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1991-12-13 第122回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月十三日(金曜日)    午後三時二十分開会     —————————————    委員の異動  十一月二十七日     辞任         補欠選任      三重野栄子君     篠崎 年子君  十二月十三日     辞任         補欠選任      鈴木 省吾君     尾辻 秀久君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山口 哲夫君     理 事                 須藤良太郎君                 松浦  功君                 野別 隆俊君                 諫山  博君     委 員                 尾辻 秀久君                 後藤 正夫君                 重富吉之助君                 下条進一郎君                 土屋 義彦君                 吉川  博君                 吉川 芳男君                 岩本 久人君                 上野 雄文君                 篠崎 年子君                 野田  哲君                 常松 克安君                 星川 保松君     国 務 大 臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣  塩川正十郎君        (国家公安委員        会委員長)    政府委員        警察庁長官官房  井上 幸彦君        長        自治政務次官   穂積 良行君        自治大臣官房長  森  繁一君        自治大臣官房総  滝   実君        務審議官        自治省行政局長  紀内 隆宏君        自治省行政局公  秋本 敏文君        務員部長        自治省行政局選  吉田 弘正君        挙部長        自治省財政局長  湯浅 利夫君        自治省税務局長  杉原 正純君        消防庁長官    浅野大三浪君    事務局側        常任委員会専門  竹村  晟君        員    説明員        大蔵省主計局主  原口 恒和君        計官        大蔵省主税局税  窪野 鎮治君        制第三課長        文部省教育助成  佐々木正峰君        局財務課長        厚生大臣官房老  中村 秀一君        人保健福祉部老        人福祉計画課長        建設省都市局都  林  桂一君        市計画課長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 山口哲夫

    委員長山口哲夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。塩川自治大臣
  3. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算により平成年度分の地方交付税が一千七百四十七億二千五百万円減少することとなりますが、地方財政状況にかんがみ、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保する必要があります。さらに、雲仙岳災害対策基金に係る地方債利子支払いに要する額、廃棄物処理施設の円滑な整備に要する額、中小商業活性化対策に要する額及び特別交付税増額に要する額について財源措置を講ずる必要があります。これらのため、本年度に予定しておりました同特別会計借入金償還額を二千二百三十億三千八百万円縮減し、この額については、平成年度から平成十二年度までの各年度において償還することといたしたいのであります。  以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 山口哲夫

    委員長山口哲夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 岩本久人

    岩本久人君 まず最初に、塩川自治大臣にお伺いをいたします。  私がここに参りましてからまだ二年と四カ月少々でございますが、その間に実に四人の自治大臣がおかわりになられた、こういうことですが、平均すると八カ月から九カ月。今後どうなるかということを考えてみても、一年未満でおかわりになるということじゃないかと思いますが、いわゆる行政のその省のトップがかわるということでありますから、私たちにとって一抹の不安とか疑問とかが皆無というわけにはまいらない。  そこで、行政継続性というようなことについて自治大臣はどのようにお考えなのか、まずお伺いいたします。
  6. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私も、実は大臣が割と頻繁にかわるということ、これは余り好ましいことではないと思っております。しかしこれは、与野党を問わず国会議員である以上は、すべての国政について一応の常識的な範囲内においての裁量権というものを皆持っておるほど、それほどに訓練を受けておられると思うんですが、そうであるとするならば、どんなお仕事におつきになってもそれぞれの政治的判断は的確に下していけるであろうと思っております。  ですから、しょっちゅうかわることについての責任論行政継続責任論からいったらいろいろございましょうけれども、しかしそれによって役所事業が、いわば行政が滞っていくということはないと思っておりますし、またそんなに各大臣とも間違った判断をしておるようにも思えませんので、しょっちゅうかわることは好ましいことではないと思うけれども、これとてもまた、いろんな部門を国会議員が勉強をし、それになじんでいくということの一面においての効果もあるようなことも思いますので、できるだけかわらぬような手だてをしながらでも今後ともやっていただければいいと思います。
  7. 岩本久人

    岩本久人君 そこのところはひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  ところで、塩川自治大臣に質問させていただくのはもちろんきょうが初めてでございますが、どのような大臣であろうかと大変大きな関心を持ちまして本会議とか予算委員会での答弁等聞いておりましたが、とても歯切れがよいので、さすが実力大臣だと、閣僚の席でもやっぱり一番上におられるということで、大いに期待しております。どうかその意味で、今から十項目余り質問させていただきますが、時間的にも今ちょうど眠気が来るときでございますので、目の覚めるようなすごい答弁をひとつ大いに期待しておきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。  最初に、大蔵省にお伺いいたします。  この補正予算を見ますと、法人税が一兆八千億という大変多額な減収ということなんですが、見込み違いも甚だしいのではないか、こう思うんですが、その理由をまずお伺いしたい。
  8. 原口恒和

    説明員原口恒和君) 地方税につきましては主税局の方で見積もりを行っておるわけですが、経済の実態が、特にバブルといいますか、いろいろなところで税収の大幅な増加をもたらしてきた経済の要因がいろいろ流れを変えてきている、そういうところが一番大きい理由ではないかと考えております。
  9. 岩本久人

    岩本久人君 もうちょっと期待しておったんですが、急なことなものだから申しわけなかったですけれども、その辺であろうとは思っておりました。  次へ行きます。  普通交付税の中に、雲仙岳災害対策基金の項があるわけでありますが、これの仕組みはどのようなものか、またこの基金による事業内容はどのようなものが予定されているでしょうか。さらにまた、今後の状況によってはこの基金は積み増しをするということが予定をされ得るものかどうか、自治省にお伺いいたします。
  10. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 雲仙岳噴火災害対策基金でございますが、これは長崎県がこの基金設置いたしまして、その運用益によって本来行政で行うべき事業以外の一層きめの細かい住民に対する自立復興支援事業でございますとか、あるいは地域経済復興事業などのために設置をするということで、基本財産二十億円、運用財産二百八十億円で長崎県が設立した財団法人でございます。その後、この財団法人におきましては、義援金の一部三十億円を加えまして現在三百三十億円の基金になっているところでございます。  自治省といたしましては、このような基金長崎県が設置いたしますことに伴いまして、この運用財産二百八十億円の貸し付けについて地方債で原資を確保いたしました関係で、その地方債利払い経費交付税算入したいということで今回の交付税法改正でお願いしているものでございます。  この資金は、全額政府資金貸付期間五年間、五年たちましたら一括償還をするということで、貸付利率六・三%で県が借り受けたものでございます。これに対しまして、この利払いについてその九五%を普通交付税基準財政需要額算入をする、こういう措置を講じようとするものでございます。  そこで、この基金でどういう事業を行うかということでございますが、先ほど申し上げましたように、国や地方団体が実施する各種の災害対策とは別に、これらを補完するきめ細かな対策を講ずるために、まず一つは、住民などの自立復興を支援する事業といたしまして、災害関係融資の無利子化のための利子補給の上積みをしたり、あるいは国の食事供与事業に加えました生活雑費の支給、被災住宅再建のための助成などを行うということでございます。  第二番目は、農林水産業に係ります災害対策事業復興事業として、代替営農地貸し付けをやったり、あるいは農業共同施設等再建のための助成、あるいは代替漁場整備のための魚礁設置に係る地元負担軽減、こういうようなものに充てたいということでございます。  三つ目は、商店街活性化観光振興事業といたしまして、商店街共同施設の新築、改築に係る地元負担軽減をしたり、あるいは工場等の移転、再開に対する助成を行うというようなことを主に考えているわけでございます。  この基金規模につきましては、長崎県におきまして一応三百億円の規模基金がございますれば当面対応可能だというふうに判断をされまして、それに従って私どもも御協力をすることになったわけでございますが、今後この災害がいつまで続くかわからないというような事情もございますので、今後の推移を見ながら、長崎県の方から増額要望等がございましたら、誠意を持って私どもも御相談に応じたいということで、当面はこの三百億円でまず運用をさせていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  11. 岩本久人

    岩本久人君 私の常識といいますか考えでは、いわゆる普通交付税というのは全国的に普遍的な事柄について措置するというふうに思っておりました。しかし、本件は長崎県一県という特定の地域措置するわけでありますから、私は特別交付税の方がなじむのではないか、こう思うんですが、どのような経緯で、理由普通交付税にされたのか、お伺いしたいと思います。
  12. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 地方自治体の財政需要というものを普通交付税算入するか、あるいは特別交付税措置をするかということにつきましては、今御指摘のようないろんな観点からのやり方があろうかと思います。最終的にはどちらの方法でやることが一番適切かということで考えるわけでございますが、例えばこの災害復旧事業費につきましても、地方債元利償還金については普通交付税で従来から算入をしているというような問題もございます。あるいは、過疎地域のいわゆる過疎債でございますとか、あるいは公害防止等のための地方債元利償還金に対する交付税措置につきましても普通交付税措置をしているというようなことで、地方債元利償還金に対する基準財政需要額算入するというのは、どちらかというと計算的にも非常に機械的にできるということでい普通交付税の算定になじみやすいのではないかという問題もございます。  また、この財政需要規模特別交付税通常の額に比べるとかなり大きなものになるというようなことも予想されますので、今回は普通交付税でこれを算入した方がいいのではないか、こういう判断法律改正をお願いしているものでございます。
  13. 岩本久人

    岩本久人君 今のことでもう一言ですが、いわゆる今後のこれは先例になるということ、そのことについてはどういう見解をお持ちですか。
  14. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 今回のこの雲仙岳災害というものは非常に特殊な災害でございまして、これまでのいろいろの災害に比べるとなかなか予測できないような要素がございます。こういうものにつきまして、雲仙岳災害についての措置政府が一体となっていろいろな項目の対策を講じたわけでございまして、こういう中の一環としてこの基金設置もお認めいただくということでございまして、このような災害というものが、果たして次にどういうものが出てくるのかということはなかなか予測しがたいということもございます。  そういうことで、こういう災害が将来どういう形で出てくるかということを見きわめながら、これも一つの前例として検討対象になるのではないかと思います。ただ、これが常にこういう措置をとるのかどうかという点については、やはり災害のそれぞれの事情というものをよく検討した上で決められるべき問題だと思っております。
  15. 岩本久人

