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1991-11-20 第122回国会 参議院 環境特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十一月二十日(水曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         安恒 良一君     理 事                 石川  弘君                 森山 眞弓君                 西岡瑠璃子君                 広中和歌子君     委 員                 石渡 清元君                 大島 慶久君                 木宮 和彦君                 須藤良太郎君                 原 文兵衛君                 真島 一男君                 久保田真苗君                 清水 澄子君                 堂本 暁子君                 西野 康雄君                 高桑 栄松君                 沓脱タケ子君                 中村 鋭一君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣  中村正三郎君        (環境庁長官)    政府委員        環境政務次官   平野  清君        環境庁長官官房  森  仁美君        長        環境庁企画調整  八木橋惇夫君        局長        環境庁企画調整  柳沢健一郎君        局環境保健部長        環境庁自然保護  伊藤 卓雄君        局長        環境庁大気保全  入山 文郎君        局長        環境庁水質保全  眞鍋 武紀君        局長    事務局側        第二特別調査室  宅間 圭輔君        長    説明員        警察庁交通局交  武居 澄男君        通企画課長        環境庁企画調整  加藤 三郎君        局地球環境部長        厚生省生活衛生        局水道環境部水  藤原 正弘君        道整備課長        厚生省生活衛生        局水道環境部環  浜田 康敬君        境整備課長        水産庁振興部振  石田 周而君        興課長        水産庁振興部沖  澁川  弘君        合課長        水産庁海洋漁業  森本  稔君        部遠洋課長        通商産業省通商        政策局経済協力  中村 利雄君        部経済協力課長        通商産業省通商        政策局経済協力  奥田 真弥君        部経済協力企画        官        通商産業省立地        公害局環境政策  若杉 隆平君        課長        運輸省鉄道局業  村上 伸夫君        務課長        建設省都市局都  伊藤 英昌君        市緑地対策室長        建設省河川局開  荒井  治君        発課長        自治省財政局交  田村 政志君        付税課長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (水俣病総合対策に関する件)  (我が国地球サミットヘの取組みに関する  件)  (長良川河口堰建設問題に関する件)  (政府開発援助における環境保全方策に関する  件)  水道水水質基準に関する件)  廃棄物最終処分場の確保に関する件)  環境保全のための経済政策に関する件)  自動車排出窒素酸化物対策に関する件)  捕鯨問題に対する我が国対応に関する件)  流し網漁業に関する件) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから環境特別委員会開会いたします。  議事に先立ち、中村環境庁長官及び平野環境政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。中村環境庁長官
  3. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 去る十一月五日付で環境庁長官及び地球環境問題担当大臣を拝命いたしました中村正三郎でございます。  環境特別委員会開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げさせていただきたいと思います。  昭和四十六年、公害防止自然環境保全を求める国民の大きな期待の中で発足した環境庁も、本年七月をもってはや二十周年を迎えました。この間、環境問題は環境に対する人々の意識の高まりとともに多様化、複雑化し、二十一世紀を目前に控えた今日、環境行政は大きな転換期を迎えております。  中でも地球温暖化オゾン層破壊熱帯林の減少、有害廃棄物の国境を越える移動などの地球環境問題は、人類の生存基盤に深刻な影響を与える問題であり、各国が持てる英知を結集し、一致協力して取り組んでいかなければならない問題であります。高度な経済活動を営み、地球環境に大きなかかわりを持つと同時に、公害防止などの分野ですぐれた経験技術力を有している我が国は、率先してその国際的地位にふさわしい役割を積極的に果たしていく必要があります。  とりわけ、明年六月にブラジルで開催される環境開発に関する国連会議いわゆる地球サミットは、地球環境保全に関する具体的方策につき合意を得ることを目的とする極めて重要な国際会議であり、我が国は、南北間の橋渡し役を果たすなど、会議成功に向け積極的に貢献することが肝要であります。私は、地球環境問題担当大臣として、本件に関し、政府一体となった取り組みが図られるよう強力なリーダーシップを発揮してまいる所存であります。  他方、国内の環境状況を見ると、自動車交通量増大とそのディーゼル化を主たる原因とした大都市地域における窒素酸化物による大気汚染問題、湖沼などの閉鎖性水域中小河川における生活排水による水質汚濁問題、さらに都市部中心に深刻化している廃棄物問題といった都市生活型公害が顕在化しております。また、さまざまな有害化学物質による環境汚染にも十分注意を払っていかなければなりません。このような身近な環境問題への対応環境庁に課せられた重大な使命であります。これらの問題については、自動車の排出する窒素酸化物の総量を抑制する方策の確立や生活排水対策の一層の拡充などを通じて、国民の熱い期待にこたえるべく環境庁長官として全力を傾注してまいる所存であります。  もとより、こうした都市生活型公害地球環境問題は、経済構造国民一人一人の生活あり方そのものに根差す問題であり、その解決を図るためには社会経済システムを幅広く見直し、環境への負担の少ない社会を形成していくこと、すなわち環境保全型社会の形成に取り組んでいくことが重要であります。  さらに、豊かな自然や貴重な野生生物を守り育て、後代に伝えることも私どもに課せられた重大な使命であります。自然との触れ合いを求める国民のニーズの高まりにこたえるため自然の保護と適切な利用を推進するとともに、同じ地球に生きるものとして、他の生き物と共存していくという視点から野生動植物の種の保存に努力してまいります。  また、水俣病問題の早期解決環境行政重要課題の一つとして取り組んでまいります。平成四年度から、水俣病問題の早期解決を図るための総合的な対策が実施に移されるよう鋭意検討を行っております。  以上申し上げましたような山積する環境問題とその課題の変化に的確に対応していくためには、今後のあるべき基本的な環境法制につき引き続き検討していくとともに、環境庁組織体制の一層の充実強化に努めていくことが必要であります。  これには、委員長を初め委員各位の御理解と御協力が不可欠であります。皆様方の今後の一層の御指導、御鞭撻を心からお願いいたしまして、私のあいさつとさせていただきます。よろしくお願い申しあげます。(拍手
  4. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 続きまして、平野環境政務次官からごあいさつがあります。
  5. 平野清

    政府委員平野清君) おはようございます。  十一月六日付で環境政務次官を拝命いたしました平野清でございます。  申すまでもなく、この地球環境問題は大きな世界的な課題となってまいりました。また、国内的には大気汚染水質汚濁並びに自然をいかに守り抜くかということが大きな政策課題となってまいりました。  私は、微力ではございますが、環境庁長官を補佐し、この環境行政全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。  委員長初め委員先生方の御指導、御鞭撻をお願い申し上げてごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手)     ―――――――――――――
  6. 安恒良一

    委員長安恒良一君) それでは、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。石川弘君。
  7. 石川弘

    石川弘君 委員派遣報告を申し上げます。  去る十月三十日から十一月一日までの三日間、公害及び環境保全対策に関する実情を調査するため、安恒委員長西岡理事及び広中理事石渡清水沓脱の各委員及び私、石川の七名で、山口県、福岡県に行ってまいりました。  日程の第一日は、宇部市の真綿河川公園小野田市の緩衝緑地に見られる都市公害防止対策及び宇部興産株式会社中国電力小野田発電所企業公害防止対策の各状況を視察した後、山口県庁において山口県の環境行政概況説明を聴取いたしました。  第二日は、秋吉台国定公園において自然公園管理状況を視察した後、福岡県に移動しました。まず、北九州市役所において同市の公害防止対策状況について説明を聴取した後、大気汚染監視網公害監視センターを訪問し、さらには洞海湾水質改善状況を洋上から視察いたしました。  第三日は、福岡県庁において福岡県の環境行政概況説明を受け、玄海国定公園志賀島において自然公園管理状況を、また福岡市の東部(伏谷)廃棄物処分場を視察いたしました。  以下、これらの調査事項のうち主要な点について報告いたします。  まず、山口宇部地区及び北九州地域公害防止対策について述べます。  宇部北九州地区環境基準達成状況は、両地区とも硫黄酸化物等汚染物質については、全般的に改善され比較的良好に推移しておりましたが、光化学オキシダント浮遊粒子状物質あるいは都市内中小河川湖沼のBOD、CODなどについては環境基準適合率等が依然低い状況で推移しております。また、都市化の進展、生活様式多様化に伴い、大気汚染自動車交通公害生活排水による河川水質汚濁廃棄物処理など都市生活型の公害が顕在化しており、なお一層の対策を推進する必要があるとされております。  両地区とも戦後復興期昭和三十年代の高度経済成長の過程で公害問題が大きくクローズアップされ、自治体企業中心として公害防止対策を積極的に推進してきた経験を持っております。  字都市について見れば、戦後の復興期石炭消費量増大から、ばいじんによる大気汚染が著しく、かつてはばいじん汚染の町とも言われておりましたが、宇部方式という自治体独自の自主的な規制で、一たん失われかけた青空を復活させ、公害未然防止成功したとのことであります。  宇部方式は、学者と自治体住民企業の四者の話し合いにより、発生源対策を最優先とした公害未然防止を図る法律に頼らない地域ぐるみの自主的な公衆衛生学的組織活動であるとされており、この体験に基づき、山口県では、昭和四十七年の公害防止条例全面改正に当たって、宇部方式の理念を導入し、県下宇部並びばいじん汚染の町と言われた小野田、美禰、またガス汚染の町とも言われた徳山、新南陽、防府の各都市とも対策を順調に進展させたと言われております。  宇部市では、これに加えて、市民行政一体となった緑化運動への取り組みがさまざまな形で大きく進展し、現在では、市内の公園、広場、街路などに彫刻百二十点が設置され、町全体が青空美術館となり、道行く人々を和ませる都市景観が形成されております。今回訪問した真綿公園は、彫刻の散歩道のある河川公園として都市河川水質浄化対策推進市民の関心を高めることに寄与しておりますが、平成三年度都市景観百選に選定され、建設大臣賞を受賞されております。  北九州市は、戦後の高度成長期には七色の煙に覆われた空と魚のすめない死の海とも言われた洞海湾に代表される公害に汚染された町でありました。このうち大気汚染については、省エネ燃料転換施設開発等により大幅に改善され、現在は星空の町と呼ばれるに至っております。  洞海湾水質改善は非常に困難なものでありましたが、工場排水対策下水道整備中心とする生活排水対策湾内有害物質を含む底質の除去について自治体、国、企業協力によって浄化対策が進められました。昭和四十八年から五十一年の間にしゅんせつ工事を実施した結果、湾内測定点水質環境基準に適合するに至り、現在湾内には百十五種類の魚介類生息が確認されるほど回復しております。この成功は、単に防止装置を実施したからではなく、企業の側もまた行政の側も合理化省エネ等々に体系的に取り組んだことにあるとされ、この方式北九州方式と称されております。  北九州市では、この後昭和五十七年七月、産官学の協力により財団法人北九州国際研修協会を設立し、以来、公害防止技術移転を図り、発展途上国産業環境対策にプラスとなるような研修コースを初め、みずからの経験国際間の協力にまで進めております。この北九州市の成果に対し、国連環境計画、UNEPからは一九九〇年にグローバル五〇〇賞を授与され、その功績がたたえられております。  これら両地区経験は、今後の環境保全対策の新しい課題に対して寄与することが期待されております。  次に、企業公害防止対策について申し述べます。  字部興産株式会社石炭貯蔵集積業務を営むコールセンターは、敷地四十万平方メートル、宇部市の埋立地、沖の山に立地し、貯炭能力は二百万トン、年間取扱量は六百万トン、主として豪州、中国からの海外炭を貯蔵し、宇部興産企業内のセメント部門中国電力などに供給しております。  環境対策としては、粉じんのオイル・コックス・カバーと糊化剤による安定化とあわせて、徹底した水による対策と、その水の排水対策を二万五千立方メートルの沈殿池を設けあわせ行っております。さらに、敷地面積の一〇%を緑化しております。  中国電力小野田発電所は、出力百万キロワットの大容量の石炭専焼火力発電所年間稼働実績最大七十八億五千万キロワットアワー、運転状況は全国の石炭火力発電所平成二年度で稼働率は第一位、効率実績は第三位であります。  環境保全対策としては、大気関係では脱硫装置脱硝装置電気集じん機を、排水関係では凝集・沈殿・ろ過・中和方式処理装置を設置し、騒音関係では低騒音型機機を採用し効果を上げているとのことでありますが、本発電所は対岸の住宅地から約二百五十メートルに位置し、夜間四十ホン以下を保つために苦心を払い、また敷地内の緑化を進め、緑化率は二四%であります。発生する百六十五万トンの石炭灰処理については、半分は建築材料などに有効利用されているものの、残る半分は船で搬出し埋立処分しております。  次に、自然公園状況について申し述べます。  秋吉台は、山口県中央に位置する我が国最大の一万三千ヘクタールのカルスト台地でありますが、そのうち主要部分は約四千五百ヘクタールが秋吉台国定公園として昭和三十年十一月一日に指定され、またその一部が昭和三十九年に国の特別天然記念物に指定されております。台地上には白い石灰岩が無数に露頭し、ドリーネ、ウバーレと呼ばれる凹地が散らばる草原が、台地の下には秋芳洞大正洞に代表される三百五十を超える鐘乳洞があり、地質学的、生物学的、考古学的にも極めて貴重な公園であります。公園利用者はここ数年増加傾向にあり、平成二年には二百七十一万人になっております。  この公園の主な利用施設には展望台園地自然観察路家族旅行村等があり、いずれも公園事業として整備され、また平成五年夏には第三十五回自然公園大会の開催が予定されているとのことで、その整備が進められておりました。  玄海国定公園は、東は北九州市若松区から西は伊万里湾付近まで東西約百二十キロメートル、福岡県、佐賀県及び長崎県の玄界灘の海岸部と二十余の島嶼から成る海岸景観を主体とする自然公園で、昭和三十一年六月一日国定公園に指定され、その後の県の事業国民休暇村の事業により宿泊施設研修センター園地等整備され、県内及び県外人々に広く利用され、平成二年度の志賀島国民休暇村の施設利用者は約十五万人であります。  報告を終わるに当たって、今回の派遣において、特に公害対策についての宇部市及び北九州市の経験、すなわち行政企業住民一体となって取り組み成功させたというこの経験委員会の審議の中で、自動車排出ガス対策地球環境問題などの困難な諸課題解決のために生かしていきたいものとの感想が参加の各委員から聞かれたことをお伝えいたします。  なお、山口福岡両県から要望書が提出されておりますので、会議録末尾に掲載していただきたく、委員長のお取り計らいをお願いいたします。  最後に、関係方面の御協力に感謝、御礼を申し上げ、報告を終わります。
  8. 安恒良一

    委員長安恒良一君) これをもって派遣委員報告を終了いたします。  なお、ただいま石川君の報告中、御要望のありました山口県及び福岡県からの要望書につきましては、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  10. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 次に、公害及び環境保全対策樹立に関する調査につきまして質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  11. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 皆さん、おはようございます。そして、中村環境庁長官、同じく平野環境庁政務次官、このたびは御就任まことにおめでとうございます。  ただいまお二方のごあいさつをお受けいたしまして、地球環境問題担当大臣としての具体的な取り組みと、そして国務遂行に当たっての御決意を伺いたいと存じます。  先ほどのごあいさつの中にもございましたけれども、特に来年六月、ブラジルのリオデジャネイロで開かれます予定の環境開発に関する国連会議へ向けて、日本の果たすべき役割使命につきましてどのような御認識をお持ちになっておられるのか、若干先ほどのごあいさつと重なる部分もあるかと存じますけれども、お伺いしたいと思います。
  12. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 委員御指摘のように、来年のブラジル地球サミットを前にして環境庁長官を拝命いたしまして、大変重要な時期に環境庁長官を拝命したということで責任の重さを痛感しているところでございます。  環境問題は、今や日常の環境問題にとどまらず、地球全体の環境ということが最大の関心事、喫緊の課題となってまいりました。まさに永遠の課題であると同時に緊急の課題である。そういう中で地球サミットは、全世界の首脳でありますとか、また経済人も参加するでありましょう、またNGOも参加するということも伺っておりますが、集まって、これからの地球環境をどうしていこうかという枠組みをつくり、その合意をするということを目指した会議でありますから、これからの地球にとって極めて重要な会議である。その中で具体的な問題としては、地球温暖化でありますとかオゾン層破壊熱帯林の問題、いろいろあるわけでありますが、どれをとっても極めて重要な問題である、我々の生活基盤そのものを左右する問題であるということであります。  これに取り組んでまいりますのに、やはりいわゆる発展途上国が抱えている問題が多くあるわけでありまして、それにはまず先進国が率先してこれに取り組んでいかなきゃいけないということを深く認識しております。そして日本は、今まで公害経験し、環境対策についてはかなりの経験を持っているわけでありますけれども、そうした経験技術を生かして大きく貢献していかなければいけない。私どもアジアの国々にはやはり発展途上国の国も多いわけでありまして、そうしたところとは歴史的にも非常につながりがあり親しみも持っているわけでありまして、ひとつ先進国とそうした発展途上国との橋渡しの役目も果たし得るであろう。そして、結果としてこれからの地球環境保全していくための枠組み、なかんずく重大な発展途上国に対する技術移転、それから資金をどうするかということに結論を得ていかなければいけない。そういう中で大きなリーダーシップを発揮してまいりたいと決意しているような次第でございます。
  13. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 先ほど大臣のごあいさつの中にもございましたように、日本世界の中の経済大国として位置づけられています中で、今後リーダーシップをとって発展途上国に向けても国際的な視野で環境問題を解決される、そういう御決意を伺ったわけでございますけれども、来年のUNCEDへ向けまして、そしてまた、とりわけ環境庁が創設をされまして二十年の節目に当たるわけでございますが、このときに当たり、もとより国際的な面での課題はたくさんございますけれども、私は、まず日本環境破壊原点ともいうべき水俣病問題の全面解決なくしてサミットにおける環境問題を語る資格は日本にはないというふうに考えるものでございます。水俣病問題の全面解決は、患者高齢化という点からも今や焦眉の急の課題となっているものでございます。  私は、一昨日と昨日の二日間にわたりまして、我が日本社会党シャドーキャビネット委員会のメンバーといたしまして鹿児島県と熊本県を訪問いたしました。そして、とりわけ日本公害原点となった水俣市の水俣市立明水園、これは水俣病認定患者のための我が国唯一施設と伺っておりますけれども、ここで治療とリハビリを続けながら懸命に生きていらっしゃる方々や、そして本当に容易でない困難な介護に挺身をしておられる職員方々福祉関係方々に直接お会いしていろいろなお話を伺ってまいりました。  患者のほとんどの方が働き盛りにメチル水銀によって発症し、現在はもう七十歳以上という高齢になっております。何と言ってお慰めをしていいのか私どもは言葉も見つからず、ただ頑張ってくださいと手を差し伸べて握手をするしかありませんでした。そして、介護に当たっておられる職員方々のその御苦労に対しても激励を申し上げて、明水園を後にしたことでございました。こういうことを申し上げてはどうかと思いますけれども介護に当たっていらっしゃる職員の女性の方は、本当にもう疲れ切っていらっしゃるのではないかと私には思われる弱々しい声ではあるけれども、しっかりと現況をお述べになり、御要望も出されておられました。  それから私どもは、チッソ水俣工場などから排水されまして水俣湾等に堆積をした水銀濃度二五ppm以上のヘドロのしゅんせつ現場にも足を運びました。そして、市役所関係者方々から、昨年三月に工事がようやく完了したというその努力の模様もお聞きをしてまいりました。しかし、驚いたことに、今なお十六種ものお魚が水俣病によって汚染魚として生息をしております。仕切り網をしてございますけれども、この仕切り網がいつの日外されるであろう、この仕切り網が外される状態になって初めて環境復元と言えるのであると、こういう御説明でございました。三十五年たっております。一たん環境破壊をしてしまえばどのようなことになるかということを、私はその現実というものを目の当たりに見てまいったわけでございます。  しかし、水俣市民は、世界に類例を見ない深刻な健康被害と環境破壊原点、この現状の中から今新生水俣を目指して立ち上がりたい、そうおっしゃっております。県外方々、御当地以外の方々は、水俣と聞くだけでもおぞましい、怨念の気持ちを抱くに違いありません。しかし、むしろノーモア水俣という今回の水俣病事件の反省点としてこの地を聖地としてよみがえらせたい、そのようにも力強く語ってくださったわけでございます。このことをお聞きするにつけましても、私はこの水俣病問題の解決が今なされなければならない、本当に急がなければならないときだと思っております。  昨年九月、東京地裁は、歴史上類例のない規模の公害事件が公式発見後三十五年経過して未解決であることはまことに悲しむべきことであり、その早期解決のためには訴訟関係者がある時点で何らかの決断をするほかないと思われると和解勧告を行ったわけでございます。この背景には、被害者の平均年齢が既に七十歳を超え、生きているうちに何とか救済しなければならないという裁判所の配慮があると思われます。  水俣病第三次訴訟の原告の方々だけに限っても、ことし九月現在で昭和五十五年の第一陣提訴以来実に百二十余名の方々が、そしてまた和解勧告後でも二十一名の方々がお亡くなりになっております。そして、私がホットなところで伺ったところでは、水俣市内だけでも今月十一月四日にお一人、そしてつい先日、十二日にもまたお二人目の患者の方が他界をされております。生きているうちに救済をと、こういう悲痛な被害者の思い、切実な思いを私は本当に真摯に受けとめなければならない、このように思います。国も裁判所が和解を勧告した趣旨を酌み取られまして、何とか和解勧告に応じてはいかがでございましょうか。
  14. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 西岡委員御指摘のとおり、水俣病というのは我が国公害問題の原点であると存じております。私どもも若いころにこれの報道を見ながら育ってきたわけでありますけれども、大変悲惨な患者の皆様の状態等を見聞きしてまいりました。そして、環境庁長官を拝命いたしましてからいろいろな報告を受け、今勉強させていただいているところでございます。  環境行政としてやるべきことを一生懸命やるということがまさに我々に課せられた使命でございますけれども、これは申し上げるまでもなく、御案内のとおりいわゆる公健法に基づきます対策を一生懸命やってきたところでございまして、国、県一体となって今でも患者認定の促進を進めるとともにこの問題に取り組んでいるところでございます。  今、残された方々に対するいわゆる裁判の和解勧告のお話がございましたけれども、当時の日本状況からしていろいろな法律問題、行政のかかわり方の問題もあるかと思いますので、法律的な問題は担当の者からお答えさせたいと思いますが、なかなかやはり国の今まで決定してきたやり方、態度というものは変えることが難しいということでございますので、そこで中公審に早期解決へ向けて知恵を出していただいて総合的な対策をひとつ答申していただきたいというお願いをしているのは、これもまた御存じのとおりでございます。  環境庁といたしましては、この答申を受けて、最大限の努力を払いまして早期解決に向けて努力してまいりたい、かように存じております。
  15. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 今、大臣がこれから勉強されながらとおっしゃいましたけれども、私はもちろんそれは大変結構なことだと思いますが、事は本当に急がれることでございます。これまでも国の責任論、和解救済上の水俣病があるいは公健法上の水俣病かというようなことで論議をされてまいりましたんですけれども、実際に国が水俣病問題をどういうふうに扱ってこられたかという具体的な一例がございます。  ことし十月三十日に、母親の胎内で有機水銀に侵されていたとして水俣病患者認定を求めていた三十七歳の女性の行政不服審査請求事件につきまして、環境庁は棄却処分を通知いたしました。この棄却処分は、この女性が認定を申請したのが昭和四十五年一月でございますから、認定申請から数えて実に二十二年近くも待たされたあげくの処分に当たるわけでございます。二十二年間も行政に振り回されてきたとしか言えない本当に不安な日々を送ってこられたその末の棄却でございます。  環境庁はこうした実態についてどのように受けとめておられるか、私は具体的な事例に基づいてまずお尋ねをしたいと思います。
  16. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) ただいま行政不服審査の件につきましてのお話がございましたけれども、この件については、おっしゃるとおり大変時間がかかったわけでございますけれども、先般、県の処分に対しましてその県の処分が正しいという判定をいたしまして、その旨棄却の通知をいたしたわけでございます。この例は大変まれなケースでございまして、いわゆる胎児性の水俣病であるかないかというその判断を正確にいたすために、諸種の検診でありますとかあるいは最終的な決定に至るまでの申請人側とのやりとり、そういったようなことを含めまして、今日まで大変時間がかかったということは事実でございます。
  17. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 このことをいつまで申し述べていても時間がございませんのですけれども、同様なケースで申請をしておりました九人のうち八人までは県に認定をされております。本当に私はもう見るに忍びない、そういう気持ちでいっぱいでございます。  それでは続きまして、私は国の責任問題について前回の質問のときにも触れさせていただいたわけでございますけれども水俣病の発生拡大の防止に関して国は賠償責任はないと言われますけれども、水質保全法及び工場排水規制法、この水質二法を適用して水俣湾を指定水域に指定をしチッソの工場排水を規制すべきであったと思うわけでございます。  ことしの六月十四日付の熊本日日新聞によりますと、水俣病の原因物質、有機水銀を副生じたアセトアルデヒド製造施設につきまして、昭和三十四年十二月、化学工業界の専門紙「化学工業日報」が工場排水規制法に基づく特定施設の対象になると報じていたことについて改めて大きく取り上げております。これによりますと約四十の施設を列記しております。その中にはチッソ水俣工場など全国八工場あったアセトアルデヒド製造施設が含まれておりました。  ところが、報道から二週間後に公布された施行令では、ほぼ報道どおりの施設が対象になったんですけれども、なぜかアセトアルデヒド施設は対象から外されておりました。昭和三十四年といえば、熊本大学が有機水銀説を発表、チッソは内部の実験で排水を直接投与した猫の発症を確認するなど、こういった実験が行われた年でもございます。このような中で、どうして工場排水規制法の対象からアセトアルデヒド施設が対象外とされたのか、その理由と判断の妥当性について私は通産省立地公害局環境政策課の方から具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 若杉隆平

    説明員(若杉隆平君) 御説明申し上げます。  先生御指摘の昭和三十四年当時の一部の業界紙におきまして、工場排水規制法に基づきます特定施設につきまして通産省の案として特定施設にアセトアルデヒド製造施設を含むとの内容の報道があったということは私どもも承知しております。  ただ当時、通産大臣が主務大臣として法施行の責任を有しておりました工場排水規制法に基づきます規制対象となります特定施設は、別途水質保全法で定めます指定水域に位置し、その排水の水質が水質保全法で定める水質基準に適合すべきものというような形になっていたわけでございます。  したがいまして、工場排水規制法の不知火海沿岸地域への適用は水質保全法の手続が行われて初めて可能となるわけでございますけれども昭和三十四年当時には水質保全法に基づきます指定水域の指定、それから水質基準の設定はなされていなかったという状況でございました。こういった事態がございまして、当時といたしましては、工場排水規制法に基づきまして不知火海沿岸地域でのアセトアルデヒド製造施設を特定施設に指定して工場排水規制法上の規制対象とするというような事情にはなかったのではないかというふうに思うわけでございます。
  19. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私はそのことを幾らお聞きしても納得がいかないのです。  四十三年の九月二十六日に水俣病に関する政府の公式見解が出ております。それによりますと、熊本水俣病は新日本窒素水俣工場のアセトアルデヒド酢酸設備内で生成されたメチル水銀化合物が原因、こういうふうに厚生省は断定をしております。また、新潟水俣病は、昭和電工鹿瀬工場アセトアルデヒド製造工程で副生されたメチル水銀化合物を含む排水が中毒発生の基盤と、これは科学技術庁が公害病として公式認定をされているわけでございます。  この政府見解があるのですけれども、通産省がそういうふうにおっしゃるのが私にはどうしても納得がいかないのでございます。
  20. 若杉隆平

