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梅澤政府委員 現在、
独占禁止法の適用除外として、再販指定商品と言われるものが、千三十円以下の化粧品、それから
一般用医薬品、それぞれ二十数品目あったわけでございます。今回この
見直しを行いまして、品目につきましてはそれぞれおおよそ半分、出荷ベースで見ますと、医薬品につきましてはおおよそ七割、化粧品についてはおおよそ四割のものを
平成五年四月一日から原則として廃止する、
一般用医薬品の一部につきましては
平成六年中まで存続を認める、残余の品目につきましては
平成十年中に再度
見直しを行うという決定を行ったわけでございます。
再販の指定商品を取り消すということは、先ほど来
委員が御
指摘になっておりますように、いわば
政府規制を緩和といいますか自由化するということになると思うわけでございます。率直に申しまして、
競争政策の
観点からはこれは一挙に自由化したいということで取り組んだわけでございます。その後、事務局で詳細に実態調査をいたしましたり、昨年十二月でございましたけれ
ども私
ども公聴会を開催いたしまして、消費者のみならず、
事業者、学識経験者等から広く意見を伺いました。その過程で、
現状におきまして
基本的に自由化の
方向であるべきだけれ
ども、ただいま言いましたように、いわば部分的、
段階的自由化という手法を今回とったわけでございます。
それはどういうことかと申しますと、例えば化粧品を例にとってお話ししたいと思うわけでございますけれ
ども、再販
制度という
制度がある以上、それを前提にした流通慣行というものが市場に成立しておるということは否定できないわけでございます。特に今回指定再販を廃止するに当たりまして、流通
段階でも小売
段階に非常に問題があるということでございます。例えば
我が国の化粧品の小売店の数は非常に多い、しかも零細なものが多いということが
一般的に言われておるわけですけれ
ども、これを例えば計数的に国際比較をいたしたものがございますけれ
ども、化粧品人口というのは女性でいいますと満十五歳から六十五歳未満、これを一応化粧品人口と規定をいたしまして、一店舗当たり化粧品人口が一体幾らあるのかということでございます。日本の場合は、これは概数でございますけれ
ども、およそ千人、フランスは一店舗当たり日本の大体六倍、西ドイツは十二倍ということでございますから、これは逆比例の関係にあるわけで、日本の化粧品の小売店というのは非常に零細で数が多い、しかもこの数は
一般の流通と異なりまして決して減る傾向にもないわけでございます。
なぜそういうことになったのかということは、いろいろな理由が考えられるわけですけれ
ども、
一般的に
指摘されておりますのは、やはり再販
制度がございますとその商品については価格が安定いたしておりますしマージンも保証されておるわけでございますから、再販
制度ということがある限り小売店としては非常に商売がやりやすい領域であるということが率直に言えるのではないかということでございます。したがいまして、今一挙にこれを廃止するということになりますと、再販
制度を前提としてきました現在の流通秩序に不測の混乱が起こるし、またその経営に携わっている方々が大変な不安を感じるというこの社会的、
経済的現実というものを私
どもはやはり無視できないと考えるわけでございます。
したがいまして、今回まず
段階的に、ただいま申しましたように医薬品については七割、化粧品については出荷ベースで四割のものを廃止をする、しかも
平成十年中にこれを見直すということは、私
どもはやはり完全自由化を目指すべきであろう。大事なことは、そういった将来展望を与え、
段階的にそういう
方向に進むものであるということを、現在この業界に携わっておる小売業者の方々にも十分御
認識をいただきまして、経営の効率化なりあるいは自由な競争になれる準備期間というものを与える必要もあるのでございますけれ
ども、同時にこれは、自由化というのは
一般的に言えば大部分の消費者の利益につながる話でございますから、ここは業界の方にも十分御
認識をいただく。そういう手法として今回
段階的な自由化を目指し、かつ将来、
平成十年中には完全自由化の
方向に向かっていくんだということを示すことによって、今後この業界に参入される人はよほどそういうことも十分覚悟の上市場への参入もされるであろう。その
意味では、
独占禁止政策も
経済政策の一環でございますから、自由化という手法をとる場合にやはり
段階的手法をとるということが多くの場合現実的であり
効果的であるというふうに私
どもは考えておるわけでございます。