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1991-12-11 第122回国会 参議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月十一日(水曜日)    午後五時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第六号     ―――――――――――――   平成三年十二月十一日    午後三時本会議     ―――――――――――――  第一 国務大臣演説に関する件     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ―――――・―――――
  2. 長田裕二

    議長長田裕二君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣演説に関する件  大蔵大臣から財政について発言を求められております。これより発言を許します。羽田大蔵大臣。    〔国務大臣羽田孜登壇拍手
  3. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 平成三年度補正予算の御審議をお願いするに当たり、当面の財政金融政策基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、補正予算の大綱を御説明申し上げます。  まず、最近の経済情勢と当面の政策運営について申し述べます。  我が国経済は、住宅建設減少などに見られるように、拡大のテンポが緩やかに減速しておりますが、個人消費設備投資に支えられて、総じて底がたく推移しております。また、雇用情勢については、有効求人倍率が高い水準にあるなど、依然引き締まり基調で推移しております。このような状況から判断すれば、我が国経済は、いわば完全雇用を維持しながら持続可能な成長に移行する過程にあるものと考えられます。  他方物価動向を見ますと、国内卸売物価は引き続き落ちついており、消費者物価についても、その騰勢は鈍化しつつあります。また、地価についても、大都市圏中心鎮静化の方向にあります。生活重視観点から、今後とも、こうした傾向を定着させることが重要であると考えております。  金融面では、本年七月に公定歩合引き下げが行われた後、市場金利低下を続け、これを受けて金融機関貸出金利低下してきておりますが、さらに、先般、十一月に公定歩合の再引き下げ実施されたところであります。また、財政投融資計画につきましても、今回の補正予算において、国民金融公庫及び中小企業金融公庫に対し一般会計措置にあわせ追加を行うこととしております。さらに、日本開発銀行その他の政府関係金融機関等に対する資金需要増加等につきましても、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を提出し御審議をお願いするとともに、今後、所要財政投融資計画追加を行い、これに適切に対応してまいりたいと考えております。今後、これらの措置が、これまでの市場金利等低下と相まって、内需中心自律的成長を息長く持続させることに資するものと期待いたしております。  政府といたしましては、今後とも、インフレなき持続的成長を確保していくため、内外の諸情勢を注視しつつ、適切かつ機動的な政策運営に努めてまいりたいと考えております。  国際経済情勢を見ますと、先進国では、全体として見れば、景気減速局面からの緩やかな回復が見られます。他方、累積債務問題につきましては、前進が見られるものの、なお解決に向けての努力を必要としております。また、今後の世界的な資金需要の高まりに対処するため、世界的な貯蓄増大が重要であると指摘されております。ウルグアイ・ラウンドにつきましては、他の主要国とともに、年内に成功裏に終結するよう努力することが重要であると考えております。ソ連につきましては、連邦及び共和国経済金融面で深刻な問題に直面しておりますが、国際金融機関の協力を得て適切な調整・改革政策実施していくことが重要であると認識しております。我が国といたしましても、他の先進主要国と協調しつつ、こうしたソ連自助努力に対し適切な支援を進めていくことといたしております。  このような国際情勢のもとで世界経済の安定を確保していくためには、各国が協調して対応することが極めて重要であると考えます。本年秋に開催されました世銀・IMF総会等一連国際会議におきましても、引き続き経済政策協調を支持していくことが確認されたところであります。  次に、財政改革について申し述べます。  我が国財政は、平成三年度末の公債残高が約百七十兆円程度にも達する見込みであり、国債費歳出予算の二割を超えて政策的経費を圧迫するなど、構造的な厳しさが続いております。加えて、税収動向につきましては、これまで増収をもたらしてきた経済的諸要因流れを変えてきており、三年度税収は当初見積もりに比べ大幅な減収が生じるものと見込まれ、また、それを土台とする四年度税収も極めて厳しい状況となることは避けられません。  しかしながら、今後の財政運営に当たっては、社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくために、高齢化社会に多大の負担を残さず、二度と特例公債を発行しないことを基本として、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが重要な課題であります。  平成四年度予算編成に当たりましては、このような考え方に沿って、まず、制度や歳出の徹底した見直しに取り組んでまいりたいと考えております。  次に、一連証券及び金融をめぐる問題について申し上げます。  先般の証券及び金融をめぐる一連の問題によって我が国証券市場金融機関に対する内外信頼が大きく損なわれたことは、まことに遺憾であり、極めて深刻に受けとめております。  これまでも、一連不祥事の実態の解明、再発防止策等について検討を行い、先般の臨時国会においては、緊急に措置すべき事項として損失補てん禁止等内容とする証券取引法等改正案を提出し成立させていただくとともに、金融機関内部管理体制の総点検を早急に行うことなどを内容とする対応策を講じたところであります。  政府といたしましては、今後とも、行革審答申及び国会における諸決議を最大限に尊重して各般の検討を進め、このような不祥事再発防止及び我が国証券金融市場に対する内外信頼回復を図るため、法制上、行政上の総合的な対策に取り組んでまいる決意であります。  次に、今国会に提出いたしました平成三年度補正予算大要について御説明申し上げます。  平成三年度一般会計補正予算におきましては、税収の大幅な減収に対処するとともに、雲仙岳の噴火及び各地を襲った台風等による災害復旧等人事院勧告実施に伴う国家公務員等給与改善等、特に緊要となった事項について措置を講ずることといたしております。  今回の一般会計補正予算につきましては、歳入面において、租税及び印紙収入が、最近までの収入実績等を勘案すると、当初予算に対し二兆七千八百二十億円の減収となることが避けられない見通しとなりました。このため、既定経費の徹底した節減税外収入の確保、追加財政需要圧縮等を行ったところであります。また、建設公債につきましては、大幅な税収減対応するためのやむを得ざる措置として、災害関係経費追加等対応するものを含め、追加発行することといたしております。しかしながら、これらをもってしてもなお財源が不足することから、前年度の決算上の純剰余金九千九百八十四億円について、臨時異例措置ではありますが、その全額を不足財源に充当することといたしております。なお、この剰余金処理につきましては、別途、平成二年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。  歳出面におきましては、災害関係経費追加給与改善費義務的経費追加貿易保険特別会計へ繰り入れ、住宅都市整備公団補給金等地方交付税交付金などを計上いたしております。これらによる歳出追加額は一兆七千二百八十六億円となっております。  他方、現下の厳しい財政事情にかんがみ、可能な限り既定経費節減に努め、七千四百八十七億円を減額するとともに、税収減額に伴う地方交付税交付金減額及び給与改善に対処するための給与改善予備費減額を行うことといたしておりますので、歳出修正減少額は一兆四千六百二十六億円となっております。  これらの結果、平成三年度一般会計補正予算総額は、歳入歳出とも、当初予算に対し二千六百六十億円増加して、七十兆六千百三十五億円となっております。  以上の一般会計予算補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても所要補正を行うことといたしております。  財政投融資計画につきましては、国有林野事業特別会計国民金融公庫等機関に対し、総額六千二百四十一億円の追加を行うことといたしております。  以上、平成三年度の補正予算大要について御説明いたしました。御審議の上、何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  4. 長田裕二

    議長長田裕二君) ただいまの演説に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。櫻井規順君。    〔櫻井規順登壇拍手
  5. 櫻井規順

    櫻井規順君 私は、日本社会党護憲共同を代表いたしまして、財政演説中心に、国政の重要課題について質問をいたします。  質問に先立ちまして、ソ連をめぐる事態につきまして総理大臣質問をいたします。  今、ロシア、ウクライナ、白ロシアの三共和国は、独立共和国共同体を提唱、ソ連邦活動停止について基本合意文書にサインをされたと、いわばソ連邦解体のニュースが世界を駆けめぐっております。ソ連邦の存立をめぐる問題は、経済援助など経済関係、核の管理など、全世界的な影響を持つ緊急にして重大な課題であります。政府は、どう情報把握し、どう対処しているかをお伺いするものでございます。  伝えられる情報では、それぞれの共和国国内手続もまことに不透明で、民主的手続に欠けるものが感ぜられます。新しい経済と平和の国際秩序を確保する観点から、政府の自主的にして積極的な外交を求めるものであります。  あわせまして、ソ連邦各国は冬を迎えまして生活物資の欠乏は極めて厳しいものがあり、この際、政府は、北方四島の返還問題とは切り離し、積極的な援助を進めるよう強く要望するものであります。この点についても、政府対応をお聞かせください。  さて、予算編成に当たって、内閣にとって基本的に配慮すべき我が国内外政治情勢について質問をいたします。  宮澤内閣は、今国民生活政治に求めている課題にどう対処しているでありましょうか。  今国民政治に求めているものは何かについて、報道関係各社世論調査とほぼ同じ調査結果が総理府の行った国民生活に関する世論調査に示されています。この調査は一万人を対象に本年五月に実施したものでありますが、国民政府に対する要望で著しく高いものは、社会福祉充実、税制の改革物価対策、そして、教育住宅生活環境整備となっております。宮澤内閣にはこうした課題に真っ向から取り組む姿勢が見られないのであります。  今、宮澤内閣が最重要課題としている問題は言うまでもなくPKO法案であり、海部内閣にさかのぼっても、小選挙区制を求める改革自衛隊海外派遣関係法案であったわけであります。