    説明員(若杉隆平君) 先生御指摘のとおり、昭和四十三年に水俣病の原因が有機水銀であることを内容としましたそういう政府の統一見解を厚生省が発表されておるということは私どもも承知しておりますが、今私が御説明を申し上げましたのは昭和三十四年の法施行時の話でございますので、当時におきましてはまだそこまではいっていなかったんではないかというふうに理解をする次第でございます。
  21. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私はこの水俣の事態を見るときに、廃液の即時停止など強力な行政措置をとるべきであったにもかかわらず、それを行わなかったのは明らかに行政の怠慢であるということを指摘しておきたいと思います。  続きまして、国の審査体制の件についてお尋ねしたいと思います。  現在の公健法による水俣病の認定は、本人の申請に基づいて県が医学的検診を行い、そして公害健康被害認定審査会による審査を経て知事が認定を行うこととされております。しかし、認定申請をしている人の中には、寝たきりの状態にあるためにみずからが出向いていって医学的検診を受けることができません。つまり、認定審査の前提条件であります医学的検診が受けられないために、結果として認定審査を受けられないという方々が多数おられるというふうに伺っております。そういった方々がどのくらい存在されるのか、そしてそれらの方たちに対して行政はどういう手を差し伸べておられるのか。環境庁はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  22. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) ただいま御質問いただきました寝たきりの人でございますけれども、現在申請中の方が約三百六十人前後いらっしゃるわけでございます。環境庁といたしましては、認定業務の促進につきましては従来より熊本県と国と一体となりまして検診あるいは審査体制の充実等各般の施策を講七て最大限の努力をしてまいったところでございますけれども、先ほど申し上げました寝たきりを含めまして、現在なお二千八百人余の未処分者が残されているわけでございます。  特に御指摘の処分に特別な措置の必要な、処分が非常に困難なそういう方に対する対応が重要かというふうに認識しております。寝たきりの方は、通常の検診を受けるということが困難でございますので、処分に特別の措置を要するわけでございますけれども、従来より県とともにその対応について検討を重ねてまいりました。その対応につきまして、例えば往診でありますとかあるいは入院というようなそういう検診を行っていくことが考えられるところでございまして、現在熊本県でその体制の整備が行われているところでございます。  今後とも、こういう措置の充実を図りまして、処分に特別な措置を要する方の処分促進ということについて努めてまいりたいというふうに考えております。
  23. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私、水俣で資料をいただいたんですけれども水俣市で往診の対象者が二百八十三名、うち寝たきり者は七十五名というふうに伺っております。  それでは、時間もございませんので次に進ませていただきまして、国の病像論の限界の例として、特別医療事業の診断内容についてお伺いをしてまいりたいと思います。  現在、八六年から実施されております特別医療事業におきましては、水俣病の認定審査で棄却された人を対象に、水俣湾周辺地域に住み、かつ手足の感覚障害のある人を対象に実施されております。ところで、この特別医療事業で診断される際、どのような病名で診断されておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
  24. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 特別医療事業でございますけれども水俣病の認定申請をいたしまして棄却された方のうち、昭和四十三年十二月以前の時期に熊本県と水俣湾周辺の一定の地域に居住しており、かつ手足の四肢の末端の感覚障害を有する方を対象に、医療費の自己負担分を助成するという制度でございます。  これらの方々が有しているそういう症状の原因解明に資するとともに、健康不安の軽減を図り、もって水俣病対策の円滑な推進に資するということの目的のためにこの事業をやっているわけでございまして、したがいまして、この中には原因が不明の方も含めまして事業の対象にしているということになるわけでございます。
  25. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 その原因不明の疾患を持った人の存在する地域、つまりこれは水俣になると思うわけですけれども、この水俣というところは特別な地域でしょうか。他の地域に比べてどうしてこの地域にこれほどの原因不明の疾患を持った人が存在するのか。私は単なる偶然ではないと思います。これは明らかに水俣病ではないか。環境庁はどのように認識していらっしゃいますか。
  26. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 水俣病の発生地域におきまして水俣病の認定申請が相次ぎまして、その申請を破棄された方を中心に四肢末端の感覚障害を有する方々が相当数おられる状況にあるわけでございます。ただし、疫学的にも水俣病発生地域においてこのような症候の発生が他の地域と比較して多いのかどうかということにつきましては、多くないという報告もあれば多いという報告もあるということで、確たる知見は存在しないというのが現状であろうというふうに認識しているところでございます。
  27. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 ただいま中央公害対策審議会環境保健部会の水俣病問題専門委員会で検討が行われているということで新聞にも答申案などが報道されておりますけれども、それによりますと、水俣病総合対策として救済対象者の範囲について、先ほど述べましたような四肢末端の感覚障害を訴えながら水俣病と認定されず救済対象から外れたいわゆるボーダーライン層の人たちに対する施策があると、このように報道されておりますけれども、どういうふうなことがその施策として考えられるわけですか。
  28. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 今どういうことがその審議会の方で答申されるのかということにつきましては、実はまだ現在進行形でございまして、最終的な取りまとめ作業の最中ということで本日ここで申し上げることにつきましては御容赦いただきたいと思います。  中公審におきましては、お話しのように総合的な水俣病対策のあり方につきましてことしの二月以来精力的な審議が行われてきたところでございます。先般、先週の十一月十二日に水俣病問題専門委員会、ここにおきましておおむねの方向がまとまりまして、先ほど申し上げましたように現在最終的な取りまとめ作業を行っているところでございます。近々中公審の答申をいただける予定になっているわけでございます。  その中で、水俣病発生地域における環境保健上の問題に関しまして対策の方向が示されるものというふうに期待しているわけでございますけれども環境庁といたしましては、答申をいただき次第その対策の実現に向けて必要な作業に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  29. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 国は、水俣湾の周辺に住み、かつ四肢末端の感覚障害のある方に対して、八六年から特別医療事業として医療費の自己負担分を支出してこられたことはもう既に明らかなとおりでございますけれども、私はこれだけではまことに不十分であるというふうに申し上げたいと思います。医療費の自己負担分と医療手当の支給によって広く被害者を救済すべきであると思います。  なぜならば、例えば私は昨日取材をしてまいりました鹿児島県出水郡東町獅子島、そして伊唐島という離島から水俣市あるいは出水市の病院に通院するために必要な費用というのは、フェリー代、タクシー代を合わせて一回分で四千円ほどかかります。月五回通院すれば、単純計算でも少なくとも二万円はかかる計算になります、細かい計算書も私いただいてきておりますけれども。ともかく離島でございますから医療機関がない。こういった方々はこういう経費をかけて通院せざるを得ない。こういった方々に対する救済が今ぜひとも必要ではないかと私は思うわけでございます。  離島の健康診断なども考えてあげてほしい。水俣の市長さんはこのように言っておられました。生きているうちに救済してほしい、そして一時金が入らなくては水俣解決にはほど遠いと、そう言っておられました。そして、これからの希望としては、これは文部省、厚生省などにも関連してくるかもわかりませんけれども、理学療法士とかあるいは作業療法士などの養成の短大もつくっていきたい、そういうふうに水俣の市長さんは述べておられました。  私は、これから出される中公審の答申による水俣病対策水俣病問題が全面解決するとお考えかどうか、環境庁長官に改めてお伺いしたいと思います。
  30. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 今、局長からお答えもいたしましたように、まさに今中央公害対策審議会の答申をお待ちしているところでございます。残された問題の対応については鋭意御審議をいただいているところでありまして、今後の水俣病対策のあり方の基本になる答申がいただけるものと期待をしているところでございます。  これが総合的解決になるかどうかというお問いでございますけれども、私どもといたしましては、この中公審の答申をいただき、これに基づいて平成四年度から実施が図られるよう鋭意取り組んで、全力解決への努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  31. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 現在の特別医療事業というのは、認定審査によって棄却された方を対象に行われているわけですね。しかし、現在の特別医療事業による医療費の給付の取り扱いは、認定審査に対して再申請をしたら医療費の給付を打ち切る、こういう措置がとられているというふうに聞いております。ところが、これらの方々は恵まれている方ではありませんね。みんな生活に追われている。生活に苦しんでおられるわけです。医療費の自己負担もままならないわけでございます。したがって、当面の医療費の必要性のために水俣病の認定申請をやめておくといいますか我慢する、こういう事態も起こりかねないわけでございます。  再申請すれば医療費の給付をストップするということは、私は事実上の公害健康被害補償法による権利を剥奪するものであるとしか思われません。環境庁の見解を伺いたいと思います。
  32. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 今お話しの特別医療事業につきましてでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、認定申請をした結果棄却された方を対象にしているわけでございまして、目的といたしましては、その原因を解明して、そして水俣病対策の円滑な推進に資することを目的とするということでもってやってきたわけでございます。  こういうようなことから、さらに申請する方、いわゆる再申請者につきましては、認定申請にかかわる検診であるとかあるいは審査によって水俣病かどうかについての詳細な検査が別途行われるわけですから、本事業による原因解明の必要はないというそういう判断のもとに、現在の制度のもとでは対象外というふうにしているわけでございます。
  33. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 もう一点お聞きしたいと思います。  国の病像論の限界の例として、死後認定について伺います。  生前の症状からは水俣病でないとして棄却をされた方がお亡くなりになった後、解剖によって逆転認定をされた例が多数ございます。九一年八月までに熊本、鹿児島両県の認定審査会において計二十五名も確認をされております。これは現行の水俣病の認定基準が必ずしも十分でないということを明らかに証明するものであると私は申し上げたいと思います。環境庁の見解を伺いたいと思います。
  34. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 現在の水俣病の病像でございますけれども、この現行の判断基準、これは患者であるか患者でないかということについては、もうぎりぎりこれ以上緩めたらほかの疾患と区別ができなくなるというところまで緩めたそういう判断基準でございますし、それからまた、患者であるとか患者の疑いであるというのは昭和五十二年まででございまして、昭和五十三年以降は水俣病の可能性が否定できないというような人を患者として実は認定しているというのが実情でございます。一昨日、先生の御視察の明水園でもってごらんになった患者さん、ああいう典型的な患者さんというのは現在は既にもう存在しないというふうに言ってよろしいかと思います。  しかし、今御指摘のように、まれに死後に解剖で認定されたケースというのが存在することも事実でございます。これは、申請から検診が終了しないうちに亡くなってしまったため生きているときにいわゆる処分ができず、それで解剖が行われた場合、それから寝たきりや合併症のため検査ができなかった、あるいは検査しても所見がとれなかった場合等、こういう場合があるわけでございまして、すべてが生前の判定を覆されたものではないわけでございます。それから臨床医学的方法と解剖による病理学的方法が完全に一致するというのは無理な場合があるわけでございまして、解剖で認定された場合がある一方、認定患者につきまして解剖の結果水俣病の病変が全く認められなかったというケースも知られているところでございます。  いずれにいたしましても、水俣病の認定は臨床医学的な判断により行うほかはございませんので、臨床的判断として可能な限り広く認定を行っているということについて御認識いただければと思います。
  35. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法ですが、これによる申請者数も県と比べて国への申請者は圧倒的に少ないわけです。これは行政に対する明らかに不信感のあらわれだと言えるかと思うわけでございます。  時間がございませんので、あとちょっと私の方から申し上げたいと思いますけれども、現行の国による救済システム、公健法による救済、そしてこれから出されるでありましょう中公審の答申によります水俣病総合対策による救済をあわせましても、私は真の解決にはほど遠いものと思われるわけでございます。もう本当に水俣病について国が話し合いに応じる今期どきである、こういうふうに熊本の知事さんもおっしゃっておられました。裁判所も国が和解協議に応じる基盤をつくるようなそういう勧告をしておられます。私は重ねて申し上げたいと思いますけれども高齢患者に残された時間はわずかでございます。公害対策基本法第二十一条二項は、「政府は、公害に係る被害に関する救済の円滑な実施を図るための制度を確立するため、必要な措置を講じなければならない。」と定めております。また、国会においては昨年六月、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の審査に際し、本院の環境特別委員会におきましても附帯決議をつけ、全会一致で採択していることに照らしましても、人道上の問題として私は早急に和解協議のテーブルに着いていただきたいと思うわけでございます。この時期を逃せば永久に解決の道は閉ざされるかもしれないということを私は再度申し上げたいと思います。  そして、私は長官にできるだけ早い機会に水俣の現地を視察していただきたいと思います。来年の国連環境開発会議に向けましても、世界水俣公害原点としての水俣全面解決の上に立った水俣病に関する報告は画期的なものとなると私は思います。それなくして日本政府に、先ほど冒頭にも申し上げましたけれども地球環境を語る資格はないと私は言わざるを得ません。環境庁長官に最後に御決意と誠意ある御答弁を御期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  36. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) いろいろ西岡委員から御指摘いただきましたことを念頭に置きながら、中公審の答申をいただきまして最善の努力を解決へ向けてしてまいりたいと存じております。  現地視察というお話もございましたが、いろいろ伺いますと、患者の方の声を聞くということはこれはあってしかるべきことと思いますが、そういう機会もまたいろいろあると伺っておりますので、私が向こうに行くかどうかということは、よく現況も勉強いたしまして慎重に対処してまいりたいと存じております。
  37. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 終わります。
  38. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 堂本でございます。  長官、初めてお目にかかるわけですけれども、大変大事なときに長官になられたというふうに思います。きょうは三点伺いたいと思っています。先ほどから出ています環境開発に関する国連会議、いわゆる地球サミットについて、それからバイオダイバーシティー、生物の多様性の問題、そして最後に女性と環境、三点伺いたいと思います。  まず地球サミットの問題ですが、サミットをめぐる国際的な動きを見ておりますと、先進国と途上国との対立がだんだん目立ってきている。もっと大きく国際的な舞台で申しますと、冷戦の構造から地球環境へと、いわゆる歌舞伎で申せば場面がぐるりと回り舞台が回りまして、主役も東西から南北へと入れかわった感がございます。冷戦の時代の超大国はソ連とアメリカだった。地球環境破壊の超大国はアメリカと日本である。余り名誉な表現ではないのですけれども、南の人たちはこう表現してはばかりません。  八月に開かれました地球サミットの第三回準備会に出席して知ったことなんですけれども、最も保守的なのがアメリカ、それから非常に積極的なのは北欧諸国、そしてその中間と申しますか比較的積極的なのがECの国々という構図がございます。しかし、そういった中で日本は明確に立場を主張することが非常に少ない。全然とは申しませんが、先ほど西岡議員の質問に答えて大臣地球環境枠組みづくりにリーダーシップを発揮したいと、何度もこの委員会でそういう言葉を、前大臣からも伺いました。多分、環境庁は本当にそうしたいと思っていらっしゃるんだと思います。現実は違うんですね、現場へ行ったときに。なぜできないのか、それがもう大変問題だろうというふうに私は思います。  そういう態度をはっきり鮮明に出さないがゆえに逆に日本は注目されている。そういうことを申しますと、すぐ資金と技術移転だというお答えが戻ってまいります。先手を打って、そうではないと私は申し上げたい。そういった物的なもの以上に、一体日本はどういう理念でどれだけ本気に地球環境保全に取り組む気があるのかということを世界じゅうが見ているんだと思うんですね。アメリカに追随するのか、それとも先ほど大臣がおっしゃったように、本気でアジアの中で開発途上国に対して日本が独自の道を環境の領域で踏み出していこうとしているのか、そのことをまさにしっかりとみんな見ています。疑いなく見ています。政府関係者はともかく、先ほども大臣がおっしゃったNGO、特に南の国のそういった一般の市民、庶民、もちろん北の国もですけれども、特にはっきり見ています。  これから七カ月先になりますか、大変大事な時期だと思います。長官の顔が日本の顔になるわけです。私も初めてきょうお目にかかりましたけれども中村長官のお顔をこれから世界じゅうがまじまじと見る、それが七カ月先だと。私は覚悟していただきたいと思っておりますし、期待もしております。両方でございます。  ただ、最初に一つお願いがございます。お面はかぶらないでいただきたい。フェースレスジャパンと言われるんです、どこへ行っても。つまりお面です。能面では困るんです。どんなに言葉のレトリックが巧みであってもそれは人の心は打ちません。本気で日本が何かをするのであれば大臣の素顔でこれからの交渉に当たっていただきたい、そして地球サミットの舞台にも登場していただきたい。私たちはそれを後押しする立場だと思います。この委員会もその場だと思っております。  そういった本当にこれからの大事なときに、型どおりの答えをいただくというより、この委員会では大変耳ざわりのいい御答弁をいつもいただくんですけれども、どうしてそれが実際に世界の場に出たときに発揮できないのか。その辺はどのように大臣はお考えになりますでしょうか。
  39. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) まず第一に、私はお面は嫌いな方でございます。環境庁長官を拝命いたしましてからも、記者の方々にも、そして庁内の方々にも本心でいろいろお話をさせていただいております。  やはりこういう委員会になりますとある種の制約があるということは、私がここでしゃべりますことは、地球環境担当大臣ということで総理から指名を受けておりますので日本発言になる。そうしますと、これは世界のいろいろなことというのは、その国々がやはり全部お面をかぶっていなければいいんですが、それがいろいろ自分の国益もございましょうし、いろんな立場立場で発言がございますから、私どももここで発言するときは、はっきり申し上げて、日本の総理から指名を受けた国務大臣であり、そして地球環境担当大臣であるということを認識していかなければいけないという制約が一つあることは御理解を賜りたいと思うわけであります。  そして、今先生から伺いますと、今までのUNCEDに対する経緯やなんかは私よりよほどお詳しくいらっしゃるようでございますので、いろいろ個人的にもお教えをいただき、対応してまいりたいというふうに存じております。  ただ、今日本世界最大の貿易黒字国であり、そして世界経済の一五%ぐらいのものを生産しておるという立場にございまして、今日本が国連に対するPKOの貢献とかいろんなものがございますが、大手を振ってというのはおかしな言い方ですが、日本がまさにやるべき国際貢献の大きなものが環境に対する問題であろうと思うんです。そのバックグラウンドには、日本自体が非常に戦後発展した国でありますし、国民が勤勉であり、経済を発展させたけれども、小さな国土の中に大変大きな工業が詰まっておりますので大きな公害経験をしてきた。そして、それはまだまだ足りないとは思いますが、克服をしてきた国であろうと思います。そういう面では技術の面でいろいろ世界に対して貢献できる面があるんじゃないか。  それから先ほども申し上げたように、今度のUNCEDというものはそこで一つの将来に対する解決案を打ち立てていこうという会議でありますから、そこで国際合意ができなかったらこれは大変なことになるわけです。その中で、私どものところにもう既に外国の環境庁の長官だとか次官が来て、私は意見を取り交わしております。その中には仰せのとおり、前向きな国あり、ここいらは私どもよりかちょっとレベルの低いところで考えているとかいろんな国がございますけれども日本としてはやはり技術の面、資金の面についての移転ということを、一つの枠組みづくりを完成させる中でいろんな意見も言い、そしてまとまるように最大限の努力をしていくということだと思うんです。  今、実際問題としていろいろ発展途上国や何かと当たってまいりますのに、先生よく御存じなんだと思いますが、大変難しい問題が山積しております。そして、対先進国、アメリカ等と話しておりますときも大変難しい問題がございます。そういったものの解決へ向けて、私どもとしてはお面をかぶらずに努力してまいりたいと考えております。  それからもう一つ、これはちょっと余分なことでお許しをいただければと思うんですが、そうした会議で私ども思うことがあるんでございます。私ども外国の会議に参りますのに、議会が開催されておりますとなかなか行けないということがございます。この間もそういうことがあり、御許可をいただいて外務大臣、通産大臣会議に出て、帰ってこられまして閣議での報告のとき、本当に国会のお許しを得て行けてよかったと。これは我々出なきゃ日本がこれだけの経済の大きさを持ちながら発言ができなかった。それができたと。ありがたいことだという報告がございました。そういうことも一生懸命御理解をいただくように努力しながら、本当に真剣に取り組んでまいりたいと思いますので、いろいろ先生方の御支援、御批判、御注意もいただき、本心はぜひ御支援を賜りたいとお願いを申し上げる次第であります。
  40. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 資金と技術移転、そのことが日本の役目のように、外務省の局長方もそうですし、皆さんそういうことをおっしゃいますけれども、私は思想なり理念のないお金とか技術というものは環境問題を解決しないだろうというふうに思っております。むしろ今、お金以前に日本はどういう姿勢で何をするのか、そのことの方が問われているということを申し上げたかった。  それで、先ほどの決意表明の中でもおっしゃった言葉の中に、ことしの環境白書は環境保全型社会への変革に向けてと大変勇ましい言葉がついた白書なんですけれども、本気でこれをするとすれば日本経済構造を変えなければできないぐらいの大仕事だと私は思っています。それだけのことをしない限り相手は信用してくれない。今、西岡さんのお話を聞いていて本当に私は涙が出そうになりました。水俣でどれだけ苦しんできたか、日本人が公害でどれだけ苦しんできたか、そして今も苦しみ続けているかという現実があるわけです。  そういった人間の苦しみと産業構造とを比較したら、はるかに産業構造の方が優遇されている。そういった世界社会経済構造の中で私たちは生きている。もし本当に環境保全型社会への変革を実現するのであれば、言葉だけではなくて、それは一環境庁の問題ではない、政府の問題だと思うんです。その政府の問題であることの姿勢がきちんと世界に示されるかどうか、それが一つだと思います。  それからへはっきり姿勢がわからないのは、歯にきぬを着せずに言わせていただきますけれども、やはり遅い、いつも人の顔をずっと見て、よそがどうするか、アメリカがどうするか。それから日本は決定する。いつもそうです。私はお金のことを言っているんではないんです。もっと小さいことでもいいんです。せめて地球環境問題では早く決定をして、国内でも水俣なんか一体何ですか。三十五年、考えられない長さです。そういうことをする国は私は地球の中で信頼されないというふうに思いたい。  もう一つ。また歯にきぬを着せずに言わせていただければ、私はこの委員会に来てから、大臣は新しいかもしれない、私も新しいんですが、わずかな時間ですけれども、本当に情熱とそれからやる気を持った環境庁の方たちに大勢会いました。うれしいと思ったんです。どうしてそれが実現できないのか。各省庁間の足の引っ張り合いだと私は思った。  結局、これだけそう思っていながら、そのことを国際舞台で実現できない。国内でも同じです。ですから私は、大臣にとってUNCEDまでの七カ月間の道のりはやはりイバラの道であるかもしれないと思いながら伺っておりました。ですけれども、資金とそれから技術だけではない、やはり環境庁の中に心と魂を持った方たちはいっぱいおられるわけですから、そういった方たちのやりたいことを大臣はどうしても実現するだけの勇気を持っていただきたいということをお願いして、UNCEDのことは終わりたいと思います。  それから、役所の方と同じにやはり市民の人たちが大きなうねりを持っています。そのことに対して日本行政は本当に目を向けてこなかった。そのことは後で触れたいと思います。  話を移しますが、質問の御通知が行っていると思うんですが、たまたまバイオダイバーシティーということ、UNCEDの三本柱の一つですが、地球温暖化と森林条約とそれから生物学的多様性条約というふうに翻訳されているこの条約が出ているわけなんですが、私自身はこの言葉すら存じませんでした。大臣は御存じだったかもしれません。しかし、この言葉は今では非常に深い意味とそれから概念を持って、日本よりははるかに早く国際社会では一つの柱となって環境の問題に大きな位置を占めています。短くて結構ですが、もう多分説明を聞いていらっしゃると思うんですけれども、こういったバイオダイバーシティーを守ることについて大臣の御決意を伺いたい。
  41. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) バイオという言葉とダイバーシティーという言葉はばらばらには存じておりましたが、バイオダイバーシティー、これはどういう意味だと聞かれてもちょっと存じませんでした。  それで、いろいろ御説明を伺いましたが、これは生態系、生物種、遺伝子の三つのレベルからその多様性を保全していこうということであります。人間も一つの地球上にすむ生物でありますから、その地球上にすむ生物の種の保存ということは、これは我々の生活にとってもないがしろにできないことは当然でありまして、これもUNCEDの一つの大きな課題になると伺っておりますし、こういったことの保全についても実態的な対策を含めて真剣に取り組んでいかなければならない問題だと思っております。
  42. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 よろしくお願いいたします。  そのバイオダイバーシティーですけれども熱帯林の問題、そして海の問題、いろいろございます。地球上の問題全部そうだと思うんですけれども、私たまたま新聞を見ましたら、環境庁長官の紹介のところに「ヨット、素潜りと海が大好き」と、こう書いてあります。  大臣は、沖縄で潜られたことはございますか。
  43. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) ございます。
  44. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 それではサンゴ礁もごらんになりましたか。
  45. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) よく存じております。
  46. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 先日、フランスのフランソワ・デュマンジュさんとおっしゃる海の生態学の専門家から、沖縄本島のもうほとんどサンゴ礁は全滅に瀕しているというそういうふうな御報告がございました。  私は潜れませんけれども、返還当時の座間味なんかに参りますと本当にサンゴ礁が美しかった。その間をお魚が動いている。私はそんなに潜るわけではないんですけれども、やはりそれを多分失っていく。陸は見えるんです。しかし、海は私たちには見えにくい。その中で海の破壊、島国である日本の沿岸がどんどん壊されていく。沿岸が壊されるということは、海の生態系が壊されるということです。この点について、特に海がお好きな大臣にお願いいたします。
  47. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 私は自然が非常に好きな方でありまして、千葉県の海育ちであると同時に、自分の仕事としては私は鉄鋼会社へ勤めましたり、いろいろな企業の経営にも携わってまいりました。そういう面から、先生からいろいろさっきからお話しいただいていて、公害に対する私どもの考え方というのはもっと深刻なんですね。むしろ自然を愛する我々が企業をやっていて、経営者だとかそういう側の方がもうこれ以上公害を出したら大変だぞ、地球は壊れてしまうという意識、限られた地球というようなことを意識してきている時代だと思うんです。  だから、そういうときにこそ我々環境庁としての仕事というのは非常にやりがいのあるものになってくるんじゃないか。経済発展の限界というものもあるでしょうし、地球の限界というものがあるでしょうし、そういうことが官民一体となって企業家も認識をしてきている時代へ入っていると思うのでございます。  そういう中で、今の海の話でございますが、私は山に登ることも好きですし海に行くことも好きで、もう何十年海に潜っておりまして、沖縄の海は私はまず普通の人よりかははるかに詳しいと思います。そこで、自然を守るというときは、その自然を壊すものは何で、どういうことが起こっているかということを的確に認識していかなきゃいけないと思います。  それで、まず第一に、今言われました沖縄のサンゴが壊れたというのは、私毎年毎年何回も行って写真を撮っておりますので、どういうことが起こったかを全部見ております。港をつくったりなんかして壊したところは別ですけれども、港をつくって壊しましても、サンゴというのは蘇生力が非常に強くて、すぐ生えてくるんですね。それから農業構造改善等で、随分昔の話ですけれども、土砂が出て死ぬんです。そういうところも土砂がなくなれば回復してくるんですね。それから割と知られてないのは、でかい台風が来ますと浅いところのエダサンゴ、テーブルサンゴの類が皆ぶっ壊れちゃいます。だけど、また生えてくるんです。そういうことによって繰り返し造礁サンゴができてああいう島ができてきたという歴史があるわけです。  それで、沖縄のサンゴが壊滅的にいなくなったのは、これはオニヒトデです。私は向こうに行ってオニヒトデの駆除をやっておりましたのでよく知っているんですが、物すごい力です。多くのオニヒトデがサンゴのところを歩きますと、それが白くだあっと死滅していくんですね。もう三、四年のうちに全滅をいたしました。やっと今になってそろそろ咲き出しているんですが、私これを今研究しているんですが、蘇生の早いところと遅いところとあります。理由がわからないんです。きれいなところでも遅いところもあり、汚いところでも早いところがある。極めてわかりにくい生物ですが、先生の言われた沖縄のサンゴの当時の壊滅というのは、これはオニヒトデが原因であります。そして、今蘇生じていますから、ここ数年すると大変されいにまたなってまいると思います。  それからよく白保の海で言われたことですけれども、アオサンゴというのを保護しなきゃならないということが出てまいります。アオサンゴというのをどこかのマスコミが言っていたことですが、アオサンゴの海というのは真っ青だそうだと言うんです。これは先生に聞いては御無礼なんですが、アオサンゴというのは青いと思っている方が多いんですが、青くないんです。黒い塊であります。  これは歴史的に見ますと、地元の方が、非常によく生えるもんですから、とってきて砕いて屋根やなんかのしっくいに使っている材料なんです。ですから、壊れてもまたすぐ生えてくるという性質の強いサンゴなんです。それからアオサンゴが残ったというのは、我々見ていますと、オニヒトデがアオサンゴを食べないんです。それでアオサンゴが非常に残ったんですね。アオサンゴという、こういう塊ですけれども、深いところへ行くと、べたべたべたっとこういう格好になっておるわけです。  それからどこかの新聞社の方が、僕らはタイノウサンゴと言いますが、アザミサンゴを傷つけたですね。僕らもあのサンゴのところを潜りますが、傷つけたらこれはまあ何十年たっても直らぬだろうということがありましたけれども、僕らはばかなことを言う人がいるもんだなと思いました。恐らくすぐ見えなくなっちゃうだろうと思ったら、案の定明くる年には見えなくなっちゃったんです。そういうものでありまして、自然を守るということは、その自然がどういうものかということの実態をよく理解して守っていかなきゃいけない、そういうことを海に潜っていましてつくづく感じているところでございます。
  48. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 そこまでお詳しいのでしたら、ぜひとも長官の在任中は何としても白保のサンゴは守っていただきたい。私は素人で長官ほど存じませんけれども、専門家に言わせれば世界で貴重なサンゴということですから、これは何としても守っていただきたい。  それからサンゴは陸の熱帯林に匹敵するほどのバイオダイバーシティーの宝庫だそうでございます。海の中で一番大事なところはこういった部分で、特に熱帯のサンゴはもうほとんど壊滅している。そうであるとすれば、観賞をなさることではなくて、長官におなりになったのですから、今度はやはりこれを守ることに精力をぜひ使っていただきたい。きょうはサンゴの長官ということでしかと伺いましたから、いずれまた詳しくサンゴのことは伺うといたしまして、守ってくださることを確信して、海のことは期待しております。  次に、ちょっとバイオテクノロジーのことに入りたいと思います。  ジュネーブで開かれているサミットでバイオダパージティーの問題を議論している中で、どうしても技術移転というところの次にバイオテクノロジーという言葉が出てくるんですが、アジェンダ21、二十一世紀に向かっての行動計画の中のバイオテクノロジーの部分を読みますと、何か夢のようなことが書いてある。二〇〇〇年までにバイオテクノロジーで健康を管理増進するとか、それからエコシステム、それから自然景観を再生するとかいろいろ書いてあります。  こういったバイオテクノロジーの幻想みたいなものが途上国の中で非常に多く語られている。このことを環境庁としてはどう受け取っていらっしゃいますでしょうか。
  49. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) バイオテクノロジー等の技術移転を適切な形で開発途上国に移転することが非常に重要であるということから、そういう議論が行われておるということは私どもも承知しているわけでございます。先生、今幻想的というような表現をお使いになりましたが、この問題に関しても先生の方がよほどお詳しいことからそういう表現をお使いになったというぐあいに私理解しておるわけでございますが、国際的にこの議論が収れんをされたというようなところまではまだ至っておりません。  しかし、環境庁におきましても、こういう議論というものが国際的にバイオテクノロジーを有効に使うという議論とともに、やはりそういったものが環境上健全な管理がなされて、環境保全上にも役立つというような格好で国際的な合意がつくられるというようなことに向けて、私ども最大の関心を持ちながらこの議論に参画してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  50. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 日本技術的に進んでいるということを先ほどからおっしゃっていらっしゃるわけです。とすれば、やはりその点を率先して考えなければならない。アメリカはやはり自由経済、パテントを適用するということをもうはっきり言っているわけですから、ですからその危険な問題とか安全性の問題に対して歯どめがかけられるとすれば、むしろ日本のような国だと私は思います。  それで、そのポジティブな面は、今局長がおっしゃったようなことは十分踏まえた上で、まだ十分に研究もなされていない、それからハイテクノロジーによるバイオテクノロジーというのは放出された場合に環境にどういう影響を与えるのか、そういったこともまだ厳密にわかっていない。この段階で条約というのができてしまえば、この条約のドラフトにはそれが非常に少ししか書いていない。ですけれども、ニューヨークのプレプコムを経てブラジルに行くときにはもう遅いわけです。  今度、五日から専門者会議がある。それからニューヨークの準備会議があるわけですけれども、そのときに日本は受け身に回るのではなくて、十分に専門家が知恵を出し合って、いろいろ省庁間で複雑な問題があるのは百も承知の上であえて申し上げているんですけれども、やはりこの問題の安全性確保のために日本はどうしても一肌も二肌も脱がなければいけないのではないかというふうに私は感じるんです。さもないと、南の南の人たち、そういった人はむしろ技術が怖いと言います。お金が来ることも怖い。北の南の人もそう言います。開発とか技術という名のもとにどれだけの自然が破壊されたかわからない。  その点で、これから日本としてはその点に積極的に関与していく気がおありなのかどうか、お答えいただきたい。
  51. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) まさに先生ただいま御指摘になったように、バイオテクノロジーの環境上健全な管理というものがUNCEDにおける検討課題の一つとなっているわけでございますが、ハイテクを用いた製品の安全性は明らかであるという意見が片一方である。ハイテクに関してもやはり何らかの国際的なルールが必要であるという議論もございます。私ども国内的にもこういう問題を取り扱うときに、私ども中央公害対策審議会の中でバイオテクノロジー専門委員会というものを設けて議論をしていただいているところでございますが、そこにおきましてもいろいろ議論がございまして、検討していただいているところでございますがなかなか意見が集約されてこないという状況にもございます。  しかし、いずれにしましてもこの問題は国際的なルールづくりということがやはり重要だということを考えますし、おっしゃるように事が起こってから後追い的に始末をするという考え方ではなかなか難しいんじゃなかろうか。そういう意味で、私ども国際的な合意づくりには積極的に参加し、貢献してまいりたいというぐあいに考えております。
  52. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 国内でも非常に暗礁に乗り上げていることは承知しておりますけれども、それでもこういう分野でこそ、日本はお金を出すとかそういうこと以前に、あと十年、二十年、三十年たったときに、よくぞ日本はあのとき頑張ってくれたと言われるようなことができる分野じゃないかと思うんです。  水俣でも示されていたように、経済界が、バイオテクノロジーの業界の方が優先したのでは、恐らく地球環境が将来どういうことになるかということの歯どめ、このこととのバランス、そこのところはやはりきちっとしたことを日本から提案する、そのぐらいのことをぜひやっていただきたいということのお願いをいたします。
  53. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) 先生御指摘のように、環境庁といたしましては、環境保全ということを第一義的に考えてこの問題に対応してまいりたいというふうに考えております。
  54. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 よろしくお願いいたします。  大臣、今度はやさしいことです。バイオテクノロジーなんというのは大変に難しくて、私も勉強するのにすごく時間がかかった問題なんですけれども、こちらはやさしい問題でございます。女性と環境。実はこの委員会は女性が七人でございます。大変女性が強い委員会でございます。覚悟していただきたいと思います。  大臣は、まずUNCEDに向けての女性をどのように位置づけておられるか、日本環境問題でもいいんですが、一言でお答えいただきたいと思います。
  55. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 委員はやさしいと申されましたが、一番難しい問題とお受けしたわけでございます。  まず、私どもともすると男性というのは、生産業に携われば生産をどんどんやってもうけなきゃいけない、家族を食べさせなきゃいけない、また政治をやれば日本国家を発展させなきゃいけないというようなことで、自分に与えられた仕事に突っ走りますね。それだけの責任感があるから男性のそうしたエネルギーもあり、人間社会も成り立っていくんだと思いますが、一方女性は、生活環境の変化とかそういったものを敏感に感じ取るということ、そして何と申しますか、女性も今は非常に社会進出をされて、先生もこうして議員として働いていらっしゃるわけですが、一歩下がって、何だと、こう見る能力を持っておられるんではないかと思います。  ですから、先ほどからいろいろ御指摘もありました地球環境の問題に対する御懸念とか、私どもが気がつかない角度からいろいろな御指摘をいただいて、ですから難しいと申し上げたのは、女性の方が考えることというのは私どもには本当はわからない。女性の方にそれだけの特質があるわけですから、そうした女性の方は男性の我々が持たないような思考のやり方で活躍をされるということが一番世界のためになるんじゃないでしょうか。やはり半分半分の人口で生きておりますから、いろいろ御活躍をいただき、お知恵もいただいてやってまいりたいと思っております。
  56. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 一歩下がってというのはもう古いと思います。同じでいいんじゃないでしょうか。  実はマイアミで二つ会議がありました、どちらもUNCEDに向けてですけれども。一つはUNEPの主催した四日から八日までの会議、それからこれはモーリス・ストロングも出まして千五百人世界から集まった会議なんです。これは環境庁に伺いたいんですが、この二つの会議は知っていらっしゃいましたか知りませんでしたか。イエス、ノーだけで結構です、お答えください。
  57. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 存じませんでした。
  58. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 とても不思議なんですね。  それでは次に、これもイエス、ノーで伺いたいんですが、ブラジルのリオに行く政府の代表団に女性をお入れになる気はおありになりますでしょうか、ないでしょうか。
  59. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) これはやはりそのときの私どもの代表団の構成がどうなるかということにかかってくると思います。ですから、女性だから入る女性だから入らないというような基準じゃなくて、それぞれのお立場で入られる方は入られる、こういうふうに思っております。
  60. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 そういうことで申し上げているんではなくて、女性の代表をきちんと入れていただけるかどうかということで伺っているわけです。  たまたまきょう森山さんがいらっしゃるわけですけれども、国連の婦人年のとき、森山さんは政府代表でまさに条約にサインをなさった。そのナイロビから七年たっんですね。これをやっているのは、御存じだと思いますが、その当時アメリカで主にやっていたベラ・アブサッグという下院議員、こちらはUNEPなんですね。それからUNCEDに向けて千五百人もの世界の人、国会議員が五十人ぐらい来ている、政府関係者も五十人ぐらい来ている。それだけ集まっているところにどうして日本がいないのか。これはもう大変不思議なことです。一体どうして日本はいないのか環境庁長官に手紙を書いた、それから日本大使館にも書いた。しかし日本は来ない、お金も出さない、もう向こうは半分怒っています。どういうことですか、これは。環境庁に手紙が着いているとすれば、これは今長官がおっしゃったように、女の人は一歩下がっていると思ったから皆さんこれを握りつぶしたのかどうか存じませんけれども、私は大変にゆゆしき問題だと思っています。  と申しますのは、例えば外務次官クラスの人も来ている。二年前から実はやっているわけです、アジアの地区で、アフリカで、それからラテンアメリカで、アラブで。見てください。アジアのところで日本というところを見たら、どうでしょう、男性がたった一人行っている。これは女性を本気で環境庁は考えてない証拠だと言わざるを得ないんです。どういうことですか、一体全体。森山さんよく御存じですよ。その前は亡くなりましたけれども高橋さん、それから赤松さん、日本は皆さん女性が行って実際にドラフティングコミッティーやなんかにも入っていらっしゃったと思うんですよ、私は知りませんけれども。  ここにプログラムがありますから見ていただきたい。ジャパンのJの字も、どごにもないです、千五百人の中に。私はこれに行きましたけれども、こっちは来てたって五百人中三人です。そして、もう日本バッシングだってあるわけです、環境破壊では。ここでもアメリカと日本環境破壊の元凶であると。アメリカはいろいろ反論もしています。日本は反論する人すらいない。私で出ていって一生懸命言いました。しかし、これは余りにも日本の女性を環境庁としてはべっ視しているとしか言いようがない。今さらもう遅いんです、終わってしまったんですから、これは二つとも。二年間ずっとやってきたわけです。  それは日本の女性の市民運動、まさに水俣も女性でした。先ほど北九州のお話も出ました。青い空を返してくださいといって立ち上がったのは男性じゃないんです、女なんです。いかだに自分をくくりつけて工場を海につくらせることに反対したのも女なんです。日本の女性は高度経済成長になって三十年間公害と闘ってきた。皆さんがこれだけ公害のない日本をつくったと思っていらっしゃるかもしれない、男性の方は。私はそう思いません。裁判闘争でどれだけ苦しい思いをしてきたか。それはもう西岡さんが今るるおっしゃいました。だから私は言いました。私は日本から来た。日本水俣もある。そして、私たち日本の女性こそが公害と闘ってきた。  実際に障害を持った子供を水俣でどれだけ女の人がはらみそして産んで、そのことで苦しめられ、虐げられ、苦労したのはどちらの性ですか、女ですよ。だからこそみんな命がけで闘ったんです。その女の人たちが環境に対して、今でもリサイクルだろうが、これからやる長良川だろうがどこだろうが、女性が公害問題やそれから自然環境、リサイクル、そういったものの先頭に立っています。そして今、UNCEDに対して、ここに持っていますけれども、女性は女性のアジェンダ21というのをつくりました。そして、それを持ってきているわけですが、そういうアジェンダ21についても日本なんてただの一行もない。関与していないんです。  日本の女性は国民の半分ですね。その国民の半分の女性がそういう国際会議に行って、当然日本としてインプットしたいことがあるわけです。大臣の認識とは随分違います。男性は突っ走るとおっしゃった。まさにそのとおりに突っ走ってきて公害列島と言われた日本。その中で私たちがもっと生活しやすい、そしてこの環境庁の白書にあるようなことを実現する、そのオールターナティブとしてのもう一つ違った人間が生きていけるそういった環境をつくるためには、もう男性の発想ではだめだというのがこの二つの会議の一番の根幹です。  過剰消費をやめる、日本がその元凶だ。第三世界からみんな第一次産品持っていってどうするんだ、片っ端からですよ、第三世界の人たちからは。女は歯にきぬを着せて言いません。ジュネーブでは男の人の交渉の方がよほど静かです。女の人の場合はずばずば言われました。私はそれに対して返す言葉がない。確かに熱帯の森林を切っている、サンゴ礁を壊している、魚をとっている。いっぱい環境破壊日本はしているんです。だからこそそういうところに日本の女性が出ていって、日本の女性としても地球環境を守るんだということでやらなければいけない。  森山さんがナイロビでサインをなさった後、日本の女性はなぜか途絶えてしまったと言われました。幾ら環境庁に手紙を出してもナシのつぶてだと。これは一体どういうことなのか私には全く理解ができない。手紙のコピーが欲しいとすら思ったのですが、その時間がなかったので帰ってまいりました。
  61. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 堂本さん、時間が過ぎているから結論を。
  62. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 最後の結論だけ言いたいんです。  今見つかりませんが、ウイメンズ・アジェンダ21というのがありまして、それからそこに出ていた国会議員と政府関係者全部に、今度は手紙が来ないなんて絶対言っていただきたくない、そこに対して十二日付で手紙を書きました。それは、どこの国も女性の代表を政府代表団に入れることを求める、そしてそのことを今度のニューヨークのプレプコムまでにやってほしいということの手紙です。このことは、私は今度は手紙をきちんとフォローさせていただきたい。そしてその手紙は大臣御自身で読んでいただくということだけお約束いただきたいと思います。
  63. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) まず一つ、女性が引っ込んでというような言葉の表現が悪ければ訂正いたしますが、そういう意味でなくて、落ちついて考えてくださるというふうな意味です。そう言っても怒られるならこれはしようがありませんけれども、男性と違った感性を持ってとらえてくださるという意味で申し上げたので、そういうふうに御理解をいただけたらと思います。  それから、私どもがそういった会議に臨みますのはこれはあくまでも政府の立場でありますから、今度のUNCEDで女性の参加が大いに求められているとかNGOの参加が求められているということはよく存じております。ただ、私どもがこれに代表をどうしていこうということは、ひとつまず第一義的に政府の代表として考えますので、その点には限界があると思いますが、過去の経緯等を私どもよく存じませんので、今事務当局からちょっと御答弁をさせます。
  64. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 今、先生がお触れになりました二つの会議につきましては、実は私環境庁国際環境を担当しておりますが、端的に申し上げまして存じ上げませんでした。  ただ、環境庁が女性問題を軽視しているかというとそんなことはなくて、先ほど来大臣の御答弁にあったとおりでございますが、一例を挙げますとこの七月にエコアジア91というのがございました。先生もほかの先生もたくさん御参画いただき、あるいは見ていただきました。その会議の宣言の中に一項目わざわざ環境と女性という項を割きまして、女性の重要さというのを触れでございます。  そんなわけで、私どもとしては、今大臣が触れました我々とはちょっと違った視点でまた問題を見ていただけるというそういう点に着目しながら、いろいろな面で女性の幅広い参加が得られるようにできる範囲で努めてまいりたいというふうに思っております。
  65. 西野康雄

