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1992-05-28 第123回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月二十八日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 村田敬次郎君    理事 粕谷  茂君 理事 谷川 和穗君    理事 二階 俊博君 理事 西田  司君    理事 山口 鶴男君 理事 渡辺 嘉藏君    理事 鳥居 一雄君       佐藤謙一郎君    塩谷  立君       谷  洋一君    浜野  剛君       原田昇左右君    増子 輝彦君       五十嵐広三君    井上 普方君       渋谷  修君    平田 米男君       金子 満広君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       加藤 紘一君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 東家 嘉幸君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  荒田  健君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       伊藤 博行君         国土庁長官官房         長       藤原 良一君         国土庁計画・調         整局長     田中 章介君         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         国土庁大都市圏         整備局長    西谷  剛君         国土庁地方振興         局長      小島 重喜君         国土庁防災局長 鹿島 尚武君  委員外出席者         国会等移転に         関する特別委員         会調査室長   杉本 康人君     ————————————— 委員の異動 五月二十八日  辞任         補欠選任   杉浦 正健君     増子 輝彦君   高橋 一郎君     佐藤謙一郎君 同日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     高橋 一郎君   増子 輝彦君     杉浦 正健君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国会等移転に関する件      —————・—————
  2. 村田敬次郎

    ○村田委員長 これより会議を開きます。  国会等移転に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上(普)委員 官房長官がお見えになっておりますので、少しく質問をいたしたいと思います。  国会移転するということは、先国会におきまして決議したところであります。このたびいろいろの、「首都機能移転問題に関する懇談会中間とりまとめ」ができ上がるし、また、総理大臣の相談役というのですか、七人委員会なんというのも大体結論が出かかっておるように承っております。国会におきましても、先般来いろいろお話がございましたが、趨勢としては、四海波が静かならば、首都機能移転基本法的な問題を法案としてひとつこの国会決議しようではないかといろ動きになっておるやに承っておるのであります。  そこで、まず官房長官にお伺いいたしたいのは、この国会におきましてそのような基本法が成立いたしますと、内閣としてはまず何をやるということをお考えになるのか、手順をひとつお伺いしたいのであります。  といいますのは、今まで私ども学園都市等々をつくってまいりましたが、どうも成果が上がらない。これはどうしてかというと、私はいつも言うのですが、役人環境整備ができていないがためにずるずるずるずると引き延ばされて、今日に至っても筑波学園都市はまだ所期の目的を達していないのが現状でありますのでございますので、内閣としては国会決議を受けて直ちに何をなさるおつもりであるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  4. 加藤紘一

    加藤国務大臣 首都機能移転に関する立法につきましては、今立法府の方で御議論いただいておるわけでございますが、この首都機能等移転の問題は非常に大きな問題でございまして、したがって、政党間でいろいろ話し合われた上、まずその必要性についての認識に関する立法をされる、それによってこの問題をより具体的に考えていかなければならないという国民的な合意ができていくという段取りになるだろうと私たちは思っておりまして、立法府のその御努力に対して、非常に有意義なことだと我々は考えております。  そうした場合に、行政府の方では、それに合わせて一体どういうことをするのかというようなことにつきましては、現在、議員立法内容等を見ながら、その後また検討させていただきたいと考えております。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 私は、今お話を承って納得できません。といいますのは、もはや、この首都機能移転しなければならないというのは、各党の大体の意向、まあ反対するのは共産党の諸君でありますが、これは合意ができておる。国民的にどういうように合意を得るかなんというような時期はもう過ぎておると私どもは思っておるのであります。その上に立って、この基本法をつくろうではないかという合意が今できつつある。恐らく、波静かであるならば、できるのじゃなかろうかと私は思いますが、しかし、先ほども申しましたように、行政府としてこれからどういう手順でやっていくかというようなことを検討するというのであれば、いつまでたってもなかなか具体案が出てこないと私は思うのです。先ほども話がございましたが、首都機能移転問題を考え有識者会議内閣直属で、総理大臣諮問機関としてつくっている。これに対して、これからどういうようにするか検討するというようなことでは遅過ぎるのではないか、立法府考え方行政府としては忠実に実行できないのではないかと私は思いますが、いかがでございます。この点が一点。  もう一つ官房長官が今おっしゃいましたように、これは歴史的な事柄であります。その光栄を宮澤内閣に与えようとするのです。ありがたく承って、そして拳々服膺して、これを実行に移すというのは当然のことじゃありませんか。にもかかわらず、人ごどのようにお考えになるとするならば、まさしく宮澤内閣の存在それ自体を私は疑うのであります。  かつて、あなた方の大先輩の大平さんは、内閣立法を進めるに当たりまして、自民党の政策を進めるに当たりまして、野党の考え方社会党の考え方というものをシンクタンクに入れながら、時期を待ちつつ実は実行していったのだというお話があって、うん、うまいことを言ったものじゃなと思っておったのであります。  しかし、この首都移転という問題につきましては、シンクタンクとして、これは昭和五十一年以来、有志の議員の間で研究を重ね、もはや、ここまで来れば首都移転をする以外に道はないじゃないかという考え方になってまいった、一刻も早くという考え方に立っておると私は思います。こういうような考え方に立つならば、内閣としては、しかも首都移転を発議するというような非常に歴史的な光栄に浴する宮澤内閣なんだから、ともかく何らかの具体案を持ってしかるべきだと思うのだが、内閣官房長官はいかがお考えになりますか、この点をひとつお伺いしたいのです。
  6. 加藤紘一

    加藤国務大臣 政府の方が首都機能移転問題について何もしていないのではないか、議員立法が出たら国民コンセンサスの動向を見てそれから考えるということでは手おくれになるのではないか、いかなることか、顔が見えないではないか、こういうことの御指摘のようでございますけれども先生先ほど質問の中でおっしゃいましたように、政府の方も、国会決議等を受けまして、その後、漫然と日を送っているわけではない、かなり強い問題意識を持ってこの問題に対処していることはお聞きいただいていると思います。  その第一は、国土庁の中にございます首都機能移転問題に関する懇談会というのをつくっておりますし、また、総理大臣のもとには首都機能移転問題を考え有識者会議というのをやっておりまして、平成二年十二月から現在までに約十回の会議をいたしております。この会議におきましては、首都機能移転につきまして、かつてこの委員会でも討議されましたような、本当遷都なのか、重都なのか、機能分都なのか、いろいろな観点からの専門的な討議がされておりまして、知識と分析の蓄積は今までのところかなりのものであろう、こう考えております。それと国会の方の動きとを合わせましてこの問題を考えていくという手順になっておりますことは、先生も御承知いただいていると思いますが、その努力を今後とも続けてまいりたいと思っております。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 強い問題意識をお持ちになっているとおっしゃいましたが、実はこれは全部懇談会なんですな。首都機能移転問題に関する懇談会というのが国土庁にありますけれども、すべて懇談会なんですよ。あるいはまた、内閣におきましても、内閣直属平岩懇談会ですか、これまた懇談会なんです。だから、少なくとも国会がそういうような動きをするならば、直ちに機敏に何らかの、諮問委員会をつくるぞというのはどうも私は余り好きじゃないのだけれども、直ちに問題点を研究する委員会を正式のものをつくって、そして問題点ほどこにあるんだという、移転の手続等々につきいろいろと法的に整備しなきゃいかぬ問題があると私は思う。それらを具体的に挙げながら、国会議員と相談しながらやっていく手順というものが必要なんじゃないかと私は思う。こういうような覚悟がなくして、ただただ、強い問題意識を持っていますなんというような考え方行政府がおられるならば、首都移転というのはなかなか難しいだろうと思うのですが、いかがでございますか。国会の意思を受けて強い決意で進めることでなければならない。  京都から東京遷都が行われた際に、これは最初大久保利通は、大阪にというような意向もあった。しかし、これはどうも国内を治めるには東京に移すのがいいのじゃないかというので、明治天皇が東京に行幸せられてしばらくこちらの方におられた。しかし、京都の方はどうしても辛抱できない、国を中心として、すなわち役人中心として、帰ってくれ、帰ってくれというような話があって一度お帰りになって、三百万円、ともかく当時の京都府に金を置いてそしてまた東京へ出てこられて、ようやく東京皇居を移しておるのだけれども、しかも、これも皇居を移すということじゃなしに離宮というような考え方でごまかしながら実はやったんだ。  ここらあたり考えるならば、立法府もあるいはまた行政府も、よほど強い決意を持ってやらなければ首都移転なんというものはできないものだと私は思うのです。そういう観点に立つならば、今、国会において大体コンセンサスを既に得ておる、このコンセンサスを強力に進めるのは何と申しましても行政府でなければならぬと思うのですが、行政府は、遷都を発議するというような光栄に浴する宮澤内閣の番頭さんがどうもしっかりせぬようなお話だからお伺いしているのです。どうでございます。
  8. 加藤紘一

