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1991-12-20 第122回国会 参議院 国際平和協力等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月二十日(金曜日)    午前十時三分開会     ―――――――――――――    委員異動  十二月十九日     辞任         補欠選任      小川 仁一君     上野 雄文君      猪木 寛至君     寺崎 昭久君  十二月二十日     辞任         補欠選任      上野 雄文君     小川 仁一君      佐藤 三吾君     菅野 久光君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         下条進一郎君     理 事                 上杉 光弘君                 岡野  裕君                 田村 秀昭君                 藤井 孝男君                 佐藤 三吾君                 菅野 久光君                 谷畑  孝君                 矢田部 理君                 木庭健太郎君                 吉川 春子君                 井上 哲夫君                 田渕 哲也君     委 員                 板垣  正君                 尾辻 秀久君                 大島 慶久君                 合馬  敬君                 鹿熊 安正君                 木宮 和彦君                 須藤良太郎君                 関根 則之君                 仲川 幸男君                 永野 茂門君                 成瀬 守重君                 西田 吉宏君                 野村 五男君                 星野 朋市君                 真島 一男君                 森山 眞弓君                 穐山  篤君                 翫  正敏君                 小川 仁一君                 喜岡  淳君                 久保田真苗君                 瀬谷 英行君                 竹村 泰子君                 田  英夫君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 常松 克安君                 中川 嘉美君                 広中和歌子君                 立木  洋君                 磯村  修君                 寺崎 昭久君                 喜屋武眞榮君    委員以外の議員        発  議  者  野田  哲君        発  議  者  堂本 暁子君        発  議  者  村田 誠醇君    国務大臣        内閣総理大臣   宮澤 喜一君        外 務 大 臣  渡辺美智雄君        文 部 大 臣  鳩山 邦夫君        国 務 大 臣  加藤 紘一君        (内閣官房長官)        国 務 大 臣  宮下 創平君        (防衛庁長官)    政府委員        内閣審議官        兼内閣総理大臣  野村 一成君        官房参事官        内閣法制局長官  工藤 敦夫君        内閣法制局第一  大森 政輔君        部長        内閣法制局第二  秋山  收君        部長        総務庁行政管理  増島 俊之君        局長        防衛庁参事官   金森 仁作君        防衛庁長官官房  村田 直昭君        長        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        防衛庁教育訓練  小池 清彦君        局長        防衛庁人事局長  坪井 龍文君        外務大臣官房外  渡邊 泰造君        務報道官        外務大臣官房審  橋本  宏君        議官        外務省北米局長  松浦晃一郎君        外務省欧亜局長  兵藤 長雄君        外務省中近東ア  小原  武君        フリカ局長        外務省経済局次  須藤 隆也君        長        外務省経済協力  川上 隆朗君        局長        外務省条約局長  柳井 俊二君        外務省国際連合  丹波  實君        局長        文部大臣官房長  野崎  弘君        文部省高等教育  前畑 安宏君        局長    事務局側        常任委員会専門  辻  啓明君        員     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する  法律案(第百二十一回国会内閣提出、第百二十  二回国会衆議院送付) ○国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改  正する法律案(第百二十一回国会内閣提出、第  百二十二回国会衆議院送付) ○国際平和協力活動等に関する法律案野田哲君  外四名発議) ○継続審査要求に関する件 ○PKO協力法案及び国際緊急援助隊派遣法の改  正案成立反対に関する請願(第一二号外一四件  ) ○PKO等協力法案廃案に関する請願(第一九  号外六件) ○PKO協力法案成立反対に関する請願(第二  〇号外三件) ○自衛隊海外派遣反対国際連合平和維持活動  等に対する協力に関する法律案廃案に関する  請願(第一三〇号外五六件) ○憲法違反の「PKO協力法制定反対に関する  請願(第二〇七号外八四件) ○PKO関連法案廃案平和憲法の下での国  際貢献実現に関する請願(第二六五号外一〇  件) ○PKO協力法案廃案に関する請願(第三三三  号外一件) ○海外派兵新規立法反対に関する請願(第三四  三号外一三件) ○自衛隊海外派兵につながるPKO協力法案の  成立反対に関する請願(第三七二号外三件) ○PKO法案廃案に関する請願(第四一〇号外  一件) ○「PKO法案」の廃案憲法をいかす国際協力  の実現に関する請願(第五三六号外一〇三件) ○PKO協力法案制定反対に関する請願(第五  四三号外六八件) ○PKO協力法案廃案等に関する請願(第五五  二号外一件) ○自衛隊海外派兵に道を開く「国連平和維持活  動」法案成立反対に関する請願(第八八四号外  九件) ○PKO協力法案及び国際緊急援助隊派遣法の改  正案廃案に関する請願(第九三四号) ○国連平和維持活動協力法案制定反対、真の平  和的な国際貢献早期実施に関する請願(第九  八二号) ○PKO協力法案廃案等に関する請願(第一二五  〇号) ○自衛隊海外派兵につながる「国連平和維持活  動協力法案成立反対に関する請願(第一四  一一号) ○継続調査要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事谷畑孝君を指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改正する法律案及び国際平和協力活動等に関する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 永野茂門

    永野茂門君 昨日、時間の都合で割愛いたしました項につきまして若干の御質問を申し上げます。  最初は、国際緊急援助隊法の改正に関する件でございます。  自衛隊国際緊急援助隊に参加する場合、部隊として参加する場合には特にでありますが、どのような業務を行うのでありましょうか。また、そのためにどういう装備を持っていくように考えておられますか、御説明をお願いいたします。
  6. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) お答え申し上げます。  緊急援助隊で参ります際は、法の趣旨にもございますように、自然災害等に基づく自衛隊派遣でございまして、原則的には武器は携行いたしません。
  7. 永野茂門

    永野茂門君 主としてどのような任務に参加し、そしてどういうような大きな装備を持っていくのでありましょうか。それは自衛隊を活用するということといかなる関係があるんでしょうか、御説明をお願いしたいと思います。
  8. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 従来、自然災害等におきまして自衛隊以外の、例えば消防でございますと地方公務員方々等が出動した例がございます。サイクロンのような場合には百名以上も出ておるということも承知しておりますけれども、これから自衛隊が出る場合は、やはり大規模災害で長期に継続するような場合におきまして自衛隊派遣することになろうかと存じます。  その場合はどういう業務かといいますと、具体的なケースによって異なると存じますけれども、現地におけるやっぱり医療協力でございますとか、民生安定のための緊急に必要なそういった諸活動中心にして行われるものと承知しておりますが、これは具体的なケースとその要請等も勘案して決定すべき問題であろうかと存じております。
  9. 永野茂門

    永野茂門君 自衛隊にはいろいろの特質があり、組織力でありますとか、危険を冒す能力でありますとか、団結力でありますとか、あるいはまた技術力でありますとか、かつまたいろいろと大量のものを同時に処理ができる、あるいは大型仕事ができる、こういうような特質があるわけであります。  例えば、所有するヘリコプターで考えますと、通常ヘリコプターはせいぜい二、三名の輸送しかできないわけでありますけれども、自衛隊が保有するのは五十数名の輸送ができる。あるいはまた、野外における病院開設につきましても、これは一般にはそういう野外で直ちに病院開設するというような能力はほかにはないわけでありますけれども、自衛隊はいわゆる野外病院として五十床以上、百床、二百床のものを半日から一日で開設ができる。この中には救急対処能力もありますし、それからまた分類能力もありますし、しばらくの間入院させておくというような能力もあるわけでありまして、こういう大型能力というものは極めて有用であると思います。  そこで、私は、昨年の秋にバングラデシュ在京大使館方々といろいろとお話をしたわけでありますが、そのときに図らずもバングラデシュに対する米軍支援について承りました。一番彼らが感謝いたしておりましたのは、ペルシャ湾から直ちに指揮艦病院船派遣した、海兵隊のですね。これはCH47級というヘリコプターを搭載しておりますし、したがいましてたくさんの輸送力を持っておる。また、艦を基地といたしまして諸活動ができる。さらにまた、病人でありますとかあるいはけが人に対して、艦まで運んでそこで処理できるし、現地に何も設けなくてもそういうようなことができるというようなことでこの活動に大変に感謝をし、こういうようなものを日本の海上保安庁でもいいし、自衛隊でもいいけれども、そういうものが直ちにやってくれるといいなというようなお話があったわけであります。  そういうことを考えますと、これは予算を伴うことでありますので今直ちに御回答をいただく必要はありませんけれども、近々の懸案としてそういう型式の船舶を調達し、そしてそういうような業務を行う準備をするということも大事なことではないか、こういうように考えます。  また、政府専用機自衛隊は運用するようになるようでありますけれども、この政府専用機も、既に衆議院でありましたか、の質問でこのような災害救助に使うということを表明しておられますが、三機ではこれはちょっと運用が非常に不自由でありますので、政府専用機としての本来の仕事をやりながら、かつ国際緊急援助隊にも参加できるように、機数の増加について今後さらに検討していただくといいのではないか、こう思います。  緊急援助隊につきましては以上で終わらせていただきます。  次に、PKO法案に関連して外務大臣にお伺いいたします。  世界の平和と安定を確実に維持し、そしてまた継続的な経済発展を続け、世界の福祉を向上させるために先進国が共同するということは極めて重要なことでありますけれども、その中で日米が特に緊密な協力のもとに、政策決定から実行に至るまで、グローバルパートナーとしてパートナーシップを発揮しながらお互いに力を合わせてそういうことをやっていくということは極めて重要であります。したがいまして、我が国外交の基本として日米基軸外交を大きな柱とすることは当然でありまして、これは最も重要な柱であります。  しかしながら、同時に昨日の私の質問に対する総理の御答弁その他にもありましたように、これからは国際の平和を確実にするためには、ますま す国連集団安保体制に依存をしていく傾向にあり、したがいまして我々は国連のいろいろな機能を強化しながら日本が積極的に参加していく、いわゆる国連中心外交をさらに深く進めていくということがまた一方で重要であると思います。私は、この二つは同時に補完し合うものであり、また重畳して力を強化していくものである、こういうように思うわけでありますが、この両者の整合性について外務大臣の御見解を承りたいと思います。
  10. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 私も同じような考え方でございます。日本の今日の繁栄というのは、いろいろ平和憲法も役立ったでしょうし、国民の勤勉、努力、貯蓄、商売上手、いろいろありますが、それに加えて日米安保体制というのが日本の安全と繁栄をもたらす基礎になったことは間違いありません。  そういうような中にありまして、今後も日米安保体制というものは堅持していかなけりゃならぬと。特にPKO活動等について私も東南アジア等指導者に聞いたところが、こういうことを言う人がありました。日本が独自で兵隊を連れてくるんですかと。いやいやそんなことはありませんと。独自で連れてくるのは困りますと。しかし、アメリカと一緒にとか、あるいは国連の旗のもとでとか、そういうことでありますならばそれは安心ですからということを言った方がございます。そういうようなことで、私は、日米安保というものは、特に侵略を日本からされたと思っている国にとりましても、アメリカから侵略されたと思っている国はないのでありまして、まあベトナムはどうか知りませんが、それ以外はぜひとも日米安保というものはあってもらった方が安心だという実態でございます。  したがいまして、このPKO活動というものは、今後紛争が起きないように、または戦争や紛争が終わった後でそれが再び崩されないようにいろんなことをやろうということでございますので、私は十二分にPKO活動国連中心主義日米安保というものは矛盾するところは一つもないと思っております。
  11. 永野茂門

    永野茂門君 次は、世の中で行われている若干誤解に基づく論議について改めて強調したいと思います。  PKO法案憲法関係につきましてであります。PKOへの自衛隊参加を直ちに海外派兵に短絡をさせるという誤解でありますけれども、そういう反対論調が極めて多く聞こえてまいります。これはまさに国連PKO活動自体本質を誤ったものであると思います。もちろん我々は憲法のもとに、憲法の範囲内においていろんな行動をしなきゃいけないということは当然でありまして、こういう疑問を提起され、それに対して十分に説明をしていくということは極めて大事であると思いますけれども、いずれにしろ本質を無視した論議が余りにも多過ぎるんじゃないか、こういうように思いますが、外務大臣の御見解あるいは準備室の方から補足説明があるならば補足説明をお願いしたいと思います。
  12. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 憲法論議というのはよく行われるわけでございまして、私は、自由濶達国民の間で行われることを期待したい、そう思っておるんです。  御承知のとおり、憲法ができたのは一九四六年ですね、昭和二十一年ですから。当時もちろん自衛隊は存在いたしておりません。自衛隊ができたのは昭和二十九年でございますから、その間自衛隊は存在しなかったわけであります。しかしながら、そういうようなことで憲法自衛隊というものは書いてないじゃないか、だから憲法違反だという人から見れば、それが一つ理屈としては存在する、私はそう思うのでございますが、現実はやはり自衛隊というものは、朝鮮動乱以降どうしてもなければならないというような国の体制になってつくられたものでございますし、それから四十年過ぎますと、自衛隊憲法違反だとおっしゃる方々も、やはりそれは合法であるからこの存在は認めざるを得ないというように変わってくるわけですよ。ですから、やはり同じものであっても見方はかなり変わってくるということが言えるんじゃないか。  したがって、掃海艇を出すことについて、これは憲法違反の疑いがあると言う人もあるんですよ、現実には。しかし、自衛隊法の中に掃海艇を出すことができるということは書いてある。しかしそれに対しては、それは日本の周辺のことを考えてあれはつくったんじゃないか、したがってペルシャ湾まで行くのは行き過ぎじゃないかと言う人もあるんですよ。理屈世界においては私はあると思う。しかし現実は、これに対する国民の反応からいっても、やはりそれはそういうふうな御意見がある方があるとしてもそれは少ない。やはりペルシャ湾まで行って国際貢献をしたということについて、けしからぬと言って内閣糾弾ののろしというものは上がっていないわけですから。だからそれは掃海艇ペルシャ湾に行ったことが悪いと言う人は、それはPKOも悪いと言うんでしょうね。私はそんな感じがするのであります。
  13. 永野茂門

    永野茂門君 終わりに、総理にお伺いしたいと思います。  ただいま外務大臣の御答弁の中にも出てまいりましたけれども、掃海艇派遣については七〇%以上の人が賛成でありました。このPKO法案につきましては約六〇%から六五%の人が賛成でありますけれども、同時に二五%ぐらいの人は反対を表明しております。この二五%の反対は、今申し上げましたような憲法に関する問題であって、やはりこういう人たちも十分に説得をし、理解をしていただいて派遣に踏み切るということが大事ではないか。特に派遣される自衛隊人たちにとりましては、国民の大多数が本当に支持してくれておるかどうかということが極めてその活動士気影響を及ぼすものでありまして、ぜひ大いにその付近を御理解願うようにしっかりとやってもらわなきゃいけないと思います。  昨日の私の質問あるいはそれに対する御答弁の中にもいろいろと出てまいりましたように、停戦された非武装地域を戦場と考え違いをしておるとか、あるいはまた敵はいないにもかかわらず敵を求めているんじゃないか、そういうような感じの御理解があったり、あるいはまた武器使用というのは極めてまれであります。しかしながら、非常に危険を伴うことでありますので、そういう場合もあるわけでありますけれども、相手から射撃されたら直ちに撃ち返すとか、相手の攻撃が見えたらそれに対してすぐ反撃するとか、そういうものは本質的にあってはならないことであり、そういう行動はとらないのであります。そういうことの誤解でありますとか、またコマンドにつきまして、現地における隊員はまさに現地国連軍指揮官の指図に従って、そしてまたそれに従った現地自衛隊平和維持隊指揮官指揮にそのまま従っていくのでありまして、そこに至るまでのいろんな調整、いろんな手続があるということでありまして、その点におきまして現地において迷いはないはずであります。  また、指揮が二元的になる、三元的になるというような話でありますけれども、米軍にはオペレーショナルコントロールという言葉があります。これは作戦統制ということでありまして、作戦に関しては一切指揮官指揮に従う、しかしながらその他の行政支援後方支援等につきましては本来の部隊指揮系統に従って行われるのが通常であります。これは恐らく同じようなことがここで行われるんだと思います。あるいはまた、旧陸海軍の中には区処でありますとか限定指揮という言葉がありました。これも同じようなことであります。ある重要な作戦指揮につきましては一切一指揮官のもとに単純明快に行われるわけでありますけれども、その他のことについては本来の指揮官系統で行われる、これは常にあることでありまして、それによって部隊が混乱するということは絶対にありませんが、混乱するんじゃないかと思うのもこれは当然のことだと思いますので、そういうことについて丁寧によく国民に御理解をいただくという努力をしていただかなきゃいけな いと思うわけであります。  こういう意味におきまして、PKO法案趣旨、その内容につきまして、あるいは国際的な意義につきまして国民皆さんにしっかりと理解してもらうためのいわゆるPR、これをもっともっとしっかりと政府はやっていただきたいと思いますけれども、総理大臣の御見解を最後に承りたいと思います。
  14. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 国連平和維持活動に従事をされる自衛隊員の立場から今お尋ねがありましたことは極めて大切なことでございます。非常に難しい仕事をしてもらうのでありますから、やはり国民的な理解支援のもとにやっていただかなければその人たち士気にも影響をすることでございます。  ただいま永野委員の言われましたように、平和維持活動砲火を交えるようになってはこれは本質的には失敗なのでありまして、そうでない状況においていかにして平和を維持し確立していくかという仕事は非常に難しい、そのゆえに非常な訓練と専門的な知識、そして組織力が必要だということでございます。何度もせんだって以来申し上げたことでございます。また、昨日も政府委員が申し上げましたように、そういうことでございますから一遍も砲火を交えたことがないという国の経験すらたくさんにあるわけでございます。しかし、それはだからといって容易な仕事ではない、かえって難しい仕事であるということについて十分に国民皆さんにも理解をしていただきたい。  自衛隊というものが本来違憲だというふうに考えておられる方々がまだおられるような現在でございますから、政府として十分に、これこそは我が国憲法が考えているところの国連中心への、国際平和への協力であるということにつきまして、政府といたしましても国民に十分に理解をしていただくように努力を続けてまいりたいと考えております。
  15. 永野茂門

