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佐々木委員 私は、このたびの
治山治水緊急措置法の一部
改正に絡んで質問をさせていただきます。
申し上げるまでもなく、
日本は
火山列島とも言われます。長い
日本列島を縦断いたしましてたくさんの
火山がある、それに伴って
河川も多いということから、
自然災害、特に
山地災害、これは頻発しておるわけであります。また加えて、
台風も必ず来るわけでありまして、これによる
被害も昨年は大変大きかった。わけても
雲仙の
普賢岳の大
爆発による
被害、これは一向におさまらないわけでありまして、先般
予算委員会でも、また各
委員会、恐らくこちらの
委員会でも
審議されておりますでしょうし、それからまた
災害対策委員会でも集中的にこの
雲仙の救済問題などについては
審議をされてまいりました。
そういう
意味からも
治山治水、これはもう
防災の
関係からも、あるいは
国土の
保全という
意味合いからも極めて大切な
国家事業でありますし、この
緊急措置法が、これまでの第七次五カ年
計画がことしで終わりになるわけですから、さらに第八次五カ年
計画をつくってこれからも
治山治水事業を充実させていくということは、極めて私は緊要なことだと考えます。そういう
意味で、この
改正にはもちろんもろ手を挙げて賛成をするわけですけれども、この機会にさらにその
発展充実を期するための
審議をしなければならない、こういう
観点で
お尋ねをさせていただきたいと思います。またそういう中で、とりわけこの
防災の
観点で、
我が国の
森林あるいは
山林の果たす
意味合いというのはまことに大きなものがあるのではなかろうか、こう思っております。
御案内のように、
我が国は
国土の七割を
森林が占めております。そしてこれが、
土砂の流出とか
崩壊の
防止というような
国土の
保全に大きな役割を持っていることは申し上げるまでもありませんけれども、そのほかに
森林の
機能としては、
木材生産という経済的な
機能、あるいは
水資源の
涵養、あるいは景観の
建設、それから
国民の
保健保養機能、あるいは酸素の供給、大気の
浄化機能、さらには野鳥、鳥獣の
保護機能など、非常に多様な
機能を持っているわけですね。
国民生活とも非常に深くかかわっているわけであります。
しかし一方、
森林を取り巻く
状況というのは極めて厳しいわけでありまして、私も
農林水産委員会に属しておりまして、昨年
森林法が
改正になりました。このときにもいろいろな論議がありました。特に
森林は、
民有林、
公有林、
国有林ありますけれども、
国有林が大変に荒れている。
民有林も同じようなことが言えるのだろうと思いますけれども、そこで
国有林の再生のためにということで、昨年
農林水産委員会でもいろいろな
質疑が、
審議が行われました。特に、これは
国有林、
民有林共通して言えることは、やはり最近
林業従事者が非常に減っているし、また
林業労働者が高齢化しているというようなこともあって、また一方、
山村の
過疎化が進み、そしてまた他面では
乱開発が進んでいるということで、山の
荒廃が非常にひどい。そしてこの公益的な
森林の
機能を維持管理するということが非常に困難な
状況になっていることは、これは疑いもない事実だろうと思うのですね。結局、
森林の
荒廃ということは
山地災害を増大させることになるわけでありまして、
森林に
防災機能を発揮させるためには、どうしても
治山事業としての
森林づくりというか
出づくり、これが行われなければならないのだろうと私どもは考えております。
古来から、山というのは高いからとうといんじゃない、木あるをもってとうとしとするということわざもあるように、やはり山と木というのは切っても切れない、そしてまた木が育ち、そこできちんとなっていくというためには、どうしても
山づくり、その土壌である山、これがまた荒れたのではどうにもならないわけでありまして、
治山事業というのはそういう
意味で、しかも流域全体に及ぶ、川の
上流から
下流全体に影響がある。山が荒れれば海も荒れ、魚もだめになると言われるようなことはまことに本当だろうと思うのですけれども、そういうことで、
治山事業というのは山を治めるという
観点からも考えて、非常に奥深い
事業だろうと思われるのですね。
治水事業もやはりそうだろうと思うわけです。
そこで、これについて
お尋ねをしていきたいと思いますけれども、まず
最初に具体的な問題として、私の方の
地元の問題で大変恐縮なんですが、私の
地元の
活火山として
十勝岳というのがございます。
雲仙の方は大変に今も続いておりまして、
被害者がこれは
人命損傷も随分あって本当にお気の毒だったと思いますけれども、私の方の
地元の
十勝岳も従来から何度も何度も
爆発を繰り返しておりまして、記録に残っておるのでも五回ぐらいございます。最も大きな
被害は大正十五年の七月十一日ですけれども、
噴火による大
泥流ですね、
火砕流、
土石流、これが
下流一体を襲いまして、今は町になっておりますけれども、当時の
上宮良野村というところを
中心に一帯、これは幾つもの村落が
崩壊をいたしまして、このときには死者が百五十四名も出ているという大惨事が起こっております。このときの
様子については、旭川市にお住まいのあの著名な作家である
三浦綾子先生が「
泥流地帯」という名著を著しておられまして、その中にこの惨状の
様子がつぶさに書かれておるところであります。
この
十勝岳は、ごく最近は実は
昭和六十三年十二月二十六日に、これは二十六年ぶりの
噴火でしたけれども、
噴火いたしまして
泥流災害が
発生いたしました。ただ、これが
噴火のエネルギーが
割合予想よりも小さかったものですから、
人命等の
被害はなくて島原のようなことにはならなかったわけですけれども、しかし依然として噴煙を噴き上げておりまして、将来もこれは本格的な
噴火が
発生する
可能性が指摘されているのですね。
十勝岳に関しましては、従来から
防災工事も行われておりましたけれども、この六十三年の十二月を契機にいたしまして一層
治山事業あるいは
砂防事業等が大々的にといいますか、大
規模で行われるようになっておるわけです。
ところで、この
治山治水緊急措置法によりますと、
事業の分掌がございますね。
治山事業については、
森林法の四十一条で
保安施設の
事業などなど、これは農林水産省の管轄ということになる。それから
砂防事業については、
砂防法の一条などなどで
砂防設備事業あるいは
ダム工事などですね、これは
建設省のお
仕事になるというようなことになると思います。そしてまた、地方自治体あるいは
北海道、それからまた
地元の自治体、それに
北海道の場合には
開発庁もございますので、それぞれ
仕事を分掌しなければならないということになるんだろうと思うのですけれども、
十勝岳の全般的な
防災工事、今言いましたような
治山治水関係含めて、これは
各省間の
調整がどうしても必要になってくるだろうと思われます。住んでいる
住民に。とっては、どこでやってくれようと、どういう
予算を使われようと、要するに全体的にしかも早くきちんとしたものをつくり上げてもらって、
災害の
発生の場合にも損害のないようにしてもらいたいということが願いなわけですけれども、しかしやる方にとってみれば、権限の問題だとか
予算の問題だとかいろいろあるわけですけれども、この
十勝岳の
防災工事に関連しては
各省間の
調整などがどういうように行われ、しかもそれが現在どういうような
状態で
工事が、
事業が進捗しているのか、円滑にいっているのかどうか、その辺のところからまず
お尋ねをしたいと思いますけれども、
最初に
林野庁どうですか。