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1992-05-15 第123回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月十五日(金曜日)     午前九時五十分開議 出席委員   委員長 古賀  誠君    理事 片岡 武司君 理事 金子原二郎君    理事 北村 直人君 理事 杉山 憲夫君    理事 渡海紀三朗君 理事 山内  弘君    理事 吉井 光照君       植竹 繁雄君    川崎 二郎君       木村 守男君    久野統一郎君       塩谷  立君    島村 宜伸君       野田  実君    萩山 教嚴君       光武  顕君    山本 有二君       石井  智君    木間  章君       貴志 八郎君    小林  守君       渋谷  修君    松本  龍君       伏木 和雄君    薮仲 義彦君       辻  第一君    米沢  隆君  出席国務大臣         建 設 大 臣 山崎  拓君  出席政府委員         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         建設政務次官  金子 一義君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省建設経済         局長      伴   襄君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         議     員 木間  章君         議     員 谷村 啓介君         議     員 菅  直人君         内閣総理大臣官         房参事官    関根 康文君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策室長  三本木 徹君         自治省行政局行         政課長     蓼沼 朗寿君         建設委員会調査         室長      杉本 康人君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   石井  智君     小林  守君 同日  辞任         補欠選任   小林  守君     石井  智君     ————————————— 五月十四日  有料道路通行料金身体障害者割引制度に対する  内部障害者等への適用拡大に関する請願(村井  仁君紹介)(第一九八四号)  同(島村宜伸紹介)(第二二七五号)  建築設備士資格創設に関する請願島村宜伸  君紹介)(第二二七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第七二号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案木間章君外三名提出衆法第一〇号)      ————◇—————
  2. 古賀誠

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案及び木間章君外三名提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内弘君。
  3. 山内弘

    山内委員 国民の大半が居住する都市は、社会、経済文化生活などの国民の活動の基盤となっており、これを整備していくことが非常に重要な状況になっておると思うわけであります。  我が国における、特に東京における産業や人口が集中し、職住遠隔化住宅取得難など一極集中の問題が現在極めて重要であります。若者はふるさとを捨て、ふるさとの町はだんだん活気のない状況になっておる。こういう状況から、都市問題は日本の至るところに発生しておるわけでございます。特に、町づくりふるさとづくりと言っても過言でないわけであります。政府はこのような町の問題を真剣にやってもらいたい。この政策が今まで極めて不十分であったと思うわけでございます。  私は、都市計画の本来のあるべき姿はよい町づくりにあると思うわけでございまして、農地の関係、この問題が一体となって推進されなければならない。特にイギリスやフランスといったヨーロッパ、この国々を見るときに、都市部には必ずと言っていいほど町の顔という広場がある。緑地を配した個性ある町づくりが行われておるわけでございます。しかも美観、景観上すばらしい。こういう周辺の農村一体となった整備が私は理想だと思うわけでございますけれども一体我が国ヨーロッパとの間に——ヨーロッパは特に長い年月の間にこれを着々と整備されていった。我が国は戦後四十年間、極めて短時間の中でやってきたという歴史の違いは確かにあると思うけれども、しかし我々は、ロンドンやパリに見られるような町づくりに真剣に取り組んでいかなければならない、これが私は根本になければならないと思うのでございます。  今、国会における我が党と政府提出しておる都市計画法及び建築基準法の一部改正案、私は、そういう意味では大変重要なものであるし、また慎重な論議をやってまいったわけでありますが、本委員会におけるこの真剣な議論の中で、私はこれを踏まえながら若干の質問をしてみたいと思うわけでございます。  まず、建設省都市問題に対する基本的な考え方でございますけれども、これまでいろいろやってきた住宅取得難の問題、住環境悪化の問題、交通混雑の問題、大都市問題や地方都市の停滞、過疎といった地方の問題など、都市の問題に対して住宅供給道路整備地域立法の制定など、いろいろな問題があるわけでありますが、これはどれ一つとってみてもうまくいってないと思うわけでございます。  そこで、これまでの都市政策のあり方の反省に立って、今後の都市問題への対処の方針について建設大臣基本的な考え方をお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。  大臣は何かきょう重大な用事があるようでありますから、答弁なさったら、時間を見て適時退出することを私は了承いたします。
  4. 山崎拓

    山崎国務大臣 大変いろいろと御配慮をいただきまして、ありがとうございます。  先生が御指摘をされましたとおり、東京への一極集中が進行いたしまして、先生お挙げになりましたとおり、職住遠隔化でございますとか住宅取得難等々の問題が深刻化いたしておるところでございます。一方、地方におきましては、若年層流出等が顕著でございまして、地方活性化が叫ばれている現状でございます。  さらに、今般の地価高騰問題が発生をいたしまして、大都市地域を中心に住宅地地価上昇住環境悪化を招きまして、都市計画中央審議会におきましても土地利用規制を詳細化すべきであるという指摘が行われたところでございます。  このような問題に対処いたしまして、都市計画法及び建築基準法改正をいたしまして、より的確に住環境の保護を図り住宅供給にも資するよう、過般来行ってまいりました金融税制等の総合的な土地政策の一環といたしまして、今般、土地利用計画制度の充実を図ることにいたしました次第でございます。  また、本委員会において既に御審議をいただき、可決をいただきました地方拠点法案を現在参議院で御審議をいただいているところでございますが、この法案が成立をいたしました暁には、地方の自立的な成長を牽引し地方定住の核となる地方拠点地域整備を、先生のただいま御指摘をいただきました諸点、例えば農村との一体的な地域整備あるいはヨーロッパの各都市に見られるような歴史文化の特色を持ちました都市づくり、そういった観点を重視いたしまして整備を行ってまいりたい、かように考えているところでございます。
  5. 山内弘

    山内委員 今回の法改正効果についてでありますけれども、今大臣からもいろいろ答弁ありましたが、まさに都市問題に適切に対処するための提案であると思うわけでございますが、政府案は果たしてこの都市問題解決に役立つものであるのかどうか。特に、適正な地価水準実現にどのような効果があるのか、まず議論整理意味お尋ねをしておきたいと思うわけです。
  6. 市川一朗

    市川政府委員 今回の法改正によりまして適正な地価水準実現に役立つのかどうか、どのような効果があるのかというお尋ねでございます。  私ども、今回御提案申し上げている中で、住居系用途地域細分化によりますきめ細かな用途規制改正をお願いしているところでございますが、これが実現いたしまして、それによりまして用途地域制度現実都市計画決定されました場合におきましては、それが今回、地価高騰期に起きましたような形での業務ビル住宅地に無秩序に進出するということを抑制することができまして、いわば、地価形成用途に見合った形で形成されるということで効果が出てくるのではないか、第一点、そう思っておるところでございます。  それからもう一点は、誘導容積制度の御提案も申し上げておるところでございますが、公共施設整備を伴いました良好な市街地形成土地有効利用を図るという観点に立ちまして、住宅供給が進むことによりまして住宅価格の安定にも寄与できると思っておりまして、こういったようなところから適正な地価水準実現にも寄与できるというふうに考えておるところでございます。
  7. 山内弘

    山内委員 今の、都市における指定されておる容積率過大の問題でありますが、これは、東京都の中でも容積率の約四割しか利用されてない、こういう実態があるわけでございます。慢性的な交通渋滞下水道がまたパンク状態、このような容積率都市計画手続に従って適正に定められているのだと言っておきながら、実際は、道路下水道といった公共施設とのバランスがとられてない。こうした無計画に定められておる高い容積率というものが、さきの地価高騰時には投機の対象になったのではないか、こう思うわけでございまして、土地利用価値に見合った価格と著しく乖離した土地価格形成されたのではないかと思うわけでございます。  この過大容積率指定している現在の運用が大都市地価高騰を生んだ基本的な原因ではないかと思うわけでありますが、この点はどう考えるか、お答えをいただきたいと思うわけです。
  8. 市川一朗

    市川政府委員 容積率につきましては、住宅商業工業等の諸機能の配置、それから密度につきまして、それぞれの都市におきます主要な公共施設の規模及び配置計画整合をとりつつ定めるわけでございます。ただいま先生から御指摘ございましたように、現在の容積率はそういった公共施設計画と必ずしも整合性をとれていないのではないかという御指摘でございます。  計画面におきましては、長期的な計画との整合性は十分とられておると私ども認識しておりますが、公共施設整備が必ずしも予定どおり進んでいないというところから、現実には指定された容積率よりもはるか低位のところでその実態利用が推移しておるということがあるわけでございまして、その辺につきましては、道路等公共施設整備のおくれということが一つの大きな原因になっておるという点につきまして、ただいま山内先生から御指摘があったとおりの面があるというふうに私どもも認識しておるところでございます。  ただ、容積率過大過ぎるのではないか、それが今回の地価高騰に影響しているのではないかという点でございますけれども、今回の地価高騰は、私どもから見ましても、容積率によります利用可能性に応じた収益性という観点からいいましても、これをはるかに超えました、かけ離れた地価水準になったのではないか、やはり金融とか税制等の要因が複合して生じたものではないかと思っておるところでございます。  ちなみに、東京二十三区におきまして平成元年用途地域の一斉の見直しか行われまして、指定客積率も平均いたしまして約九%引き上げられたのでございますが、それから以降の地価上昇は、それらをはるかに大きく上回っておるわけでございまして、そういう意味におきましては、容積率地価に与える影響というものは、いろいろな角度で常に検証を怠らない必要性はございますが、今回の地価高騰容積率過大のために起きたのではないかということにつきましては、どうかひとつ私どもの考えておりますような考え方につきましても御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  9. 山内弘

    山内委員 今の答弁にもございましたけれども、従来から政府は、大都市地域における容積率指定は決して過大なものではない、むしろこれは適切なんだという考えを出してきたわけでございますが、私は決してそういうふうには考えられないわけでございます。容積率が高過ぎるからこそ、先ほども言ったように、交通渋滞下水道容量不足の問題が生まれてきた、さらにまた、東京一極集中の問題が発生していると言っても過言でないと思うわけでございます。  このように大都市問題が深刻であり、容積率の引き上げに緊急に取り組むべきにもかかわらず、政府誘導容積制度創設することによってむしろ土地の有効・高度利用推進を図ろうとしておる、これは全く逆方向なのではないかと思うわけでございます。仮に現在の容積率指定が決して過大なものではないとすれば、土地有効利用を通じた住宅宅地供給推進を図っていくことはむしろ望ましいものだとさえ言えます。しかし、私の心配は、現行容積率を前提としたまま有効利用を進めると、この有効利用商業業務施設大都市集中につながり、また再び地価高騰を招くのではないかというところにあると思うわけでございまして、そこで本制度については、大都市地域において適用しないこととするべきではないのか、明確な考え方をお示しいただきたいと思うわけでございます。
  10. 市川一朗

    市川政府委員 誘導容積制度につきましては、土地有効利用が必要とされているにもかかわらず道路などの公共施設整備が十分になされていないために低利用にとどまっているところ、東京あたりでは、低層高密な木造賃貸住宅密集市街地というようなところがそういうところに最も該当すると考えておるわけでございますが、そういったようなところで公共施設が不十分のままに市街化が進行することを防ぎながら、地区公共施設整備を図って土地有効利用を促進する、そうして良好な都市環境形成を図るということをねらいとした制度でございます。  ここ数年来、都市計画法部分改正も含めまして、我が国におきましては、やはり何といいましても都市の中で土地の有効・高度利用を図るということは、大都市地方都市を問わずやはり必要なことだと考えておるわけでございますが、それがいたずらな有効・高度利用ではなくて、十分な公共施設整備整合性のとれた有効・高度利用でなければならないと考えておりまして、今回の誘導容積制度はその点に最も着目いたしました制度でございまして、私どもといたしましては、むしろ大都市においてこそ必要な制度であるというふうに認識しておるところでございまして、ぜひ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  11. 山内弘

    山内委員 その問題については今後の経過の中でさらにまた明らかにしてまいりたいと思うわけでございます。  次に、都市計画を定める権限についてお伺いをしたいわけでありますが、一体これはだれが責任を持って町づくり基本計画である都市計画を定めていくのかという問題であります。このことは、住民一人一人が自分たちの町をつくるんだということ、これが我が党の法案提出根本にもなっておるわけでございますけれども、だれに対して自分たち町づくりを委託し、どのようにみずから参加していくかという考え、これは私は極めて重要な問題であると思うわけでございます。  このような重要な問題であるからこそ、都市計画中央審議会答申は、地方への権限移譲が盛り込まれているわけであります。法案では全くこれには触れていない。これは一体どういう考え方なのか。  私は、今の都市計画制度では、上の方でお上が勝手に計画を決めて、住民はそれに従うだけ、こういった性格がいまだに残っているのではないかと思っておるわけであります。だからこそ、なかなか町づくりに対する住民の機運が高まらない、地方公共団体町づくりを進めようとしてもなかなか積極的に協力してもらえないという状態にあるのだと思うわけでございます。住民自分たち町づくり自分たち責任においてやるんだ、こういうことでなければならないわけでありますが、この点に対してどう考えておられるのか。まず都市計画制度における権限配分については、国、都道府県知事市町村は、それぞれどのような都市計画における役割を担っているのか、その役割分担はどうなっているのか、確認の意味でまずお尋ねをいたします。
  12. 市川一朗

    市川政府委員 都市計画決定に関します役割分担につきましては、昭和四十三年に現行都市計画法ができました際に今のような基本的な仕組みになりました。それで、現在は原則として都市計画市町村が決定する、それから広域的、根幹的なものにつきましては知事が決定する、知事が決定する都市計画のうち、国道等の国の利害に重大な関係を有するものと大都市圏等国土政策に重大な関係を有するものについてのみ建設大臣の認可を要するということにされておるわけでございまして、基本的には、住民に最も身近な基礎的地方自治体である市町村都市計画決定権者ということになっているわけでございます。  それで、このような体系になっております背景にございますのは、都市計画は極めて厳しい私権の制約といいますか財産権に対する制約も伴いますので、かなりの説得力を持った内容でなければならないというところからいろいろな手続が組み込まれておりますが、基本的な役割分担は以上申し上げたとおりでございます。
  13. 山内弘

    山内委員 どうも政府は現在の権限配分でよい、こういうふうにも考えておるようでありますけれども都市計画というのは、住民の一番身近な自治体、市町村でやるのが私は基本ではないか、こう思うわけであります。都市計画については、他の制度と同様に、できる限り権限市町村移譲しでやってもらいたい、また今後都市計画中央審議会答申に盛り込まれた事項についての検討を誠実に行い、これを実行していくこと、これが極めて大切であります。この点についての決意をまずお聞かせいただきたい。
  14. 市川一朗

    市川政府委員 都市計画が真に実効性を担保するためには、ただいま先生指摘のありましたとおり、やはり最も住民の身近なところでございます市町村において決定していくということが基本的に望ましいと私どもも思っておるところでございまして、これまでもいろいろと検討をし、措置もしてまいりましたが、一層の権限移譲等に努める必要があると考えております。  また、都市計画中央審議会におきましても、今後の重要な検討課題ということで提案されておりまして、私どもは、常にこの問題に関しましては、忘れることなく取り組んでまいる必要があると考えておるところでございます。
  15. 山内弘

    山内委員 そういう考え方に立ってお伺いをいたしますが、政府案に盛り込まれておる市町村都市計画に関する基本的な方針、この創設によって市町村は今、今まで以上に創意工夫を生かし町づくり推進ができると期待しておると思うのであります。政府市町村基本方針創設して今まで以上に市町村が主体的に町づくりを行っていくための条件を整えたいと。  この基本方針内容について若干お伺いしたいと思うわけでありますが、この基本方針はどのような内容のものを定めるのか、また、定められたものは、市町村町づくりにどのように役立つのか、お示しをいただきたい。
  16. 市川一朗

    市川政府委員 今回御提案申し上げております市町村都市計画に関する基本的な方針でございますが、これにつきましては、市町村町づくりビジョンを具体的に明らかにするものであってほしいというふうに考えておりまして、将来都市計画等によりまして市町村町づくりを進める上に当たりまして、自分たちの町や村がどういうような町や村になっていくのかということを住民の立場から理解し得るような、そういう具体的なビジョンであってほしいと考えておるところでございます。  したがいまして、具体的な内容につきましては、それぞれの市町村によりましていろいろな工夫、アイデアがあっていいと思っておりますが、一応基本的には、それぞれの地域の特性に応じました土地利用の問題あるいは公共施設整備の問題、それで、具体的ないろいろな都市施設をどこに配置するか、それから区画整理とか再開発、それをどういうところで行うのか、あるいは地区計画等配置の問題、そういったもろもろの問題につきましてできる限り基本的な方針の中で具体的に明らかにしていくことによりまして、将来像がよりビジュアルにわかるようにやっていく必要があるというふうに考えておる次第でございまして、私どもも、そういう方向になりますようにできるだけ御協力を申し上げたいと思っておるところでございます。
  17. 山内弘

    山内委員 まあそれはいろいろ答弁がございますけれども市町村基本方針都道府県知事の定める都市計画整合性を持つことは、他の法令の関係もあり、この計画との統合というのは非常に難しい状況にあると私は思うわけでございます。さらに、もっと具体的に言うならば、今日の状況というのは一貫性というものが非常にない。例えば、市長がかわった場合、その都市の今までの市長が北の方をやって都市計画に一生懸命力を注いできた、今度市長がかわったら、南の方に都市計画の線が延びていく、こういう例は全国枚挙にいとまがないのではないかと私は思うのです。まあ私の方にあるとは言いませんが……。  ですから、そういうところから、我が党の案のように、ここで我が党が出てくるわけでありますが、市町村マスタープランの策定を義務づける、こういうふうな状態というものが、むしろ一貫した町づくりの体制をつくる最も効果的な方法ではないかというように私は考えるわけでございます。その点について明確な答弁をひとつお願いしたい。答弁によってはここだけで一時間やりますよ。
  18. 市川一朗

    市川政府委員 ただいま市町村マスタープランにつきまして先生から御指摘あった点につきましては、私どもも全く同じような考え方を持っておりまして、ぜひすべての市町村でそういったマスタープランをつくってまいりたい、また、そういう方向で指導してまいりたいと思っておりますが、それを法律で全部の市町村に義務づけるということにつきましては、私ども、逆に市町村自主性を損なってもいけないなというところでああいう規定にしたところでございますが、心は一つという、同じであるということでひとつ御理解いただきたいと思う次第でございます。
  19. 山内弘

    山内委員 心は一つというのは、私も一つでございますので、今後の建設省市川都市局長の誠意を見詰めてみたいな、こう思うわけでございます。  特に、この基本方針創設する町づくりに果たす市町村重要性、これは、今の答弁にもあるように、明確にお互いに認識をしておるわけでございますが、とにかく市町村に対して権限移譲してみる、これは極めて重要であると私は思うわけでございます。都市計画における用途地域については、これは我が党の木間さんの方からも出ておりますし、また、すべての市町村におろしてやらせてみたらどうか、そういった意欲のある提案もあるわけであります。その点に対しては、心は一つというお答えがあるようでございますので、その点については、我が党でも十二分にこの出した案に対して建設省の方の案もしんしゃくをして今後対応していきたい、こういうことでこの点は質問を終わりたい、この辺はおさめたい、まあ時間もないので前に進んでいきたいと思うわけでございます。  次は、リゾートのブームを背景にして、あちこちでともすれば地元住民の声を無視した乱開発が進められてきたわけでございます。非常に貴重な自然や良好な住環境の破壊があったわけでございますが、この問題に対して緊急に適切な措置を講ずることが必要であると思うわけでございます。  私は、政府案が、都市計画区域外区域においても容積率などを地方公共団体の条例で規制できるようにしたのは、確かに一定の前進ではあるけれども、単なる建築行為の規制でしかなく、開発行為については対象外になっている、これは極めて不満足であります。  そこでまずお尋ねしたいのは、条例に基づく建築規制の問題、本当に実効ある規制が行えるのかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  20. 立石真

    ○立石政府委員 お答えいたします。  今回の都市計画区域外における地方公共団体の条例による制限は、先生指摘のように、都市計画区域外区域において、いわゆるリゾートブーム等を背景といたしまして、リゾートマンション等が無秩序に建築されて土地利用の混乱が生じている、そういう状況に対応するために定めようとしているものでございます。  この条例に基づきまして、接道規制あるいは容積率制限、高さ制限等を適用することになるわけでございますが、道路空間を確保して建築物の防火とか避難等の安全性を確保することができる、あるいはまた、容積の高い建築物の建築によってその周辺に局所的な交通混雑が起こることを防止することができるなどをねらいとするわけでございますが、適正かつ合理的な土地利用を図る上では実効ある規制が行えるものと考えているところでございます。  しかし、それに加えまして、都市計画区域外での開発行為等につきまして、例えば森林法とか自然環境保全法とか、それぞれの法の目的を達成するための適切な規制が行われているところでもございまして、リゾートマンション等の建築が相当の規模と範囲にわたって行われて、一体都市として総合的に整備開発及び保全する必要がある場合、この場合には都市計画区域に編入する、そういうような必要な規制を行うこともまたできるわけでございますので、従前からのいろいろな体系も活用しながら、かつ、今回の制度を加えれば、かなりの効果が上がるものと考えているところでございます。
  21. 山内弘

    山内委員 この問題は、やはりリゾート開発に伴う乱開発から農山漁村の住環境や自然環境を守るためには、都市計画区域の拡大による開発許可制度、これを適用する目的として都市計画区域指定条件の見直しを行うことが必要だ、こう思うわけでございますが、この点についてはどう考えますか。
  22. 伴襄

    ○伴政府委員 お答え申し上げます。  リゾート開発に伴う乱開発から農山漁村の環境を守る、そのために都市計画区域の範囲を拡大してはというようなお話でございますが、都市計画区域は、やはり一つ区域として、一体都市として整備開発、保全をする必要がある区域を限定するわけでございまして、その中で都市の健全な発展と秩序ある整備を図る、そのためにも、開発許可制度を初めとします都市計画制限をやりましたり、あるいは都市施設整備都市計画事業を計画的に行っていく区域になっているわけでございます。  そこで、一体都市として整備開発、保全しないところまで広く都市計画区域に取り込みますと、十分な都市施設整備がなされない、あるいはその都市整備について計画が十分でないにもかかわらず開発規制だけが及ぶというようなことになりますので、過度な私権制限になるおそれがあるということが考えられますので、一体都市としてとらえちれない範囲では適当じゃないのじゃないかというふうに考えるわけです。  ただ、先ほど住宅局長から答弁ございましたように、リゾートマンションが立地している、都市土地利用が広がっているといったようなところで、しかも一体都市として指定するのが適当だといったような地域につきましては、やはり都市計画区域指定できるわけでありますから、そういうことによって的確に土地利用制限を行うことが可能じゃないか。最近も大網白里の都市計画区域で、従前は内陸部だけでございましたけれども、九十九里浜の浜の方までリゾート開発が進んでいるということで広げた例がございますので、そういった例が参考になるのじゃないかと思います。  それからあわせまして、住宅局長から答弁がございましたけれども都市計画区域外でありましても、例えば先ほどあった森林法とか自然環境保全法のほかに、農振法といっておりますが、農業振興地域整備に関する法律、こういったものでも開発規制が行われておりますので、そういったこととも相まって環境保全ができるのではないかなというふうに考えているところでございます。
  23. 山内弘

    山内委員 次に、都市住宅整備に関する問題、特に私はこの問題非常に関心を持っているわけでございますので、若干の質問をしてみたいと思うわけでございます。  まず木造三階建て建築物の規制緩和に関する問題でございます。  これは私も、青森県の県会議員時代に私の方のいわゆる青森ヒバ、この活用のために木造三階建ての奨励ということを大いに主張した者の一人でございますけれども、建築物の防火構造に関する技術開発、これが非常に進んでおるわけでございます。また最近日米林産物協議の中でいろいろ話されておるわけでございまして、木材資源の需要を拡大するためには、ただ単にアメリカからの木材じゃなくて、地元木材を活用する意味合いにおいても、極めて私は重要な意味合いを持つと思うわけでございます。  この問題に対して、この緩和策の内容は具体的にどのようなものであるのか、また、これらの目的にとってどの程度の効果があるのか、できる限り具体的にこれはお知らせいただきたいと思うわけです。
  24. 立石真