    岩本久人君 提案をされております法律案を見ますと、特別交付税の欄に、特別に増額する分として百億円が計上されております。このきっちりちょうど百億円ということがいかにも奇異に感ずるわけですが、積極的な理由はどういうことになるんですか。なぜ百億円なんですか、積算基礎をお願いいたします。
  16. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 特別交付税の特例的な増額を今回お願いしておりますが、この分につきましては、ことしの場合には特に災害が非常に多うございまして、公共土木施設関係被害は昨年に比べて若干減っているのでございますが、農林水産関係被害が台風の十七号から十九号、これは激甚災害にも指定されているものでございますが、これとか、あるいは夏から秋にかけての長雨による冷害被害というようなことでかなり大きな被害が出ております。それから、先ほど申し上げました雲仙岳噴火災害経費、これも基金に対する利子以外にいろいろな形の経費がかかっております。こういう災害通常の年に比べて非常に多いということが一つ挙げられようかと思います。  それから、今年度特別交付税の額でございますが、前年度に比べて三百五億円、三・六%の増ということで、増加額が比較的少ないということもございまして、災害以外のいろいろな財政需要を賄うということも考えますと、この三百五億円の増加だけでは無理があるんじゃないかということで、今回、臨時異例措置といたしまして百億円の増額をお願いしたものでございます。実は、災害のための地方財政計画では毎年追加財政需要として六百億円程度計上しているわけでございますが、これでは足らないということで、いろいろな災害状況等を見た点もあわせて勘案いたしまして、総合的に見て今回百億円の増額をお願いするものでございます。
  17. 岩本久人

    岩本久人君 次に、廃棄物処理施設整備費に係る今回の増額措置について伺いたいと思うんですが、まずその内容とその趣旨理由はどうなっておるのでしょうか、伺います。
  18. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 廃棄物処理施設整備につきましては、本年度市町村から国の補助金要望額が非常に多くて予算額を上回ってしまったということで、継続事業につきましても、このままでいきますと事業を先送りしなければならなくなる、あるいは新規事業が全然採択できなくなるんではないかというようなこともございまして、多くの市町村から、本年度からこの事業が実施できるような措置が講じられないかということの要望が非常に強くございました。  そういうことを踏まえて、自治省といたしましては、まず継続分につきましては、地方団体が単独で事業をした場合には国庫補助金措置されたのと同じような財源措置が講じられる。それから、三年度新規事業につきましては、国庫補助対象範囲を重点化いたしまして、それから除かれる例えば建屋とか門、さく、塀というようなものの整備につきましては、地方債地方交付税によりまして補助採択されたものと同じような財源措置を講ずる。こういう措置を講ずることによりまして、私どもといたしましては、廃棄物施設整備市町村が困っているのを措置することにいたしたものでございます。  これの対象団体になる団体は、延べでございますが五百二十団体にも上っておりますので、こういう措置によりまして事業の円滑な促進をしようとしたものでございます。
  19. 岩本久人

    岩本久人君 本来、地方固有事務なんですね。それを今言われたようなことで一般財源化するということのようなんですが、そこでどのような基準一般財源化することとしたのでしょうか。つまり、その事務性質補助金性質はどうなっているか。それと、さっき私が言った国と地方との負担区分の線引きはどういうことになるのか、その点についてお伺いいたします。
  20. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 合も仰せのとおり、この廃棄物処理というのはこれは市町村固有事務でございまして、このごみ処理あるいはし尿処理施設整備の国の補助金は、私ども地方財政法の第十六条に規定する奨励補助金だというふうに理解をいたしております。そういう意味からいきまして、奨励補助金というのは、国の施策を国の意思に従って誘導したいとか、あるいは財政援助的なものとして交付をするということが趣旨でございますので、そういう事務がだんだんと定着してきたという場合には、こういう奨励補助金というのはなくしていって、整理合理化をして、そして地方一般財源化をするのが本来の筋ではないかと思っているわけでございます。  いろいろな補助金がございますけれども、もう補助金の目的を達したんじゃないかということで整理をしようと思っても、現実の問題としてはなかなか難しいわけでございますが、今回こういう事態をきっかけにいたしまして、ごみ処理し尿処理補助金につきましては、一歩進めて補助金一般財源化をこういう方式でやっていきたいということも踏まえまして、今回の措置を講じさせていただいたものでございます。  御指摘のとおり、国庫負担金の場合には国と地方とで経費負担し合いながら一つ行政を行っていくというものでございますけれども、これはあくまでも奨励的な補助金であるということで、だんだんと整理合理化になじむものにつきましては一般財源化していくことがむしろ望ましいんじゃないか、こういうことで今回やらしていただいたものでございます。
  21. 岩本久人

    岩本久人君 今言われたように一般財源化をするということになると、現在の地方地方仕組みから見て、地方負担金も少しづつふえていくことになる。ですから、その地方財源をどのように確保していくかということはとても重要なことなんですね。その点はどのように考えていらっしゃるのですか。
  22. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 仰せのとおり、この国庫補助負担金整理合理化いたしまして一般財源化すれば、その分だけ地方負担が多くなるわけでございます。ですから、その分を何も措置しなければ、その分穴があいてしまうという問題が出てまいります。私どもといたしましては、こういう補助金整理合理化を進めるに当たりましては、その一般財源化されたものを地方財政計画においてきちんとカウントいたしまして、そして全体として地方財政として収支のバランスがとれるかどうかということを判断しながらこの一般財源化というものを進めていかなければならないと思っているわけでございまして、財源的な観点から見ますとそういう問題がございます。  さらに、一般財源化するというのは、単に国の経費地方負担を転嫁するというだけではやはりいけないわけでございまして、こういうことを通じて地方自主性自律性というものを高めるという方向でいかなければならない問題だと思っておりますので、こういうこともよく見きわめながら財源措置に遺憾のないように努めてまいりたいと思っているわけでございます。
  23. 岩本久人

    岩本久人君 次に、質問を変えて、塩川自治大臣にお伺いをいたします。  来年度地方財政対策についてであります。  きのうの新聞報道を見ますと、ほとんどの新聞トップあるいはトップクラスのところに、来年度予算編成に当たって、大蔵省歳入不足を埋めるために地方交付税を一兆二千億円減額することを固めたと。今までは断片的に、あるいはうわさ程度にそのようなことは言われておりましたが、きのうの報道では、もう固めだというような形で報道されていました。  地方交付税というのは、私が申すまでもなく、財政基盤の脆弱な自治体、それは恐らく九〇%以上だろうと思うんです、そういったところからしてみれば文字どおり命綱だと思うんです。だからそのようなことを絶対に許してはならない、こう思っておるところでございます。  大蔵省がなぜそのようなことをするか。これも報道によりますと、地方財政はトータルで考え余裕があるというようなことを言っておりますが、自治大臣として現在の地方財政をどのように認識しておられるか、まずお伺いしておきたいと思います。
  24. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 最初に、一兆二千億円の話が出てまいりまして、私、昨日も実は非公式でございますが、こんな話があるのかと言って大蔵首脳者に聞いてみましたら、いや、まだそこまでいっていない、検討の段階ではあるけれども、そこまで、そんな数字は固めておらない、こう言っております。ああいうことは大体どの辺から出ておるか私はよくわかるんです。ああいうぽんと火の玉みたいなものを打ち上げてみて、ふわっと泳がしでみて、それがどの程度の反応が出るか見定めて、そして数字を固めていく、これはもうどの役所もやる手なんだ。特に大蔵はもうよくやる手でして、悪い癖やなと思うんですけれども、そういうのをやっているんだろうと思うんです。  しかし、全く根拠なしにやっているとは思わないです。このぐらい欲しいなという希望はここに出てきておると思うんですが、だからといってこれは現実数字として固まっていくものではないと私は思っておりますし、また、そんなむちゃなこと、二兆数千億円の財源不足で、八千億円ほど格好だけちょっと増税して、あとはもう地方から取ってしまえと、これはちょっと荒っぽい理屈ですから通るとは思いません。ですけれども、これから大蔵とこの問題を詰めていきたいと思っております。  そこで、お尋ねの本論でございますが、地方財政余裕があるのかという、そういう見方も一方ではありましょう。けれども一方では、地方団体というのは、三千三百かある団体を見ましたら、さまざまでございますね。例えば、地方交付税に三〇%以上頼っておる市町村というのは半分以上あるわけであります。そういうのを見ましたら、やっぱり財源は乏しいなということがわかるんです。しかしながら一方で、地方行政余裕があると言われるのは、東京都なんか目立ち過ぎるんです。東京だとか大阪、これを地方行政一つの典型的なもののようにも見ておりますから、ですから一般の田舎の方には余り目が行ってない、こういうことから地方財政余裕がある、こう見るんだろうと思うんです。  それからもう一つ目立ちますのは、御存じのように、国の財政の骨組みの中で、公債費地方交付税そして一般歳出、こういうぐあいに組んでいますから、そうすると地方交付税というのは物すごく目立ってくるんですね。私はこれはかねてから思っておったんですが、地方の固有の財源であるとするならば、国税収納金をずっと地方交付税特別会計へ移してやればいいんですけれども一般財源化して、一般会計の中に入れてそれで予算で移していきますから、交付税特別会計に移していきますから、だから目立つんです。私はここらの点がこれからやっぱり、大きい制度改正になるかもわかりませんけれども検討すべき問題ではないのかなと。固有の財源であるというのならば、そうするのが本筋なんだろうと思うんですけれども、そういうので目立っています。  けれども、実情を見ましたら、やっぱり地方団体は非常に苦しい。決してぜいたくなこともしていない、むだなこともしていないと思うんです。したがって、これから私は地方団体財政がどのくらい本当は必要なのかということをやっぱり精査していく必要があるんではないか。それには、いろんな委任事務、それに措置されておる費用と、実際に現場で、つまり地方自治体で使う費用との乖離、これを計算してみたらどうだろう、サンプル調査でもいいから。ここに超過負担というものがあるんではないかなということを思うんです。  それと、これから地方自治体の一つの役割として進めていきます大きい事業がございます。公共投資の仕事を分担しているのは地方団体が六割ぐらいあると思うんですね。これの負担がやっぱり相当かかってくるだろう。それから、高齢福祉社会に対する措置というもの、これもかかってくると思うんですね。それから、一極集中排除だ、住みよい町づくりだといって、本当に自治体自身が自分らの住民サービスのためにやっていかなきゃならぬ本格的な事業というものもこれからあると思うんです。そういうようなものをやっていこうとすると大体どのくらい要るんだろうか。おおよそでいいから早急に固めて、地方財政需要はこのぐらいあるんですということをやっぱり言わなきゃ、私は地方財源余裕があるじゃないかと言われることに対する説得材料にならぬのではないか、こう思っておりまして、今財政当局は何かその作業を盛んにやってくれておるところでございます。
  25. 岩本久人

