運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1992-03-03 第123回国会 衆議院 科学技術委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月三日(火曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 近岡理一郎君    理事 斉藤斗志二君 理事 光武  顕君    理事 宮路 和明君 理事 山本 有二君    理事 川島  實君 理事 関  晴正君    理事 近江巳記夫君       中馬 弘毅君    渡海紀三朗君       簗瀬  進君    秋葉 忠利君       竹内  猛君    吉井 英勝君       和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷川 寛三君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     林  昭彦君         科学技術庁長官         官房会計課長  岡崎 俊雄君         科学技術庁科学         技術政策局長  須田 忠義君         科学技術庁原子         力局長     石田 寛人君         科学技術庁原子         力安全局次長  坂内富士男君         科学技術庁原子         力安全局次長  谷   弘君  委員外出席者         文部省学術国際         局学術課長   雨宮  忠君         資源エネルギー         庁長官官房企画         調査課長    梅村 美明君         資源エネルギー         庁長官官房省エ         ネルギー石油代         替エネルギー対         策課長     上田 全宏君         科学技術委員会         調査室長    松尾 光芳君     ————————————— 委員の異動 三月三日  辞任        補欠選任   永末 英一君    和田 一仁君 同日  辞任        補欠選任   和田 一仁君    永末 英一君 三月三日  研究交流促進法の一部を改正する法律案内閣  提出第四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 近岡理一郎

    ○近岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉忠利君。
  3. 秋葉忠利

    秋葉委員 社会党秋葉でございます。  今国会から科学技術委員会委員の一人として皆さんの御指導を仰ぐことになったわけですが、きょうは、先日の長官所信表明を受けて、それがいわゆる第十八号答申と言われているものに大体基礎を置いての所信表明だというふうに私は理解しておりますので、主にこの十八号答申に関連した基本的なことについて何点かお伺いしたいと思っております。  まず最初は、一般的なことなんですが、今私が申し上げたこと、すなわち科学技術庁としては十八号答申基本的には評価をしているということなのか、一般的な感じというところから伺いたいのです。  実は私は、こういった官庁の文書あるいは政治の場で取り扱われる文書というのは余りこれまで見たことがありませんので、この答申を見て、一見非常に奇異に思ったのですが、これは庶民的な感覚からもおかしく思われるところではないかと思うのです。第一ページ目を見ますと「宮澤喜一殿」というふうに書いてあって、それを出している人が宮澤喜一さん、同じ人から同じ人にこんな何か麗々しいものが出てくるというのは、社会的な常識では非常におかしいと思うのですが、その辺のところも含めてまず十八号答申一般について、これは大筋としては科学技術庁のお考えであるかどうか、その辺のところからまず伺いたいと思います。
  4. 須田忠義

    須田政府委員 科学技術会議議長総理大臣になっておりまして、肩書として科学技術会議議長から総理へと、こういう形になっているわけでございます。  なお、科学技術会議について若干申し上げますと、科学技術会議総理議長で、関係閣僚並びに学識経験者をもって構成されておりまして、その事務局科学技術庁がやっております。したがって、十八号答申を作成するに当たっては特別の専門部会を設けまして、産官学の有識者に参画していただきまして議論した上の成案でございます。したがって、その意見を踏まえまして我々事務局で実際的に作業いたしたものでございまして、科学技術庁考えは十分これに入っておる、こういうふうに考えでございます。
  5. 秋葉忠利

    秋葉委員 実質としては科学技術庁が主体になってやっているということで、それは理解できるのですが、今おっしゃったことを私流に解釈し直しますと、宮澤喜一総理大臣というのは科学技術会議議長だけれども、要するに形式的なもので、余り意味がない、ただ単に名前だけで、実際には恐らく会議にもほとんど出てきていないだろうということだと思います。  それであれば、もう少し実質に沿った議長がいて、実質に沿った会議の開き方といったようなことをすべきなんじゃないでしょうか。ただ単に麗々しい名前だけが上についていて、実質的な討議は専門委員が行い、あるいは科学技術庁で行うといったような実態と表にあらわれている名前との乖離というのは、これからの政治においてやはり徐々に改めていくべきことではないんでしょうか。それともこういった非常に大きな名前を表に掲げるということに何か非常に政治的に、ということはとりもなおさず主権者たる国民一人一人の何か利益になる点があるんでしょうか。
  6. 須田忠義

    須田政府委員 科学技術会議我が国科学技術政策最高審議機関ということに位置づけられてございまして、科学技術会議設置法に基づいて設置されておるわけでございます。したがって、ここの議論、ここの結論というのは政府尊重義務をその法律で課している最高機関ということで、それに実態的に責任を持てる内閣総理大臣議長、それから大蔵大臣経済企画庁長官科学技術庁長官、これが議員になっておるということでございます。
  7. 秋葉忠利

    秋葉委員 それでは少し実質的なところの質問に移らせていただきます。  この中にまず三つ目標、これはやはり十一号答申にあった三つ目標、それが進化して今回十八号答申三つ目標、「地球と調和した人類共存」、それが第一、第二番目が「知的ストック拡大」、第三番目が「安心して暮らせる潤いのある社会構築」というふうに書かれております。大体何となくわかるのですが、一番最後、「安心して暮らせる潤いのある社会構築」、「安心して暮らせる」というのが「社会」にかかって、それから「潤いのある」というのがもう一つ社会」というところにかかっているんだと思います。何となく「安心して暮らせる」というのはわかるような気がするのですが、「潤いのある社会」というのがここに出てきます。具体的に科学技術庁としては「潤いのある社会」というのは一体どういうことを頭に置いてこれを受け取られたのか伺いたいと思います。
  8. 須田忠義

    須田政府委員 最近、日本を初め先進諸国では、物質的には豊かであるけれども心の豊かさが伴わない、特に日本はそうだ、こう指摘されているところでございます。それじゃ心の豊かさというのは何かという先生の御質問だと思いますが、健康の維持、健康の増進、いわゆるそういうことも含めて、生活大国といいますか、もっと生活に密着した心の豊かさをとり得るようなそういうような社会、それを構築していくための科学技術を振興しよう、こういうことでございます。  例えば障害者のいろいろな福祉を介護するための科学技術、そういうものも含まれますし、先ほど言いました防災の問題、安全の問題、それからいわゆる科学技術だけが先行してどうもそれについていけない、それをもう少し国民側、それを使う側に便宜、利便性を持たせるような科学技術、そういうことをイメージし、頭に描いております。
  9. 秋葉忠利

    秋葉委員 私も大体その「潤いのある社会」というのは今おっしゃった心の方の問題だというふうに思っていますが、今おっしゃった幾つかの項目、この答申の三十五ページ以下に幾つ項目が並んでいるのですが、私の見る限り、これはどちらかというと「安心して暮らせる」という方には確かに関係があると思うのですけれども、「潤いのある」という方には余り関係がないんじゃないか、「潤いのある」というのをあえてここに入れた理由が非常にあいまいではないかという気がいたしましたので、この点について伺いました。この点については非常に大きな問題ですので、また後ほどこの点だけを取り上げていつか議論をさせていただければと思いますけれども、とりあえず問題提起だけさせていただきました。  それで、実は質問通告をしてその通告をしたこととは少々違ったことを伺っておりますけれども、今伺っていることは大体常識範囲で、特に何か調べていただくということではなくて、科学技術考える上で一般的な常識として日常的に伺っても答えが出てくることだろうという前提で伺っておりますので、その点あらかじめお断りしておきたいと思います。  実はこの答申の中で、私が読んで幾つか目玉だろうというふうに感じたところがあるのですが、その一つ研究開発投資に関してでございます。この点、まずひとつここで出てきておりますのが大体十八、十九ページあたりだと思いますけれども、結論から言うと、「政府研究開発投資額をできるだけ早期倍増するように努める。」そういう結論になっております。それは、その前提として一応「十一号答申で示した目標をほぼ達成したというのがその前段にあるわけですけれども、その二つについて主に伺いたいと思います。  十一号答申で示した目標がほぼ達成されたというのは、一つにはどういう根拠、どの数字をもってそういうふうに言われているのか、それが一点。  それから、政府研究開発投資額をできるだけ早く倍増とおっしゃっているわけですけれども、この研究開発投資額というのは一体何を指してそういうふうに言っていらっしゃるのかということをまず伺いたいと思います。その二点。
  10. 須田忠義

    須田政府委員 前半の政府の十一号答申による目標をほぼ達成されたという言い方は、十一号答申目標額を一応明記してございます。それは官民含めた政府研究開発投資総額国民所得比三%を当面の目標とし、長期的には三・五%を目標として投資をしなさい、これは政府と民間を含めた全体の投資を期待する、それがいわば達成されたという意味でございます。  それと、今度新しい十八号で政府研究開発投資というのは何かということについては、政府研究開発関連予算予算というふうに御理解いただければと思っております。
  11. 秋葉忠利