宮澤総理は、憲法九条の尊重論者でありました。しかし、今やそれを放棄したと思うしかありません。あわせて、生活資産倍増論も放棄したのではないかと危惧するものであります。国民の偏らない気持ちは、国の政治はどこに行ったのか、内閣には国民生活にこたえる政治がないのかと国民は受けとめているのであります。  総理、かくも国民の対政府要望とかけ離れた自民党内閣のあなたの政治を今どう考えているか、お答えいただきたいと存じます。  第二に、東西冷戦の終えんを迎え、ブッシュ大統領は、共産主義が敗退し資本主義か勝利し、計画経済が敗退して市場経済が勝利したと言い、宮澤総理もほぼ価値観を同じくしているものであると発言されているのであります。  冷戦後の新しい世界、新しい社会像のとらえ方が大切であります。私は、第一に、核兵器の廃絶と軍縮による平和の保障であり、第二に、政権の交代授受が確立された成熟した議会制民主主義であり、第三に、経済における第一・第二・第三セクターの混合経済のバランスのとれた発展にあるものと考えます。日本経済は、平和のもとで、GNP一%以内に抑えられた軍事予算、何よりも国民の勤勉た労働教育科学技術の力で今日の発展を見ることができたわけであります。総理は、冷戦後の今、確立すべき世界像社会像についてどう考えているのか、お伺いするものであります。  こうした我が国政治国民生活が最も強く求めている要求にこたえる上においても、あるいは世界政治の新しい流れから見ても、PKO政府法案時代に逆行するものと言わざるを得ません。今日までの国会審議を通して、PKO政府法案は、我が国憲法並びに一九五四年の自衛隊海外出動をなさざることに関する本院の決議に違反し、国連のマニュアルにも合致せず、我が党が提案した国際平和活動に関する法案こそ、憲法を生かし、国連世界が求める新しい活動分野にこたえるものであることが明らかになりました。  宮澤総理に求めます。第一に、PKO法案を撤回することを強く要求いたします。第二に、海外に派遣した自衛隊が、山賊、匪賊あるいは私的集団に対して兵器の使用ができるとの工藤内閣法制局長官答弁は、まさしく憲法にいう武力の行使を公然と語るものであり、憲法遵守義務を最も厳格に負うべき内閣法制局長官にあるまじき態度であり、内閣法制局長官として不適切であります。この二点について総理答弁を求めるものであります。  次に、政府提出補正予算について伺います。  平成三年度補正予算は、歳入面から見ますと、政府税収見積もりの間違いによって二兆八千二百五十億円の穴があき、いわばその補修のためのものと言っても過言ではありません。税の適正で的確な見積もりは、各年度予算財政運営の基盤でありますとともに、納税者の立場からは、負担給付関係及び国民負担率の問題を通して生活に直接響くことは言うまでもありません。  しかし、政府は、昭和六十二年度から平成二年度に至るまで、取り過ぎの方が穴があくよりやりやすいとの態度で、適正見積もり努力をしたいで過小見積もり惰性で来たと言えるのであります。この安易な態度過小見積もり惰性が今年度の巨額な税収見込み違いの引き金となっており、財政当局の厳しい反省を要求しないわけにはまいりません。  また、三年度予算に見られますような税収過大見積もり誤りは、政府経済景気動向判断誤りと不可分であります。政府は、税収悪化原因を、地価の高騰、株高円高金利安原油安の三高二低が解消したためバブルがはじけたと述べてきました。それも原因の一つではありますが、政府が、戦後最長のイザナギ景気を今回の景気上昇が上回り、記録更新間違いなしとの楽観的なバブル判断をしていたためと言わざるを得ません。  以上、適正税収見積もり二つ欠陥指摘いたしましたが、これとも関連し、十月までの大蔵省発表租税印紙収入調べ動向から見まして、果たして今年度二兆八千億円の税収落ち込みで済むか大きな懸念が残ります。そうした心配は取り越し苦労だ、これ以上税収減は起きないと大蔵大臣は自信を持って御答弁できるでしょうか。さきに指摘した税収見積もり二つ欠陥とあわせて、大蔵大臣答弁をお願いいたします。  大幅な税収見込み違い穴埋め策として、本補正建設国債一兆三千八百七十億円の増発を余儀なくされました。緊急避難的にはやむを得ない一面を認めざるを得ません。しかし、このことで、政府が公約した財政再建第二段階の目標は初年度で完全に崩れてしまいました。すなわち、毎年度建設国債発行額を四千五百億円ずつ削減し、五年後には公債依存度五%以下を目指すという計画であったわけであります。加えて、来年度予算編成を展望しても、建設国債削減は多分不可能ではないでしょうか。  建設国債といえども借金に変わりはありません。また、毎年度一般会計予算の二〇%を超える国債費財政運営圧迫要因との政府の主張はそのとおりでありますが、今日の事態を前に、建設国債削減政策をどう進めるのか、それとも放棄されるのか。あわせて、当初予算国債依存度七・六%が本補正で結果的に九・五%に上昇しますが、今後の国債依存度をどの程度に抑えた財政運営を行う方針か。そして、ただいまの財政演説にありましたその財政体質づくりを、具体的に歳入歳出の両面から、国民が納得できるよう詳細に御答弁を願うものであります。  補正予算歳出追加についてでありますが、雲仙噴火台風来襲に伴う災害復旧費は極めて不十分なものであります。公務員労働者給与改善費は計上されましたが、人事院勧告は週休二日制の実施を求めております。これは、まず急いで法律改正が必要であります。あわせて、来年度予算編成とも関連するわけですが、この実施には当然に定員増やきめ細やかな予算措置が必要であります。総理大蔵大臣答弁を求めるものであります。  次に、平成四年度予算編成に関連して幾つかの質問をするとともに、要請を申し上げます。  来年度予算編成財源不足に陥っていることは否めませんが、財政当局は、当初六兆円の財源不足を宣伝しながら、最近は二兆円前後に圧縮できたと報じております。国民は、それほど国の予算は伸縮自在なのかと疑いの眼で見ております。こうした数字魔術的やり口は、財政運営に対する国民信頼を損なうものであることをまず警告しておきます。それほど巨額な金を減らしたりふやしたりできるなら、負担は軽く給付は多くと素朴に国民が考えるのも当たり前でございます。真実を国民に示さず、予算分捕りの駆け引きに数字を発表するようなことは絶対にしない、させない方針宮澤内閣で確立することを求めるものでございます。  納税者国民を愚弄し、霞ケ関と役所だけがわかる予算編成は、民主主義と本質的に相入れないものであります。国民に対する総理のしかとした約束と見解を伺うものでございます。  来年度予算編成に当たって、増税の提案が聞こえてまいりますが、増税を云々する前に、東西対立の解消と国際的な軍事費削減の潮流を忘れ、概算要求基準決定で五・三八%増という高過ぎた防衛予算要求額見直しがまず必要だと指摘をしておきます。防衛費削減を初め、歳出削減についてどう考えているか、蔵相答弁をお願いいたします。  伝えられるところでは、地方交付税交付金削減を画策中とのことですが、言語道断でございます。確かに、東京都等ほんの一部の富裕団体はありますが、三千三百を数える地方自治体の大部分財政難にあえいでいるのが実情であります。特に過疎地自治体の御苦労は大変なものがあります。そもそも、これらの自治体自主財源である交付税中央政府財源難穴埋めに利用しようとの発想自体が間違いであります。来年度予算編成では、交付税率の変更はもちろん、大幅削減等は行わないとの蔵相自治相答弁をお願いいたします。  平成五年度以降の財政運営で、総理に強く要請したいと思います。それは、五十七年度以来十年にわたって行われたマイナスシーリング基本とした予算編成方式を改定していただきたいことでございます。  まず、冷戦後の世界平和秩序の確立に向けて、我が国周辺においてもはや特定の軍事対立国はなくたっているわけであります。にもかかわらず、二十二兆円を超す中期防衛計画が立てられているわけであります。ぜひ、この二十二兆を超す中期防衛計画見直し、平和の配当を当然民生分野に回すことを強く求めるものであります。概算要求シーリングにおいて、増額対象経費防衛費を入れることは見直すことを強く求めるものでございます。  厚生大臣にお伺いいたしますが、年金の増額あるいはホームヘルパーの増員など、高齢者福祉充実が極めて重要な局面に来ているわけでありますが、これまたシーリング枠の中で他の福祉対象経費を削って捻出するという事態についてどうお考えになっているか、見解をただしたいと存じます。  同じように、教育についても、地域における社会教育充実も他の教育予算を削って捻出する、環境予算もしかり、こうした予算編成で、果たして二十一世紀を目指した国づくり、そして豊かさの実感できる国民要望が実現できるでありましょうか。私は到底無理だと断ぜざるを得ないのであります。  宮澤総理見解をただすと同時に、来年度に着手する予算編成から一律シーリングのこの予算編成を見直すことをお約束していただきたく質問し、私の発言を終わりといたします。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 最初に、ソ連邦の現状につきましてお尋ねがございました。  御指摘のように、もともと情報的には余り開かれた社会でございませんでした上に、国内でどのような決定が、どういう手続を踏んで、だれによってなされるかが不明でございますために、実情把握に大変に苦しんでおります。各国情報を交換しながら、我が国自身新井大使ウクライナに派遣したところでございますけれども、なかなか実情把握が困難でございます。御指摘のように、例えばどのぐらいの生活の困窮が迫っておるであろうかとか、あるいは核の拡散でありますとか、さらに申せば、財政金融の破綻の状況、クーデターの可能性等々いろんな問題を心配いたしますけれども、要するに一番大切な部分は、バルト三国を別にいたしまして十二ございます共和国の中で、仮にスラブ系の三つの国が連合を結びましたとしましても、残りの九つの共和国がどのようになるのかということすら実は不明でございます。  一番私どもとしてぜひそうあってほしいと思いますのは、その十二の共和国がどのような再編成されるか、したがって、その再編成された後にどういう人がどういう問題について責任を負うのかということがわかりませんと、援助をいたしますにも金融支援をいたしますにも話が進めないという、このことを今一番悩んでおりまして、これは事態の進展に任せると申しますか、外からあれこれし得ることは少のうございますけれども、できるだけの情報把握に努めておるところでございます。  それにもかかわらず、人道的な支援というものは大切なものであろうとおっしゃいますことはそのとおりでございますので、十月八日に発表いたしました二十五億ドルの枠の中での人道的支援あるいは技術支援は、いつでもこれをいたす用意がございます。  それから、国民生活充実についてでございますが、我が国は、概して申せば、所得水準はかなり高くなりました。また、失業率は低い。それから平均寿今も長くなっておりますし、夜、町を歩いても比較的安全であるというような特質を持っておりますけれども他方で、労働時間が非常に長い、あるいは食料品の価格とか、旅行、レジャーのコストが相当高い、また住宅関連等々は必ずしも豊かどば申せないというような問題がございますので、これからの問題といたしましては、住宅関連の施設の充実、あるいは社会資本、そして、おっしゃいました福祉関連のゴールドプランの推進等々をいたしまして、住みよい先進国家にいたしたいと考えておるところでございます。  