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1992-03-25 第123回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月二十五日(水曜日)     午後一時一分開議 出席委員   委員長 清水  勇君    理事 植竹 繁雄君 理事 畑 英次郎君    理事 松岡 利勝君 理事 光武  顕君    理事 村上誠一郎君 理事 有川 清次君    理事 田口 健二君 理事 石田 祝稔君       岩屋  毅君    大野 功統君       金子原二郎君    金子徳之介君       木村 守男君    木村 義雄君       小坂 憲次君    鈴木 俊一君       野中 広務君    増田 敏男君       宮路 和明君    簗瀬  進君       山本  拓君    山本 有二君       石橋 大吉君    上田 利正君       沖田 正人君    佐々木秀典君       藤田 高敏君    松前  仰君       吉井 光照君    藤田 スミ君       高木 義明君    菅  直人君  出席国務大臣         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)  出席政府委員         国土庁地方振興 小島 重喜君         局長         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         農林水産大臣官 今藤 洋海君         房審議官         気象庁長官   立平 良三君  委員外出席者         総務庁行政管理 久山 慎一君         局管理官         大蔵省主計局主 寺澤 辰麿君         計官         大蔵省主税局税 窪野 鎮治君         制第三課長         文部省高等教育         局私学部私学助 早田 憲治君         成課長         厚生省保健医療 有川  勲君         局疾病対策課長         厚生省社会局施 松本 省藏君         設課長         農林水産省構造         改善局農政部農 上木 嘉郎君         政課長         農林水産省構造         改善局建設部防 岡本 芳郎君         災課長         林野庁林政部企 川口 將志君         画課長         林野庁指導部造 村田吉三郎君         林保全課長         水産庁研究部漁 吉崎  清君         場保全課長         運輸大臣官房人 土井 勝二君         事課長         運輸省鉄道局施 山田 隆二君         設課長         気象庁総務部企 山本 孝二君         理課長         気象庁観測部管 櫻岡  勉君         理課長         気象庁地震火山         部地震火山業務 森  俊雄君         課長         労働大臣官房参 後藤 光義君         事官         建設省河川局砂 高橋 哲雄君         防部砂防課長         建設省道路局企         画課道路防災対 大石 久和君         策室長         自治大臣官房参 北里 敏明君         事官         自治省財政局地 嶋津  昭君         特別委員会第三 中村  信君         調査室長     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     菅  直人君 同日  辞任         補欠選任   菅  直人君     阿部 昭吾君     ――――――――――――― 三月十三日  雲仙岳災害復興に関する請願(石橋大吉紹介  )(第五七二号)  同(上田利正紹介)(第五七三号)  同(沖田正人紹介)(第五七四号)  同(清水勇紹介)(第五七五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十六日  台風十九号による筑後川流域森林被害早期  復旧及び二次災害防止対策に関する陳情書  (第六五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(桜島及び雲仙普賢岳の  火山活動並びに平成三年台風第十九号等による  災害等)  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 清水勇

    清水委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  去る三月十六日及び十七日の二日間にわたり、桜島及び雲仙普賢岳火山活動による被災状況等並び平成三年台風第十九号等による被災状況等調査のため、鹿児島県、長崎県及び大分県に委員派遣を行いましたので、私が派遣委員を代表いたしまして、この席から調査概要について御報告申し上げます。  派遣委員は自由民主党の畑英次郎君、植竹繁雄君、光武顕君、日本社会党護憲共同田口健二君、有川清次君、公明党・国民会議石田祝稔君、日本共産党藤田スミ君、民社党の高木義明君、そして私の九名であります。このほかに、鹿児島県においては、委員平田辰一郎君、同じく宮路和明君及び地元選出議員盛辰雄君が、長崎県においては、地元選出議員久間章生君が、大分県においては、委員衛藤晟一君及び地元選出議員衛藤征士郎君が、なおまた、委員沖田正人君及び吉岡賢治君が鹿児島県、長崎県、大分県のすべてに御参加され調査をしてまいりました。  以下、順次調査概要を御報告申し上げます。  まず、鹿児島県について御報告申し上げます。  県を初めとする自治体等関係者の御説明によりますと、桜島南岳は昭和三十年以来、現在に至るまで、断続的な火山活動を続け、いまだその活動終息しておらず、その降灰は県民の日常生活生産活動にはかり知れない支障を及ぼしております。  特に、降灰の著しい垂水海潟地区では、本年の一月と二月で、昨年の降灰量八千五百六十二グラムの二・七倍、二万三千二百グラムが観測されております。ちなみに五十坪に灰が十センチ積もると一トンの降灰量になるそうですから、その量のすさまじさを御想像いただけるかと存じます。  降灰農作物林業等にも多大な被害を与え、垂水市においては、キヌサヤエンドウ、インゲン、ビワなどが被害を受け、特に、キヌサヤエンドウについては、その作付面積百四十二ヘクタールの本年一月、二月の被害率は、七五%、被害予想額は二億四千三百万円にも達する壊滅的な打撃を受け、生産農家は「灰除去手間がかかった上、出荷しても完全な経費倒れ」と嘆き、営農意欲を著しく喪失しているということであります。  火山爆発に伴う降灰等による農作物等被害防止、軽減を図るため、御案内のとおり防災営農対策事業及び防災林業対策事業が実施されておりますが、かかる状況にかんがみ、これらの事業の一層の充実強化について、政府におかれましても積極的に支援すべきであると考えるものであります。  また、長期にわたる火山活動により山地の荒廃と渓流の浸食が進み、降雨のたびに土石流が発生する状況にあり、直轄八渓流だけでも年間平均七十回以上の土石流が発生しており、特に発生頻度の高い野尻川では、年間約二十回、流出土砂量は、年間、ダンプトラック約七万台分の五十万立方メートルに達しており、このため山麓の農耕地もとより、人家道路港湾等地域生活基盤に重大な被害を与えているということであります。  かかる状況に対し、土石流対策として砂防事業治山事業が行われておりますが、関係者は、これらの事業事業費の拡大について、支援を強く要望されておられましたので、政府におかれましても積極的に対処すべきであると考えるものであります。  次に、長崎県について御報告申し上げます。  雲仙普賢岳が一昨年十一月に噴火して以来、既に一年四カ月経過いたしましたが、その火山活動は依然活発であり、いまだ終息見通しが立たない状況にあることは御案内のとおりであります。  県当局の御説明によりますと、本年二月十二日には、継続時間三百秒の火砕流が発生し、火砕流赤松谷方向人家から一キロメートルのところまで達したということであります。また、去る三月一日未明に発生した土石流により、島原安徳駅から南側二百メートルにわたり軌道が埋没し、島原鉄道が六日間不通となったということであります。さらに、同月十五日の午前九時から十一時にかけての約五十ミリの雨で国道二百五十一号と島原鉄道土砂が堆積するなどの被害をこうむり、そのため国道の交通が一時遮断され、島原鉄道も私たちが、同地をお訪ねしているときには、復旧には四、五日かかるだろうということでありました。  九大島原地震火山観測所太田所長は、火山活動見通しについて「毎日三十万立方メートルの溶岩が出ており終息見通しは立っていない。警戒は依然必要。」と御説明されており、聞くところによると、溶岩堆積量は八千万立方メートルに達しておるということであります。  そこで、今後の土石流に対処するため、水無川と赤松谷川合流点付近に設置する基幹となる砂防ダム中心に、治山ダム及び導流堤等建設を県は計画し、県の基本的な考え方を地元説明したことは御案内のとおりであります。また、間近な雨季に備え、土石流による被害防止する目的遊砂地計画については、遊砂地号放水路は既に着工しており、二号は梅雨どきまでには完成したいということを明らかにしておりました。これらの事業推進に当たっては、関係者は、警戒区域内は現地測量ができないので、土地台帳の確認でこれにかえるような手続の簡略化買い上げ価格地権者等への早急な提示について、国の支援を要望されておられましたが、これらの事業地域防災対策及び復興対策を進める上に不可欠なものであること、また、今年の雨季に備えて喫緊の対策であることをしんしゃくして、政府においても早急に対処すべきであると考えるものであります。  島原安徳地区において、被災者代表の方から被災農地早期復旧を要望された際、同地域には十八人の若い農業後継者がいると聞かされました。この将来のある若い農業後継者営農意欲を喪失させないような何らかの施策考えるべきであり、例えば、被災農地地元公共団体等が一度買い上げ営農見通しがついた時点で買い戻してもらうというようなことを検討してみたらいかがかと考えるものであります。  次に、大分県について御報告申し上げます。  県当局の御説明によりますと、台風十九号によります大分県の被害は、林業農業関係中心に広範囲にわたり、被害総額は約九百三十五億円に達し、玖珠郡、日田市郡、下毛郡、字佐郡の県西部、北部の地域に深刻な打撃を与え、大分県の災害史上に残る大災害であったということでございました。特に林業被害は、県全体で六百四十億円、うち、人工林の倒伏、折損など造林地被害は二万二千ヘクタール、一四百九十六億円になるということでございました。  私たちも参上するに当たり、ヘリで上空から被害状況調査いたしましたが、全国一を誇ったあの緑の美しい人工林の山は、地肌をむき出し、倒れた木は茶色に変色し、途中から折れた数百本の無残な杉、その折損木が立ち並ぶさまは、杉の墓標であり、惨状は目を覆うものでありました。  国内材の需要不振のため、一立方メートル当たりヒノキが五万円、杉が四万円であった木材価格の下落、また、人手不足という悪条件の中で、間伐から枝打ち、下刈り手間暇をかけ、我が子のごとく慈しみ育ててきたヒノキ、杉を一瞬のうちになぎ倒され、それに追い打ちをかけるように、整理木のはんらんから木材価格が一万四千円前後に下落し、倒木を搬出するとトラック一台で五千円の赤字、これらのことから後継者である我が子に転業を勧め、みずからも林業経営に終止符を打つことを決意する被災者の心情を思うと察して余りあるものがございます。  今次災害に対して、激甚災害の指定、天災融資法発動等政府の迅速な各種対応について、県当局を初め関係者は感謝するとともに、全国各地から林業技能者の応援を得また高性能林業機械を導入するなどして、風倒木の伐倒、整理に全力を注いでおりましたが、県当局の御説明によると、今次台風による被害が過去に例を見ないような膨大な規模であるため、復旧にはかなりの日時を要するものと見込まれるということでございました。  したがって、今年の梅雨及び台風時期には、林地に放置されている風倒木河川への流出、荒廃した林地崩壊等による二次災害が懸念され、このため、県当局の御説明では、二次災害防止に係る各種事業の円滑な執行と地域防災避難体制強化を図ることを目的に、国、県、市町村等の機関から成る「台風十九号等二次災害防止連絡調整会議」を県段階に、また、激甚災害地域地方振興局ごとに「地区二次災害防止連絡協議会」を設置し、総合的対策を講じていくということでございました。  森林は、水源涵養等の機能を初めとして国土保全上重要な役割を果たしていることを考えますと、その復旧は緊要な課題であります。また二次災害防止は、民生の安定という見地から喫緊の課題でもあります。したがいまして、治山事業砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業道路災害防除事業等公共事業費の増額及び財政負担緩和のための特別交付税の拡充、さらに二次災害防止等緊急時における自衛隊の出動などについての関係自治体に対する支援については、政府におかれましても積極的に対処すべきであると考えるものであります。  以上、調査概要を述べさせていただきました。  なお、派遣先自治体等関係者からの要望事項については、委員会に諮って会議録末尾に参照掲載させていただきたいと思います。  最後に、今回の委員派遣に対する関係省庁を初めとする関係者各位の御協力に対し感謝申し上げますとともに、派遣委員一国会回の調査によって見聞した被災地惨状を心に刻み、実効ある救済対策の実現に向かって一層の努力を傾注する決意であることを申し述べ、報告を終わります。(拍手)  この際お諮りいたします。  鹿児島県、長崎県及び大分県並びに関係市町村からの要望事項等につきましては、これを本日の委員会議録末尾に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 清水勇

    清水委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔要望事項本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 清水勇

    清水委員長 災害対策に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑英次郎君。
  5. 畑英次郎

    畑委員 時間が限られておりますので、端的に御質問を述べさせていただきたいと思います。  よく言われますとおり、百聞は一見にしかず、私ども現地をそれぞれお伺いをさせていただきましてその感を一層深くしますとともに、被災方々のお気持ちを体して層一層災害対策特別委員会の一員として頑張っていかなければならぬという思いを新たにさせていただいたところであるわけでございます。  まず最初に、長崎県の雲仙普賢岳関係から御質問に入らせていただきます。  まずもって亡くなられました四十名の方々あるいはまた行方不明の御三名の方々、そしてまた今朝の新聞によりますと、警戒区域における自殺のお立場の方もおられたようでございます。改めまして心からその御冥福をお祈り申し上げますとともに、お見舞いを謹んで申し上げる次第でございます。  私ども委員会が十六、十七日にかけまして普賢岳付近をお邪魔させていただいたわけでございますが、その前週の三月十四日、御案内のとおり宮澤総理そしてまた東家国土庁長官等々、御関係方々が重ねて現地を御視察を賜り、関係者方々に激励をされたわけでございます。正直申し上げまして、実は十四日のあの段階であのような内容のあります、そしてまた、ある意味におきましてはすばらしい具体的な対応措置総理の口から発言されましたことは、私どもも深く感激を覚えた次第であるわけでございます。事柄が各省庁にまたがり、そしてまた、ある意味におきましては従来なかったケースの災害でありますだけに、私は、東家長官を初め、鹿島防災局長関係皆さん方のそれこそ根回しあるいは関係省庁との打ち合わせ、そういう御熱心なお取り組みがあの成果を生んで発表することができた、かように受けとめさせていただいておるわけでございますし、なおまた、先ほどいただきました資料によりますと、政府対策本部におきましても正式な具体的な取り組みが始まった、かように承知をいたしておるところでございまして、改めて東家大臣を初めとする御関係皆様方、そしてまた宮澤総理の御決断に深く敬意を表する次第でございます。  そういう中にございまして、ただいま委員長から具体的に詳細に、そしてまた心のこもった御報告があったわけでございますが、私は、私の提案、主張のいわゆる土地買い上げ問題、これを委員長報告の中にも取り上げていただいたことを感謝申し上げますとともに、重ねてこの点の私なりの見解と、そしてまた御関係皆様方役所側の御見解をも伺いたいというように考えるわけでございます。  現地にお伺いをいたしまして感じましたことは、雲仙普賢岳関係皆様方、近い将来に必ずもとの住まい、もと土地に帰れる、そういうことを期待し、これからの将来設計の中にそれを基軸として問題をすべて取り組みをされておられる。私は、誤解を招くかもしれませんけれども、これだけの時間的な経過をいたしました今日の段階におきましては、まことに残念ながら、私自身も現地にお伺いしまして感じましたことは、最悪の事態としましては、やはり警戒区域、ああいった地域には生活の本拠としての復興ということは不可能である、あり得ない、こういうことをも想定をしなくてはならない段階を迎えておるのではないかなというように考えるわけでございます。今日までお取り組み賜りましたいわゆる二十一分野九十項目、まことに人間味あふれる、そしてまた思い切った施策の展開がなされておるわけでございますが、私はこの段階から次の、今申し上げましたような意味合い被災者方々には、父祖伝来の地を離れるなどということはとんでもないことだというおしかりをいただくのは十二分に承知をいたしておるわけでございますけれども、この際、帰れない、あの土地を放棄せざるを得ない、そういう前提の中におけるこれからの対応といいますものを被災者方々もお考えを賜り、そしてまた行政あるいは政治家の私ども、各政党におきましても御検討を願う段階に今日入っておるのではないかなというように考えるわけでございます。  具体的な内容を私なりの私案として申し上げれば、警戒区域、ただいま建設省におけるスーパーダム等々の御計画もあるようでございますけれども、あの計画もあの噴火が終息を見なければ工事着手ができない、こういうことを考えました場合におきましては、被災者方々立ち上がり資金の大きなものにしていただけるような意味合いから、一つの柱としていただくような意味合いから、まず警戒区域地域土地買い上げ、これは地元公共団体による買い上げ、そういうような手だてを講ずるべきではないかなというように私は考えるわけでございます。そしてまた、その買い上げの際には、将来何としても自分生まれ在所に戻りたい、そういう気持ちを尊重しながら、幸いに使えるように帰っていただけることができるようになりました場合には、買い戻しを最優先として従来の所有者方々にお持ちを願う、さような意味合いで、いわば買い戻し特約つき土地買い上げ、これについて私は、政府におかれましても御推進を願いたいというように考えるわけでございます。  たまたませんだって来、衆参予算委員会におきまして、東家大臣におかれましては、いわゆる公共用地として買い上げる場合には、現在の状態ということではなくして、それなりの二つの思いやりのある、ある意味におきましては上積みをした買収価格をということの含みのある御答弁をされておったことを私なりに承知をいたしておるわけでございます。さような意味合いにおきまして、私は一つ基準としましては、いわゆる警戒区域内の固定資産税評価額等々を一つ基準にしまして、その何割増しあるいは何倍かということもあり得ましょうし、そういう中で、いわばすべてを公共用地にいたしまして、ある意味におきましては、例えば防災記念公園、こういうことが二度とあってはならないというような意味合いでの、いわゆる警戒区域すべてを含んだ防災記念公園等々も一つ考えではなかろうかというように考えるわけでございます。さような意味合いにおきまして、この全量を買い上げる、買い戻し特約をつける、そしてまた被災者方々におかれましても、立ち上がり資金としてその代金を御活用を賜りたい。  なおまた、幸いにもと場所にお帰りがいただける、買い戻しをする、そういった場合が、あるいは早い時期に、あるいはまた残念ながら五年、十年後になるかもしれませんが、場合によってはその間の金利につきましては、極端な例を申し上げれば無利子にする、いわば土地担保で無利子融資をする、立ち上がり資金融資をしてさしあげる、こういうような要素をも加味して対応していただくことが、今日の、いささかショッキングな申し上げようかも知れませんけれども、帰れない、残念ながらあの場所はもう使えないというような意味合いのものを踏まえた対応策をもこの際御検討を願いたいというように私は考えるわけでございます。  委員長も御案内のとおり、私ども伺いしましたときに、あの中は実際には測量もできない、そういうような状態でございますから、今言ったような買い戻し特約をつける、そういう中での作業を進めることが現実の、そしてまた幅のある、被災者方々にも御理解のいただける、そしてまた、いわば無利子融資的な要素も入る、かような意味合いで御理解がいただけるのではないかなというように私は考えます。なおまた、基金としての六百億、そういうものもこれから積み立てられるという段階でございますから、その辺の対応とのかみ合わせの中で、今言ったようなことを私は感ずるわけでございますが、この点につきまして、東家長官の私の提案に対する御所見を例えれば幸いに存ずる次第であります。
  6. 東家嘉幸

    東家国務大臣 大変御貴重な多岐にわたる御提案、御質問をいただいたわけでございますが、まず第一点の、今後の復旧復興計画は基本的に見直す必要があるのではないかというようなことに私は受け止めたわけでございます。私はかねがねから申し上げているのでございますが、立法府先生方それぞれ、民意を我々としてはよく吸収しながらその方向づけというものを県当局とも進めていかねばならない。その立法府におちれる地元先生方意見かなり食い違った面があるわけでございます。そのことについては、再三にわたり私どもの方から、これは党派を超えて、そして、どうすれば本当に被災者皆さんに役立つこれからの我々の政策であり、そしてまた事業内容でなければならないということを今日まで考えてきたわけでございます。今先生の御質問の点についても、その意見先生の中にもあることを承知いたしております。  さりとて、行政の方は既に関係各省スーパーダム、堤防、いろいろな角度から今後の災害復旧工事の試算をし始めているわけでございます。それはかなりの膨大な資金を要する。そんな要する金ならば、いっそのこともう基本的に集団移転等々の対策をとったらどうかというふうにおっしゃられるのかなということではないかなとも思ったりし、そういう意見がまた地元にもある。しかし、基本的には皆さん方が望まれる、自分の生まれ故郷、営農でき得るところの範囲は復旧をしてほしい。復興の中に自分たちは将来立ち上がっていきたいという意見が大方だというふうに私は承知をいたしております。そういう見地から早急に、今日火山活動が続いておりますので、なかなか中に立ち入ることができ得ませんけれども、この活動状況を見ながら早急にその対策を、今の計画の案を進めることが一番適正であるか、私はそのように受けとめている次第でございます。  なおまた、買収問題等については、今御提案のことの、確かに見識ある案だと私も考えておりますしからば、どのようにこれに対処するかということにつきましては、御案内のとおりの県当局におけるいろいろの財政の援助等、各般にわたり取り組んでいるわけでございますから、そこで県当局がどうこれに対処するかということは、県当局見解の中でとり行っていただきたいものだと私は要請もいたしておりますし、そのようにお考えになっておられると受けとめているわけでございますので、そのことについては満足のいくことの買い上げになるかどうかは知りません。がしかし、お互いに理解し得る、お互いの今後の詰めの中に十分対処でき得るものだというふうに私は考えております。  なおまた、農業の立ち直る資金問題等、これは宮澤総理現地に行きましたときに、ちょうど農作業しておられるときに、御夫婦が蔬菜園芸の仕事の中で、自分たちはまず一年度の災害について、これは保険で賄いました。二年連続とても継続でき得ない今日の状況では、立ち上がることができませんというようなことでの切々たる訴えがございました。総理も、それではあなたたちがだめになってしまうということであれば、貸付金だって回収できないでしょう、それは当然ですねということで、このことについては私も十分検討をしてまいりますということで、私どもの方にも指示をいただいて、この問題をどう解決していくかということについては今後とも鋭意取り組んでまいりたいというふうに思っておりますし、このことにつきましては、政府のそれぞれの委員も来ているわけでございますから、具体的なことについてはひとつそちらの方から御説明をさせたいと思うわけでございます。
  7. 畑英次郎