    秋葉委員 最初の点ですけれども、総務庁の資料によりますと、平成二年の統計、これが対国民総生産比約二・九九%というところで三%を一応達成したというふうに言っていらっしゃるのだと思いますけれども、二つ問題点があると思います。  一つは、ここで、科学技術会議で対象にしている分野というのは自然科学分野ですね。そういたしますと、これは自然科学分野以外のところが入っているわけですから、自然科学だけにすると、実はこれが全体で約九割方が自然科学ということにいたしますと、二・九九といっても、それに九を掛けて二・七%ぐらいに落ちてしまうということが一つです。二・七%で究極的に三%の目標達成されたのかというところが非常に大きな疑問だと思います。  さらにそれ以前の時系列的な資料を見ますと、例えばそれから約五年前、十年前という数字を見ますと、これは総研究費を含めて、大体昭和五十五年が二・一四%、六十年でも二・七%、それに九を掛けると大体二・五%どまりがいいところで、長期的な目標の三・五%というのは一番最後の年、ことしあたりには三・五%に達していなくてはいけないんだというふうに考えますと、実はその目標とはかなり差があるのではないかというふうに考えた方がいいと私は思います。それをあえて三%という短期的な目標をとって、しかも自然科学人文科学社会科学も一緒にした数字を持ってきて三%に近いからということでこれが達成されたというふうに結論づけるのは、ちょっと暴論ではないのでしょうか。
  12. 須田忠義

    須田政府委員 研究費に対する対GNP比で、先生おっしゃるように、九〇年度で、人文自然科掌も含めると三%になっております。したがって、平成年度、十八号答申が出たのはことしの一月でございまして、その辺の過程において、まだ最終統計は出ていないのですが、大体推定するのに、今まで目標としてきた数値が達せられたであろうということが推察されるということでございます。
  13. 秋葉忠利

    秋葉委員 私の申し上げたことにはお答えいただいておりません。自然科学は九割として長期的目標が三・五というのが十一号答申です。ですから、長期的というのは十一号答申段階であれば、例えば十年後ということを考えていたんだと思いますけれども、そうすると、当然比較すべき数字は三・五でなくてはいけない。それを短期的な目標の方の三%をとって、しかも人文社会両方ともひっくるめた数字を持ってきてそれで合いましたよというのは、ちょっとこれは結論としてはおかしいんじゃないか、二・五%ぐらいというふうに考えますと、その三・五とは一%差があるわけですから、それも一〇〇%のうちの一%だったら誤差の範囲考えることができますけれども、三・五のうちの一というのは、これは目標達成したかどうかというところでは非常に深刻な数字だと思います。この点について今明確なお答えを恐らくいただけないと思いますので、これは長期的に再検討していただかなくてはいけないところではないかと思います。  ということは、実は十一号答申がほぼ達成されたというのが大前提になって十八号答申があるわけですから、この十八号答申全体についての大前提が崩れるというふうに私は考えます。したがって、その十八号答申全体をもう一度詳細に、その前提も含めて再検討する必要が生じるんじゃないかという疑義を持っております。その点については恐らく別の解釈がおありだと思いますので、一応私の疑問は疑問として、ここのところは何らかの解釈で、ほかのところも含めて十一号答申目標はおおむね達成されたという前提あと質問を続けたいと思います。  第二の点で、さっき申し上げたことですけれども、政府研究開発投資額お答えでは、科学技術関係省、これは科技庁で出している統計で、その総額は現時点で大体幾らぐらいと把握しておられるのでしょうか。
  14. 須田忠義

    須田政府委員 科学技術庁は、関係省庁科学技術関係予算の集計を毎年いたしております。平成年度科学技術関係予算は約二兆円でございます。四年度予算案で今御審議をお願いしている中では二兆一千三百四十億、こういうことでございます。
  15. 秋葉忠利

    秋葉委員 それではもう一つ伺いますけれども、これを「できるだけ早期倍増するように努める。」ということですけれども、この「早期」というのは大体何年ぐらい先を目標にしていらっしゃるわけでしょうか。
  16. 須田忠義

    須田政府委員 科学技術会議の十八号答申審議の中においては、早期というのは幅の意見がかなりございました。早期としては五年から、七年から、十年から、そういう何段階もの議論がございまして、これを何年というふうには、幅を持たしてございます。
  17. 秋葉忠利

    秋葉委員 ということは、倍増というと聞こえがいいですけれども、例えば実質的な経済成長率を何%に見るかによりますけれども、そんなに成長するかどうかはともかくとして、仮に三%台あるいはもうちょっと土として考えると、十年、十五年たつとほぼ倍増。ということは、微増していけば、それで成長率に見合っただけの実質的な額を確保して、あとはちょっとつけ足せば何もやらなくても十年で達成されてしまうという額だと思います。ということであれば、何も殊さらここに「倍増」と麗々しく書き立てて、それがすなわち我が国科学技術政策基本であるというようなことを言う必要は全くないような気がするのです。ということは、恐らく十年というところでは長過ぎて、長くても五年といったところを考えないと、あえて倍増ということを掲げて、それを今回の十八号答申一つの柱にする意味は全くないような気がいたしますけれども、科学技術庁はそこはどうお考えでしょうか。
  18. 須田忠義

    須田政府委員 科学技術会議答申を受けて、関係省庁、今後それについての具体的な施策を検討することになろうかと思います。そのとき関係省庁で、なるべく早く倍増という精神を踏まえ実態的な計画を作成していく、さようなスケジュールになろうかと思っております。
  19. 秋葉忠利

    秋葉委員 そうすると、倍増というのはきちんとした目標ではなくて、要するに符号といいますか、言葉がないと困るからただ単に何となくつくったので、本当に倍増になったかどうかを評価する基準は当然お考えになっていないわけですね。ですから、何となくかけ声をかけて、各省庁に呼びかけて、少しはできた、それで期限がはっきりしないので少しずつの累積を考えていくと、例えば十五年たって、そういえば実質ではかって二倍になったなということになったら、十五年たってこれは達成されました、十八年たって倍になったら十八年たってうまくできました、あるいはそれがたまたま八年でできれば八年で倍増できましたというように、要するにこれは何をやっても目標達成できだということを言うためだけの一つ符号だと考えてよろしいわけですね。
  20. 須田忠義

    須田政府委員 時期を明確に明記してないという点からいえば、先生の言われることもあれなんですが、三つ目標実現するには、日本として政府が主体的にやっていかなくてはいかぬ、政府はそれについて猛烈な力を入れなさいよ、こう言っている。しかし、その目標達成するにはなるべく早く倍増しろ、こういうふうに提言しているわけで、十五年で倍とかいうふうには考えておりません。もう少し重要項目だ、重点事項だというふうに考えております。
  21. 秋葉忠利

    秋葉委員 マラソンの応援だったら私はそれでいいと思うのです、頑張れと言えばそれでいいわけですから。しかし、これは政府施策ですから、しかもこれは国民の税金を使って、日本のこれからの将来について基本的な政策となるべき科学技術政策ですから、当然、目標を掲げるあるいは何か政策基本として原則を打ち立てた場合には、それが達成できたかどうかというきちんとした評価が下されなくてはならない。  例えばこれを宮澤内閣がやるのであれば、あるいはその後の内閣でも結構ですけれども、ともかくその内閣がこの努力目標に対してどういうことを具体的に行い、その目標が本当に達成できたかどうかということを国民が判断し、その上で、この政府目標に掲げたこともきちんとやっていないではないか、だから次の選挙では例えば社会党に入れよう。済みません、PRをさしていただきましたが、そういう判断を国民が下せなくてはいけない。そういったきちんとした目標を掲げるべきだと私は思います。  しかしながら、今おっしゃったことは、要するに科学技術会議は頑張れと言っていれば、ともかく何らかの形で、政府はよくやったんだ、どんなことをやってもよくやったんだということが言えるようになってしまっている。それに対して、国民のほとんどは科学技術政策については素人です。こういった文献について詳しい情報を得ることもありませんし、これをどういうふうに分析し、理解し、評価したらいいかということについても余りよくわからない。そういう人たちに、こういういわば非常にあいまいな形での目標を掲げ、そして評価基準も示さないということでは、最終的には行政として本当にきちんとした仕事をしたのかどうかということを示せないことになってしまう。そういったことで本当に日本科学技術政策がよくなると思いますか。国民意見を反映した科学技術政策が本当にこれでできるとお思いなんでしょうか。
  22. 須田忠義

    須田政府委員 科学技術会議の意向としてはなるべく早くというのは早期、いわゆる字のとおりなんでございますが、それを今度は政府が受けて、どういう政府計画を作成していくかということがこれからの一つの課題であって、非常に多岐にわたって各省庁があるものですから、これから関係省庁相談しながら、できるだけ早期倍増するように計画をつくっていきたい、こう思っております。
  23. 秋葉忠利

    秋葉委員 わかりました。  ということは、これ以上言っていただけないのかもしれませんけれども、科学技術庁としては、今のお答えでは、この科学技術会議答申を受けて各省庁連絡調整を図りながら、例えば六カ月以内に、この「早期倍増するように努める。」という「早期」というのは、現実的な目標としては例えば五年が適当である、だから五年のうちには倍増しますよというふうに、五年から十年なんという本当に意味のない幅ではなくて、三年から四年かけてこれを行うとか、あるいは五年以内には確実に目標達成できるようにするとか、そういう科学技術庁としての具体的な数字を伴った政策にこれを変えて、それを国民の前に明らかにするということを今おっしゃっているわけですね。
  24. 須田忠義

