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1992-04-03 第123回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月三日(金曜日)     午前九時五十分開議 出席委員   委員長 古賀  誠君    理事 片岡 武司君 理事 北村 直人君    理事 杉山 憲夫君 理事 渡海紀三朗君    理事 三野 優美君 理事 山内  弘君    理事 吉井 光照君       植竹 繁雄君    川崎 二郎君       瓦   力君    木村 守男君       久野統一郎君    塩谷  立君       島村 宜伸君    野田  実君       萩山 教嚴君    光武  顕君       山本 有二君    石井  智君       木間  章君    貴志 八郎君       佐々木秀典君    細谷 治通君       松本  龍君    伏屋 修治君       辻 第一君     米沢  隆君  出席国務大臣         建 設 大 臣 山崎  拓君  出席政府委員         国土庁地方振興 小島 重喜君         局長         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         林野庁長官   小澤 普照君         建設政務次官  金子 一義君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 藤井 治芳君  委員外出席者         内閣官房内閣審 石川 裕己君         議官         気象庁予報部予 櫃間 道夫君         報課長         建設委員会調査 杉本 康人君         室長     ————————————— 委員の異動 四月三日  辞任         補欠選任   木間  章君     佐々木秀典君   渋谷  修君     細谷 治通君   薮仲 義彦君     伏屋 修治君 同日  辞任         補欠選任   佐々木秀典君     木間  章君   細谷 治通君     渋谷  修君   伏屋 修治君     薮仲 義彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三五号)  地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再  配置の促進に関する法律案内閣提出第三四号  )      ————◇—————
  2. 古賀誠

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木秀典君。
  3. 佐々木秀典

    佐々木委員 私は、このたびの治山治水緊急措置法の一部改正に絡んで質問をさせていただきます。  申し上げるまでもなく、日本火山列島とも言われます。長い日本列島を縦断いたしましてたくさんの火山がある、それに伴って河川も多いということから、自然災害、特に山地災害、これは頻発しておるわけであります。また加えて、台風も必ず来るわけでありまして、これによる被害も昨年は大変大きかった。わけても雲仙普賢岳の大爆発による被害、これは一向におさまらないわけでありまして、先般予算委員会でも、また各委員会、恐らくこちらの委員会でも審議されておりますでしょうし、それからまた災害対策委員会でも集中的にこの雲仙の救済問題などについては審議をされてまいりました。  そういう意味からも治山治水、これはもう防災関係からも、あるいは国土保全という意味合いからも極めて大切な国家事業でありますし、この緊急措置法が、これまでの第七次五カ年計画がことしで終わりになるわけですから、さらに第八次五カ年計画をつくってこれからも治山治水事業を充実させていくということは、極めて私は緊要なことだと考えます。そういう意味で、この改正にはもちろんもろ手を挙げて賛成をするわけですけれども、この機会にさらにその発展充実を期するための審議をしなければならない、こういう観点お尋ねをさせていただきたいと思います。またそういう中で、とりわけこの防災観点で、我が国森林あるいは山林の果たす意味合いというのはまことに大きなものがあるのではなかろうか、こう思っております。  御案内のように、我が国国土の七割を森林が占めております。そしてこれが、土砂の流出とか崩壊防止というような国土保全に大きな役割を持っていることは申し上げるまでもありませんけれども、そのほかに森林機能としては、木材生産という経済的な機能、あるいは水資源涵養、あるいは景観の建設、それから国民保健保養機能、あるいは酸素の供給、大気の浄化機能、さらには野鳥、鳥獣の保護機能など、非常に多様な機能を持っているわけですね。国民生活とも非常に深くかかわっているわけであります。  しかし一方、森林を取り巻く状況というのは極めて厳しいわけでありまして、私も農林水産委員会に属しておりまして、昨年森林法改正になりました。このときにもいろいろな論議がありました。特に森林は、民有林公有林国有林ありますけれども、国有林が大変に荒れている。民有林も同じようなことが言えるのだろうと思いますけれども、そこで国有林の再生のためにということで、昨年農林水産委員会でもいろいろな質疑が、審議が行われました。特に、これは国有林民有林共通して言えることは、やはり最近林業従事者が非常に減っているし、また林業労働者が高齢化しているというようなこともあって、また一方、山村過疎化が進み、そしてまた他面では乱開発が進んでいるということで、山の荒廃が非常にひどい。そしてこの公益的な森林機能を維持管理するということが非常に困難な状況になっていることは、これは疑いもない事実だろうと思うのですね。結局、森林荒廃ということは山地災害を増大させることになるわけでありまして、森林防災機能を発揮させるためには、どうしても治山事業としての森林づくりというか出づくり、これが行われなければならないのだろうと私どもは考えております。  古来から、山というのは高いからとうといんじゃない、木あるをもってとうとしとするということわざもあるように、やはり山と木というのは切っても切れない、そしてまた木が育ち、そこできちんとなっていくというためには、どうしても山づくり、その土壌である山、これがまた荒れたのではどうにもならないわけでありまして、治山事業というのはそういう意味で、しかも流域全体に及ぶ、川の上流から下流全体に影響がある。山が荒れれば海も荒れ、魚もだめになると言われるようなことはまことに本当だろうと思うのですけれども、そういうことで、治山事業というのは山を治めるという観点からも考えて、非常に奥深い事業だろうと思われるのですね。治水事業もやはりそうだろうと思うわけです。  そこで、これについてお尋ねをしていきたいと思いますけれども、まず最初に具体的な問題として、私の方の地元の問題で大変恐縮なんですが、私の地元活火山として十勝岳というのがございます。雲仙の方は大変に今も続いておりまして、被害者がこれは人命損傷も随分あって本当にお気の毒だったと思いますけれども、私の方の地元十勝岳も従来から何度も何度も爆発を繰り返しておりまして、記録に残っておるのでも五回ぐらいございます。最も大きな被害は大正十五年の七月十一日ですけれども、噴火による大泥流ですね、火砕流土石流、これが下流一体を襲いまして、今は町になっておりますけれども、当時の上宮良野村というところを中心に一帯、これは幾つもの村落が崩壊をいたしまして、このときには死者が百五十四名も出ているという大惨事が起こっております。このときの様子については、旭川市にお住まいのあの著名な作家である三浦綾子先生が「泥流地帯」という名著を著しておられまして、その中にこの惨状の様子がつぶさに書かれておるところであります。  この十勝岳は、ごく最近は実は昭和六十三年十二月二十六日に、これは二十六年ぶりの噴火でしたけれども、噴火いたしまして泥流災害発生いたしました。ただ、これが噴火のエネルギーが割合予想よりも小さかったものですから、人命等被害はなくて島原のようなことにはならなかったわけですけれども、しかし依然として噴煙を噴き上げておりまして、将来もこれは本格的な噴火発生する可能性が指摘されているのですね。十勝岳に関しましては、従来から防災工事も行われておりましたけれども、この六十三年の十二月を契機にいたしまして一層治山事業あるいは砂防事業等が大々的にといいますか、大規模で行われるようになっておるわけです。  ところで、この治山治水緊急措置法によりますと、事業の分掌がございますね。治山事業については、森林法の四十一条で保安施設事業などなど、これは農林水産省の管轄ということになる。それから砂防事業については、砂防法の一条などなどで砂防設備事業あるいはダム工事などですね、これは建設省のお仕事になるというようなことになると思います。そしてまた、地方自治体あるいは北海道、それからまた地元の自治体、それに北海道の場合には開発庁もございますので、それぞれ仕事を分掌しなければならないということになるんだろうと思うのですけれども、十勝岳の全般的な防災工事、今言いましたような治山治水関係含めて、これは各省間の調整がどうしても必要になってくるだろうと思われます。住んでいる住民に。とっては、どこでやってくれようと、どういう予算を使われようと、要するに全体的にしかも早くきちんとしたものをつくり上げてもらって、災害発生の場合にも損害のないようにしてもらいたいということが願いなわけですけれども、しかしやる方にとってみれば、権限の問題だとか予算の問題だとかいろいろあるわけですけれども、この十勝岳防災工事に関連しては各省間の調整などがどういうように行われ、しかもそれが現在どういうような状態工事が、事業が進捗しているのか、円滑にいっているのかどうか、その辺のところからまずお尋ねをしたいと思いますけれども、最初林野庁どうですか。
  4. 小澤普照

    小澤政府委員 お答えいたします。  今先生からお尋ねございましたけれども、最近のまず十勝岳噴火でございますけれども、昭和六十三年十二月にございまして、この復旧につきましては、治山事業それから砂防事業で取り組んできたところでございます。両事業実施区域につきまして、砂防治山連絡調整会議等を通じ円満に調整を図り、両事業とも円滑に事業を進めているところであります。十勝岳にかかわります治山事業につきましては、平成元年一月に設置いたしました学識経験者等によります十勝岳火山泥流対策委員会、この委員会検討結果を踏まえました全体計画に基づきまして、平成年度までに治山ダム、これは二十四基でございます、それから導流堤六百七十二メートル等を設置したところでございます。  今後につきましても、計画的な事業実施に努めますとともに、平成年度から新たに火山地域防災機能強化総合治山事業実施検討するなど、治山対策に万全を期してまいる所存でございます。
  5. 佐々木秀典

    佐々木委員 それじゃ建設省の方どうでしょうか、建設省所管関係について事業進捗状況、今後の見通しなど。
  6. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 建設省につきましては、昭和三十八年度より十勝岳における火山泥流対策として、北海道庁への補助事業として着手いたしました。また、昭和六十一年度より直轄砂防事業として実施しておるところでございます。昭和六十三年十二月の噴火泥流発生に対処するためには、平成元年度及び二年度におきまして特別枠災害関連緊急砂防事業により実施したところでございます。また、平成元年度からは、火山砂防事業として計画的、重点的に整備実施しておるところでございます。所管の中では、平成年度では、美瑛川では直轄事業、また富良野川では補助事業として鋭意実施を進めておるところでございます。  今般の新しい治水事業五ケ年計画では、砂防事業の中でもとりわけ火山砂防については大きな重点を置いて実施することとしております。
  7. 佐々木秀典

    佐々木委員 各省庁間、それから地元との協議調整、今のところうまくいっているようですので、この点はひとつこれからも十分に調整を果たして、工事を進捗させていただきたいと思うのです。とかくこういう事業の面でもいろいろな省庁が絡んでまいりますと、縦割り行政の弊害なんということが言われてそこでのマイナス面が強調される向きもあるのですけれども、そういうことのないように、ひとつ各省庁間、特に地元との協議を十分にやっていただいて万遺漏なきを期していただきたいということを、特にお願いをしておきたいと思います。  それから、今のところ十勝岳は具体的な噴火がないものですからこういう工事もできるのでしょうけれども、この普賢岳の方については、今のところはこういうような大きな防災工事というのは危ないからということで無理なわけですね。この間、災害対策委員会でもそんなお話が出まして、大変お気の毒だなと思うわけですけれども、十勝の場合、今のところそのような心配はない。これは、もちろん監視体制は十分にやっていただいているのでしょうね、これは建設省
  8. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 従来から、土砂災害対応するために監視体制としてさまざまな施策を展開してまいりましたが、普賢岳経験を踏まえまして、従来ですと上流ワイヤセンサー等を設置し、そのワイヤセンサーが切れれば下流の皆さんは土砂災害の危険があるということで、避難警告の一つのきっかけとなるわけでございますが、あのような火砕流という熱気を持ったような災害ですと、そのようなワイヤセンサーをつなぎ直すというようなことができないわけであります。そのために、赤外線カメラだとかさまざまな観測装置によりまして現在展開しております。普賢岳経験を踏まえまして、全国活火山につきましては今後おおむね五カ年を目途に、そのような新しい噴火活動に対する観測装置も逐次整備していくこととしております。
  9. 佐々木秀典

    佐々木委員 ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。  では次に、去年の台風被害に関連してお尋ねをしたいと思いますけれども、特に九月の台風十九号、これは記録的な強風で九州北部中心にして大変な森林災害被害があったわけですけれども、この被災地復旧作業が進められているとは聞くのですが、実は昨夜のテレビを見ておりましたら、NHKの九時からのニュースで、大分日田地方台風被害の後の状況というのが映し出されました。それによりますと山林、これは民有林ですけれども、至るところに二メートルから三メートルの穴がぼっこんぼっこんあいている。これは根こそぎ倒れているからですね。崩落箇所が、この日田地方で六十一カ所もある。結局、木が倒れたために今度は土砂崩落したり、そういう箇所が六十一カ所に及ぶ。そういうような崩落危険箇所というのは大分熊本福岡で千三百五十カ所が数えられる。それで、そこに住む住民の戸数六千八百戸、これが第二次災害の不安におののいているというのですね。  一方、復旧率はまだ一〇%ぐらいだ。しかも復旧作業中に作業員が八人死んでおり、たくさんの方がけがをしておる。風倒木処理が実に困難で、民有林の場合に木材所有者といいますか、林の所有者ですけれども、これは激甚災害法による補助を何とか受けたいという希望は持っているけれども、しかし激甚災害法補助の適用を受けるためにはその後でまた植えなければならない、栽植をしなければならないということが条件になっているので、今の状態だととても栽植なんてできるような状況でないというようなこともあり、あるいはまた補助をもらっている人も、その片づけ、栽植というようなことを考えるととても採算が合わないということで、林家をやめなければならないという悲劇的な状況があちこちにあるということも聞いているのです。  林野庁では、この九州北部現地に先ごろ調査団を派遣したということも聞いておりますけれども、二次災害心配というのが非常に切実なものになっておるようですが、この辺の対策状況はどういうようになっておりましょうか。
  10. 小澤普照

    小澤政府委員 昨年秋の台風十九号を初めといたします一連の災害、大変甚大なものがございました。特に九州地域、激甚な災害でございまして、私も昨年の秋に現地も見せていただきまして、その後この復旧対応、鋭意努めてまいってきたところでございます。さらに最近、今先生御指摘のように、今後梅雨季等も控えております。したがいまして、二次災害についての対応をしておかなければならないというように考えているところでございまして、このために各種災害復旧事業進捗状況、さらにまた事業実行上の問題点等調査いたしまして、二次災害防止のための各種対策推進に資するようにということで、特に被害が激甚でございました福岡県、佐賀県、大分県、熊本県、この四県に、三月の上旬でございますけれども、林野庁担当官、二つのグループに分けまして派遣したところでございます。  この調査結果でございますけれども、現地におきましては、緊急を要する箇所から各種事業が積極的に進められているものと状況を把握しております。すなわち流木、これは流れ木でございますが、土石流等防止については、災害関連緊急治山事業によりましてスリットダム等治山ダムの設置が進められているところであります。また、激甚災害法に基づく森林災害復旧事業実施につきましては、県内において被害の少ない地域からの応援派遣がございます。さらにまた、被害の少ない他県からの応援も、これは国有林からの応援も含めて今やっておるわけでございます。それから、作業を効率的に実施し得るようにということで、安全性も考慮しまして、そこで大型の林業機械の導入を促進しているところでございます。これらの対策を講じまして、現地の実態に適切に対応し、被害森林早期復旧が進められているところでございます。  さらに、平成年度におきましては、森林被害復旧事業を引き続き実施いたしますとともに、特に被害の著しい大分北西部地域治山激甚災害対策特別緊急事業実施地域に指定をいたしまして、集中的に治山事業実施するよう計画しているところでございます。殊に、梅雨季を控えまして、流木等による二次災害のおそれのある箇所につきましては、治山事業によりましてヘリコプターの活用を含めた風倒木等緊急除去推進を図ることとしているところでございます。今後とも、関係省庁との連絡調整をも密にいたしまして、関係県に対しましては、被害地の再点検、復旧事業計画的推進を指導調整するなど、二次災害防止に万全を期してまいりたいと考えております。
  11. 佐々木秀典

