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1992-04-21 第123回国会 衆議院 建設委員会地方行政委員会農林水産委員会商工委員会逓信委員会土地問題等に関する特別委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月二十一日(火曜日)     午前九時五十二分開議 出席委員  建設委員会   委員長 古賀  誠君    理事 片岡 武司君 理事 金子原二郎君    理事 北村 直人君 理事 杉山 憲夫君    理事 渡海紀三朗君 理事 三野 優美君    理事 山内  弘君 理事 吉井 光照君       植竹 繁雄君    川崎 二郎君       木村 守男君    久野統一郎君       塩谷  立君    島村 宜伸君       野田  実君    萩山 教嚴君       光武  顕君    山本 有二君       石井  智君    木間  章君       貴志 八郎君    渋谷  修君       松本  龍君    薮仲 義彦君       辻  第一君  地方行政委員会   委員長 中島  衛君    理事 岡島 正之君 理事 小坂 憲次君    理事 古屋 圭司君 理事 増田 敏男君    理事 谷村 啓介君 理事 中沢 健次君    理事 小谷 輝二君       石橋 一弥君    谷  洋一君       中谷  元君    西田  司君       野中 広務君    遠藤  登君       小川  信君    北川 昌典君       北沢 清功君    小林  守君       吉井 光照君    吉井 英勝君  農林水産委員会   委員長 高村 正彦君    理事 岩村卯一郎君 理事 金子徳之介君    理事 杉浦 正健君 理事 東   力君    理事 簗瀬  進君 理事 石橋 大吉君    理事 前島 秀行君 理事 藤原 房雄君       赤城 徳彦君    大原 一三君       金子原二郎君    鈴木 俊一君      三ッ林弥太郎君    宮里 松正君       田中 恒利君    辻  一彦君       倉田 栄喜君    藤田 スミ君       柳田  稔君  商工委員会   委員長 武藤 山治君    理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君    理事 自見庄三郎君 理事 額賀福志郎君    理事 竹村 幸雄君 理事 和田 貞夫君       岩屋  毅君    植竹 繁雄君       斉藤斗志二君    増田 敏男君       大畠 章宏君    加藤 繁秋君       鈴木  久君    安田 修三君       安田  範君    小沢 和秋君  逓信委員会   委員長 谷垣 禎一君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 大木 正吾君       赤城 徳彦君    今枝 敬雄君       大野 功統君    小林 興起君       真鍋 光広君    森  英介君       山下洲夫君    吉岡 賢治君       菅野 悦子君  土地問題等に関する特別委員会   委員長 薮仲 義彦君    理事 狩野  勝君 理事 中谷  元君    理事 萩山 教嚴君 理事 安田  範君    理事 和田 貞夫君 理事 平田 米男君       小澤  潔君    大塚 雄司君       佐田玄一郎君    坂本 剛二君       西田  司君    東   力君       真鍋 光広君    山本 有二君       小川  信君    貴志 八郎君       輿石  東君    佐藤 泰介君       松本  龍君    近江巳記夫君  出席国務大臣         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  渡部 恒三君         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣 塩川正十郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 東家 嘉幸君  出席政府委員         総務庁行政監察         局長      鈴木 昭雄君         国土庁長官官房         長       藤原 良一君         国土庁長官官房         水資源部長   山内  彪君         国土庁計画・調         整局長     田中 章介君         国土庁大都市圏         整備局長    西谷  剛君         国土庁地方振興         局長      小島 重喜君         大蔵省主計局次         長       田波 耕治君         文部省高等教育         局長      前畑 耕治君         文化庁次長   吉田  茂君         農林水産大臣官         房長      馬場久萬男君         農林水産省構造         改善局長    海野 研一君         林野庁長官   小澤 普照君         通商産業大臣官         房審議官    中田 哲雄君         通商産業省立地         公害局長    鈴木 英夫君         郵政省通信政策         局長      白井  太君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省建設経済         局長      伴   襄君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君         自治大臣官房長 森  繁一君         自治省行政局長 紀内 隆宏君  委員外出席者         労働省職業安定         局地域雇用対策         課長      上村 隆史君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君         商工委員会調査         室長      山下 弘文君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君         建設委員会調査         室長         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    杉本 康人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再  配置促進に関する法律案内閣提出第三四号  )     —————————————
  2. 古賀誠

    古賀委員長 これより建設委員会地方行政委員会農林水産委員会商工委員会逓信委員会土地問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。  内閣提出地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置促進に関する法律案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小林守君。
  3. 小林守

    小林(守)委員 おはようございます。  社会党の小林守でございます。本案の審査地方行政委員会から参加をいたしました。  申すまでもありませんけれども、二十一世紀に向かって、我が国が国際的な役割を果たしつつ、国民が真に豊かさを実感でき、さまざまなライフスタイルを選択できるような、自由で開かれた生活大国実現するためには、東京一極集中を是正し、地方自立的成長の活力を取り戻していくような多極分散型の国土の形成が現下の急務であります。  一昨年の十一月、衆参両院におきましての国会及び政府機関移転決議を受けまして、国土庁長官私的諮問機関であります首都機能移転問題に関する懇談会は、本年二月、首都機能移転問題の国民世論を喚起し、議論の論点を明確にしていくために、中聞とりまとめを発表いたしました。その論点ポイントは、「望ましい国土構造実現」として、「東京一極集中傾向の是正」では、政治行政機能経済機能分離を挙げていることだろうと考えます。そして、このような空間的な首都機能分離分散と同時に、政治行政機能中央集権から地方への権限移譲規制緩和促進することや、経済機能地方への移転による新たな経済発展の契機を求めている点にあると考えます。  既に一極集中経済効率性は限界に達し、生活面では住宅問題、長距離通勤通学、物価高等々の問題が顕在化し、経済面においても、事務所等の入手や維持の困難、そして通勤費の増大、交通渋滞廃棄物処理、水・エネルギー供給の制約など、経済効率の低下が深刻化している状況にあります。このような状況や背景を考えますと、この法案はまさに首都機能移転への序曲であり、生活大国実現への地ならしになるのではないかと期待を寄せるものであります。  そこでまず、総括的な事項について、この法案に沿って幾つかの点をお伺いいたします。  まず第一点として、この法案の第一条の目的におきましては、「地域における創意工夫を生かしつつ、広域見地から、地方拠点都市地域」の都市機能居住環境向上を図り、産業業務施設移転、導入し、地方自立的成長促進国土の均衡ある発展に資する、とありますように、この法案は、何よりも地域における地方自治権の主導型の国土政策の推進を立法化するところに大きな意義があると考えられますが、この点について政府全体の認識は一致しておるのでしょうか、一体化されておるのでしょうか、まず第一点、お伺いいたします。
  4. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 小林さんのお話にございましたように、まさにこれは地方自治権独立性を確保するための法案である、私はそう認識しております。  と申しますことは、従来の地域開発法案というものは、振興法案でも同様でございますが、それはいわばトップダウン方式をとっておったのが多かったように思うのでありますけれども、今回はそうではなくして、ボトムアップ方式と申しましょうか、要するに、基本方針はあくまでも政府が決めますよ、しかしながら、これの実施計画なりあるいは地域指定というものは、知事を中心として地域の方が相談した上で盛りだくさんのものを計画してください、こういう趣旨でございまして、そして創意工夫を生かして地方自主性を育てていくという、そういう趣旨がこの第一条の精神を貫いておりますので、私は、そのような認識のもとで、この法案実施を図っていく努力をしていきたい、こう思っております。
  5. 古賀誠

    古賀委員長 三野優美君から関連して質疑申し出があります。小林君の時間内でこれを許します。三野優美君。
  6. 三野優美

    三野委員 まず小島地方振興局長にお尋ねしますが、あなたは随分学があるんだろうと思いますが、「無味乾燥」というのはどういう意味なんですか。説明だけでいいよ、ほかのことは要らぬから。
  7. 小島重喜

    小島政府委員 きのうの答弁で私が申し上げましたのは、地域独創性というか創意工夫を凝らす、そういう意味では、何と申しますか、極めて手とり足とりという意味じゃなくて、そういう意味で申し上げたわけでございまして、地方の……(三野委員無味乾燥」というのを説明しろというんだ」と呼ぶ)それで、そういう意味で、きのう、私の話彙不足のためにそういう面で誤解を生じたことを、心からおわび申し上げたいと思います。
  8. 三野優美

    三野委員 私はあなたに「無味乾燥」という言葉説明をしてくれこう言っているわけです。私は余り学校へ行っていない、あなたみたいに。だから、ようわからぬものですからね、「無味乾燥」というのを教えてもらいたい。  実は私は、間違ったらいかぬと思ってけさ辞書を引いてみた。「無味」というのは「味がないこと。「−無臭の液体」」と書いてあるのです。「単調にして木偶を模写せしかと想はしむ」もの。「乾燥」とは「湿気や水分がなくなること。こう書いてあるわけです。「無味乾燥」両方通じていることを見ると、「味わいもおもしろみもないこと。また、そのさま。「−な話」」、こういう説明があるわけですね。  私はこれをきのう聞いておってみて、「無味」というから多分味がないんだろう、甘み辛みもないんだろうな、においもないんだろうね、こう思ったのです。「乾燥」というから、もう湿気も粘りもないだろうなと。  そこでまず頭へひらめいたのは、私は今青山宿舎におるわけです。前は葬式屋なんですよ。あそこを毎朝歩くのですが、歩いておると、死人を焼いた後の骨がときどきある。これは何だろうと思って調べてみると、さわってみると、ばらばらになってしまう。何だろうと思ったらにおいかないんですわね。乾燥して粘りも何もない。無味乾燥というのは死人を焼いた後の骨みたいなものかな、これできのう聞いたわけですけれども。いいですか、それは間違いないですか、無味乾燥というのは、そういう私の解釈、間違いないですか。それだけ答えてください。
  9. 小島重喜

    小島政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思いますが、私がきのう申し上げましたのは…。(三野委員「いや、そんなこと聞いておらぬ」と呼ぶ)はい。そういう意味で申し上げたのでございませんので、大変申しわけなかったと思っております。
  10. 三野優美

    三野委員 建設大臣、あなたのところが窓口になって、六省庁まとめてこの法案を出してきた。この法案はいいですか、六省庁大臣協議をして基本方針を決めてしまう。基本方針を決めるけれども、他党の質問であるけれども、倉田委員質問に対して、その基本方針無味乾燥なものになるだろう。甘みにおい辛みもない、粘りも水気もない、そういうものを我々に審議させて何ですか。あなたも本会議で代表して提案説明した責任がある。どうしますか、これは。そんなもので我々にせいというのはおかしいじゃないですか。——あなたに聞いていない。大臣に聞いている。人をばかにしているよ。
  11. 山崎拓

    山崎国務大臣 地方振興局長が使われた無味乾燥という意味でございますが、私は横で聞いておりまして、適切な表現ではないと感じましたが、そのおっしゃっている意味は、基本方針はいろいろと回りくどくレトリックをつけて説明するようなものではなくて、その骨子だけあっさりと述べたい、書きたい、そういう意向を述べられたものと解釈をいたしました次第でございます。表現としては、学のある方にしては適切でないということは、私も感じました次第でございます。
  12. 三野優美

    三野委員 これは委員長に一応お預けしますが、こういうことでこれを審議しろなんて、委員会ばかにしている話なので、委員長で適切な処理をひとつお願いしたいと思います。  終わります。
  13. 古賀誠

    古賀委員長 ただいまの三野君の申し出につきましては、後刻速記録調査の上、理事会にて協議させていただきます。  小林守君。
  14. 小林守

    小林(守)委員 継続いたします。  先ほど自治大臣の方から御回答いただいたわけでありますけれども、全体の六省庁調整機能を持つというきのうの答弁にもありましたけれども、国土庁調整機能を持つのだというようなお話をお聞きしましたので、長官の方からも御回答をお願いしたいと思います。
  15. 東家嘉幸

    東家国務大臣 今、その前に三野先生に聞いておっていただきたいのでございますが、地方振興局長の申し上げたことはそういう意味にとられた、私はそういう意味にはとりませんでした。そういう内容になってはいけないというようなことで、私どもは今、御質問のようなことになってはいけない、今後そういうことがあってはならない、そのように今後とも審議、お願い申し上げ、その姿勢で取り組んでいきたいということを、国土庁長官としての決意を改めて申し上げておきます。  なおまた、今回の法案は、地域創意工夫、そして地方の自立的な成長、なおまた、この計画の作成に当たっては、市町村長関係の希望する地域皆さん方のこれからのいろいろな積み重ねの、本庁、各省庁との協議の中でそれを知事が承認するということに相なっておりますので、今後は、この取り組みにつきましては協議会を設けて、そしてお互いによく六省庁積み重ねの中に、地方の提案される皆さん方協議を重ねて、きのうも質問がございましたが、地方に押しつけてもし成功しなかったときは地方責任にしてしまうということのないように、お互い責任を持って取り組んでいくというのが基本的な姿勢でございます。
  16. 小林守

    小林(守)委員 十分連携協議を発揮されまして、しっかりとした体制で臨んでいただきたい、そのように要望を申し上げておきたいと思います。  それでは次に、この法案の「目的」の中には、もう一つ重要な観点が含まれていると思います。それは、広域見地から地方拠点都市地域について都市機能の増進と居住環境向上を図ることによって、その一体的な整備促進するという点であります。ここに重点を置いて見ますると、この法案は、総合的な地域づくり法案であるとも言えると思います。地域づくり総合調整機能を持っている国土庁や、また、ふるさと創生事業以来、地方自治を基盤とした総合的な地域活性化事業を進めてまいりました自治省に、総合的な地域づくりという観点に立ってこの法案に対する御見解を伺いたいと思います。
  17. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地方自立的成長を図っていくということ、そういう中身を申しますと、この法案のやはり重点を置いておりますのは、産業業務施設整備していくということが一つの大きいねらいでございますけれども、同時に、まあいわば都市でございます、そういう空間、例えば生活空間としての都市づくり、あるいはまた、教養文化施設としての都市づくり、そういうものもあわせて整備していくということが、この法案の中にもうかがわれております。そして同時に、これはあくまでもその地域におきますところの特定地域中核施設として整備していくものである、こういうことでございますので、おっしゃるように、そういうようなものの総合的な開発をすることによってその地域中核がつくられていくんだ、こう私たち思っておりまして、その趣旨に基づいて努力していくことにいたします。
  18. 小林守

    小林(守)委員 国土庁長官の方は、いかがですか。
  19. 東家嘉幸

    東家国務大臣 確かに、先日からの御質問の中に、いろいろな法律、そして今日までの運用の面において成果の問題が御質問の中にございました。確かに、私はそういう嫌いのあったものもあるやに聞いておりますが、ただしかし、この今日の高度成長の中で国際化の中で対応し切れなかった問題が多々あったであろう。しかし、そうしたそれぞれのやはり施策を講じたことによって、一極集中の歯どめがかなりの分野ででき得たことも事実でございます。だから、今後は、そうした運用の面については、よく重複する面を是正しながら、そして今回のこの法律案がさらに不足の面を充実させながら六省庁協力し合って、そして取り組むことが一番重要なこれからの課題だと考えております。
  20. 小林守

    小林(守)委員 質問趣旨が少しずれていたのかなというふうに受けとめられたのだと思いますけれども、要は広域見地から一体的な整備促進するという点に限ってこの法案を見た場合に、まさに広域的な地域社会づくりだというふうに問題をとらえて質問をしたわけでありますけれども、これからもちょっと角度を変えまして少し踏み込んでみたいと思いますが、地方拠点都市地域指定整備に際しまして、いわゆる「広域見地からこというような言葉が何度か重要なところで出てくるわけですね。この「広域見地」というものがどうも明確になっていないのです。そういう点で、この「広域見地」というのは、一体的な整備をする冠になっていることでありますから、極めて重要なポイントになろうかと思いますけれども、この「広域見地」についての定義、または私たちが具体的にどう認識したらいいのか、これらについて、建設省並び自治省にお伺いをしておきたいと思います。
  21. 山崎拓

    山崎国務大臣 広域的な見地からと申しますのは、当該拠点都市地域整備地域のみならず、その範囲を超えました広域という意味でございまして、せっかく拠点都市地域として整備をいたしましたその効果がより広い範囲に及ぶこと、あるいはより広範囲地域におきまして拠点都市地域に対する協力と申しますか、そういう見地も含まれているのでございます。例えば、高等教育機関でございますとか、医療、福祉の施設でございますとか、あるいは商業施設でございますとか、そういったもろもろの施設当該拠点都市地域に含まれておりませんけれども、もっと広範囲範囲でそういう施設があることによりまして、お互いによりよき効果を与え合っていく、そういうことを含めて広域的な見地と申しておると思います。
  22. 小林守

    小林(守)委員 建設大臣の方から、いわゆる指定地域外も含めた広域観点から、見地からというようなお話がございました。自治大臣の方は、いかがでしょうか。
  23. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは確かに、自分の指定された地域だけがよくなればいいという、そういうものではございませんで、その周辺に及ぼす影響も考慮しなければならぬと思います。そのためには、その近くに、例えば若者定住促進緊急プロジェクトとか、あるいは過疎地域あるいは振興山村、それから離島、半島というようなものがその周辺にあるとするならば、そういうものとの連携を密接にすることを地域指定に際しまして考慮しながら計画を立ててもらうべきであろう、こう思っておりまして、そういう地域との共同した振興策を講じていきたい、こう思っております。
  24. 小林守

    小林(守)委員 「広域見地」という概念について今明らかにされたわけでありまして、一点、私自身が懸念をしていたところが解明されたというふうに思います。  そういうことになりますと、また別の角度から大変大きな問題なり課題が出てくるのではないか、そのように思うわけであります。広域見地から、今のお話のような広域的な見地から一体的な整備を進めるんだということになりますと、特にこの法案で関連して申しますと、地方拠点都市地域指定から外れた、それ以外の周辺地域振興はどう図っていくのか、どう配慮していくのかという課題が出てくるわけでございますけれども、それらについて、今度は建設大臣の方からお願いしたいと思います。
  25. 山崎拓

    山崎国務大臣 拠点都市地域以外の整備の問題でございますが、これは従前どおりそれぞれその地域におきまして地域開発プランを持っておるのでございますが、そのプランについて建設行政の面で協力できますことは協力してまいりましたし、今後ともその協力を続けまして、その地域発展にお役に立ってまいりたいと考えておるのでございます。拠点都市地域のみに重点的に、もちろん建設投資は強化してまいりますけれども、その他の地域が、そのことによって薄まきになるとか、あるいは不均衡を生ずるとか、そういうことが決してないように、従前どおり建設行政取り組みをその他の地域につきましては展開してまいる所存でございます。
  26. 小林守

    小林(守)委員 わかりました。  それでは、同じような観点に立ちまして、都道府県知事地方拠点都市地域指定する際に同じような問題を生ずるのではないか、そのように思うわけでございます。知事指定するに際しましては、主務大臣市町村協議をするということになっておりまして、これは先ほど自治大臣の申されましたとおり、ボトムアップ方式をとっているというような、とりたいというようなお話でございました。  そういうことになりますから、地方拠点都市地域指定に際しましては、当然のことながら中央省庁意向とか、それから、それに絡まって政治的な利害によって指定地域が利用されたり、左右されてはならないということになろうかと思います。しかしながら、現実に都道府県知事は、指定に際しまして、一つの県内においてそれぞれの関係市町村同士の、いわゆる広域圏と言っていいかどうかわかりませんが、名乗りを上げてきた広域圏同士の間の綱引きが当然起こってくるのではないか、そんなふうにも考えられまして、大変困難な政治状況に直面するのではないか、そのように想定されるわけであります。もちろんこの問題について、基本方針等に細かく規定をして国がとやかく示すべきものではない、地方自治の本旨に沿って言うならば、当然そういうことになりますけれども、しかし、現実として、知事指定に際して地方自治体間の調整に大変苦労するのではないか、そのように思います。  それで、先ほどお話があったように、例えばある県内の地方拠点都市地域指定、それ以外の地域、同じ県内のそれ以外の地域についてもどう配慮していくのか、どう振興策を講じていくのかという課題が当然出てくるのではないかと思いますけれども、この市町村間の、自治体間の都道府県レベルの中における調整のあり方については、どういう方式が考えられるのか、望ましいのか、お示しいただければありがたいと思います。
  27. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 御意見のように、確かに知事地域指定する際には、県内におきましてさまざまな角度からの意見とか要望等があるものと予想されます。それで、この法案で考えておりますのは、知事関係市町村と十分協議して、その意見等を集約してまとめていただくということになっております。その際には、地域が持っています客観的な諸条件、御指摘になりましたように、その地域指定することにより他の地域にどのような効果が及ぶかというような観点、その他、これまでの関係市町村取り組み方、これまでの圏域行政におけるまとまり、あるいはその実績等々を考慮されるということになると思います。最終的にはもちろん総合的な判断のもとに知事指定される、こういうことになろうかと思います。
  28. 小林守

    小林(守)委員 もう一つ明確ではございませんけれども、これに関連しまして、昨日の論議の中で自治大臣が、指定に際してはボトムアップ方式ということと同時に、政治的にこの指定が利用されてはならないというようなお話もあったわけなんですが、私はそういう点では非常に関心を持ってお聞きしたわけでありまして、もう一度その辺について、もう既に各省庁に対して各県から、または各市町村関係者から、陳情合戦が行われているというような状況もありますけれども、それらについてもう一度、自治大臣の一歩踏み込んだ、政治的に利用されてはならない、この指定というものについてはそういうお話がきのうあったわけでありますから、それをもう一度、どういう観点に立って指定をするのかというようなことを踏み込んでお答えいただければありがたいと思うのです。
  29. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私はこの施行をする場合に、この法律の施行に際しましてまず考えられることは、知事会の方でこれの受け入れに対してどういう考え方をしておるのかということを正確にまとめさす必要があるだろうと思うのです。  それぞれの各県の知事は、自分のところ、我田引水でいろいろ考えておりますけれども、中央の六省庁、さらに協議しなければならぬ文部あるいは運輸とかいろいろございましょう。そういうところとの間にもっと意思疎通をきちっとすべきだろうと思うのです。そういたしますと、拠点都市としてふさわしいものは、まずどういう条件をかなえておるものが必要なのかということを羅列していって、その基準を明確につくっていく、この基準はいずれは基本方針に書き込まれることだと私は思うのです。でございますから、この段階では中央としっかりした打ち合わせをしていただきたいし、中央六省庁も、それに対しましてはしっかりとした指導性をやはり発揮しておくべきだ、こう思うのであります。  その基準が決まりましたら、各府県がそれを各県内で検討をし、候補地をそれぞれ指定、内定といいましょうか、もちろん出してもらいたい。そして、それは全国で合わせたら大変な数でございますから、これを実施していくのにやはり時期を決めていかなければ、一遍に用意ドンで各県に二カ所、八十カ所、そんな無責任な決め方はございませんで、そういたしますと、これを調整するのは、やはり地方の方が、今度は自主的に地方が相談しなければならぬ。  だから、ただ地方の自治を認めろというだけではなくて、自分から自身も自治の精神を発揮して、そこに、やはりそういうものの順序立てをしていただかなければならぬ。私の方として、自治省としては、そういうことを施行するに際しまして、単独事業との組み合わせを当然考えていかなければならぬと思うのです。  先ほどの御質問の中にもございましたように、地域指定されます、それに隣接する市町村をどうするのだということのお話がございました。私は、そういう隣接するところの市町村は、それぞれのふるさと創生あるいは地域づくり推進事業で皆持っておりますから、持ってなければないで、県がやはり指導していくべきだと思うのです。その場合に、そういう地域に対しては単独事業を、思い切り高度な配慮をして、そういうところが地域指定を受けた地域と共同して振興できるような措置を講じてやらなければいけないのではないか、こういうふうな計画を我々は話し合って決めてきておるというところでございまして、したがいまして、中央と知事会との間におきますところの意思疎通をきちっとやっておかないと、この法案の施行に際しまして、全国的にはうわっと燃え上がるようなそういう意欲がなかなか出てこない、そこを出させようとするならば、そういう手続をとっていくべきだ、こう思っております。
  30. 小林守

    小林(守)委員 それでは、次に移りたいと思います。  既に、広域的な見地から、一体的な整備を行うという観点についてのお話はされたわけでありますけれども、特に懸念をされることといたしましては、指定地域内外の周辺農山村漁村地域整備という観点は、この法案の施行に当たっても見過ごすことのできない課題ではなかろうか、私はそのように思っているところでございます。法案の中にも、環境への配慮なども触れられておりますけれども、法案の第十七条ではこのように示されております。「国及び地方公共団体は、指定地域に係る第一条に規定する整備に際し、当該指定地域内の」、これは「内」というふうになっておりますけれども、私は内外というふうにとらえていきたいと思いますが、「指定地域内の農山漁村の整備促進及び農林漁業の健全な発展との調和に配慮するものとする。」このように規定をされているわけであります。  要は、総合的な地域づくり、町と村との、都市と農山村地域との共存というか、そういう観点からも極めて重要な地域づくり課題になっているのではないか、そのように考えますので、この点について、農林水産大臣の方の基本的な考えと方策についてお伺いしたいと思います。
  31. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 お話のように、都市機能整備していく、あるいは居住環境、それのみにならず、この都市構想というものは周辺には農山漁村、そういうものを抱えておるわけですね。これと一体となってどういう発展をさせるかということは、大事な要素だと思うのです。このためにも、この規定の中にも「農山漁村の整備促進」とか、あるいは「農林漁業の健全な発展との調和」ということが規定されておるわけでありますが、御案内のように、もう農村も相当さま変わりをいたしておりますし、二種兼業が九〇%ですね。いわゆる農外収入、サラリーマンと同じような収入を得たほかに農業収入に依存するという人たちが九割もおるという状況からいたしまして、働く場所のない人たちは、出稼ぎということに依存しております。そういうことを考えますと、やはり雇用の場の確保ということが農村にとっても大事な要素の一つなんですね。  一方で私たちは、規模の拡大、他産業並みの収入を得ることができる農地を拡大をしようということで、今省内で検討しておりますが、それとあわせて、こういう農外収入に依存する人たち、これはなくならぬと思いますし、一方では、出生率の低下を見ますと、農地はあっても担い手がないという状況というものは、いずれやってくるという危機感を感じているわけですね。ですから、担い手を確保するということになると、相当に都市機能というものが整備されて、わずかな距離でいろいろな施設設備もある、整っておるということが一つあると思います。  それから、都会の方から来る方々、こういう方々の住居環境の整備ということを考えると、農村の環境整備というのは私は非常に重要だと思います。あわせて道路、これらが一体となって進むことによって定住する、そういう要素が相当生まれてくるし、住む人がおって働く場所があれば、若い人たちに魅力のある農山漁村、こういうことが言えるのではないかということで、私ども、これには相当期待を持っておるわけでありまして、これからもそういうことで、私どもがかかわっております。辺の農山漁村、これの発展のために努力をしてまいりたい、こう考えております。
  32. 小林守

    小林(守)委員 それでは、次に移りたいと思います。  地方拠点都市地域のエリアの問題について伺いたいと思います。  法の第二条第一項では、地方拠点都市地域の定義を第一号から第四号にわたって規定をしているわけであります。特に第二号におきましては、「地域社会の中心となる地方都市及びその周辺地域市町村からなる地域であること。」これを地方拠点都市地域の定義にしているわけでありますけれども、まず第一点お聞きしたいのは、これは、現在全国に三百三十六あります広域市町村圏、この広域市町村圏とイメージが極めて重なってくるわけでありまして、このエリアについて自治省はどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
  33. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 お示しになりましたように、二条の定義では、地方拠点都市地域地方都市とその周辺市町村から成る地域である、複数の市町村から構成されるということになっております。しかもそれは自然的、経済的、社会的条件から一体として整備されていく地域である。  具体的なその地域の広がりにつきましては、その中心になる都市周辺市町村との関係がどんなものであるか、あるいは通勤圏とか商圏とか住民の日常の生活圏とかあるいは文化圏とか、各種の地域の事情を踏まえながら、一体として整備すべきものとして選ばれるものとなろうかと思います。  自治省といたしましては、御指摘のように従来から広域市町村圏の仕事を進めてまいっております。このまとまりなりその施策の実績なりというものは、当然考慮されるものというふうに考えております。
  34. 小林守

    小林(守)委員 このような実績を踏まえて考慮されるというようなお話であります。これは、このこと自体は私ども否定をするものではございませんし、このような広域における市町村の共同体化というか、連合意識というか、そういうものが高まってくることが地域づくりの大きな要素になってくると思いますし、また必要なことだ、そのように考えているところであります。  ただ問題は、ここでちょっと確認をしていくような質問をしたいと思うのですが、知事から指定を受けた関係市町村につきましては、基本方針に基づいて当該地域指定整備促進に関する基本計画を共同で作成する。そして知事の承認を受けるということになるわけでありますが、その方式として、協議会方式にしろ、一部事務組合方式にしろ、関係市町村連携は当然格段に強化される、そのように思いますし、また、それにかかわって共同体の意識が形成をされてくるのではないか。いわゆるゲマインシャフト的な共同体意識が、共同体が大きく発展する契機になるのではないか、そのように思いますし、よく使われております市町村連合への機運もおのずから高まっていくのではないか、そのように考えるわけであります。  ただ問題は、この法案は自治体の合併を促進させるような機能を果たすことを期待されているものなのかどうか、これについて御確認をさせていただきたいというふうに思います。  私どもからするならば、こういう方向については決して否定するものではない、そのように思っているわけであります。全国にある三千三百の大から小まで大変幅の広いというか、そういう自治体の状況があるわけでありますけれども、しかし、地方分権という角度から考えてみまするならば、人口やエリアの問題、面積の問題、生活圏の問題、さらには財政力等の問題から考えますると、やはりある一定程度の連合化というか共同体化というか、そういうものが進んでいくことが望ましい方向だ、そのように思っているわけですけれども、問題は、その際あくまでも地方自治体や地域住民の自主性や主体性が、まさにその自主性や主体性にゆだねられるべきものであって、かりそめにも上からというか、トップダウン的な方向で中央集権化に結びつくようなものであってはならない、そのように考えるわけでありまして、要は、このような方向に向かって動いていくと思いますが、ボトムアップ方式を貫徹する、そういう決意を自治大臣に確認したいというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  35. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 えらい合併を気にしておられるようでございますが、私たちはこれによって、少なくとも合併を導き出すところの一つのきっかけにしたい、そんな気は全くございません。そうではなくして、純粋にその地域全体が繁栄するといいましょうか、いわゆる自立的成長を遂げるということを願っておるわけでございます。  合併につきまして、機運があれば、これはやはり私は行政改革、そして行政の効率化という点から見まして、自治省としてはお助けすることはいたしますけれども、それに対して強権を発動して合併に介入をするとか、そんなことはもう絶対に考えておりませんので、その御心配はひとつ払拭していただきたいと思います。
  36. 小林守