    畑委員 ただいま大臣から御答弁をいただいたわけでございますが、私は、誤解があってはなりませんが、今まで二十一分野九十項目でございますか、やっておりますことを見直すという考え方ではないのです。これはすばらしかった。大変な成果を上げておられる。そういう段階の中で、新しい一つの節目として、その節目の中から、残念ながらお帰りが願えない、そういう場合を想定した一つの問題の掘り下げ、これをやるべき時期が来ておるというように考えるわけでございまして、なおまた、警戒区域の中でスーパーダム等々の問題があるわけでございますから、いずれにしましても、私は、用地買収、これはいわば先行取得をする、その対象面積を警戒区域全部に広げる、こういうような意味合いの中から、しかもお帰りが願えるような状態になれば、それ相応の優先権をきちっとつけておきます、かような意味合いでございますので、大臣の御熱意は私は十二分に評価をし、その今までの取り組みに重ねて敬意を表しながら、この段階での新たな展開としての御理解というような意味合いをお願いしたいと考えるわけでございます。  私は、従来から国土庁というお立場、これからの日本の置かれております状態、あるいは環境保全の問題等々を考えますと、国土庁の存在といいますものは、従来の国土庁とは比較にならない、今日、重要性、課題、期待、こういうものを持っておられる国土庁のお立場というように考えるわけでございまして、さような意味合いでは、今度のような大災害があちらこちらであります場合におきましては、やはり国土庁さんの、総合的な窓口というお立場において各般にわたって問題を指摘し、場合によっては先取りをしていただく中で、防災業務あるいはまた災害復旧業務を御推進を願う、これが私は極めて肝要ではないかなというように考えるわけでございます。  さような意味合いでは、今度現地を視察しながら考えましたことは、それぞれの、とりわけ市町村段階県段階もさることながら市町村段階で、いわゆる建設省のお立場あるいはまた農林省、林野庁のお立場の方々の、いわゆる災害ケースの採択基準の緩和をひとつお願いしたい、こういうことが強く御要望があったわけでございます。とりわけ財政力の弱い市町村段階で、自分の村道の上のがけが崩れた、これについては残念ながら、一つのケースとしましては雨量が少ない、採択基準に合致をしない。しかしながら、今度の災害のいろいろな問題を考えました場合には、島原においてもそうでございますけれども、いわゆる九州は何回も台風が襲来をする、そういうことを考えますと、この辺で災害基準の緩和ということにつきましても国土庁のお立場でひとつ御検討がいただけるとありがたいがなあというように考えるわけでございます。  私は、さような意味合いにおきましてもう一つ申し上げたいことは、防災調整費。いわゆる事業調整費が百億ぐらいございます。やはり緊急的に対応し得る防災調整費は、現在は残念ながら一億二千万円でございますか、これは復興計画等々の事務費的なものに対応せざるを得ない。各省庁、今回も極めて御熱心なお取り組みを、私をして言わしめれば、百二十点満点の災害対応を林野庁におきましても建設省さんにおかれましてもやっていただいております。農林省においてもしかりであります。しかしながら、一つの役所の予算の執行のそのはざまを縫って、あるいは緊急対応というような意味合いでは国土庁さんが防災調整費を緊急に使えるというようなことも、これまだこれからの一つ検討課題にぜひともお願いを、そしてまた、御期待を申し上げたいがというように考えるわけでございます。  次に、桜島の問題に移らせていただくわけでございますが、桜島、正直申し上げまして私どもも、雲仙普賢岳の問題等々極めて深刻在問題が新たなケースとして一昨年来出てまいっておりますので、桜島問題に私自身はいささか認識の足らざる点を、じくじたるものを覚えながら現地を歩かさせていただいたわけでございますが、私は、この桜島の噴火、その中におきます防災営農事業等々、こういった問題は、先ほど委員長報告の中にもございましたとおり、やはりさらなる厚み、上積みをもって対応を願わなくてはならない。  そういう中にございまして、たまたま桜島の防災営農事業等が、これは三年サイクルで切りかえがあっておられるようでございますが、平成四年度をもって終わるということであるわけでございますので、この点につきましては引き続き継続をしますとともに、その事業の厚みを持たせていただきたい。これは地元出身の宮路議員を初め御関係方々からも強く要請のあったところでございますので、農林省におかれまして、この防災営農事業等々の延長あるいは厚みを持たせる、上積みをする、この点につきましての御見解を簡潔にいただきたいと思うわけであります。
  8. 上木嘉郎

    ○上木説明員 ただいまお尋ねの件でございますが、御案内のとおり、昭和四十八年に活動火山対策特別措置法が制定されまして以来、この法律に基づきます防災営農施設整備計画によりまして、降灰防止あるいは降灰除去施設の整備等の事業をやっておるところでございます。  ただいま御指摘のとおり、平成四年度におきまして鹿児島県、宮崎県の防災営農施設整備計画は一応完了することになっておりますが、現在のような活動状況が続く限りにおきましては、引き続き防災営農対策事業を実施する必要がある、こういうふうに考えております。  なお、事業の中身につきましても、鹿児島県、宮崎県と十分相談しながら、今後適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  9. 畑英次郎

    畑委員 ぜひ桜島問題につきましては、その延長線上における事業の充実、厚みをさらに増していただく、こういう意味合いでのお取り組みをお願いをする次第でございます。  委員長、恐れ入りますがちょっと地図を出させていただきます。
  10. 清水勇

    清水委員長 どうぞ。
  11. 畑英次郎

    畑委員 それでは、大分関係に移らせていただきます。  実は、きょう御出席の皆様方現地を御視察を賜っていただけてない方もおられると思いますので、この大分県は、先ほど委員長報告の中にございましたように約一千億、その中で林業、これが一つ地域における林業のいわゆる被災地を図面に落とした地図であるわけでございます。御承知のとおり、青森県のリンゴも大変な被害であったわけでございますが、この図面でごらんいただきますとわかりますように、これが大分県における林業の最も盛んな地域、これをグリーンポリスという指定をいたしまして、ただいま日本一の林業地域をつくろうという取り組みの中でのこの災害であったわけであります。ごらんのとおり大方、ちょうど全身やけどをしたというような格好で、これは玖珠、日田、下毛、この三郡市の三枚の図面に落とした被害地域の様相であるわけでございますが、委員長を初め関係先生方は幸いヘリコプター等々でごらんをいただいて十二分にその実態を御承知をいただいたところであるわけでございます。  この問題につきましては、私が先ほど申し上げましたとおり、林野庁におきましてもあるいはまた建設省におきましても農林省におきましても大変、私も田舎の首長経験者でございますので、それなりの眼をもって見させていただきましたが、本当に迅速に、果敢に、そしてまた思い切った対応をしていただいて、先ほど申し上げましたとおり百二十点と申し上げてもよろしいかというように考えるわけでございます。この間、国土庁におかれましては、東家大臣が率先して、国土庁でひとつ調整機能を発揮しよう、あるいは災害対策に上積みをしようということで、各省庁間の連絡会議をたしか二月四日でございますか、長官みずからが主宰されて会議を行い、その後もさような取り組みをされておりますことは、まことに私は敬意を表してやまないところであるわけでございます。  そういう中で、今現地で一番懸念をされておりますのは、やはり何といいましても風倒木、根倒れ、そしてまた、そういった後片づけに伴います一部伐採をいたしました材木がまだ山の中にごろごろ横たわっておるわけであります。そしてまた、筑後川上流であります山系でございまして、やはり河川の周辺に大変なそういう風倒木等々が横たわっておる。これが、近づく梅雨どきにおきましては二次災害に発展することは間違いないと申し上げてよかろうかというように考えるわけでございます。  私は、長崎県におきまする火砕流あるいはまた土石流、これが今、あの残念な、そしてまた大変な被害に伴いまして、国民各界各層の方々が、自分の日常会話の中に必ず出てくる言葉が土石流であり火砕流であるというように申し上げても差し支えないというふうに考えます。この大分県の林業被害に伴いまして、今、地元大分県あるいは下流の福岡県、佐賀県、そういったお立場の方々関係市町村方々が御心配をなさっていらっしゃるのは、いわゆる土石流ではなくて土木流が発生する。今度は木が、いわば土石流の石にとってかわって川の中に入り込んで、途中で橋脚にひっかかる、それによって河川のはんらんが、そしてまた河川そのものが大きな災害をこうむる、こういうことが今大変な問題となり懸念となり心配と相なっておるわけでございます。  幸い、東家長官におかれましては、この二次災害、何としても取り組まなくてはならない、土木流を防がなくてはならないというような、国土庁における御関係皆様方の熱心なお取り組み、御指導等々もございまして、それを受けて林野庁におかれましても、いわゆる治山事業の中に新たに、ヘリコプターを使って緊急を要する風倒木等々は搬出をしようということを追加事業としてお取り上げを賜ったわけでございます。なおまた、東家長官みずから、自衛隊の御関係の方にも御連絡賜り、場合によっては、二次災害等との関係から、県知事の要請があれば自衛隊のヘリも出しましょうというようなありがたいこともこれまた伺っておるところでございまして、深く敬意を表するところであるわけでございます。  そういう中にございまして、そういう新しい治山事業の項目を、ヘリコプター等々を取り上げていただいた、大変すばらしいことであるわけでございますが、これを従来の既に割り当てをした予算の中で新たな事業をやるということになりますと、またそれだけしわ寄せが他の分野の事業、項目に移るわけでございますから、この辺につきましては予算の追加をそれぞれのお立場で御高配を賜りたい、御要求を賜りたいというように私は考えるわけでございます。  なおまた今回、一時期は林業経営方々、ちょうど自分の長年手塩にかけた子供さんが交通事故に遭った、その現場にはもう見に行く元気がないよというようなお気持ちの中から、国土庁初め林野庁、建設省、農林省等々のお力添えによってようやく、やろうというような、復興しなくてはならないというようなお気持ちになっていただいている方々が大方であるわけでございまするけれども、大体十ヘクタール以下の山林地主の方々におかれましては、後継者もない、もうこの辺で林業をあきらめようというような方が、残念ながら間々見受けられるわけでございます。  そこで私は、この際政府側に一つの問題提起をしたいわけでございますが、そういった林業を放棄なさっていらっしゃる方々災害復旧をやらない方々、そういった林地地元自治体等々が買い上げて、場合によってはいわゆる生活環境整備林等々にいたしまして、地域方々が活性化を図る。そういうような意味合いで、積極果敢にできますように、起債の問題あるいは交付税の問題、私はこれは地元方々、県、市町村の首長さん方には、積極果敢にやりなさい、自治省さんは最近の災害関連の新たなアイデアを出せば必ず取り上げていただけますよというようなことを申し上げておるわけでございまして、この辺につきましては、自治省サイドにおきましてもぜひとも引き続きこの問題に対する深い御理解を賜りたいがと考えるわけでございます。そしてまた、この買い上げ林地につきましては、治山事業生活関連等々をダイナミックに展開していただくようなこともこの機会に強く要請をさせていただく次第でございます。  なおまた、これはいささか杞憂になれば結構であるわけでございまするけれども平成三年度の災害、これはやはり当初予算、予備費、補正予算をもって、先ほど来申し上げますようにかなり積極果敢な対応をしていただいた。平成四年に入りますと、今度はこの災害対応予算といいますものが、いわゆる地元の市町村段階方々も、特にその災害分だけは従来の当初予算に食い込まずに、別建てで災害復旧事業といいますものは各省庁事業につきましてはやってもらいたい。  逆に言いますと、平成四年度、翌年度からは、一般歳出計上予算との絡みからいいますと、一般計上予算がへこみまして、それが災害分に取られる。もう少し具体的に申し上げますと、私の立場から申し上げるのはどうかと思いますが、災害関連の方に取られて、従来やらなければならない一般砂防事業あるいは治山事業というものの予算が削り取られやしないかな。さような意味合いでは、平成三年度、災害発生年度もさることながら、引き続き次の年度におきましても、そしてまた完成するまで、できるならば別建てで、一般計上予算を食い込まずにやっていただける。そういうような意味合いで、各省庁要求元のお立場におきましても、これは今日のシーリングがかかっておる厳しい財政情勢では難しいよと言えばそれまでに相なるわけでございますが、私は最近の景気回復の問題ということを考えますと、やはり災害関連の予算対応といいますものは、発生年度に限らず、その後におきましても発生年度同様に、あるいはそれを上回るような積極的な災害復旧予算の計上ということをお願いしたいがと考えるわけでございます。この辺につきましても、国土庁さんのお立場でもひとつ大きく旗を振っていただきたいなと考えるわけでございます。この段階で、自治省の方の先ほど申し上げました御見解伺いたい。  なおまた、あわせまして、今次災害に対する、例えば大分県、国の補助が七〇%、それに県、市町村で二五%上積みしまして九五というような数字でございますが、二五をほとんど面倒を見ていただいておられるということも伺っておりますが、この辺も確認をいただければありがたいと考えるわけでございます。
  12. 嶋津昭

    ○嶋津説明員 自治省の地方債課長でございます。  先ほどの、被災した森林に限らず、市町村は従来から公有林等としまして造林活動などをやっているような山林を持っております。また、先ほど御指摘のように、生活環境整備林、いわゆるレクリエーション空間なり住民の生活空間として活用するために買い取る場合には地方債措置をすることは可能でございますし、それからまた、それについても、地方単独事業のための地方債と地方交付税を組み合わせたような仕組みもいろいろ考えておりますので、御活用をしていただきたい、かように考えております。
  13. 畑英次郎

    畑委員 さっきの二五%対応は。
  14. 北里敏明

    ○北里説明員 地方団体の民有林等の災害復旧事業の負担の問題でありますが、国庫補助が基本的に二分の一、県費が六分の一、あとは事業者が負担されるということでございます。  ただ、この県の負担分につきましては、御指摘のように特別交付税で八〇%措置をして配慮しているところでございます。
  15. 畑英次郎

    畑委員 時間の関係で、今言ったようなケースもございますし、なおまた災害復旧、激甚災、そういったような意味合いの中で私は、自治省サイドにおかれましてもかなり積極果敢に面倒を見ていただいているという意味合いで感謝を申し上げながら、引き続き厚みを加えるような、そしてまた、新たなアイデアに対しましても対応していただきますように、この機会にお願いをしておく次第でございます。  最後に私は、この大分林業、とりわけグリーンポリス、日田、玖珠、下毛、この関係方々がようやく、行政皆様方あるいはまた御関係皆様方の御支援によって、災いを転じて福にしようというようなお気持ちがだんだんあらわれつつあるわけでございますが、林業復権、こういうような一つのスタートラインにも持っていこうというようなことであるわけでございますが、林業の場合は何といっても後継者確保の問題、もう一つの柱としましては労働力確保の問題、この二つが大きな課題として横たわっておるわけでございます。私は、さような意味合いで、若い林業関係方々にぜひこれを機会に災害復旧にも、また平素の林業経営にも機械化を促進してもらいたい。たまたま林野庁のお立場におきまして、いち早く災害直後に大型機械等々を現地に張りつけていただきました。それなりの立派な効果を発揮願ったわけでございますが、だんだん時間がたってまいりますと、さらに台数も多くしてもらいたい、あるいはまた大分県のような急峻な土地柄に対しては、いわば日本の急峻な山向きの日本の国産による林業機械をひとつ開発していただきたい、こういう声が非常に強いわけでございますので、開発研究、日本の山地適合型といいますか、そういうような意味合いでの機械の開発をぜひ予算面におきましても御推進を願いたいがというように考えるわけでございます。  私は、今度の災害で、これは従来の大分県の林業の置かれている立場からいたしますと、林業機械化元年というようなものをつくり出して、日本全国の林業の将来に向けての活性化の一つの起爆剤にする、そういう意欲を持って地元方々も取り組んでいかなくちゃならない、かように考えておるわけでございますので、ぜひ御関係政府方々におかれましては、林業機械化元年、こういうことがなし得ますようなお力添えを引き続き賜りたいがというように考えるわけでございます。  そしてまた、幸い林野庁におかれましては、労働力育成センター、これを平成三年度からスタートしておられるわけでございますが、森林組合が主体でやっておられるようでございますが、私は現地の声を聞きますと、例えば私の地元森林組合の方々の現有勢力でこの伐採、搬出、後始末をいたしますと、現在の姿かたちでは、各地から御加勢をいささか賜っておりますけれども、大体三百六十五日フル活動で十六年、早くて十二、三年かかるというように言われておるわけでございます。さような意味合いにおきましては、引き続き労働力育成センター等々、これは願わくば宿泊施設等々も設置をいたしまして、県外の方々あるいは県内の応援体制の方々も宿泊が願える、こういうことを県あるいは地元方々がやる場合には国なりの援助をお願いできるということも、ひとつ検討課題としてお取り上げを賜りたいがというように私は考えるわけでございます。  きょうは、時間の関係がございまして、御答弁を求めるよりも、私なりの問題提起をさせていただいておるわけでございますが、この災特の委員会としましても、ぜひともこれらの問題、委員長報告の中にも大方取り上げていただいたわけでございますので、解決に向かってのお力添えを引き続き賜りたいがというように考えるわけでございます。  最後に、東家大臣におかれましては、この林業問題あるいはまた災害復旧の問題、そしてまた二次災害の問題、土木流の問題について私よりも先に問題提起をされ、それなりの取り組みを賜っておるわけでございまして、私はさような意味合いにおきましては、これから地元大分県、そしてまた、とりわけ福岡県、佐賀県あるいは熊本県、そういった方々とも地元側の横の連絡をとって、行政推進に当たっての協力体制をただいま進めつつあるところでございます。この第二次災害に対する、土木流に対する大臣の御決意を重ねて伺って、私の質問を終わりたいがと思うわけでございます。よろしくお願いいたします。
  16. 東家嘉幸

    東家国務大臣 特にこの風倒木の二次災害対策については、九州のみならず日本海側、青森県に至るあの十九号台風によっての風倒木が大変散在しているわけでございます。そういうことで私ども、二次災害に対処すべき国土庁の役割は何であるかということを、私就任以来、林野庁初め農林省、建設省、それぞれの関係皆さん方と協議しながら、そういう二次災害の起きないように対策に鋭意取り組んでいくよう努めてまいりたいと思っておりますし、私みずからも近々現地に入りたいという所存でございますので、その節はまた現地皆さん方にはよろしくお願い申し上げます。
  17. 畑英次郎

    畑委員 終わります。ありがとうございました。
  18. 清水勇

    清水委員長 これにて畑英次郎君の質疑は終わりました。  次に、有川清次君。
  19. 有川清次

    有川委員 今回、鹿児島県の桜島そして雲仙普賢岳、さらには今深刻な問題としてございました大分地区風倒木の問題など、視察をいたしました。ただ、桜島だけは雨天の関係で飛行機もおくれまして、現地に一歩もおり立つことができず、時間がなくて不満足な視察になり、非常に残念に思います。垂水海潟地区では、垂水の市議会議員の皆さん、議会を休んで防災服をつけておいでになったわけでありますが、残念でございました。ただ、委員長の方から詳しくそれを補うような報告をしていただきまして、大変感謝を申し上げておるところでございます。  しかし、今日、最近集中的な豪灰対策に苦慮いたしまして、営農対策を含め、降灰克服への効果ある対策が期待されておりますが、現地皆さんの必死の姿を見せつけられた思いでございます。せめて国民宿舎のさくらじま荘で県や関係市町村の陳情を受けることができたことは救いであったと思います。ぜひまたよい時期に出直しで現地視察をしていただき、被害の実態をつぶさに調査していただき、有効な対策ができることを期待を申し上げる次第でございます。  視察調査結果に基づいてそれぞれの地域の問題点について質問をいたしますが、まず桜島関係でございますけれども、特に激甚地域に指定をされました二市三カ町、鹿児島市、垂水市、桜島町、福山町、輝北町、この地域の降反対策事業については、日常生活に多大な被害を受けており、万全の対策を講じていただくように、まず御要請を申し上げておきたいと思います。  避難道路を念頭に入れながら具体的に主要道路の整備改良、新設、砂防事業や治山対策事業の促進、そして防災営農対策や防災漁業対策などが必要だと思いますが、特に防災の対策事業等についてはもっと既存のいろいろな基準を緩和していただくように、先ほども意見がありましたが、お願いを申し上げたいと思います。また、現地を見ることができませんでしたが、現地協議会の方で降灰の最近の状況写真が示されておりましたので、参加をされた皆さんはもちろんのこと、当局の方もしっかりこれを参考にしながらぜひ実態を正確に把握をしていただき、対応をお願いを申し上げたいと思います。  そこで、具体的な問題で二、三質問を申し上げたいと思いますが、まず厚生省の方に健康対策についてでありますけれども普賢岳周辺の対策にも関連してくるわけでありますが、降灰や火山ガス等による健康に及ぼす影響、これは今日まで調査研究、監視体制を進めておられまして、地域住民の健康維持のために努力をされておるわけでありますが、なお一層これを続けながらこれまでの内容の充実をしていただきたい。これまでの調査結果と調査状況をまずお伺いをしたいと思います。  といいますのは、特に現地では、ビニールハウス内の作業ですが、農家の皆さん、けい肺について非常に心配をされておりますけれども、今日まで調査があったことがないという御意見もございます。調査の対象者、あるいは調査項目、対象人員等について、余り時間もかかるといけませんので要領よく御回答を願いたいと思います。  なお、雲仙の方も島原市あるいは深江町へ行ってみました。ハウスが相当建っております。桜島の場合はもっと黒い灰でありますが、白い灰の場合もハウスの中まで入り込んでくるわけです。雲仙の場合もやはり今後ハウスの中も灰が入り込んでくるという、サッシの中も入るわけですから、そういう意味でけい肺の心配がございますので、その辺について御見解を願いたいと思います。
  20. 有川勲

