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1992-04-10 第123回国会 衆議院 厚生委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月十日(金曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 牧野 隆守君    理事 粟屋 敏信君 理事 石破  茂君    理事 野呂 昭彦君 理事 平田辰一郎君    理事 持永 和見君 理事 網岡  雄君    理事 池端 清一君 理事 遠藤 和良君       伊吹 文明君    小沢 辰男君       大石 千八君    岡田 克也君       加藤 卓二君    坂井 隆憲君       塩谷  立君    鈴木 俊一君       住  博司君    戸井田三郎君       丹羽 雄哉君    畑 英次郎君       三原 朝彦君    宮路 和明君       簗瀬  進君    山口 俊一君       沖田 正人君    川俣健二郎君       小林  守君    小松 定男君       五島 正規君    清水  勇君       鈴木喜久子君    田中 昭一君       竹村 幸雄君    外口 玉子君       土肥 隆一君    大野由利子君       児玉 健次君    柳田  稔君       菅  直人君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委員         厚生省生活衛生         局水道環境部長 小林 康彦君  委員外出席者         水産庁研究部漁         場保全課長   吉崎  清君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       辻  通明君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   高橋 朋敬君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      田島 邦雄君         厚生委員会調査         室長      高峯 一世君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十七日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     衛藤征士郎君 同日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     衛藤 晟一君 同月二十五日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     梶山 静六君   岡田 克也君     佐藤 信二君   坂井 隆憲君     中山 太郎君   鈴木 俊一君     仲村 正治君   住  博司君     伊藤宗一郎君   戸井田三郎君     加藤 六月君   柳田  稔君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   伊藤宗一郎君     住  博司君   加藤 六月君     戸井田三郎君   梶山 静六君     衛藤 晟一君   佐藤 信二君     岡田 克也君   中山 太郎君     坂井 隆憲君   仲村 正治君     鈴木 俊一君   永末 英一君     柳田  稔君 同月二十六日  辞任         補欠選任   柳田  稔君     小平 忠正君 同日  辞任         補欠選任   小平 忠正君     柳田  稔君 四月二日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     小沢 一郎君   岡田 克也君     島村 宜伸君   小松 定男君     石井  智君   柳田  稔君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     衛藤 晟一君   島村 宜伸君     岡田 克也君   石井  智君     小松 定男君   米沢  隆君     柳田  稔君 同月十日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     塩谷  立君   竹村 幸雄君     小林  守君 同日  辞任         補欠選任   塩谷  立君     衛藤 晟一君   小林  守君     竹村 幸雄君     ――――――――――――― 三月十三日  被爆者援護に関する請願田口健二紹介)(  第四八三号)  同(田口健二紹介)(第四九八号)  看護婦確保法制定に関する請願児玉健次君  紹介)(第四八四号)  同外二件(武藤山治紹介)(第四九七号)  同外一件(小林恒人紹介)(第五二〇号)  同(安田範紹介)(第五三二号)  同(石田幸四郎紹介)(第五四六号)  同外一件(河上覃雄君紹介)(第五四七号)  同外一件(西中清紹介)(第五四八号)  同(安田範紹介)(第五四九号)  同(小沢和秋紹介)(第五五〇号)  同(金子満広紹介)(第五五一号)  同(木島日出夫紹介)(第五五二号)  同(児玉健次紹介)(第五五三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第五五四号)  同(菅野悦子紹介)(第五五五号)  同(辻第一君紹介)(第五五六号)  同(寺前巖紹介)(第五五七号)  同(東中光雄紹介)(第五五八号)  同(不破哲三紹介)(第五五九号)  同(藤田スミ紹介)(第五六〇号)  同(古堅実吉紹介)(第五六一号)  同(正森成二君紹介)(第五六二号)  同(三浦久紹介)(第五六三号)  同(山原健二郎紹介)(第五六四号)  同(吉井英勝紹介)(第五六五号)  同外一件(竹内勝彦紹介)(第六〇四号)  同(三野優美紹介)(第六〇五号)  同(安田範紹介)(第六〇六号)  同(菅直人紹介)(第六五二号)  同(馬場昇紹介)(第六五三号)  同(安田範紹介)(第六五四号)  重度心身障害者とその両親またはその介護者乃  び寝たきり老人とその介護者家族同居可能  な社会福祉施設設置に関する請願粟屋敏信  君紹介)(第五二一号)  同(石破茂紹介)(第六〇七号)  同外十九件(平田辰一郎紹介)(第六〇八号  )  同(菅直人紹介)(第六五五号)  同(野呂昭彦紹介)(第六五六号)  退職後の生活の安定と生きがいに関する請願  (永井孝信紹介)(第五四五号)  柔道整復師制度強化充実に関する請願河上  覃雄君紹介)(第五六六号)  同(井上義久紹介)(第五六七号)  同(石田祝稔紹介)(第五六八号)  同(吉井光照紹介)(第五六九号)  同(遠藤和良紹介)(第六五七号)  同(貝沼次郎紹介)(第六五八号)  同(日笠勝之紹介)(第六五九号)  同(山口那津男紹介)(第六六〇号)  同(渡部一郎紹介)(第六六一号) 同月二十四日  看護婦確保法制定に関する請願池端清一君  紹介)(第六九一号)  同(仙谷由人紹介)(第六九二号)  同(安田範紹介)(第六九三号)  同(池端清一紹介)(第七二〇号)  同(倉田栄喜紹介)(第七二一号)  同(小沢和秋紹介)(第七二二号)  同(金子満広紹介)(第七二三号)  同(木島日出夫紹介)(第七二四号)  同(児玉健次紹介)(第七二五号)  同(佐藤祐弘紹介)(第七二六号)  同(菅野悦子紹介)(第七二七号)  同(辻第一君紹介)(第七二八号)  同(寺前巖紹介)(第七二九号)  同(東中光雄紹介)(第七三〇号)  同(不破哲三紹介)(第七三一号)  同(藤田スミ紹介)(第七三二号)  同(古堅実吉紹介)(第七三三号)  同(正森成二君紹介)(第七三四号)  同(三浦久紹介)(第七三五号)  同(山原健二郎紹介)(第七三六号)  同(吉井英勝紹介)(第七三七号)  同(池端清一紹介)(第七五七号)  同(木島日出夫紹介)(第七五八号)  同(田口健二紹介)(第七五九号)  同(竹内猛紹介)(第七六〇号)  同(池端清一紹介)(第七九七号)  同(外一件(細谷治通紹介)(第七九八号)  同(池端清一紹介)(第八六九号)  同(野坂浩賢紹介)(第八七〇号)  同(松浦利尚君紹介)(第八七一号)  看護婦確保法制定に関する請願竹内猛紹介  )(第七一八号)  国立腎センター設立に関する請願前田正君紹  介)(第七一九号)  柔道整復師制度強化充実に関する請願草川  昭三紹介)(第七三八号)  医療法改正に反対し、診療報酬改善看護婦増  員に関する請願木島日出夫紹介)(第七六  一号)  同(児玉健次紹介)(第七九九号)  より安全な水道水水質基準見直しに関する請  願(沖田正人紹介)(第七六二号)  同(川俣健二郎紹介)(第七六三号)  同(五島正規紹介)(第七六四号)  同(時崎雄司紹介)(第七六五号)  同(秋葉忠利紹介)(第八〇三号)  同(岡崎宏美紹介)(第八〇四号)  同(串原義直紹介)(第八〇五号)  同(小林守紹介)(第八〇六号)  同(左近正男紹介)(第八〇七号)  同(斉藤一雄紹介)(第八〇八号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第八〇九号)  同(清水勇紹介)(第八一〇号)  同(田中昭一紹介)(第八一一号)  同(竹村幸雄紹介)(第八一二号)  同(土肥隆一紹介)(第八一三号)  同(馬場昇紹介)(第八一四号)  同(長谷百合子紹介)(第八一五号)  同(和田静夫紹介)(第八一六号)  同(伊藤茂紹介)(第八八九号)  同(児玉健次紹介)(第八九〇号)  同(武部文紹介)(第八九一号)  同(筒井信隆紹介)(第八九二号)  同(寺前巖紹介)(第八九三号)  同(野坂浩賢紹介)(第八九四号)  福祉制度最低基準抜本的改善福祉人材確  保対策腹立に関する請願児玉健次紹介)  (第八〇〇号)  重度心身障害者とその両親またはその介護者及  び寝たきり老人とその介護者家族同居可能  な社会福祉施設設置に関する請願持永和見  君紹介)(第八〇一号)  政管健保・診療報酬改善看護婦増員に関する  請願清水勇紹介)(第八〇二号)  乳幼児から学童期までの保育充実に関する請  願(竹村幸雄紹介)(第八七二号)  同(小沢和秋紹介)(第八七三号)  同(金子満広紹介)(第八七四号)  同(木島日出夫紹介)(第八七五号)  同(児玉健次紹介)(第八七六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第八七七号)  同(菅野悦子紹介)(第八七八号)  同(辻第一君紹介)(第八七九号)  同(寺前巖紹介)(第八八〇号)  同(東中光雄紹介)(第八八一号)  同(不破哲三紹介)(第八八二号)  同(藤田スミ紹介)(第八八三号)  同(古堅実吉紹介)(第八八四号)  同(正森成二君紹介)(第八八五号)  同(三浦久紹介)(第八八六号)  同(山原健二郎紹介)(第八八七号)  同(吉井英勝紹介)(第八八八号) 四月七日  稀少難病患者医療福祉充実に関する請願  (池端清一紹介)(第九二二号)  同(網岡雄紹介)(第九二三号)  同(遠藤和良紹介)(第一〇九六号)  カイロプラクティックなど医業類似行為の取り  扱いに関する請願野呂昭彦紹介)(第九二  四号)  はりきゅう健康保険方針抜本的改正に関  する請願遠藤和良紹介)(第九二五号)  同(池端清一紹介)(第一〇四〇号)  看護婦確保法制定に関する請願小野信一君  紹介)(第九二六号)  同(戸田菊雄紹介)(第九二七号)  同(松浦利尚君紹介)(第九二八号)  同外一件(森井忠良紹介)(第九二九号)  同(池端清一紹介)(第九六九号)  同外三件(小野信一紹介)(第九七〇号)  同(児玉健次紹介)(第九七一号)  同(時崎雄司紹介)(第九七二号)  同(中沢健次紹介)(第九七三号)  同(日野市朗紹介)(第九七四号)  同(松浦利尚君紹介)(第九七五号)  同外一件(鍛冶清紹介)(第九九九号)  同外二件(貴志八郎紹介)(第一〇〇〇号)  同(仙谷由人紹介)(第一〇〇〇一号)  同(中村正男紹介)(第一〇〇〇二号)  同(藤田スミ紹介)(第一〇〇〇三号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第一〇三二号)  同(山元勉紹介)(第一〇三三号)  同(山元勉紹介)(第一〇五一号)  同外一件(小川国彦紹介)(第一〇七三号)  同(近江巳記夫紹介)(第一〇七四号)  同外一件(新盛辰雄紹介)(第一〇七五号)  同(小沢和秋紹介)(第一〇七六号)  同(金子満広紹介)(第一〇七七号)  同(木島日出夫紹介)(第一〇七八号)  同(児玉健次紹介)(第一〇七九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一〇八〇号)  同(菅野悦子紹介)(第一〇八一号)  同(辻第一君紹介)(第一〇八二号)  同(寺前巖紹介)(第一〇八三号)  同(東中光雄紹介)(第一〇八四号)  同(不破哲三紹介)(第一〇八五号)  同(藤田スミ紹介)(第一〇八六号)  同(古堅実吉紹介)(第一〇八七号)  同(正森成二君紹介)(第一〇八八号)  同(三浦久紹介)(第一〇八九号)  同(山原健二郎紹介)(第一〇九〇号)  同(吉井英勝紹介)(第一〇九一号)  乳幼児から学童期までの保育充実に関する請  願(沢藤礼次郎紹介)(第九三〇号)  同(土井たか子紹介)(第九三一号)  同(児玉健次紹介)(第九七八号)  同(遠藤和良紹介)(第一〇〇五号)  同(網岡雄紹介)(第一〇三六号)  同(清水勇紹介)(第一〇三七号)  同(田中昭一紹介)(第一〇三八号)  より安全な水道水水質基準見直しに関する請  願(伊藤忠治紹介)(第九三二号)  同(池端清一紹介)(第九三三号)  同(石田祝稔紹介)(第九三四号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第九三五号)  同(岡崎トミ子紹介)(第九三六号)  同(川崎寛治紹介)(第九三七号)  同(松本龍紹介)(第九三八号)  同(遠藤和良紹介)(第九七九号)  同(加藤万吉紹介)(第一〇〇六号)  看護婦確保法制定に関する請願時崎雄司君紹  介)(第九三九号)  同(時崎雄司紹介)(第一〇三九号)  重度心身障害者とその両親またはその介護者及  び寝たきり老人とその介護者家族同居可能  な社会福祉施設設置に関する請願網岡雄君  紹介)(第九七六号)  同(遠藤和良紹介)(第九七七号)  同(網岡雄紹介)(第一〇〇四号)  同(粟屋敏信紹介)(第一〇三四号)  同外二十件(平田辰一郎紹介)(第一〇三五  号)  同(池端清一紹介)(第一〇五二号)  同外五十一件(井出正一紹介)(第一〇九二  号)  同(池端清一紹介)(第一〇九三号)  あん摩マッサージ指圧師の業務と異名同質のカ  イロプラクティック及び整体術等免許療術行  為取り締まりに関する請願鯨岡兵輔紹介)  (第一〇三〇号)  療術制度化促進に関する請願外三件(住博司  君紹介)(第一〇三一号)  山西省残留犠牲者救済措置に関する請願(辻  第一君紹介)(第一〇五〇号)  看護職員をはじめとする保健医療福祉マンパ  ワー確保のための立法確保対策具体化に関  する請願池端清一紹介)(第一〇六七号)  同(石田祝稔紹介)(第一〇六八号)  同(岡崎宏美紹介)(第一〇六九号)  同(五島正規紹介)(第一〇七〇号)  同(田中昭一紹介)(第一〇七一号)  同(村山富市紹介)(第一〇七二号)  柔道整復師制度強化充実に関する請願(宮地  正介君紹介)(第一〇九四号)  国立腎センター設立に関する請願近江巳記夫  君紹介)(第一〇九五号) 同月十日  看護婦確保法制定に関する請願馬場昇君紹  介)(第一一二〇号)  同(二見伸明紹介)(第一一三一号)  同外一件(川崎寛治紹介)(第一一七〇号)  同(二見伸明紹介)(第一一七一号)  同(村山富市紹介)(第一一七二号)  同(山元勉紹介)(第一一七三号)  同(有川清次紹介)(第一一九四号)  同(池端清一紹介)(対一一九五号)  同(村山富市紹介)(第一一九六号)  同(川端達夫紹介)(第一二三二号)  同(古堅実吉紹介)(第一二三三号)  同(村山富市紹介)(第一二三四号)  重度心身障害者とその両親またはその介護者及  び寝たきり老人とその介護者家族同居可能  な社会福祉施設設置に関する請願菅直人君  紹介)(第一一三二号)  同(児玉健次紹介)(第一一九七号)  同(柳田稔紹介)(第一二三六号)  同(野呂昭彦紹介)(第一三一八号)  同(柳田稔紹介)(第一三一九号)  看護婦確保法制定に関する請願二見伸明君紹  介)(第一一三三号)  同(児玉健次紹介)(第一二三八号)  稀少難病患者医療福祉充実に関する請願  (菅直人紹介)(第一一三四号)  同(児玉健次紹介)(第一二〇〇号)  同(柳田稔紹介)(第一二四〇号)  看護職員をはじめとする保健医療福祉マンパ  ワー確保のための立法確保対策具体化に関  する請願網岡雄紹介)(第一一三五号)  同(沖田正人紹介)(第一一三八号)  同(川俣健二郎紹介)(第一一三七号)  同(菅直人紹介)(第一一三八号)  同(清水勇紹介)(第一一三九号)  同(加藤繁秋紹介)(第一一七六号)  同(川崎寛治紹介)(第一一七七号)  同(土肥隆一紹介)(第一一七八号)  同(遠藤和良紹介)(第一二〇一号)  同(菅直人紹介)(第一二〇二号)  同(児玉健次紹介)(第一二〇三号)  同(菅直人紹介)(第一二四三号)  同(菅直人紹介)(第一三二一号)  同(小松定男紹介)(第一三二二号)  乳幼児から学童期までの保育充実に関する請  願(山原健二郎紹介)(第一一七四号)  同(外口玉子紹介)(第一一九八号)  同(古堅実吉紹介)(第一二三七号)  国立腎センター設立に関する請願野呂昭彦君  紹介)(第一一七五号)  同(中野寛成紹介)(第一二一三九号)  より安全な水道水水質基準見直しに関する請  願(外口玉子紹介)(第一一九九号)  国立東名古屋病院呼吸器科医長継続在勤等に  関する請願草川昭三紹介)(第一二三一号  )  福祉制度最低基準抜本的改善福祉人材確  保対策確立に関する請願児玉健次紹介)  (第一二三五号)  はりきゅう健康保険方針抜本的改正に関  する請願柳田稔紹介)(第一二四一号)  山西省残留犠牲者救済措置に関する請願(金  子満広紹介)(第一二四二号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願粟屋敏  信君紹介)(第一二六八号)  同(愛野興一郎紹介)(第一二六九号)  同(伊東正義紹介)(第一二七〇号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第一二七一号)  同(今枝敬雄紹介)(第一二七二号)  同(岩屋毅紹介)(第一二七三号)  同(宇野宗佑紹介)(第一二七四号)  同(衛藤晟一紹介)(第一二七五号)  同(小沢一郎紹介)(第一二七六号)  同(大野功統紹介)(第一二七七号)  同(大原一三紹介)(第一二七八号)  同(近江巳記夫紹介)(第一二七九号)  同(狩野勝紹介)(第一二八〇号)  同(梶山静六紹介)(第一二八一号)  同外四件(片岡武司紹介)(第一二八二号)  同(金子原二郎紹介)(第一二八三号)  同(木村義雄紹介)(第一二八四号)  同(熊谷弘紹介)(第一二八五号)  同外一件(倉成正紹介)(第一二八六号)  同(古賀誠紹介)(第一二八七号)  同(左藤恵紹介)(第一二八八号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第一二八九号)  同(坂井隆憲紹介)(第一二九〇号)  同(坂本剛二君紹介)(第一二九一号)  同(坂本三十次君紹介)(第一二九二号)  同(自見庄三郎君紹介)(第一二九三号)  同(鈴木俊一紹介)(第一二九四号)  同(住博司紹介)(第一二九五号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第一二九六号)  同(谷洋一紹介)(第一二九七号)  同外一件(津島雄二紹介)(第一二九八号)  同(戸塚進也紹介)(第一二九九号)  同(中西啓介紹介)(第一三〇〇号)  同(中山成彬紹介)(第一三〇一号)  同(野呂昭彦紹介)(第一三〇二号)  同(野呂田芳成君紹介)(第一三〇三号)  同(原田昇左右紹介)(第一三〇四号)  同(東力君紹介)(第一三〇五号)  同(福永信彦紹介)(第一三〇六号)  同(船田元紹介)(第一三〇七号)  同(保利耕輔君紹介)(第一三〇八号)  同(真鍋光広紹介)(第一三〇九号)  同外一件(武藤嘉文紹介)(第一三一〇号)  同(村岡兼造君紹介)(第一三一一号)  同(持永和見紹介)(第一三一二号)  同(森田一紹介)(第一三一三号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一三一四号)  同(山口俊一紹介)(第一三一五号)  同(山下元利紹介)(第一三一六号)  同外二件(渡辺栄一紹介)(第一三一七号)  カイロプラクティックなど医業類似行為の取り  扱いに関する請願武藤嘉文紹介)(第一三  二〇号)     ――――――――――――― は本委員会に付託された。 三月十六日  子供を生み育てる環境づくりに関する陳情書  (第二六号)  斎場建設事業に対する財政支援に関する陳情書  (第二七号)  精神障害者社会復帰福祉施策充実に関す  る陳情書  (第二八号)  国際障害者年障害者対策に関する長期計画」  の最終年に関する陳情書  (第二九号)  重症心身障害児施設への助成に関する陳情書  (第三〇号)  児童扶養手当支給延長に関する陳情書  (第三一号)  遺族基礎年金及びその加給年金(子の加算)、  障害基礎年金加給年金等に関する陳情書外二  件  (第三二号)  母子家庭医療充実に関する陳情書  (第  三三号)  柔道整復師の施術に係る療養費の取り扱いに関  する陳情書  (第三四号)  高齢者保健医療福祉充実強化に関する陳  情書  (第三五号)  ホームヘルパーの処遇の向上に関する陳情書外  十三件  (第三六号)  看護婦確保法制定等に関する陳情書外三十一  件  (第三七号)  原爆被害者援護法制定に関する陳情書外八件  (第三八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進  に関する法律案内閣提出第四七号)      ――――◇―――――
  2. 牧野隆守

    牧野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。
  3. 岡田克也

    岡田(克)委員 産業廃棄物の問題は、近年景気拡大が続く中で、大きな社会問題化していると思います。これに対して、昨年の廃棄物処理法改正によって、その減量化再生利用促進あるいは処理業者等に対する規制強化を行ったところでございます。しかし、規制強化のみでは、現実に不足している産業廃棄物処理施設の安定的な供給あるいは産業廃棄物適正処理の推進、こういうものを同時にしていかなければ片手落ちと言えると思います。このような観点から、本法案が提案されたことは大変望ましいことであり、厚生省初め関係者の皆様の御努力に対しまして敬意を表する次第であります。  以下、本法案の基本的な点について幾つか質問をしたいと思っております。  まず、この法案の前提になりました産業廃棄物の現状について、基本的なことを聞きたいと思うわけでありますが、現在産業廃棄物は年間どのぐらい排出されており、そのうちいわゆる産業廃棄物処理業者処理しているものはどのぐらいあるのか、できましたら主要な産業廃棄物の種類に言及をしながら御説明をいただければありがたいと思います。
  4. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物の排出量につきましては、詳細の調査を昭和六十年度に行っておりますが、総量で三億一千二百万トン排出をされております。主なものといたしましては、汚泥、動物のふん尿、建設廃材、鉱滓などでございます。この排出量が平成二年度には三億五千九百万トンになっていると推定をしておるところでございます。  次に、お尋ねの産業廃棄物処理業者処理をしている割合でございますが、焼却等の中間処理の段階では処理業者が二〇%分担をしておりますし、埋め立ての最終処分の段階につきましては全体量の七五%を処理業者が処理をしている、こういう状況でございます。
  5. 岡田克也

    岡田(克)委員 ただいま御説明があったわけでありますが、それでは、その産業廃棄物処理業者処理をしておるその施設である産業廃棄物処理施設が今全国的にどの程度不足をしているのか、こういった点について御説明をお伺いしたいと思います。
  6. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物処理施設の中でも最終処分場の不足が著しいわけでございますが、この最終処分場につきまして、現在稼働しています施設の残っております容量、これを昭和六十年度の排出量に照らし合わせながら何年分残っているか、こういう計算をいたしますと、全国で一年半程度の容量を持っているという状況でございます。産業廃棄物の排出量は年々ふえておりますので、施設は現在でも不足ぎみでございますが、今後とも不足は拡大していく傾向にあるというふうに見ております。
  7. 岡田克也

    岡田(克)委員 ただいま一・五年という御説明がありましたが、これはある意味では驚くべきことでありまして、しかもそれが次第に産業廃棄物の量が拡大していくということでありますと、一体数年後にはどうなるのか、こういう気がするわけであります。  そのためにも処理施設の建設というものが急がれるわけでありますが、例えば今後十年間で新たな産業廃棄物処理施設、一体どの程度建設することが必要と厚生省は考えておられるのか、御説明をお伺いしたいと思います。
  8. 小林康彦

    小林(康)政府委員 今後の産業廃棄物処理施設の必要量、金額で試算をしてみてございます。  今後十年間に産業廃棄物が伸びていく伸び方といたしまして、西暦二〇〇〇年に五億トンになるという仮定をいたしまして、そして平成三年度からスタートをしてございます第七次の廃棄物処理施設整備計画の基礎数字をもとに試算をいたしますと、今後十年間に必要になります産業廃棄物整備費、公共関与によります建設費が八千八百五十億円程度、それから民間産業廃棄物処理業者によります施設整備費が二兆八千四百億、合計いたしますと三兆七千億程度の施設整備を行っていく必要があるというように試算をしております。
  9. 岡田克也

    岡田(克)委員 三兆七千億円ということであります。そこでこの法案の必要性ということが出てくるわけでありますが、この法案成立によって一体具体的にどういう効果があるのかということを大臣に簡単で結構ですからお聞きするとともに、事務方に具体的な財政、税制上の措置についてお話しをいただきたいと思います。
  10. 山下徳夫

    山下国務大臣 今お話ございましたように、現今のごみ処理ということは極めて国家的な施策として大切な問題でございますので、法律にはいろいろなことが盛り込んでありますが、その中でも比較的に即効性のある財政上、税制上の優遇措置をいろいろと盛り込んであるわけでございます。  具体的に申し上げますと、特定施設についてのNTT・Cタイプ融資、つまり無利子とかあるいは低利子等を含んだこれらの政策的な融資、それから認定計画に基づく公害防止上の設備についての税制上の特別償却という優遇措置、あるいは周辺の公共施設の一体的整備についての地方財政措置や国庫補助配分についての、例えば道路の拡張とか緑地帯等を設けるとか、そんなこともこの中に盛り込んでございます。さらに、債務保証などの振興財団を通じた支援措置、これらのことがこの法律にはあるわけでございます。  このようにいたしまして、各般にわたる総合的な措置によって、改正廃棄物処理法による規制強化と相まって、緊急の政策課題である産業廃棄物処理施設の確保が図られることを私ども期待をいたしておるわけでございます。
  11. 岡田克也