    岩本久人君 今の大臣が言われたことに伴っては、また私の意見も言いたいと思います。  大蔵省来ておりますね。参考までにどういう理由余裕があるということになるのか、簡単でいいですから一言どうぞお願いいたします。
  26. 原口恒和

    説明員原口恒和君) 今、自治大臣の御答弁にもありましたように、地方団体三千三百、多々ありますが、ただ、地方財政計画といったような姿でマクロの総体的な姿と国の姿を比較いたしますと、財政規模は七十兆程度でほぼ同様でございますけれども、例えば公債残高でございますとか公債費比率というようなものを見ますと、ほぼ国は三倍になっているというようなことで、総体的に見て国に比べると地方の方が財政の健全化が進んでいるという状況だと認識しております。
  27. 岩本久人

    岩本久人君 極めて粗っぽい議論だと私は思うんですね。  それで、いずれにしても、大蔵省がいろいろ主張しておられること、マスコミ報道等を通じて私もそれなりに承知しておるつもりですが、かつて私は、ちょうど二十年ほど前ですが、三年ほど島根県庁の財政課におりました。それなりの下からの積み上げを経験したことがあるんです。今、大臣が言われた超過負担の問題とか、補助金はつくけれども裏づけが全然できない、予算時期になっても予算が組めないということで大変悩んだことを覚えております。  それで、今回このことを取り上げることについて私も最近どうかということを聞きましたが、当時予想できないような、例えば超高齢化社会だとかいろんな問題、さまざまな複雑な行政需要というものが大変多くなっている、あるいは価値観の相違というような関係もあって、二十年前以上に現在は予算を組むのは苦しいというようなのが実は実態だということを特に私は強調しておきたいと思うんです。  そこで、先ほどから私が言っておりますように、自治大臣余裕があるというようなことではないということを言っておられるわけですが、今回のこの地方交付税の削減という具体的な大蔵省からの攻撃とか圧力について、今度はそれを阻止する立場にある自治大臣として今後具体的にどのような決意をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  28. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、大蔵の方から正式に財政上の打ち合わせというのは、事務方でやっておるのかもわかりませんが、まだ正式な話は、意思表示は何もないんです。今事務方でやっておるのは、恐らく地方債でどの程度やってどうするという枠組みの話をしておるんだろう。ここにおりますから聞いていただいたらいいと思うんですが、私のところにはそういう煮詰まったところまで来ておりませんので、いずれそう遠くないときに、来週あたり早々から話があるんじゃないかと思いますが、私ども徹頭徹尾やっぱり地方の必要とする財源だけは確保したい、こう思っております。  これは、何も大蔵と事を構えて交渉する、そんなのは全然ありません。大蔵も過去においては随分と地方財政の面倒を見てくれていますよ、私らもよくこれは体験してまいりました。ですから、お互い苦しいときには貸し借りをするということ、これは当然だろうと思いますけれども、しかし初めからもう国の予定はこれだけしているというやり方、あれはいかぬと思うんですね。やっぱり話し合って、それじゃ自治体の方の権限の枠内でこれだけのものは地方自治体で持ってください、負担してください、そのかわりほかの省庁のやつはこういうぐあいに振りかえをしますからとか、そういう話を詰めてしたい、こう思っています。どうせこれは一定の権限問題とも絡んでくることが多々あろうと思いますので、そういうようなのとあわせての話もきちっとしなきゃならぬ。そういうときに大蔵省がやっぱり他の省庁に対してそういう取り持ち役といいましょうか、話し合いの中にちゃんとした位置づけをしてくれて、振りかえを、これだけのものを地方財政で持てとか、そういうことをしたら私どもはきちっと大蔵のおっしゃるとおりやっていきたいと思いますけれども、そこらがいいかげんになってきた場合に、そんな、おかしいじゃないかということになってくると思うんで、それはこれからの話になると思います。
  29. 岩本久人

    岩本久人君 徹頭徹尾守るものは守るということで今言われたわけですが、ただいまも大臣が、過去協力してもらったこともあるということを言われましたけれども、そういうようなこともあるので、この間本会議でも国と地方との調整には協力するということを言っておられますね。そのことが私は実は大変な誤解を招いておるのじゃないか、こう思うんです。  そのことと地方交付税を削減する問題とは全く質の違う問題だというふうに理解していいのかどうか、その点について再度お伺いいたします。
  30. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 実は五十年代、私もそんなに深く地方行政にかかわりはしておりませんでしたけれども、しかし国会議員としての一応の常識上、地方財政はどうなっておるかということはその五十年代も体験してきたつもりです。この時分、交付税だけでは措置ができないので、財源対策債だとかいろんなものを実は国の方は面倒を見ております。単に交付税の計算の貸し借りだけじゃ済んでいないと思うんです。  ところが、六十年以降になりまして、要するに交付税に対する構造的な変化が起こってきたんです。特に平成に入ってからは消費税並びに利子・配当課税の分が入ってくるとかいうようになって、非常に地方財政の基盤というものが幅広く根づいてきたと思っております。  ですから、私はこの制度は絶対崩してはいかぬ。と思うんです。これはもう、あくまでもきちっとしたものにして、そこで先ほども言っていますように、地方財政需要というものは実際にどれだけあるかと的確にこれから見ていかなきゃならぬので、そういうものも勘案しながら国の財政との間で話し合っていって、国が地方財政一般財源として持つべきものであるとするならば、さっきも言っていますように、これは臨時でも何でもいいから、特例的なものでもいいから、それだけのものを負担してやるものがあったらしてもいいじゃないか、私はそう思っておるのです。そこを、もう一切合財国は地方の金に手をつけるなというかたくなな態度であっては、私は国と地方の間がうまくいかないと思うものです。  何も私は、だから全面的に地方財源をまず国が必要なだけ先へ取れよ、そんな甘いこと言っているものじゃありません。ありませんが、しかし国の方もこんな事情だから、この分は振りかえして臨時急施の措置として持ってくれぬかというような話があれば、私は相談に応じてもいいと思っております。
  31. 岩本久人

    岩本久人君 今、大臣が言われた五十年代の話というのは、私も調べてみましたが、あれは交付税法の六条の三の第二項に明確に該当するということでありますから、今回のこととは質が違うわけです。ですから、そこのところはしっかり押さえていただいて、今大臣も制度は絶対的に守るということでありますので、しっかりやってもらいたいと思います。  それと、さっきも若干お触れになりましたけれども、衆議院の予算委員会大臣は、さっき私がちょっと取り上げた基準財政需要額を見直すべきだということを言っておられます。このことは大変重要なことで、私も大歓迎をするわけですが、このことについていま少し大臣の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  32. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私も、古い話でございますから、頭が古いのかもわかりませんが、私が市の助役をやっておりました時分、例えばそれぞれの各事業におきます基準財政需要額の単価の取り方等が非常に厳しかったんです。そしてまた、種地の設定が、市町村隣同士でありながらえらい違っておった。私のところは大阪市のすぐ隣ですが、例えば市道の単価、維持費の単価がうちの方は何で大阪市の六割なんだ、そんな疑問もあったんですよ。最近どうなっておるかなと思ってみましたら、そんなにえらい変わっておらぬなという感じがするんですね。私は、そういうことがどうなったのか、一回話をゆっくり聞かしてもらいたいと思っております。  それからもう一つ、時代の推移に伴いまして、本当は地方行政で面倒見なきゃならぬレパートリーが物すごくふえてきておるんですね。そういうところに対して、本当に的確に基準財政需要額が算定されておるんだろうか。  例えば、私が最近経験いたしましたのに、地元からやかましく言ってくるので勉強したんですけれども、連続立体高架という事業があります。この事業は、ただ単に下を通っておる鉄道を上へ上げるという、そういう単純な事業じゃないんですね。要するに、これを通じて面整備をしていかなきゃならぬ仕事が随分あるんです。ところが、その面整備に必要な、例えば道路の単独事業で街路計画ができるかといったら、できないんですね。こういうふうなものを、面整備の面をある程度基準財政需要額で見てやるべきじゃないか、私はそう思います。  でないと、新しいいい町づくりをしろといったってできっこないじゃないですか。全部都市計画街路が完成しなければ連続立体高架ができない。こんなことはいつまでたったってできっこないと思う。それだけの力のある市町村というのはそんなに数はありませんよ。そうすると、今建設省が進めてきておる中核地域づくりとか、あるいは通産省の言っている高度商業機能集積事業ですか、ああいうものとあわせてやろうといったって、そうなかなか自治体が乗っていけない。そういう新しい分野ができておるから、そういう需要はやっぱり基準財政需要額できちっとカウントしてやりなさいということ。  それから、福祉十カ年ゴールド計画、あれを私は聞きました。そうしたら、余裕のある市町村はそんなにありませんよ、あれを推進していくだけの。そうすると、あれを厚生省は一生懸命やっておるが、厚生省がやりやすいように地方自治体が裏づけをしてやらなきゃいかぬと思うんですね。やっぱり町のことまで、地方自治体のことですから、潤いを受けるのは、恩恵を受けるのはそこの町村の方ですから、その人のためにはやってやらなきゃいかぬと思うんです。私は、そういうことを基準財政需要額で一回計算してくれぬか、こう頼んでおるんです。
  33. 岩本久人

