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1992-05-20 第123回国会 衆議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月二十日(水曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 古賀  誠君    理事 片岡 武司君 理事 金子原二郎君    理事 北村 直人君 理事 杉山 憲夫君    理事 渡海紀三朗君 理事 三野 優美君    理事 山内  弘君 理事 吉井 光照君       植竹 繁雄君    川崎 二郎君       木村 守男君    久野統一郎君       塩谷  立君    島村 宜伸君       野田  実君    萩山 教嚴君       光武  顕君    山本 有二君       石井  智君    木間  章君       貴志 八郎君    渋谷  修君       松本  龍君    遠藤 乙彦君       薮仲 義彦君    辻  第一君       小平 忠正君    米沢  隆君  出席国務大臣         建 設 大 臣 山崎  拓君  出席政府委員         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         議     員 木間  章君         議     員 谷村 啓介君         議     員 菅  直人君         環境庁大気保全         局企画課交通公 斉藤 照夫君         害対策室長         運輸省鉄道局施         設課環境対策室 鈴木 康夫君         長         運輸省航空局飛         行場部環境整備 長澤 純一君         課長         建設委員会調査 杉本 康人君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   伏木 和雄君     遠藤 乙彦君   米沢  隆君     小平 忠正君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 乙彦君     伏木 和雄君   小平 忠正君     米沢  隆君     ――――――――――――― 五月二十日  都市部における駐車場問題の抜本的対策に関す  る陳情書外一件  (第八九号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第七二号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案木間章君外三名提出衆法第一〇号)      ――――◇―――――
  2. 古賀誠

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案及び木間章君外三名提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渋谷修君。
  3. 渋谷修

    渋谷委員 今回の都市計画法等改正について、いろいろと議論経過がございますけれども政府案に対する質疑あるいは社会党進民連提案しております法案についての質疑経過を通じて、その基本的な違いというのはほぼ明らかにされてきたというぐあいに思うのですけれども、私の方から一言で申し上げれば、いろいろな問題が各地で起こっているという事実認識については、政府の方もこれはわかってきた。わかってきたから、それに対応しようということになるんだけれども政府案というのは、基本的に、いわば今の制度メニュー追加をして対応しよう、例えば用途地域詳細化といったことは実はそうであります。我が方は、そうではなく、メニュー追加だけではこれはもう限界がある、したがって、制度改革システム変更を伴った、若干メニュー追加ということでなければ対応はできないんだ。こう二つに実は分かれるわけでございます。  先般の代表質問の中でも質問いたしまして、そして自治大臣の方から、このシステム変更については、昭和六十三年の地方制度調査会答申を本会議場でお読みをいただいて、今度の法律についての見解もお伺いしたわけですけれども、率直に言って、本会議場での自治大臣の発言というのは余りよくわかりませんでした。どっちがいいのかという話は全然はっきりしない。  で、あえてまたここでこの三行の文言を読み上げておきたいと思いますが、この地方制度調査会答申では、「まちづくり」という項目について、「都市計画都市計画法)」と書いてあります。そして、「都市計画市町村事務とし、市町村都道府県に協議して決定することとするとともに、都市計画区域都市計画決定及び都市計画事業の施行に関する国の関与を廃止する。」とあるわけです。  これを基本にいたしまして、今度の政府案と、そして社会党・進民連案、どちらがこの答申に近いのか。この答申を踏まえて改正案をつくったとすれば、どちらに近いものになるのか。これはもう単純な話ですから、ぜひ大臣にお考えを伺いたいと思います。
  4. 山崎拓

    山崎国務大臣 渋谷委員指摘のとおり、昭和六十三年の地方制度調査会答申でございますが、ここには、都市計画市町村事務とすること、並びに都市計画に関する国の関与を廃止することとの提言がなされております。  しかし、現行都市計画制度におきましては、原則といたしまして市町村都市計画決定するということになっておりますし、実態都市が広域化していることにかんがみまして、広域的、根幹的な都市計画知事決定する、また、知事決定する都市計画のうち、国道等の国の利害に重大な関係のあるものにつきましては建設大臣の認可を要するものといたしておるところでございます。  都市計画における権限配分につきまして、どちらの提案がより地方制度調査会答申に近いか、こういう御質問でございますが、この地方制度調査会答申自体は、他省庁、特に建設省調整を行って出されたものではございませんけれども、この方向に向かいまして、従来より必要な見直しを行ってきたところでございます。  今回の改正におきましても、マスタープラン基本的な方針でございますが、という新しいシステムの創設を行っておりますし、特別用途地区制度及び地区計画制度拡充も行っておりまして、市町村権限拡充を行ったところでございます。  今後とも権限移譲等には努めてまいる所存で ございまして、政府案におきましても現下最善のものとして提案をさせていただいたところでございます。
  5. 渋谷修

    渋谷委員 どちらが近いかということについては単純明快にお答えにならずに、迂回作戦答弁をされたわけでございますけれども、きのう都計審責任者である伊藤さんに来ていただきまして、参考人意見聴取ということをしたわけですけれども、これは去年の十二月の答申なんですね。従来から権限移譲については、これは建設省も取り組んできた、あるいは自治省もそういう取り組みをしてきたということは、それは何度も答弁で聞いています。  しかし、去年の十二月の答申で、「都市計画決定手続」ということについてあえてここでさらに、可能な限り国から地方権限移譲を進めよう、「行財政能力に応じた権限配分を進める必要がある。」ということを指摘しているのです。それは建設省やあるいは自治省がかつてやっていることを評価しているならば、こういう都計審最終答申内容にならないでしょう。不十分だからこそ、去年の十二月にあえてまた大臣に対して、これは大臣に対してですね、答申ですから、こういう形でのものになっているということですね。このことを、大臣はどのように御理解いただいているか、お聞きします。
  6. 山崎拓

    山崎国務大臣 その答申も踏まえまして今回の都市計画法改正を行ったところでございまして、ただいま申し上げましたとおり、市町村権限移譲につきましても、今回も一段と進めたところであると考えております。
  7. 渋谷修

    渋谷委員 以前も申し上げましたけれども、私も今回のことに取り組むに当たって、この都市計画法昭和四十三年に審議され、成立したときの議事録をずっと読んでみました。これは大変な量でなかなか読むのも骨が折れたわけでありますけれども、このときに、私ども佐野憲治という当時建設委員会理事でございますけれども、この方が、今回ここでもう相当な時間にわたっての審議が行われたわけですが、権限移譲の問題についてやりとりをした内容は、もうここにほとんど、二十年前の議事録に全部出ているのです。機関委任事務であるとか、今まさに大臣答弁をいたしましたものも、当時の保利建設大臣答弁した内容と同じなんです。二十年たっても変わっていない。市町村原則として都市計画については策定をさせていると書いてあるのです、答弁に。  二十年たっても変わらないということは、これは一体どういうふうに理解をすればいいのか。このときに、さらに参考人意見聴取として高木さんという方から地方自治についても意見聴取をやっています。もう明確ですよ、二十年前のこのときこも。   いままでいろいろ都市計画がりっぱなプランが  立てられながら実際うまく仕事ができなかっ  た、したがって、絶えず計画が事実の前に踏み  にじられていった、そういう理由の一つとして、  その都市自治体都市計画をやらせない、要  するに、国家が都市計画をきめて市に押しつけ  ていくものだ、そういう考え方基本にあった。  したがって、市民の持っておる自発的なエネル  ギーというものが都市計画に集中してこない、これは二十年前の高木さんという参考人意見聴取です。もうこれ以上は読みません。  大臣議事録はぜひこの高木さんの部分だけでも、きょうでこれは、後の法律の扱いがどうなるかわかりませんけれども、これでおしまいという話じゃないですね、この都市計画の問題は。日々国民の日常に密接にかかわる問題でありますし、今後も私どもは、その都度内容に問題があれば見直しをしていかなければならないということでありますから、私は、もちろんこれで今度の問題が終わりということじゃなくて、引き続きこの問題については、ぜひ建設省の方とも議論をしながら、あるいは協力をしながら、この問題の前進のために取り組んでいかなければならないというぐあいに考えておりますけれども原則として市町村にゆだねている、市町村がやる体制になっているじゃないかということは、建設省はいつも言います。それだっら、知事承認という規定は削除したらどうですか。
  8. 市川一朗

    市川政府委員 現行都市計画法権限配分につきましての考え方につきましては、先ほど建設大臣から御答弁したとおりでございまして、基本的には市町村決定するという考え方の中で広域的、根幹的なものについては知事が定めるということになっております。それらとの調整との関係で定められている知事承認手続でございまして、これはすべて知事承認ということになっているわけでもございませんので、その辺の具体の兼ね合いの問題というふうに私どもは理解しておるところでございます。
  9. 渋谷修

    渋谷委員 大臣、私どもの案もごらんいただいてわかると思うのですが、先ほどの答申内容のように「国の関与を廃止する。」ということにはなってないのです、実は。それは現実を踏まえているからです。市町村に全部やらせるといったって、ある特定市町村を通る道路、それは市町村だけの、そこの判断だけで、ある特定自治体判断だけで曲げられたのではどうにもならぬでしょう。当然それは、根幹的な都市計画やあるいは規模の大きい、市町村行政区域を超えるような都市計画などについては、特定自治体で全部それを解決しろといったって、できる話じゃありません。したがって、知事レベルでどうしてもやらなければいけない部分というのは、権限は残してあるのです。  その意味では、今の問題を、先ほどの答申に全く沿った形のものを出すといったって、それは現実問題としてはなかなか難しい。そこまでに近づける努力として、現実を踏まえた形の中で、先ほど申し上げている社会党・進民連案という内容法律をつくったわけでありますけれども、それについてはどう御認識されておりますか。
  10. 山崎拓

    山崎国務大臣 建設省といたしましては、諸般の答申、御意見等を踏まえまして今回一定の前進を図ったと考えておるところでございまして、とりわけ市町村がみずからの都市計画に関する基本方針を定める新しい仕組み提案をいたしたところでございまして、この点は評価していただきたいと考えておるところでございます。  また、社会党案につきましては、当委員会でいろいろ御論議をいただいておるところでございまして、その御論議を踏まえまして、今後都市計画のあり方についてさらに検討を進めてまいります上で参考にさせていただきたいと存じております。
  11. 渋谷修

    渋谷委員 そこで、大臣からのお話もあって、建設省としても権限移譲に取り組んでいきたい、そういう観点から市町村にみずからの基本方針を定められるようにした、マスタープランをつくれるようにした、これが今回の改正のある意味では一つ目玉でありますということも、答弁をされておりました。  実は委員会議論を聞いておりまして、マスタープランという、片仮名で呼ばれているのですけれども社会党の方が言う、私どもの案の言うマスタープランと、政府の言うマスタープランというのは、違うのですね。こうしたマスタープランについての基本的な定義なしに実は議論が行われてきている。これは何もここの委員会だけの問題ではなくて、外で専門家の間でもこの定義づけの問題についてはきちんと整理されずにやっているものですから、同じ日本語でありながらそれについての認識が違って、結局、結果として議論が混乱しているという状況があるのです。  大臣は今、新たにそういう市町村マスタープランをつくれるということにしたんだから、これはまさに目玉だと言うわけでありますけれども、実はこれまでも「整備開発又は保全方針」というのは、例えば都道府県知事が作成をするということになっているのです。これについてちょっと建設省の方から、これまでの仕組みについて、「整備開発又は保全方針」を定めて、それから市町村とのかかわり、これについてちょっと仕組みをまず説明してもらいますので、お願いいたします。
  12. 市川一朗

    市川政府委員 「整備開発又は保全方針」は都市計画の極めて重要な内容でございます市街化区域及び市街化調整区域都市計画一つ内容ということで、わかりやすく言いますと、いわゆる線引き都市計画を決める際に、線引き区域区分とあわせまして、その内容として定めるものの一つでございます。したがいまして、線引き都市計画知事決定いたしますが、関係市町村十分意見調整した上で知事決定する都市計画内容の中で、整備開発保全方針も決められるというふうに都市計画法上はなっておると承知しております。
  13. 渋谷修

    渋谷委員 この知事が定める方針に基づいて、市町村はこれまでは自分のところで都市計画を進めていきたいということでの計画をつくるというような事例、あるいはそういうことについては、例えば法的な制限、つくってはならないという意味での制限があったか、その辺の実態についてはどうですか。
  14. 市川一朗

