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1992-03-27 第123回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月二十七日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 麻生 太郎君    理事 新井 将敬君 理事 鈴木 宗男君    理事 浜野  剛君 理事 福田 康夫君    理事 宮里 松正君 理事 上原 康助君    理事 土井たか子君 理事 遠藤 乙彦君       石原慎太郎君    唐沢俊二郎君       鯨岡 兵輔君    古賀 一成君       長勢 甚遠君    松浦  昭君       三原 朝彦君    山口 敏夫君       五十嵐広三君    伊藤  茂君       伊藤 忠治君    川島  實君       藤田 高敏君    神崎 武法君       玉城 栄一君    古堅 実吉君       和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 渡辺美智雄君  出席政府委員         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省中近東ア         フリカ局長   小原  武君         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省経済協力         局長      川上 隆朗君         外務省情報調査         局長      鈴木 勝也君         労働大臣官房審         議官      岡山  茂君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    征矢 紀臣君  委員外出席者         防衛施設庁労務         部労務管理課長 山下 佐寛君         外務大臣官房審         議官      野村 一成君         外務大臣官房審         議官      小西 正樹君         厚生省社会局更         生課長     松尾 武昌君         労働大臣官房国         際労働課長   菅間 忠男君         労働省職業安定         局地域雇用対策         課長      上村 隆史君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部企画課長 北浦 正行君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部障害者雇         用対策課長   坂本由紀子君         外務委員会調査         室長      市岡 克博君     ――――――――――――― 委員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   古賀 一成君     越智 通雄君   長勢 甚遠君     村田敬次郎君   和田 一仁君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     古賀 一成君   村田敬次郎君     長勢 甚遠君   中野 寛成君     和田 一仁君 同月十日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   大内 啓伍君     和田 一仁君 同月二十七日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     三原 朝彦君 同日  辞任         補欠選任   三原 朝彦君     小渕 恵三君     ――――――――――――― 三月十三日  所得に対する租税及びある種の他の租税に関す  る二重課税回避及び脱税防止のための日本  国とルクセンブルグ大公国との間の条約締結  について承認を求めるの件(条約第五号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国ノールウェー王国  との間の条約締結について承認を求めるの件  (条約第六号)  所得に対する租税に関する二重課税回避のだ  めの日本国政府オランダ王国政府との間の条  約を改正する議定書締結について承認を求め  るの件(条約第七号)  千九百六十八年二月二十三日の議定書によって  改正された千九百二十四年八月二十五日の船荷  証券に関するある規則の統一のための国際条約  を改正する議定書締結について承認を求める  の件(条約第一〇号)(予) 同月二十四日  子ども権利条約早期批准に関する請願(竹  村幸雄紹介)(第八三二号)  同(小沢和秋紹介)(第八三三号)  同(金子満広紹介)(第八三四号)  同(木島日出夫紹介)(第八三五号)  同(児玉健次紹介)(第八三六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第八三七号)  同(菅野悦子紹介)(第八三八号)  同(辻第一君紹介)(第八三九号)  同(寺前巖紹介)(第八四〇号)  同(東中光雄紹介)(第八四一号)  同(不破哲三紹介)(第八四二号)  同(藤田スミ紹介)(第八四三号)  同(古堅実吉紹介)(第八四四号)  同(正森成二君紹介)(第八四五号)  同(三浦久紹介)(第八四六号)  同(山原健二郎紹介)(第八四七号)  同(吉井英勝紹介)(第八四八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十六日  東チモール政策見直しに関する陳情書  (第一〇号)  ミャンマーのアウン・サン・スー・チー女史の  早期釈放要請に関する陳情書  (第一一号)  我が国安全保障のために北朝鮮の核査察と核  兵器製造施設の廃棄に関する陳情書  (第一  二号)  子供権利条約早期批准実行等に関する陳  情書外二件  (第一三号)  日朝国交正常化早期実現に関する陳情書外五  件  (第一四号)  米軍機低空飛行の禁止に関する陳情書  (第一五号)  米軍機によるワイヤー切断事故に関する陳情書  (第一  六号)  韓国・朝鮮の人々の戦後補償に関する陳情書  (第一七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  投資相互促進及び相互保護に関する日本国と  トルコ共和国との間の協定締結について承認  を求めるの件(条約第一号)  障害者職業リハビリテーション及び雇用に関  する条約(第百五十九号)の締結について承認  を求めるの件(条約第二号)      ――――◇―――――
  2. 麻生太郎

    麻生委員長 これより会議を開きます。  投資相互促進及び相互保護に関する日本国トルコ共和国との間の協定締結について承認を求めるの件及び障害者職業リハビリテーション及び雇用に関する条約(第百五十九号)の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川島實君。
  3. 川島實

    川島委員 私は、今議題となっております障害者職業リハビリテーション及び雇用に関するILO条約第百五十九号についてお尋ねをいたします。  既にこの条約は、国際労働機関が一九五五年に障害者雇用に関する分野において職業リハビリテーション勧告を採択いたしております。また国連においては、世界的な障害者の問題に対する関心の高まりにより、一九八一年を国際障害者年とし、障害者に対する国連加盟諸国に呼びかけました。また一九八三年から一九九二年、本年までを国連障害者の十年とされ、世界各国における障害者職業リハビリテーション事業の進展を図ることとし、各国は一九八三年の第六十九回ILO総会において条約の採択をなされ、一九九二年一月現在の条約締約国は三十九カ国に上っております。  我が国においても、一九八一年の国連国際障害者年を受けて、今日まで多くの施策が講じられてきております。  ちなみに一九八二年には、労働省国際障害者年に当たり重度障害者雇用促進と安定のための研究報告をなされています。また、身体障害者雇用審議会が今後の心身障害者雇用対策のあり方について意見書提出をいたしました。国はこれを受けて推進本部を設け、障害者対策に関する長期計画を決定しております。さらに、心身障害者職業センターが全県的に設置を見られております。  一九八三年には、労働省障害者雇用対策室設置、第三セクター方式による重度障害者雇用企業及び精神薄弱者能力開発センター育成事業の開始が行われております。さらに、障害者雇用専門官配置もなされております。  一九八四年には、身体障害者福祉法改正、さらに、身体障害者雇用促進法改正。一九八五年には、精神薄弱者福祉工場制度の創設が行われております。労働省精神薄弱者雇用対策の発表もここで行われております。  一九八六年には、障害者用ME機器開発研究会設置、さらに身体障害者雇用審議会雇用対策意見書提出をいたしております。  さもに一九八七年には、障害者雇用促進等に関する法律の公布、吉備高原職業リハビリテーションセンターの開所もここでなされております。  一九八八年には、日本障害者雇用促進協会の発足がなされ、第十六回リハビリテーション世界会議がここで開催をなされております。  一九九〇年には、労働省視覚障害者職域開発研究所設置、一九九一年に世界聾者会議障害者職業総合センターの開設。以上のように各種対策がなされて、ようやく本年、国連中心主義を唱える我が国がこの条約締結する運びとなったわけでございます。  この実施については、これからいろいろとまだまだ対策が講じられなければならない点が多々あろうかと思いますが、これについての御所見をまずお伺いしておきたいと思います。
  4. 征矢紀臣

    征矢政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、私ども今までさまざまな対策努力しながら今日に至ったわけでございまして、今回のILO百五十九号条約の中身につきましては、当然私どもの所管する仕事についての条約でございます。  これにつきまして、今日時点で批准についての承認をお願いするに至りました点でございますが、法制的には昭和六十二年の法改正によりまして一応批准可能な仕組みができ上がったというふうに私ども理解しておりましたけれども、なお細部にわたりまして詰める必要があること、あるいは、具体的に法律に基づきます職業リハビリテーション体制の整備、これが昨年十一月に、ただいま御指摘ございましたように職業総合センターが開所したというようなことでございまして、そのような経緯の中で今回この条約批准承認をお願いしているということでございます。
  5. 川島實

    川島委員 今回のILO条約批准により、我が国政府が取り組まなければならない課題がこれからたくさん出てくるわけでございますが、順次それについてお伺いをしていきたいと思います。  最初に課題として上げられておりますのが、職業指導だとか障害者対象とした訓練だとか紹介、この三点が義務づけられておるわけでございます。この事業を推進するために、さらにカウンセラー養成だとか活用の仕方等課題となってくるわけでございます。  障害者に対する我が国施設取扱実績を見てみますると、施設数では公共職業安定所全国で四百七十九カ所、障害者職業センターが五十六カ所、障害者職業訓練校が十九校となっております。それらの取扱実績は、公共職業安定所では平成二年度において五万六千九百九十七件、登録者数が三十四万一千八百七十六人となっております。また、地域障害者職業センターにおける障害者取扱数は五万三十件、事業主等取扱実数が二万六千百七十二件、訓練等対象者数は四千二百六十五人となっておりまして、さらに職業訓練校における定数が二千七百五十人となっております。  このように報告をされておるわけでございますけれども、これらの施設数は、現在の雇用対策を進める上で、身体障害者が今二百四十一万人、精神薄弱者が二十五万人、精神障害者が百万人おると言われておるわけでございますが、これらに対しての充足はできておるのかどうか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  6. 征矢紀臣

    征矢政府委員 障害者方々につきまして、ただいま先生指摘のような数字があるわけでございますが、私ども基本的にはこの障害者方々雇用対策、これは公共職業安定所求職のための登録をしていただきまして、その方について仕事のあっせんをする、こういう仕組み対策を講じておるところでございまして、そういうことで、現在登録者数でございますと、ただいま御指摘ございましたように大体三十四万二千人ぐらいおりますが、その中で現に働いている方を除きまして、あるいは病気等で留保している方を除きますと、現時点で求職者の方が五万四千人、こういうことでございます。  これにつきましては、全国公共職業安定所等で最大限の努力をする、あるいは必要な訓練につきましては雇用促進事業団訓練校あるいは各都道府県にございます職業訓練校、あるいはそれを通じました委託訓練等対策をとっているのが現状でございます。  これにつきまして十分かどうかという御指摘につきましては、私どもこれで万全の体制であるとはなかなか言いがたい面もございまして、さらに努力をしていかなければならないというふうに考えております。
  7. 川島實

    川島委員 次に、身体障害者等授産施設関係でございますが、現在身体障害者授産施設全国で三百三十七カ所、それから精神障害者授産施設が二十六カ所、精神薄弱者授産施設が五百八十一カ所、これらを合計いたしますと、九百四十四カ所、延べにして四万五百八十一人の利用報告を受けておるわけでございます。しかし、このほかに、地域では小規模でおのおの地域人たちが、障害者の親やボランティア人たちを含めながら数多くのそういう施設をつくりながら面倒を見合っているわけでございますけれども厚生省はこれらの人数小規模施設のそれらの実態についてどのように把握しておるか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  8. 松尾武昌

    松尾説明員 お答えいたします。  先生おっしゃいましたように、小規模作業所というのが全国にたくさんございまして、親の会やボランティアによって地域の中で草の根的に発生しまして、小規模な作業をやっている施設でございます。数でございますが、そういう状況にありますので的確に把握しておりませんが、自治体が助成している小規模作業所というのがございます。これは平成三年八月現在で二千七百九十六カ所でございます。人数利用している定員につきましては、そういう状況でございますので正確に把握しておりません。  以上でございます。
  9. 川島實

    川島委員 それでは、この二千七百九十六カ所の把握をしているところの部分についてどのような援助等がなされておるわけですか。
  10. 松尾武昌

    松尾説明員 ただいまお答えしましたように、二千七百九十六カ所は地方公共団体補助をしている施設の数でございます。国が補助しております数は、このうちの九百八十八カ所に補助を出しております。年間で九十万円の補助金補助しております。  以上でございます。
  11. 川島實

    川島委員 今厚生省がお示しをいただいた小規模事業補助金を出しているところは二十人以上というふうに聞いておるわけでございまして、それで、地元、私の近くにでも二、三カ所あるわけで、それが何かきちっと認めてもらえないから補助金がもらえない。だから、そのお母さんたちボランティア人たちは、まず廃品回収をしたり物品販売をしたり、年間非常な御苦労をして子供たちの面倒を見ている。こういう実態があるわけでございますから、これらは今回の条約締結によってどのように配慮をしていくおつもりなのか、この辺もひとつお聞かせをいただいておきたいと思います。
  12. 松尾武昌

    松尾説明員 まず我々が指導しておりますのは、一つは、法定化されました先生おっしゃいました二十人以上の適所授産施設というのがございます。適所授産施設にまずそういう転換できないかどうか、こういう指導をしております。適所授産施設の二十人にしますと、東京都の場合で約三千万以上の補助金が出ますので、そういう形できちんとした形にできないかどうかというのが第一の指導でございます。  次に、最近制度化しましたのは分場方式、今申し上げました授産施設の支店といいますか、分場という形でそれが運営できないかどうか。  それからもう一つは、そのほかに混合的な利用、いろいろな必要があって混合して利用するような形で授産施設としてできないか、こういうような形で法定化された授産施設に持っていくという指導をまずしております。  どうしてもそれができない小規模作業所につきましては、先ほど申し上げましたように、年額九十万円の補助金を出しておりますが、まだまだ数が九百カ所と実態開差がありますので、その箇所数増等にこれから努めてまいりたいと思っております。
  13. 川島實

    川島委員 この条約の中に、今回条約締結によって我が国が背負うことになる義務がここで四項目挙げられておるわけでございますが、この一項目の「国内事情及び国内慣行に従い、かつ、国内可能性に応じて、障害者職業リハビリテーション及び雇用に関する国の政策を、この条約の定めるところに従って策定し、実施し及び定期的に検討すること。」以下二項目の「障害者職業に就き、」三項目の「農村及びへき地」、それから四項目の「障害者職業指導、」訓練紹介等、このことについてどのように対策をお考えになっておるのか、まずもってお伺いをしておきたいと思います。
  14. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、今回このILO百五十九号条約批准についての承認をお願いするに当たりまして、関係方面と精査いたしまして、現行法律あるいは諸般の対策等でこの百五十九号条約批准することが可能かどうか、法制的面を含めまして精査いたしました結果、可能であるという判断で今回お願いしているわけでございます。したがいまして、今後この条約批准後、私どもといたしましては、障害者雇用促進法に基づきます各般の対策を積極的に実施し、かつ、今後その対策を強化することによって対処してまいりたいというふうに考えております。
  15. 川島實

    川島委員 先ほどずっと年代的にその障害者十年の歩みをちょっと述べさせていただきましたが、労働省は非常に研究熱心で、「障害者研究のあゆみ」で、立派な日本労働研究機構の中で、いろいろな学者等の現場の意見を聞きながら今日まで来ておるわけでございます。現在、障害者数全国で三百六十六万人と言われているわけですが、この条約によってこれからいろいろ施策を講じていかなければならない。  そこで、この中を見ましても、障害者種類というのは我々になかなかぴんとこないわけでございまして、この条約の中にも「すべての種類障害者が」、こういうふうな文面もあるわけでございますが、これらはどのように分類をされておるのか、この件をお伺いしておきたいと思います。  さらに、これに対する職業リハビリテーションに関する適当な措置利用できるようにすることがどのようにしてできるのか、このこと。  それから二つ目は、労働市場における障害者雇用機会増大を図ることとなっておりますけれども、どんな施策を考えておるのか。  さらにまた、政策分野における国際協力に貢献することが望ましい、こういうふうになっておるわけですが、何を目指しておるのか。この件についてお伺いをしておきたいと思います。
  16. 征矢紀臣

    征矢政府委員 障害者種類の問題でございますけれども、これにつきましては、御承知のように身体障害者方々身体障害者方々でも目の見えない方あるいは内部疾患を持っておられる方、こういうような方もおられます。それから精神薄弱者の方あるいは精神障害を持った方、このような方がおられるわけでございまして、これはまた具体的には障害の程度、重度の方あるいは軽度の方それぞれおられる、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、そういうすべての障害者の方に対しまして、現行法律におきましては職業リハビリテーションに関する適当な措置が受けられるような体系になっているわけでございます。すなわち、障害者雇用促進等に関する法律におきまして、障害者の定義に該当する者につきましては、公共職業安定所専門の職員が求職登録制度を活用し、ケースワーク方式によって行うきめ細かな職業指導、あるいは障害者雇用促進に関する法律で定める職業紹介等配慮障害者職業センターにおきます職業リハビリテーション措置等によりましてその就職促進に努めているところでございます。  それから、障害者雇用機会増大をどのように図っていくかという点につきましては、私どもといたしましては、そのために障害者雇用につきまして、事業主方々に対する啓発に努めるとともに、御承知のように法律に基づきます雇用率制度がございますので、この制度を厳正に運用することによりまして、雇用率達成企業に対する指導を行うことにより雇用の場の確保に努めているところでございます。  あわせまして、公共職業安定所におきまして、あるいは地域障害者職業センターと連携を図りながら、障害者職業評価に基づきましてきめ細かな職業相談あるいは必要な方には職業訓練を受講させることによりまして、個別の就職先を開拓するなどの職業紹介とあわせて、その雇用促進に努めているところでございます。  障害者の方の三点目といたしまして、国際協力の面でございますが、これは私どもも、実は今回この条約の問題とあわせまして、障害者雇用促進法改正を今国会でお願いしているところでございます。これは具体的には参議院の労働委員会審議をお願いしているわけでございますが、その中で法律改正をいたしましてそういう国際協力業務ができるように、具体的には、この法律に基づきます認可法人であります日本障害者雇用促進協会におきましてこの業務ができるようにいたそうというふうに考えているところでございますが、当面開発途上国につきまして障害者雇用セミナーというようなものを開催するというようなことで予算措置をいたしているところでございます。
  17. 川島實

    川島委員 次に、加盟国は、障害者職業リハビリテーション及び雇用に関する国の政策を策定することとなっておりますが、我が国はこれをどう受けとめて対策を考えておられるのか、また、この計画実施する方策、定期的に検討する施策についてもお伺いしておきたいと思います。  さらに、ここにカウンセラー養成等がうたわれているわけでございますが、管理指導者充足等我が国として十分なのかどうか、現在指導者としてこれらのカウンセラー全国でどれだけ配置がなされているかもあわせてお伺いをしておきたいと思います。
  18. 征矢紀臣

    征矢政府委員 障害者職業リハビリテーション等に関しましてどのように政策を策定しあるいは実施し定期的に検討しているかという御質問でございますけれども国連障害者の十年ということで十年間の障害者対策に対します長期計画が定められております。これはもう本年が最終年ということでございますが、そのほかに雇用対策法に基づきまして雇用対策基本計画が定められておりまして、これは五年ごと、原則五年ごとというこで、実は新しい第七次の基本計画をこれから策定しようということで現在検討を始めておりますが、そういうものの中にこの対策を取り入れております。  それから、あわせまして職業能力開発促進法に基つぐ職業能力開発基本計画におきましても、障害者の方の能力開発問題についてこの計画で策定している中に含めておりまして、そういうことで基本的な国の政策が策定されておりまして、具体的にはこの実施については障害者雇用促進等に関する法律その他の関係法令に基づきます各種施策によって国の政策実施されているところでございます。  この定期的な検討につきましては、したがいまして、そういう障害者に関する長期計画が十年間ということで策定されたわけでございますが、その五年後に中間的な見直しか行われておりますし、あるいは雇用対策基本計画等計画期間五年というようなことで見直しを定期的に行っております。雇用対策基本計画につきましては、これに基づきまして毎年の年次計画等も私ども策定いたしているところでございます。そういう形で政策を策定し実施しあるいは定期的に検討しているということでございます。  それから、二点目のカウンセラーの問題でございますが、障害者職業カウンセラーにつきましては、平成三年度末におきまして全国障害者職業センターに二百二十六名を配置しているところでございます。この障害者職業カウンセラーの方につきましては、労働大臣が指定する試験に合格する必要があるわけでございますが、この採用試験に合格した方につきましては、その後カウンセラーとしての資質の向上を図るため段階的かつ体系的な職業リハビリテーション業務に関する研修を行っているところでございまして、今後におきましては、先ほどお話のございましたように、昨年十一月に開所いたしました障害者職業総合センターにおきましてこのカウンセラー養成、研修を一元的に行うことといたしているところでございます。
  19. 川島實