    永野茂門君 ありがとうございました。  以上をもって終わります。
  16. 合馬敬

    合馬敬君 本論に入ります前に、総理にちょっとお伺いいたしたいのでございます。  一月にブッシュ大統領が訪日され、日米首脳会談が持たれるわけでございますが、昨日の新聞の言うところによりますと、アメリカ産業の象徴である自動車は今大変な不況に陥ったと。GMは今度は四十万人の従業員のうち七万四千人、二〇%を解雇する、工場も二十一工場を閉鎖する。こういうことで、アメリカ上院のリーグル銀行委員長さんは、これはもう経済の真珠湾である、大変なことだと、こういうように言っておられるわけでございます。これに並行して今度のガットのラウンドも、宮澤総理のところに十七日付で反ダンピング、知的所有権、サービス、こういったものについての日本の対応を懸念しておると。要するに、アメリカは対日貿易赤字の解消、それから経済の直接的な振興というのは即効性のあるものを求めている、大変な今難しい時代に来ておる。  世界の景気も非常に思わしくない、総理も言われましたように日本の景気の足も重い、こういう大変な時代でございますが、外交、経済の権威でございます総理のこの辺につきましての所信の一端なりともお聞かせ願えれば幸甚でございます。
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ブッシュ大統領が訪日をされます機会、ちょうど真珠湾以来五十年という機会でございますから、私はこの際、価値観を同じくする世界の経済大国、アメリカはあらゆる意味での大国でございますけれども、二つの国が将来に向かって国際的な責任を果たしていかなければならない、そういう共通の決意を世界に明らかにいたす機会、非常にいい機会であると私は考えておるわけでございます。同時に、ただいま合馬委員の言われましたように、米国自身はたくさんの経済の問題を持っております。理由はいろいろございますけれども、なかなか景気の浮揚が見えてこない。そこへもってまいりまして来年は大統領御自身の選挙を含めまして選挙の年である。そのときに国外に大統領が出られるということについてまた批判をする人々もある、そういう状況の中で大統領がおいでになります。  今おっしゃいました自動車の問題というのは、やっぱり自動車というのはアメリカ人にとってはこれこそ自分の国が育てた産業だという気持ちがございますから、それが不振になるということはほかの産業とは違った特別な感慨をアメリカ人が覚える、御承知のようにそういう種類の産業でございます。したがいまして、今度のGMのこともこれはアメリカ人に与えた影響というものは私は少なからないものがある。ほかの二社も決していい状況ではございません。そういう問題を背負ってブッシュ大統領が来られます。  ですから、私どもとしては、我が国としてできるだけの協力はして、そしてアメリカ経済の競争力がついていくのを支援する、そういう立場を私どもはとるべきだろうと思います。もちろんこれは我が国の産業の理解の上に立ちませんとできないことでございますけれども、長年価値観を同じくし友好関係を結んできた両国でございますから、我が国の経済人におかれてもその点については基本のところでは理解をしてもらえる、そういう意味で、譲れるところは譲り、またアメリカにもいろいろ努めてもらわなければならない点もございます。財政赤字、貿易赤字あるいは競争力の問題、教育の問題あるいは社会のあり方の問題、いろいろございます。  それらはしかし、いずれも即効的な対症療法のない問題でございますから、そういうことはやはり時間をかけて努力をしてもらいながら、我々としてもできる協力はできるだけしなければならない。そういうことを我が国国民の皆様あるいは経済人の方々にもおわかりを願う、そういう立場から私もいろいろお話をいたしてみたいと考えております。
  18. 合馬敬

    合馬敬君 ありがとうございました。ぜひ総理の御活躍を期待いたします。  そこで、国際貢献の話に移るわけでございますが、湾岸戦争が勃発いたしましたときに我が国は初めて、平和の維持回復のためにどのような実効性のある措置ができるか、すなわち国際貢献のあり方を真剣に検討するようになったわけでございます。このときに我が国はもちろん資金協力、百三十五億ドルといったような大変な額の協力をいたしたわけでございますが、これが本当に世界に評価されたかというとまた問題もあるわけでございます。何といっても中東は我が国が石油の六〇%を輸入する、これが閉ざされたら日本の生命線が閉ざされる大変なところでございます。  そこで我が国は、おくればせながら掃海艇派遣してこの航路の確保、安全に努めたわけでございます。四百四十トン、小さな船ですね。それで一カ月間かかって、一日二十四時間、時速十二ノットですか、自転車並みの速さで昼夜兼行走って着きました。それから五月から九月まで炎天下の中で、四十度に上る大変な地帯でございます。しかも、フセインが火をつけた油田が炎上しておりますから、その油田からのばい煙がどんどん届きますから、マスク、ゴーグルをつけて四カ月間深夜まで作業をした。そして、また一カ月間かかって帰ってきた。しかも、作業に従事したところはイラク、イランのシャトルアラブ川に最も近いMDA10の地域でございました。もうほかの国も引き揚げてしまった。日本アメリカだけで一番難しい機雷を三十四個片づけたわけでございます。さらに航路の安全が確保できるように、クウエート、サウジアラビアの地域においても航路安全の確保に努めたわけでございます。  その間、落合一佐率いる五百五十名の隊員が一糸乱れず誇りを持って働いた。なぜか。これが国際貢献につながる、世界平和につながる、その強い義務と誇りを持って働いたからそれがやれたわけでございます。周辺諸国から大変な温かい歓迎を受けた。そうですね。クウエート、サウジ、イラン、アラブ首長国連邦、みんな日本に強く感謝しております。百三十五億ドル以上の感謝と私は聞いております。  そのような掃海艇派遣、渡辺外務大臣はこれをもっと早く派遣すべきであったと。私は大変な 達見であったというように思っておりますが、少なくとも停戦後、この掃海艇の偉大なる働き、私は、国民は本当に国際貢献を実質的にやったということを厚く感謝すべきであり、また高く評価されるべきであると思う次第でございます。防衛庁長官のこれにつきましての所見をお伺いいたしたいと思います。
  19. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 御答弁申し上げます。  委員御指摘のように、今回のペルシャ湾における掃海艇派遣、そして機雷の除去作業、これはまさに我が自衛隊が創設されて以来、本格的に部隊としてペルシャ湾におきましてこうした貢献をしたわけでございます。この目的は、もちろん我が国の船舶の航行安全ということを目的として、自衛隊法の根拠に基づきまして出動したわけでございます。  しかし、今先生おっしゃられますとおり、ペルシャ湾で、本当に世界の火薬庫、中東の火薬庫とを言われるような地域であのような不幸なイラク、クウエートの戦争があったわけでございますが、その戦争終結後におきまして我が国が自発的意思に基づきまして四月の後半に出航いたしました。そして、今仰せのように、掃海艇は大変スピードも遅うございます。船艇は木造でできているような機雷船で、機雷掃海艇でございますから特殊な船でございますが、この四隻と、母艦、補給艦の六隻をもって、今おっしゃられますように、落合一佐以下五百五十名に達するという隊員が、本当にこれは突如といいますか、余り事前に半年も前から準備されたものではございません。そういう意味で大変私は不安感があったと存じますけれども、この困難な航海を見事に乗り切って、そして現地において三カ月の掃海任務、しかもそれは、今御指摘のように、各国の掃海をした残りといいますか、しかし重要な非常に困難な機雷の掃海であったと存じます。  我が国の海上自衛隊は、掃海能力についてはかなり世界的なレベルを持っております。それを見事にこなした。この原因は一体何であったかといいますと、私はやっぱり自衛隊員の平素の厳格な訓練指揮、秩序、そして何よりもこういった使命に対する隊員の使命感、これが今日立派な成果をもたらしたものと存じます。そのことは、私はお伺いしたんですが、自衛隊に入ってよかった、こうして各国から、今先生のおっしゃられるように、湾岸諸国からも本当に感謝を受けた、自衛隊員になって本当によかったと、そういう言葉を聞いたという話も聞きました。  やっぱりこういう平和的な貢献、これを立派に果たしたということはまさに画期的なことでございまして、このことは沿岸諸国だけではございません。私は、パウエル統合参謀本部長あるいはチェイニー国防長官とも就任早々お会いいたしましたけれども、まず最初に言及されたのは、このことについての感謝と敬意を表されたことでございますし、またこれはアメリカだから当然だとあるいはおっしゃられる方があるかもしれませんが、ドイツから来た統合参謀本部の本部長、高官もそう言っておられましたし、またオーストラリア等各国の大使が私のところへ表敬するたびに、あのペルシャ湾の掃海は大変すばらしかった、今、PKO法案を審議しておられますが、ぜひ日本としてもそういった平和的な貢献に意を尽くしていただきたい、ぜひとも早期に成立して国際的任務を一緒になってやっていただきたいというようなことも申されておりました。そういう意味で、私はまさに画期的なことであったと思います。  しかし、その前提には大変な苦労もあったということでございますから、落合一佐以下、本当に政府挙げて御苦労をねぎらうと同時に、今後の国際協力一つの大きな何といいますか、記念となすべきような大事業をなしたわけでございますから、PKOはこれとほぼ匹敵するような平和的な戦後処理の問題でございますから、これはぜひとも通させていただいてこそして自衛隊が誇りを持って堂々とやれるような、そういうことにしたいと思います。  先生の御指摘、本当に感謝を申し上げ、自衛隊員としても本当に感謝をしていると存じます。ありがとうございました。
  20. 合馬敬

    合馬敬君 今後ともしっかり頑張ってくださるようにお願いいたします。  そこで、社会党にお伺いいたしたいと思います。  PKO法案を論ずる場合、私のところにもこの法案をめぐりまして賛成のはがきもたくさん参ります。反対のはがきもたくさん参ります。その中で、反対の場合にやはり何といっても一番指摘が多いのは、要するに自衛隊というのは憲法に違反する軍隊である、その存在そのものが違憲であるのに、さらにそういった軍隊を使って海外に派遣する、これは侵略戦争を始める第一歩ではないか、そういう意見が圧倒的に反対意見の中では多いわけでございます。  そこで、もし自衛隊というものを違憲と考える。それからさらに、野田議員が言われましたように、負の遺産である、マイナスの遺産と、こう言われましたね。そういったようなことの場合、やはり私は自衛隊が本当に合憲なのかどうかという問題は避けて通れないというように思います。  その場合、もし日本がよその国から領土、領空、領海を侵犯されても、自衛隊はないわけですから、抵抗しないのかどうか。そもそも我が国は自衛権を持たないのかどうか。自衛権はどういうように定義するのか。しかし、世界はいつどうなるかわかりませんから国際紛争はございます。組織的な武力侵攻が我が国にあった場合、国民の生命、財産はだれが守るのか。個人、市民は、これは自由に自分の生命、財産を守るために抵抗できますから、ゲリラ的に抵抗することはできると思います。それは許されるのかどうか。しかし、個人、市民が戦ってもすぐに一瞬のうちに殺されてしまいますから、その場合は自衛団をつくって武器を持って戦うことができるのかどうか。そういうことはとても無理だ、こういうことになりまして、大分前に相当問題になりましたのが、抵抗してもむだだ、国民が皆殺しになる、無条件降伏をすべきであると。これは大変な議論がありましたね。御承知ですね。  そういうことで、その無条件降伏する場合、無条件降伏しろとだれが命令するのか。私はしかし、日本が武力侵攻を受けた場合、無条件降伏して無政府状態になったら困ると思うんです。だから、そういったことまで考えて、自衛隊について違憲であるということを考えておるのかどうか。  私恨この前野田議員の御経歴を見まして大変尊敬をいたしておりますから、何もきょうここでお互いに議論をして論破して説得しようなんて、こういう気持ちは全くございませんので、堂々と信ずるところを述べていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  21. 野田哲

    委員以外の議員(野田哲君) 合馬委員の御質問に対する答えですけれども、私も憲法学者ではございませんから、ここで先生と憲法論争をやるつもりはございませんが、私どもとしては憲法第九条について、これはもう一項、二項含めて名実ともに日本憲法は武力を保持することを禁じている。そして、国際紛争を解決する手段としては、武力を行使することは放棄をしている。そして、この前項の目的を達するために陸海空その他の戦力は持たない、そして国の交戦権は認めない、こうなっているわけでありますから、文字どおりこの憲法九条を受けとめて、自衛隊は違憲の存在である、こういう立場をとっているわけであります。  ただ、政府の方は、国際紛争を解決する手段としての武力の行使あるいは威嚇、これは禁じであるけれども、自衛のための武力を持つことまでは禁じていない、こういうふうに政府はとっているわけでありますから、そこのところが私どもと立場が異なるところであります。  そういう点で、合馬委員が今御指摘になりましたが、それでは日本が侵略をされた、どこかから攻められたときにどうするのか。これはもう今日の国際情勢を見れば、外交手段によって解決が可 能であるし、そういう事態は起こり得ない、こういうふうに考えております。
  22. 合馬敬

    合馬敬君 いろいろございまして、例えばソ連のバックファイアが自由自在に日本の領空を侵犯しても、それはとても防ぐ手段はない。(「昔話だ」と呼ぶ者あり)昔話。あなたね、歴史は繰り返すんですよ。  そこで、次にお伺いいたしますが、自衛隊は負の遺産である、こう申されましたですね。負の遺産というのは、本来持つべきでなかった、消滅させていくべきものである、こういうことですね。そうすると、これまでの自衛隊の存在、これは全く無意味あるいは有害であった、そういうようにお考えになるわけですか。
  23. 野田哲

    委員以外の議員(野田哲君) 私どもは、さきに述べたように、憲法解釈としては違憲という立場をとっておりますけれども、しかしながら我が国の唯一の立法機関である国会で多数によって一九五四年に自衛隊法が成立をして、現に総勢で二十七万人を超える自衛隊員が存在をして、そしてまたこれを維持するための予算も国会において決定をされているというこの事実までを否定するわけにいかない。この事実はやはり率直に見ていかなければならないんじゃないか、こういうふうに考えているところであります。  そこで、私が負の遺産という言葉を使いましたのは、仮に私どもが政権に参加をした場合、どのような政権になるかによっても形態は変わりますけれども、その場合に、私どもの理念やあるいは基本的な政策に異なるからといって直ちにこれを否定するわけにはいかない。その存在を引き継いだ上で、国民の合意がどのように形成されていくか、このことを見ながら削減の方策をとっていくことが私どもの考えている方策でございます。
  24. 合馬敬

    合馬敬君 そういうことで、お考えによれば、本来我が国は非武装中立というので来るべきであった、そういうようなお考えですね。しかし、現実問題として自衛隊は縮小していく。そうすると、どのような時点か最終的には自衛隊は全廃する、こういうようなお考えなわけでございますね。  それから、一つお伺いいたしたいのは、ともかく自衛隊は創立以来、領土、領空、領海を守るために日夜実戦同様の訓練をやっておるわけでございますね。その間千八百名に上る殉職者も出しておられるわけでございますが、そういう方は全くそうするとむだに殉職された、そういうようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。
  25. 野田哲

    委員以外の議員(野田哲君) 自衛隊法によって成立をしている自衛隊で、公務によって死亡された方々を、私どもはむだに亡くなったというような失礼な考え方は持っておりません。
  26. 合馬敬

