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秋葉委員 実は、この点は余りこれほど深く
質問する予定ではなかったのですが、いろいろと
問題点が出てまいりましたので、
質問通告の中にはありませんが、何点か申し上げたいと
思います。
まず、今の
お答えではありませんでしたけれ
ども、六年という間で時間が短いからまだ周知徹底が行われていない、よく知られていないから
利用できないのだという趣旨の
お答えがありました。しかしながら、私は六年という年限はそんなに短い時間ではないと
思います。六年という時間はどのくらいの
意味があるかということをよくお考えいただきたいと
思います。大学に入って二年間の一般教養の課程を経て、二年間の専門課程を経て学士を得て、例えば工学士でも理学士でも結構でございます、その後、ある程度専門的な教育を受ける大学院の二年の修士課程を終える、それで六年です。その六年という間に、
日本の若者だけではありません、世界の若者は、ほとんど専門的な知識のないところから
幾つかの分野においては世界的な
成果を上げるまでの
変化を遂げるわけです。その間には、例えば
実験物理とか
実験化学とか
実験施設を使うような科学であれば、当然
実験施設の使い方も全く何も知らなかったところから世界的なエキスパートにまで成長するのに十分な時間、それが六年間という時間だと
思います。
したがって、六年かけてできなかったということは、学問的な、一般的な世界的な時間の長さの評価というところから、それは非常におかしい評価ではないかというふうに私は
思います。六カ月だったら話はわかります。しかしながら、六年あってそれが十分に活用できないということは、時間の短さということでは全く
説得力がないと私は
思います。
それからもう
一つですけれ
ども、これまたPR、周知徹底が足りなかったということをおっしゃっておりますけれ
ども、実は六年前の本
法案の
審議において、当時の河野
科学技術庁長官が答えている言葉がございます。それは、
研究者同士、かなり高度の
研究施設になれば、
研究者の間ではどこに何があるかということは十分知っているのだ、だからそれほどPRということに意を用いる必要はないと思うけれ
ども、しかしながらPRも必要だからやりましょうというような
お答えを河野
長官はなさっております。今おっしゃっていることとはまるっきり違うわけですけれ
ども、私は河野
長官のおっしゃっている方が真実により。近いというふうに
思います。ですから、PRということもやはり問題の核心を突いている
お答えではないというふうに
思います。
それからもう一点ですけれ
ども、それを反省して
科学技術庁としてはこれから
施設を十分に使ってもらうために何かやるということですけれ
ども、しかしながら、それでは問題の立て方が逆ではないのでしょうか。
前回の
法案の際にも、共有
施設を使うということ、そのことによって、そういう
ニーズがあるから、そういう
必要性があるから
法律を
改正してそれができるようにするのだというような趣旨が盛り込まれております。そうであれば、なぜ新たにPRをして、
科学技術庁が
努力を行って、そういうことが必要ですよということを説く必要があるのでしょうか。
結局、ですから、前
法案にこの
国有施設の
使用ということが出てきた、しかしながら、それは実態を踏まえたものではなかったというところをまず率直に反省していただいた上で、それでもなお
改正案が必要である、
条件の
緩和が必要であるということをおっしゃるのであれば、それでは具体的に、この
改正案によって可能になる
施設の
使用によってどのような
科学技術上の
研究成果があらわれてくるのか、それが
日本あるいは世界の
科学技術にどういった
意味があるのかというところを十分に分析し、そしてその周知徹底を図った上で、それで何か抜本的な対策を立てるということが大事ではないかというふうに
思います。
もう
一つの可能性としては、国の持っている
施設というのは実は老朽化していてまるっきり使いものにならない、だからだれも使いたくないのだというような可能性もあるかもしれません。あるいは、国の持っている
研究施設というものが、古くはないけれ
ども、実際的にその用途が現在の自然科学界あるいは工学界、そういった非常に広い範囲の用途からずれている、したがって
研究者は、
研究施設は足りないのだけれ
ども、たまたま足りないものが国にないというようなことかもしれません。そのいずれの場合においても、それにかなった
解決策というのがあるのだと私は
思います。
しかしながら、今
お答えがあったようなPRをするということ、それは非常に派生的な問題であって、実は
科学技術政策の根本、それから国が一体どのような
施設を持ったらいいのかといったような、そういうようなより基本的な問題についての抜本的な反省が必要なんではないかど
思いますけれ
ども、それはいかがでしょうか。