    佐々木委員 今林野庁、大変に御努力いただいて、それこそ全国から応援隊を糾合して頑張っておられるということはよく承知しております。  しかし一方、きのうのテレビニュースの中でも現地の人から言われておったことですけれども、機械フル回転でやってはおるようだけれども、やはり傾斜地などには機械がなかなか入り切れなくて機能し切れないところがある。そういうことになるとやはり人力なのですね、人不足。そして、今長官お話しのように、流木による被害、これは大変な心配があるようですね。大きな被害が考えられるのだ。しかし、そういうことになると、結局風倒木の始末をどうやって早くやるかということが、一番喫緊の課題になるのじゃなかろうかと思うのですね。これはいろいろ御苦労あると思いますけれども、どうか各省庁間で真剣に取り組んでいただいて、早く風倒木処理もできるようにひとつお願いをしたいと思いますので、これは建設大臣にもお願いをしておきたいと思います。  次に、治山治水事業関係についてお尋ねをいたしますが、まず治水の方は、昨年の五月に河川審議会に対して建設省諮問をされた。それで、同審議会は十二月六日に答申を出されているわけですね。治山の方については、これもやはり五月ですけれども、治山問題検討会が開催されている。この治山問題検討会というのは、お聞きをいたしますと林野庁長官の私的な諮問機関だということのようですけれども、それは間違いないですね。ここで一定の、今後の治山事業のあり方についての意見が出されているということですけれども、恐らくこれらをもとにして第八次の治山事業五カ年計画、それから治水事業五カ年計画が策定されるのだろう、こういうように考えられるわけですけれども、第八次策の策定のこれからのスケジュールとそれから見通し予定。  あわせて、これも一緒にお尋ねをしたいと思いますけれども、六十二年の法改正に際して、これは六十二年五月十五日当委員会において附帯決議が行われていますね。この中で「山村地域活性化に配慮しつつ、水資源開発の積極的な推進に努める」、また一治山事業による森林整備の積極的な推進に努める」という附帯決議がなされておるわけですね。こういう附帯決議を実効あらしめるために、その後どういうような対策がとられてきたのか。そしてひいては、結局治山事業の真髄というのは一体どこにあるのだろうか、本質的に治山というのは何を目指してやるべきものなのか。治水の方もそうですけれども、この辺についてお尋ねをまとめて伺いたいと思います。     〔委員長退席杉山委員長代理着席
  12. 小澤普照

    小澤政府委員 まず、この第八次治山事業五カ年計画を策定するに当たりまして治山問題の検討会を設置いたしたところでございますけれども、この検討会におきましては、近年の社会経済の進展あるいは国民森林に対する要請の多様化ということもございまして、さらにまた、これが高度化しているということ、これらに対処いたしまして、今後の治山事業の効果的かつ効率的な実施方策につきまして検討をするということで、平成二年の十一月に設置したものでございます。  検討の結果、今後の治山事業推進に当たりましては、山地災害危険地区対策拡充を図るということ、それからまた、水源地域森林整備拡充生活環境保全等必要があるとの提言が、平成三年の五月に行われたところでございます。これに基づきまして、第八次治山事業五カ年計画につきましては、この報告、それからさらに公共投資基本計画等を踏まえまして内容を検討いたしているところでございますけれども、投資規模につきましては、去る二月二十一日に閣議了解がなされたところでございます。今後の予定につきましては、法案成立後、中央森林審議会意見を聞きました上で、第八次治山事業五カ年計画の案を作成いたしまして、閣議の決定を求めることとしているところでございます。  それからなお、第七次治山事業五カ年計画の際の附帯決議に関連することでございますけれども、山村地域活性化に配慮をしながら水資源開発を積極的に推進するために、第七次治山事業五カ年計画の期間中に水源地域森林を緑のダムとして面的にあるいは総合的に整備をしていきますために、水源地域森林総合整備事業を創設したところでございまして、この事業やあるいはまた関連する事業によりまして、森林の有する水源涵養機能拡充強化に努めてきたところでございます。また、治山事業によります森林整備につきましては、良好な自然環境をつくるための都市周辺等におきます身近な森林整備し、安全でかつ潤いのある地域社会の実現を図るということとともに、水源地域森林を対象といたしまして、複層林造成、それから育成天然林造成等を積極的に推進してまいりました。  これらの事業実施に当たりましては、地元雇用に配慮するなど、当該山村地域におきます雇用促進あるいは地域経済発展に寄与するように努めているところでございます。今後とも、森林の有する水源涵養等公益機能重要性にかんがみまして、治山事業等によりまして保水力の高い緑のダムとしての水源地域森林整備推進いたしまして、安定的な水資源の確保に資するとともに、山村の振興に寄与してまいる所存でございます。  なお、治山事業の目的、真髄でございますけれども、私どもは、この治山事業と申しますのは、何と申しましても、水源涵養でございますとか土砂の流出の防備等を目的といたしまして森林整備していく、維持造成していくことでございます。そして、山を治める者は国を治めるという言葉もありますように、山を治めることが大変重要であるという認識のもとに治山事業実施してまいりましたし、これからも努力をしてさらにその推進を図ってまいりたいと思うわけでございますけれども、社会経済の進展とともに宅地開発等が山地に近接してまいりまして、保全対象も拡大しております。それから、水需要の増大や生活環境の悪化ということもございますので、ますます森林に対します国民の要請は多様化、高度化しているところでございますので、今後の治山事業に当たりまして、この国民生活の質の向上に資する観点を含めまして、一層効果的に事業実施を図る必要があると考えているところでございます。このような状況に配慮いたしまして、国土を守り、水を生み出し、緑豊かな生活環境整備するということを基本にいたしまして、治山事業実施に努めてまいりたいと考えております。
  13. 佐々木秀典

    佐々木委員 せっかく建設大臣いらっしゃいますので、最後に建設大臣の御決意などを伺いたいと思いますが、その前にもう一回林野庁長官お尋ねをしたいのですが、今お話がありましたように、確かに森林というのはいろいろな大事な機能を持っておる。山が荒れ、森が荒れれば、すなわち国が荒れることになると私どもは思います。最近は特に環境問題が非常に声高に言われておるわけですけれども、特に二酸化炭素の増加による地球温暖化の問題だとか酸性雨の問題だとか、あるいは自然環境の破壊の問題だとか、全世界的な課題になって、ことしは地球サミットも開かれるわけですけれども、昨年森林法も抜本的な改正を見たわけですけれども、こういう状況の中で環境問題と治山事業関係、特にこの環境問題に対する取り組みについての決意と申しますか方向と申しますか、そんなことがあったら、簡単で結構ですから。
  14. 小澤普照

    小澤政府委員 昨年、森林法改正に基づきまして、流域ごとに民有林国有林を通じ、さらにまた上流下流を通じまして森林整備を図ってまいろうとしているところでございます。  環境との関連でございますけれども、やはり環境というのは森林整備されることによって大変変わってくると思いますし、また環境を守るためには、私どもが森林整備を進める必要がございます。治山事業は、やはり先ほど申し上げましたように、森林整備を通じまして森林公益機能を高めるということを基本といたしているわけでございますので、そのようなことから、私どもも治山事業の積極的推進に努めたいと考えているところでございますけれども、最近特に熱帯林の減少等、地球規模での環境問題が大変重要課題となっているところでございます。この中で、私どもも今国際協力を進めまして、熱帯林諸国におきます森林造成等にも、私どもが今まで培ってまいりました治山技術を生かしてまいろうということでございますけれども、この点につきましては、フィリピンあるいはインドネシア等におきまして荒廃地の復旧治山の技術というものを移転しようということで、現地でも私どもから人間を派遣いたしまして取り組んでいるところでございます。  今後とも、この改正森林法の適正な運用あるいは治山事業、保安林行政の推進を図りますとともに、治山技術につきましても国際協力に積極的に取り組みまして、森林の有している環境保全等の公益機能の維持増進にさらに努めてまいりたいと考えております。
  15. 佐々木秀典

    佐々木委員 それから、今保安林のお話がちょっと出ましたけれども、開発森林というのも、これもいろいろな意味で重大な関係を持つわけですね。特にさまざまな目的による保安林というのは、例えば国有林の約五割ぐらいが農林水産大臣によって保安林に指定をされているわけですけれども、最近開発との関連でこの保安林の解除ということがやはり問題になっているのではなかろうかと思うのですけれども、保安林がなくなるということは、保安林には一定の目的がある、任務がある。その任務、役割を果たした保安林については解除をすることになっているわけですけれども、それだけ保安林が少なくなるということには、やはりさまざまな意味心配も出てくると思う。みだりにこれを解除するべきでないと思うのですけれども、この保安林解除の実態、それから昨年の森林法改正の際には、林地開発許可基準を強化するというようなことも図られているわけですけれども、その辺を含めてこの保安林の実情、解除の実態といいますか、この辺について、これも簡単で結構ですから。
  16. 小澤普照

    小澤政府委員 公益機能発揮のために、またその確保のために、我が国森林の約三割が保安林に指定されているところでございます。この解除につきましては、公共事業その他必要に応じて解除をするということが出てまいるわけでございますけれども、これはもちろん必要最小限度にとどめたいと考えて実施しているところでございますが、各種事業実施ということもございますので、解除につきましては一定のものがございます。平成年度でいいますと、全国では件数が二千百六十八件、面積で千九百五十四ヘクタールの解除案件があったということでございます、年間いろいろ若干の変動はございますけれども。  そういうような状況の中で、私どもそのような事務を行う場合に当たりましても、森林開発転用につきまして、保安林制度等による森林保全との適切な調整を図りながら対処する必要が当然あるわけでございますので、保安林制度の趣旨からいたしまして、公共事業等は別といたしましても、一般の開発転用につきましては抑制すべきものであるというようにも考えておりまして、解除に当たりまして、指定目的に照らし、森林公益機能が確保されるよう適正に対処しているところであり、今後とも保安林制度の厳正な運用を図ってまいりたいと考えております。
  17. 佐々木秀典

    佐々木委員 特に、今お伺いいたしますと、これは随分多いわけですね。結構あるということがわかりましたけれども、最近ではリゾート開発との関係で、これは森林とリゾートとの関係というのは、また保養地としての条件として切っても切れない、それはわかるのですけれども、しかしこれを余りみだりにやるということになりますと、乱開発または国土が荒れる、保安林がだんだん減ってさまざまな弊害が起きてくるということが大変心配をされます。やはりこれは、規制を強めていくという方向でやっていただかなければならないのではなかろうかということをお願いしておきたいと思います。  河川局にも質問を予定していたのですが、ちょっと時間がなくなりました。ただ、これは平成三年十二月六日の河川審議会では、第八次治水五カ年計画の指針となる今後の河川整備のあり方について、こういう答申の中で「水と緑豊かな生活環境の創造」、「うるおいのある美しい水系環境の創造」をうたっておりますね。私の住んでおります旭川などというところも、町中を大きな川が四本流れておりまして川の町ということで、河川周辺をきれいにしよう、あるいは市民に利用されるようにしよう、河川公園をつくろう、いろいろな配慮をしているのですけれども、これも時間がなくなりましたが、この具体的な事業内容として特にお考えになっているようなことがありましたら、簡単で結構ですけれども。
  18. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 河川は、洪水になりますと人命財産を奪う恐ろしい存在でもありますし、渇水になりますと、生命活動の源泉である水が途絶えるということでございます。河川管理としては、大変厳しい状況の中で進めていくわけでありますが、通常は潤いと安らぎをもたらす貴重な生活空間であります。そういう観点から従前より、特に重要な河川につきましては、河川環境管理基本計画を策定して、それに基づいて管理してまいりました。この策定に当たりましては、地方公共団体、学識経験者の御意見を踏まえて実施しているところでございます。  これらの管理の中で、特に近年、例えば河川の中に生息しております生態系の保全や生育環境に配慮した多自然型川づくり、あるいは魚の上りやすい川づくり、また市町村の発意によります、町並みとあわせましたふるさとの川モデル事業、その他さまざまな環境整備事業実施しているところでございます。
  19. 佐々木秀典

    佐々木委員 もちろん治水工事としてハードの面はしっかりやっていただかなければならないわけですけれども、同時に、お話のありましたようなソフトの面できれいな川づくり、これもぜひひとつ力を注いでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  では最後に大臣、いよいよこの第八次の治山治水事業五カ年計画、これからこれを策定しなければならないということになるわけですけれども、第七次でもそれなりの実績を上げておられると思いますが、これから第八次の策定に当たって、責任大臣としての御決意といいますか、お考えといいますか、ありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  20. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 第八次治水事業五カ年計画は、投資規模十七兆五千億といたしております。その事業は、次の三つの基本的な方向に沿っているものでございます。  まず第一に、時間雨量五十ミリ相当の降雨に対処し得る治水施設を二〇〇〇年に概成することを目標といたしまして、安全な社会基盤の形成を行。いたい、これが第一点でございます。次に第二点は、先ほど佐々木委員がお述べになりました点でございますが、良好な水辺空間を整備していく等、水と緑豊かな生活環境の創造を目標とするものでございます。第三点は、超過洪水、異常渇水、火山噴火等に備える危機管理施策の展開を目標といたしておるのでございます。  以上の基本方針に沿いまして、現行のはんらん防御率四五%を五三%程度に高めまして、生活大国の実現に努力してまいる所存でございます。
  21. 佐々木秀典

    佐々木委員 いずれにいたしましても、治山治水というのは国をどうやって守るか、そしてまた災害から人命や財産をどうやって守るか、国民を守るかということに絡むと同時に、自然の環境をどう保護していくかということにも絡む、さまざまな要素を持った大事な大事な国家事業であると思います。  第八次の策定に当たりましては、どうか十分にこれまでの実績を踏まえ、新たな構想のもとに、新たな指針のもとに、ひとつしっかりした方策を立てていただきたいということを各省庁お願いをして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  22. 杉山憲夫

    杉山委員長代理 山内弘君。
  23. 山内弘

    ○山内委員 私の質問時間は四十分でございますが、三野委員の方に余った時間をやることになっていますので、簡単に質問いたしますので、よろしくひとつ御配慮をお願いしたいと思います。  まず、一九九〇年代、これは国連において決定した国際防災年、この十年に当たるわけでございますが、この防災技術の国際的な協力はもちろん、国内的な防災対策の充実、この問題も重大な課題の一つであるわけでございます。特に、今日の状態の中で、伊勢湾台風を初めとして、今まで国内に及ぼした災害というのは非常に大きいわけでございますが、去年の十八号、十九号の台風、この台風の傷跡もまだ生々しいわけでございます。  こういう状況の中において、今までの三十年間の計画的かつこの治水投資にかけた第七次の治水事業五カ年計画の達成状況と現在の整備水準、これがどのようになっておるのか、まずこの点からお伺いをしたいと思うわけであります。
  24. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 第七次治水事業五カ年計画は、昭和六十二年度から平成年度まででございましたが、この間の投資規模十二兆五千億ということで進めてまいったわけでございます。そのうち、治水事業費は八兆円、災害関連・地方単独事業費等が二兆一千四百億円、調整費二兆三千六百億円でございました。同計画のうち、治水事業につきましては、八兆円に対して結果的には達成率は調整費を取り崩しまして一一〇%となっております。なお、災害関連・地方単独事業費あるいは調整費を含めたものでは、残念ながら八九%という状況でございます。  第七次計画の目標としました指標といたしましては、大河川整備目標一応六二%、中小河川整備目標三五%と置いてまいりました。さまざまの施策を組み合わせることによって、この整備目標はほぼ達成できるのではないかと考えております。しかしながら、大河川と中小河川合わせました全体の整備率では、時間雨量五十ミリ相当の降雨、これは五年から十年に一回程度の頻度で発生する集中豪雨でございますが、それに対するはんらん防御率は、依然として平成年度末で四五%という水準と見込まれております。
  25. 山内弘

    ○山内委員 第八次の治水事業の五カ年計画投資規模が大体十七兆五千億となっておるわけでありますけれども、これで頻発する災害に対して十分対処できるのかどうか、どう考えるのか、お伺いをしたいと思います。
  26. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 第八次治水事業五カ年計画は、先生今おっしゃいましたように十七兆五千億の枠として政府原案として現在定められておりますが、この考え方は、二十一世紀初頭までに、いわば二〇〇〇年までに人家連檐部地域では時間雨量五十ミリ相当のはんらん防御については概成するということを前提としまして、その中で五年分を計上したところでございます。
  27. 山内弘

    ○山内委員 五年で多いか少ないかという問題については、これは少ないということになるわけでありまして、その議論は別にして、平成年度に作成された公共投資基本計画では、投資余力のある二〇〇〇年までには四百三十兆という公共投資を実施する、こうなっておるわけです。生活環境に密着した関連する社会資本の整備、これを重点的に実施されなければならない。その場合、やはり治水事業がさまざまな社会資本の中で最も根幹的なものでなければならないと思うわけであります。  安全でよい住宅宅地の供給、また治水事業が先行的に実施されなければならないほか、下水道の問題、いろいろな問題においても受け皿である河川と一体的な整備が必要であると思うわけでございます。こうした生活に密着した河川整備に、新五カ年計画ではどのように取り組んでいくのか、まずこの点からお伺いをしたいと思います。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 治水事業は、先生おっしゃいますとおり国民の生命財産を守る最も根幹的な社会資本であると認識しております。この十七兆五千億の新しい五カ年計画のもとでは、現在国民から要請のあるさまざまな安全基盤の整備対応していくこととしております。とりわけ住宅宅地の供給に対しましては、やはり根幹的な治水の安全度をまず先行させて整備することが重要であろうという認識のもとに、これらの事業を優先的に整備すること。それから市街地におきましても下水道の整備、あるいは市街地内の慢性的な浸水を排除するためにも既成市街地の雨水排水対策対応すること。それから、何としても一たん災害発生したところでは早期に再度災害防止を図るという目的から、生活防災対策等を優先的に実施することにしております。また、河川の特性であります上下流のバランスその他がございますので、国土保全上的確な投資が必要でありまして、そのような観点から計画的に進めてまいりたいと存じます。
  29. 山内弘