    加藤国務大臣 宮澤内閣としましてはどういう政策を推進するのかとよく言われます。宮澤喜一氏が総裁選挙に立候補いたしましたときに、国際貢献ということと、それから生活大国ということを言いました。国際貢献という意味には、資金的な貢献だけでなく人的な貢献それから技術力による貢献等いろいろしなければならぬと思いますので、PKO法案についてはぜひ御理解をいただきたい、こう思っております。  もう一つ生活大国の方は、その問題をいろいろ考えてまいりますと、どうしても最終的に一極集中状況の中では本当に豊かな国民生活ができないのではないかという問題に逢着いたします。その意味首都機能移転の問題というのは、井上議員指摘のとおり、内閣にとりましても重要な問題であると位置づけております。しかし、これは強力なリーダーシップが必要であると同時に、国民の間にもその必要性について強いコンセンサスがなければ行政府だけでやり切れるものではない、こう思っております。  その意味で、立法府がこのたびそういうある種の第一歩としての基本法を制定される動きにあるということは、そのコンセンサスづくりに大きく進むものであろうと思っておりますし、それに我々も、行政府の方もペースを合わせながら、問題提起国民の中にしながら、この問題についての考えをだんだ固めていかなければならないのではないかと思っております。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 どうも私の話とずれがあって、波長が合わないんだな。しかし、生活大国をつくり上げるというお話は、私は承っておる。宮澤さんの麗しき国日本をつくるとかなんとかいう本、これは私はこの間、予算委員会でお伺いしたんだけれども、あれを読んでみると、美しき日本をつくるんだ、こういうことでいろいろ書いてある。しかし、これは我が国というものをここで振り返ってみる必要がある。なぜ一極集中が行われたのか。  これは、私はいつも言っているんだが、戦後、戦争によって廃墟と化した都市、その中で日本人が、そのときの人口は大体八千五百万でしょう、それらの八千五百万の人たちが食っていくためには、実は郷土を捨て人口移動が行われたのです。少なくとも二百年、三百年住み続けた土地を離れた人口移動が、全人口の少なくとも三分の二は人口移動が行われた。その結果、今日の繁栄もある反面、社会的な摩擦というものも非常に起こってきている。これらの問題が生活大国を叫ばなければならない状況になってきておるのではないだろうか、私にはそう思われる。アメリカのように非常に浅い歴史を持っ国でございましたならば、人口移動なんというものはまことに簡単にできる。しかしながら、農耕民族として日本民族は少なくとも三百年くらいは同じ土地で、加藤さんも先祖は山形にお住みだったのだからおわかりだろうと思うのだが、住んでおったのが、この戦後四十数年のうちに全人口の四分の三近い人たちが移動した。それが日本の今の社会の諸問題もつくり出しておるし、福祉の問題一つとりましても、老人問題一つとりましても、核家族の分散、憲法との関係もございましょう、しかしいずれにしてもそういうような人口移動が起こったがために、過去の基盤というものが捨てられてきて今日の繁栄があると私は思う。  したがって、我々政治に携わる者としてやらなきゃならない問題点はそこからたくさん派生じてきておると私は思う。しかし、それに対する適切なる施策がなかったがために今日の一極集中というような、一極集中東京だけじゃありませんよ、地方都市においても一極集中が行われているのです。ですから、そういうような問題、政策を打ち立てるときに土地問題、地価問題というものに余りにも頭が回らなくて、派手なことばかりしようとしたがために地価問題などというのが起こって、今日、勤労者皆さん方住宅にも困るというような原因もここにつくったと私は思うのです。  これはともかくといたしまして、今問題意識をともかくぎっしりと根底から考える必要があるのじゃないだろうか。そういうような大きな転換期に立っておる日本でございます、これは国際的な問題は抜きにして。かなり豊かになったといいますけれども、やはり国民は、勤労者は家を持つこともできないというようなアンバランスが今ある。これをいかにして均等化さすかということが一番大事なことで、それにはやはり、一番住みにくいところをつくったのは東京である、あるいは三大都市圏である、あるいは小さく言えば首都圏、各県各県の都市であるということが言えるのじゃないか。だから、いつも総合計画というと、均衡ある国土発展ということをどれもこれも書かざるを得ないことになってきている。それは何かというと、やはり一番大きなのは、人口移動をせざるを得ないような政策を今まで打ち立ててきたからにほかならぬと思うのです。  ですから、このたびのこの首都機能移転といいますか首都移転ということを考えますときに、それを中心にして一体どうすればスムーズに、しかも均衡ある国土発展ができるかということを考えなければならないと思うのです。  そうなってくると、今までの政治の弊害というものを考えてみなければいかぬ。それは何だといえば、一つは、やはり中央集権的な今の行政組織のあり方でしょう。これはもう直接に内閣に、行政府にかかわりますので、ここらの考え方を一体どうするのか。しからば、我々が考え地方自治体に対する権限移譲、すなわち分権という考え方はやらざるを得ないのじゃないだろうか。しかし、分権といいましても受け皿として、七人委員会の中のある人は道州制を考え、ある人は今の府県単位考え、あるいはまた全国総合開発計画に言うように地方生活圏一つ単位として考えるというように、すべてにわたりましてそこの受け皿というものは、中央集権は排除しなければいかぬけれども受け皿というものをどうするかというところについてはまだまだ論議が進んでいないのが現状じゃないかと私は思うのです。  ですから、そこらあたりにつきましても一体どうあるべきかの、少なくとも審議会というようなものがなければならない、考え機関というものをつくらなければならない、こう思うのですが、いかがでございます。
  10. 加藤紘一

    加藤国務大臣 幾つかの問題点を同時に御提起いただいたと思っております。  井上先生が、日本社会歴史を分析されながら人口移動について論議され、そして特に一人の人間が自分の住んでいる場所となりわいを離れて、そして他の都市、他の職業に移動した場合にそこに摩擦が生じるのではないかという点は、確かにおっしゃるとおりであろうと思います。また、戦後五十年の日本社会はそれを急速な形でやりましたから、恐らくかつての自分たちの住んでいた地域社会生活の仕方、伝統というものを持ちながら、例えば東京生活した場合には、その昔の意識等の関連から、十分に東京生活をそれでいいと思い切れない日本人が多い。  例えば、日本人であるならば、集合住宅、マンションの中で終わるのではなくて、どうしてもある種の戸建てを欲しいと思ったりしたりするのも、その辺の意識の流れが続いているからじゃないかと思いますが、いずれにしましても、日本人全員本当自分の希望に合った快適な生活をするというためには、首都機能移転等も含めて、この東京集中問題を何とか是正しなければならないというところは大きなことだと思います。  そこで、お聞きいたしますところによりますと、議員提案の中には、政府においても正式な諮問機関をつくるようにという御意見も含まれる見通しであるというようなこともお聞きいたしておりますので、単なる私的な懇談会ではなくて、もっと格を上げた協議の機関政府の中で設けるようにという先ほどの御指摘につきましては、法律が通った段階で我々も十分検討させていただきたい、こう思っております。  それから、分権の問題はやはり二十一世紀に向けての重要な問題であると思っております。受け皿がどこになるのかというのは、いろいろな議論もございますけれども、今の行革審の中で地方分権の問題が大変討議されておりますけれども中央官庁としては、分権というのはなかなか欲しないところであり、また抵抗があるところであろうと思いますけれども行革審の答申を受けて、私たちは、いろいろな障害があっても、地方への権限移譲ということについては前向きに考えていかなければならないことだと思っております。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 加藤さん、最初の問題ですけれども、私は、生活大国をつくるのに一体今のままでいいのかということを申しているんですよ。今、生活大国をつくる、この間もちょっと言いましたけれども、まだまだ社会資本投資が必要である。アメリカが、ともかく四百三十兆円の公共事業をやれや言って、はいはい言うようなだらしないことでは困るのだけれども、また主権が侵害されるようなことでは困るのだけれども、私は、生活大国を実現するにはどうすればいいかということは、宮澤さんの御本で見た限りでは、まだまだ本当のものになっていないなと実は感じておる一人であります。  それは別にいたしまして、きょうはあなたの時間がございませんので、申し上げたいのは、真剣になってほしい。国会が、この首都機能移転をしなければもたぬぞ、もたない世の中になっているのだから、一極集中というのは東京だけじゃない、三大都市圏もそうです、地方に行ったら府県庁のあるところ、これももたなくなってきている、ここら辺を直さなければ生活大国をつくり上げることはできないのじゃないかという気が私はいたしておるのであります。  それはともかくとして、東京一極集中を排除させるということも一つの方法として、まず隗より始めよで、首都機能移転ということを国会の大多数、ほとんどの、これは反対しているのは共産党だけなんだから、大体コンセンサスは得ておるのです。ですから、ここらあたり行政府としては決意を持ってしてほしいと思うのであります。  それから、もう一つ申し上げたいのは、我々は、一体いつまでにこれをやるか、移転を開始するかということも考えなければならない時期に来ている。少なくとも、まず動くのは国会になるが、国会を移すのは、私どもは、あと十年ないし十五年後には国会は移るぐらいの決意でなかったらならぬのではないだろうか。そうすると、中心的な行政府もまたそのときには移らなければならないのではないだろうか。こうなってくるというと、山口さんが先ほどから盛んにおっしゃっておられるのだけれども総理官邸改築なんというのも、これは無用の長物ではないかな、二重投資になるのではないかなという考え方もできてくるわけでありますが、ここらあたりはどう考えておられるのか。もし今度基本法ができるのならば、事務的に一体どれぐらい時間があればできるのか、ひとつお伺いすると同時に、総理官邸の改修問題といいますか、何というのですか、新築問題との関係はどういうふうに考えればいいのか。そんなことで首都移転国民コンセンサスが得られるのかどうか、ここらあたりをどう考えるのか、お伺いいたしたいのです。
  12. 加藤紘一

