運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1992-04-07 第123回国会 衆議院 環境委員会 第5号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    平成四年四月七日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 小杉  隆君    理事 青木 正久君 理事 塩谷  立君    理事 鈴木 恒夫君 理事 高橋 一郎君    理事 細田 博之君 理事 斉藤 一雄君    理事 馬場  昇君 理事 斉藤  節君       臼井日出男君    北村 直人君       杉浦 正健君    武村 正義君       萩山 教嚴君    増岡 博之君       山口 敏夫君    岩垂寿喜男君       岡崎トミ子君    筒井 信隆君       時崎 雄司君    長谷百合子君       東順  治君    寺前  巖君       中井  洽君  出席国務大臣         国 務 大 臣 中村正三郎君         (環境庁長官)  出席政府委員         環境庁長官房  森  仁美君         長         環境庁企画調整 八木橋惇夫君         局長         環境庁自然保護 伊藤 卓雄君         局長         環境庁大気保全         局長      入山 文郎君  委員外出席者         環境庁長官官房 田村 修二君         審議官         環境庁企画調整 加藤 三郎君         局地球環境部長         厚生省生活衛生         局水道環境部環 浜田 康敬君         境整備課長         通商産業省基礎         産業局化学品安 佐々木修一君         全課長         資源エネルギー         庁公益事業部開 染川 弘文君         発課電源立地企         画官         運輸省自動車交 洞   駿君         通局企画課長         建設省道路局企         画課道路経済調 井上 啓一君         査室長         建設省道路局企         画課道路環境対 城処 求行君         策室長         参  考  人         (中央公害対策 斎藤  孟君         審議会大気部会         長)         環境委員会調査 西川 義昌君         室長     ————————————— 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     萩山 教嚴君   谷津 義男君     杉浦 正健君   秋葉 忠利君     筒井 信隆君   塚本 三郎君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   杉浦 正健君     谷津 義男君   萩山 教嚴君     小澤  潔君   筒井 信隆君     秋葉 忠利君   中井  洽君     塚本 三郎君     ————————————— 四月七日  水俣病被害者早期抜本的救済に関する請願  (田中昭一紹介)(第九四六号)  同(田中昭一紹介)(第一〇〇七号)  同(田中昭一紹介)(第一〇四二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  自動車から排出される窒素酸化物特定地域に  おける総量削減等に関する特別措置法案一内  閣提出第六五号)  絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関  する法律案内閣提出第八一号)      ————◇—————
  2. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 これより会議を開きます。  内閣提出自動車から排出される窒素酸化物特定地域における総量削減等に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長谷百合子君。
  3. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 まず最初に、先日、酸性雨につきまして環境庁の第二次酸性雨対策調査中間報告が出されております。これによりますと、第一次調査の結果を公表いたしました一九八八年に比べてちょっと厳しい状態になっている。第一次調査のときの四・四から五・五というのがさらに低くなりまして四・三から五・三と一層酸性雨状態は厳しくなっているだろう、こういう報告がされておりますけれども、この酸性雨は、ヨーロッパではもう既に一九六〇年代ごろから湖や川の魚が死んでしまったり、あるいは歴史的な建造物や古い建物、それから銅像なんかが非常にぼろぼろになるというような事象が起こりまして大変な警戒心が早くから持たれておりました。そして、欧州全域にわたる硫黄酸化物窒素酸化物によるものであるというそういった認識から、一九七九年には長距離越境大気汚染条約というものを締結されておると思います。  ところで、こういった酸性雨、世界のレベルでも非常に厳しい報告があちらこちらでされておりますけれども、この日本におきましても、中間報告を踏まえて、これからの日本における酸性雨実情原因、そして今後どういうような予測がされているのか、対策はどうすればよいのかなとについてお聞かせ願いたいと思います。
  4. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 少し詳しいことは事務の方からお答えさせていただきたいと思いますけれども、この酸性雨の問題、日本でも看過できない大きな問題でございます。そしてそれなりの調査もし、やってきているのでありますけれどもヨーロッパにおけるように目に見えた被害が余り出なかったということで関心の度合いはヨーロッパと比べればいま一つだと思うのですね。けれども委員指摘のとおり大変重要な問題でありますので、これからも重大な決意を持ち、関心を持って取り組んでいかなければいけないと思っております。  ただ、日本において今まで調査しました結果では、外部から入ってくる、いわゆる国境を越えてという部分でその酸性雨発生しているというような証拠はなかなかつかめないわけでありまして、やはり国内から発生している原因によって酸性雨が出ているようだ。したがって、日本酸性雨というのは人口密集した都市部周辺の方が悪いという状況でございます。  そういうことを考えてまいりますと、やはりそこにおける大気汚染であろう。そうすると、SOxであり、NOxであるということを考えますと、SOxはかなり産業界努力によって減ってきた。残されたNOxが横ばい、ないしちょっとぐあいの悪い状態にあります。これの発生を抑制しなければいけないということで今度の法律もお願いしているわけでありまして、直接酸性雨対策を条項に掲げた法律ではありませんけれども、今度の法律案もそういった対策になるということであります。  残余のことは事務の方からお答えさせていただきたいと思います。
  5. 田村説明員(田村修二)