    ○山内委員 ことしはまずブラジルで環境サミットが開催されるわけでありますけれども、この新五カ年計画ではこうした環境問題にどのように取り組んでいくつもりであるか、その点についてもお尋ねをいたします。
  30. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 河川は一たん洪水になりますと、人命財産を奪う極めて危険な存在でありますし、一たん渇水になりますと、人間の生命活動の源泉である水の供給が途絶えるということで、大変厳しい存在でもございます。一方、通常時におきましては、人間生活の中でも潤いと安らぎをもたらす極めて重要な存在であるということから、従前より河川管理に当たりましては、河川環境の保全と創造にかかわる施策を一元的にかつ総合的に実施するために、その基本的事項である河川環境管理基本計画を策定いたしまして、これに基づき管理、事業実施等を図ってきたところでございます。また、日ごろから河川の水辺の国勢調査という一環の中で種々の生態系調査実施し、そのデータを蓄積しておるところでございます。  第八次治水事業五カ年計画におきましては、安全基盤の整備と並びまして、水と緑豊かな生活環境の創造を二番目の柱としておるところでございます。具体的な事業としては、魚の住みやすい瀬とふちの保全と創造を行う等、その川に生息する生物の生態系の保全や生育環境等に配慮した多自然型川づくり、あるいは魚が上りやすい川づくりモデル事業、またそれぞれの町並み、地方都市の町並みとマッチした川づくりを図る上で、地方都市の発意を受けましてその御意見を十分川づくりの中に生かすという意味でふるさとの川モデル事業、またダム及びダム周辺の利用可能な空間を創出するレクリエーション湖面整備ダム事業、渓流が持つ美しい砂防環境を保全、創出する砂防環境整備事業や、河川、湖沼及びダム貯水池の汚泥しゅんせつ及び浄化用水の導入等の河川浄化事業、清浄な河川水と汚濁水とを分離、管理する流水保全水路整備事業等を実施することとしております。  今後とも、潤いのある美しい水系環境の創造に資する事業を、この五カ年計画を機になお一層推進してまいりたいと存じます。
  31. 山内弘

    ○山内委員 環境問題については、これは世界的な規模で今問われておるわけでありまして、特に二十一世紀は食糧問題とあわせて環境問題は大きな政治課題になっておるわけであります。特に最近のバングラデシュ、中国、フィリピン、いろいろな国においてその環境問題が問われておるわけでございます。この問題に対して具体的にもっと聞きたいところでありますが、この問題は今後に譲るといたしまして、なお一層きめ細やかに具体的な対応というものに対処してまいることを要望しておきたいと思うわけであります。  次に、新五カ年計画における基本的な考え方、いろいろ聞いたわけでありますけれども、もっと細かく、青森県における一級河川岩木川について質問いたしたいと思います。御承知のとおり、岩木川は津軽平野を流れる最大の川であります。この流域には県の三分の一に当たる五十万が生活しておる。この岩木川の中で十九号台風における被害というのは極めて大きい、二万戸に近い家屋が被害をこうむったわけであります。私どもは、この川というのは今までずっと眺めてきたわけでありますが、極めて弱い川ではないかというふうに考えております。そういう状況の中において地域活性化、そしてまた、先ほど河川局長が言った大綱的な河川政策、そういうふうな中から、国土づくりの一環としてやはり根本的に地方の時代を考えていかなければならない。こういう状態を踏まえながら考えてみるときに、岩木川のこれまでの改修状況、そしてまた、今後新五カ年計画でどのような方針に基づいて改修を進めていくのか、その点をまずお聞きをしたいと思います。
  32. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 岩木川は津軽地方を貫流する大変大きな河川でございますが、大正二年六月の洪水がございまして、それを契機に大正七年より直轄河川改修に着手してまいりました。当時は、河口部の十三湖の改修を初め、低水路の掘削拡幅、築堤、護岸等の工事実施してきたところでございます。近年では、昭和五十年、五十二年と大変大きな洪水が発生しまして、特に昭和五十二年八月の洪水では浸水面積が一万八千ヘクタールと、浸水家屋も大変膨大な被害経験したわけでございますが、特に上流部の弘前市を中心といたしまして、この災害の再度災害防止観点から激甚災害対策特別緊急事業により、また穀倉地帯である下流部においては緊急改修事業により、再度災害防止事業実施してまいったところでございます。  現在は、さらに下流部の低水路の掘削拡幅によって洪水の疎通能力の拡大に努めるとともに、中流部にかなり無堤区間がございますので、この築堤に着手しているところでございます。今後、新五カ年計画では、本地域の社会資本の基礎となります岩木川の治水安全度の一層の向上を図るため、上下流の改修バランスを見ながら、下流部及び中流部の掘削、築堤を計画的、重点的に促進してまいる所存でございます。
  33. 山内弘

    ○山内委員 さらに、この岩木川のはんらんと同時に、準用河川というのがあるわけであります。万助川とか腰巻川とか、準用区域の進捗状況事業状況、この今後の見通しについてもお尋ねをしておきたいと思います。これは、簡単でいいですからお答え願いたいと思います。
  34. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 本来、河川管理は国及び都道府県が管理しているのが通例でございますが、特に市町村の管理する、いわば生活に密着した河川として準用河川がございます。昭和五十年度から準用河川改修補助事業を設けて実施してきたわけでございますが、弘前市等を中心としてこれらの事業は先行して実施してきたところでございます。  岩木川水系では万助川、洞喰川が弘前市南部の市街地の外縁部を流下しておりまして、一級河川腰巻川に流入しているところでございます。これらの市街地との関係で、この地域は住宅地を中心とした開発が進行しているところでございますので、弘前市に対する補助事業として従来から進めてきたところでございます。万助川、洞喰川については平成元年から事業に着手し、鋭意事業の進捗を図っておるところでございます。  また腰巻川は、先ほど言いましたように県管理河川になるわけでございますが、その治水能力を高めるために準用河川改修事業として、特に上流部は市の管理河川になりますが、その区間においては雨水貯留施設の整備を行っておりまして、平成年度までに小比内、弘前第五中学校の校庭、それから長四郎の三つの雨水貯留施設を完了し、現在万助堤貯留施設の整備実施しておるところでございます。  今後とも当該地域治水安全度を向上させるため、準用河川、雨水貯留施設等、市町村管理河川整備にも重点を置いて進めてまいる所存でございます。
  35. 山内弘

    ○山内委員 ひとつ河川局長、この問題に対しては早期の計画の施行を強く要望しておきたいと思うわけでございます。  続いて、岩木川に建設される津軽ダムの問題について、この問題は逆に、治水対策の中で非常に渇水問題が大きな問題になっておるわけでございます。昭和四十八年、五十三年、さらには六十三年、相次いで渇水が発生しておるわけでございまして、この被害で農民が非常に苦しんでおる、こういう状況になっておるわけでございます。  そういうふうな状況の中において、津軽ダムの持っている必要性というものは極めて大きいわけでございますが、この問題で特に今問題になっておるのは、水没者の再建の状況であります。この問題は、非常に努力はされておるということは聞いておりますけれども、これに対する対応の仕方、私は具体的な対応というものがより一層強められることを非常に期待するわけでございまして、津軽ダム建設に当たっての水没移転者の生活再建対策、このことに対してはどのように配慮し、事業を進めているのか。また、ダム建設の前提条件となる基本計画の作成の見通しはどうなっているのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  36. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 従来から、岩木川の治水の安全度向上のために、既に上流部で目屋ダムが完成しておったわけでございますが、これでは能力不足ということもございまして、昭和六十三年度から新たに津軽ダム実施計画調査に着手いたしまして、平成年度から建設事業に着手したところでございます。現在は、関係機関と調整を図りながら、平成年度に環境影響評価を実施して、そのもとにダム建設に関する基本計画を作成する予定としております。  また、水没関係でございますが、津軽ダム建設に際しましては、水没地の戸数が約百八十戸と多く、既設の目屋ダムをかさ上げする事業でございますので、目屋ダム建設時点で一たん移転されました方々、約六十戸の方が再移転を余儀なくされるわけでございます。建設省といたしましては、水没予定者の生活再建を初めとして、地元に十分配慮することが必要と強く認識しているところでございます。この生活再建につきましては、従前から地元の青森県においても大変積極的に取り組んでおられまして、平成二年四月に津軽ダム対策室を設置し、さらに現地相談所を開設したところでございます。また、地元の西目屋村におきましても、平成二年六月にコミュニティマン室、平成三年七月に同室を改称しまして津軽ダム対策室を設置しまして、青森県や地元西目屋村では、地元住民の意向を伺うコミュニティーの場を設置しておるところでございます。  事業者としての建設省といたしましては、平成三年七月に現地に津軽ダム工事事務所相談所を開設しまして、地元組織を通じまして、事業に対する住民の理解が得られるよう努力をいたしますとともに、県それから村当局と一体となりまして、地元の皆様の意向の把握に努めてまいることとしております。今後とも、県、関係市町村、関係機関と調整を図りながら、早期に基本計画を作成し、また水源地域対策特別措置法に基づくダム指定が行われるよう努めてまいる所存でございます。
  37. 山内弘

    ○山内委員 なお一層の御努力をお願いしたいと思います。  最後に、安全で快適な生活環境をつくるためには、何としても生活大国、これは宮澤内閣の一枚看板でありますけれども、これに取り組まなければ現在のこれをやっていけない、こう思うわけであります。その意味で、第八次治水事業五カ年計画の完全達成が極めて重要であります。山崎大臣の決意のほどをお伺いいたします。
  38. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 第八次治水五カ年計画におきましては、ただいま先生お述べになりました安全な、そしてゆとりのある社会基盤をつくりたい、そのように考えておりまして、特に基本的な方向といたしましては、大河川や人家連檐部の中小河川流域におきます洪水の防御を二〇〇〇年までに概成をしたいということが一つございます。それからもう一つは、環境に配意をいたしまして、美しいゆとりのある水系環境をつくる、創造ということがございます。それから超過洪水、異常渇水あるいは火山噴火等に対する危機管理施策を展開してまいりたい。  そのような基本的な方向のもとに、現在のはんらん防御率は四五%とされておりますが、これをこの五カ年計画で五三%まで上げてまいりたい、そのように考えておるのでございまして、先生の御激励のとおり、完全達成を目指しまして努力をしてまいる所存でございます。
  39. 山内弘

    ○山内委員 治水関係は、何といってもそのかなめは治山にあるわけでありまして、三十年間にわたる計画的な治山投資、第七次の治山事業の五カ年計画の達成、この問題についていろいろあるわけでございます。八次治山事業計画の五カ年計画投資規模が二兆七千六百億円、このようになっておるわけでございます。そしてまた、十九号台風大分県の台風被害風倒木などいろいろございますが、そういうのは大分県ばかりではなくて青森県にもあったわけでございまして、特にこの問題に対しては林野庁の中でもいろいろ頑張っておられる。特に津軽ダムの場合は、緑のダムとして森林の有する水源涵養機能、これを高度に発揮するために、水資源の安定的な確保、洪水の防止並びにダムヘの土砂の流入を防止する、いろいろな問題をやっていただいておるわけであります。  そこで、ダム上流などの水資源森林整備をどう推進するか、治山事業による水資源森林整備対策をどうやるか、いろいろあるわけでありますが、ひっくるめてこの緑豊かな生活大国を実現するために、これらの問題に対し、第八次治山事業五カ年計画の完全達成のために、いろいろ聞きたいことがあるわけですが、それを含めて林野庁長官の御決意のほどをお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  40. 小澤普照

    小澤政府委員 治山事業実施につきましては、私どもも全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  第七次の五カ年の達成状況につきましては、総投資計画額で一兆九千七百億、このうちの国の負担補助等に係る治山事業一兆四千百億に対しまして、実績は一兆四千七百二十五億で、達成率一〇四%ということでございました。整備率を見ますと、この第七次期間中に三一%から三八%まで向上という結果になっております。  さらに、第八次計画につきましては、総投資規模、今先生おっしゃいましたように二兆七千六百億円でございますけれども、この計画に従いまして実施してまいりたいと思うわけでございます。山地災害防止、水需要に対する緑のダムとしての機能発揮、それから都市周辺等におきます生活空間における緑環境を整備していく、そのような観点から実施してまいりたいと思っておるわけでございます。そして整備率も、今後の五カ年間で三八%から四五%水準まで向上させることといたしてまいりたいと思っております。  なお、風倒木の問題につきましても、青森県から九州に至ります大変広範囲な災害でございました。私どもはこの災害、二次災害等の防止に全力を傾けて適切に対応してまいりたいというように考えておるところでございます。そして、ダム上流におきます水源地域森林整備につきましても、治山事業実施、さらにはまた一般の森林施業につきましてもきめの細かな手入れを行う、あるいはまた複層林整備をするというようなことも含めまして、治山事業と一体的に全体の森林整備も図ってまいりたいということでございます。  そのようなことで、私ども全力を挙げて森林整備または治山事業計画的推進に努めてまいりたいと考えております。
  41. 山内弘

    ○山内委員 終わります。
  42. 古賀誠

    古賀委員長 三野優美君。
  43. 三野優美

    ○三野委員 第八次の治山治水事業について、若干お尋ねをいたします。  第一次から第七次まで、今日まで建設省及び林野庁含めまして、大変御努力いただいたことに対して敬意を表したいと存じます。  さて問題は、この七次までの実績について資料をいただいたわけでありますが、実はそれなりの成果を上げている点は率直に認めたいと思うし、なお努力してもらいたいと思います。私の手元にいただきました資料によりますと、昭和四十二年から今日まで、元年までですけれども、台風災害その他によっての死者というのは年々減り続けまして、五百名ぐらいのところからついに二けたまで減ってきたという成果をおさめています。あるいはまた、家屋の被害、耕地の被害についても一定程度、ジグザグはありますけれども進んできていると思うのであります。  ただ、その中で一、二聞きたいのは、まず、道路局長来ていますね。実はこのデータを見ますと、道路の損壊というのは、必ずしも数字の上からいうと、五十年代から見ると若干減っていますけれども、ここ数年来そう減少しているという状況にはない。ただ、あなたの方の努力で道路延長が非常にふえていますから、これはそういう意味からいうと、相対的にはやはり道路の決壊、損壊というのは、延長全体からいうとやはり減っているということになると思うのです。ただ、そうであってみても、道路は何分にも人の命にかかわることでありますし、道路の損壊というのは、同時に地域経済に決定的な影響をもたらす。交通が経済、文化など含めまして重大な影響をもたらすだけに、相対的に減っているとはいいながら、なお一層やはり注意すべきではないかと思うのであります。  そういう意味で、道路の損壊が三万台をずっと今続けているわけでありますけれども、これを限りなくゼロに近い状況をつくるためには、これからの道路建設行政の中でどういう点に特に留意をしようとしているのか、その点について局長の見解を聞いておきたいと思います。
  44. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えさせていただきます。  先生御指摘の道路損壊、確かに、非常に多い年で昭和五十一年に六万七千という数、現在三万、実はこれは消防白書によるものでございまして、絶対数そのものは農道、林道等も含まれているようでございます。私どもは別途に、実は道路交通管理統計というものを持っておりまして、そこで今これに対比する数字を調べてみましたら、大体二万件ぐらいでございます。  ただ、数字が問題じゃなくて、先生まさしく御指摘のように、ずっとこの十年間ぐらいを見てみますと減ってはきておりますが、大幅な減りをしてないというのが確かに確認をさせていただきました。なぜそうなるのだろうか、こういうことでございますが、今先生御指摘のように、道路の延長がふえた、これもございます。やはり集中豪雨というような最近の傾向、またはいろいろと盛り土構造物を非常にふやさざるを得なかったということもございます。それから、どちらかというと町の方、田んぼをなるべくつぶさないで少しでも山の方に道路を持ってこよう、そうするとのり面がどうしてもふえざるを得ません。そういうようなことで、どうしても結果として、道路は質としては徐々によくなってきたのですが、絶対値としてはなかなか減ってきてないのが実情だということを、私どもも反省をいたしております。  そこで、今まで私どもは危険箇所の総点検ということで、特に大規模なものについて、しかも頻度多く落石であるとかそういうものについては対処をしてまいりました。今先生御指摘の問題については、通常の道路事業整備の中で努力を、道路管理の中でやってまいりましたけれども、来年度からの新しい五カ年計画を発足させますので、先生御指摘のような視点をさらにその中に加えまして、十分通常の管理の中においても、こういう損壊というようなことが今後起きないように何かちょっと工夫をさせていただきたいな、かように思っております。  ただ、道路は橋と違いまして、橋は老朽橋という言葉がございますが、盛り土なんかは、あるいはつくったばかりのときには赤ちゃんと同じで病気がちでございますが、だんだん突き固めてくると強くなるという、道路の構造によって、しばらくすれば強くなる部分とだんだん年とってくると弱くなる部分と、道路も一様ではございません。したがって、そういうのを考えながら少し細やかなことを考慮させて、先生御指摘のようなことに今後相ならぬように一生懸命努めてまいりたいと思います。
  45. 三野優美

