○石渡
参考人 お答え申し上げます。
大変貴重な御
意見を開陳いただきましてありがとうございます。
慌ててやっているという認識は我々実はないのでございますが、まず
研究開発の段階は着実に、それこそ時間をかけて確実な
開発を進めておくべきであるという考えは、ただいま
局長から御開陳があったわけでございまして、私も全く同感でございます。
ただ、資源論という
立場からプルトニウム資源をいつ日本が使っていったらいいかということ、あるいは世界全体がという問題になろうかと思います。私
ども実は、私自身戦争の時期、極めて日本が貧乏であり、また物が不足している時期を経験しておりまして、そういうことが身にしみついているりかもしれませんけれ
ども、やはり最低のものは自前で持っているべきだということがどうしても発想の原点になるわけでございます。世界じゅうに転がっているじゃないがということはさることながら、しかし、最低のものは自前で賄うべきではないか、そのように
努力をすべきではないかというふうに考えるものでございます。
非常に資源に恵まれている例えば米国が核不
拡散という
観点からプルトニウムの商業的な
利用はやめようと簡単に決められ、まあ簡単であったかどうか知りませんが、決めるということ、あるいは、今貧乏しておられるようですが、ソ連のように同じく広大な領土を持った豊かな資源を持っている国、あるいは
イギリスのように石油を獲得することに成功した国、あるいは
ドイツのように無尽蔵とも思える石炭資源を持っている国というふうに、それぞれの国の置かれた
エネルギー資源というものがバックにあってその国の
政策が判断されているのだろうというふうに思うわけでございます。
そして、何もない我々が、しかも大量の
エネルギーを使っていかないと
国民の生活が成り立たないというような国にとっては、やはりただいま名前を挙げさせていただいたような
国々と違う
エネルギー政策というのがあっていいのではないかというふうに思うわけでございます。そういう
観点から、先生もおっしゃっていただきましたが、プルトニウムという国産に準ずる
エネルギー源というものを我々は大事に、しかし
注意深く扱っていくということによって一つの日本の
エネルギー資源として考えるべきではないかというふうに考えております。
幸いにして、現在私はその
研究開発を担当している者でございまして、そういう
意味で、
研究開発はきちんと着実にやっていくべきだ、またやらせていただきたいというふうに考えております。しかし、その技術の結果として、プルトニウムをもととする
エネルギーをどのように、どの程度使っていったらいいかということについて、これは頭から決め込まなくてもいいのだろうというふうには思います。ただ、先生ただいま例示的におっしゃったのだと思いますけれ
ども、三十年ぐらいプールにつけておけばいいじゃないかというのも一つの選択肢としてあるのかもしれませんけれ
ども、その辺についてはまさに弾力的に、柔軟に考えるべき問題であろうというふうに思うわけでございます。
それからもう一点、ちょっと話題を変えさせていただきまして、お許しを得て一言申し上げたいのでございますが、解体プルトニウムの問題でございます。核兵器の廃絶、廃絶までいかないのでしょうけれ
ども、削減ということで担当量のプルトニウムが主としてソ連から出てきそうだということを耳にしましたときに、ある早い時期にそれが実行に移されるのかなという印象を持ちました。そういうことになれば大変だ、それならばそういう事態に対応できる技術
開発というものも我々考えなくちゃいかぬだろうというふうに個人的には思いました。また同時に、
科学技術庁からも御
指導がございまして、そういう
観点から物を
検討しておくようにという御指示もあったわけでございます。
最近、私、一部
大臣のお供をした
部分もございますけれ
ども、米、欧と回ってまいりまして、主要国の
政策担当者といろいろ
意見交換してみたのでございますが、各国とも、冒頭先生御指摘のようにこれは大変な問題だという認識をまず示しております。しかし、どう対応するかということについてはこれはなかなか簡単に決められないなということを、各国ともその
事情は違うのでしょうが結論は同じでございまして、大変な問題だけれ
どもどう対応するかについては、これは慎重に構えなくちゃいけないということで見解が一致していたわけでございます。
その共通している理由は、まず、相手国がなかなか政情も不安定であるし、どこでどういう相談をしたらどういうふうに進むかという具体的な話が進まないという事態があるということが直接の原因のようでございますが一とにかく大変な問題なので、いろいろなケースを想定して、しかも国際的によく相談しながらこの対応策を決めなくちゃいけないなということで一致しておりまして、非常に急いで対応策を考えなくち。やいないという事態ではなさそうだなという印象を持って帰ってきたということだけ御報告申し上げさせていただきます。