    有川説明員 桜島降灰の健康影響に関する御質問でございますが、鹿児島県におきまして、火山灰環境影響調査という中で浮遊粉じんの多い地域桜島町以下十市町にもまたがりますが、一般住民等の健康調査を継続的に実施しております。こういった調査は五十三年からもう始まっておるわけでございますが、これらの結果は五十九年に桜島火山対策懇談会において集約がされております。この中には、せきとか、たんとかいった火山ガス等と関係のある短期的な健康影響が指摘されておりますが、特異的な慢性の影響、例えばじん肺、そういったものの影響ということは認められないというふうに総括されており、さらに調査が必要であるというふうなことを受けて、現在も調査を進めております。
  21. 有川清次

    有川委員 鹿児島で一緒にやっておりましたので、大変よくそういう努力をされていることは私も知っているわけですが、今答弁の中に調査項目やら調査対象はちょっと御説明なかったわけですけれども、ハウス内の農作業をする皆さんに対する調査というのはぜひ今後、長崎を含めて御努力を要請をしておきたいと思います。  次に、水産庁の方にお伺いします。  漁業振興の立場で、軽石が桜島の東側に出てくるわけでありまして、建設省の方で砂防工事、努力されておりますが、これを排除するということがなかなか困難な実態がございまして、豪雨等がありますと、流れて漁業に大きく影響いたしております。特に養殖漁業など、写真にもありますが、軽石で埋まってしまう、そういう状況がございますので、浮遊軽石等の除去事業の現状と継続はどうなっておるのか、あるいは回収船方式による浮遊軽石の除去事業、こういうものについての導入など補助事業考えられないのか、あるいは考えて進めようとしているのか、その辺をお伺いします。
  22. 吉崎清

    ○吉崎説明員 桜島の黒神川流域の軽石が周辺海域に流れ出し、漁業被害を生じておりますので、昭和五十九年度から軽石の除去に要する費用について、鹿児島市等地元市町に対して助成しているところでございます。来年度におきましても、鹿児島県等の要望を踏まえ、適切に対処してまいる考えでございます。しかし、回収船につきほしては、これの建造に対する助成という制度がございませんで、建造いたしましても稼働日数、管理運営等につきましても相当問題があることから、困難と考えておるところでございます。
  23. 有川清次

    有川委員 回収船の問題ですけれども、今雲仙状況もございますし、肥後大変と言われたような二百年前の状況考えますと、軽石の問題も出てきますから、含めて、稼働日数、両方の体制を考え対応も今後の検討課題に入れていただくように要請しておきたいと思います。  次に、国土庁に、昭和六十三年七月に鹿児島国際火山会議がありまして、その「鹿児島宣言」において提唱されました火山に関する国際的な総合情報・研究・研修機能を確立するための国際火山総合センター、仮称ですが、この設置について地元からは再三陳情もあるところでございますが、進捗状況考え方についてお伺いします。
  24. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生御指摘のとおり、鹿児島県が主催をいたしまして、六十三年七月でございますが、鹿児島国際火山会議におぎます提言の中で、国際的な総合情報機能、そして研究機能、研修センター機能、三つの機能を兼ね備えましたセンターをつくろうじゃないかというような提唱がございました。現在鹿児島県におきましては、事業内容そしてまた運営の主体をどうするかというようなことで、学識経験者を集めて検討をなさっておられるわけでございます。  私どもの方では、かねてから、防災に関する総合調整の立場にございますので、鹿児島県のこうした御要望を承りまして関係省庁とも相談をいたしてまいりました。引き続き構想の取りまとめ、そして、その具体化にお手伝いができればというふうに考えております。
  25. 有川清次

    有川委員 構想の取りまとめは、随分時間がかかるようでありますが、ぜひ早い時期に、今活火山が日本は多くて火山の島と言われるような状況ですので、そういう対策を、観測体制なりおくれないように、十分な体制ができるような一つ中心的な機関として研究開発ができるように要請をしておきたいと思います。  次に、雲仙関係について質問をいたします。  宮澤総理から、三月十四日に視察をされまして新しいいろいろな前向きな御意見が出されておりまして、これを多とするものでありますが、それらについて万全を期しながら、現地の悩みの解決に今後なお一層努力をしてほしいと思います。  今回視察をいたしまして、非常に長期化する中で、警戒区域が決められてからもう十カ月近くなるわけでありますが、困難を排しながら生活設計について地元皆さんが大変意欲的に取り組んでいらっしゃる姿を拝見いたしまして、これまでも何回か行きましたが、何か救われる思いがしたところでございます。また、そういう意味では、被災地皆さんに最大限の今支援をしなければならないということも痛感させられました。  農水の方にお伺いしますけれども、農地でも降灰の中でせっせと営農事業が始まり、あるいはたばこの植えつけなども行われ、そして各農地に、今後は施設園芸だという立場でビニールハウスが建ち並ぶという状況がございました。ちょうど土石流現場を視察した際に農家の方が要請に直接お見えになりまして、何とかして防災営農対策としてのハウス採択基準を緩和してほしい。一人十アール以上、三人で三十アール以上の連続した設置というのが一つの条件になっておるわけでありますが、困難な環境の中で、条件の中で意欲的に営農に取り組んでいこう、あるいはこのハウス園芸以外にはもうここの場合は、降反対策もあり、立ち上がることはできないという考え方で対処されている方々もあるわけでありまして、これらについて私も、桜島関係で何回かいろいろ要請もしてまいったところでありますが、重なって、双方とも同じような問題を抱えておりますので、考え方について御見解をお伺いしたいと思います。
  26. 上木嘉郎

    ○上木説明員 防災の対策事業の採択基準の問題についてお尋ねでございますが、防災の対策事業の実施に当たりましては予算をより有効に活用する、こういう観点から一定の採択基準を定めて実施しておるわけでございますが、防災の対策の市に適用するというものにつきましては、これまでも地域の実態に即しまして弾力的な運用に努めてきておるところでございます。ただいまお尋ねのハウスの問題につきましても、地元の要望を十分踏まえまして、これから県とも十分連携をとりながら適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  27. 有川清次

    有川委員 ハウスの問題等については、まだ防災営農の具体的な内容の問題もたくさんございますので、これは個別にまた別途折衝してまいりたいと思います。今の御回答のように幅のある、涙のある、温かみのある行政、そういう施策をお願い申し上げておきたいと思います。  次に、集団移転関係でありますが、噴火の長期化に伴いまして雲仙の方もいよいよ具体的にこれが動き出す傾向になってまいりました。早急にそうした問題も研究、対策をしなければならないと思いますが、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律施行規則の中で、その第一条にありますが、総理府で定める戸数は十戸、二十戸を超える場合はその半数以上の戸数、こういうふうになっております。今回、視察でも桜島の有村集落は、車で通り過ぎたにすぎませんが、ここが四十九戸ありまして、集団移転が昭和五十九年七月の段階で、盛り上がっていろいろ折衝されましたけれども、採択基準に合わずということで、六十一年九月に市単独で移転をしました。四十九戸ですから半分以上となれば二十五戸以上ということになります。これは本人の希望によるということであるけれども、答弁はいつもそうなっておりますが、実際は鹿児島市の課長以下連日連夜話し合い、説得に行きまして二十二戸、五十一人が転居をする、二十五戸に満たない、こういうことでとうとう市単独事業で移転をいたしました。その後また大きな噴石が温泉等に降ってまいりまして、平成二年の六月に移転問題が再浮上いたし、いろいろ話をしたけれども、これは三戸の移転にとどまり、せっかくあるこうした特別措置に関する法律施行令に基づく国の援助がなしに、すべて自治体の力で行われた、こういう状況にあるわけでございます。そういう意味では、もっと条件緩和の見直しが必要なのではないか、こういうふうに今痛切に思っておるところでございます。  先ほど、畑委員の方からも全体を移転してという問題もありました。私もそれは同じような意見を持っておるわけでありますが、ただ、現地の住民の意向を踏まえて、こういうことになれば、そうしたものが緩和の中でもう少し有効に生かせる状況でないといけないと思います。鹿児島桜島の場合は、農家の方は一人も移転をしていない、そして、専業農家というのはいらっしゃいませんが、主に農業しながら兼業、こういう方々が移転をされなかったところでございます。移転をしない人たちの理由を、十項目ぐらいありますので、ちょっと申し上げますが、有村は生まれたところであり、友人も多く移転はしたくない。二番目に、兄弟から地元と墓を守ってくれと言われている。三番目に、家族皆有村で生まれ育った。四番目、自宅を建築してまだ十年、有村でよい。五番目に、家を建てたばかりで移転したくない。六番目、死んでもここに居住したい。七番目、有村で死なせてほしい。八番目、亡父の建てた家で暮らしたい、噴石が来て死んでもいいと思っている。九番目、高齢で病気がち、今さら動きたくない。十番目、年をとってからの移転は大変だし、子供も帰る有村がいい、こういうふうに移転を拒否された人の御意見が述べられております。  こう考えますと、雲仙もやはり土地に対する愛着というか、そういうものが非常に強いのではないか、このように考えるところでございます。それを踏まえながら、私は、この雲仙普賢岳島原市、深江町の皆さん方の意向調査をきちっとして、住民の意思を大事にしながら再建策についてどうすべきか、このことを真剣に考えていただきたいし、また条件緩和、先ほど申し上げたように実情に即してのそういう見直しを検討をしていただきたい。さらには農家の場合、集団移転が非常に問題があるところでございますので、耕作地の条件など、実情に合わせた検討を要請をしておきたいと思います。特に、承りますと、この島原地区は優良農地でございますから、どうしてもやはりそこは確保したいという意向があるようでございます。  また、先ほど畑委員の方からも意見がありましたが、きょうの新聞に雲仙避難民が自殺をされた記事も出ておりまして、これは警戒区域内に家があって、そこに行かれて亡くなっていらっしゃる、遺書はないということでありますが、前にもおばあちゃんが亡くなっていらっしゃる実態もありますし、無言の抵抗みたいな、抗議みたいなそういうものが感じられて仕方がないわけでありますが、そういう意味で、移転問題等、今これから前向きに進もうとする中で、期間も長期化しておって、やはり展望を失う人もある、これは行政上もかなり責任を感じて対応しなければならぬのじゃないか、このように考えますので、そうした具体的な対応策を含め、御見解をお伺いをしたいと思います。  全体的な所見については大臣の御意見もお伺いいたします。
  28. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の防災集団移転の点でございますが、御案内のとおり、災害を現に受け、あるいはこれから災害が発生するおそれのある地域から集団的にほかの地域に移っていただくということがあの法律の基本的な趣旨と申しますか、目的でございます。そういう意味では、少なくともそういう危ない地域からは全部出ていただくということが、私どもとしては、あの法律の趣旨でもありますし、出ていただかなくて、またその後で二次災害、三次災害というようなことが起これは、せっかくのあの法律の趣旨自体も生きないことになりますものですから、その危ない地域からは出ていただくということを前提にいたしまして、そして、そのうち少なくとも集団的に一定のコミュニティーをつくるということになりますと、やはり隣近所、そういうことを考えますと、最低十戸ぐらいの単位の団地は要るのではないかということで、現在十戸ということになっておりまして、そういう集団移転というようなことをあの法律でうたっているものですから、二分の一、こういう要件がさらに加わっておるというのが今の法律の実態であろうというように思うわけでございます。  そして、現在までの状況を見てまいりますと、平均いたしまして大体八割の方に団地に移っていただいているというのが今までの実績でございます。しかし、いずれにいたしましても、今お話しございましたように、雲仙で現に県あるいは地元の市町を中心にいたしまして、その集団移転を含む地域復興計画等々が議論され、そして具体的な検討が進んでまいると思います。  私どもは、今申し上げましたように、この地元の意向というものを十分踏まえながら、あの事業が円滑に進むようには努めていきたい、そして昨年の七月でございますか、災対本部の決定におきましても、特に今申しましたように二分の一といいますか、そういう条件の緩和といいますか、そういうものについては緩和等の措置を講ずること、実はこういうことに災対本部の決定にはなっておりまして、もっと具体化してまいりましたら長崎県あるいは地元の市町と十分話し合ってやっていきたい、かように考えております。
  29. 東家嘉幸

    東家国務大臣 お尋ねの死亡されました方の具体的な報告はまだ受けておりませんけれども、大変痛ましいことだと考えております。亡くなられた方の心からなる御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。  私どもといたしましては、きょう、災害対策本部会議の中に決定されました長期化に伴う特別措置を含め、災害被災者救済対策を鋭意推進し、被害者の生活の安定と再建に向けて鋭意取り組んでいきたい、心からそのように願っておりますし、また政治家という立場からも、情を持って取り組む決意でございます。
  30. 有川清次

    有川委員 先ほど答弁がございましたけれども、有村部落の場合に二十五戸あればよかったのだけれども二十二戸なんですね。しかし、かなりそれに近い数字なんですよ。それを法律や施行令を盾にとって、それは条件に合わない、こういうやり方は行政側の一方的な判断であって、本当に被災地皆さんの命や生活考え対応ではないのじゃないか、このように思います。そういう意味で、今度雲仙の場合、長崎の場合は、それを幅広く融通をきかせるような話があるわけでありますが、もっと具体的にこの施行令の見直しを検討せぬと、条文上はこうなっているのに、いや、幅がありますよ、こうやり出したらいろいろな問題が出てくるところなので、私は要請をしておきたいと思います。  それから、有村の場合は溶岩原がありまして、ここに住民の皆さん集団で移転をしようと言ったのですね。そこを鹿児島市は、鹿児島市の方に、島から離れてくれ、こういうことで折り合いがつかなかったというのがございます。恐らく今後雲仙普賢岳等の周辺もこういうような問題も出てくると思いますので、その辺をしっかり踏まえた温かい対策をお願い申し上げたいと思います。  お亡くなりになった方は非常に残念でなりませんが、全体的にこうした問題がまだ先が見えないというところに、一部は頑張っているのに、踏んばっていらっしゃいますが、原因もあるようでございますので、たまたまきょう審議するのにきょう情報が入るという、そんな痛ましい事故でございますので、今後の対応に生かしていただきたい、このように要請を申し上げておきたいと思います。  それでは、次にスーパーダム建設と導流堤の建設関係でありますが、現地に行きまして図面を見ながらあるいは説明をいろいろお受けしたところでございます。今立入禁止でない地域の導流堤や遊砂地、もう既に一カ所取り組んでいる、これはどんどん進んでいくだろうと思いますが、その進捗状況、特に導流堤の関係について、土石流で相当やられた畑も見ましたが、人家もやられておる、この復興作業もあるわけで、その辺の対応は迅速でなければならぬと思いますが、スケジュールとしてはどのようになっておるのか、用地交渉とかそういうものもどんどん進みつつあるのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。  また、スーパーダムですけれども、これは用地交渉がまだできていない状況だろうと思いますが、立ち入りができなくて測量もできない、立ち会いもしなければならぬというので、図面の上でとか航空写真でとかいろいろございましたけれども、この辺については今どのように進めようと考えていらっしゃるのか。雲仙普賢岳の噴火はいつまで続くかわからぬわけですよ。私たち現地説明を受けたら、非常に希望がありそうで、あしたからそこの導流堤の真ん中まで畑になって活発に始動し出すような錯覚に陥るんだけれども、まだ夢の夢ですよね。その辺の関係から、農業の振興とか命を守る、土石流から救済するという立場で全体的な進捗、態勢、考え方をもう一回お聞かせを願いたいと思います。
  31. 高橋哲雄

    ○高橋説明員 御説明申し上げます。  二月の二十二日に長崎県が発表いたしました砂防計画の基本構想に示されております導流堤の建設につきましては、基本的には火山活動が鎮静化した後の上流の砂防ダム建設がある程度進んだ後になると考えております。しかし、土石流から住民の方々の生命や財産を守るためには、現段階において有効と考えられます施設の整備に早急に着手したいと考えておりまして、警戒区域外の部分につきましては、測量調査、用地買収等に地元の御理解と御協力を得ながらできるだけ早く着手できるように努力してまいりたいと考えております。  それから、警戒区域内の問題でございますけれども、基本構想によりますと、砂防ダム群と導流堤のうちの八百メーターにつきましては警戒区域内にございまして、現在のところ現地の立ち入りができない状態にございます。そこで、砂防事業を実施するに当たりましては、特に土地の取り扱いの問題でございますけれども砂防ダムと導流堤の砂防の施設の用地及び砂防ダムの推砂用地につきましては、砂防施設の機能を確保するために必要だと考えておりまして、事業が着手できる見通しが明らかになった時点で用地を取得する方向で私ども考えております。用地の取得につきましては、先生先ほどおっしゃったように、測量から調査、それから設計を行いまして、地権者の方々に御説明を申し上げ、用地の測量に入って価格の提示等を行うという手順になるわけでございます。  いずれにしましても、火山活動が活発で警戒区域内の立ち入りが許されない以上、現地での測量及び調査を踏まえた詳細な検討ができないのが現状でございます。したがって、今申し上げましたように、施設用地等の取り扱いにつきましては、県と連絡を取りつつ、地元の市町と絶えず接触を持って、事業着手の見通しがついた段階で直ちに対応ができるように態勢をとってまいりたいと思っております。
  32. 有川清次

    有川委員 今の御回答で、警戒区域内のスーパーダムやら導流堤の問題と警戒区域外の問題と、選別が私もちょっと難しかったのですが、警戒区域外はすぐ着工する、そういう態勢にあるということなのか、やるということなのか、警戒区域内はなかなかできないということなのか、警戒区域外であってもスーパーダム等があって初めて導流堤ができるという意味なのか、そこをはっきりしてもらいたいというのと、区域外の場合はすぐ着工するのであれば土地買収の問題がありますね。その辺の買収金額などをどのように考えていらっしゃるのか、含めてお伺いしたい。
  33. 高橋哲雄

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  まず、警戒区域外の問題でございますが、先生先ほどお話しのように、遊砂地につきましては現在用地を借り上げということで事業にも着手いたしております。これは昨日からでございますが、事業に着手いたしております。それから、全体の長さ二千五百メーターございますけれども、導流堤のうちの警戒区域外の部分につきましてはできるだけ早く着手したいと考えておりまして、これにつきましては用地測量、その他の設計をできれば年度がかわりましたら早急にかかりたいというふうに思っております。  それから、警戒区域内の話は先ほど申しましたように、中への立ち入りが許されておりませんので、もしその見通しがつきました段階に直ちに県、市、町と話をいたしまして、立入調査その他を進めてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  34. 有川清次

    有川委員 大体わかりましたが、問題はこの用地買収ですけれども、普通の公共事業を行うのと同じ条件でということだろうと思いますが、ところが普通の公共事業を行う場合は、土地の現時点における価値は幾らかということで鑑定士を入れて価格判定をしていろいろ基準に倣ってあるというのが通例ですけれども、今災害を受けていろいろ現状利用というのに問題点もあるところでございますが、その辺の判断をどうされようとしておるのか、そこをちょっとお伺いしたいと思います。
  35. 高橋哲雄

    ○高橋説明員 砂防ダムや導流堤の用地買収の問題でございますけれども、公共事業のために取得いたします土地につきましては、財産権に対する補償という観点から、契約の締結時における正常な取引価格をもって補償するというのが大原則でございます。  今回のような被災地の評価につきましては、この原則の上に立って契約時点の価格をということではなくてということになりますけれども、必ずしも現況そのものということではなく、従前の土地の標準的な使用の状態、それから今後の復旧見通し等、価格の形成の要因を総合的に勘案して対応してまいりたいと思っております。こうした考えを踏まえて、導流堤や砂防ダム等の施設の建設のための用地の取得につきましては、価格設定の考え方につきまして十分地元方々に御説明を申し上げて、地権者の方々の御理解と御協力を得て進めてまいりたいと考えております。
  36. 有川清次