    田村説明員 もう少々細かく御説明申し上げますと、酸性雨実態ということで、現在第二次調査ということで酸性雨実態把握ということでやっておりますが、現在一番の問題が、次第次第に範囲が広くなっているという点がございます。  一つ土壌関係ということで、ヨーロッパ日本というのは基本的には同じ土壌であるという大きな見方もありますが、片やヨーロッパ系ではかなり酸性に弱い土壌である、日本では非常に酸性に強い土壌であるということがございますので、そういう点を土壌として調べていくという点。それからさらに、それに生えている、被害を及ぼされる木の問題がありまして、植生という言い方をしておりますが、植生についても調べているということでございます。  さらに、ヨーロッパ日本と見た場合に一番の大きな問題が、そういう点の公害発生源が何であるかというような点についてもかなり解明が進んでございます。今大臣から御説明ありましたように、ヨーロッパ系ではまだまだ硫黄酸化物に基づく汚染が厳しい。それに対しましてヨーロッパ都市部、アメリカの都市部それから日本全体がかなり窒素系酸化物割合が多いということでございますので、そういうものがどういう形で酸性雨となった場合に被害を及ぼすかというような原因究明、作用をもうちょっと調べるということで調査研究を続行中でございます。
  6. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 大気汚染が非常に深刻になってきまして、大気汚染健康被害との関係ということがいろいろ報告されておるわけでございますけれども、かつてぜんそくというのは工場地帯に多発したということから、今は都市部の、しかも例えば車の沿道というところではほかの地域に比べましても発症率が非常に高いというようなことがございます。環境基準であります〇・〇六ppm、これを超える、超えないというところを切って調べてみますと、超えているところでは六倍ぐらいの発症率の多さというようなことも報告されておりまして、やはりぜんそくやら呼吸器の障害、こういったものと大気汚染との関係は非常に重要だと思うわけです。  それと、さらにもっと恐ろしい話もありまして、粒子状物質の中には原因不明の物質があって、動物実験をしたところによると、即座に死んでしまったり、あるいはベンツピレンという発がん性物質が含まれているんじゃないか。確かに日本はがんの死亡率というのも年々上がってきまして、今は四人に一人ぐらいですけれども、これが三人に一人になるんじゃないかというようなことも報告されておるわけでございますけれども、こういった健康の問題と大気汚染関係、このような問題についてはどのような認識を持っておられるのでしょうか。
  7. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 ぜんそく等呼吸器疾患でございますが、これらは非特異的な疾患でございます。環境庁が全国八地域で約五千人を五年間継続的に観察いたしました疫学調査を見ましても、ぜんそく症状の発現にアレルギー等の因子の介在が示唆されているというようなことなどもございますし、原因がはっきりしない、特定できないものでございます。したがって、そういうことからいたしましても、二酸化窒素との因果関係もこれまた明確ではないということでございます。しかし、この環境庁調査の結果、二酸化窒素濃度が高い地区では、低い地域と比較いたしますとぜんそく症状新規発症率、これが有意に高いわけでございます。大気汚染ぜんそく症状とが何らかの関係を有しているといった可能性は否定できない、そういう結果になっております。したがいまして、二酸化窒素環境基準はまさに早期に達成しなければならないものであると私ども認識をしているわけでございます。     〔委員長退席塩谷委員長代理着席
  8. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 こういった大気汚染ということに対する対策は非常に大切な問題だろうというふうに思うわけでございまして、今回この法案を出された経緯というのもその辺にあるかと思うのです。  この法案地域指定特定地域というものを定めまして、その地域内における総量削減ということになっておるかと思うのですけれども、この特定地域というのは今まで東京横浜大阪という形で言われておりましたが、この地域をさらに周辺にまで広げていきたい、例えば千葉埼玉兵庫というようなふうに言われておるわけですけれども、これをもう少し詳しく言いますとどういった、例えば私のおります東京の三多摩地域というのも、環境はまだまだすぐれた部分があるにもかかわらず、環境基準からいいましても相当飛び出してしまっているところがたくさんございまして、環境悪化ということも現実として既に起こっている。今の東京都の場合ですと、特別区等というのは、武蔵野、調布、狛江、三鷹などの五市ということで、例えば、私がずっと調べておりました八王子やそれから秋川、日の出といったところは特別地域指定を現在受けていないわけでございます。  ちなみに調べたものをちょっと御紹介いたしますと、八王子では市民の皆さんがグループを組みまして大気汚染測定ネットというのをつくりまして、八王子市内だけでも二百カ所以上の地点で大気汚染というものを測定しておるわけですね。こういうデータを見ますと、もう既に、町田街道沿い〇・〇八一とか、それからひどいところになりますと、松ケ谷のトンネルの出口〇・一一五ppm、それから陣馬高原審りのところでは〇・〇九二、浅川橋と十六号の交差点〇・〇九一、高尾街道では〇・〇六七。今御紹介したのはほんの一部ですけれども、もう軒並みなのですね。ここにずっと表があるのですけれども基準をオーバーしてしまっているというようなものが非常に多いような状況で、大気汚染悪化ということが報告で裏づけられておるのですね。  私は、こういった状況を考えますと、この法案を出されるときの資料にもついておりましたけれども、非常に広がっているというようなことを考えたときに、今後特別地域範囲をどのような形で広げていかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  9. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 この特定地域につきましては、政令で定めることにしているわけでございます。どういったものを指定するかと申しますと、一つは、自動車交通の集中している地域ということ、それからもう一つは、従来の対策だけでは環境基準の確保が困難であるというふうに認められる地域、この二つの条件をかぶせていきたいと思っているわけでございます。  具体的に申しますと、現行の固定発生源に対する総量規制地域、先生も御指摘になりましたように東京都二十三区と周辺五市、それから横浜、川崎及び横須賀、それから大阪市等十七市町、それに千葉県、埼玉県、兵庫県の一部の地域を含む周辺地域を加えた地域というようなことを考えているわけなのでございますが、御指摘のように汚染の広がりも非常に著しいわけでございますので、今後どういった地域を加えていくかというようなことにつきましては、先ほど申し上げましたような条件でございますけれども、詳細につきましては、いろいろな調査、例えばシミュレーションの結果等を見ながら、地域実情を十分に勘案しながら決定してまいりたい、このように思っております。
  10. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 今申し上げたような実態を踏まえた結果、シミュレーションの結果でぜひ指定していただきたいというふうに思うのですけれども、十体これはいつごろまでにそういったことを決められるのでしょうか。
  11. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 施行になりまして半年ぐらいのうちには、こういった具体的なものも決めてまいりたいと思っております。
  12. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 そういたしましたら、総量規制ということがこの法案の中に盛り込まれておるわけ下すけれども、今答えていただきました特別地域、こういうものを定めましてその地域内ということの規制、はっきり言いますとその地域だけを規制していくということになるかと思うのですけれども地域内の総量規制ということで、これはずうっと今までいろいろな議論を重ねた結果のこの法案提出だと思うのですけれども、かつて工場なんかに対しては非常に厳しい排出割り当てというものをつくりまして、工場ごとに強制的に割り当て総量規制をしたということを踏まえて、これで大変効果が上がりまして、このことによって四〇%以上の改善が見られたという結果があるかと思うのです。こういったやり方を今回の自動車排ガス規制についてもやるべきではないか、こういった議論中間報告の取りまとめの段階等でされてきたかと思うのですが、今回この法案が出されるに当たって、こういった事業所単位総量のいわば強制的な割り当てといったようなことが抜けてしまった、許容排出量割り当て制度を導入しないで後退したのではないか、こういうふうに思うのですが、この辺はいかがでしょうか。
  13. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 固定発生源と同じような方式を導入するということにつきましては、私どもも十分に検討をしたわけでございます。その結果でございますが、固定発生源と違いまして、自動車からの排出につきましては、結局のところ、取り得る対応措置というのは車種代替、それから自動車をどのように合理的に使用するかという二点に絞られてしまうわけでございます。車種代替あるいは車体のいろいろな構造上の規制等につきましては、これはユーザーが自分代替はできますけれども構造等につきましては自分でいろいろ措置を施すというようなことはできないわけでございます。そういったようなこともございまして今回提案させていただきましたような案になったわけでございます。
  14. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 車の台数もやはり伸び続けているわけですよね。しかもディーゼル化ディーゼル割合もふえている。こういった状況で今回の規制なんかをしようということになっているわけですけれども、やはりどんどん台数がふえるということになれば、一台当たりのNOx排出量が低くなっても、車の台数がふえて走行距離がふえれば、その分だけでもう全部相殺されてしまって、結果的には二〇〇〇年までに基準を達成するという目標はどうもなかなか達成しにくいのじゃないか、こういうふうに私は思うわけですね。したがって、やはり台数を制限するとか、あるいは走行距離というものについても制限をしていく。それから、特定地域をつくるわけですけれども、ここに対する乗り入れ規制、この乗り入れ規制というのも当初はやはり厳格にやるべきではないか、ステッカーを張ってでもやるべきじゃないか、こういう議論もあったかと思うのですけれども、こういったことがやはり抜け落ちてしまっているのは、この法案にとってはかなり後退しているというふうに私は重ねて今申し上げるのですけれども、今のような三点くらいのところではいかがでしょうか。
  15. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 まず、自動車台数が非常にふえていることが原因汚染されておるということにつきましては、私どももそのとおりだと思っております。しかし一方、トラックバス等自動車交通というものは、都市の活動を支え、住民の生活や移動に欠かせないものでございます。したがいまして、単に台数削減するといったようなことは、実際問題としては非常に困難であるということが言えるかと思います。全体の量を抑制するというような見地からいろいろなそういう対策、手法を総合的に組み合わせてやらなければならないという考え方に基づきまして今回の法案提出させていただいたわけでございます。  それから流入規制でございますが、これにつきましても検討したわけでございます。地域を仮に指定いたしまして、その地域内にどれくらいの割合で登録している車があるかということを調べましたところ、約八割、八〇%がその地域内の車であるということがわかりました。したがいまして、この八割に網をかけまして、車の使用の本拠を置く自動車に対する、いわば車検をもってきちっと規制を加えるということが結局のところは実効が上がるのではないかという結論に達したわけでございます。しかしながら、流入という問題に全く目をつぶってよいかということでございますが、そういうことではございませんで、外から入ってくる車につきましても、やはり大都市地域大気汚染を防止する、あるいはよりクリアにするというような意味からも一般の方々認識を深めていただいて、できるだけきれいな車で入ってきていただくようにPRその他で啓発してまいりたい、このように思っております。
  16. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 この答申が出てずっといろいろ議論をされてきた過程で、業界といいますかいろいろな団体があるかと思いますけれども、そういうところからトラック台数走行量そのもの規制するのは問題があるとか、あるいはステッカーを張ったものに対して規制をすることは交通渋滞になるのじゃないかとか、もろもろの総量規制とかそういう割り当て制もだめだよというようないろいろな意見が出されたというふうに聞いておりますけれども、そういう意見が出されたということは事実ですよね。
  17. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 いろいろな意見、反対と申しますか逆の角度からの意見がいろいろな団体あるいは機関方々から出されているわけでございますが、それを慎重に検討会におきまして検討した結果、そしてさらに中央公害対策審議会検討していただいた結果、私どもとしてはベストの案ができたのではないかと思っているわけでございます。
  18. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 最初に申し上げましたように、この大気汚染、とりわけNOxの問題に関しましては、環境上の問題、それから健康、人間、生物の今、こういったものと深くかかわりがあって、これはちょっとぐらい経済がこのまま伸びるのがだめになるじゃないか、もうけが少なくなるじゃないかというようなこととはとても比較にならないような重要なことである。こういう認識を持っていただきまして、これからこの法案の中身、実際これを読みますと、この法案だけでは一体どこまで、どこをどう規制できるのかということが必ずしも明確にはならなくて、今後政令で定める。この政令で定めるというやり方自体もどうかというふうにも思うわけですけれども、本当に実効性のあるということを、今後基本方針をつくる国、それから基本計画をつくる県、こういったものがきちっとしたものを本当にどこまでつくれるかというのは今後にかかっているかと思うわけです。これから先も業界といいますか、いろいろなところからいろいろな御意見、とにかくこれだけの車を走らせることが優先なのだというお考えの方たちもいるかと思うのですけれども、そういうところではなくて、やはりこれは環境庁所管法律でございますし、環境を守る、人間の命を守る、こういう視点でつくった法律だということを、その法律の趣旨からいいまして抜本的なきちっとしたものができるという努力も払っていただきたいと思うのですが、このことに対しての御決意はいかがでしょうか。
  19. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 先ほどもいろいろな団体機関等からも意見を聞いたと申し上げましたが、例えば運送関係団体におきましても、この環境問題には非常に強い関心を持っておりまして、できるだけ環境庁のこういう方針には協力をしたいというような認識をしているようでございます。  そのほか、政府内部の各関係の省庁におきましても、いろいろと検討されたわけでございますが、この問題に関しては政府一体となって進めてまいりたいというようなことで合意に達しておりますので、私どもは十分に効果的な案ができ、かつそれが実施することができることと思っております。
  20. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 この法案の本当の意味というのは今後にかかっておるかと思うのですけれども、そういう中でこの措置法案体系ということについて幾つかちょっと伺いたいと思います。  この体系というものを見ますと、総量削減基本方針、これを国が決めるということでございますけれども、国が決める場合の関係大臣、この大臣というのが、例えば私のかかわりましたリゾート法、これはリゾート法というのが大変な悪法ということで改正案を用意して国会にも出しておるところでございますけれども、こういう法律を見ますと、関係大臣所管の六大臣、こういうふうに規定されておるわけですね。ところが、この特別法体系では関係大臣ということになっておりまして、特にどこの大臣というふうには決まっておりません。これは、一つ言えばいろいろな大臣がこれからかかわって広い議論をするということにもなるかと思うのですけれども、今私がちょっと申し上げましたように、非常にこの問題に対してはいろいろな方々からの御意見が出る。はっきり言えば、規制は困る、そういった立場の省も、あるいは業界も、そういったことを代表される大臣もいらっしゃるだろうというふうに思うわけです。こういったところに大臣がどんどん広がっていってしまうことによって環境庁環境庁長官の権限というものがいささかでも後退するようなことがあっては困るのではないかと私は思うのですけれども、この辺はいかがでしょうか。
  21. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 環境庁は、今の法体系の中では、もとより調整官庁でありますから、みずからの仕事は余り持っていない。政府一体となった環境政策を立案し、そして各省一体となってそれを遂行するという任務を持っているわけであります。そういう中で、今大気局長もお答えしましたように、政府一体となってこの法律によって実効あることをやっていけると思いますけれども先ほどからいろいろ委員のお話を伺っていますと、そのもっと根底に、これからの時代の環境を考えた場合に考え直さなければいけない問題がいっぱいあると思うのです。  と申しますのは、先ほどからの御議論の中で、トラック、バスについていろいろな甘いところがあるのではないかというようなことを仰せられましたけれども、例えばトラックをつくっている自動車メーカー、その部品をつくるメーカー、全部非常に厳しいいわゆる環境公害規制を受けて、それを守ってやっているわけです。そして、税金に関しても、そうしたメーカーたちが輸送の部品をつくるからということで法人税を軽減されていることも何もございません。しかしながら、それが一つ、動く自動車というものになり、トラックとなりバスとなって出ていった場合に、これが非常に優遇されるようなことがあるとすれば、これはおかしなことではないかと思うのですね。そしてそういったことが、私自身のつたない経験から申しますと、何か戦争中の輸送状況、輸送は大変なことなんだからこれを増強しようというときの思想からつながっていやしないかという個人的な感想を持つわけであります。  ですから、いろいろな議論をしていきますと、トラックやバスというのはこれだけの輸送をあれしているんだ、人を運んでいるんだ、物を運んでいるんだ、大変なことですから、これはこれくらいいいでしょうというようなことを私に言われたメーカーの方もいらっしゃいます。しかしながら、日本の産業を担っているのは、日本経済を担っているのはトラック、バスのみではありません。すべての産業が日本経済を担っているわけで、それが走り出した場合には多少公害を出してもいいじゃないかとか、税金が安くていいじゃないかというような考えがあったとすれば、私は、もしそういう考えがあったとすれば、それは今直していかなければいけない時代に入っているのではないかと思います。  そういう観点から対策を立てていかなければいけないわけでありますけれども、単体規制をきちっとやって、出すガスがきれいなものになっていけば、公害が我々に与える脅威というのは、交通が脅威を与える面はどうかといえば、そういう公害と事故でございますね。それから、コストがかかるかどうかということでありますけれども、単体規制をやろうとしても、ディーゼルエンジンが幾らお聞きしてもこれはできないということでありますから、それではこういうふうに広いところを総量規制でやっていかなければいけないか。そうすればそこの走る車が少なくなるわけですから、えんきょくな生産制限みたいになっていきますね。そういう方法と単体規制、今両方をやっていこうということでやっているわけでありまして、そうした環境問題というのはすべてそうだと思いますけれども、やはりどなたも理性と良心を持って考えれば、何が人間生活にいいかということは皆意見が一致して出ると思いますので、私は政府一体となってやっていけるものと信じております。     〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
  22. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 ただいまの長官の御決意は私はすばらしいと思うのですが、しかし、事実としまして、産業と、それからバランスですね、この環境とか、先ほど申しましたような人間の健やかな生活ということとのバランスが、理想はあってもなかなかもう一つうまくいっていないという現実もあるかと思うのです。こういうことに対しては、やはりどこまでは譲らないんだというような厳しい姿勢というものをきちんととっていっていただきたいということでございまして、政府一体となったときの変化といいますか、これは私も、ここで中間取りまとめとか最終答申とかずっと比較をしてきたわけですけれども、これはきちっと表をつくってみますと、どう見ても随分変わっちゃったなというような気がするわけですね。こういうことが今のこの法律の大枠、車種規制をするんだという大枠、それから総量規制地域をきちっと決めてその中はやるんだという大枠の中で、まだまだ動くという余地がすごくあるものですから、ここにつくりましたようなこういう中間取りまとめ、最終答申それから法案となってくるこの過程の流れのようなことが、私ははっきり言ってちょっと不十分だと思っているわけです。せっかくいい法案であるにもかかわらず、もうちょっとここはきちっと、最初議論してきたようにやっていくべきではなかったんだろうか、こういうように思っておりますので、今後、今の長官のおっしゃったとおりにきちっとやれるということは期待したいとは大いに思っておるわけですけれども、そこを歯どめをかけて、こんなふうに、これ以下にならない、これ以上後退していかないというようなことをぜひきちっとやって保障していただきたいな、こういうふうに重ねてお願いをしておきたいと思っております。  それで、このディーゼル車の車種規制して、一たん猶予期間を置かれておるかと思うのですけれども、この辺の猶予というのが、これはまた非常に複雑になっておるのですけれども、この辺の猶予の期間と、それからなぜこれだけの期間を置いてしまったのか、この猶予をこれだけ置いてしまって、果たして当初の目的どおり二〇〇〇年には〇・〇六を全部クリアできるというようなことになっているのかどうか、この辺はいかがでしょうか。
  23. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 猶予期間についての御質問でございますが、今現に使用されている自動車、使用過程車と申しておりますけれども、これに対するこの排出基準の適用につきましては、窒素酸化物による大気汚染の改善といういわば環境上からの問題、それから、いわば財産権と申しますか、公共上の要請プラスそういう財産権の問題というものがあるわけでございます。それからさらに、実際問題といたしまして、円滑に規制が実施されて大体無理なく進められるかという問題もあるわけでございます。この三つのポイントを十分に勘案いたしまして、いわば均衡を図った形でスムーズに進めていきたい、このように思っているわけでございます。  どのくらいの期間が適当であるかということにつきましては、これからさらに詰めてまいるべき問題でございますが、私どもといたしましては、二〇〇〇年までにおおむねこの環境基準が達成されるということを見ながら、それに合うような形で決めてまいりたい、このように思っております。
  24. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 先ほど法案体系の方にまたちょっと戻りますけれども、これは都道府県の総量削減計画をつくるというとこみにおきまして、第八条で、総量削減計画策定協議会というものを置く、こういうふうにうたわれているわけです。この中身を見ますと、知事や関係市町村、関係道路管理者、こういったものが入っているわけですけれども、今までも公害対策審議会、これは公害対策基本法に基づいて置かれているんだと思うのですけれども、ここにも今言いました関係市町村や知事や、そういうものと同時に学者、弁護士、こういった市民も含めた公害対策審議会というものがありまして、この諮問を受けながら決めてきたという事実があるわけですけれども、これが二つできてしまうと一層複雑になってしまうのではないか。公害対策審議会との関係において、これはどういう位置にあるのか、この辺をちょっと説明していただきたいと思います。
  25. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 私ども、都道府県知事のイニシアチブのもとで実効性のある計画を策定していただきたい、そういう基本的な考え方を持っているわけでございます。そういうことで、先生御指摘公害対策審議会というものも当然こういった問題を議論しあるいは検討することは可能であろうとは思いますが、私どもはさらに進めまして、施策の実施に責任を持っている機関あるいは個別具体的な審査、審議ができるような人たちにメンバーになっていただくというようなことから、このための専門のと申しますか協議会を設置する方がベターであるというように考えましてこのような形にしたものでございます。
  26. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 ただいまのお話を聞きますと、例えば専門家であるとか個別の施策に責任が持てる、こういうふうにおっしゃいましたけれども、そうしますと、今までやってきました学者、弁護士という市民の人を入れました公害対策審議会というものの位置づけがどういうことになるのか。政策というものは市民とともにつくるわけですから、それを否定されたかのようにちょっと私は聞こえたのですけれども、それはどういうことなんでしょうか。
  27. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 非常に高度な学問的な背景に基づいて議論をしていただくということよりも、実際的な経験に基づいた実効の上がる計画をつくっていただくということに主眼を置いて考えた場合には、やはりそのための特別のこういう機関を設置した方がベターである、このように思っているわけでございます。
  28. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 もちろんそれは学問だけの話ではないし、現実がどうだという話、ですからそこをやはり、今までも専門家は入っていたわけですし関係の市町村も入っていたのですし弁護士さんもいたのだし、こういうことなので、今局長のおっしゃいましたこちらの方がベターだということについては私は異論がございます。やはり何のための施策か、何のための改善か、何が必要、それはやはり業界のためとかだれかのためとかいうことだけではもちろんないわけですよね。住民のためである。それからそこに住む人ばかりではなくて国民の立場から見た視点、こういうものは私は非常に重要な視点だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  29. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 実際実務に携わると申しますか、関係機関を主とした協議会というものを想定しているわけでございますが、このことにつきましては、この関係機関が参加することによって知事が作成いたします計画についていろいろな制約を加えようとかあるいは環境に反対する立場からの意見を言おうとかというようなことを想定してこういうものをつくっているわけではございませんで、いわばそれぞれの機関所管対策を持ち寄りまして、そして責任を持ってそれを実施するという体制をつくり上げたい、そういう考え方に基づいているわけでございます。
  30. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 協議会がつくられることによりまして、これまでの市民、学者、そういった人たちの意見が無視されないということをぜひお願いしたいと思います。  続きましてもう一つ、十三条の事業者の自動車使用合理化指導等というところで、都道府県の権限ということにかかわるかと思うのですけれども、都道府県が当初、自動車使用の業者、こういったものに対して直接の指導というようなベクトルがあったかと思うのですが、これが消えてしまった経緯というのは一体どういうことなのか。やはりこれは非常に都道府県としての権限の後退ではないか。この辺はいかがでしょうか。
  31. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 検討会の最終報告では、環境庁内部の検討会報告といったこともございまして、どちらかといいますと環境庁の権限でございますとか所掌事務といったような制約と申しますか、その範囲で物事を考えるというような傾向があったことは事実でございます。そういったことでございまして、いわば間接的に知事にお願いしてそういったことをやっていこうかというような考え方であったわけでございます。  しかし、その後関係の省庁とのすり合わせと申しますか一緒に検討した結果で、それぞれ強力に事業所管大臣が事業者に対しては指導していただけるということがはっきりとしてまいりましたので、その方がより効果的であるという結論に達したわけでございます。都道府県知事につきましてはいろんな指導を事業所管大臣にやってもらいたいというようなことが幾つかまた出てくると思いますが、そういった場合には環境庁長官を通じまして事業所管大臣に要請してもらうというような規定も設けてございますので、私ども、知事の権限の後退ということではなくて、より実効の上がる体制がとられるようになった、このように考えているわけでございます。
  32. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 その実効が上がるという言葉の中にくくられてしまうと中身もちょっとわかりにくいのですけれども、例えば既に大阪や神奈川、こういったところでは中間報告ですね、今の提出された法案よりは相当厳しい内容もあるわけですけれども、こういったところに沿った形で厳しい規制に乗り出しているというような県があるわけですよね。こういった県に対して、県が実際法案の、もちろんその実効性があることを前提としているわけですけれども、そのことによって今度のこの法案の趣旨、後退したところまで、以上のことをしてはならないというような足かせにはなりはしないか。大気汚染防止法の三十二条の精神でも、「条例で必要な規制を定めることを妨げるものではない。」こういうふうにうたわれているわけですけれども、今度のこの総量削減法案について、その辺のところ、自治体の権限、やはり自治体の方が、この法案先ほどから局長それから大臣もおっしゃっていますように実効性がある、本当にできないことだったら余り意味がないだろう、だから最低限ここまではやりたい、こういうふうに考えれば、やはりそれ以上にできるんだ、うちの県ではここまでできるんだよと、もう少し抜本的なところまで行けるんだよと、こういうような状況があったときには、それに対して足を引っ張るというようなことがあったら、これは大変なことだと思うんですね。法案の趣旨からも非常にマイナス、マイナスというか、じゃそんな法案だったらない方がいいんじゃないかということにもなりかねないと思うわけですけれども、その辺のところはいかがでしょうか。
  33. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 端的に申し上げますと、もともとできなかったことはこの法律ができてもできないし、できたことはやはりできるという考え方でございます。個々具体的にそれではどの問題がどうなのかというようなことにつきましては、十分に検討しなければ結論は申せないわけでございますが、自治体がいろんな対策をとってきたということは私どもも十分にそれなりに評価しておりますし、これからもそれぞれの自治体でいろんな創意工夫を凝らしていただきたいと思っているわけでございますので、自治体の足を練る、手を縛るといったようなことは全く考えていないわけでございます。
  34. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 頑張っている自治体、そういうところの努力を否定しない、そして、そういうところがやれることに関してはもちろん今までどおりきちっとした指導が現実にはできる、実効性を持ってできるんだ、このように理解してよろしいということだと思います。  続きまして、ディーゼル車を期間を置いて車種をかえるという法案の中身ですけれども、これはディーゼルの中でも二・五トン以下という小さな小型のものと五トン以上のものと、これを比較しますと、ディーゼルを使う意味というのが違うわけですね。二・五トン以下ですと、ディーゼルでなければならないというような特別なメリットというのはほとんど見当たらないわけです。それから一般の乗用車、これの中でもディーゼルが一部、絶対数としてはまだ少ないのだけれども、ここ数年の中で非常に、二倍、三倍というふうにふえてきているという状況でございますけれども、こういったことを考えますと、特にそのメリットがないというようなことを考えたときに、車種を乗りかえていくんだということだけではなくて、製造の段階での規制、少なくとも乗用車それから二・五トン以下というようなものに対しては製造の段階での規制ということを盛り込んだらどうでしょうか。(発言する者あり)
  35. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  36. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 速記を始めてください。  中村環境庁長官
  37. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 今委員指摘でありますけれども……(発言する者あり)
  38. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  39. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 それでは速記を始めてください。  中村環境庁長官
  40. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 では、お答えいたします。  今委員指摘の生産制限のことでありますけれども、その前にもう一つ、そもそも論をちょっとお聞きいただきたいと思うのですが、大型のディーゼルでなければいけないというお話がありましたけれども、実を言うと、四十年代ごろまではバスもかなりな量がガソリンエンジンで走っておりました。その前に、ディーゼルの導入というのは大体三十年ごろから始まったのですけれども、それからどんどんディーゼルがふえてきて、大型ガソリンエンジンの開発、生産がとまったものですからディーゼルがふえてきたんで、大型のガソリンエンジンができないということではないのであります。その中でこういう構造になってきているということでございます。  そして、今の生産制限ということですけれども、やはりそれは自由経済、市場経済の中で環境基準を守ってくださいよ、それじゃ守るにはこれだけコストがかかりますよ、それじゃそんな高いエンジンになるんですね、そうしたら買う方も買わなくなりますよというのがこれは経済の論理であって、その努力している最中にここからここはつくってはいけませんよというようなことを、生産制限ということで直接入るのは今の経済のシステムからどうかなと私は思うわけでありますけれども、この総量規制をせなければならなくなったというのも、先ほどもお答えしましたように、やはり単体規制がなかなかできない。そこで、非常に悪い地域総量規制を行って、結局そこの台数を減らすということはディーゼル車の割合を減らしていこうということですから、そこでやはりえんきょくな生産制限につながっていく、そういう手法をとっているということだと御理解をいただきたいと思います。
  41. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 やはりディーゼル化が進む一因といたしましては、非常にディーゼルの方が効率がいいとか燃費がいいとか、それからオイル自体がガソリンに比べて税金も非常に安い、軽油の方がガソリンに比べまして安いし、それから税金以前のもともとのオイルの値段も、大体一リットルでガソリンで百二十円なら軽油が七十円、この辺の落差というものも非常にディーゼル化に拍車をかけているのじゃないか。  こういうことに関しまして、さきの審議のときには長官も、こういうことのバランスの悪さというものに対して何らかの措置をしたり、税金を変えたりというようなことをしなければいけない、こういうふうにお話をされているのを私も伺っておりますけれども、やはり逆に、今非常に問題が多いディーゼルということをどうしてもあえて乗用車でもって乗るとか、あるいは二・五トン以下でも乗るんだということになれば、それ相応の負担。ですから、長官おっしゃいましたようなオイルの税金ということに加えまして、それにもまさるそれ以上の付加的な、やはり現実的にもディーゼルを抑える、少なくするということの実効性、即効性を持たせるためにも、こういうことに対してさらなる抑え込みの方策をお考えになるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  42. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 むしろ環境庁長官というよりか私のつたない経験でお話しさせていただきますれば、ディーゼル車がふえたのはまさに燃料が安いからであります。バス会社においても、昭和三十年代からディーゼルが入ってきましたときに、運転士が、ディーゼルは振動が多い、加速が悪いうるさい、ガスが臭いというのでみんな運転するのを嫌がりまして、ディーゼルに乗ってもらうのに苦労した経験を有しております。  しかしながら、なぜディーゼルになったかといえば、それはディーゼルの方が燃料が安いからであります。御案内のとおり、ディーゼルエンジンの方ががっちりできていますから、エンジンはずっと高いです。それから、燃料は安いですけれども、使うオイルは、過酷な運転をしますから高級なオイルを使わなければなりません。ただ、一方ガソリンエンジンは電気系を持っておりますので、メンテナンスに大変だ。それから、特に舶用などに使います場合に、火災に対して非常に有利であるというようなこと、いろいろなことからそのころディーゼルが奨励されたのだと思います。そういう中で、使う燃料の価格が違う。なぜ違うかといえば、それは主に税金の差で違うわけであります。そういうことでありますから、今乗用車までどんどん使用が広がって、私的なことで恐縮ですが、私の兄も専らディーゼルの乗用車に乗ったら、これは放せないということせあります。この間中井先生も、ずっとディーゼルに乗っていらっしゃる、なぜかといえば燃費が安いからだ。  でありますから、公害という観点だけから考えれば、根本的にはディーゼルオイルとガソリンの税負担を均衡させていただかないといかぬという気持ちは常に持っているわけであります。そして、そういったことができない中で何をやっていくかということで今度のような総量規制を始めているわけであります。そういうことも、私どもは、いろいろな問題を提起したりお考えをいただいて将来検討していくべき課題であろうというふうに考えております。
  43. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 確かに、これまでの日本の歴史を見れば、非常に燃費がいいとか安いとか、こういうことが非常に重要であった時期もあるかということは私も承知いたしておりますけれども、今ここへ来て、お金とか経済の効率とかということだけでは済まないという時代に来ているのだということを申し上げまして、次の質問にさせていただきます。  この全体の法案を見まして、二〇〇〇年には大体環境基準がクリアできるのではないか、こういうことになっておりますけれども、実はその予測の根拠というのが私ひとつよくわからないのですけれども、例えば東京都や大阪府がいろいろ試算をしますと、とても二〇〇〇年までに〇・〇六の環境基準は達成できないという厳しい予測なんかも出ているわけですね。ここのところを、どういう根拠で二〇〇〇年までに達成できるとするのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  44. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 非常に精密な計算というのはこれからの検討事項になるわけでございますが、かなり粗っぽいという御指摘をあるいは受けるかもしれませんが、私ども幅を持たせた形で予測をしているわけでございます。  例えば、車種代替でございますが、これによりまして一割から二割程度削減できるだろう、一五%ぐらいかなと思っております。それから低公害車を導入しようということで積極的に進めているわけでございますが、例えば電気自動車あるいはメタノール車といったものでございますが、これが普及してくれば数%から一割程度を考えております。それから物流対策でございますが、これもきちっとした対策がとられれば数%から一割程度効いてくるだろうと思っております。さらに、人流対策あるいは交通流対策といったものもあるわけでございまして、これによってもそれぞれ数%程度は効くだろうと思っております。そういったことに加えまして、従来からやっております単体規制もこれを強化してまいりたいと思っておりますので、その効果も一割程度はあるのではないかということで、こういったものを合算いたしまして、二〇〇〇年までにはおおむね環境基準を達成できるのではないか、こう思っているわけでございます。
  45. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 これは新聞にも出ておりましたけれども東京都が車種規制だけでは大体七・九%ぐらいじゃないかという厳しい予測をしておるのですね。私も、これはどうだろうか、大分違うものですから、今おっしゃったのの半分ということですけれども、どうかということで、いろいろなところで調べてみましたが、どうも一五%程度いくという予測の方が相当楽観的というか、この七・九という数字についても、複数、いろいろなところに私問い合わせでいろいろ調べましたけれども、そういいかげんな数字ではないなという、私はそういう感触を持っております。ですから、その予測がちょっと楽観的過ぎるというようなことを御認識いただきまして、やはりほかのところでも、これから中身を詰めるわけですけれども、そこのところではこれがもうちょっと実効性、ほかのところでの施策等を厳しく積み上げていっていただきたいということをぜひお願いをしておかなければいけないなと思っております。  それで、一つは交通、東京都内、私は東京の議員で東京に通っておるのですけれども、物すごく車が込むわけですよね。込んでしまうと、もう渋滞してほとんど車を、環境問題以前に、車を利用するところからいってもほとんど麻痺しちゃって使えないようなことがもう頻繁に起こっているわけです。基本的にそうだ。急ぐときには車に乗ってはいけないというのが、東京の常識というようなことになっておるわけです。  こういうことに関して、かつて東京都が水曜日はノー・カー・デーだということでやりましたけれども、このときにやはりあくまで指導というか、罰則というとちょっとあれですけれども、どうするかというお願いのレベルでしかなかったということで、これがほとんど効果を上げるには至らなかったということを聞いておりますけれども、これは私は非常にいいことだと思うのですね。ノー・カー・デーをつくるとかあるいは日曜日はやめましょう、それからあるところでは、こんなに麻痺した状態になればお互いが車を譲り合わないと、みんなが乗りたいから、みんなが便利だからということでやっていけばだれもが使えないという状況、これが現実でございますので、やはり半分の車は引く、何曜日には引くというような積極的な施策ということも考えていかないといけないのじゃないか。そのときにも、東京都のやりましたノー・カー・デーのことが非常に参考になって、いいことをやったんだけれども、なかなか徹底できなかった。この辺のことを勘案しますと、もう少し今度は国が指導して国が方針をつくってというようなことでありますので、そういう車の機能も保障し、そして環境基準をクリアさせる弾みをつけるというような点でやはり乗り入れの問題ということを、かつての指定車以外のものとか指定してあるものということではなくて、もっと一般の乗用車も含むような環境的な対応あるいは車社会的な対応ということを考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  46. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 乗り入れ規制あるいは交通を制限するといった問題かと存じますが、この問題につきましては、いわば制度としてと申しますか、規制という形でやるというのはなかなか難しい問題があろうかと思います。PR、啓発等を通じまして、一般の国民の皆様に十分にこの環境問題についての御理解をいただいて、自発的な形でのそういう交通渋滞を避ける、あるいは不要不急の車の使用は避けるといったような形で浸透させていくべきものだろうと思っております。  もう一つの問題は、きちっとした形での乗り入れ規制ということをやりますと、非常にチェックが難しいということもあるわけでございます。膨大な費用もかかりますし、その割には余り効果が上がらないといったような問題点もあるわけでございますので、指定した地域全体についての規制ということはなかなか難しい、このように考えております。
  47. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 確かに、規制をすることで車を全部とめてしまうようなことがあってはならないと思うのですけれども、やはりこれは住民、国民の共通の課題であると思いますので、そういうところに対しても積極的なPRと定義、こういうふうにしていこうという方向をぜひ示されることをお願いしたいと思います。  今いろいろなことを申し上げてまいりましたけれども自動車の量の増加、自動車が非常にふえている、それに伴って大気汚染悪化しているということは非常に緊急課題だと思うのですけれども、実はそういったことにさらに拍車をかけるかのように、私の地元であります八王子や多摩や西多摩の方を通ります圏央道、首都圏中央連絡道路というものの建設の計画ということが非常に問題になっておりまして、地元の八王子の方でも、高尾山という、これは皆さん御存じの、東京都では唯一の国定公園でございますけれども、この高尾山のところに二つの大きなトンネルをどんと通すということで、地元は非常に困っております。そのまま高尾山に穴があいてしまうと、これは八王子人間だけの財産ではもちろんなくて、都民の財産、国民の財産ですけれども、この高尾山国定公園がどうなってしまうんだろうかという議論一つと、それから、それに伴いまして非常に交通量の増大が見込まれるわけですけれども、このことによりまして、最初にも申し上げましたように、既に三多摩地域というのは環境基準をオーバーしている地域が続発しているのですが、これに一層拍車がかかってくるのではないか、こういうことを非常に心配しておるところでございます。  圏央道の計画につきまして、将来の首都圏の交通量の伸びというのを建設省は計算されたんだと思いますけれども、これをできるだけ定量的な形でお答え願いたいと思います。
  48. 井上説明員(井上啓一)

    ○井上説明員 お答えいたします。  圏央道の計画についてのお尋ねでございますけれども東京都内分、東京都の八王子市から東京都青梅市今井五丁目までの区間二十二キロでございますが、昭和五十九年に都市計画決定の手続に入りまして、平成三年に都市計画決定を行ったところでございます。  そのときの将来交通量の推計につきましては、経済指標の予測それから地域との結びつきや道路ネットワークを考慮して予測を行っております。まず、地域ごとの人口あるいは就業者数等の社会経済指標の予測を行いまして、次に、地域ごとに発生したり集中したりする交通量を推計いたします。そして、将来どこの地域からどこの地域にどれだけ交通量が流れるかというようなことを推計いたしまして、道路網を設定して、どのルートにどれだけの交通量があるか、目標年度における交通量を推計しております。そういうようなことで推計しておりまして、当該地域の交通量、自動車の走行台キロであらわしますと、二〇〇〇年には一九八〇年の一・四五倍になるというふうに推計しております。
  49. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 一・四五倍になるということでございますけれども、その大量のふえた車が圏央道に流れ込むということになるかと思うのです。そういたしますと、やはり圏央道の通過いたします西多摩地区というところの交通量の予測、ここはやはり非常にふえできますし、そこからバイパスが下におりてくるわけですね。こういったことを勘案すると、やはり西多摩地区の交通事情というのは非常に厳しくなって、きょう議論しております環境の問題でもさらに追い打ちをかけるようなことになりはしないか、この観点からはどのように予測されておりますでしょうか。
  50. 城処説明員(城処求行)

