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1992-04-16 第123回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月十六日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 井上 一成君    理事 鈴木 宗男君 理事 武部  勤君    理事 仲村 正治君 理事 宮里 松正君    理事 渡辺 省一君 理事 上原 康助君    理事 前島 秀行君 理事 玉城 栄一君       今津  寛君    上草 義輝君       岡田 克也君    北村 直人君       松浦  昭君    川崎 寛治君       五島 正規君    鉢呂 吉雄君       藤原 房雄君    古堅 実吉君       小平 忠正君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 岩崎 純三君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      伊江 朝雄君  出席政府委員         北方対策本部審         議官      麻植  貢君         沖縄開発庁総務         局長      造酒亶十郎君         沖縄開発庁振興         局長      水谷 文彦君         外務大臣官房審         議官      川島  裕君         外務大臣官房審         議官      津守  滋君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君  委員外出席者         防衛庁防衛局調         査第二課長   北原 巖男君         防衛施設庁総務         部業務課長   大貫  茂君         防衛施設庁施設         部施設取得第二         課長      戸田 量弘君         防衛施設庁施設         部施設対策第一         課長      町原 啓一君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  板垣ただ雄君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  山口 金一君         国土庁計画・調         整局計画課長  小林 勇造君         法務省刑事局国         際課長     古田 佑紀君         外務省北米局安         全保障課長   小澤 俊朗君         運輸省航空局監         理部総務課航空         企画調査室長  杉山 篤史君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      陶山 高志君         特別委員会第一         調査室長    中村  信君     ――――――――――――― 三月十六日  沖縄戦強制疎開マラリア犠牲者国家補償に関す  る陳情書  (第六八号)  北方領土の早期返還実現に関する陳情書  (第六九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ―――――・―――――
  2. 井上一成

    井上委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めることとし、岩崎総務庁長官及び伊江沖縄開発庁長官の所信に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。
  3. 仲村正治

    仲村委員 さきに御通告申し上げました事項について、順を追って質問を行いたいと思います。  去る三月二十七日に、沖縄県民が切望いたしておりました沖振法の十年延長並びに復帰特別措置の五年延長決定されたわけであります。復帰二十周年を迎えているわけでございますが、私も県民の一人として非常に感慨深いものを覚えております。この二十年間、第一次、二次の振計について政府は、沖縄県民が戦中大変悲惨な戦争の被害をこうむった、そして戦後も二十七年間米国の統治下に置かれて苦難な時代を送ってきた、これについての償いをするために私は本当に懸命な努力をしていただいたものだと思うのであります。復帰当時に比較いたしまして、道路、港湾、空港等整備についてはもう比較にならないほど着実にその整備が進んでいるとこうでございますが、しかしあの大戦の悲惨な被害、あるいはまた二十七年間のひずみ等々についてはこの二十年間で十分その是正ができなくて、社会の各分野において格差が存在し、また戦中戦後の処理も残存している、こういうことについての政府の御配慮からこのたびの沖振法の十年延長によって三次振計を策定する、こういうことだと思いますので、政府の御高配に対して深甚なる謝意と敬意を表する次第でございます。  ここに三次振計の根拠法であります沖振法が改正されたわけでありますが、沖振法第四条一項では振興開発計画沖縄県知事がその原案作成する、こういうことになっているわけでございます。いよいよその作業に入っていかなければなりません。沖縄県知事からその原案が出されて、それを受けて政府はその手続をとるわけでございますが、いつごろ沖縄県からそれを出してくればいいのか。これは沖縄県がやることですので皆さんで今明確にお答えをできるとは思いませんけれども、しかしそういった作業がいきなり出てくるわけではないと思います。それについてはやはりかねがね県と開発庁すり合わせをしていると思います。それで原案が出て、それを受けて政府はこうこうするんだということになると思いますので、いつごろまでにその沖縄県からの原案が出る予定なのか、その作業進捗状況についてお尋ねをしたいと思っております。
  4. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 ただいま三次振計の沖縄県案がいつごろ出てきて、それから先ほどのように進捗していくのかという御質問でございました。  ただいま先生指摘のとおり沖縄振興開発計画は、沖振法に基づきまして沖縄県からまず案を提出していただきましてその上で国としての案を作成をいたしまして、沖縄振興開発審議会の議を経ますとともに関係行政機関の長に協議をいたしました上で内閣総理大臣決定をする、こういう段取りになるわけでございます。現在、沖縄県の内部で県案計画素案を検討しているところと伺っております。私ども、県ともこれまでもいろいろ連絡をとっているところでございますが、県案をいつごろ国の方へ提出できるかというところにつきましての具体的なお話をまだ伺っていないところでございます。したがいまして、今後国としての計画をいつごろまでに決めるのかという点につきましては、まことに残念ではございますけれども段階で申し上げることができないわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、これからも沖縄県それから関係省庁と緊密な連絡をとりなが ら、第三次沖縄振興開発計画の策定に向けまして鋭意検討を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  5. 仲村正治

    仲村委員 先ほども申し上げましたように原案作成沖縄県にあるわけですが、それがいきなりはい、つくりましたというふうに出てくるわけじゃ決してないと私は思います。そういう意味では皆さんと十分すり合わせをおやりにかっているところだと思いますが、正式には今の段階でいつまでに出るか答えはできない、こういうお話でございます。しかし皆さんとしては、やはり一定のめどというものは持たないといかないと思います。そういう点では極めて不満ではありますけれども、そういうことでいつまでに県から出してもらって、それを受けて国はこうするんだというようなスケジュールというものは持っておかなくちゃならぬ問題だ、こういうふうに私は思っているわけであります。  そこで、沖振法四条一項でその県からの原案が出てきて、二項で内閣総理大臣沖縄振興開発審議会にかけて、そして各省庁との協議を経てこれを決定する、こういうことになっているわけですが、それじゃ政府としてはいつまでにそれを決めればいいのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  6. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 国としていつまでに計画をつくればいいと思っているか、こういう御質問でございます。  過去の事例を申し上げますと、第一次の振興開発計画、これは昭和四十七年の十二月十八日に内閣総理大臣によりまして振興開発計画決定をされているわけでございます。それから第二次振興開発計画の場合は、これは若干早まりまして八月の五日に決定をされているということでございます。  私どもといたしましては、県の方に県案作成あるいは提出を急いでいただきまして、そしてできるだけ早く計画決定したいとは考えているわけでございますが、まだ県の方の日程がはっきりいたしませんので、ただいまの御質問につきまして具体的な時期を申し上げることができないという状況でございます。
  7. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 仲村先生の重ねての御質問でございますが、先般、当委員会委員長それから委員皆様方の大変な御配慮と御審議の上で、沖縄振興特別措置法復帰に伴う特別措置法を改正さしていただきました。これが第三次振興計画をつくる上の背骨でございます。したがって、せっかく早く成立さしていただきましたからには早く計画を進行させなきゃなりません。ただし、今までの政府委員の御答弁のとおりいろんな手続がございますし、しかも県が主体になって計画を上げてまいらなきゃなりませんので、できるだけ早く急がせてこの計画が緒につくようにということの配慮は御指摘のとおりやってまいりたいと思っております。しかし、手続上の問題がございましても、中身の問題としては重要なプロジェクトについてはそれぞれ事前の折衝があることは御指摘のとおりでございますので、御指摘方向に沿って県の方へ早目に出してもらうように督促をしたい、かように考えておる次第です。
  8. 仲村正治

    仲村委員 第一次の場合は、復帰して何もかも一挙にやらなくちゃならぬという問題もあって十二月に決定した、第二次は八月だというようなことでございますが、私が考えまするに、平成四年度予算は先般可決決定をされて、もう予算執行に入るわけです。その中にいわゆる三次振計の初年度予算が入っているわけですから、その振計なくして予算が先行するという矛盾があるわけです。それはいろいろ開発庁長官との協議によってできるというようなことも聞いておるわけでありますが、しかしそれはやはり言うなれば矛盾ですよ。ですから、ひとつ早目に県とも調整をして振計を早目決定をして、それに基づいて平成四年度、いわゆる三次振計初年度予算執行ができるようにそういうふうなきちっとした手続を踏むべきじゃないか、私はこういうふうに考えているわけであります。  私は先般の沖特委でも申し上げましたが、ここで改めて伊江大臣に三次振計の理念目標について御確認をお願い申し上げたい、こういうふうに思っているわけであります。  まず第一に、沖縄の三次振計は国の四全総の多極分散型国土形成理念と目的に合致する方向のものでございまして、四全総位置づけられている沖縄県が日本全国の中で担うべき役割、これが非常に重要だと私は思っているわけであります。まず第一に我が国の南の玄関口としての役割、そして第二に国際国家日本国際交流拠点としての役割、そして第三に国際的評価にたえ得るリゾート観光保養基地としての役割、第四に亜熱帯農業、漁業、畜産、花卉園芸等々の食糧生産基地としての役割を担うべきだ、こういうふうに思っているわけであります。  今まで、三次振計の中身については県においてもあるいは開発庁においても大体は詰めてこられたと思うわけでありますが、これに対する伊江大臣の御所見を承りたいと思っております。
  9. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 まことに御指摘のとおりであろうと思っております。過般の当委員会におきましても私は申し上げたことでございますけれども、第一次振興計画、第二次振興計画を済ましてこれから第三次に入るわけでございますが、第一次、第二次はそれこそ本当の復興の仕上げの時期であったと思います。したがって第三次の振興計画をつくるに当たっては、基本的な理念といたしましては、もう復帰二十年ということでございますから人間でいえば満二十歳、これからはひとり歩きしていかなきゃならぬということで、本土との格差是正といういわゆるハードの面での是正復興期と申し上げました一次、二次である意味では達成できたと思いますが、これから自立していくためにはハードの面よりはむしろソフトの面と申しますか、先生先ほど指摘のとおり、第一次産業にしましても第二次産業にしても第三次産業にいたしましても足腰の立つ自立経済を目指さなきゃならぬ、こういうことでございます。  今御指摘がございました第一次産業は、亜熱帯に属する地域としての農業、そういったものに対して手厚い保護と発展振興策を図らなきゃならぬ、これは御指摘のとおり。それから第三次の産業でありますところの観光産業につきましては、沖縄地域的な特性を生かす自然の景観、青い海の美観をそのまま保存していって世界のリゾート基地としての整備をしていかなきゃならぬ、これは本当に御指摘のとおりでございます。しかし、一次産業、三次産業発展をしてまいりましたにもかかわらず第二次、つまり自立経済基本を支える一つの柱としての二次産業立地が非常に乏しい、遅いという状況をいかに第三次の振興計画の期間において確立していくか、言うならば自立経済を推し進めていく基本になるものを立地させなきゃならない、そういうふうな面についてのソフトの面、ハードの面についてこれから力を入れなきゃならぬ、かように今考えておる次第でございまして、これからも県と我々との第三次の振興計画を立ててまいります上でのいろいろな折衝をしてまいる過程におきましては、先生指摘のとおりのことを配慮して十分に施策を進展させていきたい、かように存じております。
  10. 仲村正治

    仲村委員 国土庁お尋ねをしたいのです。  我が国は戦後四十七年間がむしゃらに戦後復興に努めてきたところでありますが、気がついてみたら何もかも東京に集まって地方はいわゆる疲弊するような状態になってしまった。それを四全総では、東京に集中した機能を各地域分散してそれぞれの地域の持つ特性を生かしていこう、いわゆる均衡ある国土発展を図っていこうというのが四全総理念だと思うわけでありますが、そうすると需要があるから施設をつくる、例えば交通渋滞だから道路をつくらなくちゃならぬ、橋をかけなくちゃならぬというと自然に東京に全部つくらなくちゃならぬということになるわけです。しかし、多極分散型国土形成ということは地方にその需要を誘導していく、それが四全総理念でなくちゃならない、こういうふうに思いますけれど も、それはいかがでしょうか。
  11. 小林勇造

    小林説明員 お答えいたします。  全国各地活性化を通じて国土の均衡ある発展を図るということが国土政策上の最重要課題であるというふうに認識しておりまして、四全総では、特定地域への人口や諸機能の過度の集積、集中のない多極分散型の国土形成を図るということを基本目標としております。このため、基盤となる交通あるいは情報・通信体系整備と、交流機会づくりの拡大を目指す交流ネットワーク構想というものを推進しているところでございます。  先ほど大臣からもお答えがございましたが、沖縄地方につきましては開発基本方向四全総で明らかにしておりまして、地理的特性を生かした東南アジア等外国との交流拠点あるいは国際的規模観光保養地域形成等により地域特性を十分生かした産業・文化を振興し、特色ある地域として自立的発展を図る地域として位置づけておるところでございます。
  12. 仲村正治

    仲村委員 今まさに御答弁のとおりだと私は思っております。ただ需要があるからつくるとなると、住宅も道路も何もかも需要は一番東京が多いわけですからそこに全部つくらなくちゃならぬ、そうすると四全総の目指している目標達成というのはできない。何としてもやはり多極分散型の均衡ある国土形成が図れるような施策を誘導していく、いわゆる施策を先取りする形の仕事国土庁はやっていただかなくちゃならない。しかも、四全総というのは昭和六十二年から七十五年、西暦二〇〇〇年までということになると思いますが、私が思いますことは、沖縄県での位置づけが今おっしゃったとおりだとすると、交通通信、物流等々の施設というものはそういった国土庁が目指している国土形成を図れるような方向整備していかなくちゃならない。  絶えず私たちが強調しております那覇空港沖合展開、前回の委員会でも私は申し上げましたが、まさにこの沖縄の三次振計の中で何としても那覇空港沖合展開というものはきちっとその方向を決めていただかなくちゃならぬ問題だ、こういうふうに思いますけれども伊江大臣のそれに対するお考えをお聞かせいただきたいと思っております。
  13. 水谷文彦

    水谷政府委員 ただいまお話にございましたように均衡ある国土発展のためには、やはり地方と申しますか地域活性化を図っていくということが大事であり、そのために交通機関整備というのがポイントであるということはお示しのとおりでございます。  そうした中で、沖縄についての空の玄関口である那覇空港整備の問題でございますけれども、御案内のように現在あの空港ターミナル施設は、国内線それから離島線それから国際線と三地域分散をしておりまして、かつ大変狭隘になっております。そうしたことで私どもは、現在の空港整備五カ年計画の中で何とかこれを整備をしていきたいということで、平成三年度からこの工事に着手をしているわけでございます。したがいまして、私どもとしてはまず当面このターミナル地区整備を優先的に考えてまいらなければいけない。そうした後で……
  14. 仲村正治

    仲村委員 私の質問は、そういう需要があるからつくるということであってはならない、四全総に基づいて、やはり将来を見越してこの沖合展開というものをぜひ三次振計の中で位置づけをすべきじゃないかということをお尋ねをしているわけであります。
  15. 水谷文彦

    水谷政府委員 そうしたことで那覇空港について見ますと、当面そのような課題を持っておりますけれども、先行きの需要動向等を考えまして現在運輸省の方でいろいろと御検討いただいている。しかし当面を申しますと、一つには空港キャパシティーが若干余裕があるのではないかということと、ただいまのような整備計画を持っているということでございます。したがいまして、今後の問題につきましては、確かにお示しいただきましたようにその需要を先取りしてという問題ももちろんございますけれども、そこは需要を創出するという一方の努力と、もう一つはおっしゃいましたように。需要を先取りしてキャパシティー施設の方を整備するということと両々相まってやっていかなげればいけないんだろうと思います。  それで、ただいま三次振計の中での那覇空港位置づけでございましたけれども、それにつきましては今後運輸省等十分相談をしていきたいと考えております。
  16. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 事務的な御答弁を申し上げた後でございますが、これは今御指摘のとおりやはり大きな政策の問題だろうと私は思いますので、あえて御答弁申し上げたいと思っております。  先ほど来の御質問のとおり、これから第一次産業、第二次産業、第三次産業という産業振興開発沖縄立地条件を十分に生かしていかなければならない、立地条件を生かすためには、この三つめ振興はどうしてもやはり交通アクセスの問題に最後は到達しなければならぬ、こういうことを考えますと、その交通アクセス発展させるためにも空港整備、場合によっては那覇空港沖合展開という今御指摘のほかに地上にもう一つ本島にもう一つの飛行場をつくらなきゃならぬという必要性もあるいは出てくるかもしれません。  そんなようなことを考えながら、今事務的にはいろいろと運輸省との関係、あるいは現在の容量の問題などの答弁がございましたけれども、将来の必要性あるいは需要を創出するための必要性としては御指摘のとおりの施策をしていかなきゃならぬ。これはしかし大きな国の政治問題、政策問題になりますので、十分に慎重に踏まえて考えていきたい、かように考えております。したがって、その節にはまた当委員会委員長を初め皆様方に新たな観点からのお支えを賜らなければならぬそういう機会があるかと思いますので、そういう時期を目指しまして頑張っていきたいと思っております。
  17. 仲村正治

    仲村委員 現在の状況でも、沖縄県は東京から千六百キロも離れており、何としても高速交通時代においてそれに十分対応していくような観点からも那覇空港整備というものは大変重要でありますけれども、同時に四全総で目指している沖縄県の位置づけ、現在でも羽田、大阪、福岡に次いで四番目に非常に過密な離発着をしている空港なんですよ。それから考えますと、四全総というのは昭和七十五年、西暦二〇〇〇年で終わってしまうわけです。そうするともたもたしているうちにその四全総も終わってしまう、こういうことで、四全総で言っている目標達成のためにも沖縄の三次振計では何としてもこの那覇空港沖合展開というもののめどづけをしてもらわなくちゃならない、こういうふうに私は思いますけれども、再度伊江大臣からその点についての御答弁をいただきたいと思っております。
  18. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 そのとおりであろうと思いますし、第一これは旅客の輸送に限りませず産業振興のためには貨物の輸送ということで、しかもこれは国内との連携のみならず、先ほど来御指摘のとおり東南アジアあるいは諸外国との交通ネットワークの中心にならなければならぬという立場からも、この問題についての御指摘はまことに重要なことであろうと存じておりますので、第三次の振興開発計画の中で取り組むべき重要な課題一つだと思っております。  四全総の問題としてやりますに当たっても、これは大きな政治的配慮あるいは国の政策配慮も含めて、あるいはまた今後の空港整備計画との関連、そういった問題を慎重に見守りながら今の御指摘のような方向で行くのが至当であろうなと、政治的なあるいは政策的な立場から私自身も同感でございます。
  19. 仲村正治

