諸表に適正にあらわれていれば現在の企業会計原則上は問題はないということになります。問題は、今度は買った方の会社でございまして、買った方の会社の場合には明らかに時価よりも高い価格で買ったということになるわけでございまして、それをずっと仮に期末まで保有をしておりますと、これは期末の時点で評価損を立てる必要があるということになるわけでございます。評価損を立てないということになりますと、これはやはり粉飾決算といいますか、適正な財務諸表ではないということになるわけでございます。現在私どもが把握しております取引の場合には、買った会社が期末まで保有をしているというケースがまだないわけでございまして、その期末前にまた別の会社に転売するというような形がとられております。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、繰り返しになりますが、もし売った会社が一定期間後に買い戻すという約束をする、そういう債務を負っているということがはっきりいたしますと、その債務を財務諸表上あるいは何らかの形で表示する必要があるわけでございますけれども、少なくとも現在我々が把握しておりますこの飛ばしという取引につきましては、売った会社あるいは買った会社につきましてはそういう債務を負担しているというケースがないわけでございまして、したがいまして、法律的には、あるいは今の企業会計原則上は粉飾決算であるということが言いにくいような取引でございます。  それで、ではこれからどうするかという問題がございます。これは山種証券のケースもございましたし、いろいろこの事実関係をさらに詳細に調べているわけでございますが、少なくとも売った会社あるいは買った会社につきましては売買取引という形をとっていて、しかも買い戻し約束がないということでありますと、今のようなことで現在の財務諸表原則上は虚偽記載にならないわけでございます。問題は、それを仲介した会社が問題でございまして、仲介をした証券会社あるいはその営業員、営業員の行為というのが必ずしもすぐ証券会社の行為というわけではございませんが、もしそれが何らかの形での債務を負う、買い戻し を約束する、あるいは別の会社に一定の値段で売却するとかいうような債務を負うということになりますと、その債務についてはやはり証券会社の財務諸表上何らかの形で明らかにする必要があるんではないかというふうに考えるわけでございます。
  77. 沢田広

    沢田委員 今の問題で、株主に対する背任行為あるいは粉飾、あるいは決算操作といいますか、操作、こういうようなものになっていくかどうかについては、法務なり警察も来ていると思いますから、今の証券局長の答弁というのは私らから見ればごまかしみたいなものですから、そういう意味においてひとつ警察から、その他、やっぱり取り調べてみる必要もあるだろうし、決算を見ないとわかりませんけれども、決算になれば株主に対する背任も私はついてくるんじゃないかと思います。売った方もそうですし買った方もそうですし、また売った方もそうですしまた買った方もそうです。ずうっとそういくわけですから当然起きてくるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。余り時間がないから簡単にお答えください。
  78. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  個々具体的な案件につきまして、捜査するとかあるいはしないとかということにつきましては捜査機関が判断すべき事柄でございますので、法務当局からその点についてのお答えは差し控えさせていただきますが、具体的な問題を離れまして一般論ということで申し上げるといたしますれば、刑罰法令に触れる事実があるとすれば、それは適切に対処すべきものと考えております。
  79. 沢田広

    沢田委員 声が小さいからやらないという意味に解釈はしませんけれども、内容は内容としてきっちり把握をして、国民に対する公正が確保できているかどうか、あるいはそれだけの間において偽造とまで言わなくても文書をつくっていないかどうか、あるいは株主が不当な損害を受けたかどうか、そういう点について、社会的な公正を期すためのあなた方の機関なんですから、それでサラリーをもらっているわけですから、今後そういう立場できちんと公正を期すように対応していただきたいと思います。  時間が十二時で、五分から始めたんであと五分ぐらいあるわけですが、大臣が積極的にやるということの答えを信用しまして、あとは大臣の方に宿題として、私の方はあと五分持ってますが、譲って終わりたいと思います。  以上で終わります。
  80. 太田誠一

    太田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後二時二十七分開議
  81. 太田誠一

    太田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日笠勝之君。
  82. 日笠勝之

    ○日笠委員 金融改革法案、それから証券不祥事を反省して監視機関ができるいわゆる関連法案、これが十四日本会議で趣旨説明、そして各党の代表質疑、それから我が大蔵委員会へ付託をされる、こういうふうに聞いておりますけれども、きょうはまずさわりといいましょうか、予行演習を兼ねて金融制度改革につきまして、一、二お聞きしておきたいと思います。  まず、この金融改革につきましてはずっと各紙、皆、社説にも載っておりますが、抜本改革である、こういう位置づけをしております。金融制度抜本改革と言われておりますけれども、なぜ今この抜本改革をするのか、基本的なことからまずお伺いしたいと思います。
  83. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 お答え申し上げます。  この問題についてもいろいろな議論があることは私どもも承知しております。もう少し時間をかけたらどうだというような意見もあること、承知しております。ただ、金融機関や証券市場に対する国民の信頼を回復すること、それから証券市場の活性化を図るために金融や資本市場における有効かつ適正な競争、これを促進するための制度改革、これを実施することがやはり喫緊の課題であろうというふうに思っております。また、我が国が世界の主要な金融センター、これの責務を果たしていくためには、やはり諸外国との調和のとれた金融制度及び証券取引制度、これを早急に構築する必要があろうという考えを持ちます。  より具体的に申し上げますと、本制度改革法案は、公正取引確保法案とともに、次のような緊急の課題を含んでいるだろうと思います。  まず、金融・資本市場におきまして有効かつ適正な競争の促進を図るとともに、証券取引監視委員会の設置などによりまして市場における取引の公正を確保して、いわゆる国民の市場に対する信頼を確保するということがまず第一でありましょう。それから、有価証券の私募の取り扱いのように、金融機関が本年度末に迫った国際的な自己資本基準を達成して、健全な業務運営を図りながら企業資金調達ニーズに合わせる上で不可欠な措置というものをこれは含んでおるということであります。また、金融機関、証券会社が経済金融環境の変化に弾力的に対応し得るように経営の選択肢というものを拡大するということ。それから、信用機関、労働金庫、農業協同組合等の協同組織金融機関が経営上の創意工夫を発揮されまして地域の金融ニーズにこたえるために、業務範囲の早急な拡大を望んでいることに対してこたえるということ。それから、日米金融協議などを通じまして、各国との金融協議におきまして諸外国から寄せられております我が国金融・資本市場に対する各種の要望にこたえるということ。こういうことがございまして、この制度改革法案を今国会でぜひとも審議をしていただき、また成立を図っていただきたいというものであることを申し上げたいと思います。
  84. 日笠勝之

    ○日笠委員 そういう重要な法案であるわけですね。また、戦後日本金融制度の抜本的改革、私どもはこういう位置づけをもちまして慎重に審議をしつつ、国民の皆さん、また世界に対しても透明で公正な国際的な制度にするということでこれから審議をやろうとしておるわけです。  そういう中にありまして、実はきょう、ある新聞を見ておりますと、生損保が銀行、信託、証券の各業務に子会社方式で参入をする、そういうことが近々に保険審議会でまとまるということで、原案ということで報道されておりました。ならば、六年間も金融制度調査会でじっくりと温めてきたこの金融制度改革は、もう一年ぐらい待って、その保険審議会の答申も踏まえた、まさに抜本改革をすべきではないか。これを今回法案を通しましても、すぐまた後から生損保の子会社方式の参入ということも恐らく法案として出てくるのではないかと思いますね。ならば、今日本の証券市場も金融市場も、バブル経済の後遺症で非常に厳しい、景気も非常に厳しい中で、そんなに急がなくて一緒にやったらどうか、こういう声も聞こえてくるのですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  85. 土田正顕