    川島委員 今お話を聞いておりましてカウンセラーの問題については非常に人数が少ない気がするわけでございまして、今後のこの育成、研修、そういう体制についてどういう計画をお持ちかお伺いをしておきたいと思います。
  20. 征矢紀臣

    征矢政府委員 職業カウンセラーにつきまして現状二百二十六名ということでございまして、今後の対応といたしまして私ども最大限この増員に努めてまいりたいというふうに考えておりますが、残念ながら現状で具体的な増員のための計画というものはございません。が、いずれにいたしましても今後の予算の中で最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  21. 川島實

    川島委員 次に第四条の関係で機会均等の原則についてお伺いをしておきたいと思います。ここでは障害者である労働者と他の労働者との間の原則に基づく雇用率の一・六%がいつ達成することができるのか。二つ目は、障害者である男女の労働者の間における機会及び待遇の均等、これに対しての施策はどのようになされているのか、まずお伺いしておきたいと思います。
  22. 征矢紀臣

    征矢政府委員 まず障害者とその他の労働者の機会均等の確保の問題でございますが、これにつきましては、障害者雇用促進法の二条の二におきまして法の基本理念、それから二条の四におきましては社会連帯の理念に基づく障害者雇用に関する事業主の責務、及び三条の三におきまして公共職業安定機関におきます不適切な求人の不受理に関する規定等がございます。  このような規定を基本的な考え方といたしまして、具体的には、御指摘のようにこの法律に基づきまして一・六%の法定雇用義務の達成を事業主の方にしていただくということで行政を積極的に進めているところでございます。  現状は残念ながら雇用率自体は御承知のように全国平均で一・三二%と、一・六%に及んでおりませんが、今後とも対策を強化しつつ、この雇用率達成についての積極的な努力をいたしたいというふうに考えております。
  23. 川島實

    川島委員 二つ目の、障害者の男女の労働者間における機会及び待遇の均等等について、ちょっと答弁が漏れているようなのですが。
  24. 征矢紀臣

    征矢政府委員 失礼いたしました。  障害者である男女の機会及び待遇の均等の確保の問題でございますが、これにつきましては、基本的に雇用の場におきまして女性であることを理由に差別されることなく男女の均等な機会及び待遇が確保されることが重要である、これはもう当然のことでございます。  このような考え方のもとにおきまして、我が国におきましては、法のもとの平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり、雇用分野におきます男女の均等な機会及び待遇が確保されることを促進することを目的といたします雇用の、分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律が施行されているところでございまして、この法律の定着に向けて、具体的には各県におきます婦人少年室におきまして指導をいたしているところでございます。  そういう形で、障害者である男女の労働者の間の機会及び待遇の均等を確保するための施策実施しているところでございます。
  25. 川島實

    川島委員 この問題は非常に重要だと思うのですよ。前段の、障害者である労働者と他の労働者との原則は一・六%でも構いませんけれども、男女間の労働者の機会均等というものは、現在、通常の人たちでも、例えば地方公共団体を見てみましても、男性と女性が同じ時期に入って十五年たつと、片方はもう課長で、片方はまだ係長にもなれないという物すごい格差が私どもの耳に入ってきておるわけでございますから、同じような率で当局がお考えになっておりますと大変でございますので、この点はどのようにお考えになっておるのか、改めてひとつお伺いをしておきたいと思います。
  26. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま御指摘の点はおっしゃるとおりでございます。私どもそういう地位別の問題について把握するのは困難でございますけれども、現状で公共職業安定所登録している方の中での現実に働いておられる方がどのぐらいいるか、これが大体八割でございますけれども、これは男女の比率がそう変わっておりませんで、働いている方の割合は、男性の方も七九・七、八%、女性の方が七九・一%ぐらいだったと思いますけれども、そういう形で就業いたしている現状でございます。
  27. 川島實

    川島委員 次に第五条の関係で、使用者団体等との協議が挙げられておるわけでございますけれども我が国における代表的な使用者団体とはどういう団体を予定されておるのか。さらに労働団体、それから代表的な障害者の団体、障害者のための団体、この四団体がここで位置づけられているわけですが、我が国はどのように予定をなされているのか、お伺いをしておきたいと思います。
  28. 征矢紀臣

    征矢政府委員 本条約批准に当たりましてどのような団体と協議をしたかというようなことでの御指摘かと思いますけれども、これにつきましては、仕組みといたしましては、私ども障害者雇用促進法に基づきまして、その中に、障害者雇用促進及びその職業の安定に関する重要事項について調査審議するため、労働者の代表者、使用者の代表者及び障害者の代表者それから学識経験者によって構成されます障害者雇用審議会というものが法律に基づいて設けられております。したがいまして、今回お願いするに当たりましては、この審議会におきましてこの条約早期批准について全会一致の合意がなされた結果、それを踏まえてお願いしているわけでございます。  具体的な団体といたしましては、使用者団体としましては日本経営者団体連盟、労働団体としましては、個別にこの審議会に参加いただいておりますのは自動車産業労働組合総連合あるいは全国生命保険労働組合連合会、日本教職員組合、日本鉄鋼産業労働組合連合会等の代表の方でございます。それから障害者団体といたしましては、日本身体障害者団体連合会、全日本精神薄弱者育成会の代表の方に御参加をいただいております。
  29. 川島實

    川島委員 ここで言われております代表的な障害者のための団体というのはどういう団体を予定されておみえになりますか。
  30. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま申し上げました日本身体障害者団体連合会、これは身体障害者関係の団体で、身体障害者の本人の方あるいは身体障害者の方のもろもろの問題について非常に熱心に取り組んでいる方等が構成員になっておるわけでございますが、そういう団体の連合会。それから全日本精神薄弱者育成会、これは精神薄弱者方々あるいはそういう問題に取り組んでいる方々の団体でございまして、そういう団体がこの障害者雇用審議会のメンバーになっているところでございます。
  31. 川島實

    川島委員 ちょっと理解がしにくいわけですが、例えば私が描いているのは、今障害者の団体の説明でわかったわけでございますけれども障害者のための団体というのは、親の組織だとか、それともほかのそういうボランティアのようなグループの支援団体の全国組織だとかいうものをちょっと描いておったのですけれども、その辺のところは私の考え方が間違っているのかどうか、ちょっとお伺いしておさたいと思います。
  32. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のように、障害者方々の団体というのは非常にたくさん多種多様ございます。そういう中に、先生指摘のような形でボランティア活動を一生懸命やっておられる団体もございますし、ただいま私が申し上げたような団体もございます。できるだけ多くの機会にできるだけ多くの方々の御意見を聞くことを基本といたしているわけでございますけれども、今回の条約批准に当たりまして団体との協議をどういう形でシステムとして考えるかという点につきましては、現在の雇用促進法に基づきます障害者雇用審議会、これをもって今言いましたような各団体との協議をするというようなことで対処をいたしたということでございます。
  33. 川島實

    川島委員 この件については、今後また機会が出てくると思いますので、ひとつ十分取り組みをしていただきたいと思います。  次に第六条の関係で、「加盟国は、法令又は国内事情及び国内慣行に適合する」これを実施するための必要な手段をとることとありますけれども我が国はどんな施策を考えておりますか。  さらに、都道府県、市町村に対してどのような組織的な指導を行っていくのか。これらに対する予算の枠それから伸び、そのようなことについてお伺いをしておきたいと思います。  この問題は、労働省厚生省、両省に対応をお願いしておきたいと思います。
  34. 征矢紀臣

    征矢政府委員 対策といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、私ども障害者雇用促進法に基づきましてさまざまな対策をとっているわけでございまして、この対策に今後さらに積極的に取り組んでいく、あるいは対策の充実強化を図って対処してまいりたいというふうに考えております。当面、この批准問題とあわせまして、障害者雇用促進法改正につきまして国会にお願いをしているところでございます。  それから、国の政策について、都道府県あるいは市町村との関係につきましては、御承知のように、私どもは各県に職業安定主管課あるいは県の組織といたしまして職業訓練の主管課等がございます。それから、市町村レベルにいきますと、各公共職業安定所あるいは職業訓練校等がございまして、そういう体制の中でこの対策を講じているところでございます。  それから、予算の点につきましては、職業リハビリテーションにつきましての予算、今回三十五億円程度の予算を計上いたしておりますが、これは前年に比べまして七億円程度増加している額でございます。
  35. 松尾武昌

    松尾説明員 身体障害者対策の中で御説明させていただきます。  まず施策でございますが、先ほど議論がありましたように、身体障害者授産施設の増加を大いにこれからやっていきたいと思っております。  それから、体制でございますが、身体障害者福祉の場合は町村を管轄します県の福祉事務所、それから市は市で独自に福祉事務所を持っております。こういう福祉事務所を通しまして指導してまいりたいと思いますし、また、町村も窓口としましてその福祉事務所との連携を図って実施していきたいと思っております。  予算額でございますが、先ほど申し上げました授産施設の中の身体障害者授産施設の部分でございますが、この運営費が約百三十八億円、これは平成四年度予算案でございます。これは運営費でございまして、これ以外に施設をつくりますときには施設整備費というのがございまして、これは社会福祉施設全体の中でやりますので、この予算額が約九百五十億ほど確保してございます。こういうことで、授産施設の増に伴います予算については確保に努力してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  36. 川島實

    川島委員 次に、第七条の関係で、事業実施及び評価のための措置として、権限のある機関が行うとありますけれども、国はどのような機関がこれに当たるのか、その報告等がどのようになされてくるのかもあわせてお伺いをしておきたいと思います。
  37. 征矢紀臣

    征矢政府委員 権限のある機関といたしましては、私ども国におきましては労働省、それから各出先機関としては、ただいま申し上げましたように都道府県の職業安定主管課、それの下部組織でございます公共職業安定所、このようなものが権限ある機関であるというふうに理解いたしております。したがいまして、そういう機関におきましてこの法律に基つぐ対策をとっていく、それで一定の時期にその状況報告を受ける、こういうような形で対策を進めているところでございます。
  38. 川島實

    川島委員 次に、職員の訓練及び利用の確保に関する第九条関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  我が国障害者施設及び施設で働く職員の実態は現在どのようになっておるのか。また、職員の能力育成に関する専門知識の修得などの育成事業がどのような研修機関で行われているのか。法で言われております「確保」は充足ができておるのかどうか、これは厚生省の方にお伺いをしておきたいと思います。
  39. 松尾武昌

    松尾説明員 身体障害者の部分に限って申し上げますと、身体障害者施設は約千三十三カ所ございますが、それに働いております職員は二万三千でございます。この身体障害者施設に働きます職員につきましては、国の委託事業としまして研修を実施しております。これは全国社会福祉協議会の中にあります研修センターというところに委託をしておりまして、この中で実施しております。このほかにも各都道府県が管下の施設の職員に対しまして研修を実施しております。  以上でございます。
  40. 川島實

    川島委員 現在、施設の増、看護婦さんも言われているように非常に職員の関係は不足を考えられるわけでございますけれども、これらに対しての育成といいますか、新たに確保するためのどういう努力が行われているわけですか。年次計画等ございませんか。
  41. 松尾武昌

    松尾説明員 社会福祉施設につきましても施設の職員の確保は非常に大変でございまして、今国会に人材確保に関します法律ということでお願いをしております。  実際の養成につきましては、先般介護福祉士制度あるいは社会福祉士制度をつくりまして、そういう中で施設職員の確保に努めてまいりたいと思っております。年次計画等はつくっておりませんが、当然施設をつくりますれば人も必要となります。施設をつくります段階でその養成あるいは確保について努めて努力しているという状況でございます。
  42. 川島實

    川島委員 今までお話を聞いておりましていろいろ対応等の仕方も理解ができるわけでございますけれども平成三年度の雇用率の未達成企業に対する指導労働省が頑張って最近四社公表してやっていただいたわけでございますけれども、これを的確に一・六%までやっていただくだけで現在働いている障害者十万人が倍になるんです、倍に。それで、またこれらの雇用者をきちっと採用していない市町村もあるやに聞いておるわけでございますが、これらに対しての対応をどのようにお考えになっているのか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  43. 征矢紀臣

    征矢政府委員 障害者方々雇用促進を図るための基本は、やはり法律に基づく法定雇用率の達成をお願いすることが基本であるというふうに理解いたしております。  そういう観点から、民間企業におきます一・六%の達成の問題、あるいは市町村におきましては現業部門あるいは非現業部門で若干違いますが一・九あるいは二・〇という雇用率の達成につきまして、引き続き最大限の努力をし、この達成のために対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  44. 川島實

    川島委員 労働省が今まで頑張っていただいた経過については私もよく理解をさせていただいておりまして、昔から言われております企業の雇用率達成ということについては非常に努力が続けられているわけですが、現実的にデータを見ますと平成元年から二年三年と率が全然変わっておりません。この三年間というのは企業にとっては人手不足で非常に景気が上昇した時代であったわけですが、それがこういう状況、今みたいに景気が下降になってきて人手不足が解消されると、やはり一番隅に追いやられるのはこういう障害者人たちではなかろうかと思うわけでございます。そういう点で、これの具体的な現在の取り組み状況についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。     〔委員長退席、新井委員長代理着席〕
  45. 征矢紀臣

    征矢政府委員 障害者方々についての雇用問題、特に法定雇用率達成を具体的にどういう形で図ったらいいかという点につきましては、昨年の六月以来、一つには公表を前提といたしまして、計画をつくっていただいて勧告をしてもなかなか雇用の進まない企業につきまして百十三企業、これについては公表を前提としてさらに強力な指導をし、一定の水準に達しなければ公表するというようなことでやってまいりまして、御指摘のように三月になりまして残念ながら四社については公表いたしたということでございますが、公表対象であってかつ一定の改善の見られた企業につきましては、法定雇用率を達成したものが三割ちょっと、三一、二%ぐらいございました。それから、全国平均の一・三二%以上になったものが一七%程度、合わせまして半数近くがいわば全国平均以上まで改善をしていただいた。これは雇用状況が非常に悪かったところでございますが、そういう形で御努力をいただいております。  あわせまして、特に大企業におきましては、一定の雇用努力はしていただいているわけですけれども、規模が大きいというようなことから、不足数が五十人、百人と非常に数の多いところにつきましては個別においでいただきまして指導、お願いをしたわけでございますけれども、これにつきましても、社内の体制を整備する、あるいは本社から各事業所に障害者雇用についての指令を出すというような、具体的な形での取り組みをいただいているところでございます。  これにつきまして現状はどうかということになりますと、御指摘のように、昨年六月現在では残念ながら一・三二%ということで、三年続きで横ばいになっております。これは、経済が拡大する中でございますから、年間で一万五千人前後の新規の雇用増はあるわけでございますが全体の伸びも同じ程度の割合でふえているというようなことで横ばいでございますが、何とかその率を一・六%に近づける努力を引き続きいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  46. 川島實

    川島委員 それで、この公表を行った石岡信用金庫、株式会社サトウダイヤモンドチェーン、ワーナー・ランバート株式会社、株式会社アルペン、私の地元の方の名古屋市もアルペンが入っているわけでございますけれども、これらは今後どのような指導で達成をさせる方向で動いておるのですか。その計画等についてお伺いしておきたいと思います。
  47. 征矢紀臣

    征矢政府委員 引き続きまして法律に基づく雇用計画等をつくっていただいて計画的に採用をお願いするべく指導をいたすことになるわけでございます。具体的に一生懸命取り組んでいたださました場合について、それで雇用が一定のところまで進んだ場合について、その際私どもといたしましては、そういう努力の結果というものを何らかの形で、公表ということではございませんけれどもそういう成果を公にするというようなことも検討していかなければならないのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  48. 川島實

    川島委員 通常一般的に考えますと、こういう形になると押しやられた形で協力をしないという状況にはなろうかと考えるわけでございますが、そういう心配はないという受けとめ方をしていいのでしょうか。
  49. 征矢紀臣

    征矢政府委員 私どもが公表問題についてやや慎重な形で今日まで参りましたのは、ただいま先生の御指摘のような問題があるわけでございまして、公表を前提として最大限御努力をいただくということであるわけでございますが、公表をいたしますと、そこから先の対策は具体的にはなかなか難しくなるという問題があるわけでございます。したがいまして、そういうこともあわせ考えながら公表問題について取り組んできたわけでございますけれども、今後とも引き続き御努力をいただきながら、先ほど申し上げましたようにそういう努力の成果というものについてはやはり評価することを考えていかなければならないのではなかろうかというふうに思っておるところでございます。
  50. 川島實

    川島委員 この件につきましては、できればひとつ個々の企業と十分話し合いをしていただいて、今度はよくなったら即公表をするという態度で打ち合わせをしていただくのが一番ベターかと思うわけでございます。この点については強く要望をしておきたいと思います。  それから最後に、国連障害者の十年の最終年次にようやく政府ILO条約締結に踏み切ることになったわけでございまして、このことについては私も敬意を表しておきたいと思うわけでございます。  しかし、今まで議論をいたしましたように、これからがまた大変な多くの実施しなければならない義務を背負っておるわけでございます。しかし政府は、残念と申しますのは、条約実施のための国内措置として新たな法的立法措置を必要としないと言い切っておるわけでございます。いろいろ中身を見てみますると、こういう機会にいろいろな人たちの協力を得ながらさらにもう一歩前へ進む、いろいろな障害者雇用関係する、十年間ずっと労働省が取り組んできた実績の上に立ってもう一度改めてそういうものを見直すということが必要じゃないかと思うわけでございますけれども、これについてどのようにお考えになっているのか、お伺いをしておきたいと思います。
  51. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のとおりでございまして、先ほどお答えいたしましたのは、前回の昭和六十二年の法律改正法律的に一応の体制が整備され、法制的に批准が可能になったと理解をいたして今日まで来ておるわけでございますが、それで十分ということではございません。したがいまして、今回もあわせまして障害者雇用促進法改正について国会に御審議をお願いしているわけでございますが、これは当面の諸課題についてより積極的に取り組むにどうしたらいいか、例えば非常に重度化が進んでいる中での重度障害者方々について雇用促進を図るにどうしたらいいか、あるいは精神薄弱者の方についての対策をさらに進めるについてどうしたらいいか、あるいは、非常に難しい問題ではございますけれども、一定の精神障害の方でその症状が安定している方について、これの雇用問題をどうしたらいいかというようなことにつきまして、法律改正の中身に盛り込んだものについて現在御審議をお願いいたしているところでございます。
  52. 川島實

    川島委員 最後に、外務大臣の御所見をお伺いをしたいわけでございますが、一九八三年にこのILO条約締結をされて、各国がそれらに踏み切ってきておるわけでございます。我が国が今、国連中心主義の非常な役割を果たさなければならない時代になって、遅まきながらと言いながらもようやく締結に至ったことは非常に喜ばしいことだと思います。  しかし一方で、先ほど議論がありましたように多くの義務が課せられるわけでございます。これに基づいて国内におけるいろいろな施策を十分進めてもらいたいと思うわけでございますが、外務大臣は国連におけるそういう認識の上に立って今後どのような施策を講ずるために御努力をいただけるのか、御所見をお伺いをしておきたいと思います。
  53. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 話をるる拝聴いたしておりまして、我々も条約批准すも以上は条約の趣旨に沿って国内法の体制整備を進めてまいりたいと存じます。
  54. 川島實

    川島委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  55. 新井将敬

    ○新井委員長代理 土井たか子君。
  56. 土井たか子

    ○土井委員 投資相互促進及び相互保護に関する日本国トルコ共和国との商の協定、略して投資保護協定と名称は呼びたいと思うのですが、これに関して質問をさせていただきます。  今回は日本とトルコとの間の投資保護協定でございますが、これでたしか投資保護協定は四カ国目になるのではないかと思うのですけれども、今までどういう国々とこの投資保護協定を結んでまいっているかということについてまずお尋ねします。
  57. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  我が国投資保護協定でございますが、最初に締結いたしましたのがエジプトとの間にでございまして昭和五十三年、それから引き続きましてスリランカ回じく五十七年、それから中国、中華人民共和国と平成元年に締結いたしております。したがいまして、今回御承認いただくトルコとの投資保護協定は四番目ということに相なります。
  58. 土井たか子

