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国務大臣(
羽田孜君) お答えを申し上げます。
まず、今年度の
税収の大幅な
見込み違いということ、それから
税収減とたる危険性はないかということでありますけれ
ども、毎年度の
税収見積もりにつきましては、
見積もりの時点におきまして、課税実績や
政府経済見通しの諸指標をもとに、利用可能な資料の限界の中で最大限の
努力を行ってきております。しかしながら、一般的に、
見積もり後の
経済状況の変化等
見積もり時点で予測しがたい
状況の変化が
税収に反映し、結果的に
予算額に対しある
程度増減が生じるのは避けがたい面もあるということを御理解いただけると思います。
今回、三年度
税収につきまして、当初
予算に対し大幅な
減収が見込まれるに至ったことはまことに残念でございますけれ
ども、これも、株の取引あるいは不動産取引が予想を超えて低迷したことや、これらの影響から企業収益が当初の予想に反して二年度に比べ
減少していることなど、
見積もり時点で予測しがたい諸
要因、この変化が重なったものであるというふうに考えておりまして、この点について御理解をいただきたいと思います。
予想される
税収減につきましては、今回の
補正予算において適正な
補正を行ったものと考えており、来年度以降の
税収見積もりについても、資料の収集あるいは推計方法について絶えず工夫を凝らすことを考えまして、より適正な
見積もりを行っていきたいというふうに考えております。
また、
建設国債の
削減をどう進めるのか、あるいは
国債依存度をどの
程度に抑えた
財政運営を行うのか、また累増しない体質とは一体何なのかということでありますけれ
ども、
我が国の
財政は
平成三年度末の国債残高が百七十兆円
程度にも達する
見込みでございます。
国債費が
歳出予算の二割を超えるなど、依然として極めて厳しい
状況が続いております。加えまして、先ほど申し上げたように、
税収動向が今日までの
経済的な諸
要因の
流れというものが変わりたことによって
減収してきたというのが現状でございまして、大幅な
減収が生じると見込まれております。これを土台といたします四年度の
税収も、極めて厳しい
状況となることは避けられないものと思います。
また、多額の
建設国債に依存する現在の
財政構造は、一たび
景気の落ち込み等によりまして著しい
税収の鈍化が生じた場合には再び
特例公債の発行に陥らざるを得ない、そういう脆弱性を持っているということを申し上げることができると思います。
今後の中期的な
財政運営につきましては、急速に進展する人口の高齢化など今後の
社会経済情勢に
財政が弾力的に
対応していくために、二度と
特例公債を発行しない、このことを
基本として、
建設国債といえ
どもその発行を極力抑制し、
公債残高が累増しないような健全な
財政体質をつくり上げていくことが重要な
課題であろうと思っております。今後とも、このような中期的な
財政運営の新目標の
考え方に沿って、極めて厳しい
財政事情のもとではございますけれ
ども、公債発行額をできる限り抑制するため、まず制度、施策の
見直しなどを引き続き行って
財政改革を進めてまいりたいというふうに考えております。
災害復旧は十分盛り込まれているかという御
指摘でありますけれ
ども、今回、
補正予算の公共土木施設等の
災害復旧等事業費につきましては、極力その早期復旧を図ることといたしまして、五千八百四十億円に
追加を行うことといたしております。また、雲仙岳の
噴火災害につきましては、事業の施行可能な地域内の復旧費といたしまして二十四億円を
補正計上を行うことといたしております。したがって、今回の
補正におきまして
追加されます公共土木施設等の
災害復旧事業費は五千八百六十四億円となっておりまして、今回の
補正予算により確保される
災害復旧費の
追加により万全を期することができるというふうに考えております。
なお、週休二日制の
実施のための
予算措置という御
指摘でございますけれ
ども、国家公務員の週休二日制を進めるに当たりましては、従来から、民間における
労働時間の短縮が厳しい合理化
努力の中で行われていること、また行
財政事情が厳しい
状況にあることを勘案いたしまして、
予算、定員の増を行うことなく
実施してきたところでございますけれ
ども、今後とも従来の
方針に則して
対応する必要があるというふうに考えております。この点について御理解をいただきたいと存じます。
なお、六兆円の
財源不足、これは
平成四年度でありますけれ
ども、これが二兆円前後に圧縮できたと言っておるけれ