    ○西野康雄君 社会党の西野です。  新環境庁長官によろしくお願いをいたしたいことは、長良川の河口ぜきの問題でございます。先日、私と同じように長良川河口ぜき問題に深い関心をお持ちの鯨岡兵輔先生が中村環境庁長官のことを評して、非常に環境問題に明るくて、そしてずばずばと政策を打ち出していく今までにないいい環境庁長官だから期待してよいぞと、こういうふうな言がございました。私も大いに期待をしている次第でございます。  まずWWF、世界最大の自然保護団体の世界自然保護基金の日本委員会、これの会長は大来佐武郎元外務大臣がおやりでございます。このWWFが反対世論の強まっている長良川河口ぜき建設問題に対し、初めて、自然環境の悪化を食いとめるためにせき建設に強く反対する。工事を中止して十分な環境アセスメントを実施すべきなどの見解を公表いたしました。これまでにも日本自然保護協会、日本野鳥の会、淡水魚保護協会、日本生態学会、日本陸水学会などが反対の声明を出しております。これで主要な自然保護団体あるいは学者のグループでございます学会のほとんどがせき建設の中止を求めたことになります。  このWWFの見解は、WWFの使命として自然環境と生態系を保全し良好な自然を未来に残すことにあると説明した上で、河口ぜきができるとサツキマスなどの魚類の生息が大きく阻害される。水質も悪化し、淡水と海水のまじり合う汽水域が喪失することによってそこに依存する種が絶滅、これは過去にも田沢湖のクニマスあるいは利根川の河口ぜきで淡水の中で唯一光る生物だと言われたホタルェビが絶滅をしておりますけれども河川敷の改変で植生、昆虫、鳥などにも大きな影響が出るなど生物の多様性を守ることはできないとしております。治水対策についても、短時間で洪水の水を海に流すよう河川を改変するのではなく、森林の保水力を高める努力をすべきだと指摘をしておりまして、科学的に検討して強く反対せざるを得ない。環境保全を求める声は地球規模で広がっている、こう結んでおります。  この見解に対して、環境庁長官はどうお思いでしょうか。
  66. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 鯨岡先輩がいろいろおっしゃってくださいましたことは大変恐縮して聞いております。鯨岡長官の御意向に沿ったようになるかどうかわかりませんけれども、長良川河口ぜきのことは、実は私正直申し上げまして、新聞等で報道は随分聞いておりました。しかしながら、具体的なことをいろいろ勉強させていただいたのは環境庁長官になってからでございます。そして、お聞きするうちに長良川ぜきというものが極めて良好な自然環境を保っている地域であり、できる限りそこの自然環境というのは保全していかなきゃいけないものだという認識は持っております。  しかしながら、このせき堤の建設というもののよってきた由来を伺いますと、まず治水問題がある。そして何年に一度かの洪水、これは先生などが御専門家であれですから私どもよりかすべてよく御存じのことでありますけれども、そういう大変被害を受けられる方があり、なおかつそれを防ぐための改修をやれば塩害が起こる。それをとめる利水の問題とかいろいろあるように伺っております。そういう中で、良好な自然環境最大限守るということで昨年十二月に前環境庁長官が見解を出しまして、建設省がそれに従ってよく調査をしていただいて、今お魚の話もそうでありますけれども、いろいろな問題について調査をし地元の方とも話し合って進めていただけるということでありますので、そういったものを見守りながら、これからも自然環境保全ということに最大限の努力をしてまいりたい、かように存じております。
  67. 西野康雄

    ○西野康雄君 前環境庁長官の愛知和男さんは、この長良川河口ぜきのことに関して自分が在任中に大変に力不足であった、もう少しいろんなことを反省しなければならないんだというふうなことで、この長良川の開発計画が地球環境保全のキーワードになっている、持続可能な開発の理念に合っているかどうかというこういう記者の質問に対して、開発ということは非常に長期の時間を要する。ある時点でいいと考えて工事を始めたことでも、時代によって変わる要素がある。一度手をつけるとどんな状況があろうと変えないということがとかくありがちだが、柔軟な考えで現実的に対応しないといけないと見解を示されております。それが在任中に学んだこと、反省点、これからの課題だ、こういうふうにつけ加えておいででございます。  たしか「鄙の論理」という本の中にも、一度ビッグプロジェクトをやってしまうと、これがむだだとわかっていても、どんどん国家というものはそのまま突き進んでいってしまうというふうなことが細川元熊本県知事の文章の中に出てまいりました。そういうふうなことのお考えもあわせて、前環境庁長官の反省の弁というのをどういうふうに受けとめておいででしょうか。
  68. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 私は十一月五日に拝命したはかりでありまして、反省ができるほどまだ勉強しておりませんので、これからいろいろ勉強をさせていただきたいと思います。  ですから、前長官のコメントに私が論評を加えるのは余りいいことではないと思いますので差し控えさせていただきたいと思います。
  69. 西野康雄

    ○西野康雄君 これからおいおい勉強していただいて、じっくりと長良川の河口ぜきというものについてお考えをいただきたいと思います。  さて、建設省にお伺いをいたします。  「いきいき中部」という本がございました。私は平成二年十二月十八日の建設委員会のところで、塩害田が載っておるけれども六十一年三月になっておる、これはおかしいじゃないかというふうなことを指摘いたしました。そうすると近藤河川局長は、   六十一年三月はこれは手違いでございまして、六十三年七月だそうでございます。その後発行した資料には訂正をしておるそうでございます。   それで、これらの田んぼはいずれも長島輪中地帯のものでございまして、それぞれの土地の所有者も確認していると聞いております。 こういうことでございました。  ところが、六十三年七月ということですが、これがまた間違いであるということが指摘されました。今度はこれは佐藤三吾同僚議員が先日開かれた予算委員会で、おかしいじゃないか、六十三年七月ではないと、こういうふうなことを言いましたら、そうしたら今度は近藤河川局長は、写真を提供した長島町役場の撮影者の記憶違いでございます、五十九年七月ですと、こういうふうなことでございました。  一体、記憶違いが正しいのか、手違いなのか、本当に五十九年七月でいいのか、その辺からちょっと答えてくれますか。
  70. 荒井治

    説明員(荒井治君) 御説明申し上げます。  先ほどの中部地建で発行いたしております「いきいき中部」でございますが、これにつきましては、長良川河口ぜきについて住民方々によく理解していただこうというような趣旨で印刷したものでございます。この中の二十九ページに塩害田の写真が載っているわけでございまして、実は先般先生方にも現地調査をいただいたところでございます。これは長島町の役場から提供いただいたものでございまして、当初六十一年三月というような日付で印刷してしまったわけでございますが、実は三月というのはまだ田植えができていない、長島町では四月の二十日前後でございますので、まだ田植えのないときのことになってしまっているわけでございます。そういうことで、非常に単純なミスであったということでございますので、まずこの席をかりておわび申し上げたいと思います。  さて、二点目でございますけれども、さらにそれの修正がなされたということでございますが、これらにつきまして地元の方々に再度問い合わせをいたしましてより正確な日付を調べましたところ、背後に建っている家の写真などから五十九年の七月末であろうと。要するに田植えが済んである程度稲穂が出てきている状態、そういったような時期であるということが判明いたしまして、現在それらのデータにつきましては訂正させていただいているわけでございまして、撮影者の記憶違いであったというようなことでございます。  また、これらにつきましては塩害田かということで先生方にも見ていただいたわけでございますが、現地の状況は道路沿いで非常に排水の不良の場所であったかと思います。そんなことで、町の役場の方といたしましては約二ヘクタールぐちいの塩害田を農業共済として認めているのだということでございますが、これは先般来るる御説明申し上げておりますように、木曽川から三・四トンぐらいの水を除塩用水として引いてきまして、地元の土地改良区の方々の御努力によって既に塩害対策は実施済みでございます。しかし、そういう中にもところどころに塩分が下から上がってきてああいうような塩害が起こるところもあるんですというようなことを町の当局が説明されております。  そういうことで、大変印刷間違いで失礼いたしました。
  71. 西野康雄

    ○西野康雄君 近藤河川局長は、それぞれの土地所有者も確認しておるところでございますと、こういうふうな答弁でございました。(録音再生)  つまり、確認も何にもしていないんですよ。いきなり来てはしゃばしゃと写真を撮っているんです。それを近藤河川局長は、それぞれ土地の所有者も確認しておると聞いておりますとか、この方はその田んぼの所有者なんですが、その方がいつから休耕田にしたか記憶が定かでないと。それを五十九年七月ですと平気で出している。私が聞いたときには、これは土地の所有者も確認しているというふうな返答をして、今度佐藤先生が聞くというと記憶違いでございますと。これではあなた方の答弁というのは信用できないんだよ。追及されたらころころその場で変わるということです、これは手違いでございます、土地の所有者も確認しておりますと。今テープを聞いたら違うじゃないですか。さらに、五十九年七月と言いますけれども、この方の田んぼはそんな塩害を受けたという記憶がない、休耕田にしているだけだというふうなことです。  一体何が真実なんですか。どこまで、何を調べたんですか。
  72. 荒井治

    説明員(荒井治君) 先ほどから御説明申したとおりでございまして、私たちの方では、町役場に照会いたしましてその事実関係を確認させていただいたところでございます。  そういうことで、四月ぐらいに苗を植えると。そういたしますと六月ぐらいに稲穂が茂ってくるわけですけれども、その二カ月の間に塩害田になった場合にはそのまま育たない。生育不良になってへ先生方に見ていただいたような非常にまばらな生育状態になる、雑草も生えてくるというようなことで、大体六月ぐらいに確認を現地でいたして、そしてもう塩害田として認められたものについてはそのまま放置するということで、たしか雑草も生えていたと思います。そんなようなことで、排水不良ということとその後の手入れ不良というようなこともございまして、ああいうような塩害田というような農業共済の認定によるものが二・五ヘクタールあるというように町当局は言っております。  そういうことでございますので、私たちは町の担当のところへの問い合わせによって一応確認している次第でございます。
  73. 西野康雄

    ○西野康雄君 何年もほったらかしておる。ことし我々が行ったときには、町の役場の人はことしも田植えをしましたとはっきり言っていますよ。こっちは何年も植えていないと。そんないいかげんな問い合わせの仕方はないんです、一遍平成二年の十二月十八日に私自身が質問をしているのだから。土地の所有者も確認していると。確認していないじゃないですか。役場に問い合わせていただけじゃないですか。そういうふうな誠意のないような答弁の仕方、こんなものは国会をばかにしているんです、軽視しているんです。そうでしょう。塩害田としてずっと認定していますからそのまま置いてあるんです。それであなた方がセットした。  ことし長島町へ我々が環境特で行ったら、何なんですか、町の役場の人間は、またことしも植えていましたと。こんな矛盾したことを平気で許しておくという、私は、これは塩害はない、ないものを何とかしてひねり出そう、こう思っているに違いないとしか言いようがないんです。  この問題ばかりやっておってもなんでございますが、先般の予算委員会でも近藤河川局長はもう塩害はほとんどないんだと。長島町では確かに余り塩害は見られておりません。なお塩害はほとんど発生していない状況でございますが、これは農林省所管の、このまき言わせてもらいます、あの方は農林省と言っていましたから。農林省所管の濃尾用水事業によりまして、上流に一億五千万トンの岩屋ダムを建設し、木曽川本川に木曽大ぜきを建設することによってその用水を確保して、現在長島町の水は上流ダム水源に依存することによって何とか塩害が防がれている状況でございます。というのは、これは長島町のパイプラインのことですか。
  74. 荒井治

    説明員(荒井治君) 先般、委員会の方で御視察いただきました長島町でございますが、古来から長良川と木曽川の河川水に依存して水田耕作をやっていたところでございます。それが昭和二十年代に入りまして、河川水に依存していたところ、地震が起こったり地下水のくみ上げ等によって地盤沈下が顕在化したということで、河川からの取水、これはアオ取水と言っていますし逆潮取水とも言いますけれども、そういうことをやって」いたんですけれども、だんだんそれが難しくなってきたと。昭和三十三年には県営木曽川下流農業水利改良事業ということで、主に用排水の分離事業に着手しておるわけでございます。三十五年にはさらに塩水化が進んで、長島町の伊曽島地区ではもう川からの自然取水ができなくなったということで、井戸を掘りまして、河川水を放棄して地下水から水田用のかんがい用水をとったわけでございます。  ところが、昭和四十年代になりまして地下水のくみ上げ、さらにそういうような農業用水も含めました各種用水によりまして地盤沈下が進行したということで、河川水のみならず地下水の塩水化も進行したということで井戸の機能障害が発生する、そういうこともございまして長島町全体が木曽川総合用水事業の受益地に組み込まれたというような状況を聞いております。  具体的なことにつきましては、
  75. 西野康雄

    ○西野康雄君 端的に答えてください、パイプラインですかと聞いているんですから。
  76. 荒井治

    説明員(荒井治君) そういうことで、現在は木曽川総合用水事業のパイプラインの事業によって木曽大ぜき、さらに海部幹線水路、それから水管橋を通って長島町に水が運ばれているというような状況でございます。
  77. 西野康雄

    ○西野康雄君 そのパイプラインが完成して淡水かんがいというものが可能になったということですね。そういたしますと、その通水工事が始まって完成して通水まで、通水の年度はいつですか。
  78. 荒井治

    説明員(荒井治君) 手元にしっかりした数字は持っておりませんけれども昭和五十二年に長島町へ通水が開始されたと聞いております。
  79. 西野康雄

    ○西野康雄君 昭和五十二年に長島町にこのパイプラインとして通水されたんですか。それは農業用水としてやられたものなんですか、先ほど荒井さんは五十四年からの通水ですと私のところへ来ましたけれども
  80. 荒井治

    説明員(荒井治君) 農業用水の場合、幹線水路とそれから県営水路と団体営水路というぐあいに、いろいろ大動脈から動脈、毛細管というぐあいに分かれておりますし、その中で私が先ほど先生に申し上げましたのは、公団営の水路が五十三年に完成、県営の水路が五十三年、団体営の水路が五十七年に完成しております。そういうことで、若干それぞれの用水路の完成年次が違っておりましたので、五十四年ごろかなというぐあいにちょっと先生に申し上げたんですが、五十二年が正解でございます。
  81. 西野康雄

    ○西野康雄君 団体営の通水は五十七年ですか。つまり、個々の末端の農家にやれるようになったというのは。
  82. 荒井治

    説明員(荒井治君) 五十四年から始まりまして、五十七年に完成したというぐあいに聞いております。
  83. 西野康雄

    ○西野康雄君 それは農業関係のことですな、五十四年から五十七年は。そういたしますと、五十四年から始まって五十七年で通水が開始になった。それによって淡水かんがいが可能になって塩害がなくなったということですか。
  84. 荒井治

    説明員(荒井治君) 五十四年から五十七年に工事が行われたと申し上げましたけれども工事途中であっても一部通水ということはあり得ますので、五十二年ということでよろしいかと思います。
  85. 西野康雄

    ○西野康雄君 しかし、五十二年には一部が完成したということですな。全体としては五十七年ということですな。  塩害の発生率というのを見ますというと、昭和四十八年ぐらいでもうがくんと下がっている。四十七年に九・六%のものが四十八年ぐらいからもう〇・七ぐらいに下がっております。そして、次の昭和四十九年では〇・六、五十年では〇・五、そういうふうにもうほとんどないような状況になってきて、一部通水だとかそうおっしゃるけれども、それは五十四年からの通水としても五十二年の〇・二、五十三年の〇・二%、こういうふうなことを考えてみると、実際は本当に塩害というものが淡水かんがいによって軽減されたんだろうか。その前から、取水の工夫だとか塩害に強い品種の導入だどかでもう塩害は克服されていたんじゃないか、そう考える方が妥当じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  86. 荒井治

    説明員(荒井治君) 長島町は名古屋の都市圏から非常に近い通勤圏になっております。そういう点もございまして、単なる塩害ということではなくて、やはり土地の利用の変化というのがございます。一つは、やはり宅地化してしまうとかそういう形によって塩害を、何というんですか潜在化してしまうというようなこと、そういうようなこともございます。あとは、埋め立て等に使って別の土地利用にするというようなこともあって塩害田化というものが表面から消えてきているというようなこともあると聞いています。
  87. 西野康雄

    ○西野康雄君 私はパーセンテージで言っているんです。五十七年に全面的に通水があった。その以前から〇・二%であったり〇・六%だと。土地の利用だとかそんなこと関係ないですよ。田んぼそのもののパーセンテージで言っているんです。答えてください。
  88. 荒井治

    説明員(荒井治君) 長島町のデータというか、作付面積については農林水産省の統計でございますが、被害面積については三重県及び長島町の農業共済組合の調べでございますが、一九五五年には四十四ヘクタール、四・五%、そして一九八〇年には五・八%、そして一九八八年には〇・四%というように長島町での被害面積は減少しているということになっております。
  89. 西野康雄

    ○西野康雄君 だれもそんなこと聞いてないんです。通水が五十七年でまんべんなく行くようになった。それ以前からも〇・二%だとか〇・七%だとか、ずっとそういうふうに続いておる。昭和四十七年には九・六%あったものが四十八年には〇・七%。この時点で塩害が克服されたと考える方が妥当なわけでしょう。五十四年の通水以前から、〇二一%というのがもう五十二年、五士二年に出ているんですよ。一部の通水だとかそういう問題じゃないでしょう。
  90. 荒井治

