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1992-03-26 第123回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月二十六日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 古賀  誠君    理事 片岡 武司君 理事 金子原二郎君    理事 北村 直人君 理事 杉山 憲夫君    理事 渡海紀三朗君 理事 三野 優美君    理事 山内  弘君 理事 吉井 光照君       植竹 繁雄君    川崎 二郎君       瓦   力君    木村 守男君       久野統一郎君    島村 宜伸君       中谷  元君    野田  実君       萩山 教嚴君    古屋 圭司君       光武  顕君    柳本 卓治君       山本 有二君    石井  智君       木間  章君    貴志 八郎君       渋谷  修君    松本  龍君       山元  勉君    和田 貞夫君       竹内 勝彦君    伏木 和雄君       薮仲 義彦君    辻  第一君       川端 達夫君    米沢  隆君  出席国務大臣         建 設 大 臣 山崎  拓君         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)   出席政府委員         国土庁長官官房 藤原 良一君         長         国土庁長官官房 山内  彪君         長水資源部長          国土庁大都市圏 西谷  剛君         整備局長                国土庁地方振興 小島 重喜君         局長                  外務大臣官房審 畠中  篤君         議官                建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君  委員外出席者         環境庁水質保全 石田 祐幸君         局水質管理課長                環境庁水質保全 鈴木  繁君         局水質規制課長                厚生省生活衛生         局水道環境部水 藤原 正弘君         道整備課長         厚生省生活衛生          局水道環境部環 喜多村悦史君         境整備課浄化槽                対策室長         農林水産省構造         改善局各部地 山村 宗仁君         域計画課計画調         整室長         水産庁研究部漁 吉崎  清君         場保全課長         通商産業省立地         公害局産業施設 河野 修一君         課長         建設委員会調査 杉本 康人君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   菅原喜重郎君     永末 英一君 同月十一日  辞任         補欠選任   永末 英一君     米沢  隆君 同月十二日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     吹田  愰君   川崎 二郎君     綿貫 民輔君 同日  辞任         補欠選任   吹田  愰君     植竹 繁雄君   綿貫 民輔君     川崎 二郎君 同月十三日  委員上野建一君が退職された。 同月二十六日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     中谷  元君   塩谷  立君     古屋 圭司君   島村 宜伸君     柳本 卓治君   石井  智君     山元  勉君   松本  龍君     和田 貞夫君   薮仲 義彦君     竹内 勝彦君   米沢  隆君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   中谷  元君     川崎 二郎君   古屋 圭司君     塩谷  立君   柳本 卓治君     島村 宜伸君   山元  勉君     石井  智君   和田 貞夫君     松本  龍君   竹内 勝彦君     薮仲 義彦君   川端 達夫君     米沢  隆君     ――――――――――――― 三月十三日  総合保養地域整備法の一部を改正する法律案  (第百二十回国会衆法第一一号)の提出者「木  間章君外十名」は「木間章君外九名」に訂正さ  れた。 三月十三日  建築設備士資格創設に関する請願岩屋毅君  紹介)(第四八五号)  同(北川正恭紹介)(第四八六号)  同(逢沢一郎紹介)(第五二二号) 同月二十四日  建築設備士資格創設に関する請願原田義昭  君紹介)(第七三九号)  同(臼井日出男紹介)(第八一七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十六日  治水事業促進に関する陳情書外五件  (第五二号  )  新離島振興法の制定に関する陳情書  (第五三号)  下水道整備事業促進に関する陳情書  (第五四号)  国道網整備促進に関する陳情書  (第五五号)  主要幹線道路建設促進に関する陳情書  (第五六号)  第二国土軸構想推進に関する陳情書  (第五七号)  四国縦貫横断自動車道並びに高規格幹線道路  等の整備促進に関する陳情書  (  第五八号)  第二名神の早期着工に関する陳情書  (第五九  号)  大津道路等整備に関する陳情書  (第六〇号  )  本州四国連絡橋建設促進に関する陳情書  (第六一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第六号)  特殊土ょう地帯災害防除及び振興臨時措置法  の一部を改正する法律案起草の件  公有地拡大推進に関する法律及び都市開発  資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出第一六号)      ――――◇―――――
  2. 古賀誠

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久野統一郎君。
  3. 久野統一郎

    久野委員 ただいま議題となりました琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案に関し、質問をいたします。  琵琶湖総合開発特別措置法は、我が国最大の湖である琵琶湖について、その自然環境保全と汚濁した水質の回復を図りつつ、その水資源の利用と関係住民の福祉とをあわせ推進し、近畿圏の健全な発展に寄与することを目的として、昭和四十七年に制定されてから二十年を経過し、琵琶湖周辺環境整備がかなり進んだことは事実でありますが、立法当初総合計画に描いた姿については、いまだその所期の目的は達成されていない状況にあります。  私といたしましては、琵琶湖総合開発事業早期完成重要性にかんがみ、法律有効期限の五カ年の延長は必要不可欠なものと考えておりますが、今後どのようにして琵琶湖総合開発事業を完成させるかという点について、政府考え方をお聞かせいただきたいと思います。  まず最初に、琵琶湖総合開発事業の現在の進捗状況、また進捗がおくれた理由について質問をいたします。
  4. 西谷剛

    西谷政府委員 お答えを申し上げます。  琵琶湖総合開発事業は、昭和四十七年に法律を制定していただきましてから今日まで、二十年間を経たわけでございます。二十年間予定いたしました計画事業は、額にいたしまして一兆六千億円余でございます。平成三年度末、法律期限が切れます今日まで、二十カ年でやってまいりました事業は、一兆四千八百億円余でございます。したがいまして、進捗率は額の上では九三%という数字になります。しかし、これは名目の数字でございまして、実質的に残っている事業がどうかというふうに事業の量で考えてみますと、これは事業種類によって延長とか面積とかいろいろ複雑な要素があって、正確な数字は出てまいりませんが、おおよそ八割程度進捗ではないかと認識しております。つまり、二割程度はまだ残事業として残っているということでございます。  このおくれた理由についてお尋ねがございましたが、これも個別の事業によって状況がそれぞれ違いますけれども、総じて申し上げれば、四つほど理由があるかと思っております。  一つは、下水処理場し尿処理場ダム建設等地元の合意なり理解なり協力を得ることがなかなか難航した、それに時間を要したという点が第一点。第二点は、地価高騰等の影響で用地交渉に非常に手間取ったという、これが第二点。第三点としましては、滋賀県は全国屈指埋蔵文化財の宝庫でございまして、この埋蔵文化財関係調査に非常に長期間を要した、これが三点目として挙げられようかと思います。四点目としましては、環境上の問題から、例えば湖岸堤ルート決定が難航いたしまして、この湖岸堤の前面に整備する予定都市公園整備着手がおくれた、こういう事情がございまして、総じて言えば、以上のような点が、事業のおくれた理由だと認識しております。
  5. 久野統一郎

    久野委員 地元住民との話し合いだとか、地価高騰だとか、文化財だとか、環境保全だとか、また予定の予算もついてないということですので、おくれたのはやむを得ないかなと思うわけでございます。  次に、琵琶湖総合開発事業の今後五カ年間事業内容について説明をお願いいたします。
  6. 西谷剛

    西谷政府委員 琵琶湖総合開発事業は、御承知のように、二十二種類事業から実は成っております。  これを大きく二つに分けますと、下流府県に水を出す水資源開発事業、俗に水出し事業と呼んでいる、これが一つ。それから、それの対象として琵琶湖周辺地域を開発整備する事業地域開発事業と呼んでおりますが、これが二十一種類ございます。  今日時点で、おかげさまで水出し事業の方は完了いたしました。概成を見ることになりました。  そこで、地域開発事業、二十一種類の方がまだ残っているわけですが、さらに詳しく見ますと、その中で治山事業漁港事業畜産環境整備事業、この三つ事業が既に完了いたしまして、したがって地域開発事業のうちの十八種類事業が残っているということになります。これを、どれだけ残っているかを額で積み上げてみますと、約三千八百億円の事業量が残っております。したがって、新計画では十八種類、三千八百億円の事業をやっていく、こういうことになるわけでございます。  そこで、新しくつくりますプラス五カ年分の事業計画特色を幾つか申し上げてみますと、一つは、水質保全するために農村集落排水処理事業、俗に農村下水道と呼んでおりますが、この事業を、実は残事業と先ほど申し上げましたが、この点だけは、水質のことにかんがみまして、新たに追加するということをいたしました。約六十集落を新たに追加して農村下水整備をしていく、これが一つ。それから、同じく水質に絡みますので、下水道事業については処理対象区域拡大する、五百九十ヘクタールの拡大をするという工夫を凝らす、これが二つ目特色として挙げられようかと思います。それから、三つ目には、大津放水路草津川放水路、これは大規模事業でございますが、従来県が行っておりましたが、これを国の直轄事業ということに切りかえまして、事業促進を図りたい。  以上のような三点を特色とする新計画になる予定でございます。
  7. 久野統一郎

    久野委員 事業を進めていく上で、地域開発というのも大変重要ですけれども、やはり環境保全というのが一番重要ではないかと思うわけで、下水道整備に力を注いでいかなければなりません。そこで、下水道整備についてお聞きいたします。法律案からはちょっとそれるのですけれども、私の選出県であります愛知県、中京圏下水道普及率についてあわせてお伺いいたします。  琵琶湖においても、水質保全対策基本下水道整備であり、その促進を図る必要があります。また、富栄養化を防止し、赤潮やアオコの発生を制御するため栄養塩類窒素、燐を削減する高度処理を行う必要がありますが、琵琶湖流域における下水道整備高度処理の現況、及び今後の見通しと、取り組む姿勢についてお聞きいたします。
  8. 市川一朗

    市川政府委員 お答え申し上げます。  まず、下水道普及率お尋ねがございましたけれども中部圏としてとらえます場合の範囲の問題もちょっとございますが、まず県で申し上げますと、下水道普及率愛知県が四〇%、岐阜県が二八%、それから例えば滋賀県が二八%でございまして、広く中部圏としてとらえました場合には、平均して三〇%という数字が出ております。その場合の中部圏は、行政人口で約二千万人の規模でございます。そういったような状況にございまして、全国普及率は、同じ平成二年度末の数字でございますが、四四%でございますので、若干全国平均を下回っておるといったような状況でございます。  それから、琵琶湖下水道関係でございますが、琵琶湖流域につきましては、琵琶湖流域下水道とそれから大津市等の公共下水道整備下水道整備を行っておりまして、平成二年度末の下水道普及率は二六%でございます。琵琶湖流域下水道につきましては、御指摘のような状況がございますので、窒素燐等を除去するための高度処理を全部実施しておるところでございまして、この辺は、全国下水道の中では、高度処理が最も進んでおるところの一つというふうに私どもは認識しております。ただ、普及率が二六%と低くなっておりますのは、先ほど国土庁西谷局長からも御答弁がございましたように、若干着手等で手間取ったせいもございますが、現時点では、例えば琵琶湖流域下水道に関しますと、四つ処理区に分かれて行われておりますが、いずれも順調に事業は進んでおりまして、このおくれは早急に取り戻すことができるというふうに私ども思っておる次第でございます。特に未供用市町村早期供用開始を図ることを中心といたしまして、また、高度処理も進めていきながら私ども事業推進に努めてまいりますが、とりあえず、今回の琵琶湖総合開発計画が終了いたします平成八年度末には、琵琶湖流域下水道普及率は五〇%ぐらいには持っていけるのではないかという見通しを持っておるところでございます。
  9. 久野統一郎

    久野委員 まだ私の持ち時間があるようですけれども、大体要所をお伺いしましたので、最後に長官に伺って終わりたいと思います。  三度目の正直と申しますけれども計画どおり事業を施行していただきたいと思います。五年間ということですけれども、長いようで短いものでございます。事業完成に向け、積極的な対応をお願いしたいと思います。長官の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  10. 東家嘉幸

    東家国務大臣 琵琶湖総合開発を完遂することは、二十一世紀に向けた国土の均衡ある発展のためにも、重要な課題でございます。近畿圏の健全な発展のためにも、この琵琶湖総合開発は欠かせない重要なこととして、今後とも私どもは、各関係省庁と、また各事業団体とも、積極的に協力を求めながら、期限内に完成するように、完遂するように、努めてまいりたいと思う所存でございます。
  11. 久野統一郎

    久野委員 どうもありがとうございました。
  12. 古賀誠

  13. 和田貞夫

    和田(貞)委員 二年前に総理府が「人と水とのかかわりに関する世論調査」というものを行っておりますが、その結果を見てまいりますと、水に対する意識感覚というのは随分変わってきておるわけでありまして、「水供給に対する意識」を見てみましても、「水道料金が高い」という声よりも、「飲んでいる水がおいしくない」という意見の方がかなり高度に進んでいるわけですね。あるいは「水の新しい役割」というところを見てみましても、六七・六%、大方七〇%の皆さんがおいしい水というもの、飲料水の質の向上に極めて高い関心を持っておられる。特に女性の皆さんの声が非常に強い、こういう結果が出ておるわけです。私たち琵琶湖淀川水系下流に住んでおる者につきましては、まさに琵琶湖総合開発ということについては、下流立場、おいしい水が欲しいという立場に立つならば、極めて強い関心を持っておるわけでございます。  そこで、まずこの法律がさらに五年間延長ということであるわけでございますが、地域開発事業が今日まで行われておって、なお五年間延長ということでございますけれども、例えば滋賀県における下水道普及率というのは、十年前が四・六%であった。この十年の間に急激に普及率が伸びて二八・二%になっておる。しかし全国平均を見てまいりますと、十年前が三三%、十年後の今日では全国平均で四四%になる見込みだ、こういうことですね。滋賀県の普及率はこの法律によってかなり力が注がれておったとしても、結果、こういうことでございますので、この五年間延長でこれがおしまいになって、それで事足りるのかどうかということでございます。五年間延長で、これで完全に事業おしまいにしていいんだ、こういうように思っておられるのかどうか、まずお聞かせ願いたいと思うのです。
  14. 西谷剛

    西谷政府委員 琵琶湖の水は、これからつくります五カ年ですべてきれいになるというものでは到底なかろうかと思います。琵琶事業琵琶事業として、その推進を図りますけれども、それ以後も、例えば下水道にせよ、農村下水道にせよ、一般事業として当然事業を進めていく、それからまた同時に、事業だけではなくて、諸排水についての所要の規制なり指導なり、そういう総合行政をずっと続けていっていただく、こういうことが基本的スタンスかと存じます。
  15. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それではこの法律は、今回五年間延長してこれでおしまいだという考え方ですか。
  16. 西谷剛

    西谷政府委員 琵琶湖総合開発法そのものに関して言えば、下流に対する水出し事業水資源開発事業と、それのいわば身がわりとしての琵琶湖周辺地域開発事業をセットでやろうという事業でございまして、水資源開発事業は、先ほど申し上げましたが、平成三年度で概成する。あと、それに対応します地域開発事業残事業がある、それを完遂する、したがって琵琶事業としては、次の五カ年で終わり、このように考えております。
  17. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、下流の者が期待をしておるように、この法律が五年で終わって、そして私たちが安心して琵琶湖水質が美しくなったということを期待していいわけですか。
  18. 西谷剛

    西谷政府委員 実は、琵琶湖そのもの水質をどうするかというのは、先ほど申し上げたように、かなりトータルな施策をやっていかなければいけない。この方は、環境庁が所管しております湖沼法という法律があって、その湖沼法の方で琵琶湖水質保全計画というものを立てていく、こういうことになっているわけでございます。それは当然琵琶事業が終わりましても続いていく事業であって、そちらの方で対応していく話かなというように思っております。
  19. 和田貞夫

    和田(貞)委員 援護射撃をやり、支援をやるための琵総法のこの法律に基づいて、例えば先ほど申し上げましたように、下水道事業、この一つをとってみても、全国平均にまだ満たないという、そういう今日の事情でしょう。私たちはやはり、この下流におる者としては、琵琶湖周辺下水道事業全国平均を上回る、こういうことになって、初めて私たちは安心というのができるわけですね。そういう一点をとっても、この法律というのは、五年であと残事業を済ませば事足りるというようにお考えになっておるのかどうかということを聞いておるのです。
  20. 西谷剛

    西谷政府委員 いささか繰り返しになりますけれども琵琶湖総合開発事業としては五年間、ただし琵琶湖水質保全するための事業をやらなくていいということではございません。それは、湖沼法に基づく計画に基づいて、諸事業を、当然、下水道の今後の一般事業として、あるいは農村下水道一般事業として、着実にやっていく、こういうことであろうと認識しております。
  21. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そのことはひとつ後でもう一度議論させていただくとして、この際に聞いておきたいのは、周辺地域開発事業あと年間延長してやられるわけでございますが、琵琶湖開発事業がこのあたりであとはひとつ施設管理に移していくということでございますが、繰り返し繰り返しして二十年間今日まで水資源開発公団が行ってきた事業、これが新年度から施設管理に移行していくわけでございますけれども、この年間施設管理費というのは、どの程度見込んでおられるのですか。
  22. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 お尋ねは、今後の年間施設管理費はどの程度かという御質問でございますが、まず平成四年度の琵琶湖開発施設管理に係る経費といたしましては、湖岸堤及び管理用道路排水機場、瀬田川流いせきバイパス水路等維持管理費航路しゅんせつに係る経費及び事務費等合わせまして、総額約三十一億円を予定しております。ただこれは、現在平成三年度で進められております各事業残務整理等平成四年度に も見込まれますので、それらに関する経費も織り込んでございます。平常年となりますと、これより少なくなるものと推定しております。
  23. 和田貞夫

    和田(貞)委員 大体どの程度、どのぐらいになりますか。
  24. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 詰めておりませんので若干粗い数字となりますが、今申し上げた数字から恐らくは四、五億円ぐらいは少なくなるのではないかと推定しております。
  25. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この管理費負担というのは、やはり最終的に私たち下流住民負担をしなければならないということになっていくわけでございますから、できるだけ軽減を図るように努力してほしい、こういうように思うわけですが、どうですか。
  26. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 おっしゃるとおり、管理費用に係る負担割合は、それぞれ施設の持ち分に応じて負担することとしておりまして、基本的には、治水関係費用としては二〇・一%、水道は六〇・二六%、工業用水道が一九・六四%という数字でございまして、下流利水者負担割合は約八割となるものと存じております。  もとより、この施設管理に当たりましては、経費節減に努めるとともに、下流住民負担軽減が図られるように努力してまいる所存でございます。
  27. 和田貞夫

    和田(貞)委員 後で述べますけれども水処理に当たってもかなり住民負担がかかってくるわけでございますから、できるだけ管理費節減節減を加えて、下流住民負担が重くならないように、この際ひとつ努力をしてもらいたいということを申しつけておきたいと思うわけでございます。  そこで、水質保全事業についてでございますが、この琵琶湖水質自然環境保全、これはこの法律目的であるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、下水道し尿処理施設あるいは公園等整備事業等を今日まで行っておられたわけでございますが、これまた下流の、私たちの住んでおるそれぞれの自治体も、滋賀県に対しまして、その役割の一端を担うということで、五百九十億円の負担をする役割を今日まで果たしてきております。  ところが、滋賀県がいわゆるリゾート法総合保養地域整備法に基づいて琵琶湖周辺リゾートネックレス構想を作成されたわけでございますが、このことによって、私たちが心配をしておる、今以上に水質汚濁が増大をすることがないかどうかという、水質保全対策について、国の方はどういうように考えておられるのか、この機会にお聞かせ願いたいと思うわけでございますが、私がこういう質問をしたいということを述べましたら、国土庁長官、これは国土庁と違う、こう言うのですよ、環境庁や。環境庁に言えば、いやいや、これは環境庁と違う、国土庁だ。私はこれはどっちでもいいのですよ。質問者に対しまして、おれとこと違う、おれとこと違う。一体これはどういうこっちゃ。その結果、やはり国土庁から答弁させてもらいます。どっちでもええわい。環境庁も呼んでこい。こういうように私は言っておりますので、国土庁であるのか、建設省であるのか、わからぬけれども質問の骨子をとりに来る人たちのこういうような姿勢から大体けしからぬと私は思う。大臣一人しかおられませんが、そういうような質問者に対してはかげた態度で臨むのであれば、私はよりばからしくて質問したくないのです。まず、そのことをこの際ひとつ、せっかく大臣来ておられるのですから、お聞かせ願いたい。
  28. 東家嘉幸

    東家国務大臣 今回の残事業について、琵琶湖総合開発の一環的な各関係省庁は一体となって取り組むべきその調整役がまた国土庁でもございますから、そういうお尋ねのいろいろな角度からの問題は、調整官庁としての立場から、今後ともその問題点、お触れになられたことについては鋭意努力して、先生のただいまおしかりのようなことのないように努めてまいりたいと思います。
  29. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  まず、先生にそのような失礼なことを申し上げたことにつきまして、心からおわびを申し上げたいと思います。  リゾート法に基づきまして、御指摘のように、滋賀県は構想を立てております。ただ私どもは、そのリゾート法の中そのものに、自然環境との調和、あるいは自然を大切にするということは常々申し上げておりますし、大変重要なことでございます。特に今御指摘の琵琶湖というのは、ただ単に滋賀県だけの問題でございませんで、御案内のとおり、下流の府県に大変影響があるわけでございます。  そこで、滋賀県がつくっております基本構想によりますと、ちょっと読み上げさせていただきますと、   湖国の豊かな自然環境、中でも琵琶湖は本県  および下流府県の生活と産業活動を支える基盤  であり、その水質を清澄に保全することは本県  の最重要課題の一つである。   このことから、琵琶湖をはじめとする公共用  水域の水質保全を図るため、湖沼水質保全特別  措置法に基づく「琵琶湖に係る湖沼水質保全計  画」との整合性を保ちながら本構想を推進す  る。というような位置づけをしてございまして、琵琶湖のリゾートの整備に当たりましても、琵琶湖水質保全ということは、滋賀県といたしましても最重要課題である、かように位置づけておりますし、私どもも、今先生の御指摘の点、さらに滋賀県の方に注意を喚起してまいりたい、かように考えております。
  30. 和田貞夫

    和田(貞)委員 環境庁はどうですか。環境庁はどう思いますか。
  31. 石田祐幸

    ○石田説明員 お答え申し上げます。  今回の琵琶湖リゾートネックレス構想の策定に際しまして水質保全対策を十分講じたか、こういう御質問がと存じます。  リゾート構想に対する環境庁のかかわりについてまずお答え申し上げますと、リゾート法に基づきまして主務大臣が各都道府県のリゾート構想を承認する際に、環境庁長官に協議しなければならない、こういうことになってございます。したがいまして、環境庁としましては、構想作成の早い段階から十分に調整を図るように従来から努めてまいっております。  今回、現実にこのリゾート構想の基本構想について協議を受けました際に、環境保全の観点から審査を行いまして、必要に応じて環境保全に十分な配慮がなされるよう、意見を申し上げているところでございます。  具体的には、先生御質問琵琶湖リゾートネックレス構想についてでございますが、平成二年の十二月十八日付で主務大臣に異議がない旨の回答をいたしておりますが、その際に、私どもとしまして、水質汚濁防止の観点から、次のような意見を付しておるところでございます。すなわち、「琵琶湖の水域環境重要性及び水質の現状に鑑み、汚水等の排出により水域環境の悪化をまねくことのないよう万全の措置を講ずる必要がある」ということでございます。  なお、この構想は、湖沼法に基づきます琵琶湖の湖沼水質保全計画と整合性を保ちながら実施されていくものと、私どもは理解しておる次第でございます。
  32. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、環境庁を含めまして、国の方が、安心しろ、この今回の滋賀県が計画をした周辺リゾートネックレスについては、水質の汚濁は心配ないというように受けとめていいわけですね。
  33. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、滋賀県の構想によりますと、琵琶湖水質保全ということにつきましては、リゾート整備との関係から申し上げますと、それについては十分の留意を行うということでございますし、私どもも今後とも、今御指摘のようなことも含めまして、滋賀県に対してもそのようなことで指導してまいりたい、かように考えております。
  34. 和田貞夫