    小林(守)委員 それでは、次に移りたいと思います。  産業業務施設の再配置によって、当該施設に雇用されている人たちの地方拠点都市地域への移動及び定住促進、これは非常に大きな課題だろうというふうに思いますし、これがどう進められていくのか、極めて関心を持っているところでございます。  そこで、産業業務施設の過度集積地域、これは政令で東京二十三区が指定をされるというようなことでありますけれども、この二十三区に勤めている方々が地方拠点都市地域へ労働力の移動という形になるわけであります。さらに、定住化ということになるわけでありますが、これは企業側または事業所側が考えているよりは、従業員にとっては極めて深刻な生活の課題でもあるのだろうと思います。そういうことを考えますと、相当のコンセンサスというか、従業員と会社側との十分な協議の上で進められないと、大変大きな労働問題にまで発展する、そういう懸念もあるわけでありまして、それらについて、この地方拠点都市地域への移動と定住促進をどう進めようとしていくのか、通産大臣にお伺いしたいと思います。
  37. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 答弁の前に、委員長初め、委員の皆さんに感謝を申し上げたいと存じます。  きのう、中国出張のお許しをいただきまして、江沢民総書記あるいは李鵬首相、中国要人等と話し合いをし、当面する貿易、環境等の問題について、国益のために極めて重要な話し合いの成果を得ることができましたことを、委員長初め、委員の皆さんに心から感謝を申し上げます。  御質問の点でございますが、地域振興を図るに当たっては、地域における魅力ある雇用機会の創出により、若年層を中心とした労働力の地域への定着やUターンの促進を図っていくことが必要であります。  産業業務施設の再配置促進するに当たっては、以上のような認識に基づいて、単なる産業業務施設移転や立地促進ではなく、それとともに、地方への業務従事者の円滑な移転や人材定着が図られるよう、今いろいろ御心配をいただきましたが、そのような御心配がないように、労働省等関係省庁連携を図りながら、通産省としても積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
  38. 小林守

    小林(守)委員 昨日の質疑答弁の中でも確認されたお話でございますが、二十三区内の移転を希望する事業者、これについては約四割がそういう声を持っているというようなお話がございました。それから、新規学卒者の七割ぐらいはUターンというか、地方圏における就職を希望するというようなお話もあったわけでありますけれども、問題は、移転を希望する事務所の移転希望先、これについてはどういう動向にあるのか、その辺について把握がされているのかどうか、ひとつ伺いたいと思います。  また、あわせて、この事業所や、二十三区内にある事業所や事務所に働く勤労者の移動希望、移転をして、それに伴って移動をしてその地域に定住をするということは、大変な課題だろうと思うのですが、それらについての移動希望などについては、把握されているのかどうか、スムーズにいくのかどうか、大変懸念をするところであります。しかしながら、これが実現されないと、また新たな極めて大きな問題を抱えることになってしまうわけであります。  要は、事務所や営業所だけが移転をして、その従業員なり勤労者が移ってこないということになりますと、その労働力は新たにその地域から集めるということになりますと、まさに今度は地域における一極集中と過疎化が進むということになるでしょうし、特に地域産業、地場産業の労働力というものがそこに奪われていくというような大きな問題をもたらすというふうに懸念をいたすわけでありますから、何といっても東京二十三区から移ってもらわないとどうにもならぬ、この計画は失敗だというふうにも言えると思うのですけれども、それらについて、通産省及び労働省から所見を伺い、また方策についてお伺いしたいと思います。
  39. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生御指摘のように、産業業務機能の移転に関しましては、やはり働く方々が会社と、企業とともに地方移転をする、こういう意識を持っていただくことが非常に大事であると私どもも認識いたしておるわけでございます。  おっしゃいましたように、現在企業の方でも従業員の立場を考えて地方移転をする必要があるというふうな機運になってきたところが多うございますし、また、働いている方々の間でもやはり東京の非常に生活環境の悪さというようなものを意識して、むしろ自然に恵まれ、ある程度の都市機能の集積があるような場所に移転する、あるいは地元に帰りたいというような意識も高まっているというふうに私ども認識をしておるわけでございます。  そういうことを総合的に勘案いたしまして、今回の産業業務機能の移転政策を御提案させていただいたわけでございますけれども、この労働力の定着につきましては、従来から私ども地域振興政策、特に産業立地政策におきましては、やはり地域整備ということと同時に、働く人たちがそこに定着ができるような職場といいますか環境条件の整備が非常に大事だ、そういう観点から産業立地政策を進めさせてきていただきましたけれども、そういう手法をこの業務施設移転につきましても適用いたしまして、かつ労働省等関係省庁とも十分連携をとりながら、何とか企業とともに働く方々が地方に定着していただけるような、そういう政策にしてまいりたいというふうに考えております。
  40. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今政府委員から答弁がありましたが、これは長い間の懸案、いわゆる戦後の日本の急速な発展の中に過疎と過密をつくってしまった。過密に発展した地域の代表がまさに東京、さらに二十三区内であるわけですけれども、その人たちが、それなら今豊かな生活環境を満足しているかと申せば、毎日通勤地獄、交通渋滞のいらいら、あるいは土地が持てない、住宅が持てない、先に希望がない、こういったような不満があるわけであります。  また一方、地方は、土地があっても、あるいは豊かな生活環境があっても、若者たちに魅力のある職場がない、定着しない、どんどん東京へ行ってしまう、まさに今日考えておる内政上の最大の課題政府全体が各省それぞれの立場の中で取り組んだものであります。  私ども通産省としては、今ここに自治大臣いらっしゃいますが、まさにふるさと創生経済版というようなつもりで今までいろいろテクノポリスとか新産業都市とかやってまいりましたけれども、そういう中でも今日、過度に東京二十三区内にオフィス機能が集中してしまって、残念ながら効果を上げてない面がありますので、今回は思い切ってこの二十三区内に過度に集中しておる業務機能を地方移転させようということでありますから、先生おっしゃるように、そこで働く人たちが喜んでくれるということが前提になりますので、今政府委員から答弁したもろもろの問題等を片づけて、目的を達成するように努力してまいりたいと思います。
  41. 上村隆史

    ○上村説明員 企業の地方移転につきましては、地域の活性化あるいは労働者の福祉という観点からも基本的には望ましいものだと思っておりますが、ただいま先生からお話のありましたような問題が生ずることも好ましくございませんので、先ほど通産省の方からもお話がありましたが、労働省としましても、職業安定行政機関、関係施策と十分連携を図りながら、円滑な労働力の需給調整が進むよう努力してまいりたいと思っております。
  42. 小林守

    小林(守)委員 法文の中では、第三十三条の移転計画の認定のところに記載されている一項の中に「移転に伴う労務に関する事項」というようなところですべて含まれてしまうわけですけれども、私はこの中に大きな課題があるというふうに思いますし、これがこの法案の成否を決めていくような、それほど重大な問題なんだろうというふうに考えているところであります。  それで、実際に各地域で工業団地等を造成して企業を誘致して、そこに従業員が集まっていくわけでありますけれども、実際その農山村地域に工業団地を拠点地域として開発して分譲する、もちろん企業はそこに張りついてくるわけでありますが、実際の従業員は県庁所在地に住む、そして一時間ぐらいかけてマイカーで通勤するというようなパターンが非常に多いのですね。できるならば、その地域に住んでいただきたいのが、地方自治体の願いなんですが、どうしても教育や医療や福祉、そういう点で充実している県庁所在地等に住んで、勤めはその農山村地域につくられた工業団地に勤めに行く、そういうパターンがあるわけですけれども、今度の法案ではそれを是正するという仕組みもあるわけでありますから、ぜひその点に立って強力に定住化促進のための方策を追求していただきたい、そのように思います。  それから、残りが少なくなってまいりましたので、水資源の計画についてお伺いをしておきたいと思います。  東京一極集中を是正して過度に集積した産業業務施設地方移転させるということでありますから、これは東京二十三区を含めまして首都圏の水需給計画の見直しにつながっていくのではないか、そういうふうに考えているところであります。といいますのは、従来からの水需給計画、水資源開発計画というのは、首都圏、東京一極集中を追認するような形、または加速するような形で取り組まれてきたと言わざるを得ないわけでありまして、東京一極集中を是正するのではなくて、前提にそれを追認するような形で、水が足りないんだ、足りないんだという形で計画が進められてきたわけでありますけれども、今回の法案というのは、まさにそれではない、基本的な視点に立っての地域づくりというような形になるわけでありますから、今日、私の出身県である栃木県でもいろいろと論議を呼んでおります渡良瀬第二貯水池の問題とか、さらには思川水資源開発計画にかかわる南摩ダムの問題、これらについても、要は首都圏の水がめで水資源をどう確保するかという観点から取り組まれてきた計画でありますから、この法案が積極的な形で進められ、そういう形での地方分散が進められるならば、やはり水資源の計画というものは変わってこなければおかしいのではないか、そのように思いますし、当然見直しか図られるべきであろう、そのように思います。  また同時に、地方拠点都市地域における新たな水需給計画も、これは必要になってくるんだろうというふうに思いますけれども、これらについて、水資源の需給計画等について、開発計画等についての見直しについてお考えがあるのかどうか、なければならないのではないかという観点からお聞きしたいと思います。
  43. 山内彪

    山内政府委員 お答えいたします。  首都圏の水需給につきましては解決すべき多くの課題がたくさんございますが、私ども、全国総合水資源計画及び水資源開発基本計画に基づきまして、平成十二年ごろにおいておおむね水需給バランスがとれるよう、ダム等の水資源開発施設の建設を促進することにいたしております。当面は、これらの計画に沿いまして、関係省庁連携を図りながら施策の推進に努めていく考えでございますが、今後とも水需給の見直しにつきましては、社会情勢の変化等を見守りながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  44. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 まず、水需給の長期計画につきましては、ただいま国土庁で御説明したとおりでございますが、その計画では平成十二年におきまして水需要百六十九トン毎秒と算定しております。これに対する施設計画としまして、私どもで施設計画を担当するわけでございますが、百三十五トンまでは手当ての見込みがございますが、現時点におきましても供給施設がまだ決定してないものが三十一トンという状況でございます。  そこで、現在の実際の水需給はどうなっているかといいますと、これは年間で申し上げますと、ちょっと時点が違いますので恐縮でございますが、昭和六十三年度時点におきまして七十五億八千万トンの水需要があったわけでございますが、ちょっと時点が違いまして平成三年度で、現時点で水源手当てがないのですが、やむを得ず川に、豊水期の水を取水することによって辛うじて免れている量が十九億四千万トン、約三割、時点の違いがございますが、約三割が非常に不安定な状況で現在の水供給を補っているという状況でございますので、追認という意味は多少あろうかと思いますが、現時点の水需給をとにかく均衡を保たせるというのが現在の状況でございまして、その積み上げの上におきましても、今後の社会情勢を見ながら私ども適切に対処してまいりたいと存じます。  なお、地域発展のために必要な水資源は、私ども計画的に対応してまいりたいと存じておる次第でございます。
  45. 小林守

    小林(守)委員 豊かできれいな良質の水が水源地域にいっぱいあるわけでありますか島、できるだけそういう地域で豊かな自然環境の中で人間性豊かな生活大国実現できる、そういう観点でできるだけ水源をさかのぼってきていただきたいということをお話し申し上げまして、質疑を終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。     〔古賀委員長退席、武藤委員長着席〕
  46. 武藤山治

    ○武藤委員長 大畠章宏君。
  47. 大畠章宏

    ○大畠委員 日本社会党の大畠章宏でございます。  地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置促進に関する法律案について御質問をさせていただきます。  私は過日、四月二日に本会議でも質問をさせていただぎましたけれども、その本会議での質疑等を踏まえながら、関係省庁に御質問をさせていただきます。  最初に、この法案目的についてでございますけれども、この法案を考えついたといいますか提出するときのきっかけは何か。いわゆるこの東京という都市がもう大変限界に来ている、そういうことから、この東京というところを再生するためにという考えてこの法案というものがつくられたのか、あるいは東京地方都市というものの格差が大変激しくなってきている、地方の方にも活力を与えなければ、そういう観点から地方の活性化というものを力点に置いてこの法案というものができたのかどうか、この件につきまして、この関係省庁の中でも特にこの法案について取り組んでおられます国土庁と建設省の両大臣に、この件に対しての考えを最初にお伺いしたいと思います。
  48. 山崎拓

    山崎国務大臣 過密がございますと過疎がございます。中央があれば地方があるわけでございまして、どちらが先なのか、重点なのかということはにわかに論じがたいところでございます。ただ、この法案は、国土の均衡ある発展を促すというところに主眼がございまして、そのためには地方の自立的な成長地域発展が必要であるということは、これはもう根幹的なことでございますので、当然その点を重視してまいりたいと考えております。
  49. 東家嘉幸

    東家国務大臣 この法案目的は、地方成長を牽引し、地方の定住の核となるような地方拠点地域について機能の増進、居住性の高い環境の整備を図ろうというようなことで、今回は各省庁がそれぞれの持ち味を生かしながら、ふるさとにどうしても住みたいと言われるようなことの総合的なそういう整備を図っていこうというようなことでの法案であるわけでございます。  もちろん、一極集中を是正し、そして、やはり地方の時代に向けてのこれからの全体的な四全総に基づく方向をこれからさらに見出していくために省庁が協調していきたいということが基本でございます。
  50. 大畠章宏

    ○大畠委員 いずれにしても、数年前、東京においてはあと十数日雨が降らなければもう東京の水源はかれるという時期もありました。そういう意味からいって、水資源の問題あるいはこの東京の空気のエアポリューションの問題から見ても、かなり東京という町は限界に来ている。そういう意味から、しかしながら、日本の首都であるこの東京を何とか再生したい、そういう視点からこの法案ができたのかなと思うのですが、ぜひ、私ども地方から出てきている議員としては、そういう発想も重要ですが、もっと地方都市をどうしたらいいか、そういう発想からも、この法案運用に当たっては御検討をいただきたいなと思っているところでございます。  この法案、そういう趣旨から発想され、御提出されたと思いますが、いずれにしても、この東京一極集中を何とかしたい、これは東京に住んでいる方も、あるいはこの周辺から通勤されている方も、そのとおりだと思うのですが、なぜこの東京一極集中してしまったのか、この原因について、私は過日の本会議でも御質問したところ、総理大臣の方からは、「中枢管理機能あるいは金融・情報等の高次都市機能集中をした、国際的な影響もございましたけれども、それが根本の原因であろう。という答弁をされております。  私は、この都市の問題については素人ではございますけれども、素人から見ても、いずれにしても今の時代、情報化の時代であります。いかにほかの方よりも早く高付加価値の情報を得るか、これが企業やあるいはいろいろな経済活動の出発点になっているのじゃないかと思うのですが、すなわち、その情報源はどこかというと、私は何といっても国会、そして国会を取り巻く官庁街、そしてその官庁街を取り巻くいろいろ大きな企業等がございます。こういうものがずらっと並んでしまったというのが、東京のこの一極集中の主な原因じゃないかと思うところであります。  アンケート結果等を見ましても、ほかの方々も申されていますので詳細なことは省略いたしますけれども、関係官庁との接触や情報入手に便利ですとか、業界や他社情報が得やすい等々の、いわゆる情報を中心とした一極集中といいますか、そういうことになってしまったという分析も、このアンケート結果からうかがえるわけであります。  そういうことから考えますと、一極集中の原因であるこの情報の分散といいますか、例えば東京にいなくても地方でもそういう情報が入手できる、そういう発想からこの東京一極集中という問題を考えていかなければならないと私は考えておるのですけれども、この問題、主にいろいろ考えております建設大臣としては、どういうふうにこの東京一極集中というものが起こってしまったのか、その原因に対してどういうふうにとらえておるのか、建設大臣にお伺いしたいと思います。
  51. 山崎拓

    山崎国務大臣 その点につきましては、大畠委員がいろいろとお述べになりましたとおりであると思っております。  一口にして申しますと、集積のメリットを求めて人口が集中してきたと申すほかはないと思うのでございます。総理の御答弁の中に中枢管理機能、これは今先生が言われました中に含まれておりますが、あるいは情報、金融の機能等高次の都市機能がある、そこに魅力が生じまして、若者たちを中心に人口が集積をしてきたということであろうかと思います。  同じ現象が実は地方に見られるのでございまして、地方におきましては、政令都市でございますとか県庁所在都市に人口が集中する傾向が顕著でございます。実は私は福岡市の住民でございますが、福岡市は、九州における一極集中の現象を顕著にあらわしておるのでございます。それはなぜかということになれば、やはり東京と同じように高次の都市機能、私どもは答弁の中で職住遊学という表現をしばしば使わせていただいておりますが、そのような、いわば地方の大事な生活空間が健在であるということで、若者たちがその魅力に誘引されまして集まってきておるということではないかと思うのです。  そういう実態に即しまして、全国にそのような高次都市機能を備えました、先生最後に申されました情報機能も含めまして高次都市機能を持った地方拠点都市地域整備していこう、そのことによりまして地方の人口を定着させ、なおかつ、東京からの人口の分散効果も上げたい、かように考えまして、この法案を提出させていただいた次第でございます。
  52. 大畠章宏

    ○大畠委員 建設大臣もそういう御認識のもとにこの法案を進められようとしておりますけれども、ちょっと通告はしておらないのですが、これは通産省にも大変大きな影響があるものだと思いますので、通産大臣として東京一極集中、この原因を通産省としてはどういうふうにとらえておられるのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思うのです。
  53. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 戦後四十六年以上たってきたわけでありますけれども、この間この国は、貧しさから豊かさを求めて急速な経済成長を続けてまいりました。そうすると、これは企業でも、それからすべてに通ずると思いますけれども、まず便利さというものを求めることになりますから、したがって、さっきお話がありました交通あるいは情報通信、それから何といっても国会あるいは官庁、そういうものの中で東京集中をして過疎過密という問題を引き起こしてしまいました。また、工業面では、一時重化学工業ということでいわゆる太平洋臨海工業地帯に集中するとか、いろいろの問題がありました。  こういうものを解決するために、私の分野で申し上げますと、今先生お話をお聞きしながら思い出しましたのは、私が初めて国会に出たころ、農村に工業を導入する法律というようなものを、これは竹下先生中心でしたか、つくって、農村に工業を分散するというようなことが始められたわけでありますが、その後、新産業都市の建設とかあるいはテクノポリスあるいは頭脳立地、いろいろの形で過度の一極集中を排除して地方分散するという努力を行ってきたわけでありますけれども、残念ながらまだまだ、便利さを求めるということになりますとどうしてもここに集中するということで、特に最近の傾向は、国際化等の傾向もあって、いわゆる業務機能、これがますます二十三区に集中して、これは責任ある数字でありません、いろいろの形でいろいろな方が言っておりますけれども、このまま放置しておけば、この二十三区内にこれから十年間毎年霞ケ関ビル二十本あるいは三十本ずつ建てていかなければオフィス需要に応じられないのではないかというような心配が出てまいりました。  人間は、便利さを求めるということと豊かな生活環境を求める、この二つの志向があると思いますけれども、やはり貧しい時代から立ち上がるのには、まず便利さというものをすべてに優先しておったわけでありますが、日本も世界の中でここまでの経済を持つに至った、こうなったら、今度はやはり豊かさというものを求める国民の志向に政治がこれは反映していかなければならない。こういうような角度から、私の分野では、この過度に集中しておる業務機能、これを思い切って地方分散していくことによって、先ほどからお話がある過疎過密の問題、一極集中の問題等を解決することに役立たせていただこう。また、地域社会それぞれに産業の特色があるわけでありますから、地場産業あり、伝統産業あり、そういうようなことで、通産省のできる範囲で、国を挙げて取り組んでおる。一極集中を排除して均衡ある国土づくりのために通産省の立場でできる限りのお手伝いをさせていただこうというのが、この法案に私どもも参加させていただいた理由であります。
  54. 大畠章宏

    ○大畠委員 それぞれ建設大臣並びに通産大臣お話を伺ったわけでありますが、過日私は、私の友達のアメリカ人のまだ若い二十七、八の青年と話したのですが、この永田町からの、議員会館の窓から東京の空やあるいは建物や道路の状況を見て、次のようなことを言いました。私はアメリカ人だけれども、ニューヨークという町は余り好きじゃないんだ、あんなに大変いろいろ社会的な問題もはらんできている、日本の東京もそういう方向に行ってしまうんじゃないかという懸念をしている、したがって、この東京はもう人間がなかなか快適な形で過ごせる都市じゃなくなってしまったんじゃないか、こういうことも申されていました。  私は、そういう観点から、東京一極集中というものを何とか分散するその努力を本当に真剣にしなければなと思うわけでありますが、先ほど私が申し上げましたとおり、これは私の考えですが、その東京一極集中の一番の大もとというのは、何といっても国会がこの東京にあるからじゃないか。先ほども言いましたように、国会があって、官庁街があって、それを取り巻く企業群がある、それをまたサービスするいろいろな産業が栄えている。そういうことからすると、ちょっと視点を変えますが、政府の方でいろいろ国会移転の問題を検討していると思うのですが、国会移転の現状について、これは細かい話でありますので、国土庁局長の方に現状についてお伺いしたいと思います。
  55. 西谷剛

    ○西谷政府委員 国会を含みます首都機能移転の問題、実は国土庁長官懇談会が去る二月にいわゆる中間報告を提出していただきました。その中では、移転の必要性、それから移転すべき施設の規模、移転の方式、いささか具体的な御提言をいただいております。  私どもとしましては、首都機能移転というのは国民生活に非常に重大な影響を及ぼすことでもございますので、この具体的な案を国民の前に提出をいたしまして国民的議論を喚起し、国民全体、各界各層の合意形式を図りながらその推進に努めてまいりたい、このように考えております。
  56. 大畠章宏

    ○大畠委員 非常に優秀な答弁で私にはよくわからないわけでありますが、いずれにしてもこの国会移転、やはり抜本的な東京一極集中の解消のためには、国会が移転すれば官庁街も関係するところも移転するだろうし、それに伴って、また企業等も移転すると私は考えておるのですが、ぜひ本腰を入れてこの問題にまず取り組んでいただきたいということを要望申し上げたいと思います。  二つ目には、国会を取り巻く政府機関移転の問題でありますが、きのう私どもの仲間の議員からも御質問されましたけれども、政府機関移転がなかなか進まない。原則として平成七年までに移転を完了させるという目標を掲げているわけでありますが、政府機関四十六機関、特殊法人三十機関、自衛隊の十一部隊、職員の合計は二万人を超すという、この昭和六十三年七月の閣議決定された内容の現状について、マスコミの報道によりますと、どうも各省庁とものんびりしているのじゃないか、どうもいま一つ本腰が入ってないのじゃないかということが言われています。  私は、新しい法案をつくって首都機能移転をすることも大変重要だと思うのですが、既に約束をした、既にある問題についてこうしようと決めたことをきちっとやらずして新しい法律をつくったとしても、なかなか実行されないのではないか。いつも何か新しいもの、新しいものというけれども、過去に約束したことをきちっとやらせる、これも、私は大変重要な政府としての役割だと思うのですが、この政府機関移転の現状について、これも非常に細かい問題でございますので、国土庁の担当局長の方から、政府機関、特殊法人、自衛隊等々のこの閣議決定された内容に基づく現状と、それからそれをどうてこ入れされようとしているのか、あるいはいつまでにその問題を解決したり、あるいは関係省庁を呼んでこうしなさいという指示をされるのか、そこら辺の全体的な現状と対策案についてお伺いしたいと思うのですが。
  57. 西谷剛

    ○西谷政府委員 お尋ねの行政機関移転の方は、先ほどと違いまして既に実行段階にございます。  平成元年の八月に、七十六機関と自衛隊の十一部隊につきまして移転先ないしその候補地を政府部内で取りまとめをいたしました。現段階におきましては、二機関が既に移転済みでございます。それから、十機関と自衛隊の十一部隊、これにつきましては、既に用地取得ないし建物の建築工事を実施中でございます。これについては平成七年度までにおおよそ移転が完了するものと見ております。それから、地方支分部局関係十六機関、これは大宮地区に集団的に移転をいたす予定にいたしておりますが、これについては本年度用地取得に取りかかる段階に入っております。  なお、残る機関につきましては、本年度、平成四年度中に具体的な移転時期なり移転場所を決定する実施計画をつくるということを申し合わせております。すべての機関が平成七年度までに完了するというところまで自信はございませんけれども、多くの機関は七年度で完了するというところに向けて現在推進中でございます。
  58. 大畠章宏

    ○大畠委員 今の御答弁だと、全く心配は御無用である、着々とやっているということでありますが、私の感覚だと、計画があって平成四年度までにはこれをしよう、平成五年度までにはこれをしよう、平成六年にはこれをしよう、平成七年にはこれをしよう、その間にフォローアップ会議をずっとやるとか、そういう具体的なスケジュールを組んで今やっておられますか。  新聞報道なんかによると、調整官庁である国土庁は、各省庁とものんびりしていられないと思うがというもどかしさを隠せない、そういうことをおっしゃっておる方もおられるのですが、今の御答弁だと、着々とやっています、何の問題もないということなんですが、答弁用の言葉じゃなくて、ここは審議の場ですから、事実を言ってください。
  59. 西谷剛

    ○西谷政府委員 胸をたたいて、絶対大丈夫です、こういうことは申し上げられないと思うのですが、ただ、各省に対しても時々会議を開きまして、ぜひその推進をお願いしたいということを申し上げており、また各省庁等とも御協力をいただいているというふうに認識しております。  もちろん、具体に人を動かす話ですから、問題がないわけではない。一つ一つ問題を詰めていかなければならないということはありますけれども、政府全体として見れば、国土庁だけがこのことを一生懸命やって、あとは知らんぷり、こういうことではないと認識しております。
  60. 大畠章宏

    ○大畠委員 今のお話だと、時々ということが定期的にやっているのかどうかわかりませんが、こういう問題は、なるべく移動したくないのですよ、今が一番いいのですよ、みんな。通勤の問題も住宅の問題もあるから、なるべくだったら、今のままでいいんだ、ずるずると延ばせるのだったら延ばしていきたいというのが、多分大体の人の基本的な感じだと思うのですね。したがって、それを今度は移動してもらうのですから、かなりどこかの省庁が中心となって音頭をとって、毎月一回皆さん集まってください、どうですか、今どうなっているのですか、計画を出してください。では、その問題があらば大臣にも話して、大臣の方からも話してもらいましょうとか、そういう事務局の根回しといいますか、一生懸命そういう下支えする活動がなければ、計画だけ出したりあるいは申し合わせをやったとしても、実際に人間が動くわけですから、あるいは建物が動くわけですから、なかなか今おっしゃったような形にならないのじゃないかと私は思うのです。  多分、今の二回目の答弁で大体半分ぐらい本音が出ていましたけれども、そういうものを踏まえてこれからどういうふうにしてやっていくのか、もう一つ踏み込んだ具体的な決意を、少し答弁していただけませんか。
  61. 西谷剛

    ○西谷政府委員 弁解がましくなりますが、現に事業に着手中のものもあるわけでございます。残った機関についても、先ほど申し上げたように、これから各省で具体的な御検討をいただくわけですが、国土庁とすれば、先ほど時々と申し上げましたが、頻繁に会議を開き、徹底的な要請をし、推進を図ってまいりたい、こう思います。
  62. 大畠章宏

    ○大畠委員 この問題は平成七年という目標ですから、もう既に四年間ぐらいたってますね。ちょうど真ん中に来ていますね。政府機関移転計画が四十六機関中、やっているのがまだ二機関でしょう。そして特殊法人三十機関の中では十ぐらいですか。特殊法人では十機関ですか。(西谷政府委員「三十」と呼ぶ)三十。三十のうちの具体的にやっているのは十でしょう。三十やっていますか。  そういうことで、人間の一つのあれですが、新しいものには飛び込むのですが、古いものといいますか、約束事についてはどうもいま一つ神経が集中しないのですよ。したがって私が申し上げたいのは、こういう新しい地方の拠点都市をつくろう、あるいは東京一極集中を何とか解消しようというその趣旨はわかります。趣旨はわかりますが、既に約束したことをきちっとやる、そういう実効ある計画とその実際の行動を伴わなかったら、どんなにいい法律をつくっても、これも空文句で終わるのじゃないかということを懸念しているから、申し上げておるのです。  その点、国土庁におきましても、それから関係省庁の皆さんにおかれましても、ぜひ協力していただいて、これも重要な施策の一つでありますし、これもまた移転すれば東京一極集中の解消のために大変役立つものですから、私はぜひ新しい法案だけじゃなくて、この古い閣議決定の問題でも積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、この問題一番どこが絡んでいるかというと建設大臣かなと思うのですが、建設大臣、これをどういうふうに認識されていますか。政府機関移転の問題、なかなか進まない。これは建設大臣の所管ではないですか。まあいずれにしても、ぜひ関係大臣とも真剣に取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。  次に、通産省にお伺いしますけれども、これまでいろいろと通産省も地方の産業の支援のために取り組んでこられました。昭和三十年代から四十年代の工業集積ですとか、工業の再配置問題、あるいは五十年代後半のテクノポリス構想など、次々と新しい発想のもとに一生懸命地域の活性化のための法案を提出され、それを実行されているわけでありますが、先ほどの話じゃないのですがね、これまで提案した法案あるいはその施策と、今回のこの拠点都市地域整備法案との整合性といいますか関連性、これはどういうふうに通産省としては考えておられるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
  63. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今までやってまいりましたことは、主に出発点は、工業を地方分散させる、さらに技術とか、今先生からも御指摘のありましたように、テクノポリスとかあるいは頭脳立地とかそういうようなことで、できるだけこれは過度に東京集中しないで、できるだけ地方、全国全体に国土の均衡ある発展を図るための経済の成長というための努力をしてきたわけで、私はそれなりにこれはそれぞれの法律がきょうまで大きな成果を上げておると思います。  しかし、先ほど若干申し上げましたように、残念ながら業務機能、これは過度にいわゆる便利さというものを求めて、京浜葉工業地帯というよりは、さらに東京、その東京の中の二十三区内に集中する傾向が顕著にあらわれてきた。これをやはり是正していかないと、我々の目的は達せられない。  先生、先ほどから大変御熱心に国会議事堂の移転の問題、お話がありましたが、全くこれはおっしゃるとおりで、やはりこの行政の中心部が動いていかなければ、ただ頭としっぽというような言葉は使ってはいけないと思いますけれども、なかなかこの辺が難しいところでありますが、やはり企業にしても、思い切って本社機能をも含めて業務機能がもう移転していいじゃないかと。そのために、これは私の分野ではありませんけれども、今後交通高速ネットワークができたりあるいは情報通信網でも全国的に便利なネットワークができていけば、先生のところでも日立の本社、やはり茨城に行って何もよろしいのではないかと。こういうようなことで、今まで次から次と積み重ねてきた法律、それはそれなりの効果を上げてきて、さらにまた新しい時代の要請にこたえて今回の法律をお願いしているわけでございます。
  64. 大畠章宏

