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国務大臣(
宮澤喜一君) 冒頭にまことに御丁寧なお言葉を賜りまして、恐縮をいたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日の本
会議に二閣僚が
海外出張のため欠席をいたしましたことにつきまして御指摘がございました。実は、韓国のソウルにおきましてAPECめ関係閣僚
会議が開かれておりまして、
アジア各国から外務大臣、貿易大臣、また
米国から国務長官等々の出席がございまして、
我が国にとりましても
アジア各国にとりましても非常に大事な
会議と
考えまして外務大臣と通産大臣が出張をいたしましたわけでございますが、たまたま本院における
代表質問の第一日になりまして、御不便をおかけいたしましたことを申しわけなく思っております。そのような事情でございますので、どうぞ御理解を賜りたいと存じます。
浜本国対委員長から、
政権交代に際しての私の心構えとでもいうべきものについて
お尋ねがございました。
所信表明でも申し上げたことでございますが、国際
社会がただいま新しい
世界平和の秩序を
構築する
時代の始まりを迎え、激変をしつつございます。また、それに関して
我が国の
最大限の
貢献が求められるような
時代になりました。また、国内におきましては、
国民の間の連帯感あるいは安定感の基盤とならなければならない公正な
社会の形成、また
国民の一人一人が
生活の豊かさを実感できる
生活大国とでも申しますような国づくりが
時代の要請になっておると思います。私は、このような新しい
時代の要請に受け身でなく積極的に
対応して、
国民の御理解と
信頼にこたえてまいりたいと
考えておるわけでございます。
また、
海部前
内閣は
政治改革に心血を注がれましたが、私といたしましてもその志を継ぎまして真摯に取り組んでまいりたいと思っております。
このたびの
政権交代がいわゆる
衆議院解散を経ずに行われたということにつきまして、私どもの自由民主党の中で、政権政党といたしまして
総裁の公選が開かれた形で行われました。私は
総裁に選出されまして、過般、首班の御指名を受けたわけでございますが、これも議会制政党民主主義のルールにのっとったものであると
考えておりまして、
国民はこのことは多分御理解をしていただけるものと
考えております。
次に、
政治改革について
お尋ねがございました。
政治改革の実現は、現下の緊急
課題でございますし、また
時代の要請であると
考えております。事柄の性格上、各政党の消長にもかかわります。また、議員個々人の身分にかかわる問題を含んでおりますので、
政治家としていろいろな痛みを伴うことは避けがたいとは
考えますが、改革実現に向けまして全力を挙げて真摯に取り組む
決意でございます。各党各会派の御理解と御
協力をお願い申し上げたいと存じます。
公正な
社会ということとの関連において、
証券あるいは土地問題について例証土してお触れになりましたが、御指摘がございましたので、その点にまずお答えを申し上げておきます。
政府といたしまして、さきの行革審の答申及び
国会決議が
証券・
金融不祥事件に関してございました。それを尊重いたしまして、
証券・
金融市場の透明性、公正性の向上及び
信頼確保に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
それから、いわゆる
地価の問題につきましては、
地価高騰の結果、
国民の住宅取得が困難になる、あるいは
資産格差の拡大による不公平感の増大等々、
我が国社会に深刻な影響を与えていることは御指摘のとおりでありまして、私もこの問題を
社会の公正の欠如という形でとらえております。このような
事態に対処いたしますために、土地取引規制、土地関連融資の規制、あるいは土地税制の
見直し、住宅宅地供給の促進等々、各般の施策を実施しつつございます。まだまだ十分ではございませんが、多少の成果が見えてきておりまして、引き続き強化をしてまいろうと思っております。
次に、
政治倫理綱領に関しまして
お尋ねがございました。
私
自身、いわゆる
リクルート事件につきまして、自分の不行き届きから
国民の皆様に御迷惑をおかけしたことは、
政治家として深く反省をいたしております。同じ誤りを繰り返さないように、今後の
政治活動を通じまして一生戒心を怠らない
決意でございます。なお、これにつきまして、今後の
国会での御論議につきましては、私として最善の
努力をしておこたえをしてまいる
考えでございます。
政治的には、過般の