    岡田(克)委員 今大臣からかなり詳しく御説明をいただきましたので、それで結構でございます。  そこで、この法案を読んでおりまして、いま一つ具体的なこの法案の対象になる特定施設のイメージがわかないものですから、この点について少しお聞きをしたいと思います。  この法案の第四条で「整備計画の認定等」という規定がありまして、「特定施設整備の事業を行おうとする者は、当該特定施設整備の事業に関する計画を作成しこ主務大臣に提出して認定を受ける、こういうことになっております。この認定をする際の基準というものがこの三条に言う「基本指針」、こういうことになると思うのであります。  この「基本指針」というのは、具体的には第三条の第二項で、「次に掲げる事項を定めるものとする。」としていろいろ書いてあるわけであります。第一号から第七号まで書いてございますが、では具体的に「基本指針」でこの一号から七号に書いてあることについてどういったことが書かれる予定なのか、これが第四条に基づく「整備計画の認定等」に当たっての基準になることでありますので、非常に大事だと思いますので、お伺いをしたいと思います。
  12. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お尋ねのございました第三条で言います「基本指針」の具体的内容につきましては、今後関係省庁とともに具体的に詰めるという内容でございますが、現在の時点で概括的な方向、考え方を申し上げますと、例えば自然的、経済的、社会的条件から見て相当と認められる地域であること、特定施設の施設の内容や面積または能力を基準とした規模の要件を明示すること、それから一部の施設としての機能を発揮するための配置や運営に関する要件、さらに第六号で「環境の保全その他」という項を立てでございますが、これにつきましては、必要に応じまして環境への影響を調査検討すること等の環境の保全に関すること、これらの方針に加えまして、災害の防止など国土の保全に関すること、地域の雇用の促進に関すること、地域の中小産業廃棄物処理業者への配慮に関することなどについて定めることを予定しているところでございます。  さらに、「特定周辺整備地区の指定及び施設整備方針」の策定に関する事項につきましては、特定施設整備するのにふさわしい計画的な施設整備が行われること、地域の振興または整備に関する計画との調和を図ること、都市計画その他の公共施設整備に関する事業の計画との整合性がとれたものとなるよう配慮することなど定めることを予定をしておりまして、これによりまして特定施設の円滑な、かつ合理的な整備に関する基本方針を定める、こういうことにしておるところでございます。
  13. 岡田克也

    岡田(克)委員 ただいまの説明でまだちょっとイメージがわかないわけですが、例えばこの第三条第二項の第二号に「特定施設の立地並びに規模及び配置に関する事項」、こういうのがございますが、例えば規模について言えば、大きなものがいいのか小さなものがいいのか、この法律ではどういうものを念頭に置いて建設の促進といいますか推進を図ろうとしているのか、その辺がどうもよくわからないところがあるわけでございます。この点についてもう少し補足的に御説明いただければありがたいと思います。
  14. 小林康彦

    小林(康)政府委員 規模につきましては、その地域での必要性あるいは立地の面から考えましての限度等がございますので、それぞれの計画ごとに定めるべき事柄、一律にその規模以上でなければいけないあるいは小規模の方がいいという問題ではないというふうに考えております。したがいまして、規模を定めるに当たりまして配慮すべき事項、及びその規模で施設計画を行います場合に、その周辺でとるべき面積の物の考え方ですとか配置に対する基本的な事項、一般的な指針になる事柄を定めるという予定をしておるところでございます。
  15. 岡田克也

    岡田(克)委員 先ほど今後十年間で三・七兆円の投資が必要である、こういうお話があったと思いますが、この法律ができることによってその三・七兆円のどの程度をカバーするのか、そしてカバーする部分というのは、限界的な部分なのかあるいはかなりいいところをこの法律によってモデル的につくっていくということなのか、その辺の基本的な考え方はどうなんでしょうか。
  16. 小林康彦

    小林(康)政府委員 今回の新法化基づきます特定施設整備は、全国的にモデルになるようなレベルの高い、かつ周辺整備にも配慮した施設整備を行うというのが一つの大きなねらいでございます。  具体的にどの程度の事業になるか、これからそれぞれの地域ごとに具体の計画を検討していくという段階でございまして、幾つか当面事業化したいという候補になっておるところはございますが、例えば十年間という期間をとりまして、その期間で全体としてどの程度の計画が見込めるかにつきましては、まだこれからの課題でございます。制度ができましてから、その制度の周知徹底に努め、こうした制度を活用しての模範的な施設整備が進められるよう、それが牽引となりまして他の処理施設のレベルも上がり、全体として安心できる産業廃棄物処理施設整備が進むよう、こう心がけていきたいというふうに考えております。
  17. 岡田克也

    岡田(克)委員 ただいまの御説明でよくわかりました。  三・七兆円のうちのどの程度カバーするかというのは、これから十年間でどのくらい予算がとれるかということにも関係してくるわけでありますから、厚生省にも頑張っていただいて、我々も頑張って少しでも予算の獲得をしたい、こう思っているところでございます。  さて、この産業廃棄物処理施設の不足ということを考えた場合に、地域的なばらつきの問題というのが一つあると思います。特に首都圏とかあるいは近畿圏、中部圏といったいわゆる大都市圏において産業廃棄物処理施設の不足が深刻である、こういうふうに思うわけでございますが、こういった大都市圏における処理施設の不足状況について厚生省の御説明をお伺いしたいと思います。
  18. 小林康彦

    小林(康)政府委員 大都市圏では、出ます産業廃棄物の量が多い一方、土地利用が高度に進んでいるということもございまして、特に最終処分場の確保が困難な状況でございます。現在の最終処分場施設の残っております容量、全国平均で一五年分程度でございますが、首都圏ではこれが半年分、近畿圏では大阪湾広域臨海環境整備センター、俗にフェニックス計画と言っておりますが、これが動き始めましたので二年分、中部圏では一年半分というような容量というふうに推計をされておりまして、最終処分場の確保問題は特に大都市圏で深刻になっているという状況でございます。
  19. 岡田克也

    岡田(克)委員 実は、私は三重県でありますが、三重県も大都市圏ということになっております。特に三重県の場合には中部圏と近畿圏に狭まれておりまして、三重県の中でも西の部分、つまり我々の言う伊賀地区というところは、どちらかというと近畿圏であります。それから、我々の言う北勢地区というところは名古屋に近接をしておりまして、両大都市圏の影響を非常に受けるわけでございます。  三重県に限らず、大都市圏周辺の産業廃棄物処理施設の不足が深刻であるというのは今の御説明にあったところでありますが、もしそういうことだとすると、この法案第四条の整備計画の認定に当たりまして、そういった大都市圏における特定施設が特に不足するということでありますから、これについて特に優先をして認定をしていくべきではないか、こういうふうに思うわけであります。この点に対するお考えを聞かせていただきたいと思います。
  20. 小林康彦

    小林(康)政府委員 本法案によります特定施設整備計画の認定は、主務大臣が定めます基本指針に照らして判断をするという制度でございます。この認定につきましては、整備計画に記載をされております特定施設の公平姓及び公開性に留意をして行うことにしております。  御要望があれば、できるだけそのすべてにこたえるというのが私どもの基本姿勢でございますけれども、仮に申請が多く出てまいりまして、この制度で用意をいたします財政的支援措置のための予算を超えるというような状況もあります場合には、お話のございましたような緊急性も考慮をして整備計画の認定を行うことになろうというふうに考えております。
  21. 岡田克也

    岡田(克)委員 現実に不足をしております大都市圏の整備計画の認定について、ぜひ十分な御配慮をいただきたいと思うわけでございます。  それからもう一つの問題点といたしまして、広域的な処理の問題がございます。  これは大臣にも御見解をお伺いしたいと思っているわけでございますが、そもそも国がこういった法律をつくって、全国的に産業廃棄物処理施設の建設を促進していこう、こういう考え方に立ったわけでありますから、その法律の趣旨からいいますと、この法律の運用に当たっても都道府県域を越えるような、それぞれの都道府県ではなくて、それを越えるような広域的な処理を行う施設について何らかの運用上の配慮があってしかるべきではないか、こういう気がするわけでありますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  22. 山下徳夫

    山下国務大臣 産廃の処理施設設置につきましては、全国的にだんだん難しくなりつつあるわけでございます。特に、ごみを捨てる県があれば、今度はこれを受け入れる県があるし、まちまちでございます。したがいまして、その処理施設整備につきましては緊急の課題であると考えておりまして、特定地域の整備計画の認定に当たっては、その整備計画に記載された特定施設、例えば地域的な公平性とか情報の公開性とか、そういうことに留意をしながら、さらにその緊急性ということを十分考慮をいたしまして認定を行うことといたしております。  いずれにいたしましても、今申し上げましたように、広く全国的な見地から産廃の施設を確保できるように配慮してまいらなければならないと思っております。
  23. 岡田克也

    岡田(克)委員 前向きの答弁をいただきまして、大変ありがとうございました。  俗に言う持ち込みといいますか、自分の都道府県以外の地域から持ってこられるのは困る、そういうように考える都道府県が多いというのも現実でありまして、また、そう考えることについて、それなりの理由があるということも私は承知をしております。しかし、現実に一部の都道府県においては、みずからの地域内から排出される産業廃棄物処理するだけの能力がない、建設を促進しようと思っても現実にその余地がない、こういう現実があることもまた事実でありますから、こういった点について、広域処理を推進するような観点での運用をぜひお願いを申し上げる次第でございます。  次に、この法律の中で産業廃棄物処理事業振興財団に関する規定がございます。この財団は、債務保証事業あるいは助成金交付事業を行うということになっておりますが、今申し上げましたそれぞれの二つの事業について当面どの程度の事業規模をお考えなのか、御説明をいただきたいと思います。
  24. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物処理振興財団は、民間事業者の出捐金等から成ります基金を設けまして、その運用益を中心として業務を行うという制度を予定をしております。  この基金の規模につきましては、総額百二十から百三十億円程度を目標としておりまして、その分担といたしましては、平成四年度からの五年間で国及び地方公共団体から四十億円程度、民間事業者からこの二倍程度のものを予定をしておるところでございます。  個々の事業の配分につきましてはこれからでございますが、総枠といたしましては、今申し上げました百二十ないし百三十億の基金をもとにしての事業を目標に、現在検討しておるところでございます。
  25. 岡田克也

    岡田(克)委員 ただいまの御説明ですと、総額が百二十億から百三十億、そのうち国と地方で四十億、民間が残りの八十億強、こういうことだったとお聞きをしたわけでありますが、大分景気の方も悪くなってまいりましたし、民間の方の負担も大変だと思うわけであります。民間事業者がこういった八十億、百億近いお金を提供をするという具体的なめどは立っているのでしょうか。
  26. 小林康彦

    小林(康)政府委員 民間事業者からの拠出金は八十ないし九十億を目標にしておりまして、企業の活動を支援をするこの制度でございますので、企業そのものも適切な出捐を行い、円滑な事業運営を担うべきであるという観点から、現在関係の産業界と話し合いをしておるところでございます。まだまとまっているという段階ではございませんけれども、協力が得られますよう鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  27. 岡田克也

    岡田(克)委員 私も民間企業がこの程度の資金協力をするのは必要なことである、こう思っておりますけれども、産業廃棄物の排出といいますか、そういうものについて、それぞれ業種ごとの多い少ない、あるいは関係の深い浅いというのは当然あるわけでありますし、そういった点も踏まえて、なるべく公平な観点からその負担が行われることを望みたいと思います。同時に、民間事業者に対しましては、この法律の趣旨というものをよく御理解いただいて、高い観点から、不景気であって大変だとは思いますけれども、ぜひ御協力をいただきたい、こういうふうに御要望を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  28. 牧野隆守

  29. 土肥隆一

    土肥委員 産業廃棄物の問題がいよいよ胸突き八丁に達して、そして、国としても何らかの手を下さないと大変なことになるということが明らかになってまいりまして、この法案が出たものだというふうに考えます。  私が手にしました平成二年四月現在の最終処分場の残余容量が、一般廃棄物で一億三千七百万トンで残余年数八・一年分、産業廃棄物では一億六千七百万トンで残余年数が一・六年、これは平成二年でございます。首都圏では一般廃棄物が残余三・二年分、産業廃棄物では〇・五年分、現在平成四年に入っておりますから、首都圏ではもうどこにも捨てるところがないというふうな状態がと思います。  私は、今回の法案質疑に当たって、まず産業廃棄物処理場を受け入れる住民の気持ちをどれほど酌んでいくのかということが一つ。それからもう一つは、処理業者というものをもっときちんと位置づけるということが大事だということが一つ。そして、もはや民間処理業者に頼っていてはどうにもならないという状況に追い詰められましたから、国も県も市町村も挙げてこの産業廃棄物に取り組もうとする姿勢がうかがわれるわけでございますから、そういう視点を持って御質問をしたいと思います。  まず大臣にお聞きいたしますけれども、ここまで産業廃棄物の問題が社会問題化して、そして、既に最終処分場の残余容量がいよいよもう枯渇しているという状況に当たりまして、担当大臣としてこの産業廃棄物の現状をどういうふうに認識しておられるか、お聞きしたいと思います。
  30. 山下徳夫

    山下国務大臣 率直に申し上げて、この産業廃棄物処理については、社会的認識も、あるいはまたある意味において施策において後追い的なところもあったかと思います。したがいまして、廃棄物の処理については、非常な緊急性を要するということであろうかと思います。  そこで、原因はどこにあるかと申しますと、排出量が非常にふえる一方、減量化あるいは再生利用というものが非常に停滞をしておるということが第一でございます。それから、周辺住民の反対などによって処理施設が思うようにはかどらない、その整備がおくれているということが第二点。さらに、県境を越える広域的な移動というものがふえておりまして、広域的になりますとやはり不法投棄というものがそれだけ多くなるわけでございまして、これも非常に大きな原因になっておる。さらに、産業廃棄物処理業者が比較的に資金力あるいは信用力においてどうも欠けているという点も、一つの大きな問題であろうかと思います。  これらの問題があるために、昨年廃棄物処理法の改正を行いまして、減量化再生利用促進あるいは適正処理の確保のための規制強化等の措置をとってまいったわけでございます。今回御提案申し上げております新法により、これらの産廃物の処理施設整備を一層促進することといたしたいと思っております。  以上でございます。
  31. 土肥隆一

    土肥委員 この法案の趣旨説明でも、業者の資金力不足、それから地域住民の不安ということが挙げられておりますけれども、つまり、業者の資金力が不足しておるということは、大変なコストをかけて中間処理なり最終処分場を獲得しなければいけない、建設しなければならないということだろうと思います。大変なコストがかかるにもかかわらず、同時にそれは地域住民の不安を呼ぶという要素を持っておりまして、この処理施設をつくっていく上に、いやが上にも困難さを増し加えてくるわけでございます。  どうして地域住民が処理施設に不安を持つようになったのか。あるいは処理業者の資本力が不足であるということでありますならば、なぜこういうコストの高いものを資本力の弱い業者にゆだねなければならなかったのか、その辺のことについてお聞きしたいと思います。
  32. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お話がございましたように、産業廃棄物処理施設設置の困難性といいますのが、地域により差はございますけれども、一般的に地域住民の不安、あるいはそれを受け持っております処理業者の資本力の不足というものが大きな理由として挙げられるというふうに考えております。  地域住民が不安を感じます理由といたしましては、今までの事例といたしまして、産業廃棄物処理施設の管理が万全と言えないケースがあって、それを見ますとどうも不安だというようなことがございます。それから、不法投棄が身近にある、あるいは報道等で伝えられるということで、不法投棄イコール産業廃棄物処理みたいな感覚というものも一部で残るところでございます。さらに、廃棄物の処理業者も今までなじみのなかった方が突然来られて事業をする、あるいは埋立地の埋め立ても将来どうなるかというような、幾つかの要因があろうかというふうに思っております。こうしたことに対しましては、昨年の廃棄物処理法の改正によりまして、処理業の許可要件を強化をし、処理施設につきまして届け出制から許可制に改める、あるいは不法投棄に対します罰則の全面的強化など、いわゆる規制強化を図っておるところでございます。  次に、資金力の不足の点でございますが、現実として産業廃棄物処理業を行っておりますのは小規模零細な業者が多い状況でございまして、事前に資金を投下し、長期にわたりますような計画に対しますには十分な資金力がないという状況がございますし、最近のように地価が高騰いたし、建設費も上がるというような状況の面では、資金力の面から施設整備が困難となってきているということはございます。廃棄物処理につきまして、我が国では大企業が手がけるという状況に至っておりませんで、今までこうした規模の小さな皆さんが担ってきているという現状でございます。
  33. 土肥隆一

    土肥委員 住民の不安を呼ぶような状況になったということは、これは真剣に詳細に分析して、そして対応していただかないとこういう住民の不安というものは払拭されない、そういうふうに考えます。  それから、業者の資本力の不安ということでございますけれども、大変なコストがかかるわけでありまして、しかも一つの施設をつくるのに、私の知るところでは三年も五年もかかる。でき上がったらもう五、六年から八年ぐらいで埋まってしまうというふうなこと。ある資料によりますと、毎時五トンの処理をできる施設をつくろうと思えば、中間処理施設だと思いますけれども、施設費だけで七億円ぐらいかかる。それに土地代を含まなければならない。厚生省の資料によりますと、例えば毎日一トンの処理をしようと思えば、単価としては大体二千八百万円ぐらいかかるのじゃないかというようなこともお聞きしております。つまり、産業廃棄物処理業というのは大変な事業でございまして、その辺を具体的に実際の状況をとらえながら解決していかなければならないと思うのであります。  不法投棄というのが一番問題になってまいりましたが、この不法投棄というところで産廃行政の最も難しいところが典型的にあらわれるというふうに考えます。例えば、産業廃棄物処理法のPPPの原則といいましょうか、排出者の処理責任あるいは処理業者の法的な位置づけが不備であるとか、市場原理にゆだねるとか、あるいは行政の指導、規制というものが処理業者だけに偏るとかいうようなことが挙げられると思いますが、この不法投棄、そして住民の不安、これをぜひとも将来にわたって解決していただきたいと思うのであります。しかし、ここまで追い詰められたということは行政側の責任もあるのではないかと私は思いますが、責任といいますか行政側の反省といいましょうか、そういうところがあればお伺いしたいと思います。
  34. 小林康彦

    小林(康)政府委員 最初に不法投棄の関係でございますが、警察庁の調べによりますと、平成三年の産業廃棄物の不法投棄事犯、二百九十七件ございます。これを動機別に整理してみますと、処理費節減のため、安上がりに片づけるためとしておりますのが全体の四三%、最初から営利目的で行っておりますのが三四%、処理場が遠くにある、遠距離のためとしておりますのが一〇%という状況になっております。このため、産業廃棄物処理施設整備が進まなければ、施設の不足に伴います料金の上昇や施設の遠隔化に伴います廃棄物の運搬距離の増大などにより、不法投棄等の不法、不適正な処理が増加するおそれがあるというように考えております。  今まで産業廃棄物処理というのは、排出事業者の責任で行うべきもの、そして、その処理を専門に行います処理業者につきましても、自由な経済活動のもとで育ち、契約のもとに実行されるものという考え方に立ちまして、いわば民間の企業活動の中での行為というとらえ方をし、都道府県は処理計画をつくるという制度、指導監督という制度はございますけれども、なかなか公が積極的に施設整備に手をかそう、こういう体制にはなっていなかったわけでございます。  そうした結果、処理施設の不足というのが顕著になりまして、処理施設整備が十分でないところでは排出事業者に対する徹底した指導も少し鈍りがち、具体的に言いますと、ではどこへこの産廃を持っていったらいいでしょう、こういうふうに言われたときに、明確に行政側として返答ができないというような第一線の悩みもございまして、そうした点を考えますと、処理施設整備をきっちり行い、排出事業者に対する指導も徹底をさせるということが、不法投棄を解消いたしますためにも極めて重要な要件というふうに認識をしておるところでございます。
  35. 土肥隆一

    土肥委員 行政の責任あるいは行政の指導が不十分であったというふうには聞こえなかったわけでありますけれども、そもそもこの産業廃棄物の問題というのはさまざまな問題性を含んでいる。  その中でも、特にいわゆる民間処理業者の自由主義経済と申しましょうか、市場原理と申しましょうか、そこに最大の問題があるというふうに考えるわけです。つまり、市場原理を原則とする限り、安上がりで、そしてかつ手っ取り早く金もうけができる産廃業者というのが出てくるのは当然でございますが、そもそも産廃業界の市場メカニズムと申しましょうか、あるいは料金の設定においてどういうふうになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  36. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物処理料金は、現状及び基本で申し上げますと、処理施設処理能力の状況と処理すべき廃棄物の間のいわゆる需要と供給の関係によって左右をされるというのが基本になっております。産業廃棄物処理できる処理施設の供給が安定的に行われない状態になり、かつ処理をすべき産業廃棄物の量が増大をいたしますと、その力関係によりまして処理料金が高騰をするという関係にございます。  実際問題といたしまして、産業廃棄物の排出量が増大をしておりまして、それを受けるだけの処理施設が困難になっているということがございますので、地方公共団体によりましては、他の行政区域から参ります産業廃棄物の流入を制限をするというような動向もございまして、これがさらに地域的な処理施設の需給バランスを崩しているという要素もございまして、いわば廃棄物を受ける側が非常に強気になって、それによって価格も上昇をしている。特にこの傾向が大都市圏に著しいというのが先生お尋ねの価格のメカニズムの現在の姿というふうに考えております。
  37. 土肥隆一

    土肥委員 私は、本当に責任ある廃棄物処理業者になっていただくためには、その廃棄物の処理場あるいは中間施設でもそうでありますが、企画から完成、そして廃棄物を受け入れる、そして例えば最終処分場が終了したら、きちっと最後の始末をするというふうな非常に責任の重い業種であるというふうに考えますと、何らかの意味でその都度その都度の市場価格を見ながら適正料金を設定して、それを一年か二年ごとくらいに見直して、物価上昇率を掛けるとかいうようなことで、ある意味でのガイドラインを出さないと、市場原理にゆだねるということは非常に問題があろうかというふうに考えております。厚生省の方も検討はなさったようでありますが、公取との関係などでどうも実現しなかったのではないかと思いますが、この問題は、何らかの国会での発言において適正料金が設定されることを私は望みたい、このように思います。  さて、法文に入りますけれども、第二条関係で、一部の施設をもって特定施設というふうに決められたわけでありますが、この一部というふうな考え方を導入なさった目的をお述べいただきたいと思います。
  38. 小林康彦

    小林(康)政府委員 この法案は、産業廃棄物処理施設について財政上及び税制上の優遇措置を講じまして、そのモデル的な事業を促進しようということでございますのでき上がります施設も全国的に見てモデルになるものを目指しておりまして、そのためには産業廃棄物処理を効率的かつ適正に行うことが必要でございます。単一の施設ではなかなかその目的を達成しにくい面がございますので、複数の種類の施設が一部のものとして整備をされ、それによりまして適切かつ円滑な廃棄物の処理施設整備されるよう、一部のものということで特定施設整備を規定したところでございます。
  39. 土肥隆一

    土肥委員 要するに、単体で一つだけ例えば中間処理施設をつくるというのではなくて、もう一つ加えてやりなさい、そして二号または三号の施設を併設しなさい、そして今度は場合によっては緑化施設等も設置しなさい、こうなりますと、処理業者にとってはかなりの土地を確保しなければいけない。そして一部の施設でなければいけない。それにまた研究機関だとかその他付加価値の高いものをつくり、場合によっては近隣の状況を考えて緑化施設などをつくるということになりますと、モデル的とはおっしゃりながら、業者にとっては非常に過大な負担になるのではないか。その結果、この施設整備がおくれるのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  40. 小林康彦

    小林(康)政府委員 これからの産業廃棄物の施設整備、運営につきましてモデル的なものというふうに考えますと、従来の施設だけでは十分でないという観点から、研究開発施設あるいは研修施設等の共同利用施設を組み込み、従業員のレベルアップあるいは今後の技術開発を進める拠点にもしようというのが一つでございますし、また緑化施設、スポーツ、レクリエーション施設等の周辺整備事業につきましては、産業廃棄物処理施設が一般的に周辺住民からなかなか受け入れてもらいにくいという状況から考えますと、地元と調和のとれた施設として周辺住民の理解を得た上で事業を進めるという観点から、今後重要なポイントであろうと思っております。  このような共同利用施設及び周辺整備施設を整備いたしますと負担を伴うものでございますけれども、今後のモデル的な施設整備につきましては、促進のために必要な方策、廃棄物の処理としてはそこまでコストをかけて健全な処理施設及び処理業を育成していく必要があるというふうに考えております。その設置に対しましては、各種の財政上及び税制上の優遇措置を講じまして、負担の軽減を図る方策を織り込んでいるところでございます。
  41. 土肥隆一