次に、冷戦後の世界像というお尋ねでございましたが、自由主義市場経済考え方がいわば勝利したということは私どもとしては結構なことだと考えておるわけでございますが、同時にまた、いわゆる冷戦後の時代の到来とともに、従来大きな軍備に使われておりました資源や資金がそこから開放されて、そしていわゆる平和の配当として、殊に南北問題にそれが放出されることが大事なことと存じておりますし、また、この冷戦後の時代国連の役割が前面に出てきたというようなことが冷戦後の私は新しい世界像と思います。  我々としては、そういうことをさらに推進したいと考えておりますものですから、御審議いただいておりますPKO法案につきましても、これは我々が、財政ばかりでなく、憲法の許す範囲で人的にこのような新しい世界像に貢献をいたしたい、そういう我々の努力を御理解いただきまして、この法案を成立させていただきたいとお願いを申し上げておるところでございます。  それから次に、武器の使用につきまして法制局長官の答弁云々というお尋ねがございました。  これは、実は、国連平和維持活動に従事いたしますときに平和維持隊は武器を持ってもよろしいわけでございますが、殊に自衛のためにはよろしいわけでございますけれども、そのようなときに、正規軍でなく私的な不規則な集団によって平和維持活動が脅かされたときにどうするかというお尋ねがあったわけでございまして、その山賊、匪賊という言葉は、非常にわかりやすい意味で、国でない私的な集団だということを法制局長官が申し上げようとしたのでございますけれども、これは誤解を招きますので訂正をさせていただいたところでございます。申し上げた意味の趣旨はそうでございました。  それから、災害についての補正は、今回、公共土木事業災害復旧等事業費が四千百七十八億円、農水省関係で農地、農業用施設の災害復旧等事業費等千四百七十四億円など、六千八十億円余りを組み込んでおりまして、予算を十分確保したつもりでございます。  それから、国家公務員の週休二日制につきましては、先般人事院の勧告がございました。先ほど申しましたように、我が国労働時間というものはもっと短縮すべきものでありますし、職員の勤務条件も改善いたしたいと思いますので、できるだけ速やかに、この勧告を尊重いたしまして実現いたしたいと思っております。  それから、財源不足等々について政府国民に真実を告げていないのではないかという御指摘がございました。  今回二兆八千億円程度減額補正をいたしますが、四年度の財政事情もこれから考えますと極めて厳しいものになることは避けられないと思います。そのような真実を包み隠すことなく、そのまま国民実情をお訴えして御理解を得たいと思っております。  それから、シーリングとの関連におきまして防衛費についてのお尋ねがございましたが、御承知のように、我が国の防衛は防衛計画の大綱に従いまして基盤的防衛力整備の構想を進めておりますわけで、世界情勢が変化をしましたから大いに削減の余地があるといったようなものではございませんけれども、しかし財政事情も厳しゅうございますから一層の合理化、効率化に努めて、極力経費削減いたすようにいたしたいと考えております。  自余の問題は関係閣僚からお答えを申し上げます。(拍手)    〔国務大臣羽田孜登壇拍手
  7. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) お答えを申し上げます。  まず、今年度の税収の大幅な見込み違いということ、それから税収減とたる危険性はないかということでありますけれども、毎年度の税収見積もりにつきましては、見積もりの時点におきまして、課税実績や政府経済見通しの諸指標をもとに、利用可能な資料の限界の中で最大限の努力を行ってきております。しかしながら、一般的に、見積もり後の経済状況の変化等見積もり時点で予測しがたい状況の変化が税収に反映し、結果的に予算額に対しある程度増減が生じるのは避けがたい面もあるということを御理解いただけると思います。  今回、三年度税収につきまして、当初予算に対し大幅な減収が見込まれるに至ったことはまことに残念でございますけれども、これも、株の取引あるいは不動産取引が予想を超えて低迷したことや、これらの影響から企業収益が当初の予想に反して二年度に比べ減少していることなど、見積もり時点で予測しがたい諸要因、この変化が重なったものであるというふうに考えておりまして、この点について御理解をいただきたいと思います。  予想される税収減につきましては、今回の補正予算において適正な補正を行ったものと考えており、来年度以降の税収見積もりについても、資料の収集あるいは推計方法について絶えず工夫を凝らすことを考えまして、より適正な見積もりを行っていきたいというふうに考えております。  また、建設国債削減をどう進めるのか、あるいは国債依存度をどの程度に抑えた財政運営を行うのか、また累増しない体質とは一体何なのかということでありますけれども我が国財政平成三年度末の国債残高が百七十兆円程度にも達する見込みでございます。国債費歳出予算の二割を超えるなど、依然として極めて厳しい状況が続いております。加えまして、先ほど申し上げたように、税収動向が今日までの経済的な諸要因流れというものが変わりたことによって減収してきたというのが現状でございまして、大幅な減収が生じると見込まれております。これを土台といたします四年度の税収も、極めて厳しい状況となることは避けられないものと思います。  また、多額の建設国債に依存する現在の財政構造は、一たび景気の落ち込み等によりまして著しい税収の鈍化が生じた場合には再び特例公債の発行に陥らざるを得ない、そういう脆弱性を持っているということを申し上げることができると思います。  今後の中期的な財政運営につきましては、急速に進展する人口の高齢化など今後の社会経済情勢財政が弾力的に対応していくために、二度と特例公債を発行しない、このことを基本として、建設国債といえどもその発行を極力抑制し、公債残高が累増しないような健全な財政体質をつくり上げていくことが重要な課題であろうと思っております。今後とも、このような中期的な財政運営の新目標の考え方に沿って、極めて厳しい財政事情のもとではございますけれども、公債発行額をできる限り抑制するため、まず制度、施策の見直しなどを引き続き行って財政改革を進めてまいりたいというふうに考えております。  災害復旧は十分盛り込まれているかという御指摘でありますけれども、今回、補正予算の公共土木施設等の災害復旧等事業費につきましては、極力その早期復旧を図ることといたしまして、五千八百四十億円に追加を行うことといたしております。また、雲仙岳の噴火災害につきましては、事業の施行可能な地域内の復旧費といたしまして二十四億円を補正計上を行うことといたしております。したがって、今回の補正におきまして追加されます公共土木施設等の災害復旧事業費は五千八百六十四億円となっておりまして、今回の補正予算により確保される災害復旧費追加により万全を期することができるというふうに考えております。  なお、週休二日制の実施のための予算措置という御指摘でございますけれども、国家公務員の週休二日制を進めるに当たりましては、従来から、民間における労働時間の短縮が厳しい合理化努力の中で行われていること、また行財政事情が厳しい状況にあることを勘案いたしまして、予算、定員の増を行うことなく実施してきたところでございますけれども、今後とも従来の方針に則して対応する必要があるというふうに考えております。この点について御理解をいただきたいと存じます。  なお、六兆円の財源不足、これは平成四年度でありますけれども、これが二兆円前後に圧縮できたと言っておるけれどもという御指摘でございましたけれども税収動向につきましては、三年度の税収が当初の見積もりに比べまして二兆八千億円ほどの減収が生じるものと見込まれ、極めて厳しい状況となっております。したがって、四年度の財政事情もこれまで想定されていたよりさらに厳しいものになることは避けられないというふうに考えます。予算編成過程におきまして、さまざまな前提のもとに一定の仮定をおいて非公式に種々の検討を行っているところでございますけれども、いずれにせよ、極めて厳しい財政事情にあるという点についての認識については変わりはなく、今後の予算編成過程におきまして財源不足をどのように解消していくか、さらに検討を進めていきたいというふうに考えております。  防衛予算を見直す必要があるのではないかという御指摘であります。  これまでも、各年度の予算編成におきまして、財政事情あるいは他の諸施策との調和といった事情に加えまして、国際情勢動向をも勘案して精査した上で、防衛関係費の一層の効率化、合理化を図りその抑制に努力してきたところでございます。また、平成三年度補正予算におきましては、給与改善費追加とともに、既定経費節減等による修正減を図り所要経費を計上したということを御理解いただきたいと思います。  なお、平成年度予算におきましても、厳しさを一層増加させつつあります財政事情とあわせまして、国際関係安定化に向けて動き出しております国際情勢動向などを勘案して編成作業に当たっていきたいというふうに考えております。  補助金の整理合理化を行うべきではないのかということでありますけれども、もとより、一定の行政水準の維持、特定の施策の奨励等のための政策手段として、政策遂行の上で重要な機能を担うものでございます。他方、ややもすれば、地方行政の自主性を失ったり、あるいは財政資金の効率的使用を阻害する要因となるなどの問題点がありまして、やはり不断の見直しが必要であろうというふうに考えます。これまでも、国、地方を通ずる行財政のあり方の見直し等の観点から、補助事業の廃止あるいは縮小、零細補助金の整理、類似補助金等の統合、メニュー化等の整理合理化を推進してきたところでありますけれども、今後とも積極的に補助金の整理合理化に努めてまいりたいというふうに考えております。  また、利益誘導的な経費は打ち切るべきではないかということでありますけれども、広く歳出節減合理化という意味で申し上げれば、従前より、行財政改革考え方に沿って毎年の予算編成過程において最大限の努力を払ってきたところでございます。  具体的に申し上げますと、各年度の予算編成に当たりましては、社会経済情勢の変化に即応しまして、真に必要な財政需要に対しては適切に対応する一方、既存の制度、施策に対して不断の見直しを行うなどの経費の徹底した節減合理化に取り組み、財源の重点的、効率的な配分に努めてきたところでございます。  いずれにいたしましても、極めて厳しい財政状況にあることを踏まえ、今後とも引き続き節減合理化に最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。よろしく御協力のほどをお願い申し上げる次第であります。  なお、地方交付税交付税率引き下げるべきではないのでは一ないかということでありますけれども、地方財政につきましては、毎年度の地方財政計画の策定に当たって所要歳出見込みまして必要な財源を確保しておりますけれども、元年度以降の三年間は必要な歳出を確保した上でなお財源余剰が生じておりまして、これを地方財政の健全化措置に充ててきたところでございます。一方、国の財政事情は巨額の国債残高を抱えて依然として構造的な厳しさが続いておりまして、加えて、税収動向につきましても、これまでの税収増をもたらしてきた経済的諸要因流れを変えている中で、現時点での収納状況も低調であるなど極めて厳しい状況にございまして、四年度の財政事情も近年になく容易ならざるものというふうに考えております。  ただ、国、地方における税収動向等の不確定な要素もございまして、現時点では確たることは申し上げられませんが、上記の状況を踏まえ、国と地方の財源調整についても、今後、予算編成過程で検討していくことになろうというふうに思っております。いずれにいたしましても、四年度において、地方財政の円滑な運営に支障の生じないように私ども対応していかなければならないであろうというふうに考えております。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇拍手