    市川政府委員 線引きに関する都市計画区域を全国的に見ました場合には、一つ市町村単位都市計画区域が決まりまして、そこで線引きがなされている例もございますが、かなりのところでは幾つかの市町村が共同した形で都市計画区域が決められて、そこで線引きが定められておるわけでございまして、そういう意味におきましても、都市計画決定権者知事ということになっておりますが、それを受けまして、それぞれの市町村におきまして都市計画についての考え方をいろいろと策定していくということにつきましては、もちろん法律上はそれをしてはいけないというふうにはなっておらないと理解しておりますし、積極的にそういったようなことで努力しておる市も幾つかあるというふうに思ってはおります。
  15. 渋谷修

    渋谷委員 それで大臣、実は今御答弁がありましたように、これは東京都の「整備開発又は保全方針」で、東京都のものでもこの程度のものです。後で別のものを一緒に見ていただきたいので、こういう内容で、一番最後に図面が一枚くっついているだけのものです。これが今答弁のありました「整備開発又は保全方針」に基づく保全方針ということになっているのですね。  それで自治体で、実は自主的にもう既に、例えばこれは世田谷区の「都市整備方針」、こういうものをつくっているのです。これもほとんど文章ですね、一部図面が入っておりますけれども。入っていますけれども、こういう内容のものです。実は先駆的な自治体は、「秋田市総合都市計画」などもありますけれども、実はもうつくっているのですよ。  大臣知事がつくる方針があって、それに基づいて自主的にやる自治体は、こういうものをつくっているのです。今回目玉だと言いますけれども、今やっていることを実ば法制化したにすぎない。法制化したにすぎないのですね。しかも、今度の法律でもつくることができるのでしょう。つくることができるという法律の用語ですから、それこそ、だからこういった先駆的にやっているところはみずからつくっているわけですから、つくることができる。おれのところはやっているよという話なんです。これがどうして今度の改正において権限移譲の、ある意味では目玉でありますということが言えますか。
  16. 市川一朗

    市川政府委員 今回の都市計画法改正に当たりまして、私ども都市計画審議会で一年間いろいろ御議論いただいたわけでございますが、その中でやはり具体都市計画決定に際しまして、それぞれの市町村レベルにおきまして、将来自分たちの町がどういうふうになっていくのかということについての具体的なビジョンがはっきりと示される中で個々の都市計画が決まっていく、そういう仕組みが極めて重要なのではないか、そういう御指摘がなされまして今回の法改正提案になったわけでございます。  確かに先生の方から、それぞれ先駆的な市ではいろいろやっていますよということではございますが、果たしてそれが市民レベルにおきまして、自分たちの町がどういうふうになっていくかという意味で、いわば十分よくできたものであるかどうかということまで含めまして、これからはいろいろと自治体とも協力しながら、いい意味での都市計画基本方針が定められるようにしていくことが極めて重要であるというふうに考えまして、そういう意味におきましても、私どもにとりましては極めて重要な改正点であるというふうに理解しておるところでございます。
  17. 渋谷修

    渋谷委員 もう一回改めて確認をしておきますけれども、これはこれまでやってきたことを法制化したわけでしょう、それ以上出ていますか。
  18. 市川一朗

    市川政府委員 いわゆる世の中で全くやられていないものを提案したというつもりはないわけでございますが、私どもとしては、そういった先駆的な市でいろいろ試みられている内容について、これがよりよい方向に全国的に発展していくことは極めて重要であるというふうに考えて御提案いたしました次第でございまして、ただいま先生の方からの御指摘に対しましてどういうお答えをしたら適切なのかわかりませんが、今まで全くやっていないことをやったつもりでいるんじゃないだろうなという意味でございましたら、それは全くやっていないものをやったというほどのつもりではございません。
  19. 渋谷修

    渋谷委員 それでまた大事なことは、市町村にこのマスタープランをつくらせるのですけれども、これは方針に即してということになっていますね。方針に即してとなっていませんか、なっていますね。方針に即してということになっていますが、ということは、市町村ではどこまで自主的あるいは独自性のある、特殊性のあるマスタープランがこの政府案では実現をできますか。いずれ政令に落とす部分だろうと思いますけれども、それについてわかる範囲で御答弁をお願いいたします。     〔委員長退席北村委員長代理着席
  20. 市川一朗

    市川政府委員 提案いたしました私どもといたしましては、できるだけ各市町村におきまして独自性のある案になってほしいという気持ちを込めておるつもりでございます。
  21. 渋谷修

    渋谷委員 今のだけではわからないので、「整備開発又は保全方針」ですね、この方針に即してということは、この中のどの部分市町村につくらせようということなのか。あるいは今、例えば市民にわかるようなマスタープランに、自分たちの町がどうなるかということをイメージさせなければいかぬわけでしょう。わからせなければいけない。そのためには、一体どういう項目をこの市町村のつくるマスタープランの中に入れるのか、それについてお答えくださいと申し上げているのです。
  22. 市川一朗

    市川政府委員 市町村基本方針を定めます場合には、整備開発保全方針が定まっている場合あるいは市町村建設に関する基本構想が定まっている場合には、それに即してということになっておりますが、即してといいますものは、そういった考え方に反しないということがまず一番基本的にあると思います。そういった中では、例えば「整備開発又は保全方針」という中では、主として線引きに関する都市計画内容が中心でございますが、物によりましては、もっと広域的な、基幹的な都市計画に関する記述もございますので、そういったことに即してという意味合いにおきましては、それは一つ限定要件になるというふうに思っております。
  23. 渋谷修

    渋谷委員 本当はそういう答弁を期待していなかったのですが、つまり、限定要件になるということになりましたら、また市町村は、みずからつくる都市整備方針というのは、知事の顔色を見ながらつくらなきゃいけない。今までだったら任意でつくれたわけだから、それなりの独自性をこの中に入れられたでしょう。今度は法律の中で「整備開発又は保全方針に即し」てということで当然その中で限定されるという話になったら、そこからはみ出せないということになりませんか。
  24. 市川一朗

    市川政府委員 既に定まっている方針に則してという意味合いにおいて限定条件になるという言葉でございまして、それ以上の意味は込めてない つもりでございます。
  25. 渋谷修

    渋谷委員 私は基本的に、大臣自治体にこれはもう任せた方がいいというのは、全国、北海道から沖縄までそれぞれの自然条件気候風土もあるいは文化的な条件も違う、歴史的な背景も違う。それぞれの自治体に任じた方がいいものができるんじゃありませんか、独自性が発揮できるんじゃありませんかということを申し上げて、私どもの方では、市町村がつくる都市基本計画、私どもの方はこれは都市計画です。今そんなことは当たり前の話だからあえて質問しませんけれども市町村がつくる今度の政府案の方のマスタープラン都市計画じゃないのです。「整備開発又は保全方針」というのは都市計画の中に入りますけれども、その前に、じゃ都市計画というのはそもそも何ぞやということをちょっと定義しておいていただけませんか。
  26. 市川一朗

    市川政府委員 都市計画という言葉でございますが、現行都市計画法におきます都市計画といいますのは、都市の健全で「秩序ある整備を図るための土地利用都市施設整備及び市街地開発事業に関する計画」と定義されておりまして、市街化区域及び市街化調整区域、それから地域地区都市施設市街地開発事業等の八種類が定められております。これらの都市計画につきましては、法第二条に基本理念というのが定められておりまして、「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動」を図るため「適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られる」ことを基本理念とするというふうになっておるところでございます。
  27. 渋谷修

    渋谷委員 そうしましたら、もう一度都道府県知事の先ほどの方針と、それから市町村の定めるマスタープラン、私の方から市町村マスタープランは、これは都市計画じゃないですねということを申し上げましたけれども、その確認意味、そして市町村マスタープランというのは、これは都市計画でないとすれば、先ほど来お話を伺っておりますけれども、もう一度これはなぜ都市計画ではないのかということでお伺いをしておきます。
  28. 市川一朗

    市川政府委員 都市計画につきましては、先ほども答弁申し上げましたように、「適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られる」ということが基本的な理念となっておるわけでございまして、そういう意味におきましては、現行都市計画法都市計画として位置づけられておりますものは、何らかの意味におきまして、何らかの意味というのはちょっと言い方が不的確かもしれませんが、土地利用に関します権利の制約を伴うものが都市計画であるということで分類されておるわけでございます。  それで、御提案申し上げております市町村都市計画に関する基本方針は、そうした個々の都市計画を定める前提となるような、指針となるような各市町村ごとの基本方針でございまして、したがってそれを私どもマスタープランと、審議会でもそういう言葉を使っておるわけでございますので、マスタープランとも呼ばせていただいておるわけでございますが、それは、そのこと自体が直接的には土地利用権その他の権利の制約を伴うものではないというところから、それは現行都市計画法に言う厳密な意味での都市計画ではない、そういう分類になっておるものでございます。
  29. 渋谷修

    渋谷委員 大臣、この後まだ少し御質問いたしますけれども、この間の質問経過で御理解いただいたと思うのですが、我が方の案の、つまり都道府県知事都市基本方針と、それから市町村がつくる都市基本計画、これは違うということは御理解いただけましたか。我々がつくる市町村都市基本計画というのは、同じマスタープランという言葉は使いますけれども、これは都市計画です。そして政府の言うマスタープランというのは、これは指針であって、いわゆるそういう意味での都市計画ではない。しかもこれについては、私ども市町村がつくる都市基本計画というのはあくまでも市町村判断でつくるものであって、ここに例えば知事承認とか、いわゆるお上のおせっかいやきみたいなシステムは入らないという意味で、これはぜひ御理解をいただいておきたいというぐあいに思います。  それで、都市マスタープランについては、他の国々では、アメリカでは、都市マスタープランとゾーニング、それからイギリスでは、非拘束的なマスタープランでストラクチャープランとローカルプランというのがあります。それから拘束的計画でアクションエリアの事業計画、旧西ドイツでは、非拘束的なマスタープランとしてFプランと、拘束的な計画のBプラン、フランスでも同じように二段階ありますね。今度の政府の方のこのマスタープランをつくったことによりまして、こういう欧米並みの二段階計画に移行したということが言えますか。どうですか。
  30. 市川一朗

    市川政府委員 私もすべての欧米の計画、ちょっと熟知しておりませんですが、少なくとも、今旧西ドイツの例で御指摘がございましたBプラン、Fプランという意味合いにおきましては、今回御提案申し上げている市町村基本方針は、旧西ドイツのFプラン的な法的位置づけまでは至ってないというふうに私どもは理解しております。
  31. 渋谷修

    渋谷委員 至ってないということでそのまま下がるんじゃなくて、そういうための努力をしているということなのか、あるいはそういう意味での、日本も二段階計画に移行するための作業として今回の市町村マスタープランというようなことを提起されたのか、もう一度お願いいたします。
  32. 市川一朗

    市川政府委員 今回の基本方針の中で地区計画に関しまして、その地区計画を実施すべきところを明示することとかいろいろ書いてございますので、地区計画市町村の定める基本方針との関係は、ある意味ではBプランとFプランとの関係という意味合いにおいて類似している部分もあるとは思いますが、Bプランと地区計画とは、都市計画の機能その他におきまして必ずしも一致しているところでもございませんので、先ほどああいう御答弁を申し上げた次第でございますが、方向といたしましては、今後の都市計画制度方向として二段階都市計画方向が、近代社会においてはよりすぐれた都市計画制度なのではないかというような御議論は、都市計画審議会におきましてもそういうことを主張された先生方もおられまして、私どもも、そういった考え方に対しましてはそういうものとほぼ理解してございます。  それを我が国におきまして今後どういう方向に進めるべきかということにつきましては、今後の検討課題だと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、今回の私との提案がそういった方向から見てある一歩の前進であるというふうには私どもは思っておるところでございまして、はっきりとその方向に向けた改正内容であるかどうかというお尋ねと思ったものでございますので、それをはっきり言い切るだけの自信はないということでございまして、方向は向いているんじゃないかなというふうには思っております。
  33. 渋谷修