    岩本久人君 今の話を含めて、とても大切なことであり、私も大賛成でございます。ぜひとも積極的に努めて対応してもらうようにお願いをしておきたいと思います。  いずれにしても、まだ具体的な相談はないということでありますが、具体的な相談があったときには、事務方を含めて地方交付税の減額というものは絶対に許さないということで頑張っていただきたいということをお願いしておきます。  次は、時間がなくなりましたので、済みませんが、二、三はしょりますので、よろしくお願いいたします。  ただいまの自治大臣の話にも出てきましたが、厚生省の課長さん、ゴールドプランの問題について、これをスタートされまして二年目ということなんですが、現段階における実績と評価はどのようになっておりますか。大変急で申しわけないんですが、お願いいたします。
  34. 中村秀一

    説明員(中村秀一君) お答えいたします。  今お話に出ましたゴールドプラン、高齢者保健福祉推進十カ年戦略についてでございますが、高齢化に対応いたしまして、すべての国民が安心して老後を送ることができるようにということで、平成年度を初年度といたしまして、平成十一年度までの十年間、在宅福祉、施設福祉の事業につきまして大幅に充実をしてまいろうということで進めているところでございます。  お尋ねの平成年度の進捗状況でございますが、例えば施設福祉対策で申しますと、特別養護老人ホーム、計画では十七万二千床まで増床するということでございましたが、実績は十七万四千八百十五床ということ、在宅福祉につきましては、ホームヘルパー約三万六千人という計画に対しまして三万九千人近い達成状況でございますので、おかげさまで在宅福祉、施設福祉、施設整備などを中心に順調に進んでおるというふうに評価いたしております。
  35. 岩本久人

    岩本久人君 もう一度課長さんにお願いします。  予想をはるかに超える高齢化というものが進んでいるというのが私は現在の実態だと思うんですね。そうすると、マスタープランを立てられたその計画を少しでも前倒しをしてやっていただくということにはならぬものかどうか、お願いいたします。
  36. 中村秀一

    説明員(中村秀一君) ただいまの先生の御指摘でございますが、十カ年戦略自体大変大幅な整備計画でございまして、と申しますのは過去十年間のペースに比べまして事業量といたしまして三倍強の事業量を今後十年間にやっていこうという計画でございますので、今のところ私ども、高齢化も進んでおりますが、立てました高齢者保健福祉推進十カ年戦略を着実に達成することが、それを実施していくことが最重点の課題と考えております。  また、毎年度の計画でございますが、例えばホームヘルパーの数にいたしましても、今年度は五千人増でございますが、来年度は五千五百人増ということで、それぞれ十カ年戦略の中でも毎年度年度計画量をふやしているというところでございますし、御承知のとおり、この計画を達成するためにはマンパワーの確保も必要であるということでそれぞれのマンパワーの処遇の改善も図っていかなきゃならないということでございますので、そういったことの内容充実にも努めながら計画の着実な達成に努めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  37. 岩本久人

    岩本久人君 ありがとうございました。  次、文部省の方は来ておられますか。ちょうど今時期ですので、四十人学級の問題。御存じのように義務教育は進んでおるわけですが、高校も今ちょうど自然減、本来歓迎できることではないんですが、そういう状況にあるという、それを好機として高校の四十人学級というものを進めていくチャンスではないか。それを原則にするということについて希望をしておりますが、どのようなお考えでしょうか。
  38. 佐々木正峰

    説明員佐々木正峰君) 今後の学級編制及び教職員定数のあり方につきましては、現在第四次の定数改善計画が完成した段階での高等学校の学級編制、教職員の配置がどうなっているのか、また生徒が今後どのように推移していくのかなとについて実態調査を行っているところでございます。その実態調査の結果など諸般の状況を踏まえて検討していく必要があると考えておりますけれども、その際、中央教育審議会答申において、高等学校普通科の学級編制について、例えば四十人に改善することが望ましいと言及されていることなどを念頭に置きつつ、慎重に対処していく必要があると考えております。  なお、平成年度でございますけれども、大幅な生徒数の減少が見込まれることなどを踏まえまして、普通科にコース制を設けている学校など一定の属性を持った高等学校について、設置者の判断により、学級編制基準を四十人にまで引き下げ得るような措置を講ずべく、関係省と現在協議を行っているところでございます。
  39. 岩本久人

    岩本久人君 私の持ち時間が来ましたので、最後に一問、自治省にお伺いいたします。  ことしの人勧で週休二日制の問題が国家公務員に出されたわけですが、地方公務員についてはいつから具体的に実施されるのか、お伺いいたします。  同時にまた、去年の三月十六日付の行政局長通知で、交代制等職員の週四十時間勤務体制の試行が指導されておりますね。現時点におけるこの実施状況はどうなっておるか、あわせお伺いをいたします。
  40. 秋本敏文

    政府委員(秋本敏文君) 地方公務員の完全週休二日制の問題でございますけれども、この週休二日制につきましては、政府部内におきまして週休二日制・閉庁問題関係閣僚会議設置をして今検討を進めているところでございます。  現時点では、いつからといったようなことが決定される段階には至っておりませんけれども地方公務員の完全週休二日制につきましては国との均衡をとりながら、国において実施をするということになりましたらそれと均衡をとって実施をすることができますように、必要な法的措置を含め検討を進めているところでございます。  また、後段お尋ねのございました週四十時間勤務体制の試行についてでございますけれども、御指摘のございましたように、平成二年三月十六日に行政局長名で地方団体に対しても通知をいたしております。その実施状況ですが、最新の時点、今年の十一月一日現在で見ますと、試行を実施しております地方公共団体は都道府県では三十九団体八三%、市町村では百七十団体五・二%という状況でございます。
  41. 岩本久人

    岩本久人君 終わります。
  42. 野別隆俊

    野別隆俊君 時間がございませんので、特別な大枠だけについて質問をいたしたいと思います。  塩川自治大臣が就任になりまして、全国の三千三百の自治体は非常に期待をかけているわけでありますし、また私どもも、大臣の就任によって、今日までの地方自治体の経験と国政の経験を十分生かしていただいてピンチに立っている今日の自治体財政を何としても守り抜いていただきたい、こういうことを考えておるところでございます。その期待にひとつおこたえを願いたいと思います。  まず最初伺いたい点は、自治体というものが一体どういうものか、国の出先機関じゃないか、下部組織じゃないかというような考え方も国民の中にはかなりあるわけであります。そこで、私は自治大臣に、国と地方自治体というものの関係、そして自治体の一つの定義をここで明らかにしていただいて、自治権の真の姿というものを国民の皆さんにわかりやすくひとつ御答弁を願いたいと思います。
  43. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 地方自治は、憲法九十二条から九十五条の間において地方公共団体というものが憲法でちゃんと保障されて、独立して自主的運営を図るべきである、こう言われております。私たち、これを国民として考える場合に、地方自治体は、大小いかんを問わず、民主教育の一番大事な現場でもあり、また国家が民主体制をとっていく基本母体になるものだ、そう心得ておりますから、地方と国というものは相提携する必要のあるものではあるけれども、しかしお互いに権限は慢さずして自主的に運営すべきものだ、こういうふうに私は認識しております。
  44. 野別隆俊

    野別隆俊君 私も御説のとおりと思いますから、地方自治体の機関というものは、国の下部組織なりまたは直接の機関ではない、独立機関であるということをここで明確にしておく必要がある、このように考えるわけであります。  そこで、第二点目は、今回の補正予算のことについて伺いたいのでありますが、総額二兆八千億円程度財源不足が生じている。これは建設国債等で埋め合わせがされるようでございますけれども、まず何といっても、バブル経済の後遺症とはいっても、やっぱり税収の見積もりに甘さがあったんじゃないかということを考えるわけでありますが、これは大蔵省に次の時期に聞くといたします。  自治省も、約五千七百八十九億円の交付税の減収を見ておるわけでありますが、前年度分のいわゆる後からの収入が四千四十二億円あった、そのために一千七百四十七億円の減収になっておるわけでありますが、一方では、一兆七百十九億円からこれを約二千二百億円取り崩して、いわゆる借金の返済をそれだけ取り崩した。そして、千七百四十七億返すことになっているわけでありますが、幾らがその差額が出て追加配分までできるというような状態になっているようであります。何とかつじつまが合ったというのは、昨年の税収がことしに回ってきておるのでありまして、四千四十二億円というのは、今後、厳しい財政締めつけが来れば後年度にかなりしわ寄せが来るのではないか。  来年度予算に影響はないかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  45. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) ただいま御指摘のように、平成年度の国税収入は今回の補正予算で約二兆八千億の減収になったわけでございます。そのうち、地方財政関係いたします国税正税、このうちの法人税が一兆八千億の減収ということになったわけでございますから、これを土台にいたしまして明年度以降の法人税収が積算されるということを考えますと、明年度交付税の算定基礎になります国税正税は最初期待したほどの伸びが期待ができないんじゃないかという問題が一つございます。  さらに、この法人税の税収が落ちるということは、地方税でございます法人事業税でございますとか法人住民税の税収も同じような傾向で伸びが鈍化してくるということが考えられるわけでございますから、そういうことを考えますと、交付税の総額あるいは地方税の税収の伸びというものが明年度ではかなり厳しいものになってくるんじゃないか、こういうことが予測されます。  そういうことを踏まえて明年度地方財政対策地方団体財政に支障のないように十分確保していかなければならないというふうに考えて、今いろんな作業を進めているところでございます。
  46. 野別隆俊