  8. 渡辺美智雄

    国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。  御質問の趣旨につきましては先ほど総理から大体お答えになったのでございますが、せっかくの御指名ですからちょっとつけ加えさせていただきます。  御承知のとおり、ことしの春、ゴルバチョフ大統領が日本を訪れまして、我々としては大きな期待を持っておったわけです。今まではソ連邦は、北方四島問題についてこれはもう解決済みだと言っておったのでございますが、これはやはり平和条約を結ぶまでには解決しなければならない未解決の問題だというようなことを認めるようになりました。  その後の推移を見ておりますと、八月のクーデターがあり、そしてがたがたと大変な異常な状態になってまいりまして、去る十二月八日に、今もお話があったスラブ三カ国の独立国家共同体協定が署名された。そして、一方、連邦は、これは活動停止というようなことを宣言されて一体どうなるかと大変心配をしておりましたところが、今度はゴルバチョフさんの方から、たくさんの共和国があるのに三国だけで連邦廃止とかあるいは活動停止とか言われてもそういうわけにはいかぬと。そういう言葉を使ったかどうかは別といたしまして、これはやはり各十幾つの共和国があるわけですから、そこでも、新連邦条約とその三カ国の国家共同体協定との問題で、これは両方を議論すべきだというようなことを言い出して、その結果がまだ出ていたい。  我々が一番ここで心配するのは、それぞれの国家が独立をすることはソ連国民の自由でございますが、現実には、一括的に管理されておった連邦の核に対する管理権というものがなくなって、数カ国がそれぞれ核を持ち合う。そして、例えばユーゴのように今度は民族が違うというようなことで争いでも起きて、その核の管理が厳格でないとこれは大変な問題になって、ソ連国民の話じゃない、全世界の問題になってしまう。そういう点で、我々は実は今も非常に心配をしておるんです。したがいまして、これにつきましては、西側諸国ともよく連絡をとりながら、厳格で一元的な核管理が徹底されるということを期待するし、働きかけていかなければならぬ、そう思っておる次第でございます。  また、援助問題につきましても、これは総理からお話があったように、我々としては、ソ連市場経済に移行し民主主義をやっていく、そして世界に対する外交も、今までのような力ずくでなくて新しい新思考外交を進めるんだという立場にある限り、日本としてもできるだけそういうことを応援していかなきゃならぬ。技術援助もあれば、適切な人道援助等もやっていきたい。そういうようなことで、これも十月八日に発表いたしましたが、人道的な援助、それから貿易経済活動円滑化のための支援、技術の支援というようなことで、総額二十五億ドルに及ぶところの支援策というものを一応発表しました。しましたけれども、現実は、中の権限の所在がはっきりしないというために、それをどうして使うかというようなことがまた何ら伝えられておらないわけでございます。  一日も早く内部の話し合いをつけて、そしてソ連国民のために新指導部が平和裏に動き出すことを期待するものでございます。  以上です。(拍手)    〔国務大臣塩川正十郎君登壇拍手
  9. 塩川正十郎

    国務大臣(塩川正十郎君) 地方交付税が地方の共有の固有財源であるということ、そして地方自治体といえども非常に財政が苦しくなってきております。東京都だけが地方団体ではございませんで、三千三百の自治体を見ました場合に相当苦しいところが多々ございます。  したがいまして、こういう情勢下におきまして、やはり地方団体といたしましては地方交付税が非常に頼りになる財源でございますので、この問題につきまして、今、羽田大蔵大臣からお話ございましたように、地方自治体との財源の調整を通じて地方団体の財政の確保をする、こういうお話でございますのでございますから、私たちといたしましては、交付税率の変更であるとか、あるいは交付税を大幅に削減するというようなことに対しましては絶対許容できないというところでございますので、どうぞ御理解いただきたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣山下徳夫君登壇拍手
  10. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 厚生省の概算要求基準は、年金の増等、厚生省全体の財政需要を勘案して予算要求の基準が決められているものでございまして、予算要求に当たっては、その中で施策の優先順位等を見きわめながら、国民福祉の向上のために必要な経費について工夫を凝らして予算要求を行っているところであります。  財政当局におかれましても、高齢化の進展等を踏まえて、国民福祉向上の重要性について十分御理解をいただいているものと考えております。(拍手)     ―――――――――――――
  11. 長田裕二

    議長長田裕二君) 太田淳夫君。    〔太田淳大沼登壇拍手
  12. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました政府財政演説に対して若干の質問を行います。  今、我が国は大きな転換点を迎えております。国内に目を向ければ、バブル経済が破綻し景気の先行きに大きな不安が生じ、さらに対外不均衡は拡大する一方であります。こうした状況に何一つ手を打てない宮澤内閣国民が不満を抱き始めたことは、最近の報道による内閣支持率の低下にもあらわれています。総理生活大国とおっしゃいますが、その目標へ向けてどのような経済運営を行い、変動しつつある国際社会の中でいかに我が国の進路を切り開いていくのか基本的な方針が全く示されず、単なる絵そらごとだったと言わざるを得ません。  私は、まず総理に、私どもが主張しているように生活者優先の政治を実現するための経済財政運営基本ビジョンを改めて伺いたいのであります。  また、国際的には、日米関係における市場開放問題や規制緩和だと経済摩擦問題に対し、総理は今後どういう姿勢で取り組むお考えか。一月には再選を控えたブッシュ大統領が訪日する予定でありますが、何を具体的な提案として会談に臨まれる所存か、伺いたいのであります。  さて、今回の補正予算三案の歳出内容は、大要災害関係費、給与改善費等でありますが、現在の景気状況から見て、景気対策を盛り込むべきであります。景気の現状は、これまで牽引車となってきた設備投資が当初の投資計画を軒並み下方修正されるなど、平成四年度に向けて先行き不安感が一段と広がってまいりました。先日発表された七-九月期のGNP速報でも、年率一・六%と景気停滞が鮮明になってきました。このままでは、平成三年度の実質経済成長率三・八%の目標達成も難しくたりつつあるのであります。  さらに、平成四年三月期の製造業の経常利益が二けたの大幅減益が見込まれていることとあわせ、景気の先行き不安が経営者側の投資マインドを大きく悪化させています。有効求人倍率水準は高いとはいえ低下を続けており、所定外労働時間が十一カ月連続低下する中で、消費者の消費マインドも弱くなっています。  総理は、こうした景気の現状をどう認識され、どのように対策を考えているのか、お尋ねいたします。  先般の本院の代表質問で、総理は、景気の減速が企業家や消費者心理に及ぼす影響は十分注意していく必要があると答弁されましたが、わずか一カ月後の今日、景気の後退、先行き不安感は増大の一途で、総理の懸念された状況景気は立ち至っているのではないでしょうか。金融政策とともに財政政策の機敏な発動が緊急不可欠になっているのではないかと思いますが、総理の明確な答弁を求めます。  さらに、景気の影響を早く、しかも大きく受けるのは中小企業であります。中小企業の経営の現状をどのように認識し、どのような対策をとろうとされるのか、お答えいただきたいのであります。  景気の減速が税収面に大きな影響を及ぼし、当初予算に対して本補正予算では二兆七千八百億円余の巨額の税収の落ち込みを見込んでおります。政府税収見積もりの見誤りについては、本院は、予算委員会や両院協議会の場を通じ再三これを指摘し、適正な税収見積もりを求めてきたところであります。政府税収見積もりは、昭和六十二年度以来大幅な過小見積もりが続き、補正段階で巨額な自然増収をもたらしましたが、逆に昨年度からは過大見積もりとなり、そのぶれは、見込み違いというには余りにも巨額過ぎる生言わざるを得ません。本補正予算における税収下方修正の根拠と、見込み違いの原因はどこにあったと考えているのか、伺いたい。  政府は、昨年から土地対策を初めとするバブル経済の是正を政策的に進めてまいりました。不動産融資の総量規制、証券業の特金規制等であります。バブル経済を引き起こした政府の責任は極めて重大でありますが、これらの政策による経済税収に与える影響を見誤ったことも見過ごしにはできないのであります。それぞれの責任について明確にお答えいただきたい。  さらに、十月までの税収動向から判断して、二兆七千八百億円の下方修正にとどまらず、落ち込みが拡大して第二次補正に、あるいは年度決算での歳出欠陥に追い込まれる懸念も考えられますが、この懸念に対する総理見解を伺いたい。  一方、税収減を補てんするため建設国債が一兆三千九百億円増発され、当初予算国債依存度七・六%が本補正予算では九・五%に高まります。政府が赤字国債脱却後の第二段階の財政再建の一つの目標として示している平成七年度までに国債依存度を五%以下にするという目標は、これによって達成不能に陥ったと言わざるを得ないと考えますが、この目標の見直しを行うのかどうか、総理の所見を伺いたい。  最後に、来年度予算編成について伺います。  報道によると、来年度予算編成では六兆円もの歳入不足が伝えられておりますが、六兆円の歳入不足を埋め合わせることは容易なことではありません。どの程度の不足を見込んでいるのか、伺いたい。  政府筋からは、湾岸支援の九十億ドル調達のため行った石油税等の臨時増税措置の継続や自動車に対する暫定消費税の延長が伝えられますが、これは一年限りの限定期間があるものや消費税成立のときの約束づきのものであり、政府はこの約束を守るべきであります。政府はどのような形で歳入不足を補おうとされているのか、方針を伺いたい。  また、過日の大蔵委員会では、大蔵大臣から消費税率アップを示唆する発言がされたと伝えられておりますが、消費税の税率アップには我々は反対であります。総理は消費税の税率の引き上げは行わないことを言明しております。大蔵大臣発言の真意を伺いたいのであります。税収不足の発生即増税というのでは、国民は納得できません。  さらに、来年度予算の大きな課題は、生活大国の実現を推し進めるために、公共投資十カ年計画生活関連部門への配分比率を思い切って高めることであります。