    和田(貞)委員  私の聞いておるのは、私一人じゃなくて、上流ですから、琵琶湖のことですから、水のお世話になっておるのですから、だから、そのようなことで滋賀県が十分に考えておる、これからなおその方向で指導していきたいということだけの答弁じゃなくて、国の方ではひとつ安心しるというように下流の私たちに言っておられるというように受けとめていいのかどうかということを聞いているわけです。
  35. 東家嘉幸

    東家国務大臣 国土庁としては、承認いたしました以上は、そうしたすべての、環境も含めて、その責任を果たしていく必要があるということは、十分認識いたしております。いろいろと経済的な変化等々、また環境問題等にも、承認した地域の中には修正したり、よりまたさらに発展さすような方向でというようなことで、まだ緒についたばかりの今日の状況でございますから、先ほどからお尋ねの、特にそうしたリゾートによって侵される環境の問題は、当然考えていくべきことでございますから、当局とよく今後ともさらに詰めて取り組んでいきたいという考えております。
  36. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ぜひともひとつ、滋賀県に住しておるんだということじゃなくて、許可をおろしたのはあなたの方ですから、責任を持って対処するというようにしてもらいたいということを、強く要望しておきたいと思うわけでございます。  そこで、現状の琵琶湖水質、これはもう一目瞭然でございますが、例えば京都の場合は疎水から、京都の市民がその水で潤っているわけですね。そして京都の市民は、これがまた下水処理をして淀川に放流される。淀川に放流された水は、今度は大阪の大阪市を除く市外の市町村に供給する原水の取水を、これは淀川の中宮というところから取水しているわけですね。さらにその下流の柴島で大阪市の経営している水道事業者が取水をしているわけです。この三点を見てみましても、かなり水質の汚濁というのが高じてきているわけです。これは当然の話であろうと思われる。  そこで、大阪市議会におきましても、大阪府議会におきましても、問題になりました。先ほども冒頭申し上げましたように、総理府が調査をやった結果を見てみましても、全国的においしい水が欲しいということでございますが、特に大阪の場合は、そのことが言えるわけです。残念ながら大阪の水は全国一悪い、おいしくない、こういうように言われておるくらいでございまして、そういう中で、大阪府が、一昨年琵琶湖淀川水系水質悪化に伴って水道のカビ臭などを解消するために、大阪府と大阪市は高度浄水処理を全面的に導入するということをそれぞれ議会に知事、市長が約束して、この処理に踏み切ったわけなんです。そうすると、かなりの経費がかかるわけなんです。大阪府では約六百億円、大阪市では約七百五十億円、これだけの経費がかかってくるわけであります。  全国で異臭味のある水を飲まざるを得なかったという人口が千七百五十万人、これは厚生省が平成元年に調査をやった結果です。前年に比べたら四百万人ふえておる。その千七百五十万人の中で、琵琶湖淀川水系分の人口は何とその六八%、約千二百万人になんなんとしておるのです。京都が約百六十万人、神戸市を含む阪神間の淀川水系の水を利用しておる人口が百五十万人、大阪府下の淀川水系の給水を受けておる人口約八百万人、これが合わせて千二百万人になるわけですが、それらの住民がにおいがする、カビ臭がする、こういうことでございますから、どうしても大阪府、大阪市は、水道水に対するところの住民の不満の解消、信頼度を高める、そのためには、そのような高度浄水処理費用をかけてでもやらざるを得ないということで踏み切ったわけであります。  そうすると、先ほど大臣の方から新しいリゾート計画について、これから国の方も責任を持ってこれ以上琵琶湖水質が汚れないように、汚濁しないように努力するということを言われたわけでございますが、現状でもこういうことでございまして、このようなことになったことは、私は単に滋賀県の責任というようなことで、あるいは水系の自治体の責任ということじゃなくて、ここまでこの法律が施行されて約二十年間法律に基づいて水質保全、このためにこの法をもとにして、事業は公団がやっておりますが、国の責任で今日までやってきた結果、なおこういうことであるとするならば、これは国土庁であるとか、環境庁であるとか、厚生省であるとかということではなくて、国の責任をこの際きちっとして、このような高度浄水処理をされますと、なるほどおいしい水でということで、結果的には住民が喜ぶといたしましても、やがては、最終的にはその費用住民にかかってくるわけでありますから、その費用軽減のために、この際、国の方で補助をそれぞれの自治体に出すというような考え方がおありであるかどうかということを、ひとつお答え願いたいと思います。
  37. 藤原正弘

    藤原説明員 水道事業を所管しております厚生省の立場からお答えを申し上げたいと思います。  全国で異臭味被害を受けている人口、つまり異臭味被害人口と申しておりますが、これは委員御指摘のように大変多くなっております。そしてまた、淀川水系の人口がそれの大半を占めておるということも事実でございます。  水道原水の水質保全につきましては、基本的には水質汚濁防止法とか、湖沼法とか、こういう公害規制法律に基づきまして環境行政の取り組みに期待するものでございますが、水道利用者のおいしい水を飲みたいという要求にこたえるために、水道事業体におきましては、オゾン処理、活性炭処理、生物処理等の高度浄水施設を導入するようになってきております。琵琶湖下流水道事業体においても、例えば大阪府営水道、大阪市水道を初め、導入しょうとしているところが多いわけであります。  このため、厚生省では、昭和六十三年度に高度浄水施設に対する国庫補助制度を創設して、財政支援を行ってきたところでございますが、平成四年度予算案では、高度浄水施設整備費として二十一億円、水道広域化施設整備費として三百八十八億円を計上しておりまして、そしてまた補助率で申しますと四分の一ないし三分の一というふうになっておりますが、今後ともこれらの制度を活用しまして高度浄水施設整備負担軽減を図り、安全でおいしい水の供給の確保に努力してまいりたい、このように考えております。
  38. 和田貞夫

    和田(貞)委員 厚生省、今後もこの高度浄水処理に対して自治体に財政的な援助を期待していいのですね。
  39. 藤原正弘

    藤原説明員 厚生省の持っております水道施設整備費の円滑な運用によりまして、今後の高度浄水施設整備を円滑に図るように努力してまいりたい、このように思っております。
  40. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは大臣、厚生省は水道事業に対して、今言われているように補助事業、補助ということを考えておられるのですね。これは当然であるわけでございますけれども、やはり今日まで二十年間この事業をこの法律に基づいてやってきた。にもかかわらず、二十年前と比較いたしまして琵琶湖並びに淀川水系が非常に汚濁してきた。だから、こうなってきたのでありますから、法律に基づいて事業をやっておるにもかかわらずこのように水質汚濁が進んできたということは、これはやはり事業はやってきたけれども事業が不十分であったというように言わざるを得ないわけです。そのような不十分な事業の中で、国の水質保全施策というものが十分でなかったということになるわけでございますから、単に水道事業に対して厚生省の補助ということだけではなくて、国としてやはり何らかの財政的な措置というものを考えるという考え方はないですか。
  41. 西谷剛

    西谷政府委員 もう既に先生御承知のところでございますが、琵琶湖総合開発事業、特に水質保全関係の事業はその中でも大きなウエートを占めていて、これはいわゆる補助率の特例措置を設けながらその事業推進を図っているということでございます。しかも、今後の新しい五カ年の計画におきましては、農村下水道事業を新たに追加するというようなこと、都市下水道処理対象区域を広げるというようなことで、精いっぱい事業をやってきている、やろうとしているということでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  42. 和田貞夫

    和田(貞)委員 無理に金出せということを言ってるんじゃなくて、やはりそれだけの責任を持ってこれ以上水質汚濁が進まないようにひとつ努力してほしい、こういうように思うわけでございます。  なお、厚生省に申し上げておきますが、先ほども申し上げましたこの大阪市、大阪府がそれぞれ六百億円、七百五十億円をもって八年ないし九年後に約千二百万人の住民に異臭味のない水を送り届けるということになりました暁には、標準家庭で水道料金が大体二百四十円ずつ負担が重くなるということを頭に入れていただいて、ぜひともひとつこの国庫補助を大阪府・市に向けてどうぞ積極的な援助措置をやってもらいたいということを、この機会にお願いをしておきたいと思います。  そこで、先ほどから申し述べておりますように、琵琶湖琵琶湖滋賀県が琵琶湖周辺をこの法律に基づいて水質保全をする、自然を保全していくということだけでなくて、リゾート計画も入れてやはり県の発展、観光地の造成等々を考えるのは、これは自治体として当然のことであろうと思いますが、それはそれ、あるいは淀川の上流の自治体は上流の自治体でそれはそれ、下流の水系の自治体がそれはそれということで、それぞれ県は思い思いの考え方、自治体はそれぞれ思い思いのやり方でこのような琵琶湖淀川水系水質保全ということを考えていけば、もうてんでんばらばらで、どうにもこうにも一貫した取り組みというのはできないわけであります。ここはひとつ、国の方が責任ある行政指導をもって水質保全のために努力するというそういう姿勢が欲しいと思うわけでございますが、この際、もう一度お答え願いたいと思います。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  43. 西谷剛

    西谷政府委員 先生御指摘いただきましたところは非常によくわかります。それぞれてんでんばらばらに個別事業をやるということではなくて、いわば水系を一貫してその水質保全ということをやっていくべきだ。そういう立場からしますと、私ども近畿圏整備計画というような広域的な総合的な計画責任を持っております。当然現在でも、その近畿圏整備計画の中では、管内の水質保全というのは重要な課題でありますが、これが単なる作文に終わることなく実効を上げていくということで、関係省庁とよく連絡をとって総体的なバランスをとっていきたい、このように思います。
  44. 和田貞夫

    和田(貞)委員 本気でそういう答弁をなさっておられるのであれば、先ほど私がちょっとかみつきましたように、私の質問に対して、これはおれのところと違うんや、これはおれのところと違うんやというようなことにはならないと私は思うんですよ。どこであろうが、ここであろうが、この際、国が責任を持った行政指導を、各県、各自治体に指導力を発揮してやっていく。それには、国の関係省庁挙げて協力してやっていくということでなかったらいかぬわけですね。ぜひとも、今の答弁を私は信じたいと思いますが、この際、改めて大臣の方からひとつお答えいただきたいと思います。
  45. 東家嘉幸

    東家国務大臣 それぞれ分担した役割を担っておられる、その調整をするのが私たちのまた役目でもございますし、例えば下水道にしましても、二七、八%と非常におくれておった。そのおくれをどう取り戻し、そしてまた今後汚濁のないような推進を図るのか。なおまた、農村集落排水事業もこれから進められていくわけでございますから、そうした総合的に見た場合の今後の取り組みというものはもう同じことでございますけれども、我々がよりこうした法律に基づく推進を図っていくかということであろうと思っておりますので、先生から再三お尋ねのそうした方向での取り組む姿勢というものは、責任持って私どもは各省庁と諮りながら推進していく覚悟でございますことを、改めて表明させていただきます。
  46. 和田貞夫

    和田(貞)委員 冒頭御質問させていただきましたこの法律目的、趣旨、これが達成できたとするならば、この措置法というのはこれでおしまいだ、こういうことで私は納得するわけです。しかし、もともとこの目的が「琵琶湖自然環境保全と汚濁した水質の回復」、これ以上水質の汚濁を防止するということができても、少なくとも法律にうたわれておる「汚濁した水質の回復」ということであれば、今までも五年間、五年間で小刻みに延長してきて、なお、今回五年間延長するということでしょう。この法律に基づくところの目的というのを達成したから、あと五年で、残事業で、これで事終わりだというように思っておられるのですか。
  47. 西谷剛

    西谷政府委員 水質の問題はどこまでいけばおしまいということはないと存じます。他方、琵琶湖総合開発事業は、先ほども申し上げましたが、下流に水を供給するという一つの柱、これは言葉は悪うございますが、それの見返りとして地元地域整備を図る、その際、水質の汚濁の防止も当然目的として入っている。そういうことからしますと、おのずから一定の限度があり、現に水出し事業下流への水供給事業が終わったという時点で考えてみますと、当初計画しましたいわゆる地域開発事業残事業を消化する、残事業といいましても、その中で水質関係は最大限の努力をするわけでございますが、そこまでが限度ではないか。しかし、そのことは、水質が後はどうなってもいいということを言っているのではございませんで、繰り返すようですが、湖沼法に基づく湖沼保全計画、そちらの方で受け取っていただいて、いわば一般事業あるいはその他の規制措置などを総合的に講じていく。そして永遠の課題である水質を、まさにどこまでいけば終わりなのか、私もよくわかりませんけれども、徹底的な水質保全を目指してさらに進める、こういうことでなかろうかと存じます。
  48. 和田貞夫

    和田(貞)委員 きょうは内閣委員会の方で、二十一世紀に部落差別を持ち起さないということで、地対財特法の今審議をやっている最中ですけれども、永久に差別があってはいけないので、差別を解消するためにこれも特別措置法。しかし、その特別措置法というのは、やはり差別が解消した時点でその特別措置法の任務というのが終わるので、それでこの法律おしまいということになる性格のものなのだ。  この法律も、琵琶湖水質がいろいろな事情で汚濁してきた、今言われた二つ目的を持った総合開発法とはいうものの、地域の開発、整備、これも水質の汚濁を防止するための目的を持った事業なのです。法律にうたわれておるように、琵琶湖自然環境保全、これ以上琵琶湖周辺自然環境を悪くしたらいかぬ。水質が汚濁したということを認めておるのですよ。と同時に、汚濁をした水質を回復する目的のために、この法律ができたのでしょう。であるならば、先ほど一つの例を申し上げた部落の差別をなくするための法律水質の汚濁をなくするための、回復するための法律、私は、特別措置法として同じような性格を持っている以上は、これで万々琵琶湖の、あるいはこの琵琶湖水系の水質の汚濁の回復ができたのだ、あと五年たてば回復することができるのだ、だからこの法律あと五年でおしまいなのだということであれば筋が通る。そうじゃないのでしょう。
  49. 西谷剛

    西谷政府委員 琵琶湖総合開発事業を二十年間やってまいりまして、法制定時の水質から見ますと、実は五十年代の中ごろに非常に水質が悪くなったわけでございます。しかし、琵琶湖総合開発事業をやってまいりましたためにと申しますか、その効果が出まして、五十年代中ごろに高まりました水質はやや改善をしてまいりました。  ただ、まだ昔、この昔というのはいつごろをとらえるかにもよるのですが、法施行前の水質までやや達してない。ほぼ行ったか、やや高いかというくらいの数値でございますから、そう申し上げるわけですが、いずれにせよ、琵琶湖総合開発事業をやったことが、水質保全に寄与したということ自体は言えるのではないか。そうして、繰り返しになりますが、将来永久に事業をやっていかなければいけないということも事実であって、その点については、私としましても、琵琶総法が終わったら、あるいは事業が終わったら、後は知りませんよ、こういうことでは決してないということを、御理解をいただきたいと思います。
  50. 和田貞夫

    和田(貞)委員 事業は、これは永久的にやらなければいかぬ。私は法律のことを言っておるのです。何回も繰り返しますけれども琵琶湖水質が汚濁したということを認めているのです。その汚濁した水質の回復を図ることを、この法律目的一つにしているわけです。そして、琵琶湖水質保全するために、一つ事業として周辺開発事業を行う。一つ下流水域に対して水を送る。二つ事業をこの法律によってやってきた。  けれども、冒頭申し上げましたように、例えば滋賀県、あの琵琶湖周辺が中心ですよ、その下水道普及率一つをもって見ても、十年前に全国平均で三三%であるにもかかわらず、滋賀県が四・六%であった。十年を経過した。確かにこの法律によって滋賀県の普及率は急上昇しておる。この法律の効果が上がっているわけです。けれども、今日なお二八・二%であって、全国平均四四%と比較すると、なお普及率が悪いわけですよ。これがせめて全国平均にまであと五年たってなるというのであれば、私は何をか言わんや。そんな自信ないでしょう。そうすると、この法律が最後だというようなことは口ちぎれても言わないというのがあなたの立場でなかったらいかぬ。そうでしょう。だから、せっかくあなたが出してきたのだから、五年ということだから、もう五年でおしまいだということをあなたが言いたいかもわからぬけれども、今申し上げましたようなことであれば、そんなことは言えないはずなんです。とりあえず五年延長いたしましたけれども、その事業の推移によりましては、また考え方を改めることもありますというように、こう答えれば、かわいらしいのです。そうでしょう。  時間がもう参りましたので、そのことを含めまして、大臣の方から、私の意のあるところを酌み取っていただいて、ひとつ大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  51. 東家嘉幸

    東家国務大臣 先生がおっしゃられますこの延長計画そのものが、これで決して終わりということではないわけでございますから、今回もまたさらに十八事業に対しては三千八百億円をつぎ込んで、先生がおっしゃられるような汚濁を回復しよう、そのためには、周辺対策、治山も含めてどうしようというような総合計画を新たにするわけでございますから、延長の中にももちろん入る事業もありますけれども、早くひとつそういうことで、汚濁をどう回復し、そして滋賀県の水が、琵琶湖の水が、大阪の御地の方も、兵庫県の方にも、京都の皆さんにも、より生活の種となっていただくような取り組みをしようということでございますから、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
  52. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それじゃ、ひとつこの法の目的を達成するために、再々の延長を含めまして頑張っていただきたいことを強く要望して、終わりたいと思います。
  53. 杉山憲夫

    ○杉山委員長代理 貴志八郎君。
  54. 貴志八郎

    ○貴志委員 琵琶湖総合開発特別措置法の改正を審議するに当たりまして、これはどうしても現地の方々の意見をお伺いしたり、現場をぜひもう一遍見なければならないと思いまして、何回か足を運んでみました。いろいろな方々の御意見やら注文も聞きましたし、一昨日、一昨々日琵琶湖に参りまして、ちょうど折あしく雨が降っておりましたが、琵琶湖の湖畔に参りますと、足元はきれいに護岸され、水際を足元に見ることができますし、左側を見ますと、文化会館が石垣に模してコンクリートでそそり立つように建てられておりまして、ある意味では近代的なそういう建築と自然とが美しくさえ見えました。  目の前の琵琶湖は、非常に雨に煙って灰色になっておりましたが、水平線は見えないけれども、満々とたたえた琵琶湖の水は、これは五百万年前にできたと言われる琵琶湖であるし、有史以前のいろいろな遺跡が出てくる琵琶湖、それから織田信長や秀吉が安土に城を築いたころの壮大な政治のロマン、さまざまなものが、目の前に広がっている琵琶湖が私に語りかけるような気持ちで琵琶湖を見てまいりましたけれども、さて、そこで我々は、どうしても二十年の歴史を持つこの琵琶湖総合開発の特別措置法、二十年間の総括をやらなければならない。総括をやって、一体どこに欠陥があったのか、どこが不十分であったのか、そういう検証をしながら、最後の仕上げ、今の大臣答弁の中では、再々延長もあり得るというふうな含みのあるような御答弁でございましたが、一応はここに法律として出された以上は、五年で完成をするということでありますから、この五年間に今まででき得なかったことで何をしなければならぬのかということを、我々は追求をしてみなければならない、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、具体的にそのことを申しますと、まず琵琶湖総合開発は、先ほど来何回も指摘をされておりますように、水質保全、要するに、琵琶湖の水は千三百万人とも千二百万人とも呼ばれる人々の命の水でありまして、その水質は千二百万人の人々の生活、今、健康にかかわる問題でございますから、この水質をもとに回復させる見通しがついているかどうかということが、この法律の最後の仕上げのめどでなければならないと思うのが一つであります。  それから、二つ目には環境の問題でありますが、先ほどちょっと触れておきましたが、例えば護岸がコンクリートに固められておる、自然の砂浜がなくなっておる、自然のヨシがなくなっている、そういうふうな、自然とのかかわりを大切にすれば、自然の浄化作用を我々は享受することができるわけでありますけれども、そういう景観を含めて、自然の回復を図っていくという見通しを持つことができるのかどうかということも、二つ目に大きな課題であろうと思います。  三つ目は、やはり流域の人々の使用の水量が確保されるかどうか、確保されることがもう明確になっているかどうか、はっきりしているかどうかということ、この水質保全の問題と環境保全の問題、さらに水の確保の問題というふうなことが、今度のいわゆる琵総法の五カ年延長に当たっての大きなポイントではなかろうかと思います。  私は三つだけを申し上げましたけれども、この三つのことに対して、今は完成をしていなくとも、少なくとも五年先にはそれは確実によくなる、私はそういう保証がなければならないと思うのでありますけれども、そういった意味におきまして、総合的にまず国土庁長官の方から、先ほど来のお答えの中で、まだ先があるというふうなことで、五年間で何とかそれはやり遂げるんだという、まずそういう意気込みがなければならないと思いますが、そういった点についてのお考え方をまずお尋ねをしておきたいと思います。
  55. 東家嘉幸

    東家国務大臣 我が国の経済の状況は、社会的にも著しく変化をしてまいりました。そういう観点から、生活用水が確かに今日汚濁を起こした。工場排水等もそうでしょう。そういうような状況の変化。四十七年に制定されましたこの法律というものがあったればこそ、また、ある面においては今日この状況の中で法律によって生かされた面がかなり効果を上げていることも、また事実だと思います。  が、しかし、今お尋ねのように、近畿圏の水がめとしての重要性、それは先ほどからお尋ねのような、どう回復をさすのかというようなことで、さらに総合的な見地から延長し、そして残された残事業というものにまず取り組もうということから、各省庁が連携しながら、この琵琶湖重要性にかんがみ、そして取り組む事業というものは大きな成果を上げ得るものという前提に立って、私たちはまたさらなる法案をお願いしたわけでございますし、どうかひとつ、その点については御理解いただいて、そしてまた、地元ともよく連携を図りながら、大切なことは、先ほどからもおしかりを受けましたように、関係省庁がよくまたさらに協議しながらこの事業推進を図っていかねばならないということで取り組まさせていただきますので、どうかひとつ今後の推移をよく見守りながら、なおまた、先生方の御協力を得ながら、推進してまいりたいというふうに孝之ております。
  56. 貴志八郎

