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薮仲委員 先ほど来何回も同じことを申し上げるようでございますけれ
ども、私はこの
都市計画なり
地区計画、これはやはり主役は
住民だ。これからやっていこうとする
都市計画というのはやはり
住民が参加していく、
住民が感動する、
住民が感動しないような事柄は進んでいかないと思うのですね。
住民が背を向けている、白けている、だれかがつくった
計画だ、こんなのをやれば私はかえって迷惑だ、これでは私は、
計画は立派にできていても実施は全然伴っていかないのじゃないか。
それで、この
法改正で一番私はお願いしたいのは、
住民が持っているすばらしいエネルギーを爆発させるような、
住民が感動するような、一緒にやろうという気の起きるようなそういう
計画に持っていかないと、幾ら
計画だけは立派にできてもこれは、絵にかいた何とやらという言葉もございますけれ
ども、私は動いていかないのじゃないか。
局長は恐らく
局長になる前に、いろいろな
地方都市をお回りになったことがおありになると思うのです。
地方都市に行って何とか
計画、何とか
計画、総合
計画などというのはたくさんあります。それでは動いているか。私の地元のいろいろな町にもあります。本当に動くかどうかは、今おっしゃったように町のその姿勢もあるかもしれません、スタッフの有能さもあるかもしれません。しかし私は、やはり
住民が白けていたのでは動かないのじゃないかな。
これは、よく使われる話の中で出てくるのは、あの大分の湯布院の話が出てくるわけです。あの湯布院が今、湯布院映画祭とか湯布院の音楽祭をやっていますのでも、ああいう
町づくりになった最初は何だったのだろう。あれは御承知のように、湿原植物で有名な猪の瀬戸というところにゴルフ場をつくるぞといったことで、
住民がかっと怒ったわけですね。そしてあそこで、いわゆる由布院の自然を守る会という反対運動から事が発したわけです。しかし、今では「牛一頭牧場主」というようなことで、テレビでもやるように、牛肉をたらふく食って絶叫して、全国のお茶の間に飛び込んでくるほど、あの湯布院の牛肉を食って絶叫するということはあれだけのニュース性を持っておりますし、それだけじゃなくお年寄りまで参加して、猪鹿蝶料理とかあそこには珍しいものがたくさんあるわけです。やはりあれは何だったかというと、最初は反対だったのですね。反対運動があそこまで湯布院というものをすばらしいものに仕上げていった。やはり
住民が動き出すとすごいじゃないか。
また、私もいろいろそういう
地域が動き出す本を読んでみました。これはもう
局長も先刻御承知の、福岡県の南にあります有明海に面したいわゆる柳川、「柳川の水よ、よみがえれ」これは映画にもなっていますし、いろいろなところでこれは語られると思うのです。これは有名なことですね。これは、もうあの海抜わずか三メーターのデルタ地帯で、市も県も国も決定したのが変わったわけでしょう。これは
局長がよく御存じです。あそこの
生活排水のところへ全部ふたをしちゃって
都市下水道にしようというのを、ここに新聞にも出ていますけれ
ども、広松伝さんというのですか、このたった係長さん一人が、マスコミは係長の反乱という言い方をしましたけれ
ども、この人は、川は私の命だ、こう言って二十億の予算のついたのを覆して、今では水郷として観光客もどんどんふえてきた。この人がたった一人で命がけでやった、そして
住民を巻き込んだのですね。私は、この情熱がこれだけ
地域を変えたと思うのです。ですから、こういうふうに本の中に「
地域が動きだすとき」、私もこれは感銘をもって読みました。たった一人だけれ
ども、一人の力というのは偉大だな、一人が真剣にならなければ変わらないなということもわかりました。でも、やはりこれに
住民がだんごのようになって、この運動が膨らんでいったわけです。
今度の
都市計画で、先ほど来私が何を言いたいか。こういうような
町づくりが全国各地で起きた方がいい。私の言いたいのは、
住民参加した方がいい。これは
大臣にお
伺いしたいと思うのですけれ
ども、いわゆる
計画というものが、議会も
住民も余り反対も何もなくてすんなりでき上がった、これはいいことかもしれない。でも私は、そんなことを言っていたんじゃ時代は変わらないと思うのです。これは
大臣も我々も政治家ですから、いろいろな
住民運動に入っていきます。反対されて悪口を言われる、そこの中へ入っていって、面と向かってやらなきゃならないことが多いのです。
この中にこういう新聞があるのです。これは朝日新聞の記事なんです。「
地区計画は
住民参加で」というタイトルですが、「「これは、なんだ」。兵庫県西脇市郷瀬町の
住民は、市役所前に張り出された告示を見て驚いた。いつの間にか
自分たちの町に
地区計画がつくられ、
用途地域も第一種住居専用
地域から準工業
地域に変わって、工場ができるようになっていたからだ。八六年十二月のことだ。」こうずっと出ているわけです。もう
一つ出ているのです。「
東京都府中市小柳町五丁目の
住民の中には、今年二月、四階建てのワンルームマンション建設の看板が立てられたのを見て、
自分たちの
住宅地が一種住専から近隣
商業地域に変わっていることを知った人が少なくなかった。」これは、
地方自治体の
都市計画決定が非常にいいかげんなんです。あるんですけれ
ども、
現実にこうやって朝日の記事ですから、これは事実あったことなんですね。
ここでもう
一つ、ドイツのBプランのことが出ているわけです。このBプランは、「作成の段階で自治体と