    ○土井委員 今お答えになりましたそれぞれとの間で結ばれております我が国との投資保護協定を考えてみますと、相手国すべて開発途上国でございますね。これは何か理由がございますか。
  59. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  やはり投資活動というのがその国との間の経済関係の発展に非常に大きな役割を果たすということでございます。その場合に、やはり開発途上国の側におきまして先進国からの投資を強く求めるという事情がございます。また、そういう先進国の方の側にいたしましても、開発途上国におきます投資環境がより整備されるということによりまして投資促進され、ひいてはその国との間で経済関係がさらに発展する、そういう関係に相なります。
  60. 土井たか子

    ○土井委員 今のお答えを承っておりましても、通常このような投資保護協定というのは開発途上国が先進国と締結していて、開発途上国に対して先進国がむしろいろいろと投資意欲等々について呼び水のような形で行動していく、協力していくということが大変問題になる。それは常にその。ようなタイプが考えられるというふうに言っていいのではないかと思うのですが、開発途上国同士の投資保護協定というのがあるのでしょうか、どうなんですか、
  61. 野村一成

    ○野村説明員 お答えいたします。  私ども承知しておるのといたしまして、トルコとバングラデシュとの一間の投資保護協定がございます。具体的にどういった経緯で両国間で締結されたのか詳しい事情は承知しておりませんが、やはりお互いの投資促進するために投資活動に対する十分な保護が与えられる、そういった点につきましては今申したトルコとバングラデシュの間で意見の一致があったということではないかと思っております。
  62. 土井たか子

    ○土井委員 これは先ほどの御答弁に舞い戻りますけれども投資保護協定というのは開発途上国が先進国と締結するというのが常だというふうに私どもも理解してきていたのです。  今回外務省の方の説明資料などを拝見しておりますと、今御答弁のとおりで、トルコ側が締結している投資保護協定の中にはアメリカを初め七カ国ある、そしてその中にバングラデシュとの協定があって、おやおやと私は思ったのですね。開発途上国同士の投資保護協定というのは余り聞いたことがありませんから、したがってこれに大変私は関心を持ったのでありますが、ただいまどういう経緯かわからぬというお答えであります。少しその辺はお調べになったらいかがですかね。どうですか。一回それは、トルコとバンクラデシュの間の協定はどのような理由によって締結されてきたか、どういう意味を持つかというあたり。
  63. 野村一成

    ○野村説明員 土井先生指摘のとおりでございまして、私どもの理解する投資保護協定は基本的には先進国と開発途上国の間でございまして、実はトルコと今般投資保護協定締結するに当たりまして、トルコが締結している国の中にバングラデシュがあるということで、若干どうかなと思ったわけでございます。同時に、その点につきまして先生指摘のとおりでございまして、私どもその辺の経緯あるいは実際どういう内容のものになっておるかにつきまして調査いたしてまいりたい、さように思っております。
  64. 土井たか子

    ○土井委員 それはお調べになったらぜひまた聞かせてください。それはこういうことでありましたというのを言っていただかなければならないと思います。これは最も基本的なことだと私思うのですよ。投資保護協定からすれば、本来のスタイルからすれば、これはおやっという問題ですよ。だから、ちょっとそれは外務省としたらお調べ方が薄いのじゃないですか。その辺の認識というのが十分とは言えないということになりますよ。これだけでもちょっと本当に、この条約についての対応ということからすれば、当外務委員会としては外務省に対して注文をつけて済む問題がなという気も私自身はいたします。(「採決は保留だ」と呼ぶ者あり)本当にそうなってしまいますよ、これは。ひとつ答弁をしっかりしていただくまで待たせていただくことにします。     〔新井委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 小原武

    ○小原政府委員 お答えいたしましたように、実際にどういう背景でトルコとバングラデシュの間に協定が結ばれたかということにつきましては、調査の上回答させていただきたいと思います。  地域を担当している者といたしましてその間の事情を推測いたしますと、トルコとバングラデシュは同じイスラム諸国ということで平素から強い友好関係にありまして、人の往来なども頻繁に行われております。こういう友好関係を背景にして、友好関係強化の一環ということでこの協定が結ばれたものではないかと考えますが、正確なところは調査の上回答させていただきます。
  66. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまのは御答弁に似て非なるものではないか。答弁になっていないと思いますよ。推測の域を出ないし、そういうことをおっしゃるなら、これはだれでもが常識として知っている問題でありまして、それ以上の理由がなければこの問題に対してのお答えにならない、このように私は思います。よろしゅうございますか、それをお聞かせいただくまで少し待たせていただくことにいたしましょう。  さて、それではただいまのは預けておいて、その次の問題に進ませていただきます。  条文そのものを見てまいりますと、第三条のところで、特に1、2、この中身はこの投資保護協定について相互間で考えていく取り扱い上の原則ということになるであろうと思うのです。この1、2ではいずれもそういう用語を使ってないのですが、外務省の方の御説明によると、1は最恵国待遇、2は内国民待遇というふうな認識でこの1、2の条文を読み、理解し、運用の上でそのような取り扱いをなさるであろうと思われるのですけれども、改めて最恵国待遇ということについての御説明を求めます。
  67. 野村一成

    ○野村説明員 先生指摘のとおり、最恵国待遇という言葉はこの条約では使っておりません。  それで、一般に最恵国待遇と申しますと、一方の締約国が、自国の領域内で第三国の国民等に対して同様の場合に与えるすべての恩恵を他方の国民等に対して与えることをいいます。実は、最恵国待遇というのを我が国が結んでいる条約の中で定義したものが一つございまして、例えば日米友好通商航海条約に、「締約国の領域内で与えられる待遇で、第三国のそれぞれ国民、会社、産品、船舶又はその他の対象が同様の場合にその領域内で与えられる待遇よりも不利でないものをいう。」そういう趣旨の定義がございます。
  68. 土井たか子

    ○土井委員 今は一般則についての御説明であったわけですが、今回のこの協定について言うならば、これは無条件最恵国条項というふうに読んでいいんですか、あるいは条件つき最恵国条項というふうに読んでいいんですか。  最恵国条項についての歴史的経緯というのは、随分古いものがあるようですね。古くさかのぼれば十四世紀、十五世紀にまでいくような歴史的経緯があるようでありますが、特に第二次世界大戦後、この最恵国待遇に対しての取り扱いというのは、大体は国際的に一つの定型というのができてきているやに言われているようであります。  もう一度繰り返してみますが、条件つき最恵国条項というふうに今回は見ていいんですか、無条件最恵国条項と見ていいんですか、いかがですか。
  69. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のございましたように、この最恵国待遇につきましては、十八世紀以来、考え方あるいは慣行の変遷がございまして、当初は条件つきということで、同一の条件のもとに同一の恩恵を与えるという、そういう基本的な考え方であったと承知しております。特に二十世紀になりまして、主流と申しますかそれは無条件の最恵国待遇ということになっておりまして、この条約におきましても無条件の最恵国待遇、そういうふうに理解していただきたいと思っております。
  70. 土井たか子

    ○土井委員 今回は無条件最恵国条項ということをこの協定では認識しているというお答えですね。  今、条件つき最恵国条項というと、一方の締約国が、第三国が何らかの恩恵や特権を受けるに当たって提供したと同様の対価を提供しない限りは他方の締約国に対して第三国に与えた恩恵や特権というのを認めないというのが条件つきなんですね、アメリカン・クローズなんて言われたりしておりますけれども。  こういう取り扱い方というのを、最恵国条項として日本が他の協定で認めてきた例がありますか、ありませんか。
  71. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  私、一般的には我が国、無条件で最恵国待遇ということを申し上げましたけれども、今ちょっと調べさせていただきたいのでございますが、若干時間的余裕をいただきたいのでございますが、相互主義に基づきましてあるいは最恵国待遇を与えた条約例というのがあるかもしれません。ちょっと恐縮でございますが、時間的に余裕をいただきたいと思います。
  72. 土井たか子

    ○土井委員 それもまた、少し待ちましょう。これはちょっと調べてください。  繰り返しをもう一度言います。今回は無条件最恵国待遇なんですね、いわゆるアングロ・イタリアン・クローズというふうに読んでいいのですか。
  73. 野村一成

    ○野村説明員 御指摘のとおりでございます。
  74. 土井たか子

    ○土井委員 一方の締約国が第三国に対して新たに恩恵や特権を与える場合には、他方の締約国に対しても、自動的かつ対価なしにそれは当然のこととして与えられる、こういう取り扱いですね。
  75. 野村一成

    ○野村説明員 御指摘のとおりでございまして、一方の締約国によって第三国に与えられた利益は自動的かつ代償なしに他方の締約国に与えられる待遇、これが無条件の最恵国待遇ということでございます。
  76. 土井たか子

    ○土井委員 先ほどのはもうちょっと調べていただく、時間待ちにいたします。条件つき最恵国待遇ということについて調べてください。  そこで、条文の十四条というところを見ますと、これはちょっと、条文を読んで本当にどういうふうに理解したらいいかなと私は思いつつ、幾たびかこの条文を読んでみたのです。「他方の締約国の国民の入国、滞在及び居住に係る申請に対し、自国の関係法令に従い、」これは当然だと思うのですが、その次、「好意的な考慮を払う。」とあるのです。何か特別の配慮を払うということなんですか。「好意的な考慮を払う。」ということについて御説明をいただきたいと思うのです。
  77. 野村一成

    ○野村説明員 ここで申しております好意的配慮と申しますのは、投資活動に関連いたしましてあるいは入国、滞在、居住等を容易にすることというのは、その投資あるいは投資に関連する事業活動の遂行上非常に重要であるということでございまして、その締約国政府が自国の関係法令の適用に当たりましてその方向で好意的な配慮を払うという趣旨でございます。  一般にこういった入国等の面につきましては、通商航海条約で、相手国の国民の自国への入国や自国での滞在、居住に関して何らかの待遇を与える、そういう規定がございますけれども、そういう意味を含んでいるものではございません。
  78. 土井たか子

    ○土井委員 言わずもがな。自国の関係法令に従うというのは当然のことでありまして、脱法行為や違法行為が認められるはずがないんですね、出入国管理について。特に「好意的な考慮を払う。」とこれは明記してあるので、併記する以上は意味がなければならぬのです。したがって、私は、どういう意味があるかの御説明を承りたい、こう申し上げています。
  79. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  やはり私申しましたように、こういう投資に関連する事業活動を行うためには、国民の入国、滞在、居住といったことにつきまして好意的な配慮を払うということが極めて重要でございまして、そういうことをこの第十四条におきまして、明らかにトルコ及び日本がそれを確認するという規定でございます。そういう意味におきまして、当然と言ってしまえばそうかもわかりませんけれども、こういった面につきましての投資に関連する事業活動における重要性に着目いたしまして、確認のための規定を置いた、そういう趣旨でございます。
  80. 土井たか子

    ○土井委員 これはくどくは申しませんけれども、特にとりたてて特別の意味をここに持たせているわけではない、こういうふうに理解しておいていいですか。
  81. 野村一成

    ○野村説明員 やはりこの「投資を行うこと」あるいは「投資に関連する事業活動」という場合には、国民の入国とか滞在、居住といった点に係る申請についての好意的配慮というのは非常に重要な要素だと私は思うのでございます。そういう意味で、規定としましては先ほど申しましたように確認的な規定ではございますけれども、その重要性に特に着目いたしましてあえて独立の条項として規定させていただいた、そういうふうに御理解いただければと存じます。
  82. 土井たか子

    ○土井委員 気持ちを披瀝しているあいさつ条文というふうに考えても大きく間違ってはいないかもしれませんね、今の御説明を承っていれば。  議定書を見ますと、議定書の中に航空機登録原簿に航空機を登録する事項というのが最恵国待遇として取り扱われるという趣旨のこともございますが、これは国内のそれぞれの締約国、つまり日本日本で、トルコはトルコで、国内において相手国、締約国がどのように航空機について登録する条件、登録から生ずる事項ということを運営していくかという問題にかかわることではないかと私は思いますが、それはそのように理解しておいていいですか。
  83. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  この議定書に書いております航空機の登録等につきましての規定でございますが、これは第三条二項で規定しております内国民待遇のそれの例外というふうに御理解いただければと存じます。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 それの例外ですから、つまり取い扱いとすれば最恵国待遇として取り扱いましょうということを言っているわけでしょう。それは違っていますか、どうですか。そう書いてあるんだもの。
  85. 野村一成

    ○野村説明員 御指摘のとおりでございます。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 さあそこで、我が国はこのトルコとの間で航空協定を結んでいますね、一九八九年でしたか。このときの路線というのが、協定には付表がございまして、これは協定と付表というのは一体のものでありますが、東京からカラチを経由してイスタンブールに至る南回りの路線であったはずです。ただいまはモスクワを経由してイスタンブールに行くという北回りの路線で運航されているようですが、いっこの日本とトルコとの航空協定の付表というのの中身を改正されたのですか。
  87. 小原武

    ○小原政府委員 昨年六月でございます。
  88. 土井たか子

    ○土井委員 付表の改正、どのような手続によって改正されたのでございますか。
  89. 小原武

    ○小原政府委員 お答え申し上げます。  航空当局間の合意に基づきまして閣議の了承を得ております。
  90. 土井たか子

    ○土井委員 非常に簡単明瞭な御答弁で、閣議でお決めいただいた。  当外務委員会が、実は、この一九八九年のトルコとの航空協定に対して審議をもちろんのことながらいたしております。審議のときは、五月の二十四日のここに会議録がございますけれども、ある宿題を外務省は持っておられる、審議の中で、質問者は河上民雄委員でございます。今の問題の付表の改正について、国会に対して、当外務委員会に対して報告の必要性を力説して質問をされております。当時の外務大臣は宇野外務大臣でございます。  会議録を見ますと、宇野外務大臣は、「非常に大切な御指摘であろうと思います。過去、慣行もいろいろございますから、一応そうしたことも含めまして十分検討させていただきます。」という御答弁なのでございます。  政府は、国会に対する報告について、したがってこれを受けて検討しなきゃならない。特に外務省は、外務大臣の御答弁がこのようにはっきりあるわけですから、国会に対して、外務委員会に対して報告をするということについて検討しなきゃならぬ。検討なすったんですか、どうですか。いかがです。
  91. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生、トルコとの航空協定審議の際の国会の議論に触れられましたですけれども、私またそれを実は承知しておりません。したがいまして、今至急調べて、どういう事実関係になっているかまず把握したいと思っております。
  92. 土井たか子

    ○土井委員 これはそうしたら議事録をしっかり見ていただきたい、私ここに持ってきておるのですが。これは、一度検討されるまでもなく、そこの場所にいらしたんだったら、やはり答弁についてもっと責任持ってきっちり受けとめなきゃ困りますよ、外務省。  そうして、報告するということが大事だということについては、そのときの外務大臣答弁は明々白々なんです。そのために検討する、こういうお答えなんですよ。これは、外務省にとってはやらなきゃならぬという重いそれに対しての責任を持っていただかなきゃならぬ。その程度に国金での審議をお考えになっていらっしゃるんだったら、これは大問題ですよ、そんなのは。  ひとつそれは、御検討いただくまで私は質問を留保して、ちょっとここらあたりで御検討いただくのを得たしていただきます。
  93. 麻生太郎

    麻生委員長 今御質問が出ておりますけれども、これは、答弁がそのようになっておるということなんであれば、外務省としてはしっかり検討してもらわなきゃいかんね。そこのところは十分今後とも注意いたさせます。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 委員長、それじゃ私お示ししましょう。それで、その上でちょっとこれ検討なさるまで得たしでいただきます。
  95. 麻生太郎

    麻生委員長 今御質問が出ておりました土井委員からの御質問の内容は、間違いなく今速記録に残っておりますとおりでありまして、外務委員会等々においてこの種の変更があったことに関しましては報告が重要ではないかという点については、「検討させていただきます。」という答弁になっております。したがいまして、検討した結果、政令等々につきましては国会に報告しなくていいという結論に仮になったとすれば、その結論はその結論で当委員会報告をしてもらわねばならぬということになろうと思いますので、その点につきましては報告の義務を怠っておったということになろうかと思っております。  今こちらで話をさせていただいて、今申し上げたとおりなので、これは内容はいろいろ検討していただいたのだと思いますが、その結果を報告してもらわなかったという点につきましては、野村審議官の方から、これは大臣答弁に沿ってお答えを当委員会にしてなかったということに関しては、大変申しわけないという話がありましたことを御報告申し上げます。  その点につきまして、外務省の方から発言をさせます。
  96. 土井たか子

    ○土井委員 先ほど検討された会議録は、私が質問準備のために用意をし、質問としてそれを持ってまいりました会議録でございます。外務省は、議事録に当たって、そしてその点を調べて、そしてここに対応したいと先ほどおっしゃいました。外務省として、外務省の立場で議事録に当たられる必要があるのですよ。  だから、今委員長のせっかくの御発言で委員長の御認識は承りましたけれども、外務省としては改めて外務省としての作業をなさるべきではありませんか。ただいまは議事録に当たっておられないですよ。私のをごらんになったにすぎない。これは正式とは言いかねます。
  97. 野村一成

    ○野村説明員 ただいまの先生指摘の点、即刻外務本省の方に連絡いたしまして、今その点につきまして至急検討いたしておるわけでございます。いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  98. 麻生太郎

    麻生委員長 それでは、今質問の、トータル三つになっておりますけれども、これはちょっといろいろ問題もあろうかと思いますが、理事方々で協議させていただいて、その間に先に審議だけはお進め願うわけにはまいりませんか。
  99. 野村一成

    ○野村説明員 宿題いただいております最恵国待遇の条件つきのことについて答弁、回答がありましたので、ひとつさせていただけたらと思うのでございますが。恐縮でございます。  アメリカとの間の友好通商航海条約で最恵国待遇を定めておるわけでございます。第七条の四項で無条件の最恵国待遇を定めておるわけでございますが、その後、別途議定書におきまして、その七条四項を引用いたしまして、鉱業に従事する権利につきましては、相互主義によるということを明確に最恵国待遇の例外として規定をしております。そういった条約もございます。しかし、基本的には最恵国待遇につきましては、私答弁申し上げましたように、無条件最恵国待遇というのが原則でございまして、こういうものは非常にまれな例ということに相なるかと存じます。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 待ちますから、少し外務省としても、あと二つの問題についてこっちに準備をちゃんと整えてお出になって、その上で質問を続行するということの方が外務省もいいでしょう。いかがですか。委員長にそれをちょっと提案をして、お願いをします。
  101. 麻生太郎

    麻生委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  102. 麻生太郎

    麻生委員長 速記を起こしてください。  野村審議官
  103. 野村一成

    ○野村説明員 ただいま土井先生の方から指摘のございました点のうち、トルコとバングラとの協定、それから日本とトルコとの航空協定に関する部分につきまして、ただいま大至急検討を進めているところでございます。午後の委員会の、会議のできるだけ早い時間にそれについての結果を報告させていただきたい、そういうふうに存じます。
  104. 麻生太郎

    麻生委員長 今、土井委員からの御質問に対して、外務省側が時間を要する問題等々ありますので、大臣の時間等々もございますので、この際、休憩をし、午後一時から再開することとさせでいただきます。     午前十一時四十七分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  105. 麻生太郎

    麻生委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。
  106. 土井たか子

    ○土井委員 休憩前に、外務省の方が調査をされて、御検討された結果をまずお答えいただくことから始めるということだったはずなので、ひとつ外務省からのその後の調査、そうして検討されたことについて、ここでの説明をまずいただくことから始めましょう。
  107. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  トルコとの航空協定の付表との関係につきましては私の方から、それからバングラデシュとトルコとの投資保護協定につきましては近ア局長の方からお答えさせていただきます。  まず、私、先生の御指摘を踏まえまして、議事録を詳細に検討させていただきました。確かにこの議事録によりますと、河上先生の御指摘に対し、外務大臣の方から検討すると明確に答弁いたしておりまして、その点について、その検討結果をその後報告していないということでございました。まことに申しわけないし、遺憾に存ずる次第でございます。  この航空協定と付表との関係についての考え方でございますけれども、付表は両締約国間の指定航空企業が業務を運営すべきその路線について定めたものでございまして、航空需要の変動に伴いまして弾力的に行う必要があるわけでございます。また、技術的な内容のものでもございます。航空協定上、航空当局間の合意の後、外交上の交換公文、公文の交換により発効するということとされておるわけ。でございます。そのことによって、協定の円滑な実施が図られているわけでございます。  したがいまして、航空協定が国会による包括的な御承認を得られますれば、その行政府への委任に基づきまして、路線の修正については政府限りで処理し得るものというふうに考えておりますし、また従来そのように一貫して処理してきた次第でございます。  国会への付表の改正についての報告につきましては、我が国博現在三十九カ国との間に航空協定締結しておりまして、極めて頻繁に付表の改正が行われておりまして、その都度、そのたびごとに国会へ報告ということは実際上困難でございます。この点、ぜひ御理解を得たいというふうに思っておる次第でございます。
  108. 小原武

