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鳩山国務大臣 これは日本の
教育界における最大の
課題の
一つであろうと思いますし、先ほど登校拒否とか高校中退の
お話がいろいろ議論された中で、今
文部省の抱える、日本の
教育界の抱える最大の
課題でございますと申し上げましたが、当然そういう登校拒否とか高校中退というような事柄と、今
先生御
指摘の通塾あるいは入試という問題とは極めて密接な関連があるわけでありましょう。これはよりよい、例えば高校入試、
大学入試というものがどういうものであるかということは、共通一次試験をやってみたり、センター試験を
実施してみたり、
大学入試センターにも相当な
研究をお願いしたり、いろいろやってきております。
しかしながら、およそ選抜というものは分母があって分子がある。受ける人に対して入る人の人数というのが大体決まっておるというのが日本の、例えば
大学等はそういうあり方であって、アメリカのように入りやすいけれども出にくい
大学というものではありませんから、どうしても
大学入試というのは何らかの選抜ということになってしまうわけで、例えばの話ですが、高校時代のボランティアの実績を
大学入試の点数に組み入れたらどうかというようなこともあります。それも
一つの案でしょうが、そうなりますと、ボランティア合戦が始まって結局同じようなことが起きるのだろうかというような危惧もございます。
受験者を分母として合格者を分子とすれば、分母分の分子という数字が一定であって、そこに何らかの選抜が行われるとするならば、この問題を根底から解決するというのはなかなか難しい問題だと私は考えておりますけれども、ただそれでも、少しでも高校生やあるいは高校受験をする中学生、中学を受験する小学生というようなお子さん
たちの
負担を軽くする、彼らの悲鳴のようなあるいは悲痛な叫びのようなものを少しでも軽減してやるにはどうしたらいいかということは真剣に考えなければならないと思います。
また、今
先生が、
私立の小中に行っているお子さんは通塾は余りしていないとおっしゃいまし本が、これはある意味ではそういう有名
私立小
学校に入れるために、幼稚園時代にそれこそ塾へ行ったなどというような話逃さんざん耳にするわけでございまして、受験戦争の低年齢化というのでしょうか、世の中の親御さん
たちがエスカレーターで行ける有名
大学のその附属の小
学校、場合によっては幼稚園に入れてしまったら後は勝ちだというようなことで、幼稚園の入園とか小
学校の入学試験でまことに厳しい競争があるというのは、まだ物心つかないお子さん
たちの
世界でおるだけに人間形成上も大きなマイナスがあるでしょうし、これも大問題だと私は考えております。
そもそもは、先ほども申し上げましたような銘柄志向というのでしょうか、社会が、
企業が、あるいはそれぞれの家庭が有名
大学を望む、この
大学は偏差値の上でも大変高いランクにあるから仕事もできるだろうといって出世できる、それがまた学閥を生むとか、そういうようなことが上から下へどんどんおりてきているというか、逆に言えば一番上の社会が高学歴志向であるという
部分を、これは官庁の採用、
企業の採用まであるでしょうが、これを取り除かないとどうにもならないという面もありますから、社会全般にお願いをするのが
文部省の
役割だという側面がある。社会が変わってくれないと
教育を変えることができないという
部分が入試という問題にはどうしてもつきまとうということは
先生にも御
理解をいただきたいと思うわけであります。
そもそも偏差値輪切りというのが、同じ
一つの物差しで、目盛りがついておって全部はかれるような形だからいけないのだろうというふうにも考えます。ですから、
大学設置基準も大綱化、柔軟化をしてうんと個性ある
大学をつくってもらう。A、B、C、D、Eと五つの
大学があるけれども、全く質が違うからこれは同じ物差してははかれないというふうになりますと、受験戦争とか受験地獄と言われるようなものは随分緩むのではないだろうかと私は考える次第でございます。
これは余りに大きな問題で、一度に
答弁をして済むようなことではありませんが、社会全体が変わってもらわなければならないという点、社会にあるいは家庭に一生懸命語りかけていくのが私
たちの仕事であるという面、そして社会や家庭が変わらなくても、そういう中でお子さん
たちの苦痛を少しでも和らげるにはどういう方法があるかということも懸命に考えなければならないと思っております。
今
先生がおっしゃった
公立と
私立の話は、私もちょうどそういう世代で体験をいたしておりまして、例えば昔の東京の都立高校は非常に評価が高かった。そして都立高校はいっぱいありましたから、どこかの都立高校に入れればいいという感じでございましたが、都立の
地盤沈下、今東京都の
教育委員会はまだこの復興のために単独選抜等の案を出しつつあるようには承ってはおりますけれども、都立高校というか
公立高校が
地盤沈下して有名
私立のようなものが浮かび上がってくれば、当然それを目指しての受験戦争は低年齢化して激しさを増しますから、そういうことも随分違う要素があるななどと考えながら、入試の問題は最大の
課題の
一つでございますから、本格的に検討をしていかなければならないとは思っております。