住民が徹底的に話し合う。このため、時には四、五年かかることもある。「反対する人にはわかってもらえるまで粘りました。最初はだれも公共の福祉なんて考えませんが、説得した結果、個人的な利益のために最後まで反対した人は、いませんでした」 ケルンの国鉄操車場跡地に」云々ということで、広報担当のM・ビットバーさんの談話が出ているわけです。やはり私は、五年かかろうと
住民と話し合った、こういうのが
地区計画や
基本計画をつくるときに非常に大事なことだろうと思うのですよ。
大臣、今度我が党は、この
都市計画の
審議の中で、やはり
住民を思い切って参加させた方がいい。
都市計画本体そのものまでがたがた言うことはないかもしれないけれ
ども、この
法案の中で新しく出てきた
マスタープラン、これも後ほどやりますけれ
ども、こういうところの話し合いの中には、
住民がどんどん参加した方がいいんじゃないか。反対するのもこれはエネルギーなんですから、反対したエネルギーをうまく生かして、それを巻き込んでいくぐらいの気持ちでやっていかないと、私は本当の
町づくりはできないんじゃないか。よく言われるように、百家争鳴と言うかもしれませんけれ
ども、今度じゃ自分の町をどうするかで、日本全国三千三百の
市町村が自分のところの
基本計画をつくるので初めて騒ぎ出した。かんかんがくがく、けんけんごうごう、口角泡を飛ばして自分の市町を何とかしようと思って全
住民が怒り出した。三千三百余の
市町村でこの
都市計画決定が、例えば
マスタープランをつくろうということで
住民が立ち上がって怒り出した、本気になった。
住民が本気になれば、行政も議員も黙っていられない。日本じゅうが騒ぎ出すぐらいの、
住民が感動するぐらいのことを一回やった方がいいんじゃないか。そして、三千三百のうちから
一つなり二つなりだんだんだんだん本気になってやる
地域が出てくれば、事柄は大きく変わっていくんじゃないか。
私は、この本を読みながらしみじみ思ったのです、「
地域が動きだすとき」。どうせおやりになるんだったら、今までいろいろな省庁がやったけれ
ども、
住民が怒ったり動いたりしたことがなかった、よし、
山崎建設大臣のときにやった
都市計画のこの
マスタープランをつくるときに、
住民が目をぱっと見開いて、眠っている人も起き出して怒り出した。怒ることはいいことです、反対することもいいことです、エネルギーなんですから。それを集約してこそ、
大臣が目指す、日本全体の
地域が動き出している、そしてこの本が一冊じゃなくて、何百冊もなければ足りないような
都市計画をつくってほしい。何にも変わらないんだったらやらない方がいい。やるんだったら、本当に
住民が、
国民が感動するような、そしてこの
マスタープランに参加をして、その中に——この
法案の中では、
地区計画をやるところを決めなさいと書いてあるのです。そうすると、この
マスタープランの中で、自分のところはこうするんだと。さっき
局長は、自分にとってそれが何なのかが余りによくわからなかったと。でも今度は、全体的な町の将来像がわかった、そこで私のところはこうするんだ、やろうと、やはり
マスタープランというものはみんなが参加してやるような時代をつくってほしい。
〔
委員長退席、杉山
委員長代理着席〕
ですから、公聴会という
手続がありますけれ
ども、私は少なくとも
住民の声を聞くんだったら、全市民のアンケートをとったらどうだ。全市民が全部参加した、例えば、私は天文台をつくってほしい、あるいは私は図書館が欲しい、あるいは美術館が欲しい、いろいろな
施設もあるかもしれない。あるいは、私の町は
文化都市にしてほしい、教育で立つような町にしてほしいとか、またはもっと
産業基盤のすばらしい町にしたいとか、あるいは海洋性のすばらしいリゾートを含んだ町にしたいとか、いろいろな思いが出てきてそこで
マスタープランができれば、私はすばらしいと思うのです。
やはりこれはアンケートを全
住民からとれば、全
住民の意思をいろいろやったのを、今度は例えば広報で、皆さんの意見の集約はこうでございます、これをもとに例えば
マスタープランというものをこれから論議をしてまいりたいと思う、皆さんの御意思はよくわかりましたと。やはり
住民がしゃべらないと、動かないと、
責任を持たないと、時代は変わらないと思うのですよ。その
意味で
住民参加、参加というと、何かずく公聴会とか何とかと言いますけれ
ども、もっと
住民とツーウェーで話し合った方がよろしいんじゃないか。
しかも、イデオロギー的に反対する人もいるかもしれない。でも、世の中はそんなに甘くないです。ここにいる政治家の方々は、自分の地元へ帰れば町内会や自治会を持っています。そこには、練達のきちんとした常識豊かな方が何人がきちっといらっしゃいます。その自治会、町内会、連合自治会等できちっと代表を出して話し合うとか、いろいろな
手続を踏みながら、みんなの意見を集約するということは幾らでもできるわけです。そしてこの
基本計画をつくっていこうというようなことをやっても、何にも恐れることはない。
我々がこの中で、議会が関与しなくていいのですか、政治家は何にも知らなくていいのですか、そうはいかない。これは何をしようと、
住民が騒ぎ出せば政治家も動くし、当然担当の
委員会ではこの問題が論議されてくるでしょうし、私は怖がらないで思い切って、百家争鳴大いに結構、みんなで自分の町をよくするために本気になったというようなことがこの新しい時代にあってほしいし、あってしかるべしだと思うし、そうなって初めて時代は変わっていくし、この
計画も生きてくると思うのです。輝いてくると思うのです。今まで一%、今度は変わるぞ、
住民が本気だぞ、こういう時代をどうしてもつくっていくために、私はこの
マスタープランの段階だけでも
住民の意思が反映するような、
手続的にもまたいろいろな機関的にもできるような体制を御
検討いただきたいと思いますが、
大臣、いかがでしょうか。