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1992-03-10 第123回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月十日(火曜日)     午前十一時三十分開議 出席委員   委員長 小杉  隆君    理事 青木 正久君 理事 塩谷  立君    理事 鈴木 恒夫君 理事 細田 博之君    理事 斉藤 一雄君 理事 馬場  昇君    理事 斉藤  節君       臼井日出男君    小澤  潔君       北村 直人君    武村 正義君       増岡 博之君    山口 敏夫君       秋葉 忠利君    岡崎トミ子君       時崎 雄司君    長谷百合子君       東  順治君    寺前  巖君       中井  洽君  出席国務大臣         国 務 大 臣 中村正三郎君  出席政府委員         環境庁長官官房 森  仁美君         長         環境庁企画調整 八木橋惇夫君         局長         環境庁自然保護 伊藤 卓雄君         局長         環境庁水質保全 眞鍋 武紀君         局長  委員外出席者         厚生省生活衛生         局水道環境部環 三本木 徹君         境整備課産業廃         棄物対策室長         厚生省生活衛生         局水道環境部環 喜多村悦史君         境整備課浄化槽         対策室長         建設省都市局下         水道部公共下水 松井 大悟君         道課長         環境委員会調査 西川 義昌君         室長     ————————————— 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   秋葉 忠利君     田並 胤明君 同日  辞任         補欠選任   田並 胤明君     秋葉 忠利君 同月六日  辞任         補欠選任   時崎 雄司君     和田 静夫君 同日  辞任         補欠選任   和田 静夫君     時崎 雄司君 同月十日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   中井  洽君     塚本 三郎君     ————————————— 三月二日  水俣病問題徹底完全解決のための国による患  者との和解協議即時開始国会による促進に関  する請願(菅直人紹介)(第三五一号)同(  菅直人紹介)(第三七〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害防止事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)      ————◇—————
  2. 小杉隆

    小杉委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公害防止事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤一雄君。
  3. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今回、新規事業が幾つかふえるわけですが、需要見通しはどれだけ見込んでいるのか。
  4. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 需要見通しをどのくらい見込んでいるかということでございますが、平成年度事業計画におきまして申し上げますと、建設譲渡事業、本年度は五百四十億と見込んでおりますが、そのうち新規事業分としては、初年度分としては約二十億と見込んでおります。
  5. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 本年九月未の譲渡契約をもって廃止になる工場移転用地造成事業は、平成年度の実績で約百十億円もあります。これによって事業費大幅減額にならないか。新規事業がいきなりこの穴埋めができるとは思えないが、どうか。
  6. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生の御質問は、本年度新規事業費二十億に対しまして、今度廃止する臨時事業費が約百億である、そういうことから事業費の落ち込みというような現象を来すのではないか、こういう趣旨の御質問でおろうかと存じます。  おっしゃられるように、工場移転用地造成事業につきましては、百億台の事業規模というものを従来から見ておったわけでございます。そこで、これを今後どういうふうに取り扱うかということでございますが、今までやっております工場移転用地事業というのは、公害防止事業団仕事から見ますと、移転用地を造成するということで、公害防止目的からいたしますとちょっとまあ中途半端な事業という性格がございました。それともう一つ集団設置建物整備事業ということにつきましては、かなり今まで事業計画を上回る需要があったということがございます。この二つのことを考え合わせますと、やはり公害防止事業団としては、公害防止目的を達成するためには、この集団設置建物整備事業というような事業に今までの工場移転用地造成事業というものを誘導していく必要があるのではないか、そうすることによってかなり事業規模が見込まれるのではなかろうかということが一つ考えられます。  それともう一つ、今回新たに導入することといたしました産廃処理施設等事業、またもう一つ国立公園国定公園における集団施設地区整備事業につきましては、今後かなり需要が期待できるのではなかろうかというふうに考えられますので、私どもとしては、先生御心配いただきましたようなことは余り想定しなくてもよろしいのではなかろうかというぐあいに現段階では考えております。
  7. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 事業団職員の約半数は事業費支弁職員でありまして、事業費大幅減額ということが職員の雇用不安、労働条件の改悪につながらないように、ひとつ十分配慮してもらいたいということを申し上げておきます。  次に、NTTCタイプ融資等を導入する産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律案、それと公害防止事業団法の一部改正案とを比較したとき、その助成制度のすみ分けは一体どのようになっているのか、どう考えているのか。
  8. 三本木徹

    三本木説明員 御説明申し上げます。  先生今御指摘産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律案、ただいま国会の方に御提案申し上げているものでございますが、この法案におきましては、まず、複数の種類の産業廃棄物処理施設と、それから研究開発施設などの共同利用施設、さらには緑化施設、そういった周辺整備施設から成ります一部の施設整備につきまして、厚生大臣等主務大臣による認定制度を設けることにしております。これに基づきましてNTTCタイプ融資政策融資を行うこととしておるわけでございます。さらにはまた、周辺公共施設一体的整備によりまして施設整備促進を図っていこう、こういうものでございます。  これに対しまして、公害防止事業団産業廃棄物処理施設建設譲渡事業というのは、産業廃棄物の広域的な処理が必要であると認められます地域におきまして、第三セクターなどに対しまして資金あるいは技術的な面での援助を行うということになっておるわけでございます。これらを進めていくために、今まで事業団が持っておりますノウハウ、いろいろなノウハウがございますが、それを活用して広域的な処理のための最終処分場、これを中心建設譲渡をするというようなものでございます。したがいまして、私ども御提案申し上げております新法での施設整備促進、それから事業団法での産業廃棄物処理施設建設譲渡事業支援措置内容が基本的に異なっているということと、それから支援対象となります施設の範囲におきましても異なっているものでございます。  なお、産業廃棄物のいわゆる新法におきましては、一部のこういった施設整備主体といたしましては第三セクターのほか民間の処理業者、これは廃棄物処理業者でございますが、こういったものを予定しているものでございまして、これに対しまして事業団建設譲渡事業というのは、地方公共団体や第三セクターによって整備されます。そういった公的関与のある場合を対象としているというような違いがございます。
  9. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 新規事業の中で国庫補助金を導入する事業はどのようなものがあるか。その交付の要件、手順はどうなるか。
  10. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 今回国庫補助金を導入する事業といたしましては、今度の法律の十八条第一項第五号に掲げております国立国定公園集団施設地区整備事業というものが一つございます。それともう一つ、同条の第四号にございます産業廃棄物処理施設一体緑地整備事業のうち緑地整備分について国庫補助金を導入することを予定しております。  前者の国立国定公園集団施設地区整備事業につきましては、自然公園法で道路とか公衆便所など一定の公園施設につきましては、都道府県に対して公園事業執行に要する費用の一部を補助することとされているところでございます。都道府県主体となった場合とのバランスとか事業促進等を図るため、建設譲渡相手先都道府県である場合には、直接事業団に対して国庫補助金を交付することができるように措置することを予定しているところでございます。  また、後者の産業廃棄物処理施設それから一体緑地整備事業のうち緑地整備につきましては、譲受人が地方公共団体になるというところでございまして、その都市公園となるべき緑地整備する事業でありますことから、現在公団でやっております共同福利施設整備事業大気汚染対策緑地整備事業と同じように公園事業補助金をこの事業団に交付することができるように措置することを予定しておるところでございます。
  11. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 新規事業産業廃棄物処理施設最終処分場であるとか中間処理施設ということになると思うのですが、これはこれまでの経験から見てもなかなか大変なことであります。大気の問題、水質の問題、土壌の汚染の問題あるいは車公害の問題、こういう環境問題とまともに取り組んでもらわなければならない、こういうことになるわけですが、この最終処分場等環境への影響について、基本的にこの際どのような認識を持っているのかということをお尋ねしておきたいと思います。
  12. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生おっしゃるように産業廃棄物処理施設につきましては、環境保全上十分な配慮を行いながら地元協力を得て建設を進めることが非常に大事である。今までどちらかと申しますと迷惑施設というぐあいに受け取られた気味がなくもございません。そこで、今回の事業団法改正におきましては、産業廃棄物最終処分場周辺地域環境保全を図っていくということがかなり大事であるというような視点から、その周辺及び跡地に都市公園となるような緑地整備する事業を追加してやることができるというような手法を取り入れたところでございます。ということで、この環境保全に対する事業執行に当たりましては十分の配慮を行ってまいりたいというぐあいに考えております。
  13. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 時間がありませんので、個々の具体的な問題の質問は省略いたしますけれども、ぜひしっかりとした環境保全対策をやっていただきたいということだけを強く要請しておきたいと思います。  それで、今お話がありましたように、そうはいっても施設整備ということになりますと、周辺住民からは当然のことのように強い反対が起きてくると思います。このような地元対策といいますか、周辺住民に対する対応、具体的にどうお考えなのか。
  14. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生既に御承知のように、本事業団がこういった建設事業を行うに当たりましては法律上、事業実施計画を策定し、その事業実施計画を策定するに当たっては関係都道府県知事協議をする、その協議をするに当たっては関係市町村意見を聴取しなければならないということが要件とされているところでございます。そこで事業団といたしましては、事業計画の早い段階から地元地方公共団体と密接な連携協力を図りながら、先生指摘になりました周辺環境保全に十分配慮した最終処分場等整備を行っていく、こういう手続を通じてやってまいりたい、またそうすることによって事業の遂行に当たっての地元の理解を得て進めていくことができるというぐあいに考えているところでございます。
  15. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 地方公共団体との共同の責任で地元対策に当たるということになると思うのですが、実際の話になりますと、関連施設をつくってくれとかあるいは設計の変更をしてくれとかさまざまな住民要望というものが出されてくるわけでありまして、そういう点について事業団の方はこれまで余り御経験がないわけですね。したがって、地元対策という点については十分ひとつ、従来からの経験を踏まえて対応に遺憾なきを期してもらいたいというふうに思いますので、特にこの点は強く要望しておきたいと思います。  次に、岡山県玉野市の瀬戸内海国立公園内に事業団建設したリゾート施設、第三セクター王子リゾート株式会社が運営するわけでありますが、今地元自然保護団体などから強い反発を受けているわけであります。その現状についてまず御報告を願いたいと思います。
  16. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 ただいま先生指摘王子ヶ岳におきます公害防止事業団事業でございますけれども、これは瀬戸内海国立公園の中にございます王子ヶ岳渋川集団施設地区の中におきます王子ヶ岳周辺におきまして進めておる事業でございますが、これは国立公園公園計画に基づきまして自然環境との調和を図りながら宿舎及び野営場整備を進めるという内客でございます。  このことによりまして、国立公園適正利用とともに鷲羽山地区、別の地区でございますが、そこに集中しております利用の一部を王子ヶ岳周辺に誘導して、もって利用の分散を図るというねらいがあるわけでございます。これは実は地元玉野市の強い要望もございまして、国立公園利用施設としても適当であるという判断のもとに事業一団事業として採択しておりまして、実はリゾート施設とおっしゃるのにはちょっと当たらないもの ではないかと考えております。我々環境庁といたしましては、国立公園施設としてふさわしい内容になるようにということで、具体的な計画を聴取いたしまして、自然景観への配慮あるいは動植物の生息環境への配慮あるいは利用者が自然に触れ合える仕事、例えば自然観察路を設ける、こういったことをやりまして、公園にふさわしい事業、つまり公園事業として認可をしたわけでございます。  今前置きが長くなりましたが、実は今先生指摘自然保護団体の御要望というのは、その後事業につきまして説明をやっておるわけでございますが、例えば宿舎計画を見直せとかあるいはタヌキモとかトンボ類の生息する湧水池を残せとかいう御希望が出ておるわけでございまして、そういったことも含めまして計画を修正整理し、現在そういった内容事業を進めることにしているわけでございます。
  17. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今お話がありましたような自然公園利用とはいえ、雑木林であるとか湿地帯の自然を結果的に破壊してしまうというようなことになろうかと思うのですが、そういうようなことでいいのかどうかという点について基本的なお考えをお聞きしておきたいと思います。
  18. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 自然公園内の行為でありますし、さらには環境庁所管事業団が行うという事業でございますので、私どもとしては自然環境保全には十分配慮しておるところでございます。現在の計画におきましても、事業地内で全体が宿舎事業あるいはキャンプ場も含めまして十八ヘクタールほどが計画予定地になっておりますが、そのうちの三分の二は現状のまま保全し、手をつけるという部分につきましても、先ほど例として申し上げましたわき水がある湧水池等につきましては保存を図る、あるいは十分その周辺の自然を探勝していただけるような探勝園路を設けるというような形で自然の利用保存というのは十分調整を図って整理をしておるつもりでございます。
  19. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 当初の計画段階地元住民あるいは自然保護団体等と十分な話し合いが行われなかったのではないか、また環境アセスメントなどが実施されなかったのではないかというふうに判断せざるを得ないのですが、その点はどうですか。
  20. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 ただいまの点は、先ほど申し上げましたように、公園事業にも係るということで、私どもとしては計画かなり初期段階から現場の職員ども話を聞き、それから調査もやって、それから守る会については具体的なデータで何度か説明会をやったというふうに聞いております。
  21. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今のようなお答えだとちょっと事実に反するのではないかなという気がいたしますが、実際に環境アセス実施されたのですか。
  22. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 環境アセスという言葉でどういうイメージかでございますけれども、その周辺におきます自然状況についてはきちんと調査をし、その上でこういった残すべきものは残すという判断をしたというふうに聞いております。
  23. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 地元住民とか自然保護団体と何回話し合いを持ちましたか、計画段階で。
  24. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 報告を受けておりますものとしましては、平成二年の二月と三月、事業団から地元計画説明をやったというふうに聞いております。
  25. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 いずれにしても、地元対策が極めて不十分、というよりは全く対応をしていなかったというふうに私は認識をしておるわけでありまして、今後こういうことのないように十分気をつけてもらいたいというように思います。  それでは、国立国定公園で今予定されている施設整備事業はどこですか。
  26. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 現在行っておりますのは、今御議論いただいております王子ヶ岳周辺での宿舎キャンプ事業、それから同じ瀬戸内海国立公園でございますけれども赤穂市内休憩所園地、それから伊勢志摩国立公園の中であずり浜という地域でございますけれども宿舎園地キャンプ事業、こういったものを建設譲渡事業としてやっております。
  27. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今御報告があったそれぞれの地域では問題が出ていないのですか。
  28. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 特段聞いておりません。
  29. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 少なくとも先ほどの玉野市の経験なり教訓を今後の事業に十分生かしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。  次に、開発途上地域に対する環境技術協力の問題ですけれども、御承知のように、これまで政府開発援助は極めて環境配慮に欠けておったわけでありまして、国内外から強い批判を受けているのが実情であろうと思います。こうした点の正しい認識と反省の上に事業を行っていかなければならないと思いますが、そういう点についてどうお考えか。
  30. 中村正三郎