    渋谷委員 そういう方向を向いて努力をしているというところで、そこのところだけは一応置いておきましょう。  いずれにせよ大臣権限の移譲問題を議論いたしますと、自民党席からも、そんなこと言ったって地方の体制が整ってないじゃないか、自治体がそんなことに対応できるか、あるいは質問議論の中では、そういう意味での専門家がいない。マンパワーをどう育成するかというような議論がずっと行われてきたのです。私は、どうもそこが終わりのない議論、エンドレスの議論をやっているようなぐあいに聞こえてしょうがないのです。つまり、先ほど来申し上げましたけれども、二十年前から同じ議論をやっている。同じ議論をやりながら、なかなか制度としては踏み込めない。そして現実に、市町村ではなかなか目に見える形でのマスタープランというのがつくれない。  これは一体どこに原因があるのだろうか。自治体に能力がないということが原因なのか。私は、実はそうは思わない。これは基本的に制度に問題がある。だから、今度の我が方の案というのは、そこに基本的に認識を置きまして、それでシステム変更ということを入れたわけです。  例えばマンパワーがいないから、先ほど来、例えば市町村マスタープランをつくるというのは、そこに住んでいる地域住民、市民自分たちの町がどうなるかということを示したいというお話ですね。言葉としては、それは大いに結構。しかし、例えば世田谷区のこういう事例を見ましても、大臣自分たちの町がどうなるかなどというイメージができますか。世田谷区が一生懸命頑張っているのは、僕は大いに評価します。評価するけれども都市問題の専門家というのは何も、例えば建設六法を頭の中に全部入れた人が都市問題の専門家じゃないでしょう。  今ドイツの話が出ましたけれども、大分前の話になりますが、ミュンヘンのたしか百キロぐらい離れたところだと思いますが、インゴルシュタットという人口十万人ぐらいの都市があります。現地へ行ってきまして、現地のインゴルシュタット市の「リージョナルプラン」ですから、地域計画ですね、インゴルシュタットの町づくりの計画です。これは大臣にお渡ししますから、ぜひごらんいただきたいのですが、もちろんこれだけではない。たくさんの図面がこういう形でついています。こういう図面を見ましても、多分これは緑地の配置の図面だというぐあいに思うのですが、こういう大きな図面がたくさん実は入っていまして、そして先ほどBプランという話がありましたけれども、Bプランという地域の詳細計画は、この図面だけでは意味がわかりませんから、さらに地域におろしまして、こういう詳細な建物の位置、緑、木々の配置、空地の状態、こういうところまで実は計画を落とすわけです。ですから、この地図、図面というのはそれこそ膨大な量になるわけです。  さらに、この本をごらんいただきたいのですが、こういうぐあいにそれぞれ絵がある。自分の町がどうなるか、この絵を見るとよくイメージができますでしょう。日本の市町村でこんなことを言ったって、能力がないじゃないかという議論で実はこれは済まない話なんです。私に言わせれば、まさに、市民に見えるようにということは、先ほどもありましたでしょう、都市計画市民のエネルギーが全然集中していない。  市民にとってみれば、自治体権限がありませんから、自分たちのところへ突然、私の板橋でもそうですけれども、つい最近、ある工場の跡地に、建設省がつくった総合設計制度を使いまして百八十メーターの集合住宅が建つ。計画が出てきて周りの人たちはびっくりしました。それから、これは一体どういうことだということで、あちこちに陳情に駆けずり回る。区に行ったって区には権限ありません。これは東京都がやる話です。東京都に行く。つまり、自分たちの身近なところに権限がなければ町づくりのイメージというのはわかないのです。  また、都市計画専門家、そちらに座っていらっしゃる方は、全部都市計画専門家かもしれない。都市計画専門家には、先ほど言った、文章で書いてあるもの、これがどの法律にどう抵触するか、あるいはどの法律にどうかかわるかということは知っておられて、確かに専門家かもしれないけれども、何にもわからない。そこの地域に住んでいる住民に町のイメージをどう伝えるかということは、多分大体理解できていないでしょう。  地域に住んでいる住民と直接生に話をして、自分たちの町づくりをどうするんだという話をすれば、では少し絵を入れた方がいいか、こんな手がきの絵だったら、これはこれでまた一つの味わいがありますけれども、日本だったら今はコンピューターグラフィックですね。こういう町をつくったらこういう町並みになる、あるいは人の流れはこうなる、全部できますよ、そんなことは。何もこんなことに専門家は必要ないのです。  私に言わせれば、制度に欠陥があって、できればやはり市町村、地域住民の身近なところに、例えば公聴会なども頻繁に開かれる。まさに時短で土曜日どうやって過ごすかなんという議論になっているわけですから、自分たちが住んでいる町づくりについて一生懸命参加して、自分たちがいい発想で物を言ったらそれが具体化する一これが町に対する自分たちの自覚、責任が生ずるということだ。何も難しい議論、私していませんでしょう。当たり前の話なんですよ。そういう地域住民が参加するシステムをつくるということが、ドイツだからできるという話じゃないのです。そういうシステムをつくればこれは日本でもできるのです。  建設六法を頭に入れる、建設省のお役人は多分そうだと思います。多分、全部入っている人はあそこに並んでいる人にはいませんでしょうけれどもね。それぞれの専門の分野しかわからないはずです。これは都市計画専門家でも何でもないのです。確かに、法律技術論では専門家かもしれませんけれども、町づくりについての専門家というぐあいに私は思えない。  ここにポートアイランドのやはり同じようなプランがあります。これも同じです。先ほどの世田谷のものと比較してみればわかるでしょう。世田谷区が人口どのくらいかわかりませんけれども、多分東京だったら八十万とか九十万とかという人口だろうと思いますが、このポートアイランドでも同じようにこういう絵を入れて、この中にもたくさん絵が出ています。  こういうぐあいに、私は何もヨーロッパが全部いいということを言っているわけじゃないのですよ。そういうことを言っているのじゃなくて、そういうのに近づけるためにはどうするかということは、自治体にそういう専門家がいないとかマンパワーがいないという話ではなくて、普通の地域住民にどうやってこの問題について関心を持たせ、参加をさせ、その人たちに行政マンがどうやって対応するか。そのときに、民間のプランナーだとか、あるいはこういうものを絵をかく、その地元に絵をかく人がいれば、そういうイメージの絵をかかせて、それで自分たちの町づくりをイメージしていく、これで十分できるというぐあいに私は思うのですが、いかがですか。
  34. 市川一朗

    市川政府委員 ただいま貴重な勉強をさせていただいたところでございますが、ドイツのそういう制度につきましては、私どもも、担当者も含めましていろいろ勉強させていただいておりまして、何とかひとつこういった考え方を日本でも適用できないかというところで、昭和五十五年にただいまの地区計画制度を導入したわけでございます。  ドイツと日本とのやはり一番基本の違いは、日本は木造建築が中心でございましたので、かなり長期的にわたって建物の形態まで規制するという物の考え方がなかなか国民的、市民的コンセンサスを得られなかったという歴史的経緯もございますが、地区計画の制定を通じまして、かなりのピッチでそういったことに対する理解が深まってきておるというふうに理解しております。  それから、この間、パリに在住する友人に聞いたのでありますが、やはりパリでも、何か建物を改築しようと思ったら、その間に相当制限が加わって、非常にわかりにくいような状況になっているという話でございました。ただいま板橋の話もございました。若干そういった問題につきましては都市の規模という問題もやはりあるのかなということを考えた次第でございます。  いずれにいたしましても、住民にとってよりわかりやすいビジョンづくりということの重要性を、私どもも今改めて認識した次第でございまして、今回の御提案申し上げている基本方針は、その方向にぴったり当てはまるものではないかというふうに思っている次第でございます。
  35. 渋谷修

    渋谷委員 それは違うというぐあいに先ほどから言っているのです。市町村基本的な権限なし。自分たち独自性特殊性を加味してマスタープランがつくれるということでなければ、先ほどのものと同じもの、それを自治体がつくる。だって、議会関与もなければ、住民参加手続もないでしょう。きちんと明記されてないでしょう。そんなもの、住民が参加しませんよ。都市計画に住民、市民のそういうエネルギーが集中しない構図になっているということを言っているわけです。それでもそうなるということであれば、これはもう、すぐ、法律が通って後、具体的に示される話ですから、 三年後にいらっしゃるかどうかわかりませんけれども、私も同じですけれども、これはすぐわかる話なんだから、その意味では、それはやはりいいかげんな話をするというわけにいかぬですよ。  今、同僚からメモが渡ってきましたけれども、これはちょっと無視します。  こればかりやっているともう時間がなくなってしまうので、政府の今度の市町村マスタープラン、これは議会の関与とかあるいは住民の参加手続をその自治体判断をいたしまして条例をつくって、あえて、政府の案には入っていませんよ、入っていませんけれども自治体マスタープランをつくらせるわけですから、それで市町村に対しては、ほとんどこれはやらせている、実態上やらせているということなわけだから、市町村がみずから判断して、政府の案ではこうできたけれども市町村マスタープランをつくる際に、我が市ではぜひ住民の声を聞いて、議会の皆さんの御了解も得て権威づけたものにしたいということで自治体が条例をつくってやることはできますか。
  36. 市川一朗

    市川政府委員 行政手続に関しまして市町村の条例でいろいろなことを定めることは可能なのではないかと一般的には思っている次第でございます。
  37. 渋谷修

    渋谷委員 そうすると、自治体が独自に、例えば今度の政府案でもそうですが、みずからの条例でこれを定める際に、こうこう、こういう手続をとりますということを決めましても、建設省は何ら文句は言いませんね。
  38. 市川一朗

    市川政府委員 条例によって定められる行政手続に関しましては、基本的にそれが法令に反しない限りにおいては、建設省としてとやかく言うべきものではないと思っております。
  39. 渋谷修

    渋谷委員 そこのところ大事なところですから、議会の関与と住民参加手続ということを私は具体的に言っているわけです。これは法令に反する場合があるのですか。
  40. 市川一朗

    市川政府委員 反しないと思います。
  41. 渋谷修

    渋谷委員 各地でそういう具体的な事例が積み上がってきて、そうすれば、社会党の案の方が議会関与もあり、あるいは住民参加手続も明記されている、それならば、社会党案を実現した方がいいじゃないかという議論に、いずれ、これはなりますね、ということを一応とりあえず申し上げておきます。  開発許可の問題について、きのうも真鶴の町長が来ましていろいろ貴重なお話を伺ったのですが、政府案では真鶴の問題についてはどう対応できますか。
  42. 立石真

    ○立石政府委員 真鶴は全部が都市計画区域に指定されているところでございますので、今の御指摘の点については、用途地域の指定のないいわゆる白地地域のことかというように考えております。今回は、白地地域につきましても都市計画区域内であればこれまでも、例えば容積率、建ぺい率等について一定の制限があったわけでございますが、これらについては、容積率を四〇〇を二〇〇に、建ぺい率を七〇を六〇にというようにメニューをふやして、秩序ある建築物のあり方を実現したいと考えているところでございます。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕
  43. 渋谷修

    渋谷委員 真鶴の町長に聞きましたら、容積二〇〇%では今の問題というのは全然対応できないというぐあいに発言しているのですが、とうしましょう。
  44. 立石真

    ○立石政府委員 容積二〇〇%といいますのは、御承知のとおり、敷地の大体二倍まで建てられるということになっているわけでございます。用途地域の指定のない白地地域につきましては、一般的には建築活動が非常に不活発である、そういうようなところから、都市計画決定としましても、どういう地域として整備すべきかということがイメージされていないままの市街地になっているわけでございます。こういうように、建築活動が不活発でどういうようなものにするかがはっきりしていない程度の市街化の程度であるならば、一般にはこれまでも四〇〇程度でもよいかと思ったところでございますが、しかし最近におきましては、リゾートマンション等が四〇〇%をフルに使うような建築活動が出てきて混乱をもたらしているところでございますので、これらを二〇〇%まで下げたいという提案をしているところでございます。  もしその周辺が連帯して一体として市街化するということであるならば、むしろ白地地域ではなくて都市計画用途地域として、その地域をどういう地域につくるべきかということを決定すべきものではないかと考えております。
  45. 渋谷修

    渋谷委員 真鶴のケースということを前提にして私ここでお話を聞いているのですよ。一体として市街化する地域なんて言ってないでしょう。リゾートマンションがあちこちにできる。リゾートマンションができるだけなんです。市街地的に一体的にできるという話ではない。歴史的な経過があって、これは白地ということになっているわけです。そこで二〇〇%じゃどうにもならぬと言っているわけです、真鶴町長は。何とかしてくれ、何とかしてほしい、今度の改正問題、何とかしてほしいというぐあいに言っているわけですけれども、どう対応しますかということを聞いているのです。短く。
  46. 立石真

