○米原
参考人 追手門学院大学の米原でございます。
きょうは、こういう
国会の
先生方の前で
意見を述べさせていただきます機会をお与えいただきまして、非常に光栄に存じております。ただ、浅学非才の身でございますので、
先生方にお役に立つことが申し上げられるかどうか心配しておりまして、その点何とぞお許しをいただきたいと思います。
この三つの
租税改正法案でございますけれども、まとめて申しまして、私は全体について賛成でございます。特に反対すべきものはない、このように考えております。
少し注釈を加えさせていただきますと、
順序がばらばらになりますけれども、まず
法人特別税、二・五%通常の
法人税に上乗せして
課税するということでございますが、現在の景気情勢から見ますと、本当はこういう増税はしない方が景気対策としては望ましいのではなかろうか、そう思います。しかしながら、中期的に見まして、
我が国の
財政が
赤字体質からまだ十分に抜け切っていない、また赤字国債の発行が必要になるかもしれないというような危険性が出てくるということは、やはり望ましいことでもないだろう。だから、景気政策から見たら決していいことではないけれども、そういう中期的な
財政の健全性の確保という点から見れば認めてもよろしいことではなかろうか。ただ、景気の面に対しましては決していい効果をもたらすものではございませんから、これは何らか別の方策で補正と申しますか補てんをしていただければありがたい。景気対策としましては
財政と金融が主としてございますから、
法人税が増税になる分金融を少し上乗せして緩めていただいて、この
法人特別税による悪影響を消すという方向で進んでいただけたらありがたいのではなかろうかと思います。
この点につきましては、最近公定歩合の改定についていろいろ御
議論がおりまして、これは日銀の専決
事項であって外部からとやかく言うべきことではないという論調が新聞等にも出ておりまして、それはそのとおりであろうと思いますが、景気対策というのは金融も
財政も両方が協力し合って行うべきものでございますから、日銀が独立性を持つということはそれなりに正しいことであると思いますけれども、両者相まって協力し合って国民が困らないような景気政策を実行していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
それから、
相続税につきましては、結局は
土地の評価の増大につれまして総額がふえないように減税をしようというのが趣旨であると承っておりますので、それはそれで当たり前のことといいますか、結構なことではなかろうかと思います。
相続税につきまして、
一つだけこうしていただければありがたいなということを申し上げさせていただきますと、納税の方法でございますか、延納と物納というほかの税には余りないような納税方法がございますが、これをもっと拡充していただきまして、納税者が苦労なしに納税できるようにしていただけたら非常にありがたいな。今回の
改正でも若干その点が入っておるようでございますが、特に物納の場合は、
課税いたしますときに、この
資産は例えば一億なら一億の価値があるとして
課税なさるわけでございますから、できるだけそれは一億の価値があるものとして物納も受け取っていただきたい。
課税するときは一億の価値があると見ていただきましても、さあいざ納めるとなると、いや、それは取らないよと言われる例が非常に多くなるとやはり納税者は困るわけでございますので、その点を御配慮いただけたらと思います。
それから、今後
相続税をお考えになるに当たりましては、
我が国は世界で有名な
相続税の高い国でございますので、一体
相続税は何のために徴収するのか、
相続税で
日本の国をどういう方向に持っていこうとされるのかというその
相続税の政策目的を十分
先生方で御
議論いただきまして、これは
所得再分配であるとか、あるいはまた士気と申しますか、極端なことを申しますと、
相続税一〇〇%取るということになれば、だれも節約して財産を持とうなんという人はなくなりまして、宵越しの金は持たない、入った金はぱっぱぱっぱ使えというようにもなりかねないのですけれども、世の中一体どうあるべきかということからお考えいただきたいな、こう思うわけでございます。
それから、
租税特別措置につきましてはこれまでいろいろな先生がいろいろなことをおっしゃりましたので、私も大体賛成である。自動車税が今まで六%であったのを本則の三%に返すべきではないかというようなお話もあるにはあるんですが、もともと自動車税の物品税は高かったわけでございますから、それが六に下がり四・五に下がるということはまあそれなりに評価してもいいことではないだろうか。
それから、ちょっとほかの
参考人の
先生方がお触れにならなかった点で申し上げさせていただきますと、今度の
租税特別措置法の一部を
改正する案の中で、いろいろと
地域的な問題に関連した点がございます。
例えば、新築貸し家住宅の割り増し償却につきまして、三大都市圏における優良貸し家共同住宅について割り増し償却をふやす、これはこれで住宅政策として結構なことでございますが、今申しましたように、これは三大都市圏、都市に対する優遇
措置でございます。これに対しまして農業等の地方につきましては、農村
地域工業等導入地区における工業用機械の特別償却は、これは引き下げる、少し増税の方向に持っていく。それから農業協同組合の留保
所得の特別控除につきましてもこれは引き下げる、要するに税金を少しふやしましょうと。だからこれを見させていただきますと、ちょっとひがみかもしれませんけれども、田舎は少し重くして、都市は軽くしましょうというような考え方が入っているのかなという気がいたしますが、やはり、東京への一極集中とか
日本の過疎
地域の問題とかを考えますと、今後
税制をお考えいただきます場合にも、できれば田舎、過疎
地域の発展というようなこともお考えいただいて、今後の
税制のあり方を御
審議いただければありがたいなと思います。
それから、私は追手門学院という関西にある大学から参ったわけでございますけれども、これはもう関西のひがみかもしれませんけれども、例えば東京で羽田空港とか新東京国際空港、成田でございますか、ああいうところで
事業が行われます場合は大体国のお金で行われるけれども、関西新空港のように関西でやります場合は地元が金を出せという話になるということが、大阪の人間のひがみとしてかもしれませんが、出てくるわけでございます。そういうことが
税制等でも余り出てまいりませんように、何とぞ
先生方のお力を得たいと思っておる次第でございます。
以上でございます。(
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