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1992-05-19 第123回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月十九日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 古賀  誠君    理事 片岡 武司君 理事 金子原二郎君    理事 北村 直人君 理事 杉山 憲夫君    理事 渡海紀三朗君 理事 三野 優美君    理事 山内  弘君 理事 吉井 光照君       植竹 繁雄君    川崎 二郎君       木村 守男君    久野統一郎君       塩谷  立君    島村 宜伸君       野田  実君    萩山 教嚴君       光武  顕君    山本 有二君       石井  智君    木間  章君       貴志 八郎君    斉藤 一雄君       渋谷  修君    松本  龍君       和田 貞夫君    伏木 和雄君       薮仲 義彦君    辻  第一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 山崎  拓君  出席政府委員         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省増設経済 伴   襄君         局長         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         議     員 木間  章君         議     員 谷村 啓介君         議     員 菅  直人君         参  考  人         (慶応義塾大学 伊藤  滋君         環境情報学部教         授)         参  考  人         (神奈川真鶴 三木 邦之君         町長)         参  考  人         (都市開発協会 花形 道彦君         専務理事)         建設委員会調査 杉本 康人君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   石井  智君     和田 貞夫君   貴志 八郎君     斉藤 一雄君 同日  辞任         補欠選任   斉藤 一雄君     貴志 八郎君   和田 貞夫君     石井  智君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第七二号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案木間章君外三名提出衆法第一〇号)      ――――◇―――――
  2. 古賀誠

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案及び木間章君外三名提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案審査のため、参考人として慶応義塾大学環境情報学部教授伊藤滋君、神奈川真鶴町長三木邦之君、都市開発協会専務理事花形道彦君、以上三名の方々に御出席いただいております。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。両案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、まず伊藤参考人、次に三木参考人、続いて花形参考人順序で、御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、伊藤参考人お願いいたします。
  3. 伊藤滋

    伊藤参考人 御紹介いただきました伊藤でございます。  私は、都市計画を長いこと研究課題にしておりまして、今回の都市計画法建築基準法改正についてもそれなりにいろいろ発言をさせていただきまして、政府の方としてのまとめ方についても、ある程度の私の考え政府側の組織に対して申し上げてきた次第でございます。  都市計画の今回の改正を私なりに、私の立場考えを申し上げますと、これからの都市計画というのは、市民社会の中で二つ立場運用をされていくのではないかと思っております。  一つ立場は、通常の用途地域とお考えください。用途地域は現在八つございますが、政府側では、十四だったと思いますけれども、十四に細分化されております。この用途地域というのは、皆様おなじみの、例えば市役所へ行ったり県庁へ行ったり区役所へ行きますと図面がございまして、そこに、あなたの場所は住居地域であって、例えば容積は三〇〇%であってということがわかるようになっております。普通の市民人たちは、用途地域図面建築設計事務所人たちなんかと一緒に見まして、ああこうなっているのかと、それで一つ一つ建築行為をすることになっている。これが大体、今まで都市の中で、普通の市民都市計画というのはどういうものかというのを理解する窓口、一等初めの取っかかりであり、またそれ以上のものになかなかならなかったのですが、今回はそれに対して、もう一つ地区計画というレベルを設定しております。  地区計画というのは、わかりやすく言いますと、地域に住んでいる市民皆様方が、自分たち地区はどうもこれまでの住居地域とか一種住居専用地域とか、そういう地域制のかたいものではそぐわない、もう少し違う町のつくり方があるのではないかということで、地域住民皆様方がいろいろ議論をして、それを今度市役所とか区役所へいろいろ話をしますと、区役所市役所が、そうだなというので、そういう話を聞きながら、地区計画という新しい都市計画制度をこれまでの地域制の上に上乗せいたします。ですから、その地区計画が発効、法律として効力を持ちますと、例えば住居専用地域の中で認めている建築物だけれども地区計画では、場合によってはそれは入りにくいようにすることができるなんということが可能になるのですね。  この地区計画というのは、実は都市計画法改正の前からあったのですが、今度の都市計画法改正、それから建築基準法改正では地区計画を矢面に出しました。非常に正面に据えました。これからは用途地域制と全く同じ重みで地区計画考えてください、そういうことにしました。それから、私余り法律を細かく見てないのですが、多分今度の地区計画は、地域住民要請で、おれたちはこういうふうに市街地を変えたいと思っているのだけれども市役所区役所、怠けないでせっせと考えろ、そういうふうに地域住民の積極的な要請地区計画の具体的な整備計画地方自治体は立てなければいけない、そういう二つ都市計画の道具立てで、都市のいろいろの将来の方向づけを考えてもらう。これは、法律的により硬直化しないで、やわらかく市民社会の中で都市計画運用されるようにしよう、そういうことが一点でございます。  この地区計画の中に誘導容積制度という考え方を入れております。この誘導容積制度といいますのは非常におもしろい制度でございまして、これはまさに地域社会住民皆様方考えようによってはいろいろな可能性がある、あるいはもしかするといろいろな思わぬことが起きるという制度です。誘導容積制度は、現在例えば住居地域で、先ほど言いました三〇〇%の容積になっているようなところで、その住民人たちが、こんな三〇〇%の住居地域だというのに道路もできてないし、交通渋滞も多いし、公園もない、こんなところで三〇〇%建てられたら困る、だからとりあえず一五〇%ぐらいにしてしまって、こんな道路条件ならば変なオフィスビルなんか建てないようにしよう、こう考えます。そうすると、との三〇〇%という容積とは別に、この誘導容積制度で一五〇%という容積が決まるのですね。そして、一五〇%にしておきましてから、地主さんや地権者借地人も入ったと思いますけれども、そういう住民人たちが相談して、皆さんの敷地の前を一メーターずつ下げると、今までの道路メーターが六メーターになるぞ、六メーターになれば歩道も少しとれるかもしれない、あるいはあそこの空き地を区役所が三十坪ぐらい持っているけれども、そこを児童公園にするようにみんなで要請しようとか、そういうふうに地区の中で市民人たち財産を主として、土地という財産をある程度皆さんのために提供しながら将来の町づくり計画をつくります。つくりますと、そうすると三〇〇%に戻して、それで不燃化した四階建てぐらいの建物も建つし、三階建てマンションも建つしということができる。そういうふうにしようということですね。  ところが、この誘導容積制度といいますのは、やり方によってはおもしろいことになると私が想像しますのは、これは私の想像ですが、固定資産税というものが、どうもおまえのところは住居地域で三〇〇%だから、それに見合う土地利用をすべきなのにしていない、だけれども三〇〇%だから、三〇〇%見合いの固定資産税ベースだろうというふうになるのですが、これを一五〇%にしますと、もしかすると固定資産税を評価する基準が変わるかもしれない。ですから、話はちょっとオーバーになるかもしれませんけれども誘導容積一五〇%のままでずっと頑張っていて、おやじが死んだ、相続税を払うといったときにどうなるかというと、これはもしかすると一五〇%の容積評価基準相続税になるかもしれない。これは、これからの議論だと思うのですけれども、そういう思わぬことがあるのですね。  それからもう一つ容積移転という話があります。これは大変おもしろい誘導容積制度。これは、私はこのごろよく申し上げているのですが、例えば浅草仲見世のところで、あれは非常にいい町なんですよね、アーケード街がありまして。ところが、あそこで商売をしている方たちが、あそこでもう商売が成り立たない、再開発をして、ちょうど浅草六区でごらんになるとわかりますけれども、老人のデラックスマンションなんかできていますけれども、ああいうものをつくりたい、容積が余っている。そういうふうにして、浅草仲見世横っちょアーケード街がありますね、古着屋さんなんかがある、あそこが全部四、五階建てマンションとかオフィスビルになったら、浅草の持つ本来のよさがなくなってしまうわけです。浅草というのは、やはり低層で少しくたびれたような木造の建物がごちゃごちゃと並んでいる、ああいう仲見世とか横町のアーケード街の持っている雰囲気浅草。だけれども、それでは商売にならない。そうすると、そこにある容積皆さんが相談して、六区なら六区に持っていって、そこに思い切って映画館が集まったしゃれたビルをつくってしまう。そこで生き生きとした商売をしながら、こっちは昔風のちゃんとした浅草雰囲気商売をする。  要するに、誘導容積制度容積移転を使うことによって、東京や大阪の中で昔からあった低層のいい店のある商店街を残しながら、もしかするとその商店街の次の跡継ぎの若い男の子は、その容積制度を使いながら新しいビルを思い切って別に隣につくって、そこで商売をするなんということが可能になるかもしれませんね。  この話は、実は地方都市でも、地方都市中心市街地商業地域が今疲弊しつつある。郊外にショッピングセンターができてしまった。皆さん方ショッピングセンターがもうかるから、中央商店街のしにせのお店でも、息子はショッピングセンターの方で店をつくる、分店をつくるとか。そういうことをよくやるわけですけれども、そういうことよりももうちょっとこういう制度を使いながら、昔の地方中心商店街のたたずまいを残しながら、思い切ってその横っちょで再開発をして容積をまとめて、新しい商業の活力を町の中心につくるなんということもできるだろうとか、あるいはもっとまずいことになると、悪い不動産屋が、何だか権利だけ買ってしまって何とかするなんという話もあるかもしれない。ですが、これを決めるのは、全部この誘導容積制度を決めるのは地区計画でということですから、地域住民が決めるということなんです。  こういうふうに、今度の都市計画制度では、今までどちらかというといかめしい顔をした都市計画のにおいが強かったのですけれども、それをやはりもうちょっと私たちがおっかなくない都市計画にしよう。おっかなくない都市計画というのは、単に文句をつけるだけではなくて、住んでいる市民が言うことを言ったときは、自分で言った後の責任も持ってもらう。何でもかんでも言いっ放しで、市役所区役所をどなりつけてそれでうっぷんを晴らしているのではなくて、都市計画というのは、やはり区役所に言って区役所が反応したら、それに対してこちら側もちゃんとそれに見合う市民としての責任を遂行する、そういうものが日本のこれからの都市ではないか。  実はこんな話をいろいろ私はあちこちでしまして、役所でもしましたし、学校でもしましたし、そういうふうにして都市計画組み立て方二つ運用で、よりその組み合わせで随分いろいろ、これから都市計画運用いかんでは町の中がさまざまに変わってくると思います。そういう変化を持たせる、そういうことを一生懸命考えておりました。そして、そういう方向に今度の改正がいけば、私は日本都市というのは、ヨーロッパ都市が抱えている硬直化した――ヨーロッパ都市は非常に危機的状況になっている。そういう都市でないやわらかさを持ちながら、これからまだ三、四十年は頑張っていけるのではないかと思っております。  ちょうど十五分になりましたので、これぐらいで失礼させていただきます。(拍手
  4. 古賀誠

    古賀委員長 ありがとうございました。  次に、三木参考人お願いいたします。
  5. 三木邦之

    三木参考人 神奈川県の真鶴町の町長三木でございます。  真鶴町といいますのは神奈川県の一番西部、東を小田原市、西を湯河原町、北に箱根町、南の方に二キロちょっとの小さな半島相模湾に突き出ております、人口一万弱の平均的な自治体でございます。  ただ、面積が七・〇二平方キロと小さい町でございますから、その景観と相まっていろいろな開発圧力が訪れて、真鶴町にどういうことが起こったかといいますと、昭和六十二年四月リゾート法が施行されたとき、この時を同じくして、真鶴町はいつも水で苦しんでおりましたが、三千トンという水が恒久水源として湯河原町の友情給水、隣町から水が受水可能になった年でございます。この年に土地利用基本方針等策定したのですが、なぜこんなことを策定しなければならなかったかといいますと、リゾート法施行とともに、今まで水がなかった真鶴町に幾らかでも開発が認められそうだということで、リゾートマンション開発圧力が大きく加わってまいりました。  翌年六十三年四月には、駅前の七十二棟というマンションを売り出したところ、私どもはすぐには売れないと思っていたのが即日完売、当時で二千七、八百万円という一戸の金額が適当なこともあったのでしょうが即日完売、翌日には一千万円のプレミアムがついたという出来事があった。これから真鶴にどっとリゾートマンション中心にした開発が訪れて、この六十三年から暮れまでの半年の間に十九棟、千二百二十四戸というマンションが建つことになる。窓口に申し込み、これだけ受けますともう到底真鶴の水は間に合わなくなるわけです。まして半島の方は、御料林で守られた一万坪のクロマツ、クス、シイといった原生林と呼んでいいほどの、日本では一番のクロマツの群生の林がございます。これを中心とした自然が、大きなコンクリートの塊で破壊されるような状況が目に見えてきた。  当時の町長、私は議員でおりましたけれども、いろいろな圧力に対しての手だてをしたのでございますけれども開発業者の論理の方が勝って、なかなかうまいことができない。何としてもということで、当時は越後湯沢等、私ども町長とともに一緒に視察等重ねまして、平成元年六月には指導要綱を強化します。同じ月に議会議決をもって、リゾートマンション凍結決議をもってこれに対抗した。ただし、窓口でもう既に協議にのっておりますものについては協議を続けていったのですけれども協議調わないうちにトラブルが何件か起きた。その一件が、指導要綱協議の調わないものに対して、もう指導要綱を聞く必要ないんだ――これは業者が言う言葉ですが、私たちがあなた方の指導要綱を受けているうちが聞くもので、もうこんなものは法的な根拠がないんだから、建築基準法にのっとった確認申請経由しろ。私どもの町、どこもそうでありましょうが建築基準法、県に経由するときには、指導要綱協議成った後に県に上げるというのが建前でございます。これを守らないものは経由するわけにはいきません。指導要綱による協議を続けてほしい、この願いも聞き入れずに、一件が県に対して確認申請を出した。これを許さない、争いが続いていく中で、今この一件だけが訴訟事になっております。  これを契機としまして、平成元年の二月にこれが起きまして、いろいろな折衝の中で当時の町長助役が五月に相次いで辞任するという事件があった。町長助役、トップ二人が辞任して初めてこの開発圧力がとまった。それで、その後の選挙になりまして、私ども議会から二人立候補しまして、この規制に対して強いという私の方が選ばれたわけですけれども、この乱開発に対して、私は公約として、この開発圧力を受けた中で町民、町が一番困ったことは、まず今申し上げたような自然破壊が目に見えて起こってきた。あと一点は、水が断減水する。いつも真鶴は夏になりますと断減水があったが、やっと解消されたのに、一番暑い時期、欲しい水がまたなくなる。あと一つは、当時東京マネーと私ども呼んでおりましたが、私ども想像もつかないような補償料が町に投下された。判こつくだけで五十万の金がもらえる。もらえるところともらえないところとのいさかいが起こる。人の心が乱される。こういった三つの破壊ができた。ただ、人の心の部分あるいは自然破壊部分に、それだけの手だてが思い浮かばなかった。  私は、水で困るから水によって開発の速度を緩めていただきたい、真鶴給水能力に合った開発にしていただきたいというので、地下水条例上水道給水制限という二つ条例をもってこれに対抗した。七月一日選挙終わって、二日から私、執務についたのですが、これ以後ばったりと開発はとまった。そして、この水道法上の疑義が当時叫ばれておりましたけれども、これについても訴訟も起こることなく、これについては町民あるいは議会議会全会一致でこの条例を通していただきました。町民も支持していただいた。押しかける開発業者条例となったときに、今はあきらめているのでしょうか、私ども条例を守っていただいております。ただ、乱開発の抑制ととられかねない水道条例だけでずっといくつもりはない。真鶴町も、町を経営していく以上は、緩やかでありますけれども発展は遂げていかなければならない。上水道水源を確保する努力は、今も続けておるわけです。  その間に、平成二年十月には都市計画用途区域の拡大も図るため、あるいは風致地区地区計画指定作業も町としては開始しております。第二次、第三次とわたる地下水調査も行いました。今年三月には地下水調査も終わりまして、真鶴町は地下水源水収支が全部出てきました。私どもの持っております地下水条例は、これは永久に変わることのない条例として残る資料もそろっております。平成三年四月には町づくり条例、これの策定に入りましておよそ一年、今年三月にようやくその素案ができたところでございます。  時を同じくして今ここで、国会で論議されております都市計画法建築基準法改正、これもにらみ合わせながらやってきました。この中で一番私どもが期待をしていたところは、やはりできれば全面的に都市計画地方自治体市町村にまでこれを下げていただけたらなあと。ただし、極端にそういうことはできないであろう。順を追ってでも、都市計画はそれぞれの町、面積だけとらえましても、私ども七平方キロと言いましたが、二平方キロ、三平方キロという小さな町もある。北海道へ行けば千五百平方キロを超える町もある。これらと、あるいは東京真鶴のような自治体とが、一つ都市計画法の中で果たして都市計画ができるのであろうか。私なんかの町は、都市計画と言ってもぴんとこないのです。田舎計画と言った方がいいのかもしれませんが、田園計画のような町があってもいいのだろう。それは住民参加の中で、それぞれの地方議会議決というような手続も経て、そういったことを通しましてその町の町民が、市民が選ぶ都市計画というものに道を開いていただけたらなと思うのですが、今回の政府案によりますとその点が欠けている。  何といたしましても、私ども指導基準指導要綱、私ども指導要綱昭和四十九年から制定しております。お願い要綱といえども、十数年間にわたってこの要綱あるいは指導基準でいろいろな高さあるいは空地比、景観条項等上乗せ的なものを持った指導基準ででもできてきたことが、この開発圧力によってすべて形骸化されてしまっている。  その中では、やはり今度また都市計画改正されたといって、一例をとりますと白地地域、四〇〇を二〇〇にすれば半分になったから随分進んだ。進んだのですが、真鶴町十九件の先ほど申し上げました千二百余のリゾートマンション、これは容積率二〇〇%でもすべて建ってしまいます。八階、九階、十階という、そういった建物がすべて建ってしまう。あるいは高さ制限をしまして、二十メートル以上はだめですよ、大体六階か七階でおさまるだろう。ただし平均地盤や何か、私どものは急傾斜ですから、熱海市も同じ、太平洋から箱根山に登って、七百七十七メートル登るわけですけれども、この間平均地盤とっていきますと、マンション天に届くといいまして、七百メートルまで土地さえ求めれば上がってしまうような高さのとらえ方がある。  こういった矛盾点を解消するには、やはりその土地土地に合った都市計画を許していただきたい、それが一回でだめならば条例制定等認めていただきたい、そういう思いで、きょう参考人として意見を述べに参ったわけでございます。  地方の時代ということが叫ばれて久しいわけです。それぞれの町が、三千二百三十有余という市町村がありますが、それぞれ特色を持った独自の行政を進めている中で、一番ネックとなっていますのが、この土地利用を含みます都市計画策定権限市町村にない。自分の町でどんな立派な総合計画をつくっても、私の町七平方キロ、山の方に二つゴルフ場ができたら、もうこれで吹っ飛んでしまう。そんな小さな町には小さな町の持つ特色があるわけですから、特色が反映できる都市計画建築基準法というものにしていただきたいなと、これからの論議の中でお願いしたいと思います。  すべての権限地方自治体に即座に与えることに疑念がおありだろうと思いますが、少なくとも法の範囲内で、その町がそれを超えることのない範囲内であれば、条例等によって引き下げることを認めていただければ、もっともっと柔軟な、それぞれの町が表情豊かな町になっていくであろう。このままで、何回も繰り返しますが、二平方キロの村と千五百平方キロの村、東京真鶴のようなこの地域特色、格差のある中を、どのようにメニューをふやしても、一つ都市計画法建築基準法だけで抑え込むということは不可能に近いことであろう。ぜひこの都市計画につきまして、基礎自治体である市町村にまで広げていく、移譲していくということをお願いしたいなあと福祉の方では、私ども力がないと言われておりますが、平成五年、来年になりますと、大きく福祉事務が町の方に移譲されております。これらを受けこたえるだけの足腰は基礎自治体に整ってきていると思いますので、ぜひその辺のところを信頼していただきたいなあと思います。  以上で意見陳述を終わります。(拍手
  6. 古賀誠