    ○立石政府委員 お答えいたします。  初めに、我が国の木材資源が非常に今後有望な資源として育ってきているというようなことから、木材資源の需要の拡大を図る、特にその中でも木造建築の振興を図るということについての声が全国的に強くあったところでございます。こういう要請に対応いたしまして、従来から建設省において木造建築に関する技術開発について積極的に取り組んできたところでございます。その結果、近年木造建築物についても木造の柱、はりなどを石こうボード等の不燃性の材料で被覆しますと木材が火に弱いという弱点を克服することができる、そういうようなことで耐火建築物に準ずる防火性能を確保するめどが立ってきたところであります。そして、それを踏まえまして関連する建築規制の合理化が強く望まれるようになっているところでございます。  また、御指摘のように平成二年の六月には日米林産物協議が行われましたが、米国からも木材資源の需要拡大を図るために木造建築物に対する建築規制の合理化を行うよう要望もされているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、今回建築基準法改正して防火性能の高い木造建築物を準耐火建築物とすることによりまして、例えば準防火地域においてはこれまで木造の事務所、店舗、学校、病院等の床面積が五百平方メートル以下のものしか建てられなかったわけでございますが、準耐火建築物である木造建築物については、改正後は千五百平方メートルまで可能となるように、そしてまた、木造の共同住宅については、これまで二階建て以下しか建てられなかったものを、改正後は、防火地域、準防火地域以外の地域においては三階建ての木造共同住宅も建てられるようにというような改正を行おうとしているわけでございます。  これらの改正効果についてでございますが、これらの木造建築物がどの程度建設されるかを現時点において量的に予測することはなかなか困難であるわけでございますけれども、例えば今回の改正で新たに木造建築物とできる、いわば木造建築とできる対象となる大規模な事務所、店舗、学校、病院等は、年町五万棟が建設されております。また、三階建ての共同住宅は、年間六千棟から一万棟が建設されている、そういうような建設実績があるところでございまして、これらについて木造建築の対象となるところでございますので、今回の改正効果は大きなものであるというように考えているところでございます。
  25. 山内弘

    山内委員 木造三階建ては、むしろ田舎の方では非常に効果的な意味合いを持つわけでございます。三階から見る景色というのは何とも言えない風情があるわけでございまして、私は金があれば三階建てを建てたいのでございますが。むしろ建設省ではどんどんこれを奨励してやっていかなければならない。昔は天守閣というのがあったわけですから危険性というのは全くないわけで、今の技術上からいくと、むしろ奨励しなければならない、私はそう思うわけでございまして、その点は徹底的にひとつそういう意味合いでは善政として対応してきてもらいたい、そのことを強く要望しておきたいと思うわけでございます。  次に、浄化槽と下水道の問題に入りますが、我が国における下水道の普及率、これは一九九二年度では四四%、依然として不十分な状況にあるわけでございます。特に小規模の市町村においては税制上の問題、投資効率の問題、下水道整備の問題、いろいろございますが、人口が五万人未満の市町村の普及率はわずかに九%、こういう状況にあるわけでございます。これでは都市整備は極めて不十分な状況と言わざるを得ない。  そこで、お尋ねをいたしますけれども政府は、これらの小規模の市町村における下水道整備促進にどのように取り組んでいく考えなのか、明確にひとつお答えを願いたいと思います。
  26. 市川一朗

    市川政府委員 我が国下水道普及率は全体としてまだ低い水準でございますが、その中でも中小市町村につきましては普及がおくれておりますことは、先生指摘のとおりでございまして、私どもも、現在進めております第七次下水道整備五カ年計画、今年度は二年目に入っているわけでございますが、中小市町村整備促進ということを最重点課題として取り組んでおりまして、予算の重点配分の中でも、生活関連重点化枠等につきましては、主としてその分は町村に振り向けるというようなくらいの形でまず取り組んでおるところでございます。  それから、そういった市町村におきましては、何といいましても財政力、技術力とも弱いわけでございますので、財政力をできるだけバックアップするという意味合いから、国庫補助対象範囲につきましても、こういった中小市町村に特に適用されるように、小規模な管渠につきまして助成されるような見直し、拡大も行っておるところでございます。  それから、特に過疎市町村に対しましては、都道府県が代行して行う制度、これは今まで道路にしかなかった制度でございますが、下水道につきましても、下水道の根幹的施設市町村にかわって都道府県が代行して行うという制度創設していただいたところでございます。  その他計画の策定費補助等もいろいろやっておりますし、下水道事業団の活用も大いに図っていく必要があると思っておりますが、いずれにいたしましても、やはりそういった市町村の財政力、技術力を基本的に引き上げるということが極めて大事な要素だと思っておりますので、自治省等の関係省庁とも常に連絡をとりながら、御協力をいただきながら万全の支援体制でやっていきたい。現状ではまだまだ不十分であるという考え方で取り組んでおるつもりでございます。
  27. 山内弘

    山内委員 下水道整備は単なる下水道だけじゃなくて、私どもの雪国では、冬季の都市機能の維持を図るためには、積雪地域市街地における雪の排除、下水道との共用、これは前にも質問し、答弁もありましたけれども、これはやはり本格的に位置づける必要もあるし、取り組む必要もあると思うわけでございます。今の都市計画法に絡んで、この点についてはどのように考えておられるか、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  28. 市川一朗

    市川政府委員 豪雪地帯におきましては、いわゆる積雪期のし尿収集の困難さを解消するということもまず基本的に必要でございまして、下水道整備は極めて重要であるというふうに認識しておりますが、さらに、融雪水による市街地の浸水を防除するという重要な役割もあるわけでございます。  最近におきましては、下水処理水を活用した融雪や消雪等を行うための施設整備する積雪対策下水道事業というのを創設いたしまして、これは平成二年度から創設しておりまして、先生御案内と思いますが、実は平成四年度におきましては、青森県の青森市を初め、全国十三の市町村においてこういった事業が実施されているところでございます。その結果をいろいろお聞きしますと、極めて有効に働いており、また好評もいただいておるようでございまして、建設省といたしましては、この面につきましてなお一層取り組んでまいりたいと思いますので、御理解の深い先生の全面的なバックアップをぜひお願いしたいと思う次第でございます。
  29. 山内弘

    山内委員 局長も大分理解度が深いようでありますから、これは今後熱意を持って対応をするものと考えるわけでございます。  特に、下水道の中で浄化槽の問題、これは合併浄化槽の普及促進、こういうふうなことを図っていくことも極めて重要であります。身の回りの生活環境、また水質汚濁の問題、生活雑排水の適切な処理の問題、いろいろございますけれども、この問題については、建設省においても、下水道整備等合併浄化槽の普及の問題、いろいろ考えておられると思いますから、要望して、最後に、いろいろまだありますけれども、省略をいたしまして、我が党の法律案に対し政府の考えをお伺いいたしたいと思います。  私は冒頭で、ヨーロッパ諸国に見られるような町づくりの取り組みがきっといつか必要になると述べました。この点、政府案は、我が国都市のおくれた現実に引きずられ過ぎていると言えるわけでございます。もう少し理想的であってもいいのではないか、こう思うわけです。そこで我が党は、政府案に加えて、こうした理想に少しでも近づけるよう、そして、今までうまくいっていなかった町づくりに関する諸問題の処方せんとなるよう、我が国都市計画法の抜本的改正に向けた答えの一つとして、都市計画に関する規制の強化充実と地方権限拡大、住民参加の充実を柱とした法案提出したものであります。政府は、このような社会党案についてどのように受けとめ、どのように評価をしているのか。お互いによいところを取り入れてよりよい制度をつくり上げていくことが必要だと私は考えます。どのようにお考えになっておられるか、この点について御見解を金子政務次官にお尋ねをいたします。
  30. 金子一義

    金子(一)政府委員 山内先生から御指名をいただきました。御堂の案を私も、また建設省としても、子細に拝見をさせていただき、またいろいろ検討をさせていただいております。  山内先生、さっき心は一つとおっしゃいましたけれども、御堂の案が、言うまでもなく、総合的な土地政策の一環として土地利用計画というものの制度をさらに充実をしていきたい、この点では政府案と全く共通の認識であると思っております。  ただ、幾つか相違点がある、こういう相違点についてでございますけれども我が国が、今ちょっと諸外国の例を引き合いに出されましたけれども土地基本法ができてきた、そういう中で、いわば財産権よりも土地利用の優先、公共の優先といったような考え方が定着を、本当に我が国で十分行われているかどうかといったような問題でありますとか、また、住民のこういうものに対する参加の考え方、理念でありますとか、もしくは私権の保護といったようないろいろな考え方が、まだそういう面でもっと議論をしていかなければいけない部分というのが、我が国の場合にはあるのかな。ただ、こういう社会党の、御党で出していただきました考え方というのは非常に傾聴に値するものだと思っておりまして、私たちも、長期的な課題としてさらに皆様方と議論をしていき、また国民の皆様の議論を深めてまいりたいと思っております。
  31. 山内弘

    山内委員 終わります。
  32. 古賀誠

    古賀委員長 次に、小林守君。
  33. 小林守

    小林(守)委員 社会党の地方行政委員会所属の小林守でございます。  ただいま本委員会において審議されている都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案は、地域住民自主性地域の独自性を生かした町づくりの根幹にかかわる法律でありまして、またゆとりと豊かさが実感できる生活大国づくりの基盤形成役割を担うものと思われます。このように重大な法案審議に参加できましたことを関係各位に感謝を申し上げます。そして、早速質疑に入りたいと考えます。  私ごとになりますが、私は社会党の廃棄物対策・リサイクル推進特別委員会の事務局長として、この二年間、都市のごみ問題やリサイクル対策にかかわってきましたので、廃棄物やリサイクルの観点から、まずは都市の問題、都市計画のあり方について伺ってまいりたい、そのように考えます。  そこでまず、従来から不思議に思っておりますことをただしたいと思いますけれども都市計画法の中で、確かに都市施設といたしましては、ごみの焼却施設とか処理施設が入っているわけでありますけれども産業廃棄物の処理施設というのは入っていない、入っているのかどうか、大変疑問でありますし、また都市計画の中で産業廃棄物の処理施設都市計画決定されるというようなことも聞いていないわけでありまして、これらについて都市計画法の十一条に絡みまして、産業廃棄物の処理施設については都市施設なのかどうか、この辺についてまずお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  34. 市川一朗

    市川政府委員 産業廃棄物の処理施設は、都市計画法第十一条に掲げます都市施設一つに該当するというふうに理解しております。現実には、これは平成三年三月三十一日現在のデータでございますが、全国の中で、わずかではございますが、九件、都市計画決定された産業廃棄物処理施設がございます。
  35. 小林守

    小林(守)委員 それでは、今の御説明で都市施設であるというようなことを前提に入ってまいりたいと思いますけれども、それでは、産業廃棄物の処理施設都市施設とするならば、どのような地域に本来立地されるべきものなのか、それについてお伺いしたいと思います。
  36. 金子一義

    金子(一)政府委員 産業廃棄物、産廃施設につきまして都市計画決定が行われる場合についてでありますけれども、当然に地域住民の皆様方からいろいろ御意見もある、それはそれだけ影響の大きい施設でもあるということでございます。ただ、土地利用ですとか、交通状況ですとか、また将来を見通した、そういうような状況というものを考えまして、必要な位置に配置していく、良好な都市環境というものを保持するように決めていくというのが基本的な考え方でございます。  したがいまして、今の御質問の御趣旨に即して申し上げれば、これは市街化区域がどうかということを問わずに、周辺土地利用との関係の中で決められていくということになっております。
  37. 小林守

    小林(守)委員 今、どこの地域というようなことは特定されないということになろうかと思いますけれども、しかし、現実にはさまざまな問題があって、この処理施設の設置については、大変な住民の関心、それから懸念、不安を抱いているし、また本来適正に処理されるべき施設そのものも、住民の不信感からなかなかできないという現状もあるところであります。そこで、都市計画においてごみ焼却場その他の処理施設都市施設一つであるというようなことでありますから、産業廃棄物の処理計画も含めて、都市計画の中で総合的に検討されなければならないと考えております。  これらの処理計画と、例えば線引きの問題、さらには用途地域に関する都市計画との調整、これらについては、どのようにされるべきなのか、されているのか、それをまずお聞きしたいと思いますし、あわせて、私の私見によりますけれども、本来ならば排出事業者責任が原則でありますから、都市計画の中では用途地域の中で工業地域とか商業地域とか住居地域というような区分がなされるわけでありますから、本来生産段階における地域基本的に処分をするべきではないのか。そういう観点に立って考えますと、原則として地域は特定されないということでありますけれども、私は原則として排出事業者責任、最も近いところできちっと処理をするという原則から考えるならば、本来市街化区域内に立地すべきものと位置づけられていいのではないか、そのように考えているところであります。  これらの考え方について、建設省、さらに厚生省にお伺いしたいと思いますが、厚生省につきましては、平成二年の十二月に生活環境審議会の答申が出されまして、その中で重要なことが述べられております。この生活環境審議答申の中の「具体的方策」、その中の「事業者の役割」という中に「工場、住宅団地の設置等の際には、そこから出てくる廃棄物の適正処理が図られるようこ計画段階からこれが配慮されるような制度整備検討すべきである。」というふうに答申されているわけでありまして、実は廃棄物処理法の改正が昨年十月になされたわけでありまして、ことしの七月に向かって施行をされるわけでありますけれども、その段階ではなかなかこの問題については調整が困難であった、間に合わないというような状況の中で、法律の中に組み込むことはできなかったわけでありますけれども、ここには明らかに都市計画段階、計画段階から配慮されるべきなんだということが述べられていると私は受けとめているわけであります。  そういう観点に立って、厚生省は、この産業廃棄物処理施設の設置のあり方、都市計画の中にどう位置づけられるべきなのか、そこを踏まえて答弁を願いたいと思います。
  38. 市川一朗

    市川政府委員 産業廃棄物の都市計画の進め方につきまして、基本的な考え方は先ほど金子次官からお答え申し上げたところでございますけれども、やや繰り返しになりますけれども産業廃棄物処理施設と申しますのは、やはり周辺の環境に大変大きな影響を及ぼすおそれがあるわけでございまして、特に交通渋滞等も含めましていろいろな問題が惹起されます。したがいまして、現在の都市状況とか、その将来の見通し等も勘案いたしまして、都市施設といたしまして一番いい場所にそれを立地していくということが基本的には必要なのだと思いますが、都市計画を定める決定権者はこの場合市町村ということになっておりまして、市町村においてごみ焼却場その他の処理施設と同じように都市計画の中で通常の都市計画手続を経て定めていくということになるわけでございますが、ただいま先生の方から御指摘ございましたように、計画段階で都市計画できちっと定めていくというような状況にはなかなかなってないのが現在の実態であろうかと思います。  都市計画の現状につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、数は少ないわけでございます。したがいまして、市街化区域であるべきなのか、調整区域でおるべきなのかということを議論するところまで実は至っておりませんで、私どもといたしましては、これも先ほど金子次官から基本的な考え方を御答弁したとおりに、市街化区域市街化調整区域、それぞれこういった問題を処理する区域としてはいろいろな観点から判断があり得るわけでございますが、基本的には、その周辺の土地利用等の関係在総合的に判断して、それで市町村できちっと話し合って決定していくということが一番大事なのではないかという答弁をさせていただきたいと思う次第でございます。     〔杉山委員長代理退席、北村委員長代理着席〕
  39. 三本木徹

    ○三本木説明員 ただいま先生指摘になられました生活環境審議会の答申の中で、産業廃棄物について計画的にもう少し先を見ながら対策を立てたらどうだ、こういう御提言を私ども受けているわけでございます。  昨年の改正法におきましても、廃棄物処理法を改正していただいたわけでございますが、その中で、都道府県が策定いたします産業廃棄物の処理計画の中に、「産業廃棄物の処理施設の設置に関する事項」ということを入れるべく御改正いただけたわけでございます。現在この産業廃棄物の処理計画施設の立地に関する事項を定めるに当たりましては、当然のことながら、関係の部局と十分相談をされた上で定めていくというようなことに相なっているわけでございます。  実際問題といたしましても、都道府県知事がこの計画を策定する場合には、例えば都道府県公害対策審議会の意見を聞くとか、さらには、今お話しいたしました都市計画担当部局といったようなところとも十分相談をしながら、計画をつくっているというような状況でございます。  先生指摘の二番目の、産業廃棄物の排出源にできるだけ近いところで処理施設整備すべきではないのかという御指摘につきましては、私ども、その理念といたしましては大変重要なことではないかというふうには考えておりますが、実態的に申し上げますと、なかなか立地が難しいという状況がございます。地域住民の方々の御理解がなかなか得られない、あるいは物理的にもそういったスペースがないとか、そういったような事情がありまして、遠くへ持っていって処理施設整備していくというようなことをやらざるを得ないような状況でありますが、理念は大変重要な理念でございますので、私どもも十分それを踏まえながら施策を講じていくことにしているわけでございます。  さらに、産業廃棄物の処理施設が日本全国至るところで必要なわけでございますが、なかなか整備が進まないというようなこともございまして、産業廃棄物の処理に係る特定施設整備の促進に関する法律案をこの国会で建設省ともども提案をさせていただいているところで、現在審議を進めさせていただいているところでございますが、こういった中におきましても、計画をつくって国がそれを認定していく、さらには、その計画の認定のプロセスの中で都道府県あるいは市町村の意向を十分反映させていくというような考え方をとっておりますので、そういった所定の手続を経ながら施設整備促進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  40. 小林守

    小林(守)委員 そういうことで、都市計画の中にやはり一般廃棄物の処理施設も含めまして産業廃棄物の処理施設、これもきちっと位置づけていかない限り、都市問題の極めて重要な課題であるごみ問題、もちろん都市問題としては住宅土地の問題や交通の問題、あるわけですけれども、私はごみの問題も、一般廃棄物、産業廃棄物も含めて、このごみの問題は極めて重要な課題だろう、そのように思っているところでありまして、今日まで都市計画の中で厄介者みたいな、臭い物にふたというか、事業者に任せてしまえば後ほどこかが処理をしてくれるというような形で都市計画の中にきちっと位置づけられていないというところに大きな問題があるのではないか、そのように考えている一人であります。  特に不思議に思いますことは、都市計画の中の用途地域の中には、今回八用途地域から十二ですね、社会党案では十四を計画しているようでありますけれども、詳細化、細分化を図って、より適正な土地利用ということを進めようとしているわけでありますけれども用途地域は、大まかに言いまして、生産にかかわる工業地域、流通にかかわる商業地域、消費生活にかかわる住居地域、この三つに区分されているのだと思うのです。  そういう形で、用途というものは、生産、流通、消費の段階で区分をして計画が体系化されているということなんですが、今日の常識からいって、まさに大量生産、大量消費、大量廃棄、この三つがごみ問題の大きな課題でありまして、これをいかに解決していくかという観点に立つならば、少なくとも都市計画の中にも廃棄の用途区分というか廃棄のための地域区分というか、その辺がきちっと位置づけられてくるべきときではないのかな。今日までそれが抜けていた。まさに生産、流通、消費ですべては終わっていた。廃棄の問題はまさに見捨てられていたというところに、ごみの問題がこれほど深刻化した背景があるわけでありまして、今日の状況を考えるならば、都市計画法というのは極めて不備である、不十分だと言わざるを得ないと思っているところでございます。  そういうことで、先ほどの御答弁の中で、産廃の処理施設都市計画については九つある、そしてこれは市町村計画すべきものだというような御答弁がありましたけれども、本来産業廃棄物というのは、一般廃棄物と違って基本的に事業者が責任があるわけです。それについての指導監督的な立場が県にあるわけでありまして、市町村産業廃棄物の処理施設を体系的に都市計画決定するというのはちょっと筋違いではないのかな、そんなふうに感じました。それについての御答弁をいただきたいと思います。
  41. 市川一朗

    市川政府委員 私どもは、都市計画はできるだけ住民の一番身近な団体であります、基礎的な地方団体であります市町村において決めていくべきものというふうに考えておりまして、ごみ焼却場その他の産業廃棄物とかそういった処理施設につきましても、すべて現在、都市計画決定権としては市町村都市計画決定ということにしております。  これを市町村でないということになりますと、知事都市計画決定に引き上げるということになるわけでございまして、こういったものにつきまして、先生が御指摘のように別途の考え方もあり得るかなという感じはいたしますけれども、やはり今、時代の流れとしては、できるだけ都市計画市町村で決めていくようにという方向で私ども考えておりますので、これを知事が決めるように変えるということはいかがかなというふうに思っておるところでございます。
  42. 小林守

    小林(守)委員 全体的な自治権をできるだけ住民のそばにお任せしていく。先ほど来の議論の中で、やはり町づくり住民の手で、自治体が主役だという観点に立ったものだと思いますし、それはそれで十分評価するし、そういう方向で進めてもらいたいと思うのですが、ただ、産業廃棄物については、少なくともこれは自治体の責任ではないのですよね。  そういうことで、廃棄物処理法の改正でも、公共関与によって都道府県レベルで一カ所ぐらいずつ廃棄物処理センターをつくることができるということが示されたわけであります。これは法律に明文化されたわけでありますから、やはりこれは都道府県レベルの中で位置づけて市町村に協議をしていくというような形でないと、市町村はそこまで責任をとてもとても負いかねない。一般廃棄物の焼却場や破砕場や最終処分の焼却灰の埋立地とか、それをつくるだけで手いっぱいなわけでありますから、とても産業廃棄物をみずからの都市計画決定の中でしていくということは不可能に近いことでして、そこまで責任は及ばない。できるとは思いますよ。できるとは思いますが、そこまではちょっと無理ではないかというふうに思うのですけれども、どうですか、厚生省の方でその辺については。
  43. 三本木徹

    ○三本木説明員 ただいま先生指摘産業廃棄物処理施設の立地についての行政事務は、これは都道府県知事の事務になっているわけでございます。したがいまして、どこにどのように立地させていくのが適当かという判断は、知事が処理計画の中でいろいろと考えていくわけでありますが、いずれにいたしましても、産業廃棄物の処理施設の立地に関しましては、関係するいろいろな各種の法律と調整をとりながらやっていくという必要がございます。その一つ都市計画法というのもあるかもしれませんし、あるいは他の土地利用規制法等々いろいろございますので、そういうのと調整をしながもやっていくということではないかというふうに考えております。
  44. 小林守

    小林(守)委員 いずれにしても、都市計画はできるだけ住民のそばで決定すべきである、そういう基本原則を踏まえながら、やはり土地用途というか、それに応じた、地方団体といっても市町村から都道府県までのレベルがあるわけでありますから、適切な対応のあり方を十分検討していただきたい、そのように思います。  それで、もう一度戻って質問したいと思いますのは、産業廃棄物の処理施設の設置について、建設省では昭和四十八年の三月に通達を出されております。この文面によりますと、「市街化調整区域内における産業廃棄物処理施設の設置を、都市計画法第三十四条第十号ロに該当するものとして許可することは、原則として不適当である。」こういうような文面があります。三十四条の十号のロというのはどういうことかといいますと、「開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行なうことが困難又は著しく不適当と認められるもの」、これらについては市街化調整区域の中で開発行為が認められる一つの例外事項として法律化されているわけでありますけれども産業廃棄物処理施設の設置については都市計画法の三十四条の十号のロでは「原則として不適当である。」というふうになっています。ということになりますと、産業廃棄物処理施設市街化調整区域内では不適当だということになります。  それからもう一つは、先ほどのお話では、市街化区域内の工業地域でも明確な位置づけはされていない。そうなりますと、だから私は、さきに言ったように、工業地域の中に、市街化区域の中に産業廃棄物処理施設はつくるべきなんだ、そういう前提に立っているから、市街化調整区域内では不適当なんだという通達が出ているんだと思っているのですね。そういうことを踏まえて、廃棄物処理施設はどういう地域に設置されるべきなのか、これはまだ結論が出ていないということでありますが、それじゃ都市計画区域外の方が適当なのかということも出てくるわけですね。  実は今日の最大の問題は、不法投棄等の問題については、その都市計画区域外のところにどんどん処分場がつくられている。あえて言えば、不法な、不適正な投棄が行われているという実態があるわけでありますけれども、この都市計画法の中では明確に位置づけられていないし、市街化調整区域内でも不適当だという言い方がされているわけでありますから、どこに捨てろということになるのでしょうか。今結論が出せないというようなことであるわけでしょうけれども、本来どこに設置されるべきものなのか、もう一度建設省の方で御答弁をいただきたいと思います。
  45. 伴襄