    ○貴志委員 そこで、これからは、やや具体的な課題についてお尋ねをいたします。  まず、環境庁の関係からお尋ねをいたしたいと思います。  琵琶湖水質につきましては、いろいろなデータを私どももちょうだいをいたしております。しかし、結論から申しますと、ミクロキスチスと呼ばれる植物プランクトンによりまして、水面に緑のペンキを流したようなアオコの発生、これは量の多寡はありますけれども、毎年続いてある。あるいは赤潮の発生がある。そういう状態の中で、先ほどの御答弁では、少なくとも法施行以前に近いところまでは来ておるんだというふうな胸を張ったお答えでございましたが、果たしてそのように琵琶湖の水は活性化し、よくなりつつあるというふうにお考えかどうかということを、ひとつお答えをいただきたい。
  57. 石田祐幸

    ○石田説明員 お答え申し上げます。  琵琶湖水質がどのように推移してきたか、こういう御質問でございますが、水質をはかる場合の代表的な指標でございますCODで見てみますと、ちょっと数字が幾つも出てきて恐縮でございますが、平成二年度の七五%値と、これはかなり専門的でございますが、通常これでよく見ております。これで見ますと、北湖では二・六ppm、言い直しますとミリグラム・パー・リッターでございますが、南湖では三・六、単位は省略させていただきます。それから年平均値で見ますと、北湖では二・三、南湖では二・九という状況でございます。  過去十年余の推移を見てみますと、年によりまして降水量の影響で多少変動はございますが、昭和五十五年度から五十九年度ぐらいまではおおむね改善傾向にございましたが、それ以降は、ほぼ横ばいの状態が続いている、こう見てよろしいのではないかと思います。  また、富栄養化の原因物質でございます窒素、燐についてやはり年平均値で見てみますと、平成二年度では、窒素は、北湖で〇・二九、南湖で〇・三八、いずれもミリグラム・パー・リッターでございますが、それから燐は、北湖で、ちょっと小さくなりますが、〇・〇〇八、南湖で〇・〇二二、こういう状態でございます。  水質環境基準の達成状況、こういう観点から見てみますと、北湖の燐はどうにか環境基準を達成してございますが、そのほかの窒素あるいは南湖の燐、こういったものについては、環境基準をまだ達成していない、こういう状況で横ばいで最近推移しております。
  58. 貴志八郎

    ○貴志委員 ただいまのCODなり燐、窒素数字については、私も手元にございますから、承知をいたしております。  しかし、私が申し上げたいのは、おっしゃるけれども、本来北湖の方が美しいのでありますけれども、果たして北湖の湖底の状態は一体どうなっているんだろうか。これは御承知のとおりに、農業用排水を初め、もろもろの排水による燐、窒素などの流入によりまして、非常に富栄養化が湖底で進んでいる。そうなりますと、湖底の植物プランクトン、湖全体にプランクトンがふえる。その死骸が湖底を、あるいは植物の死骸などで湖底の酸素要求量がふえていく。そういう形の中で、ある学者は、今のままで推移をすれば、二十年後琵琶湖の湖底は無酸素状態になるであろうと警告をしておりますね。それほど私は現在の琵琶湖状況というものは、表向きの皆さん方がおとりになっておりますサンプルに基づく評価というものを、果たして琵琶湖全体の評価として安心して見ることができるのかというのが、我々の心配でございます。  ここで余り時間もございませんので、そのご上に対する論議はそれ以上は申しませんけれども、そういう心配があるということについて後の質問と一緒にお答えをいただきたいのであります。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、環境庁なり関係省庁がおとりになっております琵琶湖の今のいろいろな水質のデータ、一体それはどこでとっているのだろうか。水深最高百何十メートルという湖底で、中間で、あるいは表面で、表面はかなりとっていることは、私も認めますけれども、要するに、一番心配する湖底における、特に北湖の湖底における酸素の要求量の変化などを、本当の琵琶湖の実態を知るためには、それが必要であると思うのでありますけれども、そういったサンプルを採取するための施設が十分あるのだろうか。なるほどこの琵総法の中で八つの局と申しますか、ブイのような施設をつくったということでありますけれども、あの広い琵琶湖のあの高低差のたくさんある中で、少々の数では実態をつかめない、そういうふうなことを思いますときに、今、さきに出された燐、窒素の数量だけを絶対視するというふうな物の見方では、将来我々は生きておる琵琶湖を我々の子供や孫たちに引き継ぐことができるのだろうか、そういう心配を私は持つのでありますけれども、そういう点について、今申した二つの点について、まずお答えをしておいていただきたいと思います。
  59. 石田祐幸

    ○石田説明員 先生、今御指摘の、水質を実際との水の層ではかっておられるのか、こういう御指摘でございますが、現実にはかなり表層に近い部分で測定をしたもののデータを申し上げでございます。  ただ、そうは申しましても、現実には淡水赤潮につきましては、昭和五十二年度以降ほぼ毎年のように、あるいはミクロキスチスで先ほど御指摘のございましたアオコにつきましては、南湖で五十八年度以降ほぼ毎年のように出ておる、こういう状況にございますものですから、淡水赤潮なりアオコなり、この発生のメカニズムといいましょうか、それがどのようなメカニズムで発生しておるか、この辺の検討は、従来からかなり積極的に取り組んできておるところでございます。県の担当部局あるいは県の研究所、それから私ども環境庁の国立環境研究所、こういったところが連携しながら、その機序について究明をしてきております。その過程におきまして、深層あるいは湖底、こういったところの水質についても、それなりに調査をしてきてはございます。  ただ、その結果については、一般にはデータとして公表されるには至っていないというのは、先生御指摘のとおりでございます。
  60. 貴志八郎

    ○貴志委員 昔から、資料なきところに政策立たず、このように言われます。アオコの発生、赤潮の発生、これらに対するメカニズムを追求する、そのための努力はしておるとおっしゃいますけれども、やはりいろいろな地点におけるサンプル採取ができる、そういうふうな状況をつくって、しっかりと資料を集めなければ、対策が立たないわけであります。そういう意味では、今度の法延長の中でただ単に残量の仕事をやり遂げるというのではなしに、二十年前は少なくとも列島改造論のまだ本当にホットな論議のさなかできた法律じゃないですか。そのころに環境保全というふうなことをどれだけ注目して計画を立てられたのですか。今、地球環境が叫ばれて、世界じゅうで地球環境を叫ばれている、そういう時代を迎えておるわけですから、二十年前の発想で、この後五年間でこの事業を完成するんだというふうな、そういう見方がなお残っているとしたら、それは重大なる間違い、誤謬であろうと私は思います。  そこで、今ここで見直すべきは、もちろん残量はやらなければならないけれども、同時に、環境という問題についてもっと真剣な取り組みが、琵琶湖の水問題の総合政策として取り上げられなければ、それはせっかくやってきた今日までの努力、それから今日的に次の世代を見通した我々の責任というものは果たされない、そういう立場での物の考え方というものを私は強く求めておきたいと思うのであります。  特に、この琵総法の中で資料を、琵琶湖水質の実態をきちんと把握するためにもっと測定点を、特に垂直各層における、あるいは湖底における測定点をたくさん持って、それに基づいて対策を立てられるように、このことは、どうしてもやらなければならないことだと思います。これは今環境庁だけに求めても、それは無理だろうと思いますし、この辺のところは、やはり国土庁の方で総合的な判断としての取り上げ方というものをぜひ求めたいと思うのでありますけれども国土庁の方では、どのようにお考えになりますか。
  61. 西谷剛

    西谷政府委員 水質の問題、当然最重要でございます。所管の環境庁あるいは地元滋賀県と十分相談をしながら、弾力的に対処してまいりたいと存じます。
  62. 貴志八郎

    ○貴志委員 それだけ申し上げておけば、水質の問題について、特に観測等に関する御配慮は弾力的にやっていただくということで、そのいい方向をつかんでいただくことをぜひ求めておきたいと思います。  事のついでと申しましては、まことに失礼でございますが、中央公害対策審議会の答申で、湖沼環境保全するための答申が出されました。それは御承知のとおり。実際には、しかし、環境保全のための法律はつくられませんでしたね。そして水質保全するための措置法がつくられたわけです。答申よりも後退した形になってしまっておると私は見ます。そこで、このことについてもできれば時間をかけて論議をしたいわけでありますが、きょうのところは、少し先を急いで申しわけございませんが、自然とのかかわり、環境とのかかわりというふうな問題について、少し議論をしておきたいと思います。  御承知だと思いますけれども、きょうかあしたか、滋賀県会でいわゆるヨシ条例というものが可決、決定される見通したというふうなことを先般聞いております。御承知のとおりに、今日ではヨシという水辺の植物が水の浄化のために非常に役立つということが、客観的にも認められるようになりました。滋賀県でヨシ条例をつくって、それを保護育成するということになったわけです。私も素人でございますからわかりませんので、ちょっと勉強をしてまいりますと、ヨシの周囲にある皮膜、それが、嫌気性の皮膜でありますけれども窒素が触れると、窒素は分解されて窒素ガスとして空気中に出されていく、そういうふうな役割をヨシが果たす。要するに、ヨシがたくさんあるということは、窒素を分解してくれる、水を浄化してくれる、そういう自然、天然の役割を果たしておるということが、はっきり客観的にも認められるようになった。あるいは、これはもう昔から言われることでありますが、天然の砂浜、これは水を浄化する役割をする。  私は冒頭、足元の護岸はきれいにコンクリートで固められておる、そのそばにはコンクリート製の高い建物が建てられている、近代的で美しく見えた、このように申し上げましたけれども、実は近代的に美しく見えるそういうコンクリート製の護岸なり建物なりというものは、残念ながら、天然の砂浜を壊してつくられたものであります。天然の浄化施設を壊してつくられたものであります。今見てきれいなと思われるそういうコンクリート製の護岸なりいろいろな施設なりというものは、考えてみれば、天然の自然の浄化装置を人間の手で壊してきた、こういう結果になっていたということを我々は今愕然として知らなければならない、そういうことを私は申し上げたい。  ドイツにしても、アメリカにいたしましても、湖岸を守る、そのためにドイツなんかの法律は、ある州でありますけれども、大変厳しくて、立入禁止さえ行っておるというような、これはちょっと日本ではなじまないと思いますけれども、少なくとも湖岸を守るということが大変大事なことだということを認識されて、それが法制化されておる。にもかかわらず、我が国の場合は、水質保全は考えたけれども、湖沼の環境保全するという法律は、なぜ水質にまで後退させて、環境全体を守るという立場をとらなかったのか、この辺について、なぜか、理由をぜひ私はお伺いいたしたいのであります。
  63. 西谷剛

    西谷政府委員 水質とは別のいわゆる自然環境保全の問題でございますが、琵総事業の中でも当然重要な項目の一つというふうに位置づけられていると認識しております。  具体的に申し上げれば、自然公園施設整備あるいは自然保護地域の公有化事業、あるいはまた諸事業をやりますときの自然への配慮、こういうことは十分意を用いながら事業を進めているところでありまして、水の水質だけであって自然の保護は無視している、こういうことは決してないものと認識しております。
  64. 貴志八郎

    ○貴志委員 これは、公害対策審議会が出した答申では、湖沼の環境保全を求めておる、私はそう理解するのです。ところが、実際出てきたのは、湖沼の水質保全という法律に変わっているじゃないか、なぜだ、私はそれを聞いているんですよ。国土庁なり環境庁なりの環境を守らなければならないとする立場は私はわかりますけれども、それならば、なぜ法律でそれを、審議会の答申が出されているとおりに、環境保全という形での法律が出せなかったのかということを、私は聞いておるつもりでございますが、しかし、そのことでこれ以上時間をとってもどうかと思いますので、次に進みます。  関連をいたしますので、具体的な問題としてお尋ねをします。なぜ私が環境保全という形でやらなかったのかということを残念がるかということを証明する意味でも、次の問題について質問いたします。  御承知かとも思いますが、あの琵琶湖の周囲に約三十の内湖と呼ばれる小さな湖があったということであります。この内湖の果たす役割は、いろいろな意味で非常に大きな役割であったということが今見直されております。琵琶湖に入る農業用排水の遊水地にもなるし、さまざまな点で琵琶湖の浄化のために必要な内湖であったわけであります。ところが、現在この三十あった内湖が半分しかない。だれが埋めたのですか。だれが許可したのですか、それを。なるほど比較的浅くて埋め立てられやすくて、あるいは農地に転用したり、宅地に変わったりしたのかもしれませんけれども、実はその行為そのものが、琵琶湖を汚してきたわけです。環境全体を考える法律がなかったから、それを知ってか知らずか、埋め立てられてきておる。  この現実に対して、いかに環境を守るという法律が大事かということがはっきりするじゃないですか。一体この内湖を埋めてしまった後、私は今その責任をここで問うても仕方のないことだと思います。あるいは問うべきであるかもしれませんけれども、しかし今となっては、埋め立てた内湖を取り戻すことができないのだろうか。残っている内湖を守るためにどういうふうにするか。今度の琵総法の中でも、公有地購入のために内湖が充てられているというふうにも聞いておりますけれども、残りの内湖をそれて守ることができるのか。もう一つは、つぶしてしまった内湖のかわりに、例えば休耕田を代替の役割を果たさせるために生かすというふうなそういう考えは持つことができるのかどうか、そのことについてお尋ねをいたします。
  65. 西谷剛

    西谷政府委員 内湖の問題については、私どもも実情をやや調べております。三十ほどあるうち、琵琶湖法ができる以前にかなり埋め立てられてしまったということがまずあるようでございます。これはもうすべて私有地でございまして、圃場整備をするということで、まさにその所有者の方が埋めてしまったということがあるようでございます。その後、琵琶湖法が制定になりまして、私どもとしては、それはむしろ保存するという基本線を貫こうということで、先ほどお触れになりましたが、自然保護地域公有化事業、それから自然公園施設整備事業、そして都市公園事業、こういう中にその内湖を取り込みまして、その保全整備を図っていく、こういうことをむしろ積極的にやっております。ただ、大津港の整備だとかあるいは湖岸道路の整備などで、やむを得ず一部の内湖を公共事業として埋め立てた、こういうことはございますが、基本線としてはむしろ残す、その整備保全を図っていく、こういうことを現にやりつつあるところでございます。
  66. 貴志八郎

    ○貴志委員 琵琶湖総合開発の一環の仕事としての道路をつけるために内湖をつぶしたというのは、これはいかにも今日から考えてみると、不定見な話じゃないか。そういうことについてやはり反省が必要だし、それでつぶした分は代替の内湖というものをつくるだけの意欲がなければ、本当に琵琶湖を守ろう、琵琶湖総合開発で内湖をつぶしておいて、それはその当時私有のもので、その私有していた個人がつぶしたんだ、それもいろいろ問題はあるけれども総合開発の中でそれをつぶしてしまうというふうなことなどは、まことにもって許しがたきことであると今から思えば思うのであります。そのことについての反省を我々はやりながら、次の仕事に取りかかっていかなければならぬ、そういう立場を私は強く申し上げておきたいと思うのであります。  まだまだこの問題につきましても議論をいたしたいのでありますが、次の問題はどうしてもお尋ねをしておかなければなりませんので、この程度にとどめて、後でまとめて、また御意見をちょうだいいたしたい、このように思います。  次の問題と申しますのは、我々は琵琶湖総合開発でいかにして水をつくるかということを考えてきたと思うのです。今日我々が考えなければならぬのは、多くの金をかけてつくられた水をどのように有効に使うかというところが、今日の我々の最も重要な課題ではなかろうか。そこで、幾つも問題がありますが、二つの問題について絞ってお尋ねをいたします。一つずつ聞いてまいります。  その一つは、農業用水の問題でございます。これは今日、きょうは出席のどなたもお思いだろうと思いますが、ここ長い間かかって減反政策を我が国はとってまいりました。かなりの水田が休耕田になります。私ども地元でも三割近い減反、さらにかんきつ類の減反もありまして、紀ノ川筋のかんきつはかなり切られました。そういたしますと、私ども地元琵琶湖の水に直接関係はありませんけれども琵琶湖淀川水系から申しますとかなり都市化が進んでおりまして、農業用水などは減反と都市化、そういう波の中でかなり耕作面積が減っておる、だれが見ても減っておるわけであります。全国的にここ十年余りで一〇%ぐらい水田の面積が減少しておるという数字が出ておりますけれども、私は、実際にはもっと多いのではないか、特に淀川水系ではもっと多いのではないかというふうに思います。しかし、出されております水需要予測を見ますと、少しも減っていないのであります。一体どういうことなのか。この減った分の水をなぜ都市用水に転換できないのか。なぜ水利権をそのままにして、その水利権の転用、有効利用というふうな形をとらないのだろう。だれでも疑問に思うと思うのであります。  そういった関係について、きょうは農水省の方からもお越しをいただいておりますので、なぜこれだけ農業用水の余剰水が出ておるのに、私は出ておると断定をして思うわけでありますが、それがこの水需要予測では全然減ってこないというのは、一体どういうわけなのか、ぜひ聞かしていただきたい。
  67. 山村宗仁

    ○山村説明員 お答えいたします。  琵琶湖周辺の農地で必要といたします農業用水につきましては、淀川水系におきます水資源開発基本計画におきまして、夏場のかんがい期の平均でございますが、また琵琶湖から取水するようでございますけれども、毎秒約二十九トンというふうに考えております。  先ほど先生の御指摘でございますけれども、今後の農業用水の需要ということになってくるわけでございますが、確かに都市近郊等でも農地の壊廃というのがございますし、それから米の生産調整によります作付の減少といったものがございますけれども、一方、圃場整備によりまして、減水深がふえる、単位用水量がふえるということ、それからまた、一部では畑地かんがい等によりまして一部増加があるということで、ほぼ横ばいないし若干の増加ではないかというふうに考えております。
  68. 貴志八郎

    ○貴志委員 総務庁の行政監察の結果、農水省の農業用水の転換に対する姿勢が極めて消極的であるという指摘をされておりますね。実際はどうなのですか。
  69. 山村宗仁

    ○山村説明員 お答えします。  先般の行政監察をいただきまして、当方といたしましては、農業用水の合理化対策調査の例えば対象地域の重点的な選択ですとか、それから水を生み出します農業用水合理化対策事業の採択基準の緩和ですとか、ダムの堆砂の防止対策などの効率的な実施等三つを受けまして、農林省といたしましては、これらの指摘等につきまして、一つは、十分転用が可能な地域調査対象地域を移すとか、農業用水合理化対策事業につきましては、採択基準の緩和等によりまして一層推進するということで対応したいというふうに考えております。
  70. 貴志八郎

    ○貴志委員 もちろん今まで全然対応してないと申しているのではございません。対応はされておるけれども、その対応した数というものは極めて少ない、要するに消極的である、このように勧告をされておるわけであります。私は、今ここでこれ以上農水省に対して物を申し上げるつもりはないのですが、こういう勧告をなされておるということは、もっと有効に水を使いなさい、それを考えなさいという農水省に対する勧告は、すなわち国土庁に対する勧告でもある、私はそのように受けとめるわけでございます。  なるほど農水省の立場からいえば、もし今後農地がふえるようなことがあっても対応できるだけの水は確保しておきたいという気持ちは、省としておありだろうということは、私も十分わかります。またその他、水位確保だとか、いろいろな問題があることも、私も理解をいたしております。しかし、現実はやはり減反政策を進められて、そして余剰水というものが出ておるし、水利権でも整理をしなければならない水利権がたくさんありますよ。そういう水利権の問題などを調整するのは、建設省じゃないですか。建設省ですね、水利権については。私は、工業用水の問題についても触れて、通産省からもせっかくお越しをいただいておりますので、同じようなことをお伺いした後で、建設省の方からも水利権の問題などについてお答えをいただきたいと思うのです。  工業用水の問題についてちょっと申し上げます。  工業用水は、地下水のくみ上げ等による地盤沈下その他の問題がありまして、いわゆる工業用水道が各地でつくられました。そこで私は、重厚長大型の鉄鋼産業だとか、石油だとか、そういう産業がたくさんの工業用水を必要とした、そういう除代にこの法律ができておるわけですが、その後の状態を見ますと、知識集約型の産業がどんどん発展をして、いわゆる大量に工業用水を使う産業はだんだん減ってきた。だれもがそれは知っております。  数字をもって調べますと、契約水量に対して実際に給水されておる実給水量が五〇%のものが、全体の事業数が三十三のうち十七あるというのです。半分以上が、契約水量に対して実際の給水は五〇%を切っておるというのです。これは、工業の場合は、農業の場合と違って、大変な努力をして七五%リサイクルしている、その結果もあります。契約量の五〇%に満たない実給水量というふうなことになったのは、そういう努力の結果もあったということで、私は高く評価をしなければいけないところもあるわけですが、さて、実態がそういうことになっておるのに、工業用水の水需要予測を見ましても、依然として横ばいであります。半分も使っていないというのに横ばいというのは、一体どういうことだろう。もっと水をまともに見ようじゃないか、もっと水の総合的利用というふうなものを考えてみようじゃないか。  もちろん、農業の場合と同じように、今後工業用に水が要るようになったときに改めて水利権を取るというのは難しいから、今確保しておくのだという気持ちはわかりますけれども、我々は日本の国土の資源をいかに有効に活用するかというもっと弾力的な姿勢が必要ではないか、そういうふうなことを思うわけであります。  そういう意味から申しますと、給水能力の大幅な余裕のあるところは、上水道等への転用可能なものは水利権を含めて転用の措置を考えること、これは私が言っているのと違うのですよ、これは総務庁の勧告の中にあるのです。今後の水開発は、海水の浄化、廃水再利用など新たな水源を積極的に導入せよというふうな勧告、要するに、今後の水源開発は、海水の淡水化とか廃水一の再利用、先ほど七五%再利用されているということでちょっと褒めておきましたけれども、余りやっていない企業が残りの二五%にあるので、それももっと進めよ、この二つを提起しておりますね。だから、これは通産省に対して総務庁の勧告であります。水をもっと上手に大事に有効に使おうではないかという総務庁の勧告は、私は当を得ておると思うのでありますが、こういった問題についてせっかく通産省からもお越しをいただいておりますので、実情と、それに対する、勧告に対する対応の姿勢について、お答えをいただきたいと思います。
  71. 河野修一

    ○河野説明員 お答え申し上げます。  幾つか御質問の点ございますが、まず最初に、工業用水道におきまして契約水量と実際の給水量に差があるのではないかという点についてでございますが、工業用水道の契約水量をどうするかということにつきましては、ユーザーの企業が必要とする水量を踏まえまして、工業用水道事業者とユーザー企業の間で決められるものでございます。  それで、この契約水量の決め方については、いろいろな考え方があるわけでございますけれども工業用水道事業は、企業が実際に立地するのに先駆けて整備をする必要があるということで、先行投資的な性格を有しておるわけでございまして、その先行投資のリスクを減らす、それから工業用水道の料金が余り高くない水準に維持していく、そういう観点から、工業用水道事業者におきましては、責任水量制という考え方を採用しているところが少なくないわけでございます。このような場合におきましては、実際の給水量と契約水量との間にギャップがあるというのはよくあるわけでございますけれども、その制度の性格上、やむを得ない面もあるというふうに理解をいたしております。  そういうことではございますけれども水資源の有効利用が大切であるという御指摘は、そのとおりでございます。今御指摘のございました総務庁の報告も踏まえまして、私どもの方では、海水淡水化技術開発、開発と同時に、その普及にも努めておりますし、アクアルネッサンス90というような技術プロジェクトを通じまして、廃水再生利用技術の開発、その普及にも努めておるところでございまして、この点につきましては、私どもでできることは私どもでやりますし、必要なところについては、関係省庁とも今後とも密接に連絡をとって有効利用を図ってまいりたいというふうに考えております。
  72. 貴志八郎