    古賀委員長 ありがとうございました。  次に、花形参考人お願いいたします。
  7. 花形道彦

    花形参考人 都市開発協会花形でございます。  実は、都市開発協会と申しますのは、大手の電鉄十五社とその関連の不動産会社が集まっておりますところで、いわばディベロッパーの団体でございますけれども、そこにも私、籍を置きますけれども、きょうは多少御勘弁をいただきまして、その立場を離れまして、そういう情報が比較的入りやすい立場にいる一国民というような立場から意見を述べさせていただきたいと思います。お許しをいただきたいと思います。  まず最初に、個別の議論の前に、少し根本的な問題にさかのぼりまして、一体都市計画というのはどう考えるべきかというところから、ちょっと釈迦に説法ではございますけれどもお話し申し上げてみたいと思います。そういう基本的な問題の中で、じゃ改正が現段階ではどうあるべきかというようなこととあわせてお考えいただければと考えております。今、真鶴町長さんのお話ございましたけれども、私が申し上げるのはむしろ大都市地方中核都市等を考えた場合を中心に申し上げてみたいと思います。  都市計画というのは、結論から申し上げますと、基本的に修身の教科書みたいなものでは実効が上がらないんじゃないか。要するに、耐え忍ぶものでは実効が上がらないんじゃないかと思います。先ほど伊藤先生もおっしゃいましたけれども、非常に楽しい町づくりというようなお言葉でおっしゃっておりましたけれども、言葉をかえて言いますと、要するに町全体のことを考えることが自分の生活にとってもよりプラスになるんだと、そういうことを頭だけじゃなくて生活感覚としてわかっていただくということが、まず基本的に大事じゃないかという思いがございます。  これはなぜこんなことを申し上げますかというと、私も全然前は気がつきませんでしたけれども、たまたまイギリスの都市計画の歴史を見ておりますと、御承知のとおりイギリスの都市計画というのは、実は公衆衛生を基本に発達してきております。ヨーロッパはペスト、コレラでずっと昔から苦しめられておりまして、特に一八三〇年代は、近世ではイギリス、フランス、スペインを中心にコレラがはやって、これは十八世紀の終わりから、御承知のとおり産業革命で都市集中が始まったわけでございます。ロンドンの例で言うと、非常に非衛生的な都市ができ上がった。そこで公衆衛生という考え方が生まれまして、要するに全体の衛生を考えないと個人の生命も保てないんだという考え方が出てきたわけでございます。それで、一八四八年に公衆衛生法ができております。この中で、既に下水とかあるいは厨房とか手洗いとかの衛生のチェックとか、そういういわば建築基準法的な考え方が入ってきております。これがもとになりまして、いろいろ変遷を経て一九〇九年の都市住宅法というものに発展してくるわけでございます。  したがって、例えばその間にセットバックとかそういうものが行われておりますけれども、我が国でセットバックといいますと天空とかあるいはプライバシーの保護とか、そういう極めて抽象的な説明でされておるわけです、もちろん日照ということは抽象的じゃない場合もありますけれども。私どもも、まあこれは推測でございますけれども、セットバックなんというのは向こうにとってはもっと切実な問題であって、実は御承知のとおり当時、ロンドンとかパリではトイレがございませんで、あっても五階建てが主ですから、土管が詰まっちゃって使えない。そうすると、夕方になると、みんなおまるでやっておいて、大変びろうな話で恐れ入りますけれども、それで五階といいますか上から全部投げた。それが乾燥して非常な非衛生な状態になる。あるいはそれを頭からかぶった場合は、かぶった方が間抜けであるというような慣習ができた、こういうことでございます。したがって、セットバックというのはもっと切実な問題であって、上からふんが降ってこないというようなところから実は都市計画が始まっているんじゃないかという感じを持つわけでございます。  実は収用という、公共の福祉のために私権を制限する収用という思想がございます。これも実は、イギリスにおいてもなかなか収用権が発動できませんで、結局コレラが盛んになって初めて収用権が発動できた、そういうことでございます。これを言いかえますと何かといいますと、要するにいわゆる理念とか哲学ではございませんで、やはり全体の衛生のことを考えないと自分も死んでしまうよ、都市計画でいうならば全体の町づくり、いい町づくりを考えることがやはり自分のいい生活につながるんだ、こういう生活感覚から向こうは出てきているんじゃないか。したがって、そういうものが基本にあるものですから、比較的厳しい都市計画等が行われますし、あるいは再開発等でも比較的住民の方々が協力するというような土壌がある。あるいは、都市設備や都市施設が整備されていないところでは家を建ててはいかぬ、都市的な土地利用をしてはいかぬというようなものが生活感覚としてあるんじゃないか、こういうぐあいに考えるわけでございます。  振り返って我が国、特に大都市を見てみますと、特に東京なんかの場合には地方から大勢の方がお見えになりまして、特に三大都市圏でいうと、昭和三十年代には一番多いときには年間六十万人の人が三大都市圏に集まっている、その三分の二近くが東京であるというような状態でございます。地縁性、血縁性のない方々が集まって、それで言葉は悪いですけれども、立身出世なりあるいはお金もうけというものが相当の目的の中にあって、それでだめならば帰ってしまうというような、ある意味では無責任な態勢があるわけでございます。要するに、自分が本当に参加して公共物である都市というものをよくすることが自分の生活もよくするという、そういう生活感覚がなかなか醸成されないという状況があるわけです。  これは一つの例でございますけれども、例えば農地の宅地並み課税、最近は生産緑地の問題が起こっておりますけれども、生産緑地なり農地の宅地並み課税で農民の方が土地を出したとしても、これは実は宅地じゃないわけでして、それに伴って都市施設整備がちゃんと伴っていなければ、本来の都市的な土地利用ができないはずでございますけれども、我が国の場合は、単に物理的な土地があるだけで宅地が供給された、こういう言い方になるわけでございます。御興味がございましたら、日本の国語辞典を全部ひっくり返してごらんになりますと、宅地とは何かというと、建物建てられる土地としか書いてございません。その周辺に対する配慮と、都市計画があるよ、あるいは都市施設整備が整っているという配慮がないわけでございます。そういう実態がございます。  それから、もう少し事例として申し上げますと、例えば住宅・都市整備公団が宅地開発をいたしまして、団地をつくり、道路公園、上下水道、それから商業施設と医療施設と全部整える。そこで、例えば平米三十万で売り出される。そういたしますと、その開発地から外れた一歩外側のキャベツ畑も同じように三十万だ、こういう値がつきます。むしろ駅に近い方でしたら三十万を超えて、下水も公園も何もないところが三十五万とか四十万になる、こういう実態があるわけでございます。したがって、現段階ではそういう実態をある程度踏まえながら、やはり順次都市計画というものを考えていかざるを得ないんではないか。そういたしませんと、やはり砂上の楼閣のような形になるんではなかろうかということがございます。  基本的には、むしろこれは行政の話というよりか、今申し上げたようなことはまさに政治の話ではないかというぐあいに思います。時間はかかりますけれども、例えばイギリスのように、社会的な生活とは何かというようなことをよく教育の中で教え込む、子供のときから教え込むというようなこと。それから、東京の一極集中を排除する。要するにヒューマンスケール、人間的な生活ができる都市の規模というのはどの程度の規模なんだというようなことを十分検討して、人間らしい生活ができる都市、あるいは経済的な機能も必要でございますから、全部が全部そういう都市にするのは難しいと思いますけれども、そういう機能を発揮できるような場所を持った都市というのは何かというようなことも十分検討する必要がある。それから、都市基盤をちゃんと整備する。生活関連の施設を整備することによって、やはりそういうことをするといい生活ができるのだ、公共のことを考えると自分の生活もよくなるのだ、そういうような基盤づくりを片方でやる必要があるのではないかと思います。  我が国は、振り返って考えてみますと、国民が本当の意味で町づくりというものに口出しかできるようになったのは、一九四五年の第二次大戦の敗戦以後でございます。そういう意味では、そんなことをおまえ言っていたら長く時間がかかるじゃないか、こういう御批判もあるかもしれませんけれども、まだ国民が口出しできるようになってからせいぜい五十年前後しかたっていないわけでございますので、百年の計画だと思えば、まだまだ五十年、六十年かかってもいいのじゃないか。いいのじゃないかというか、一つわきでそういうことも考えながら、やはり都市計画の法制度考えていかざるを得ないのじゃないか。そういたしませんと、同じようなことをいつまでたっても繰り返しているということになりかねないと存じております。  そういう意味で、今回の都市計画法改正基準法の改正につきましては、いろいろと検討すべき余地は残っているとは存じます。ただ、現段階のそういう我が国の情勢、特に大都市の情勢というものを考えた中では一歩前進であるというぐあいに評価をいたしますので、まずこの段階でぜひとも早くこういう手だてを打つべきだというぐあいに考えております。  とりあえず、以上でございます。(拍手
  8. 古賀誠

    古賀委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 古賀誠

    古賀委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。光武顕君。
  10. 光武顕

    ○光武委員 自由民主党の光武顕であります。  本日は、参考人の方々には御多忙のところ、それぞれ御経験に基づいて貴重な意見を賜りました。大変私どもの審査に参考になりました。心からお礼を申し上げる次第であります。  お尋ねしたいことは四点ほどありますが、それぞれ参考人の方々に一つずつの課題について申し上げまして、お考え方を聞かせていただきたいと思うのであります。  第一点は、政府案土地対策、とりわけ地価対策としての実効性について、初めに伊藤参考人にお伺いいたします。  今回、政府提出しております都市計画法及び建築基準法の一部改正案は、総合的な土地政策の一環として土地利用規制制度を充実しようとするものであります。より的確に住環境の保護を図るための用途地域の細分化や、公共施設を伴った良好な市街化地域整備を図り、より土地の有効利用を促進するための誘導容積制度の創設など、時宜を得た大変適切なものと思われるのであります。しかしながら、問題はその実効性であります。これは果たして土地対策、とりわけ問題になっております地価対策として、所期のねらいとおり十分な効果を発揮するものであるのかどうか。また、そうした効果を持つために今後運用面においてどのような点に留意すればよろしいのか、伊藤参考人から御意見をいただきたいと存じます。
  11. 伊藤滋

    伊藤参考人 それでは申し上げます。  地価対策を都市計画法建築基準法で全部実効性の責任をしようというのは、もう皆様おわかりのように大変無理があるわけです。これはもう、私漏れ承るところでは、昨年あるいは一昨年来からの先生方、議員の皆様方の御議論でも、土地基本法あるいはそれに関連する土地税制の問題、それからこれは都市計画に関連いたしますが、市街化区域内農地の宅地への転用の問題、一連の総合的な政策の展開、それの総合的な効果として地価がある程度おさまってくる、あるいは下落をするということではないかと思うのです。しかし、都市計画法建築基準法としても、そういう方向の中で地価対策に対して貢献しなければならない、そういう分野は当然あるわけでございます。  そこの点で申し上げますことは、今回の法の改正のねらいは、おわかりだと思いますが、用途地域を細かくしたのはそのほとんどすべてが、特別用途地区にちょっと違うのがありますけれども、ほとんどすべてが住宅的な用途地域について、もう少し厳しい住宅の立地を決めていくという方向の手当てではないかと思っております。  それで、これは何を意味するかといいますと、ここから少し学者的な話になるのですが、事務所の立地について、これは非常にデリケートな話でございますが、事務所的用途の立地が住宅的用途の立地の中へ入ってまいりますと、非常にこれは、いろいろな前提条件がありますが、例えばお金がべらぼうに、また金融が過剰に日本の中にあふれてしまう、お金の使い道がないという三年ほど前の状況をお考えいただきますと、そういうときに住宅地の中に事務所立地のために土地買いが入ったということになると、先ほどの花形参考人のお話じゃございませんけれども、その相場で住宅地の土地の値段が決まってしまうなんということになるわけです。ですから、こういうようなことで、思わぬ、本来住宅として使わなければいけない市街地のところにたまたま事務所が入ってきて、それでそのつけ値で住宅地の土地の値段が上がってしまう、そういうことはやめようじゃないか、こういうようなことが今回の用途地域を細かく分けた中に、意図として相当入っているのではないかと思っております。  それの一番のねらいは、現在の法律で言う住居地域住居地域の中である一定規模以上の事務所の立地は禁止するという新しい地域制をつくってきております。住居地域と申しますと、皆様方住居ばかり建つところかと思いますが、これは名前が実態をあらわしていない一番いい例でございまして、要するに何でも建っていい地域だ。そういう日本的な特殊事情、工業地域でも同じような準工業地域というのがあります。これは何でも建っていいのです、非常に限定した危険物を取り扱うような建物は禁止しておりますけれども。これはまた、何でも建っていいというところは、ある意味で私は極めていい、都市の将来方向を決めるいい道具だとも思っているのですが、それにしても事務所が入る礼儀作法をきちっと守ってもらいたい、そういうことで事務所が入らないような住宅地域をちゃんと確保するということなどは、地価対策に極めて強く貢献するのではないか。  それから、私はこれは前から思っているのですが、先ほどの誘導容積制度でしたか、あの考え方も、私一等初めに申しましたように、この誘導容積制度地域住民皆様方がうまく使いますと、これはそういう地域住民誘導容積制度を使って暫定容積率を決めてしまったところなんというのは、これは悪徳不動産屋が入ったら大けがをいたします。これはおわかりのとおりです。初めに、ここは容積が高くなるだろうなんて思って買いに入ったところが、気がついたらいつの間にか地域住民の方々が、そんなのをやめさせるために誘導容積制度で暫定容積率を決めてしまったら、それで意図的にその地区計画地域住民皆さんがサボタージュする。そうすると、なかなかいい計画ができない。そういうようなおもしろいことが起きる制度も入っておりますが、いずれにせよ、地価対策に対して用途地域の中でできる、用途地域が全部物すごい権力を持っているものではございません。これは、具体的な地方自治体の中でのいろいろなネゴシエーションの中で決まる限定的な力しか持っておりませんが、そこの中で地価対策にそれなりの貢献ができるような、法律的な材料は一応準備しているのではないかと思っております。
  12. 光武顕

    ○光武委員 初めに申し上げるべきだったんだと思いますが、二十分という限られた時間でございますので、その点よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、花形参考人にお伺いしたいと存じますが、それは、我が国における土地利用規制をどこまで強化すべきかについて、こういうことでございます。日本都市水準を欧米の都市並みにするためには、土地利用規制を一層強化すべきだという議論もありますし、社会党等の案は、より一層規制の強化を図る必要があるとして、都市計画区域の指定要件を拡大し、開発許可制度の適用範囲を広げ、また、その規制内容も厳しくするなどしております。  しかしながら、現行制度においても、市街化区域と市街化調整区域の線引きや、市街化区域内における用途地域による建築物の用途、容積制限などかなり厳しい制限を課しており、こうした規制は、国民全体の利益を確保するため、財産権との調整を図りつつ、受忍の限度をきちんと議論した上でできているものであります。こうした現在の土地利用規制を強化するには、規制目的の合理性、規制目的達成のための手段の妥当性などについて、極めて慎重な検討を要するのであります。  さらに進んで、開発を原則禁止する、いわゆる計画なければ開発なしとの原則を取り入れるべきではないかという意見もありますが、将来の議論としてはともかく、現在は角を矯めて牛を殺すということになるおそれがあると言わざるを得ず、現在の規制でも厳し過ぎるのではないかという国民感情にそぐわないものではないかと私は考えるのでありますが、これらの点について、花形参考人にお考えをお伺いいたします。
  13. 花形道彦

    花形参考人 今、計画なければ開発なしというお言葉がございましたけれども、これをどう理解するかということでございます。一般的には、イギリスが一九四七年につくりました都市地方計画法というもので、いわゆる開発の許可制度を導入したとき以来、計画なければ開発なし、こう言われておるわけでございますけれども、その意味は、単なる計画じゃなくて、要するに計画と同時に都市施設の整備がなければいけない、特に下水道等が基本的にはなければいけない、こういう意味だと思います。したがって、そう理解をいたしますと、先ほど先生がおっしゃいましたように、我が国でもそういう趣旨の制度が現在でもある、こう理解できるわけでございます。それは市街化区域であり市街化調整区域である、こういうことになります。  イギリスの場合も、個別に許可はいたしますけれども、もう一つ大枠といたしましては、市町村ではなくて県が開発の区域は指定をいたします。そういう意味では、市街化地域、市街化調整区域というものが同じような働きをしている、こういうことが言えると思います。ただ、我が国において問題があるとすれば、やはり市街化区域内で都市施設整備が順調に進んでない、その辺の財源措置なり行政対策をどうしていくかという課題は十分あるかと思います。  それから、単に個別の開発許可と、全部すべてを開発許可、こういう形で対応していくということでございますけれども、イギリスの場合は、実は開発と言っている中には、建築確認とかあるいは修復とかそういうものが全部入っております。我が国とそれは歴史的な違いがあると思うのでございますけれども都市計画に対する土壌の違い、それから特に我が国では、昭和三十年以後大都市圏を中心に膨大な人口、産業が集中したわけでございます。その中では、やはり個別な対応というのは到底不可能であったわけでございまして、ゾーニングで対応してこざるを得なかった、こういう問題もあるかと思います。したがって、やはり現状ではなかなかそういう個別対応は無理であろうというぐあいに考えております。  それから、受忍の限度ということでございますけれども、先ほど御説明申し上げましたとおり、それはまさに国民の意見と国民の総意がどこにあるかということでございますので、現段階のような、いみじくも受忍というお言葉がございましたけれども、耐え忍ぶだけだということでは都市計画というのは進まないわけでございますので、やはりどれだけ国民が全体のために私権の制限というものを受け入れていくか。あるいは逆に言うと、私権の制限を受け入れると自分の生活もよくなるんだというようなことが生活感覚としていかに醸成されていくか、そういう中のバランスとして規制がどこに落ちつくかということが出てくるのじゃないか、それが民主主義じゃないか、こういうぐあいに考えております。
  14. 光武顕

    ○光武委員 それでは、条例によって広く土地利用規制を認めることについて、三木参考人にお尋ねしたいと思います。  先ほど来、三木参考人におかれましては地方行政の第一線で御苦労されておられることに敬意を表しますとともに、なるほどお聞きいたしまして、その実務に根差された御意見、確かに貴重であると拝聴させていただいたところであります。しかしながら、また一方、条例による独自の制限の問題について、なおよくわからないところもございますので、お尋ねしたいと思います。  都市計画建築規制制度が、国民の基本的権利である財産権に対する無補償の制約であることを考えますと、その妥当性については慎重に検討すべきではないかというのが私の考えてあります。この問題については、財産権の問題にとどまらず、憲法上の自由や法のもとの平等の問題をはらんでいるのではないか。例えば、昭和三十八年薬事法改正では、薬局の配置基準につきまして、住民に対し適正な調剤の確保と医薬品の適正な供給を図ることができるように都道府県が条例で定めると規定していましたけれども昭和五十年の最高裁判決では、この規制を職業選択の自由の制限措置ととらえまして、目的と手段の均衡を著しく失するものであり、薬事法の規定は違憲無効であるという判断が下されております。また近年、地方公共団体独自の条例に関して、裁判所でさまざまな判断が下されているところも御存じのところであろうと存じます。  このような点を踏まえまして、国民の権利制限については、地方公共団体のすべてフリーハンドにしてしまうのではなく、明確な根拠のもとで合理的な内容で行うことが必要ではないかというふうに考えるのでありますけれども、この点について三木参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
  15. 三木邦之

    三木参考人 すべて自治体、全部条例でというのでなく、やはり一つは保障するものがなければいけない。そこの町そこの町の住民の意思が反映される、それを取り込むだけの許容ある法律にしていただきたい。  一番頑張っております、例えば山梨の景観条例あるいは志免町の水の裁判、この春負けました。あるいは掛川、湯布院と、頑張って町づくりをやろうとしているところが訴訟事になってしまうと負ける。これは、そこに住んでいる人たちが選んで、財産権も私権も制限されてもこれがいい町づくりだと言っていることに対して、それを拾い上げずに裁判で負けてだめになっていく。見るに忍びない。  私どもも、行政を預かっている中で自信を持って住民と対話し、その声を上げていく。幾ら私権に制限を加えようと思ってみましても、その私権を持っているのはそこにいる人たちであるわけですから、その人たちの同意を得るという手続がきちんとできる条例であるならば、地方にこの都市計画を下げていくべきものであろう。憲法の論議でいけば、それこそ地方分権をここで認めていただかなくてはいけないと思っております。
  16. 光武顕

    ○光武委員 最後に、伊藤参考人にお伺いいたします。  都市計画決定手続の望ましいあり方について、都市計画は規制内容一つとってみましても、本来非常に専門性、技術性が高く、また多面多様な利害関係を調整した結果として定められるものではないかと思われます。もとより、都市計画は町づくりの基本計画であり、地域住民の総意をもって定められることが基本であります。現行の都市計画手続は、このような考え方のもとに、地域住民に密着した基礎的自治体である市町村の役割を重視するとともに、住民手続を設け、また専門家、行政担当者、議会関係者等から成る都市計画地方議会の議を経て定められることとなっていると理解しているところであります。  この点について社会党案では、住民参加手続の一層の厳格化と地方議会議決の義務づけが提案されております。しかしながら、例えばごみ焼却場の立地のように、地元の利害が対立する場合、都市計画が決められなくなるおそれがあるのではないか。まだ、議会議決の義務づけにより、都市計画決定についての責任の所在があいまいとなって円滑に進まないこととならないのかといった問題が考えられます。  こうした問題につきまして、妥当な計画を円滑かつ適切に策定するためのあるべき手続のあり方について、実務にもお詳しい伊藤参考人にお伺いしたいと思います。
  17. 伊藤滋

    伊藤参考人 私、実は墨田区というところの区の都市計画議会でのおつき合いをずっと十何年来しておりますが、そこには議員さん方も入っておられます。それから墨田区の建築士会ですとか、あるいはいろいろな産業界あるいは住民代表の方々も入ってそれで構成されているのですが、そこに学識経験者ということで、大学の教師が三人ぐらいいたかと思います。  その審議会でずっとおつき合いをさせていただいたときの感想でございますが、区議会議員さん方はやはり非常に一生懸命、墨田区をどうしようかというお話をされますが、最後にはもう社会党も共産党も、これは自民党も同じなのですけれども、この場所の土地利用についてはどうだということがどうしても出てくるのですね。これはいい場合もありますし、悪い場合もあります。私が住んでいるところは杉並なのですが、多分墨田区は墨田区の区議会議員さんより知っているぐらい、いろいろなところを歩いています。そうすると、その墨田区に対して十分熟知しながら、ある程度距離を置いて、場合によっては冷たい判断をするという、こういう立場の人がどうしても必要のような雰囲気で、墨田区の議員さん方はおられます。これ以上生々しく言うと、ちょっとトラブルがありますから。  ですから、議会議決するという一つのやり方もあるかもしれませんが、少なくとも私が墨田区の区の都市計画議会でずっと一緒に動いている、そこの一員としておつき合いさせていただいている限りは、学識経験者というものの存在が極めてこういう都市計画では重要ではないかな。この学識経験者は、単なる学識経験者ではなくて、相当その地域に思いがこもっているけれども、ある距離を置いてきちっとした判断ができる、そういう人たちのアドバイスがどこかできちっと入る、そういう仕組みが要るのではないかと思っております。
  18. 光武顕

    ○光武委員 どうも貴重な御意見、ありがとうございました。
  19. 古賀誠

    古賀委員長 次に、三野優美君。
  20. 三野優美

    ○三野委員 三人の参考人皆さんには、大変お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございました。私は、日本社会党を代表して、お三方に若干質問をしたいと思うのです。  まず第一に、三木真鶴町長さんにお尋ねいたします。  先ほど御説明を聞いておりますと、いわばリゾートブームの結果、もともと水不足の真鶴の町にリゾートマンションが次々と建っていく、これを抑えるために何とかしなければならぬということで、窮余の策として水道条例でもってこれを抑えようとした。私はお聞きしながら、大変御苦労したと思うのですけれども、本来あるべき姿ではないと思うのですね。したがって、今それに引き続いて町が地域開発全体についての総合的な町条例をおつくりになっているようでございますが、私はやはり都市計画、町づくりというのは、町長さん言われましたようにその町の歴史的、地理的、社会的条件によってそれぞれ異なっていいと思うし、またそうでなければ本当に生きた町づくりはできないだろうと思うのです。  今日まで我が国がとってきた都市計画というのは、しばしば大都市中心考えてきた傾向が強いし、また建築基準法改正都市計画法改正の場合にも、その結果何が起きたかというと、いわば容積率にしろあるいは建築基準法改正にしろ、さまざまな機会に大都市集中をもたらしてきた。それが今日の事態になって、ややもすると、やはり役所あるいは国会が東京にあるものですから、東京的な感覚だけで都市計画をやってきたところに今日の過ちがあるのではないかという気がするわけですね。したがって、我々が出している社会党及び社民連共同の都市計画法改正案につきましては、その町づくりはその町の人たちが決めるのだ、こういうことを基準考えてきたわけであります。  さて、そういう観点に立って、真鶴町で今つくられようとしている条例の特に主要な部分はこことこことここだというのがあるだろうと思いますが、それをひとつお聞かせをいただきたいのが一つ。  もう一つは、これから都市計画に取り組むについて、やはり言われたようにそこに住んでいる住民財産、そこに住んでいる地域住民の生活環境、そのための都市計画ですから、住民意見をこの条例制定に当たってどういうように反映をさせようとしているのか、あるいはさせてきたのか、この点もぜひお聞きをいたしたいと思います。  それからもう一つは、そうはいってみてもやはり住民の間には、先ほどからも言われておりましたように、若干の利害関係が出てくるだろうと思います。それを総合的にまとめていくのは町当局ですね。発案者である町長であるし、あるいは町民代表、住民代表である議会が最終的な責任を負わなければならぬという仕組みがあっていいと思うのですが、その点についてどういうようにお考えなのでしょうか、この点についてお尋ねいたします。
  21. 三木邦之