これには総理のリーダーシップが何よりも必要になります。例年のようだ一律にふやしていくというやり方を改めることを約束できるかどうか、お答えいただきたい。  ところで、財政の深刻さが強調されるに伴って、政府部内からは赤字国債容認論も聞こえてまいります。財政の規律の面から断じて赤字国債の発行は行うべきでなく、歳入歳出め両面において財政制度の再検討を行うべきであると思います。平成四年度の税収不足は極めて深刻であり、安易な対応では決して乗り切れるものではありません。私は、来るべき二十一世紀に対し大きな負担を残さないために、予算編成手法も含め、思い切った行財政改革要求するものであります。  総理の決意を伺い、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 我が国は、これほど所得水準が高くなりましたけれども、どうも国民の一人一人が本当に豊かな生活をしているという実感が十分でない、そういうことは私どもも感じておりまして、やはり豊かでおのおのが自分の人生設計ができるようなそういう社会をつくりたい、それはやはり住宅あるいは生活関連の社会資本充実を図るということであろうというふうに思います。  そういう立場から申しますと、御指摘のように、来年度の財政は非常に厳しいと思いますけれども、そのような生活関連の社会資本充実は、これは私はきちんと確保いたしたいと考えております。ただ、御指摘のように財政事情は非常に苦しゅうございます。しかし、特例公債を発行するというようなことは、これはしてはならないことである。殊に、我が国がやがて老齢化社会になりますときには将来の人に非常な負担を残します。それは避けたいと考えておるところでございます。  日米経済摩擦でございますが、これだけ大きな経済が行き来をいたしますと、いろんな摩擦はある意味では当然のことかもしれません。競争と協調を基調として、話し合いを常にいたしておるところでございますが、我が国としましては、やはり内需主導型の経済運営あるいは構造調整の推進に努める。しかし、アメリカにもやってもらいたいことがございまして、財政赤字、貿易赤字、大きな赤字を両方とも抱えておりますし、その改善、競争力の強化等が望まれるところでございます。  ブッシュ大統領が来られましたときには、そういう経済問題も当然に話し合われることと存じますが、私は、そのほかに、これから将来に向かって日米が協調していわゆる地球的な責任をどのようにして果たすかということが話し合いの大切な問題の一つだというふうに考えておるところでございます。  それから、当面の景気をどう見るかということでございますけれども、確かにおっしゃいますように住宅投資が相当減っております。それから、自動車の新規登録台数も、今年は恐らく、もう十二月でございますので、何%かのマイナスということになりまして、そういうところから景気の足取りが重くなっております。企業家や消費者の心理に及ぼす影響を十分気をつけなければならない段階と存じます。  先般、公定歩合引き下げが行われましたが、このたびの補正予算に際しまして、財投資金を大幅に動員いたしまして、政府関係金融機関に十分に資金需要に応せられるような措置をいたしました。財投総額で一兆七千五百億円という大きな追加をいたしておりますが、これは追加と弾力条項と両方合わせてでございますが、どうも民間の金融機関がいろんな意味で貸し渋りがございます。そこで、中小企業関連の政府機関について十分な資金の供給をしておく必要があるというふうに考えたわけでございます。殊に中小企業関連の金融機関に重くこのような財投の追加をいたしてございます。  それから、税収下方修正でございますが、やはり株式取引あるいは不動産取引等が非常に減りました。有価証券取引税でございますとかあるいは登録印紙税等が大きく落ちておりますし、企業収益が悪くなっておりますので、法人税がかなり目減りが大きいということでございます。どうしてそういうことになったのか。やはり増収をもたらす経済流れの基調が変わったと申し上げるべきだと思いますけれども、これはバブル経済の是正のいわば後ではないかということは、現象としてそのとおりでございます。  ただ、あの一九八五年九月にプラザ合意がございました後、急激に円高が参りました。大変急激に円高が来まして、我が国の企業も国民生活も、いっとき、ややパニック状態になった。その間に、政府が為替の売買にある程度いろんな意味で介入をいたしまして、急激なドル安を防ぎますためにドルを買う、それだけの円が放出されます。また、内需を拡大するという意味からもいろんな意味での緊急措置をいたしました。そういういわぽ後の過剰流動性と申しますか、それがいわゆるバブルにたってあらわれた。弁解をするということではございませんが、現象としてはそういうことであったかと存じます。本年の七月ごろになりまして、大都市圏中心地価鎮静化傾向が見られておるというようなことであると考えておるわけでございます。  それから、これからの税制関連でございますけれども、確かに湾岸危機に対処いたしまして法人の臨時特別税、石油の臨時特別税を臨時的な措置としてお願いをいたしました。また、普通自動車に対する消費税六%、これも期限が参ります措置でございます。それはよく存じております。そういう問題をどうするのか。実は税制調査会におきましてようやく検討が始められたところでございますので、いましばらくその検討の推移を見させていただきたいと考えております。  それから、社会資本整備について、どうも生活関連部門へのシェア、いわゆる配分が思うようにふえていたいではないかということは、私も実は心配をしておるところでございまして、長期的に見ますとかなり動いておるのでございますけれども、なかなか思ったようには目立って動いていかない。これは、先般の公共投資基本計画でも十分その点は配慮いたしておりますが、努力を続けてまいらなければならぬ問題でございます。  それから、ソ連情勢は、先ほど簡単に申し上げましたが、何分にも、非常に情報が得にくいばかりでなく、事態そのものが流動的であるということと存じます一私どもとしては、各国との情報交換、我々の専門家も派遣をしたりいたしましてできるだけの情報収集に努めておりますが、いずれにいたしましても、先般発表いたしました二十五億ドルの措置というのはかなりの部分がいわば人道的支援でございますので、これは、受け方さえちゃんといてくれましたらいつでも使えるように準備をいたしておるところでございます。  残りの問題は大蔵大臣からお答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣羽田孜登壇拍手
  14. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 消費税について、本年十月から実施されております議員立法による法改正、これを円滑に実施すること、これが最も重要でございまして、今、消費税の税率についてどうこうするということについては念頭にあるわけでないことを申し上げます。  消費税の税率の問題は、基本的には、今後の財政需要の動向や税制全体としての負担のあり方等を踏まえまして、そのときどきの経済あるいは社会の条件のもとで国民が選択する事柄であることから、御指摘の私の答弁は、この問題をしゃくし定規に期間を区切って云々することはできないということを実は委員会のいろんなやりとりの中でお話し申し上げたことでございまして、それが何か消費税をアップすることについてある程度認めたなんというようなことが報道されたことは、これは私としても本当に心外であるわけでございます。  いずれにいたしましても、この消費税のアップをどうこうするとか、あるいはあるときは下げるなんということもあるのかもしれませんけれども、これは国会の中で御審議をいただかなければならないことでございます。その意味でも、これからも国民の皆様方の御意思というものをそんたくし、また尊重しながらこれに対応してまいりますということを改めて申し上げておきたいと思います。(拍手)     ―――――――――――――
  15. 長田裕二

    議長長田裕二君) 諫山博君。    〔諫山博君登壇拍手
  16. 諫山博

    ○諫山博君 私は、日本共産党を代表して、財政演説に対して総理質問します。  我が党は、本臨時国会が、宮澤総理の服部元秘書官らに対する証人喚問も実現されないまま、十一日間延長されたことに反対であります。しかし、PKO法案成立をねらう自民党は、そのための長期延長を強行することができませんでした。これは、憲法違反の自衛隊海外派兵に反対する大きな国民世論によるものにほかなりません。我が党は、あくまでもPKO法案の廃案を目指して奮闘する決意を改めて表明するものであります。  そこで、まずPKO法案について質問します。  PKO法案は、昨年の国連平和協力法案が廃案になったのに続いて、前臨時国会で継続となり、今国会でも成立が困難な状況となってきました。それは、第一に、武装した自衛隊海外に出動させようとする本法案が、憲法の平和原則に反することが余りにも明白だからであります。第二に、本法案政府答弁国連文書との矛盾が国会の論戦を通じて一層大きくなり、政府自身が説明不能に陥ったからであります。第三に、自衛隊のPKF参加が、多国籍軍、国連軍参加にさえ道を開くという重大な疑惑がますます深まったからであります。  総理、こうした矛盾の根底にあるのは、憲法上できないとしてきたPKFへの参加を憲法上可能であるように取り繕おうとしたことから生まれたものであります。総理は、この国民の疑念に説得力ある答弁ができますか、伺います。  例えば、PKO法案の根本問題の一つに指揮権の問題があります。PKFへの協力という形式をとって憲法上の問題をクリアしようとしても、結局、武装した自衛隊が日本の主権行為として海外に派遣されることになります。これが憲法違反であることは余りにも明白です。あなたは、国連のオペレーション上の権限を侵害してはならず、派遣部隊は国連のコマンドに服するよう実施要領に書き込むと言って、派遣部隊に日本の指揮権を貫くように見せかけています。しかし、実際は、憲法はもとより自衛隊法にさえ違反して、国連のコマンドのもとで活動させることにほかなりません。本当にコマンドに服するように書き込むつもりであるのかどうか、答弁してください。  総理、残された会期はわずかです。PKO法案についてあなたがとるべき決断はただ一つ、廃案あるのみであります。答弁を求めます。  総理、リクルートの株購入にかかわるあなたへの疑惑は、三点セットの提出によって、解明されるどころか、かえって重大な疑惑が広がってきました。このたび、株購入代金の振込人に松本第一秘書の名前が出てきました。松本秘書は、検察官調書で、宮澤総理政治団体の会計責任者であり、政治資金規正法違反に問われた資金管理者であることを自認している人物であります。十」のような人物がかかわっているのに、これが宮澤事務所の資金調達ではなくて服部個人の取引だなどとどうして言えますか。また、この事実を今日に至るまで知らなかったという言い分が、総理国民に通用すると思いますか、はっきり答弁してください。  この疑惑を国会で解明するためには、証人喚問しかないことはもはや明白です。新聞報道は、官邸筋が証人喚問に反対の意向と伝えています。言語道断です。総理は証人喚問には反対しないと明言すべきだと思いますが、いかがですか。  さて、現時点における重要課題の一つに、米輸入自由化問題があります。