○
薮仲委員 国土庁、言わなくてもよろしいんですね。後で言いたかったと言わないでくださいよ。
きょう時間があればもう少しやりたいのですけれども、もう余り時間がありませんから、大臣にちょっと御意見を伺いたいと思います。
私は、この問題は
東京都がどう考えているかという視点を忘れていては何もならないと思うのです。これは「
業務機能の分散可能性に関する
調査報告書 平成二年三月
東京都企画審議室」、
一極集中をどうやったら分散できるかということが出ているわけですね。この中で、
先ほど来
局長の言ったとおりなんですね。まず
一つは、
東京に
本社を置く理由として何があるか。これは余り具体的にはおっしゃらなかったけれども、やはりその魅力は、いわゆる情報量の優位性、それから首都
機能があります。それから人材の確保が優位です、あるいはお客様との仕事がしやすいです、これが最も上位で挙がっているわけです。これは資本金であるとかあるいは業種別にも同じような傾向が出ております。
ただ、ここからちょっと大臣にテークノートしていただきたいのですが、「分離
促進の条件」として「今後どのような条件が
整備されれば
東京にある
業務機能の分離・
移転が
促進されるかを、事務所賃貸料など事務所コストに関わる項目、
業務機能の受皿としての
産業基盤と
生活基盤に関わる項目、および首都
機能などに関わる項目について重要度を比較してみた。」、これは非常に大事な解析なんですね。今言ったように、事務所が高いとか安いとかいう事務所のコスト、それから営業しやすいかという問題、それから権限の問題、この
三つが挙げられているわけです。
そこで、この答えは何が出てきたかというと、例えばここに出てきているのは、今
国土庁が
業務核都市としておる
地域の問題が出ておるわけです。
一つは新宿NSビル、もう
一つは大宮ソニックシティビル、三番目はかながわサイエンスパーク、この
三つのいわゆるインテリジェントなビルディングに
移転することも含めてアンケートしているわけです。
地方へ行くのではなくて、まず
業務核都市のエリアの中でどういう考えで
移転できるか。この中で一番出ているのは、都心とのアクセスの時間の短縮が最も大事だ、いわゆる移動の時間なんです。事務所にとって、
業務機能にとって移動の時間が最も重要です。さっき道路
局長も言っておられましたけれども、公共輸送機関や道路網の
整備によってアクセスするということ、至便であるということが非常に重要です。それから、許認可権限を持つ官庁にアクセスしたいというのがありますよ。
それから
委員長、これは大臣にお渡ししたいのですがよろしいですか。この資料は後で説明しますから。
立地コストの問題ですね。
立地コストについては、この場合は「それほど重要視されていない。」というのは、高い安いということは余り問題ではありませんでした。これはどういうことかといいますと、「後述する新宿、大宮などのビルのケーススタディでも、事務所賃貸料の安さを入居理由にあげた
企業は極めてわずかであった。一方、
東京に
本社を置く理由として情報収集や社内コミュニケーションなど事務所運営にかかわるコスト(
業務コスト)」、
本社がばらばらだった、それを一カ所のフロアにまとめることができたとか、そういう社内コミュニケーション、いわゆる事務所が使いやすいということが非常に重要であった。「事務所運営にかかわるコスト面の
効率性を重要視する
企業が三分の一あった」。
それから、そこの次に出てきたのは、きょうは郵政省お見えだと思うのですが、料金体系を見直して通信費が何とか安くならないか。大事なのは、事務所のビルのインテリジェントですね。と同時に、移動コストと通信コストというものを非常に重要視しております。「
企業にとって事務所の新たな
立地選好は単純な賃貸料水準だけの問題でなく、事務所
立地に関わる総合的なコスト判断・評価の問題であることがわかる。」それで、データが出ているのですが、
一つは事務所のコストで、通信、交通、移動のアクセスのしやすさが挙がっておりますし、それから権限官庁とのアクセスが出ているのです。
そこで大臣、これは非常にシビアな
建設省のデータなのですけれども、
建設省というよりも
日本都市計画学会の論文集なのですが、事務所が
立地コストを考える場合にどういうものがあるか。上の方に出ております二つは
本社の
立地コスト、これは社会的なコスト、社員の住宅のコストであるとか通勤
費用だとかを全然見ないで通信費、交通費、いわゆる社員が出てくる時間のコスト、オフィスの賃貸料、この四つのファクターでやったのがこの表の一番上です。これでいきますと、何と
東京が一番安いのです。札幌とか広島、神戸、大阪と比べても、
東京に事務所を置いた方が楽なのですね。ですから、
東京に
本社を持っている一部上場の大