    説明員(荒井治君) 一九八〇年、すなわち昭和五十五年でございますが、昭和五十五年におきましては長島町の作付面積は七百三十三ヘクタールでございます。それに対しまして被害面積は四十一ヘクタール、これが先ほど申しました五・八%でございます。それで一九八八年、すなわち昭和六十三年ですか、この時点では六百九十七ヘクタールが作付面積でございまして、被害面積が一、一・五ヘクタール、すなわち〇・四%という数字になるわけでございます。
  91. 西野康雄

    ○西野康雄君 だれもそんなことを聞いてないと言っていますがな。淡水かんがいの前から非常に少なくなっていると。あなた方は淡水かんがいによって減ったと言うけれども、はるか以前から塩害田というものが減っているんだと、そういうふうなことに対してまともに答えられないでパーセントばかり、私は持っています、そんなものは。昭和二十二年からのを持っています。だれもそんな答えは聞いてない。これ以上答えに窮するんならもう仕方がないですよ。  では、このパイプライン、長島町改良区と公団が直接行った分、公団が金を出して県が事業主体になった分、これの内訳と総金額を教えていただけますか。
  92. 荒井治

    説明員(荒井治君) 具体的な事業に要した費用ということかと思いますけれども、実は木曽川総合用水事業というのは、農業用水、水道用水、工業用水、こういったような三つの利水事業によって構成されている共同事業でございます。長島町の塩害対策に要した費用というような御質問ですと、直接お答えすることはなかなか難しいかと思います。  また、この事業については木曽川総合用水の事業に関連いたしますので、基本的には農水省、通産省、厚生省の共同事業でございますので、建設省が直接所管していないという点で具体的な数字については申し上げることを控えさせていただきたいと思います。
  93. 西野康雄

    ○西野康雄君 そうですか。結構でございますが、地元負担分、長島町改良区が行った分は十一億三千万円、全部の三二・五%は長島町改良区が行った、農業に係る部分は。これを三倍すればいいんですよ。それぐらいでパイプラインというものが引けてくる、三十五億ぐらいで。千五百億円かけて塩害の防除をして、そんなことじゃないんですよ。黙っておったら行き過ぎていくかもしれない、もうほっとこう。私どもは答えられません、それで時間は過ぎていくでしょうけれども、三十五億円ほどで九百ヘクタールを補いました。あなた方は三千ヘクタールが塩害になる。海津町だとか立田村だとか高須輪中だとか、九百ヘクタールは三十三億円なんです。  そういうふうなことを考えたときに、安八町水害、早くしゅんせつしてやって、そしてこのかんがいがその上流部においても完成しておったならば安八町水害は起こらなかった。これは近藤河川局長も、早くしゅんせつをして一メートル掘り下げていたならば助かっていたかもしれないとちゃんと答弁していますよ。そうしたならば、なぜ先に木曽川用水から塩害が起きそうなところに、この三倍の費用で済むんですから、やってやらなんだか。あなた方は利根川河口ぜきのときにむやみやたらとしゅんせつをした。関東ローム層の中で塩害が起きた。これ幸いだと、こういうふうな論理を展開したけれども、ところがこの木曽三川というものは、粘土層があって、そういうふうなものじゃない。そう簡単に塩害というものは起こらない。だから、伊勢湾台風で塩水をかぶったところが除塩を完了するというと、急に〇・七%ぐらいの比率に下がってくるわけです。  もう一つ、もう時間がございませんから、塩害の問題で言うならば、今あなた方がせきをこしらえて水をためたならばさらに塩害が起きるという可能性を申し上げます。  立田村のレンコンのときに私は、地下の海成粘土層、ここに当たって海水が上がってくるんだ、こういうようなことを言ったら、近藤河川局長は、いろいろな意見はあるけれどもそうじゃないんだ、海水が川を遡上してきて堤防の下をくぐっていくんだ、それが塩害の原因です、こんなことを言っていた。  しかし、建設省中部地建河川河川課内に事務局がある東海三県地盤沈下調査会の報告書を見ると、木曽三川の河口部長島町第一帯水層、これは地下五十メートル内外と第三帯水層の地下水は、各イオンに対する塩素陰イオンの比の海水からのずれの割合を判断して、第一帯水層の地下水は現海水のみならず絞り出しによる化石水の影響をも受けている。さらには、木曽三川河口部における塩水化機構については、次の二通りの塩水侵入過程を考える必要がある。すなわち海成の沖積粘土層中に間隙水として存在する化石水の絞り出し及び河川を遡上した海水によって塩水化した表層の不圧地下水の鉛直下方への漏水現象。はっきりとあなた方の資料に書いてあるんです。  ところが、近藤河川局長は、川を遡上した塩水が堤防からくぐってきた、それだけのことしか述べていない。しかし、津島高校が地学の先生の指導のもとに立田村のレンコンの塩害、あなた方は浸透水だと言っていたけれども、あそこは海成粘土層に当たって出てきた塩分だ、こういうふうなことを言っているんです。結果として出ている。それをそんな学説はありますがと、あなたのところがやっているんだよ。あなたのところがレポートをやっているんだよ。  それを、塩害はございませんと。しかし、これは舌状にずっと上へ行っていますよ、海成粘土層、これが地盤沈下によって、地盤沈下というのはわかるでしょう、粘土層が縮まることなんですよ。帯水層が縮まるんじゃないでしょう。そこの絞り出しでしょう。都合よく否定しておって、ここにあなた方の資料があるじゃないですか。こんないいかげんな答弁の仕方、過去ずっと振り返ってみたら、こんないいかげんな答弁の仕方なんです。調べていけばあなたのとこみに随分とある。利根川のあの用水も実は塩害が起きることは予想してたんじゃないだろうか。  あなたは今昭和二十年の愛知県のことを言いましたけれども、海部郡の塩害地については、昭和二十六年から農林省の東海近畿農業試験場に委託した調査研究が進められて、その成果が昭和二十九年に出されております。水稲塩害に関する調査研究成績を見ると、塩害田土壌を深さ百二十間、二百十八メートルを水源とする深井戸を水源とする清水で洗浄したところ、単位面積あたりの収穫量が普通の状態に戻った、こういうふうなことが書いてあります。いいかげんな答弁をなさらず、きっちりと学問的なことをやっていただきたい、こういうことを指摘して、私の質問を終えさせていただきます。
  94. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 午前の質疑はこの程度にとどめまして、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十一分開会
  95. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査のうち、長良川河口ぜき建設問題に関する件につきまして、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  98. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 休憩前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  99. 清水澄子

    清水澄子君 まず、長官に環境行政の基本姿勢について幾つかお尋ねしたいと思います。  来年の国連ブラジル会議地球を救う最後の機会だとも言われておりますけれども、先ほど長官は、それに参加されるのかどうかということの発言はなくて、皆さんに協力をということを要請されましたけれども、長官自身はこのブラジル会議に参加するお考えがありますか、お聞かせください。
  100. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 先生仰せのとおり、地球サミット地球の将来を占う極めて重要な会議でございます。環境問題は、先ほども申しましたように、永遠の課題であると同時に今大変差し迫った緊急の課題となってきております。ここで世界全体の合意を得て、将来の地球環境の保たれたものにしていくという合意を得なきゃいけない会議でありますから、そこへはぜひ出席をしたいと存じております。  しかしながら、先ほどお話ししましたように、私ども国会に対する対応というものが政府といたしましても一番重要なことでありますので、これは私の希望になってしまうかもしれませんが、私も国会対策の副委員長というのをやってまいりましたし、安恒委員長におかれましてもそういうお立場でやってこられましたけれども、やっぱり国会出席ということと関連が出てくる。それで、ことしから与野党の合意によりまして実態に合わせたということで一月の召集ということになりますと、ちょうど六月が会期中に入ります。そういうところで、極力国会の御理解を得てぜひ出席したいと存じておるようなところでございます。
  101. 清水澄子

    清水澄子君 ところで、このブラジル会議地球温暖化防止条約が提案されますが、最近その素案が示された中で、六つの基本原則が立てられていると思います。それは、持続可能な開発、予防の原則、公平かつ区別されない原則、開発の権利、汚染者負担、そして特別な負担と、こういう六つの基本原則がうたわれておりまして、この基本原則のうち特に汚染者負担の原則について途上国が最もこれを強く主張し、先進国側が難色を示している、こういう状況があると思うわけです。  日本は、一番世界から、特に途上国から大量の資源を消費しているわけですし、それから地球環境破壊に少なからず責任を持っていると思うわけですけれども日本はこの地球環境問題をめぐってこの北と南の対立の中で、これは午前中のときにも聞きましたが、どのような理念、哲学を持ってこの会議に臨まれるのか。特にこの地球温暖化防止条約については、汚染者負担の原則というその原則について日本はどういう考えで臨まれるのか、お聞かせいただきたい。
  102. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 今、先生お尋ねの地球温暖化から見ます枠組み条約づくりの交渉に私自身も参加いたしておりますので、それを踏まえまして御説明させていただきたいと思います。  先生御高承のとおり、この温暖化防止のための枠組み条約につきましては、UNCEDでの合意期待されておりますいわば目玉の一つでございます。これを受けまして、過去三回条約交渉がなされておりまして、四回目が間もなく十二月にジュネーブで行われようとしております。それで、その中で先生もお触れになられましたように、先進国と途上国の間にいろいろな意見の相違が出ておりまして、その中の一つに先生お触れになりました汚染者負担の原則、ポリューター・ヘイズ・プリンシプルの問題がございます。  途上国がこの問題を主張する一つの根拠といたしましては、地球環境問題、中でも地球温暖化問題を引き起こした多くの責任は先進国側に。あるというそういう途上国の立場に立ちまして、その結果、被害を受けた国に対する何といいますか、被害が生じた場合にはそういう原因を引き起こした国が責任のある国、多分途上国から見ればそれは大部分先進国だと、こういうわけでございますが、その原因を引き起こした国が責任を持って対処すべきだ、こういう趣旨の主張がなされておるわけでございます。  こういった問題に対しまして、日本のみならず、それを途上国の多くの参加者はポリューター・ヘイズ・プリンシプルという名目でもって主張しておりますので、率直に言いまして先進国の多くの国は、汚染者負担の原則、汚染者負担の原則と普通いいますと、ある企業といいますか、必ずしも企業じゃございませんが、ある原因者がいまして、原因者が引き起こした汚染、例えば大気汚染であれ水質汚濁であれ健康被害であれ、そういった問題に対しまして負担をすべきだという普通の何といいますか民法上の原理みたいなことで理解をされるわけですが、それを国家間に適用しようということに対しましては少し違和感があるわけでございます。  しかし途上国側が主張していることにも一定の理解を示しながら、先進国としては、特に途上国が必要としております環境保全技術移転の問題あるいはそういった対策を進めるのに必要な資金の問題、さらにはそういった対策を効果的に進めるための人材の育成とかそういった問題について、先進国としても積極的に支援なりをすべきだというそういう立場で臨んでおりまして、我が国先進国が率先して対策に取り組むべきだという立場で条約交渉に臨んでおるわけでございます。
  103. 清水澄子

    清水澄子君 周辺の問題じゃなくて、できるだけ聞いたことにだけお答えいただきたいと思います。  次に、日本は伝統的に技術移転とかそういう面は非常に熱心なんですけれども、やはり環境、生態系の保全とか、いろいろな有害物質の規制とか、そういう問題は非常に世界先進国に比べておくれていると思うわけです。今度の環境保全等にかかわる世界遺産条約とか、それから有害廃棄物の越境移動を禁じたバーゼル条約等は、環境庁はもっと積極的にこれの国内法化と批准を推進していただきたいと思いますが、長官自身の御決意はいかがでございますか。
  104. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 今、先生御指摘の件でございますが、有害物質の規制等に関しましては、私は必ずしも日本が劣っているというようには感じてないのでございます。私何年か前に実は環境委員会の理事をやっていたことがございまして、そのころよく外国に委員会等で派遣されたりして向こうとも話してまいりましたけれども日本は厳しい環境の汚染を経験したということに基づいてかなりその面はやっているんじゃないかと認識しておるわけでございます。  自然の保護という件に関しましては、先生仰せのように、何と申しますかその取り組みまた自然に対する物の考え方等、やはり外国に学ぶべきところが多いのではないかと存じております。また、今のいろいろな自然保護にかかわる条約の件でございますが、これは仰せのとおり前向きに対応してまいりたいと思っております。  具体的な日程とかがどういうことになっているかにつきましては、担当者からお答えをさせていただきたいと思います。
  105. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) ただいまお尋ねのございましたバーゼル条約の関係を答弁させていただきます。  バーゼル条約は、有害廃棄物の越境移動に伴う環境汚染問題というふうなことで一九八九年に採択されたわけでございます。これにつきましては、我々環境庁といたしましてもその重要性を十分認識しておるわけでございます。そこで、この条約を早期に批准するというふうな観点から、現在外務省を中心に関係省庁で集まりまして、この条約の翻訳といいますか、確定作業を行っておるところでございます。次の通常国会にでもこの条約案を提出し、これとあわせまして国内の法整備も図っていきたい、こういうことで現在努力をしておるところでございます。
  106. 伊藤卓雄

    政府委員伊藤卓雄君) 世界遺産条約の件につきましてでございますが、これにつきましてはかねてから私どもといたしましては、世界の自然遺産の保護という観点で望ましいという観点から、早期締結のために外務省等に働きかけをしているところでございます。所管は外務省でございますので、いろいろ御検討いただいておるようでございますが、今後とも積極的にその働きかけを行ってまいりたいと思います。
  107. 清水澄子

    清水澄子君 それでは、世界先進国の中で環境アセスメント法を持っていないのは私は日本だけだと思われますけれども、長官はこの点についてどうお考えでしょうか。
  108. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) アセスメントに関しましては、先ほど申し上げたことですが、これが国会へ提出されまして廃案になりましたとき私は実は環境委員会の理事をいたしておりました。でありますから、いろいろな御意見があって、論議を尽くしたんだけれども、結果的に廃案になったということを見てまいったわけであります。その後、環境アセスメントをこれはやって自然を保全していかなきゃいけないということで、五十九年八月に閣議決定された環境影響評価実施要綱、いわゆる閣議決定のアセスメントでありますが、それでございますとか公有水面埋立法を初めとする個別の法律や、また地方団体においていろいろ決められました条例、要綱に従ってアセスメントというのは実際には行われ、進んできているものだと認識しております。  こういった中で、私どもとしましては、有効な環境アセスメントができることが重要であって、それが定着し、そして地方公共団体におけるアセスメント等々含めて実効あるアセスメントが行われるように、地方に対してはこのアセスメントに関しての適切な指導をいたしますし、閣議決定のアセスメントにつきましては、それが有効に定着し働きますように努めてまいるというのが今の立場でございます。そして法制化ということにつきましては、公害基本法が制定されました四十年代からもう随分時間がたっておりますので、こうした法制度も踏まえてすべてのことを検討するときに、その一つとして引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
  109. 清水澄子

    清水澄子君 全然前と変わってないんですね。  そこで、OECDが援助国側に環境アセスメントの実施を勧告いたしましたのは一九八五年だったと思うんです。そして、八六年にはさらにアセスの実施を具体的に勧告しておりますし、そのアセスはプログラムの段階から実施すべきだ、さらにその後もフォローアップを行うように非常に具体的な要請をしておるわけです。  長官はきょうも冒頭に、日本がこれからの環境保全については世界の中でリーダーシップをとりたいというお言葉でしたけれども、国内のアセスメント制度すら未確定の中で、そういうODAのアセスメントを含めて途上国や諸外国にどれだけ説得力があるでしょうか。そういう意味で、今後環境アセスメントを法として定めるおつもりはないのかどうか、その点を簡潔にイエス、ノーで結構です、お答えください。
  110. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、今は閣議決定によるアセスメント、そして地方、また関連法律によりますアセスメントを実効あらしめるということに努力いたしましてこの定着を図っていく、そして法制化については引き続き検討をしてまいるという立場でございます。
  111. 清水澄子

    清水澄子君 来年のブラジル会議に向けて環境アセスメント法ぐらいはつくりますとお答えいただきたいし、ぜひそれをお願いしたいと思います。  次に、環境保全技術移転についてなんですけれども、これを通産省と環境庁にお尋ねしたいと思います。  この国連ブラジル会議に提出予定の政府報告の第二章には、「地球環境保全のための国際協力」において「技術移転への協力」ということが書かれています。日本の先進的な公害防止技術環境保全技術発展途上国への技術移転は、地球環境保全の立場から今後非常に大きな問題だと思うわけですけれども、そこでまず通産省にお伺いしたいんですが、来年度から推進する計画になっておりますグリーンェードプランについて、これがどういう基本的な枠組みなのか、それからそこにはエネルギー・環境対策の優先策が挙げられているわけですが、これをひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  112. 中村利雄

    説明員中村利雄君) グリーンェードブランと申しますのは、経済の持続的成長と環境保全の両立を図る必要があるという認識に基づきまして、工業化のある程度進展した段階にございます発展途上国が現に直面しておりますエネルギー・環境問題の解決に資するために、エネルギー・環境技術支援の各種のいろいろな対策を組み合わせたスキームをつくりまして、国別に相手国の国情、ニーズに応じた総合的な支援を実施しようとするものでございます。  内容的には三点に分かれておりまして、第一点は、エネルギー・環境問題についての現状及び基本的な方向について共通の認識を得ることが援助国及び被援助国の相互にとって不可欠である、こういう認識に基づきまして政策対話を実施するということでございます。  第二点は、エネルギー・環境対策の経済協力の実施でございまして、このために、人材養成協力でございますとか発展途上国のニーズに適合しましたテーマについての研究協力などによりまして、エネルギー・環境技術移転の推進と発展途上国に産業公害防止等の対策へのインセンティブを与えるための資金協力を検討していくということでございます。  それから第三点は、地球温暖化とか酸性雨対策にかかわる発展途上国での技術の実証調査を行う、この三点から成っております。  これらを円滑に推進していくために、窓口機関としまして連絡調整を行いますエネルギー環境技術センター、仮称でございますが、これを設立して実施するということにいたしております。来年度はこのセンターをタイと中国に設置する予定で現在予算要求中でございます。
  113. 清水澄子

    清水澄子君 ちょっと具体的に伺います。  これはよく質問されたことだと思いますけれども、フィリピンのバタンガス州のカラカ石炭火力発電所公害問題です。この発電所の一号機は、一九八四年に運転を開始して、そして石炭の品質の問題もありましたけれども公害防止機器の不備が指摘をされていると思うわけです。この発電所のために周辺住民は大変な大気汚染や下水の汚染、漁業被害に悩まされているわけですけれども、この一号機の建設は、三井物産が当たって日本輸出入銀行の融資で行われたのは御存じだと思います。  これに対して、先ほど言いましたOECDなども加盟国の援助機関は必要に応じ環境アセスメントを実施すべきであるということを再三勧告しているわけですけれども、通産省は発展途上国へのプラント類の輸出等または開発援助についてどのような環境保全についての基本的な施策をやっていらっしゃるか、それからアセスを本当にやっていらっしゃるのか、その点をお答えください。
  114. 奥田真弥

    説明員(奥田真弥君) フィリピンのカラ力発電所に絡んでの御質問でございますので私の方からお答えさせていただきます。  先生御指摘のようにこれは輸出信用案件でございますが、これに限りませんで、円借款等につきましても環境問題は極めて重要というふうに我々認識をいたしておりまして、例えば円借款の供与に当たりましては、環境面への配慮につきまして必要なチェックをこれまでも行ってきているところでございます。環境問題はさらに重要になっておりますので、OECD理事会の勧告でございますとか国際援助機関のガイドライン、こういったものを参考にいたしまして、一昨年の十月に環境配慮のためのOECFガイドライン、OECFというのは海外経済協力基金でございますが、これを作成いたしております。  現在もこれに基づきまして、いろんな計画が相手国の環境基準を満たしていること等についての確認等を十分に行ってきているというところでございます。
  115. 清水澄子

    清水澄子君 時間がないものですから、さらに尋ねるのが非常にこちらは苦しいんですけれども、余りにも公式の答弁でちょっといらいらしております。  次に、カラカ発電所二号機の建設計画が今進められていまして、これに対しましては、カラカ市議会自身が二号機の建設に対して一号機の公害防止設備をつけるまで二号機の建設をしてもらっては困る、そして公害に対する十分な補償を求める決議をしておるわけです。これまで外務省は、こういう環境問題は、それは相手国の政府の責任だということを絶えず答弁しておりましたけれども、今度さらにこのグリーンエードプランという環境保全するという視点で、こういうプラント輸出をしたりまた技術を輸出なさる場合に、このカラカ発電所二号機の建設に当たっては根本的な現地の要求というものをちゃんと教訓的に取り入れてなさるおつもりですか。
  116. 奥田真弥

    説明員(奥田真弥君) カラカ火力発電所の二号機につきましては、円借款の供与を決定いたす際に、高効率の電気集じん機の設置でございますとかいろいろな環境対策をチェックいたしておりまして、フィリピンの環境基準を満たすということを実施機関であります国家電力公社から確認をとっているところでございます。それから具体的な建設着工に当たりましても、現在フィリピンの政府内部で大統領令に基、つきましたフィリピン内の環境基準への適合のチェックというのを実施中ということでございます。  我々といたしましては、その審査状況を注視しているところでございまして、今後とも必要に応じて適切な対応をとるようにフィリピン政府にも働きかけを行ってまいる所存でございます。
  117. 清水澄子

    清水澄子君 その場合、脱硫装置をつけられますか。それとあわせて、そういうカラ力発電所の二の舞を続けないためにも、プラント輸出には国内で公害防止装置つきのものを義務づけていくとか、それから熱帯林の木材の輸入を規制するとか、いろんな国内でやれる政策があると思いますけれども、その点いかがですか。
  118. 奥田真弥

    説明員(奥田真弥君) カラカの火力発電所二号機につきましては、いわゆる排煙脱硫装置といったものは設置される予定には現在なっていないというふうに承知をしております。我々といたしましては、フィリピン側で設置をいたしております高効率の電気集じん機でございますとか散水装置、こういったものでフィリピンの環境基準を満たすということの確認をとっておりますので、現在、それがそのとおり妥当なものかというフィリピン政府内のチェックというものを見てまいりたいというふうに考えているところでございます。
  119. 清水澄子

    清水澄子君 発展途上国の方がそれをつけるということはないと思いますね。それには相当の資金援助をするとか、そしてこちらからそういうものを企業に義務づけるということが今一番具体的なことだと思ってお伺いしたんですが、それも変わらないんだということが今ここではっきりしたと思います。それは次に譲ります。  環境庁は一九八六年にOECDの勧告を受けて開発援助環境保全検討会というのを設置されて、そこで、「開発援助における環境配慮の基本的方向」という報告書をまとめておられるわけですが、それは今回の通産省のこのグリーンエードプランとどういうふうに連動しているのか。それとまた、環境庁自身もことしは環境保全技術移転センターネットワークという構想をお持ちですけれども、それとこの通産省の案であるグリーンェードプラン、中でもエネルギー環境技術センターの構想とはどういうふうにお互いに調整したり相互に環境保全という形で連携が持たれているのか、その点について両者からお答えください。
  120. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) ただいま先生おっしゃられました環境庁に設置しました開発援助環境保全検討会の報告書が八七年に出たわけでございますが、それがどんなふうに生かされているかについてごく簡単に申し上げたいと思います。  まず、八九年六月に地球環境保全関係閣僚会議地球環境保全施策全般につきまして申し合わせをしておりますが、その中の大事な一つに、政府開発援助等の実施に際しての環境配慮を強化するという基本方針を確認いたしております。これも、先ほど出ました報告書の趣旨が私どもいろいろと関係方面に働きかけてきたものが生かされてきたものというふうに考えております。先ほどの申し合わせを踏まえまして、JICA及びOECFで環境配慮のためのガイドラインの策定並びに体制の強化を進めておるわけでございます。  私ども環境庁自身といたしましては、先ほど先生もお触れになられましたように、まずUNEPの国際環境技術センターというものを日本に設置することをこの五月にUNEPとして正式に決めていただきましたので、これが来年の秋をめどに大阪及び滋賀の方で活動を逐次開始していくことになろうと思っております。そのUNEPの国際環境技術センターと、それからそれとは別に私どもが二国間で進めてきました環境分野での援助、具体的に申し上げますとタイ、中国、インドネシアなどで環境保全センター、名称はちょっと場所によって異なっておりますが、例えばタイの場合でございますと環境研究研修センターという表現になってございますが、そういうセンターとこのUNEPの施設として日本に設けられることになりましたセンターとを有機的に結びつけていきたい。それをネットワーク化と私ども呼んでおりまして、今度のUNCEDでも重要な課題となる技術移転を、言葉ではなくて、具体的な事業とじてやっていく一つの典型的なプロジェクトだというふうに思っておりまして、これを積極的に進めたいというふうに思っているわけでございます。  それで、今お尋ねの通産省のグリーンエードプランとの関係でございますが、これは先ほど通産省から御説明ございましたように、開発途上国に対するエネルギー及び環境技術支援策であるというふうに聞いておりまして、当然このグリーンエードプランにおきましても、今申し上げました全般的な環境配慮という思想を受けてのものというふうに私ども理解いたしておりまして、環境庁といたしましても、環境保全技術移転に関する施策につきまして私どもみずからあるいは関係する省庁と一体となって積極的に進めてまいりたいと思っております。
  121. 清水澄子

    清水澄子君 通産省はもうお答え結構です。きのう伺ったら知らないとおっしゃったわけですから、もうきょうはお伺いしません。それから本当はゴルフ場建設とその環境汚染について伺う予定でしたが、時間がございませんので、きょうはカットさせていただきます。どうも申しわけありません。  次に、水質についてお伺いいたします。  水道水水質基準の見直し作業が今厚生省で進められているわけですけれども、この水質基準の見直しとあわせて水質汚濁防止法の排水基準をやはり見直さなければならない立場だと思いますけれども環境庁は今回、厚生省の見直しと関連させてどういう作業をお進めになっていらっしゃいますか。
  122. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 答弁者側、簡単に答弁してください。
  123. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 環境庁といたしましては、水質保全の観点から環境基準あるいは排水基準についてその適切な設定を図っていくということが必要である、こういうふうに考えておるわけでございます。  それで、現在厚生省におきまして水道水質基準の見直し作業が進められておるわけでございます。環境庁といたしましては、厚生省の見直し結果を踏まえまして、これに合わせた新しい環境基準なり排水基準の設定を行いたいというふうなことで、現在いろいろな調査とか知見の収集、こういうものをやっておるところでございます。
  124. 清水澄子

    清水澄子君 今ゴルフ場農薬の問題が非常に社会的に重要になっているんですけれども、特に環境庁の指針というのは非常に緩い、コイの半数が死ぬというその濃度より高い基準値があるとか、いろんな水質の基準が非常に弱いということが問題視されているわけですが、しかしゴルフ場の農薬というのは全生産量の一割しかないわけです。そして家庭等で使っているものも一割ですから、さらにこの田畑を含めたゴルフ場以外で使われる農薬を含めてどういう基準をおつくりになるお考えですか。
  125. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) ゴルフ場の農薬につきましては、我々としては、適正な使用というふうなことで、御指摘のように暫定基準をつくりまして、これが守られるように都道府県等を通じて指導をしておるわけでございます。御指摘のございましたように、ゴルフ場で使う農薬は全体の約二%ぐらいというふうに認識をしております。農薬につきましては、農林水産省の方で登録というのがあるわけでございますが、その際人体に与える影響でございますとか作物に与える影響でございますとか魚等の生物に与える影響、こういうものを審査をいたしまして、それに適合しないもの、不適なものは登録をしない、使用しない、こういうことでやっておるわけでございます。  環境庁としましては、その登録をはねつけるといいますか、登録をしない基準をつくるのが環境庁の仕事になっておるわけでございます。今後とも、その適正な基準をつくることによりまして、農薬の害がないようにやっていきたいと思います。  ただ農薬というのは、やはり使い方によりましていろいろと害が出るものでございますので、やはり水道用水の水源の近くでは使わないとか、あるいは魚がいるようなところではできるだけ魚毒性のある農薬は使わないとか、そういうふうな適正使用が大事でございますので、これにつきましても、農林水産省を通じまして適正な使用によりまして農薬の被害が出ないようにというふうなことで、製造なりあるいは使い方両面につきまして農薬の被害が出ないように今後とも努力してまいりたいと思っております。
  126. 清水澄子

    清水澄子君 農薬についても非常に安易なお考えだと思います。  先ほど長官は有害物質の規制はおくれていないとおっしゃっておられましたけれども我が国水道水水質基準というのは、諸外国の例を見ていただければ、丸いのがこれは基準を持っている国です。(図表掲示)日本のところを見ていただければ、重金属のところは、これは水俣の問題がありましたからカドミウムとかクロムとか鉛とか水銀というのはあるんですけれども、あと農薬関係とかハイテク汚染になりますと、これはほとんどないわけです。  これはWHO、米国、そしてカナダとか、こういうふうに比べたとき、日本の場合は非常にそういう意味で有害物質の規制が弱い。そういう中で、一番飲み水というのは大きな問題なんですが、やはり環境庁は今後こういう問題についてもっと積極的に規制をしていくべきだと思うわけですが、いかがですか。
  127. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 環境庁といたしましては、有害物質につきまして必要に応じまして環境基準なり排水基準を設定しておるわけでございます。最近では、平成元年の三月にトリクロロエチレンとテトラクロロエチレンにつきまして排水基準を設定して、それに基づきます規制を実施してきたところでございます。今後とも、有害物質に係ります水質汚濁状況の把握でございますとかあるいは発生源の実態等の調査及び必要な知見の収集等に努めまして、適正な環境基準、排水基準の設定に鋭意努めてまいりたいと思っております。
  128. 清水澄子