    有川委員 十分判断をしながら考慮してということでございますので非常に期待を申し上げますが、この買収金額は後のいろいろなものに連動してくると思うだけに、口先では努力してとか勘案をしますとか言われるけれども、数字が出てくるわけですから、その辺、十分住民の納得のいくように対処をしていただきたいと思います。  最後に、もう時間が来ましたが、農林省の方に。災害で、土石流で埋まった農地の現状を私たち見たわけですね。これは今警戒区域外ですね。早急にこの整備に入らないといけないのじゃないかなと思って見たのですけれども、まだ手がつけられておりません。これはいつごろ、宮澤総理計画の策定など急げという指示もされておるようですが、どのように考え対応されようとしておるのか、そのめどを含めて、特に農地の関係考え方をお聞かせ願いたいと思います。それから、もう時間がありませんから、島原鉄道の陳情がございました。再三にわたって流された、金も相当要るし、いろいろな援助も欲しいというのがございますが、やはり通勤通学等の皆さんに影響する大事な足でもございますので、これに対する御意見等があれば、コメトンがあればお聞かせ願って、終わりたいと思います。
  37. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 農地の復旧について御説明いたします。  被災農地、農業施設の復旧に当たっては、先般、長崎県から砂防治山計画の基本構想が公表されたところでもありまして、被災農業者の要望を踏まえ、かつ砂防計画等、地域全体の防災計画と調和のとれた具体的な復旧計画が必要となります。したがいまして、そのような計画ができるよう、県、市、町と調整を図る所存でございます。さらに、警戒区域内の未被災農地の整備についても、砂防治山計画あるいは住宅移転等、他の施策との調整を踏まえ、地元から具体的な要望がありましたら、県、市、町とも連絡を密にしつつ要望を踏まえてその対応について検討してまいる所存でございます。
  38. 清水勇

    清水委員長 島原鉄道はだれですか。
  39. 有川清次

    有川委員 通告しておりませんでしたので、それじゃそれは結構です。  最後に、大分県の風倒木を言う時間がございませんでしたが、この問題については先ほどベテランの畑委員の方から出ましたので、それに任せることにいたしますが、ただ、後のお話によると、造林をする部分もかなり進んでいるように言われましたけれども、私は現場を見て、急傾斜のところで戦意を喪失した林家の皆さん方が造林をされるだろうか、これは何らかの手を打たないといかぬと思って帰ってまいりましたので、その辺の対策について万全を期してもらうように御要請を申し上げ、終わります。どうもありがとうございました。
  40. 清水勇

    清水委員長 これにて有川清次君の質疑は終わりました。  次に、石田祝稔君。
  41. 石田祝稔

    石田(祝)委員 十六、十七日と、私も鹿児島、そして長崎雲仙普賢岳、そして大分と視察をさせていただきました。関係の皆様には大変お世話になりまして、非常に充実した視察ができたものと心から喜んでおります。  それでだんだんに御質問させていただきますけれども、その前に、本日、雲仙岳噴火非常災害対策本部で長期化に伴う特別措置が決定をされたというふうに聞いております。東家長官も今までのとまで出かかって言えなかったこととか、いろいろ腹にたまることもおありだったと思いますが、きょういろいろ正式に決定したところでございますので、長官の今までの思い等、また感想もございましたら一言最初にお聞きをしたいと思います。     〔委員長退席、田口委員長代理着席〕
  42. 東家嘉幸

    東家国務大臣 先生方には現地を視察していただきまして、委員長の方から先ほど御報告なされたわけでございますが、そうした生で現地を見られた観点から、被災者皆さん方から直接生の陳情を受けられまして大変新たな気持ちでおられると思います。私も今まで何度か参りまして、そのたびごとに被災者皆さん方の苦しみをまなに見て、この被災者皆さんの将来の復旧復興計画の中に、自立していかれる皆さん方に、さらに国が手厚い援助の中に、どう立ち上がっていかれるかということに対する県、国の協力はいかに必要であるかということを痛感いたしているわけでございます。  そういう観点から、新たにきょう報告するまでのことはございませんけれども、御案内のとおりの基金についても六百億円ということを積み増しすることができましたし、なおまた食事供与につきましても、公平、公正を旨とするという建前はございますが、基本的に今被災者皆さんにとってみれば災害が大きな痛手となっておりますし、また活発な活動もしているわけです。窮屈なあの仮設住宅の中に苦労しておられる、そういう皆さんの精神的な疲労度合いというものは、私ははかり知れないものがあると思います。そういう観点から、私はそこの食事供与というものは延長すべきであるという基本的な考えは当初から持っておりましたし、なおまた、いろいろなこれからの復旧復興計画等については、先ほどからそれぞれの省の担当の政府委員から御説明がありました中にも、特に、長期化するであろうという前提に立つということだけでは事済まない。ということは、集団移転をでき得る場所を早く、移転せねばならないとわかり切っている皆さんのことも、これはやろうと思えばでき得ることですから、この対策は早急に取り組むべきであろうというふうに私は考えております。  なおまた、先ほどから土地の買収等についていろいろなお尋ねがございました。それはいろいろな交付税であるとか、また基金を今申し上げましたような積み増しをするとか、いろいろなことでやはり県の財政等も含めて、そして、そうした被災者皆さん土地に対しての配慮は当然してさしあげるべきだというふうに考えておりますから、これは県当局が事務的仕事に当たられるわけでございますから、我々、国とよく連携を図りながら、そしてまた各省庁の力をかりながら鋭意そういう務めを果たしていきたいというふうに私は考えております。
  43. 石田祝稔

    石田(祝)委員 長官も食事供与事業等については当初より自分の胸の内には続けるべきだ、こういう気持ちがあったと、非常に情も涙もある長官の答弁でございましたが、私はきょうは、三県に行かせていただきましたので順次御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点目は、鹿児島県の降灰の問題でありますけれども活動火山対策特別措置法の第十三条に「教育施設等に係る降灰防除のための施設の整備」、こういう項目がございまして、そして活動火山対策特別措置法施行令の第四条に具体的に決められております。それを読んでみますと、公立の学校等については降灰防除の補助があるわけでありますけれども、すっぽりと私学の部分が抜けておるのではないか、そのように私はこの法律を読みましたが、鹿児島陳情書等を見ますと、私学の幼稚園の降灰防除の補助、これもやってもらいたいということも具体的に出ておりました。この点につきまして、文部省より御答弁をいただきたいと思います。
  44. 早田憲治

    ○早田説明員 お答えを申し上げます。  私立学校に対します補助の仕組みといたしましては、ただいま施設費についてお話がありましたけれども、陳情等私ども承っておりますのは、降灰の除去費につきまして承っておりますけれども、これに対する補助の仕組みといたしまして、各都道府県が私立学校が経常的に支出する経費、具体的には教員や職員の人権費でございますとか生徒の教育に必要な教育設備費あるいは図書購入費、光熱水料などのいわゆる経常的経費に対して補助をいたしておりまして、国はそういった県が支出した補助金の一部につきまして、都道府県に対して補助をするという仕組みになっております。  そこで、お尋ねの降灰防除に要する経費についてでございますが、具体的には鹿児島県の対応になろうかと思われますが、この降灰除去に要する経費、例えば灰の除去、あるいは収集運搬等の委託費でございますとか、あるいは除去のための器具、クリーンスイーパーでございますとかエアコン等、こういう設備の購入費などにつきまして、経常費補助金の補助対象に加えまして補助をしているというふうに承知をいたしているところでございます。  そういうことでございまして、今後ともこの経常費補助金の充実につきまして努力をいたしますとともに、県とも十分協議しながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  45. 石田祝稔

    石田(祝)委員 ちょっと答弁がわかりにくかったものですから、端的にお答えいただきたいのですが、そうすると、鹿児島では桜島関係降灰の除去に関して私学に補助は出しているのでしょうか、出していないのでしょうか。
  46. 早田憲治

    ○早田説明員 鹿児島県は補助をいたしております。特に幼稚園につきまして御報告がございまして、補助をいたしておるというふうにお伺いしております。それに対しまして国が一定の割合で補助金を交付するというような制度になっておるわけでございます。
  47. 石田祝稔

    石田(祝)委員 余り時間をとりたくないのですが、法律の中で私学にそういう形で補助ができるというところはございますか。
  48. 早田憲治

    ○早田説明員 ただいま御説明をいたしました補助の根拠といたしましては、私立学校振興助成法という法律が別途ございまして、それを根拠に補助をしているところでございます。
  49. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それでは、もう一度確認いたしますけれども活動火山対策特別措置法施行令ではなくて、私学の助成め方の法律で雲仙降灰があればもちろんできる、桜島も今後とも十二分にやっていける、こういうことですね。
  50. 早田憲治

    ○早田説明員 先生お話しのとおりでございます。
  51. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それでは、そういう明確な答弁がございましたので、陳情書にはそういう答弁があったと、こういうことを改めて陳情に対する答弁としてまた返したいと思います。  続きまして、雲仙普賢岳関係についてお伺いをしたいと思います。  この中で、先ほど申しましたけれども、きょうの午前の対策本部の会議で四月四日以降の延長も基本的に認められた、こういうことでございます。その中で、収入要件を加えた食事供与事業を行う、その前の三月十六日付のペーパーでは、公平に配慮した食事供与事業を行う、こういうことであったようでありますけれども、具体的にどういう形で延長されるのか、その中身についてお伺いをいたしたいと思います。
  52. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 食事供与事業の対象者につきましては、これまで相当数の方々が就業などによりまして生活の手だてを既に確保していらっしゃるというふうに承っております。しかし、なお一方、さまざまな事情によりまして生活の手だての確保がまだできてないという方もいらっしゃるわけでございまして、支援を必要とする被災者方々がこの先どうなるかというところが一つの問題であったわけでございます。  そこで、長崎県は実態調査をなさっております。その中から、最終の結果がまとまったという状況ではないわけでございますけれども、中間的な整理の中で被災者方々支援策といたしまして、その公平に配慮をするというところをどのように実施をしていくかということになるわけでありますが、検討の結果、公平の観点というのはひとえに世帯ごとの収入に応じて供与すべき対象人数を決定する形でやっていくのがいいのではないかというような御提案を私ども合いただいております。具体のやり方についてはなお県と詰める必要があるわけでございますけれども、それを除きますと、六カ月を限度として、そしてまた一日一人当たり千円、そしてまた補助率は二分の一というような各要素一つも変わっておりません。御理解しにくいと思いますが、収入要件等の具体的な内容を把握いたしまして段階的に対象とすべき人数を決めまして、その人数に一人一日千円というような単価を掛けまして額を決めていこうというわけでございます。  先生仰せのとおり、四月三日に切れるわけでございます。私ども、切れ目ない延長を行うということにいたしてございますので、現在その段階に応じました算定の仕方、これを県と鋭意詰めておるわけでございます。詳細につきましてはあと数日ほどで詰め切るというふうに私ども考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  53. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そういたしますと、平成四年度の予算で当初、国土庁の中で食事供与事業として六百万計上されていると思いますが、具体的に言えば四月四日からということになりましたらまた別途予算の手当ても必要であろうかと思いますが、その点はもう間違いなく引き続いてできるだけの予算の手当てはできるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  54. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 仰せられたとおりでございます。このため必要な予算措置につきましては遺漏のないように、私ども財政当局と相談をさせていただきまして進めさせていただきたいと思います。
  55. 石田祝稔

    石田(祝)委員 この食事供与事業につきましては、現地でもさまざまな声が上がっていることは私もお聞きをいたしております。その意味でより一層、公平という観点で御努力をいただきたいと思います。  続きまして災害対策基金についてお伺いをいたしますと、きょうの会合で二百七十億円積み増しをして六百億円の基金にする、こういうふうなことが決まったようでありますけれども、具体的にこの二百七十億の中身についてどういうふうに積み増しをされるのか。例えば全額国のお金でそのままのせてしまうのか、いろいろなやり方があろうかと思いますけれども、具体的にその中身についてお伺いをいたします。
  56. 北里敏明

    ○北里説明員 お答えいたします。  県では今回二百七十億円の基金の積み増しをすることにしたわけでございますが、このご百七十億円のうち十億円は長崎県が一般財源によりまして出捐をいたします。ま尤、残余の二百六十億円につきましては、地方債の発行を許可いたしまして、それを基金の方に県が出すということでございます。利子相当額につきましては、普通交付税の基準財政需要額の方に算入するという仕掛けでございます。
  57. 石田祝稔

    石田(祝)委員 積み増しをしていただけるということは、中身はわかりましたが、これは何日付で行われますか。
  58. 北里敏明

    ○北里説明員 積み増しの時期でございますが、本日政府の災対本部の決定を受けまして、あと県議会で関係予算の審議等の必要がございます。速やかに手続を進めまして年度内、三月三十一日までに実施できる見込みでございます。
  59. 石田祝稔

    石田(祝)委員 年度内に積み増しができるということで、これは非常に喜ばしいことであろうかと思います。  続きまして砂防ダム建設を含む地域の振興、復興策についてお伺いしたいと思いますが、先ほども質問がございましたけれども砂防ダムとか遊砂地計画事業推進に際して、やはりこれは土地をどうしても譲っていただかなくてはならない、また貸していただかなくてはならない、こういうことがあろうかと思いますけれども、御存じのように警戒区域に入っているところが非常に多い。そういうところにダムをつくる、治山ダム砂防ダムをつくっていくということで、現実には測量ができないということがあると私は思います。そういう測量ができないという前提のもと計画を立てておるわけですから、ある意味では時間が物すごくかかるんじゃないか。  これはもうさっきどなたか先生も言われておりましたけれども、私もすぐにできそうな感じがしたんですね。地図を見せられたりすると、ああこれだけの砂防ダムができるのか、導流堤ができれば安心ではないか、こういうふうな気もいたしましたけれども考えてみましたら、噴火が終わってから測量して、そして買い上げると申しましょうか、そういう形でしかできない。通常の何もない、いわゆる噴火災害じゃないところの公共事業のやり方をそのままやもれるのではないか、そういうお考えではないかと思いますけれども、実際いろいろな現地のお声も聞きますと、現地測量ができないから土地台帳の確認とか航空写真でできないだろうか、そういうお声もございましたし、また、買い上げの価格についても早急に提示してもらえないだろうか、こういうふうな現地のお声も確かにあったわけでございます。ですから、この二点でございますが、計画全体の中でこういう買い上げ等の事業をどういうふうに位置づけられてやろうとされておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  60. 高橋哲雄

    ○高橋説明員 御説明を申し上げます。  砂防事業を実施するに当たりまして、土地の取り扱いにつきましては、砂防ダムと導流堤の砂防の施設の用地と堆砂用地等が買収の対象になるわけでございます。実際、今現実に警戒区域内がその。ほとんどでございまして立ち入るわけにまいりません。用地取得までには地形測量それから地質調査、施設の詳細な設計を行って、地権者の方々にその全貌を説明いたし、御了解を得た上で用地測量に入るというのが一般の順序でございます。したがって、火山活動が活発である警戒区域内につきましては、この施設の設置を考えておりますけれども、立ち入りが許されない以上、こういう測量あるいは調査ができない状態でございまして、詳細な検討が不可能でございます。したがって、先ほど申しましたように、用地等の取り扱いにつきましては、常に長崎県あるいは地元の市町と御連絡をとりまして、立ち入りができるようになった段階で直ちに対応してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、用地の買収単価の提示ができないかというお尋ねでございますけれども、五十七号から下流のいわゆる避難勧告区域で現地作業が可能な区域につきましては、砂防計画の基本構想に示しております導流堤のうち、現段階で早急に対応ができるといった部分につきましては早急に着手できるように進めてまいりたいと思っております。この場合、用地買収やその他の補償につきましては地元理解と協力を得て進めてまいりたいと考えております。また、上流の警戒区域内における施設の用地につきましては、今も申し上げましたように立ち入りが可能になった時点で詳細な検討を行って、それから対応してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  61. 石田祝稔

    石田(祝)委員 私の質問の中でちょっと申し上げましたけれども、通常の公共土木とか公共事業のやり方をそのまま踏襲してやっていいのだろうか、私は率直にそういう気がするわけであります。確かに計画区域に入れない、調べられないからどうしようもない。ですけれども、本当はその被害を起こさないためにやるわけですから、そこのところを、通常の公共土木と同じような形で順々にそれぞれの手順を踏んでいかなくちゃならないのだ、それは確かにそうであろうと思いますけれども、やはりこういう被災地、噴火災害地を今後復興させていく、これ以上の被害を出さないようにしよう、そういうことでこれは計画されている話でありますから、そこのところをもうちょっと弾力的にできないだろうか、私は率直にそういう気がいたしますので、いま一度御答弁をお願いしたいと思います。
  62. 高橋哲雄

    ○高橋説明員 お答えいたします。  用地の問題につきましては利害が非常に複雑に絡み合っている場合が多うございます。用地測量等につきましては、当然、公図との照合あるいは境界の画定、地目の確認その他の措置が必要になってまいります。また、その地域につきましては埋設物がどこにあるかというようなことも問題になります。したがって航空写真あるいは台帳だけでは完全に判断がつかない場合もたくさんございますので、私どもは、やはり現地に入って立ち入りをした上で画定をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  63. 石田祝稔

    石田(祝)委員 お気持ちもわかりますけれども、いま一度、今後の検討課題としてもう少しいい方法がないのか、前向きに期間を短縮する形で進められないか、私はこういうことをまず要望をいたしておきたいと思います。  続きまして、雇用の促進に関してお伺いをいたします。  これはきょうの三月二十五日付の新聞でございますが、きのうづけで近藤労働大臣は「雲仙普賢岳噴火災害に伴う雇用対策充実のため、島原市を中心とした被災地域を雇用対策法施行規則に基づく「激甚災害地域」に四月一日から指定することを明らかにした。昭和三十六年にこの制度が誕生して以来、激甚災害地域の指定は初めて。」こういうふうな記事が出ておりましたし、また、きょう決まりました災害対策本部の特別措置においても、雇用調整助成金の活用、また雇用機会増大促進地域の指定等により雇用の安定及び就業促進のための施策を強力に推進する、こういう項目もございますが、このことにつきまして、いま少し詳しく御説明をいただきたいと思います。   〔田口委員長代理退席、委員長着席〕
  64. 後藤光義

    ○後藤説明員 雲仙普賢岳噴火災害に伴います雇用対策といたしましては、これまで雇用調整助成金制度の暫定措置や雇用保険の特例措置を中心とするいわば労働者の雇用の安定維持に重点を置いた施策を展開してきたところでございます。  このうち、お尋ねの雇用調整助成金でございますが、これは災害によりまして休業事業所が増加しておる状況にかんがみまして、休業している事業主が労働者に対して支払う休業手当等の一定割合を助成することによりまして雇用の安定を図ろうとする制度でございまして、当初昨年の八月一日から二カ月間を指定期間としてきたところでございますが、災害状況や雇用失業情勢等を総合的に勘案しつつ二カ月間ずっ延長しているところでありまして、現在は三回目の延長によりその指定期間は二月一日から三月末日までとなっております。四月以降につきましては、災害状況等に変化がないこと、また地元長崎県から延長について要望がなされたこと等の事情を踏まえまして、五月三十一日までの二カ月間さらに延長するべく現在準備を進めているというところでございます。なお、四月からは、災害が長期化している現状を踏まえまして、これまでの対策に加えましてさらに次の対策を講ずるべく準備を進めているところでございます。  具体的には、一つといたしまして、島原安定所管内を地域雇用開発等促進法に基づく「雇用機会増大促進地域」に指定をいたしまして、地域雇用開発助成金等の活用を通じて雇用機会をふやすと申しますか開発を図ろうと考えておるところでございます。  二つ目といたしまして、今後転職を余儀なくされる者が予想されるために、雇用対策法施行規則の規定に基づきまして被災地域、これは平成三年五月十五日から平成四年三月三十一日までの間に災害対策基本法に基づき警戒区域または避難勧告地域に指定された地域を激甚な災害を受けた地域、雇対法に基づきます「激甚な災害を受けた地域」に指定をいたしまして、当該地域内の離職者が公共職業訓練等を受講する場合に訓練手当を支給することによりまして受講を奨励し、もって再就職の促進に努める、こういった内容でございます。
  65. 石田祝稔

    石田(祝)委員 少し詳しくお伺いをしたいんですが、この施行規則の第二条の二項の四号ですか、「激甚な災害を受けた地域において就業していた者であって、当該災害により離職を余儀なくされたもの」こういうふうなことでありますけれども、そういたしますと、現在失業中の方でなければいけないということでしょうか。
  66. 後藤光義

    ○後藤説明員 転職をしたいということで安定所に求職を申し込みをされた方が対象になります。
  67. 石田祝稔

    石田(祝)委員 私は、ちょっと説明に来ていただいて聞いたときには、休業手当をもらっている人は対象にならない、要するにあくまで離職である、それも自分からやめると言ったのではだめだというふうな話も聞いたんですが、俗を言葉で言えば首にならないといけないんじゃないかというふうな受けとめ方をしたんですが、これは具体的にはどういう形であればいいんでしょうか、
  68. 後藤光義