    城処説明員 窒素酸化物を初めといたします大気濃度の改善のためには、お話もございましたが、自動車あるいは工場などから出てまいります発生源対策ということに加えまして、環状道路でありますとかバイパス、あるいは交差点の改良といった道路整備を着実に推進することによりまして渋滞を解消し、あるいはそういうことによりまして自動車排出ガスをできる限り減らしていくということなど総合的な取り組みが重要ではないかというふうに考えております。  このような総合的な取り組みの中で、圏央道、首都圏中央連絡道路につきましては、首都圏への交通の流入を分散導入させるとか、あるいは通過交通をバイパスさせることによりまして首都圏の交通混雑の緩和あるいは交通流の円滑化に資するものだというふうに考えておりまして、この結果、窒素酸化物排出量の低減に寄与するものと考えております。
  51. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 もう一度お伺いしますけれども、そうしますと、全体的なものが薄まって広まって、先ほどから私が申し上げております西多摩地区は今でも相当厳しい結果が出ているのですが、これが加速されるというようなことになりはしないかということなのですけれども、西多摩地域は、そうすると今よりか悪くなるというふうに予測されるかどうか、こういうことです。
  52. 城処説明員(城処求行)

    城処説明員 私ども大気に対する対策ということで見ますと、交通流を円滑化するということによりまして排出ガスをできる限り減らしていくという対策をとるわけです。先ほど申し上げましたように、そのためには、交差点を改良することでありますとか環状道路の整備ということで交通流を円滑化していく、そういうことによりまして全体といたしまして排出程度を減らして、全体の大気濃度の低減に寄与していきたいというふうに考えているわけでございます。
  53. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 この圏央道、南は八王子、そしてずっと相模原の方に、神奈川の方にへっこむ道なんですけれども、北は日の出町のインターチェンジからつくられる、こういう予定になっておるかと思うのですが、ここは三多摩地域二十六市一町の一般廃棄物の最終処分場がつくられておりまして、今一つできておるのですけれども、谷戸沢処分場ですね。これにごみをあちらこちらの市から運び入れるトラックが、既に今の段階で一日に百台強というトラック、大型ダンプカーが通るのですけれども、これが地域との約束で、これは朝の八時半から夕方の六時半まで、この間に通ってくださいということになっておるのですが、そうしますと、これは計算してみると大体五分間に一台ということはかなりひっきりなしにダンプカー。日の出は、中曽根元首相の日の出山荘があるようなところで、非常にきれいな美しいところなのですね。これも行ってみると、わあ、いいところだなと思うのですけれども、そこがそういった状況で、五分に一台というトラックがどんどんひっきりなしに通っていく。この圏央道もどうやら八王子なんかを結びながらなので、できるとその上をごみトラックがやはりひっきりなしに通るというようなことにもなりかねないなと思っておるのです。  先日、この谷戸沢処分場でゴムシートが破れているというような報道がなされておりまして、地元でも大変問題になっておるのですね。この点、ちょっと厚生省にお伺いしたいのですけれども、ゴムシートをきちっとごみの処分場のところに敷き詰めるというやり方は昭和五十二年ぐらいからやられているかと思うのですけれども、これは恐らくごみの中から有害物質が、カドミウムだとか水銀だとかいろいろ入っているのですけれども、これが下に漏れないようにということがあって敷くようになったのでしょうか、ちょっとこの辺の経過を簡単に御説明いただきたい。
  54. 浜田説明員(浜田康敬)

    ○浜田説明員 お答えいたします。  東京都の三多摩地域の廃棄物広域処分組合が設置しております谷戸沢広域処分場の件に関連いたしまして、埋め立て処分場の遮水工についての経緯でございます。  廃棄物処理法におきましては、最終処分場に関しまして昭和五十一年までは実は施設の届け出対象になっておりませんでした。ところが、いろいろな問題が生じまして、昭和五十一年に法改正がございまして届け出の対象となされました。その際、中央公害対策審議会の答申も踏まえまして、環境庁と厚生省の共同命令という形でその最終処分場に係ります構造基準の設定が行われたわけでございます。  その際の考え方といたしましては、一般廃棄物、つまりごみにつきまして、特に厨芥、生ごみなどを含むものを埋め立てた場合に、そこから出ます浸出液につきましては、BOD、生物化学的酸素要求量でございますが、これが比較的高い、あるいは窒素、燐などが比較的多く含まれる、主として有機的な汚染原因になり得るという観点から、原則といたしましてその一般廃棄物を埋め立てる処分地につきましては埋め立て地からの浸出水を防止するための遮水工を設けるというふうな構造基準が定められ、それに基づき各施設の設置が行われてきているという状況でございます。
  55. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 そしてこの処分場、ゴムシートがそれにのっとってつくられているのですけれども、七カ所に明らかに穴があいているという報告がされているのですよ。百八カ所補修をした、上からどういう事情か張ったというふうになっているのですけれども、この破損について厚生省はどういうふうに認識されておりますでしょうか。
  56. 浜田説明員(浜田康敬)

    ○浜田説明員 御指摘のとおり、三月十七日付の新聞におきましてお話のような点が取り上げられました。私ども、これに関しまして東京都を通じまして広域処分組合にこの事実を確認をいたしました。  この発見された状況といいますのは、地元の自治会との公害防止協定に基づきまして日常的なゴムシートに関する維持管理業務ということを行う中で、補修を要する箇所として確認された場所が百八カ所あったというふうなことについては報告を受けております。ただ、七カ所で破損といったような状況を含めまして、どんな状況で補修が行われたかという点については、詳細、現在処分組合で調査中であるということでございます。私ども至急それを把握をいたしまして、必要に応じ適切な指導をしなければならないというふうに考えておるところでございます。
  57. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 この問題は既に東京都議会の方でも問題になりまして、その中で、埋め立て作業開始以前には自然現象や野生動物による損傷があってもというような、そういうことがあるかないか、あるんじゃないかというようなことも、三月二十四日ですけれども、既にやられているのですけれども、こういうことも含めて厚生省としては全然聞いていないということなんでしょうか。それとも、やはり独自に、どこらあたりまでは感触としてつかんでいらっしゃるというのか、その辺はどうですか。
  58. 浜田説明員(浜田康敬)

    ○浜田説明員 私どもとしまして、直接現地に入っているということではございませんが、先ほど申し上げましたように東京都を通じましてデータ等によりましてその実態を確認している最中でございますが、破損と言われている状況があったかどうかということは、作業が日常管理業務の中で一括的に行われているために、箇所数は百八カ所ということで報告を受けておりますけれども、個々の補修をした箇所の状況、補修前の状況はどうで、どうした補修を行ったかという点については詳細を今照会中でございます。それをできるだけ早く把握した上で、先ほど申し上げましたが、必要な対応をしていくことを考えております。
  59. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 そうしますと、これはサンプリングのためにあけた穴ではないかというようなことも伺っているのですけれども、その辺との関係についても全然わからない、そうおっしゃっているのでしょうか。
  60. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 時間ですから。
  61. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 時間ですか、わかりました。じゃ、すぐ終わりますから。
  62. 浜田説明員(浜田康敬)

    ○浜田説明員 サンプリングとの関係でございますが、これにつきましては、百八カ所はサンプリングのためにあけた穴ではないということは私ども報告を受けております。確かに劣化の状況、ある程度長い期間埋め立てが行われない場所にゴムシートがある場合に劣化が起こり得ますので、毎年一カ所程度ずつサンプリングをしながら劣化の状況調査しているという事実はございますけれども、その調査と今回の百八カ所というのは直接は関係ないというふうに把握しております。
  63. 長谷委員(長谷百合子)

    長谷委員 では、時間ですのでこれで終わりたいと思いますけれども、今のゴムシートの問題につきましても、私の方では地元で市民の皆さんと現場を見ていろいろやっておりますので、どういう穴をふさいでいるかということについても私は知っておりますので、どうぞそこのところを見て、よく調べていただきたいというふうに思います。  それから、きょうの法案環境庁長官からも熱意のあるお言葉をいただきましたけれども、車による死亡者が年間一万人ですよ。大体一万人前後死んでしまっている。こういったことは車に伴う必要悪だというようなことを考えますと、車というのは非常に大きな犠牲の上に成り立っているものではないか、こういったことも考えて、軍がここまでふえるからどんどんふやしていくという方向ではなくて、ほかの対策を総合的にやっていくべきではないか。あるいは、またちょっとこれは別ですけれども、きょうの法案とは別にCO2の問題からいきましても、大型車と小型車、普通の乗用車でも大型車よりは小型車をこれからはふやしていくべきだというふうに考えるときに、税制が、消費税導入等に伴って三千cc以上のものを買うときに非常に税金が安くなってしまったというようなことも非常に一つ、小さなことというか大きなことというか、そういうようなことをも含めて、実体のあることをやるのであればそういうことからきちんとやっていっていただきたい。そして、国会の車も大きい車を買われたようでございますが、足元からということを重ねて申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  64. 小杉委員長(小杉隆)

  65. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 岡崎トミ子です。よろしくお願いいたします。  大気汚染に関する昨年の新聞の見出しを見てみますと、「窒素酸化物汚染は猶予ならない状態にある」、また「ディーゼル車排ガスに未知の毒性物質含有」、またある新聞は「NO2新たな危険−発がん物質に変化」こういう見出しか新聞に出ていまして、毎日吸っております空気がこんなものであったのかということで私自身も驚きましたし、日本じゅうの市民の皆さんの環境、健康への関心が一段と高まったのではないかというふうに思います。  今回の法案なんですが、見てみますと、当初環境庁検討しておりました事業所ごとの排出量削減義務づけや車の都市への流入規制案などが後退したものになっております。  一方、阪神間の住民が国と道路公団に対して訴えました道路公害訴訟で、ことし二月二十日、大阪高裁は、原告住民の訴えを一部、騒音や排ガス、粉じん被害を認め、二億三千三百十二万円の損害賠償を命じる判決を出しております。これは、経済活動のための道路の公共性という論理は、周辺に住んでいる住民の皆さんの受忍限度を超えた被害の事実によって否定され、住民の人格権、健康権、生活権が初めて認められたのだと思います。道路公害の加害者は通行する車ではありますが、裁判所は道路公団と建設省、管理者である行政に責任を課したわけです。  企業用ベルトコンベヤーと言われます幹線道路を大型トラックが毎日走る。昨今問題になっております宅配業者の大型トラックも毎日環境汚染する有害物質をまき散らしながら走っている。そして私たちもそれを利用している。今問われていますのは、こういった過剰なものが流通する社会のあり方、そして私たちの生活スタイルそのものなのではないかというふうに私自身は思っております。  そこで、今回の自動車排ガス規制のこの法案についてお伺いしたいと思いますが、まず、地域指定についてお伺いします。現在の東京大阪横浜指定地域に加えて周辺地域も予定していると言っておりますけれども、その線引きをする場合、判断の基準は何でしょうか。
  66. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 この法案は、従来の対策だけでは環境基準の達成が見込めないそういった大都市地域について、総合的そしてまた集中的な特別の対策を講じるということをねらいとしているわけでございますが、その線引きと申しますか、その基準といったものにつきましては、一つは、自動車交通が集中している地域であるということ、それからもう一つは、従来の対策だけでは環境基準の確保が困難であると認められるような地域というものを私どもは想定しているわけでございます。
  67. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 ちょっと、私の地元、宮城の話をさせていただきたいと思いますが、御存じのように仙台市、政令指定都市になりまして、その中心部は環境が大変悪化しております。環境基準をオーバーしている地点が二カ所ほどあります。また、昨年、一九九一年十二月十一日の地元の新聞の河北新報なんですが、みやぎ生協が大気中のNO2の測定をしたという記事があります。これによりますと、県内千七百六十四地点中二十五地点が〇・〇六の環境基準を上回っておりますし、宮城県の公害防止計画の目標値〇・〇四を超えた地点が八十八地点あったというふうに書かれておりますけれども、もちろんこれは長期的なデータではないのです。一回の調査ということになりますけれども、既に地方でも環境基準をオーバーしているところがかなり出てきているというのが現状ではないかというふうに思いますが、この環境基準をオーバーしている部分地域についてはどのようにお考えでしょうか。
  68. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 御指摘のように全国各地で、局所的と申しますか限られた地域環境基準を超えているというところはないわけではございません。何カ所かあるわけでございますが、このたびのこの法案の目的といたします大都市地域におけるような大部分の測定局において超えているというものとはおのずから実態が異なっていると私どもは思います。  しかし、そういった地域、何も手をつけずに置いていいということではございませんで、一般的な対策の中で、例えば長期規制のできるだけ早期の実施とか、あるいはいろんな形での先ほどから申しておりますような国民の皆様の御理解を得るための啓発とかPRとかといったようなことを通じまして、そしてさらには低公害車の普及等も考えられると思いますけれども、いろんな対策を講じることによって、一般的な対策によって解決していくべきものであろう、そのように思っております。
  69. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 長期規制の早い実施であるとか低公害車、国民の皆さんの啓発ということなんですが、これまでも単体規制をやってきているわけですよね。こういうようなことをやってきていても、もしかして、規制を進めていった場合でもまだうまくいかないというような場合にはどんな考えをお持ちでしょうか。地域指定車種規制ですね、代替を進めていった場合に、適用しない車、古い車種なんですが、それが指定地域以外に多く集まることになるのじゃないかと思います。この点について、地方都市、例えば北九州、近畿圏、札幌、仙台にディーゼル車が多く入り込むことによって環境悪化が心配されると私は思うのですけれども、いかがでしょうか。また、さらに、そういった地域に新たな開発計画がある場合さらなる悪化が予想されますけれども、そういった場合には指定地域をふやしていくという考えはお持ちでしょうか。
  70. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 結論から申し上げますと、現存考えております総量規制地域に若干の周辺地域をオンした形というものをこの対象地域というように私どもは考えておりまして、現在、先ほど申し上げましたような条件に該当しないような地域につきましては、将来その対象地域に入り得るような事態にならないように未然に防止をしていかなければならない、このように考えております。そういったことで、私ども先ほど申し上げましたような短期あるいは長期の単体規制を強化していくというようなことで、この地域指定をしなければならないような事態になることはないだろうと予測をしているわけでございます。
  71. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 それはわからないんじゃないでしょうか。環境庁の予測は非常に甘いんじゃないかなというふうに思うのですね。ですから、そのようなことではなく、もし環境悪化している場合には見直すのだという姿勢がとても大切だと思うのです。そして、そういうふうになった場合、地域の皆さんたちの心配も大きくなるわけですから、その場合は地域指定もふやしていかなければならない、こういう考え方に立たなければいけないのじゃないでしょうか。
  72. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 法律としては、そういった事態になった地域につきましては、改めてふやすといいますか追加指定をするということも可能でございますが、私ども、そういうことにならないように全力を挙げて頑張ってまいりたい、こう思っております。
  73. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 私の意見としては、環境が今後悪化した場合には、改善されていないということが明確な場合には新たな対策が必要だというふうに思います。  次に、五日付の地方紙ですが、建設省で物流対策として都心から三十キロ、五十キロ周辺に巨大物流ゾーンの計画があるという記事が載っておりましたが、それについて御説明いただきたいと思います。
  74. 城処説明員(城処求行)

    城処説明員 御指摘いただきました物流ゾーンの件につきましては、現在私ども検討しております、ロジスティックス拠点と呼んでいますが、これの整備のことではないかと思いますが、この拠点整備につきましては、物流の一層の効率化、これを実現したい、結果的にはトラックの走行量の削減も期待される、それから地域環境改善にも資するものだというふうに考えまして、現在調査を進めているものでございます。
  75. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 この巨大物流ゾーンが指定地域外のところにできていってその辺の環境はかなり悪化する、この巨大物流ゾーンというタイトルを見ただけでも私はそういうふうに感じたわけなんですけれども、ここは、もし環境悪化された場合には指定地域に含まれることになるのでしょうか。また、その場合に環境アセスメントの必要性についてはどのように感じていらっしゃいますでしょうか。環境庁、建設省、双方にお伺いしたいと思います。
  76. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 そういった事態になった場合に直ちに指定地域に追加するということは、先ほども申し上げましたようなことから考えておりませんが、こういった新しい施設ができるということにつきましては、自動車交通の分散でございますとかあるいは円滑化に資する事業を推進していくという必要性からもこれは当然あっていいと思っておりますが、ただし、そのためにその新しい地域において新しい環境問題が生ずるということはあってはならないと思っておりますので、未然に防止する措置が当然講じられるべきである、御指摘のように、アセスメント等も十分に考えていかなければならないものと思っております。
  77. 城処説明員(城処求行)

    城処説明員 このような拠点の整備の具体の実施ということになりますれば、周辺環境への影響ということには十分配慮していく必要があると考えておりますし、今後検討を進めていく、あるいは事業を具体化していく段階で必要な環境に関する調査も実施していく必要があろうと考えております。  ただし、趣旨は、先ほど申し上げましたように、今物流の効率化ということが大変言われておりまして、多頻度、多品種の輸送というようなことが大変効率を悪くしているのではないかというような指摘もあります。これに基本的に対処したいということで、物流を効率化したい、こういう趣旨で調査に乗り出したものでございまして、ぜひ我々としては積極的に対応してまいりたいと思っております。
  78. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 その物流の効率化、一層の効率化ということで私たちは環境悪化してきたということもありますので、言葉としては確かに通りがいいことではありますが、万が一環境悪化するような場合には、環境庁の場合アセスを考えるということですので、ぜひその方向でお考えいただきたいというふうに思いますし、また、環境を考える、あるいは健康被害を初めとしたことを十分に考えるということでなければ環境行政とは言えないというふうに思います。  それで、先ほど私がちょっと触れました大阪の四十三号訴訟の場合のように、建設省、計画者の責任として、周辺に住んでいらっしゃる住民の環境を考えなければならない責任は社会的にも認知されてきているわけです。しかも、東京都のアンケートによりますと、環境保全と責任に対する認識が、経営者の方や管理者の方に九〇%という大変高いデータも出ております。そういう現状になっているときに、国が事前のアセスをきちんと行って計画の見直しを行っていくというのが正しい姿勢ではないかというふうに思います。また、規模の縮小や分散や交通流も含めまして細かい点検が必要だというふうに思います。  それで、この埼玉周辺に住んでいらっしゃる方に直接お伺いしたのですけれども、都心が大変に汚れているということできれいな空気を求めて近くに逃げてきた人も多いし、ぜんそくも治ったという人もいるわけなんですね。そこにまた巨大物流ゾーンというのができるということで、周辺の人たちが困ったものだというふうに思っているわけです。  やはり、体の弱い人とか子供たちとかお年寄り、そして障害を持っている人たち、最も弱い人に照準を合わせた町づくりということが福祉行政の基本となっております。それを一方から保障するのが環境行政だというふうに思っておりますし、国が目指すところの生活大国づくりにもなるのではないかというふうに思いますので、ぜひともアセスなり事前の対策を十分検討していただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。  ところで、先日、銀座五丁目連合会が銀座一丁目から八丁目まで、晴海通り、中央通り、沿道一帯のNOxの測定を行いました。ちなみに昨年十二月の測定値は、銀座四丁目十四の晴海通りで〇・〇九四、一丁目京橋小学校裏では〇・〇八九と非常に高い数値を示しております。そこで、先月、三月の六日、七日、八日の三日間にかけて測定をしたわけですが、六日から七日、銀座通りで〇・〇七、ところが、七日から八日にかけて同じ場所で〇・〇四七という結果が出ました。お気づきかもしれませんが、これは六日が金曜日で、八日が日曜日という歩行者天国が実施されている場所です。車の交通量の減少もあるでしょうが、迂回すると効果がはっきりと出ているわけですね。  このような点から考えますと、時間による流入規制やフランスのパリのように夜間走行の奨励などがやはり効果があるのではないかというふうに思います。この法案の効果はすぐに出てくるわけではありません。このように状況悪化している地域について短期的な即応力のある対策が必要と考えますが、今度のこの法案は国の主導性が強くあらわれておりますが、こういった歩行者天国のようなこと、こんな対策についてはどんなふうにお考えでしょうか。
  79. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 歩行者天国の大気に対する改善効果といったようなことにつきましては、特別のデータ、調査結果等持ち合わせておりませんので正確なことは申し上げられませんが、やはりそれなりの効果はあるものだろうと私どもも思います。  地域や時間帯を限定した交通規制乗り入れ規制と申しますか、そういったことにつきましては、今までは主として騒音の観点から、例えば環その内側への大型トラックの乗り入れを土曜日の夜から日曜日の朝にかけて制限するといったようなこと、あるいは私鉄の駅前でバスの運行を確保するような観点からラッシュ時にマイカーの駅近辺乗り入れを規制するというようなこと、こういったことで一定の効果は上げている、そういう例もあると思います。こういった限定的な交通規制につきましては、関係省庁におきまして渋滞対策等の手段として研究が行われることになっておりまして、環境庁としては、交通騒音あるいは渋滞のための対策としての視点も含めながら、こういった研究とも連絡調整を行いながら今後検討してまいりたいと思っております。
  80. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 地方自治体がこの法案よりも厳密な計画を出して実行するというようなことが考えられているというふうに思うのですけれども、本法案との整合性はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  81. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 地方自治体がいろいろな形でこういった問題に取り組んでこられたということについては、私どもも承知しておりますし、また評価もしているわけでございますが、この法案が出たことによって従来行われたことが行われなくなるとかあるいはできなくなるとかといったことはまあないだろうと。できないことにつきましてはもともとできなかったことであって、その辺は具体的な問題等につきましてはそれぞれケースごとに検討しなければならない問題でございますが、私どもは、この法案ができたことによって自治体の独自の施策との間でいろいろな矛盾点が生ずるといったようなことは考えておりません。
  82. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 そうしますと、地方自治体が積極的に取り組むことについては、この法案、大丈夫であるということになりますね。
  83. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 一般論としてはそのようなことになると思いますが、例えば、例を挙げますと、車検をもって行う車種代替のようなものにつきましては、さらにその上に上乗せをして自治体がやるといったようなことはできないだろうと思っております。
  84. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 はい、わかりました。  次に、これに関連しまして都道府県知事の権限についてお伺いします。  法案によりますと、「都道府県知事は、総量削減基本方針に基づき、総量削減計画を定めなければならない。」とし、また、「策定協議会の意見を聴くとともに、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。」とする、また、その「達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。」とありますが、都道府県に関して、環境庁としてはどのような計画をイメージし、策定の指導をしていくおつもりでしょうか。また、物流対策、交通流対策、人流対策について具体的に、わかりやすく御説明いただきたいと思います。
  85. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 都道府県知事が具体的な削減計画をつくるということでございまして、それにつきましては国が承認をするという形をとらしていただいております。  そして、そのイメージするところでございますが、都道府県がそういう計画をつくるにつきましては、それぞれの地方で協議会を設けまして、その協議会には関係機関の方に入っていただいて、実際実務的にと申しますか、それぞれ実施する側のいろいろな施策の持ち寄りといったような形でまとめ上げていくべきものであろうと思っております。いろいろな具体的な計画について、都道府県知事からつくっていただくということになると思います。一方、事業所管大臣による指針をつくっての対応ということもあるわけでございますが、それはそれで非常に、何と申しますか、事業者に対する指導でございますから、専門のそれぞれの省庁からやっていただくということでございまして、環境庁としては、その内容等につきまして環境の観点からいろいろと物を申し上げる場合もあるだろうと思いますし、また、都道府県知事は、環境庁を通じまして、そういった形でのいろいろな要請等があれば行えるというような仕組みになっているわけでございます。
  86. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 今の私がお伺いしたことにお答えになっていらっしゃらないのですが、具体的に物流対策、交通流対策、人流対策、わかりにくいのです。今のお話では、お答えがちょっと私にはわからないのですけれども
  87. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 具体的な対策として考えられますのは、物流施設の整備でございますとかあるいはモーダルシフト等の物流対策、それから公共輸送機関の整備あるいは自動車の使用自粛等の人流対策、あるいはまた交通管制、道路整備による交通流対策といったようなことがイメージされるものと思います。
  88. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 この中でも公共輸送機関、これをもっと利用すると、大分さまざまな交通大気汚染が緩和されるだろうというふうに私も思うのですけれども、これには力を入れていらっしゃいますか。
  89. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 当然、そういった環境保全のために資する施策につきましては進めてまいりたいと思っております。
  90. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 また、この都道府県知事の権限なんですが、事業者に対する指導助言がされることが必要と認めるときというのは、どういう場合を想定しているのでしょうか。
  91. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 まあいろいろな場合があろうかと思いますが、例えば、所管大臣の指導に基づいてとられている対策につきまして、それぞれの地域性と申しますか、地域においていろいろなバリエーションもあるわけでございますので、またその特殊性といったようなこともあるわけでございますので、一律にはそういう形でできないという問題もあろうかと思います。その場合、この地域ではこのような特殊性があるから、こういった点にもきめ細かく配慮して指導してほしいといったようなことが一例としては挙げられるのではないかと思っております。
  92. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 それぞれの地域の特殊性を認めながら指導助言されるということは大切ではないかというふうに思っております。  次に、より低公害な車の導入の促進対策としての電気自動車についてお伺いしたいと思います。  その前に、都道府県知事の権限についてなんですけれども、もう一つ伺うことを忘れておりましたが、その都道府県、それぞれの自治体は、今回の総量規制の法制化に対して非常に期待が大きかっただけに、後退したということについては非常に失望感が大きいわけなんです。自治体独自のより厳しい取り組みがこの法によって封じられることがあったり、あるいは事業者への指導がしにくくなるのではないかというような不安がそれぞれの関係自治体にあるわけなんですけれども、そうした不安と不満についてはどういうふうにお答えになられますでしょうか。
  93. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 東京都あるいは大阪府といったようなこの地域指定にかかわる自治体とは常に密接な連携をとり合っているつもりでございますが、今後とも、先生御指摘のこともございますので、一層連絡を密にいたしまして、協力しながらやってまいりたいと思っております。
  94. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 私も、ある県にお伺いしたところ、指定地域以外ということで少し緊張感が緩んだとか、私どもでは計画をしなくてもいいとか、そんな意見を伺いまして、ちょっと無力感にとらわれているのではないかなというふうに感じたわけなんです。今回その関係自治体、知事の権限が後退したからといって、現状を放置するようなことがあってはならないというふうに考えておりますし、これまで裁判闘争を含む住民運動がなかったら、現在の政府公害行政ははるかにおくれていたというふうに思うのですね。  同時に、自治体が数々の先駆的な公害防止策をつくり出してきた実績も忘れてはならないというふうに思います。総量規制という手法を本格的に実施して効果を上げたのは、二十年前の大阪府だと思います。主要工場の煙突ごとに調査をして、事業所単位排出量を抑えるように辛抱強く指導したわけです。それが政府を動かして、硫黄酸化物だけでなく窒素酸化物についても、固定発生源での総量規制の法制化につながったというふうに思います。大阪府は、独自に業界実態調査を続けて、なお総量規制を模索するというふうに言っております。そのような姿勢を自治体には私は期待をしたいというふうに思っておりますが、そのような姿勢は環境庁でもお認めになられますね。
  95. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 大阪府等とも十分に連絡をとりながら、先ほども申し上げましたが、連絡を密にして一緒にやってまいりたいと思っております。
  96. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 次に、より低公害な車の導入の促進対策としての電気自動車についてお伺いしたいと思います。  通産省は、二〇〇〇年までに二十万台という計画をお持ちとのお話ですが、その実現性はどうでしょうか。また、実現に向けてのこれからの課題は何でしょうか。そして、仮にこれが実現可能となった場合のNOx削減効果はどのぐらいでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  97. 染川説明員(染川弘文)

