○関山
委員 きょう私は、環日本海時代、最近脚光を浴びて、大変マスコミやあるいはさまざまな学者の間でも新しいこの経済圏の構想をめぐって御
議論が活発なわけでありますけれ
ども、既に環日本海時代は
議論の段階を終わったようでありまして、この
地域の新しい経済の発展の可能性は一挙に現実性を帯びてきた、こういう
状況に入ってきたのだろうと思います。ちなみに、先般私
どもの
地元の新聞がことしの各省庁の環日本海圏に関するさまざまな事業の取りまとめをやっておりますが、その
関係するところは十二省庁、この記事の中で取り扱われているだけでも二十数事業ということになっておるわけでございまして、まさにある一つの時代を迎えたかなという
感じがいたします。
私、きょうはこの環日本海時代を迎えての
運輸省の環日本海圏に向けた
政策について主としてお伺いをいたしていくつもりでございますけれ
ども、少し最初に能書きを申し上げさせていただきますと、環日本海という言葉が使われ始めたのは、私
どもの経験ではかなり古い、
昭和四十年代あたりからそういう言葉あるいはそういう構想のようなものの萌芽的な
議論は始まっているわけです。しかし、御承知のとおりさまざまな政治的な制約があって、この問題は絶えず夢として語られてきたわけでありますけれ
ども、御承知のとおり八九年の米ソの和解、冷戦構造の崩壊に伴って申し上げたような事態の展開が進んでいるのだろうと思います。
冷戦構造の終結は、同時に経済の構造変化をもたらしておるわけでございまして、グローバリゼーション、ボーダーレスの時代と言われてさまざまな動きが出てきておるわけでございますけれ
ども、実は私、冒頭大臣に、環日本海時代における日本海側の諸
地域、つまり、従来は裏日本と言われていささか、何といいましょうか、ある種の侮べつ感をその言葉の中に
感じながらさまざまな政治の課題に取り組んできた、私も新潟でございますし大臣も石川県でございますが、その
地域の位置づけをどのように押さえていくのかということについて、実は基本的な御認識を承っておきたいわけでございます。
それがどういう
意味がと申しますと、申し上げましたような新しい
状況の中での経済の流れというのは、アメリカ、ヨーロッパ、アジアという三極構造、そしてその中での新しい国家間のブロック化の流れにも通じかねないさまざまな動きや構想があることは御承知のとおりでありまして、既にECは経済統合から政治統合へ進もうとしているわけですし、一方、アジアにおきましてもEAEG、マハティール構想といったようなものがございますし、また、そこを切ってはならじというのでNAFTA、北米自由貿易連合といったようなものも具体的に
議論をされているような
状況にあるわけでございます。
もちろん、こういう
地域経済圏というのは、そういう国民経済というものが成立している以上、そういう国家間の
関係というものを抜きにして成立することはないわけでありますけれ
ども、しかし、今私
どもの周辺で起きておりますのは、そういうナショナルな枠組みを超えて一つの
地域がさまざまな経済圏を構想し始めている。
ちなみに、ざっと私
どもが承知をしているだけでも、アジアにおいては、これは大臣も御承知のとおりでありますが、華南経済圏、香港と広州、あるいは海峡経済圏、台湾と福建省、あるいは上海経済圏、それから黄海経済圏、あるいは中ソの間の国境経済圏、北海道と北方領土を含むあちらの方の
関係は北方経済圏といったようなのがございまして、その中に環日本海圏というものが大きく位置づけられているのだろうというふうに思うわけでございます。
申し上げたいことは、一つは、やはりそういう国境を越えた新しい経済圏の流れというものが一つある。そういう全体の枠組みからすれば、やはり日本は細長い列島でございまして、一つの国家的な枠組みの中でこういう経済圏と対応していくことになるのでありましょうけれ
ども、しかし私は、その中になお、日本海経済圏と言った場合に、環日本海と言った場合に、最初に申し上げましたような日本海に面する沿岸諸県、諸
地域、これが我々がさまざまなこれから
政策的な展開あるいは外交的な折衝をする場合に、国内における位置づけとしてはそこをやはりベースにするということをぴちっとさせておいてほしいというふうに思うわけです。
それは、申し上げるまでもなく、四全総も既に御承知のとおり多極分散ということを唱えておるわけでありますし、四全総に基づく
運輸省の
政策展開もそういうものを意識しながら進められていることは私も一通りも二通りも承知をしているつもりでございますけれ
ども、いわば国内的な課題にも積極的にこたえていくという
意味での環日本海時代における日本海側諸
地域の位置づけというものをまず基本にしっかりさせておきたいという思いがございまして、冒頭、大臣の御見解を賜っておきたい、かように存ずる次第でございます。