    ○後藤説明員 休業手当をもらっている方といいますのは、その事業主さんとの間に雇用契約がございますので、まだ被雇用者であるという前提になると思います。私どもが今考えておりますこの制度は、解雇あるいは自己都合による退職は問いませんけれども、前職を離職いたしまして新たに転職をしたいということで安定所に求職を申し込みをして訓練を受けたい、こういう方が対象になるわけでございます。
  69. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうすると、もう一度確認をさせていただきますけれども、「離職を余儀なくされた」という書き方をされておりますが、これは例えば休業手当をもらっておって、そして企業主には雇用調整助成金が出る、そういう形で雇用関係が続いてきた人が、じゃ自分がやめて、とにかくその職からみずから離れてこちらの方で訓練を受けるということでもいいということですね。
  70. 後藤光義

    ○後藤説明員 そうでございます。
  71. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それで、具体的には何か訓練手当が平均月額十二万八千九百九十円というふうに四年度の予定額では書かれておりますけれども、これはあくまで平均なわけですから、低い人も高い人もいると思いますが、この島原地域においてもそれぐらい、約十三万円というふうに考えてもよろしいんですか。
  72. 後藤光義

    ○後藤説明員 この訓練手当につきましては、基本手当あるいは受講手当、それから訓練校に通うまでの適所手当等々に分かれているわけですけれども、基本手当につきましては級地区分の導入を図っております。島原地域につきましては三級地になりますので、月額どのくらいになるかちょっと計算をしておりませんけれども、平均といたしましては先ほど申し上げましたように十二万前後の額になるのではなかろうか、このように考えているわけです。
  73. 石田祝稔

    石田(祝)委員 これはちょっと老婆心からお聞きをしますけれども、この訓練手当というものをいただくと、食事供与事業のときのいわゆる収入を考えるということになった場合に、訓練手当は収入というふうにみなすのかどうか、これについてちょっとお伺いしたいと思います。
  74. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 ちょっと詳細そこまで議論をいたしておりませんで恐縮でございます。そういった一時的な収入の扱いをどうするかというあたり、御指摘でございますのでちょっと勉強さしていただきたいと存じます。
  75. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それでは、四月四日から食事供与事業もやっていただけるし、四月一日から施行規則の二条二項第四号によって訓練手当も出していただける、四月の一日というとすぐですから、ぜひともそれまでにいい方向で詰めていただきたいと思います。  続きまして、大分の問題でお伺いいたしたいと思います。これはもう畑先生大分詳しくお聞きになられましたけれども、私はこの中で、特にきょうは税制についてお伺いをしたいと思います。いわゆる林業税制について、特に相続税に関してお伺いをしたいと思います。  私も現地を見まして、非常にひどいありさまをつぶさに拝見をいたしました。四十年生、五十年生という木が折れている、曲がっている、こういうことでありました。ですから、四十年、五十年といいましたら、ひょっとしたら一回相続をされている、多ければ二回相続をされているかもしらぬ。それが一夜のうちにして、相続税だけは払っておったんだけれども、結局、ある意味では一円にもならない、かえって持ち出しをして片づけなくちゃならない、こういう形なわけですね。ですから、この立木というものは、ある意味で言えば年をとらして、要するに時間が肥やしとなって、そしてなおかつ、具体的に人の汗もお金も入れなくてはいけない。そういう年月をかけないと金にならない、こういう特殊な要因を持っている。それが今回のように、丹精を込めて育てておじいさんが孫にというふうな、いわゆる二代にかけてお金にしていこう、要するにそういうすばらしい山にしていこうということでやっておられたのが全部だめになった。そういうことを考えた場合に、相続税だけを払ってしまってあとに残らない、こういう形の立木の相続税課税というものが果たして本当にいいのだろうか、こういうふうなのが私の素朴な疑問でございます。  ですから、現地でも御要望がございました。一代一回課税ということにしてもらえないか。極端に言えば、売るときでもまた何のときでも、同じ一本の立木だったら一回だけ課税をする、こういう形に何とかしてもらえないか、こういうふうな話も漏れ伺ったわけでございます。ですからこの点につきまして、きょう大蔵省の方にもお見えをいただいておりますので、現在のこの立木の相続税課税のあり方でいいのか、まず、そのことをお伺いしたいと思います。
  76. 窪野鎮治

    ○窪野説明員 御説明いたします。  山林に係る相続税につきましては、先生御指摘のような立木の特殊性を考慮いたしまして、従来から課税の面あるいは納付の面におきまして優遇措置を講じてきているところでございます。さらに平成三年度の税制改正におきましても、林業をめぐる厳しい環境を考慮いたしまして、計画伐採に係る相続税の延納等の特例の要件を緩和するほか、特定森林施業計画の対象立木につきましては延納期間を最長四十年というような措置を講じたところでございます。  こういった措置は、一般の相続税課税事案とのバランス上、精いっぱいの措置と私ども考えておりまして、林業について御指摘のございましたようなさらなる新たな措置を講ずることは困難であると考えております。特に、御指摘の立木一代限りという課税制度でございますが、これはイギリスにおきまして実施されているということは承知をしておりますが、やはり相続により承継しました財産の総体に課税をする、そして富の再分配を図る、こういう相続税の性格を著しく阻害することになりますし、あるいは山林以外の他の資産を保有している方とのバランス、そういう点からも著しい負担の不公平を招くということから、なかなか御提案のような措置を講ずることは適当ではない、こう考えている次第でございます。
  77. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それではお聞きをしますけれども、他のものとのバランスが欠けるということでありますが、例えばこの立木みたいに年月をかけて、汗と金を入れなくてはお金にならないというふうなものがほかにあったら、ちょっと教えていただきたいと思います。
  78. 窪野鎮治

    ○窪野説明員 確かに、立木の場合には標準伐期まで五十年あるいは六十年かかるという点は先生御指摘のとおりでございますが、それ以外の不動産でありますとか機械設備等償却までの年限、区々ではございますが、あるいは住宅等におきましても、やはり相当期間使用したり、それから収益を上げるという点においては資産として基本的に同じではないかと考えております。
  79. 石田祝稔

    石田(祝)委員 私はそれは違うと思うんですよね。住宅を建てて収益を上げていく、それは人が入るか入らないかありますけれども、そのときどきに、建てればその月から入ってくるわけですね、一年目の一カ月目から入ってくる。  立木というのは一年目の一カ月といったら、価値はほとんどゼロです。ですからさっき言ったように、時間を肥やしにして汗と金を入れていかなくてはならない、こういうふうなことであるということを私は申し上げましたし、大蔵省も採用しているグラーゼルの式というのがありまして、木材の価値が二次曲線で上がっていく、そういう式を相続税にも採用されておるようでありますけれども、それなどを見ても、やはり年月をかけていかなくてはお金にならないということを証明をしているようなものであります。ですから、いろいろと今御説明ありましたけれども、私はいろいろ自分でも考えてみて、ない頭で考えてみますけれども、現実的に立木以外にそういう形で育てていくというものはないんじゃないか。例えば土地とか不動産があっても、不動産もそれはそのときで売れるわけであります。ですからそういう意味で、ほかとのバランスが欠けるという観点はいま少し考え直していただく方がいいのではないか、そういうふうに私は思いますけれども、いま一度ちょっと御答弁をお願いします。
  80. 窪野鎮治

    ○窪野説明員 重ねての御指摘でございますが、相続税と申しますのは、あくまで相続時点におきます。その引き継がれた財産の総体の財産価格、それを基本として富の再分配、そういう観点から課税する税制であることは御理解を賜りたいと思います。  また、私の乏しい知識でございますが、例えば山林の場合、幼齢林等におきましても、もちろん幼齢林は標準伐期に達したものに比べて大変価値が低い、そこは先生御指摘のとおりでございまして、まさにその辺をどう評価するかということから先生案内のようなグラーゼルの公式を用いたり、さらに、最近でございますが、昭和五十九年以降におきましては、むしろ間伐材の用途が縮少してきたというようなことに対応いたしまして、例えば売買実例でありますとか精通者意見、これがグラーゼルの公式を下回る場合にはそれを用いていいというようなことも勘案いたしまして、標準伐期に至るまでの山林の評価、この問題については格段配意をしているところでございます。この辺もあわせて御紹介をさせていただきました。
  81. 石田祝稔

    石田(祝)委員 相続税の問題、これはまたぜひとも今後検討してもらいたいと私は思います。  もう一ついわゆる評価の問題もあるのですね。さっき言いましたように、日本はグラーゼルの式を採用して評価をしておりますけれども、例えばドイツとフランス、これは私の乏しい知識ですから間違っておれば御指摘をいただきたいのですけれども、ドイツでは林業を含めて森林評価が非常に低く抑えられている、特に、二十年生以下ではもう備忘的な価値しか認めていない。フランスでは、期間三十年の営林計画の認定を受けてやれば林地を含めた相続税評価を時価評価の二五%としている、こういうふうな例もあるようでございます。ですから私は、今後立木が、いろいろと配慮をするとバランスを欠くという意見もございましたけれども、立木自体の持つ経済以外の価値というものもこれから認められていくであろうと思います。それは別問題といたしますけれども、諸外国と比べましても、相続の回数の問題、また評価の問題等々で、ぜひとも今後検討課題ではないのか、今までのような形で立木にも課税をしておったらいずれ大変な時代が来るんではないかということを、日田とか玖珠とか下毛、現実に目の当たりに見まして、そしてお声を聞くと、やらない、もう息子には転職を勧める、こういうお声も聞いておりますので、そのあたりから検討の余地があるのではないか、このことだけを、最後にそれに対するお考えを大蔵省からお聞きして終わりたいと思います。
  82. 窪野鎮治

    ○窪野説明員 立木の評価の面につきまして、先生御指摘のようにドイツにおきまして、ドイツはそもそも我が国の採用しているグラーゼルの公式の母国でございますが、二足の幼齢の時期につきましては低額にしているということは承知しております。あるいは、フランスにおぎまして先生御指摘のような仕組みをとっておるというようなことは概要聞き及んでおります。それぞれ各国が税制あるいは税務運営あるいは森林の実情に即してそれぞれの取り扱いをしていると承知しております。我が国の取り扱いも、先ほど来るる申し上げていますように、森林の実情につきましては精いっぱい配慮しているところでございまして、例えば、我が国の標準伐期における標準価格の動きを見てみましても、林業状況あるいは市況を勘案いたしまして、五十六年以降で見てみますと価格を三割ぐらい下げております。そういうことでやっておりますが、先生の御指摘もございますし、私ども林業の実情についてはなお不断に勉強してまいりたいと思っております。
  83. 石田祝稔

    石田(祝)委員 時間が参りました。農水省と建設省道路局の方、お見えになっていただきましたけれども、ちょっと時間が足りずに質問できませんのでどうぞお許しください。  どうもありがとうございました。
  84. 清水勇

    清水委員長 これにて石田祝稔君の質疑は終わりました。  次に、藤田スミ君。
  85. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 せんだって島原そして鹿児島と、委員会調査に参加をさせていただきました。そこから質問を行うべきだと思いますが、私はああいう災害地に参りましていつもいたく思いますのは、やっぱり災害の予防上欠くことのできない基本的条件の一つとして気象業務というものがある。しかし、その気象業務が、今日いわゆる定員削減という中で、むしろ夜間閉鎖などを全国的に進められてきておりますし、そうした問題についてどうしても最初に質問をしていきたい、こういうふうに思うわけであります。  実は、私はこの夜間閉鎖をやっております静岡県に去る十八日、十九日、現地調査に参りました。ここは既に昨年石廊崎の測候所が夜間閉鎖され、そして今回三島の測候所が夜間閉鎖され、御前崎の測候所は二人から一人体制に変えられよう、こういうふうになっているわけです。夜間一人ということになりますと、結局二十二時から翌朝の二時までですか、仮眠時間ということになりますので、ここも事実上半分夜間閉鎖と、こういうふうに言えると思うんです。静岡県といえば言わすと知れたことですが、東海大地震が予想されていて、観測の強化が求められているところであります。  気象庁の今回の計画がわざわざその静岡県下で進められているということ自身、いかに無謀なものかということの典型だというふうに私は見ざるを得ません。ですから、今回夜間閉鎖が実施されようとしておりますから三島測候所の地元、三島市議会では、「本来、地域の重要な気象・地震観測点として設置された測候所が地元関係諸団体や住民の意思を全く無視して、二十四時間の監視・観測体制をやめること自体、行政責任を放棄するもの」だと、大変厳しい抗議をし、むしろ「測候所の一層の充実を」求めたいという意見書を採択し、宮澤総理並びに奥田運輸大臣あてに送付されております。  今回の夜間閉鎖は九二年度からの第八次定員削減に係るものであるわけですが、実は定員削減というのはどこも一律というものではありませんし、さらに新たな人員要求による総定数も各省各局さまざまに行われているわけです。結局人員数というのは、必要、不必要、そういう政策判断、何を大事にするかという政治判断が数字になってあらわれていくものだというふうに思わざるを得ません。つまり、東海大地震の対策強化地域で真っ先にこうした測候所の夜間閉鎖がやられるのは、国民生活や安全、防災に対しては軽視し、住民サービスを切り捨て、一方では政府の臨調行革路線を優先させていくものなのかと、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。  きょうは運輸省に来ていただいておりますが、この大臣あての三島市議会の決議は大臣の手元に届いているでしょうか。  もう一つは人員の問題で、第七次定員削減の期間中、総定員数の増減は、気象庁と気象庁を除く運輸省全体でどうなっているかお示しください。
  86. 土井勝二

    ○土井説明員 お答えいたします。  第七次定員削減計画の期間中、これは昭和六十二年度から平成三年度までの五年間でございますが、運輸省全体では増員が千七百四十四人でございましたけれども、それに対して、この定則計画によりまして定員削減が千七百五十八人、したがいまして差し引きは十四人の純減でございます。  それで、この内訳でございますが、気象庁につきましては、この間増員が百七十四人、定員削減が二百七十四人、差し引き百人の純減であります。また、気象庁以外の部局につきましては、増員が千五百七十人、それから定員削減が千四百八十四人、差し引き八十六人の純増となっております。
  87. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 お聞きいただきましたように、気象庁の削減というものがいかに大きいか。百入減っているんです。気象庁以外の運輸省全体では八十六人ふえているわけです。これは大蔵省を見てみますと、第七次削減は二千九百人余りありましたが、片方で増員の結果、プラス二千三百人、こういうことになっています。必要なところには人をつける、これは政府の各省がやっていることです。改めて言うまでもありませんが、気象業務法は、気象業務の健全な発達を図り、もって災害の予防、交通の安全、産業の興隆に資することになっています。気象業務とは気象、地象等観測とその成果の収集、発表など七項目書かれております。その責任は重く課題は多いということになります。大規模地震対策特別措置法は地震予知を防災の柱にしたもので、第四条で観測、測量強化、密度を高めることが明記されております。夜間閉鎖や体制縮小はこうした要請に逆行していることは明らかであります。  気象庁は口では夜間閉鎖をしても大丈夫だ、こういうふうに言っておられますけれども、夜間閉鎖ですから、人は夜はおられない。だから観測も、機械の方はするでしょうが、しかし実際に行っていた観測というものが欠落していく。私が調査した三島測候所では、結局人員は今の所長さん以下六名の体制から三名に半減する計画になっています。これで観測を強化しますと胸を張る人はいないでしょう。  具体的にどうなっているかということで端的にお伺いをしていきたいと思いますけれども、夜間閉鎖をすると午後五時から翌朝の八時半までの間は測候所に人がいないわけです。その間に落雷あるいは停電、それから地震計など、風速などをはかっている機械の紙詰まり、紙が引っかかったり書いているペンが引っかかったりする、そういう機械のトラブルについては復旧することができないんじゃありませんか。バッテリーなどに雷が落ちたということで即切りかえられていったとしも、それはせいぜい一時間かそこいらしかもちません。現場では夜間でも雷が鳴ると地震計などの精密機械を損じないように、電気から雷が入り込んできますので、こういうふうなところはもうすぐにスイッチを切って機械を守るというような対応に取り組むとか、あるいは観測装置も絶えず点検をしながら観測が途絶えないように手だてが常に加えられているわけですが、そういうことができない事態になるということは事実ですね。
  88. 山本孝二

    山本説明員 お答えいたします。  防災情報としての予報、警報の発表が気象庁の最も重要な役割でございますが、この発表に当たりまして一つの測候所の観測成果だけではなくて、気象衛星、アメダス、レーダー、数値予報等総合的な判断に基づいて、予報、警報等がなされているわけでございます。全体の観測網の中のごく一部に仮に故障があったとしても、重要な要素については他の観測システムによって補完し合うということでやってきております。  夜間の問題でございますと、私ども現在観測機器の強化等も図ってございまして、平成三年四月以降そういう特殊日勤官署でそのような事例があったとは聞いていないわけでございます。
  89. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 そんなのがしょっちゅう出てきたら困るわけですよ。しかし、あなた方は機械化をして要するにもう大丈夫だ、そういう事例もこの一年間では聞いていない、こういうようなことをおっしゃりたいわけでしょうけれども、私が聞きたいのは、具体的に今まで夜間に職員がやっていた作業、それはさっき言いましたように雷が落ちるとしたら所内のそういう機器を守るために手だてをする、そういうのは目に見えませんよ、目に見えないけれども手だてをしてきた、そういうことが具体的にできなくなるのかどうかということ、当たり前のことだと思いますがね、そのことをお伺いしているのです。
  90. 山本孝二

    山本説明員 特殊日勤官署において仮に観測データが欠落した場合、またそれが長期にわたるようなおそれの場合、親官署でございます地方気象台等でデータの状況を見てございますので、重大な支障があるような場合には測候所の職員に依頼を申し上げまして、しかるべく対応をとるようにするということにしてございます。
  91. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 結局はそういうふうなトラブルがあるときには、夜間閉鎖によってこれまでのように夜間閉鎖をしていないときとは事情が変化する、そのことは確かですね、私はそれを聞いているのです。夜間閉鎖をすることによって、職員が受け持っていたその仕事が欠落をする、そういうことになるのは事実がと。あなたはそのことをなかなか言いにくいかもしれませんが、今いざというときにはちゃんと対応できるように職員も送るということは、そういう意味を持っているというふうに聞いていいですか。
  92. 櫻岡勉

    櫻岡説明員 雷等で障害が起きるかということでございますけれども、最近の機器の性能の向上等から考えまして、また停電対策といたしましてもバッテリーを装置してございますので、観測にはできるだけ支障ないような対応をしております。したがいまして、もし欠測が出たといたしましても、先ほど御説明いたしましたように気象衛星、レーダー、アメダス、そういう総合的な資料の解析によって対応しておりますので支障はないと私どもは判断しております。
  93. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それはとんでもないことですよ。これは測候所の中の機器の問題だけじゃないのです。目視というのがあります。今機械では観測し切れない霧だとか雲だとか雪だとか、それから氷、霜、雷、これは目視、機械に頼らないで目で観測をする、こういうことは現在もやられておりますね。実はこの目視で気象庁は一つの大きな役割を担っています。  最近は学校でも会社でもコンピューター機器の利用、OA化が進んで、気象庁だけじゃないのです、OA化が進んでいるのです。ところが、このコンピューターというのは雷によっての被害というのが非常に多い。そうすると、そういうふうな雷によって機械が故障を起こしたのか、あるいはユーザーの管理上の事故なのか、そのことを判断するために大事な証明というのが気象証明ということで出されてくるわけです。こういうことで昨年も三千件以上の気象証明が出されています。もちろん、この中でも雷に関するものが数字として一番大きくなっているわけですが、この気象証明が機器の修理の負担問題にもかかわってくるわけですから、今も言ったように非常に大事な役割を担っているわけです。ところが、夜間閉鎖の間は当然これができなくなるでしょう、目視をする職員は帰って、いないのですから。だから、今までだったら雷があそこで鳴った、落ちだと目視をして気象証明を出していたものができなくなりますね。
  94. 山本孝二