    ○立石政府委員 私、まだ真鶴の具体的な市街地のあり方について直接検討しているところではございませんので正確には答えられませんが、二〇〇%にすることによって一般的には対応できるものと考えておりますが、地域の実情によって、あるいは地形の状況によっていろいろなケースが考えられるということでございますので、混乱の生じないようにしていくことはやはり大事なことだと思っているところでございます。
  47. 渋谷修

    渋谷委員 答弁の時間だけむだだという話なんですよ、今のは。何も答えてないでしょう。二〇〇%じゃだめだと言っているのですよ。今おっしゃったように、それぞれ条件が違うでしょう。たまたま真鶴の話をきのう聞いたんだけれども、ほかに行ったらほかの話が出てくるかもしれない。例えばこれを一〇〇%におろしたとしても、一〇〇%でもうちはだめですよという場合があるかもしれない。真鶴の場合は、ただ単にそういう意味での規制をかけたいというだけではなくて、水の問題が出されていたでしょう。真鶴の場合は水の供給能力に限界があるわけですから、外からどんどん買ってこなくちゃいけない。供給能力にそういう限界があるときに、水ということを基準に置きながら開発を抑制するということが政府の案ではできますか。
  48. 立石真

    ○立石政府委員 給水の問題につきましては、やはりその都市の形成として、どのような総量を考え、どういう給水体系をとり、どういうように供給していくかということだというふうに考えておりますが、ただし現在の都市計画法建築基準法の対象といたしましては、給水計画への適合等については直接規制の対象としてはおりません。この分につきましては、建築基準法の体系で対応することは困難だと考えております。
  49. 渋谷修

    渋谷委員 大臣、大事な問題なんですね。代表質問のときにも申し上げました。成長管理の政策などというと何か社会主義政策みたいなイメージを持たれるかもしれませんが、これは翻訳が悪いので、成長コントロールの政策というぐあいに言ってもいいと思います。  それぞれの都市にはそれぞれの都市の容量がある。例えば今の問題は水の問題。例えばこれは都市計画区域外ですけれども、嬬恋の、本来都市化が全然想定されていない村に百メーターを超えるリゾートマンションが計画される。こんなの建ってしまったら、当然今の話で制限はできないわけだから、水は供給しなきゃいかぬでしょう。そうですね。水は供給しなきゃならない。  マンションができれば、当然ごみが出るでしょう。ごみの処理はしなきゃいけない。村にそれだけのごみの処理能力がなければ、これはパンクですね。  例文はこの周辺に駐車場をつくる、当然ここに人が来るわけですから。村であれば今まで農道で十分できていたものが、農道では押し寄せてくる 車にとても対応できない。道路も広げなければいけない。村にはそれほどの財政がない、ということになれば、そういったことも当然キャパシティーの要素の中に入れて、そしてその地域地域の独自性に合わせて——先ほど大変失礼なことを言って申しわけなかったのだけれども、つまり、真鶴の問題についてどうかということをお伺いしたのは、おっしゃったように、真鶴の事情は焦りません——きのう参考人意見聴取があったんだから、当然だれかから話は聞いていると思ったから、私は申し上げたのだけれども、真鶴だけではなくて、ほかの地域だって同じように全部違うでしょう、全国どこだって。  その地域その都市に合わせた形で開発ということについて上乗せをして、みずからの判断で条例でこういう開発を抑制するということは、今現実に各地で開発許可について千以上の自治体が独自の許可基準を持ってやっているでしょう。これは立法するための背景となる事実ということになりませんか。条例がなぜできないのか、なぜ上乗せの条例が許されないのか。  フリーハンドじゃないですよ。自治体に何でも勝手に好きにやっていいという話じゃない。開発というのは一体何ぞやということは、法律の中で少なくとも全国の最低限のルールはつくらなきゃいけません。しかしその上で、国ではとても全国は一々全部管理ができないから、後は自治体がその上に立って一定の権利制限をやるような条例をつくるのはいいということになぜならないのか。そのことをお伺いし、我が方の案では、三十三条の五項ということで開発基準の自治体による上乗せを認めた案にしておりますけれども、これについての見解をお伺いします。
  50. 伴襄

    ○伴政府委員 御質問は、開発許可の特に技術基準に条例で上乗せできないかということかと思いますので、私の方から答弁させていただきますけれども、この開発許可の技術基準について条例の制限の付加ができないかどうかというのは、実は今、まず現行の基準に、既にそれぞれの基準の中に、開発区域の周辺の状況とか、いろいろ個別の土地の事情に応じて技術基準の幅を持たせるようなふうになっておりまして、そういう意味では、その地域の特性が考慮されて、それでその必要な規制ができるという仕掛けにはなっているわけでございます。  加えて、この技術基準というのは、一応法令でその最大限の基準を決めておりまして、それでもし技術基準にかなっていれば知事は許可しなければならない、こういう義務規定になっておりますので、最大限の基準になっておるわけですね。したがって、最大限のところにさらに加えて条例で上乗せするというのはできない、法律上、それは条例で付加することはできないというのが、これは法制局でも相談しましたが、そういうことでございますので、これは、例えば最小限の基準を決めてそれにプラスするのは構わないのですが、最大限を決めている。したがって、それをパスすれば必ず許可しなければならない、こういう仕掛けになっておりますので、それは難しいということでございます。
  51. 渋谷修

    渋谷委員 今法制局という話が出ましたから、これはもちろん内閣法制局ということでありますけれども、私どもは当然議員立法をつくるときに、私個人が鉛筆をなめなめ勝手に法律をつくったというわけじゃないのです。当然議員立法を出す以上は、私どもは衆議院法制局とそれこそ議論議論を重ね、何時間にもわたって、延べ何十時間ということになるでしょう、ということでの法律をつくったわけですけれども、そういう意味での今度の上乗せについては、私どもは、これは一つは、まず現在地方自治体が、先ほども申し上げましたように、独自の開発許可基準を設けている例が千例以上に上っています。これはもう調べてみてください。したがって、これをバックアップするための根拠規定を置くべき立法の事実がある。  二番目は、我が方の案では付加し得る事項を列挙しているけれども、これらはいずれも地域の状況を勘案することが予定されているものであって、また、付加の際の懸案事項及び付加し得る場合を限定しておって、いつも。よく条例にフリーハンドで任すわけにいかないなんという答弁をしますけれども、そんなことは条項を見てもらえればわかるように、そんなことになっていない、無制限に条例にゆだねるというものではないのです。だから、上乗せ条例と言っているのですね。  三番目は、現実に指導要綱などで指導が行われているものについて、今度は条例に——指導要綱というのは行政指導でしょう、その方が問題だと言っているわけです。これを条例にすることによって、条例というのは地方政府の立法ですから、当然憲法を前提にして、憲法に違反するものは開発業者が裁判で訴えて、これは憲法に違反だということになれば、アウトになるわけですね。そういう判例を積み重ねながら、じゃ、地域でどうするかという議論はすればいいのです。そういうものについて議会手続を経て、議会手続を経た条例に移行させるということは、これはまさに民主的な統制でしょう、民主的な規制。  したがって、以上の観点から、私どもは、条例による基準の付加は法律上可能だということから、法制局とぎりぎり議論しまして、さらに、私権の過剰規制になるか否かということは、基本的にその条例自体の内容いかんの問題だということで、三十三条の五項ということを持ち込んできたわけです。このことについてどのように理解するか、あるいは評価するか。  そういう論点から、これは今回の政府案には入っていない話ですけれども、先ほど言ったように、真鶴の問題はこれじゃ救われないでしょう。二〇〇%じゃ救われない。さらに踏み込んでいって問題を解決するとすれば、こういう方法しかないじゃないですか。真鶴の問題だけ救済するために二〇〇%を一〇〇%に——バナナのたたき売りじゃありませんから、容積率のたたき売りなんというのは聞いたことがない。そんな対応ではだめだということを、大臣、ぜひ御理解をいただきたいのです。  だから、自治体権限をおろし、自治体が自主的にやれるようにする。それをフリーハンドで与えるというわけじゃない。法律基本的な最低限のルールは決めるけれども、その中で自治体が自主的にやれるような、今はそういう制度改革が求められているのではないかということで、もう質問時間がなくなりましたから、先ほど私が申し上げた三項目の、私どもが条例を上乗せしたことについての御見解と、そして最後には大臣に、非常に重要な今回の法律の二本の柱の部分です、こういった点をぜひ御認識いただいて、私どもの案と政府の実とでは基本的に違うということは、ぜひこれは理解しておいていただきたいというぐあいに思います。  大臣に最後にまた御見解をいただいて私の質問を終わりますが、お願いします。
  52. 伴襄

    ○伴政府委員 一つ、宅地開発指導要綱のお話がございましたけれども、この宅地開発指導要綱につきましては、これは多年いろいろな形で問題にはなっているところでございます。適正なやつはいいのですけれども、行き過ぎた宅地開発指導要綱がございますので、それにつきましては、自治省とも連携をとりながら適正なものにするというふうにしてきておりまして、それがそのまま条例化するというのは問題があるケースもあるんじゃないかなという気が一つはするわけでございます。  それから、真鶴の話がございましたけれども、今度宅地開発の面積要件を引き下げて対応いたしますと、その真鶴のケースでも、例えば今未線引きの白地は三千平米以上で開発許可でございますけれども、これを三百平米まで引き下げるということができます。そして、三百平米まで引き下げまして、開発許可を受けますと、開発許可を受けた開発区域内でその容積率とか建ぺい傘とか独自のやつを決めることができます。したがって、そういう対応はできるのではないかなというふうに一つは思うわけでございます。  それから、先ほどの条例の上乗せの話でござい ますけれども、これは繰り返しになりますけれども、三十三条というのは最大限の基準を決めている、またそれは適切な基準だというふうに思っているところでございまして、しかもそこには、開発区域の周辺の状況も勘案して決められるということになっております。したがって、それぞれの地域の特性あるいは個別的事情に応じた必要かつ十分な最大規制がこの法律でできるというふうに思っておるところでございます。
  53. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいま建設経済局長が御答弁申し上げましたとおり、現行開発許可の技術基準が既に最大限の規制となっていると認識をいたしておりまして、さらに条例による制限の付加をいたしますことは、過大な権利制限になるのではないかと考えておる次第でございます。
  54. 渋谷修