    中村国務大臣 議員御指摘のことはODAに関することであると思いますが、我が国環境ODAをやるということは、我が国国際貢献の中で大きな柱の一つであろうということで力を入れてきた分野でございます。アルシュ・サミットにおいても三千億円の環境ODAを三年間でやるということを約束してきたわけですが、それを平成二年までで、二年間で大体やり遂げたということであります。  ただ、ODA考えますときに、これは従来、要求ベースといいますか、開発途上国の方でこういうことをやってくれ、ああいうことをやってぐれということでやりますことと、私ども環境に対するODA促進する立場とのいろいろなことがあると思いますが、そういったことも総合的にこれから検討してこういったODAはふやしていくべきであろう。そして、折しも地球サミットが開かれるわけでありまして、そこでもいろいろな問題を取り上げてまいります。環境庁といたしましても、国際化時代地球化時代環境ODAはどうあるべきかということを諮問委員会に諮問いたしたりもしておりまして、今後力を入れてまいりたいと思っております。  今度の法律に関係して申し上げますと、この公害防止事業団は今までいろいろな環境公害について対処をしてきたわけでありますけれども、今海外でも困っているのが中小規模工場に起因する環境公害が多いということでありまして、我が国中小企業における公害対策についてこの事業団は非常に蓄積してきたノウハウ技術経験がございますので、そういったものを有効に活用したいということで、今度の法律にもそういったことを盛り込んでいるわけでありまして、従来にも増して環境に対するODAには力を入れてまいりたいと存じております。
  31. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今回、事業団主務大臣厚生省が加わったわけでありまして、四省共管ということになるわけであります。そこで、十分考えられるのは、各省庁間の俗に言う縄張り争いといいますか、そういうようなことから効率が悪くなるのではないかという心配がありますが、その点、どうお考えでしょうか。
  32. 中村正三郎

    中村国務大臣 確かに今度の法律では四省庁共管ということになりますが、事業団主務大臣ということでありますけれども事業全体を通じた事業計画等管理業務については環境庁長官の専管でございます。事業実施面についての監督とか整備対象施設等を所管する大臣がそういったことは行いますけれども、このような役割分担に基づいて、環境庁中心となって他の主務大臣連携協力を図りながら事業の円滑かつ効率的な実施を図ってまいりたいと思うわけであります。  環境庁立場でありますが、よく言われることですが、環境問題に対する主務大臣であり、なおかつ調整官庁としての役を仰せつかっておるわけでありまして、こういった組織の中で事業全体を通じた事業計画等主務大臣として円滑にこの業務を行っていくことに支障はないと存じますが、なお、御指摘を受けまして、円滑になおかつ効率的な実施が図れるように努力してまいりたいと思 います。
  33. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 事業団役員というとほとんど天下り人事ということになっておるようでありますが、それに加えて役所からの出向の実態はどうなっているか、まずお尋ねいたします。
  34. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 事業団役員につきまして申し上げますと、理事長が一名、理事が三名、監事が一名ということで五名が役員ということになっておりますが、この五名はいずれも出身国家公務員でございます。それから、管理職員について申し上げますと、本部の管理職員といたしまして二十五名ございますが、そのうちプロパー職員は十名でございまして、十五名が国からの出向者によって構成されております。
  35. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今管理職二十五名中プロパーが十名というお話ですが、具体的に部長職というのは何名でしょうか。
  36. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 部長職といたしましては総務部長経理部長業務部長工務部長四つ部長職がございます。この四つ部長職につきましては国家公務員出向でございます。
  37. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 これは大臣にお伺いするんですけれども、今お話しのように、役員ということになりますと二年ですか三年ですか、交代をされていくというようなことになりますし、管理職といっても、部長職が四名おられるわけですけれどもプロパー部長さんはゼロということなんですね。私も地方公務員出身でありますが、この点は非常に職員の士気にかかわってくるのではないか。また、事業団の将来を展望した場合に、非常に人事面でぐあいが悪いのではないかということを率直に感ずるものですから、こういう弊害をぜひ今後改めていただきたいという立場から大臣お答えをいただきたいと思うのです。
  38. 中村正三郎

    中村国務大臣 御経験を交えてのお話でございますので大変重みを持って伺ったわけでありますけれども、私も環境庁に来てまだ日もそれほどたっておりませんし、これから勉強してまいりたいと思いますが、プロパーの方の雇用不安や労働条件の悪化とかそういったことがないように、先生の御意見を今いただきまして、今後適切な運営管理、良好な労使関係が築かれていくように、そういった御不安のないように指導してまいりたいと思います。
  39. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 以上で質問を終わります、
  40. 小杉隆

    小杉委員長 午後一時二十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時二十分開議
  41. 小杉隆

    小杉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。長谷百合子君。
  42. 長谷百合子

    ○長谷委員 ことしは六月にブラジル会議、大きな国連の環境会議でございますけれども、そういったものが開かれまして、環境保全に対する大変重要な年がというふうに思います。こういう会議を契機として、国際的にも国内的にも地球環境問題の解決を初め環境政策の一層の強化に向けて努力していくことが求められておる、こういった情勢でございます。  これまで環境行政に対応して公害防止事業団事業者への助成を行ってきたわけですけれども、時代の要請にこたえる業務を展開する、そして事業団法改正法案がそのために国会に提案されたものと理解をしておるわけですけれども、この公害防止事業団は、御存じのように高度経済成長期における深刻な公害問題に対応するために、昭和四十年に産業公害の防止対策に係る助成を目的として設立されたものでございます。その後、公害問題も変化し、産業公害のみならず大都市の窒素酸化物による大気汚染、生活排水による水質汚濁等の都市・生活型公害が大きな課題として認識されまして、これに対応いたしまして昭和六十二年度に制度改正が行われた、こういうふうに私も承知しておるわけでございますけれども、こういった経過を経ましてさらに今回制度改革を行おう、こういう趣旨の法律案でございますが、この事業団法改正の目的ということについて、また新規事業として新たに取り組む事業、こういったもののねらいというのは一体どこにあるのか、少しわかりやすい形で御説明いただきたいと思います。
  43. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生ただいま御指摘のように、この公害防止事業団は昭和四十年に設立されたわけでございますが、当初の目的は、当時我が国で問題になっておりました産業公害対策を積極的に進めるために、一方で規制し片方で助成をするというようなことから、助成措置を行う機関としてやってまいったわけでございます。そういうことで、それなりにその対策の推進には寄与したというふうに思われるわけですが、これまた先生指摘になりましたように、その後、都市型。生活型公害というものが表面化するに及んで、そういったものに対応するために、途中六十二年に法改正を行ったところでございます。  さて、今回改正しようとしております内容は、最近における環境問題を眺めてみますと、今までみたいに個別の公害に個別に対応していくというような時代から、環境そのものをどのようにしてよくしていくかというような非常に広がりと深さを持った行政の展開をしていかなければならぬ時期に差しかかっているというようなことだろうと思うわけでございます。そういった環境行政の課題が変化してきているという認識に立ちますときに一番大きい問題になりますのは、私どもの生活が巨大化するにつれまして、ごみ問題をどう処理していくかといったような問題、また都市型の生活が非常に多くなってきている、都市人口がふえてきている、それに伴って自然と隔離され沈生活がかなり広がってきている。そういたしますと、自然との触れ合い、自然を維持したままで、また保護したままでどのような触れ合いを求めていくかという、そういう機会の増大が求められている。  さらには、最近の環境問題というのは、一国にとどまることなく、国際的な広がりを見せた地球環境問題への対応ということで考えていかなきゃならない、これはまさに先生が御指摘になったとおりでございます。そういったことへ対応するには、今までのような公害防止というような視点からの対応では既に時代おくれになっているのではなかろうかということで、今回環境事業団へ衣がえをすると同時に、それにふさわしい事業内容として、先ほど申し上げました産業廃棄物に対する対応の仕方、それから自然公園適正利用の問題、さらには地球環境問題への対応ということで開発途上国に対する環境保全に資する情報の提供業務ということを真っ正面から取り上げる、これは付随業務ではなしに、まさに本来業務として、この事業団にやっていただくというようなことから、目的改正をしてそういう業務を新たに取り込んできたということでございます。
  44. 長谷百合子

    ○長谷委員 現代の環境保全するということに向けて、ごみ問題から自然との触れ合い、そして海外への援助といったことを含む大変幅広い内容お答えいただいたと思いますけれども、こういう大きな改正の中で、まず最初に、自然環境保全関係の新規事業ということについて幾つかお伺いしたいと思います。  今の御答弁にもありましたように、近年、余暇の増大を背景にして国民の自然との触れ合いを求めるニーズは大変高まっておるということを言われておりまして、あちらこちらにリゾートが、今から五年前ですか、リゾート法が制定され、リゾート開発が進められておるのは皆様方御存じのとおりだと思うのですけれども、このリゾート開発におきましては、現在、大変大きな環境破壊を引き起こしているのではないかということが全国的に巻き起こってまいりまして、リゾート法は廃止するのが適当ではないか、あるいは見直していく必要があるのではないかという議論が盛んになってきておるところでございます。私ども日本社会党も、リゾート法の環境破壊的な側面に対しては抜本的な改正をするということで、現在、改正案国会にも出しておるところでございます。 そういったところで、リゾートの開発については環境保全上なかなか難しい問題で、慎重にやらないと、下手をすれば環境破壊につながるというようないつも裏腹の関係にあるかと思うわけですし、国立公園国定公園において、自然を保護しながら適正な利用を求めていくことが何よりも必要ではないかと思うわけです。  そこで、今度、事業団国立国定公園集団施設地区内において行おうとしておられる新規事業では利用施設を一体的、複合的に整備する、こういう趣旨だと思うわけでございますが、これをつくっていく中において、今申し上げたような自然破壊、乱開発ということとの関係におきまして、かえって保全をするということでもってスキー場あるいはゴルフ場などの建設促進されてしまうのではないか、こういったことについてその心配はないでしょうかということをお聞きしたいと思います。
  45. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 お答えいたします。  今回の自然公園関係の新規事業でございますけれども、十八条第一項第五号に規定する、いわば新五号業務という形で考えておるわけでございますけれども、これは国立国定公園の自然を保護し、かつ、国民が自然に親しみ触れ合う中で美しい風景を見、また野生の動植物と出会うといった、いわばその地域でしか体験できない、代替性のない体験あるいは感動を味わっていただくということを念願としているわけでございますが、事業内容といたしましても、従来から定められております自然公園法公園事業といたしましての公園施設のうち、そういった趣旨に合ったものに限定いたしているところでございます。  お尋ねのスキー場、ゴルフ場につきましては、そもそもゴルフ場は公園施設となっておりませんし、またスキー場は、新事業の目的に照らしまして対象としないということにしておりますので、御心配はないかと考えております。
  46. 長谷百合子