    仲村委員 この一次振計、二次振計を通じて沖縄県に国は約三兆三千八百億円の国費を投じているわけでありますが、そのうちの九千九百億円は離島に使われているわけでございます。離島指定離島で五十七、有人島が四十ありますけれども、面積にすると沖縄県土の四五%あります。だ けれども人口は一〇%しかいない。そういう地域に九千九百億円の資金を投じたということは、どれだけ政府離島振興について配慮してきたかということがわかるわけであります。しかし、それでもなおかつやはり離島過疎化が進んでいる。なぜかというと、若者の働く場所がないためにどんどん町に出ていってしまう。こういう状況でありますので、一次振計、二次振計で目指してきた目標本土との格差是正でありますけれども、同時にやはり県内における地域間格差というものを非常に重視していかなければならない、こういうように思います。これからの施策として、離島の持つ魅力というものをよみがえらせるためにもこれからも離島振興にはうんと力を入れていかなくちゃならない、そして離島住民の背負っているハンディーというものを行政立場から狭めていく、こういう努力が必要だと思うわけでございます。  今、架橋の可能な離島が申請が出ているだけでも六カ所ありますので、この六カ所の架橋事業についても、私は、三次振計の中で前半、後半に分けてぜひ実現をしていただきたい、これがまず一点であります。  そして二点目は、離島の方々は本島の人が離島観光で行く、旅行で行くというようなものとは違いまして、生活のために、仕事のために本島との行き来をしているわけでありますが、例えば八重山から往復で二万六千六百二十円、宮古から一万九千八百四十円、南大東が三万九百八十円、北大東が三万三千百円、これだけの航空運賃をかけて来て那覇で宿泊をして、これは大変な負担になっているわけです。これをどうこうしろと言うわけではございませんけれども、やはり那覇に出てきたときの宿泊をする施設ぐらいは離島振興という立場からこれは面倒を見てあげるべきじゃないか。  今、全離島市町村が離島フェアということで毎年離島の特産品の展示即売をやっている。これも宜野湾市のコンベンションセンターでやっているわけですが、離島の方々からすると、那覇に出てきてまた宜野湾市までそれを運んでいかなくちゃならぬ。大変な不便をかこっているような状況でございますが、那覇市あるいはその近郊に中央離島センターを、これはあくまでも仮称ですけれども、そういったものをつくって軽い宿泊費でそこに宿泊ができるような配慮をすべきじゃないか、そして離島の催し物があるときにはその離島センターを使える、こういうようなことから、各島々に離島総合センターというものがありますが、それを統括するような形で那覇につくれぬものかどうか、できれば三次振計の中にこれを重点項目として入れたらどうかな、こういう感じを持っておりますが、それについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  20. 水谷文彦

    水谷政府委員 前段の架橋の問題からお答えを申し上げます。  お話ございましたように、これは数え方によりますけれども、私どもの方には現在十橋の要望が参っております。それで、県におきましてはこの十橋を今後どのように建設していくかについて、現在これを横に並べましてそれぞれ技術的な面とか経費とかあるいは投資効果とか、そういったさまざまな観点からフィージビリティースタディーと申しますか可能性の調査をされているわけでございます。あわせて、かなりの事業量にもなりますので全体の道路予算との関係とか、さらには地域的なバランスの問題いろいろございましょうから、それについてこれから検討を深めていこうということでございます。  したがって、この段階で個々の架橋の可能性についての言及は差し控えさしていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、お示しになりましたように離島架橋の問題は大変重要でございますので、これらの結果を踏まえまして各省とも相談をし、三次振計における重要な問題として取り組んでまいりたい、かように考えております。
  21. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 ただいま、那覇あるいはその近郊に離島総合センターの集約版と申しますか統括版と申しますか、総合的な離島センターをつくったらどうか、こういう御質問でございます。  私ども離島の振興というのは沖縄振興開発には大変重要な課題だと認識しておりまして、沖縄振興特別事業の中でこれまでに十四カ所の離島振興総合センターを離島整備してまいったところでございます。御質問の那覇市内あるいはその近郊におきます総合的な離島センターにつきましては、今のところ私ども地元から特段の御要望をまだ承っておりませんので、よく沖縄県の意向も聞いてみたい、このように考えておるところでございます。
  22. 仲村正治

    仲村委員 私は、先ほど申し上げたようにまず離島苦を解消する手っ取り早い方法としては橋でつなぐ、こういうことだと思います。申請の出ているものについても、私たちが考えてみても可能性としてどうかな、調査を要するものも中にはあるかなという感じもするわけでありますが、しかし、その大半はやろうと思えばできるというような問題だと思っておりますので、ぜひこの三次振計の中で離島苦解消という立場から、離島振興という立場からこの架橋事業については積極的にひとつ取り組んでいただきたい。私は平成四年度、この三次振計初年度の中に一つや二つは入ってしかるべきだったんだがなというような感じをしたわけでありますが、これはもう入っておりませんので、ぜひひとつ要望の強い架橋事業については次年度以降積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうにお願いをしたいと思っております。  それから、離島センターについて今お話がありました。要望が出てないということでありますが、私たちが見ておって、この離島の人たちのいわゆる那覇への行き来のための、生活のための負担を軽減するためにもせめて那覇での宿泊が安くつくような方法の利便を与えると同時に、先ほど申し上げた離島フェアでの離島特産品の展示即売会は、常設の施設ができれば離島産業振興に大いに役立つものだというふうに私は考えておりますのでぜひこれは御検討をいただきたい、こういうふうに考えております。  それから、離島苦の最大の問題は医療の問題だと思います。各島々に一通り診療所がありますけれども、しかし、その診療所で対応できない急病人が出たときには全部自衛隊の飛行機で那覇へ急患輸送をしている、こういうことでございます。  例えば、久米島の仲里、具志川の両村で一万人の人が住んでおります。ここにも小さい病院と診療所が一カ所と三カ所ありますけれども、その地元の病院でいろんな診療科目等の問題があって全く対応できない。そのためにみんな那覇の病院に出てくる。こういうことで、平成三年五月の国民健康保険加入者を対象に調査した結果によりますと、久米島以外のいわゆる那覇や那覇近郊に治療に来た人たちの入院者が百八十五人、入院延べ日数が三千二百九十七日、外来で二千百五人、受診延べ日数が四千百四十八日、こういうふうになっております。  久米島から本島まで外来で病院に来るなんてこれはもう大変な話なんですよ。したがって地元からも、何としても県立那覇病院の分院としてでもいいから久米島に県立病院をつくってくれ、こういう要望があるわけです。それは一義的には県の仕事だとは思いますけれども、しかし私はこれこそ離島振興の最たる事業である、こういうような立場から、これは三次振計の中で県とも調整をしてぜひとも取り組んでいただきたい、こういうふうに考えますけれども伊江大臣からこの点についてひとつ御答弁をいただければと思っております。
  23. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 これは私から御答弁申し上げるのがいいかと思います。  今の離島振興開発、また離島の生活の利便性、また病院の制度の拡充等まことに貴重な御苦見でございますが、そのほかに水の確保の問題をどうするのかというふうなことも含めて、離島の 問題については確かに大きな数を抱えている沖縄でございますだけに、大変に広範にわたる施策ではございますけれども、かといってゆるがせにできない重要な課題であるという認識を持っていることは、私も先生の御指摘のとおりでございます。  今の病院の問題でございますけれども、確かに急患発生あるいは日常の診療体制の確保ということについては、ひところ無医の離島あるいは無医の村というふうなことでございましたのが逐次解消されてきていることは先生も御高承のとおりであろうと思います。したがってこの問題は、私は素人でございますけれども、ひとつ今後の重要課題一つとして現状見直しそれから今後のあり方、もちろん離島の中で住んでいる人口の多さ、少なさにもよろうかと思いますし、また本島の病院あるいは近くの大きな島の診療所、病院との距離的な問題、それに対するアクセスの問題等いろいろ立体的、有機的に考えなければならない問題があろうかと思いますので、これはひとつ県ともよく相談をしてまいるべきことであろうと思っております。重要性においては御指摘のとおりだと思っております。
  24. 仲村正治

    仲村委員 この久米島の県立病院建設については、ぜひともひとつ県ともよく調整をされて離島振興という立場から実現を図っていただきたい、こういうふうに御要望を申し上げておきたいと思っております。  沖縄の米軍基地が日米安保条約上重要な役割を果たしているということはもう申し上げるまでもないことでありますけれども、同時に、沖縄の基地が振興開発の最大の阻害要因になっているということもまたこれは否めない事実でございます。第二次大戦が終わって米軍が占領して、そこに間もなく東西対決が始まって冷戦構造の時代に入って、そのために極東最大の基地として建設をされた。その後復帰のときに、核抜き本土並みという条件で沖縄の基地はそのまま存続されているわけであります。しかし、安保条約とは関係なくつくられた基地を核抜き本土並みにするなんということは、これはとてもじゃないが無理な話なんです。だからいつも安保条約の枠からはみ出て、地位協定の枠からはみ出て地域住民に大変な迷惑をかけている、こういう状況でございます。  しかし、もう世の中変わりました。冷戦構造も終わった。そしてその最大の対決の相手であったソビエト共産帝国も崩壊、消滅した。もう沖縄の基地をそのまま存続する理由は私は全くないと思うのですよ。ただ、日米安保条約のために、我が国の安全保障のために必要最小限の基地というのはこれは否定するものではございません。しかし先ほど申し上げたように、その東西対決の頂点に達しているときにつくられた基地をそのまま存続しているというのは、これはとてもじゃないが私は納得のいく問題ではない。  したがいまして、これからアメリカの軍事政策で極東における軍事力を削減するなどというようなこともよく言われますけれども、私はその前に日本政府から、日米安保条約上こんな基地は必要ないじゃないかというようなことでその整理縮小についての提案をすべきである、こういうふうに考えているわけでございます。  そこで私は具体的に申し上げますけれども、那覇市のど真ん中に那覇軍港という施設が五十七万平米あります。那覇市は日本一人口密度の高い地域なんです。そういうところに五十七万平米も米軍が居座っている。しかも、これが使われているならまだしも全く遊休状態なんです。ベトナム戦争のころは一万トン級の船が常時五、六隻もずらっと並んで、荷揚げ場もいつでもいっぱい軍需物資が積まれておった。しかし今はもう本当にいつ見てもあの岸壁はがらあきなんです。荷揚げ場もがらあきなんです。そういう那覇軍港が、昭和四十九年の第十五回日米安保協議委員会で移設条件つき返還を決めてもう十八年になります。一体その移設についてだれがその責任を果たすのか。地主がやるのか。これは私は政府は余りにも無責任じゃないかな、こういうふうに思います。  昨年、親泊那覇市長が訪米をしてこの那覇軍港を返してくれと言いましたら、よくわかりました、皆さんのお気持ちはよく理解できます。新聞報道ですからそう言ったかどうか私はわかりませんよ。しかし新聞報道を見る限りにおいてはとても色よい返事をした。最近は米軍が部分返還をしていいというようないろんな情報が乱れ飛んでおりますけれども、それは一体どうなっているのか、政府は本当にあの昭和四十九年に決めた移設条件つきの返還をやらせるつもりがあるのかどうか。私は政府は全くその誠意がないじゃないかという気がしてならないけれども、それについてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  25. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生指摘のとおりでございまして、沖縄県におきましては米軍の施設、区域の密度が大変高いということで、整理統合について大変強い要望があることも十分承知しているつもりでございます。  それで、お尋ねの那覇港湾施設でございますけれども、これはまさに御指摘のとおり昭和四十九年に既に全部返還が、ただし移設条件つきということで了承されたわけでございます。ただ、残念なことにその移設先の見通しが立たないということでございますので、大変残念なんでございますけれども、今に至るまで返還見通しは立っていないというのが現状でございます。  それで、使われていないのではないかという御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、この施設は依然として在沖米軍の補給物資の積みおろしには重要な施設であるというふうに認識しております。  この本件、十八年にわたっておりますけれども、ことし二十周年ということを念頭に置いてさらに何とかして動かしたいとは思っておりますし、鋭意調整してまいりたいと考えております。
  26. 仲村正治

    仲村委員 私もそのぐらいわかりますよ。あれだけの米軍基地がある以上、どこかにやはり物資の積みおろしをする施設は提供しなければならぬ、こういうふうに思います。ただ、部分返還ということはこれはとてもじゃないができる相談じゃないと私は思います。これは那覇市長であっても大田知事さんであっても、その現実というのを無視して全部返せ、あとおれ知らぬということでは問題は解決できないと思います。だからどうすればいいのか。  それは、今那覇軍港のずっと西側の先にフリーゾーンがありますので、フリーゾーンのさらに西側の遠浅部分を埋め立てればそこに米軍の専用港湾ができるのですよ。そういうのをひとつ具体的に日本側から米側に示して、その代替施設を与えればあれは返してくれます。私もそのぐらいわかりますよ。米軍があれだけの基地を持っている以上、全部返せ、あとおれたちは知らぬというわけにはいかぬ。やはりどこかに物資の荷揚げをする場所を与えなければならぬ。だから、そこをひとつ皆さん知恵を絞ってそれが実現するようにやっていただきたい、こういうふうに思いますけれども、ひとつお願いします。
  27. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点を含めましていろいろ考えることはあるんだろうと思いますけれども、二十周年であるということも念頭に置きまして一層努力したいと思います。
  28. 仲村正治

    仲村委員 もう一点、浦添の埋立地の問題ですが、私、これも先般の委員会で申し上げました。浦添市に倉庫地帯があります、牧港兵たん部隊の。その地先、そこを浦添市としても今すぐ返せということは言いません。そのかわりにその海崖を埋め立てて、全部で約四百四十ヘクタール埋め立てるのですが、一次は終わっています。しかし二次、三次であと三百四十ヘクタールぐらい残っているのですが、この兵たん部隊の海岸べりの五十メーターは制限水域、立入禁止区域にされているのですね。それを外してくれ、そうすればその埋立計画が前に進む。漁業補償も環境アセスも全部済んでいるんですよ。米軍がその五十メーターの制限水域をオーケーしないから一向に前に進ま ない。こんなでたらめな話がどこにあるかというのです。それを地元浦添市だけに任せるのじゃなぐて、やはり外務省も防衛施設庁も中に入って、このぐらいひとつ協力してくれよ、これは何も基地機能が低下するわけではないと私は思います。そういう点でこれはどう思うのか、ひとつはっきりしていただきたいと思います。
  29. 山口金一

    ○山口説明員 御説明申し上げます。  先生指摘の牧港補給地区西海岸の水域につきましては、平成二年八月、第二次軍転協事案といたしまして、地元から西海岸開発事業に使用するとして返還の要望が出されているところであります。当庁といたしましては、地元から御要望のある水域の返還につきまして米側に地元の要望を伝えているところでございます。当庁としても今後とも努力してまいる所存でございます。
  30. 仲村正治

    仲村委員 努力するということでありますので私はこれ以上何も申し上げませんけれども、地元としてはこれができないために一向に仕事が前に進まない、非常に困っているのですよ。だから積極的にひとつ米軍に対して、このぐらい協力してくれ。本当にこういうことができなければ全面撤去宣言うしかないわけですよ。だから、その辺はひとつ政府もアメリカにびくびくせずに強く出てくださいよ。地元がどれだけ犠牲を払って基地の提供をしているかということもわかってもらわぬといかないと思いますよ。ぜひそういうふうにお願いをしたいと思っております。  それから、順序を少し変えますけれども、私も先般の委員会でも申し上げました沖縄の厚生年金の格差是正の問題、それから軍の命令でマラリア有病地帯に疎開をさせられてマラリアの犠牲になった人たちの補償の問題、これについては法的にいろいろ難しい点があるといって委員会でも繰り返し繰り返しそういう答弁があるわけでございますが、先般の去る三月十二日の委員会で宮澤総理は、それは法的には非常に無理な点もありますけれども、しかしそれを乗り越えて超法規約に最高の政治レベルでその問題の解決については考えなければならぬだろう、こういう御答弁がなされているわけでございます。沖縄開発庁もマラリア問題連絡会議等をおつくりになっているわけでありますが、この厚生年金の格差是正の問題とマラリア補償についてどのようなお考えを持っておられるか、この点についてはひとつ伊江大臣から御答弁をいただきたいと思っております。
  31. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 過般の委員会におきまして私からも今の問題についてお答え申し上げましたし、また総理からも今の点について、沖縄の問題はひっくるめて政治的領域の範囲内の問題であるという意味の御答弁がございました。これは、先生も御指摘がございましたように現行実定法上からはどうしても解決が難しい問題である、したがって、現行法上の問題からいうならば不可能でございますというのが裏返しの総理の答弁中身だろうと思うのであります。しかしながら、これはマラリアの問題でございますが、こういった悲しい甚だ遺憾な問題が出たということ、それからまた厚生年金の問題は、発足がおくれたというふうなことでこれもまた現行法上の措置で解決するのに甚だなじまない、今日まで二回にわたって幾らか御要望に沿うようなことをやったけれども、これ以上ちょっと現行制度ではなじまない、こういう角度からの総理の御答弁であったし、私自身も、沖縄開発庁の問題あるいは厚生省の問題としてではなくて国務大臣の、閣僚の一人としての立場から考えるならば、政治的に判断をしなければならぬ問題であろうというふうに申し上げた次第でございます。  しかし、その政治的判断というのは、今私自身がこうしたい、ああしたいというふうな問題ではなくて、いろんな過去のいきさつの問題、それからこれからどういうふうにやっていかなければならぬかということについて現行法にこだわらない立場で考えていくべき性質のものだ、こういうふうに思って御答弁申し上げた次第でございますので、今後は沖縄県からの事情の聴取、これは両問題につきまして事情をよく聞く、連絡をやる、また総理もおっしゃるとおり沖縄県等の事情聴取についてこれからも進めてまいる、それから厚生省とも同じようにそういうふうな事情聴取あるいは意見の交換を進めてまいる、こういう角度から、現行法にはなじまないのでそこでストップよ、これはもうさよならよというんじゃないんですよと、政治判断の領域の問題として今後どうすべきかということを各関係省庁と相談をしていく、その中に私ども沖縄開発庁も、国務大臣であります私の立場延長線上の問題として参加させていただく、こういうことでございますので、時間をかしていただかなければならぬ性質の問題がなと思っております。
  32. 仲村正治

    仲村委員 復帰二十年、戦中戦後の問題をいつまでも引きずってはならないと思います。私は、やはり物事を解決するためにはタイミングというものが非常に重要だと思っております。そういう意味で私は、復帰二十年できれいさっぱり戦中戦後のいろんな問題は処理をされたというような形にしていただきたい、総理が去る三月十二日当委員会で御答弁をなされた線に沿って、これはやはり沖縄開発庁がその音頭を取って先導的な役割を果たしていただかなければならない、こういうふうに考えておりますので、よろしくひとつそういう方向でお願いを申し上げたいと思っております。  せっかく総務庁長官お見えになられましたので、二、三御質問をしたいと思います。  北方四島へのビザなし渡航が、話を聞きますと四月二十二日から二十七日まで二十人ソ連側から日本に来る、日本側からは五月十一日から五月十七日まで四、五十人ぐらい行く、こういうふうになっております。この状況について、例えばこっちに来るのは宿泊施設にしても心配ないわけですが、向こうに行きますと、これは約一週間ですから果たして船舶宿泊でいいのかどうか、宿泊施設があるのかどうか、そういう状況などについてひとつ御説明をお願いしたいと思います。
  33. 麻植貢

    ○麻植政府委員 お答え申し上げます。  先生お話しのように四月には北方四島から、また五月にはこちらから北方四島へ参るわけでございますが、今の予定では、四月にこちらに来られる分についてはロシア側が船舶で根室に入ってくる、それで北海道内を北海道が対応してくれるということになってございます。また、こちらから参る分につきましては宿泊施設つきの船をもって向こうへ参るということでございまして、したがいまして、昼間上陸して夕方には船に戻ってくるというふうな形になるというふうに聞いております。
  34. 仲村正治

