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井上(普)
委員 どうも私の話とずれがあって、波長が合わないんだな。しかし、
生活大国をつくり上げるという
お話は、私は承っておる。
宮澤さんの麗しき
国日本をつくるとかなんとかいう本、これは私はこの間、
予算委員会でお伺いしたんだけれ
ども、あれを読んでみると、美しき
日本をつくるんだ、こういうことでいろいろ書いてある。しかし、これは我が国というものをここで振り返ってみる必要がある。なぜ
一極集中が行われたのか。
これは、私はいつも言っているんだが、戦後、戦争によって廃墟と化した
都市、その中で
日本人が、そのときの
人口は大体八千五百万でしょう、それらの八千五百万の
人たちが食っていくためには、実は郷土を捨て
人口移動が行われたのです。少なくとも二百年、三百年住み続けた
土地を離れた
人口移動が、全
人口の少なくとも三分の二は
人口移動が行われた。その結果、今日の
繁栄もある反面、
社会的な
摩擦というものも非常に起こってきている。これらの問題が
生活大国を叫ばなければならない
状況になってきておるのではないだろうか、私にはそう思われる。
アメリカのように非常に浅い
歴史を持っ国でございましたならば、
人口移動なんというものはまことに簡単にできる。しかしながら、
農耕民族として
日本民族は少なくとも三百年くらいは同じ
土地で、
加藤さんも先祖は山形にお住みだったのだからおわかりだろうと思うのだが、住んでおったのが、この戦後四十数年のうちに全
人口の四分の三近い
人たちが移動した。それが
日本の今の
社会の諸問題もつくり出しておるし、福祉の問題
一つとりましても、老人問題
一つとりましても、
核家族の分散、憲法との
関係もございましょう、しかしいずれにしてもそういうような
人口移動が起こったがために、過去の基盤というものが捨てられてきて今日の
繁栄があると私は思う。
したがって、我々
政治に携わる者としてやらなきゃならない
問題点はそこからたくさん派生じてきておると私は思う。しかし、それに対する適切なる施策がなかったがために今日の
一極集中というような、
一極集中は
東京だけじゃありませんよ、
地方都市においても
一極集中が行われているのです。ですから、そういうような問題、
政策を打ち立てるときに
土地問題、地価問題というものに余りにも頭が回らなくて、派手なことばかりしようとしたがために地価問題などというのが起こって、今日、
勤労者の
皆さん方は
住宅にも困るというような原因もここにつくったと私は思うのです。
これはともかくといたしまして、今
問題意識をともかくぎっしりと根底から
考える必要があるのじゃないだろうか。そういうような大きな転換期に立っておる
日本でございます、これは国際的な問題は抜きにして。かなり豊かになったといいますけれ
ども、やはり
国民は、
勤労者は家を持つこともできないというようなアンバランスが今ある。これをいかにして均等化さすかということが一番大事なことで、それにはやはり、一番住みにくいところをつくったのは
東京である、あるいは三
大都市圏である、あるいは小さく言えば
首都圏、各県各県の
都市であるということが言えるのじゃないか。だから、いつも
総合計画というと、均衡ある
国土の
発展ということをどれもこれも書かざるを得ないことになってきている。それは何かというと、やはり一番大きなのは、
人口移動をせざるを得ないような
政策を今まで打ち立ててきたからにほかならぬと思うのです。
ですから、このたびのこの
首都機能の
移転といいますか
首都移転ということを
考えますときに、それを
中心にして一体どうすればスムーズに、しかも均衡ある
国土の
発展ができるかということを
考えなければならないと思うのです。
そうなってくると、今までの
政治の弊害というものを
考えてみなければいかぬ。それは何だといえば、
一つは、やはり
中央集権的な今の
行政組織のあり方でしょう。これはもう直接に
内閣に、
行政府にかかわりますので、ここらの
考え方を一体どうするのか。しからば、我々が
考える
地方自治体に対する
権限移譲、すなわち
分権という
考え方はやらざるを得ないのじゃないだろうか。しかし、
分権といいましても
受け皿として、七人
委員会の中のある人は道州制を
考え、ある人は今の
府県単位を
考え、あるいはまた
全国総合開発計画に言うように
地方生活圏を
一つの
単位として
考えるというように、すべてにわたりましてそこの
受け皿というものは、
中央集権は排除しなければいかぬけれ
ども、
受け皿というものをどうするかというところについてはまだまだ論議が進んでいないのが
現状じゃないかと私は思うのです。
ですから、
そこらあたりにつきましても一体どうあるべきかの、少なくとも
審議会というようなものがなければならない、
考える
機関というものをつくらなければならない、こう思うのですが、いかがでございます。