○石田
政府委員 お答え申し上げます。
原子力船「むつ」につきましては、我が国初めての、実際の船に原子炉を積んで実験いたします
研究開発
計画でございまして、最初の問い合わせでございますこれまでに幾らかかったかということでございます。全体、昭和三十八年度ぐらいから仕事が始まったわけでございますが、それから今に至るまで約一千百億円と申し上げるのが適当であろうかと存じます。
この「むつ」によって
一体どういうことがわかったかということでございますけれ
ども、これはたびたびこれまでもこのような機会に申し上げてまいりましたように、普通の陸上の原子炉は全く振動、動揺のないところで運転をするのに対しまして、波浪とか風とか、そういう自然の外力によります船体の動揺、傾斜等が原子炉のプラントにどのような影響を与えるかというようなこととか、あるいはそれ以外のもろもろの海上におきます実験によりまして、陸上では得ることができない貴重な原子炉の運転のデータを得ることができたということがまずございます。
それから、国産
技術によります我が国初めての原子力船が非常に厳しい海洋
環境下におきまして、設計どおりにその機能を発揮したということを実証することができたわけでございます。
それから、これは実際船を運転した当事者が申しておりますけれ
ども、原子炉が船舶の推進機関としてすぐれた性能を有しておるということがわかったということでございますが、こういうことも実証できたわけでございます。
それから、我が国初の原子力船によりまして実際航海ができた、貴重なトータルな
意味での原子力船の運航経験を得ることができたということがあるわけでございます。
今
先生御
指摘のように、第二船以降の具体的な
計画が明らかになっていないじゃないかということがございます。確かに今の
状況はそうではございますけれ
ども、これからのトータルな燃料価格あるいは将来の海上輸送の需要等々を見ますと、我が国が原子力船をつくり動かす
技術を持っておくことは極めて重要なことである、私
ども今に至るまで確信しておるわけでございます。
さて、その次の、今後どうするかという問題でございます。これにつきましては、現在の原子力船「むつ」の担当事業主体でございます
日本原子力
研究所の那珂におきましていろんな検討をいたしました。それで、原子力船「むつ」の解役の具体的な方法を検討したわけでございますが、種々の観点からいたしまして、使用済み燃料、原子炉などを「むつ」より撤去することを
基本といたしまして、そのための原子炉の廃止措置の方式といたしましては、撤去隔離方式を採用しておることとしたところでございます。これにつきましては、国といたしましても
専門家の意見をお伺いいたしまして、十分安全に実施可能であり妥当な
計画であるとの結論を得ておるわけでございます。
なお、解役終了後の「むつ」の後利用につきましては、青森県知事から地元としての御要望も承っておるところであるわけでございます。国といたしましては、これらの
状況をも踏まえまして総合的に検討いたしました結果、原研の解役
計画は妥当でございますし、さらに、後利用につきましても、内々海洋
調査あるいは将来の舶用炉の
研究開発のための理工学実験をやるための船に仕立て直したらどうかということで、後利用の方法につきましても検討を進めておるところでございます。
これらのことを踏まえまして、ことしの一月二十日でございますが、原研の
理事長以下、それから私も青森県に参上いたしまして、いわゆる地元三者、すなわち青森県、むつ市、それから青森県漁連に対しまして解役
計画の
説明を申し上げたところであるわけでございます。現在、青森県あるいはむつ市等々におきましては、この私
どもの解役
計画等につきましていろいろ御検討になっておると承っておりまして、本年二月二十三日、青森県が独自で開催されました
委員会におきましても
専門家の意見が取りまとめられておりまして、原研が
計画しておる「むつ」の解役の工事は安全に実施できるものと判断するとの結論が得られたやに承っておるところでございます。
国といたしましては、今後とも事業主体であります原研を
指導いたしまして、地元との十分な連携
協力のもとに、安全確保に万全を期しながら「むつ」の解彼等を着実に進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。(関
委員「答弁漏れがあるよ。これからどのくらい金かかるかということ」と呼ぶ)
将来
計画につきましては、今申しましたように解役というのがまずあるわけでございまして、それから後利用につながるわけでございます。今申し上げましたように、後利用につきましてはまだ具体的に
計画を固め切ってないというところもございますし、現在検討中でもございますので、これからの費用のかかり方につきまして今申し上げることは差し控えさせていただきます。