    ○長谷委員 ありがとうございました。そのスキー場、ゴルフ場はっくることはないだろうという御答弁ですけれども、それは政令とかそういったもので定められるのだと思いますが、政令ということについて、きちっと定められるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  47. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 お答えいたします。  今回、建設譲渡対象となる施設のあり方といたしましては、その目的に沿った施設を複合的に配置するものという前提になっておるわけでございまして、どういったものをその対象にするかという点は政令で書くことになっております。したがいまして、先ほど申し上げましたような観点から、自然保護と利用者自然環境に対する理解の増進に資するようなもの、あわせて、自然公園の健全な利用を図るために必要だという観点から選ばれます。大きく分けて九項目の事業から成り立つわけでございます。いわば利用的な側面からいいますと、園路的な道路それから広場とか園地宿舎休憩所それからキャンプ場、駐車場、それから公衆トイレといったようなものでございますし、さらには自然の理解を進めるという観点では植物園であるとか動物園であるとかあるいは博物展示施設、いわゆるビジターセンター的なもの、それから植生の復元施設とか動物繁殖施設、こういったものを政令で具体的に書いていく考えを持っております。
  48. 長谷百合子

    ○長谷委員 それでは、次の産業廃棄物施設関係建設譲渡業務ということについてお伺いいたします。  近年廃棄物の問題は大変深刻化しておりまして、全国でさまざまな問題が報道されております。とりわけ産業廃棄物につきましては、排出事業者に処理責任が課せられておるわけですけれども、埋立処分場等の施設が非常に迷惑施設であるということで、それをつくるのが年々困難化しております。産業廃棄物は処分場を求めて広域的な移動を余儀なくされ、時には不法投棄という事態も多数生じていると聞いております。このために昨年、減量化の推進一適正化処理の確保、処理施設整備等を柱とする廃棄物処理法の改正が行われましたけれども、さらに最終処分場等の関係施設建設に当たっての環境を十分に配慮することは大変重要なことであります。  事業団は、従来から産業廃棄物処理施設に対する融資事業実施し、民間事業者、第三セクターによる施設整備促進をやっておられるわけでございます。融資事業では産業廃棄物処理施設に対するものが大半を占めておりますけれども、融資対象産業廃棄物処理施設には具体的にどういったものがございますでしょうか。
  49. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生指摘のように、公害防止事業団がやっております融資事業の中では産業廃棄物処理施設に対する融資が非常に多うございます。例えば平成元年で申し上げますと、二百億のうち約百四十五億ということで七二・五%、平成二年ですと、二百五十億のうち百八十五億ということで七四%を占めるに至っております。  それで、この産業廃棄物処理施設のうちどういう施設に対して融資を行うかということにつきましては、限定をいたしておりませんで、産業廃棄物処理施設全般を対象としているということでございます。したがって、具体的にはこういったものの収集、運搬、保管施設、それから焼却、破砕等の中間処理施設、さらには再生利用支援施設、それに最後に最終処分施設というものが含まれることになります。
  50. 長谷百合子

    ○長谷委員 最終処分場にも融資をしていらっしゃる、こういうことですけれども、その最近の実績についてはどんな程度でしょうか。
  51. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 最終処分場に対する平成年度の融資実績を見ますと、十八件、百十七億五千万円ほどになっております。したがって、これは最終処分場に対する融資の六三%を占めているということになります。
  52. 長谷百合子

    ○長谷委員 そういった融資事業に加えまして産業廃棄物最終処分場建設譲渡事業に新たに取り組もうとするということですけれども、その理由は一体どういうところにあるのか。また、建設譲渡事業実施に伴い融資事業対象施設等は変更されるということでしょうか。
  53. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 これは先ほど先生が御指摘になったように、産業廃棄物処理はまさに本来事業者責任ということが大原則になっておるわけでございますが、これも先生が御指摘なさいましたように、最終処分場等施設整備につきましては、用地難の問題、また民間事業者に対する不信感等に根差した周辺住民の反対等により、年々その建設が困難になってきているというようなことから、都道府県等が第三セクター等の方式を用いまして産業廃棄物の適正処理の確保に関与しなければならなくなってきているというのが現状でございます。  こういう現状を踏まえますときに、さらに特に比較的規模の大きい最終処分場ということになりますと、懐妊期間が長いというようなこと、また施設建設技術力の問題、さらには周辺環境保全対策の問題、それから私ども行政機関がこう言うのもなんでございますが、行政手続が複雑であって、そういったものをクリアしていかなければならぬという問題、さらには多数の利害関係者の調整といったような問題等がございまして、かなりノウハウを要するということがあるわけでございます。そこで、こういったものが都道府県レベルの第三セクターで必ずしも備わっていないというようなことから、資金的、技術的にやはり御援助申し上げる必要があろうということで、そういった第三セクターの依頼を受けまして、私どものこの公害防止事業団が従来培ってきましたノウハウ、また国の機関としての信用力というものを使いながら広域処理のための最終処分場建設し、譲渡しようという事業に着手しようとするものでございます。  一方、もう一つ質問にございました融資事業をどうするかということでございますが、これはやはり事業者責任が大原則でございまして、その人たちが自分の責任でやるという方向はやはり大事にしていかなければならぬというようなことから、融資先施設の種類、規模を問わないで、長期 低利の資金を用意して、そういった事業者が関係施設整備しようということに対する助成は必要であろうと考えておりますので、今後ともこれは継続してやるつもりでございます。
  54. 長谷百合子

    ○長谷委員 ありがとうございました。  済みません、ちょっと前後して申しわけないのですが、先ほどの自然公園内の関係のことで、現行の十八条一項の四号に当たるがと思いますけれども、この複合施設ということで現在岡山県の王子ケ岳など四カ所ではもう既に事業が行われているというふうに伺っております。ここで宿舎をつくったりということも先ほど御説明があったかと思うのですが、この規模については一体どのくらいというふうに考えていらっしゃるのか、お答え願えますでしょうか。
  55. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 ただいまの現行四号業務でございますが、四カ所というお尋ねかと思いますが、現行は三カ所で進行中でございます。宿舎事業を行っておりますのはうち二カ所でございます。第一点は王子ヶ岳でございますけれども、これは定員二百九十四人ということで進めております。それから第二点は伊勢志摩国立公園のあずり浜というところで進めている事業で、定員百二十人を予定しているところでございます。
  56. 長谷百合子

    ○長谷委員 三カ所というお答えでございましたが、こういう規模について、大体今ですと百二十人、二百人という程度ですけれども、こういったものについて、それが今後、例えば時代に応じて五百人だ、千人だという必要があるというようなことになりますと、それに対応できるという運用になっておるのか。それとも、これは、今回の法律の趣旨からして、あくまで割合小規模のというふうに決まっておるのでしょうか。
  57. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 公園内の宿舎事業のあり方でございますけれども宿舎のいわば収容力といったものを、実は公園事業の決定という形で自然環境保全審議会の意見を聞いて定めることになっております。したがいまして、同一の地区にたくさんの宿舎がある場合、その合計の収容力がどうなるか、いわば地区の枠を超えないような形で総体的に判断をするということになるわけでございますが、個々の施設につきまして、その枠内でどの程度に決めるかというのは、その他の周囲の状況等も勘案して決めるわけでございます。ただ、新五号業務につきまして現在実施要望がありますものについては、既存の五十人程度の宿舎を建てかえたいというお申し出があるわけでございますけれども、具体的にどの程度にするかは今後検討することにいたしております。
  58. 長谷百合子

    ○長谷委員 そうすると、先ほども申し上げましたように、余りにも大規模な開発になってしまうとまたいろいろな問題も出てくる可能性がございますので、そこのところを環境と非常にマッチした、調和したということが法の趣旨だと思うのですね。ですから、そこのところを担保するといいますか、これは必要だから、金もたくさんあるからどんどんやってしまえということが起こらないという保障をどの辺のところに置かれているのかということなのですけれども
  59. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 お答えいたします。  実はこの事業の前提となっておりますのは、集団施設地区の中においてという一つのくくりがあるわけでございますが、基本的には公園計画の中で、ある集団施設地区でどの程度のものをつくるか、収容能力などを見て判断しておるわけで、さらに、その大枠の中で個々に公園事業として宿舎事業を認める際にどれくらいにするかということでございますので、ある一つのものだけ突出しますとほかのところが非常に抑えられるということもありますので、地域的なバランスとか、それからその土地におきますいろいろな自然状況も勘案して、余り大規模なものは我々としては認めがたいという方針で従来からまいっております。
  60. 長谷百合子

    ○長谷委員 それでは次の方に移らさせていただきます。  地下水関係の融資業務についてですけれども、化学物質による地下水汚染が各地で大変問題になっております用地下水は一方では飲み物としても利用されておるわけでありまして、そういったものが汚染されれば、それを飲む住民の命や健康にかかわる問題だ、このように認識いたしております。そうした地下水の汚染を防止する、規制をするさまざまな法律が既にあるわけでございますけれども汚染が判明した場合には速やかな対処、対策をすることができる、こういったことが必要なのはもちろん言うまでもないことだと思うのですけれども、今でもさまざまな対策にもかかわらず地下水汚染は依然として深刻で、全国各地で汚染が観測されておるのが実情でございます。このような状況に対応して、地下水汚染対策事業促進するための融資事業の必要性、こういった目的であると思っておりますけれども、この第十八条第一項第六号のロに今回新しく追加されました地下水汚染対策事業とは、具体的にはどういった内容なのでしょうか。
  61. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 質問お答えする前に、まず私、先ほど六三%という数字を申し上げたのですが、これをちょっと言い間違えまして、最終処分場に対する割合というふうに申し上げたようでございますが、産業廃棄物処理施設融資実績に対する最終処分場に対する融資実績の比率でございますので、訂正させていただきます。  それから、ただいまの御質問に対するお答えでございますが、地下水汚染対策事業に対する融資の考え方は、まさに先生指摘のとおりの目的のものでございます。そういたしまして、まず最初に「遮水事業その他の政令で定める事業」というぐあいに規定しておりますが、前段の遮水事業と申しておりますのは、汚染された地下水が拡散するのを防ぐために、例えば水ガラスといったような地盤凝固剤を注入して地下水の流れを遮断いたしまして、それが外へ拡散していかないというようなことを目的とする事業でございますし、また、政令で定める事業といたしましては、例えば地下水を揚水いたしまして曝気処理をしますとか、また活性炭処理によって有害物質を除去する、そういったような事業を目下想定しているところでございます。
  62. 長谷百合子

    ○長谷委員 今御説明いただきました地下水をくみ上げて曝気する、さまざまな処理をするという施設でございますけれども、こういったものはもう既にやられている技術でしょうか。それでこういったものを、私、今ちょっとなかなかいい施設じゃないかな、こういうふうに理解するのですけれども、どの程度の規模のものがあるのか、具体的にもう既にやられているのかどうか、この辺のところはいかがでしょうか。
  63. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 今度、地下水汚染対策のための融資をしようというような事業につきましては、今までいろいろな手法が開発されてきておるわけでございまして、私が先ほど申し上げました地下水汚染の拡大を防止するための遮水工法とか、また揚水曝気することによって有害物質を除去する浄化方法につきましては、一日二十ないし三十立米の規模のものが実用化されている段階でございます。
  64. 長谷百合子