    ○土田政府委員 ただいま保険の関係のお尋ねがございましたので、まず私から、その間の事情につきまして御説明を申し上げます。  個別の記事につきまして立ち入ったコメントを申し上げるのは遠慮すべきかと存じますが、いずれにいたしましても、まだその原案を発表したというようなことはないと思っております。ただいまこの保険の問題について審議をしておりますのは保険審議会でございまして、この保険審議会は、平成元年以降、保険事業のあり方及び保険関係法規の見直しにつきまして検討を行っております。  六項目あるその検討事項の中のただいまの御関心事項は、主として保険会社業務範囲のあり方についての議論を紹介した記事であろうかと思います。この業務範囲の問題につきましては、一つは、我が国では生命保険会社と損害保険会社の分業制度をとっておりますが、その相互間の調整関係はどうか。具体的には、例えば傷害、疾病などを扱います第三分野という言葉もあるわけでございますが、その傷害や疾病について、生保側から乗り入れることも損保側から乗り入れることも一 つの話題となっておる、いわばこれは保険業界特有の問題でございます。  それからもう一つは、これはお尋ねにもございましたが、保険と銀行、証券という他の業界との間の問題についてどう考えるかでございますが、これはもちろん今後の御審議を待たなければいけないわけでございますけれども、その審議を進めるに当たりましては、例えば今回政府から提案申し上げております金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案にありますような相互乗り入れの手法がどのように国会で御審議に相なるのか、その審議の結果をも見つつこの保険についての扱いも考えていくという筋道であろうかと思います。  それから、やがて保険審議会の報告なり答申なりが出されまして、法制の整備、改正を適当とするという見解が示された場合でありましても、この保険業法というのは昭和十四年以来の法律でございますので、政府部内でかなりの期間をかけて、それが一年であるか二年であるかそこら辺はわかりませんが、法令改正の内容についで検討をする必要があるであろうというふうに考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、事は金融業界の中で重要な地位を占めます保険業界のあり方に関係することでもございますし、その点につきましては、例えばさきに申し上げましたような銀行、証券その他の各業界の相互調整、相互参入の関係がどのようになるか、そのような問題についての姿をお示しいただくことも一つの基本的な前提条件ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  86. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今、証券市場が低迷しているこのときにというお話があるわけでありますけれども、市場が低迷している背景は、御案内のとおり、昨年の損失補てんの不祥事等によりまして失われた証券市場に対する信頼、あるいは特に個人投資家の信頼というものがいまだ回復していない状態にあろうと思っております。また、元年までの大量のエクイティーファイナンスが市場の圧迫要因になっておるというようなことがありますし、また最近では、表面化しております先ほど御議論がありました飛ばしの問題、こういったものがあろうと思っております。これに対して今度の金融制度改革というものは、有効かつ適正な競争の促進によりまして証券市場に対する信頼の回復というものを図るとともに、我が国の金融・資本市場の効率化ですとか活性化というものを通じながら健全な市場の育成、発展というものを図ることが大事であろうということでございます。  ともかく、いろいろなことが言われますけれども、この市場の信頼というものを本当に取り戻すためには小手先のことではとてもだめである。しかし、ではこれを全部そろうまで待つべきかということになると、やはりこれは待っておられないということであろうというふうに考えまして、早急にこれに対して結論を出すことが大事であろうというふうに考えます。
  87. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうしますと、金融制度改革といっても今回は俗に銀行関係金融機関、証券の改革であって、その次、第二弾で、先ほど銀行局長が一年か二年かもう少し、法律も片仮名法案でしょうから調整にも時間がかかる、法律をつくるにも時間がかかるということですから、一年か二年か、長ければ三年ぐらい先に今度は生損保の、これも金融機関の一種ですから、改革第二弾といいましょうか、それから最後に控えるのが郵貯でしょうね、郵便貯金。こういうことで、金融改革、戦後の抜本的改革というけれども、今回は第一弾である、第二弾の生損保の問題、第三弾の郵貯が次に控えておる、こういう基本的な認識でいいのでしょうか。
  88. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 現在の状況というのが、次から次とやはり大きな問題が出てきておるというのが現状でありまして、やはりこういったものに速やかに対処することが大事であろう。しかしまた新しいニーズというのが、今銀行局長の方からもお話がありましたように、またきょうも報道されておりますように、そういった問題も出てきておるということでありますから、そういったものを逐次ひとつやっていこうということ、これが大事なことであろうと思っております。
  89. 日笠勝之

    ○日笠委員 きょうは一般質疑ですから、詳しく法案の審議についてはまだ後日に譲るとして、ただ一つだけ、いわゆる証券不祥事のときも私は特に力を入れて質問もさせていただき、要望もいたしましたし、その結果として、証券不祥事の後の附帯決議の中にも明確に入れていただいておるところがございます。それはいわゆる仮名・借名取引口座開設、この件でございますが、今回の法案を読んでおりましても、いわゆる仮名取引について法律的には禁止というか、なってはおらないわけですが、もう御承知のとおり、名前をここで出していいのかわかりませんが、元環境庁長官とか地産の元会長なんかの巨額な脱税の温床はこの仮名・借名口座であったということは検察の冒頭陳述でも明らかなんです。それも十何口座とか、こういうことですから。  では、まずこのお二人の冒頭陳述での借名・仮名口座があったということについて把握はしておられるのでしょうか。ただそれは冒頭陳述であっただけで、全然その後フォローしてないのでしょうか、どうでしょうか。
  90. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘の件につきましては、実は私どもその後把握をしておりません。  仮名取引一般につきましては、確かに御指摘のように昨年の国会で不祥事件をめぐりましていろいろと御議論をいただきました。従来、仮名取引の受託の禁止につきましては、証券局長通達によりまして、仮名取引の受託をしないというふうな指導をしているわけでございますけれども、今般この通達の見直し作業、その中で必要なものは法令化する、あるいは自主規制機関のルールにゆだねるというようなことで検討を進めてきております。今回提出させていただきます法律の中には直接的には仮名取引の禁止の条項は法律上はないわけでございますが、私ども現在考えておりますのは、事柄の性格上、できればこれは自主規制機関である証券業協会の規則にしたいというふうに考えております。証券業協会の規則といいましても、実は現在は証券営業マンの規則として仮名取引の禁止ということが規定はされております。しかしこれはあくまでも営業マンの禁止行為でございまして、今回私どもが考えておりますのは、それにとどまらず証券会社そのものの禁止行為ということにルールを変えていこうかという考え方でございます。  今回提案させていただきます証券取引法の中におきまして、証券業協会の自主規制機関としての地位を強化いたしますとともに、それに対する大蔵大臣の監督権もあわせて強化したいと思っております。したがいまして、証券業協会の規則で仮名取引の禁止を証券会社の禁止行為と位置づけますと、それに違反した場合には協会の規則違反ということになりまして、最高一億円の過怠金を課せられるということにもなりますし、仮に証券業協会がそういう処分をすることを怠ったという場合には、これは大蔵大臣が必要な措置をとることができるという規定を今回の改正法案の中に含めておりますので、そういったことで証券業協会のルールとして仮名取引の禁止行為を規定するということで、今回の改正案が成立いたしますと十分な実効性のある禁止の措置がとれるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  91. 日笠勝之

    ○日笠委員 もう一点、今度の法律をずっと読んでみましても、政省令にゆだねるところが結構多いのですね。私たちも業界団体の皆さんからいろいろとヒアリングをすると、例えば信託業務でも子会社ないしは本体でも一体どんな信託業務ができるのだろうか、明確にしていただかないと青写真すらかけない、またファイアウォールというけれどもどういうファイアウォールになるのだろうかとか、子会社をつくる場合の基準は一体どうなんだろうか、こういういわゆる政省令マターのことが多いということで、早くこの辺を何らか、すりガラスでもいいから少し向こうが見えるよう にしてもらいたい、こういう要望もあるのです。これはもちろん審議の過程の中で早目に政省令の骨子といいましょうか、こういうものは出していただけるのでしょうか、お聞きしたいと思います。
  92. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今度の制度改革の中で、子会社による他業態の業務への参入など制度改革が必要な事項、これを具体的に規定したものでございまして、国会において御審議いただくべき事項は網羅しているというふうに考えております。  政省令にゆだねる事項につきましては、新たな有価証券の指定に関する政省令あるいは弊害防止措置の細目を定める省令などの経済金融環境の変化等に弾力的に対応する必要があるような事項ですとか、証券法のディスクロージャーに関する政省令、また連結ベースの大口信用供与規制に関する政省令などの技術的な事項があろうと思っております。また信託業務の兼営の認可申請手続を定める省令等の手続に関する事項、こういったものでございまして、政省令の具体的内容につきましては、今国会での御審議を踏まえつつ法律の施行のときまでに成案を得たいというふうに考えております。  なお、政省令事項につきまして現時点の考え方につきましては、今後の法案の御審議の際に適宜これを御説明申し上げるようにしていきたいということをこの機会に申し上げます。
  93. 日笠勝之