    ○伴政府委員 今の先生のお話の中で、市街化調整区域内では産業廃棄物の処理場の立地はできないということで四十八年の通達をお引きになりましたが、原則としてそれはだめだと。ただ、そこにただし書きがございまして、都市計画で位置決定しているようなものとか、あるいは建築基準法五十一条ただし書きというのがございまして、それが「特定行政庁が都市計画地方審議会の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した」ものというのがございます。要するに、市街化区域内でこれはここに位置すべきものと決めたもの、そういったものについては、都市計画法第三十四条第十号ロ、したがって開発行為の許可の対象としてよいというふうに言っております。これは恐らくそういったものについては、市街化区域において行うことが困難あるいは著しく不適当というふうに認定できるものだということでやっておりまして、したがって、市街化調整区域オールだめということではなくて、そういうものについては開発許可の対象とし得る、開発審査会の議を経て開発許可の対象にし得るということにはなっておるところでございます。
  46. 小林守

    小林(守)委員 わかりました。一つのこういう条件が整えば調整区域でもいいんですよというふうなことは今お話しいただいたところでありますけれども、もう一度、どうしても疑問が解けないのは、工業地域に本来つくるべきなのではないかな。少なくとも都市計画区域外のところに現状ではどんどんつくられているという状況があるわけであります。リゾートマンションばかりじゃないのですよ。ごみの焼却場なり最終処分場がどんどんつくられている実態があるわけでありますから、これらについてやはり明確な規制の枠、網をかけていくということをきちっとやっていただかないと、大変大きな問題になっているのではないか。リゾート列島でなくてごみ列島になっているわけでありますから、その辺について一つ考え方として、どういう地域に設置されるべきなのかどうか、都市計画決定の中では明確にされていないわけでありますけれども、ぞれらについてもう一度、あるべき場所というか立地の条件というか、それを整理していただきたいと思うのです。
  47. 市川一朗

    市川政府委員 都市計画の定める内容及びその場所等につきましては、基本的には都市計画法第十三条という規定がございまして、その中でそういう具体的な都市計画を決める場合の基準というものを書いておるわけでございます。その書かれている線に則しました物の考え方につきましては、先ほど金子次官の方からも、また私も再度御答弁申し上げたとおりでございますが、ただ、基本的にはこれは市町村が決める都市計画施設でございまして、市町村が定める都市施設はまだいっぱいございますけれども、そういったようなところで、余り明確にここでなければならないという方向に持っていくのがいいのかどうかという点におきましては、ただいまの先生のお話をお聞きしておりますと、もっと考えなきゃいけないのかなとも思う面もございますけれども、国の段階で申し上げますと、大体その間に県があるわけでございまして、それで市町村が定める場合には、せいぜい知事と御相談をして定めるというような仕組みにしてございますので、先ほど申し上げましたようないろいろな総合的な判断基準というものは示してございますので、そういうような中でお決めいただく方が民主的な手続でもあるし、いいのではないかなと思っておるところでございます。
  48. 小林守

    小林(守)委員 それでは、その問題についてはひとまずおくといたしまして、御存じのように、不法投棄の物件で最も多いのが建設省所管の建設廃材という実態にあるわけでありますから、これらも踏まえて、やはりきちっとした都市計画への位置づけ、先ほど申したように、生産、流通、消費、廃棄まで含めた都市計画をきちっと位置づけていただきたい、このように要望しておきたいなと思うのですが、一連の論議の中で、廃棄物の都市計画への位置づけ、これらについて政務次官の御所見を伺っておきたいと思います。     〔北村委員長代理退席、杉山委員長代理着席〕
  49. 金子一義

    金子(一)政府委員 今先生がこの産業廃棄物問題についていろいろお地元で、やるべきだという、やっていきたいという動きと、そしてまたいろいろ住民の皆様方から、どうしても困るよ、反対だという意見、多分そのはざまといいますか、両方のお立場に立たれていろいろ苦労されておられるなということを、如実に私も感じさせていただきました。  今市川局長からお話ございましたとおり、基本的には、今の段階でどの用途地域にそれをつくるべきかという考え方がいいのかどうかということについては、まだこれから議論をしてまいりたいと思っておりますし、そしてそういう中で、都市計画の中でこれを位置づけるべきかどうか。現行では、既に議論をされて、御答弁をさせていただいておりましたとおり、この都市計画の十三条ですか、ここでそれぞれの立地条件、将来状況を考えてこういう施設をつくり、都市計画決定をやるということになっておりますけれども、この考え方でさらに議論を進めていきたいなと思っております。  ただ、おっしゃるとおり、そういう問題も、いろいろな地方自治体からの御要望も踏まえて、さらに議論はさせていただきたいと思います。
  50. 小林守

    小林(守)委員 それでは、次に移りたいと思います。  今回の都市計画法改正にかかわりまして一番論点になっているところは、いかに町づくりの主体を、主役を住民のそばの自治体にお願いするか、お任せするかというところにあるのではないかというふうに思います。そういうことで、先ほど来、都市基本方針についての位置づけの問題が論議されてきているところでありまして、先ほど山内委員の方からもありましたように、その答弁では、本来義務化させたいのだけれども地方自治権にさわることにもなるというようなことで義務化はできない、できるという形で法令化されたというようなお話があったわけであります。政府はこの基本方針マスタープランを拡充するということを答弁されておりますが、整備開発または保全の方針、これは市街化区域及び市街化調整区域の区分がされている都市計画区域だけに適用されるものだと考えます。そういうことになりますると、区分がなされていない、未線引きの都市計画区域については、このマスタープラン改正法ではどういう取り扱いになるのか、お聞きをしたいと思います。
  51. 金子一義

    金子(一)政府委員 今小林委員指摘されましたとおり、おっしゃるとおり、市街化区域、調整区域等々の区分を行う場合に、整備開発または保全の方針というのが決められることは、御指摘のとおりでございます。  ただ、今回の法改正によりまして、市町村都市計画マスタープランといたしまして、市町村都市計画に関する基本的な方針を定めることができるとしております。これは地域に密着したマスタープランでありますし、区域区分に関係なくこれを定めることができるわけでありますので、今後は今御指摘の未線引き区域についてもこのマスタープランとしての役割が果たしていけるものと思っております。
  52. 小林守

    小林(守)委員 続きまして、市町村が定めることができるマスタープランについて、この改正法、政府法案につきましては、都市計画内容を定めた都市計画法第二章第一節、ここに本来ならば置かれるべきものだろうというふうに思うのですけれども、実際は法第十八条の二という形で第二節に置かれたわけであります。市町村への権限移譲も含めまして、本当に政府が自治体へ大きな期待をかけているということであるならば、本来計画法の位置づけとしても第二章の第一節に位置づけられるべきではなかったのかな、そのように考えます。そこは、都市計画ではなく手続に関する規定の部分なのです、第二節というのは、第十八条の二ということで新設されるわけですけれども。この法文上の位置づけの問題で、軽く見られているのではないか、手続に位置づけられているのではないか、そういうように考えますけれども、いかがでしょうか。
  53. 市川一朗

    市川政府委員 実は、気持ちの上では私も先生と全く同じ考え方でございますが、これは実は法律論でこういうふうになったそうでございまして、都市計画といいますのは、決められますと、それによりまして必ず権利の制限を伴うものが都市計画ということになっておりまして、権利の制限を伴わないものは都市計画ではない。そういうようなところで、今回定めますマスタープランは、市町村ごとに定めます都市計画マスタープランとして極めて重要な役割を果たすことを期待しておりますけれども、そのこと自体でもって具体的な財産権等に対する私権の制約というものは期待してないわけでございまして、そのマスタープランに基づいて定められた具体の都市計画で初めて、例えばそこは建物を建てちゃいけないとかそういったふうになる。したがってマスタープランはその前の段階であるということに実はとどめてございますので、都市計画のところには入れられないというところで、しかるべきところを探した結果、ここへ入ったというようなことでございまして、私もちょっと不満であるという点では、小林先生と全く同じでございます。
  54. 小林守

    小林(守)委員 一致できそうな答弁がなされたわけなんですけれども、少なくともそういうことであるならば、同じく改正法案というか対案という形で出されております社会党、進歩民主連合の共同提案においては、どのようにこの市町村マスタープランが位置づけられているのか、先ほどの答弁では、私と同じように不満だというようなことであるならば、即修正をすべきではないのか、そんなふうにも思うのですけれども、お待たせいたしました、社会党の谷村議員にその位置づけをお聞きしたいと思います。
  55. 谷村啓介

    ○谷村議員 大変重要な御指摘でございます。  社会党案では、現行制度で事実上のマスタープランとされ、都道府県知事が定めることとされている整備開発または保全の方針を独立した都市計画として位置づける、新たに都市基本方針に改めて、線引きの有無にかかわらずすべての都市計画区域について適用するマスタープランとして充実させる、こういうふうにいたしておるわけであります。  御質問の、市町村マスタープランにつきましては、都市計画区域を対象として定められた都市基本方針の枠組みのもとで、市町村が行政区域内の都市計画区域について地区レベルでの整備課題を明らかにして、その上で、その課題にふさわしい地区整備等の方針を示す都市基本計画として位置づけたものでございます。  この都市基本計画は、地区ごとの将来のあるべき姿をより具体的に明示し、地区整備基本方針をもとに、地区特性に応じた土地利用方針、各地区ごとの整備課題に応じた公共施設等の整備方針と、これを踏まえて策定をすべき地区計画等の、実施すべき市街地開発事業等を定めるものであります。この都市基本計画市町村が必ず定めるものとすることで、より住民に密接な地区レベルでの都市づくり基本理念及び戦略を地域住民の前に明らかにすることになるわけでございます。  また、前回の質疑におきまして、用途地域のない地域について、土地利用方針が不明確なままで容積率などの制限だけを強化することはできないというような建設省からの答弁がございましたけれども、私たちの案におきましては、市町村マスタープランにおいて、用途地域等の指定に関する基本方針及び用途地域を定めない地域における土地利用基本方針を定めることといたしておるわけでございます。市町村の定めるマスタープランは、用途地域指定のない区域における建築規制の根拠となるべきものとしても考えておるわけでございます。  以上でございます。
  56. 小林守

    小林(守)委員 非常に現実の自治体の実態に合った、なおかつ、先見性にあふれる御答弁をいただきまして、ありがとうございました。ぜひ、政府案とこの社会党、進歩民主連合の共同案についての大きな相違点を明らかにしつつ、やはり政府案と十分な調整を図って進めていただきたい、そのように考えているところであります。  次に、都市計画法改正と同時に、付随しまして、建築基準法改正も伴うわけでありますけれども都市計画区域外の規制の問題について、改正後の建築基準法第六十八条の九の規定によって、自治体の条例により制限できる内容についてはどういうものがあるのか。例えば建ぺい率とか容積率とか高さとか敷地、境界との距離とか緑地率とか給水計画、こういうものが、自治体においてはやむにやまれず要綱等によって既にやっているわけです。また、もっと強いところでは、条例でやっているというような状況も既にあるわけでありますけれども都市計画区域外に対する規制についてどのようなことになるのか、今申し上げましたように、建ぺい率または容積率や建物の高さとか境界との距離とか緑地率とか給水計画、こういうものについては、条例の中にきちっと位置づけられるのかどうか、これをお聞きしたいと思います。  そしてあわせて、用途地域指定のない区域、これらについても、これらの規制が適用できるようになるのかどうか、これは政府にもちろんお聞きするわけでございます。
  57. 立石真

    ○立石政府委員 建築基準法第六十八条の九の条例の制限内容につきましては、建築物またはその敷地と道路との関係容積率、建築物の高さ等に関する事項で必要なものを政令により定めることとしているところでございます。具体的な基準の策定に当たりましては、今回の地方公共団体の条例による制限が、都市計画区域の外を対象として、リゾートマンション等の無秩序な建築活動を規制することを目的としているところでございますので、都市計画区域として必要な建築制限を行うに至っていないということが都市計画区域外でございますから、都市計画区域内の用途地域指定のない区域の制限に準じた制限とすることが適切ではないだろうかというように考えているところでございまして、今後地方公共団体の要望を十分に尊重して検討していきたいと考えております。  ただ、御指摘の事項のうち、例えば緑地率あるいは給水計画、こういうものにつきましては、現行建築基準法におきましても規制の対象としてはしておりません。条例による制限内容とすることは困難であろうかというように考えているところでございます。  なお、都市計画区域外について、それでは建築物に関してさらにきめ細かく住宅地としての環境を維持増進する必要があるというようなときには、建築協定制度都市計画区域外でも活用できるところでございます。また、相当数の建築物が一体的に市街地形成しているというような場合には、都市計画区域として指定することによって必要な制限を行うべきであろうと考えております。  また、用途地域指定のない区域につきましては、現在七〇%の建ぺい牽制限が適用されているところでございますが、今回、必要な場合には建ぺい率制限を六〇%に強化することができることとしておりますし、市街化調整区域においても地区計画を定められみ、そういうような措置等を今回とりたいと考えているところでございます。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 小林守

    小林(守)委員 それでは、同じような問題につきまして、対案を出されている社会党、進民連の案についてどうなっているのか、お聞きをしたいと思います。  お聞きしまするところ、この問題について、この対案については、都市計画区域を拡大をしていく、そして、都市計画法に基づく開発許可制度を適用させていくんだ、こういう観点に立っての対案がつくられているというふうに思いますが、例えば、都市計画区域内の用途地域指定のない区域でも建築規制を詳細化する、また、こうした規制の詳細化、さらには市街化調整区域における地区計画、これらについては政府案と同じ立場に立っているわけでありますけれども、第一点として、社会党案については、市街化調整区域における地区計画、これらについても政府と同じ取り扱いをしていることになっているわけでありますから、先ほど来の質問も加味しまして、政府案に対して私たちは、市街化をより促進してしまうのではないかというような懸念を持っている質問も多いわけであります、疑問も多いわけでありますから、社会党、進民連の共同案の中で、市街化調整区域における地区計画を、これもできるというような位置づけがなされていることについては、むしろ社会党案に対しても、これは政府案に対しても同じ質問になるわけですけれども、無秩序な市街化を促進するおそれがあるのではないか、そういう点についてのお答えをいただきたいと思います。
  59. 谷村啓介

    ○谷村議員 お答えをいたします。  市街化調整区域における地区計画市街化を促進するおそれはないのかという点についてでございますが、用途地域が定められていない区域における建築規制の詳細化は、現行建築基準法で許容されている容積率等が過大に過ぎる現状を是正をし、地域の環境を守ることを目的としたものでございます。市街化調整区域における地区計画も、現に開発行為等が許容される場合が少なくないことを考慮して、地域の実情に合った開発行為等の規制を行おうとするものでございます。また同時に、都市計画法第四十三条第一項第六号の規定に基づく既存宅地の確認制度のような、施行当時はともかく、現在では市街地の環境を守る上で問題となっているものを改めた上で、市街化調整区域における地区計画制度提案をしたものでございます。  したがいまして、この部分だけを見れば政府案と同様の規定になっておりますが、制度全体としては、市街化調整区域における開発を促進するようなおそれのない制度となっておる、このように私どもは確信をいたしておるわけでございます。  以上でございます。
  60. 小林守

    小林(守)委員 それでは次に移りたいと思います。権限移譲の問題に絡みまして。お聞きしたいと思います。  政府は、国の利害に重大な関係がある都市計画を国の機関委任事務として、都道府県知事権限で、かつ国の認可を要するものとしているわけであります。都市計画法の十八条三項にあるわけでありますけれども用途地域に関する都市計画でそうした扱いになっている場合はどのような場合なのか、そして国の利害に関係のある重大な都市計画、これはどのようなことなのか、そしてこのように大臣の認可を要するというふうにした理由は何なのか、明確にしていただきたいと思います。
  61. 市川一朗

    市川政府委員 用途地域都市計画の中でも極めて重要な都市計画でございまして、大体基本的なイメージといたしましては、その市町村につきましてまず市街化区域市街化調整区域という線引きをいたしまして、整備開発、保全の方針も定めまして将来のあるべき姿を描きまして、その中で、市街化区域につきましては、その全域につきまして用途地域によりまして用途区域区分をする。大ざっぱに言いますと、住居系商業系、工業系、もちろんその混在もあるわけでございますが、そういう区分をいたしまして、それでその中で容積率、建ぺい率等も定めますので、都市の将来像の骨格を決めるという意味におきましては最も基本となるものでございますし、またほぼ全域にわたって定められるものでございますが、先生も御案内と思いますが、実態上の都市は行政区域を越えて発展してまいっておりまして、市町村相互が緊密な関係を有する状況でございます。  このような傾向は特に大都市圏等で大きいものでございますから、一の市町村区域を超える広域の見地から決定すべきものの代表ではないかというところで、この用途地域に関しましては、市町村決定にせずに知事決定ということになっておるわけでございます。その中で、首都圏等の国土政策上からも重要な地域につきまして建設大臣の認可が必要であるというところで体系づけられておるところでございます。
  62. 小林守

    小林(守)委員 それでは、時間もわずかになりましたので、最後の質問に移りたいと思います。  先ほど質問の中で、同じように木造三階建ての共同住宅について積極的に推進すべきであるというような観点の質疑があったわけでありまして、私も同感でございます。ただ問題は、今度の改正で防火地域や準防火地域外の地域でこれができるんだというようになるわけでありますけれども、例えば防火地域や準防火地域指定をしていない都市でもこれは建てられることになるのではないかというふうに思います。しかし一面では、もちろん耐火性能が高くなったからこういうことが出てくるわけなんですけれども、それにしても、防火地域や準防火地域は避けようとしているわけですね。では、指定をしていないこういう都市についてはどうなのか、どういう指導がなされるべきなのか、お聞きしたいと思いますし、あわせて、都市計画法の中の防火地域、準防火地域の基準、これが非常にわからない、あいまいではないのかな、そのように思います。  そういう点で、木造三階建ての共同住宅、さらにはもう一つ、伝統建築物の建築規制の見直しというようなことも積極的に取り入れられたわけでありますから、そういう点で防火地域、準防火地域指定の基準等についてより明確にされるべきではないのかな、そのように思いますけれども、あわせてお聞きしたいと思います。
  63. 市川一朗

    市川政府委員 まず私から、後半の都市計画の基準につきましてお答え申し上げたいと思います。  防火地域、準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するために定める地域でございまして、これは都市計画決定としては市町村決定になっておるものでございます。防火地域につきましては、都市火災の危険を防止することが必要な区域において指定されるものでありまして、都心部の商業地域等で主として指定されております。また、準防火地域は、防火地域の周辺あるいは幹線道路沿いに主に指定されておるわけでございます。  これらの地域指定に当たりましては、それぞれの都市における市街地の現況や土地利用方針を踏まえまして、具体的に各市町村状況を踏まえながら都市計画の中で適切に指定しておるところでございまして、これも市町村決定でございますので、余りぎりぎりした一律的な基準を設けるのは適当ではないのではないかと考えておりますが、ただ、基本的にはそういうことでございますので、押しなべて見ました場合に、大体全国同じような考え方でほぼいっておるというふうに理解しておるところでございます。
  64. 立石真

    ○立石政府委員 今回の、耐火性能の高い木造建築物については木造三階共同住宅が建設できるように改正したいということでございますが、この趣旨は、木造建築物についての技術開発が進みまして耐火建築物に準じる高い防火性能を確保することができるようになったこと、そしてまた、火災時の周辺の建築物への影響あるいは周辺からの延焼を受ける危険性を低くするという技術開発ができていること、こういうようなことでございますので、木造建築物について簡易耐火建築物として位置づけることによって三階建ての共同住宅を建築できるようにしようとする趣旨でございます。  このように、準耐火建築物である木造建築物は、防火上も非常に性能の高いものでございますから、従来の木造建築物と比べますれば市街地の防火性の向上に寄与するものであるというように考えているところでございますけれども、建築物が密集した市街地については防火地域あるいは準防火地域指定されているところでございまして、これらの地域内においては、規模の大きい建築物については耐火建築物としなければならない、防火上非常に厳しい規制が行われているところでございますので、準耐火建築物である木造三階建て共同住宅については、これらの地域では建てることはできないようにするのが妥当ではないかというように判断したところでございます。
  65. 小林守

    小林(守)委員 終わります。
  66. 古賀誠

    古賀委員長 次に、貴志八部君。
  67. 貴志八郎

    ○貴志委員 山崎大臣が少しおくれられるということでございますので、シャドーキャビネットの方の木間大臣初め社会党、進民連提案による改正案につきまして、若干の質問をしておきたいと思います。  この案は、土地神話に始まるバブルに対する反省から、二度とあのような土地高騰を生じさせない、あるいは地方分権によりまして地域のアメニティーが反映されるような、そういうシステムを取り入れよう、こういう発想のもとに、政府改正案に対置いたしまして本院に提案をされ、政策論議を活性化させようということで今審議をされておるわけでありますが、その努力と意気込みに対して、国民の側からも大変高く評価を与えられておるところであると思います。  さて、政府案との相違点は数多くあるわけでありますけれども、その主な部分は、従来のあいまいで大まか、緩やかな規制を厳格で詳細なものとしていくという一つ方向でありまして、もう一つは、基礎自治体に権限を大幅に移譲するという点で軸足の重点を置く場所が政府改正案と異なる点ではなかろうか、このように思うわけでございます。  そこで、三点ばかり質問を申し上げたいと思うのであります。  まず、従来、開発の対象として青空駐車場やゴルフ練習場など、建築物でないいわゆる特定工作物については法の規制がございませんで、政令で規模などの定めを行っていたようでございますが、今回、規制対象として駐車場を加えられました。また、ゴルフ場に対する規制も政令で定める、要するに制限を強めるというふうになっておると認識をいたしておりますが、どのような内容になっておるのか。  それから、現在、各都道府県等では、ゴルフ場開発等につきまして条例や要綱等によって法律を超えた部分まで規制をしておるようでございます。これは、その土地土地の要求に基づいて行われておるものであると思いますが、現行法では、そういう実態にかかわらず、市街化調整区域においてすら規制の根拠がございません。社会党、進民連は、どこまで地方団体の自主判断を生かしていこうとなさっておるのか、その改正の要点をぜひお伺いをいたしたいと思います。
  68. 木間章