    渋谷委員 終わります。
  55. 古賀誠

    古賀委員長 次に、三野優美君。
  56. 三野優美

    ○三野委員 委員長を初め各党の理事の皆さん、そして委員会の皆さんの御協力をいただいて、都市計画法及び建築基準法の閣法、衆法ともに今日まで議論をしてきたわけです。しかも、委員会で四日間という討論をしてきて、参考人の御意見も聞きながら今日まで至ったわけでありますが、この間、大変熱心な御討議をいただくと同時に、委員長の特別な配慮でかなり長時間にわたる議論ができたことを感謝しておきたいと思います。また、政府側及び木間議員も、ともに誠実に誠意をもって答弁をいただき、委員会がそれなりの成果をおさめたと思って私は喜んでいるわけでありますが、この際、お礼を申し上げておきたいと思います。  さて、本法案が二十数年ぶりの大改正である、しかも、都市計画法というのは、日本の都市計画法はまだそこまで至っておりませんが、我々が住んでいる先祖から預かってきたこの日本列島をどういうように維持し、さらに改革改造しながら子孫に譲り渡すのか、あるいはまた、それぞれが住んでいる町や村を、将来ともにどんな町づくりをしていくのか、そういう意味では人間がこの社会で生きる上で極めて基本的な問題にかかわる法案であります。  それだけに激しい経済的、社会的変化の中で今日までこの法案が改正できなかったことがむしろおかしいわけであって、遅きに失したとさえ思うわけであります。それだけに各委員質問あるいは参考人の御意見等も非常にさまざまな角度から議論されてきたと思うのであります。しかし私は、これだけの時間をかけてみても、なおかつまだ議論が残っているだろうと思うのであります。我々は、これがどう決着するかは別として、将来ともに少なくとも建設委員会は日々議論をしながら、さらに一歩ずつでも前進をさせていく、こういうことが必要であろうという感じを持ちました。  さてそこで、まず木間議員にお尋ねをいたしますが、あなたが代表として提出されました法案、それなりに御苦労をしたと思うのであります。もちろん中身は一〇〇%でないことは言うまでもないと思います。政府案は何百人あるいは何千人もの大組織を動員して、そして長年の経験と長期にわたる検討の上専門家が英知を結集してつくったものであります。  その点、衆法である木間議員提出の法案については、非常に短い時間で党の皆さんを中心にしながら、社民連の菅議員も含めて、非常に御苦労したと思うものですから、幾つかの問題点はないとは言えないと思います。  ただ私は、この大法案を議論するに当たって、議員がみずからの手で法案を国会に出すという意味というのは極めて大きいと思うし、私も社会党の一員として、党が必ず通らなければならぬことであるだろうし、あえて言うならば、この法案に対して反対党である与党の自民党からも実は質問を受けたかった。そして我が党も激しい論争の中で訓練をされ、さらに次への前進の糧にしたかったわけでありますが、残念ながら、社会党及び共産党の質問だけに終わったことを非常に残念に思うわけであります。しかし、これを機会に、ぜひあらゆる機会に政党の役割、議員の役割としてこういう取り上げ方をしてもらいたいと私は思います。  いま一つは、もちろん政府案が出てきているわけですから、これに対する議論は当然でありますが、衆法である議員提出法案についても、政府案と全く同じ扱いでもって、本会議及び委員会議論をされなきゃならぬ。今までしばしば対案を出してみても出しっ放しで、委員会で付託されたままで一言半句議論をされない、あるいはまた、しようともしない。こういうことでは、私は国会の任務を果たしているとは思えないし、国会議員としての、代議士としての役割も果たしていないと思うのであります。そういう意味で、私は、委員長に特別の御配慮をいただいて、今日、不十分ながらもこういう二つの法案がこの委員会議論をされたその意味というものは、極めて大きいと思うし、私は、これから国会に議席を置く限り、こういう取り扱いをぜひしていきたいという願いを持っているわけであります。ぜひひとつ今後とも各党の議員の皆さんにも御理解をいただいて、御協力をいただきたいと思います。  もし社会党に政機能力がないというならば、そこから出発しなければ、政権担当能力はできないと私は思うし、またそのことが国会の活性化になるわけです。今議会制度調査会の中で国会改革について議論をされておりますけれども、その形式的なことよりも、問題は、議会における討論、議論の中身の問題なんです。法案に対する議員のそれぞれの対応の仕方なんです。そこをまず踏み込まない限り、形式的な改革論議で終わってはならぬと私は思います。そういう意味でぜひこれを大事にしてもらいたいと思います。  さて、そこで木間議員、あなたがお出しになったこの法案の討論の中で各委員からもいろいろと意見も出されましたし、あなたも回答いたしました。政府案と最も対照的であるし、これだけはぜひ実現させてもらいたかったと思われる点は、どの部分でしょうか。そして、あなたがこの委員会における討論を通じて、あるいは政府案議論も通じて、都市計画のあるべき姿についてどういう感想をお持ちになったのか、この際、ひとつまとめてお答えをいただきたいと思います。
  57. 木間章

    ○木間議員 感想を求められたわけでありますが、委員も御承知のとおり、限られたスタッフで、しかもかなり難解な、技術的な面を持った両法案を政府案に対比して提案をすることができたのは、ある意味では私どもにとっても画期的なことであったろうと思いますし、また、審議を通じまして一部もっと踏み込んでお互いに議論をしたかった、そういう局面もないではございませんけれども、私も本院に籍を置きまして、とりわけ建設常任委員会に十年近く籍を置きまして、この国会はそういう意味では画期的な国会であった、これからも続くわけでありますが、そのように受けとめております。二十一世紀に向けて私たちが国民の一人として、あるいは立法機関として、国民生活にかかわるいろいろの制度、法案を準備するわけでありますが、そういった新たな展開をすることができたということは、議員として心から冥利に尽きると思っておるところであります。  さて、この都市計画法建築基準法改正をするに当たりまして、まず審議の進め方のありようでございますが、成立して施行されますと、翌日からすぐ国民生活、とりわけ三十七万平方キロ、一億二千万人の国民生活にあすから影響を及ぼす町づくりの問題でありますから、私は前の改正案などなどと比較いたしまして、審議時間がこれで本当に十分だったのかどうか、まず考えさせられるのであります。  一九六八年、昭和四十三年の法改正では、建設委員会では十日間の審議日程をとっておりますし、一日の連合審査を得ておるのであります。ですから、私たちは、この法案審査に当たりまして、委員を含めて社会党の皆さんとも御相談をしたわけでありますが、審議はフルコースで臨んでいきたいもの、臨んでもらいたい、このように提案もしたところであります。  それは本会議から入りまして、委員会審査ある いは連合審査、そして公聴会などを果敢に、広く国民の意見や英知を結集しよう、こういうことで期待をしたわけでありますが、結局連合審査はありませんでした。そのために、我が党は委員を差しかえまして、例えば地方行政委員、農林水産委員などの皆さんにも建設委員と差しかえをいたしまして、対応することとなったのであります、  そして、今回の審議時間は、おおよそ、委員もおっしゃいましたけれども、四日間で延べ二十時間に及んでおるのでございます。私は、やはり一つの国会で拙速的に集約をするということはいかがなものか。この都市計画法、基準法の改正は、あの土地狂乱を生み出したその反省の中で、時間的には遅きに失したという側面もあったわけでありますが、もっとお互いの英知を結集すべきでなかったろうかな、こう実は今反省として受けとめておるところであります。  また、個々具体的な問題につきましては、例えば政府答弁をお聞きしておりましてでも、誘導容積率の制度の話なのか、容積率の適正配分の話なのか、私には明確に映りませんでしたし、そういった面についてもやはり踏み込んだ議論が欲しかったな、こう実は今受けとめておるところであります。  また、政府案と私たち野党案との比較の問題でもあるわけでありますが、今ほども申し上げましたけれども、何か政府案は、例えば容積率などを緩和したくて、そのための手段として地区計画を持ち出しておるような感じが受けとめられました。容積率を緩和して、何かボーナスを与えないと地区計画は進まない、このように考えるわけでありますが、となりますと、地区計画は目的なのか手段なのか、私にはわからなくなっていくのであります。  きのうの参考人質疑で伊藤さんは、下町の話をされて、おもしろいことができるようなことを言っておられたのでありますが、誘導容積制度や適正配分制度は、もっと大きなスケールの展開に使われるようになるのじゃなかろうかという危惧さえ私は受けとめておるところであります。  社会党進民連提案は、町の将来について地域住民の合意があること、その中で容積率などを緩和しなくても地区計画のようなきめ細かい規制を行うことができるという考え方であります。また、政府案は、用途地域などの細分化だけ提案していますが、住民自身が決めることだ、基礎的自治体である市町村が決めることだという姿勢がないのでございます。伊藤さんはまた、墨田区を例に、運用でかなりの市区町村に権限がおりておる、こういうお話をしておられましたが、区が住民と相談して決めたものを都が受け入れる、区の境のところだけを調整するというなら、私たちの案と同じ考え方であります。そのことをどうして法律できちんと入れられないのか、まして国の認可まで必要なのか、私にはわからないわけであります。  国が認可を含めて最終的に監督権限を持っておれば、用途地域の指定がえに当たって、自治体を適切に指導するということになってしまいます。私たちの案では、具体的にどのようなところをどのように指定するかは、市町村マスタープラン方針を決めるようにしております。本当に自治体で決められるような制度をつくることが極めて重要であります。  また、政府案でも一歩前進という評価はあるかもしれませんけれども自分たちがこれからも住み続ける町でございますから、自分たちで考え、下から積み上げていくという考え方になっていません。その点では、少なくとも私たちの考え方はすぐれておるだろう、このように私は言い切れるのでございます。今後とも、私たちの考え方が、そして市民のための、むしろ市民が積極的に町づくりに精を出されるような制度を、一日も早く実現に向けて努力を重ねていこう、このようにも決意を新たにしておるところであります。  答弁になったかどうか、ちょっと長くなりまして恐縮でございましたけれども、御了解をいただきたいと思います。ありがとうございました。
  58. 三野優美

    ○三野委員 ありがとうございました。  今、木間議員の回答の中に、もっと審議時間が欲しかった、あるいはまた公聴会もぜひやってもらいたかった。確かに私も公聴会の問題については頭になかったわけではないわけでありますけれども、不十分な点がまだあっただろうと思います。この点については、理事の一人として非常に責任を感じておりますが、今後さらにこれを一つの経験として、十分審議できるように各党にも協力要請をしていきたいと思っています。  さて、山崎建設大臣にお尋ねをいたします。  今私が申しましたように、各議員の努力によりまして、今日までこの法案の審査をしてきたわけであります。しかも、それは政府案と同時に社会党案が出されたわけです。また、その間に参考人にもきのう来ていただきまして、恐らく大臣は、御多忙でしょうから参考人の御意見は聞いていないのだろうと思います。私は、参考人の意見の中でも賛成できる部分、あるいは非常に参考になった部分、あるいは残念ながら同意できない部分もございました。  今も木間議員から言われたように、伊藤先生が誘導容積率の問題を取り上げて、例えば下町を例に挙げながら浅草のことを取り上げてきたわけです。浅草のあの商店街は鉄筋にもするわけにもいくまいし、あれを変えるわけにもいかないだろう。あそこを整理することによってあの容積率を背後に持っていけばよりおもしろいものができるなどという話が出たのですが、私はそういうものは賛成いたしません。  また一方、真鶴町長、三木町長は、みずからが町長としてあの一万余の小さい町、しかも歴史と伝統と、そしてまた他の町にはない景観を持った町でありますが、その町を守り抜くためにさまざまな苦労をして、今の法律の不備な点を何とかカバーしようと思って、例えば水対策でもって建築を抑えていくとか、そのようなことをやったけれども、やはりこれは邪道だった、私は聞いていてそう思うのです。  そういう意味では、真鶴町長が繰り返し繰り返し言ったことがある。どうぞ私たちの住んでいる町は、我々住民と議会と住民に選ばれた町長、私たちに任せてもらいたい、それを指導、援助するのは県や国であってもいいけれども自分の町は自分に任せてもらいたいということを繰り返し繰り返し言われておりました。私はまことに町長の意見を聞いていて、我々が常に政治を考える場合に、その住民自治というものの重要性というものをすべての面で考えなければならぬと思ったわけであります。  例えば本委員会審議をした、前国会でありますが、あの大都市における緑地法の問題、法案は通りました。ところが、通ってみたら、それぞれの町は自分のところはこういう町づくりをしたい、あれも一つの町づくりの形態だったのですね。必ずしも国の基準そのままではいかない。藤沢市の問題、豊中市の問題その他多くの町で、それぞれの独自の運営をしようとした。あるいは農地の宅地化といってみても、将来あなたは農地で使うのですか、使うのであれば三十年間ですよと。それまでに宅地にしようとする者は今その選定をしなければならぬ、こういう法律ですわね。そうすると、宅地化するといってみても、きょう宅地化しようといって、その付近にある農地がすべて一年間や二年間で宅地化できるわけではない。都市計画もできるわけではない。  やはりその地域の条件なり、あるいはその町の町長や市長や議会が住民の意見を反映しながらユニークな運営をしたい、こう思っている。ところが、それは法律違反だ、こういう指導が、厳しいお達しかある、こういう結果が出てきたわけであります。私自身も、あの法案に参画した一人として大きな反省をしております。そういう細かな現場にかかわった法案の審議取り扱いというのは、やはりできてなかったんだという反省をしたわけであります。今度の場合にもしばしばそういう問題が出てくるんではないかということが、議員の皆さんからいろいろと意見が出されたわけです。  さて、いよいよこの法案の最後の決着をつける ときが来て、いわば自治体に任してくれ、おらが町は我々でやりたい、しかも民主的手法でもってやりたいから、それを県や国は指導、同時にむしろ援助の方を強めてもらいたい、こういう意見があるわけですね。こういう意見がほとんどあったと思う。いや、中には口に出しては言わぬが、おまえのところの小さな町ではその能力がないであろう、そういう意見もあることを私は知っています。ないから、与えなければいつが来ても能力ができないわけですね。ないところをどう能力をつけていくのか、そのために国や県がどんな指導援助をするのかということが、国や県の役割であっただろうと思うのですね。  こういう点について、この法律がいずれにしても間もなく、政府案であるのか社会党案であるのか、あるいはそれを折衷したものであるのか制定されるわけでありますが、今後の運営についてその点の配慮をどうしようとするのか。あるいは引き続きその点について、この法案がこの国会で決着をついてみても、議論をし、補足していくという構えがあるかどうか、この点もぜひ建設大臣に聞いておきたいと思う。  それともう一つ、私がこの法案を取り扱うに当たって気になったのは、都市計画法というのはしばしば大都市を中心としている、あるいは地方でも県都を中心とするかなりな市街地を中心とした都市計画というのが運営されてきたわけですね。もちろん調整区域なんという農村部も足を踏み入れていますけれども、しかし日本列島全体から見ると、都市計画法の及ばなかった郡、市町村というのはいっぱいあるわけでございます。建築基準法では改正で一部手をつけることになったけれども、しかし都市計画という立場からいったら全く法律のないところであります。  きのうも私、参考人に言ったのですが、私は四国のダムの奥に生まれた、私のところには都市計画法も何もないわけです、残念ながら。日本人だけれども法律の恩恵を受けないし、拘束もされない。逆に今時そのことが乱開発になっちゃって、山の中の谷合いに、冷泉のところにいっぱい大きな十階建て、十何階建てのものが建つ。こういうこともあるわけでありますが、そういう意味から言うと、単に建設省だけではなしに、農林省も、あるいは場合によっては運輸省も、また環境庁も含めて日本列島全体に及ぶ、全部とは言いませんけれども、少なくともかなりの部分に、人が住んでいるところに及ぶような、ドイツやイギリスのものがそのまま日本に適用されるとは思いませんが、都市・農村整備法などというような法体系というものは、やはり考えるべき時期に来たのではないのか、私はこんな気もするわけでございます。  そんな意味で、今時までの議論に参加をしていただきました建設大臣に感謝しながら、建設大臣の感想、そしてこれからの都市計画についての取り扱いの決意についてもお尋ねをしておきたいと思います。
  59. 山崎拓