選挙におきまして、心を新たにもう一度
努力せよという有権者の信任を得たものと受けとめております。
なお、私の同僚各位も、このことにつきましては同じような心境、戒心をしておられるものと信じております。
政治的に信任を受けてきておられますので、高い見識と有能な才能を持っておられるこの
人々が所を得て活躍されることは極めて大切なことであるというふうに
考えておるところでございます。
それから、
選挙制度の
改正につきまして、一年をめどにというのはどういう
意味であるかという
お尋ねがございました。
政治改革の
基本には、もとより
政治倫理の
確立がございます。また、あわせて
制度面においても、金のかからない、
政治活動や
政策を中心とした
選挙が実現できるような仕組みとすることが必要でございます。
そこで、
政治改革協議会におきまして各党間の御
協議に当たりましては、先般の
国会で廃案となりました
政府提出の三
法案をたたき台にしていただきまして、
現行制度をめぐるさまざまな問題を抜本的に解決し得るような具体的な結論を、おおむね一年を目途に出していただけるように念願いたしておるわけでございます。
政治改革実現のための方策につきましては、既に
政治改革協議会において御
協議が進められておりますので、その
手順等も含めまして各党間で御
協議を尽くしていただき、実りある合意を得ていただきますように
期待をいたしております。
次に、
議員立法との関連で
お尋ねがございましたが、
議員立法をふやすということにつきましての
条件整備の問題、これはもとより
国会におきまして一義的には御検討をせられるべき事柄であると
考えますが、
政府といたしましても、行政に対する
国民の
信頼を確保するという観点から、行政改革大綱等に基づきまして、閣議決定によりまして行政
情報の公開を推進してまいりました。今後ともそのような
努力を続けていく
考えでございます。
経済政策について
お尋ねがございました。
御指摘のように、
経済の
現状につきましては、住宅
建設が低迷しているなど拡大のテンポは確かに減速しつつあるという御認識は、私も同じ
考えを持っております。他方で、有効求人倍率等はさして影響を受けておりませんので、いわば完全雇用はほぼ維持されつつある、インフレなき持続可能な成長に移行する過程にあるであろうと思われます。しかしながら、その間の変化というものはやはり
国民生活にも企業にも微妙な影響を与えるものでございますので、この際の
経済の運営については極めて注意をいたさなければならないと思います。適切かつ機動的な
経済運営に努めまして、内需を中心とした持続的な成長に努めてまいらなければならないと思っております。
金融の問題につきましても御指摘がございました。
私の見るところでは、この
経済の
現状につきましては
金融当局も余り違った認識は持っておらないように
考えておりまして、従来から長短金利の低目誘導などについて継続した
努力が行われております。
基本的な認識を一にすると
考えておりますので、今後の処置につきましては、なおしばらく
金融当局の
判断に任せておいてよろしいのではないかと
考えておるところでございます。
次に、
経済の国際化につきまして、
市場競争の国際的なルールということについて御指摘がございまして、私はまさに御指摘のとおりであろうと思います。
我が国の
経済が国際的な標準から見て公正かつ自由な競争のもとに行われているということは、今回いろいろな事件で国際的にも問題視されたところでございますから、十分に注意をしなければならないところであると存じております。なおまた、
企業倫理につきましても、企業の行動が国の内外においてさまざまな面に多大な影響を及ぼすようになっておりますので、
社会に対する
責任感を強く自覚して行動してもらいますことは、公正な市場
経済の維持ばかりでなく、
社会の健全な発展のためにも必要なことでございます。この上とも企業の自覚を強く
期待いたしておるところでございます。
次に、
財政につきまして、
平成四年度
予算の関連での
お尋ねがございました。
我が国の
財政は、なお巨額の公債残高を抱えております。そして、
現状について申しますならば、かつて
税収の増加をもたらしましたような
経済的なもろもろの要因が先ほども御指摘のように流れを変えてきておりまして、現時点での
税収状況も低調でございます。見通しはなかなか厳しいと
考えなければなりません。しかしながら、やがて
我が国は
高齢化社会を迎えることになりますので、その際、現在特例公債などを発行いたしまして将来への負担を残すことは避けなければならないと