    ○染川説明員 お答えいたします。  私ども通産省の中に、電気自動車協議会という検討会がございますが、そこで昨年十月に、先生御指摘のように、二〇〇〇年までに二十万台の電気自動車の普及を目指した総合的な普及計画というものを立てておるわけでございますが、まず、これは可能かどうかという御質問でございますけれども、そこで一つは、電気自動車を走らせる場合にはその走らせるエネルギーとして電気が、電力が要るわけでございます。この面から考えてみますとどういうことかというわけでございますが、その普及計画の中でもうたっておるところでございますが、電気自動車には充電というものが必要になってくるわけでございます。これは現在比較的余裕のございます夜の間の夜間電力を有効に活用するという計画でございますので、考え方でございますので、そういった面からの問題は特にないのではないかと私どもは考えておるわけでございます。  それから今後の課題でございますが、電気自動車の大量普及に対応するために、私ども通産省といたしましては平成四年度から、夜の間の電力、夜間電力をためておきまして昼間に電気自動車に充電するための充電スタンドの技術開発というものに取りかかろうという予定でございます。  それからお尋ねのNOx削減効果でございますが、環境庁の方とされては、中央公害対策審議会が平成元年十二月に答申した規制を実施することによりまして二〇〇〇年時点で東京、神奈川地域においてNOx総量を約一〇%低減させることが可能と予測しているところでございますが、一方電気自動車東京、神奈川地域に二十万台普及させますと、さらにNOxを五%削減させることが可能となるのではないか、こういうふうに試算しておるところでございます。
  98. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 私は、電気自動車について一番心配しておりますのは、電力供給の問題なわけですね、今電力のことをおっしゃっていましたけれども。利潤追求原理に基づいた消費拡大による経済成長が私たちの住む地球全体に環境破壊をもたらした。その反省から省エネとかエコロジーへの追求が始まっておりますので、さらに電力需要を拡大することがどうなのかというふうに思うわけです。今夜間電力を使うということで、これ以上は拡大する心配がないのかどうなのか、その点について、二〇〇〇年の見通しについてどうなのでしょうか。
  99. 染川説明員(染川弘文)

    ○染川説明員 二〇〇〇年の電力の需給見通しというもので、私ども通産大臣の諮問機関ということで電気事業審議会というのがございますが、そこで平成二年六月に電力の供給目標というものを立てておるわけでございますが、そこで二〇〇〇年度九千四百六十億キロワットアワーの発電を行うというわけでございます。  一方で、電気自動車にどれだけ電力が必要かということでございますが、今後の技術開発も絡みまして幾つか前提を置いた試算となるわけでございますが、一キロワットアワー当たり大体二キロメートル走るのではないかと予測しておるところでございますが、大体普通の乗用車が一日四十キロメートル、まあ二百五十日間走るといたしまして大体年間一万キロメートル走るわけでございますが、充電効率をどれだけ見るかということもございますが、これを〇・七と見ますと、幾つかの掛け算、割り算等を踏まえますと、先ほど申し上げました二〇〇〇年度の電力供給目標の九千四百六十億キロワットアワーの大体一%以下ぐらいには抑えられるのではないか、このように考えております。
  100. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 都合のいい試算ではないですね。ぜひこれ以上電力供給の問題について心配のないようにしていただきたいというふうに思うわけなのです。  アメリカのカリフォルニア州のパイロットプランでは、一九九七年に二%の電気自動車、二〇〇三年には一〇%の電気自動車の販売義務が課せられているということなのですが、そうなりますと、日本自動車業界も競争力という点からいいまして電気自動車の開発には積極的にならざるを得ないというふうに思われますが、その点を含めて、今後日本で電気自動車が大量に普及する見通し、電力供給の問題は今言いましたので、充電スタンドの普及の見通しについて御説明いただきたいと思います。
  101. 染川説明員(染川弘文)

    ○染川説明員 先ほど御説明いたしましたように、二〇〇〇年の段階で二十万台という計画でございますが、これをどのように普及していくのかということでございますが、幾つかの段階を踏んでそういった実現をしていけばよろしいのではないかと思います。  まず最初は公的機関、さらには事業者が使うような商用車、さらには最終的には一般ユーザーの方が使われる自動車にだんだん普及していくということになろうかと思われますが、先生御指摘のように、そのときに一番重要なことは電気スタンドの開発でございますが、これは先ほど御説明いたしましたように平成四年度から、私ども通産省といたしまして、夜の間の夜間電力を蓄電しておいて昼間に充電するための充電スタンドの技術開発というものに取りかかる予定でございます。     〔委員長退席塩谷委員長代理着席
  102. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 はい、わかりました。次に、環境庁長官の権限についてお伺いしたいと思います。  この法案環境庁から出されているわけなんですが、環境庁長官がなかなか出てこないので私は心配をしていたわけなんですが、十三条にやっと出てくるわけなんです。事業者に対する指導の中で、環境庁長官は事業所管大臣に対し意見を述べること、また、事業者に対する指導及び助言を要請することができるものとありますが、これはどういうことを想定しているんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  103. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 事業所管大臣がそれぞれの専門分野と申しますか所管事項につきまして、事業者に対する指導方針等についての具体的な指針をつくるわけでございますが、その指針に対しまして、環境庁としては環境の観点からいろいろな注文と申しますか、物を申すというようなことが当然考えられるわけでございますが、そういったことを一つは指しているわけでございます。
  104. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 環境の観点から十分に指導していただきたいと思いますが、これまでにも環境アセスメント制度において環境庁長官が事業者に対して意見を述べることができるとし、三つの例があったと聞いておりますが、言いかえますと三つしかなかったのかということにもなって、ちょっと不安をそして疑問を感じるわけでなんですが、それはどのようなものであったか簡単に説明していただきたいと思いますし、また、これを受けて建設省はどのように対応しているのか、お伺いしたいと思います。
  105. 八木橋政府委員(八木橋惇夫)

    ○八木橋政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、環境庁長官意見を申し述べました件数は平成二年度末まで見ますと、三件でございます。  その三つと申しますと、一つ東京湾の横断道路の建設事業、二つ目は都市高速道路中央環状新宿線建設事業、三番目は川崎縦貫道路事業でございまして、いずれも六項目から七項目にわたる意見を申し述べております。
  106. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 その内容について簡単に、六項目、七項目では内容がわかませんのでよろしくお願いします。
  107. 八木橋政府委員(八木橋惇夫)

    ○八木橋政府委員 例えば東京湾横断道路事業について申し上げますと、換気塔における汚染物質の除去及び川崎側におけるアクセス道路についての環境保全上適切な道路計画を策定する必要があるというような意見、二番目に、工事中の濁りの拡散防止のための工法導入等水質汚濁防止への配慮が必要であること、三点目、干潟の地形及び生物相の保全に対する配慮が必要であるようなこと、その他工事用の土砂等の採取、運搬に関する環境保全措置の実施、工事に伴い発生する土砂等の処分に係る環境保全措置の実施とか、そのほか、これは重要なことでございますが、工事を行うまたはその後におきましても環境監視またはその結果に基づく対策を実施する必要があるというような意見、また、これらの事業の具体化に伴って関係地方公共団体との調整が必要である、こういったような意見でございます。ほかの二件についても大体今申し上げたようなことと似たような意見を申し述べております。
  108. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 それに対して建設省はどのようにお答えになったか、お伺いいたします。
  109. 城処説明員(城処求行)

    城処説明員 ただいまお話がございました東京湾横断道路、中央環状新宿線、それから川崎縦貫道路、これにつきましては、事業規模が大変大きゅうございまして、その実施によりまして環境に及ぼす影響について特に配慮する必要があるというふうに考えられたために、事業の実施あるいは都市計画決定に当たりまして環境庁長官意見を求めまして、これに対して回答をいただいているところでございます。  その内容につきましては今お話がございましたとおりでございまして、建設省ではこの環境庁長官からの意見を受けまして、事業の実施者あるいは都市計画決定権者にこれを周知徹底するということとともに、現在までに、この意見を踏まえまして、例えば脱硝装置の調査研究ということにつきましては、平成三年度から関係機関と一緒になりまして、首都高速湾岸線の東京港トンネルという現在供用中のトンネルがございますが、ここにおきまして、そこから排出される実際のガスを使いまして現地の実験をすることといたしておりまして、現在そのための装置の調整でありますとか試運転のための準備を進めているところでございます。  また、その他大気保全にかかわる御意見につきましても、これから設計を進めていく中で詳細な検討を行い、必要な措置を講じてまいりたいというふうにも考えております。  また、工事の実施に伴う残土対策等につきましては、既に工事中の東京湾横断道路におきましては水質汚濁も含めました施工法等いろいろな工夫を行うとともに、川崎縦貫道や中央環状の新宿線につきましても同様に工事の実施までに詳細な検討を行いまして必要な措置を講じてまいりたいと思っています。  また、工事中あるいは工事完了後の環境監視といったことにつきましても、都道府県等の環境部局の方とも十分調整あるいは連携を図りましてその実施に努力していきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、事業を進めるに当たりましては、環境庁長官の御意見を含めまして環境保全等には十分に配慮をいたしまして、地域の皆さん方の御理解と御協力を得て円滑に事業が進められるように関係機関を指導してまいりたいというふうに考えております。
  110. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 環境庁からのアセスのことについての御意見、建設省では十分に受け入れて調査し、また事後アセスにも力を入れていただきたいというふうに思いますのは、実は私も環境アセスメントに関連しまして、第百二十回の国会で当時の愛知環境庁長官に質問をいたしまして、そのときにも、国民の命を守る、環境の保全をするという目的からしっかりとしたアセス制度の検討が必要な時期ではないかというふうに長官に伺いました。そして長官は、法制化なども引き続き検討していきたいというふうにもお答えになっていらっしゃいます。  先日の岩垂議員の質問の際にも、道路だけつくっておいて後は知らぬ顔というお話がありましたけれども、そういうアセスメントでは意味がないというふうに思っているわけです。言いかえますと、後手後手に回った道路行政、環境行政のツケが回った結果が今日の状態ではないかというふうに思います。したがって、計画がある場合には、その影響についての評価項目を検討し直すこと、例えば浮遊粒子状物質の人体への影響を考えましたり、項目を健康という面から十分に考えていただきたいというふうに思います。  昭和五十九年以来の閣議決定でのアセス制度ではさまざまな不備な点が指摘されております。その結果、先ほど長谷百合子議員が触れておりましたけれども、圏央道建設計画に見られるようにトラブルが各地で発生するということにもなっているのではないかと思います。環境庁としてはこういったアセス制度の法制化も含めてお考えがあるかどうか、新長官としてあらためてお聞かせいただきたいと思います。
  111. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 アセスメント法案につきましては、私は一つの思いがございます。アセスメント法案が過去に国会に提出され、当時環境特別委員会だったと思いますが、そこで審議をされたことがございまして、そのときは馬場先生、岩垂先生などをカウンターパートとして私が自民党の理事をやっておりました。そしていろいろな議論を重ねたのでございますが、一口で言ってしまえば、当時は御理解が得られなかった。こういう問題が起こるのじゃないか、ああいう問題が起こるのじゃないかということで、アセスメントという考え方自体に対してなかなか理解が得られない、そして野党の一部にも慎重論があったと私記憶しておりまして、その中で、やはり民主主義であり、立法府の御理解が得られなければ法律はできないわけですから、審議未了、廃案ということになった。  しかし、それからこれだけの年月が経過いたしまして、国民の皆様もまた役所の考え方も、我々、私半分立法府でありますけれども、立法府の物の考え方も随分変わってきたと思います。そういう時期におきまして、折しもUNCEDが開かれるという時期になりまして、今までの対症療法的な、何か悪いものが出てきたらそれをつかまえようと後追い後追いでもってやってきました公害対策的な環境問題でなくて、持続可能な開発という中で環境というものを視点に入れて、それを経済に組み込んでいかなければいけないという時代に入ってまいりました。そういう中で抜本的な環境に関する法制度の整備、今の制度ではとても不足でございますので、そういうものを考えていかなければいけない時代に入ったと思います。  そうした中で、環境基本法ということになりましょうか、そういったものの検討も今審議会にお願いして検討していただいている中で、このアセスメント法案その他のいろいろ環境に関する法案等についても今検討を進めているわけでありまして、そうした法体系の整備そして環境庁の組織、体制の整備、そういったものを含めて取り組んでいっている、現在そういうところでございます。     〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
  112. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 力強いアセスメントに関しての前向きの御答弁だったというふうに思いますが、アメリカのようなアセス制度、事前の検討関係者の意見を十分に取り入れて、時にはそれによって計画の撤回もあり得るとか、あるいは川崎で提案の予定の事前アセスのような制度の検討も含めて考えるべきというふうに考えております。また事後的にも、工事が完了して供用開始された場合に、その後の環境変化についても調査をして事前のアセスとの突き合わせ、そしてその後の対策についても制度化が必要だというふうに思いますが、長官、これについてはいかがでしょうか。
  113. 八木橋政府委員(八木橋惇夫)

    ○八木橋政府委員 先生おっしゃられるように、環境アセスメントを行うに当たりましては、その環境アセスが環境政策に的確に生かされることが必要であるということが一点、それからもう一点は、環境アセスメントにおける調査、予測等の手法が現実の事態にいかにマッチしているか、この二つについての技術的な向上を図っていかなければならぬということだろうと思います。  そういう意味におきまして、一つ環境アセスで行っていたことが事業実施の展開に伴ってフォローアップがうまくできるかどうかというような問題、もう一点は、アセスにおける技術指針の検討またアセスに取り込む要素の問題をどうやって向上させていくかという問題だろうかと思います。この二つにつきましては私ども検討会をつくりながら鋭意その向上に努めているところでございまして、これは先ほど大臣から御答弁申し上げました法整備の検討とあわせて、私どもはこういったものに対する技術面の向上というものを図ってまいりたいと考えております。
  114. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 ありがとうございます。ぜひその点でよろしくお願いしたいというふうに思います。  さて、環境庁窒素酸化物自動車排出に関する検討会が最終報告を出した際に、全日本トラック協会からこの報告に関しまして要望が出されたと聞いておりますが、どんな内容であったか簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  115. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 いろいろな項目につきまして要望があったわけでございますが、結論といたしましては、協会としても積極的にこの問題に対処してまいりたい、協力していきたいという趣旨でございました。  具体的な中身につきましては、例えばトラックの行動範囲は広域的であって、自治体ごとの総量削減計画には反対であるとか、あるいは使用過程車に対する経過期間を延長すべきだとかいったようなこともございました。
  116. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 ちょっと重要なことが抜けているというふうに思うのですが、今ここにトラック協会の内部文書があります。はっきりと意見、要望を環境庁大気保全局長及び運輸省自動車交局長に申し述べているというふうにあるのですけれども環境庁は、私がこの資料を提出してくださいと申し上げましたときにこれをいただけなかったわけなのですが、こうした事実をどうして明らかにしようとしないのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  117. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 いろいろなすり合わせと申しますか協議をしてきたわけでございますが、いわば話し合いの過程におきまして、必ずしも公式に申し入れたとか、あるいはいわば公然とお互いに言い合ったということだけではございませんで、いろいろなやりとりもあるわけでございます。したがいまして、オープンにできないと申しますか、そのまま公表するということは、お互いの信頼関係ということもございますので、できないものもあろうかと存じます。
  118. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 マスコミは、環境庁が通産省や運輸省に配慮して最終報告から後退した法案になったというふうにこのとき報じているわけなのですね。とりわけトラック協会などの業界の圧力があったのではないかというふうに指摘しておりまして、ですから、なおかつすべてを全部さらけ出せないというふうに今おっしゃったのではないかというふうに思いますけれども業界の要望にどういうふうに対処して今こういうふうに後退したことになってしまったのか。現実には、トラック協会の要望の中で先ほどおっしゃらなかった重要なことがあるのです。最終報告のポイントの一つだった事業者がNOx削減計画を知事に届け出るという項目に関して、トラック協会は実効性に問題があるとして反対したのです。法案でこの項目がなくなっております。しかも環境庁はその理由として、実現は難しいことを挙げたというふうに報じられておりますが、これではトラック協会の言い分をそのまま通したとしか考えられません。実現性が難しいという根拠は何でしょうか、具体的に御説明いただきたいと思います。
  119. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 後退したとかということではございませんで、また、トラック協会の要望を入れて、いわば当然なすべきことを放棄したとかそういったことは決してございません。形としては、先生御指摘のようなそういった事項につきましては今回の法案の中には入っておりませんが、それ以上に強力に対処できる案をつくったつもりでございまして、何回も申し上げているようでございますが、政府部内の関係の省庁が一致してこの問題に取り組んでいこうということで、事業所管大臣の強力な指導をやるという形に変わったわけでございまして、この方がより効果的であると私どもは思っております。
  120. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 業界への指導性ということで確かなものを環境庁は得られたのだろうと思いますけれども、何か根拠というものが伺えなかったというふうに思いますが、業界との癒着と言われないためにも、業界に対する指導をもっと強化した内容にすべきだったというふうに考えておりますけれども、この点に関して、どうもそれぞれの所管大臣が権限をたくさんお持ちなんですが、ぜひとも環境庁としての意見を強く指導できるということも含めまして、長官、今のようなやりとりを聞いて、そしてトラック協会のことも業界のことも考えて、自工会のことも考えまして、長官の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  121. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 やはり法律も行政のあり方も現実対応じゃないと私はいかぬと思っております。そういう中で、日本は民主主義国家でありますから、いろいろな意見のある中で、我々としては一番有効な策を模索し、それを決めてやっていく、こういうことでございます。そういう中で私どもとしては政府一体としてやらなければいけない、その中の環境庁調整官庁でありますから、当然いろいろな役所と調整を図り、その中で一番実現性があり、有効である対策を立ててその立法をお願いするという立場でございますのでありますから、今御提出させていただきました法律というのは、過去における単体規制ではどうしてもいけなくなってきた。私は本当は、結論を言えば、単体規制がきちっとできて、幾ら自動車がふえたってNOxだとか恐ろしいガスが出てこないような単体規制ができればそれにこしたことはないと思うのです。それができないという現実を踏まえて、一歩新しい領域に踏み込んで総量規制という考えを入れた、その中では私どもは取り得る最善の策だと思って御提案を申し上げております。
  122. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 そうですか。どうも私自身納得がいかないところもありますけれども、それでは、より強い姿勢として大臣に力を発揮していただきたい。私も環境庁の応援団の一員でありますけれども、長官にお伺いしたいと思います。  この法案を第一歩といたしまして、新しい環境行政に向けて環境庁が積極的に取り組んでいく。アセスもすべて含めて、今度の法案が本当に実効あるものになるようにぜひとも力強いお答えを最後にお伺いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  123. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 地球規模の環境ということが喫緊の課題になってきた時代に入りまして、精いっぱい努力をしてまいりたいと思います。
  124. 岡崎(ト)委員(岡崎トミ子)