    野別隆俊君 この解明についても次の委員会に回すといたしまして、次は羽田大蔵大臣が、さっきも出ましたように、再三にわたって地方財政は国の財政に比べて富裕であるというようなことを申されているわけでありますが、根拠はさっき聞きましたけれども、私は、もう少し根拠をただすために、自治省にお伺いをいたしたいと思います。  二つの指標がありますが、一つは、地方自治体の自主財源の比率は一体どうなっているのか、これをちょっと挙げていただきたいのです。それは五〇%以上、四〇%、三〇%、二〇%、二〇%以下、これはできますならば町村数を、六十年と平成元年しかできていないようでございますから、この数字を挙げていただきたい。
  47. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 平成年度の決算におきまして、歳入総額に占めます地方税の割合でございますが、都道府県につきましては、五〇%以上が四団体、四〇%以上五〇%未満が五団体、三〇%以上四〇%未満が九団体、二〇%以上三〇%未満が十四団体、二〇%未満が十五団体となっております。市町村につきましては、平成年度の決算では、五〇%以上が三百三十五団体、四〇%以上五〇%未満が二百四十団体、三〇%以上四〇%未満が四百二十四団体、二〇%以上三〇%未満が六百六団体、二〇%未満が千六百六十三団体という形になっているわけでございます。  それから昭和六十年度の決算で歳入総額に占めます地方税の割合を見てまいりますと、まず都道府県につきましては、五〇%以上が四団体、四〇%以上五〇%未満が四団体、三〇%以上四〇%未満が七団体、二〇%以上三〇%未満が十六団体、二〇%未満が十六団体となっておりまして、一、二の異同はございますけれども余り異同がないような感じでございます。  しかし、市町村につきましては、昭和六十年度の決算で見てまいりますと、五〇%以上が三百四十団体、四〇%以上五〇%未満が二百九十六団体、三〇%以上四〇%未満が四百六十八団体、二〇%以上三〇%未満が六百三十五団体、二〇%未満が千五百三十七団体、こういう形になっておりまして、昭和六十年度から平成年度に向けまして二〇%未満の団体が百二十六団体もふえているわけであります。その他の団体が減ってきて二〇%未満の団体が非常にふえているという傾向が出てきているわけでございます。
  48. 野別隆俊

    野別隆俊君 時間がなくなりましたから、この点については大蔵省に、さっきいろいろなことが、それは大蔵省の計算された借金の額とか公債費の額とかいろいろございますが、それだけではなくて、ここが一番私は指標になるんじゃないか、このように考えているんです。特に二〇%以下の団体が百二十六団体もふえているわけですから、これで何で地方財政が富裕であるなどということが言えるのか。こういう状態に現実はあるではないか。一応はそれはよくなっているところがありますよ。特に大都市についてはよくなっていますが、全体的にはこのように二〇%以下の自主財源しかない町村がぐっとふえている。これについての大臣大蔵省の御答弁をお願いする。
  49. 原口恒和

    説明員原口恒和君) 御指摘のように、地方団体は多々、三千三百ございますので、個々の団体状況というものに差があるというのはおっしゃるとおりだと思います。ただ、我々が地方財政計画を通じて地方財政対策をつくる場合に、総体としてのいろんな指標をながめる場合に、先ほどの繰り返しになりますが、いろいろな指標において、公債費比率あるいは公債依存度等において、地方団体が健全な状況になっているということは言えると思います。また、交付税等を加えました一般財源比率というものを見ましても、全体としては上昇傾向にあるのではないかというふうに認識しております。
  50. 野別隆俊

    野別隆俊君 大臣にひとつ。
  51. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 地方団体のそれぞれの状況は先ほど申し上げましたとおりで、国の場合は一つ財政でございますが、地方は三千三百近くの自治体の財政の集まりでございますから、その中は千差万別、特に先ほど申しましたような地方税の税収の比率の非常に低いところが数多くあるわけでございます。また、自治体三千三百団体のうちの九五%は地方交付税交付を受けなければ行政が運営できないというような状況考えてみますと、これは地方財政というものをこれから新しい需要を踏まえて財政を運営していくに当たってはなかなか厳しいものがいろいろあるんじゃないか、こういう認識を私どもは持っているわけでございまして、今後とも一般財源の拡充には努力してまいらなきゃならないと思っております。
  52. 野別隆俊

    野別隆俊君 時間がありませんから終わります。
  53. 常松克安

    ○常松克安君 大臣、常松でございます。初めてお目もじいたしますが、これより各般にわたっておつき合いのほどをお願い申し上げます。  大臣に就任されますと、どういう委員がどういうふうと人物評価をお聞きにな。っていらっしゃるかもしれませんが、本人はまことに気が弱いものでございますから、ひとつお手やわらかにお願い申し上げます。  結論といたしまして、十五分間の枠で、私は、基準財政需要額の中にはっきりと高齢化比率を明記すべきである、こういうふうな持論に立って話を進めてまいります。  「官庁速報」によりますと、兵庫県の知事は、これより過疎地域市町村に毎年一億円を交付する、国のふるさと創生以外に、という過疎活性化一億円構想を提唱、今後の過疎対策考え方に一石を投じている、このように承りました。  なお、これにつきましては、たびたび前奥田大臣の代より、過疎問題というのはもう大変なことである、集落というものがつぶれていく、赤ちゃんの声が風こえない、社会事業ですら村で支えられないような状態になる。これより十年先とすると、満六十五歳以上の比率が三〇%の町村がたくさんふえていく、これは大変なことであります。よって、こういう提起をいたしましたが、早速英断を賜りまして、当時、福祉基金、高齢化比率の高いところには、一発でこれはいきませんけれども、その中に少しずつ加えてこれに対応していきたい、こういうようなことで、昨年これに対応していただきました。  まず、その効果はどのようになっておるか、これをお伺いいたします。
  54. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 今、御指摘のように、交付税基準財政需要額を算定するに当たりまして高齢者の比率の高い市町村に福祉経費が手厚くいくようなそういう措置を補正でやらせていただいているわけでございますが、その一つとして、今御指摘地域福祉基金を配分する際に高齢者比率を加味して、老人人口の多い市町村に余計いくように基準財政需要額算入をしたところでございます。  これはことしの基準財政需要額算入したということで、この基金がこれから動き出すということでございますので、今直ちにその効果がはっきり出たということはちょっと私どももつかみがたいわけでございますが、こういう基金を通じまして民間の福祉団体の活動というものを活性化していくということに役立つことを私どもは期待したいと思っております。
  55. 常松克安

    ○常松克安君 兵庫県の知事のお言葉をかりますならば、構想具体化に向け、今後どのように取り組みをされるのか、その答え、まことに適切な答えが返っております。「基本的な問題として、本来地方団体がやらなければならないのに、制度がないためにやれない部分がある。そういう部分は、地方の需要とみられていない。」。  これをひっくり返して言いますと、ふるさと創生ということで大英断をして大変喜ばれております。活性化、イベント、ああしたい、こうしたい、こうあります。しかしながら、このデータを全部網羅されている一冊を見ますと、こういうふうなところへお使いになっていらっしゃる。入浴サービス、三重県海山町ほか数カ所。総合サービス、滋賀県甲賀町ほか。あるいは、緊急通報システム、高齢者にペンダントをつける、命にかかわる危険なときのために。あるいは、寝たきり老人介護者慰労金、これは岐阜県の垂井町です。通報の方は岐阜市でございます。言うなれば、一億円というものをイベント、活性化というために大いにやりたい。  しかし、どう使ってもいいから地域住民の合意だと存じますが、福祉というところにそのお金を使わなきゃならない。きめ細かな福祉という問題でやらなきゃならない。としますと、その一億円からかじり取ってこういうことをやる。もし、これが制度としてしかるべくきちっとするものがあり得るならば、違った活用ができるのではないか、こういうふうな一面が、このデータをずらっと並べてみますと出てくるわけでございます。そういうふうな地域の需要というものは、一億円ふるさととは違った制度要求というものがあり、あるいはそこでもう既にお使いになっていらっしゃる、これはしかるべき活用の仕方だと思います。  こういうふうなことを考えてまいりますと、活性化という問題ではなく、活性化といいますより、言葉は厳しゅうございますが、これはもう崩壊してしまっているということでございます。二手に今分かれております。市の果ての過疎という問題は何とかまだ手の打ちようがございます。ところが、こっちのこっちの県境となってまいりますとなかなかそこまでにいかないうまく取り組みがしがたい。当然、お金の問題もさることながら、マンパワーの問題がある。常に自治省の中においては、そんなものにお金渡したってそれをこなすだけの能力があるか、こういうふうなお考えもまたこれあり、よって都道府県としては、若い職員をそっちへ出向がしてということを考えなければならないような状態に至っております。これは当然、国土庁に新過疎法だとか何だとかあるのは存じております。おりまするが、若い者が定着、企業誘致、こんなことはもうそらごとになって、それを動かすだけの企画力ですらもはや難しい現状にある。  としますと、金はない、人はいない、あるのは自然が確かに残っている。また、とうといその地域の文化というものが残っている。そういうものを今までの考え方から発想の転換をして、この取り組みというものはやはり三千三百の長であるべき自治大臣の御英断によって新たなものをつくり上げていかなきゃいけない。どっちかというと、失礼など一面おしかりを受けるかもわかりませんが、自治省はどうしても事あるごとに交付税交付税で、交付税を守って、交付税運用だけでと、余りに名前に張りついているんじゃないかという御議論もまた聞こえてまいります。一歩先んじてマンパワーという問題からいきましても、こういうことが過疎地域活性化という問題に対してリードしていかなきゃいけない面もまた必要に駆られている現状ではなかろうか、こういうふうな考えを持つわけでございます。  お考えを、局長の方で結構でございます、かようなことぐらいで大臣煩わしますのはいかがかと思いますので。
  56. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 過疎市町村の人口の状況を見てまいりますと、一時減少の状況が少し緩和されたわけでございますが、最近になりましてまた急速に人口の減少が進んでいるという新しい過疎化現象が進んでいるということがいろいろな諸統計から見られるわけでございます。  昨年から、新過疎法の制定もございまして、新しい過疎対策に取り組むことになったわけでございますが、やはり今御指摘のように、それぞれの地域の特性を生かして、その地域に応じた自主的なその地域活性化を図るためにどのようにしたらいいかという問題、あるいは若年層の方々がその地域にどうやって定着をするか、このための産業の振興をどうすべきかというような問題、あるいは過疎地域とそれ以外の地域を結ぶ連絡道路の整備をもっと積極的にやるべきではないかとか、いろいろな課題がまだあるわけでございます。  今仰せのように、交付税という財政面だけではなしに、財源をうまく活用しながらいろいろな施策を各般にわたってやっていかなければ過疎の現象というものはなかなかとどまってこないのじゃないか、こういうことでございますので、一生懸命私どもも頑張ってまいりたいと思います。
  57. 常松克安