    ○貴志委員 責任水量制になっておるということは、私も概してそういうことになっておるということは、よく存じておりますが、実態としては、申し上げたように、実給水量が五〇%に満たないものが三十三事業者のうち十七もあるという現実、総務庁の勧告のとおりに、水利権の問題にも踏み込んで水の有効利用を考えるべきだというふうに私は思います。  そこで、先ほど私は農業用水の問題と工業用水の問題だけを取り上げて物を申し上げましたが、もちろんそれだけではなしに、上水の問題もあれば、生活用水の問題もあるわけです。そういった問題はあるわけでありますけれども、事、農業用水と工業用水に関して水利権の調整を図るべきではないかというふうに私は思うのでありますけれども、その点についてどのようにお考えになっているか。これは建設省ですな。
  73. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 水利権付与に当たってどのような方針かというお尋ねでございます。  その前に、今までの御論議の中で水利現況をどう把握しておるのか、あるいは都市用水等必要な用水をどう転用していくかということも議論になっておると思いますので、それらも含めてお答えさせていただきます。  まず、水利現況の把握の問題でございますが、従来から私どもでは通達を発しまして、以下の方針で指導しておるところでございます。  まず慣行水利権、これは河川法制定以前からの水利権でございますが、それらについては、特に農業水利が当たると思いますが、かんがい面積、必要取水量その他の内容を明らかにするとともに、機会を得てできるだけこれを許可水利権に切りかえること、それから実際の散水量を把握するよう取水量の届け出を励行させること、許可の更新に際しましては、かんがい面積、農業用水利施設の需要等調査の上、必要水量を的確に把握するよう指導しておるところでございます。  それから、今おっしゃいましたように、近年都市周辺等におきましては、農地が宅地化等の現象によりまして農業用水量の余剰が生じているような例が見受けられるところでございまして、それらの転用というのは大きな基本方針だろうと思います。  それで、その適用に当たります考え方でございますが、河川水は公共の資産でございまして、私的取引の対象とはされないこと、河川水の配分は河川管理者が公共の利益を基準として決定するものであること、水利権は権利設定の目的に応じて現に必要とされる量の取水が権利として保護されるものであること、という考え方で対応しているところでございます。  そこで、農業用水等に余剰が生じた場合の対応でございますが、これはそれなりにまた公のものとして管理されるべきものでございますが、そこで新たに需要が生じたものについては、その観点から今の三点の考え方で付与することになります。その場合に、都市用水等の転用において問題となりますのは、農業用水は、一般論としては、通常夏のかんがい期のみにおいて確保されているものでございますし、これを通年利用される都市用水に転換する場合には、多目的ダム等によって冬期用水の補給が必要でございますので、通年を通じた水の賦存量と需要との関係からそれぞれ判断をいたしまして、許可することとしておるわけでございます。  ただいままでのいろいろな御論議の御趣旨を踏まえまして、今後も限られた水資源を有効に利用するため、余剰用水を需要の増大する用途に転換し、水利用の適正化を推進していくことといたしたいと存じております。
  74. 貴志八郎

    ○貴志委員 まだまだ議論を申し上げなければならない問題がたくさんあるわけでありますが、もう余り時間がないようでございますので、最後に国土庁長官にまとめとしてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、質問の時間の関係で、琵琶湖富栄養化の問題について、本当は農業用排水の、これは農業生産のために必要な肥料も含まれておりますから、それが富栄養化に、今度は湖に入ると悪い役割を果たすというふうなことについてどうするのかということを、本当は聞きたかったのでありますけれども、これはまた、いずれ機会を改めてお伺いするにいたしましても、いずれにいたしましても、現在の琵琶湖は冨栄養化が進んでおる、これは注目をしておかなければならないこと。この富栄養化が進んでおる琵琶湖を本当に次の我々の孫子の代に、二十一世紀にもうこれで心配はないんだよと言って引き渡せるような琵琶湖にして、我々の時代に汚してしまった琵琶湖をきれいにすることが、我々の責務ではないかと私は思うがゆえに、いろいろなことを申し上げてまいりました。  これから、しかし、現在確かに進んでおる富栄養化に対して積極的な取り組みをしなければ、その一つは、先ほど申し上げたように、環境を含めた整備、それから水質保全の仕事、さらに水を有効利用して使うことによって、もうこれ以上自然を壊して水をつくるようなことをしなくてもいいように、我々はありとあらゆる努力をするということが、今千古の歴史を、ロマンをたたえる琵琶湖を守っていく我々の仕事ではないか、このようなことを私は思って、質問を申し上げたわけでありますけれども長官はこういった問題に対して、意気込みだけではなしに、具体的に施策としてそれを取り上げてやっていく御決意のほどを、ぜひ聞かせていただきたいと思います。
  75. 東家嘉幸

    東家国務大臣 先ほどからお説を、あらゆる角度からよく分析しておられるなと、いろいろの角度から勉強になりましたし、そうしたお説を参考にしながら、我々の取り組む姿勢というものは新たなるものがなければならないと思います。  具体的にということになりますれば、もう時間がかかり過ぎますし、周辺のリゾート計画等の中でも実施されております中にも、片や余暇を大いに活用し豊かな生活の一環にしたい、海外に余暇を利用したリゾートに金もかけていく傾向が非常に高まっている、反面、国内でより安くということでのこうした問題も出てきておりますし、この環境問題とリゾートというものは非常に密接なつながりがありますが、これをどう保全しながら取り組んでいくかということは、重要なことだと思っております。もちろん今まで農業用水の問題、それは水利権があってなかなかいかないこともよく承知いたしております。今日琵琶湖がどうしてこれだけ汚濁されたかということは、やはり農業の問題もありましょう、家庭用水の問題もありましょう、工業用水の問題もありましょうし、国土保全的な治水の面からもいろいろと検討していく問題があるわけでございますから、総合的に今後は、先ほどもこれは御指摘がございましたように、国土庁としては、そうしたそれぞれの各関係する役所の皆さん方と今後お互いに協調しながら、国民のためになる、地域のためになる行政としての役割というものがいかに今日重要であるかということを、私は国土庁長官になって、きょうお尋ねのこと以外にも大いにあるということを、今後の国土庁としての役割の指針とせねばならないというふうに私は思っております。  お答えになりませんけれども、いろいろな角度からそうした調整の役割は重要であるということをさらに認識をしておりますことを申し上げまして、答弁とさせていただきます。
  76. 貴志八郎

    ○貴志委員 ありがとうございました。
  77. 古賀誠

    古賀委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十六分休憩     —————————————     午後零時四十分開議
  78. 古賀誠

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山元勉君。
  79. 山元勉

    山元委員 滋賀県選出の山元でございます。  私は琵琶湖のほとりに生まれ育ちまして、したがいましてその自然の恵みを受けながら、美しい琵琶湖を誇りにもしてきましたし、あるいは、いつまでも水も景色も美しく、そういう願いで育ってきました。しかし渇水のときには、本当に小さい時分ですけれども、雨ごいの行事がありましたり、洪水のときには半鐘やサイレンが鳴ったりという、そういう思い山もございます。そういう私ども県民にとって、琵琶湖をどのように守るかということは本当に大事なことなのでございますけれども、このたび五年の延長事業を完成しようということで法案を提出されました。この延長については感謝申し上げたいと思います。  先ほど来の同僚議員の質問に対する答弁も聞かせていただきました。本法案の目的あるいは問題点、さらには政府の今までの御努力も明らかになりました。また、大臣も先ほど、再々延長も含めて完成の意気込みをおっしゃっていただきました。理解をするところですけれども、ここで改めて法案延長の意義といいますか必要性について大臣にお伺いしたいと思いますし、またもう一遍改めてこの事業期限内の、再々延長という意気込みはわかりますけれども、何としてでも五年以内に完成をする、所期の目的を達成する、そういう確信といいますか決意を述べていただきたいと思います。
  80. 東家嘉幸

    東家国務大臣 私はまだ今のところ、再々延長というようなことで受け取られたようでございますけれども、そういう気持ちで申し上げたのではございません。それはやはり何としましても、今日の状況からしても、残されたこの五年間でとにかく事業の完遂をどう図るかということを目的とせねばならないということが基本的な考えでございます。今日まで、延長に至るまで大変な関係者の皆さん方の要請、御協力があったということもよく承知しておりますし、この琵琶総合開発特別措置法の延長が本当に実りあるためには、地元協力なくしてはでき得ないことでございます。  なおまた、先ほどから申し上げておりますように、この関係する諸官庁が本当に横の連絡をとり合いながら、先ほどから指摘がありましたようなことも、やはり今後の日本の国土の均衡ある発展のためにもこれは必要不可欠なことだということを、私は率直に申し上げまして国土庁長官になってみてしみじみと感じているところでございますから、この琵琶湖総合開発においてはそのようなことがいささかもないように努めるように、大都市圏の局長初めいろいろな皆さん方、地方振興局も鋭意そのことについては私ども協議を重ねているところでございます。どうか、その我々の熱意が協力によって生かされるように、ひとつ今後とも御協力を願いたいと思います。
  81. 山元勉

    山元委員 御理解をいただいておりますように、琵琶湖総合開発には三つの柱がございます。一つは、下流の水需要に対応するいわゆる利水事業、それから二つ目が渇水あるいは洪水の被害を防ぐための治水対策三つ目水質環境を守るための保全対策、この三つが柱でございます。  そして現状でいいますと、このうちの利水対策としての水資源開発事業がほぼ完了をした、こういう状態だと思います。しかし、近畿の千四百万人のいわゆる水がめとして、あるいは近畿全体の発展のためという意味では、琵琶湖の治水ともう一つ保全というのが残ってしまったわけです。これを万全に完了しないと所期の目的は達せられないのは当然ですし、琵琶湖の将来にとって取り返しのつかないことになるだろう。県民の願いとしても、あるいは琵琶湖を宝物に考えるという立場からいいますと、一番目の柱の利水対策よりも治水や保全対策の方が私は重要だというふうに思うわけです。そういう意味で、そういう認識でこの事業を何としてでも完成をしなければならないんだ、そういう思いなんだという認識を改めて持っていただきたい、またそういう努力をしていただきたいというふうに思うわけですけれども、それでよろしゅうございますか。
  82. 西谷剛

    西谷政府委員 御指摘のように水出し事業、利水の方が事業概成して、一方地元地域開発事業、治水なり保全なり、これがおくれてしまったということは大変申しわけないことだと存じております。先ほど申し上げましたように三千八百億の残事業、これを五年間でやるということにつきましては、事業を所管します関係各省庁それからまた地元滋賀県とも十分打ち合わせをしました上で積み上げた数字でございまして、これの完遂は間違いないと存じます。  なお、ちなみに過去五年間やってまいりました琵琶湖事業事業費を見てみますと、毎年千六十億くらい平均になります。これは水出し事業も含んでおりますが、水出し事業を除き計算をしましても七百八十億程度平均やってまいりました。今度の三千八百億を単純に仮に五で割りますと七百六十億という毎年度事業費でございますから、こういう事業規模から見ましても、今度の五カ年は無理なく完遂できるのではないか、このように存じております。
  83. 山元勉

    山元委員 そういう基本姿勢でぜひ努力をしていただきたいと思いますが、先ほどから基本的な問題はたくさん同僚議員からも出していただきました、水質などの問題でございます。そこで私は幾つかの、今後事業を進める上で私どもが心配をしているといいますか懸念される事柄について、具体的な問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  そこで、一番目ですけれども、草津川と大津放水路直轄事業化ということになりました。規模の大きいことあるいは大事な事業だという意味から、国直轄化ということについては私どもは評価をしているわけですが、五年間でこれを完成するというのは、平たく言えば不可能とされている、難しいというふうに思われているわけです。この草津川、大津放水路事業についての今後の見通しについて、まずお伺いをしたいと思います。
  84. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 琵琶湖の治水対策として湖岸堤整備については、本体の水資源開発公団事業で進めてまいりまして完成するわけでございますが、それに流入する河川対策として関連事業として実施してまいりましたが、そのうち規模の大きな草津川放水路、まだ未着手大津放水路というのがございます。これらはいずれも相当、用地の問題等事業執行上いろいろな制約があるわけでございます。  ちなみに草津川放水路につきましては、河川予定地の、今後事業を進めていく上では変電所やビルディング等大規模な物件がございまして、なお用地取得にも相当の時間が予想されるわけでございます。また、大津市内を流れる幾つかの河川をつなぎました大津放水路につきましても、これは都市内における治水対策でございますので、地下トンネル河川として実施する予定でございますが、技術的な種々の困難がございます。したがいまして、これらの計画を五カ年間ですべて完成するということは現時点では困難と存じます。  しかしながら、国家的な事業として琵琶湖総合開発事業を実施してきました経緯から申しましても、これらを早期に完成することは必要であろうという観点、また、その上は我々の直轄の持っております技術力その他をフルに使いまして、できるだけ早期に完成をさせたいという決意を込めまして、この二つのプロジェクトにつきましては、直轄事業としてお引き受けした次第でございます。もちろん用地問題については、滋賀県御当局や地元関係市町村の御協力が必要でございますが、その上に立ちまして、我々は責任を持って早期に完成させる所存でございますので、御理解のほどをお願いいたします。
  85. 山元勉

    山元委員 私も地元にいて、今おっしゃるような用地の問題あるいはその他の条件の問題、困難は理解をしているわけですけれども、難しい、五年では無理だろうというような抽象的なことではなしに、草津川についてはおおよそこうだ、大津放水路についてはこういうようなめどだということでなければ、この事業も進められないし予算の立てようもないと思うのですが、もう少し具体的に見通しをおっしゃっていただきたいというふうに思います。
  86. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 御質問の要点は五年以内で終わるかということですが、正直に言いまして私どもでも、また県御当局が仮に財源が十分であっても完成は無理であろうと私は存じております。しかしながら、私ども地元の御協力が得られるならば、最大限の努力をしようという決意を持って臨んでいるということで御理解をいただきたいと思います。  それで、しからば五年以後何年かということをお尋ねかと思いますが、私どもは五年にできるだけ近い努力をしてまいりたいという所存でございますので、これも御理解いただきたいと存じます。
  87. 山元勉

    山元委員 今ここで何年だ、五年は無理だから八年だということにはならぬだろうというふうに思います。けれども、やはり私もよくわからないのですが、理解をしているところでは、直轄事業という限りにおいては国が主体になって責任を持って遂行していただく。もちろん県や市の協力も必要だと思いますけれども、そういう事業にしていただいたんだろう、いわばこれは頼もしい限りでございますけれども、どうかできるだけ早い時期にめどを立てていただく、そして完成をしていただくということが、国に対する信頼を裏切らないことになるだろうというふうに思います。どうか一日も早い完成という日を迎えるように、御努力をお願いをしておきたいというふうに思います。  その次に、滋賀県の北端に建設される丹生ダムについてお伺いをしたいと思うのです。私は先ほど滋賀で育ったと言いましたが、ちょうどこのダムが建設される下流の北湖のほとり、文字どおり湖北町に生まれました。したがいまして、あそこの条件は承知をしているつもりでありますけれども、御案内のように余呉湖は大変汚染が激しくなってきています。そしてまた、北湖全体も注意信号が点滅しているというふうに言われている状況にあるわけです。そこの北湖に直接影響を及ぼす丹生ダムの建設でございます。このダムは滋賀県での、幾つかありますけれども最大のダムになろう、こういうダムでございますけれども、非常に難しい工事でございます。自然環境の破壊だとかあるいは琵琶湖水質を悪くするだとか、あるいは琵琶湖の漁業に影響を与えるさまざまな懸念すべきことが非常に多いものでございます。  したがいまして、滋賀県知事も幾つかの厳しい意見を政府の方に申し上げているというふうに思いますけれども、まずお尋ねしたいのはこの建設場所です。砂岩が非常に多くて風化している、崩れやすいといいますか、そういう危険な地域に大きな県内最大のダムがつくられるということで、非常に地元の懸念があるわけです。工事の安全と、そしてそれからずっと未来の安全について万全の検討が行われなければならないと思うわけですけれども、その建設場所の安全性についての検討についてどうなっているのか、お伺いをまずしたいというふうに思います。
  88. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 丹生ダムでございますが、これは高時川、姉川沿川の洪水調節とあわせまして、下流近畿圏水道用水の供給、また異常渇水時等の緊急水の補給という多目的ダムとして、直轄ダムとして企画したものでございます。建設地点は滋賀県伊香郡余呉町の高時川の地先でございますが、総合的な地域の地形、地質調査の結果、ロックフィルダムとして高さ百四十五メーターで建設する予定でございます。これにつきましては、昭和五十五年度より実施計画調査を実施してまいりました。その成果の上に立ちまして、昭和六十三年度より建設事業着手したところでございます。もちろん、私どもの日本の国内のダム建設技術は最高水準でございますし、その技術を結集しまして対応してまいりたいと存じております。
  89. 山元勉

    山元委員 最高の技術を駆使してというふうに今お聞きするわけですが、今もありますように百四十五メートルという、私にはちょっと想像がつかぬのですけれども、高いダムを建設しよう。先ほども言いましたように、地質的には余り適当でない地域につくられるわけです。もう少し具体的に、最高の技術を駆使してではなしに、こういう条件があるから具体的にこういう対策あるいは工法として工夫をしているんだ、対策が立てられているんだということについて、お示しをいただきたいというふうに思います。
  90. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 ちょっと専門的な資料、手元にございませんが、私どもロックフィルダムの経験は大変持っておりますし、昔はコンクリートダム主流の時代におきましてはそれ相応の岩盤の箇所で実施してまいりましたが、近年は十分広い範囲にダムの荷重といいますか重さを分布させることによって耐えられる技術が開発されておりましてこの問題につきましてはもう既に外国との技術協力等も十分実施しておりますし、そういう点では、少なくともダムの安全問題につきましては十分御信頼をいただきたいと存じます。
  91. 山元勉

    山元委員 その大きなダム、危険な箇所というふうに私どもは認識しているわけですけれども、もしここで事故があったら大変なことになるわけです。ただその流域の住民が災難を受ける、あるいは生命や財産を奪われるというだけではなしに、琵琶湖にとってもその流域にとっても大変なことになるというふうに思うわけですね。そういう点で、十分な対策を今後とも講じていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  このダムで二つ目に心配なのは、周りの腐植土が流入をする、あるいは燐が流入する、そういう環境条件にあるというふうに聞いているわけですね。そうすると、先ほど来ずっとありましたように、本当に琵琶湖の水を、家庭排水あるいは農業排水を含めてきれいにしよう、水質を回復、保持しようというときに、この大きなダムの水が富栄養化したら、これは大変なことになると思うのです。どんどんとこの北湖に富栄養化した水が注入されるわけです。そういう富栄養化について、建設省が出していらっしゃるこのパンフを見ますと「富栄養化現象の発生の可能性は低いと考えられる」というふうに出ているわけです。一体、私どもが考えているそういう腐植土が多いとか燐が流入する条件があるとか、そういうような心配に対して可能性は低いというふうに書かれているわけですけれども、根拠なり、あるいはそういう可能性が低いとあるけれども、そういう可能性に対する対策はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  92. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず、この高時川あるいは姉川の流入の水質でございますが、これは水質観測結果によりますと、生活環境保全に関する環境基準の類型指定はされておりませんが、現在その一番厳しい条件であるAA類型の基準値にも十分満足する低い値でございます。いわばBODなりCODという値は極めて低いということでございます。  それで、お尋ねあるいは御懸念の件は、腐植土その他によって地域から栄養塩類等が持ち込まれることによって、ダム建設と相まってさまざまの水質上の障害が起こるのではないかという御懸念だと存じます。これにつきましては、建設省が既に県知事にお示ししました環境影響評価書の中で述べておるわけでございますが、この種の判定のやり方としますと、流入する河川の燐とかそういった栄養塩類に関連する塩類の流入の負荷量と、それからダムが持っておりますいわば平均水深と回転率といいますか、そのダムの中へ水が流入して長期滞留することによってどのような、腐っていくかどうかという、その水質障害が発生するかどうかという判定の問題でございますが、それは他ダムとの比較においても大変いい状態である。そういう観点から、富栄養化現象の発生の可能性は低いと考えておるところでございます。また、放流水につきましての水温や濁度に関しましても、選択取水設備等を設置することによって、水質保全の点からも万全を期する所存でございます。
  93. 山元勉

    山元委員 このダムはほかのダム、例えばダムから水をとって発電をして放水する、あるいはダムで水を一たんとめて流量を調節するという単なるダムではないというふうに理解をしてもらわなければならぬと思うのです。ということは、何遍も言いますけれども滋賀県最大の大きなダムに一たん水をためて、水深が非常に深いそういうダムにためて、そして琵琶湖へ注ぐ、琵琶湖でまた貯水するわけです。したがいまして、このダムは単に放水をするというダムではなくて、本当に水質が大変危険な状況になっている琵琶湖にまた注いで貯水するのだ。だから、安全の上にも安全、最善の上にも最善の方策を講じておかなければ、少し汚れてきたなでは将来済まぬ、そういうダムだというふうに理解をしていただかなければならぬと思うのです。  そういう点で、今事前に、百四十五メートルの堰堤をつくったわけじゃないわけですから、実際にそういう深いところに周りの腐植土がだあっと流れ込んでくることは、計算をいろいろしてあるんだろうと思いますけれども、十分な検討をしていただきたいことが一つ。もう一つは、今言いましたように、汚れてきたなでは済まぬことですから、ですからほかのダムとは違うようなこれから将来の観測の体制がないといかぬだろうと思うのですね。見た目だけで、ああ汚れてきたなとかなんとかいうことではなしに、常時このダムにたまる水の検査、観測をしていなければならぬという、そういう体制がついているダムにしなければならぬなというふうに私は思うのですが、いかがですか。
  94. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 大変御懸念の点はよくわかるわけでございます。  まず、現在高時川の水は、そのまま流入して琵琶湖の中で極めて長い期間滞留しているわけでございます。そういう観点で障害が起こっているかということですが、御承知のとおり北湖においては大きな障害はないわけでございます。それで、この種の判定の場合に、いわば湖の浅さと、それから湖の中でどのくらい長い間とどまっているのかということが水質障害の大きな要因でございます。そういう観点で、私どもはいろいろな建設するダム、貯水池の相互比較をやるわけでございますが、一般的に言えば深いほどいいわけでございますし、それから回転率がいいほどいいわけであります。早く入れかわることがいいということでございます。そういう点では、少なくとも琵琶湖の現在持っている機能よりはるかに安全であるということでございますし、少なくともこの丹生ダム建設によって問題はないという判断をしております。  それから、観測体制でございますが、これは高時川ダムのみにかかわらず、私どもが少なくとも直轄で建設しているダムにおきましては、水質観測体制は定期的に実施しておりまして、これらの要因によって問題が起こらないように努力をし、なおかつ問題が起こっているダムはあるわけでございますが、それらについては、さまざまの水質保全対策を実施することによって万全を期しているところでございます。
  95. 山元勉