    ○岡崎(ト)委員 以上で終わります。よろしくお願いします。ありがとうございました。
  125. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ————◇—————     午後一時一時一分開議
  126. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、中央公害対策審議会大気部会長斎藤孟君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  128. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 この際、本案に対し、斉藤一雄君外一名及び寺前巖君から、それぞれ修正案が提出されております。  提出者から順次趣旨の説明を求めます。斉藤一雄君。     —————————————  自動車から排出される窒素酸化物特定地域に   おける総量削減等に関する特別措置法案に   対する修正案(斉藤一雄君外一名提出)     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  129. 斉藤(一)委員(斉藤一雄)

    斉藤(一)委員 私は日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となっております内閣提出自動車から排出される窒素酸化物特定地域における総量削減等に関する特別措置法案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付してありますので、案文の朗読は省略させていただき、その要旨につきまして御説明いたします。  窒素酸化物人間の健康などに悪影響を及ぼすことは、委員各位は既に御承知のことでございます。そこで、長年にわたり、環境庁を初め政府がその抑制策をお考えになり、やっとの思いで、日の目を見なかった自動車排ガス法を提案されたことは評価します。しかし、環境庁が元来考えられていた内容は、窒素酸化物自動車排出総量抑制検討会の中間とりまとめであったろうと私ども認識し、特定地域外から流入してくる自動車についても規制を加えるなど、その趣旨を新法に追加することがよりよきものになるであろうとして修正案を提出した次第であります。  修正の第一は、特定事業所に係る自動車排出窒素酸化物総量規制についてであります。その主な内容は、一、都道府県知事は、政府案に言う特定地域についての総量削減計画に従って、一定規模以上の自動車で事業活動を行っている事業所に関しても特定事業所総量削減計画、規制基準を定めなければならないこと。二、一正規模以上の自動車で事業活動を行っている事業者は、事業活動の内容、自動車の種類・台数、運行方法・区域などを都道府県知事に届け出なければならないこと。三、都道府県知事は、二の事業者に対して、規制基準に適合しないと認められる場合は、改善のため勧告、命令の措置がとれるとしたことであります。  第二は、ステッカー方式による走行規制についてであります。これは適合車に対してステッカーを交付し、識別をやりやすくする方策を講ずることであります。  第三は、税制上の優遇策についてであります。それは第十五条中「資金の確保こを「税制上の措置、資金の確保こと改めることであります。  以上が修正案を提出いたしました趣旨と内容であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  130. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 寺前巖君。     —————————————  自動車から排出される窒素酸化物特定地域に   おける総量削減等に関する特別措置法案に   対する修正案事前巖君提出)     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  131. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 私は、日本共産党を代表して、議題となっています自動車から排出される窒素酸化物特定地域における総量削減等に関する特別措置法案に対する修正案の趣旨を説明します。  修正案は、既にお手元に配付されておりますので、細々と説明はいたしません。  その内容は、第一に、原案の第一条に、「当該地域内の一定の事業所又は事務所の事業活動に係る自動車から排出される窒素酸化物総量規制する措置」及び「一定の自動車につき定められた窒素酸化物排出基準に適合しない自動車の一定地域における走行を規制する措置」を加えて、総合的な総量規制措置でもって一刻も早く汚染状況の改善を図るものです。  第二に、原案の総量削減基本方針及び総量削減計画の後に、「特定事業所に係る自動車排出窒素酸化物総量規制」を行う新たな節を設け、「都道府県知事は、特定事業所に係る総量規制計画を作成し、特定事業所に係る自動車排出窒素酸化物総量規制基準を定める」及び「都道府県知事は、指定自動車台数削減、運行の方法などを勧告、改善命令することができる」等を加え、地方自治体の権限を強化することにより総量削減計画の実効を図るものです。  第三に、原案の「特定自動車排出基準」の後に、「指定地域指定自動車の走行規制措置」を行う新たな節を設け、「内閣総理大臣は、指定地域指定し、指定地域排出基準に適合したものでなければ、運行の用に供してはならない」及び「都道府県知事は、指定地域排出基準に適合する旨の標識を交付する」等を加え、指定地域流入する自動車から排出される窒素酸化物削減するものです。  委員の皆さんの御賛同をお願いして、趣旨説明を終わります。  以上です。
  132. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。
  133. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 これより原案及び斉藤一雄君外一名提出の修正案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。時崎雄司君。
  134. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 最初に、社会党の提案されました修正案の提案者にお尋ねをいたしたいと思います。  まずその一つは、これまでの二酸化窒素環境基準が達成できないというこの現状、主にどのような原因によるものか、どのように理解をしているのか、お尋ねをいたします。
  135. 斉藤(一)委員(斉藤一雄)

    斉藤(一)委員 簡単に主な理由を申し上げさせていただきます。  一つは、環境行政の後退であります。すなわち、環境基準の大幅三倍の緩和、公健法の地域指定を解除して新規患者を切り捨てたこと、達成期限の明示が極めて政治的なもので根拠がなかったことであります。  二番目は、規制並びに対策のおくれであります。すなわち、単体規制の後退、ディーゼル車を中心とした自動車交通量の増大に対する取り組みの弱さであります。  三番目は、環境庁の権限の弱さ、自治体との一体的な取り組みの弱さが挙げられると思います。
  136. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 続きましてお尋ねをしておきたいのは、政府提案と今回出された修正案を比較をして、修正案がすぐれていると考えられる点がありましたら、その点についてお聞かせをいただきたい、このように思います。     〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  137. 斉藤(一)委員(斉藤一雄)

    斉藤(一)委員 簡単に申し上げます。  一つは、特定事業所に対するNOx総量削減計画及び総量規制基準を定め、自動車台数、種類及び運行の方法等を勘案した削減目標量を定めることであります。それに違反した場合は、知事が勧告、改善命令を出せるという極めて具体的で実効性のある内容であります。  二番目は、特定地域における指定自動車についてNOx排出基準を定め、公安委員会がその規律に適合しない車の通行の禁止措置を行うことであります。つまり、地域外車の流入ステッカー方式で規制しようとするものであります。  以上です。
  138. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 もう一点お尋ねをいたしたいと思いますが、政府案と、そして今出された修正案の両方について、これが法案が成立をした際に環境基準等に及ぼす影響の見通しを、修正案提案者から見て政府案がどうであるか、そしてまた修正案提案者から見て修正案はどうであるか、二つに分けてお答えいただきたいと思います。
  139. 斉藤(一)委員(斉藤一雄)

    斉藤(一)委員 まず環境基準達成について、政府案でいきますと、我が党の委員各位からも、また他の党の委員からもいろいろ指摘がございましたように、さらに東京都の試算あるいはこれまで政府がとってきた施策等々を勘案いたしますと、政府が言っておりますようにおおむね二〇〇〇年に達成可能ということにはどうしてもならない。私の立場からはこれは絶対に不可能である、政府案では達成が不可能であるということを断言しておきたいと思います。  それに対して我が党修正案でございますが、我が党修正案にさらに加えて単体規制の強化、交通量対策の強化等々を実施することによりまして、二〇〇〇年にはかなりの程度達成に近づけるものというふうに確信をいたしております。
  140. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 後ほど修正案提案者にまたお尋ねをいたしますので、しばらくできればそこへお座りいただきたいと思います。  それでは長官にお尋ねをいたしますが、提案説明の際、理由を付された文書、さらにはまたこれをお読みになったわけですが、その一ページに「従来にはない新たな視点に立った総合的かつ効果的な施策を講ずることが」とこういうことでございました。それから三日の我が党の同僚議員の質問に対して、今まで踏み込んだことのないところまで踏み込んだ、こういう言い方をされておるわけですが、従来にない新たな視点に立った施策を講ずるのだ、具体的にはどういうことを指すのか、お答えをいただきたいと思います。
  141. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 従来の単体規制、これを主にやってまいりました。その単体規制の達成というのは、私ども随分自動車メーカーそれから石油業界と当たったのですが、早急にはなかなか解決、達成できない。長期目標の達成も、今のところ自動車メーカーとしてはいついつまでにできるということが言えないという状態でございます。そのような中で、新しい視点から政策を打ち立てなければいけないということで、大都市地域に総合的に集中的に特別な対策を講じよう、これが新しい断面に踏み込んだということであります。  具体的には、総量削減基本方針総量削減計画によって新たに国及び地方公共団体を通じた総合的な施策の推進の枠組みを構築するということでございます。第二に、使用過程車にも適用される車種規制や事業者の自動車使用のあり方にまでさかのぼる指導措置など特別の抑制制度を盛り込む、こういうことでございます。
  142. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 何か委員が退席されて、数がだんだん少なくなって寂しくなってしまうのですね。  私、三日の審議以来ずっと聞いておるのですが、どうもこの法律は本末転倒しているのではないか、こう思うのですね。といいますのは、排気ガスが出るというのは車が走行しているときに出るのですね。これは走っているとき以外は出ないのですよ、まあとまっているときエンジンをかければ別ですが。走っていて排気ガスが出るとすれば、それを規制するのが当たり前で、所有しているところに規制をかけるということはどうも私には合点がいかないのです。特別な地域で、指定された地域の中に所有しているというだけで、車のエンジンをかけなければ何ら排気ガスは出さないのではないですか。なぜ所有しているというだけで、特定の地域に所有しているというだけで規制の対象になるのか、私はそこがよくわからないのですよ。法律の立て方としてどうもこれは誤った法律なんじゃないか、立て方が誤っているのじゃないか、こう私は思うので、長官もう一度、いやそうじゃないのだというならば、国民が納得できるように説明いただきたいのです。
  143. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 地域内において車検登録をしている車でございますが、これが大都市地域、特に東京地域を走っております車の八割程度を占めておるということが一つございます。それからもう一つは、やはり所有しているということは走行ということを前提にして所有しておられると推定されるわけでございますので、これは走行させるために所有しているのか、あるいはまた単に車庫に入れておくために所有しているのかというような区別につきましては、なかなか判別が難しいということもございます。そういったことでこのような形にしておるわけでございます。
  144. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 あなたと車庫に置いておいて飾っておく車か乗るために買ったのか、その議論をするつもりはございませんが、私の言っているのは、このような排気ガスの対策をやろうというのなら、走行しているときに排気ガスが出るので、当然走行していることに着目をして規制をすべきではないか、こういうのです。所有をしていることについて規制をするという視点の違いを言っているのです。私も車に乗りますけれども、車庫に入れて飾り物にして、そのことを自慢するために車買っているわけじゃないですから、対象になる視点のとらまえ方、そのことがどうも違うのではないか。極端に言えば、これから地域指定をされる、その地域から一歩外れたところに車の所有を移してしまえばどういうことになります。これは規制の対象にならなくなるでしょう。長官、そういうことだって可能でしょう。それほど今トラックとかバスの業界というのはお上品な、悪いことをやらない業界ですか。佐川を筆頭にして、そうでしょう。こんなことは幾らでもできるのじゃないですか。だから私は、問題の把握がお互いできたとすれば、その問題をどう解決するという視点がどうもずれているのではないか、こう思っているのです。  このことを長い時間やり合っても、恐らくは平行線でしょうから、若干別な角度からまたお尋ねをしたいと思うのです。  先ほど長谷委員の質問に対して、検討委員会をつくって、そしてその検討委員会は専門的に、それから中公審は何か学術的にというようなこと、学問的にと言ったのですかね、局長からそういう答弁がございました。ところで、この検討委員会というのはどのぐらいの人数で何回程度検討されたのか、お尋ねをいたします。
  145. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 ほぼ二年間をかけて検討したものでございまして、私の記憶では二十回程度であったと思っております。
  146. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 次に、参考人の斎藤さんにお尋ねをさせていただきます。斎藤さんが二人おりますので、参考人の斎藤孟さん、本当にお忙しい中、急においでいただきましてありがとうございました。  長官からも再三、この環境基準をクリアできるように、こういうこれまで踏み込んだことのないような分野にまで踏み込んで、そして新たな視点で総合対策を考えていく、そしてまた今局長からも、環境庁内に検討委員会を発足させて二年間にわたって約二十回検討してきたという大変重要な法案の提案なんですが、中公審にこの案が諮問されましたのがたしか二月二十六日でございます。そして、答申が出たのも同日付の二月二十六日なんですね。私がお聞きしたいのは、これだけ環境庁で長い間、そして重大な意識を持って、この法案を本委員会に提案された、しかしどうも中公審の審査というのか審議というのはおざなりだったのではないか、こう思うわけでございます。  そこでお尋ねしたいのは、諮問を受けて答申するまで一日、何時に諮問を受けて何時に答申されたか、そしてその間にどれだけの審議をしたのか、何人の委員で審議をされたか、そしてそのときにどういう意見なりまたは質問が出たのか、その概要について詳細にお尋ねをしておきたい、こう思うのです。
  147. 斎藤参考人(斎藤孟)

    ○斎藤参考人 斎藤でございます。  お答えいたします。  今御質問のように、諮問を受けましたのが二月二十六日で、この日午前十時から十一時三十五分まで。一時間三十五分にわたりまして慎重に審議を行いました。私としましては、ここで意見が出尽くしまして、この一回の審議で十分審議できたというふうに考えております。ただし、その諮問以前に、検討会の最終報告につきまして十二月に一回と一月に一回、審議しております。ですから、実質の審議はその場でも十分できたというふうに考えております。  それから、この二月二十六日の委員会の出席状況でございますが、これは大気部会と交通公害部会の合同部会でございまして、大気部会の方は十九名中十三名、交通公害部会の方は十八名中十名の出席を得ておりまして、もちろん定足数に達しております。なお、このほか専門委員二名が出席しております。  それでは、今御質問がありましたが、そのときに出ました意見について簡単にまとめて御報告したいと思います。  当日、これは二月二十六日だけでございますけれども、八名の方から質問あるいは要望が出されました。要約いたしますと四つございまして、一つは、この諮問に対しまして、窒素酸化物対策は非常に重要であるから、ぜひこの内容を法律化して早期に実施してほしいという御意見でございます。それから、次にはこの実施に当たっては、車を供給する例あるいは実際に車を使う側、それぞれいろいろな問題がございます。それで、その実施時期とかあるいはこの法律の適用猶予期間等については十分配慮してほしいという要望がございました。それから、この法律が出ますと、これは一般の人たちにも非常に影響が大きいところがございますので、一般の人の理解を得て対策を進める必要があるということでございまして、その広報体制をしっかりしてほしいという要望がございました。それから、実施に当たっては関係省庁の協力を得てやってほしいという、この四点。主にまとめたところだけを申し上げました。  以上でございます。
  148. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 二月二十六日約一時間三十五分審議をされて、諮問に対する答申。それも字で書けば三十字ぐらいですかね、答申の内容というのは。  それで、この中公審そのものができているその基本というのか、それは公害基本法第二十七条に基づいて設置をされているんですね。それで総理大臣環境庁長官から諮問を受けたときに、それに対して調査をし審議するということになっているわけですね。そうしますと、この中公審というのは、諮問もない前に環境庁一体になって何か研究したり調査したり検討するものなんですか。どうも先ほどのお話を聞いていると、過去に一、二度何か中間報告ですか最終報告ですかわかりませんが、何かしたというふうに聞こえるのですが、法律の建前からいえば、これは総理大臣環境庁長官からの諮問があって初めて調査をし審議をするという機関じゃないのですか。そう考えますと、実質的にせよ形式的にせよ一時間三十五分のみがこの法律案の審議時間だった、私はこう理解するのですが、いかがですか。
  149. 斎藤参考人(斎藤孟)

    ○斎藤参考人 確かに、諮問につきましてはこの一日、一時間三十五分で終わっておりますが、実質的にその内容につきましては、先ほども申し上げましたように既にそれまでの間に二回の委員会がございまして、そこでほとんど諮問に近い内容のものについて審議しております。ですから、私どもとしては十分そこで審議されているというふうに考えております。  さらに、あの検討会はこの部会の下に置かれまして、そして専門の委員の先生方が十分審議されてあの最終報告書ができておりますので、私どもとしてはその間に審議された内容についてかなり信頼を置いた上で、またそれの説明を十分聞いた上でこういう結論を出しておりますので、必ずしもこの二十六日一日だけでその諮問の答申が出たというふうにお考えいただかない方がいいかと思っております。
  150. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 斎藤参考人の話を聞いていると頭の方がますます混乱してくるのですが、検討委員会というのは中公審の下に置かれている、これは中公審の内部機関ですね。——ちょっと、私が聞いているのは、わざわざ来ていただいた斎藤参考人に聞いているのです。後でゆっくりまた入山さんに発言を求めますから。
  151. 斎藤参考人(斎藤孟)

    ○斎藤参考人 下部組織というのは間違いでございました。訂正させていただきたいと思います。
  152. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 そうしますと、検討委員会というのは、これはあくまでも環境庁の中の検討委員会ですね。間違いないですか。
  153. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 環境庁内部の検討委員会でございます。
  154. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 大臣、中公審に諮問したのはあなたの名前で出しているんですね。そうでしょう。公害対策基本法二十七条二項の二号に基づいてと明記しているんじゃないですか。違いますか。これ、あなたの諮問書ですよ。諮問書の中にはっきり出ているでしょう。公害対策基本法第二十七条二項の二号に基づいて諮問をするよ、こう言っているんですよ。どうも今までの参考人の話を聞いていると、中公審と環境庁一体になってこの法律を出してきたんですね。間違いないですか。参考人。
  155. 斎藤参考人(斎藤孟)

    ○斎藤参考人 そういうことはございません。
  156. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 どうもよくわかりませんね。まあ、訂正されましたけれども検討委員会は何か中公審の下部機関のようなことを言ってみたり、諮問がない前の去年の十一月、十二月、二度にわたってこの内容について既に審議をされている。だから、諮問があった時点すなわち二月二十六日には、一時間三十五分で十分だった、こういうわけですね。  そうしますと、私の言うのは間違っていますか。諮問のないうちに既に環境庁と一緒になって、この法案についての審議を行っていたと考えるのが至当じゃないんですか。あなた方は環境庁から独立した機関じゃないのですか。環境庁の組織規則の中に入っているんですか。私は、どこを見たってあなた方は独立した機関であって、総理大臣環境庁長官から諮問された課題について十分に調査をし審査をする、審議をする、こういう機関になっていると思っているのです。どうもあなたの話を聞いていると、この法案についてのみは、よそはわかりませんが、この法案については一体となって既につくり上げたものだと。これでは私、質問のしょうがないんですよ。  あなた方は独立した機関だ、私はそう理解している。したがって、環境庁から諮問を受けて、それに対して公平な目でもって十分に調査と審議が尽くされて、三十字ぐらいの字であっても、これは法律としてつくることは適当だとあなた方が答申されたと私は理解しているのです。諮問もないうちから同じことをやっていたんですか。この法律案について審議していたんですか。
  157. 斎藤参考人(斎藤孟)

    ○斎藤参考人 決して諮問のないうちに審議していたということは当てはまらないかと思いますが、先ほど申し上げましたように、検討会での最終報告書というのがこの大気部会に提出されまして、それの説明を受けて、そこでいろいろ質疑があった、これが十二月と一月の二回の大気部会及び交通公害部会の合同部会においてやられたということでございます。  中公審としての手続は御指摘のとおりであるかもしれません。確かに当日でございます。ただ、検討会はそれなりの専門家が議論してまとめたものでございますので、その成果は中公審としても念頭に置いて考えることができたわけでございます。そういう内容的な実質論を申し上げているということでございます。
  158. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 どうも私にはまだよく、その専門的な検討委員会と中公審の関係が理解しにくいんですが、検討委員会の最終報告書の説明を受けた、これ中公審にいまだ諮問もしていないうちから、審査をしていただこうということであらかじめ出したと。  入山局長、これちょっとよく説明していただけますか。
  159. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 審議会の機能といたしましては、御指摘のように諮問、答申の形をとるということもございますが、そのほかにも、各界の先生方が委員になっていらっしゃいますので、いろいろな御意見を伺うという機能もまた、これあるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、検討会環境庁内部の検討会でございますけれども、そこで得ました結果等につきまして審議会の先生方に率直な御意見をお伺いするということは当然あってしかるべきであると思っているわけでございます。その機会が二回ほどあった、こういう意味でございます。
  160. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 特に中公審の調査審議、これは諮問を含めてこれからも環境庁とのかかわりが大変強いわけでございます。これからも今のようなやり方でいくのですか。  これは大臣大臣にお尋ねしますが、今回のように諮問もしないうちから中公審が環境庁内部の検討会と一緒になって調査をしたり審議をする、こういうことをこれからも続けるつもりですか。
  161. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 事実関係については入山大気局長がお答えしたとおりだと思いますけれども、私の立場といたしましては、いろいろな研究会の結論を得て、政府部内の調整もございまして、そういったものが整いまして、こういった案ができたという段階で諮問をいたしまして、そうして答申をいただいて、それを成案として出してきた、こういうことでございます。
  162. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 いや、私の聞いているのは過去のことじゃなくて、中公審の位置づけというのか役割というのか、そういうものを、今回の法律の諮問、答申と同じようなやり方をこれからもとるのですか。私は独立した機関だと思っていますから。法律にそう書いているのですよ。それを、環境庁で何か施策を講ずるときに中公審と一緒になって、諮問もしないうちから一緒に検討するのですかと聞いているのです。
  163. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 一緒になって検討するということではないと思いますけれども、あくまでも我々としては我々の考えを述べ、そして中公審の意見をいただいて、そして政策を決めていくということでございます。
  164. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 公害対策基本法の二十七条をきちっと読んでいただきたいですね。中公審というのはこの二十七条に基づいて設置をされているんでしょう。そしてやることは何かというのは、一号から二号、三号と書いてあるのです。環境庁、行政機関法案を出そうとするときに一緒になって作業しろとは書いていないのですよ、これは。そうでしょう。これはあなた方が諮問してそれからなんですよ。  これは環境庁長官も、もちろん局長もそうですが、私は参考人にもきちっとここを理解してもらいたいのです。あなた方が一体となって環境庁と何か法案をつくるための作業をする機関じゃないのですよ、これは。だから、環境庁としては二年そして二十回に及んで検討委員会というものをつくって、そして案をつくったのでしょう。それを二月二十六日に中公審に諮問をされて答申をいただく、本来はこうなんですよ。だから、これからも今回のようなことをやられては困ると私は思うのですよ、法律の趣旨はそうなっていないのですから。参考人どうですか、今後はどうしますか。
  165. 斎藤参考人(斎藤孟)