    ○常松克安君 お願いします。  確かに、ハード面については、山村の奥地まで道路が完備されてくる、これは努力の一つでございましょう。あるいは、今おっしゃったことも私は否めない御努力の目的かと存じます。しかし、その村、その町で満六十歳が一番若いんだと、この現実。その村全体がまるで特養の施設地域みたいになってしまう。それでいて田舎の方はなかなか隣近所でというわけにいかない。  一つの事例を挙げましょう、ソフト面の。ホームヘルパー、十万人に対しての各国の比率がございます。それは、日本が一名ホームヘルパーがいる。そうしますと、デンマークは二十七・三一人、スウェーデンは四十五・八〇人でございます。ノルウェーは五十・九四人でございます。今望まれているきめ細かなことは、下のものをどうするかというふうな地域住民にとっては、企業誘致やそんなことなどはもう遠いところのことでございます。この人生を安らかに、ふるさとに人間らしく人と人と握手する温かみの中でというソフト面の要求は、今の制度の中には生かされない、制度要求の制度というものがありさえすれば、これは使えますけれども。  でありますから、先ほど挙げました事実の上において、一億円いただいたお金を、ちょっと違うけれども、これは自由に使ってもいいということですから、地域住民の皆さんに、入浴サービスだとか食料を運んであげるとか、少なくとも、ああふるさとに、我ここに生きていてよかつ、だなと、何とかこれを人間らしく与えようとしている現状でございます。  そういう意味において——時間が参りました、一分早目に終わりますから、結論としまして、そういうふうな考えをまとめて、基準財政需要額算定の中に高齢化比率というもの、これをきちっと考えてください。本当にあすを待たずして御英断ありたい。このことを私は自分の利権で言っているんじゃないんです。奇しくもNHKに出演なさった当の実力自治大臣が、この過疎問題について物すごい新しい提言をなさった。それに感動して、それにちょっと血肉をつけて言っておるだけです。大臣の御思考に沿って御指導いただきたい。よろしくお願いします。
  58. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 常松さんの熱弁を聞いておりまして、やっぱりそれは私たちも過疎という問題を深刻に考えております。しかも、不幸なことに過疎化が拡大していっているという、このことを私は非常に心配しております。  そこで、過疎対策をやるのにいろんな手法がございましょう。財政上の措置もございましょうが、やはり私は、今自治省がやっておりますところの広域行政圏のあの発想がございまして、それとふるさと創生、この二つをかみ合わせて三百六十からある広域行政圏、そこにシビルミニマムの完成した一つ地域をつくってあげて、過疎地域の人たちがそこへ集約できるようにする必要もあるだろう。過疎は過疎なんて言って、山のてっぺんにお年寄りを置いておくということは危なくてしょうがないと思うんです。そうすると、やはりある程度集落へ集まってもらうということも過疎対策の重大な仕事じゃないか、それが行き届いた福祉行政にもつながってくると私は思うんです。  そうしようとするならば、そういうものを受け入れる準備はやっぱりまずそこからしていかなければ受け入れられませんので、そこから私は新しい過疎対策というものが始まっていくんではないか、こう思っておりまして、このことはいずれ勉強していきたい、こう思っております。  それはともかくとして、知事さんのえらい提唱で、毎年一億円、こういうことでございますけれども最初竹下先生が提唱されて一億を分配しようということでやられたときに、あれで自治体が自分らでも何か考えようという自律性自主性をよみがえらせたということは、非常に大きい収穫だった。だからして、毎年というわけではないだろう。また、時期を見て、私たちは、地方が自由に使えるようなものを何か考えられるならば、そういうものを導入できたらいいなと思いますけれども、これを毎年の行事としてこういうことをやっていくということは今のところはまだ考えておらない。一応、平成四年で一回見てみまして、それから後続けるものは続けていこう、こういうぐあいに思っています。
  59. 常松克安

    ○常松克安君 ちょっと、簡潔に局長の方から、実務者ですから、この高齢化比率を基準財政需要額にと、この答えをちょうだいしたい。
  60. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) ただいまの御指摘につきましては、これまでも社会福祉費におきまして老人人口数に応じまして補正を加えている部分もございますが、こういうものについて、今御指摘基準財政需要額をどういう形で積み込んでいけるかということをよく検討いたしまして、今後ともこういう問題については積極的に検討してまいりたいと思っております。     —————————————
  61. 山口哲夫

    委員長山口哲夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、鈴木省吾君が委員辞任され、その補欠として尾辻秀久君が選任されました。     —————————————
  62. 諫山博

    ○諫山博君 塩川自治大臣は、就任インタビューの中で、次のように述べておられます。  国税が不足するからといって、地方に金が余っているというのは納得いかない。むしろ、地方自治体は仕事があるのに、財政需要基準を抑えられ、思い切って使えなかった。基準を新しい時代にマッチするように見直すべきだ、こういう発言なんです。  これは、裏返しますと、財源があれば地方自治体はもっともっと仕事がやれたんだ、残念ながら財源が不足した、こういう趣旨だと受け取りましたけれども、いかがでしょうか。
  63. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 昭和五十年代は確かにそういう時代ではなかったかと、私は思います。
  64. 諫山博

    ○諫山博君 そこで、今年度地方交付税が五千億円減額された問題です。  私たちは、これには反対でした。その金は地方自治体に交付して、もっともっと自治体に仕事をしてもらうべきだ、こういう主張をしましたけれども、残念ながらこれは減額されました。これは誤りではなかったかと思いますけれども、現時点における大臣の認識はいかがでしょうか。
  65. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 平成年度地方交付税の総額を算定するに当たりまして、仰せのように五千億円の減額をしたわけでございますけれども、これは地方財政計画上、各種の基準財政需要額を算出するに当たりまして、国に比べでいろいろな面で積極的な経費を計上することもできたということも踏まえまして、国に対して借り入れたものを減額という形で返済するような措置をことし行ったわけでございまして、地方財政の運営にこのために支障が生じだということは私ども考えていないわけでございます。
  66. 諫山博

    ○諫山博君 経過はよく知っております。  私が知りたいのは、この問題に対する自治大臣の評価です。もっと毅然としてこの五千億円というのは地方自治体固有の財源として使うべきではなかったかということを言っているんですけれども大臣の御感想はいかかでしょうか。——大臣の評価を聞いているんです。
  67. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはやっぱり削らないで、現状維持でいけば、それは最高にいいと思います。  しかし、そこらが、この補正予算の前段の交渉の中にございまして、私もその時分のことはまだ承知しておらないんです。就任いたしまして、この話がもう固まっておるということを聞いたんですけれども、それなりに国と地方の話があったのかなと思っております。
  68. 諫山博

    ○諫山博君 今回の減額補てんの問題です。私たちは、この五千億円、これは形の上としては国に対する貸しになっているはずです。これで処理すべきであって、例えば借金がまたふえるというようなことではいけないと思う。ですから、なぜこれを五千億円で処理しようとされないのかということですけれども大蔵省にはこれは要求されましたか。
  69. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) この減額に対する補てん措置をどうするかということをいろいろ検討はいたしました。しかし、実際問題といたしまして、今回の補正予算で国の方は国税総額が二兆八千億円減額になるということで、国の財政事情から考えまして、その足らない分を加算しろといっても、これは現実的には不可能な問題でございます。特に、加算をするということは、これは借りて後でその分を返すということにもつながるわけでございますから、それをやるくらいなら今、ことし借金を返す予定のものを、その分を減らすということでやっても結果的に同じではないか、そういう意味でやるということで、今回の措置を決めさせていただいたものでございます。
  70. 諫山博

    ○諫山博君 この地方交付税の問題をめぐって、大蔵省自治省とのせめぎ合いがあるというのが専らの見方です。そして、自治省はもっと大蔵省に物を言うべきだ、地方交付税などは法律でも自治体固有の財源となっているわけですから、あんまり日本全体のことを考えるよりか、やはり自治省は自治体の利益、自主性を守るという立場から、毅然として大蔵省に物を言ったらどうかというのが専らの声だと思います。  そこで、これからの問題です。大蔵省が一兆二千億円もの減額を来年求める、これが大きく報道されました。そして、今までの大蔵省自治省の力関係でいけば、結局自治省は負けてしまうのではないかということを心配しているわけですよ。そういう問題があるから、私はあえて過去の問題も取り上げました。さらに、一部では交付税率の税率を引き下げる、こういう問題まで言われているぐらいです。  私は、自治大臣がやはり地方自治体の固有の財源は守り抜く、地方庄治体は財源さえあればもっともっと有益な仕事がたくさんできるんだから、そういう状況自治大臣としては体を張ってでも擁護するという立場を期待するんですけれども、どうでしょうか。これは大臣の説明を聞かせてください。
  71. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは再三にわたって私が申しておりますことでございますので、まあ精いっぱいとにかく頑張っていきたい。  ただ、さっきおっしゃるように、せめぎ合いなんてこと、これはよくわかります。けれども、何もけんか腰じゃないんですから、これは。やはり国も地方もともに相関連したものでございますから、そんな国から独立した地方自治体というような、そんな考えでは私は臨んでおりません。しかし、何遍も言っていますように、地方自治体の自律性とそれから独自性というものはきちっと守っていきたいし、そして現在の地方財政制度というものを、いろんな制度がございます、交付税もその一環でございますが、その制度の根幹を崩すようなことはしない、こういうことを言っておるのでございますから、御理解いただきたいと思います。
  72. 諫山博

    ○諫山博君 今度は、生産緑地法の問題に関して質問します。  新しい生産緑地法によって、一定の要件がある場合は農地は宅地並みに課税するのではなくて農地として取り扱う、こういうことが決まりました。五百平米以上のまとまった土地、三十年以上の営農の意思というようなことが要件とされておりますけれども、ただ、合理的な土地利用に支障を来すのではないか、こういう言い方で、要件には合致するけれどもなかなか生産緑地として指定されないのではないかということが憂慮されております。  これは建設省の所管ですけれども、私は生産者の意思を本当に十分に考慮しながら、この厳しい農業事情の中で三十年以上は農業を続けていきたい、こういう希望を持っている人には極力こたえなければならない。合理的な土地利用というような名目でこの農民の意思を抑えてはならないと思いますけれどもいかがですか。
  73. 林桂一