    ○長谷委員 それでは、続きまして情報等の提供業務という件についてでございます。  今日、地球環境問題の解決に向けて努力することは大変重要な課題となっておりまして、この中で、特に開発途上国においては、経済開発や人口の都市への集中等に伴って、かつて先進国で発生したような公害問題、自然破壊が顕在化しております。このような問題の解決を助けるために、先進国は積極的に貢献をする責務がある、このように考えておるわけでございます。そして、我が国環境対策等の分野で多くの経験技術等を既に有しておるわけでございますから、資金、技術、人材の面で積極的な支援協力を求められておることはそのとおりでございます。  こういった課題に対応すべく、事業団も開発途上風の環境保全に役立つ情報、ノウハウの提供業務を新たに行い、技術協力に貢献しようという御趣旨でございますが、開発途上国向けの技術協力については既にJICA、国際協力事業団等がいろいろな事業をやっておると承知しておるわけで す。こういったJICAの技術協力に加えてさらに事業団による情報等の提供業務に取り組むというところの主な理由はどういうことになるのでしょうか。
  65. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生指摘のとおりに、我が国にはJICAとか海外経済協力基金とかそういったような国際協力機関があるわけでございます。しかし、こういうところが実際に研修生を受け入れたり、また相手方に対して技術協力を行う際には、それにふさわしい人間なり、またそれにふさわしい知識というものをどこが提供するかということになりますと、現在においても、私ども環境庁協力依頼があるというのが現状でございます。  一方、我が国開発途上地域における公害等の解決のために国際的な地位にふさわしい国際協力をやっていかなければならぬということが求められていることもまた先生指摘のとおりでございまして、そういうことからいたしますと、先ほど申し上げましたように、事業団が昭和四十年以来蓄積してまいりました、公害防止のための専門助成機関として蓄えた情報、技術的知識というものは、今日、開発途上地域環境問題を解決するに当たって特に有用なものであろうというぐあいに考えるわけでございます。特に、中小企業向けの技術なり知識というものほかなり有用なものであるというぐあいに私ども考えているわけでございます。こういった情報等につきましては、事業団がみずからそれを整理し、その普及を図っていかない限り持ちぐされになってしまうという可能性がある。そこで、せっかく私ども事業団が蓄えてきましたそういう情報、技術的知識をこれからの国際貢献に生かしていきたいというようなことが求められているし、またすべきであろうというようなことから、今回これを公害防止事業団の、名前が変わりますと環境事業団になりますが、そこの主たる事業として目的規定にも加え、本格的にそういうことをやっていこうという姿勢で取り組むために、今回の改正をお願いしているわけでございます。
  66. 長谷百合子

    ○長谷委員 今御説明していただいたことは非常に結構だと思うのですけれども、ちょっとわからないのは、そうしますと、それはあくまでも人的な貢献というのではなくて、例えば今まで蓄えられた書類というものを途上国側に送る、そういうふうに受けとってよろしいでしょうか。ちょっと具体的に。
  67. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 直接的に考えておりますのは、提供する情報、技術的知識ということで整理をさせていただいておりますことから、公害防止事業団、名前が変わりますと環境事業団になりますが、そこにおける例えば融資業務の個別事例ごとの公害防止対策技術内容でございますとか、処理能力でございますとか、どういったものをやればどのぐらいのお金がかかるかとか、また公害防止効果はそれによってどのぐらい発揮されるであろうかというデータを用意し、それを提供するというようなことや、また技術的知識といたしましては、事業団にある情報を加工いたしまして、例えばある特定の業者の工場における公害防止対策をやった場合、大気汚染水質汚濁を防止するためにどういった処理施設を用い、どういうぐあいに操作したらいいのだろうかというようなフローチャートを作成したり設計したり、また必要経費の積算を行ったり、工事の施行や管理計画をどうやったらいいか、そういったものを中心にして考えているわけでございまして、人的派遣そのものは直接の対象には考えておりません。
  68. 長谷百合子

    ○長谷委員 こうした事業を行うことは環境行政推進のために有用である、そういうふうに思うわけですけれども内容が、これは環境庁関係のことだけではなくて、さまざまほかの省庁も含めてでございますけれども、実績とか報告というものが十分に公開されていないというふうに思います。今度この改正事業団の経営の効率性や適正さがどのように図られているのか、こういったことを国民にわかりやすい形で公開していくということがやはりこれからまた一層国民的な支援を得ていくためにも必要ではないかと思うわけですが、そういった公開の措置を講ずるということについて、ぜひそうしていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  69. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生のただいまの御指摘は、私どもの情報、また技術的な知識に対する提供業務からもう一歩進めまして、今度は経営の効率性、適正を確保しているかどうかというようなものに関する事業団事業内答についての公開をもう少し考えていくべきじゃないかという御指摘だろうかと思います。そのような御指摘は行革審が六十一年に行った答申の中に含まれておるわけでございまして、事業団におきましても従来から、その経営内容を示す財務諸表につきましては、環境庁長官の承認を受けた上でそれぞれの事務所に備え置いて公開するということにしておったところでございますが、先生指摘のようなこと、また先ほどの行革審の答申も踏まえまして、今回提案させていただいております法案の中におきましては、法人の事業内容を広く国民に公開することによって法人の経営の効率化、適正化を確保するというような改正も同時に御提案させていただいているところでございます。
  70. 長谷百合子

    ○長谷委員 今の御説明の効率化、適正化ということに加えて、一般国民があくまでわかりやすいという形の情報の提供システムについてぜひやっていただきたい。そのことはお願いできますでしょうか。
  71. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 非常に大事なお話でございます。私ども事業団の経営内容を国民に広く知っていただくというようなことが必要だと考えておりますので、ただいま申し上げました法制上の問題とは別に、パンフレット、広報等については今後とも充実させていきたいというぐあいに考えております。
  72. 長谷百合子

    ○長谷委員 この事業団の制度改正が実現した場合に、新規事業が適切かつ円滑に実施され、環境事業団が名実ともに環境行政の推進に寄与することが期待されるわけですけれども、しかしながら、環境問題は今後とも複雑多様でございます。冒頭にも申し上げましたように、下手をするとそれが逆の破壊ということにもつながりかねないというところもございます。どんなによいと思ってやったところが環境破壊である、こんなことのないように慎重な運用をこれからも心がけ、そこに邁進していくのが正しい運用の仕方だと思うわけでございますけれども、最後に、長官に対しまして、ぜひそのような真の環境保全ということが実現する、させていただくという御決意のほどを伺いたいと思います。
  73. 中村正三郎

    中村国務大臣 全く委員指摘のとおりだと思いますけれども、最初から御議論になられておられますように、環境行政をめぐる環境が大変変わってきた。今まで対症療法で、出てきた公害をつかまえよう、それを防止しようというものであったのが、持続可能な開発というようなことが世界的なコンセンサスになってまいりまして、それに向かって我々の生活のあり方、産業のあり方まで変えていかなければこの地球がもたない。その中の環境行政はどうあるべきかということになってまいりまして、大変大きな話をするようですが、そういう中での公害防止事業団環境事業団への一つの衣がえであると思うのです。  内容につきましては、今いろいろ御論議なされておりましたように、幅の広い仕事ができるようになり、そして画期的なのは、ODAに関して今まで蓄積してきた技術を有効に使うという手だてができた、これがまさに地球環境時代に向かって大変画期的な内容になっているのではないかと思います。  ただ、議員御指摘のとおり、先ほどの事業の問題にいたしましても、私はここの閣僚でありますと同時に議院内閣制の議員でありますから、その立場から考えますと、官業がやるから自然を簡単に動かせるのだということであってはならないし、またもっと違う視点から言えば、官がやる仕事だから何でもできてしまって官業の民業圧迫になってもいけないし、本来の目的である官がこう いうところを補完して、自然環境がよく、国民に楽しんでいただこうというような趣旨に合った施設であらなければいけない、そこを十分心して運営していかなければならないと思っております。  それから、ODAに関しましても、今委員の御疑問はよくわかるのですが、日本はそうした世界的な環境改善に力を出すことを求められているということがよく言われますが、今までのODA要求ベースが多いのですね。ですから、発展途上国、開発途上国の方から要求をしてやっていくということになりますと、環境改善のためのODAばかり要求してくださるかといったら、そうは限らないと思うのですね。そういう中で、地球環境時代のODAはどうあるべきか、環境ODAはどうあるべきかということを我々も審議会に諮問いたしましたりしてUNCEDへ向けて今いろいろな検討をしているわけでありまして、UNCEDの論議等を経ていきますと、環境に対するいろいろな考え方が世界的にまとまり、そこで私どもも、環境基本法というものになりますか、そういった法律をつくって環境保全に邁進していかなきゃいかぬのだなと思っているわけでありまして、委員の御意見等をよく頭に入れましてこの事業の円滑な推進が図られますように頑張ってまいりたいと思っております。
  74. 長谷百合子

    ○長谷委員 ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。
  75. 小杉隆

    小杉委員長 斉藤節君。
  76. 斉藤節

    斉藤(節)委員 公明党の斉藤でございます。  本法案につきましては、私どもの党といたしまして従来から、公害防止事業団業務を狭義の限定的な公害防止から脱皮させ、生活環境の維持保全廃棄物の適正処理、処分場確保等のトータルな環境保全を目指す法体系に改め、事業団の組織、権限、事業内容を拡充し、業務追加に見合った執行体制の強化を図っていく必要を主張してきておりまして、この法案につきましては評価できるわけでございます。以上のような立場から質問させていただきたいと思います。  まず、本事業団平成年度における造成建設事業費及び貸付業務の予算は幾らぐらいになっておるのでございましょうか。
  77. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 本事業団平成年度における建設譲渡事業は、事業計画ということをベースにして申し上げますと、建設譲渡事業は昨年の五百億に対しまして五百四十億、貸付事業につきましては昨年の三百億に対しまして三百五十億を予定しております。したがって事業計画の規模といたしましては八百九十億を予定しております。
  78. 斉藤節

    斉藤(節)委員 昨年よりも九十億増ということでございますけれども、今度新たに事業が増加したわけでございますから、それは十分やり遂げられるという目算があるのでございますか。
  79. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 新規事業をこの事業規模の中で十分賄っていけるか、こういう御質問だと思いますが、平成年度におきましては、産業廃棄物処理施設一体緑地整備事業につきましては、東日本と西日本それぞれ一件ずつ二件を予定しております。また、国立国定公園集団施設地区整備事業につきましては、本年度一件を予定しているところでございます。その初年度事業費としては約二十億円を予定しているところでございます。この八百九十億の中で賄えるという予定をしております。
  80. 斉藤節

    斉藤(節)委員 では、お伺いいたしますけれども、これまで二十六年間事業をやってこられたわけでありますけれども事業の業績としてどんなものがございますか、主なものを教えていただきたいと思います。
  81. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 公害防止事業団は、公害が著しく、また著しくなるおそれがある地域における公害防止に必要な業務を行うというようなことを目的として、昭和四十年以降すっと事業をやってまいったわけでございますが、どういった事業をやってきたのかということを申し上げますと、まず一つは、住工混在を解消するために工場等を集団で移転するための施設建設し譲渡する事業、これを集団設置建物建設譲渡事業というぐあいに申しておりますが、これにつきましては約二千四百七十億円ほどの実績を持っております。それから工場地域と住居地域を遮断するとともに近隣住民利用できる共同福利施設建設し譲渡する事業、いわゆるグリーンベルトを設置し譲渡する事業でございますが、これにつきましては二千六十九億円の実績でございます。それから三番目に、大気汚染が問題となる地域大気浄化を目的とした緑地建設し譲渡する事業、これは六十二年以降に改正で入った事業でございますが、これにつきましては五十八億。それから四番目に、国立国定公園において一部地域利用の集中による公害を防止、整備のおくれている地域利用を誘導していくための事業でございますが、これにつきましても六十二年以降でございますが、五十八億円。それから最後に、住工混在を解消するために工場が集団で移転するための用地を造成し譲渡する事業、これは四十年から現在までやっておりまして、今回、臨時業務になっておりましたこ上から廃止することを予定しておるものでございますが、二千七十七億円。このほか六十二年までは公害防止施設共同で設置する共同公害防止施設設置事業というものをやっておりました。これを含めますと、建設譲渡事業の今までの実績は六千七百八十億円ほどになっております。  一方、貸付事業について申し上げますと、産業公害防止施設を設置しようとする事業者や産業廃棄物処理事業者に対してその設置に必要な資金を貸し付ける事業、また有害物質による市街地の土壌汚染を防止し、または除去するために行われる事業に対する融資事業、それから生活雑排水に対する湖沼や河床の汚濁を防止するための合併処理浄化槽の設置に要する費用を貸し付ける事業というようなものを融資の事業としてやっておるわけでございますが、これの実績は七千八百四十七億でございます。以上の数字はすべて平成年度までの実績ということで申し上げております。     〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  82. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大変すばらしい事業をこれまでやってこられたということで大変評価したいと思うわけでありますけれども公害防止事業団事業検討会報告というものがございます。これは平成四年一月二十九日ということになっていますけれども、これによりますと、「特定フロンによる産業公害の防止施設に対する融資事業を加える等の制度改正が行われているがこというふうにございますね。今まで自動車整備工場あるいは解体工場に対してフロン回収のための融資等を行ったことがございますかどうか、その辺を明らかにしてもらいたいと思うのです。これは前の委員会でも私申し上げましたように、この自動車整備工場におけるフロンの放出というのは余り多くはないのでありますけれども、解体工場における排出が非常に大きい。この間もちょっと申し上げましたけれども年間六千トンぐらいですか、大変な量のフロンガスを大気外に放出しているという状況であるわけでございます。私は、オゾン層破壊の問題からも大変厳しいなと思っている。そういうときに、この公害防止事業団が特別こういうような特定フロンによる産業公害の防止施設に対する融資事業を加えるということで加えているはずでありますから、それにどのくらい実際に使われたのか、御答弁いただければと思いますが、わからなければ、私の方でまた後で調べますけれども
  83. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 私どもといたしましては、そういうことをやることが公害防止上重要なことであるということで窓口を開いたわけでございますが、今までのところ実績は出ておらないようでございます。
  84. 斉藤節