    合馬敬君 当然のことながら、国を守るために殉職をされた、そういうようにお考えだと思います。  そこで、これからも世界は、米ソの二大超大国の核の傘で、第一次大戦、第二次世界大戦、そういったような大戦は幸いにして生じなかったわけでございますが、国際紛争、いろんな種類のものがございますが、これは頻発していたわけでございます。私は、これからむしろ核の抑止力がなくなっただけに、一層国対国、地域対地域、民族対民族、こういった対立がより赤裸々に出てくると思います。激化するおそれさえあると思います。経済格差の問題、宗教問題、民族種族の問題、いろんな原因があると思います。  私はもちろん平和は何よりもとうといと思います。私も野田議員も同じように、何とか戦争をなくして平和な社会をつくりたい、その気持ちは一緒でございますが、問題はそういった紛争をどうして解決していくか、これが大事な問題でございまして、そういった意味で、国際紛争はこれからも頻発するのかどうか、どういう原因で頻発するのかどうか、それについての事実認識をお伺いいたしたいと思います。
  27. 野田哲

    委員以外の議員(野田哲君) 一九九〇年代は冷戦の構造に決別をした新しい世界構造を模索する時代に入った、こういうふうに言われています。確かに、東西の対立、こういう枠組みが解消したわけでございます。しかしながら、そのために、今までの国際紛争で往々にして見られた米ソの代理戦争的な国際紛争、例えばベトナムであるとか、そういう背景の国際紛争はなくなっていく、こういうふうに思っています。  しかし、逆に米ソの影響力の低下によってあるいは軍事力の低下によって、そのために各地で新たな地域紛争が起こる可能性は増大をしているんじゃないか、こういうふうに思います。例えば、それはバルト三国の問題であるとかあるいは現在起こっているユーゴスラビアの問題であるとか、そして中東の各地の民族問題あるいは宗教問題をめぐる紛争、あるいはまた開発途上国における人権問題をめぐる紛争、こういう性格の国際紛争、余り大きな規模のものは起こらないと思いますけれども、そういう要因がこれからの国際紛争の特徴になってくるのではないか、こういうふうに考えているところであります。  したがって、このような地域紛争については、やはり国連の機関、これをさらに強めていく中での国連による調停工作、これがますます重要になってくるだろう、こういうふうに思っています。
  28. 合馬敬

    合馬敬君 そこで、総理にお伺いいたしますが、私は平和を願う気持ちは日本国民すべて同じであるというように思っております。戦争は起こしてはならない。紛争は生じさせてはならない。しかし、紛争は必ず今後も生ずるのであります。そういったような小さな紛争から大戦に通ずるものさえあるわけでございます。  歴史を振り返ってみますと、サラエボの一発の銃声から第一次世界大戦は起こったのであります。そういうことで、何といっても紛争をまず未然に防止する、これは非常に大事なことでございます。このためには外交でいろんな仲裁をやるとか、あるいはODAで経済援助してやるとか、いろんな対策があると思います。しかし、それにもかかわらず不幸にして発生した場合、国家、民族が大変な戦いをやるわけです。無事の市民が流血の惨事、大変な悲惨な目に遭う。  しかし我が国は、戦争が起こった、紛争が起こった、そういう真っ最中は何としてもこれを助けてやることはできないわけでございますが、せめて停戦、休戦が成立した場合には、この停戦、休戦が継続して、そしてその国家、民族がこれから仲よくやっていけるようにおさめてやりたい、私はそういったような気持ちが今回のPKO法案の本当の意義である、こういうふうに思っておりますが、総理の御所信をお伺いいたしたいと思います。
  29. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘になりましたように、平和というものはこいねがえばできるというものではなくて、やはり平和はつくり上げ、守られなければならないものである、基本的にそう考えております古  我々自身の国の平和というのは、これは我々自身が守らなければならないのでございますけれども、御指摘のように、よその国のそういうことについて我々が武力をもってどうこうするということは、これはできないことである。ただ、おっしゃいましたように、戦争という状態は極めて悲惨な状態でございますから、それが幸いにして終わりましたならば、その後の平和を維持するあるいは増進をするという仕事国連がやっていこうという場合には、そして当事者がすべてそれを希望される場合には我々もそのお手伝いをするということは、これは本当に人々の幸せのためになる、こういうふうに考えましてこの法案の御審議を願っておるわけでございます。
  30. 合馬敬

    合馬敬君 そこで、改めてまた社会党にお伺いいたします。  そのようなことで、今回のPKO法案の目的で、いかなる場合に我が国から国連平和維持隊を派遣するか、その五原則については十分御承知と思います。それについて今、野田委員おっしゃったように、これからも国際紛争は頻発いたします。不幸にして国際紛争が生じた場合、一刻も早 く休戦、停戦にもっていく、その努力はしなければならぬ。しかし、戦争中は何としても手が出せない。どんどん人が殺されていく。死んでいく。特に、弱い市民がどんどん死んでいくわけです。それは手が出せない。しかし、戦争が終わった。もう二度とこの紛争、戦争を再発させてはいかぬ。これを何とか本当の平和につながるようにしてやらないといけない。そういったような場合、この五原則が守られて、我が国にぜひ国連平和維持隊として派遣してほしい、こういう要請があった場合、それでも断るのかどうか。イエスかノーかだけで答えてください。
  31. 野田哲

    委員以外の議員(野田哲君) 私どもが提案をしている法案では、軍事的な要員の派遣についてはお断りをする、こういうことになっています。
  32. 合馬敬

    合馬敬君 私は、昨年エチオピアに行ってまいりました。数千年の歴史を誇るアフリカでは最も豊かな、民度の高い国と言われたところでございます。それがいろんな原因がございまして大変な内戦になっております。  エチオピア人民革命民主戦線、エリトリア人民解放戦線、そしてメンギスツ政権、三派が大変な争いをやっておりまして、その中でエチオピアの人民がどういう生活をしていたか。本当に信じられないようなところに住んでいるんです。木でつくった、私はこれが人間の住むような小屋かと思いましたが、電気もガスも水道ももちろんございません。水はそこら辺の辛うじてたまったところからとっております。女の子は、一日食事をするだけの薪を朝から晩まで拾いまわってやっとやっております。  そういうところで何としてでも早く内戦をやめさせて、これを一刻も早く平和にもっていってやりたい。ほうっておけばとことんまで行くわけです、どちらが勝つか負けるかまで。それは、ほうっておけばいつの間にかどっちか強い方が勝ちますからエチオピアは統一されます。それから助けても遅くはないじゃないが、もちろんそういう考え方もあります。私は、そういったようなことはやっぱりこれから日本国際貢献をしていくためには、もしエチオピアのそういった三派から我々も休戦したい、国連の決議もあった、派遣国の中立性も保たれる、こういった五原則は保たれた、客観的にそういった条件が整った場合には、日本は少々の危険があっても、これはPKOを送って事前に早く平和に持ち込んでやるという姿勢が大事だと思いますが、改めて御見解をお願いします。
  33. 野田哲

    委員以外の議員(野田哲君) 合馬委員も御承知のように、PKO派遣につきましては、国連機関での協議とそしてまた派遣をする国、受け入れる国の合意によって決定されるわけでございますから、私どもとしては、日本は立場をよく説明し、憲法上の問題も理解を求めていって、今、合馬委員が言われたような、国民が悲惨な生活をしている、食も家もない、そういうような方々を救済する分野にこそ積極的に人を派遣して任務を果たしていく、そういう立場で対応すべきではないか、こういうふうに考えているところです。
  34. 合馬敬

    合馬敬君 そこで、社会党は非軍事・文民・民生、こういうことで国際貢献を考えておられるというように聞いておりますが、今具体的にどのような場所に何をやるのか、それについてお答えをお願いしたいと思います。
  35. 野田哲

    委員以外の議員(野田哲君) 法律的に今私どもは御審議をお願いしているわけでありますから、それがどのような形で扱われるか、これによって私どもの意図するところも実現をするのかどうか、そこのところがまだ見通しははっきりしないわけですけれども、今一番客観的に見て、PKO派遣が求められているところとしてはカンボジアがございます。あるいはまた、ユーゴスラビアの問題も問題になっています。  アジアの地域におけるカンボジア、ここがどういう形でPKO派遣をされることになるのか、あるいはまたカンボジアがどのような形でこれを受け入れもことになるのか、そうして文民による民生の分野の仕事がどのような内容のものがあるのか、そういう点なども見きわめながら、私どもとしては、私どもの立場での法案が成立させていただくならば、民生・文民の立場での活動を十分こなしていくように努めていくべきだと、こういうふうに考えているわけです。
  36. 合馬敬

    合馬敬君 場所はまだ決まってないけれども、例えばカンボジアという例を挙げられましたね。戦争が終わって間もない地域でございますから、大変危険なところでございます。宿泊、食事、水、輸送、通信、補給、こういったものがなければ本当の機能は果たせませんですよね。そういったような施設がなくて、本当にすぐに役に立つような国際貢献隊を送れるのかどうか、はっぎりお聞かせ願います。
  37. 堂本暁子

    委員以外の議員(堂本暁子君) 私たちが提出している法案では、自衛隊ではなく武器を持たずに行くということでございますが、ここに高等弁務官事務所のカンボジア難民帰還援助計画というのがございます。和訳されたものと、これは新しいのは英語のままですけれども、ここの中を見ますと、一番主に活躍してほしいということが出てますのがNGOです。きのうも青年海外協力隊のことが話題になりましたけれども。
  38. 合馬敬

    合馬敬君 直接質問に答えてください。
  39. 堂本暁子

    委員以外の議員(堂本暁子君) ここで、NGOの場合にはそういうところへ行くわけですね。武器を持たず、そしてそこのところに、今例えばイギリスでしたらOXFAMなんていうのがあります。日本でもそういう形で、文民で武器を持たず、そういうところに家を建て活動する分野は多々あると思います。
  40. 合馬敬

    合馬敬君 私は、何というか、机上の空論でそういったようなものが送れるとはとても思えないんですね。現実にですよ、あなたは直接に紛争地域に行かれて、そういったような機能ができるような施設ができるのかどうか。例えばカンボジアではどこに地雷があるかわからないわけですね。都市でも農村でもジャングルの中でもどこでもあるわけです。危険なところは行かせない。だれがそれを発見するんですか、わかるんですか。  危なくなくなった安全なところに派遣できるんだったら、それはだれだって安心して行け。ますよ。今は、例えば日本の民間の方でさえ、ペルーを見てください、青年海外協力隊、日本人だから殺すといったような危ないところもあるんです。そういったようなところに、あなたは、民間人で知識、経験もない、今から訓練する、そういったような方を安心して送れると思っているんですか。
  41. 堂本暁子

    委員以外の議員(堂本暁子君) お答えいたします。  先日、田委員が言われましたように、カンボジアは日本の軍隊が出たところです。そして、現実の問題として自衛隊は送ってほしくないということを田さんは聞いてこられました。そういうところです。であるがゆえに、武器は持たずに行くべきだと存じます。  それから、国連に行ってPKOの担当官にはっきり聞きました。そのときに、例えばアメリカは第四次のスエズの紛争のときに軍隊は出さない、したがって文民を出した。高度なハイテクの監視の機械を持っていって、しかも全部シビリアンが行って大変に大きな仕事をしたと。今、日本は文民の方がいらしてくだすっても十分にやっていただく仕事はありますというお返事でした。  というわけで、私は、危険なところに行くということの是非を論じる前に、私どもがずっと申してきた、なぜ武器を持たずに行くか、武器を持たないことがなぜ今求められているかということがあるわけですから、そこは軍隊が出せる国が、申しわけないけれどもやっていただく、そのことの方が日本としてはきちんと整合性がつくと信じております。
  42. 合馬敬

    合馬敬君 いずれにしましても、危険なところには行かせない、我が日本人は金だけを出す、危険などこみには行かせない、そういうことに徹するというような考えだそうでございます。  ただ、私はこのPKO法案について若干誤解さ れておると思いますが、世間の人は、何か自衛隊が堂々と武装して、重兵器を整えて海外に進出する、そういうデマゴギーを非常に流しているんですよね。それでしかも、小規模の軍隊で出ていって、それがいつの間にか何か大部隊、重装備に変身する、そういったような悪意を持って……(発言する者多し)
  43. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御静粛に願います。
  44. 合馬敬

    合馬敬君 宣伝する向きがあるわけでございますが、このPKOというのは厳格なシビリアンコントロールのもとに置かれて、決して変質することがないものである。たとえ平和を愛する宮澤総理大臣がかわられても、渡辺外務大臣がかわられても、政権が交代してもこの本質は変わらない。その意味でのシビリアンコントロールについて御説明をお願いいたしたいと思います。
  45. 野村一成

    政府委員野村一成君) シビリアンコントロールについての御質問でございますが、この法案に基づきましては、基本的には国連の事務総長の要請等を受けまして、この法案に定めてございます、例えば憲法との関係におきましては五原則その他がございます。そういうのを踏まえまして実施計画を閣議決定いたしまして、その上で実施要領に基づきまして国際平和協力業務を行う。また、実施計画の決定等の閣議決定が行われるような場合には必ず国会にそれを報告する。そういった点、シビリアンコントロールは十分確保されておるというふうに認識いたしておる次第でございます。
  46. 合馬敬

    合馬敬君 私は、このPKOというのはそのような性格のものであると思っておりますが、最近、これもまた非常に歪曲した言い方で、PKOというのは、日米安全保障条約ですね、専守防衛の理念というのは片務契約でございますから、条約ですからね、大変理解されていないというのは残念に思うわけでございますが、日米安全保障条約による貿易、経済面での世界制覇と並んで、軍事面でのグローバルパートナーシップを確立する第一歩であると。PKOというのは、軍事面でのグローバルパートナーシップを確立する第一歩である。これは大変なことですね。恐ろしいことである、そういうように論評する向きがあるんですね。  私は、これ意図的に宣伝しているのは非常に残念なのでございますが、本質的にPKOというのは戦わない軍隊、敵のいない軍隊。何度も強調されています、定義されておるわけでございますが、再度、そのような心配は全くないということの御説明をお願いいたしたいと思います。
  47. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 先生がおっしゃいますとおり、まさにPKOは、紛争が終わった後で国連の要請により出かけていって、新たに達成された平和を見守る、そういう意味で敵のない活動であるという、そういう全体の性格からいたしまして、このPKO活動日本が参加することが、日米の軍事面におけるグローバルなパートナーシップを強化するものであるというようなこととは全く関係がないという先生の御意見は、全くそのとおりであると私たちも認識いたしております。
  48. 合馬敬

    合馬敬君 そこで、一たん派遣された場合に、一番問題になっておるのが撤収する条件でございますが、これはあくまでも国連平和維持隊というのは平和を守るためにやってあげているのでございますからね。五条件が満たされなくなった場合、例えば紛争当事国の双方または一方の反対があった、もう帰ってくれと、こういったようなことがあった場合、あるいは客観的に見て停戦、休戦状態がないと、そういったようなことが判断される場合には、私は自由に我が国が撤収できるということにしてよいと思うわけでございますが、その点についての御見解はいかがでしょうか。
  49. 野村一成

    政府委員野村一成君) お答え申し上げます。  ただいま先生、業務の中断あるいは撤収というお言葉で表現がございましたですけれども、基本的にはこの法案の中におきましても、停戦の合意とかあるいは受け入れ国の同意とかあるいは中立の原則ということ、いわばPKOの前提と言われる状況が崩れたと、そういう場合に業務の中断、撤収ということを規定いたしておるわけでございまして、これは現実PKOのオペレーションから見ましても、こういった場合についてはほかの国から出ております部隊についても同様のものであるというふうに思います。  基本的には、この法案におきましては、そういった状況になった場合にはやはり国連現地司令官と緊密に連絡をとって対処するわけでございまして、その間国連との間で判断をめぐっての食い違いといったことは全く想定されないというふうに考えられます。  また、この法案におきましては、もし仮に食い違いが生じたといたしましても、法案の八条二項によりまして我が国の判断が優先し、部隊業務を中断し、また国連に対して適当な通告を行った場合、状況に応じまして撤収することができる、そういうことになっております。  また、ぜひ御理解いただきたいのは、今申しましたそういった我が国の方針につきまして国連側に十分に説明し、了解を得ているという点でございます。
  50. 合馬敬

    合馬敬君 PKO派遣する場合、五原則のほかに派遣先国の近隣諸国、特に密接な関係のある国の共感を得るように努力するということは当然のことでございます。  特に私は、アジアだけに派遣するとか、特別な意図に受け取られても困りますので、これはもう全世界要請があったところはどこでも派遣すべきである、またそのように御回答をいただいておりますが、そうした場合、これらの諸国の意向に反するものは我が国が自主的にもう派遣してやらないと、こういったような態度で臨むべきであるというように思っておりますが、これは外務大臣の御見解をお願いいたしたいと思います。
  51. 野村一成