    ○日笠委員 審議がある程度深まったところでぜひひとつ骨子を出していただいて、それもまた審議の対象にしていただきたく、要望しておきたいと思います。  次に、観点が変わりますが、いわゆる所得減税につきまして、そぞろ経済学者とかまた有識者、私たち公明党も一兆円減税ということを参議院政策のかなめということで打ち上げてはおります。恐らく各党もこれから所得減税についていろいろと提案をされるのだと思うのですが、きょうは時間もありませんので、なぜ今所得減税かという理由はたくさん用意はしてきましたけれども余り申し上げません。反対に、必要でないというふうな理由の方をとうとうと述べられても困りますから、何点か申し上げなければいけないと思うのですけれども。  九一年度の貿易収支が出ましたね。一千百三十四億ドルですか、過去最高の黒字だ。恐らく、これは自民党の某有力者が申されておるようでございますが、サミットまでに日本の内需拡大の何らかの案といいましょうか、またそしてその内需拡大の中心は減税じゃないかとか、こういうふうなコメントをされているのも報道で承っております。やはり減税ということがここ何年かなかったわけですし、その間の物価上昇もございますし、そしてまたこの前も私がこの場で大臣とやりとりしました生活保護世帯の方の給付金は、いわゆる独身の場合の最低の収入、最低の課税限度から比べても生活保護基準の方が高いのですね。だからといって低くしろと言っているのじゃないですよ。いろいろな矛盾が出てきている。そして何といいましても景気対策の下支えをするのは消費であろうと思います。その消費者マインドというものも緩和をすることにもなると思います。  そこで、所得減税です。財源がない、だからできないということであると私どもは聞いておるわけですが、財源もいろいろ考えられないことでもないわけです。そこでまず補正予算を組むのかどうか、またそれは先のことでわからないと思いますけれども、しかし公共事業の前倒しの率を見ても、どうせ秋口には追加の公共事業等々も踏まえて何らかの予算措置をせざるを得ないとは思います。その中で所得減税ということをやれ、やってくれ、こういう私たちの要望ですが、そういう、所得減税なんかも視野に入れた補正なんかも考えられるのだろうか、全くそういう所得減税なんかは考えずに補正予算を考えるのだろうかな。回りくどい言い方をしましたけれども、大臣、どうなんでしょうか、補正予算をいつ組むかわかりませんが、組まないかもしれませんが、もし組むときには所得減税ということは当然視野に入れて考える、検討する、こういうことでしょうか、全く考えない、こういうことでしょうか。
  94. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 ただいまの御指摘の点はいろいろな観点からのお話であろうと思っておりますけれども、まず、確かに貿易収支、特に経常収支というのが大変黒字になったということは現状であります。しかし、これにつきましてもう細かく申し上げるつもりはありませんけれども、黒字になっている理由というのはやはり幾つかあろうと思っております。ただ私たちは、本質的に日本の輸出というのは、非常に大きくなって強引に輸出ドライブをかけているというよりは、むしろ中東ですとか、あるいは東ドイツと統合いたしましたドイツ、ここが非常に旺盛なものを持っておるとか、あるいはアジアの国なんかでも大変大きな需要があるという中でこれが伸びてきたという面があろうと思っております。それから、片や輸入の方は、確かに石油ですとかそういったものが多少数量というのは減っているということがありますけれども、やはり円高の効果というものもあるであろうと思っております。それと投資用の金というのが減ってきておるというところ、これなんかもやはり大きな要因であろうと思っておりまして、消費は、確かに高級品ですとかあるいは絵画ですとかいったものは剥落したという一面がありますけれども、普通の一般消費が減っているために日本の輸入が減っているというものじゃない、むしろ製品輸入というのは相当大きくなってきているというふうに思っております。そして、今後は、海外にも生産拠点というものが大分つくられておるということがございます。そういった点から、これから構造的に黒字が大きくふえていってしまうものであろうということは私どもは余り考えなくてもよろしいのじゃないか。しかし、数字というのはひとり歩きするものですから、我々も常に注意しながら対応していかなければいけないと思っております。  そういう中で、どうだろう、減税はというお話であるわけでありますけれども、今御指摘がこざいましたとおり、四月九日に予算を通していただいた、三十一日に緊急対策を打ち出した、一日の日に公定歩合を〇・七五下げた、こういったこと、それと前倒しというものを決定したということでございまして、今まさにこれがどんなふうに経済に影響していくのかということで、この発現効果というものを見つつあるというところでございますから、今ここで補正についてどうこうというときではなかろうということを率直に申し上げたいと思っております。そのときに、もしやるとしたらというお話でありますけれども、もしという仮定をここで申し上げるのは危険ですからこれは避けたいと思っております。いずれにいたしましても、今所得減税というものをやるという環境にないのじゃないのかなということは今までもずっと申し上げてきましたし、またそんなことをずらずら並べられたんじゃかなわぬよということでありましょうから、もう細かく申し上げませんけれども、いずれにいたしましても、最低税率というものは国際的にも最も低い方にありますし、あるいは課税最低限というものは高くあるということでありますから、所得減税というのを今やることというのは決していいことじゃないのじゃないのかな。そして、まさに今財源のお話もございましたけれども、所得減税というのがただ形だけやりますよというものであってはならない、やるんだったらやはり何かの効果をということでございましょうから、それだけの財源というものは今見出すこともなかなか無理であろうというふうに考えておりまして、ここのところはひとつ御辛抱いただきたいなというのが率直な思いであります。
  95. 日笠勝之

    ○日笠委員 国民が御辛抱できるかどうかですね、参議院選挙もありますし。これはひとつ強く要望しておきたいのです。断固所得税減税やるべきである。まず給与所得控除は十万円程度、これは補正でもやるべきだ。来年度は基礎控除も十万円ぐらい上げてやるべきだろう。トータル一兆円ぐらいの減税、これは当然であろうと思うのです。理屈は幾らでも言いますよ。貨車で後からつ いてくるくらい幾らでも理由は述べられるのですけれども、ぜひひとつこれは前向き、積極的に御検討をいただきたい。断じて断行すべきであろう、このように私は主張申し上げておきたいと思います。詳しくは後日の審議の中で、時間がしっかりあるそうですから、またそのときにやることにして、次に未成年の飲酒問題につきまして何点かお伺いしたいと思います。  私はここに、全国アルコール健康教育研究会の調査表を持っております。東京、神奈川の高校生六千五百人のアンケート調査でございますが、週に一回お酒を飲むという男子高校生は九・八%、週に数回飲むという男子高校生八・六%、ほぼ毎日飲むというのが二・五%、トータル、とにかく週一回以上飲むというのが二〇・九%、五人に一人、女子高校生は九・七%ですから十人に一人、こういうデータが出ております。これは特殊致酔飲料水でございますし、最近は、一気飲みだとかアルコール依存症、中毒とかが二百二十万人いるという厚生省の発表もございます。若年、若い人のアルコール依存症、中毒患者がふえておるということも言われております。  そこで、きょうは時間もあと数分しかないようでございますからはしょって申し上げますと、お酒をつくる側は、免許制ですから、企業倫理ということで広告宣伝なんかにもきちっとその点を明記すべきではないか、こう思います。特にテレビなんかは、たばこでは、未成年の喫煙は禁じられておりますという広告など、ちゃんとテロップが流れておる。お酒もそろそろ出したらどうかな。一部出している企業もございますが、これはぜひひとつ大蔵大臣の方から業界に要請してもらいたい。と申しますのは、私は昭和六十年に、当時の竹下大蔵大臣に、広告に未成年の飲酒は禁じられているということを明記するように要請してもらいたい、このように申し上げましたところ、竹下大蔵大臣は、業界へ要請いたしましょう、こういう明確な答弁、何か意味不明のことしかいつも言わないというふうな評価もありましたけれども、明確に言われました。それ以来とは言いませんけれども、雑誌、新聞には、未成年の飲酒は禁じられていますとか、飲酒は二十からとか、だんだん活字も大きくなってまいりました。今度はテレビにぜひひとつ流すように大臣の方から業界へ要請をしていただければと思いますが、いかがでしょうか。
  96. 浅見敏彦

    ○浅見政府委員 大臣からお答えいただきます前に現状等につきまして政府委員の方から若干御説明させていただきたいと思います。  まずもって、日笠委員には長く未成年者の飲酒防止問題につきまして熱心に取り組んでいただいておりますことに、酒類行政にかかわっております者として心から感謝をいたしたいと存じます。  私どもも、未成年者の飲酒問題、こういった社会的な要請にこたえていくことが、お酒は、致酔飲料とおっしゃいましたが、まさに飲めば酔うものでございますので、こういったことにしっかりこたえることが酒類産業の健全な発展につながるという認識を持っているわけでございます。今御指摘の、例えば広告についてどうか、これにつきましては、御承知のように最近テレビコマーシャル等でも、お酒は二十になってからとか、あるいは、未成年者の飲酒は法律で禁止されておりますというようなことを掲示するようになりました。それから、これまた先生の御指摘がかつてございました、清酒かどうかわからない清涼飲料のような飲み物、これについてしっかり表示をせよという御指摘がかつてございましたが、これにつきましても、はっきりと缶体に、これはお酒ですというようなことを掲示するようにしておりまして、私どもとしてはできる限り未成年者の飲酒を未然に防止したいというふうに努めている次第でございます。  今後とも、御指摘の趣旨に沿いまして、一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  97. 日笠勝之

    ○日笠委員 もう一問やって、最後に大臣の方から総括的にお願いしたいのですけれども、確かに業界でも、自動販売機の深夜の販売を禁止したり、対面販売ということを原則にしようとか、愛の一声運動とかいろいろやっておられます。それは評価いたします。大臣もビール研究会か何かのメンバーだというので、きょうはビールについてちょっと一つだけ最後にやりますけれども、酒税が大体二兆円規模ですね。そのうちの七十数%がビールからの税金なんですね。ビールというのは多種多様で大変愛好されておるわけでございます。税金も高いし、しっかり愛好していただいた方が国の財政を預かる方にとればありがたいと思うのですけれどもね。  ここへ缶ビールを持ってきました。中身も入っていますから、何なら贈呈してもいいのですけれども、こういう缶ビール、「冬物語」。これ、ちょっと大臣に見せてください。こちらは清酒です。大体同じようなイメージの、若者向きというのでしょうか、デザイン的になっていますが、こっちの清酒は、ちゃんと「清酒」と書いておりますが、「未成年の飲酒は法律で禁じられています。」とちゃんとあるのです。ビールの方はない。先ほどから申し上げておりますように企業倫理ということ、特殊致酔飲料水なんだということで、ビールの缶にも、やはり書けるところからどんどん書いていくべきではないか。たばこにはちゃんと書いておるわけですから。  そういうようなことでございまして、ぜひひとつ大臣、ビール業界はわずか大手四社、オリオンビールなんか入れて六社ほどですか。ビールの缶にも、未成年の飲酒は禁じられているとか、飲酒は二十からとか、こういうようなものを明記して、企業の倫理ということで社会にこれを果たしていく。「あきかんはくずかごに」というのは環境問題ですから、ちゃんと入れていますね。そういうことでぜひひとつ、先ほど言ったデータ、高校生でも五人に一人が一週間に一度以上飲んでいるということですから、未成年飲酒対策をきちっとその点お願いしたい。私は要請を申し上げたいのですが、そのことをお聞きして終わりたいと思います。
  98. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 先ほど浅見さんの方からもお答えをいたしましたけれども、やはりそういった問題をきちんと指導する、あるいは明示していくといいますか、そういったことでむしろ酒類というものに対する理解が深まるのじゃないかというお話がありましたけれども、我々といたしましても、アルコールを所管する者といたしまして、今御意見等がございましたことも踏まえて、積極的にこれからも対応していきたいということを申し上げておきたいと思います。
  99. 日笠勝之