    仲村委員 外務省お見えになっておられますが、北方領土返還に関する最近の日ロ情勢についてお尋ねをしたいと思っております。  我が国固有の領土である歯舞、色丹、国後、択捉の北方四島は、昭和二十年八月九日、ソ連が一方的に旧ソ中立条約を破棄して対日戦争を開始し、同年八月十五日に日本と米、英、中、仏を中心とする連合軍との戦争は終結をしているにもかかわらず、ソ連軍は八月の二十八日の択捉島の占領から始まって九月三日までに北方四島を全部不当に占領をしてしまったのであります。戦後は一九五六年の日ソ共同宣言で日ソの国交が再開され、領土返還交渉が続けられてきたが、ソ連のかたくなな態度で全く前進がないまま今日に至っている状態でございます。  しかし、昨年八月の旧ソ連における保守派のクーデターの失敗であの共産主義帝国は崩壊、消滅して七十四年間の歴史に幕を閉じ、それぞれの共和国が独立し独立国家共同体となったのでございます。  そのような情勢下で我々の交渉相手であるロシア連邦共和国も極めて不安定な政治情勢で、極言すればあしたのこともよくわからないと言った方が適切な表現かもしれません。しかし、ロシア連邦共和国が政治的にも軍事的にも世界の大国であることには変わりありません。このような混沌とした不安定な大国を相手に我が国固有の北方四島の領土返還交渉をするわけでございますが、最近 のロシア側の日本の返還要求に対する姿勢についてどういう考え方を持っているのか、お尋ねをしたいと思っております。
  35. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 まさに今先生指摘のように北方領土町題の経緯、歴史的な事実をたどりますれば、旧ソビエト連邦によります不法な一方的な占拠、占有ということに始まったわけでございます。最近と申しますか、エリツィン大統領下のロシア連邦政府が実質的な外交交渉権を持ちました段階から、現在のエリツィン大統領指揮下のロシア外務省を中心といたしました交渉当事者あるいはその周辺は、再三にわたりましてこの問題を「法と正義」という原則に基づいて解決したいということを強調いたしております。まさに私どもが主張しておりました不法な不正な状態を正すというこの我が国の主張から考えますと、まさに「法と正義」によって解決したいという向こう側の姿勢は私どもの姿勢と完全に一致するということでございます。  コズィレフ外務大臣が三月の下旬に参りまして、第一回の日ロ外相間におきます平和条約締結交渉を開始いたしました。そのときにも向こうもこの原則を強調し、渡辺外務大臣もまさにこの原則に基づいて真剣な交渉を始めたいということを申しまして本格的な交渉に入ったというふうに御報告申し上げてよろしいかと存じます。
  36. 仲村正治

    仲村委員 私は、昭和六十年に当委員会の北方領土返還キャンペーンでオランダ、西ドイツ、フランス、イギリス政府我が国の北方領土返還に協力するよう要請に行ったときに、オランダのアムステルダムの大学の図書館で、一八五五年二月七日に日露通好条約で択捉島と得撫島の間に日露の国境線を決めたという資料を見せてもらいました。これは安政元年、一八五五年のことでございますが、また最近、ロシアの図書館でも帝政ロシア時代の日露通好条約の資料が見つかったということを言っているわけであります。  エリツィン大統領が、日ロの領土問題は今お話がありましたように「法と正義」の原則に基づいて処理、達成すると言っておりますけれども、ロシアはこのような歴史的な事実をどのように受けとめているのかということでございます。また、九月のエリツィン大統領訪日に向けて期待されるものがあるかどうか、その点についてもう一度ひとつ御答弁をいただければと思っております。
  37. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 今御指摘いただきました資料、私どもも大変注目をいたしております資料でございますが、まさに日露通好条約交渉時、先方の交渉全権代表でございましたプチャーチン提督にあてられましたニコライ一世の訓令案というものを指しておられると思います。この訓令案の中には明確に択捉島までが日本国有の古来の領土、得撫島以北はロシア帝国が持っていたものという認識から、そこで国境線を引けと言っておるわけでございます。まさにこういう資料がロシア側からも、これはイズベスチヤに二カ月ぐらい前でございますか、公表された資料でございます。  また、先ほど申しました「法と正義」、法というのは国際法上のいろいろな資料ということであると私どもは解釈をいたしますが、こういうものを日ロ共同で編さんをしておる、北方領土の客観的な判断のための資料集をつくろうということで合意をいたしました。この中にも今先生指摘の資料も入れました。ということで、一昔前に北方領土問題は存在しないと言っていた当時のソビエト、旧ソビエト連邦の態度から見ますと相当大きな変化が起きているというふうに認識いたしております。  私どもは、そういう流れの中でエリツィン大統領の訪日に向けまして、ぜひともこの問題を早期に解決して日ロ関係を新しい次元に上げて本当の意味の信頼友好関係を築きたい、そういう方針のもとでこれからいろいろな折衝を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  38. 仲村正治

    仲村委員 通告を申し上げた点で二、三漏れておりますけれども、時間が参ゲましたので、以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  39. 井上一成

    井上委員長 鉢呂吉雄君。
  40. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、先週の四月十日に渡辺外務大臣、兵藤局長等に外務委員会お尋ねした日本と特にロシア連邦の関係を踏まえて、北方領土返還運動、北方領土問題に問題を絞って一時間御質問をさせていただきたいと思います。  今同僚委員からもお話ありました北方四島へのビザなし渡航の問題について、最初にお尋ねをさせていただきたいと思います。  この問題は、昨年四月のゴルバチョフ大統領の訪日時の日ソ共同声明でゴルバチョフ側から突然の申し入れという形でなされたということで、北方四島への人的な交流を進めようという提案がなされ、日本側はそれを話し合うということで今日まで来たというふうに聞いております。十月の二十九日には閣議了解で「我が国国民の北方領土への訪問について」ということで文書が示されておりますし、先ほど言いましたように、ようやく四月の二十二日に向こう側から北方四島のロシア人がこちらに訪問をするという運びになったというふうに聞いております。  そこで、まず法務省にお尋ねを申し上げますけれども、日本の刑法上、いわゆる刑事事件についての場所的な適用についてどのようになっておるのか。あわせて、ロシア共和国のこの点について、刑法上の場所的適用についてどのようになっておるのか、日本政府として知り得ている範囲でお示しを願いたいと思います。
  41. 古田佑紀

    ○古田説明員 まずお尋ねの第一点の日本の刑法の適用範囲ということでございますが、日本の刑法の適用範囲は原則といたしまして日本の領域内に適用される、それから、一定の犯罪につきましては日本の領域外につきましても刑法の適用があるということになっております。  北方四島の関係の刑法の適用の問題でございますが、北方四島の法的地位について私どもの方から申し上げるのはいかがかと存じますけれども、刑法の適用ということで申し上げます限り、北方四島が日本の固有の領土ということであるならば刑法の適用があるように考えております。  それから、お尋ねの第二点につきましてでございますが、ロシア連邦の刑法につきまして、外国のことでございますので必ずしもつまびらかには存じておりませんが、やはり基本的には自国の領域内の行為について刑法を適用するという考えに立っているものではないかと考えております。
  42. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今法務省の側から固有の日本の主権があるということでありますから、北方四島については日本の刑法の適用があるという御答弁があったというふうに思います。  そこで外務省にお尋ねいたしますけれども、今回の日本側からビザなしで北方四島に渡航するその渡航者についてこのような刑事事件が発生したときに、日本の捜査権あるいはまた司法権がどのように及ぶのか等についての日ロ間の取り決め、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  43. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 先ほど法務省の方から御答弁がありました原理原則の問題でございますが、重ねて確認かたがた私どもの認識をもう一度繰り返させていただきますと、我が国は一貫してあそこは我が国の固有の領土であるという立場をとります以上、あそこには当然すべての日本領土に適用される法律は適用されるべきであるという基本的な原則で今日まで一貫をしているわけでございます。  しかしながら実際には、今仲村先生の御質問にあったわけでございますけれども、北方四島の不法占拠の経緯からかんがみまして、旧ソビエト連邦政府は不法占拠、占領を完了いたしました後、一方的にあの地域も含めましてソビエト連邦に編入をするという措置をとったわけでございますが、これも私どもは承認していない。それ以来ソビエト連邦政府は、私どもの方から見れば事実上施政を及ぼしている。ソビエト連邦政府は、施政権は当然自分たちにあるんだというそういう建前でずっと三十数年やってまいりました。したがい まして、例えば私どもは、この施政権の行使を法律上認めるという行為は注意深く一貫して避けてきたわけでございます。これは漁船拿捕の場合にもそうでございましたし、北方四島の入域問題でも同じでございました。そういうことがございましたので、査証をとっての北方四島入国ということも、当然のことながら日本政府としては認めがたいという立場を一貫してとってきた。そこに今回穴をあけることになりましたのが北方四島のビザなし交流である、こういう位置づけでございます。  さて、そこで今お話にございました問題は、実はこの四島交流をどうするかというときにロシア側といろいろ実際上の問題を話しましたときに出た大きな争点の一つでございました。実際にそういうことは起こり得るだろう。そこでいろいろな議論が闘わされたわけでございますが、ここはどうしても決着がつかない。私どもは向こうの施政権の行使を認めるわけにはいかない、ロシア側も認めるわけにはいかないということで、もしそういうことが起こった場合には、ケース・バイ・ケースで直ちに両国政府の外交ルートを通じて話し合って処理していこうという了解ができたのでございます。
  44. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 法務省にお尋ねいたしますけれども、法務省側は、主権があるのであるから北方四島に刑法上のものが及ぶというふうに先ほどおっしゃいました。外務省は、北方四島の歴史的な経過からいけば事実上施政を及ぼしておるのは今ロシア連邦だということで、この点については及ばないという御答弁だったと思いますけれども、法務省はこの点でこれはよろしいですか。
  45. 古田佑紀