    ○三野委員 ぜひお願いしたいと思うのですが、この前も私は国道十一号線のバス事故のときに指摘したわけでありますが、これは一体原因者は山なのか道路なのか、さまざま議論のあるところだろうと思う。結果的には道路の方が責任を負わざるを得ない、こういうことになったわけでありますが、単に道路というのは、今局長も言われたように、平たん部だけでなしに山間部もこれから通っていくわけでありますから、山の状況も含めながら広域的に安全対策等を考えなければ道路の安全というのは確保できない、こういうことをぜひお願いをしておきたいと思います。忙しいところ、突然御出席いただいてありがとうございました。  次にお尋ねしておきたいのでありますが、これは河川局長お尋ねしますけれども、この統計を見る限りにおいては、これまた大変努力をしているのだろうと思いますが、河川の堤防の決壊が必ずしも順調に減っているとは言えないわけですね。これも五十年代から見ると若干減っている部分もあるのですけれども、六十年代に入って急速に減っているという状況にはない。あなたのところはいわば河川管理屋さんなんで、河川管理屋さんが治山治水事業で一次から七次までやってきて、膨大な資金を投じこれからまたやろうとしているのですが、これは余り減ってないのですけれども、どういうことなのですか。雨量を見ると、そんなに雨量が極端にふえたということでもないのです。もちろん台風が集中して来たとき、ないときもありますが、一般的に見てそう大きな差があるわけではないにもかかわらず、一番専門屋の堤防屋さんが堤防決壊箇所が全然滅ってないということになってしまうと、今までの状況から見てこれはどういうように理解したらいいのか。今までの七次計画までの実績というのは、必ずしもここでは効力を発揮してないのじゃないかという心配があるのですが、どうですか。
  46. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 先生の資料は消防白書による資料だと存じます。  いろいろな理由が考えられると思いますが、一つは、我々が現在進めている河川改修方式というのは、基本的な考え方は、中小河川ですと五十年とか八十年に一遍の洪水に耐えられるような計画をもって用地を取得して進めていくわけであります。また、大河川におきましては、百年から二百年に一遍の洪水に耐えられるように整備していくわけであります。用地確保はそういう面で進めてまいりますが、当面、時間雨量五十ミリでもはんらんする区域が、防御率が今四五%と申し上げておりますので、逆に言うと五五%の区域ははんらんの危険性にあるわけでございます。そういうところではとりあえず、二百年とか八十年というような計画は念頭に置きつつも、整備する堤防については暫定的に時間雨量五十ミリ程度のものに耐えられるように整備していくというような手法をとっておりますので、そういうことが一つの実態でございます。また、そのために、いわば長期目標からいきますと若干暫定的な堤防の延長が拡大しておる。裏返しに言いますと、堤防のないところで堤防決壊というのはないわけでございますので、暫定的な堤防があるところにその計画を上回るような出水があったときには、どうしても被害箇所として計上されるのではないかと思います。  それで私ども、そういう意味では、例えば八十年に一回なり二百年に一回という計画で逐次積み上げていく手法をとるのか、暫定的に時間雨量五十ミリでとにかく粗く仕上げて、また追っかけて長期目標で対応していくのか、それぞれの河川の特徴に応じてやっておるわけでございますが、結果的にそういう暫定堤防の延長がどんどんふえておるというために、それを超えた出水による被害があるのではないかな。これはこの資料を見ながら、細かく分析しておりませんので、そんな感想を持っておるところでございます。  なお、こういうような事態に対処するためにも、私ども、特に絶対決壊させてはいけない堤防に対してはやはり最善を尽くすという意味で、再度災害防止のために災害復旧事業でも臨んでおりますし、また特に首都圏、近畿圏等の大都市を貫流する河川におきましては、計画を超えるどんな洪水においても絶対破堤させないということを念頭に置きまして、昨年当委員会でも御審議いただきました高規格堤防、いわゆるスーパー堤防の整備も進めておるところでございますし、またこの五カ年計画においても、堤防決壊を防ぐための危機管理施策としての高規格堤防施策等をさらに推進するよう努めておるところでございます。
  47. 三野優美

    ○三野委員 いろいろと御説明をいただいたわけですけれども、やはり建設省河川局は堤防屋さんですから、堤防の決壊が減らないということになってしまうと、あなたのところの任務が遂行されているとは言えないと思うのですね。もちろんこれは、随分金もかかることですからなかなかうまくいかないと思うのですけれども、私は率直に申しまして、これはまた別なときに議論しますが、例えばこの前長良川を見せていただきましたが、せきには非常に熱心だけれども、堤防の部分について私はやはり少し問題があると思うのです。あれほど賛成者も反対者も含めてみんな、災害が恐ろしいのだ、堤防が危ないのだ、こう言っているにもかかわらず、そこのところをもっと積極的にやるべきだと思うのですが、これはまた後で別に議論いたします。それで、やはり少し観点を変えた方がいいのじゃないかという気が、このデータを見る限りするわけですね。  この際、あなたにひとつお尋ねしておきたいのでありますが、例えばあなたのところは災害復旧しておるでしょう。地元のことで非常に申しわけないが、私のところの新川の河川改修で激特指定されましたね。このときに激特指定された場合に、あなたのところの被害見積もりは百二十七億なんであります。見直して百四十一億なんです。ところが、この百二十七億の被害見積もりで工事をやろうとする。そうすると、指定区域の工事は進まない。結果的には二百億要るのですよ。二百億要るにもかかわらず、被害見積もり額を百二十七億と算定をする。したがって、下流から直していきますから、上流部分で家が決壊して倒れそうになったところは放置されたままで、あなたが言われるように掘るだけ掘っておいて後はほったらかしじゃないか、こういうところがやはりさらに。二次災害を起こす危険性があるわけですね。これを、もうそれで激特打ち切りですから、後は一般的な河川改修でやっていくということになると、ものの五年も七年もかかってしまうということになるわけですね。  ですから私は、例えばこういう激特の場合の被害額の見積もりについても、被害を受けた、これを完全に改修するために幾らかかるかという算定で大蔵に要求し、それで対応しなければこういう事態が起きて、まためげたところが数年ほったらかしになってしまう。こういう事態があることは指摘しておきたいと思いますが、これについてはあなたはどう考えますか。これはここだけではない、全国にあるはずなんです。
  48. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 従来から、河川改修に取りかかるに当たりましては、災害の頻度の多いところから重点的に実施しているということは当然のことでございます。その結果、大災害のあったところにどうしても重点配分するのは当然でありますが、それの整備がつかない間にまた次の災害が別の河川発生するというようなことで、現実には時間雨量五十ミリで整備率が今四五%と申し上げまして、非常に改修を急がれているところはたくさんあるわけでございます。やはり大災害が起こって、整備が完了するまで長期間要する間に全国各地で災害発生してしまうという結果、どちらかといえば総花式な予算配分にならざるを得ないところがございまして、私どもはその反省に立ちまして、昭和五十年度から激甚災害対策特別緊急事業という特別枠を設けまして、特に激甚な災害、人家二千戸以上の浸水のあったところには別枠で予算を投入することといたしました。  これは五年間に限って配分する、したがって五年の間に用地等を妥結していただくことを前提にやっていくわけでありますが、これは全国災害を過去に経験してまだ未改修のある河川を差しおいてそこに充当するということでございますので、ある意味では、災害が既に起こって対応策をとっているところから見れば均衡を失する議論にもなるわけでありますが、しかし、今災害が起こって大変な状況にあるところにやはり重点投資することによって、民生安定にも資するということで進めざるを得ない。したがって、この配分枠についてはある程度の上限枠を設けるのが、全国でまだ未改修で放置されている皆さんとの均衡でいえばやむを得ないのではないか。その目安といたしまして、当該災害箇所発生した人家災害等の災害の限度枠までにしようということで運用しているわけでございます。  しかしながら、用地等非常に工費のかさむところでは、残念ながら今の新川の問題等についても、実際所要額二百億にもかかわらず結果的に百四十一億しか配分されなかったではないかという御不満が出てくるのは、残念ながらあるわけでございます。私どもはそうなった箇所についても、打ち切りは打ち切りといたしましても、一般の改修でさらにそこは皆さんの御納得のいくように、早期に改修を進めるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  49. 三野優美

    ○三野委員 建設大臣、外国のお客さんが来ているようですからどうぞ、政務次官おりますから。  政務次官、よく聞いておいてください。今言ったように、二百億要るのに査定は百二十七億で打ち切りなんです。そうすると、この秋でも来たらどうしますか。ですから、そういう点からいうと、やはり災害復旧などについては大蔵省交渉も大胆にやらないと、それこそ安全安全と言いながら災害災害を呼ぶというような事態になるわけですから、こういう矛盾があることをひとつぜひ知っておいてもらいたいということを私はまず申し上げて、後からあなたに見解を聞きます。  それから次に、林野庁お尋ねしますが、このデータによりますと、一次から七次まで大変御努力いただいているのですけれども、山崩れの箇所数というのは依然として減ってない。率直に言いまして、七次まで何をやっていたのだろうかと思うぐらいの数字を実はこのデータは示しているわけです。もちろん、あなたのところでもさまざまな努力をしているのでしょう。実は私はこの点については、もう冒頭から申し上げますが、あなたのところが一生懸命に山地の保護のためにがけ崩れ防止策その他いろいろとやってみても、それを上回る破壊が行われているのじゃないのか、こっちの方が先行して、あなたのところは後追いしているのじゃないか、こういう気がするわけです。  したがって、砂防その他いろいろとやることは結構なんだけれども、それよりも今ある山の自然というものをどう守るのか。例えばゴルフ場の開発、あるいは先ほどあなたも前の佐々木さんの質問のときにちょっと触れておりましたが、このごろ山間部に近いところでだんだん団地がつくられるわけ。山を削っていくものですから、何の規制もないまま団地をつくるわけ。いわば全く自然な、安全な箇所に、宅地形成の中でがけがつくられるわけ。もちろん人為的につくったがけですから、五年や七年ほっとくわね。災害が出て慌てて住民が走り回っても、町役場やなんかで、いや、それはうちであるとかないとかいうことになっちゃって、後から例えば林野庁が取り組むのか。一般的には、これは建設省の方が急傾斜地として指定しちゃうわけです。それで防災工事をやるのですね。家が何月以上あったらば指定できますから、するわけなんです。人為的なものを事前に防止することをしないでやっている。したがって、とりわけあなたのところの場合は、今リゾートだとかさまざまなことが言われて山地開発というものが進む過程の中で、実はあなたのところは努力したけれども後追いになっているのではないか。そっちの方の歯どめをどうするのかということについて考えたことがあるのかどうか。  もう一つは、率直に言って、国有林も含めて人手不足あるいは資金不足で、おまえのところは赤字を出すものだからといって切られて、十分な管理ができていないというところもあると私は思いますよ。それらの点について、このデータはそういうものを示しているとはお考えになりませんか。
  50. 小澤普照

    小澤政府委員 今先生御指摘のように、山地災害発生の予防あるいは復旧に努めながらも、災害は確かに増加する傾向にあるわけでございます。  私どもの方でも、資料で見てみますと、この数年間のものを見ましても、林地荒廃被害額ということで見ますと、平成元年が千百八十九億円でございますが、平成二年には千五百一億円、平成年度は千四百五十五億円というようになっております。これは、被害額イコール復旧額ということでもございますけれども、こういうふうにふえている結果になってございます。ただ、一方もう一つの資料を見ますと、いわゆる荒廃山地ということで、荒廃地の残量といいますかこういうものを見ますと、昭和六十一年度末、全国で百六十四万ヘクタールの荒廃山地がまだあったわけでございますが、三年度末には若干減って百五十三万ヘクタールになっているというような状況でございます。  これらいろいろ考え合わせてみますと、今後我々が対処すべき事柄が出てくるわけでございますけれども、確かに一つには、社会資本も増加しておりまして保全すべきものがふえておるわけでございますから、今までそこは災害を受けても、復旧ということになれば若干ゆとりがあったかもしれませんけれども、今は即復旧をしなければならないというようなこともございましょう。それから、乱開発があるのではないかという御指摘もございました。これにつきましては、開発確かにございますので、これに対しては私ども保安林制度も持っております。また、一般林地につきましては開発許可制度もございますから、これの適正な、あるいはまた厳正な対応を考えていかなければいけないというように思っております。  それからその他のことでは、一般に林業自体が命不活性化しておりまして、森林の手入れがおくれているのではないかとか、それから山村に人が少なくなってやはり十分な対応ができないんじゃないかという御指摘もいただいておりますけれども、この問題につきましては、また担い手問題等として我々も最重要課題と考えておりますので、今後対策を各方面から講じていきたいというように考えております。  なお、国有林の問題でございますけれども、国有林、確かに累積債務も二兆円を超すというような状況になりまして、この問題をどうするかということになったわけでございます。これはまた、昨年の四月でございますけれども、国有林事業に関連いたします特別措置法の改正をいただきまして、累積債務と経常事業を区分するという手法をとらせていただいております。そして、その累積債務は累積債務として今後処理をいたし、経常事業につきましては、その経営の健全性の回復を図るということで一般会計からも繰り入れをいただきつつ、我々としても最大限の努力をして立て直しを図ろうということでございます。  この森林災害国有林という問題についてお答えを申し上げますと、確かに手元不如意の中での災害復旧ということは、なかなか言うべくしてできないということでございますので、私どもはこの点、国有林事業におきます治山事業につきましては、かつては一部、言うなれば事業費をもって充てている部分があったわけでございます。つまり、木材の売り上げをもって治山費に投入した時期はございましたけれども、昭和五十八年度以降、全額一般会計で国有林内の治山事業も実行するということにさせていただいております。  その他国有林、確かに経営厳しい状況ではございますけれども、我々はやはり山づくりをなりわいとしているわけでございますから、この問題につきましては、苦しい中におきましても山の手入れ、整備はしっかりとやってまいりたいと考えておりますので、こう申してはなんでございますけれども、今後ともいろいろ御支援もいただきたい、このように思っています。
  51. 三野優美