    斉藤(節)委員 最近特に、一九九五年でフロンガスを全廃するということも言われているわけでございますので、自動車に含まれますこのクーラー用のフロンガス、これは量も大変多いわけでございますので、それに対する助成も行っていっていただきたい、そんなふうにお願い申し上げる次第でございます。  そこで、次の質問をさせていただきますけれども、先ほど局長御答弁されましたように、産業廃 棄物処理施設一体緑地整備事業として東京と大阪ですか、各一カ所やられるということでございますが、国立国定公園集団施設地区整備等で何かございましたら具体的に教えていただけますか。
  85. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 まず最初に、産業廃棄物処理施設一体緑地整備事業についてでございますが、これは、首都圏と西日本地区でそれぞれ一件を予定しているところでございます。  事業の規模等についてはこれから固めてまいりますので、若干抽象的なお答えで御勘弁していただきたいのですが、首都圏における実施予定の規模は、大体二十ヘクタール程度の最終処分場の設置と、その周辺及び跡地に都市公園となる緑地を設置する事業というものを想定しております。また、西日本地区実施予定の事業はこれより若干規模が小さくなり、十数ヘクタール程度の規模になるのではなかろうかということでございますが、いずれもこれから構想を固めていくということに相なります。  それからもう一つ国立公園国定公園集団施設地区整備事業につきましては、栗駒国定公園における須川地区事業実施することを現在予定しているところでございます。
  86. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ありがとうございました。  次に、本事業団の権限を強化した方がいいのじゃないか、そんなふうに私は思っておりまして、それについてお尋ねするわけでございますけれども、これは新たな事業になるのだということになればまた別なことでございますが、一応お願いがてら申し上げます。  関係省あるいは地方自治体が事業を行う場合に、環境影響評価実施要綱のもとに定めておりますアセスメント指針あるいは条例に従って環境影響評価をしておるわけでございますけれども、そのような場合に、これは環境庁仕事だと思いますが、本事業団もそれに加わって環境影響評価をしっかりやるんだというようなことにはできないものか、そういうことはできないものか、そんなふうに思っているわけでございます。それがまず第一点のお尋ねでございます。  次は、大臣も前に言っておられましたけれども、将来環境アセスメント法を制定することは、これは絶対にやらなければならないと私も思っているわけであります。そういう環境アセスメント法を制定する場合に、そういうことができるかどうかちょっと私わかりませんけれども、その環境アセスメント法の中に事業団も加わって、しっかり環境アセスメントをやれる、そういったようなことができる、そういう条文を入れてみてはどうか、そんなふうに考えているわけですが、その辺どのようにお考えなのか、お答え願いたいと思います。
  87. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 環境事業団がみずから行う事業につきましては、環境行政の一翼を担っている特殊法人の立場として、環境影響評価、環境に与える影響、また環境保全効果というものを十分認識し、その効果を発揮するような格好で事業をやっていかなければならぬということは、これは当然のことだと思います。それ以上にということで今先生の御提言があったのかと思いますが、各省庁との調整とか地方公共団体に対する支援ということにつきましては、まさにこれは環境庁が行政としてそういうことをやるべき事業だというぐあいに考えておるわけでございまして、そういう意味からいうと、それを特殊法人までおろすということは当面の問題としては余り適当ではないのではなかろうか。私どもは、環境アセスメントをまさに定着させていかなければならぬということを主眼にしてやっておるわけでございまして、そういう意味で、環境庁にそういうことをさせていただき、その定着を図っていくということを中心考えてまいりたい、こういうふうに考えます。  それから、さらにもう一つの御提言であったわけでございますが、環境アセスメントの法制化等につきましては、御指摘のように、五十九年に閣議決定を見ました環境影響評価実施要綱の実施状況をにらみながら、踏まえながら、また同時に今後の基本的な環境法制のあり方というものをあわせて引き続き検討してまいるというぐあいに従来私ども、長官からお答えを申し上げているところでございます。  そういったときに事業団を活用することができないかどうかということでございます。これはいろいろこういう機関を活用できないかというお気持ちは非常にわかるわけでございますが、多くの国で行われておりますアセスと同様、我が国におきましても環境アセスメントにつきましては事業者がそのアセスを実施する、そしてそれを行政機関が、すなわちそれは都道府県知事とか環境庁長官とか主務大臣ということになるわけでございますが、そういった行政機関が公益的観点からその審査をやっていくというような方式が諸外国を問わず定着、何ですか、一つのフォーミュラみたいなものになっているわけでございます。そういうふうなことから考えますと、先ほど一番最初に申し上げましたように、事業団事業者としてみずからその立場に立つ場合は別といたしまして、事業者でもなくまた行政機関でもないところでそのアセスメント手続に位置づけをすることができるかどうかというのは、やはりちょっと勉強を要する問題ではなかろうかというぐあいに考えております。
  88. 斉藤節

    斉藤(節)委員 そういうことは、事業者が自分の事業に対して環境アセスメントをやるというわけですから、ちょっと合わないかもしれません。その辺、一応勉強していただきたいと思うのでございます。  では、次の質問に移らさせていただきます。  第十八条の二の条文でありますけれども、「事業団は、前条第一項第七号の業務を円滑かつ効果的に行うため、関係の行政機関その他の機関及び団体と緊密に連絡するものとする。」このように条文にございます。これは役割分担について言っているのじゃないかとは思うのでありますけれども、密接な連絡をとり合うことは当然でありますが、具体的にどのようなことをするのか、また本事業団の権限強化のためにこういうことを言っているのか、その辺ちょっと御答弁願いたいと思うのです。
  89. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 十八条の二に、関係の行政機関と緊密に連絡するというような規定を設けたわけでございますが、この規定は、事業団が蓄積している情報等が開発途上地域に対する環境技術協力に有効に活用されるためには、やはりこういった地域に対する技術援助等を実施している関係機関と密接な連絡を図ることが効果的であるということからこういう規定を設けたわけでございます。  それでは、どういう機関がそういうものとして考えられるかということでございますが、外務省といったような行政機関はもとよりでございますが、国際協力事業団というようなところも入りますでしょうし、また、現実に融資を行うに当たってそういう知識を求めてやってまいります海外経済協力基金とかあるいは輸銀等が考えられることもあろうかと思います。  いずれにいたしましても、事業団が開発途上にある海外の地域の政府機関に情報を提供する場合については、こういう情報を相手方政府に流しておりますというような提供先や情報等の内容につきましてもこういった機関と連絡をとり合って、我が国技術協力というものが日本全体としてうまくいくというようなことをねらいとしてこういう規定を置かせていただいているわけでございます。
  90. 斉藤節

    斉藤(節)委員 どうもありがとうございました。  次に、廃棄物処理施設についてでございますけれども、「廃棄物処理及び清掃に関する法律第二条第四項に規定する産業廃棄物の広域的な処理が必要であると認められる地域において、産業廃棄物の広域的かつ適正な処理及び同法第十五条第一項に規定する産業廃棄物処理施設周辺地域における生活環境保全を図るため、産業廃棄物処理施設のうち産業廃棄物最終処分場若しくは 産業廃棄物の脱水、乾燥、焼却若しくは破砕を行うための施設で政令で定めるものを設置し、又はその設置と併せて当該最終処分場周辺に、若しくは設置した最終処分場に係る埋立処分が終了した後その跡地に、都市公園となるべき緑地を設置し、及びこれらを譲渡すること。」というふうにあるわけでありますけれども、これはどのような場所を考えておられるのか、将来都市公園となるべき場所ということになりますと、現在では具体的にどんなような場所を考えておられるのか、その辺お尋ねしたいわけでございます。  最終処分場の残余容量が全国平均でもう約一・五年分と極めて逼迫しておりまして大変厳しい状況にある。ちなみに、首都圏の一都三県の最終処分場残余容量は、平成元年現在で約一年分である。平成元年現在で一年分ですから、今はもう平成年度に入るわけですから、もうとっくになくなってしまっているはずなんでおりますけれども公害防止事業団法の一部を改正する法律案の参考資料にこんなふうに出ているわけです。そうなりますと、首都圏ではもうないのではないかと思うわけです。例えば、私の選挙区にあります西多摩郡の日の出町の処分場ももう満杯ということで、今新たなところを日の出町で探しているというのですけれども住民が強力に反対しているわけであります。そんなような状況でありまして、そういうことを考えましてこれからどのような場所に処分場を考えておられるのか、御答弁願いたいと思います。
  91. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 具体的にどういうようなところを想定しているかという非常に難しい質問でございます。結局、そういった用地難、地元対策等に相当の配慮をしていかなければならぬというようなことが最大の問題となるわけでございまして、そういうことから場合によっては、必要な場合に都市公園としての緑地整備をあわせてやろうというようなことをもって入っていこうというわけでございまして、具体的にどういうところを想定しているのか、またどういうところが適地なのかという御質問はちょっと御勘弁いただきたいと思います。
  92. 斉藤節

    斉藤(節)委員 そうだろうと私思っていましたけれども、しかし大変厳しい状況になってきている。そういうことで、首都圏全体を考えていかなければならぬではないかな、そんなふうに今思っております。  時間ももうなくなってきましたので、次に進めさせていただきます。  開発途上地域に対する環境技術協力でありますけれども、具体的にはどのようなことを予定しているのかお尋ねしたいわけであります。大体今までの答弁聞いておりましたのでわかっておりますけれども、今までのいわゆる資金援助だとか、それからそのほか事業団がいろいろ計画されておるわけでありますけれども、どんなようなことを計画しておられるのか。今まで二十六年間の積み重ねた公害に対するいろいろなノウハウを移転させようというようなことでありましょうけれども、簡単に、一分くらいで御答弁願いたいと思います。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  93. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 これは、この事業団が今まで蓄えてきました、先ほど申し上げました技術知識とか情報、例えば個別計画をつくるに当たってはどういうところに注意をしなさい、こういうことをやるとどのくらいの金がかかりますよ、こういうことをやればどのくらいの公害防止効果がありますということを、実際にそういう計画を立てる、またそういうことをやろうとする人間が必要とする実践的な知識としてそれを提供しようかということを考えておるわけでございます。
  94. 斉藤節

    斉藤(節)委員 時間がなくなってきましたので、先に進めさせていただきます。  自然公園法施行規則第十二条、これはどんなことが書いてあるかと申しますと、「特別地域内における許可又は届出を要しない行為」ということなんですね。それの二十二の八には「建築基準法第三十一条第二項に規定する屎尿浄化槽から汚水又は廃水を排出すること。」こういうことは自由にやってよろしいということだと思います。さらに二十二の九には「住宅から汚水又は廃水を排出すること。」このように条文があるわけであります。これらの条文を読んでみますと、いわゆる汚水を垂れ流してもよいというように解釈できるわけでありますけれども、これではちょっと、国定公園あるいは国立公園内のそういう施設からそういうことをやったのでは環境汚染の心配が起こるわけであります。建設省さん来ていらっしゃると思いますが、まずその辺、下水道の普及状態ですね。余り広過ぎてもあれでしょうから、例えば山梨県あたりでどんなようになっているか、お答え願いたいと思います。
  95. 松井大悟

    ○松井説明員 お答えいたします。  山梨県下は四十二市町村が下水道を実施しておりまして、山梨県全体の普及率は十九%でございますが、先生指摘国立公園及び国定公園の中の下水道事業はその中の四市五町六村でございまして、これらの地域に関連する下水道普及率は十二%と低くなっておる状況でございます。
  96. 斉藤節

    斉藤(節)委員 厚生省さん来ていらっしゃいますね。自家浄化槽ですね、浄化槽の普及率は山梨県でどうなっておりますか。
  97. 喜多村悦史

    ○喜多村説明員 御説明申し上げます。  浄化槽の中には単独浄化槽とそれから合併処理浄化槽がございます。私ども、生活雑排水もあわせて処理する合併処理浄化槽を普及しようということで、これにつきまして国庫補助をつけまして普及をするということでやっております。山梨県におきましても、国立公園等の地域の市町村においても実施をしていただいておるところもある状況でございます。
  98. 斉藤節