    土肥委員 三条関係で、国の基本指針についてお尋ねをしたいと思います。この法案では項目が挙がっているだけでございますから、この辺はやはり具体的に詰めておきませんと、これがすべて今後の産業廃棄物処理業者のあるいは行政の指針になるわけでございますから、詰めさせていただきたいと思います。  まず、二項一号の特に単体の処理施設でない特定施設の基本事項、こうなっておりますが、既に単体の施設があるわけです。その単体の施設はそのまま置いておいて、この特定施設の基本事項をまたおつくりになるわけですが、その特定施設の基本的事項とは何なのか。あるいは、二号の立地、規模、配置あるいは立地条件というときにどういうことを考えていらっしゃるのか。あるいは、三号に事業を行う者についての指針が出ておりますが、どういう指針をお考えになっているのか。あるいは、六号の特定施設用の環境保全というようなものを考えておられて、例えば規模が大きくなるわけでありますから、そういう意味では特定施設用の特別な環境アセスメントというようなものが想定されているのかどうか、概括的にお答えいただきたい。  そして、特に私はこの指針の中に入れていただきたいのでありますが、どうしても最終処分地の安定型処分場は極めて問題が多発しているというふうに理解します。特に施設が完了して満杯になった後も、そこから排水される汚水がさまざまな意味で問題になっている、トラブルが起きているということも知っております。そういう意味では、この安定型処分場は今後はすべて管理型処分場とするような、そういうふうなもう少し最終処分場のあり方についてもきちっと指針に入れるべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  42. 小林康彦

    小林(康)政府委員 法案第三条第二項の基本指針についてでございます。  内容は法案の成立後策定されるものでございますが、現在のところお尋ねの件につきまして予定をしておりますのは、まず第一号の基本的事項として、この法律に基づきます特定施設整備促進を図る目的等をうたいたいと思っております。  第二号の立地、規模及び配置に関する事項といたしまして、土地の確保が容易であること等の立地に関する事項、特定施設を構成いたします産業廃棄物処理施設、研究開発施設等の共同利用施設や周辺整備施設の規模、複数の施設が集積して全体としての機能が効果的に発揮できる配置であること等を予定しております。  第三号の整備の事業を行う者に関する事項といたしましては、特定施設整備を行う者として適切な経済的基盤を有していることを考えております。  第六号の環境の保全その他特定施設整備に際して配慮すべき重要事項といたしまして、特定施設整備に際して、環境の保全、災害の防止等に配慮すべきこと等を定めることとしております。  アセスメントをどうするかという次のお尋ねでございますが、廃棄物処理施設に係ります環境影響評価につきましては、昭和五十九年の閣議決定、環境影響評価実施要綱に基づきまして、三十ヘクタール以上の最終処分場についてこの要綱に基づくアセスメントを実施しているところでございまして、これに該当いたしますものについては閣議決定によりますアセスを実施することになります。また、基本指針の内容といたしまして、本法案特定施設について、必要に応じまして環境に与える影響を調査検討する旨の記述をすることについて、現在検討しておるところでございます。  最終処分場、特に安定型の処分場についてでございますが、処理施設につきまして、昨年十月に改正いたしました廃棄物処理法で届け出制を許可制に改めるなど、規制強化したところでございまして、厚生省といたしましては、報告徴収や立入検査を徹底いたしまして、搬入される廃棄物のチェックを強化するなど廃棄物の適正処理の確保に努めることによりまして、最終処分場についての生活環境保全上の問題の発生を防止できるものと考えております。安定型の最終処分場でそこから出ます排水で問題があります場合は、そこに搬入されます廃棄物に問題がある場合でございますので、そこの管理を徹底することによって安定型処分場の本来の機能、本来の役割分担を果たすべき施設ということで位置づけていきたいというふうに考えております。
  43. 土肥隆一

    土肥委員 第五条関係に入らせていただきますが、既に都道府県の産業廃棄物処理計画がすべて提出されているというふうに思いますが、それは厚生省から見られて十分に合理的で有効なものとお考えでしょうか。特に業者の認定に当たって、この「処理計画に適合したもの」というふうに法文で出ておりますが、この適合というときに、この特定施設の条件というものは、都道府県が計画を立てております前の産業廃棄物処理計画とは時代が変わっておるわけでございまして、その辺の都道府県が持っておる現在の処理計画、そしてこの特定施設が生まれてくるときの処理計画とは、適合というとどういうふうに理解していればいいのか、お尋ねしたいと思います。
  44. 小林康彦

    小林(康)政府委員 まず、都道府県が策定をいたします産業廃棄物処理計画でございますが、この内容は、産業廃棄物処理施設設置産業廃棄物の運搬、処分の状況、将来の見込みなどを規定をすることにしておりまして、なお、改正された廃棄物処理法では、さらにこの内容を充実をするということになっているわけでございます。  産業廃棄物処理計画を都道府県が策定をいたします場合に、あらかじめ都道府県公害対策審議会の意見を聞くこととされておりまして、その都道府県の実情を踏まえた合理性、有効性のある計画となっていると考えております。ただ、再生利用でございますとか近年の要請にこたえる点では従来の規定では弱いところがございましたので、改正法でその内容の拡充を図ったところでございます。  この都道府県の産業廃棄物処理計画と本法での特定施設整備計画の認定との関係でございますが、都道府県の定めます産業廃棄物処理計画は、当該都道府県内の産業廃棄物処理に関する基本的事項を定めておりますので、その内容との整合が図られる必要がございますので、基準の一つとして整合性という点を挙げておるところでございます。  なお、産業廃棄物処理計画は、必要に応じて都道府県におきまして見直しあるいは改定を行っておるところでございますので、こうした基本事項につきましても、その状況によりまして最も適切な計画に改定をされていくことでございますので、二つの間の関係は十分整合性を保ちながら進めていけるものと考えております。
  45. 土肥隆一

    土肥委員 第六条に入らせていただきます。  ここで国、県、市町村の関係が述べられております。そして、それぞれその関係は意見を聞くということになっております。このときに、この特定施設設置するに当たって行政機関がどういうふうに関与するのかということをお聞きしたいのでありますが、ある特定業者が特定施設整備をするに当たって、必ず地域住民にその計画を発表するし、あるいは地域住民の合意を得なければならないことは当然であります。  そのときに、この場合は県あるいは市町村、末端行政の担当者というものはその当該の民間処理業者が計画します、あるいは第三セクターも当然でありますけれども、どういうかかわり合いを地域住民となさるのか、その辺の事情。そして、通常行政指導は地域住民の同意書というものを求めるわけであります。これは別に法律に定められたものではございませんけれども、一般的に、福祉にいたしましても何にいたしましても、公的な、準公的なものが設置されるときには、地域住民の同意書をとるということになっております。  この辺が廃棄物処理業者が仕事をするときに最も問題点が出てくるところであるし、また、ここに行政がどうかかわるかによっては、この産業廃棄物処理行政が進むか進まないかの分かれ目になると思いますが、その辺の地方行政の担当者と地域住民、処理業者の関係、そして同意書の問題についてお答えいただきたいと思います。
  46. 小林康彦

    小林(康)政府委員 特定施設にかかわります整備計画の認定に際しまして都道府県に対し意見を聴取する。その際、市町村の意見も入れた上でということにしてございますのは、都道府県等が特定施設に関係をいたします各種の規制、または指導権限を有してございますし、公共施設整備にかかわります事業を実施をしていることから、都道府県の産業廃棄物処理計画との整合性を図ることを含めまして、特定施設整備について都道府県行政との調整を図ることを目的として規定しておるところでございます。  さらに、都道府県を通じまして地元市町村に対して意見聴取を行うとしておりますのは、地域の生活環境への影響あるいは地域社会との調和に配慮いたしました施設整備設置を実現するためのものでございます。  このように、認定に当たりまして都道府県及び市町村の意見を聞き、その意向を十分反映することにしておりますことから、地域の実情に応じました認定がなされるものと考えておりまして、本法におきまして御指摘のございました同意書は法律の規定として必要がない、市町村の意見を聞くことでその意向も酌めるというふうに考えておるところでございます。
  47. 土肥隆一

    土肥委員 この辺を詰めておきたいのですが、十一条でも今度は県が特定周辺整備地区を指定するわけです。その指定をする場合に、なぜ指定するかというと、その処理場が来ると生活環境が著しく変化すると述べております。その変化を緩和する方法として公共施設をつくることが適当と考えたときは地区を指定し、施設整備の方針を定める、こうなっているわけです。そうすると、公共施設がそこに整備される、そして地域の生活環境の変化を緩和する。三項、四項でも関係市町村が出てまいります。  そして、その地域を指定いたしますと、整備方針を公表するというふうになっています。公表するわけでありますから、これは地域住民にも公開される公表だというふうに考えます。その関係からいいますと、単に市町村の意見を聞いて、そして地区を指定して、公表するだけで施設が促進されるのかどうかということになりますと、極めて私は不十分だというふうに考えるわけです。ここまで公的な行政のかかわりがあるのでありますから、基本的に産業廃棄物の施設整備においては行政がもっと積極的にかかわるべきだというふうに考えますが、もう少し詳しく御説明いただけませんでしょうか。
  48. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物処理施設整備につきまして、公の支援というのは各種用意をしたわけでございますが、その一つといたしまして特定周辺整備地区の指定を用意したものでございます。この特定周辺整備地区の指定及び施設整備方針の策定といいますのは、特定施設設置に際しての周辺環境の激変を緩和するための措置でございまして、地域の実情に通じており、公共施設の整備の際に中心的な役割を担います都道府県の判断で定めるということにしております。  具体的に生活環境等への影響の例といたしまして、特定施設設置することによりまして交通量が増大をする、あるいは景観が変化して影響がある等の社会的、経済的条件への影響が予想されるところでございます。これに対しまして、例えば道路を拡幅をするあるいは公園を設置する等によりまして、周辺住民の生活環境等の激変の緩和を図ろう、こういうものでございます。  公共施設の整備は、施設整備方針に基づきまして都道府県、地元市町村が行うものでございますが、それに要します費用につきましては、国や都道府県によります地方単独事業に対する地方財政措置や、補助事業に対します国庫補助の配分等により配慮されるというようになっておるところでございます。  特定周辺整備地区の区域及び施設整備方針の公表につきましては、プレス等に対します情報提供等ございますが、公式には、条例や要綱等の公表の方法に準じまして、県報等を活用することによりまして公表し、当該地域の住民に周知することにしたいというように考えております。いわばこの部分につきましては、公共が周辺地域の公共事業を促進をすることによりまして、処理施設の円滑な立地の促進を図ろうという規定でございます。
  49. 土肥隆一

    土肥委員 私は、やはり少し行政が逃げ腰というふうに感ぜざるを得ないのであります。これだけ国も県も市もかかわりを持つのに、どうしても関係地域の住民の顔が見えてこないというふうに考えます。これは大変御苦労なことですけれども、末端行政の担当者が一歩も二歩も前に出て、民間処理業者と一緒になるというのも変でございますけれども、公的な責任を持つ部分と私的企業者としての部分を分けながらも、一緒になって整備していかないとなかなか前進しないなというふうに考えます。そういうことからいいますと、行政のかかわりをもっと明確に法文にうたうべきだなというふうに考えるわけです。  処理業者が土地を買収し、地域住民を説得する、同意を得る、国の認定や指導を受ける、それで施設が完成し、その事業が進み、そして処理施設が満杯になるあるいは閉鎖される、跡地利用の整備もしなければいけない、そしてまた一定期間埋設地の観察もしなければいけない、排水の処理状況も相当の間見ていかなければならない、こういうきちっとした仕事をしてもらおうと思えば、当然地域住民との密接な意思疎通、そして行政の責任あるいは行政が施設整備の担保をする、もし事故があったときにはそれをちゃんと補っていく、そういうふうな行政の役割というものもきちっと出して、地域住民としっかりと顔と顔を合わせてやっていくような事業にしませんと、一歩引けたような形で、あるいは行政が逃げるような形では到底これは無理だと思います。  そういう公表とか地域住民との関係についてこの条文を修正すべきだというふうに考えますが、部長の御意見をお聞きしたいと思います。
  50. 小林康彦

    小林(康)政府委員 先生挙げられました手順に従って、行政がどう関与していくかをまず申し上げたいと思います。  廃棄物処理法及び本法によりまして、それぞれの段階で行政が関与するということになるわけでございます。  まず、事業者が整備計画を策定いたしますと、これを都道府県を通じて国に提出をし、国は都道府県、市町村の意見を聞いて、それを十分反映して認可をする。ここで計画そのものに対する関与がございます。この計画に基づきまして処理施設設置いたします場合には、設置の許可ということで、その施設の内容についてのチェックが十分行われるところでございます。施設が完了いたしますと使用前の検査を都道府県が行いまして、確認した上でなければ供用ができないという関与がございます。  また、処理業として、業として行います場合に許可が必要でございまして、このレベルでも適切な業が行えるかどうか、業としての審査を行うところでございます。  事業の実施段階に入りますと、立入検査でございますとか報告の徴収という形で指導監督を公が行いまして、埋め立てが終わりますと届け出をさせて、届け出台帳を作成、保管をさせる、最終処分場の閉鎖までの指導監督を排水管理を含めた上で徹底をする制度になっておりまして、それぞれの段階で行政は適切に関与できる制度になっているというふうに考えております。  この過程で住民の同意、現在の規定ではいかがか、こういうお尋ねがあったわけでございますが、産業廃棄物処理施設整備いたします上で地域住民の理解を得ますことは重要なことというふうに考えておりまして、そのため本法案におきましても、主務大臣が整備計画を認定するに当たりまして都道府県や市町村の意見を聞き、十分尊重することとしておりますほか、施設周辺に公共施設を一体的に整備をする、こういう地域住民の理解を得るための措置を織り込んだところでございます。  また、特定施設には、緑化施設あるいはスポーツ、レクリエーション施設等の周辺整備計画が含まれることとされておりますが、基本指針におきまして、これら施設は周辺住民の意向を十分踏まえたものとすることと規定することを予定しておりまして、整備計画の策定に当たっては、実質上地元住民との調整も図られるものになるというふうに考えております。  なお、特定施設につきましても、廃棄物処理法あるいは土地利用規制法の手続を経て実施することが必要でございまして、それらの規制法に事前説明会の開催あるいは計画の縦覧等が規定されております場合は、当然ながらその手順を経るものでございます。法律の規定といたしまして、市町村の意見を聞くという形で、住民の意向も反映できるというふうに整理をしておるところでございます。
  51. 土肥隆一

    土肥委員 なお私は、その計画が実施され、そして建築が進み、整備が完了する、廃棄物を受け入れるというところはいいんですけれども、まずその場所に持ってくるということ自体が最大の難関であるわけです。したがって地域住民が反対をする。当然生活環境が著しく変化するというふうに法文でもうたっているわけでありますから、環境が変化するあるいは悪くなるというふうに考えるのは当然でございます。  そういういわば初めから拒否反応を持つような処理事業を持ち込むわけでありますから、くどいようでありますけれども、住民に説明する段階においても、当然指針に合えば、あるいは特定整備地区の条件に合えば公共施設を建てるわけでありますから、したがって、それは業者と行政が一体となって住民に当たるというところから始めないといけないと思うのですが、例えば土地の買収計画あるいは地域住民の説明に入るときに、行政は、特に末端行政の担当者はそこに立ち会ったり説明したりすることがあるのでしょうか、お聞きいたします。     〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
  52. 小林康彦

    小林(康)政府委員 具体的な事業の実施に際しましてどういう手順を踏むかにつきましては、それぞれの計画ごとに定めていくものでございまして、お話しのように、周辺の整備計画を立てるあるいは計画を認可するという段階で行政が十分関与して、事業の推進を図る場面もあろうというふうに考えております。ただ、それらは事業の内容及び立地をしております地域の状況によりまして、都道府県、市町村を中心に具体的な進め方につきまし七は今後検討し、それぞれの事業ごとに適切な手順を踏んでの事業実施を指導していきたいというふうに考えております。
  53. 土肥隆一

    土肥委員 これは部長のおっしゃる趣旨としては理解できますけれども、実際にそれぞれの全国津々浦々こういう問題が起きてくるわけでありまして、何らかの意味で、法文上、地方自治体あるいは公的な責任というものを初めからうたわないと、意見を聞くというだけでは、それぞれめ都道府県の行政担当者の考えや態度や、産業廃棄物に対する姿勢というようなものに左右されかねない。ここがやはり行政指導の一番微妙なところだと思うのですね。ここを明確にしていただかないと、結局都道府県の担当者の意欲などによっては全然先に進まない、あるいは例えば市町村の首長あたりで、ちょっと地域住民から突き上げられたらもうやらないというようなことが起こり得る。  そういうことで、一番難しいところはこの点であるわけでありますから、特定周辺整備地区も指定して、そして付加価値の高いものをそこへ持ってきて、環境の変化に応じてはそこに緩和するような設備を持ってくるというようなことを一業者が住民の前でるる述べたところで、業者に対する信頼というようなものは到底得られないのではないか。初めからマイナスイメージを持って迎えられる施設でありますから、何とか意見を聞くというところからもう一歩踏み込んで、積極的な姿勢あるいは意欲、意欲よりは決意を持たせるような条文にするべきだというふうに私は考えます。  これはまた後で理事会等でも少し考えていただきまして、聞くだけではなくて、公的な部門の責任というものを産業廃棄物処理施設上の整備においてもう少し積極的に取り組んでいただくように希望を申し上げて、この部分については質問を終わらしていただきたいと思います。  さて、地域で受け入れられる処理施設ということを考えますときに、何といっても情報を公開していただきたい。先ほどの公表するというのも、国の一般的な公表方法によってやるというふうにおっしゃいますが、積極的に地域にチラシを配るとか公報を出すとか、あるいは看板を立てて、処理事業の鳥瞰図をつくるとか俯瞰図をつくるというようなことも含めてオープンにしていただく、情報を公開していただく。そして、行政が一緒になって環境のアセスメントをきちんと科学的に出して、工事の工程もきちっと出して、また処理業者の実績もきちっと広報いたしまして、この処理施設整備を進めていかなければならない、そのように思います。  そして、処理業者への信頼を増すという部分において、地方でも基金が設置せられるわけでありますが、例えばその処理施設が環境を汚染させた、あるいはその処理施設が事故を起こしたり破損したりして近隣に迷惑をかけたというようなときには、その基金を用いて、いわばその部分についてはきちんと担保する、補償するというふうなことも含めて、オープンな、公開性に富んだ、そして科学的な信頼感を醸成するような地域説得というものが不可欠だ。その場合に公共団体、特に都道府県の果たす役割は非常に大きいのではないかというふうに思います。そういうことから考えますと、もう一歩踏み込んで、地方住民の顔がもっと明らかになるような法文にしていただきたい、このように思うのです。  もう一つ、地元の人たちがこういう施設を受け入れるときに、これを受け入れた何らかのメリットというものを期待するのは当然であります。それは生活環境が変わるわけでありますから、変わったことによってそこに付加価値がつけられ、そしていろいろなものが整備されるというときに、地元にもこういういいことがあるのですよというふうなメリットを提示する。そのときに、例えば電力の供給であるとかあるいは給湯設備であるとか、そういうものも考えられるのですが、そういう地方へのメリットが提示されるような要件を政省令あるいは指針等に入れることができるのかどうか。一体地域住民にどういうメリットがあるのかというところも含めてお答えいただきたいと思います。
  54. 小林康彦

    小林(康)政府委員 最初にアセスメントでございますが、廃棄物処理施設に係ります環境影響評価につきましては、昭和五十九年の閣議決定、環境影響評価実施要綱に基づきまして、三十ヘクタール以上の最終処分場については実施しているわけでございまして、今回の計画でも、これに該当いたしますと、要綱に基づくアセスメントを実施するところでございます。  そのほかに、本法案特定施設につきまして、基本指針の内容といたしまして、必要に応じまして環境に与える影響を調査検討し、その結果を特定施設整備に反映させていく旨、記述することについて検討しておるところでございます。  特定施設の信頼性につきましては、認定に際しまして、主務大臣が基本指針に照らして特定施設の機能発揮のため適切であること、また財政上、税制上の優遇措置等を受けて特定施設が確実に設置されること等を審査いたし、さらに、認定後も随時報告徴収、指導等を行うことができる制度になっておりますので、特定施設の信頼性については十分担保できるというふうに考えております。  万一汚染、事故等が起こった場合に、保険制度等の制度はどうか、こういう御指摘がございまして、制度といたしまして、我が国におきましてはいまだ汚染土壌の回復等をカバーいたします保険制度というものはないわけでございますが、幾つかの県におきましては、地方公共団体、処理業者、排出事業者等が拠出をいたして環境保全基金というような基金を設け、産業廃棄物の不法投棄でありますとか事故の原状回復のための措置を講じている事例がございます。厚生省といたしましても、これらの基金あるいは諸外国での例も参考にいたしまして、汚染、事故対策につきましてさらに検討してまいりたいというふうに思っております。  地元に対するメリットは何か、あるいはその促進策はいかがかというお尋ねがございましたが、特定施設設置に伴います地元のメリットにつきましては、地元の意向も踏まえまして、代表的には緑化施設、スポーツ、レクリエーション施設、それからお話ございましたその特定施設から出ます熱を利用しての給湯も可能でございますれば、そうした施設も含めまして周辺整備施設を計画的、一体的に設置をする方針でございます。  こうした方針によりまして、地域にも受け入れやすい、それから、具体策がありますものについては具体策を最大限実現できるような方針で、この新しい施設整備促進のための法律を運用していきたいと考えておるところでございます。
  55. 土肥隆一

    土肥委員 ありがとうございました。終わります。
  56. 石破茂

    石破委員長代理 田中昭一君。
  57. 田中昭一

    田中(昭)委員 私は、昨年議論になりました廃掃法の議論にも参加をいたしておりませんし、処理場の反対運動など笛を吹いた経験はたくさんございますけれども、ミクロのこれらの問題について、法的な問題などについてまだまだ勉強不足でございますから、そういう意味では少し素人っぽい質問になるかもわかりませんけれども、幾つかの問題について御質問を申し上げて、御見解をいただきたいと思っております。  政治的あるいは行政的には重要な課題がたくさんあると思いますし、その中には緊急を要する問題もたくさんあると思います。廃棄物の問題もその大きな一つの課題であると思っております。昨年の第百二十一回国会で、先ほど申し上げましたようにいわゆる廃掃法などの改正がなされたと思います。やがてそれが施行されることになると思いますけれども、その基本的な目的は私は大きく分けると二つあったんじゃないか、こういうふうに理解をいたしております。  その一つは、廃棄物が、その排出量が非常に増加をする。種類が多様化して処理施設に対する需要が増大をしているけれども、しかし、既存の処理施設などでの処理能力は限界に達している。したがって、適正な処理体制と処理施設の確保が必要である、こういうことであったと思います。それが今回のこの法案の提出に結びついている、こういうふうに理解をするわけであります。  それからもう一つの廃掃法改正の柱は、その大きな改正の目的が、第一条において目的の項が改正をされたわけでありまして、その中身は、廃棄物の排出を抑制すること、いわゆる廃棄物を出さないことや減量化あるいはリサイクルなどということを重視する立場をより廃掃法で明確にしたんじゃないか、こういうふうに理解をいたしております。  言い方は悪いかもしれませんけれども、従来までは廃棄物の大量排出社会ということを前提に、廃棄物はたくさん出るということを前提にして、廃棄物をいかにコストをかけずに捨てるかということを中心に考える企業を支えて、つまり、企業が廃棄物処理にかけていないコストを住民が税金などでこれを負担する、こういうふうになっていたということが指摘をされてきたと思います。したがって、廃棄物をなるべく出さないこと、減量化に努力すること、リサイクルなどを重視する立場を明確にして、十分だとは私は言い切れないと思いますけれども、国民、事業者、国、地方自治体などの責任をある程度はっきりしたということは、廃掃法改正の一つの大きな前進面であると思います。  この新しい廃掃法がいよいよ具体的に施行される、こういう段階でありまして、改正された廃掃法に基づいて、廃棄物の問題が先ほど言ったように重要な政治的、行政的課題として今後取り組まれていくことになるわけでありまして、この点について、今後の取り組みの基本的な姿勢なり考え方を大臣の方からまず冒頭お聞きをしたいと思います。
  58. 山下徳夫

    山下国務大臣 御案内のとおり、日本の国土は狭い、しかもごみの処理は非常に難しいし、しかも資源も少ないのでございますから、この辺から考えますというと、やはりまず出る量を減らし、しかも再生利用ということを考えなければ、今申し上げました日本の国土にマッチしないということになりますので、そういうことが極めて大事だという重要な認識のもとに、これから廃棄物の対策に取り組んでいかなければならないと思います。  まず第一に、国民の理解と協力を得ながら地域ぐるみでまずこの問題に当たっていく、そして、関係者がその役割を分担しながら、連携を持って計画的に、しかも効果的にこの問題を進めていくということでございましょう。  厚生省としては、平成四年度の予算に、そういう面において新たに予算を創設したわけでございますが、今年度から、市町村や都道府県における減量化への取り組みを促進するための補助金の制度をつくります。廃棄物の排出抑制や減量化に関する施策を積極的に推進するためにそのような措置をとって、将来に向かって廃棄物の処理に真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
  59. 田中昭一

    田中(昭)委員 今申し上げましたように、いわゆる廃棄物問題に取り組む大きな一つの柱である、廃棄物をなるべく出さない、抑える、減量化に努力をする、リサイクル、こういうものが私は廃掃法の改正の大きな一つの柱であった、こういうふうに思うわけですね。この点について政府として具体的な指導のあり方とか展望とか、そういうものをもう少し。お聞きをしたいと思います
  60. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お話がございましたように、廃棄物の排出抑制、減量化再生利用促進といいますのは、改正をいたしました廃棄物処理法の大きな柱でございます。  この中におきまして、産業廃棄物に関して申し上げますと、都道府県知事が策定をいたします産業廃棄物処理計画の中でそうした観点で計画を立てること、多量に産業廃棄物を排出いたします事業者に対しては減量化のための具体的指導を都道府県ができること、それから地方公共団体等が進めます減量化の施策に事業者が協力をすること等の規定を置いているところでございます。  改正廃棄物処理法の施行はこれからでございますが、それらの具体的な内容、標準的なあり方についての資料提供等につきましては、生活環境審議会に専門委員会設置していただきまして、そこで検討をしておりますので、有効性のある国としての指導、役割を果たしていきたいというふうに考えております。
  61. 田中昭一