    ○三野委員 私は、実は国有林のふもとで生まれて育ってきたわけ、山の奥ですからね。私が子供のころは、国有林というのは私の村でも常駐者が二名ないし三名おって、点検をしながら小災害のときに歯どめをする、それで直ちに対応していたわけ。今や全然していないのですよね。人もいないわけ。実は営林署もだんだん人減らしで、事業も従来のようにはやられていないわけ。一つはそういう状況がある。それから民間の場合は、御承知のように今の山林状況ですから、もちろん採算とれないものですから、みんなもう余り手を入れない。しかも山間部から人が減って、過疎化がだんだん進んでいく。人が住まなくなれば手入れをしないものですから、それが災害につながっていく、田畑も含めましてしていく、こういう悪循環なんです。  この機会ですから申し上げておきますが、御承知のように、今国内の市民生活の中でも、とりわけ緑を守ろう、山を守ろう、うまい水を飲ませる、こういう大合唱、国際的にも環境保護というのが強く叫ばれている状況の中で、どうも日本の山は放置されたままで、営林署が弱ったものですから、民間の人までがもう山はだめだということで放置してしまっている。私は、本来ならば、治山という立場からいうと、実は民間がやらなければ営林署なりあるいは自治体も含めまして、官行造林その他で山を保全する、自然を守るというのが筋だと思う。そのために官行造林制度というのはできたわけですわな。今やあなたのところは放置してしまって、民間に、山貸してやるからおまえらでやってくれなどということに、逆になってしまっているのですよ。  実は、私もその部分林の一人の責任者なので非常に申しわけないのだ。それで、余り手入れがうまくいかないものですから返そうと言ったら、営林署はもう戻さぬようにしてくれ、もう戻ってきたら困るわなどと言っていて、逆になってしまっている。ここに私は、実は日本山林政策、とりわけ治山という立場から考えてみても重大な過ちがある。したがって、この際、余り赤字、赤字と、それは赤字より黒字がいいに決まっているけれども、今の経済の状況の中でいえばもう限度があるわけですから、これはひとつ市民的な要求も背景にしながら思い切った治山対策、あるいは緑の確保ということもぜひ全力を挙げてもらいたいことを、私はまず申し上げておきたいと思います。これは後からもまた触れますが、そのことを申し上げておきたいと思います。  さてそこで、第七次までいろいろと御努力いただいたわけでありますが、七次までやってきた経過の中で、災害問題を今まで指摘しました。逆に水不足の方、水の確保の方、これはどの程度進んでいったのか、そしてこの一次、二次、三次、七次の過程の中で、どれだけ水不足が解消されていったのか。ただ、水の使用量がふえてしまったものですから、私は逆に水不足がふえているのじゃないかという気さえするわけ。しかも当面、我が日本列島の中で毎年連続的に水不足を来している常襲地域がありますね。これをひとつ挙げてもらいたい。これに対してどういう対策をとってきて解消に一歩近づいてきたのか、これからまた第八次でやろうとしているのか、これをちょっと挙げてくれますか。
  52. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 近年発生している、あるいは恒常的な水不足地域でございますが、特に顕著と思われますのは、東京都、埼玉県を初めとする首都圏、愛知県蒲郡市を初めとする東三河地域、高松市を初めとする瀬戸内地域、とりわけ特に小豆島、さらに福岡市を初めとする北部九州地域、那覇市を中心とする沖縄県などが挙げられるわけでございます。  それで、これらにつきましては、それぞれ特に主要な水系につきましては、国土庁が指定しております水資源開発水系に基づきまして水資源開発基本計画を策定いたしまして、その計画に基づき事業実施しておるところでございます。また、那覇市を中心とする沖縄県につきましては、沖縄振興開発計画の中で所要の水源開発計画を設定いたしまして、これに基づき実施しておるところでございます。なお、香川県小豆島につきましては、地域の水需給の実績を踏まえまして、香川県が持っております長期計画に基づきましてダム建設を進めておるところでございます。  今後も、それぞれ所管で策定しました計画に基づきまして、ダム建設を鋭意進めてまいりたいと存じます。
  53. 三野優美

    ○三野委員 ありがとうございました。私のところの名前挙げてくれて、うれしいやら悲しいやら、毎年小豆島内海は水不足で、ことしも残念ながら、実は平成年度にかかったのは全国で香川県内海町だけなのです。もうこれは御承知かと思いますが、島国でして、しょうゆそしてつくだ煮、観光、これ以外に何にもありませんね。また、水不足だということになるものですから、小豆島は水がないから汚いぞということで観光客来ないのですわね。もう決定的な被害を受けているわけですけれども、おかげで吉田ダム着工していただいておりますけれども、これは後でいいですけれども、この連続的な水不足で、ことしも高松から船に積んで水を運びました。何ぼ小さいといったって、小豆島に四万の人がおりますからね。船で運ぶといったってそれは限度があるわけですわね。したがって、私もホテルヘ泊まってみたけれども、やはり水がとまってしまうわけ。人が来ません。これは大変御努力いただいていますが、一体いつまでに吉田ダムで解消されるのか、これは後でぜひひとつ聞かしてもらいたい。小豆の人が安心するようにひとつ言ってくださいよ。  それからもう一つ、それでダムをいろいろとつくってくる。東京は一極集中をやめない限りだめですわな。都市局長によく言っておきなさいよ。一極集中だめだ、だめだと言いながら、東京に一極集中する政策ばかりやってしまって水不足だなんて、水不足は当たり前じゃないの。逆に言えば、それはしょうがないわ。さてそこで、そのためにダムをつくる。ダムも私は必要だろうと思う。しかし、一説によりますとこういう説さえあります。日本ダムはもうこれでいいのではないか、そのことよりもつくったダムをもっと機能的にできないのかという意見があるのです。そこで、その機能的という分についてひとつお尋ねしておきたいと思うのですが、二つあります。  まず、気象庁から来ていただいていると思いますが、大変御努力をいただいて、我々は日々気象庁の報告によって日常生活をしているわけ。あす雨が降るのか降らないのか、今週はどうなのか、今月はどうなのか、ことし一年はどうなのかと言っているわけ。それで、科学技術が非常に進歩している状況の中でありますが、気象庁の報告に対して賛否いろいろとあるようでありますが、その精度、確率、これはいわば一週間予報、あるいは中間的な一カ月予報だとか、あるいは一定程度長期的な予報、あるいは台風の進路、雨量について、今までのおたくの調査の結果、一体どういう確度で報道されていったのか、市民に知らされていったのか、この点ちょっとお聞きしておきたい。
  54. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  天気予報の精度というのは、季節とか場所とか、そういうものによっていろいろ異なりますけれども、例えば関東地方を例にとりますと、夕方に発表するあすの予報ということでいいますと、雨が降るか降らないかということについて言えば、八十三点というのが去年一年の成績になっております。あさっての予報については七十七点ということになっております。それから、今お話のありました週間予報ということになりますと、当然日がたつにつれて成績が落ちてくるわけですけれども、一週間の後半の三日間、すなわち発表の五日目から七日目ですけれども、その三日間の平均で六十八点というふうになっております。(三野委員「長期予報、台風のことをちょっと言ってくれ、雨量、雨量」と呼ぶ)  台風となりますと、雨が降るか降らないかというよりは、大雨が降るか降らないかということになります。それで、大雨については、御存じのように、注意報とか警報とかいう形で雨量をその中に含めて発表します。それで、その大雨警報の成績について申します。  大雨警報は、元来災害防止というのが主目的でありますから、地域ごとに雨量の数値を設定しまして、例えば一時間に何ミリ降ったらこの地方は危ないとか、そういうような細かい基準を設定して運用しております。昨年一年間、これは全国の集計で見ますと、実際の雨量があらかじめ設定した基準を超えた場合が三五%、三十五点と言っていいかもしれません。それから、基準まで達しなかったけれども基準の八〇%まで達したというものが二三%であります。ですから、八〇%まで達したものを含めますと五十八点ということになります。それで、この数字は、先ほどの予報の場合に比べて小さくなっておりますけれども、これは先ほどもお話ししましたように、元来警報というのは災害防止が主目的ですから、多少空振りをしても、見逃しとかあるいは出しおくれがないようにということで運用しております。そういう結果であることを御理解いただきたいと思います。
  55. 三野優美

    ○三野委員 忙しいところをありがとうございました。  今気象庁からも報告がありましたが、もちろんこれはおてんとうさんが相手ですから必ずしも一〇〇%とはいかないけれども、かなり今までの経験なり科学技術の進歩で、とりわけこの大雨については八〇%ぐらいの近い数値を出すことができるということで、精度もよくなってきているわけです。これはもちろん建設省にその都度その都度連絡があり、お声があって、建設省もそれに対応しているんだろうと思うのです。  さてそこで、全国にできているダムを見ますと、そのほとんどは多目的ダムですね。ちょっと例を申し上げます。恐縮なんですけれども、小豆島の内海ダムを申し上げます。このダムを見てみますと、あの水不足が毎年毎年のごとく続いているんだけれども、ダムはあるわけです。ダムはあるけれども、御承知の多目的ダムでありますから、夏の七月一日から九月三十日までの間は、せっかくたまった水を抜いてしまうわけです。雨期にたまった水を抜いてしまうわけでしょう。制限水域まで抜きますね。いわば、長期予報から見るとことしは雨不足だよ、こう出ておっても抜いちゃうのです。雨不足がわかっているのに抜いちゃうのです。住民から見れば、せっかくたまっている水をあのまま置いてくれればいいのに、あるいはもう一カ月延ばしてくれればと。長期予報では雨不足だよと言っているのにもかかわらず、抜いちゃうのです。  したがって私は、ダムをつくることもいいけれども、あるダムの、今日的なこの気象情報の精度というものもある程度信頼できる状況があるわけですから、もちろん一〇〇%はいかないにしてみても、もう少しこのダム管理についてやはり柔軟な対応をして、その機能を発揮すべきではないか。もちろん当初のアロケーションその他あるようですけれども、そんなことは役所間の話であって、厚生省は水道用水が何ぼ、農業用水が何ぼ、建設費が何ほどか、役所間の話で、住んでいる住民から見れば、どこから出した税金もみんな同じなんですね。そういう運用は全く考えられない。ダムをつくる、ダムをつくるだけ言って、ダムはいっぱいあるのです。この点について考えるべきではないのか。例えば大内ダムなんというのは、七月の一日から十月の三十一日までを抜いちゃう。十月の三十一日までになるともう秋ですから、台風時期を過ぎちゃうのですよ。このときにはもう既に決まっているのです、大体の方向というのは。そういう点について、もう少し管理をうまく考えたらどうだ。この点については私は、なかなかあなたのところで解決できないのであれば、後で大臣にもこれらのことについて、各省庁との関係もあると思うが、ひとつぜひ見解を聞いておきたいと思うのです。  それからもう一つは、時間の関係がありますが、あなたのところでダムをつくってしまう、ダムをつくるだけがあなたの仕事なんですね。今言ったダムの管理、水質の保全あるいは豊かなきれいな水を確保する、こういったことには全然関心ないですよね。だって、私が河川局に聞いたらば、保安林の指定については林野庁でございます、うちがつくったダムについて、どれどれのダムでどれだけの保安林が設定されているかということは、建設省はもう全く無関心だ。そうでしょう。林野庁林野庁で、林野庁の立場で、ここにありますが、十その保安林制度がありますね。水源涵養保安林、土砂流出防備保安林、土砂崩壊防備保安林、水害防備保安林などありますね。とりわけダムについては、これは重要なことだ。これはこれで林野庁がやっちゃう。  ですからどういうことが起きておるかというと、香川県でも問題になっている大内ダムというのがある。ダムの最も近いところの百ヘクタールというのは、ダムの水辺、堤防の周辺、全く無指定なんです。無指定のところを、土がいいものですから、大阪の方へ業者が搬出するために堤防の際まで切っていっちゃっている。堤防が危なくなっちゃう、慌てて県が行って、これをどうぞひとつもうこのままにしてくれませんかと言って、頭を下げて何とか防備している。ダムのなぎさのところは無指定地区ですから、土をとってどんどんどんどん売っちゃって、ついでに保安林へも入ったようでありますけれども、保安林へ入ってみてもわずか、ついせんだってのは罰金二十万、上がって五十万、五十万の罰金なら払った方が得だわねというのでやっちゃうわけです。その周辺に林野庁がこのダムと、建設省とは関係なしに保安林指定をしていくわけですね。  ですから、こういう点から考えてみると、水の保全なりあるいは環境保全という立場から考えてみても、全く縦割り行政の中で、河川局はダムを  つくるだけ、コンクリを打つだけ、後の管理はもう何にもない。林野庁の方は、山の土が崩れたらいかぬからということだけで、ダムとは関係なしに指定するものですから、ダムの周辺を残してその上流地区でやる。こういう矛盾が露呈をしてきているわけですね。これほど環境問題、水保全と  いうのが言われているわけですから、そこらの点についてどういう仕組みでこれからやっていくのか、この点聞いておきたいと思います。
  56. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず、多目的ダムの効率的な運用という立場で、せっかくダムに貯留されているにもかかわらず、洪水期を迎えるので、洪水調節容量のために空き容量を事前に確保する、そのために水位を下げることによって貴重な水が失われているのではないかというような御趣旨だと思います。これの一つの方策としましては、洪水が来る直前までダムに貯留しておいて、洪水が来ることが確実になったときには放流することによって洪水調節に必要な容量を確保するという、いわば予備放流という方式がございます。そういう方式をもっと活用すればいいのではないかというお尋ねだと存じます。  そこで、結局はどの程度の雨が降るかという精度論になってくるのだと存じます。大変気象庁の御尽力によって精度は上がっているとは存じますが、一たんこれが予備放流を失敗してダムの水位が高いままに洪水を迎えてしまったときには、これは洪水調節の所定の機能が発揮できないわけでございますから、甚大な災害になるわけでございます。小豆島も、水不足といいながら一方では、昭和四十九年七月台風八号、あるいは昭和五十一年九月台風十七号によって大変激甚な災害をこうむっているわけでございます。したがいまして、雨が降り出してからダムヘまで洪水が到達する時間が極めて長いようなダムでは、かなりのそういう応用動作もきくわけでございますが、恐らくこの程度のダムですとその余裕もないのではないかという意味で、私ども、予備放流方式についてはかなり慎重な対応をしておるところでございます。現時点では、やはりよっぽどのことがない限り、予備放流方式というものは、結果、治水上の大災害につながるというような懸念もございますので、慎重に取り扱っておるところでございます。  ただ、私どもとしても、雨量の把握につきましては、全国的にレーダー雨量計網を整備するとともに、全国の各地点に雨量・水位を把握する雨量・水位テレメーターの整備促進することによりまして、できるだけ有効活用を図るような対応策も研究しておるところでございますが、今もまだ、私ども管理する立場からの雨量の把握の精度といたしますと、予備放流方式をとるのほかなり限定したダムでないとなかなか対応が難しいのではないかと存じます。  それから二点目の、ダム建設と保安林指定の問題でございますが、従来から林野庁協議の上で進めていただいておりますが、昭和六十二年度より、ダム貯水池近傍で崩壊地の植栽等を行う特定貯水池総合保全整備事業実施しまして、四国では吉野川の早明浦ダム等で鋭意実施しておるところでございます。それぞれ、私どもも管理に当たっては、ただつくるというだけではなくて、その後の水質保全対策にも万全を期するよう努めておるところでございます。
  57. 小澤普照

    小澤政府委員 保安林の指定につきましては、先ほど先生が保安林の種類も申されましたようにいろいろな種類ございますので、その目的によって指定をしているわけでございます。  その中で、水源涵養保安林につきましては、水という問題で私どもやっておりますが、既に第一期から整備を始めまして現在第四期に入っておるわけでございます。昭和三十九年からの十カ年の第二期におきまして水源涵養保安林の全国的な配備を行いましたが、このときは流域ごとに保安林の配備量を量的に計算いたしまして張りつけてきたわけでございますが、現行の昭和五十九年からの第四期保安林整備計画におきましては、利水施設の上流でございますとか、つまりダム上流でございますとか、必要な箇所にさらに保安林を整備していくという考えのもとでやっておりますので、まだまだいろいろと今後必要な配備箇所はございます。それは私どもも承知しておりますので、今後とも適正な配備に努めてまいりたいと考えております。
  58. 三野優美

    ○三野委員 終わります。  また連続で、次の機会に大臣とじっくりこれをやりますから。ありがとうございました。
  59. 古賀誠

    古賀委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  60. 古賀誠

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉井光照君。
  61. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 私は、最初に地下利用の法整備につきまして建設大臣にお伺いしたいわけでございますが、「今後の河川整備は、いかにあるべきか」といういわゆる河川審議会の答申に、地下空間の利用にかかわる制度等の検討がうたわれておりまして、今回の第八次五カ年計画の中にも大規模治水プロジェクトとして、地下河川事業が盛り込まれているわけでございます。また、日米構造協議長終報告にも、大深度地下利用の活用促進が挙げられているわけでございます。建設省も昨年の八月の二十日に、大深度地下利用四大計画なるものをまとめている。この説明は割愛いたしますが、東京地下物流トンネル網、それから首都高速道路トンネル線、それから大深度地下下水道貯留管、そして環七地下河川の四計画をまとめられたわけでございます。  東京を初め大都市圏の地上利用、これはたとえ公共利用といえども、利害が複雑に絡み合ってその用地の取得というものが非常に難しいわけでございますが、仮に取得できたとしても膨大な経費がかかるわけでございます。ところが地下利用の場合には、この地上利用の二つのデメリットが緩和されるわけでございまして、特に大深度地下利用は、通例では地上の土地所有者の利用権を侵害しないとされているために、最大限活用できるというメリットがあります。既に環七地下河川は、杉並それから中野区の四・五キロ部分を地下四十メートルで建設中でございますが、現在は都道の下で工事が進められているために補償の問題はないわけですが、今後これが民有地の下を通るとなりますというと、大深度を含めた地下利用の法整備というものが急務となってくると私は思うわけでございます。  こうした法整備がきちっとされないままでいわば見切り発車するということは、極めて強引で危険なやり方で問題があると言わざるを得ないわけでございまして、大深度利用法案をめぐっては、過去に関係省庁の利害が対立をして、そして内閣内政審議室で調整ということになったわけですが、その調整経過はどのようになっているのか、またその見通しはどうなのか。また、そうした調整を踏まえまして、建設大臣は、特に大深度地下利用事業の中核をなすところの所管大臣でございますので、今後どのようにして大深度を初めとする地下利用の法整備に取り組んでいかれるつもりが、その決意をまずお伺いをしたいと思います。
  62. 石川裕己