    三木参考人 ただいまの私どもの取り組んでいる町づくり、新しい条例ということですが、先ほど来の反省の中から新しい条例をもってこれに対抗していこう。この都市計画法改正とは別に、もう昨年来から準備していることなんですけれども、無秩序な開発に対しての適切なルールを持ってなかった。持ってなかったわけではないのですが、指導要綱指導基準といったような、法的な強制力のないものであった。それで町が泣かされてきた面がいっぱいあるわけですが、ルールある町づくりをということで、条例の内容ですが、その主なものは五章から成っております。  一章で総則。第二章で町づくり計画。これには土地利用基準というものをきちんと決めまして、用途指定から高さあるいは容積、建ぺいまで含めます指導基準を設けます。第三章では開発建築行為基準。この中では、やはり町づくりを美しいものにしていきたいという考えを盛り込んで、このためには、条例のほかにデザインコードというようなものをつくって、町全体の建築を美しいもの、それを求め、町並みを美しくしていきたい、ここのところが一点。あと一点、第四章では開発行為、建築行為の手続上の問題。これに住民参加議会の関与ということが出てくるわけです。町づくり審議会をつくる、あるいは住民の公聴会請求により公聴会を開く。それぞれの開発によって、どうしても当否の決められないものについては、最後は議会議決をもってその当否を語るというようなところまで、第四章では決めております。第五章では、地区計画制度建築協定といったようなもの。およそ三十九条から成る素案が今できております。  その中で、先ほど来申し上げています住民参加あるいは議会議決といったような問題で、今時に区域指定――区域外のものについては今回の改正の中でもそれらを決めることができることになっておりますが、白地地区につきましては、その決めが四〇〇を二〇〇にしたからよろしいではないか。先ほど来申し上げておりますように、二〇〇では真鶴町においては何の役にも立たない。ここのところを、住民参加議会議決等のそういった手続を整えた条例であるから認める道を開いてほしい、それをお願いしているわけでございます。  以上でございます。
  22. 三野優美

    ○三野委員 もう一点、三木町長さんにお尋ねいたします。  さて、あなたの町の町づくりは、あなたのところの住民議会、あなたをトップとする住民全体でこれから条例でおつくりになるわけです。その条例が有効的に効力を果たすために、今の政府案にはどこに足らない部分があるか、どこを強化してもらいたいとお考えになっているのか、それを聞いておきます。
  23. 三木邦之

    三木参考人 都市計画法建築基準法ともに、やはり先ほど来の、今回は改正で前進している、数字が四〇〇が二〇〇になったからいいではないかというところ、ここはこれではほとんど有効に働かない。ここのところ町に任せていただけないものでしょうか、それを強くお願いしたい、そう思っております。
  24. 三野優美

    ○三野委員 伊藤参考人にお尋ねをいたします。  伊藤先生は都市計画中央審議会委員であり、委員長もお務めになった経験があります。同審議会の答申の中に「都市計画の決定手続」という部分に、「都市計画における権限配分、国の関与等について今後も国と地方の機能分担等の基本的枠組みを踏まえつつ適切に見直し、可能な限り国から地方権限委譲を進めるとともに、都道府県・市町村間の機能分担等についても地方公共団体の規模、行財政能力に応じた権限の配分を進める必要がある。」とあるわけであります。  地方権限を渡す、財政的なものも含めて保障する。地方権限を渡すということは、今三木町長さんが言われたように、地方の町づくりは地方条例その他でつくるから、それを保障する制度を国の法律はつくるべきであるという意味だととっていいのかどうか、あるいはそれは今度の法律のどの部分に保障されているとお考えなのか、この点を一点聞いておきます。  同時に、東京一極集中が起きて、国会も移転しようか、中央諸官庁も全部移転しようかなんということを言われている現状の中で、この東京一極集中を排除するための都市計画、まさかこれをこのままでいいと思ってないだろうと思うし、これ以上ふえることも賛成されぬと思いますが、むしろもっと東京に空間、緑を、そして住みいい町をというためには、都市計画法の今度の法律案の中にどう生かされているとお考えなのか、この二点をお尋ねいたします。
  25. 伊藤滋

    伊藤参考人 それでは前半のところを申し上げますが、具体的な今のリゾートにかかわる領域のところ、私、率直に申し上げまして、今の都市計画法建築基準法では非常に不十分だと思っております。果たして都市計画とリゾートという言葉が結びつくかどうか。  例えば私、実は湯沢の町長さんや町役場の人たちとも、あそこをどうするのだという話につき合わされているのですけれども、どうもこれは都市計画法じゃなくて、先ほどもどなたかからお話ありました田園計画法とか、あるいは掛川の市長さんも言っているのですが、ああいう小さい都市では、農林省も建設省も環境庁も一体になって、小さい農村的な市街地、農村的な集落、それを組みかえていくような、そういう法体系をつくらなければいけない。例えばリゾートでも、森林法にかかわるところが非常に多いのです。森林法も、最近なくべく緑を切らないようにして宅地をつくるように、森林法の中の技術的な基準を強化しております。  これもこそくな手段でございまして、私は都市計画法建築基準法あるいは農村関係の法律がございますけれども、そういうところの中で、これからの地方都市の田園的な環境を基本的に考え直す、そういう法制度をつくっていかないと、常に都市計画法で対応していきますと、先ほど町長さんが申されたように、東京にも対応し、福岡にも対応し、それを真鶴にも対応するのは無理なんですよ。私としては、ぜひその辺のところを考えていきたい。  それから地方分権の話ですが、これは私、素人ですが一生懸命答えますと、分権化することと、分権して下へおろした都市計画が本当に動くためにはマンパワーが必要なんです。今都市計画は、実際真鶴町長さんも都市計画係か課ぐらいはおつくりになっていると思うのですが、そこに本当に専門的な知識を持っている人たちがいるかというと、率直なところ、私大変だと思う。やはり外側から、若い学校の先生とか設計事務所の連中とか、そういう人を使ってやらないとできないのですね。これも非常にこそくな手段ですから、基本的に市町村都市計画をやれる有能な職員がきちっとつくられる、やはりそういうことが必要じゃないかと思うのですね。そこの辺もまた一つ抜けているところだと思います。  それから、第二段の一極集中の問題でございますが、これについてはもう当然先生の言われるとおりの立場でして、東京についてはもうこれ以上いろいろなものを持ってくるなということは全くそのとおりですが、片っ方で、東京に既に三千二百万の市民が住んでおります。この三千二百万は労働者であり、お母さんであり、子供であり、そこにも地方に住んでいる人と同じ市民が三千二百万いるわけです。その市民の中で一番非人間的だと思っている状況が、現時点で通勤問題だと私は思います。この通勤問題は、都心集中のオフィスがけしからぬ、あれをつぶせば通勤問題がなくなるという話よりも、毎日毎日の問題で、毎日毎日あのすさまじい通勤電車に乗って動いている、こういう状況をほっぽって、十年先二十年先の都市計画の高邁な議論をやっていていいか、これは非常に重要な問題だと思っております。これが一点。  それから第二点で、東京にも緑豊かな非常に住みやすい環境をつくる、これは私、全く賛成でございますが、そのためには、やはり再開発の中でちゃんとした環境を守る緑、水を東京の中へ入れていかなければいけないのです。それで、そういうデザインをやるためには、やはり再開発に対する重要性を御認識いただきたいと思います。
  26. 三野優美

    ○三野委員 花形先生にお尋ねいたします。  先ほどから、先生の言葉の中にもしばしばイギリスの都市農村計画法みたいな話がちょっと出ていたわけですが、実は私の住んでいるのは、四国の山の奥でダムの奥なんです。都市計画法も全然無法地帯なんです。そこでもやはり、冷泉があるものですから十階なりなんなりのマンションが建つ。一方で過疎が進む、川の水は汚れる、こんなことが進んでいるわけですが、私はやはり先ほども出ていたように、都市計画あるいは町づくりというのは、単に都市だけではなしに農村も含めて一体として我が国土をどうするのか。しかしそれは、単に画一的ではなしに、それぞれの町の実情、歴史的な社会的な条件に応じた町づくりをする。そのためには、先ほども出ていたように、もちろん建設省も農林省も環境庁も、あるいは場合によったら運輸省も、さまざまな総合的な機能が果たせて、全体的に把握し、しかもそれは決して押しつけではなしに自主性を尊重するということが必要なんだと思うのですが、そういう意味で私は、イギリスの都市農村計画法が一〇〇%とは思いませんが、日本にもそういう議論があっていいのではないのか、あるいはそういうことを検討すべき段階に来たのではないかと思うのですが、それについての御見解を聞いて終わります。
  27. 花形道彦

    花形参考人 まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、日本の現状で言いますと、どちらかといいますと都市と農業側は対立しているというような構図でとらえられておりますし、我々も都市側としていろいろなことを申し上げると、農林側から非常に厳しい御意見をちょうだいするというのが現状でございます。したがいまして、その辺はこれまた政治の話と申し上げざるを得ないのでございますけれども、イギリスの場合は、先生もおっしゃいましたように、都市農村計画法という両方をとらえた地域総合計画があるわけでございますので、もう少しその間の連携というのは必要じゃないか。  例えば農地の宅地並み課税、これは私の個人的見解でございますけれども、農地の宅地並み課税にいたしましても、その対象になっておられる方々が終戦後、例えば都市の周辺に開拓で入られる。その当時は、そこが都市になるとは全く思っておられなかったわけでございますし、はっと気がついたら御自分都市のど真ん中にいた。それで、極端に言うと、立ち退かないから悪者呼ばわりされている、国賊呼ばわりされるような状況も非常にあるわけでございます。しかし、逆に考えてみると、その方々はそこに平穏無事にお暮らしになっていたわけでございまして、都市側の都市計画というのは、もっと長期的な視野があるならば、早期に農村側との調整をとるべきであったのじゃないかというようなことすらちょっと考えておりますので、まさに今後の課題だと、先生のおっしゃるとおりだと思います。
  28. 三野優美

    ○三野委員 ありがとうございました。  どうも先生方、ありがとうございました。
  29. 古賀誠

    古賀委員長 次に、吉井光照君。
  30. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 本日は、参考人皆様方には大変御多忙の中を当委員会に御出席をいただきまして、また先ほどからは種々貴重な御意見を拝聴させていただきまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。  そこで、まず花形参考人に四点ばかりお尋ねをしたいと思います。  御承知のように、宮澤総理は、生活大国づくりを目指す、このように言っているわけですが、何をどう具体的に進めればそれが実現できるのかということについてはっきりいたしておりません。こうした点に関しまして、この六月に総理の諮問機関でありますところの経済審議会の中で新経済五カ年計画をまとめたい、こういうことでございますが、同審議会の中間報告では、生活大国づくりの三本柱の一つ土地・住宅問題、これを挙げております。特に住宅については、その数字というものはまだ挙げてはいないものの、その計画には、サラリーマンが都心から一時間程度の住宅を年収の五倍程度で取得できるような政策を打ち出される見通しである、このような報道もされているわけでございますが、幾らバブルが崩壊し地価が下落しつつあるとはいうものの、本当にマイホーム取得の限度と言われている年収の五倍まで地価が下げられるのかどうか。また、国民生活の基盤でありますところの住宅について国や自治体の責務を明確にすべきであるとの立場から、公明党といたしましては従来から住宅基本法の制定を強く主張し続けているわけでございますが、この点についてもあわせて御意見をお聞かせ願いたいと思います。  第二点目は、私たちを取り巻くところの住環境等が豊かさとまたゆとり、これが実感できるところの地域なりまた町にするには、そもそもどのような視点に立ち、基本理念を持って取り組むことが必要なのか、都市づくりへの住民参加の点も含めてお願いをしたいと思います。  第三点目は、今回の改正のねらいが地価対策でありまして、住宅地域からオフィスやそれから店舗の侵入を排除して、そして住宅地域を保護、拡大することにあるとされているわけでございますが、都市計画制度そのものが本来この期待にこたえられるのかどうかという点でございます。  それから第四点目は、さきの本会議で私が、現在一部地域で地下の乱開発のために地盤沈下や地下水の枯渇など深刻な諸問題が生じておりますことから、大深度を含むところの地下利用のルールや、また管理体制のための法整備として地下利用基本法の早期制度を提案いたしました。これに対して総理は、新たな法制度創設を含めてさらに研究を進めたい、このような答弁があったわけですが、この法整備についてのお考えもお聞かせを願えたら、このように思います。よろしくお願いいたします。
  31. 花形道彦

    花形参考人 今先生御指摘の住宅価格でございますけれども、住宅価格につきましては、特に最近の地価の高騰、昭和六十一年以降の地価の高騰によってこれまでになく上昇いたしております。それまでは、東京で申し上げますと、総理府の平均的な勤労者の所得の大体六倍前後で推移をしてきております、東京圏全体の平均でございますけれども。それが、現在では十倍になってきておる、昭和六十二年以降急激に上昇してきておるという実態がございます。それは逆に言いますと、六十一年以降は、特に東京では六倍前後でございましたけれども、大阪にいきますと大体五倍前後、名古屋では四倍前後というようなことでございますので、住宅問題は東京問題であるということも言えたわけでございまして、できるだけまずとりあえずは六十年以前の状態に戻す、こういうことが必要じゃないかと思います。今何倍と申し上げましたけれども平成三年での平均的勤労者の年収というのは七百三十万でございます。七百三十万の約十倍の価格になっておる、これは七十五平米の中高層住宅に換算をいたした場合に十倍ぐらいになっておる、こういうことでございます。  そういう状況で住宅基本法を制定すべきじゃないか、こういう御意見でございますけれども、御承知のとおり憲法の二十五条で、健康で文化的な生活ができる権利がある、あるいはそれを国として保障する責務がある、こう言っているわけでございますので、まあ御主張はごもっともでございますけれども、ただ日本の住宅問題、特に勤労者の所得と住宅価格との乖離が非常に大きいというこの住宅問題は、原因がどこからかといいますと、申すまでもなく土地価格が非常に高い、住宅価格の中で占める土地価格の割合が非常に大きいというところからきているわけでございますので、地価対策をあわせてというか先行的に行いませんと、住宅基本法をつくっても一つのお経にすぎなくなるという危険性もあるわけでございます。例えば韓国の場合に、一昨年に土地三法というのをつくっております。これは、宅地所有上限法という二百坪以上持っちゃいかぬとか、あるいは超過利得税法という、地価の値上がり分を返せ、社会還元しろというようなもの、それから開発利益の還収法というような土地三法をつくっておりますけれども土地基本法は後回しにしております。むしろ具体論の方が先だというような、緊急的な課題として土地三法をつくっているというような経緯も韓国ではございますので、まず地はり環境のいい町づくりのための法律なんですから、だから、ことしは国連の障害年の最終の年なんです。そのときに当たって、この改正をするに当たって、これは大臣だけの責任だというようには私は言いませんが、せっかくこの法律改正するのであれば、閣議でどなたか、それではせっかくこういう改正をするのであれば、高齢化も進んでいくことであるからこの機会に、障害者の皆さんや高齢者の皆さんがより自由に社会参加をして、社会で自由に活動できるような、そういう町づくりのためには、この際都市計画法をこういうところまでひとついろうてみたらどうだとか、あるいは建築基準法をこういうところまでひとつ積極的に踏み込んで、公の施設だけじゃなくて、日常生活の中にかかわりのある民営の施設、そういうところまでひとつ指導していくというような、そういうことを改正案に一緒に入れていこうじゃないかということが、私はどうもなかったように思うわけです。その点は、国連の障害年を最後にしたことしのこの改正案に当たって、せっかくの法改正に当たって、なぜそこまで気持ちを働かせていただけなかったのかな、私は非常にこういう気がしてならないわけでございます。  今せっかく出てきた法律でございますから、今どうせい、こうせいと言うたところで、どうにもならぬわけでございますが、しかし、将来さらにこれらの法律改正に当たってそのような配慮というものを、新しい町づくりのためにそのような気配りというものを、ぜひとも内閣として、政府として、ひとつ考えてもらう必要があるのじゃないか、私はこういうような気がしてならないわけでございますが、まずお答えいただきたいと思います。
  32. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ごもっともな御指摘だと存じます。障害者福祉あるいは高齢者福祉、常に念頭に置きまして、各般の施策が講ぜられるべきものと考えております。  建設省といたしましても、従来から公営住宅、公団住宅での設計上の配慮でありますとか、あるいは歩道の段差の切り下げでございますとか、各般の施策を講じておるところでございます。あるいは、地方公共団体が行う障害者・高齢者対策に資するように、設計指針の普及でございますとか、あるいは融資制度の整備を通じまして、これは住宅の関係でございますが、指導をしてまいったところでございます。  今後とも先生の御指摘を十分体しまして、障害者福祉、高齢者福祉の観点から都市計画等を取り進めてまいりたいと考えております。
  33. 和田貞夫

    和田(貞)委員 建築基準法の二条二号、ここでは学校等特殊建築物、こういう名称があるわけですが、これは、自治体条例で敷地や構造やその設備をより規制をしたり緩和をしたりするようなことを法律で保障しておるわけであります。  これを受けて、例えば私の方の大阪府では、建築基準法の施行条例というのができて、この四月の一日から実施ということで、さきに改正がなされております。非常に積極的になされておるわけであります。そうして、それだけじゃなくて、さらに福祉町づくり条例、そういう条例建築基準法の施行条例以外につくろうということですね。今その素案づくりなんです。  そういう自治体福祉の町づくりということで、障害者だけじゃなくて、高齢者が、もう現実の問題として高齢化社会に入ったわけでありますから、高齢者や障害者の皆さんが、道を歩くときも、あるいは公共施設である保健所へ入るときも、郵便局に入るときも、銀行に入るときも、ただそのようなことだけじゃなくて、やはり雇用の面からいっても、工場というのは、これは障害者には関係がないんだというのじゃない。やはり障害者の雇用を求めるならば、従来は関係がないというように思っておったその工場や事業所も、やはり障害者の皆さんが自由に出入りできるような、そういう設備や施設に改善をしていく必要があるんじゃないですか。  そうすると、当然のことながら、建築基準法で、地方考えておる以上に、――地方考えても頭打ちがあるのです。地方考えても、この域を、それ以上にやろうと思えば、建築基準法をいらわにゃいかぬという場合があることはお認めでしょう。そうすると、やはりこの建築基準法をせっかく改正するのであれば、そういうようなところに配慮が欲しかった。都市計画法改正についても、同様なことを私は言いたいというのは、そこにあるわけでございます。  そこで、民間の建築物を含めまして、公共性のあるもの、公益性のあるもの、あるいは物品の販売店、大きな販売店だけじゃなくて、小さな販売店、全部というようには言いませんが、ある程度、障害者の皆さんが生活をするに当たって、やはり最低限青物も要れば、魚も要れば、乾物も要るわけですし、日用品も要るわけですから、そういうような食料品や物品を販売する施設、あるいは外食のために飲食店に入るわけでございますから、飲食店、そのような構造、設備を障害者や高齢者が利用できるようなものに法によって義務づける、そういうようなことは考えられないのですか。
  34. 立石真

    ○立石政府委員 先生の含蓄のあるお話をお聞きいたしまして、私たちも、障害者あるいは高齢者の利用に配慮した建築物を整備していくことが、二十一世紀を控えまして、これから最も重要な課題になるであろうということを思っていますことを、初めに述べさせていただきたいと思います。  これを具体的に建築物に及ぼすことでございますが、障害者や高齢者に配慮した建築物といいますのは、その用途とかあるいは管理の形、さらに今障害者によりましても、利用者の障害のいろいろな種別がございます。こういうものに応じたきめ細かな配慮が必要であろうかと思っております。これに建築行政が対応しようといたしますと、個別の設計に応じた指導あるいは誘導、こういうものをきめ細かくまた行うことが必要であろうというように考えているところでございます。  しかし現在、これを行う体制は、先生の御指摘のように、大阪府等の先進的な地域においては既に始められているところでございますけれども、まだ全国的には熟成しているという状況にはなってないと考えておりまして、全国一律の基準を定めまして建築基準法等を改正して行っていくというのは、まだ現段階では難しいと考えております。  大阪府を含めまして、最近幾つかの地方公共団体、例えば神奈川県であるとか、横浜市であるとか、そういうようなところにおきまして、総合的な障害者・高齢者対策の一環として、地域の実情に応じまして、障害者の利用に配慮した建築基準条例あるいは要綱等で定められている例が多く見られるところでございます。私たちといたしましては、このような先進的な努力に対して大きな関心を持っているところでございまして、これらの実施状況を参考にしながら、今後とも、よりきめ細かい配慮が可能となる方法について検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕
  35. 和田貞夫

    和田(貞)委員 国の施設だとか自治体の施設の場合は、法律がどうであろうがこうであろうが、施設を新たにつくる場合あるいは既存の施設を改装することは、これは努力すればできていくわけですね。大阪府の場合でも、この条例をつくって、この建築基準法の施行条例の対象になっている建築物の場合は、その条例によって指導していくことができるのですが、この条例の対象にならない公共性の高い建築物や施設というのがあるわけですね。  例えば日常生活の中で障害者の皆さんや高齢者の皆さんが一番困るのは駅舎ですよ。電車に乗るときに、車いすの皆さんや足の不自由な皆さんやあるいは大きな荷物を持った高齢者のために、エレベーターが完全に、全国津々浦々至るところの駅舎にエレベーターがあるというようなことは、なかなかほど遠いことであるわけです。しかし、それも積極的にやはりやっていかないかぬわけですね。が終わって、あとまた昔のように二十年何にもしないというのじゃなくて、稠密な国土環境の中でより快適な生活を国民は望むわけですから、それに見合う、積み残した課題をすぐにでも勉強して、十分な調査を伴い、十分な地方自治体皆様方意見もくみ上げながら、やはり数年後には私たちのこれからやろうとしていることがよかったかどうか、それも検証しながら手直しを継続的にやっていくということが都市計画、国土計画、地域計画、農村計画、空間を直す計画の新しい使命ではないかと思っております。
  36. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 ありがとうございました。  終わります。
  37. 古賀誠

    古賀委員長 次に、辻第一君。
  38. 辻第一

    ○辻(第)委員 お三方の参考人には、きょうはお忙しいところ御出席をいただきまして貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございました。御礼申し上げます。  今の日本の政治の中、殊に民活、開発優先、いわゆるバブル経済というのですか、そういう中で、本当に日本のかけがえのない自然やまたは生活環境がどんどんと破壊をされる、非常に残念な事態を迎えているわけでございます。そういう状況の中で、今回この都市計画法並びに建築基準法改正がされるわけであります。一定前進という面があるのですが、しかし今の状況に本当にこれが十分対応できるのかということで見てまいりますと、極めて遺憾な内容ではないのか、私はそのように認識をしているわけでございます。  そういう中で、まず最初に三木参考人にお尋ねをしたいのですが、上水道の規制条例でございますとかあるいは地下水規制条例などでいろいろ大変工夫をされ、そしてそれで美しく住みよい町づくり、リゾート開発を規制する、そういうことで大変な御努力をいただいていることをきょうも先ほどお聞かせをいただいて、御苦労また御努力に対して感銘もいたしているわけでございますが、今度の都市計画法建築基準法政府改正案で、これで本当に町長さん初め町民皆さん方が願っていられるような法改正なのかどうか、そういう点についてひとつ御意見を伺いたいと思います。
  39. 三木邦之

    三木参考人 先ほどから、合わないところばかり光を当てて私、話しているような気がしますが、ある一定の部分ではやはりメニューを細分化するというようなことで対応できる問題が数々ある改正、だから改正であるわけですが、それは認めるわけですが、果たして私ども真鶴が今抱えている問題を解決するにはというには、先ほど来申し上げているあと一歩踏み込んでいただきたいという点は、そのところをあと一歩踏み込むものをすべての自治体のことを考えてしますと、これが踏み込みができない。それは各自治体に、先ほど来の中で一遍に渡すことはできないが、解決策としてやる気の自治体あるいは条例等についてやらせていただけたらいいんじゃないかな。その中で改正も、とどまらずにその時代にこたえて改正していければいいのだろう。そうでないと、必ずあしたのことわからないことが起こるわけですから、そういう動き方をしていただきたいなと思っております。
  40. 辻第一