考えております。したがいまして、まず、あらゆる
分野において優先度の低い歳出の
見直し、節減合理化に取り組んでいくことが第一に必要であるというふうに
考えております。
それから、いわゆる
国民資産倍増について
お尋ねがございましたが、私も長いことこのことを唱道してまいりました。
先般、公共投資
基本計画が策定をせられました。
生活関連
分野の充実に
重点を置いて着実な実施が行われつつございます。それはいわゆる四百三十兆円の問題でございますが、
我が国の
社会資本はやはりたお立ちおくれております部門が多うございますので、二十一
世紀に向けまして、
国民生活の質の向上、多極分散の促進など長期的な発展の基礎固めを行いますために、一九八一年から九〇年度までの十年間の実績を大幅に拡大いたしまして、九一年から二〇〇〇年までの十年間の公共投資の総額を四百三十兆円とする計画が昨年六月に策定されたところでございます。
この計画に沿って公共投資をいたしてまいりますと、
我が国社会資本の整備の水準はかなり充実いたすものと
考えております。欧米先進国を超えるというところまではまいらないかと存じますが、それほど遜色のない水準に近づき得るものと
考えておるところでございます。
次に、
相続税につきまして、
相続税の
減税をするのかという
お尋ねがございました。
先般の土地税制を改革いたしましたときに、土地を持っておるということが税金上いろいろに有利であるということが広く信じられるに至りましたので、そういうことがあってはならないということから、土地の
相続税評価の基準の適正化を
平成四年から行うこととしたわけでございます。そういたしますと、税率を据え置いておきますと
相続税の負担が非常にいびつになってまいりますので、その調整を行う必要があると
考えておるわけでございます。もちろん、その際に、御指摘のように
相続税は
資産再配分の
社会的な機能を持っておりますので、このことが損なわれませんように、御指摘のように十分に留意をしてまいりたいと
考えております。
次に、
消費税につきまして、
消費税率の
引き上げをどう
考えるかという
お尋ねであったわけでございます。
先般の両院合同
協議会におきまして、
消費税の
改正が行われました。この
改正を定着させたい、それが目下最も重要な問題だと
考えております。したがいまして、三%の税率を今どうこうするということは私の念頭にはございません。
消費税の税率の問題は、そのときどきの
経済、
社会の
条件のもとで
国民が選択をする事柄でございますから、
国民の御理解なしに安易に税率の変更を行うことは
考えておりません。
なお、
消費税につきましては、先般の両院合同
協議会において
議員立法で
改正が行われました。十月から実施されておりますが、飲食料品の問題につきましては本年十月を目途に
協議を続けるとなされておりましたが、十月二十三日の同
協議会において、各党会派の意見の隔たりが大きく一致は見られたかったというふうに承知をいたしております。
いずれにいたしましても、立法府における御議論の経緯、結果を踏まえながら、先般行われました法
改正を円滑に定着させてまいりたいと存じております。
ウルグアイ・ラウンドにつきまして
お尋ねがございました。
これは
所信表明で申し上げましたとおり、現在最終段階を迎えております。我が用としては、他の主要国とともに、この交渉が年内に成功裏に終結するよう
努力を継続いたしております。
農業につきましては、各国ともそれぞれ困難な問題を抱えております。
我が国の米につきまして、これまでの
基本的
方針のもとに、相互の
協力による解決に向けて
最大限の
努力を傾注してまいる
考えでございます。
台風災害につきまして、
補正予算との関連の御
質問がございました。
先般、全国各地に
台風によります大きな災害がございました。謹んでお見舞いを申し上げます。
その関連で、
補正予算のことでございますが、
補正予算の対象を
考えてまいりますと、これから人事院勧告をどう取り扱うかという問題、あるいはいろいろな義務的経費、それに御指摘の災害復旧事業費等たくさんの追加需要がございまして、また歳入面では逆に、先ほども申し上げましたように
税収の動向が必ずしもよくないという問題がございまして、歳出歳入面でもう少しいろいろな
判断材料をそろえましてから決心をいたしたい。今の段階で
補正予算の内容について確たることを申し上げることができない
状況でございますが、しかし、いずれにいたしましても、この災害につきましては、
天災融資法の発動あるいは
激甚災害法の適用には御指摘のとおり十分に配意をいたしますとともに、災害復旧事業につきまして、
