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政府委員(山本貞一君) ただいま
会長から御指示のございました件につきまして、十五分以内で御
説明を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。「
我が国の
エネルギー需要及び新
エネルギーの将来
展望について」という資料が配付されておると思いますのでごらんいただきたいと思います。
まず一ページでございますが、
エネルギーをめぐる国際情勢につきまして書いております。最近の国際石油情勢につきましては、昨年の湾岸危機におきまして、八月から九月にかけて原油価格は急騰いたしましてはぼ二倍程度まで上昇したことは御存じのとおりでございますが、十月以降年末にかけまして反落をしてほぼ安定
状態に来るところでございました。その後、一月十七日の湾岸戦争発生直後には原油価格はさらに下落をいたしまして、IEAの対応、各国の備蓄あるいは代エネの導入等を
背景といたしまして石油市場の鎮静化というのが見られたわけでございます。
最近の石油情勢でございますが、②に書いております。湾岸戦争終了後大体十五、六ドル近辺でドバイ原油は安定的に
推移しておったわけでございますが、最近のソ連の石油供給に対する不安等を反映いたしましてやや強含みに
推移し、十五日時点でドバイ原油は十九ドル弱というのが現状でございます。
さらに、イラク、クウエートからの石油輸出はまだ限定的でございますが、一方ではサウジアラビアを中心とする産油国の増産が続いております結果、石油需給はバランスを維持しているという
状況でございます。
しかしながら、短期的な急激な
変化が生ずるというふうには
考えにくいんですが、
減少が続いているソ連の石油生産、輸出動向、あるいはOPEC加盟国の原油生産動向、あるいはこの冬の
需要の動向等を中心に引き続き市場動向を注視していく必要があると
考えております。
次に二ページでございますが、
エネルギー関連の国際会議等の動向につきまして、御案内のとおりと思いますが簡単に御
報告いたしますと、本年六月に開催されました第十三回国際
エネルギー機関、IEAの閣僚理事会におきまして以下のような内容の合意を見ております。
一つは、湾岸危機の教訓を踏まえて、IEAの緊急時
システムの強化、石油備蓄の増強、石油製品の
需要に対応できるような供給能力の
必要性が強調されました。
二つ目には、原子力が世界の
エネルギー供給に大きく貢献しているということ、あるいは安全性や廃棄物
対策等の国際協力を強化すべきであるということについて全加盟国の合意が得られました。
第三には、省
エネルギー、新・再生可能
エネルギーも重要性が改めて確認されたわけでございます。
第四には、地球
環境について具体的な
対策を検討するために、
エネルギー問題が直接関係する重要な問題であるということ、中でも技術移転、
情報交換が重要であることが合意されたわけでございます。
なお、
エネルギー憲章についても非差別的に策定されるべきであるということがうたわれました。
その後、本年七月のロンドン・サミットの
経済宣言におきましても、今申し上げましたIEA閣僚理事会と同様の内容が盛り込まれると同時に、特に原子力発電の重要性、安全性
向上のための国際協力の
必要性がうたわれているわけでございます。
三ページをごらんいただきたいと思いますが、地球
環境問題をめぐる動向でございます。御案内のとおりと思いますが、地球
環境問題、まさに
エネルギー問題と非常に深い関係がございまして、この図にもございますが、温室効果ガスの気温上昇への寄与率といたしまして、炭酸ガスは五五%である、しかもその八〇%は化石
エネルギーの燃焼に起因するというのがIPCC、気候変動に関する
政府間パネルの中間
報告の知見でございます。
次に、地球温暖化問題をめぐる国際的な動向として、御案内のとおりでございますが、気候変動に関する枠組み条約のための交渉会議が開催されておりまして、既に三回行われました。来年六月のUNCED、国連
環境開発会議における採択に向けてさらに二回の交渉が予定されておるわけでございます。
一方、
我が国の本問題に対する取り組みでございますが、昨年十月の関係閣僚会議で地球温暖化防止行動計画を策定したところでありまして、その内容は、一人当たり二酸化炭素排出量について二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルでの安定化を図るという目標が定められておるわけでございます。
次に、
我が国エネルギー需給実績と今後の
見通してございますが、最近の
エネルギー情勢といたしまして、今申し上げましたが、
一つは
エネルギー需要の増大への対応等安定供給確保の
必要性というのが一段と高まる。同時に、地球温暖化等の地球
環境問題というような新たな
課題への対応が求められるという新しい要請がつけ加わっておるわけでございます。
まず第一に、国内の
エネルギー需要でございますが、八六年度以降の好調な景気の持続等を
背景にいたしまして、九〇年度におきましても大幅な
増加傾向が続いておりまして、今後もそのような
需要の拡大が想定されるわけでございます。その中でもさらに電力が引き続き高い伸びを示しておりまして、夏場のピークヘの対応が必要になっておるわけでございます。表一をごらんいただきますと、八八年度、八九年度、九〇年度と三つの数字がございますが、最終
エネルギー消費で五・七%、三・四%、三・八%の伸びを示しておるわけでございます。表二の一番下をごらんいただきますと、電力につきまして五・四%、六・二%、七・二%という高い伸び率を示しておるわけでございます。他方、
エネルギー供給面につきまして、ここに書いておりますが非常に日本の脆弱な供給構造がごらんになれみと思います。対外依存度八四%、石油依存度五七・九%等御案内のとおりでございます。
それから③に書いておりますが、地球
環境問題について今申し上げましたが、
エネルギーセキュリティーの確保と地球