    ○木間議員 最初に、今度の都市計画法の一部改正に際しまして、私ども社会党と進歩民主連合が鋭意努力いたしまして対案を提出いたしました。私どもの対案に対する大きな評価を賜っておりまして、心から敬意を表するところであります。  開発許可の対象となる開発行為の定義を見直して規制を強化しておる、こういうことでございますが、第一は、駐車場を追加いたしました。その理由は、建築物以外の駐車場であっても、ある程度の規模のものは市街地や周辺の環境に与える影響が少なくないからであります。例えば道路と駐車場の関係であるとか、あるいは景観を保全するための植栽であるとか、振動や騒音を防止するための緩衝地帯の配置であるとか、さらに、がけ崩れなどを防止するための擁壁の設置などが必要な場合が多いのであります。ですから、これらについて開発許可制度をもって対応することが適当であろう、このように考えるものであります。  第二に、これまで開発許可の対象となっています野球場、テニス場などの規模も引き下げております。これは今先生指摘のとおり、自治体での指導要綱などによる町づくりの実績を踏まえたものでございます。  以上が定義の見直しにかかわるものですが、そのほか、市街化調整区域内における特定工作物の規制についても見直しをしております。  現在、全国各地においてゴルフ場の開発に関する指導要綱などが制定され、地域の環境を守るために大きな成果を上げておりますが、法律上は最も厳しいはずである市街化調整区域について立地制限の対象となっていないのであります。この改正案地域独自の町づくりを支援するものでありまして、そういったものを私たちは何としてでもきちっと行っていかなきゃならない、このように実は提案をしておるところであります。
  69. 貴志八郎

    ○貴志委員 現実に即して詳細、厳密、厳格、そういう立場で改正を意図されておる点について子といたしたいと思います。  それから開発許可の技術基準について若干の質問をいたしたいと思いますが、地方自治体の自主的な判断として基準をかさ上げをしないと環境が保全できない、そういう場合が間々あるのでございます。それだからこそ現在でも全国の各市町村あるいは県段階でも条例などを定めて独自のかさ上げを行っておるところであります。  ところが、それが、法の定めがないために間々裁判で負けるというふうなことが起こっております。そうなってくると、例えば地域の環境に対する自衛権というふうなものが無視されていくのではないかというふうなことを我々は心配をいたすのでありますが、このたびの社会党・進民連案では、制限を付加できるというふうに改正を用意されておりますが、具体的に、このことによってどのようなケースが考えられるか、あるいは地方自治団体の意思というものを尊重する、そういう方に軸足を乗せられたその趣旨についてお伺いをいたしたいと思います。
  70. 菅直人

    ○菅議員 ただいま貴志委員の方から、我々の提案の中で地方自治体の条例によっての開発許可基準の上乗せといいましょうか付加ということについて、その趣旨の質問をいただいたわけです。  それで、先ほどの木間提案者の説明にもありましたように、今回のこの改正案の中では、いわゆる自治体の権限というものをもっと認めようということと、そしてこの開発の許可という制度をもっと生かそうということ、これが大きな柱になっておりまして、それが重なった部分というふうにもこの部分は言うことができると思うわけです。  基本的に、若干話が前置きになりますけれども、本来都市計画というのは、計画なきところに開発なしということが原則だというのを建設省もその面では認めているわけですけれども、それでは計画なきどころ開発なしという場合には、どういう場合に開発なしと言えるのか、つまり、開発なしということは、どうすれば開発なしと言うことができるのかといえば、これは開発を禁止するとか建築を禁止するという規定がなければそうならないわけです。  しかし、今の都市計画法建築基準法では、建築基準法の方では建築禁止という規定ではなくて、基本的には建築確認という形になっていますから、禁止という形がなかなかとりにくい。それで、開発許可については条項にはあるわけですけれども、先ほど貴志委員からもありましたように、現在の開発許可基準というのは事実上あけっ放しの門みたいなもので、面積基準とかが非常に大きくて、あるいは木を切ろうが、宅地、農地を例えば多少駐車場にしようが、そういうものは開発行為という概念に入らないというふうに勝手に概念を狭くしているということになっているわけです。  そういった現状の中で、私たちが提案をした内容は、そういう開発許可の基本的な考え方を大きく変えると同時に、まさに地方自治体がその基準をいろいろな形でつけ加えることができるといいましょうか、自主的に決めることができるということにしたわけです。  このことは、言うまでもないことですけれども、今までの日本の都市計画考え方というのは全国画一的なといいましょうか、一律の基準を設けて、そしてそれに合う合わないでコントロールをするという考え方がとられているわけです。  しかし、例えば古都京都は古いものをどうやって守るかとか、あるいは南の沖縄であれば、海洋的なものをどういうふうに守るかとか、あるいは北海道であれば、北海道に合わせてどうやって原生林を守るかとか、それぞれの地域特性なり環境に応じた要望がたくさん出ていることは、御指摘のとおりだと思うわけです。ある自治体は景観を守ろうということで条例をつくり、ある自治体は例えば住宅地域を守ろうということで条例をつくり、いろいろなものが出ているわけです。そういった意味では、今回の私たちの提案している改正案は、開発許可という基本的な、計画なきところ開発なしという基本的な関門の中に単に画一的な条件を法律で決めるというのではなくて、各自治体がその自治体にマッチした基準をつくることができるということによって、本当の意味での自治体の自立的な都市計画というものを可能にしようとしたものであるわけです。  さらに、一言だけつけ加えますと、先ほど都市局長は、権利の制限あるいは財産権、私権の制約ということについて、そういうことに触れる場合にはいろいろと画一的といいましょうか、法律的な根拠が大変重要なのだということをしきりに言われておりますけれども基本的な建設省考え方は、何か土地というものの利用を私権の方を重要視するところから例外的に規制するという発想になっているように思うわけです。しかし、これは土地基本法の中でも議論されまして土地についての公共の福祉の優先ということを明記したわけでありますし、また、土地というものが公共的な財産である、水や空気と同じように公共的な財産であるということは、かなり確立をした考え方になってきているわけですから、財産権を無視していいとは言いませんけれども、まずはみんなが住む土地利用がどうあるべきかということを前提として土地利用を考え、その上で、財産権に触れるものは何らかの補償措置をする。考え方の原則と例外が逆転をした形に政府考え方がなっているのではないか、そのことも申し添えて、今の御質問の答えとしたいと思います。
  71. 貴志八郎

    ○貴志委員 ただいまの答弁で、まさにここだ、かゆいところに手が届いたというふうな感じがいたしたわけでありますけれども、しかし、だからといって手放しで懸念がないかといえば、そうではありません。私も社会党、進民連の改正案にも若干の懸念がある部分がございます。  というのは、地方公共団体が独自に定めておる宅地開発指導要綱などの中には一部適性を欠くようなものが出てきはしないだろうか。例えば自分たちの住んでいる町、自分たちには甘く外から来る人には極めて厳しい排他的なそういう指導要綱などが出てくるようなことはないか、そして今回の改正でそうしたものまで許可基準に加えてしまうと、将来問題が起こらないだろうか、私の懸念をいたすところでございます。ぜひ見解をお答えいただきたいと思います。
  72. 菅直人

    ○菅議員 今貴志委員の方からもありましたように、宅地開発指導要綱というものが各自治体でつくられてきているわけですけれども、確かにその内容は千差万別で、今の都市計画法の不備を一生懸命補てんじようとする基本的な考え方はいいと思うのですが、確かにその内容はかなりいろいろなケースがあるわけであります。  そこで、今回の野党のいわゆる社会党、進民連の改正案では、この指導要綱がストレートにそのまま法律的な強制力を持つという形にはなっておりません。つまりは、きちんとした条例という形で定めて、先ほどの開発許可の基準などで明確にすることによってそれが生かされるという形になっているわけです。ですから、まあ自治体も一つ地方政府という意味でいえば議会をきちんと持っているわけですから、自治体による立法権というふうに考えれば、適切でない指導要綱の条例化に対しては、当然議会の中で反対をする、あるいは住民がそれに対して修正を求める、場合によってはそれに基づくような行政の行動に対して必要な場合には司法の救済も求めるということがきちんと条例という形になれば、明確なルールとなる。つまりは、行き過ぎもあるいは緩過ぎもいろいろあるわけですが、自治体の基本的なルールというものを、要綱といういわば行政指導の形ではなくて、地方の立法という条例の形にすることによって両面からの透明化というのでしょうか、あるいは住民の参加がより可能になるというふうに考えているところであります。
  73. 貴志八郎

    ○貴志委員 ありがとうございました。  ここで建設大臣にお伺いをしたいことがございます。  今論議されております都市計画法あるいは建築基準法改正案内容は、どちらかといえば地味で専門的な分野だ、このようにどうやら全般的に受け取られておるようでございます。しかし、今これに取り組んでおる私どもから見ますと、この法案こそ、国民生活の今日と未来を決定づける、そういう重要な内容を持っておるし、日本人の文化や感性を後世に伝える使命を担っている、私はそのように思います。特に、昨今の価値観の変化の中で、エコロジーの時代を迎えたと言われておりまして、こうした都市構想、都市計画というふうなものは、まさに今こそ時代の脚光を浴びても決して不思議ではない、そういう中身だ、こういうふうに思います。  社会党はこのことに着目をいたしまして、進民連とともに政府案に、対決ではございません、対置した形で、共同して改正案提出をいたしました。本会議でも異例の趣旨説明が行われたわけであります。  もとより衆議院、本院は立法府であり、国権の最高機関でございます。本来、議員みずからの手によって政策の立案を行い、立法化を行うところに、本院固有の任務があると私は思っております。ところが、今までその任務を十分に果たさなかった我々野党の方にも責任はございます。しかし、いざ提案いたしてみまして、政府・与党は、この我々の社会党、進民連の共同提案に対して全くの音なしの構え、議論をしてよくも悪くも意思の疎通を公開の場所で図ろうとしない、質問もなければ、意見もない。これが国民の世論の府と呼ばれる国会の姿でいいんだろうか。  建設大臣は、政府の側にあるわけですから、委員会審議のあり方にくちばしを入れる立場でないことは私も十分承知をいたしております。政治家として国会を活性化させるためにどのような御意見をお持ちでございましょうか。一般論としてでも、ぜひ政治家としての文場からでも、お伺いをいたしたい点でございます。
  74. 山崎拓

    山崎国務大臣 国会が国の最高機関であり、立法府でございますから、そこが法律改正等に主導的な立場で活動するということは当然のことだと存じます。その意味におきまして、社会党及び進民連が都市計画建築基準法両法の改正案提案されたということは、非常に有意義な立派な活動である、かように考える次第でございます。  与党がこれについて質問しないという御指摘がございましたが、これは理事会等を通じまして、政策面におきましても、例えば附帯決議の問題もございますし、あるいは、本政府提案が私どもは修正されないことを望んでおりますけれども、修正問題等を話し合っておられる。これは質問をしなくても一つの与党の活動でございまして、そういうあり方が多年この議会で行われてきたことも事実でございます。  政府は今日議院内閣制度でございまして、私も議員の一人でございますから、政府の立場に立ってお答えをいたしておりますが、これは与党の議を経て政府提案をした、与党の了解を得て提案をしたという、これもシステムでございますので、そういうことで、私がお答えいたします場合に、あるいは政務次官もお答えをいたしましたが、これは与党の意見も反映している、そういう一面もございまして、この国会のみならず、国会審議は極めて充実して有意義に行われている、かように考えております。  改善すべき点はぜひ理事会等で十分御討議を願いたいと存じます。
  75. 貴志八郎

    ○貴志委員 今日の政治は、イエス・オア・ノーというふうなそういう時代ではなしに、時には話し合いの上に大胆な妥協をやったり、国民の求めておる姿に柔軟に対応していくというのが一番大事な、そういう時期にあると思うのです。  ですから私どもは、大いに私どもの出した案にも意見を出してほしいし、我々もまた、そうか、間違っていたところがあったかなというふうなことがあれば、改めるにはばかるところはない。お互いにそういう立場で国民の前で議論をしてというふうな気風を、作風をやはり我々自身はこれからつくっていかなければならぬ。従来の慣例にとらわれないそういう国会審議というものをぜひ続けていきたいと思いますので、もちろん政府の要人である大臣にも、そういった点についてもぜひ今後格別の御配慮をいただきながら、こういった形でお互いに意見を出し合える、そういうチャンスをますます広げていただきたいものだ、このことを申し上げたいと思います。  午前中の時間はもうあとわずかしかございませんので、ちょっと質問の方の頭だけをしておきまして、あと、午後の答弁というところに入ってまいりたいと思います。  そこで、今出されている都市計画法でありますが、これに対する理念というものについて若干お尋ねをしておかなければならぬと思うのです。政府が考えておる理想都市というのは一体どんな都市だろうか、どういうことを考えておるんだろうか。  例えばの例として申し上げたいと思いますが、アメリカの著名な都市学者であるオルムステッドは、理想都市という思想を高く掲げて、それをジェファーソン流の民主主義と連結をさせた形で、それを公園という形式を通して理想の都市社会に迫る、こういうふうな一つ考え方を出しました。そうしてその根拠として、都市の持つ弊害を田園的な価値観あるいは田園的な手法の導入によってこれを解決しようとしておる。まさに都市公園システムとは社会正義と民主主義の都市建設への参加である、このように物の本に書かれております。  この思想によって生まれた都市公園は、セントラルパーク、フェアモンドパーク、フランクリンパーク、バッファローなどに代表され、しかもそれらの公園はパークロードで結ばれておる、こういうことでございます。  そういった理念、理想、そういったものが都市計画を立てる前にまず基本になければならないはずであります。  一体我が国の今度の都市計画改正法案が、そういう壮大な計画で深い思想性を持ったところから出発した改正案だろうか。ただ、土地の値段が上がった、今のシステムは少し手を加えなければならない、そういう対症療法的なものとして出したものとすれば、それは日本のためには甚だお寒いことだと言わなければならないと思います。地方都市が私が申し上げたような高い理想を持って自然公園を含めた公園計画を持つというふうなことができるようなシステムをやはり取り入れておかなければ、これからの都市政策というものは極めて限定的あるいは矮小化された都市政策に終わってしまうのではないかという私は心配をいたすものであります。  ぜひ午後の頭に、このことに対する御見解を賜りたいと思います。
  76. 古賀誠

    古賀委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後一時二十一分開議
  77. 古賀誠

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山崎建設大臣
  78. 山崎拓

    山崎国務大臣 先ほど御質問がございましたことにお答えをいたします。  先生は、非常に哲学的な、高邁な都市の理念をお述べになりましたのに対しまして、まことに貧弱なお答えになるかと存じますが、都市計画法の第二条に、憲法二十五条の規定を受けまして、御案内のとおり「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきこと」を都市計画基本的な理念に定めるということが書いてあるのでございます。したがいまして今日まで、都市計画法あるいは建築基準法にも及ぶと存じますが、このような理念のもとに累次の改正を重ねてまいったと存じます。今回の改正もこの基本理念を踏まえまして、諸般の改革を御提案をさせていただいた、こういうことでございます。
  79. 貴志八郎

    ○貴志委員 都市政策に対する思想というものをやはり持たなければならぬと思うのです。  それで今、今日的なあるいは未来都市というふうな形でオルムステッドの理想都市のことを申し上げましたが、逆に今度振り返って過去を見るときに、都市問題といえばやはり古代のローマあるいは中国の長安、そういったところが我々の頭の中で連想されるわけですが、このローマと西安という質の異なる巨大な都市文明あるいはけんらんたる都市空間、そういったものが現代の我々にとって果たして無縁な世界だろうか。私は、この東西の都市の流れをしっかりと受けとめておる、その影響を受けておるのが我が国ではないだろうか、そんなふうな思いを持つわけであります。  そういう観点からいいますと、今政府の出されております改正案に、果たして歴史的な都市空間をとらえる、あるいは都市文明の変遷という流れに沿った文化を継承するという思想がここで貫かれておるだろうか、そういうことに対する配慮があるんだろうかということを、私は疑問を持たざるを得ないわけであります。  ちょっと時間のこともありますので、一つ一つ伺いしながら次の質問に入りたいと思うのですが、少し先を急いで申し上げますと、もう一つ、ではその近代都市としてのパリという都市がある。ある有名な画家は、パリへ行くと何でもないパリの裏町、薄汚れた壁、あるいは古ぼけた橋げたにもその空間の記憶が、人間の愛と悲しみと人生が刻み込まれて絵になるというのであります。東京ではなかなかそういう絵になるような街角はない。そういう意味では、都市というのはさまざまな人間ドラマが演じられた歴史があるわけでありますし、そういう意味で、これからの町づくりというふうなものはやはり人間というものを主体にした、その地域の顔を主体にした、その地域歴史文化、そういったものが生きている、そういう顔が見れる、そういう都市にしなければならな、こういうことも言えると思うのです。  もうちょっと申しますと、例えばビルが林立するこの霞が関の深夜はゴーストタウンになります。しかし、下町に行って飲み屋街に行きますと、夜明け前でもひょっとしたらすえたにおいの漂う屋台のような店に人々が群がっている。都市は人間の集まるところであり、機能的で快適な環境が求められるとともに、人間としてのドラマの舞台である。そういう人間のいる町、人いきれのある町は、例えば誘導容積制の導入によって消えてしまうのではないか。人間が醸し出す都市空間は、机上の計画ではつくれない、そこに住んでいる人たちだけが理解できる空間、そういうふうなものがあるはずなんでございますのでは、そういったものをどこで生かしていくのか。そういった、私が申し上げたように、その都市、その地域ごとにあるさまざまな都市の生きざまというふうなものをどこで、一律にやらないで、その都市の息づく都市計画というふうなものをだれがつくるんだ、それは中央で机の前ではやはりできない。それこそ、まさにその都市が自主的に決めなければならない。そういう側面が確かにあると私は思うのです。  幾つかの問題を投げかけましたが、そういった問題をひとつ皆さん方はそんなことを討論して、そんなことにまで思いをはせて、そうして今回の改正案というものが生まれてきたのかどうか、その辺のところをひとつお答えをいただきたいと思います。
  80. 山崎拓

    山崎国務大臣 先生がお述べになりましたように、それぞれの都市におきまして歴史がございます。また、独特の誇るべき文化もございます。あるいは、伝統的な市民のかたぎもあろうかと思います。そして、ある人が申した言葉でございますが、それぞれの都市にはその中心部にきらりと光るものがなければならないという言葉を聞いたことがございます。そういったそれぞれの特色ある、誇るべき都市づくりということはぜひ行っていただきたいと思いますが、本法案の中では、それぞれの市町村マスタープランをつくることができると定めているのでございます。まさにそういった歴史と伝統を保持し、かつ未来を開拓する都市ビジョンのもとに新しいマスタープランがつくられていきますことを、心から願うものでございます。
  81. 貴志八郎

    ○貴志委員 市町村のつくるマスタープランがあるから、私が今申し上げたようなことが充足できるというふうなお答えをいただいたわけでありますけれども、私は、今の出されておる改正法案程度の権限移譲でつくられるマスタープランでは、なかなかその都市の顔の見える地方都市というふうなものはできない。この間うちからの論議をずっと拝聴いたしておりますと、建設大臣も今日までの論議の中で、基本的に地方分権が大変差し迫って大事なことであるということを繰り返し認識を示されましたし、また各省庁の縦割り行政の弊害というふうなものも、今日の行政にさまざまな影響をもたらされておるということに対する認識もお述べになっております。私は、そのところが、一番今問われておるところではないか。  なるほど、建設省には建設省としての論理があるでしょう。しかし、今一番大事なことは、その権限をどうかして少しでも地方に持たせてやって、そうして地方が自分の意見で都市計画を決定していける、こういうシステムをつくらないと、どこへ行っても、住宅地へ行けば植え込みがあってその奥に家がある、そういうスタイルの住宅地、それから商業地へ行けば、もう看板、看板、ネオン、そういうふうな商業地、そういったものの全国一律のスタイルというものから抜け出ていくわけにはいかぬのじゃないか、そういうふうに思うのです。  この間もちょっとこの席で申し上げましたが、例の行革審のパイロット自治体構想における権限移譲について小委員会が各省庁に意見を問うたときに、もう移譲できる権限移譲してしまった、これ以上は無理だというのが各省庁押しなべての意見だったという。そこのところを政治が風穴をあけていかないと、これからの本当の意味における国民のための政治というものはできない。上意下達の、まあ今はスタイルは変えられつつありますけれども、実質的にはまだまだ上意下達がそういう意味では残っておる、ボトムアップの時代はほど遠いということになるわけであります。ベルリンの壁は崩壊いたしました。しかし、縦割り行政の弊害、その壁は今日なお破れないのか、まさに我々政治家が問われておる課題ではなかろうか、そんなことを思うのでありますが、いかがでございましょうか。     〔委員長退席、金子(原)委員長代理着席〕
  82. 山崎拓

    山崎国務大臣 都市計画につきましては、基本的には市町村が定めることになっております、都道府県が定める都市計画もございますが。その中で、国の行政と利害の調整が必要なもの、ごく一部でございますが、それに国が関与するということはございますが、それ以外は基本的に市町村において都市計画が定められるべきものと考えておるわけでございます。したがって、いわゆるボトムアップという先生の御提案と申しますか、これはこの分野におきましては、基本的にはそういう仕組みになっているのではないかと思うのでございます。  ただ、現在臨時行革審等で地方分権につきまして御討議を願っておるところでございまして、思い切って権限移譲すべき分野について具体的な御提案があろうかと思いますが、恐らく都市計画につきましてもそのような分野に入るという認識は、行革審の委員先生方にもおありになるだろうと考えておりますし、私どもももちろんそういうふうに考えておりまして、今日までも累次の改正の中でその方向で動いてまいりましたし、今回もそうでございますし、また今後ともそういう方向法改正等を検討してまいりたいと考えているところでございます。
  83. 貴志八郎

    ○貴志委員 ちょっとそのところが違うのですが、行政の視点で行う都市計画、それへ議会がきちんと関与する、あるいは住民の声を具体的に保障する、そういったことが行われないと、本当の意味での今建設大臣がお考えになっているようなその考え方実現しない、そういうおそれが十分にあるということを、今のところ私は強く指摘を申し上げておきたいと思うのです。  先ほど来ずっと申し上げてまいりましたが、そういう町の特徴を生かした、町のアメニティーを尊重する都市計画を行うためには、先ほどもこちらの方の改正案について御質問をしたわけですが、技術基準の制限をさらに付加できるように地方公共団体の条例でできる権限を持ってもらわないと、本当の都市計画というものは、その町の主張、町の要求というふうなものが法律で保障されないというふうなことではだめだ、私はそんなふうに強く思っております。  それから、先般来の答弁の中で、過度な私権制限ということになれば財産権の問題にまで発展するのでというふうなことで、土地基本法の中で定めておる土地の公有性の優先というふうな思想は、現実にはそういう意味ではかなり遠慮をしているんじゃないか。  私はここで申し上げたいのは、例えば奈良の明日香村の歴史的景観を保存する特別措置法あるいは古都法などを見ますと、本当に網をかけてしまえば家は全然建てられない、塀すら勝手に直すことができない。同じ県道の道筋で、その網のかぶっておらないところは坪百万円以上する、しかし網のかけられたところはもう五万円もしない、そういうふうな実態が同じ法のもとでも行われておる。なぜ都市計画法の中でそれだけ思い切ったことができないのだろうか、私は極めて疑問に思うわけです。私は、そういう意味では、奈良の明日香村の皆さんや、あるいは古都法の中で定められておる奈良や京都の皆さん方がお受けになっておる財産制限、そういったものと都市計画における財産制限とどこにその食い違いがあるんだろうか、ぜひ聞いておきたいと思うところでございます。
  84. 市川一朗