    政府委員野村一成君) 法案との関係で私の方から御説明をさせていただきますが、基本的には受け入れ国の同意ということを私申し上げました。  この法案にのっとりましても、まずPKO活動そのものについての今カンボジアという例でございましたわけですけれども、カンボジアの同意、それからその中には我が国PKOに入って参加することにつきましても同意が必要であるというのがこの法案の立て方でございますので、したがいまして、何と申しますか、相手国の意向に反して我が国PKO活動を行うという余地は全くございません。
  52. 合馬敬

    合馬敬君 終わります。時間が参りました。
  53. 常松克安

    ○常松克安君 私は、国際緊急援助隊の充実につきまして、災害医療をベースにして質問をいたします。  まず、総理も既に御存じかとは存じますが、アメリカの連邦災害管理局が大型コンピューターを駆使いたしまして、一九九〇年より二〇二〇年に世界が直面する難問はどういうことであろうか、真剣に考察いたしました。水、公害、都市テロ、中にはやはり自然災害というものを大きく取り上げております。  御案内のとおり、自然災害と申しますのは急性タイプと慢性タイプがございまして、急性タイプは例えば地震、これは外科的な疾患が多くなります。あるいは慢性的なタイプといたしましてはバングラデシュの洪水、アフリカの干ばつ、内科的な疾患が多くなります。しかしながら、一面、被害が多い順はどうであろうか。これにつきましては、台風・サイクロン、洪水、地震、疫病それから干ばつ、こういう順で被害額が大変たくさんになっております。しかしながら、自然災害で重要なのは、災害が起きたとしてもだれでもかれでも災害に遭いやすいのではないということでございます。災害を受けやすい人たちというのはCWAPであります。  こういうことを考えてまいりますと、今日、我が国といたしましては立派な緊急援助隊なる法、こういうものを持っておりまして、世界市民の一人として愛すべき地球号の一員といたしましてもこれに参画し、あくまで人命第一、人命救助、こういうことを主眼にいたしまして営々と努力をい たしまして、一九八〇年カンボジア難民に出動いたしていただきまして、以来今日になるようなわけでございます。  これより、またまたいろいろ世界で何が起こるかわからない。特に、人命という問題は一刻もおろそかにでき得ない。よって、これに対する政府の基本的な方針と申しますか姿勢と申しますか、これをまずお伺いさせていただきたいと存じます。
  54. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 本会議でも申し上げたことでございますが、いわゆる冷戦後の時代に、各国の今まで膨大な軍備に使っておりました資金、資源が開放されるならば、それは南北間の問題あるいは地球上に起こります新しいいろいろな問題にそのエネルギーと資金が放出される、それが平和の配当というものと考えるということを申し上げたのでございますけれども、今御指摘のように、まさに自然災害はその大きな一つでございます。毎年大きな災害が各地に起こって、それが十分に手当てをされていない傍らで、大変に大きな金が軍備に使われておるという状況が幸いにしてもし変わってまいりますならば、まさにそういう災害等々に対してこそ向けられなければならないと思います。  我が国は、幸いにしてこれだけの経済力を持っておりますし、また技術力も持っております。したがいまして、そういう海外における災害の援助に対して最大限の貢献をいたすことが、いわゆる冷戦後における殊に我が国の大きな努めではないかと考えます。
  55. 常松克安

    ○常松克安君 それを現実に今日まで努力をしていらっしゃいました国際緊急援助隊の医療チーム、JMTDRの方々が、将来、これからの課題、こういうふうなこととして提言をいたしております。  まず、第一番に要請ベースによる出動のおくれ、第二番に輸送の手段、第三番目に災害医療の人材不足、四番目に現地のニーズの把握、よって先遣隊を派遣してもらいたい、五番目通信手段、六番目待遇問題。この中で一番取り上げていかなきゃならないのは、この出動が閣議決定されますと四十八時間以内に今日まで出動をいたされております。これはあくまで人命という、一刻でも早く災害地に行って人の命を助けたい、こういう一つのあらわれであろう、こう思います。こういう方々にありましては、災害が起こったならば、いかに世界じゅうどこであろうとも三日か四日のうちに行くことがこれへの我々の貢献度というものが顕著にあらわれるものである、こういうようになっておるわけであります。  しかし、前回のを一つ見ますと、イラン地震で要請、閣議決定、夜中に電話をかけました、集めました、四十八時間以内に出ました。悲しいかな、民間機の乗り継ぎ乗り継ぎで、ロンドンへ行ってテヘランへ戻ってまた乗りかえていく、こういうことで少なくとも三十二時間も要しておる。そういう人たちの立場からすると非常に残念である。あるいはまた、フランスの国境なき医師団という立場におきましては、常日ごろから災害救援に関しまして各国と地位協定を結びまして、災害のときはもうすぐフライトして、その飛行機の中から外務省に電話を入れる、そして領空の通航権を得ておる。こういうふうなところまで努力して、輸送手段の何とか改善というものに努力していらっしゃる。  こういうふうな中において、ふと現地へ行けば、よその国はいろいろな資機材というもの、時には国によっては軍用機で、あるいは時によっては自分たちの飛行機を確保してすぐ入っている。もう少しこの辺のところをと言いながら歯を食いしばって今日まで努力を重ね、医療チームだけで今日までの歴史で十八カ国二十四回の出動をいたしていらっしゃいます。大変な努力をいたしていらっしゃるわけであります。  ここにつきまして防衛庁に対しまして後方支援、そういうふうなものを求めたい。これは時宜にかなった二つの要求であり、実現することに私は賛成であります。そういう人命第一という問題をあれだこれだと言うより、まずは人道上の前には法律なしとさえ、こういう考えをお持ちの方もいらっしゃる中でございます。よって、この後方支援というものはどれだけたえ得るものであるか、お考えをお聞かせください。
  56. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 医療協力の問題につきまして、ただいま御審議いただいております緊急援助隊法。でございますが、これは、自衛隊が組織として武器を携行せずに行って協力するという法案の建前になっておりまして、私どもはぜひ今先生のおっしゃったような点について御協力できることをこいねがっておるわけでございます。  今、先生からJMTDR等の御活躍についての御見解の表明もございましたが、やはりただお医者さんが行っただけではその機能を果たせません。まさに先生が御指摘のように、通信、補給あるいは輸送等の総合的な一つの単位として、自足的な単位として派遣されなければ十分な効果を上げないことは当然でございますので、どうかそんな点ひとつ私どもとしてはぜひこれを成立させていただいて、その任務を果たしていきたい、こう考えて……
  57. 常松克安

    ○常松克安君 もう結構です。的確に質問にお答え願いたいんです。  これは外務大臣、お聞かせください。  外務大臣の特例と認める場合は、防衛庁長官にこれを指示するという法の建前になっておるわけでございますね。そういたしますと、これは今ここで申し上げますのは、部隊が動く、何が行くかは後の論議なんです。民間の方が十年間必死の思いでやっていらしている、まずは後方支援の部門だけ何とかならないか、こう言っておるんです。今防衛庁長官がおっしゃりたいことは十分時間を与えますから、後の段にあるんです、ごっちゃにしてお答えにならないでください。外務大臣、ひとつ整理してお願いします。
  58. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 技術的な問題でございますので的確に答えられませんが、そういう気持ちを生かすように指導していきたいと存じます。
  59. 常松克安

    ○常松克安君 じゃ、別の面に参りますが、こういう方々の待遇問題は何回となく実は指摘をしてまいりました。  お伺いいたします。  現在、ドクターは日当幾らで、もしも現地で災害に遭って亡くなった場合の死亡保険はどれだけ掛けられているか、ナースは何ぼであるかお答えください。
  60. 川上隆朗

    政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  緊急援助隊として派遣される隊員の処遇につきましては、派遣先や隊員の経験年数等によって変わってくるわけでございますが、一例として申し上げますれば、大学卒業後二十年の経験を有する民間のお医者さんがイランへ一カ月医療チームの一員として派遣される場合には、日当、宿泊料は一日当たり二万五千円、JICAが負担する海外の旅行傷害保険でございますが、これが一カ月間カバーしまして十八万一千四百四十円、その保険の場合の死亡時の最高補償額は一億八百万円ということになっております。  看護婦さん等につきましては、国家公務員の看護婦さん、地方公務員、民間等につきましてそれぞれ若干格付が違いますけれども、それぞれの給与体系のもとで日当、宿泊料等々が決まってくるという形になっております。
  61. 常松克安

    ○常松克安君 的確にお答えください、前もって通告してあるんですから。  ドクターで日当一日六千八百円でございます。旅費、宿泊費は別ですよ。そういたしますと、総理、要請によって大学病院から医師が派遣される。一般常識からいって最低五万円でございます。一泊して次の日にかかりますと三万プラスで八万円でございます。ナースは幾らか。四千八百九十円でございます。今、病院は看護婦、マンパワー不足でございます。よって、どうしても補充したい。この方は約七千円から一万円でございます。こういうふうな順取りでございます。  もう一面出しておきます。  ここに国際貢献をしていらっしゃる、陰に隠れた海上保安庁の、言うなれば遠洋漁業で事故を起こす、死にそうになる、ヘリが飛びます、そのドクターに対しては幾らか。そちら、こっちの話を聞いておかなければ後で困りますよ。これは、ドクターとナースを合わせまして一日二十二万でございます。そしてもう一日たちますと、ドクターは十万円加算されます。ナースは五万円でございます。死亡保険については二億円でございます。その掛金は、二泊三日で六千九百四十円、六泊七日で八千九百六十円でございます。  常に整合性整合性とおっしゃいます。しかし、そこに従事なさる方は、このことを論議なさいません。たった一言、私たちはボランティアボランティアと言われて、人道上においてどこにでも行きます。しかし、どうかお間違いのないように。時間的なボランティアで、私たちは命をかけて喜んで日本という国を背負ってまいりますが、ボランティアということで、経済的なことを申し上げておるのではない、ここをよく知っていただきたい。どんどんそのマンパワーがなくなってしまう。扱いというものが、常にそれは――そんなことを言ったって、こっちはレスキューで、いろいろ、消防庁や警察庁の皆さんと一緒に行きませんのや、それに対応して一番最高を取っていますんやとおっしゃる。この辺のところ、金額云々は、小ざかしい言い方かもしれませんが、総理、やはり少し慎重に考えるべきときが参っておるのではなかろうか。このように存じますが、いかがでございましょうか。
  62. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ボランティアの方は金銭的報酬のためになさるのではないことはもうよく存じておりますけれども、おっしゃいますように、マンパワーも非常に不足してまいります。そうしますと、やはりそういうボランティアの方々が、とにかくわずかなことではあってもそれなりのいわば社会的に見て相当な奉仕料を得られて仕事をしていただきませんと、なかなかそういうことは続かないというふうに思います。
  63. 常松克安

    ○常松克安君 先ほど出しましたこれは、こういうふうになっております、「洋上救急事業の概要」、社団法人でございます。この方々は、決して自分の懐でというんじゃないんです。そして、病院を抜けて、あの洋上を二日、三日、ヘリを乗り継いでいくわけですから、それで救急医療をやるわけですから危険を伴います。そしてそれは、抜けた後の経理のために補充しなきゃいかぬ。そこへ全部充当していらっしゃるわけです。この辺のところもお含みおき願いたいと思います。  外務大臣、一言言うのを忘れておりましたけれども、この場所をかりて本当に敬意を表したいと思います。イラン地震の折には、イラン大使館の河村公使、お見事です。救急援助隊と一緒に野外テントに最初から最後まで寝泊まりし、寝食をともにされて、そして地域住民に救援の手を差し伸べる先頭に立たれた。見事な日本外務省の一員。こういう方々が多くなっていけばいいのになと、こういうふうに感じます。  しかし今日まで、どちらかと申しますと点という問題、その枠というのがドクターが三名、ナースが六名、それから技術員が三名、一チーム十二名なのでございます。これはもう精いっぱいなんです。そういうことから、これからは面という問題、これより以上の大きな災害に至ったらと、ここに趣旨説明がございますが、これより大きな災害。あのバングラデシュは大きくないのか、大きいんです。大きいけれども、その制度として対応するだけのものがなかったんです。でありまするから、今度は大きな面として、いろいろ自衛隊の中にある――国民が今日まで税金で全部それを、国民自衛隊です。その自衛隊が持っている人を助ける医療というものを、災害医療という問題を使って何が悪いんでしょうか。そういう考えの中にあって、面というものを広げていきたい。  ところが、大臣、実はここで一つ大きな問題になってくるのであります。それは、今までちくちくとやっていらっしゃったことが、部隊が行く、機動力だ何だというと、おれたちの今までやってきた、細々ではあるけれども命をかけてやってきたことが、軒先を貸して母屋をとられやしないか、こういう心配もあるわけです。それはどこにあるかというと、これはあくまで、防衛庁として、企画の中にいろいろな形を想定したものを、はっきりとしたものを出し得ない。  例えば、この法案を見ますと、PKOの方は通ると三カ月、これからいろいろ研究しますわ。しかし、国際緊急援助隊については、法律が通ると直ちに明くる日要請されて、行けるんですか。さあ、どんな薬がよろしいでしょうか、C130も整備せなあきませんのでな、あったらこったら言うだけで、時間を食っちゃう。何にも効果はない。  もっと言うなら、六本木の方は逆に、外務省はええ格好をしているけれども、そんなことを言ったって、おれたちは必ずいつも不もの論議の中に入れられて、そして実際にやるんだという方向にないから真剣になれないんじゃないかという声もこれありです。  じゃ、防衛庁長官、その証拠を示していきます。よろしいですか。その分類というものは、部隊中心にした一つの命令指揮権をぴしっと持った、言うなら、これは自己完結型またはパッケージ医療と言っております、こういう形で出す。二番目は、医療だけのチーム編成でそこへ行く。三番目は、防衛庁の医官がJICAの方へ個人的に参加をして、公務出張命令を出せば入れるんですから、そして皆さんとともに行くという、こういうふうな三つの分類はお考えでございましょうか。お考えになっていたら、その内容をどんどん聞いていきます。
  64. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 先生御指摘のように、この法律の建前からいたしまして、直ちに施行するということでございまして、PKO等はおのずから準備期間等の問題がございます。今先生、三分類をおっしゃいましたが、これは、そういった先生の御指摘のような分類に即応して、JICAへの組み込み方その他、まだ私も承知いたしておりません。当然これは施行が直ちにでございますから、準備をしておることと存じますので、担当局長の方からその点について答弁をさせていただきます。
  65. 金森仁作

    政府委員(金森仁作君) お答え申し上げます。今、先生がおっしゃったいろいろな援助につきまして協力の仕方があろうと思います。具体的にこの法律が通り、またどういう要請があるかということによって対応が変わってくるわけでございまして、医官の教育または部隊としての教育、これは私ども、日ごろの救急活動また災害援助というような立場から検討させていただいておることは事実であります。
  66. 常松克安

    ○常松克安君 いや、検討した内容をお伺いしておるのでございます。
  67. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 内容を具体的に手短に御答弁願います。
  68. 金森仁作

    政府委員(金森仁作君) 医師につきましては、御案内のとおり、防衛医科大学の卒業生が大宗を占めておりますから、教育の中で、また卒後の教育の中で具体的な救急活動等の勉強をさせておりますし、また、先生御案内のとおり、本年八月でございますが、北海道でビッグレスキューという大型訓練等をやっておりますし、またその他の部隊病院等でもそれぞれの訓練をさせているところでございます。
  69. 常松克安

    ○常松克安君 じゃ、もっと具体的にこちらから誘い水をかけます。  部隊として参加する場合、医官が何名でナースが何名で補助要員が何名、それにプラスアルファ、何のものの分野を加えて一編成としていらっしゃいましょうか。
  70. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 恐縮でございますけれども、法の建前からいたしましても、外務大臣が特に必要と認めた場合に防衛庁の緊急援助隊活動を要請する形になっておりまして、その具体的なケースに応じて、その規模、任務が変わってまいりますものですから、あらかじめ何名、どういう体制でということが画一的に決まっておるものではございません。ただ、お許しを……
  71. 常松克安