    須田政府委員 科学技術庁が、これは各省庁相談しなければいけないので、具体的にどういう施策をとっていくかというのを今後関係省庁相談の上、そういう手段を講じてまいりたい、こう思っております。
  25. 秋葉忠利

    秋葉委員 具体的なやり方としては幾つかあると思います。例えばその一つは、次年度はもう遅いのかもしれませんが、その次の会計年度において各省庁で大体どのくらいのことができるかという現実的な伸び率を勘案した上で、その上に立って、その次から、三年目あたりからさらに努力を加える。五年以内の計画というのは、これから六カ月といった範囲で現実的な数字をはじき出すことは恐らく可能だと思うのですけれども、例えばそういったやり方で「できるだけ早期に」ではなくて、国民の目から見てきちんとしたことをやっているのかどうか評価できるようなきちんとした期限をまず設定する、そのための努力をこれからもしていきたい、そういうお答えだというふうにあえて伺いたいんですけれども、その点もう一度確認をお願いいたしたいと思います。
  26. 須田忠義

    須田政府委員 各省庁相談をし、科学技術研究開発投資の拡充をとにかく図っていかなきゃいかぬというのが私たちの気持ちでございますので、実現方を、いろいろな方面でいろいろなやり方があるんだと思っていますけれども、省庁相談の上で決めていきたい、そう思っております。
  27. 秋葉忠利

    秋葉委員 これ以上はちょっとあれですので、またその点についてもぜひ積極的な御努力をいただいて、きちんとした数字を掲げての目標にしていただきたいというふうにお願いをしておきます。  この点に関して、実はもう一つ疑問があるのです。科学技術関連予算ですか、そういうふうにおっしゃったと思いますが、それを倍増する。倍増すればその内容はどうでもいいのか、あるいは倍増することによってさらにその先にある、何か達成目標といいますか目的というものがあるものかどうか。ともかくお金をふやせばいいんだ、その使い方については各省庁に任せて後は知らないよということなのか、あるいはそれ以上の、例えば基礎研究を充実させるんだとか、あるいはさっき私の申し上げた潤いのある社会実現のためにそれを使うんだとか、そういったその先の目標がおありになるのかどうか、伺いたいと思います。
  28. 須田忠義

    須田政府委員 十八号答申では、二十一世紀に向けた今後の科学技術政策目標として三つを掲げてございます。一つ地球環境問題等地球と調和した人類共存」のための科学技術、それから基礎研究の強化を中心とした「知的ストック拡大」、それと、先ほど御議論になりました「安心して暮らせる潤いのある社会構築」、この三つ目標を立て、これの実現のために政府がかなり主体的な非常に重要な役割を果たしていく、政府資金倍増せよ、なるべく早く倍増せよ、こういうふうにうたっているわけでございます。  したがって、そのためにはどういう施策を講ずるか、人材の充実、研究基盤の整備等七つの施策を提言し、なお重要研究分野として地球科学等基礎的な、創造的な研究等十六項目の領域を提示してございます。したがって我々は、こういう倍増するということは、そういうところに経費を充てて三つ目標に向かって進んでいくんだ、こういう考えでございます。
  29. 秋葉忠利

    秋葉委員 実は今おっしゃった、例えば十六分野というのを見ますと、ほとんどすべての分野が網羅されているわけです。残念ながら私の専門の数学というのは入っていませんけれども、そちらの方も一応関連分野として入れることが可能だというふうに考えて、それはつまり今の目標は、何をやっても達成されてしまうというような目標だと思うのです。もう少し絞っていただけないかと思うのですけれども、例えば「基礎科学の振興」ということがこの二十九ページに出てまいりますけれども、そういった中で、十六分野とは別に、基礎科学の振興あるいは基礎研究をもっときちんとやるんだという意味での重点の置き方というのは考えていらっしゃらないでしょうか。
  30. 須田忠義

    須田政府委員 お説のとおり十八号の一つの特色は、十一号と違いまして、基礎科学を非常に重視するという姿勢を貫いております。したがって、先生御指摘のように、今我が国基礎研究の拡充と国際貢献、この二つが非常に大きな課題でございまして、その基礎研究の担い手である国研、大学、これは御存じのように今研究費の伸び悩み並びに施設設備の老朽化、陳腐化で非常に苦しんでおるところでございます。こういうところを優先的にその環境整備に努めるというのが六十八号答申のもう一つ基本というか、考え方でございます。
  31. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のお答えを整理すると、幾つかの分野があるけれども、それは仮に幾つかの縦の分野があるとすると、横としては、基礎のところをその各分野において充実するという大方針があるというふうに理解していいんだろうと思いますけれども、基礎研究を充実する、それで国の費用をふやすということですけれども、それでは国が現在の時点で基礎研究あるいは、ここは基礎研究というのを基礎科学と何か分けているようですけれども、基礎研究でも基礎科学でも結構です、その分野に国が一体どのくらいの支出をしているのか、具体的な数字を伺いたいと思います。
  32. 須田忠義

    須田政府委員 先ほど申しました政府の研究開発関連経費、平成年度二兆一千億と申しましたが、そのうちで基礎研究は幾らかという統計は実はございません。ただ、民間等含めまして総務庁が毎年科学技術調査をやっています。それは各研究機関、各民間の研究所一万数千カ所にアンケート、調査票を配りまして、そこで集計されてきているわけでございます。基礎研究の比率は約一二、三%でございます。したがって、そのうち国立大学、大学研究機関の比率はかなり高い、もっともっと高い、五割以上、大学は六割かなんか、今ちょっとそのデータを持っていませんが、そういう感じの比率でございます。
  33. 秋葉忠利

    秋葉委員 実はその総務庁の資料の中にあるのですけれども、残念ながら一番最近の、ということはこれは平成二年ということだと思いますが、これですと大学が四六%、五〇%を切ってしまっている、民間が三九%、研究機関が一四・六%という数字があるのですが、となると、ここで実は基礎研究分野で国として、例えば支出をふやしたり減らしたりというところは大学のごく一部である。これは私立大学も入っているわけです。となると、ここで具体的に貢献できるのが多目に見て七千億。事によると、五千億、六千億という額になってしまうのではないかというふうに思うのです。  そうすると、今ここで倍増すると言っているところの柱は基礎研究だというふうにおっしゃったわけですけれども、その中で国の貢献度ということを考えると、最終的には現在の五、六千から七千億ぐらいのものを倍にするというふうに考えた方が一番現実的だと私は思うのです。すなわち、例えば五年かかってこの分野のお金を、大ざっぱに見て一兆五千億ぐらいにするということが実はこの科学技術会議倍増するという内容だというふうに具体的には解釈してよろしいのでしょうか。
  34. 須田忠義

    須田政府委員 今の政府の研究開発関連経費二兆円というのは、大ざっぱに言いますと、大学が一兆円です。残りが。科学技術庁、通産省、農林省、各省庁ということでございます。したがって、政府の研究開発、その金額の中身は、特に大学以外の中身などは巨大科学、例えば宇宙なり海洋なり原子力なり、そういう項目がずっと入ってございます。したがって、大学の一兆円の中でもほとんどが基礎研究ということではありません。基礎研究は五十数%、そういうふうに考えております。  したがって、先ほど私申しました、全体的には一つの目玉としては大学、国立研究機関の設備、施設、研究費、そういうのを非常に強化したいというのが一つ考え方ですが、金額的には基礎研究の方が倍増になっていく、三倍になっていく、そういうことでは決してありません。政府研究開発投資全体、宇宙から海洋から原子力、それを含めて早期倍増する、しかし、その中で基礎研究については非常に充実しなければいかぬというのが各人のコンセンサスだ、こういうことでございます。
  35. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のお答え、かなり矛盾するところがあるのですが、すなわち全体としては倍にするということをおっしゃっているわけですね、国の科学技術関連投資というものを。それで、しかしながら基礎研究の大部分が行われている国立大学、あるいは国立の研究所を入れても結構ですけれども、必ずしもそこの部分だけを倍増する、三倍にするということではないというふうにおっしゃいました。ほかのところもやるんだというふうにおっしゃいました。全体として二倍ですから、もし基礎研究をやっているところが二倍にならなければ、ほかの分野、ということは応用と、それからこの総務庁の資料では開発研究とを分けていますけれども、そういった分野では二倍以上になるというふうにしか、これは論理的に計算すればそういうことになるわけですから、なってしまいます。  ということは、次のようなことが起こる。今までの日本に対する外国からの非常に大きな批判というのは、日本は応用技術あるいは開発といった点には金を使う。事実、政府がそういった部門に関しては巨額の投資を行って、国ぐるみで企業の援助をしている。それがいわば応用開発研究ということになるわけですけれども、それはずるいじゃないか、もっと基礎研究をやることによって、その基礎研究の成果が例えばアメリカにも使われるように日本が開放すべきであって、ただ単にアメリカが基礎研究を行って、その結果を日本が応用あるいは開発といったところだけで金を使って、その費用というのは基礎研究に比べると往々にして安く済む、そういった形で日本だけが利益を受けているのは国際的には好ましくないんじゃないかという批判がずっと今まであったわけです。  ところが、今おっしゃったことを聞いていると、全体では二倍にしますよ、だけれども国でコントロールできる基礎研究のところは必ずしも二倍にはなりませんよということになると、国が応用のところにもっと力を入れるということになるわけで、それでは、例えばアメリカからの科学技術摩擦というような形で伝えられている批判に対して日本が、そんなことはありません、日本としては基礎研究に非常に力を入れていますよということを胸を張って言えなくなってしまう。今のお答えではそういうことになってしまうのですけれども、いかがですか。
  36. 須田忠義