    ○斎藤参考人 御趣旨の意味はよくわかりました。その趣旨でもって進めていきたいと思います。
  166. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 長官、長官も局長以下監督する立場にあるわけですから、いやしくも中公審を使って環境庁法案作成の準備を手伝わせるなどということは、私はこの法の趣旨からいったらおかしいと思うんです。
  167. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 先ほどから御答弁さしていただいていますように、私どもは私どもの考えを伝えて中公審に諮問をいたしまして、そこで御審議をいただいて答申を受け、それをまた見て法律を作成してこうして案を出しているわけであります。  ただ、中公審がそれ自体の機能としていろいろ御研究されたり、いろいろな意見を聞いたり、いろいろな活動をされているということは、これはまた法律で許されることだと思いますので、そこでどういうことを中公審さんがされちゃいけないということをこちらから申し上げるわけにいかないと思うのでございますが、私どもといたしましては、議員御指摘のとおり、私どもが諮問いたしまして、それを受けて研究していただいて答申を受けて、それで法律を我々なりに考えてつくっていく、こういうことだと思います。
  168. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 私も、例えば環境庁内でつくってある検討委員会報告書を、最終報告であるか中間報告であるかは別として、そういう報告書を中公審の委員の皆さんに見せるなどか見せてはならぬなどというつもりで言っているわけじゃないんです。公害対策基本法の二十七条できちっと位置づけられた中公審ですから、当然独立した機関として行政側で考えていることに対して十分チェックをして、調査をしたり審議をして、みずからの意思で答申を出すんだろう、こう思うので、以前から審議してきました、そういう検討委員会等をやってきましたということは、私はこの法律からいくと、どうもおかしいのではないか、こう思うんです。  そこで、これとの関係でもう一つ、質問を通告する際には言っておかなかったんですが、この法律をつくるに当たって公害対策会議を開催されましたか、長官。
  169. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 当時、私はまだ長官になってなかったので、ちょっと今聞きましたら、やってないそうでございます。
  170. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 社会党、共産党からそれぞれ修正案が出る、そしてこの法案についてのみ集中審議を去る三日、そしてきょう七日と行っているわけですね。そういう中で、大変重要な役割を果たすべき公害対策会議が開かれていない、そうしてまた中公審の答申についても一時間三十五分ということで、私は大変不十分なんじゃないかと、姿勢において不十分なんじゃないかと。公害対策会議は、これは環境庁事務局を所管しておりますよね。会長は総理大臣でしょう。どうも私は、こういう重要な法案を国会に提出する手順としては不十分なんじゃないか、このように感じられてなりません。環境庁長官は、従来踏み込んだことのない分野にまで踏み込むと、こう言っているわけですから、なぜ公害対策会議を開いたり、中公審にもっと時間をとって十分に調査、審議をしていただいて、その上でさらに検討して法案を出すべきではないのか、私はこう思うんですが、いかがですか。
  171. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 もとより環境庁調整官庁でありますから、政府の中の意見を取りまとめて調整をして、総理から付与された権限におきましてそういう作業を行い、法律をまとめてまいるわけでありますから、法律を出す出し方としては間違ってないと思っております。
  172. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 どこが間違いで、どこが聞違ってないかの議論をするつもりはございませんが、わざわざ公害対策基本法の中の第二十五条に、総理大臣をキャップとする公害対策会議を開いて、その会議において公害防止等に関する計画その他法案等の審査をすることがきちっと明記されているわけですね。あわせて中公審に対しても、大臣から諮問し、そしてそれを答申するに当たって十分調査し審議するということになっているわけでしょう。どうも今回の法律の手続においてそういう点が不十分だったのではないか、私はこう思うんですが、いかがですか。
  173. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 私、弁解するわけではありませんが、この法案がほぼ固まったころに私は環境庁長官を拝命いたしましたけれども、そのとき私もいろいろ聞いてみました。そうしたら、随分時間をかけまして環境庁部内でも議論をし、そして政府部内でも議論をし、そしてその結果、最終的にこういうものができてまいりましたということでありまして、それを私は諮問いたしまして、答申を得まして出したわけでありまして、かなりの時間をかけて政府部内でも論議を尽くして出してきた法律というふうに考えております。
  174. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 中村環境庁長官の代ではないと、何かそんなふうに聞こえてくるんですが、それはおやめになっていただけませんか。今度前の大臣からかわったからといって、それは一連の作業をしてきたものですから。私がもっと前から大臣だったらばこんなふうにするとかという、そういう自分なりの考えはあるでしょうけれども、しかし先ほど、現実に公害対策会議は開いてないということでしたね。そして今また、中公審も一時間三十五分審議したというだけでしょう。私はそういうことについて不十分じゃないのかなと、こう言っているのですよ。あなたが後になってから大臣になったから、前のことはどうだったかよくわからぬというなら、これはまたこれで、その当時からいる政府委員にでもお尋ねすればいいんですが、私はどうも今答弁された中では不十分なんじゃないか、こう思うのですよ。
  175. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 私が申し上げましたのは、私がいないときのことであったから、それをうちの庁の人からよく聞いたということを申し上げたわけであります。  それから、法案は、これは政府の中を調整いたしまして閣議決定をするわけであります。閣議で議題として、総理を中心にそこで決定するわけであります。そういうわけでありますから、手続としては、庁内の研究を経て、そして政府部内の調整を経て、そして総理のもとで閣議決定をして出させていただいた、こういうわけでございます。
  176. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 どうも長官の話を聞いていると、そうすると公害対策基本法の第二十五条は必要ないですな。そうでしょう。
  177. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 この今御指摘会議は政策決定をする会議でありまして、今までここで法案の審議をしたことはないように伺っております。
  178. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 ところで、この会議、やっているんですか。過去、いつやったんですか。公害対策会議、一番近いところで、いつに行っているんですか。何を決めたんですか。
  179. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 この三月に一回開催いたしております。それから事務局につきましては、総理本府の方で所管をいたしております。——失礼いたしました。環境庁で庶務を担当いたしております。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 要らないことまで答弁するから間違って……。長官、この公害対策会議、さらにはまた中公審、これらの位置づけというものがきちっと法律に明記されているんですね。それは法律を出すときに一々公害対策会議を開けとか、すべての法律を含めて中公審に諮問して答申いただきなさいとか、そういうのは全然書いてありませんが、少なくとも二年間にわたって二十回も検討会というものをつくって、そうでしょう、その専門委員に大学の先生まで呼んできて、相当の期間また労力を使って、そして重要だと考えるから中公審に答申をお願いしたのでしょう。そして三月に公害対策会議が開催されているとすれば、これは当然のこととして、私はそこで議題になり話題になっていいはずだと思うのですね。そういう点で、どうも手続上で、我々に大臣が盛んに答弁その他趣旨説明をされている割には手続上で不十分だったのではないか。そして、今後またこういういろいろな規制を含めて法律が出てくるだろうと思います。十分この辺の基本法というのをわきまえた対応をお願いをしておきたい、こういうことです。  もう時間もございませんので最後に一点、修正案と原案との絡みで大臣にお尋ねをいたしておきますが、なぜ特定地域外の車の乗り入れ規制ができないのか。ステッカー方式とかなんとか、検討委員会でも中間報告にあったようですけれども、三日の日の大臣の答弁を聞いていると、それは大臣としてというよりも一個人として、例えばステッカーを張れというなら業界は張るよ、こういう車はいかぬよといえばそれは別な車に切りかえる。若干のコストは、それは商売上でコストアップすればいいというようなこと、それはできるんだと言っているのです。できるんだと言っているのですが、今度は大臣の立場になると何らその対策はない。何らというのは、特定地外のものが特定地に入って通過する場合、またはそこに商売上来る場合、これの規制がない。業界の一個人として考えればできると言っておいて、今度は法律を出す段になったらできないということはどういうことなんですか。
  181. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 私が申し上げたのは、よく議事録を見ていただきたいと思うのですが、私も一業者であり、バス、トラックの路線業者であったということを踏まえまして、お前の会社にやれと言われたら私はやりますとお答えしたのです。それは何百台かの車はあるでしょうけれども、それにステッカーを張ることはそれほど面倒なことではないと思います、こうお答えいたしました。しかしながら、これを法律として考えた場合は、それを実効性あらしめるためにはステッカーを張る義務じゃなくて、張ったステッカーを取り締まる、その車を取り締まるということが必要になってくるわけでありまして、そういう面から考えて実効性ということを考えますと、先ほどから御議論いただいております車検による方がより確実ではないかということで、こういう方策をとらしていただいたということであります。  それから先ほどちょっと、もう一つ御答弁させていただいてよろしいでしょうか。それはバス、トラック業界なんというのはいろいろなことをやるじゃないかというお話がありました。  確かに、自由主義経済の中のいろいろな業務をやるものですから、いろいろなことがあると思います。しかし、バスとかトラックはその走っている営業地営業地のどちらかで登録しなきゃいけないということは法的に義務づけられておりますので、それ以外で登録するということはできないようになっておりますので、その点御理解いただきたいと思います。
  182. 時崎委員(時崎雄司)

    ○時崎委員 時間も来ましたから以上で終わりますが、私はどうもこれまでの三日以降の審議の状況その他を聞き、また今、私の質問に対する答弁等を聞いておりますが、私の気持ちとしては残念ながら政府原案よりは社会党の修正案の方がより効果的であることを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  183. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 東順治君。
  184. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 最初に、大臣にお伺いしたいと思います。  大気汚染悪化の問題でございますけれども、私、福岡に住んでおりまして、およそ週に一回上京してまいりますが、やはり東京の空、この大気汚染、いろいろな努力はしているけれどもなかなか深刻だなと、実感として感じることがよくございます。総量規制地域における環境基準達成状況を見ましても、平成二年度において一般局では東京で二十五局中四局、横浜で三十一局中六局、大阪で五十三局中四十局が達成しているにとどまっている。また自動車排ガス測定局では、東京で二十八局中二局、横浜で十七局中わずか一局、大阪で二十七局中五局、これしか環境基準を達成しておらない、こういう現状であるわけでございます。  先日、メキシコの大気汚染の深刻な状況が報道されておりました。悪化する一方の大気汚染対策として、メキシコの首都圏で週二日の自家用車の運転禁止措置、また工場も五〇%以上が操業短縮、あるいは子供たちもスモッダマスクをつけて通学をしておる、こういう非常に深刻な状況が報道されておりました。これによって、首都圏の乗用車が約三百五十万台のうち一日平均四〇%が運転できない、それが商業活動にも深刻な影響を及ぼして市民生活に大きな打撃を与えておる。そして、きょうの朝日の社説ですか、これは決して対岸の火事ではない、我が国にとっても下手をするとこういう状況になっていく心配がある、こういう旨の社説も載っておりましたけれども、こういったことを含めて、日本大都市地域大気汚染ということについてどのように御認識なさっておられるか、これをまず伺いたいと思います。
  185. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 大都市地域ということで考えますと、窒素酸化物による大気汚染が深刻ということだと思います。そして、固定発生源にかかわる総量規制自動車一台ごとの排出ガス規制等、いろいろなことの対策をやってきたわけでございますけれども、今窒素酸化物に関しては改善が余り見られないというわけでございます。  その主な原因は、ディーゼル車を中心とする自動車からの窒素酸化物排出でございまして、その対策の強化が必要であるということから、私どもといたしましては本法案提出させていただきまして、単体規制のみならずこうした総量規制、違った切り口から対策を講じていこうということで法案提出させていただいているわけでございます。
  186. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 大変重要なというか深刻な状況というものが背景となって本法案提出、こういうことでございますけれども、ここで何回も議論に上がっておりますが、特定地域として政令で定めるということで、東京特別区と横浜市と大阪市、あるいは周辺地域千葉埼玉兵庫県の一部、こういうものを想定しているようでございますけれども、例えば福岡市ですね。福岡市の環境局の調査で、福岡市の大気汚染度は過去十年間で最悪の状態であるというものがこの三月十七日に発表されました。  この福岡市というのは工場が非常に少ない、いわゆる商業を中心として発展している町でございます。政令指定都市、百万を優に超えている町でございますけれども、これは結局、窒素酸化物などの大気汚染の最大の原因自動車排出ガスである、こういうふうに結論づけられておるようでございます。その結果、この四月にも自動車交通公害防止計画策定協議会、こういうものを発足させようとしておるようでございます。  これは、福岡市のような地方の中核都市、これは実は今また地方の一極集中ということで新たな問題が生じている、そういう状況でございますけれども、この一極集中によって人口が急激に増大をしてくる、人口が増大してくるということは、これに伴って車の都心部への大量の流入、それが大気汚染に直結をしてくる、こういうことになるわけでございます。福岡市の車両台数も十年前の約一・六倍にはね上がっております。こういうことから考えていったときに、こうした大都市というものもこの指定地域の対象として考慮していく、そういう柔軟性を持って、先ほどからも議論に出ておりますが、要するにアウトになる前に追加指定をしていく、そういう弾力性というものを持った法案とすべきではなかろうか、私は率直にこういうふうに思うわけですが、これについてはいかがでしょうか。
  187. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 御指摘の、福岡市等におきましても環境基準を達成できない測定局があるということは存じておりますが、ただ、私どもが想定をいたしております東京横浜大阪といったいわゆる大都市地域と比較をいたしますと、その達成度においては相当に違いがあるということも、一方言えるかと思います。  今申し上げましたような地域でのいろいろな従来の対策では改善が見込めないということで、緊急に新しい角度からの対策を講じなければならないという趣旨で提出させていただいております法案でございますので、将来的にはそういうおそれのある地域というようなものにつきましては、私どもは、そういうことにならないように予防的にいろいろな対策をとっていこうという考え方で対処させていただきたいと思っております。
  188. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 なぜ心配するかといいますと、こういう地方都市というのは、都心部に通勤をしてくる人たちの通勤の足というのが、公共交通機関とともにやはりマイカー通勤というのがすごい大きいわけですね。マイカー通勤が大きいというのは、後から話が出ますが、特にディーゼル乗用車みたいなものがこれからまたどんどんふえていくということになってまいりますと、やはり非常に深刻な状況というのが想定されるわけでございます。そういう意味で、要するに地方の一極集中が起これは人口が増大する、都心部に人がどんどん流れ込んでくる。流れ込んでくるということはそのまま車がふえる、こういう認識をしっかり持っておいていただきたい。車がふえるということはそのまま大気汚染につながる。気がづいたときには、それこそメキシコじゃありませんがい状況としてはもう非常に深刻になって手のつけられないというようなことにならないように、どうかひとつその辺のところをしっかり注視をしていきながら対応していく、こういう姿勢で対応していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、自動車使用車種規制について伺いたいわけであります。  この検討会での最終報告で、「「自動車使用基準」遵守義務違反については、勧告、改善命令を行うことができるものとし、命令に対する違反については罰則を設ける」こうなっていたのが、本法案では、基準に適合しない自動車に対して自動車検査証を交付しないということ以外には何ら罰則はないわけでございます。本法案で罰則を規定できなかった理由これは何なのか、お答え願いたいと思います。
  189. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 使用車種規制の遵守を担保する措置といたしましては、自動車検査制度を活用するということが一番確実で、かつ実効性があると考えられるわけでございますが、そういうことで、この法案におきましては、運輸大臣が道路運送車両法に基づく命令によって必要な措置を講ずることにしているわけでございます。  このため、この法案において規定上、基準に違反した者に対する罰則の規定を定めないこととしたものでございまして、制度全体として見た場合には、この法案による基準に不適合の自動車に対しては、道路運送車両法に基づきまして自動車検査証の交付が受けられない。それからまた、有効な自動車検査証の交付を受けないで自動車を運行させたというような場合には、これについて所要の罰則が科せられるということになっているわけでございます。車検制度で規制を担保することにした、法制上当然の措置でございまして、規制という点から見まして、これは緩んだとか後退したとかといったことはないものと思っているわけでございます。
  190. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 同じく最終報告で、ディーゼル乗用車につきましても、「現在の汚染寄与は少ないものの、近年著しい増加傾向にあり、東京、神奈川、大阪においては、昭和六十年度末から平成二年度末までの五年間に二・三〜二・五倍もの伸びを示している。ディーゼル乗用車は、ガソリン乗用車に比して窒素酸化物排出量が二〜二・五倍に上ること、利便性の観点からはガソリン乗用車に代替しても特段の不都合はないと考えられること等から、ディーゼル乗用車についても、規制対象に係る自動車に準じ何らかの抑制措置を講ずる余地がないか検討すべきだろう。」このように報告されておりますね。  その後、このディーゼル抑制ということについて何らかの検討が行われてきたのかどうか、この辺はいかがでしょうか。
  191. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 この法案ではディーゼル乗用車についての規制を直接加えるということはしていないわけでございますが、私どもディーゼル乗用車につきましても、その使用につきましては抑制をしていくというような形で御理解をいただくことにしたいと思っておりますが、この具体的な検討につきましては、この法案成立後の課題であると思っているわけでございます。
  192. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 おっしゃるように、まさに重要な課題だと私は認識しております。  ディーゼル車の増加要因の一つとして、燃費、消費量あるいは燃料価格、こういった差があります。乗用車で今リッター幾らでしょうか、ガソリンが百二十円ぐらいでしょうか。それに対してディーゼル、軽油が七十円くらいですかね、こういう燃費の差がある。また、燃料にかかる税金の問題なんですが、これも何度も議論に出ておりますが、軽油がリッター当たり今二十四・三円ですか。それに対してガソリンが五十三・八円と、その差約三十円。これは税制面から経済的増加要因というものを抑制していかなければならないというふうに思うわけであります。  こういうことから考えていったときに、例えば軽油に対して環境保全税のような目的税というものをしっかり導入して、そしてそれを、例えば触媒の研究、あるいは電気自動車の開発、あるいけメタノール車等々の研究対策というものに充てるとか、そういう具体的な手を打たなければ、先ほど私言いましたように利便性から見れば、例えばディーゼル乗用車も、乗る側から見れば普通のガソリン車と余り変わらないぐらいに利便性みたいなものは高まってきておるわけですね。快適な感じもそんなにそう遜色はない。あるいはまた騒音ということから考えても、乗用車の場合はもうそれほどガソリン車と変わらないぐらいの感じになってきている。こうなってくると、燃費は安い、快適性はある。当然これは消費者の傾向としてどんどんディーゼル乗用車の方を買っていこうというものがふえてくるのはもう目に見えておるわけでございまして、そうなってくると、NOxも大きな問題にまたどんどん高まっていく。加えて、先ほど言いましたように、地方都市というのは交通手段が即車という要素が非常に高いわけですから、それでまた一極集中なんかになってくると、どんどん車がふえてくると、そのままディーゼル乗用車なんかがふえてくる。こういうことになるわけで、しかも、今はもう特に地方なんかは一家に一台という時代じゃないんですね。家族何人に何台というような、そういう感覚まで、車というものがいわゆる足になってきている。  こういうふうに考えていきますと、やはり今私が提言いたしましたような税対策みたいなところをしっかりとらまえていかなければいけないんじゃなかろうか、こういうふうに私は思うわけでございます。こういう強い意思を持った問題提起というものをぜひ環境庁が強烈におやりになるべきじゃなかろうか、このように思うんですが、長官、いかがでしょうか。
  193. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思いまして、私は、この環境庁長官を拝命いたしましてから、国会における答弁でも、記者会見でも、またテレビ等でも、努めてその原因指摘し続けております。ただ、なかなか税のことというのは難しいものでありまして、なかなか一概に簡単にいかないという面がございます。  ただ、根本的な原因を考えてみますと、終戦後、三十年代はガソリンでバスもトラックも動いておった。三十年代からディーゼルが入ってきて、四十年ごろに大体ガソリン車が消えて、あとどんどんディーゼルになった。それは何かといえば、一にかかって燃料費が安いからであります。その燃料費の安い原因というのは、委員指摘になった、税金がガソリンに比べて安いということが主な原因になっているわけであります。  そういう中で、ディーゼルに関して単体規制がはかばかしくいかない。その中で、こうした総量規制ということをこうやって導入するわけでありますけれども、今のような状態でいきますと、乗用車を中心にディーゼルの数は減るという計算はしておりますけれども、乗用車などはふえてくるのではないか。私的なことで御無礼でありますが、私の足もずっとディーゼルに乗っておりますけれども、一にかかって、これは何だと言えば、それはずっと安いよ、半値で済んじゃうよということであります。  でありますから、今税金の使い方というようなお話もございましたけれども、私といたしましては、まず環境という面からだけ考えれば、ガソリンと軽油にかかる税は公平にしてもらいたい。そうしないと出発点が変わってしまいますので、ガソリンエンジンだって、もう大きなエンジンはつくらなくていいよと言われ、つくらなくなってしまった。そうしたように、公害対策から何からいろいろなものが、公害という面から考えると、税によってゆがめられた形で進んでいってしまうというふうに考えざるを得ないわけであります。出発点として、この税負担のあり方を公平にしてもらいたいということは、こうして委員に御答弁しながらも問題提起をさせていただいているわけであります。そういったものを環境の目的税として使ったらどうかという大変御見識のあるお話でありまして、傾聴に値する御意見として伺っておきたいと思っております。
  194. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 まさにガソリンとディーゼルを公平にという、これはもうそこから出発しない限りはというふうに私は思います。  それで、何回も重ねて言うようでございますが、東京都区内に住んでいる人たちと地方に住んでいる人たちのマイカーに関する感覚は若干違うような気がしますね。御存じのように車検が何年かごとにめぐってまいります。そうすると車検えを受けるたびごとに、そのときに、いっそガソリン車からディーゼル車に買いかえようかというような、いつもそういうことを迷うような状況になる。それで、やはり燃費が大変安いからということでそうなるわけで、しかも性能もだんだん上がってきているからということでそういうふうになるわけでございまして、これは一度ディーゼル車の伸びぐあいというのを丹念に地方別に私は調べてみたいというふうに思うわけでございますが、折があったらその資料もぜひ御提供願いたいというふうに思うわけでございますが、長官、そういう全体の状況でございますので、具体的に問題提起のやり方を、これからどうかもうひとつはっきりと形の見える形で、環境庁の意思、長官の意思というものが具体的な形でもっと前面に出てくるような形で工夫されて、ぜひお願いしたい、こういうふうに思うわけでございます。よろしくお願いしたいと思います。  それから、検討会の最終報告で、自治体に対して事業者に抑制計画をつくらせて、これも先ほどから出ております、それからまた、ただいまもございましたが、自治体が事業者に指導助言をする、そういう権限と役割が与えられておったんですけれども、本法案では、業界指導では運輸、通産両省が自治体にかわって前面に出る、こういう形に端的に言えば変わっておるわけでございます。これはいろんな要因があったんだと思いますが、端的に言ってどうしてこういうふうに変わったのか、これを伺いたいと思います。
  195. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 自動車に対する規制といたしましては、排出ガス対策、それから物流対策など、国が行うことが適切かつ有効な施策が多くあるわけでございますが、こうした施策につきましては、窒素酸化物による大気汚染を改善するという観点から国が責任を持って積極的に推進するということが最善であるという考え方に立ったものでございます。
  196. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 国が行うことが有効、国が積極的に責任を持って行うことがということでございますけれども、それでは、都道府県知事が削減計画を策定する、こうなっておりまして、この計画の策定について関係機関、市町村等から成る総量削減計画策定協議会を都道府県に置くことになっておりますね。この協議会というものの位置づけ、これはどうなっているのでしょうか。
  197. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 物流、人流、交通流といったいろんな施策を推進していく必要があるわけでございますけれども、こういった計画を実効あるものとするために、この計画策定に当たってのこれらの施策の実施の任にある関係機関、国の出先機関等もあるわけでございますが、そういった関係機関を構成員とする協議会で調査、審議をして実効のある計画をつくるということを目的にしているわけでございます。
  198. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 実効性のある計画をつくることを目的としてということでございますが、そこでお伺いしたいのですが、先ほども質問させていただきましたが、結局自治体というものが一歩後ろに下がって、そして、実際の指導助言というところには国が出てくる。ところが、この削減の計画は自治体が立てるというところで、自治体が削減計画を策定するんだけれども、肝心の削減の当事者である事業者に対しては国がきちっと助言したり指導したりするということで、結局自治体としては間接的にしか事業者にタッチできない。つまり、かゆいところを靴の上からしかかけないみたいな、どうもこの辺のもどかしさを感じるわけでございます。  図式的に言えば、都道府県が総量削減計画を策定して、その策定を受けて業界はその範囲内で自動車使用の合理化に努める。それを例えば逸脱する、こうなってくると、それをじっと見ている都道府県が今度は環境庁に指導助言の要請をする。そうすると環境庁は、指導助言の要請をさらに通産省、運輸省にもしていく。それで通産、運輸から自動車使用の合理化の指導助言が業界におりていく。非常に遠回りの、何でこんなふうにするんだろうか。どう法案を読んでも、この辺がもどかしくてしょうがないわけですね。大きな矛盾を私は思うわけでございます。自治体としてきちっとした実効性を担保されない中に計画を策定する、そして先ほどの協議会は、計画の実効性を目指してしっかり協議をするというようなことで、何が何だかわからなくなってくるわけでございます。  したがって、現状とか実情というものに即してこそ、計画というのは初めて生きた計画が策定される。そしてまた同時に、現状、実情を一番理解しているからこそ最も効果ある指導助言ができる。一番理解しているというのは、地域差がそれぞれあって、やはり各自治体が一番現状、実情というのは理解しているわけですから、一番現状、実情を理解している自治体が直接タッチできてこそ初めて、私は生きた指導助言というものができるのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。どうもそこに遠回りの、靴の上からかゆいところをかくような、非常にもどかしい、何でこんなことになっちゃうのか、本当にこれで実効性が確保できるのか、こういう疑問を感じてならないわけですね。この辺はいかがでしょう。
  199. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 関係機関がそれぞれ自分の所掌する施策につきまして持ち寄って、そしてそれを地域において最も有効な形で生かしていくということをねらっての協議会、計画案作成の機能でございますが、実際は、都道府県知事の指導というものよりも、国が直接指導する、あるいは出先機関を通じて、従来から持っておりますノウハウを生かしながらきちっとした指導をするということの方がより効果的であろうという考え方に立ったわけでございまして、先生御指摘のような、形の上からいたしますと、知事の権限、国の権限、協議会、その間に環境庁が介在するといった一見複雑なような形になるのでございますが、私どもはその辺はきちっとした形で適正な運営ができるように心がけてまいりたいと思っております。
  200. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 私、どうもよくわからないのですが、例えば、昭和四十年代の中盤ごろですか、公害問題が全国的に起こりましたね。この公害問題の克服というのは結局どこがやったのか。それはやはり、当該の自治体というものが死に物狂いで公害克服に取り組みましたよね。そして、そのそれぞれの公害に対して必死になって、現状に応じながら有効な手を打ちまくって、それを国がバックアップする、こういう構図だったですよね。したがって、あくまでも公害克服の主役というのはやはり地方の自治体でしたよね。私は、それと同じような原理になるのじゃなかろうか。やはり、一番排ガスの問題で苦しんでいる、何とかしなければいけない、こう悩んでいるのは自治体であって、そしてまた、しかも、指定地域はあってもそれぞれ地域差がいろんな形で違うわけですから、そういう実情状況に応じて有効な手をきちっと打てるのがまた自治体ではなかろうか。いわゆる有効な指導助言というものができるのが自治体ではなかろうか。だから、国は自治体の意見というものを最大に尊重して後ろからしっかりバックアップをする、こういう構図が私は極めて自然ではなかろうかな、それでこそ初めて実りある実効性というものが確保されるのではなかろうかな、こういうように思うわけなんです。  その辺のところを、局長、もうちょっと私が理解できるように具体的に、納得できる御答弁をいただきたい、こういうように思います。いかがでしょうか。
  201. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 自動車の問題につきましては非常に広域にわたるわけでございまして、幾つかの県から県に広がっていくといいますか、一つ地域だけに限定しない、非常に広がりのある問題が多いわけでございます。また、それに関連いたしまして国の事務も、比較的と申しますか、非常に多いのでございます。  そういったことから考えまして、やはり国が前面に出てやるということの方が、ただしそれは国がすべて頭から決めてしまうというのではなくて、地方、都道府県知事のそういう計画というものも十分に尊重する形で、また他の県との整合性もとるといったような、国の調整といったことも加えながら進めていく方がより効果的ではないか。そういったことでこういう形にしてあるわけでございます。
  202. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 そちらの方がより効果的と思われるわけですね、わかりました。それはどうでしょうかねというふうに思うのですが、まあなかなか答弁できない難しい状況というのが絡んでおるからそういう苦しい御答弁になるのだろうというふうに思うわけでございますが、やはりこの問題は加害者も被害者もないのですね、みんな加害者なんですね。要するに、この法案を決める側も決められる側も、そしてまたそれを運用する側も運用される側も、もっと言えばトラックやバスを運転する運転手さんもあるいはその会社の企業経営者の人も、あるいはみんながいわば被害者といえば被害者なんです。そういうことから考えていけば、要するに、いかにすれば実効性が上がるかという、その観点というのが実は一番大事なことでありまして、これから推移を見まして、本当に指定地域からNOxが減っていくという、そういう数字としてきちっと出てくるかどうか、この辺に最大の注目をしていきたいと思います。  そして、これは思うように効果が上がらないということになったときには、やはりまた思い切って、人命にかかわることですから、法のさらに改正ということも十分これから考慮していく、こういうスタンスでやっていかなきゃならない、こういうふうに思います。また、そういうスタンスに立つところこそ私は環境庁であろう、こういうふうに思うわけでありますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、先月の三十一日ですか、第二次の酸性雨対策調査というものの中間報告環境庁が発表されましたね。この酸性雨調査結果の概略を説明いただきたいというふうに思います。
  203. 田村説明員(田村修二)