    ○常松克安君 結構です。  じゃ、申し上げます。  あなたは局長の立場として、百二十一国会でそういう具体例を聞いたときに、個々の災害の状況により一概に言えないが、バングラデシュの水害ケースについて一定の前提を置いて試算した場合、三つのタイプの事業として、一、医療活動の場合医官二十名を含む部隊規模で百八十名程度、二、空輸活動の場合約二百六十名程度、三、給水活動の場合百名程度を派遣する能力があり、そのような活動はできるのではないかと考えておりますと衆議院で答えている。私の言ったことになぜ答えられないんですか。
  72. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 先ほど来私が申し上げたように、委員は的確に質問しておられます。これに具体的に的確に説明してください。
  73. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 失礼いたしました。  先ほど、ただと申し上げて、その後で申し上げようと思った点でございますが、まさにバングラデシュの……
  74. 常松克安

    ○常松克安君 もう結構です。もうわかった。前言をちゃんと認めたことにいたしておきます。  じゃもう一度、済みませんが、言葉静かに申し上げます。  現在の医療チームの方々の心配は、やはり自衛隊との割り振りが非常に難しいと。非常に慎重に検討していかなきゃいけないと思うんですが、端的にいかがでございましょうか。
  75. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今までJICAを通じまして登録された先生方が大変な人道的な見地に立っておやりいただいていることに敬意を表します。  当法案が通りますと、自衛官の医官等も派遣することが可能になります。したがいまして、その精神のもとに十分そうした方々の善意とそれからボランティア精神を尊重しつつ、同時に自衛隊として組織的な力あるいは経験能力等もまた別個にございますし、今レスキューの話もございましたが、そういったボランティアの方々だけではできないような領域というものも当然自衛隊は保有しているわけでございますから、それらの有機的な一体的な関係でこの任務を遂行しなければならぬ、このように思っております。
  76. 常松克安

    ○常松克安君 私の方から、逆に、これは一つの個人的な提案でございますが、そういう場面に至りますと、どうしても片っ方は、自衛隊は命令系統で動きます。片っ方は人道的、これは一緒ということは非常に無理があります。トラブルが生じてまいります。よって、これはもう当然外務省の方あるいはJICAの方で災害規模というものを大中小と分けられる、これはされると私は思います。よって、大きな災害には、本文にありますように自衛隊派遣、あるいは中小の規模については国際緊急援助隊にする。  それから第二番目に、じゃ、大中小はいいけれども、どういうふうな分け方をするか。災害を長期災害、短期災害に分けて、難民、干ばつ等の四カ月以上、これは一応ドクターとして、専門官としての分け方らしいです。四カ月以上にわたるような災害には自衛隊に参画をしていただきたい、そして今までのように我々がきちっとすぐ行く、これは我々だ、こういうふうな提言をいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  77. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 私も先生と同様でございまして、自衛隊が出動する場合は大規模かつ相当長期にわたるというような考え方のもとに行うことが適切であると考えておりますが、本件につきましては外務大臣の要請によりまして防衛庁長官派遣するわけでございますので、外務省の方で、しかるべき今先生おっしゃったような分類その他で自衛隊派遣すべきであると言えば私の方は勇躍その任務を果たす、こういうことでございます。
  78. 常松克安

    ○常松克安君 畠山局長、先ほど失礼いたしました。では、正確にお答えいただきます。  この自己完結型というのは、わかりやすく言えばどういうことを想定すればよろしいんでしょうか、御教示をお願いいたします。
  79. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 自己完結型と称しておりますのは、大規模な援助活動を実施し得る部隊派遣する場合におきまして、派遣された部隊に係ります衣食住、それから現地での車両輸送あるいは通信、そういった体制がほぼ相当程度自給自足し得るということを意味すると考えております。
  80. 常松克安

    ○常松克安君 実は私も、こういうふうな問題は、必ず姿勢といたしましては現場からの声、よって北海道におきますところのビッグレスキュー91、見聞いたしました。医官の方にも総看護婦長にも、あるいは衛生兵、看護士の方にも一時間ほど懇談を、現場からの声に基づいて行いました。あるいはまた、こういうふうな問題のときに、あっと驚きましたのは、防衛庁の中にありますところの全国に薬品を頒布する補給処、ここにも行ってまいりました。災害医療という問題に対してどれほどの薬品をお持ちなのかなと見聞いたしてまいりました。  あるいはまた、十二師団へ行ってまいりました。ロープ一本で救急ヘリへ、医官です、ドクターが乗ったりおりたりして患者を診て、あるいは気管内挿管あるいは心臓がとまったのを治す、こういうふうなものを四時間にわたって見聞、意見交換をした上で実は申し上げておるものですから、こっちはこれだけ具体的に、そして真剣、まじめにやっておるのに、何か答弁聞いておると、通っても通らぬでもええみたいな、これからやりますんやわ、これからですわ、また深く御検討いただきまして、これでは何のために今日まで我が党が汗をかいてきたのか、この怒りを持つんです。  その上で、こう一度質問いたします。  もしも、これはわからなければわからないで結構でございますけれども、今緊急援助隊にありましては、全世界に五カ所にわたって薬品、物資を全部貯蔵いたしております。その中で、デンマークのコペンハーゲンから医療資機材をユニットで買っております。これはなぜかといいますと、WHOの一つの標準化したものがあるわけであります。そういうもので購入しておるわけでございます。こういうふうな問題とあわせまして、感染症に対しては四つの抗生物質しか使えなくなっております。それは、日本が行く、よし、最高の医学、医療があるからと思って治療する。隣にはドイツもオランダも皆来てやっている、そういうふうなへんぱたものがあってはならない、こういうふうなこともこれあるように聞いております。  この辺のところにつきまして、なぜユニット制で、医薬品が日本にたくさんありながらそういうような購入をしなきゃならないのか、ふと疑問を持ちますので、お答えください。
  81. 川上隆朗

    政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  先生御指摘のデンマークからのUNIPACよりの購入の点でございますが、UNIPACを利用しておる理由といたしましては、薬品の種類によって差はございますけれども、非常に廉価であるという点、それから取り扱い説明書が英文で書いてあるということ、さらには御指摘のとおりWHOが選定しました国際基準の薬品を供給しているということ、最後に、とりわけ輸送が極めて迅速である、二十四時間以内に発送できるというような点を考慮してUNIPACからの調達を行っている次第でございます。
  82. 常松克安

    ○常松克安君 じゃ、今度畠山局長さんにお伺いいたします。  今、聞きました医官二十名だとかいろんなことあるんですが、どうも私が聞いてもはっきりお答えにならないのは、六本木の検討の中においては、ナース、女性ですね、はこういうふうな災害のときには組み込まれてないような立案計画書というものを見せていただいたんですけれども、これはいかがなんでしょうか。
  83. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、ある程度の規模を想定いたしまして、つまりバングラデシュにおきますような災害を前提としてという一つのシミュレーションを行ったわけでございまして、そうした上で先ほど御指摘のようなことを計算させていただいてい るということでございまして、その中には特定の何のどういう人たちという呼名までを挙げているわけしゃございません。したがいまして、当然看護婦はその中に想定されておりますけれども、女性の医官という意味では、それが男性であるか女性であるかというところまでは詰め切ってございません。
  84. 常松克安

    ○常松克安君 もう一度お伺いします。  看護婦さんは自衛隊に入りますと隊員になります。その看護学校を卒業しますと、位はどうなるんでしょうか。あるいは、今日全国の自衛隊の総看護婦長の位はどうなるんでしょうか。
  85. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) わかりますか。具体的にしっかり答えてください。
  86. 金森仁作

    政府委員(金森仁作君) 医師の場合は医官、防衛医科大学を出ますと一尉になります。
  87. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 質問は看護婦です。
  88. 金森仁作

    政府委員(金森仁作君) 看護婦は三曹のはずであります。曹、士であります。
  89. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) それから、まだ質問は残っていますよ。質問にすべて答えてください。
  90. 金森仁作

    政府委員(金森仁作君) 手元に資料を持っておりませんので、調べまして、すぐ御報告させていただきます。申しわけありません。
  91. 常松克安

    ○常松克安君 失礼いたしました。私も、その辺のところ定かでないものですからお尋ねいたしました。少し記憶の隅に残っておりますのは、総看護婦長さんは大体一佐、それから看護学校を出られた方は三曹。特に、自衛隊の中においては、女性の地位は物すごく明確にしていらっしゃいます。しかし、そういう中で行かれる看護士の方は、昔で言う衛生兵の方は、非常に役職上身分制度がきついところなものですから、そういうようなところで、余り偉い方々とか、あるいは看護婦、わずか二十ちょっといったような子供が三曹で、二十五、六の人が一曹とかもっと下、これは非常に作業が困るという声これあり、非常に難渋していらっしゃるように調査したんですが、いかがでございましょうか。
  92. 金森仁作

    政府委員(金森仁作君) お答え申し上げます。  先生の御指摘のように、防衛庁の中、特に医療の場合は、階級制または職種というものでいろいろとそのような御意見もあろうということも私も存じ上げております。
  93. 常松克安

    ○常松克安君 もう一度確認させていただきます。  先ほど提案しましたところが少し明確じゃなかったものですから、部隊としてまとまった派遣はいいんですけれども、小さな災害というものに対応するためにパッケージ医療、そうするためには医療チームだけの編成が成り得ないか、あるいは個人で防衛庁長官の公務出張命令において医官がJICAの方のメンバーと一緒に入って交流をして、我々もやりたい、こういうことが許されるのかどうか、もう一度明確にひとつお答えいただけませんでしょうか。
  94. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 当法案が通りますれば、私は先生のおっしゃられるようなケースは論理的に可能だと存じます。
  95. 常松克安

    ○常松克安君 それでは、次は外務省にお尋ねいたします。  少しその辺のところでぎくしゃくいたしますのは、基本的に、外務省として防衛庁に対してこの緊急援助隊への参加は具体的に何の活動を望んでおるのか。自衛隊はここまでできますよと言うけれども外務省はそんなことまで考えていません、うちはうちの今までの歴史がありますから、JICAの方で救急チームの皆さんがいらっしゃいますから、もうそれだけで、あとは飛行機と通信機と飯と給水だけで結構ですんや、そんな部隊派遣うちはよろしいんですわと。この辺のところを明確にひとつお答え願いたい。
  96. 川上隆朗

    政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  我々といたしましては、法律の建前もございますが、外務大臣として特に必要があると認めるようなケースについて部隊等の派遣をいただく、これは先ほど先生御指摘の大規模な活動あるいは長期的な活動といったようなものが当然大きな一つの例になってくるのではないかと思います。それからもう一つケースは、先ほど御説明がございましたが、自己完結的に、つまり自給自足的に活動を行い得るという自衛隊の特性というものを生かしたいということでございまして、これは場合によっては規模が小さいケースもあろうかと思います。しかしながら、いわゆるロジスティックスがないようなケースについては、自衛隊が自己完結的な活動を行うということによって緊急医療体制を充実させることができる。それから、輸送も当然あると思います。大きく分けましてこの三つが今回の自衛隊に参加していただくという法律の改正の趣旨でございます。  それで、実態的な活動といたしましては、そういうことを通じて救助活動、医療活動を充実させ谷ということに尽きるんではないかというふうに考えます。
  97. 常松克安

    ○常松克安君 私は、手元にあるこの「緊急医療支援訓練 新思考訓練の試み 北部方面総監部」という資料を見学の際にちょうだいしてまいりました。ここの資料にあるように、まことに時宜に合った訓練をやられた、これは評価に値するものであろうと思います。しかし、第一回目でありまするから、私は、あの広大なところに、野戦病院から洗濯の場所から食事から、それは相当なる広範囲を見てとったときに、果たしてこの隊員で、さあ活字の上で理屈の上で世界貢献する、これは少し難しいんではなかろうか。  しかし、よく勇気を持ってそういうふうな訓練をやられたことの経緯からいたしますと、一番最初に感じましたのは、今まで、どっちかといいますと、論議は正面装備の方、飛行機だ軍艦だ何だ、しかし一面では今まで後方支援としての陰に隠れてきた、そしてまた、戦闘があったらどうするのだ、勝つのだとか、そういうふうな思想もこれあり、しかし後方支援方々にあってはまた違った意味で、やっとおれたちの仕事がおれたちの意思で、新思考でできるのだというところでおやりになった、目を輝かしていらした。これはやっぱりその辺のところは立派であると、こういうふうに思います。ここの文面を見ますと、実に的確な、防衛庁長官答弁であったらこれはもう優秀答弁です。見事にお書き上げになっていらっしゃる。御考査願いたいと思います。  しかし、畠山防衛局長、もう一度お願いいたします。  この中ではパッケージ医療ということで、医官が一名動くには自己完結型を目指しますと、いろいろな六十名という人員がどうしても必要になる。これは一つの試行でありますから、こればかりじゃありませんでしょうけれども、これを逆に計算しますと、医官を二十名行かすためには、いろんなケースがあるとしても、一千二百名です。大変な予算と大変な能力と平素の蓄積が要ると思いますが、いかがでしょうか。
  98. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 御指摘のように、ビッグレスキューにおきましては、医官三十名、看護婦四十名を含みまして、全体規模人員が三千三百名でございました。そういうことからいたしますと、そのままの状態をこの緊急援助隊において展開しようと思いますと、まさに大規模なことになるわけでございますけれども、そこは海外におきまして必要な要請を受けた内容に即しまして後方支援体制もおのずから定まってくるものと思いまして、一概にこの規模のものということではなかろうかと思います。
  99. 常松克安

    ○常松克安君 いろいろ研究あるいは考査をお願いいたしておきます。  最後に、先ほど提議ありました中で災害医療の人材がゼロ、こういうふうな指摘をいたしておるわけでございます。  これは文部大臣にお伺いいたします。  こういう言い方をすると、文部大臣のそのぺーパーの中には、いいえ、もう日本は災害救急医療の大学講座を三つ持っております、こうおっしゃる文面がと私は推測します。私はそんなことを言っているんじゃないんです。国公立の大学で十数年かかって医療講座を設けるのがやっとこさ。 ところが、この災害医療というのは全然角度が、視覚が違うんです。違うんです。そういうふうなことじゃなくして、月本に災害講座を持ち得ることを、やはり国公立ですから、二十一世紀を見据えるならばこれは当然必要かと存じます。そういう面でのお答えをお願いいたします。
  100. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 先生、予想されたとおりのことが書いてありまして、しかしながら私は、いわゆる文部省的に申し上げれば、災害医療というものを救急医療の一形態と考えるというふうな形で申し上げるならば、国立三大学あるいは公立一大学、私立六大学でいわゆる救急医学講座というものがございまして、来年度の予算要求は東北大学、こういうことになっております。  しかし、先生の先ほどからの専門的なやりとりを承っておって、そういうことで私の答えをもらおうという御趣旨ではないということは既にわかりました。つまり、国際緊急援助隊が出ていくようなケースといえば、当然、日本国内ではないわけでありますから、寒いところ、暑いところ、どういうテント、どういうベッドならばいいのか、日較差が大きい砂漠のような地区ではどういうことをしたらいいのかとか、そういう観点で考えれば、もちろん防衛庁や防衛医大では十分な研究はされておられると思いますが、まあ一般に言う救急医学というものとは相当内容が異なってくると思います。  私は、湾岸戦争中に山口敏夫先生と一緒にジョルダンのアズラック難民キャンプとルウェイシュド難民キャンプへ参りまして……
  101. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 時間が参っておりますので、手短にお願いいたします。
  102. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) これは大変寒いところでありまして、そこに確かにお医者さんもおられましたが、日本人はいません。日本の薬もありませんでした。そういうことを考えますと、いわゆる災害の場合の緊急援助隊が出ていくようなケースというのは相当難しいケースが多いわけでありましょうから、また、一般の救急医療と違ったいろんな研究をしなければいけないと考えますので、先生御指摘のお話を重く受けとめて持ち帰りたいと思っております。
  103. 常松克安

    ○常松克安君 以上でございます。  どうもありがとうございました。
  104. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ―――――・―――――    午後一時三分開会
  105. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を再開いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事菅野久光君を指名いたします。     ―――――――――――――
  107. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 休憩前に引き続き、三案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  108. 吉川春子

    ○吉川春子君 国連文書公開問題について、まずお伺いいたします。  政府は、本法案策定に当たって参考にしたと答弁しております国連文書、PKO訓練マニュアル、それからSOPガイドラインを国連の内部文書であるということを理由についに提出しませんでした。昨十九日、対象を限定して閲覧に供しましたけれども、その際、英文の分厚いSOPの表紙には日本語で「極秘」と書かれておりました。国連の内部文書にすぎず、政府答弁でも秘密文書とはおっしゃっていないものが、どこの指図で極秘になったんでしょうか、伺います。
  109. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) どこの指図というわけじゃないんですが、国連との話し合いでこれは出さないでほしいということで、そういうことでもらってきてあるものですから。実際は、私が言ったように、もう公然の秘密みたいなものなんです。共産党の方は原文を持っていましたよ、衆議院で。ただ、こちらは正式にそれは出せないという形だけのことでございますから、中身はもうおわかりのとおりなので、御了承を願います。
  110. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣がおっしゃいましたように、もう公然の秘密で、みんな持っていて秘密文書でもないものを、何で「極秘」というふうにその文書の上にぺたんと、押したか書いたかわかりませんけれども、それはだれの指図なんですか。
  111. 丹波實