    須田政府委員 日本は御指摘のように研究成果のただ乗り論、いろいろ基礎研究をやってなくて、諸外国の成果を利用して開発研究に持っていくんじゃないかという非難、そういう背景は十分議論されておりまして、そういう意味では基礎研究の強化と国際貢献、これを重点事項としてやっていこうじゃないかということが科学技術会議の十八号の基本です。ただし、政府の研究開発の倍増計画、これは文部省を含めてこれから各省庁政府として、検討していくことになろう。したがって十分その背景、考え方、十八号の考え方を踏まえて各省庁予算措置をとっていくんだと思いますけれども、基礎研究も倍にする、開発研究も倍にする、そういうふうに分けた形で倍増計画という形の整理はしておりません。したがって、今後その精神にのっとって、基礎研究が重要だったらそこの方にシフトしていく、そういう政策がとられるものと思います。
  37. 秋葉忠利

    秋葉委員 とられるものというのではちょっと困るので、私がここで確認をしておきたいのは、要するにそれはそうだと思います、ばらばらにした政策考えているのじゃないというところは。私は本来科学技術政策というのは総合的に立案されるべきだと思いますから、その点については全く賛成なんですけれども、しかしながら実態として全部を合わせたときには、じゃ倍にしますよ、しかしながら科学技術基礎研究のところだけは、しかも国のコントロールができるところはそれは二倍にはなりませんよという結果になったら、私が今申し上げたような批判というものには絶対にこたえられないわけです。もうそれはデータとして具体的な事実としてこたえられないわけですから、仮に各省庁努力とか差とかそういうものがあるにしても、最終的には国のコントロールのできる基礎科学の分野は例えば三倍ぐらいにしなければいけないんだ、そうしないと、全体が二倍になったときに基礎研究に力を入れていますよということは絶対に言えないんだというその論理構造はおわかりになっていらっしゃるわけですね。——今うなずいてくださいましたからおわかりになっている。  となると、具体的に科学技術庁がその総合政策の調整役として、例えば具体的な個々の、例えば大学院に対する研究費の援助であるとか、そういった文部省との関連、あるいはほかの省庁との関連でこの政策を推進していくに当たって、国のコントロールのできる基礎研究分野では、例えば最終的に数字をはじき出す段階評価段階になったら三倍ぐらいになっているというようなことを目標にして今から努力をしなければいけないということもおわかりいただけるわけですね。その点についてもう一度確認していただきたいと思います。
  38. 須田忠義

    須田政府委員 大学、国研等基礎研究について非常に今大変な状態になっておるということで、そこは皆さん認識しておりますので、そっちの方に非常に厚く政策を展開していくことになろう、こういうふうに思います。科学技術庁としても努力いたします。
  39. 秋葉忠利

    秋葉委員 それでは、とりあえず非常に前向きなお答えをいただきましたので、次のところに行きたいと思います。  この科学技術研究開発投資額というところでこれを倍増するというのと同時に、もう一つ倍増という数字が出てくるのですが、それは人員の確保、研究者の確保というところで倍というのが出てきます。これは十ページですが、「研究者に対する国全体の需要量は、二十一世紀の早い時期に、現在の二倍に連するという数字が出ています。そのために具体的に何をやるのかというところで、一つ高等教育の充実というのが当然出てくるわけですが、修士課程の学生、それから博士課程の学生の定員の充足、拡大に努める。片方は拡大ですけれども、これについて現在修士課程、博士課程それぞれ何人ぐらい定員があって、その定員のうち一体どのくらいの学生が現実にいて、そしてそれを今後どのくらいの時間のうちにどのくらいに拡大していけばいいというふうに考えているのか、これは文部省に伺いたいと思います。
  40. 雨宮忠

    ○雨宮説明員 平成年度自然科学系の修士課程、それから博士課程の入学定員でございますけれども、修士課程の方が一万八千五百九十人、それから博士課程につきましては入学定員が九千八百三人ということでございます。それが入学定員でございますが、充足率につきましては修士課程が一三一・〇%ということでございますので、定員以上の収容があるということでございます。逆に、博士課程につきましては六七・五%というとでございますので、約三分の二の人が入っている、こういう数字でございます。大学院の今後の拡充ということにつきましては、大学審議会でかねて議論してきたところでございまして、昨年の十一月に「大学院の量的整備について」という表題の答申を出しておるわけでございます。ここにおきましては、今後におきます大学院修了者に対する需要動向についていろいろ検討したわけでございますが、いずれにいたしましても、大学院修了者の割合を大幅にふやしたいということでございまして、具体には、平成十二年度時点におきます大学院学生数の規模につきまして、少なくとも現在の規模の二倍程度にまで拡大することが必要だ、こういう答申をいただいておるところでございます。
  41. 秋葉忠利

    秋葉委員 それでは、今の大学の内容はわかりましたけれども、全体として、こっちを先に聞くべきだったかもしれませんけれども、二十一世紀の早い時期に現在の倍の研究者が必要になってくるということが言われているわけですけれども、現在の研究者数がどのくらいなのか、そして二十一世紀の早期の時期というのは大体二千何年ぐらいを考えているのかというところを伺いたいと思いますのできたらこの数字の根拠も教えていただけるとありがたいのですが、それは後でも結構ですから。
  42. 須田忠義

    須田政府委員 平成三年で我が国の研究者数ということで、これは総務庁の統計でございますが、五十八万二千人でございます。そのうち、会社等が三十三万人、大学等が二十万人で、研究機関が四万一千人、トータル五十八万ということでございます。  なお、この倍要るんだということについては、これは研究者数の将来予測で、我が方の科学技術政策研究所がやった予測でございます。これは、GNP三%の成長をするか、四%の成長をするかということによって若干違いますが、二〇〇六年でさらに大体倍不足するむしろ四十万から五十万人の不足が見込まれるということでございます。これは経済成長とともにその研究者の数が必要になってくるという面が一つと、十八歳、いわゆる若年層人口の減少、これもかなり響いてございまして、それとの総和といいますか、それで開きがますます開いてくるという試算でございます。
  43. 秋葉忠利

    秋葉委員 ということは、二〇〇六年というのはもう二十年ないわけですけれども、それで今のその大学院の拡充計画ですと、これから約十年ぐらいかかって大学院の定数を倍にする。これはまあ一応みんな修士を通ってから博士にいくんだと思いますから、大学院の大体一学年の人数を押さえるには、修士の入学時のこれを仮に約二万人というふうに考えますと、二万人ぐらいというのを倍にして四万、多目に見て五万ということだろうと思います。それで、それが約十五年たつと、四十万、五十万の不足が出てくる。具体的には、それをとても大学院の修士課程だけではこの四十万、五十万の需要を満たすことができないわけですけれども、ほかにどういうことでこの不足分の人材を確保なさろうとしているのか、これまた科学技術庁としてはこれをどういうふうにお読みになったのか、そこのところを伺いたいと思います。
  44. 須田忠義

    須田政府委員 先ほどの大学院修士課程、博士課程の質、量等の拡大、そういうもののほかに、人材の登用といたしまして、女性の科学技術活動の継続を容易にするための環境整備、いわゆる女性に積極的に関与してもらうというのと、高齢者の能力、体力に応じた活用の方法、それから外国人研究者の登用、そういうのが科学技術会議の十八号答申では具体的な項目として指摘されております。  なお、公的部門における定員の確保の問題、そういうことも含めまして科学技術の人材の充実策として提言がされてございます。
  45. 秋葉忠利