    市川政府委員 日本の都市計画におきましては、いずれにいたしましても、その都市計画決定された内容実現する方向である程度の財産権制約は、強弱の差はございますが伴うわけでございまして、そういう意味におきましては、公共の福祉に従った土地利用のあり方という意味におきまして、最も基本的な法体系の一つであるというふうに理解しておりますが、その場合に、基本的な考え方は大きく分けまして二つに分かれるわけでございまして、その都市計画による財産権制約内容が、土地所有権等の権利の立場から見ていわゆる受忍の範囲内の制約であるかどうかということでございます。それにつきましては、別な言い方をすれば、公共の福祉に従って当然受忍してもらわなければならない範囲内の制約。その代表例は、線引きをいたしまして、市街化区域に入った場合はあれですが、市街化調整区域の場合には開発を抑制されるというところでございまして、そこで調整区域内の土地所有者は自由に開発ができなくなるというのが一つでございます。  それから市街化区域内におきましても、用途地域等の規制によりまして、そこでは自由に工場を建てようと思っても建てられない場所になる場合もありますし、それから現実に建物を建てる場合に建ぺい率、容積率等についても制限があるわけでございまして、こういったものはおよそ都市生活、社会生活を営む上において、受忍の範囲内において当然従うべきものという財産権制約である、その範囲内であるということから、いわゆる補償なしの制約ということで体系上整理されております。  それに対しまして、その受忍の範囲を超える、その土地所有者等の権利者にとりましては特別の犠牲を伴うもの、そういう厳しい制約の場合には何らかの補償措置が必要であるということでございまして、その最も典型は、そこに道路等都市計画決定されました場合には、計画決定までの段階でございますと、ある程度二階建てまでの住宅等は建てられるというところで受忍の範囲でございますが、いざ事業ということになりますと、そこには住めなくなるどころではなくて、土地そのものもとられてしまうわけでございます。いわゆる土地の収用という手続に入りますので、現実的には任意買収等で応ずるわけですが、最終的には収用手続に入る。その場合には、完全に時価でもって適正な価格ということですか、いわゆる正当な取引価格でもって補償されるということになるわけでございます。  そういった分類の中で、先ほど先生から御指摘ございました奈良等の古都保存におきます特別保存地区というところにおきます規制は極めて厳しい規制でございまして、あらゆる開発行為、建築行為は許可対象になります。その場合には、その権利者がその制約に耐えられない場合には、県に対しまして自分の持っている土地を買い取ってほしいという買取請求ができることになっておりまして、知事としては、そういう請求があった場合にはそれを買い取らなければならないということになっておるわけでございます。  そういう補償手続の中でそこまでの制約が可能であるということになっておりまして、したがいまして、すべての都市計画についてどういうところまでの制約を課すべきかということは、その都市のあるべき姿という観点からいって考慮すべき問題点と、もう一つは、そういう財産権に対する補償の問題との整合性というところで現在のところは議論されておりまして、そこが違いということでございます。
  85. 貴志八郎

    ○貴志委員 今の問題については、本当は論議をしたいのです。地図の上にかかれた計画道路が、もう何十年たっても全然事業化されていないというところがごまんとあるんじゃないですか。そのために受忍の範囲を超えて、今か、いつ来るんかとおびえながら、おびえるというのはおかしいですが、そうなっておるというふうな場合だって幾らもある。そういったことについて論議をしたいのでありますが、実は私が予定しておりました質問の中で、どうしても申し上げておかなければならぬ問題がもう一つだけありますので、そういった問題は誘導容積制の問題などで問題を残しておきながら、次の問題について質問をいたしてみたいと思います。  先ほど来、その土地土地文化というふうな意味のことを申し上げましたが、日本の文化は木の文化である。都市計画においても、特に木造建築物に留意をしなければその町の個性が失われるというふうに思います。私どもの年代の学校の校舎はほとんど木造でしたし、廊下や横板のぞうきんがけの中で木造の建物と親しみました。また机もいすも木造でございました。  この間、出雲市長の岩國さんのお話を聞きますと、自分が市長になってから建てかえ新築する学校の校舎は全部木造にした。少々高くついても、木造の校舎で育った子供たちには木の文化を、日本の文化を体験させることができる。また、町内会の会館も古い建築様式を取り入れた木造の建物をつくる。子供たちは毎朝、その木造の古い様式のもとでつくられた会館の前に集まって、自分たちの会館はいつの年代につくられた建物だそうだなと話をしながら学校へ出かける。こうして子供たちは日本の文化と心、そしてふるさとというものを教えられる。初めは文句を言う人がみったけれども、最近はよく思い切ってくれた、そう言ってくれるようになった。木造建築というのは日本の心だということは、今の岩國さんのお話をからずとも、大方の皆さんは御認識をいただいておるところだと思うのです。  昨日からの論議を拝聴いたしておりますと、建設省の方でも、木造三階建ても従来は認められておらなかったけれども、日米構造協議のおかげもあったのでしょうか、日本の伝統的工法である軸組み工法による木造三階建てについても、戸建てのものについては防火被覆を柱に施すというふうな条件で認めることになったということを聞きまして、しかし、その柱に防火被覆をして本当に木造のよさがわかるんかなあというふうなことを私は疑問に思います。  後でそんなことも含めて答弁をいただいたら結構ですが、私が一番申し上げたいのは、建設省も木造の建築というふうなことについては、いや積極的に取り組んでいるんだ、奨励をしているんだというふうな姿勢を、先ほど来お話をいただきました。結構でございます。ところが、同じ木造三階建てでございましても共同住宅の場合、これはお答えによりますと年間六千棟以上も建っておるということでありますが、共同住宅の場合の技術基準が大変難しい。二月建ての場合には、簡易構造基準をつくって、そしてチェックリストで点検をしてそれで認めておる。しかし共同住宅では、複雑ないわゆる構造計算を要求しておるわけであります。  ちょっと例としてはどうかと思いますが、東洋医学の漢方薬、これはついこの間まで余り日本の医学の方では評価をしておらなかったのですが、最近は認められるようになった。その漢方薬に西洋医学に添える分子構造や化学方程式の提出を求めるのと同じことではないか。左甚五郎に構造計算を出せと言っても無理でございます。しかし、左甚五郎は近代建築に必要な構造計算はできなくとも、ピサの斜塔は傾いても五重の塔は傾いてはおりません。  どうですか、こういう木造三階建ての共同住宅、日本古来の軸組み工法、こいったものをどんどんむしろ日本的なものとして発展させる意味でも、共同住宅などは特に自立っわけでありますから建てやすいようにしていく、そういう行政の姿勢というふうなものがなければならぬのじゃないか。農水省あたり、特に林業の問題が今日大変な課題になっておりますから、そういう私の申し上げたところ、意のあるところを酌んでいただいて、ぜひ前向きな御検討と早期な一つ方針をお出しをいただきたいものだということを希望しながら、質問をいたしておきます。
  86. 立石真

    ○立石政府委員 先生指摘のとおり、例えば西洋は石の文化といいますが、日本はやはり木の文化の国であるというように、私も感銘を受けて聞いておったところでございます。これまでの歴史の中におきましても、木造建築物については我が国では古い歴史を持っております。そしてまた、その技術をその時代時代に発展し、あるいは継承して現在に至ってきている。そしてまた国民も、木造建築物に対するニーズは非常に大きい。一人一人が自分の家を建てるときには、軸組みの木造住宅を建てたいという希望も非常に多くございます。こういうように、木造建築物に非常に親しい国民なわけでございますので、建設省といたしましても、木造建築ができるだけの可能性を持って広がるように、その促進を図っていきたいと考えているところでございます。  今回の改正もそれらの一環というように考えているわけでございますが、今回の認めようとしております、例えば木造三階建ての共同住宅というのは、従来の日本の伝統的な技術というよりは、それを土台にして長所の可能性を引き出して新しい木造住宅の建築に向かう技術でもあるわけでございます。そういうようなことでございますので、全体をそういうふうに考えているところでございますが、先生指摘のように、これらのものについても建てやすいようにしていくことは、その普及を図る上で本当に大事なことだと考えております。  三階建ての大きな建築物の場合には、木造でももちろん構造計算によって安全を確かめる必要はあるわけでございますけれども、例えば一戸建ての三階建て木造住宅については、構造計算をしないでも簡易な仕方で安全を証明すればよいというような手だてを講じておりますが、三階建て共同住宅につきましてもこれらの簡易な方法等も考えまして、また使いやすいようなマニュアルをつくりまして、積極的に普及してまいりたいと思います。
  87. 貴志八郎

    ○貴志委員 ありがとうございました。ぜひそういう方向で進めていただきたいと思います。  大変ありがとうございました。
  88. 金子原二郎

    金子(原)委員長代理 薮仲義彦君。
  89. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、ただいま議題となっております都市計画法改正建築基準法改正について、大臣並びに関係局長に何点か質問をさせていただきたいと思います。  この都市計画法、きょうこれから質問させていただくわけでございますが、この都市計画法も昭和四十三年に制定されて、二十年余を過ぎての今度の改正でございます。特に、今回の都計法の改正で多くの国民が期待し、関心を持っているであろうと思われますのは、大臣も御案内のように、今日はバブルの崩壊ということが叫ばれております。しかし、あの土地神話とまで言われた異常な地価高騰、この問題に対応するために国を挙げてこの対策に努力をしたところでございます。金融はもちろん、税制あるいは国土法の適用、あらゆる手段を講じて何とかこの地価を鎮静化させようということで来たわけでございますが、今回の都市計画法改正は、いわゆる税制、金融あるいは監視区域というものの残された最後のといいますか、一番大事な土地利用という問題についての審議でございます。土地基本法の中で言われたあの理念は、大臣も先刻御承知のように、いわゆる土地は公共の福祉を優先すべきもの、そしてまた適正な利用と適正な計画に基づく利用がなければならないということが、あの土地基本法の理念でございました。  そこで、私たちが今回の都計法の中で、では一体あのときを思い出して何が一番念頭に残るのかといいますと、都心の商業あるいは近隣商業、あそこへ業務系のオフィスがどっと来たわけです。何とかあれを食いとめてという大きな期待があったわけでございますが、現在の土地利用法律、都計法では、あの事務所ビルの猛威といいますか、あのエネルギーを抑えることができなかった、あの苦いまでの教訓を持っているわけでございます。やはり我々国民の側からいって一番期待しているのは何かというと、再びあのような地価の狂乱、暴騰は起こさないで欲しい、そして近隣あるいは商業区域の中に住んでいる私たちも安心して生活できるようにしてほしい。今度のこの都計法で国民が望んでいるのは、この法律が成立すれば安心して生活できるのだな、住みよい町がつくれるのだな、町がきれいになるのだな、こういう期待感を持っていると思うのでございます。  そこで、この都計法というのは一体だれのために、何のためにやるのか、まず大臣に冒頭お伺いしておきたいわけでございますが、この都計法を改正してだれが一体一番利益をこうむるのだろう。どんな理由で、どんな目的を持って大臣はこの都計法の改正をなさろうとしているか、大臣の所信をお伺いしたいと思います。     〔金子(原)委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 山崎拓

    山崎国務大臣 先生もよく御存じのとおりでございますが、都市計画法に定められました基本理念は、健康で文化的な都市生活、そして機能的な都市活動を確保いたしますために、適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られることということが、都市計画の理念として定められておるのでございます。そして、そのことによりまして、都市の健全な発展と秩序ある整備を図って、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的といたしておるわけでございます。今回の改正に当たりましても、このような基本理念、そしてこの目的を達成いたしますために、新しいアプローチといたしまして諸般の改革を御提案させていただいたところでございます。  だれのためにと申しますと、都市住民のためと申しますか、市民のためにこの法案は資するものと考えております。
  91. 薮仲義彦

    薮仲委員 今大臣が最後に申されましたけれども、この都市計画の中心といいますか主役といいますか、大臣がおっしゃったように、これは東京都の場合は都民であり、国民万般だと私は思うのです。国民のために、今回の都市計画を最も有効かつ適切に改正し、それが運用されていってほしい。そのことによって、私の住む町が本当に住みやすくなった、こういう結論を得たいと思うわけでございますが、今度の都市計画を決定するに当たりまして、いわゆる大臣が諮問いたしました答申として「経済社会の変化を踏まえた都市計画制度のあり方についての答申」があるわけでございます。この中でどういうことが書かれているかといいますと、都市計画に求められる課題として幾つかの命題が挙がっております。一番冒頭に出ておりますのは、都市ビジョンを明確にしなさい、自分の住む町が将来どうなるのか、どういう町づくりが進んでいくのか明確にしなさい、適正な地価水準あるいは適切な土地利用計画に基づく土地の有効・高度利用実現等々が書かれてきているわけでございます。  そこで、この都市計画といってだれしも心に浮かぶのは、自分の町がどうなるかな、これが一つあると私は思うのです。しかし、我々政治の側にある者にとって一番関心が高く、そしてまたシンボリックなのは、東京がどうなるか、こういう思いが心をよぎります。この都市計画で、あれだけ狂乱した東京都が、あるいは都心から都民が住めなくなってだんだん郊外へ追いやられている東京がどうなるのだろう、本当に東京生活者のために回復するのだろうか。宮澤内閣が生活者の政治、生活大国ということをよくおっしゃいますけれども、では本当にこの都市計画法改正によって東京に、また都心に人が戻ってこれた、住み続けられるし、また回復してきたというようなことになるのかどうか。  そうなりますと、ここで大臣にお伺いしておきたいのは、私は東京の将来像、これを大体伺うと、我々国民にとって東京がこんなになるのならいいなという思いがあると思いますので、東京像をお伺いしたいわけでございます。私も東京に居住しているわけではございませんが、都民ではございませんけれども東京生活の大半をいたしております。やはり東京というと、これは大臣も御承知のように、国際都市かな、国際金融経済の中心かな、二十四時間態勢の巨大な都市なんだな。あるいはまた、東京は確かに首都だということは心をよぎるわけでございますが、翻って、東京都はマイタウン東京、わたしのまち東京、こういうスローガンを掲げていますように、やはり人が住むということだと思うのです。生活する人がたくさんいることが都市だと私は思うのです。そしてそこには、生活がしやすい、そしてまた住んでいる人にとても思いやりがあって優しいな、そういう都市構造になっておるな、こういう東京を我々も期待していますし、恐らく都民も、そしてまた国民の多くは、東京がどうなるのだろう。  非常にシンボリックな都市でございますので、この中間答申といいますか答申の中で、都市ビジョンをはっきりしなさいと出ておりますので、建設大臣として、シンボリックな東京が将来我々にとってどういうような都市になるのか。これは都民が決定すべきことかもしれませんけれども、やはり大臣として東京のあるべき姿というのをどのようなお考えでいらっしゃるか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  92. 山崎拓

    山崎国務大臣 四全総の中で、「東京圏は、全国的な中枢機能、国際金融機能等を道切に果たしていくことが求められている。また、交通、情報・通信体系の整備により、他の地域との交流が増大していく中で、その高次の機能を提供することを通じて、日本の各地域活性化に寄与する。」とされているところでございます。このくだりを読みまして、これは生活者の視点というのがこの中には欠けているように私も感ずるのでございます。  一方、第三次東京都長期計画というのがございますが、その中では、「東京圏をはじめ全国への適切な機能分散をすすめるとともに、都心一点集中型の都市構造を多心型に再編し、東京を職と住の均衡のとれた都市にしていくことが強く求められている。」とされております。この中には「職と住の均衡のとれた都市」という考え方が提示されているのでございまして、その意味におきましては、生活者の視点も入っていると思うのでございます。  東京のあり方につきましては、この東京が余りにもマンモス都市でございまして、そこには若者たちが求めている多くの高次の都市機能、拠点都市法の審議の中でも再々申し上げさせていただきましたが、職住遊学といったさまざまな生活空間を提供していることは事実でございます。さはさりながら、真に豊かな、心豊かな生活を営める都市であるかどうかということにつきましては、私も今住民の一人でございますが、日々疑問を持たざるを得ないのでございまして、東京のあるべき姿ということを考えました場合に、今般提案をいたしました都市計画法あるいは建築基準法改正の中で、東京がより一層住みやすい場所として、そこには東京の持っております江戸以来の首都としてのふるさと、そういうものを回復できるように、今先生のお話の中にございましたが、そういう努力をいたしたいと存じますし、同時に、今参議院に回っておりますが、国会で同時並行的に審議いただいております拠点都市法の成立を待ちまして、全国に魅力ある高次都市機能を備えました拠点都市整備いたしまして、一方における問題解決の一助にさせていただきたい、かように念じているところでございます。
  93. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、この法案の一番の中心の局長であります都市局長の考えも引き続きお聞かせいただきたいと思うのでございますけれども、今大臣もおっしゃられたように、東京に住む我々にとって、東京が住みやすい町、魅力のある町、そしてまた住みたくなる町であってほしいと、これはだれしも望んでいるわけでございます。先ほど来申し上げますように、生活する人が主役、東京生活する人がやはり主役でなければならない。リンカーンではございませんけれども住民住民による住民のための都市計画、こういう形でこの都市計画実現していったらなと、これはだれしも思っているわけでございます。  これはよく都市問題のときに使われる、アメリカの大統領のジョンソンの都市問題に関する特別教書がいつも引かれますけれども、ジョンソンの発言は、こういうことが教書の中で書かれてございます。「都市の建設・都市計画には、地域社会の人間関係を大事にするという大きな目標が必要である。その目標のない都市づくりは、いくら立派でも人間を不幸にする」、これは「都市の危機」という特別教書の中の発言でございますけれども、これはまた言い得て妙であると私は思っているわけでございます。やはりそこに住んでいる人が一番大事なんだな、住む人にとって住みやすい町、生活しやすい町、お年をとられた方にとっても青年にとっても赤ちゃんにとっても、住みやすい町であってほしい。  ところが、最近でもまだ続いておりますけれども、現在の東京の都心というのは、業務系のオフィスビルのポテンシャルエネルギーといいますか力がどうしても強い。住民はどうしても遠くへ行かなければならない現実にあることは事実です、地価が上乗せしてきておりますので。都市計画都市開発都市活性化という言葉があるのですけれども、ここで私は局長基本的にお伺いしたいのは、例えば都市開発とか都市活性化というと、ビルが林立し、あるいはビルやホテルがたくさんあるような一見きれいな町並み、これが繁栄の象徴のごとき感を抱かざるを得ない面もございますけれども、翻って見てみると、これは業務系のコアの進出であります。  では、今までそこに住んでいた人が確かにいたはずだ、一体その人はどこへ行ってしまったんだろう。住んでいる人がいなくなってしまうということは非常に重要なことで、この都市計画あるいは都市開発の中で考えなければならないのは、やはりだれが利益を一番受けているんだろう、そしてだれかがそのかわり損しているのかもしれない。そうなってまいりますと、そこに住んでいる人、生活する人という視点から都市のあるべき姿ということを論ずることも重要かな。業務系だけじゃなくて、たしかそこにいろいろな人が住んでいたはずだ。今も大臣おっしゃったように、江戸の文化があったわけです。昔東京は、三代住んで江戸っ子という言葉がございましたけれども、今は三代住めなくなりました。こうなってまいりますと、やはり、住んでいる人ということを考えながら、都市計画あるいは開発ということがなされていかなければならないのじゃないか。政治的な言葉では職住バランス、こう言いますけれども、その辺のところ、局長いかがお考えですか。
  94. 市川一朗

    市川政府委員 都市基本的なあるべき姿につきましては、先ほど建設大臣の方から基本的な考え方の御答弁があったわけでございますが、ただいま先生のお話を拝聴しておりまして、私もいろいろと感ずるところがあるわけでございますが、やはり都市というものは、そこに住む人々にとりまして魅力のある住みやすい都市であるということが最も基本でなければならないと思っておるところでございます。よく比較の例に出されております先進国のいろいろな都市がございますが、いろいろと私も直接訪ねてみたりいたしましてもすばらしい都市がいっぱいあるわけでございますが、都市計画歴史を振り返ってみますと、そういった都市の大部分は、いわば王様の都市計画と俗に言われておりますように、わりかしそのときどきの権力者が中心になってつくった都市の発展の歴史でございました。  そういう意味におきましては、我が国都市計画法、昭和四十三年の改正の際に思い切った改正を行いまして、基礎的自治体である市町村を中心とした都市計画決定手続に変えたわけでございまして、歴史的にはもう二十年たったという評価もできますが、別の意味におきましては、まだ二十年程度しかたってないというような意味合いにおきまして、まだまだいろいろと改善しなければならない点その他があると思います。特に先生のお話もそうでございますし、また先ほど貴志先生のお話にもございましたが、私どもとしては、諸外国と比べましてもかなり住民参加といいますか、市民レベルの都市計画決定手続になっておるはずの我が国都市計画制度の中で、いま一つそういったような形で受けとめられてないものは一体何なのかというところの中に、私も含めました都市計画行政に携わる担当者の心の問題といいますか、取り組みの問題もあるのかなということをつくづく感じておる次第でございます。  そういった面も含めまして、改めてこの法案の御審議の過程の中で心を新たにいたしまして、これから住みよい市民のための町づくりに御協力申し上げていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  95. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは、局長ともう少し本音の部分でお話をさせていただきたいと思うのです。  日本の国土というのは、局長先刻御承知のように南北に四千キロ、非常に長い国土でございます。そして太平洋と日本海に囲まれた国でございまして、九州、沖縄から北海道まで四季折々、気候、風土も違いますし、文化生活の様式もことごとく変わってまいります。やはりその地域にはその地域の特性、生活の風習、風土、いろいろなオリジナリティー、他にはないすてきなもの、すばらしいもの、大事にしなければならないものがたくさんあったと私は思うのです。  今、局長の御答弁にもございましたけれども、いわゆる最初の都市計画決定のときに、地方自治体というものをコアにして都市計画を進めていく、これは私は体制としては誤りではなかったと思うし、そうあってしかるべしとは理解いたしております。しかし、今問題になっておりますのは、私、一挙にそこまでいけということを今言っている立場には決してございません。誤解のないようにお聞きいただきたいのです。よく言われますように、これだけ四千キロも南北に広がっている島国、いろいろな気候、風土のある島国、そこでオールジャパンの画一的な一つの法体系で都市をつくっていくことはどうなのだろう。よく言われますように地方分権という言葉がございますけれども、自分の町、個性のある町づくり、魅力のある町づくりをそこに住んでいる人が自分の手で、自分の力で、自分の知恵でつくる時代が私は遠からず来てほしいし、恐らく局長もそうあることを願っている一人だと信じて、私はこの法案審議にかかわっておるわけでございます。  局長もほとんど日本全国に行かれていると私は思うのですが、例えば新幹線に乗って行ったときに、駅ごとに新鮮な出会いがあるか。車窓から見えるところはそう変わらないと思うのです。弥次さん、喜多さんの「東海道中膝栗毛」、その宿場宿場にいろいろな思い出や涙があり、笑いがあり、詩歌があり、芸術があり、文学があった、新しい出会いがあったと思うのです。今、新幹線の駅一駅一駅に行っても、そう新しい出会いには遭遇しないのです。  私の父は京都の出身ですけれども、子供のとき、私は丹後半島の天橋立のところまで行きました。私はあのとき、子供という視点から見ているからかもしれませんけれども、新しい出会いがありました。未知との出会いといえば大げさかもしれませんけれども、本当に子供の目に映ったのは新鮮でした。すばらしいな、きれいだな、すごいなという、いろいろな未知との遭遇があったのです。しかし今、残念なことに、日本全国どこへ行っても余りそういう個性的な、新鮮味のある未知との出会いというものに会うことが少なくなってきた。  私は、今度の都市計画に望みたいのは、やはりその町、その村、そこにはそれなりの思い出があり、風習があり、生活の慣習があるわけですから、それなりの町づくりが個性豊かにできていってほしい、こう私は思うわけです。事故治家の法律用語で言うと、地方分権という味気ない言葉になりますけれども、私は都市計画という大きなラインは結構なんですけれども、これから論議をしてまいりますが、やはり住民が参加して、住民の知恵で、住民が苦労してそこにすばらしい自分の町をつくるような、個性豊かな都市づくりがこのことによってできないか。そういうことができるような地方への権限移譲というと、今だって相当地方へいってますよという答弁が返ってくるわけですが、そうではなくて本質のところ、地方地方の独自性と自分の意思と自分の知恵で、努力で、新しい町をつくれるようにすべきじゃないか、こう思うのですけれども局長はいかがでしょう。
  96. 市川一朗