    山元委員 詳しい工法等もなんですけれども、時間がなんですから。ただ、今のお話を聞いていて、甘いなという感じがします。例えば、言葉じりをつかまえるわけではありませんけれども、高時川の水は今も流れていて琵琶湖は汚れていない、そうと違う。今までのように流れていればまだ問題はないけれども、私が言っているように、山の中で腐植土が流れ込む、そういうダムをつくって水質が悪化していくことが懸念される、その水が琵琶湖へ流れるということについて考えないと、今高時川の流れている水をとめるだけやさかいと、それでは私が言っていることがわかってもらっていないんだというふうに思います。いずれにしましても、この水質保全については、ぜひ対策を講じていかなければならないという認識で工事を進めていただきたいというふうに思います。  同じくこの高時川ですけれども、この水は御案内のように、高時川にずっと流れて杉野川と合流して姉川になって琵琶湖へ注ぐわけです。その姉川というのは、琵琶湖有数の漁場なんです。例えばアユの産卵場所でもございますし、もちろん小アユがとれるしビワマスがとれる、有数の琵琶湖の漁場なんですけれども、ここへ濁水が流れると、今までもそうですけれども、大変漁業に影響が出ているわけです。そういう、例えばダムに貯水をして放水をする、そのときの影響ですね。濁水の影響と水を流す影響というのは、漁業に悪い影響を与えるのではないかという心配があるわけですけれども、その具体的な対策なりあるいは検討についてお伺いをしたいと思います。
  96. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 これも建設省調査してまとめました環境影響評価書によれば、従来から調査してきた取りまとめの結果として、高時川に生息する魚類としては、七日九科十八種の魚種を確認しております。なお、アユ、ビワマスの産卵場はここでは確認しておりませんで、ダム下流の約十六キロ地点、ここにせきがあるわけでございますが、その地点までであろうと判断されております。それから、丹生ダム建設の目的一つでございます流水の正常な機能の維持として渇水流量の確保を掲げておりますので、魚類の生息環境の向上には流量的には寄与できると存じます。  それから、御懸念の放流水の水質の悪化の問題については、先ほどからるる述べてまいりましたが、濁水等の問題につきましては、これも私ども各ダムで経験した結果によりまして、選択取水設備を設置することによりまして、ダムの貯留水の上から水を流すことによって、適切な温度で濁水にならないようにした上で極力その障害が軽減するよう、所要の措置を講じてまいる所存でございます。なお、基本計画を早期に策定いたしまして、また関係者とさまざまのお話し合いがございますが、漁業関係者とも協議の上、事業を実施してまいる所存でございます。
  97. 山元勉

    山元委員 これは何の場合でもそうですけれども、事があって補償ということでは済まぬ問題ですから、ぜひ十分な対策を講じながら工事を進めていただくように、この丹生ダムについてはお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、先ほども申し上げましたように、琵琶湖周辺住民やあるいは淀川水系周辺住民というのは、長い歴史の中で洪水に苦しんできました。洗いぜきができました。一定の改善をされたとはいえ、まだまだ洪水による災害というのは発生をしているわけです。そういう大洪水というのか、洪水の心配を解消する一つのこととして、淀川水系のいわゆる疎通能力、水を流す能力の問題がございます。これは、特に瀬田川、宇治川、淀川、そこのところの疎通能力が一番問題だろうと思いますけれども、この改善工事が現在進められております。なかなか進んでいないというふうに見ているわけですけれども、この疎通能力の改善事業進捗状況についてお伺いをしたいと思います。
  98. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 一つは、淀川全体の治水の安全度の確保の上では、淀川の下流の堤防の強化あるいは疎通能力の向上がございますし、また一方で、琵琶湖周辺のはんらん防止の観点からは、湖岸堤整備と同時に、宇治川、瀬田川の疎通能力の確保が必要でございます。  淀川水系工事実施基本計画では、千五百トンの河道整備を瀬田川、宇治川で実施することとしておりますが、現状では部分的に狭窄部もございまして、中には七、八割の疎通能力というような状況でございます。特に宇治川におきましては現在、隠元、車田地区、それからJR宇治橋の補強、府道宇治橋のかけかえ等を実施することによりまして疎通能力の確保を図っておるところでございます。今後とも、琵琶湖沿川の治水安全度の確保の観点からも、この疎通能力を早期に確保するよう、鋭意事業推進を図っていく所存でございます。
  99. 山元勉

    山元委員 今七、八割とおっしゃいましたけれども、確かにこの琵琶湖の機能を高める、いわゆる利水としての機能を高めるためにも、この疎通能力を早期に改善する必要があるというふうに思います。今もおっしゃいましたように、隠元だとか車田とか、そういうネックになっている部分というのは長いわけでして、この下流皆さんとも協力しながら早期にこれは進めていただかないといけないだろう。琵琶湖総合開発は済んだけれども、洪水の危険というのは減らないのだ、いや、かえって機能的にはふえるんだということにならないように、急いでいただきたいというふうに思います。  その中でも一つウイークポイントになっているだろうと思うのですが、天ヶ瀬ダムの再開発工事、これは大変能力を上げなきゃならぬ、八百トンの能力を千二百に上げなきゃならぬ、こういう一番のネックになっているところですけれども、この工事の事業の現在の進捗状況と完成予定についてお伺いしたいと思います。
  100. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 天ケ瀬ダムにつきましては、昭和三十九年度に建設されました多目的ダムということでございますが、この河道の流下能力としては従来九百トンの放流能力として進められてきたわけでございますが、先ほど言いました瀬田川、宇治川の流下能力の拡大の一環から千五百トンにしていくという目的も含めまして、再開発事業を実施しておるところでございます。平成元年度から建設に着手したところでございまして、現在バイパス水路建設のため、地質調査、測量等の調査を実施しているところでございます。  お尋ねは何年度までかということでございますが、一般論としては大変お答えしにくいわけでございますが、私どもとしては、少なくともこの二十世紀中に完成するべく、またそのように努力してまいりたいと存じます。
  101. 山元勉

    山元委員 私どもは天ケ瀬ダムをよく知っていますけれども、随分昔から非常に汚れて濁っているし、機能が弱いということは聞いていたわけです。琵琶湖総合開発が始まって二十年、そして治水も利水もバランスのとれた開発ということからいうと、先ほども言いましたように、ここのところがネックであったのは今から始まったことではないというふうに思うのですね。そういう意味でいうと、元年から調査を始めて、バイパスの作業にかかって、仕上がるのは二十一世紀、これでは琵琶湖総合開発の総合的な完了といいますか、そういうことにはならぬのではないかと思うのですが、その点はどうなんです。
  102. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 淀川につきましては、昭和四十年代の大出水等の経験から淀川全体の工事実施基本計画の見直しかございまして、ちょっと記憶でございますが、昭和四十七年に計画を見直したわけでございまして、天ケ瀬ダム完成後でございまして、それらもありまして、この流下能力の増大を図ると同時に、新規に水供給あるいは発電の増強等を目的として再開発事業を実施することとなった次第でございます。少なくとも二十一世紀にはならないように極力努力をいたしまして、早期完成に向けて私どもは努力してまいりたい。ただ、今の時点で明快に何年と申し上げられない状況であることだけは、御理解いただきたいと存じます。
  103. 山元勉

    山元委員 この再開発工事には、今の天ケ瀬ダムが死のダムになっているというか、アオコのダムになっている、そういう状況を改善するための工事も含まれている、浄化対策も考えられている、こういうふうに聞いているわけですね。先ほどからずっとあったように、本当に南湖の問題、いろいろな問題を考えて何とかして琵琶湖の水をきれいにしよう、それはただ琵琶湖周辺住民でなしに、人数的にはもっと大規模な京阪神の皆さんのところへ供給する水をきれいに、先ほども下流から臭い水というのがありましたけれども、この水を解消しよう。そのことでいうと、御案内のように、琵琶湖の水は京都へ向けて疎水で抜けるか、この瀬田川を通って天ケ瀬ダムを通るかなのですね。その天ケ瀬ダムが一たんとめられて、極端な言い方ですけれども、そこで腐って京阪神に流れていくという状況は早期に解消しなきゃならぬのですけれども、そういう浄化改善も含めて二十一世紀にならぬうちにということでは、遅きに失しているといいますか遅過ぎるというふうに私は思うのです。  その点、大臣どうですか。このことについての認識をきちっとしないと、先ほど同僚議員が言いましたように、京阪神の水はやっぱり臭いということが解消できぬのではないかというふうに思いますが。
  104. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 工事完成の年次については、技術的に諸問題がございますので、今の時点で明快にここで申し述べることはまだ控えさせていただいておりますが、水質改善の問題につきましては、完成まで待たずにでも、一部でも早期に効果が発現するよう、私どもはさまざまの手法を試みてまいりたいと存じます。  具体的には、全国で問題の生じているダムにおきましては、例えば湖水の中に空気を吹き込むこと、あるいは停滞している水を還流させること等によってかなりの効果を発生しておるわけでございますので、そういった問題は、できるところから早期に着手することによって皆様に御心配のないように努力してまいりたいと存じます。
  105. 山元勉

    山元委員 御心配がないようにと言っていただいて、安心をしろということなんでしょうけれども、ぜひこのことは急いでもらいたいとお願いを申し上げておきたいと思います。  次の問題に移ります。水資源開発事業が完了いたしまして、これから洗いぜきの操作の規則がつくられるということになるんだろうと思いますけれども、この問題はこの琵琶湖保全の問題とあわせて、先ほどからも言っておりますように、渇水やあるいは洪水の心配とも関連をして、大変重要な規則の制定だろうというふうに思います。  先日、近畿地建から基本方針が示されました。これがベースになってこの規則がつくられるのだろうというふうに思います。この基本方針は、今までになく文書で提示をしていただいたとか、あるいは滋賀の側の意向も踏まえていただいたということで評価して受けとめているわけですけれども、今後建設省は、今申し上げましたように、今の基本方針がベースだというふうに思うのですけれども、どのようなお考えといいますか姿勢でこの洗いぜきの操作規則を制定されようとしているのか、その手順やあるいは今の認識についてお伺いをしておきたいと思います。
  106. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 琵琶湖は、京阪神千三百万人の命の水でもございますし、一方、滋賀県民にとりましては、まさに地域の心のふるさとということでございます。渇水時におきましては水位ができるだけ低下しないことが必要であり、洪水期には水位が上昇しないことが必要であり、そういう意味では洗いぜきの操作規則は極めて重要な位置づけにあるわけでございます。おっしゃいましたように、過日近畿地建からはその基本的な考え方について関係者にお示しし、それに基づいて現在操作規則の案を関係府県と調整を図っておるところでございます。  その基本的な考え方でございますが、高水時には、淀川水系が大洪水のとき、洗いぜきを一時的に全閉または制限放流せざるを得ませんが、この制約下でも洗いぜきからの放流量が最大となるように操作して、琵琶湖の水位の上昇を極力抑えること。それから平常時、渇水時には、琵琶湖の生態系の保持と景観の保持の観点から、水位の変動をできるだけ避けて安定した水位に維持、または水位の低下を極力抑制しながら、かつ下流に必要な流量を放流すること。三番目に、非常渇水時でございますが、その際には建設大臣が関係府県知事の意見を聞いて洗いぜきの操作方法を決定すること。この三点を基本として、ただいま調整中でございます。
  107. 山元勉

    山元委員 例えば渇水期でいいますと、マイナス一・五メーターに至らしめない、そこまで行ったら最悪だという考えで至らしめない、早い段階からの検討が必要だと思うのです。それにはやはり操作についての協議、端的に言って、上流と下流との利害といいますか反するわけですから、その協議が必要だと思いますし、そうして私どもの方からいいますと、流域の指導、これは琵琶湖周辺住民も含めてですけれども、そういう住民の指導というのが大事だろうというふうに思うわけです。そういう点で、十分なそれぞれの地域の意見が取り入れられて操作がされるか、そういう体制になるのかどうか懸念を持っているわけです。  その基本方針を私も見せていただきましたけれども、確かに渇水時に、例えばマイナス一・五メートルに達するおそれのある場合にはこうする、低下するまでにどうする、そして達した時点からどうする、こういうふうに丁寧に書かれているわけです。そういう各段階でできるだけ早くということについての努力をしようということはわかるわけですけれども、しかし先ほども言いましたように、決してこの琵琶湖のエゴも言うわけではありませんけれども、具体的に言えば、知事の操作にかかわる権限といいますか意見の尊重についてどういうふうに位置づけられるのか。この方針でいいますと定期的に、例えば春と秋に、また必要に応じて意見交換をする、こういうふうに今知事の問題については出ているわけですけれども、もう少し具体的に、こういう非常の場合にどういうような協議が行われるのか、あるいはそれぞれの地域の意見聴取が行われるのか、具体的にもう少しおっしゃっていただきたい。
  108. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 一つは、通常の場合に水位の変動を極力抑えることということでございますが、その際には、現在木津川水系に青蓮寺ダム、高山ダム等がございますので、その総合的な運用によりまして、水系全体として効率的な水利用を図り、水利用の状況を常に把握しつつ、琵琶湖からの放流は必要取水量に見合ってむだのないように努めていくということが一つ考え方でございます。  それから、マイナス一・五メーター以上であっても、渇水になり水位が低下する場合には、これまでと同様に下流の利水者、大阪府一兵庫県、建設省近畿地方建設局等から成る淀川渇水対策会議を開催いたしまして、渇水対策について連絡調整を実施し、琵琶湖の水位低下を極力抑制していくよう努めてまいる所存でございます。
  109. 山元勉

    山元委員 恵みの湖が恐ろしい湖にならぬように、それはもう周辺もそれから流域を含めてですけれども、そのためにこの操作というのは大変大事だろうというふうに思うのですね。そういう意味で、今も申し上げましたような各段階での協議だとかあるいは指導だとかいうものについて、きめ細かい事前の検討が必要だろうというふうに思います。これからも新たな問題も出てくるでしょうし、突発の事態もあるだろうと思うのです。そういうときに、迅速な対応ができるような体制をぜひつくっておいていただきたいというふうに思います。私は、淀川は今もおっしゃいました淀川渇水対策会議というのを各府県、大阪、奈良、京都と、こういうふうに挙げられて、滋賀という言葉はなかったわけですけれども、それに対応するものとして、やはりそういう流域の皆さん滋賀という一県のバランスというのは十分お考えをいただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。  その次に、時間がありませんからどうもなんですが、この琵琶湖総合開発以外で努力をして水質を守るということが大事だ。裏返して言いますと、琵琶湖総合開発がすべてではない、本当に今、県民の皆さん、流域の皆さんが日常的な努力で琵琶湖水質保全に努力をしなきゃならぬ、これは当然のことでございます。きょうも滋賀県の議会でヨシ条例、ヨシ群落の保全条例というのがつくられ成立をするというふうに思っていますけれども、同時にごみの散乱防止条例、この二つとも全国に余り例のない県民独自の琵琶湖を守る運動ですけれども、こういう経験は今まで滋賀県にはございました。御案内のように、石けん条例と言っていますけれども、有燐洗剤を追放しようという努力もしてまいりました。  そういう努力の一つとしてきょう申し上げたいのは、合併浄化槽についてです。今まで民間の皆さんが、例えば消費生協だとか各自治体だとかいうところも含めて努力をして、下水道のないところに浄化槽を各家ごとにつくろう、そして琵琶湖の水を美しくしようという努力をしているわけです。これは全国的にも滋賀県だけではなしに行われていて、この間もお聞きしますと、この合併浄化槽の推進のための補助というのは、予算というのは来年度七十億円ですか見込まれている。これは私は、ふえていることについてありがたいというふうに思いますけれども、まず、その合併浄化槽についてどういう認識を持っていらっしゃるのか、全国的にどういう状況になっているのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  110. 喜多村悦史

    ○喜多村説明員 厚生省の浄化槽対策室長でございます。  合併処理浄化槽のお尋ねでございますけれども、トイレのし床とあわせまして、台所などからの生活雑排水も同時に処理をしてきれいな水にして公共用水域に返すことができる、そういう合併処理浄化槽、また技術的に小型のものも開発されておりますので、これを普及推進をしようということで私ども努力をしているところでございます。
  111. 山元勉

    山元委員 努力をしていらっしゃるのは、今言いましたように七十億円という数字も出ていて評価をしているのですけれども、合併浄化槽に対する考え方です。今まで単独浄化槽というのがあった。合併浄化槽ですと、個人負担というのは非常に高くなるという一つの難点もある、あるいは維持管理費も高くつく、こういうものですけれども、広々と普及に努力というのであれば、そこのところは具体的にどういう評価をしてどういう方法で普及をしていこうか、そこのところが本当にしっかりと見えないといけないと思うのですが、そこのところはいかがですか。
  112. 喜多村悦史

    ○喜多村説明員 お尋ねのように、合併処理浄化槽になりますと装置が単独処理浄化槽に比べまして大型になります。その分設置費もかさむわけでございますが、私どもの設置整備の補助金の考え方は、単独処理浄化槽との差額部分を国と県、市町村で補助をしようというものでございます。  それから、維持管理の関係でございますが、維持管理につきましても単独処理浄化槽よりもやはり大きくなるわけでありますけれども、これにつきましては、市町村の中で浄化槽の意義に着目をいたしまして、維持管理についての助成をするというところもふえてきておるわけであります。それからまた、合併処理浄化槽の整備を進めておられます市町村、今年度で千百余ございますけれども、そういった市町村の協議会、全国合併処理浄化槽普及促進市町村協議会というのができておりますけれども、そこでも今後の維持管理について、設置者にとっても物理的な面も含めてそんなに負担にならない、そういう仕組みを考えるべきである、いろいろ御研究をされております。そういった動き、また市町村の動向等を見ながら、私どもも維持管理がよりうまくいくような方法について研究をしてまいりたいと思っております。
  113. 山元勉

    山元委員 私もこの問題をやっている人と何回か話をしましたけれども、やはり一般の住民皆さんは、高い金かけてつくってそれで気が済んだ、うちは合併浄化槽をつけたということで後の十一条検査を定期的に行うこともサボってくる、そういうことで機能がほとんど落ちてしまう。そういうことで、常に地域、グループでそういうものについての意識を高めていくというのですか、保持していくような施策がないと、やはり思い切ってつけたということだけになってしまう、あるいは思い切ってつけた人は偉いなということだけになってしまうわけですね。そういう点でいうと、やはり私ども滋賀県でも半分の自治体が命補助の仕事をやっているわけです。国としてそういう市町村に対する援助、そして市町村から各個人に対する援助というものが組織的にきっちりと行われなければならないし、もっともっと思い切って、単独浄化槽をつけるよりも合併浄化槽は高いけれども、結局個人負担は高くつかないというシステムにすると、単独浄化槽がだんだん廃れていって合併浄化槽がふえてくるという状況になるだろうと思うのです。そういう施策が必要だろうというふうに思いますが、時間がありませんから、そういう意味でこの普及になお一層の努力をぜひしていただきたいというふうに思います。  そして、もう一つですが、この合併浄化槽は、先ほども言いましたように琵琶湖水質がどんどん悪化していく中でそれぞれの住民が努力をするもの、そういう気持ちにこたえる、そういう運動にこたえるためにも、国の力としてやはり合併浄化槽の機能を高めるという研究が大事であろうというふうに思うのです。せっかくつくったけれども、結局余り琵琶湖を美しくしないのだというのではいけないわけでして、燐や窒素が除去できるような、そういう性能の高い合併浄化槽にまでなお一層研究を高める必要があるだろうと思うのですが、その点についてはどうですか。
  114. 喜多村悦史

    ○喜多村説明員 合併処理浄化槽から出てくる水の質は、現在でも単独浄化槽よりもよいわけでありますが、さらに高度な機能といいますか、御指摘の窒素や燐の問題、こういうものにつきましても、小型の合併浄化槽でもそういう機能をさらに高めるための研究、例えば来年度予算におきまして、合併処理浄化槽による生活排水処理の高度化・安定化に関する研究といった予算措置が講じられておりますけれども、こういった研究を通じましてより高度な機能を果たせるような研究をし、また普及に努めてまいりたいと考えております。
  115. 山元勉

    山元委員 これは大臣にもお願いをしておきたいわけですけれども、先ほどからも言っておりますように、確かに琵琶湖の水は横ばいだと言いますけれども、湖底でいいますと酸素不足で本当に危険な状況になっているわけです。そのことは、この辺に住んでいる者にはひしひしとわかるわけです。この琵琶湖総合開発計画推進をする、完了をするということも大事だけれども、今申し上げましたように、合併浄化槽だとかあるいは有燐洗剤の追放だとか、そういう運動が非常に大事だろうと思うのです。これは未来永劫続くものになる。極端に言えば、いわゆる県民性をつくることになるわけですけれども、そういうことにぜひ行政としても力を入れていただきたいというふうに思うわけです。  先ほども出ましたけれども滋賀下水道普及率は二八%、全国平均から比べると確かに非常に低いわけですね。急激にこの普及率は高まっていますけれども、まだ低いわけです。そういう水を琵琶湖にためて、そして下流皆さんに提供しているわけですから、何としてでもやはり下水道の普及も急がなければならぬというふうに思いますが、そういうものとあわせてやはり努力をしていただきたい。とりわけ滋賀県の財政でいいますと、琵琶湖総合開発事業を急ぐ余りに一般の事業、他の事業、琵総以外の河川や道路や下水道事業がやはりおくれがちになるわけです。そういう点も御配慮いただいて、これからも御支援をいただきたいというふうに思います。  時間がありませんからもう一つだけですけれども琵琶湖・淀川水質保全基金構想というのがある。流域六県が集まって、この琵琶湖総合開発にかかわらず、将来ともに水質保全しよう、そういう基金をつくろうという構想があって、これは十年近く論議をされているのですけれども、いまだに実現しないのです。私は、きのう東京に行っていて地元の新聞を見てちょっと喜んだのですけれども、おとつい大阪の知事が滋賀県にお見えになって滋賀県の知事と話をして、この基金構想を何とか具体化しようということでは一致したというのです。けれども、これは大変大事な仕事でありながら、金を出してやろうということですから利害がそれぞれ反するところもございます。したがいまして、大事なことだということはわかっていながら、この十年来この基金構想というのが現実のものになっていないわけです。これはやはり国の方からの指導だとかあるいは調整というのは必要だ、そういう力をかりなければいけないなというふうに思っているわけです。そういう点についてどういうふうにお考えになっているか、どういうふうに見ていらっしゃるか、お尋ねをしておきたいと思います。
  116. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず、水質保全基金構想ということは、いろいろな関係者から言われていることは承知しておりますが、まず、水質保全というものについて関係者が一致した認識のもとに取り組んでいった成果の上で、あるいはそういう形が出るのかなというふうに存じます。まず、琵琶湖・淀川流域の地方公共団体は、従来からそれぞれの立場水質保全対策に取り組んできたところでございますが、より一歩進んで、流域内地方公共団体の共通課題として、共同で水系を一貫とした総合的な取り組みが必要であるとの認識のもとに、必要な制度に関する調査研究に取り組むようにしてきたところでございます。これを受けまして、昭和六十三年から流域六府県三政令市と河川管理者である建設省近畿地方建設局におきまして淀川水系水質保全共同取り組み検討会を設置し、取り組みの内容について議論してまいりました。この中で、取り組みの組織として琵琶湖・淀川水質保全機構を設立してはどうかとの機運が高まりまして、去る三月十八日に、平成四年度より全構成員が参加した琵琶湖・淀川水質保全機構設立検討会を発足させ、具体的な事業内容、組織体制について検討していくとの合意がなされたところでございます。近日中には設立検討会の発足がなされるものと承知しております。建設省としてもこの取り組みに大変期待しているところであり、引き続き関係機関との話し合いを進める中で具体化に努力してまいりたいと存じます。
  117. 山元勉