    田村説明員 先月発表されました第二次酸性雨対策調査の中間取りまとめについて、簡単に申し上げます。  現在、酸性雨調査に関しましては、第一次ということで昭和五十九年から六十二年度の結果を得ておりますが、その上で、次の五年間ということで第二次の酸性雨調査を行っております。  第二次の酸性雨調査中間報告としての現在までの知見としましては、全般的に欧米と同じほどの酸性の雨が降っているということがまず確認されております。第一次五カ年計画のときの調査では、pHが年間平均で約四・四から五・五という酸性度であったわけですが、これがさらに〇・一ポイントほど酸性度合いが強くなりまして、現在の平均値では四・三から五・三ということになっておりますが、おおよそ、従来かれこれ八年間を通して日本における雨の現状というものの酸性の度合いはこの程度でなかろうかということでございます。  それに関しまして、被害の観点におきましては、森林被害というものがいろいろなところでささやかれてはおりますが、必ずしも酸性雨だけの被害という感じではないというようなことがございまして、森林の場合には土の性質の問題が大きな影響を持ちますし、雨量、それから生えている樹種、さらにいつごろ植わった木であるかというようなことも絡めてありますので、なかなか酸性雨被害が森林にそのままあらわれているということではございません。ただ、学説によりますと、森林に被害が出るのは十年ほどたってから出るという説もありまして、特に都市近郊の森林では、そういう意味では自然形態自身が都市化されてなかなか大きな森が育つような条件がなくなってきているということとも絡めますと、明らかに何らかの影響はあるだろうというような状態でございます。  来年の平成四年度にまとめるということで、あと一年ほどの期間がございますが、現在その研究調査の方向といたしましては、そういうことでより深い知見を得たいということで、雨の酸性度というものと土壌との関係を調べる。それから、森林自体の植生というような形で植物の生育形態の問題を見ていく。さらに、酸性の雪、酸性の霧というような形で非常に強い濃度を得た酸性雨が時折の気象条件であらわれるということで、そこら辺も十分調査している。  それから、現在、知見といたしまして何が一番大きな酸性雨の要因であるかということは、酸性原因としまして、硫黄から来る亜硫酸ガス系のS分、硫黄部分関係するものと窒素分ということで、これは燃焼したときの排ガスに入りますが、そういうような燃焼したときのNOx、さらに現在問題となっておりますディーゼル関係から排出される排ガスというようなものから出てくる窒素系のものということで、その二つが非常に大きな原因であるということがほぼわかっております。  さらに、我が国と海外を比べた場合、日本の場合には火山の噴火というのがかなり大量のS分を出しているということが明らかになっておりまして、火山というか自然現象の中におけるそういう硫黄分の役割というのがどのぐらいあるかということ、これは気象条件は定まらないし、火山活動自身が変動するものですからなかなか定量的には一致しないということで、そういう構成要因に関しても努力して鋭意調査中でございます。  現在、中間報告ということでまとめさせていただきましたので、多分来年の今ごろか来年中には最終結果を得られると思って鋭意努力しております。
  204. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 ありがとうございました。  それから、昨年十二月十八日に発表されております自動車交通騒音の調査結果についても、あわせて御説明いただければと思います。
  205. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 この調査は、全国の都道府県、市町村、特別区が平成二年一月から十二月までに沿道で測定した自動車交通騒音の測定結果を環境庁で取りまとめたものでございます。  環境基準の達成率でございますが、全測定点四千五百八十五地点を対象にした場合は十三・三%、最近五年の継続測定点一千五十六地点を対象にした場合は九・三%と、いずれも引き続き前年よりも悪化しておりまして、大変厳しい状況であると受けとめているわけでございます。これは主として自動車交通量の増加に起因するものと考えているわけでございます。
  206. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 それからもう一点、環境庁の国立環境研究所と東日本学園大学の薬学部の共同研究グループで、ディーゼル車の排ガス中の微粒子には未知の強い毒性物質が含まれているということが動物実験で明らかになっておると伺っておりますが、このデータも御説明いただけますか。
  207. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 御指摘の研究でございますが、これは昨年の大気汚染学会で発表された研究でございまして、マウスに一定量のディーゼル排ガス中の微粒子を与えましたところ、死亡率が非常に高くなったということでございます。これは、投与前に活性酸素を消去するような酵素を与えておきますと死亡率が大幅に減るということがわかったわけでございます。したがいまして、このマウスの死亡原因といたしましては活性酸素によるということが示唆されたとしているわけでございます。  しかし、この活性酸素は、正常時でありましても吸入酸素の一、二%ぐらい体内でつくられていると言われておりまして、また、この実験では、現状の環境濃度によって暴露される量よりも著しく高濃度である、ざっと数百倍以上ということでございますが、この高濃度のディーゼル粒子を直接気管の中に注入投与したという実験でございます。そういったことから、実際の環境条件下での影響がこれによって解明されたとまでは言えないということでございます。  しかしながら、ディーゼル排ガスは、人での発がん性は明らかでございませんけれども、国際がん研究機関におきましても、人に対して恐らく発がん性があるというようなコメントもされておりますし、環境庁といたしましても、いろいろな形で、こういった有害性といったものについては十分に着目しながら、こういった研究を見守ってまいりたいと思っているわけでございます。
  208. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 大変ありがとうございました。いずれも、酸性雨については欧米並みである、さらに餌が厳しくなってきている、あるいは自動車交通騒音の調査では前年より悪化して大変厳しい状況になってきている、あるいはまたディーゼル排ガスが人に発がん性というものを与える、そういう危険性も考えられるという非常に深刻な報告でございます。  実は、我が党も酸性雨実態調査を昨年十二月からことし三月にかけて行いました。これは伊豆大島を含む都内二十三区二十七市五町一村で実施したのですが、やはり同じような厳しい、深刻な状況が出ております。全体の五十六地点のうち、江東区の一地点を除いて五十五地点で則が五・六以下の酸性雨を観測いたしまして、延べ二百二十四回測定したうち、酸性雨でない降雨はわずか十二回しかなかったという状況でございますpHが平均で四から四・五、先ほどは四・三から五・三という数字でございましたけれども、やはり東京都を中心に平均で閉四から四・五、こういう厳しい数値でございます。都内全域で恒常的に降っている。最近は特にずっと長雨ですね。こんな長雨が続くと、本当に酸性雨の心配が一段と深刻になるわけでございます。非常に厳しいものがあるなということを改めて感じました。  この酸性雨が最も高かった地域多摩地域で二カ所出たというのです。これはもうレモンジュース並みのpH三・五であった、こういう状況でございました。今、酸性雨つららという言葉があるのですか、酸性雨つららといって、コンクリートの中の石灰分が溶け出して炭酸カルシウムの結晶となってつららのようにずっと垂れ下がる、これは二十センチを超すものが出てきている、こういう状況でございまして、改めて本当に今回のような法案というもので、これは非常に大事な法案でございますけれども、少しでも失敗をするともう後退は許されないという状況に間違いなく我が国は来ているな、特にこの東京都区内周辺は来ているなというふうに私は思いました。  そこで、こういう危機的な状況を少しでも改善するために、こういう観点からも、先ほど来何度も議論が出ております地域外からの指定地域への流入車の問題ですね。これは何らかの法的措置というものをこれから考えていかなきゃいけないのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。それで、最終報告では、こういうステッカー方式等はとらずに、「総量抑制方策全体の体系の中で総合的にバランスをとりつつ解決していく」という非常に抽象的な表現にとどまっておるわけでございますが、この「全体の体系の中で総合的にバランスをとりつつ解決」するというのは、具体的には例えばどういうことを指しているのか、これについてお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
  209. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 地域外からの流入車の問題があるわけでございます。この車両に対しまして、一律にこの規制と同じような規制を行うことはいろいろと難しいということは、何回が私は申し上げたつもりでございます。大都市大気汚染の防止の見地から、極力、窒素酸化物排出量の少ない車両の使用がされるように理解と協力を求めていかなければならないと思っているわけでございます。  具体的には、関係団体等を通じまして協力を呼びかけるとともに、車検の際にも、こういった大都市基準に適合しているかいないかといったようなことを大都市以外の使用者にも周知させるといったような措置もあろうかと思いますので、こういったことも含めて総合的に検討していきたいと思っているわけでございます。
  210. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 協力を呼びかけるあるいは周知させるということですけれども、具体的に法律で縛れないとすれば、どういう方法というものである程度の効果が上がる、こういうふうにお考えでしょうか。例えば周知の仕方にしても、何かお考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。
  211. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 いろいろな考え方があろうかと存じますが、いろいろなノウハウを持っております関係の省庁とも十分に相談をしながら、実効の上がるような方策を考えてまいりたいと思います。
  212. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 まだ具体的にはこれからですか。
  213. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 具体的な検討は、この法案が通りました後にさせていただきたいと思っているわけでございます。
  214. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 そこで、私は思うわけでございますが、指定区域内はそれぞれ中型、小型まで含んでということでございますけれども、私は最低限、流入してくる車両については大型のトラックあるいはバス、特にバスとか大型トラックというのは大体もともとつかまりやすいわけですね。例えば東京に行く、大阪に行く、そういう定期の長距離バスだとか長距離トラックというのはある程度つかまりやすい、つかまりやすいというか特定しやすい状況にあるわけですから、普通の中型車、小型車、そういうところまで取り締まりの対象にできないにしても、大型のバスとかトラックについては工夫によっては何とかできるのではなかろうか、こういうふうに思いますけれども、この辺について、運輸省さん来られていますね、ぜひお答え願いたい。
  215. 洞説明員(洞駿)

    ○洞説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、流入対策といたしまして、大都市大気汚染の防止の観点からできるだけNOx排出量の少ない車両を使用されるよう、運送事業者についてその理解と協力を求めていきたいと運輸省も考えております。  具体的に、特定地域内に車両を運行させておりますバス、トラック等の運送事業者に対しましては、先ほど大気保全局長さんのお答えもございましたが、事業者団体等を通じましてできるだけNOx排出量の少ない車両を使用するよう協力を呼びかけて、また強く指導していきたいと考えでございます。
  216. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 あらかじめ特定しやすいわけでございますので、ひとつ具体的な効果があるそういう指導、あるいは周知させていくという努力をぜひお願いしたいと思います。  それから、最後になりましたけれども、都心部とか交通混雑の激しい地域への車の流入というもの、車そのものの総量規制していく、こういう制度の導入はもうそろそろ真剣に考えるべきではなかろうか、そういう事態に来ているのではなかろうかというふうに私は思うわけでございます。運輸省が大都市圏の車の総量規制、来年度の調査費要求ということで私は新聞で読みましたけれども、車そのものの総量規制検討を開始した、こういうふうに伺っておるわけでございます。この基本的な考え方と、今後こういったことについてどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  217. 洞説明員(洞駿)

    ○洞説明員 お答え申し上げます。  自動車交通総量規制策、これは環境問題のみならず、道路交通混雑対策という観点からもいろいろ検討していかなければならない問題でございます。  諸外国には、先生御存じのとおりナンバー制であるとか負担金制度とかいろいろな走行規制の制度が導入されているわけでございまして、私ども運輸省といたしましても、平成元年度に環七に乗り入れますドライバーの皆さんを対象にアンケートを行いまして、このようなナンバー制とかあるいはお金を取る、負担金制度の導入についての意向調査等を行いました。残念ながら半数以上の方が、まだ時期尚早であるとかということで消極的な意見が多うございました。また、負担金を取っても、お金を払ってでも乗り入れるというような意見もかなりの部分を占めております。我が国におきましては、かかるナンバー制とか負担金制度というような制度は実施されていないわけでございます。しかしながら、広く目を地方にも向けますと、時間や場所を限定したそういう乗り入れ規制といいますか、そういったものは実施されておりますし、事実、成功している箇所もございます。  運輸省といたしましては、こういうマイカーの総量抑制策につきましては、国民生活とか産業活動に及ぼす影響というのは極めて大きいわけでございますので、その導入については世論の動向等を見ながら慎重に考えていく必要があるとは考えておりますが、広範な地域で即実施するということは、すぐに無理だといたしましても、こういった部分的な抑制策といいますか、そういったものについては適用可能なケースというのもあるのではなかろうかと考えているわけでございます。そういう意味で、今年度予算をちょうだいして、総合的な抑制策についてももちろんでございますが、こういう部分的な実行可能な抑制策についても十分検討し、勉強していかなければいけない、こういうふうに考えているわけでございます。
  218. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 同じ件を大臣、車の総量規制というものをそろそろ考えなければいけないのではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、大臣としての御見解をお願いします。
  219. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 本来、これは国民生活と密接な関係のある問題ですから、便利なものを使いたいという国民の要望、それにはこたえていくという観点からすれば、我々の環境の面から考えれば、幾ら走っても大丈夫なような排出ガスの単体規制ができればそれが一番ベストであるということであります。  しかしながら、それができないということ。でありますからこういう総量規制のことを考えてまいったということでありますが、ある地域に限って全部に、全部の車種を入れるか入れないかということは、その地方の御意見もありましょうし、今運輸省から言われましたその地域の利便性、それから交通混雑緩和の問題もあるでございましょう。それと、外国へ行ってみまして、この前、ストックホルムの流入規制を見たのですが、都市の形態が一本の道路で入ってまいりまして非常に規制がしやすい状態で、日本はばあっと面で展開している都市形成でありますから、この規制をどうやるかという実効性の問題等もあると思いまして、将来の検討課題であろうというふうに考えさせていただいております。
  220. 東(順)委員(東順治)