    山崎国務大臣 三野先生の御高説のとおり、やはり都市計画基本的に当該市町村自治体の手によるものでございますし、そのことはすなわちそこに住んでおられる住民のものでなければならない、住民による、そして住民のためのものでなければならない、これは民主主義の原則だと思うのでございます。  その見地から申しますと、このたびの法案の中には、当該市町村みずからの手による都市計画基本方針、通称マスタープランと呼んでおりますが、これを定めていただく。先ほど来の御議論で、既にそのことは実行に移されているではないかという事例がたくさん示されたところでございますが、これを我が国の三千三百の市町村すべてマスタープランづくりをやっていただくという方向で、この法案が有効に生かされることを私ども望んでおるのでございます。一定の前進が着実に図られた法案である、そのように考えますので、成立し、かつ施行されました暁に、この新しい仕組みが我が国の都市計画における前進になるように、建設行政を通じまして十分指導してまいりたいと考えておるところでございます。  アフターケアを怠らずに、成果を上げるように努力をしたい、そういう感想を持ちながら、一体だれが責任をとるかという話もございましたが、建設省全体といたしまして、建設行政の中で今回の法改正が将来必ず成果を上げるように今後とも十分配慮し、かつ、さまざまな施策等をこれからも講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  60. 三野優美

    ○三野委員 終わります。
  61. 古賀誠

    古賀委員長 次に、遠藤乙彦君。
  62. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 私は、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に関連しまして、新幹線の鉄道の騒音問題につきまして質問をさしていただきます。  まず環境庁にお伺いをしたいのですけれども、環境庁から本年の三月十九日、「新幹線鉄道騒音に係る七十五ホン対策の達成状況」という報告書が発表されましたが、その概要を簡潔に御説明いただきたいことと、今後の対策についてどのように行うつもりか、この点につきまして簡潔に御説明いただきたいと思います。     〔委員長退席北村委員長代理着席
  63. 斉藤照夫

    ○斉藤説明員 御説明申し上げます。  新幹線鉄道の騒音につきましては、住宅密集地域が連続する地域などの七十五ホン対策区間におきまして、平成二年度末これを目標といたしまして、七十五ホンを超える区域にあっては少なくとも七十五ホン以下にするということで対策を鋭意進めてまいったところでございます。  この期間が過ぎましたものでございますから、環境庁におきましては平成三年度、沿線の自治体に依頼を申し上げまして、七十五ホン対策区間の二百二十三の地点において騒音の測定を行ったところでございます。測定の結果、七十五ホンを達成いたしました地点の数の割合でございますが、東海道新幹線で七八%、山陽新幹線で八四%、上越新幹線で六七%、東北新幹線で五〇%ということで、新幹線全体では七六%ということでございました。結論といたしまして、騒音レベルについてはかなりの改善傾向が見られた地域もあるわけでございますが、七十五ホンを全体として達成というわけにはいかなかったという状況でございます。  今後の対策でございますが、このような結果を踏まえまして、環境庁といたしましては三月十九日に、今後の新幹線の騒音対策のために次のような措置を講じていただくよう関係省の方に要請を申し上げたところでございます。  この内容といたしましては、まず、何と申しましても音源対策が騒音の防止、軽減の上で最も基本的な対策でございますことから、今回の調査で七十五ホンを達成しなかった区域につきましては、平成五年度末までに七十五ホン以下にしていただきたい、また、同地域以外の住宅が集合する地域などにおいても音源対策を鋭意進めていただきたい、こういうお願いを申し上げたところでございます。  さらに、環境基準の円滑な達成に資するためには、沿線の土地利用の適正化を図るということも大変重要なことでございますので、市街化のおそれのあります沿線地域におきまして、土地利用計画決定などに際しまして、新幹線騒音の影響に配慮をした適正な土地利用を確保していただくよう努めていただくこと。また、沿線の既成市街地におきまして市街地開発事業等計画される場合におきまして、騒音防止の観点から可能な限り望ましい公共施設等の配置が図られるよう努めていただきたい、こういう要請を申し上げたところでございます。
  64. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続いて、運輸省にお聞きしたいわけですが、今も環境庁から報告がございました。運輸省としましては、この環境庁の報告、要請をどのように受けとめ、今後どのように対応しようとされているのか、側説明をいただきたいと思います。
  65. 鈴木康夫

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  ただいま環境庁の方から御説明があったように、三月十九日に七十五ホン対策の調査結果が報 告されたところでございますけれども、その結果といたしまして、かなりの改善傾向が見られるものの、一部の地域において七十五ホンの未達成箇所があった、これは大変残念なことであるというふうに思っております。  そういうことで、同日、環境庁の方から今後の対策について御要請があったわけでございまして、この要請を受けまして、今回の調査で未達成であった箇所につきましては、早急にその原因究明をする、そして実施可能な対策を追加して実施するということを指導いたしました。  それと同時に、東海道・山陽新幹線につきましては住宅が集合する地域、東北・上越新幹線につきましては住宅集合地域に準じる地域、住宅集合地域よりももうちょっと密度の低いところまで拡大する、そういうことでございますけれども、そういった対策地域を拡大いたしまして、新たな対策地域における対応策をとっていただく、それにつきまして速やかに対策を策定するように、これは三月二十四日付でJR各社を指導したところでございます。  また、この騒音対策は事業者が実施するものでございますけれども、この対策を効果的に推進する必要があるということで、効果的な対策を推進する上で必要な連絡調整を行い、また環境保全に資するという目的で、私ども行政、それから鉄道事業者、それから研究機関、これはJR総研でございますけれども、それらから成ります鉄道騒音等対策会議というのを設置いたしました。今後実施いたします音源対策等の具体的な内容につきまして、本対策会議の場でもテーマとして取り上げまして、鉄道事業者において実施される対策がより効果的なものになるようにしたいというふうに考えておるところでございます。
  66. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今、七十五ホン未達成の地域についてはさらに対策をとるという御説明があったわけですが、ちょっと抽象的で、中身についてわからない点もあるわけです。  そこで、さらに運輸省にお聞きしたい点ですけれども、一方、新幹線の鉄道騒音に係る補償、これが現在どのように行われているのか、及び、今度は空港周辺、航空機による騒音等の対策、これがどのように行われているのか、この二つにつきましてできるだけ具体的に御説明をいただきたいと思います。
  67. 鈴木康夫

    ○鈴木説明員 新幹線についてお答えをさせていただきたいと思います。  新幹線の騒音に対する補償ということでございますけれども、新幹線に対する騒音対策といたしましては、閣議了解に基づきまして音源対策と障害防止対策ということを実施しているわけでございますが、音源対策というのは、音の発生のもとを小さくする、これが基本的な対策でございます。  もう一方の柱といたしまして、障害防止対策というのを実施しておりまして、これがお尋ねの補償に当たるかというふうに思っておりますけれども、障害防止対策につきましては「新幹線鉄道騒音対策要綱」、これは昭和五十一年三月五日の閣議了解でございますけれども、これと、さらに国鉄の民営化がございましたので、それに際しまして「国鉄改革後における新幹線鉄道騒音対策の推進について」、この閣議了解もございまして、この二つの閣議了解に基づきまして、関係JR各社等におきまして、民家防音工事費用の助成等の障害防止対策を実施してきているところでございます。
  68. 長澤純一

    ○長澤説明員 航空機騒音に対する補償の仕方についてのお尋ねに対してお答えをいたします。  航空機騒音に対する補償につきましては、通称航空機騒音防止法、正式名称は公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律と申しますが、この法律に基づいて実施をいたしております。  この航空機騒音防止法の規定に基づきまして、運輸大臣が設置する公共用飛行場であって当該飛行場における航空機による騒音等による障害が著しい飛行場について、騒音の程度の低い方から第一種区域、第二種区域、第三種区域と三つの区域を線引きをいたしまして対策を行っております。対策の内容は、第一種区域におきましては住宅の騒音防止工事の助成、第二種区域内におきましては建物等の移転補償、第三種区域内におきましては緑地帯の整備等でございます。
  69. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 そこで、新幹線の方に戻りますが、住宅地域のスピードダウンとか車両改造等で騒音軽減に努力していることは理解をしておりますけれども現実問題として、例えば私の地元の品川区、大田区、新幹線と横須賀線が一緒に走っているわけです。相当な場所で七十五ホンを超すところが多々あるわけでございまして、住民からも非常に苦情、陳情が寄せられております。また、こういった新幹線の騒音公害の問題は、これから新幹線が全国的に整備されていくことを考え、またこのスピードアップを図る中で、ますます沿線住民の騒音問題というものは大きな問題になることは目に見えているわけでございまして、非常に緊急な対策を要する課題だと私も感じております。  そこで、今回の都市計画法それから建築基準法改正に伴い、当然指定地域の区分変更とかその他いろいろな基準が変わるわけでございまして、それに沿って新幹線の沿線の住民が建てかえを行った場合、補償がどうなるのかということ、これにつきまして運輸省にお聞きしたいと思います。
  70. 鈴木康夫

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  建てかえにつきましては、先ほど御説明した五十一年の閣議了解、これに基づきまして、その閣議了解の時点で現に存在していた家屋に対して補償する、民家防音工事の助成というのを行うということになっておりまして、建てかえた場合につきましては対象となっていないという状況でございます。
  71. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 この点が実は指摘したかった点でございまして、今回、都市計画法それから建築基準法、国の大きな目的、都市計画上の目的の上で改正がされるわけで、基本的な趣旨は結構だと思うのですが、その付随的な効果として、新幹線沿線地域の住民がこの基準に沿って建てかえをする、それに対して何ら新幹線騒音公害に対する補償がないというのは極めて片手落ちではないか。この法律改正の場合、やはりこの点が若干欠陥ではないかと私は指摘したいわけでございまして、何らかの対策を考える必要がある、もっと今回の法律改正と関連した対策をぜひ進める必要があるんじゃないかと思うわけでございますが、この点につきましてどうお考えでしょうか、まず運輸省にお聞きします。
  72. 鈴木康夫

    ○鈴木説明員 御指摘のとおり、新幹線騒音対策を今後進めなくてはならないわけでございますけれども、閣議了解の原則というものもございまして、その時点で現にあった家屋に対しては補償いたしますけれども、その後の建てかえについて、あるいは後から住んだ方、そういうものに対しては後住者ということで対象としていない、こういった環境対策の全般的な原則的な考え方だと思いますので、それを変えるということはなかなか困難ではないかと思っております。  今後の騒音対策の基本といたしましては、何といっても音源、発生する音を減らすというのが大事でありまして、これを重点に今後とも技術開発を指導して、環境基準のなるべく早い達成に向けて努力していきたいというふうに考えております。
  73. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 この閣議了解の原則というのが問題であって、新幹線ができた時点で建っていた家のみを対象とするそれ以外は対象としないということを原則にしたのはおかしいと言っているわけであって、その後もどんどん情勢も変わっております。新幹線網もこれから全国的に広げていかなくちゃいけないし、また、この七十五ホン対策はいまだに達成されていないということも考えて、やはりこの閣議了解の原則自体を見直す必要があるのではないかというのが私の考えでございます。  さらに申し上げると、空港の騒音対策につきま してはきちっと法律で手当てがされている、補償がされている。それなのに、同じようなやはり国の政策でつくられた新幹線に対しては閣議了解で済ましている、これがそもそもおかしいじゃないかということなわけですね。国民にとって全く理解しがたい、非常にわかりにくいことであって、なぜ新幹線の騒音対策についても法律できちっと補償しないのか、これをぜひ御説明いただきたいと思います。
  74. 鈴木康夫