    ○小原政府委員 トルコとバングラデシュとの投資保護協定締結に至る背景につきまして、在京トルコ大使館に照会したところ、大使館の説明は次のとおりでありましたので、御報告いたします。  トルコは、バングラデシュとの間に従来から歴史的、伝統的に友好関係を維持しており、特に南西アジア地域の安定のためにはバンクラデシュベの支援が必要であるという立場をとってきている。このような立場に立って、両国間の経済関係の発展に資するべく、投資保護協定を一九八九年に締結した次第であります。両国間の投資関係を見ると、特にトルコからバングラデシュに対して建設などのインフラストラクチャー部門への投資が行われており、この協定締結によって、このような投資促進するための環境が一層整備されることになったと考えている。  以上のような説明でございます。
  109. 土井たか子

    ○土井委員 ただいま御答弁いただきましたことから、さらに質問していかなければならないような気持ちに大変駆られるわけですが、要は国会の中で約束したことについてはひとつ国会に対してしっかり果たしていただくということを、当たり前のことですが私は改めて申し上げて、結局報告の必要がないということであるならば、それを報告としておっしゃって、なぜ報告の必要がないかということをはっきりここの場所でおっしゃることが、これはまた大事であったということだろうと思います。これからどうぞそういうことはきちんとお願いしますよね。  それで、これはその報告の義務ありやなしやという、ただいまの付表の問題にもかかわることではありますけれども、現に事が動いておりまして、お尋ねしてみたいと思います。  報道によりますと、今度政府は、朝鮮半島の上空を横切って、北京、ウルムチを経由して、旧ソ連の領土、領空を越えて、トルコのイスタンブールを結ぶ新航空路の開設に向けて交渉がもう始まっているということのようでございます。これを命じてニューシルクルートと言われたりいたしているようでございますけれども、その新航空路のルートの中に、もう言うまでもなく旧ソ連領の中央アジア部分というのは、ソ連邦が崩壊後、各国が独立しているわけでありますから、協議の難航もこれは予想されると考えられるのですけれども、これに対しての見通しを承っておきたいと思うのです。
  110. 小原武

    ○小原政府委員 現在、航空当局間において協議が行われておりますけれども、詳細は存じておりません。
  111. 土井たか子

    ○土井委員 これは航空協定締結なさる所管の省は外務省なんですね。それの付表の部分がまたこれは討議をされているわけで、付表というのは条約の内容の一部でございますから、外務省がこれを御存じない、しかし報道はあそこまで運輸省の作業が進んでいるということにもなってくると、報道自身が少し勇み足過ぎているのか、外務省が知らなければならないことを御存じでなかったのか、どうもその辺がはっきりいたしませんね。
  112. 小原武

    ○小原政府委員 現在航空当局間におきまして予備的な話し合いが進められているという、始まっているということは承知しておりますけれども、まだ具体的に付表の中身について交渉するという段階には至っておりませんので、詳細は承知しておらないという状況でございます。
  113. 土井たか子

    ○土井委員 またそれじゃ改めてということがきっとあるだろうと思います。しかし、どうも頼りないですね。  あと二間くらいで私はきょうは終えたいと思いますけれども、今回の協定と私は違っている点が大変あるとにらんでいますけれども、一九八九年だったと思うのですが、投資保護協定を中国との間で締結しております。この協定によると、日中両国間の投資の増加や経済関係の拡大、緊密化を促進するということを目的にしているのです。その後、中国においてあの天安門事件が発生いたしまして、対中経済制裁があって、経済的、社会的混乱というのがその中で進行したということはもう申し上げるまでもない今までの経緯でございます。この中で我が国の対中投資というのがどのように推移していったのかどうか、そしてまた、条約締結の効果がその中であったのかどうか、これをお伺いしたいのです。  それで、どうもその日中投資保護協定のときの論議の中には、たしか中国側から、わけても輸送や電力などについての社会的な基盤整備の必要性が挙げられていたと思うのですが、この問題は解決されているのかどうか。これはやはり同じく投資保護協定でございますから、参考までにそれもあわせてぜひ承っておきたいと思います。
  114. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 お答え申し上げます。  投資保護協定締結いたしました直後に天安門事件が起こりまして、私ども非常に大きな衝撃を受けたわけでございます。投資保護協定と申し幸すのはいわば投資促進するための政府間の器をつくるわけでございまして、最終的な判断は日本の企業の方々が中国の投資環境をにらみながら経済計算をなさって進出されるということでございます。  そこで、天安門事件以降の中国に対する投資がどういう状況であるかというお尋ねでございましたけれども、手元にございます数字によりますと天安門事件が八九年だったと記憶しますが、八九年の対中国直接投資の件数といたしましては四十四件前年に比べて減少いたしました。他方、金額に直しますと、製造業を中心とする幾つかの大型案件が八九年に調いまして、金額の面ては四九%前年に比べて増加したということでございます。その翌年の九〇年度はどうかと申しますと、件数では三十九件増加いたしましたが金額の面では二〇%減少した。したがいまして、天安門事件はございましたけれども、今日に至るまでそれがゆえにそう大きく日本から中国への投資が減少したということはなかったように思います。昨今、企業の方に伺いましても、東南アジアの投資が一巡した中で、やはり中期的には中国は大変有望な投資先として企業の方々が考えておられるところのようでございます。  それから、インフラのお話がございました。日本から投資をいたします場合に、中国のインフラがまだまだ未成熟だ、未整備だということは確一がにそのとおりでございます。私どもも一投資保護協定のもとでつくられました政府間の局長レベルの年次協議がございますので、そういった面も含めて、中国への投資の進出のために、中国のインフラを、電力、輸送、ガス、水道をもっと整備してください、そういったことを中国の方々に年次協議のときに申し上げております。  中国側も逐次努力しておると思いますし、また日本からの経済協力もこういった中国のインフラの整備にお手伝いのために充てておりますので、中国におけるインフラはまだまだ改善の余地は多いわけでございますけれども、順次改善はされてきておるというふうに思っております。
  115. 土井たか子

    ○土井委員 ここらあたりで、ひとつ外務大臣に二問ばかりお尋ねをして、次、上原康助委員の方に質問時間をバトンタッチしたい、と思うのです。  今一中国に対しての投資保護協定関係する問題について局長からの御答弁をちょうだいしました。外務大臣は銭外務大臣とお会いになったという経過もございます。いろいろニュースの中にも最近そのことが問題になって、これからどういうふうになっていくのであろうということが取りざたされているのに天皇、皇后両陛下の訪中問題がございますが、これは外務大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか。そしてどのようにそれが先を見通せるかということについてお聞かせいただければと思うのです。  あと一問は、今回日本とトルコとの間の投資保護協定を結ぶに当たって大変気にか。かるのは、先日のあのトルコの大地震なんですね。あのトルコの東部にあった大地震のためにいろいろ言われております中身は、聞けば聞くほど大変深刻であります。国際赤十字社や赤新月社によりますと、家を失った人は数十万人に上る。当面五百七十万ドルの救援資金が必要であると言われているのです。各国にこれは協力を呼びかけているのですが、我が国の援助というのが五十万ドルとか、それは、現金ですね。それから約三千万円の救援物資の援助というふうに言われています。これは今後追加援助の可能性を考えられている。かどうかという問題も含めて、そのことについて外務大臣から御答弁をいただき、今回のこの協定についての御決意と申しますか、お気持ちのほどを最後にお聞かせいただいて、私は質問を次にバトンタッチいたします。
  116. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 トルコに対する援助は、既に今土井委員がおっしゃったように実施済みでございます。特別、その後の要請はありません。ありませんが、状況に応じて、それは状況を見た結果どうするかは、そのときに決めたいと思います。  それから天皇様の訪中問題でございますが、これはかねてから中国側が、この正常化二十周年の記念式典を大きくやりたい、もうこれによって過去のことは、いろいろ言うことよりもむしろ新生中国と日本の間で二十一世紀に向かって大いに友好関係を増進し、また経済交流も活発にしてやっていきたい。何回も中国側からはいろいろな人が来て天皇様に会ったり、訪中を要請をしてこられた。いい区切りでもあるからぜひひとつ、熱烈歓迎をいたしますし、絶対に御迷惑になるようなことはいたしませんということでございますので、検討します、検討しますと言ってきたのですが、今度は、じゃ本気になって検討いたしますということを申し上げて、目下真剣に検討をしているということでございます。
  117. 土井たか子

    ○土井委員 最後に、日本とトルコとの間の投資保護協定についての御決意というか、外務大臣としてこうあり一たいというお気持ちめほどをひとつ披瀝をいただきたいと思うのです。
  118. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 協定をつくったからすぐ投資がふえるというものではありません。これはやはり何といってもその国の需要があるかどうか。ただ、投資する人にとっては不安でありますから、法的な根拠を与えてもらうということはある程度安心できる。  それだけしゃなくて、やはり経済事情でございますから、ぜひとも、我々はせつかく協定をつくったんですから、調査団等も派遣をして、この協定めもとで投資環境が一層よくなったという方向に持っていくようにいろいろ助言をしていきたいと考えております。
  119. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃ、終わります。
  120. 麻生太郎

    麻生委員長 上原康助君。
  121. 上原康助

    ○上原委員 きょうは土井前委員長の情熱に押されて私はもう戦意を失ってしまったので遠慮しようかと思ったのですが、時間が少しあるようですからお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず、外務大臣に率直にお伺いをして、どういう御感想で、またどう改めていかれようとするのか聞いておきたいのですが、けさほど来の土井委員とのやりとりの中で、外務省当局の本委員全で議論されてきた重要な条約とか案件に対しているいろ御答弁なさって約束したことがしばしばほごになっているわけですね。  今度だけじゃないのです。私は、航空協定のときには本委員会にいませんでしたが、昨年もこの委員会理事会への報告をめぐって大変問題になりました。そういうことがしばしばあるのですね。また、せっかく条約審議協定審議をやっているのに、それとの関連事項について十分に掌握をしていない。答弁がどうも時間しのぎをすれば事足りる、私はそこに国会の形骸化があり、今日の政治の行き詰まり、いろいろな問題があると思うのです。  外務大臣であり、副総理であられ、実力者としてのお立場からも、今回のようなことはもうあってはいかない、航空協定の問題について。こんなの閣議で了解するとか、そんな代物じゃないと思うのですよ。その点について大臣はどうお考えで、これからどう外務省として十分にお答えになっていかれるのか、ぜひひとつお考えを聞かしておいていただきたいと思います。
  122. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 外務省は人事異動がございまして、もう二年ぐらいでみんな立場がどんどん変わってくる。ところが、国会の方は人事異動がありませんで、外務委員会で十年、十五年、かなりベテランで、いきさつから、その当時の事情から知った方がいらっしゃる。それは事実なのですよ。ある面については国会議員の方が詳しいという場面もあるのですよ。いい悪いは別ですよ、私は詳しくて悪いことはないと思いますから。  だから、そういうことにつきましてはあらかじめ質問通告のときにちょっと言っておいていただけば、もっと好意ある配慮が幾らでもできるのじゃないか。実際は、トルコとバングラデシュの関係は、なぜ協定を結んだんだと言われましても恐らく勉強してなかったのですよ。だから、そういったことは事前に——こういうのは先進国と結ぶのが普通で、そういうような発展途上国だけで結ぶというのは例がないじゃないか、全くそうだな、私も聞いたことがない、実際の話が。ところが、調べてみれば下には下がある、上には上があるというようなものでして、バングラデシュの方がトルコをもっと頼りにしたということなんでしょう。ですから、できるだけ事前にこういうこととこういうことを質問すると言っておいていただけば、懇切丁寧にやらせるようにしたいと思っております。わからないと、どうしてもわからないところは言いたくないからのらりくらりという話になって、何をしゃべったんだかわからないようなことを答弁しからであることも事実だと私は思うのです。だから、やはりこういう間で本当に心の通った質問というものはあったっていいんじゃないか。  この間、国会で何人かの質問があって、本当にそうだと思って私が大賛成した野党の議員の質問があって、早速そんなことやりなさい、各省しりをたたいてやるようにするようなこともあるのですよ。だから、事前にそういうことをよく言っておいてもらうと本当に実りのある質問になることが多い、そう思っておりますから、ぜひとも事前によく勉強する時間を与えてもらう、そして建設的な御質問をいただけばできるだけ我々としてはそれに答えるように努力をしてまいります。  ただ検討する、検討する、これもまあ逃げ言葉というか、イエス、ノーを余り言わないで検討いたしますとかと言うのですよ。何でそう言うんだなんと言ったら、ノーと言ったのではどうも先生の御機嫌が悪くなっちゃうし、イエスと言ったのでは後で引っ込みがつかなくなっちゃうし、とりあえず検討させていただきますと言ってその場逃れということもあるのですよ、聞いてみると。  だから、それはそうでなくて、こういうことでできないものはこうこうしかじかだから、まことに申しわけありませんがひとつ御勘弁ください、じゃこれは前向きにやってみましょうとか、もう少しイエス、ノーをはっきりしたらいいんじゃないかということを、私は役所の局長さんとか何かと一緒にしょっちゅう話をしていますから、そういうことを言うのです。そんなことを言ったら国会がとまっちまう。とまるったって、そんなふうにわけのわからない人ばかりいるわけじゃないだろうから話せばわかるんじゃないか。だからやはり責任を持った話をすることが大事だろう、私はそう思っておりますから、そういう方針で今後も指導をしてまいりたいと存じます。
  123. 上原康助

    ○上原委員 何だか今の御答弁だけでこれは一時間ぐらいやりとりせんといかなくなっちゃう。上には上があり、下には下があるというのは、これは外務大臣としていささか聞き捨てならぬ表現ですよ。弁解がましくなりますが、バングラデシュの問題とかそういうこともさることながら、何か土井先生指摘をしたことが、あたかも質問通告してなかったからそうなったんだと言わんばかりの、そんな親分では子分だってますます悪くなりますよ。あなたの答弁こそもう少ししっかりしてもらわぬと困るよ。
  124. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 それは、今話が出ましたから例示的に申し上げたのであって、それはこっちが答弁できるだけ全部知っていればいいんですよ、実際はバングラデシュの関係でどうなったか、こうなったかということを勉強しておれば。しかし勉強がそこまでは届かなかったということなんですから、事前に言っていただけばもう少し親切な答弁を最初から、中断しなくたってできそうなものだな、そういうことで申し上げたのです。
  125. 上原康助

    ○上原委員 それは別に揚げ足をとるとか、これ以上この問題でどうとは、言いたいけれどもやめますが、やはり役所というのは、特に外務省は体質的に悪いですよ、率直に申し上げて。実際問題、何回かこういうことがあるのですよ。報告事項を報告すると約束したがしてない。これは何も私だけが言っているんじゃない。理事会だって与党の理事先生方だってそのことを指摘をしている。そのことを私たちはもう少し改めてもらいたいということを指摘をしているわけですから、それは人事異動があるからとか、そこまでは勉強がどうのとか、質問事項が丁寧じゃない、通告がなかったからというだけで済まされない点があるということを大臣としてはぜひ御認識を新たにしていただきたいことを注文しておきたいと思います。  そこで、きょうは時間が限られておりまして、終わりの方もきちっとせんといかぬという皆さんの要望もありますので、それは曲げてきょうのところは我慢しますけれども、このトルコとの投資協定締結する過程で一体どのような点が特に問題であったのか、問題なかったのか。何を日本側としては特に注意をしたのか、あるいは注文をつけたのか、またトルコ側はどうだったのか。そういった基本的な点から簡潔にお答えください。
  126. 野村一成

    ○野村説明員 簡潔にということですのでお答え申し上げます。  まず、トルコとの交渉自体に五年近くも年月を要しておりまして、もちろん我が国の立場からいたしますとトルコにおける投資環境の整備ということが非常に大きな関心事であるわけでございます。要するに、投資家にとって意味のある実効的な協定にしなければならないという点が第一の関心事でございます。他方、トルコ側の方もこの協定につきましては非常に強い希望を示しておりまして、ぜひこの投資保護協定締結することによりまして我が国のトルコヘの投資が伸びるということを強く期待しておったわけでございます。  そういう意味で、双方間に協定締結に対する共通の希望と申しますか、意思があったわけでございますが、特にトルコの場合に将来のECへの加盟という可能性を念頭に置いていた面があります。地域統合に参加した場合に参加国間で与える待遇と今回の協定との関係を慎重に検討する必要があるという、そういう姿勢を示したことが若干時間を要したことの原因の一つでございます。さらに、これは私どもの方にも基本的にある事情ではありますけれども、特にトルコの政府部内の事情といたしまして関係する省庁というのが非常に多岐にわたっておるということから相互の間の調整というのにも時間を要した、そういう点がございます。  以上でございます。
  127. 上原康助

    ○上原委員 この協定は条文ごとにただしていくといろいろ問題をもう少し解明をしておかなければいかない点があると思うし、今またおっしゃったトルコの国内情勢、政治経済情勢、周辺国との関係などなど、特に中東、イラク、イランとの関係等もいろいろ議論を要する課題が率直に申し上げて多いのですね。これを短時間でやれというのもいささか納得しかねる点が多いということを指摘をしておきたいと思います。  そこで、いろいろ条文ごとに聞きたいこともありますが、特に第八条でしたか、その内容というのは一体どういうことなのか、もう少し説明をしていただきたいと思うのです。
  128. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の八条は、送金についての自由に関する規定でございます。御案内のとおり投資活動というのは利潤獲得を目的として行われるものでございまして、送金の自由というのを確保することが非常に重要な側面でございます。  そこで、この第八条におきましては、投資先である他方の締約国から本国またはその他の国、すなわち第三国でございますが、そこへ送金する自由、例えば利潤を本国でなく第三国へ新たな投資等のために送金するということは企業活動として十分あり得るわけでございますので、それが一つ。  それから、本国または第三国から投資先である他方の締約国へ送金する画中具体的には例えば資金調達を第三国で行いまして、その資金を他方の締約国へ送金するということは企業行動としても十分あり得るわけでございまして、そういった点について保証している条項でございます。
  129. 上原康助

    ○上原委員 そこで、この協定上、条約上、第三国というのはどこにあるのですか。
  130. 野村一成

    ○野村説明員 領域の内外でございますので、自分の国とそれからそれ以外の国ということになります。
  131. 上原康助

    ○上原委員 ですから、協定上第三国という表現とか規定はなくして、ここで「両国間及び自国と第三国との間の収益、貸付けの返済金等の移転の自由の保証等について規定している。(第八条)」だから、この第八条には第三国というのはないですよね。実際問題としてどういうことを想定をしているわけですか。
  132. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  確かにこの第八条を見ますと第三国という言葉はございませんが、日本・スリランカあるいは日本・中国との間の投資保護協定におきましてはこの点につきましてこういうふうな表現になっております。「両締約国の領域の間及び当該他方の締約国の領域と第三国の領域との間に行われる支払この移転の自由を保証されるということになっておりまして、基本的には、表現は違いますけれども中身としては同じ趣旨でございます。
  133. 上原康助

    ○上原委員 ちょっとしかし、そこは理解しかねますね。理解というか、納得しかねますね。中国とか他の投資協定の場合はそういう表現があるのにここでは抜かしておきながら、あなた方の解説の内容ではそういうふうになっておる。これは非常に疑問ですね。
  134. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  ただいまの第三国という表現は、たしかこの条約提出に当たりましての説明書で使っておるわけでございます。そういう表現の方が説明としてはあるいはわかりやすいというふうに思ってそういうふうにしたわけでございますが、実体は全く同じでございます。
  135. 上原康助