    ○日笠委員 国の行政機関の移転についてやる予定でしたが、時間がないので失礼いたします。申しわけありません。  終わります。
  100. 太田誠一

    太田委員長 正森成二君。
  101. 正森成二

    ○正森委員 本日午前中、同僚の沢田委員から、ノンバンク関連の問題について非常に厳しい意見がございました。私もそれに関連して伺いたいと思います。  今、ノンバンクの危機と言われているのは確かであります。それは、銀行ノンバンクに非常に大量の資金提供をし、ノンバンクが、一部は株式投資ですが、不動産プロジェクトに貸し込む。それが、バブルがはじけて、結局、資金回収ができなくなるというようなところから、銀行くの金利支払いも滞るということに、大まかに言えばなってきているわけであります。それに関連して、銀行の融資態度あるいはノンバンクのビヘービアということが問題になっているのですが、私はその前に大蔵大臣と日銀にも、お見えになっておりますが、そもそも、プラザ合意以来、二・五%というような我が国始まって以来の低い金利を二年五カ月も続けるとか、あるいは、為替に必要以上に介入いたしまして、為替資金をこれまた我が国の史上最大と言われるくらい散布する。その結果、低成長時代に入って、名目成長率は四%、五%ぐらいなのにマネーサプライだけは一〇%を超えるという状況長期にわたって続けました。その結果、猛烈な金余りが起こりましたから、その金が 不動産部門と株式市場に流れ込む。そのほかにもちろん企業のエクイティーファイナンスによるお金も流れ込みました。そういう中から、銀行は預金を集めるよりもむしろ金を貸す方を、非常に行員のしりをたたいて見つけなければならない。そこで、その受け入れ先としてノンバンクが使われるという関係になったことは否定できないことであります。  そこで、午前中、銀行ノンバンクが大きな声で大分怒られたようですが、むしろ、大蔵大臣や日銀がまずその点の反省を表明するということが第一だと思いますが、いかがでしょうか。
  102. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 基本的に、今御指摘のありました点、私も否定するものではございません。ただ、御案内のとおり、プラザ合意、あれによって急激な円高に進んでいった。あの急激な動きというものに対してやはり対応しなければいけなかったということがあろうと思っております。しかし、多分御指摘は、そういった流れは確かにあったろうけれども、それを見きわめながらもっと速やかに手が打てなかったのかということを御指摘があれば、しかも、そういったものは、実際に投資とか、要するに設備投資とかあるいはその他のものに使われるというよりは、むしろそちらの方に過剰流動性みたいな形で行ってしまったのではないのかという御指摘があろうと思っておりますけれども、その点のことについては、私どもも、そういった経験というものを今後ともやはり生かしていかなければいけないということは肝に銘じていきたいというふうに存じております。
  103. 小島邦夫

    小島参考人 お答え申し上げます。  ただいま大蔵大臣からお話のありましたことにつけ加えることはそうございませんけれども、確かにプラザ合意以降、日本の内需拡大を支えるという意味金融緩和が行われて、かつ、実際に内需が具体的に拡大するまでに結構時間がかかりました。その過程で確かに、反面では副作用的にそういうふうに資金の余剰が生じていたということも確かでございます。こういった金融緩和の副作用的なものについて、私どもとしてその一つの反省といたしまして、今後の政策を考えるときに十分考慮していくというふうなつもりでおります。
  104. 正森成二

    ○正森委員 そこで大蔵省に伺いますが、大蔵省は二十三日、都市銀行など金融機関五業態の九二年三月期決算の概要を公表して、新聞に報道されております。それを見ますと、延滞債権が、都銀、長期信用銀行、信託銀行合計で七から八兆円という数字が出ております。これはしかし、六カ月以上利息が滞ったという部門の数字だという報道もありまして、一方では、週刊東洋経済などを見ますと、銀行の延滞債権というのは二十九兆円に達する。これはどこまで本当かわかりませんが、日本銀行が支店長会議で配付した資料によると元本ベースで都市銀行が十一兆円、長期信用銀行と信託がおのおの五兆円、地方銀行が四兆円、第二地方銀行が三兆円、それに信用金庫が一兆円、ただしノンバンクの場合は幾つかが親銀行と重複的にカウントされているという報道もあります。ですから、バブルがはじけた後の延滞債権の実情というのは、大蔵省が公表しあるいは把握していると言われるものよりも内容はもっと厳しいんじゃないのですか。
  105. 土田正顕

    ○土田政府委員 ただいまお尋ねがございました四月二十三日に私どもから行った説明の趣旨及び内容でございますが、四月二十三日に私どもが全国銀行平成三年度決算の概況を速報値によって説明をいたしました。その中で、不良債権の問題に関連いたしまして私ども説明をいたしましたのは、マスコミではいろいろな報道がなされておりますけれども、不良債権とは何かという問いについての明確な定義づけなり答えを示した上での情報提供というものは余りないように思われるということを断りました上で、私どもが行いました都市銀行長期信用銀行、信託銀行の三業態の決算ヒアリングによりますと、本年三月期時点で、これは私どもの場合はとらえ方として貸出金の利息が六カ月以上未収となっている貸出金というふうに定義をいたしました上で、そのような貸出金は三業態の合計でおおむね七、八兆円になる模様である、これは総貸出残高の全体の約三百五十兆円に比べればわずかな部分であろうというようなことを申し述べたわけでございます。  それで、ただいま御指摘のような週刊誌はございますが、私どもそのようなデータの算出根拠その他について特に情報は持っておりません。それから、ただいま御説明で申し上げましたように、問題はどの範囲の業態と金融業界をとらえ、それについてどのような定義で数字を見積もるかということでございますが、私どもといたしましては、この利息が六カ月以上入ってこない債権というものをもっていわゆる不稼働資産、ノンバフォーミングアセッツの代表的なとらえ方であると考えてそのように説明をいたしたわけでございます。
  106. 正森成二

    ○正森委員 それは大蔵省は、当時銀行の株が下落するとかいろいろな問題がありましたから、世論を鎮静させる意味でもそういうことをやったんでしょうが、しかし六カ月以上にならなくても一カ月、二カ月、三カ月という未収利息があります。その場合は経理として未収利息計上ということでこれは利益の方に企業会計上はやるというような取り扱いも六カ月未満の場合は許されているわけで、だから実態は非常に厳しいんじゃないですか。  同じく週刊東洋経済の四月十八日号にはこういうぐあいに出ているのです。ノンバンク上位三百社、それで貸し付けの約八割を占めるのですが、   この三〇〇社と住宅金融専門会社の合計の不  動産担保融資は五〇兆二一九九億円にのぼる。  一カ月以上金利の入らない延滞債権が全体の一  割以上を占めているノンバンクが、三〇〇社調  査のうち六割にも達している。   過去一年間の延滞債権の増加率が、三倍以上  になったノンバンクも、六割に及んでおり、急  速に債権の中身が腐っているのが分かる。しか  も、ノンバンクの自己資本比率は二%以下が八  割近くを占める。云々とありまして、その後に、   「再建計画が気に入らなければ、延滞にする  と脅かしながら、承諾を迫ってくる輩が最近は  少なくない。結局、金利減免要求を飲まざるを  えなくなり、いまや”三%ローン”が一般化す  る風潮にさえなっている」これは信託銀行首脳の発言ということで出ております。これは沢田委員指摘されたところであります。ですから、銀行局が発表したような数字だけで世論を鎮静化するということは事実上できないんじゃないですか。これについて、一般委員長おいでいただいておりますが、三木さんですか、あるいは日銀から御意見があれば簡単に承りたいと思います。
  107. 三木繁光