予算執行
状況等を見つつ適切に対処をしてまいりたいと思っております。
次に、
高齢化社会が本格化するということにつきまして御指摘がございました。
国民の四人に一人が六十五歳以上の
高齢者になるという
時代が、二十一
世紀になりますと間もなくやってまいります。その際、すべての
国民が健康で生きがいを持ち安心して生涯を過ごす、そういう明るい活力に満ちた長寿
福祉社会をどうやって築くかということが大問題でございます。
高齢者はすべて豊富な人生体験を持ち、また技能を持っておられる方が多いわけでございますので、そういう方々が
社会活動に参加できるような機会の提供、環境の整備を図ってまいらなければならないと思います。それが生きがいを持たれるということであろうと思うのであります。
高齢者の
福祉につきましては、
高齢者保健
福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランがございますが、この着実な推進を図りまして、
高齢者ができる限り御自分の住みたれた家庭あるいは
地域の中で暮らしていただけるように、そのためにはホームヘルパーでありますとかあるいは在宅
福祉、デイサービスなどが拡充されなければなりません。また、万一在宅での
生活が困難な場合には、適切な施設、例えば特別養護老人ホームというような整備を進めるなど、一層の施策の充実に努めてまいりたいと
考えております。
部落差別の実態についてでございますが、
政府は、昭和四十四年以来三たびにわたる特別措置法に基づきまして各種事業を推進してまいりました。差別の実態につきましても、従来から適宜把握に努めてまいりました。
現行法が失効いたします
平成四年四月以降の方策につきましては、
地域改善対策協議会において一般
対策への円滑な移行について御審議を願っております。その意見を尊重して検討してまいりたいと
考えております。
次に、
外交につきまして
お尋ねがございました。
激動のさなかにあります国際
社会の中で、
我が国は、これから
国際秩序の根本にかかわりますほとんどすべての問題に大きな影響を与える、そのような国となってまいりました。また、
我が国に対する国際
社会の
期待も高まっております。
このような中で、
我が国としてはみずからが追求する
理念を明確にし、
世界の
期待にこたえていかなければならないと思いますが、私は、その
理念は、内政におけると同じく、平和、自由、繁栄であろうと
考えております。そういう
理念の上に、新しい
世界平和の秩序を
構築していく上で、
我が国が
建設的な
役割を担っていくことが大事でございます。
平和憲法のもとに、他国に
脅威を与えるような軍事大国とはならないこと、また、他の先進民主主義諸国との協調のもとに、
経済力、技術力などを
活用して、
政治、
経済両面にわたって国際
社会において積極的な
役割を果たしていく、これが
基本の
方針でございます。
そこで、
PKOの問題について御指摘があったわけでございますが、昨年の湾岸危機に際しまして、
国民の間には、
我が国がどのような
貢献をすべきか、あるいはどういうことをしてはならないかということについて幅広い御議論がございました。そして、
財政的貢献だけでは十分でない、何か汗を流さなければ、
人的貢献を行わなければならないだろうという御議論がいろいろに行われました。
その結果、
憲法のもとで、できないことはできない、これは明確にしなければならない、しかし同時にその反面、できることは
最大限に行おう、こういうコンセンサスが生まれたものと私は
考えております。
PKOの
法案はこのような
考え方に基づくものでありまして、国際協調のもとに恒久の平和を希求するというのは
我が国の
憲法の
基本の
理念でございます。そういう
基本の
理念に合致するものとして
PKOの
法案を
国会に御提出いたしました。御審議を仰いでおるところでございます。
また、
国連におきまして、いわゆるUNTACの機構が間もなくカンボジアの再建をするかと存じますが、その場合にも
我が国が何か適切な
役割を果たしますためにもこの
法案をできるだけ早く成立させていただきたい、撤回をすることは
考えておりません。
次に、
アジア・
太平洋地域での
信頼醸成機構、何かそういう仕組みは
考えられたいかという非常に示唆に富む
お尋ねがあったわけでございます。
現在、
アジア・
太平洋地域においては
地域の平和と安定に好ましい
動きがいろいろに展開いたしておりますけれども、依然として未解決の
政治的対立や紛争がございまして、
地域全体としての
アジア・