    山元委員 時間が参りましたから最後に、一口で言いますと琵琶湖総合開発計画あと五年です。けれども琵琶湖というのは悠久といいますか、これから未来ずっと琵琶湖周辺そして水系の地域皆さんの暮らしを守る水ですから、そういう琵琶湖を守るのには上流、下流一体になって考えなきゃならぬし取り組まなきゃならぬと思いますし、それはやはり府県の枠を超えてやるわけですから、国の皆さんの援助ないし指導というのが大きな役割を果たしてもらわなきゃならぬ、こういうふうに私どもは思っているわけです。地元地域皆さん協力というのはもちろんですけれども、それに対する指導とか援助というのは非常に大事だと思うわけです。  そういう意味では、今出ています構想についてはこの間の近畿の会議で大きく前進をしました。大阪の知事も言いますように、基金構想について具体化していこうという話にもなってきています。ぜひそういう方向でやらないと、先ほどもありましたように、五年で終わらなければどうなるんだという論議が先では困るわけでして、これからずっと、琵琶総が終わろうが終わるまいが悠久の琵琶湖を大事にしていくという体制をつくらなきゃならぬと思うわけです。そういう点で、国の役割に大きく期待をしたいと思います。  最後に、大臣と建設省から、これからの琵琶湖を守ることについての御見解といいますか、改めての御決意をお伺いをして終わりたいと思います。
  118. 東家嘉幸

    東家国務大臣 地元で密着した実態を踏まえての御質問、大変ありがとうございました。  琵琶湖はやはり近畿圏の大切な水がめであるし、重要な生活の基盤をなし得る琵琶湖に育てていかねばならない、こういうことでさらに延長し、そしてまた建設省も河川局長申し上げておりましたように、できるだけ早急に進めていく。しかし、建設省としては、河川局としては、やはり五年後においても継続的に取り組む問題は残されていくと思うわけでございますし、なおまた、今日おくれた原因にも、いろいろの地元との協調そして理解というものが必要であったということも承知いたしております。  どうか、そういう意味におきましても、この琵琶湖総合開発事業というものは重要であり、そして水質保全、新しい再生する琵琶湖周辺の開発をも含めて環境を、十分今日の状況包踏まえながら、総合的に開発をしていかねばならないと思っております。先生の御一層の御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  119. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 今国土庁長官が申し上げましたとおり、私どもは五年ですべてが終わりということではなくて、近畿圏全体の治水の安全度の上あるいは水資源の確保という観点に立って営々として事業を進めておりますが、とりわけ昭和四十七年にお約束しました事業が残念ながら未完のままで終わることは、私どもとしても耐えられないということで五年延長をお願いした次第でございますので、この五年間に総力を挙げて、少なくともお約束した事業は完了させたいという決意でございます。  なお、先ほど言いました二事業は、残念ながら財源問題のみならず用地問題その他非常に複雑な問題が絡みますので、五年以内に完了しない見込みではございますが、できるだけ五年に近づけるように努力してまいりたい。その意味では、先生方の御指導もお願いする次第でございます。
  120. 山元勉

    山元委員 ありがとうございました。
  121. 古賀誠

  122. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この琵琶湖総合開発特別措置法昭和五十七年八月には改定され、私も十年前本委員会におきまして質問させていただきました。それから十年たったわけでございますが、この琵琶湖総合開発計画に基づいて琵琶湖総合開発事業が実施されてきたわけでございますけれども、まず最初に今までの推移、この状況を、概略で結構でございますので御説明いただきたいと思います。
  123. 西谷剛

    西谷政府委員 二十年間たちました。二十年間で、計画としましては一兆六千億余の事業費を計上しておりましたが、平成三年度末、二十年たちまして一兆四千八百億円余の実績を見ました。九三%でございますが、実質的な事業量で見ますとその進捗率は八割程度にとどまるかと存じます。ただ、二十二種類事業のうちの一方の柱であります水資源開発事業、これが完了いたしましたことと、他方の柱である地域開発事業のうち、治山等の三事業は既に完了をしているところでございます。
  124. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、四十七年からまず十年、そしてまた先ほど私が申し上げました五十七年から十年、こういうことで計画が進められてきたわけでございますけれども、この平成三年度末で計画期間中に全事業が終了するに至らなかった理由というものは、一体どういうものがあるわけでございましょうか。
  125. 西谷剛

    西谷政府委員 個々の事業によってそれぞれ事情が多少異なりますけれども、総じて申し上げますと何点かございまして、一点はダム等の事業につきまして地元の理解、御協力がなかなか得られない、長期間を要するということが一つ。それから、地価高騰等の影響で用地交渉が長引く、これが一つございます。それから文化財関係の調査滋賀県は文化財が非常に豊富なところでございまして、この調査が非常に長引くということがあったかと思います。なお、やや具体的ですけれども環境上の問題から湖岸堤のルートの決定がなかなかおくれまして、これに伴います前面の都市公園事業がおくれた、こういうような事情があろうかと認識しております。
  126. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 長官、お伺いしておきますが、この改正後の事業内容、今回の改正のその特徴でございますが、あるいはまた増加した事業はどういうようなものがあるのか、その特徴、内容を長官の方から御説明ください。
  127. 東家嘉幸

    東家国務大臣 おくれた理由等については今局長から答弁をいたしたわけでございますが、そうしたおくれをやはりこの五年内で何とか完成させたいというようなことで、新たに延長をさせていただいたわけでございます。  なおまた、お尋ね琵琶湖水質保全重要性にかんがみ、水質保全関連の事業といたしましては、農村集落排水施設事業量を約六十集落に及び追加することといたしておりますし、なおまた、下水道事業等においても対象範囲を拡大していかなければならないと思っております。普及率そのものが非常に低い状況にございますことは御案内のとおりでございますから、少なくともこの範囲内において五〇%程度まで伸ばすように努力はなされなければならないと思っております。
  128. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それで、この五カ年の延長でございますが、その事業費の積算根拠、これはどういうことになっておるでしょうか、これを御説明ください。
  129. 西谷剛

    西谷政府委員 十八種類事業が残っておりますが、個々の事業について現地に当たりまして、あと全部計画どおりやるためには幾ら要るかというのを各事業主体が積み上げたものでございます。  例えば流域下水道でいいますと、計画は百六十七キロメートルでしたが、実際現在まで百四十キロ、そうすると残り二十七キロ、この二十七キロをやるのには幾ら要るかなということを現地に当たってその工事費を積算する、こういうような調子で十八事業のすべてを積算いたしますと三千八百億。ただ、新たに追加した農村集落排水処理事業、この六十集落もありますので、残事業にその新たに追加した六十集落分約二百億円を追加して、三千八百億とはじき出したものでございます。
  130. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 長官、もう一度お伺いしておきますが、御承知のとおり琵琶湖は歴史の長い、もとをたずねると四百万年、そういう古いものですよね。世界でも三、四巻月に古い湖でございます。それに恩恵を浴しておる人たち、飲み水だけでもこの近畿一千三百万の命の水がめとして本当に命を守っていく、そういう立場にあるわけでございます。  そこで、今も話がございましたが、例えばこういう水質浄化の問題、環境保全の問題等というものは、何も五年だとか十年だとかそんな簡単なものではないわけです。本当に力を入れてやっていかなければならぬ問題でございますが、ぜひこの後も長期的なスパンでその計画を立てて、琵琶総を終了した後どういうように考えておるのか、その方針を長官の方からお伺いしておきたいと思います。
  131. 東家嘉幸

    東家国務大臣 琵琶湖水質環境保全は、やはり健全な近畿圏全体の発展のために、将来にわたり恒久的な重要な課題だというふうに考えております。国土庁といたしましては、今後ともに滋賀県や関係各省と緊密な連携を図りながら適正に対処していくということで、私たちは決意を新たにいたしているところでございます。
  132. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 淀川水系については、水資源開発促進法に基づいて水資源開発水系に指定され、水資源開発基本計画が策定されているわけです。これによる水資源開発関連事業の実績と、淀川水系における水需給の動向についてお伺いいたします。  まず、淀川水系における供給水量は合計五十五・七トン、こうなっております。淀川水系における新規水需要の容量は、水道用水、工業用水、農業用水合わせて平成三年度から平成十二年度の間で約六十二トン、こうなっておりますけれども、この足らない分とういうように考えておるのか、ちょっと具体的に御説明をいただきたいと思います。
  133. 山内彪

    山内政府委員 淀川水系における水資源開発基本計画につきましては、現在平成十二年度を新たな目標年度とするということで、全部変更を行うための作業を進めているところでございます。将来の水需要の見通しを確定するにはいましばらく時間を要する状況でございますが、現在国土庁において検討中の概略の数値では、今先生おっしゃいましたように、平成三年度から平成十二年度までに新たに水源の確保が必要な需要量は、現在の不安定な取水の解消を含めまして、毎秒約六十二トンというふうに見込んでおります。それに、現在建設が予定されております供給施設による供給水量は、現在のところ約毎秒五十六トンを予定しております。この間の需給ギャップにつきましては、今後早急に調査を進め、供給施設の具体化をできるだけ早く図っていきたいというふうに考えております。
  134. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 琵琶湖の流域面積、これは県の九三%を占めております。そこで、滋賀県内で排出された汚濁物質というものはもう直接琵琶湖に流れてくる、水質に影響を与える。今までも議論があったとおり、下水道の達成率というものは全国平均から大幅におくれておる。そういういろいろなことを考えてみても、本当にこの水質浄化という問題に関しては、もうかねてより議論を重ねてきておるわけでございますけれども、私どもが望んでおるものから比較しますとやはりおくれておる。  そこで、琵琶湖水質の推移とこの状況、この琵琶総による下水道事業、し尿処理事業、それから昭和五十七年の、私もここで質問したわけでございますが、法改正時に新たに導入された農村集落水処理施設事業、そういったものの完全実施による水質保全、これの実行というものは非常に大切でございます。したがいまして、ぜひその達成を、水質を浄化していくのだという、近畿の人たちがみんな飲んでおるわけですから、みんな頼っているわけですよね、ほとんどの人たちが。そういうものから考えると、ぜひひとつこれを意欲を持って環境基準の達成をしていくのだというものを伺っておきたいと思いますので、その御決意のほどをぜひここで述べていただきたいと思います。
  135. 西谷剛

    西谷政府委員 もう先生十分御案内のところとは存じますが、水質問題というのは工業系排水対策、農業系排水対策、そして生活系排水対策、しかも施策としては、事業をやるという面と排水規制していくという面と硬軟両様の面を含む非常に総合的な対策でございまして、このために湖沼法が制定され湖沼保全計画が策定される、この中で総合的な目標を立てていく、施策を立てていくということになるわけでございますが、琵総事業はその一環として位置づけられているものでございまして、とりわけ御指摘のように下水道事業農村集落排水処理事業、これは事業の中の二本柱でございます。湖沼計画の方で予定されています事業のおおよそ八割ぐらいを琵総事業で受け持つという大きなウエートを占めておりますので、当面五カ年間でその完遂を図るということが非常に大きな意味を持っているのではないかと考えております。
  136. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、琵琶総の中の下水道事業については、閉鎖性水域である琵琶湖富栄養化防止の観点から、窒素、燐を除去するためにいわゆる三次処理高度処理が行われております。この費用というのは莫大なものなのですよね。もう御案内のとおりでございます。したがいまして、これの負担というものが、下流地域との問題から考えても非常に負担の格差がいろいろとございます。したがいまして、この莫大な費用に対する国としての対応をどのように考えておるか、御説明をいただきたいと思います。
  137. 市川一朗

    市川政府委員 ただいま御指摘ございましたように、琵琶湖下水道につきましては流域下水道公共下水道と、地方公共団体挙げて取り組んでおるわけでございますが、そのいずれの事業も御指摘ございましたような三次処理といいますか高度処理を行っておるところでございまして、まだ普及率が低い段階でございますのでその効果が必ずしも十分ではないという実態はございますけれども、かなり積極的に取り組んでいるという事実はまず御報告申し上げておきたいと思います。  それから、高度処理にかかります費用に関しましては、建設費と維持費とに一応分かれるわけでございますが、建設費につきまして申し上げてみますと、通常の処理施設と同様の国庫補助といたしまして、例えば流域下水道の場合には四分の三の国庫補助があるわけでございますが、地方公共団体の裏負担分につきましては地方交付税措置がなされておりまして、地方の裏負担から受益者負担を除いた額というのが正確な言い方でございますが、大ざっぱに言えば地方負担分の二分の一が地方公共団体の負担分に対する地方交付税措置ということになっておるわけでございます。ここまでは、実は高度処理とは関係なく通常の場合でも同じような措置がなされておりますが、そのほかにこれに加えまして、高度処理にかかった建設費に関しましてはさらに特別の交付税措置が講じられております。  それから維持管理費につきましては、これは地方公共団体が負担することになっておりますが、基本的には料金等で賄っている部分もございますけれども、そういった地方公共団体が現実に負担する維持管理費につきましても、高度処理に関しましては特別の地方交付税措置が講じられておりまして、必ずしも十分ではないとは思いますけれども、相当程度の助成措置を講じながら、特に必要な高度処理が進むようにということで配慮しておるつもりでございます。  それからもう一点、先生の方から御指摘がございました上流、下流の問題でございますけれども、これにつきましては、これも十分御承知と思いますけれども琵琶湖総合開発特別措置法に基づきまして、下流公共団体の負担金制度というのが設けられております。その相当程度が実は下水道の方にも使われておりまして、これは必ずしも高度処理に向けて使われたとは言い切れないと思いますが、相当程度下流公共団体の負担金も入っているというところから、私どもといたしましては、現在の負担調整がおおむね妥当なところではないかなと思っておるところでございます。
  138. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 なかなか地元負担というのは大変なんですよね。努力しておるということをよく認識した上で、ひとつ全面的な応援をしてもらわないと簡単にはいきません。ぜひその点を重ねて要望しておきます。  そこで、厚生省に来ていただいていると思いますが、近年の大都市への人口集中、そういった意味からの生活排水の増加など、いわゆる水源の湖沼の富栄養化あるいは微量な有機物質によるカビ臭。近畿へ来ていただいた人はわかると思いますが、時期によりますが大変な水道水のカビ臭がありますね。いわゆる異臭味ですよね。その被害が非常に増加しております。厚生省からいただいた調査結果にもよれば、全国でいわゆるカビ臭などの異臭味の被害に遭ったという人が、昭和六十年度で約一千三百万人、平成元年には一千七百五十万人の人々が水道水の異臭味による被害を受けておる。特に淀川、利根川など大河川の下流部、そういったところは集中しております。したがって、こういう水源の汚染に対して厚生省はどういうように認識を持っておるか、まずそれをお伺いしておきたいと思います。
  139. 藤原正弘

    藤原説明員 近年、水質汚濁の進行に伴いまして、水道水に異臭味被害が生じております。委員御指摘のとおり、平成元年度では全国で異臭味被害を受けた人口が千七百五十四万人であり、平成二年度では二千百六十八万人というふうに、大分最近はふえてきております。また、この大半は近畿圏での人口になっております。こうした被害が生じている事態につきましては、安全でおいしい水を供給することを目指す水道事業を所管している立場から、極めて重要な問題であると認識しております。
  140. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 環境庁にお伺いします。とにかくこの異臭味、カビ臭なんというのは、これはもう耐えられないんだな。この抜本的な対策、本当に期間がかなりかかってきておりますよね。何とかしなければいけませんよ。ぜひひとつその対策見通しを述べてください。
  141. 石田祐幸

    ○石田説明員 私どもの方では、水道水源の異臭味の問題、その原因の一つとしまして、アオコでありますとか淡水赤潮などが関係しているのではないかと考えております。その主な原因をたどりますと、窒素でありますとか燐のような栄養塩類が絡んでおるかと思います。そういったことから、これに対する取り組みを従来から図ってまいっておりますが、既に昭和六十年には水質汚濁防止法を改正いたしまして、窒素、燐の排水規制を導入しておりますし、また昨年の十月には湖沼水質保全特別措置法の施行令を改正いたしまして、従来CODにつきましては汚濁負荷量規制というのが湖沼法に基づきまして可能であったのでございますが、それに加えまして栄養塩類でございます窒素、燐に対しましても汚濁負荷量規制対象とする、こういうようなことで規制の強化を図ってまいったわけでございます。  さらに、この三月の十二日に琵琶湖の第二期目の湖沼水質保全計画を策定し内閣総理大臣の同意を得ておりますが、その中には、下水道等各種の生活排水処理施設につきまして高度処理推進を図りますとか、あるいは窒素、燐の水質目標を定めていく、こういうようなことで窒素、燐の削減対策に取り組んできておるところでございます。しかしながら、淡水赤潮等そういったものの詳細な発生原因、この辺についてはまだ十分解明し切れておらない点もございます。今後ともこの辺について原因究明のための調査研究を進めてまいりたい、こう考えております。
  142. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 これはもう経緯が長いのだからね、十分いまだ。に解明されていないなんて、確かになかなか難しい問題ですよ、この異臭味というのは。しかし、それに対して本当に真剣に取り組んでいく、そういう姿勢が大事でございますから、ぜひひとつその点もう一度よろしく検討をしてもらうよう重ねて要望しておきますから。  そこで、ちょっと違った角度から質問しておきますが、厚生省に伺っておきます。  まずトリハロメタン、これはもう御承知のとおり塩素消毒をすることによって、それによって複合的に合成されていく、そういう発がん物質ですよね、これははっきりしております。水道水を飲んで、発がん物質を一緒に飲んで、そしてがんになっていく、こういう状況というものが、本当に真剣にどうやったらこの問題を解決できるのかという取り組みというものが大事なわけですので、ぜひひとつ安全な水道を確保する。もちろん一番は、原水がもうもともと安全なものである、何も塩素消毒など全然する必要はないというものが一番理想的、これはね。ところがそうはいかないのだ、これは。今のこれだけの多くの人たちの飲み水を確保していくとなると、湖沼、河川、あらゆるところから飲料水源としてそれを確保していかなければならない。そういったものから考えてみますと、この塩素を多量に使ってさえいけばいいのだ、それによって安全が確保されるのだ、しかしそれによってまたトリハロメタン、そういう発がん物質が生じてくる、そういうことになると、私は今度は余り使い過ぎたらこれは大変なことになるじゃないか。  そういう意味で考えますと、この塩素の使用量に関しては今下限だけを決めていますよね、上限は決めていませんよね。この理由は一体どういうことなんですか、まずそこをお尋ねしておきます。
  143. 藤原正弘

    藤原説明員 病原生物による汚染を未然に防ぐために、水道では衛生上の措置としまして塩素消毒を義務づけておりまして、給水栓における遊離残留塩素の下限値を〇・一ppmといたしております。  一方、上限値についてお尋ねでございますが、上限値につきましては、通常用いられている程度の残留塩素では直ちに人体に対する悪影響はないということで、特に定めていないのでございます。しかしながら、委員御指摘のように、水道水源の悪化に伴いまして、特にアンモニア濃度の増加に対応するため塩素注入量が多くならざるを得ない状況がございます。塩素注入量が過剰となりますと、トリハロメタンが生成するといったようなことにも結びつきますし、またカルキ臭など水道水の味が悪くなるという問題もございますので、塩素注入量が多過ぎるのは好ましくないという立場をとっております。好ましくないということでありますが、基準として義務づけるというところまでは至っていないのであります。水道立場からも、塩素の注入量が過剰とならないよう、浄水場における塩素注入方式の改良並びに注入地点を分散化いたしましてまんべん化するといったような指導を行っているところでございます。
  144. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 だからそれは、アンモニアやいろいろなものがあるために塩素を入れる、塩素を入れて今度はそれが複合的にトリハロメタンという発がん物質になる。だからまた、それを分散したってこれはしょうがないのだな。まずそれをもう一度、各家庭においてはいろいろなところで販売しているいわゆる浄水器を使っていますよね。みんな自己防衛しているわけですよ。しかしそれが、もともとのところで塩素を注入して、そしてアンモニアやいろいろなそういうものの汚れというものを取り除いた、今度はもう一度そこで塩素あるいはトリハロメタンという、そういう嫌なものですよね、そういうものを取り除いていくのだという、それぐらいの努力があっていいのじゃないのですか。それを各家庭に任せている。だから今、浄水器でも地域によっては物すごく売れているとかそういうような状況というものは、これはもう一度考える必要があると思いますが、御意見伺っておきましょう。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  145. 藤原正弘

    藤原説明員 先ほどのトリハロメタン等の問題は、原因がやはり原水の有機物及び消毒に使います塩素ということで問題が生ずるわけであります。したがいまして、もとの有機物を取るというような観点も重要かと思います。第一義的には原水の水質保全ということを各方面で努力していただいておりますが、この努力がより早く進むということが重要かと思いますが、水道事業のサイドといたしましても、利用者の要求にこたえるためにいろいろな施策を進めておるところでございます。通常の浄水処理施設に加えまして、高度な浄水処理をするための施設を設置するというようなことでございます。  このため、厚生省におきましては、昭和六十三年度から必要な浄水場における高度浄水施設、これは、例えばオゾン処理とか活性炭処理とか生物処理とか、こういうものでございますが、こういう高度浄水処理施設に対しまして国庫補助制度を設けて支援をしてきたところでございます。今後とも、このような施設促進に努めてまいりたいと考えております。
  146. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 高度処理をすれば、じゃ塩素は残らないわけだね、トリハロメタンというものはなくなるんだね。それをはっきりしておいてくださいよ。
  147. 藤原正弘

    藤原説明員 トリハロメタンの制限目標値というのを厚生省で定めておりますが、そういう基準値と比較いたしまして、こういう高度浄水施設を設けますとはるかに下回る水質基準が得られるので、こういう施設を設けることはトリハロメタン対策としましても十分な効果があるものである、こういう認識でございます。
  148. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、水源の水質保全を図る観点からは、いわゆる各家庭から排出される家庭雑排水、この問題が非常に大事です。琵琶湖に流入する汚濁物質の量、その発生源別に見てみると、いわゆるCODは、これは家庭系が三一%、窒素が二四%、それから燐が三七%、こうなっています。かなりの割合を家庭系で占めていますね。したがいまして、この家庭雑排水、家庭でその雑排水対策を、滋賀県においてはそのコーナーに、自分の家の台所の水道のところへいろいろな工夫を凝らしてやっておりますね。そういった面を、全国においてもそうでございますけれども、ぜひこういうようにやった方がいいんだというそういう教育の場、そういうものも必要ではないか、啓蒙を図っていく必要があるではないか、ひとつ御意見を伺っておきたいと思います。
  149. 鈴木繁