ガットのドンケル事務局長が今月二十日までに実質的な合意を求めたことに歩調を合わせ、渡辺外務大臣は、一国だけの利己主義のごりごりの主張だけ言ってもだめだと発言しました。宮澤総理は、国産による自給を基本とするという国会決議の趣旨を尊重する、このことを繰り返して答弁しておられますが、宮澤総理、あなたは外務大臣のこのような発言を容認されるのですか、明確な答弁を求めます。  このたびの補正予算で何よりも急がなければならないのは、雲仙災害対策と、壊滅的とも言われる青森を初めとするリンゴ落果や、かつてない規模の森林被害など台風被害対策、及び公務員の給与改善のための予算措置であります。  この際、雲仙災害対策のうち、緊急を要する個人被害対策についてお聞きします。  長崎県は、基金を設置し、被災家屋や営業の再建に資金を支出し、被災住民への生活費の援助、家賃の助成、警戒区域からの施設移転への補助などを行っています。しかし、三百億円という基金規模では住民の要望にこたえられないと現地は苦慮しています。ところが、政府はこの基金に一円の補助金も出していません。現地が希望する一千億円の基金達成に向けて、今こそ国の大幅。な財政援助を行うべきだと思いますが、答弁を求めます。  本補正予算案は、税収不足を理由に既定経費を七千四百八十七億円も削減しています。その中には、生活保護費五百七十三億円の節減が含まれています。窓口での申請拒否など、締めつけが一層強化されることになるのは明らかです。弱い者いじめそのものではありませんか。また、私立学校助成は二十二億円も削られました。その一方で、米軍への思いやり予算増額を含む防衛関係予算は五百三十九億円もの増額です。このような福祉、教育の切り捨て、軍事優先、これがあなたの言う生活大国ですか。今こそ、軍事費を削り国民生活に回すべきです。総理の明確な答弁を求めます。  総理税収不足は、プラザ合意以来のバブル経済が破綻した結果と、対米追随の自民党政府経済政策の失敗がもたらしたものであります。したがって、その責任は、自民党政府、とりわけ当時大蔵大臣であったあたた自身が負うべきものであります。一部で言われている消費税率の引き上げや地方交付税削減などは論外であります。  ところが、自民党小沢元幹事長は、湾岸戦争での戦費負担を例に挙げ、我が国が国際貢献を進めていくためには消費税の税率の引き上げも必要だと強調しました。あなたは、自民党総裁になるに当たって、小沢氏の意見を全面的に実行することを表明したと言われていますが、どうですか。答弁を求めます。  また、あなたの内閣になって初めて、大蔵大臣が、在任中に税率を上げないとは言えない立場を察せよなどと国会答弁しました。あなた自身は税率引き上げをどう考えているのですか。税率引き上げはしないと断言できますか。この点の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆるPKFの活動は、中立・非強制、国連の権威と説得によって停戦の確保をいたそうということでございます。強制、武力によることが本来ではございません。したがって、武力行使の目的を持たないで自衛隊がこの国連の活動に協力をするということは、もちろん憲法上禁じられておるとは考えておりません。また、派遣される人々は自衛のために武器を持っておりますけれども、これは自分の身を守るためでございますので、武力の行使ではございません。  それから、国連のコマンドについてのお尋ねがございまして、これは詳細は委員会で御議論になっておりますので簡単に申し上げますけれども我が国から派遣されました要員は、本部長が作成する実施要領に従いまして、我が国の指揮監督に服しつつ平和協力業務をいたします。実施要領は、五原則を盛り込んだ法案の枠内で国連の指図に適合するように作成されることになっておりますので、憲法自衛隊法に違反することはないと考えております。  それから、私のことにつきまして、この取引につきまして、これは服部恒雄氏の個人の取引である、その代金の払い込みを松本秘書が依頼を受けて行ったということは、現金で支払われておりますということなど全部必要な証悪書類によって示されておりまして、今日、委員会の方に、委員長のお手元まで御提示を申し上げておりますので、それによりまして明白であると存じます。それから、今回委員長までお届けいたしました資料、また、私がお答えを申し上げることによりまして事実関係は明らかになっていくことと考えております。  それから、外務大臣がウルグアイ・ラウンドについて言われましたことは、これは自由経済のために非常に大事なウルグアイ・ラウンドでございますので、各国が協力してぜひこのウルグアイ・ラウンドは成功させる必要があるということを強調されたものと承知いたしております。  それから、雲仙岳災害対策基金は長崎県が設置されたものでございますけれども、国も長崎県を支援するために地方財政措置を講じておりますことは御承知のとおりでありまして、国が何もやっていないわけではございません。三百三十億円でございますが、もし県からさらに増額の必要があるという具体的なお話があれば、十分御相談に応じたいと考えております。  それから、このたびの補正予算は、税収の大幅な減収、いわゆる減額補正をいたしました。とともに、災害関係経費給与改善費等の緊要なもの等々、国民生活上必要なものを計上しておりますが、防衛関係費につきまして、世界情勢の変化には、私ども、もとより慎重に配慮を払っております。ただ、我が国は基盤的防衛力構想でございますので、これはいわば最低限のことをやっております。世界情勢がちょっと変わったからうんと減らせるか、そういうものでないことはどうぞ御理解をいただきたいと思います。  消費税の税率、現在三%でございますが、この税率についてどうこうするということは私は考えておりません。国民の御理解なしに、安易にそういうことができるとは私は思っておりません。(拍手)     ―――――――――――――
  18. 長田裕二

    議長長田裕二君) 乾晴美君。    〔乾晴美君登壇拍手
  19. 乾晴美

    ○乾晴美君 私は、連合参議院を代表して、羽田大蔵大臣財政演説中心質問を行います。  まず、議会政治のあり方、特に立法府に対する内閣の姿勢と宮澤総理の心構えについてお伺いいたします。  十一月五日に召集の今国会は、十二月十日で閉会でありました。ところが、政府は、今年多発した災害の復旧、憲法が保障した労働三権の代償である人事院勧告等を実施するための補正予算を、事もあろうに会期切れの五日前、実質審議可能日数二、三日という時点で国会に提出された理由を明確に伺いたいと思います。  補正予算は、PKO法案国会通過の取引材料とか、PKO法案の成立めどが立つまで提出を引き延ばすとか、会期延長の材料と新聞は報じていました。私は、保守党の理性派旗手と言われた宮澤総理がよもやそんなことはしないと信じ、国民世論が不明朗政治と批判する駆け引き中心政治、国対政治に身を任すとは夢にも思いませんでした。さらに、参議院出身の初めての総理が、常識で考え会期内に本院が補正予算審議ができないことをなさるとも思いませんでした。残念です。国民総理に描くイメージと逆なことをやって、政治的良心が痛みませんか。    〔議長退席、副議長着席〕  総理内閣の怠慢を厳しく指摘し、総理に納得のいく弁明を要求いたします。  予算提出の直接の責任者である大蔵大臣は、これほどむちゃな予算提出をしておきながら、「御審議の上、何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。」と結びの言葉を述べられました。本院が会期内審議不能の予算を提出して速やかな御賛同はないと思いますし、参議院軽視と批判されてもやむを得ないと存じますが、御答弁願います。  次に、補正予算内容について質問したいと思います。  第一は、二兆八千億円の税収見込み違いの責任であります。適正な税収見積もりは、国民生活と公的負担関係で重要なことは言うまでもありません。昭和六十二年度から昨年度までの税の取り過ぎになれた財政当局が、過年度の補正予算において財政法二十九条の適正な運用を誤り政策経費に充て、結果的に今日の事態対応できませんでしたし、景気の転換点や減速景気バブルの崩壊を見誤ったとしか言いようがありません。税収見込み違いの原因と、適正見積もりの確立をどうされるか、大蔵大臣に御答弁願います。  第二は、税収見込み違いが国債整理基金に繰り入れるべき余剰金を食いつぶしたばかりか、建設国債一兆三千八百七十億円の増発を行い、借金削減政府方針と逆の政策をとらざるを得ないところに追い込まれました。近い将来、国債償還財源に困窮する危険はありませんか。今でも、今年度当初予算国債費の構成比は二二・八%と最大のウエートを占め、財政運営圧迫要因であります。景気停滞で先行き不安が強まる中で、政府は適正な国債費構成比をどの程度と考えておられますか。五年後の建設国債比五%の財政再建第二段階の政府目標が破綻した現在、今後、国債費構成比のような新目標を定め歳入歳出両面から総合施策を進めないと、財政再建はお題目に終わる危険はありませんか。大蔵大臣の明確な御答弁を願います。  第三は、既定経費節減についてお伺いいたします。昭和六十二年度の四千二百七十五億円の既定経費節減以来、毎年度補正でその額が膨らみ、今年度は七千四百八十七億円とたっています。そのうち五千億円は、国債費計上の見込み違いだそうです。確定利付の国債費がこれほど大きく狂うことに疑問が残るのと、新聞報道では、四年度予算概算要求財源不足をPRするねらいで大蔵省は国債費を意図的に水増ししていると言っています。節減と言えば国民向けに聞こえはよいでしょうが、当初予算編成が甘いか、国民に目の届きにくい技術的テクニックの疑いすらなくはありません。この点で大蔵大臣の御答弁を求めます。  次に、補正予算と関連して、来年度の予算編成について質問いたします。  今年度補正税収減額が尾を引き、来年度も大幅な財源不足が取りざたされています。大蔵省は、その穴埋めに湾岸戦争拠出金に充当した平成三年度限りの増税公約をほごにし、法人税と石油税の増税を継続するほか、消費税導入時の割高の自動車税課税の期限到来の四年度にこれを延長する方針と伝えられております。国民との約束を政府が一方的に破って増税して、信頼される政治や行政が成り立つわけがありません。総理に、国民との公約は破らないと言明していただきたいと存じます。  また、国の財布が苦しいからといって、みだりに地方財政にしわ寄せすべきではありません。地方財政余裕論を振り回し、交付税率引き下げを意図するようなことはもってのほかです。その前に、過去の国の負担で未払いとなっている分や補助率の完全復元など、国の責務を果たした後に地方の協力を口にすべきで、順序を誤って安易に車の両輪論を振りかざすことは混乱を招くだけです。  自治大臣に伺いますが、地方財政は豊かたのでしょうか。国にお金を貸すほどの余裕があるのでしょうか。はっきり御答弁願います。  次に、景気対策について質問いたします。  大蔵大臣財政演説では、日本経済は「個人消費設備投資に支えられて、総じて底がたく推移しております。」と述べておられます。しかし、その設備投資は軒並み下方修正され、個人消費も、百貨店売り上げの鈍化、自動車販売の予想外の不振、そして企業倒産は昨年十月以来毎月対前年同月比七〇%から八〇%増という異常事態が続いています。経済指標は悪化の方向のものぽかりで、先行き不安と不透明から企業も消費者もマインドは悪化しています。