    ○古田説明員 あるいは私の言葉が若干足りなかったかもしれませんけれども先ほど御説明申し上げたことは、刑法の適用範囲、つまり日本の刑法がどこで行われた行為に適用されるかということについての刑法の原則を申し上げたわけでございまして、現実に日本の主権が今及んでいるとかそういう趣旨で申したわけではございません。  先ほど御説明いたしましたことは、北方四島が日本の領土であるということになりますと領域内では日本の刑法が適用される、つまり日本の犯罪として扱われるということになる、そういう原則になると考えられるということを申し上げた次第です。
  46. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほど局長は、決着がつかなかったということで、そういう事実が発生した場合は、事象が発生した場合はケース・バイ・ケースで外交ルートで話し合いをしていくというふうなことを御答弁されましたけれども、いわゆるこの往復書簡等でそのことが明記されなかった、あるいはされておるのかもわかりませんけれども、そのことについてされておるのか、あるいはされておらなかったらなぜされておらないのか、この点について御答弁をお願いしたい。
  47. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 この問題につきまして、実際に刑事管轄権の行使が必要になった場合を想定した規定はございません。そこを規定いたそうといたしますと、まさに二百海里の漁業専管区域を両方がお互いに設定したということが起きて大交渉が始まったことは御承知のとおりでございます。そこでこの問題も決着がつかなくて、結局、両国の法的な立場は何ら害することなく実際的な取り決めをいたそうということで現在のこの日ロ漁業の取り決めがあることは御承知のとおりでございますが、これを例えますと、非常にそれのスケールは違いますけれども同じ問題に帰着するわけでございまして、そこのところをぎりぎり書こうとすればどうしても書けないということで、この取り決め、つまりビザなし交流全体にかけましたいわばいかなる取り決めの条項、条文あるいは了解も両国の領土問題についての立場は害さないという全般的な規定を置くということによって対処をいたしたわけでございます。
  48. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 閣議了解の中でも、いずれの一方の側の法的立場をも害するものとはみなしてはならないとの共通の認識でというふうにお書きになっております。しかしやはりこのことは、善意、悪意は別として不可抗力で起こり得るものであります。したがいまして私は、ケース・バイ・ケースで外交ルートで話し合うといった非常にあいまいとしたグレーゾーン的なやり方というものを改めていく努力が必要だろうというふうに考えます。これはあくまでも領土問題を害するものでないという立場に立ては、このことを明記することは不可能ではないわけでありますから、そういう努力をしていくべきだというふうに思います。したがいまして、実際上起こり得た場合に日本政府としてどのような対処をするのか、これはケース・バイ・ケースがあるということをお聞きいたしましたけれども、どのような具体的な対処をするという形になるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  49. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 お答えいたします。  ただいま法律的にお詳しい御専門のお立場から、物事をはっきりすべきであるという御指摘もございました。私どももできるだけそうしたいと考えてきたわけでございますが、しかし両方の根本的な領土主権の主張について、主張が百八十度違うという状況下であらゆる問題についてはっきりして詰めようといたしますと、これは私ずっとこの四島交流の枠組みづくりの交渉の担当者でございましたその交渉をいたしてまいりましたいろいろな経緯から考えますと、そこまで全部詰めようということになりますと、恐らくこの四島交流というものはなお合意に達することができないだろうというふうに私は判断をいたします。  そこで、やはり何が重要かということで、私どもは、北方四島交流というのは大きなところでは北方領土解決に向けてのやはり肯定的な一つの措置になり得る。特に昨今、北方領土問題の解決につきましてロシア連邦の中におきます世論の問題というものが大変に重視されるようになってきた。その世論の問題も、最も関係の深い極東地域、サハリン州の地域、あるいはもっと煮詰めますと北方四島に現在住んでおられるロシアの住民の方々の世論というものが大変に重要であるという認識が片方であるわけでございます。したがって、やはりそういうことをにらみ、最大の問題は何といいましてもこの北方領土問題の基本的な問題の解決でございますので、それに資するにはどうしたらいいかという観点から、実際的な解決あるいは実際的なあるところでの妥協というものを図った上で、一日も早くこの四島交流実現することの方が重要であるというふうに判断をいたした次第でございます。
  50. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私の質問は、そのことの前向きな姿勢はわかります。実際上そのことが起こり得る。起こったときの日本政府としての対処の方法、実効上向こうに警察権なりその他の施政は及ぼしてはおらないわけでありますから、その場合向こうの警察権が発動し、日本政府として例えば属人主義に基づいて引き渡しを行うというような要請をするのかどうか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  51. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 実際にどういうケースが起こるかという具体的なケースを想定してお答えすることはなかなか難しいわけでございますけれども一つこういうケースに参考になりますのは、実は領土そのものではございませんで、領海でございますが、領海にロシア政府、これは主として旧ソビエト時代でございましたけれども、旧ソビエトの法律的な立場から見ると密漁漁船が不法に領海を侵犯して入ってくるという向こうの主張があったわけでございます。領海侵犯というかどで当然のことながら拿捕される、向こうの法律に従って裁判にかけられて損害賠償を要求され、かつ刑事事件に処せられたという大変数多いケースがあるわけでございます。これはまさに向こうから見れば領土、領海の中で起こったことであります。これに対しましても、日本政府も従来から一貫して一つ一つ処理してきているわけでございますけれども、常に向こうの裁判管轄権あるいは施政権の行使は認めないという留保をしながら、しかしだからといって日本政府は何もしないということは到底許されないわけでございますから、今御指摘 のございました漁船の場合、あるいは船体も含めまして返還、引き渡しというようなことをその都度その都度交渉してまいったという例がございます。  したがいまして、そういうことも参考にしながら、どういうことが起こり得るかわかりませんが、あくまでも考え方としては向こうの施政権の行使を日本政府が事実上認めるということはぜひとも避け、しかしながら、起こった事件を人道的な見地からやはり実際的な解決を向こうとその都度話し合いながら図っていくという方針でいかざるを得ないというふうに考えております。
  52. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで北方四島の返還問題に移りますけれども、まず昨年のゴルバチョフ来日以降の経過について、時間がなくなりますので私の方から述べますけれども、日ソ共同声明では北方四島が領土問題の対象であるということが明記をされまして、それに基づいて平和的解決あるいは平和条約を締結するという考えで加速度的にやっていくということが合意をされたというふうに思います。九月にはロシア共和国のハズブラートフ最高会議議長代行が訪日をして、エリツィン大統領の親書を携えて、その中には、第二次世界大戦の戦勝国と敗戦国との区別を放棄する、さらには二番目として、先ほど局長も言いましたけれども領土問題を法と正義に基づいて解決をする、それから三番目に、昨年の一月に提案をしておったエリツィンの五段階の提案を急速に短縮するのだという提案の書簡が来た。さらには一月三十一日に宮澤総理がニューヨークでエリツィン大統領とお会いをし、ロシア指導部は関係正常化を真剣に考えるということで、日本に行く以上は平和条約、領土問題について具体的な話をしたいということでございました。さらには二月二十八日にエリツィンの親書が宮澤総理に届きまして、潜在的な同盟の日ロの関係があるということを表現し、北方領土問題については、法と正義の原則に基づき、領土画定を含む平和条約締結問題の解決を共同で探求していきたい。そのことが二月時点での経過であったというふうに思います。  そこで日本政府として、この領土問題の解決をロシアのエリツィン政権が踏み切れないその最大の理由というものをどのように我が国としてとらえているか、このことをお尋ねいたしたいと思います。
  53. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 三月の下旬に渡辺外務大臣とコズィレフ外務大臣との間でまさに本格的な平和条約締結交渉に入った段階でございますので、ロシア政府側のこの北方領土問題をめぐります今御説のような問題につきまして、こういう場で私がいろいろ推測を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと存じますけれども一つだけ申し上げることができるといたしますれば、こういう交渉の場でコズィレフ外務大臣も先般、先ほど申し上げましたロシア連邦の中の世論の動向ということはこの問題の解決に決して無視できない重要な要素であるということは強調されておったということは申し上げられると思います。
  54. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 なかなか微妙な問題で、交渉の相手方がどういう認識かということを日本政府が表明するのはなかなか難しい問題だと思いますけれども一つは、ロシアの国民世論というものを非常に神経質にロシア側がとらえておるということはそのとおりだろうというふうに思います。  実は昨年の四月二十四日の外務委員会で我が党の川崎寛治氏は、北方領土問題の解決のための問題点ということで四つ挙げております。一つは、旧ソビエト、あの当時はソビエトでございましたからソビエト国内の民族問題の解決、それからもう一つは、四島のロシアの住民あるいはまたロシア共和国の住民の世論、それから三番目には、当時のゴルバチョフ政権の政権基盤の安定化、さらには四島の軍事的な安全保障ないしは極東あるいはアジアの軍事的な安全保障ということをも川崎氏は述べておるわけであります。一年がたちましたけれども、この考え方についてどのようにお考えになるか。
  55. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 私も、昨年の川崎寛治先生の四つの御指摘よく記憶をいたしております。大きな状況の中で川崎先生の御指摘された点は、今日も恐らく生きているというふうに私は拝察をいたしております。
  56. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで、現在のロシア共和国の政治状況をどのように日本政府はとらえておるのか、あるいは経済的な混乱、経済改革のプログラムがどのように進められるか等については時間がありませんので私の方から若干申し上げますけれども、ロシア共和国の人民代議員大会がまだ継続をされておりますけれども、紆余曲折をしながらエリツィンさんの権限が若干妥協を見ながら継続される、十二月一日まで継続されるというようなことが言われております。日本政府としてそれについてどのような認識をしておられるのか、簡単でよろしいですけれどもお答えを願いたい。その場合にはやはり経済混乱といいますか、いわゆる保守派は社会保障ですとかあるいは軍需産業あるいは国営産業の転換に対して財政支出を求めておるというようなことが最大の政治的な対立になっておるというふうに思いますけれども、若干日本政府としてのそれについてのお考え、あるいはエリツィン政権が安定化していく方向にあるのか、これは言いにくい話だと思いますけれども、その点についての見通しをお述べ願いたいと思います。
  57. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 先生指摘のごとく、ただいまモスクワにおきまして人民代議員大会が開かれているわけでございますが、一つの大きな争点は、エリツィン大統領が昨年の十二月二十八日から進めてまいりましたショック療法と言われる経済改革、その経済改革に対してブレーキをかける、あるいは速度をスローダウンさせる、あるいは改革そのものに真っ向から反対する、そういう声が上がったということで、一時はそういう趣旨の大会決定というものが採択されたわけでございますが、昨日の展開を理解いたすところによりますと、しかしそういう議論はあったけれども、新たに、基本的な経済改革の路線は進めるべしという方向での意見にまたも傾いてその趣旨の宣言案が承認されたということでございますので、私どもは、エリツィン大統領が進めてこられたこの経済改革の基本路線は、これ以上大会決議が新たに加えられない限り継承されるものというふうに理解をいたしております。  日本政府は、これは昨年のロンドン・サミットから一貫しているわけでございますけれども、特に八月以降の劇的な民主化、市場経済化への動きを全面的に支持する、日本政府政策の枠内で可能なことはこの支援のために努力を惜しまないということで一貫してまいっているわけでございます。
  58. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先週の外務委員会で、CIS、独立国家共同体に対するIMFの二百四十億ドルの金融支援について、渡辺外務大臣そして局長さんの方から御答弁があったのですけれども、あのときは時間がありませんでしたので補足をしてまた御質問をしたいと思います。  あのときの中では渡辺外務大臣は、今回のIMFの金融支援は国際機関の支援ということからいけばいわゆる拡大均衡論の原則を踏み外すものではないということで、特に六十億ドルについては、日本は七億五千万ドルぐらいの分担になるだろうというようなことも表明されたわけですけれども、また同時に、百八十億ドルの信用供与についてはまだ固まっておらないというような表現であったというふうに思います。また局長もみずから拡大均衡論は必ずしも固まったものでなくて、ケース・バイ・ケース、ボーダーラインのケースがあるというふうに言っておりますけれども、この拡大均衡論については大変あいまいな部分がある。  局長はこれも昨年の四月二十四日の遠藤委員に対する御答弁で、拡大均衡論と政経不可分についてはどのような違いがあるのかという御質問に対して、これは言葉の持つ響きのような点もあると。政経不可分については政治が動かなければ経済は一切動かないというような響きがある。響き とはそこでは表現しておらなかったかもしれませんけれども、拡大均衡論には、一つの分野で前進があれば他の分野で前進を図って前向きの方向に押し出していくという意味合いがある。ですから経済が先に行って政治を引き上げていくというような面があるかのような、私流に解釈すればそうとも受けるわけであります。しかしこのことは拡大均衡論に照らせば、国際金融機関を通ずるから、国際機関を通ずるからこの拡大均衡の原則から外れる。これもケース・バイ・ケースだということを局長は先週おっしゃいました。しかし、どうもそこには無原則的なものが入ってくる可能性があるのではないかというふうに私は思わざるを得ません。  そのような意味で今回の二百四十億ドルに対して、この領土問題を踏まえて、拡大均衡論を踏まえて日本政府としてどのようにお考えになっておるのか、もう一度御答弁を願いたいと思います。
  59. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 政経不可分原則あるいは拡大均衡の原則でございますが、先ほど先生から御引用いただきました以前の委員会で申し上げたことに敷衍させていただくならば、あくまでも基本的に非常にはっきりした考え方があるわけでございまして、それは、いやしくも日ロ間に平和条約が存在しないということは政治的に安定した基礎を欠くという大前提があります。政治的に安定した基礎を欠く以上、特に国民の皆様の負担を伴うような本格支援と申しますか、そういうことを日本政府が行うということは、これは国民の皆様の御理解も得られないであろうし日本政府のとるべき施策ではないという、ここの考え方から出発をしていくわけでございます。この考え方から出発してまいります際にも、しかし先刻申し上げました灰色のボーダーラインケースというものは当然出てくるわけでございまして、どこから考えても明らかに拡大均衡の原則に抵触する分野もあれば、これはだれが考えても抵触しないであろうという分野もある。例えば人道、食糧、医療援助というものはそういう部類に、あるいは技術支援ということを今大々的にやっているわけでございますけれども、これも入らないだろうというふうに整理をさせていただいているわけでございます。  その中で、この間も申し上げましたように六十億ドルの為替安定化基金というものにつきましては、渡辺外務大臣からも御答弁を申し上げましたように現時点での考え方は、これは各国が直接拠出をするということではなくて、IMFがいわば資金を調達してIMFが供給をする、そういう考え方でいこうかという議論が、これはあくまでも議論でございましてまだ結論は出ておりません。議論が国際金融専門家の間で今行われているという段階でございます。したがって、最終的にはもっと具体的にそれがどういうメカニズムで行われていくかということを見きわめる必要がございますけれども、そういうことであれば拡大均衡の原則、政経不可分の原則というものの対象に必ずしも含めることではないだろうという認識を申し上げたわけでございます。  いわゆる百八十億ドル、これはまだ内容が、百八十億ドルで対日あるいは対CIS支援をするということが正式に決定されたという事実は全くございません。ブッシュ大統領もコール首相もそういう対日支援の構想に積極的に参画していくということを述べられたわけでございまして、まさにこれもハイレベルの専門家の間で今検討しているわけでございます。したがいまして、どういう形でどういう額でこの支援の話がまとまっていくのかということを注意深く見きわめる必要があると思っております。
  60. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今の形では、六十億ドルについてはIMFを通じておるので拡大均衡には触れない、この前と同じ答弁だと思いますけれども、私は、そのことによって無原則的になっていく、それは額によってそういうふうに言っておるのか、あるいは例えばロシアの経済の混乱、それがひいてはロシアの民主化の後退というものがあるからそのようなことを言っておるのか、そのようなことが不明瞭である。  渡辺外務大臣も五月の上旬ロシアに行かれる、あるいは宮澤総理が訪欧もされる、あるいは七月にミュンヘン・サミットがあると思いますけれども、いろいろな記者会見も宮澤総理しておりますが、私は、やはり金融支援については領土問題をきちんと前提に置きながら、例えば先進七カ国に対してもそのことを最大限強調し、あるいはまたエリツィンさんも来るということでありますから、そのことが見通しを持った中で金融支援をする、これは大型でありますから。今局長の話では、通貨基金に対する六十億ドルの幾らになるかわかりませんけれども、七億五千万ドルになるかどうかわかりませんけれども、それはもう関係ないんだ、均衡論には関係ないんだという御答弁をされましたが、それは今言ったような外交上の日程と絡ませないでいくのか、その辺についてもう一度御答弁を願いたいと思います。
  61. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 ただいま御引用いただきました渡辺外務大臣の御答弁の敷衍をさせていただきたいと思いますけれども、前回渡辺外務大臣が七億ドル云々と申し上げましたのは、日本としてそういう拠出をすることに決まったという意味では到底ございませんで、仮にIMFがGABという組織を使って資金を調達したときにどうなるかということを申し上げたわけでございます。  均衡論との関係で申し上げれば、そういう形で六十億ドル支援をするということ、これも間接的には日本も協力しているわけでございますから大きな意味での対日支援の一環をなすわけでございます。私どもは均衡論というものは、先ほど申しましたようにソ連の、今ではロシアのいろいろな動く情勢それから向こうの打ってくる手等々を見ながら、例えば二十五億ドルの支援パッケージというものを十月に発表いたしました。これの前提になったのは、ゴルバチョフ大統領が参りましたときのあの共同声明第四項で示しましたソ連側の態度の前進、それからエリツィン政権が打ち出しました「法と正義」、戦勝者、戦敗者との関係を見直すという前向きの姿勢にこたえまして、あのときに国連総会におきまして対ロ外交五原則というものを打ち出してその具体化として二十五億ドルの支援策を決めた、こういう関係にございます。  したがいまして、今先生がおっしゃいましたように、IMFに行ったからそういうものとは完全に無関係になったというふうには私どもも認識いたしておりません。重要な対日支援策の一翼を担うものではあるというふうに認識はいたしております。
  62. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それでは、先ほどエリツィン政権が領土問題に踏み込めないその最大の理由とは言いませんでしたけれども、ロシア側の世論というものもあるというふうに言われました。そこで、私はそのことは大変大切であるというふうに思いますので、その方に移りたいと思います。  このことは、三月二十日、二十一日にコズィレフ外相が渡辺外務大臣と二回の外相会談をやっていますけれども、そこでも大変強調されております。ロシアでは民主主義者たちは領土問題の存在を認め、共通の課題として解決したい、その用意を示しておる、しかしながら反対する勢力は、経済改革がもたらした困難性を政治的に利用してこの問題に対しても消極的であるというようなことが言われておるのであります。  外務省広報課の発行されました一九九二年版の「われらの北方領土」の中でもこのことは日本政府として明確に述べておりまして、「この間、ロシア国内において民族主義的立場から北方領土の日本への返還に反対する勢力が活発化し、また北方領土に現在居住する住民の間で将来への不安が高まる等の新たな動きが出ている。」これに対してエリツィン大統領は「ロシア国民への手紙において、「法と正義」に基づく問題の解決と、日本との関係における最終的な戦後処理の達成必要性指摘しつつ、北方領土住民の懸念およびロシアの世論に配慮していく。」これは日本側の見方であるというふうに思います。  そこで現実の段階として、最近はもうロシアの世論も方々に報道されておるのでありますけれども、特に四島に現住しておるロシアの方々の不安、返還後どうなるのだろうというようなことに対する不安感が非常に強いのであります。アタショーノフ議長の特集が先般新聞に出ておりましたけれども、そこにおいてももう少し長いタームで見てほしいというようなことがあったわけでありますけれども、そういう意味では、返還後の青写真というものを日本政府として示すべきであろうというふうに思います。  これまでさまざまな検討をロシア側としてきておるわけでありますけれども、このような返還後のあり方について検討をし、あるいはまたロシア側にこのことを提示しておるのかどうか、提示をしておるということであれば、そのことがロシア政府から四島の住民なりに伝わっておるのかどうか、もしか伝わっておらないということであればそれはやはり日本政府として提示をする必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その点に関してお伺いをいたしたいと思います。
  63. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 大変に重要な御指摘をちょうだいいたしたと存じます。まさにおっしゃるようにこの問題の解決の一つの大きなかぎは、現在北方四島に居住をしておりますロシア人がこの問題をどう感じ、どう理解し、またどういう不安を持っておるかということであろうかと思います。ロシア中央の政府関係者も、この問題がいかにデリケートな問題であるかということを私どもに再三強調いたすわけでございます。例えば、クナーゼ外務次官が先年の秋に北方領土にみずから乗り込まれたわけでございますが、その行為自体でも大変な反発を呼んだということは御承知のとおりでございまして、向こうの高位高官があそこに入るということでも大変な反響を呼び起こすということは御承知のとおりでございます。昨今ではコサックのグループがあそこに住み移って絶対反対を唱えるという動きが出て、これはまた大変に強烈な住民からの反発が出ているというようなことでございます。そういうことでございますので、私どもそういう住民感情というものを十分推しはかりながら、しかし、おっしゃるように返還に伴う不安というものを極力解消する努力は一方でしなければならないという考え方に立っております。  そういうことでございますので、渡辺外務大臣もコズィレフ外務大臣に対しまして、四島のぎりぎりの主権の問題についてきちっと腹をくくってくれればその後の返還の態様、方法等については十分に柔軟に対応する用意がある、また、現在の住民のその後については人道的な見地から温かい配慮を行う用意があるということを明確にお伝えしてございます。  それ以降の具体的な考え方というものはこれはまたデリケートな問題でございまして、向こうが返還をする、主権について踏み切るということができまして初めて先方もそういう提案を受け取れる、あるいはそういう点を聞く耳を持つわけでございまして、これも大変デリケートな問題でございます。そこで私どもは、今はそういう私ども基本的な大きな考え方をロシア政府にお伝えをし、それをまた国会等の御審議の場でも内外に明らかにするということをしているわけでございます。
  64. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 防衛庁、来ていらっしゃいますか。北方四島のロシア軍駐留軍の関係でお伺いいたします。  これについても、昨年の日ソ共同声明では削減をするということを向こう側から申し入れたということであります。この三月の日ロ外相会談でも、コズィレフ外相は三割方既に削減を完了したと説明をしたというふうに言われておりますけれども、このことについて防衛庁としてどのような把握をしておるか御答弁願いたいと思います。
  65. 北原巖男

    ○北原説明員 御答弁申し上げます。  先生指摘のとおり、本年の三月二十日の日ロ外相定期協議におきまして先方のコズィレフ外相から、北方領土駐留旧ソ連軍が三〇%削減されたといった趣旨の発言があったということは防衛庁といたしましても承知をいたしております。一般に兵員の状況というものを正確に把握するということはなかなか困難な面が多いわけでございますが、防衛庁といたしましては現在のところ、北方領土に駐留をいたしております旧ソ連軍の人員の削減状況につきましては確認はいたしておりません。  いずれにいたしましても極めて大切なことは、我が国固有の領土であります北方領土からすべての旧ソ連軍が早期に完全に撤退することが大事ではないかと考えております。防衛庁といたしましてもそれが両国間の信頼関係の構築に役立つと考えておりまして、早期完全撤退を強く希望いたしているところでございます。
  66. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 外務省にお尋ねいたします。  この関係でコズィレフ外相は三割削減ということを説明されたということでありますけれども、その確認方法といいますか、外務省としてやはり軍事力の削減について日本にわかるような形をとる必要があるのではないかと思いますけれども、それは一方的にただロシア側の言うところを信用するといいますか、日本としてはそのことに対しては余り関心がないという姿勢なのか、この辺についてどういう確認をされていこうとするのか、お願いいたします。
  67. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 この問題はゴルバチョフ大統領が来日するときからの懸案であることは御承知のとおりでございます。昨年既にロシア連邦政府が、旧ソビエト政府時代もそうでございますが、一定の削減をしつつあるという表現を使ったことはございます。そのときから具体的に一体どのくらい、どういうふうに削減されたのかということを聞いていたわけでございますが、今回コズィレフ外務大臣から、一万人の規模の師団を七千人に削減をして旅団規模になったという御説明がございました。私どもは、その御説明は承るけれども我々は具体的に何らかの形でそれを確信を持ちたいということも申しましたが、その以後追加的な説明はございません。と同時に防衛庁にそのことを御通報申し上げて、防衛庁としてこれが確認できないかどうかというお願いも申し上げているわけでございます。
  68. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 経過はわかりました。しかしやはりそのように外務大臣が、責任ある者が言っておるわけですから、それは日本として確認ができるような方法というものを引き続き追求していくべきだろうというふうに思います。  そこで、総務庁長官お尋ねをいたします。  今、日本に返還できない大きな理由の一つにロシア側の世論があるということを外務省もお認めになりました。今般日ロ間で、特に北方四島で住民の交流が始まるということでありまして、まさにこの返還運動は国内の運動で意識を高揚していくということを主たる目的としてやってこられたと思いますが、向こうのこともありますから最終的にはこれはエリツィンの決断にかかっておるというふうに私は思いますけれども、やはりこの住民に対する働きかけというものは大変大切であるというふうに思います。特に、東西ドイツが統合したのもやはり東ドイツに西ドイツの考え方なりそういうものが住民レベルで伝わり、そのことが大きな要因になったというふうに言われておるわけでありますから、このような住民の交流というものが大変大切だろうというふうに思います。その点に関する長官の御認識といいますか決意をお聞かせ願いたいと思います。
  69. 岩崎純三

    岩崎国務大臣 総務庁といたしましては、今日まで北方領土一括返還を求めまして、平和条約が締結されるよう外交交渉の粘り強い支援をするために国民世論の結集を図る、言いかえれば、日本国有の領土が一日も早く解決できるよう国民の啓発、その発展強化に努め、それが外交交渉の後押しになる、こんな目的を持って今日まで総務庁といたしましては北方領土の問題に取り組んでまいったわけでございますが、今先生を初め外務省とのいろいろなやりとりを聞いておりまして、そしてまさに日本の国民の啓発もさることながら、 北方領土に在住していらっしゃるロシアの方々の世論、またロシア連邦そのものの国民の世論、これも極めて重要な問題であろうということで、外交交渉の結果北方四島との交流の枠組み、言いかえればビザなし渡航がいよいよ実施される見込みになったわけでございます。  先生お話しのように四月にはロシアから、そして五月には日本からお互いに交流をすることになったわけでございます。この場合、日本から訪問する一行に対しまして、北方領土に着いて交流をする、それを支援するために総務庁といたしましては啓発用のパンフレット、いわゆる交流のしおり、それからロシア語でつくりましたパネル、こういったものを作成するそのための予算平成四年度予算の中に計上いたしております。そういうことによって、北方領土に対する我が方のパンフレットを読むことによって居住するロシアの国民の方々に北方領土に対する正しい理解と認識を得ていただけるのではないだろうか。それから、先ほどお話がございましたとおり、領土の画定をする、それをめぐって資料集を発行する、エリツィン大統領が訪日をする前にそういったものを両国で出版する、そういった合意に達した、私どもそのように承っております。このことも北方領土に居住するロシア人の方々はもちろんでございますが、ロシア連邦の国民の方々への一つの啓発活動になるであろう、このように期待をいたし、そうした事業がさらに多く力強く進展することを期待もし、またその方向に向けて我々も努力をしていきたい、このように考えております。
  70. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 力強い御答弁だというふうに私は思っております。  そこで、二、三、北方四島との人的交流、ビザなし渡航の関係で総務庁の特段の御配慮をお願いしたいという点を申し上げたいと思います。  一つは、今回北海道と現地ロシア人との交流が始まるわけでありますけれども、北方四島への渡航は当面船舶によらざるを得ないというふうに考えますが、その雇いの経費が非常に高がかりになる、三百五十トンクラスで一日八十万から百万というふうに北海道からも聞いております。特に元島民が北方四島に訪問するに際して特段の国の財政的な援助、支援をお願いしたい。  同時に、今回四月には向こう側から来るわけでありますが、非常に希望者は殺到しておるというふうに言われますけれども、御案内のとおりの向こう側の経済状況でありますから、今回も日本側、北海道庁側で交通、宿泊、食糧経費を二十人で四百万程度支出するというふうに言われております。これは北海道庁の経費で持つというふうに言われております。したがいまして、実際上日本側がこのような負担を継続していくということになりますと限りがあるわけであります。同時に、国が表に出るということもこれは非常に微妙な問題がありますから、やはり民間あるいは自治体レベルの運動ということが必要だろうというふうに私も思いますのでぜひこの往復、向こうに行く元島民の方、あるいはこちらに来る、これに対する国としての財政的な支援、これは協会を通じ団体を通じてでもよろしいですから、今のままでは行き着かなくなるというふうにも言われておりますので、この点に対する考えを長官からお聞きをいたしたいと思います。
  71. 岩崎純三