    ○鈴木説明員 環境庁水質規制課長です。  委員御指摘の生活排水対策、非常に重要であるという点でございますが、平成二年六月に水質汚濁防止法を改正いたしまして、水質汚濁防止法の中で生活排水対策推進できるような規定を盛り込んでいただいております。これを受けまして、県知事が生活排水対策推進すべき地域を指定する、指定された地域を含む市町村におきましては、生活排水対策重点地域として計画を策定するという仕組みがつくられております。滋賀県におきましても、琵琶湖・瀬田川流域全体を重点地域ということにいたしておりまして、現在各市町村において普及啓発を進めたり、あるいはいろいろございます生活排水処理施設整備を進めるための計画づくりを今進めているというところでございます。  環境庁におきましても、その生活排水対策を進めるということで、平成三年度より市町村が策定します計画策定に対する補助制度を創設いたしておりまして、三年度におきましては、滋賀県につきましては大津市など十市町の計画策定に対して助成をしているというところでございます。  さらにまた、御指摘のとおり、国民全体に対する啓発が非常に重要でございますので、そういうパンフレットをつくったり、今御指摘のありましたような滋賀県でやっておられるようないろいろな例、こういう実践活動あるいはまた住民団体の活動、こういうものをいろいろ取りまとめまして、指針を策定して県にそういうものを活用してもらうといったようなこともやっておりますし、環境庁におきましては、毎年六月最初に環境週間というのがございますが、その週の水曜日に水環境フォーラムといったようなものを開催いたしまして、各地でそういう生活排水対策に取り組んでおられる住民の方々のいろいろな実践活動を御披露いただく、そしてまたその人々の情報交換をやってもらうというような場もつくっておりますし、政府広報の番組等でもいろいろ啓発活動を実施しているところでございます。今後とも啓発活動を積極的に推進してまいりたいと考えております。
  150. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この際、トリハロメタンの例ではないですが、そのほかいろいろあります。そういうことから考えても水道水が危ない、いろいろな雑誌等にもあるとおり。そういうようなことを言われるようになったら、これはもうどうしようもならぬよ、行政の立場として。例えば私は京都ですが、京都でもいろいろなわき水がございます。そういう名水を求めて、水道水が危ないんだからそういう名水を求め、わき水を求めて行列になっている、そういうふうなところが幾つもあるのですよ。皆さんも御承知のとおりです。  ここで提案したいのですが、これは毎日飲むものだから、命にかかわるものなんだ。飲料水について、より安全でおいしい水を確保する、これは当たり前のことです。そこで、水道水の総点検、見直しが必要だと思います。御意見いかがでしょうか。
  151. 藤原正弘

    藤原説明員 委員が今総点検、見直しというふうにおっしゃいましたが、今の水道事業というのは現行の法律の基準に基づいてやっております。したがいまして、そういう意味からしますと、その現行の基準を見直したらどうかというふうにお聞きいたしましたが、現在、厚生省では水道法に基づいて定められております水質基準の全体的見直しの作業をやっております。これは、生活環境審議会の水道部会に水質専門委員会というのがございまして、そこで具体的に作業をやっていただいておるわけであります。  昨今、化学物質がたくさん生産され使用される、そういうふうな状況にございまして、環境中からもよく検出されるような状況になっております。そういうことからいたしますと、今の水質基準項目を広げまして、拡大して対応しなきゃいけないとか、また現在決められております水質基準の中にも、その後の科学的知見に基づきますともっと厳しくしなきゃいけないといったようなこともあろうと思います。そういうことを含めまして作業をしておりまして、かなり作業も進んでまいりまして、近々報告をいただくというような段階に来ておるところでございます。
  152. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 琵琶湖では、淡水赤潮は昭和五十二年から発生しているのですよ。一時大変な状況でしたが、最近は赤潮に関してはかなり少ないようです。しかし、発生がなくなったという状態にはなっておりません。それから、アオコがまたここのところ、近年出てきております。ひとつその発生状況対策、どんなふうにやっておりますか。
  153. 石田祐幸

    ○石田説明員 先生御指摘のとおりでございますが、琵琶湖におきましては淡水赤潮が昭和五十二年以降、ほぼ毎年のように四月末から六月にかけて発生しておりますし、南湖ではアオコが五十八年度以降ほぼ毎年のように夏場に発生しております。こういうこともございまして、今回第二期目の琵琶湖の湖沼水質保全計画を策定したわけでございますが、その中では、そのアオコや淡水赤潮の主要な原因になっております窒素、燐の削減対策を強化する、こういうことでいろいろな対策を盛り込んでまいったところでございます。今後ともアオコ、淡水赤潮、あるいはこのほかにもピコプランクトンというようないろいろなプランクトンが関係してございます。そういった面についても研究を進めてまいる所存でございます。
  154. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 これもかなり長い経緯ですから、もちろん研究、検討はどんどんしていかなければいけませんよ。その対策をちゃんとやっていかないと、研究したけれどもいつまでたっても原因すらよくわからぬというような状態では話になりません。したがいまして、その点を一刻も早くこういったものが絶滅できるようにぜひ要望しておきます。  そこで建設省にお伺いしておきますが、先ほども若干取り上げましたが、これは命の水がめを抱え、近畿一千三百万の人たちが毎日飲んでおる水を抱えておるこの滋賀県の下水道普及率は、平成三年三月現在で二八・二%、全国平均は四四%、どう考えてもおかしいのじゃないか、これは。これはどういう意味ですか、どう講ずるつもりですか、しっかりした答弁をしてください。
  155. 市川一朗

    市川政府委員 御指摘ございましたように、平成二年度末の数字で見まして、滋賀県の下水道普及率は二八%でございます。全国平均が四四%でございますから、そういう意味では滋賀県が低いということは御指摘のとおりでございます。ちょうどこの琵琶湖総合開発計画が改定されました、ほぼ十年以上前になりますが、昭和五十六年度末の数字でちょっと比較させていただきますと、全国平均は三一%でございましたのが平成二年度末で四四%ということで、ポイントとしては一三%上昇しているわけでございます。この昭和五十六年度時点で、実は滋賀県の普及率は五%でございまして、それが二八%に達しておりますので、その間に二三%、全国平均は一三%の上昇でございましたが、滋賀県は二三%と大幅な上昇を示しておるわけでございますが、下水道整備に対する取り組みのおくれから、現在それでもなおまだ二八%という低い状況になっているわけでございます。  先ほど来御答弁申し上げておりますように、現在琵琶湖につきましては、流域下水道及び公共下水道で関係地方公共団体挙げて真剣に取り組んでおりまして、私どももそれに積極的に御支援申し上げているところでございまして、平成八年度末では大体五割ぐらいには達するのではないかということでございまして、それでもなおおくれているわけでございますが、滋賀県に関しましては、かなり急速に下水道整備が進むというところで私どもも取り組んでおるところでございます。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  156. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ぜひ全国平均に持っていってくださいよ、全国平均に。そんな、努力するとか五割ぐらいになる、そのときはまた全国平均は上がるでしょう。とにかくこの琵琶湖を抱えておる滋賀県だ。それも、それは近畿一千三百万の人たちの命なんだ。だから、ぜひそんななまぬるいことを言っていないで、全国平均を上回る、こういう決意を言ってください。
  157. 市川一朗

    市川政府委員 琵琶湖流域下水道、四処理区で今やっております。それから公共下水道も、先ほど申し上げましたように取り組んでいるわけでございまして、ただいま先生から御指摘がありました目標を達成できるよう、私どもも全力を挙げて取り組んでいくつもりでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  158. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこでお伺いしておきますが、滋賀県においてはこの工場、事業場の排水に対して、水質汚濁防止法のほかに、県独自の上乗せ条例等で規制を行っているわけでございますが、この排水規制対象工場に対する行政措置の状況はどうなっておるか。また、その行政措置、改善命令、警告あるいは注意、そういうふうにされた場合に、その工場におけるその後の排水状況というのはちゃんとなっておるのかどうか、そういった点はどう掌握していますか。
  159. 鈴木繁

    ○鈴木説明員 水質汚濁防止法、滋賀県公害防止条例及び富栄養化防止条例に基づきまして、排水規制対象となる工場、事業場に対して、必要に応じ、県等により改善命令等の行政措置が講じられております。  平成二年度におきましては、延べ千三十五事業場等に立ち入り、うち延べ千七事業場等について採水検査を実施した結果、排水基準に不適合であった百五十一事業場等に対して、停止命令一件、改善命令二件、警告四十六件及び注意九十五件の行政措置が行われたと聞いています。また、これらの行政措置後も、必要に応じた県等による立入検査等によりまして、排水基準遵守の徹底が図られているところであります。
  160. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 琵琶湖の特に南湖でございますけれども、私ももう十数年ここを調査しております。最初のころは、例えば透明度でも二メーター、三メーターございました。今は、ことし行きましたら透明度が五十センチ、六十センチ、雨が降ったときなどはもっとひどいとか、もうどうしようもない事態に進んできていることは確かなんです。そこで、特に南湖にそうでございますが、いわゆる湖底に底泥というものがたまってしまっていますね。それがいわゆる栄養塩が底泥中に高濃度に蓄えられて、それがさらに栄養塩が水中へ再溶出して内部生産を誘引する、それで湖水の富栄養化をさらにまた大きくしていく、魚介類の生息環境の悪化、これも御承知のとおりです。  そこで、この底泥に対してどう改善していく考えなのか、どのように認識を持って、そしてまたどう改善しようとしておるのか、環境庁それから農水省、これは財政的にも技術的にもどういうふうに考えておるか、あわせて御答弁ください。
  161. 石田祐幸

    ○石田説明員 燐等の栄養塩を多く含んでおります底泥については、琵琶湖の南湖では一部の閉鎖的な水域で現在見られるということは私どもも承知しております。  これらの水域の底泥についてどういった対策をとるか、こういう御質問でございますが、第二期目の琵琶湖の湖沼水質保全計画の中では、しゅんせつ、覆砂などの対策が盛り込まれておりまして、今後こういった対策が順次実施に移されていくことになろうか、こう理解しております。
  162. 吉崎清

    ○吉崎説明員 琵琶湖の南湖におきましては、周辺の都市化の進展等に伴いまして、底質の悪化と富栄養化の進展による漁場環境の悪化が見られるようになってきております。このため、滋賀県から大規模漁場保全事業による底質改良を実施し、漁場の生産力の回復と親水機能の向上を図りたいとの要望が水産庁に対してあったところでございます。今後、本事業の実施につきまして、滋賀県と十分協議して検討してまいりたいと考えております。
  163. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 時間の関係で、もう一点お伺いしておきます。  外務省、来ていただいておりますが、草津市へ誘致が決まっておるUNEPの国際環境技術センターについてお伺いしたいと思いますが、現状と今後の動きについて、どのようになっておりますか。
  164. 畠中篤

    ○畠中政府委員 お答えいたします。  UNEPの国際環境技術センター、これは滋賀県と大阪市の二カ所に施設を持つ一つのセンターという構想で設置される予定でございます。規模につきましては、それぞれ滋賀県及び大阪市で詳細検討中でございますけれども施設は約二千平米ないし二千五百平米程度施設ができる予定でございます。職員その他国連の専門職員数名を含む職員の数は十数名という感じで、今詳細が詰められております。  本件センターは、開発途上国に環境保全技術を移転することを目的とするものでありますが、特に滋賀県の施設につきましては、湖水、湖沼の環境問題を取り扱うということになっております。具体的には途上国の行政官、技術者を対象とした研修、それから環境保全技術の情報の提供、途上国における環境汚染問題解決のための助言を行う、あるいは調査研究を実施する予定でございます。  本件につきましては、我が国の地球環境問題に対します国際協力一つとして我が国に誘致するものでありますので、一九九〇年のヒューストン・サミットにおきまして海部前総理から誘致を表明していただいて、今進めておるところでございます。
  165. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 予算的にはどのくらいの費用がかかり、負担はどのようになるのか、財政措置についての配慮ですね、どんなものが考えられるのか。何か全体では六百万ドルぐらいかかるんじゃないかとか、国からはほんの少し、百五十万ドルぐらいしかできないとか、本気で取り組む気があるのかどうか疑わしいわけです。それはまあはっきりしたことではないのですが、予算的にはどんなふうになっているのですか。
  166. 畠中篤

    ○畠中政府委員 お尋ねの資金面の予算の手当てでございますが、既に政府は本件センターの設立調査に対する協力ということで、平成三年度に八十万ドルを拠出済みでございます。約一億円でございます。さらに、平成四年度予算政府原案におきましては、開設及び運営に対する協力として百五十万ドル、約二億円弱でございますけれども、それを計上してございます。  二カ所に建設いたします施設の建設そのものは、滋賀県及び大阪市の方でしていただくということになっておりますが、そのほかに滋賀県におきましては、従来から湖沼環境保全に関します国際協力推進活動を行うための財団法人国際湖沼環境委員会というところが基金を募集いたしまして、その運用益によってセンターの施設の維持管理等の事業を行うという予定にしております。そういう内容になっております。
  167. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、時間ですので最後に長官、お伺いしておきます。  いろいろと琵琶総に関して私、水質の問題、環境の問題、また今のUNEPの問題、取り組んでおるその問題等を取り上げました。最後に、琵琶湖総合開発計画事業の達成と、その目的である琵琶湖自然環境保全と汚濁した水質の回復と水資源の利用と、関係住民の福祉とあわせて増進していくために、大臣の御決意をお伺いしておきたいと思います。
  168. 東家嘉幸

    東家国務大臣 貴重なお説を賜りまして、その趣旨を十分踏まえながら、今後特に汚濁の回復をどう図るかということが重要な課題だということをさらに認識したわけでございます。今後とも、関係機関とよく緊密な連携の中にこの事業推進を回らせていただきます。
  169. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。
  170. 古賀誠

    古賀委員長 辻第一君。
  171. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、琵琶湖環境と水を守る問題で質問をさせていただきます。  私ごとですが、私は京都に生まれて京都で育ちました。母が滋賀県生まれということでありまして、琵琶湖というのは本当に親しんだ湖でありました。去年、一日かけて琵琶湖調査させていただいたのですが、昔のあのきれいな水が本当に汚れ切っているという、そんな残念な思いをしたわけであります。  ところで、この琵琶湖総合開発法の源となっています琵琶湖総合開発計画は、一・五メートル、異常渇水時は二メートルの水位低下によって、下流三府県に工業用水など毎秒四十トンの新規利水を確保することを主眼としたものであります。このような人為的な水位低下が自然の自浄作用、生物学的循環のバランスを破壊し、湖水の汚染を激化させる、上水道として使用不能に陥れる危険、滋賀琵琶湖の景観を破壊する危険を持つことは、つとに指摘されてまいりました。琵琶湖では、総合開発計画の制定時から臭い水や赤潮現象が問題となり、湖の汚染に警鐘が鳴らされてきました。琵琶湖を守る、本当に景観や環境や水を守る滋賀県民の皆さん方の大変な御努力、また滋賀県当局も御努力をいただいてまいりましたが、そういう中で琵琶湖富栄養化防止条例の制定など、汚染の進行を防止するための一定の役割を果たしてまいりましたが、その後もアオコの発生、いわゆる泡潮現象などがあらわれ、アユの大量死やピコプラングドンの出現など、琵琶湖水質環境の悪化が進行しております。  昨年の六月二十五日に発表された県の調査結果によりますと、琵琶湖水質は第一次琵琶湖水質保全五カ年計画発足時の一九八六年より悪化していることが明らかとなりました。透明度は過去十年で最悪となっております。政府は、琵琶湖総合開発開始以来二十年間水質悪化、環境破壊の進行という事実を直視をして、琵琶湖近畿圏千四百万人のかけがえのない命の湖として現在も将来も守るために、抜本対策をとるべきだと考えております。  さて、滋賀県は、湖沼法による第二次琵琶湖水質保全計画平成三年度から七年度までの五カ年計画として策定されております。ことしの三月、我が党の吉原県会議員が滋賀県当局に質問をいたしました中で、第一次計画がなぜ達成されなかったか尋ねましたところ、その理由について県当局は、人口が急増した一五万五千人の予定が八万九千人にふえた、また製造業の出荷増が昭和六十年に比べて四〇%ふえた、それからもう一つ下水道事業のおくれであります。  ここで建設省お尋ねをいたします。私は実は昨年の四月にも、この琵琶湖下水道の問題で整備を充実させていただきたいということを要請をしたわけでありますが、この琵琶湖、六百四十本の河川がみんな琵琶湖排水をされているという状況ですね。聞きますと、琵琶湖の水が入れかわるのには十九年という説もあるようでありますが、こういう状況の中で人口がどんどんふえ、しかも先ほど申しました工場の製造量がふえておる、そういう状況があるのですね。これはもう一刻も猶予のない状況に来ているのではないか、病気でいえば非常に重い病気の状態に今入ってきているのではないか、私はこういうふうに思うのですね。  そういうことで、流域関連公共下水道整備は急務だと思うのですね。先ほど来お話がありました平成二年度末ですか、それでは二八%、全国では四四%というお話も聞きました。去年も聞いたわけでありますが、いずれにいたしましても下水道建設に本当に私は力を入れてほしいということであります。それから、水質保全のために下水道高度処理、この問題も大事な問題だ、こういうふうに考えるのですね。それから、琵琶湖の特例補助率というのですか、かさ上げというのですか、治水三事業にはやられているのですね。また、土地改良にもやられているわけです。だから、ぜひこの下水道建設に対する補助基準を改善をしていただきたい、補助金を増額をしていただきたい、また下水の高度処理に特別の措置をとっていただきたい、このように考えるのですが、建設省いかがですか。
  172. 市川一朗

    市川政府委員 琵琶湖下水道整備の緊急性につきましては、私ども全く同じような考え方で取り組んでおるつもりでございますが、現在なぜ二八%になっておるのかな。これは滋賀県が二八%でございますが、琵琶湖流域では二六%でございまして、やはり基本的にはいろいろな事情がございまして下水道事業への着手がなかなか進まなかったということがどうも原因のようでございまして、現時点では流域一下水道につきましては、四つ処理区におきましてほとんどフル稼働の事業回転が進んでおります。これが着々と成果が上がってくることを私どもとしても期しておる次第でございますが、先ほど来の御指摘に対応できるように、国としても積極的な支援策を講じていきたいと思っておるところでございます。  それで、高度処理の問題でございますけれども、これは全国的にはまだ必ずしも高度処理が進んでいない面がございますけれども琵琶湖に関しましては、先ほど来申し上げました四処理区の流域下水道のすべて、それから単独で行われております公共下水道も含めまして高度処理に取り組んでおるところでございまして、下水道整備が進めば、同時に三次処理といいますか高度処理もできるというところでございまして、できるだけ事業進捗を図っていくことが肝要かと思っておるところでございます。  それから、高度処理も含めました国の助成措置の問題でございますけれども、まず高度処理につきましては、通常の処理のほかにさらに特別の地方交付税措置も講じまして、地方公共団体の負担高度処理分だけ高まりますので、その負担軽減が図られるよう国の立場でもかなりの配慮をしておるつもりでございます。それから、下水道全般に関しましては、現時点ではたまたまでございますが、昭和六十年度からいわゆる高率補助率の引き下げ措置が公共事業全般について行われてございますが、琵琶湖総合開発計画に位置づけられております下水道事業につきましては、特例措置といたしましてその引き下げ措置は行われておりません。したがいまして、現在では例えば流域下水道につきまして一般的には十分の六のところが四分の三という補助率になっておりまして、現時点ではそういったようなところも含めまして、琵琶湖関連の下水道整備を強力に進めておるところでございます。  また、補助対象範囲の問題等いろいろございますので、私どもといたしましては特に琵琶湖関連での特例は設けておらないところでございますけれども、市町村の規模に応じまして、平成三年度に公共下水道の管渠の補助対象範囲を大幅に見直しております。今後とも、私どもといたしましては国の立場で、普及のおくれております中小市町村の事業進捗に十分配慮してまいりたいと思っておりまして、琵琶湖水質保全及び回復につきまして、下水道立場からも全力を挙げて取り組んでまいりたいと思う次第でございます。
  173. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひぜひ頑張っていただきたいと思います。  時間がありません。環境庁お尋ねをいたします。もう一つ、工場や事業所の排水規制というのが非常に重要な問題だと私は思うのですね。第二次琵琶湖水質保全計画において、工場、事業所の排出するCODの総量規制を行うべきではないか。いろいろこれまで御回答をいただいておるようでありますが、端的にお答えをいただきたいと思います。
  174. 石田祐幸

    ○石田説明員 現在、湖沼法の中に総量規制の規定がございますが、ただいままでのところ、この総量規制制度は実際に導入されてございません。先生御指摘の件でございますが、実は昨年の十月に湖沼法の施行令を改正いたしまして、CODを従来対象としておりましたが、それに加えまして今回、窒素、燐の汚濁負荷量規制というのをとりあえず導入し、今回策定されました湖沼水質保全計画の中で実施が可能な形になっております。そういったこともございますものですから、当面はこういった汚濁負荷量規制の効果をしばらくの間見てまいりたい、こう考えております。  ただ、先生の御指摘もございました総量規制の導入、これにつきましては関係府県等とも相談の上、総量規制の導入が適切であるかどうか、この辺について今後検討をしていきたい、こういうふうに考えております。
  175. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、また建設省お尋ねをいたします。  国や滋賀県は、一・五メートルの水位低下は十年に一回とか、水位低下は水質に大きな影響を与えない、こういうふうに言い続けておられるわけでありますが、一九八二年に京都市の水道局が発行した「琵琶湖の現状と将来」というのは、シミュレーション結果に基づいて一・五メートルの水位低下が二・五年ないし五年に一回発生し、とりわけ南湖の水質汚染が現状の二倍近くに悪化する、こういう予測もされております。また、滋賀県が制定したヨシ保護条例は琵琶湖環境保全に大変役立っていると思うのですが、水位が低下すればヨシの保護さえ不可能になります。また、下流三府県の水需要も二十年前の予測を大きく下回っておると思うのです。何が何でも新規利水ではなく、琵琶湖水質保全のために本当にあらゆる手だてをとるべきだと思うのです。  そこで、水位低下の頻度や幅、水質、生態系への影響についてのアセスメントを国と県が共同して行って、その結果に基づいて水位の低下幅、利水計画を根本的に見直すべきではないか、このように考えるのですが、建設省いかがですか。
  176. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 ちょっと御質問が多岐にわたりましたので、答弁漏れがあったらまた補足させてもらいます。  まず、水位がマイナス一・五まで下がる頻度はいかがということでございますが、琵琶湖というのはもちろん大変大きな貯水量を持っているわけでございますし、また水使用量も水道用水、工業用水等に活用しているというところから通年水利用するということで、一般のダム計画のように、夏のかんがい期に農業用水を中心として利用して冬季に水を回復するというような形にありませんので、我々の一つの計算といたしましては、過去の流況を大正七年から昭和六十年までの六十八年間、二万五千日になりますが、その流量等の水文資料により、琵琶湖開発事業により毎秒四十立方メーターの新規都市用水を開発した場合の琵琶湖の水位変動の検討を行ったところ、二万五千日のうち五百日において利用低水位のマイナス一・五メーターあるいはそれ以下になると想定されております。これは全体でいうと二%ということになります。  そこで、これを何年に一回という形で一応やってみますと、大正七年から昭和四十年の四十八年間では五回。また、最近の資料を加えた大正七年から昭和六十年までの六十八年間では七回となっておりまして、ほぼ十年に一回ということは妥当だと存じております。それで、水位低下の問題につきまして、また水質悪化については、ただいままでのシミュレーション結果、特に昭和六十年の状況でこれがマイナス九十五センチまで下がりました。そのときのものをシミュレーションして実施してみましても、水質の悪化は生じないものと存じております。  なお、京都市のレポートについては、一つの学術的な検討と承りますが、説明は申し上げませんが、前提について多少違っておりますので、私どもの実態に応じた調査結果が正しいものと存じております。
  177. 辻第一