    ○辻(第)委員 殊に都市計画法ですね、これは今都道府県が中心ですね。これを市町村におろしてほしいという御意見があったのですが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  41. 三木邦之

    三木参考人 これは私の考えで申しわけないのですが、おろすのが正当な考えだと思っております。ただ、日本の国はそうなっていなかった。これをおろす準備をここでしていただきたい。準備整えば、これは地方におろすのが正当なものであろう、都市計画地方自治体におろしていくのが正当であろうと考えております。
  42. 辻第一

    ○辻(第)委員 そういう、本当に地方権限を移譲するというのですかね、本当に地方への分権というのですか、そういうことは私は大事なことだと思うのですが、そういう中で、そういうことが今やられない中では、要綱条例ではやはり裁判になると不利なんですね。先ほど三木参考人のお話がありましたけれども、山梨の例や湯布院の例などをお聞きいたしたのですが、そういうこと。  それからそれぞれの市町村などは、それぞれの歴史や文化や風土あるいは経済、産業があるわけでありますので、そういう点でそこに適した、そこに合致した、そこの住民皆さん方の御意思が尊重されるということになりますと、やはりどうしても地方自治体権限強化、住民参加、さらに言えば都市計画法市町村への移譲というのですか、そういうことを本当に切実に思うのですが、そういう点について伊藤参考人の御意見を伺いたいと思います。
  43. 伊藤滋

    伊藤参考人 私、今考えますところは、市町村地域地区制の用途地域なんかは今かなり落ちていると思っております。実態として私、幾つか先ほど墨田区の例を申し上げましたけれども、ほかの市でも、そういう実務的な市の都市計画議会なんかにお付き合いしておりますけれども、そこではもう本当にそこの住民と議員さん方と学識経験者が決めたことは、例えば東京都ですとほとんどチェックありません。しかし、先ほど墨田区の例で申し上げますと、墨田区と江東区の区境がございまして、区境のところでやはり取り扱いが違うのですね、墨田区のやり方と江東区で。そういうところに、特にやはり議員さん方のいろいろなかかわりもございますのでデリケートな問題ありますが、そういうところになりますと、どうしてもこれは東京都が調整するなんということがあるかと思います。  それから、もう一つ申し上げたいのは、都市計画事業でございますが、都市計画事業で現在も区、多分市町村もそうだと思いますが、十六メーター以下の道路は区でも市でも都市計画決定して事業をしていいということになっているのですが、これが御存じのようにもう区の中ではできないのですね。そうすると、せっかくやってくれと言っているのに、東京都にやってもらわないと困るとか、そういう話がございまして、大変ここは言いにくいところもございますが、かなりのことは落ちているのではないかと思います。
  44. 辻第一

    ○辻(第)委員 しかし実態として、先ほど来いろいろお話がありましたように、要綱とか条例では、いわゆる法的に争うということになりますと極めて不利だということですね。今度のいわゆる白地ですか、用途地域未指定地域容積率二〇〇%あるいは建ぺい率六〇%、こういうようなのでは真鶴ではとてもとても対応できない、こういうお話でございました。そういう点、実態としてどうするべきなのかな。まあこれは結構でございます。  ちょっと時間がありませんので、そういうことを申し上げて、次に花形参考人にお尋ねをしたいと思います。  計画なければ開発なしというふうなお話も聞かしていただいたのですが、先ほど申しましたように、そういういろいろな具体の深刻な実例があるわけでありますが、そういうものを解決をしていくためには、今の改正案でいいのかということであります。殊に、地方への権限の移譲でありますとか、本当に住民意見が尊重される、生かされる、そういう生き生きとした都市計画、町づくりを進めるためには、権限の移譲、住民参加という立場がもっと尊重されるべきではないか、私はこのように思います。先ほど、一歩前進だけれどもいろいろ検討する余地もある、こういうお話があったのですが、私の申し上げました観点でひとつお教えをいただければと思います。
  45. 花形道彦

    花形参考人 住民参加の問題でございますけれども、冒頭申し上げたように、その住民参加の問題と、それから現在の我が国の都市なりあるいは市町村の置かれた状況というものをあわせて考えざるを得ないんじゃないかというぐあいに考えます。  確かに、真鶴町長もおっしゃいましたけれども、きめ細かな対応ができるところと、それからそうではない、一番極端な例で、先ほど申し上げましたように大都市なりあるいは周辺都市等の中では、工業地域あるいは経済的な機能優先地域みたいなものも今後は配置していかなければいかぬ、それに対しての民主的な都市づくりのルールはどうするんだということもございます。したがって、そこへもってきて特に大都市では、住民参加とは言うけれども、果たして住民の方々にそういう意識がおありになるんだろうかという基本問題すらあるんじゃないか。下手をすると無責任な体制になりかねない、極端な例でございますが、そういう現状がございますので、確かに住民参加の方向というのは今後の重要な検討課題ではございますけれども、やはりその土壌づくりなり、それからもう少しきめ細かな、人間の血が通えるような町づくりができるところ、そうじゃないところ、あるいは大都市住居地域、そうじゃない経済機能優先地域、そういうヒューマンスケールからエコノミースケールまでの間の民主的なルールをどうしていくんだということをさらに検討していく必要があるんじゃないか、こういうぐあいに考えております。
  46. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ問題点があろうかと思いますけれども、そういう点では大都市の方なんかはあきらめておられるんではないか。本当に今日のレベルで、少しそういう考えていくというなにが定着すれば、定着するというとおかしいですけれども、そういう方向へ行けば、これは切実な問題でございますので皆さんもっともっとお考えになるのではないかなと。まだそういう状況がないので無関心だからだめだということじゃなしに、そんなような気がして仕方がないのです。そういう状況で、殊にいろいろな運動が今どんどん広がって、私どもの奈良では、住民皆さん方のいろいろな自然を守る、住宅環境、生活環境を守るという運動が非常に大きく広がっておるというのが最近の状況ではないかな、こういうふうにも思っておるわけでございます。  そして、伊藤参考人にお尋ねしたいのですが、誘導容積率の問題は大変おもしろい問題だというふうなお話がありましたが、こういう見方もあるのかなと思って、私ちょっと聞かせていただいたのです。しかし、私どもの見る一つの大きな側面は、誘導容積制度の導入というのは、土地の高度利用を促進するという考え方がかなり大きいのではないか。特に容積配分制度は、地区計画区域の一部に低い容積率を適用し、その分を他の区域に回して容積率の上乗せをする、こういうことになりますね。そうなりますと、巨大ビルの建設も可能になるのですね。これは、大企業など特定のものにのみ優遇を与えるものというような、そういう点ではそういうことになって、地域の過密状態を激化させるのではないか、こういうふうに考えるのですが、その点いかがでしょう。
  47. 伊藤滋

    伊藤参考人 これは、これからいろいろ勉強すると大変おもしろい制度だと思って私、これは率直に言うと、ぜひこういうことをしないと、都心へ住む住まい方ができなくなるというふうに思ったのです。  具体的に申しますと、東京ですと台東区を思い浮かべていただきたい。台東区は商業で四〇〇ぐらいのところが多いのですね、五〇〇とか。ところが実態は、あそこは震災復興区画整理をしておりまして、小さい道路がいっぱいあって木造の二、三階が多いのです。そこで仕事をされている方、みんな中小企業の方ですね。中小企業のおじいさん、おばあさんが多くて、若い人は出ちゃってるのですけれども。そうしますと、台東区のようなところで地元の中小企業の皆さんが集まって、例えば十ブロックぐらい集めて、自動車道路に面しない真ん中のところは三階ぐらいのマンションぐらいでつくろう、その外側に事務所とかお店とか貸しマンションとかをつくろう。そこで真ん中にいる地主、中小企業の人が地主ですから、地主さんが息子のためのマンションを表のところへつくる、その息子はその下のお店屋さんで働くとか、こういう都市の中に村社会の輪中みたいなものをつくれる可能性があるのですね。容積アップだというと、すぐにそれは確かに大企業ときますけれども、中小企業対策、都心活性化というので誘導容積制を考えると、かなりおもしろいことができるんじゃないかと思っております。
  48. 辻第一

    ○辻(第)委員 そういう側面もあるとは思うのですけれども、今の日本の資本の論理というのですか、企業の論理というのはそういう面をはるかに超えた方向ではないか。今バブルが崩壊いたしましたので、少しはそういうことは鎮静するかもわかりませんけれども、折あればそういうことをやるというのが実態ではないかと思いますので、その辺、私は非常に懸念するのです。  きょうはお忙しいところお越しをいただきまして、いろいろ貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。  時間が参りましたので、終わります。
  49. 古賀誠

    古賀委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  本日は、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時十四分開議
  50. 古賀誠

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  51. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ちょっと質問の前に、これはどこもあることでございますが、質問に当たっていわゆる質問取りに来るわけですね。これは質問取りに来る者がちょっと履き違えておるので、この機会にちょっと明らかにしておきたいと思います。  本来委員会におきましてもあるいは本会議におきましても、質問に対しての答弁者というのは、これは大臣なんです。もしくは政務次官、これが答弁者なんですよ。質問者に対して大臣や政務次官の答弁の補完的な、補足を加えるのが政府委員なんです。そういうことを履き違えて、これは政府委員でよろしいですか、これは何々局長でよろしいですか、これは余りにも議会に対して侮辱的な物の考え方だ。今後それはやはり改めてもらいたいということを、この機会にひとつ議会の権威にかけて明らかにしておきたいと思います。その点、内閣の方も、委員長の方もひとつよろしくお願いしたいと思います。  小言はそのくらいにおきまして、本題に入りたいと思いますが、今回の都市計画法改正案、建築基準法改正案、これは趣旨説明にも明らかなように、土地の高騰、これに対するところの住宅政策、具体には地価の抑制策、地価の引き下げ策、そういうようなところから、都市計画法についてはかくあるべきであり、建築基準法についてはかくあるべきであるということで、この法案が提案されてまいったと思うわけでございます。この法案の提案によって、以下細部にわたりましては後ほど議論させていただきますが、今申し上げましたような結果、この法案が提案されてまいったわけでございますが、特に首都圏を初め、大都市圏内の土地の抑制あるいは地価の引き下げというようなことになるかならぬかということを、まず一つお聞かせいただきたいと思います。
  52. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 このたびの都市計画法改正によりまして、用途地域の区分でございますとかあるいは誘導容積制度でございますとか、それらの手法を通じまして地価の安定に資するあるいは地価の抑制に資する方向で今後運用してまいりたいと考えているところでございます。  とりわけ、地価をむしろ支えると申しますか、適当な表現ではございませんが、企業の業務施設は地価の負担能力のある分野でございますので、その進出によりましてむしろ地価の下支えが行われるということは従来にもあったことでございまして、今回の改正によりましてそのような弊を改めるという方向が含まれているところでございます。
  53. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この点につきまして、住宅地の環境等の保護というものを目的にして現行の用途地域をさらに細分化するということが提案されておるわけでございますが、特に住居系の用途地域を、現行の三地域を四地域加えて七地域に細分化する、こういうことであります。さらには、特別用途地区も二用途地区を追加するというような内容であるわけでございますが、これは具体にこの法案の内容として出てきておるわけです。そのことによって地価の抑制につながることになるのかどうか、もう一度お答え願いたいと思います。
  54. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 用途地域を細分化いたしたわけでございますが、そのことを通じましてきめ細かな用途規制を行う、そして適正な制限のもとに合理的な土地利用が図られることになると存じます。したがいまして、用途に見合った地価の形成に寄与することが期待されるということでございまして、適正な地価水準の実現にこのことが寄与するものと確信をいたしておるところでございます。
  55. 和田貞夫

    和田(貞)委員 既存の第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、それから住居地域、これを七つに細分化するわけですが、例えば現行の第一種住居専用地域が新しい制度の第一種低層住居専用地域に変更されるというようなことであればいざ知らず、あるいは、第二種住居専用地域という現行の地域を第一種の中高層住居専用地域に変更されるということであればいざ知らず、さらには、住居地域を第一種住居地域に変更されるということであれば、それはそれなりのうなずけることになるわけでございますが、これが逆に、現行の第一種住居専用地域を新たに設けた第二種低層住居専用地域に変更されるというようなことになれば、一体どうなるのか。あるいは、現行の第二種住居専用地域を新たに設けられた第一種住居地域に変更されるというようなことになったら一体どうなるのか。また、現行住居地域を新たに設けられた準住居地域へ一ランクずつ引き下げた、規制の緩やかな用途地域に変更されるというようなことになれば、土地の所有者としては、用途が拡大するわけでございますから、規制が緩和されるわけでございますから、これはむしろ地価を抑制するどころか、地価をはね上がらす。  もちろんその住居環境も悪化されることになりますが、それよりも、この法案で目的としております地価をかえって上昇させる、こういう結果になっていくんじゃないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  56. 市川一朗

    ○市川政府委員 今回主として住居系の用途地域、現在三種類を七種類に細分化いたしますので、それらが、ある面から見ますと規制緩和という側面も有しているということは理論的にはあるわけでございます。したがいまして、ただいま先生の方から御指摘ございましたように、すべての用途地域の塗りかえに当たりまして、すべてが規制の緩やかな方向になったということになりますならば、いろいろな面で問題が生ずるということは御指摘のとおりだと思います。しかし、今回の用途地域の細分化は、基本的には住居系の用途地域に関しまして、業務ビル等の進出に対して防御するという意味も含めました、いわゆる住環境の保護というものを基本的ねらいにしてございますので、そのような都市計画変更による先生御指摘のような用途地域の変更ということは、今回の法改正の趣旨にも反しますので、私どもとしては、そういう都市計画変更というのは適切でないというふうに思っておるところでございます。
  57. 和田貞夫

    和田(貞)委員 今おっしゃいましたように、緩やかなところに変更されれば、これは当然のことながら地価が上がっていきますよ。抑制するために出した法律が、具体に用途地域を細分化したために地価がはね上がるというようなことにならないようにするために、自治体に対してどういうような指導を行おうとしておるのですか。
  58. 市川一朗

    ○市川政府委員 都市計画で定めます用途地域は、基本的には、その都市をどういうふうに持っていくかというような都市のあり方を背景としたものでございますから、私どもといたしましては、当然地方公共団体がその都市計画の案を作成する段階において、自分たちの町がよりよくなるような方向での案をつくられるものと確信してございますが、ただいまの御指摘のような案が万が一にも出るようなことがないように、適切な指導はしていきたいと思っております。
  59. 和田貞夫

    和田(貞)委員 たまさか昨日、土地特の方で横浜と川崎の方に行ってきたのです。農住組合が施行した土地区画整理事業の結果、あるいは、生産緑地として狭隘な道路の中で挟まれた、ここは指定を受けない、ここは指定を受けたところというようなことを、具体に横浜、川崎へ行ってきたのです。  どうも、これはいつかは生産緑地からこうなってしばらくの間やなというような感じを受けてまいったわけですが、そこで、知事が議会のために不在でございましたが、副知事が参りまして、川崎の助役、そして、あなた方の大先輩の横浜市長と懇談をいたしました。  この点について、横浜市長いわく、現在の指定地域を新しい細分化された指定地域に横滑りにそのまま変更していくというようなことになると、私が今申し上げましたような心配がやはり起こってくるわけです。だから、現行の指定地域をそのままというのじゃなくて、現行の一つ用途地域を、例えば道路に面したところは新しい用途地域のどこに該当する、従来は同じ用途地域であったけれども、その裏側はどうする、さらに、その横側はどうするというような、そういうように細分化していって、新しい細分化された用途地域に変更していくというようなことはどうかと考えておるんだということを、横浜市長言っておられました。そういうようなことを含めて行政指導をなされるのかどうか、ひとつもう一度お答えいただきたい。
  60. 市川一朗

    ○市川政府委員 横浜市とは必ずしも直接の議論は私レベルではしておりませんが、今回の原案を作成するに当たりまして私どもは、都市計画中央審議会で約一年間議論していただきましたけれども、部会のメンバーの中に東京都の担当局長と大阪府の局長にも入っていただきまして、今回の改正案が現実の都市計画の案として実行し得るものであるかどうか、それから、その案を実行した際に所期の目的が達成し得るものかどうかということにつきましては、相当程度深い議論もさせていただき、検討もいたしました。それで、ただいま申し上げました都や大阪府の局長さん方の考え方は十二分に案の中に盛り込まれておると思っております。  そういったような観点から、具体の市の具体の場所におきました場合の議論としては、さまざまな議論があり、いろいろな案が展開されるとは思いますけれども、トータルにおきまして、住環境を守る、それで、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、適正な地価の形成を図るというような面につきましては、的確な都市計画の変更による新しい用途地域の指定がなされ得るというふうに確信しておるところでございますが、そういった方向が実現するように建設省としてもいろいろな形で御協力申し上げたいと思っておるところでございます。     〔委員長退席、金子(原)委員長代理着席〕
  61. 和田貞夫

    和田(貞)委員 局長、要は画一的にとらえないで、都市都市でやはり条件というのは違うと思いますよ。だから、たまたまきのう横浜市長が言っておられること、ああ、なるほどなということを感じたので、今御披露させていただいたのですが、横浜市長の考え方を全部画一的にするのじゃなくて、それぞれの地域の実情に沿った行政指導をしてもらわないと、せっかくの目的が達成することができなくて、かえって用途地域の変更のいかんによっては土地がはね上がるというようなことに絡んでくればだめなので、そういうことにならないように、具体に実情に沿った、目的に沿った、そういう指導をやってもらいたいということを私は言っておるわけでございますので、こればかりに時間をかけておれませんので、その点ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  その次に、都市計画法のせっかくの改正に当たりまして、私はいい面もあると思います。評価をすべき点もあると思いますが、私は今一つ用途地域の問題を例にお話をいたしましたけれども、その都市部、その地域地域によってやはり実情の加わった町づくりというのをやっておるわけでございますので、土地計画に当たりましては少なくと――もっともっと古い都市計画法というのは、地権者が知らない間に地図の上に線が引かれている、いつの間にやら、おれのところの土地の上に道路が通ることになっておるという、こういう地権者をばかにしたような都市計画の決定であったのが、次第に地方自治に対して認識を示されて、そしてよい方向になってきておるわけでございますが、今回の法案の改正に伴って社会党の方も改正案を出しておるわけでございますが、その社会党の改正案と比べますと、まだまだいわゆる住民を基本に置いた、住民の意向を十分に反映させた都市計画の決定ということにはなっておらないのじゃないかと思うわけであります。  例えば、我が党の場合は、市町村都市計画決定権限というものを地方議会権限とを含めてかなり強化する内容になっておりますし、また、都市の計画に当たって、都市の基本計画の制度というものを市町村にゆだねて、市町村がこの発想のもとにそういう基本計画を立てるというようなことを含めた改正案になっておるわけでございますが、それらと比べますと、まだまだ不十分であるというように私は言いたいわけでございます。  しかしながら、今回の改正案、申し上げましたように、評価するところがございます。例えば、市町村が主体的な町づくりを行うために、それぞれの地区ごとに将来に向けてあるべき姿を具体に市町村が明示した都市計画に関する基本方針というものを定めることにしたことは、少しでも住民の意向が反映することを希望したあらわれであろう、こういうようにも思うわけでございます。そして、地域の特性が不十分ながらも生かされた町づくりというのが期待されるわけでございます。  しかし、市町村の建設に関する基本構想がなかった場合、あるいは市街化区域と市街化調整区域の未線引きの都市計画区域、このようなところで整備、開発、保全の方針がなかった場合、そういうような場合は、市町村にその権限がゆだねられておるわけでございますが、府県が市町村にかわってそのような基本構想の作成を行ったり、あるいは整備、開発、保全の方針胆相当するようなものを策定するというようなことが必要じゃなかろうか、こういうように思うわけなんですが、そのような場合はどういうように対処されていくのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。     〔金子(原)委員長代理退席、北村委員長代理着席〕
  62. 市川一朗

    ○市川政府委員 今回、市町村都市計画に関する基本方針を策定するという制度を創設しようとして御提案申し上げております基本的な考え方は、都市計画に関しましてその前提となるそれぞれの市町村が、将来自分たちの町はどういうふうな方向に行くのかということについて具体的なビジョンを持って明らかにされておる、それに基づいて個々の都市計画が決まっていくというところをねらいとしておるわけでございまして、したがいまして当然のことながら、法律上はその市町村に関する基本構想が、地方自治法の規定にございますけれども、それがもし既に決まっている場合は、それに即したものであってほしい、あるいはただいま御指摘ございましたように、整備、開発、保全の方針が決まっております場合は、これは県レベルで決めますので、それに即したものであってほしいということで整合性を保つような規定になっておりますけれども、私ども考えております基本的ねらいは、今冒頭で申し上げたとおり、それぞれの市町村単位において自分たちの町の将来ビジョンを明らかにするということでございますので、そういう意味におきましては、むしろ今回の制度は、ただいま先生の御指摘に即してお答え申し上げまするならば、整備、開発、保全の方針などが定まってないいわゆる未線引き都市計画区域等においでは、むしろ積極的にこの新しい市町村都市計画に関するマスタープランが重要な役割を果たしてもらえるのじゃないか、そういうことも期待しておるつもりでございます。
  63. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、そのような市町村には基本方針を策定することを義務づける、こういう必要はないですか。
  64. 市川一朗

    ○市川政府委員 私どもとしては、都市計画を定めることとなるおよそすべての市町村匿おきまして、この基本方針はぜひ定めていただきたいというふうに考えておりますし、そういうことについての指導もしていきたいと思っておる次第でございますが、法律上はそれを義務づけることになってないわけでございます。
  65. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ひとつよろしく対処してもらいたいと思います。  次に、誘導容積制度の創設についてでございます。  これも土地の高度利用のためにということで新しく創設された制度であろうと思うわけでございますが、公共施設が整備されるまでは、目標容積率よりも数値が低い暫定容積率を適用していく、そして無秩序な建築物を抑制する、そういう考え方であろうと思われるわけでございますが、土地の所有権者にとってみれば、これは当然のことながら、今までのように自由な建築ができない、制約される、そういうことになるので、地区整備計画策定というのは、住民の意思の合意というところに運んでいくためにはかなり困難視されるというように思うわけであります。  そこで、この制度はどの程度の地域で活用されると考えておられますか。
  66. 市川一朗

    ○市川政府委員 誘導容積制度が適用となります対象地区につきましては、土地の有効・高度利用が必要とされているにもかかわらず、道路などの公共施設の整備がなされておりませんために、地区の特性から見まして望ましい土地の利用の水準が実現されずに、低利用となっている地区がまず考えられるわけでございます。  抽象的にはそういうことになるわけでございますが、やや具体的に考えました場合の典型的な例を一、二挙げてみますと、一つは、幹線道路は既に整備済みでございますが、これに面していない土地が低利用で残存しておりまして、低層の木造賃貸住宅等が密集しておりまして防災上の危険性が高い環境の市街地、それからもう一つは、震災とか戦災復興の土地区画整理事業等による面的な市街地整備が行われていない地域につきましては、狭小宅地の密集地域がまだ数多く存在しているわけでございまして、東京、大阪等の大都市では相当数存在しておるというふうに考えております。
  67. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この制度が創設されることによって、土地を提供して住宅の建設が促進されていく、いわゆる住宅の供給を促進さしていける、そういう政策につながるとお思いですか。
  68. 市川一朗