    ○大畠委員 それでは、通産省が今まで取り組まれてこられましたテクノポリス法、頭脳立地法の現状についてお伺いしたいわけですが、過日の本会議での大臣答弁の中で、テクノポリス政策については、現在までに全国の二十六地域について開発計画の承認を行ってきましたという答弁がありました。また、頭脳立地政策については、十八地域の集積促進計画の承認を行ってまいりましたという答弁がございましたけれども、この承認を行ったそれぞれの地域が現在どういう形で進んでいるのか、それを担当局長にお伺いしたいと思います。
  65. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 通産省といたしましては、この地域開発に当たりましてやはり産業の実体、経済の実体が地方に根づかなければいけないということで、そういった面で、雇用の場を創設することが極めて必要、こういう観点から、産業立地政策を推進させてきていただいておるわけでございます。  昭和四十七年にはいわゆる工業再配置促進法のもとで、立地を極力誘導地域、平たく言えば大都市圏以外に工場の立地を促進するということでやっておりまして、現在敷地面積ベースで言いますと、全国で立地されます工業の約八〇・六%が誘導地域に向かっておるというようなことで、成果を上げてきたというふうに私ども認識をしております。  また、御指摘のテクノポリス法でございますけれども、これは五十八年にできまして、御指摘のように二十六地域承認をいたしております。その中で、例えば年平均の立地件数あるいは年平均の敷地面積というものをこのテクノポリスに指定されました前と後と比較してみますと、立地件数では年平均で一・七倍、それから敷地面積では二・三倍というようなことになっておりまして、全国平均の値が前者では一・五倍、後者では一・六倍ということでございますので、全国平均に比べてもこの集積が進んできておるというふうに私ども認識をしておるわけでございます。  また、頭脳立地法でございますが、これは昭和六十三年にできまして、現在十九地域、これは最近一地域を承認いたしましたので十九地域になっておりますけれども、六十三年の制定ということで制度発足以来まだ日が浅いわけでございまして、評価はさらに先に待たなければいけないというふうに考えておりますけれども、いろいろな面で各地域でこの頭脳立地についても積極的な取り組みが行われておりまして、特に最近、この頭脳立地の中で業務用地というのを地域公団が造成するわけでございますけれども、完成した業務用地につきましてはほとんど満杯の状態で企業立地が進んでおるというようなことでございますので、これも順調な立ち上がりを示しておるのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。  もとより、この日本の経済成長を支えてきましたのは、物づくりといいますか、技術に裏づけられた物づくりでございますので、製造業の地方立地というのも引き続き私ども着実に進めさせていただきたいと思いますけれども、なお並行して、最近の問題でございます産業業務施設の再配置につきましても、今度の新しい法律で積極的に推進をさせていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  66. 大畠章宏

    ○大畠委員 いずれにしても、これは相手があることでございますから、そういう国の施策にのっとって移転を決断していただく、これは企業の自主的判断であります。  そういうことから考えますと、こちらからはこういう環境を整えれば移転してくれるだろうという考えでやっているわけでありますが、この一つポイントとして、今こういうテクノポリス構想あるいは頭脳立地構想という、そういう施策に乗って八〇・六%の企業が大体移転をしてくれたということなんですが、そこで重要なのは、その移転をした企業に例えばアンケート調査をやって、あなたの企業ではどういうポイント移転を決断しましたか、あるいはどういう箇所を求めて移転計画しましたか、そういう、言ってみれば、これから移ろうとする人のアンケート結果も重要でありますけれども、移ってしまった、移る決断をした企業の情報を入手して、そういう情報を勘案しながら、この法案の施行に当たっては十分検討しながらやっていくということも、私は重要なポイントじゃないかと思うのですが、そのような追跡調査といいますか、そういうことを通産省として考えておられますか、局長
  67. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 私ども、平成三年の八月に都内の上場九百五十七社に対しましてアンケートを行いまして、そのうちで、具体的な移転計画を策定中でありますとかあるいは検討中というのが三九%、二百十八社ございましたけれども、そのほかに、既に一部のオフィス機能を移転したもの、これが一五%、八十八社ございました。  それで、こういう企業に対しまして、どういう理由で地方移転をしたのですか、こういう質問を発しておりますけれども、その中で大きな要因を占めておりましたのは、やはり一つは、オフィスのコストが高くなった、スペースが手狭になったということが非常に大きなウエートを占めております。二番目に、従業員の住宅あるいは通勤上の問題から、やはり地方に展開した方がいいと判断するというようなこともアンケートの結果明らかになっておりまして、やはり企業は最近、企業自体のコストの問題とともに、働く人たちの生活環境というようなものに対して非常に重大な関心を払いつつ、そういう戦略の展開を図ろうとしておるのかなということを、私ども読み取っておるわけでございます。  なお、この種の調査につきましては、引き続き私どもは、いろいろなアンケートとかあるいはシンポジウム等を通じまして、企業の動向の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。
  68. 大畠章宏

    ○大畠委員 そういうアンケート調査もやっているということでありますが、引き続き、市場調査というのは大変重要なポイントでありますので、通産省の方でも各企業のそういう実態について把握する努力を続けていただきたいと思います。  今通産大臣もそういう企業のアンケート結果等についてのお話を伺ったと思うのですが、そういう実態を踏まえて、今回の法案内容で、東京のこの二十三区内にある企業が地方移転をしよう、そういう決断をするに足りるこの法案内容になっているかどうか、そこら辺を通産大臣にお伺いしたいと思います。
  69. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 二つの面があると思うのですが、一つは、今東京におる、それよりは地方移転した方がいい、こういう考え方を持っていただくこと、また、もう一つもっと大事なことは、さて、東京から地方移転じようというときにこれを受け入れてくれる、これがまさに拠点都市でありますけれども、その条件。  今回、この法律がそれぞれの役所が集まってできておるのはそういう意味で、ですから、通産省だけが叫んでも、やはりこれを受け入れる地域環境というものを整備していただかなければなりませんし、自治大臣は恐らくいろいろ答弁されておったと思うのですけれども、それぞれの地域において意欲を燃やして、この東京から移ってくる機能を、十分に移ってきてよかったというような条件をつくってやろうという、それぞれの地方団体で意欲を持っていただくことが何よりも大事でありましょうし、また、建設大臣、郵政大臣がいらっしゃっておりますけれども、電話料金の問題などもその一つに入るかと思いますけれども、やはり地方移転して十分にその業務を全うできるような条件をつくっていく。  そういうことで、これは各省それぞれの持ち場で、この今や内政上の最大課題になっている問題を解決しようという意欲と、それを具体的な一つの政策にしようというあらわれが、今回の御審議をいただいておる法律であると私は考えております。
  70. 大畠章宏

    ○大畠委員 それでは、視点を変えまして自治大臣にお伺いしたいと思います。  この法案の題目には地方拠点都市地域整備というのがうたわれているわけでありますが、過日といいますか、きのう、民間政治臨調というのが行われまして、この中で、日本の政治の危機をどうするかという、そういう内容の議論が行われました。  その中で、私は非常に印象深く拝聴したのは、次のようなある委員からの発言であります。現在は政治家が地球規模で物事を考えなければならない、そういう時代なんだけれども、国会議員が地方のことをいろいろと、あれをどうしようか、これをどうしようか、そういうことを一生懸命考えないと日本全体が動かない、そういうシステムになっている。本来は、地方のことは国会でなくて地方の方で、その状況を勘案しながら思う存分活動できるような、実施できるような、そういう体制にすべきじゃないかという、委員からの一つの意見がありました。  すなわち、これは地方分権の発想だと思いますが、私も本会議の席上発言しましたけれども、これからは地方の時代だ、地方の時代だという、そういうかけ声は確かに最近はもうなくなってきましたけれども、四、五年前といいますか、そこら辺の前は大分そういう声がありました。ところが、だんだんそういう声があったとしても、立ち消えになって、今では、もうしょうがないのかなという、そういうあきらめのような感じのこともあるのですね。  ますますいろいろな状況を見ますと中央集権のような感じもしますし、その中で、本会議でも述べましたように、この法案知事やあるいは市町村長に権限をゆだねている、この点は評価するわけでありますけれども、やはり自治大臣、私は、日本の地域都市の活性化を図るというならば、地方自治の分権、これをどんどん進めること、それで、あなたの地域で、あるいは北海道で、沖縄で、それぞれの風土がありますから、その風土に合った形の町づくりやあみいは文化や伝統芸能もあります、いろいろなものがありますが、それに合ったことを大いにやりなさいというような形で、私は、大幅な地方分権をすることが、すなわち、この地方都市の活性化といいますか、まさにそれにつながるんじゃないか、それが根本的な地方の活性化のポイントではないかと思うわけでありますけれども、自治大臣は、この問題はこの程度の分権で満足されているのかどうか、あるいは自治大臣として、これを契機にもっと大胆な地方分権を行おうという考えがあるのかどうか、それを自治大臣にお伺いしたいと思います。
  71. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御質問のように、私も地方分権は進めるべきだと思っておりますが、やっとここまで来たということなのであります。ここへ来るまでがなかなか今までの長いいきさつがございます。  それはやはり御存じのように、日本の官庁の仕組みがそうなっておるのでございますから、ここを政治が解決しないでただ行政の問題として取り上げておって片づくものじゃない。しかし、私たちはできるだけ、この現在のいわば中央集権制度の中にあっても、少しでも地方へ分権していきたい、地方に権限を移譲していきたい、これは並み大抵なことじゃございません。何といったって、中央省庁の役人にしたら、おまんまの種を削っていくのでございますから、それは容易なことじゃございません。しかし努力してやっていきたい、その一つがきょうのこの法案である、こう御認識いただいたらいいと思います。
  72. 大畠章宏

    ○大畠委員 今大臣からお話がございましたけれども、私はそれを断行するのが政治家だと思うのですね。官庁は、やはり前に土光さんが官庁街の行革をやるときに大変抵抗に遭った。いろいろな形で抵抗があったけれども、一生懸命進めた。民間の人でさえやっているわけですよ。今の塩川大臣の御決意といいますか、お考えの一端が示されましたけれども、ぜひ政治家としてこれを断行していただきたい。それが私は、日本の地方都市の、地域の活性化につながるという感じを持ちますので、今の御答弁趣旨に沿って、初志貫徹をしていただきたいことをぜひお願いを申し上げたいと思います。  次に、ちょっと今の話で、総理大臣は今の地方分権について次のような答弁をされています。「これまでも権限移譲、国の関与の是正等に努めてまいっているところでございますが、という答弁をされておりますが、自治省として、これまで過去五、六年の間どういう地方に対する権限の移譲がされたのか、局長から御答弁いただきたいと思います。
  73. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 地方への権限移譲につきましては、従来から地方制度調査会あるいは行革審等から御指摘いただきながら、昭和五十八年に行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律というものをつくりましたが、それを初めといたしまして、四度にわたりまして一括整理法というものをつくってございます。それによりまして、地方への権限移譲とそれから国の関与の是正、あるいは国のいわゆる必置規制の是正等に努めてきているところでございます。  若干具体的な例を申し上げますと、これらの法律によりまして、まず昭和六十一年の一括法で見ていきますと、これは社会福祉事業法については、社会福祉法人の設立認可を厚生大臣から知事におろす、あるいは農業協同組合法につきましては、都道府県の区域を地区とする農業協同組合の設立認可権限を農水大臣から都道府県知事に移譲する、そういうものがございます。また、近くは平成三年の一括法がございますが、ここで農地法につきまして、二ヘクタールを超える農地等で所定の地域整備立法に係る施設整備のため計画農地地区内にあるものについては転用許可権限を大臣から知事におろす。さらに、都市計画法について申し上げますと、住宅街区整備事業と第一種市街地再開発事業に係る都市計画の決定、これにつきましては、施行区域の面積が住宅街区整備事業につきましては五ヘクタール未満、第一種市街地再開発事業については一ヘクタール未満のものは市町村が行うこととされた。  そのような例がございます。
  74. 大畠章宏

    ○大畠委員 まだまだ不十分だと思いますし、先ほどの大臣の御答弁もありましたので、それを踏まえてぜひもっともっと地方とも話し合いながら、また、国民の意見も聞きながら分権を進めていただきたいということを要望申し上げたいと思います。  次に、先ほど通産大臣からも企業の移転についてのアンケート結果を踏まえた御答弁がありましたけれども、私は冒頭に申し上げましたとおり、東京一極集中ポイントは、高付加価値の情報の集中にあるという考えを持っております。  そういう意味からしますと、これは郵政大臣にお伺いするわけでありますが、いわゆる国会の情報あるいは常任委員会の情報ですとか産業情報、そんなものを一括して巨大なデータベースをつくっておきまして、東京に一々上がってこなくても、ある有料の回線使用料等を取ってそのデータベースにアクセスすれば、国会の動き、あるいは官庁街の動き、産業界の最新の情報が入手できる、そういうデータベースをつくっておけば、北海道にいても、九州にいても、最新情報が取り出せるというので、この法案趣旨に沿って企業が移転する決断をする一つの大きなきっかけになると私は思うのです。これをどこがやるかといったら、やはり民間の企業といってもなかなかそれだけの情報が集まりませんから、何か国がそういう巨大な情報データベースをつくって、移転する企業に有料でサービスする、そういうことも発想として必要じゃないかと私は思うのですが、郵政省として今回のこの法案に当たって支援策をいろいろ考えておられますが、そういう支援策について郵政省として検討されているか、あるいはそういうものについてどう考えておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
  75. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答えいたします。  先生がおっしゃいましたように、一番の問題は、人間社会あるいはまた産業活動、あらゆる面を考えてみましても、我々は空気と食料ということは当然必要ですが、一番必要なことはやはり情報である。今の近代人は情報を抜きにしては生活できない、あるいは産業活動もできない、もちろん文化活動でさえもできない。いろいろなそういう分野に行き渡ってきていると思うのですね。そういう意味では、今度の拠点法の中でそういう大規模な、今大昌先生おっしゃるような国家として、あるいはまた、そういう大きなデータベースを提供できるようなものの仕組みということが今度の拠点法の中で考えられれば、非常にいいなという感じはいたしますが、しかし、これはまさに今スタートの段階ですから、時間もございませんので多くを語りませんけれども、私は先生がおっしゃっておられる考え方には同感の意を表しつつ、今後非常に大きな研究課題としてぜひひとつ取り組んでみさせていただきたい、また、そういう価値のある問題提起であると思っておりますので、ぜひ御指導をいただきたいと思っております。
  76. 大畠章宏

    ○大畠委員 それから、これは建設省に伺いたいと思うのですが、この地域の拠点都市をつくる場合に、往々にして企業の立地ですとか、あるいは住宅地ということが中心となってしまうわけですが、とりわけ企業の立地が中心になるのですが、アメリカの方の工業団地の造成という場合には、必ず住宅地と、そしてもう一つ、楽しむところ、公園をつくったりあるいは子供たちのための遊園地をつくったり、ショッピングセンターをつくったり、一つの町づくりという観点から工業団地を造成しているという話をよく聞くのですが、まさに私はそういう観点から今回の地方拠点都市整備についてもそういうことが必要じゃないかと思います。  いわゆる今の日本の町がなぜ寄せ集め的な町になってしまうのか。後追い的に道路をつくる、後追い的に整理をして整然とした町をつくる、そういう傾向があるのですね、自然集落的なものを後から整理するという。そういう観点からすれば、私は、アメリカやヨーロッパの主流のゾーニング法というのをそろそろ日本も検討すべきじゃないか。特にゾーニングをして、ここは大体住宅地、ここは工業団体、ここは商店街しか建てちゃいけませんよ、ここはこういう公園で建物を建てちゃいけませんよという、そういう土地の使用に対して制限を加えながら、そして最終的にはこういう町ができるんですという、そういうアウトラインを頭に描きながらのゾーニングという手法を導入すべきではないかと私は思います。  さきの大店法の問題についても、このゾーニング法についていろいろその担当の人と話しましたけれども、なかなかゾーニング法という考えには至りませんでした。なぜ日本でこのゾーニング法という思考、考え方が取り入れられないのか。いわゆる土地に対する使用制限が入りますので、そういう観点からなかなか政府としても踏み切れないのかなと思うのですが、そろそろ、こういう時代に入ったんですから、そういう整然とした思考法を建設省としても取り入れるべきじゃないかと私は思いますが、これは建設大臣があるいは局長がわかりませんけれども、そのゾーニング法に対する現在の考え方、そして将来に対する展望についてお伺いしたいと思います。
  77. 市川一朗

    ○市川政府委員 まず、今回、地方拠点都市地域整備に当たりまして私ども一番念願しておりますのは、何といいましても人口流出のポイントであります若者の問題でございまして、若者にとりまして魅力のある、職住遊学と私ども申しておりますが、そういう生活空間の創造ということがポイントになければと思っておりますが、ただいまの先生お話をお聞きいたしまして、まことに我が意を得たりというつもりでございますしっかりとした町づくりをしていきたいと思っておるわけでございます。  それを進めるに当たりまして、いわゆるゾーニングといったような考え方をなぜ取り入れないのかというお話でございますが、基本的には、我が国も都市計画法という法律がございまして、その中で市街化区域、市街化調整区域という線引きを行いまして、その市街化区域の中で用途地域まで定めます。その用途地域は今八種類の用途地域で定めておりますが、正直言いまして、欧米諸国に比べましてちょっときめが粗いのではないかといういろいろ反省もございまして今国会に都市計画法の改正も提案させていただいておりまして、そういう用途地域の詳細化とか、そういったようなことも御提案申し上げております。  そういったようなことも踏まえまして、現行の都市計画制度を十分活用していい町づくりをしてまいりたいと私どもは思いますが、ただいま御指摘のような点につきましても、今後の長期的な課題としてなおよい制度の構築に向けて努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  78. 大畠章宏

    ○大畠委員 ありがとうございました。  農林大臣もおいでになっているのですが、本当は農林大臣にもいろいろ農業問題についてお伺いしようと思ったのですが、時間がなくなってしまいました。質問できなかったことをおわびしながら、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  79. 武藤山治

    ○武藤委員長 吉岡賢治君。
  80. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 日本社会党・護憲共同、逓信常任委員会の吉岡賢治でございます。地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置促進に関する法律案について質問をさせていただきたいと思います。  本法律案は、東京への一極集中の是正と道府県についても過度の集中の加速を抑え、全国に同じようなばらまき型公共事業の配分というものを反省しつつ、六省庁が拠点主義という新しい視点をとり、地方自立的成長促進及び国土の均衡ある発展に資するとした趣旨に理解を示すものであります。  そこで、国土庁に決意のほどをお聞かせいただきたいと思うのでございます。  その一つは、本法案の最重要課題というのは、過疎過密の解消を図るべき、こういう視点を持ちながらインフラの整備等に努めることだと思うのですが、いかがでしょうか。
  81. 東家嘉幸

    東家国務大臣 まさしく御質問の中身は、私たちの考えているとおりの将来の大きな課題だと考えております。国土政策上重要なこれからの地方の分権、そしてまた地方の活性化、国土の均衡ある発展を期するためのこれからの諸施策に対しては、今回法案でお願いしておりますような、各省庁が一体となって、そしてそうした効率的な面を十分生かしてこれからの活性化の道をさらに前進するように取り組んでいく法律だと私は考えておりますし、このことについては、私たちは、それぞれ重要な問題でありますだけに、決意を新たに取り組んでいくべきだと思っております。     〔武藤委員長退席、古賀委員長着席〕
  82. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今決意を述べていただいたわけですが、そうなりますと、御案内のとおり、日本列島を例にとってみますと、太平洋あるいは瀬戸内ベルト地帯では大変な高度都市集積がありますけれども、日本海側には比較的少ない。そういう立場から考えてみますと、日本海国土軸的な発想に立ち、日本の国土軸を変える、こういうくらいの決意を持たないと実効が上がらないというように思うところでございますけれども、国土庁の所見を伺いたいと思います。
  83. 小島重喜

    小島政府委員 太平洋側と日本海側、御指摘のような問題がございまして、今日本海側の十二府県の先生方、超党派で日本海沿岸振興議員連盟あるいは各県の知事あるいは市町村長さんがそれぞれ連盟といいますか機構をつくりまして、日本海の国土軸構想というようなものもそれぞれ検討しているように聞いております。  私ども国土庁といたしましても、環日本海沿岸地帯のシンポジウム等を日本海側の地域で何カ所か開いておりますし、今後とも、今四全総の総点検作業を行っているわけでございますけれども、今先生御指摘のような議論もその中で展開されるのではないか、かように考えております。
  84. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 構想があるとかいろいろ抽象的なお話があったわけでありますけれども、私が申し上げているのは、決意のことと同時に、日本海の国土軸、そういう方向に視点を当てるのかどうか、しかとお伺いしたい、こう思っています。     〔古賀委員長退席、北村委員長代理着席〕
  85. 東家嘉幸

    東家国務大臣 先日も日本海側に対する今後の取り組む姿勢について私に質問がございました。  今後の日本海の役割というものは、やはり対岸近隣諸国との重要な位置づけにもあるわけでございますから、国土軸についても、今それぞれの立場の方々からいろいろな御意見を賜りながらこの作成に努めているところでございますし、今回、この法案一つの拠点として活発にその地域発展に寄与することができるように、私どもも細心を払っていきたいというふうに考えております。  もちろん地元とよく協議しながら、御意見を賜りながら、そして皆さん方に、またさらに、日本海側の開発の構想はどうあるべきかということについても地元からの意見も賜っておりますけれども、今後とも一体となって取り組んでまいりたいと思います。
  86. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 あえて日本海国土軸という言葉を使わせていただきました。といいますのも、御案内のとおり、環日本海構想というのが今脚光を浴びております。とりわけその中で、中国、そして旧ソビエト、さらに朝鮮民主主義人民共和国、この三国を流れる図們江流域経済開発、このことが御案内のとおり国連の開発計画、この機構によって過去三回による話し合いが行われている、こういう実情もあるわけでございますから、今日本海というのは非常に重要な役割を担っていく、こういう視点を十分申し上げたいということもございまして、あえて取り上げておるのでございまして、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  さて、その上でもう一つ国土庁にお尋ねをしたいと思います。  本法案を実効性あるものにしなければならない、このように私はつくづく思っているわけであります。ところが、この法案の内容を見てみますと、理念、そして手法、こういうことが目立ちます。大都市集中に対する機能分散の視点というのが希薄ではないかと思われます。これでは法案化しなくても、予算措置を十分にすれば対応できるではないかとさえ思う部分だってあるわけであります。せっかく誘導すべき指定地域整備ができても、産業業務の施設集中する大都市圏から移転がなければ、仏つくって魂入らず、こういうことになろうかと思います。したがって、東京など三大都市圏での大プロジェクトは、政府支援を制限するだとか、あるいは産業業務の施設に対する税だとかあるいは賦課金の導入、これは例でございますけれども、そういう抑制策を盛り込んでこそ、一体となった発展が求められるのではないか、このように思うところでございますけれども、見解をお尋ねしたいと思います。
  87. 東家嘉幸

    東家国務大臣 国際化の急速な発展と国内経済の中の今日の状況から見ますれば、ややもすると東京に本社を置くことが情報を得やすい、なおまた、国際化の中でも、東京に本社を置くことがやはり非常に利便性があるというようなことで、地方から中小企業までが東京にわざわざ本社を置こうとする傾向が今まで非常に多かったということが、一極集中のまた原因をもたらしておった。もちろん若い人たちに魅力あるということがその原因でもあったわけでございますが、今後関係省庁とよく連携しながら、例えばテクノポリス等についても、私ども熊本の場合は非常に成功いたしました。頭脳立地、私どもの地方から東京に来て、いる人たちに対し、特別な住宅の、環境をしてさしあげた等々の問題で、地方に帰りやすい、働く場を求めやすい環境をつくった、こういうことは、知事としてやはり一つの大きな成果をおさめられたと思っております。  そういうようなことで、今後、やはり住宅地等、よほどの魅力ある環境整備を集団的に行うことによって、そこに魅力を感ずる、そしてまた、いろいろな魅力ある職場というものを一体的に取り組むことによって、そしてまた、最初申し上げましたそうした情報の問題というようなものをひっくるめてやる。これがまさしく六省庁一体となって、新しい法律の中で地方の活性化を図ろうということでございますから、よほど各省庁の行政の立場にあります皆さん方も決意を新たに、そしてまた、我々主務大臣お互い連携を図りながら、やはり責任ある法律として提案した以上は、地方責任、中央の責任というようなことが、もしなすり合いがあるような結果次第では、なすり合いかないように事前的に十分私は取り組んでいく必要があろうと思っております。     〔北村委員長代理退席、古賀委員長着席〕
  88. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 建設大臣にお聞きをしたいと思います。  国勢調査によれば、人口五十万以上の大都市では人口が増、そして五万人以下の中小市町村では人口が減、こういうことになっていますね。私は、地方は中枢となる都市に活力がないと、その地域全体が沈滞をするというような考え方を持っている次第でございます。そうなりますと、災害に強い都市づくりのために、治水計画の推進であるとか、あるいは道路、空港、港湾あるいは鉄道などの交通アクセスを整備する。さらには、大都市と同様の情報の収集と発信可能な情報通信のインフラが整備されなければならない。あるいは、多様な文化あるいはイベント、こういうものが経験できるような施設、さらには、医療や福祉の充実、それと、表情の異なる独自の歴史や地域産業あるいは文化など、個性を持った町づくり、こういうことが必要な条件になってくるであろうというように思っているわけであります。  さてそこで、本法案の二条一項で、地方拠点都市のイメージはどうだろうかということで考えてみますと、解釈によってどんなところにでも行けるような気が非常にする、そういう向きがございます。私はあえて先ほども、過密過疎というところに重点を置くべきだと言った、そういう立場からいいまして、地方の住民や若者がまさに二十一世紀に夢を持っていけるような具体的なイメージがこの中で浮かんでこないのであります。  そこで私はもう具体的に聞いてみたいと思うのです。  私は兵庫県出身でございます。したがいまして、兵庫県に例をとると、御案内のとおり、瀬戸内海側というのは人口あるいは都市機能も集積をいたしております。他方、中国山脈を越えて日本海岸側になりますと過疎がまさに進行し、格差は歴然としていると言って過言ではございません。その但馬地方というのは入口が約二十一万、十八町と、それに古くから中核都市として人口四万八千の豊岡市が存在をしているのであります。しかし、大都市集中の波の中で、中核都市としての活力が失われ、今では人材供給地域、こういうことになっているのではないかと思います。ちなみに、高校卒の就職希望者が現地に残るのは二〇%台でありますから、あとは全部京阪神に出ていく。もちろん大学に入学される方は別でありますけれども、それくらいの状況になっているわけで、高齢化社会というのがまさに全国平均より二十年早く来る、こういうような地域になっているわけであります。しかし、そういうところで、平成六年に但馬空港の開港であるとか、あるいは但馬の祭典、全国の植樹祭、こういうものが県の努力やあるいは国の御協力もいただきながら計画をされようといたしているところでございます。  そこでお尋ねをしたいのは、豊かな自然の中で産業業務施設配置を行うとか、あるいは環日本海構想で漁業ネットワークや国連開発計画による図們江流域経済圏、こういうことの計画を視野に入れたところの兵庫県の拠点づくり、あるいは個性ある農業と観光のネットワーク、そして私は帰るのに七時間かかりますから、一番遠いところでございますから、陸の孤島じゃないかというふうに言われている地域でございますけれども、交通アクセスと情報通信のネットワークづくり、こういうような自然と高度な都市機能を持つ自立した経済圏あるいは生活圏をつくるということは、この地域について可能であるというように思っているわけであります。  私が聞きたいのは、本法案の第二条の定義に合致するというように思うわけですが、どうだと言われると、いや、それは知事が決めるんだというふうにおっしゃると思いますから、あえてイメージの一つとして指定の対象になり得るのか、このようにお聞きをしたいと思います。
  89. 山崎拓