    三木参考人 御説明申し上げます。  私どもでは金融機関全体の詳細な数字、一、二カ月以上はもっと多いのではないかというお話がございましたが、数字については承知いたしておりませんので、数字についてはわかりかねるということで御勘弁いただきたいわけでございます。しかし、御指摘のとおりノンバンク経営状態は相当厳しいということは理解しております。そういたしまして、またこのバブルの崩壊でノンバンク経営がおかしくなりますと、このツケは債権者であるところの金融機関に回ってくるということも厳しくとらえてはおります。  御案内のとおり、既にノンバンクの幾つかは経営再建策あるいは金融支援策を検討もし、実施しているわけでございますけれども銀行界としましては、信用秩序に混乱を招くことのないように、都度、支援策を検討しているところでございます。今後も個別のケースごとに極力金融システムの影響を抑えるべく関係者が最善の対応を図っていくということが重要であると考えてございます。具体的にどういうような対応を図るかということにつきましては、けさほども申し上げたことでございますが、ケース・バイ・ケースでございまして、ノンバンク各社の資産内容を精査した上、ケースに応じて判断してまいりたい、かよう に思っております。
  108. 正森成二

    ○正森委員 日銀に伺いたいと思いますが、ことしの一月十七日の朝日新聞等々に散見されることでございますが、「日本銀行は、銀行系ノンバンクの不良債権は、親銀行の責任で処理させる方針を固め、銀行考査を通じて徹底を図り始めた。」ということで、いわゆる新考査基準、それを都銀その他に通知し始めて、親銀行銀行査定に組み入れるというのがいろいろ出ております。一々申しません。それについて、この報道の真偽、あるいはもしそれが本当であるとすればどういうお考えでそういう方針をとっておられるのか、また違うなら違うということでお答えを願いたいと思います。
  109. 小島邦夫

    小島参考人 ただいまの点についてお答え申し上げます。  私どもの考査は、取引金融機関の貸し出しの内容でありますとか各種のリスク管理体制等を実地に調査するということによりまして経営の実態を把握して健全経営のための指導を行うということを目的としております。このうち貸出内容の調査というものは、当該金融機関の個々の貸し出しの案件ごとに貸出先の業況、返済能力、担保の状況等をもとにしまして信用リスクの実態を把握するというために行うものでございます。  このような考え方に立ちまして、金融機関の系列ノンバンクに対する貸し出しにつきましてもほかの貸し出しと全く同様でございまして、当該ノンバンクの業況、返済能力、担保の状況などを踏まえて、当該貸し出しか考査先の金融機関の資産内容にどのような影響を及ぼすかという観点から査定を行っているわけでございまして、系列ノンバンクであるという理由でその不良資産全額を直ちに当該ノンバンクに出資している金融機関の不良資産として査定するというようなことは行っておりません。  ただ、もともと、今不良資産というのをどう定義するかというのは難しいところでございますけれども、当該ノンバンクに不良資産が生じましても、これが期間収益とか内部留保等を勘案しまして、返済可能であれば、特に金融機関の借り入れが返済可能であれば査定することはないわけでございまして、そういった、勘案して金融機関に対する返済が遅延ないし困難化するという場合に査定を行うわけでございます。  かつ、もう一つ、今新聞等に取り上げられましたことは、ノンバンクに出資を行っている金融機関が、他行によりまして、ノンバンクというのはいろいろな銀行から借りておりますので、他行から融資の回収等が行われるのではないかというような懸念を持ちまして、自分のところでまとめて査定してほしいというような要望が出てくる場合がございまして、そういう要請がありました場合には極めて例外的に、そのノンバンクに関しまして返済の遅延ないし困難化が予想される金融機関の貸し出しの全額をそれぞれ、これは一行だけではない場合もございますけれども、当該金融機関のそういう不良資産として査定をしている、こういうことでございます。
  110. 正森成二

    ○正森委員 非常に微妙な御説明ですが、時間がありませんので次へ移りまして、また金融・証券の審議がございますからそのときにゆっくり伺いたいと思います。  今株安で銀行の含み益が非常に減少しております。都銀十一行の三月末の上場有価証券の含み益は、東証平均株価が一万九千三百四十五円、二万円を少し割れたとき、合計十一兆五千億円というふうに大幅に縮小したと報道されております。現在はたしか一万八千円台ですから、それよりさらに縮小した。そうなりますと、BIS規制がクリアできるのかどうかというのが非常に大きな問題になります。あるいはそれをクリアしようと思って貸し出しを非常に抑制すると、これはまた国内金融市場にさまざまな影響を与えるということがありますが、BIS規制クリアとの関係で大蔵省、銀行委員長からそれぞれ一言御見解を承りたいと思います。まさかあれでしょう、来年の春というのを延期するわけにはいかないでしょう、大蔵大臣。
  111. 土田正顕

    ○土田政府委員 株価が下落いたしますと、銀行の含み益が減少いたしましてそれがいわゆる自己資本比率を低下させる方向に働くことは事実でございます。ただ、その影響の度合いは各銀行が保有する株式の内容によって異なりますし、それからまた自己資本比率は為替その他の要因とか各銀行の個別の経営状態によっても左右されますので、来年三月末の動向を現時点で予想することはなかなか難しいのでございますが、いずれにいたしましても各銀行は自己資本拡充策、それから資産の抑制策その他を計画的に講じていくものと考えております。これちの取り組みを通じまして、来年三月末時点においてはすべての銀行が最終目標を達成することと私どもは現在期待をしておるところでございまして、各銀行が来年三月末までに八%を達成できますように自己資本向上策の一層の多様化につきましてできる限り支援をしていきたいと考えております。  なお、来年の三月末という期限を延ばすことはできないだろうという御指摘でございますが、いわゆるBIS規制というものが日本国有の判断によって定められた規制ではございませんで、各国の金融当局間の一つの合意事項として生み出されたといういきさつ、それから、現に各国際金融市場への参加者が銀行を評価する一つのメルクマールとして、いわゆる自己資本比率をBIS規制の基準ではかった場合に何%になるかということを意識しながら行動しているという事実からいたしまして、来年の三月末という期限を日本の一方的な意思決定によって延期をするというようなことは実行を期しがたいということは、御指摘のとおりでございます。
  112. 正森成二

    ○正森委員 時間でございますので、せっかくおいでいただいておりますので一問だけリース関係の方に伺いたいと思います。  ノンバンク研究会報告書の参考説明資料を見ますと、リース業界のことが詳細に述べられております。リース業界が今、年率非常に大きな割合でここ十年ほど伸びてきた、一定の大きな社会的役割を果たしたことも承知しておりますが、この参考資料を見ますと、国際関連業務が非常にふえてきた、それに伴い、最後のところでは、「金利リスク管理体制の整備とともにその業務にふさわしい専門性を備えた人材の確保等を図っていくことが必要と考えられる。」云々とあります。  今ロンドン、ニューヨークなどで国際的に活動をしておられるようですが、海外での活動の主分野はどこか、一言お答え願って、私の質問を終わります。
  113. 小山実

    小山参考人 お答え申し上げます。  我が国のリース業は約四分の一世紀を経まして、国内では企業設備調達手段として非常に積極的に利用されるようになりました。設備投資に占める割合も約六%に達しておるわけでございますが、このような国内の発展と並行いたしまして、航空機、船舶等の大型物件を対象にいたしまして海外のユーザーと直接契約をするリースの国際取引も近年急速に拡大しているわけでございます。このような国際化の契機になりましたのが昭和五十三年の日本輸出入銀行による緊急外貨貸付制度でございました。政府の貿易黒字削減策の一環である低利融資制度をリース会社が利用いたしまして、欧米のメーカーから航空機を購入いたしました。これを海外の航空会社リースしたわけでございます。その後、外国為替管理法の改正に伴い、規制が緩和されました。国際取引も飛躍的に増加しているわけでございます。  このようなリースの国際化の進展に伴いまして、リース会社の海外進出も目覚ましいものがございました。我が国のリース会社関係する海外現地法人平成三年九月末日現在で世界二十四カ国、百七十法人になっております。その内訳は、アメリカが五十八社、イギリスが二十五社、香港二十四社等でございまして、それぞれの国における産業の発展、経済の振興あるいは日本からの資金還流等のいろいろな分野におきましてリース会社の職員が世界の市場で活躍しているわけでござ います。  なお、平成四年度からは政府開発援助、ODAでございますが、これを活用したリース業の国際協力のあり方を検討したらどうかということでございまして、通産省、財団法人海外貿易開発協会等とも連絡をいたしながら、その調査研究を進めているところでございます。
  114. 正森成二