    ○市川政府委員 先ほど御答弁申し上げましたような木造賃貸住宅を中心とします密集市街地等でこの制度が適用されまして、有効利用、高度利用が図られます場合におきましては、大体そういう場所は比較的都心に近い場所でございますから、職住近接型の住宅で、しかも、かなりの良好な環境を保持した住宅が確保できるというふうに考えておりまして、そういった住宅の供給促進にはかなり有効に働くというふうに考えておるところでございます。
  69. 和田貞夫

    和田(貞)委員 容積の適正配分にかかわる地区計画で、どのような区域に用途地域の指定容積率を超える容積率を決めようとしておるのか、逆に、低い容積率を指定しようとしておる区域は、どのような区域を考えておられるのか、ひとつお答え願います。
  70. 市川一朗

    ○市川政府委員 地区計画でございますので、かなり狭い地区議論が現実だろうと思いますけれども、一応お尋ねにできるだけ沿うようにお答え申し上げますと、容積率の適正配分に当たりまして、指定容積率を超える容積率を定める区域の例といたしましては、特に住宅の供給を図るべき区域あるいは地区施設の整備促進に資する区域等を考えておりまして、その場合、もちろん周辺の市街地環境に支障を来さない場合に限られると思っております。  また、指定容積率よりも容積率を低く定める区域につきましては、保全すべき歴史的建造物のある区域、あるいは緑地空間等を確保すべき場所、それから日照等の市街地環境の確保を図る必要がある区域、こんなことが考えられるわけでございまして、実際の制度運用に当たりましては、通達等で基準も明らかにいたしまして、適切な運用が行われるように指導してまいる必要があるのではないかというふうに考えております。
  71. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この法律改正とともに、地方自治体にゆだねております建築基準法の施行条例、そこで、さらに緩和をする部分、規制をする部分というのが出てまいっておるわけでございますけれども、例えば商業ビルの上乗せに住宅を考えるとか、逆に住宅ビルの一階、二階を住民の利用に供するために商業施設にするとか、そういうことになってこようかと思いますが、私は、そういう中で、警視庁の上に住宅をつくれというようなことは無理からんと思いますけれども、ずっとその地域へ行ってまいりますと、五十メーター道路に面して税務署があったり、かなり広い空間を持ったところに国の出先や有治体の役所があるというところがかなりあるわけですね、郵便局を含めまして。二階、三階、狭隘になれば、それをつぶしてまた六階に建てかえる、古くなりたらまたそれをつぶして八階建て建てかえるというようなむだなことを繰り返しているわけです。  この機会に、例えばそうい多ような地方自治体建物を含めて、画一的にみんなが、みんなとは言えませんが、可能なところは、そういう官公署の三階以上あるいは四階以上に住宅を建てていくというようなことにすれば、その役所が狭隘になれば、例えば三階までしか使われておらなかったところは、四階の住宅部分を改装すれば、そのまま役所としてのスペースも広がっていくわけなんですね。そういうような発想というのはなされなかったのですか。
  72. 市川一朗

    ○市川政府委員 都市の中で、特に都心に近いところで住宅をどういう形で確保していくかということにつきましては、公共団体側の議論もありますし、住民側の議論もありますし、はたまた学者の先生方の御議論もありまして、なかなかいろいろ意見はあるようでございますが、私どもといたしましては、基本的な考え方は、ただいま先生が御指摘になりました考え方に近い考え方を持っておるわけでございまして、やはり都心に近いところでもできるだけ住宅を確保していくべきなのではないかという観点から、もう既に二年前に都市計画法改正いたしまして、用途別容積地区計画という制度もつくっていただきました。  これは、住宅に利用する場合に限って、建物の高層階部分については容積率を通常指定されておる容積率よりも五割増しまでできるといったような制度でございまして、そういった制度の活用も期待しておるわけでございますが、今回の議論に当たりましても、主として住居系の用途地域の細分化の議論をさせていただいたわけでございますが、特別用途地区の中に中高層階住居専用地区という制度を設けました。これはまさに商業ビル群のところの上の方に住宅を確保しようという場合に使える制度でございます。そのほかに、総合設計とがいろいろな制度がございます。  それで、今度の誘導容積制度もそういったよう海場合に活用しようとすればかな力有効に働く制度のつもりでございますが、ただ基本的には、そういうメニューを用意したということでございますから、そのメニューを具体的にどの町のどの場所にどういうふうに適用していくかというのは、やはりそれぞれの市町村レベルでしっかりと考えていただきたいというふう豚考えておるわけでございまして、基本的な物の考え方は、そういうメニューを用意したという背景にある考え方は、ただいま先生が御指摘になりました考え方とほぼ近い考え方を私どもが持っているという一つのあかしなのではないかというふうに思う次第でございます。
  73. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そういうように民間の建物にそういう行政指導をしていくめであれば、役所がみずから進んでということも必要だと思うのですよ。  それで、私の選挙区の隣に松原市というところがありますが、そこでは市民病院の一階、二階を府立の保健所が使っているという例がある。これはマンションと違いますが、しかし、自治体が異なっておっても、そういうように相乗りしようと思ったら、できるわけですね。  それから私の選挙区では、十階立てのマンションの一階、二階を幼稚園が使っているところがあるのですよ。保育所が使っているところもあるのですよ。  だから、マンションの下を保育所が使っている、幼稚園が使っているというような見方ではなくて、幼稚園や保育所の上に住宅を上乗せしていくという見方に立てばいいわけですからね。そういうような官公署で住宅に供せられるような地域のところは、率先して積極的に住宅を建てていくというようなことをひとつ検討してもらいたい、こういうように思います。  それから、ひとつお答え願いたいと思いますが、リゾートマンション都市計画区域以外の区域に制限を加えていくというために設けられたことだと思いますけれども、そこで、政令や定める基準に従って地方自治体条例で必要な制限を定めることができるということになっておりますけれども、その政令で定める基準というのはどの程度のものか、この機会にひとつお答え願いたいと思います。
  74. 立石真

    ○立石政府委員 お答えいたします。  政令で定める基準につきましては、建築物またはその敷地と道路との関係、それから容積率建築物の高さ等に関しまして、地方公共団体の条例制限することができる事項、またはその範囲内で必要なものを定めることと考えております。  それで、具体的な基準策定に当たりましては、今回の地方公共団体による条例制限が、都市計画区域外についてリゾートマンション等の無秩序な建築活動を規制するということを目的としていることでございますので、都市計画区域内の用途地域の指定のない区域、いわゆる白地地域でございますが、こういうような地域制限との均衡に配慮しながら、地方公共団体の要望を十分に尊重して検討していきたいと考えております。
  75. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そういう制限措置によってどの程度の効果が上がるとお考えになりますか。
  76. 立石真

    ○立石政府委員 この制限でございますけれども、今申し上げましたように、無秩序な建築が行われて土地利用の混乱が生じている、そういう状況に対応して行おうということでございます。  接道規制あるいは容積率制限等を適用するわけですが、まず第一には、こういう地域においても道路空間を確保する、そしてまた、道路建築物またはその敷地との関係について基準を設けることによりまして、建築物の防火とか避難等の安全性を確保することができる点、第二点には、例えば高容積建築物建築されますと、局所的に交通量が発生したり、あるいはまた周辺の建築物市街地と非常につり合いのとれないような大規模な建築物ができて、それが周辺に悪影響を及ぼすというようなこと、こういちこと等についてかなりの程度建築規制がかけられるというように考えておりますので、土地利用の混乱等を防止するというような効果が大きいと考えているところでございます。
  77. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ひとつよろしく対応していただきたいと思います。  それでは大臣、この法の改正は、冒頭申し上げましたように、目的として土地の効率化、高度化利用ということを念頭に置きながら両改正案が出されてきておると思うわけでございますが、私は、惜しむらくは、確かに直接都市計画法あるいは建築基準法という法律の目的にそぐわないといえばそれまてでございますが、どちらの法案もやはり環境のいい町づくりのための法律なんですから、だから、ことしは国連の障害年の最終の年なんです。そのときに当たって、この改正をするに当たって、これは大臣だけの責任だというようには私は言いませんが、せっかくこの法律改正するのであれば、閣議でどなたか、それではせっかくこういう改正をするのであれば、高齢化も進んでいくことであるから、この機会に、障害者の皆さんや高齢者の皆さんがより自由に社会参加をして、社会で自由に活動できるような、そういう町づくりのためには、この際都市計画法をこういうところまでひとついろうてみたらどうだとか、あるいは建築基準法をこういうところまでひとつ積極的に踏み込んで、公の施設だけじゃなくて、日常生活の中にかかわりのある民営の施設、そういうところまでひとつ指導していくというような、そういうことを改正案に一緒に入れていこうじゃないかということが、私はどうもなかったように思うわけです。その点は、国連の障害年を最後にしたことしのこの改正案に当たって、せっかくの法改正に当たって、なぜそこまで気持ちを働かせていただけなかったのかな、私は非常にこういう気がしてならないわけでございます。  今せっかく出てきた法律でございますから、今どうせい、こうせいど言うたところで、どうにもならぬわけでございますが、しかし、将来さらにこれらの法律改正に当たってそのような配慮というものを、新しい町づくりのためにそのような気配りというものを、ぜひとも内閣として、政府として、ひとつ考えてもらう必要があるのじゃないか、私はこういうような気がしてならないわけでございますが、まずお答えいただきたいと思います。
  78. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ごもっともな御指摘だと存じます。障害者福祉あるいは高齢者福祉、常に念頭に置きまして、各般の施策が講ぜられるべきものと考えております。  建設省といたしましても、従来から公営住宅、公団住宅での設計上の配慮でありますとか、あるいは歩道の段差の切り下げでございますとか、各般の施策を講じておるところでございます。あるいは、地方公共団体が行う障害者・高齢者対策に資するように、設計指針の普及でございますとか、あるいは融資制度の整備を通じまして、これは住宅の関係でございますが、指導をしてまいったところでございます。  今後とも先生の御指摘を十分体しまして、障害者福祉、高齢者福祉の観点から都市計画等を取り進めてまいりたいと考えております。
  79. 和田貞夫

    和田(貞)委員 建築基準法の二条二号、ここでは学校等特殊建築物、こういう名称があるわけですが、これは、自治体条例で敷地や構造やその設備をより規制をしたり緩和をしたりするようなことを法律で保障しておるわけであります。  これを受けて、例えば私の方の大阪府では、建築基準法の施行条例というのができて、この四月の一日から実施ということで、さきに改正がなされております。非常に積極的になされておるわけであります。そうして、それだけじゃなくて、さらに福祉町づくり条例、そういう条例建築基準法の施行条例以外につくろうということですね。今その素案づくりなんです。  そういう自治体福祉の町づくりということで、障害者だけじゃなくて、高齢者が、もう現実の問題として高齢化社会に入ったわけでありますから、高齢者や障害者の皆さんが、道を歩くときも、あるいは公共施設である保健所へ入るときも、郵便局に入るときも、銀行に入るときも、ただそのようなことだけじゃなくて、やはり雇用の面からいっても、工場というのは、これは障害者には関係がないんだというのじゃない。やはり障害者の雇用を求めるならば、従来は関係がないというように思っておったその工場や事業所も、やはり障害者の皆さんが自由に出入りできるような、そういう設備や施設に改善をしていく必要があるんじゃないですか。  そうすると、当然のことながら、建築基準法で、地方考えておる以上に、――地方考えても頭打ちがあるのです。地方考えても、この域を、それ以上にやろうと思えば、建築基準法をいらわにゃいかぬという場合があることはお認めでしょう。そうすると、やはりこの建築基準法をせっかく改正するのであれば、そういうようなところに配慮が欲しかった。都市計画法改正についても、同様なことを私は言いたいというのは、そこにあるわけでございます。  そこで、民間の建築物を含めまして、公共性のあるもの、公益性のあるもの、あるいは物品の販売店、大きな販売店だけじゃなくて、小さな販売店、全部というようには言いませんが、ある程度、障害者の皆さんが生活をするに当たって、やはり最低限青物も要れば、魚も要れば、乾物も要るわけですし、日用品も要るわけですから、そういうような食料品や物品を販売する施設、あるいは外食のために飲食店に入るわけでございますから、飲食店、そのような構造、設備を障害者や高齢者が利用できるようなものに法によって義務づける、そういうようなことは考えられないのですか。
  80. 立石真

    ○立石政府委員 先生の含蓄のあるお話をお聞きいたしまして、私たちも、障害者あるいは高齢者の利用に配慮した建築物を整備していくことが、二十一世紀を控えまして、これから最も重要な課題になるであろうということを思っていますことを、初めに述べさせていただきたいと思います。  これを具体的に建築物に及ぼすことでございますが、障害者や高齢者に配慮した建築物といいますのは、その用途とかあるいは管理の形、さらに今障害者によりましても、利用者の障害のいろいろな種別がございます。こういうものに応じたきめ細かな配慮が必要であろうかと思っております。これに建築行政が対応しようといたしますと、個別の設計に応じた指導あるいは誘導、こういうものをきめ細かくまた行うことが必要であろうというように考えているところでございます。  しかし現在、これを行う体制は、先生の御指摘のように、大阪府等の先進的な地域においては既に始められているところでございますけれども、まだ全国的には熟成しているという状況にはなってないと考えておりまして、全国一律の基準を定めまして建築基準法等を改正して行っていくというのは、まだ現段階では難しいと考えております。  大阪府を含めまして、最近幾つかの地方公共団体、例えば神奈川県であるとか、横浜市であるとか、そういうようなところにおきまして、総合的な障害者・高齢者対策の一環として、地域の実情に応じまして、障害者の利用に配慮した建築基準条例あるいは要綱等で定められている例が多く見られるところでございます。私たちといたしましては、このような先進的な努力に対して大きな関心を持っているところでございまして、これらの実施状況を参考にしながら、今後とも、よりきめ細かい配慮が可能となる方法について検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕
  81. 和田貞夫

    和田(貞)委員 国の施設だとか自治体の施設の場合は、法律がどうであろうがこうであろうが、施設を新たにつくる場合あるいは既存の施設を改装することは、これは努力すればできていくわけですね。大阪府の場合でも、この条例をつくって、この建築基準法の施行条例の対象になっている建築物の場合は、その条例によって指導していくことができるのですが、この条例の対象にならない公共性の高い建築物や施設というのがあるわけですね。  例えば日常生活の中で障害者の皆さんや高齢者の皆さんが一番困るのは駅舎ですよ。電車に乗るときに、車いすの皆さんや足の不自由な皆さんやあるいは大きな荷物を持った高齢者のために、エレベーターが完全に、全国津々浦々至るところの駅舎にエレベーターがあるというようなことは、なかなかほど遠いことであるわけです。しかし、それも積極的にやはりやっていかないかぬわけですね。  あるいは道路に出ましたら、最近は点字のブロックが並べられておったり、あるいは交差点へ行けば、音の鳴る信号機というのは漸次ふえてはいっておりますね。  しかし、私らが考えないかぬのは、目の不自由な皆さんを対象とした施設、あるいは足の不自由な障害者の皆さんに対するところの社会的な施設、あるいは聾の方々に対するところの施設、それぞれ皆違うわけなんです。だから、点字ブロックといっておれば、これは障害者のためにやってんやということにはならぬわけです。  駅へ行きまして、駅のホームに危険だからということで、白線以外に点字ブロックを並べていますよ。これも大概の駅へ行きましたら、JRにいたしましても、私鉄にいたしましても、並べられております。放送が入ります。目の不自由な方は放送で、ただいま列車が入りますから、危険ですから後ろへ下がってください。聾の方はいかに放送されても、聞こえないのですよ。事故も起こるのですよ。しかし聾の方は耳が不自由であっても目が見えるわけですから、放送すると同時に、聾の方が見えるようなそういう表示というのは、これはなかなかできてないのですよ。  そういうようなことをずっと見てみましたら、まだまだ障害者の皆さんが自由に社会参加ができない。高齢者の皆さんが重たい荷物を背負っておられて、社会に参加するということがだんだんと不自由になってくる。こういうことであるわけでございますから、これは建築基準法でできなかったとしても、その建築基準法に基づく確認申請がなされてくる場合に、障害者や高齢者の皆さんも対象とした施設になるのだということであれば、役所の方が事前にこういうものを協議して、こういうようにしなさい、こういうふうにしてくれというような行政指導ができるような事前協議制度あるいは届け出制度、せめてそのぐらいのものは、建築基準法の中にうたおうと思ったら、うたえるわけですよ。そういうようなことを私は言いたいわけでございます。  今度の改正ではその点は含んでおらないことは、国際障害年の最終年の年として配慮がなかったということは、私は非常に不満でございます。近い将来、さらにこの都市計画法改正あるいは建築基準法改正に当たりまして、ことしで障害年が終わったんだから、もうしまいだというのじゃないですからね。  高齢者の皆さんやあるいは障害者の皆さんが安全に社会参加するということと、自由に社会参加するということと違うのですよ。安全に参加するのじゃなくて、自由に参加できるようなそういう町づくりのために、近い将来、これらの法律改正をぜひともひとつ検討してもらいたい、こういうように私は希望するわけでございますが、最後にひとつ、大臣の方から決意のほどを述べてもらいたいと思います。
  82. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先生の障害者福祉に対します御熱意に対しまして、大変敬服をいたしたところでございます。  今回の建築基準法改正には含まれておりませんが、先ほど住宅に関してと私申し上げたのですけれどもあらゆる建造物に関しまして、これから地方公共団体が行う障害者・高齢者対策に資しますように、先ほど申しました設計指針の普及とか融資制度の整備を通じて適切な指導をしてまいる所存でございます。  なお、法改正につきましては、先生の御意見を外しまして今後検討させていただきたいと存じます。
  83. 和田貞夫

    和田(貞)委員 終わります。
  84. 古賀誠

    古賀委員長 次に、斉藤一雄君。
  85. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 都市計画法及び建築基準法改正案について質問をするわけですけれども、実際の運用はほとんど政令なり通達で行われているというふうに思いますし、これまでもそうした点でかなり問題点やら疑問点があったように思います。私も東京都の都市計画議会委員を六年間もやっておりましたので、その際、法律条例との関係であるとか、行政の面でいろいろな問題が生じてきておりますので、そういう点を含めて、ひとつ端的に、具体的に御質問をしたいというふうに思います。したがって答弁の方も具体的に簡潔にお願いしたいということを、最初にお願いをしておきたいと思います。  一番最初は、今和田貞夫議員からも御質問がありましたけれども、この法案が都市政策との整合性を欠いているという点は、私も全く同感でありますけれども、先ほど来の大臣の答弁では納得できません。この点は、後ほど具体的に質問をしていきたいというふうに思います。  それから二番目に、この都市計画中央審議会の答申にもあるのですが、東京一極集中の是正、公園、広場などの緑地空間を都市の基盤として積極的に確保する、こういう視点がない。この点どのようにお考えだったのでしょうか。
  86. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 都市計画中央審議会の昨年十二月の答申におきましては、都市計画制度の課題といたしまして四点、特に指摘をされておるわけでございます。一点は望ましい都市像の明確化、二点は適切な土地利用の規制、三点は均衡のとれた都市の発展、四点は魅力ある都市環境の形成と指摘しつつ、当面講ずべき都市計画制度上の施策といたしまして五点を特に提言しているところでございまして、一点は都市のマスタープランの充実、二点は用途地域制度の見直し、三点は誘導容積制度の創設、四点は地区計画等の策定の推進、五点は開発許可制度等の充実でございます。  そこで、今回の都市計画制度改正はこの答申を踏まえて行ったものでございまして、当面講ずべき施策として提言されました内容は、ほぼすべて盛り込まれたと考えております。  東京一極集中の是正や公園、広場等の確保につきましては、課題のところで触れられておりますものの、具体的な制度の提言までは行われていないところでございます。したがいまして、公園等の確保につきましては、現在、都市計画中央審議会におきまして、経済社会の変化を踏まえた都市公園制度を初めとする都市の緑とオープンスペースの整備と管理の方策はいかにあるべきかについて諮問を行っておりまして、経済社会の進展に対応した都市公園の整備等のあり方について検討していただいているところでございます。  また、東京一極集中の是正につきましては、四全総にも示されておりますとおり、国土の均衡ある発展を図るためにも重要な課題と考えております。  先生御案内のとおり、現在地方拠点法を国会に提出いたしておりまして、御審議を願っているところでございます。
  87. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 できるだけ、質問を具体的にしておりますので、その質問に答えていただきたいというふうに思うのですね。  今都民の多くは、東京一極集中がもたらした超過密都市の弊害に大変悩んでいる、苦しんでいるわけです。東京における都市計画公園、緑地の現状をどのように把握しているか、二十三区内における都民一人当たりの公園面積は、計画面積、供用面積、それぞれどのくらいになっているか、お尋ねをいたします。     〔委員長退席、金子(原)委員長代理着席〕
  88. 市川一朗

    ○市川政府委員 東京都の現状でございますが、平成元年度末で一人当たり公園面積は三・三平米でございまして、この時点の全国平均は五・六平米でございますから、そういう意味では、全国平均に比べましてもかなり低い水準という認識を持っております。  それから、二十三区はさらに低うございまして、この時点で一人当たり二・六平米でございます。都市計画決定されました公園緑地面積は、これはまだできていないものも含めたものでございますが、一人当たり約七・一平米ということになっております。     〔金子(原)委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕
  89. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 都市計画法にも、都市計画は当該都市住民が健康で文化的な都市生活を享受できるようにというふうにうたわれている割には、大変お粗末な公園緑地の実情であるということがはっきりしているわけであります。  第三に、中央都計審の答申にある安全で快適な居住環境の確保という点で一番心配しているのは、東京、大阪など超過密都市における災害だろうと思うのです。それはすぐれて都市計画上の問題でもある。  そこで伺うわけですが、東京都内の避難場所、避難道路の実情はどうなっているでしょうか。
  90. 市川一朗

    ○市川政府委員 東京都の地域防災計画によりますと、現在都区部では避難場所百三十七ヵ所、避難道路は百六十八路線が指定されております。  それから多摩地区におきましては、それぞれの市町村地域防災計画で定まっておりますが、四百六十七カ所の避難場所が指定されております。
  91. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 避難場所まで三キロメートル以上もあるいわゆる遠距離避難地域を抱える避難場所は、何カ所ぐらいありますか。
  92. 市川一朗

    ○市川政府委員 この遠距離避難地域という考え方は、東京都の避難計画で取り入れられている考え方でございますので、東京都に聞いてみましたところ、三千二百ヘクタールぐらいあるということでございました。
  93. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 一番遠いところは光が丘、これが六・五キロメートル、多摩川の河川敷が五・八キロメートル、キャンプ朝霞跡地が五・一キロメートル。こんなに遠距離のところへ避難をしろ、しかも避難路といっても、御承知のように、環七だ、環八だといってトラックがごうごうと走り続けているところです。こんなところがいざというときに間に合うと思いますか。
  94. 市川一朗