太平洋安保会議、ヨーロッパにございますようなそういう機構を設立して包括的に討議を行おうという
政治的な環境は、残念ながらまだ整っておりません。大切なこととは思いますが、現在それだけの客観的な
条件がまだ欠けておるということであろうかと思います。
我が国としては、この
地域が非常に多様的である、また複雑であることを
考えまして、二国間同士の関係を強化するとともに、例えばASEANの拡大外相
会議でありますとか、APECの
会議でありますとか、そういう
協議の場を
活用しながら、
地域の平和と繁栄に
我が国としてもできる限りの
努力をしていく、そういうことがよろしいのではないかと思っております。
また、この
地域の本当の活力、というのはいわゆる
経済でございますが、それが民間部門の活発な活動によって、
開放的な、開かれた自由貿易体制のもとに、この
地域の活力に寄与するということが最も大事なことであろうというふうに存じます。
我が国としてもそのように
努力をいたさなければならないと思います。
日朝間の国交の正常化につきまして、これは
我が国にとりましては、戦後の日朝間の不正常な関係を正すという側面と、朝鮮半島全体の平和と安定に資するというそういう国際的な側面と、
二つの面を持っておりまして、いずれも極めて重要なことでございますので、
我が国といたしまして、今後とも、関係国との緊密な連絡を図りながら、この正常化交渉には誠意を持って臨んでいく
方針でございます。
なお、
北方領土につきまして
お尋ねがございましたが、現在のような新しい
世界平和の秩序を
構築すべき
時代に、日ソという、あるいは日ロという場合もございますけれども、その間に平和条約の締結を見ていないということは極めて不自然なことでございます。したがって、
北方領土問題を解決して速やかに平和条約を締結することが、客観的に見ましても急がれることであろうと思います。
北方領土問題につきましては、本年四月にゴルバチョフ大統領が来日されたときに、御承知のように共同声明が発出されました。また、八月の政変以降、ロシア共和国及び連邦おのおのの指導部から、
北方領土問題を法と正義の立場に立って早急に解決すべきであるという発言がなされております。環境としてはようやく今熟し始めていると
考えておりますが、
政府といたしまして、
ソ連邦及びロシア共和国中央との真剣な交渉、また極東を含む
ソ連邦及びロシア共和国の世論が問題を正確に理解されるための
努力等々、一日も早く北方四島の返還を実現するために全力を傾注しなければならないと思っております。
なお、現在これらの島々に居住しておられる
ソ連人の住民が抱いておられる将来に対するいろいろな不安に対しましては、
我が国といたしましても誠意と温かい気持ちを持って対処していくことが必要であろう。何といっても直接に関係のある方々にとって、変化というものはどういうものであれ不安でございますから、それがそうでないということに対しての我々の
努力を、誠意と温かい気持ちでもって対処していくことが大事であろうと思います。
ソ連に対して本格的な
金融支援をどう
考えるかということでございますが、これにつきましては先般バンコクで行われましたG7等々でもいろいろ御議論がございました。とりあえず
我が国としていわゆる二十五億ドル、これは人道的
支援、貿易
経済活動円滑化のための
支援、一部技術的
支援を含むものでございますが、それを十月の初めに発表いたしました。これを着実に
実行いたしてまいりますが、いわゆる
金融支援、これは相当金額の大きな、かつ将来長期にわたるものであろうと存じますが、
ソ連におきましてただいまのところ本格的な
経済プランというものが策定されておりません。また、いわんやその実施体制も整っていないという
状況でございますので、
金融支援が効果的に行われ得ない
状況である。
したがいまして、バンコクの
会議の結果、G7並びに国際機関の専門家が先般モスクワを訪問いたしまして、シラーエフ氏以下と将来の問題について
協議を始めたところでございますが、そのような
状況の整備を待ちましてこの問題は
考えるということがサミット諸国の共通の認識と
考えております。
それから、
核軍縮の
時代につきまして、これは先般も
所信表明で申しました。
世界の
動きが非常に早うございまして、核兵器につきまして
我が国が何十年も唱え続けてきたことが
世界的に理解され始めているものというふうに
考えておりまして、今後とも均衡のとれた核の
削減が段階的に行われますように、
米ソ両国の
努力に
期待をいたしております。
我が国は唯一の被爆国でございますので、核兵器の究極的な廃絶は、特に