    斉藤(節)委員 私は、山梨県庁の廃棄物対策室長さんに聞きましたところ、山梨県下の国立あるいは国定公園内の下水道普及率は非常に低い。今二一%とおっしゃいましたけれども、非常に低くて困っているんだ、また合併浄化槽あるいは自家浄化槽、こういうものもまだまだ普及していないということでありますので、対策室長の話によりますと、事業団が今度はそういう方もやってくださるのですから大いにその方をやっていただきたいというようなことを言っておりました。そういう意味で私からも、事業団にその方の融資などをぜひやってもらいたい。これは厚生省並びに建設省の関係でございますから、その方でまたよくやると思いますけれども、特に、この条文にもありますように、垂れ流してもいいんだということであればなお一層これから施設に対して問題が起こるのじゃないか、そんなふうに思いますので、環境保全の意味からもぜひ大いにやっていただきたい、そのことをまずお願いしたいと思うわけでございます。  そこで、もう時間がありませんから、最後に大臣にお願いいたしますけれども国立国定公園内の宿泊施設等の施設整備等につきましても、自然景観やあるいは環境保全を損なわないように十分な施策を講じていただきたいし、また利用者の過度な集中による環境への懸念のある地域に対して、地元自治体や住民利用者間で合意が得られる諸対策を図っていくべきであると私は思うのでありますが、大臣の御所見を承って私の質問を終わりにしたいと思います。
  99. 中村正三郎

    中村国務大臣 御指摘のとおり、官業でやるからといって民業でやる場合と違って自然を壊していいとか、そういうことがあっては決していかぬことでありますのでありますから、えてして自然保全地域またはこういった国定公園の中で民業で事業をやろうとすると、いろいろ難しい面がございます。そういった中で官業でやるのですから、それこそ民業がやる以上の注意が必要であると存ずるわけでございます。  また、先ほどお話ししましたように、事業をやるわけですから、宿泊施設等をやるわけですから、官業の民業への圧迫とならぬような配慮も必要でございましょう。また、地域住民の方たちの御理解というのも十分得なければならない。先生指摘のとおりだと思いますので、そういうと ころをしかと頭に入れまして、これからの行政に当たってまいりたいと思います。
  100. 斉藤節

    斉藤(節)委員 それでは、これで私の質問を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
  101. 小杉隆

    小杉委員長 寺前巖君。
  102. 寺前巖

    ○寺前委員 現行の産業廃棄物処理するための中間処理施設最終処分場などの設置に対する資金融資というのが行われていますけれども、今回はさらに最終処分場などを直接建設しよう、譲渡しよう、こういう内容になってきています。これは時代の趨勢上、大事な課題だと思いますし、またそれが十分いい役割を果たすように期待をするところから質問をさせていただきたいと思います。  埼玉県で、公害防止事業団が世話をして、九一年度までに七十億円の融資を受けた寄居町の広域廃棄物埋立処分場というものが今進んでいます。これは融資をしたわけですが、融資だけでは済まないので、県がやる事業にしたって融資者自身の責任が問われることになってくるわけですが一ここの建設の経過を見てみますと、一九七五年にこの計画が発表されてから、なぜ緑と清流の地に埋立場を押しつけるのかということで反対運動が起こるわけです。私は、ここの特殊条件じゃない、どこでも起こる問題であろうというふうに思うのです。そうして、八五年に県の環境影響評価による公聴会がなされ、その段階でも反対公述が十一名だ。そして同年の五月になって、県と町その間に公害防止事業協定が結ばれる。それでも反対運動はおさまらない。  住民との関係問題というのは諸関係いろいろございまして、なかなか難しい問題だ。これからも、公害防止事業団建設をされて移譲をされるということになっても、この問題は避けて通ることのできない課題であろうというふうに思うのです。その場合に、第一線で働く事業団職員の皆さんが頭を抱え込まなければならないということにならないように、幹部の皆さんが責任ある態度をとるようにしていただくということが大事だろうと私は思うのです。  この埼玉県の進められた経過から見ておりますと、住民が直接参加する公害防止細目協定を結ぶ、それから地域環境整備に関する協定を結ぶ、それから長期にわたって住民独自の監視体制が保障される、こういうような内容の、計画が発表されて十四年目の八九年に、住民立ち会いのもとで県と町との合意をから得るという経過の中にあったわけです。そうすると、こういう問題認識の中にあって、これからの防止事業団の新しい事業としての建設事業に参加してもらう必要があるだろう。  そこで、気になる一つは、事業団最終処分場建設する際に、環境影響評価の問題ですが、この今進められようとするやり方によると、十ヘクタール規模程度ではせんかていいということになるわけですか、そこはどうなんです。
  103. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生指摘のように、この事業団事業として採択するような規模は、おおむね十ヘクタール以上ということで考えておるわけでございます。そういたしますと、例の閣議決定要綱によりますアセスは三十ヘクタール以上ということでありますので、それには該当しないということになるわけでございます。しかし、埋立面積が仮に三十ヘクタール未満でございましても、地方公共団体の条例、要綱等に基づく環境影響評価の対象になる場合がございまして、そういう場合は当然その所定の手続を踏むということになるわけでございます。  それにも当たらない場合はどうするかということが次の問題でございますが、そういう場合には、これがたとえ国や地方公共団体環境影響評価の対象にならない場合でございましても、環境庁の監督下にある特殊法人としての事業団といたしましては、やはり環境保全対策に万全を期して最終処分場建設するということが当然求められるところでございますので、あらかじめ事業実施環境に及ぼす影響等の調査、予測というものは十分やって、関係地方公共団体と連携を図りながら建設を進めていくということになるかと思いますし、また、そのように指導していこうかと考えている次第でございます。
  104. 寺前巖

    ○寺前委員 現実的には、本当に職員の皆さんが第一線で困るのだし、それから、住民とせっかく合意しておっても、形式論を言うた場合にはまた困って途中でつぶされてしまうということもあり得るわけですから、こういう環境影響調査などというものは、今おっしゃったように、形式論にとらわれずに積極的に十分やっていくことが必要ではないだろうか、そういうことをむしろやることを、例えば埼玉県のように、公害防止協定やら細目協定やら、そういうのを移譲を受ける自治体などを含めて、何かそういうふうにきちんと協定を結んでいくのだ、何かそういうふうに積極的に事を義務づけていくという方向を考えていかなければいかぬのやないかということを、今の積極的な発言に沿ってそういう感じを私は持つのですが、大臣、その点はどうですか。
  105. 中村正三郎

    中村国務大臣 今局長が答弁したことに尽きると思うのですけれども、これは官業であっても民業でやる場合でも、環境保全しなければならないということで御理解を得なければならない。  しかし、今の閣議決定のアセスメントによっては三十ヘクタール以上ということになっておる、それに該当しない、しかし大体のところは地方自治体による条例なりなんなりに入ってくるであろう、そうでない場合どうするのかということでありますが、これは民間の方がやる以上に、こういう環境に関する事業団がやるのですから、みずからを律してきちっとしたものをやり、そして事業計画策定に当たって地方自治体と協議する、御相談するようになっております。  実際にはそういうところで、こういうアセスメントをいたしました、それでこういうようなことでございますからというようないろいろな御理解を得てやっていくようになると思います。そういうことで、きちっと環境保全に努めていけるように、この事業をよく見守ってまいりたいと思っております。
  106. 寺前巖

    ○寺前委員 法律が通る段階における大臣なり局長さんの正式の答弁ですから、これは尊重されて後々やっていただきたいということを思います。  それから建設譲渡の相手が第三セクターになってきた場合、県になる場合もありますが、第三セクターになってきた場合に、さてそこで一つの問題が起こってくるのは、私は前にも質問をしましたけれども、岡山県の玉野市で国定公園施設整備事業をおやりになって、そのときの第三セクターへの移譲問題があった。それを見ると、わずか一割程度しか自治体はお金をださないという問題が起こってくるのです。地方自治法からいうと、関係予算の審議や経営状況の報告を求めることができるのは五〇%以上でないとだめなんだとか、監査委員による監査ができるのは二五%だ。第三セクターといったって、実際は一割しか持ってへんかったら発言権ないわけですね。だからそういうことをやっているような第三セクターということになってくると、これはもとをつくったのは公害防止事業団か知らぬけれども、後々問題になってきたときに、第三セクターに渡してしまって自治体が物を言えぬようでは、これは話にならぬことになるじゃないか。そこはどういうふうに今回はお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  107. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 産業廃棄物処理施設の場合を考えますと、この責任は、やはり原則としては排出事業者責任の原則というものがあるわけでございまして、それでうまく進まないということから、地方公共団体が必要に応じて第三セクター方式により、この産業廃棄物処理に取り組むということをやっておるわけでございます。  その際、どういった関与が必要か、どの程度の関与が必要かということは、やはりそれぞれのそのときの実情に応じて地方公共団体判断にゆだねざるを得ないのではないかというぐあいに私ども考えております。したがって、何パーセント 以上でなければならぬというようなことは、先ほどの原則を踏まえた上でこういう方式が考え出されているということから考えますと、余り現実的ではないのではなかろうかというぐあいに考えます。  ただ、この業務に係る譲渡契約を締結するに当たりましては、やはり産業廃棄物の広域的かつ適正な処理が確保されなければならないということはもちろんでございますので、譲渡先となる第三セクターに出資する地方公共団体とか民間事業者の状況、またその最終処分場における産業廃棄物処理計画等を十分見て審査をする必要があるということはもちろんのことだろうと思うわけでございます。
  108. 寺前巖

    ○寺前委員 何もお金の、産業廃棄物をつくった人が金を出して処理せんならぬということは、それはそのとおりなんですね、発生源者か処理するのは当たり前のことだから。だけれどもそのお金の出させ方というのはいろいろな、何も出資ばかりが出させ方でないので、本当に地域住民が安心して最終処分場として認められるものでないとあかん。その場合に世話をしていくのは、もともと県とか自治体が世話をして始めるんだから、それがいつまでも発言権を持ってくれるような機構でなければ困るというのは、これは住民との間に協定を結んでいった場合に、協定は結んだけれども後は知りませんでは、それはつくるときだけの話であってということになるから、そこで私は、出資関係の分野においても発言権を保障されるようなことを考えないかぬのやないか。あるいは今地方自治法上、さっき言ったような五〇%とか二五%とかいう、こういうあれがあるならばそこを直すのか。いずれにしたって発言権が保障されることを念頭に置いてもらわないと、未来にわたって、やはりやり始めたらもう後はどうにもならぬようになってきますから、だから責任持つ問題として考えてほしいということを私は今提起したわけなんです。  同じことは、この前どこかの新聞にも出ていました岡山県の玉野市の、要するに国定公園施設整備事業でホテルをつくる。ところが、ホテルをつくるところの自治体が第三セクターとしてかんだ場合には、高さがうんと高いものができるとか条件がころっと変わってしまうわけですね。それで、そのくせ、あそこにあったところのいろいろな動植物に影響を及ぼすという問題があるから、川そのホテルの関係のあり方についてはちゃんとしてほしいと自治体で言うたって、なに出資が一割しかない場合には発言権はないんだ、一般的に要望をしにいく自治体にすぎないんだ、決定権について物を申すということにはならないんだ、これでは困るじゃないか。現にああいうホテルをつくる、国定公園内の整備の問題でも出てきたわけでしょう。  それで、私はこれが事実かどうかちょっと確かめておきたいのですけれども、こういう国立国定公園集団施設地区整備事業では、自治体出資比率を監査委員が監査できる二五%以上にしようじゃないか、公益事業団体も含めて五〇%以上にしようじゃないかということが話として成りつつあるというふうに聞いているのですが、それは事実に反するのですか。そこはどうなのです。     〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  109. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 お答えいたします。  ただいまの点につきましては、そういう拘束力のあるといいますか、そういう形にできるだけなるようにという方向で検討いたしております。  なお、公園事業に係るものにつきましては自然公園法でまた別途管理方法についての許認可等もございまして、そういった前提でやっておりますので、これが第三セクターに移った後もちゃんと私どもの方で見ていくということになります。
  110. 寺前巖

    ○寺前委員 ということは、この前払、あのときにも、本当に出資して第三セクターといって自治体がかんだ、期待をすると思っても、実際上発言権がなくなってしまったらえらいことじゃないか、こういう話から来ているわけですね。  そうすると、産業廃棄物の場合になってくると、最終処分場は後々どうなるかといったら、この発言権を確保しておくという問題を指導の重要な内容として僕は確立せにゃいかぬじゃないか川ちょっと不安になるんだ、私はその点が。だからこれはこれから検討してもろうてもいいことでしょう。だから、私はぜひ検討してほしいと思うのですが、大臣、いかがですか。
  111. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生いろいろ御心配になっている点は御理解できるわけですが、先ほど申し上げましたように産業廃棄物処理する責任というものを事業者に課している、それでは済まなくなって、公共関与というものを取り入れているというようなこと、またそれぞれの事情、地域の事情によっていろいろな事情がありますことから、一律にその資本金、出資金でそういう制約を課すというのは必ずしも適当ではないのではないか、また、産業廃棄物に関する都道府県の監督責任または監督権限というものは別途あるわけでございますから、そういう権限等も利用して、譲り受けられた最終処分場が不適正な運営がされるということを防ぐ道は確保されるのではなかろうかというぐあいに考えるわけでございます。
  112. 寺前巖