    秋葉委員 女性の場合でも、つまり一流の研究者として貢献するためにはそれなりの教育を受けなくてはいけない。となると、当然修士課程ぐらいは出ていなくてはいけない。女性の場合には、それこそ若い人だったらこれからの分に入るでしょうけれども、例えば現在中年になっている人を大学院で迎えて、そこで教育を受けてもらって活躍をしてもらうというようなことが考えられると思うのです。そうしないと絶対数が少ないわけですから、それ以外の充足の方法はない。ということは、ほとんどのその増加というのは修士の定員増加の分に含まれてしまうということだと思います。  高齢者の場合には、例えば退職年齢を延ばすということによって実働年限がふえるわけですから、それはそれとして見込めると思いますけれども、残念ながらほとんどの自然科学の研究者の生産性の非常に上がる時期というのは、若い時期に集中してきてしまうということですね。特に、基礎研究のところには独創的な研究が必要だということが書かれているわけですから、高齢者、もちろん重要だと思いますし、貢献をしていただきたいと思いますけれども、それでは最終的な、研究の生産性ということを言っていいのかどうかわかりませんが、そういうところから考えると、必ずしも重要な貢献にはならないかもしれない。となると、今おっしゃった三つの中で一番大切なのは、外国人研究者を雇用するということだろうと思います。それが一つですね。  それからもう一つは、そもそも自然科学系の専攻を希望する学生が少なくなっている。そのことをここでは十六ページに、情報が国民に浸透していない、「処遇・勤務環境が悪いといった情報が先行したと言って、実態は必ずしも悪くないけれども情報だけに責任があるといったような書き方がされているわけですけれども、現在の、例えば大学における基礎研究に従事している研究者の処遇を見ても、私には彼らの処遇が必ずしもいいとは思えません。  しかも、ちょっと時間がなくなりましたので少しはしょりたいと思いますし、これ以外の問題についてはまだ機会を改めて伺いたいと思いますけれども、例えば、期限つきの雇用を研究者に関しては行おう、だから終身雇用はやめようといったような可能性さえ現在考えられている。そういったときに、ただ単にそういう有限期限の勤務で一生を保証されないままに、例えば現在のような処遇であれば、理工科系の専攻をしたい、理工科系の学部で勉強したいという学生の数はますます少なくなってくる。少なくなって、大学院の修士の定員だけ幾らふやしても定員割れするだけで、全く最終的な人材の確保にはならないというふうに思いますけれども、そのあたり自然科学系の研究者の処遇の抜本的な改善というところ、外国人の研究者の処遇改善ということも含めて、実はそのあたりがもっともっと前面に出てきて改善策として考えられるべき事項ではないのでしょうか。科学技術庁としてはそのあたりどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  46. 須田忠義

    須田政府委員 お説のとおり、科学技術関係の職業のいわゆる処遇並びに勤務環境の改善ということが、重要項目として科学技術会議十八号では提言されてございます。それを受けた政府として今後どうしていくかということは、これから関係省庁相談してまいりたい、こう思っておるところであります。  なお、つけ加えますと、やはり大学とか何かの環境、施設、設備が非常に狭隘で、非常に陳腐化していて、そういうところにはなかなか勤める意欲がわかぬ、先生御指摘のとおり、そういう問題が強力に指摘されてございます。したがって、その職員の給料等のみならず、職場の環境もこれは変えていかなければいかぬという提言を受けておりますので、これは政府としても何らかの措置を各省庁相談して講じていきたい、こう思っております。
  47. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。非常に積極的なお答えですし、今回は別の法案も出ているようですので、そういったところで研究者の研究環境、それから給料も含めた、そういうところかぜひお願いしたいと思います。  実はSSCについて質問をするつもりで質問通告をしていたのですけれども、時間がちょっとありませんので、またこれは先送りにしたいと思います。  この現在の人材確保についてもう一点だけ最後質問したいのですけれども、実はどうもよくわからないところがもう一つこの答申の中にございます。  それは、例えば科学技術全体として考えると、一方では「研究能力と指導力に優れた者を幅広く国内外から求め、研究管理者や研究企画者への登」用に努める。」というのが書いてあるのです。二十二ページです。それから同時に、そのすぐ下に、二十九ページにも同じようなことがあるのですが、「研究者に自由度を持たせるように努める。」とりあえずそこのところでいいのですけれども、つまり一方では研究管理者を登用し、もう一方では、その管理者が本当は管理をすべき対象である研究者には自由裁量を行わせるということは、これは一体どういうシステムなんでしょうか。上に偉い人だけ並べておいて、給料は出すけれども、研究者は個人個人で自分勝手な研究をやっていいというふうにしか読めないのですけれども、これはどういうふうに解釈されているのでしょうか。
  48. 須田忠義

    須田政府委員 研究者には良好な研究環境をまず整備してあげるということ、それから、実際の研究はかなりの自由度を持たせて自由に研究してもらう、これが独創的な研究を遂行していくためにはぜひ必要なことだ、こう思います。  先生おっしゃるとおり、いろいろな者手研究者も、経験のある管理者のヒントとか研究環境のやり方、そういうのを適切にアドバイスしてくれるのが、今までいい成果を上げた人の統計なんかをとりますと、非常にいい管理者に恵まれたというような統計もいっぱい出ておりまして、そのちょっとしたアドバイス、ちょっとしたやつというのが非常に効果的だ、そういうことも頭に描いて研究管理者の優秀な人の登用ということも記述しているところでございます。
  49. 秋葉忠利

    秋葉委員 この点についても、実は大学の研究システムその他でもっと時間をとって十分な議論をどこかで行いたいと思いますけれども、私の経験でいいますと、例えばアメリカの大学と日本の大学を比べて、日本の大学にはもうめちゃくちゃにくだらない規則が多過ぎます。本当にくだらない雑用をやっているだけで研究なんかほとんどできない。何か自分で研究をやろうと思って研究企画書を出すにしても、例えばアメリカであればほとんどボスのところの管理的なところでやってくれるものを、こっちは一々自分で書かなくちゃいけないというようなところがあるわけです。ですから、日本の研究環境をよくするために必要なのは、例えば文部省もそうですし恐らく科学技術庁もそうだと思いますけれども、そういうような官僚的な統制を撤廃して、研究者自身がもっと研究に具体的に時間を使えるようなシステムをつくることだと思います。  それからその際に、もしボスが必要であれば、そのボスはそういった環境をつくることに力のある人で、ということは必ずしも指導力が必要なんじゃなくて、官僚とけんかをして官僚に勝てるような人を連れてこなくちゃいかぬ、私はそういうことだと思います。  ですから、官僚システムが抜本的に改善されればもうそれだけで日本の研究環境は随分よくなると思います、逆説的ですけれども。恐らく科学技術庁の皆様は優秀なお役人なんで抑制的な立場にはいらっしゃらないと思いますけれども、そういう側面もあるということを、時間がありませんのでとりあえず問題提起をさせていただ。いて、この点についてはまだ十分に勉強した上でいろいろと皆さんにも提言をさせていただきたいと思いますし、これからも日本科学技術基礎研究のために一層の御努力をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  50. 近岡理一郎

    ○近岡委員長 川島實君。
  51. 川島實

    ○川島委員 私は、既に通告をいたしております我が国の二十一世紀に向けてのエネルギー問題と、これにかかわる幾つかの点についてお尋ねをいたしたいと思います。  近年、世界的にエネルギー需要が増大しており、先進国では一人当たりの使用量も非常に高くなってきております。これによる影響として、地球規模での環境破壊や資源枯渇が大きな問題としてクローズアップされております。我が国においても、エネルギーの安定供給の確保や地球規模の環境問題の観点から、従来の水力、地熱、原子力と並んで新エネルギーの導入が求められておるところでございます。地球に優しい新エネルギーとして太陽光・熱発電、風力発電、燃料発電、コジェネ発電など取り組みがなされてきているところでございますが、現在、エネルギーの中でこれらが占める割合はどのくらいになっているのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  52. 上田全宏

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  現在のところ、我が国の一次エネルギー供給に占める新エネルギーの割合は一・三%ぐらいでございます。
  53. 川島實

    ○川島委員 次に、世界の二十一世紀に向けてのエネルギーの需要見込みについてお尋ねをいたします。  世界的に二〇〇〇年、二〇一〇年度ということで供給量の伸びが予測されているわけでございますけれども、その内訳として、一つは新エネルギー二つは水力、地熱等、三つは原子力、四つは化石燃料の天然ガスだとか石油、石炭について、これらの年度に占める構成割合はどのように変化しておるのか、まずお伺いをしておきたいと思います。  さらに、我が国の石油代替エネルギー関係で、政府平成二年十月三十日に閣議決定をいたしまして、石油代替エネルギーの供給目標として平成二十二年度までに開発及び導入を行うとして、原子力が一億一千百万キロリットル、石炭が一億三百万、天然ガスが八千万、水力が二千五百万、地熱が六百万、その他の石油代替が三千五百万、合計して三億六千万キロとなっておりますが、これらの各エネルギー供給に対してどのような施策計画いたしておるのか、あわせてお伺いをしておきたいと思います。
  54. 梅村美明

    ○梅村説明員 お答え申し上げます。  まず、世界のエネルギーの需要の見込みでございますけれども、これはアジア等発展途上国地域におきます。その需要の見込み、国際的な景気の動向あるいは地球環境問題への対応等不確定な要因が多うございますので、今、将来の需要を予測することは困難であるわけでございますけれども、そうした中で一つの試算として、国際エネルギー機関、IEAが行っております世界の一次子ネルギー需要の見通しによりますと、これは二〇〇五年の見通しを立てているわけでございます。  例えば石油につきましては、全部石油換算でございますけれども、一九八九年現状三十二億トンが二〇〇五年には四十一億トン程度に、天然ガスが十七億トンが二〇〇五年には三十億トンに、石炭が二十四億トンが三十四億トンに、原子力が五億トンが七億トン程度に、それから新エネルギーと水力を合わせまして現状二億トンが二〇〇五年には三・四億トン程度になる、このような見通し、これが世界の見通してございます。  それから、先生御指摘のとおり一昨年の十月に日本政府は、総合エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通しを踏まえまして、閣議決定を経まして石油代替エネルギーの供給目標の改定を行ったところであるわけでございますけれども、この目標そのものは、省エネルギーの一層の効率化ということを前提に、原子力、新エネルギー等の非化石エネルギーを初めとしました石油代替手ネルギーの積極的な開発導入を目指すものでございまして、その需要面それから供給面あわせまして各般の予算措置、金融、税制上の措置を広範に講じているところでございます。
  55. 川島實

