○遠山説明員 お答えいたします。
環境問題につきまして、児童生徒に正しい理解を深めさせることは極めて重要な事柄であると文部省も考えているところでございます。このような
観点に立ちまして、従来から社会科それから理科それから保健体育科を
中心に置きまして、小中高等学校を通じて、児童生徒の発達段階に応じて、
環境と人間とのかかわりや
環境を保全することの大切さなどを指導しているところでございます。
それで、小中高の指導要領の話でございますが、今回学習指導要領を改正いたしまして、小学校は本年度、平成四年度から、中学校は平成五年度から実施されるわけでございますが、
環境教育につきましては各教科等の
内容の充実を図ったところでございます。
例えば小学校でいきますと、小学校の五年の社会科ですが、新たに国土の保全や水資源の涵養などのために
森林資源が大切であることを気づかせるようにする、それから
環境保全のための
国民一人一人の
協力の
必要性に気づかせるように配慮する必要があるというようなことを充実しておりますし、また理科の第六学年で新たに、人は食べ物、水、空気などを通して、ほかの動物、植物及び周囲の
環境とかかわって生きているということを理解させる、こういうように充実しているところでございます。
指導要領でそういう
ぐあいに充実するとともに、文部省では教師用の指導資料、これも昨年、中高校編をつくって全国に配付したところでございますし、それからことしは小学校向けをつくっているところでございます。
それから、昨年新規事業としまして、滋賀県で第一回の
環境教育シンポジウム、
研究協議会を開催して、ことしさらに千葉県で第二回目を開きまして、
環境教育の充実を図っているところでございます。
それから、
環境教育のあり方につきまして
環境庁なりあるいは関係団体と
意見交換すべきである、こういうお話でございますが、これは
環境教育の推進に当たって、文部省は
環境庁との連携の重要性を図るということで、その
協力を得ながら、先ほど申し上げました教師用の指導資料の作成でございますとか研修などの事業を行っているところでございます。先生お話しのように、文部省だけでは
環境教育というのは必ずしも十分にはできないという
ぐあいに考えておりますので、さらに
環境教育の効果的な推進のために、
環境庁初め関係団体との緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
それから、
環境教育につきまして中教審等に諮問すべきではないかというようなお話でございますが、学習指導要領の改訂に先立ちます教育課程審議会におきましては、社会の変化に適切に対応する教育の
内容について審議が進められまして、その答申を踏まえて、先ほど申し上げました新しい指導要領ができているところでございます。学校の教育
内容につきましては、いろいろ
環境教育だけではなくて、
消費者教育でございますとか福祉教育など御要望等もあるわけでございますが、個別の指導
分野だけを取り上げて
検討することよりは、やはり教育
内容全体の
検討の中において、個別の指導
分野につきまして、そのあり方なり比重の置き方あるいは位置づけ等を
検討することが妥当という
ぐあいに考えております。
それから、
環境という教科でございますが、これは現在、
環境問題はその
内容がさまざまな多岐の
分野にわたっていることを踏まえまして、社会科なり理科なりあるいは保健体育科で、それぞれの教科の中で位置づけを明確にしながら全体としての取り組みの充実を図っているところでございますので、今後ともそのような方法が妥当ではないかという
ぐあいに考えているところでございます。
それから、
環境教育振興法でございますが、その
内容はどのような事項ということが必ずしも明確ではございませんけれ
ども、
環境という個別の指導
分野を振興するための
法律を制定することは大変難しいのではないかという
ぐあいに考えております。当面のところは
環境教育の推進について
法律を制定しなくても、文部省としましては、学校教育なり社会教育あるいは学術
研究、それぞれの
分野での取り組みを充実させることによりまして推進していくことができるのではないかという
ぐあいに考えているところでございます。
以上でございます。