    田中(昭)委員 二、三日前にテレビでも放映がありましたし、それから新聞でも幾つか取り上げられておりますし、それから私どもに業界からの陳情もあっているわけですが、鉄くずの暴落が非常に社会的に問題になっておるわけで、この点について現状認識なり今後の状況をどう見ておるのか、こういう点について少しお聞きをしたいと思うわけです。  ごみの減量であるとかリサイクルについて、最近市民の皆さんの積極的な取り組みというものがいろいろな面で高く評価をされていると私は思っております。そういう団体も幾つか存じておりますが、こういう市民団体などが懸命にリサイクルなどに取り組んだとしても、今日のような情勢で、高炉メーカーがコストとの関係でこれを引き取らない、収集業者も追い銭を打って逆有償でこれをやるということにはならないと言っているわけであります。したがって、せっかくこの廃棄物問題に取り組む大きな柱である、廃棄物をなるべく出さないとかリサイクル運動とか、そういう取り組みが盛り上がりというものを見せている中で、この運動に停滞をもたらしている、こういうようなことがテレビなどでも放映をされているわけです。  廃棄物問題解決の重要な柱であるリサイクルとか減量化と言っても、こういう情勢で基本的に崩れてしまう、こういうことになるとすれば、これは大変大きな問題だというふうにとらえなければならないだろう、そういうふうに思いますし、これは今後、鉄くずの問題だけでなくて、その他の問題でもこういう状況が出てくるんではないかな、こういうふうに思っておるわけです。したがって、これらの現状というものをどう見られるのか、それから、コストの負担という問題について基本的な問題としてどういうふうにお考えなのか、この点について少し御見解をお聞きしたいと思います。
  62. 小林康彦

    小林(康)政府委員 まず、くず鉄等の現状でございますが、最近のくず鉄価格の低落によりまして、市町村等が回収をしました空き缶等の鉄くずについて、引き取り費用を要求される事例が多くなっております。  具体的に申し上げますと、平成二年十二月、全国平均で鉄くず一トン当たり三千七百一円でございましたのが、平成三年十二月には百九円と大幅に下落をしております。中でも、例えば関東地区につきましては、平成二年十二月に二千百四十三円で買っていただいておりましたのが、平成三年暮れには三千五百九十三円お金をつけないと引き取っていただけない。お話がございましたが、逆有償の現象もあらわれ、調査では、約四分の一程度の市町村が処理料を払わないと引き取っていただけないというような状況になっておりまして、このため市町村におきまして予算措置を講じて、空き缶等を引き取っていただくというようなケースもふえておりまして、廃棄物の適正処理及びリサイクルを推進する上で大きな問題、課題になっておる状況は先生御指摘のとおりでございます。  このため、厚生省といたしましては、まず廃棄物処理のサイドにおきまして、廃棄物の分別収集を計画的に推進をし、市町村の行います廃棄物減量化再生利用対策事業に対しましては国も財政支援を行いまして、より計画的、より合理的な空き缶等のリサイクルを目指そうというのが努力の一つでございます。  もう一つは、鉄くずの需要拡大、安定した鉄くずのルートをつくるということが重要と考えておりまして、関係省庁とも相談をしながら、関係業界に対しまして原料としての鉄くずの利用の促進を働きかけるなど、ごみ減量の観点から積極的にリサイクルの推進に努めてまいりたいというように考えております。リサイクルが永続して健全に進みますためには、逆有償という形でなく、それが何らかの価値を伴う形でルートづくりができるのが望ましいという考えに立ちまして、その方向での努力をしていきたいと考えております。
  63. 田中昭一

    田中(昭)委員 望ましいということだけじゃなくて、積極的な対応を特にお願いをしてまいりたい思います。  それから三点目。もう一つ、廃棄物をなるべく出さないとか減量に努力するとかリサイクル等、こういうことを重視することは廃棄物問題解決の重要なかぎになる、こういう認識はそうだと思うのです。だからといって、適正な処理体制、処理施設の確保という問題も、これは私は緊急を要する極めて大きな大事な問題であると思います。したがって、この点についても、前の国会で廃棄物処理施設整備緊急措置法が改正をされて、第七次廃棄物処理施設整備五カ年計画が平成三年から平成七年まで延長されて策定をされたと思います。  そして、聞くところによりますと、予算規模も第六次に比べて一五〇%ぐらいふえた、こういうふうに聞いているわけです。この五カ年計画の中で、厚生大臣は、廃棄物処理施設整備計画を作成をして、事業の実施の目標、事業の量を明らかにするようになっていると思います。したがって、この点を含めまして、適正な処理体制、それから処理施設の確保などについての今申し上げました基本的な計画、展望、見通しなどについて、もう一つの柱としてお考えを、それから指導方針をお聞きをしたいと思います。
  64. 小林康彦

    小林(康)政府委員 第七次廃棄物処理施設整備計画は、平成三年度から五カ年計画を計画期間といたしまして、総投資額二兆八千三百億円という規模で、廃棄物処理施設の計画的整備を推進することを目的に定めたものでございます。  この計画の概要といたしまして、ごみの排出量を抑制しながら、平成七年度末にごみの八四%が減量処理できるよう焼却施設等の整備を図る。ちなみに、平成二年度末八〇%でございますものを八四%に上げようという目標を掲げておりますほか、最終処分場、し尿処理施設等の生活排水の処理施設整備及び地方公共団体によります産業廃棄物処理施設整備を図ろう、これが計画の内容でございます。  これらの廃棄物処理施設整備に当たりましては、周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮しつつ、信頼性、安全性の高い施設を設置することとしておりまして、所要の予算額の確保を図ることによりまして計画期間中における事業実施の目標の達成を目指していきたい。現在この計画を達成できるペースで進んでいるというふうに考えております。
  65. 田中昭一

    田中(昭)委員 今、廃棄物問題に取り組む二つの柱について、今後の基本的な取り組みの考え方などについてお聞きをしたわけです。今も申し上げましたように、廃棄物問題に取り組む基本的な柱は、廃棄物をなるべく出さない、少なくする、それからもう一つは適正な処理施設の確保を図る、この二つを調和をきちんとさせるということによってこの廃棄物問題というものは解決が可能になる、こういうふうに思うわけです。  そこで、産業廃棄物に絞ってみますと、平成二年四月現在で最終処分場の残余の容量は一億六千七百万トン、残余年数は一・六年分だ、こういうふうにお聞きをいたしております。特に首都圏の場合は千三百万トン、残余年数は半年分だ、こういうふうにお聞きをいたしております。  私の出身の熊本県の場合、産業廃棄物最終処分場の残余能力というものを調べてみますと、安定型で三年、田舎ですから三年あります。それから管理型が一年半、遮断型で大体一年というふうになっているわけであります。これは資料がちょっと日にちがたっておりますから、もっと深刻になっておりますけれども、そういう状況です。したがって、ごみを出さないということについて積極的な努力が必要ですけれども、現実にはこの処理という問題についてはパンク寸前にあるんじゃないかな、こういうふうに見なければならないだろうと思います。  どんどんふえていく廃棄物に対して、現実的に処理施設の確保、整備、バランスがとれることになるのかどうなのか、そういう点について見通しを実はお聞きをしたいわけです。調和がきちんと図られていくのか。もう少し具体的に言いますと、今後この廃棄される産業廃棄物のうち、何%ぐらいが再生利用され、あるいは中間処理をされてさらにリサイクルされるもの、減量されるものはおおむねどれぐらいだと見通しを立てておられるのか。そのことと、今後における処分場新設計画見込みなどについて、先ほども申し上げましたように、調和がとれるというそういう状況が展望できるのかどうなのか、この点の見通しについて少しお聞きをしたいと思います。
  66. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物の排出状況でございますが、昭和六十年に約三億一千万トン排出され、このうち一億三千万トンが再生利用により利用され、約九千万トンが中間処理により減量化され、最終的に埋め立てなどの最終処分量は、排出量の約三割に当たります九千万トン程度というのが現状でございます。  これを将来にわたって予測をいたしますと、西暦二〇〇〇年には産業廃棄物は四億一千万トン余り排出をされると見込まれる試算がございまして、このベースで再生利用量が一億四千万トン程度に増加をし、減量化も一億二千万トン程度増加するとしておりますが、なお一億五千万程度の最終処分量がある。最終処分量につきましては、今後ともふえざるを得ないという予測でございます。  この状況に対しまして施設整備の見通しにつきましては、現在の施策を延長していくだけではこれに見合う施設整備の体制を整えることは極めて難しいという判断に立ちまして、従来反間の企業活動に任せてきました産業廃棄物処理施設整備を、公共も支援策を強化することによりましてモデル的な施設整備促進をし、それによりまして、新法によります施設整備及びその波及効果としての民間企業によります健全な処理施設整備促進及び処理業の育成と相まって、廃棄物の処理施設整備促進を図っていきたいというのが現在の方針でございます。
  67. 田中昭一

    田中(昭)委員 そこで私は、次に責任の問題を少しお聞きをしたいと思っているわけです。  産業廃棄物処理について、今部長が答えられましたように、公にも今後の努力が極めで必要だと思います。これは当然であります。しかし、産業廃棄物というのは、事業者責任によって適切に処理をするというのが原則、建前だと思います。これは廃掃法の第三条で明確に企業責任をうたっているというふうに思います。しかし、これはちょっとお聞きをしたいわけですが、罰則の規定がないというふうに私は理解をしておるわけで、例えばアメリカのスーパーファンド法などとはかなり大きな違いがある。そこに一つの問題点があるんじゃないかなというふうに思っているわけです。  現実的には、事業者は、ほとんどこの産業廃棄物処理処理業者に委託をして処理をしているというのが実態ではないか。間違っておれば指摘をしていただきたいのですが、そういうふうに理解をしているわけです。したがって、廃棄物の問題点がいろいろ生じた場合、あるいはいろいろな問題が惹起をしたときの責任は、一体だれがその責任の主体になるのかということが極めてあいまいになっているのではないかな、こういうふうに思うのですが、この点について少し基本的な考え方をお聞きをしたいというふうに思っているわけです。  熊本県の場合、調べてみますと、処理業者の総数は四百八十社あります。そのうち収集運搬業のみの業者が四百十二社、中間処理業、それから最終処分業及び運搬業を兼ねている業者が六十八社。最終処分場の残余能力というのは、先ほど申し上げましたように非常に心細い状況になっているのが実態です。したがって、処理業者の皆さんは、最終処分場の拡張に非常に躍起になっているということなんです。  そういう状況の中で、新設計画が安定型で十カ所、それから管理型で二カ所ございます。これはすべて山間地や値段の安い用地を物色をして新設をしよう、こういうことを処理業者がやっているわけですが、この中で地域住民との紛争が非常に多く発生をしているわけです。  先ほど申し上げましたように、新設計画は安定型十カ所、管理型二カ所ですが、既に裁判闘争になっているところが一カ所、和解協議でまだ協議が調ってないのが二カ所、絶対反対で対立をしているのが三カ所あるわけです。これはもう住民の皆さんが処分場の設置に物すごい不安感を持っているからだというふうに思っているわけで、安心感があればこういう状況にはならないのではないかな、こういうふうに思っているわけです。  したがって、思うようにこの処分場の計画が進みませんから、最終処分場が不足をするという状況の中で、山林とか原野とか海岸などへの不法な投棄がますますふえつつある、こういうのが実態になっているわけです。熊本県では、二百名の廃棄物民間監視員制度をつくりまして監視と指導を強化しておりますけれども、しかし、現実には不法投棄が後を絶たない、こういう状況になっているわけです。  私は、このような問題は、先ほど申し上げましたように、廃棄物処理についての責任があいまいで、不明確なところにあると実は思っているわけです。問題が生じた場合の責任は企業である、事業者である、こういうことを明確にするということを前提にして専門の処理業者に委託をするということが、きちんとそういう形になってないのではないかな。したがって、処分場で発生をした環境への問題点であるとか悪影響であるとかそういうものについては、排出企業の自己処理責任を基本にして処理業者とともに解決をする、同時に行政の責任も明確にする、こういういわゆる責任をとる法的な主体をきちんとするということをもう少しはっきりしなければ、非常に住民の皆さんはもう不安感で、先ほど言ったように紛争が後を絶たない、こういうことになるんじゃないかな、こういうふうに思っているわけで、この点の考え方をお聞きしたいわけです。  問題が惹起をして幾ら処理業者を責めても、最終的に法的な責任をとる立場にないのでは、やはり住民の皆さんが安心をしてこの問題を了解する、こういうことにはならないのではないかな。ますます処分場反対の住民運動というのは広がっていくのではないかな。これは廃棄物問題に取り組むに当たっては極めて重要な問題になっているのではないかな、こういうふうに認識をしているんですが、間違っておれば指摘をしていただくと同時に、この問題についての御見解をいただきたいと思います。
  68. 小林康彦

    小林(康)政府委員 まず、法律の上におきます廃棄物処理処理責任の関係について御説明をいたします。  お話のございました廃棄物処理法第三条で「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と定め、また、廃棄物処理法十条におきまして「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」と責任関係を決めておるところでございます。その一方、廃棄物処理法におきましては、処理業の位置づけをし、処理業に対する委託の規定も置いておりますので、物理的に排出事業者が産業廃棄物処理をしなければならない、ここまで求めている規定とは考えておりません。もとの責任は排出事業者にございますし、適切に委託をすること及びそのための費用を負担すること、そこまで幅の広い排出事業者の責任の規定というように考えております。  こうした観点から、処理につきまして、みずから処理をする場合の必要な基準を定めておりますほか、排出事業者がその産業廃棄物処理を他人に委託いたします場合の基準を定めておるところでございます。委託を受けました者が不適正な処理を行って、それによりまして生活環境上支障が生じた、こういう場合におきましては、都道府県は、その処理業者だけでなくて、当該委託が委託基準に反している場合には排出事業者にも原状回復を命令できる、排出事業者にも責任を追及できるという制度にしておるところでございます。  昨年十月の改正法によりまして、さらにこれに加えまして特別管理産業廃棄物という区分を設けまして、マニフェストの使用を義務づけ、排出事業者が最後までフォローできる体制を整えましたこと、処理業につきましても収集運搬及び処分業に区分をいたしまして、排出事業者によります処理の委託にかかわる規制強化したところでございまして、責任関係については、改正廃棄物処理法を含めて明確にできているというふうに考えております。  しかし、処理施設の不足も一つの要因になりまして不法投棄が生じ、その不法投棄が社会問題になることによりまして産業廃棄物のイメージがダウンをする、そうするとなおさら施設整備の立地が困難になる、こういう悪循環に現在立ち入っておりまして、民間企業の努力ではなかなかこの悪循環を断ち切れないという状況にあるわけでございますので、規制強化にあわせて、公も支援体制をしてモデル的な処理施設整備促進をする、こういう方策が必要であろう。規制に加えて施設整備の支援策を講ずることが必要との観点に立ちまして、今回新しい法律を御提案申し上げ、それも活用しながら施設整備促進を図っていく。処理責任の追及及び規制強化だけでは施設整備が進まないという現状というふうに認識をし、施設整備促進のためのもう一つの方策が必要との認識で御提案をしておるところでございます。
  69. 田中昭一

    田中(昭)委員 言われることと現実が随分ギャップがあるというふうに私は受けとめておるわけですが、しかし、新しく廃掃法が改正になりまして、今回の新しい法案を含めまして今部長が言われるようなことで今後さらに努力をする、こういうことですから、この点については、そういう私が提起をしたような問題を含めまして、現実的にそういう問題が解決できるように、さらなる公の御指導強化を特に申し上げておきたいと思います。  そこで、今部長の御答弁の中で、マニフェスト制度というものについて少し御答弁がございました。住民が地域で、この産業廃棄物などの処分場で有害物質とかさまざまな物質の混合によって新たな害が発生をした、そして環境を破壊したり汚染をしたりした場合、その排出の責任者は一体だれかということをきちんと知ろうという場合には、私は部長が言われるようなマニフェストシステムが重要で、決定的な情報源になる、こういうふうに理解をいたしております。今部長が説明をされましたように、廃掃法の改正では、特別管理産業廃棄物の委託については管理票を交付することになったわけですが、これがどの程度有効に機能していくのかという点について、もう少し御見解をお聞きをしたいというのが一つであります。  それから、今日までこのマニフェストシステムは、法律による裏づけがないまま、行政指導で実施をされてきたという経緯がございまして、その実態は私は極めて不十分であった、こういうふうに思っているわけですね。行政指導でやられたこのマニフェストシステムというものがどのようになっているのか、この点も知りたいわけです。  熊本県の場合、これは平成二年度ですけれども、マニフェスト伝票を正式に実施した事業所というのは五千六百事業所ございます。これは全事業所数の五・六%、マニフェスト伝票の集計も八万枚、伝票で把握された産業廃棄物は約四十万トン、事業所総廃棄物量の九・五%というのが実態になっているわけです。したがって、行政指導でやられてきたこのマニフェストというものが極めて重要だ、こう言われながらも、極めて不十分な状況になっているわけで、これは法的な規制がなかったからといえばそれまでですけれども、熊本県の場合だけなのか、全国的にどういう総括をされているのかということと、これに関連をして、第一点目の今回の法改正による特別管理産業廃棄物の問題については、どういう見通しに立ってあるのかということをもう少しお聞きをしたいと思います。  この二つをお聞きをしたいわけですが、この制度を有効に価値あるものとするためには、一つとしては、私は、直接被害をこうむる住民に対する公開の問題、すなわち、業者と行政との間に住民が参加できる状況をつくることが極めて必要ではないかな。住民はこのマニフェスト票を手がかりに排出者を追及することができる、そういう制度というものをもう少し追求すべきじゃないかな。今日の場合は、現実的には住民が不在の状況になった制度になっているんではないかな、こういうふうに思うんですが、この点についてもお聞きをしたいと思います。  それからもう一つは、マニフェスト票をきちんと扱う事業所あるいは処理業者、事業者の環境づくりというものが非常に重要じゃないかということを熊本県の場合も指摘をされておるわけです。例えば、分別をしようとしてもそういう場所がなかなかないとか、あるいは計量をしようとしても計量をするような状況がなかなか不可能な環境にある、こういうものがあるわけで、こういうものを含めて従業者の教育、研修というものが極めて必要じゃないかな、こういう気持ちも持っておるわけで、したがって、今申し上げましたような三点について、少し御見解をまとめてお聞きをしたいというふうに思います。
  70. 小林康彦

    小林(康)政府委員 御指摘のございました特別管理産業廃棄物につきましては、人の健康または生活環境に被害を生ずるおそれのある性状を有するものであることから、管理票、マニフェストの使用によりまして排出から処分に至るまでの廃棄物の流れの管理を強化すること、これが適正処理の確保のために重要であると考えておるところでございます。このため、改正廃棄物処理法におきましてそれを制度化いたしたところでございますので、管理票の使用が徹底をされますよう啓発普及に努めるとともに、関係者の指導に努めたいというふうに思っております。  現在までのところ、お話がございましたように、指導という形でこの管理票を普及定着させる努力をしてきたところでございまして、現在年間八百万枚程度活用されておるところでございますが、御指摘のように徹底した普及までに至っておりません。そのため、指導という形ではそれが定着するのに時間もかかる、それから隅々までなかなか行き渡りにくいという点がございますので、昨年の改正法におきまして、法律に基づく制度という形にさせていただいたところでございます。  このマニフェストの主たるねらいは、排出事業者が自分の廃棄物の最後の処理処分に至るまで、その状況を的確に把握するという点に置いておるところでございまして、その状況につきましては、都道府県知事に報告を行うという形で客観性を担保しておるところでございまして、個票の公表までは、それぞれの企業活動に深く関係をするところもございまして、予定をしておる制度とはなっていないものでございます。  業に当たります音あるいは廃棄物処理施設の管理に当たります者の研修の重要性につきましては、お話にございましたとおりでございまして、これらにつきましては、関係団体によります研修制度の充実とともに、この新しい法律の中に、そうした研修あるいは技術開発のための施設を計画の中に織り込んで整備ができるように、その点に配慮した施設整備の計画づくりということを織り込んでおるところでございます。     〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 田中昭一

    田中(昭)委員 先ほど指摘を申し上げたとおりでございまして、したがって、廃掃法改正に基づく特別管理産業廃棄物のマニフェストシステムが、今後有効に機能するという立場で積極的な御努力をいただくと同時に、一般的な指導に基づくマニフェストのシステムについても徹底をし、その中で住民がこれによって情報を得ることができる、こういうような問題点を含めて、少し検討、御指導をいただきたいということを私は申し上げておきたいというふうに思います。  時間もございませんので、次に簡単な質問ですが、廃掃法二十条で環境衛生指導員を置くことになっております。同じ廃掃法二十一条で技術管理者を置くようになっております。  先ほどから申し上げますように、産業廃棄物排出量が非常に増大をする、それから廃棄物の質が多様化をしてくる、不法投棄が多発をする、住民紛争が非常に多く惹起をする、こういう状況の中では、環境衛生指導員であるとか技術管理者の任務というものは極めて重視することが必要ではないかな、こういうふうに私は思うわけです。したがって、この配置が一体どういうことになっておるのか、そして権限がどういうものになっておるのか。今後これを重視をするという立場で、この問題について指導をもっと徹底する、こういうお考え方があるのかないのか、この点をお聞きをしたいと思います。  同時に、地方自治体などにおける廃棄物に対する監視体制の実態などについて特徴的なものを把握をしておれば、この点についてお聞きをしたいと思います。
  72. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物にかかわります環境衛生指導員は、平成二年四月一日現在で全国で二千四百五十一人任命されまして、一年前に比べて五十九人ふえております。この指導員は、産業廃棄物の排出事業者や処理業者の指導及び処理施設への立入検査などを任務として行っておるところでございます。  技術管理者につきましては、約一万の産業廃棄物処理施設に置かれまして、施設の維持管理など技術上の業務を行っているところでございます。  次に、監視の状況でございますが、都道府県及び保健所設置市は、産業廃棄物処理業者の許可、産業廃棄物処理施設設置の届け出の受理を行っておりますほか、産業廃棄物の排出事業者、処理業者の行う産業廃棄物処理に関しまして法律第十八条に基づき報告徴収を行い、また、それらの者の事業場に十九条に基づく立入検査を行うなどの監視、指導を行っているところでございまして、平成元年度に行われました報告徴収は全国で一万二千三百五十件、立入検査は五万八千三百三十九件でございます。こうした指導の強化及びそのための人を含めた体制の拡充といいますのは、産業廃棄物の適正な処理の上に極めて重要な課題というように私ども認識をし、今後ともその体制整備に努力をしていきたいというように考えております。
  73. 田中昭一

    田中(昭)委員 今御答弁がございましたように、私、形式的な配置でなくて、これを実質的に強化をするということは極めて重要だろうと思いますから、御答弁のように、今後この制度をさらに強化、指導をされるように特にお願いを申し上げておきたいと思います。  時間がございませんので、あと法案の内容について四、五点、簡単にお聞きをしてまいりたいと思います。  一つは「特定施設整備の事業を行おうとする者」とは一体だれを想定しているのか、どこを想定しているのかという点を少しお聞きしたいわけです。これは第四条の関係ですけれども、廃棄物処理センターを主に考えているのかどうなのか。産業廃棄物処理は原則として事業者、こうなっているわけです。二つ以上の種類の処理施設を一体的に設置し、さらにこれに研究開発施設あるいは研修施設、展示施設、会議場施設など、これらをあわせて計画をするということになっているのですが、現実的にこれは可能なのかどうなのかという疑問が実はあるわけです。これは土地の確保であるとか場所の選定などいろいろ難しい点もあるわけで、したがって、先ほど申し上げましたように「特定施設整備の事業を行おうとする者」というのは廃棄物処理センターを主に考えているのか、その他全般的な問題なのか、ここのところをもう少しはっきりしていただきたいと思います。  それから二点目は、十一条に関連をするわけですが、公共施設の整備を図る特定周辺整備地区の指定は一体いつの段階で行うのかということです。整備事業の計画が認定された後がどうなのか、いつこの指定の判断を行政がするかという問題をもう少しはっきりしていただきたいと思います。  三つ目は、六条と十一条に関連をするわけですが、特定施設整備事業計画を認定する場合、あるいは特定周辺整備地区の指定をする場合、そして施設整備方針を定める場合などなどの場合、簡単に言いますが、都道府県の意見を聞くとか市町村の意見を聞くとか、こうなっているわけです。具体的な、紛争などが起きるのは住民の皆さんですが、住民とのコミュニケーションのあり方は一体いつの時期にどういう形でやるのか。事前説明のルールなどをもう少しきちんとした方がいいのではないかなという気持ちがするわけで、ここのところをもう少しはっきりしていただきたいと思います。  四つ目は、これは十六条に関連するわけですが、産業廃棄物処理事業振興財団について、これは債務保証であるとか起業化助成であるとか、いろいろ任務がはっきりしているわけですが、規模、どれくらいの職員の配置数になるのか、権限とか任務であるとかいうものをもう少しはっきりしていただきたいと思います。  その中で少しはっきりしていただきたいのは、十七条の七号、八号で、これは単に債務保証などという金融支援でなくて、調査研究、研修事業を業務として行うということになっているわけで、この調査研究とか研修事業を財団がやる規模というのは、全国的なエリアとか全般について、研修事業などというのは非常に重要な項目ですから、そういう業務としてなされておる調査研究、研修事業というこの二つについてどの程度のものを考えておられるのか、ここのところをお聞きしたいと思います。  もう少しございますが、時間もございませんので、この四点についてお聞きをしたいと思います。
  74. 小林康彦

