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高桑栄松君 私の方でもう少し正確にお話しします。国庫負担が四百六十八億円とおっしゃっていた。これはまあそうでしょう。メーカーは田辺が五百億、武長、チバガイギーで四百五十億、計一千四百十九億円です。スモンのときはそれだけ出している。どうしてこのエイズの、血友病患者という、本人がやむを得ず注射をしなければならなかった、血液凝固製剤でうつった人に対して、たかが三億だか四億でいいんですか。
もう
一つは、発症者だけに月額二十二万一千円を出している。発症しない人はゼロなんです。もらいたいのは陽性者ですよ。しかし陽性者は息を潜めているんです。名のり出るのもはばかっているわけだ。この
人たちに対して一銭も出ていない。しかも、エイズ感染をしたときのその
人たちのストレス――息を潜めている、生きていくのがやっとなわけだ。そういう
人たちには発症しなければ出さぬと言っているわけだ。フランスは違うようだ。しかも血友病だけじゃない。輸血感染も入れている。我が国は輸血感染も絶対にあるんですよ。いいですか。僕の言う前からあるんですよ。私が言った後は輸血感染はなくなったと僕は信じていますけれ
どもね。信じているというのは、そうでない部分があるということを言っているんですよ。余り言うとみんなもう不安になるからね。僕はそれを言っている。
ついこの間、法政大学の教授が自殺しました。五十二歳です。十二月八日、真珠湾のときだね、これ。
山下さんという方が英国留学をして、途中で体調を崩して帰ってきた。エイズだと思ったわけだ。テレビの取材で同僚が言っていますよね。言いにくそうにして、何だかエイズみたいなつもりのようでしたと。話を総合しますと、二回検査をしてマイナスであった。化学的にはそれでいいと僕は思うんだけれ
ども、本人はどうしても不安だったんでしょうね。奥さんと別居していた。そして自分は自殺をした。奥さんが、何か電話があったんで行ってみたら、死にかかって、死んでいないと思って奥さんは――悩んでいた、別居していただんなさんでしょう、かわいそうだと思って刺したと書いてある。しかし生体反応がなかったから、死後刺したんだということがわかった。
これはエイズのストレスですよ。生きていかれないんだよ。だから、外国ではエイズ患者に対して、要するに安楽死協会だ、エイズ患者が安楽死を希望するんですよ、もう生きていられない、希望がないと、そう言っているんだから。オランダで十一名かの患者を医者が黙って安楽死させたのがあるんだ、新聞に出たからね。もう何年も前ですよ。我が国が肝炎だとかなんか言っているころじゃないですか。向こうはもう既にエイズで死んでいくのを安楽死させているというのが出ましたものね、医者がですよ。結局は不問に付されたようだよ。
ですから、私が
厚生省に言いたいのは、なぜ発症者だけに限っているのか。陽性者は全部数えと。エイズ患者さんの代表は私には言っていました。いや、私だけにじゃない。
名前を挙げれば、小沢辰男さんも一緒でした。自分
たちは名のり出られないんだな、やっぱり。それはそうだと思う。でも、これだけ苦しんでいるんだから国は補償してもらいたい、国の責任があるのではないかと言っていました。
これからは、今度
大臣に
お願いしたい部分でございます。だから、私はこう言ったんですよ。私は
厚生省の若干味方をするんだよね、皆さんは仲間なものだから。
厚生省の言うのも、病気である人に金がかかるから出すと、これはもうちゃんとした理屈だと。しかし、ない人というのは、本人はいつ発症するか、発症したら希望のない人生になりますからね。だから、準ずる形の補償ができないかと。変な言い方ですけれ
ども、例えば半分、そういうことでもできないのかと。全員入れたって二千人いないんですよ。大したことはないんだ、人数で。
そして、二度と血友病患者からは新患者が出ないはずだ。肝炎のためにやった加熱製剤がエイズに有効だからですよ。そうじゃありませんか。エイズには効いてもかえって肝炎はだめかもしれませんよ。だって、肝炎は百二十度に熱しなきゃ死なないんだから。そうでしょう。それでディスポーザルになったんだから。注射器も全部捨てているのは百二十度でなきゃ有効でないからだよ。エイズは百度でいいんだから。加熱製剤は六十度でしょう。六十度で何日間か。もう今や七十二時間だかなんか。それは、あなたの言うたんぱく変性を起こすからだ。だから六十度以下でなきゃだめなわけだ。それで五時間や八時間じゃだめだと、初め七時間とかと書いてあったけれ
ども、実際聞いたら七十何時間、もっと聞いたら十日間とかとあって。ですから、あなたのおっしゃる肝炎は今のパストリゼーションを時間を幾ら延ばしたって死なないんじゃないかと僕は思いますよ。有効であるのはエイズだけですよ。僕はそう思う。自分で実験しませんからわかりませんが、頭で
考えればそうですよ。