    ○正森委員 どうもありがとうございました。
  115. 太田誠一

    太田委員長 中井洽君。
  116. 中井洽

    ○中井委員 過日、東洋信金、昨年来大変な不祥事で騒がせました東洋信金の処理というのが終わったようであります。私どもも、信用不安という面からこういう処理もやむを得ないと考えておりますが、一方あれだけの不祥事を起こした銀行というのが、信用金庫でありますが、つぶれずに処理をされる、ここらに何かひっかかるものもあることも事実であります。  それで、大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、大蔵省の監督をする金融機関あるいは証券会社等がつぶれたときあるいはつぶれかかるとき、どういう法律を根拠に大蔵省が介入をしてこれらを防いていくのか、あるいはまたどういう手順でそういったことをやっていくのか、ここら辺をきちっとされた方がいい、私はそのように考えます。そういう意味お答えをいただきます。
  117. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今回の救済のスキームにつきましては、東洋信用金庫、これが預金者を保護して、また地域の中小企業等の信用不安、これを回避すること、それから中小企業金融あるいは地域金融を守って、さらに従業員の雇用というものを確保する、この観点から、東洋信用金庫自体の経営の体制にこだわることなく、同業態の大阪府下信金を初めといたしまして、全国信用金庫連合会あるいは日本興業銀行、さらには三和銀行に対して支援要請を行ったところであります。その過程で、適宜、当局も関係金融機関に信用秩序維持の観点から協力の要請を行ったものでございますけれども、あくまでもそれぞれの金融機関の自主的な決断に基づいて最終的にこのようなスキームがまとまったものであるというふうに承知をいたしておるところであります。
  118. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、これからもそういう不安な機関、金融機関ができても、それは当該の金融機関、そして関連の同種の金融機関あるいは地域の機関、それらが自主的に協力をし合って金融不安を起こさないように努力をしてもらうということで、大蔵省としては口を出さない、あるいは介入をしないというふうに判断していいのですか。
  119. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 基本的にはこの東洋信用金庫というのは、例の尾上さんという人の問題でこういうことになってしまったのですけれども、平素は非常に健全に経営をされておったということでありますし、またこれがそれこそおかしな状態になることによって、今申し上げましたように地域にも大変な影響を及ぼしてしまうということと、あるいはいわゆる従業員の雇用の確保、こういったような問題で社会的な一つの不安というものを呼んでしまうであろうということで、私どもといたしましては、こういった問題に対していわゆる信用秩序の観点から一つの協力の要請というものを行ったことは事実でございまして、もちろんこれはケース・バイ・ケースということになるのでございましょうけれども、やはり金融秩序といいますか、こういったものだけは壊してはならない、信頼を失わせてはならないということは私たちは常々念頭に置かなければいけないと思っております。
  120. 中井洽

    ○中井委員 お話は私もよくわかって聞いておるのでありますが、例えば東洋信金の場合には預金三千億、預金者も私の聞いておる範囲では一万五千人ぐらい。三千億ぐらいの倒産というのは民間企業にいっぱいあるということも事実であろうかと思います。逆に、見ておりますと、一万五千人の方々がほとんど、ああいう事件が起きて、預金量以上ににせ預金、定期預金ですか、発行されて大変なことになる、しかし、ほとんどの人が引き出しをしないというびっくりするような事実もあったわけでございます。これらを考えますと、預金者が大半預金を担保にお金を借りておって引き出せないのかどうかわかりませんけれども、少しのんきじゃないか。同時にまた、金融機関もあんな事件を起こしてどうなんだろう、本当にのんきだな、こういう思いがあるわけであります。信用不安、金融不安だけで何でも要請をして、みんなで助けて、ふいてしまえば、ええわ、ええわということで終わってしまう、そういうやり方はどうなんだろう、こんなことを率直に考えるところであります。いろいろなことがうわさされておる中であります。こういう問題についてどういう対応をするかということについても、大蔵省は、もっと見える、あるいは一つの規範となるような形をぼちぼち考えていくべき時期じゃないか、こんなことも考えておりますので、また大臣の方で御検討いただきますよう要請をいたしておきます。  同時に、去年、金融不祥事が起こりましたときに、私どもは証券不祥事と金融不祥事は両方一緒だ、特別委員会も証券・金融不祥事にすべしということを主張してまいりました。この委員会でいろいろ議論をしましたが、大蔵省側はあるいはまた参考人でお越しいただいた各銀行の方々は、個人の犯罪だ、こういう形で盛んに言われたわけであります。しかし、個人の犯罪で東洋信金という金融機関が消えてしまう、こういう大きな事件が引き起こされるわけでありまして、続発しますいろいろな不祥事、あるいはまたきょうわざわざノンバンクの問題を議論しなければならない、こういったことを考えると、全体の体質改善が必要であろう。その体質改善に向かっていろいろな御努力をなされていることは承知しておりますが、一向に私どもに、個人の犯罪をどういうふうにしてチェックするんだという方向が見えてこないのであります。去年出ました富士銀行初め幾つかの問題、東洋信金の問題を含めて、例えばこれは私どもから見ればコンピューター過信であります。コンピューターにさえ入れておけば間違いがない。しかし、そのコンピューターはだれでもいじれる。いじって訂正してしまえば痕跡もなく消えてしまう。こういうことに対して何らチェックをしていない。そしてまた、その反省の中から新しくそういうチェック機能をつくったという話も聞こえてこない。金融機関に働く人は、あるいは自分の社内で働く人は、みんな善人だ、お金の計算違いはあっても悪いことはしない、こういう前提でやっておれば、たくさんの人がいらっしゃる、しかも毎日現金を扱っていらっしゃるわけですから、人間は弱い面があって、このような犯罪がまたどこかで出てくる可能性がある。やはり大蔵省として各金融機関にそういう犯罪のチェックができる体制づくりを厳しく言うべきだ、こういったことを言い続けてまいりました。今日に至って、大蔵省がそういった面で各銀行金融機関に対してどういうチェックの方法づくり、体制づくりを要請されているか、お聞かせいただきます。
  121. 土田正顕

    ○土田政府委員 昨年の夏以降、一連の金融不祥事が発生したことはまことに遺憾なことでございます。そこで、私どもの方といたしましては、これはもう既に御高承のように、金融システムの信頼回復のための措置を昨年の八月三十一日に発表をし、以後そのフォローアップの作業を行っております。また、業界の方では、この不祥事に対する深刻な反省に立ちまして、各金融団体とも不祥事の再発防止のために直ちに業務運営全般についての総点検、それから内部管理の見直し、改善等の対策に着手し、実行に移しているところでございます。全国銀行協会連合会の措置についても私ども承知しておりますが、ここでは私の方から申し上げるのは省略をいたします。  さらに、コンピューターについてのお尋ねでございましたが、これはまさに御指摘のように、コンピューターの運営管理の盲点をついた事件でございましたので、それぞれの銀行でこの緊急対応を研究いたしましたほか、全体を通じまして、金融情報システムセンターという一つの研究団体がございますが、そのセンターでもこのような事故 を防止するためのコンピューター管理上の必要な留意事項についてただいま研究を進めているところであると承知をいたしております。
  122. 中井洽

    ○中井委員 銀行協会三木参考人にお尋ねいたします。  そういう意味で、実に簡単なコンピューターの盲点をついた犯罪が続発をしたわけであります。そういうコンピューターを過信をし過ぎたところから出たことに対する反省から、どういうチェック機能体制というのを銀行全体としてとろうとされておるのか、おとりになりつつある対応策等がありましたらお聞かせをいただきます。
  123. 三木繁光

    三木参考人 お答え申し上げます。  私ども全国銀行協会でも、昨年十一月に、金融界の不祥事等の反省に立ちまして、七項目十三の対策から成る業務運営体制のあり方に関する改善措置、こういうものを取りまとめまして、各金融機関に周知徹底したところでございます。特に、不動産金融マニュアルというものも完成させ、配付いたしたのでございますが、そのほか、例えば事務のあり方につきましては、例えば証書の管理方法でありますとか預金担保のあり方、特にノンバンクとの間の預金担保のあり方、こういった事務管理体制のあり方につきましてその指針を示したところでございます。また、個人の研修のあり方につきましても対応を指針として示しておりまして、コンピューター犯罪等はつまるところ個人の教育という面と事務面の管理、この両面と思われますので、そういう形で対応しているところでございます。
  124. 中井洽

    ○中井委員 時間がありませんから、僕はそのお答えとちょっと違うことを聞いているように思うのでありますが、先にいきます。  銀行協会に、ノンバンクに関して二点お尋ねをいたします。  一点は、金融機関が大変大きな金額でノンバンクに対して貸し付けを行っております。この貸し付けは大半が無担保だと私は承知をいたしておりますが、間違いないですか。間接的に担保があるということではなしに、直接担保をとらずにお貸しになっているんではないか、このことが一つ。  それからもう一つは、銀行が今土地でお金を貸さない、過去の反省に懲りて貸さないということが随分言われております。しかし、それなら何でこれから産業界あるいは個人の資金需要に対して担保をとって貸していこうとするのか、どういう担保のとり方に銀行全体あるいは金融界全体でお進みになろうとしておるのか、この二つであります。
  125. 三木繁光

    三木参考人 ノンバンクに対する貸し出しか、担保物件というものが余りございませんので担保をとってないのではないかという御質問、大体そのとおりでございます。ただ、ノンバンクは融資、すなわち債権を持っておりますので、その債権を担保にとっている、あるいはその担保につきまして担保の予約をしている、こういうケースはございます。しかし、一般の貸し出しのような物的担保というものはなかなかございません。  それから、今後どのようにしていくかということでございますけれども、これはやはり業種によるわけでございまして、担保のない先につきましては担保金融ということがなかなかできかねますので、企業の実態、内容、返済能力、これをよく見て貸していこうということかと思いますけれども、当然のことながら個人金融の主流であります住宅ローン、こういったものはその住宅が担保になるわけでございまして、相手により、また使途により担保は違ってまいるということでございます。
  126. 中井洽