    市川政府委員 それぞれの都市に参りました場合に、やはり感銘を受けますのは、それぞれの都市の持っている特性が見事に生かされているところ、あるいは残っているところという言い方が正しいのかもしれません。それはやはり、自然とか歴史とかというものに結びついたものではないかと思います。日本の場合は、不幸にして戦災を受けた都市も多うございますので、歴史的な面で見ましてもいろいろなテーマが残っているわけでございますけれども、私も転勤等も重ねましていろいろな地方都市に住んでおりますけれども、なかなか捨てがたい都市はいっぱいあるというふうにも思っているところでございます。  そういった中で、特に現在の都市行政を進める上におきまして一番痛切に感じておりますのは、やはりそこの具体の都市の中で最も責任を持って都市行政といいますか町づくりに取り組んでおられるいわゆる首長さんの心意気の高いところは、本当に毎日のようによくなっていくといったようなところを目の当たりにする次第でございます。その中では、住民の方々といいますか市民の方々との真摯な対話も繰り返されておるわけでございまして、こういった方向都市のあるべき方向を導いていくといいますか、誘導していくことが最もいい町づくりなのではないかという観点に立ちまして、大臣の御答弁にもございましたように、私ども都市計画制限ということでは全くない、従来の都市計画考え方からいきますと果たして法律事項なのであろうかというようなことさえ疑われるような、いわゆる市町村の将来ビジョンを描くマスタープランの策定というものを御提案申し上げている次第でございます。  これは既にいろいろなところで試みられている方向を私どもがくみ上げたという面もあるわけでございまして、ぜひこういった私どもの御提案をそれぞれの市町村の段階で生かしていただきまして、やはりどうしても長い歴史の積み重ねがございませんといい町づくりはできないわけでございますから、息の長い取り組みを御期待申し上げたいと思っているところでございます。
  97. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一点、ちょっと局長の本音をお聞かせいただきたいのです。  今よく使われる言葉で町づくりという言葉、いろいろなところで使われます。町づくり、自分の町をこういう町にしたいな。この町づくりという言葉と都市計画という言葉とは、軌を一にすることなのか、もって非なるものなのか、局長、この辺ちょっと明確にお答えいただけますか。
  98. 市川一朗

    市川政府委員 私どもは、行政実務的には都市計画という言葉、やや厳格に使わせていただいておりまして、都市計画法に基づく都市計画という意味合いにおいて使っておりまして、なおさらに申し上げますならば、その都市計画内容実現するためにはある程度の法律に基づく私権の制約を伴うような内容のものを都市計画と言っておりますが、そういったものも含めました広い意味での都市計画、いわゆる都市の将来像に向かって行っていく都市づくり、こういうものを総合して町づくり、私どもなりにこれでもやわらかい言葉を使わせていただいているつもりでございますが、そんな形で使わせていただいているつもりでございます。
  99. 薮仲義彦

    薮仲委員 ということは、都市計画町づくりとは軌を一にする、こういう理解をさしていただきたいと思うのです。  やはり町をつくっていこうというときに、都市計画の専門家、優秀なスタッフが何人かで物の見事に計画はできました、これも一つ都市計画であろうかと思うのです。後ほどいろいろと具体例を出しますが、私はやはり、今局長は広範囲の意味町づくりとおっしゃいましたけれども町づくり、非常にソフトでやわらかい、それなら私もできそうな感じがするという町づくり、これにはやはり、おじいさんもおばあさんも奥さんもお父さんも若者もみんな加わって、みんなでわいわいがやがや一生懸命論議をしながら、私の町をこうしよう、ああしよう、こういって町ができ上がっていく方がいいのではないかな。それは、政治的に言うと住民参加というぎこちない言い方になりますけれども、町ぐるみみんなで、今局長は首長とおっしゃったけれども、行政も一緒になって、そして各地域から出ている議員さんというのは、地方議会に行けば、町内会長さんもいればPTAの役員さんもいれば、全く町内会と同じような中に地方議員の方はほとんど一緒に生活しているわけですから、やはり議会といっても町民といっても全部同じで、市長さんだってだんごのようになって新しい町をつくっていこうかな、私はこれが最も好ましいんじゃないかな、こう感じているわけです。  これの具体的なことはこれから順次やっていきますが、こういう話ばかりしていますと肝心なことを聞き漏らしちゃいますから、この辺から少しかたくいきます。  最初に伺っておきたいことがあるわけでございますけれども、先ほど来お話ししておりますように、地価の抑制といいますか、適正な地価ということは非常に重要なことであろうと思うのです。それで、土地を何とか鎮静化し、しかも適正な価格にしていかなきゃならない、これは総合土地対策要綱であろうとあらゆる答申が、すべてそういう方向で目指すものは出ているわけでございます。  土地を担当していらっしゃる国土庁、きょうは土地局長においでいただいていると思うのでございますけれども土地局長地価を安定化させるために、国土法による監視区域の適切な運用を懸命に努力なさったと思いますし、関係省庁に働きかけていわゆる税制上の改正も進んできたでありましょうし、今国土庁はトリガー、トリガーというように、引き金に指をかけているように、もしもまた暴騰するようであれば金融措置もとりますよとやっているわけでございます。土地局長が一番待ち望んでいると言うと語弊があるわけでございますが、土地基本法の精神にのっとった適正な土地利用ができることを一番期待していたと思うのでございますけれども土地局長の目から見て、今度の都市計画法改正についてどういうお考えか、お聞かせいただきたい。
  100. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 土地対策の面から、今回の都市計画法改正についての評価というお話であろうと思います。  今回の都市計画法改正案でございますけれども、先般の提案理由説明でも述べられておりますが、「今回の地価高騰に対応した金融税制等の総合的な土地政策の一環として土地利用計画制度の充実を図る必要がある」という認識のもとに改正案が出されているというように私ども理解しておりますし、そのことに関連いたします主な内容といたしましては、これからいろいろと御議論があろうかと思いますが、例えば用途地域制度整備地区計画制度の拡充あるいは市町村基本的な方針創設等々でございまして、私どもといたしましても、今回の改正案が適切に土地利用を規制、誘導する制度を構築することをねらいにするものであるというように理解をいたしております。  総合土地政策推進要綱をいろいろ御連絡いたしまして推進しております立場の国土庁といたしましても、先ほど来委員が御説明されておりますように、土地利用計画整備充実は土地政策の重要な柱であるというように認識をしているところでございまして、そういう方向からいたしましても、今回の改正案土地基本法なり土地政策審議会の基本答申、あるいはそれらを踏まえまして政府が昨年策定いたしました総合土地政策推進要綱の趣旨に沿うものであるというように、高く評価いたしているところでございます。
  101. 薮仲義彦

    薮仲委員 今、適正な土地利用についてのお考えを聞いたわけでございますが、同じようにこの答申の中には、計画に基づく土地の有効・高度利用実現という表現があるわけでございますが、土地の問題やっておりまして高度利用という言葉、これは漢字で二言でございますけれども高度利用ということを誤解するとこれは非常に大変なことになるわけでございます。やはりこの中身の理解といいますか、中身をどう考えるか。例えばめちゃくちやにその土地を、もうウェルユースを通り越して、ベストユースもはるかに通り越したほど高密度に使うことが、果たして高度利用として適正なのかどうか、こういう点での問題があるわけでございますけれども、この高度利用について、非常に重要な概念でございますので、本来ならばきょうは関係局長さんお一人お一人にお伺いしたいと思っておるわけでございますが、時間がなくなってまいりましたので、土地の担当の土地局長と建設経済局長に、高度利用ということについて、御自分の所掌する行政の中でどうこれを理解推進なさるか、お聞かせいただきたい。
  102. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 土地基本法でございますけれども土地に関する基本理念の一つといたしまして基本法の三条の一項におきまして、「土地は、その所在する地域の自然的、社会的、経済的及び文化的諸条件に応じて適正に利用される」べきであるということを規定いたしておりますし、その二項におきましては、「土地利用に関する計画に従って利用される」べきだということを定めております。さらにこれらを受けまして、敷衍しているわけでございますが、土地基本法の十一条、十二条におきまして、適正な土地利用の確保を図るために土地利用計画の策定その他の措置を講ずべきことを、土地に関する基本的施策として掲げております。  この場合に、土地基本法の十一条、十二条でそれぞれ「地域の特性を考慮して良好な環境に配慮した土地高度利用こという言葉とか、あるいは「良好な環境に配慮した土地高度利用こと規定しております場合の土地高度利用という意味でございますけれども、私どもといたしましては、地域の特性を考慮し、良好な環境に配慮して定められました土地利用計画に基づき、土地が合理的かつ健全に高度利用されるということを意味しておるものであるというように理解をいたしておりまして、当然のことではございますが、いたずらに高密度に土地利用する趣旨ではないというように考えております。
  103. 伴襄

    ○伴政府委員 私どもは宅地政策観点を所掌しておりますが、その観点からも、適切に土地の有効・高度利用を図るというのは非常に重要な課題だと認識しております。特に大都市地域でございますけれども、ここでは住宅宅地の供給とか良好な市街地環境を形成するという観点から、例えば、道路等の基盤整備推進するとかそういったいろいろな手法で、良好な市街地環境を確保しながら土地の合理的あるいは有効・高度利用を図っていくということが重要かと思っております。  特に、最近トピックになっておりますけれども都市農地でございますが、この有効・高度利用に関しましても今いろいろ腐心しているところでございまして、今生産緑地の指定をことし末までということでやっておりますけれども、これにつきましても、宅地化する農地につきましては、区画整理事業あるいは地区計画等の積極的活用によって良好な市街地環境をつくるということを前提にしながら計画的な宅地化を図っていく、そういう形で高度利用を図っていこうというようなことを考えておるところでございます。
  104. 薮仲義彦

    薮仲委員 よくわかりました。どうか高度利用ということ、非常に重要でございますので、計画に基づいた適正な土地利用が図られるように、重ねて期待をいたしておきます。  そこで、都市局長にお伺いしたいのですけれども地区計画の進捗状況をちょっとお聞かせいただけますか。
  105. 市川一朗

    市川政府委員 地区計画制度は昭和五十五年に創設された制度でございますが、平成三年末現在で六百九十三地区、約二万二千ヘクタールが都市計画決定されております。それで、特に毎年新たに決定される地区数が着実に増加してまいってはおりますが、ただいまの面積を全用途地域の中に置きかえてみますと、まだ一・三%の状況でございます。
  106. 薮仲義彦

    薮仲委員 大変失礼な言い方で、こういうことを言う人もいるということで聞き流しておいていただきたいのですけれども、これは十年で約一%でございますので、五十五年から六十五年として十年ちょっとで一%、すると百年で一〇%、全部やるのに一千年というような口の悪い人もおりますけれども、それはこれからクリアされていくと思いますけれども、いわゆるこの地区計画が進まないというのは一体どこにあるのだろう。このことをきちっとしておきませんと、今回の都市計画法で出てまいりますいわゆるマスタープランの進捗の度合いも、私は非常にいかがかなという懸念があるわけでございます。この地区計画が進捗しなかった最大の理由は何でしょうか。
  107. 市川一朗

    市川政府委員 一応理由としては幾つかの理由があると理解しておりまして、一つにはまだ日が浅いといいますか、先ほど先生から進捗率の分析がございましたけれども、最近の伸びからいきますと、大体百地区以上ずつふえておりますからもう少し伸びは高いと思いますけれども、これからもっともっとそれはふえていくというふうに思っております。  二点目は、何といいましてもまだ知られておらない、PR不足という問題がございます。  それから、三点目がもっと大きいと思いますが、まあPR不足の一つでもございますけれども町づくりに関します規制内容が極めて詳細に決まってまいりますと、こういったものにつきましては、いろいろなメリットはあるわけでございますけれども、どちらかというと規制されるというデメリットの方が受け取れやすいという面がございまして、なかんずく我が国の場合には木造建築主体でまいりましたので、建物の形態まで長期的に決められるということに対する心理的な意味も含めました抵抗感というのがまだまだ根強いわけでございますが、一方でいわゆる永久建築物化してまいっておりますので、そういったことに対する理解はどんどん進んでおるというふうに思っております。  それから、もう一つ重要なテーマといたしまして、やはりこういったものを地区レベルで御理解をいただきながら定めていくためには、何といいましてもスタッフが必要なわけでございますが、そういう意味のスタッフ不足といったようなことも言えるわけでございまして、そのうちのどれが最もポイントであるかということにつきましては、ちょっと私がお答えしにくい面がございますけれども、あえて申し上げますならば、やはり地区計画の本当のねらいであります建物の形態まで含めた都市計画制限をやっていくことが、非常によりよい町づくりのためには自分たちにとってプラスになるのだということのコンセンサスを得られないというところ、これからそれを得ていくことがもっとも肝要という意味で、あえて私はそれが第一の理由ではないかと申し上げさせていただきたいと思います。
  108. 薮仲義彦

    薮仲委員 先ほど来何回も同じことを申し上げるようでございますけれども、私はこの都市計画なり地区計画、これはやはり主役は住民だ。これからやっていこうとする都市計画というのはやはり住民が参加していく、住民が感動する、住民が感動しないような事柄は進んでいかないと思うのですね。住民が背を向けている、白けている、だれかがつくった計画だ、こんなのをやれば私はかえって迷惑だ、これでは私は、計画は立派にできていても実施は全然伴っていかないのじゃないか。  それで、この法改正で一番私はお願いしたいのは、住民が持っているすばらしいエネルギーを爆発させるような、住民が感動するような、一緒にやろうという気の起きるようなそういう計画に持っていかないと、幾ら計画だけは立派にできてもこれは、絵にかいた何とやらという言葉もございますけれども、私は動いていかないのじゃないか。局長は恐らく局長になる前に、いろいろな地方都市をお回りになったことがおありになると思うのです。地方都市に行って何とか計画、何とか計画、総合計画などというのはたくさんあります。それでは動いているか。私の地元のいろいろな町にもあります。本当に動くかどうかは、今おっしゃったように町のその姿勢もあるかもしれません、スタッフの有能さもあるかもしれません。しかし私は、やはり住民が白けていたのでは動かないのじゃないかな。  これは、よく使われる話の中で出てくるのは、あの大分の湯布院の話が出てくるわけです。あの湯布院が今、湯布院映画祭とか湯布院の音楽祭をやっていますのでも、ああいう町づくりになった最初は何だったのだろう。あれは御承知のように、湿原植物で有名な猪の瀬戸というところにゴルフ場をつくるぞといったことで、住民がかっと怒ったわけですね。そしてあそこで、いわゆる由布院の自然を守る会という反対運動から事が発したわけです。しかし、今では「牛一頭牧場主」というようなことで、テレビでもやるように、牛肉をたらふく食って絶叫して、全国のお茶の間に飛び込んでくるほど、あの湯布院の牛肉を食って絶叫するということはあれだけのニュース性を持っておりますし、それだけじゃなくお年寄りまで参加して、猪鹿蝶料理とかあそこには珍しいものがたくさんあるわけです。やはりあれは何だったかというと、最初は反対だったのですね。反対運動があそこまで湯布院というものをすばらしいものに仕上げていった。やはり住民が動き出すとすごいじゃないか。  また、私もいろいろそういう地域が動き出す本を読んでみました。これはもう局長も先刻御承知の、福岡県の南にあります有明海に面したいわゆる柳川、「柳川の水よ、よみがえれ」これは映画にもなっていますし、いろいろなところでこれは語られると思うのです。これは有名なことですね。これは、もうあの海抜わずか三メーターのデルタ地帯で、市も県も国も決定したのが変わったわけでしょう。これは局長がよく御存じです。あそこの生活排水のところへ全部ふたをしちゃって都市下水道にしようというのを、ここに新聞にも出ていますけれども、広松伝さんというのですか、このたった係長さん一人が、マスコミは係長の反乱という言い方をしましたけれども、この人は、川は私の命だ、こう言って二十億の予算のついたのを覆して、今では水郷として観光客もどんどんふえてきた。この人がたった一人で命がけでやった、そして住民を巻き込んだのですね。私は、この情熱がこれだけ地域を変えたと思うのです。ですから、こういうふうに本の中に「地域が動きだすとき」、私もこれは感銘をもって読みました。たった一人だけれども、一人の力というのは偉大だな、一人が真剣にならなければ変わらないなということもわかりました。でも、やはりこれに住民がだんごのようになって、この運動が膨らんでいったわけです。  今度の都市計画で、先ほど来私が何を言いたいか。こういうような町づくりが全国各地で起きた方がいい。私の言いたいのは、住民参加した方がいい。これは大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、いわゆる計画というものが、議会も住民も余り反対も何もなくてすんなりでき上がった、これはいいことかもしれない。でも私は、そんなことを言っていたんじゃ時代は変わらないと思うのです。これは大臣も我々も政治家ですから、いろいろな住民運動に入っていきます。反対されて悪口を言われる、そこの中へ入っていって、面と向かってやらなきゃならないことが多いのです。  この中にこういう新聞があるのです。これは朝日新聞の記事なんです。「地区計画住民参加で」というタイトルですが、「「これは、なんだ」。兵庫県西脇市郷瀬町の住民は、市役所前に張り出された告示を見て驚いた。いつの間にか自分たちの町に地区計画がつくられ、用途地域も第一種住居専用地域から準工業地域に変わって、工場ができるようになっていたからだ。八六年十二月のことだ。」こうずっと出ているわけです。もう一つ出ているのです。「東京都府中市小柳町五丁目の住民の中には、今年二月、四階建てのワンルームマンション建設の看板が立てられたのを見て、自分たち住宅地が一種住専から近隣商業地域に変わっていることを知った人が少なくなかった。」これは、地方自治体の都市計画決定が非常にいいかげんなんです。あるんですけれども現実にこうやって朝日の記事ですから、これは事実あったことなんですね。  ここでもう一つ、ドイツのBプランのことが出ているわけです。このBプランは、「作成の段階で自治体と住民が徹底的に話し合う。このため、時には四、五年かかることもある。「反対する人にはわかってもらえるまで粘りました。最初はだれも公共の福祉なんて考えませんが、説得した結果、個人的な利益のために最後まで反対した人は、いませんでした」 ケルンの国鉄操車場跡地に」云々ということで、広報担当のM・ビットバーさんの談話が出ているわけです。やはり私は、五年かかろうと住民と話し合った、こういうのが地区計画基本計画をつくるときに非常に大事なことだろうと思うのですよ。  大臣、今度我が党は、この都市計画審議の中で、やはり住民を思い切って参加させた方がいい。都市計画本体そのものまでがたがた言うことはないかもしれないけれども、この法案の中で新しく出てきたマスタープラン、これも後ほどやりますけれども、こういうところの話し合いの中には、住民がどんどん参加した方がいいんじゃないか。反対するのもこれはエネルギーなんですから、反対したエネルギーをうまく生かして、それを巻き込んでいくぐらいの気持ちでやっていかないと、私は本当の町づくりはできないんじゃないか。よく言われるように、百家争鳴と言うかもしれませんけれども、今度じゃ自分の町をどうするかで、日本全国三千三百の市町村が自分のところの基本計画をつくるので初めて騒ぎ出した。かんかんがくがく、けんけんごうごう、口角泡を飛ばして自分の市町を何とかしようと思って全住民が怒り出した。三千三百余の市町村でこの都市計画決定が、例えばマスタープランをつくろうということで住民が立ち上がって怒り出した、本気になった。住民が本気になれば、行政も議員も黙っていられない。日本じゅうが騒ぎ出すぐらいの、住民が感動するぐらいのことを一回やった方がいいんじゃないか。そして、三千三百のうちから一つなり二つなりだんだんだんだん本気になってやる地域が出てくれば、事柄は大きく変わっていくんじゃないか。  私は、この本を読みながらしみじみ思ったのです、「地域が動きだすとき」。どうせおやりになるんだったら、今までいろいろな省庁がやったけれども住民が怒ったり動いたりしたことがなかった、よし、山崎建設大臣のときにやった都市計画のこのマスタープランをつくるときに、住民が目をぱっと見開いて、眠っている人も起き出して怒り出した。怒ることはいいことです、反対することもいいことです、エネルギーなんですから。それを集約してこそ、大臣が目指す、日本全体の地域が動き出している、そしてこの本が一冊じゃなくて、何百冊もなければ足りないような都市計画をつくってほしい。何にも変わらないんだったらやらない方がいい。やるんだったら、本当に住民が、国民が感動するような、そしてこのマスタープランに参加をして、その中に——この法案の中では、地区計画をやるところを決めなさいと書いてあるのです。そうすると、このマスタープランの中で、自分のところはこうするんだと。さっき局長は、自分にとってそれが何なのかが余りによくわからなかったと。でも今度は、全体的な町の将来像がわかった、そこで私のところはこうするんだ、やろうと、やはりマスタープランというものはみんなが参加してやるような時代をつくってほしい。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕  ですから、公聴会という手続がありますけれども、私は少なくとも住民の声を聞くんだったら、全市民のアンケートをとったらどうだ。全市民が全部参加した、例えば、私は天文台をつくってほしい、あるいは私は図書館が欲しい、あるいは美術館が欲しい、いろいろな施設もあるかもしれない。あるいは、私の町は文化都市にしてほしい、教育で立つような町にしてほしいとか、またはもっと産業基盤のすばらしい町にしたいとか、あるいは海洋性のすばらしいリゾートを含んだ町にしたいとか、いろいろな思いが出てきてそこでマスタープランができれば、私はすばらしいと思うのです。  やはりこれはアンケートを全住民からとれば、全住民の意思をいろいろやったのを、今度は例えば広報で、皆さんの意見の集約はこうでございます、これをもとに例えばマスタープランというものをこれから論議をしてまいりたいと思う、皆さんの御意思はよくわかりましたと。やはり住民がしゃべらないと、動かないと、責任を持たないと、時代は変わらないと思うのですよ。その意味住民参加、参加というと、何かずく公聴会とか何とかと言いますけれども、もっと住民とツーウェーで話し合った方がよろしいんじゃないか。  しかも、イデオロギー的に反対する人もいるかもしれない。でも、世の中はそんなに甘くないです。ここにいる政治家の方々は、自分の地元へ帰れば町内会や自治会を持っています。そこには、練達のきちんとした常識豊かな方が何人がきちっといらっしゃいます。その自治会、町内会、連合自治会等できちっと代表を出して話し合うとか、いろいろな手続を踏みながら、みんなの意見を集約するということは幾らでもできるわけです。そしてこの基本計画をつくっていこうというようなことをやっても、何にも恐れることはない。  我々がこの中で、議会が関与しなくていいのですか、政治家は何にも知らなくていいのですか、そうはいかない。これは何をしようと、住民が騒ぎ出せば政治家も動くし、当然担当の委員会ではこの問題が論議されてくるでしょうし、私は怖がらないで思い切って、百家争鳴大いに結構、みんなで自分の町をよくするために本気になったというようなことがこの新しい時代にあってほしいし、あってしかるべしだと思うし、そうなって初めて時代は変わっていくし、この計画も生きてくると思うのです。輝いてくると思うのです。今まで一%、今度は変わるぞ、住民が本気だぞ、こういう時代をどうしてもつくっていくために、私はこのマスタープランの段階だけでも住民の意思が反映するような、手続的にもまたいろいろな機関的にもできるような体制を御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  109. 山崎拓

