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国務大臣(
塩川正十郎君)
最初に、一兆二千億円の話が出てまいりまして、私、昨日も実は非公式でございますが、こんな話があるのかと言って
大蔵の
首脳者に聞いてみましたら、いや、まだそこまでいっていない、
検討の段階ではあるけれ
ども、そこまで、そんな
数字は固めておらない、こう言っております。ああいうことは大体どの辺から出ておるか私はよくわかるんです。ああいうぽんと火の玉みたいなものを打ち上げてみて、ふわっと泳がしでみて、それがどの
程度の反応が出るか見定めて、そして
数字を固めていく、これはもうどの
役所もやる手なんだ。特に
大蔵はもうよくやる手でして、悪い癖やなと思うんですけれ
ども、そういうのをやっているんだろうと思うんです。
しかし、全く根拠なしにやっているとは思わないです。このぐらい欲しいなという希望はここに出てきておると思うんですが、だからといってこれは
現実の
数字として固まっていくものではないと私は思っておりますし、また、そんなむちゃなこと、二兆数千億円の
財源不足で、八千億円ほど格好だけちょっと増税して、あとはもう
地方から取ってしまえと、これはちょっと荒っぽい理屈ですから通るとは思いません。ですけれ
ども、これから
大蔵とこの問題を詰めていきたいと思っております。
そこで、お尋ねの本論でございますが、
地方財政は
余裕があるのかという、そういう見方も一方ではありましょう。けれ
ども一方では、
地方団体というのは、三千三百かある
団体を見ましたら、さまざまでございますね。例えば、
地方交付税に三〇%以上頼っておる
市町村というのは半分以上あるわけであります。そういうのを見ましたら、やっぱり
財源は乏しいなということがわかるんです。しかしながら一方で、
地方行政に
余裕があると言われるのは、
東京都なんか目立ち過ぎるんです。
東京だとか大阪、これを
地方行政の
一つの典型的なもののようにも見ておりますから、ですから
一般の田舎の方には
余り目が行ってない、こういうことから
地方財政余裕がある、こう見るんだろうと思うんです。
それからもう
一つ目立ちますのは、御存じのように、国の
財政の骨組みの中で、
公債費、
地方交付税そして
一般歳出、こういうぐあいに組んでいますから、そうすると
地方交付税というのは物すごく目立ってくるんですね。私はこれはかねてから思っておったんですが、
地方の固有の
財源であるとするならば、国税収納金をずっと
地方の
交付税特別会計へ移してやればいいんですけれ
ども、
一般財源化して、
一般会計の中に入れてそれで
予算で移していきますから、
交付税特別会計に移していきますから、だから目立つんです。私はここらの点がこれからやっぱり、大きい制度
改正になるかもわかりませんけれ
ども、
検討すべき問題ではないのかなと。固有の
財源であるというのならば、そうするのが本筋なんだろうと思うんですけれ
ども、そういうので目立っています。
けれ
ども、実情を見ましたら、やっぱり
地方団体は非常に苦しい。決してぜいたくなこともしていない、むだなこともしていないと思うんです。したがって、これから私は
地方団体の
財政がどのくらい本当は必要なのかということをやっぱり精査していく必要があるんではないか。それには、いろんな委任
事務、それに
措置されておる費用と、実際に現場で、つまり
地方自治体で使う費用との乖離、これを計算してみたらどうだろう、サンプル調査でもいいから。ここに超過
負担というものがあるんではないかなということを思うんです。
それと、これから
地方自治体の
一つの役割として進めていきます大きい
事業がございます。公共投資の仕事を分担しているのは
地方団体が六割ぐらいあると思うんですね。これの
負担がやっぱり相当かかってくるだろう。それから、高齢福祉社会に対する
措置というもの、これもかかってくると思うんですね。それから、一極集中排除だ、住みよい町づくりだといって、本当に自治体自身が自分らの
住民サービスのためにやっていかなきゃならぬ本格的な
事業というものもこれからあると思うんです。そういうようなものをやっていこうとすると大体どのくらい要るんだろうか。おおよそでいいから早急に固めて、
地方の
財政需要はこのぐらいあるんですということをやっぱり言わなきゃ、私は
地方財源に
余裕があるじゃないかと言われることに対する説得材料にならぬのではないか、こう思っておりまして、今
財政当局は何かその作業を盛んにやってくれておるところでございます。