我が国にとりまして重要な目標でございます。今後とも、核兵器国による一層の
核軍縮への
努力を
期待いたしますとともに、
我が国といたしましても従来から、
国連等の場を通じて、核実験禁止、核不拡散等々についての
努力をいたしてまいりました。御指摘のように、もし
我が国においてさらに
国連軍縮会議が開かれる場合、過去三回開かれておりますが、本邦
開催が
国連により決定されます場合には、従来と同様、
政府は積極的にこれに
協力をいたしてまいる
考えでございます。
軍縮の流れとの関連で、
防衛費の問題について御指摘がございました。
今日の国際情勢が、東西
冷戦の終えんによって、また
ソ連における新
国家体制への模索、米ソの
核軍縮提案だと、
世界の平和と安定への流れが強くなっておることはまことに喜ばしいことでございます。
我が国としては、このような情勢を踏まえながら引き続き、
日米安保体制を堅持するとともに、自分
自身は適切な、いわば防衛計画の大綱に基づく基盤的
防衛力構想に従いまして従来の
努力を続けてまいりたいと存じております。
今後の
日米関係について御指摘がございましたが、
日米関係で最も重要なことは、
両国が
基本的な価値観を共有しておるというところでございます。その上に安保体制あるいは緊密な
経済関係が築かれておる。そういう
両国の二国間の関係、さらには
両国が共同して地球的な規模によるいろいろな
責任を遂行しなければならない、そういう相互間の関係と
世界に対する
協力関係を持っておると思います。
両国合わせまして
世界のGNPの四〇%を持っておるわけでございますから、この
両国の
世界に対する
責任もまた大変に大きいものでございます。
御指摘のように、このたび予定されておりましたブッシュ大統領の訪日が延期されるということが発表されましたことはまことに残念なことでございます。ただ、日米間には四六時中、間断のない幅広い対話と接触が、民間も、また
政府も通じまして行われておりますので、
両国間の意思の疎通にはもとより、相互理解にも全く支障はございません。大統領が早期に訪日されるように希望し
期待をいたしておりまして、昨日
アメリカのベーカー国務長官と会談いたしました際にも、私からそのような希望を表明いたしておきました。
次に、
我が国のいわゆる
戦争責任について
政府はどのように
考えるかという
お尋ねがございました。
我が国、
我が国民は、我々の過去における行為が
アジア・
太平洋地域を初めとする多くの
人々に多大な苦痛と損害を与えてきたことを深く自覚いたしております。二度とこのような不幸な歴史を繰り返さないことを決心いたしておりますが、このような
考えに立脚して、戦後一貫して平和
国家としての道を歩むとともに、国際
社会の平和と繁栄に積極的に
貢献をいたしてまいりました。ただいま大切なことは、このような心構えを持ちまして今までのような
努力をさらに強化していくことである。それによりまして国際
社会の尊敬と
信頼を得ることが大切であると
考えております。
ODAにつきまして、それとの関連で申しますならば、開発途上国の
経済発展、貧困と飢餓の救済、あるいは
国民生活の向上への
貢献等を目的にしてODAを実施しております。
我が国は、今
世界第一、年によりまして第二になることもございますが、の援助国でございます。ますますこの
努力は拡大をしていかなければならないと思います。
なお、ODAにつきましては
国会にできるだけ詳細に御報告をいたしてまいりました。相手国の立場というようなものが時としてございますが、それを配慮しながらできるだけ
国会に御報告を申してまいりましたが、これからもそうさせていただきたいと
考えております。
地球環境サミットにつきまして
お尋ねがございました。
これは今からいよいよ重大な問題になってまいります。来年六月に、ブラジルで環境と開発に関します
国連会議が開かれます。これは、御指摘の熱帯雨林の破壊問題も含めまして、極めて重要な問題を討議することになります。私といたしましても、
政治日程の許す限り、出席を前向きに検討いたしたいと思っております。特に、熱帯雨林の破壊に制しては、関係個及び関係国際機関とも協調しつつ積極的に取り組んでまいりました。森林の保全、さらに管理につきまして
協力を重視いたしております。私どもとしては、環境サミットに向けて、森林保全のための国際的な合意づくりを含めまして積極的に
貢献いたしてまいりたいと存じます。
残余の御
質問につきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(
拍手)
〔
国務大臣羽田孜君登壇、
拍手〕