    ○寺前委員 余り時間もないのにごてごて言いませんけれども、要するにつくるときには自治体ががんで話を進める、国が出てきて事業を始めたんだ。ところが、実際は運営は民間団体が事実上はやっているんだ。民間団体のやり方についてはもうけ中心になっていくから、何をするかわからぬという不安がそれから出てくる。そういう段階に、監督官庁はしっかりしてますからというだけやったら、世の中、公害問題起こらへんわな。そうやないさかいに起こるんやわ。だから常々第三セクターで、第三セクターというのはちゃんと自治体もかんでいますのや、かんでいるものは発言権がこういうふうにありますのやということを保障する体制を検討してもらっておく必要があるのと違うかということを問題提起しているので、もうここで長々と乱やりません。だから検討しておいてほしいということをあえて言っている。現に自然公園の中におけるところの、国定公園内におけるところのホテル問題では、検討してくれて、改善方向を今出しておられつつあるんだから、だからこの問題だって僕は同じことが起こってくるんじゃないかな、心配はよくわかりますとおっしゃるんだから、心配がわかるんだったら検討してくれという話だ、これは後で大臣お答えをいただくことにして次に行きますけれども、これは、私は環境問題はやはり環境庁ができたことがよかったなと言われるようにしなかったらあかんと思うんですね。  ことしになってから、私は鹿児島県の志布志湾に行ってきました。夜中に着いて、飛行場から随分ガスの深いところやなと思いながら、鹿屋というんですか、鹿屋に泊まって明くる日志布志湾のずっと海岸を見てきたんです。  行ったのは日南海岸の一番南、志布志湾のところですね、ここなのよ。あそこへ行ったら馬がいました。馬が海岸線をずっと歩くんだけれども、その海岸線で訓練している馬が、砂浜がずっとなくなってきとるんだわ。これは私、日南海岸の印象が何十年も昔の印象と全然違うわけ。これ一体どないなっとんやろ。これは、こんなことになった因果関係は一体どこにあるんだと私は感じましたよ。あそこに国家、石油備蓄基地という島をつくった。島とこちらの半島との間のところへ砂がずっとたまり出した、そして片っ方の有名な日南海岸は削られていく。こんなことになる過程において、こういうことを許可をする場合にはちゃんと審議会で審議をし、環境庁意見をつけて、白砂青松のこの日本を大事にするために一役を買うたんと違うんかいな、私はそう思いましたよ。ところが、事態はそうじゃない。ずっとえぐられた。  それで私、県庁へ行きました。知事さんおられなかったので副知事さんにお会いした。私、素人目にも見るんやけれども、あの島をつくったのがやはり問題と違いますか。私の体験から言っても、京都の日本海に入るところに由良川という川があります。川の出口の片っ方は舞鶴、片っ方は 宮津市、両方そこに海水浴場がある。これは堤防をどうするかということでちょっとさわったら、片っ方に砂がざっと全部流れてしまって、片っ方はもう海水浴場つぶされるんです。ともかく海岸線をさわるという問題は影響するところ物すごいから、長年にわたって手がつけられない、これは常識やと思う、社会生活をしている人間にとっては。そこへ備蓄基地をちょっと海岸から離れたところにどんとやったら、流れとの関係でどうなるのか心配せえへん方がおかしいんで、その結果があなた、今もうつぶされている。二、三百メートルのところがずっと。日南海岸の一番南ですよ。えらいことをしてくれたな、率直に私はそう言うた。  副知事、どうですと言うたら、急にひどくなってきたのは九〇年のあの台風の後です、こう言うわけでしょう。そりゃ、台風が契機になってはっとなっていったでしょう。だけれども、原因はそこにある。環境庁はこれについてどういうふうに理解しておられるんですか。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  113. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 お答えいたします。  今先生指摘の場所は、日南海岸国定公園の志布志湾の柏原海岸の部分だというふうに理解いたしております。  ここにおきます侵食問題は私どもも情報を得ておりまして、現在当海岸を管理しておりますのは鹿児島県でございますが、そこでその原因の調査検討をしておるところでございまして、県によりますと、これまでのところ波浪により侵食されて漂砂となりました砂の一部が、石油備蓄基地の建設によって生じました埋立地の背後に当たる部分でございますが、波浪遮へい域というところに堆積いたしまして、侵食箇所への砂が再移動することがなくなったということで、現状のような海岸線の変化の状態になったというふうに聞いているところでございます。
  114. 寺前巖

    ○寺前委員 すると、私の言うとおりやわ。それは当たり前なんです。素人が見たってわかりますわな。  ところが、その当時の鹿児島県が行った環境影響評価では、「海岸浸食への影響は軽微なもの」、こうなっておるのです。あれが軽微やろか。環境庁長官は、埋め立てについて運輸大臣から意見を求められ、八四年八月、「特に安楽川以南は白砂青松海岸景観の優れた地域であり、本件埋立てがその優れた白砂青松海岸景観の維持上この地域で許容し得る限度ぎりぎりのものである」と書いてある。そんなもの、限度ぎりぎりどころか、あなた、もうつぶれてしもうたがな、あれ。その後に、「周辺の砂浜については、汀線調査等十分な監視を行う必要がある」、もう監視の段階じゃなくなってしもうてるわ、あれ見たら。  そうすると、あの当時に環境庁がとった態度は許容し得るものの限界ぎりぎりなんと言っておったことが、これはちょっとまずかったな、きちっと反省しなかったら、私はこれからの環境庁のあり方に、やはりあいまいでごまかしかあったらあかんと思うのです。事が明確になった段階に、しまった、あのときにこうしておけばよかったというふうにやはり言わなければいけないのではないだろうかと思うのですが、環境庁長官はどういうふうにお思いになりますか。今わらないのだったら現地へお行きになってでもその目で見ていただいた方が、体で味わっていただいた方が私は早いと思うのです。私みたいな素人でもそう思ったんだから、いかがですか。
  115. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 ただいまの点でございますが、当初の計画案に比べまして、私どもやはり国定公園への影響を非常に懸念をいたしましていろいろ議論をいたし、鹿児島県の方から出された変更案が沖合いにさらに出すという計画でございましたので、国定公園の風致景観への影響が軽減されているものというふうに考えまして、自然公園法立場から申し上げますと、これは都道府県知事の所管に係るところでございますので、知事の判断対応できるものというふうに考えたわけでございますけれども、今アセスメントの意見といたしまして、先生が御指摘されたようなコメントもつけ加えて意見を申し述べておるわけでございます。  特に、汀線の十分な監視というものにつきましても定期的な監視を要求し、その結果に基づいて所要の対策を講ずるよう県にも指導してきたところでございまして、既に応急対策には去年来着手しておりますし、恒久対策についても現在検討をしておりますので、それを見守ってまいりたいと考えております。
  116. 寺前巖

    ○寺前委員 八二年の二月に、国定公園の景観に重大な影響を与えないという態度をとったんだ、それまではどうとっていたかというと、八一年当初の環境庁は、安楽川以南の埋め立ては許さないという見解を持っていたのです。だから、態度変更をしたんだよ。そして、これがもうぎりぎりですよ、したがって、後云々、調査しなさいよ、こうなっているのです。あの八二年二月にとった態度が、今日禍根を残したんだ。  当時、調べてみたら、自然環境保全審議会に諮問をしていないのですよ。それで、この審議会では都留重人審議会委員環境庁の姿勢を批判して退席しているということまで記録に載っているのだもの。だから私は、このときにとった態度というのはしまったな、率直に感ずるですね。  だから、大臣は本当に今日の時点を環境庁のこれからの姿勢を正す上において、済んだことはもう済んだことなんだから、済んだことをきっちりすることが私はこれからの保障になるだろうから、新環境庁長官はきちっとこの問題について、禍根を残したものとして調査に当たられるかどうかですよ。みずからもう一度調べ直してくれるのか、単なる報告だけを聞いているのではなくして、みずからちゃんと見直してくれるのかということが一つ。それからさきの件、検討してくださいよとお願いした法案上の問題、このことに対する環境庁の長官の御見解を聞きたいと思うのです。  なお、この志布志湾の問題、県がおやりになることだからということで済まさないようにしてほしいと思うのです。国がつけた意見がこういうことになったということを考えて、国としても抜本策に真剣に積極的に取り組んでいただきたいということを要望したいと思います。
  117. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員指摘の、一般論として申しますと、私の選挙区も半島でありますので海岸線のことはよく見てまいりました。やはりちょっとした砂防林をつくっちゃったために、漁船が動けないほど砂がたまって海が埋まっちゃったとか、また、ちょっと埋め立てをやったんで砂がどんどんとれていってしまった。私の事務所があります前の海も、事実こういう突堤を出しまして、砂をとめているというようなことでございます。いずれも、事業をやるときにはそれほどの影響がないと思って始めたことだと思いますが、やってみて結果的にそうなったということも私の県についてはあろうかと思います。  そういうことを考えますと、やはりこういう自然環境保全ということは随分心してやっていかなければいけないことだなという感想を持っております。そして、その当時、埋め立て周辺の砂浜については定期的な波打ち線の調査実施し、十分な監視を行う必要があるという意見環境庁長官としては当時つけておりまして、その結果こうなってきて、これからどうするかということでありますけれども、それは今うちの方の局長から御答弁いたしましたように、私どもはこういう国定公園内の行為ということで重大な関心は持っておりますけれども、これに対する対応はやはり県でやっていただくべきものであろうと思っておりまして、今後とも風致景観の保護の観点から重大な関心を持って、また御連絡をとって、いろいろこちらからも御意見を言うこともございましょうし、聞くこともございましょうけれども、原則としては県で御対応になることであろうというふうに思っております。  それから、先ほどのいろいろな事業のことでありますけれども、やはり私はこういう市場経済、 自由な中で行っていく企業活動、そして産廃が出てだれの責任だ、それをどういう事業でどうやっていくというような中で、私は何がなんでも全部国でもって食いぶちを出すというのがいいとは限らないと思うのですね。特に、こういった自然の保全だとか産廃の問題だとかその後の事業の管理とか、その地域の皆様方の意見が反映されるという意味で、やはり自治体の方々のいろいろな管理に任じていくという方向がいいのではないかというふうに存じております。
  118. 小杉隆

    小杉委員長 時間です。
  119. 寺前巖

    ○寺前委員 どうもありがとうございました。
  120. 小杉隆

    小杉委員長 御苦労さまでした。  中井洽君
  121. 中井洽

    中井委員 私どもはこの法案に賛成であります。賛成の立場から、短い時間ですが、幾つかお尋ねをいたします。  いつも公害防止事業団のことを思いますと、これだけ民間の企業、産業いろいろ発達した中で、どうしてこう公害防止事業団というものが一枚かんでいろいろな仕事をやらなければならないのかと率直に思うわけであります。環境ということはなかなか利益を生み出すということは難しゅうございますから、過日大臣にも御質問で申し上げましたように、税制とか資金とか技術とかそういった形で援助だけしていけば、ここに改正で出ておるような事業団がやろうとするような業務というのは大体民間でやっていけるのではないかと私どもは実は考えております。それをあえて環境事業団という形で特殊法人に仕事をさせていくその有利さ、利点、こんなところを御説明を賜りたいと思います。
  122. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 私どもも、これからの世の中におきまして環境事業団、今までの公害防止事業団というような特殊法人が、公的機関それから民間活動との間でどういったような活動をし、どういうことをやるべきかということはいろいろ議論いたしました。議論いたしたわけですが、やはり先生もただいま御指摘になりましたように、市場経済に任せておけば必ずしもうまくいかない分野というのはどうしても残る。やはり収益性から見て、収益性のある事業の方へ資金的なものは流れていくとか、また技術がないものにつきましてはどうしても後回しになってしまうというような問題があろうかと思います。  そういうようなことから見まして、特に環境行政、公害防止行政というような分野におきましては、純然たる市場経済に任せないでやはり公的部門から何らかの規制を加え、また助成措置を講じていくということが必要であるというようなことを考え、せっかく四十年以来ノウハウなりまた技術力を持ってきたこの事業団に今後も環境行政の一翼を担ってもらうというようなことで、今回この改正法案を御提案申し上げているところでございます。
  123. 中井洽