    山本説明員 先生お尋ねの気象庁の観測の成果等の公的な紹介でございますが、これには気象庁の制度としまして気象証明と鑑定という二つの方法があるわけでございます。気象証明と申しますのは、気象あるいは地象及び水象でございますが、これなどについて依頼に基づきまして事実を記録によって確認した場合に行うものでございます。鑑定と申しますのは、事実の記録によりまして科学的に判断して行う、こういう二つの方法で対応しているわけでございます。気温とか面とか風等極めて重要な、かっ主要な気象要素でございますが、これは現在観測機器が機械化されてございまして、磁気記録で連続した記録もございますので対応がとれるわけでございます。いずれにしてもこの鑑定証書あるいは気象証明、これも気象庁が交付する証書としては効力を有するものでございます。  先生御指摘の、夜間の雷について目視観測がない場合においては、天気図、気象衛星資料あるいは気象レーダー、こういう資料等によって鑑定を行って御依頼に応じることができる、そういう仕組みを持っているところでございます。
  95. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 鑑定によって依頼に応ずることができる、測候所ではなく最寄りの地方気象台の方にその鑑定を求めに行く、こういうことは、言いかえれば夜間閉鎖によって閉鎖された測候所は夜間の雷は目視できないので気象証明を出すことができなくなった、こういうことを意味することになるわけなんです。言いかえればそういうことなんです。そして鑑定というのはあくまでも言いかえれば推定ですから、判断という行為を求めるという点ではこれは明らかにサービスの低下ということになってくるわけです。私はOA機器で例を引きましたが、こういうのは農業にも関係をしてきますし、場合によったら交通とかあるいは漁船とか、そういうところにも関係をしてくるわけです。あなた方はそういうのを補足するということで今カメラ監視装置を開発するというようなことまで考えていらっしゃるそうですけれども、そういうことになるといよいよもってこの欠落した部分をどう埋めるかということを一生懸命研究していらっしゃるというふうに見ざるを得ません。  十九日に三島測候所に行きましたら、あの測候所は有視界飛行のヘリコプターだとか小型機の運航のために早朝、この日は五時と言っていましたが、航空会社から空の状況の問い合わせというのが週に何回か入るわけです。私が行ったときにもちょうどそういうふうな問い合わせが入っていたわけです。こういうことも夜間閉鎖ということになると、早朝におりませんからできなくなるわけです。これは明らかにサービス低下、そういうことになるではありませんか。気象庁長官がお見えですから、長官にお答えをいただきたいと思います。
  96. 立平良三

    立平政府委員 こういう小型飛行機が有視界飛行をする際の資料としましては飛ぶ航空路に沿っての状況が必要なわけでありまして、その状況につきましては航空気象官署、それから地方気象官署で、現在こういうところには新Lアデスという、情報を集め処理する、またそれを発信する、そういう装置がついておりますが、こういう装置の整備によりまして、気象衛星による雲の写真は一時間ごと、レーダーの画像は七・五分ごと、アメダスのデータは一時間ごとに利用することが可能でありまして、航空路に沿った全体の情報、雲の状況についての情報を提供できる体制がとられておるわけでございます。
  97. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 長官、私、本当に思うのです。皆さんも、よかれと思って定員削減のために測候所の業務を縮小しているわけではないのだから、何で本音で物をおっしゃらないか。率直に言うべきですよ。率直に言った上で、でもやむを得ないなということになったらそういう場合もあるでしょう。しかし、みずから、あれを言えばこれは大丈夫、こっち言えばこれも大丈夫、そういう言い方をしているから、他省庁では実際のところ定員削減計画と照らしてみたら人が減っていないのに、気象庁だけが真っ正直にどんどん減るのではありませんか。住民の方で大変問題になっていることはまだありますよ。  夜間閉鎖をしている石廊崎、三島、御前崎。御前崎は夜中一人ついているが、仮眠中、そういう時間帯がありますね。そうすると、そこは今までだったらその測候所の方に、今彼はどうか、風向きはどうかというような問い合わせの電話がかかってくると、それぞれの測候所で答えていた。しかも、それはリアルタイムで答えられていたわけです。つまり、測候所でも即、言えるわけです。ところが今はどうなっているかというと、地方気象台の方に、測候所にかかってきた電話が転送ということで回されるのですね。そうしたら、気象台の方に言わせたら、これは台長さんが言われたわけですが、三つの測候所から問い合わせの電話が来たら、三本真っ正直に置いたのではとても対応できない、気象台の本来の業務もできない。したがってどうするかというと、一本の電話で三つの測候所からかかってくるわけです。それで要するに、話し中話し中ということで、相手の方に辛抱してもらって、かけ直してもらうというようなことをしている。  もう一つの不自由は、先ほど長官もおっしゃった新Lアデスというのは私も見せてもらいました。これが幾ら進んでいるからといっても、さっきも言ったようにリアルタイムで相手に伝えることができない。正時、正時で情報が入ってくるわけです。だから、今風向きはどうですか、風速はどうですかというふうに聞かれていくと、それに対して即、測候所のように夜間は返すことができない。だから職員の人は、わからないとはっきり言うんだ、こういうふうに答えていますよ。みすみす正時の、十二時四十五分だとしたら、さきの十二時に入った情報を伝える、四十五分後に変化しているであろうのにそのまま伝えることができないんだ、こういうことを言っておられるわけです。私は、そういう点でもサービスの低下は明らかではないかというふうに思うのです。いかがでしょうか。
  98. 山本孝二

    山本説明員 Lアデスを使いまして測候所のデータは基本的には毎時間入ってまいります。なお、その時間の間に大変重要な気象現象の変化があった場合にはそれも送られてくるということで、基本的な対応は地方気象台でつかんでいるデータで可能と私ども考えております。
  99. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それじゃ何でわからないというふうに職員は言わざるを得ないのですか。そういういいかげんな言い方は納得できませんよ。そうしたら何で、漁船からやっとつながった電話で、今どうですかと聞いたときに、わからないと言わざるを得ないのですか。
  100. 山本孝二

    山本説明員 具体的な事例について私ども聞いているわけじゃございませんが、基本的に、今までの天気図のパターンだとかあるいは得られている毎正時のデータのシークェンスだとか、そういう時系列データでお答えはしているかと思います。その現時点のところで極めて重要な気象情報の擾乱があるような場合は、それらは予報的な解釈をつけてお話ししているのではないかと思われます。
  101. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 情報を求めてくる者も、それから気象台の方が夜間転送された電話に答える場合も、どちらもそんなに時間的な余裕はないのです。解説している間はないのです。そして、わからないことはわからないと言う方が安全の上では明快になるわけです。そういうことをどうして皆さんははっきり言ってくださらないのですか。長官、私の言っていることわかりませんか。
  102. 立平良三

    立平政府委員 そういう測候所への問い合わせというのは、結局船からの問い合わせなら船の運航に資するためということと理解いたしますが、気象台では、特に強い風があったというふうなときは臨時に通報がありますが、それでなければ一時間ごとの測候所のデータを把握しているわけです。その一時間ごとの測候所のデータを把握しているというのは、例えば石廊崎とか三島の測候所だけではなくて、その辺の沿岸すべて、沿岸全体に配置したアメダスからのデータとかあるいはレーダー、気象衛星、いろいろな気象擾乱の状況を判定するに足る資料を持っておる、それから数値予報によります将来の変化というものを持っておる。そういうものをもちまして問い合わせに対してそういう情報を提供することは可能であります。  船からの問い合わせというのは、今測候所でどうかということ、これは測候所へ問い合わせるとしたらそういう形になると思いますけれども、気象台に問い合わせた場合は、今測候所でどうかということはすぐには答えられないわけですが、ただ、広い範囲の状況、それから、これからどういうふうに風が変化していくかということについての見通しは答えることができまして、これは船の運航上非常に参考になる資料であるというふうに理解しております。
  103. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ぜひ一度長官も夜間閉鎖した測候所のところに行ってみてください。そんな、紙の上に書いたようなゆったりした話と違うのです。しかも、問い合わせが来るということは気象に異常があるということですから、気象台も実は物すごく忙しいのです。職員もそのときは、その状況をつかむのに忙しいのです。それで、電話の方も忙しくなるのです。聞きたい、そこが知りたいということで忙しくなる。だから、そういうときに悠長に、ゆっくり話ができないのです。私がリアルタイムという言葉を使うのは、まさにそういうことだからです。だから、そういうものも全部切り捨ててしまうということなら大変なことだと私は思います。  しかも、自治体にしても、防災機関にしても、時には海上保安庁とか国の機関も、そういうふうな問題、問い合わせというものが非常に大事な仕事になっていますからね。つまり、測候所に期待がかけられているわけですから。風が来るとかそういうのは夜昼別にないわけですから。だから、そういう点では、私は、サービスの低下を恥じない態度というのはもう本当に問題にならないというふうに言わざるを得ません。しかも、何遍も言いますが、ここは東海大地震の予想されている大事なところですよね。ここで、地震の警戒ということで、この地震を担当している人は非常に神経がくたびれるような仕事になっているということも聞きましたが、自治体や防災機関にしてみたら、ここを頼りにして迅速な体制で情報をキャッチして立ち上がっていく、そして防災体制をしいていくという点でも期待が大きいわけです。  そこで、私は長官にお伺いをしたいわけですが、こういうふうな夜間閉鎖をしても、必要なときには体制をとるとさっきからも言っておられますけれども、そういう夜間閉鎖の際に、どういうときに臨時業務をやってもらうというふうになっているのかどうか、お伺いをいたします。
  104. 山本孝二

    山本説明員 お答えいたします。  先生案内の、その測候所の場合でございますが、そこで臨時業務を実施する場合といたしまして、大雨、大雪、暴風雨、これらのいずれかの警報が発表され、あるいは発表されて重大な災害が発生するという場合、それから津波警報、これが発表されたとき、それから震度四以上の地震でございますが、これを感知し、また震度三以下であっても被害の発生のおそれがあると考えたとき、それから判定会の招集、これは東海地震に絡む判定会でございますが、この招集連絡を受領したとき、それから台風または台風から変わった低気圧、それに対する警戒の必要があるとき、その他地方気象台長から御指示があったとき、こういうことでございます。  この五年間で、台風等の例でございますが、東海地区での臨時編成は年平均六回でございまして、一回につきおおむね二日程度になっているのが実態でございます。
  105. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 その臨時業務を実施するについての基準というのを今お伺いいたしました。  私は、こういうのが示されたのを見たときに、それこそ去年の十五号台風から十九号台風に至るまで、ああいうときはどうなるのかな。夜間は閉鎖でしょう。所長含めて三人の体制になってしまっているでしょう。この三人が夜中に呼び出されて仕事をするということになると、この三人でどういうことになるかな。この期間を一度私が調べてみましたら、その十五号台風から十九号台風、つまり八月二十日から十月七日までの一カ月半、四十七日間で十回そういう夜間出ていかんならぬような事態がやはり出ているわけです。これは記録ですから間違いはないはずです。こういうふうになると、その三人はもう一日二十四時間こういうことでやらんならぬわけですが、そういうときには一体どうされるおつもりですか。
  106. 山本孝二

    山本説明員 昨年、平成三年の台風に伴う気象庁としての臨時編成をとった延べ回数は六回、日数にして十三日と聞いております。先ほどお答えしたとおりでございますが、繰り返して恐縮でございますけれども、現在、時間的にはおおむね二、三日で何とか対応できる。それから、夜間三人出るわけでございませんで、夜間原則一名で対応する。要するに有人として対応していく、こういうことでございます。
  107. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 夜間閉鎖を実際にはやれるような状況がないのに、だけれども夜間閉鎖をする、そして、仕事は結局職員の方に半分に減らされたら倍の仕事がかかってくる、だから夜も星もなく職員は束縛された気分で過ごしていかなければならない、こういうことになっているのです。住民の方はサービスが低下して非常に困る、気象証明さえ容易に取れないときが出てくる。データも一カ所ぐらい狂ったってどうってことありませんよと言うでしょうが、しかし、機械化が進めば進むほど、その欠測するところがないということによって前進はするでしょうが、欠測するところがあってもいいということを前提に、幾らひまわり衛星だ、新Lアデスだなんていって新しい機械を設けても、それは結局機械化そのものの後退にもなるというふうに思わざるを得ないわけです。  そこで、私はきょう、わざわざ運輸省、総務庁、また、大蔵の方にも来ていただいておりますので、御三人に答えていただきたい。  私は、正直、気象庁というのは本当に気の弱い庁だといつも思っているのです。どうして堂々とやらぬかと。国民の命と暮らし、国土を守っているこんな大事な省庁なんだから、どうして堂々とやらぬかと。しかも職員は長官、随分立派な職員ですよ。測候所魂なんていって、本当に今どきこんな人がいるのかというような人たちがたくさんいらっしゃる。だからもっと大事にしなさいよ。だから私は、運輸省、総務庁、そして大蔵省に、こういう気象庁に定員削減だからやれというような押しつけをやったり、それを促進していくのは問題ではないかというふうに考えますので、御三人にお答えをいただきたいと思います。
  108. 土井勝二

    ○土井説明員 お答え申し上げます。  定員の管理につきましては、先生案内のように、自動化とか機械化等によりまして効率化、合理化を図ることができる部門におきましては定員の削減を行っていく、それで他方、新規の行政需要などに対応していくために要員の増強を必要とする部門にはそれに再配分をしていくという仕組みになっておりまして、私どもも査定当局にそういうお願いをしてきているところでございます。  その際に、運輸省といたしましては、大変厳しい定員事情の中で、各部門に定員削減をお願いするに当たりまして、行政サービスの低下を来さないようにいろいろな配慮を払ってきておるつもりでございます。  また、気象庁の場合も、先ほど来いろいろ御議論がございましたように、各種の情報処理機器の導入などによりまして、省力化、効率化が可能な分野については行政サービスの低下を来さないように配慮していく、それから他方、新たな観測体制の整備等、要員をふやさないと対処できない分野については増員によって対処していくということで、気象庁の方も努力をしていると考えております。
  109. 久山慎一

    ○久山説明員 お答え申し上げます。  御指摘の測候所職員の増員問題につきましては、必要官署に対しましては防災体制の強化等の観点も十分に配慮しながら、要求内容を精査した上で増員措置を講じてきておるところでございますが、今後とも、要求があれば、運輸省、気象庁とも十分に相談した上で、適切に対処する所存でございます。
  110. 寺澤辰麿

    ○寺澤説明員 お答え申し上げます。  財政当局といたしましても、気象観測業務の重要性については十分認識をいたしております。四年度予算の編成におきましては、大変厳しい財政事情ではございましたけれども、気象庁の予算につきましては、運輸省全体の一般会計の中で、公共事業を除きますと予算がほぼ横ばいという状況の中ではございましたが、気象庁につきましては八・九%の増額というふうに、適切な配慮を払ったつもりでございます。
  111. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間が参りましたので、最後に国土庁長官、私はこの委員会で佐藤国土庁長官に、古くなったアメダスの問題を質問をしまして、大変応援をしていただいて、一気に二百台ぐらいの更新が進んだことがございます。大変感謝をしております。国土庁長官としましても、こういうふうな気象庁の問題は非常に防災上も重要な分野として見守っていただきたいという立場から、こういう夜間の閉鎖などということを住民の意向を無視してどんどん進めるというようなことのないように、今後応援をしていただきたい。  最後に御答弁を求め、島原の問題それから日田の問題に全く時間がなくて触れることができないで、わざわざお越しいただいて大変失礼をいたしましたが、必ず努力をいたしますのでお許しをいただきたいと思います。
  112. 東家嘉幸

    東家国務大臣 先生が、このことについては私は二度じっくりと聞かされて、本当に必要だなと思って、きょうもまたさらに改めて耳を傾けながら、重要性を感じておったところでございます。やはり情報管制体制というものは防災対策上も重要なことでございますから、行政改革の方でも削減すれというようなことでの延長がと思いますけれども、総務庁ともよくそういうところは理解し合って、そして先生の御説のような体制がとれることが望ましいことだ、私はこのように感じております。
  113. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 終わります。
  114. 清水勇

    清水委員長 これにて藤田スミ君の質疑は終わりました。  次に、高木義明君。
  115. 高木義明

    高木委員 私は、さきの特別委員会におきましての現地調査を踏まえ、雲仙普賢岳災害、そして大分県を中心にしましたところの林野関係災害について質問をいたします。  まず冒頭に、国土庁長官に御所見を賜りたいわけであります。  本日の新聞報道等によりますと、普賢岳噴火活動に伴い、避難住民が自殺をするという見出しで、悲しい出来事が起こりました。全国の皆さん方から大きな支援をいただいており、これにこたえて地元関係者も挙げて懸命の努力をしておる中で、まことに残念なニュースでございました。その真相については定かではございませんが、仮設住宅に居住をしていること、あるいは、本来の仕事が農業であり、警戒区域の中にその基盤があるということなどを見ますと、この災害が、避難住民に対し、暮らしの面でも仕事の面でも大きな影響を与えておるのではないかというふうに思えてなりません。長期化する災害に、改めて私は、ハードな対策はさることながら、ソフト面におきましても、新しい対策が、この悲しい出来事によって提起をされておるのではないかというふうに思っております。  このようなことに対しまして、長官としていかに御所見を持たれておられるのか、まずはお伺いをしておきたいと思います。
  116. 東家嘉幸

    東家国務大臣 先生にもこのたび現地を視察していただきまして、大変御苦労さんでございました。そうした被災者の実態の中に生で触れられて、本当に気の毒だな、御苦労さんだなというような気持ちにおなりになった。私どもも、当然なお互いの政治家としての立場からも、同情に値する、本当に今後真剣になって取り組まねばならないということを肝に銘じている今日の状況のときに、このように痛ましい、お亡くなりになられた方に対して、心から冥福をお祈りする次第でざいます。  本日も非常災害対策本部会議で決定されました六項目、これを長期的に伴う特別措置として、被災者救済対策を鋭意推進してまいらなければならないと思います。被災者生活の安定と再建には、これはやはり国民の挙げての協力の中に、私たち、特に国土庁として、また災害本部長という立場からも、一体となって取り組んでまいりたいと思う所存でございます。
  117. 高木義明

    高木委員 私は、亡くなられた方に心から哀悼の意を表します。お悔やみする次第でございますが、新たな決意に立って、これら災害復旧対策、あるいは地域住民の安全対策、そしてまた生活の維持向上対策、こういった問題にさらに取り組んでいきたい、こういう決意を持つものでございます。そういう決意に立ちまして、以下御質問を申し上げます。  現地状況については、私がもうここで言う必要はないかと思いますので、省略をしますが、去る三月十四日に宮澤総理現地を視察され、被災者のお見舞いをされました。私たちは、我が党もかねてから総理現地視察を要望しておりました立場からも、これが実現をされ、そして地元から要望の深い特別措置について大きな施策の回答をいただいたことは、大きく評価をしたいというふうに思うわけでございます。  そこで、それに基づきまして、本日も、二十五日付で特別措置というのが明記をされ、私の手元にあるわけでありますが、その骨子は、まずは、食事供与事業について六カ月延長するということが一つ。それから二つ目には、雲仙災害対策基金を二百七十億円増額をして、総額六百億円にするということが二つ。三つ目には、緊急の対策を行うことなど、いわゆる土石流対策砂防ダム治山ダム計画等が出ておりまして、国としても適切な指導と支援を行うということにされております。また、雇用調整助成金の活用とかあるいは雇用機会増大促進地域の指定等によりまして、雇用の安定とか就業の促進に強力な施策推進するということになっておりまして、私は、今後この柱を中心にして、さらにきめ細かい対策を改めて要請したいわけでございます。  そういうことから、今回、特別措置が改めて出てきたわけでありますけれども、昨年の八月二十三日に、当時、特別立法の制定をすべきだ、大変な議論が巻き起こった中で、政府として二十一分野九十項目にわたる措置が確立をされたわけであります。その当時のペーパーを見てみますと、今日の状況を想定できたかといいますと、恐らく想定できなかっただろうと私は思っております。したがいまして、その八月二十三日の特別措置を講じたとさから既に一年四カ月を経過しておるわけでございますが、当時、今の状態を予想していたかいなかったか、まずその点についてお伺いをしておきたいと思います。
  118. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 雲仙岳の火山活動自体につきまして、専門の機関の方々から、その見通しについて今日までいろいろ御意見もございました。しかし残念ながら、私ども、今日経験しているような状況にございまして、いつこれが終息するかという見通しについて確たるものを持っている方はだれもおられないわけでございます。かねてから、火山の噴火現象の推移を予知するというのは大変難しいことだということだったかと思います。  そういう中で、先生御指摘のとおり、私ども、昨年八月二十三日、二十一分野九十項目という大変画期的、総合的な一覧できるような施策を整えたわけでございまして、自来、我が国各機関こぞりまして、また地方公共団体とも連携を保ってこれを実施してまいったわけでございます。そういう中で、今日、県の方の認識も、この雲仙の噴火災害というのはさらに長期化することも予想されるという認識のもとに、現在いろいろ調査をなさってございます。これからの生活の行く先をどうしようか、そしてまた住宅対策等をどのようにしていこうかというような調査を現在なさってございます。  そういったものも承りながら、私どもさらに施策を拡充していかなければいけないのじゃないだろうかということで、冒頭先生仰せられましたとおり、きょう二十五日朝、政府雲仙噴火災害対策本部におきまして、それを前提としてさらに六項目ほどの、大きなテーマでございますけれども、追加した措置を講じたわけでございます。今後とも各機関との連携をなお一層保ちまして、地元被災者、避難されておられる方々、大変であろうと思いますけれども、力落としのないように頑張っていただこうということで、支援策をさらにさらに強めていきたいというふうに考えております。
  119. 高木義明

