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谷畑孝君 非常に丁寧な御答弁で、本当にあり
がとうございました。
もう一度話を戻しまして、
宮澤総理、過日、この参議院で
PKOの
特別委員会が一段落して、ちょうどその明くる明くる日は日曜日ということもありまして、パールハーバー五十年、そして柳条湖事件から六十年ということで各地で記念式典があったり、そういうようなシンポジウムがあったわけですけれ
ども、私も地元の大阪に帰りまして幾つかのシンポジウムをずっと回ってまいりました。そのときに、多くの
皆さんが実は語っておったわけでありますけれ
ども、もちろん
PKO法案が一番大きな話題になっています。
そのときに印象に残っておりますのは、在日韓国人の
皆さんのシンポジウムにおける助言者といいましょうか、あるいはプロモーターといいましょうか、その発言というのが多くの
皆さんに非常に強いものを訴えておりました。ちょうど従軍慰安婦さんの訴訟というものもありまして、そのことと関連しているということもあったわけであります。
そこで、その人が語ったのには、私
どもは五十年でもない、六十年でもない、一九一〇年に
日本が日韓併合ということ、韓国、朝鮮からいえば植民地とされてしまったんだ。だから、五十年とか六十年でなくて、本当にそういう
意味では歴史が長いんだ、こういうことを実は語っていました。その中で、
宮澤総理の第三国人の発言ということも少し触れられておったわけですけれ
ども、その場合も、ただ単に言葉というだけじゃなくて、その言葉の持っている
意味なんですね。
例えば、
宮澤総理のこういう著書を見ておりますと、「それまで国内の治安は米軍と、丸腰にちかい
日本の警察とがあたってきたのだが、第三国人の横暴などには手が出せず」云々と、こうなるんです。これは、一九二三年に関東大震災というものが起こりまして、大きな火事にもなり、多くの死者も出るということもありました。ちょうどそのときに在日韓国人がそれに乗じて暴動を起こす、こういうことが流言として言葉がさあっと走りまして、そういうことで当時の官憲なりあるいはいわゆる民間が組織した自警団といいましょうか、そういう人々によって約六千人の在日朝鮮人の
皆さんが虐殺されたという歴史があるわけなんです。
これは、在日韓国人、朝鮮人の話をするに当たっては、必ずこれが
一つの原点になるんです。これはもちろん民族に対する差別であり偏見であり、そういう治安を乱すということの事実ということを見るんじゃなくて、いわゆるうわさ、こういうことになるわけでありまして、特に第二次
世界大戦が終わって、今
総理がおっしゃった第三国人の問題もそういうことと軌を一にする
発想になる。こういうことは在日韓国人、朝鮮人の
皆さんにとってみたら、
自分たちは侵略もされ植民地化もされ、それはやはり許せない、こういうことに実はなるのじゃないか、こう思うんです。
私
自身も、実はこの問題につきましては、何も古くからかかわり知っているというわけじゃないんですけれ
ども、たまたま私の大学時代の同級生が、幾ら大学を出ても勉強ができても、就職ができない、こういうことをお互いに語っておったことが、私にとってみたら初めての出会いといいましょうか、在日韓国人、朝鮮人問題の私
自身にとって
一つの契機になったことなんです。今その友達は、民闘連といいまして在日韓国人、朝鮮人の民主的なことを発展させるためのリーダーとして頑張っておるわけでありますけれ
ども、その
皆さんからいつも教えてもらっているわけなんです。
そこで、私もこの間、やっていることの中で幾つかの疑問を感じておるんですが、今から二十年前に住宅問題というのが
一つ起こりました。それは、
外国人については一切マンションだとかアパートを貸さない、こういうプラカードがつけられたり、そういうことが実は大阪で起こりまして、あるキリスト教徒の
団体の
皆さんが、これは非常に大きな問題だと。大阪で生野、猪飼野というのは
日本でも一番多く在日韓国人、朝鮮人の方が住んでおられるところなんですが、そういうことからいろいろと
議論をしていきますと、公営住宅には在日韓国人、朝鮮人は当時入れない、実はそういうことがあったわけであります。
そういうことから、住宅入居の問題だとかあるいは就職、例えば郵便局にも
外務員として入りたい、しかし入れない、こういうことがありまして、私
どもは一生懸命にキリスト教の
皆さんやそういう在日韓国人、朝鮮人の
皆さんと
一緒になりまして郵便局もよく行きました。そういう中で
外務員もようやく就職ができるようになってきたんです。そういう問題というのはたくさんあるわけなんですね。
過日、私
どもの矢田部先生なりあるいは田先生の方からも戦後補償の問題ということで
議論をされました。そして、確かにそれは国同士の話では決着はついておるということなんだけれ
ども、しかし個人における請求権ということについては、これはまだ放置されておるんだ、こういうことでありました。そのとき、また
外務大臣は、いやそれはもう
財政の問題も
皆さんに負担を願わなきゃならぬ問題で、これはもう大変な問題なんだと、こういうことも実はおっしゃいました。しかし、私が言いましたように、幾つかのそういう問題が大きな
一つのネックになっておって、これがやはり
アジアの多くの
皆さんが
自衛隊の
海外派兵についても敏感に反応し、
経済大国になった
日本に対してもそういう反応が実はあるんだと。ここが非常に僕は大事な問題じゃないかと思うんです。
だから、ただ単に
財政がこうだからということで木で鼻をくくったようなことでは、ごれはやっぱり解決できないんじゃないか。いつかはこの点をしっかりと見きわめて、私はこの
国際貢献というところにいく必要があるんじゃないかと思うんです。
そこで、もう一度
総理に、申しわけないんですが、第三国人というそういう言葉じゃなくて、さまざまな歴史を持ったそういう背景がそういう関東大震災のことも含めてあるのではないかということを私は思っておるわけでありまして、その点、しつこいようでございますけれ
ども、ひとつ
総理にお願いをいたしたいと
思います。