    ○上原委員 そういう点がどうも五カ年もかけてやったという割にはいろいろ問題点が解明されないまま残るという点を指摘をしておきたいし、特に第八条のこの運用というか第三国ということについては、もう少し解釈というか運用というものをしっかりすべきであるということを注文をつけておきたいと思います。  そのほかにもいろいろお尋ねしたい点もありますが、そこでさっきもちょっと答弁がありましたが、投資をする二国間のいわゆる経済、貿易等の関係を進めていく上においては、やはりトルコの政治、経済、外交問題というのがどういうふうになっているかということが大事だと思うのですよね。今一番トルコとしての外交案件というか、経済を含めてどういうのが問題という認識を日本側はしておられるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  136. 小原武

    ○小原政府委員 トルコは主権尊重、内政不干渉というようなことを基本にいたしまして近隣諸国それから欧米諸国、中近東諸国、日本を含めるアジア諸国などと幅広く友好関係を増進するという政策をとってまいってきておりますが、私どもの拝見するところ、昨今EC諸国との関係、なかんずくECへの加盟というのを一つの大きな外交目標にしております。また旧ソ連の解体に伴いまして、いわゆるCISの中のトルコにとっては近隣のイスラム共和国との関係を増進することを一つの大きな目標にしているように見受けております。
  137. 上原康助

    ○上原委員 そのほかにもいろいろあるようですが、特に今ECのことを、さっきも野村審議官の方からもありましたが、この加盟の見通しはどういうふうに見ていらっしゃるのですか。
  138. 小原武

    ○小原政府委員 トルコは一九八七年にECに対して加盟の申し入れを行ったところでありますが、ECは一九九〇年の二月に、EC委員会としまして九二年じゅうのECの統合の完成ということに当面全精力を集中するということで、その間トルコの加盟については棚上げにするという決定を下して現在に至っているというふうに承知しております。
  139. 上原康助

    ○上原委員 それは加盟申し込みに対して確かにそういうEC側のあれはありますけれども、トルコの加盟希望というのは強いわけで、今後の見通しを私はお尋ねしているわけです。  それともう一つは、これは日本とトルコとの関係の中でも一番大事な点だと思うのですが、難民を含めてのクルド族問題ですね。イラク周辺の湾岸戦争とのかかわりにおいても今国際的にも大変な問題になっている。国内的にも大変なインパクトを与えている、経済面についても政治にしても、もちろん外交面においても。このクルド族問題については今後どう解決していく見通しがあるのか。また日本とトルコの関係ではそういう難民とか国内の政情不安等々についてはどのように解決をしていく努力をしていくおつもりなのか、あわせてお聞かせをいただきたいと思いますし、できればこのことについては重要な国際的外交案件でもありますので、外務大臣の御所見も聞かせていただければと思います。
  140. 小原武

    ○小原政府委員 まず、トルコにとってのクルド問題についてお答え申し上げます。  御承知のようにトルコ国内には相当数のクルド人が在住しているということでありまして、トルコ側は伝統的にクルド人はトルコ人全体と同じ法的扱いをしていて、少数民族という扱いをしてきておりません。そういう中にありまして、一部に武装ゲリラなどを伴う反政府的な動きがあり政治・社会問題になっているわけでありますけれども、昨年十一月に成立いたしました新しいトルコ政府は、従来とやや態度を変えまして国内にクルド人の問題が存在するということを認めまして、人権の尊重それから国民間の融和という方向に民主的な方向で解決したいという立場をとって現在取り組んでいるというふうに理解しております。  他方、湾岸戦争の前後を通じましてイラクの北部からトルコにクルド難民が流入するという事件がありまして、トルコ側にも約五十万人に及ぶ難民が避難を求めて押し寄せたという事件がございましたけれども、その後イラク北部における状況がやや正常に戻るという状況のもとでこのトルコ側に押し寄せた避難民はほとんどイラクに帰還した、そういう意味でクルド難民のトルコ国内における大きな問題というものは解消したというふうに承知しております。
  141. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 トルコ情勢につきましては、委細中近東局長から御説明申し上げたとおりでございます。
  142. 上原康助

    ○上原委員 なかなか慎重ですね。ですから、この投資協定を結んでも、今のトルコの国内政治情勢、周辺の中近東との関係、特にイラクあるいはイラン等もありますね。ブルガリア、シリア等々の関係、また旧ソ連との関係、こういう国情不安、非常に不安定というか、一方EC、NATOというものを見ながらやっているわけです。懸念される点は、外務大臣がどういう御見解をお述べになるかということでちょっと関心があったわけですが、トルコには御承知のように米軍基地がありますね。湾岸戦争のときにも使用している。どうもこれまで日米の外交基軸と言いながらも絶えず、中近東情勢にしても湾岸戦争にしてもアメリカの御機嫌をうかがいながらしか日本外交というものは進めてこれ。なかったという弱さを持っていると思うね、残念ながら。そういう背景があるだけに、この投資協定を、日本側が本当に健全に両国間の経済や貿易や文化、友好を維持していくという場合はそれなりのしっかりした外交方針というものがないといけないと思うのですね、中近東に対してのことを含めて。そういう観点から私はお尋ねをしておりますので、改めて大臣の所見を聞かしてください。
  143. 小原武

    ○小原政府委員 事実関係の認識を申し上げます。  トルコは政治的に見まして、あの地域、ヨーロッパと中近東、アジアを結ぶ地政学的に重要な地域におきまして一つの大きな安定勢力であると私どもは認識しております。昨年の十一月に選挙がありまして政権の交代は行われましたけれども、一その新政権のもとで国内の安定というものは十二分に維持されてきておるというふうに理解しております。また八〇年代を通じまして開放経済政策をとりまして、経済も順調に発展してきているという状況にあると見ております。湾岸戦争の影響を経済的に大きくこうむりまして、その影響は一部まだ続いているところでありますけれども、新政権が前政権の経済政策をそのまま引き継ぎまして構造改革それかも経済開放政策というのを引き続き続けているところでございます。  対外関係を見ますと、隣国のイラクとの関係は湾岸危機後厳しい状況が続いているわけでございますけれども、それ以外のヨーロッパ諸国、アメリカあるいは中東諸国、日本を含めるアジア諸国との関係は非常に順調に発展しているところでございます。
  144. 上原康助

    ○上原委員 大変認識が、どうも情勢判断が甘いのじゃないでしょうか。トルコの歴史を私もそんなに勉強してないのですが、ちょっとはしょってみただけでも、大変な国内でも対立関係あり、小党分立あり、不安定な状況がありますね。大統領と首相が対立をする、さっきも野村さんおっしゃておったじゃないですか。あなたのそういう認識ではとてもじゃないがどうかと思いますよ。現在だって政権はそう安定しているとは見られないだけに、外交を進めていく上ではよくよく注意を払わないと、せっかく投資協定ができても果たしてうまく稼働していくかどうかを懸念される面もありますのでお尋ねをしているわけで、私は今の答弁では大変甘い情勢認識じゃないかなということだけ指摘をしておきたいと思う。もう時間が過ぎましたので。  それで難民問題、クルド問題とも間接的には関連があると思うので、何か最近の報道によると、ODAの援助を年間二十億ドル新たに負担をしていくということを、外務省ですか、固めた。年間二十億ドルというと百三十円換算でも二千六百億くらいになるのでしょうか。それだけ新たなODA負担というものをやっていくお考えになっているのかということが一つと、さらにそれをやっていくには、やはり地球環境問題とのかかわりも含めての考えなのかどうか。これはこれから国際情勢の一般質問の中でも問題になってくる点だと思うので、ずばり外務大臣の方からお答えいただけますか。
  145. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  事実関係の点でございますが、先生指摘の二十億ドルということはちょっと何を意味しておられるのか必ずしもつまびらかにしないのですが、プレスに出ていた環境の関係についての御質問ではないかと推測させていただきますけれども、先般のプレスの報道は、環境問題につきまして、これからの対応でございますけれども、UNCEDに向けまして政府の部内で、例のグローバルな環境基金、それから対途上国支援といったような点に関しましてODA等を動員して対処したらどうかということで政府検討しているといったしか報道だったと思いますが、我々といたしましては、UNCEDの対応につきましては、御案内のとおり今途上国と、これは私直接担当している局長ではございませんが、途上国と先進国との間の基金をめぐっての意見の相違がまだございまして、その点について我々として途上国対策も頭に置きながらどう対応したらいいかというのを検討している状況にございます。  それから、他方、二国間の援助のコンテクストでも、ことしは環境年でございますし、従来ともども政府は環境問題には力を入れてまいりましたけれども、これから環境の分野に重点を置きながらどういうふうにODA等を伸ばしていくかということを検討している状況でございます。まだ数字等の段階には至っておりません。
  146. 上原康助

    ○上原委員 これはある程度考えはわかりましたが、もちろん地球環境サミット、アメリカ側がそのCO2削減に非常に消極姿勢であるとかいろいろ報道されております。これは絶対必要ですね。だから、そういう範囲というか、概念を貫くために新たなODAの枠を振り向けるということであればそれなりにまた検討に値すると思いますが、いずれにしても、この種のことについてももっとしっかりした方針があれば改めて本委員会にも御提示をいただきたいと思います。  最後に、あと時間がありませんが、一点だけどうしても、何回でも聞かなければならない。ことしは沖縄返還、復帰二十年です。私は、総理にしても外務大臣にしても、沖縄にたくさん基地がある、戦後二十七年間アメリカの軍事占領支配下にあった、償いの気持ちで、あれこれやりますと言うけれども、しかし、ちっともその償いの具体化が出ていないのです、率直に言わしていただければ。ですから、改めて大臣の見解をお尋ねしていますが、五月十五日といってもあと間近いですね。米軍専用基地の七五%を狭い沖縄に押しつけるというのではなくして、もう少し政府の誠意ある具体的な基地の整理縮小というものをこの五月に向けて日米間でぜひ明らかにしていただきたい。これは、何回同じことを聞くかいと皆さんに言われても、聞かざるを得ないですね。現在でも基地はむしろ強化されている、我々から見ると。その点について、そのお気持ちは、私は、私ほどはないと思うのだが、全くないわけでもないと思う、外務大臣にしても外務省にしても。ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  147. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 先生から御指摘を受けますたびにこの問題の重要性をひしひしと感じております。具体的な答えがないと言われる点は、まだ残念ながらこの段階ではそう申し上げざるを得ませんけれども、先般の本会議で大臣からも先生にお答えしたとおり、ことしは沖縄返還二十周年であるということを踏まえまして今一生懸命関係方面と話をしているところであります。今の段階でそういうことでございますので、我々の決意、覚悟という段階でしかお答えできませんが、お気持ちを体して努力しているということだけ言わしていただきたいと思います。
  148. 上原康助

    ○上原委員 あと二分ありますから。三十秒あれば立派な答えができるのですよ。質問も十五秒で立派な質問することもできるのです。  大臣、これは本当に県民の切実な願いですよ。もしそういうことも何もやらないで、今までどおり安保至上主義だけとるとすると、これは沖縄県民の宮澤内閣に対する新たな不信感、大物外務大臣になってもちっともらち明かぬのかと、ますますそういう気持ちになりますから。外交案件としては言えないこともあるでしょう。十秒で、答弁は結構ですから、渡辺外務大臣、決意を聞かしてください。
  149. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 これはもう上原先生から質問のたびに出てくることでございまして、この間、つい最近も全く同じ質問がありました。まだ日時が過ぎておらないので、そう変わった変化はありませんが、今北米局長から言ったように、その気持ちはよく私らもわかりますので、できるだけそのような趣旨に少しでも近づくように努力をしてまいります。
  150. 上原康助

    ○上原委員 終わります。労働省は済みませんでした。聞けなかった。
  151. 麻生太郎

    麻生委員長 遠藤乙彦君。
  152. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 私は、この日本・トルコ投資保護協定に絞って質問をさせていただきます。  まず最初に基本認識についてお聞きしたいのですが、これは恐縮なんですがちょっと事前通告していなかったのですが、中近東アフリカ局長にお願いをしたいと思いますが、我が国の対中近東外交におけるトルコの位置づけということでございます。  この地域、大変激変がやはり襲っております。冷戦構造が崩壊をし、湾岸戦争があった。また、旧ソ連が崩壊をし、イスラム圏諸国の動きがある、またいろいろな地域統合の動きもある。こういった中で、大変流動化する情勢の中で、トルコの役割というのは非常に大きくなりつつあると思うのですが、そういったことに関連をして、我が国対中近東外交におけるトルコの位置づけをどう見ているか、この点につきまして基本認識をお聞きをしたいと思います。
  153. 小原武

    ○小原政府委員 トルコは欧州、中近東それからアジアを結ぶ地政学上の要衝の地にあります。そういう地にありまして、善隣友好外交というものを伝統的に維持する一方で、NATOの一員として西側諸国との緊密な協力関係というものを片や追求し又他方で同じような立場にありますイラン、パキスタンというような国と経済協力機構というものを通じてこの地域の安定というものに努力している。また、同じイスラム国家としての立場から、アラブ諸国全般、なかんずく湾岸諸国の産油国との友好関係も推し進めている。こういう意味におきまして、非常に多岐にわたる協力関係と影響力を持った、あの地域における安定勢力というふうに認識しております。
  154. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 もう一点お願いをしたいのですが、我が国とトルコとの関係の現状をどう評価するか、また今後の課題をどう考えているか、この点につきまして御説明をお願いします。
  155. 小原武

    ○小原政府委員 トルコと我が国は非常に長い間の友好関係で結ばれております。その一例といたしまして、一昨年一九九〇年に友好百周年を迎えまして、双方の国で大きな記念の催し物がいろいろ行われたところでございます。  こういう長い伝統的な友好関係を背景にいたしまして、両国間のいろいろの意味での政府対話というものも進んできております。一例を挙げますならば、一昨年、我が方から総理大臣、外務大臣が訪問し、湾岸危機の際における双方の緊密な意見交換を行ったということがございますし、また、大喪の礼、即位の礼には当時のオザル大統領がみずから出席するというようなことがあったわけでございます。  この友好関係、それから我が国があの地におけるトルコの役割を重視しているということの反映の一つといたしまして、我が国のトルコに対する経済協力関係も順調に進展しておりまして、中近東におきましてはエジプトに次ぐ第二の我が経済協力の供与国ということになっております。経済関係は、やや我が方の出超の状況が続いておりますけれども、これも順調に進展してきております。現在御審議をお願いしておりますこの投資保護協定が発効いたしますと、我が国からのトルコヘの投資増大ということを通じまして一層経済関係が進展するものと期待しているところでございます。  ただいま申し上げましたような各般の協力関係を今後とも積極的に推進してまいりたいと考えております。
  156. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、この投資保護協定に則して質問をしてまいりますが、この協定は、トルコ側の強い希望を受けて昭和六十二年二月以降交渉を行ったと協定の説明にはあるわけですけれども、それなのに平成四年二月の署名まで丸五年かかったということになっておりますけれども、それはなぜなのか、御説明をいただきたいと思います。
  157. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  確かに御指摘のとおり五年の年月を要しております。双方間にこの投資保護に関する協定締結したいというその姿勢ははっきりしておったのでございますが、いざ交渉を始めてみますといろいろとそれなりの事情がございまして、特にトルコ側につきましては、先ほど私ちょっと上原先生の御質問にお答え申し上げましたけれども、やはり将来のEC加盟の可能性を念頭に置きまして、地域統合に参画した場合に、参加国間の待遇とこの協定との関係というのをより慎重に検討したいという姿勢がうかがわれまして、また、なかなか関係省庁間の相互の連絡調整に時間を要したという点がございまして、そういった点が五年という年月を要した主たる事情でございます。     〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕
  158. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 トルコ側は、我が国との投資保護協定締結投資促進を図るための環境整備の一環として必要だという認識を示していると思いますが、この協定締結によりましてトルコ側が受ける具体的なメリットはどういうものがあるのか、この点につきまして御説明をお願いします。
  159. 野村一成

    ○野村説明員 この協定締結によりまして、まず御指摘のようにトルコにおける投資受け入れの環境が整備されることになりますので、これは我が国投資増大に向けてのきちんとした一応の法的な枠組みが整備されるということになります。それで、我が国からの投資増大ということに相なってまいりますと、そのこと自体がトルコにおきます雇用の創出あるいは技術移転、中長期的な輸出増大による国際収支の改善といったもろもろの経済効果が期待され得るということであろうかと思います。
  160. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、他方この協定締結我が国投資にとりどのような意義を有しているか、この点につきましても御説明をお願いします。
  161. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  この協定によりまして投資環境と申しますか投資活動に対する十分な法的な保護が与えられるということになりますので、今後トルコに対します投資をより一層容易に行い得るそういう法的な環境が整備されるということに相なるというふうに考えております。
  162. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 我が国は今までエジプト、スリランカ、中国の三カ国と投資保護協定締結をしておりますが、そのいずれにも紛争解決手続というのが規定されております。この協定におきましても、第十一条及び第十三条に紛争解決手続の規定があるわけでございます。  これをお伺いしたいのですが、今まで投資の紛争を協定上の解決手続に従って解決するよう当事者から要請がなされたことはあったのか、この点につきましてお願いします。
  163. 野村一成

    ○野村説明員 ただいま御指摘のような要請がなされたことはございません。
  164. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ということは、いわゆる事故、投資のトラブルがこれらの国々と全くなかった、そのように理解をしてよろしいのでしょうか。
  165. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  トラブルということの実態的な意味にも中身にも関係するのだと思いますけれども、全くなかったとはあるいは言えないのではないかと思います。  ただ、これまでのところ、当事者間によるそういった問題の解決がなされておるというふうに理解しておりまして、それぞれの協定に規定されております、例えば先ほど御指摘にもございました、この協定にも紛争解決の手続が定められておるわけでございますけれども、その協定に規定される手続が発動される、そこまでには至らなかったということであろうかと思います。
  166. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、より具体的な問題をお聞きしたいのですけれども、今トルコでBOT方式という外資導入のための一つの方式がオザル政権によって提唱されております。我が国関係する具体的な例もあるわけでございますけれども、まずこのBOT方式とはいかなるものか、御説明をお願いします。
  167. 小原武

    ○小原政府委員 お答え申し上げます。  BOT方式といいますのは、トルコの前オザル政権が一九八五年ごろからエネルギー開発部門における新しいタイプの開発方式ということで導入して実施してきたやり方でございまして、BOTのBはビルド、Oはオペレート、それからTはトランスファー、それぞれの頭文字をとったものでございまして、外国の民間会社グループがみずから資金調達を行ってトルコの内部で設備を建設し、それを一定期間運営し、そしてその間の収益によって借入資金、投下資本などを回収した上で、一定期間後その設備をトルコに譲渡して引き揚げるという方式であると理解しております。
  168. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 この方式、いろいろなメリット、デメリットが当然あると思うのですが、例えば、メリットとしては、発展途上国の債務をふやすことなくインフラ整備が期待できる。あるいはまた、いわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニングを通じて、適切な技術移転が図られるというメリットがあることが期待される反面、民間企業による事業であるために借入金利が高い、またサービスの対価も高めに設定されるといったデメリットも指摘されているわけでございまして、こういったトルコが導入しているBOT方式に対する我が国政府としての評価はいかなるものか、それにつきましてお聞きしたいと思います。
  169. 小原武

    ○小原政府委員 お答え申し上げます。  このBOT方式の利益、不利益は、今先生が御指摘されたような両面のものがあると思います。しかして、これを比較考量しまして利益があるとトルコ側は評価をして実施しているものであります。それぞれの受け入れの政府が比較考量することによって判断すべきものというふうに考えております。
  170. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは具体的に、我が国にも関係するケースとして、BOT方式によるアーリア地区の石炭火力発電所プロジェクトについてお伺いをしたいと思います。  現在、この資料によりますと、イズミル市近郊のアーリア地区に電源開発が率いるコンソーシアムが石炭火力発電所の建設をBOT方式で進めるというふうに聞いておりますけれども、この日系合弁企業は九〇年八月に設立登記を行っておりますが、いまだに着工ができない状況が続いている、そのように聞いております。これは一体どのような理由によるものか、お答え願います。
  171. 小原武