    清水澄子君 最近、湖沼とか河川の汚染というのが非常に深刻になっていると思います。これは富栄養化が非常に進んでいるわけですけれども、ここにアナベナというこういう生物が発生をして、これが水道水の中にカビ臭を出している、こういうふうな生物がいっぱい繁殖をしているわけです。(資料を示す)それから藻ですね。最近では、有毒な藻がアオコとしていろんな湖沼で発生をして、これが蛇口から出てくる。  こうなりますと、水道水というのは御存じと思いますが、水道法の四条の五号には異常なにおいとか味がしちゃいけないと書いてあるんですね。そういう水道法の範囲をとっくに越えちゃって、藻が蛇口から出てくる。そういうふうな水質基準に全く合っていない水を私たちは飲んでいる。しかも、これは千八百万人から二千万人の人がカビ臭によるこういう水を飲んでいるわけですけれども、このことの対策について、環境庁と厚生省の方はこれをどう解決されようとなさっているか、お答えいただきたいと思います。
  129. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 湖沼の富栄養化対策についてお答えいたします。  湖沼は、閉鎖性水域というふうなことでございますので、一度汚濁されますとそれが蓄積をする、こういうふうなことで、ほかの水域、海等に比べまして環境基準の達成率が低いわけでございます。  富栄養化が進行いたしまして水道の異臭味等の問題が生じているという点につきましては、御指摘のとおりでございます。これにつきまして、やはりその主要な原因物質でございます窒素、燐、これの湖沼への流入を抑制する、こういうことが大事でございます。ということで、昭和六十年七月から水質汚濁防止法に基づきます窒素、燐の排水規制を実施しておるところでございます。  また、琵琶湖なり霞ケ浦等の指定湖沼に関しましては、湖沼水質保全特別措置法に基づきます窒素、燐に関する汚濁負荷量規制の対策を講ずる、要するに今までの対策とは違いましてより強い対策が講ぜられますようにこの十月に政令改正をいたしまして、この湖沼法に基づく窒素、燐の規制を新たに導入するというふうにしたわけでございます。  こういうものを使いまして、今後とも、窒素、燐の汚濁負荷量を減らしていくというふうなことで、宮栄養化について総合的に対策を講じてまいりたいと思っております。
  130. 藤原正弘

    説明員(藤原正弘君) 厚生省の立場からごく簡単に御答弁申し上げたいと思います。  厚生省といたしましては、水道行政を所管する立場から、おいしい水道水をつくるという観点で活性炭等による高度浄水処理に対する補助制度を昭和六十三年度に創設いたしまして、信頼できる安全でおいしい水の供給に努めておるところでございます。
  131. 清水澄子

    清水澄子君 私、あと二つだけあるので、ぜひ答えを簡単にしてください。  合成洗剤による生態系破壊環境汚染も非常に重大な問題になっています。特に最近は、非イオン界面活性剤の使用量が非常に増加をしているわけですけれども、北川元環境庁長官環境に対しては合成洗剤よりも石けんの有利性を認めてこられたわけですけれども環境行政の中でこれをどのように生かされたのか、そして今後こういうことを真剣に心配している市民と一緒に話し合う気はないかどうか、そこをお答えください。
  132. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 合成洗剤の問題でございますが、これにつきましては分解性なり水生生物に及ぼします影響の両面から水環境に対する影響を懸念する意見がある、こういうことは我々も承知しておるわけでございます。そこで合成洗剤の環境中における挙動等につきましてのいろいろな科学的知見の集積に努めておるわけでございます。  そういうことで、さらに生活排水対策の一環といたしまして使用量の適正化について指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  133. 清水澄子

    清水澄子君 ぜひ市民といろいろお話をしていただくようにお約束いただきたいと思います。  最後に、長官にお伺いいたします。  環境行政日本の政治の中で、これは世界でもそうですけれども、今最も重点的な大きな政策になってきたと思うわけですけれども、そういう中で今の環境行政は法的にも制度的にも非常に問題があって、今これを根本的に転換させる必要があると思うわけです。そこで、アメリカでも環境保護局を環境省に昇格させるための環境省設置法というのが上院で通過しておりますし、そして我が国でも新行革審が環境庁を省に格上げするということが話題になって、問題になっておりますが、長官は環境庁を省に昇格させるために全力を投球して努力される決意がおありでございますか。それをお答えいただいて、私は終わりたいと思います。
  134. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 環境問題が極めて重要な問題になり、これに対する取り組みが新しい局面を迎えていることは委員仰せのとおりだと思います。同感でございます。そこで、環境庁組織体制を強化しなきゃいけないということは、私どもとしてもそれは喫緊の課題であると考え、それに鋭意努めてまいりまして、地球環境部もつくりましたし、いろいろの強化策に努めているところであります。  ところが、今委員が御指摘になられましたように、今の庁の総合調整機能、これは総理から負託された権限において行うものだと思いますが、そうした官庁であるものが省になって実態的にいろいろな仕事をどうやってやるんだろうかというようなことをいろいろ考えてまいりますと、非常に大きな重要な問題を含んでいると思うんです。ですから、単に名前を変えればそれでいいという問題でなくて、何をなし得るかということから考えてじっくりと検討していかなきゃいけない問題だとは思います。簡単に言えば国全体の行政組織のあり方というのにかかわってくる問題でありますから、そこいらを考えていかなきゃならないわけであります。  私はこの間予算委員会でも御答弁したのですが、我々環境庁といたしましてはそれに前向きに取り組んでまいりたいと存じております。しかしながら、これは我々環境庁が考えてもなかなかそれでできるという問題でございませんで、組織体制充実強化には、積極的に取り組んでまいりますというお答えになるんですが、ぜひお心持ちがありましたら委員の御支援を賜りたいと存じております。
  135. 清水澄子

    清水澄子君 終わります。
  136. 大島慶久

    ○大島慶久君 各委員から、いろいろと国際的な立場も踏まえまして、それぞれの質問がございました。私は国民生活の一番身近なことに絞り込みまして数点質問をいたしたいと思いますので、各省庁の皆様方におかれましては簡単明瞭、また誠意ある御答弁をぜひともお願い申し上げておきたいと存じます。  最初に中村長官、このたびの御就任大変おめでとうございます。というよりは、本当に大変な時期の御就任でございますので、むしろ御苦労さまというのが適切かもしれませんけれども日本国のために、国民のために一生懸命御尽力を賜りますことをまずもってお願いしておきたいと思います。  それで、まず長官にお尋ねでございます。山積いたしております環境問題でございます。意欲的に幾つかの問題を手がけていきたいと恐らく思っておられると思いますけれども、一つだけ、このことはぜひ御就任中にやり遂げておきたいということがございましたらぜひお聞かせをいただきたい。一つだけで結構でございます。まずもって長官にお願いをしておきます。  次に、ごみの最終処分場の確保についてでございますけれども、ごみ問題、とりわけ全国的に逼迫している最終処分場の確保の方策についての国の役割についてお尋ねをしておきます。  ここ数年の間、新聞、テレビなどマスコミでごみ問題が大々的に報道されております。私は以前名古屋市会におりましたが、年四回の定例会では毎回といっていいほどごみ問題が議論をされておりました。この現象は、名古屋市のみならず他の自治体でも同様ではないかと思っております。それだけ自治体にとっては緊急かつ重要な課題となっているところであります。この背景として挙げられるのが、一つには最終処分場の確保が極めて難しいということであります。最終処分場の確保は特に大都市では大変な課題となっており、他の府県への持ち込みが問題となっているところもございます。このため各自治体では、いろいろと頭をひねり、処分場の延命を図るためにごみの発生を抑制する工夫やリサイクル活動などを通してさまざまな方策を模索しているところであります。  国においても、ごみの問題はさまざまな観点から、厚生省、通産省、環境庁を初めほとんどの省庁にかかわる大変重要な課題と認識をしていると思いますが、現実問題として、ごみ処理は市町村の業務というこれまでの概念を変えなければならないような状況があると思います。これからの最終処分場は、特に大都市周辺では複数の自治体利用する広域的な処分場といった意見もお聞きをいたしております。もちろんこれまでも、この観点からいわゆるフェニックス計画というものがありましたし、今回の廃棄物処理及び清掃に関する法律の改正案でも、市町村での処理が困難なものについては複数の自治体を含めた廃棄物処理センターといった制度の導入を考えております。  しかし、制度といった面はともかく、最終処分場をどのように確保していくのかといった具体的な仕組みがぜひとも必要と思うわけであります。最終処分場は市町村の業務といったこともございますが、国として何らかの動きをしないことには国民生活に重大な支障が生じることになります。また、最終処分場は内陸部や海面埋め立てにより確保されていますが、一方では自然環境保全といった課題もございます。もちろん大規模な処分場については環境影響評価により環境保全される仕組みとなっておりますが、限られた国土の中でどのような最終処分場を確保すべきかといった理念、ビジョンがなくてはならないと思います。  そこでお尋ねをいたしますが、市町村が担当する一般廃棄物の最終処分場の確保について、国としてどのようなビジョンをお持ちなのか、またどのように市町村の声にこたえていくおつもりなのか、具体的な方針をお尋ねしておきたいと思います。
  137. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) まだ就任ほやほやでございまして、いろいろ勉強中の身でございまして考えがまとまり切ってはおりませんが、環境行政はどれをとりましても重要なことばかりだと思います。身近な大気汚染の問題、水質汚濁の問題、これらの問題の解決も大切でありますし、水俣病の本格的な解決ということも極めて重要な問題でおろうかと思います。  しかしながら、今何がと特に問われれば、やはり非常に差し迫った問題になってきている地球環境の問題であろうかと思います。これは、先ほどからるる申し上げますように、永遠の課題であり、緊急の課題であると存じております。一度で解決できる問題ではございませんが、来年のUNCEDに向けて世界合意をつくり上げていかなければならない。その中でやはり先進国が率先して取りかかるということ、これがキーポイントであろう。そして南北問題の解決を目指していかなければいけない。そういうことを考えますときに、このUNCEDの成功に向けて何ができるのか。これから一生懸命働きまして、今まで積み重ねてきたことも勉強させていただきましてUNCEDを成功させるために働くということが第一に挙げられると考えております。
  138. 浜田康敬

    説明員(浜田康敬君) 先生お尋ねの中の廃棄物にかかわります最終処分場の確保に関しまして、廃棄物行政を担当しております厚生省の立場からお答えを申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、今ごみ問題がいろいろな面で社会問題化しておりますが、その中の一つに最終処分場がなかなか確保しかたくなっているという面がございまして、ごみの減量あるいは再生利用の推進とともに、そのことは非常に我々としても重要な課題というふうに受けとめておるところでございます。したがいまして、先般の臨時国会におきまして廃棄物処理法の改正をしていただきましたけれども、市町村が作成します。般廃棄物処理計画の中にきちっと処理施設整備等について盛り込んだ計画とするようという改正がなされたところでございまして、これに基づきまして、私どもといたしましては長期的観点からの施設整備を含めました充実した計画が策定されるよう市町村を指導してまいりたいと思いますし、また御指摘にもございましたように、必要に応じまして、市町村が広域的に利用できます最終処分場の確保につきましても、今後私どもとしても取り組んでまいりたいというふうに考えております。  また、特に人口の集中しました近畿圏、首都圏におきましては、廃棄物が大量に発生するという一方におきまして、土地利用の高度化等の面から最終処分場の確保が非常に難しいという状況もございますが、これらの地域におきましては、関連自治体協力いたしまして最終処分場の確保が行われる仕組みでありますフェニックス計画、これを強力に推進していきたいというふうに考えている所存でございます。  なお、財政的な面でも、厚生省におきましては新たに廃棄物処理施設整備五カ年計画を策定いたしまして、それに基づく国庫補助というものを引き続き実施していきたいと思っておりますが、これによりましても、市町村の最終処分場の整備に対しまして財政的な支援ということにも努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  139. 大島慶久

    ○大島慶久君 突然の長官への質問で大変御無礼をいたしましたけれども、御答弁ありがとうございました。  それでは次に、ごみの最終処分場と環境保全についてお尋ねをしておきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、最終処分場は必要不可欠なものでありますが、その設置については、内陸部、海面埋め立てを問わず、公害防止あるいは自然環境との調和といった課題がございます。この課題対応するために環境アセスメントの制度があり、最終処分場の規模によって国のアセスメントあるいは自治体のアセスメントによって環境保全が保たれている仕組みとなっているところでございます。この結果、特に公害防止の面では基準や技術指針も明確に示されており、これに対応する公害防止技術も随分と進んでおりまして、最近では最終処分場が公害面から問題となったことは耳にいたしておりません。  一方、自然環境の面では、公害と違って数字による基準がないだけに、自然環境がどれほどの価値を持っているのか、あるいはどの程度自然環境保全すべきかといった目標を設定する場合には、事業を行う側の考え方あるいは環境庁や自然保護団体の考え方などさまざまな見方ができるわけでございます。もちろん、予定地に既に何らかの自然保護的な規制や網をかけてあるところについては開発も非常に厳しく、最終処分場の必要性といった観点では実質的には設置ができないかと思います。しかし、自然保護にかかわる規制がない地域においては、事と次第によっては石垣島の空港問題のように大きな社会問題となる可能性があるわけであります。  地元のことで恐縮でございますけれども、私の地元の名古屋市でも最終処分場の建設予定地に干潟があります。干潟を利用する渡り鳥を保護し、計画を見直せといった反対運動が現実に起こっております。この例は、自然保護にかかわる地区指定がないいわゆる普通の地区であっても人によっては関心のある自然環境となっており、その結果反対運動が展開され、事業の実施に支障が生じてくるといったことの一つの事例であります。  このようなケースは今後もどこででも生じてくる問題であります。特に最終処分場は山間部や海面埋め立てといった方法での確保が多く、勢い自然環境との調和といった議論が発生しやすいのが現実であります。これらの問題に対応するためには、環境アセスメント以前の事業予定地を決定する前に、あらかじめ貴重な自然環境の実態を把握しておき、その実態を認識しながら事業予定地の決定を行う必要があると思います。  自然環境の実態把握という点では、環境庁においては全国レベルの調査を実施していると思いますが、その調査結果について個々の自然環境ごと。に何らかの評価を行い、その結果を最終処分場を初めさまざまな開発計画に役立てることが私は肝心かと思います。いかがお考えでありましょうか。  また、ごみ問題の解決に不可欠な最終処分場は一方では地球環境保全のためにも必要不可欠なものであると言えると思いますが、自然環境保全のみを重視した結果、最終処分場の建設が不可能となっては元も子もないわけであります。自然環境、ごみ問題に重大な関心をお持ちの環境庁としては、どのような方針を持ってこの二つの問題を解決されようとしているのかお尋ねいたします。  最後に、名古屋市の干潟についての対応をお尋ねしたいと思います。  この干潟は現在何らの自然保護にかかわる網もかかっておらず、しかも港湾計画で最終処分場として計画が決定されたものでありますが、野鳥保護団体からいわゆるラムサール条約の登録湿地に指定をしてほしいとの声も聞いております。もちろん環境庁においては、港湾計画で予定地が決定された経過もあり、このようなことはなさらないと思いますが、一度見解をお伺いしておきたいと思います。
  140. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 自然環境保全とごみ問題、この二つの問題をどう両立させていくか、こういう点につきまして私からお答えさせていただきます。  廃棄物問題の解決のためには、何といいましても、まずリサイクル等によりまして廃棄物の排出を抑制するあるいは減量化するということが大事であるというふうに認識をしております。そういうふうに減量をしました上で必要な最終処分場等の廃棄物処理施設を確保していくということが必要であると思っておるわけでございます。  廃棄物の最終処分場の整備に当たりましては、御指摘にもございましたように、自然環境保全を含めまして環境保全に留意する必要がありまして、大規模な最終処分場の整備につきましては、環境影響評価が実施されるなど所要の措置が講じられているところでございます。また、最終処分場の設置とか維持管理に伴いまして環境汚染が生じないように、廃棄物の最終処分に関する基準でございますとか最終処分場の構造、維持管理に関する基準等もこれまで整備をしてきておるところでございます。そういうことでございまして、その立地につきましてはこれらの手続等を遵守していただくということが必要でございます。さらに、国立あるいは国定公園の特別地域内や自然環境保全地域内への立地はできるだけ避けるなど、自然環境保全を図りながら適切な立地をすることが必要であるというふうに考えておるところでございます。  環境庁としましても、廃棄物の適正処理を推進する見地から、関係省庁とも連携をとりながら、最終処分場の整備に伴う環境問題が生じないように今後とも努力してまいりたいと思っております。
  141. 伊藤卓雄

    政府委員伊藤卓雄君) 私どもがやっております自然環境調査、これを個別の開発計画に役立てていくべきではないかという御指摘についてお答えいたします。  私どもいわゆる「みどりの国勢調査」という名前で呼んでおりますけれども、自然環境保全法に基づきましておおむね五年ごとに国土レベルでの自然環境の推移把握等をやっているところでございます。私どもといたしましては、本調査の結果を活用いたしまして、自然環境保全のための基本施策の企画立案あるいは各種保護制度に基づく地域指定などを進めておるところでございますが、さらにこれを出版公表いたすことによりまして、関係省庁あるいは自治体等の開発計画における資料にも参考として使っていただいておるところでございます。  ただ、私どもは全国レベルでやりますものですから、その精度という点におきまして個別の具体の開発計画を判断する際のものとして必ずしも十分ではないというようなことがございますので、そういったことも踏まえながら御利用いただくということでございますが、さらにその調査の精度を高める、あるいはいろんなクロスして分析をするようなことによりまして、より活用し得る方策もあるんではないかということで検討を進めておるところでございます。
  142. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) 名古屋港の藤前干潟の件についてでございますが、名古屋港における港湾計画におきまして、この藤前干潟の存在地に廃棄物最終処分場の建設計画が五十六年において位置づけられたことは私ども承知しております。  しかしながら、この計画がシギとか千鳥とかといったような鳥類の主要な渡来地でございます干潟の一部を埋め立てる計画になっておりますということから、昨年の港湾審議会、第百三十一回の計画部会になりますが、そこにおきまして環境庁から、廃棄物処理用地の造成等事業の具体化に際しては、事前に当該事業が鳥類の生息に与える影響について十分に調査検討を行い、その結果に基づいた鳥類の生息環境保全のための対策に万全を期されたいという意見を申し述べたところでございます。  そこで、現在名古屋市を初めといたします港湾管理者等がこの港湾審議会における環境庁意見を受けまして、事業が鳥類の生息に与える影響につきまして調査検討を行っているというぐあいに伺っているところでございますが、私どもといたしましては、その調査結果等を踏まえまして鳥類保護のために適切な対応措置がとられるということを期待している段階でございます。
  143. 伊藤卓雄

    政府委員伊藤卓雄君) 藤前干潟についてラムサール条約の登録湿地にすべきであるというような御意見についてでございますけれども、私どもいわゆるラムサール条約の登録湿地につきましては、既に四カ所を指定しておりますが、これまでのところ、特に渡り鳥の中継地、渡来地として国際的に重要な湿地であるということ、さらに国設鳥獣保護区あるいはそれの特別保護地区といったようなもので国内法によって将来にわたって保護が確保されている場所、そういった条件のもとに今選定を進めてきておるところでございます。  ただいま御指摘の藤前干潟につきましては、企画調整局長からも申し上げましたように、既に廃棄物処分場の計画があり、港湾計画の中に位置づけられておるということ、そういうようなことも踏まえますと、国内法に基づく国設鳥獣保護区、特別保護地区の新設定は無理だろうというふうに考えております。したがいまして、環境庁といたしましては、現時点ではいわゆるラムサール条約に基づく登録湿地に指定することは考えておらないところでございます。
  144. 大島慶久

    ○大島慶久君 御答弁それぞれありがとうございました。  それでは次に、地球温暖化防止行動計画について三点お尋ねをいたします。  まず第一点でございますけれども地球温暖化防止行動計画においては普及啓発の必要性がうたわれており、その中でもとりわけ環境教育の充実、自然体験学習の拡充などがうたわれております。また私の地元のことで恐縮でございますけれども、出身地でございます名古屋市でもこういった環境教育にはそれなりの施策を講じているところであり、本年度から、これは仮称でございますけれども環境学習センターの設置に向けて調査を行っているところでございますが、建物その他展示物にかかわる費用は相当なものがございます。  しかし、こういった費用については、今のところ国において何らの財政的援助措置が講じられておりません。したがって、今後こういった環境教育にかかわる基盤整備事業について財政的な助成措置を講じてほしいという自治体が私は全国には幾つもあろうかと思いますが、その点についてどうお考えなのかお尋ねをしておきたいと思います。
  145. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) 御指摘のように、環境教育を幅広く有機的に展開するためには、中央だけではなく、地方におきましても環境教育拠点の整備等の環境教育にかかわる基盤整備事業が重要であるということは、私ども十分承知しているところでございまして、地方におきまして、地方公害研究所、ビジターセンターといった既存の施設の活用を含めながら、環境教育拠点の整備について御努力いただいているところは十分承知しているわけでございます。ただ現在、御指摘になったような地方公共団体の施設に対する一般的な助成の方法というのは、正直なところ非常に難しゅうございます。地方債、地方財源等によって整備していただくということがむしろ主流になっておりますし、環境庁におきましてそういう予算を用意するということは、正直な話非常に難しいと言わざるを得ないかと思います。  ただ、私どもといたしましてはこういった事業についての重要性というのは十分承知しておりますので、平成元年度の補正予算におきまして全国の四十その都道府県、十一の政令指定都市に造成していただきました地域環境保全基金というものを活用いたしまして、実質的な環境教育事業の内容が充実されるようにというようなことで、そういったセンターの設置、情報コーナー、ライブラリーの整備等に関するお手伝いもさせていただいたところでございます。また、実際にどういう情報を提供するのか、どういったような中身のものをやっていくかということに関しますお手伝いは、私どもできる限りさせていただきたいというぐあいに考えております。
  146. 大島慶久

    ○大島慶久君 同じく地球温暖化防止行動計画の二点目でございますけれども、二酸化炭素の吸収源対策の一環として都市における緑の保全創出といったことがうたわれております。都市に残された樹林地などについて、今後これを積極的に保全し創出する必要があるわけでございますが、この場合、用地の買収、調査費、管理費など相当なやはり費用がかかるわけでございます。したがって、こういった都市における緑の保全創出に要する費用について財政的援助措置を講じる必要がやはり私はあると思うのでありますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  147. 伊藤英昌

    説明員伊藤英昌君) 都市におきます緑の保全創出についてのお尋ねでございますが、先生御指摘のとおり、都市におきます緑は二酸化炭素の吸収源としてはもとよりでございますが、大気の浄化、騒音の防止環境の改善にも非常に重要なものでございます。特に近年は、都市活動の活発化に伴います都市温暖化現象に対します有効な対策としても都市内の緑の保全創出の必要性が高まっているところでございます。  このため、建設省といたしましては、まずこの中心となります都市公園整備を、ことしから実は都市公園整備につきましては五カ年計画がスタートするわけでございますが、この整備に重点を置いております。それと同時に、残されました樹林地の保全を図るため、実は都市緑地保全法という法律がございまして、これに基づきます緑地保全地区の指定をし、この地区内の必要な土地の買い入れ、このための助成措置を講じておりますが、こういうものにつきましての費用の助成制度につきましても今後とも強化拡充について努力してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  148. 大島慶久

    ○大島慶久君 第三点目でございますが、二酸化炭素の排出の少ない交通体系などの形成として低公害車の導入促進がうたわれております。それぞれの都市で積極的にこれに取り組んでいると思いますが、低公害車の性能は最近飛躍的に高くなっているものの、何分価格が一般の車に比べて高額であること、さらには燃料供給体制、すなわち電気自動車については急速充電装置の設置だとか、メタノール自動車については給油スタンドなどの整備が整っておりません。これがネックとなって普及に大きな支障となっていると思われるわけであります。  したがって、国においては財政的な援助措置をより拡充するとともに、積極的に燃料供給体制など基盤整備が可能となるような方策を講ずる必要があると思うんですが、いかがでありましょうか。
  149. 入山文郎

    政府委員(入山文郎君) 電気自動車でございますとかメタノール自動車などの低公害車の普及拡大につきましては、大都市大気汚染対策として重要であるというだけではなくて、運輸部門からの二酸化炭素の排出を抑制する手段としても有効であると考えているわけでございます。御指摘のとおり、近年の技術開発によりまして、低公害車の性能は自治体の業務や都市内配送等の用途におきましては十分に実用にたえるものとなっております。また、少量注文生産のために価格が高いといったことがこの普及促進のネックになっているということにつきましても御指摘のとおりでございます。  このため、従来から公害健康被害補償予防協会の基金によります低公害車の導入に対する助成、また税制上の優遇措置等による普及促進を図ってきているところでございますが、さらに平成三年度から、地方自治体において公害パトロール車に電気自動車を導入する場合の補助制度を創設しております。こういった助成措置の大幅な拡充を図ったところでございますが、本年度は、これらによって新たに電気自動車百五十台余りが地方自治体に導入されることになります。また、自動車メーカーによる生産の面を見ましても、昨年までの年間数十台といった規模から、今年度は三百台一を超えるまでに至っております。今後もこれらの助成制度あるいは優遇税制の充実強化に努めてまいりたいと思っているわけでございますが、またそういったことで自動車メーカーにおける生産体制の整備を促し、また価格の低減にも結びつけるといったことによりまして低公害車の。一層の普及拡大を図ってまいりたいと思っております。  また、御指摘の燃料供給体制の整備についてでございますが、環境庁といたしましても、公害健康被害補償予防協会の基金によりまして、例えばメタノール給油施設の設置に対する助成といったことも行っております。また、大阪市におきましては関連の企業と共同で、電気自動車コミュニティーシステムといたしまして、電気自動車の導入とあわせて急速充電スタンド十カ所でございますが、その整備に着手をしたところでございます。しかし本格的には、今後の課題といたしまして、関係の省庁とも十分に連絡をとりながら進めてまいりたいと思っているところでございます。
  150. 大島慶久

    ○大島慶久君 それぞれお答えをいただきました。やはり財政的な問題にかかわりますと非常にお答えがトーンダウンしてしまうわけでございまして、大蔵省のいろんな査定ではそれぞれの省庁で予算を組みましても同じような分野で同じような措置が講じられないということは十分理解ができるわけでございます。  しかし、きょう午前中からのいろんな御質問をお聞きいたしておりますと、世界の中で地球環境を守るという立場で日本がどれだけ貢献していかなきゃいけないか、これは大いにやらなければいけないことだとは承知をいたしておりますけれども、我々の日本国のこの国民がそういったことで非常な苦しみを持ったり不自由をしていては、それこそ世界の中で貢献するどころではないわけでございまして、まずは国内からというふうに私は一つの見方としては感じ取っていかなければならないだろう、そんなふうに思うところでございます。  それであれば、環境庁が音頭をとっていただきまして、従来の緑地の保全だとかいろいろなやり方はございますけれども、それでは従来の枠を出ないわけでありますので、思い切った発想の転換を図る意味でも、今までと違った観点から、またそういった地球環境にかかわる日本国の環境をまず整備していこうという観点に立って御努力をいただきたい、このことを強く御要望申し上げまして、私の本日の質問を終わらせていただきます。
  151. 真島一男