    加藤国務大臣 将来国会等移転することを論議しているときに、首相官邸改築するということは逆行するではないかという御指摘でございますけれども、実は総理大臣官邸というのは非常に古くなっておりまして、そして現実的にも、仮に大地震があってそこで指揮権をとろうとしましても、多分すべての面で機能しない形になっているだろうと思います。そういう形では大混乱になりますので、通信等の問題も含めて早急に建てかえをしなければならないという極めて短期の緊急の問題として私たちは受け取っておりますし、そのつもりでこの改築に取り組んでおるところでございます。  では、国会移転の問題をどう考えるか、いつ国会移転を決定するのか、それには何年ぐらいかかるのかという御指摘でございますけれども、いつ国会移転するかということは国会がもちろんお決めになることでございまして、我々立法府の方から、何年に国会移転し、何年以内にそれをやり遂げてくださいと言うことは僭越なことでございますので、それは申し上げません。ただ、いつどこでどういう方針でどこの場所国会移転になるという御決定があった場合には、立法府の方はそれに伴っていろいろ建物の話、それに伴って行政府の方では、それに対してどのような建物をどのような時期につくらなければならぬか、また、行政府のどの部門がいつどこでその国会移転に伴って移動していかなければならないか、早急に決めなければならぬ段取りになるだろうと思います。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 私ども国会移転の大きな動機一つは、東京地震が起こった場合には一体機能はどうなるのだ、そのためにもひとつ早く移ろうではないかというのが一つ動機であることは間違いない。しかし、今はともかく、あなたのお話によると、ここ二、三年のうちに震災が起こって、そのときには総理官邸機能が動かぬから早いことやるのだというのでは、私どももそう思っておるから、早いこと国会を、行政府移転させなければいかぬと思っている。私どもは、今度決議しようとするのは首都機能移転であって、まさに遷都なのです。国会移転じゃないのです。人ごどのように言われては困る。こういうようなことを考えていくならば、どうも行政府の方は余りこれに対して関心をお示しになっていない。首都移転宮澤内閣のときに決めたのだ、こういう宮澤内閣に与えてあげようと思う親切心はどうも通用しないようですな、これは。  ですから、もう退席していただいてよろしゅうございますが、我々としては不退転の決意で、日本をどうするかということのために、単に一極集中というような考え方でなくてやっていきたい、こう考えておるのであります。  恐らく他の政党の諸君もほとんどそれだろうと思います。このことをひとつ十分頭に置かれながら行政府の対応を、国会が移ったから省庁はいつごろ移ったらいいかというような考え方でおられたのでは困る。今度のは首都機能移転ですよ、我々の国会考え方は。そういうことをひとつ十分御認識の上で、今後行政府としての対応を速やかにやっていただきたいことを強く要求いたしたいと存ずるのですが、どうでございますか。
  14. 加藤紘一

    加藤国務大臣 首都の中の一番大きな機能立法府であろうと思います。その立法府が今後どうなさるかという問題と、そして首都の中でまた大きな機能を果たしているのが行政府であります。その行政府が今後どういった動きをするか、これは車の両輪として考えながら首都機能移転全体の問題を進めていかなければならないことだと思います。立法府動きと綿密に連携をとりながら、ペースを合わせながら政府の方でもこの問題を真剣に考えていきたいと思います。
  15. 井上普方

    井上(普)委員 もう時間のようでございますから、どうぞよろしゅうございますが、ともかく内閣の、行政府考え方というのは、これは総理大臣を呼んで話をしなければだめだな、実はこう思います。そういう機会を委員長、つくられるように強く要求いたしたいと存じます。  私の時間はもうありませんから、国土庁長官、今までの話の中で、ともかく行政府の方は余り熱心じゃないなという印象を私は持たざるを得ないのが一つ。  もう一つは、それに伴ってどうしてもやらなければならないのは、地方分権の問題であります。これは行革審において論議せられておると言いますけれども受け皿をどうするかというような、大きさについては何ら論議が行われていないのは御承知のとおりであります。ここらの問題について、国土庁長官としてはどういうようにお考えになるか、この点明らかにしていただきたいと存じます。
  16. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 首都機能移転問題については、先ほどから御意見もございましたが、このこととあわせ、今後の進め方について若干触れさせていただきますが、その前に、平成二年十一月に国会等移転に関する決議がなされました。  私の主催する懇談会等において今日まで鋭意検討いただき、そして二月二十六日に中間取りまとめをさせていただいたわけでございますが、この問題については、とにかく国民合意形成ということを今検討の中でよく言われているわけでございますが、しかし今日の段階では、一歩踏み込んで具体的な審議をしていただかなければ、国民合意形成といえども、内容について国民合意形成の方向で、皆さん方の判断が既にもう必要な段階に来ているのではないだろうかというふうに考えております。  なおまた、あわせて、地方への権限移譲の規制緩和の重要な問題等が課題として今日ございます。したがって、行革審地方制度調査会等における検討結果と十分に連携を図りながら、今後ともこの問題は、あわせて検討していく課題だというふうに私は認識をいたしております。
  17. 井上普方

    井上(普)委員 私は、問題点を投げかける意味において、特に首都機能移転というときに、地方分権といいますか、中央の権限をいかにスリム化するかということを考えなければならない。そしてまた、受け皿を、現状の行政機関でいいのか、あるいは全国総合開発計画が言うところの生活圏構想を一つの範囲にするのか、あるいは一部の審議会の方々が言われておるように道州制にするのがいいのか、これこそまだ論議されていない最大の問題じゃないか、このように考えるのであります。ここらあたり内閣としても、また国土庁としても考えなければならない問題じゃないかと思いますと同時に、一番重要なことは、国会などの移転を一体いつまでに完了させるのだという時期の問題までも入ってこなければならないと思うのです。今も官房長官に言いますと、地震、災害が起こった場合に指揮権を発動することができないというようなことを申しておりますが、一刻も早く国会などの移転の時期なども明らかにしなければならないのではないか、このように思うのであります。  首都機能移転につきましては、国会において早急に決議し、基本法的な性格のものをつくり上げて速やかにやることが国家百年の大計をつくるゆえんであるということを強く私は主張いたしまして、質問を終わりたいと存じます。
  18. 村田敬次郎

    ○村田委員長 五十嵐広三君。
  19. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 首都機能移転そのものには基本的に賛成であるという考え方をまず申し上げておきたいと思います。しかし、その移転を前提にして考えました折にも、幾つもの大変重大な問題点を持っているというふうに思いますので、きょうは細部の点には触れずに基本的な考え方等についてお聞き申し上げたい、こういうように思います。余り時間がありませんので、簡潔にそれぞれお答えをいただければありがたいと思います。  まず一つは、首都機能移転の意思決定といいますか、これにかかわる問題であります。  最初にお聞きしたいのは、首都機能というのは一体どういうことを示すのか。懇談会では一応の定義、説明のようなものがあるようでありますが、簡単にお答えいただきたいと思います。
  20. 西谷剛

    ○西谷政府委員 首都機能という言葉についての御質問でございます。  首都とか首都機能という言葉は、実は現在、法律上の言葉ではございません。法律の中にその定義があるというものではございません。そうなってきますと、いわゆる一段用語として用いられているということで、一般に首都なり首都機能とはどういうことかということであれば、いろいろな辞書等から見ますと、首都というのは中央政府のある場所あるいは国家の統治機関がある場所首都機能とは国家の統治機関、こういうような解説がなされているわけでございます。  そこで、先ほども御指摘がございましたが、国土庁懇談会の方では、首都機能とは、立法、司法、行政のうち中枢的なもの、つまり全国を統括する機能を言うんだ、こういう一応の定義をしております。それが妥当なところではないかと考えております。
  21. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そうですね。懇談会では「考え方の前提」として書いてありますが、「「首都機能」は、立法府・司法府・行政府のうち、全国を統括する機能である。」こういうぐあいに定義づけているわけですね。  そこでお伺いしますが、立法府の意思というのは、この前、国会決議もされて明らかにされているわけでありますが、行政府の意思はどういうぐあいに確認されているのか。閣議で決定されているような経過があるのか。今も官房長官の意見をいろいろ聞きますと、どうもよくわからない。行政府の意思としてはまだ決まっていないと受けとめてよろしいのですか。
  22. 伊藤博行

    ○伊藤(博)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど官房長官からも、国土庁における懇談会、あるいは総理のもとでの有識者会議等が設置されまして、この問題についていろいろ検討しておるということを御答弁申し上げました。  今の先生の御質問は、そういう事実上行っていることとは別個に、政府としてどういう法的といいましょうか正式なあれがあるかという点でございますけれども、例えば四全総とか、そういういわゆる政府決定ベースの中でこういった問題が検討課題という言い方で行われているのは、先生御案内のとおりでございます。したがいまして、極めて形式論的に移転のための閣議決定がなされているかという意味では、まだなされていないというのが現状がと思います。
  23. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そこで、その次に、司法府の意思決定は一体どうなっているか。三権ですから、最高裁等司法府としては移転の方針は決めているのか、一体どうなっているのか。
  24. 伊藤博行

    ○伊藤(博)政府委員 私の承知する限りでは、そういう決定はされていないと思います。
  25. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そうしますと、今首都機能移転をしていこう、首都機能というのは三権の中枢である、しかし、そのうちの一権、つまり立法府国会決議をしているが、行政府や司法府は意思決定をしていない、こういう現状にあることを一つ確認しておきたいと思うのです。  私は、この委員会でこの間から本当に一生懸命勉強会をしたりなんなりしているのですけれども、何だかうちの方だけ一生懸命やっていて、ほかの二権はどうなっているのだろうという感じがするのです。さっきの官房長官の答弁を聞きましても、立法府がまずやってくれというようなことばかり言っている。しかし、それは首都機能移転ということから言うとおかしい。  三権のトップの協議などは予定されていますか。
  26. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 今日まで懇談会、なおまた有識者会議等において、特に先般は合同会議をいたしました折にも、総理は、首都移転についての重要性にかんがみ、積極的にこの問題を推進してほしいということの意見を表明しているわけでございます。やはりそういう懇談会、有識者の皆さん方の意見を踏まえ、立法府において今後この問題については鋭意検討していただきたいということで、政府も、また立法府も一体となって今後推進していく必要があろうというふうに私は考えております。
  27. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それは、改めて言うまでもありませんが、答えになっておりませんのでその点だけ申し上げておきますが、三権のトップ会談のようなものは、当然首都機能移転ということになれば、これはもうその前提としてそういう意思統一というのは必要なことになるわけですから、それぞれの残った二権の意思決定、あるいはそれに至る前のトップ会談でもその後でも結構でありますが、そういう首都機能を構成する三権のそれぞれの意思確定を、合意確定をひとつ早くすべきではないか、こういうぐあいに思います。  そこで、それに関係する、それの一つの前段のようなものなんでしょうが、いろいろ懇談会等が御苦労いただいておるわけですが、首都機能移転問題に関する懇談会、これの「中間とりまとめ」が二月二十六日に報告された。今のところその種のもので我々が勉強し、確たるものとして議論するのはそれぐらいなものなのでありますが、これの最終報告は大体いつ出る予定ですか。
  28. 西谷剛