    政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。  私、今先生が問題にしております二つの英語の文書を持っておりますけれども、ここに「UNrestricted」とどちらにも書いてありまして、これは日本語では極秘あるいは秘というふうに当たりますので、我々ここのところに「極秘」という判を押したということでございます。
  112. 吉川春子

    ○吉川春子君 英語のできる丹波さんの答弁にしてはお粗末ですね。何でそれが極秘ですか、内部文書というにすぎないじゃありませんか。  いずれにしても、国会論戦の中心となったこういう文書をついに提出せず、この法案との矛盾を繕う答弁に終始した政府の態度に強く抗議いたします。  五原則の問題について伺いますけれども、政府は、この五原則を設け、それを守ることで憲法をクリアしていると強弁しています。しかし、武器使用、撤退問題で政府の主張は矛盾に満ち、五原則は説得力を持ち得ません。  まず、憲法上最大の問題になっている武力行使について伺います。  政府は、個々の自衛隊員が自己の責任で生命を防衛する武器だから武力行使ではないと言っていますが、だれもそれはまともに受け取れません。自衛官の武器使用は上官の指揮権は否定されておりというふうに衆議院答弁されていますし、武器の使用を正当防衛に限り、部隊として、組織としてあるいは上官が指示をしてやってはならないということも十二月五日の矢田部議員の質問答弁しています。それは本法案の何条に書いてあるんでしょうか、伺います。
  113. 野村一成

    政府委員野村一成君) お答え申し上げます。  この法案武器の使用に関しましては、第二十四条におきまして、一項、二項、三項、四項、特に使用につきましては一項、二項、三項でございますが、それぞれ基本的には「自己又は自己と共に現場に所在する他の隊員の生命又は身体を防衛するため」ということでございまして、あと危害要件といたしまして、同じ二十四条の四項で「刑法第三十六条又は第三十七条の規定に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない」、そういうふうに書いてございます。
  114. 吉川春子

    ○吉川春子君 部隊、組織、上官の指示を禁ずるという規定はありません。  組織的な武器の使用を禁じていると言われましたけれども、じゃ、それはどこにそういう保障があるんですか。
  115. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 二十四条の三項に則して申し上げますと、「自衛官は」というふうに書いてございまして、そういう自衛官というのが主語になっておりますから、個人としての武器使用であるということが法文上明らかかと思います。
  116. 吉川春子

    ○吉川春子君 二十四条三項に「自衛官は」と書いてあると、その答弁は何遍かされているわけですが、しかし組織、部隊、上官の指示を禁じるという規定がないのも事実ですね。とすると、組織的な武器使用を禁じているとおっしゃるんですけれども、その保障はどこにあるのか、このように聞いています。
  117. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 御指摘のとおり、組織的 な武器使用を禁ずる趣旨の明文の規定はございませんが、これは現行の自衛隊法の九十五条等、一般に武器使用を許している規定におきまして「自衛官は」という主語で皆書いてございまして、その取り扱いが組織的な武器使用ではないという解釈、運用になっていることに基づくものでございます。
  118. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、この保障は具体的にはないということになるんじゃありませんか。  それでは、続けて伺いますけれども、六条四項では、携行する装備は事務総長の必要と認める限度で決めるというふうになっているのはなぜですか。武器使用自衛隊員の正当防衛に限るというんだったらば、携行できる武器法律上その範囲に限るべきであるのに、限っていないじゃないですか。自衛のためというんだったらばそれは小型武器で足りるわけですから、小型武器に限る、こういうふうに規定すべきじゃないんですか。そういうふうになっていない理由をお示しください。
  119. 野村一成

    政府委員野村一成君) お答え申し上げます。  PKO活動に従事する場合に武器を携行することが要請されておりまして、その武器の範囲は、過去の事例では必ずしも小型武器に限定されていないところでございます。したがいまして、携行武器の範囲を小型武器にこの法案でも限定することはいたしておりません。  なお、これも従来からも答弁しておるわけでございますけれども、通常の例ではけん銃、小銃、機関銃及び装甲車でございまして、通常ほとんどの場合これらで我が国も十分役割を果たし得るものと考えておる、そういうことでございます。
  120. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、通常役割を果たし得るかどうかというふうに聞いていませんので、法律上どうなっているかということを聞いていますので、そういう線でお答えをいただきたいと思います。  携行する武器は、国連事務総長の必要と認める範囲でというふうになっておりまして、事務総長の必要と認める範囲というのは、国連文書によると、よく質問で言われましたけれども、迫撃砲等も含まれています。また、政府提出の資料によっても、過去のPKOに携行した武器は複数の隊員が集団で操作しないと使用できない重大器、そういうものまで含まれているわけですね。だから、それは個人の判断で使用できないんですよ。だれがその指示を与えないと判断できないわけです。それはだれのコマンドで使用するんですか。そういうときにも事務総長のコマンドに従わないというのは非常におかしいんじゃないんですか。長官、どうですか。
  121. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 私を指名でございますのでお答え申し上げますが、先生おっしゃるとおり、事務総長が必要と認める限度で装備を定めることになっております。これは小型武器ということでもございません。しかし、実際の運用上はただいま答弁ありましたとおりでございますが、今御指摘の点は、例えばその中にはけん銃、小銃、機関銃というのもございます。機関銃は一人で操作することも可能なものもございますし、場合によりますと、複数の人によって、二人等で行う場合もございます。  しかし、この武器の使用はあくまでも二十四条の三項に基づきまして、自己の生命または身体あるいはそこにおる隊員の生命、身体を守るためにのみの使用がここで厳格に規定されております。そして、その二十四条四項におきまして、正当防衛等に当たる場合にのみ、殺傷力といいますか、自分の護身のために相手に傷害を与えてもこれは許されるということが書いてあるわけでございます。  そこで、二人の場合に、それじゃだれか指揮をしてどっちかが従わざるを得ないのではないかというお尋ねでございますが、こうした武器は例外的なものでございますけれども、同一の条件のもとに危害が加えられるということは十分予想されるわけでございまして、あくまで隊員個々人の判断ではございますが、一致いたしましてそれを護身用といいますか、生命、身体を守るために使用するということは十分あり得ることだと思います。
  122. 吉川春子

    ○吉川春子君 例えば、迫撃砲は六人で使用する。そして、山陰から山陰の目標に向かって撃つことができ、その炸裂する範囲は数十メートル四方に及ぶわけなんですね。だから、これは迫撃砲に限りませんけれども、到底自己の生命、身体の防御のため「已ムコトヲ得サルニ出テタル行為」に対して使用するという性格の武器ではないわけなんです。  今、防衛庁長官は運用上とおっしゃいましたけれども、私は運用上のことを聞いていませんからね、法律上どうなっているかということなんです。  だから、法律上は刑法の三十六条、三十七条に当たる緊急避難、正当防衛のときしか武器の使用はできないとすれば、それは法律上は小型武器に限るわけなんですよ。ところが、国連事務総長の指示に沿ってあらゆる必要なものをみんな持っていけるというわけなんでしょう。だから、正当防衛というんだったらば、なぜ法律上もそれに限定した武器にしなかったかと、そこを聞いています。いかがですか。
  123. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 二十四条の三項の正当防衛は、あくまでその武器の本来の殺傷力を使いまして相手に危害を与える、その場合について規定しておるわけでございまして、この武器使用はただそれだけに限定されているものではございません。つまり、殺傷力として利用することはできませんけれども、自己の生命、身体が脅かされるときには、発砲しなくても何らかの方法によってそういう状況を阻止し得る状況まで想定をいたしておりますから、ただ、発砲して相手に危害を加えることは三十六条ないし三十七条に該当しないといけないということを申しておるわけでございます。  なお、先生御指摘の迫撃砲につきましては……
  124. 吉川春子

    ○吉川春子君 いや、迫撃砲はいいです、例ですから。  正当防衛に限るという問題が一つありますね。それも全然答弁になっていないんですけれども、複数で使用しなきゃできない武器を持っていくのに、それを個々の隊員の判断でのみ使う、そういうふうになっているわけですね。そこでだって矛盾していると思うんです。要するに、自衛隊は他国の派遣するPKFと同じように必要な装備はみんな持っていくわけですね。そして、それは国連の司令官の指揮なくしては使えない武器も含むというわけなんです。結局それは武力行使になるじゃないですか。  政府は、五原則は日本独自のものなんだ、だからこれでもって憲法をクリアするんだというふうに言っていますけれども、ほかの国と変わらない装備を持っていって、しかも国連の司令官の指揮を受けないと使用できないような装備を持っていって、結局はかの国のPKFと同じじゃないか。何も五原則の中の武器使用について日本独自のものだなんて言えないんじゃないですか。
  125. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 携行する装備につきましては実施計画で定めることになっておりますが、この場合、国連事務総長の方からかくかくの武器もというような御要請がございましても、我が国の本法の建前からしてそういうものは持っていく必要がないという場合は、その命令に従わないで、我が国のこの法律の精神に従った武器だけを携行していくということも十分あり得るわけでございます。
  126. 吉川春子

    ○吉川春子君 それだったらば、なぜ条文でそういうふうにしないのかと私は伺っています。防衛庁長官が永久にその地位にとどまるわけじゃないでしょう。違う方が長官に次々になるわけでしょう。法律というものはいろいろな人が運用してもだれが運用しても同じようにということで抽象化、客観化されたものですから、私の場合はそういうものは断りますとか、そういうことは法律論議にはならないんですよ。  だから、法律が決めていることは、日本自衛隊がPKFに参加する場合はもうほかの国と同じ装備を持っていける。そうでしょう。国連事務総 長の指示するものは持っていくんだから、ほかのものと同じように持っていけるというふうに法律上なっているんですよね。法律上たっていないとおっしゃるんですか。そして、それを使用するとなれば国連の司令官のコマンドが必要になる。どこがほかの国と違うのか。全く違わない。五条件とかいっても日本独自のものじゃなくて、全くほかの国がPKFに参加するのと同じじゃないか、こういうふうに言っているんです。  法律上どうなっているかということで答えてください。
  127. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) SOPに基づきまして国連事務総長から装備の仮に要請があったといたします。兵器の種類まで一々要請されるかどうか、これは今後の課題で、私が一概に断定はできませんけれども、よしんばそういうことがあったとして、我が国のこの任務を達成する場合、つまり相手国がどういう状況であるか、どういう任務を持つかということによって私どもがそれを自主的に決めるわけでございまして、国連事務総長が必要と認める装備の範囲内であればよろしいということを法律的には書いてございます。  同時に、その武器使用につきましては、二十四条で使用について厳格な限定をしているということで、私どもは法律的な保障は十分できておる、このように考えております。
  128. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう答弁になってないですね。うなずいていらっしゃる。  もし、日本のPKFはその武器使用、武力行使に、私たちは武力行使と思いますが、国連のコマンドは受けないというのであれば、それは国権の発動としての海外出動になるわけですよ。国連のもとに入るわけじゃなくて独自の判断で行くというんだから、国権の発動としての海外出動になるわけで、まさにこれは憲法の禁じるものである。もう時間がないので論争できません。残念ですけれども、そのことを指摘しておきます。  ちょっとまだ質問があるんです。総理にお伺いいたします。  政府は、日本が他国と違う例外のもう一つとして撤収問題を挙げております。そして、総理の過日の私の本会議質問に対する答弁では、いわゆる派遣国の判断で派遣を終了させるということがあるが、我々は適切な事前の通告をすることによって我々のそういう方針を実行することができると考えている、これらについては国連側に既に話をしていて、現実派遣を終了することが起これば十分な連絡調整を行うと答えられております。これは国連のルールによって撤収も行うという御趣旨であったと思いますが、そうなると日本だけの独自の例外措置ということではないんじゃありませんか。撤収できるのは日本だけですか。
  129. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 政府として累次御説明申し上げてきておりますとおり、この五原則に基づきまして、その一、二、三の原則、御承知と思いますので繰り返しませんけれども、三番目までの条件のいずれかが崩れた場合には、日本政府としては任務を中断し、その中断の状況が長引く場合には最終的には撤収する、こういう考え方で国連にも説明し、国連としてもそれはそれで結構でしょうと、こういうことになっているということを御説明申し上げてきているところでございます。
  130. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ちょっとお待ちください。  今、委員質問は、日本だけですかという質問ですよ。それに対して答えてください。
  131. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 過去のそういう前提が崩れた場合の状況、典型的には一九七四年のサイプラスのケース、それから一九八二年のレバノンのケース、そのほかにあるかもしれませんが、典型的なものとしてはその二つがよく論じられております。その場合の各国の対応、これもう全部について調べたということではございませんけれども、幾つかの国に当たりましたところ、中には任務を中断し本部に戻ったという国が幾つかあったということはございます。  そういう意味で、そういう対応というものが前例としてありますので、日本としてもそういうことができるんではないかという考え方に基づいてそういう原則をつくったと。必ずしもそういう行動をした国があるいはなかったかもしれません。全部を調べ尽くしたわけではございませんけれども、そういう国はあったということでございます。
  132. 吉川春子

    ○吉川春子君 私が伺っているのは、ですからそういうときに日本だけ独自に例外的に撤収するんじゃなくて、どこの国も同じように撤収するんですねと、そのことを伺っているんですが、総理、いかがでしょうか。
  133. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 御承知のとおり、今まで約八十カ国の国が、全部がPKFとは申しませんけれども、PKO活動をしてきておるわけで、それを全部調べ尽くすわけにはいきませんけれども、中には日本が考えているような行動をとる国もありましょうし、あるいはそうでない国もあります。しかし、ここで申し上げたいのは、少なくともそういう行動をとるということは国連との間では問題にはならない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  134. 吉川春子

    ○吉川春子君 ですから、そういうことは全部前提にして聞いているし、過去の例を聞いているんじゃないんです。  日本だけが撤収できるというんじゃなくて、日本だけじゃなくてどの国でも同じようにこういう場合には撤収できるんじゃないですかと、国連のルールに沿ってやっているというんですから。そこを聞いているんです。ちょっと簡単に。
  135. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 繰り返しになって申しわけありませんけれども、日本的な考え方というものを盛り込んで五つの原則というものをつくり、そういう原則に基づきましてこの法案をつくったということでございます。
  136. 吉川春子