    ○石川説明員 大都市地域におきます大深度地下空間の利用の法整備の問題につきましては、先生お話ございましたように、現在まで私ども内閣内政審議室など関係省庁で、局長会議でありますとか課長会議でありますとか、現在まで延べ二十回にわたりまして検討を進めております。また、学者の先生方からもお話を伺うなど、検討を行ってきているところでございます。  この問題につきましては、先生も御指摘ございましたけれども、基本的な私権でございます土地所有権というものの及ぶ範囲の問題でありますとか、または土地所有権を制限して公的利用を優先させるということについてのさまざまな問題というふうな、法制上かなり基本的な問題も内包している部分がございます。それから、当然のことでございますが、安全対策でありますとか防災対策あるいは環境対策というふうなものについての配慮も必要なわけでございます。それからさらに、私権を制限してまで行うべき公的なプロジェクトということの緊急性でありますとか必要性でありますとか、さらには経済性、そういうふうなものについてもいろいろと検討していかなければいけないということでございまして、私どもとしては慎重に検討しているという段階でございます。
  63. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 御承知のように、この問題は大変緊急かつ主要な政治課題でございます。どうかひとつ積極的に取り組んでいただきたい、このことを特に要望をしておきたいと思います。  次に、ちょっと順番を変えまして、個人災害救済制度についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、昨年の十月十七日の災特委員会で、広域的にしかも長期的にわたったところの十九号台風、この一連の台風被害に関連をいたしまして、私は従来から論議されているところの個人災害の救済制度について若干触れたわけでございます。これは台風だけではなくして、雲仙普賢岳に代表されるところの火山噴火、それから頻繁に発生するところの地震、異常気象による豪雪、豪雨それから洪水、干ばつ等々、枚挙にいとまがないほど、自然及び人為的を問わず大規模化しているわけでございます。昨日の改正案の提案理由説明の中でも、大臣は「依然として我が国国土災害に対して脆弱であり、山地及び河川流域においてしばしば激甚な災害発生する」、このようにおっしゃっておるわけでございますが、こうした実態を厳粛に受けとめれば受けとめるほど、個人災害にもやはり全国レベルで救済の手を差し伸べるべきではないか、私はこのように考えるわけでございます。政府のように、自助努力が原則で国はそれを補助する立場である、こういう今までの一つの原則でいいのだろうか、こう思うわけですが、今回はこうした疑問を晴らすような、ひとつ明快な答弁を期待をいたしまして質問に入りたいと思います。  まず、確認をしておかなければならないことは、そもそも個人災害とは一体何なのかということでございます。要するに、災害に被災したときの個人的被害という意味で、公共的被害に対する概念であります。特定個人にのみ起こった災害という意味ではなくして、個人の起こした災害という意味でもございません。住宅、家財、死亡、重傷といったいわば私的な被害を個人災害と言うのであって、法律的な厳密な概念ではないとされているわけですが、このような認識でいいのかどうか、それが一点。それから、自然災害の被災者に対する国の救済制度については、昭和三十五年以降、政府においても災害共済制度を根幹としていろいろと検討されて、国会でも再三議論されてまいりましてはや三十年が経過しているわけですが、この個人災害に対して政府はどのような見解を持っていらっしゃるのか。以上二点について、まず確認をしておきたいと思います。
  64. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 先生仰せられました、まず個人災害の定義ということでございます。仰せられましたとおり、法律上定まった定義があるわけでもございません。それから講学上、そういった定義があるものでもございません。先生仰せられましたとおり、災害にもいろいろ種類があります。そしてまた、その被害の程度にもいろいろあります。地域差もいろいろあります。それからまた、それを被害として受けざるを得なかった個人の立場から見ますと、その被害の程度につきましても、全く人的、物的だけではなしに、その程度を含めまして大変さまざまであろうかと思います。先生仰せられましたとおり、広い範囲のものというふうに認識してよろしいのではないかと私は考えます。  次に、今日までそういった個人の災害の救済に対して、政府としてどういうことをやり、また考え方はいかがかということであろうかと思います。一般論といたしまして、自然災害により個人が被害を受けられた場合につきましては、国は公的な支援といたしまして災害救助法による措置、災害弔慰金の支給、住宅融資を初めといたしまして制度的な低利の融資、あるいは税制、金融上の配慮などを行ってまいっております。しかしながら、自然災害でありますから何人にもその責任がないわけでありますので、これに対し国が補償をするというような考え方はとることができないと考えるわけでございます。そこで、従来から共済制度、つとに農業の共済等ございますが、共済制度あるいは保険制度を初めといたしまして、各自みずからの努力によらざるを得ないというようなところにあると考えております。  今後とも国土庁といたしましては、こういった諸制度を活用いたしまして、被災者の支援をさらに充実をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  65. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 そこで、昭和三十四年から四十三年ごろにかけて日本列島に大規模自然災害が相次いだわけでございます。御承知のように、三十四年の九月に伊勢湾台風、それから三十九年の六月には新潟地震、四十二年の八月に羽越災害、四十三年五月には十勝沖地震、こうしたものが契機となりまして個人救済の機運が高まっていったわけでございます。  こうした中で、四十三年の五月二十八日に災特委員会で我が党の委員が、いち早く全国災害共済制度のこの早期制定を提唱したわけでございます。古い話になりますが、これに対しまして当時の佐藤総理、「ただいま初めて耳にするのでありまして、これはなかなかいい着想だなと考えながらいま答弁に立ったようなわけであります。この制度を普及さすについては、さらにもっと専門的に検討さす必要があるだろう、」私自身に研究させていただき「しばらくその答えは私に預からせていただきたい。十分検討さすつもりでございます。」このような当時の佐藤総理の発言によりまして、一気にこの共済制度実現への火がつけられたわけでございます。  また、我が党といたしましても、四十三年六月十六日にこの独自の国民災害共済制度要綱案なるものを発表いたしました。そして、これを受けた総理府は昭和四十五年、四十六年度の二年にわたって、個人災害共済制度に関するところの全国調査を行ったわけでございます。そして、それに基づいて個人災害共済制度要綱案を作成いたしました。  こうした経緯を踏まえまして、いわゆる以下の二点についてちょっと確認をしておきたいのですが、総理府の個人災害共済制度要綱案はどのような内容のものなのか、また、全国調査の結果はどのような結果が出たのか。また、その調査結果に基づいて政府はどのような結論を出したのか。この点について、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  66. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 総理府におきましては、昭和四十五年度、六年度の二年度間にわたりまして、個人災害共済制度に関する調査を行っております。四十五年度におきましては、個人の災害共済制度に関する住民の関心度を調べるということ、それから制度への加入の意欲あるいは制度成立の可能性についての判断資料を得るためのアンケートの調査実施いたしました。それからまた、四十六年度におきましては、本制度の実施主体を市町村として、実質強制加入方式を前提とした場合の採算性についての見通しを得るための分析、任意加入方式とした場合の住民の加入意向を正確に把握するための補充調査を行ったわけでございます。  調査の結果でございますが、四十五年度調査によりますと、住民の推定加入率というものが三割以下になるのではないかというようなことをおっしゃった市町村長が半数を超えております。加入の方法につきまして、市町村長、都道府県知事とも、強制加入を否とする意見が大多数でございます。制度の実施の主体につきましてもまちまちでございまして、都道府県知事は市町村がこれを行ったらと申し、市町村長は都道府県知事が行ったらどうかと申しておるようでもございます。さらにまた、掛金の一部の市町村負担につきましては、負担できないというふうに回答した市町村が四分の三にも達しておるような状況にございました。それから、昭和四十六年度調査によりますと、市町村長による住民の推定加入率、あるいは市町村長の実施意向と当該市町村の人口規模被害体験等の間には明確な関連性が見られないということ、それからまた、補充調査の結果のうち、本制度の加入希望者は四六・三%にとどまっていることなどの結果が得られております。  その結果、総理府といたしまして四十七年度に、個人災害共済制度を創設することができないかということで、関係省庁等と折衝を行ったわけでございます。しかしながら、給付の目的、内容を生計費、葬祭料、見舞い金等いずれを対象として考えるべきかということが災害の実情によりさまざまであること、また、共済制度を成立させるためには強制加入方式を採用することが望ましいわけでありますけれども、一人一人に強制するまでの公益性が認めがたいことなどなど、いろいろ問題がございまして、その四十七年度予算の編成に先立ちまして、制度化は困難であるというような決定に至ったわけでございます。  その間、資料によりますと、総理府におきましては、個人災害共済制度要綱というものをつくっております。物的な損害につきましてはこれをおきまして、人的な被災に対しまして共済制度を実施したらいかがか、市町村を主体といたしまして所要の掛金を積み立てまして、必要な支給を行うというようなことがその内容となっておるわけでございます。
  67. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 そこで、そういう経過をたどって昭和四十八年に、これは議員立法によりまして災害弔慰金法が制定をされて弔慰金制度ができ上がったわけでございます。このことによって、長年検討されてきたところの共済制度が、また国民や地方自治体の願いだった共済制度の検討が終わったことになるのか。また、そうではなくして、ようやく第一歩を踏み出すことができたにすぎず、共済制度も含めてさらに個人災害の救済に関する制度の拡充また整備に一層努力していくんだと考えていらっしゃるのか、そのどちらなのか。この問題については国土庁が一番汗を流していらっしゃるわけですから、まず国土庁の御意見をお聞かせ願えたらと思います。
  68. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 ただいま申し上げましたような次第で、個人災害共済制度につきましては、一応見送りをされたわけでございます。私どもといたしましては、先生仰せのとおり、昨今大規模災害が多発をいたしております。その際、国民経済の伸びとか国民の生活水準の著しい向上によりまして、災害対策に関する住民サイドの要求水準も相当高度化してまいっていると思います。また、行政サイド等におきます緊急の災害対策の必要性も増大をしてきていると思います。そこで、行政、民間それぞれの分野におきまして、的確な対応というものが今や求められているだろうというふうに認識をいたしたわけでございます。  こういった認識のもとに、国土庁といたしましては行政、民間それぞれ含めまして、各種現行制度の改善、新たな対策の必要性について検討を行いまして、現行制度による救済の状況と課題、地方公共団体の意向等を踏まえまして、共済制度の必要性、実現可能性につきましても再度これを含め研究を行うために、現在委託調査によりまして初動期災害対策に関する研究会を設置をいたしまして、検討をいたしておるところでございます。
  69. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 現在検討中ということでございますが、先ほど申し上げました四十五年、四十六年、このときには当初予算にこの予算が計上されたわけでございますが、先ほどおっしゃった検討中の機関に対しまして、平成年度の共済制度に関するところの調査費なりそういったものが計上されていますか。
  70. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 直接の調査につきましては、平成三・年度調査費をもちましてただいま実施をしている段階でございます。
  71. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 いずれにいたしましても、この問題についてはいろいろ論議され、調査をされ、検討された例がほかには余りないわけですね。したがって、もはや導入の決断をすべき時期に来ているのではないかと私は思います。せっかく過去に政府の個人災害共済制度要綱案まで作成されていることでございますし、また先ほど申し上げましたように、我が党でも四十五、四十六年の二回にわたって、共済法案としては最初災害共済法案を国会に提出をしたわけでございます。これらを生かせばできるのではないか、私はこのように思いますし、現にこれに類似した制度として交通災害共済組合制度がございます。これはもうそれこそ一日一円、こういったことで、長年たった今日もまだこの制度がずっと続けられているわけでございます。  新聞報道によりますというと、国土庁は、現行の災害対策では限界のある被災住民らの生活補償要求と同時に、弱小自治体の財政負担の軽減を配慮して、大規模自然災害に備えた災害共済制度を創設する方針を固め、そして自治省など関係機関と調整の上、四年度から実施したい旨、このように報じられているわけでございますが、これは間違いございませんか。
  72. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 先生御提案のとおり、この共済制度というのは大変な意味のある制度であろうと私は思います。ただ、過去の検討の経緯で先ほど申し上げさしていただきましたとおり、給付の目的、内容についていろいろ問題があること、それからまた強制加入ということが大変問題があるということ、いろいろこの制度を運用する上での問題点が多々あるようでございます。そこで、先ほど申し上げました研究会を開催をいたしまして、この中でいろいろな問題点を詰めて、果たして今日的な課題に共済制度で応じられるかどうかというあたりを検討をしていただこうという趣旨で、現在鋭意やっていただいているところでございます。
  73. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 もう一度四十七年の当時の災特委員会での、当時は本名総務長官の時代でございますが、この発言を確認をいたしますというと、「災害も、その対策は時代の推移、変遷とともに対処しろ、特に個人災害についてはさらに国民五助の精神にも立ち、また国の責任においても対処しろという御意見、まことにごもっともであると存じます。」このようにおっしゃっておりますし、また「発想の大転換をいたしていくべき事態に参ったと思っております。むしろ時期を失したうらみさえあるのでございますが、」「今次災害に、いままでの検討いたしました経過を私なりに聴取いたしまして、その上に立って、」「ぜひ政府としても積極的に検討いたしたいということを重ねて申し上げ、同時に決意を新たにして実現を目ざして努力をいたしたいと思うわけでございます。」このようなまことに力強い答弁があったわけでございます。  したがって、国土庁といたしましても、ひとつぜひともこうした総務長官のした答弁にも私はこたえていただきたいと思いますし、先ほど学識経験者等も含めた検討委員会のようなものも設置をされて検討をされているということでございますが、私は少なくとも関係省庁の各局長、課長クラスで組織する連絡会議というものぐらいはやはり正式につくるべきだ、このように思うわけでございますが、いかがでございますか。
  74. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 ただいま実施をしております研究会の中に、関係行政機関も入っていただいて勉強いたしております。
  75. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 くどいようでございますけれども、私は、この問題は大変な問題でございますし、今からこうした災害、これも災害がうんと減ってくるのか、また多発するのかということは我々には想像できないわけでございますけれども、いろいろな学説を見ましても、今から大きい災害が起きるのではないか、こういうふうなことも予測をされている昨今でございますので、ぜひともひとつ精力的に取り組んでいただいて、早くそれなりの結論を出していただきたい、このように強く要望をいたすわけでございます。  では、この問題はこの程度にいたしまして、次は堤防での除草剤の制限実態とその見通しについてお尋ねをしておきたいと思います。  御承知のように、平成元年ごろから特にゴルフ場などの農薬によるところの環境汚染、これが全国各地で問題化されております。そして、それに対しまして市民運動というものが大々的に展開をされているわけでございますが、このことを重視するとともに住民感情を配慮をして、建設省平成二年三月の下旬に全国河川を管理する八地方建設局管内の九十二工事事務所に対しまして、堤防での除草剤使用を可能な限り取りやめるよう文書で、いわば留意事項の形でもって国の機関としては初めて指示をされたようでございます。しかしながら、農薬取締法に基づく基準どおりに使用すれば安全であるという考えには変わりないわけでございまして、これには強制力はないわけでございます。  それまで建設省は、堤防ののり面保護のため敷いた芝生などの雑草駆除は河川の維持管理のために欠かせないとして、年二回程度ですか、除草剤を使っておりました。そして河川局によりますというと、全国の堤防面積は約五万ヘクタール、このうち約六%に当たる約三千ヘクタールに除草剤を使用して、そして散布量は約七十トンに達しているようでございます。また、全国河川敷ゴルフ場は九十前後あるわけですが、これもほとんど除草剤を散布しているわけでございます。建設省が指示をされてからちょうど一年が経過したわけでございますが、この除草剤制限の実態というものがどう改善をされたのか、いわゆる全面中止の工事事務所はどこなのか、幾つあるのか、それから除草剤使用堤防面積は幾らなのか、それから散布量は幾らなのか、それから河川敷ゴルフ場での散布件数は幾らなのか、この四点についてお尋ねをしたいと思います。
  76. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 河川敷の堤防の除草につきましては、従前、農薬取締法に基づいた薬剤を使用して除草を行っていた部分がございます。平成元年度で、今先生がおっしゃいましたように、全除草対象面積五万ヘクタールのうち六%に当たる三千ヘクタールが七十四トンの使用量で実施されておったわけでございますが、事務局の方からの連絡といたしまして、平成二年三月に全国直轄河川に関連する区間について、少なくとも上水道取水口より上流区域においては原則として使用を取りやめ、他の除草法に変更するよう指導しておるところでございます。この結果、既にこの通達に従って実施しておりまして、平成年度におきましては除草対象面積の二%に当たる千百ヘクタールがまだ使用しておりますが、少なくとも上水道の取水口より上流区間は全くゼロとなったわけでございます。この千百ヘクタールの除草剤は約二十六トンでございまして、事務所数九十二のうち、使用事務所数は十三事務所でございます。  それから、ゴルフ場に関連いたしましては、この同通達の中で、関係機関と連絡調整を十分図るとともに、施設の管理者に対しては次のように取り扱うことと指示したところでございます。まず、農薬使用状況の提出を求めること。また、各地方自治体が制定したゴルフ場における農薬安全指導基準等に基づき実施した調査データ等がある場合には、その提出を求めること。それから、ゴルフ場からの排水が直接河川に排出されないよう池等の設置を指導するとともに、排水口部分には少なくとも上水道の取水口の位置に配慮するようにすること。それから、排水口付近には魚類等を飼育させる等の指導を行って、河川巡視に当たってはこれを観察することにより適宜安全性を確保することと指導したところでございます。  この結果、現在におきましては、ゴルフ場の数は八十三、そのうちゴルフ場で農薬を使用していない数は十三、使用しておりますのは七十でございますが、このゴルフ場はすべて農薬の使用状況を提出していただいております。それから池等を指導し設置させましたのが九、排水口の位置を配慮して変更しましたのが二十一という状況でございます。
  77. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今やこの河川敷の利用形態というものが、今までのようなただ治水面に偏った利用ではなくして、地域住民の憩いの場としての感が非常に強くなってまいりました。いわば、まさに豊かさを取り戻せる身近な自然環境として認識され始めたわけでございます。建設省では日ごろから人と自然に優しい建設行政、このようなことを口にしていらっしゃるわけでございますが、私はぜひともこの除草剤の全面中止に向けてひとつ可能な限りの努力をしていただきたい、このように思うわけですが、今後の見通しはいかがでしょうか。
  78. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 私どもも、基本的には農薬取締法の基準を満たしていれば支障はないと判断はしておりますけれども、まずやはり飲み水だけは、少なくともどんな懸念もできるだけ払拭するようにすることが私ども河川管理者の務めであろうということで、早速水道取り入れ口の上流については一切禁止しておるところでございます。また、いろいろな厳しい予算の制約下ではありますけれども、国民の皆さんの信頼を得るよう今後とも努力してまいりたいと存じます。
  79. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 時間もなくなってまいりましたが、河川につきまして、私たちの幼少のころ、これはもうあちらこちらに小川のせせらぎというものを見ることができたわけでございますが、これはやはり大臣も同じことだと思うのですが、その小川のせせらぎに接するときに、私たちは何とも言えない心の豊かさというか安らぎというか、そうしたものを感じたわけでございます。現在でもそうではございますが、ところが今では都会におきましてはそうした小川のせせらぎというものが全くと言っていいほど姿を消しております。そして小川にはコンクリートで上にふたがかけられて、その上は駐輪場に勝手に使われたり、そのようなことになっておりまして、よく話を聞けば、その小川にはふたをしないと悪臭が漂って困る、こういうことでございます。したがって、その悪臭を漂わせないためにふたをするんだ、こういうことでございますが、現在では都会の中で私たちを初めまた子供たちも、そのようにただコンクリートに囲まれた環境、そうしたものの中に閉じ込められているわけでございます。  この都市の川離れ、いわゆる川というものがわからなくなっている。建設省でも、川辺に公園をつくったり、また堤防に桜をたくさん植えて桜の名所にするとか、そういった整備をされているわけですが、私は今後の都市計画の中にも、もう必ずと言っていいほど水辺の町づくり、すなわち町の中に小川のせせらぎを見ることができる、こういう町づくりをぜひとも今からやっていただきたい、そういったことを都市計画の中に組み込んでいただきたい、これこそ身近なところから自然とつき合ういわゆる第一歩ではないか、このように常々考えているわけでございますが、ひとつ大臣、御意見はいかがでしょうか。
  80. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先生のおっしゃるとおり、私ども子供のころは、小ブナ釣りしかの川で遊んだものでございます。また、その思い出が本当に懐かしく感ずるのでございますが、今日大都会におきましては、とりわけそういった自然が失われているということも事実でございます。  我が国河川国家でございまして、その河川は、時として暴れ川という呼び方をされますように、幾多の災害をもたらしてまいりましたので、これに懸命に対処してまいりましたが、またこのたび御審議いただいております第八次の治水五カ年計画におきましても、はんらん防御率を、特に大河川や中小河川の連檐部におきまして防御する体制を概成したいということを考えております。  それはそれといたしまして、改めて多自然型の川づくりと申しますか、新しい自然を再創造していくということもあわせて十分留意しつつ、今後の治水対策をやってまいりたい、このように考えております。
  81. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 終わります。ありがとうございました。
  82. 古賀誠