    山崎国務大臣 いつもながらの先生の理想と情熱に触れまして、大変感動をいたしておるところでございます。また叱咤激励をいただいたと受けとめているのでございます。  地区計画制度は、薮仲先生おっしゃいましたとおり、全用途地域のまだ約一・三%にとどまっているところでございます。この点につきましては、都市局長も申し述べたと存じますが、制度創設からようやく十年経過した今日でございまして、まだ日が浅く、住民へのPRも不足いたしておると存じます。また町づくりに関しての、何と申しますか規制が詳細化、強化されることについて、住民の不安なしとしないという点もあろうかと思います。それから、しばしば指摘されておりますとおり、行政スタッフと申しますかスペシャリストの不足といった問題もあろうかと考えておるわけでございます。  そこで、薮仲先生は今般の都計法の改正において、特に住民の声がもろにきめ細かく反映されるシステムをつくり上げる、そういう強い意欲に燃えて取り組んだらどうか、こういう御提案でございまして、傾聴させていただいたところでございます。もとより都市計画に対します住民の声、住民の考えが反映されますことは、都市計画自体が住民のためのものでございますから当然のことだと存じております。ただ、従来からの仕組み、そして今回入りました新しいマスタープラン制度、これを組み合わせることによりまして、私は相当大きな前進が今回その面において出てくるものと考えておるのでございます。この点は先生と多少認識を異にする点があろうかと存じますが、もともとそれぞれの市町村におきまして、いわば町づくり基本構想をお持ちでございます。この基本構想は、自治法のもとでいわば議会の承認と申しますか、住民の意思決定が法的にもきちんととられているというものでございます。その基本構想を受ける形で当然マスタープランはつくられていくわけでございまして、基本構想と違いましたマスタープランができるはずはないと考えるのでございます。  そこで、そのマスタープランに基づきまして、その中には地区計画が含まれると存じますが、また地区計画が現在の一・三%ではなくてもっともっと普及してまいりますように、今回法改正が行われましたならば地方自治体を強力に指導してまいりたい、かように考えているところでございます。そこで、そういう地区計画が含まれました新しい都市計画は、都市計画中央審議会において当然審議せられる。そうなりますと都市計画審議会には、私自身も経験がございますが、必ず構成員として地方議員が入っておる。これは与野党入っておるのでございまして、その与野党の議員は、当然のことながらその当該市町村が持っております基本構想についてみずからその意思決定に参加をいたしました議員さん、あるいはそのことを伝統的に受け継いでいらっしゃる議員さんでございますので、当然議会の意思が反映されてくる、このように考えておる。そういうスキームがありますので、マスタープランがこれから積極的に各市町村において取り上げられ、その中に地区計画制度が取り上げられていくことによりまして、私は住民の意思の反映が必ずもたらされていくと考えておるのでございます。  さはさりながら、せっかくの薮仲先生の御卓見でございますので、さらに一層住民意思の反映の方法について、本委員会審議等を通じながらさらに検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
  110. 市川一朗

    市川政府委員 マスタープランの策定の手続につきましてもちょっと先生お触れになりましたので、一言お答えさせていただきますが、アンケートの実施等も含めて住民の意向が十分反映されるような、思い切った方法をとっていったらどうかという御指摘があったと思いますけれども、私ども大臣と全く同様に感銘を受けてお聞きしておりますが、そういった御提案につきましても十分受けとめまして、いいマスタープランができるように、具体の事務手続の中で各市町村におきまして創意工夫をする際に、ただいまの先生の御提言等も十分反映されるように対応してまいりたいと思う次第でございます。
  111. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか住民の声が反映して、日本じゅうが沸き返るような都市計画であってほしいことを重ねてお願いいたしておきます。  そこで、今大臣が自治法のことを申しましたので、ちょっとこのことで確認をさせていただきたいと思うのです。自治省来ていますね。  今大臣がおっしゃったように、確かにこれは地方自治法第二条五項ですね、「市町村は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。」なんですね、ここは。では、この基本構想とは一体何なんだろう。大臣の福岡市のをいただきました。私の静岡も持ってまいりました。大臣、ごらんになっていると思うのですが、これは非常にいいこと書いてあるのですよ。長野のやつももう一つ、参考にちょっともらいました。  福岡のをちょっと見ますと、「推進基本的態度」「市民自治と人間性の尊重 都市の主権者は、市民である。」さっきから私が言っているとおりです。「市政は、市民の意思とその信託に基づいて、誠実に遂行されねばならない。同時に、市民にも、主権者としての責任と、自覚ある行動が要請されるであろう。一方においては、福岡市自身が、一個の独立した自治体としての権限と機能を強化していくことも必要である。あらゆる機会に、市民自治の確立と、地方分権を進めていかなければならない。」等々あるわけですが、なぜこれを申し上げたかというと、これは議決事項なんですよ。重みがあるわけですね。この中で、今おっしゃったようにマスタープランに準ずるようなこと書いてあるのです。  これは例、足ば長野の場合ですけれども、「道路・橋りょう」なんというところには「高速交通時代に対応する中央道長野線・関越道上越線の早期完成」こう大きいことが書いてあるのですが、「国道十九号線の拡幅改良、バイパスの建設」それから、もっとずばり地方名が出てくるのです。「既成市街地整備 交通の拠点となる長野駅周辺や篠ノ井駅周辺等については、」こういう細かいことまでこの基本構想に出てくるのです。これは、今大臣がおっしゃったように、私もまだ質問しておりませんけれども基本構想の中に当然書き込まれる事柄であろうかと思うのです。片方は議決事項なんです。もしも、もしもですよ、この議決事項とマスタープランが違うということは、あってはなりませんし、ないと思うのです。ただ、もしも変えなければならないとなってくると、この基本構想とも整合性を持たなければならない。片方は議決、建設省の方は議決じゃない。  確かに、今おっしゃったように審議会には入っています。我が党からも入っています。私も国土審議会には何回も出ました。四全総のとき、ずっと国土審議会の委員でした。だからといって言うわけじゃございませんが、本当に審議会というものが住民ごとごとく、あるいは政治家ごとごとくの意思が反映するかというと、恐らくここにいらっしゃる委員の方で国土審議会の委員を経験なさった先生何人いらっしゃるか。私は、四全総で言いたいことずっと言っています。会議録をごらんになれば、ほとんどの委員会で言っていますけれども、だからといってどうということはございませんが、修文させるのも容易じゃなかったです。私は、あれがすべての民意を、あるいは政治家の意思を反映しているという考えには必ずしも立っておらぬのです。これは全然ゼロという考えはありませんよ。でも私は、やはりマスタープランならばみんなでわいわいがやがやおやりになった方がよろしいのじゃないか、政治家も全員参加しておやりになった方がいいのじゃないか。  片や地方自治法には、がっちり議決事項でいろいろなことが書いてある。例えば私みたいな根性の悪いのがおりまして、この基本構想にしっかり書いてしまえと思った、今自治省に、この中に書いて悪いのかと聞いてみましょうか。この中に書いていけないことありますか、自治省答弁してください。
  112. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 市町村の定める基本構想でございますけれども、これは市町村の存立しております地域社会の現状から将来を見通して、その地域の振興発展の将来図とこれを達成するための施策の大綱を決める、こういう内容になっております。自治法の二条五項に基づくものでございますけれども、その基本構想の内容、それからどういうことを表現するかということは、それぞれ精粗がございまして、その市町村によっていろいろばらばらでございます。その内容につきましては、市町村が自主的に決めるべきものというふうに考えております。  したがいまして、先生お話のございましたように、都市計画マスタープラン的なもの、そういうものがこの中に盛り込まれるかどうかということでございますが、これも市町村の自主的な判断によって盛り込むことは可能であろう、そういうふうに考えております。
  113. 薮仲義彦

    薮仲委員 ここで大臣と、基本構想の中に全部書いてしまったらいいじゃないかとかなんとかという荒っぽい論議をする気持ちは、私は全くない。この法律をちょっと見ますと、今ざっと読みましたけれども、「基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。」ならないというのは義務規定なんですね、これは。ですから、基本構想は、もう時間がないから聞きませんけれども、大体地方自治体の九十数%までつくってあるのです。地区計画が一%に対してこういう嫌みを言っているわけじゃないのですよ。法案の書き方だけでも法案がひとり歩きするわけですよ。  例えば都計法の今度の書き方、次に問題にする基本計画マスタープラン、ここの書き方は、第十八条の二「基本的な方針を定めることができる。」、できるですから、やろうとやるまいと、今大臣は本当に一生懸命おやりになるとおっしゃったのですが、法律というのはひとり歩きするのですね。できるとしか書いていないのですよ。じゃ、今度地区計画は何て書いてあるのか。地区計画は都計法の十二条の四、これは「定めるものとする。」なんです。少し前進ですね。今おっしゃったマスタープラン、どうでもいいとは言いませんよ。「定めることができる。」のですから、つくらなくたっていいのですよ。「定めるものとする。」で一%です。「定めることができる。」ですと、それより上がるとか下がるとかという野蛮なあれじゃございませんけれども、私はやはり法律というのは後世に残していかなければなりませんので、この辺の、大臣がそれほとおっしゃるのであれば、表現については御検討を、今ここですぐ検討してほしいということは言いませんけれども検討する課題ではあろうと思うのです。  やはり法律というのは、そのときの行政の長の姿勢ですから、このときの大臣がどういう姿勢でこの法案の文章をお書きになったか、本当にこれをやろうとするなら「ものとする」ぐらいまで私は書いていただきたいのですけれども、そこまではいかがかということもございますので、これは検討の課題としていただきたいと思うのですが、決して嫌みじゃなくて、いかがでしょう。
  114. 山崎拓

    山崎国務大臣 せっかくの貴重な御提案であると受けとめております。政府といたしましては、現時点における最善のものとして御提案申し上げたのでございますが、これから審議を通じまして、各党いろいろお話し合いをしていただきたいと存じております。
  115. 薮仲義彦

    薮仲委員 マスタープランですけれども、もうこれでやめておきますけれども、今申し上げましたように基本構想の方は議決事項なんです。そのことはこの法律の中にも書いてあるのです。基本計画の中で、「市町村は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想」と書いてございます。片っ方が議決事項でございますから、やはりマスタープランというのは、今大臣おっしゃったように非常に重要な構想だと私は思います。  今度の地区計画の成否、都市計画の成否は、住民が本当に参加をして、その基本構想、マスタープランがしっかりでき上がれば、自然と地区計画の方も、あるいは都市計画全体も変わってくるのじゃないか。やはりマスタープランのところに住民が参加すると同時に、行政も議会も、すばらしいマスタープランができたなというような事柄を御検討いただきたい。これは要望して、来週しっかり時間がありますから、またそのときもう一回やり直しますから、仕切り直してこの問題は来週もう一回やりましょう。ほかにたくさん聞かなければならないことがあるものですから、困っておるのですよ。  もう余り時間がないのですが、大臣、先ほど来申し上げましたように、用途地域の中で商業、近隣商業からビルラッシュを抑えてほしい、そういう圧力を減衰できないか、こういう期待が非常に強いわけですね。用途規制の中で抑えるか、さっきおっしゃったように地方拠点法でエネルギーを地方へ持っていくということも手かもしれませんけれども、私はやはり商業、近隣商業の中に住んでいらっしゃる方を守るということはどうしても考えていただきたい。このことも、時間がありませんから来週仕切り直してもう一回やりますけれども商業、近隣商業への圧力をどうやって減衰するか、そしてそこに住んでいらっしゃる人を住まわせるか、この辺のところを大臣とじっくり協議をさせていただきたいわけでございます。  都市局長、この都市計画商業、近隣商業に住んでいらっしゃる方の生活を守っていただきたいと思うのですが、都市局長都市計画法によってしっかりガードしてくださると思うのですが、いかがでございましょうか。
  116. 市川一朗

    市川政府委員 今回の法改正におきまして、私ども、住居地域業務ビルが進出することによりまして生じました都市部での空洞化の問題ということは極めて重要な問題で、ここはやはり都市計画サイドがきちっと受け持たなければならない分野と思っております。その中で、ただいま先生から御指摘ありました商業地域あるいは近隣商業地域の中で、都市によって若干形態は違いますけれども、いわゆる住商混在地域における住宅の確保といいますか、居住環境の確保の問題も同じような意味で極めて重要なテーマでございまして、職住近接の住宅供給という観点からも大事であると思います。  この辺のテーマにつきましては、この数年来の都市計画法改正の中でも、例えば平成二年に改正され、制度化されました。途別容積型地区計画というのがございますが、これは用途住宅に純化させた場合にはその分の容積卒の上乗せを認めるという制度でございますが、そういったような御提案もし、改正もさせていただいているわけでございます。  今回の改正案の中でも、特別用途地区ということにさせていただいておりますが、中高層階住居専用地区という制度を新たに創設させていただいております。特別用途地区にしましたのは、やはり地域実態によって対応が大分違いますので、規制の内容は条例にお任せした方がいいのではないかということで特別用途地区にしたものでございますが、基本的な考えのもとは、用途地域そのもので特に住商混在地域につきましての住宅の確保ということをねらった点でございまして、私どもといたしましては、そういった今回の提案に盛り込んだ意味も含めまして、この問題にも真剣に取り組んでまいりたいと思う次第でございます。
  117. 薮仲義彦

    薮仲委員 最後に、時間が参りましたから、これも局長にお伺いしたいのですが、この改正都市計画法がどういう段階で、仮に成立したとして、時間的にどういうことで切りかわっていくのかということをお伺いしたいわけでございます。  そこで、今の商業、近隣商業と同じですけれども、私はやはり人が住める東京、住みたくなる東京、魅力のある東京であってほしい。特に、都心からの人口の流出が、いわゆる地方自治の基盤すら危うくしているという状態に今ございます。そうすると、今東京都を挙げて人口の回復といいますか、もとへ戻そうということで頑張っているわけでございます。今度この中で一種住専、二種住専あるいは住居地域、この辺の考え方が大幅に変わってきたわけです。一番問題なのは、細かいことは抜きにいたしまして、現在の東京都の用途指定がどうなっているかというと、これは局長御承知のように、一種住専が全体の二一%、二種が二一・二%、合わせて四二・二ですね。住居地域が一八・二。全体でこれが六〇・四というのが、住居系用途地域指定でございます。  ただ問題は、今度住居系の住居地域が大きく変わってくるわけです。この中で、準用途や何かになってまいりますと非常に業務系、これは路線のところでございますからそう影響はないと言えば影響はないわけでございますが、現在の住居地域をどうするかということは非常に重要なことだと私は思うのです。やはり、この住居地域指定については、少なくともこの第一種住居地域になるような指定方向住環境、いわゆる居住機能というものを損なわないような改正であっていただきたいと思うのですが、この辺いかがでしょう。
  118. 市川一朗

    市川政府委員 今回の法改正は、公布されましてから一年以内ということに施行がなっております。それから、用途地域の塗りかえ作業は三年という時間をいただいております。もっと早くならないのかなという感じもお持ちかと思いますけれども、そういった意味におきましては、大体それくらいのスピードでやっとやれるくらいのスピードということでございます。  そういったような時間のタイムラグはございますけれども東京都におきましては、今回の地価高騰に関しますさまざまの問題に関しまして、単に東京都の都市計画部局だけじゃなくて、特に都心の三区を中心とした特別区の区長さんや議会の方々あるいは市民の方々も含めまして、例えば都心部の空洞化の問題、つまり住宅の呼び戻しの問題等に対しまして非常に真剣に取り組んでおりますし、そういったようなことをいろいろ考えますならば、住居系への細分化された用途地域の塗りかえだけじゃなくて、そういった都心部における住宅の確保といった観点からも含めたしっかりとした、本当に私どもが望むような用途地域の変更が必ずやなされるものと期待しておるところでございますが、私どももそういう方向になるように、側面から一生懸命支援してまいりたいと思っておるところでございます。
  119. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  120. 杉山憲夫

    ○杉山委員長代理 辻第一君。
  121. 辻第一

    ○辻(第)委員 きょうは、建設大臣を中心にお尋ねをいたします。  近年、都市の豊かさということがよく言われております。言うまでもなく、都市生活の場でありますから、まさに豊かさとゆとりが必要でございます。ところが、経済活動が旺盛な東京、大阪などを見ましても、住民土地住宅問題、長距離通勤あるいは長時間過密労働など、決してゆとりだとか豊かだとか言える状況ではありません。また、地方でもそういう状況であります。  そこで伺いますが、都市計画町づくり、これは地域住民にとっても最も密接な問題であります。都市づくりに当たっては、都市にはそれぞれの歴史があり、文化があり、経済があります。その都市状況に見合った都市づくりが、町づくりが必要でございます。地域住民の意向が十分尊重されることが重要であります。この点について、大臣の御所見をお伺いいたします。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  122. 山崎拓

    山崎国務大臣 都市計画住民のためのものでございますから、住民の意見あるいは考え方が反映されるということは当然必要なことでございます。  現行都市計画制度におきましても、都市計画をつくります際の、例えば公聴会の開催でございますとか、案の公告・縦覧でございますとか、あるいは意見書の提出でございますとか、そして最終的には都市計画地方審議会への付議でございますとか、さまざまな住民意思を反映させるための手続が講ぜられることになっているのでございます。  今般の改正案で、さらに都市計画策定のための基本方針、つまり私どもマスタープランと呼んでおりますが、そのマスタープランを設けますことを新しい提案の目玉にいたしておるところでございまして、このマスタープランには、当然その当該市町村が持っております都市基本構想に照らしましてマスタープランがつくられていくということに相なりますので、その基本構想が議会の意思決定を受けているということを考えましたときに、十分住民の意思が反映される仕組みがさらに、強化された、このように私どもは判断をいたしているところでございます。
  123. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣はそうおっしゃいますけれども、まだまだ住民の意思が尊重されている状況ではないと私は言わざるを得ないわけでありますが、本当に住民の意思が尊重されるような都市づくり町づくりということで、強く望むものであります。  そこで私は、京都、奈良、鎌倉、この三つの古都を中心にお尋ねをいたします。  この三つの古都は、我が国のすぐれた歴史的遺産と景観を持つ代表的な古都でございます。千数百年あるいは数百年の間、先人がそれを大切に大切にしてまいりました。また、さきの十五年戦争でもほとんど戦災を受けなかった。幸いなことでありました。近時は、古都保存法によりまして、十分とは言えませんけれども歴史的な風土は保全をされ、我が国のみならず世界に対し、我が国の顔、民族の心のふるさととして大きな役割を果たしてまいりました。また、奈良県の明日香村も、その保存法によりましてその歴史的風土が良好に保全されております。古都保存法の対象地域、明日香村などの地域関係自治体の皆さんや住民の皆さん方の大変な努力があってのものということでございます。  私どもは、この大切なかけがえのない文化遺産、それと一体となった景観など、歴史的風土を後世に伝えることは極めて大切なことだ、このように考えておるわけでございます。歴史的景観、風土の保存の問題については、例えば古都保存法制定後の一九七〇年にはユネスコが、京都や奈良の都市計画における歴史地域の保存と開発についての勧告を行っております。この中には、自然、歴史的遺産を大切にして、人々の暮らしか息づくように全市的に強力な保存対策をとるべきである、このように言っております。  ところが、最近のいわゆる開発優先の政治というのですかそういう中で、またあのバブルという状態の中で、土地の異常な高騰、地上げ、乱開発、こういうものが進み、今このような古都を初めとして、歴史的風土の保存という問題が深刻な、危機的な状況にあるというのが現状ではないか、私はこのように考えております。  例えば京都の市街地ですね、大臣、最近見られたことありますか。関東を中心の資本が物すごく流入をしたりして土地を買いあさる、地上げをやる、そしてそこへマンションやビルをどんどん建てる。こういう状況の中で、都心部の祇園祭の山鉾町ですね、先生のところも祇園祭あるのですね。また、西陣などの地場産業地域、あるいは東出ろくというのはいいところなのですけれども、そういう町並みも住環境の破壊、町並みの破壊という状況が起こっておるわけですね。それからまた、地価高騰し、そのために相続税が払えないで土地を売却される、こういうこともあるのですね。そういうところがまたビルに変わっていく。あるいは高層の京都ホテル、大問題になっているのですが、あるいは京都駅ビルの建設の計画、こういう状態ですね。  それから、鎌倉でも特別保存地区のすぐ隣まで開発の波が押し寄せて、あの鎌倉の町並みも開発が進んできているという状況ですね。それから、奈良市でもいろいろと開発が進んで町並みが変わってきているのですね。殊に奈良の古都保存というのが大きく進んでいるわけでありますけれども、こういう状態の中で建設省でも、古都を初め町並みの保存についていろいろ御検討いただいているというように聞いているのですが、大臣、いかがですか。
  124. 山崎拓

    山崎国務大臣 先生の御指摘のとおり、歴史的、伝統的な町並みを保存するということは極めて重要なことであると存じております。これは先生のお挙げになりました京都、奈良、鎌倉のみならず、全国に伝統と歴史を誇ります町がございまして、私の地元にも太宰府がございますし、あるいは委員長の地元には、先ほど薮仲議員だったと思いますが御紹介をされました柳川もございますし、さまざまな大事なふるさとがあるのでございます。  建設大臣に就任以来、その種の実は陳情案件もあったところでございますが、現行都市計画制度の中で、美観地区あるいは風致地区あるいは伝統的建造物群保存地区でございますか、そういった制度がございますので、その制度を生かしまして歴史と伝統を極力守っていくように、地方の自治体が中心となりましてさらに努力をするように指導してまいっておるところでございます。
  125. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほども少し触れましたけれども、京都では近年ホテルの建設や京都駅ビル建設計画あるいは高層マンション、のっぽビルの乱立が大問題となっております。奈良市では、奈良駅周辺の再開発市街地のビル建設が進んでおります。そういう中で、古都保存そのものが危機に直面をいたしております。古都保存法は、古都における歴史的風土の保全について規定をしておりますが、古都の保存を考えるときには、例えば町並みの保存でありますとか、あるいは伝統的建造物群を保存するということはもちろん大切でございますが、それだけでは足りません。歴史的な風土の保存ということでございますので、当然景観といいますか眺望といいますか、これが重要な要素になっております。奈良ではよく写真なんかで出るのですが、西ノ京から薬師寺の塔を見て、そしてはるか東大寺大仏殿やあるいは若草山を、こういう眺望、景観がよく写真なんかにも載り、話題になるわけですが、こういう歴史的風土の保存という観点から見ますと、まさに景観、眺望の保存、保全が非常に大切だと思うのですが、大臣の御所見を伺います。
  126. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたほかに、周辺の景観に考慮した公共施設整備でございますとか、その他さまざまな道路、公園等の公共空間、民有空間をあわせまして景観の形成を図る努力を、各地方自治体において御紹介申し上げました制度を活用しながら守っていくということを、建設行政の上で今後とも指導してまいりたいと考えております。
  127. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう少し広い範囲で見てみますと、特定の景観や眺望の保存、保全にとどまらず、都市景観の形成ということでいいますと、自治体レベルでもいろいろと取り組みが始まっております。例えば京都市では、さくら銀行の看板の色が他の地域と違っているようでございます。これも、都市景観の点での京都市のお取り組みによるものということです。  さて奈良市は、この三月に「奈良市都市景観形成基本計画」を策定いたしました。奈良市の都市景観を自然景観、歴史景観、都市的景観に区分して、市域全体の景観を保全することを目的としております。この中の歴史的眺望景観の項では「奈良盆地の地形上の特徴から市街地・田園と周辺の丘陵・山並みが重なり、都市全体に個性的な景観を形成している。これらの景観のなかでも、東大寺大仏殿、興福寺五重塔、薬師寺金堂・三重塔等の伽藍とそれをとりまく周囲の丘陵・山並みが重なった景観は、都市への親しみや愛着を深め、奈良を代表する眺望景観となっている。しかし、これらの眺望景観は、高層化する建築物などによって、その景観がさえぎられ、眺望を損なってしまう恐れがある。」このように述べております。これも都市景観の形成の取り組みでございます。  歴史的風土の保全という点で見てまいりますと、町並み保存とか歴史的な景観や眺望の保存、保全とかにとどまらず、都市景観の形成、保全が重要なことだと思うわけでございます。そういう状況の中で、奈良や京都では古都保存法が制定をされてもう二十五年を超えたようでございます。この区域指定から市街地が除外されておるのですね。それから、先ほど申しましたように京都、奈良では、規制緩和による高層建築物の出現が歴史的景観を破壊するという大きな問題になっております。これは市街地の建物の高さの規制と山並みの景観を相互に関連させた形で、いわゆる京都や奈良の盆地全体の歴史的景観を保存するという視点が抜けているのではないか。古都保存法など我が国制度は、いまだに都市の景観を全体として包括的に保存する思想が定着をしていないというのが現状ではないかと思います。そこで、広い意味での都市景観の形成、保全が重要だと思うのですが、大臣のお考えを伺います。
  128. 市川一朗