    ○市川政府委員 被害の状況その他いろいろな場面が考えられますが、基本的にはやはり避難場所が余り遠くては役に立たないと思います。
  95. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 都市計画法にも防災、安全、衛生等に関する機能が十分確保されるようにというふうにしているわけでありますから、ひとつ積極的に各自治体を指導して、また、国自体が都市計画法建築基準法運用に当たって十分考慮する必要があるということを指摘しておきます。  次に、法改正案の目玉であります用途地域改正についてお尋ねいたします。  今回、住居系の用途地域をこれまでの三種類から七種類に細分化したわけですが、それによって従来の第一種住専、第二種住専の地域は大幅に縮小されることになると思います。その見通しはどうです。
  96. 市川一朗

    ○市川政府委員 今回の改正は住居系の用途地域の細分化でございまして、そういう意味におきましては、現在住居専用地域になっております場所につきましては、新しい制度によります細分化が図られるとは思いますが、ただいまお尋ねのございましたように、専用地域がトータルとして即縮小されるというふうにはならないと考えておるところでございます。
  97. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 第一種住専、第二種住専地域が現状より縮小しないというお答えですね。間違いないですか。
  98. 市川一朗

    ○市川政府委員 今回の制度は、現行の第一種住居専用地域も二種類に変わりますし、それから第二種住居専用地域も二種類になります。つまり、二種類が四種類になりますので、細分化が図られるけれども、その結果、専用区域が縮小の方向に行くということは基本的な法改正のねらいとは違うというふうに考えております。
  99. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 これまでは、財界、政府が一体となって第一種住専地域の見直しを進めてきました。東京においても、鈴木都政のいわゆるマイタウン構想とも連動して、例えば一九八〇年、昭和五十五年から八九年、平成元年までの九年間で見てみますと、実に五千四百三十九ヘクタール、一一%も減少しているわけです。今後さらにこの法改正によって私は減っていくだろうというふうに見通しをしております。したがって、これ以上減らされては、せっかくの環境のいい地域の環境が悪化してしまうということになりますので、そういうことにならないように意見を申し上げておきたいというふうに思います。  次に、東京都の土地利用方針では、例えば「再開発誘導地区等の区域についてはその目的に適合するよう用途地域等を指定すること」となっている。このように開発先行で用途地域が後追いする結果になっています。用途地域改正されれば、先ほどの和田議員の質問にもありましたけれども、私は地価が高騰するということに当然なるだろうと思います。この点についてどのようにお考えか、大臣にお伺いいたします。
  100. 市川一朗

    ○市川政府委員 再開発誘導地区等におきまして、いわゆる再開発を行うためにいろいろ高度利用等を図る必要がございます。そのために用途地域の変更等も御指摘のようにあるわけでございまして、その結果、その当該土地の価格が、利用価値が上がることに伴いまして上昇するということは現実的にもあるわけでございます。  私どもといたしましては、例えば東京の地価問題を考えまする場合に、最も重要なものは、住宅等に必要な宅地が必要なだけ供給されている、いわゆる需給のバランスがとれているということだろうと思っておりまして、土地の有効利用促進は、そういった観点からいきまして、需給バランスの改善に資するというふうに考えておりますので、トータルとしての地価問題を考えます場合には、十分適正な地価の形成に資するものである。やはり、高度利用すべきところは高度利用をし、必要なオープンスペースはきちんととり、良好な環境を保全しながら、都市づくり、町づくりを考えていくという観点で考えるべきだと思っております。
  101. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 用途地域改正をして、そこへ再開発を行うというところもありますけれども、そうではなしに、再開発誘導地区をまず設定をして、その目的に適合するように用途地域改正する、こういうことを今申し上げたわけです。それは開発先行になっているではないか。この点、いかがですか。     〔渡海委員長代理退席、片岡委員長代理着席〕
  102. 市川一朗

    ○市川政府委員 再開発誘導地区関係の再開発考え方につきましては、それぞれの都市計画区域ごとに再開発の基本方針を定めまして、どこを再開発していくか、どういう形で再開発していくかということを決めながらやっていく。再開発誘導地区というのはそういう制度の一環でございますので、そういった方向に応じまして必要な用途地域の変更も行うということは、開発中心型といいますよりは、いわゆる再開発という町づくり中心型ということで、私どもとしては、都市計画トータルの中で、それでは手続的にどちらが先行するかどうかという問題につきましてはいろいろ御議論があろうかと思いますが、基本的には、トータルの町づくりの考え方の中で進められている以上、適正なのではないかというふうに思っておるところでございます。
  103. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 ですから、用途地域は基本的には変わらないというお話がありましたけれども用途地域は、実際指定しておっても、その後、こういう開発先行型の用途地域改正が行われるわけですから、したがって地価も上がるだろうということを言っているわけですよ。ですから、この法律案によって用途地域を指定するんだから、それは地価が上がらないんだとか、変わらないんだとかということはあり得ないことであります。このことを指摘しておきたいと思います。  次に、誘導容積制度について伺いたいと思います。  この制度は、土地の有効・高度利用が強く要請されているのに、現状は指定容積率建築物容積率との間に大きな差があることに着目して、そこでこういう制度を導入したんだろうと思います。問題は、なぜそのような差が生じたのか。この点、どうお考えですか。
  104. 市川一朗

    ○市川政府委員 現在、用途地域で定められております容積率といいますのは、都市全体の観点から、住宅、商業、工業等の用途の配置及び密度を勘案いたしまして、それぞれの都市の基幹的な公共施設の配置計画等を考慮して、その整合性を図りながら決めているわけでございます。  したがいまして、現時点におきまして、それぞれの地区道路等の公共施設が不十分な場合には、必ずしもその計画どおりの容積率に見合った有効利用ができないという実態があるわけでございます。  それから、やはり高度利用をするとなりますと、どうしてもある程度敷地がまとまらなければなりません。狭小な敷地に細分化されておりますところを共同化をいたしまして、ある程度まとまった状況の中で高度利用を図っていくといったようなことにつきましては、なかなか手間暇もかかる、合意形成に時間がかかるというような意味合いもあると思います。そういったような状況が、現在の状況で指定容積率と現状の容積率との格差につながっているというふうに私どもは理解しております。
  105. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 現状がこのようになったということは、とりもなおさず政府の施策あるいは行政の責任だろうと思うのです。決して住民責任ではありません。むしろ、これまで規制緩和をし続けてきた歴代内閣の政策によってこのような格差を生んでいるというふうに私は思うわけですが、その点はどう思いますか。
  106. 市川一朗

    ○市川政府委員 やはり公共施設の整備がおくれているというようなことは、特に道路等の、いわゆる地区関係の道路等の整備がおくれておるといったようなところが現在の高度利用がなかなか進まないという実態にあると思いまして、なぜそういった公共施設の整備が進んでいないかといったような問題につきましては、御指摘のとおり、国にも責任があると思いますし、何といいましても、それぞれの責任ある地方公共団体における行政の責任もあると私どもは思っております。
  107. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 ところで、この制度で実際に容積の適正な配分を受けられるのは、資金力のある企業、金持ちだけということになるわけです。地区住民間で恐らく不公平感が生じるだろうと思いますが、その点についてのお考えをお聞きしたい。
  108. 市川一朗

    ○市川政府委員 今回の誘導容積制度は、本来、土地の有効・高度利用が必要とされているにもかかわらず、地区道路等の公共施設が不十分であるといったようなところから低利用にとどまっている市街地等を対象といたしまして、その土地の有効利用の促進と良好な都市環境の形成を図る制度でございまして、ただいま先生から御指摘ございましたような形で、地区内の住民のために何らプラスにならない制度として活用されることは絶対にあってはならないというふうに私どもは思っておりまして、そういったような方向で指導もしてまいりたいと思っております。
  109. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 これまでの私の経験からいいますと、結局、隣接地に土地を持ったり、あるいは再開発を計画しているところが中心にならざるを得ないということなんですね。そういう点では、大変不公平な制度でもあるということを指摘せざるを得ません。  そこで、これは地区計画に基づいてやられるわけですけれども地区計画に類似した制度として、再開発地区計画、沿道整備計画等々あるわけです。この制度誘導容積制度とをかみ合わせる場合に、どういうことが考えられるのでしょうか。
  110. 市川一朗

    ○市川政府委員 誘導容積制度は、先ほど来御答弁申し上げておりますが、主としてイメージしておりますのは、既成市街地の中の低層高密な木造住宅の密集市街地等の有効・高度利用、これを図りたいと考えておりますが、再開発地区計画は、主として工場跡地等の低・未利用地を思い切って土地利用転換いたしまして、有効・高度利用を図るという場合に最も適した制度であるというふうに考えておりまして、そういう意味におきましては、誘導容積制度と再開発地区計画との適用関係は、それぞれ場合と場所に応じまして適用していくことになろうかと思います。  例えば、同じ地区計画の中で用途別容積地区計画というのがございますが、これは、いわゆる都市内におきまして特に高度利用を図る際に住宅の場合だけは容積率を上乗せできるという制度でございまして、こういったようなものは、今回の誘導容積制度一緒にかみ合わせますと、かなり住宅の確保という点では有効に働くのではないかというふうに考えております。
  111. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 容積率の特例が実際には敷地面積の最低限度や壁面の位置の制限しかなく、私有地である敷地内には若干の空地しか確保できない。開発業者に対して、公園道路などの公共のオープンスペースを提供させたりすることなしにこうした容積率を緩和していいのかという問題、その容積率を緩和する根拠、その上限をどう考えているか、お尋ねいたします。
  112. 市川一朗

    ○市川政府委員 私どもの理解は、今回の法の中でいわゆる容積率の適正配分といいますのは、単なる容積率の緩和ではございませんで、基本的には、その地区内の既に定まっております容積率の総量の範囲内ということであると理解しておりますので、そういう意味では、歯どめは現在の容積率の総量の範囲ということがまず基本だろうと思います。先ほど申し上げましたように、用途別容積地区計画とかそういったものとの組み合わせとか、特別の場合にはいろいろな変化はあり得ると思いますが、基本的にはそういうことであると考えております。  それから、実際には、地区計画でございますので、地区施設としての街路の整備あるいは緑地空間の確保等も図りながら、建築物につきまして敷地面積あるいは壁面の位置等も決めていくということになりまして、いわゆるでき上がりを見ながらそういった容積率についても決めていけるという意味合いでございますので、いろいろな意味でむしろ規制としては厳し過ぎるくらいのものでございまして、十分な歯どめにはなっているというふうに私どもは理解しておるところでございます。
  113. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 地区計画道路を定めるといっても、計画があるというだけで容積率制限を緩和する規定まで建築基準法に用意されていると思います。実際には、計画された道路がつくられることなしに、容積率だけ利用されるということになりはしないでしょうか。これによって得られる利益は莫大であり、開発利益を社会に還元させるという点では大変ずさんな制度ではないかと思いますが、いかがですか。
  114. 市川一朗

    ○市川政府委員 今回の誘導容積制度一つの最も大きなポイントは、道路等の公共施設が未整備な段階では低い容積率を設定する、それを暫定容積率と私ども呼んでおります。そうして、地区計画等におきまして公共施設等の整備がしっかりと計画された場合に、それに見合った容積率が決められるという考え方でございますので、計画された道路がつくられることなしに容積率だけが利用されるというようなことにはならない、制度としては今までになかった制度であるというふうに私どもは理解しておるところでございます。
  115. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 容積率の適正配分を住宅用途の建築物に対する緩和とあわせて適用する場合があるのか、その場合、指定容積率の何倍まで緩和が可能になるのか、お尋ねいたします。
  116. 市川一朗

    ○市川政府委員 先ほどもちょと御答弁させていただきましたが、用途別容積地区計画をあわせて適用する場合が、ただいまの御質問に対します。番典型的な例であると思います。その場合の上限は指定容積率の一・五倍までということになっておりまして、それらは住宅として利用される場合ということを想定しておるものでございます。
  117. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 東京などでは、御承知のとおり道路もごみの処理も既に満杯であり、住環境も年々悪化しております。指定容積率市街地の環境を守るための最低限度の基準のはずではないのか、安易に緩和していいのか。むしろ指定容積率そのものを引き下げる必要があるのではないか。
  118. 市川一朗

    ○市川政府委員 少なくとも今回の誘導容積制度に関しましては、指定容積率の総量の範囲内で行うものでございますから、決して指定容積率を緩和するものではございません。さらに、その地区に限りまして道路等の公共施設の整備が不十分な場合にこの制度が適用されますので、その間におきましては、指定容積率よりも低い容積率が暫定的に適用されることになりますので、そういう意味におきまして容積率が低い形で出発するという側面も持っておるということにつきまして、ぜひ御了解いただきたいと思う次第でございます。
  119. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 大臣に答えてもらいたいと思うのですが、今いろいろやりとりいたしましたけれども、この誘導容積率の制度は、当然土地の高度利用ということになるわけですが、同時に、地価高騰を誘発する、常識的に考えてどうしても私はそう思わざるを得ないわけです。いかがでしょうか。
  120. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 大都市地域におきます土地の有効・高度利用を促進いたしますことは、住宅宅地の供給の面やあるいは良好な都市環境の形成の面から見ましても、重要な課題であると認識をいたしております。  そこで、土地の有効・高度利用の結果といたしまして住宅等の供給が増加すれば、需給バランスによりまして住宅価格の安定につながるということもございまして、都市全体から見れば適正な地価水準の形成に資するものと考えております。
  121. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 どうしてもこの制度が地価高騰を誘発するというお答えはできないだろうと思うのですが、私は今までの経験から、その地区における地価水準は間違いなく上がるはずだというふうに思います。この点は指摘をしておきたいと思います。  次に、都市のマスタープランと地区計画等との関係についてお尋ねいたします。  中央都計審の答申によると、現状では土地所有者等関係者の意向がまとまるようなきっかけがなく、また合意形成を誘導するような手段も用意されていないという問題がある、このため、市町村による都市計画のマスタープランにおいて地区計画等の策定を推進すべき地区を明示する必要があるとしている。つまり、再開発地区計画等が誘導する役割を果たし、道路網整備の基本方針等もマスタープランに明示することを求めているように思えるわけですが、間違いありませんか。
  122. 市川一朗

    ○市川政府委員 そのとおりでございます。
  123. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 こうした考えは今に始まったわけではなくて、これまでの東京都における手法を見ておりましても、再開発促進地区及び再開発誘導地区都市計画決定に当たって取り入れられてきていることであります。  私がなぜこのような質問をするかというのは、マスタープランというと大変聞こえはいいわけでありますけれども、実際には、国の計画なりあるいは都市計画なりというものを前提とせざるを得ない、つまり、言葉をかえて言えば、がんじがらめになってきているわけでありまして、それをマスタープランというようなきれいな言葉で方針をつくりなさいというようなことを言われているにすぎないものだと思うわけです。真のマスタープランはこれによってはつくれないというのが私の体験でございまして、このことを指摘しておきたいと思います。  そこで、少し具体的に例証をしなければいけないと思うのですが、実際は、昭和六十一年九月八日の第七十九回都計審、私が委員のときですけれども東京都内の再開発促進地区及び再開発誘導地区二百五十八ヵ所、これを一括都市計画決定しております。私は、このようなことは全くの暴挙であるということを強く主張したわけでありますけれども都市計画委員というのは、御承知のとおり、知事の推薦、指名によって出ておる方が多いわけでありまして、賛成は極めて少なかったわけでありますが、それはさておきまして、しかも、この二百五十八カ所の地区を決めるのに、公聴会を都内で七会場しか設けない、都内で七会場ですよ。  しかも、その中で公述人の状況を見てみますと、私が住んでおります世田谷区、人口八十万人、世田谷区民の公述人は一人もいない、ゼロ、こういうようなことが実際の都市計画の実態なんです。都市計画法というのは、地方ではこのように行われているのです。  こういう点についていかがお考えでしょうか。
  124. 市川一朗

    ○市川政府委員 昭和六十一年九月八日といいますと、東京都に聞きましたところ、再開発方針を定めまして、そこで誘導地区等を定める都市計画の内容だったようでございます。  実は、私ごとで恐縮でございますが、私も県庁におりまして、ある県で、かなりの大都会につきましてちょうど同じような都市計画決定手続等も行ったわけでございますが、こんな二百五十八ヵ所にも上るものではございませんで、たしか十数ヵ所ぐらいだったと記憶しております。それでもかなりの大都市でございました。  二百五十八カ所となりますと、さすが東京都だなという、まず感想を持つわけでございますが、東京都の都市計画は、先生御案内のとおり、東京二十三区を一つにしてございますので、その東京二十三区全体についての再開発方針を定める、それで将来の再開発を進めるところについての促進地区、誘導地区、一・五号地区と呼んだりしているそうでございますが、そういった地区を一括して二十三区内の東京都の計画の中で配置していくということの議論のようでございまして、それは全国でそういう手続は行っていたわけでございまして、そういう意味におきましては、やはり一つ都市計画区域全体で総合的に議論せざるを得ないと思います。また、すべきだと思っておりますので、二百五十八ヵ所というのはさすが多いなどは思いますが、東京都の実態からして、やはりマンモス都市東京の宿命がなというふうに思っております。  それから、七ブロックでしか公聴会が行われていないということでございますが、これも東京都は、例えば都心三区、千代田区、中央区、港区を一つのブロックにいたしまして、そんなくくり方で、御指摘がございました世田谷区の場合は、目黒区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区と合わせまして第五ブロックとして位置づけまして、東京二十三区を七ブロックに分けてやっておるのが実態でございます。  若干くくり過ぎかなという感もしないではありませんが、しかし、現実には大体このような仕組みでいろいろな問題を処理しておるということでございまして、私どもといたしましては、東京都の都市計画担当部局の日ごろの御努力ということに対しては高い評価をしておりますので、万般その御説明等に不行き届きはなかったと確信しておるところでございますが、ただいま先生からそういう御指摘があったということについては、東京都にも伝えておきたいと思う次第でございます。
  125. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 二百五十八ヵ所の再開発地区を、都計審といっても午後一時から五時ぐらいまでの間で、論議のしょうがないじゃないですか。しかも人口八十万の行政府です。特別区とはいっても、市並みにせよと言って、区長を先頭に運動が今行われている。人口八十万の地域に二十カ所前後の再開発地域ができるのに、そこの住民が身近で、行政区内の会場で発言もできない、頭越しで決められているんですよ。  私が言いたいのは、手続上も問題があるけれども都市計画がこのようにして行われているというところが大問題だということなんです。そういう点を国自体も再認識をしてもらわなければ困るということです。都市計画法は確かに手続法的な面があります。あるけれども、その運用がこのようにでたらめに行われていたのでは、ここで幾ら大臣なり皆さんがきれいごとで答弁しても、何の意味もない、こういう点を指摘をしているわけであります。  都市計画法では、公聴会の開催についてどういうふうに規定しているのですか。
  126. 市川一朗

    ○市川政府委員 必要に応じ開催するという規定になっております。
  127. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 開催するだけですか。住民意見はどうなんですか。
  128. 市川一朗

    ○市川政府委員 都市計画につきましては、案の縦覧、地元説明会、それから公聴会、これらはすべて住民意見を十分に反映させるという基本的な考え方で規定されておる手続でございまして、当然公聴会も含めまして住民意見の反映のための手続というふうに理解しておるところでございます。
  129. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 都市計画法では「必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。」こうなっているわけです。住民意見を反映させるためなんです。今言ったように、住民意見を反映させないために公聴会をやっているわけだ。だから、けしからぬと言っているのです。都市計画法にも、精神にも反しているということを言わざるを得ません。  そこで、公聴会のあり方について、大臣、今後どう進めていくのが適切であるというふうにお思いでしょうか。
  130. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいま先生から公聴会につきましていろいろと御指摘があったわけでございますが、やはり住民意見が適切に反映されるような公聴会でなければならないわけでございまして、そういう方向で建設省としてもこれから特に力を入れてまいりたいと思っておるところでございます。
  131. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 次の問題は、昭和五十七年十一月に出された建設省の都市局長通達の問題点であります。  どういうことかというと、環境影響評価書と都市計画案とをあわせて都計審で審議し、都市計画決定するという内容です。この局長通達は都市計画法のどこに根拠を置いていますか。
  132. 市川一朗

    ○市川政府委員 都市局長通達を都市計画手続につきまして示しておりますのは、基本的には、都市計画法に基づく所管大臣としての建設大臣の命を受けた局長通達ということになるわけでございますが、この環境影響評価との関係につきましては、昭和五十九年八月に閣議決定されております環境影響評価実施要綱というのがございます。それに基づく一連の手続等について都市局長から通達をしておるというふうに理解しておるところでございます。
  133. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 私が聞いているのは、五十九年八月の閣議決定以降のことではなくて、昭和五十七年十一月の局長通達についての問題を指摘しているわけです。いま一度答えてください。
  134. 市川一朗

    ○市川政府委員 大変失礼申し上げました。  一般的な、先ほど申し上げました都市計画法の所管省としての局長通達ということでございます。
  135. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 ですから、都市計画法の根拠はどこにもないということで理解していいですね。
  136. 市川一朗

    ○市川政府委員 局長通達として都市計画行政について都市計画決定を行う地方公共団体を指導するという一般的な考え方に基づいた通達でございます。
  137. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 都市計画法には根拠がないというお答えですけれども、私はそのとおりだと思うのですよ。いま一度答えてください。
  138. 市川一朗

    ○市川政府委員 都市計画法にまず指導監督の根拠がございますし、建設省設置法にも都市計画に関する事務を管理しこれを実施するという根拠規定がございまして、これに基づきまして、必要に応じ私どもは通達等を示しまして、地方公共団体の都市計画行政に関しまして必要な指導を行っておるというところでございます。
  139. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 都市計画法に、当該都市計画について、「公害防止計画が定められているときは、都市計画は、当該公害防止計画に適合したものでなければならない。」こう規定されておりますが、それは間違いないですね、第十三条。
  140. 市川一朗

    ○市川政府委員 そのとおりでございます。
  141. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 そこでお伺いするのですが、局長通達と東京都の環境影響評価条例とはどちらが優先するとお考えですか。
  142. 市川一朗

    ○市川政府委員 御質問の御趣旨をちょっと理解できないことをお許しいただきたいと思いますが、条例を定めております以上は、それは条例は極めて重要な意味を持つわけでございますから、条例よりも都市局長通達が優先するということをちょっと都市局長としては考えにくいわけでございますが、しかし私どもの通達は、そういった条例の制定等に関しましても、よりよい都市計画行政であってほしいという観点からお出ししている場合もあるわけでございますので、そういった面につきましては、それぞれが相まって適切な行政が展開されるということを考えておるところでございます。
  143. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 我々が一般的に、常識的に考えるのは、条例によって環境評価をやるわけです。そして、議会としても、あるいは都市計画の審議会としても、もちろん住民立場からは十分環境アセスを慎重に審議をして、その上でこの都市計画に賛成すべきかあるいは変更すべきか、反対すべきかという判断を主にしていると思うのです。  ところが、実際はどうなっているかというと、環境影響評価書と都市計画案を同日、同時審議しなきゃならない、こういうふうになっているのですよ。その根拠が局長通達なんです。東京都の公害防止条例や環境アセスの条例の精神から見ると、極めて不合理な内容なんです。なぜ同日審議でなけりゃいけないのか、お答えください。
  144. 市川一朗