    ○川島委員 これらの石油の代替で日本努力をしておるわけでございますけれども、世界の伸びと、我が国の伸びを抑制することへの変化、これに対してどのような考見方をお持ちなのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  56. 梅村美明

    ○梅村説明員 まず、我が国の方針につきましては、今御説明申し上げましたように、第一点には、この安定的な経済の発展をいたす中でエネルギーの需要そのものを、なるべくエネルギーそのものを効率的に使っていきましょうという需要面からの対策を一層講じるということを大前提にいたしまして、それに対しますエネルギーの供給面では、日本エネルギーの八割以上を諸外国に依存しているわけでございますから、その安定供給の確保を図る、あるいはまた地球環境、温暖化問題等に対応するという観点から非化石エネルギー、石油代賛エネルギー、こういうものの比率を高めていこう、こういうのが先ほど申し上げました石油代替エネルギーの供給目標の見通してございます。そうして最終エネルギー消費につきましては、今後二〇一〇年までに一・二%、年率でございますけれども、この程度の伸びを予想しているところでございます。  また世界の需要でございますけれども、先ほど供給源の構成を申したわけでございますけれども、IEAの見通しによりますと、後の世界のエネルギー需要の伸びは世界全体で一・一四%程度伸びがあるわけでございますけれども、中では先進国が平均一・一%、それから途上国がやや高く二・三%くらいの高い伸びというものを経済の発展に伴いまして、していくというような見通しがあるわけでございます。
  57. 川島實

    ○川島委員 これらのエネルギーの化石燃料関係が枯渇をする年数が、大体世界で見通しがなされているわけでございます。石油が埋蔵量が一兆十六億バレル、年数にすると約四十六年で大体なくなってしまう。それから天然ガスが百十三。兆立米、これが五十四年。石炭が一兆七百五十五億トン、これが三百二十八年。ウランが二百三十万トン、六十二年、このようにデータとして示されているわけでございますが、現在各国がエネルギー問題に対して取り組んでいる方法、我が国が取り組んでいる方法にも非常に問題が多く残されておると思うわけでございますが、これらについてどのようにお考えでありますか。
  58. 梅村美明

    ○梅村説明員 化石エネルギーというのは、先生御指摘のとおりに有限なものでございます。ただし、埋蔵量そのものは、先生御指摘の資料というのは確認可採埋蔵量ということで、今現在確認されているもので割っているものの年数でございまして、今後の技術開発等によりまして、まず第一にはその年数等が伸びることが予想されるわけでございます。  ただもう一つには、根本的にはそういう化石燃料というのは、我々としましてはなるべく大事に使いまして、次世代にまでなるべく多く残さなければいけないという問題であろうと考えておりますので、我々といたしましては、この省エネルギー技術、ある一定の投入量で得られます効用というものを最大限にするためにエネルギーを大事に使うのだ、こういうような施策を充実してまいりたい、かように考えているところであります。また、我が国は世界に冠たる省エネルギー技術の大国でございます。こういうものの技術を国際的にも広めるために今現在努力しているところでございます。
  59. 川島實

    ○川島委員 世界的な流れから見ますると、原子力が非常に大きなウエートを占めてきているわけでございますけれども、我が国におきましては非常にまだ問題点があるわけでございます。これらの問題点、具体的には美浜町のあの原発事故を例にとりますと、原子力発電の安全性について非常に国民の中で疑問があるわけでございまして、これらに対して安全性の確立の問題でどのような努力がなされておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  60. 坂内富士男

    ○坂内政府委員 お答えいたします。  原子力の研究開発それから利用を進めるに当たりましては、今御指摘の安全の確保に万全を期すことが大前提ということになっていると思います。このため、原子力施設の設計、建設、運転等の各段階におきまして、原子炉等規制法等に基づきまして厳しい安全規制を実施しておるところでございます。特に原子力施設の設置に当たりましては、まず行政庁が安全審査を行いまして、その結果につきまして原子力安全委員会がさらにダブルチェックを行うというシステムをとって、安全の確保に万全を期しているところでございます。  また、内外の原子力施設の故障、トラブル等の教訓等も十分踏まえまして安全対策には万全の措置を講じているところでございまして、こういったことから原子力施設の安全性は十分に確保されているものというふうに思っでございます。  以上でございます。
  61. 川島實

    ○川島委員 私ども一般から見ますると、科学技術というのは非常に難しくとられがちで、実際現象的に出てきた問題だけで実は受けとめるわけです。だから、たまたま美浜町のあの事故が起きたときも、一人の市民としてあそこへ、国民の中にまじって私はいろいろ見させていただきました。それのいろいろな人の声を聞いておりますと、やはり怖さは具体的に会話の中で出てきているわけでございます。だから、たまたまあれが確実につくりかえられるということで今度は安心でございますけれども、ほかの同じような型の問題が実は出てくるわけでございまして、これらに対してもきちっとした安全を、全部取りかえるぐらいの気持ちでやっていただかないといけないのじゃないかと思うわけでございます。  それから、チェルノブイリの事故から五年たつわけでございますけれども、今日まであの旧ソ連邦で起こったああいう事故での教訓として、我が国がそういう安全性やその他の問題でどのように教訓を受けとめてきたのか、それをあわせてお伺いしておきたいと思います。
  62. 坂内富士男

    ○坂内政府委員 チェルノブイリの事故に関する御質問でございますが、このチェルノブイリの事故につきましては、大量の放射能が国境を越えて各国に影響を与えたということで、重大な事故であるというふうにまず認識してございます。  との事故は設計上の欠陥、運転員の規則違反等によって引き起こされた事故でありまして、我が国においてはこのような事故は極めて起こりがたいというふうに認識しております。しかしながら、このチェルノブイリの事故の発生に伴いまして、原子力安全委員会としましては、この中から私ども、我が国としても最大限の示唆、教訓といったものを引き出すべくいろいろ勉強しまして、その勉強の結果につきまして、原子力事業者等にそういったものについて指示しておるというところでございます。
  63. 川島實

    ○川島委員 原子力の関係でもう一つ、廃棄物処理が国民の支持が得られない一つの問題だと思うわけでございますが、我が国は青森の六ケ所村できちっとやっていると、こうおっしゃるわけでございますが、最近の新聞等によりますと、スウェーデンが廃棄物を海底へ処理をしている、こういう報道がなされて、それが環境を無視した開発だということでいろいろ問題になっておるようです。  それからロシア共和国がウラジオストクで原子力潜水艦二十隻を廃棄をして、隣のノルウェーから汚染が心配だということでクレームがついておる、こういう話題も出てきておるわけでございますが、これらについて我が国はきちっとなされておるのか、その辺のことについてお伺いをしたいと思います。
  64. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のとおりに、放射性廃棄物の処理処分の問題は、原子力発電を進める上におきまして非常に大事な問題であると認識しておるところでございます。  廃棄物には、御承知のように、ごく大ざっぱに申しまして、低レベル放射性廃棄物と高レベル放射性廃棄物があるわけでございます。全体、これらを含めまして、放射性廃棄物の処理処分の対策につきましては、原子力委員会が昭和六十二年に決めました原子力開発利用長期計画に基づきまして、計画的に進めておるところでございます。  低レベル放射性廃棄物の陸地処分でございますけれども、これにつきましては、御承知のとおりに、電気事業者が中心となりましてつくりました日本原燃産業株式会社が、青森県六ケ所村におきまして埋設処分の計画を進めておるところでございまして、平成二年十一月に事業許可を受けておりまして、現在施設の建設を行っておるところでございます。本年末に操業開始の予定と認識しております。  それから高レベル放射性廃棄物でございますが、これにつきましては、まずガラス固化によりまして安定な形態とするということが一つでございます。それからこれを三十年から五十年の間、冷却のための貯蔵、すなわちガラス固化されましたガラス固化体は発熱いたしますので、その発熱するものを冷却するというための貯蔵でございます。これをしかるべき施設で行うということが二つ目でございまして、その後、地下数百メートルの深い地層中に処分するいわゆる地層処分ということを行う、そういう方針でございます。これにつきましては、現在動力炉・核燃料開発事業団が中核推進機関となりまして、地層処分技術の確立を目指しました各種の研究開発を積極的に進めておるところでございまして、これらの研究開発を着実に一歩一歩進めることによりまして、安全な処分が実施できるものと考えておるところでございます。
  65. 川島實