    ○西谷政府委員 六月末には最終報告を出していただくようお願いしたいと考えております。
  29. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 わかりました。六月末ですね。  それから、総理の諮問機関である、先ほどお話に出ていた首都機能移転問題を考え有識者会議、これは一体どうなっているのか、この審議過程、二回ほど審議しているようですがね。大ざっぱに言って、その審議過程と今後の審議の予定、それから中間答申といいますか、あるいはそれ抜きで最終答申になるのか知りませんが、そういう答申の予定はどうなっているか。
  30. 伊藤博行

    ○伊藤(博)政府委員 いわゆる有識者会議につきましては、これまでスタート以来、十回会合を開いております。内容的には、メンバーの委員先生方は、国土庁に置かれております懇談会のメンバーは国土政策等の専門家を比較的多く含んでおりますのに対しまして、こちらの方の会合は六人、総理を入れて七人ということになりますけれども国土政策だけではなくて、もう少し違った観点で自由濶達な御議論をいただくという趣旨でそもそもスタートしております。  その有識者会議と、それから国土庁懇談会とも事実上はそちら、そちらといいますのは国土庁懇談会での御議論も随時お聞きしながら、それも素材にしてまたいろいろコメントしていただく、あるいは意見を述べていただくという格好で、両者フィードバックしながらというのが実際の運用でございます。  取りまとめをどうするかという点につきましては、現時点ではどういうふうにするかというのを決めておりませんけれども国土庁の方の作業も随時承知しておりますので、そういう議論を踏まえながら、委員先生方がどうお考えになるのか。いずれにいたしましても、メンバー構成等から見て国土庁懇談会とはちょっとその性格が違う。むしろ自由にいろいろなコメントを出していただくという方が大きなねらいになっておるという点は御理解いただけるかと思います。
  31. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 つまり有識者会議の方は——ごめんなさい、二回と間違って言いましたが、しかし、きのうおたくの方から呼んでお聞きしましたときはそういう話だったものだから、私はそれを言ったんですがね。熱心に御審議をいただいている。しかし、今のところ答申等の予定は立っていないわけですね。まだまだ熱心に御審議になるのでしょう。  そうしますと、今我々が、立法府でも基本法的な意思決定をしようではないか、みんなそんな気分になっているわけですね。しかし、懇談会の最終答申は六月の末だそうだ、下旬だそうだ。それから有識者会議はまだいつ答申があるか、中間報告の見通しも立たない。今国会は六月二十一日で終わるわけですよ。これは私はどうも、前段の三権のうちの二権というのもあるし、今の懇談会あるいは有識者会議もそうだけれども、どうも懇談会等で言うように、緊急性のある課題という位置づけをしながら、事実上それにかかわる諸機関が熱心でない。熱心でないというのは言い過ぎかもしれないが、タイミングが合わない。これはやはりうまくないですよ。そう思いませんか。長官、どうですか。
  32. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先般、懇談会の中間報告のことについても有識者会議皆さん方の方に報告し、そしてその中身について有識者の皆さんの方からもいろいろな御意見が出ました。総論としては、とにかく早急にこの移転問題に取り組むべきであるということに意見は一致しているわけでございますから、その総論としての意見を踏まえて立法府の方で早急に具体的な審議に入っていただきますならば、私どももその時期等についてはよく協議しながら、今お尋ねのようなことで審議の時期等について、私たちが六月末にまとまります意見等も踏まえて、私どもの方からも御審議のほどをお願いするような方向で進めていくべきだと私は思っております。
  33. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 大臣、やはり今大事なところでみんな呼吸をそろえてこの歴史的な事業に立ち向かおうとしているわけですよ。我々はこの問題の重要性をよく認識していますし、やはり推進したいと思っているんですよ。しかし、全体の状況はそうでないじゃないですか。これはやはりうまくないですよ。これは委員長本当に一生懸命御努力いただいているのですが、本当立法府だけが先行するだけではうまくないですから、そこのところはやはり十分に足並みをそろえてもらわなければ、することもできないということにもなってきますので、その点を特に、非常な懸念があるということを申し上げておかなければならぬと思います。  それから行革審なんですが、行革審はかつてこれに触れた答申もある。これは昭和六十三年五月三十日、地価等土地対策に関する答申の中で言っているんですね。その中で「首都機能都市・産業機能等の分散」についての項を起こして次のように言っているのです。「政府は、行政機能の分散に積極的に取り組むとともに、いわゆる遷都問題についても検討を進める必要がある。立法府及び司法府においても、その機関移転について積極的検討がなされることを期待したい。」こう触れたところもあるのです。殊に、これに関連する分権等の問題については、行革審ではずっと一貫して審議を進めているということも改めて言うまでもないことなんでありますが、国会決議にもありますように、この首都機能移転というのは二十一世紀を目指して我が国の政治、行政の大きな一つの飛躍といいますか、そういうものにしていこうと考えているのでありますから、それはハード面の移転ももとより中心でありますが、しかし、ソフト面の全体の近代的な行政のあり方についてこの機会にどう考えるか、そういうようなことも同時に非常に大切なことであることは言うまでもないわけで、そう考えますと、私は、行革審がこの問題について改めて十分な議論をするのが当然である、こう思うんですよ。それで、この問来、若干行革審のメンバーの方などと接触する機会もあったのでありますが、やはりそういうお気持ちもあるようですね。ここのところは一体どういうぐあいに政府止してはお考えになっておられるのですか。
  34. 伊藤博行

    ○伊藤(博)政府委員 ただいま御指摘になりました検討の必要性という点は、行革審だけではなくて、先ほどもちょっと例に申し上げましたけれども、四全総その他でもいろいろ認識されておる事柄だと思います。と同時に、この問題の奥行きといいましょうかあるいは幅といいましょうか、非常に多面にわたっておるということで、いろいろな側面から議論しなきゃならない。先ほど来御答弁申し上げておりますように、国土庁におきまして、いわばかなり各論的に議論を詰める格好で懇談会の場で議論していただいてきておる。しかし、そこでの議論でもなお足りない部分がいろいろあるじゃないかという御指摘もございます。先生が御指摘になっておられますいわば権限の問題等もあるいはその一つかと思いますけれども、その問題につきましても、その後、現在やっております行革審でもその問題をかなり大きなテーマの一つとしてやっております。  それから、先ほど御議論がございました地方自治体のあり方につきましても地方制度調査会で議論されているということで、政府の舞台はいろいろ分かれておりますけれども、それぞれいろいろな問題意識を持って御議論されている。首都を移転するという問題のときには、いろいろなところで議論されておりますのを集大成しながら、一歩一歩前へ進めていく必要があるのじゃないかという認識でおります。そういう意味で、私どもは、検討という宿題に対して、いろいろな舞台でいろいろ勉強しておるということは御理解をいただきたいと思います。
  35. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかし、その行革審でももちろんそういう御認識はそれぞれ持っているのですが、やはりきちんとした首都移転というものを課題にして、この機会にどうするというような検討と提案というのはないわけですね、今日。あるいは今ちょうど地方制度調査会について触れられたが、地方制度調査会なんというのは、まさにこの機会に全体的な国と地方の事務分担をどうするかというようなことは重要な課題と認識しておられると思いますが、ここでもそういう今の首都機能移転というものにかかわりながらこの問題を審議し提案する、答申する、これも総理の諮問機関ですから、そういうようなところには至っていないわけですね。これらについても、やはりお話しのように積極的にそれぞれ論議を進めていただきたい。それで、全体が集大成してこの歴史的な大事業が進んでいくように、そういう舞台回しを、これはぜひお願いを申し上げておきたいと思うのです。  そういうこととあわせて国民合意形成、これは先ほどお話にも出ているわけですが、この懇談会の「中間とりまとめ」の中でも「今後は、首都機能移転に対する国民意識との関係が最重要課題であり、経済界、労働界、消費者団体等からの意見聴取、討論会、各種学界における研究、数次にわたる大規模なアンケート等国民意識を把握し、国民合意の形成に資する活動を積極的に行うことが必要と考えられる。」こういうように最後の章で「今後の課題」として提起しているわけですね。そのとおりだと思うのですね。しかし、どうですか大臣、国民合意形成は成熟していると御認識ですか。
  36. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先般、懇談会と有識者の皆様方との協議の中にも、今日の首都移転問題の意見の中に、行革の問題も含めて検討すべきであるという御意見が出ました。このことについては、私の今考えておりますことは、まず首都移転問題等についての法律の大枠をつくっていただき、各般各論にわたる問題についてはそれぞれの法律の中でとり行う、進める問題が幾つかあろうと思っておりますので、そうした行革も含めての御意見も十分踏まえながら、今後この首都移転問題については、先ほどから申し上げております、立法府の方でより鋭意進めていただくことが、協議の中の有識者の皆さん、懇談会の皆さん等の、やはりそうした整合性を持つ方向で今後進めていく必要があろうというふうに私は考えております。
  37. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 どうも今までの議論の経過も余り、どうなんですかね、御理解いただいてのお答えなんですかね。  先に進みますが、今の「とりまとめ」のところに書いてあったと思いますが、今後「更なる検討が必要であり、国会特別委員会、内閣有識者会議において活発な審議が行われること及び総合的、専門的かつ継続的な検討の場が設定されることを期待する。」こういうぐあいに書かれていますね。この「検討の場」のイメージをちょっとお話しをいただきたいと思うんですがね。
  38. 西谷剛