    ○真島一男君 まず初めに、中村正三郎先生の初入閣、国務大臣環境庁長官御就任おめでとうございました。心からお祝い申し上げます。環境行政は大きな曲がり角に来ていて、そして国民から大きな飛躍を求められているこの時期に、政策通でいらして、そして特に税、財政の方面で長いこと鍛えていらした人格、識見ともにすぐれた新大臣をお迎えしていることはまことに適材適所でございまして、御活躍を心から期待申し上げるところでございます。  先ほど所信表明を伺いまして、基本的な論調は私も意見を全く同じくするものでございまして、私は、これからの日本社会は今までと違った枠組みでつくり変えなければならない、シフトをしなければならないというふうに考えているものでございます。端的に言えば、生産型の社会のシフトから生活者型の社会のシフトに変えていかなければならない、そういうときに環境行政というものが大事な基軸であろうというふうに考えているのでございます。  最近の新聞の広告を見ますと、こういう文章がよく目につきますが、地球にやさしい我が社の製品とか環境にやさしい我が社の製品とか、そういうことが出てまいります。エコロジーというのが一つのキーワードになっていることは疑う余地のないところでございましょう。しかし、これは話だけで終わってはならないのでございまして、こう言っていただいたからには実行もし、負担もしていただくということが私どもとしても企業の方に求めていかなければならないところであろうと思います。  環境行政はこれまで公害規制型ということが基本でございましたし、これからもそれは基本でございましょうけれども、しかしこれから地球環境を考えていくというふうに大きく飛躍していく上では、やはり環境創造型の環境行政というものを国民は求めているのではないかと思っております。そうなると当然、今大島先生からもお話ございましたが、ではお金はどうするのか、財源はどうするのかという話になってまいりますので、そのことについて二、三質問させていただきます。  第一に、いわゆる環境税でございますが、汚染物質の排出量に応じて税を賦課する、そういうことによって汚染物質の排出を抑えてど」うと、こういう税でございます。既にOECDでは検討を始めている、あるいはCO2税はスウェーデンとかオランダとかフィンランドでは実施をしている。環境庁においても近々環境税の研究会をスタートさせるというようなことを伺って、大変結構なことだと思っておりますけれども、これを今の時点で日本に適用するとどういう問題があるかということを考えたときに、私どもとしてどういうことを承知していればいいか、それをひとつお聞かせいただきたいと思っております。  それで次に、税の関係で言いますと、ディーゼル車の燃料に使われている軽油、これに対する間接税、軽油引取税がガソリン税に比べて安いということがかねて言われております。軽油引取税の方は二十四円三十銭ということですが、ガソリン税は五十三円八十銭ということで大きな差があるんです。この辺にひとつ着目して、そして交通公害あたりの財源という議論もかつてあったのでございますが、今どんなふうにお考えになっているかということでございます。  以上、とりあえず二点についてお伺いします。
  152. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 真島先生の御質問、大変政策にお詳しい真島先生の御質問でありますから、大変示唆を受けながらお伺いしたわけでありますけれども環境政策の手段として環境税の活用をするということは今新聞をよくにぎわしますし、いろいろ国際的にも国内的にも考えられるようになってきた問題だと思います。  そこで、これは税で」うした経済的な手段をこういう問題に入れてこようという場合に、政策税制で政策誘導的なものかそれとも財源かということもございます。またその両方だということもあるかと思います。今、先生のお話を伺っていますと、なかなかこれをやるには財源がかかるから財源対策としてというようなお話でございました。  そこで、私特に今の実際に置かれている局面を考えてみますと、UNCEDというものがあり、それに対する。いろいろな世界じゅうの国々が対応を迫られているという中で、この闇もアメリカのEPAの次官が来たから申し上げたんですが、これは一国でできる問題じゃない。みんなで話し合い、みんなで政策的な整合性を持たせてやっていかなければいけない。ましてや日本だけこういうことをやりなさいよといってもそれは無理な話ですというお話をしたんですが、先生も今御指摘のとおり、OECDで来年末までというスケジュールでこの環境税の環境保全のための経済的手段としての利用ということについて検討が行われているということでありますので、そういう国際的なスケジュールに合わせてやはり日本も検討していったらいいんではないかというふうに考えるわけであります。  ガソリン税、軽油引取税の問題になりますと、私も実は音やっていたことがあるものですからいろいろ申し上げたいことが山ほどあるのでございますが、今の私の立場で論評することはなかなか難しいと思いますので、今お答えいたしましたように、経済的手段としてこういったものを入れるということは十分考えられること、それは世界のスケジュールに合わせてやっていったらいかがなものかと、こういうふうに思っているわけでありまして、あと専門家がおりますので、また補足的にございましたら答弁させます。
  153. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) ただいま長官の方から方針また検討の方向とタイムスケジュールにつきましては概略御答弁申し上げましたので、私は先生が御質問なさった点で若干残された問題について触れておきます。  まず最初に、諸外国の導入状況はどういうぐあいになっているかということでございますが、スウェーデンがことしの一月から、またノルウェーがことしの一月から、フィンランドが昨年の一月から、オランダが昨年の二月から、それぞれ地球温暖化の観点から問題になっております二酸化炭素の排出に着目をいたしまして、炭素にまたは炭酸ガスにというような格好で課税をやり始めたところがございます。  それから第二点目に、仮にそういう問題を導入しようとした場合にどういった問題があるかということについての御指摘でございましたが、環境税につきましては、環境に対する財源確保とそれからもう一つは環境対策に資するかどうかと両面の話があるということを今長官から申し上げたわけでございますが、環境保全の見地から見ますと、そういった税が環境に対する負荷の問題でどのくらいの削減効果があるかというようなことも議論しなければなりません。  また、これは先生がお触れになったところでございますが、今まで公害対策環境対策というものを規制措置とか助成措置というものを主に中心としてやってきたわけでございますが、そういったものとの連携のとり方をどうしていくのかという問題、さらには、もろもろの環境保全事業を促進するために、税収をどういった使途に充てていくのかというような観点が環境保全の見地からは議論されようかと思います。  一方、やはり税ということになりますと財政的な見地からの議論もございますし、そういった意味から公平性の問題はどうか、中立性の問題はどうかといった租税原則との関係、また経済に対する摩擦要因はどのようになるかといったようなことで、先ほどこれはタイムスケジュールという観点から長官がお答えになっておりましたが、そういう視点も検討の材料にはなってこようかと存じます。
  154. 入山文郎

    政府委員(入山文郎君) 私からは大気保全のサイドから少しこの問題に触れさせていただきたいと思うわけでございます。  大都市中心窒素酸化物による大気汚染の改善がはかばかしくない要因の一つといたしまして、排出ガス量の多いディーゼル車の増加が挙げられるわけでございますが、まずその理由の一つとしては、燃料としての軽油の価格がガソリンに比べて安いといったことが御指摘のようにあるわけでございます。環境白書におきましてもこのことを指摘しております。また、この点も含めまして、経済的な要素とそれから環境との関係につきましても中長期的な観点から検討を加えていく必要があるとしているわけでございまして、こうした方向で私どももさらに勉強させていただきたいと思っているわけでございます。
  155. 真島一男

    ○真島一男君 ありがとうございました。  実は、いよいよ十二月を迎えて予算、税制のシーズンが到来するわけでございますけれども、ことしの税制調査会でこれから議論される中で、私どもとして重大な関心を持っていることが二つほどございまして、一つは乗用車の消費税の税率についてでございます。御案内のように、現在暫定六%、来年の四月からは本則に戻せば三%ということでございますが、これを六%で延長すれば年間約二千億のお金が入るということが言われております。  またもう一つは、湾岸の臨時特別税でございますが、石油臨時特別税が二千三百億、法人臨時特別税が四千四百億、これも一年間の期限ということでございますが、これらについてひとつ延長したらどうだという声もぽつぽつ耳に入ってまいります。そして延長するについても、これを単純に歳入の欠陥に充てるとかそういうものでなくて、地球環境保全のために役立つことに使うという延長はどうだというような御意見もございますが、なかなかこれはホットな問題で、それがどう展開するかだれも予測できないところでございますけれども、ここはひとつ長官の手腕を振るっていただいて、この問題について環境庁としてリーダーシップをとっていただければというふうなことでございますが、御意見を承りたいと思います。
  156. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 大変ありがたい御提案なのでございますが、どうもこういう話になると昔の癖が出てしまいまして大変申しわけないんですが、今大気保全局長が申しましたように、軽油引取税が安いというような問題につきましても私どももいろいろ思いがございます。それによってディーゼルの普及がふえてしまうというようなこと、また産業用に使われるトラック等の税の負担が少なくて個人が使う乗用車の方がなぜ重いんだというようないろんなことがあると思います。さっき企画調整局長が申したように、いわゆる税の公平とかなんとかということまでが入ってくると思います。  そこで、今御指摘の乗用車の六%を三%に下げるという話、それから石油とそれから法人税にかかっている問題でありますが、これは原則的に言えば、ある目的を持って財源確保のために立てられた税金でありますから、これはこれで終わって、新たな政策税は政策税としてまた財源確保のため必要なものがあればそれをつくっていくというのが本来の筋道だと思うのでございます。ところが気持ちとしては、今大変ありがたいあれがありましたので、担税力をどこに求めるかというような考え方をする基礎としては大変参考になるものではないかというふうに感じております。
  157. 真島一男

    ○真島一男君 最後に、農業の環境問題に果たしている役割ということについてお伺いをしたいと思います。  もともと農業は、人間が自然に対して技術を適用して、そしてそこから農産物を産出するという仕組みでございますが、同時に、人間を含む生命体にとって快適な環境をこれまでつくってきてくれているわけでございます。私どもが日ごろ目にする自然というのは、農林業の営みの成果であるということが少なくないと思うのでございます。私は新潟出身でございますから特にそのことを感ずるのでございますけれども環境問題の視点から、農業を一種の環境産業であるというような見方をひとつしていただけないものだろうか。そしてまた、そういう御認識のもとに農業の多面的な役割について、環境上の役割について、ひとつ環境庁の方でもよく世間にPRと申しますか知らしめるようなことをお願いできればありがたいと思っております。  以上であります。
  158. 伊藤卓雄

    政府委員伊藤卓雄君) 今、先生御指摘のように、農業というのは本来自然の物質循環に基礎を置いておりまして、水源の涵養とか大気の浄化、いわゆる自然型であるわけでございます。先生がおっしゃった環境産業というものも、ある視点からいえばそういうことも言えるんではないかというふうに考えております。  なお、最近では里山の森林といったようなものが一つの地域の環境をなし風景をなしておる、これを大事にしていこうじゃないかというような動きが出てきておりまして、そういったことは、私どもがかねてから身近な自然を大事にしよう。と言っていることとも軌を一にするものだろうというふうに考えております。またそういう意味では、農業について我々としてももう少しいろいろそういう視点からとらえ直すことも意義があるんではないかというふうに考えております。
  159. 安恒良一

    委員長安恒良一君) これより午後三時十分まで休憩をいたします。    午後二時五十八分休憩      ―――――・―――――    午後三時十分開会
  160. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  161. 広中和歌子

    広中和歌子君 まず、環境庁長官、御就任を心からお喜びしております。テレビなどでのインタビューで、長官個人としてもまた市民としてもリサイクル等に御関心を示され、そして現実に御生活の中で実行していらっしゃるというようなことを伺いまして、環境庁長官としてのお仕事ぶりを大変期待を持って見守らせていただきたいと思っております。きょうは大勢の方、建設省それから運輸省など多くの省庁から私の質問に対してお答えいただくためにお越しいただきましたことを大変ありがたく思っております。大体、環境に関する問題というのは本当に多省庁にまたがる問題でございまして、環境庁がいかに総合調整省庁として大切であるかということを示すものではないかと考えております。  まず最初に、環境庁長官にお伺いしたいと思います。  本年は、環境庁にとっては環境庁創設二十周年を迎え、広く国民環境保全保護に対する認識を深め、環境行政をアピールする重要な年である、そのように思います。また、地球は人類が招いた環境破壊により深刻な危機に直面しておりますが、国内においても例外ではありません。ごみのパニック、生活排水や不法投棄による水質汚染、農薬、食品添加物等の化学物質のはんらん、降り注ぐ酸性雨、車による大気汚染などさまざまな問題が山積しているわけです。長官は、環境保護行政環境庁が最も力を入れようとしている課題は何かという同僚議員の御質問に対して、UNCEDの成功に向けての我が国取り組みである、そのようにお答えになったわけです。  来年六月ブラジルで開かれる国連環境開発会議では、先進国発展途上国の間で環境開発について大きな意見の相違があり、感覚のずれというんでしょうか感情のもつれというのでしょうか、そういうものがあるというふうに伺っております。発展途上国にとっては、環境もさることながら、経済発展が優先課題でございまして、それは我が国を初め経済先進国がたどった道でもあるわけでございます。現在、経済大国となった日本地球環境保全のためになし得ることは多く、世界じゅうから期待が寄せられているわけですが、長官はどのような認識をお持ちなのか、日本環境面でどのような貢献ができるとお思いなのか、できるだけ具体的にお答えいただければありがたいと思います。
  162. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 今仰せのとおり、UNCEDを来年に控えまして国内外で環境に対する関心というのがいやが上にも高まっている時期だと思います。やはりここで新しい局面が環境に対して出てきたのは、地球というのは永久に成長していけるものかどうか。これは経済のシステムにしてもそうだと思いますが、特に環境面では、これは有限の資源でもそうでございますが、地球の有限性、限界というものが認識されている時代だと思うんです。そういう意味におきまして、先ほど何をやることが一番大切かということでございましたけれども、国内における水質汚濁大気汚染対策水俣病の総合的な解決もこれは極めて重要なことであります。ただ一つ選んでこれから対応する問題は何かと言われれば、UNCEDを成功に導くことであるというお答えをさせていただきました。  UNCEDを成功させるためのいろいろなキーポイントがあると思いますが、これは繰り返しのお答えになって申しわけございませんが、やはり一つは先進国が率先してやるべきであろう。そうしなければ、開発途上国はとてもこういったことに耳を傾けてくれないであろうというような感じを持っております。そこで先進国間でどうかと申しますれば、必ずしも意見がきちっと一致しているものでもない。そういうところで、私どもは非常に厳しい公害経験しそれをある程度克服してまいったと思っておりますが、そういった経験を持ってリーダーシップを持って先進国の間でもいろいろな話し合いをし、そういったものを持って南北の調整をしていかなければならないんではないかと思っているわけでございます。  先ほどもどなたかの御議論にありましたけれども、PPPの問題でありますが、確かに原因者負担ということを考えますと、私どもも原因者でありますが、それをいろいろな技術だとか努力で克服をしてきたわけでありますけれども開発途上国の方がポリューターでないということはやはりないわけでありまして、いろいろな技術のまだ未完成な面等を含めて多くの公害を出しているわけであると思います。  しかし、そういう方々が今やろうとしても技術また資金がないということでありますから、こうした直面した地球環境問題を解決するために世界じゅうの人が集まって、それは政府ばかりでなく、民間団体も産業界もそしていろいろな環境団体も集まって、英知を傾けてどうしたらいいかということを話し合っていかなきゃいけない。そしてその中で一番重要なことは、やはりどうしたらいいかという枠組みについて結論を出さなければいけないということだと思うんです。  その中でやはり一番重要なのは、開発途上国に対する技術の問題また資金の供給の問題ということだと思います。そういうことについて日本リーダーシップをとってやっていくということが一番重要なことであろうかと思います。これをもう一つ考えますと、やはりこれは環境庁だけではできないことでありまして、調整官庁としての役目を十分に発揮いたしまして、政府一体となって取り組むようなそういった努力をやってまいりたいと思っております。
  163. 広中和歌子

    広中和歌子君 まさにおっしゃるとおり、環境保全というのは全く語るはやすく行うは難しいという側面があります。特に資金面の援助についてでございますけれども、これは開発途上国から求められているわけですけれども環境基金に関してですが、環境庁は具体的にどのようなイニシアチブをとられるおつもりなのか、お伺いいたします。  環境基金に関する賢人会議が開かれる、日本に誘致されるというようなことも伺っておりますが、その点についてもうちょっと踏み込んでお話しいただければと思います。
  164. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) まさに委員御指摘のところが一番重要で一番難しい問題、核心を今ついておられるわけでありますけれども、そういったことを先ほどの御議論にも出てきました税の問題も含めて国際的にみんなで考えていこうと。日本だけでできることではありませんし、日本だけが変わったことをやるべきでもない。やはり国際的に協調のとれた中でやっていかなければならない。  そこで、今おっしゃられました賢人会議でありますが、これは国連のストロングさんが竹下元総理に話されまして、そうした問題について賢人会議を開いて検討してくれという話でありまして、それを竹下元総理はお引き受けになって準備を進め、前環境庁長官の愛知先生がいろいろお働きでありますけれども、来年四月ごろに開かれる予定と伺っております。こうしたボランティアと申しますか、そうした努力、そして民間の方の御議論、いろんなものが積み重なって、そしてUNCEDへ向けて世界のいろいろな合意をつくっていかなければならないというところだと思いますが、過去の経緯また詳しいことについては担当局長からお話しさせたいと思います。
  165. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) ただいま長官からお答え申し上げたところに尽きるわけで、別に補足するところはないのでございますが、竹下元総理がストロング事務局長より要請されまして引き受けました東京におけるいわゆる資金確保のための賢人会議というものは、ベースといたしましては個人の資格で非政府レベルとしての会合であるという性格づけがなされておりまして、そこでなされた提言をUNCEDに向けて提言してもらう、そこで有益な議論の糧をいただくというようなことがその性格づけになっているようでございます。  しかし、先生御指摘のように、UNCEDを成功させるための最も重要なことは、環境保全に関する資金をどう調達し、主として開発途上国にどう供給していくかというそのメカニズムを設定することがやはり重要なことでなかろうかと。それを私どもは考えまして、非政府レベルの会議であるとは申しますものの、環境庁といたしましてはできるだけ事務的なお手伝いなり、また議論をする際にああいう資料が必要である、こういう資料が必要であるというような場合の下働き的なことはできるだけお手伝いを申し上げまして、このUNCEDの会議成功に向けて私どもとしても最大限の努力をしてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  166. 広中和歌子

    広中和歌子君 ストロング事務局長がわざわざ我が国の竹下元総理にお頼みになったということ自体、日本に対するリーダーシップをとることへの期待が大きいのではないかと思います。環境庁としてもすばらしいバックアップをしていただくことを期待しております。  けさ、私は羽田に着きまして、秋晴れにもかかわらず東京の空ば薄いブルーのもやがかかっていたというと格好がいいんですけれども、実はこれはスモッグじゃないかと思いますけれども、正しいですね。そして、この原因は何だと思われますか。
  167. 入山文郎

    政府委員(入山文郎君) いろいろ原因はあろうかと存じますが、そのようなお話を承りますと、まず私ども真っ先に考えますのが自動車による大気汚染、特に窒素酸化物によるあるいはディーゼル黒煙によるものではないかというふうに思うわけでございます。
  168. 広中和歌子

    広中和歌子君 SO元に関しましては、工場から出る硫黄酸化物でございますけれども、過去十年間に五分の一に減りました。この成果というのは、工場が出す排気ガスの公害寄与度に応じて負担金を課すと、その義務づけた結果だと理解してよろしいでしょうか。
  169. 入山文郎

    政府委員(入山文郎君) いろんな対策を講じてまいったわけでございますが、御指摘のようなことも非常に大きな理由になっておるものと思っております。
  170. 広中和歌子

    広中和歌子君 ところが、NOxに関しましては、ずっと過去十年間というのは、これは今から四年ほど前の審議のときです。だから今から十四、五年前から十年間ぐらい横ばいなんですね。むしろ現在はふえているんじゃないかと思うんですけれども、NOxに関してはそうした負担金というものがない。それどころか、むしろ先ほどの御質問にも出ましたように、ディーゼル車が使うところの軽油の税金というのは普通のガソリン車より非常に安いと、そういうことでございます。値段については変わりましたでしょうか。
  171. 入山文郎

    政府委員(入山文郎君) 固定発生源対策といたしましては私ども成功をおさめていると思っているわけでございますが、一方移動発生源、つまり自動車による排出ガスの問題が非常に大きな問題になっているわけでございます。今、先生御指摘のように、ディーゼルの問題も非常に大きなものがあるわけでございます。燃料の問題といたしましては、軽油の引取税とそれからガソリンの税率とが食い違っておると申しますか、軽油引取税の方が非常に安いというようなこともございまして、ディーゼル化が進展しているというふうに私どもも思っております。
  172. 広中和歌子

    広中和歌子君 昭和六十二年九月九日のことでございました。公害健康被害補償法の一部改正の法律案を審議する際にこういうことが問題提起されたわけでございますけれども、NOx対策の基本であるディーゼル車の排ガス規制が必要である、あるいは総量規制も考えられなければならないのではないかということを私も質問の中で提案いたしましたし、また自動車メーカーやユーザーにインセンティブを与えるために現在の軽油税にサーチャージというんでしょうか、それにさらに上乗せするような税金をかけて、そしてそのときは公害被害のことをやっておりましたので、五百億円の健康被害防止事業基金に上乗せをすべきだという提案を私はさせていただいたわけです。それから四年たちまして、現実に総量規制あるいは排ガス規制あるいは軽油税についてどのような対策を講じてこられたか、お伺いいたします。
  173. 入山文郎

    政府委員(入山文郎君) 先ほどもちょっと申し上げたところでございますけれども環境白書にも指摘しておりますようにいろんな問題があるわけでございまして、私どもといたしましてもその点についてはさらに勉強を深めてまいりたい、このように思っているわけでございます。  税金の面だけではなくて、私どもはまず直ちにやらなければならないことといたしまして移動発生源からの排出ガスの総量抑制ということを考えているわけでございまして、そのための検討会も二年前につくって先般最終的な報告書をいただいたところでございますが、その趣旨を体して、これから新しい制度と申しますか法制化に向けて努力をしてまいりたい、このように思っているわけでございます。
  174. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 今、大気保全局長が答弁したとおりでありますけれども、私は広中先生の御質問に同感するところが非常に多いわけであります。  私は、過去に環境委員会の仕事をしておりましたときに、もう十年近く前になるんですが、マスキー法がとやかく言われていましたときにこのことを取り上げて提言したことがございます。そして乗用車、ガソリンエンジンについては非常に厳しい、当時これは不可能であろうと言われたようなことを克服して日本自動車は一番きれいな排気ガスを出すようになり、燃費もいいし性能もいいという自動車ができ上がってまいりました。  ところが、ディーゼルに関しては、私は何年かたってこうして環境庁長官になりましたら、余り変わってないような状況を見まして、私はこれはやはり技術開発というものは努力をしていただかなきゃいけないし、ある基準を設けてそれに向かってやっていかなきゃいけないものだろうということを感じているわけでありまして、過去からこうやってきた政策の積み上げは積み上げといたしまして、私といたしましては、そうした発生源の抑制についてもっと考えようがないものだろうかということを今事務当局に勉強してもらうようにお願いしているところでございます。
  175. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございます。  私もマスキー法といったような外圧があれば、乗用車に関しては輸出しだいですから大いに自動車会社は頑張一つたわけですけれども、そのマスキー法もいつの間にかしりすぼみになってしまい、トラックに関する規制なんかもないために、どちらかというと比較的緩い規制で現在まできたんではないかと思います。長官のお言葉でもございますし、ぜひこの点の対策を急いでいただきたいと思います。  現実に、トラックとバスの年間生産台数、ガソリンを使用するトラックとディーゼルを使用するトラック、これをずっと生産台数を見てみますと、一九八九年にガソリン軍は三百万台以上生産された。それに比べてディーゼルの方は九十九万台であったわけですが、一九九〇年に至りますと、ガソリン車の方が二百十三万台に減っております。ガソリン車の方は減っていて、一方ディーゼル車の方は百三十五万九千台、そんなふうにふえているわけです。これは登録台数ではないんですけれども、登録台数にいたしましたらディーゼル車の数も非常に多いんじゃないかと思います。  バスに至りましては、最初一万台づくっていたのが今六千台に減っておりまして、これはガソリンを使うバスです。ディーゼルの方は逆に三万三千九百四十六台、これは約二千台増加しているわけでございますけれども、こういうふうにディーゼルの方が安ければ私だってディーゼル車の方を使いたいと。特に商売しているんだったら思ってしまうわけでございますけれども、もちろん商売する立場の方もございますでしょうけれども、余りにもこのような格差があるということ自体が問題だと思いますので、ぜひ御検討いただきたい。  そして、目的税的に、これは先ほどからいろいろ難しいとおっしゃいましたけれども、交通がスムーズにいくように、また低公害軍の開発その他さまざまな形で使われることを希望します。  それで、トラックの台数ですけれども、最近はどのような増加傾向にあるか伺いたいと思います。
  176. 入山文郎

    政府委員(入山文郎君) 御指摘のように、ディーゼル車の比率がふえてきているということは事実でございます。私どもそのことが非常に大きな問題であるとも思っているわけでございます。  今トラックについての車両数のお尋ねでございますが、全国の数字でございますが、平成元年の数字で八百八十五万五千台ということでございます。ちなみに、その前年は八百七十一万二千台、その前は八百五十一万五千台ということでございまして、ここ数年は増加傾向にあるわけでございます。
  177. 広中和歌子

    広中和歌子君 ということはなぜなんだろうかと思うんですけれども、確かに高遠でも町の中を走っておりましても、トラックが非常にふえているということに気がつきます。バスの生産台数は余りふえておりませんけれども、ディーゼル車が主なんですが、トラックをどんどんつくっているわけでございます。年間三百四十九万台つくっております。それがすべて買われるわけじゃないかもしれないけれども、ともかく町を走るトラックの数が多いということは事実でございます。  私、自分が非常に恩恵を受けておりますものですから言いたくはないんですけれども、これは何か最近の物流に関係があるんじゃないか。つまり、宅急便とか宅配便とか非常に便利なものができまして、ゴルフに行くんでも自分で持たないで、ゴルフ宅急便とかクール宅急便とかいろいろございまして、それはそれで大変すばらしいサービスだとは思うのでございますけれども、そのサービス向上とそれからトラックの増加が関係あるんじゃないかということで、問題意識をお持ちであったらお答えいただきたいと思います。
  178. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 私も全く先生と同感なんですが、昔はゴルフヘ行くときでも必ず重たいのをぶら下げて、スキーに行くときでもあのスキーの板の重たいのを混んだ列車の中に持ち込みました。ところが今、スキーの団体旅行でも申し込みますと、それは先に運んでおきましょう、終わると送りましょうということで、大変便利になってまいりました。これは一つには、ごみの問題もそうでありますけれども、人間の生活態度というのを変えていかないと根本的な解決にはならぬではないか。そういうところに、やはり地球が有限であり環境保全をしていかなきゃいけないという中には、私たちの生活態度というものもひとつ見直していかなきゃいけないんじゃないかということを感じております。  そして、話が方々に飛んで恐縮でありますけれども、私、環境庁長官を拝命いたしましてすぐ、これは教育が大切ではないかというので聞いてみました。そうしたら文部省といろいろ計らいながら学習指導要領とかいろいろやっておるという話なんですが、現場でどういうことを教えているかということを知らなきゃいかぬと思って、教科書を取り寄せてみまして記述を見ました。非常に記述が、これはいい教科書もあるんだと思いますが、古いんですね。ただ汚いものを出しちゃいけません、熱帯林を切ると大変です、空気を汚したら大変ですという書き方。もっと我々の生存にかかわる根本的なところから、おかしくなるんですよというところから説き起こしていって、そしてずっとくれば、重たいスキーでもゴルフのバッグでも持っていらっしゃいということになるのかなというふうに思いたくなるような我々の生活態度というものを考えていかなきゃいけないんだと思います。  それともう一つ、トラックのことですが、私は、その量を減らすとかそれからある地域に入っちゃいけない、そういう政策もあると思うんです。あると思うんですが、こういう機会ですから私見を述べさせていただきますと、やはり出すものを出しちゃいけないんだということでそのものがつくれないということになれば、おのずとそういうものは通用しなくなってくるわけですね。悪いものを出しちゃいけないんだと。悪いものを出しているけれども、それを使っているからある量を制限しようとするのも一つの政策であり、そういう政策もやってまいりました。  しかし便利なものでも、使う使わないという判断よりもやはり出しちゃいけないんだというところできちっと規制をしていくのが本来の姿ではないかと私個人は思っております。しかしながら、今やっている総合的な対策については、これは進めてまいらなければならないと思っております。
  179. 広中和歌子

    広中和歌子君 私も総量規制とかといったような行政上の厳しい規制をとるよりも、むしろ個人の自発性によって量が自然に減っていく、そういうような方が好ましいと思います。  先ほど長官がおっしゃいました教育が大切であると。私も同感でございますけれども、子供のレベルも大切でございますが、これは生活者であるところの大人の生活態度がそのまま子供の教育になるわけでございますので、これはもうちょっと幅広い教育、社会教育というんでしょうか、それからあるいはマスメディアを使っての宣伝、あるいは彼ら自身がそういうことを話題として取り上げ電波に乗せてくれるそういったような働きかけですね、それでもちろん環境庁御自身もし予算があってそういうPRをやっていただければもう一番でございますけれども、そういうような形でのいわゆる広報活動を盛んにしていただきたいとお願いする次第でございますが、その方の御努力はいかがでございましょうか。
  180. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) ただいま長官からお答えございまして、また先生の方から重ねての御質問があったわけでございますが、今日私どもが取り扱っております環境問題は、やはり私ども自体が有限な地球環境を使っているという認識に立って、環境を損なうことのないような生活態度に改めていくということが大事だということは先生御指摘のとおりでございます。  そういうことで、私ども環境教育懇談会というものをつくりまして、そこでいろいろ御議論を願ったわけでございます。そういたしまして、やはり先生御指摘になりましたように、結局国民一人一人が人間と環境のかかわりについて理解を深め、責任ある行動がとれるように国民の学習を推進することが大事だというようなことから、行政役割といたしましては、やはりそういったことを学習するために必要な情報それから学習の機会というものを提供し、さらに国民の自主的な環境保全活動が活発化するような条件整備を図っていくというのが行政役割じゃないかという認識を持ちまして、私どもは今そのための活動を不十分ながらと申しますものの、鋭意努力しつつやっているところでございます。  例えばいろいろなところで研究会が行われております。その報告書を地方公共団体や学校にお配りする、またビデオをつくっておりまして、これをやはり地方公共団体や学校に提供する、さらには先生また御指摘になりましたテレビ番組を提供していくというような事柄。また、こういうことに関しましては、やはり生活者として女性の方にも御参加いただくというこ止が非常に重要なことでございますので、そういったシンポジウムをあっちこっちで開くといったような活動を続けているところでございます。さらには、商品を買うときにやはり環境に対するロードの少ないものを選んでいただく必要があるんではなかろうかというようなことから、エコマーク事業というようなこともやっているところでございます。
  181. 入山文郎

    政府委員(入山文郎君) 一般に対する普及啓発事業といたしましては、地方自治体とも協力をいたしまして、特に大気汚染状況が悪化いたします十二月に大気汚染防止推進月間ということで、不要不急の自動車使用の自粛等につきましてのキャンペーンを行っております。毎年そういった運動を強化してきておりますが、これからも一層その推進に努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。
  182. 広中和歌子

    広中和歌子君 宅急便でございますけれども、かっていわゆる郵便とか鉄道チッキというんですか、あれが非常に時間がかかったりして不便だということで、新しいサービスの形として宅急便ができたんだと思いますけれども、トラック輸送ではなくて鉄道輸送の方はどうなったか現状を伺いたいことと、それからトラックそのものを長距離輸送などでは鉄道に載せちゃうと、コンテナ方式というのがございますけれども、トラック全体を載せてしまうというような工夫などもなされていると聞いたような気がいたしますけれども、その現状についてもお答えいただければありがたいと思います。
  183. 村上伸夫

    説明員(村上伸夫君) お答えいたします。  後段のまずピギーバック、貨車にトラックをそのまま積んで輸送する形態でございますけれども昭和六十一年の十一月に一日当たり六列車、これは四トントラックを三十二台運ぶ、こういう輸送力でスタートいたしまして、その後路線やあるいは輸送力を拡大いたしまして、現在では一日当たり二十六列車、トラックを三百六十五台運ぶ、こういう輸送力でやっているところでございます。  それから最初にお尋ねのありましたJRにおける小さい貨物の取り扱いでございますけれども、これは御案内のように都市間の拠点間を結ぶ輸送、コンテナの輸送とかあるいは車扱いと申しまして石油を運ぶ、そういった産業輸送という方面に現在では特化している、こういうところでございます。
  184. 広中和歌子