環境の保全という二つの目的を達成する必要が生じておるということを書いておるわけでございます。
次に六ページに参りまして、
エネルギー需給
見通しと今後の
課題でございます。総合
エネルギー調査会の中間
報告、昨年六月出ました
エネルギー需給
見通しは表四でございますが、一九八九年度から二〇一〇年度にかけて最終
エネルギー消費の年平均一・二%の伸びを想定しておるわけでございます。この
エネルギー需給
見通しをもとにいたしまして昨年十月に石油代替
エネルギーの供給目 標が閣議決定をされました。これは二〇一〇年度を目標としたものでございますが、表五にあるとおりでございまして、石油の依存度は下がっていく、新
エネルギーあるいは原子力の比率が上がっていくという想定をしておるわけでございます。
七ページに参りまして、このような
エネルギー情勢あるいは今後の
見通しというものを踏まえまして
一般的に
エネルギー政策全体についての
課題を申し上げますと、第一には省
エネルギーの推進でございます。第二には原子力開発利用の推進、第三には新・再生可能
エネルギー等の開発・普及
促進でございます。それから第四には中長期的電力需給
対策の強化、第五には革新的
環境技術開発の推進、第六には、次のページでございますが、新しい石炭
政策の推進、第七には湾岸危機の経験を踏まえた石油
対策の推進、第八には
エネルギー問題克服への積極的国際貢献であるわけでございます。内容については、時間の都合もございますので、七ページ、八ページの詳細は省略させていただきたいと思います。
九ページに参りまして、
我が国の新
エネルギーの将来
展望についてでございます。
第一には、新
エネルギーの現状でございますが、太陽
エネルギー、燃料電池、風力
エネルギー等の新
エネルギーは、石油代替
エネルギーであるとともに、
環境への負荷が少ない
エネルギーであるということから、先ほど申し上げました
エネルギーの安定供給、地球
環境問題への対応という点から極めて有効な
エネルギーであります。
まず、再生可能
エネルギーとして、太陽光発電、風力発電等につきましては、密度が希薄である、自然条件に左右される、現時点ではコストが割高であるといったような問題がございますが、従来
政府としても非常に力を入れてその技術開発、導入
促進等に努めておるわけでございます。
第一に太陽光発電につきまして、ここにございますが、この十年間でコストを十分の一にまで低減する等の成果を上げております。一九九〇年の生産量は約一・七万キロワットというふうに想定しております。
第二の風力発電につきましては、非常に風況のよい地点、例えばアメリカのカリフォルニア等ではもう
経済性を有するわけですが、日本では、風況の特定のところにおいてでございますが既に三万三十キロワットが稼働しているわけでございます。サンシャイン計画で五十三年度から技術開発を進めておるところでございます。
ソーラー
システムにつきましては、新
エネルギーの中では最も普及が進展しているものでございまして、(ロ)にございますが、民生用ソーラー
システムについては四十九年度から五十六年度まで開発をしまして、
産業用ソーラー
システムについては
昭和五十三年度から技術開発を推進中でございます。次のページにございますが、現在民生用ソーラー
システムが約三十五万台、温水器が四百六十万台普及しております。
次に、新
エネルギーシステムとして、燃料電池、石油代替
エネルギー車等について申し上げたいと思います。まず燃料電池でございますが、燃料電池は、御案内だと思いますが、水素と酸素の化学反応によって直接発電する技術でございまして、非常に高効率、公害が少ないという特徴がございます。かなり実用化に近づいておるものでございまして、
昭和五十六年度からムーンライト計画において技術開発を推進中であります。現在一・三万キロワットが稼働しておるわけでございます。
石油代替
エネルギー車につきましては、電気自動車、メタノール自動車、CNG車といったようなものにつきまして今フリートテスト等を
実施しておるわけでございまして、幾らかの普及が既に始まりつつある
状態でございます。
新
エネルギー政策の現状と今後の
課題でございます。最初にございますが、石油代替
エネルギーの開発及び導入の
促進に関する
法律を
昭和五十五年に制定いたしまして、先ほど申しました代エネ供給目標を策定しておるわけでございます。
次に、
エネルギー特別会計制度も五十五年度に創設させていただきまして、電源特会あるいは石油代替
エネルギー対策を設けておるわけでございます。
同時に、中核的機関として、③にございますが、新
エネルギー・
産業技術総合開発機構、NEDOを設立して各種の
施策を
実施しておる次第でございます。
④にございますが、サンシャイン計画、ムーンライト計画等の技術開発を進めておりまして、サンシャイン計画は四十九年度から進めておりまして、ムーンライト計画は五十三年度から進めておるわけでございます。
最後のページに今後の
課題を書いておりますが、開発・導入のための効率の
向上、コスト低減のための技術開発、これは引き続き必要でございますが、さらに
環境整備あるいは導入
促進といったような
施策が必要になっておりまして、まず(イ)にございます
政策的
支援として、補助なり利子補給に加えまして、来年度からフィールドテスト関係の補助金を太陽光発電、燃料電池について要求しておるところでございます。
(ロ)の制度的
環境整備につきましては、電気
事業法等の法規あるいは
運用につきまして、新
エネルギー、太陽光発電、コジェネレーション等を導入しやすいようなメニューなり制度を確立するための研究を今一部進め、もう既に
実施しておるわけでございます。
(ハ)としては、電気
事業者にも先駆的な導入をお願いして、各社の施設計画でも目標を立てて今後具体的な設置の候補地を検討、計画中と聞いております。
石油代替
エネルギー車についても、電気自動車等につきましてフリートテスト等によって普及
促進を図ることにしておる次第でございます。