    ○西谷政府委員 「総合的」と申しますのは、やはりこれはハードウエアのプランだけではなくてソフトウエアを含めたことである。そうなりますと、国土庁あるいは国土庁の私的諮問機関、この限界を超えるということで、言うならば全省庁挙げての取り組み、そういう組織、これが要るではないか。それから専門的事項ということに関しましても相当各省庁の御協力をいただき、打って一丸となった検討をいただき、またそれぞれパート、パートの専門家、スタッフも十分集まったような組織が必要である、このような意味と理解をしております。
  39. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ちょっとよくわかりかねますが、実はついこの間、先月ですか、ある大新聞に出ている記事なんですが、懇談会は六月に最終答申をしたらばそこで解散だ、そういうことなのかもしれませんね。それもちょっとお答えいただければありがたいと思いますが、そこで、六月、適地調査に入る、「国土庁は十一日、首都移転を具体化するため、六月から移転適地の調査を実施する方針を明らかにした。」以下ずっと書いてあるんですね。いや、僕はびっくりしてこれを見たんですよ。そうなんですか。
  40. 西谷剛

    ○西谷政府委員 それは、私どもの方から申し上げたことは全くございません。適地調査移転先地という問題より先に、土地対策なり財源対策なり、詰めるべき専門的事項は多い。そうして、そういう具体的な事項について国民合意形成を図りつつ一歩一歩進む、こういう態度であろうと思います。
  41. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 あとそう時間がありませんので、そしてまた、実は本当に聞きたいと思うところに関しては、総理なり関係の大臣のおいでの折にまたぜひお願いを申し上げたいというふうに思いますので、残った時間で一点だけちょっとお聞きしたいと思います。  今度の国会等、いわゆる首都機能移転というものに至った一つの大きな理由いろいろあるのでしょうが、そのうちの直接的な重要な原因という意味からいえば、一つ東京一極集中であろう、そういうものがもたらすさまざまな現象ですね。それからもう一点は、やはり何といったって東京地震災害が来る可能性は十分にある、そのときどうなるのだというこの危機感のようなものであろうというふうに思うのです。  そのうちの前段の東京一極集中というものは、明治以来の中央集権というものがそれをもたらした重要な原因の一つというふうに思いますので、首都機能移転とあわせて、本当一極集中を排除するということになれば、地方分権を強力に進めるということもあわせてやらなければ、二十一世紀を目指しての新しい政治、行政の姿というものは出てこないだろうというふうに思われるので、そこのところを特に主張したいのでありますが、ここは、先ほど言いましたように、この次にさせていただくとして、もう一つ地震の問題について、これは国土庁の担当でありますので、その点についてお伺いをしたい。  今度の「中間とりまとめ」でも、東京地震災害が「極めて緊急性の高い課題である」という表現で書かれているわけで、懇談会としても、そこを十分に留意しながらこういうような答申を出されているのだろうというふうに思います。  ここで書かれているように、またみんな論じてきておりますように、首都機能が及ぼす地震災害による重大な影響というものを考えますと、移転の緊急性というのは本当に大切な課題だというふうに思うことについて異存はありません。しかし、その場合、東京について、各政党の中央本部と東京都の組織との関係、これは実はどの政党でもある課題であって、いろいろな難しい議論が出たりもしているのでありますが、やはり東京の住民の皆さんの理解を十分に得ながらこれは進めていかなければ、そう容易に実現できることではないというふうに思います。  もちろん、移転後の東京をどうするかというイメージ、具体的な方策というようなものも必要でありますが、同時に、地震災害が非常に心配で、それが重要な理由の一つとして、国会政府機関等の首都機能移転をするということだとすれば、一体東京圏に住む三千万住民の地震に対する生命や身体や財産の安全というものをどうするかということを一方で積極的に我々は示し、対策をとっていくことが私は非常に大事な課題だというふうに思うのです。そういう認識というものを国土庁は当然お持ちだというふうに思うのですが、これについての御意見をお聞かせください。
  42. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 昭和六十三年六月でございますが、中央防災会議地震防災対策強化地域指定専門委員会、座長が萩原尊禮先生でありますが、中間報告をお出しになりまして、東京都を含みます南関東地域におきましては、相模トラフ沿いでマグニチュード八クラスの巨大地震が発生する可能性は百年あるいは二百年先というふうにおっしゃられた一方で、この南関東地域直下におきますマグニチュード七クラスの地震の発生につきましてはある程度の切迫性があると報告をしていただいております。マグニチュード七クラスの地震と申しましても、それが南関東地域の直下で発生をするということになりますと、その上部、そして周辺におきましては大きな被害の発生が懸念されるわけでございます。国土庁といたしまして、つとにこの南関東地域の直下地震対策が非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしておることは申すまでもないわけでございます。  そこで、私ども、これまで関東大震災の経験、そしてその後の内外の地震被害の経験等を踏まえまして、大都市震災対策推進要綱あるいはまた「当面の防災対策の推進について」、そしてまた、地方公共団体がつくります地域の防災計画等に基づき、関係省庁、関係地方公共団体等挙げまして対策を講ずることとしてまいっております。  その要点を具体的に少々申し上げますと、一つは、都市防災化の推進といたしまして、都市の不燃化、公共施設や建築物の耐震性の向上、情報通信の拠点機能、ライフラインの供給ルートの多元化等を図ることでございます。  それからまた、南関東地域震災応急対策活動要領を六十三年十二月につくりましたし、また立川広域防災基地の整備等、発災後、地震発生後の広域的な応急対策活動体制の整備も図ってまいってきております。  それから第三番目に、毎年発生します地震災害に対しまして、市民も参加をしていただきました総合的な防災訓練を実施をいたしてまいっております。  それから四番目に、何よりも事前に地震を把握をするという地震予知の実用化のための観測研究を推進するというようなこと、これらを含めまして今日まで具体の対策を講じてまいったところでございます。  先生指摘のとおり、さらに私ども、南関東地域の震災対策を一層充実強化いたしますために、現在、関係省庁等こぞりまして、当面、直下の地震に備えました今後の震災対策の推進を図るために、特に事前の対策を中心にいたしまして、「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」、仮称でありますが、大綱づくりというものを現在検討を行っておるところでございます。  今後とも関係省庁一丸となりまして、地方公共団体等関係機関も一丸となって、この地域の地震対策の充実強化に向けまして全力を傾注してまいりたいというふうに考えております。
  43. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いろいろ御苦労さまです。  この前、本委員会で、地震予知連絡会の茂木会長においでいただいていろいろ御説明をいただいたわけでありますが、その中で茂木会長が、例えばこう言っているのです。  ぜひ首都圏地震予知を推進したい。これは何年も前から、首都圏地震予知なくして日本の  地震予知はないということを申しております。そのためにはかなりの費用がかかりますので、これはやはり、いろいろ貿易摩擦等ありますけれども日本には、先ほど申しましたように外国にはない地震という大きな問題があるので、いろいろ大変でしょうけれども、そういう費用をもう少し積極的に使うべきではないか、強力に推進すべきではないか。これは国家百年の計だろうと思うのです。 まあ悲痛なお話をなさっているわけです。  また、私の質問で臨海副都心についての質問があったものですからいそれにお答えになって、  臨海副都心についてお話がございましたが、私は、一方で一極集中是正と言っておりながら臨海副都心というのを考えること自体、矛盾しているのではないかというふうに思います。それで、地震に対して大丈夫であるという保証もないのではないかと思いますので、その辺は、私は非常に懸念を感じている点でございます。 こういうお話もなさっておりました。  やはりこの首都機能移転一つのかぎは東京問題、東京の都民の合意ということでもあろうというふうに思いますので、どうかこれからの詰めに当たりましては、これら国民合意のために、中でも東京都民の合意形成のための御尽力をお願い申し上げたい。  以上申し上げまして、質問を終わります。
  44. 村田敬次郎

    ○村田委員長 鳥居一雄君。
  45. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 平成二年に国会決議がなされました。首都機能移転の大前提として、国会の意思をまずはっきりと表明をしていくべきだということで、共産党を除く全会一致で国会決議がなされた。その後の時間的な経過の中で、ただいまも指摘されましたとおり、立法府はともかくとして、行政府、司法府は意思の確認ができていない、こういう状況、まことにもって残念な今日だと思うわけです。私たちの間ではかなり議論が進んでまいりました。実施法を前提といたしまして、まず基本法的な、何のために首都機能移転なのか、あるいは手順、方法、あるいはその場合に前提とすべきメルクマール、こういうのを盛り込みまして基本法をまずつくらなければならないだろう、こういう段階を迎えているわけでありますが、なお今日、さまざまな角度でハードルが高い課題が幾つもあるわけです。  国土庁長官行政府の閣僚の一員として、内閣の意思決定を明確に宣言できるような運び、まず御決意を伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  46. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 国会でも決議されましたこの移転問題でございます。その重みを踏まえて今日まで、懇談会あとは有識者会議等においてこの中身について鋭意御検討いただき、そしてまた、首都移転の重要性ということをさらに認識しているわけでございます。  そういう観点から、やはり一体となって早急に、特に今御質問の中にもございましたように、地震対策等を踏まえて考えますときには、とても今の現状では、今日の予防対策では応じ切れない大災害につながるであろうという前提等も十分勘案しながら、ぜひこの移転問題については、政府立法府一体となって取り組んでいただきたいと心から念じている次第でございます。
  47. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 行政府として意思を明確に表明するという方法に何通りかあるのだろうと思うのです。閣議で合意をきちんと決めて、そして表明をする、あるいは、先ほどもありましたが、四全総の中にちんまりと畳み込まれている。しかし、国民合意を形成するためには、はっきりとした意思表示というのがやはり大事なのだろうと思うのです。年度予算では、司法府の事務総長との接触があるわけですし、最高裁の事務総長との間で具体的な話を、どんな方法でどういうふうにしていくのか、そんなようなことの話もできるのだろうと思うのです。しかし、これも積極的に内閣として取り組むという姿勢がないと、窓口も決まらないし、だれがどういう責任を持って何をやるのか、これも決まらないのだろうと思うのです。ひとつきょうの論議を踏まえまして、内閣としてぜひ御検討いただきたいと思います。いかがでしょうか。
  48. 伊藤博行