    岩崎国務大臣 ビザなし渡航による両国の来訪者に対する財政援助についてのお尋ねでございますが、渡航を希望する団体の方々が自発的に渡航することを前提にしてこのビザなし渡航というものは設けられておるわけでございます。したがって渡航する場合、今確かに渡航料、船代だけでも四、五十万かかるのですが、日本の場合、元北方四島居住民の方々、北方四島返還運動に熱心だった方々、そしてマスコミの方々に限って今回のビザなし渡航を利用して訪ねることができる、そういう仕組みになっておるわけでございます。また北方四島から来る方々についても、北海道庁あるいは民間運動団体の方々が受け入れについて大変なお骨折りをしていただいておる。  そういう中で、まず第一回の両国のいわばビザなし渡航がこれから始まるわけでございまして、先ほど申し上げたように幾つかの、我が方から向こうに回る場合総務庁として約三百数十万の予算ではございますが、北方領土訪問への支援策を予算として計上しているわけでございますが、まずその交流の成果あるいは進展状況、こういったものを見守りながら、これからどういう支援を必要とするものがあるのかどうか、こういった点について慎重に検討してまいりたい。まず一回の交流の結果どうなったのか、そのことによって今後七月ないし十月に二弾、三弾が我が方で予定されておるわけでございますから、これに対してどうすべきなのか、また来年度その結果を見詰めてどうすべきなのかということについては慎重に検討もし対応させていただきたい、現在の段階ではそのように考えております。
  72. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 慎重になんという言葉はこの場では使わなくてもよろしいわけですから、もっと積極的に、そういうものが有効であることが一回目のことで確認されれば総務庁としては全面的にやるというぐらいの姿勢は見せてもらわなかったら、これは余り国として我々はやりますよなんということは言えないことかもわかりませんけれども、やはりそのことは大変大事なことだし、総務庁としてそのことが返還運動の非常に大きな中心的な問題になるというふうに思うのですけれども、もう一度この決意を御答弁願いたいと思います。
  73. 岩崎純三

    岩崎国務大臣 先ほど外務省から御答弁がございましたとおり、外務次官が北方四島を訪問した、そのときそこに住んでいる住民の方々の大変な感情的な反発があった。したがって、国が直接そういう問題に携わることが果たしていいのかどうか。まず北海道庁あるいは民間団体の方々の行動を見詰めながらその上一で慎重と申しましょうか、先生の御発言も含めて検討させていただきたいと思います。
  74. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 もう終了いたしましたというのが来ましたのでこれで終わりますけれども、一点だけ。  これは小さいことでありますけれども、非常に事務手続が煩雑で外務省によっても渡航するのに六カ月ぐらい見てくれ。これは多目に言っておるのですけれども、四、五カ月ないし六カ月というようなことで大変この手続が煩雑であり時間がかかる。もちろんビザというものでは出れないということはわかるわけでありますけれども、やはりビザ程度のものに簡略化をする。この手続が大変で二往復ぐらいするのですね、ロシア大使館まで行って。ですから、その辺のことについてぜひ簡略化をする措置を外務省としても取り組んでいただきたいということを申し述べまして、御答弁は要りません。私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  75. 井上一成

    井上委員長 この際暫時休憩いたします。     午後零時四分休憩      —————・—————     午後一時四十二分開議
  76. 井上一成

    井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  77. 上原康助

    ○上原委員 きょうはちょっと短い時間になっていますので、質問の順序なり予定しておったのが若干変更するかもしれませんから、出席した政府委員皆さん、そのつもりでお聞き取りを願いたいと思います。  まず最初に在日米軍基地の問題についてお尋ねをいたしますが、沖縄復帰間もなく二十年の節目を迎えようとしております。これまでもしばしば復帰段階で、戦後処理問題やとりわけ基地の整理縮小等について具体的に県民の期待にこたえられるように政府見解を明らかにすべきであるということを主張してまいりました。また指摘をしてまいりました。  そこで最初にお尋ねしますが、一九九〇年四月に、いわゆる在日米軍基地、なかんずく沖縄基地の整理縮小と深いかかわりのある東アジア戦略構 想というのが発表されました。この九〇年四月の米国政府の在日米軍基地整理縮小計画よりさらに国際情勢はその後大きな変化を見ました。旧ソ連崩壊、いろいろ大きな情勢変化が出てきている。そういう情勢の変化、冷戦構造の崩壊、終えんを受けて、米国においても新たな在日米軍基地の態様についてのいろいろな計画がなされていると聞いておりますが、その後の変化、具体的にどうなっているのかお示しを願いたいと存じます。
  78. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  まず、東アジア方面の米国の米軍の縮小計画でございますけれども、これは一九九二年までが第一段階今年末でございますけれども、それまでに当初は一万五千二百五十名の削減ということを計画しておりまして、これに加えまして、フィリピンからピナツボ火山に伴いまして撤退が進むことになりましたのでもう一万人減らす、これも同じく九二年末まででございます。それから第二段階が九三年、明年から九五年までということになっておりますが、これは目下のところ韓国から六千五百名の撤退を考えておりますけれども、ただ、今のところそれを米国としては凍結をしておるという状況でございます。  そういう状況の中で日本における施設、区域、なかんずく沖縄における施設、区域についてどうかというお尋ねでございますけれども、これはまさに平成二年の六月に日米合同委員会におきまして、二十三の事案、面積でおおむね千ヘクタールでございますが、返還に向けて手続を進めようということが確認されまして、それに基づいて今作業が進んでおるところでございますので、今までのところ二十三事案のうち四事案について手続が了承しております。これは地元の御理解と協力も得ましてできるだけ返還が進みますように引き続き作業をしていきたいと思っております。特にことしは返還二十周年という一つの節目でもございますものですから、そういうことも念頭に置きながら鋭意基地の整理統合につきましてはさらに努力をしたいと考えております。
  79. 上原康助

    ○上原委員 私が聞いているのはそういう今までに何回も皆さんが言ってきていることじゃないんですよね。そんな決まったことを聞いているわけじゃないのです。それも大事ですがね。  確かに今ありましたように、さっき私が言った九〇年の四月に東アジア戦略構想というのが出て、それとの関係で六月十九日に二十三の施設というものに絞って返還の問題が出てきたのです。それは私もよくわかる。そうじゃなくして、それ以上にその後の冷戦構造の変化、終えんによって米国で新たな国防というか防衛計画などが検討されている節がある、これはいろいろなマスコミ報道を見ても。そこいらのことはどうなのかと聞いているのですよ。九〇年の四月あるいは六月の十九日以降とは全く変化はないのか、在日米軍基地や沖縄の米軍基地の問題について。具体的にこの二十年に当たって整理縮小その他のことを明らかにしなさい、明らかにすべきだということを総理にも外務大臣にも北米局長にもあなたにもその都度お尋ねをし、また沖縄側のいろいろな要求もあったはずなんだ。それに対してどうこたえていこうとするのか。アメリカの国防政策の変更というものが、計画があるのか、ないのかを具体的にお示しいただきたいということです。
  80. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  私どもが今承知しております米軍のこの地域が先々どういう姿になるかということにつきましては、先ほど申し上げました第一段階の撤退、第二段階の撤退以上のものは承知しておりません。確かに御指摘のとおり世界が大きく動きましたものですから、アメリカも国防報告等々におきましてこの新しい世界にどう対応するかということはいろいろ検討しているようでございますけれども、現段階先ほど申しました第一段階、第二段階の撤退以上に具体的に例えば我が国施設、区域にどういう影響がさらに及ぶかとかいうことについてはまだ明らかになってないという状況でございます。  ただ、いずれにいたしましても、繰り返しになって申しわけございませんけれども、私どもといたしましても、沖縄施設、区域の整理統合につきましてはたびたび御指摘を受けておりまして強い御要望はよくよく承知しているつもりでございますので、今後とも鋭意努力をするつもりでございます。
  81. 上原康助

    ○上原委員 鋭意努力する、あるいは積極的にという言葉はよく言うのだが、積極的に何もやってないじゃないですか。  そうしますと、復帰二十年というこの節目に当たっても、どこどこの基地をどう具体的に整理するとか縮小していくとかそういうことは全然考えていないの、皆さんは。基地整理縮小とかそういうことについての新たな計画とか何もないのですか、五月十五日までに。ただ従来どおりのことを鋭意努力する、あなた方が基地の整理統合と言っている限り縮小にはつながらないんだよ。これは私は何回も指摘してきているんだが、沖縄返還のときに佐藤首相を初め当時の外務大臣の福田さんもみんな整理縮小と言ったんだよ。いつの間にか防衛施設庁と防衛庁と外務省の役人がみんな統合にすりかえてしまった。だからコンセントレートということで逆に質的には全部基地は強化された。それじゃだめですよ。那覇軍港であるとか県道百四号線のあそこの実弾射撃をやめるとか、読谷飛行場の降下訓練をやめてあの機能を返還せよとか、嘉手納マリーナとか普天間マリンとかそういうことを具体的に明示をしてこれまでやってきているわけでしょう。こんなこともやらないでおいて何もお祝いなんかやる必要はないですよ、あなた方は。冗談じゃないよ。その点はっきりさせてください。
  82. 川島裕

    ○川島政府委員 お答えを申し上げます。  確かに今那覇軍港のお話ございましたし、いろいろな個々の案件はもとより私ども念頭に置いております。ただ、今の段階でこれについてはこれこれというふうに申し上げられるところまで残念ながら煮詰まってないものでございますから、目下努力しておりますと申し上げるだけにとどまっている次第でございます。
  83. 上原康助

    ○上原委員 今の段階で言えなかったらいつ言えるの。
  84. 川島裕

    ○川島政府委員 繰り返しになって申しわけございませんけれども、いろいろな具体的案件、まさに御指摘の案件もいろいろ考えているところでございます。どれについてはいつごろというのはちょっと今の段階では申しかねるということでございます。
  85. 上原康助

    ○上原委員 極めてこれは不親切であり不誠実ですね。そういう態度はもうよしてもらいたい。鋭意努力するということは一生懸命やって結果を早く出すということでしょう、積極的にやるということは。二十年たってもちっとも出ないじゃないですか。  そこで、今そういう新たな構想とか米国の計画についてはわからぬということですが、マスコミ報道等によりますと、米国防総省でアジア・太平洋地域における米軍駐留削減計画というのがある。その計画の中で具体的に沖縄の第三海兵遠征軍いわゆるサードマリン、俗に第三海兵師団と言うのでしょうね、これを今世紀末までに大方撤退をする計画がなされておるという新たな計画が明るみに出ておると報道されております。さらに、人員とかそういうものだけではなくして沖縄の米軍基地を三分の一程度残す、六割ぐらいは縮小をしていきたい。縮小せざるを得なくなるのでしょうね。これだけあなた、エネミレスなんだから、何も第三海兵師団とかあれだけの基地機能をいつまでも存続させる必要性というものは非常に低い、薄くなってきている。こういうことについては、では外務省は全然知らないのですか。これは誤報なの。私がいろいろ米高官に書簡を出したりしてやったことについても、相当日米間で基地の整理縮小について協議がなされている、近々そろいうことについては日本国政府を通して明らかにされるであろうということを何名かの高官から受けております。そういう面と符合させますと、これは日本政府が知らないのか、知っていて言わな いのか。沖縄在日米軍基地、沖縄だけではなくして在日米軍基地の新たな戦略構想に基づく編成がえというか縮小計画というものが急ピッチで進んでいると見なければならない。どうなんですか、これは。
  86. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生が言及されましたのはけさの沖縄タイムスの記事かと存じます。「在沖米基地、三分の一に縮小へ」という記事でございます。私どもこれを昼初めて見ましたものですから、ちょっと事実関係についてとりあえず在京の米国大使館と連絡をとったのですけれども、これは全く事実無根であるというのが在京米国大使館のコメントでございました。それに先立ちまして、私どもがこういう方向で米国が動いているということについて知っておるかということでございますれば、それは全く私どもは承知しておりません。
  87. 上原康助

    ○上原委員 これまでも外務省というのは特にアメリカとは非常に何か親しいんですよね。もちろん外交だからどこの国とも一生懸命やっているでしょうがね。コミュニケーションはあるだろうが、だが、しばしばアメリカ側から先にこういう報道がなされて外務省は知らぬ存ぜぬでそんなことばありませんと言ったんだが、二、三週間あるいは二、三カ月後には必ずそれが具体的に当たらず遠からずのことになっているのが多いんだよ。今の段階でこれはわからないとか言うが、これだけ報道されますと関係者も非常に関心を持つ。同時にまたそれに対する対応もしていかなきゃいかぬ問題が出てくる。  これは私は決して単なるアドバルーンじゃなくして、さっきも言いましたように冷戦崩壊後のアジアにおける特に東アジア戦略構想が発表されて、それからますますデタントというのは進展をしている。そういうことを相関的に考えてみますと、今のような沖縄のあの米軍基地のあり方とか在日米軍基地、三沢にしてももちろんそれは横須賀と部分的にはフィリピンとの関係で若干は強化される面もあるかもしれません。それを肯定するしないは別としてあるかもしれませんが、全体的には縮小再編の方向に行くということは間違いないと思うんだよね。では、このことについて米国政府に確めますね、確めて報告しますね。
  88. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  この記事については米側にも照会いたしまして、結果は御報告申し上げたいと思います。
  89. 上原康助

    ○上原委員 きょうは時間ありませんから具体的な基地の名前を挙げてお尋ねすることはできませんが、ぜひこれははっきりさせていただきたいと存じます。  そこで、伊江長官にこれとの関連でお尋ねしますが、ようやく基地問題についても開発庁長官開発庁も少しぐらい従来よりは関心を持ちつつあるのかなという節々がある。これは結構なことだが、実際に本音でやっているかどうかは私は大変に疑問を持っている。正直申し上げてそういう疑問をまだ持っている。  そこで、基地の重圧インパクトというものが本当に沖縄振興開発計画とか県民生活あるいはいろいろな面で大変悪い影響を与えている。振興開発にも経済復興にも支障を来している。そうであるとするなら本気でこれはやってもらわないといけないと思うのですよ、正直申し上げて。那覇軍港の問題にしても皆さん見てくださいよ。この間も言ったように交通渋滞にしても、一方は自衛隊基地、一方は米軍基地で入ると同時に金網だけぎらぎらして道路も拡張できない、部分的には。あの空港ターミナルもあんな端っこに追いやられている。これもやはり自衛隊基地、那覇空港の飛行場の運用のしわ寄せからああいういびつな状態になっている。そのしわ寄せを全部県民におっかぶせる。私はその責任は政権政党であり、行政担当をしておった人々の責任が極めて重大だと思うのですよ、ああいうことは。だからそれに対する本当の感度が鈍いのだよ、開発庁にしても政府にしても行政を担当している諸君が。改めてこの基地の整理縮小、なかんずく那覇軍港の問題について伊江長官は、何か全面返還は私は要求しないのだ、部分返還だ、どうも部分返還の実態というのをお知りになってそうおっしゃるのかどうか、とりわけ那覇軍港の返還問題とかあの空港道路整備の問題とか渋滞解消をどうなさるのか、具体的にお示しください。
  90. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 ただいまのお言葉はちょっと解せない点がございますが、改めて私は申し上げておきます。一体本気なのかうそなのか、本気で取り組んでいるかどうかという御質問は私はいただけない。本気でなければこういう問題について御答弁申し上げないです、こういう公開の席上では。したがいまして、具体的にこういう地域についてはこういうふうな時期に返還してほしいということをこれからもどんどん申し上げていくつもりでおります。  それから今の空港のアクセスの問題は、確かに現実問題はこれは対応がおくれているということを申し上げても差し支えないと思います。これは私はおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、この前からの御提案がございましたようにこれについては積極的に今取り組んでおります。ですからそれは結果を見てください。そういうことで、その後で御批判を賜りたいと思います。  それからもう一つ沖縄の基地返還問題について全面的な返還は立場上とらないということを言っているけれども、腰が引けているんじゃないかという意味の御指摘でございました。しかし私は、これを繰り返してあるいはお怒りに触れるかもしれませんけれどもあえて私は申し上げますが、日本政府といたしましては、安保の機能維持という問題はこれは国政上重大問題であると私は思っております。したがって、そういう立場に私も閣僚の一員としては立っております。しかも国際情勢の問題と関連いたします。変化の多い国際情勢に対応するためには、一々その問題に個々具体的に瞬時に対応するということはできないような国際情勢の立場に日本はあると思うのです。したがって、安保の機能を維持しなければならぬという立場は日本政府としてこれからも維持しなければならない、そういう立場から全面的に基地を返せというふうなことは訴えてまいりません。しかし、個々具体的に今御指摘にありましたような点が発生します、あるいは発生するおそれがある場合には私どもは具体的に返還を求めていくこの姿勢は本当に本音で申し上げているわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  91. 上原康助

    ○上原委員 初めて何かえらい肩に力を入れて力んでいらっしゃるが、結果を見ましょう。そこまでおっしゃるぐらいなら結果を見せたらどうですか、伊江さん。
  92. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 そのうちに結果が出ると思います。
  93. 上原康助

    ○上原委員 全面返還は要求しない。私は全面返還要求せよと言ってないのですよ。ただ、安保機能を優先させるところに今日二十年たってもこれだけの問題が残っている。特に空港へのアクセスの問題等余りにもこれは情けない状態ですよ。何が観光立県か。そういう面は我々野党から余り指摘されないまでもやってみてなら、それはいろいろ本音でやっていらっしゃるのかなという気はするのですが、なかなか実態はそうなっていない。  私はやはり政策とか政治というのは、立場の違いも明らかにしながら、実態を見て指摘をして、それを競合しながら県民に還元をしていくということが大事だと思うのですよ。どうも最近の政治にしても官僚の皆さんにしても上から大衆を見くびる、見下すというような姿勢があり過ぎるのではないか。本当に真剣に大衆に奉仕をするという行政のあり方、政治というものが非常に疎んじられている。そこに僕は義憤を禁じ得ないのですよ、正直言って。そのことを申し上げておきたい。  そこで、時間ありませんからもう一点、これも基地の問題で聞いておきますが、PCBの汚染問題でこれまで何回か聞きました。外務大臣も防衛施設庁長官も予算の分科会その他で、必要に応じ ては基地内への立入調査をやる、こういうことをおっしゃってきたのですが、いまだにそれが実行されていない。この問題をどういうふうに具体的に解決を、処理をするのか。しかもこれだけいろいろ健康上も問題のある汚染物質に対して、何らの防護対策もしないまま基地内で働いている労働者に労働させているという実態もあるのです。これは大変な問題と言わざるを得ないのですが、この点についてなぜ労働基準局とか県とかが立入調査をやってこの問題の早期解決を図らないのか。これについて外務省、施設庁からお答えください。
  94. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  この環境問題、なかんずくPCBの問題でございますけれども、去る三月の五日に環境分科委員会というのを、これは日米合同委員会の補助機関でございますけれども開催して問題の検討を始めたわけでございます。その際、さらにいろいろの情報を交換する必要、相当詳細なデータ等々も米側からとる必要がありまして、それについてもう一遍この環境分科委員会を開いてさらに検討しようということが合意されております。それで、次の環境分科委員会については目下調整をしておりますけれども、なるべく早く今月中に開催をしてさらにきちんと対応したいと思っております。  それで立ち入りの問題でございますけれども、これはまさに日米の間での環境への対応を環境分科委員会で話し合いが進んでいる途中でございますので、その推移を見ながらさらに立ち入りの必要性を考えたいというのが現在の立場でございます。
  95. 上原康助

    ○上原委員 推移を見ながらといったって外務大臣も必要があれば立ち入りしますと言ったんだ、一々この会議録を引用しないまでも。きょうは四月の何日ですか。これが起きたのは二月段階なんだよ。推移を見ながらって、いつ分科委員会を開いて具体的にどうするの。立入調査について要求したの、しなかったの。何でそんなにまでアメリカに遠慮しなければいかぬのか。一事が万事、基地問題はそうなんだよ。だからにっちもさっちもいかないんです。
  96. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  日米間の話し合いの結果を見まして必要があれば立ち入りを考えるということで、その意味では大臣から申し上げましたのと何ら変わっておりませんし、なるべく急いで作業をやっているつもりでございます。
  97. 上原康助