    説明員(林桂一君) 生産緑地制度は、都市内の農地の持つ緑地としての機能を評価し、これを計画的に保全しようという制度でございまして、例えば五百平方メートル以上あること等の要件を満たしております農地につきまして、都市計画決定権者が、通常、市あるいは都の場合におきます特別区でございますが、その案を作成しまして都市計画審議会等の議を経た上で指定されるものでございます。  先生御指摘の土地の動向、人口及び産業の将来の見通しを勘案して、合理的な土地利用に支障を及ぼさない範囲内において指定するということがやはり生産緑地法の第三条三項に規定されております。また、私どもは、その趣旨に基づきまして、例えば高度利用地区とか特定街区とか、そういったような土地の有効高度利用を図る方策を講じようとしている地区においては、原則として生産緑地を指定しないようにするというような通達も出しておるところでございますが、基本的には、やはり都市内の緑地、オープンスペース等の整備水準が著しく低い水準にあるということでもございますし、生産緑地地区の指定に当たりましては、指定を希望する農林漁業従事者の意向を十分に尊重して積極的にこれを指定していくという考え方でございまして、その旨通達等で関係地方公共団体を指導しているところでございます。
  74. 諫山博

    ○諫山博君 私は、制度の仕組みを聞きたいんじゃないんです。宅地並み課税で将来とも農地として取り扱う、この条件が厳し過ぎるという声があります。しかし、この要件に合致する限り原則として宅地並みにはしない、これが大原則であって、土地の合理的な利用というようなことで宅地並みに扱ってしまうのは全くの例外措置でなければならないということを提起しておるんですけれども、この問題に限ったらどうですか。どれが原則でどれが例外かということです。
  75. 林桂一

    説明員(林桂一君) 生産緑地地区の指定に当たりましての基準といいますか、要件が幾つかございます。先ほど申し上げましたように、面積が五百平方メートル以上であるということもそうでございますし、また、土地の合理的な利用に支障を及ぼさない範囲で指定するというのも都市計画の一つ基準になっているところでございます。したがいまして、両方の基準が必要になるということでございます。
  76. 諫山博

    ○諫山博君 私は建設省に要望します。  指定要件が厳し過ぎるというのが専らの声ですよ。三十年間農業をやらなければならない、何でこんなに厳しい要件をつけるのかという声があります。しかし、そういう厳しい要件の中でも将来とも農業をやっていきたいという人が出てきているのに、土地の合理的な利用というようなことで農民の希望を抑えてはならないということを要望として申し上げます。  次に、自治省です。  来年度からの生産緑地に対する固定資産税がどうなるのかというのが一つの問題です。  生産緑地の指定が完了するのは来年の十二月の末、これは法律で決まっております。ところが、固定資産税を農地として課税するのか宅地として課税するのか、この基準になるのは来年の一月ですね。そうすると、一たん宅地として固定資産税をかけたけれども、その年度内に後で農地にかわるという問題が理論的には必ず出てきます。  そこで、みんなが心配しているのは、どうせ農地並みに扱われるような土地については、初めから宅地として固定資産税をかけるのは困る、大体そんな高い税金を払う余力もない、こういう声が出て、いろんな対策が今議論されております。例えば、宅地並みで税金を決めるけれども、徴収猶予をしたらどうだろうかという声もあります。あるいは、課税の通知を出さないでおったらどうかというような声もあります。さらに、長期営農継続農地並みの暫定的な課税をしたらどうだろうかというような声もあります。  現に、この問題が東京都で議論されまして、新聞報道では東京都の主税局長がそういう形でこの矛盾を解消したいということを自治省に申し入れたという報道がありますけれども、この問題に対する自治省考えはどうですか。
  77. 杉原正純

    政府委員(杉原正純君) 来年度から実施されますいわゆる宅地並み課税につきまして、御指摘のような課題が今提起されていることは私どもも承知いたしております。一たん宅地並みの税額で取って、後から農地並みの税額にいわば減額するということになりますと、還付、あるいは未納の税金があればそれに充当、こういう現在の仕掛けでございますけれども、これは御指摘のような問題があるという御意見が出ております。それで、私どもは課税団体当局といろいろこれにつきまして円滑な課税方法、執行方法につきまして今種々検討を重ねております。  今、委員が幾つかの方法論的なことを御指摘になりましたけれども市町村と意見交換をしておりますと、両方、いろんな意見がございます。やはり、生産緑地にかなりなりそうだという市町村となかなかなりそうもないという市町村で若干その方法論について御意見がいろいろ分かれているようでございますけれども、私どもはそういった御意見を踏まえながら、いずれにしましても、各市で平成四年末までに、地区指定の状況を勘案しながら、課税が円滑に行われるような適切な方法について現在検討を重ねておるところでございます。
  78. 諫山博

    ○諫山博君 わかりました。いろんな方法が可能だと思うし、自治体はそれぞれこういうやり方がいいのではないかということを検討しているようです。  ただ、私が要望したいのは、これは新しい制度から出てくる必然的な矛盾なんです。固定資産税を決めるときはすべて宅地、ところが来年度中にこの相当な部分が農地にかわる、これは制度から必然的に出てくる矛盾だと思います。そこで、宅地として課税をして、宅地として税金を徴収して、後で農地になった場合にこれを還付するというやり方は避けていただきたいということです。確かに一つのやり方として、一たん税金は取り上げる、しかしこれは将来農地になった場合に返さなければならない税金ですから、還付するというやり方が理論的にはあり得るとは思いますけれども、これは農家にとっては非常に大きな負担になりますから、この道だけは避けてもらいたいということを要望して、さまざまな検討を私は期待いたします。  次に大蔵省です。  今、固定資産税について申し上げましたけれども、相続税についても似たような矛盾が出てくると思います。  相続税の申告期限というのは死亡後六カ月。つまり、相続財産のときには宅地であった、ところが将来、これが農地扱いをされるようになった。理論的には、この一定期間に相続原因が発生しますと、宅地として相続をした、ところが来年度中に税金上はこれが農地扱いにされる、こういう問題が必ず出てくるでしょう。そういう問題が必然的に避けられないのではないかという点はどうですか。
  79. 窪野鎮治

    説明員(窪野鎮治君) 御説明いたします。  先生御指摘のように、先般の相続税法上の特例適用の廃止に伴いまして、相続開始時におきまして生産緑地地区内に所在する農地につきましては、引き続き相続税の納税猶予の特例適用を認める、こういうことになっております。そして、平成年度、初年度におきましては、平成四年中に開始した相続につきましては、相続税の申告期限または平成四年十二月三十一日のいずれか早い日までに都市計画上生産緑地と位置づけられた市街化区域につきましては、特例の適用を認める経過措置、こういうものを講じているところでございますが、平成四年模の早い時期にお亡くなりになりました方につきましては、場合によりましては生産緑地の指定時期いかんによりましてそういう問題が生ずる可能性がありますのは、先生御指摘のとおりでございます。
  80. 諫山博

    ○諫山博君 これは新しい制度から生ずる必然的な矛盾です。そこで、この矛盾を解決するためには、相続税の申告期限は死亡後六カ月となっているけれどもこれを延長するというのが非常に現実的な方向として検討されていると思いますけれども、そのためには現行法の手直しか必要ではないでしょうか。この現行法の手直しまで含めて申告期限の延長を検討されているのかどうか、御説明ください。
  81. 窪野鎮治

    説明員(窪野鎮治君) 相続税の方におきましても、一現在改正検討作業を進めている状況でございます。すなわち、先般の土地税制改革の一環といたしまして、土地の資産としての存利性を縮減する、こういう観点から土地の相続税評価の適正化を平成四年から行うこととしております。その一つ内容といたしまして、土地の相続税の評価時点の問題でございますが、従来は前年の七月一日に評価しておりましたものをできるだけ直近に近づける、こういう考え方から、平成四年から地価公示価格の評定日であります当年、すなわち平成四年の一月一日に合わせる、こういうことにしております。  この場合には、従来相続税の申告に当たりましては税務署等で路線価図というものを地価公示に合わせまして作成しておったわけでございますが、半年ずらすことによりまして路線価図をごらんいただける時期が相当遅くなる可能性がございます。そういうことから、政府の税制調査会答申、昨年のものにおきましても、こういう評価時点のずらしを行う場合には相続税の申告期限について何らかの環境整備が必要である、こういう御指摘をいただいております。  そして、その具体的内容についてでございますが……
  82. 諫山博

    ○諫山博君 内容は結構です。要するに、相続が始まったときには相続財産が宅地であった、ところが年度内にこれが農地にかわる、そういう事態が必ず発生しますけれどもこのときは宅地として課税しなくても済むように申告期限の延長を検討している。そのためには相続税法の附則が改正されなければならないと思いますけれども、相続税法の附則の改正もあわせて検討しながら、相続人に不当な負担がかからないように作業している、こう聞いていいですか。
  83. 窪野鎮治

    説明員(窪野鎮治君) 御指摘のように、現在相続税の、特に平成年度における申告期限の取り扱い、これをどういうふうにしたらよいか、税制調査会での御審議をも踏まえながら検討しているところでございまして、何らかの成案を得て相続税法改正案の一環として御審議いただけるよう今鋭意作業しているところでございます。
  84. 諫山博

    ○諫山博君 終わります。
  85. 星川保松

    ○星川保松君 私は、二年半足らずのうちに常任委員会をかわりまして三つ目でございます。それで、地方行政委員会にも来たばかりでありますので、まだ皆さんと論議を歩調を合わせてやるところまで参っておらないと思いますので、その点はよろしくお願いいたします。  まず、法案の関係について一つだけお伺いをいたします。  それは、いわゆる平成年度地方交付税の算定ということで法人税がかなり落ち込むということになっておるわけでありますが、この法人税が落ち込むというのは国だけではないわけでありまして、やはり地方自治体も同じように落ち込むということになろうかと思います。そのことについて、地方の落ち込みをどのように考えて、それにどのように対応するお考えであるか、その点をまずお伺いいたします。
  86. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 御指摘のように、地方の法人関係税といたしましては、法人事業税、法人住民税があるわけでございまして、各月に都道府県の税収についてはその徴収実績の報告をいただいているところでございますが、現段階では都道府県の法人事業税につきましては前年度を割り込むような形にはなっておりません。  それは、一つには法人税の税収の所属年度区分が国税と地方税と違っているということもございまして、法人事業税の場合にはかなり進捗度がよくなっておりますので、今年度の税収につきましては国税の法人税ほど落ち込むことはないのじゃないか。これは、本来ならば税務局長が御答弁するところでございますが、私どもはそういうふうな理解をいたしております。  しかし、傾向的には全く同じでございますから、明年度以降の法人事業税あるいは法人住民税につきましては、国税と同じような傾向で伸びが鈍化していく、あるいはマイナスが出てくる可能性もあるのではないか。個々の都道府県ごとに見てまいりますと、税収の落ち込みの非常に激しいところもございます。特に大都市周辺の府県におきましては、法人関係税の落ち込みはかなり大きくなってきておりまして、それについての財政運営をどうするかという点について一、二御相談に来ているところもございますので、今年度財政運営に支障のないように、この点は遺憾のないように措置を講じてまいりたいと思っております。
  87. 星川保松

