○
金子(史)
政府委員 御
指摘のようにその七十条の今回の
改正、これは船舶所有者の裁量に任せるのは問題ではないかということでございます。
まずその前提といたしまして、
改正が必要になった
理由といいますか趣旨でございますけれ
ども、私
どもだけの説明ではなんでございますので、
先生これはお持ちだと思いますけれ
ども、これは全日海が内航船に対する援言というのを取りまとめていただいて大変示唆に富む中身になっておりますけれ
ども、この中で七十条の
改正の趣旨について四点ほど
理由を挙げております。
一つは、「国際条約で人数の規定がなくなったこと。」これは先ほど申し上げましたようにILOの条約でもって、一九三六年条約で六人という
数字が入っておったわけでございますけれ
ども、これが国際条約で今は消えているわけでございます。そういったことが
一つ。
それから二点目に挙げておりますのは、「航行機器の近代化により、甲板部員六人を画一的に規定することが必ずしも
実態にそぐわないこと。」ということで、航行機器の近代化とか効率化によってそういった画一的に六人と定めるというようなことは
実態に合わなくなってきている、こういったことを一点目の
理由に挙げております。
それから三点目の
理由は、有資格者、これは船舶職員、海技従事者でございますけれ
ども、この「有資格者によって、船舶職員法の法定外職員として二等・三等航海士を配乗しても、現行法では」甲板部員「六人の配乗義務は緩和されないこと。」これはどういうことかと申しますと、部員のかわりに資格を持った職員を乗せてもこの六人という規定は緩和されない、要するに勘弁してもらえないということで、今
実態はだんだん部員が減ってきて職員化をどんどんしている、職員の方の割合がふえてきている、こういう
実態でございますので、どうしても船の場合、部員のかわりに職員を乗せるということも多いわけでございますけれ
ども、その場合は部員として乗せなくてはいけない、職員の資格をおいておいてわざわざランクを下げて部員として乗せなければいけない、こういう矛盾があるわけでございます。
それから四点目に挙げておりますのは、「
船員法上の雇入れ公認では、実際に機関部や司厨部の
仕事をする場合でも、甲板部員で雇入れされているケースも見受けられること。」ということで、この甲板部員六人という規定がありますために機関部の人を雇うのでも司厨部の
仕事を実際にするのでも、一応雇い入れの公認といいますかそういう手続は甲板部員として形式上は雇い入れる。要するに
実態とかなり乖離している。これは全日海の御
指摘のとおりだと思いますけれ
ども、そういうような
理由があって、要するに
実態にそぐわなくなってきている。
こういったことから六人という一律的な規定を廃止するわけでございますけれ
ども、ここにもありますように、「人命・船舶の安全上船舶所有者の義務として、必要な甲板部員の配乗を強く義務づけている。」御
指摘のとおりでございまして、私
ども今まで七百トン以上だけにかぶせていたこの六人という規制を全船舶に、これは漁船、帆船も含めた全船舶に航行の安全を
確保するための必要な定員を乗せなければいけない、すなわち航海当直基準を守るだけの人数を、定員を乗せなければいけません、あるいはいろいろな荷役作業を行うための定員も必要ですし、船内保守作業を行う人数も必要ですし、そういった航海の安全を保つための必要な人員を乗せるという七十条の規定を全船舶に網をかぶせてしまうということで、そういった
意味では定員規制を強化する中身になっているのではないか、こういうふうに私
どもは考えておるわけでございます。
以上でございます。