    ○辻(第)委員 そういうことで、私が言うた水位低下幅や利水計画を根本的に見直すべきではないかということの御答弁と理解をしておきます。  次に、これは御答弁いただく時間がありませんが、琵琶湖リゾートネックレス構想というのは滋賀県が進めておられるのですが、これは高さ百三十六・五メートルのホテルをお建てになったり、これは景観を破壊すると思うのです。構想の七カ所の重点整備地域のうち四カ所は琵琶湖に接して設けられておりまして、マリーナやなぎさ公園など琵琶湖を直接利用し、湖岸の改変を伴う計画となっております。また、リゾート開発の核として予定されているゴルフ場のうち、早崎、津田沼の両干拓地のゴルフ場は湖岸の近くに立地する計画であり、これらゴルフ場の排水の流入は水質汚濁の原因となり、水源涵養林つぶしもまた重大でございます。これらリゾート開発による水質汚染要因は、最終的に琵琶湖に集積をされ、湖周辺の改変による自然景観、生態系と環境破壊は避けられないと考えるわけでございます。  こういう点について、私どもは、琵琶湖リゾートネックレス構想は、ゴルフ場計画をやめるなど再検討すべきではないか。また、個々の開発計画については厳格なアセスを行い、環境や景観を破壊するものは認めない態度を明確にすべきだと考えているのですが、国土庁の見解を求めます。
  178. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  今お話ございました琵琶湖リゾートネックレス構想の中におきましては、特に琵琶湖水質保全と申しますか、そういうことが大変重要だ。同時に、琵琶湖自体があの近畿圏皆さん方のある意味では大変重要なリゾート資源でもあるということを考えますと、向こうの基本構想の中では、ほかの他県の基本構想と比べましても、特に琵琶湖水質保全あるいは自然環境との調和ということについては、基本構想の中でも詳細に記述をしてございますし、同時に先駆的に、例えばふるさと滋賀の風景を守り育てる条例、これは全国で初めてだったと思いますがそのようなこと、あるいはゴルフ場開発規制、さらにゴルフ場における農薬安全使用に関する指導要綱あるいは滋賀環境影響評価基準に関する要綱等々によりまして、環境については十分配意する、こういうことでございます。今の御指摘もございますので、私どもはその点につきましてさらに指導してまいりたい、かように考えております。
  179. 辻第一

    ○辻(第)委員 私どもは、この法案について反対の態度でございます。討論をさせていただけませんでしたので、ちょっと態度を申し上げたいと思うのです。  この特別措置法が推進する琵琶湖総合開発計画が、琵琶湖の利用水位をプラス・マイナス一・五メートルとして、下流に対し新たに毎秒四十トンの水を供給するものであり、これは高度成長下の、主として下流域の大企業の水需要にこたえるものであること、かつ琵琶湖水質を決定的に悪化させる、こういう問題、また滋賀県民と関係府県住民の意見を十分反映しなかったなどの、問題の多い法律であるということであります。  また、琵琶湖水質悪化の原因が、下水道建設のおくれでありますとか、あるいは周辺や水源地帯における乱開発、工場等の有害排水垂れ流しなどでありますが、琵琶湖総合開発特別措置法はこれらに対する規制は定めておらない。また、この計画推進により、今後さらに湖岸堤や湖周道路、大規模しゅんせつが進めば、なぎさが破壊され、琵琶湖自然環境はさらに深刻な事態を招く。こういう点などから、私どもは反対の立場をとっているわけでございます。  日本共産党は、一九九一年七月に「琵琶湖近畿圏千四百万人の「いのちの湖」として現在も将来も守るために、日本共産党の見解と提案」を発表しました。下水道整備促進、COD総量規制の断行、毎秒四十トン新規利水計画の根本的見直しなど、四項目の提案をしたところでございます。この中で、この法律の廃止と琵琶湖環境保全特別措置法の制定を提案しているところでございます。私どもは、今後とも滋賀県の皆さんや広範な国民の報さんと一緒に、琵琶湖自然環境を守り水質の回復を図るために全力を挙げることを申し述べて、質問を終わります。  以上です。
  180. 古賀誠

  181. 川端達夫

    川端委員 長官、どうも御苦労さまでございます。  私は、ただいま議題となっております琵琶湖総合開発特別措置法の、いわゆるあと年間延長という御提案に対し、琵琶湖のほとりで生まれ育った者といたしましても、そしてその他の皆さんに支えられて活動している議員としても、感謝を込めて、賛成の立場で御質問をさしていただきたいというふうに思います。  昭和四十七年以来既に二十年にわたりまして、この琵琶湖自然環境保全水質の回復というものを図りながら、水資源の利用あるいは関係住民の福祉というものを増進する、幅広く近畿圏の健全な発展に寄与する、そういう幅広い目的を持ってこの法律は実施をされてまいりました。ことしの三月三十一日で期限切れになるところ、あと年間延長ということで、県民としても、この法案がどうなるんだろうか、計画されている事業の中でほぼ完了したものもあるけれども、まだまだ道半ばのものもたくさんある中で、どういうふうになっていくのかというのは非常に注目をし、延長を期待しておった状況でありまして、今回各方面の御理解の中で、内容をそれなりに見直す中でこういう延長を提案されたということを非常に喜んでおる次第でありますが、政府として、この二十年間における今日までの目的に対する進捗状況、それに対する評価というものをまずお聞かせいただきたいと思います。
  182. 西谷剛

    西谷政府委員 進捗状況は、名目で九三%、事業量にしますと約八割ということで、期限内に達成できなかったという点については、まず非常に残念なことだったと思っております。しかし、八割やってまいりまして、おかげさまで水出し事業水資源開発事業概成するに至ったということ、これは一つ大きな成果ではなかろうか。また、水質保全関係につきましても、いろいろ御指摘はございましたが、立ち上がり数%であった下水道整備率が急速に三〇%近くまで立ち上がってきたというようなことはそれなりの、生活、福祉向上という観点から意義のあることではなかったかというように評価しております。
  183. 川端達夫

    川端委員 この法律に基づきますいわゆる琵琶湖総合開発計画というものでの事業が、総額で平成三年度実績事業費で一兆四千八百二十八億円、そして今回五年間延長というものでの平成四年度以降の改定計画事業費が五年間で三千八百七億円余と伺っておりますけれども、実に二十年間にわたって取り組んできていただき、なおまた五年間計画をするという四半世紀にわたる大事業というものの位置づけで考えますと、折しも今日本の経済が非常に景気が悪い、あるいは国の財政においても税収の悪化等々でいろいろな財政上の施策が講ぜられている昨今でございますが、こういう四半世紀にも及ぶ長期的な展望に立つ事業においては、この計画事業費を、景気の変動あるいは国家財政の多少の波の中に左右されない事業の確保、そしてこの完遂というのがぜひともに望まれるところでございますが、事業量の確保ということに関しての御決意のほどを確認さしていただきたいというふうに思います。
  184. 西谷剛

    西谷政府委員 まことにそのとおりだと存じます。三千八百億、五年間で単純に割り算しますと七百六十億、過去五年間やってきた事業費と比べますとむしろ低目でございますから、非常にリーズナブルな額であううと思っております。つまり、特別無理しなくても国費をセットしていくことができよう。ただ、もちろん心は許してはなりません。その万全の確保と事業推進には努力をしなければならない、このように考えております。
  185. 川端達夫

    川端委員 ありがとうございます。いろいろと今回の延長に関しては、事業の直轄化を含めて御配慮をいただいておるところでありますし、ぜひともその完遂に向けての事業量の確保をよろしくお願いをしておきたいと思います。  さて、先ほども御答弁でありましたけれども、現在のこの事業の推移を見ますと、いわゆる水出し事業に関してはほぼ完了したということと同時に、下水道が全体のレベルでいえばまだまだかなということでございますが、この琵琶湖総合開発においては、やはり琵琶湖の水というものに大きな視点が当てられている。いわゆる水資源ということの言葉もございますけれども保全と治水、利水というふうなものを考えますときに、今回の計画及びこれからの展望の中で、量の確保というものに関しては、かなりの天候の変動も含めてほぼ見通しは立つ状態になったのではないかなという部分では、治水及び利水、とりわけ利水ということに関しては非常に大きな成果を上げたのではないかなというふうに思っております。  しかし、水というものは量さえあればいいということではございませんし、ましてこの琵琶湖の水は、先ほど来議論が出ています中でも触れていただいていますが、千数百万人という近畿周辺皆さん方の生活のための水として御利用いただいているわけですから、水質問題というのももう一つの大きな要素であるということでございますが、環境庁において現在、琵琶湖水質というものが最近の傾向としてどのような状況にあると御認識をいただいているのか。いろいろな調査がございますが、CODあるいはBOD、あるいは藻の発生それから赤潮、最近はアオコ、そういうものの発生の頻度等を見ますと、やはり少しずつ悪くなってきているというのが現状ではないかと私は思うのですが、環境庁としてはどのように御認識をいただいているのか。また、そういう悪化をしている傾向があるとすれば、そのことに対する原因と対策というものに関しでもお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  186. 石田祐幸

    ○石田説明員 お答えいたします。  琵琶湖水質状況でございますが、降水量の影響で多少年によって変動もございますが、代表的な水質項目でありますCODで見ますと、過去十年余の推移としては、昭和五十年代、後半は改善傾向にあるかなと思います。ただ、それ以降はほぼ横ばいで推移している、こう認識しております。また、淡水赤潮、アオコの発生状況でございますが、赤潮につきましては五十二年度以降ほぼ毎年、またアオコにつきましては、南湖でほぼ毎年のように発生しておると認識しております。  実際、琵琶湖については、六十一年度以降湖沼計画を定めまして各施策を積極的に推進してきてはおったのでございますが、先ほどもお話がございましたように、近年人口の急増等がございまして汚濁負荷量が増大し、結果的に横ばいの状態で推移している、こういう状況かと存じます。
  187. 川端達夫

    川端委員 横ばいという御表現でしたが、アオコの発生はごく最近であります。大体、閉鎖系の水域でアオコが発生するというのは、かなり汚れてきている一つの象徴であるという説もございます。現に、今お述べになりました湖沼法に基づいてのいわゆる県の水質保全計画においても、目標の達成ということではなくてむしろ悪化の方向に数値が移行しているというのが現状であろうかというふうに思います。こういう閉鎖系の水域でございますので、いわゆる汚染の原因というのは、今人口増という部分での汚濁源の増加というふうにおっしゃいましたけれども、一概に人口増ということだけでもないのだと思います。いわゆる流入水の汚染というその原因が、工場等々のいわゆる工業排水、それから農業における排水、それから家庭の雑排水、そういうものが汚染の原因として大きく挙げられるのではないかな。同時に、いわゆる自然環境というものの天候とかが不順であるとか、降水量が多いとか少ないとかということと同時に、むしろ自然の持つ浄化力というものの程度にもやはり水質は影響されるというふうに考えます。  今日までの琵琶湖総合開発特別措置法及び湖沼法も含めてでございますが、とりわけただいま議題になっておりますこの特別措置法において、国としては公共下水道それから農業集落排水等に対する浄化機能の向上というものに特段の御配慮をいただき、これからの方向もそこに重点を置いた計画をお立ていただいていることは高く評価をさせていただきたいというふうに思いますが、私は、滋賀県民そして滋賀県及び滋賀県の地方自治体は、この琵琶湖を通じて環境問題に対する日常生活の意識というのは、日本の中で誇るべき位置にいるというふうに思っております。  富栄養化防止条例という、いわゆる石けん条例というものも今施行されておりまして、家庭で洗濯するのに、一般的には合成洗剤より粉石けんの方がやや使いにくいとか、あといろいろ手間がかかるとかいうことがあっても、やはりそういう石けんを使っていこう。あるいは、流しにおけるストレーナーも地方自治体が援助しまして、流しにある一定より大きなごみが流れないようにしようとか、油物のお皿があったとき、ただ単にそれを流しで洗うのではなくて、水に流さずに紙でふき取って燃やす方に回そうとか、実に細々としたことも含めて県民の一人一人が琵琶湖を守っていこうということを今やっているわけです。県においてもそういう富栄養化防止条例、俗に言われる石けん条例、あるいは通常の二倍ないし十倍厳しい排水基準の設定等々をやっているわけですし、現在は県議会でヨシ保護条例、今まで申しましたのは琵琶湖に入ってくる水を汚さないということでありますが、汚さないだけではどうやら二十年以上、あるいは数十年しないと琵琶湖の水がサイクルしないという中では、今ある水をきれいにするということも考えなければいけない。そのときに、琵琶湖のヨシあるいはその周辺の水生植物というものがいわゆる自然の浄化力というものを大変持っている。要するに、水中にある栄養分を吸い取って植物として固定化するという機能、あるいはその周辺に魚の産卵あるいは稚魚の生育という魚のすめるような、あるいは生えているということで浮遊物をそこに引っかけてとるという、いろいろな機能を自然は持っているわけです。そういうものがいろいろな開発ということの結果として随分失われてきている。これ以上失われないために保護していこう、いろいろな角度からいろいろなことを努力してやっておられます。国においても大変な御努力をいただいている。  そういう意味で、この五年間での総合開発事業計画を完遂すると同時に、さらに付加して、特に水質というものを真っ正面に据えた国としての施策を考えるべき時期に来ているのではないか。現在ある湖沼法あるいは現在の琵琶総もそうでありますが、それらも踏まえながら、そういう観点でこれからもぜひともに取り組んでいっていただきたい。御要望と同時に、この琵琶湖水質保全というものに対する国のこれからの取り組みに対して御見解を賜りたいと思いますし、環境庁建設省、そしてせっかくでございますので長官に締めくくりをお願いを申し上げて、質問を終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。
  188. 石田祐幸

    ○石田説明員 琵琶湖水質保全対策といたしましては、私ども環境庁としては湖沼水質保全計画を着実に推進していく、こういう考え方に立っております。  湖沼計画の中では、汚濁源に対する各種の規制を実施するということとともに、水質保全のための対策、例えば下水道でありますとか農業集落排水施設あるいは合併浄化槽、こういったものの整備、先生も御指摘になりましたような農業排水の適正な管理の指導あるいは地域住民に対する普及啓発、こういった各種の事業を総合的、計画的に推進していきたい、こういうふうに考えております。  特に、今回策定いたしました第二期目の湖沼計画におきましては、窒素、燐の削減対策をさらに盛り込んでございます。環境庁としては、この計画が着実に推進されますよう、関係の省庁とも協力をいたしまして水質の着実な改善を図っていきたい、こう考えております。
  189. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 河川管理立場から、やはり琵琶湖の持つすぐれた自然環境水質保全は極めて重要と認識しております。  水質保全に関しましては、これは都市局所管になりますが、下水道整備と相まって流入河川の浄化対策等を積極的に推進し、流域全体の水質保全に努力してまいりたいと存じます。とりわけ住民の社会生活への影響が大きいわけでございますが、その意味では、住民の皆様が先進的な努力をしていることにも十分敬意を表しつつ取り組んでまいりたいと思います。また、私どもが実施する治水事業の中でも、自然の持つ浄化作用をできるだけ取り込んだ治水整備の仕方、あるいは今御提案のありましたヨシ群落の保全等も、従来も進めてきましたけれども、これらの機能を検証しつつ展開してまいりたいと存じます。  また一方で、流域内地方公共団体の皆様の協力が必要であり、この問題としては、従来からそれぞれに取り組んできたものを共同で一貫した総合的な取り組みが必要であるという認識のもとに、必要な制度に関する調査研究に取り組んでまいりましたし、昭和六十三年から、流域六府県三政令市と河川管理者である建設省近畿地方建設局におきまして、淀川水系水質保全共同取り組み検討会等を設置して、さまざまな取り組みについて検討しておるところでございます。
  190. 東家嘉幸

    東家国務大臣 近畿圏の千数百万人の皆様に、今後とも水に対する安心をもって供給できるような体制を早くとり得るのが、今回のまた追加された法案でございます。そのためには、水質保全のためにこの事業が大いに役立つように努めていきたいと思っております。閣係各省庁ともよく協力、協議しながら、先ほどから大変御貴重な御提案もございましたが、そのことを踏まえて取り組んでまいりたいと存ずる次第でございます。
  191. 川端達夫

    川端委員 わかりました。  ぜひともまた長官、ちょうど節目でもございます。琵琶湖の実態も御視察をいただければとお願い申し上げ、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  192. 古賀誠

    古賀委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  193. 古賀誠

    古賀委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  194. 古賀誠

    古賀委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  195. 古賀誠

    古賀委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、杉山憲夫君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。三野優美君。
  196. 三野優美

    ○三野委員 ただいま議題となりました琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただくことといたします。     琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 琵琶湖総合開発計画の改定に当たっては、水質の回復と保全、自然の生態系の復元と資源維持に十分の配慮をするとともに、調和のとれた生活環境整備、産業文化の創造に留意すること。  二 琵琶湖総合開発計画の改定に当たっては、事前に環境に与える影響等を十分に調査し、関係住民の意向が反映されるよう努めること。    また、その事業の実施に当たっては、計画的な推進が図られるよう留意するとともに、関係地方公共団体の財政負担軽減を図るため、交付税、地方債等の財源措置について十分な配慮を行うこと。  三 異常渇水時及び洪水時における洗堰(あらいぜき)の操作については、滋賀県知事の意向を尊重しつつ関係府県知事との調整を図ること。  四 琵琶湖及びその流入河川の水質保全するため、工場排水規制及び生活排水対策推進下水道整備促進等、湖沼の水質保全に関する措置の充実に努めること。  五 将来における近畿圏の水需給の均衡を図るため、工業用水の合理的利用、下水処理水の再利用等、水利用の合理化・高度化の促進を図ること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願いを申し上げます。
  197. 古賀誠

    古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  198. 古賀誠

    古賀委員長 起立総員。よって、杉山憲夫君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、東家国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。東家国土庁長官
  199. 東家嘉幸

    東家国務大臣 ただいま琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会において熱心な御審議の上、御可決いただき。ましたことを深く感謝申し上げます。  本日の委員各位の御意見につきましては、これを十分体してまいるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、御趣旨に十分に沿うような努力をしてまいる所存でございます。  本法案の審議に関し、委員長初め委員各位から賜りました御協万に対し深く感謝を申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  200. 古賀誠

    古賀委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 古賀誠

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  202. 古賀誠

    古賀委員長 この際、特殊土ょう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来、理事会等におきまして御協議を願ってまいりましたが、お手元に配付してありますとおりの草案が作成されました。  まず、起草案の趣旨につきまして、委員長から御説明申し上げます。  特殊土ょう地帯災害防除及び振興臨時措置法は、特殊土壌地帯の保全と農業生産力の向上を図ることを目的として、去る昭和二十七年四月議員立法により五年間の限時法として制定され、以後七度にわたって期限延長のための一部改正が行われ、これにより特殊土壌地帯の治山、河川改修、砂防、かんがい排水、農道整備、農用地開発などの対策事業が実施されてまいったのであります。  今日まで四十年間にわたるこれら対策事業により、特殊土壌地帯における災害防除と農業振興の両面において顕著な進歩改善がなされたところであり、同法は、地域住民の福祉向上に多大な貢献をなし、深く感謝されているところでありますが、同地帯の現状は必ずしも満足すべき状態にあるとは言えないのであります。  すなわち、今なお対策を必要とする地域が数多く残されており、加えて、近年における都市化の進展による災害の態様の変化や農業をめぐる国内外の情勢の変化に対応して、新たに取り組むべき課題も多く生じてきております。  これらの課題に対応し、特殊土壌地帯の振興を図っていくためには、引き続き強力に事業推進していく必要があります。  以上の観点から、この際、同法の一部を改正し、平成九年三月三十一日までの五年間有効期限延長して、所期の目的の完全な達成を図りたいと存ずるものであります。  以上が本法草案の趣旨の説明であります。     —————————————  特殊土ょう地帯災害防除及び振興臨時措置法   の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  203. 古賀誠

    古賀委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。東家国土庁長官
  204. 東家嘉幸

    東家国務大臣 本法案の御提案に当たり、委員長及び委員各位の払われた御努力に深く敬意を表するものでございます。  政府といたしましては、特殊土壌地帯の現状にかんがみ、本法案については特に異存はないところであります。  この法案が御可決された暁。には、国土庁といたしましては、関係省庁と連携を図りながら、その適切な運用に努め、特殊土壌地帯対策を一層推進してまいる所存であります。  委員長初め委員各位の御指導、御協力を引き続きよろしくお願いを申し上げます。
  205. 古賀誠

    古賀委員長 これより採決いたします。  特殊土ょう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  206. 古賀誠

    古賀委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 古賀誠

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  208. 古賀誠

    古賀委員長 次に、内閣提出公有地拡大推進に関する法律及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。山崎建設大臣。     —————————————  公有地拡大推進に関する法律及び都市偶発   資金の貸付けに関する法律の一部を改正する   法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  209. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ただいま議題となりました公有地拡大推進に関する法律及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  国民の土地保有意識の高まりなど用地取得をめぐる環境が厳しさを増す中で、社会資本整備に不可欠な公共用地等を円滑に確保するためには、その先行取得を積極的に推進することが必要であります。  公共用地等の先行取得については、既に公有地拡大推進に関する法律に基づいて、届け出または申し出に係る都市計画区域内の土地を先買いする制度が存するところでありますが、近年、都市間を連絡する高速自動車国道など、都市計画区域外において設置される都市計画施設が増加しており、これらの施設の区域内の土地についても積極的に先買いを推進することが必要となっております。  また、このような土地の先買いは主として土地開発公社が行っておりますが、その先買いを積極的に推進するため、先買いを行う土地開発公社に対して融資による支援を行うことが必要となっております。  この法律案は、このような状況にかんがみ、公有地拡大推進に関する法律に基づく届け出または申し出に係る対象土地を拡大し、及びその届け出または申し。出に係る土地の買い取りについて、土地開発公社に対し都市開発資金の貸し付けを行うこととするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、公有地拡大推進に関する法律におきまして、届け出または申し出に係る対象土地に都市計画区域外に存する都市計画施設の区域内の土地を加えることとしております。  第二に、都市開発資金の貸付けに関する法律におきまして、国は、土地開発公社に対し、公有地拡大推進に関する法律に基づく届け出または申し出に係る土地の買い取りに必要な資金の貸し付けを行うことができることとしております。  その他、これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  210. 古賀誠

    古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る四月二日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十二分散会      ————◇—————