    高木委員 私がこの問題を取り上げたのはなぜかと申し上げますと、その八月二十三日の国土庁からの文書によりますと、二十一分野九十項目の特別措置を含めたこの施策で「決着を図る」というふうな用語が使われておりました。恐らく、いろいろ要望が出るであろうけれども、国としても最大限の弾力的な運用をしたのだ、したがって、もうこれでおしまいだよ、こういうふうなニュアンスでとらえた方々が大多数ではないかと私は思っております。しかし、今日に至りまして、食事供与事業の延長もしなければならない、そしてまた、雲仙災害対策基金におきましても増額をしなければならない、こういう事態になったわけであります。したがって、当時の「決着を図る」という文言については、これはもう取り消した方がいいのではないかというふうなことを私は思うわけでございますが、その点どうでしょうか。
  120. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 当時の状況によりまして、先生仰せのとおり、「決着を図る」ということで表現はされてございます。と申しますのも、地元県そして市町それぞれ、当面予想される事態に対しましてはこれで十分であるというような理解をなさっておられたわけであったからでございます。  しかしながら、お話のございましたとおり、当時その時点で全く予測し得ないような事態へどのように対応するかという、その事態への対応までも否定するものではないということで、当時私どもも御説明を申し上げさせていただいておったところでございます。
  121. 高木義明

    高木委員 私は、この新たなる特別措置につきましては、過去の反省を含めて、災害終息を一日も早く望むものでございますけれども、これまた予測がつかない、したがって、今後かなり長い間継続する場合においてはこの特別措置についても補強、補充が図られるべきではなかろうかと思っておりますが、今後の考え方について、その姿勢についてお伺いしておきたいと思います。
  122. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 相手が自然でございますので、今の段階でどうだということを私どもから確定的に申し上げるのもいかがかと思います。そういう意味で、今回、追加的と申してよろしいと思いますけれども、特別措置をきょう決定いたしましたので、この措置を加えまして二十一分野九十数項目になりましょうか、これから一生懸命推進をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  123. 高木義明

    高木委員 食事供与事業は、二カ月以上避難生活が継続し、収入が途絶えている世帯に対して、長崎県が食事にかかる費用として現金での供与を認め、二分の一を国庫補助とするものでございます。具体的には、四人世帯で月十二万円、ほかに長崎県が雑費補助として月三万円支給しているということで私は把握しておりますが、この措置に当たって、平成四年度の予算的な裏づけ、予算措置はどのようになっておるのか、お聞かせいただきたい。
  124. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 大宗は、食事供与事業対象者は四月三日で切れることになっております。千本木地区等、後から追加された方についてはともかくといたします。  さて、今回こういう措置を講じさせていただいたことによりまして、新年度の予算におきましては、私ども、これを遺漏のないように、四月四日から継続して必要な方には支給がなされますように手当てをしたいということで、現在、県と相談をいたしまして、支給の具体のルール、そして支給の対象者というものを把握いたしまして、財政当局とも相談をし、手続に万全を期したいというふうに考えております。
  125. 高木義明

    高木委員 予算の支出元につきましては、どういうものから出されるお考えなのか。
  126. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 ただいま本予算の方も国会で御審議中でございます。財政当局とも具体にどういう財源をもってというところまで現在詰めておるところではないわけでございますけれども、それをこれから詰めさせていただきます。そして、遺漏のないように、住民の方々、受給対象になられる方々が御心配なされないように措置をしたいというふうに考えます。
  127. 高木義明

    高木委員 適切な措置を要望しておきます。  さて、この食事供与事業に関連をするわけでありますが、いわゆる災害救助法によります食事の供与は、政府の従来の主張では原材料及び現金を支給することは本制度に反するし認められないということでございます。しかし、私は政府が予算補助として実施しているこの費用負担は、実質的に災害救助法二十三条に基づく食品の供与を金銭で行うのと全く同じ効果であるというふうに思っております。政府の行いました今回の食事供与事業は、いわゆる長期にわたる噴火災害等による救助として極めて被災者のニーズに合ったものであると私は思っております。この事業でいきますと予算措置で対応ということでございますので、その都度政府への陳情という形でこれが対象になるかならないか、増額されるかされないかということになるわけであります。したがって、今回の長期災害を踏まえてむしろ災害救助法を改正して、長期にわたる噴火等による災害に対し、一カ月以上、これは二カ月以上になるか、この辺は検討も必要でありますが、長期に避難を余儀なくされ、本来の所得の途絶した一定の被災者に対し食品の供与を金銭で行ってもよいとすべきではなかろうか、私はそういう気持ちを持つわけでございます。この災害救助法を、現在行われておる食事供与事業を踏まえてむしろ法の中で整備をしていくことが妥当ではないかと思っておりますけれども、その用意はあるかないか。
  128. 松本省藏

    ○松本説明員 御説明をさせていただきます。  厚生省といたしましては、応急救助を目的とする災害救助法に基づきまして、既に御承知のとおり避難所の設置あるいは避難所に収容された方々に対する炊き出し、そして現在も継続しておりますけれども応急仮設住宅の供与などなどの被災者方々に対する臨時応急の措置を講じてきているわけでございます。このように、災害救助法に基づく各種の措置は応急救助として位置づけられているものでございます。したがいまして、先生今お話にもありましたように、応急救助の措置の具体的な内容につきましては無償の現物給付あるいは現物給与の形をとっているわけでございます。今回の特別措置による食事の供与事業は、こういう臨時応急救助の段階を過ぎた方々に対しての今回の災害の長期化に伴う特別の措置ということで実施をされていると承知をいたしておりまして、これを今申しましたような応急救助を目的とする災害救助法において対応することは難しいのではないかと考えているところでございます。
  129. 高木義明

    高木委員 国土庁としてのお考え方はいかがでございましょう。
  130. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 食事の供与事業と申しますのは、かねて先生案内のとおり、雲仙災害が大変特殊なものであるというところに基づいて画期的な制度として創設をされたものでございます。およそ災害と申しますのは、その災害の種類もさまざまであります。それからまた、被災者が置かれます状況もさまざまでございます。それぞれ個別判断をするというのが恐らく正しい判断じゃないかというふうに私ども考えるわけでございます。そういう意味で、一般的な制度としてこれをあらかじめ法律で規定をしておくというのは適当ではないのではないかというふうに私は考えるわけでございます。
  131. 高木義明

    高木委員 このような災害が起こらないことが一番望ましいわけでございますが、我が国は火山列島でございますし、予期せぬ災害に遭遇した場合にこういう制度が生かされるのではないかという立場から私は申し上げたわけでございますので、なお今後ひとつ御検討いただきたいと思います。  次に参りますけれども災害対策基金、正式には長崎県が雲仙災害対策基金というのを持っておりますが、これの増額につきましては先ほど触れたとおりでございます。そこで、今回この増額に踏み切った理由はどういうものに着目をされたのか、この点についてまず明らかにしていただきたいと思います。
  132. 北里敏明

    ○北里説明員 今回、雲仙災害対策基金につきまして増額をしたわけでございます。基金そのものが、非常に長期間にわたって災害が続いておる、警戒区域あるいは避難勧告区域等が設定をされ、多くの方が生活基盤を失うという災害状況ということを踏まえて措置をしたものでございまして、災害の長期化の中で地元から要望がございましたので、その内容検討の上、今回増額をするということを決定したものでございます。
  133. 高木義明

    高木委員 この基金の今日までの使途の把握あるいは効果、効用といいますか、どう評価されておるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  134. 北里敏明

    ○北里説明員 雲仙災害対策基金、今申し上げましたように、これまでの災害と違いまして非常に長期にわたる災害でございます。それで、従来の災害対策では行えない一歩踏み込んだ、きめの細かい対策というものを機動的、弾力的に実施できるように、そういうことの必要な財源をあらかじめ安定的に確保するということに意味を見出して措置をしてきたというように考えておりまして、この措置によりまして、県では単独事業として住民の自立復興支援等の事業災害状況あるいは住民のニーズに応じてきめ細かく適宜に講じることができたというふうに考えております。
  135. 高木義明

    高木委員 そういう効用の上に立って、今後県の方でまた具体的な対策が講じられますが、さらに御支援、御助言をいただきたい、このように思っております。  次に、いわゆる防災事業、二月二十二日に県としていわゆる大型砂防ダム等の基本計画と農地の復旧方針を被災住民に説明を行いました。これは御案内のとおりでございます。そこで、地元の関心は、今なおこれらの公共土木に資する用地の取得について、いわゆる被災前の価格で買い上げることを強く望んでおりますし、また、これらの制度の弾力的な運用といいますか、こういうものを強く望んでおられます。このことが今後の防災事業あるいは農地の復旧等に大きなかぎになっておるのでございまして、この点についていかにお考えであろうか、改めてお聞きをしておきたいと思います。
  136. 高橋哲雄

    ○高橋説明員 御説明を申し上げます。  公共事業のために取得する土地に対しましては、財産権に対する補償という観点から、契約の締結時における正常な取引価格をもって補償しております。  今回のような被災地の評価に当たりましては、この原則の上に立って契約時点の価格ということになりますが、必ずしも現況そのものというわけではありませんで、従前の土地の標準的な使用の状況、買収時点における復旧見通しなど価格の形成要因を総合的に勘案して対応することになると考えております。こうした考え方を踏まえまして、防災、施設等の建設のための用地の取得につきましては、用地の取得のための価格設定の考え方を地元方々に十分御説明を申し上げるとともに、地権者の方々の御理解と御協力をいただきながら進めてまいりたいと考えております。
  137. 高木義明

    高木委員 これに関連しまして、いわゆる移転問題に関連をし、国土庁長官は参議院におきまして我が党の勝木議員の質問に対しまして、地元の意向にできるだけ配慮する、事業推進に当たっては運用面等で知恵を出し合って、どう対処していくのかということを十分踏まえなければならない、このように御答弁されておりますが、この答弁の本意はどういうところにあるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  138. 東家嘉幸

    東家国務大臣 実は地元知事さんとも総理を交えて協議をいたしました折にも、総理は、今お尋ねのような弾力的な運用で、いろいろと御要望がありますが、それにこたえるだけの措置ができますかということでもございました。知事さんも、それは弾力的に運用させていただきます、今後よく地権者と協議しながらいろいろな角度からの知恵を出し合って、そして国からのいろいろな御協力に対し運用してまいりたいというようなことの話もございましたので、私はそういう意味からも先般そのようなことでの答弁をいたした次第でございます。
  139. 高木義明

    高木委員 今地元の要望は、とにかくいわゆる買収価格を早く決めてもらう。そういうものが一つの、例えば集団移転につながっていくのか、あるいはみずからがそれぞれの農地あるいは宅地を求めていくのかという大きなポイントになっておるわけでございますが、私は、この点については今回の特殊性に沿って特別の配慮をしていくべきではないかと思っておりますが、その点について改めてお伺いしておきます。
  140. 小島重喜

    ○小島政府委員 防災集団移転との絡みでお答えを申し上げますと、ただ跡地の買い上げということ自体に着目いたしますと、先ほど建設省の方からお答えをいたしましたようなことが基準にあるのだろうというように私ども考えておるわけであります。いずれにせよ、防災集団移転というのはただ単にあっちからこっちに行くというだけじゃなくて、実はいろいろな総合的な対策が必要なわけでございまして、そういう全体的な防災集団移転というようなものが円滑に行われますように、私どもとしては地元長崎県なりあるいは島原市、深江町等々と十分話し合い、なおかつ関係省庁とも、いろいろな制度がございますから、そういう制度の活用も図りながらできるだけ円滑に進むように、この点につきましては積極的に対処していきたい、かように考えております。
  141. 高木義明

    高木委員 よろしくお願いをしておきます。  次に、農業の問題でございますが、島原半島は長崎県においても有数の農業地域であります。したがって、すぐれた農業者も多い地域と言われております。今次災害による被災を面的にとらえると、農地の占める割合が大変大きく、その復旧も予断を許さない、こういう状況です。今後農地の復旧が不可能になる場合におきましても、土地利用型農業からいわゆる施設型農業への転換等も十分考えられるわけでありまして、それらに必要な資金、あるいは技術指導、生産基盤等について私は十分な措置が講じられなければならぬと思っておりますが、警戒区域内の被災農業者に対する営農再開に向けた対策はどのように考えておられるのか、この点についてお伺いいたします。
  142. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 先生今お話ございましたように、当該地域は大変優良な農業地帯でございまして、警戒区域内におきましても五百戸を超える農家の方々被災されておるわけでございます。現状におきましては、一部の地域で規制が解除されること等によりまして、若干営農の再開の動きがございますほか、お話ございましたような施設型の畜産でございますとか施設園芸、こういったもの、さらにはたばこといったものにつきましてはほかの地域営農再開をするといった方々も出てきているところでございます。こうした方々のためには自作農維持資金の貸付限度額の拡大でございますとか、営農再開に対しましての農舎、畜舎、こういった施設の災害復旧資金の限度額の引き上げといったような金融対策を講じておるところでございますし、また灰が降ってございますので、降反対策といたしまして土壌矯正でございますとか洗浄施設の整備、こういった防災営農施設整備事業も行っているところでございます。いずれにしましても、大部分の農家につきましてはまだ営農の再開が大変困難な状況がございますが、こうした農家の方に対しましては、長崎県の方におきまして農地のあっせん、現在島原半島全域につきまして四十六ヘクタールほど用意してございます。また、代替開墾の適地調査、こういったこともやっておるところでございます。これに対しまして、農林省といたしましても構造改善局の専門職員を派遣して協力に当たらせているところでございます。また、現在長崎県におきまして被災農家の意向調査を行っていると聞いておるところでございます。その結果を踏まえまして、県とも十分連携をとりながら営農再開に向けまして必要な対策を農林省としても講じてまいりたいと思っておるところでございます。
  143. 高木義明

    高木委員 時間もございませんので、残された問題、また別途お伺いするといたしまして、先般大分県に調査に参りました。いわゆる台風十九号によります災害の実態をつぶさに調査をいたしまして、本当に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。一日も早い復旧と、それからいわゆる土木流と言われております二次災害の発生がないような万全の対策が望まれておるわけであります。大分県としましても治山事業事業費の増額あるいは砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業あるいは道路災害防除事業等の増額等についても各自治体が一緒になって望んでおります。どうかこの問題につきましても格段の御配慮をいただきますように強く要望をしておきたいと思います。  そこで、大分県の被害では樹齢四十年以上の伐採期にある杉、ヒノキのいわゆる成木が大変な激しい風によって倒された、したがって、昭和三十年、四十年代を中心に約一千万ヘクタールの人工林が造成され、そのうち七百七十万ヘクタールの民有林、人工林については六割が伐採期にあると理解をしております。言うまでもなく森林国土保全の役割につきましては極めて重要でございます。そういう意味で、国も間伐事業には鋭意取り組んでおられますけれども、防災の観点を加味して一層この間伐に対する事業の規模あるいは予算の拡充ということが必要ではないかと私は思っております。これについていかがお考えであるか。  同時に、やはり何といってもこの災害復旧あるいは林野事業についてはマンパワーの確保というのが大切な課題でございます。マンパワーの確保、それから先ほども出ておりました木材価格の安定につきましては、国民的な視野に立って林業を今後とも守り育てるという立場から適切な対策が必要である、私はこのように思っておりますが、国土庁としましていかに取り組んでいかれるのか、関係各省おいででございますが、どうぞ時間の許す限り御答弁をいただきたいと思います。
  144. 東家嘉幸

    東家国務大臣 きょうここに畑先生、先ほどから大変な見識の高い御質問をいただき、私もともにこの林政の問題についてはとりわけ私たちは取り組んだ者の一人でございます。  こういう大臣という立場で非常に不見識な言葉かもしれませんけれども、山は、さんずい、水をもたらす、そして林がある、それに下の方に病と書けば非常に寂しい病になってしまうわけでございます。このようなことがいつまでも続くということは、大きな国民的な財産を失っているとともに、今後水資源涵養というような観点からしましても、私はゆゆしき問題だと思っております。経済林としての機能はなかなか今果たし得ない状況にあります。が、しかし、私たちは長期的な立場から見れば、今日の世界的な環境の非常に盛り上がる中において、既にアメリカ等でも丸太輸出は禁止しようという状況になりつつあります。そういう観点からしても、日本の森林は将来の資産として育林する必要があろうという気持ちを絶えず持ち続けてきているわけでございます。  今、間伐の話が出ましたが、確かに間伐をやっても商品に値しない、価値がないということで、そのまま放置されております。草も生えません。表土はあらわれます。そして根が露出されて、それがひいては倒木となって各地でそういう災害を起こしているという現状も私たちは知らなければならない、そういう立場からの間伐促進というものも図っていかなければならない。私も今度現地に参りまして、そういう点を具体的に知りながら、そして二次災害を起こさないような防災対策上からも、国土保全の立場からも、鋭意国土庁としても関係各省庁の御協力を得ながら取り組んでいきたいというふうに考えております。
  145. 高木義明

    高木委員 強く要望をいたしまして、終わります。
  146. 清水勇

    清水委員長 これにて高木義明君の質疑は終わりました。  次に、沖田正人君。
  147. 沖田正人

    沖田委員 私も先日来の鹿児島県、さらに長崎県、大分県の調査団にお供をいたしまして、子細に現地状況というものを目の当たりにしてまいったところであります。そこで、もう最後でありますから、いろいろ論点は尽きているかとは思いますが、少しく問題点をお伺いをしてみたいと思います。  まず、大分県の風倒木その他に対してお伺いしたいわけでありますが、このたびの災害にかんがみていろいろ検討してみなければならぬのは林業対策、つまり行政のあり方が十分だったかどうかということをまず考えてみたいわけであります。いわゆる魅力ある産業としての林業、さらにはまた災害に強い産業としての林業、こういうものについて従来どのような考え方で努力をしてこられたか、所見を伺いたいと思います。
  148. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明を申し上げます。  先生案内のように、我が国の森林林業をめぐる状況は、林業の採算性が依然として低位にあること、それから林業労働力の減少、高齢化が進行していること、それから機械化等が依然として立ちおくれの状況にあること、それから木材輸入の増大への対応が求められてくること等、依然として厳しいものがあるわけであります。一方、豊かな暮らしの実現を求める社会のニーズを反映いたしまして、森林の緑と水の源泉としての位置づけが高まりを見せている中で、さらにきめ細かな森林づくりが強く求められているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、森林林業対策につきましては、先般の森林法改正の趣旨を踏まえまして、民有林、国有林を通じた森林の流域管理システムの確立を基本といたしまして、森林整備事業計画の策定と、これに基づく造林・林道の計画推進、それから高性能林業機械の開発導入とを通ずる林業生産性の向上あるいは第八次治山事業五カ年計画推進、それから林業事業体の体質強化林業従事者の育成、確保等、その基盤となる山村の振興等の施策を総合的に展開をしてきているところでございまして、今後ともその展開を強力に進めていきたい、こう思っているわけであります。  なお、今回の台風によります被害は、今後の林政の推進林業の振興に大きな影響を及ぼしかねない重大な問題であると認識をいたしておりまして、林野庁といたしましても、災害復旧対策に万全を尽くしてまいる考え方でございます。
  149. 沖田正人

    沖田委員 時間がありませんので、簡明にお答えをいただきたいと思いますが、一番問題なのは、やはり三K労働といいましょうか、非常にきつい職業でありますから、林業に従事する労働力、いわゆる技術労働力というものを確保することが非常に難しい、そしてまた、後継者の確保が非常に大変だということを言われるわけでありまして、このたびのいわゆる災害に照らして考えてみれば、もう林業というものを後継ぎとしてやっていくという意欲を失いつつある、こういう状況の中で魅力ある林業としてどう立ち直っていくか、その対策を林野庁としても、また国土庁としてもいろいろお考えをいただかなければならぬだろうと思うのです。その点についてひとつ所見を伺いたいと思います。
  150. 村田吉三郎

    ○村田説明員 先ほど御説明を申し上げたことになるわけでございますが、林野庁といたしましても、国民のニーズを受けとめまして、魅力ある産業としての林業あるいはその公益的機能の発揮できる森林の整備ということにつきまして、今後とも鋭意努力を続けてまいりたい、このように考えております。
  151. 沖田正人

    沖田委員 地域に親しまれる林業、そして魅力のある産業としての林業というもの、後継者に対して魅力のある産業としてさらにひとつ努力をしていただくようにお願いしておきたいと思うのです。  そこで、激甚災害法に基づきまして森林災害復旧事業というものが今行われているわけでありますけれども、一体どれくらいの期間を目途にしておられるのか、その中身を明らかにしていただきたいと思うのです。
  152. 村田吉三郎

    ○村田説明員 激甚災法に基づきます森林災害復旧事業につきましては、五カ年間計画的に実施をすることといたしております。
  153. 沖田正人

    沖田委員 今度の復旧事業というのは、例えば今の五カ年間で片づけていける、また片づけていこうという決意表明ですか。
  154. 村田吉三郎

    ○村田説明員 台風被害森林復旧につきましては、先生案内のように、二次災害防止あるいは国土保全機能等の維持、回復の観点から、緊急に行うことが肝要であるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、五カ年間でこれを進めるという考え方のもとに、例えば県内、県外からの応援態勢でありますとか、効率のよい大型機械の導入でありますとか、こういったことを現地の実態に応じまして適切に実施をいたしまして、被害森林早期復旧を図りたい、このように考えております。
  155. 沖田正人