    ○吉川春子君 いや、撤収できるのは日本だけなのかどうか。  ちょっと委員長、ちゃんと答弁させてください。
  137. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 今の質問に答えてください。
  138. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 例えば、スイスという国は永世中立という特別な原則を掲げて国際社会の中で生きている国ですが、このスイスがやはりスイスとしての幾つかの原則を掲げて今後PKFに参加しようということで、その中に、日本と同じように、二足の条件がある場合には撤収するということが書かれております。  そういう意味で、私たちは日本だけがたった一国だという意味で申し上げているつもりはございません。しかし、日本と類似の考え方を持った国というのはあるわけでして、そういう意味で申し上げているわけでございます。
  139. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が過ぎてしまいましたので、残念ですけれども、私これでやめますが、結局、今最後に認められたように、この撤収の問題も、日本だけが独自に撤収する日本独特の条件ではないわけなんですね。ですから、さっきを言いましたけれども、自衛隊は他国と同じ装備を持ってPKFに参加して、武器の使用もその正当防衛の範囲を決めて、集団での使用が不可避な武器も含むと。そういうことと、今の撤収の問題も日本だけじゃないわけです。  だから政府は、いわゆる五原則を設けて日本独自の条件のように言っていますけれども、武器使用、撤収とも日本独自のものたり得ない。結局、他国の派遣するPKFと同じじゃないか、こういうことを私は言いたかったわけなんです。  これまでの論戦で、この法案憲法違反であること、国民を欺瞞しようとしている矛盾だらけの法案であるということ、アメリカの要請にも沿って日米安保条約の地球的規模への拡大強化の一環であることが明らかになっています。どこから見てもこの法案廃案しかないということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  140. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 連合参議院を代表しまして御質問をしたいと思います。  一昨日は、対案を出されてみえる社会党の発議 者の方にすべての時間を質問いたしました。せっかくお見えになった首相以下大臣に質問しませんでしたが、きょうは首相以下御出席の大臣に御質問をさせていただこうと思いますので、よろしくお願いをいたします。  まず初めに、先回、対案を出されている野田議員に随分ぶしつけな質問を飛ばしましたが、けさの新聞に出ていることに関して、総理に、まことにぶしつけな質問でございますが、お尋ねをしたいと思います。  それは何かといいますと、私は対案を出されている野田議員に、社会党が出されている対案にほかの党が同調しない限り日本PKO活動への参加はあり得ないというお考えですかとお尋ねをしましたら、いやそうじゃない、自分のところの持っている内容でなければ絶対いけない、そういうかたくなな考えはないと。じゃ、三党合意はどうなんだというお尋ねをしましたら、三党合意についても実際に政府案では随分変わった形になってきたので、これは困ると思っている、こういうふうな御答弁がありました。時さの新聞、たしか読売新聞を見ますと、この政府の出されているPKO法案についてもこういう形で継続審議の見通しになるだろう、ついては関係者も大胆な修正をして次の国会に語ろうと思っているんではないかというような憶測の記事が出ておりました。  そこで、総理は、この参議院での本委員会の質疑の中で、現在出されている政府案といいますか、衆議院から回ってきた政府案について参議院でも通していただきたいと強く希望するという御姿勢であられましたが、こういう形できょうここに至って、総理自身はこの法案について修正、出直しというようなことをお考え忙なっているかどうか。私どもはそのことを願っておりますが、御通告を申し上げませんでしたが、まずお尋ねをいたします。
  141. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府といたしましては、さきに衆議院で御審議を願いました政府案が最善と考えまして提案をいたしたものでございますが、院の御意思によりましてその一部が修正せられました。修正せられました案が本院において御審議の対象になっておるわけでございます。  それで、その案につきましてさらに本院が院としての御判断を下されますということでございますれば、これはそもそも三権分立とはそういう原則のものでございますので、それは政府は院の御意思を尊重しなければならない。政府としては、当初の案を最善とは信じてまいりましたけれども、院の御意思がまたそれと異なったところにあれば、それはそれとして尊重申し上げなければならない、こう考えております。
  142. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私どもは、当初から実は政府の出された内容については、俗に言うPKFに関して懸念を表明しておりました。今すぐPKF、いわゆる停戦監視団以外の緩衝地帯での活動、そういうものに対して日本がこのような形で出ていくことは国民の多くの懸念もある、心配もある。しかも、周辺国においても心配なり懸念の表明が出されている。そのようなことを考えると、遠回りではあるかもしれないが、実は少しPKFの部分を除いて参加を考えるべきではないかというふうなことを申し上げてきたわけでございますが、けさの新聞にはその辺のことが大胆な方向転換というふうな言葉の中に秘められているように読み取ったわけでございますが、今の総理の御答弁で、私どもももう少し次の国会には考えていただきたいということを御要望として申し上げさせていただこうと思っております。  次に、先ほども吉川委員質問になっていたところ、時間が切れてしまったということなので、ちょっと政府委員にお尋ねをしたいと思うんです。これは通告をしておりませんが、先ほどの吉川委員と同じ質問になると思うんです。日本の国だけが中断して撤収できるかどうかということについては、これは例がないんではないか。  例えば、私もキプロスに行ってまいりましたが、キプロスでも確かに、一九七四年ですか、御指摘のときにはそういうことがありました。しかし、キプロスではデンマーク、カナダ、イギリス、オーストリアという四カ国のPKFが各ゾーンを責任を持って、いわゆる緩衝地帯を守っているといいますか、あるいは停戦監視を保持している、こういう状態の中で一つ派遣国の部隊だけが中断して撤収をするということになればその部分は必ず穴があくわけで、停戦ラインの確保はできないことはもう理の当然であるわけです。  そうしますと、その部分じゃなくて全ゾーンが停戦の合意なりそういうものが崩れて一時的に中断、撤収をしたような事態になったかもしれないが、現実に四つなら四つ出ている部隊一つが抜け出すということはあり得ない。スウェーデンがキプロスから抜け出したことは最近あります。しかし、それは必ずその抜け出した後の手配がつくまで配置について、しかもスウェーデンのPKFはその後ゴラン高原でしたかレバノンでしたかわかりませんが、新しい任務の地に移っているわけであります。したがって、日本が勝手に出ていく、日本部隊だけが抜け出すということはできないんではないか、その点御答弁をお願いいたします。
  143. 丹波實

    政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。  政府の側として従来御説明申し上げてきておりますところは、その前提が崩れた場合、任務を一時中断する、中断して様子を見る、こういう状態はまさに先生が御視察になられた七四年のときも各国がとった行動でございまして、あのときは一カ月程度でそういう事態が終わったものですから、各国は任務に復帰して従来のPKF活動を行い、それが今日まで続いているという状況です。  私たちが中断し、かつ撤収という場合は、例えばそういう前提がもう二カ月も三カ月もずっと崩れてしまって、結局サイプラスのPKFがやることの意味がなくなるという、そういう事態が現出した場合には日本も撤収すると、それは恐らく各国もやるであろうという意味で中断と撤収というものを時間的といいますか、一状況によって分けて考えているということでございます。  スウェーデンの場合は、確かに先生おっしゃるとおり、一九八七年にサイプラスから撤退いたしましたけれども、それは国連側と時間をかけて、国連が穴埋めの他国の部隊を見つけるだけの時間を与えて恐らく撤退したんだろうというふうに考えております。そういう意味で先生のおっしゃるとおりです。
  144. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 そうすると、撤退といっても時間的なあるいは状況的な問題があるということでございますが、このPKFの派遣の問題についてちょっと払お尋ねをしたいのでございますが、恐らく新しいところに日本が新しく出ていくという場合の手順ですね。それは恐らく受け入れる国の同意と日本が出せるという内容をあらかじめ国連の方が調整といいますか、それをする。そこでうまくいった場合に、仮にこの法案が根拠で出せるということになれば実施計画をつくる。実施計画をつくって、きのうの久保田議員の質問にありましたように実施要領をつくり、閣議決定を経て、そして国連と改めて派遣の協定を結ぶ。こういう手順になろうかと思うんです。  そうしますと、国連が一番最初に仲立ちになって相手国とのことからこちらの意向、さらに実施計画の内容その他を全部やって、最後に協定を国連と結ぶという場合に、その間、日本国民はあるいは私ども国会は何も知らない形で行くのでしょうか、その点をお尋ねいたします。
  145. 野村一成

    政府委員野村一成君) お答え申し上げます。  ただいま先生、この派遣の具体的手順を御説明いただきました。基本的にはやはり閣議決定で決める実施計画によって初めてその具体的な内容が決まるわけでございまして、それに至るまでの間、まず国連事務総長からの要請が行われますが、その後まさに我が国の参加するPKOの具体的な内容についての話し合いが行われまして、そこで閣議決定を行う実施計画という内容でもって初めて確定できるということでございますので、それを直ちに遅滞なく国会に報告する、そういう 仕組みにどうしてもならざるを得ないわけでございます。
  146. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 そうしますと、二つの点でまた心配になるわけですが、一つは、相手国が日本PKOを受け入れますという事前同意、これは国連の仲介というか仲立ちを経て国連がとってくれるという形になろうかと思うんですが、その場合には日本の実施計画のおおよその内容を知って同意しているかどうかわからないんじゃないかという心配が出てくる。つまり、日本PKOオーケー、よその国のPKO、これは困りますと。中身がなしでの同意になる可能性が多いんじゃないか。しかし、これまでの審議でも出ておりますように、日本PKOといっても、その中身がどういう形でどういう陣容でどういう装備で行くかということを、本当言えば同意国は十分知った上で本当の意味の同意を与える、あるいは困るという拒絶をするという問題があるのではなかろうか。その辺はどのようにお考えかというのが第一点。  それからもう一つは、今の御説明でわかりますように、最後の協定を国連と結んでも、私ども国会においてはよくわからないままということになると、これは、国会がいつになったらその内容についてタッチをし、単に報告を受けるだけでなくて、いろいろ確かめたり問い合わせをしたりするようなことができるのかといいますと、現行法案ではその機会がない。  翻りて考えてみますと五原則があります。しかし、五原則というのは、停戦合意ができて、相手国が同意をして、中立的な活動ができるということになって行くのが本来のPKOそのものであるとすれば、三つの原則は何も特別の縛りといいますか、足かせではないわけで、当たり前のことではないかと思われるわけであります。そうしますと、あとは武器の使用といいますか、コマンドといいますか、指図といいますか、その辺のことと、中断して撤退することがありますという日本の特別変わった風変わりな二つの条件があるだけです。そのことは、世界PKOの常識から見るとおやと思うようなことかもしれませんし、そうでもないかもしれませんが、あえて私はそのことは申し上げません。  そういう疑念を考えますと、なぜ国会承認が要らないのか、それでもなお。協定はもう国連と結んでしまって、そのときにはどういう人員で、どういう装備で、どういう形で行くか、しかもその費用の負担割合もどうするのかということまで全部協定で決まっちゃって、それでもなお国会には音さたない、それでも国会の承認が要らないというところについては何とも理解しかねる。  その点について二点、お尋ねをいたします。
  147. 野村一成

    政府委員野村一成君) 最初の一点について、私の方からお答え申し上げます。  当事国の同意について、同意は二つございます、PKO活動そのものについて、それから日本の場合、日本の参加についてでございますけれども、基本的には先生御指摘のようにやはり国際連合がそういった同意の点までもカバーすることになろうかと思います。ただ、そういったプロセスの中で、基本的にはあらかじめ紛争当事国の意向を打診しつつ、具体的なPKOの編成作業にかかっていくものであろうというふうに理解しております。日本の参加に対する紛争当事者の同意につきましても、基本的にはそういった国連紛争当事者の間で、紛争当事国の意向を踏まえつつ確認されるというふうに考えられます。我が国の具体的な業務の内容というのは、実施計画そのもので決めるわけでございますけれども、できる限り、私どもとしましては、今申しましたような国連の作業の過程で出てまいります紛争当事者の要望というのも、あわせて実施計画の中で十分に反映されるようにしていかなければならない、そういうふうに基本的には考えております。
  148. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 時間がどんどん迫ってまいりまして、私もほとんど時間を持たないんですが、この国連との協定を結んで、もしそれが例えば条約だとか議定書だとすれば、これは批准の対象になって国会の承認になる、これは当然のことですが、そのような大きなことではないと仮にして、それで協定が単なる国連とのメモの手渡しというものであるかというと、そうではない。やはり単なるメモの、わかったわかったという程度の意思交換をするような文書ではない。しかし、条約あるいは議定書のようなそういうものでもないとするならば、それについて五原則の歯どめがあると言われますが、この歯どめが今私の考えではほとんどきいていない。とすれば、国会の何らかの形のチェックといいますか、その方法をとるということは、シビリアンコントロールという側面からも大事なことかもしれませんが、国連との信頼関係を維持していく上でも、よい意味では大事なことではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
  149. 柳井俊二

    政府委員(柳井俊二君) 条約等の締結に関しますことでございますので、私の方からお答えさせていただきたいと存じます。  いわゆる条約と申しましても、いろいろな形式、内容があるわけでございまして、私ども、一般的にいわゆる拘束力のある国際的な文書を国際約束というような名称で呼んでおりますが、政府国際約束を締結する場合に国会との関係がどうなるかという問題が基本にあると思います。  また、いわゆるPKOに参加し我が国から派遣する場合におきまして、国連との間でどのような取り決めをつくるかということにつきましては、具体的な事案に即して決めるべき問題ではございますけれども、あえて一般論として申し上げますと、次のようなことになると思います。  従来、必ずしも国際約束という形でなくて選挙監視等に人員を派遣する、いわゆる日本政府の意図表明というような形でやってきたこともございます。ただ、国際約束を結ぶ場合にどうなるかという点につきましては、この点先生御案内と思いますけれども、昭和四十九年にいわゆる大平答弁という形で、政府が締結する国際約束のどのようなものを国会の御承認を経て結ぶかという点を整理した御答弁がございます。  これは、長くなりますので要点だけ申し上げますと、いわゆる大平答弁では三つの基準を挙げておりまして、いわゆる法律事項を含むもの、それから財政事項を含むもの、それからそのようなものは含まないけれども我が国相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束であって、それゆえに発効のために批准を要件とするもの、そのようなものにつきましては締結に当たって国会の御承認をいただくと。しかし、そうでないもの、すなわち法律の範囲内で、あるいは法令生言った方がいいかもしれませんが、政府の権限の範囲内で締結し得るもの、このようなものはいわゆる行政取り決めと称しておりますが、そういうものとして国会の御承認を経ることなく締結し得るというのが、この憲法解釈あるいは憲法上の慣行として整理されたわけでございます。  したがいまして、私どもは、このPKOに関する問題のみならず、国際約束締結の一般的な原則としまして、今までもこれを守ってまいりましたし、今後もこれを遵守していきたいと存じます。したがいまして、具体的な取り決めがつくられる段階におきまして、このような基準に照らして、先ほど申し上げたような基準に該当すれば国会の御承認をいただく、そうでなければ政府の権限の範囲内で締結をすると。しかし、その場合におきましても、通常は官報における告示という形をとっておりますけれども、その内容を公表するというふうにいたしておるわけでございます。
  150. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 もう全く時間がありませんので、終わります。また次の機会にいたします。
  151. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 私は、PKO法案を玉成した上で一日も早く成立させるべきだという観点から、まず総理にお伺いいたします。  PKO法案を国会に提出するに当たり、海部前総理衆議院の本会議で、武器の使用と憲法第九条で禁止されている武力の行使との関係を慎重に検討した結果、PKO要員の武器使用は、生命等の防護のために必要最小限のものに限ることを基本方針としたと答弁されております。この意味 は、生命防護以上の武器を使用することが違憲だという意味なのか、武力の行使が違憲という意味なのか、自衛隊の海外派遣自体が違憲という意味なのか、憲法のどの部分との関係で慎重に考慮されたとおっしゃられたのか、お尋ねいたします。
  152. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 法制局長官から、まずお答えいたします。
  153. 工藤敦夫

    政府委員(工藤敦夫君) もう委員御承知のとおり、憲法の九条におきまして武力の行使が禁止されているわけでございます。それで、その武力の行使につきましては、先ほどの委員会等で何回か繰り返して申し上げておりますのでもう繰り返しませんが、そういう意味で武力の行使に当たることをしてはならないということが一点でございます。それから、従来から申し上げておりますが、海外に武力の行使の目的を持って武装した部隊派遣する、こういうふうなことはそういう九条の趣旨からして許されない、かようにお答えしているところでございます。  そういう判断からいたしまして、今回の法案の二十四条におきまして、まず二十四条の三項だけで申し上げますと、自衛官が自己あるいはその近辺の要員の生命の防護等のために必要な範囲で行うということであれば、ただいまのような過去から積み重ねてまいりました九条に関する考え方、これに対して抵触することはない、そういう意味で二十四条の構成をそのようにしたということを申し上げたものと存じております。
  154. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 国権の発動としてではなく、例えば完全に国連指揮下に派遣された要員が入ったとしてもそれは憲法違反になりますか。
  155. 工藤敦夫

    政府委員(工藤敦夫君) 委員ただいまのお尋ねが、例えば国連のということで国権の発動ではない、こういう御趣旨がと思いますが、例えば今回の法案に則してお答え申し上げれば、平和維持隊といいますのはやはり参加に当たりまして各国の部隊、これが各国の主権に基づいて提供されているというふうなこと、あるいは参加する各国の部隊通常日常の具体的な活動の面では事務総長が任命した司令官の指図に従うということはありましても、部隊の規律等が派遣国の権限とされている、そういうものだと承知しております。そういうことからいたしますと、平和維持隊におきます各国の部隊行動、こういうものは国連活動であるという一面があると同時に、派遣した各国の行動である、こういう一面もまた否定できないものである、かように考えます。  そういう意味で、我が国から派遣されるということが我が国行動であるというふうな側面を否定できないという意味におきましてやはり国権の発動という側面を持っている、かように考えております。
  156. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 今回の法案に則してということではなくて、国連の要請に基づいて派遣した場合でも憲法違反になりますかと私はお尋ねしているんです。
  157. 工藤敦夫

    政府委員(工藤敦夫君) 今、委員お尋ねの場合というのを具体的にどのような場合をどういうふうに想定してお答え申し上げればよろしいのか、ちょっと私もお答えに窮するわけでございますが、ある行動我が国の行為として評価されるかどうかという側面から申し上げれば、それは例えば我が国から派遣されているものがそういう派遣されているというものの行動だけということではなくて、そういうものを我が国派遣する、派遣している、こういう点も含めまして総合的に判断をすべきである、そういうふうにお答えしたいと存じます。
  158. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 時間がありませんから、改めてゆっくりこの問題はやりますが、派遣するという意思があればこれは国権の発動という理解をされているということですね。この点だけお答えいただきたいと思います。
  159. 工藤敦夫