    ○東(順)委員 では、時間が参りましたので、以上で終わります。  ありがとうございました。
  221. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 寺前巖君。
  222. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 前回に引き続いて、環境の破壊から守るために法案の審査をやらせていただきます。  まず、この前は車種規制とかあるいはいろいろ道路交通上の問題をどうするかとか、いろいろ聞きました。同時に、何しろ公害というのは発生源でとめないかぬのだから、発生源一つとしてやはり大事なのは燃料そのものにある、だから、それの低硫黄化への道という問題も、これも重要な課題であろうというふうに私は思うのです。  ところで、この間からこの法律を審査するに当たっていろいろ物の本を読んでおりますと、アメリカでは九三年から、ECでは九六年から低硫黄の、硫黄分を〇・〇五%にするんだという方向を打ち出してきているというのですね。日本の場合はJISで基準○・五%で、今硫黄分〇・四%だ。えらい違うやないか。よその国がやれるという話を我が国がやれぬというのは一体何でやろか、こんなに世界の工業国として進んでいる日本が何ででけぬのやろかというのが不思議でかなわぬのやけど、これはだれが説明してくれます。——おもしろいところやね。大臣でないと説明でけぬのやな。こういう話を、これは大抵普通の委員会で質問すると大臣なんて立たへんのやけど、この委員会だけは結構な話で、大臣が出てくるのやな。
  223. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 軽油中の硫黄分の低減ということにつきましては自動車排出ガスの低減対策を進める上で非常に重要なことでございます。不可欠と言ってもいいことであろうかと存じます。平成元年の中公審の答申でも、長期目標値を達成するためには〇・〇五%までの低減が必要である、こうしているわけでございます。この必要性につきましては、業界と申しますか、もう非常に認識をしておりまして、一定のリードタイムが必要ではありますけれども、技術的にはもう既に可能になっておりますので、ある一定の期間を与えていただければ〇・〇五%まで持っていきます、こういうことを言っていただいているわけでございます。  そういうことでございますので、関係の省庁とも連携しながら、できるだけ早い機会に〇・〇五%を実現するように私ども頑張ってまいりたいと思っております。
  224. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 それで、世界各国はいついつからそうする、こう言うとるのに、日本では可能だというだけで、いついつからやりまっせとは何で言えないのだろうか、これは大臣、答弁いただけますか。
  225. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 確かに今〇・四%で、ことしの秋には〇・二%まで下げるということは見通しがついているそうでありますが、委員指摘のとおり、アメリカで来年から〇・〇五まで下げるということがございました。そして、私は、これでは大変だと思いまして、自動車メーカーからの要請もありまして、むしろ自動車メーカーでは石油の方を先にやってくれなければ自分たちのNOx対策はできないということでありましたので、メーカーの代表の方に来ていただきました。そして、これはこういう状況だという状況を切々とお話しいたしまして、すぐやってくれと言いましたところ、業界の方の反応は、即座に、今から取りかかればできます、そしてリードタイムは五年かかる、五年以内にやらせてもらいたい、ですから、それはなるべく早くやってもらいたい、その上で、設備投資等があるのでコストに対する若干のはね返りがある、リッター当たり数円というような数字まで、ちょっとそのときの話ですから控えさせていただきたいと思いますが、大したことないはね返りであるというお話でございました。  そして、これはいつも申し上げますように、また我々は調整官庁であり、直接の監督官庁は通産省でございますので、通産大臣にすぐ申し上げました。そしてその話がおりまして、今通産省で業界との話し合いを進めておりまして、近々、そのいつごろまでにできるということがわかってこようというふうに考えております。
  226. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 五年以内とこうおっしゃったから、そうすると、ことしは一九九二年、五年といったら九七年か。そうすると、アメリカは来年と言うとるのだろう、えらいテンポ違うやないか、計算からいったって。何でアメリカが言うようなことを日本で言えないんだ、せめてそのぐらいのことはやりまひょかいな、どうです。
  227. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 それは、やはり技術的に設備投資をして、その機械を設置してやるわけですから、それだけの時間がかかるということでございました。
  228. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 だから、よその国がやれる話が日本の水準でやれないなんてことは言えない。だから、私はもうこれ以上同じことを繰り返したって始まらぬから、環境を守るため。だったら、この際に即刻その道を追求していただきたいということを申し上げたいと思います。  次に、同じようにいろいろな分野で地球環境破壊が起こっていますが、フロンのことは重大だと思うのです。最近、二月でしたか、新聞を読んでおりましたら、ブッシュ米大統領が全廃ということを呼びかけてますわ、これ。単に決めるだけじゃなくて。冷蔵庫や自動車の冷房に使われる特定フロンがあるし、消火剤に使われる特定ハロンがあるし、フロン製造の中間原料である四塩化炭素の問題があるし、いずれにしたって、オゾン層の破壊防止のためには早く対処しなけりゃならない事態が来ているということは、もう天下周知の事実です。これについてはモントリオール議定書締約国会議が、二〇〇〇年から五年繰り上げて一九九五年とするという方針までも、前倒しの方針がおくればせながら次々と出てきているわけです。この方針は、フロンガスのほかにハロンガスやメチルクロロホルムや四塩化炭素を九二年末までに生産量を八六年水準の五〇%に削減し、九五年末までに生産を全面停止するんだという方向に走っていると思うのです。また、これまで規制の対象となっていなかった水素化フロン、臭化メチルについても規制対象に追加するという方向にも動いてきている。事の重要性というのは世界的にも随分テンポを速めて問題になってきています。ドイツでは九三年末にとか、英国では九五年末、デンマークでは九四年末、ECでは九五年末とか、次々と前倒し、私はいいことやと思うのです、そうやって積極的に取り組んでいこう。日本はどないなっとりますか。
  229. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 モントリオール議定書によりますCFC関係の生産をなくそうということは、前倒ししようということで各国がいろいろ考えておりまして、そして正式な見直しはことしの十一月だったでしょうか、十一月に行われることになっておりまして、そこで恐らく前倒しの話が出るだろうと思います。  そこで、一つはっきりしていますことは、この間、ECの環境大臣の議長国であるポルトガルの環境大臣が私のところに参りまして、ECでは九五年までにゼロにしようと思うということでありまして、日本もさようにというので、我々もそういう方向で今関係省庁と相談しておりますというお話をしました。  そこで、一つおわかりいただきたいのは、先ほどハロンとかフロンとかCFCに関することをおっしゃいましたけれども、アメリカのゼロにするのには一つエクスキューズがついておりまして、消火器と、それから吸入用とか、そういうものは除くということがついているのですね。私どもとしては、そういうことでなく全部なくしていくのがいいのじゃないかなと思っておりまして、今、監督官庁である通産省とも相談を進めているところでございまして、ぜひ前倒しをしていくように努力をしたいと思っております。
  230. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 私、努力は早く実るようにしてほしい。というのは、フロンの問題についていつだったか、前にここで一回問題にしたことがある。オゾン層保護のためのウィーン条約の締結の際に、日本は随分不名誉になっているのですね。というのは、科学的に解明されていないとか代替品が難しいとか、二年間おくらせるというような役割を日本は担ったというんだ。一九八七年のオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締結の際も、フロン113の規制などに反対して、当時、その成立を引き延ばすという役割を担っているとも言われたんだ。だから、日本政府の姿勢はラストランナーだという批判を、私も外国へ行ったとき言われたのですよ、この問題は。  それだけに、フロンの生産問題に対しては積極的に打って出るということは当然の世界的な使命だろうと私は思うのですね。事実、私はそのときを振り返ってみると、今調べてみたのですよ。国連環境計画のフロンガス規制勧告が出た一九八〇年には、日本の生産が九万四千トンであった。ヘルシンキ宣言があった一九八九年には、国際的に問題になっていながら二十二・四万トンと、何と二・四倍の生産量に、国際的に批判が起こっている中でぐっとふえていくのですよ。  それで、ちなみにセントラルは一万五千トン、ダイキンが二万トン、旭硝子が一万九百トン、三井デュポンが二万三千七百トンというふうに、世界的に問題になって、日本政府代替品は難しいとか、科学的に解明されていないというけちをつけている最中にどんどんと生産を上げていくのだから、これは批判されるのは当たり前だ。日本政府というのは一体商売人の手先なのかいなと、このとき私も思わず思ったのです。  だから、ランナーとしてラストランナーだと言われるだけのことは、こういう数字を挙げられたときに思わず言わざるを得なくなるんだね。それだけに、九五年以前に積極的な前倒しを提起していく、アメリカの部分的なところのけちを言っているだけではなくして、それはもちろんのこと、積極的に打って出るということを希望を申し上げておきたいと私は思うわけです。  それから、これをやろうと思ったら同時にオゾン層保護法も早急に改正せにゃいかぬことになるでしょう。水素化フロン、臭化メチルについても規制の対象にするという方向を打ち出さなければいかぬのでしょう。そういうことの準備をしておられるわけですか。いかがでしょうか。
  231. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 国際的に協調するということで、我が国は法律につきましても各国に先駆けてつくったという経緯もございます。必要な法律改正につきましては十分に検討してまいりたいと思っております。
  232. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 どころが、今度はその過程で問題になった、代替品がどうのこうのと言うのだけれども、次にその代替品がまた問題を起こすというのが最近の一連の事実になっているわけです。だから、安易な大量生産を行わないように、代替品の場合に十分に先々を計算してやってもらう必要があると思いますが、その点はよろしゅうおすか。
  233. 入山政府委員(入山文郎)

    入山政府委員 いろいろな代替品が開発されつつあるわけでございますが、新しい物質等でもございますので、安全性の問題あるいは毒性の問題等につきましても十分な試験をして実用に供するということが必要であろうかと存じます。そういったことで、現在いろいろと技術的な開発準備を進めている段階であると伺っております。
  234. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 ところで、フロンは確かに今は日本の生産は下がってきている。ところが、今度は海外へ日本のプラント輸出がされていっている。海外でふえていっているんだ。これまた、日本の国内さえフロンの対策が進めばよろしいというわけにいかぬわけだ。日本の企業の海外進出の道義的問題もまた大きな問題があるんだね。  三月に日本とアメリカとタイによる三極オゾン会議が開かれて、タイに工場進出し、オゾン層破壊物質を使用している日系企業三十社と米系企業十一社がODS削減・全廃行動計画を作成して、九六年末までにフロンを全廃するとした。タイでは、何しろあそこのオゾン層破壊の一役どころか半分は日本の企業だというのでしょう。二五%がアメリカの企業だというのだからな。物すごく大きな役割を海外へ出ていってやっている。  この間うちから、そういうことで一体どういうふうになっているのだろうかというものを調べてみたのです。主なアジア諸国への特定フロンの輸出状況を八九年度に対する九〇年度の比較で見ると、タイが一六二・七%増、香港が一八一・八%増、中国が十二・七倍、南朝鮮が一一七・五%増、シンガポールが一四八・六%増、全体として九〇年度は一・六六増の輸出増になっている。だから、海外に対する態度というのは、日本の企業進出も、重要なきちっとした指導性を発揮しないと、国内法だけで済む問題ではないということを私はっきりさせておいてほしいと思うのです。これは所管は通産省になるのでしょうね。こういった地域に進出する日系企業に対する指導はどういうことになっているのか、聞かせていただきたいと思うのです。
  235. 佐々木説明員(佐々木修一)

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘いただきましたように、日米タイの三極オゾン会議は、タイにおきまするフロン及びトリクロロエタンの削減あるいは全廃を促進するために、三月十一日から十八日までタイにて開催されたものでございます。  タイにおきましては、経済の高度成長に伴いまして、近年フロン及びトリクロロエタンの消費が急増いたしております。特に、洗浄用途に関しましては日系及び米系の多国籍企業の合弁企業における消費が大部分を占めている、そういう事情にございまして、日米に、これらの物質削減技術の移転を促進するための協力が強く求められていたところでございます。  この三極オゾン会議におきましては、日米の関係業界から多数の専門家が参加いたしまして、フロン及びトリクロロエタンの使用分野ごとのセミナーを開催し、意見交換あるいは現地工場の見学等を実施するとともに、タイ企業における削減あるいは代替を進めるため、日米の専門家による個別診断、相談を行い、各個の条件を踏まえた細かな技術指導を実施したところでございます。  なお、この会議の中で、産業界が取りまとめましたフロン及びトリクロロエタンの削減の行動計画が発表されておりまして、先ほど先生御指摘の日系企業三十社及び米系企業十一社につきまして、タイ現地企業におけるこれらの物質削減、全廃のスケジュールをモントリオール議定書に規定された年限よりも大幅に加速させるという目標が示されたところでございます。
  236. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 その会議には環境庁も職員を送っておりまして、日系企業を視察させております。
  237. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 私は、タイだけじゃいかぬと言っているのです。今アジアの各地の話をしたでしょう。タイで問題になったからタイでやる、それじゃほかの国は問題にならなかったらほっとけというのか。日本でいついつまでにこうしますと言ったら、海外に行ってもその態度を堅持するのかしないのか。これは融資の面から研究の面から、あらゆる面でそういう方向に従うのか従わないのかという企業への指導性を通産省がやってくれなかったら、日本人として恥ずかしくてかなわぬ。これはどうですか。
  238. 佐々木説明員(佐々木修一)

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  通産省といたしましては、これまでもオゾン層保護対策促進に関する大臣の要請会議等の場におきまして、関係業界に対し、途上国に対するフロン等の削減技術の円滑な移転を要請するということなど、途上国のオゾン層保護に向けた努力に対する協力を要請してきた上ころでございます。  先生御指摘のように、今後とも、このたびの日米タイ三極オゾン会議の成果を踏まえつつ、引き続きタイ以外の途上国におけるフロン等のオゾン層破壊物質削減努力にも積極的に協力するよう、関係業界に要請してまいる所存でございます。
  239. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 こういうのは本当にすっきりやらないかぬと思う。やるんだったらやるで、やってもらう。問題になったところへだけ行って適当な処理をしてくるというのは、そんなのはいかぬと思う。  せっかくの機会だから、フロンだけではなくして、ブラジル会議がありますね。温暖化問題が大問題になってくる。CO2が話題になってくる。きょうも新聞を読んでいたら、「ブッシュ大統領“後ろ向き”」参加せぬかもしらぬと書いてある。これはどうなっているのか。これはアメリカを含めて安定化の目標を設定するようにしなかったら、地球環境全体として困るのと違うんかいな。日本政府はこういうアメリカの「環境より選挙」という、きょうの新聞を見ていたら見出しに書いてあったが、これは一体何を考えているんだろうかと思うけれども大臣、この問題についてはどういうふうにお考えになりますか。
  240. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 おっしゃるとおり、UNCEDへ向けての準備会合が難航しているのは仰せのとおりであります。日本政府としては、十九省庁集まった関係閣僚会議で二〇〇〇年までに一九九〇年のレベルで排出量を安定させるという政府方針を持っておりまして、これをもって外国と交渉しておりますが、ECの諸国とか発展途上国の大部分、そして特に低い国、オランダのように非常に土地が低い、バングラデシュのように水害を受けやすい、モルディブのように海に沈んでしまいそうな国とか、我々も島国でありますから温暖化による海面の上昇ということに大変神経質であります。そして、海面の上昇のみならず、いろいろな植生の変化だとか気候の変化、大変なことが起こってくるだろうということであります。しかしながら、アメリカがこれに対してアズ・スーン・アズ・フィージブルという言葉を使っているのですが、可能なようになるときにというようなことで、きちっとした明確な日にちを打ち出さないようなことで交渉が進んでおるというわけであります。  ところが、御案内のとおり、世界におけるCO2の発生量の約四分の一はアメリカが排出している、日本はこれだけの工業生産を持ちながら四・七%しか出していないということでありますから、このアメリカを抜きにして条約ができても実効性のないものになるし、アメリカが入って実効性のない条約をつくってもいけない。でありますから、これはアメリカにいろいろお願いいたしまして、説得をして、ECなり私どもと同じ考えの立場に立っていただけないかということをやる以外にないということで、今あらゆる手段を講じてアメリカにお願いをしておるわけであります。特にECの、この間議長国であるポルトガルの環境大臣が見えましたけれども、ECはきちっと二〇〇〇年までにという期日を付して一九九〇年のレベルというレベルで交渉に臨むから日本と一緒にやっていこうということでありますので、そういうところと携えてやっていきたいと思っております。  そして、こういうことを言う人もいるのですけれども、フロンガスの場合、話が比較的早く進むというのは、紫外線が入ることによってがんになりやすい、しかし幸いなことに我々はそれほど皮膚がんになりやすい体質を持っていない、しかし白人種の方は非常に皮膚がんになりやすいというので御熱心であるんじゃないかというような、ひが目でしょうか、そういうことをおっしゃる方もいらっしゃいます。それに引きかえて、我々海に囲まれた国は、CO2による気候の変化もでございますけれども、水面の上昇ということには、これは将来一体幾らコストがかかるかわからないということになってくるわけでありますから、どうしてもアメリカを説得いたしまして実効のある条約をつくって、そして地球が将来安全であるようにしなければいけない、このような方針で臨んでおります。
  241. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 お約束の時間も迫りましたので、何か今のお話を聞いていると、アメリカがおくれているという態度の批判だけがありましたけれども日本が進んでいるとも必ずしも言い切れないと私は思うのです。それで、ドイツは二〇一〇年までに現水準より二五%削減する、あるいはECは二〇〇五年と二〇一〇年をめどに削減計画を立てるとか方向づけを明確にしてやるとなっているんだけれども日本は必ずしもそうなっていないでしょう。だから、すかっとやるように目標を明確にしてやっていきましょう、それでアメリカに対しても。  それから、今の皮膚がんになるとかいうフロンの話は、日本人には大丈夫だなんて、そんなことはありません。そう気楽に言ってもらったら——やはり人類といわず地球環境としては大問題なんだということをこの際明確にしておかなければいかぬ。アメリカの諸君は自分のところだけでそんなことを言うとったらあかんで、そういう意見の言い方もあるのかしらぬけれども、それはやはり生態系全体として重視しなければならぬ問題として積極策に打って出るように、お互いにする必要があると思うのです。
  242. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 フロンの問題は、ひがみというかそういう感じでおっしゃる方もあると言っただけでありまして、日本人もそれは危険が大きいわけでありますし、白内障になる危険もあるし、植生が変わるという危険もあるし、気候が変わる、大変なことをもたらすわけでありますから、日本も最大級の熱心さでやっていかなければいけない問題でございます。  それから、CO2の削減計画について日本は何もないのではないかという御指摘ありましたけれども日本は西暦二〇〇〇年までにおおむね一九九〇年のレベルで発生量を安定させるということで、関係閣僚会議で決定し、行動計画をつくって各省で今やっているところでございます。
  243. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 私は、削減をせえやと言ってるのや。安定だけではあかんのと違うかと言ってるのです。だから、削減計画を目標を持ってやらなければあかんのと違うか、やろうやないかという話をしているのですけれども、いかがですか。
  244. 加藤説明員(加藤三郎)

    ○加藤説明員 大臣が今お答え申し上げましたように、一九九〇年十月の行動計画におきましては、まず第一段階として安定化ということでつくっているわけでございます。  先生お尋ねの国際条約の検討の場におきましても、一応削減というものも念頭に置きながら審議が進められているということも、あわせ御報告させていただきたいと思います。
  245. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 ちょっと聞き間違えまして御無礼をいたしました。  当然のことながら、安定の次は削減をさせなければいけないということで考えております。
  246. 寺前委員(寺前巖)

    ○寺前委員 だから、その削減目標をきちんと位置づけなさい、もうヨーロッパではやっておるということを申し上げたのであって、積極的にお取り上げを願いたい。  終わらせていただきます。ありがとうございました。
  247. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 御苦労さまでした。  これにて原案及び斉藤一雄君外一名提出の修正案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  248. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 これより原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  自動車から排出される窒素酸化物特定地域における総量削減等に関する特別措置法案及びこれに対する両修正案について採決いたします。  まず、寺前巖君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  249. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、斉藤一雄君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  250. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  251. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  252. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、高橋一郎君、斉藤一雄君、斉藤節君、寺前巖君及び中井洽君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。高橋一郎君。
  253. 高橋委員(高橋一郎)

    ○高橋委員 私は、ただいま議決されました自動車から排出される窒素酸化物特定地域における総量削減等に関する特別措置法案に対する附帯決議案につき、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。     自動車から排出される窒素酸化物特定地域における総量削減等に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)   窒素酸化物に係る環境基準の当初の達成時期であった昭和六十年を六年余りも経た現在においても、大都市地域における大気汚染の改善が大幅に遅れていることに対する国の責任は極めて重大であることにかんがみ、政府は、本法の施行に当たり、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。  一 ディーゼル車を中心とした自動車排出ガス総量の増大による大気汚染状況を改善するため、効果的な自動車交通量抑制対策その他の総合的な交通体系政策を推進すること。  二 特定地域大気汚染の改善に資するため、特定地域外のディーゼル車についても最新規制適合車への代替の促進を図るなど、実効性のある方策を検討すること。  三 自動車排出ガス規制に係る「長期目標」を早期に実施すること。  四 本法による窒素酸化物削減効果の予測について一層科学的に精査するとともに、本法に基づく施策を含め、遅くとも二〇〇〇年までには環境基準が達成されるよう努力すること。  五 国及び地方公共団体は、率先して、本法に基づく特定地域内における特定自動車代替を行うこと。  六 代替猶予期間の決定に際しては、窒素酸化物削減の効果、平均使用年数の実態及び基準適合車両の供給可能量等を十分に考慮すること。  七 事業所管大臣は、これまでの地方公共団体における交通公害対策の実績を踏まえつつ、都道府県知事の求めに応じた環境庁長官の要請事項の確実な実施に努めること。  八 大気汚染健康影響継続観察調査結果において、二酸化窒素濃度の高い地区は喘息様症状新規発症率が高い傾向がみられたことを踏まえ、窒素酸化物と疾病との関連性について引き続き調査に努めること。  九 道路の建設に関する環境影響評価については、予測交通量をもとに行われた大気汚染・騒音等の予測・評価の結果が建設中及び供用後においても確実に維持されるよう、そのフォローアップに努めること。  十 二酸化窒素に係る環境基準達成のため、自動車の製造業者、運送業者等を含めた国民的コンセンサスを得るための方策を確立すること。  十一 低公害車の実用性の向上に全力をあげるとともに、普及促進を図るための制度を確立し、社会的経済的な基盤整備、研究促進を図ること。また、自動車の低公害化や燃料の費用について環境保全上の見地を加味した公平な負担を図ること。  十二 使用車種規制に対応した代替の促進、供給体制の確立、技術開発の推進、低公害車の開発普及等を円滑に実施する見地から、法第十五条の規定による援助に努めること。  右、決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  254. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  255. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 起立総員。よって、高橋一郎君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、中村環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。中村環境庁長官
  256. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。     —————————————
  257. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  258. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  259. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 次に、内閣提出、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案を議題といたします。  政府より趣旨の説明を聴取いたします。中村環境庁長官。     —————————————  絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関   する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  260. 中村国務大臣(中村正三郎)

    中村国務大臣 ただいま議題となりました絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  野生動植物は、人類の生存基盤である生態系を構成する基本的な要素であるとともに、人間生活にさまざまな恵みをもたらすものであり、絶滅のおそれのある種の保存は喫緊の課題であります。  現行制度においても、すぐれた景観や自然環境を有する地域の保護を目的とする自然公園法や自然環境保全法のほか、鳥獣の保護及び狩猟の適正化を目的とする鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律がありますが、これらは、絶滅の危機に直面する野生動植物の種の保存をその直接の目的とする制度とはなっておりません。また、ワシントン条約や幾つかの二カ国間の条約等により国際的に保護することとされている本邦内外の動植物については、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律及び特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律により本邦内での譲渡等の規制を行っておりますが、これらは国内の動植物の種の全体に及ぶ制度とはなっておりません。  本法律案は、こうした状況を踏まえ、本邦及び本邦以外の地域における絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図る体系的な制度を整備するものであり、種の保存を通して良好な自然環境を保全し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものであります。  次に、法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。  第一に、種の保存に関して国、地方公共団体及び国民の責務を定めるとともに、希少野生動植物種保存基本方針を閣議決定をもって策定することとしております。また、絶滅のおそれのある野生動植物の種のうち、本邦に生息するものを国内希少野生動植物種、ワシントン条約等により国際的に保存することとされている種を国際希少野生動植物種として、指定することとしております。  第二に、希少野生動植物種の個体の捕獲、譲渡、輸出入、陳列等は、学術研究などやむを得ない場合等を除き、原則として禁止することとしております。ただし、国内希少野生動植物種のうち商業的に繁殖させることができる種については、特定国内希少野生動植物種に指定して、その個体の譲渡等の事業を届け出制にかからしめることとしております。また、国際希少野生動植物種については、現行の絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律から引き継いで、個体の登録制度を設けることとしております。  第三に、国内希少野生動植物種の個体の重要な生息地については、生息地等保護区として指定し、工作物の設置、土地の形質の変更等の改変行為を許可制または届け出制とし、これを保護することとしております。  第四に、国内希少野生動植物種については、その個体をふやすための積極的な事業として、保護増殖事業計画を定めて、保護増殖事業を推進することとしております。  このほか、定期的な調査、希少野生動植物種保存取締官、希少野生動植物種保存推進員、罰則等に関し、所要の規定を設けることとしております。また、この法律の制定に伴い、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律及び特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律は、廃止することとしております。  なお、この法律案につきましては、基本方針の策定及び希少野生動植物種の指定に必要な規定は公布の日から、その他の規定は平成五年四月一日から施行することとしております。  以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  261. 小杉委員長(小杉隆)

    小杉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十一日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十五分散会