    小林(康)政府委員 まず第一点の特定施設設置者はだれを想定しているかというお尋ねでございますが、この設置者は、第一に想定をされますのは、改正廃棄物処理法で規定をいたしました廃棄物処理センターでございます。第二は、このセンター以外の第三セクターの形、公共がかんだ形で産業廃棄物処理を行う主体でございます。第三は、民間の産業廃棄物処理業者。その他類似のものがあるかと思いますが、これら三つのものを中心に想定をしておるところでございまして、事業者がみずから処理をする自己処理の場面といいますのは、法の趣旨からして想定をしていないところでございます。  場所につきまして実現性があるかということに対するお答えでございますが、地方公共団体や企業が保有をしております未利用地あるいは開発予定地等を考えますと、現実に準備をしておるところで具体的な話も進んでおりますので、公共が支援をし、関与して進む体制が整えば、土地等の確保も従来より容易になるものと考えております。  次に、特定周辺整備地区の指定をいつの段階で行うかというタイミングのお尋ねがございます。この指定と特定施設整備計画の認定の前後関係でございますが、両者密接な関係がございますので、指定と認定、同時に検討をし、同時に折衝をしていくケースが多いと思っておるところでございます。法律あるいは制度上どちらが先でなければならないという一律の規定、扱いなしで、実情に応じての手順でよろしいのではないかと考えておるところでございます。  三点目は、住民とのコミュニケーションのあり方について御指摘をいただいておるところでございますが、特定施設整備計画の認定に当たりまして、都道府県及び市町村に意見を聞き、その意向を十分反映することとしておりますことから、地域の実情に応じました認定がなされる制度というように考えております。特定周辺整備地区の指定及び施設整備方針の策定に当たりましても、都道府県が関係市町村や、港湾区域にあります場合には港湾管理者の意見を聞き、その意向を十分反映することとされておりますので、地元の意向を十分に踏まえた公共施設の整備が行われるものと考えております。  なお、特定施設につきまして、土地利用規制法上の手続を経る必要がある場合がございますが、それらの場合には、それらの規定に従いまして事前の説明会や計画の縦覧等が行われるわけでございます。具体的にどんなタイミング、どんな手順で住民の皆さんに内容の説明をしていくかにつきましては、それぞれの計画ごとに、地域の実情に応じての実施ということを予定しておるものでございます。  振興財団につきまして業務のお尋ねがございました。まず、新しい法律に基づきまして厚生大臣等の主務大臣が認定を行った計画に基づきます特定施設整備事業及び共同研究開発あるいは研修等の共同事業のために必要な資金借り入れのための債務保証が一つの大きな業務でございます。二番目は、産業廃棄物にかかわります高度技術の開発を行います者及びその事業化を行う者に対する立ち上がりのための助成金の交付でございまして、これも他に対する支援措置でございます。  このほか、みずからの事業といたしまして、産業廃棄物にかかわります調査、情報誌の発行や研修指導等を予定をしておるところでございますが、この最後の部分、どの程度の規模、どの程度の内容にするかにつきましては、関係の団体によります研修制度、あるいは地方によります研修研究活動、あるいは新たなこの計画に基づきますそれらの進みぐあい、こうしたものを考えながら、その中で全国的に振興財団が取り組むのが妥当と思われます計画を全体の中で判断をし、任務として与えていきたいというように考えております。
  75. 田中昭一

    田中(昭)委員 特に三点目に申し上げました住民とのコミュニケーションの関係ですね。都道府県とか市町村の意見を聞くという場合に、都道府県なり市町村が住民とのコミュニケーションを十分図る、これはこの問題だけじゃなくて、いろいろ出てくるわけです。法律上は都道府県の意見を聞くとか市町村の意見を聞くということになっているけれども、住民不在というのが非常に多いわけですね。この点は強力に指導をお願いをしておきたいと思います。  あとございますけれども、もう時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  76. 牧野隆守

    牧野委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  77. 牧野隆守

    牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林守君。
  78. 小林守

    小林(守)委員 社会党の小林守でございます。所属は地方行政委員会でございますが、委員の皆様方の御配慮をいただきまして、質疑の機会をとっていただきましたことを心から感謝を申し上げる次第であります。既に午前中に我が党の土肥隆一委員田中昭一委員の方からそれぞれ質問が展開されておりますので、できるだけ重複を避けるような形で質問をさせていただきたいと思います。  さて、本法案につきましては、まさに画期的な意味を持っているなというふうに思いますことは、廃棄物問題につきまして、従来より、公共関与なしにこの問題の解決はあり得ない、そういう観点に立ちまして我々さまざまな要請等も行ってきた経過もあるわけでありますけれども、今度の法案におきまして、明確に公共関与を打ち出したという点で評価がされるというふうに考えているところでございます。  この法案の目的は、御承知のように、産業廃棄物処理施設整備促進のためにその制度的な枠組みを確立すること、さらに、優良な産業廃棄物処理業者を育成すること、この二点が主なポイントになろうかと思いますけれども、廃棄物行政の確立の観点に立って今日まで議論をされてきた多くの中で、重要な課題の一つである、そのように認識をしているところでございます。  ごみ問題の解決という観点に立つならば、まず第一点は、何といってもいかにしてごみを減らすか、これが大きな課題であります。ごみのリサイクル、再生利用、さらには減量化、これらが第一義的な課題であろうというふうに思うわけでありまして、これにつきましては、昨年の十月に通産省所管の再生資源の利用促進法、いわゆるリサイクル法というものが施行されたわけであります。  さらに、ごみ問題の第二のポイントとなりますのは、不法投棄や不適正処理によってもたらされる環境汚染、環境破壊、これをいかに防いでいくか、こういうところにポイントがあるのではなかろうかと思いますけれども、これらについては処理基準のより強化、さらには罰則の強化、許可基準の強化、そういう観点に立っての廃棄物処理法の改正というものがこれまた昨年の十月に成立をし、本年の七月までには施行される、そういう予定になっているところであります。  そしてもう一つ大事なポイントとしましては、やはり最終処分場をいかに確保していくか、そういうことになろうかと思います。処分場を確保することによって適正な処理をしていく、そして環境汚染をさせない、こういう課題がごみ問題の解決の三つの課題だろう、そのように思います。  この法案につきましては、まさにその三番目の最終処分場はいかに確保していくかということがポイントになっているわけでありまして、要はこの三つのポイントを受ける法律が三位一体のものとして機能していく、そこに廃棄物行政の大きな前進が期待できるものでありますし、また、そのことによって廃棄物行政が確立されていくんだ、そのように考えているところであります。しかしながら、今日廃棄物の減量化とか再生利用についてはなかなか進んでいない、こういう実態もあるわけでありまして、さまざまな問題が今日もあるわけであります。  そういう点を考えますると、第一義的に大きな課題であるごみの減量化再生利用ということが遅々として進まない、こういう現状にありまして、最終処分場の確保を促進するこの法案を今検討されているわけでありますけれども、別の角度から考えるならば、ごみの減量化再生利用に水を差すことにならないか、水を差すことになりかねない、そういうような懸念を持っている識者も多いのも事実であります。要は、出口をつくることによって入り口の段階でいかに減量化をするか、再生利用をするか、そういう課題が緩んでしまう、そういう心配があるわけであります。  そういう観点に立ってこの法案について伺っていきたいなというふうに思うわけであります。もちろん、法律的にこの三位一体のものの整備という観点に立って産廃処理施設整備促進する、これについては異存があるわけではございませんけれども、そのような観点に立ってみまするならば、今日大きな社会問題になっております鉄くずリサイクルの問題、この問題をどう受けとめ、どう対応し、この問題の解決にどういう方策をとっていくか、こういうことが検証されていかない限り、やはり廃棄物処理行政の確立というのは難しいのではないか、そんなふうに考えているところであります。  実は、この問題につきまして本年の三月四日に、社会党のシャドーキャビネット福祉・労働委員長の川俣先生、社会党の厚生部会の部会長でもございます。さらに鉄くずリサイクル問題小委員会の和田貞夫先生、このお二人の連名で、厚生大臣に対しまして鉄くずリサイクル問題についての緊急の申し入れをさせていただいたところでございます。そういうことを踏まえて、まず最初に、この緊急申し入れに記されました四項目について、厚生省としてはどのようにこの問題を受けとめ、そしてどのように今日まで対応してきているのか、確認をしていきたいなと思います。
  79. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいまるるお話がございました。ごみの処理は、現在の厚生行政の中では、看護問題とかあるいはまた高齢者対策と並んで最も重要な施策と私ども受けとめて、できるだけの対策を講じながら、その対策に向かって進捗をいたしておる次第でございます。  お話しのございました事前にいろいろとこれを減量したりリサイクルというようなこと、当然これは真っ先にやらなきゃならない問題でございまして、特に鉄くずなどできるだけ資源として活用したいと思っておるのでございますが、最近はどうも人件費が上がったりあるいは外国から安いやつが入ってくる、さらには市況が非常に下がっているというようなことで、逆有償化というような事態になっております。したがいまして、鉄くずのリサイクルを進める上におきましても非常に深刻な事態が生じておるわけでございますが、私どもはさらに関係方面の理解を含め、いろいろと努力をしながらこれを進めていかなきゃならぬと思っております。  また、スチール缶の問題でございますが、これも関係業界団体に対しまして、収集されたスチール缶が円滑に引き取られるよう、その体制の整備について協力を求めているところであります。電炉メーカー、高炉メーカー等において鉄くずの利用促進が図られるよう、通産省と連絡をとりながら関係業界の協力を求めているところでございます。  なお、空き缶などの飲料容器の回収につきましては、生活環境審議会の専門委員会でごみの減量化再生利用促進方策について目下御検討をいただいておる段階でございまして、今後社会党からの申し入れの趣旨も十分体しながら、さらにこの問題についてはあらゆる面から検討して進めていきたいと思っております。
  80. 小林守

    小林(守)委員 取り組みを始めだというような状況かと思いますが、業界並びに自治体の状況はますます深刻な状況になっているというふうに受けとめております。御承知のように、平成四年度の予算の中で、地方自治体ではごみ処理手数料というような形で、資源である鉄くずをごみとして、処理手数料として予算計上して引き取ってもらう、そういうような自治体が多く出てきているわけであります。  このような状況を見まするならば、まさに集団回収等に一生懸命になっているボランティアの皆さん方、さらにはリサイクル推進のために積極的にごみの減量化再生利用を進めようとしている自浄体、これらについては逆有償化ということによってその推進が非常に阻害をされているというような状況に陥っているわけでありますし、さらに末端で自治体から電炉メーカーの方に鉄くずが回っていく、そのような流通過程の中で、零細な回収業者等におきましてはまさに転廃業を余儀なくされる、そういうような状況も出ているわけでありまして、このリサイクルシステムを今日いかに育成をしていくか、しっかりと形成をしていくかというような国民的課題に立って考えるならば、まさにそれに逆行するような厳しい状況に直面をしていると言わざるを得ないわけであります。  問題は、本来ならば資源である鉄くずを自治体が処理手数料として、ごみとして取り扱わざるを得ない、ここに私は大きな問題があろうかと思いますし、それを税金で支払うというところにも問題があるのではないか、そのように考えているわけでございますけれども、この税金によって鉄くずを自治体が負担していく、こういう問題についてはどのように問題があると認識をされているか、御答弁をいただきたいと思います。
  81. 小林康彦

    小林(康)政府委員 鉄くずにつきまして廃棄物行政に取り組んでおります市町村の状況でございますが、従来から空き缶等の分別回収を行いましたり、粗大ごみ処理施設で破砕をいたしました家電製品等から鉄くずを回収する等、廃棄物行政の  環として鉄くずのリサイクルの推進に努めており、市町村で資源化された金属は平成元年度に二十一万トンに上っております。  なお、最近の鉄くず価格の低落によりまして、市町村にどういう影響があったかということを把握をいたしますために、全国都市清掃会議を通じまして、本年一月、鉄くず回収を行っております市町村を対象に、昨年十二月の状況と一年前の状況の比較調査を実施したところでございますが、市町村や空き缶等の集団回収を実施する団体から有価で資源回収業者に引き取られていた鉄くず、いわば買っていただいておった状態から、逆に引き取り費用を要求される事例が御指摘のとおり多くなっておりまして、およそ四分の一の市町村で手数料を払っている。特に関東地方では半分近くが手数料をつけなければ受け取っていただけない、こんな状況になっております。  それから、都道府県を通じまして鉄くずの逆有償化に伴います市町村の予算措置につきまして調査をしてみたところでございますが、平成三年度におきましては、全国で約十二億円鉄くずの処理費用として予算措置をされております。これが平成四年度の予算計上分では三十六億円というように市町村の側での予算措置というのもふえているわけでございまして、こうした鉄くずのリサイクルの状況といいますものは、市町村の清掃事業への負担が増大をする、それから地域の住民の意欲をそぐことによりまして、ごみもふえるというような懸念があるわけでございます。  こうした状況は決して望ましいものではございませんで、市町村が予算をつけて処理をするというのも、処理費に比べて経済性があるかどうかという観点から見ますと、逆有償であれ、予算を使ってという合理性もあるわけでございますが、リサイクルの安定した長期的な継続という点から考えますと望ましい状態ではございませんので、まず市町村におきまして、関係者との協力によりまして回収・再生体制の合理化あるいは計画的な整備、こうしたものを図るように指導いたしますとともに、受け入れ例あるいは業としての回収の部面におきまして、鉄くずの原料としての利用が促進をされるよう、その受け入れ体制の整備強化するよう、関係省庁及び関係業界に今後とも働きかけてまいりたいと考えております。
  82. 小林守

    小林(守)委員 全国的な予算における平成四年度の取り組み状況も発表されたわけでありますけれども、問題は、要は空き缶にしてもそのほかの鉄くずにしても、税金でその処理をお願いするという形で取り扱わざるを得ない、ここに私は大きな問題があるのではないかと思うのですね。税金ということでありますから、全国民がこのつくられた鉄製品、それの消費者が利用した後に出てくる鉄くず、これを税金で処理するというところに私はまだ国民的なコンセンサスはないのではないか。  確かに、ごみとして処理しなきゃならないということであるならば、これはもうほかのごみと一緒に処理手数料はかかるわけでありますから、やむを得ないと思うのですが、どうしても鉄の場合は資源だ、限りある地球の資源だ。また未来の子孫に対して我々はしっかりと受け継いでいかなければならない、残しておかなければならない資源だというような観点に立つならば、極端な話、ごみとして埋めてしまっていいものかどうか、土に還元してしまっていいものかどうか、そういうところに大きな疑問があるわけでありまして、その辺について国民的なコンセンサスはできていないと言わざるを得ないのですけれども、いかがでしょう。
  83. 小林康彦

    小林(康)政府委員 おっしゃるとおり、鉄は非常に重要な資源でございます。ただ、今の経済情勢、今の体制のままですと、空き缶のような状態ですと、ある程度の量を集めたところではなかなか資源としての価値が出てこない、ごみとして回るという状況になっているというのも現在の姿というふうに思っております。  しかし、鉄の資源の重要性、あるいは少し努力をすれば、それは資源として、ごみにならずに回るすれすれのところにある財というふうに私ども考えておりまして、現在の姿の延長でなく、さらに努力をすべき点がどこにあるか、その受け皿の拡大及び収集・回収体制の合理化あるいは広域的な取り組み、それら全般を含めましてリサイクルの輪が整備をされ、円滑に空き缶等の鉄くずが流れるようなルートを整備することが重要という意識に立ちまして廃棄物処理行政の中で努力をいたしますとともに、関係方面にも働きかけ、方策を探っておるところでございます。
  84. 小林守

    小林(守)委員 関係方面に働きかけを強めていくというようなお話でございます。  問題は、この鉄くずについては、国内需要をいかに高めていくかというようなところにポイントがあるのだろうと思うのですね。もう一つ考えられることは、鉄くず、スクラップを資源として利用したい、そういう需要の高い外国もある。そういう国際的な観点からの発想も当然考えていかなければならぬ問題だろうとは思うのですが、要はその鉄くずの需要をいかに拡大していくかというところにポイントがあるのではないか、そのように思います。  実は改正されました廃棄物処理法、これにつきましては、事業者は、廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し国及び地方公共団体の施策に協力する義務がある、このようにされているわけであります。この法律はまだ施行はされておりませんけれども、少なくとも事業者については、やはりこのリサイクルのための協力義務があるということが明記されているわけでありますから、これらについて考えられますことは、高炉メーカーなり電炉メーカーなり鉄鋼産業界がリサイクル社会をつくっていく、そういう観点に立って、資源や環境という観点に立って自治体に対して協力をしていく、これが本筋だろうというふうに思うわけであります。  こういう観点に立って、厚生省としてはメーカーの協力責任、これらについてどのように、今までも働きかけはされていると思うのですが、このような改正法の趣旨を踏まえて、もっともっと強力にやってもらわない限り、これはむしろ通産省所管のリサイクル法の改正まで考えなければならないのではないか、そんなふうにも思える問題だと思います。  リサイクル法、通産省所管の法律の中には特定業種の指定がされているわけなのですが、紙関係ですね、紙製造関係やそれからカレット、ガラス関係、さらには建設廃材関係、これらの業界については特定業種としてその再生利用、再資源化が目標値も設定されて、リサイクル促進が図られているわけでありますけれども、残念ながら鉄鋼業界、鉄鋼製品、これらについては指定特定業種には入っていないわけなのですね。  そういうことを考えますと、その時点で技術的な問題、品質の問題、いろいろあったわけでありますけれども、しかしながら、今度の改正廃掃法の中でも協力義務という形で出されたわけでありますから、本来ならばメーカーの回収責任というような基本原則を打ち出すべき法案だったとは思うのですが、国内の状況、他の法律との整合性、そういう観点から協力義務というところまで落としたわけですね。トーンダウンをしたという経過があるわけであります。  そういう点で、この鉄くずリサイクル問題については、この法案のエキスというかポイントが問われている、そのような問題ではないのかな。この問題にきちっとした対応ができるならば、そのほかの紙やガラスくず、こういう問題についてもきちっと対応ができるはずだ、そのように私は考えるわけでありますが、メーカーの協力責任についてどのように考え、それから関係省、通産省等を通して業界に働きかけをしていくのか、その点をお聞きしたいと思います。
  85. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物処理法の改正によりまして事業者の協力責任が強化されたところでございますが、この協力関係につきましては、関係する方面も多いということもございまして、現在生活環境審議会に専門委員会設置をしていただきまして、そこにおいてごみの減量化再生利用の進め方について御検討いただいているところでございます。  この検討の内容といたしまして、国及び地方公共団体の講ずべき施策、住民及び事業者の果たすべき役割というのも対象になっておりますので、この検討の過程でこれらの役割分担を明確にしていただけるものと考えております。  この規定のほかに、改正処理法におきましては、厚生大臣は、廃棄物の適正な処理を確保するため、事業所管大臣に対し、その所管する事業を行う者に必要な措置を講ずるよう求めることができることという規定も置かさしていただいたところでございますので、この規定も活用しながら、関係省庁に対しまして、鉄くずを初め資源に回るべきものについての円滑な再生利用が進むよう要請することも考えてまいりたいと考えております。
  86. 小林守

    小林(守)委員 せっかくつくられた法案を強力に運用していく、そういう姿勢が望まれるわけでありますから、ぜひより積極的な対応をお願いしたい、そのように考えております。  この問題につきまして、実はお聞きしますところ、環境庁では、既に鉄くずリサイクル問題を中心として、リサイクル経済手法検討会というようなものを発足させたというふうにお聞きをしております。この目的は、要は市場価格の動向によってリサイクルシステムが左右されない、そういうあり方はどうあるべきなのかということを研究するようなものだそうでありまして、まさに時宜を得た、また国民的課題にいかに対応していくかというものだろうと思います。その検討会の今後の成り行きを十分関心を持って見守っていきたいなと思っているところであります。  問題は、その市場価格動向によって左右されるリサイクルシステム、これが今日の姿であります。しかし、今日の市場経済を前提とする社会でありますから、全く左右されないということは不可能だとは思います。しかしながら、市場価格の動向によってせっかくつくってきたリサイクルシステムが崩壊をしてしまう、これだけはやはり許されないことではないのかなというふうに思います。そういう点で、市場経済によって左右されないという言葉のニュアンスは、少なくともリサイクルシステムが壊れてしまうようなことにはならないシステムをいかにつくっていくか、これが最大の課題だろうというふうに考えております。  そういう観点に立って、厚生省としては、環境庁のこのような検討会の発足、あわせてこの問題についてどのようにかかわっていこうとしているのか、お聞きしたいと思います。
  87. 小林康彦

    小林(康)政府委員 厚生省では、現在生活環境審議会の中に廃棄物減量化・再利用専門委員会設置していただきまして、廃棄物処理法の改正を踏まえまして、鉄くずリサイクルを含めた廃棄物の減量化再生利用対策の進め方、具体的に申し上げますと、ごみの排出抑制及び再生の目標の立て方、次いで排出抑制及び再生利用促進のための具体的方策について検討をお願いしているところでございまして、本年五月ごろをめどに、これらについての中間的な報告を取りまとめていただける予定でございます。  こうした検討結果を踏まえまして、厚生省といたしまして、鉄くずリサイクルを含めた減量化再生利用が円滑に進められるよう、必要な施策を積極的に進めてまいりたいと考えております。具体的には、生活環境審議会の検討と相まって方策を固めていきたいというふうに考えております。
  88. 小林守

    小林(守)委員 それでは、次に移りたいと思います。  この法律の成否のポイントというのは、既に午前中からも論議をされておりますけれども、やはり住民の理解と協力、これがどこまで得られるか、どこまで住民の合意というものが形成されるか、これにかかっているというふうに思っているところであります。  それを別の角度から言うならば、住民の参加、参画、こういう観点の仕組みがどう組み込まれているのかということでございましょうし、もう一つは、先ほど来お話があるように、住民への情報公開、啓発活動も含む情報公開というものがどのように組み込まれているのかというところにこの法律の成否のポイントがある、私はそのように考えているところであります。実際にそういう問題を法文の中に明記するのは不可能だと思います。しかしながら、運用の段階ではまさにこれがポイントなんだというふうに言えるわけでありまして、これらの運用上の課題について触れていきたいなと思っているところであります。  既に論議されておりますけれども、第六条におきましては、主務大臣は、整備計画認定の際に、その整備計画を経由した都道府県の意見を聞き、都道府県はあらかじめ関係市町村の意見を聞いていく、そういうことになっているわけでありますが、この意見を聞くということについてもう一度掘り下げてみたいなと思います。  第一点は、この意見を聞くということは何についての意見を聞くのかということであります用意見を聞くということになりますと、いろいろな幅広いニュアンスがあるわけでありますけれども、特にどういうことについての意見を聞くのかということが問われるのではないかというふうに思います。  第二点としまして、もちろんその意見の中には、市町村から都道府県、都道府県から主務大臣にと経由をするわけでありますけれども、その意見には関係地区住民、周辺住民の意向は反映されるのかどうか、この辺について確認をしておきたいなというふうに思います。  もちろん今日の状況の中では、産廃という言葉を聞いただけでもう大変だと不安を持ってしまうような、アレルギー症状と言っていいかどうかわかりませんが、極めて過敏な反応をしている住民感情があるわけでありますから、これらについてその意見を聞くというのは、住民の同意、これも含まれるのかどうか。同意についての可否、同意できない、同意するというような可否も含めてその意見を聞くという中には含まれるのかどうか、これらをちょっと確認しておきたいと思います。  この三点についてまず確認をいたしたいと思います。
  89. 小林康彦

    小林(康)政府委員 まず、認定の際に意見を聞く背景でございますが、都道府県知事は、廃棄物処理法に基づきまして、その区域内の産業廃棄物処理計画を定めなければならないとされております。いわばその区域内の産業廃棄物の基本的事項を定めるという立場にございますし、処理業の許可あるいは施設の設置の許可を行う知事の立場がございます。また、都道府県にありましては、土地利用の規制あるいは公害の規制を所管しておりますほか、都道府県公安委員会、教育委員会等行政委員会も含めて、各種の規制または指導権限を有しておりますとともに、公共施設整備に係る事業を実施しているところでございます。  したがいまして、特定施設に係ります整備計画の認定に際しましては、この産業廃棄物処理計画等との整合性を図り、また、都道府県の各種行政との間で調整を図ることができるよう、主務大臣は都道府県に対して意見聴取をし、その意見が十分に反映されるよう努めなければならないとしたところでございます。さらに、特定施設設置は地域社会に影響をもたらす場合があることにかんがみまして、主務大臣は、都道府県を通じ地元市町村に対しても意見聴取を行うことによりまして、地域の生活環境への影響や地域社会との調和等に配慮して、円滑な処理施設設置を図ることとしておるところでございます。  周辺住民の同意に関してのお尋ねが含まれておりますが、特定施設について整備計画を認定するに当たりまして、都道府県及び市町村に意見を聞くこととしておりますが、周辺住民の同意取得の可否というものは意見聴取の内容とはしておりません。しかしながら、意見聴取に当たりまして、主務大臣は都道府県や市町村の意向を十分反映するものとしていることから、地域の実情に応じた認定がなされることになると考えております。  特定施設につきまして土地利用規制上の手続を経ることが必要な場合がございますが、この場合には、その手続に従いまして事前説明会あるいは計画の縦覧等が行われるわけでございます。  今回の法律では、市町村を通じてそうした地域の実情、環境に対する配慮についての意見を徴する、こういう制度としておるところでございます。
  90. 小林守