    ○市川政府委員 都市計画を決定する場合におきましては、環境影響評価の結果を反映させる必要があるという考え方から、その案を審議いたします都市計画地方議会に環境影響評価につきましてその要旨を提出するということについて通達した次第でございます。
  145. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 同日審議でなければならないという法的根拠を示してください。
  146. 市川一朗

    ○市川政府委員 法的根拠ということにつきましてのお尋ねでございますが、要するに都市計画の案が審議される場合に、それが環境影響評価の結果を踏まえた都市計画の案の審議ということでございますので、通常は同時に出されるべきであるというふうに理解しております。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
  147. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 それでは角度を変えてお尋ねいたします。これは極めて重要な問題なんです。  環境アセスの結果を踏まえた上で都市計画案の審議をするということはお考えのようでありますけれども、十分審議するには、条例に基づくこの評価書について、同日でなくて前日議論をしたい、一週間前に議論したいということを私は考えているわけです。これは違法ですか。違法だと思いますか。
  148. 市川一朗

    ○市川政府委員 環境影響評価の結果を踏まえまして、その都市計画の案が妥当であるかどうかということを議論するわけでございます。  その際、都市計画の中身にもよると思いますが、一般的には、その都市計画の案を御議論いただく審議会の場に同時に環境影響評価の結果についても御提示して、あわせて御議論いただくということでいいのではないかと思いますが、都市計画の内容等によりましては、そういった事前のチェックという意味を含めまして、事前にそういう影響評価の要旨を委員皆さんに配付しておいたりして、あるいは事前の御説明等をして、なるべく当日の審議に多くの時間を費やさないようにというような配慮等、東京都はどうも大きいものでございますのであれでございますが、いろいろな、それぞれの府県におきまして、ただいま申し上げましたようなことにつきましては、計画の案の状況によりましてそういう工夫を凝らしているというふうに理解しておりまして、私どもの通達がそういったようなことは一切妨げているというふうにもしとられておるといたしますならば、それはそんな趣旨ではないということでございます。
  149. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 わかりました。  局長通達が、同日審議でなければならない、あるいは、事前に評価書案を審議することを妨げているというものではない、あわせて、それは法的な根拠は別にないというふうに理解をしているわけであります。  さすがに先ほど、一般的には、一般的にはということなんですが、私がお聞きしているのは、局長通達と条例の絡み、そして、同日審議でなければならないという法的根拠があるのかどうなのか、同日でなしに、この評価書を事前に審議したら違法になるのかどうかということを聞いているわけです。違法なら違法と答えてくれればいいのですよ、法的根拠を聞きますから。違法ではないのなら、違法ではないと答えてくれないと、質問にかみ合わないのですね。
  150. 市川一朗

    ○市川政府委員 先ほどの私の答弁が不十分で、やや誤解をお与えしたことをお許しいただきたいと思います。  私は、都市計画議会での議論はあくまで都市計画の案の議論でございますから、そういう環境影響評価のみの議論を事前に行うということは、実は頭の中になかったわけでございます。都市計画の案の妥当性を議論する上において、場合によりましては都市計画の葉そのものも含めまして、その環境影響評価を審議会の前に事前に委員の方々に配付をしておいて、いろいろと御検討いただくというようなことは、いろいろなところでやっておるし、そういうことを私どもが通達でもって妨げているというふうにとらえているとすれば、それはそういう趣旨ではございませんということを申し上げましたのです。  都市計画議会におきまして、都市計画の案を離れまして環境影響評価というものを議題として取り上げて、それで議論をするということまで、きょう、私、お答えしたということにもしなりますとすれば、それはちょっと私の答弁の至らなさでございまして、その部分は撤回させていただきたいと思う次第でございます。
  151. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 これは、法的な根拠もないことをただ抗弁されているわけでして、通達が絶対に間違いないのだ、絶対正しいのだという立場をただ繰り返し言われているので、非常に問題なんです。  大臣、この点をぜひ検討していただきたいと思います。どうでしょうか。
  152. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 局長通達と条例とが矛盾するということはないと考えております。と申しますのは、局長通達も法的根拠があって出されたものでございますし、条例も法体系の中で矛盾してはならないものが定められると考えているからでございます。
  153. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 この審議のときに、東京都の環境保全局は、アセスの条例案について事前に審議することは一向に差し支えないと考えておりますが、局長通達がありますのでということを頑強に言って、それを根拠にして同日審議に持ち込んでいるのですよ。その辺の不合理については、ぜひ今後とも慎重に検討してもらいたい。一度出した通達は誤りないのだという官僚的な発想では困るのです。このことを申し上げておきます。  それで最後に、これは端的にお聞きするのですけれども、わかりやすく言えば、都市計画都市計画道路を決定しますね。都市計画道路を変更する場合は、また都計審にかけて変更ができます。道路などを環境影響評価の結果、廃止する必要があるという場合が出てくるわけですが、廃止は可能でしょうか。
  154. 市川一朗

    ○市川政府委員 都市計画につきましては、都市計画の変更手続もございます。したがいまして、理論的には廃止も含め、都市計画の変更は基本的には可能であるというふうに考えております。
  155. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 計画道路を廃止した場合、いろいろな問題点があることは承知いたしておりますけれども、単に変更だけではなくて、廃止もあり得るのだということをお聞きしましたので、了解いたします。  時間が来ましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
  156. 古賀誠

    古賀委員長 次に、薮仲義彦君。
  157. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、先日に引き続きまして都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案について、大臣並びに関係の局長に質問をさせていただきます。  先日私が申し上げましたように、この都市計画決定、これは大臣とも長時間やりとりいたしましたけれども自分の住む町、私の村、私の住んでいるところ、そこが理想的な住みやすい町づくり、住んでいる人が住み続けられて最も住みやすい町になっていく、このための都市計画であってほしいということをお願いいたしました。また、この都市計画は、行政のいわゆる専門家サイドでつくった計画、それが何の反対もなくできたからいいということではなくて、むしろ全住民が総意で、我が町をこのような町にしよう、そういう都市計画であってほしい。これには全住民が参加すると同時に、行政も、そしてまた議会も同じ気持ちになって、一生懸命論議をして、そしてみずからの知恵と、みずからの努力と、みずからの苦しみの中で新しい町づくり、つくっていっていただきたいということをお願いをいたしました。  先日大分そういう論議で時間を終始しまして、幾つかの具体的な問題を確認しておかなければならないことがございますので、きょうは端的に要点だけを少しお伺いいたしますので、きょうは時間が余りございませんので、要点をお答えいただければ大変助かると思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  最初に、まずこの都市計画に対する一番の期待は、これはもう大臣御承知のように、あの狂乱、土地神話と言われた地価の高騰のとき、政府を挙げての地価対策に国民が求めたのは、やはり適正な価格での地価のあり方ということであったと思うのです。そこで政府は、税制、金融あるいは国土法による土地取引、あらゆる手段、方法を講じてやってまいりました。  先般来申し上げておりますように、あの地価高騰の引き金は、商業、近隣商業のいわゆる業務系のオフィスビルの進出によって住居系が駆逐された。いわゆる経済原則でいけば土地はどんどん上がっていきます。そこで住居系も引きずられて地価が上がったというところに始まったわけでありますが、私は先般来都市局長に、都市計画による商業、近隣商業地域あるいは住居系地域においての地価高騰を抑えるようにしっかりとした都市計画であってほしいということをお願いいたしました。  あわせて、きょうは国土庁に再確認をいたしておきたいことは、やはりこの商業、近隣商業における都市計画、これは、ここにいらっしゃる諸先生も、大臣ももう先刻御承知のように、これで一〇〇%だとはだれも思っておりません。  土地の安定に最も責任のある国土庁土地局長に確認をしておきたいのでございますが、やはり商業、近隣商業の地価の安定に対して、どうかこれからもしっかりとした政策を立てていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  158. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 今回の地価高騰におきまして、用途の混在を比較的広目に許容しております土地利用規制のもとで、業務ビル等の商業業務系の土地利用の住宅地への無秩序な進出が、住宅地の地価を上昇させる一因になったということは、ただいま委員御指摘のとおりだろうと思います。  今回の都市計画法等の改正案におきましては、御承知のとおり用途地域を細分化いたしましてきめ細かな用途規制を図ることとされておりますが、これは住宅地においては、土地利用状況等を勘案しながら可能な限り許容される非住居系用途の範囲を限定し、地価に対する負担力の違いから生じます住居系用途からの他用途への利用転換圧力を弱めまして、用途ごとの需給関係に見合った地価水準の形成に寄与するものというように考えております。  したがいまして、ただいま具体的にお話のございました近隣商業地域あるいは商業地域に現存いたします住宅地におきます地価対策につきましては、今回のこういった都市計画法の用途規制に上る対応と相まちまして、国土利用計画法におきます監視区域制度の機動的かつ的確な運用、あるいは先般総合見直しか行われました土地税制の適切な活用等のほか、今年からはいわゆるトリガー方式の活用ということになりましたけれども、先般来引き続きます土地関連融資のいろいろなサイドからの御指導というものをやってもらっておりますので、そういった対策も含めまして、各般の施策を有機的な連携をとりながら総合的に実施いたしまして、とにかく投機的取引を抑制しつつ、適正な地価水準の実現を図るという方向で各般の施策を着実に推進していくことが必要だろう、かように認識しているところでございます。
  159. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか、国民が一番期待し関心を持っているのは、もう再びあのような狂乱地価にしないでほしい、この願いだけは、きょうここにいらっしゃる大臣初め、都市局長、そして鎮西局長等、地価については最も責任ある方でございますので、重ねて鎮静化のお願いをいたしておきます。  そこで、やはり住宅政策が今非常に重要だと思いますので、商業、近隣商業において、やはり業務ビルに負けないように、住宅局長としても、しっかり居住機能を上げてほしい、住めるような商業、近隣商業地域であってほしい。そのための住宅局長の具体的な取り組みの方法、特にやはり都心部において最近住み続けられない、コミュニティーの崩壊ということが言われておりまして、かねてから我が党はコミュニティーということをずっと言ってまいりました。  人が住んでこそ町であり、都市である、そのためには団地を遠くへつくるのじゃなくて、都心の土地を持っている方と連携して、借地方式なり借り上げ方式でコミュニティーにパブリックの住宅をつくるべきだ、借地、借り上げ方式を積極的に推進していってこそ都心の住宅確保ができるとお願いしましたけれども、住宅局長、この商業、近隣商業にも住み続けられるようなしっかりとした住宅政策を遂行してくださると信じておりますが、いかがですか。
  160. 立石真

    ○立石政府委員 先生の今おっしゃいました、人が住んでこそ町であり、都市であるということが、非常に私感銘を受けて聞いているところでございます。  まず、商業、近隣商業地域における性格を考えてみますと、丸の内とかあるいは新宿副都心のように、完全に特別な商業業務拠点になる地域もあります。しかしながら、例えば台東区の六割が商業系の地域に指定されているようでございますが、こういうような地域を含む大都市の多くの商業地といいますのは、住宅と商業業務機能が併存しまして、そして一定の夜間人口を持って、コミュニティーを持ってその地域をつくっていくということが、都市づくりの基本の一つだろうと考えているところでございます。  そういう面から、これまでの都市計画建築規制の分野につきましてのいろいろな施策、今回の用途地域制あるいは特別用途地区改正、さらに例えば中高層階住居専用地区あるいは誘導容積地区制度改正等につきましては、これまでずっと議論されておりますので、私からは省略させていただきたいと思いますが、それらのうちでも、そういう手法の上にあります特に市町村都市計画に関する基本的な方針が創設されるところでございますが、それらの中におきまして、住宅確保を図るための地区計画、こういうものについても位置づけられるということもございます。  大都市法におきまして住宅宅地の供給基本方針が定められ、供給計画が各都府県によって定められておりますが、こういうような広域的な面からも、住宅宅地供給について遺憾のないように積極的な推進を図りたいと考えているところでございます。  また、これらの都市計画建築規制と並びまして、いろいろな住宅確保のための事業を進めております。先生の御指摘になりましたコミュニティーをつくっていくためのパブリックな住宅供給あるいはまた各地域住居地域についての環境を向上させながら住宅を供給する事業の推進、またいろいろな工夫としまして、例えば借り上げ公共賃貸住宅あるいは借地型の公共賃貸住宅の供給等パブリックな面と、あるいはプライベートの面とも組みながら、今後とも積極的に住宅対策を推進していきたいと考えているところでございまして、よろしく御支援をお願いいたします。
  161. 薮仲義彦

    薮仲委員 大変積極的に取り組んでくださるということで、もう一つ重ねてお願いしておきたいのですけれども東京都はもう一度都心へも居住機能を回復しようということで努力しているようでございます。今局長おっしゃられたとおり、大都市圏の住宅供給計画でございますが、東京都心三区のすばらしい住宅環境をつくってくださると信じておりますが、簡単で結構ですけれども、このことはいかがでしょう、住宅局長
  162. 立石真

    ○立石政府委員 都心地域については、先生御指摘のとおり、大変人口が減少しコミュニティーが崩壊するといういろいろな大きな悩みを持っているところでございます。最近、例えば中央区等の特別区、地方自治体においても、積極的に住宅確保のための施策を講じたいという姿勢を持っているところでございます。国も、これらの行政体と一体となって、住宅確保を進めてまいりたいと考えております。
  163. 薮仲義彦

    薮仲委員 よろしくお願いをいたします。  次に、きょう午前中参考人の質疑を伺っておりまして、これは大変だなと感じたこともございます。真鶴町の三木町長さんがお見えでございました。その参考人意見開陳の中で、これは大臣ももう既にお聞き及びだと思いますけれども、あの小さな町、真鶴に、六十三年までに七十二棟のマンションができまして、即日完売してしまった。六十三年に十九棟千二百二十四戸ができた。あんな小さな町に九十一棟もできた。何とかこれを抑えようとしたけれども、抑えられなかった。やむを得ず、上水道の規制をかけるという議会議決によって上水道からマンションを規制したのですという苦しいお話がございました。  あのお話の中に、やはり地域には地域の特性を生かした都市計画をやらせてほしいという期待がございましたけれども、きょうはその中で、特に今度の建築基準法改正の中で、こういう真鶴もそうですけれども、長くは申しませんが、リゾート開発の中で、特に越後湯沢のことなどはよく出てまいります。テレビでも新聞でも報道されますけれども、一挙に人口が五倍になった、町内に完成済みマンションが五十一棟一万千百一室ある。こんなにあると、あそこにマンションが林立するわけですね。  これは今の都市計画区域外あるいは都市計画区域内のいわゆる白地、用途地域の指定のないところの問題であるわけです。現行の建築基準法上は、いわゆる用途地域の指定のないところについては容積率、延べい率を四〇〇、七〇として、今度の建築基準法改正で二〇〇、六〇に改正しました。  これは確かに私は評価するのですが、きょうの三木町長の話を聞いておりますと、あの真鶴などは、二〇〇で七階、八階のマンションが全部建っちゃいました、容積率四〇〇じゃなくて二〇〇で建っちゃうんです、ですから、メニューをもっとふやしてほしいというお話もございました。私は、やはり建築基準法の中にメニューがたくさんあった方がいいのじゃないかな、こう思いますけれども、住宅局長、どうですか。
  164. 立石真

    ○立石政府委員 都市計画区域外または都市計画区域内の白地地域におきましても、建築について秩序立てるための何らかの規制を行っていきたいということが、今回の内容でございます。特に、御指摘のように、リゾートマンションが非常に既存のやわらかな規制の中において、かなりいっぱいいっぱいにそれらを活用して、周辺に無秩序な混乱を及ぼしている例も、幾つかの地域で見られるところでございます。  今回は、例えば都市計画区域内の白地地域におきましても、これまで容積率四〇〇%、建ぺい率七〇%というような最高限度の規制があったものを、二〇〇%、六〇%のメニューを追加したいという内容でございます。これらによってかなりの程度建築の秩序が保てるものと考えているところでございますが、いろいろお聞きしているところでは、それらによってもまだまだ問題があるとすれば、やはり地域の実情等を頭に置きながら、もう少し慎重に考えていきたいというように考えているところでございます。
  165. 薮仲義彦

    薮仲委員 これはどうか、真鶴町長さんのお話を聞きながら、私も、ああそうだなと、はたと思い当たったのですが、ああいう傾斜のがけ地ですね、がけ地にマンション建てますと、高さが非常に高くなるのですね。建てられるのですね。これはもう少し私も勉強しなきゃいかぬと思っておるわけですが、私の熱海もそういうところがあるわけです。  やはりこれに対しては、建設省もいろいろ指導し、また要綱等を改正していらっしゃるようでございますけれども、こういうことを考えますと、どうか二〇〇、六〇、いわゆる容積率二〇〇%、建ぺい率六〇以外に、容積率一〇〇とか、あるいは三〇〇とか四〇〇とか、もっと小さくする方向へも、条例の中でこれはできるように改正してくださっておりますので、やはり容積率一〇〇とか三〇〇、四〇〇、建ぺい率も六〇だけじゃなくて、もうちょっと下の五〇とかあるいは七〇とか、いろいろメニューがあれば、その地方できちっとした条例の中でそれを取り込んでいきたいと思いますので、これはやはり検討いただきたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。
  166. 立石真

    ○立石政府委員 これらの地域におきます無秩序な建築物建築による土地利用の混乱あるいは市街地環境の悪化の防止を図るために、施策の充実に努めてまいりたいというように考えております。
  167. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかその点を踏まえて、よろしく結論を出していただきたい。お願いいたしておきます。  それから、次の問題に移りますけれども、時間があればお伺いしたいのですが、住居系の駐車場というものが、非常に今までと違ってまいりました。いわゆるモータリゼーションの異常なまでの発達といいますか、発展といいますか、それによって、住居系のおうちでも、一家で車を複数台持つような時代になってまいりました。そうすると、住居系の駐車場というものに対して、今までのような厳しい規制だけでは困るのかな。今度の法改正で大分それが、基準が緩和されておりますが、それはそれでもう少し質問したいのですが、きょうはそれはちょっとお願いをしておきます。何とか住居系を、駐車スペースについては、十分地域の条件を反映して条例等で処理できるようにいろいろ御検討いただきたい。  きょう一番質問しておきたい核心の部分は、現在いろいろなところで誤解といいますかトラブルがありますのは、自走式の駐車場、いわゆる簡便な二階建ての駐車場ですが、雨が降っても下へおっこちる、壁もない、ですからこれは建築物じゃなくて構造物だ、こういう問題があるわけです。建設省は、これは建築物だ、こう指導はしてらっしゃるんですが、しかし、これは建築基準法上に明定してございませんので、法律上きちっとしておきませんと、やはりこれは単なる指導要綱なり行政指導ということで、これはかえって混乱を生ずると思うのです。  もしも本当にドライバーの生命の安全あるいは構造物の安全基準等を考えるんだったら、もしも本当にこれがそういう意味で建設省としては建築物なんだと言うんだったら、建築基準法上にきちんと私は明定する必要がある、いわゆる機能としてこういうものは建築物と明定する必要があると思うのでございますが、この自走式の駐車場について、トラブルを是正するためにも、私は建築基準法上きちっと要件を明定すべきだと思いますけれども、いかがですか。
  168. 立石真

    ○立石政府委員 いわゆる自走式自動車車庫と申しますのは、乗降に際しまして駐車空間の内部とか上部を人が歩くというようなことから考えまして、他の一般的な建築物と同様の使い方がなされるというふうに考えておりまして、また、形態的にも屋根と柱を有するものであるので、建設省としては、従来から建築物として取り扱っているところでございます。  しかしながら、一部では屋根に穴があいている鋼板を使うというようなことから、雨露をしのがないから、これは屋根ではないというような理由で、当該車庫は建築物ではないというように主張しまして、安全基準を無視して建築している実態がございます。これらの実態に対しまして、特定行政庁が是正命令を出すなどのトラブルが生じているところでございます。  建設省といたしましては、こうした自走式の自動車車庫につきましては、やはり良好な市街地環境を確保していく中で建ててほしいということ、それと同時に、安全性は具備したものでなければならない、こういうような観点から、特定行政庁を通じて指導の徹底に努めているところではございますが、先生の法律上きちっとすべきであるという御指摘については、貴重な御指摘だと思っているところでございます。
  169. 薮仲義彦

    薮仲委員 私、前に駐車場法のビルの駐車場の附置義務のところで、当時の都市局長、牧野都市局長に質問をした経緯があるわけでございますが、ビルの附置義務については、強度についての基準がなかったんです。しかし、車が何台がおっこったんですね。特に、トルコン車のバックギアに入れたときのトルクは物すごいですから、ちょっとした車どめは乗り越えて車がおっこったんです。私の地元の静岡でもおっこって、即死です。  これできちっとした安全上の基準を入れていただきましたけれども、やはり構造物の安全ということは、構造物の安全というよりも建築物の安全ということは、非常に建設省の建築基準法上国民が要求する要素だと私は思うのです。きちっとこのことについては明定していただきたいということを重ねてお願いをいたしておきますので、御検討をよろしくお願いをいたしておきます。  それから、これは非常に私が確認をさせていただきたいのは、先ほども問題になっておりましたけれども誘導容積率、この問題について確認をしたいんでございますけれども、私は、土地基本法の審議のときから、ずっと地価の安定であるとか、土地の基本的なあり方はどうあるべきかということを論議してまいりました。あの基本法の精神というのは、もう先刻御承知のように、公共の福祉が優先する、いわゆる土地は適切な計画に基づく利用をすべきであるということが、基本的にうたわれているわけです。  そこで、土地について、個人の財産を付加するような、あるいは個人同士が売買してそれで利益を上げたり、あるいは地価の高騰を招くような事柄であっては困る。これを誤解されますと、容積率を、AさんとBさんが、私の方が低くする、私の容積率をあんた買ってよとか、これは余りいい表現ではございませんけれども、我々が巷間耳にするのは、建設省はそんなことはさせないというお気持ちでしょうけれども、いわゆる総合設計であるとか、特定街区をやるときにそういう話はちらほらと出てまいりますが、今度は大事な都市計画の中で、この総量容積の中での配分ですということはよくわかりますが、これについて私は、個人間のやりとりとか、あるいは地価高騰の要因になるような、基本法の精神に反する、公共の福祉に反するようなことだけはあってほしくない他  これはアメリカでもよく行われていますけれども、アメリカが例えばどういうときに認めているかというと、いわゆる歴史的な建造物、チャペルとかいろいろございますが、その上空はどうする、あるいはこの森はとっておこう、そういう公共の福祉の建造物であるとか緑を確保するためのその上の容積率についてのいろいろな話はございます。しかし、これはどこまでもパブリックです。  公共性を最優先しておりますので、私の懸念というよりも、あるいは通達の中で明定していただきたいのは、誤解のないようにきちんとしていただきたいのは、容積率の適正配分というのは、一つのインパクトを与えて公共施設をもっともっと良好な道路であるとか公園であるとかつくっていこう、いわゆる都市計画施設をつくろうということでの一つのインパクトかもしれませんけれども、それが悪用されないように適正に容積率の配分が行われてほしい、こう期待いたしますけれども、これについて建設省はどういう取り組みをするのか、明確に御答弁いただきたい。
  170. 市川一朗