    ○川島委員 その原子力の廃棄処理が、結局自然に帰るような形で早く帰ってくれれば問題ないわけでございますけれども、今のような、人家が非常に近いところであって、その廃棄物が自然に帰るまでに三百年もかかるというような問題点もあるわけですが、私どもから言わせれば、沖ノ鳥島ですか、大分日本から離れた、もう島が埋没して日本の国土がなくなるという心配がある、そういうところにきちっとしたもの、基地を設けて、そこでちゃんと処理して、順番に島が大きくなっていくというような発想もできるわけでございますが、その辺の考え方についてお伺いをしておきたいと思うわけでございます。
  66. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘になりました、比較的遠隔の人の住まない島に放射性廃棄物を持っていくということにつきましても、これまでいろいろな議論が行われてきたところでございます。  ただ、特に低レベル放射性廃棄物の埋設施設を含む全体の核燃料サイクル施設の立地ということを考えます場合は、一般的に申しまして、やはり十分な広さの敷地が確保されることとか、あるいは施設の建設、運転に必要な資材とかあるいは機材の運搬が容易であること等の条件を満たす必要がございます。今先生御指摘のようないろいろな可能性も含めまして、関係方面いろいろ検討したわけでございますけれども、低レベル放射性廃棄物の場合は、事業者はこれら今申しましたような条件を総合的に判断いたしまして、青森県六ケ所村を核燃料サイクル施設の立地点として選び、地元に立地協力のお願いをしたものと承知しておるところでございます。  いずれにいたしましても、国といたしましては、低レベル放射性廃棄物埋設施設の立地が、安全を確保する上で支障がないものであるかどうかということにつきまして、立地地点周辺の自然環境あるいは社会環境を含めまして、厳正に安全審査を実施したところでございます。
  67. 川島實

    ○川島委員 次に、昨年五月七日の当委員会において、国際熱核融合実験炉プロジェクトに関する決議が全員一致でなされております。人類が恒久的エネルギー源を確保することが可能となる核融合の研究開発は、エネルギー資源に恵まれず、かつ、エネルギー消費量の多い我が国にとって強力に推進すべき課題として、また、世界のエネルギー消費量増大への対処、人口問題、食糧問題への対応等、全地球的な視野からも、この研究開発を適切な国際協力のもとに積極的に推進し、世界に大きく貢献することは極めて重要だと私も思っておるところでございます。  このプロジェクトの国際協力は今日どのように進展をいたしておるのか、将来展望をあわせてお伺いをしておきたいと思います。今年度予算にも、債務負担行為が九十二億二千万円、それから五十三億九百万円の設計協力等が予定をされておるようでございますけれども、これらをあわせてお伺いをしておきたいと思います。
  68. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今御質問の国際熱核融合実験炉、ITER計画でございますけれども、これにつきましては昨年の五月七日、当委員会におきまして「国際熱核融合実験炉プロジェクトに関する件」ということで御決議をいただきました。私どもは、その御決議の趣旨を十分踏まえまして、アメリカ、それからその当時はソ連であったわけでございますが、今や旧ソ連でございますが、ソ連と、それからECと我が国の四極の交渉に臨んだわけでございまして、私もその交渉団の一員といたしまして、御決議の趣旨を踏まえてITERの協議に臨ませていただいたわけでございます。  御承知のとおりにITERは、一九八五年のアメリカとソ連の首脳会談、当時はアメリカの大統領はレーガン大統領であり、ソ連の首脳はゴルバチョフであったわけでございますけれども、レーガン、ゴルバチョフのジュネーブ会談、それに続くレイキャビクの会談ということに端を発しまして、核融合の実用化を目指しました技術開発を進めるという実験炉を日本、アメリカ、それからEC、そして今やロシアの四極の国際協力で開発、実現していこうというものでございまして、本計画は、今先生が御指摘になりましたように、資金、人材の効率的な活用にとどまらず、人類究極のエネルギー源を開発するという観点から、極めて有意義な国際プロジェクトであると認識しておるところでございます。  これまでに三年間をかけまして概念設計活動、コンセプチュアル・デザイン・アクティビティーズという三年間の段階を終わりまして、これにつきましても我が日本は、原研の有力な研究者でございました苫米地頭という方が中央の研究チームのリーダーとなりまして、全体を引っ張って立派な概念設計ができ上がったわけでございます。その概念設計を踏まえましていよいよ工学設計活動、協定の中ではエンジニアリング・デザイン・アクティビティーズといっておりますが、工学設計活動に入る段階になったということでございまして、その工学設計活動をいかに展開するかという協議をやってきたところでございます。  この協議につきましては、まさに先ほどの御決議の趣旨を踏まえまして、昨年の十一月にモスクワで四極協議をいたしまして全体協定をまとめまして、私自身がイニシアルをしてきたところでございます。  この内容は、工学設計全体を行います共同設計チームをアメリカ・カリフォルニア州のサンディエゴ、それからドイツのミュンヘン郊外のガルヒンク、このガルヒンクと申しますのは概念設計活動段階におきましてもチームが置かれた場所でございますが、このドイツの、ミュンヘン郊外のガルヒンク、さらに我が茨城県那珂町、これは日本原子力研究所の那珂研究所があるところでございますが、この三つのところに共同設計チームを同時に置きますという、そういうことになってございまして、さらにそれに加えまして、全体、所長とかあるいは意思決定機関であります評議会みたいなところのヘッド、あるいはそのコーチエアマン等々の主要大事につきましても実質合意をしてきたところでございます。  これにつきましては、私どもの気持ちといたしましては、可及的速やかに実行に移りたい、こう思っておったところでございまして、一刻も早くイニシアル、仮署名ではなくて正式の署名にこぎつけたいということで努力をしたところでございます。  ただ、その後の旧ソ連邦の変革に伴いまして、正式署名の時期が当初の予定より若干おくれぎみになっておるということでございます。思い出しますと、仮署名をしたときには、本署名はなるべく早く、でき得れば二カ月から三カ月内ぐらいにやりたいということを私も申し、関係各当事者も大体そのようなことを言っておったわけでございますけれども、既にその時期は過ぎておるわけでございます。しかし、現在ロシアの方からも、ロシアはソ連のこのITERに関します協定の中身を実行するという、そういうことにつきましては完全に引き継いで本活動に参加する、こう言っておりますので、ロシアもソ連の後を継いでITERに参画してくるということでございまして、それを踏まえながら、本活動が速やかに開始されるよう最大限の努力を払ってまいりたい、かように考えておるところでございます。  今申しましたように、今から約六年ぐらいかかって行いますのは工学設計活動でございますけれども、この工学設計活動を踏まえまして、さらに、これはまだ全く各国ともコミットしておるわけではございませんけれども、建設ということになるわけでございます。これにはまたいろいろな議論があろうかと思います。それで、実際設計の活動の様子を見ながら一歩一歩進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  69. 川島實

    ○川島委員 今御報告をいただいた共同研究がいつごろ大体実用化されるのか、まずお伺いをしたいと思いますし、さらに、昨年の十一月の報道で、夢のエネルギーとして世界じゅうで開発が競われておる核融合が、英国において欧州トーラス共同研究施設で成功したという報道がなされているわけでございますが、これらの関係も含めて、実用化できる段階になるのが一体いつごろなのか、さらにまた、エネルギーとしてどのくらいの分野を占める予測がなされるのか、これらを含めてお答えをいただきたいと思います。
  70. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  まず、一番広い意味で申します核融合の実現の時期でございますけれども、これにつきましては、今のところ、我が国も含めまして関係各国の専門家たちは、大体来世紀の半ばぐらいになるのではないかという見通しであるようでございましてそういう見通しをする人が一番多いようでございます。  ちなみに、今御報告申し上げました四極、アメリカ、旧ソ連、今のロシアでございますが、EC、日本と四極で進めておりますこのITERにつきましては、これから六年ぐらいかかりまして工学設計、これはかなり詳しい設計という意味でございますが、活動をいたしまして、もしくはその設計に基づきまして実際の炉を、ITERという名前の炉を建設するといたしますと、それからさらに数年かかるわけでございまして、実際この炉が動き出しますのも来世紀の初めということになるわけでございます。  これは名前のとおりにまだ実験炉でございますので、これから先にいろいろな開発活動が必要である、そういうことになるわけでございまして、特に来世紀は、いろいろな工学的な活動、実際その核融合炉を経済性を持って実現していくということにもしかなるといたしますと、いろいろな材料の研究とか、非常に多岐にわたる研究が必要になってくるということが専門家の間で言われておるところでございます。そういうことでございますので、冒頭申しましたように、核融合の実用化の時期といいますのは来世紀の半ばぐらいにならざるを得ないだろうという見方が卓越しておるわけでございます。  それで、今ほど先生御指摘になりましたJET、ジョイント・ユーロピアン・トーラスの昨年の成功でございますけれども、これにつきましても、JETはその所長さんがレブーという、これはフランス人の方でございまして、このレブーというフランス人の方を実はITERの計画におきましても次の工学設計段階では中心的研究者、所長ということにお願いしたいという話を内々しておるところであるわけでございますけれども、非常にJETはいい成果を出しておるということであるわけでございます。  それで、その報道ぶりにもあるいはあったかと思いますけれども、JETは平成三年十一月九日に磁場閉じ込め核融合といたしまして、すなわち、磁場閉じ込めは原研等でやっておりますトカマクあるいはその他いろいろな方式がありますが、磁場閉じ込め核融合といたしましては世界で初めて、核融合の実際の燃料であります重水素とそれから三重水素を用いた実験が行われまして、一・五ないし二メガワットの核融合出力を得たということになっておるわけでございます。この実験におきまして、プラズマ中心のイオン温度は約二億度、プラズマ閉じ込め時間は約一秒というそういうことになっておるわけでございます。  JETは、さらに一九九五年、一九九六年に本格的な、言うところのDT実験、デューテリウム、トリチウムの実験、すなわち重水素と三重水素を用いました実験でございますが、これを計画しておりまして、今回の実験はその予備的なデータを得るためのものと認識しておるところでございます。  なお、アメリカにおきましては、プリンストン大学にありますTFTRという核融合装置がございますが、このTFTRが一九九三年ぐらいから今申しました重水素・三重水素実験、DT実験を行うということであるようでございます。  磁場閉じ込めの核融合におきまして、世界で初めて三重水素を用いた、トリチウムを用いた実験が成功いたしましたことは、核融合研究開発が新しい段階に入ったということをも示すものと認識しております。この成果が今後、我が国のJT60とかあるいはアメリカ、ロシア連邦の成果とともに、国際熱核融合実験炉、ITER計画に反映されることを強く期待しているところでございます。  以上、お問い合わせの件につきまして御報告申し上げました。
  71. 川島實