    政府委員(工藤敦夫君) その一点だけをとらえてどうこうということを申し上げるつもりはございませんけれども、明らかにそういうときの総合的な判断の一環としてそういう意思を持って派遣している、こういうところは判断の一環として当然入ってくるものと、かように思います。
  160. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 別の問題に移ります。  総理に伺います。  我が国憲法のことを平和憲法というようにおっしゃる方もおいでですけれども、私はいつもその言葉を聞いていてわからないのは、憲法の目的が平和を追求するというところにあるから平和憲法と言われているのか、九条で戦争放棄をうたっているから平和憲法とおっしゃるのか、その辺がどうも判然といたしません。そして、このPKO法案論議の混乱というのもその辺から生じているのではないかと思うんですが、総理は平和の概念をどうとらえておられるのか、お伺いしたいと思います。
  161. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 十分なお答えができないかもしれませんけれども、我々が憲法平和憲法と普通呼んでおりますのは、やはり過去の戦争の体験から、もうこういうことは二度とあってはならないというそういう思想を前文を含めまして、そしてそれを達成するための方法、九条等々でございますが、それを含めまして、またさらには、その平和が維持増進されるための基本的人権でありますとか自由でありますとかいうことを含めまして、そういうものを兼ね備えた憲法であるということを一言で平和憲法と呼んでおると私は思っております。
  162. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 外務大臣にお尋ねします。  今、総理から平和の概念あるいは理念というようなことに触れておっしゃられましたけれども、国際社会においてそれを実現するために我が国が果たすべき役割あるいは貢献というものについてどのようにお考えでしょうか。
  163. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 日本という国は、御承知のとおり、国際紛争を解決する手段として国権の発動による武力の行使や威嚇は行わない、これははっきりしているわけですね。しかしながら、この平和憲法は、私は原点をもう少しみんなで考えてみたらいいんじゃないか。もともと、先ほども質問があって申したんですが、確かに憲法ができたときは、私は、自衛隊ということは頭にあったかどうかと思うんですね。武装解除をやっている最中、昭和二十年から二十一年にかけて復員部隊は帰ってくるし、国連憲章というのはそれより少し前にできているんですね。国連憲章に書いてあることと平和憲法の前文というのはよく似ているわけですよ、読み比べてみればわかるとおりね。あるいは国連憲章に沿ったモデル国家的なものを占領軍が考えて憲法草案を起草したかもわからない。しかしながら、それから月日がたって朝鮮動乱というのが昭和二十五年に起きた。ということになると、やはり国連というものがあったんですけれども、その国連の目的どおりに国連軍もつくってみんながやろうとしているけれども、あのときは一応国連軍は出兵したんですが、なかなかその後はうまく動かない。そして、しかし日本の方は安保条約を二十六年に結ぶ。結んだときには自衛隊はまだないわけです。自衛隊ができたのは昭和二十九年ですからね。  ですから私は、その国連の考え方というものはやはり平和を目指していることは間違いない。日本憲法も平和を目指していることは間違いないんですから、国連のような考え方に近いことをやることは平和憲法趣旨には反しないんじゃないかというように考えられないこともないんであろう。私は、法律家じゃないから詳しいことはよくわかりませんけれども、こういうものはやっぱり一つの政治論なんですね。  ですから、自衛隊憲法違反だとおっしゃる方がある、憲法に書いていないじゃないかと。言われてみれば、憲法に確かに書いてはいない。政党という言葉憲法にないからね。政党法をつくるのは憲法違反だなんと言う人もあるんですよ。時代がどんどん過ぎちゃって四十年もたっちゃって、(「話が違うんだよ」と呼ぶ者あり)いやいや、そうじゃない。そこで、しかし、その憲法違反自衛隊といえども認めざるを得ないというように変わってくるんですよね、これは。仕方ないことなんですよ。ということになれば、じゃ自衛隊憲法違反とは言い切れない、合憲だと。だから、憲法からどうも読めないじゃないかということになれば、それじゃ読めるようにする方がいいのかなという議論が次に出てきたって不思議はないんですね、実際のところは。  だから私は、今、憲法改正の問題を持ち出すつもりは毛頭ありませんが、時代が変われば変わったように、憲法の精神がちゃんと守られていくということであれば、私は多少含みのある解釈があってもいいんじゃないかなというのが政治論です、政治論。皆さんのひとつ御批判を仰ぎたいと思っております。
  164. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 今、国連憲章のお話が出ましたけれども、法制局長官に伺いたいと思います。  例えば国連憲章四十二条、四十三条で言うような国連部隊に、実際に派遣するか否かは別にして、日本が今の憲法のもと、あるいは憲法解釈のもとで自衛隊派遣することが可能ですか、不可能ですか。
  165. 工藤敦夫

    政府委員(工藤敦夫君) この問題につきましては、過去においても私御答弁申し上げたことがあると存じます。  それで、そのとき申し上げましたことの繰り返しになるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような現在の憲法九条に関する我が国としての、当然我が国憲法につきましての解釈あるいはそれの適用の積み重ね、かようなものがまず国内問題といいますか、国内の考え方としてあるわけでございます。その一方におきまして、今度は国連憲章の方を考えますと、今、国連憲章の四十二条、四十三条というふうなお話が出ました。国連憲章の四十二条、四十三条に言いますいわゆる正規の国連軍というものにつきましてはこれまで実績がないわけでございます。  それからまた、それらの条文を見ますと、そこの中におきましていわゆる特別協定というふうなものをつくった上で参加する、かようなことになっております。また、特別協定の中には、私、今ちょっと条文を持っておりませんが、たしか三つの形態があり得たと思います。その三ついずれも提供しなければならないのか、あるいは三つのうちの幾つかを選択して、あるいは一つでも選択すればよいのか、そのあたりにつきましてもまず実体がございませんし、実例もないわけでございます。そういう意味におきまして、現段階におきまして明確にお答えするわけにはまいりませんと、かようにお答えしているのが従来のことでございます。
  166. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 国連軍への派遣でなくてPKO我が国が要員を派遣するについて、この物の考え方ですけれども、今まで政府説明の中には、我が国にふさわしいとか、応分のというような文言での説明もあったやに記憶しておりますけれども、そもそもPKO派遣するというのはどういう理念がもとになっているのか、もう一度改めてお聞かせいただけませんか。総理、お願いします。
  167. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) やはり最近の世論の高まりは、湾岸戦争であったと思いますが、国連安保理事会が事態の処理の前面に出てきた、これは初めてのことでございましたけれども、それで財政的貢献もしなきゃならぬ、しかしそれだけでは足りないだろう、人的に貢献しなきゃいかぬのじゃないか、外国からいろいろそういう批評があったことはもちろんですが、国民の間で議論があって、しかしそれにはできないことがある、憲法が許さないところがある、しかしそれなら憲法の許す範囲での人的貢献はできるだけしようではないかというのが発想のもとであったと思います。  したがって、その条件としては、まずこれは国連平和維持活動であるということ、それから関係者がみんなどうぞぜひと言われて、我が国が政治的に判断して、これはもうもとより平和維持活動でございますから、武力行使ではないというような条件のもとに我が国としての貢献をすることがやはり我が国憲法の定めた平和協調、国連協力というものに沿う方法であろう、こういう考え方であると存じます。
  168. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 最近、PKO活動というのはいわば国際公共財だというとらえ方をされる方がおります。日本は豊かになったから、金ができたから、だから貢献するというようなとらえ方をすれば恐らく欧米の理解は得られないんではないかという論を展開する方がおりますが、これについて総理はどのような感想を持たれますか。
  169. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かに、国連平和維持活動への協力は、これはいわば人的な協力でございます。もちろん多少の財政的な支出はございますけれども、しかしそれは金ができたからするしないということではなくて、国連のいわば熱心なメンバーとして、国連平和維持活動をするときはこれを自分の許す範囲で支援をすべきではないか、人的に協力すべきではないかということであって、それはその国の経済力と直接に関係のあることではない、私はその国の国民国連に対する協力の熱意いかんということであろうと存じます。
  170. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 国連憲章との関係だとか最近におけるPKO活動の実績を踏まえて言えば、軍事力とか戦力の機能というんでしょうか、側面を考えてみますと、これまでは自衛のための戦力とか軍事力とか、あるいは国際紛争解決のための軍事力という狭いとらえ方がされていたと思うんですけれども、昭和三十年代、当時法制局の仕事をされておりました林修三さんが、第三のカテゴリーがあるんではないか、つまりピース・メーキング・オペレーションズ、軍事力、戦力にはそういう側面があるんではないかということをおっしゃっておられたと思います。  それを考えてみますと、これまで政府がとってこられた憲法解釈ではどうしても乗り越えられない部分が出てきているということが言えるんではないか。したがって、この際、憲法解釈を従来の狭い範囲でとらえるんではなくて、第三のカテゴリーがあるという前提に立って見直しをする、整理をする必要があるんではないかと私は思いますか、総理の御見解を伺いたいと思います。
  171. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの最後のお尋ねで冒頭のお尋ねの意味が私にもはっきりいたしてまいりました。国連のもとであれば、いわゆる武力行使と言われることであってもそれは憲法が禁ずる国権の発動としての武力行使ではないのではないかという、なるほど最初のお尋ねの意味が今非常にはっきりわかってまいりました。  ここはいろいろ議論のあるところであると思いますし、委員と私とまた多少考え方が違っておるかと思います。私自身は、どういう場合であれ、我が国が、これは自衛隊ということになろうと思いますが、海外で武力行使をするということは差し控えるべきものであるというふうに考えております。
  172. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 時間が参りましたのでこれで終わりにいたしますが、大変断片的な質問や意見を申し上げましたけれども、私はPKO法案について言えば、国会承認のもと、または自衛隊PKO参加を本来の任務とする自衛隊法三条の改正によって、そして派遣部隊国連事務総長の一元的な指揮のもとに入るという観点からこの法案を根本的に見直した上で、できるだけ早く成立させるべきだということを強調して、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  173. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 地球は刻々平和の方向に激動しつつあるわけですが、私は、初めに総理に、PKO法案について質問をいたす前に次のことをお尋ねします。  韓国は核不存在宣言を行いました。これはもちろんアメリカとの了解のもとに行われたわけでありますが、私ども沖縄県民にとってうらやましい限りであります。これより先に、ブッシュ大統領は戦術核兵器の一方的廃棄を宣言しております。こうしたことから考えますと、アメリカのNCNP、いわゆる核兵器の存在を肯定も否定もしない政策は変更されたといって、いいのではないでしょうか。総理、韓国の場合は決して例外措置で はありません。そしてまた、日米間には事前協議制度があるからといって済まされる問題でもありません。  今日の核兵器をめぐる大きな状況の変化を踏まえて、沖縄にはいかなる核兵器も一切存在しないということをアメリカと交渉して明確に確認していただきたい。そして、沖縄県民を本当に心から安心させていただきたいと思うんですが、総理、いかがでしょうか。
  174. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 二つのお尋ねがあったわけでございます。  第一のお尋ねは、アメリカがNCNDという政策を放棄したかどうかということに関してでございます。この点は、もし間違っておりましたら実情を知っております者が申し上げますが、私はアメリカがNCNDという政策を放棄したというふうには考えておりません。  後段の問題は、我が国との間にはいわゆる非核三原則が、あり、事前承認という問題がございます。そのことについて日米間には信頼が保たれておると存じております。
  175. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 反論もいたしたいんですが、時間の都合で保留しておきます。  宮澤総理は、日本国際貢献のあり方について、民生に限っていたのでは十分な国際貢献を果たすことができない、苦労のあるところを避けるのはよろしくないとの趣旨答弁をしておられます。本当にそうでありましょうか。あたかも、PKFという軍事面の協力をしなければ日本国際貢献国際的に認めてもらえないと言わんばかりの発言は、とんでもないことだと思います。世界は、特にアジア諸国は、過去の悪夢をひとときとして忘れることなく、日本の軍事大国化を最も危惧しているのであります。我々もまた、過去の反省に立って、二度と過ちを繰り返さないことを誓っているではありませんか。  総理は、どうして民生に限っていたのでは十分でないと言うのでありましょうか。社会党案の非軍事・民生・文民のこの路線をどうして素直に受け入れることができないのでありましょうか、お伺いいたします。
  176. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは意見の分かれるところと存じますけれども、いわゆる停戦状態が実現いたしましたその後、これが本当の平和に入っていく、その部分はかなり難しい部分でございますし、またその務めは、後の民生関連に比較いたしますならばかなり厳しい部分でございます。我が国として国連平和維持活動に参画いたしますのであれば、その苦労の多い部分、これは決して武力行使という意味じゃありません、むしろそのゆえに苦労が多いのですが、苦労の多い部分もやっぱり受け持つべきではないかと私どもは思っております。  今朝でございましたか、社会党の案について御説明がありましたときに、その苦しい部分は悪いけれどもそういう国々に受け持ってもらって云々というお話がございました。そのところが、苦しいけれども、難しい部分でありますが、我々もそこは避けずにやはり仕事を遂行しなきゃならないんじゃないかと私どもは思うわけでございます。
  177. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 では、社会党案についてお伺いいたします。  これからが本当の日本国際貢献策を形成すべきときであります。我々は、今初めてそのスタートラインについたと言ってよいと思いますが、それだけにPKO協力法案の対案を提出されている社会党の責任は重いと言わなければなりません。私は、社会党が、政府はもちろん、その他の政党とも協力して、国民の総意に立ったよりよい国際貢献策を打ち立てるため積極的にイニシアチブを発揮するよう期待しますが、今後どのような取り組みを展開されていくつもりか、お聞かせ願いたいと思います。
  178. 野田哲

    委員以外の議員(野田哲君) 私どもは、国民合意の国際貢献策をつくるために、野党第一党としての責任を自覚して今回の提案をいたしました。  政府案も私どもの案も、まだ十分審議を尽くされていませんが、政府案の問題点と、そして各党が合意できる共通項はほぼ明らかになったのではないかと考えています。それは、業務の対象から軍事的な分野を除外して、そして派遣する要員から自衛隊を除けば、他の分野では各党の合意ができるのではないか、こういうふうに考えるものであります。  そういう立場で、合意できる分野で国際貢献策を早急にまとめていくように、合意の形成に私たちは努力してまいりたい、このように考えております。
  179. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今の社会党案の説明をお聞きのとおり、国民世論をかみ合わせ、民の声は神の声であるという言葉もありますが、この大事な主権在民の心からなる叫びを十分に聞いていないところに、かんかんがくがくと申しますか、いろいろと政府案に対する反論、非難があることを私は認めたいと思うのであります。よって、私の気持ちを率直に申し上げてみますならば、どうかこの政府案は廃案にする、いろいろと声はあるでしょうが、そういう謙虚な気持ちもお持ちになっていただきたいと思います。  次に、国民が政治不信を募らせる最大の理由は、平和憲法を遵守しない政府・自民党の態度にあることは、今さら申し上げるまでもございません。  宮澤総理、あなたは外務大臣のころ、次のように言っておられたことをお忘れになっておらないでしょう。日本は、戦争放棄を明確にうたった憲法をちゃんと持っております。これは恐らく世界史的な実験じゃないでしょうか。この実験は今後も続けていくべきだと私は信じております。これは総理のお言葉ですよ。  総理、あなたはいつこの考えを変えてしまったのですか。待望の総理となられた今こそ、このお考えを実践すべきであります。そして、その信念を忠実に守り、憲法を擁護し、自衛隊の海外出動をねらいとするPKO法案は直ちに撤回すべきであると信じます。国民は、そのことを宮澤総理に期待しているのであります。総理の勇気ある御回答を求めて、私の質問を終わります。
  180. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 当時申しましたことと私の今の考えは全く変わっておりません。例えば、自衛隊が違憲であると考える以外の立場は全部日本憲法に反する立場であるというようなことは、また私のとらざるところでございます。     ―――――――――――――
  181. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 合馬君から、午前中の同君の発言中に不穏当な言辞があり、速記録からその部分を削除されたい旨の申し出がありましたので、委員長としてはそのように取り計らうことといたします。  三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  182. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 次に、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、両案の継続審査要求書を議長に提出することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  183. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 多数と認めます。よって、さよう決定いたします。  なお、両案の要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  185. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) これより請願の審査を行います。  第一二号PKO協力法案及び国際緊急援助隊派 遣法の改正案成立反対に関する請願外三百八十九件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  187. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  国際平和協力及び国際緊急援助活動に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十七分散会