    小林(守)委員 私たちが最も心配し、また恐れることは、要は認定をしてしまった後で、そんな話があるとは知らなかったというような住民の声が高まって、まさに公共関与に期待をかける切り札とも言えると思うのですけれども、この産業廃棄物最終処分場の確保という問題について住民が知らされてなかった、そして不安が醸し出されて、幾ら公共関与でやるんだといっても何をされるかわからぬ、行政ほど信用できないというような声まである時代でありますから、そういうことになってしまいますと、認定後に反対運動が起こってしまうというようなことも想定されるわけですね。  そういうことを考えますと、それをいかにそうならないように事前に十分な住民に対する周知、情報公開、そして住民とのコンセンサス形成、こういうものが最大のポイントになっているのではないか、そのように考えているところでございまして、午前中の質問にもありましたけれども、要はどの時点で住民に公共団体が責任を持ってこの整備計画についての周知、情報公開を行っていくのか、そこがポイントになっているのではないかと思うのです。  できるだけ早い方がいいわけですね。もちろん手続上なかなかできない、予測だけで住民にお知らせするというわけにいかないこともあろうかと思いますけれども、できるだけ早い時点で住民に行政が乗り出していって説明をする、真剣に本腰を入れてやっていく、これがない限りこの法律は成功していかないのではないか、そのように私は思うわけであります。  要は、認定後において、住民がそんなことは知らなかったというように不安をかき立てられて反対運動が起こってしまう、そのようなことのないようにぜひ慎重な、周到な住民への周知徹底、そして同意形成というものを働きかけていただきたいと思うわけでありますが、この点については大臣の方から御所見をお伺いしたい、このように思います。
  91. 小林康彦

    小林(康)政府委員 特定施設の認定時におきます都道府県等への意見聴取手続あるいは土地利用規制上の手続等につきまして、地域の実情に応じた認定がなされるように努め、御指摘のように、事後に反対運動が起こるような事態にならないようにということで努力をしていきたいと思っております。  どういう時点で周辺住民に内容をお知らせし、御相談をしていくかという点につきましては、全く白紙の場所で始める場合あるいは開発計画の中に組み込みながらやる場合、地域の実情によっていろいろのケースがございますので、一律には規定できないところでございますが、適切な時期に、おくれることのないよう、必要な情報は周辺住民の方々に十分な内容でお知らせをしながら、理解を得ながら事業が進められるよう、私どもとしても留意をしていきたいと考えております。
  92. 小林守

    小林(守)委員 大事なポイントだと思いますので、大臣の決意というか、お考えを述べていただければありがたいと思います。
  93. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほど来政府委員からも申し上げておりますように、とにかく反対運動を押し切ってやるということは絶対やるな、必ず周辺の住民の方々の深い御理解をちょうだいしながら進めていくというこの大原則に立って、我々は今後進めていくということでございます。
  94. 小林守

    小林(守)委員 それでは、次に移りたいと思います。  実は、廃棄物処理法等の改正の経過の中でもいろいろと論議をされてきたところでありますけれども、いわゆる不法投棄事件、全国的にも話題になっておって、なおかつ今日においても解決されていない、そういう重大な問題が残されているわけでありまして、こういう問題が放置されたままである限り、このことを幾ら公共団体が責任を持つからといって進めてみようとしても、私は住民の理解、同意は得られない、そのように思うわけでございます。  要は、未解決で放置されている、何らかの取り組みはされていると思うのですが、手の出しょうがないような問題、これらについて、この法律の第十七条にあります振興財団の業務の中で、原状回復措置とかさらには汚染の修復措置、こういうことを望まれているわけでありますが、だれがこの原状回復を行うのか、汚染の修復を行うのか。ここらについては、確かに排出事業者なり不法投棄事業者が行うのが原則だとは思いますけれども、しかしながら、その事業者が倒産をしてしまったり、またはそれを行う能力がない、そういうような状況になりますとどうにもならない。そういう問題として放置されてきている現状であるわけでありまして、今日までのごみ行政、廃棄物行政の確立の観点に立っても、大きな課題として残されているわけであります。  そういう観点に立って、廃掃法の改正の時期におきましても、厚生省はこの問題について今後検討していくというような附帯決議もなされているわけでありますし、今回の法改正の振興財団の業務という中に、さまざまな債務保証等の業務の中身が規定されたわけであります。この振興財団そのものが適切かどうかは検討の余地はあろうかと思いますけれども、しかしながら、今後、放置されている不法投棄事件問題の解決について、何らかの債務保証措置とかそういう財源的な手当てをしてやって、どこが行うかについても検討を要する問題なのですが、少なくともその問題についての解決への糸口をつくっていくべきだ、そのように強く期待をしたいと思います。これらの問題について第十七条の振興財団の業務という中に含めることができないのかどうか、そういう観点でお聞きしたいと思います。
  95. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物の不法投棄の絶滅といいますのは、施設整備と並行して重点的に取り組むべき課題というように認識をしております。  不法投棄につきましては、未然防止という点が第一でございますが、不法投棄が行われました場合あるいは不適正処理がありました場合の原状回復措置につきましては、原則としては、その不法投棄等を行った原因者により回復されるべきというのが原則と考えております。しかしながら、原因者に資力がありませんでしたり、あるいは原因者が特定できないというような場合もございまして、原状回復措置を適切かつ迅速に行う方策を検討せよというのが先般の改正廃棄物処理法の附則にも規定されておるところでございます。  今回の処理事業振興財団につきましては、処理施設整備促進という点を重点にいたしまして制度を考えておりまして、この原状回復、具体的にどの方向でどう進めていくか、現在検討課題として取り組んでおるところでございますので、現在の法律の中にはその分野は織り込んでいないところでございます。  なお、この点に関連をいたしまして、現在参議院で御審議いただいております公害防止事業団法の一部改正案におきまして、事業団の新しい事業といたしまして地下水汚染修復事業が盛り込まれているところでございまして、この規定によりまして、事業団が従来から行っております土壌汚染修復事業と相まちまして、汚染の原因者がみずから行う汚染の修復事業に対する支援策が強化される。手段の一つは公害防止事業団法の改正によってつけ加えることができるというふうに考えておりますが、なお全体的な対策につきましては、今後さらに検討していくこととしております。
  96. 小林守

    小林(守)委員 公害防止事業団法の改正の中で検討されているというようなお話でございましたので、その取り組みについて評価をし、ぜひ実現をしていただきたい、そのように要望しておきたいと思います。  それでは次に、特に第三条にかかわる基本指針の中で、第二項の六号の中には、特定施設整備に関する基本指針の内容として、「環境の保全その他特定施設整備に際し配慮すべき重要事項」を定めるというようになっているわけでありますが、公的関与による産業廃棄物処理施設といえども、環境に対しては相当厳しく、むしろこれを見てくれと国民に示せるような、環境に十分配慮した施設整備というものがなされなければならないし、国民は公共関与による廃棄物処理施設を重大な関心を持って見ているのではないか、そのように思うわけでございまして、そういう点ではまさに環境に対する配慮、環境アセスメントがどこまで徹底的にやられるか、これに大きなポイントもあろうかと思っているところであります。  本来ならば、環境アセスメントにつきましては、第三者機関によってなされるということが望ましいとは思うのですね。独立した機関がその事業に対して客観的な立場で環境影響評価をするということが重要でありますし、その結果を国民に知らせる、公表するということが制度として確立されることが一番望ましいわけでありますが、日本の今日までの行政スタイルというかそういう中では、他のさまざまな問題の中で整合性を考えてみますと、今日この法案にかかわって第三者機関をつくるということはちょっと難しいと思いますので、要はこの指針の中にきちっと位置づけていただく、そういうことで実質的な環境アセスメントを確保していく、そういうことが必要だろうというふうに思っているところであります。  そういう観点に立って、施設整備計画の事前の段階における評価、さらには特定施設を建設している建設中のアセスメントも必要だろうと思いますし、また、施設ができて、実際に業務を行う施設が稼働している段階における環境への配慮、そしてその後、特定施設の一部分について業務が終了した、埋め終わったというような問題については、その跡地をどう管理していくのか、どう利用していくのか、そういう観点に立って、一連の流れの中で環境影響評価というものが組み込まれていくべきであろう、そのように考えているわけでありまして、この法案の中で、先ほども申したとおり、三条の二項六号の「環境の保全その他特定施設整備に際し配慮すべき重要事項」というものの中身について御答弁をいただきたいと思います。
  97. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物処理施設にかかわります環境影響評価、いわゆるアセスメントにつきましては、閣議決定の要綱に基づきまして、三十ヘクタール以上の最終処分場について実施をしておるところでございます。この実施要綱に従いますことは当然でございますが、今回の計画が環境に対して十分配慮する必要があるというところは先生御指摘のとおりでございまして、そのため、三条に定められております基本指針の中で、主務大臣が環境庁長官その他関係行政機関の長と協議の上、基本指針を作成することとしております。この指針の中で環境保全の配慮に関する事項が定められることになっておりまして、内容といたしましては、必要に応じて環境に与える影響を調査検討し、その結果を特定施設の設備に反映させていく、こうした内容を記述することを検討しておるところでございます。  この基本指針に基づきまして環境保全計画にも配慮をした特定施設整備計画を作成し、さらに主務大臣は、計画の認可の際に環境保全への配慮を含む基本指針に照らして審査を行い、特定施設の位置、規模、運営などについて環境保全への配慮を行うという形で、環境に配慮をした施設整備が行われるよう規定を置いておるところでございます。
  98. 小林守

    小林(守)委員 それでは、次に移りたいと思います。  今日の廃棄物、産廃処分場のさまざまな住民とのトラブルの問題の中で一番多いケースというのは、いわゆる安定型五品目の処分場、これが一番環境問題を起こしているというふうに言われているわけでありまして、実はこの安定五品目だから安全なんだというような説明の仕方は住民からは全く信用されていない、そのように考えなければならない状況だろうと思います。  問題は、安定五品目ということになりますならば、御承知のように鉄くずとか金属くずとかガラスくすとかゴムくずとか廃プラ、プラスチックくずとか建設廃材とかコンクリート廃材、これらがあるわけでありまして、個別的に考えてみるならば、これらが環境汚染につながるはずはないのですね。これはまことに安定した品物なわけであります。ところが、なぜこの安定五品目の処分場で硫化水素というか、非常に強いにおいが出たり、それから水質汚濁、地下水の汚染というような問題が出たり、粉じんが巻き上がるとかそういう問題が起こるのか。  こういうことを考えますると、要は、安定五品目といいながら何かが混入してしまうんだというふうに思うのですね。もちろん意図的に、悪意に、次心意的にそういうものを混入して処分してしまう、これは不法処分になるわけでありますから、別の法律の中で罰せられることになるわけでありますけれども、要は、そのような次心意的な、悪意に基づく、不当な利益を得ようとする動機によってやられたものについては別にしまして、実際に建設廃材にしても完全な形で安定五品目に分別されているかどうか。  分別をするということになりますと、出す方の立場に立ってみるならば、これまた難しいのではないか、そのように思うのですね。ですから、例えばある家屋が壊された、建設廃材ということでその廃材が持ってこられたというのですが、その中には台所のものとかいろいろなものまで一緒に入ってきてしまう。それを全部きちっと分別するというところまで期待ができるかどうかということになりますと、これもまた無理な話なのかなというふうに言わざるを得ない問題もあろうかと思うのです。  そういうことで、この一番問題が起こりがちな安定五品目の安定型の処分場について、どうやってその分別を確立していくのか。今度の改正廃掃法の中でも政省令の中で大きな課題になっているんだと思いますし、また今度の法案の中で特定施設で行うこの処分についても、ここがやはり大きなポイントになろうかと思います。  そして、先ほど午前中のお話にもありましたように、分別ができていない不完全な安定五品目については、むしろ管理型の処分に処すべきである、そういうようなお話もあったわけでありますけれども、要はどうやってその分別を確保していくのか、そしてそのチェックはだれが行うのか、この辺の体制をいかにつくっていくかということがこの法案の住民に対する信頼度を確保していくポイントになっているのではないか、そのように思いますけれども、当局のお考えをお聞きしたいと思います。
  99. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お話がございましたように、現在最終処分場の中に安定型というタイプがございまして、ここには安定型の廃棄物を入れるということにしてございますが、人手不足、経費の節減等の観点から、それに安定型以外のものが付着し、あるいは混入した状態で持ち込まれ、問題を生じておるケースがあるという状況でございます。  ちなみに 平成二年四月現在、安定型の処分場は全国で千二百七十七施設ございますが、平成元年十二月に八十一年四月以降の事故事例について全国調査を行いましたところ、不適切な管理であるという報告を十二例受け取っております。これの原因は、搬入物の管理が不徹底でありましたものと考えておりまして、厚生省では、平成二年の四月に都道府県、政令市に対しまして、施設におきます実態の把握及び監視、指導の徹底を指示したところでございますし、引き続いての全国的な会議でも安定型処分場への搬入管理の徹底を指示し、その成果を待っておるところでございます。  現在の処分基準におきましても、管理型の廃棄物と安定型の廃棄物が混入した状態でございますと、これは厳しい方の基準をかけるということにしておりまして、混合した状態でございますと、管理型の処分場に処分しなければならないわけでございます。  安定型の処分場をその本来期待されております機能を考えながら適切に運営をしていきますためには、排出番及び中間処理等の廃棄物にかかわります者の意識の徹底、排出する廃棄物の状態に対する十分な知識の普及と、それを守ることが重要でございますので、廃棄物処理の徹底、それから処分場におきましても、受け入れられるものの性状をきっちり搬入する者に知らせ、排出事業者に知らせるということが必要でございますので、そうした維持管理体制の強化を図りますとともに、都道府県等の環境衛生指導員が排出事業者あるいは最終処分場の埋立地の指導監督に当たっておりますので、そうした指導員の指導の徹底によりまして、安定型の処分場に安定型の廃棄物が搬入されるよう今後とも指導していきたいと思っております。
  100. 小林守

    小林(守)委員 それでは、時間が参りましたので、最後に一つだけお聞きしたいと思いますが、廃棄物処理法の改正の中の十五条におきましては、廃棄物の処理施設につきましては、これからは届け出制から許可制に変わるわけでございます。  ただ問題は、許可制になるとしても、従来から、ある面積以下についてはその必要もないという足切り的なやり方があったわけなんですが、これについては非常に脱法的な行為が行われている、そういう事件も出ているわけでありまして、最終処分場の面積による適用除外の問題については、今後政省令の中でどう問題に対処されようとしているのか、お聞きして終わりにしたいと思います。
  101. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物の最終処分につきましては、埋立地の規模にかかわらず、処分をいたします行為全体についての基準がございますので、それのあり方、それから施設の種類、規模のいかんを問わずに許可を受けて処理業を行っております処分業者に対する規制等、関連をする基準の部分がございますので、最終処分場の許可の範囲のあり方につきまして、これらの関連事項も含めまして総合的な検討が必要でございますので、現在その観点で検討しておるところでございます。
  102. 小林守

    小林(守)委員 終わります。
  103. 牧野隆守

  104. 大野由利子

    ○大野(由)委員 産業廃棄物処理特定施設整備促進法案の振興財団のことについてお尋ねをしたいと思います。  産業廃棄物処理責任は排出事業者にある、現在そのようにされているわけでございますが、今回この振興財団に自治体がお金を出すようになっております。その意味づけがしっかりなされているかどうかということに甚だ疑問があるわけでございますが、今回この振興財団、五年間で総額百二十億から百三十億、そのうち地方公共団体が約三十億円お金を出すようになっているようでございます。約四分の一地方公共団体から出すというのは、これは余りに負担が大き過ぎるのではないか、そのように思いますが、明確にこの辺お答えいただきたいと思います。
  105. 小林康彦

    小林(康)政府委員 我が国の産業廃棄物処理の現状を見ますと、処理施設が不足をしておりますとともに、広域的な処理が拡大をしており、また不法投棄等の不適正処理が増加をしているという状況にございます。  廃棄物処理施設整備の状況は、大部分が中小企業で、信用力、資本力が不十分なものによって担われておりまして、施設整備のための借り入れに当たっての担保は極めて不足をしているというように、施設整備が進みにくい状況がございます。こうした状況におきまして、排出事業者がみずからの責任で産業廃棄物処理を円滑かつ適正に行うことができるよう、政策的措置といたしまして、産業廃棄物処理業者等によります処理施設整備促進するための措置を講ずることが不可欠となっております。  産業廃棄物処理といいますのは地方行政に密接な関連を有しておりまして、地方公共団体にとりましては、自分の区域内の排出事業者の産業廃棄物処理が円滑に行われなくなる場合には、経済活動に支障が生じ、生活環境の保全が脅かされるというおそれもあるわけでございます。こういうようなことからいたしますと、本法案に関連をいたしまして、特定施設に対する債務保証を行う産業廃棄物処理事業振興財団に対しまして地方公共団体が出資を行いますことは、排出事業者責任の原則を履行させるための条件整備を図るものでございまして、排出事業者の責任を追及しながら、地方公共団体も力を出し、支援をしながら施設整備を行い、適正処理を図る観点からの地方公共団体の協力というふうに理解をしております。
  106. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今回、振興財団への自治体の拠出予定額は約三十億円でございます。この拠出金の裏づけとして、自治省から地方交付税交付金が五年間で二十九億円交付される、平成四年度は約六億円の交付税措置がとられる、そういうことで、厚生省では、自治体分の拠出について財政面で負担になることはなく、基金造成のめどは立った、そのような見方をされているようでございますが、財政力の強い自治体は交付税の措置を受けていないわけでございます。そういう意味では、財団への拠出金は、交付金を受けていない自治体は全くの市民の血税がそれに充てられる、そういうふうになるわけでございます。この点甚だ納得ができない、そのように思いますことと、地方自治体はこの三十億円をどのような割合と申しますか、どういう形で支出するようになるのかについてお答えいただきたいと思います。
  107. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物処理施設整備が進みませんと、生活環境の保全上重大な脅威となりますし、経済活動にも支障を生ずるおそれがあるという状況にございまして、そのための施設整備促進のための条件整備を図ろうというのが今回の趣旨でございます。そのため、地方公共団体が振興財団に出資を行うということを期待をしての制度になっておるわけでございまして、そのための財源措置といたしまして、そうした地方公共団体の支出に対して、地方公共団体については地方交付税の基準財政需要額に算入する等の必要な措置を講ずるということにしたわけでございます。  それぞれの団体ごとにどういうような割り振りになるかというお尋ねでございますが、財団への出資といいますのは、制度の上では、あくまでも地方公共団体の自主的な判断により行われるべき性格のものでございます。しかしながら、目安といいましょうか、そういうものを示してほしいという御要望も強いものでございまして、御参考のために厚生省としての目安らしきものを示しておりますが、各地方公共団体の出資分につきましては、各地方公共団体に共通の均等的なものを設けます一方、財政力、産業廃棄物の排出量等による傾斜配分を行うことによりまして算出をいたし、これを目安にいたしまして地方公共団体の協力を求めることが適当というふうに判断をしておるところでございます。
  108. 大野由利子

    ○大野(由)委員 百二十一国会でこの廃掃法の改正案が審議されましたときに、附帯決議の中で「事業活動に伴う廃棄物の処理費用については、事業者が適正に負担するよう指導すること。」ということが衆議院も参議院もともに加えられたわけでございます。  ところが、鉄くずの問題等について午前中もいろいろお話がありましたが、現在の経済活動と申しますか、例えばおしょうゆだとかお酒だとかビールだとかすべて、今までであれば瓶で回収をされて、そしてちゃんと洗浄されて殺菌をされてという、そういう費用は企業が受け持っていたわけですね。ところが、それが全部今は使い捨て容器になる。そして、その使い捨て容器の処理を自治体が負担するようになる。また、先ほどの質問の中にもありましたように、スチール缶の空き缶を自治体が反対にお金を出して引き取ってもらわなければいけないというような状況、これは一般廃棄物ではあるわけですけれども、そのように、かつてはあくまで企業が企業活動の中で負担していたものが全部自治体の負担に切りかわりつつある。そういうものに私たちはもっとしっかり取り組んでいかなければいけないのじゃないかな、そのように思うわけですね。  まして産業廃棄物は、今まで全く排出事業者の責任とされていたものが、今部長からいろいろお話がございましたが、もちろん責任があるとはいえ、地方自治体が四分の一も負担をするということが果たして適正なのかどうか。事業者そのもの、また、製品を購入する受益者そのものが負担をするということをもっと積極的に進めるべきではないか、そのように思うわけでございますが、産業廃棄物処理に関して国や地方公共団体、また事業者自身がどうかかわるべきであると思っていらっしゃるか、果たすべき役割について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  109. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物処理につきましては、排出事業者の処理の責任ということを明確にしておりまして、産業廃棄物処理に要する経費といいますのは、その産業廃棄物を出します者が負担をするということで制度を考え、実際にもそのとおり動いておるわけでございます。  今回の財団に対します協力あるいは基金の造成といいますのは、そうした施設整備を行います上で基盤整備を行う部分でございまして、本格的な事業の経費といたしましては、用地の取得費あるいは施設整備の費用、維持管理費、大がかりな経費が要るわけでございます。そうした廃棄物処理の直接的な経費はすべて排出事業者に処理料金の形で負担をしていただくという制度でございまして、そうした全体の事業から見ますと、基盤整備のウエートというのはそれほど大きなウエートのものではございませんが、地方公共団体、国も含めまして支援体制を組むことは現時点で必要であるという点から、事業者の出捐とあわせて、国、地方公共団体の支援体制を組んだところでございます。
  110. 大野由利子

    ○大野(由)委員 民間事業者が財団に拠出するようになっておりますが、どれくらいの費用をどういう割合でどのように進められるのか、この拠出計画についてお尋ねします。
  111. 小林康彦

    小林(康)政府委員 振興財団の出資につきましては、総額で百二十ないし百三十億を予定しておりまして、国が五年間で十億円、地方公共団体の協力が三十億円、残りは事業者等からの出捐、この内訳で現在関係方面に検討の努力を促しておるところでございます。
  112. 大野由利子

    ○大野(由)委員 民間事業者の負担をどのように決められるか、その内訳というか割合をどのように進められるか。
  113. 小林康彦

    小林(康)政府委員 民間事業者の出捐という点につきましては、ただいまの八十ないし九十億でございます。  それから、施設整備費あるいは維持管理費というような点につきますと、その施設整備を行います廃棄物処理センターあるいはその他の第三セクター、あるいは民間処理業者がまず財源調達をいたしまして整備運営をするわけでございますが、最終的には排出企業の排出量に応じましての負担、最終的には排出事業者の負担になるという制度でございます。
  114. 大野由利子

    ○大野(由)委員 じゃ、排出量に応じて業界で大体決められる、そういうことなんでしょうか。
  115. 小林康彦

    小林(康)政府委員 民間事業者から振興財団につきます拠出金をどういう形で配分、分担をするかにつきましては、現在産業界と私ども、あるいは産業界内部で調整をしておるところでございます。いろいろの考え方がございますので、産業界を中心にいたしまして合意のできる線をまとめながら、予定をしております金額について拠出が得られますよう努力をしていきたいと考えております。
  116. 大野由利子

    ○大野(由)委員 振興財団の構成がどのようになるかについて厚生大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  振興財団の役員の構成でございますが、ある人から、今回振興財団ができる、この役員に厚生省のOBの高級官僚が天下りするのではないか、そのように話を聞いたわけでございます。全国の都道府県にできます廃棄物処理特定施設の役員等にも天下りがあるのではないかという話を聞いたものですから、この件について厚生大臣の御見解、私は天下りはない、そのように言明をしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  117. 山下徳夫

    山下国務大臣 振興財団の基金の規模等もまだ固まっておりません。したがいまして、現時点において、具体的に役員構成についてどうなるのかということをまだ私どもが申し上げる段階ではございませんが、基本的には、役員構成につきましては、振興財団の基金の規模あるいは基金への各拠出者の寄与の度合い、あるいは振興財団の業務に対する需要等を踏まえて、産業界の関係者と調整を通じて決められなければならない問題だと思っております。
  118. 大野由利子

    ○大野(由)委員 次に、最終処分場のことについてお尋ねをしたいと思いますが、現在満杯になって閉鎖になった処分場が全国でどれぐらいありますでしょうか。
  119. 小林康彦

    小林(康)政府委員 お尋ねの閉鎖になりました数、全国的な数字はまだ把握をしておりませんが、関東圏の一都六県の数字を調べておりますのでこの数字を申し上げますと、埋め立てが終了いたしまして閉鎖をされました産業廃棄物の最終処分場の数は、今まで一都六県におきまして二百二十六施設でございます。
  120. 大野由利子

    ○大野(由)委員 最終処分場を持っておりました産廃の処理業者の中で、現在倒産した業者、また倒産でなくても、やめた業者がどれぐらいあるかについてお尋ねいたします。
  121. 小林康彦

    小林(康)政府委員 ただいまの一都六県におきまして過去五年の間に産業廃棄物処理業を廃止をいたしました事業者の数は、千五百二十六業者というふうに報告を受けております。
  122. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今千五百二十六業者やめた業者がいるというお話を伺ったわけでございますが、最終処分場が閉鎖されて、また、場合によっては業者が倒産する場合もあると思いますが、やめた業者は、この最終処分場で将来何か問題が起こった場合、その場合の責任はどこが持つようになるのでしょうか。
  123. 小林康彦

    小林(康)政府委員 いろいろの形態がございますが、処分が終わりまして閉鎖した状態がそのまま続いているという状態でございますと、その最終処分場を設置、管理をした人の責任でございます。ただ、その土地の所有権が次々に移っておりますような場合につきましては、それぞれのケースにつきまして責任の所在を明らかにする必要があると考えます。
  124. 大野由利子