ですから、あなたのおっしゃる肝炎が偶然にもエイズに効いたわけだ。しかし偶然でもいい、効いだということは私はよかったと思っています。法政大学のお方のこと、触れた方がいいかな。しかも、エイズにはサイレントエイズというのがあるんだよ。何遍マイナスであっても、出ないだけでウイルスがあるかもしれない。だから、一〇〇%はないですよ。だから自分は不安で不安で、マイナスが二度でも、ああと思って死んだんじゃないでしょうか、亡くなったんじゃないでしょうかね。それはかわいそうだ。
まあ、これはこれでいい。しかし、血友病は国に責任がある、
医療の責任は国が負っているんだから。安全な血液を供給しなかった。それは未知であったときでも、起きたら道徳的な責任を負ってもらいたい。未知だからほうっておけというんじゃないと思う。そして、いずれはそういう人は発症したら理論的に間違いなく死の道をたどるんですからね。それはやっぱり見込みがなければ自殺した方がいいとひょっとしたら思うんでないかな。健康な人にはわからない心理かもしらないです。そういうことです。
ですから、私は今はっきり申し上げたいのは、ただ申し出る人がいるかいないか。だって、陽性者に対しては、あなたは陽性だと言わないと言っているんだからね、そうでしょう、血友病には。だれかも知らぬが四〇%だとかと言っているというんだ。ひょっとしたらおれはうつったんじゃないかと思い込ませているわけです。そして発症したときに初めてあなたがというのがわかる。私は、血友病患者に私は大丈夫がもしらぬがかかっているかもしらない確率四〇%だと思って暮らさせるよりも、全員にやったらいいと思うんだ。知れてますよ。日本の財政がつぶれるわけじゃない。こんなときに湾岸援助の金を言いたくないけれ
ども、ああいうものから見たら問題にならぬじゃありませんか。まず我が国の福祉優先ですよ。僕はそうだと思う。しかも、医者の立場としてはこういう人を見逃せない。
厚生省の責任は僕は絶対あると思っています。今まで少し遠慮していましたけれ
ども、きょうは、あれだけ新聞に出て、日本だけが知らぬ顔していると、日本には科学者がいないのか、国会にはそれに匹敵する人物がいないのかと。はばかりながら私は少しは知っているつもりだ。だから、この責任は僕は問います。出さない限り出すまで僕は
質問し続けていきます。いいですか。
今の加熱製剤は肝炎でやったとおっしゃるから、偶然にエイズに効いだということを今大体お認めになったようだ。百度で死なないんですからね、肝炎は。百二十度なんだ。だから、みんな注射器でも全部ディスポーザルにしたのは肝炎のためです。そうなんです。だから、そんな六十度七十二時間なんていったって死なないと僕は思うな。知りませんけれ
どもね、死ぬかもしれませんけれ
どもね、わかりません。しかし、エイズがやっとやっとのところでないかな。それでも加熱製剤でも感染したとアメリカでデータが出ているんですよ。僕は持っているんです。それでも出るかもしれないんです。
そういうものなんだから、私は今の段階で
考えると、患者さん方の希望を僕はよくのみ込めなかったんだけれ
ども、陽性者に出してくれと言っていたようだったけれ
ども、陽性者で息を潜めている
人たちに、あなたは陽性だと告知できるのか。告知することは医者にとってもきついと思うんだ。そのときからこの人は
社会から疎外されるかもしらない、そういうものなんだ。だから息を潜めている。発病すれば病院にかからなければいけない、だからこれは名のり出ているわけだ。
だから
大臣、私、ここで
考えが少し変わったです。しゃべっている間にね。やっぱり患者は二十二万一千円そのとおり出してもらいたい。残った凝固製剤を間違いなく加熱をする以前に受けた人――以後はいいんですよ、以後はもういいと思うんです。仕方がない、どこかで区切るから。それは帳面見ればわかるんだから、この人は以前に受けたか以後に受けたか。以前に受けた人は全員、あなたが陽性であろうがなかろうが、例えば半額、僕は額はわからないです。僕は経済はだめなんです。わかりませんから、金額は
大臣お任せします。半額なら半額。そして全員に出してあげる、あなたは陽性でないかもしらぬ、陰性かもしらぬけれ
ども、国としては申しわけないという気持ちを含めて。いいと思うんですよね、それは国が責任認めたくなかったらいい。しかし道徳的責任、道義的責任は国はしょってもらいたい、そう思っているんです。医者も患者もわからない病気なんだから。未知であったときでもいいです。日本
厚生省は未知であった期間が長かったと僕は思いますが、そう思います。
時間になっちゃったもので、
大臣、私もっとあったんですけれ
ども、もう一問の五分の一ぐらいでございますが、
大臣に本当に
お願いしたいのはそこです。患者に出すのはそのとおり、発症者。そうでない人は、加熱製剤を最初から受け出した人は除外してもいいです。それ以前の人は例えば半額、例えばでございますから、患者さん方の希望はよくわかりません。全額と言っていましたけれ
ども、私はそれは無理だろうと言ったんです。だって病気になっていないんでしょうと。だから、そいつは何とか
大臣努力してもらいたいんだな。
この続きは別な機会にまたさせていただきます。
大臣、前の航空機のときと同じように、私の思いを何倍もひとつ含めて
大臣の御答弁いただきたいな、
お願いいたします。