    ○小原政府委員 お答え申し上げます。  一九八九年の十月に、トルコ政府はこのプロジェクトを承認する閣議決定を行ったようでありますが、その直後に、ある議員から、プロジェクトの環境レポートの作成などの点で、立地環境に関する許認可手続が踏まれていないという異議の申し立てをしまして、トルコ政府の閣議決定の取り消しを求める行政訴訟を行政最高裁判所というところに提起いたしました。この行政最高裁判所は現在それを審議中でありますけれども、現在に至るまでその最終決定がなされていないというために、以後の工事が中断しているものであるというふうに承知しております。
  172. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 このプロジェクトがトルコにとって特にエネルギー面で大変重要なものであるということは理解できるわけですが、他方、今の御説明のように環境保護問題が世界的な問題となっている今日、地元住民の理解が得られない中での着工は許されることではないと考えられるわけでございます。そういったことで、今の御説明を踏まえてさらに、このプロジェクトの今後の見通し。これが実際に実現できるのか否か、どうなっていくのか、御説明をいただきたいと思います。
  173. 小原武

    ○小原政府委員 お答え申し上げます。  この問題の処理は、現在、トルコの国内の行政手続上の問題であるわけでありまして、行政最高裁判所の判決といいますか、決定に従って、それに従って解決決定されるべきものと理解しております。現時点で、いっそのような決定がなされるかということにつきましては、判断の材料を現在持ち合わせておりません。
  174. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、湾岸戦争でトルコがこうむった経済的な損失、それから今後の経済の回復の見通しについてお聞きしたいわけですが、湾岸戦争勃発に伴って、トルコは積極的に米国及び多国籍軍側に協力する立場をとったわけです。NATOの機動部隊の駐留、それから米軍機国内基地からの発進等を容認したわけですし、また国連決議に基づく経済制裁を実施してきております。こういったことで、トルコは大変大きな経済的損失を受けたと言われておりますけれども、こういったものの損失並びに今後の回復の見通しにつきまして御説明をいただきたいと思います。
  175. 小原武

    ○小原政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のとおり、湾岸戦争を通じまして、トルコは積極的に多国籍軍側に協力するという立場をとってまいりまして、経済的には、国連安保理決議に基づく経済制裁を誠実に実施するという立場をとって、今日に至っております。  そのために、イラクから通じております石油のパイプラインを閉鎖するというようなことで経済的には大きな損失をこうむっているわけでありますし、またイラク向けの輸出が相当のウエートを占めていたわけでありますけれども、それも中断している。あるいは、イラクからトルコに対する債務の返済が停止されているというような面でも打撃を受けているというふうに、多々経済的損失を受けているわけでございます。  これらの損失は、トルコ側の計算によりますと、九〇年中は約四十三億ドル、九一年中は二十六億五千万ドルという額に上っているというふうに言われております。  この経済制裁は依然トルコは続けておりますので経済的損失の影響は現在も出ているわけでありますけれども、トルコ政府側の説明によりますれば、今後のトルコ経済の課題といたしましては、財政赤字の削減を中心とする構造改革、それから大きな問題としてインフレ対策、輸出力の強化などが今後の中心課題であるというふうに説明されております。
  176. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 我が国は湾岸戦争の際に紛争周辺国援助として二〇億ドル支出をしたわけでございますが、このうちトルコに対してどれくらい援助が行われたのか、どういう中身であったのか、御説明をいただきたいと思います。
  177. 川上隆朗

    ○川上政府委員 トルコに対する紛争周辺国支援の中身でございますが、御指摘のとおり、湾岸戦争の際の周辺国の経済的困難を軽減するということで総額二十億ドル程度の経済協力を実施するということを九〇年の九月の段階で発表いたしまして、この周辺国支援のうちトルコに対しましては約七億ドルでございますが、ちなみに残りの配分につきましては、エジプト約六億ドル、ジョルダン約七億ドルということでございましたが、トルコにつきましては、緊急支援でございますので大宗は緊急商品借款でございまして、これが約六億ドルでございまして、これは既に全額支出を完了いたしております。残り一億ドル分はゴールデンホーンという、イスタンブールの橋の補修、幅の拡張という計画でございまして、これにつきましては手続的に若干手間取っておりますが、現在入札の手続を行っておるという状況でございます。
  178. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 先ほど上原議員からもクルド問題について質問があったわけでございますが、それにも関連をしまして、トルコが国内に多数のクルド人口を抱えているわけでございますけれども、従来はかなり抑圧的な政策をとってきたものと理解をしておりますが、昨年十一月にいわゆるデミレル新政権が誕生しまして、この抑圧的政策を変えているというふうに理解をしておりますが、具体的にどういう形でこの中身が変わってきたのか御説明をいただきたいと思います。
  179. 小原武

    ○小原政府委員 お答え申し上げます。  昨年十一月にデミレル新政権が発足したわけでありますけれども、政権発足後間もなくデミレル首相とそれからイノニュ副首相がみずからクルド人が多数居住しておりますトルコの南東部地域を訪問いたしました。その際デミレル首相は、新政権としてはこのクルド系の国民の問題が存在するということを現実として直視する、そしてトルコ共和国の統一性という理念を堅持した上でこの問題を民主的に解決する努力をする、その決意を表明するという発言をなされ、この線に沿って施策が今後行われるものと期待しているところでございます。
  180. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 時間の制約もありますので、続いて地域協力の動きについて質問をしたいと思います。  一つは、いわゆる経済協力機構、ECOと呼ばれるものですが、二月の十六日に、トルコ、イラン、パキスタンの三カ国で構成される経済協力機構首脳会議が開催をされまして、この際、ウズベキスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンといわゆる旧ソ連の五つの共和国が正式に加盟をしたわけでございます。この機構はこれら五カ国の加盟によりまして、人口で言いますと約三億人近い規模になるわけでございまして、人口三億五千万のECとも匹敵すると言われております。  このECO、経済協力機構の拡大はこの地域の安定と拡大につながるものとして歓迎されると思うのでございますが、差し当たり我が国あるいは西欧諸国の関心の一つは、トルコとイランのどちらが今後主導的役割を果たすのか、こういったイスラム経済圏の今後の行方がどうなるかといった点であると思います。こういった点も含めまして、このECOに対する評価並びに今後の行方につきまして政府の見解を伺いたいと思います。
  181. 小原武

    ○小原政府委員 お答え申し上げます。  いわゆるECO、経済協力機構というものが八五年以来トルコ、イラン、パキスタンの間で構成され存在してきたわけでありますけれども先生指摘のとおり、去る二月のECOの首脳会議におきまして、ソ連の解体に伴って誕生した旧ソ連邦のイスラム系共和国五カ国の加盟を認めまして、ここに地理的な隣接性とそれからイスラム教を共通項とする広域の地域協力機構という性格が新たに生まれてきたわけでございます。この加盟を認めました首脳会議におきましては、域内諸国の経済開発、経済協力それから貿易障壁の除去、地域紛争解決の必要性などの確認がされておりまして、この機構の活動が今後地域の経済発展と安定に役立つように成長することを期待しているところでございます。  他方で、新たに誕生しましたこの五つのイスラム共和国とCISのほかの国との関係あるいはこのイスラム共和国それぞれが今後どういう路線をとっていくのかというようなこと、それに加えましてトルコ、イラン、パキスタンなどのそれぞれの国が持っております思惑などいろいろまだ不確実な要素がございまして、今後どういうペースでどのように発展していくかという点につきましてはいましばらく見守る必要がある、こういうふうに考えております。     〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
  182. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 最後に一点お伺いをします。  もう一つ地域経済協力機構としましていわゆる黒海経済協力機構、略称でBSECというのが最近できておヴます。この二月の三日にトルコの首都アンカラで黒海経済協力機構の仮調印式が行われたわけです。この機構はトルコの提唱による新設機関であって、仮調印式にはロシアとアゼルバイジャンなど旧ソ連六カ国、さらにルーマニア、ブルガリアの外相が参加をしております。トルコがこういった潜在成長力を秘めた広範囲な経済市場構築を目指し始めた背景はどんなものであるか、どういうグランドデザインに立つものであるか、そこら辺を政府としてはどのように認識をしておるか最後にお伺いをしまして、質問を終わりたいと思います。
  183. 小原武

    ○小原政府委員 設立されました事実関係先生指摘のとおりでございます。  トルコがこの協力の構想に積極的に取り組んでいる背景には、これらの加盟国が地理的に極めて隣接していながら、今までそれぞれ経済体制が大幅に違っていたために必ずしも十分な協力関係になかったということ、それから、トルコ自身が今後一層の経済発展を行っていくためには近隣諸国との連携が必要であるということを深く認識していることなどがその背景にあるものというふうに考えます。
  184. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 以上で終わります。
  185. 麻生太郎

    麻生委員長 玉城栄一君。
  186. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、ILO条約百五十九号、障害者職業リハビリテーション及び雇用に関する条約について御質問を申し上げたいと思います。  こういう条約我が国が加盟をするということは非常に意義のあることだと思うわけでありまして、第二次大戦を含めまして、軍民多数の方々障害者として今もっていらっしゃるわけであります。そういう立場から、これは一九八三年に採択されているわけですが、十年間どういう理由でおくれたか、その点をひとつ御説明をいただきたいと思います。
  187. 小西正樹

    ○小西説明員 お答え申し上げます。  我が国は、一般的に、締結いたしました条約につきましてはこれを誠実に実施することとしておりまして、この条約につきましても、かかる方針のもと、条約の解釈、国内法制との整合性につきまして慎重に検討を行ってきたものでございます。その結果、この際、右検討を終えましたので、批准承認を求めることといたしたものでございます。  もう少し具体的に説明させていただきますと、この条約は、第一条にもございますように、すべての種類障害者対象とするものでございます。我が国では、昭和六十二年に、これまでの身体障害者雇用促進法障害者雇用促進等に関する法律改正されております。また、あわせまして、職業安定法、職業能力開発促進法等にも所要の改正が加えられまして、従来の身体障害者から障害者全般を対象として職業リハビリテーションを行うための法体制が整備されまして、この条約締結すべき体制が整ったということでございます。  また、政府といたしましては、この条約の解釈、国内法制との整合性につき慎重に検討を進めておったわけでございますけれども、その過程におきまして、この条約批准している国がいかなるふうにこの条約国内的に受け入れているかという状況把握にも努めてきたわけでございます。当初は、批准している国が比較的少のうございましたので、そういう意味で我が国が欲しい十分な参考情報を得られなかったという事情もございます。その後批准国も増加いたしまして、現在三十九カ国でございますが、また、さきに述べましたとおり国内体制も整ってまいりましたので、この際、批准承認を求めるということにしたわけでございます。
  188. 玉城栄一

    ○玉城委員 今もお話がありますが、我が国が改めて今この条約に入るということに対する意義、それをもう一回御説明いただきたいと思います。
  189. 小西正樹

    ○小西説明員 お答え申し上げます。  この条約は、障害者のための職業リハビリテーション及び雇用に関する政策の原則及びその実施について定めておりまして、障害者雇用機会増大及び社会における統合の促進を図ることを目的とするものでございます。この条約締結によって障害者職業リハビリテーション及び雇用に関する政策を発展させ、この分野における国際協力に寄与することとなるわけでございます。  また、この条約締結を通じまして、我が国障害者雇用関係施策に対する諸外国の正しい理解を促進いたしまして、国内的にもかかる施策の重要性を再確認するということになるわけでございます。  また、さらに、国連障害者の十年というものが国連の枠内で決まっておりますが、この最終年に当たる一九九二年、ことしこの条約締結するということは非常に時宜を得たものであると考えております。
  190. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで現在、我が国雇用の率はどういうふうに、これは外務省でも労働省でも結構ですが、お答えいただきたいと思います。
  191. 征矢紀臣

    征矢政府委員 障害者雇用促進法に基づきます法定雇用率関係につきまして、その達成状況等を申し上げます。  平成三年六月一日現在におきます雇用率は、一・六%の法定雇用率が適用されます一般の民間企業におきましては、残念ながら前年と同率の一・三二%となっております。国及び地方公共団体雇用率は、二%の法定雇用率が適用されます非現業的機関では一・九七%、一・九%の法定雇用率が適用されます現業的機関におきましては二・一七%となっております。また一・九%の法定雇用率が適用されます特殊法人につきましては一・九三%となっております。
  192. 玉城栄一

    ○玉城委員 法定雇用率が一・六%の民間部門では、現在では一・三二と低いわけですね。その理由をちょっと御説明いただきたい。
  193. 征矢紀臣

    征矢政府委員 理由につきまして一概には申し上げられませんが、例えば規模別に見ますと、大企業、規模の大きいところの雇用率がより低い、むしろ中小企業の雇用率が高い、こういうような状況がございます。産業別に見ますと、サービス業、卸、小売業等で低いというような実情もございます。  いずれにいたしましても、かなり各方面の御理解を得ながらこの対策をとってきておるわけでございますけれども、同じ産業あるいは業種の中でも雇用率の高いところと低いところがある、こういうような問題点もございまして、そういう状況の中で対策を現在一生懸命とっているところでございます。
  194. 玉城栄一

    ○玉城委員 私冒頭にも申し上げましたけれども、沖縄県の場合、去る第二次大戦の末期の悲惨な地上戦が展開されたわけで、今もろてそういう関係での障害者がたくさんいらっしゃるわけですが、およそどのくらいいらっしゃるのかお伺いいたします。
  195. 征矢紀臣

    征矢政府委員 まず、一点御理解いただきたい点がございますが、この法定雇用率の達成状況全国の平均で一・三二%というふうに申し上げておるわけで二ざいますけれども、実は私ども各県別の数字は労働省といたしましては公表をいたしておらないわけでございます。これは各県それぞれ当然把握しているわけでございますし、その数字自体が公表できない数字ということではございませんけれども、各県別の数字等につきましては、それが必ずしも各県の雇用状況をあらわしておらない、あるいは各県における雇用対策の取り組み状況をあらわしておらないという問題点がございまして、具体的に申し上げますと、この雇用率は、企業の本社、企業全体についての適用ということになっておりますものですから、本社があるところでこの雇用率について把握する、こういう考え方でございます。したがいまして、各県ごと雇用率についての高い低いを余り議論いたしますと、各県における現実の雇用が、その県において、本社のある企業を重点的にそこに就職のお世話をするというようなことにもなるものですから、そういう意味で県別等の数字は私どもといたしましては公表いたさないということでございますが、沖縄県におきます状況につきましては、大体全国平均と同程度というふうに理解いたしております。
  196. 玉城栄一

    ○玉城委員 この条約で言う障害者、あらゆる障害者ですから沖縄に限りませんけれども、あの第二次大戦が原因での障害という方々も当然含まれると思いますけれども、どうでしょうか。
  197. 征矢紀臣

    征矢政府委員 法律に言います障害者の方につきましては、原因のいかんを問わず一定の障害を持った方がこの障害者雇用促進法に基づく諸対策対象となる障害者ということでございますので、先生の御指摘のとおりでございます。
  198. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでいわゆる今の場合、今もおっしゃったような沖縄県では、そういう第二次大戦が原因での障害を受けられた方々というのはどのぐらいの数いらっしゃるのか、それをお伺いします。
  199. 征矢紀臣

    征矢政府委員 実は私ども、ただいま申し上げたようなことで、法律に基づきまして一定の障害を持っている方を対象といたしておる関係で、原因別の調査あるいは把握ということはいたしておりません。したがいまして、そういう意味で、御指摘のように戦争による傷病の方がどのくらいかという数字は、これは把握できかねるわけでございますが、沖縄県におきます数、これは公共職業安定所登録いたしておる数でございますが、これは現在、平成三年三月で二千二百八十九人でございます。そのうち働いておられる方が千二百五十人、求職中の方が八百二十三人、病気等で保留中の方が二百十六人というふうな数字になっております。
  200. 玉城栄一

    ○玉城委員 この条約で非常に特徴的な例として沖縄の問題で申し上げているわけですが、御存じのとおり、沖縄は在日米軍基地のおおよそ七五%が集中的にあるわけですが、その米軍に働いていらっしゃる、いわゆる日本人従業員の方ですね、当然この法定雇用率という問題がかかってくると思うのですが、一つ確認をしておきたいのは、その法定雇用率というのはいわゆる障害促進法ですね、障害促進法に基づく、今さっきもおっしゃいましたように、民間部門では一・六%、あるいは官庁部門ですか、これは二%、一・九%があるわけですが、その法定雇用率というのは、米軍関係の基地に働いている日本人従業員の方々についてはどういうふうになっておりますか。お伺いいたします。
  201. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま御指摘の駐留米軍労務者の方々についてでございますが、この方々につきましては、民間事業主雇用される労働者に適用されます障害者雇用促進法第十四条の雇用率、これは当然適用されないものでございます。  そこで次の段階といたしまして、国の機関に勤務する職員に適用される第十一条に関してはどうかということでございますが、この点につきましては、当該駐留米軍労務者、これは御承知のように特殊な法的地位にございます関係で、従来から十一条におきます職員には該当しないものということで、雇用率制度は適用されないという考え方で対処してきているところでございます。ただし、そういう形式的な雇用業務が課されておらなくても、当然これは雇用する立場にある防衛施設庁国におきまして、障害者雇用について努力していただくという考え方で対処しているところでございます。
  202. 玉城栄一

    ○玉城委員 いわゆるその障害者雇用促進法というのは、日本人従業員の方々には適用されないというふうに解釈していいということですか。
  203. 征矢紀臣

    征矢政府委員 法定雇用率対象にはならないという考え方でございます。
  204. 玉城栄一

    ○玉城委員 皆さん、これは労働省ですね、皆さんの方は、去年の十一月でしょうか、雇用率の未達成ということで民間企業について公表していらっしゃいますね。最初はいわゆる雇用計画、それをやりなさい。あるいは、次はまたそういう雇用計画、いわゆる実施を勧告ということでやりますね。それをしてもなお改善されない場合は具体的に公表しますよ、そういうことでやっていらっしゃるわけですね。これは、いわゆる在日米軍基地に働く日本人従業員の方々については、今さっきお話しされましたように法定雇用率というのは適用されないのでという意味で公表していないということになりますか。
  205. 征矢紀臣

    征矢政府委員 駐留米軍の労務者の方につきましては、ただいま申し上げましたように、法定雇用率制度対象外という考えでございますので、したがいまして、公表制度につきましてもその対象外になっているということでございます。
  206. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、我が国における在日米軍基地に働いていらっしゃる日本人従業員全体の数、そしてその中でいわゆる障害者、この条約で言う障害者の数、それはパーセントで何%になりますか。
  207. 山下佐寛

    ○山下説明員 先生にお答えいたします。  先ほど労働省からお話がございましたように、同法律の適用を受けませんものですから、したがいまして、いわゆる同法に言います障害者雇用数というのは把握しておりません。  しかしながら、我々の方で、常用従業員として従業員本人が障害を理由に平成三年の給与所得に係ります年末調整において障害者控除を受けた方の数は、約百十名でございます。
  208. 玉城栄一

    ○玉城委員 パーセントで言うと……。
  209. 山下佐寛

    ○山下説明員 従業員は常用約二万一千人おりますから、約〇・五%になると思います。
  210. 玉城栄一

    ○玉城委員 それで、沖縄地域に限ってはどうですか。
  211. 山下佐寛

    ○山下説明員 沖縄地域におきますと約三十数名でございまして、従業員が常用が七千六百人ほどおりますので、〇・四四ぐらいの数になると思います。そういうことでございます。
  212. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは、民間の部門ではいわゆる障害者雇用促進法に基づく法定雇用率というのは一・六%、しかも実態としては一・三二ぐらい。それで、例えば雇用されない、ここはちょっと後でお伺いしますけれども、〇・〇四%、いわゆる米軍基地に働く方々障害者雇用の状態はさらに低いという状況ですね。これは何か特別な理由でもありますか。あるいは、米軍側がそういう方々雇用しないというようなことでもありますか。
  213. 山下佐寛