    ○川島委員 我が国のJT60の運転整備費として百十六億一千九百万円余が計上されておるわけでございますが、これらの先進国のそういう研究開発におくれをとらないようにひとつ頑張っていただきたいと思います。  次に、原子力船「むつ」の貴重なデータをということで、前回、航海試験の成功を発表なされまして、それに私も実は参加をさせていただいたわけでございます。  昭和三十八年に我が国初の原子力船として建造が行わ札まして、昭和四十四年六月に進水をした原子力船「むつ」は、幾多の難関を乗り越えて、平成三年二月にようやく我が国初の原子力船として、実に二十八年ぶりに完成をして、貴重なデータを取得した、こう言われておるわけでございます。  ここの報告会に私も参加をさせていただきました。原子力船「むつ」が一年間の航海を非常に成功裏に終わった、これからは原子力の時代だ、今使われている原子力発電等と違って、この「むつ」に搭載をしている汎用型ですか汎用炉、小型の改良型の炉は非常に安全性が高いんだ、こういうことが発表されておりまして、次の段階では、海底の海洋調査だとか南極の氷を粉砕をする、そういう調査船を建設をするという意気込みを見たわけでございますけれども、私ども国民から眺めておりますと、非常に長い間かかって、一千億余を使って、一年だけで、成功したということで、あと終わったら廃船だというのは若干物足りないような気がして、本当に現在の原子力発電所よりももっと安全性が高いのかどうかというのはもう一度確かめたい衝動に駆られるわけでございますけれども、この辺のことについて当局はどう受けとめておりますか。お伺いをしたいと思います。
  72. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  私どもの原研から、先生が原研の原子力船研究開発成果報告会にお顔を見せていただきましたことを報告を受けまして、非常に喜んでおるところでございます。先生お聞きのように、原研の現場の技術陣は、非常に「むつ」の実験航海の成功に力を得ておるということを私どもも認識しておるところでございます。  さて、今先生質問の、「むつ」の原子炉の安全性あるいはその将来ということでございますけれども、基本的に現在「むつ」に載っております原子炉は、一般の加圧水型原子炉、PWR、プレッシャライズド・ウオーター・リアクターでございまして、基本的な概念でいきますと、原子力発電所にあるものと基本的には同じものと申し上げてよろしいかと思います。出力はもっとずっと小さいわけでございますけれども、そういうものでございます。  ただ、原研の専門家たちが「むつ」の経験を踏まえながら考えておることは、普通の原子力発電所でございますと、全く動かない安定な地盤の上につくるわけでございますけれども、「むつ」は海の上を振動、動揺するという条件で運転することが一つと、それから出力の変動というのがあるということ等々、いろいろな陸上の上では得られない条件でいろいろ運転したわけでございまして、こういう運転の成果を踏まえまして、「むつ」は相当しっかりした原子炉だな、そういう印象を皆強く持ったということがございます。今申しましたように「むつ」は、非常に小さい原子炉でもございますから、一部アメリカ等でも言われております中小型原子炉みたいなことがございまして、これの開発にもつながる要素は十分に持っておるということがございます。  それからさらに、将来的には、原研でも検討しておりますように、今先生もおっしゃいました、非常に長時間航行に耐え得るということで長く航海できるような海洋調査、あるいは氷が張っておるところ、氷が流れてくるところ等でも航行できるようなそういう原子炉ということに発展する可能性があるのではないか。あるいは場合によっては、これは全然別の概念といたしまして、原子炉は何といいましても空気がなくしてエネルギーを出し得るという非常にすぐれた点を持っておるわけでございますから、そういう利点を使いまして深海を調査するような、そういう船に用いる動力源になるという可能性もあるということも含めまして、いろんな検討を行っておるところでございます。  詰めて申しますと、今の「むつ」の原子炉は、蒸気発生器が原子炉と別にあります分離型という古典的な方式でございますけれども、将来つくり得る原子炉あるいは原子炉のシステムというのは、「むつ」の経験を生かせば、あるいは蒸気発生器が内蔵されておりますようなそういう原子炉であるとか、いろんなことが考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、この「むつ」の四回にわたります実験航海で得られました成果は、このままお蔵にするわけでは決してございませんで、将来のさらなる舶用炉の改良にぜひ活用していきたい、私どもも原研もかように考えておるところでございます。
  73. 川島實

    ○川島委員 成果の発表を受けた学者の意見とちょっとダウンしたような気がするわけでございますけれども、現在アジアの開発途上国から、浮かぶ原子力発電所として受注が、話が来ているという話も出ておったわけでございます。私は、せっかく研究発表されて、安全でもあり、すばらしい、三年間もエネルギー供給しなくても走り回れるわけでございますから、もう一つ研究に取り組むべきだと思うわけでございます。  国民のいろいろな期待にこたえるためには、今政策一つとして、前の中山外務大臣が提唱しております国際貢献を行うために大型医療救助船、そういうものをぜひ日本でつくりたい、こうおっしゃっておったわけでございまして、外務委員会でもいろいろ議論がなされて、我々も賛成の一人でございますけれども、そういうものを建造すれば、結局燃料も要らぬ、それで遠いところまで継続して行けるし、非常にスピードも出るようですし、ただ私がちょっとわからないのは、千人なり二千人のそういう便療船としての大型の規模のものができるのかどうか、その辺のことについてお伺いをしておきたいと思います。
  74. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生の御指摘になりましたいわゆる浮かぶ原子力発電所みたいなものの構想あるいは大型医療救助船の構想、いずれも非常におもしろい考え方であろうかと思っております。  今御質問の大型のそういう施設ができるかどうかということでございますけれども、これは原子炉を使ってエネルギーを出すということでございますので、むしろ全体としましては大型化という方向はそれほど難しくない方向というふうに認識しておるわけでございます。ただ、申すまでもなく、こういう構想を実現していこうとなりますと、何と申しましても、実際原子力船が寄港するということになりますと、それぞれの国のいろいろな安全審査の体制等の関連もございます。そういうことがあって、むしろ世界的に原子力を動力といたします船舶を非常に受け入れていただきやすいようなそういう環境ができることも非常に大事であろう、かように認識しておるところでございます。
  75. 川島實

    ○川島委員 最後に、次に本会議が予定されておりますので、私は最後質問にさせていただきますが、省エネルギー関係で、アルミ缶、ガラス瓶、スチール缶、古紙ですか、これらがエネルギーを使う、非常に多いわけですが、それらの資源サイクルに対する予算がどのくらい見込まれておるのか。  さらに、新年度で新エネルギー開発に関係をする予算額が、例えば太陽光発電、燃料電池発電、風力発電、メタノール発電、太陽電池発電、それから既成のものとして地熱発電所、海水揚水発電所、高温岩体発電所、これらについてどのくらいの規模の事業が予定をされているのか、最後にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  76. 上田全宏

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  まず、新エネルギー関係予算でございますが、これはくくり方、いろいろございますのであれでございます。私どもの整理で申しますと、全体として平成年度予算案としてお願いしておるのが約三百五十億弱ございます。その中で一番大きいものは、いわゆる技術開発関係、サンシャイン関係のものでございまして、二百四十七億円程度ございます。その内訳を申しますと、太陽エネルギー六十九億円、地熱エネルギー四十九億円、それから石炭液化関係が百十四億円、あと水素エネルギー等々がございます。また、風力エネルギーにつきましても九億ほどの予算をつけまして、技術開発を行っております。  それから、それ以外のものにつきまして、実用化関係のものでございますが、これは新エネルギー、太陽発電それから地熱発電、その他もろもろ入れまして、ローカルエネルギー制度というのが、補助制度でございますが、これは大体七億円程度あるわけでございます。それからソーラーシステム関係で約九億円ほどの予算を計上しております。  そのほか、新しい予算といたしまして、フィールドテストということで、太陽電池につきまして約八億円、燃料電池につきまして六億円ほどの予算を計上いたしまして、実用化段階に近いこれら二つにつきまして、いわゆる実用化のための素地をつくるという観点からデータ収集を幅広く行う、いろいろなケースについて行うことによりまして、今回、従来より突っ込んだ助成策を講じておるわけでございます。  それから廃棄物につきましては、大変申しわけございませんが、私、今手元にそういった整理したデータを持ち合わせておりませんので、後ほど関係部局の方から先生の方にお届けさせていただきたいと思っております。
  77. 川島實

    ○川島委員 どうもありがとうございました。
  78. 近岡理一郎

    ○近岡委員長 次回は、来る五日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会