    山崎国務大臣 委員の郷土愛に燃えた御質問がございまして、それに何と申しますか、委員の情熱におこたえをしたい、そういう気持ちでございますけれども、まず具体的な地点をお挙げになっての御質問は、まだお答えする段階に、正直申して、入っていないのでございます。  ただ、概括的に申し上げますと、先ほど来委員の御質問をずっと承っておりましたが、実は私も日本海国土軸の推進議員連盟のメンバーの一人になっておるのでございます。国勢調査のことをお挙げになりましたが、国勢調査で人口が十八道県で減っておるのでございますけれども、その多くが実は日本海側に位置しているということも事実でございまして、そういった見地から申しますと、この法案も日本海側に面する各県各拠点都市地域整備一つの大きな課題になるだろう、かように考える次第でございます。  そして、日本海国土軸構想を進めるにおきまして、環日本海の開発構想と申しますか、国際的な開発構想を重視すべきであるとお話しになりましたが、それは、これから拠点都市地域を選んでいく上に当たりまして一つポイントになるのではないか、かように考えるのでございます。  それから、拠点都市地域基本方針の中でどういったところにするかということが決まってまいると思いますが、幾つかポイントがございまして、例えば一つは、その当該県の中で現在県庁所在地に人口が集中しておるという事態がございましたときに、その一極集中を改める意味で均衡ある県内の開発発展を図っていこうということがございます。  それからもう一つは、拠点都市地域整備してまいるということは、そこにある程度の集積が既に存在するということも必要でございまして、全くの白地地域と申しますか、これは都市計画法上の言葉ではなくてイメージで申し上げているわけでございますが、何もないところに今から新しい都市をつくるということではございませんで、一定の集積が既にそこに存在しておりまして、ある程度の集中的な、重点的な整備を行えば、県庁所在地の持っているような高次都市機能を新しい地域が備えることができるということが、もう一つの条件であろうかと思うのでございます。そして、さらに重点整備をしていけば、地方成長の牽引力となり得る可能性を持っている、あるいは地方定住、人口定住の拠点となり得る、開発の拠点となり得る、いわばそういう条件を持っておるということが必要でございまして、それらの観点から県知事が十分検討されまして、市町村とも協議し、あるいは国とも協議をしていただきまして、指定をするということになろうかと思うのでございます。  豊岡市並びにその周辺地域拠点都市地域として指定されるかどうかということは、先生みずからがおっしゃったように、これは県知事さんがそうお考えになるかどうかというところに尽きるのでございますが、空港が新しく開港になるといったようなことは、豊岡市にとりましても将来に大変明るい要素ではないかと考えておりまして、その御発展先生の力で大いに図っていかれますことをお祈りいたしまして、答弁にかえさせていただく次第でございます。
  90. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 建設大臣から大変的を射たといいますか、そういうお話をいただいたところでございますけれども、何かそう言われますと少し言いたくなりますので、今申し上げますように、兵庫県で言えば瀬戸内の方、例えば姫路だとか加古川、これも有力な候補地ということになろうかと思います。しかし、その地域というのは、今後この措定をする、しないにかかわらず、都市集積可能な地域であります。むしろ、今申し上げますように、豊岡市というのは小さいですけれども、かつては豊岡県が形成されたことがあるわけで、その地域のまさに中核であります。そういう立場からすれば、十分ではないかもしれないけれども、今回の法案一つのモデルに——モデルと言ったら語弊がありますから取り消しておきますが、イメージと合致できる可能性は十分あるのではないかというように自分で思っておりまして、お聞きした次第でございます。ぜひひとつ、私の方でお言葉に甘えまして建設大臣にもお願いに上がりましたら、早急にひとつ御指定方、深い御理解をいただきますように、心からお願いを申し上げておきたい、このように思っております。  続きまして、自治大臣にお尋ねをしたいと思います。  三十年前から新産業都市建設や最近のリゾート法に見られる発想、これは言うなれば、中央で指定をして都道府県や市町村、こっちの方にトップダウン方式ということになろうかと思います。そういう手法であったと思いますが、画一的になりがちで地域の実情にそぐわない部分もあったりして、実効というものがなかなか伴わないという現実もあったのではないかと思います。  そこで、今回、私自身も地方自主性というものを最大限に尊重することが大切だ、このように思っているわけでございますが、本法案というのは、広域行政や一部事務組合に特例を認めたり、財源的にも地方の単独事業への起債を認め、償還は交付税で支援をする、さらに地域指定等は、今もお話がございましたように、知事の方が指定をするというようなことで一定権限を移譲される、こういうようなことが起こっているわけでございます。  そこで、私自身は、今申し上げましたように、この地方に権限と自主性というものを広く認める姿勢について、大変前進だというように思っているわけでございます。ところが、十分ひもといてみますと、やはり主要な支援内容、こういうことでいきますと、ひもつき補助金で縛る政府の縦割り行政から脱していないというようにも思うわけであります。  そこで、私は端的にお尋ねしたいと思いますが、地方分権の立場から、市町村合併を含む行財政基盤の強化を図る考えというのは必要ではないだろうかと、ふと思いますけれども、その点について、自治大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  91. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 合併の機運が整うてまいりましたならば、それは自治省といたしまして支援いたします。現に、合併の法律も現在施行中でございますので、あらゆる手段を通じて支援し得ると思っております。がしかし、あくまでも地方公共団体は自治権を持っておりますので、その自治を侵すというようなことは我々もやりたくない、もちろんやってはならぬと思っておりますので、したがって、各地方自治体が十分な協議をされまして、意思を住民の意思としてまとめていただくことを期待しておるところであります。
  92. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 自治大臣のおっしゃるとおりでございまして、無理やり合併とかということを進めますと大変な問題になりますけれども、真剣にこれを推し進めていく、お互いが協調し、お互いが話し合い、そしてお互い地方の特色をつくり上げていくというような周辺協力がなければできない。本法律でも言っておられますように、広域行政の推進だとか、一部事務組合の特例をつくっていくだとか、いわばお互いが協調しやすい、あるいは計画を立てやすいという環境をおつくりになっているのは事実でございますから、そういうことの中で住民の皆さんやそれぞれの自治体の皆さんが自発的に一つの市でくくっていこうやとか、そういうことが発生した場合のことを、今私が申し上げた主張というのは想定をしておるわけでございまして、そういう意味ではどうでしょうか。
  93. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 そういうことに対応するためには、法律の中にも書いてございますが、一部事務組合で対応するとか、あるいは事業によりましては関係市町村協議会をつくって執行するとかいうことになろうと思います。  私は、計画段階でやはり一部事務組合をつくることが当然であろう、法もこれを奨励しておりますし。ということは、それによりまして、これもいわば特殊でございますけれども、地方公共団体として位置づけられてまいりますので、要するに財政的な措置というものが格段に、明確にとり得ることになりますし、それなりの権限も、調整権限というものが出てまいります。それと、県との間もうまくいくと思うのであります。県も場合によりましては一部事務組合に参加するであろう。そういたしますと、県の職員の派遣であるとかあるいは県費負担というものも、その組合の財政基盤を強めることにもなりますから、それによって地域指定されました拠点都市地域整備というものは進んでいく、こういうぐあいに私たちも期待しております。
  94. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 自治大臣がおっしゃいますように、私自身は今のいわゆる行政の機構のあり方について、現状が全くすばらしいというふうに思っていないわけであります。もう少し地域の、いわゆる自治体の方にあるいは財源的な力を与えていくということの方が望ましいというように思っているわけで、あえてそういう質問をさせていただいたわけでございます。どうかそういう意味でお受け取りいただいておきたいと思います。  さて、私は逓信委員会に所属いたしておりますから、以下郵政大臣にお聞きをしたいと思います。  郵政省は、本法案に参画することにより、地方拠点都市地域整備等を通じた東京一極集中是正及び地方振興のためにどのような役割を果たしていかれるのか、お聞きをしたいと思います。
  95. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答えを申し上げますが、産業、国民生活などのあらゆる分野における情報通信の役割というのは、私先ほども申し述べましたが、非常に増大してきている。ある意味では、情報通信施設が不可欠な今日の生活、あるいは産業、文化、教育、あらゆる面に及んでいるのではないかと思います。当該地域におきまして情報通信基盤の整備を推進をすることが、そういう意味において非常に重要だと郵政省として強く大きく認識をして実は参画いたしたというのが、一点であります。  この拠点都市地域の電気通信の高度化を促進することによって、第二点目は、先ほど来お話が出ているいわゆる一極集中を是正していく、そのために地方振興を図るということ、そして当該地域における環境整備促進していくことによってこの法案の持っている目的を発揚していきたい、関係省庁と大いにいろいろな政策の協調あるいはまた協力をし合いながらメリットを生かしてまいりたいと思っておりまして、電気通信の高度化のための施策に加えて、既存のさまざまな地域情報化施策も、これまでのいろいろな政策を活用しながら地方拠点地域整備を推進していきたい。非常に責任と使命に燃えて参画をいたしているということでございます。よろしくお願いをいたします。
  96. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 郵政省が本法案に盛り込んでいる措置というのは四十三条に示されておりますが、具体的には、衛星の打ち上げ、いわゆる通信・放送機構に関する業務とそして利便性を高めるということで、テレビ会議等が可能な共同利用施設、これを行う第三セクター等事業者に対して通信・放送機構から出資をする、このようにされているわけであります。また、十条でうたわれている国の努力義務、こういうものを達成するには、NTT等の民間に要請をするか、郵政省として既存施設の活用、さらに新たな施策への取り組み、こういうことになろうかと思います。私は、そういう意味では本法案に盛られているだけでは不十分である、そういう立場から、一層の制度の拡充と予算の獲得といいましょうか、そういうことが求められるというふうに思うわけですが、どのようにお考えでございましょうか。
  97. 白井太

    ○白井(太)政府委員 私どもが今般御審議をいただいておりますこの法案に参画をさせていただくことになりました契機でございますが、この二、三年来、私どもとしては情報通信手段を用いて町づくりをするということについてどういうやり方がいいだろうかということを勉強してまいったわけでありますが、そうした勉強結果も踏まえまして、昨年の段階で来年度予算としていろいろな要求をさせていただきました。その結果が、結論から申し上げますと、今回の法律案に盛り込ませていただいているような内容のものになったわけでございます。  したがいまして、先生がただいま御指摘になりましたように、具体的には四十三条等に書かれておりますように拠点地域におい中核施設整備してこの施設を共同で利用することによって地方の情報通信関係の機能のアップを図ろうということでございます。  しかし、そのほかにも、これからの町づくりといいますか、あるいは地域づくりのためには情報通信というものを抜きにして考えることができないだろう。特にこれから高度情報化社会というような時代を迎えるということになりますと、情報通信というものを抜きにして都市づくり、町づくりあるいは地方振興というのを図ることはできないということから、国としてもそういうことを十分に念頭に置いて積極的に取り組むべきだというような、いわば努力規定ではありますけれども、そうした国の立場というのをこの法律の中ではっきりさせていただいたということではないかと考えております。
  98. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今説明で聞いておりますと、情報通信というものがやはり都市機能の集積の中で非常に重要だという認識から、この法律案作成に当たって郵政省も参画をした、こういう内容であろうかと思うわけでございますが、私は今申し上げておりますのは、言ってみれば、名前だけ出したのかというふうにさえ思うわけであります。情報通信の重要さという認識というものは今非常にわかっていらっしゃるというふうに言いながら、国政の場においてはまだ片隅に追いやられているのかという気さえ私は思うというようなところがあるわけでございます。  したがって、今申し上げますように、郵政省の立場で今後拠点都市ということになれば、その地域の情報通信が、仮にISDN化等がなされておれば別ですけれども、そうでなければ、新たなツールからつくっていかなきゃならぬ。そしてそこに情報通信の集積をつくっていかないと、とてもじゃないが、産業業務施設東京やあるいは大阪、神戸等の大都市から迎えるというようなことにならない、このように思っております。  そういう立場からいえば、この法律だけでは、確かに文言は十条に書いてあるけれども、その中身というのは一体どうかということが問われてくる、こういうように思いまして、新たな制度なり、そしてまた新たな財源措置なりというものが必要になりはしないかということでお尋ねしておりますので、ひとつその点について積極的なお答えをいただけるならいただきたいと思います。
  99. 白井太

    ○白井(太)政府委員 先ほどの吉岡先生のお言葉に関連するわけでございますが、せっかくこの法律を通していただくということができましたならば、まさに法律をつくるということが、結果として仏つくって魂入れずというようなことにならないように、この法律の条文を十分念頭に置きまして、その精神が本当に具体的に生かされるようなことを私どもとしては積極的に考えてまいりたいと思っております。
  100. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 積極的にやるということだけれども、具体的な問題が出てこないので、あえてまた問わしていただきますけれども、地方拠点都市地域を初め地方の情報化を進めていくには、移動体、この移動体通信、こういうものの不感地域が解消されるということが一つの条件でありましょう。それから、先ほど言いましたように、大都市圏との通信格差を是正していく、こういう視点も必要であります。とりわけ、高度情報化の基盤となるISDN、いわゆる総合ディジタル通信網、こういうことを持った情報通信のインフラ、この整備が欠かせない、このように思っているところでございます。  現状では、情報通信基盤の整備というのは、御案内のとおりNTTの民営化を初めとして自由化がなされたわけで、民間にすべてゆだねていくような方向になっているわけであります。したがいまして、私は、民間活力に期待するということだけでなくて、国として公共投資的な発想に立って積極的な対策を講ずる考えはないのか、お尋ねをしたいと思います。
  101. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 まず最初に、先ほどの局長答弁に補足をいたします。  既存の、私、前段申し上げましたように、郵政省として施策を行っておりますことを加味しながら、この拠点法に有効にそれが生かされていくように織り込んで施策の実施を図っていかなきゃならぬということが一つだと思うのです。今ほどのお話にもございましたが、ISDNが設備されていない、その地域においては、まさにそこから始まっていかなきゃいかぬということになるわけでありますけれども、しかし、それでは時間もかかり、あるいは予算もかかる。したがって、いわゆる第二都市、第三都市と言われる県内においてのそれらの地域、あるいはテレトピア等の指定されている、テレポートの地域指定されている、そういったところが、まずは各省庁の所管大臣を初めそれぞれ政府委員の皆さんにも理解をいただいて、そこに適応性と、そして将来の期待される可能性の実現を探っていくということではないかなと私思っておりまして、先ほどの先生の御指摘を踏まえて、まずはしっかりと政策実現に向けて努力をしたいということが第一点、先ほどの答弁の補足とさせていただきたいと思います。  今ほどの御質問でございますが、先ほど来私申し上げておりますように、情報というのが極めて大きな時代になってきた。情報通信基盤の整備に当たって、民間事業者のみでなくて採算性の確保が非常に困難になっている、そういう地域においては公共投資による整備を図らなきゃいかぬ、これはもう当然のことでございまして、民活法とかそういうことだけで足りておらない、言うならば一極集中という現状を排除するのには、もう喫緊の課題として取り組まなきゃならぬというのが今度の法律趣旨だと思いますので、それには我々としては、公共投資というものに対する予算確保、これをぜひひとつ積極的に図って努力をいたしてまいりたい。自動車電話の移動通信サービスなど、どこでもだれでもが使用できる、そういったことを施策の公共投資によって実施をいたしてまいりたいと思っておりますし、あるいはまた電気通信基盤充実臨時措置法による新世代通信網の構築、これらについても、この機会にこれとマッチさせながら積極的に努力をいたしてまいりたい。  最後に私は、特にこの公共投資の予算の面につきまして、今年度は、ここでひとつ御審議いただいて、この法案が通過をさせていただきまして、今年度予算案は既に通過していることでもございますので、ぜひことしは、まずは初年度の年として来年度に向けてこの公共投資の予算確保に対して私は一層の充実に努めるべく、概算要求からひとつ積極的な対応をいたしてまいりたいと思いますので、よろしくひとつ御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。
  102. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 指定地域を初めとする地域の魅力ある町づくりや産業業務施設移転を進めるには、東京からの情報が収集でき、地方から自主的な情報発信ができることが必須条件となります。高度情報通信ネットワークの整備とあわせ、そういう意味ではソフト面も非常に重要だ、このように思うわけでございます。地域の情報発信機能についてどのように郵政省としてお取り組みになるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  103. 白井太

    ○白井(太)政府委員 先ほど来大臣もお答えをさせていただきました新しい通信網の整備は、どちらかというとハードの面の整備でありますけれども、ハードの面での整備が進むと同時に、実際に情報を送ったり、あるいはその情報の中身が利用される皆さんに非常に喜んでいただけるようなものになっていくということが非常に大事なことでございまして、そのハードとソフトの両面が相まって整備されていくということが大変重要なことであるというのは、私どもも痛切に感じておる、ところでございます。  私どもとしてただいま具体的にどんなことをやっておるかということを一つ、二つ申し上げさせていただきますと、一つは、地方におきましてだんだんと情報通信関係の仕事をする、そういう仕事に携わる方々の人材が不足しているということが大変大きな問題になっておるようでございます。地方公共団体等の団体を初め一般の民間の企業等におきましても、それぞれの企業活動等がだんだんと情報化されてまいりますと、そうしたものを扱う人が必要になってくるわけでありまして、これが不足するという事態が出てきておるわけでございます。  そんなことを念頭に置きまして、昨年基盤整備法というような法律も通していただきまして、やっとそうした人材育成をするための、いわば研修センターのようなものをつくるというところが出てまいりまして、もう既に建築工事等にかかっておりまして、一年後には学校としてオープンできるというようなめどが立っておりますが、そうした面での人材の養成が一つは大変重要でございます。  それから、この人材の養成の中身の一つでもありますが、特にCATVを通じての番組を流すというようなことが現実の場では大変多くなってまいりましたので、そうした番組をつくるようなノウハウを持った人を育てるということも大変重要になってきております。さらに、番組づくりそのものもなかなか難しいようでございまして、この面につきましては、ついこの間、今国会で法律案も成立させていただいておりますので、このような法律を十分生かして、ただいま先生の御指摘もありましたような、ソフトの面でのいろいろな充実を図ることによりまして、積極的に情報が、東京からだけの一方通行ではなくて、地方からもどんどん別の地方へ、あるいは東京へと流れるようにしていきたいと考えておるところでございます。
  104. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今情報通信のインフラ整備の重要さというものを郵政省の方でも十分認識されて今後努力をする、それはまた、ソフトの面についてもそうだというようなお話を承ったところでございます。  そこで、国土庁に、長官にお尋ねしたいと思います。  近年における我が国の経済、社会の情報化の急速な進展にかんがみれば、国土の均衡ある発展を図るために情報通信の果たす役割というのは非常に重要なものだということで、認識は一致していると思うのですが、国土政策の立場から、情報通信基盤の整備についてどのようにお考えなのか。  これは、あえて私は申し上げますけれども、ISDNの普及というのは、国営のフランスは一〇〇%、ドイツも一〇〇%なんです。日本はといいますと、ともに一九九〇年の統計でございますけれども、七六%なんです。それからアメリカでは、御案内のとおり、分割しました、そういうことのロスの中で、いわゆるISDN化は〇・五%という実情なんです。したがって、私は、民間にゆだねるということを続けていくことによって、日本の情報通信基盤というものが今後低下をしていく、こういう可能性もあると思っているわけです。  といいますのは、例えばNTTが会社法に基づいて公共性というふうに言っておりますけれども、その経営があるという状況の中で大変な問題を起こす可能性があるわけです。言うなれば、設備投資ができない、さらには、世界に冠たる研究所のその研究費が捻出できないという実情さえ生まれてくる可能性を持っているわけで、あえて、日本の国土全体をどうお考えになるのか、お聞かせをいただいておきたいわけであります。
  105. 田中章介

    田中(章)政府委員 お答えいたします。  四全総の目標でございます多極分散国土の形成、これを図るために、四全総の構想としまして交流ネットワーク構想というのを打ち出しております。これは交通だけではなく、御指摘のように、情報、特にそういう点の交流が重要であるわけでございます。そういう中にありまして、諸機能を地方分散したり、あるいは地域発展を促すということで、高度の情報通信体系の全国的な展開、これは先生御指摘のISDN、要するに短時間で大量の情報を送付できる、そういったディジタル化が重要であるわけでございます。  その具体的なインフラ整備の仕方としては、NTT、KDDを初めとする民間部門が中心に推進されているわけでございますが、そのほかにも、郵政省では、電気通信格差是正事業として、公共投資としてもそれを重視して行っている、こういう状況だと思います。
  106. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 国土全体のことでございますから、今後十分検討いただきたいというようにあえて申し上げておきます。  最後になりますが、大蔵省にお尋ねをしたいと思います。  今まで電気通信のことについて、この拠点都市整備関係とあわせてインフラ整備が重要というように言ってまいりました。NTTの、あるいはNCCそのほかの民間にゆだねても限界があるということを、先ほど申し上げてきたところでございます。技術的な分野では問題はないけれども、先ほど申し上げますように、経営的な面で行き詰まっていくということになると、研究費や設備投資、こういうものが限界に来る。既にNTTは、総括原価主義ということの中で、現料全体系下ではNCCのシェアの拡大等により深刻な事態を迎えている。高度情報化社会の到来の中で、情報通信インフラ整備について真剣に考えていただかなければならない現実が来ていると思うのでございます。  さてそこで、郵政省がどのように大蔵省と折衝されてきたのかわかりませんが、平成四年の郵政省の予算を見てみますと、一般会計で約三百二十二億、そのうちに宇宙通信の関係が七億、あるいは宇宙通信技術の研究等が二億、こういうようなことで、比較的少ない。加えて、産業の設備投資、いわゆる産特会計ですね、この関係で言いますと、通信・放送機構への出資が二十三億であったり、あるいは格差是正法の関係で二十億ぐらいがあるという実情で、残りは、要するにNTT株の売却収入の無利子貸し付け、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプとある、そのCタイプの中の七百億、その内数で百億ぐらいが使われている程度だ。先ほども郵政大臣の方からもお話がございましたが、これからインフラ整備については限界が来ることをやはり想定をし、それに沿った予算要求というのが出てきた場合に、大蔵省としてどのようにお考えになるのか、お聞かせをいただきたい、こう思うわけであります。
  107. 田波耕治

    ○田波政府委員 電気通信の分野におきましては、先ほど来季巨の方からいろいろお話がございましたような社会経済情勢を踏まえまして、そのときどきにおいていろいろな施策の重要性を勘案しながら適切に対処してきたつもりでございます。  先ほど三百二十三億というお話がございましたけれども、これも前年度に対して一〇・三%の増、その前年度も一〇・四%の増ということでございまして、私どもといたしましては、厳しい財政事情の中で予算の確保に努めているつもりでございます。なかんずく、その中の物件費におきましては、昨年度におきましては一七・三%という、ほかの予算に比べますと非常に高い伸び率を確保しておるところでございます。御指摘の点につきましても、この法案に盛り込まれておられますところのいろいろな支援措置とともに、既存の情報通信インフラに関するいろいろな支援措置と効果的に合わせることによりまして、情報通信基盤の整備が図られるものと考えております。  なお、今後の施策の拡充につきましては、郵政省からの御要求がございますれば、それを踏まえまして、他の施策との整合性ある、いは財政状況等を勘案しながら、真剣に検討をしていくつもりでございます。
  108. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 考えるということでございますから、期待をしていきたいと思います。  ただ、私はあえて申し上げておきたいと思うのです。ともすると、財源がない、こういうことになってくる可能性がございます。したがって、NTT株、この売却益が十兆円ほどありましたね。先ほども申し上げますように、国債を返還する、こういうことでございますけれども、NTT株の関係でAタイプ、Bタイプ、Cタイプということの中で、いわば公共事業の促進、そういうことを含めて国の財政を潤してきたのは事実であります。ところが、NTT株はまだ残っておりますね。今後売却されるという可能性があるわけでありますから、可能性でなしに売らなければならぬわけでありますから、そういう状況から考えて、とりわけ情報通信のインフラ整備ということに力を注いでいただくということで予算が組まれることがあってもいいのではないか、このように考えるところでございますけれども、一言答弁をいただきたいと思います。
  109. 田波耕治

    ○田波政府委員 NTT株式の売却益につきましては、委員先ほどおっしゃいましたように、国民共通の貴重な財産であるということで、国民共通の負債であるところの国債の償還に充てるということが、制度的に確立をされておるところでございます。ただ、当面、毎年度の国債整理基金の円滑な運営に支障が生じない範囲内におきまして、株式売り払い収入の一部を活用して社会資本の整備促進を図ることとしているという点についても、御承知のとおりでございます。情報通信の分野におきましても各種の施設整備事業が無利子融資の対象とされておりまして、この売却益が情報通信基盤の整備に活用されているところでございます。  しかしながら、四年度予算におきましては、非常に厳しい財政状況にかんがみまして、いわば緊急避難的な措置といたしまして、NTT事業に建設公債で調達をした、いわば利子がつくお金を一般財源として充当をしているところでございまして、現在のNTT株式をめぐる市場の環境等を考慮いたしますと、この制度を新たに拡大していくということについては、非常に難しい点が多いというふうに考えておるところでございます。
  110. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 要するに、地方拠点都市、こういうものを指定をし、その地域の情報通信基盤を充実をさせていくということを真剣に考えていくとするなら、その地域の設備状況をNTTならNTTがやるということになるなら別でございますけれども、業績悪化等を含めて資金投資ができないという状況が生まれたときには、どうなるのか。そういうときには、やはり郵政省なら郵政省の要望あるいは総合的に調整をなさった要望に基づいて、大蔵省は予算を組んでいくということになるでしょう。ですから、その点については、新しい制度をどうのこうのということで聞いているわけじゃないので、本法案を推進していく立場からも、そういう現実が生まれてくるのは明らかであります。したがいまして、その点についてお聞きしているのであって、平成四年の予算についてどうこうということで今申し上げているときではないので、大蔵省の再度の御見解をお尋ねしたいと思います。
  111. 田波耕治

    ○田波政府委員 国といたしまして、電気通信が国民生活やあるいはその他の社会活動に果たす役割が非常に大きい、あるいは電気通信事業の公共性等にかんがみまして、いろいろな、例えば電気通信網の高度化に対して税制の優遇をするとか、あるいは財政投融資等の各種の支援措置を講ずるとか、そういうことを含めましていろいろな措置を促進しているというところでございまして、さらに地方の、特に民間の事業者だけでは採算性の確保が困難であるというような地域につきましては、公的資金を投入しているというところでございます。そういうような観点におきまして、平成三年度からの電気通信格差是正事業も実施しているというようなことを含めまして、その量的、質的拡充につきましては、将来のニーズとか、あるいは社会情勢の変化等を見ながら、郵政省と御相談の上、的確に対応していきたいというふうに考えております。
  112. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 これが最後になりますが、今言われましたように、格差是正法に基づく関係とか、あるいは基盤整備法に基づく関係とかで一定の予算が組まれ、そして事業が進められているというのが実情であります。また、郵政省にとりましても、テレトピア等の問題について百数億の出資をなさっているのは事実でございます。  しかし、今私が申し上げているのは、地域の拠点ということを本当に考えていくということになったら、東京や大都市に対応し得る電気通信施設が必要なわけでありますから、そうなりますと、それに対応する資金というのは、二十億や三十億や、そんなことでは済みませんよと、あえて言わしていただいておるわけです。ぜひそういう点について深い御理解をいただきながら、本法律案が本当に皆さんの御努力で法律となり、そして実効あるものにしていただきますように心からお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  113. 古賀誠

    古賀委員長 午後一時五十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十七分休憩     午後一時五十二分開議
  114. 古賀誠

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中沢健次君。
  115. 中沢健次

    ○中沢委員 社会党の中沢でございます。地方行政委員会に所属をしている者でございまして、今まで、昨日から今日午前中かけまして社会党の同僚議員、それぞれ手をかえ品をかえ、いろいろ質問をしてまいりました。正直言いまして、私としては新しい指摘もしたいところで、いろいろ勉強したのでありますけれども、余りございません。一しかし、重要な法案でございますので、確認の意味で、あるいは私は北海道の四区で炭鉱の町の夕張の出身でもありますから、そういう立場でこの法律案につきまして、少しく角度を変えまして質問を申し上げたいと思います。  その前に、建設委員会理事の皆さんと委員の皆さんに、二日間の連合審査、準備その他で大変御苦労をいただきまして、そちらに座っていらっしゃる古賀委員長を初め建設委員会の党派を超えた理事委員の皆さん、そして関係大臣に改めて敬意を表しておきたいと思います。ありがとうございます。  さて最初に、やや総括的な質問をしたいと思います。  今までいろいろ議論がありましたけれども、今度の法律というのは、従来さまざまな地域開発立法がありました。例えば建設省所管、通産省所管、あるいは今回のように関係省庁が共同して所管をする、こういうさまざまな地域開発立法がありまして、時間がありませんから一々総括は申し上げませんが、いずれにしてもいろいろ問題を残して今日まだ存在している、これが実態だと思うのであります。そのことを前提にいたしまして、総論として、きょうお見えの四大臣に、簡単で結構でありますから、これから私が申し上げるような内容、認識について共通の理解をされるかどうか、ここのところをまずお尋ねを申し上げたいと思います。  私なりに整理をいたしますと、今度の法案というのは、かねがね議論がありましたように、やはり一極集中はまずい、国土形成というのは多極分散型でやるべきだという国家の大方針がある。それに基づいて、今までの幾つかの法案の反省も込めて、新しい時代にマッチをした、建設大臣おっしゃいました九〇年代の目玉法案だ、私もそうだと思います。この認識は、恐らくそちらに座っていらっしゃる四大臣と私の認識は違わないと思うのでありますが、これから申し上げるような内容についてどうか、確かめたいと思います。  したがって、そういう大目標に向かって、その目標を達成する手段として、建設省はこの際、インフラの整備を含めて公共事業、公共投資を中心に、ひとつ国が積極的に責任を果たしたい、手段としてはそのように、今まではどちらかというと民活だとか、あるいは場合によってはかなり集中した拠点を設定しておりましたけれども、相当程度決意をされて、手段として建設大臣は思っておられるのではないかと思いますが、それについてどうかということが一つ。  関係しますから、四つまとめて申し上げますが、もう一つは通産大臣、昨年のたしか予算の概算要求の時期に、私は北海道の関係の国会議員団と一緒に大臣のところにお伺いをして、その際、立地一公害局長もお見えでありましたが、オフィスアルカディアという構想が、お話がございました。私ども、北海道としてはあれはぜひひとつ新年度予算あるいは制度として実現をしてもらいたい、北海道に限らず、恐らく党派を超えて全国の政治家たる者が望んでいるのではないか、こういうお話をした記憶があるわけでございます。今回のこの法案の中にあの構想が全部集約をされたというふうに聞いておりますのであればあるほど、やはり建設省はインフラ整備の公共投資ということで責任を持とう。通産省としては別な角度から、工場移転ということはもう既に立法化されておりますから、残された事務所を中心にしたいわゆる業務施設東京からの移転、こういうことを積極的に考える。私は、それはそれで結構だと思うのでありますが、そういう手段として通産省としても腰を据えてやる、こういう決意だと思いますが、それについて私と同じような共通認識に立たれるのかどうか。  そして、ふだん地方行政委員会で毎回のようにお手合わせをいただいております塩川自治大臣にお尋ねをしたいと思います。自治省も、今までの開発立法あるいは地域振興立法にはいろいろ立場を変え、やや距離があったりうんと接近をしてやったことがあると思いますが、今度の場合は特徴的に、地方としても地方拠点都市についての、例えば単独事業について、自治省は今まで以上に積極的な責任を果たす、こういう内容になっている。同時に、この法律目的達成のためには、新しい手法として、言葉だけではなしに地方の時代にふさわしい、言葉をかえて言えば地方自主性の尊重、幾つか具体的に出されている。私はやはり地方行政委員会に所属をしている一人でもありますので、そのことはひとつ積極的に評価をしたい、そのことについて共通認識に立てるかどうか。  最後に、国土庁長官にお尋ねをしたいと思います。調整省庁としてコーディネーター役に徹したい、おっしゃるとおりだと思いますね。しかし、例えば後でも申し上げますが、多極法のようなときに、本当に調整役として、コーディネーター役として機能というか役割を十分発揮したとは私は思わないのです。いろいろ言い分はあると思います。しかし、今度の法案は非常に大事な法案でありますから、文字どおり関係省庁のコーディネーター役としてしっかり、言葉としては余り適切でないかもしれませんが、腰をしっかり入れて、本腰を据えて頑張っていただきたい。そういう決意について共通認識に立つか。  以上四つ申し上げました。簡単で結構でございます。決意のほどをお聞かせいただきたい。
  116. 山崎拓