    ○大野(由)委員 このことに関してはもう一度後でちょっと質問させていただきたいと思うのですが、ことしの二月に、産業廃棄物の処分場が営業されると飲料水である沢の水が汚染されるということで、宮城県の住民が産廃処分場の営業差しとめの仮処分を申請し、それが裁判で争われ、住民の主張が認められた、そういう事件がございました。  化学物質などを対象としない安定型処分場でも、危険な廃棄物が混入し、周辺環境を破壊する危険性がある、そのように裁判で指摘をされて、住民の主張が認められたわけでございますが、こういう安定型の処分場にもいろいろ不安材料がございます。また、管理型の処分場におきましても、有害物質を埋め立てたこの管理型が大変高温になって、土の中で化学反応を起こしたりして、管理型といっても全く気休めにすぎない、そういう意見も多くあるわけでございます。  こうした住民の不安は大変高いものがあるわけですけれども、住民の理解を得るためにも、最終処分場に対する不安を取り除く努力がもっともっとなされなければいけないんじゃないか。定期的にこの最終処分場の排水管理や浸出液の検査とか、また産業廃棄物の成分検査とか、もっともっと管理とか規制強化を行う必要がある、もっと強化を高めねばならないのではないかと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  125. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物処理施設、特に最終処分場に対します地域住民の不安の理由といたしまして、処理施設の管理が万全と言えないケースが間々見られますこと、それから不法投棄等の不適正処理が後を絶たないことなどから、産業廃棄物に対するイメージあるいは最終処分場に対する印象が低下をしておりまして、御理解を得るのに困難を生じているという状況が確かにございます。  このため、昨年十月に廃棄物処理法を改正させていただきまして、産業廃棄物処理業の許可要件を強化いたしましたこと、産業廃棄物処理施設につきまして、現在の設置の届け出制から許可制に改めるなど規制強化いたしましたこと、不法投棄などに対する罰則の全面的強化などの規制強化を行い、さらに最終処分場につきまして、設置の許可に当たりまして、災害防止のための計画の策定を義務づけまして、また埋め立て終了時に都道府県知事に届け出ることを義務づけ、この届け出により都道府県知事が台帳を整備いたしまして、保存をし、関係者からの請求により、その台帳または写しを閲覧させることとしたところでございます。  このように最終処分場に関します規制強化したところでございまして、こうした施策及び今回新法でお願いしておりますように、モデル的な施設整備促進することによりまして、地域住民の不安の解消に努めていきたいというふうに考えております。  最終処分場の閉鎖につきましては、生活環境保全上の支障が生じないように行うことが重要でございまして、必要な措置を確認した上で閉鎖をすることと基準を定めておりますので、この基準を厳格に適用していくことが必要と考えておりますし、閉鎖後につきましても、最終処分場の台帳の調製、それの閲覧等を通じまして、適切でない跡地利用が行われないよう努めることとしておるところでございます。
  126. 大野由利子

    ○大野(由)委員 都道府県でこういう台帳をつくられて、そして保管される、そういうふうにこの間の廃掃法の改正案でなったわけでございます。その関係人から請求があったときは、この台帳またはその写しを閲覧させなければならない、そうあるわけですが、請求がなければ、わからない、知らないで一般の民間人がこの土地を、埋立地を購入する、そういうことが考えられるわけでございます。  有害廃棄物が埋め立てられたような土地に関して、それを知らないで掘り起こすなんというふうなことがあっては大変なわけでございますし、ただ台帳をつくるというだけじゃなくて、その土地に注意を喚起するために、特定のその埋め立ての指定区域として指定をする、そしてその土地の所有者がどんどん変わったとしても、その土地はこういう土地だということをきちっと理解した上で跡地が利用される、そういう跡地の利用に対する規制とか、その特定の埋立地の指定区域というふうにするべきではないか、そのように思いますが、御見解はいかがでしょうか。
  127. 小林康彦

    小林(康)政府委員 改正されました廃棄物処理法におきまして、都道府県知事が調製して保管をいたします埋め立て終了後の届け出にかかわる最終処分場の台帳は、その最終処分場でありました土地の利用をしようといたします者にとりまして大変貴重な情報であろうというふうに考えております。  しかしながら、埋め立て後の土地の性状はさまざまでございますので、そのすべての地域にそうした表示なりなんなりをする必要性は一律には出てこないものとも考えております。この届け出台帳が存在をすること、それを見れば廃棄物と土地との関係がはっきりわかるということ、こういう情報を積極的に提供いたしまして、届け出台帳の活用が積極的に行われますように、この制度の周知徹底を図っていきたいと考えております。
  128. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今、届け出台帳がつくられるので、それが積極的に活用されるようにというお話があったわけですが、安定型の最終処分場は三千平方メートル以上、管理型は千平方メートル以上が届け出の対象になっている。それ以下のところは届け出がなくて、これが埋立最終処分場であったということも全く知らされないで土地の売買がされる。  そして、今だんだんこの処分場の跡地を利用して住宅等が建てられるというケースが非常にふえてきているわけですけれども、この埋め立ての跡地に建物を建設する、その土台をつくるためにくいが打ち込まれる、そういうふうなことがあったり掘り起こされたりとか、またいろいろ有害物が埋め立てられた後に畑をつくったり、野菜をつくったり、そういうところで食物連鎖でいろいろ有害物質が濃縮されていく、そういうふうな危険性があることが予想されるわけですが、その点についてはいかがでございましょうか。
  129. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物処理施設としての最終処分場の改正法によります許可の範囲でございますが、最終処分にわたります全般的な基準のあり方、受け入れます廃棄物の種類あるいはその埋立処分の方法等の基準等との関連もございますし、ただいまお話ございましたように、跡地利用の観点からの管理の強化の必要性という観点もございますので、それらも含めまして、総合的に許可の制度の範囲につきまして検討しておるところでございます。
  130. 大野由利子

    ○大野(由)委員 これからこうした跡地を利用することがどんどんふえていくと思いますし、数年、数十年たって、それがもとどういう土地であったかということも全くわからないというような状況にもなってくるかと思いますので、この跡地利用の規制について、法的な根拠なり、そうしたものをぜひ検討をしていただきたい、そう思います。  それから、産業廃棄物の最終処分場の残余の年数はどれぐらいかについて伺いたいと思います。
  131. 小林康彦

    小林(康)政府委員 厚生省の調査によりますと、現在ございます産業廃棄物の最終処分場での残余容量、残っております容量を埋立量との比較で計算をいたしますと、全国で約一年半程度の容量を持っている、こういう状況でございます。
  132. 大野由利子

    ○大野(由)委員 廃棄物処理特定施設整備されてこれから進められるわけでございますが、恐らく数年から十年かかるわけでございます。私は、この法案ができるのが十年遅かったのではないか、スタートが余りに遅かったのではないかと思いますが、今部長のお答えでは、産業廃棄物の最終処分場、全国で平均大体一・六年しか残ってないという状況であるわけですね。ところが、この一・六年の間に特定施設整備はとても完了しそうにない。ということは、産業廃棄物は一体どういうふうに扱われ、どうなるのか、どう予想されているかについて伺いたいと思います。
  133. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物の最終処分場の確保に対しましては、いろいろの主体が努力をし、確保していく必要があると考えておりまして、一つは改正法で位置づけました廃棄物処理センターでございますし、このほかに第三セクターがございますし、従来からやっております排出事業者みずからの最終処分場の確保及び処理業者によります最終処分場の確保がございます。  今回の新法の措置でこの産業廃棄物の最終処分場をすべて賄うという考えはございませんで、モデル的な事業を整備し、それを一つのきっかけとして全体としての施設整備が進むよう、今後とも民間処理業者あるいは排出事業者によります施設整備促進も図っていきたいというふうに考えております。  これらの産業廃棄物処理施設整備促進を図りますために、新法によります施策の強化とともに、一般的に施設整備のための積極的な支援、誘導策を講じていく必要があるというふうに考えております。
  134. 大野由利子

    ○大野(由)委員 これからますます不法投棄や海洋投棄等もふえてくるのではないか、そのように予想されるわけでございますが、産業廃棄物の海洋投棄についてお伺いしたいと思います。  昭和四十五年の海洋汚染防止法で初めて海洋投棄が公認されたわけでございます。この産業廃棄物の海洋投棄について海上保安庁が取り締まっていらっしゃるので、海上保安庁にお尋ねをいたしますが、廃棄物の海洋投棄がどれくらいあるか、それから不法投棄が一体どれくらいあるかについてお尋ねをしたいと思います。
  135. 田島邦雄

    ○田島説明員 恐れ入りますが、二番目の質問をもう一回確認させていただきたいのですが……。
  136. 大野由利子

    ○大野(由)委員 廃棄物の不法投棄です。
  137. 田島邦雄

    ○田島説明員 お答えいたします。  海上保安庁で海洋に不法に投棄された廃棄物について平成三年に送致しました総数でございますが、合計で三百三十四件になっております。  その内訳は、船舶から直接海洋に投棄されるという海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に違反した件数が、魚類の残渣とか貝殻というふうなものが大部分でございますけれども九十四件、それから、陸上から廃棄物として建設廃材等が直接投棄された廃棄物の処理及び清掃に関する法律に違反した件数が二百二十四件、そのほか、港の中で港則法違反ということで、ごみ等が投棄された件数が十六件ということになっております。
  138. 大野由利子

    ○大野(由)委員 件数は今おっしゃったわけですが、量的には大体どれくらいなんでしょうか。
  139. 田島邦雄

    ○田島説明員 恐れ入りますが、ただいま容量としてちょっとつかんでおりません。
  140. 大野由利子

    ○大野(由)委員 警察庁の調べでは、陸上での不法投棄産業廃棄物は平成元年で二百四十六件、八十六万九千トンが不法投棄されている、そういう警察庁の御報告であるわけですね。それは処理費節減のためというのが一番大きな理由になっているわけです。  今伺いますと、海上への不法投棄は三百二十三件報告されているということで、この件数からいうと陸上より多いわけですね。容量としては陸上の八十六万九千トンより多いのか少ないのか、つかんでいらっしゃらないということでございますが、私は、これからますます海上への不法投棄というものがふえてくるのではないか。産廃だとか有害廃棄物の排出業者は、陸上で処理するのに処理する場所がだんだんなくなってくる。広域に移動して遠いところへ持っていってもなかなか苦労が多いということで、陸上で処理するよりも海で不法投棄する方がコストが安い、そういうことで、そういう傾向がふえるのではないかということを危倶するわけでございますが、海上保安庁はこの辺はどのように認識していらっしゃるか、十分な監視体制はとっていらっしゃるのか。容量はとっていらっしゃらないということですが、容量をとることは不可能なのかについてお尋ねをしたいと思います。
  141. 田島邦雄

    ○田島説明員 先ほどの送致件数の総数は三百二十四件でございますので、訂正をさせていただきます。  それから、量による把握は難しいのかという御質問でございますが、出るものもございますけれども、海の中に投棄されたものということで、量を推定することは非常に難しいのではないかと考えております。なお一度検討してみたいと思います。  それから、廃棄物の海洋への不法投棄に対しては、海上保安庁といたしましては、従来から海洋汚染防止思想の普及というふうな点、それから関係法令を十分周知していただくというふうなことを行ってきましたけれども、それにあわせて、廃棄物の海洋投棄に関する監視、取り締まりも厳しく実施してきておるところでございます。特に、廃棄物の不法投棄による海洋汚染の蓋然性が高い海域を中心にしまして、巡視船艇、航空機を重点的に配備して、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律あるいは廃掃法等関係法令の違反の摘発を行ってきております。  なお今後とも、船舶への立入検査、あるいは毎年六月に行っておりますけれども、海洋汚染防止推進週間のような機会をとらえまして、また海洋汚染防止講習会を開催するなどいたしまして、海事関係者のみでなく、広く一般の方々を対象にしまして、廃棄物の海洋への不法投棄がなされないように、思想の普及あるいは関係法令の周知を図っていきたいと考えておりますし、さらに今後とも監視、取り締まりを厳しく実施していく所存でございます。
  142. 大野由利子

    ○大野(由)委員 厚生大臣にお尋ねいたします。  不法投棄はもちろんでございますが、不法投棄以外に、今公認をされております海洋投棄も、国際海洋汚染防止法から見て我が国は海洋投棄をすべて禁止すべきではないか、そう思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  143. 小林康彦

    小林(康)政府委員 海洋投入処分につきましては、廃棄物処理法あるいは海洋汚染防止法等で一部認めておるわけでございますが、陸上で処理できるものについては陸上処理を優先すべきという思想で法律の規定がございますし、その方針で行政も進めておるところでございます。  国際的にも、ロンドン・ダンピング条約の決議におきまして、産業廃棄物の海洋投入処分を遅くとも平成七年十二月末までに禁止をしなければならないというふうにされておりますので、各国の動向も踏まえながら、我が国としても海洋投入処分につきまして適切に対応できる体制を整えていきたいというふうに考えております。
  144. 大野由利子

    ○大野(由)委員 我が国も地球環境保全の上から、ぜひ積極的にこの問題についても取り組んでいただきたいと思います。  最後に、もう一つ質問させていただきたいと思います。  今まで何度か私もこの委員会、または物価特別委員会でも乾電池のことについてお尋ねをさせていただきました。海での海洋浮標灯、ブイでございますけれども、このブイ、水産用、工事用、海洋航行用、養殖用等で一つのブイに数個から数十個の乾電池が使われております。この電池が長年にわたって全部海に捨てられていると関係者から伺ったわけですが、そういう状況のようでございます。例えば漁業などの場合、流し網や定置網で水産用ブイを何百個と船に積んで、そして一年や一年半分の交換用の乾電池をそれこそ何千個、何万個と使うそうなんですね。それを船に乗っけて出かけていく。そして不要になったら海に捨ててくる、そういう状況が続いているわけでございます。  捨てられた乾電池というのは塩分で腐敗して、海底の環境を著しく汚染して、海にすむ貝だとか魚にも大変大きな影響があるのじゃないか、そういうことが指摘をされているわけでございますが、いつごろから乾電池が使われるようになったか、年間どれくらいの乾電池が、またどういうような種類の乾電池が使われているかについて農林水産省の方にお尋ねしたいと思います。
  145. 吉崎清

    ○吉崎説明員 漁業では流し網のラジオブイ、定置網の標識灯などにアルカリ乾電池などの電池が用いられております。  乾電池が漁業で使用され始めた時期につきましては明確なことはわかりませんが、現在のような乾電池が用いられるようになりましたのは昭和四十年代後半からかと思われます。我が国の漁業においてどれだけの量の乾電池が使用されているかについては、承知しておりません。
  146. 大野由利子

    ○大野(由)委員 アルカリ電池とおっしゃったのですが、ニッカド電池は使われておりませんでしょうか。
  147. 吉崎清

    ○吉崎説明員 現在漁業で使用されておりますのは、マンガン乾電池、アルカリ乾電池、それからマグロはえ縄では充電式の蓄電池、以上でございます。
  148. 大野由利子

    ○大野(由)委員 私は、ニッカド電池、ニッケルカドミウム電池が非常に強力だということで、一部にこういう電池が使われているという話を伺ったわけでございます。一般のアルカリ電池もそうでございますけれども、ニッカド電池はカドミウムの汚染等非常な有害物質でございます。こうした乾電池を今後どのように扱っていこうとされているのか。この辺について今までは余りつかんでいらっしゃらないようですが、今後はこのことについてもしっかり検討がなされなければいけないのではないか、そのように思います。今後対策を講じていかれるお気持ちを持っていらっしゃるかどうかについて伺いたいと思います。
  149. 吉崎清

    ○吉崎説明員 私ども、漁具に使用された電池の海中投棄の実態については承知しておりませんでしたけれども、そのような事実があるとしますと漁場環境保全の上から問題でございますので、今後関係者、団体等からの聞き取りを通じまして、実態の把握に努力したいと思います。
  150. 大野由利子

    ○大野(由)委員 農林水産省では、今まで海の資源を大事にしていきたい、とる漁業から育てる漁業へと非常に立派なスローガンを掲げていらっしゃるわけでございます。この海の環境保全の問題、乾電池等の問題も決して瑣末な問題ではなくて、何年、何十年とたてば大変大きな問題でございますので、この辺についてもぜひ取り組んでいただきたいと思います。  厚生大臣に最後に伺いたいと思いますが、有害物がこのように海に捨てられている現状というものについて、また関係省庁等ともしっかり連携をとって協議をして、ぜひ対策を講じていただきたいと思いますけれども、この点についていかがでございましょう。
  151. 山下徳夫

    山下国務大臣 今お話しのように、漁船に積んでございます電池が使用済みとなって海に捨てられているということになりますれば、これは適切ではないと思います。したがいまして、いずれにしましても適正な処理が確保されることが必要だと思いますので、そのようにまた協議をしていきたいと思います。
  152. 大野由利子

    ○大野(由)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  153. 牧野隆守

  154. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 私、本日は十五分間という大変短い時間でございますので、法案の中身にわたる質問は次回に、時間のあるときに十分にさせていただきたいと思います。  きょうは運輸省さんにお越しいただいておりまして、航空機の中のごみの分別回収並びに飛行場の中での実態はどのようになっているのか、このことをお伺いした上で、最後に、私どものやりとりを聞いていただきまして厚生大臣に感想をお聞きしたいと思っております。  それで、JAL、日本航空でございますけれども、この会社が大変努力をいたしまして航空機の中でアルミ缶の分別回収を行った、このように聞いておりますが、今実態はどのようになっておりますか。
  155. 辻通明

    ○辻説明員 お答え申し上げます。  日本航空におきましては、ことしの二月から三月にかけまして、ソウル−成田便の往復及び香港から成田までの便で試行的にアルミ缶の分別収集を行ったと聞いております。二月から三月にかけてでございまして、現在は行っておりません。
  156. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 そのやめてしまった理由というのはどのように認識していますか。
  157. 辻通明

    ○辻説明員 この二カ月間の試行の結果を検討しましたところ、まず機内で分別収集をするわけでございますが、地上におろす際の回収作業に追加的な人員が必要になる。それから、空港においてごみを分別して保管するためのスペースの確保が困難であった。それから、今回は一部の路線で試行をしたわけでございますが、これを全路線にわたって行うこととした場合に、機内スペースの確保の問題、それから客室乗務員の負担増の問題が生ずるおそれがあるといったような、いろいろな問題点があることがわかりました。  今回、この試行期間の終了に伴いまして一たんこれを中止したわけでございますけれども、今後この分別収集の問題点の対策について、継続的に社内的に検討を行うということにしていると聞いております。
  158. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 これはスチュワーデスさんの御協力というのも大変なものがあると思うのですね。そういうふうなある意味では先駆的な取り組みでございますけれども、それをやめた理由の一つに、空港の中でそれを十分に受け入れる体制がなかったというのが大きな要因の一つではなかろうかと思いますけれども、そのところはどのように認識していますか。
  159. 高橋朋敬

    ○高橋説明員 航空機の中で発生しましたごみにつきましては、原則的には航空会社が清掃会社と契約をいたしておりまして、引き受けていただくということになっているわけですけれども、今現状におきましては、そのごみにつきましては一括して業者が受け取りまして、空港の外の処理場においてこれを回収処理するという仕組みになっております。
  160. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 いま一つよく説明がわからないのですけれども、では、もっと具体的な例を挙げましょう。  カナディアン航空というカナダの航空会社ですけれども、ございます。ここも環境問題では大変熱心でして、アルミ缶を機内で分別収集しているのですが、日本でごみを出すと一切合財全部一緒になって持っていかれてしまう。これでは機内で分別収集する意味がないということで、わざわざ飛行機に積んでカナダまで持って帰って、そしてカナダで処理をしている、このように聞いておりますが、このカナディアン航空のそういう実例というものを運輸省は承知していますか。
  161. 高橋朋敬

    ○高橋説明員 カナディアン航空会社に最近伺ったわけでございますけれども、カナディアン航空会社では平成二年の八月から航空機内でアルミ缶、それから新聞紙などの紙類を分別収集いたしまして、カナダに持ち帰っているというふうに聞いております。これは自国でのリサイクルということのために持ち帰っているということで、成田空港側の事情によるものではないというふうに聞いております。この航空会社では、成田空港に限りませんで、他の国際路線においてもごみを分別収集した後、自国に持ち帰っているというふうに聞いております。
  162. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 先日テレビでこのことを報道しておりまして、私もたまたま見たのでございますけれども、成田の飛行場というのは日本の空の玄関ですし、日本がごみの問題についてどこまで熱心にやっているのかというふうな国際的な評価を受ける、ある意味では日本のごみ処理の文化水準を示すものではないかと思うのですね。  そういうところが、せっかくJALにいたしましてもカナディアン航空にいたしましても、いろいろな努力を払って飛行機の中で分別収集したのに、それが成田に来るときちっと分別収集のそのシステムができていない。こういうためにJALはやめてしまった、あるいはカナディアン航空はわざわざ集めたごみをそのまま本国まで持って帰る、こんな状態では、日本のごみ行政は一体どうなっているのかという国際的な非難を受けかねないのではないか、このように私は思うわけでございますが、そういう認識は運輸省にはないのですか。
  163. 高橋朋敬

    ○高橋説明員 ごみの分別回収ということが望ましいということは承知しておりますけれども、成田空港の場合は、一たん集めたものを外の処理業者の処理場において分別回収して、リサイクルできるものはリサイクルするというやり方で行っているところなわけでございます。  しかし、最近日本航空の事例があったということも承知しているわけでございますけれども、今後、機内でせっかく分別していただけるということ、そういう機運が出てくるのであれば、私どもも、空港側においてそれにどういうふうに対応しなければいけないかということについても検討しなければいけないと思っていますが、その際には、機内でどういった分別を行っていただけるのかとか、それから、その分別に対応してどういったごみの収集とか運搬が可能かとか、それから、一つ二つの航空会社ではなくて数多くの航空会社が協力していただけるかとか、それから、空港内における中継スペースですね、ごみを運搬するスペースをどういうふうに確保するかといったような問題もございまして、幾つかの関係者にまたがる検討課題があるというふうに承知しているところでございます。  先生今御指摘になりましたように、成田空港は日本の表玄関でございますので、せっかく御指摘にもございますので、ごみの収集システムにつきまして、空港管理者は空港公団でございますので、空港公団を中心にしまして関係者にお集まりいただくなどいたしまして、適切な方策について勉強してまいりたいというふうに思っております。
  164. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 昨年でございましたか、廃棄物の処理法の一部改正をやりましたですね。そのときに、いわゆる処理という意味は、これは分別、保管、収集、運搬、再生、処分が含まれる。そしてまた、市町村長は、大量の一般廃棄物を排出する事業者に計画の作成を指示するとあります。計画の作成の中身は、一、発生処理量の見込み、二、排出抑制、三、分別収集、四、処理施設整備等の規定を明示しなければならない、こうなっているわけです。そうすると、成田の一日のごみというのは大体六十万トンと言われているのですけれども、これは大量の一般廃棄物を排出する事業者に当たるのではないかと思うのですね。そういうところが分別収集一つをとっても、その計画なり実態ができていないというのは大変問題ではないか。  私は運輸省に特にお願いをしたいのですけれども、さっきもちょっと答弁がありましたが、早速音頭をとって、公団、それからエアライン、それから入居事業者、それから廃棄物処理事業者、これら関係者に一遍全部集まってもらって、この処理計画をどうするのか、そして、特に分別収集についてどのようなことを行うのか、こういうごみ対策会議というものをぜひ早急に開くべきだと思うのですね。  そして、やはり分別処理をするためには、最初から分別収集しないと分別処理というのは難しいのですね。全部ごみになったのを、廃棄物事業者がごみの中からアルミ缶だけを取り出すというのは大変に難しいわけでございますから、航空機の中でせっかくそういう努力をしているのですが、それが入り口でアルミ缶をちゃんとここへ入れてくださいというような体制を少なくともこの成田の飛行場の中では早急につくるべきだ、こう思いますが、運輸省の決意を聞きます。
  165. 高橋朋敬

    ○高橋説明員 先ほども御答弁申し上げましたけれども、そのことの重要性については認識いたしておりますが、いろいろと検討課題があるようでございます。その検討課題について、関係者集まりまして適切な方策をつくるということは大事だと思いますので、役所ごみ会議と申しますのでしょうか、そういうものを関係者集まって検討を進めてまいりたいというふうに思いますし、そのように指導をしていきたいと思っております。
  166. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 最後に大臣に感想を聞きますけれども、今お話のやりとりをお聞きいただけたかと思います。  この廃棄物処理法の一部改正で、相当この分別収集が進むであろうと期待されたのでございますが、いわゆる成田国際空港というところでさえ今実態的にそんな状態になっているわけです。これは所管からいえば運輸省のお仕事だと思いますけれども、ごみ全体を所管するのは厚生大臣でございますから、この問題について特段の指導をお願いをしたい、このように思いますが、御感想と決意をお聞きします。
  167. 山下徳夫

    山下国務大臣 ちょっとさっき先生のおっしゃった数字が私はよくわからないのですが、私どもの手元の資料によりますと一日七十トンでございまして、年間で二万六千トンぐらいでございます。そこで二通りありまして、ごみを出した人の責任ということになれば、航空機から発生するごみがその中の約七千トンでございまして、それと空港内のごみは、さっきお話ございましたように、空港公団がこれを処理をしなければならないと思います。  いずれにしてもこれだけのごみがあるのでございますが、特にこれは残飯類が五五%でございまして、今日まだ分別排出は何も行われておりません。したがって、まぜればごみ、分ければ資源の名のとおり、全くこれは分類されておりませんから、まず分類から始まって、そしてやはりもっときちんとした、ごみを出した人の責任においてやるべきである。そういう点においては、公団の総裁なりまた航空会社にも私の方からしかとその点については話を持っていきたいと思います。
  168. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 本当に厚生大臣の政治力といいますか指導力には高く期待をいたしておりますので、どうぞ力強い行政指導をお願いしたいと思いまして、私の質問を終わります。  以上です。
  169. 牧野隆守