    沖田委員 五カ年町で必要とする事業の予算額、さらには大型機械の数、種類、林業技術者の必要とする延べ人数、本当にこれが十分に充足し切れるかどうか、この辺が実は心配になるわけであります。  したがって、本来なら時間があればもっと細かく計画内容をお伺いしたいわけでありますけれども、時間がありませんから概略で結構です。五年間でやるということについての決意のほどをもう一度明らかにしていただきたい。そして予算が足りなくなったら、今予算はどのくらいかかるだろうかとお伺いしてみてもなかなか予測がつかぬだろうと思いますが、およそどの程度の予算を考えているのか、この点を明らかにしていただきたいし、どれくらいの林業技術者が必要になってくるか、このめどについてもお聞かせをいただきたい、こう思います。
  156. 村田吉三郎

    ○村田説明員 森林災害復旧事業につきましては、現在約二百七十億円を超えます予算額が必要であるということを各県から計画として承っているわけであります。私どもといたしましては、各県で考えておられます森林災害復旧事業が円滑に進みますように全力を尽くしたい、このように思っております。  それから、機械とか労力の見通しの問題でありますけれども、三月初めといいますか、二月末現在で三千五百人ぐらいの人が復旧工事に従事をいたしているわけであります。また、高性能の大型機械につきましても三十台を超える機械が現在入っているわけでございます。  私どもといたしましては、広域的な労働力の調整でありますとか大型機械の導入等をさらに積極的に推進をいたしまして、何とかこの五カ年間早期復旧ができますように努力をいたしたい、このように考えております。
  157. 沖田正人

    沖田委員 足りないものについては財政当局や各省庁とも十分に協議をしながら万全を期していただきたいことを強くお願いをしておきたいと思います。  そこで、細かい点ですが、現在復旧作業に応援をしてもらっている林業技術者の数は、県内、県外を含めてそれぞれどの程度の数になっているか、お聞かせをいただきたいと思いますし、これからまだ増援を期待できるのかどうか、この点も聞かせていただきたいと思います。
  158. 村田吉三郎

    ○村田説明員 今般の応援の態勢でございますけれども、やはり三月現在ということで御理解をいただきたいわけでございますが、全国で百七十人を超える者が県外から応援に来ております。大分県だけで申しますと約百四十人でございます。それから、県内からの応援が百四十六名、大分県の場合ですと約百名弱でございます。  私どもといたしましては、災害復旧事業の緊急性あるいは重要性にかんがみまして、今後とも広域的な労働力の確保に全力を挙げてまいりたい、このように考えております。
  159. 沖田正人

    沖田委員 大体五年間でやり切ってみせる、こうおっしゃっていただきたいわけでありますが、平成三年から始まって平成七年まで、年度ごとに進捗率、計画の達成率等の見通しがあれば明らかにしていただきたい、このように思います。
  160. 村田吉三郎

    ○村田説明員 各県からの報告の概数を集計いたしました結果でございますけれども平成三年度末で約一〇%の進捗状況というように承知をいたしております。それから、平成四年度につきまして累計進度で申し上げますと、各県、全体額に対しまして四割程度まで復旧をいたしたいという要望を受けているわけであります。私どもといたしましては、県の考えております計画が円滑に進みますように、県との連携を密にしながら努力をしてまいりたい、このように考えております。
  161. 沖田正人

    沖田委員 平成七年には一〇〇%完成してもらわなければならぬわけでありますから、どうぞせっかく努力を期待をいたしたいと思います。  そこで、国有林と民有林の比率は大分県でどの程度になっていますか。
  162. 村田吉三郎

    ○村田説明員 被害額で申し上げますと、森林被害について限定して申し上げるわけでありますけれども、民有林が約五百億でございます。それから、国有林が二十四億でございます。合わせて五百三十億弱というのが大分県の国有林と民有林の比率でございます。
  163. 沖田正人

    沖田委員 現状というものを十分調査しながら、今説明をされました復旧事業の五カ年達成計画というようなものについても、造林、植林の計画だとか樹種の検討、さらには災害に強い品種とか樹種とか、こういうものなどの検討が非常に重要になってくるだろう、こう思うのです。もう既に学者その他学識経験者等によって検討がされているのじゃないかというように仄聞をいたしますが、この内容について伺いたいと思います。
  164. 村田吉三郎

    ○村田説明員 今回の災害は、毎秒五十メートルを超えるような未曾有の風台風による災害であったわけでありますが、台風の通り道となりましたところでは、樹種でありますとか、樹齢でありますとか、施業とか、こういったことにかかわりなく倒木、折れたり、ひっくり返ったりというような森林被害が発生しているのが実態でございます。  林野庁といたしましては、復旧に当たってなお一層の万全を期したいという考え方から、今般の災害の実態を調査し、今後の復旧造林に当たっての参考としたいということで、既に学識経験者等によります災害復旧対策調査検討委員会を設けて目下検討を行っているところでございます。また、関係県におきましても、林業試験場等におきまして同様の検討がなされていると聞いているわけであります。こうした検討結果をも踏まえまして、今後、植栽樹種の選定等を適切に行っていきたい、このように考えております。
  165. 沖田正人

    沖田委員 成果を心から期待をするものであります。  そこで、非常に乱暴な質問になるかもしれませんが、今非常に心配をいたしますのは、二次災害の発生のことであります。もしも二次災害が発生するとすれば、どういう程度のものが、どういう形で発生するだろうか。これはいろいろ検討をしておかなければならぬだろうと思いますが、その対策は一体どうなっているか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。例えば十九号台風のようなものが、いわゆる梅雨季における豪雨というようなものが起こったときには一体どうなるかということが非常に心配になるわけであります。したがって、そういう第二次の災害対策は本当に大丈夫だろうか、このことを伺っておきたいと思います。
  166. 高橋哲雄

    ○高橋説明員 御説明申し上げます。  台風十九号による風倒木被害にかんがみ、流木に伴う土石流の発生につきましてその危険性のある箇所の点検を緊急に実施し、土砂災害防止を図るための適切な対応についてそれぞれ各県に指示をしてきたところでございます。特に、風倒木被害の大きかった福岡県及び大分県の土石流発生の危険性が高い箇所につきましては、災害関連緊急砂防事業二十八億三千八百万円をもって四水系十五渓流におきまして流木どめを設置いたしました砂防ダム十七基を施工しておるところでございます。また、特に風倒木被害の著しい大分、福岡県には今後の土石流災害防止のための技術的な指導を行うべく一月二十九日から三十日にかけまして土木研究所の研究室長を派遣いたしまして細かに指示をさせております。今後とも流域の状況の把握に努めまして、土石流等から人命、財産を守るために適切な対処をする所存でございます。
  167. 沖田正人

    沖田委員 もう一遍十九号台風規模のものが起こったらどうするかというような質問は少し乱暴に過ぎますから、そういうことのないようにもちろん天に祈るしかありませんし、第二次災害というものが起こらぬように努力を強くお願いいたしたいと考えるわけであります。  しかしながら、風倒木とか土木流などの二次災害に対して危険が去ったわけではありませんから、例えば運輸省としてはどういうふうに取り組みを行っておられるか、その対策対応を具体的にお伺いいたしたいと思うのであります。もちろん民有地等が多いわけでありますから、それは民有地の管理者の責任だと言われたいところでありましょうけれども、そうは言っておれない。例えば列車が走っている間に風倒木が列車に落ちてきて大変な災害が起こるということもあり得るでしょうし、豪雨が発生をして風倒木が土木流となって落下する、そして鉄道橋などにも集積をして、言うなれば線路や鉄道橋など、本当に大変な事故になることだってあり得るだろう。そういうことをいろいろ考えてもらわなければならぬ。したがって、そういうふうな心配になるような、危険が予測されるような箇所というのは何カ所ぐらいあるのか、その対策は一体どういうふうになっておるのか、このことを具体的に久大線と豊肥線、二つの線路に分けて考え方を聞かしていただきたい。  以上です。
  168. 山田隆二

    ○山田説明員 昨年の台風によりまして九州の山間部で樹木が倒壊して、そのまま放置されている箇所が多数あるのは御指摘のとおりでございます。これらの中で、鉄道にこれから何かあったときに支障を及ぼすおそれのある箇所と申しますのは、JR九州がこの三月に調査をいたしました結果では、久大線で二十三カ所、豊肥線で五カ所ございます。これらの倒木につきましては、今御指摘のとおり線路内にかかっているものについては全部撤去して処理してございますけれども、残されているのは第三者の所有地内にあるわけでございます。ということで、現時点ではまだ具体的なぞれ以上の対策をとるに至っておりません。しかし、JR九州といたしましては、これから支障が出るかもしれないということで、関係の県、大分県、熊本県、福岡県と具体的な協議に入っておりまして、谷からのそういう倒木土砂などの流入を防ぎまするとめ工とか落石などを防止する工事がございますので、そういうようなものを行う、あるいは物によっては直接倒木を除去できないか、こういう点について協議をしているところでございます。今後、この話が煮詰まりました段階で必要により倒木所有者とも協議を行うこととしております。  以上でございます。
  169. 沖田正人

    沖田委員 まだ着工していないといいましょうか、久大線や豊肥線、危険な箇所に対する対策対応については取り組まれていないということでありますが、非常に心配になるわけでありますから、どうぞひとつ運輸省もその点は十分な対応対策を図っていただきたい、急いでいただきたいと思うわけであります。  今、いろいろ風倒木や危険箇所についてのやりとりをしたわけでありますが、この点について国土庁の長官はどのようにお考えになるか、所見を伺いたいと思います。
  170. 東家嘉幸

    東家国務大臣 過去の最近の災害を見ますと、戦後、一千万ヘクタールの杉、ヒノキを植林しているわけです。非常に根が浅いということで表土があらわれる。そこで、根こそぎ流出する。もちろん、間伐材をややもすると採算的に合わないために放置する。それが暗渠をふさぎ、橋をふさぎということでダム化することによって大災害を、私どもの熊本だけでも御船、矢部、それから先ほどお尋ねの一の宮、この阿蘇地域は鉄道をずたずたにやられました。これはほとんどがそういう流木による災害をもたらした。このことは、将来にわたる国土保全上、災害上、重要な問題として、私なりの国土庁としてのこの二次災害に対する考え方は、よほど各省庁と真剣になって対策を講じていかなければ、先ほどから五カ年計画で搬出する等々の計画をお立てになっているようなことを聞きまして、とてもじゃない、そんな、それは広範囲にわたる急傾斜、林道がない、どうして搬出ができるのか。林道がなくたって山からは流れてくるのです。そういう点について、我々は将来の二次災害についてはもう少し真剣になって、全体的な、総合的な、そうした林産業も踏まえて検討してやりませないと、皆さん方が採算がとれないから放置する、放置することが二次災害につながるというようなことを考えていくべきだと思っております。
  171. 沖田正人

    沖田委員 私のような東京生活者でありましてもふるさとを持っているわけでありますから、ふるさとのこのような災害については非常に心配になるわけであります。もちろん私は大分県の出身ではありませんけれども、非常に気になるわけであります。どうぞひとつ積極的な対策対応をおとりいただきますように強くお願いをしておきたいと思います。  次に、雲仙普賢岳等の質問に移りたいと思いますが、初歩的な質問で恐縮ですが、世界の火山の数、主な活動状況、それから日本の活火山の状況、その数等について簡明にお答えをいただきたいと思うのです。
  172. 森俊雄

    ○森説明員 お答えをさせていただきます。  世界には約千の活火山があると言われております。その約七割が太平洋の周囲に分布しておりまして、環太平洋火山帯を形成しております。我が国もその環太平洋火山帯に位置する世界有数の火山国でございまして、日本では八十三の活火山を有してございます。
  173. 沖田正人

    沖田委員 まさに火山列島と言ってもいいような状況だろうと思いますが、従来、国土庁としては火山災害に対してどのような事業対策をとられてこられたか、簡明にお答えをいただきたいと思います。
  174. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 およそ災害対策と申しますのは、事前の対応災害が起きたときの応急、そしてまた、その後の復旧対策と分かれると思います。今先生仰せられましたのは、まさにその事前の対応であろうと思いますけれども、我が国の火山対策につきましては、火山災害による被害を未然に防止をし、または軽減することを目的といたしまして、関係機関相こぞりまして噴火予知等に向けての観測研究体制の整備強化、そしてまた活動火山対策特別措置法に基づく諸対策の実施等を柱として推進をいたしております。  活動火山対策特別措置法におきましては、火山の爆発により著しい被害を受け、または受けるおそれがあると認められる地域等についで、避難道路、避難港等の避難施設、空調設備等の降灰防除施設、ビニールハウス等の防災営農施設等の整備、道路等における降灰除去事業の実施等、特別の措置を講ずることといたしておりまして、現在、桜島、阿蘇、有珠、伊豆大島、十勝、雲仙の六つの火山につきまして各種の対策を実施をいたしております。  火山災害の形態と申しますのは、個々の火山の性質、地形、周辺の地理状況等によりまして異なることから、今後とも火山の特性を配慮いたしまして火山対策推進していくことが必要であると考えております。
  175. 沖田正人

    沖田委員 災害対策基本法では、「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」とあるわけでありますが、財産も災害から保護する責務在国が有すると言っておるわけでありますが、長官、この点については確認してよろしゅうございますね。
  176. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 災対法の条文の問題でございますので、恐縮ですが、私から申し上げます。  災害対策基本法三条におきまして、ただいま先生仰せられました上おり、国の防災に関する責務が定められております。これは、国民に対しまして一般抽象的な責務として規定されたものというふうに理解をいたしておりまして、個々の国民に対する法律上の具体的な責務を定めたものではないわけでございます。ちなみに災対法の第八条の規定等を見てまいりますと、こういった規定を受けまして、国や地方公共団体がこの責務を果たすために科学的研究、治山治水等の国土保全など必要な事業の実施に努めなければならないというふうに具体的に定められておるところでございます。
  177. 沖田正人

    沖田委員 いわゆる火山の噴火の予知というものについては一体どういう努力がなされているのか、火砕流とか土石流とかさらには降灰などの量、こういうものの予知というのはできるのかできないのか、そしてまた、その周知徹底については住民に対してどのように行われてきているのか、この点をお聞かせいただきたい。
  178. 森俊雄

    ○森説明員 まず、火山の観測体制とか予知体制について説明させていただきます。  先ほど申し上げましたように、日本では八十三の活火山がございますけれども、そのうち十九の火山につきましては常時観測を実施しておりまして、その他の火山につきましては機動観測を行って火山の監視を行っているところでございます。もし、それらの火山に異常が認められた場合には、機動観測で緊急に対処するということで、効率的な観測体制を図ってきたところでございます。それらの活動に対して異常が認められた場合に、住民に対する周知につきましては、臨時火山情報あるいは火山活動情報というようなもので住民に対して周知を図っているところでございます。  それから、火山噴火予知の件につきましてですけれども、これはかなり難しい問題でございまして、今気象庁では火山噴火予知連絡会の事務局を担当してございますけれども、それにつきましては、年三回の定期的な日本全国の活火山に対する評価、それから活動状況、そういうものを行ってございます。その場では、各機関の情報の交換、それぞれの機関での予知に関する研究、技術開発の促進及び研究観測体制の整備等についての検討も行ってございます。それらに対して全国の火山活動について総合的に検討しまして、必要な場合には統一見解等を発表しているところでございます。  気象庁では気象研究所がございまして、火山噴火予知に関する研究はそちらの方でも進めているところでございます。
  179. 沖田正人

    沖田委員 活火山対策として国としてはどういうものができるだろうかということをやはりよく考えてみなければならぬと思うのです。溶岩流とか土石流とか降灰量とか、こういうものなどの予知、すなわちハザードマップの作成はどういうことになっているのか、そしてその周知徹底については一体どういうふうにされているのか、この点をひとつお伺いをいたしたいと思うのです。一番問題なのは、やはり被災者が不安や悩みを持って、自殺者がもう二人も出てきてしまったのは非常に不幸なことです。こういうことをやはりどうやって具体的に解決できるかということを将来に照らして考えていかなければならぬと思いますから、お答えいただきたいと思います。
  180. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 近年、火山周辺地域は観光地、保養地等として一段と開発が進められておりまして、噴火発生の際の危険性はますます増大しているというふうに考えております。また、火山の災害の形態は、個々の火山の性質、地形、周辺の地理状況等によりまして異なることから、火山対策推進するに当たりましてそれぞれの火山の特性に配慮する必要があると考えております。  このような状況にかんがみますと、火山周辺の住民等の防災意識の高揚、地方自治体による適切な防災計画の樹立、適正な土地利用の誘導等を図るため火山災害による危険を総合的に評価する手法を確立し、火山噴火災害危険区域予測図、いわゆるハザードマップの整備を進めることが重要であると考えております。このため、国土庁では六十三年度より火山噴火災害危険区域予測図作成指針、いわゆるハザードマップの作成マニュアルの策定に鋭意努めてきたところでございまして、今後火山周辺自治体に対し、この指針に基づきましてハザードマップ作成をしていただきまして、住民に周知徹底を図るように指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  181. 沖田正人

    沖田委員 きょうの発表でも、長期化に対する対策として基金は二百七十億の積み増しになったということを明らかにされたわけであります。一つ心配になるわけでありますが、今非常に不景気だと言われて、景気を浮揚させていく一つの手だでとしては予算の前倒しであるとか、さらには公定歩合の引き下げだとかいうようなことをいろいろ言われているわけですね。問題なのは、この公定歩合の引き下げによって起こる結果がどうなるだろうか。せっかく二百七十億増額をして六百億になった、そして六%の金利で、いわゆる利息がだんだん集まってくる、それをこの対策に使う、こういうふうに期待をしているわけでありますけれども、これは目減りをしてくるのではないですか。公定歩合が下がったら目減りをしてくる、したがって、金利というものの収穫はなくなってくる。だから、もう一遍も二遍も、ある場合には、極端に言えばこの基金の積み増しというものをやはり努力していただきながら、十分な予算措置といいましょうか予算確保といいましょうか、基金のいわゆる効用というものを拡大していただきたい、こう思いますが、長官、この点について伺いたいと思います。
  182. 東家嘉幸

    東家国務大臣 県当局と重ねて協議の結果、今日六百億の基金で当面は賄われるというようなことでの措置は行われたわけでございます。当然、金利引き下げによる目減りというものは予測をしておかねばならないということは当時から検討一つ課題といたしておりました。そういうことで、今後県当局の必要な、そうした事業資金としてどうしても不足するというときはまたさらに検討するということで、お互いにそういう合意を見ているものと私は解釈いたしております。
  183. 沖田正人

    沖田委員 いやしくも基金が六百億あるからとして安穏としているだけでなくて、今長官おっしゃったように、これからもやはり十分気をつけて予算措置は充実強化を図っていただきたい、強くお願いしておきたいと思います。  そこで、時間がありませんからお願いしたいのは、先ほどから議論がされておりますように、警戒区域における農地の問題とか買い上げとかいろいろ問題がございます。私は、先ほどから申し上げているように、個人補償はやらないといった考え方というものが国土庁にあるのじゃないかという点で非常に議論をしてみたいわけでありますけれども、時間がありません。  それで、私は、長期化している雲仙普賢岳状況さらには桜島降灰の現状、こういうものを考えますと、現在までの二十一分野九十項目にわたる対策だけで十分乗り切れるかどうかということについては非常に不安を禁じ得ないのであります。したがって、立法府の立場から当然、雲仙普賢岳対策桜島対策については、従来の法律なりさらにはいろいろな制度の仕組みを補完していくということを、新しい特別の法律をつくって措置していくということをお互いにしていかなきゃならぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。県議会当局においても、さらには地元方面においても強い要望があるわけでありますが、この特別立法についての考え方、従来の二十一分野九十項目、これでもう足りる、こういうふうに言い切れない、やはり温かい十分な措置というものを考えていただきたい、このことについて長官の考え方を伺います。
  184. 東家嘉幸

    東家国務大臣 一般論として、災害による個人の損失については災害救助、災害弔慰金の支給、低利の融資など公的な支援が行われることとなっております。将来にわたる個人補償という問題になりますと、私の長官としての見解で私がお答えする自信もとてもございませんし、また私の責任範囲のものであるかどうかということを考え合わせるとするならば、やはりこれは将来にわたる問題として立法府の方でもよく検討していただくことであろうと私は考えておりますので、ここで私の抱負についての回答はなかなかでき得ないということを御承知願いたいと思います。
  185. 沖田正人

    沖田委員 時間がありませんから、もう結びといたしたいわけでありますが、先ほど畑英次郎代議士が、十五年や十六年は木を切り出すだけで十分かかってしまうのじゃなかろうかとおっしゃった。ところが林野庁は五年でやってみせる、こうおっしゃったわけだから、言やよし、どうぞ大いにしっかりやっていただきたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思うわけであります。  この雲仙桜島、本当に心配です。さらに第三、第四の自殺者が出ないような努力をお互いに進めていかなきゃならぬ、その点を強く長官にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  186. 清水勇

    清水委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十五分散会