    山崎国務大臣 昭和六十二年に四全総ができまして、四全総は多極分散国土の形成を目指すものでございます。私どもこのたび提案をいたしました法案は、まさに多極分散国土の形成に必ず資するものと確信をいたしておるところでございます。  公共事業との関係をお聞きになったのでございますが、御案内のとおり一九九〇年代は公共投資基本計画がございます。四百三十兆円の投資が国際公約として予定をされているところでございます。日米構造協議から出来いたしました国際公約でありますだけに、内需振興という目標もございますし、また宮澤政権といたしましては生活大国づくりという目標もございますが、多極分散国土の形成に何よりも増して重点を置きまして公共投資が進められるべきものと考えておるのでございます。  国の公共投資の約七割を分担いたしております建設省といたしましては、その執行に当たりまして、多極分散国土の形成にお役に立つ形でやってまいりたい。つまり、本法案が目指しております地方拠点都市地域整備についても重点的に公共事業を行ってまいりたい、かように考えているところでございます。
  117. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 先生と私の考え、共通の認識に立っております。  私は東北であり、先生は北海道ですけれども、戦後の我々が歩んできた道を振り返ると、人間の求めるニーズに豊かさと便利さがあるわけですけれども、まず便利さということで、京浜葉工業地帯に人口、経済、情報、富が集中してまいりました。日本は世界の中で豊かになったと思って、気がついたときには一極集中の弊害が過疎と過密という問題を引き起こしてしまった。その反省に立って、農村に工業を導入する法律とかあるいはその後新産都市あるいはテクノポリス、いろいろやってきたわけでありますけれども、今度は気がついてみたら京浜葉の中の東京東京の中のまた二十三区内に産業のオフィスが集中してくる。  業務機能、いろいろの説がありますけれども、このまま放置しておれば一年間に霞が関ビル三十本ずつ十年間、この二十三区内に建てなければオフィス需要に応じられない、このままそんなことでいいのかと言えば、これはだれもがそんなことであってはならない、こう言うに違いありません。思い切って産業の分野では本社機能をも含めた業務機能を地方分散することによって国土の均衡ある発展を図りたい、これが私どもの今この法案にかかっておる基本的な考え方でありますが、同時に、それにはやはり受け皿がなければなりませんから、きょうここに建設大臣自治大臣国土庁長官いらっしゃいますけれども、東京から分散していく業務機能、産業界の人たちが、ここに来てよかった、北海道の夕張に来てよかった、こう言ってくれるような各種の自治団体で受け皿をつくっていただく。それには道路の問題もありましょうし、情報産業の問題もありましょうし、いずれにしても先生と同じ考え方で国土の均衡ある発展を図っていきたいという哲学の中から、今回の法律も御審議をお願いしておるわけでございます。
  118. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は(この法案は従来とは違って画期的な趣向が凝らされておると思っておりまして、それをいかに生かしていくかということが大事だと思っております。  まず我々が期待しておりますのは、直ちにこれで一部事務組合が結成されるわけでございまして、この一部事務組合ができるということは、要するに県も参加しやすくなりますしいたしますので、非常に有機的な多重層のいわば自治体ができるという、そういう認識に立っております。したがいまして、財政的にいたしましても、従来の市町村、いわゆる公共団体に対しますところの財政措置とこれとは違うんだよという言い方が言いやすいわけでございますので、特に交付税の基準財政需要額の算定の際に、この分についての特別な事情を加味した算定基準というものをとれると思っておりまして、その点において我々はやりやすいなという感じがしております。  それと同時に、一部事務組合を含めまして指定されていない周辺地域、一緒におくれないように開発を進めたいと思っておりますので、そういう間においては協議会を積極的につくっていきたい。これの組み合わせによって、そういう今まで余り日に当たらなかったような地域というものをこの際に一応又ポットを当てて進展させていきたい、こう言うております。  そこで大事なことは、先ほども建設大臣から、あるいは通産大臣からお話ございましたように、それぞれの省庁でやっていただけることはそれなりに私は大いに期待いたしておりますし、それなりの目的を持っておやりになっていただけると思っておりますが、しかし都市でございます以上は、ただ業務施設だけが都市ではございませんし、そこには当然生活の場としての都市であり、あるいはまた文化教養の町、特に遊というものを今度非常に童く見ておりますので、そういうものを支えていかなければならぬ。こういうものが複合されてくるわけでございますので、私はそういうソフトの関係の事業というものに対して、格別の単独事業を組み込んでいってもいいのではないか、こう言うております。  そういうことを組み合わせることによって、人間の住む都市として、あるいはまた適当に遊びのある町としてのそういう特徴を持たせていけると思いまして、いずれにいたしましても、この法案の一刻も早い実施を期待しておるというところでございます。
  119. 東家嘉幸

    東家国務大臣 四全総の基本理念に沿って、今日まで国土の均衡ある発展地方の活性化に取り組んでまいりましたけれども、やはり今日の社会の発展、その中には急速な国際化、そして日本経済の大きな発展の中に、人も企業もそれぞれ東京に魅力を感じ、その集中が一極化してしまったというようなことで今日の事態に至ったわけでございますが、いろいろな諸施策は一定の役割評価は行われたと私は思っております。  しかし、現実的には十八県にも及ぶ人口減少県があるという否めない事実、これにどう対処するかということは、過去の各省庁が取り組んでまいりましたことの諸策はやはり一体となって取り組んでいく、そのことが地方の活性化に大なる貢献をいたすということからの発想、すなわち今回そういう六省庁関係協力省庁も含めて一つの土台ができたわけでございます。その土台は、やはり行政のそれぞれの皆さん方もこれは一体となって取り組むべきだという認識の中に、その土台ができたと思っています。  そしてまた、そこに今基本的な法律という構造用材をやっと組み立てるところまで来た。今日審議いただいておる、これから屋根をふき内装をし庭づくりをするとかいうような、具体的なこれからの問題が運用面でもあろうかと思いますから、私ども国土庁といたしましては、やはり国土の均衡ある発展のための役割というものを各省庁の皆さんとよく協議しながら、一体的推進が図れるように取り組んでいく所存でございます。
  120. 中沢健次

    ○中沢委員 今、四大臣からそれぞれお答えをいただきました。四大臣とも総理大臣に匹敵をする実力を持っていらっしゃるわけでございますから、そのことをしっかり私は受けとめて、今度の法案こそ今までの反省も含めて、仏をつくって魂を入れずというそしりが絶対出ないように、我々国会の方も十分注目をし点検をし、場合によっては監視をしたいと思いますので、ひとつ四大臣、肝に銘じてしっかり受けとめてそれぞれ頑張っていただきたい、そのことを改めて申し上げておきたいと思います。  さて、具体的な内容についてこれからそれぞれの大臣にお尋ねをしたいと思いますが、予定をしていた項目を全部やりますと恐らく時間が足りないと思いますから、若干抜けるところがあるかもしれませんがお許しをいただきたいと思うのです。  最初に建設大臣建設大臣は福岡第一区でございます。私も北海道の四区の産炭地の出身、大臣の選挙区も石炭にそれぞれ関係があるところもある。ややそういう共通的なところがあるし、あるいは大臣は自民党の立場でいうと昨年の過疎法の下水道の知事代行問題で責任者ということで、私も党の側でいろいろお会いをしたことなどもございます。この法案に限定をして、大臣の具体的な決意のほどもまた聞いておきたいと思いますが、今までいろいろ議論がありましたけれども、今度の法案によってインフラ整備のための公共投資、問題は四百三十兆という十年計画のあの枠とどういう関係があるか、枠内なのか棒プラスアルファなのか、そこのところはまだどうも玉虫色だと思います。  これはやはり総理大臣とか大蔵大臣が出なければということに、あるいは委員会の運営の技術的な問題があるかもしれませんが、私はこういうことを申し上げたいのです。あの四百三十兆というのは、国際公約であると同時に国民に対する公約でもある。今度の法律は、それを一つ前提にしながらも、この際多極分散ということで目玉としてやるという以上、拠点都市指定されたところと結果的に指定されないところが現実的には出てくる。そうすると、指定されないところでいえば、全体的に四百三十兆の公約でいうと、いずれ我々もそういう政治的なサービスや恩恵があるというふうに思っていたにしても、四百三十兆から抜き出して拠点都市のインフラ整備の公共投資をやるということについては、声は大きくないかもしれぬけれども、声なき声としてそれはやはり困ると、これは理の当然だと私は思いますね。  したがって、くどいようですが、四百三十兆のプラスアルファとして、せっかくこういう大事な法案を出すわけでありますから、これから閣議だとかあるいは大蔵折衝などということがあるのでしょうけれども、建設大臣の気持ちとして、決意として、どのように考えているか。答弁次第によっては、私はやはりあすの建設委員会でもまた十分議論をしてもらいたい、こういうことを含めてお尋ねをしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  121. 山崎拓

    山崎国務大臣 先生の御議論はごもっともな点がございます。  ただ、四百三十兆円という金額は、一九八〇年代の公共投資実績が二百六十三兆円でございましたから、その六割増しにも上る膨大なものでありますことが第一点。それから、この四百三十兆円の公共投資基本計画が定められました際に、きめの細かな積み上げによって決められたものではないと私は承知いたしておるところでございまして、例えば地域配分などが前提にございまして算出された金額ではないと考えておりますことが第二点。それから、第一点で申し上げましたとおり、この目標はかなり大規模なものでございますから、達成するために相当な努力が必要であると考えているのでございます。その点が第三点でございます。  そして、ほかに公共投資に関する特段の計画が別途にあるわけではございませんで、一応この計画を大骨といたしまして、私ども、一九九〇年代は年々の予算要求あるいは公共事業の執行、それにその背景となります各事業別の五カ年計画等を定め、かつ実行してまいりたいと考えておるのでございます。  そういうことで、先生の御議論は大変論理的でございまして、拠点都市地域重点的に公共事業を執行した場合には、ほかの地域は当然相対的に事業量は減るのではないかという御懸念があろうかと思うのです。私の答弁は必ずしも論理的にはまいりませんが、そういうことにならないように十分に公共事業の配分、執行を行ってまいりたい。総理大臣ではございませんので、答弁はそのようにお答えするほかございません。
  122. 中沢健次

    ○中沢委員 今の大臣の心情は、私もわからぬわけではないのです。実際これから具体的な展開になってくると、拠点都市になる、事業計画が出てくる。拠点都市にならないところは、例えばハンディキャップを負うところは、この地域法案でいろいろカバーもされてくるでしょう。しかし、論理的かどうかということよりも、私はそれ以前の問題として、やはり地方という立場でいえば国が平等の扱いをしてもらわなければ困る、これは当たり前だと思うのですね。ですから、今直ちに四百三十兆プラスアルファだということが断言できないにしても、私の印象としては余り四百三十兆にこだわらないで、政治は生き物だしということで受けとめてはおきたいと思いますが、なお不十分な点はあすまた建設委員会でも十分ひとつ、特に我が党の委員の方から指摘をしていただきたいなと思っております。     〔古賀委員長退席、中島委員長着席〕  もう一つ建設大臣にお尋ねをしたいと思いますが、いずれにしても、建設の方は全体の七〇%の公共事業のシェアを持って、責任を持っておられる。それだけに、これから拠点都市が決まって具体的な事業が出てきて、さて支援措置をどうするかという具体的な場面に当然いくわけでありますね。そうすると、従来の例からいうと、大体建設省の持っている一つの基準、マニュアルみたいなものがありまして、補助事業については大体こういうこと、私はそれは決して一〇〇%否定はしません。しかし、今度の法律との関連で言えば、できるだけ応用動作といいますか弾力的というか柔軟に、補助事業についても建設省の今までの経験からいってややなじまないようなところがあるかもしれない。私はまだ具体的にこれとこれということはなかなか断定できませんが、あるいはそういうことが出てくるかもしれない。その際はひとつ建設省も、いい意味で応用動作、弾力的に柔軟に補助事業については考えて、そして各省庁との間でいろいろ協議をしながらやっていく、こういう大胆な、発想の転換とまではいかないのでしょうけれども、やはり現場のそういう対応についてまだよく考えてもらいたいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  123. 山崎拓

    山崎国務大臣 公共事業につきまして七割分担しているということを申し上げ、また先生もその点御指摘されたわけでございますが、御案内と思いますけれども、地方単独事業それから国の公共事業、ほぼ同額でございますし、その中間に補助事業がある、そういうふうに理解をいたしておるわけでございます。その補助事業は、今日までメニュー化することによりまして地方創意工夫を生かした事業を支援する、そういう措置をとってまいったところでございます。  今回の拠点都市地域整備していくに当たりまして、既存の補助の対象となっていない事業も出てくるものと思いますし、地方からの要望もあろうかと思いますので、補助対象範囲の拡大に努めてまいりたいと考えております。
  124. 中沢健次

    ○中沢委員 続いて通産大臣に幾つかお尋ねをしたいと思いますが、実務的な内容は政府委員で結構だと思いますから、まとめて三つありますが、まず二つお尋ねをしたいと思います。  今度の法律の資料を見てみますと、政令にゆだねるけれども、業務施設については、東京二十三区から地方移転をするときに支援措置をする。確かに東京二十三区というのは非常に超過密という問題がある、それはよく理解をいたします。しかしよく考えますと、それとやや似たり寄ったりで、近畿圏ですとか中部圏だとかこういう問題もある。もっとローカル的に言うと、私の北海道で言えば、北海道の一極集中、別に私は札幌について批判をするつもりは全くない。現実問題として、北海道の札幌市に一極集中をしているというローカル問題がある。私は、こういう問題を今までも指摘をしました。全国的に大なり小なり、もっと言えば北海道よりもっと極端な、そういうローカル的な一極集中問題があると思うのですよ。  そうしますと基本的に、今度の法案では通産の支援策が二十三区に限定することについて言うと、私は問題があると思いますよ。ですから、法律事項ではないということでありますからあえて指摘をしておきたい。政令をつくる段階でもう少し、本当に地方の拠点が具体的に受け皿としてやる場合は、やはり通産の支援策が大きな柱になるわけでありますから、地方の立場に立って、出ていく企業の受け皿の地方の立場に立って、そこのところは十分考えるべきでないか。もっと言えば、札幌から北海道の、北村さんは釧路、釧路に行く場合もある。場合によっては、私の出身の夕張に来るような場合もある。そのときは、同じような法律に基づく支援策を考えるべきではないか。一つの例でありますが、それが第一点。  それからもう一つは、地域整備公団としていろいろ新しいこともやりたい、こういうことが出されているんです。私は、大臣御承知のように、石炭の委員会で何回かお手合わせをいただきまして、ついこの間、向こう十年間の石炭の新政策をつくるときにも随分御苦労をいただきました。地域公団問題もいろいろ議論をしました。あの際に、例えば地域公団として、国の金融政策のかさ上げとしてもっと低利の融資をする、その利息については国の予算で公団に拠出をする、こういう制度を新しくつくったり、今までの既存の制度をかさ上げしました。非常に乏しい体験でありますけれども、例えばああいうことが、今度の地域拠点法、確かにハンディキャップ振興法ではないことはわかりますけれども、せっかく地方の拠点を振興させようということであれば、細かい話かもしれませんが、例えばああいうことも、公団に対する国の財政で金融政策の一つのてこ入れとして考える、こういうことも非常に大事ではないかと思うのであります。  で、やや実務的なことについてはひとつ局長で結構でありますからお答えをいただいて、もう一つ大臣から直接聞いておきたいのは、今までも随分議論がありました労働省をどうかませるかという問題。正直言いまして主務官庁に労働省が入ってない、私は率直に言ってちょっと疑問を感じました。しかし、労働省にいろいろ聞いてみましたら、実はいろいろありまして主務大臣ということにはなりませんが、いろいろ労働行政としてもカバーをするんですという話でした。  ただ、最初から主務大臣としてそこに座っていらっしゃる皆さんと、そうでない労働大臣からいえば、今までのこの種の関連法案の体験からいうと、やっぱりちょっと一歩下がって、まあ応援部隊と言っては失礼かもしらぬけれども、六省庁が中心になってあとは応援部隊だ、こういうことになりかねないと思いますね。同じ政治家という立場でいえば、やっぱりちょっとこれは問題があるな。もっと具体的に言えば、石炭政策のときには通産行政と労働行政がメダルの表裏の関係でしっかりやる、その必要性があるからしっかりやるということを通産大臣答弁をされた。私は、確かに石炭政策とはかなり質的にも次元的にも違うということはよくわかっていますが、やっぱり同じような問題が付随してくるのではないか。労働力が場合によっては大量に移動する、あるいはそういう地域の受け皿で企業をつくった場合に、そこに勤める労働者に対しては、例えば賃金助成という制度を労働行政でこの法律の中にも入れてくるだとか、幾つかあると思うのですよ。  私は率直に言いまして、通産大臣は労働大臣と、まあ各大臣もいろいろおつき合いがあるんでしょうけれども、私の体験でいえば石炭問題では本当に近い関係にありますから、この際通産大臣として、例えば主務官庁に入れるかどうかはなかなか難しいかもしらぬけれども、ぜひひとつそれと同じような位置づけを通産大臣としても認識をしていただいて、やっぱりこの問題については通産大臣関係省庁にいい意味で橋渡しをする、ブリッジ役を買う、こういうことについての決意のほども最後に聞いておきたいと思います。  以上です。
  125. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 後の方からお答えすることになりますが、産炭地域振興について大変御厄介になっております。あれとは共通の面もありますし、また別な角度の面もあるということは先生に御理解いただけると思いますが、いずれにしても、働く人たちの豊かさを求めて進められておる政策であることには変わりがありません。  あの場合は、戦後日本のエネルギー供給のために大きな役割を果たし、いんしんをきわめておった産炭地の人たち、そこで働いておった人たち、それが内外価格差と国際化の中で残念ながら経済性が合わなくなったということで、かつていんしんをきわめておった地域が国の政策方向の中で衰微しつつある、また、そこで働く人たちが職を失ってはならないということの対策。今回の場合は、あらゆる機能が東京に、さらに東京の二十三区に集中してしまったために、まあ便利ではあるけれども豊かさを失ってしまった。毎日働いている人たちが通勤地獄、交通地獄のいらいら、また一生働いてもとても土地も買えないうちも求められない。むしろ思い切って業務機能を含めて、あるいは本社機能を含めて地方移転すれば、そこで働く人たちは花と緑と太陽を満喫する豊かな生活ができるだろう。  ところが、過疎と過密という基本的な問題になりますけれども、そういう空間的な豊かさのあるところは便利さがない。それから、便利さがあるところには過度に集中してしまって豊かさがない。この内政上の問題に取り組もう、解決しようというのが今回の我々の意欲でありますから、したがってやや共通しやや異なった面でありますけれども、働く人たちを大事にして考えておることに変わりはありませんから、労働省と密接な連携をとりながらこの政策を進めてまいりたいと思います。  また、最初のお話でありますけれども、これは私もいつも先生と同じことを考えているので、まさに北海道は札幌に集中する。ここに建設大臣おりますけれども、九州へ行くと福岡に集中する。大阪の自治大臣もここにいらっしゃいますけれども、関西は大阪に集中する。今、例えば私のふるさとの会津という一つ地域寺考えてみても、私のところには会津西五郡というのがあるのですが、その中の会津若松市というところに集中する。これは、北は北海道から南は九州、沖縄までそういう問題点を抱えておるわけですから、その考え方で今後政策を進めなければならないのは当然であろうと思います。  ただ今回は、何といってもこれは過度に極端に東京一極集中ですから、この集中を是正するという政策を進めていく中で、それぞれの地域においてこういう問題が起こってくる。我々の目指す哲学は、北は北海道から南は九州、沖縄まで国土の均衡ある発展で、三千三百市町村のそれぞれの市町村、そこに生まれた若者たちがみずからのふるさとで未来に希望を持って暮らしていけるような日本をつくりたい、豊かさを味わえるような日本をつくりたいというのが願いでありますから、今先生御指摘のような問題点については、柔軟に対応していくのが当然だろうと思います。
  126. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生御指摘の点につきまして、やや事務的に御説明をさせていただきたいと思います。  まず、土地の買いかえ特例と特別の移転誘導対策の対象となる場合の移転元、これにつきましては、ただいまお話しのように、私ども政令で東京二十三区に限定をしたいというふうに考えております。その理由は、結論を先に申し上げれば、東京二十三区へのオフィスの集中といいますか密度が際立って高いということにございます。  若干の例を申し上げます。例えば、東京二十三区におきます昭和五十九年から六十三年までのオフィスの着工床面積を見てみますと、伸び率で二四・三%毎年伸びているわけですが、全国の平均が一〇・四%でございます。東京以外の大都市、例えば大阪府の数字もこの全国平均に近い数字だと思います。したがいまして、東京では非常にスピードが遠くオフィスが集積しているというのが第一点であります。それから、東京都のオフィス床面積の中で九一・三%が二十三区に集中をしているということで、東京の中でも特に二十三区に集中をしておるということでございます。  さらに、最近の若干の調査によりますと、例えば東京の山手線の中の住居地域でビルができた。ところが、ビルができますと、住居地域であるにもかかわらず約五割をオフィスが占めて、肝心の住居が三割しかできてないというようなこともございまして、そういう意味東京でのオフィスの集中が際立っているということが、二十三区に限定した主な理由でございます。こんなことで、二十三区へのオフィス集中が突出しておりますので、東京一極集中の是正という喫緊の課題を効率的かつ効果的に解決していくためには、当面二十三区を過度集積地域として指定いたしまして、そこからの業務機能の地方分散を図ることが最も効果的であるというふうに考えておる次第であります。  ただ、それではそのほかの地域間の移動、あるいは先ほどおっしゃいました北海道の中での移動でありますとか、あるいは新たに事業を興そうという人がどこに建てるか、こういう点もあるわけでございます。そういう二十三区以外の地域から移転する企業あるいは立地する企業、こういうものに対しましても税制上の優遇措置でありますとか開銀によります低利融資であるとか、あるいは中小企業事業団における高度化資金の貸し付け、これは非常に低利のものでございますけれども、こういうものも適用させていただくことになっておりまして、両方相まって地方へのオフィスの移転地方でのオフィスの立地と、二つ並行して進めさせていただきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、地域公団の業務でございますけれども、低利融資制度につきましては、現在二十三区から移転するものに対しましては開銀、北東公庫による低利融資制度ということで、特利三の融資制度を設けることにしております。それから、先ほど申し上げました中小企業事業団によります高度化資金の貸付制度というようなものもございまして、先生御指摘のように、産炭地のように地域公団が低利融資をすることになっておらないわけでございますけれども、産炭地域政策はそれなりの歴史あるいは政策的、政治的判断ということで現行の姿になっておると私ども承知しておりますけれども、地域公団の業務につきましては、まず今回創設が認められました諸業務を確実に推進するということが肝要だと考えておりまして、さらなる業務拡充につきましては、この法律運用状況を見た上で、地域のニーズ等を十分吟味しながら検討していくのが適当ではないかと考えております。  せっかくの先生の御指摘でございますので、私どもそういった点につきましても勉強、研究させていただきたいと思っております。
  127. 中沢健次

    ○中沢委員 今、通産大臣から極めて人間味あふれる、しかもかつて自治大臣も経験されたという見識あるお答えをいただきました。局長は、ついこの間まで石炭部長をやっておられました。これまた極めて適切なお答えだと思いますが、ぜひひとつ、大臣もおっしゃいました、私も言いました、あえて申しませんが、確かに東京二十三区から手をつけたい、私もそう思う。しかし、地方一極集中あるいはその他のいろいろな問題がまだまだあるのだ、これも何とかしなければならぬ。その重要性については、ぜひひとつ大臣も、あるいは行政の方もしっかり受けとめて、具体的にやっていただくように重ねて指摘をしておきたいと思います。  さて、時間もだんだんなくなってまいりましたから、自治大臣に幾つかお尋ねを申し上げたいと思います。  今度の地方拠点というのは、一時期、五年かかって五十ないし八十の拠点をつくりたい、こういう話を聞いたことがございます。最近は、五年ではなくて二年か三年だ。私は、今度の立法の特徴からいうと、先ほど言いましたように地方自主性を尊重する。中央と地方を上下関係言葉としてもとらえ、観念的にとらえることは私は好きではありませんから、余りそのことは適切でないと思いますけれども、トップダウン方式を下からの積み上げ、ボトムアップ方式にする、私はそれで結構だと思うのです。問題は、それが具体的な点でどこまで保障されるか、その辺について少しくお尋ねをしておきたいと思います。  例えば、先ほどからもいろいろ、北海道のような広いところを一、二カ所ということでいいのかという、一般論も含めてありました。私は、やはりどうしても北海道の出身ですから、ほかの先生方だってやはり地元のことがどうなんだろう。これは、同じ天下国家を議論しながらも、郷土愛に燃えなければやはり国会議員としては地元からも信頼されないわけでありますから、ざっくばらんに言いまして。例えば五十カ所、八十カ所という数、三十カ所もぶれがあるのですね。五十なのか八十なのか、私は今ここで限定をしようとは思いません。ただ問題は、今度の手法として、知事に権限をほとんどといっていいくらい移す。自治の分権の精神からいっても、この法案趣旨からいっても私は正しいと思う。  例えば、各府県押しなべて仮に一カ所であれば四十七出てくる。東京は恐らく外れると思いますが、そうすると四十六。しかし、これが一カ所じゃなくて、当然北海道のように広いところは何カ所、あるいはもっと言えば、環日本海云々という議論が随分ありました。私の北海道は、日本海もあれば太平洋もあればオホーツク海もある。どちらに立つかは非常に厳しいのでありますが、しかし人口が減っているところは十八もあるわけでありますから、少なくとも人口が減ったという十八県をやはり優先順位としては考えるべきだ。こういうことなどを考えますと、どんずばり聞きたいのでありますけれども、例えば北海道のような広いところ、人口減少県が今度の立法の一つの引き金になって出てきたわけでありますから、私流に言えば、力の弱い都道府県、こういうところに、数についてもあるいは時期についても、数を多く時期は早目に、こういう配慮が当然あっていいと思うのです。  問題は、先ほど自治大臣は、この際だから全国知事会にげたを預けて、そこでもひとついろいろ自主的にもやってほしい、私もそれも一つの方法だと思うのです。しかし、知事というのも政治家でありまして、例えば北海道は今横路知事がやっていますが、北海道は衆議院は五つの選挙区があって、北海道分県論が出るくらいでありますから、いろいろな道内的ないい意味での競争関係がある。仮に四つも五つも出てきたらどうする。知事がさばき切れればいいですよ。そうならない場合に一体どうなるかというような、これからを予測をしての問題なんかを考えますと、これは北海道に限らず、恐らくほかの府県でも同じようなことが出てくると思うのです。  そうすると、そこのところは、地方自主性を尊重するということは十分やっていただきながらも、いよいよ困ったときには、例えば全国市長会の関係者と協議をするだとか個別に相談に応ずるだとか、決して強制にわならない助言というのが私はあっていいと思うのです。その辺やや技術的な問題になるかもしれませんが、自治大臣としてはやはり相当責任を持たされるわけでありますから、持つわけでありますから、一体どういうふうにさばくのか。見通しといいましょうか、予測を含めて具体的に示していただければ示していただきたいと思います。     〔中島委員長退席、古賀委員長着席〕
  128. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは高度な行政配慮というものも必要でございましょうしいたしますので、私の答弁がそのまま実現するかどうかはなかなか難しいところだと思いますけれども、私も大臣としての指導性ということから申しますならば、こういうふうにやりたいなということは、実は私がねてから思っておることがあるのです。  それは、七大都道府県といいましょうか、例えば東京、神奈川、それから福岡も入るのかもわかりませんが、そういうところは一応遠慮していただくというのが本当ではないかと思うたりするのです。そして、人口の減少してきております府県を中心にしてやるべきだ。そこで一回、知事会でフリートーキングをやらすべきだと私は思っております。私もできればその席へ一回行ってみて、知事自身が自主的な自治能力を持たないでただ下からの突き上げで言っておるという程度のことであるならば、自治の本旨に基づいてというこの本旨が本当に生かされないのじゃないだろうか。  だから知事さんは、この際思い切って自主性、指導性を発揮してほしい。そうして、知事のそういう特定の作業グループができましたならば、これはぜひ一回中央省庁の担当者と密接に話し合ってもらいたい。そこで一つの基準といいましょうか方向を協議の上で出して、その上で基本方針というものを中央省庁の方でまとめてもらえぬだろうか、私はそう思っておるのです。それに基づいてやるということならば、この法案趣旨国土の均衡ある発展ということがその裏に隠れたものでございますから、その趣旨に沿うようなものでなければならぬと思っております。  したがって、私は何も一県必ず二カ所とかいうそんな割り切った考えは持っておりません。例えば、この県においてはもっと振興すべき地域がたくさんあるということになれば、三つでも四つでもいいのではないか。あるいは、この県においてはもう大都会にごく接近した都会地であるしするからして、これは御遠慮願ってもいいのじゃないかというようなところが出てくると思います。そういうようなことについては話し合いの中に示唆していく方法をとっていって、私は相談の結果決議をして決めたとか、そんな方法は絶対とるべきじゃないと思っておりますが、しかし話し合いの中にそういう中央省庁としての示唆はやはり含ませていくべきだ、こういうふうなことを思っておりまして、とにかくこれによって自治の訓練そのものも必要なんだろう、私はそう思っております。
  129. 中沢健次

