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国務大臣(
田名部匡省君) 今
先生お話になりましたように、我が国は
世界最大の
食糧輸入国である。これは輸入額から輸出額を引いた金額で見ても二百八十億ドル、三兆九千億輸入しているわけです。ですから、
貿易というのは得意な
分野、不得意な
分野、それぞれの国にあるんです。それをみんな出し合って、全体でだめなものもあるけれ
どもいい
分野では譲るというそういう公平な決め方をいたしませんと、何か六十一年ぐらいから我が国は随分日米間で
貿易自由化をしてまいりました。多少の無理も聞いて、そしてここまで来たら今度は米も
自由化、何もかも
自由化だという話であります。
お話しのように、確かに
日本も自由
貿易の恩恵を受けました。受けたけれ
ども日本の科学的な技術
分野での成長の恩恵というものもまたそれぞれの国が受けてきているわけです。ですから、
日本だけが受けてあとの国はさっぱり受けなかったというのは私は当たらないと思うんです。
そういうことで、日韓なんかの経済委員会に私もしばしば出席をするわけでありますけれ
ども、要するにどんどん韓国の自動車が外国に売れる、しかし売れれば売れるほど部品を
日本から買うものですから、
日本に対しては赤字、他の国には黒字になるというそういうのはあります。じゃどうやってそうでなくするかという知恵を出し合うということは必要であっても、その恩恵は受けているわけです。
ですから、
お話しのように、何となく
農産物が余って、
輸出補助金も大変な額を出して、そうして今になって何とかこれを減らしたいというその気持ちはわかりますけれ
ども、そのために輸出側の利益に沿った
議論ばかりをされますとなかなか
議論というものは前へ進まない。輸入する方の受け入れが可能な、今申し上げたようなバランスのとれた解決を目指すということでなきゃいかぬと思うんです。それを全然考えずに、
輸入国が受け入れが不可能な案というものだけを提出されて
農業交渉が
合意に至らなかった、だから
日本が悪いんだと。私はそうは思わない。むしろ、そういうむちゃな
提案をする方に責任が全然なしとはしない、そう思うんです。ですから、
合意というものは、双方の立場を理解し合いながら可能な
分野でまとめていくということもまとめ方の
一つだと思うんです。
アンドリーゼン氏がおいでになったときも、私は米問題の話をする、向こうは、ヨーロッパは米を
日本に売るということはないものですから、それならば他の
分野でいろいろ譲ったらどうかと言う。ですから、話をしておりますと、
各国みんなばらばらの話をしているわけです。このばらばらをどうやってまとめるかというと、先ほど来申し上げているようなことでまとめていくということが私はこの
ウルグアイ・ラウンドでやる大事なところだ、こう理解をいたしております。