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矢田部理君 二つ問題があります。
戦争という状況がありましたからイラクは不承不承同意という形はとりました。押しつけられた形の同意なものですから非常にこれが不安定だった。これをどう見きわめるのかが第一点の問題です。
それから、この
法律は中立性の
原則、偏ることなくという。これはキプロスなどの場合にも偏り方、偏ることなくということが非常に微妙であり難しいのでありますが、例えばイラク・クウエートのUNIKOMの例をとってみましても、停戦監視に武装部隊も行ったのでありますが、
アメリカ、イギリス、フランス、いわば多
国籍軍を形成した
戦争の一方の当事国が監視団の
中心になる。これが中立と言えますか。こういう問題を実は全部はらんでいるのであります。
特に、最近は内戦型の課題で、それが国際的な性格を帯びておると、そこに入るという場合には、停戦であれ合意であれ同意であれ、非常に微妙なあるいは複雑な問題をはらんでおる。停戦になったから撃ち方やめて四海波静かになったなどという内容では必ずしもない。いろんな武装勢力が
方々におって、どれを当事者にするかどれを当事者にしないか、
国連が認めた
原則と一緒なのか一緒でないのかなとな
ども含めて物すごく議論すべきことが多いのでありますが、きょうは時間がないから若干の典型例を幾つか挙げて申し上げましたけれ
ども、これは大変な問題をはらんでいるということだけを指摘しておきたいと思います。
そこで、次のテーマでありますが、
国連の指揮権を私
ども日本の指揮権がどうしてもやはり衝突する。きのういろいろな議論をしました。きょう統一見解なるものを出されましたが、つい二十分ほど前に出されたばかりでありますからこれを子細に検討はいたしておりませんけれ
ども、随分いろんな問題を答弁自身にはらんでおります。したがって、これは本格的にさらなる議論をしなければならぬと思っておりますけれ
ども、いまだにきのうの
宮澤さんの答弁ともきょうの答弁書は違います。答弁書を子細に検討して改めて本格的な論戦をしなければならないと考えております。
例えば、
我が国の法令では、違反行為に対し懲戒権等何らかの強制手段を伴うのが指揮監督の通例だと言っております、きょうの答弁書によりますとですよ。しかし、これは一般行政職に当てはまる概念でありまして、きのうも幾つか指摘をした。時間がないからはしょって申し上げましたけれ
ども、消防だとか、それから災害救助だとか検察、警察だとか、あるいは各国の軍隊、これはむしろ指揮監督権と処分権を分離している方が通例なのでありまして、こういうごまかしの答弁をやっちゃいかぬのであります。などなどを含めまして、ちょっと見ただけでも多くの指摘点がありますが、あと四分しか時間がありませんからその指摘にとどめ、今後本格的にこれは問題にしなきゃならぬということを申し上げて、次の問題を大急ぎで指摘しておきたいと思います。
これは、きのう、
国連のPKOに対する方針と
我が国の対応の仕方に随分乖離がある、衆議院レベルでいろんな議論が出ましたし、矛盾がはっきりしました。乖離の重立ったものは、指揮権の有無、二番目には武力の行使と
武器の
使用とのかかわりに関する開きであります。そして、三番目には業務の中断その他にもあろうと思いますが、一番大きな開きはそこにあろうと思うのであります。
これから
日本が本格的にPKO
活動に乗り出していくということでありますなら、この
国連との違いをどうやって調整するのか、はっきりさせるのかということをしなければこの
法律は基盤が固まりません。その点で、
我が国の基本方針に関する
国連への説明等についてという文書が外務省から出されました。非常に不十分です。中間報告の段階で
国連に報告したと言っております。だから、第一にはこの中間報告をここに出していただきたい。
それから二番目には、五
原則を説明したと言われておりますけれ
ども、この五
原則のうち、例えば部隊の撤収の問題につきましては、業務の中断が明確に説明されたとはなっておりません。一番大きな問題は、業務の中断について
我が国は独自にやれるということなんであります。勝手に撤収、撤収というか仕事をやめることができる。こういうことを勝手にされては困るというのが
国連の立場なのでありまして、この点についても不明確であります。等々、SOPをめぐるさまざまな違いや食い違いが出てきていることも事実でありますから、本来ならば、本格的に
審議をやるとするならば、私は、
国連のデクエヤル事務総長なりグールディング事務次長なりにここへ来ていただいて、きちっと
国連との
関係を明確にしていく必要がある。あるいは
国連に調査団を出して、国会は立法府でありますから、立法上の責任を
国連との
関係で明確に果たす必要があるというようなことも考えますけれ
ども、その前提としてSOPその他の文書を緊急に出していただきたいと思います。
その他申し上げたいことがありますが、あと一分であります。
野田さんに最後に伺っておきたいと思います。
きのう、きょうの論議、まだ駆け出しのほんのちょっぴりであります。私が準備したのも三分の一か四分の一程度しかまだ
質問をいたしておりません。しかし、
政府と私
ども社会党が出した
法案との間には非常に大きな特徴点の開きがあり、
政府側の矛盾が非常に明らかになったというふうに私は思いますが、最後に
野田さんの方から、きのう、きょうの論議を聞かれて、どういうふうな受けとめ方をされたか、簡単に
お話しをいただければと思います。