    ○鈴木説明員 新幹線の騒音対策を閣議了解で行っているということでございますけれども、この理由といたしましては、新幹線騒音対策の内容法律による措置を必要としない事項である、そういうことで閣議了解で実施されている。そして、実施主体がかつては国鉄、現在JRでありまして、法律で制定するまでもなく確実に実施できる、そういう考え方でございます。
  75. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 国民から見れば、どちらも国の政策でできている話だと思うのですね。実施主体がどうのこうのというよりも、空港それから新幹線、国民にとっては同じようなものであって、やはり法律できちっと補償することを決めなければ国民として納得しがたいという面があるかと思います。この点は運輸省側にぜひ再考を求めたい、強く要請をしておさたいと思います。  そこで、建設大臣にお聞きしたいわけですけれども、今申し上げましたように、都市計画法改正それから建築基準法改正、こういった付随的な問題もあるわけでございまして、こういった騒音の激しい地域に対して、今回の都市計画法並びに建築基準法改正に関して、建設省としてどのように考えておられるのか、ぜひこれにつきましてお伺いをしたいと思います。
  76. 山崎拓

    山崎国務大臣 新幹線の沿線における騒音の問題でございますが、環境基準の円滑な達成に資するように、基本的な施策は音源対策でございますけれども土地利用計画上も可能なものにつきましては適切に配慮することが必要だと考えております。  新幹線沿線において新しく市街化区域に編入をいたしました場合、新たに用途地域を指定することがございますが、基本的には住居系の用途地域を指定しないということをやってまいったわけでございます。今回の法改正後も、新しい用途地域による指定を行う場合には、従来と同様の考え方に立って適切に対処してまいりたいと考えております。
  77. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひ建設大臣からも、今言った問題を御認識いただきまして、運輸省に対しても、今回の都市計画法建築基準法改正と関連をしまして、新幹線の騒音対策を一層強力に進めるよう働きかけをいただきたい。  ひとつ要望をいたしまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  78. 北村直人

    北村委員長代理 吉井光照君。
  79. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今回の都計法並びに基準法の審議もいよいよ大詰めを迎えたわけでございますが、私は確認意味で、さきの本会議での私の代表質問に対する政府答弁並びに当委員会での政府答弁、及び政府案に対するところの我が党の申し入れ事項、こうしたことについて七項目質問並びに確認をしておきたいと思うわけでございます。なお、時間が非常に短いわけでございますので、ひとつ手短に簡潔な、また核心に触れた御答弁をお願いしておきたいと思います。  まず初めに、市町村マスタープラン策定についてでありますが、これはいわゆる政府案では任意規定になっておりますが、少なくとも努力義務規定にして、みずからの町づくりに政府として積極的に誘導していくべきであると思うわけでございます。政府市町村マスタープラン策定について、都市計画を定めるすべての市町村において策定されるよう指導してまいりたいというのであるならば、その意思をはっきり法文上明記しておくべきでありまして、明記しても何ら差し支えはないのではないか。法文上、市町村マスタープラン策定について「定めることができる。」ではなくして「定めるものとする。」このように改めるべきではないかと思うのですが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  80. 市川一朗

    市川政府委員 基本的には、ただいま先生から御指摘ございましたように、私どもすべての市町村に策定していただきたいという気持ちを持っておるわけでございます。  条文上の表現につきましては、私どもは任意規定ということで御提案申し上げておるところでございますが、いろいろと御議論もされているように伺っておるところでございます。
  81. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次に、我が党は都道府県マスタープラン、これは市町村マスタープランの上位計画として位置づけられるのではなくして、それらを調整するもの、あるいは都道府県固有の項目に関する計画として位置づけることを主張しているわけですが、政府は、市町村マスタープランは当該市町村の町づくりのビジョンを具体的に定めるものであり、都道府県マスタープラン一つ市町村を超える広域的な観点に立った都市計画方針を定めたものであり、両者は趣旨、内容を異にするものであるとだけしか言っていないわけでございまして、内容が異なるものだからどういう関係になるのか、これについては非常に不明確な表現にとどまっているわけでございますが、もっと明度にわかりやすく両者の関係について御説明を願いたいと思います。
  82. 市川一朗

    市川政府委員 今回御提案申し上げております市町村が定めるいわゆるマスタープランにつきましては、先ほども答弁申し上げましたように、できればすべての市町村で定めていただきたいということで、それが当該市町村で定めます今後の都市計画の重要な指針であり、かつ市民にとりましての、住民にとりましての将来像に対するコンセンサスであるというふうに考えておるところでございます。  それに対しまして、現在既に現行法でございます「整備開発又は保全方針」は、知事が定めるマスタープランということで、広域的な観点から定められるということにつきましては御指摘があったとおりでございますが、そのほかに、基本的には市街化区域及び市街化調整区域線引き都市計画決定する際にその中身として定めるという点がございまして、いわゆるすべての都市計画の指針という位置づけにはなり得ないといいますか、一つの限界があるというふうに考えております。したがいまして、今後の都市計画の指針として各市町村がそれぞれお持ちになっていただくものとしては、やはり今回御提案する基本方針制度が最もふさわしいもの、そういうふうに理解しておるところでございます。  ただ、そういうところで、線引きに関する都市計画の中で定められます整備開発保全方針がございます場合におきましては、市町村マスタープランを定めます場合に、それに即して定めるようにという規定も条文上は入っているところでございます。
  83. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 では次に、地区詳細計画策定の義務づけについてでございますが、政府は将来的な検討課題としてまいりたいとしているわけですが、これはどういう意味か、確認をしておきたいわけでございます。  地区詳細計画策定の義務づけは、個性ある町づくりのためにはぜひとも必要だと認識の上で、近い将来の義務づけのために今から検討を徐々に始めていきたいといった積極的な意味なのか、それとも、現段階では義務づけがいいかどうかわからないから、将来検討するときが来たら検討すればいいといった、いわば国会用語の、悪く言えば何もしない、やらない意味なのか、どちらなんですか。
  84. 市川一朗

    市川政府委員 地域の特性を生かした個性ある町づくりを進める上におきまして、地区詳細計画の策定は重要であると考えておりますが、この詳細な土地利用規制、なかんずく建物の形態等まで含めた規制につきましては、我が国の歴史的な事情もありまして国民の理解がまだ十分に得られない状況であること、あるいは市町村都市計画の担当部局におきますいろいろな準備不足等の問題 点その他がございまして、現時点では即義務づけをすることは困難ではないかと考えておりますが、長期的な方向では、ぜひいろいろな角度からの検討ど努力を重ねながら、条件が整った時期におきましては策定の義務づけについて検討する必要があるという意味合いにおきまして、将来的な検討課題ということでお答えした次第でございます。
  85. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次に、開発登録の記載事項の追加でございますが、市街化調整区域内において開発許可の際決められた高さの制限を適用しないこととする許可等についても、第三者への情報提供、取引の安全の保護等、こうしたことを図る観点から、開発登録簿に明記すべきではないか、このように思うわけですが、いかがですか。
  86. 伴襄

    ○伴政府委員 現行開発登録簿、個々別の開発行為の許可ごとに登録簿をつけておりますけれども、それには、市街化調整区域内において開発許可の際定められました、例えば建物の高さ等の制限を記載するようになっておりまして、これによって第三者の取引の安全の保護が図られると思っておりますけれども先生指摘の点につきましては、知事が特別の許可を出して建てた建物といったような場合にはその旨を記載したらということだと思いますが、第三者に情報を開示するという意味では大変大事なことと思っております。貴重な御意見と思って、重く受けとめさせていただいております。
  87. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 第五点目として、違法な用途転用の具体的な防止措置についてでございますが、住居専用の用途地域に建ったいわゆる集合住宅等が店舗やオフィス等に転用されないように、その防止策を講ずることは極めて重要な点でございます。政府はこれについて、特定行政庁による建築物の利用状況の的確な把握をさらに徹底することにより適切に対処してまいりたいということでございますが、その利用状況の的確な把握をどのような方法で徹底されるのか、明らかにしてもらいたいと思います。  また、適切に対処するということはどういうことを具体的に指すのであるか、罰則があるとか何かペナルティーが科せられるのか、ひとつ素人でもわかるように御説明を願いたいと思います。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕
  88. 立石真

    ○立石政府委員 違法な用途転用を防止するためには、先生指摘のとおり、特定行政庁による建築物の利用状況を的確に把握することが必要だと考えております。  その具体的な方法といたしましては、特定行政庁が日常のパトロールを強化することがまず第一に重要でございますが、またそれと同時に、建築基準法に基づいて確認あるいは許可等を行った建築物について台帳を整備する等、資料をきちっと整えて対応していくことが効果的であると考えております。  しかし、不幸にも違反の事実が判明した場合でございますが、その場合には、使用制限等のやはり厳しい是正措置を積極的に行っていく等、適切な措置をとる必要があると考えております。用途違反の防止、是正につきましてより積極的な対応を図ることが必要であると考えておりまして、特定行政庁に対しましても今後一層指導してまいりたいと考えております。
  89. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 では次に、自動車の車庫の規制の明確化についてでございますが、いわゆる自走式自動車車庫については、従来から建築物がそれとも工作物か、この論議また論争の裁判があるわけでございますが、駐車場対策が今日の重要な課題になっているだけに、今後無用な混乱や論争を避ける意味から、また安全性の面から、この際きちっとした建築基準法上の定義規定を改正をして、そして自走式自動車車庫は建築物に含まれることを明文化すべきであることを強く主張をしておきたいわけでございます。  ところで、これに関連するわけでございますが、去る二月二十六日の当委員会で私が提言をいたしました、いわゆる家庭用など小規模な機械式駐車場装置の安全性確保のためのマル適マーク制度の導入でございますが、政府からは、同様の問題意識に立って今後この問題について積極的に検討してまいりたい、このような答弁をいただいたわけでございますが、この意味は、マル適マーク制度を導入するよう積極的に取り組むことであると理解をしてよろしいかどうか。
  90. 市川一朗

    市川政府委員 前回先生から御指摘ありました際は、検討してまいりたいとお答え申し上げたところでございますが、現在、検討しているところでございます。
  91. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 最後に、都市計画制度見直しについてでございますが、我が党は、地区計画制度の充実を含めまして市町村の自主的な都市計画を推進する方策につきまして、少なくとも五年後をめどに都市計画制度の再度見直しを主張しているわけでございますが、これに対して政府は、今回の改正は総合土地政策推進要綱等に基づく総合的な土地対策の一環として行う場合は当然見直す必要があると考えているということでございますが、見直し意味についての論議は今は別にいたしまして、では所期の目的どおり働かなかった場合とはどういう場合を想定していらっしゃるのか、もう少しわかりやすく説明をしていただきたいと思います。また、所期の目的どおり働いたかどうかを見きわめるには、最低どれくらいの期間が必要と見ていらっしゃるのか。  それと、最後に建設大臣に、都市計画制度の適時的な見直しについての決意をひとつお伺いをしたいと思います。
  92. 市川一朗

    市川政府委員 前段の方を私からお答え申し上げたいと思います。  今回の法改正にかかわる制度につきまして、所期の目的どおりに働いたかどうかということについてどういう点をチェックするのかということでございますが、用途地域の細分化について考えてみますと、まず基本的には、それがいわば所期の目的どおりに用途地域の塗りかえが行われるかどうかということが一つあるわけでございます。それから、やや長期的になるかと思いますが、あるいは非常に近い将来くるかもしれませんが、再び前回といいますか今回のような地価の動向が出ました場合に、今回の新しい用途地域制度によりまして、それが塗りかえられた段階におきまして、住居系を中心に住居の環境が守られるというような状況が出るかどうかといったようなところだと思っております。  とりあえずその塗りかえ等につきましては、この法律が公布されましてから施行に約一年かかると思います。それから、施行後塗りかえられるまで、つまり新たな用途地域の指定が行われるまでは約三年ということを想定してございますので、五年ぐらいの段階でとりあえず全国的に新しい用途地域制度が適用されて現実都市計画変更されますので、その状況がどういう状況になっているかといったようなところが、私どもとして一つの見きわめの最初の段階ではないかというふうに思っているところでございます。
  93. 山崎拓