    古賀委員長 辻第一君。
  83. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、治山治水事業促進についてお尋ねをいたします。与えられた時間が二十分でございます。はしょったことになりますが、恐縮ですが答弁はできるだけ簡明にお願いをしたいと思います。  我が国は、河川はんらん区域内に人口の約五〇%、資産の約七五%が集積をし、諸外国と比較して洪水、土石流、高潮などの災害を受けやすい国土条件にあり、時間雨量五十ミリ相当の降雨に対するはんらん防御率すら平成年度末において四三%、昭和五十六年から平成二年の十年間に水害、土砂災害発生した市区町村は二千四百六十三に上って、全市区町村の約八割が一回以上の水禍に見舞われておるということでございます。治山治水対策は、非常におくれているのではないかということでございます。そこで、政府の治山治水事業の現状についてただします。  奈良県では、一九八二年八月に戦後最大の水害に遭いました。ことしちょうど十年目を迎えるわけでございます。この水害で、奈良県全体で死者・行方不明が十六名、床上・床下浸水が一万二千余、罹災者が四万二千余に及んだ水害であります。県民の貴重な生命財産が奪われた人災とも言える災害でございました。あれから十年、二度と再びこうした水害、山地の崩壊あるいはダム管理の瑕疵などによる惨事をもたらさないために、治山治水事業計画の中に正しく位置づけられるということの必要性は言うまでもないと思います。  私どもは、この八二水害を天災論の立場ではなく、真の原因究明の上に立って国、県の無秩序な開発計画の転換、大企業中心の大規模乱開発への規制を要求し、我が党としても独自の政策を発表して、大和川流域全体の総合治水対策の制定を求めてまいりました。そこで、その後大和川流域ではこの間、関係二十五市町村や奈良県、建設省が協力をしていただいて、総合治水対策事業が進められてきたのですが、そこで大和川直轄事業及び大和川総合治水対策事業進捗状況及び見通しについて、お尋ねをいたします。
  84. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 大和川は五十一年に工事実施基本計画を改定しましたが、その際、基準地点柏原におきまして、計画高水流量を五千二百トンと定めておりますが、当面、戦後に起こりました最大流量三千五百トンを目途に、まず段階的な整備実施しておるところでございます。  とりわけ、近畿圏の住宅開発によって大変流域が都市化をしておるところでございますので、治水施設の整備をより重点的に実施するとともに、流域の方におきましては、保水・遊水機能の確保及び適正な土地利用の誘導等の流域対策を図る必要があるという観点から、昭和五十七年に支川佐保川ほか大河川を総合治水対策特定河川に指定いたしまして、翌五十八年に発足した国、県及び流域内二十五市町村から成る大和川流域総合治水対策協議会のもとに、昭和六十年に大和川流域整備計画を策定いたしまして、これに基づき治水施設の整備計画的に推進するとともに、流域自治体と一体となって流域対策実施してきているところでございます。  当面の整備目標として、おおむね十年に一回程度に相当する昭和五十七年八月の出水を対象として河道改修を推進しているところでございますが、今年度から始まる第八次治水事業五カ年計画におきましても、より一層の促進を図ってまいる所存でございます。とりわけ流域におきましては、住宅宅地等の新規開発に対して流出抑制対策としての防災調整池の設置等を関係自治体とともに指導していただくとともに、学校、公園等の公共施設の敷地やため池等を利用した流域貯留浸透施設の整備推進してまいることとしておりまして、平成年度におきましても、流域内十六カ所において国庫補助を行っているところでございます。  今後とも、流域自治体、住民の方々の理解と協力を得まして、大和川の流域の治水の安全度の向上に努力してまいる所存でございます。
  85. 辻第一

    ○辻(第)委員 もうちょっと具体的に、それでは大体進捗状況は三割くらい、三分の一というのですか、三割少しというふうに私聞いているのですが、いかがですか。
  86. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 当初の計画では、市街化の整備がなお一層推進すると考えておったところでございますが、そのときの想定よりは都市化の進捗率はそこまで至ってないというような状況でございまして、それらを勘案しまして、確かに事業費としては、五百六十六億の全体事業費に対しまして平成年度まで三一・四%で、ちょうど当初計画の折り返し点でございますから本来五〇%というところだろうと思いますが、三一%という状況でございます。一方で、市街化率の関係も大体その程度でございまして、なお当初の見込みよりは、当初の見込みというのを私ども過大に見ていたことにも結果的になるわけでございますが、それに対しての貯留施設等の整備はほぼ二九%程度となっております。
  87. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはり当初の計画より大変おくれているという、深刻な状況と私どもは受けとめております。  この大和川というのは、やはり災害、水害が多かったように思うのです。それで、その教訓が生かされて、祖先の英知によって洪水を最小限に抑える遊水地などが設けられた。そして、大和川流域整備計画にある流域整備の基本方針には、治水機能による地区区分を保水地域、低地地域の二つに分けただけで、原則として開発は行わない地域とすべき遊水地域の設定のない不十分さを持っておりました。この十年間、大和川流域における開発、公共事業などの進展は著しいものがあるわけでありますが、当初決められた整備計画地域区分、流域分担計画、目標対策量などで十分対応できるのかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  88. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 都市化の進行状況等から見ますと、当初設定した流域区分で、一応現在のところこれを見直す必要はないと思っております。ある意味では、大変開発の皆様も治水に対する配慮をしていただきまして、遊水機能の確保等にも協力をしていただいていると存じております。
  89. 辻第一

    ○辻(第)委員 大和川は、局長御存じですか、大臣御存じですか、王寺というところで、大和川全部そこで一本になって、そこから山を越えて谷になって大阪へ流れていくのです。その大阪へ流れる首のところに亀の瀬という地すべり地域があって、そこは掘削できないのです。今は地すべりで大変な御努力いただいているんですが、そういう状況で、言うなら亀の瀬のところで首を絞められたような、そういう状態になっているのです。ですから、先ほど申しました十年前の水害で、王寺は千八百戸が床上浸水をしました。もう二メートルぐらいつかるところがたくさんあったわけであります。まさに、前後二回水がつかったというような深刻な事態であったわけでありますが、先ほど治水対策河川対策では、十年に一回の水というお話がありましたけれども、一時間五十ミリですか、そういうことではとても、前回のような台風で雨が降りますと、先ほど申しました亀の瀬の問題もありますし、もちろんこれは下流の大阪の対策ということも当然大事なことがあるわけです。  もちろん大和川流域全体の対策もあるわけでありますが、そういうふうに見てまいりますと、それは今の現状ではとても安心できる状況ではない。もっと抜本的な対応といいますか、いろいろな形でやっていただきたい、このように思うわけでありますが、局長、簡単にお答えいただきたいと思います。
  90. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 本来の計画としては、計画高水流量五千二百トンの流下能力を持つように河川整備することを私どもは目標としておりますが、現時点で整備水準が低い現状では、先ほど言いましたように、五十七年出水を一応当面まず達成すべき目標として置きまして、三千五百トンの流下能力を確保すべく努力しているところでございます。とりわけ五十七年の出水のときには、先ほど言いました亀の瀬周辺、王寺地区等において甚大な災害がありまして、これにつきましては特別枠の激甚対策特別緊急事業により対応いたしまして、この地区周辺では一応概成させたところでございます。  ただ、今後の課題は、流域内の都市化の発展対応した所要の安全度をなお一層確保していくことが我々の課題と存じております。
  91. 辻第一

    ○辻(第)委員 本当に王寺地域の深刻な被害が、私、今思い出しても再びああいうことのないように万全の対応をとっていただきたい、重ねてお願いをして、次に移ります。  一九八七年にリゾート法が成立をしました。その後、国土面積の二〇%を超える広大な地域がリゾート開発の対象となり、開発業者による自然と農地、森林の破壊が進んでおります。現在、造成中あるいは計画中のゴルフ場は全国で千三百カ所と言われ、既設のゴルフ場地合わせると三千カ所、約三十万ヘクタールということでございます。奈良県でも、大和川水系のゴルフ場は現在八カ所から十二カ所、約千ヘクタールになろうとしております。また木津川水系では、奈良県では既設が十九、それから新しい計画中を入れますと三十六になろうということです。木津川水系全体、三重県、京都府も入れますと三十六カ所から八十一カ所、およそ一万ヘクタールの規模のゴルフ場の開発が進められようとしている。こういう状況の中で私どもは、大企業のもうけ中心自然環境の大規模な破壊、保水能力の低下、水の汚染など災害の危険をもたらせる、国土荒廃させるリゾート法を根本的に見直せ、ゴルフ場の乱開発に厳しい規制を、このように繰り返し求めてきたところでございます。  そういう状況の中、まず林野庁お尋ねをしたいと思います。ゴルフ場の問題もありますが、本当にいろいろな形で山の開発が進む、またそれだけじゃなしに、山が荒れているのです。保水能力が非常に低下をしているというのが現状ではないかと思います。私は、本当に山を守る、緑を守るために、国土荒廃を防ぎ、水害から国民を守をために、また河川の水質保全水源涵養機能の保持増強のためにも、林野庁の役割は大きいと思うのです。どうか林野庁の一層の御努力で、先ほど申しましたような大規模なゴルフ場開発を初めとする乱開発、山地開発などに歯どめをかけていただいて、水源山地の森林整備推進していただきたいと強く願うのですが、御見解を求めます。
  92. 小澤普照

    小澤政府委員 森林を適正に維持管理いたしまして、また、その機能を向上させるために整備を行う、これは私ども治水事業の要請でもあろうと考えているところでございます。しかしながら、最近におきましては、担い手も減少しておりましたり、種々経済的条件等も、森林を支える林業をめぐる状況が厳しくなっておるわけでございます。  その中で、私どももいかにして森林を守り、整備するかということに腐心をいたしているところでございますが、今先生お尋ねのゴルフ場等の開発につきましても、これが適正に行われなければいけないというように考えておりまして、この森林の土地利用問題につきましては、私ども森林法に基づきまして、森林の有します災害防止あるいは水源涵養、さらには環境の保全機能ということに着目いたしまして、これら機能が損なわれることのないように、保安林制度と林地開発許可制度によりまして適正な調整を図ってきたところでございます。  そこで、保安林につきましては、森林の転用を極力抑制いたしますとともに、林地開発許可に当たりましても同様に極力転用を避けるような運用を行いまして、森林保全に十分配慮いたしてきたところでございます。特に、平成二年六月には、ゴルフ場、スキー場などの大規模森林の土地利用につきましては、残置すべき森林の割合を増加させるという許可基準の改善を図ったところでございます。さらに昨年四月には、これは森林法改正に際してでございますけれども、林地開発許可制度の改善を図りますために、開発行為によりまして広域にわたる影響を判断できるように、開発によって森林の有する水害の防止機能が損なわれ、下流地域に水害を発生させるおそれを生じさせないことを許可要件に追加したところ  でもございます。  今後とも、ゴルフ場などの開発等にかかわります森林の転用につきましては、保安林及び林地開発許可制度を適切に運用いたしまして、森林の諸機能の発揮に支障を生じないよう措置いたしますとともに、水源地域におきます水資源涵養及び国土保全上重要な森林につきましては保安林に指定いたしますとともに、治山事業によりまして森林荒廃復旧でございますとか、あるいは国土保全機能等の維持向上に努めてまいりたいと考えております。
  93. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、建設大臣お尋ねをいたします。  先ほど申しましたようなゴルフ場の開発の問題や山地の開発、都市計画開発志向、大規模乱開発というような状態が広がっております。こういう状況の中で、本当に水害、災害から国民の生活や財産を守り、災害のない安全な国土の形成を図る、そういうために流域の保水機能の強化、河川の水質保全水源涵養機能の保持増強のために建設省の努力が求められていると思うのですね。そういう点で、大臣の見解を伺って終わりにさせていただきたいと思います。
  94. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先生御指摘の流域の保水機能水源涵養機能の保持あるいは水質の改善等につきましては、総合的治水対策の一環といたしまして真剣に取り組んでまいりたいと存じます。
  95. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  96. 古賀誠