    ○山下説明員 今先生が御質問いただきました米軍の方が障害者を雇うことにつきまして特にどうこうと言っている問題ではございません。在日米軍の職場というのは、外国軍隊という特殊な職場でございますものですから、障害者雇用につきましてみずから限界があろうかと考えております。それで我々は障害者雇用促進を図るという観点からいろいろ努力はしてきているところでございます。
  214. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは、こういう障害者方々雇用というものは何も米軍基地関係に限らないで、どこの民間の部門であろうが官公庁の関係であろうが、非常に厳しいことはわかるわけです。そのために法定雇用率というものを障害者雇用促進法で決めていらっしゃるわけですからね。  だから、それでちょっと伺いたいのですが、そういう米軍基地関係日本人従業員に対してはその障害者雇用促進法は適用されないという根拠はどういうことですか。
  215. 征矢紀臣

    征矢政府委員 国の機関に勤務する職員に適用されますのが雇用促進法の第十一条でございますが、その十一条に関しまして、駐留米軍労務者の方は特殊な法的な地位にあるものであって、従来から十一条におきます職員に該当しないものという考え方で対処してきているわけでございます。したがいまして、十一条における適用がございませんので、その法定雇用率制度が適用されない、こういう考え方でございます。
  216. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは条約ですから、日本全体で二万一千名余りの日本人従業員が米軍基地に働いていらっしゃる。沖縄地域では七千六百名。ところが、そこでいわゆる障害者雇用率が非常に低いんです。〇・〇四%ですか、○・四%ですかな。法定では、民間部門では一・六%、しかもその達成していないひどい企業については新聞で公表しますということを法律でも決めて、実際に労働省、そういうことをやっていらっしゃるわけですね。だからそういうふうにまでして、これは職員のどうのという問題ではなくて、いわゆるそういう障害者方々を少しでも多く雇用の問題を解決しよう、前進させようという趣旨でこの条約というのは、また国内法もそうなるわけですね。余りにも低い、その辺はこの条約から考えましてどのようにお考えですか。
  217. 征矢紀臣

    征矢政府委員 先生の御指摘でございますが、なぜ駐留米軍労務者が職員に該当しないかという点でございますけれども、一般的にこの職員という用語は公務員法の体系の中で公務員試験制度を通りました公務員を指すものとして使われているのが一般でございます。  そこで、日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律、この第八条第一項によりまして駐留米軍労務者は公務員ではないものとされておりますので、そういう点からこの職員に該当しないという解釈をとっているわけでございます。
  218. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうすると、いわゆる日本人従業員の方々の身分は、それは国家公務員とか地方公務員でないことはだれでもわかります。あるいは民間の、民間企業のというか、じゃ、身分というのはどういう位置づけで、この条約並びに法律の上では宙に浮いた形になっていますね。だから、どういうふうに解釈すればよろしいのですか。
  219. 征矢紀臣

    征矢政府委員 なかなか難しい問題でございますが、実態といたしましては、米軍基地内の施設で現実に労務を提供して働いておられるわけでございます。したがいまして、現在の身分関係を別にいたしましてそういう実態を前提にして考えますと、これは米軍基地内の話なものですから、これは日本法律の適用外ということになるわけでございます。そういう意味で適用にならない、こういうことになるわけでございます。  ただし、この法的地位が特殊であるという点は、労働はそういうことでございますが、労務者の方は現実には防衛施設庁で雇用しておる、こういうことでございます。しかし、その雇用の仕方が先ほど申し上げましたように公務員ではないという形で雇用されておる、こういうことでございまして、したがって、そういう意味で公務員に適用される十一条についても適用除外である、こういうことでございます。
  220. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは言い合っていてもしようがありませんけれども、沖縄地域について、さっき申し上げましたように七千六百人の従業員がいて、その中で三十数人の障害者しか雇用されていないということは、率にして〇・〇四ですか、いわゆる法定雇用率からはるかに低いわけですね。  沖縄の場合は、先ほど申し上げましたようにさきの第二次大戦で大変な障害を受けた方がたくさんいらっしゃる。そして大きな米軍基地がある。そういう中で障害者がさらに低い状態というのは、これはこのままでいいとはとてもじゃないが思えないわけですね。そういうことなんです。何とかしなくちゃいけないと思うのですが、大臣どうお考えでしょうか。
  221. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 実体論はひとつ労働省から聞いていただきたいのですが、私が推測するところ、やはり米軍のところに勤めるよりも米軍でないところに勤めた方が勤めやすいということがあるんじゃないかという感じを受けております。
  222. 征矢紀臣

    征矢政府委員 先生の御指摘のような問題点、これは確かにあるわけでございます。したがいまして、できるだけ障害者雇用努力をしていただく必要があるという点につきましては御指摘のとおりでございます。  具体的にどういう形でその促進を図るかという点につきまして若干難しい点もございまして、これはなぜ難しいかと申しますと、ただいま申し上げましたようなことで民間企業ではございませんものですから、その条文の適用はない。そこで、仮に国の職員に該当する者として考えて適用するということになりますと、これは防衛施設庁の職員という考え方で雇用率を適用するということになります。そうしますと、現実に基地に働いている労務者の方に相当大量に障害者の方を雇わなければ国の機関としての雇用率が達成できないということになるわけでございますが、これは諸般の情勢から非常に困難でございます。  それができないとすれば、公務員法の体系に基づきます職員の方について、何百人も障害者を新規採用しなければいかぬということになるわけでございますが、これは現実問題として不可能でございまして、この非常に人手不足の中で、新規学卒の障害者の方はこれはもう引っ張りだこで、公務員試験通れば採用されます。そういう意味で、現実的に不可能であるという問題を抱えておりまして、なおかつ先ほど来御質問にもございましたが、基地について縮小すべきであるという非常に強い御要望、御意見もあるわけでございます。  そうしますと、駐留米軍の労務者の方々、これも現実にどんどん新規に採用するという状況ではなくてむしろ逆の方向にあるとすれば、現在働いている方についてそれを解雇して新規に障害者を雇うという考え方は、これはとり得ないわけでございますものですから、新規に駐留米軍の労務者の方を雇う場合に、最大限障害者雇用をしていただく、こういう考え方で対処しなければならないということでございます。  したがいまして、そういう観点から、現実に基地内のどういうところで働いている方が労務者の方に多いのか、その場合に障害者雇用になじむようなどういう職場があるかどうか、それから基地に通勤可能な範囲で、そういうところに働ける障害者の方がどうおるかというようなことにつきまして具体的にいろいろ検討した上で具体的な対処をする必要があるというふうに考えますので、防衛施設庁とも協議、相談いたしまして、できるだけ雇用が進むような検討をさせていただきたいというふうに思います。
  223. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間も来ましたので、労働省と防衛施設庁もよく協議されまして、この問題は日本全体の問題で、基地という問題とはまた別の、障害者雇用をきちっとなにしようという条約なんです。だから条約には、この条約はすべての種類障害者について適用する、それを国際協力していこうというような条約ですから、そういうわけで基地関係についての、法定雇用率よりも実態は低いという状態は、これは非常に問題だと思うのですね。それはぜひひとつやっていただきたいと思うのです。  あと一点、これは外務省でしょうか。障害者雇用促進法に新しくまた国際協力関係業務というものが織り込まれた改正案が今参議院で審議されていますね。それについて、労働省はいいのですが、外務省はどういう国際協力をされようとしていらっしゃるのか、その点をお伺いいたします。
  224. 小西正樹

    ○小西説明員 私どもは、この障害者の問題に関する国際協力を非常に重視しておりまして、国連で設けられております国連障害者の十年基金に対し、これまで六十万ドルを拠出いたしております。また、開発途上国に対する無償協力及び技術協力、これを実施しております。今後とも、かかる障害者対策国際協力実施していきたいと思っております。
  225. 玉城栄一

    ○玉城委員 この条約にも、国際的な協力関係というものは条文にありますからね。沖縄に国際センターというのがあるわけです。これは東南アジアの方々がたくさん研修に来ていらっしゃるわけですが、アジア全体で障害者方々が三億人もいらっしゃる。だから、ベトナムにしろカンボジアにしろ、大臣は盛んに人の貢献ということをおっしゃっていますけれども、こういうところに非常に力を入れて貢献をするという体制日本はやっていく役割というのはあると思うのですね、別の議論もおっしゃいますけれども。  やはりこういう三億というアジアの障害者方々、あるいはベトナムにしてもカンボジアにしても地雷でやられて、そういう人がたくさんいるわけですね。そういう方々にどういうふうに役立つかということを、我が国が貢献できるような体制というものは、JICAなり外務省なりは真剣に考えていただきたい。今のようなちょっとした答弁で済まない問題です。もう一回ひとつお答えいただきます。
  226. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま御指摘の特に開発途上国等におきます障害者問題について、技術協力、援助等どういう形で取り組むかという御指摘でございますが、この点につきまして、実は私ども障害者雇用促進法の体系の中で現在までいろいろ対策をとってきておりましたが、この体系の中でそういう国際協力業務実施するという形になっておりませんわけでございます。したがいまして、今回障害者雇用促進法改正をする際に、そういう仕事ができるようにいたしたいということを考えているわけでございまして、具体的には労働省認可法人でございます日本障害者雇用促進協会においてそういう国際協力業務実施するという内容の法律改正をお願いしているところでございます。  当面それでは具体的に何をするかという点でございますが、これは実は私どもどこまで何をしたらいいかという点につきましては手探りの面もございますが、先生指摘のように現実問題として障害者問題各国抱えておるわけでございまして、そういう観点から現地の関係団体、施設日本障害者雇用促進協会が共催いたしまして、現地において当面障害者雇用の国際セミナー等を開催することによりまして、私ども職業リハビリテーションあるいは障害者雇用にかかわる技術的な事項についての情報提供をし、相手の国の中でそれを活用していただくための経験交流を行うというようなことを考えているところでございまして、来年度につきましてはこれをインドネシアとシンガポールで開催することを予定いたしております。
  227. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、二言。ODAの予算をたくさん外務省の所管で持っていらっしゃるわけで、こういう予算を活用しながらカンボジアにしてもベトナムにしても、やはり障害者方々に貢献できるものはたくさんあると思うのです。だから今、労働省も遠慮をしながらちょっとやってはおりますけれども、相当労働省とも話し合いながらODA予算の活用の仕方をひとつ考えていただきたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  228. 川上隆朗

    ○川上政府委員 御指摘障害者に対する援助の関係でございますけれども、沖縄センターの話も出ましたが、我々といたしましては研修コースということで既に例えば東京の幡ケ谷のセンター、それから八王子のセンター等で研修を本件についてやっておることもございますし、例えば専門家の派遣ということで、あるいはプロジェクト方式の技術協力というような方式で、インドネシア障害者リハビリテーションセンターあるいは中国の肢体障害者リハビリテーション研究センターといったような種々のプロジェクトについて協力をやっている実績もございます。こういう面での協力につきましては、今後とも先生指摘のとおり真剣に考えながらいろいろ対処してまいりたいというふうに考えます。
  229. 玉城栄一

    ○玉城委員 終わります。
  230. 麻生太郎

  231. 古堅実吉

    古堅委員 短い時間ではありますが、二つの条約について質問いたします。  最初はトルコとの投資促進保護協定についてです。  発展途上国からしますというと、海外からの投資を初め経済協力については強い要望がございます。投資国がその経済力を背景にして不当な利益擁護や特権的待遇を求めるようなことであっては、強い経済協力の要望があるにしても好ましく思われないであろうことは、これは論ずるまでもございません。途上国がどういう投資を求めていると認識しておられるか、まず最初に大臣の御所見を伺いたいと思います。
  232. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 投資の要求の実態につきましては、事務当局から説明させます。
  233. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  この条約対象としております投資はいろいろな態様があり得るわけでございまして、特定にこれだということで限定されるものではございません。
  234. 古堅実吉

    古堅委員 一九七四年十二月十二日に第二十九回国連総会で「諸国家の経済権利義務憲章」というのが採択されました。その第二条第二項は、「いかなる国家も次の権利を有する。」というふうに定めまして、(a)、(b)、(c)の規定がございます。その(a)は次のとおりであります。  「自国の法令に基づき、また自国の国家的目的と政策の優先順位に従い、自国の国家管轄権及び範囲内で、外国投資を規制し、それに対し権限を行使すること。いかなる国家も外国投資に対し特権的待遇を与えることを強制されない。」というふうになっております。これが発展途上国の求める投資受け入れの原則ではないか、このように思いますが、いかがですか。
  235. 野村一成

    ○野村説明員 ただいま御指摘の経済権利義務憲章につきましては、これは国連で採択されてはおりますけれども我が国の立場というのも同時にはっきりいたしております。ただいま先生からその第二条第二項について言及がございましたけれども、やはり我が国としましては、天然資源の恒久主権あるいは国有化の権利は認めるとの立場をとっておりますけれども、その憲章に掲げてございます中には、外国投資に対して受け入れ国が恣意的または差別的措置をとる等の権利乱用があった場合の歯どめがない、またその後、国有化が国際法で合法であるための条件にも十分言及されていないといった問題がございます。そういうことからこの採択の際には棄権したわけでございます。  そういった意味で、我が国から見ますとこの経済権利義務憲章というのは非常に重要な点について問題を抱えているものであるという認識をしております。
  236. 古堅実吉

    古堅委員 おっしゃるように国連における諸国家の経済権利義務憲章、その採択に当たっては日本は棄権はしています。しかし、反対はしていません。不満だからといって、国連で採択された原則を経済力を背景にして、いわゆる平たく言えば金に物を言わして個別協定で各個撃破する、そういうようなことをすべきではないというふうに考えますし、経済権利義務憲章に従って施策を進めるということこそ基本にしなければならない。仮に棄権したとはいえ、この点は大変重要だと思います。  ところで、本協定の第五条は、投資財産・収益に対する受け入れ国の不断の保護・保障義務が規定されるだけではなしに、収用・国有化、これらと同等の効果を有するその他の措置に対する補償ということで、遅延に対する利子あるいは為替レートの変動による損失まで事細かに規定しております。あるいは第八条では、収益から売上金など領域外への自由な移転を規定しております。  それらは、諸国家の経済権利義務憲章で否定されている特権的待遇の強制、日本の特権を押しつけるという意味合いを持つものになりませんか。お伺いします。
  237. 野村一成

    ○野村説明員 ただいま先生、特権という言葉をお使いになりましたけれども、やはり基本的には開発途上国にとりましても、先進国の投資増大し、そのことがみずからの国の経済発展にプラスになるということを希望しているというのが立場でございまして、その結果といたしまして、この経済権利義務憲章が採択された後も多くの投資保護協定開発途上国と先進国との間で締結されているというのも、これは実態でございます。  したがいまして、今御指摘になりましたような条項につきましても、今まで開発途上国と先進国との間で結ばれてまいりました協定投資保護協定の枠の中でとらえることができるものでございます。もちろん開発途上国の立場に十分考慮を払うという必要、一般にはそのとおりだと思います。しかし、他方やはり先進国からの投資活動を強く求めておるというのも開発途上国の立場でございますし、またその投資に伴う事業活動をより円滑に行うためには、そういう投資環境が開発途上国において十分確立されておる必要があるというのも事実であるというふうに認識しております。
  238. 古堅実吉

    古堅委員 発展途上国の経済的な実情に照らして投資や経済援助を強く求めている、これは先ほど申し上げたとおりなんですが、だからといってそれらの国の経済主権を抑えるような形で、投資する側の立場をいろいろと押しつけるような内容の形で進めるということは、先ほどの指摘した憲章に照らしても正しくないということはもう明らかです。  協定の第八条だが、これでは途上国側は進出企業の事業活動や資本蓄績を自国の経済発展にほとんど活用でき一なくなる、そういうことになりませんか。戦後、日本にはアメリカ資本の激しい進出がありました。それに対して日本政府は、厳しい為替規制で資金の流出を防いできた経過がある。そういうみずからとってきた措置、それに照らしてみても、今のようなあり方というのは問題だと指摘せざるを得ません。もう一度御所見を伺いたい。
  239. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  この第八条で規定しておりますのは、いわゆる投資に伴う送金の自由と言われている、投資保護協定で通常規定されます原則を書いておるわけでございます。  この場合に、投資には必ず送金というのが伴うわけでございまして、何も開発途上国から出ていくという場合だけの側面に着目していただいては困るわけでございまして、そこの開発途上国に向けて先進国から入っていくという側面をも着目していただきたいと思います。いずれにいたしましても、この投資環境の整備ということを考えます場合に、送金の自由の保証というのは極めて重要な柱の一つでございます。
  240. 古堅実吉

    古堅委員 まともな論義を避けちゃいけませんよ。  国連は、一九八八年に、国連多国籍企業センター報告書なるものを出しました。その結論部分で、次のように言っています。「二国間投資協定はもっぱら受け入れ国に対して外国投資の保護に関しての責務を負わせるのみで、投資母国あるいは投資家に対してはそれに見合う責務はまったくない」、このような重要な指摘がございます。基本的には、その御指摘実態を反映しているものだ、正しい指摘だと思いますが、いかがですか。
  241. 野村一成

    ○野村説明員 ただいま八八年の報告書という御指摘がございました。必ずしも詳細承知しているわけではございませんけれども、御指摘のように、二国間の投資保護協定が途上国側の関心に十分な配慮を払っていないという指摘があったということについても承知しております。  他方、開発途上国の経済発展めためには、先進国よりの資本の流れを促進するという観点からも国際投資の安全に配慮することが重要でございまして、かかる考え方というのは近年多くの開発途上国の受け入れるところとなっているというふうに私どもは認識いたしておる次第でございます。
  242. 古堅実吉

    古堅委員 投資促進保護協定は、投資あるいはその拡大の不可欠の条件ではないというふうに思うのですね。それは、ASEAN諸国とは協定はないのだが日本投資は膨大である事実に照らしてみても明らかだというふうに思いますが、いかがですか。
  243. 野村一成

    ○野村説明員 ASEANの国々との間でも、基本的に投資保護についての話し合いが持たれたことがあると承知しております。  やはり基本的には、この投資保護につきまして、開発途上国の側に、特にこの協定を結ぶという形で法的な基盤を整備したいという形での希望が強く表明される場合、そういった場合に条約交渉というのが開始されるわけでございまして、そういう意味におきまして、今般トルコとの間には双方の意思が合致したということでございます。
  244. 古堅実吉

    古堅委員 ASEANとの関係でもそういう協定の話し合いが進んでいるということを私も聞いておりますが、なぜそれが数年にわたっても協定ということに至ってないか。やはりその中身にかかわる問題ですよ。  時間がありませんので、次は障害者職業リハビリテーション及び雇用に関する条約について質問いたします。  国連障害者の十年、ことしはその最終年に当たっております。やっとこの条約批准にこぎつけるということになりました。そういう事態というのは、どう見ましても政府が胸の張れる問題ではないというふうに思いますし、政府施策の後進性を示すものだと指摘せざるを得ません。  そこで最初に、基本的な問題について伺います。  このILO条約批准を契機にして、政府障害者雇用政策の根本に障害者の働く権利、それを権利として据えて、障害者が生きていくためには働くということがいかに重要かという点を正面から受けとめた政策を展開する、そこに問題のかぎがあると思いますけれども、そのことについて大臣とそれから労働省側、両方から最初に基本点について伺いたい。
  245. 征矢紀臣

    征矢政府委員 雇用分野におきまして障害者の働く権利を尊重し、障害者の能力を正当に評価し、働く機会を適切に与えることが重要であるということは、御指摘のとおり私どもも十分認識しているところでございます。そこで、今国会におきまして、ILO第百五十九号条約の国会承認をお願いいたしているところでございますが、あわせまして、重度障害者あるいは精神薄弱者精神障害回復者等の方々に対する対策を強化することを内容といたします障害者雇用促進法改正法案を現在参議院労働委員会で御審議をお願いしているところでございまして、今後この法律に基づきまして障害者雇用対策を積極的に推進してまいりた。いと考えております。
  246. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 すべての障害者が可能な限り雇用をされ、社会に統合されるべきであるということは世界的な潮流でございます。このILO条約批准を契機といたしまして、障害者のリハビリテーションと雇用に関する国内施策及び国際協力が今後一層充実されるように努力してまいりたいと存じます。
  247. 古堅実吉