    ○市川政府委員 誘導容積制度の適用に当たりましては、既に用途地域で指定されております容積の総量の範囲内で土地の有効・高度利用を図るという考え方でございますので、基本的にはまずそういう容積率、トータルについての歯どめがあると理解しておりますが、この誘導容積制度が適用されない場合には、既に容積率は指定されておりますから、その範囲内での土地の有効利用というのは建築確認手続でできるわけでございますが、やはりそれではなかなかいろいろな問題があるというようなところについて適用するわけでございまして、基本的にはそこで市町村都市計画地区計画を定めて、その地区計画に従って容積率が有効に働くような仕組みを御提案申し上げているのが誘導容積制度でございますので、そういう意味におきまして、基本的に土地の利用に関しましてより公共の福祉優先という考え方がこの制度の中に織り込まれているというふうに、まず理解しております。  それから、具体的な適用の問題につきましては、ただいま先生の方からも御指摘ございましたように、歴史的建造物の保全を図る場合とか、あるいは緑地空間等の確保に資する場合、さらには日照等の市街地環境の確保に資する場合、あるいは地区施設の整備促進する場合というのもいろいろあると思います。  先生がそういった面につきましてすべて御理解の上での御指摘というふうに理解したわけでございますが、私どもといたしましても、そういったような問題が全国レベルで、大都市地域中心ではございますけれども、この制度が適正に運用されるように通達でもしっかりとした基準を明らかにして、制度のよりよい運用が図られるよう努めてまいりたいと思う次第でございます。
  171. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか地権者個人、AさんBさん個人同士で云々ということではなく、今局長おっしゃられたように、公共の福祉、そして都市計画というその枠組みの中できちんと行われますよう、指導をよろしくお願いをいたしておきます。  これはこの間論議をしていた問題でございますが、こういう機会ですので再確認しておきたいのは、この間自治省も呼んで、自治省の市町村の基本計画に全部、都市計画法上の基本計画、基本方針、いわゆるマスタープラン全部書けますね、書けます、これは議決事項です、非常に重みがあるものです。しかし、向こうで書いてしまう、書けるわけですね。  こちらの方は、なぜか議決事項にはなっておらないわけですが、もしも仮にマスタープランと基本計画と違うと、議決をもう一回修正して、修正議決してやっていくというようないろいろなことがあろうかと思いますが、市町村の基本計画と同じように、都市計画上の市町村のマスタープランというのは重要なものだと私は思う。議会が本気になって住民皆さんと話し合って、そして行政も議会住民も一体になって、予算の編成から、予算の執行から、その計画の実施に至るまで一丸となってやっていけるように、むしろ私は議会を避けた、住民に背中を向けてどこかでつくるということであってほしくはない。  これは先日読んだ新聞ですが、最後のところは読まなかったのです。きょうは読んでおきます。  「町づくりに責任がある自治体はこというところでございますが、この中で「多くの自治体は「まず、住民が話をまとめてくるのが先決。反対派がいる場合は、こちらから動きにくい」」これは朝日新聞の記事で、千葉市とはっきり出ているわけです。こういうようなことが一般にあると思うのです。  住民が反対しないでできた計画がいい、私はそうじゃない。この間も申し上げましたように、住んでいる人が本気になって、感動して、自分の町をつくっていこうという都市計画をつくってほしいと、私は、大臣にも、局長にもお願いをしたつもりでございます。私は、議会を信用し、そして地域皆さんの声を集約して、二十一世紀の見事な都市計画をつくっていただきたいと思うのでございますが、都市計画についての議会のあり方というもの、住民意見を本当に反映して見事な町のマスタープラン、市町村のマスタープランができてほしいと思っておりますが、局長、重ねて担当局長としての決意を伺っておきます。
  172. 市川一朗

    ○市川政府委員 都市計画の基本方針に関しまして、私ども以上に高い御見識の御理解をいただいておりまして、まことに感謝申し上げる次第でございます。  私どもは、日本都市計画、それに基づきます町づくりがよりよい方向に発展していくためには、そういった各市町村ごとの具体的なビジョンというものが住民合意の中で明らかにされていくということが極めて重要であるというふうに思っております。また、そういったマスタープランに基づきまして具体の都市計画決定を行い、これには私権の制約という痛みを伴うものでございます。また、そういったものに基づきまして計画決定された内容を実現するためには、また事業も行わなければなりません。これにつきましては、またお金も必要でございます。  そういったいろいろな問題につきまして、住民の理解を得、必要な予算を確保するという過程におきまして、それぞれの市町村におきます議会の十分な御理解というものは当然必要でございまして、それぞれの市町村レベルにおきまして、あらゆる角度からの合意形成の中でこういったマスタープランがつくり出されていくような創意工夫と努力をそれぞれの市町村においてもしっかりとやっていただきたいと思いますし、また、私どもといたしましても、そういう方向で過度にわならない範囲内における指導をしっかりやっていきたいと思っておる次第でございます。
  173. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかよろしくお願いをいたしておきます。  本当に時間がなくなりましたので、質問ははしょりますけれども、私はずっと前にも、多極分散法のときにも大臣に言ったと思う。都市には容量、キャパシティーがある。どうしても考えなければならない。きょうの真鶴町長さんも、あの小さな町にあんなたくさんのマンション、欲しくはないなというようなお気持ちに私はとりましたけれども、町には町の個性ある住みやすい町づくりをしたいお気持ちがありました。水道が断水してしまうのですね。水道からカットしたわけです、供給しませんよと言って。ロサンゼルスなども、浄化槽が間に合いませんということでビルの規制をしたわけです。  そういう意味で規制、コントロールしなければならない。工場とか事務所が来てはだめですよということは、健全な都市の発展の上にあっては、そういうことはできないと私は思うのです。ただ、自分の住んでいる町が住居系はこのくらい、あるいは業務系はこのくらい、政治的に言えば職住バランスという味気ない言葉になりますけれども、住みやすい町というのはおのずとバランスもあるし、容量があると思うのです。  そこで私は、前々から、都市には都市の限界がありますよということを何回もいろいろな角度でお話ししたと思うのです。東京のことも、よく言って東京ルールなどということも出てきますけれども、建設省は当然大都市の一番シンボリックな東京については、いろいろな東京と連携もとっていらっしゃる。  ここに均衡のとれた都市づくり検討プロジェクトチームという東京都の平成三年の報告書がございます。この中にも幾つかの傾聴すべきことが書いてあるのです、確かに、多極分散の「多摩の「心」」とか、業務核都市への移転ということが出ているのです。でも、東京それ自体がどうあるべきかということをこの中でいろいろ研究して、そのあり方を書いてあるのです。  私は、もう時間がございませんので最後になるかもしれませんけれども、お願いをしたいので、ここをちょっと確認をさせていただきたい。  東京は、「東京にふさわしい都市政策を確立」したい。それで、その「第一は、公共の福祉の優先」であります。「東京への諸機能の集中は、災害への不安や国土構造の不均衡を増幅させるとともに、都市問題の激化をもたらした。土地都市空間の利用のアンバランス、ごみ・環境、交通問題などの外部不経済の増大、資産格差の拡大などの問題を生み出している。」「東京都市空間の利用については、公共の福祉を優先させることが必要であるが、市場のルールにまかせたままでは、業務機能が住機能を脅かし、職と住の均衡のとれた都市の形成は難しい。」  あるいは、こういうことを書いてあるのです。「東京のように都市開発が盛んな都市ではこ「規制と誘導とのバランスの確保が重要」です、これからの手法として。「社会的コストの負担」として、「東京への業務機能立地圧力が高い理由の一つに、企業が東京への立地のメリットを享受しながら、都市基盤や住宅などの社会的コストを必ずしも十分に負担していない」、こういう問題提起があるわけです。  それから、一番大きな柱としてこういうことを言っているのです。「都心部を中心とした業務機能の過度の集中の抑制と住機能確保方策の検討」、やはり業務機能の過度の集中をコントロールしていかなければならない、住機能を確保する方針が東京は必要です、これは東京だけじゃなくて大都市なんですね。  ここで東京はこう言っているのです。「都市計画の「東京ルール」が必要であることは先に指摘した」。これはきょうは読めないと思いますけれども、さきに指摘しておるわけです、ダウンゾーニングとかいろいろなことを言っておるわけですが、「都市の実状に応じた都市づくりのルールが必要だという意味であり、全国の都市の中で、ただ一か所東京だけに特別のルールが必要」ということで言っているんじゃないのです。やはり大都市あるいは都市の中で都市づくりにルールが必要だ、住宅を建設するルールもつくりましょう、それから業務機能を設置するルールもつくりましょうといって、ルールづくりを言っているのです。  ですから、例えば開発に対してもこういうことを言っているのです。「個別にみればすぐれた開発計画であっても、都市全体の視点からみれば、地域バランスや職住のバランス、更には都市基盤キャパシティとのバランスを歪め、都市構造の不均衡や基盤施設への過度の負荷をかけるなど好ましくない結果をもたらすことがある。個々の優良開発都市全体にとっても、望ましいものとなるためには、その内容や規模、時期などがマスタープランと整合性のとれたものとなる必要がある。  私は、このいわゆる都市のマスタープランというのは、こういう意味でもいわゆる規制だけじゃない、誘導も図っていくという、マスタープランの中にこういう精神をきちっと書いた方がいいんじゃないか。東京ルールの中で「業務・商業施設マスタープラン」、こういうふうにしますよといっていろいろ出てきておるわけでございますが、やはりこの中の概念は、都市づくりの目標を実現するためには、今後一層開発に適切な規制を重視していく必要がある。  規制は重視なんです。でも、やはり過度の集中の抑制と同時に、育成も図っていこうというこのきちんとした計画があるわけでございます。やはり総量規制とか、いろいろ言うと、抵抗もいろいろあるかもしれませんが、都市には都市のあるべき理想像があるわけで、こういう意味での規制、誘導というのは必要だと私は思うのでございますが、こういう都市づくりを特に大臣にお願いをしたいと思うのです。  大臣、ここに一つだけ最後に読ませていただきたいことがあるのです。ここにこういう書き方をしているのです。これは私非常に大事だなと思うのですが、文化論ですが、「本来それら文化の担い手は、都民である。しかし今日の状況では、行政が積極的にかかわらなければ、その維持・拡大を実現し難い場面も多々ある。」「都心部には、江戸以来、そこに住む人々によって、継承されてきた伝統文化がある。これらの伝統的な江戸、下町文化の継承は、居住機能の維持と表裏一体である。」やはり江戸文化が大事ですよと。  「地価の高騰や業務機能の無秩序で際限のない進出によって居住機能が失われることは、居住人口のみならず、伝統的な生活文化がこの地域からなくなることをも意味する。また、日本橋・神田・築地などに住み続けてきた人々によって受け継がれてきた江戸・東京文化の名残りを絶やすことは、単に一つの伝統的な価値を失うにとどまらず、今日の東京文化の重要な一角を崩すことにもなる」  どうか大臣、世界にはロンドンも、パリも、いろいろ有名な都市があるかもしれない。この都市計画と同時に、世界都市東京日本の首都東京、そして本当に住み続けられる、住みたい町東京をつくるために、今申し上げたような規制、誘導を含めた、江戸の文化を残せるようなすばらしい都市計画であってほしいということを、私はお願いをしたいわけでございます。  大臣のお話を伺って、質問を終わりたいと思います。
  174. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 該博な知識を御披露されまして、一口にしてお答えしがたいところでございますが、先生のお考えに対して共鳴をいたしたいと存じております。  文化は人間がつくるものでございますし、また、人間が維持するものだと存じます。そこで、業務の施設機能が入ってきたことによりまして住居機能が破壊されたということを事例としてお挙げになったのでございますが、そのことによって文化が失われた側面が確かにあったと存じます。  そこで、このたびの法改正は、そういった弊害を改めますために、用途地域を細分化し、あるいは誘導容積制度を活用いたしまして新しくまた文化やふるさとを回復しようではないか、そういうねらいも込められているところでございます。この法改正の利点を十分活用いたしまして、先生が唱えておられますふるさとや文化の向後に最善を尽くしてまいりたいと考えております。  なお、東京のみならず、地方におきましても、マスタープラン制度を今度設けることになりまして、それぞれの町がみずからの伝統を持ち、みずからの文化を誇っているわけでございますので、そのようお地域特色、特性が生かされるようなマスタープランづくり、人間も姿かたちが違いますので、それに合った洋服を着、あるいはみずからの人柄に合った色彩を選ぶものでございますが、そういったことが地方においても行われてまいりますように、今度の法改正を通じまして、さらに一層新しい豊かな都市の建設に努力してまいりたいと考えております。
  175. 薮仲義彦

    薮仲委員 期待しております。ありがとうございました。
  176. 古賀誠

    古賀委員長 次に、辻第一君。
  177. 辻第一

    ○辻(第)委員 前回の質問で古都の保存問題などについて質問をいたしましたが、建設省は、現在の都市計画制度あるいは古都保存法の制度で保存に努力する、こういう趣旨の答弁でございました。しかし、古都保存にしろ、広く都市づくりにしろ、それで十分な対応が可能なのかどうかと私は大きな疑問を抱くものであります。  本日午前中の参考人質疑におきましても、真鶴町の三木町長さんがその御苦労を語っておられました。この間の土地住宅問題のもとで、地上げ、住宅地へのオフィスビルの侵食などが大きな社会問題になりました。こうした事態の中で、現在の都市計画法建築基準法で十分な対応ができなくなった、これが今回の法改正一つの理由でもあります。  そこで、まず居住環境との関係で、あるいは町づくりの関係で質問をいたします。  現在の第一種住居専用地域、第二種住居専用地域道路一本挟んで遊園地、巨大レジャー施設といったふうな状態があれば、建設省はどう考えられるのか。  具体的に言いますと、仙台市で住宅地として開発をされ、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域の中央部に既存のゴルフ場がある。ここは市街化調整区域として残されていたものを、道路を挟んで第一種住居専用地域、第二種住居専用地域と接する部分を、ある程度のまとまりを持って昭和六十二年に住居地域に指定がえが行われ、ここに既にホテルと大きな観音が建設をされた。この大きな観音は高さ百メートルだそうであります。ゴルフ場の中に最近四千台分の駐車場計画があり、一部オープンした。さらに、このまだ住宅が建設されていない第一種住居専用地域、第二種住居専用地域を指定がえをして、そこに屋外型の遊園地というのですか、後楽園ドームの一・五倍のレジャーランドを中心に、一年に百五十万から二百万の客を誘致をしよう、全体の計画の中では年間二百五十万から三百三十万の人を迎えていこう、駐車場は恐らくピークのときは六千台必要だろう、こういうようなのが計画をされているということであります。  こうした施設のために、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域を近隣商業に指定がえすることがあり得るのかどうかということですね。本当に住宅地の環境をどうすれば守れるのか、こういう問題で建設省の見解を伺いたいと思います。
  178. 市川一朗

    ○市川政府委員 用途地域の指定に際しましては、住居環境の保護とかいろんな観点から、用途の適正な配分を考えて指定されるべきであると考えております。具体の問題につきまして、いろいろ既に定められております用途地域の変更、見直しということも当然あるわけでございまして、それが適切であるかどうかということにつきましては、極めて慎重な判断が必要であろうと思っておる次第でございます。
  179. 辻第一

    ○辻(第)委員 現在の都市計画の中で、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域住居地域や近隣商業が接することは、例えば第一種住居専用地域、第二種住居専用地域を通る主要な道路の両側を住居地域や近隣商業に指定することはあり得ることであります。しかし、住居地域にはホテルは建設できますし、現に遊園地を構成する建築物が建設可能であります。近隣商業なら、なおさらであります。  これは用途地域の指定の仕方や、容積率や建ぺい率など建築規制の決定のやり方もありますが、組み合わせ次第では常識的に考えられないことが起こるわけであります。法律とともに、その運用の姿勢といいますか、運用方法次第で制度が生きもし、死にもするわけでありますから、自治体の法制度運用、環境を守る観点から慎重に慎重に行わなければならない問題だと考えますが、大臣の御見解を伺います。
  180. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 用途地域の指定につきましては、これはその地域の死活にかかわるという御指摘でございますが、そういう側面があることは事実であると存じます。  このたび、改正案におきましては、用途地域を八種類から十二種類に細分化いたしますとともに、地方公共団体の条例により土地利用規制を行います特別用途地区につきましても種類を追加いたしまして、拡充いたしております。  今後、地方公共団体におきまして新しい用途地域の創設の目的に照らしまして的確な指定がなされて、法改正の所期の効果が得られますように指導してまいる所存でございます。
  181. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはりその法の運用の姿勢というのですか、これは非常に重要な問題だと思いますので、その点ひとつぜひ十分な御対応をいただきたい、重ねてお願いいたします。  次に、リゾートマンションと環境保全、景観保護などの問題で伺いますが、前回の質問でも若干触れました。我が国のあちこちでいわゆるのっぽビルリゾートマンション、大規模な宅地開発で町や自然が大きく変えられようとしております。一方、地方自治体の側も条例の制定などでいろいろ対処をされる、御苦労されておられることは知られているとおりでありますが、大臣は、私の前回の質問の際に、今度の法改正都市計画区域外や用途地域未指定地域の規制が可能になるので、町並みを守る条例などを制定されたいというような趣旨の答弁をされました。  さて、今回の法改正によりまして、「都道府県知事が関係市町村意見を聴いて指定する区域内においては、地方公共団体は、当該区域内における土地利用状況等を考慮し、適正かつ合理的な土地利用を図るため必要と認めるときは、政令で定める基準に従い、条例で、建築物又はその敷地と道路との関係、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合、建築物の高さその他の建築物の敷地又は構造に関して必要な制限を定めることができる。」このようになっておりますが、「政令で定める基準」とはどのような内容を考えておられるのか、また、「その他の建築物の敷地又は構造」とは何か、具体的にどのような内容の制限条例で定めることができるのか、いかがですか。
  182. 立石真

    ○立石政府委員 政令で定める基準につきましては、建築物またはその敷地と道路との関係、容積率建築物の高さ等に関しまして地方公共団体の条例制限することができる事項、またはその範囲等で必要なものを定めることとしております。  これらの具体的な基準策定に当たりましては、「その他の建築物の敷地又は構造」に当たるものも含めまして、今回の地方公共団体の条例による制限都市計画区域の外を対象としておるところでございますが、都市計画区域内の白地地域との均衡も配慮しつつ、地方公共団体の要望を十分に尊重して検討していきたいと考えております。  その具体的内容ということでございますが、「その他の建築物の敷地又は構造」としましては、例えば建ぺい率等も考えられるところでございますけれども、詳細につきましては、今後慎重に検討していきたいと考えております。
  183. 辻第一

    ○辻(第)委員 例えば真鶴のような事態に対しまして、あるいは栃木県の那須野ヶ原に高さ百二十メートルの高層ホテルの計画があります。あるいは群馬県の嬬恋村で計画をされているリゾートマンションの計画、これらは景観問題などとの関係で始終問題になっておるのですが、このような例は、改正法による条例でどのように規制すれば規制できるのか、お尋ねをいたします。
  184. 立石真

    ○立石政府委員 最近地方公共団体におきまして独自の条例を制定する事例が多く見られるようになっております。これらの条例は、地域の特性に対応した町づくりという上では一定の効果があるとは考えております。しかしながら、例え荷規制内容が、周辺市街地との調和を求めるとか、極めて抽象的な場合があること等もございまして、その根拠あるいは制限の内容が適切かどうか、そういうことになりますと、まだまだいろいろな議論があることも事実でございます。  今回の法改正によりましては、条例によりまして無秩序な建築による土地利用の混乱が生じている状況等の対応策でございますので、かなりの程度効果があるというように考えているところでございますが、先ほどの真鶴、那須あるいは嬬恋等の条例につきましては、建築確認の対象にするものではないと考えているところでございます。
  185. 辻第一

    ○辻(第)委員 今度の法改正で一定の改善をされたとは思うのですが、しかし、こういう具体の問題になりますと、それはもう規制がきかないというのが現状ではないか、こういうふうに思います。  次に、社会党・社民連案では、真鶴町のような事態にどのように対処をされるのか、具体的に説明をいただきたいと思いますし、また、都市計画区域外の区域における建築物制限に関する扱いについて、政府案と社会党・社民連案には考え方の違いがあるようではございますが、その点もあわせて御答弁をいただきたいと思います。
  186. 菅直人

    ○菅議員 きょう午前中の参考人真鶴町の町長の指摘にもありましたように、真鶴町の場合には、例えば給水条例とかあるいは土地利用方針、宅地開発指導要綱等によっていろいろと自主的に規制をされているようでありますが、御承知のように、政府の今回の改正案では、この都市計画区域の中のいわゆる白地地域というものについて、先ほどの説明のように、必ずしも自治体条例などできちんと抑えることが十分にできないという指摘が三木町長からもあったわけです。  私ども考え方では、まず一つには、開発許可制度の中でいわゆる技術基準自治体条例によって決める、このことによって開発許可基準の中に条例基準を連動させることが一つあります。また、給水事業者との協議をやはり開発許可の条件として提起しております。さらには、市町村のマスタープランやあるいは改正法の、私どもの出している八条の二の中で、白地地域については容積率、建ぺい率等を都市計画として決定する、この決定は自治体議会決定ということになりますので、そういう形によってこの地域自治体によるコントロールが十分に可能になる、そういう仕組みにしたつもりであります。  さらに、都市計画区域外について、政府案は、先ほど来の説明のように、建築基準法によって建物の方から抑えていこうという考え方になっております。確かに一都市計画法都市計画区域外の規制ができないという今の一般的な制約があるためにそうなったというふうにも理解されるわけですが、私どもの案では、基本的には都市計画区域を拡大して、そして本来の開発許可制度などによって規制すべきものは規制すべきだ、このように考えて提案した次第です。
  187. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一点、社会党、社民連の皆さんにお尋ねをいたします。  用途地域未指定地域の規制に関してでありますが、政府案では、容積率が二〇〇%、建ぺい率が六〇%であります。社会党案では、容積率が五〇%、建ぺい率が四〇%が追加されておりますが、これは、二〇〇%、六〇%では市街地の環境を保護し切れないということからより厳しくされたものでしょうか。御答弁をいただいて、質問を終わります。
  188. 木間章

    ○木間議員 御質問をいただきましたとおり、政府案容積率二〇〇%、建ぺい率六〇%では、午前中参考人として意見開陳をいただきました真鶴町長さんがおっしゃっておいでになったように、あるいはまた都内でも、高島平団地のように、幹線道路沿いに建てられるような中高層マンションを許容することになるであろう、このように私たち考えておるところです。したがいまして、農山村の居住環境を守ることができなくなっていく。それで、私たちはまた、これまで自治体が積み上げてこられました指導要綱などの成果をぜひこの改正の機会に支援をしたい、このようにも考えておるところであります。したがいまして、私たちの案は、自治体要綱などの成果を踏まえて市街地の住宅環境を守り育てる、こういうことを目標にこれからも頑張っていこう、こう思ってお答えにかえさせていただきたいと思います。
  189. 辻第一

    ○辻(第)委員 大体時間が来ましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  190. 古賀誠

    古賀委員長 次回は、明二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十六分散会