    ○伊藤(博)政府委員 先生お話を伺っておりまして、国会での特別決議がございました後に、先ほど来話題になっております、内閣総理大臣の主催のもとでの有識者会議というのができております。これは、法形式的には私的懇談会というものでございますけれども、いわば政府のといいましょうか内閣としての気持ちとしては、国会決議を踏まえて政府としてもきちんと対応していきたいというあらわれとして一年半前にスタートしたものでございます。それと同時に、国土庁では、より具体的な方策も検討してきており、その成果が中間報告という格好で成果物になっておるわけでございますけれども、そういう意味で、先生おっしゃるように、政府の意思のあらわし方というのはいろいろな形があろうかと思います。  そのあらわし方の一つとして、これまでのところであれば、各種計画の中で検討ということをうたっているというのも一つ、それから、具体的に有識者会議国会決議を踏まえて設けたというのも一つの意思のあらわれであるというふうに御理解いただけたらと思います。  今後につきましても、国会での御審議、あるいは、立法化された暁には、それを十分念頭に置いた上での政府としての対応が必要になってくるだろうというふうに考えております。
  49. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、幾つかの懸念を実は持っているのですが、そのうちの一つが壮大な官邸建造計画です。二十一世紀にふさわしい官邸建設をするんだということで、昭和六十二年に調査費が初年度組まれて、今日まで五年経過している。この整合性は一体どうなっているのだろうか。  国会は意思を表明したけれども、どうも手間暇かかりそうだ、あるいは、これは展望の上に立つと、やはりここに官邸をつくる必要があるのではないのか、こんな判断があるのではないかと実は私なりに推測をするわけでありますが、官邸建設準備室が訓令でできた、これ以来の調査費、毎年膨大な調査費が組まれてまいりましたけれども、どんな調査がどういうふうに行われてきたのか。建設を前提にしていらっしゃるのだろうと思うのですが、これはいつ建設に着手をされようとしているのか。新官邸計画なるものの概要はどういうことなのか、ぜひ伺いたいと思うのです。
  50. 荒田健

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  総理大臣の官邸につきまして、私の方がその管理その他を担当しておりますけれども、実は、先生御承知だと思いますが、現在の総理大臣官邸は昭和四年に築造されておりまして、中央官衙地区、たくさん中央官庁のビル、もちろん国会議事堂も含めましてですけれども、ありますが、国会議事堂は昭和十一年でありますけれども、昭和四年ということで最も古いビルになっております。御承知のように非常に古くなっている、あるいは狭くなっている。  特に最近建築されている建物のように、当時、耐震設計といいますか耐震の考え方について、高度の耐震性を考慮した設計になっていないというようなこともございまして、いろいろ電線、電話あるいは給排水、ガス管、こういったものについて非常にもろくなっているというような状況下にございます。累次にわたる行革審の答申でも、内閣機能の強化ということとの関連で、現在の官邸が非常に手狭だし、古いし、一朝有事のときに本当機能するのかというようなことから、早急に建てかえろというような御提言もいただいております。  政府としましては、昭和六十二年に総理大臣の官邸の計画を立てまして、財政状況を考慮しながらではありますけれども、早急に建てかえなさいということを閣議了解してございます。自来、今先生から御指摘ございましたように、敷地調査ですとかあるいは地盤の調査ですとか、あるいは横に千代田区道が走っておりますけれども、あのS字型の区道を少しつけかえなければいけません。それから、サイエンスビルというのが官邸の西隣にありますが、あれも移転しなければいけない。そういった関係で、医道のつけかえに関する調査ですとか、あるいはサイエンスビルの移転に関する調査、こういったものをやってきておりまして、大体年間数千万の調査費でやってきております。  いつ着手がというようなお話がございましたが、そういった調査を行ってまいりまして、当方としては緊急にやらなければいけないということで、実は今年度、平成四年度に用地補償費の一部を予算に計上いたしまして、過日、サイエンスビル、これは科学技術情報センターという法人でございますが、そこと用地交渉の契約を四月に済ませたところでございます。これからいよいよ医道のつけかえ、医道のつけかえと申しましても、あの下に実は上水道の管ですとか下水道の管ですとかあるいはNTTの電話線とか、ライフラインがたくさん入っておりますが、それを、S字型のカーブの道路を真っすぐにしなければいかぬ、埋設管を一緒に移設しなければいかぬということで、かなり期間がかかると思いますけれども、当方といたしましては、そういった医道のつけかえ工事をやると同時に、急いで新官邸の規模とかあるいは構造とかあるいは求められている機能、特に危機管理機能を官邸の中にハード面でどう入れるかということも含めて、そういった機能を検討いたしまして、建設着工に向かってできるだけその作業を進めてまいりたい、こういう段階でございます。
  51. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、官邸の新営ということは、移転とのかかわりはどういうことになるのですか。二重投資という形、そういう想定があるのかないのか、このあたりはどういうふうに考えているのですか。それから、着工の意思決定というのはいろいろな条件が必要なんだろうと思うんですね。これはどういうことを考えていらっしゃるのか、ぜひ伺いたいと思うのです。
  52. 荒田健

    ○荒田政府委員 まず、二重投資ではないかというような御指摘でございますけれども先ほど申し上げましたように官邸の整備というのは、現在の官邸そのものが、実はきのうきょう建てかえるべしというような話ではなくて、もう十数年前からの懸案であるわけでございまして、私ども、財産を管理する立場からいきますと、やはり十数年間ずっと内々検討してきた状況でございますが、このままほうっておいたらそれではどうなのかというようなことも考えなくちゃならない。二重役資云々という話は、確かにそういう御意見もあるのは承知しておりますけれども、仮に新官邸ができる、それと並行して国会あるいは中央省庁が移転する、そんな話がございました場合には、中央省庁、国会議事堂、それから新官邸、そういった中央官衙にいろいろな建造物がございますけれども、そういったものを将来どういうふうに使っていくのだろうか、全体としてここの中央官衙地区の利用のあり方というものを考えながら検討すべき問題じゃないかと思っておりまして、私どもとしては、必ずしもそこのところは全くむだな投資をしているとか、あるいは二重投資だとかいうことはないのじゃないかというふうに考えております。  それから、着工の意思決定の話でございますが、一応六十二年五月の閣議了解に基づきまして、財政状況を勘案しつつ早急に整備すべしということで政府としては意思決定しておりますから、用地交渉あるいは医道の整備、こういったものを速やかに終了した上で、その段階で新官邸の建設に着工ということを内閣として意思決定するという形になると思います。
  53. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 昭和四年の建築ですから、それなりの時代の経過、時間的な経過があったと思うんですね。今日的に、これを補修するとかそういう次元の話ではなくて、改めて新官邸を壮大な計画のもとに建設をする。考え方が、例えば冬の宮殿、夏の宮殿というのが外国に行くとあるわけですから、そういう考え方に立つのだということであるならば理解はできます。そういう意思決定がしっかりしているものなのかどうなのか。どうなんですか。
  54. 荒田健

    ○荒田政府委員 まず、壮大なという先生の御意見ですけれども、私どもとしては、構造とか規模とか決めるのはまだこれからなんですけれども、少なくとも私が事務方として考えているのは、そんな壮大なものを考えていることはございません。あくまで機能的なものになるのじゃないかと思います。とにかく老巧化で雨漏りもするような状況でございますから、機能的なものにしたい。  それから、冬の宮殿、夏の宮殿というのは大変魅力的な御提言なんですけれども、実はそういうようなお話は広く国土政策全般あるいは内政全般の問題であろうかと思います。私の立場からは、官邸の管理人でありますから、そういう大構想のようなお話はちょっと申し上げにくい。個人的にはいろいろ考えはありますけれども、申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  55. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 少なくともこの意思決定というのは、極めて重要なポイントは、調査費が初めて組まれて今日まで毎年毎年調査してきたという背景には、やはり首都機能移転だという一方にそういう課題があったわけですよ。それで、官邸の着工ということとの整合性、これを考えたら、今直ちに着工かということが障害になり、今日、昭和六十二年以来五年の経過があった、私はこう理解しているのです。そうじゃありませんか。
  56. 荒田健