    古堅委員 残り時間も少なくなってまいりましたので、以下の四点について具体的にまとめてお聞きしますので、一つ一つについてお答えを願いたいと思います。  一、企業による雇用率が上向いているというふうに言われますけれども雇用された障害者のうち嘱託という形の雇用はどれぐらいの比重が、産業別に説明してください。  二、この条約第一条では、適用範囲は「すべての種類障害者」というふうになっておりますけれども日本では他の障害者とも異なる扱いを受けている精神薄弱者、この精神薄弱者についても雇用の機会均等を保障すべきではないか。これが二点目。  三、障害者雇用については一般就労で道を開くというのが労働省の説明でありますし、立場だと受けとめております。この十年を見ましてもそれが成功していません。そこで、一般就労の機会を拡大する努力とともに、国と地方自治体が主体となって相協力し、障害者の保護雇用工場をつくっていく道も検討してはどうか、そういう時期に来ておるのではないかと思うが、どうかという点です。  四点目、共同作業所は全国で三千を超えるものがございます。その助成は、運営費として一千万円にも上るというのに厚生省がそれに出しているものはわずか九十万円、こういう状況を続けていくというふうにしますというと、このような条約批准する意義も薄らいでしまうのではないかというふうにも考えます。条約の主務大臣であります外務大臣、共同作業所への助成を拡大する前向きの姿勢が当然あってもしかるべきじゃないかというふうに思いますが、四点目については大臣からもお答えください。  以上の四点です。
  248. 征矢紀臣

    征矢政府委員 最初の三点についてお答えを申し上げます。  まず第一点目の嘱託の問題でございますが、障害者につきましては、これはその職業生活における自立を図るために、障害者が常用雇用によりまして雇用される必要があるという認識をいたしております。したがいまして、こういう障害者雇用促進法雇用率制度も常用雇用を前提として、これを雇用率にカウントするという考え方でございます。したがいまして、正社員とかあるいは嘱託等という身分を問わず、常用雇用されているか否かで判断をいたしておりますので、嘱託だけについての実態という点につきましては把握することが不可能でございます。  具体的には、これは労働政策の整合性という観点もございまして、雇用保険制度におきます一般被保険者、これが常用雇用が前提の適用対象になっております。この一般雇用という形で雇用保険に適用されております常用雇用、これを障害者雇用促進法雇用率でカウントするという考え方をとっておるところでございます。  次に、精神薄弱者方々についての適用でございますが、今回の法律改正におきまして精神薄弱者雇用につきましては、これまたなかなか重度の方の雇用が難しいというような問題等もございます。そういう観点から、身体障害者と同様、精神薄弱者の方につきましても重度の方を区分いたしまして、そういう方については雇用率算定に当たってのタブルカウントをするというような考え方、あるいは、今回新たに身体障害者重度の方については特に短時間勤務という形で考えた方が雇用が進むという面がございますので、そういう形のものをこの雇用率にカウントをする考え方をとっておりますが、重度精神薄弱者の方についても同じような考え方をとるというような法律改正の内容を盛り込んでいるところでございまして、精神薄弱者の方については身体障害者とほぼ同様の取り扱いを考えているところでございます。  ただ、精神薄弱者の方につきましては身体障害者の方と異なりまして、具体的に仕事につく場合に非常に難しい職種が多いこと等もございまして、今回におきましてはなお雇用義務化は精神薄弱者の方については行わないという考え方をとっているところでございます。  三点目につきまして、保護雇用の問題でございまして、先生指摘のような考え方があるわけでございますが、現在私どもは、保護雇用という場合に、これは人件費等も公的にすべて助成いたしまして、いわば丸抱えで雇用を維持するという考え方でございまして、ヨーロッパで一部実施しているところがあるのは事実でございますが、これはなかなかコストがかかる問題、あるいは滞留するというような問題点等もございまして、私どもといたしましては、この保護雇用という考え方はとらないという考え方でございます。  むしろ経済性ということ、経済的な観点を入れまして、民間の活力とセットで雇用を進めるという観点から、例えば、民間企業と地方公共団体の共同出資によりますいわゆる第三セクター方式による重度障害者多数雇用企業の育成、あるいは重度障害者を多数雇用する場合の企業に対する納付金制度等に基づきます助成の強化、あるいは職業リハビリテーションの強化等の対策により障害者雇用促進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  249. 松尾武昌

    松尾説明員 小規模作業所への助成の問題でございますが、先生のおっしゃいましたとおり、地方公共団体が助成をしております小規模作業所は二千七百となっております。それで、国が出しております補助金先生おっしゃっておるように九十万でございますが、私どもといたしましては、小規模作業所に対しましては、まず、なるべく法の規定に基づきます身体障害者通所授産施設、これは定員二十人でございますが、こういう形に転換をしていただきたいという指導を行っております。  それから、平成二年度からでございますが分場方式という方式を取り入れまして、適所授産施設あるいは授産施設と連携をとった形で小規模な分場、そういう形で連携をしながらやっていきたいということで、そういう方式もこれから伸ばしていきたいと思っております。  小規模作業所に対します補助金につきましては、まだ箇所数が九百八十八カ所でございますので、この増加等にこれから努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  250. 古堅実吉

    古堅委員 再質問をしたかったのですが、時間が参りましたので終わります。
  251. 麻生太郎

  252. 和田一仁

    和田(一)委員 きょうは二つの審議案件がございますが、まず私は、トルコとの間の投資保護協定について初めにお伺いしたいと思います。  朝からこの二つの案件でずっと質問が続いてまいりまして、私がお聞きしたいなと思っておりました予定のことはほとんど質問済みになりました。したがいまして、予定していたことといささか違った質問もあるかと思いますし、また幾らかは重複するということをあらかじめお許しいただきたいと思います。  初めに、このトルコとの投資保護協定でございますが、一番基本的なことをお伺いしたいので、これはもし大臣にもお答えいただければありがたいと思うのですが、私は、トルコという国は今まで伝統的に我が国とは非常に友好的な間柄であった、非常に親日的な雰囲気の国である、こういうふうに承知をいたしております。先ほどもお話がありましたが、一九八〇年からちょうど百年ちょっとになって長い交流があるわけですが、その間本当に友好的なおつき合いをしてきた。今回のこの投資保護協定というのもそういう意味では両国にとって前向きなものである、こういうふうに私は理解をいたしております。  そこで、日本とトルコとの関係の現状と、そしてこういう協定を結ぶについて我が国とトルコとの外交の一番基本のところについてどういう方針をお持ちか、これをお聞きしたいと思います。
  253. 小原武

    ○小原政府委員 事実関係についてお答え申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、日本、トルコ両国関係は伝統的な友好関係にありまして、二年ほど前に友好百周年を迎えたのがその一つの証左でございます。近年、両国間の経済協力関係も非常に緊密化しておりまして、中近東地域におきましては、トルコはエジプトに次いで第二位の我が経済協力の受け取り国でございます。  両国首脳間の交流というのも活発に行われておりまして、湾岸危機の際に海部総理あるいは中山外務大臣がトルコを訪問して緊密に協議を行ったというのもその一つのあらわれでございます。貿易面では、トルコの対日貿易というものは拡大傾向にありますけれども、ここ数年は依然我が方が数億ドル出超という状況が続いております。投資関係では、八五年から日本の対トルコ投資というのが始まり、徐々にふえておりまして、平成三年度上半期までをとりますと三十九件、金額にいたしまして約二億五千万ドルの投資が行われております。ただいまお願いしております協定締結によりまして、この投資が一層促進されることを期待しているところでございます。  というわけでありまして、トルコとの友好関係、それからトルコが中近東地域におきまして果たしている安定勢力としての重要な役割にかんがみまして、今後とも政治、経済、文化交流など、各般におきまして協力関係の緊密化を図っていきたいと考えているところでございます。
  254. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 ただいま局長からるる申し上げたとおりでございまして、今後とも日本とトルコの関係は友好関係を持続してまいりたいと考えております。
  255. 和田一仁

    和田(一)委員 今局長の方からも投資のあり方等についてのお話がございました。締結をしようという背景には、今まで交流のあった日本とトルコの間に、経済関係というものももちろんあったわけですが、目的としてやはりトルコの経済をもっと活性化していこう、こういうことがあると思うのですね。そういうことであるならば、当初この申し入れがトルコからあった六十二年ですかから見ると大分時間を要しているのですが、こういう締結にこぎつけるまでの時間としてこんなものが普通なのか、随分慎重であったのか、また慎重であったとするならば、どういう理由でこれだけ友好関係の深い国であったが時間を要したのかということをひとつお聞きしたい。  それから、今現にこういう同じような投資協定を同じように協議中という国があるかどうか、あればどういう国であって、どういう国をまずこの次の対象にしようとなさっているか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  256. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり五年という年月を消費しておりますけれども、もちろん交渉事でございますので一概に長い、短いという評価はできないのだと思うのでございますけれども、私どもとしましては、やはりせっかく協定ということで結ぶなら、どうしても投資家にとって実効性のあるというか中身のある協定にしたいということで一貫しておりまして、交渉を何回かやる過程で時間がかかった原因の一つとしましては、トルコの側で、やはりEC加盟との関連で、その可能性を念頭に置いて非常に慎重になっていた面があるということが指摘できるんではないかと思います。  我が国が現在投資保護協定を交渉中の国々でございますけれども、こういった国々と締結交渉を行っております。パキスタン、ハンガリー、ポーランド、チェコスロバキア、ルーマニア等でございます。また、まだ交渉まではいっておりませんけれども我が国に対して投資保護協定締結したいという希望を申し出ている国も幾つかございます。
  257. 和田一仁

    和田(一)委員 今野村さんのお答えの中のEC加盟の問題が念頭にあってその調整のために時間がかかったというのは、それは日本の方のことですか。トルコが加盟申請中であって、まだいつ加盟になるかわからぬ、そういうことを頭に置いて、トルコの方の事情でそういう調整の時間があったのか、それともそういう姿勢にあるトルコに対して日本の方が何か調整すべきものがあったのか、これはどちらなんでしょうか。
  258. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  やはりEC統合と申しますか、そういうブロック的なものとなって閉じたものであってはならないというのが私どもの基本的な立場でございまして、そういう観点から、トルコが特に最恵国待遇との関連でEC加盟の可能性をにおわせて地域的な経済統合的な概念を強く主張するというのに対しては同意しなかったという事情がございます。したがいまして、この協定をごらんになっていただきましても、そういう点は一切入っておらないわけでございます。
  259. 和田一仁

    和田(一)委員 今、最恵国待遇のことで横並び、いろいろ問題があるということのようですが、この協定の第三条で「不利でない待遇」というところがございますけれども、かっての日本と中国との投資保護協定においては、このところについては合意文書、議事録があって、これではっきりと原材料の購入などというふうに例示的に示されているのですけれども、今度のこのトルコとの協定の中にはそういう合意された議事録というものも拝見しておりませんし、例示的なものも見えないですけれども、この辺について、日中との協定の違い、あるいはこのトルコとの協定での「不利でない待遇」というのは何が違うのかどうか、さっきおっしゃっていたこととそれが関係あるのかどうか、その点についてお願いします。
  260. 野村一成

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、日中の協定におきましては第三条二項において内国民待遇を定めておりますけれども、内国民待遇の問題というのは中国との交渉で特に問題になった点でもございますので、具体的にどういった活動に対する差別的措置が内国民待遇に反するということになり得るのか、念のためきちんと例示した経緯がございます。しかし、そのことと、今回それを例示はいたしておらないわけでございますけれども実態面におきましては同じと基本的には認識いたしております。
  261. 和田一仁

    和田(一)委員 今、EC加盟の問題が出たので関連してちょっとお尋ねいたします。  八七年四月ですか、トルコはECに正式加盟申請をして、今まだ協議中ということでありますけれども、これの見通しはどうなんでしょうね。さっき同僚の質問と御答弁を聞いていながら、この見通しはどんな見通しを持っておられるのかお伺いしたいのと、あわせて、局長もさっき御答弁されておりましたけれども、トルコの地政学的な位置、これも何回もおっしゃっていたけれども、中東、アジア、ヨーロッパの接点という地政学的に大変大事な場所だ、こういう御答弁ございました。まさにそのとおりだと思っております。  そういう中で今、ソ連の解体でいわゆるイスラム諸国の独立が出てまいりました。先ほどもいろいろお話ございましたけれども、そういう国々と今強力な関係を構築しつつあるという実態だと思うのですね。特に、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、こういう国々と今関係増大強化を図っておるわけですけれども、これに今まであったECOですか、こういう機構に加え、さらにもっとふやしていこうという関係等を考えますと、トルコという国に対して、世界的な国際的なトルコの地位というものは非常に重いものが感じられるのですね。  そういう意味で、トルコがイスラムを中心にした新しい経済圏をつくろうというのとEC加盟というのどのタイムラグもあるのですが、どういうふうに見ておられるかをお伺いしたいと思います。
  262. 小原武

    ○小原政府委員 お答え申し上げます。  トルコのEC加盟の現況につきましては先ほどもお答えしたとおりでございますが、トルコの加盟申請に対しましてEC側が九〇年の二月にEC委員会の結論といたしまして、当面一九九二年のECの統合の完成に全力を尽くすということで、トルコの加盟問題は棚上げにするという決定がなされて今日に至っているところでございます。  九二年が過ぎた時点での見通しということになりますと、ECの統合目標であります九二年中の作業というのがどういう終結の姿になるかということともかかわってまいりますでしょうし、現時点で推測するに十分な材料がない、持ち合わせていないという状況でございます。  御質問の第二点のトルコの外交政策、なかんずく新しい局面であります近隣の旧ソ連邦の中のイスラム共和国との関係がどう進んでいくかという点でございますけれども、ご指摘のように、八五年からありましたいわゆるECO、経済協力機構というものの中に新たにこのイスラム共和国五つの加盟を去る二月のECO首脳会議で認めたわけでございます。この機構といたしましては、今後の問題として、地域内の経済開発、経済協力あるいはいろいろの貿易上の障壁の撤廃というようなことを目標として掲げておりまして、今後新しい地域協力機構といたしまして、中東から中央アジアにわたる広い地域一つの発展と安定にとって重要な意味を持つ機構になり得るということを認識しております。  しかし、具体的に今後どう進展していくかという点につきましては、各イスラム共和国が今後どういう政策をとっていくのか、それとCISの中の各国との関係がどうなるのか、あるいはトルコ、イラン、パキスタンというそれぞれの地域の大国がそれぞれいろいろ別の思惑も持っているというような状況でございますので、今後これらの関係がどう進展していくかということをいましばらく注目する必要があると考えております。
  263. 和田一仁

    和田(一)委員 今御見解の中に、トルコのみならずイラン、パキスタンという大国がやはりこのイスラム圏の中でのイニシアをとろうというような動きも感じておられるようですが、さっき申し上げた、ほかとの協定している国の中にそのパキスタンもあるやに聞いておるわけなんですが、そういう意味では、私としてはこういう新しい中央アジアをしっかり見詰めながら日本の外交を対応していっていただきたいな、こう思います。  時間がないのでちょっと地震についてお伺いしたいのですけれども、先ほども触れられておりましたけれども、先般大地震があって大変な被害が出ました。これは地震国とはいいながら、なかなか予測できずにやはり大きな被害があったわけですね。数百人の人が亡くなり多くの人が生き埋めになっておった。こういう災害に対して我が国も国際緊急援助隊法というものがあって対応できるようになっております。外務省としても救助やら医療チームの派遣を申し出たと思うのですが、どうも実態は行っていないようなので、その辺はどうなのか、そしてこれはどういう対応をしたのかを知りたいのと、それは簡単で結構です。  私は、特にこのことについて大臣にはお願いしたいと思うのですが、国際緊急援助隊をさらに大きく活用しようという意味で改正法案が出ているのですが、あのときに私は、この法案だけでも、分離してでも早く成立させるべきだ、こういうふうにお願いもし主張もしたつもりでございましたが、いまだにこれは審議中でございます。こういう緊急事態というのはいつ起きるかこれは予測できないだけに、一日も早く十分な対応体制を私はとるべきだと思っておるのですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  264. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お尋ねの前段の今回のトルコの地震に対する我が方の対応でございますが、三月十三日の地震が発生いたしました後に、直ちに被災状況等に関しまして大至急情報収集を行うということを行いますとともに、トルコ政府に対しましては、資金協力、緊急援助物資の供与に加えまして、緊急援助隊の派遣の用意があると、これは医療チーム、それから場合によっては、その時点ではまだはっきりしませんでしたが、救助チームといったような用意があるという申し出を行っていたわけでございますけれども、トルコ政府は、今回につきましては資金及び緊急援助物資の供与につきまして我が国に正式に要請を越してきたという経緯がございます。したがいまして、今回は医療チーム等の国際緊急援助隊の派遣は先方の要請がなかったということで見合わせた次第でございます。
  265. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 トルコ関係はただいま答弁のとおりでございます。  今後ともPKO法案と緊急援助隊の法案はなるべく早くまとめてひとつ御可決、成立させるように御協力をお願いいたします。
  266. 和田一仁

    和田(一)委員 今お答えの中で、医療チームや救助チーム、用意があるからと言っても向こうはそれではなく別の要請をした。私は、日本という国は人を出せと言ってもなかなかすっとは出てこないし、行ってもわずかな人が時間かけて来る、そういうお願いをするよりはお金を物を、やはりもうそういうことが定着しかかっているのではないかということを心配するわけでありまして、用意があっても十分対応できないのではなくて対応しようと今しているのですから、私は前から言っていたように、この法案はPKOとは違うのだから、分離してでも出せ、早く通しましょう、こういうことを言っていたやさきにこういう事件が起きて、やはり遠いし十分な人が来ないだろうからといって、せっかく申し入れても断られてしまう。  私は、災害などというものに対してはタイミングが大事であるし、やるべきときにやれるような体制を一日も早くつくる、これがやはり政府としての責任だ、こう思うのですが、大臣、もう一回この法案、PKOと一緒だと今の状態ではどうなるかわからない、そういうときにこれだけ分けてでも通しますか、その辺お答えをいただいて、私は終わります。
  267. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)国務大臣 これは一体でございますので、もう国会もそういつまでもやっておるわけじゃございませんから、予算が上がり次第、御協力を得て両方成立させたいと存じております。
  268. 和田一仁

    和田(一)委員 終わります。
  269. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  270. 麻生太郎

    麻生委員長 これより投資相互促進及び相互保護に関する日本国トルコ共和国との間の協定締結について承認を求めるの件について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
  271. 古堅実吉

    古堅委員 投資相互促進及び相互保護に関する日本国トルコ共和国との間の協定に対する反対討論を行います。  発展途上国は、その経済事情から海外投資を求めておりますが、その立場は一九七四年十二月十二日に国連総会が採択した「諸国家の経済権利義務憲章」に明記されております。すなわち、憲章第二条第二項の(a)には、各国の法令に基づき、各国の国家管轄権及び範囲内で、「外国投資を規制し、それに対し権限を行使すること。」また、「いかなる国家も、外国投資に対し特権的待遇を与えることを強制されない。」という原則が明記されております。投資する側は当然この原則を尊重する必要があります。  ところが、この協定は、投資財産・収益に対する受け入れ国の不断の保護・保障義務の規定から、収用・国有化、これらと同等の効果を有するその他の措置に対する補償、遅延に対する利子あるいは為替レートの変動による損失、さらには収益や売上金などの領域外への自由な移転などまで規定し、日本投資に対する特権的待遇を規定しているのであります。これは明らかに諸国家の経済権利義務憲章に抵触するものであります。  また、一九八八年の国連多国籍企業センター報告書も、「二国間投資協定はもっぱら受け入れ国に対して外国投資の保護に関しての責務を負わせるのみで、投資母国あるいは投資家に対してはそれに見合う責務はまったくない」と指摘しております。  発展途上国の経済困難につけ込み、巨大な経済力に物を言わせて投資に対する特権的待遇を図るようなことはやめるべきだということを強調して、反対討論を終わります。
  272. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  273. 麻生太郎

    麻生委員長 これより採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  274. 麻生太郎

    麻生委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、障害者職業リハビリテーション及び雇用に関する条約(第百五十九号)の締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  275. 麻生太郎

    麻生委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 麻生太郎

    麻生委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  277. 麻生太郎

    麻生委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十九分散会