    広中和歌子君 それは今の鉄道輸送ですけれども、それをもうちょっと活性化していくという対策はお持ちでいらっしゃいますか。
  185. 村上伸夫

    説明員(村上伸夫君) 御承知のように、JRも民営化いたしましてそれぞれ各社が自主的な努力をしているわけでございますけれども、今お尋ねの例えばピギーバックにつきましては六十一年に始めまして、そういったいろいろな努力で輸送能力をふやしているところでございます。  それから今後につきましては、先生御案内のように、トラック産業におきましては道路混雑の問題あるいは労働時間の短縮とかあるいは運転手不足、こういう問題もあるわけでございまして、現在JR貨物におきまして検討しておりますのは、現在は先ほど言いましたように四トン車というトラックを運んでおるわけでございますけれども、もう少し大型の貨物も運べるように、これは鉄道の場合はトンネルとか橋梁とかいわゆる建築限界の問題がございますので、低い台車といいましょうか、そういうものを開発する必要があるわけでございますけれども、そういった方向を検討しております。  それからもう一つは、例えばタンクローリーといったようなものについても、これも鉄道で運ぶことができないか。ピギーバック方式でございますけれども、そういう意味で輸送対象のトラックの車種と申しますか、これを拡大するというような技術的な検討を行っている。鉄道貨物にとりましても、今お尋ねのありましたような貨物は、営業としてもこれは拡大していきたいという方向を持っておりますので、そういった形の努力を行っている、こういうことでございます。
  186. 広中和歌子

    広中和歌子君 よろしく期待しております。  交通なんですけれども、流れておりますときには非常に効率よくガソリン車にしてもディーゼル車にしても燃料が使われているわけでございますけれども、それは事実でございますか。排気ガスは交通が渋滞しているときとそれからスムーズに流れているときと、どのくらい差があるのか。そういう観測データでもあったらお聞かせいただきたいと思います。
  187. 入山文郎

    政府委員(入山文郎君) 交通渋滞と大気汚染の関係につきましては、道路の構造でございますとか地形あるいはまた交通の状況等によっていろんなケースがあるわけでございますが、そういったことで一般的に評価をすることは大変難しいわけでございます。  しかしディーゼル車は、これは低速で走行した場合には窒素酸化物の排出量が多くなるというような特性を持っておりますので、一般的には交通渋滞が大気汚染を悪化させる、そういう方向で影響を与えるというように思っております。
  188. 広中和歌子

    広中和歌子君 ディーゼル車はガソリン車に比べてNOxの排出自重は四、五倍と言われています。さらに、そういうトラックなどが渋滞しましてバンパー・ツー・バンパーというんですか、走ってはとまり走ってはとまりと。第一ギアで出るときはばあっと煙が出ますね。そういうことで、渋滞を解消すれば排気ガスの規制をしたと同じような、またはそれ以上の効果があるんじゃないかというふうに思われます。  ここに総務庁がつくってくださった大都市における道路交通円滑化対策についてという資料がございまして、いるいろ書いてあります。道路交通容量増大対策、短期的施策長期的施策といろいろ書いてあって、例えば短期的施策では、交差点の立体交差化とか交差点改良、踏切対策の推進、都市高速道路の改良というふうに書いてあります。だけれども、これは現在の状況を考えますと果たして短期的施策でできるのか大変心配でございます。  また、中長期的施策としては道路の整備ということなんですけれども、また既存道路等の有効利用による交通容量増大対策、短期的施策として交通管制の高度化。この前、首都高速七号線で一斉に通行をとめたということがございましたけれども、おそれていたほど交通渋滞が他の部分に起こらなかったというのは、交通管制がというんでしょうか非常にうまく作動して十分な情報が車に乗る人たちに与えられたために、車に乗ることを自制したり自粛したり、または別の道路を通ったりというようなことで、大変これもいいことではなかろうかと思います。  それで、道路交通情報提供の実施というふうにずっとあるわけですけれども、私は一番簡単なことは、遵法駐車、それが道路の渋滞に与える影響が非常に大きいということを認識しておりますものですから、それを取り締まることが、例えば立体交差とかなんかいろいろ、幾ら短期的な対策だと言われましてもすぐに実現するものではございませんが、この渋滞対策として違法駐車の取り締まり、これをやっていただくことが非常に早いんじゃないかと思いますけれども、違法駐車と交通渋滞の相関関係についてどなたかお答えいただけますか。
  189. 武居澄男

    説明員(武居澄男君) お答えを申し上げます。  違法駐車の関係につきましては、昨年の七月に道路交通法及び車庫法の改正をしていただきまして、その関係から、道交法につきましては本年の一月一日から施行になっておりまして、車庫法については七月一日から施行ということで、警察庁といたしましても鋭意この駐車問題にことし取り組んできておるところでございます。現に、十月末の段階でございますけれども、昨年と比べまして二四・五%増加する駐車違反の取り締まり件数を記録しておりまして、また保管場所の方の取り締まりにつきましては、この七月一日に施行ということですから施行されてまだ四カ月ちょっとということでございますが、昨年と比べますと約三・五倍の取り締まり件数、三万三千件ほど取り締まっておるということでございます。  その結果、例えば東京の二十三区内の例でございますが、瞬間の違法駐車台数、これが昨年の例でいきますと約十八万台くらいあると言われておるわけですが、こういった鋭意取り締まりをやってきた結果十六万台に減ってきたというようなことも出ておりますし、かつまた、東京のほか十府県の一定地域におきます夜間の路上駐車が平均で約四割減少しておるというような好結果をもたらしてきておるということでございまして、これからも鋭意この違法駐車問題には取り組んでまいりたいというように考えております。
  190. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  私は平成二年六月十二日の建設委員会で違法駐車のことを御質問いたしましたところ、十八万台の路上駐車があり、十八万台が違法だったんでしたか、ともかく八割が違法駐車だということで驚いたものでございますけれども、十八万台が十六万台に減ったと。それでも多いですね、篤いちゃいます。  違法駐車を取り締まることがどうして日本では難しいのか。それはどういうところに問題がありますんですか。取り締まり官の数が少ないんですか、それとも我々取り締まられる方の側に問題があるんでしょうか。
  191. 武居澄男

    説明員(武居澄男君) どちらに問題があるかということでございますが、テレビ等のCMでも話題になったことがございます、ここにも大阪出身の先生方がおられますが、その例に見られますように、非常に取り締まられる側の方が、まだ五分駐車していないじゃないかとかそういった問題意識というものも実はあるかと思います。と同時に、取り締まる方の側の我々自身もそういった意味で人員の関係もございまして、これは実は今はやりの言葉で言いますとパワーシフト、移しかえるということで、今までどちらかといいますと、例えば交通機動隊員等はスピードの取り締まりを中心にやっていたわけですが、これを違法駐車の方にも活用しようというようなことで、パワーシフトをすることによって何とか実質的な意味での増員効果を図っていきたいということでこの一年間やってきておるところでございます。  そういった意味では、今後ともまだ努力していかなき知いけない面は多々あるかと思いますが、そういった取り締まる側もさることながら、取り締まられる側の人たちの認識を変えていきたい。変えていくというとちょっと語弊があるかもわかりませんが、そういった問題意識を持っていただくというようなPR効果的なことも今後考えていかなきゃいけないんではないかというふうに思っております。
  192. 広中和歌子

    広中和歌子君 例えば交差点の近くに違法駐車されたりいたします。渋滞の中を走っておりまして、なぜかというと違法駐車のためであるというようなことをよく私自身も実感いたしますし、そちらの方としてもそういう御認識は十分お持ちなんじゃないかと思います。日本の場合、駐車違反の五分待ったとか待たないとかというようなことをちょっとおっしゃいましたけれども、停車禁止であればもう停車している車にはチケットを切ったっていいんじゃないんですか。  ところが、そうすると後からドライバーが出てきて文句を言うとかなんとか。ですから大変だなんということも伺うんですが、チケットを切る人とそれから車のドライバーの申し立てを受けつける人と分けたらいいんじゃないか。  アメリカの場合ですけれども、黙々と切っていまして、こちらがどう騒ごうと黙々と切って、文句があるんだったらシティーオフィスに行ってくださいというような感じなんですね、  あれを分けますと大分早くたくさんつけられるんじゃないか。何かすごく時間がかかるということを伺ったんです。もちろんドライバーとしてはチケットを破いてほしいんですから申し立てるに決まっていますからね。そうしたら、せっかくの駐車違反の係の方も役割が果たせないわけですから、やはりそこのところは分けることを工夫していただけないかなと思います。  それから何分しかたっていないとかいうようなことですけれども、これはパリの場合でしたけれども、それぞれの車がカチカチという、何というんですかタイマーを持っていまして、自分がそこへとめたときから何分まではただでとめられる、それ以後はだめだというようなタイマーがあるんですね。そういうような使用なんかもあれば問題がないんではないかというふうに思います。何も違反を摘発することが問題ではないんで、動いていただくことが大切なんですから、ともかく多少教青上の意味もあって厳しく最初はチケットを切っていただきたい、そんなふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  193. 武居澄男

    説明員(武居澄男君) アメリカの例等を出していただきましてお話しいただきましたが、これは国民感情とかいろいろな側面があるかと思いますので、即それを日本のやり方に導入することが果たして可能かどうかということはちょっと検討を要するかとも思いますが、一つの御意見として承らさせていただきたいというように思います。  また、パリの方のタイマーの関係でございますが、例えば。これは日本でもパーキングチケット制を実はしいているところ等がございまして、それはある意味ではそういった先生がおっしゃったような考え方に基づくものであるというように理解をさせていただきたいと思います。五分の駐車とそれから例えば交差点の中に違法駐車をしているというようなのは、こういったものは今はもう現在即違法駐車ということで取り締まりをやっておりまして、五分のものとははっきりと区別した取り締まりを引き続いてやってまいりたいというふうに考えております。
  194. 広中和歌子

    広中和歌子君 チケットをもらいたくないというのはアメリカ人も日本人もフランス人も同じでございますので、余り国民感情ということはおっしゃらない方が、国民性の違いということはおっしゃらない方がよろしいんじゃないかなと私は思うのでございますが、まあ違っているかもしれません。  それからパーキングメーターの場所でございますけれども、意外と交差点近くまでつけられているということがあるわけです。それからパーキングメーターがあれば二十四時間じゅう駐車していいというようなシステムで今やっておりますけれども、しかしながら朝夕の交通渋滞の多い時間帯というのがございますが、そういうようなときにはパーキングメーターがあっても、例えばその時間帯は使ってはいけないといったようなきめ細かな対策もできるんじゃないかと思いますので、そのことも重ねて御検討いただきたいということをお願いしたいと思います。  それから反則金でございますけれども、それはだれが徴収してどういうふうに使われているのかお伺いいたします。
  195. 田村政志

    説明員(田村政志君) 反則金でございますが、反則金が納付されますと交付税特別会計の交通安全対策特別交付金の勘定の方に直入をされる、その会計に入ってくるというシステムになっております。
  196. 広中和歌子

    広中和歌子君 つまり国税でございますね。国に入るわけでございますね。
  197. 田村政志

    説明員(田村政志君) 一たん国の方に納付をされまして、それから地方団体の方に交通安全対策特別交付金として交付をされております。
  198. 広中和歌子

    広中和歌子君 交通対策なんというのは全くもう地域的な問題なんじゃないかと思うので、それが反則金にしても駐車のパーキングメーターのっけ方でも違反の値段にしても、そういうのは地方行政の自治に任せられないんでしょうか。そして、反則金も当然その地方自治体の中に入り、それがそれぞれの自治体の交通事情に応じて例えば駐車場の整備のために使われるとかあるいは道路の立体化のために使われるとか、そのような方向が考えられる必要があると思うのでございますけれども、どなたかお答えいただけますか。
  199. 田村政志

    説明員(田村政志君) ただいま先生御指摘のように、地方団体に直入をさせるべきでないかという御意見もあることは承知しておりますけれども、一方で交通反則金は罰金にかわる司法的制裁てございまして、反則金を納付した場合には公訴が提起をされなくなるということでございまして、国に帰属させて国が使うべきではないかという御意見もあるわけでございます。現行の制度は、交通安全反則金収入を一たん国の収入として受け入れまして、先ほど申しましたように、交通安全対策特別交付金として各地方団体に交付をいたしまして、それで各地方団体で交通安全施設整備にこれを御使用いただくということで設けられておるものでございます。したがいまして、今までのこの制度が設けられた経緯、趣旨にかんがみますと、反則金収入を直接地方団体の収入とすることはなかなか難しくて、その配分方法としても、現行制度では例えば交通事故の発生件数であるとかあるいは人口集中地区の人口だとか、そういうものを指標にして各地方団体にお配りしておるわけでございます。そして、各地方団体はそれをもとに交通安全対策をしていただいているということでございますので、私ども現行の方式でそういう必要度に応じて交付するということが適当であろう、こういうふうに考えております。
  200. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は重ねて申し上げますが、できたらこういうことは地方自治体にお任せいただいた方がもっとインセンティブも出るし工夫も生まれるんじゃないか。もちろん再配分されるわけでございましょうけれども、その間に時間もたってしまいますし、やはり直接的に受け取った方がもっとやりやすいんじゃないかというようなふうに思いますので、ぜひ検討課題としていただきたい。大変大きな問題に首を突っ込んでいることは重々承知しておりますけれども、ぜひ御検討いただきたいと思います。  最後に環境庁長官に、交通システムを含めまして大気汚染等、今まで質問しましたことに関してコメントが、また御意見がございましたならばその御意見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  201. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 大気汚染は、これは最も重大な問題の一つでございますので、今大体論議されてきたところに尽きておると思いますが、非常に具体的な問題としては残されたNOxの問題、これに真剣に取り組んでまいりたいと思います。そして、総合的な対策につきましては、委員の御指摘がありましたことも頭によく入れまして、全力を尽くしてまいりたいと存じております。
  202. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 それでは、新しく御就任になりました中村環境庁長官、そしてまた地球環境担当大臣でもあります長官に質問をいたします。  わずかな時間でございますから端的にお聞きをしていきたいと思いますが、来年の六月には環境開発に関する国連会議、いわゆる地球サミットの開催が予定をされております。これは官民挙げて大変な関心の高さでございますし、国際的にも大変関心が高くなっています。当然そうでありまして、七二年のストックホルムにおける国連人間環境会議、あのとき以来とにかく二十年を経て、これからの地球環境地球自体をどうするかという大変な事態に差しかかっておるわけで関心が大変深いのは当然であろうと思うわけでございます。UNCEDでは地球憲章だとかあるいはアジェンダ21等々を成立させていくということで御苦労いただいておるやに聞いております。  そこで、最初にお伺いをしたいと思いますのは、関係者の中では今度の地球サミットというのは地球を救う今世紀最後のチャンスとさえ言われているわけでございますから、そういう大事な会議なのではありますけれども、準備を進めていっておられる中心的な役割を担う環境庁といたしまして、この会議が実り多いものとして成功できそうな感触をお持ちになることができているかどうか、これをちょっとお伺いしたいんです。
  203. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 正直申しまして、私自身が今就任して日もないということもございますし、また来年の六月に向けて世界各国でいろいろな会議が持たれ準備が進んでいる段階でございますから、今確たることを申せという御質問をいただきましてもなかなか難しいわけでありますけれども、今委員御指摘のとおり、今世紀最後のということが言われているようなそうした重要な会議でありますから、これは成功させる、させなくてはならないというふうな決意で臨んでまいりたいと思います。  そして、決めなければいけないことは非常に具体性を帯びたことでありまして、その具体的なことの枠組みをつくり決めようということでありますから大変難しいことでありますが、地球の未来のために、我々の子孫のために努力をして成功させねばならないというふうに存じております。
  204. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 確かにおっしゃるとおり難しいんですね。環境開発というのは今世紀における最も矛盾に満ちた二つのテーマです。これをどのように調和させていくかという討議なんですね。これを本当に成功させていこうとすれば、かなり強力な政治的な、何というんですか意思が働かないとなかなかこれはうまくないのではないかというふうに私ども見るわけです。  ところが、地球温暖化問題、特にCO2の排出量等をめぐりましても世界一の排出量を持つアメリカがもう一つ乗り気ではない、消極的だというふうな問題が出てきたり、あるいは途上国の側から言うたら、環境破壊をしたのは先進国だから、これは地球破壊したのは先進国なんだから金ぐらいはよこせと、こういうことが端的に言われる。一つの地球の中でそういう形が出てきているというわけでございますから、これは大変だと思うんです。それが今度の地球サミット成功のための一番大きな問題点であろうと思いますし、そのことが南北問題でもあり、あるいは途上国の皆さん方ととりわけ先進国開発に係る経済政策、そういった問題とも非常に関係の深い問題であろうと思うわけでございます。  そういう点でこの辺はお聞きもしたいんですが、私はそういう難しい会議であるがゆえに、これは当然国連当局としてもそのことは考えておられると思うんです。その一つのあらわれ方が、ストロング事務局長がNGOは自分の国の政治の流れ、政府の流れと違った意見があってもその状況を変えねばならないんだからという立場でNGOに対する期待をかけているということが言われているわけです。こういうことがいかに困難なところを一致させて枠組みをつくっていく会議にするかということの一端を示しているんじゃないかと思うんです。  それで、具体的なことをちょっと伺っておきたいんですが、国別報告書の作成に当たって、手続の中で今度は特別にそういった立場で提起をされているんですね。これはガイドラインですかアウトラインですか、国別報告書の作成の手続というようなことがわざわざ明記されていて、それで国別の、政府の省庁のさまざまなレベルの代表はもちろんですが、非政府である産業界、労働界、科学界の代表、さらには環境開発のグループ、女性、青年、消費者、それから先住民その他の重要な団体も含まれると。出席者としては自然科学、社会科学、経済、政策分析、計画、それから資源管理のような主要な学問分野の専門家やエネルギー、農業、都市のようなということで大変具体的な指示が出ているというのは、これは珍しいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  205. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) ただいま先生のお触れになりましたこの国別報告書、UNCEDに提出する国別報告書をつくるに当たってガイドラインを国連が示しておりまして、先生が今お触れになられましたような非常に幅広い各界からの専門家を含めて検討すべし、作成すべしということを言ったのは確かに珍しいことだというふうに思っております。
  206. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 そういう特殊性を持つ国際会議だということをも示していると思うんです。そういう立場で諸外国を見ると、フランスなども政府を動かしてNGOが動くとか、あるいはアジア諸国でも動くとか、我が国でも市民団体、NGOその他、NGOというのはなかなか難しいんで、NGOに一くくりできるかどうかは別でございますが、各種の市民団体、関係団体、あるいはジャーナリストの皆さん、学者、研究者の皆さん、法律家その他、我が国でも大変急速な盛り上がりが示されているわけです。  そういう状況の中で、そういう市民団体から大いに指摘されているわけだから、環境庁が国別の報告書をつくるのにちゃんと市民団体やあらゆる階層の人たちの意見を入れてつくりなさいということが言われているわけなんですが、ちょっと我が国はぐあいがもう一つよくないという感じがするんです。細かく聞きたいけれども時間がないから簡潔に言いますが、まだできてないんでしょう、最終案は。
  207. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) おっしゃるとおり、最終案はまだできてはおりません。ただし、もうほとんどできっつあるという状況でございます。
  208. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 大体もうとうにできてなきゃいかぬわけですね、締め切りは七月か、そのはずだ。  それで、私はそういう大事な指摘の中で日本政府がそういう立場をきちんと踏まえてほしい。というのは、手続の中でやっぱり関係者の中で不満が出ていますよ。というのは、八月の九日に素案を公表したんですね。それで、市民やNGO、各界に対する意見を求める期間というのはわずか十九日間であった。しかも政府としての十分な広報もないままに意見を求めるというようなやり方であったということについては、関係団体の方々がかなり強い不満を持っておられるようであります。  そういうことに関連をいたしまして、本当はそのことについても聞きたいんだけれども、時間の節約のためにお聞きをしたいんですが、こういう関係団体ということになるとNGOという、向こうの文書ではNGOの一言に片づくんだけれども日本の場合にはNGOの一口では片づかぬでしょう。そういう点でお考えになっておられるのは、政府が肝いりでおつくりになった地球環境日本委員会、これがつくられたわけですね。それからNGO、それからCBOですか、そういう形の書き方をされております、素案を拝見しますと。  そういうふうなことがいろいろあるわけなんだけれども、実はどういう団体を考えているかという点を一つははっきりしておかなきゃいかぬのじゃないか、地球環境あるいは環境問題に関心をお持ちになる国民の各層というのは物すごく広いですから。そういう方々を全部網羅するというふうなやり方というのが私は極めて大事ではないか。と思うんです。  そこで、ちょっとこれは後で一言言いたいことがあるので、時間がありませんから私具体的にお聞きをしておきたいんです。そういう市民団体、ちゃんと指示がきているのでもなかなか文句が出るような対応しか現在の環境庁はできていない。それでも環境庁がまだやっているのだけましなんで、他の省庁はそんなものなかなかやってないんです。せっかく一歩踏み出されたわけなんで、NGOということに代表される市民団体、関係諸団体、こういうところと、これはこういう紋日のときの前だけというんじゃなくて、一年に一回とか二回とか恒常的に対話を確立するというふうなことを考えたらどうなのか。これはそういう御要望があります。  それからもう一つは、これはいろいろ問題があろうと思いますけれども、そういう市民運動が調査だとか研究だとかやるのに大変な苦労をしているんです。そういったものに対して適切な財政援助等のルールを考えていくというようなことはどうだろうか。私は、金は出すけど口は出しちゃいかぬと思いますが、本来金は出すべきではないと思うんだけれども、関係諸団体からはそういう要望もあります。  それからもう一つ大きいのは、大臣もさっきおっしゃったんだけど、地球環境担当相として政府でリーダーシップを発揮していくと、まさにそこだと思うんです。環境庁が軸になって関係省庁、例えば通産だとか農水だとか大蔵だとか、そういう関係各省も含めて、これはそういう関係団体との対話の機会などをひとつ大臣中心になってそういうものも始めることをお考えになっていただいたらどうだろうか、こういう具体的な要求がありますので、これをひとつお伺いしておきたいと思います。
  209. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 沓脱委員が最初におっしゃられましたように、日本におけるNGOの定義、範囲、そういったもの自体もまだひとつ私勉強が進んでおりません面がございます。  それから諸外国のいろいろな話は、今まで見聞きしてまいりましたことによりますと、日本よりかなりそういったものが進んでおると申しましょうか、確立されたものがあるという状況と伺っております。そして、そういうところの意見を聞くということは、先ほど部長の方からお答えしましたように、いろいろ御不満というお話もありましたけれども、今度のUNCEDの問題に向けまして国別報告書作成に当たっては、伺っているとも伺っておりますし、これからも適切に対処してまいりたいと思っております。  総合調整官庁として政府一体となってというお話は申し上げましたけれども、私の頭の中には今先生がおっしゃったところまではちょっと考えがございませんので、確たるお答えにならなくて申しわけありませんが、そういう状態でございます。
  210. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 さっきの具体的なところは、最初に申し上げた。
  211. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 先生のお尋ねがもしナショナルレポート、国別報告書をつくるときにNGO等から……
  212. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 いやそうじゃなくて、年に一回でもと。
  213. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、NGOと申しますと非政府組織ということで、それこそ産業界からもうあらゆる部門までまたがって、およそグループをなしていればNGOということでございますので、確かにどの範囲を、例えば国として呼びかける場合にどの範囲にすべきかとか、非常に難しい問題がございます。事がNGOだけに、国で勝手にこの団体はNGOこの団体は非NGOというわけにもいかないということで、難しいことがございますが、この前に、前長官の愛知大臣のときに、とりあえず童立ったNGOと申しましょうかに呼びかけて、一回懇談の場をつくってございます。  そういうことがNGOの方にもかなり評価されていると伺っておりますので、私どももこのUNCEDに絡めて少しそういうことを工夫してまいりたいというふうに考えております。
  214. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 それで、例えば素案を拝見したら私どもだっていろいろ意見があります。国民の各層の皆さんが拝見してもいろいろ意見がある。あって当たり前だと思うんです、それはそういうものだと思うんです。  私ちょっと時間の都合があるので、例えば産業公害は克服した、それから公害技術は非常に発展させたとさらりと書いておられるけれども、それをつくるのに、そこまで到達するのにどれだけ地域の住民、被害者が命と健康をかけて、頑張ってやっとそこまでいったんだというふうなことを忘れちゃならぬと思うんですね、実際は。一たんそういう被害を起こしたら延々と後を引くものだということが、いまだに解決をしない水俣病あるいは大気汚染公害の増加という形になって出ているわけです。  そういうことを考えますと、UNCEDまでに何とか水俣病はきちんと片をつけてもらわなんだら格好つかぬと思いますが、午前中からのお話ではどうやら水俣病は、どうですか、中公審の保健部会専門委員会ですか、ここの案というのがまだ出ていないんですね、いや出てないと朝言うておられましたね。それで出てないんやから言えませんか、全然。言えないんやったらそれはもうしょうがない。二十六日に発表するんでしょう。まだまとまってないの。まとまっているんでしょう。私は出すべきやと思うんです。出せるんか出せないかということだけ言ってください。
  215. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 今、先生おっしゃったように、中公審でもっていろいろ御検討いただいております水俣病の総合対策の問題につきましては、先般、十一月の十二日に専門委員会環境保健部会の中に設置いたしました環境保健部会の委員プラス外部の専門家を含めまして計十四人の専門委員会の御検討は終わりまして、そして今、近いうちに開かれます環境保健部会にかけるべぺ最後の仕上げの作業をやっているところでございます。したがいまして、本日現在それについて発表するというような段階には至っていないというふうに考えております。
  216. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 それでは、答申が出ますと水俣病の今の諸問題、これはすばっと解決できるという案が出てきそうですか。
  217. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) ただいまの中央公害対策審議会におきましては、これまで水俣病に対しまして残された問題への対応につきまして鋭意御審議いただいたわけでございますけれども環境庁におきましては、この答申をいただき、その趣旨を実現できるように平成四年度から総合的な対策の実施を図るべく作業を進めていくことというふうに確認をしているわけでございます。このような対策を実施していくことが水俣病問題の早期解決につながっていくものというふうに考えておるわけでございます。
  218. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 解決がつくのかつかないのかというのがもうちょっとはっきり聞けませんか。解決をするんだというのか、いや必ずしも全部は解決できないというのか。中身聞けないんだから、中身聞いたら私が判断するんだけれども、しょうがない。
  219. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 先ほども申し上げましたように、御答申いただいたことにつきましてその対策を実施することが早期解決につながっていくものだというふうに考えております。
  220. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 つながっていくということは、すぐには解決はしないということなんですな。  それで、これは既に十二日に出された新聞報道ですが、熊本県知事は今後の水俣病訴訟の和解協議のマイナス材料になりかねないと言って疑問を呈していると。これは大変だなと思うんです。そんなものを出したんじゃ話にならぬわけで、私はやっぱり長官が新しく御就任になられた機会でもございますから、そういう解決もせぬ中途半端な答申を求めるというふうなやり方をやるんではなくて、本当に解決をするというんであれば、これだけ四つの地裁一つの高裁ですか、具体的に和解交渉に入れということで直接の加害者であるチッソもあるいは熊本県も同席をしているわけで、国だけが断じてやらぬと言って頑張っているんだけど、そんなものこの機会に、特にUNCEDの前ですからきちんと片づけて、いや日本では産業公害はきっちり片をつけましたということが胸を張って言えるようにぜひやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  221. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 国の立場といたしましては、裁判については早く結審をして判決を出していただきたいと思っております。  対策については、中央公害対策審議会からの答申をもって鋭意これが解決に向けて努力をしてまいる所存でございます。
  222. 沓脱タケ子

    沓脱タケ子君 最後に、私は特に中村長官に御就任されたときだから特別に申し上げておきたいと思うんです。  というのは、前々の長官でありました北川さんが、月刊アサヒの六月号で、この水俣病についての裁判の和解についての勧告、これは受けたかったと。「受けたかった水俣病和解勧告」という記事があるんです。  そこで、去年の九月二十八日、東京地裁の水俣病訴訟の和解勧告について、主文を読んで「時の氏神や。受けろ」、「何が困るんじゃ。何十回裁判したって国が負けじゃ。受けよう」と言って頑張った、しかしつぶされたと。やっぱりこういう態度というのは大事なんじゃないですかね。北川さんは環境庁二十年史の「省みて」の中でも同じく述べておられますが、「水俣病に想いを至せば心傷む。山内局長の死を悼み、ご冥福を祈るや切。大蔵省の湾岸協力をはじめ、数々の補助金等を思うとき、今こそ、これが予算計上をもって救済の完璧を期すべきである。」ということをお書きになっている。  国がかたくなな態度をとらずに、今日の段階へ来て社会問題化している状況ブラジル会議を前にして本気で考えてもらいたいと思いますが、長官に最後に二言お伺いして、終わりたいと思います。
  223. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 前々長官のお話はよく承りまして、よく頭に入れておこうと思います。
  224. 中村鋭一