    ○中沢委員 今自治大臣から、手法も含めて極めて示唆に富んだお話がございました。せっかく地方自主性を尊重するという立法の精神からいえば、手法も含めて今までやったことのないようなやり方をされた方がいい、大筋としては私もそのことは十分理解をしておきたいと思うのです。  もう一つ自治大臣にお尋ねをしたいのは、私どもしばしば自治と分権ということを言います。今度の立法との兼ね合いで言いますと、くどいようですが、拠点都市を決める、事業計画を決める、大体知事主導型になる。さて問題は、そこからずっと別なことを考えますと、権限の移譲問題、具体的に言えば、今の縦割り行政の中で各省庁が補助金を持っておりますのが十三兆六千億なんです。平成四年度、交付税の審議はこれからまだ残っておりますが、自治省と大蔵省、関係省庁と話をして、一千五百億の一般財源化ということを踏み出しました。社会党は、それは評価したいと思うのです。  問題は、権限移譲と十三兆六千億に上る巨額な補助金、私はこれを右から左へすべて一般財源にしろなんということは、観念論でありますからそんなことは言いませんが、せっかくこういう新しい立法措置をするのであれば、補助金の一般財源化、権限の地方移譲、社会党流に言えば今の時代にマッチした自治と分権にふさわしい国と地方関係の改革、こういうことに当然なってくると思うのです。これは自治大臣の決意もそうですが、時間があれば本当は各大臣にいろいろ聞きたいのですけれども、特に所管庁の自治大臣として、今私は簡単にしか触れませんが、そういう内容についてどういう決意で受けとめて、この法案との関係でこれから具体的にどうされていかれるか、基本的な決意で結構でありますから聞いておきたいと思います。
  130. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、この法案一つのきっかけにして、そういう地方に任せられる権限というものは積極的に移管していただきたい、その点について我々も意見を申していきたいと思っておりますが、そのために準備も必要だろうと思っております。  私は最初から、この法案のときにも申し上げておりますように、一部事務組合方式をとったということは非常にいい手法であったと思っております。今地方と中央との間で、ただ金で結ばれておるというだけで権限の取り合いをやっている、それはまずいと思います。そうではなくして、人的交流をもっとやったらいいじゃないか。そのためには、例えば県と中央省庁との間で相当人的交流をやっておりますけれども、まだ十分とは申せません。幸いにしてこういう拠点都市構想が出てまいりまして、これを建設するといたしまして、その一部事務組合に、たとえ短期間であろうとも、中央省庁の担当しております職員でも、そういう交流をしてくれることによって、そこに派遣することによって地方の実情をよく知ってもらう、また地方の者も、これによって中央とのつながりというもの、中央の仕事を理解することができる。私は、そういうことを繰り返していく中で、だんだんと権限の移譲というものは、お互いの信頼の中で移っていくのではないかと思っておるのです。  私はこの際に、この拠点問題と直接関係ございませんけれども、中央と地方との間において、特に福祉関係の業務ですね、この業務の交流というものが非常に必要なのではないか。要するに、中央におりますと、スタッフ官庁としてややもすると観念的になってしまいます。一方、ラインの方、市町村のライン、これとの間のいわば一体感というものは、人的交流によって相当カバーできるのじゃないか。そういう目で見ました場合、この法案というものは、また新しい、いわゆる中央と地方との間に曙光を与えるものではなかろうか、そういう期待も実は持っております。
  131. 中沢健次

    ○中沢委員 もう時間が来ましたからやめますが、先ほどは労働省の問題を取り上げましたけれども、それと同じように、例えば文部省の問題も出てくる、厚生省の問題も出てくる、それぞれ関係省庁というのはたくさん出てくると思いますね。これは当然だと思うのです。ですから、私はあえて提言を申し上げておきたいのは、もちろん六省庁の間でも考えられていると思いますが、主務大臣は六大臣で結構だと思いますが、ぜひひとつ事務方も含めて、各省庁の連絡会議、単なる名前だけじゃなくて、本当に実務的にこの法案を、かつての法案のようにおかしくならないようにするためにはどうするか、政府を挙げて、行政挙げてやる。そのためには、やはり各省庁の連絡会議というものをしっかりつくる必要がある、そのことを指摘を申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  132. 古賀誠

    古賀委員長 平田米男君。
  133. 平田米男

    ○平田(米)委員 まず冒頭にお伺いをさせていただきたいことは、きょう五名の大臣がおそろいをいただいておるわけでございますが、それぞれの所管の大臣という立場でお伺いをするのではなくて、またお答えをいただくのではなくて、内閣を構成しておいでになる国務大臣、また日本の政治、政界の中での有数な指導的立場においでになる政治家としての御意見をまずお伺いをしたい、こういうことを申し上げて、質問に入らせていただきたいと思うわけでございます。  今回、地方拠点都市整備ということで、新しい法律をおつくりになりました。これまで、連合審査の中でも大変長時間にわたってさまざまな角度で御議論があったわけでございますが、この地方拠点都市というのは一体何なのかということを私は考えたわけでございますけれども、この法案を見てみますと、どうも全国に数は五十とか八十とか言われておりますが、全部産業業務都市をつくるというのがそのねらいではないか、こんなふうに私は読めるわけでございますし、判断をしているわけでございますが、マスコミによれば、全国にミニ東京をつくる可能性があるという批判もございます。私はあながち外れてはいないような気もするわけでございます。  二十一世紀はあと八年そこそこで来るわけでございますが、今の時代の流れというのは大きく変わっているのではないかというふうに私は感じます。確かに日本は敗戦で焼け野原で、このままであったならば三流の農業国家にしかなれないという御意見もあったそうでございますが、それぞれの各界の皆さんの御努力によりまして、世界有数の経済大国になりました。そういう意味では、これまでの政治のあり方、行政のあり方というのがすべて日本の経済再建、それに向けたいろいろな諸施策を行ってこられたのではないか、また、こられたからこそこういう結果をもたらしたと思うわけでありますが、宮澤総理大臣も、これからは生活大国というふうにおっしゃっておいでになります。  そういう生活大国という中身がこれから問題になるわけでございますが、今までの経済オンリーの国の運営でおったならばいけないという反省が今なされておるわけでありますが、どうもこの地方拠点都市というのは、産業業務都市を全国につくるという観点から見ますと、今までの経済発展という流れの中での都市というとらえ方をしておいでになる。二十一世紀はどんな都市なのか、私もない知恵を絞っていろいろ考えるわけでございますが、なかなか見えてはまいりません。しかし、少なくとも経済優先の都市ではもうないのではないか、こんなふうに思うわけでございます。  東京一極集中ということがこの法案をつくられた大きな要素になっておるわけでございますが、では東京そのものが今どういう都市になっているのか。確かに経済が大変集積をした都市であることは間違いございませんが、いわゆる建設大臣がおっしゃっておいでになります職住遊学、この中での職の比率は大変大きいかもしれませんが、しかし今、東京の大きな流れといたしましては、私は、遊と学の方がこれからのトレンドとしては東京そのものが求めている方向性に合うのではないかと思うのです。  そうしますと、東京はこれから遊と学の方向に都市を大きく転換をしよう。これは、だれが意図してやろうということではなくて、まさに時代の流れ、あるいは市民の意識の中にそういうものが自然に芽生えたことだろうと思うのですが、その大東京に対抗して今度地方拠点都市をおつくりになるわけでございますが、それが、東京がもうこれからは違うよと言っている経済優先のいわゆる産業業務都市、これになってしまう。まさに東京の新しい流れからすれば、それは時代おくれではないか、こんな批判さえ出てきそうな構想ではないのかなというふうに私は思えてならないわけであります。  建設大臣が職住遊学と、職住だけではありません、もちろん職ではありませんということをおっしゃっておいでになるわけでございますが、私はそのお考えは正しいと思いますけれども、しかし法案そのものは、残念ながら職住遊学には到底思えない。若干住宅地あるいは住居についての配慮をされたという意味で、職住まではいくのかもしれませんが、どうも遊学という観点はこの法案にはないのじゃないかというふうに思えてなりません。  それでは、所管を離れて一遍お考えをいただきたい、またお答えをいただきたいわけでございますけれども、これからの二十一世紀、私たちはどういう都市に住むべきなんでしょうか。また、その都市でどういう生活をするんでしょうか。そのためには二十一世紀の都市、当然この地方拠点都市も入ってくるわけでございますが、これからつくるべき都市というのはどういう都市でなければならないのでしょうか。まずその辺から、どなたからでも結構でございます。全員にお答えをいただく必要もございませんが、もし私に御教示をいただければ、御意見を賜りたいと思います。
  134. 山崎拓

    山崎国務大臣 御教示申し上げるようなことはございませんが、少し先生の御質問に対しまして、私なりのお答えをさせていただきたいと存じます。  まず、経済の集積をメリットとして東京に人口が集中したのではないかという御指摘がございましたが、そのとおりであると存じます。そして、そのために一方において、集積のデメリットも生じておるのでございます。それが生活であり、あるいは先生が言われております例えば遊でありますとか、学でございます。確かに高等教育の施設もございますし、たくさんのレクリエーションの施設もございますが、例えば通勤時間が一時間以上の勤労者が六割に及んでおる、一時間半以上が二割に及んでおるというような事態は、これは遊とか学に費消すべき時間を著しく減殺してしまう、かように考えるわけでございます。そこで、これからは生活大国だということもおっしゃっていただいたのでございますが、生活大国づくりのフロンティアは、東京にはもはや乏しい、地方にこそそのフロンティアが残っているということを、私どもは主張いたしておるのでございます。  具体的に卑近な例で申し上げますが、富山県では一戸当たりの住宅の面積が、平均は八十九平米でございますが、百五十平米でございます。そして、持ち家比率が七五%に達しております。例えば鳥取県におきましては、これは若干狭隘でございますけれども、それでも二戸当たり百二十平米で、持ち家比率が七〇%に達している。一例を住宅に挙げたのでございますが、通勤時間につきましては申すまでもないことでございまして、これから生活大国づくりに向かって私ども国土の建設を進めていくということになれば、地方にこそフロンティアがある。  それから先生の御質問は、これからの都市、二十一世紀の都市はどうあるのか、こういうことでございます。とても難解な御質問でございますのでお答えをするすべがございませんが、ただ、二十一世紀には都市生活者がふえることは間違いないと考えます。それは、都市が持っております高度の機能、それを一口に職住遊学の生活空間を持っているということに申し上げてまいったのでございますが、それらの機能がありますがゆえに、東京に若い者を中心といたしまして人口が集まっていくという傾向にあろうかと思います。その傾向を正しまして、地方における拠点都市地域整備、ミニ東京という言葉は私ども使わないようにいたしておりますが、東京が持っておりますような高次の都市機能を、スケールは小さいといたしましても地方都市に持たせまして、人口吸引力を持たせるということを志向いたしておるところでございます。  都市の持っている魅力を、これからの均衡ある国土発展を図る上におきまして地方にも持たせたいという念願のもとに、この法案を提案させていただいたところでございます。
  135. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今、二十一世紀の近代都市の未来像というお話でありましたが、私は、これは豊かさと便利さの調和ある地域社会ということを今考えておりました。便利さだけ求めれば東京一極集中で、これは便利だから人が集まってきたわけでありますけれども、しかしこれからは豊かさを求めていかなければならないということで、今回御審議をいただいておる法律もあるわけです。  ただ一つだけ、お言葉を返すわけではございませんけれども、産業優先というお言葉がありました。若者たちがこれから未来に夢と希望を持って生きていくためには、やはり働く職場がなければならないわけです。これは、福祉をやるにも、立派な教育をやるのにも、国全体としても産業が栄えて、そこで働く人たちが豊かな給与をとり、また企業が法人税を納めて、それが教育になり福祉になるわけですから、これは、産業は豊かな生活のために極めて重要なことであることも御理解いただかなければなりません。  ただ、今までは何か産業優先の都市づくりがあったとすれば、これから私どもが目指す都市は生活優先の産業都市あるいは文化都市、学園都市、こういうふうにお考えいただければ御理解いただけるものと思います。
  136. 平田米男

    ○平田(米)委員 自治大臣がおいでにならないわけでございますが、今渡部通産大臣からお話をいただきました。また、山崎建設大臣お話をいただいたわけでございますが、二十一世紀の都市はどうあるべきかというのは、確かに私も非常に難しいことだと思うのです。難しい中でこの法案をおつくりになったのだろうと思うわけでございまして、各省の優秀な官僚が知恵を絞られておつくりになったわけでございます。  今、生活とか文化というお話がございました。私も時代の流れというのは、これからはハードからソフトへ、あるいは経済から生活へ、あるいは産業から文化へ、また人と争う競争から人とともに助け合って生きる共生へ、こういうのが時代の大きな流れではないか。これをまた、都市にどう具体化するかということが二十一世紀の都市ではないかと思うわけでございます。その具体的な手法については、私自身まだ皆さん方に御提案をするような力は全くないわけでございますが、そういう方向性であることは間違いないと思うわけであります。  職住遊学の中で、遊というのは人が集まれば恐らく自然に出てくるものかもしれません。それで今、人を集めるために要するに職がなければならない、これは私もおっしゃるとおりだと思います。そういう意味で、産業業務機能を地方分散をさせる、これは一つの手段としてあるべきものだというふうに私は思うわけでありますけれども、今の時代のトレンド、ハードからソフトへ、あるいは産業から文化へといったトレンドから考えますと、職住遊学の中で職も大事でございますが、それ以上に大事なのはやはり学ではないのかなというふうに思うわけであります。これはもうそれぞれの大臣認識をしておいでになるというふうに私は思っておるわけでございます。今回の法案には、確かに教養文化施設についての若干の手当てはございますが、しかしもっと強力な学の手当てというのがどうも足りないのではないか。産業業務施設の中には研究所も入っているということでございますが、大学がないところに果たして研究所が移転するのか。こう考えますと、私は非常に大きな疑問を持たざるを得ません。  ところで、今私たちが大学をどこかにつくるとなれば、当然国立大学ということになるわけでございます。今回の地方拠点業務都市というのはどうも県庁所在地以外のところにつくる、こういう発想のようでございますが、私が調べましたところ、県庁所在地以外のところに幾つ国立大学があるかと数えますと、大学院大学も入れまして二十八ございます。そのほとんどが医科大学と教育大学の、いわゆる単科大学ばかりでございます。教員養成あるいはお医者さんの養成というのは大変重要なことで、これまで国家政策としてそういう面でも一生懸命設立をしてきた時代があって、その結果このように医科大学と教育大学が全国に設立をされたわけでございますが、しかし今言われている学というのは、どうも医科とかあるいは教育という学部ではなくて、経済とか法学とかあるいは理学部とかさらには工学部、こういうようなことになるのではないか、こんなふうに思います。  それで、もう少し調べてみましたら、県庁所在地にある大学、これは三大都市圏を除きますと、私の調べた数では二十九大学ございます。二十九大学のうち、文学部あるいは人文学部を持っているのが十七でございまして、半分ちょっと。それから法学部が十一、三分の一強。それから経済学部が十四で、半分よりちょっと少ない。理学部が十六でございまして、これは半分よりも少し多い、こんな程度でございます。要するに、各県の県庁所在地、三大都市圏を除いた県庁所在地にある国立大学も、その半分ぐらいしか産業業務都市をつくる種としての学の力というものを持っていない、いわゆる総合大学としては体をなしていない状況にあるわけであります。こういうところに幾ら法律産業業務施設を、事務所や研究所を移そうと思っても、そこに入ってくる学生あるいは研究者というものが地方で生まれてこない、結局は三大都市圏で養成された人たちばかりが就職をする、こういう結果になってしまうわけであります。この点はもう既に御承知であるかというふうに思うわけであります。  そこで、私がきょうは所管の大臣を離れて御意見を伺いたいというのはこれから先でございまして、本来だったら職住遊学、学として文部省がこの拠点都市整備法の中できちっとした位置を占めなければならないわけだと思うわけであります。しかし、文部省もそういう気持ちがあったとしても恐らくできない状況にあるからなのではないか、私はそんなふうに思うわけでありますが、それぞれの大臣は、学というものの重要性、そしてその上でなぜ文部省がここに入れないのか、そして国立大学を少なくとも県庁所在地、あるいは県庁所在地にある大学の学部を新設して文科系、理科系、そういう学部を拠点都市に置くような施策がともにできないのか、この点についてどのような御意見をお持ちなのか、お聞かせをいただければと思います。
  137. 山崎拓

    山崎国務大臣 大変大事な御指摘をいただいたものと考えております。  文部省がなぜ入っていないのかということでございますが、文部大臣協議大臣といたしまして法律の中に明記してあることは御承知のとおりだと存じます。主務大臣が六人になりましたのは、その所属する役所におきまして新規立法措置を用意いたしましたところを主務大臣といたしたのでございます。文部省では新規立法措置がございませんでしたけれども、先生御指摘のとおり、職住遊学とその大事な生活空間要素の一つを占めておられるということにかんがみまして、協議大臣といたしまして明記いたしておるのでございます。これからも学の施設、教育施設整備が極めて重要であるということは先生の御認識のとおりでございまして、文部大臣とよく協議しながら拠点都市地域整備を行ってまいりたいと考えます。
  138. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 学の重要性、これはもう先生も、お互い皆共通しておると思います。  今日の日本の経済発展も、これはすぐれた人材の育成が出発点であったわけですから、ましてこれからこの国で生きていく人たちにとって、子供の教育、その子供の教育もできれば自分の家から、家庭から通学することが望ましい。かつて私も、今思い出しておりましたけれども、田中先生の日本列島改造論の時代、大学の地方分散というようなことを強く主張しておった時代を思い出しますけれども、ただこの問題は、文部省が入っているか入ってないかということに限定して、それだから学がないのだ、学に対する熱意がないとかあるとか言うのはちょっと短絡的で、これは私の所管外ですけれども、国立大学の新設は、もう現在の高校新卒者の進学、さらにこれを受け入れる私学等の中で、文部省でたしか国立大学の新規建設は考えてないというような記憶が今あります。  これは、私自身の例をとって申しわけありませんが、私の郷里でも百二十年間、我がふるさと会津は明治維新のときに薩長に戦争で負けたために大学がないということで、大学をつくる運動をやっておりまして、最初国立大学ということで、これはもう国立大学は新設しないのだということであきらめて、県立四年制の大学が認められて、これは今建設中でありますけれども、また私学の地方分散の問題等もありますし、ただ、この法律主務大臣に文部大臣が入ってないから学に対する熱意が足りないというようなものではない。  私ども、さっきから建設大臣が言っておりますけれども、これは職、やはり働いて月給を、収入を得なければ子供の教育も、また楽しいレクリエーションもないわけですから、産業、職場というのは極めて重要なものであり、同時に学というものが大事であり、そしてこれから生活大国と言われるときに、やはり居住する生活環境というものが極めて大事であり、そして時短が今趨勢になっておるときに、その時間を楽しく暮らしていくというものが大事であり、そういう総合的な形にとっての新しいあるべき未来像の都市をつくる、そういう受け皿をしていただきながら、東京二十三区に今過度に集中してしまった産業の業務機能を地方分散し、そして自治大臣を中心にその受け皿をつくっていただくということで、我々が将来夢に描いた未来都市をつくっていこうという意欲を御理解いただけると思います。
  139. 平田米男

    ○平田(米)委員 文部大臣が入っている、入ってないというのは形式だというお話もございました。しかしいずれにしましても、先ほど私が御説明しましたように、全国の三大都市圏を除いた国立大学の学部の状況は今申し上げたようなありさまでございまして、幾ら声をからして学だ、学だと言っても、それを支える国の体制はない、これが厳然たる事実でございます。今通産大臣が、もうこれからは十八歳人口というのは減少していく、だからこれ以上大学をつくるわけにいかない、こういうこともおっしゃいました。確かにそういう状況にあることは間違いございませんが、しかし同時に、やはり学というものは地方に持たなければならないというのが同様にあるわけであります。  昨年の五月十七日に大学審議会が答申を出しました。確かに今通産大臣がおっしゃったような視点で、今後大学、短期大学の学部、学科等の新増設、定員増は原則として抑制する必要がある、こういう答申を出しました。しかし地域社会の産業、文化の発展観点から極めて必要性の高いものについては新増設、定員増を認めることが適当であるとも言っておるわけであります。だから、形式的につくってはいけないと言っておるわけじゃなくて、まさに職住遊学として機能を持った地方拠点都市をつくろうということならば、この大学審議会の答申も、国立大学をそこにつくることに反対をした答申を出しているわけではありません。私は、実はもっと先に踏み込んだ御答弁をそれぞれの大臣からいただきたかったわけであります。答申がこのようにあるから大学ができる、できないということではありません。十八歳人口が減るから云々ではありません。今答申を読み上げたとおりでございます。  なぜ文部省が国立大学を新設できないのか、それは結局お金がないからであります。もう既に御承知のように、財政再建ということでシーリングというのをやってまいりました。その結果、文部省の予算というものはほとんど人件費が占めるようになってしまいました。人件費は文部省予算の八割を占めると言われております。今国会でも、文部省は幾つかの法案をつくりました。共済費を一般財源化する、これは塩川自治大臣の所管の問題でございますし、また国立学校財務センターというものをつくって、国立学校の敷地を売って一千億円ぐらい入ってきたら、これは大蔵省に返すのではなくて、文部省の中に一つの財布をつくってそこで国立大学の整備に充てよう、こういう法案でございます。これは、いずれにしましても今のシーリングの中に、厳しい財政状態をいかに救うか、そういうことでシーリングにちょっとした穴をあけるためのまさにテクニックとしての法案があるわけであります。  それで、その法案が通ることによって、ではどれだけ大学の施設整備ができるのかといいますと、平成三年では二十八万一千平米の施設整備をやりましたが、平成四年度ではその制度が認められてもわずか五千平米広がるだけでございまして、二十八万六千平米しかありません。こういう状況になっております。シーリングのなかった時代はどれだけ大学の施設整備をやってきたかといいますと、シーリングは五十八年以降でございます。多いときは九十一万三千平米の施設整備してまいりました。少ないときでも五十四万六千平米でございます。今の施設整備は、シーリング以前の三分の一になっているわけであります。  いや、施設整備だけではありません。例えば、大学の基礎的な研究費であります校費というのがございます。これは講座当たりに幾らという形で出されるわけでございますが、これが、シーリングが始まってから約十年になりますが、この十年間ほとんどと言っていいくらい名目金額は上がっておりません。ですから、物価上昇を考えますと実質半額ぐらいになっているのではないかと言われております。私もあちこちの大学に視察に参りましてそれぞれの先生からお話を伺いましたが、大学は確かに給料も安うございます、しかし研究を一生懸命やらせてくれれば、研究環境をきちっとやってくれればそんなことはどうでもいい、こういうふうにおっしゃいました。しかし、その研究費さえこのような状況にある。確かに科学研究費というのはございまして、要するに当たりますと幾つかもらえるというのがあるわけであります。しかし本当に基礎的な研究、まして文科系の研究などには、なかなか高額な特別な研究費というのは回ってまいりません。やはり基盤的な研究費であるところの校費というものが大きな位置を占めるわけであります。今、文部省財政はそういう惨たんたるありさまにあるわけであります。私は、これはシーリングがなせるわざだと思うわけであります。  確かに財政再建ということは大変重要な課題でございます。しかし財政再建の方法というのは、何もシーリングだけではないと思うわけであります。私は本来政治の役割というのは、いろいろな政策課題省庁間の壁を超えて優先順位をつけ、予算づけをすることがその政治責任だろうと思うわけであります。今のシーリングというのは、省庁間の壁はそのままにしておいて、省庁内だけで政策の優先順位をつけなさい、これがシーリングの実態なわけでございます。一年、二年、三年は緊急事態としてこのような方法もいいかもしれませんが、しかし十年もの長きにわたってそのような施策を続けるということは、政治責任の放棄ではないか、私はこんなふうに思うわけであります。  日本というのは、国土は狭く山がちでございます。平地はそんなにございません。鉱物資源も大したものはございません。その日本が明治維新のときに植民地にもならず、また敗戦の焼け野原から今日まで立ち上がってこれたのは何の方なのか。学問の力、教育の力しかない、人間の力しかない、人材しかない、私はこんなふうに思うわけであります。確かに、これから公共投資四百三十兆円をやるとおっしゃいました。幾らどんなに立派な箱をつくり、どんなに立派な道路をつくりましても、しかしそこで活動をする有為な人材がいなければ、日本の将来は決して明るいとは言えないと私は思うわけであります。そういう意味で私は、シーリングがある限りこの拠点都市整備法も結局は学というところが充実できないままで、当初申し上げましたように時代おくれの対応になってしまって、この一極集中東京の力には到底勝ち得るものにはなり得ない、こんなふうに思うわけであります。  確かに各省庁、いろいろな優先課題があるかもしれません。しかし一国の政治家として、また内閣の構成員たる大臣としては、どの省庁のどういう政策をどの省庁のほかの政策よりも優先すべきだ、自分の所管のものよりもこちらの方が優先しなくちゃいけないという判断は必要であろう、またしなければそれは政治家としての義務を、また内閣の責任を果たしたことにはなっていない、私はこのように思うわけであります。  そういう意味で、それぞれの所管からお考えになれば、シーリングがあった方が波風も立ちません。政治家に重い責任も参りません。それは結構かもしれませんが、しかし、このままであったならば日本は大変な状況になる、そういうことを私は思うわけでございますが、いかがでございましょうか。それぞれ御意見がありましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
  140. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 今、学問の振興に対して非常な情熱を傾けられてのお話がございました。けれども、どうも話の焦点が国立大学にあるように思っております。  実は公立大学、三十六校あると思うのでございますが、これは平成四年度から交付税の測定単位を上げましたのです。相当上げております。しかもそれは、経常費だけじゃなくして研究投資に相当上げておりますので、いわば自治体といたしましては大学の運営はそんなに苦しい状態ではないだろうと思っておりまして、今後ともこれをますます充実させていきたい、こう思っております。それからもう一つ地方行政の中で行われますものとしての生涯学習体制がございますが、これは教育委員会との関係もいろいろございましょうが、生涯学習体制につきましての算定も交付税で相当額引き上げをいたしました。  したがって、全般に見ました場合に、そういう措置をとっておりますので、今度の拠点都市構想の中におきまして、もし地域の中でその話し合いが行われてきて学校誘致の問題が起こってくるといたしますならば、当然文部大臣協議をいたしまして協議をまとめさせて、その構想の計画を発足させるということになろうと思っておりますので、国立大学だけが大学じゃございませんしいたしますので、私たちはそういう公立、私学の方面に対しまして、一層のこれからの努力を傾けていきたいと思っております。
  141. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいまの先生の御議論は、教育問題を中心にかなり広範囲にわたっておるのでございますが、まずシーリングの件でございますが、私も同感な点がございます。資源配分は政治の一番肝心な点であると思いますが、その資源配分の要請と申しますか政策のプライオリティーにつきましては、時代の進展とともにかなり変化がある、かように考えるからでございます。  でございますが、固定したシーリングは財政再建に大変大きな寄与をいたしました。財政再建は、極めてまた重要なプライオリティーの高い政策課題でもあるわけでございますが、そういう寄与をいたしてまいりましたが、やや資源配分の点におきまして硬直化しているのではないかといううらみも感ずることがございます。その点では先生の御意見に同感な点があるということを申し上げたかったわけでございます。ただ、我が国が教育立国であることは御説のとおりでございまして、常に私自身も演説会では、今日日本があるのは教育の普及のおかげである、日本には他に見るべき資源もなくて、人材資源で国を立ててきたんだということを強調いたしておるのでございます。  ただ、先ほど通産大臣も申されましたし、自治大臣もお触れになりましたが、これからの教育の施設と学生数との関係から申しますと、施設を国費をもって充実させていくということにつきましては、資源配分の見地から申しましてもかなり困難性を伴う時代に入っているのではないかと考えております。しかし、拠点都市地域整備に当たりまして、職住遊学と構成要素の四つのうちの一つにみずから掲げながら、その点がうまくいきそうにないじゃないかという御指摘は、かなり厳しい御指摘でございまして、私どもといたしましては、十分配慮をしていかなければならない点であると思っておるのでございます。  そこで、国立大学のみならず、自治大臣も申されたとおり、私立大学もございますし、あるいは県立大学もあるわけでございまして、県知事その他地方自治体におきまして、教育施設の誘致あるいは整備につきまして大いに検討してもらいたい、かように考えておるところでございます。
  142. 平田米男