七月から九月期の国民所得統計速報は年率一・六%で、過去四カ年度の五%成長実績に比べ雲泥の差です。ミクロ経済で見たお店屋さんや中小企業経営の方々、さらに消費者の皆さんは、政府の底がたい成長のマクロ的判断の乖離に驚いています。庶民感覚に立ち、実質経済動向を正視した景気対策を講じていただきたいと思います。政府景気動向認識に誤りはないか、宮澤総理の明確な御答弁を求めます。  最後に、消費税について質問いたします。  消費税は定着したとか、消費税論議は風化したという論をする人がありますが、とんでもありません。消費税は家庭の台所を直撃しています。特に、食料品課税がなお厳然と行われていることは全く怒りにたえません。海部前内閣みずからも一・五%の減税課税を提案していたではありませんか。両院税制協の論議をいつの間にかなし崩しにし、食料品の全面非課税を求める国民の声を全く無視する政府の姿勢は、絶対に許すわけにはまいりません。あまつさえ、歳入不足を口実に消費税率のアップさえ考えているという報道があります。  総理は、今ここではっきりと、国民に対し、税率のアップはもちろん考えてもいたいと公言なさってください。軽減税率を実現することこそが責任ある政府と言えるのではありませんか。宮澤総理の明解な御答弁を伺って、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  20. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 補正予算提出が遅いということでおしかりをいただいたわけでございます。  当初予算に対する補正でございますので、補正要因をできるだけ後まで確認をいたしたいという気持ちがございますが、殊に今年のように税収減収にたるということになってまいりますと、これは来年の六月ぐらいまでの見通しを立てるのでございますから、なるべくやはり遅くしたいという気持ちがございますことは御了解をいただけると思う。それでもこれで大丈夫かという御批判があるようなことでございますので、できるだけ最後まで見ていたいということでございました。  また、歳出要因につきましては、災害等々が主でございますけれども、経験的に台風被害というものが終わる時点ということから災害の復旧事業費等をはじきますものですから、これもやはり補正要因としてはかなり時間的に遅い必要があるということでございまして、御理解をお願いいたしたいと思います。  それから、湾岸税制、いわゆる湾岸危機に対処するための増税、それから自動車についての消費税の六%、これは確かに両方とも時限的なものでございます。今後の問題につきましては、税制調査会が検討を始められたばかりでございますので、もう少し様子を見させていただきたいと思います。  それから、当面の景気でございますけれども、拡大テンポがかなり鈍っておりまして、住宅投資にいたしましても自動車の新規登録台数にいたしましてもマイナスになっておりまして、企業家一や消費者の心理に及ぼす影響を十分注意してま。いる必要があると考えます。先般、公定歩合引き下げが行われました。また、今回の補正予算で、民間の金融機関に、殊に中小企業関係にどうも貸し渋りがございますので、政府関係機関に財投の融資を大幅につけまして資金需要に応じようというふうにやっておりまして、内需が持続的に、殊に消費者の心理と企業家の設備投資の心理に暗い影が差しませんように努力をいたしたいと思います。  消費税につきましてお尋ねがございました。  今年十月を目途に飲食料品等の問題について御協議がございましたが、各党各派の意見の隔たりがあって一致は見られなかったということでございました。政府といたしましては、御議論の経緯、結果を踏まえまして先般の法改正をいたしました。これを円滑に実施いたしたいと考えておりまして、三%の税率を今変えるということは私は考えておりません。  残余の問題は関係大臣からお答え申し上げます。(拍手)    〔国務大臣羽田孜登壇拍手
  21. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 補正予算の会期末になりました問題につきましては、今総理から御丁寧にお答えございましたので、お許しをいただきたいと思います。  税収見込み違いの原因はどうなのか、適正な見積もり方法を確立てきるかというお話でございますけれども、毎年度の税収見積もりにつきましては、見積もりの時点におきます課税実績ですとかあるいは経済見通しの諸指標をもとに、利用可能な資料の限界の中で最大限の努力を傾けてきておるところであります。しかしながら、一般的に、見積もり後の経済状況の変化等、見積もり時点で予測しかたかったような状況の変化が税収に反映しまして、結果的に予算額にある程度増減が生じるのは避けがたいところであろうというふうに思っております。この点はぜひお認めいただきたいと思います。  なお、今回、三年度税収につきましては、当初予算に対しまして大幅な減収が見込まれるに至ったことはまことに残念でございますけれども、これも先ほどから申し上げておりますように、株式の取引あるいは不動産取引、これが予想を超えて低迷していることですとか、あるいはこれらの影響等から企業収益が当初の予想に反しまして二年度に比べて減少していることなど、見積もり時点ではなかなか予測ができなかった諸要因の変化が重なったということでございます。この点についてもぜひ御理解をいただきたいと思います。  来年度以降の税収見積もりにつきましては、資料の収集あるいは推計方法について絶えずこれからも工夫を凝らしまして、より適正な見積もりをしてまいりたいというふうに考えております。  また、国債費は、現在及び過去における国債発行の償還費あるいは利払い等から構成されておりまして、その性質上それを政策的に削減することは一般に困難であるため、結果として、国債費の増大は予算における他の政策的な経費を圧迫することになるというふうに考えられております。したがって、予算における適正な国債費の構成比というものは一般に考えにくくありまして、歳出の徹底した見直し等により国債発行額を極力縮減する努力を続けまして国債費の増大を抑制し、ひいては予算に占める国債費の割合も低下させていく、その努力が重要であろうというふうに考えております。  なお、今回の補正予算におきまして国債費減額しておりますけれども、これは当初予算の編成の段階では予想できなかった金利の低下等によるものであり、御指摘のような批判は当たらないというふうに思っておることを申し上げたいと思います。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣塩川正十郎君登壇拍手
  22. 塩川正十郎

    国務大臣(塩川正十郎君) 地方財政についてのお尋ねでございますが、地方財政はなお多額の借金を抱えております。そして、よく言われますように、どうも東京都が標準で地方自治体が豊かになったとかどうとか言われますけれども、三千三百の地方団体がございますが、それらの大部分はまだ財政力が非常に弱いところでございまして、しかも今後とも大きい財政需要が控えております。  その一つとして申しますならば、福祉ゴールドブラン十カ年計画というのを実施していきますのに地方としても相当な財源の用意をいたさたければなりませんし、一極集中排除という、これを実施していこうといたしまして均衡ある国土の発展を目指すためにも地方自治の活性化を図っていかなきゃなりませんし、さらにはまた公共投資計画がございますが、それの受け皿としての地方団体の財政需要もこれはますますかさ増しされてくる、こういう状況にございます。  したがいまして、私たちといたしましては、まず地方の固有の財源でございますところの交付税の確保をいたしたい、こう思っておりまして、したがって、税率の改正であるとかあるいはまた大幅削減だとかいうことは、これは今のところ絶対に受け入れられないという状況でございまして、この点につきましての地方団体に対します財政上の事情を十分に御理解していただきたい。  ただし、国と地方との関係でございますから、これは絶えず財源の調整はいたしておることでございますので、ことしはことしなりに十分な話し合いをして所要の地方財政の確保をいたしたい、こう思っております。(拍手)     ―――――――――――――
  23. 小山一平

    ○副議長(小山一平君) 寺崎昭久君。    〔寺崎昭久君登壇拍手
  24. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、ただいまの羽田大蔵大臣財政演説について、総理及び大蔵大臣質問いたします。  まず、税制問題についてお尋ねいたします。  バブル経済の崩壊、経済の減速等により、今年度は二兆八千億円、来年度は数兆円とも言われる税収不足が生じるとの見通しが明らかになっております。その穴埋めのため、自民党や政府の首脳は事あるごとに増税策を講じようとしておりますが、到底容認できるものではありません。あろうことか、大蔵大臣までもが消費税率の引き上げに言及し、十二月三日の参議院大蔵委員会で、私の在任中に税率を引き上げないと言えない立場を理解してほしいと述べたことは言語道断であります。  消費税関連法審議に際して、昭和六十三年十一月十六日、自民、民社両党は、行財政改革を強力に推進し、消費税率は極力その維持を図るよう努めるとの合意を交わしました。行財政改革に関するその後の進捗状況について言えば、第三次行革審が、十分とは言えない、これからが正念場との意見書を提出しているように、補助金行政の抜本的見直し、中央省庁の整理統廃合、地方分権の確立、国家公務員定数の削減など、本来の行革がきちんと行われていないことはだれの目にも明らかであります。したがって、行財政改革の断行なくして消費税増税を安易に求める一連の動きについては、公党間の約束を踏みにじるものと受けとめざるを得ません。  この際、宮澤内閣は、まず政府みずからが汗をかくべきであり、消費税率引き上げなどという安易な増税策は絶対にとらないということを国民に約束するべきであります。この点について総理及び大蔵大臣見解を求めます。  また、法人税、石油税の臨時増税及び普通・小型乗用車の消費税率の割り増し税率六%を延長するとの意向も伝えられております。かかる増税措置は、いずれも今年度限りという約束で設けられたものであって、来年度以降も継続するとすれば、明らかに公約違反であり、民主政治の根幹を揺るがす暴挙生言わなければなりません。  湾岸協力増税については、大蔵大臣だった橋本氏が一年限りの税制上の措置と趣旨説明で約束しております。乗用車の消費税の割り増し税率については、主税局長だった水野氏が経過的なものと答弁しております。約束は守らなければなりません。政府が約束をほごにすれば内外の信用を失うだけでなく、また経済が低迷している時期に増税を延長すれば、景気はさらに失速し、逆に税収を落ち込ませる結果になることを認識しなければなりません。  宮澤総理羽田大蔵大臣は、安易な増税の延長はやらないと国民の前に明らかにするべきであり、明快な答弁を求めます。  次に、今後の予算編成についてお尋ねします。  本来、国の予算、すなわち事業計画というものは、産業経済構造の変化や国民のニーズに応じて変化するものであります。しかし、これまでの予算編成は固定的、硬直的であり、公共事業関係賢一つとってみても、省庁別配分はここ十年間ほとんど動いておりません。まさに省あって国なし、与党の利益誘導を最優先させてきた実態を如実に示すものであります。