    ○上原委員 我々はそれは必要があると見ているのです。必要があるかどうかは外務省だけの独断ではいかぬ。働いている皆さんも県もその必要性を認めて申し入れをしているんじゃないですか。何でそれを拒むのですか。施設庁はこれにどういう対応をしてきたの。
  98. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  この環境分科委員会というのは日本側から出席しておりますのは外務省だけではございませんで、分科委員会委員長は環境庁でございまして、その意味で外務省だけで必要ないというふうに判断しておるというようなことでは全くございません。必要がありますれば、その上で立ち入りについても考えたいということでございます。
  99. 板垣ただ雄

    ○板垣説明員 お答えいたします。  ただいま外務省の方からお答えしたとおりでございます。環境分科委員会審議の結果を見まして、事実確認の上必要性があれば立ち入りのことも検討するということと理解しております。
  100. 上原康助

    ○上原委員 もう時間が来ましたが、あなた方とやりとりしている方がばからしくなってしまうね。必要があると認めたらといったって我々は、地元は客観状況を、現実に処理されていない実態を見ても必要性があると見ているわけだ。何でそれをあなた方だけでそういうふうに言うのですか。外務省、きょう環境庁は呼んでないからこれは関係省庁協議をして、必要性があればじゃなくして速やかに基地の立入調査もやってこのPCB問題は解決しますね。
  101. 川島裕

    ○川島政府委員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、まずは次回の環境分科委員会の結果を見たいと思います。
  102. 上原康助

    ○上原委員 次回、いつ開くのか、それだけ明らかにしてもらいたい。それは早目に開いてもらいたい。
  103. 川島裕

    ○川島政府委員 具体的日取りはまだ決まっておりませんけれども、なるべく早く開きたいということで準備はしております。
  104. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  105. 井上一成

    井上委員長 小平忠正君。
  106. 小平忠正

    ○小平委員 去る三月に衆議院及び参議院におきまして沖縄振興開発特別措置法が可決成立し、実質的に三次振計の推進が今後十年間にわたって行われることになったのは沖縄県の発展のためにまことに喜ばしいことであります。  さて、一次振計、二次振計を通して三兆五千億円近い金額が振興開発のために投資され、その結果、沖縄の社会資本は総体的に着実に整備されてきたことは周知のとおりであります。この点は評価すべきだろうと考えております。しかしながら、この政府の投資が沖縄産業振興、特に二次産業にとって確たる成果を上げ得ていないことも否定できない事実であろうと考えます。一次、二次振計では基盤整備はかなり進んでいるとは思いますが、三次振計では格差是正するためにも自立的に発展していくためにも、沖縄の二次産業を積極的に推進していく方策がぜひ必要であろうと思うわけであります。今の段階では開発庁県案を待ってということだと思いますが、昨年五月には沖縄振興開発審議会の最終報告も出されております。その方向性も明らかになっているかの感もしますが、三次振計を推進する初代長官としての伊江長官にその基本方向性をこの際私からもぜひ質問したいと思います。聞かせてください。
  107. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 ただいま、沖縄の二次産業の発達がおくれているので三次振計を策定するに当たってはこの点について重点を置くべきではないか、そのための基本的な考え方を聞きたい、こういう御質問でございます。  沖縄産業構造が全国と比べまして二次産業、特に製造業の比重が極めて低くなっておりますことは御指摘のとおりでございます。また、沖縄の製造業は全般的に小規模零細企業が多うございまして経営基盤も大変脆弱でございます。それから技術の水準も決して高いとは言えないわけでございます。さらに本土から遠く離れているために県内だけでは市場規模も小さいということで、その振興には不利な条件がいろいろ重なっているわけでございます。沖縄経済の自立的な発展、県内の労働者の就業の場の確保のためには、産業特に製造業の振興が最も基本的な課題であるということは私どもも御指摘のとおりと認識しているわけでございます。  これまで糸満市など十一の市町村に工業開発地区の指定を行っております。それから、糸満工業団地、中城湾港新港地区に団地の造成を行いまして産業基盤の整備を逐次進めてまいってきたところでございます。さらに今回、従来の工業開発地区を工業等開発地区というふうに中身を改めまして、製造業のほかに製造業を支援する道路貨物運送業、倉庫業等四業種を税制上の優遇対象業種として追加いたしまして、製造業等の一層の振興を図ろうということにいたしたところでございます。  ただ、いずれにいたしましても製造業の振興に当たりましては、ただいま先生の御指摘のようにいわゆる基盤整備ということだけではございませんで、工業用地の計画的な供給などのハードの面も当然必要ではございますけれども産業構造が高度化してまいりますとそれに対応いたしました技術力の向上あるいは経営力の向上が必要になってまいります。それから、情報の蓄積、研究開発能力の充実というような産業活動をソフト面から支援する諸機能の集積を図っていくことが非常に重要になってくるのではないだろうかと考えているわけでございます。したがいまして、そういう面につきましては三次振計を策定いたします過程で県ともよく相談しながら検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
  108. 小平忠正

    ○小平委員 造酒総務局長の御答弁をお聞きしておりますと、本当にそのとおり進めてもらえばまことに申し分ないのですが、その実行方が大事なものですからぜひその点よろしく進めていただきたいと思います。  そこで、時間の関係もございますので、沖縄にはいろいろな問題等々がございますが、私は具体的に二点ばかり質問したいと思うのです。  それは、今申し上げましたようにこの二十年間で振興開発が積極的に推進されてきた結果、道路空港、港湾及び教育施設整備は全国水準あるいはそれを超えるものが出ているということも言えると思います。これらの事業は国の補助負担率が高く、沖縄の負担率がないもの、もしくは少ないものなどがそう言えると思います。ところが、国の補助負担率の低いものはその整備がなかなか進んでいないのが現状であると思います。  そういうところで、具体的な問題としては一つは小中学校のプールの設置傘、この整備は全般的におくれていると指摘せざるを得ないと思います。私の手元にある数値によりますと、例えば小中学校のプールの設置率は、平成元年現在の状況では小学校で沖縄全県の設置率は四五・一%、ちなみに全国平均では七九・一%、また中学校の場合は沖縄全県で三三・五%、全国で平均六八・五%。ということは、それぞれ本土沖縄格差は小学校で五七%ですか約半分強、中学校では四九%ということは半分弱、こうなっております。このような格差をこの三次振計でどう縮小されていくのか、これが一点。  それともう一点は社会教育施設としての公文書館の建設、これもいろいろと沖縄県民皆さんの声を聞きますとぜひ必要である、こういうふうに思うのですが、その対象となる文書は行政文書だけではなく中国関係の古文書、琉球政府の文書、さらには日米の外交文書等広範囲に及んでいる。特に復帰前の琉球政府文書は二十七年間に及ぶ米国統治という歴史を持つ沖縄の記録であって、我が国でも唯一の資料である、そう言えると思うのです。この資料だけで二十数万冊あると私は聞いておりますが、これらが整理され沖縄県民沖縄を研究する人々の閲覧に供されて初めてその価値が出てくる、こう思うのであります。開発庁も昨年から沖縄復帰関係資料集の編集作業を行っておるようですが、私はその趣旨は全く同様ではないかと思います。沖縄の貴重な文書の保存、閲覧の場がないということは残念なことであって、開発庁としても共通の事業として積極的に沖縄の公文書館の建設を推進してくれると思いますが、このことは県が主体に行う性格のことでありましょうけれども関係する開発庁としてどのように考えられて今後取り組んでいかれるのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  109. 水谷文彦

    水谷政府委員 ただいまのプールの整備率についてのお尋ねでございますけれども、確かにお示しございましたように義務教育の方のプールの整備率は大変落ちております。ちなみに高等学校の方は八五%ということでございますので全国平均よりかなり高いのですけれども、義務教育につきましては五割を切っているというような状況でございます。復帰の当初は一割にも満たない状況でございましたので精いっぱいやってまいりましたけれども、なおかつ五割を切っている。したがって、本土との比較で申し上げれば六割ぐらいの水準ではないかと思います。  それで、私ども文教施設の点で一番重要視しておりますことは過密地域における過大規模校の分離であり、いま一つは不良鉄筋校舎の改築でございますけれども、その二本柱と並んで、いわば三本柱の一つとしてこのプールの整備率というのは重視をしております。実を申しますと私が着任しましたときに三本柱の一つにプールが並んでおりましたもので、若干語弊がございますけれども奇異には感じたのですが、聞けば聞くほどこの問題は大変重要である、まさに三本柱の一つであるなということを感じておりまして、現在のところ、市町村等から上がってまいります計画についてはそのまま採択をさせていただいているような状況でございます。補助率も、私の記憶に間違いかなければたしか四分の三であったのではないかと思いますけれども、いずれにしましても大変重要なことでございますし、私どもとしましてもこの問題については積極的にかつ精いっぱい取り組ませていただきたいと考えております。
  110. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 ただいま琉球政府の公文書等の収集、保存ないし公文書館の設置につきましてのお尋ねがございました。  復帰関係の資料の収集、保存ということは大変重要なことだと考えておりまして、先生指摘のとおり、沖縄開発庁におきましても復帰当時の関係資料の収集に昨年度から取り組んでおるところでございます。沖縄県におきましても、県立の公文書館を設置いたしまして琉球政府の公文書等を収集、保存することを現在検討を行っておられると伺っております。平成四年度の県の予算に県立公文書館設置のための調査費を計上しておられると聞いておりますので、県の調査結果がまとまりました段階でよく御相談をさせていただきたい、このように考えているところでございます。
  111. 小平忠正

    ○小平委員 プールの場合は御指摘のように高等学校の場合は普及率も高い、確かにそうですが、小中学校、特に義務教育の上では大事な教育の一環でありますから、この充足方に向けてまた特段の御努力を要請するものであります。  それでは、次に北方四島問題に関してのことで質問をいたします。  いろいろと今まで質問もあったかと思いますが、ビザなし渡航の実施の問題なんですが、御承知のように今月二十二日ですか、北方四島からビザなし訪問の第一陣として四島の住民が道の招待を受けロシア船で根室の花咲港に入って二十七日まで滞在する、そういう計画案がまとまったというようなことも伺っております。これはロシア政府との公式な合意に基づくものなのか。さらには北海道の四島訪問団の第一陣が、こちら側から来月五月十一日から七日間の日程で訪問する、そういう計画案を外務省を通じてロシア政府に提出しているとのことですが、現在まだその回答は届いていないのでしょうか、その後どうなっているのか、それについてお伺いいたします。
  112. 津守滋

    ○津守政府委員 お答え申し上げます。  北方四島とのビザなし渡航につきましては昨年十月に当時のソ連との間で基本的な合意ができまして、その後、ソ連の解体といった先方の国内的な事情や季節的に冬に入るということで延び延びになっていたわけでございますが、先月コズィレフ・ロシア外務大臣が訪日した際に渡辺外務大臣との間で、四月に第一陣の四島側の住民を受け入れるという合意ができたわけでございます。この合意に従いまして四月十日、具体的な日取りが決定いたしました。御指摘のございましたように、まず第一陣は北方四島の側から今月二十二日から二十七日までの間、二十名の住民が訪日いたします。他方、日本側の第一陣は五月十一日から十七日までの間、旧四島島民等三十名、この三十名にさらに報道関係者が加わる予定でございますが、四島を訪問するということで先方と合意ができました。
  113. 小平忠正

    ○小平委員 これを皮切りにといいますか、今後こういう相互的な訪問が正式な返還までの間続いていくと思うのです。  そこでひとつお伺いしたいのですが、今のお話では、まず二十二日から二十七日まで二十名ですか北方四島の住民が来道をする、こちらから来月の十一日に三十名プラスマスコミ関係者ということですが、その場合は、我が国政府として二十名は北方四島の住民に限るということが前提だと思うのですね、条件でしょう。ところが、その中に例えばサハリンとかあるいはロシアの極東地域とかそういう方たちが入ってくる場合には、今後の問題も含めて、当然外国ですからいわゆる政府間の取り決めでビザが必要ですね。そういう形でこの中に入ってきた場合にはどういう形で今後チェックされるのでしょうか。またもう一点、今度は我が国から北方四島に行く場合には、今の第一陣では旧島民の三十名というふうに言われまし たけれども、例えばそれは旧島民でない道民とかあるいは内地府県から参加をするとか、その場合にはこれはどういうふうになってくるのでしょうか。外務省としての見解をお聞かせいただきたいと思います。
  114. 津守滋

    ○津守政府委員 お答えいたします。  このビザなし渡航、ビザ、旅券なしの渡航は、領土問題の解決を含む平和条約が締結されるまでの間の暫定的かつ特例的な措置として合意されたものでございまして、その目的は北方四島の住民との、ロシア人住民との相互理解を深める、これが大きな目的でございます。したがいまして、先方から訪日します者は北方四島の住民に限られる。これは身分証明書等で確認作業が行われることになっております。他方、日本側からの四島訪問が可能なグループは三つございまして、一つは御指摘のように旧四島の島民ないしそれに準ずる者、二番目は北方領土返還運動に携わっている者、三番目に報道関係者でかつ総務庁長官の承認を得た者ということになっております。したがいまして、第一のカテゴリーの北方四島の旧島民ないし準ずる者という点につきましては、これは身分証明書、戸籍等によって確認作業が行われるわけでございます。
  115. 小平忠正

    ○小平委員 おっしゃることはわかります。私がお聞きしたかったのは、当初の段階はそういう形でいくのですが、これが今後どういう形でさらに進展するか、広がるかわかりませんよね。その場合に言うならば不法入国のようなことにもつながる面があると思うので、そこは今後両国間の友好関係を阻害しないように取り組んでいくべきだと私も思いますのでちょっと指摘したわけでございます。  次に、昨年のソ連邦の崩壊以来、一連の要人の発言あるいは来日等いろいろとございました。少しく順を追って言いますと、例えばエリツィン・ロシア共和国大統領の昨年九月九日ですかの平和条約締結交渉を加速化させだというような海部首相への親書もあり、また十月十五日には中山外相とエリツィン大統領との会談もあった。またことしに入っては一月三十一日にニューヨークにおいて、宮澤総理とエリツィン大統領との会談でもそのような発言があったと伺っております。また、昨年九月九日にはハズブラートフ・ロシア共和国最高会議議長代行が海部首相との会談で、第二次大戦の戦勝国と敗戦国の区別ではなく、真の国際法上の平等、正義、平和による困難な問題の解決を考えていきたいという発言もある。さらには、「法と正義」の原則に基づいて我々は領土画定を含む平和条約締結問題の解決を引き続き共同で探求していく決意であるという内容の親書が、本年二月二十八日、エリツィン大統領から宮澤総理に送られてきている。  そこでこのような前向きな発言を総合しますと、日ソ国交回復以来三十五年にしてこの北方領土を解決するまさしく千載一遇の肝機が今あるわけです。そういう感を強く私も持つわけでありますけれども、御承知のように依然としてロシア国内にはこの領土返還に反対する保守勢力とか、北方四島を含めて極東地域の根強い返還反対の世論もある。そういうところで先般の圧口外相定期協議においても、コズィレフ外相は領土問題を解決する上で困難が存在すると指摘しているわけであります。したがって北方領土問題の解決にとっては、私も皆さんと同様にこれからはロシアの国民世論が一番重要な問題ではないかと思います。もちろんいろいろな防衛上の問題もありますけれども、世論が大事ではないかと思うのです。  そこで、先月、日ロ外相定期協議で合意された領土問題の共同資料集の作成は、前にも答弁されているようですけれども有意義であると私も思います。そこで合意の内容についてお伺いしますが、どのような資料を作成するのか、その配付方法、さらには部数とか、どんな地域にそれを配付するのか、そんなことを含めてお伺いをいたします。
  116. 津守滋

    ○津守政府委員 ただいま御指摘がございましたように、ロシア側国民に対する領土問題の理解を増進する目的から、先般の日ロ外相定期協議におきまして領土問題資料集を作成することが合意されたわけでございます。その中身、どういう文書を中に盛り込むか、あるいはどの程度の部数にし、どの地域にどういう割合で配分するかといった詳細につきましては現在ロシア側と詰めている最中でございます。いずれにしましても、九月中旬にエリツィン大統領が訪日した際にはこの資料集ができ上がっているよう、そういう日程で現在。鋭意作業を進めている次第でございます。
  117. 小平忠正

    ○小平委員 時間が来ましたので、岩崎長官、今答弁がありましたようにエリツィン大統領訪日を秋に控えております。今度は我が国としても同様に国内世論の盛り上げが非常に大事でありますし、所管の総務庁長官としてこの秋に向けて積極的に果敢に世論づくりのために努力してもらいたい、このことをお願いいたしまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  118. 井上一成