    ○平田(米)委員 建設大臣から、大変前向きなというところまでいかないかもしれませんが、御理解をいただいた御答弁をいただいたわけでございますが、塩川大臣の方からは、私学もあるというふうにおっしゃいました。私学振興の予算も文部省の予算でございまして、シーリング枠の撤廃をしない限りは私学振興の予算もふやすことができません。これから重要なのは、大学院の増設、定員増が重要な課題になっております。  それで、理科系の大学院というのはほとんど国立大学でございます。ですから、国立大学がこれから主要な立場にもならなければならないことは、いささかも変わりはございません。私学を助成するにも、文部省予算をふやさない限りはどうしようもないわけでございまして、私はどこまでいっても、職住遊学の学を本気でやられるおつもりだったら、所管の大臣を離れていただいて、日本の政治を引っ張っていただいている諸先輩である、大先輩である各大臣にもう一遍、文部省予算だけではありません、私はいろいろなところがいろいろな行き詰まりをしていると思います。もうそろそろシーリング枠というものを考え直さなければいけないときだと思います。これは大蔵大臣とかあるいは総理大臣に言うことなのかもしれませんが、しかし私は、大臣という所管を離れて、日本の指導的立場においでになる政治家としての見識とお力でぜひともやっていただきたい、このようにお願いをいたしまして、この問題はこれで終わらせていただきたいと思います。  それで、この拠点都市整備法をこれから行うに当たって、何が重要なのかということを私は考えるわけでありますが、何でも物事をやるには、下世話で言いますと金と力と人だと思います。選挙と一緒だと今お話もございましたが、この法案を拝見いたしますと、金も最後はやはり国が握っておいでになる。力、これは権限でございますが、これもどうも最終的には国が握っておいでになる。これは恐らく反論があるかと思いますが、またそれは議論させていただきたいと思いますけれども、そういう中で必要なのはやはり人ではないか。人材ということでございます。金というのは、これから地方交付税とかあるいはいろいろな補助金という形で国が出されるわけであります。確かに計画市町村でおつくりになります。あるいは一部事務組合、協議会等でおつくりになります。しかし、それを絵からまさにもちにするには、やはりその地方交付税、そして補助金という金が出ない限りなりません。その金を握っておいでになるのは国でございます。そして、お金を出すか出さないか、この権限は最終的に国が握っておいでになる。  そういう意味で、私はこの法律、確かにいろいろな御工夫がありまして、地方創意工夫ということをできるだけやりたい、こういうお考えがにじみ出ている法案であることはわかります。しかし、中央集権体制という壁は決して破っているわけではなくて、やはり最後の肝心なところは国がぎゅっと握っている。これは今のシステムではやむを得ないのかもしれません。そこで、では地方が、そういう力を握っている、金を握っている国とどう対抗して、本当に創意工夫をしながら自分たちの夢を実現するのかということになりますと、少なくとも地方に豊かな人材があれば、優秀な人材があればそれなりのことはできるかもしれないのではないか、こんなふうに私は考えたわけであります。  ところで、先日国会に出雲市長の岩國さんがおいでになりまして、参考人として御発言になりました。そこである委員質問に対しまして、これから都市計画について地方に権限をどんどん与えたいと思うけれどもどうですかという御質問がございましたら、それに対してこういう答弁がございました。今、私どもの市町村では、それだけの権限をいただいても十分こなすだけの人材がおりません、ですから私どもの市では、実は国から優秀な官僚を派遣して手伝ってもらっているのです、これはお願いしてやってもらっているのですというお話がございました。まさに今の地方自治の、人の面での実態をおっしゃっているのではないか、これは出雲だけではないと思うわけであります。そういう実態を正しく認識されて、その不足を国家公務員の優秀な人をということで補っておいでになるところに、岩國市長の見識があるかと思うわけでございます。  それで私は、どうしても人材を地方で持ってもらう必要があるのではないか。リゾート法の反省の中で、金太郎あめということが言われました。どこもかしこも一緒だ。ゴルフ場、リゾートマンション、スキー場、大体それはどこにもある。どこに行っても同じようなものしかない。そういうことで今反省がされておりますが、その原因はやはりコンサルタント不足だ。どこも同じ人から意見を聞く、あるいは人がないのでどこかのまねをする、これで全部金太郎あめになってしまったと言われておるわけであります。そういう意味で、民間のコンサルタントあるいは大学の先生、学者、そういう方々の力もかりなければなみないと思いますが、まず地方公務員の中で優秀な人に、地方振興あるいは新しい都市づくりのための勉強をしてもらう必要があるのではないかと思うわけであります。  伺うところ、自治大学校でそれなりのことはやっておいでになるというふうに伺っております。県の職員に対しては半年泊まり込みでやっている、市の職員については三カ月でやっておいでになるということでございますが、私は、もう国内だけでやっている時代ではなくて、やはり先進諸国のすばらしい都市づくりというものを実地に勉強してくる必要があるのではないか。だから、まず地方公務員を海外に留学させるとか研修をさせるとか、あるいはさらに、例えばニューヨーク市とかシカゴ市とかベルリン市とか、そういうところに二、三年出向してもらって、都市づくりというものをしっかり勉強してきていただく、あるいは海外の大学へ留学をしていただくということをやってはどうか。また、やらなければ人材は生まれてこないのではないか。  確かに自治大学校で随分努力はしておいでになりますが、期間も短いし、数もまだまだ少ないのではないかと私は思います。特に、市町村に対しては非常に不十分ではないかと思います。やはり人間、国内だけで見ているものと、海外へ出ていったときの視野というのはがらっと変わるわけです。今やらなければならないのは発想の転換でございます。その意味で私は、そういう観点での養成をぜひともやっていただきたい。これは自治省にお願いでございますが、自治大臣、いかがでございましょうか。     〔古賀委員長退席、薮仲委員長着席〕
  143. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 幾つかの論点にわたってお答え申し上げますので、若干長くなるかもしれませんが、まず最初に、地域の活性化のために人材が不可欠の要因である、まことにおっしゃるとおりだと思います。  そのためには、まず地方公務員の能力というものが第一に問題にされるであろうということで、その点について若干申し上げますと、地方自治法が施行されましてから四十年たつわけでございまして、この間に地方職員の能力というのは飛躍的に向上してきていると私は思っております。特に、先般来進めておりますふるさと創生関連事業、これは、みずから考えみずから行う、国がこれを支援するという格好でございまして、要するに、自分たちの頭で考えて自分たちで汗をかくという訓練をしたわけでございますね。訓練というか、訓練が目的ではございませんけれども、結果的にはあれが非常に訓練になりまして、自分で物を考えるという習慣をつける上では力がついたと思っております。  御指摘ございましたように、自治省としても市町村の職員の研修についてはかねてから自治大学校でもやっておりますし、また市町村の共同設立に係ります市町村職員中央研修所、幕張にございますけれども、そこにおきましても地域政策や町づくりなど、多くの研修科目を設けて研修を実施しております。海外研修につきましても、国際交流研修ということで自治大学校の課程にも組み込まれておりますし、新しく関西で、地域国際化に対応できる市町村職員を養成することを目的といたしまして、市町村国際文化研修所というものを開設の準備中、現在建設中でございます。なお、地方公共団体の共同設立に係ります自治体国際化協会という法人がございますけれども、ここにおきましても、現在海外に四つの事務所を設けておりまして、そこには各地方公共団体からの職員が出向しておりますし、また、その出向した職員がそれぞれの地におきまして、現地の地方公共団体に実際に派遣され研修を受けるという機会も設けているところでございます。  また、民間の力の活用という点にもお触れになりましたけれども、私肝心なことは、初めからコンサルタント任せではなくて、根本的な仕様というものは地方公共団体が自分の知恵でしっかり固めた上で、その仕様に基づいてコンサルタントの知恵をかりる、この辺が本来のありようであろうかと思いますけれども、必要に応じて民間のシンクタンクの活用等を図っていく必要があろうと思いまして、私どもの関係する団体で地域活性化センターというところがございますが、ここにおきましても地域づくりのアドバイザーの登録をやっております。これは、専門家が各専門別に登録されておりまして、具体的な要望に応じてあっせんをする仕掛けでございます。  また、公務員だけではなくて地域における人材養成、これは非公務員の世界でございますけれども、そういうものも大事だと思っておりまして、やはり地域活性化センターにおきまして地域リーダーの養成塾というものをつくっております。この連中には一定の期間集まって講義も受けさせ、あるいは現地に研修をさせ、さらには海外の見学にも行かせるというシステムをとっておりますし、また現在、全国各地におきまして地域ごとに人材養成塾の試みが非常に多うございます。それらについて一括して私ども集めまして、そのリーダーの研修もやりますし、また優秀な事例につきましては、できるだけ具体的な事例によってこれを周りに示してやるということが必要でございまして、そういう工夫も凝らしているところでございます。  今後とも、人材の養成に関しましては、地方公務員の世界はもとより、地域の人材一般につきましてもその養成に努力をしてまいりたいと考えております。
  144. 平田米男

    ○平田(米)委員 今るる御努力の内容についてお伺いをさせていただきましたが、それがリゾート法の実施には生かされていないという結果が出ておるわけでございます。だから、過去のやり方でまたこの拠点都市整備をやろうというのは、同じような結果になるからこそ、僕はこのような新しい提案をさせていただいておるわけでありまして、やはりその辺をお答えいただきたいわけです。  ですから、今までやってこられた結果としてリゾート法の結果が出てきてしまっている。そうではないのだ、いや、あれは金太郎あめじゃない、大変優秀なものだというふうにお答えになるなら別でございますが、しかしそれは世論が許さないんじゃないんでしょうか。もう現に見直しをしようという動きも行政内であるというふうに伺ってもおるわけでございまして、これまでそういうさまざまな御努力はしておいでになりました。それは、海外に行かれたケースも若干あるというふうに伺いました。しかし、それは町づくりとかあるいは地域振興というものに限ったものではなくて、一般的な、そういう範疇ではないかというふうに思うわけですね。  そういう意味で私は、全市町村行っていただく必要はないと思うのです。全県行っていただく必要はないと思うのです。拠点都市整備をする、その地域の特に市町村の職員、出向されることを期待するならば県の職員、こういう方々を特に特別なプログラムで人材養成をしていただく必要があるのではないんでしょうか。それは、やはり指定をされるまでに一年ないし二年の期間はこれまであるわけでございましょうから、まだそれだけでは十分とは思えませんが、これからでもすぐに考えていく必要があると思うのですが、もう一度お答えをいただけませんでしょうか。
  145. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 リゾートとの関連につきましては、私のお答えする限りではございませんけれども、お言葉ではございましたが、ふるさと創生の事業の成果をごらんいただきますれば、決して金太郎あめではございません。中には桃太郎も浦島太郎もいるということでございまして、必要があればその事例集などをお届けしたいと思います。非常に百花積乱、その地域の特性を生かしたプランができていると私は自負しております。  なお、今後のその人材の育成につきましても、私ども、大事なのは拠点都市だけではございません。全国各地についてのやはり人材を育成する必要がございますので、その一環として考えてまいりたいと思います。
  146. 平田米男

    ○平田(米)委員 確かに一億円でいろいろなことをやられたことはあります。一億円で金塊を買ったところもあるわけでございまして、これが知恵があったのかなかったのか、いろいろ意見があるかとは思いますが、その一億円を使ってまさに自治省としては人材養成に使ってくださいという御意見ならば、今私は積極的な御意見かと思うのですよ。そういう御趣旨なら、私は前向きの御意見だというふうに例えるわけでございますが、金をやっているんだから、後みんなが適当にやればいいんだ、また適当にやってきているんだ、それで成果が上がっているんだということならば、私はまたもう一遍事例を引っ張ってきますが、リゾート法の状況はどうなんですか、こういうことになってしまうわけでございます。やはり地方自治の弱さということは、私はそこにあると思うのですよ。  先ほど自治大臣は、前の委員質問の中で、地方自治ももっと自治というものを訓練しなければいけないというふうにおっしゃいました。それだけまだか弱い自治なわけです。か弱くしてきたという事実もあるわけでございます。そこで、ここで拠点都市整備法をつくって、もっと知恵を出せ、力を出せと急に言われても、自治体は困ってしまうわけでございまして、それはいろいろな手を差し伸べるのが国側の、特に自治省責任ではないか、私はこう思うのですね。それですから、このような御提案、私は何もこの提案に拘束していただく必要はありませんが、拠点都市整備を本気でやるんだったらば、金も力も国が握っているんだったら、優秀な人は地方に出しますよ、養成については私たちはしっかりサポートしますよということは、責任を持って言っていただきたい、こんなふうに思うのです。もう一度とうですか。
  147. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これはいい提案だと私らもさっきから聞いておりますが、おっしゃるように今自治体の弱いのは人材なんです。財政の基盤も、これでやっと収入構造が変わってきましたりしますので、地盤も固まってまいりました。  ところで、人材について全国一律、地方公務員も中央公務員も月給は同じなんです。ほとんど。そうなのに、なぜそれじゃそんなに能力の差があるのかということなんですが、私は能力の差ではなくして、いわばならされてきた、習慣が違ってきておると思うのです。それは何かといったら、この委員会ではしょっちゅう言っておりますように、今までの地方自治体というのは本当に完全な自治なのかといったら、そうじゃなくて、中央の下請機関の中で下請企業としてならされてきたのですね。ところが、先ほど紀内行政局長が言いましたように、一億創生事業からふるさとづくりをやって、自分らで考えてやれるということが、それが一つのきっかけになりまして、私は芽生えが出てきた段階だと思うのです。ですから、これから数年の間、あるいは十数年になるかもわかりませんが、その間に私は地方公務員のいわば資質と、それからそういう習慣なんかも変わってくるのじゃないか、変えていかなければいかぬ、こう思っております。  そういうことを考えますならば、その刺激をどうしてやるか。先ほども中沢さんの質問に私答えましたように、一部事務組合ができますと、中央の職員あるいは地方の職員が交流してそこで仕事ができるような、そういうことを各地方庁に協力をお願いしようと私は実は思っておりまして、そういうことから中央と地方の交流が始まりますと、おのずから勉強というか、視野も変わってくると思いますし、思考方法も変わってくると思いますので、そういうことをして絶えず訓練を積み重ねていかなければ、なかなか容易なことじゃないと思いますけれども、努力は重ねていきたいと思っております。
  148. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 先ほど出雲市の例でお示しになりましたけれども、確かに市町村の職員の場合には、特定の専門の分野については必ずしも十分ではないところが見受けられます。都道府県の場合には、これは職員の能力の問題というよりは、専門分化しているという機構によって訓練されたということもございましょうし、都道府県の場合には市町村に比べてはるかに専門分野に通暁しているわけでございます。したがって、今回の拠点法におきましても第九条という規定がございまして、九条の規定によりまして、市町村が一部事務組合をつくってやる場合に、一部事務組合の管理者が知事に対して職員の派遣を求めたときには、求めを受けた知事が「適任と認める職員を派遣するよう努める」という規定を置いておりまして、それにも配慮を加えているところでございます。
  149. 平田米男

    ○平田(米)委員 お役所の答弁そのものでございまして、なかなか前に進まないわけでございます。しかし、大臣からその提案はなかなかいい提案だというふうに先ほど言っていただきましたので、きょうは前向きな答弁をいただけないのかもしれませんが、ぜひお考えをいただいて実現していただきたい、このように思います。  同時に、地方公務員の海外研修、留学と同時に、自治大臣もおっしゃいましたが、これから国家公務員と地方公務員の交流をするんだという話がございました。国家公務員の海外研修というのはどうなっておるのかというふうに伺いましたら、大変少ないというふうに伺ったわけでございます。私は、やはり人材不足を補うには、国家公務員がこの拠点都市整備をする市町村に人材派遣をされて、出向をしてその能力を発揮される必要がどうしてもあるのではないかというふうに思うのです。これがまた国の締めつけに使われると困るわけでございますが、人材として自由にやっていただく分には非常にいいことではないかというふうに思うのですが、この国家公務員そのものも、日本の殼だけで考えているならば、やはり新しい発想、二十一世紀の発想を私は十分できないと思うのですね。  そういう意味で、拠点都市に派遣をしていただけるならば、またぜひしていただきたいわけでありますが、これは建設省からも通産省からも人材を送っていただきたいわけでございますけれども、そのためにはそういう人材の養成のために、私は地方公務員の養成の例で申し上げたような、海外留学とか海外出向とか研修というようなものを国家公務員にもぜひやっていただいて、そして地方拠点整備の力に、人材にしていただきたい、こんなふうに思うのですが、いかがでございましょうか。これは建設大臣、通産大臣でお答えをいただければと思うのです。
  150. 市川一朗

    ○市川政府委員 先ほど来、人材の問題につきまして大変貴重な御意見を私ども拝聴しておったわけでございます。  私どもも行政を進める上におきまして、例えば一つの例でございますが、現在下水道の普及につきまして相当一生懸命な努力をしておりますけれども、町長さん方が私のところへ参りましてまず言いますのは、事業を始める前の段階で自分がやろうと思ったときに、地方の中に相談する相手がいない、それで一応県に行く、そういう状況の中で、したがって建設省にも相談に来るんだ、そういったところで、まず発想の段階からして相談相手が欲しいというようなこともおっしゃっています。それから、現実に事業を実施してまいりますと、技術者の問題等もいろいろございます。下水道の問題一つとりましても、そういったようなところでいろいろな立場での人材問題というのは、行政を進める上におきまして大変重要な問題でございます。  それで、私どもも今までもいろいろな御要請に応じまして、例えば建設省といたしましても研修等もやる反面、場合によっては直接建設省等で訓練を経ました職員の派遣等もやらせていただいておるわけでございます。そういったあらゆる方法を講じまして、先ほど来の御議論の成果も踏まえて、やはりきちんとした行政の成果を上げるために、いろいろと人材の問題につきまして前向きで対応していく必要がある。そういう一環の中で、国家公務員につきまして、できるだけ必要なところに必要な形でどんどん派遣していくということも重要ではないかと思っておる次第でございます。
  151. 平田米男

    ○平田(米)委員 研修についてはどうなんですか、海外研修について。
  152. 市川一朗

    ○市川政府委員 海外研修につきましても、昔はなかなか海外研修の機会がなかったのでございますが、最近は、例えば建設省におきましてもかなり若手の職員を六カ月あるいは一年、場合によりましては二年ぐらいの形で常時、平年ベースで数十人単位で派遣できるような体制になっておるわけでございます。  ただ、もし今先生が御議論なさっている中の一つとして、いわゆる拠点都市地域構想を進める上において、それに向けた直接の形での海外研修という御提案ということでございました場合には、ちょっと今まで余りその辺を必ずしも十分検討しておらなかったわけでございますが、いろいろと一つ課題として受けとめさせていただきたいと思う次第でございます。
  153. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 通産省の場合は、先生御承知のように余り予算も許認可権も持たない役所ですから、まさに人そのものが行政であり、人材育成に努め、またすぐれた人材を求めてきておりますし、また先生の愛知県にも非常にすぐれた人材を派遣して、愛知県の経済発展に努めさせていただいているはずでありますけれども、通商面に力を入れておりましたが、これから国内の今の産業政策、これが地方自治体等の作業にお役に立てれば、できる限り人材の派遣、研修等にも努めてまいりたいと思っております。
  154. 平田米男

    ○平田(米)委員 ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。  どうしてもお伺いさせていただく質問があと二問ございまして、時間がもうあと八分ほどしかございませんが、まず国土庁長官に御質問をさせていただきます。  この新法で一番心配なのが、地価上昇の問題でございます。私は、いつの時点から県知事として国土利用計画法における監視区域の指定を考えなければいけないか、これを今考えておるわけでございますけれども、大臣としてどのような時点が最適とお考えなのか。一つこの法律で考えられるのは、本法四条三項で、知事市町村指定のための事前協議を行うわけでございますが、そのときにはもう少なくても監視区域を指定するかしないかという決断を、知事責任を持ってしなければいけないのではないかというふうに私は思います、するかしないかは知事の判断でございますけれども、地方拠点都市指定のうわさだけで地価は上がる。もう既に上がっているところもあるかもしれません。ですから、それはしっかり見て知事は対応しなければいけないと思うのですが、しかし遅くとも今申し上げたような時点で、知事として責任を果たすべきではないかというふうに私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。簡単にお答えいただければと思います。
  155. 東家嘉幸

    東家国務大臣 今お尋ねの件については、今後実行に当たっては、土地の上昇を防ぐということを前提によくよく考えねばならないということについて、かなりの勉強をさせていただきました。  そういうことで、今後特に住宅の良質な、より求めやすい環境を整備していくということになりますれば、そういう地域が上がるであろう、ならばその前提として、土地価格というものはある一定の線で、そうした供給ができる地域であるというようなことまでも細かく、今後の推進の中でそれぞれの地域、県と協議する必要があるのではないだろうか、そういうようなことも私ども検討をしていくべきではないだろうかということでございます。
  156. 小島重喜

    小島政府委員 補足して御説明申し上げます。  今お話ございましたように、拠点都市地域整備が成功するかどうかというのは、まさに地価対策がどうあるかということと大変大きな関係があると思います。私どもはそのために本法案の中にも、監視区域に指定するように努力しなければならぬ、こういう規定を十八条で入れてございまして、今おっしゃるように知事が最終的にはお決めになることですが、できるならば地域指定に先立って監視区域の指定をするというような、積極的な対応をしていただくように私どもは指導していきたい、かように考えております。
  157. 平田米男

    ○平田(米)委員 ぜひ前向きに取り組んでいただいて、地価の上昇を許さないようにしていただきたいと思います。  あと五分でございますが、農水省、また建設省にもなるかと思うのですけれども、今リゾート法の反省の上で、環境への配慮が欠如していたのではないかというふうに言われております。私も名古屋に住んでおりまして、愛知県県内をあちこちくまなく歩いたこともございますので、見ておりますと、どうも農地を残して、そして農地の切れたその先は緑豊かな丘陵地があるわけでありますが、この丘陵地を切り開いて宅地をつくっている、そこに住宅地が、がけをよじ登るようにして家が建てられている、こういう事例が大変多いわけでございます。今回、地方拠点都市がそれぞれ整備をされるところも、中小の都市はあるわけでございますので一部開発されたところはあるかと思いますが、恐らく大変豊かな農地とそれから豊かな自然環境があるのではないかと思うのですね。  私は、拠点都市整備の場合、この土地利用についてどのように考えるのかということが重要ではないかと思うのです。私は、農地というのは生産手段だと思っております。今度産業業務施設を持ってくるというのは、これはやはり生産手段として持ってくるわけでございます。それがややもすると、今まで自然環境であったいわゆる非生産手段の用地を開発して生産手段に転換してしまう、そして農地としてはそのまま残してしまうというような嫌いがどうしてもあった。こういうことも今回の法の実施に当たっては非常に心配されるところであるわけでありまして、今、雑木林とか丘陵というのは残された非常にわずかな自然でございます。それをどんどん切り開いてしまう、開発をしてしまうということは、希少な自然を失ってしまうことになるわけでございまして、私は正しいやり方ではないと思うのです。  私は、どこまでも生産手段としての新しい産業業務施設を持っていくならば、これまで生産手段であったところの農地の転用というものを主に考えるべきではないかというふうに思います。もちろん農地には第一種、第二種、第三種とあるというふうに伺っておりまして、第一種はできるだけ残したいというお気持ち(私はわかりますが、しかし基本はそういう考え方でなければならないのではないかというふうに思うわけでございます。そして、このような考え方はぜひ基本方針に入れていただきたい、こんなふうに思うわけでございますが、それぞれ農水大臣建設大臣から御答弁をいただければと思います。
  158. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 お話のように、いろいろと言われておりますが、県がどういうところに都市を設定しようとしておるか、これが定かでない。既存の市で大きくしようというところもあるでしょうし、その場合は大体地方都市は道路は非常に狭い、そういう問題があります。そういうところに果たしてそれだけの機能のものをつくれるか。あるいは県によっては、バランス上ここの地域がいいというところも出てくるかもしれません。大きな市はないけれども小さな市であるかもしれぬという場合には、相当農地の転用という問題が出てくるだろうと思います。ですから、結果は出てみないとわかりませんけれども、いずれにしても今おっしゃるように、基本方針によっては環境ということをきちっとうたってありますので、環境を十分維持をして、従来のような鉄筋コンクリートで囲まれたような都市ではなくて、地方にふさわしいそういう都市をつくっていくべきではないのかなという気はいたしております。したがって、計画の段階でもそういうふうにそれぞれの県が特徴あっていいと思うのです。  リゾート法のこともお話しになりましたが、何でもゴルフ場とスキー場ではなくて、どういう人を対象にそこに住まわして、どういうことの工場をつくるか、企業をつくるか、持ってくるかといういろいろな中で一つの構想を練っていただきたい。それに対して私たちは、優良農地は基本としては残したい、それも十分協議をして、そういうことは残した中で、自然の環境というものをうまく残しながら、田園都市でもつくるというような発想でも結構でありますから、そういうすばらしい、今までにない都市をつくって、ゆとりのある、潤いのある、そういうものをつくっていただきたいというふうに思っております。
  159. 山崎拓

    山崎国務大臣 先生は農地を生産手段のカテゴリーに入れられたわけでございますが、生産緑地という言葉がございますように、農地は緑地としての一面も持っておる、環境としての一面を持っていると思います。したがいまして、その環境を守るということにつきましても配慮しなければならないと存じますが、この法案の中には第十七条の規定がございまして、この十七条では農林漁業との調整規定が第一項に置いてございます。それは、生産手段としての見地から置かれている規定だと思いますが、同時に自然環境の一部でもあると思いますが、その調整が一つございます。  それからもう一つは、せっかく拠点都市地域整備いたします際に、産業業務施設がやってきたときには、農地の転用に関してこれまた配慮しなければならないという規定が後段にあるわけでございます。この規定を円滑に運用いたしまして、拠点都市地域整備が、環境に配慮しつつこれからうまく行われていきますように努めてまいりたいと存じます。
  160. 平田米男

    ○平田(米)委員 時間が参りまして、これで終わります。幾つか質問ができなくて申しわけなく思っております。  大変長時間、ありがとうございました。
  161. 薮仲義彦

    薮仲委員長 以上で平田米男君の質問を終わります。  次に、吉井英勝君。
  162. 吉井英勝

    吉井(英)委員 政府は、今回の法案地方自主性、創意性の尊重をするものという説明をしておられますが、ところで、そういう点で早速伺っていきたいのですが、地域指定それから計画策定に当たって、地域住民の総意を酌み上げるシステムがどのようになっているかという点が一つ問題だと思うのです。今回の法案で見てまいりますと、都道府県知事地方拠点都市地域指定、それからもう一つ関係市町村の基本計画策定という面で、実は地方議会の関与が外れているわけですね。  まず最初に、そこで伺いたいのは、なぜ地方議会の関与を外しているのかということを伺いたいと思います。     〔薮仲委員長退席、古賀委員長着席〕
  163. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地方議会の関与を外しておりません。当然計画を策定する場合に、その計画案につきましては議会の承認が必要でございます。
  164. 吉井英勝

    吉井(英)委員 法律上、これは議会の関与というのは出てこないのですね。これは後ほどまた少し触れていきます。  昨日、我が党の小沢和秋委員より、新産都建設促進法などでつくられた工業都市等の問題について総括的な指摘が行われました。私自身、大阪における堺泉北コンビナートの問題などについて検討等を従来からやっておりますが、大分水島その他コンビナート造成が行われて、地方自治体財政とか地域産業、あるいは環境を初めとする住民の暮らしにどんな問題をもたらしたかという点については大いに論じたいわけでありますが、きょうは時間も余りありませんから省略をしておきたいと思うのです。  ただ、いろいろ問題が指摘をされてきましたこの新産都法ですね、この新産都法でさえ、ここに持ってきておりますが第二条二項で、区域指定の申請に当たって、まず申請については「都道府県の議会の議決をこ要する、「協議については当該市町村の議会の議決を経なければならない。」新産都法の場合は、議会の関与ということ、議会の議決というのをちゃんと明確にしているわけです。今回のこの法律では、実は議会の関与というのは外れているわけなんです。それは一体なぜなのかということを伺っているのです。
  165. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この基本計画をまとめます段階におきましては、これは地方自治法の第二条第五項に基づくところの基本構想に即したものでなければならぬ、こういう規定がございまして、それに基づいての計画を策定するものでございますから、当然その段階におい地方自治体が関与しておる、議会が関与しておる、こういう解釈であります。
  166. 吉井英勝

    吉井(英)委員 今おっしゃった点については、地方自治体の総合基本計画の問題なんですね。法案の第六条五項のところです。これは「基本構想に即したものでなければならない。」と書いてあるのですが、問題は、即しているか即していないかとだれが判断するのかということが出てくるのですね。議会が関与するということになりますと、確かに即したものの計画をつくっていくということで関与できるわけなんですが、これは議会の関与なしに理事者の判断でということになりますと、これはやはりあくまでもそれは市町村における総合基本計画なり基本構想の段階での話であって、本法に基づく地域指定については関与するということにはならないわけです。この点、だれが判断するわけですか。
  167. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  お話のように、新産法では区域の指定等につきまして議会が関与していることはそのとおりでございます。ただ、新産法と本法案との大きな違いというのは、今までもるる述べてまいりましたように、この法律というのは、その目的にもございますように、地域における創意工夫を生かして地方自立的成長促進する、こういうことがこの法案の主眼でございます。そして、地域指定につきましては、都道府県の実情に最も通じております知事に御判断をいただく。その際に、関係市町村協議の上そういう御判断をいただく、こういうことにしておるわけでございまして、この知事あるいは市町村、こういうところの市町村長さんの適切な判断によりまして、住民の意向の反映等は十分行われるんじゃないか。それと同時に、やはりいろいろな地域地域がございますから、御指摘のような趣旨は、それぞれの地域地域か生かしてやっていくべきである、かように考えております。
  168. 吉井英勝

    吉井(英)委員 今のお話を聞いていると、かつてのコンビナートの造成だって、それぞれの地域のことを一番よく知っている知事が、計画も立てれば進めていったわけですね。しかし、それが実は地場産業と切り離されたものであって、必ずしも地域経済の発展にとってプラスにならなかった地域もあったし、それから公害その他の環境問題も生み出してしまったということで、まさに住民の声をどう反映するか、住民の代表である議会の関与を含めて、そういう声をどう吸い上げていくかということが一番問題なのに、そういう経験が踏まえられていないということは私は問題だと思うのです。よく知っている知事が判断するからということなんですが、結局、基本構想に則したものと言いながら、則しているかどうかの判断は、今のお話だったら知事が判断するということになっているのですね。  実は私は、具体の例をちょっと見ておきたいと思うのですが、リゾート開発についてはまだ後ほど触れますけれども、リゾート開発の手法として、理事者の方で要綱をつくって、それで議会が議決した基本構想に反する策定をした例もやはりあるわけなんです。例えば長野市の基本構想及び基本計画では、飯綱東高原は自然環境地域として決めて、自然に親しむゾーン重点地区とされていたわけなんです。ところが市当局の作成した要綱では、今度はゴルフ場の造成可能な文化、スポーツ、レクリエーションゾーンに改変されているのですね。ですから、基本計画があって、それに則したものかどうかということも含めてそこに議会の議決を得る、法律上きちっとそのことをうたうことが私は非常に大事なことだと思うのです。今の答弁はちょっとおかしいんじゃないですか。
  169. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 ただいまの御質問は基本計画の方のお話であったかと思いますけれども、長野市の例は私は細かくは存じませんが、基本計画につきましては、先ほど私どもの大臣からお答え申し上げましたように、基本構想に則してということになっております。  それで、基本構想に則してということは、おっしゃるように実質上理事者が判断することになりますけれども、しかし実際には基本計画そのものは、例えば一部事務組合の場合に、一部事務組合にも御案内のように議会が置かれているわけでございまして、その基本計画そのものが一部事務組合の議会の議決事項にはなっておりませんけれども、計画を策定するに当たって、関連予算を通じて議論は当然そこで行われる。それで、基本構想との整合等についてもその場で議論をされるもの、このように承知しております。
  170. 吉井英勝