    ○荒田政府委員 先ほども申し上げましたけれども、やはり総理大臣の官邸の整備というのは、日々私どもが不自由、不便、そういったものを感じておる。一朝有事のときに、例えば危機管理本部を内閣につくるというような場合でも全くスペースがない、あるいは情報機器なんかもなかなか入れられないというような状況下にあるという現状、したがって、私どもとしては、これは短期的に、緊急にやらなければいけない状況だと思います。  他方で首都移転の問題は、これはこれで大変重要な課題でありますから、もちろん長期的に重要な課題として政府として挙げて取り組むということでございますが、その間に短期的な緊急な課題を片づけるという話と、長期的に重要な展望にのっとってやっていくという話とどうも矛盾する。というような発想にはならないのじゃないかと私は思います。それはそれできっちりやっていかなきゃいかぬ。後になって、そのつくられた官邸がむだだというのであれば話は別でございますけれども先ほど申し上げましたように、全くむだになるというようなことは考えられないというふうに私なりに考えておる次第でございます。
  57. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この問題につきましては、いい悪いというのは言わないことにいたします。  次に、「中間とりまとめ」、懇談会の報告がありました。そしてまた、有識者会議が十回、回を重ねてまいりました。それで、首都東京の問題であるわけですから、当然、東京都の意向あるいは意思、考え方、こういうのが中間報告の中にある程度組み入れられていいんだろうと思いますし、国土庁として、東京都の意思をどういうふうに確認をして、あるいは話し合いを持ち、少なくとも障害にならないような一定の合意をつくり上げていく努力、こういうのが大事なんだろうと思うのですが、どういうふうに反映されているのですか。
  58. 西谷剛

    ○西谷政府委員 懇談会、これもたび重なる会議を重ねておりますが、その一環といたしまして、東京都の担当者から御意見を伺ったということがございます。委員先生方は、当然それを踏まえて結論を出されたということ。先ほど申し上げましたように、六月末に最終報告が出るということになりますと、それから先はいわば行政の方に話が移ってまいりますので、私どもの方といたしましても、東京都はもちろんですし、また、各地方自治体と移転先の方の問題もございます。その最終答申を一つの有力な素材としながら、いわば組織的な話し合いと申しますか説明と申しますか、お互いの意思疎通、こういうものを図っていく段取りになろうかと考えております。
  59. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 国会移転特、私たちも都知事さんにお見えいただいて御意見を伺おう、こういう機会を持ちたいと思っているわけです。国土庁あるいは懇談会有識者会議という中で十分考え方を聞いていく、これはもう極めて大事なことなんだろうと思うのです。意外に盲点であったんじゃないかという気がしてならないのです。  昨日の新聞報道でしたか、東京都としての考え方というのが非常に色濃く報道されているわけですね。ですから、聞く、反映させるという立場での接触をぜひやっていかないとならないのではないのか。六月の最終取りまとめ、最終報告、これには入るのですか。それから、どういう方向ですか。
  60. 西谷剛

    ○西谷政府委員 六月の最終報告までに意見が入るということではなく、行政が受け取りましてから、その後、いわば組織的な意思疎通を図る、こういうことかと考えております。
  61. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 新聞報道等を見ても、それから実際に東京都の御意見を伺ってみましても、要するに根底からひっくり返ってしまうような話なんですよ。だから、我々として基本的な考え方をまとめ、推進していく前提として聞かなきゃならない話、こんなふうに私は受けとめているのです、まず展都であるべきである、それから地方分権を明確に実現をさせる、挙げれば二点なわけですね。  これまでに東京都は、国会決議のときに都知事のコメントが出ました。それから「中間とりまとめ」の際に東京都としての立場の表明がありました。公式にはこの二回なんだろうと思うんですね。「しかし、これは十分な国民的議論を経ることなく」という非常に厳しい指摘ですよ。「東京都民さらには日本国民の間の広範な議論を踏まえて慎重に対処すべきだ」この言外にある主張というのをぜひ聞いていくべきだと思います。国土庁長官、いかがでしょうか。
  62. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 知事さんのコメントについては、新聞等において仄聞している程度でございますが、これは重要な、大きな問題でございますので、意見等も十分踏まえながら進めるべきであろうと思っておりますし、まだ、こうした懇談会有識者会議等で今御論議いただいているときでございます。しかし、では、東京都知事さん初め関係者から全く私たちは伺いもせずにというわけにもいきませんということで、いろいろな御意見等は賜りながら今日やっているということは申し上げていいのではないかと思います。
  63. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 南関東の地震一つお伺いをしておきたいと思います。  これも非常に重要な点だと思うのです。国会だけが逃げ出すのか、こういう感情的な反対論につながる、これはもう極めて大事なポイントだと思います。南関東直下の地震、これはある程度の切迫性がある、昭和六十三年に地震防災対策強化地域指定専門委員会の中間報告がありました。それで、どこをどのようにすべきなのか、南関東と同じ強化地域にある東海、これはもう極めて充実した対策がとられている。南関東は予知ができないということを理由にいたしまして、発災までの間の目標というのか、何をどうするのか、どの地域をどういうふうにしなければならないのか、全くないわけです。五月になってようやくその想定される地域、これを絞り込みたい、こういう作業と、それから、もう一つ同時に大綱をまとめ上げて、それまでに何をするのか、発災までに何をするのか、これをあらあら取りまとめたいとしていますが、この点が南関東地域における盲点になっているわけですね。これがなければ対策の打ちようがないわけです。発災までにとるべき手だて、これを明確にするのはいつの時点なのか、大綱ができ上がるのはいつなのか、この指定専門委員会の最終報告というのはいつできるのか、ぜひ伺いたいのです。
  64. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 先生仰せのとおり、南関東地域で想定される地震には海溝型の巨大地震と、そしてまた直下型の地震と二つに分類されております。その中で南関東地域の直下の地震、その発生が切迫しているというような御指摘を六十三年、中央防災会議の専門委員会から中間報告としてちょうだいをいたしたわけでございます。この件につきまして、地域の範囲について、まずもってこの専門委員会において御検討を現在ちょうだいいたしております。  南関東地域の直下の地震は、先生仰せられましたとおり発生のメカニズムがまず十分解明されていない、あるいはまた、それを理由といたしまして予知が大変難しいというようなことであろうかと思いますけれども、まずもって、学者の先生お話では、震源域を一つに特定ができないということが大きな問題であるようでございます。先生方にお願いをいたしまして、できるだけ早い時期に結論をちょうだいいただくように現在御審議を進めていただいておるところでございます。  それから、南関東地域の震災対策の充実強化につきまして御指摘がございました。現在、関係省庁、そしてまた関係県とも御相談をしつつございますけれども、当面するこの直下の地震に備えまして、今後の震災対策の推進を図っていくために、事前の対策を中心といたしまして、私ども現在、「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」(仮称)の作成、検討を進めているところでございます。これまた鋭意努力をいたしまして早く成果を上げたいというふうに考えております。
  65. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 東京圏の地震対策というものの完璧を期すということが極めて重要なポイントだと思います。  時間ですから、質問を終わります。
  66. 村田敬次郎

    ○村田委員長 金子満広君。
  67. 金子満広

    ○金子(満)委員 初めに、首都移転首都機能移転国会等移転で、何を移転するんだかわかったようなわからないような話がずっとあるのですが、この委員会国会等移転なんですけれども、いつの間にか話が首都機能首都機能ということに絞られてきているんですね。それはそれとして意味があるかとも思いますが、首都機能移転ということと首都の移転というのは、長官、違うんですか、同じなんですか。
  68. 西谷剛

    ○西谷政府委員 首都の移転ということ、首都とは何を言うかということが別にあるものですから、つまり首都機能というのと首都とは同じかという話になるわけで、それは機能とついているものは、先ほど申し上げたように、立法、司法、行政の中枢機能を言うということがそうですから、それがあるものを首都とすぐ言うんだというふうになれば同じことでございますね。しかし、少し舌がもっれたようなことを申し上げましたが、首都というのはある種の美称として用いられるというようなこともあって、そうであるとすれば、首都機能移転することが即首都移転ということにならない要素もまたあろうかと思います。
  69. 金子満広

    ○金子(満)委員 いろいろの考え方があるというのは紹介もされていますし、この調査及び立法考査局から出したものにもいろいろあります。首都とは広辞苑ではこう言っているとか、あるいは最新地理学の事典ではこう言っているとか、王宮の所在地と政府の所在地が別だとか、それはオランダにあるとか、アメリカはどうとか、こういうことは言っているのですが、そういう中で、あえて首都でなくて機能機能という点を強調しているのは、私はそれなりの政治的な意味もあろうと思います。  そこで、いずれにしてもこの首都機能、首都をどこに置くかということは国民主権という立場から非常に重大な問題である、これはそのとおりだと思います。したがって長官も、この国民合意形成が必要だということを先ほどから言われております。  さて、そういう中で、今首都機能移転というような大事業をやるときに国民合意が不可欠の前提であるとすれば、例えばマスコミで、一昨年の読売の世論調査では、国会移転について、今の東京のままでよろしいというのが五五%あるわけですね。それから、ことしの春の毎日新聞の、首都機能移転についてどうかという世論調査の結果によりますと、移転すべしは過半数にならないわけです。こういう問題が実際ある。  そういう中で、これは国土庁に直接関係があるわけですが、長官の諮問機関、あの八十島懇談会というのですか、これがありますが、八十島座長にこの委員会に来ていただいて参考人としていろいろのことをお尋ねしたことがあります。その中で八十島座長はこういうことを言っておりました。懇談会移転賛成論の人ばかりで構成している、こういうことだとすると、これはいろいろの意見があって懇談するんじゃなくて、もう移転が決まった人だけでこうやっているということになると、言葉は悪いかしらぬけれども、これでは御用機関になってしまう。多くの懇談会審議会などでも、小数意見はこういうものがあったというのが付記されてくる場合が多いわけですが、ここはないんですね。  そういう点で、最近見ますと、例えばこの懇談会には東京の代表が入っていない。もちろん批判的、反対の意見を持つ人も入っていないということなんですね。ですから来月、六月に最終答申を出す、その後解散するというお話もあるようですけれども、私は長官、こういう諮問機関には、特に国会等移転首都機能移転ということになりますれば、一つの大きな当事者に東京都があることは、これは常識的にも言えると思うんですね。こういう点でそういう代表をこの懇談会に入れるということ、これはお考えになったことはありませんか。
  70. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 まず最初に、新聞のアンケートの話が出ましたが、私どもの方で今日調査したところによりますれば、約七〇%の皆さん方は、首都、国会移転はやるべきであるというようなことの意見でございます。  なおまた、八十島先生、恐らくそのようなことをおっしゃられたとは私は思いませんが、私も御出席させていただく中に、それは各般にわたる御意見がございます。決して賛成者ばかりの意見ということは、私は、今日までの審議の過程においてそのようには受け取っておりませんので、今日構成されておる皆さん方、いよいよ最終の報告をいただくわけでございますから、今日のままで私は適正、適当であろうと思っております。
  71. 金子満広