    井上委員長 玉城栄一君。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、四十分ぐらいですが、沖縄の問題を中心にお伺いをしたいと思います。  昭和四十七年五月十五日に沖縄が正式に本土復帰いたしまして、あれからことしはちょうど二十周年という大きな節目に当たるわけであります。私も十年東京におりましたけれども、二十周年ということで在京においても沖縄の問題について関心あるいはムードといいますか、これが非常に高まっております。今さっきの御質問にもありましたとおり北方四島の返還というものも機が熟しつつある。そのモデルとして沖縄が百万内外の国民を抱えた形で本土復帰したわけでありますし、一滴の血も流さずに沖縄を引き取ったと外務省は非常に自画自賛といいますか、それは確かにそういう形でありましたけれども沖縄は占領されて大変な血が流されたわけです。まあ引き取るときには確かにそういう形でされたということで、いわゆる北方四島の返還の問題についてのモデルケースとして非常に期待もされておるわけであります。  そういうことがありまして大臣に一言お伺いしておきたいのは、沖縄担当の大臣とされて、沖縄復帰二十周年という一つの大きな節目に当たりましてどういう感想をお持ちなのかお伺いいたします。
  120. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 沖縄県出身の者といたしましてまことに感無量なものがあるわけでございます。多少答弁が長くなるかもしれませんがお許しいただきまして申し上げるならば、我々の大先輩であります早稲田の総長をやっておられた大浜信泉先生という方がいらっしゃったわけです。この方が復帰が決まった時点で御発言なさったことが私の胸に非常に残っているのでありますが、こういうことをおっしゃっているのですね。もし沖縄がアメリカを唯一の施政権者とした信託統治に付されたとしたらば沖縄は永久にアメリカの信託統治下に置かれ、沖縄県民は永久に日本人になることはできなかったであろう、こういう感想を漏らされたことに私は胸をいたく打たれたわけであります。そういう意味のことを今日沖縄復帰いたしまして二十年の時点において心に痛むようによみがえってまいるということで大変に感激でございますし、また過日、沖縄の地元の新聞の方でアンケートをとられました節に、やはり復帰してよかった、こういうアンケートの結果が県民から寄せられたということでございまして大変にうれしく思っておりますので、これを機に、第三次の振興計画が始まりますが、今後十年間に大いに沖縄の振興のために施策を充実してまいりたいと思っておりますので、御指導のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。
  121. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで大臣に確認をしておきたいわけですが、この件は午前中の理事懇でも話題になりましたけれども、五月十五日にもちろん国は国としての式典をやります。また地元の県においては県主催の式典が行われます。コンベンションセンターですか、約二千名内外の人を御招待する。それにはいろいろな方々がいらっしゃるようで す。これはとにかく苦難の沖縄県民一人一人のそういう歴史というものを踏まえて、沖縄の今後の可能性についてといういろいろな意義づけをしながらいわゆる復帰式典を開催しよう。それに沖縄開発庁長官は御参加されるのかされないのか、その辺をちょっとお伺いしておきます。
  122. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 式典は政府主催の式典と、それから現地で沖縄県主催の式典がございます。政府主催の式典はアメリカ側のお客様もお呼びすることになっておるようでございますが、大体三百六、七十名の方に政府主催で復帰を喜んでいただく会が催される。そのほかに、これは元総理の竹下さんが主催される民間団体の沖縄の返還二十周年という会がございます。それから現地沖縄におきましては、沖縄県の主催で今先生がおっしゃいましたようにコンベンションホールで行われるようでございますが、そこへは私が総理の名代として参りまして、その式典で総理のメッセージを朗読いたす、こういう次第になっております。これは県内の各諸団体、また復帰に当たって御苦労なさった方々のお集まりであろうというふうに聞いております。  その後引き続いて、復元が概成成りました首里城正殿を中心にしまして、そこで幕あけと申しますかテープカットといいますかね、それをやって、そして県民の方々に参観をしていただく。もちろん県民の方々全部に見ていただきたいのはやまやまでございますけれども、まだ正殿が概成になっているだけで周囲がすっかり完成いたしてはおりませんのでわずかな人数でございましょうけれども、抽せんによって当せんされた方に御披露する、こういうことになっておるようであります。
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 御存じのとおり沖縄百二十三万の県民は、だれよりも伊江大臣がそういう式典に出席されることが非常に喜ばしい、そのように当然思っていることだと思いまして、今いみじくもおっしゃいましたとおり、沖縄県の出身であるというようなことからも大臣御自身ぜひ出席をしていただきたい。「平和の発信地・おきなわ・いま21世紀へ飛翔」というタイトルで沖縄県は全体として二十一世紀に向けてこれを一つの出発にしたい、そういう大変な意気込みでもあるわけですからぜひ大臣も出席されて、今お話しの首里城の正殿の会にも出席をされて、一つのけじめをつけて、出発への一つの節目ですからぜひ激励もやっていただきたい、このように思うわけであります。  そこで質問を変えますが、今度沖振法を改正しました。十年延長。これは先ほどから質問がありましたけれども、那覇軍港が返ってこないことにはこの問題はどうにもこうにもならないと私は思います。といいますのは、大臣自身が新しい富の創出はこれを軸にしてやるんだということを何回も委員会でおっしゃったのですけれども、その那覇港が返ってこないことにはみんな絵にかいたもちでどうにもこうにもならぬというのが今那覇のフリーゾーンについて言いますならば状況なんですね。だから沖縄開発庁としてじゃ具体的にどういうふうにするんだ、どういうふうに展開するんだ、先ほど那覇空港とのアクセスの問題もありましたけれども、それも含めまして御説明、御報告をいただきたいのですが、よろしくお願いします。
  124. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 今那覇軍港、それからそれと関連いたしまして自由貿易地域についてのお尋ねでございました。  自由貿易地域につきましては、先般御可決いただきました沖振法等の一部改正におきまして、国税それから地方税に関します優遇対象業種を従来の製造業からさらに道路貨物運送業、倉庫業など四業種を追加していただくことになりましたし、それからまた関税法の一部改正によりまして新たに導入されました総合保税地域制度、これを自由貿易地域に導入するための措置も設けていただいたところでございます。したがいましてこれらの措置を、自由貿易地域にお入りになる企業の方々はもちろんのことでございますが、県あるいは関係の市町村等で有効に活用していただきまして、自由貿易地域の今後の発展が図られることを私ども期待をしているわけでございます。県の方におきましても、自由貿易地域につきましては今後中城湾港新港地区への展開を御検討しておられると伺っておりますし、それからまた那覇軍港が今後返還されることになりますれば、沖縄県におきましてその部分につきましても自由貿易地域としての活用を検討しているというふうに伺っているわけでございます。  なお、その那覇軍港が返ってくるのかどうかというような点につきましては、大変恐縮でございますけれども、整理縮小の具体的なお話になりますと外務省あるいは防衛施設庁の方でないと的確なお答えができかねますので、私からはお答えを差し控えさせていただきたいと思っております。
  125. 小澤俊朗

    ○小澤説明員 那覇港湾施設につきましては、昭和四十九年に開催されました第十五回の安全保障協議委員会におきまして移設条件つきで全部返還が了承され、また地元からもその全部返還の要望が出されていることは先生御案内のとおりでございます。この件につきましては日米間で現在までいろいろな検討を行ってきておりますけれども、移設先の見込みが立たないというのが大きな問題でございます。現在のところ返還の見通しは立っておらない、こういう状況にございます。  那覇港湾施設自体は沖縄に駐留しております米国の陸海空軍、海兵隊のための補給物資等の積みおろしのために使用されておるわけでございまして、我が国の安全及び極東の平和と安全に寄与している在沖縄の米軍にとっては極めて重要な港湾施設でもあるわけでございます。政府といたしましては、この返還問題については引き続き米側と鋭意調整してまいる所存でございます。
  126. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、那覇港の問題は、先ほど県は中城湾という要望があるとかいろいろなことをおっしゃっていましたけれども、もうそんなこといいですから、現実の那覇港を具体的にどうするかという話を聞きたいわけです。今二・七ヘクタールで、現在もう全部つぶれかかっています、入居の二十七社ですね。生れはもう本当に赤字を抱えてどうにもこうにもならぬわけです。それを次の中城がどうのということを言ったって話にならぬわけですから、現実に那覇の自費をどう機能するように拡大するのか、そういう話を聞きたいわけです。ところがいつまでもそういう話は出てきませんので、まあそれはいいとして、また質問を変えます。  今ずっと沖縄は雨が降っていまして、モスクですね、モスクは沖縄の自立産業一つの柱ですから、そのモスク養殖が例の赤土がだあっと流れまして、今本当は活況を呈しているころなんですけれどもそれがもうだめな状態で、何とかしてくれというのが沖縄の水産業界の要望です。それについてどのようにお考えでしょうか。
  127. 水谷文彦

    水谷政府委員 赤土問題は、特に年度末に集中的な長期的な雨がございました関係でいろいろなところに被害が出ているようでございます。それで、この赤土問題につきましては全県的な取り組みが国も含めまして必要であるということで、私どもの方も公共事業の主体でございますから注意をしてやる、あるいは各省と連絡体制を整えるとか、さらに未解明の点が多いわけですから研究開発をするとか、いろいろやっております。そうした中で特に昨年九月には、今まで赤土が発生しましても実態が全くわからない状況でございましたので、現場から市町村、県、総合事務局、国でその監視のネットワークをつくりまして、事態が発生すれば大体その状況が把握できるようにということをやっております。したがって年度末の状況につきましても、私どもはその地元からの報告で大体把握をいたしております。  そうした中で特にその水産の問題につきましては、これは全体的な問題は水産庁にお願いしなければいけない問題でございますけれども、今まで研究開発というのは主として赤土の発生のメカニズムを勉強してまいりました。しかし、来年から は私ども調査費もそうですし、また水産庁の方では、一たん堆積した赤土を除去するということについて特別に試験海域を設けまして勉強をしていきたいということで新規に予算もとっていただいたようでございます。  こうしたことも含めまして、赤土も広がりも大きいし深みもある大変難しい問題でございますけれども、私どもとしましてもここ二年来くらい大変力を入れてやってきておりますが、重点的にやっていきたい。特に、面をいじります土地改良が問題になることが多いのでございますけれども、この点につきましては農水省の方でも基準を改定するとか大変努力をしていただきまして、かなり改善されてきているということは申し上げられるのではないかと思いますが、結果を見ますとなお残っているのが実態でございますので、これからも力を入れさせていただきたいと思っております。
  128. 玉城栄一

    ○玉城委員 水産庁の資料によりますと、いわゆる赤土が流出してくるもとは土地改良とかリゾート開発、米軍関係といろいろある。それが海にだあっと流れるからモスクが死滅するということで、実際にはそれに関係する漁民の方々の生活が非常にピンチに陥っているということですから、防衛施設庁の方はこの件でどういう対策をとっていらっしゃるのかお伺いします。
  129. 町原啓一

    ○町原説明員 御説明申し上げます。  先月末から降り続いた大雨の影響によりまして米軍施設から赤土が流出しているとの報道もあり、当庁といたしましては、直ちに職員を現場に急行させまして状況の把握に努めたところでございます。そのときの赤土流出の原因は、周辺に土地改良地区も多く存在する等、提供施設が主たる流出源であるとにわかに決めがたい状況でございました。  当庁といたしましても今後とも原因の把握に努めるとともに、提供施設が流出源となっておればその防止、軽減につきまして適切な措置を講ずる所存でございます。
  130. 玉城栄一

    ○玉城委員 適切な措置ということですが、防衛施設周辺の生活環境の整備に関する法律、こういう法律を持っていらっしゃいますから、それに基づいて皆さん方いろいろなことをやっていらっしゃいますね。米軍基地いわゆる防衛施設、そこが原因で赤土が流れてくる、そういう基地が沖縄県の場合はたくさんあるわけです。その赤土によって水産業の養殖モスクが死滅するわけです。そうするとその漁業関係者の生活は大きな影響を受けるわけですから、それについてどういうふうなことを考えていらっしゃるのかということを伺っているわけです。
  131. 町原啓一

    ○町原説明員 赤土流出源はともかくといたしまして、一般的に、漁船の操業制限水域の設定と防衛施設の設置または運用によりましてその周辺住民の方々の事業活動、この場合はモスク、漁業でございますが、この事業活動が阻害されると認められる場合におきましては、民生安定という観点からその障害の緩和に資するため、事業経営の安定に寄与する施設、例えば漁業用施設等の整備につきまして地方公共団体から御要望がございましたならば、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第八条に基づきまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  132. 玉城栄一

    ○玉城委員 今おっしゃいました八条に基づいて周辺地域住民の生活、いわゆる民生の安定のためにというお話で、それはそれでいいんですが、もう一つ三条には、そういう場合に地方公共団体が措置をした費用の一部あるいは全部について防衛施設庁は補助をしますよ、それは農業施設であるとか林業とか漁業用施設とかいろいろ書いてありますね。この三条に基づくそういうことを沖縄においてはやらないんですか、赤土はまさに私はこういうものだと思うんですけれども
  133. 町原啓一

    ○町原説明員 米軍の施設整備や演習行為によりまして周辺地域に赤土流出等の障害が発生した場合あるいは発生するおそれがある場合、先生おっしゃいました防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律のこれは第三条でございますが、この規定によりましてその防止、軽減について適切な措置を講ずることにしております。
  134. 玉城栄一

    ○玉城委員 八条では民生安定施設の助成ということで一般的なことをやる。また今のお話は、三条に基づいて地方公共団体のそういう申請があればそれもやる、こういうお話ですか。
  135. 町原啓一

    ○町原説明員 失礼いたしました。三条というのは障害防止事業でこれは当庁の直轄ということで、赤土流出等の防止工事を直轄でいろいろやっております。  それから先ほど申し上げました八条、これは民生安定助成事業ということでございまして、地方公共団体からの要望を踏まえまして採択をしておるという事案でございます。
  136. 玉城栄一

    ○玉城委員 どっちでもいいんですが、ずっと雨が続いていますから、そのことによる赤土の流出によってモスクは従来の収穫の三〇%しか収穫ができない、したがってそのために生活がピンチだという話ですから、それについては八条で一般的な民生安定の助成をやる、こういうことですね。
  137. 町原啓一

    ○町原説明員 赤土が直接ということではなくて、一般的に防衛施設の設置、運用によって障害が生じた場合の……(玉城委員「八条に基づいてやるということでしょう」と呼ぶ)はい、八条でやるということでございます。
  138. 玉城栄一

    ○玉城委員 もう一つは、これも防衛施設庁ですね。  沖縄に米軍用の貸し住宅というのがあるのです。これは大分前問題になりましたけれども、最近は問題にならないんですが、基地内の米軍用貸し住宅、今はどういう状況なのか。それから、基地の外にある貸し住宅のいわゆる電気、水道は今度特別協定によって我が国が負担することになっていますね。その状況はどうなのか。その辺をちょっと概略御説明いただきたいと思います。
  139. 戸田量弘

    ○戸田説明員 お答えいたします。  沖縄におきます米軍家族住宅建設の関係でございますけれども、これまで提供施設整備によりまして、昭和五十六年度から平成元年度までに三千二百七十五戸を整備してきたところでございます。これらにつきましての入居状況といったところでございますけれども、私どもの方におきまして家族住宅の入居状況について、年々の家族住宅の整備を行うに当たりましていろいろ米側に問い合わせでございます。米側の方からは、提供した家族住宅については十分活用しておるというような連絡を受けておるところでございます。  また、沖縄におきます家族住宅でございますけれども、まだ一部米側に引き渡してないものがございますが、おおむねすべて入居しておるという連絡をいただいております。  以上でございます。
  140. 大貫茂

    ○大貫説明員 光熱水料の件でございますが、施設区域外に居住する米軍人あるいは米軍属の使用する光熱水料等につきましては、平成四年度から特別協定に基づきまして日本側の負担の対象としているところでございます。その具体的な負担の対象、内容は基地内も基地外も同様でございまして、まず公益事業によって使用に供されているところの電気、ガス、水道及び下水道、その他暖房用等の燃料なともあわせて負担の対象ということになっております。
  141. 玉城栄一

    ○玉城委員 最初にお答えいただきました基地内の米軍の貸し住宅、基地内住宅は現在三千二百七十五戸あって、大体みんな使用状況は満杯。先ほど質問にありましたように米軍は総体的に縮小の方向ということですから、その住宅というものもあるいは縮小の方向なのかなという感じがします。縮小の方向だけれども住宅だけふやすということはちょっと矛盾しています。それが一つです。  それと同時に現在ある三千二百七十五戸は、やはり途中で古くなるものがあるんでしょうから建てかえというものは当然考えられますけれども、その辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  142. 戸田量弘

    ○戸田説明員 お答え申し上げます。  当庁といたしましては、沖縄における民間貸し住宅の空き家等の事情を踏まえまして、かねてから米側に対しましてはできる限り民間貸し住宅の使用について申し入れてきておるところでございます。このような状況から、米軍家族住宅につきましては平成二年度から三年度また本年度と住宅建設はこれを行わないようにしておるところでございます。  いずれにしましても家族住宅の整備につきましては、従来より年度ごとに米側の希望を聴取するとともに、民間貸し住宅の諸般の事情を勘案の上、我が国の自主的判断により措置しているところでございまして、今後ともこの方針により慎重に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  143. 玉城栄一

    ○玉城委員 米軍の基地の外の住宅の方々がもう非常に困ってそういう苦境を非常に訴えられていたわけですから、さっきお話のありました光熱、そういうものを基地外の貸し住宅の方々にも負担してあげるということになれば、アメリカさんは基地の中にいるよりは基地の外に出たいという希望が相当あるわけですから、やはり基地外の住宅の方々のあれはよくなるのかなという感じもするわけですが、わかりました。では、そういうことで質問を変えます。  もう一つは、南西航空という沖縄のローカル飛行会社がありますけれども、その南西航空がDHC6型機というのですか、この大路線を今度は小さい琉球コミューター航空ですかに委譲する。南北大東あるいは多良間とか波照間、粟国、そういう島々の小さい、赤字路線と言われていますけれども、それについては南西航空から離して琉球エアコミューターに委譲するということが新聞に報道されたために、その島々の方々は大変不安がっているわけです。果たして今の便数はちゃんと確保できるのか、あるいは安全性は大丈夫なのか等々、御存じのとおりああいう離島県ですからそういうものについては当然みんな不安があるわけですね。そういうことがありますので、それについて運輸省の方ちょっとお願いします。
  144. 杉山篤史

    ○杉山説明員 今御指摘がございました南西航空から琉球エアコミューターへの路線の委譲の件でございますが、私どもまだ具体的な内容を聞いている段階ではございませんので、今後運輸省といたしまして、両社から詳細な説明を受けまして検討してまいりたいと考えておるところでございます。  概略、南西航空から説明を受けたところによりますと、今先生指摘がございましたように、いわゆるツインオッター、DHC6という機材でございますが、このツインオッターが就航する路線はいずれも需要の規模が小さく、また十九席という小型機でございまして、こういったことで同社が経営する路線の中でも特に採算性が悪く、平成三年度で申し上げますと約十億円の赤字を計上しているということで、これらの路線を琉球エアコミューターへ移管いたしまして、かつ同社への所要の支援を行いつつ、業務運営の効率化を図りながら当該路線を維持していきたいという意向だと聞いております。  そこで、先生お話にございました運賃あるいは便数、安全性等の点でございます。これから私ども詳しい内容を聞きながら検討していくことになるわけでございますが、南西航空の説明によりますと、この路線の移管に伴いまして、便数の減少あるいは割引運賃も含めまして運賃の値上げを行うというようなことは考えていないということでもございますし、また安全性の面でございますが、路線移管後の運航、整備体制につきましても南西航空から所要の支援を行いまして十分な対応を行いたいということを申しております。  いずれにいたしましても、この問題につきましては私ども安全性の確保には万全を期しつつ、かつ利用者に対するサービスの低下につながらないよう十分留意しながら対処してまいりたいと考えている次第でございます。
  145. 玉城栄一

    ○玉城委員 安全性はこれはもうどういう事態でも第一条件ですから、安全性は大丈夫だ、航空運賃も上げるということをしない、あるいは便数とかそれはもう変わらないということですね。  南大東は御存じのように空港整備してYSにというこれらの経過があるわけですが、このいわゆる琉球エアコミューターはYSというのを運航できるわけですか。南西航空がYSというのをやっているわけですが、それより小さいですね。そこがまたYSを同時にやるということで理解していいですか。
  146. 杉山篤史

    ○杉山説明員 お話にございましたように、今南大東島は滑走路の延長をやっているわけでございます。これは将来の話になるわけでございますので、現在の段階でなかなか明確なお答えをすることはできないわけでございますが、南西航空から話を聞いたところによりますと、将来、空港整備によりまして機材の大型化が可能となった場合における措置につきましては今後よく検討したいということでございますが、南西航空としては利用者の御要望にこたえるべく対処する意向であるということを聞いております。
  147. 玉城栄一

    ○玉城委員 今の離島航空路の問題でもう一点、赤字に対する補てん措置というものも考えていただく。復帰二十周年ということもありますし、離島航路は県が二五%、国が七五%という助成をしておりますね。運輸省の方、しておりますね。そういうシステムを航空路についても導入できないかどうか。いかがでしょうか。
  148. 杉山篤史