    吉井(英)委員 ですから私も、多分一部事務組合を挙げられると思ったのです。あくまでもそれは一部事務組合の話であって、組合には事務組合議会を設けますね。ところが、その事務組合議会の議決を要するということに法律上なっていないのですね。今おっしゃったとおりです。ですから、基本構想に則してといっても、則しているかどうかの判断というのは理事者側の判断にゆだねられてしまって、文字どおり住民の総意を酌み上げてやっていかなければいけないというのが、これまでのいろいろな法律でやってきた町づくりなんかのいわば教訓として出てきている問題だと思うのですが、それを踏まえたものになっていないということが一つの大きな問題点だと私は思うのです。  国土庁の方で、これは四月十七日付の日経でも紹介され、私の部屋でもレクをいただきました。四月の二十三日からですか、リゾート法見直し研究会というのを出発されるのですね。このリゾート法見直し研究会の内容を聞かせてもらったところによると、環境破壊、それからどの計画も金太郎あめであった、三つ目には企業中心で地元に根差した計画でなかった、そういう点を大きな反省材料として、それで見直しをやるんだというわけですね。  その地域の歴史とか自然環境であるとか地場産業とか地域住民の願いとか、そういうものから遊離してしまって、どの計画もゴルフ場、それからスキー場かマリンスポーツ、それからリゾートマンション、ホテル、いわゆるこの三点セットと呼ばれるものでやってきて、民間企業が全国的に展開している観光レジャー開発をそのまま受け入れたようなリゾート開発のやり方、これはもうだめだということが今の到達点じゃないかと思うのです。つまり、地域住民が納得したものになっていない、あるいは地域住民の暮らしをよくすることにつながるものでもない。それがリゾート法を実際やってみて、多くのところで問題が出てきて、だからこそ日弁連はリゾート法廃止を決議しましたし、今回、国も研究会をつくって今見直しにいこうとしていると思うわけです。  ところで、このリゾート法の場合、この法律の決定のところを見てみるとどういうふうになっているかというと、リゾート法では、都道府県は基本構想の作成等について関係市町村協議ということになって、前の新産都法なんかと違って、この場合には議会の決議をすぽっと抜いているのですね。つまり、住民の総意を酌み取るとか議会の意思を酌み取るというシステムをつくらないままやってしまって、今日こういう問題が出ているというふうに思うわけです。けさほど来も、リゾート法の問題についていろいろな御意見がありました。そういう点は多くの論者の論点、議論する角度はそれぞれあるにしても、やはり今そこが問題になっていると思うのです。  だからこそ、議会の関与抜きでやって、そして地権者にも十分知らされない、後から議会が知らされて、それに関連する予算を賛成するか反対するかだけの議論だ。そういう中で、結局、地権者の同意も得られない、計画修正や見直しに追い込まれるという、事実上凍結や廃止が今うんとふえているのが現状だと思うのです。ですから、住民の総意なり納得を得るという姿勢をとること、それから地方議会での議決をきっちり得るようにするという、こういうルールをつくるということが、今回リゾート法を見ても大事な教訓の一つになっていると私は思うわけです。  最悪の例だけ一つ挙げておきますと、岡山県のチボリ公園の誘致の問題です。これなんかも、市長が市民と議会に内容を知らせないで進めてしまった。計画推進の中心が知事と民間会社の社長ということが明らかになって、知事が議会から告発されるという事態も生まれていますね。だから、やはり自治体議会の議決を得るというルールの確立、このことを法律にきっちり明記するということが今必要だと私は思うのですが、改めてこの明記する問題について伺いたいと思います。
  171. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 地域指定に関しましては知事の権限とされ、それで基本計画の策定は市町村が共同して行う。いずれの場合にも、現在準備しております法案の中では、県議会の議決なりあるいは市町村議会の議決なりを必要とするようにはしておりません。その理由は、先ほど来申し上げたとおりでございます。実際に地域指定なりあるいは計画の策定に当たって、民意を反映させるための具体的な手法としては、それぞれ知事なり関係市町村なりの手によっていろいろな工夫があってしかるべきか、このように考えております。
  172. 吉井英勝

    吉井(英)委員 住民の声を率直に聞こうと思ったら、議会にかけるようにすれば一番いいじゃないですか。さっきも言いましたように、リゾート法の場合は、都道府県は市町村協議という書き方ですね。それから新産都法の場合は、知事は申請については都道府県議会の議決を得る、協議市町村議会の議決を得る、知事はいずれにしても地方議会の議決を得るという形を法律上とっているのですね。  今回の拠点都市法の場合は、「知事は、」という部分は新産都法と同じ書き出しなのですが、最後の部分はリゾート法と同じ協議ということで終わっているのですね。法律の立て方としても非常にばらばらなのですね。新産都法のように「知事は、と入れば、議会の議決を得るということで、さっき申し上げましたようなこれまでの経験、経過を踏まえても、私は議会の議決を得るということを法律上きっちり明記して、やはりそういうシステムとして組み立てていくということが大事だと思うのですが、これは大臣、どうですかね、やはり法律としてはそういうふうにするべきじゃありませんか。
  173. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 基本計画をつくりますときには、その地域におきますところの構想等は既に議会といろいろ協議してやっておりますので、だから中身をわきまえての首長同士の協議であるから、大してそこを来すようなことはないだろうと私は思っております。
  174. 吉井英勝

    吉井(英)委員 えらい議会決議にこだわっていらっしゃるみたいですが、先ほど私長野の例を挙げました。市の方が総合基本計画をつくっても理事者の側がそれと違った要綱をつくって、基本計画では自然に親しむゾーン、重点地区と、こういうふうに基本計画でうたっておっても、要綱に基づいて出てきたものが、ゴルフ場造成可能な文化、スポーツ、レクリエーションゾーンということに改変されてしまっておったということで、実はここではそういう要請書が上がってきたり、議会でも問題になっているのですね。だから、基本計画と違うものになる場合もあるわけですから、議論する場が全然ないですね。決めてしまってから予算措置の段階で問題が起こったり、リゾートで問題になっているように地権者との間でもめたりとか、そんな計画全然知らされていなかったとか、こういうことも従来出ているわけですから。  ですから、やはりルールとして、新産都法のように「知事はこといったら、それは議会の議決を得てという部分があるわけですから、それをルールとして確立するぐらいのことは考えたらいいと私は思うのですが、この点もう一回聞いておきたいと思います。
  175. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど申しましたように、基本構想のところで十分だと私は思っております。
  176. 吉井英勝

    吉井(英)委員 次の問題に移っておきたいと思いますが、東京一極集中の是正、過密過疎の是正の問題です。  地方は国に何を求めているのかという点で、実はこれは九一年四月二十六日付の報道ですが、ですから二十五日にまとめられたものですが、PHP総合研究所の自治体アンケートのまとめというのが出ております。その中では、東京一極集中の解決策として、遷都など首都機能移転するよりも地方への権限移譲を重視してもらいたいとする自治体が六七・六%、三分の二を占めている、こういうふうに紹介されておりますが、こういう地方の考え方について、国土庁長官なり自治大臣、この結果をどういうふうに考えられますか。
  177. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 具体的にお示しになりましたものを私ちょっと目にしておりませんけれども、地方への権限移譲につきましては、私どもかねてからいろいろと腐心を重ねているわけでございますけれども、地方公共団体の要望の線までにはなかなか至らない現況にあることは事実でございます。今までも行革審なり地方制度調査において、具体的な項目を示して地方への権限移譲が進められてまいりました。具体的には、昭和五十八年以来一括法を四回変えておりますし、またその後、毎年度、毎年度におきまして、国会に提案されます法律等の制定、改廃、その都度にも地方にできるだけ権限を移譲するように努力をしておりますけれども、まだ不十分な点がございます。今後とも努力を重ねてまいりたいと考えております。
  178. 吉井英勝

    吉井(英)委員 まず、一極集中の是正などを考えたときに、地方にもっと思い切って権限を移譲することが大事だということが地方の側からの意見として出ているということは、非常に大事な点だと思うのです。  そこで、私はこれに関連して少し伺っておきたいのですが、昨年の夏に通産省の方は、産業業務機能再配置促進法案というのを考えられました。それから建設省の方は、地方拠点開発特別措置法案というのを検討しておられますし、自治省は、中核行政圏構想の検討をやっている。国土庁国土庁でまたいろいろお考えなんですが、それらをいろいろ省庁ごとに出して今回の法律になっているのだろうと思うのです。  一方、こういうことに対してジャーナリズムの側からの批判的見解も示されております。それはいろいろ皆さん方も見ていらっしゃると思うのですが、例えば昨年九月二十二日の「地方都市を活性化する道」ということで、これは日経が論じているものですが、ちょっと紹介しておきますと、各省庁地方都市を活性化する対策を次々に打ち出しているのだが、国主導の活性化には限界があり、発想を切りかえて、地方が自主的に都市づくりに取り組める環境を整えることが先決だとして、建設、通産、国土自治省のそれぞれの計画等を紹介しながら、「国が様々なモデル事業を用意し、自治体がその指定を受けるために霞が関に陳情を繰り返すことで地方都市は活性化するのだろうか。地域の自立と主体性が叫ばれながら、テクノポリスやリゾート法の基本構想の承認など地域振興政策の多くがこのパターンできている。いま、地方都市に必要なことは、国の施策をそのまま受け入れることではない。自分たちの都市の将来像を自らの手で描き、施策として実現させていくことである。それによって、それぞれの風土に根ざした個性豊かな都市実現する。」「国は、指定合戦を誘発するようなモデル事業着用意するより、地方都市の自立と個性的な地域づくりの手助けに力を入れるべきである。それには、都市が自由に使える財源を増やしたい。」  また、財源移譲の問題とか許認可権限の大幅移譲の問題などをマスコミも論じているわけでありますが、私はマスコミなどのこの指摘というのは、これはかなり当を得た部分があると思うのですが、それぞれ昨年、各法案の検討や打ち出しをされた大臣として、この辺の指摘についてはどのように考えられて、どう是正を進めていこうとお考えになっていらっしゃるか。この辺、それぞれの大臣からでも結構ですし、どなたか代表してでも結構ですが、いかがでしょうか。
  179. 市川一朗

    ○市川政府委員 建設省におきましては、地方拠点都市開発構想というものを平成四年度の重点施策として提起しておりました。それから、関係省庁におきましても、ただいま御指摘がございましたように、それぞれいろいろな角度で御提案がございまして、今回の法案提出までの過程で、最終的に六省庁の構想を集大成した形になったわけでございます。  その中で私どもが一番重点を置きました一つが、ただいま先生の方からお尋ねのあった点ではないかと思うわけでございますが、すなわち今までのものは、新産・工特等にいたしましても、その地域開発の方向みたいなもの、姿かたちといったものがある程度法律の段階で示されておるわけでございますけれども、今回の地方拠点都市地域開発構想は、その都市あるいはその地域がどういった形になるかということは、もう本当に地方自主性創意工夫に任せるという形でいきたいということでございまして、とにかくその都市、その周辺市町村を含めました都市地域がきちっと整備され育成されていく形で、その地域全体の自立的成長が高まるというところに主眼を置いて、国は具体の計画には足を踏み込まない、計画市町村が主体となってつくっていただく、それに対して国は各種の支援措置を講ずる。  したがいまして、でき上がりの姿は、それぞれの市町村におきまして創意工夫を凝らして、それぞれの自然とか歴史とか、そういった特性に応じたいろいろな形があると思いますので、そういう方向で頑張っていただきたい、それに対して我々も全面的に応援する、そういうところでございます。私どもといたしましては、そういう意味での創意工夫を十分生かした法案を考えたつもりでございます。
  180. 吉井英勝

    吉井(英)委員 私は少し具体的に、もう少しこの点について伺っておきたいと思うのです。  時間が大分たってまいりましたので、せっかく総務庁には来ていただいておりますが、総務庁からいただいている資料について、権限移譲とか自由に使える財源をふやす問題について、マスコミなども指摘しているわけですが、この権限移譲に関しては、特に総務庁の方でまとめられたものでは、前回第二回と今回と比べて、国の関与省庁別事項ということで調べたものによりますと、実は農水省が十一件ふえ、建設省が十二件ふえている。つまり権限移譲を言っている時代に、関与することがますますふえているのが、一つは建設省がそのことに当たっているわけですね。きょうは建設大臣の方から、この関与を減らす、そういう立場に立って進められるかどうかということをひとつ伺いたいと思うのです。  もう一つ自治大臣に伺っておきたいのですが、先ほどの指摘にもありました、権限移譲とともに自由に使える財源をふやすということですね。大きく言って二つの点が論じられていると思うのですが、自由に使える財源をどのようにふやすかという点で、これは地方自治体がそのことを求めているわけですが、自治大臣としての考え方というものを伺いたいと思うのです。
  181. 市川一朗

    ○市川政府委員 まず第一点といたしましては、今回の法案の策定に当たりまして、再三御答弁申し上げておりますように、国の関与を極力少なくしたということは、私どもといたしまして一つの施策スキームをつくる際における権限移譲一つではないかというふうに思っておるわけでございます。  それから、一般的な行政の進行の中での権限移譲問題につきましては、現在行革審でもいろいろ議論されておりまして、私どもも今まで必ずしも十分ではないかもしれませんが、いろいろな角度から、例えば私自身が直接所管しております都市計画行政等につきましても、できる限りの権限移譲を図ってきたつもりでございます。今後とも、そういった方向でいろいろと検討していく必要があるという認識を、建設省としては持っている次第でございます。
  182. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 地方への財源移譲につきましては、まず地方公共団体が自由に使える財源をしっかり確保するという意味で、交付税を絶対的に確保するということが必要であろうかと思います。その場合には、やはり現実に生じている地方の行政需要というものを的確に財政需要としてとらえることが肝心であろうかというふうに思っております。また、そのようにして確保した財源につきまして、自由に使えるような仕組みを導入することも必要だと考えておりまして、ふるさと創生以来、今回の拠点法の整備に当たりましてもそうしたいと思っておりますけれども、地方創意工夫に基づくものに地方債、交付税を使って支援をしていく、こういうスタイルをとっていきたいと思っております。  また、具体的に財源移譲そのものについて今申し上げますと、国庫補助負担金につきましての整理合理化の一環として、やはりそれは個々の補助負担金ごとに議論をしなくてはいけませんけれども、国の責任の度合いであるとか地方への同化定着の度合いであるとか、あるいはその奨励目的を達したかというようなことを勘案しながら、関係省庁の理解と協力を得ながら一般財源化等にも努めてまいりたい、このように考えております。
  183. 吉井英勝

    吉井(英)委員 もうこれで終わりにしたいと思います。  地方振興で、やはりこれまでの地方自治体における取り組みを見ておりましても、うまくいったところというのは、工特法、新産都法、工業再配置法とかテクノポリス法、リゾート法とか、いろいろなそのときそのときの法律に余り振り回されないで、地方の特性をよく生かして、住民と一体となって進めてきたところがうまくいっているというのがこれまでの教訓だと思うのです。その点で、塩川大臣トップダウン方式じゃなくてという指摘をけさほどもしておられましたが、まさにそういう住民の声をどう結集するか、反映するかという点で、これはやはり自治体議会の役割が一つは非常に大事だと思います。  それから、自由に使える財源をふやすこととか権限移護とか、局長の方から御答弁ありましたけれども、実際それを本当に大臣として相当な決意を持って進めていただくということなしには、地方自治体の自主性とか独立性をバックアップしていくことにならない。それがやはり今日の一極集中等を生み出している問題ですから、私は、そういった問題の是正が今本当に必要になってきているんだ、このことを指摘して、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  184. 古賀誠

    古賀委員長 次に、柳田稔君。
  185. 柳田稔

    ○柳田委員 まず、国土庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、この法案による施策と従来の地方振興施策との相違についてお尋ねをしたいと思います。  本法案と同じように、地方に拠点となる地域を定め整備を行うという地方振興策、今までいろいろと出てまいりました。新産業都市、工業整備特別地域、テクノポリス、振興拠点地域制度、いろいろと何度となく行われてきたわけでありますけれども、これらの多くは、大分時間がたった後でもなかなかという成果を上げていないのではないかなという気がいたします。特に、人口が減少した都道府県、平成二年度の国勢調査では十八都道府県へと拡大をしておるというのも一つのあらわれではないかと思っております。そう考えますと、この法案も従来の施策と同じようになるのではないか。  いろいろと指摘をされておるわけでありますけれども、先週の十五日の委員会審議の中で、国土庁長官は、今度は違うというふうに断言をされました。この発言に対して、私は、長官みずから過去の地方振興策の失敗をお認めになったということは申すつもりは毛頭ありません。逆に私は、本法案による施策が地方の活性化に多大の貢献をなしてくれるものとひそかに期待をしておる者の一人であります。しかし、国土庁長官のように、今度は違うと断言される、その根拠がまだそう理解が行き届かないというのも私の感じであるわけでありますが、この法案による施策が何年がやってみて従来の施策と同じようにやはりうまくいかなかった、そしてまた新しい地方振興法案が提出されて、そのときも国会で今度は違うというのもありはしないかなという危倶がなきにしもあらずであります。何年か先でありますので、今の長官がそのときも長官であるということは言い切れないかと思いますし、もしかしたら我が党の議員が長官をされているかもわかりませんけれども、とにかくこの法案地方は大分夢を託しておるわけでありますので、何とかして成功していただきたいものだと思っております。  その意味で、まず国土庁長官、今度は違うと言ったその自信の裏づけ、そして決意をまずお聞かせ願いたいと思います。
  186. 東家嘉幸

    東家国務大臣 今日の若者が地方からどんどん都会に集中する、若者不在の高齢化社会の地方を憂うとき、これはやはり一極集中を是正して地方に活性化をもたらそうということは、先ほども答弁の中に申し上げましたが、各関係省庁、もちろん協議官庁も含めて役所の皆さん方が一緒にやろうという土台をつくったんだ。そして、今それぞれの構想に基づく法案をお願いしているわけですから、これは私の決意というものは、あくまでも各省庁の担当する皆さん方が、国民の本当に期待する今度の法律であるという、すべての皆さん方がそのまなざしで見ておりますよ、その決意を各省庁関係者の皆さん方がありありと、今日まで至る協議の中に私は受けとめてきておりますので、今度は絶対に間違いなく私は施策が講じられ、そして地方の皆さんの自主性を尊重しながら、お互い協議しながら今後の推進を図るならば、必ずやいけるものと確信をしておりますということを、役所の皆さんの一姿勢に対し、私はそういうことを断言してもいいのではないだろうかというふうに考えております。
  187. 柳田稔

    ○柳田委員 大変力強い決意をお聞かせ願いまして、やはりこれでどうにかなるなというひそかな期待も、物になるような気がいたしております。ぜひとも頑張っていただきたいと思っている一人でありますので、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、拠点都市地域指定及びその際の県内のバランスについてお尋ねをしたいと思います。  昭和四十四年から広域市町村圏というのが設定され、現在まで大都市圏で二十四圏域、大都市圏以外で三百三十六圏域の圏域数が指定されておるわけてあります。この広域市町村圏は、市町村広域事務処理などでそれなりの効果を上げているわけでありますが、今回の拠点都市地域指定に当たりまして、この指定地域範囲としてはおおむね広域市町村圏の圏域と考えてよろしいのでしょうか。
  188. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 法案にごらんいただきますように、地方拠点都市地域は、地域社会の中心となる地方都市とその周辺地域市町村から成る地域ということでございます。それは自然的あるいは経済的、社会的諸条件から見て、一体として整備を図ることが相当と認められる地域であるということで、具体的には複数の市町村から成る地域になります。  その具体的な広がりにつきましては、中心になる都市周辺市町村との関係がどうであるかとか、あるいは通勤圏の状況がどうであるかとか商圏がどうであるか、あるいは住民の日常生活圏がどんな広がりを持っているか、そういうふうな各地域の実情を踏まえて一体として整備することが適当という地域になるわけでございますが、御指摘にございましたように、広域市町村圏三百三十六プラス二十四という形で、今日までかなりの実績を積み重ねてきております。そこで、この広域行政圏のまとまりなりあるいはそこに行われた施策の実績ということは、当然考慮されるものと自治省としては考えております。
  189. 柳田稔

    ○柳田委員 単独の市や町ではなくて、やはりその範囲といいますか、まとまった圏で考えていくというふうに理解をさせていただいてよろしいわけですか。
  190. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 それはもう法律の定義上も、地域社会の中心となる都市周辺市町村とを合わせた地域について考えるものでございます。
  191. 柳田稔

    ○柳田委員 そう考えますと、今回の拠点都市地域指定及び整備に当たりまして、まず第一に考えなければならないのは、このことが県内の一極集中をさらに加速させるのではないかという問題であります。  このことは全国共通の問題になるのではないかと思うのですけれども、一例を挙げて、私の地元である広島について少し述べさせていただきますと、広島では広域市町村圏が備北、芸北を初めとしまして十の広域圏があります。その中で、人口においてはぬきんでて広島市を中心とする広島圏域がトップといいますか、特にぬきんでておる。これは広島県の西部に位置しているわけでありますが、その南に第三番目の圏域である呉圏域があるわけであります。  広島圏域というのは、県庁所在地の広島市を中心とする市域でありまして、広島市の場合をちょっと申し上げますと、市の市域を九%拡大しまして百万都市となりました。さらに、一九七九年から一九八九年の十年間に人口が実に二二・一%増加しておる。まさに広島県内においても、県内一極集中が進んでおるという気がするわけであります。先ほど申しました隣にあります呉圏域、県内第三の都市なんですけれども、これはテクノポリスに指定されておりますが、人口の減少がやまないのではないかな、横ばいと言ってもよろしいかと思うのですが、そういう状況にあります。  さらに東部、これは福山市ですけれども、総理の出身地にも当たりますけれども、人口が約三十七万人、県内の第二の都市ということで福山府中圏域がございます。この圏域の人口は約五十三万人、広島圏域の人口が約百三十一万人ありまして、その四割にしかすぎない。大体これで計算しますと、県の西部、これは広島市を中心としたところ、東部の福山市を中心としたところ、大体二倍差が出てきておる。しかし、今言いました福山市、半分しかないと言いましたけれども、いろいろと施策を講じまして城下町として発展してきたわけでありますので、その辺も考慮に入れながら調和した文化・教育都市を目指したりとか、近くには広島の新空港が整備される。そして、中国横断自動車道も近々開通といいますか全通といいますかされるということで、大分東部の方もよくなってきたということで、福山市も頑張ってこの圏域を発展させなければならないというふうには思うわけであります。  ただ、従来からの施策を考えながらこの一極集中を考えていくと、県全体としての均衡ある発展を目指していかなければならないという気がするわけなんです。また、するわけじゃなくてしなければならないというふうに思うのですけれども、今回の拠点都市指定に当たって、県内のバランスをどのように考えていくか、御見解を承りたいと思います。
  192. 中田哲雄

    ○中田政府委員 地域経済が活性化してまいりますためには、適切な産業の集積が実現されまして、いわば産業の厚みというものが地域にできる必要があるというふうに考えておるわけでございますが、ただその結果、周辺地域の人口が減少して活力が失われるといったようなことでは困るわけでございまして、拠点都市地域周辺部がともに繁栄していく形をつくっていかなければならない、かように考えているわけでございます。  御指摘の県内第一の都市の問題でございますが、拠点地域におきます。務施設につきましては、税制・金融上の優遇措置あるいは地域振興整備公団の各種の助成措置等もございますので、これらの支援措置等もぜひ御活用いただいて施設整備が進むということを考えているわけでございますが、いずれにいたしましても、地域指定あるいは計画づくりの段階からそれぞれの地域で十分知恵を出していただきまして、また国としても適切な助言、指導をしていくことによりまして地域の均衡ある発展実現していきたい、そのために努力をいたしたいというふうに考えております。
  193. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 具体的な地域に即して御発言がございましたけれども、その具体的な地域に言及することは差し控えさせていただきたいと思いますが、地域指定に当たりましては、県内の一極集中を生じることを避けるというのは重要な眼目でございまして、また都道府県内の地域のバランス等にも配慮する必要がございます。それぞれの地域の諸事情というものを勘案した上で、事情に精通した知事が総合的に判断されるもの、このように考えております。
  194. 柳田稔

    ○柳田委員 今お答えいただきましたとおり、バランスを考えて進めていきたいということでありましたけれども、現実的に大変重要な問題になっているというのも御存じのとおりであります。  東京一極集中ということはよく言われておるのですけれども、県内一極集中というのも、これは今例を挙げたところだけではなくていろいろなところにある。例えば、特にですけれども県庁所在地、人口の増加がひどいのではないか。仙台市の例ですけれども、一九八一年から一九九一年の十年間で人口集中度が九・一%の上昇をした。現在、宮城県全体の人口の実に四〇・一%が仙台市にあるというのも現実であります。こういうふうな県内一極集中を助長させないためにも、今お答えがありましたように、できるだけ県内のバランスを考えていくということはぜひともやっていただきたいというふうに思うわけであります。  それにつけ加えまして、この法案東京二十三区内から拠点都市内への産業業務施設移転に対して優遇措置がとられているということでありますが、これにまねましてといいますか同じような格好で、例えば県内一極集中が進んでおる都市から拠点都市内への移転についても同様に考えていくということについては、いかがなものでございましょうか。
  195. 中田哲雄

    ○中田政府委員 県内の第一の都市集中の進んでおります都市につきまして、東京二十三区並みに扱うということで過度集積是正対策を投入するという御示唆でございますが、現時点では東京の区部と地方都市とのオフィス集中の程度にも非常に大きな差があるというふうに私ども認識しておりまして、現時点では同じような措置を講ずるというのは適当ではないんではないだろうか、さらにまた検討してみたいというふうに思っております。
  196. 柳田稔

    ○柳田委員 大分時間がなくなりましたので、飛ばさして質問させていただきたいと思うのですが、建設大臣にお尋ねをしたいと思うのですけれども、この法案によりまして拠点都市地域指定されます。そうなりますと、その市だけではなくて周りの町村も入ってくる。そうなりますと、その町村というのは大体において農業とか漁業が中心の産業になるわけであります。  この法案ができますと、さらにこの拠点都市地域内といいますかその近隣も含めまして、農林漁業の衰退がひどくなるのではないかというふうな危険性もあるのではないかというふうに思うのですが、先週十五日の委員会審議の中で、農水省が本法案に加わった理由として、若者の農村定住対策としては農村の近辺に魅力ある都市があることが必要ということで御答弁がありました。なるほどそういう、ふうにも考えられるわけであります。しかし、先ほど申しましたように、やはり都市に出てサラリーマンをすれば収入も多くなるし、週休二日もあるし、結婚もしやすくなるということで、若い人がどんどん出ていってさらに周りの町村が厳しくなるんではないかな、そういう危惧を持っているわけでありますが、この拠点都市地域及びその周辺地域における農林漁業との調和について、この法案の取りまとめてある建設省としてどのようにお考えなのか、お答えを願いたいと思います。
  197. 山崎拓

    山崎国務大臣 本法案には第十七条の規定がございまして、拠点都市地域整備に当たり農山漁村の整備促進、農林漁業との調和に関する配慮規定があるわけでございます。この規定を十分尊重いたしまして、周辺の農林漁業の衰退を来さないようにいたしたいと考えております。  これは農水大臣からお答えが既にありましたところでございますが、第二種兼業農家が九〇%以上に及んでおる現況にかんがみまして、農業地域周辺拠点都市地域ができまして、そこに産業業務機能が配置せられるということは、かえって農業における若者の定着に資するものである、こういう御答弁を、昨日でございましたが、田名部農水大臣答弁の中に私はここで拝聴しておったわけでございますが、私もそのように考えております。
  198. 柳田稔

    ○柳田委員 農業の一番大きな問題は後継者難だというふうに聞いておるわけでありますが、これが進みまして、若者が日ごろはほとんどが会社に行って仕事をする、農業の方はお父さん、お母さんが仕事をなさる、大変高齢化されていると聞きます。これがどんどん進んでいきますと、通常畑、田んぼを見る人がいなくなって、若者の仕事場は都市ということになれば、そういうふうに考えていきますと、将来厳しくなるんではないかなと思うのですが、農水大臣いかがでしょうか。
  199. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 傾向としては、東京から地方移転をしていただくことも大事であります。しかし、今私の方から見ますと、都市に出ないように一体今どうするかということで頭がいっぱいでありまして、今建設大臣お話しのように、厳密に言うと二八%が専業農家であとは一種。二種なんですね。したがって、今のままでいきますと、私どもが規模を拡大してそうして他産業並みの農業を目指そうという部分と、そうでないところが出てきます。そうでない方の人が都会に出ていかれると夫婦で行きますから、お年寄りが残るということにもなろうし、そういうことを防止するためにも、職場があってそちらで収入を得ながら農業もやるという人がおって、初めてこの農村、漁村に定住ということが見込まれるわけですね。  ですから、この法律というものは、拠点都市というものは一体となって整備されていなければならないというふうに私どもは考えておるのは、そこのところなんですね。ですから、いずれにいたしましても、定住あるいは活性化、都会から来る人たちが自然と環境を生かしながら農村地帯に住んでも、通うにはそう遠くないという部分もありますので、そういうところはいろいろと創意と工夫を凝らしながら、あくまでもその県の知事がどこをやろうとするか定かではありませんが、いずれにしても、大部分農村とか漁村、そういうものは近辺にあるわけでありますから、やはりそこが一体となって活性化をしていくということに配慮しながら進めていかなければならぬ、こう思っております。
  200. 柳田稔

    ○柳田委員 大変厳しい道のりだと思うのですけれども、個人的には評価をしている一人でありますので、頑張っていただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  201. 古賀誠

    古賀委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後五時九分散