    ○中井委員 もう一つお尋ねをいたしますが、先ほども正森先生からBIS規制のことがございました。私ども景気対策ということで大変心配をいたしております。各地域ありますが、中小企業がかなり銀行から締められておる、どうしてだという声が非常にあるわけでございます。土地の担保ではなかなか貸してくれない。それじゃ、事業やら何やらでもどうだといえば、なかなか使途を見て貸すというところまで銀行もいっていらっしゃらない。そこへBIS規制資金というものをかなり規制されておる。こういうことでは、公定多合が下がってもなかなか景気というものがうまく循環していかないのじゃないか、こんな感じを抱いておりますが、三木さんはいかがお考えでございますか。
  127. 三木繁光

    三木参考人 先ほど銀行局長からもお話がございましたように、BISの基準がかなり重い形でのしかかっているということは確かでございまして、四年度がどうなるか、現段階では予想が困難ということは確かでございます。ただ、残された期間がありますので、私ども、御当局の御支援も得ながらいろいろな工夫をしまして、何とかやっていきたいと思っているわけでございます。  これに絡みまして、したがっていわゆる貸し渋りが出ているんではないかという御指摘かと思いますが、現在私どもが承知しておりますところでは、資金需要が停滞しております。そういう形で、私どもは決して貸し渋りをしているという形はないのでございますけれども資金需要の方も余り高くない、貸し出しも伸びてはおりませんが、それを非常な低レートで貸出競争するということはしておりませんけれども、貸し渋りということはないはずでございます。また、健全な中小企業につきましては、私どもむしろ非常にこれを何とか取引を振興したいという形で各銀行とも臨んでいるのが実際でございまして、ケースによるかとは思うのでございますが、全般的に貸し渋りということをしているつもりはないわけでございます。
  128. 中井洽

    ○中井委員 お話のとおりであることを強く熱望いたしておきます。  リース業界の小山参考人に二つお尋ねをいたします。  沢田先生のおまとめをいただいたこの資料を見ましても、皆さんの業界の借入先というのが非常にいろいろな金融機関にまたがっておる。私どもが見ておりますと、お金を借りるときの商売人さんというのは大体メーン銀行をおつくりになる。意外とノンバンクといいますか、リースの皆さんを含めての方々はメーン銀行というのがないのじゃないか、これはどういうことなんだろう。各銀行、各金融機関、ええわええわでいろいろな貸し方をしたのか、あるいはメーン銀行をつくっていたのではなかなか借入先がふえてこないということなのかなと思うのでありますが、そこらをお聞かせいただきたい。  同時に、これから国会で審議の始まります金融制度の改革法案について、皆さんの業界がら何か御意見なりお考えがあればお聞かせをいただきたい。この二点であります。
  129. 小山実

    小山参考人 前段の、リース会社にメーンバンクがないのではないかという御質問でございますが、これは……(中井委員「少ないということです」と呼ぶ)少ない——私ども、すべて実態をよく存じているわけではありませんけれどもリース会社のうち六割はいわゆる金融機関系のリース会社でございますから、これはおのずから成立をしたときの経緯、それから役員の派遣等々から見まして、非常に密接な関係があるのだろうと思いますし、ほかのところも、企業はそれぞれの結びつきを持ってやるように努力をしておられるのだろうと思っております。ただ、超金融緩和期で方々から非常に多くの資金の貸出ルートがあったために、その辺が非常に見えにくくなったということはあるのではないかというふうに思っております。  それから、金融制度改革の問題についての業界意見ということでございますが、いろいろそれぞれの仕組みの問題があるわけでございますけれども、私どもリース業界はおかげさまで二十五年間、いわゆる業としての規制というのがなく自由にいろいろな創意工夫を生かしながら、苦労もあったわけでございますけれども、何とか今日ある程度経済的にも社会的にもリースというものが皆様方から認知されるようになってきたということでございます。そういう意味で、金融制度改革もひとつ自由化の方向、規制緩和の方向と申しま すか、そういう方向でなるべくお考えいただけたらありがたいというふうに考えているわけでございます。
  130. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  131. 太田誠一

    太田委員長 菅直人君。
  132. 菅直人

    ○菅委員 羽田大臣に若干、株式市場の問題について幾つか御意見を伺いたいわけですけれども、株式市場は日経平均が二万円を大きく割り込んで、この一週間ぐらい多少底を打ったというような感じもしますけれども、ピーク時の半値ぐらいにはなっているわけです。もちろん相場ですから、それはそれで仕方がないといえば仕方がないのですが、やはりこの原因は昨年来のいろいろな金融不祥事とか等々があるわけですし、またそのことで、ある意味での今の資本市場としての株式市場が麻痺をしている。本来なら上場すべき会社条件を満たしていてもとても上場できない。例えばJRなどもそろそろ、堅実経営といいましょうか、経営状態もよくなっているけれども、なかなか上場できないというようなこともあって、いわば資本市場としての機能が麻痺をしている状況というふうに言わざるを得ないと思うのです。  ここにあって、行政というものがこの問題においてどういう反省を持っているのか。これも相当議論されたわけですけれども業界保護という立場でどちらかといえばこれまで対応してきて、そのことが投資家からは、業界は保護するけれどもいわゆる投資家を保護していないじゃないか、損失補てんとかそういうことも一部の人たちだけにいわば認めておいて、一般の人の利益は無視しているじゃないかということで、市場の監督者としてのいわば信頼を大蔵省証券局は損なっているというふうに言わざるを得ないと思うわけです。  こういう中にあって、最近特に自民党などでは、自社株の取得を認めようとか、あるいは余りいろいろうるさいことを言わないで、証券会社にもっと自由にといいましょうか、かつてほどではないにしろもうちょっと頑張ってもらうように言ったらどうかなどという話さえいろいろと聞こえてくるわけですが、私はどうもそういう自社株の取得だとか、あるいは業界指導の形で証券会社にこういうふうにしたらどうか、ああいうふうにしたらどうかというふうな考え方というのは、何か本来の市場の信頼回復という方向からすると的外れではないか、すべてがまずいというよりは基本的な方向としては的が外れているのではないかという感じがしてならないわけですけれども、現在の市場の低迷とそれに対する対策という言い方も変ですけれども、対応に対して大臣としてはどんなふうな見解をお持ちか伺いたいと思います。
  133. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 御指摘のございましたとおり市場が、このところやや持ち直しておりますけれども、確かに資本市場としての役割といいますか、機能というものが停滞しておる、あるいは果たしていないという御指摘も実はあったわけでありますけれども、私たちは一面その現実というものを直視しなければいけないだろうと思っております。  この低迷の背景というのは、もう細かくは申し上げませんけれども、損失補てん等の不祥事、こういったもの等、あるいは新たに表面化しておりますいわゆる飛ばし問題ということ、こういったことによりましていわゆる証券業界あるいは証券市場というものに対する信頼というものが失われてしまったということであろうと思っております。そういう中で特に個人投資家の信頼というものがもう離れてしまったということがありましょうし、あるいはもう一つは、やはり財テクというものが盛んに行われた、しかしこういう状況の中で一般事業会社が株式投資及び株式の売買に消極的になってしまっておるという一面があろうと思っております。またもう一点は、やはり基本的には株式投資に対するいわゆる魅力といいますか、こういったものが今我々としても反省されるのじゃなかろうか。いわゆる配当の利回りというものが極めて低い状況にあるということがあるだろうと思います。それとやはり大量のエクイティーファイナンスが株式のいわゆる大量供給になってしまったということで低迷の原因になっておりますし、また転換等が進まないということで潜在株主が大量に存在するなど、市場の圧迫要因、こういうものになっておるであろうと思っております。そしてもう一つは、やはり最近のいわゆる企業業績というものが悪化しておるというようなこと、いわゆる業況判断が明るくないというようなことが低迷の一つの大きな原因になっておるであろうと思っております。  そういったものに対して一体どういう対応をするのかということでありましょうけれども、私どもやはり全体のあれとしては、一番大きな理由というのは、これは投資家の方も信頼というものを失ったということ。それから、これによって財テクに失敗したという産業なんかにありましてもやはり萎縮しているという一面がありましょう。それともう一つは、やはり証券業界の方でも過度な勧誘といいますか、そういったことに対して反省があるということで勧誘活動というものもやはり萎縮している一面があろうと思っております。そういったものに対して対応するのは、何といってもやはり一時的なことということではなくて、証券市場というものがこの自由経済の中にあってどういう地位にあるのかということをまず私たちは見詰めることが大事であり、そして今御審議をいただいておるわけでありますけれども、証券監視をする委員会をつくることですとか、あるいは金融制度というものに対しての信頼を取り戻すための基本的な対応をするということで、今度の法案なんかはやはり通していただくということがまず何といっても一番大事なことであろうというふうに思っております。そしてその次のいろいろな手当てといたしましては、いわゆる証券会社の自主的な対応をするための協会としての一つのルールというものをつくってもらって、そういったものをそれぞれの企業がやはり守っていくことであろうし、あるいはそれを担当する人たちもそういったことを腹に置きながら対応していただけるような協会としての一つのルールづくりというものが大事であろうと思っております。それともう一つは、いわゆる利益配分ルールというもの、こういったものなんかをきちんとしていくということが大事であろうと思っておりまして、いずれにいたしましてもやはり一番大事なことは信頼の回復ということ、これを私たちは重点に置いて取り組むべき問題であろうというふうに考えておることを申し上げます。
  134. 菅直人