    ○金子(満)委員 もちろん懇談会のメンバーの選定は八十島さんがやったのじゃなくて、長官の方から指名されるわけですけれども国会決議がありますからそれに沿ってやりますということで、反対意見はないということは、委員会でも私自身が質問したのですから、明らかであろうと思うのです。いずれにしても、東京都との間に一つの意見の違いがあることは新聞でももう公表されているとおりだし、私ども調査でもこれははっきりしている。それから、今長官は、懇談会がいろいろ調査した中で七〇%と言われましたが、これは世論調査というより意見聴取だったと思うんですね。ですから特定の、例えば部課長の中の課長とかあるいは特定の者についての調査ですから、それは一つの資料としてはわかりますけれども、いずれにしても国民合意を重視する以上、もっと広範な議論が必要だし、さっき長官は、法律をつくって具体化すればいいと言うけれども、つくる上からも大いに議論をしておくことが大事だ、私はこういうように思います、これは私の主張ですが。  そしてそういう中で、今度は首都移転といういろいろの議論の中、特に参考人の方々からいろいろの考え方を伺った中で大きく出てくるのは三つあったと思うんですね。一つ一極集中の問題、もう一つは特に地震、災害、このときの防災的観点からどうか、あと一つ地方分権という問題です。  そこで、これは長官にお尋ねしたいのですが、四全総ですね、四全総ではいろいろのことがありますけれども一極集中を直している、是正している、多極分散型の国づくりをやっていくんだ。そういう中で、具体的には工業の再配置とか中央官庁の一部移転、それから事務所の地方立地というようなものを掲げてきたわけですね。ところが四全総が出てから事態はどうだったか、これとは逆だったわけですね。そうしますと、四全総が間違っていたのか、それとも四全総は正しかったんだが、国土庁中心にしたその実際の四全総を実行するという点で落ち度があったのか。事態は非常にはっきりしているので、その点、ひとつ長官の考え方を伺いたいと思います。
  72. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 多極分散のための法律が数多くありますことは事実でございますし、なおまた、それぞれの各般の施策を講じ、二足の評価を受けた問題もたくさんあろうと思っております。がしかし、事実、現実に人口減少県が十八県に及んでいるということも否めないことでございます。そういうことで、これでは各省庁またそれぞればらばらではいけないというようなことで、今回また、きのう参議院で審議を終了し、成立の見込みとさせていただきましたが、拠点地域整備法を一体となってやろうということで取り組んでいるわけでございます。そうした今まで実効性が上がらなかったものをどう補足していくかということで、今後各省庁が一体性を持って実効性を上げるように取り組んでいこうということでございます。  そういうことで、御堂にはきのう賛成していただけなかったのでございますけれども、しかし、そういう今までの各般の施策が事足りないからさらに取り組もうというようなことで、そうした一極集中是正、特に過疎化地域の対策については今後鋭意取り組んでいく必要があろうと思っております。
  73. 金子満広

    ○金子(満)委員 過疎化地域はそれでいいのですけれども集中してきた東京の問題なんです。四全総はそうであっても、実際には集中してきたというのは、人口においての集中なんです。それから建物において、それはいろいろの民間活力の導入の問題から、建築基準法のいろいろの緩和の問題から、そして土地政策、それに絡んだ金融政策ですね。それでビルの配置ですね。まだどんどん計画があるわけですから、変な表現ですけれども、空から見たらこれは本当にお墓の石碑が立っているようなものですよ、緑はなくてそればかりなのだから。こういうような実際の状態になってきた。そういう中で四全総が事務所の地方立地、こういう問題を言っているわけですが、企業でも、例えば資本金十億円以上の企業の本社の五八%が東京圏にあるわけですよ。そしてどんどん高いビルをつくるわけですね。こういうような状態の中で、四全総と逆の方向が出てきている、こういう中で今度は災害問題が言われるわけです。  そうすると、さっき災害問題ということで首相官邸の問題が出ました。これは、一朝何か事があったときに機能が麻痺する危険があるから、これこれの設備、施設が必要だ、それは早急にやらなければならないというお話だったと思うんですね。しかし、災害対策、防災対策という点でいえば、みんな緊急であることは当然だと思うのです。国会等移転が十五年ないし二十年という言葉があるのですが、じゃそれまでに防災はいいのかということになってしまう。そうでなくて、防災を言うのだったらどういうことが大事だろう。国会等移転すればそこが空間になるから、オープンスペースになるから防災上役立つ、それは一つ考えだし、その面を私は別に否定するわけじゃないけれども、今防災上、特に地震から都民の生命をどう守るかという点で最も大きいことは、常識的に見ても、首都東京における空間を広げなきゃならぬ、オープンスペースを広げていかなきゃならぬ、これを縮めるようなことは防災対策に逆行するものだと思うんですね。  ところが実際はどうだろう。空き地はどんどんなくなりますね。国有地、公有地がどんどん建物に使われてくる。そして、かつての国鉄の用地もどんどん民間に払い下げをする方向で、これも空き地ではなくてそこに建物ができてくるという方向だと思うんですね。それから首都圏における、特に東京都内における農地の宅地並み課税というのがそうだと思うのです。これで空間がなくなって住宅になってくる、ビルが建ってくる、こういうことが実際の経過だったと思うのです。こういう点は、いろいろなことが言われるけれども国会等移転したからといって、じゃ防災は全部いいのです、こういうことには私はならぬと思うんですね。  そういう点から考えれば、防災上、それは移転ですじゃなくて、今何をしなければならぬか、こういう点で見直しということがあらゆる面で必要だと私は思いますが、この点どうですか。
  74. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 一極集中は、やはり魅力が若い者に特にあったればこそだと思っております用地方にそれだけの魅力を持たす、そうした多極分散法というものの成果を上げるべく今回、今申し上げたような法律をつくった。なおまた、今までのいろいろな施策の中で、一定の企業もかなり地方に分散が今進んでおります。なおまた、そうした東京の魅力というものを地方に分散させる過程の中に、いろいろな文化とか学問また遊びの施設等々も含めて、これは東京の魅力を東京だけではなくてさらに地方に移しかえるということによって、東京の今日の過密を解消しよう、これがまたひいては、首都移転等の問題もその大きな一環であるわけでございますから、今いろいろな宅地の問題等もございましたが、勤労者皆さん方がそういう処置によって、私どもが掲げております所得の五年分で住宅が取得できるような対策というものもやはりとっていかねばならない重要な課題だと思っておりますから、多面的に、今後のそうした、いろいろな問題に総合的に取り組んでいく必要があろうというふうに考えております。
  75. 金子満広

    ○金子(満)委員 地方にいろいろ魅力あるもの、それはやらなくてはならぬし、またそうでなければ集中は加速する、これはそのとおりだと思うのです。  しかし、そういう中で、今度はもう一つ具体的なものとして、さっき幾つかの見直しをどうかと私はただしたわけですけれども東京湾に面したところの副都心再開発計画が大規模の予算で進められるんですね。これはたくさんの批判、意見があるわけですが、こういうものも私は見直しをすべきだろう。そうでないと、一極集中の弊害を説きながら一極集中になってくる。長官の話の中にも、確かに分散していったところはあるのです。ところが、分散して出ていくよりも集中してくる方が多いから集中になってしまうわけですからね。そういう点も考えて、一極集中を加速するような施策については全般的に見直しをしていくことが大事だ、このことを私は重ねて主張しておきたいと思います。  時間がありませんから、最後に、国会等移転ですから、まずこの国会建物です。あとどのくらい寿命があるのか、使えるのか、その点となたかわかる人はいませんか。
  76. 西谷剛

    ○西谷政府委員 わかるから出てまいったわけではございませんで、勉強はしてみたいと思っておりますけれども、私もわかっておりません。
  77. 金子満広

    ○金子(満)委員 とにかく戦前から調査調査を重ね、そして莫大な国費をここに投入したわけですね。そしてこういう建物ができ上がった。あちこちの首都へ行ってみても、これだけの国会議事堂というのはそうないんですよ。私は、耐久年限はまだ相当、百年ぐらいは微動だにしない、地震だって大丈夫だと思うんですよ、これは。そういう点がある。  それから古い話は、首相官邸だけが古くてやぼだという話は随分出るのです。各省庁の本庁もここ十年や十五年でだめになるということは一つもないと思うのです、ほとんど新しくなったわけですから。  私はそういう点で、新しく機能移転で他のところに国会をつくるとすると、どのくらいの予算を考えているか。長官の諮問機関懇談会では、移転全体では約十四兆かかるのではないかと言われているのですけれども、大体、国会をどのくらいのものをつくろうとしているのか。幾らか絵ぐらいは、どこにじゃなくて、建物ですから、考えている人はいるのじゃないですか、十四兆があるのだから。
  78. 西谷剛

    ○西谷政府委員 十四兆の積算、もちろん用地費がそのうちの五兆とかやや具体にありますが、国会議事堂そのものをどんな設計にするかというところまで積み上げたものではございません。言ってみれば、面積がどれだけ要るかということに建築費単価を掛けたというようなかなり粗い計算方法によるものでございます。
  79. 村田敬次郎

    ○村田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十四分散会