企業なんかは動かないわけです。ここにいた方がはるかに安いのです。何が安いかというと、移動のコストと電話料なのです。このグラフが示しているように、ここにいると一番安いのです。その次に、多少社員の社会的コストを足してくるとこのグラフの様相が変わってくるのです。しかし、単純に
立地コストとして事務所の賃貸料とか通信費あるいは交通費を見ますと、
東京が意外や意外、一番
立地コストは安いのですよ。
〔渡海
委員長代理退席、
委員長着席〕
そこで、社会的なコストをどうするかということを言わなければならない。でも本当に事務所が出るか出ないかになったら、一番上のシビアな計算をして、
企業が成り立つか成り立たないかというのは、一番上のことなのです。社員の面倒を見ようと思っても、経費が余り高ければ営業ができない。そうしますと、
東京から出ていくための一番大事なのは何かというと、移動コストと通信コストを安くしていくことがどうしてもこの表の中から大事ですし、恐らくさっき
通産省の
局長も言いたかったと思いますけれども、
通産省も同じような社会的なコストのアンケートをとっていらっしゃるわけです。
通産省のものは従業員二百人ぐらいの
企業でやっているのです。ですから、これは小さな
企業ですね。でも、そこでも社会的コストを取り除きまして純粋な事務所経費だけを見ますと、
東京が安くなる。
時間がありませんから一方的にしゃべらさせていただいて恐縮でございますけれども、そのように
東京から出そうとすれば、やはり移動コストと通信コストというものを考えなければならない。しかし、今、移動コストを下げろ、新幹線を下げろ、道路公団に高速料金を下げろと言ったって、まず藤井
局長はうんと言いませんから、これはちょっと大変です。移動コストを下げられないならどうしたらいいのだ。
もう
一つ、これは「
東京の新生」という提言に、私はこれは傾聴すべきことがあるなあ。大臣に、宮澤内閣のいわゆる主要閣僚としてこういう問題をこの
法案の中でどうするか。今、
法案の方では、
計画を立てる段階で知事ができますよ、こうなっているのです。ただ、大事なことは何かといいますと、ここにありますように、ちょっと読ませていただきます。
一極集中の
是正にはわが国全体に及ぶ社会システムの改革が必要である。すなわち、
一極集中の要因を突き詰めれば、それは中央集権的な諸
制度による国家経営を軸としたわが国の社会システムそのものであり
ます。では、それを
是正する到達点ほどこかといいますと、
分散型社会の
形成である。それも、ただ中央政府のシナリオに従う分散型
国土経営の客体としてのそれではなく、自律性を獲得し、
地域の多様な価値を生かせる
地方主体の分散型社会でなければならない。その第一歩は、やはり中央集権的行財政システムから
地方分権型行財政システムヘの転換である。また従来の社会システムは、その全容が見えにくい閉鎖的な仕組みでもあったことから、分散型社会への移行に際しては、分権と同時に透明度の高い開放型社会にすることが特に重要である。
これをもう少し詳しく述べているのです。この「
一極集中の
是正と分散型社会の
形成 二十一世紀社会における
東京の基本的性格 分散型社会の
形成」として何が大事か。我々は分散型社会を望んでおります。これは分権型社会でもあります。
分散型社会とは、
人口、
産業、
都市機能などが
特定の
地域に偏らず、全国各
地域に適度に分散する社会である。それは、全国的な共通の価値のほか、
地域の固有の価値が生かされる社会である。
これは大臣が
先ほどから言ったことだと思うのです。これをやるためにはどうするかというと、
分権型社会とは、中央政府に権限が
集中するのではなく、
地域社会の運営に関する諸権限は
地方自治体がもつ社会である。これらは、
地域特性に根ざした人間性豊かなまちをつくるのに適した枠組である。それは、
一極集中とは異なった社会行動をあらゆる主体に促し、中央集権型社会がそうであるような、国が企画した構想をモデルとして
地方が
実施するというパターンではなく、
地方がその
地域の
独自性を生かして企画し
実施するパターンである。
効率を追及するあまり、全国一律に適用する画一型価値を押し付け、これに外れた価値を否定するようなことは、多様な価値観の存在を前提とする社会にはなじまない。
開放型社会とは、透明度の高い社会であり、参加の容易な社会である。分散型社会の
形成に際して特に重要なことは、国内のどこにいても、必要な情報の所在と入手の方法が明らかになっていることである。
どこにいても、中央官庁であろうと全国の情報がアクセスできる、これがないと分散できないのですね。やはり、どこにいても必要な情報を同じコストで入手できる、こうすれば出ていけるのです。
そうすると、社会的なコストの、さっき大臣が言われた住環境であるとか