どもという御
指摘でございましたけれ
ども、
税収動向につきましては、三年度の
税収が当初の
見積もりに比べまして二兆八千億円ほどの
減収が生じるものと見込まれ、極めて厳しい
状況となっております。したがって、四年度の
財政事情もこれまで想定されていたよりさらに厳しいものになることは避けられないというふうに考えます。
予算編成過程におきまして、さまざまな前提のもとに一定の仮定をおいて非公式に種々の
検討を行っているところでございますけれ
ども、いずれにせよ、極めて厳しい
財政事情にあるという点についての認識については変わりはなく、今後の
予算編成過程におきまして
財源不足をどのように解消していくか、さらに
検討を進めていきたいというふうに考えております。
防衛
予算を見直す必要があるのではないかという御
指摘であります。
これまでも、各年度の
予算編成におきまして、
財政事情あるいは他の諸施策との調和といった事情に加えまして、
国際情勢の
動向をも勘案して精査した上で、防衛
関係費の一層の効率化、合理化を図りその抑制に
努力してきたところでございます。また、
平成三年度
補正予算におきましては、
給与改善費の
追加とともに、
既定経費節減等による修正減を図り
所要の
経費を計上したということを御理解いただきたいと思います。
なお、
平成四
年度予算におきましても、厳しさを一層増加させつつあります
財政事情とあわせまして、国際
関係安定化に向けて動き出しております
国際情勢の
動向などを勘案して編成作業に当たっていきたいというふうに考えております。
補助金の整理合理化を行うべきではないのかということでありますけれ
ども、もとより、一定の行政
水準の維持、特定の施策の奨励等のための
政策手段として、
政策遂行の上で重要な機能を担うものでございます。
他方、ややもすれば、地方行政の自主性を失ったり、あるいは
財政資金の効率的使用を阻害する
要因となるなどの問題点がありまして、やはり不断の
見直しが必要であろうというふうに考えます。これまでも、国、地方を通ずる行
財政のあり方の
見直し等の
観点から、補助事業の廃止あるいは縮小、零細補助金の整理、類似補助金等の統合、メニュー化等の整理合理化を推進してきたところでありますけれ
ども、今後とも積極的に補助金の整理合理化に努めてまいりたいというふうに考えております。
また、利益誘導的な
経費は打ち切るべきではないかということでありますけれ
ども、広く
歳出の
節減合理化という意味で申し上げれば、従前より、行
財政改革の
考え方に沿って毎年の
予算編成過程において最大限の
努力を払ってきたところでございます。
具体的に申し上げますと、各年度の
予算編成に当たりましては、
社会経済情勢の変化に即応しまして、真に必要な
財政需要に対しては適切に
対応する一方、既存の制度、施策に対して不断の
見直しを行うなどの
経費の徹底した
節減合理化に取り組み、
財源の重点的、効率的な配分に努めてきたところでございます。
いずれにいたしましても、極めて厳しい
財政状況にあることを踏まえ、今後とも引き続き
節減合理化に最大限の
努力を払ってまいりたいと考えております。よろしく御協力のほどをお願い申し上げる次第であります。
なお、地方
交付税の
交付税率は
引き下げるべきではないのでは一ないかということでありますけれ
ども、地方
財政につきましては、毎年度の地方
財政計画の策定に当たって
所要の
歳出を
見込みまして必要な
財源を確保しておりますけれ
ども、元年度以降の三年間は必要な
歳出を確保した上でなお
財源余剰が生じておりまして、これを地方
財政の健全化
措置に充ててきたところでございます。一方、国の
財政事情は巨額の国債残高を抱えて依然として構造的な厳しさが続いておりまして、加えて、
税収動向につきましても、これまでの
税収増をもたらしてきた
経済的諸
要因が
流れを変えている中で、現時点での収納
状況も低調であるなど極めて厳しい
状況にございまして、四年度の
財政事情も近年になく容易ならざるものというふうに考えております。
ただ、国、地方における
税収の
動向等の不確定な要素もございまして、現時点では確たることは申し上げられませんが、上記の
状況を踏まえ、国と地方の
財源調整についても、今後、
予算編成過程で
検討していくことになろうというふうに思っております。いずれにいたしましても、四年度において、地方
財政の円滑な運営に支障の生じないように私
どもも
対応していかなければならないであろうというふうに考えております。
以上であります。(
拍手)
〔
国務大臣渡辺美智雄君
登壇、
拍手〕