    古賀委員長 米沢隆君。
  97. 米沢隆

    ○米沢委員 質問も最後になりましたので、既に同僚の皆さんが触れられた問題に重複するかもしれませんが、与えられた二十分間を全うしたいと思います。  まず最初に、治山事業についてお尋ねをします。  御案内のとおり、森林の維持、造成を通じまして山地災害防止する治山事業重要性は、今さら言うまでもありません。国土保全の根源的な施策として、今日まで精力的な、計画的な推進が図られてきたところであります。しかしながら、治山施行地の多くが目標とする整備水準に達していない。あるいはまた、新たな山地災害に伴いまして荒廃地が続々と、次から次に発生していることなどによりまして、治山施設の整備水準は依然として低位にとどまっているのが現状だと聞いております。特に最近、異常気象の影響等もありまして激甚な山地災害が多発しておりまして、貴重な人命が奪われる事例が依然として続いていることは、まことに遺憾なことであります。  山地災害危険地区は、荒廃の形態によりまして山腹崩壊危険地区、崩壊土砂流出危険地区及び地すべり危険地区の三種に区分されているそうでありますが、このような全国に存する山地災害危険地区は一体どれくらいの数に上り、その整備状況はどうなっているのか。そして、第八次治山事業計画期間中にどれほどの山地災害危険地区が解消するのか。平成年度はその初年度分の予算計上でありますが、当面、緊急を要する山地災害対策として十分なものを確保しておるのかどうか。三点につき、まずお伺いしたいと存じます。
  98. 小澤普照

    小澤政府委員 まず、山地災害危険地区でございますけれども、平成年度調査をいたしておりますが、この結果は、全国に十八万四千カ所という結果が出ております。前回調査では十七万六千カ所でございましたので、八千カ所ふえているということでございますが、これはやはり国土開発が山地に接近してきたということがございます。保全対象が増加しているということから、こういうふうにふえているのではないかと考えております。  なお、この災害危険地区におきまして緊要な箇所から治山事業実施しておりますけれども、平成年度末までに、その三九%に当たります約七万二千カ所で整備着手を行っているという状況になっております。そして、第八次計画につきましては、さらにこの整備水準を上げなければならないというように考えているところでございまして、整備目標といたしましては、治山整備率を三八%から四五%水準に向上させてまいりたいというように考えているところでございます。  そして、平成年度におきましては、その第八次五カ年の初年度ということになりますけれども、治山事業費につきましては、国の負担あるいは都道府県の負担を合わせますと三千百二十四億円ということになるわけでございますけれども、現下の厳しい財政事情のもとで事業の緊急かつ計画的な推進を図ってまいりたいと考えておりますので、事業実施に当たりましては、重要度、緊急度を十分に配意いたしまして経費の効率的な使用に努め、計画的に推進してまいりたいと思っております。
  99. 米沢隆

    ○米沢委員 昨日、たまたまNHKのニュースで特集が組まれておりまして、「山が崩壊する・台風から半年・日田山林被害深刻」というテーマでのニュース報道がありました。それを見ておりますと、大分県の前津江村というのでしょうか、台風で倒れた木は二千万本、しかし九〇%がそのまま放置されている、その影響で山が崩壊をし始めている、千三百五十カ所、六百八十の世帯が二次災害の危険にさらされているというような報道がございました。まだ災害復旧は一〇%も進んでいないということでございますが、日田山林被害状況について、特に災害復旧の現状について、どう認識されておるか。
  100. 小澤普照

    小澤政府委員 大分日田地方、大変激甚な被害を受けたわけでございます。全国的には、森林風倒木等被害が千四百億円ほどに上っておりますけれども、このうち日田地方だけで折損倒木等の森林被害約二百十億円でございます。これは、大分県の被害額全体の約四割という甚大な被害となっているわけでございます。  そこで、今後の対策でございますけれども、今次災害の激甚性にかんがみまして、また二次災害防止あるいは国土保全機能の維持回復の観点から緊急に行うことが必要なわけでございますので、このために激甚災害法に基づきまして森林災害復旧事業計画的に実施するということでございますが、担い手問題等もございますので、県内の被害の少ないところからの応援を要請するということで応援が入っております。それからさらに、被害の少ない他県からの応援をいただいております。それからなお、通常の伐採を被害木整理の伐採に振りかえていくということ、あるいは作業を効率的に実施するために大型の林業機械の導入の促進を図るということで進めているわけでございます。  進捗状況でございますけれども、大分県からの報告によりますと、県全体では三年度末で約一〇%、そして四年度に入りましてこれを本格的にさらに行うということにしまして、四年度末には三五%まで復旧という計画になっておるわけでございますが、私どもも県とも連絡を密接にしながら、復旧が早期に行われますよう努めてまいりたいと考えております。
  101. 米沢隆

    ○米沢委員 平成年度末で約一〇%の災害復旧被害が起きてからまだ半年でございますから、そう無理は言えないのかもしれませんけれども、その報道によりますと、ヤブフグリという木ですか、その半分以上が根こそぎに倒れて穴があいておる、そのくいが水を含みやすくなっている、特に急傾斜地区が多い、したがってこのまま梅雨を迎えますと山の崩壊が大変心配だ、復旧した上にまた新たな災害が起こるというような、急を要する事態のようでございます。  今おっしゃいましたように、全国から応援団が入ったり、いろいろな機械器具等も導入されて、一生懸命頑張っておられることは報道でも入っておりましたが、急傾斜地区で作業が一向進まない、あるいはまた、木がもう折り重なって倒れているために手がつけられない。したがって、作業で死者が八人、けがが百九十三人も出ておるというように、特別に災害復旧しにくいといいましょうか、また梅雨を迎えると第二次災害になりやすい状況だそうでございまして、いろいろと努力は歩といたしますけれども、しかし何らかの手でもっと真剣にというか、もっと多面的に努力をされないと、新たな災害を起こす危険性があるということを伝えておりまして、あれを見ながら、これは大変なことだなと私自身もそう思いました。  そういう意味で、今激甚災害あたりでやっておられるという話でございますが、どうも補助金を受ける条件が、倒木を処理すると同時に植林をしなければ激甚災害補助が受けられないというのは本当ですか。こういう場所は、御承知のとおり山肌の土がほとんど流出して、岩石の岩肌だけが出ておるわけでありまして、もう植林などというのは非常に難しい状況だ、したがって自力復旧はあきらめる人が多いというような状況だと聞いたわけでございますが、そういう意味では、激甚災害補助のみの対応で事足りるのか。あるいは、みんながもう自力復旧をやめたといって逃げていきますと、この山は完全に新しい災害を生む危険な、特に広範囲にわたる危険な地域として残されるということでございまして、国としては特別の対策が必要ではないか、こう思ったのでございますが、その点についていかがでしょう。
  102. 小澤普照

    小澤政府委員 風倒木が折り重なっておりまして、これの除去のために作業も大変熟練を要しますし、また、危険な状況もございます。死亡災害にも触れられましたけれども、私どもも受けています報告では、大分県当局の調査では死亡災害四件という報告も出ておるわけでございます。その他、休業四日以上の災害も百二十八件発生しているということでございますので、災害復旧に当たりましては事故防止に万全を期したいと考えておりますけれども、これにつきましては、安全マニュアルの作成でございますとか、あるいは、高性能機械を導入しますと安全な作業が確保されるというような観点から進めてまいりたいと思うわけでございます。さらに、急傾斜地等の問題がございますから、これにつきましては今後ヘリコプターの導入も考えてまいりたいということでございます。  なお、今補助額あるいは個人負担の御質問ございましたけれども、森林災害復旧で激甚災害に認定されますと大変高率の補助があるわけでございますけれども、それでもなおかつ、このような災害でございますので、確かに個人負担ということが大変重荷になっているという実態がございます。この点につきましては、地方自治体におかれまして単独事業等、上乗せといいますか、そういうことも実はいろいろ配慮していただいておりますけれども、これに対してさらに国からのということで、私ども関係の自治省さんともいろいろ御相談もさせていただいておりますけれども、交付税措置をまたさらにしていただくとか、そのような支援体制をとっているところでございます。  なお、今条件の悪い、例えば岩盤が露出しというようなところもございます。それから二次災害対応しなければならないということがございますから、ここは現地の実態を見まして、森林災害復旧実施いたしますと同時に、実は治山事業を発動いたしまして並行的に対応してまいりたいということでございます。治山事業は、御高承のとおり、国費と県費ですべてを賄うということになっておりますので、これらを総合的に投入いたしまして、そして災害復旧に十分を期したいという考えでございます。
  103. 米沢隆

    ○米沢委員 ぜひ予算も十分に確保されまして、十分を期していただきたいと要請をしておきたいと存じます。  次は、治水事業についてお尋ねいたします。  今回、第八次治水事業五カ年計画の策定に当たりまして、建設大臣より諮問を受けた河川審議会は、今後の河川整備の基本的な方向について三本の施策の展開を求めておられますが、その中で超過洪水、異常渇水等に備える危機管理施策の展開が力説されております。今さら申すまでもなく、一たび超過洪水や異常渇水が発生いたしますと、都市機能は壊滅的な打撃を受けて、社会的混乱や、その被害は甚大なものになることは、過去の事例を見るまでもなく明らかでありまして、その指摘はまさに正鵠を射て、それは緊急を要する重要な国民的課題だと言っても過言ではない。と私どもも考えます。しかし、今日までの関係当局の御努力にもかかわらず、依然として立ちおくれている我が国治水施設の整備状況から見ましても、将来に向けてのこの危機管理施策の充実という課題は、言うべくして余りにも難しい問題を内包している課題だと言ってもいいのではないかと思います。  そこで、この際、この危機管理の推進という課題解決のため、建設省としてはどのような将来展望を持って施策の展開を図られようとしているのか、その基本認識と基本方針。そして、今回の第八次治水事業計画の中ではどのような具体的な展開が実施されようとしているのか、これが第二問。第三問は、その五カ年計画の投資額は計画期間の必要額に比して十分たり得るのか、十分な予算が確保されているのかどうかにつき伺いたいと存じます。
  104. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 私どもの治水対策は、本来はどのような規模の洪水が発生するであろうかということを想定し、それを計画対象といたしまして治水計画を立てるわけでございます。また、水資源におきましても、大体何年に一回ぐらいの頻度で発生するであろうという渇水を想定して、それに対して水資源開発施設を設置するわけでございます。しかし、近年の流域の都市化あるいは住民の生産活動によりましてその計画を超えてしまった場合に、大変甚大な被害を受けるのではないかということが想定されるわけでございます。  例えば利根川におきましては、一応二百年に一回発生するであろう洪水を対象に計画を策定し、それに向かって事業を進めておるわけでございますが、二百年に一回以上の洪水が絶対に発生しないという保証はないわけでございまして、その際には利根川が破堤、はんらんするということも当然考えておかなければいけないわけであります。そうとなりますと、そのような計画を超えてしまったときに起こった災害は、住民の受忍の範囲であるということはまことに常識的ではないという判断に立ちまして、この河川審議会の上でこのような御答申をいただいたわけでございます。  そこで、例えば治水対策について申し上げますと、従来の堤防は、利根川であれば二百年に一回の発生するであろう洪水を対象に建設して逐次補強して進めておるところでございますが、それ以上発生した場合にも、破堤さえ起こさなければ甚大な被害にならないのではないか。それ以上超えた水は、多少天端を越えて水がこぼれてくるかもしれませんけれども、利根川の大激流が東京を襲うということはないのではないか。そういう意味で、破堤をさせないような堤防にしようということで、これは昭和六十二年三月の河川審議会答申におきまして「超過洪水対策及びその推進方策について」の御答申をいただきました。従来の堤防よりもはるかに広い幅の堤防を建設する、その際に、現在の堤防の背後地にある都市も一緒になって地盤をかさ上げすることによって、都市全体が堤防の機能を発揮するようにしていってはどうかという発想でございます。  そのため、昨年の当建設委員会河川法の一部を改正していただきまして、これを高規格堤防特別区域として指定し、この区域におきましては通常の土地利用を一応認める、河川区域の規制の緩和をし、また、不動産取得税の軽減措置等を図ることによって、今後は破堤をしない堤防を建設していこう、こうしておるところでございます。この事業昭和六十二年からスタートしたばかりでございますので、まだ事業としてはひとり立ちまでいっておらない状況でございますが、今後はそのような理念のもとに、我々が進めている通常河川改修に加えて、こういう視点で高規格堤防事業を進めていこうとしております。  その予算でございますが、まだ始まったばかりでそれほど大きな規模ではございませんが、この堤防対象の土地に居住する皆様の御理解を得、現在の地盤より高いところへ住宅を移していただくようなこともしなければなりませんので、御理解を得たところから積極的に予算の確保に努めて進めてまいりたいと存じておりまして、現時点では総体から見れば予算的には十分とは言えないかもしれませんが、御理解が得次第どんどんこの予算枠をふやしてまいりたいと存じております。
  105. 米沢隆

    ○米沢委員 終わります。
  106. 古賀誠

    古賀委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  107. 古賀誠

    古賀委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 古賀誠

    古賀委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 古賀誠

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  110. 古賀誠

    古賀委員長 この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山崎建設大臣
  111. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  112. 古賀誠

    古賀委員長 次に、内閣提出地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。山崎建設大臣。     —————————————  地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再   配置の促進に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  113. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ただいま議題となりました地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、地方においては、平成二年の国勢調査結果に見られますように、若年層を中心とした人口減少が再び広がるなど、地方全体の活力の低下が見られるところであります。一方、東京圏においては、人口及び諸機能の過度の集中により、住宅取得難、交通渋滞等過密の弊害がさらに深刻化しているところであります。このような状況の中で、地方の自立的成長の促進を図り、東京一極集中を是正して、国土の均衡ある発展を実現することは、現下の内政上の大きな課題となっております。  こうした課題に対処するため、地域社会中心となる地方都市及びその周辺の地域の市町村から成る地方の発展の拠点となるべき地方拠点都市地域について、地域における創意工夫を生かしつつ、広域の見地から、都市機能の増進及び居住環境の向上を推進するための措置等を講ずることにより、その一体的な整備促進を図る必要があります。  また、これとあわせて、過度に産業業務施設が集積している地域から地方拠点都市地域への産業業務施設の移転を促進するための措置等を講ずることにより、産業業務施設の再配置の促進を図る必要があります。  この法律案は、こうした認識に立って、地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置の促進を図るため、所要の措置を講じようとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、主務大臣は、地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する基本方針を定めることとしております。  第二に、都道府県知事は、関係市町村及び主務大臣と協議の上、地方拠点都市地域の指定を行うことができることとしております。  第三に、地方拠点都市地域関係市町村は、共同して、当該地域整備促進に関する基本計画を作成して都道府県知事の承認を得るものとし、承認を行った知事は、関係行政機関の長にその旨を通知することとしております。基本計画においては、地方拠点都市地域整備の方針、拠点地区の区域及び実施すべき事業、公共施設の整備、居住環境の整備、人材育成等の活動等について定めることとしております。  第四に、産業業務施設の再配置の促進を図るため、移転計画の認定制度の創設等所要の措置を講ずることとしております。  第五に、地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置の促進を図るため、地方行財政上の特例措置、都市計画上の特例の創設、税制上の特例措置、地域振興整備公団及び通信・放送機構の業務の追加等所要の措置を講ずることとしております。  なお、本法律案の運用は国土庁長官、農林水産大臣、通商産業大臣、郵政大臣、建設大臣及び自治大臣が協力して行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  114. 古賀誠

    古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします     午後二時二十八分散会      ————◇—————