生活環境の豊かさ、本当に自然のすばらしさを享受しながら
生活できるのです。できないのは、余りにも中央にいろいろなことが集まっていますよ、これは私傾聴に値するなと思っているのですが、
政策情報にしろ、市場情報にしろ即時に情報入手が可能であるということは、情報の所在が明確であることが前提となる。
どこにどういう情報があるかということがはっきりしていて、
特定の機関や
特定の
都市に情報が偏在し、アクセスのためだけに、その機関や
都市やそこに近接した場所にいなければならない情報
一極集中型から脱却することが必要である。
このようにして情報の所在がだれの目にも明らかであり、どこからも情報にアクセスすることができ、だれでもその情報を利用できるという透明度の高い社会をめざすことが、過剰なフェース・トゥ・フェースのための
集中を少なくする重要なポイントであろう。
それでこう書いてあるのです。
閉鎖型社会のあとに来るものは開放型社会でなければならないし、また、
一極集中型社会のあとに来るものは多
極分散型社会でなければならないだろう。
分散型社会への移行にとって最大の
支援は、
地方分権である。
地方がそれぞれの個性を大切にし、活力ある
地域社会を
形成するとともに、
東京が過密を解消し地球環境に配慮した快適なまちづくりを行なうことが国全体として自然と共生じたゆとりのある
国土を実現する道であり、また
日本が国際社会に受け入れられる姿であろう。
地方自治体の権限を強化し、分権化することが分散型社
会への第一歩である。
とあるわけです。もっといろいろな提言があるのですけれども、これを読みまくってもしょうがないのでやめておきます。
私は何を申し上げたいかというと、今度のこの
法案を成功させるのには、さっき知事がやるのですよとおっしゃった。さらに、それにプラス行財政権限、知事が思う存分、
地方自治体が思う存分できるような方法を、大臣のその行政手腕で何とか考えていただきたい。
この四つのグラフを出しましたけれども、ここは何のグラフかといいますとフェース・ツー・フェースなんです。
日本人は絶えず会ってあいさつしないとなかなか商売ができない。これをアメリカ並みの——アメリカはこうなっているのですね。「アメリカでは、わが国の二・七倍の電話使用頻度があり、また、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの頻度は〇・八〔回/週〕」、フェース・ツー・フェースのコミュニケーションの頻度をこういうアメリカ並みに直しますと、
東京のいわゆる
立地コストはほかと同じようになってくるのですね。ですから情報量、ここではフェース・ツー・フェースを変えただけです。移動のコストを変えただけですね。
下は、今度は移動コスト・プラス電話の料金を一律に、きょう白井
局長お見えになって、そんなことを言ったら飛んで返って、とてもすぐオーケーしてくださらないでしょうけれども、仮に一律にした場合に、
東京の
立地コストは全国が非常に平準化してくるわけです。
ですから、私の申し上げたいポイントは、移動コストと情報コストを下げていかなければならない。これはNTT初め他の電電、第二電電の御
努力もあるかもしれませんけれども、これが非常に重要なファクターだということを大臣に御
理解いただくことと、もう一点は、今申し上げた分権社会、透明社会、情報がどこでもアクセスできるというような時代をつくっていただきたい。今、郵政省はいろいろなところヘテレポートをつくろうとしていらっしゃるのですが、そこにできるのですけれども、アクセスする通信料は同じなんですよ、高くなっちゃうのです。だからどうしても、テレポートがあってもそこを使う通信費が安くなるということが大事で、白井
局長、本当に申しわけないのですが、本当はきょう私は遠近格差とかいろいろな問題をやりたかったのですが、時間がないので。
最後に大臣に、今、私はいろいろ申し上げました。やはりこういうような
東京都の考えていることもお酌みいただいて、これが成功するのは、知事が本当に主体性を持って自分の県を、自分の町を、自分の住んでいるところをという、やはり行財政権限もつけてこの
法案をどうしても成功させていただきたい。もしもこれが失敗しますと、何だこれはと言ってだれもやる気がなくなると思うのです。きょうはリゾートもやりたかったのですけれどもできませんでしたが、もうそういう失敗は許されない
法案だと思いますし、まあきょうは各
省庁とも本気になっておやりになる決意を伺っておりますので、どうか大臣、この
地方拠点法が立派に成果をおさめるためには、今幾つか問題点を
指摘させていただきましたけれども、やはりそういう
意味での大臣の指導よろしきを得てうまく推進していただきたいと思いますが、最後に大臣の御意見を伺って、終わりたいと思います。