  170. 児玉健次

    児玉委員 生活環境審議会が一九九〇年の十二月に出した答申「今後の廃棄物対策の在り方について」、その中の「広域的対応と公共関与の推進」という部分があります。「不法投棄などが大きな社会問題となっている産業廃棄物については、これまでのように民間事業だけに中間処理、最終処分等を委ねることには限界がある。このような観点から、排出事業者責任の原則を堅持しつつ、一方において、公共が関与した中間処理施設や最終処分場の確保策を講じていくことが必要である。」こう言っていますね。  この中で「排出事業者責任の原則を堅持しつつこと非常に重要な指摘だと思います。いうところの公共が関与する特定施設の認定、整備という問題が法案になって今かけられているわけですから、この特定施設の認定、整備等において排出事業者責任の原則の堅持、これがどのように貫かれようとしているか、まずその点からお伺いします。
  171. 小林康彦

    小林(康)政府委員 排出事業者の責任は廃棄物処理法の規定によるところでございますが、廃棄物の処理は、排出した者が責任を持って最後まで処理に当たるべきだというのが基本の概念でございます。しかしながら、その処理をみずから行えない場合もございますので、その行為を他に委託するという形もございますが、そのときにもその内容を十分チェックをし、かつそれに要します経費については排出事業者が負担をする、これが排出事業者の責任の具体的姿というふうに理解をしております。  今回の特定施設につきましても、計画を作成をし、その計画に沿いまして周辺整備の努力をしという公共としての努力の部分はございますが、施設整備に要します経費、これは排出事業者が最終的に負担をする、こういう形で、排出事業者の責任は変更のないものとして新しい法律も組み立てておるつもりでございます。
  172. 児玉健次

    児玉委員 今厚生省がお話しになった点は非常に重要なことだと思うので、そこのところを厳格に進めていただきたい、こう思います。  札幌市では、産業廃棄物総合処理施設という名前の計画が現在進められています。その一部にリサイクル団地と称するものがありまして、将来三十七万トンの産業廃棄物を可能な限り資源化しようということで、さまざまな努力をしています。厚生省も何かと御指導くださっているそうです。この法案における特定施設、そこでちょうど札幌が今考えているような廃棄物を減量化する、そして資源化する、再生利用していく、そういうことに寄与する特定施設が重視されなければならない、こう思いますが、いかがですか。
  173. 小林康彦

    小林(康)政府委員 産業廃棄物処理問題の解決のためには、減量化再生利用促進をいたしまして、発生した産業廃棄物のうちで最終処分されるべきものを減少をさせる、そしてぎりぎり残りましたところを適切に処理をするということが必要、有効であると考えているところでございます。  このため、改正廃棄物処理法におきまして、計画的処理の推進、登録制の導入によります廃棄物再生事業者の育成などの減量化・再生処理促進するための措置を講じたところでございまして、本法案におきましても、ただいま御指摘のございましたようなリサイクル施設、減量化・再生処理のための施設も含めて、特定施設としてその立地を促進できるという形にしたわけでございます。  それぞれの地域によりまして、産業廃棄物の発生の状況、施設の過不足あるいはリサイクルの可能性等、具体的事情に応じまして、いろいろな形の処理施設の組み合わせから成ります特定施設の立地を含め、全国的に産業廃棄物適正処理を推進することができる制度というように考えております。
  174. 児玉健次

    児玉委員 札幌だとか神戸で計画が進められているものを見ますと、ともあれ自治体が用地を選定する、ないしはさらに進んで先行取得する、道路、下水道を設置し配備していく、そして団地を造成して分譲し、または貸与する、そういった方向が今目指されています。厚生省は、こうした施設の将来における採算性についてどのようにお考えでしょうか。
  175. 小林康彦

    小林(康)政府委員 ただいまお話しのような計画を実現に移しますために、新たな支援策をぜひ講じてほしいという強い地方公共団体の御要望も酌みまして、現在の制度を組み立て、新しい法律として提案申し上げているところでございます。しかし、それらの事業は経営として成り立つことが大切でございますので、計画の具体化、確定の時点を通じまして、経営的にも安定をし、不安のない状態での施設整備、運営という観点を含めまして、指導あるいは振興財団の育成等を図ってまいりたいと考えております。
  176. 児玉健次

    児玉委員 この点は大臣にもお伺いしたいんですが、今北海道は、原則として北海道外からの産業廃棄物の持ち込みは断るということを指導指針として明確にしています。それは北海道だけでなくて、それぞれの市町村が、いろいろ事情はありますけれども、そういった方向を目指しているわけで、札幌などはある意味ではその代表です。かなりの力を込めて計画を進めているわけですが、今部長のお話にもありましたが、一万の傾向として、排出事業者が処理費用を値切る、不当に安い単価で業者に押しつけているというふうになっていくと、それが結果としてはいわゆるリサイクル団地と採算性に影響を与えていきます。  もう一つの問題としては、今お話のあった第三セクター的な形でリサイクル団地を進めようとするとき、将来に向けての採算性というのは、これはいまだ経験のない分野ですから、多少やってみなきゃわからないというところもあります。そういったことに対する国としての気配り、目配りというのを私は求めたい。その点について大臣、いかがでしょうか。
  177. 山下徳夫

    山下国務大臣 今北海道のお話がございましたが、御承知のように、若い者はどんどん東京とか都会に出ていく、ごみだけが都会から帰ってくるということでは、やはり感情的にもおもしろくないだろうと思うのでございます。ただ、廃棄物をどこに捨てるかということになると、やはり広域的な立場で物事を考えていかなきゃならぬと思うのでございます。したがいまして、この法案は、こうしたルールづくりをしていこうというものでございます。
  178. 児玉健次

    児玉委員 次の問題に入りたいのですが、この法案の第六条、けさ土肥議員も精力的な論議をなさいましたが、法案の第六条で、特定施設整備に関する整備計画の認定、ここでは「あらかじめ、関係都道府県の意見を聴かなければならない。」と明示しています。そして第二項で、「都道府県が意見を述べようとするときは、あらかじめ、関係市町村の意見を聴かなければならない。」そしてさらに第三項で、大臣は、「関係都道府県の意向が」「認定に十分に反映されるように努めなければならない。」こう言って順を追って指摘をしています。  そこでお聞きをしたいわけですが、昨年九月、廃棄物処理法の改正についてこの委員会で審議をしたとき、処分場周辺の生活環境の保全及び増進、関係自治体住民の理解協力、こういったことに関して私が御質問したのに対し、厚生省は次にようにお答えになっています。「廃棄物の処理処分に当たりまして、周辺環境を汚染しないこと、汚染をしない確実な信頼性のある施設を整備し、的確に管理運営をすること及び周辺の皆さんの理解と協力を求めて施設の設置、運営をしていくことは極めて重要な案件と考えております。」こういうふうに述べられました。この厚生省のスタンスというのは特定施設の認定に当たっても当然貫かれなければならないと考えますが、いかがですか。
  179. 小林康彦

    小林(康)政府委員 特定施設設置に当たりまして、周辺住民の理解と協力のもとに円滑に事業を進めていくこと、極めて重要と考えております。そうした観点も含めまして、この規定では、認定に当たりまして都道府県及び都道府県を通じての市町村の意見を聴取することによりまして、県の各種の行政施策との整合性及び地域の実情に応じます意見を聴取をいたしまして、それを判定の際の重要事項として考慮していこう、こういう制度にしておるところでございます。
  180. 児玉健次

    児玉委員 法案の中では、関係都道府県の意見が「十分に反映されるように努めなければならない。」と言い切っていますね。当然都道府県としては市町村の意見を聞くことになります。それで、特定施設の認定に当たって関係市町村とそして周辺住民の意向が十分に尊重されていく。そうでなければ、この特定施設の運営がスムーズにいくはずがありませんね。そういう面で、私はさらに突っ込んだお答えをいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  181. 小林康彦

    小林(康)政府委員 特定施設整備計画の認定に際しまして、廃棄物処理法に規定をいたします産業廃棄物処理計画との調整を図り、また都道府県行政との間での調整を図ることができるよう、主務大臣は、都道府県に対して意見を聴取し、その意見が十分に反映されるよう努めなければならないこととしております。  また、産業廃棄物処理施設設置に際しまして、地元住民等の理解が不可欠になっていることにかんがみまして、主務大臣は、都道府県を通じ地元市町村に対しても意見聴取を行うことにより、地域の生活環境への影響や地域社会との調和等に配慮して円滑な処理施設設置を図ることとしているところでございます。これらの手続を通じることによりまして、地元市町村との調整が十分に行われますことから、御指摘の地元の皆さんの意向も反映できると考えております。
  182. 児玉健次

    児玉委員 ただいまのは重要な御答弁で、去年の九月、小林部長がお話しになった周辺の皆さんの理解と協力を求めていく、極めて重要な案件だと考えている。今の御答弁にありました周辺住民の理解、協力が不可欠、そのことを私は重ねて確認をして、それがやはりその法案がどうなっていくかということの重要なメルクマールであるという点を強く指摘しておきたい、こう思います。  それでは次に、地域住民の理解や同意の必要性についてですが、もしそれがなかったらどうなるか、現存する具体例で私は一つだけ挙げてみたいと思うのです。  北海道の早来町に四十五ヘクタールに及ぶ安定型、管理型の処分場がございます。ここには神奈川県から船で産業廃棄物が持ち込まれる。私が先日出かけて地域の方々のお話を聞くと、焼却灰だというふうにおっしゃっていました。ここでは安定型の処分場と管理型の処分場、百メートル、二百メートルの長方形の相当大きなものがあって、深さは七、八メートルだと言いますね。第一ピットは埋め立てが終わり、第二ピットもかなり既に埋まっている。そして現在第三ピットの建設計画があります。甚だしい悪臭、そして地下水汚染のおそれなど、そういったことが重なって、周辺の住民の不安が高まっています。私が伺ったときに、町内会長さんを初めその地域を代表する方々が集まって、いろいろと具体的な御指摘をいただきました。  この処分場では、一九九〇年の四月の二十四日、先ほど述べたピットから降雨時汚水があふれ出て、それを山林に不当に投棄するという行為まで犯して、この点では厳しい行政的な処分を受けています。住民の方々は、第三ピットの建設が計画されているとうわさで聞かれているだけで、具体的なことは聞かれていない。そして業者との話し合いもなく、まして今北海道が新しい産業廃棄物の処分場を設置するに当たって、指導要綱の中で明示している業者と自治体と周辺住民三者の合意に基づく公害防止協定、これもさっぱり前に進んでいない。この状態のまま放置されているというのは非常に残念な事態なので、厚生省として必要な調査を行い、指導していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  183. 小林康彦

    小林(康)政府委員 ただいま御指摘のございました事件及び北海道におきまして公害防止協定の締結の指導が行われておる、概略につきましては私どもも報告を受け、承知をしておるところでございます。ただいまお話ございましたので、さらに詳細に道から状況を把握したいと思います。
  184. 児玉健次

    児玉委員 そのようにしていただいて、私は御報告を求めるものですが、その際に、地域の方々の大きな不安は、焼却灰と称するものが一体どんなものを焼却した灰なのか、その中に有害物質が基準値を上回って混入されていないかどうか、その点についていろいろ聞くわけだけれども、企業秘密だとかなんとかと称して話がない。  それから、先ほど言った降雨時のオーバーフロー、この点についてもピット自身の構造上の欠陥があるのではないか。厚生省が管理型廃棄物について提起されている構造基準によれば、そう簡単にプールみたいになるわけがない。オーバーフローしたとき、この予備の貯水槽ですか、そこが既に汚水でいっぱいになっていて、あふれた部分を入れようにも全くゆとりがない。こういう状態のままというのは非常に残念なので、そのあたりについて具体的に厚生省として調べて改善の措置を講じていただきたい、私は重ねて求めたいのですが、いかがでしょうか。
  185. 小林康彦

    小林(康)政府委員 搬入されます廃棄物の状況のチェック及び構造につきましての立入検査等は、道が実施することになっている権限でございます。道にも連絡をとりまして、道としての状況把握及び適切な指導、措置が必要な場合には、その措置を講じるよう道に対しても強く指導したいと考えます。
  186. 児玉健次

    児玉委員 今のはほんの一例でございまして、先ほどちょっと紹介しましたが、最終処分場を設置するに当たって、全国的な傾向として、国が関係都道府県の意見を聞くとか、都道府県は市町村の意見を聞くとか、そういう一つの流れがありますけれども、その流れを上回って、さっき言いましたように三者による公害防止協定を設定させる、こういう方向で全体が進んでおりますから、そこのところをこの法案の今後においても大いに酌み取っていただきたいということを述べて、きょうの質問を終わります。
  187. 牧野隆守

  188. 柳田稔

    柳田委員 まず、特定施設整備についてお伺いをしたいと思います。  今回のこの法案によりまして特定施設整備が推進されることになりますけれども、この特定施設はほかの都道府県の産廃、産業廃棄物も受け入れることが可能なのか、まず御質問したいと思います。
  189. 小林康彦

    小林(康)政府委員 本法案特定施設は、産業廃棄物処理施設、研究開発施設または共同利用施設等から構成をされます公共性が高い施設でございまして、産業廃棄物処理施設については、広く一般の需要に応じるためのものであることを要件としておるところでございます。したがって、特定施設につきましては法律上は明確に規定しておりませんが、実際には二以上の都道府県の産業廃棄物を取り扱うことが多いものと考えられます。  なお、他の都道府県からの産業廃棄物の持ち込みにつきまして事前協議が必要とされている、こういう制度をとっている都道府県があるわけでございますが、こうした場合でございましても、所要の手続を行えば他都道府県からの産業廃棄物処理を行うことができるという制度が一般でございますので、それをもって特定施設の立地に支障はないものと考えております。  原則的に産業廃棄物、今後広域的な方向をたどらざるを得ないという状況がございますので、この特定施設につきましても、広域的な方向を志向しつつの整備を考えておるところでございます。
  190. 柳田稔

    柳田委員 今、公共性が高いということで受け入れは可能だという御答弁がありましたけれども、都道府県または市町村においては、他県の産業廃棄物の流入を規制する条例や要綱があるというふうに聞いておるのですけれども、この条例や要綱、この分と法案との関連というのはどういうように考えればよろしいでしょうか。     〔委員長退席、平田(辰)委員長代理着席〕
  191. 小林康彦

    小林(康)政府委員 現在、産業廃棄物処理につきましては、排出量が年々増大をします。方、減量化再生利用が停滞をし処理量がふえておりますこと、用地の取得難あるいは周辺住民の理解を得ることが難しいこと、それから、相当部分を受け持っております産業廃棄物処理業者の信用力、資本力が不十分なこと、これらの状況によりまして、新規の産業廃棄物処理施設の建設が滞っているという状況がございます。このため、産業廃棄物処理施設を求めまして全国的に広域的に移動している状況がございます。  この法案では、産業廃棄物処理施設設置促進のために、主務大臣の認定によります特定施設設置促進、緑化施設等の周辺整備施設の整備によります地域住民の理解の増進、都道府県によります特定周辺整備地区の指定と公共施設の整備によります立地上の支援、指定地域内におきます各種規制との整合性の調整、振興財団が行います債務保証業務等によります処理施設の建設の支援、これらの措置を講ずることにしておりまして、これらの施策により産業廃棄物処理のモデルとなる施設の整備が進みますと、産業廃棄物処理全体のレベルアップが図られることになりまして、産業廃棄物処理に対します信用性が向上いたし、都道府県が現在要綱等によって流入規制を行っているというような、その背景の解消に役立つものというふうに考えております。
  192. 柳田稔

    柳田委員 再度お伺いしますが、法案と各市町村または都道府県、まあ府県になるかと思うんですけれども、条例との兼ね合いです。受け入れませんという条例があるところは、今のお答えですと、広域化からは大分難しくなるんではないかと思うんですけれども、この法案と条例との関連はどのように考えればよろしいでしょう。
  193. 小林康彦

    小林(康)政府委員 法律上、発生する場所についての規定を置いておるわけではございません。しかしながら、国としてもこれだけの財政上、税制上の優遇措置を講ずる施策でございますので、都道府県の境界をもって区切る制度としては不適当と考えておりまして、そうした公共的、開かれた形での処分場に向かっての努力を重ねていきたいというふうに思っております。
  194. 柳田稔

    柳田委員 将来特定施設があるところにできた、しかし、そこの市町では、条件がつくのでしょうけれども、条例によって他県の産廃は受け入れない、そういうものがあるとした場合に、今の広域化、この法案との関連、その市町に対して具体的にどのように指導されるつもりでございましょうか。
  195. 小林康彦

    小林(康)政府委員 条例がある段階を考えますと、それが好ましいか好ましくないかは別といたしまして、条例としての効果は持っておるわけでございます。したがいまして、この法案に基づきます計画を進める際には、この法案の趣旨、この法律によります特定施設を公共が支援をして整備をいたします背景等につきまして、当該都道府県の見解も一層深めていただき、この趣旨に沿いまして計画の策定及びその実施ができるような努力を重ねていきたいと考えております。
  196. 柳田稔

    柳田委員 再度お聞きしますけれども、例えば首都圏を考えますと、東京都の場合はこういう最終処分場みたいなところはないわけですが、条例で東京都のものは受け入れませんとはっきりしておりますから、今回も無理でございますという場合には、厚生省も何らかの指導をされるのか。  今、理解を一層深めるとおつしや小ましたけれども、将来、何年か先を見ていきますと、東京都の場合はもうごみを捨てる場所も少なくなるだろう。東京都だけじゃなくて、大都会は大体そのような状況になるわけであります。ところが、一方、施設のある都道府県もごみの量はふえてまいりまして、自分のところでもう手いっぱいになってくる。そういう状況を考えますと、やはり他府県のものは入れられないという状況も想定がつくわけであります。そういうときには、厚生省は一層理解を求めるとおっしゃいますけれども、法案でこういうふうな趣旨のものがあるのですが、どういうふうに御判断されて御指導されるのか。理解を一層深めるだけで結構なのかどうか、ちょっと理解に苦しみます。     〔平田(辰)委員長代理退席、委員長着席〕
  197. 山下徳夫

    山下国務大臣 たとえ法律が後からできましても、本来法律は条例に優先するものだと私は理解いたしております。  しかし、どちらが優先するとかしないとか、どちらが強いとか弱いとかではなくて、事ごみの処理につきましては、やはり最初から地方において、その住民の方々あるいは地方公共団体等と話し合いを詰めて、十分な了解を得た上でやらなければならぬ。したがって、今おっしゃるように、得られない場合はどうするかということは難しい問題でございますが、得るまでとにかく執拗に努力をして、何とか御理解をいただいた上でこの法律の趣旨を進めてまいりたいと思っております。
  198. 柳田稔

    柳田委員 そこの地方自治体の理解を得なければ持っていけないという状況は、今の御説明で、その点については理解を求めるよう努力をしますとおっしゃったことは私もわかるわけですけれども、今の段階では余裕があったとしても、あと何年か先、もうどこもごみで手いっぱいになってしまって、これ以上にっちもさっちもいかなくなるというのは、統計を見ておりますと大体想像がつくのですね。そうしますと、ほかの県まではちょっと責任を負いかねます、もう自分のところで手いっぱいですというところが多分大都会の近辺では出てくるのではないか。  ところが、振興財団をつくっていろいろと広域的に協力をしながら、そういう状況が出てきた場合に、特にこういう特定施設を持てないような場所のところは果たしてどういうふうに対応すればいいのか、大変な問題になると思うのです。今当面はいいかと思うのですが、その先を考えると、それなりの道筋をつけないと非常に困る問題ではないかなと思うのですが、再度御答弁をいただけますでしょうか。
  199. 小林康彦

    小林(康)政府委員 廃棄物処理施設の特性といたしまして、特定施設の計画を立てる際に、その施設を中心にして、その近隣から廃棄物が集まるというふうな流れを考えるのがまず自然だろうと思います。  その際に、都道府県の境で、その境を越えたものからは一切受けない、こういう計画をお立ていただきますと、この法律の趣旨に合わないものになりますので、厚生大臣を初め主務大臣としては、その計画を認定することは困難であろうというふうに思っております。したがいまして、そこまでの全面禁止というような施策を強制的に行いますという点は、廃棄物処理行政の上で適切なものでございませんので、全国的な動向も見ながら、そうした政策の軌道を修正をしていただくこと、あわせてこの新法におきましては、環境汚染に十分配慮し、かつ周辺対策も充実をさせて、地元にも理解をしていただきやすい計画にすること、その二つの面からの努力で、適切な施設整備が進むように努力をしていきたいと考えております。
  200. 柳田稔

    柳田委員 部長のおっしゃることはよくわかります。当面についてはそれで結構だろうと思うのですが、例えば二十一世紀の初頭とかその辺を考えた場合には、多分難しくなるだろうというふうに思いますので、先々もよくお考えになりながら今後進めていただきたいと思います。  次に、行革の観点からお聞きをしたいと思うのですけれども、昭和五十六年に施行されました広域臨海環境整備センター法というのがございます。この広域臨海環境整備センター、いろいろと目的を持って仕事をされているというふうに思うのですけれども、このセンターが今までに実際に行ったものというのはどういうものがありますでしょうか。
  201. 小林康彦

    小林(康)政府委員 広域臨海環境整備センター法に基づいて設立されました法人に大阪湾広域臨海環境整備センターがございます。このセンターは、近畿圏二府四県百五十九市町村及び四つの港湾管理者からの出資を得まして五十七年三月に設立され、その後、事業を進めることによりまして、現在二カ所の処分場、面積にいたしまして三百十六ヘクタール、七カ所の積み出し基地を整備をいたしまして、年間二百七十万トンの廃棄物の受け入れをしておるところでございます。  常勤の役職員八十七名という規模でございます。
  202. 柳田稔

    柳田委員 今おっしゃったのは、よく言われております大阪フェニックス事業。十年間かかってこの一つでしょうか。
  203. 小林康彦

    小林(康)政府委員 この法律で予定をしておりますのは、二以上の都府県にまたがる港湾管理者及び地方公共団体によります広域的な廃棄物の処理及び港湾の計画的整備という性格をしておりまして、法案提出時から、当面大阪湾圏域、東京湾圏域、これが緊急の地域、次いで、将来的には伊勢湾圏域、北部九州地域という想定で始まった法律でございます。  現在、センターとして設立をし、運営をしておりますのは大阪湾の一つでございます。
  204. 柳田稔

    柳田委員 八十名もいるセンターがありながら、十年間てだった一つの事業しかやっていません。実際にやったのは大阪フェニックス一つです。そして、今おっしゃいましたように、これから東京湾とか名古屋の方もされるというふうな感じでありますが、この東京フェニックス計画というのも、聞くところによりますと、まず無理であろうというふうに私どもは聞いておるのです。  この十年間で一つの事業しかできない。つまり、大変な時間と資金をかけてやったにもかかわらず、現在一つしかやってない。今後、将来の計画についても非常に難しいと言われておるわけなのですが、こういうセンターというのはまだ本当に必要なのだろうかという気が先に立つのですけれども、このセンターを存続しなければならないと思っていらっしゃるのか、それともそろそろもう無理ならばやめるというふうにお考えになっているのか、いかがでしょうか。
  205. 小林康彦

    小林(康)政府委員 まず、センターの形態でございますが、全国で一つのセンターがこの計画、こういうセンターではございませんで、大阪湾については大阪湾センターをつくり、その機が来ましたら東京湾でもう一つ別の独立したセンターをづくりという、地域ごとのセンターの制度でございます。したがいまして、大阪湾センターの現在の職員数は大阪湾の事業に即した陣容でございまして、大阪湾についていいますと順調に進んでおるところでございます。  この広域臨海環境整備センターは、内陸での廃棄物処理が、特に最終処分場の立地が困難になってきております大都市圏において、複数の地方公共団体が共同し、かつ港湾区域に埋立地を求めて、港湾の整備という目的で港湾管理者とも共同をいたしまして、広域的な廃棄物の処理を行い、かつ港湾の秩序ある整備を行う、こういう二つの目的を持ったセンターでございます。  大都市圏におきましては、人口集中、産業の活発化、土地利用の高度化等のために、個々の市町村での最終処分場の用地確保は極めて困難でございまして、広域的な最終処分場に頼らざるを得ない。そのときにどういう場所があるかということになりますと、大規模なものになりますと海面、海面も港湾区域、こういうような選択になろうかと思います。そうしますと、廃棄物処理と港湾整備が対等の立場で共同事業として行っていきます組織、体系としては、このセンター法に基づくセンター以外には考えられないところでございます。現在実施中の大阪湾圏域につきましては、このセンターの設立、活動によりまして、近畿圏の廃棄物処理問題の解決に大きく寄与しているところでございます。  首都圏につきましては、いろいろの事情がございましてまだセンターの設立に至っておりませんけれども、首都圏の廃棄物処理を考えますと、やはり港湾区域で廃棄物と港湾と組んでの事業、その推進というものは今後ともぜひ必要でございますし、首都圏におきましてもセンター設立について一層の努力を重ねていきたい。現在の内陸部での用地確保の困難性を考えますと、港湾管理者との共同事業としての主体を設立いたしますこのセンター事業の意義というのは、ますます重要になるものというふうに考えております。
  206. 柳田稔

    柳田委員 ありがとうございました。終わります。
  207. 牧野隆守

    牧野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十四分散会