    中井委員 申し上げましたように、資金援助をするとかあるいは税制面からお手伝いするとか技術援助をしていけば、今おっしゃったような民間の不利が十分補えてやれる。あえてそれを事業団という形でおやりになるというのはどういうことだ。  例えば最終処分場あるいは公園整備、こういうのはみんな何も地方自治体あるいは公園法にのっとった形でクリアしてしまえば、あとは資金的な面あるいは税制面、こういったことを十分採算がとれるような形にしておいてやれば、事業団がかまなくてもできていくわけであろうか。事業団がかんだから何か急に早くできるとか、例えば最終処理場、こういったものを、もめておったのを事業団が出ていって解決してつくるわけじゃないでしょう。地方自治体が住民との話し合いを全部終えて、やるというのが決まってから事業団が委託を受けてやるわけでしょう。だから、そういう意味でどこに有利さがあるか、こういったことをお尋ねしているのです。
  124. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生の御質問に的確にお答えすることになっているのかどうか、ちょっと心もとないわけでありますが、例えば最終処分場のようなものを建設するときに、現実の問題として、今用地難それから民間事業者に対する不信感というようなことから、法律では事業者責任の原則というものを打ち立てておきながら、現実には第三セクターなり地方公共団体が関与するような格好になってきているわけでございます。  そういうような現実の問題を踏まえ、さらに最終処分場のような場合に非常に懐妊期間が長い、また技術力をいろいろ要する、行政手続についていろいろとクリアしていかなければならぬ、また利害関係者の調整を図っていく必要がある、そういったような事柄に対して、資金と技術とをあわせ一体としながら解決していくというような方向をとることが有効であり、また効果的であるというようなことから、地方公共団体と連携をとりつつ、また事業団の従来培ってきたノウハウ、また国の機関としての信用力というものを使いながら、最終処分場というものを建設することが早くできるし、また効果的に建設に結びつくことができるのではなかろうかということで、今回御提案申し上げておるわけでございます。
  125. 中井洽

    中井委員 くどいようですが、私は、実は必ずしもそう思っておりません。  例えば、この環境事業団というのが一から調整をして、難しい話をして請け負って全部やるというわけじゃない。話はすべて地域で決まって、そしてその上で仕事を請け負う制度になっているんだと思うのですね。確かに、資金的には助かる面もあるだろう。しかし、トラブル調整だって、あるいは技術力だって、官公庁よりか民間の方が劣っているなんて私はちっとも思いません。民間の方がはるかにこのごろ進んでいますし、トラブル処理だって民間の方がはるかにスマートにやる。そういうときに、なぜこうやるかと言われると、今お答えがあった中で、やはりその法律のクリア、規制のクリア、こういったことがあるのかなと僕は考えておるわけです。  それで、私どももいろいろな環境問題に関して、例えば自然公園国立公園の中の既存のいろいろな業者さんが、例えば山小屋を持っておる、あるいは休憩所を持っておる、これちょっと直そうとしたらもうすさまじい手続、物すごいハードル越えなきゃならないわけですね。環境事業団だったらそういったことは役所同士で、役所と特殊法人との間でうまくクリアできるのか、そんなところが一番有利なのかな、こう思うわけでありますが、そんなところではないですか。
  126. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 なかなか厳しい御質問でございますが、行政手続、いろいろかみ合っていることをほぐし、それを廃棄物行政または環境行政に今まで培った知識、技術を持っているということから、ほぐし方なりまた手続の進め方にとって若干有利になるということも確かにあろうかと思います。
  127. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 事例として公園宿舎事業のことが出ておりますので、ちょっと弁明させていただきたいのでございますが、事業団が行います場合、自然公園法上は、国とか公共団体という立場ではございませんで、いわば純粋の民間の方と同じような形でやっておりますので、ただ、公園計画などに従ってやっていただくという意味で、ノウハウなり技術なりをもう既にお持ちである、そういう点では確かに有利でございましょうし、また、私どもとしても国の言うことが割と理解をされやすいレベルに達している。ただ、自治体なり第三セクターになりますと必ずしもそれがそういったレベルまでなかなか達しがたいということで、そういう点でいえばこちらの方がやや理解が早いのかなというふうに考えている状況でございます。
  128. 中井洽

    中井委員 さっきも申しましたように、賛成ですから余りごたごも言うつもりはありませんが、要は環境事業団がかむことによって事業そのものが早く進む、あるいはまた逆に、補助や資金的な援助を別にして、民間でやるより安くやるんだ、こういう心づもりでいろいろな事業に取り組んでいただきたい、このように私は思いますが、いかがですか。
  129. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生指摘のように、まず環境面に十分配慮をされた事業を、コストを安く、しかもなるべく早く事業進捗を図るという見地から事業進展を図ってまいりたいというぐあいに考えます。
  130. 中井洽

    中井委員 この事業の中で、大気汚染対策緑地建設譲渡業務というのがございます。これが六十二年に改正されて、公害健康被害補償予防協会の五百億の基金も含めてお使いになって、指定地域解除になったところで緑地をおつくりになっているわけであります。この中で、こういう基金が、例えば緑地をつくるとどのぐらいの補助で今どういう運用のされ方をしておるか、御説明をいただきます。
  131. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 今現在、この大気汚染対策緑地事業につきましては、六十三年度から兵庫県の尼崎地区平成元年から愛知県の東海地区平成年度から三重県の楠地区、この三つの地区について事業をやっております。  事業期間は、例えば尼崎でありますと六十三年から平成四年まで、東海地区でありますと平成元年から平成五年まで、楠地区につきましては平成二年から五年というぐあいに、大体四、五年の事業期間を要し、事業費としては大体五十億から七十億前後ということになっております。  国庫補助金がどのくらいになっているかということでございますが、一つの例として楠地区をとってみますと、全体の事業費が約五十六億円でございまして、そのうち国庫補助金は約十五億円というものを予定しております。
  132. 中井洽

    中井委員 楠町というのをお話しいただきました。私の選挙区でございますが、大変大きな立派な公園をおつくりいただいて、いろいろ地元意見もありますから計画も変わってまいりますが、これは大体五十六億でできるんですか。最終的には七、八十億、八十億ぐらいかかるというのが地元で言われておりますが、この点、いかがですか。
  133. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 私ども、まだこの五十六億につきまして、事業計画を変更すべき要因が生じているというぐあいには私は承知しておりません。
  134. 中井洽

    中井委員 先ほど申し上げました、この事業団ががんで、官公庁であるが半官半民みたいなものですから、かえって高くなるのじゃないかという心配は実はこういうところもあるわけであります。それで地元では盛んにそのことが議論されているわけでございまして、最終的にその高くなった分、補助金が上がっていって補助率がふえていくなら結構だけれども、結局地元が持たなきゃならない。人件費の高騰もあればいろいろな要因もあるんでしょうが、そういったことが各事業であるんじゃないか。そしてそれは仕方がないじゃないかという形で処理されていって、結局余計採算がとれない、あるいは地元公共団体にとっては大変な負担になる、こういう現象が事業団だけじゃなしにお上のかんでいる事業、大体がそういうところがありますが、そういうことがあるのじゃないかと心配をいたします。  そういう点についてもう一度、それでは楠町はこの五十六億の金額でいく、間違いない、お尋ねをいたします。
  135. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 今先生から、それで大丈夫なのかというような御質問をちょうだいしたわけでございますが、これにつきましては、私はそれで大丈夫かどうかという視点から事業団の方に聞いておりませんので、ちょっとここでお答えしかねるものでございますので、御容赦いただきたいと思います。
  136. 中井洽

    中井委員 それじゃ、後刻また説明でもいただきますよう、お願いをいたします。  それからもう一つ。先ほど自然公園国立公園施設のことについてお尋ねをいたしました。国立公園自然公園環境保全というのはよくわかることでありますが、余りこう施設をつくって、国民が楽しむために施設が要るというのもわかりますが、国立公園自然公園というのはそのままであるのが一つ公園の姿じゃないかと思います。  日本人、これだけレジャーを楽しむようになって、また、その中で自然を見直そうという空気も出てきたこと、大変歓迎をいたします。私どものところにも東海自然歩道なんというのがあります。しかし、あれだって本当は東海自然歩道なんだろうか。まあ和銅の道とかいろいろな道がありますが、ああいうものはそのままの姿で残っているのが自然だと私は思います。それを何かわざとらしい整備をしちゃう、これが本当に環境行政の中でいいことなんだろうか、ときどき自問自戒をするわけであります。そういう点について、大臣、率直なお考えをお聞かせいただきます。
  137. 中村正三郎

    中村国務大臣 今委員指摘のことは、私も聞けば聞くほど考えさせられることでありますけれども、当事業におきましては、公園の本来持っている目的をより有効に国民の方に活用していただくためにこういうことをやるということで御理解をいただきたいと思うのですが、委員の御指摘のようなことをよく頭に入れて、これからいかなきゃいけないなという感じを持っております。
  138. 中井洽

    中井委員 例えば駐車場をつくる、本当にそんな自然公園国立公園へ行くのにみんな乗用車で行かなきゃならないのか、そのことはかえってそこらの緑を排気ガスで汚しちゃうということになるんではないか、こんな思いも抱くわけであります。  常に、環境と自然保護というのは非常に難しいものだなと私も自問自戒をしております。この間、ちょっとここで申し上げたのか逓信委員会で申し上げたのか僕は忘れたのでありますが、今度例えば郵便局が、郵政省が自然環境保護というマークで広告入りのはがきを売り出す、こういう法律をつくるわけですね。僕は郵政省に申し上げたのは、そんな自然環境で何やるのと言ったら熱帯林守るんだ、こう言う。それだったらはがき減らすのがいいんじゃないか、はがきはどんどんふやして自分たちだけ守りましょうというのとよく似ておるよ、例えばはがきを全部再生紙にしてしまう、そういうことが本当の環境保全じゃないか、ムードだけじゃないかと言ったことは覚えております。  そういう意味で、自然公園国立公園地元にもいろいろな要望があり、見たい人にもいろいろな角度からの見方というもの、自然との楽しみ方があろうかと思いますが、ぜひともひとつ余り手を入れない、こういう形の公園というものも残していく。お考えを賜りたいと思います。  最後に、地球環境ということで国際的に情報提供をするんだという業務がこの中に入っております。大変な環境あるいは公害防止の技術を持った日本ですから、蓄積したノウハウ環境公害問題で苦しんでおる地域あるいは国々にお知らせする、お使いをいただく、私は大いにやっていただきたいと思います。これは大臣として、将来的にはデータを出すだけじゃなしに、日本の国の援助一つとしてこの事業団そのもので直接的にお仕事を手伝うというところまで発展をさせたいとお考えなのか、あるいは他のいろいろな機関との関係があって、ノウハウの提供だけで環境事業団としてはいいんだとお考えになっているのか、これだけお尋ねして、質問を終わります。
  139. 中村正三郎

    中村国務大臣 今環境ODAをやります場合に、国の組織としてはいろいろな部門があるわけですけれども、主に今先生の御指摘のようなこうした技術を持って外へ出ていくということになりますと、JICAでやっているということになります。今度の法律改正一つの目玉は、今まで蓄積してきた公害防止事業団ノウハウをそういうところに提供できるというところに非常に画期的な大きな意味があると思うのです。  そういう意味で、先生の御質問でありますけれども、今この環境ODAそのものについて考え方が大変変わってくる時代だと思います。アルシュ・サミットにおいて三千億円の環境ODAをやろうということで、これは平成二年までに完成をしてしまった。環境に対するODAもどんどんふやしていく。ところが、ODAというのは要求ベースで行うことが多いですから、必ずしも発展途上国から環境に対するODA要望ばかり来るわけでない。こちらがやってさしあげたいと思うこと でも向こうはそれは結構ということがあり得るかもしれない。そういう中で、折しも地球サミットが開かれて、地球環境保全のためには発展途上国の方にどうやって事をやっていただこうか、それにはどういう技術を提供してどういう資金を提供しようか、全く違った時代に環境ODAも入ってくる時代だと思います。  そこで、環境庁といたしましても、こうした地球化時代環境政策のあり方、その中で国際環境協力のあり方というようなことを中公審、自原審に諮問いたしまして答申を待つ、こうした大きな流れの中で検討が始まっているところでありまして、委員の御指摘のようなことも頭に入れながら、こうした問題に取り組んでまいっている最中であるということを御答弁させていただきたいと思います。
  140. 中井洽

    中井委員 終わります。
  141. 小杉隆

    小杉委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  142. 小杉隆

    小杉委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  公害防止事業団法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  143. 小杉隆

    小杉委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 小杉隆

    小杉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  145. 小杉隆

    小杉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十七分散会