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伊藤(忠)
委員 ありがとうございました。
そのことを前提にいたしまして、まず初めに
外務大臣に、この
条約に入ります前にお尋ねをいたします。
つまり
見せしめ発言なんですね。これは二十四日に福岡のたしか
地元の
財界セミナーに
出席をなさって、そこで思うところを述べられた。その
発言の中身が、
見せしめのために
解散をせよ、こういうことのように私は承っているわけですが、これは
大臣御
承知かどうかあれですが
内外に大きな反響を呼んでいると思うのです。
大変国民の間では、私
たちも
地元なんかにしょっちゅう入っておりますから聞くのですが、
外務大臣といえばこれは
日本の
外交政策をつかさどる直接の
責任者であります。言うならば副
総理でございますから
政府の極めて重要な
責任のある
立場に立たれている
外務大臣が、
国会運営の次元で
国対のやりとりがございまして
トラブル発言があったというならまだしも、
政府の要人の
立場で、しかもこの問題は恐らく意図されているのは
PKO法案をめぐる
思いをこのことに関連させて
発言をされたのだろうと私は
思いますから、これは大変なことだろうと思うのです。
見せしめのために
解散というのは一体どういう論理なんでありましょうか。私は思うのですが、
外務大臣の
本音というのは、つまり思うように
自分たちの
一定の枠の中で大体言ってくれる人はいい、その箱の中に入ってこない人間が
国会の中でがたがたするんだったらこれは許せぬ、やってしまえといえような、そういう
権力者の発想があるんじゃないですか。この
見せしめという
言葉は、言うことを聞かぬやつは力でやっつけよう、大体そうだと
思いますよ。一般にそういうふうに使われますよね。だから、
言葉をかえていえばそれは
断罪者の
立場じゃないですか。
国会というのは
政党中心に
運営がやられていると思うのですが、大きな
政党であろうと小さな
政党であろうと、言うならば
審議を堂々と尽くして、そして
議会というのは
議事運営は運ばれていくものだろうと私は思っております。つまり、どんなに数が大きくても小さくてもその
政党には
一定の
支持者がございまして、
支持を得て
国会に出ている
国民の代表、言うならば最高の
立場でやられているのだと位置づけられていると私は思っておるのですが、そういう中で
審議をやられたことに対して
政府の
立場からそういうものも言われるというのは、これは到底納得できません。
しかも、
政府の
立場に立つならば、むしろ
国会運営が
十分議論をして
一定の
合意点を図るようにやっていってくれぬかな、もちろん
政府から出した
法案というのがそのまま通っていけば
政府の
立場としてはそれにこしたことはないのでしょう。しかし、言うならば
国民の世論を受けた
格好で
国会審議、
国会の場が設定されているわけですから、その場でさまざまな
議論が出るのはむしろ当然じゃありませんか。そうならば、円満に
国会の
議論が行われて
合意点が見出されていくということをむしろ尊重する
立場に
政府はあるんだろう、私はこう思うのですが、そういう点から
考えますと明らかにこれは
越権行為じゃないのか、このように言わざるを得ません。
大臣は
大臣の
立場でPKO問題を
考えて、
外務大臣として
責任ある
立場で
法案を出されているんだろうと
思いますが、このPKO問題、一言触れさせていただきますが、私はこう思っているわけです。
国連を
中心にして、
加盟国ができる
範囲で精いっぱい
努力をしようと。そして、
アジアで言うならばカンボジアの人々が、和平を回復したい、新しい政権を一日も早くつくりたいと。戦後
復興に向けて住民の願いを一身に受けた、そういう戦後
復興に取り組んでいく体制をつくってやりたい、一人でできなければ
国連がやっていこうというのでUNTACが生まれて、各国も、
加盟国も、それぞれのできる
範囲で精いっぱいやっていこうというのが基本じゃないでしょうか。私は
国際貢献はそういうものだと思うのですね。
例えば、一つの町内に例をとれば、ある御
家庭が非常に困っておみえになる、ではみんなで助けていこうじゃないかということになった。ところが、ある
家庭では
夫婦げんかが起こって、どういう助ける
方法があるのかというので
議論が高じて
けんかになった。援助を受ける方も本当にそれでうれしいのでしょうか。
私は卑近な例を出してこう言うのですが、それじゃいかぬと思うのですね。みんながそれぞれの
立場でできる
範囲のことを精いっぱいやってくれたということがあって初めて、助けてもらう人だって、これはありがたい、では
自分たちの二本足でしっかり立って、さまざまな
課題が山積しているけれどもこれから再建のために頑張っていこうやという、そういう勇気というか主体性というものがそこから生まれてくるのではないでしょうか。私はそう思っているわけでございます。
ということになれば、我が国が二つに分かれて本当に
けんかを始めるというか、喧騒をきわめるというか、そういう状態ではなくて、
国民が、この
範囲だったらみんなが一緒にやっていけるじゃないか、そういう
国民合意。私
たちがよく言うのですが、それは
周辺国の
合意も必要でしょう。しかし、国内の各
政党が、まずこの
段階からやっていこう、
国民もそれはいいじゃないかということを一段一段積み上げていって、
国際貢献の場で、あれも足らなかったな、これをどのようにこれから充実させていこうかという
議論が、
一定程度実績を積み上げた上で、言うならば次の
課題に取り組んでいくという姿勢に変わるんじゃないでしょうか。私はそういうものだと思うのです。
ところが初めから、
政府はこう
考えているんだ、だからこれでなければいかぬというふうに固執をされたら、どうしたって
国会審議というのはぎくしゃくすると思うのです。ボタンの
かけ違いだと私が言いましたら、それは
大臣の
立場からすれば
見解の相違だと言われるでありましょう。そのことは言わないにしても、私は
国際貢献の基本的なスタンスというのはそこに置いて取り組まないと、どうしたって、
日本には
日本の国情がございますからね、一挙にそのことが何もかも
政府の思うように、あるいは与党の思うように話というのは進まないだろう、こう思っております。
ところが、
大臣としてはいらいらされて、では
見せしめのために
解散せい、これは問題のすりかえでしょう。そんなことが通るのだったら、
日本の
議会制民主主義なんというのは吹っ飛んでしまいます。このように
思いますが、
大臣の本当の気持ちをきょう
冒頭に聞かせていただきたいし、私
たちとしては、この
見せしめ発言は撤回していただきたい、こう思っております。
どちらでも結構ですが、
大臣の
本音を語っていただいてひとつ
内外に明らかにされた方が、
大臣は次がある方でございますから、そういう重要な方がこういう
発言をされるということは、とてもじゃない、
国民や我々、党にとっても本当にこれは問題だと
思いますので、その点をはっき力していただきたい、かように
思います。