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仙谷委員 お言葉を返すようでございますが、
百貨店の
売り上げの問題の中で、四月十八日の日経新聞に内訳がどういうふうに落ちておるかというのが出ておりました。その中で注目をしなければいけないのは、家庭用品、これが八・二%
下落、それから婦人服・洋品、三・〇%落ちているということでございます。
私の地元もそれほど
不況感はございません。ございませんけれ
ども、縫製の下請メーカーというふうなものが相当ございます。ことしの初めにその経営者の方々と多少話をしておりましたら、ことしいっぱいは
景気が非常に暗いという話をその縫製の下請のメーカーさんがやるわけでございます。なぜならば、婦人物のブラウスが昨年の冬ごろから売れなくなった。ブラウスというのは繊維業界では
先行指標である。つまり、女性は
景気がよかろうと悪かろうと多少のことでは毎年毎年ブラウスを買うのであって、ブラウスの
売り上げが落ちるというのはどうも一般の
消費者の消費マインドが冷え込んできておるのではないか、こういうことを言っておりました。それは、つい二月までは統計上あらわれてこなかったわけでございます。この三月の
百貨店の
売上高の
指標の中に初めて婦人服・洋品、こういうものが
売り上げが前年比落ちてくる。そして家庭用品までが落ちてくる。こういうところに、相当マインドが冷え込んでおる、つまり、
大蔵大臣がおっしゃったようにその分貯蓄がふえているからいいではないかという議論もあるのかもわかりませんけれ
ども、最終需要がどうも落ち込んできておるのではないか、ここが重要なポイントではないかというふうに考えるわけであります。
五年間のGNPとの比較でいいますと、GNPは三割くらいこの五年間で増加しておるのですね。民間の
設備投資が七割くらいやはり増加しておる。しかし
個人消費は二割強くらいふえただけであって、そして可処分所得も二割ぐらいしかふえてない、こういうことでございます。九一年の消費性向は七四・五%ということになっておって、五年前に比べるとどうも三%ぐらい低下しておるという指数もここに出ておるようでございます。
先ほどおっしゃいましたように、失業率が依然として低うございますので、失業のない不
景気なんということはあり得ないというのが近代
経済学の一つの原則のようでありますけれ
ども、しかし聞くところによりますと、社内失業が相当ふえておるのではないだろうか。そして、現実に所定外労働時間が目に見えて減ってまいっておることは間違いがない事実のようでございます。そうだといたしますと、ここで、補正予算の話が相当大きい声で自民党の方から叫ばれておりますけれ
ども、財政出動させて
公共事業をふやす、そういう補正予算を組むというのは少々、今の人手不足の時代、そして、たまたまきのうの朝日新聞の論壇に出ておりましたが、三重県では、七五%の前倒しの
公共事業の予算がおりてきても土地がないんだ、土地が今まで買えてないから
公共事業なんかちょっとそんなにこなせませんよという記事が出ておったと思います。ここは、前回の大蔵
委員会の議論からいいますと、まさに地価税財源をどういうふうに予算措置すべきだったかという議論になるわけでありますけれ
ども、
公共事業をもう一段補正予算で追加するというのは、実は効果としては余りないし、少々いろいろなところに無理が来るのではないか。そうだといたしますと、ここは緊急避難的に
住宅に関する利子補給あるいは減税、あるいは所得税の減税を思い切ってやるということが必要なのではなかろうか、こういう結論に私自身、私だけでありますけれ
ども、達したわけでございます。
私はそんなに減税、減税と言うのは好きな方ではございませんけれ
ども、ここは、今は所得税減税がむしろ
景気対策として必要なのではないか。宮澤さんが、九月になればやることが減ってくる、入り用なときには入り用な金をきちんとつくるつもりだとおっしゃっていますから、ぜひお金をつくっていただいて、二兆円か三兆円かわかりませんけれ
ども、所得税減税を思い切ってやるということを、今でも連休明けにでも発表していただく、そのことが
個人の消費マインドといいますか最終需要を喚起させる、そしてそれが実体
経済に反映して
株価も持ち直す方向に動くのではないだろうか、こういうふうに考えますが、
大蔵大臣、いかがでございますか。