    ○星川保松君 市町村についてはどうなっていますか。
  88. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 市町村につきましては、法人関係税のウエートが法人住民税だけでございまして、法人事業税は都道府県税ということもございますし、市町村は、安定的な税源でございます固定資産税が、これは景気に必ずしも連動せずに安定的に負担していただけるという税でございますので、都道府県ほどの顕著な形にはならないかと思いますけれども、しかし、大都市周辺地域において法人住民税の比率が非常に高いところにおきましては、やはり同様の問題が出てくるのじゃないか。この辺につきましては、各県の市町村指導の担当部局とよく御相談をしながら財政運営に支障のないように図ってまいりたいと思っております。
  89. 星川保松

    ○星川保松君 次に、ふるさと創生事業についてお尋ねをいたしますが、これは何年から始めて何回になるわけですか。
  90. 滝実

    政府委員(滝実君) ふるさと創生事業の開始をされましたのが昭和六十三年でございまして、六十三年から平成元年、平成二年という格好でこの事業が進んでまいりまして、現在それの新たな事業として地域づくり推進事業という格好で引き継いでおりまして、これが平成二年、三年、四年という三カ年の計画として現在実施している、こういうような状況でございます。
  91. 星川保松

    ○星川保松君 それで、平成年度予算はどのくらいで、対象の自治体はどのくらいの数ですか。
  92. 滝実

    政府委員(滝実君) 平成年度における事業でございますけれども、計画といたしましては、交付税の本体にそのまま組み込んでおりますいわゆるソフト事業、これが三千三百億円、これは全市町村対象、こういうことでございます。それから、これを裏づけますところのハード事業、こういうことで仕組んでおりますのが、これが地域総合整備事業債という格好でやっておりまして、これが計画としては三千五百億円を予定をいたしているわけでございます。  実際の団体数字は、まだ私ども正確にはつかんでおりませんけれども、そういうような状況でございます。
  93. 星川保松

    ○星川保松君 そうしますと、ソフトの方が三千三百億、対象が三千三百ということで、これは市町村だけですか。
  94. 滝実

    政府委員(滝実君) そうでございます。
  95. 星川保松

    ○星川保松君 これが全部一律に一億円ということになっているようですけれども、一番大きな団体で人口がどのくらいで、一番小さいのでどのくらいですか。
  96. 滝実

    政府委員(滝実君) よく例に出されますのが、東京都の大島村が人口約二百人ということでございますから、それが最小の人口になろうかと思うんでございますけれども、最大は、建前としては政令市がございますから、政令市も当然のことながら建前上の対象市町村でございますからその範囲内、こういうことになみわけでございます。
  97. 星川保松

    ○星川保松君 この事業は、まあ評判はいいとはいうものの、私は一つの問題点を提起しているんじゃないかと思いますのは、二百名のところも一億円、それから百万を超えるような政令都市のようなところも一億円というようなことで、いわゆる金の使い方が交付税の算定など、細かい算定基準、算定の仕方から見ればまことに大ざっぱなものでありますけれども、こういう金の使い方のいわゆる副作用といいますか、そういうものをお考えになっていませんか。
  98. 滝実

    政府委員(滝実君) おっしゃるように、したがって最初の公表されたときには、従来の考え方とは多少その時点では違っていたものですからいろいろ賛否両論があったと思います。しかし、やってみますと、基本的にはいわば人口の小さなところ、あるいはどちらかというと過疎的な地域市町村、こういうところもいわば財政的にはむしろ堂々たる事業ができる、こういうことで、結果的には当初の心配ほどには弊害というものはないんじゃないだろうか。むしろ、一億円をすべての市町村考えることによって、この事業活性化が促進されてきた、こういう面があるんではないだろうか、こういうふうに評価をいたしておるわけでございます。
  99. 星川保松

    ○星川保松君 これはもらうんですからだれも文句は言わないし、みんな喜んでもらうわけでありますけれども、こういう一律のお金を出して事業を推進する、そのねらいはどういうところにあるんですか。
  100. 滝実

    政府委員(滝実君) ねらいは、結局この種の財政的な見地からの従来の取り扱いは、例えば地域によって数字を変えるとか、あるいは人口に比例するとか、こういうふうなことがスタンダードな考え方だろうと思うんでございますけれども、こうやってまいりますと、人口二百人の村ではそれなりの小さな事業しか考えられない、結局小さい村は従来どおり小さな事業、こういうような一種の固定的な発想しか期待できない、こういうようなことでございますので、その辺の発想方法をこれによって変えることをねらったというふうに私ども考えておるわけでございます。
  101. 星川保松

    ○星川保松君 そういうことなら、下の方には一億円やっても、大きなところにはそれほど、手伝いにもならないみたいですから、それはやっぱり考えて、小さいところを重点にお金をやるというようなことを考えられないものかというふうに私は思います。  ただ、このふるさと創生事業として一億円をやったということの最大の効果は、いわゆる金をやるからあなたのところで自発的に何をやるか考えなさいということは、その市町村に対して企画能力といいますか、それを発揮しなさいということで、いわゆる企画部門を大きく刺激した、一つの競争状態に置いたわけでありますから、まず、隣の町に負けないようなアイデアを出して何かを企画しようということの刺激を与えたということには大きな意味があった、こういうふうに私は思います。  しかし、いろんな仕事が出てきておるわけでありますが、その中には、自分で頭を絞って考えあぐねて、それでいい仕事はないかと公募をやったところがありますね。これは私はちょっとまずいと思うんです。自分の頭を使わずにいて、それで人の知恵をかりようというのは、これはいわゆる企画能力を掘り起こすということにはならないわけであります。  ですから、そういうことで自治省で最もこれは好ましい事業だということのサンプルと、これは好ましくないというようなサンプルがありましたら、数点で結構ですからお願いします。
  102. 滝実

    政府委員(滝実君) そういうお尋ねをされると非常に返答に窮するのでございますけれども、少し説明をさせていただきますと、これはもう先生一番詳しいわけですから申すまでもないことなんでございますけれども、もともと私どもがこの事業地方団体にPRする際に、できるだけ住民の段階にまでおろしてみんなで考えてもらうことが一つ意味あることになるんじゃないだろうか、こういうようなことで宣伝をいたしました。そういう意味では公募ということをおやりになった市町村がかなり多い。あるいは、住民を交えての企画委員会をつくってもらって、住民が参画した格好でやっていただく、こういうことが必要じゃないだろうか、こういう意味での公募をやってまいりましたから、それに沿った格好で市町村住民を交えての事業、企画をやっていた、こういうことはあるだろうと思います。これはその事業の性格上、私どもは好ましい格好じゃないだろうか、こう思うのでございます。  むしろ、先生が御心配になるのは、そうじゃなくて、住民じゃなくて東京の人間がいろいろ企画書を持ってやってきて、それを採択する、こういうことが仮にあるとすれば、それは本来のねらいではない、こういうことは言えるんじゃなかろうかと思います。
  103. 星川保松

    ○星川保松君 時間が来ましたのでこの問題についてはこれで終わりますが、やはりこれについてはもう少し事業をやってきた経過を見て検討して、改良すべき点は改良してやってほしいと思いますが、そのことについて大臣から一言お願いします。
  104. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) ふるさと創生事業に一定の評価をしていただきましてどうもありがとうございました。  やっぱり、おっしゃるように、みずから考えるということ、これは大きい刺激になりましたので、これに類するような事業というものを折を見てまたいろいろ企画していきたい、こう思っておりまして、絶えずそういう地方自治の、いわばみずから進んで積極的に取り組む姿勢に私たちは誘導していきたい、こう思っております。
  105. 星川保松

    ○星川保松君 終わります。
  106. 山口哲夫

    委員長山口哲夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  107. 諫山博

    ○諫山博君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  地方交付税は、地方団体相互の財源の均衡と、地方行政の計画的な運営を制度的に保障し、地方自治の実現を確かなものにする目的を持つ。もので、その必要な財源の確保は当然国の責任です。このことは、国税三税等の一定割合が財源に充てられることからも明らかであり、地方財政計画から減額が発生した場合、それは国の地方財政計画見込み違いとして、地方にしわ寄せすることなく、適切に処理されるべきものであります。  今回の減額補てんは、この間の税収不足が、バブル経済の破綻による景気後退に起因するものであり、政府の政策にこそ重大な責任があります。 にもかかわらず、今回の改正案では、税収減額分ばかりでなく、雲仙や台風など災害対策の追加分も含めて、前年度交付税精算増加分と、交付税特別会計借入金の繰り上げ償還分で補てんしようとしています。国庫からの繰り入れ分は全くなく、なぜ全額地方共有の財産である交付税で穴埋めしなければならないのでしょうか。さらに、当初予算五千億円の特例減額についても、国に貸すという措置がとられ、その返還さえされないままです。今回のこのような方法は、国の責任をあいまいにするものです。  もちろん、追加交付分には雲仙災害廃棄物処理などに係る財源措置が含まれており、この財源措置については当然賛成できます。しかし、交付税の減額補てんに対して講じられた措置を容認することはできません。  以上、反対の理由を述べて討論とします。
  108. 山口哲夫

    委員長山口哲夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  109. 山口哲夫

    委員長山口哲夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 山口哲夫

    委員長山口哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十分散会      —————・—————