    ○杉山説明員 離島航空路の問題につきましては、かねてから、離島住民にとりまして航空輸送役割とか、それから我が国における高速交通体系の整備必要性などにかんがみまして、その維持に積極的に取り組んでいく必要があるということは私ども考えておる次第でございます。このような考えから、国におきましては従来からいわゆる航空路線につきましては、着陸料それから航行援助施設利用料の軽減措置を講じております。また地方公共団体におきましては、固定資産税の軽減措置あるいは欠損補助等のさまざまな助成が行われているところでございます。離島航空企業におきましても、これらの助成を受け、合理化等の経営努力によりまして離島路線の維持に努めている状況にあるわけでございます。  今後とも、この国、地方公共団体それから航空企業のそれぞれが離島路線の維持のため適正な役割を果たし、国としては高速交通体系の整備あるいは離島住民の生活の足の確保の観点から、今後とも離島路線の維持を図るために、事業者の自主努力基本とした適切な施策の実施に努めてまいりたいというぐあいでございます。
  149. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間もありませんので、最後にちょっと尖閣列島で。  この間、たしか九日だったと思いますけれども威嚇射撃の事件がありまして、海上保安庁がその件を調べている。そういうことが去年の三月時点でしたでしょうか、あれから尖閣列島海域周辺で十二件から十三件ずっと続いているのです。これは沖縄関係だけではありません。あの辺を漁場として操業している山口県とか九州とかいろいろな漁船の関係者がおりますけれども、非常に不安がっています。海上保安庁の方、その九日の威嚇射撃事件について、どういうことであったのかちょっとお伺いします。
  150. 陶山高志

    ○陶山説明員 事件の概要でございますが、平成四年四月九日午後三時二十分ごろ、宮古島の北西約三百キロの東シナ海の公海上におきまして操業中の山口県の漁船第五良兼丸が国籍不明船から接舷されそうになりましたが、接舷されないように操船したところ、当該国籍不明船は約十分後東側に去っています。第五良兼丸の人命、船体には異常はありません。  また、同日午後五時ごろ、第五良栄丸事件の海域から東へ約三十キロの公海上におきまして、付近航行中のパナマ船籍の貨物船ルナ号が二隻の国籍不明船から威嚇射撃を受けまして臨検を受けましたが、同船の船体、人命にも異常は発生しておりません。
  151. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がございませんので、異常がなかったということは幸いなことなんですけれど も、そういうことによって漁業に従事していらっしゃる関係漁民の方は非常に不安があるわけです。これはどこですか、外務省ですか海上保安庁でしょうか、あるいは水産庁かな。行政機関は沖縄開発庁ですから開発庁でもよろしいですが、そういう不安がないようにするためどういうことをされておるのかお伺いいたします。
  152. 陶山高志

    ○陶山説明員 海上保安庁は、事件発生後直ちに航行警報等によりまして付近出漁漁船、関係漁業協同組合等に注意喚起を行うとともに、事件発生海域に大型巡視船を派遣しましてパトロールを実施しています。これによりまして同種事件の再発の防止及び我が国船舶の安全の確保に努めているところであります。また、外務省に対しましては事件の概要を速報しまして、調査及び関連情報の収集をお願いしています。  海上保安庁としましては、今後とも関係省庁と緊密に連絡を保ちながらこの種事件の再発防止に努めてまいりたいと思っております。
  153. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  154. 井上一成

    井上委員長 古堅実吉君。
  155. 古堅実吉

    ○古堅委員 八重山の戦争マラリア犠牲者国家補償問題、沖縄厚生年金格差是正問題、国指定重要無形文化財に係る沖縄での国立組踊劇場建設問題、この三つの問題については沖縄側の切実な要望でありますし、関係者からの数多い要請書はもちろんのことながら、県からも国への正式の要請、そういうものが続いております。伊江長官はこれらの重要な三つの問題について、どうしても解決しなければならない、解決してあげなければならない、そういう立場で受けとめておられるかどうか、この点について簡潔にお伺いしておきたい。
  156. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 これは前の委員会でも私の意見、今後の方針について申し上げたところでございますが、御高承のとおりこの二つの問題は、現行法にはなじまない、かといってそれをほったらかすわけにもいかないだろう、やはり政治的領域に入る問題だなという総理の御答弁がございました。したがいまして、政治的にこれを解決するとか解決の方向にいこうじゃないかということの意味ではなくて、やはり現実の実定法上の対象にならないものをそのままほったらかすわけにはいかない、そういうことで政治的配慮の領域に入れましょうということでございますので、引き続き、現地の沖縄県と関係省庁との間に対策の問題を含めての意見交換をやっていく場をつくっていこうじゃないかということでございますので、その状況を見守ってまいりたいということで、今日ただいま解決の方向で考えているとか、いや解決しない方向で考えているとかということを今まだ申し上げる段階ではございませんけれども、そういうふうな状態でございます。
  157. 古堅実吉

    ○古堅委員 まだ煮詰まってないようですが、それではきょうは二十五分というわずかな時間でありますので、戦争マラリア問題と国立組踊劇場問題、先ほど仲村委員から久米島の県立病院についての御質問がございましたので、最後に時間がございましたらその件についても一言お伺いしたいというふうに思います。  去る二月の二十五日ですか二十六日ですか、沖縄開発庁、厚生省、内閣官房によって発足した沖縄県八重山地域におけるマラリア問題連絡会議、この政策目的にかかわって念を押してお聞きしておきたいと思うのです。  その「目的」のところによりますと、「八重山地域のマラリア問題について、情報の連絡、意見の交換等を行うことを目的とする。」というふうになっております。単に情報の連絡、意見の交換というものをするだけのことなのか、マラリア問題を解決するために進んで調査や検討はしないのか、何のためにそれを設置したのかということが問われる。そういう面で、調査検討なども進めて必要な対処をしていくというふうなことはこの連絡会議には任務として負わしてない、そこはやりませんというふうなことなのか、そこまでも発展していきますというふうなことなのか、そこらあたりをお聞きしておきたい。
  158. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 ただいま、先般、厚生省あるいは総理府と御相談を申し上げまして設けることにいたしました沖縄県八重山地域におけるマラリア問題連絡会議につきましてのお尋ねでございます。  この連絡会議調査等を行うことを考えているのかどうかという御趣旨でございますが、確かに八重山地域のマラリア問題につきましては、戦後四十数年が経過しておりまして、沖縄県がこれまで二回にわたって調査を行っておりますが、まだまだ当時の状況あるいは遺族の実態が明らかになっていないというのが実情であろうと思っております。ただ、この連絡会議として調査を行うということは考えていないわけでございますが、沖縄県が今後さらに調査を行うという意向をお持ちであると聞いておりますので、沖縄県の調査結果が出ますならば、大変難しい問題ではございますけれども関係省庁連絡会議でその結果を踏まえての意見交換などを行ってまいりたい、このように考えているところでございます。
  159. 古堅実吉

    ○古堅委員 それじゃ重ねてお聞きしますが、調査をするということまでは考えていないのだが、積極的にその内容を明らかにし、国として対処すべき点について検討していく、そういうところまで発展させられる連絡会議ですか。
  160. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 先般第一回目の連絡会議を開きまして、関係省庁の間で今後どのようにこの連絡会議を進めていくかということを御相談申し上げたわけでございますが、何分非常に難しい問題でございまして、当面、それぞれの省庁におきましてこの問題について今までどのように対処してきたのかということについてもう一回お互いに理解を深めていこうではないか、それからまた国会でもいろいろ御議論がございましたので、これまでの国会におきます御論議につきましてそのポイントを整理していこうではないか、そして三番目に、沖縄県の方からこれまでの調査の結果等につきまして説明をしたい、こういうお申し出がございますならばそれについてもそういう機会をつくろうではないか、こういうような御意見が出まして、当面そういう形で運営をしていこうというふうに考えているところでございます。
  161. 古堅実吉

    ○古堅委員 それじゃもう少し突っ込んで具体的にお聞きしましょう。  去る三月三十一日、大田昌秀沖縄県知事名による戦争マラリア問題についての要請書が政府に提出されました。それは、「沖縄戦中、八重山地域においてマラリア有病地への退去により犠牲となった者の遺族に対し、早急に戦傷病者戦没者遺族等援護法、又はそれに準ずる措置を講ずること。」を求めております。この要請についてはどこで責任を持って検討し、どこで必要な対処が行われますか。
  162. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用について要請をしている部分につきましては、これはその法律の所管をいたしておりますのは厚生省でございますので、厚生省の方で対応されるであろう、このように理解をいたしております。  なお、その要請書の中には必ずしも戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用だけではない部分も含まれておりまして、そこになりますといわゆる所管がはっきりしないわけでございます。従来からそういうことで窓口がはっきりしていないという御指摘がございまして、その御批判にこたえるという意味もございましてこの連絡会議で意見交換などをやっていこう、こういうことにいたした次第でございます。
  163. 古堅実吉

    ○古堅委員 要するに、沖縄県知事名による要請にこたえていろいろと内容も明らかにする、検討も加えるというふうなことはこの連絡会議の中でもやりますということを今おっしゃっておられるのですか。
  164. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 先ほどお答えを申し上げておりますように、この連絡会議におきまして特段調査等を行うことは考えておりません。ただ、沖縄県の方でこれまでの調査で不十分な点につきましてさらに調査をしたいという御意向をお持ちでご ざいますので、沖縄県の今後の調査結果が出ますならばその結果を踏まえてさらに意見交換をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  165. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間もなくなりますし、何か同じやりとりばかりしている感じがしますから前へ進みます。  この要請書に添付された資料と申し上げていいかと思うのですが、「戦時中の八重山地域におけるマラリヤ犠牲の実態」という報告書が出され、長官もお読みだと思いますので、それを前提にしまして長官の御所見を具体的にお伺いしておきたいというふうに思います。  沖縄戦の最中、八重山の住民が軍の命令によってマラリアの有病地に、避難とかなんとか言っておりますが強制的な移動をさせられた。この有病地に移動していくことがどういう意味合いを持つか、戦前からマラリア有病地については地元の人々はよくわかっていますし、マラリアという病気がどのような恐ろしいものであるかということをよく承知の皆さんであるだけに、そこへの強制移動というものが何を意味するかよくわかっておりました。ですからみずから進んで行くはずはない。軍の強制的な命令によって移動させられ、マラリアに罹患し多くの犠牲が出ました。  資料によりますとその数字は、石垣町で総人口一万三千五百三十一人中罹患者が五千百三十人、そのうちの死亡者が千三百八十八人。大浜村で総人口五千五百十九人、罹患者が四千九百三十人、死亡者が千百八人。波照間島で総人口千五百十一人、罹患者が千三百九十六人、死亡者が四百八十八人というふうになっています。この波照間島の方が一番惨たんたる典型的なものになっておりますが、実にその当時の総人口の三分の一がマラリアに罹患して亡くなった、そういうことが起きたのであります。  この深刻な犠牲というのは、ただ単に沖縄で戦がありました、たくさんの人が亡くなりましたというふうな問題ではございません。軍の戦闘作戦を遂行するためにその軍の命令によって有病地に移動させられ、そのことによって罹患し死亡していったとする経緯がございます。提出されておりますこの報告書をごらんいただいて、そこらあたりの因果関係については長官としてお認めになられますか。長官からお聞きしたい。
  166. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 その因果関係というもの自体が今問われているのではなくて、これを有償の補償をするためには現行法、つまり実定法上の措置としては、軍との雇用関係もしくはこれに準ずるものというのが補償の対象になるとかならぬとかいうふうな議論である。したがって、軍の強制命令というふうなことがこの問題に適用できないというところにこの問題の難しさがあるんだ、こういうことでございます。これはもう先生御高承のとおり。したがいまして、その因果関係を認めるか認めないかという問題は、それがイコール有償につながるかどうかという問題とは別問題だろうと私は思うのでございます。  しかしながら、日本で地上戦が行われた唯一の地域でありますだけに、今のようなあるいは軍の強制によって移動して亡くなられた方もいらっしゃいますでしょう。あるいは今先生指摘のマラリアの問題もございますでしょう。そういういろいろな軍作戦上の関係から、あるいはごうに退避を命ぜられてそのごうに直撃弾が落ちて、その命令がなかりせばそこに移動しなかったであろうというふうなこともございましょうし、したがって、そういうふうなことでございますためにこれは現行法にはなじまない。しかし、地上戦が行われた沖縄においては大変な犠牲であったという認識はいたします。  そういうことで、その事実関係調査というのがまだまだ足りない点があるのかないのか、あるいは軍の雇用関係があった人たちもそれに含まれていたのかどうか、そういった実態把握がまだまだ足りない点があるのではなかろうかということがございますので、そういう見落としをしてもいけませんし判断を誤ってもいけませんので、まず事実関係について県になお一層の調査をお願いしましょう、その調査の結果を持ち寄って検討してまいりましょう、これが今の姿でございます。したがって、御質問ございましたように因果関係を認めるのか認めないのかということによってこの補償関係の有無が出るという性質のものじゃないんだということだけはひとつ先生御認識いただきたいと思うのでございます。
  167. 古堅実吉

    ○古堅委員 質問に素直にお答えいただきたいというふうに思っていたのですが、そうでないところを多く御説明いただきました。軍の強制命令によってマラリア有病地に移動させられたということは、言葉をかえて言いますと軍の作戦行動によってその軍の命令が起きた、その戦闘作戦行動に強制的に協力させられた、協力した、そういうことなんですよ。そのことによって有病地に、この波照間島について言えば一人の住民も残さずに千五百人余りが全部移動させられた。そこにおったところの家畜も全部屠殺してしまった。本当の無人島にした。そういうことが軍の命令なしに起きるはずはない。みずから進んで危ないから向こうに逃げようなどというような形で行ったという状況でなかったことは、出されております資料上も実に明白です。そういう軍の作戦計画に基づいてなされたこと、それに従ってやったということは戦地におけるところの車への協力そのものですよ。これ以上の協力がありますか。命をかけて協力したという内容になっておるのです。その結果惨たんたるそういうことが起きたんです。その因果関係をしっかり認めるということを抜きにしてこの問題についての解決の道がありますか。もう一度、一言でよろしいのです。
  168. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 ですから同じことをお答え申し上げますけれども、そういう因果関係として認める、つまりそれはイコール強制に従うということは協力した、したがってそこには雇用関係に準ずるものがあったんだというふうにならないところに問題があるのでございまして、私は専門的なことはよくわかりませんけれども、現実問題としての調査がまだ残っているように聞いておりますので、県の調査を待ち、そして関係省庁間における検討会にこの問題を投げかけていく、この状態を続けてまいろう、こういうことでございますので……。
  169. 古堅実吉

    ○古堅委員 それじゃその問題について、時間もありませんので最後のことだけお聞きしておきたいのですが、今言ったような状況のもとでああいうふうな惨たんたる状況が起きた、それについての軍の責任、国側の責任というものがあったということは認められますか。
  170. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 軍の命令によったものであるから軍の責任あるいは国の責任があったことを認めるか、こういう御趣旨であろうかと思いますが、確かに沖縄県の調査資料によりますれば、軍令によって強制的に退去させられたものであるという記述が見受けられるわけでございますが、県がどのような具体的な根拠に基づきましてそのような調査結果をまとめたのかということにつきましては私ども詳細はまだ県から伺っておりませんので、現段階ではただいまの御質問の点についてはお答えをいたしかねる次第でございます。
  171. 古堅実吉

    ○古堅委員 そういうことであれば、それ以上幾ら時間をかけてお聞きしてもここでは質問にかみ合った返事が出てこないことは明らかなわけです。早目に検討されて、県も責任ある公的な機関から知事名で政府への要請も出している、こういう段階まで来ていますから、ぜひ要望にこたえられるような方向に積極的に検討もされ、対処も要望にこたえられるような方向で前進させていただきたい。強く要望申し上げておきたいと思います。  大急ぎで国指定重要無形文化財、組踊にかかわる問題です。国立組踊劇場を沖縄につくってほしい、その要望が出されて久しい。しかしなかなか思うようにいっておりません。私は、昨年もこの問題について本委員会において谷長官に質問いたしました。私は、この問題は与党、野党の問題ではない、保守革新の問題ではない、地元における 芸能人だけの問題ではないぞ、沖縄そのものの宝にかかわる問題だ、そういう立場から積極的な対応をお願い申し上げました。そして谷長官はこういうことをおっしゃいました。「私が長官に就任しまして最初に自民党の沖縄選出の方々がおっしゃったのが組踊の問題でございましたので、確かに皆さん方全員がその熱い郷土芸能に対する熱意を込めていらっしゃるということはよくわかるわけでございます。」というふうに言われました。この沖縄選出の自民党の皆さんというふうにおっしゃったその方々には、沖縄出身でいらっしゃる伊江長官も含まれているというふうに伊江長官御自身はお考えですか。
  172. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 私も先生がおっしゃったことと同様に、沖縄の文化の優秀さ、そしてこの保存の必要性というものを求めることは人後に落ちないつもりでございます。ですから、今の沖縄の自民党の国会議員の中に私が入っている、入っていないは別問題といたしまして、永久に保存すべき立派な伝統のある文化である、しかも、本土の能に匹敵するような貴重な無形文化財であるということについての認識は持っております。  しかし、芸能の世界のことでございますために組踊だけを保存する劇場をつくるべきなのか、あるいはまた、今散逸いたしました沖縄の有形文化財が全国のあちらこちら、しかも外国にも行っているという、これを収集しなければならぬ、そのために博物館が欲しいという要望の強いことも私は伺っておりますので、どちらが先かという問題よりも、そういうふうな機運でもってやるという今日の沖縄の状態はまさに好ましい、つまり、静かな落ちついた沖縄になってきたな、平和な沖縄になってきたなという感想でございますので、具体的に劇場をつくる、つくらぬの問題はもうちょっとやはり皆さんの御意見も承りながら取り組むべき問題だと思っております。
  173. 古堅実吉

    ○古堅委員 まだ十分結論が出てないように思いますが、沖縄出身であられる長官に対してそれ以上申し上げてもかえって失礼だと思いますので申し上げませんが、切実な要望であることは、戦前戦後を通じて芸能界などで大きな役割を果たしてきた大先輩の皆さんからずっと長い戦後の願いです。これが重要無形文化財に指定されてからもう二十年たちました。どんどん先輩方が他界されていきます。そういう地元の方々を泣かしてはならぬ、寂しい思いをさせてはいかぬということも受けとめていらっしゃると思います。ぜひそういう要望にこたえられるように、いずれが先になるかは別問題として、そういう方向だけは長官としても努力をし、切り開いていきたいというお気持ちは、あられるかどうか。
  174. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 まさしくそのとおりだと思います。
  175. 古堅実吉

    ○古堅委員 もう時間が参りましたので、最後に一言。  先ほど仲村議員から久米島の県立病院について質問がございました。私も昨年十月にこの委員会でそのことについて質問をいたしました。せんだって久米島に用があって参りました。久米島で県立病院をぜひつくってほしいといういろんな要請行動その他がなされた、そういう経緯がありますだけに、大変切実に強いものがあるなということを改めて感じました。一万一千人を抱えるあの両村に公的な診療機関が何一つなくて、救急患者などああいうふうな大変な事態が続いているわけですから、その問題を解決しなくてはいけません。県としても検討がだんだん進んでいるようです。県の意向も受けながら開発庁としても、この問題について積極的に県の要望にこたえられるような方向で対処されるという御意向はございますか。長官からもぜひ一言。
  176. 水谷文彦

    水谷政府委員 久米島の病院問題、御指摘ございましたように現在県では検討会を設けましていろいろ検討されているようでございます。ポイントは、病院というハードをつくることもさることながら中の機能をどういうように運営していくかという、むしろ運営問題をいろいろ御検討されているように伺っております。しかし、いずれにしましても県としてそういう方向で結論が出まして私どもに参りました場合には、おっしゃいました趣旨を体しまして十分前向きに検討させていただきたいと考えております。
  177. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 県の要望をよく踏まえて、何しろ人命にかかわる問題でございますから慎重に対処したいと思います。
  178. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  179. 井上一成

    井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十八分散