    ○菅委員 大臣の方からかなりいろいろな点を指摘をいただいたのですが、証券監視委員会等については今後の審議にまつとして、今大臣も言われたように、基本的には投資家の信頼回復ということであるという点では私も全く同感なんです。ただ、さっき若干的外れという言い方を一部の自社株の問題とか等々について言いましたけれども、まだ何となく私は大蔵省のスタンスがいわゆる業界を通しての信頼回復というスタンスに見えるのですよ。これは銀行の場合も、つい先ほども、東洋信金ですか、あの対応が悪かったという意味じゃないんですが、業界側から何とか、生体解剖なんて言われましたが、つぶさないようにしておいて、いわゆる投資家というか預金者の保護を図る、こういう発想、証券も似たようなものなわけですね。しかし、私は、ひとつ踏み込んで、投資家そのもののサイドから見る目を養うべきじゃないか。例えば、投資家にとっては、今あの銀行はどれだけ不良債権を持っているのか、あの企業はある意味ではどれだけ資産を持っているのか、そういう企業の財務内容あるいはそのときどきの資産内容というものも非常に株価を考える上では重要な要素になるわけです。     〔委員長退席、中川委員長代理着席〕  しかし、例えばの話、先ほどの他の委員の不良債権の問題、つい先ほどあったわけですが、そういう問題でも、二十兆も不良債権があるとか三十兆も金融機関にあるなんと言うと信用不安が起きそうだから、そこはまあまあで余り明らかにしないでおこうとか、ディスクロージャーの問題なども、何か業界サイドの方から、ここぐらいは出し てもいいけれどもここまで出すとちょっと出し過ぎになるかなみたいな発想法があるとか、あるいは、これまで、いわゆる投資の評論家というかあるいは専門家というかアナリストというか、そういう人たちも多くは証券会社側のアナリストであった。ですから、最近は、若干下がりそうな株なんというのも言うそうですけれども、あるいは平均株価の上昇よりも低い伸びだろうというようなことを言うそうですけれども、従来なら悪いことは言わないで、よさそうなことだけを、これもよさそうだ、あっちもよさそうだということだけしか言わない。そうではなくて、投資家サイドに立って、この企業、この業種はこういう問題点を抱えているから将来は必ずしもうまくいかないんではないかなんという指摘もきちんと言うような人がこちらにいたりあちらにいたりすることによって、投資家はその意見を選択して、自分のリスクで投資をする、そういうことになってくるのが本来の姿と思うわけです。  そういう点では、私は、出ている証券取引法改正も含めて、実はまだまだ何かスタンスが、本当の意味でのマーケットサイド、投資家サイドに立ったスタンスとしては不十分じゃないか。部分的には、例えば投資顧問会社どもやっと日本でも定着をしつつありますけれども、そういうものも、逆に投資側の専門家として、例えば投信なども会社では認めるなんということも聞きましたけれども、もう少しルールはルールとしてきちんとすると同時に、投資側サイドからの活性化を図っていくという意味では、ある部分ではもっと積極的な活動範囲を認めるというようなこともあっていいんじゃないかと思いますが、そういった点についての見解を伺いたいと思います。
  135. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 基本的には全く賛成でございます。  株に投資するということについては自己責任ということがあるわけですけれども、これはやはり投資家もきちんと持たなければいけないわけですけれども、自己責任と言うからには物事を判断できる材料というものを提供しなければいけないということ、それが、証券会社あるいは今の投資顧問会社、こういったところはまさに投資家の立場というものをきちんと認識をしながら、そういった人たちが物事を判断できるようなものを提供していくということが大事なんであろうというふうに思っておりますので、そういった点なんかについて、私どももさらにこれは勉強しなければいけないなということを、今御指摘がございましたことは改めて私も感じております。
  136. 菅直人

    ○菅委員 ですから、投資家サイドの考え方といわゆる発行会社側とか、そういう考え方とがどうしても両手にあるわけですから、そういう点でこれまでの轍を踏まないあり方を積極的に考えなきゃいけないということだと思うのです。  それからもう一つ。これは市場の展望を余りあれこれ云々しても難しいのですが、例えば個人の現在の日本の総資産というのが八百兆円とか、あるいは一千兆円近いというふうに言われている。その伸びは、少なくともあと十年間ぐらいはまだ比較的若い層が、労働人口も減りませんから同じようなテンポでふえていくだろう。十年後には二千兆円ぐらいになるのじゃないかなどという見通しもあるわけです。その中で今まで約一〇%が株式投資という形で株式市場に流れ込んでいたわけですが、諸外国の例だともっと割合が高いところも多くある。あるいは年金の財源というもののある割合がこれまでも株式市場にストックとして入っている。外国の人の投資というのはいろいろと変動はありますけれども、少なくとも日本の成長率が諸外国の特に先進諸国に比べればまだ高い水準を維持しているということを考えれば、そういった面でも外国人の日本に対する投資ということも十分これからも継続が期待というか予想される。  そう考えますと、現在起きている一部事業法人などの典型的には特金だとかファントラだとか、そういうものの引き揚げ、あるいは金融機関のいろいろな行き詰まりによる株式市場からの引き揚げということがあったとしても、五年、十年という長期的展望に立ては、日本の株式市場というのは決してそんなにどうしようもない状況というよりは十分明るい展望は持っているという基本的構造だと私は思うわけです。  そういった意味で、私も資料を少し出してもらったのですけれども、ディスクロージャーという個々の企業の問題もありますけれども、今市場にどういう種類のお金がストックとして残っていて、あるいはフローとして流入し、あるいは流出しているのかというようなこともこれからの判断の上では非常に大きな判断材料になり得る問題と思うわけですけれども、こういう点の資料整備というのか、あるいはそういう情報の公開というものを図るべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  137. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 専門的な問題については証券局長の方からでもお答えいただきたいと思っておりますけれども、今御指摘のあった点につきまして全く私も同じように感じますのは、今度G7ほかの会議がございまして、ずっと、まさに世界半周といいますか、半周ぐらいですかね、してまいったわけでありますけれども、いろいろな方から今度日本の市場についての問いかけがありました。日本の市場がおかしくなる、日本がおかしくなるのじゃないのか、あるいは金融機関がおかしくなるのじゃないかという心配というよりは、むしろ日本の市場というのはこれから本当に活性化していくだろうか、今の状況はどうだろうか、これは案外個人の立場で聞いている方が多いのですよね。そうかと思うと、日本のあるファンドに対して、今自分は子供の利殖のために投資しております、そして、もう少しよくなるのじゃなかろうかと思うけれども、あなた、どう思う、それによって長期のものに切りかえようと思うと、相当な立場の人がいろいろなたくさんの人のいる中で平気で話す。ということは、要するに市場に対する信頼とか、あるいは市場と非常に密着といいますか、理解というのは非常に高いものなんです。そういうものに対して、今お話しのようにこれからの日本あるいは日本企業というものはどういう状況にあるんだということについてのいろいろな面での情報の提供ということは私は大事であろうと思うし、株式市場というものを本当に国民のものにするということが大事なことなんじゃないのかな、あるいは機関投資家の人たちもこの間の財テクでしくじったというので萎縮してしまった面があるけれども、もっと安心してそういうことができるような環境づくりというものをすることが大事だろうというふうに考えております。ただ、今実際のフローの問題、具体的な問題については、証券局長から申し上げさせていただきます。
  138. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘の株式市場の状況についてのデータのディスクロージャーという問題でございますが、これは私どももいろいろなデータをディスクロージャーするということでディスクロージャーの拡充に努めてきておるわけですが、基本的には、大体の市場の中身の売買あるいは投資家別の状況のディスクロージャーというのは各証券取引所において新聞発表といいますか、公表がなされております。  確かに、どういう投資家が今株式市場に入ってきて、例えば売りと買いと両方あるわけでございますけれども、どういう投資家が買い越しているのか、あるいはどういう投資家が売り越しているのかというのがわかりますと、大体その入ってきている資金の性格がわかるわけでございまして、最近は個人投資家がやや入ってきているというような状況になってきておりますけれども、こういったものも市場の状況を判断するあるいは分析する上では非常に重要なデータでございまして、我々も証券取引所によるそういうデータの公表というものについては常時チェックをし、できるだけより詳細なデータが公表されるようにディスクロージャーを充実していく必要があるという御指摘については、私どもも全く同感でございます。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 菅直人

    ○菅委員 時間ですので、これで終わります。
  140. 太田誠一

    太田委員長 次回は、来る十四日木曜日午後三時二十分理事会、午後三時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十二分散会