宮澤総理生活国づくりを唱えておられますが、それにはまず従来の予算編成を根本から改める必要があります。  そこで、私は四つの提案をしたいと思います。  その第一は、来年度予算編成は、既定経費を前提に増分を基調とした方式は取りやめ、真に国民生活に必要なものをゼロから積み上げていく形で行うべきだということです。  第二に、この関連で言えば、政府は、十カ年四百三十兆円の公共投資を実現するに当たって、公共投資全体のあり方を根本的に改めることなく、生活関連枠の継続、新たな別枠の設置という殖産興業的発想の延長線上にある手法で措置されようとしていますが、これは明らかに政策誤りであります。今、国民が求めているのは、一律主義でなく、生活重視社会資本整備への転換であることを知るべきであります。その意味で、平成四年度以降の公共投資予算は、過去の予算実績に一切こだわらず、不要不急の歳出削減しつつ、公共住宅、下水道、都市公園、文化・余暇施設、高齢者に優しい町づくりなど、民社党の主張する生活先進国建設に寄与する社会資本整備を重点とすべきであります。  第三に、単年度だけで予算の収支バランスをとる現行方式ではなく、予算に過不足が生じることを前提とし、かつ安定的に執行できるよう予算の仕組みを根本的に改めるべきこと、あわせて、地方財源との関係や交付金なども含め総合的に検討することを提唱します。  第四は、中長期的な課題として、大蔵省主計局による予算編成を廃止し、歳出については国民のニーズを国政に的確に反映させるとの観点から、民間出身スタッフの起用も含め、内閣予算局に予算編成事務を担わせるべきだということであります。家計なら収入が減れば支出を抑えて切り抜けるところでも、歳入歳出を一局集中させる現行の仕組みでは、どうしてもお上意識や御用金調達感覚が働いて不足分を国民不担に求めがちになり、予算の水膨れが改まらないと考えるからにほかなりません。  以上四点について政府はどう受けとめるのか、総理及び大蔵大臣見解を明らかにしていただきたいと思います。  最後に、災害対策について伺います。  災害復旧等事業費が補正予算案に計上されたことは評価しますが、しかし、雲仙・普賢岳噴火災害のように避難生活が長期にわたる場合や、リンゴやミカンの災害のように復旧に数年かかる場合には、現状の対策だけでは被災者が十分納得できるような対応はできません。この際、自然災害による被災者を救済するための国や県の負担による共済制度もしくは基金の創設を行うべきだと考えます。この点に関し、宮澤総理の誠意ある御所見を期待し、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  25. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 消費税の問題につきましては、大蔵大臣からもお答えがあろうと存じますが、私自身、この三%の税率を今どうこうするということを考えておりません。こういうことは国民の御理解がありませんと、御理解なしに軽々にやっていいこととは考えておりません。  それから、確かに法人臨時特別税、石油臨時特別税、あるいは普通自動車に対する消費税六%は、仰せのように時限的あるいは経過的なものでございます。これは、そういうふうないきさつでございましたことは確かでございます。今、税制調査会でいろいろな検討をしておられますので、もうしばらくその御検討の結果を待たせていただきたいと存じます。  それから、予算編成につきまして大変有益な四つの御示唆がございました。  第一は、前年度比プラス幾らというようなそういう予算の積算、算定の方法はいかぬということで、それはまことにそうでございます。殊に四年度のように財政の事情が苦しくなりますと、そういうことではなかなか予算編成ができないであろう。おっしゃいますように、重点的、効率的な配分に努めなければならないと存じます。  それから、第二に御指摘になりましたのは、公共投資の配分率というものが時代の要請が変わるのに一向にそのシェアが動かない、これはいかぬでは広いかということは、私どももそういう反省をいたします。しかし、長期的にはかなり努力の跡はございますので、例えば御指摘になりました住宅、下水道、環境衛生等、これが一般公共事業の中で昭和四十年度には九%でございましたが、平成三年度には二八・三%になっておりますので、あきらめることなくこういう努力を続けていかなければならないというふうに考えております。  それから、第三の御指摘は、どうも予算というものは単年度主義であるということでございますが、これは毎年毎年、国会の御審議を得、お許しを得て予算が成立するという、そういう仕組みに関係あるわけでございますが、しかしそういう中でやはり多少長期的な視野を持つべきだということは私どもも感じておりまして、例えば国庫債務負担行為であるとかあるいは予算の繰り越し等々の制度は使わせていただいております。しかし、この単年度主義というものを改めますことはいろいろな法律関係があるように存じますので、事実問題として、できるだけ長期的な視野を入れていきたいと考えております。  それから、予算編成というのは大蔵省の主計局ではいけないので内閣予算局でやれ、移管をしろという御指摘がありました。  これはもう従来何遍もそういう御批判があるわけでありますけれども、実際問題といたしますと、予算編成をいたしますのに、税制でありますとか金融でありますとか財政投融資、そういうものと切り離せない、整合性を持っておりませんとなかなか予算の編成ができない。編成部局だけを分離するかということになりますと、それはやはりなかなか難しいということが従来の私ども検討結果でございまして、その点、御理解をお願いいたしたいと存じます。  しかし、御指摘になりました四つの点は、おのおの私どもにとりまして非常に参考になる御示唆であったと存じます。  それから、最後に、個人の災害でございますが、従来から個人の災害は自力救済を原則にしておりますので、国や地方公共団体の救済措置もその自助努力支援するということになっておるわけでございますけれども、それだけでは十分でないという御指摘はあちこちにございます。他方で、それなら共済型がいいかということになりますと、災害の発生の確率というのが地域でもってかなり違っておりますので、一律の共済ということにはまたいろいろ問題が多いようでございます。いずれにいたしましても、今の課題状況、地方公共団体の意向、共済制度そのものの問題点、それらも含めまして、この点はこれから研究を行ってまいるべき課題であると存じます。  残余のお尋ねにつきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)    〔国務大臣羽田孜登壇拍手
  26. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) まず、先ほどから申し上げております消費税の問題でございますけれども、この問題につきましては、総理からもお話がございましたように、本年十月から実施されております議員立法による法改正、この結果を私どもは十分に実施していくということが非常に重要でありまして、今三%の税率についてどうこうするといったことは一切念頭にないということを申し上げておきます。  消費税の税率の問題は、基本的には、今後の財政需要の動向や税制全体としての負担のあり方等を踏まえまして、そのときどきの経済社会の条件のもとで国民が選択する事柄であろうというふうに思っております。御指摘の私の答弁につきましては、この問題をしゃくし定規に期間を区切って云々することはできないということを申し上げたものでございまして、従来の答弁と変わっていないことをはっきりと申し上げておきたいと思っております。いずれにいたしましても、国民の御理解がなけれはこれは進めることはできません。  二番目の、法人税、石油税の問題等につきましても、総理から今お答えを申し上げたとおりでございまして、この問題につきましては、いずれにしましても、今これは税制調査会で御議論をいただいておるところでございます。  三番目の、既定経費を前提にという点でございますけれども我が国財政は、平成三年度末の公債残高、これが百七十兆円程度にも達する見込みでございまして、国債費歳出予算の二割を超えるなど、依然として極めて厳しい状況が続いております。加えて、税収動向につきましても、これまで増収をもたらしてまいりました経済的諸要因流れを変えてきておりまして、三年度税収は当初見積もりに比べ大幅な減収を生じるものと見込まれ、またそれを土台とする四年度税収も極めて厳しい状況になることは避けられないというふうに思っております。  今後の中期的な財政運営につきましては、急速に進展する人口の高齢化など今後の社会経済情勢財政が弾力的に対応していくためには、二度と特例公債を発行しないことを基本として、建設公債といえどもその発行を極力抑制しまして、公債残高が累増しないような財政体質、これをつくり上げるために努めてまいりたいというふうに思っております。  四年度の予算編成に当たりましては、このような状況を踏まえまして、真に必要な財政需要に適切に対応しつつも、あらゆる分野におきまして、既定の制度、施策、こういったものを見直しながら節減合理化に取り組んでいく必要があろう、そして時代の要請に応じた重点的、効率的な配分に努めてまいりたいというふうに考えております。  なお、公共事業の事業別配分に当たりましては、従来から、経済社会動向、また社会資本整備状況等を踏まえつつ適切に対応してきたところでございますけれども平成三年度におきましても、国民生活の質の向上に結びつく分野にできる限り配慮しようということでございまして、この結果、住宅ですとか下水道、環境衛生等のシェアにつきましては、平成二年度の二八・一%から、わずかでございますけれども、二八・三%と変化をさせておるところであります。  いずれにいたしましても、四年度の編成に当たりましても、この配分に当たりまして、社会的なニーズ、こういったものを踏まえながら、中長期的な点から重点的、効率的な配分、これを行っていくことを申し上げておきたいと存じます。  なお、単年度主義でなくということにつきましては、今総理からもお答えがあったわけでありますけれども、中期的な視点に立って財政運営を進めていくことが重要であることについては十分私ども認識いたしており、国庫債務負担行為、予算の繰り越し等の制度を用い、適切な財政運営を図っていきたいというふうに思います。  また、財政運営に当たりましては地方の財源との関係等も十分に配慮していかなければいけないということを申し上げたいと存じます。  また、主計局による予算の編成につきましては、これは今総理からお話があったとおりでございまして、整合性をとっていくということになりますと、予算編成部局だけを分離するということは非常に難しい障害が生ずるであろうというふうに思っております。また、新たな組織をつくるということになりますと、行政改革の趣旨に逆行するということもあろうかとも思っております。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、引き続き適切な予算編成を行うために最大限の努力を払ってまいりますことを申し上げて、終わります。(拍手
  27. 小山一平

    ○副議長(小山一平君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後七時八分散会      ―――――・―――――