    山崎国務大臣 都市計画制度は経済社会の変化に適切に対応していくべきものと考えますので、先生の御提案のとおり、適時的確に見直しを行っていく所存でございます。
  94. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 終わります。
  95. 古賀誠

    古賀委員長 次に、辻第一君。
  96. 辻第一

    ○辻(第)委員 五月十三日の朝日新聞は「都市計画自治体の手に」という社説を掲げています。社説は、今審議中の両案にも関連して、都市計画制度のあり方に関連して「都市計画づくりは政府でなく自治体が主役であるべきだ、との発想を貫くよう求めたい。」としています。社説は「高度成長期以来、市町村が乱開発や環境破壊からまちを守るためにとった手段は、法に独自の規制を上乗せすることだった。」と述べています。要綱行政と言われ、政府はこれに否定的な姿勢でありましたが、とにかく乱開発や環境破壊から町を守る上では一定の役割を果たしてきたことは事実であります。  最近では景観条例や給水条例など条例を制定し、乱開発を防ぎ、環境を守ろうとする動きが強 まっております。福岡県の志免町や山梨県などでは裁判にまでなっています。これは結局自治体側が敗訴しましたが、自治体にとってはやむにやまれぬ事態からとった措置だったと思います。昨日も、土地住宅市民フォーラムの有志の方からも、都市計画決定権限の問題、ダウンゾーニングの問題が都市計画法変更の際のかなめだとして要請がありました。都市計画決定権限の問題に関しては、私もこれまでの質疑の中でこうした意味のことをお尋ねしてまいりました。改めてこの考え方、朝日の社説の主張について、建設大臣の御見解をお聞きいたします。
  97. 山崎拓

    山崎国務大臣 朝日新聞の社説は拝見をいたしました。「都市計画自治体の手に」という見出してございますが、昭和四十三年の現行都市計画法の施行の際に、原則として市町村都市計画を樹立する、広域的、根幹的なもののみ県知事が行うこととなりまして、すべて地方に移譲されたところでございます。今回の見直しに当たりまして、市町村都市計画に関する基本的な方針、いわゆるマスタープランを創設する制度を設けましたところでございまして、市町村の町づくりの権限をさらに拡充いたしましたところでございます。  今後とも、一層の権限移譲に努めてまいりたいと存じます。
  98. 辻第一

    ○辻(第)委員 実質的な中身として、本当に「都市計画自治体の手に」、重ねて強く求めておきます。  次に、社会党進民連の方にお尋ねいたすわけですが、これらの事態といいますか自治体の対応は、自治体にとってぎりぎりの対応でありました。これしかなかったものだと私は思います。いわば土地利用都市計画について、自治体が独自に対応できる幅の狭さというものを示したいろいろの出来事だったと思います。これらの自治体がとった措置以外に自治体がとれる方策はなかったのではないか、このように思います。そこで、社会党・進民連案提出者の見解を伺います。
  99. 菅直人

    ○菅議員 今、辻委員の方から、こういうやり方しか自治体にとってなかったのではないかということを申されましたけれども、私どもも全くそのように感じております。  先ほど指摘をされました福岡県の志免町の給水制限、実は私が今住んでおります武蔵野市において、二十年以上も前に同じような給水制限を当時の市長さんがやりまして、最高裁まで行っても敗訴したというケース、志免町も同じであります。また山梨県の場合も、これは条例で県が決めていたにもかかわらず、建築確認をおろさないということで敗訴をしているわけです。  先ほど来、大臣局長は、もう原則全都市町村におりている、おりていると言って、繰り返して同じことを言われるわけですけれども、まさに県が自分で条例をつくって、それを守らないから確認をおろさないというふうにしても、今の都市計画法建築基準法では、それは法律に連動しない条例だからといって裁判所では敗訴になるし、まして指導要綱の場合は、水道法の規定の方が優先して同じく敗訴になる。別に市長さんが意地悪をして給水制限をしているわけじゃないわけでして、そういう点で、まさに形だけは市町村権限がおりているかもしれないけれども、実質的にはおりていないということがこの裁判の結果、あるいは昨日の真鶴町長の見解でも明らかだと思うわけです。  そういう中で、政府案では、先ほど来の議論のように、上乗せ条例は認められない、これは規制の上限を決めているのであって、それより緩いのはまだともかくとして、きついのはだめだとか、財産権を守るんだというようなことを言っておられるわけですけれども基本的に土地基本法の中でも、土地については公共の福祉、つまり住民や市民全体のことから考えるべきだという原則からして、この基本的な政府あるいは建設省考え方を転換させることが必要であるというふうに思っております。  私たち社会党進民連提案では、このいわゆる敗訴をした条例や、あるいは真鶴を含めた多くの自治体の条例、要綱が、都市計画の中できちんと連動するような仕組みにしょうということをかなり中心的課題に置いてこの法案作成に当たったわけであります。そのやり方については、昨日も若干申し上げましたけれども一つマスタープラン、いわゆる我々の案で言うマスタープラン、あるいは用途地域決定、あるいは白地地域についての容積率、建ぺい率等も自治体都市計画という形で決めることができるということにいたしましたし、開発許可の技術基準の上乗せなども建設省の見解とは異なって条例によってできるというのが、衆議院の法制局などとの協議の中でもそこまではいいのではないかということも、若干の条件はありますけれども、それを法律にのせたわけであります。  そして、議会の議決ということが基本的に分権のいわばあり方の保障、つまり何でも勝手にやるとよく建設省の方は言いますけれども自治体が議会で決めるということは一つの立法権、自治体の立法権なわけですから、そこに権限を移していく。そうすれば、その計画については議会も責任を持つ、もちろん執行の面では首長も責任を持つ、それによって住民の参加もより近い形で可能になってくる、このような考え方提案をさせていただいているところであります。
  100. 辻第一

    ○辻(第)委員 本当に「都市計画自治体の手に」ということを、改めて重大な問題として受け取りました。御苦労さんでした。  次に、開発行為の問題についてお尋ねをいたします。  現在、駐車場は開発許可の対象には入っておりません。しかし、規模の大きい駐車場の場合について見ますと、駐車場がそれ単独というより、何らかの施設などと関連がある場合が多い。駐車場が、例えば施設などの開発の場所に隣接していなければ、駐車場は開発許可の対象とならないということです。しかしこの場合、当然周囲に与える影響に変わりはないわけでありますから、一体のものとして計画しているのに、形式的に離れた場所にあるからといって開発許可の対象外というのは道理に合わないと思います。今後の課題として検討すべき問題ではないかと思いますが、いかがですか。
  101. 伴襄

    ○伴政府委員 建築物の建築を伴いません単なる青空駐車場の場合は、土地利用としては空地的あるいは平面的でございます。しかも、通常土地利用形態としては一時的、将来何かに使おうというような過渡的なものでございますので、例えば建築物が建築されて半恒久的にその都市的な生活あるいは業務が営まれた場合とは違うのではないかというようなことで、一般的には開発許可に係らしめる必要性は、道理にかなうかなと思っているわけでございます。今先生指摘のように、大体は駐車場と、それからその開発区域内に別の施設ができるというようなことで、その施設と一体として青空駐車場も含めて開発許可の対象にしているという運用をしている自治体も多いと思います。  問題は、今お話しのような離れたものでございますけれども、離れたものにつきましても、本体のものにつきましては少なくとも開発許可あるいは建築規制等が及ぶわけでございますので、その中で考えていくということが当面の対応かなと思っております。具体のケースいろいろあるようでございますけれども、その辺は具体のケースに即してよく検討させていただきたいというふうに思っております。
  102. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、都市計画が住民に密接な偶係があるにもかかわらず、実際住民の皆さんの多くは、町づくりや都市計画の重要な事項が突然目の前にあらわれるという印象を持っています。形式的には、公示なり自治体の公報に掲載するなどで周知しているということになるのだろうと思いますが、本当に住民にとっては、突然目の前にあらわれ、その段階ではもはや決定済みといったことにならないように、案の縦覧、公聴会の開催など法律で定められた措置にとどまらず、本当に親切な住民への周知徹底を行うよう努力する必要が あるのではないかと考えるのですが、いかがですか。
  103. 市川一朗

    市川政府委員 都市計画につきましては、現行制度でも公聴会の開催、案の公告・縦覧、意見書の提出都市計画地方審議会への付議等、我が国の行政手続の中では、住民参加の手続という意味ではかなりの手続が盛り込まれていると私どもは思っておるところでございます。  しかしながら、なかなか住民の理解を得られるまでに至っていないのではないかという御指摘でございます。ただいま御指摘ございましたように、今後説明会の開催あるいはパンフレットの作成等をなお十分にやることによりまして、住民への周知を図るように地方公共団体を指導してまいりたいと考えておりますが、今回御提案申し上げておりますいわゆる市町村都市計画に関するマスタープランは、そういった意味におきまして、個々の都市計画ではなかなかわかりにくいものでございますから、この都市計画の持つ意味合い、我々の町が将来どういうふうになるかという意味においてこの都市計画がどういう位置づけになるのかということで、より理解が進むようにということで御提案申し上げているところでございまして、ぜひ新しい制度が適用され、そういった方向にいくようにと私どもも念願しておるところでございます。
  104. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、区画整理事業における換地計画に関しても自治体により差があるようですが、ある自治体では自分の行き先しかわからない、現在の隣近所の人々がどこに換地されるのかわからないという不満を聞くことがあります。換地先の決定はいろいろと難しい点もあろうと思いますが、少なくとも換地先の全体像を関係者にわかるようにすべきではないのか、いかがですか。
  105. 市川一朗

    市川政府委員 区画整理事業に関しましては、いわゆる仮換地指定の段階と換地計画の段階とございますし、それから組合施行の場合と公共施行の場合との違いもございます。大体組合施行の場合には、仮換地指定の場合でも総会の同意が心要ですし、換地計画の作成に当たりましては総会の議決を経るということになっておりますから、実態的にはかなりの地権者の方々が全体像も把握できておるのではないかと思いますが、公共施行の区画整理事業の場合におきましては、一応手続的にはそういったような手続も用意はしてございますけれども、なかなか組合施行のようにはまいらないという実態もあってただいまのお尋ねになっておるのではないかと理解するところでございます。  手続だけの問題ではなくて、実態的に地権者が換地計画内容を把握し、当該土地区画整理事業につきまして十分な理解のもとに町づくりに参加できるようないろいろな運用等につきましても、今後とも努力してまいりたいと思う次第でございます。
  106. 辻第一

    ○辻(第)委員 今申しました二、三のことは、都市計画が実際には住民から遠いところにある、そういう見本みたいなものだと思うのですが、政府は住民の声を生かした町づくりに努めていただきたい、重ねて求めておきます。  最後に大臣、総括的にお伺いをしたいのですが、今後の都市計画、建築基準行政を進めるに当たりまして、本委員会でもいろいろ議論がありました。今回の都市計画法建築基準法で用途区分の細分化などの改正が行われますが、今後行われる新用途地域への見直し作業はもとより、今回の改正が規制緩和になったり、かえって環境を悪化させるような運用にならないように法の運用を進めていただきたいと思いますが、大臣の御所見を伺います。
  107. 山崎拓

    山崎国務大臣 このたびの両法の改正案でございますが、これは御案内のとおり、昨年の一月、総合的な土地政策要綱が定まりましたが、それに基づきまして金融、税制等先行いたしました施策とともに、今回土地政策を推進する上で提案をいたしましたものでございます。  その土地政策は、当然のことながら土地利用計画を充実させることによりまして新しい都市環境の整備を行い、あるいは都市の発展を図ってまいりたいということでございますし、また地価の安定にも資するものであるべきであると考えておるわけであります。用途地域見直しあるいは誘導容積制度の導入等いろいろと提案をさしていただいておりますが、これらの新しい手だてを通じまして立派な都市づくりをやってまいりたい。弊害が出ないように、逆に立派な都市ができますように努力してまいりますことを、ここに改めて申し上げておきたいと存じます。
  108. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  109. 古賀誠

    古賀委員長 これにて両案中、内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、明二十一日木曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会