    市川政府委員 先ほど来、大臣も御答弁をしておるところでございますが、建設省におきましては、そういった広い意味での都市景観の保全という観点から、都市景観の形成という言葉を使わせていただいておりますが、各公共団体にもそういう動きがございますので、私どもも施策の重要な課題、テーマとして取り組んでおるところでございます。  具体的には、各自治体が条例等を制定する動きもございますし、あわせまして、いろいろ現実に、現在ございますいわゆる歴風制度あるいは都市計画制度の中に美観地区、風致地区等もございます。そういった既存の制度の活用等も含めまして、やはりこれからは環境の問題であり、そういう景観の問題が極めて重要であるという認識を持っておるところでございまして、大臣からもそういう指示を受けておりますので、一生懸命取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
  129. 辻第一

    ○辻(第)委員 JR奈良駅周辺では、今大規模な再開発事業が進められております。旧国鉄操車場跡を中心にいたしました二十三・六ヘクタールにホテル、百貨店、市営住宅など二十五棟のビルが出現をする計画であります。この計画をめぐっては、その中核ゾーンの高さ制限を二十五メートルから四十メートルに緩和する、こういう経過もありました。その理由が、奈良駅周辺は奈良盆地の最も低い位置にあるから景観を破壊することが少ないということでありました。しかし、これは眺望という点で見ますと、やはり眺望、景観というのが非常に損なわれるということであります。また、奈良県庁の公庁舎の建築計画がありまして、これも景観を損なうということで住民の中から問題を指摘をする声が大きく上がっております。やはり奈良などの場合は、盆地でありますので、特に市街地の建築の高さと景観を相互に関連させる形で、その地域全体の歴史的景観を保存をするという視点が必要だと思います。  重ねて申したわけでありますが、次に、古都保存法の問題で伺います。  現行の古都保存法では種々限界がございます。古都保存の対象地域あるいは予算の問題がございます。古都保存法では、歴史的風土保存区域、特別保存地区がございますが、指定の範囲が狭いとか、これは成立時、予算の関係などで対象範囲を狭く限定した経過があったように聞いております。これが今裏目に出ているのではないか、こういうことでもございます。あるいは市街地が除外をされている、こういうことですね。それから、鎌倉などで典型的に見られるのですが、区域指定が山の稜線を境にして市街地から見える範囲に限定されている。こういう中で乱開発が山の裏側から迫ってくる、こういう事態も見られて、指定地域の範囲の見直しが必要ではないのか、こういうことが一つですね。  それから、古都保存のための予算の問題でございますが、この関連の予算は、基本的には買い上げの費用だけになっておるようでございますが、買い上げたけではなしに管理費用の問題もあります。それだけではなしに、町並み保存がいわば私権の制限といいますか、財産の活用に対する制約経済活動の制約を伴うだけに、建てかえ、補修の際の補助などを古都保存法としてどうするのか、こういう議論も必要ではないかと思います。古都保存については、歴史的風土の保存という観点から、繰り返して恐縮ですが、地域全体のまさに風土の保全を図っていくというような点で、古都全体をどう保全するかについて法的にどのようにしていくのか、こういうことも問われておるわけでございます。  個々に幾つも申し上げましたが、今日の古都の歴史的風土が破壊されていく状況のもとで、やはり現状、古都保存法など日本の制度には、いまだ都市の景観全体として包括的に保存する思想が定着しない。繰り返して恐縮ですが、そういう中で、古都保存法の見直しに本当に着手すべきではないのか、このように考えるわけでございます。建設省や総理府、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  130. 関根康文

    ○関根説明員 お答えいたします。  古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法によって、昭和四十一年以来今日まで、京都、奈良、鎌倉市等において計五区域、二十一地区の一万三千ヘクタールにつきまして、歴史的風土保存区域として指定しております。各地域について歴史的風土保存計画を定めているところでございます。歴史的風土保存区域歴史的風土特別保存地区につきましては、行為の規制等が課されるということになっております。土地の買い入れ制度等もございます。  今後も、歴史的風土保存計画歴史的風土保存区域を必要に応じ見直しつつ、これら法律に定められた特別の措置を十分活用いたしまして、古都における歴史的風土の保全について、保存が万全を期せられるよう努力してまいりたい、こういうふうに考えております。ひとつよろしくお願いします。
  131. 市川一朗

    市川政府委員 古都における歴史的風土につきまして、我が国固有の文化的資産として後世に継承されるべきものとしてその保存を図っていくことは、国家的に極めて重要であると私どもも認識しておるわけでございます。  ただいま総理府の方がら御答弁ございましたが、歴史的風土特別保存地区都市計画で決定しておりまして、私ども建設省も深くかかわってございます。これは非常に重要なテーマではございますが、また一方で、それぞれの地域におけるコンセンサスを得なければならないという面もありまして、なかなか難しい点でございますが、最近では鎌倉市におきまして指定の拡大が図られておりますし、また京都におきましても、現在指定拡大を含めましていろいろ検討しております。私も過日、その審議会の席上でその内容等もお聞きしたりしておりまして、それぞれの地域社会におきまして、地域住民とのコンセンサスを得ながら図っていかなきゃならないという難しいテーマの中で、かなり一生懸命取り組んでおるという姿にも接しておるわけでございます。  建設省といたしましても、そういった動きに対しましては、ぜひいい方向に行くようにバックアップしてまいりたいと思っておるところでございます。
  132. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど、大臣の福岡やあるいは委員長の柳川ですか、そういうところのお話も出たわけでございますが、私は古都保存法のことを中心に申し上げましたけれども、そういうかけがえのない、これは一度傷めたり失いますと、もう取り返しかつかないわけでありますから、十二分の対応をしていただいて保存、保全に努めていただきたい、重ねてお願いをいたします。  最後に、都市づくりの問題は、都市計画法建築基準法改正用途地域細分化などだけでは解決できない点は、今議論してまいりました古都保存の問題にとどまらず、この間地方自治体のレベルで、マンションへの給水拒否や建築確認をめぐる裁判問題もございました。神奈川県真鶴町ではリゾートマンション建設凍結決議でありますとか、給水規制条例の制定、さらに町づくり総合条例の動きもございます。今必要なことは、地域の多様な状況に即して、乱開発や環境破壊から町を守る幅広い取り組みが必要でございます。地方自治体、非常に悩んでおられるというのが現在の実態だと思います。  法と現実のずれということでございますが、大臣、こうした事態をどのように打開していかれるおつもりなのかお伺いをして、終わります。
  133. 山崎拓

    山崎国務大臣 お挙げになりました一連の地方自治体における町づくりに関する条例の制定の動き、承知をいたしておるところでございます。その一例は私の地元でございます。  さはさりながら、現行法体系の中で、条例には当然限界のあるところでございまして、ために今回の改正案の中で、都市計画区域外における新しい建築規制の創設につきまして、改正案一つのポイントとして御提案申し上げているところでございます。今後、このような法改正の暁には、条項を御活用いただぎまして、地方自治体が一層町並みを守りますために有効な条例を制定していただきたいと考えておるところでございます。
  134. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  135. 古賀誠

    古賀委員長 次に、米沢隆君。
  136. 米沢隆

    ○米沢委員 今回の法案では、公共施設整備を誘導しながら良好な市街地整備を行い、土地有効利用を促進するという目的で三つの制度提案されていると思っております。それは、地区計画をかけることを前提にして、一つ誘導容積制度、二つ目には容積適正配分制度、三つ目には総合的設計による一団地の建築物の取り扱いの特例ということだと思います。  そこで、まずこの誘導容積制度あるいは容積適正配分制度、この二つの制度の共通の問題として伺いたいわけでありますが、この両制度が活用されるところは、いわばターゲットはどのような地区をイメージしていいのか。そして、この制度を採用し地区計画が立てられ、そして都市計画推進につながるという可能性について、当局はどのような予測を持っておられるか。答弁は大体わかっておりますから、簡単に答弁してください。
  137. 市川一朗

    市川政府委員 一番イメージしておりますのは、大都市の既成市街地の中で低層、高密な木造住宅密集市街地が多く存在しておりますが、それが容積率も結構高目に定まっておりまして、土地の有効・高度利用が必要とされている、求められているにもかかわらず、その地域内の道路等公共施設が不十分であるところから低利用にとどまっている市街地等を対象といたしまして、地区公共施設整備を図りながら土地の有効・高度利用を図っていく、いい町をつくっていくということをねらいとしておるものでございます。  具体的にどれくらいの数になるかにつきましては、今のところはっきりとした積み上げができておりませんことをお許しいただきたいと思います。
  138. 米沢隆

    ○米沢委員 本来、この制度をつくってターゲットにしようというところは、いわば住環境の改善を要する地区だとか、あるいはまた住環境悪化のおそれのある地区、これを公共施設整備しながらきれいな町にしていこうということだと思いますが、もう御案内のとおり、従来までいわゆる地区計画というものが意外に数として採択されていない。地区計画がかぶっておる面積も余りにも少ない。その上、特に今おっしゃったような密集地あたりはいろいろな権利関係も錯綜しておりますし、また住民のコンセンサスを得にくいところだと聞いておりますので、ターゲットをねらってこのような制度ができたことまではよく理解ができますが、今この両制度提案がその地区の皆さん方にとって魅力のあるものであるかどうか。そのあたりがある程度明らかになっていかないと、制度はできたけれども、実際にこの制度を使って都市計画が進むということは、言うべくしてかなり難しい問題ではないか、こう思うのです。したがって、この両制度地区住民にとってどういう魅力があるものだとあなたは思っているのか、その点を聞かせてほしい。
  139. 市川一朗

    市川政府委員 ただいま御指摘がございましたように、住環境の改善を要する地区あるいは住環境悪化のおそれのある地区等につきましては、やはりそこに住んでおられる方々も、何とか我が町はもっとよくならないのかという気持ちも持っておるわけでございまして、特にそういったようなところで、道路等公共施設が十分整備されないままに現状の変更ままならずというところがあるわけでございますから、そういったような地区におきまして、地域住民のコンセンサスのもとに、そういったおくれておる公共施設整備される過程におきまして町づくりが進むということがまず一つの私どものねらいでございまして、一種のきっかけとなり得るものではないかと思っております。  地元におきまして具体的なメリットという意味におきましては、この誘導容積制度の中で、容積率の問題等につきまして適正配分という言葉を使わせていただいておりますけれども、そういった容積の適正配分等によりまして必要なところにつきましてはかなり思い切った高度利用もできる、そのかわりいい意味でのオープンスペースも確保できるといったようなところで、今までとは違ったかなり味のある町づくりができるというところでメリットを感じていただければと思っておるところでございます。
  140. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、ちょっと細かなことで恐縮でございますが、このいわゆる地区計画ができるまでの手続、それからこの地区計画が動き出す発動要件、そして第一義的にそれを推進する責任者は一体だれなのか。  第二番目は、この規制強化型であります一般の地区計画をかける場合には、通常は市町村の条例等で効力を担保して、そして地区整備計画が立てられると聞いておりますが、この両制度も同じような、市町村が条例あたりで担保するような発想で措置がとられていくものかどうか。  第三番目に、問題はその整備計画推進に当たって、だれがどのような手法をもってその推進方を担保するかというのが一番大事だ、こう思います。そうでなければ、ただ単に地区計画を立てて、いかにもそこに問題がありそうに明示する方式だけではこの制度推進されないわけでございまして、地区計画をかける説得力に乏しいものになるんじゃないか。例えば公共施設整備を誘導するということですが、この誘導するという言葉からする我々のイメージは、一体だれがだれの責任でこのようなものを、公共施設の誘導に責任を持って取り組んでくれるのか、そのあたりがさっばり私たちにもわからない。その点をちょっと説明してほしい。
  141. 市川一朗

    市川政府委員 まず、この誘導容積制度の適用されます地区計画は、市町村都市計画決定いたします。それで、その規制内容につきましては、御指摘ございましたように条例で行うことになります。  この推進につきましては、都市計画決定を行います市町村ということになるわけでございますが、一方で、地権者全員の合意がありました場合に限ってでございますが、地権者からの要請という手続も入れておりまして、そういう意味では、その地区内の地権者の盛り上がりということも期待しておるところでございます。  それから、公共施設整備等につきましては、周辺の幹線街路等につきましては公共サイドで整備することになりますが、地区内のいろんな地区施設等につきましては、基本的には開発事業主体側で、いわゆる地区内側で全体の整備とあわせまして整備していただく、具体的には区画整理等でやっていただくというような形になると考えております。
  142. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、地元住民の皆さんの同意を得やすくするようなために、例えば用途を変えたりあるいはまた容積を指定がえするなどして、地区整備計画をつくる段階でそれと連動していわばアップゾーニングあたりなんかも考えられるようなことになっていくのか、そういうことは全然考えない中でこの地区整備計画をつくろうという御指導をなさっていくのか。特に、この制度はまさに強制型ではありませんので、特にそういうこれからターゲットにしたいという地区において、私は何も高度利用なんか必要じゃありません、低利用で結構ですという連中も相当おる。そういう皆さんに対してどういう説得力を持った説明がなされるのか、そのことが聞きたい。
  143. 市川一朗

    市川政府委員 核心に触れた御指摘だと思っております。  ちょっと時間がございませんので、端的に御説明申し上げることをお許しいただきたいと思いますが、基本的には、やはりおっしゃいますように、地区内で低利用のままでよいという御意向を持っておられるところもあると思います。また一方で、主として幹線道路周辺の地権者の方々では、もっと高度利用したいという方もあるわけでございまして、そういった方々と話し合いをしていく過程におきましては、地区内の容積率につきましてある程度割り振りといいますか、そこでめり張りをつけるという形で、町のでき上がりもよくなりますが、そういった地権者の方々の一つの希望に応じたこともできるようになる。そういう意味で、適正配分制度は極めて重要な内容であると思っております。  またあわせまして、地区計画でございますので、もう既にでき上がった制度でございますが、用途別容積型地区計画というものがございまして、それと今回の制度を合わせますと、例えば住宅に限った場合には、特に都心部の住宅確保という観点から、その部分につきましての容積率の割り増しというものも、用途別容積型地区計画との組み合わせの中で可能なのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、そういった地区内の盛り上がりが出てきさえすればかなりのいい町づくりにつなぐことができるわけでございますが、その盛り上がりの最初をどうするのかという一番基本的な問題も含めた御指摘につきましては、やはり私ども、各市町村の担当者も含めまして、都市計画に携わる者が一生懸命取り組むことがまず肝要かなと思っておるところでございます。
  144. 米沢隆

    ○米沢委員 いわば容積の適正配分が、いわゆるあめの部分に利用されるということだと思っています。  先ほど局長もちょっと御答弁の中でおっしゃったのでございますが、私は、東京という町は世界の大都市、例えばニューヨークやパリやロンドンと比較して人口密度も大変高い、あるいはまた土地高度利用も、その都市から比べたら進んでおると思っております。しかし、残念ながら問題なのは、公園などのようなオープンスペースが余りにも少な過ぎる状態であるというのが、東京都とほかの都市を比べた場合の大きな問題点ではないかと思うのです。  したがって、東京土地有効利用高度利用は、建物を中層化したり高層化するにしても、床面積をふやすことだけではなくて、オープンスペースをどうつくるかというところに本当は大き有視点を当てなければ余り意味がない。指定容積率をカバーし切っていないからもっと建てろ、もっと建てろ、そういうものでは東京業務機能を逆に集積させるだけでございまして、結果としてはそれは逆に社会資本のキャパシティーにも触れてくる、そういう視点を本当は持つべきだと僕は思うのです。  したがって、この誘導容積制度だとか容積の適正配分というものの制度のまさに一番の目的は、ただ単に密集地をうまくやるという以上に、オープンスペースをつくりながら住みやすい住環境をつくっていくところに力点を置かれるのが本当ではないかと思うのだけれども、当局の説明でもオープンスペースなんという言葉が出てきましたからちょっとはほっとしましたけれども、実際は、この両制度を使って過大に設定された指定容積率に何でもかんでも近づけていこう、それがこの制度だというふうにしか僕はとれなかったものだから、再度、オープンスペースをつくりながらというその部分にこの制度の力点があるんだという答弁をいただければと思っております。  それから、今いろいろと議論される中で、特にこういう地区計画という都市計画上の手法でございますから、アメリカのようなTDRとかいうものには発展しないのではないかと思いますが、例えば容積率の権利だとか空中権の売買だとか、あるいは業務集積を逆に助長して、結果としては地価上昇を生む一つのきっかけになっていくのではないかな、特に容積の配分制度ですね、そういう心配が実際はあります。逆に東京あたりは場合によっては、指定容積率をうまく満杯に使おうという動きよりも、容積率を引き下げて逆に成長を管理するような政策かど真ん中に入ることの方が、本当は今の世間の流れからしても、あるいは今生活大国と言われる中で、この前拠点都市整備あたりの法律をつくりましたが、そういう趣旨に合うことではないか。  ですから、低利用を早く有効利用しょうとか高度利用しようというその発想が先に行きますと、これは今までの東京一極集中を促した成長の延長線にしかないのではないか。そのあたりをきちっと指導の中にも、あるいは今度の都市計画法改正の中でねらった大きなターゲットはそういうものだというところを明らかにすることがあなた方の責任ではないか、私はそう思うのです。いかがですか。
  145. 市川一朗

    市川政府委員 大変重要な御指摘をいただきましてありがとうございました。  実は、私どももまさにその辺のところが極めて重要であると考えておりまして、一言で言いますと、東京で多くの人間が住む場合を考えますと、みんなが低層住宅に住んだのではオープンスペースは確保できないわけでございます。ただいま都市公園も含めまして非常におくれております我が国都市の中の、なかんずく東京等の大都市におけるオープンスペースを確保しながら、勤労者も含めた市民の方々に必要な住宅等も供給していくためには、やはり高度利用できるところは高度利用する。そういう形で、あいたところをオープンスペースとして確保していくといった行き方が最も求められているのではないかと考えておりまして、私どもは、今回の誘導容積制度も含めまして土地の有効・高度利用を図る必要性基本的な背景の中に、いい町づくりとしてのきちっとしたオープンスペースの十分な確保といったようなことが、思想として十分に備わっているということをお答え申し上げたいと思う次第でございます。  それから、この誘導容積制度の活用に当たりましては、最終的なでき上がりの姿まで合意ができる地区計画のもとで行われますので、いわゆる容積率等の権利の移動等に関しますいろいろな予想される問題点は、地区計画という形で合意のもとで行われるというところでクリアできるものと思った次第でございます。
  146. 米沢隆

    ○米沢委員 時間が余りありませんで済みません。それで一括してちょっと質問したいと思うのですが、今誘導容積制度とか適正配分制度、社会党、進民連の提案の中ではないですね、抹消されて。余り好ましいものではないという御判断のようでございますが、その理由についてまず一つ伺いしたい。  同時にもう一つは、先ほどからちょっと触れておりますように、都市計画の中で一つの大きな問題は、いわゆる社会資本のキャパシティーとの関連で、どこがどうチェックしていくのかというところがどうもわかりにくいところが実際あります。個々の計画の段階で、そのあたりは頭に入って管理ができるという御意見もあるかもしれませんが、トータルとして都市計画推進して、例えば有効利用とか高度利用される場合でも、その周辺の社会資本の下水道とかごみの環境等、キャパシティーを考えながらの議論というのが意外に少ない。何かそれはそれ、これはこれという方向で進められておるような気がする。そういう意味都市計画上の問題、まず一つそれがある。  もう一つ開発行為。都市計画法の中には、開発行為についての制限という項目は条文にあるのでございますが、これたるや免責条項が大き過ぎて、ほとんど既成の市街地においては何も届けなくても何でもできる。大きな規模になればいろいろ制限はありますよ。ただ、ある程度の規模であれば何でもできる。こういうものである限り、むちゃくちゃになるのは当然のことでございます。そういう意味で私は、この開発行為の許可制度をもっと多用して都市計画に資するという方法論を考えていかないと、今のように、開発は自由、建築は自由という原則でできた都市計画法でございますから、余りやかましく言えないんだというのはわからぬわけでもありませんが、しかしこれから本当に良好な都市計画推進しようとするならば、開発行為を許可する、許可しないというこの権限の中で、もう少し都市計画推進に資するような開発行為の許可のあり方みたいなものを検討すべきだ、そう思うのです。これも社会党、進民連の提案の皆さんの御見解を伺っておきたい。
  147. 木間章

    ○木間議員 前段の部分は、私の方から答弁をさせていただきたいと思います。  私どもの対案では、誘導容積制度あるいは容積率の適正配分に、先生指摘のとおり触れていないのであります。政府案では、区域の特性に応じて定める容積率公共施設整備状況に応じて定める容積率とを、異なるものとして定めなければならない都市計画上の理由があいまいであるからであります。東京などの大都市では、道路もごみの処理も既に満杯となっております。現行指定容積率都市基盤の整備状況と比較して過大である、こういったことを率直に認めるべきであろう。そして、先生指摘のとおり、なぜ指定容積卒そのものを引き下げないのかということを判断をしております。また、現行制度の中でも、前面道路の幅員に応じた容積率の制限を行う規定がありますので、私たちの案では、この規定を充実させていけばいいんじゃないだろうか。  いま一つは、政府提案しております容積率の適正配分については、個別の優良な計画に応じて規制を緩和してきた従来の方式にかえまして、一律の規制緩和を実現しようとするものでありまして、私どもは、やはり将来に向けても問題を残すんじゃないだろうか、このように実は考えておるのであります。
  148. 菅直人

    ○菅議員 ただいま米沢さんの方から御指摘になりました開発許可の問題は、私どもも大変重要に考えております。  今おっしゃったように、日本の都市計画制度開発、建設、建築が基本的に自由になっていて、例外的に容積率とか建ぺい率とかを決めている構造だということは御承知のとおりです。先ほど、都市局長答弁の中あるいは米沢さんの話の中にも、オープンスペースということがありますけれども、例えば東京の中を見てみても、本当に緑のところとかオーブンなスペースというのは私有地ではほとんど見られないわけで、つまりオープンにしようということは、そこからは駐車場代も取れないし賃貸料も取れないわけですから、自由経済に任しておけば、基本的には少しでも建ぺい率を大きく、少しでも容積率を高くしてもらいたいというのが地権者の希望になるわけです。これはもう我々が陳情事で受けるのだって、下げてくれなんという陳情を受けたごとがほとんどないわけで、何とかもうちょっと建ぺい率、容積率を上げてくれないかという陳情ばかりだということからも明らかだと思うわけです。  そういった点で、いい都市計画というものをつくるためには、こういう場合はイエスだけれども、こういう場合はノーだという、まさに建築や開発を、自由ではなくてノーが言える制度というものが基本になければ、計画というものにはなかなか地権者を持っていくことはできないと思うわけです。確かに誘導で、いわゆるあめを使って、こうやれば少しプラスになるからというやり方もありますが、そういうやり方でやってみた結果が、現在の地区計画がまだ非常に進捗がおくれているという現状になっていると思うわけです。  そういった点で、先ほど御指摘もありましたように、現行制度が面積要件や開発行為というものを、何と言いましょうか大変狭く見ていて、事実上許可制度という扉がもうほとんど開きっ放しになっている、つまりいつでも通れるようになっているということを、私ども改正案では、条例によってその地域地域で面積要件も小さくしたり、あるいは技術基準という形での条件をそれぞれの地域で条例で決めるようにするという形でそういったことを可能にしていきたい、このように考えて提案した次第です。
  149. 米沢隆

    ○米沢委員 どうもありがとうございました。
  150. 古賀誠

    古賀委員長 次回は、来る十九日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五分散会