    中村鋭一君 中村長官、御就任お喜びを申し上げます。たまたま私も同じ中村でございまして、さかのぼりますと先祖は藤原鎌足公に行き着きますので、御成功を心からお祈りする次第でございます。  ここで長官にお覚悟のほどを一言伺っておきたいと思うんです。今沓脱さんもおっしゃいましたけれども環境庁というのは歴代長官になかなか有為の方がいらっしゃいました、初代の大石長官、それからまた鯨岡兵輔先生。当時、私は環境特別委員会におりましたけれども環境アセスメント法がはっきり言えば通産省の横やりでなかなか日の目をみないというときに、鯨岡先生は辞表を懐にされてこの委員会に臨まれまして、おかわりになるという評判でございましたので、非常に異例ではありましたけれども、私は野党の委員の一人として鯨岡長官の留任を心から懇請した記憶がございます。  それからまた、今も沓脱さんおっしゃいましたけれども、北川長官も、例えば長良川河口ぜきの問題等については、それは国民大多数の利益のために、環境のためにはこの工事を強行するのはいかがなものかということについて、長官の名において疑義を表明されました。このような地球的な環境の問題や国民の健康のためならば、私は、与党とかそういう立場を離れて環境庁行政の最高責任者として取り組まねばならぬ、こう思うんです。まして、先ほど来から再々申し上げておりますように、来年はUNCEDがございます。ですから私、長官が来年六月にこの大事な会議に長官として出席されない、もうそのときには大臣がかわっていたと、こういうことであっちゃ困りますので、そのためにも不退転の決意で臨んでいただきたい、こう思うんです。  幸いにして加藤さん初め有能なる行政官がたくさんいらっしゃいますから、来年のこの会議に臨むに当たって、何かひとつこれを一発訴えてやろうということを既にお考えであれば、まずそれをお伺いいたしたいと思います。
  225. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 先ほどから御答弁させていただいているように、準備が今進んでいるところでありまして、先ほどの沓脱委員の御質問にありましたけれども、一番難しい点、やはりそれは先進国が率先して取り組まなければどうにもならないということ、そしてやはり沓脱委員も御指摘されておりましたように、発展途上国には技術とお金がないということが現実でありましょう。でありますから、やはり現実対応をしていってこの会議成功に導かなければならないということでありますから、大いに先進国に対しても物を申さなければなりませんし、発展途上国との橋渡しもしてまいらなければならないと思っております。  でありますから、先ほどから申し上げておりますように、成功するか成功しないかじゃなくて、これが成功しなかったら我々の子孫にとって好ましい地球は残らないんだ、だから成功させなきゃいけないという決意で臨ませていただきたいと思っております。
  226. 中村鋭一

    中村鋭一君 本当に頑張ってください。  長良川の河口ぜきですが、先ほどから西野委員も豊富な資料に基づいて今回のこの工事に含まれているいろいろな矛盾点を追及しておりますが、どうも建設省は我々に納得いくような答えをしていただいておりません。  端的にお伺いをいたしますが、環境庁として、アセスメントをきっちり実施しましょう、そのためには一たんこの河口ぜきの建設を凍結してくださいということを長官は建設省に申し入れるお気持ちはございませんか。
  227. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 長良川河口ぜきに関しましては、この地域が非常にいい自然環境に恵まれ、それが保全されている地域であるということは認識しております。そして、それを守っていこうということで環境庁がいろいろ発言させていただき、また建設省に対しても意見を申し上げさせていただいているところでございます。  ただ、この工事自体につきましては、これは地元の要請もあったと伺っておりますが、治水の問題、地元の要望に基づく事業であるということも伺っておりますので、私どもといたしましては、建設省に対しまして追加的な調査をして最良の自然環境保全する方策を講じながらやってくださいということを申し上げているわけでありまして、これからもその態度で臨んでまいろうと思っております。
  228. 中村鋭一

    中村鋭一君 お答えにくい点も多々あると思いますけれども、冒頭に私が申し上げたように、環境庁長官はほかの行政官庁と違います。ですから、そういう立場を離れて、何が国民のために、何が地域住民のためにということを考えれば、矛盾があればそのことについて勇気を持っていただくことをぜひ改めてお願いをしておきたいと思います。  この間、たまたま新聞を見ておりましたら、こんな指摘をしている記事がございまして、「土木計画学には「時間の経過に伴う計画の自己矛盾」という有名な原理があるそうだ。」と。時間の経過に伴う計画の自己矛盾、これを例えば中海、宍道湖あるいは今回の長良川の河口ぜき、さらに今干拓が進められております有明海諌早湾の埋め立て等に当てはめてみますと、計画当初そのプロジェクトが着手されたときには必然性もあり十分な目的がありましても、十五年、二十年という長い時間の経過のうちには、それこそ地球環境の変化でありますとか住民の意識構造の変化でありますとか、そういうことによってその工事自体が絶対的矛盾をはらんでしまわざるを得ない。  そのときに、矛盾をはらんでいるにかかわらず、これだけの予算を投下して当初日」ういう立派な目的があったんだからこれはどうしてもやらなければならない、端的に言えば利害関係と自己メンツを保つためのみであっては、今申し上げましたこの原理、自己矛盾がそのままに残されてしまう、こういうことに相なります。  中海、宍道湖は今現実には凍結されています。それから長良川河口ぜきはもう皆さん御認識のとおりでございまして、工事を続行すべし、一たんやめなさい、この意見が全く真っ向から対立している状況でございますが、こういう原理がそのまま生かされることがないように、私はこの際、環境庁としてはこういう点についてもこれから勇気を持って、もうこれはぐあいが悪いというときには思い切って皆さん御自身がそのことを主張なさることをお願いしておきたいと思います。  諌早湾ですが、今三千五百五十ヘクタールですかの埋め立てが進んでおります。ここには、水鳥だけでも二百二十種を超える、それからたくさんの特有の、ムツゴロウですとかワラスボですとかこういった魚類がいる。そういうことについて、魚類学者でありますとか自然保護団体の方からは、また諌早湾で無用の干拓をするのかと。  といいますのは、今私が言いましたようなことがこの諌早湾にもあるそうでございまして、最初は何ですか米をつくるために干拓をやった。ところが生産調整があってもう米づくりは目的にならなくなった。そうしたら、今度は水害防止を前面に出したのところが水害防止も目的にならなくなった。今度は酪農や野菜畑にする計画になった。こういうふうにどんどん目的が変わっていっているわけですね。ですから、この点も地元の皆さんは反対をしていらっしゃるわけでございますが、深い考察を加えていく必要がある、こう思うんです。  一つだけお伺いいたします、自然保護局長さんに。ここにはたくさんの自然の生物がおりますが、この諌早湾の干拓を強行して、もう既に工事に着手しているんですが、環境庁の自然保護局長さんとしては、これを完成させたら諌早湾の生物に深甚な影響が出る、こうお思いでございますか。
  229. 伊藤卓雄

    政府委員伊藤卓雄君) 諌早湾の干拓の事業でございますが、まず干拓の全体の面積が三千百五ヘクタールでございまして、今回の事業によりまして消滅すると考えられますのが二千六百ベクタール余りということでございます。したがいまして、相当部分が改変するということになるわけでございますので、この干潟に生息いたします鳥類、魚類等への影響は当然懸念されるわけでございまして、私どもといたしましては、六十三年の三月に公有水面埋立法に基づく建設省、運輸省両省からの意見照会に対しまして、自然環境保全の観点から意見を申し述べたところであります。  具体的に申し上げますと、鳥類等の生息環境の再生とその保全を図るという観点から大きく二つの点を申し上げてあります。一つは、仕切りまして淡水の調整池というものを設けるわけですが、そこの周辺におのずと自然植生が出てくるわけでございまして、そういったところに鳥類の生息環境期待できるというところから、ヨシ湿原等の自然植生の維持を図ることというのが一つ。もう一点は、潮どめをいたします潮受け堤防といいますが、これの前面、海側にまた干潟が再生してくるということが言われておりますので、この再生促進のための適切な対策を講じること、こういったことを事業者並びに県に求めたところでございます。  それから干潟には鳥類がおりまして非常に広範囲に影響をする可能性もあるということで、追跡調査をし、その内容によって必要に応じて対策を講じるようあわせて求めたところでございます。
  230. 中村鋭一

    中村鋭一君 よろしくお願いします。  今の長良川の河口ぜきも、今度また参考人の方に来ていただいてお話を伺いますが、サツキマスにしても底生魚のカジカにしても、これがどうなるかというのが今大問題になっているわけです。だから、諌早湾もできてから実は魚に影響があったとか言ったって遅いわけですから、それは局長が今言っていただいたような形で、これからもどんどん監視の目を光らせて、かりそめにも影響があるときにはちょっと待てということを声を大にして言っていただくことをお願い申し上げておきたいと思います。  フィリピンのレイテ島を襲った台風で数千人の死者を含む大きな被害が出ました。新聞で報道されるところによりますと、これは、上流部といいますか山岳部で熱帯雨林を無計画に伐採したその結果、突然のいわゆる鉄砲水になって、それが高潮と一緒になってあれだけの被害を生んだと、こういうことですね。三段論法じゃありませんけれども、被害が出た。それは木を切ったからだ。なぜ木を切った。それは用材として使うため。その用材はどこへ行った。日本へ全部輸出されている。だから今度のレイテ島の数千人の死者を出したのは、遠因をたどれば日本がたくさん熱帯雨林を切らせて使ったからだと。  こういう、見方によっては我々にとって迷惑とも言えるかもわかりませんが、日本にとっては余り芳しくない国際的な非難がこのことで起こっているわけでございますが、環境庁としては、このような批判といいますかがなされていること、現実に熱帯雨林がどんどんアジアを中心に伐採されて、それを使っているのは実は日本であるというこういう事実をどのようにとらえておられますか、そしてそのことについて何か対策は講じておられますか。お考えはございますか。
  231. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 今、先生おっしゃられましたフィリピンのレイテ島におきます台風での大変大きな被害、これにつきまして、私ども非常に重大な関心を持って眺めておりまして、今先生から御紹介あったような論説も一部あるということは私どもも承知をいたしております。しかし、フィリピンの台風災害と先生もお触れになられましたように我が国の熱帯木材輸入との関係というものにつきましては、これは到底私ども事実関係をつまびらかにできるわけではございませんので、関係があるとか私どもに責任があるとかそういったことについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、まさに一般論として申し上げますれば、我が国は大変高度な経済活動を営んでおりまして、その国として地球環境にもまた大きなインパクトを与えるというふうに考えております。こういう点を踏まえまして、今から二年ほど前、平成元年の六月でございましたが、地球環境保全関係閣僚会議におきまして、開発途上国の環境保全に積極的に貢献をしていこう、それから環境分野の政府開発援助などを拡充していこう、さらに政府開発援助の実施に対しては環境配慮というものを徹底していこうということを申し合わせております。  特に熱帯雨林の減少につきましては、それ自体がいろいろな意味で問題でございます。まず、この前御議論にもございましたように、熱帯林自身が炭酸ガスの非常に重要な吸収源にもなっております。またそれだけでなくて、野生生物をその中にたくさん内包しておりまして、微妙な地球のエコシステムというものを形づくっている非常に重要な構成要素というふうになってございます。したがいまして、そういう地球のエコシステムの非常に重要な部分であるところの熱帯林が減少していくというのは、これは地球環境を守るという観点から見ますととても看過し得ない問題でございまして、そういう意味で、日本政府といたしましてもまた環境庁といたしましてもいろいろな形の援助をやってございます。  具体的に申し上げますれば、森林の造成あるいは人材の育成あるいは野生生物、そういうものにつきまして非常に積極的な支援をやっておりまして、今後とも林野庁、外務省などと協力しながら積極的に協力を進めていきたいと思っております。
  232. 中村鋭一

    中村鋭一君 今、加藤さんがおっしゃった林野庁とか外務省と協力しながらと、その点は本当に大事なことだと思うんです。ですから、これは来年のUNCEDの超重要なテーマの一つになると思いますので、今からしっかり勉強していただいて、これもさすがに地球環境部は大したものだと世界の人から褒めてもらえるように頑張ってください。お願いしておきます。  厚生省、来ていただいておりますか。  水道の水が相変わらず臭い。これは清水委員もお尋ねでございましたけれども、今諮問をしていらっしゃると思うんですが、どの辺まで来ていますか。ごく簡単に。
  233. 藤原正弘

    説明員(藤原正弘君) 近年、多様な化学物質が生産、使用されることによりまして、また分析技術の向上等によりましてこれらの化学物質が一般環境中に検出される例が見られるわけでございますが、人の健康に及ぼす影響について社会の関心が高まっております。このために厚生省では、平成元年度より水質基準の充実に向けての調査を実施しておりますが、また平成二年九月に生活環境審議会に対しまして水質基準の見直しについて諮問したところでございます。  現在、水質基準制度のあり方を含め、水質基準の全体的な見直しのための検討が進められているところでございます。厚生省では、本年度中にこの審議の結論をいただきたいというふうに考えておるところでございます。
  234. 中村鋭一

    中村鋭一君 要するに今答えを待っておられたということですが、全般的に、それは先ほどの清水委員の大きなパネルを見てもわかりますように、例えばアメリカと比べて日本はまず品目の指定が少ない、それから基準が甚だ甘い、これが言える、こう思うんですね。例えばゴルフ場の農薬規制についても、そのような皆さんの声があります。ですから、これは環境庁も基準値を出しておりますし、厚生省もお出しになっておりますが、答申がいかようであっても主体は厚生省ですから、これを厚生省なるたけ厳しく、どんなに厳しくってもいいですよ、これはそのために国民の健康が守られるわけですから。ひとつお願いをしておきたい、こう思うんです。  それについて、これは法改正によらずに省令で処理をしようとしていらっしゃるということですが、これを法改正しちゃいかぬのですか。
  235. 藤原正弘

    説明員(藤原正弘君) 水道法の第四条におきまして、水質基準に関して「必要な事項は、厚生省令で定める」、こういうふうにされておるところでございまして、今回の水質基準の改正につきましては、「厚生省令で定める」ということでございますので、厚生省令を改正することによって対応いたしたい、このように考えております。
  236. 中村鋭一

    中村鋭一君 その厚生省令を改正すれば法改正と全く同じ効果があるといこういうことになるんですか。ちょっと私頭が悪いものですから。
  237. 藤原正弘

    説明員(藤原正弘君) 現在、水道法で所掌といいますか網をかぶせております水道事業に対する指導、規制に関しましては、現行の法律で対応できるというふうに考えておりますので、したがいましてこの基準を強化することによりまして現時点の問題は対応できる、このように考えております。
  238. 中村鋭一

    中村鋭一君 納得したいんですけれども、ちょっと私納得しかねますね。結局は、例えば某の指定品目をふやすとか、それから基準を強くするというようなことに本当に実効的な価値をあらしめるためには、政省令によらずしてやっぱり法律というものできっちりと規定をする方が効果があると、少なくとも常識的には私はそう思いますので、これを省令によるのではなく、法改正を伴って実効あらしめるという方向に行くべきである、そういう考え方をぜひとっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  来年の三月にワシントン条約の年次会議日本が主宰で京都で開会されます。このワシントン条約の中で六種の鯨が現在留保をされておりますが、この留保は水産庁、水産庁は科学当局でございますから、これは環境庁にお尋ねするよりも科学当局の水産庁にお尋ねをいたしますが、この鯨六種は留保を続ける方がいいとお考えですか、それとも留保は撤回した方がいいとお考えですか。
  239. 森本稔

    説明員(森本稔君) この鯨類六種類につきましては、ワシントン条約ではすべてが絶滅の危機に瀕しているとして現在附属書Ⅰに掲載されておりますけれども国際捕鯨委員会の科学委員会におきましてはこれらは系群といいますかストックによりましては資源的に問題がないとされているものもありますことから、我が国は留保しているものでございます。  現在、国際捕鯨委員会では鯨類資源を再評価する作業を進めておる最中でございまして、今のところこのような状況に変化は見られないということから、次回ワシントン条約締約国会議では留保の撤回は行わない方針としておるところでございます。
  240. 中村鋭一

    中村鋭一君 大変結構だと思います。  ここに挙がっておりますのは、マッコウクジラ、ミンククジラ、ツチクジラ、イワシクジラ、ナガスクジラ、ニタリクジラ、六種ですね。これはどうですか、これまでの調査捕鯨等々で、特にミンクなんかは大分ふえているんじゃないですか。
  241. 森本稔

    説明員(森本稔君) 私ども日本が南氷洋においてモラトリアムの以前にとっておりましたミンククジラにつきましては、IWCの科学委員会におきまして約七十六万頭資源量があるというふうに合意をされておりまして、現在資源量も多いわはでございますし、ふえておるというふうに認識をしておるところでございます。
  242. 中村鋭一

    中村鋭一君 来年度のIWCの総会はいつ、どこで行われますか。
  243. 森本稔

    説明員(森本稔君) 次回の国際捕鯨委員会年次会合は、六月九日から二十二日にかけまして科学委員会、それから六月二十七日から七月三日にかけまして本会議が英国のグラスゴーで開催される予定となっております。
  244. 中村鋭一

    中村鋭一君 水産庁としては、科学当局としてこの会議にどのような姿勢で臨まれるおつもりですか。
  245. 森本稔

    説明員(森本稔君) 国際捕鯨委員会では、一九八二年の年次会合におきまして商業捕鯨モラトリアムが決定されておりますが、昨年来この決定の見直しに向けた議論がなされているところでありまして、我が国といたしましては、これまで行ってきた科学的な議論を踏まえ、商業捕鯨の再開に向けて来年の年次会合においても引き続き努力をしていきたいと考えております。
  246. 中村鋭一

    中村鋭一君 私は環境特別委員会委員です。そして、自然を守るためのいろいろな組織にも入らしていただいております。しかしながら、この鯨というものについては、例えばグリーンピースを中心とする皆さんがワシントン条約の留保条項から六種の鯨を撤回しなさいと、こうおっしゃいます。全く私はこれは筋違いだと思います。地球最大の哺乳動物を人間が勝手にとっていい理屈はないと、こうおっしゃいます。それはそうですよ。それは象をとっちゃいけませんよ。象牙とっちゃいけません。ヒョウをつかまえても皮をはいじゃいけません。当たり前です。  しかしながら、鯨というものは、日本のような小さな国で数千年の昔から、これはいさなです、神様です。もう本当に我々日本人と切っても切り離せない貴重なたんぱく資源として我々とともにあったもの、これは神が与えたもうた恩恵であります。ですから、例えば装飾物とかアクセサリーに使うとか、毛皮のコートにするためにあの絶滅に瀕する野生動物とっちゃいかぬのは当たり前でありますけれども、鯨のような我々と共存をして役に立っているものを単に感傷的にどうだとかあるいは絶滅に瀕しているからとか、そういう理屈は通用しないと思います。  ですから、我々が環境の問題で例えば私が長良川の河口ぜき建設に反対するという理屈と、それから鯨を科学的に冷静に客観的にその生息頭数を調べて、それがふえ過ぎてかえって生態系を破壊していることであるならば、神が与えたもうた恩恵でありますから、これを適切に捕獲して我々人類の、日本人の生存に役立てていただくというのはもう当然のことだ、こう思いますので、水産庁ひとつ来年のIWCの総会はあれですよ、もうどうしてもとおっしゃればIWCを脱会するというくらいの強い決意で、一刻も早い商業捕鯨の再開に向けて率先挺身をしていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。  あと一問だけ、時間がございませんので簡略に申し上げますが、私は釣りが好きでカナダやイギリスにサケ釣りに何回も行ったんですが、(「鯨はつるの」と呼ぶ者あり)いや鯨は釣らぬ。カナダヘ行きますと、釣り道具屋さんに入りまして釣り道具屋さんで鑑札を買います。券を買うわけですね。そうしたら必ずカナダの漁業局が出しておりますルールズ・アンド・レギュレージョンズと書いてありますが、法律とルールをきっちり書いた厚いパンフレットをくれまして、これに基づいて釣りをしてくださいと。あなたが捕獲できるサケは一日三匹です。口にかかったものだけとってください、体にすれ針でひっかかったのはだめですと。こういう形で、カナダなんかはサケ釣りがもう国民的スポーツなんですね。  日本では、上流で卵を採捕する。法律がありまして、川へ入ったサケは絶対とっちゃいけない。卵をとりますからということなんですが、私は先年北海道へ行きましたら、上流に採捕の機関も何にもない川にひしめくようにサケが上がっているわけです。それで日本の遊漁者の皆さんが、こんなにたくさん川に帰ってきて、しかも産卵場にあふれかえって、そのためにへい死している。サケは川で死ぬわけですから、上流へ行きましたら。そんなもったいないことないから我々にも釣らしてくださいと、こういう声があるんですが、それにつきましてもう一言だけ答えてください。そのような方向に向かっていただけますか、それとも法律に基づいて相変わらずサケ釣りはだめですか。
  247. 石田周而

    説明員(石田周而君) サケはかなり資源がふえてきたことは事実でございますけれども、まだサケにつきましてはほとんどのものが人工ふ化放流技術によりまして資源が維持されいるるという状況でございます。確かに遊漁者の方々から河川内でのサケ釣りを認めてほしいという声があることは私ども承知しておりますけれども、大部分の県におきましてはまだ自県内の再生産用の卵が十分にとれていないというふうな状況がございます。  それと、先ほど申しましたように、人工ふ化放流でやっておるわけでございますけれども、これは民間の漁業者の方がかなり経費を出してやっておるという状況がございますので、遊漁者のそういう内水面での釣りを認めるということになりますと漁業者との調整の問題、これが非常に大きい問題として出てまいります。増殖の経費を漁業者と遊漁者の間でどういうふうに負担するのか。それから河川の方で認めるということになりますと、どうしても密漁の問題等も出てまいりますので、そこら辺のところをどういうふうに解決していくのかというふうないろいろと問題がございますbそういったことで……
  248. 中村鋭一

    中村鋭一君 カナダは解決しているんですよ。
  249. 石田周而

    説明員(石田周而君) 日本の今の国内の状況ですと、そういった意味で河川での遊漁というものを認めるというのはなかなか難しいというふうに考えております。
  250. 中村鋭一

    中村鋭一君 勉強してください。
  251. 石田周而

    説明員(石田周而君) はい。
  252. 山田勇

    ○山田勇君 中村長官、私が最終の質疑者でございます。実は、きのうからちょっとタコも風邪を引きまして、三十九度から今熱があってきつい、風邪引きの薬を飲みますともう眠くて眠くて仕方がないんでございますが、端的に重複を避けながら質疑をさせていただきます。  中村長官は御趣味がスキューバダイビングなど自然の中での運動がお好きと聞いております。また、自転車や電気掃除機などは御自分で修理なさるとか、ちょうど御就任のテレビを見ておりましたらそういうことを言っておられました。リサイクル問題が非常に重要視されている昨今、環境庁長官としてはまことにふさわしいんではないかと考えている一人でございます。そこで、質問に移りますが、環境庁では一九九二年を地球環境の一大キャンペーンの年にするべく準備を進めていると聞きますが、ともすれば地球環境問題といえばムード的に流れやすいと思います。地球環境問題の本質、取り組みの方法などを一般に理解、普及させるために具体的にどのようなキャンペーンを行うのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  253. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 山田委員おっしゃられましたとおり、今、来年のUNCEDへ向けて大変世界じゅうで環境に対する関心が高まっております。その中で、地球環境大変だ大変だという話がでてくるわけでありますけれども、それに対する正しい認識を皆さんに持っていただくということを努力しなければいけないという山田委員の御指摘は全くそのとおりだと思います。上滑りになって、ただ地球サミット地球環境問題大変だと言っているのでは国民に本当の御理解をいただいたことにならないわけでありまして、正しい御理解をいただく努力をしていかなければならないと思います。そういったことに環境庁といたしましても鋭意努力をしてまいりたいと思います。  来年一月にアースイヤー92というようなことで、国民の意識啓発のための年間を通じての地球環境保全に関するさまざまな行事等を全国に展開してまいりたいと思っておりますが、私も就任したばかりでありますので、今までやってきたこと、これから計画していることを担当の部長からお答えさせたいと思います。
  254. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 今、大臣から御答弁申し上げましたように、来年一年、つまり一月から十二月までひとつ地球サミットにちなみまして地球環境問題、広い意味での環境のキャンペーンをやりたいというふうに思っております。  具体的には、例えば来年の一月ですと、マスコミなどもいろんな報道の企画をしてくださいますけれども、そういった御協力も得られるものだったら得ながら、国民皆様方地球環境問題の現状なりあるいはUNCEDで何が議論されようとしているのかといったようなことを知っていただくというようなこと、これがまず一つの手始めのことでございます。そのほかにシンポジウムでありますとかいろいろとワークショップでありますとか、それからまたこれまでもたびたびやってございますが、いろんな技術的な展示会でありますとか、あるいはビデオをつくってそれをいろんな地方公共団体の人に使ってもらうとか、さまざまなことを今考えている最中でございます。
  255. 山田勇

    ○山田勇君 加藤部長、シンポジウムでも何でも、国会という立場を離れて、我々わりかた、中村委員もそうですがテレビなれしておりますので、そういうシンポジウムによかったら、ギャラは要りませんのでぜひお使いをいただきたいと思います。私らもそれなりにまたそういう機会を与えてもらいますといろんな勉強ができますので、ひとつまた御利用をいただきたいと思います。  地球規模で進行するこの環境破壊、人類の危機が叫ばれておりますが、一方ではやはり経済優先の考え方が根強くあります。日本人は金もうけ以外に興味ないと世界から批判もされていますが、厳しい環境政策を行うと経済が不況になるといった見方もあります。環境投資は生産費用を増加させ、各企業が費用の増加分を価格に転嫁すると価格水準が全体的に上昇し消費者の購買力が衰え、結果的には経済全体が冷え込むといった見方でございます。こういう見方は環境庁としてはどうお考えになっておられますか。
  256. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 昭和四十五年に公害対策基本法から経済調和条項を削除したということがございます。あの当時は大変厳しい環境汚染があったわけでありまして、そういったものを踏まえて、いやしくも経済優先ではこれは大変なことになるということで削除されたのだと思いますが、それが今までたってみまして、地球環境というものが差し迫った対策を要する問題となってきたという時代になりまして、またこの問題がいろいろ議論されてくるかと思います。確かに、当時の考え方からいたしますと、厳しい環境規制をするとそれが経済の発展を阻害するというような考えも一部にはあったかと思いますけれども、私は結果が一番よぐどっちがよかったかということを示していると思うのでございます。  自動車の生産にいたしましても、当時、厳しい規制をかけたならば自動車はつくれなくなるぞ、動かなくなるぞ、売れなくなるぞというようなことが言われました。ところが、あれだけ厳しい規制をいたしましたところが技術投資が進んで、環境投資と申しましょうか技術革新が行われて、そして自動車の生産量、売り上げは、一時石油ショック等では落ちたかもしれませんが、この環境対策のことで落ちてはいないと存じております。そして結果的には、大変すばらしい自動車ができるように、ガソリン車ですけれどもできるということで、世界に誇れるようになってきた。  こうした公害対策それ自体が一つの投資であると同時に、今まさに地球全体の環境保全するということをアセスメントして、その中で経済はどうあるかという時代に入ってくるわけでありまして、そういうことの考えに立って産業をやっていかなきゃいけませんし、そういった対策をとっていくことが経済の発展の阻害要因になるのではなくて、むしろこの自動車の例が示すように、安全な地球を守りながら経済が発展できる。今サステーナブルデベロプメントですか、持続可能な開発というような思想も入ってまいりますが、そういったことの考えに立脚して産業のあり方とか個人の生活のあり方というものを考えていかなきゃいけない時代、それをやらなきゃいけないし、それがまた経済の発展の阻害にはならないというふうに存じております。
  257. 山田勇

    ○山田勇君 長官、全く同感であります。また、そういう考え方を持っている企業は発展していきません。これからはやっぱりそういう環境というものを考えた上で生産性を合同めていくというような、またその商品に対して逆にSGマークみたいに環境協力したというような、チョコレートに至るまですべてそういうマークを張れば、国民はそういうものを物すごく支持していくだろうし、購買力はまた逆につくだろうと思うんです。環境協力しない企業というのは僕はこれからはつぶれていってしまうのではないかというふうな極端な気持ちも持っています。  環境破壊しないで経済を発展させる、これは今後の重要な課題であると考えますが、自然を開発する際、環境保全の立場で考えますと、自然を開発するプロジェクトは多かれ少なかれ何らかの形で自然を改変することになりますが、その人間社会に与える影響を的確に把握することが大切であります。いわゆる環境アセスメントについて、その重要性をどう認識されておりますか。その点のお考えを聞かせてください。
  258. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) 先生御指摘のとおりに、開発プロジェクトを実施するに当たりまして事前に環境アセスメントを行うということは、開発プロジェクトは何らかの形で自然環境とのかかわりを持っているということが不可避であるがゆえに、やはり環境悪化の未然防止を図る上で不可欠のものであるというぐあいに私どもは認識しておるわけでございます。そういう認識に立ちまして、環境アセスメントにつきましては、昭和五十九年の八月に閣議決定されました環境影響評価実施要綱というものに基づきまして現在までに百五十五件のアセスをやってきておるところでございますし、それ以外にもまた公有水面埋立法等個別法に基づくアセスメントを実施していくほか、さらに地方公共団体におきましても条例、要綱等に基づきましてその推進を図ってきてもらっているところでございます。  私どもといたしましては、やはり開発事業を行うに当たってはそういうアセスをやるということが、何というんですか常識的であるというようなところまでいってほしいというようなことから、閣議決定におけるアセスメントというものの適切かつ円滑な実施を図っていくと同時に、地方公共団体におきましてもアセスを適切に実施してまいる、またその技法等については私どもとしてできるだけの援助をするというようなことで、先ほど申し上げたムードができますようにということで、この定着に向けて努力してまいりたいというぐあいに考えております。
  259. 山田勇

    ○山田勇君 御努力をいただきたいと思います。  好むと好まざるとにかかわらず、日本高度経済成長の中に自然を確かに我々人間は破壊してきた面があります。いつの日か自然から大きな報復を受けるであろうことも我々は自覚をしながら、何としてもそういうものをなくすように努力をしていきたいと思います。  そこで、同僚の中村議員の方からフィリピン中部の森林伐採の問題も出ましたので、この点質疑通告しておりますが、割愛をさせていただきます。  その次には、政府開発援助、いわゆるODAが環境破壊し、住民生活を脅かしておるといった批判もあります。これからの日本としては、ロンドン・サミットで新環境ODA政策を発表したように、世界の流れに沿って環境配慮を重視した援助に力点を置かなければならないと思いますが、その点のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  260. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) ただいま先生がおっしゃられたとおりだろうと思います。すなわち、援助におきましても環境問題などを引き起こさないように最大限の配慮をしていくということが非常に重要でありまして、そのための施策、例えばJICAあるいはOECFでのガイドラインをつくって広い意味の環境アセスメントをやっていくとか、そういった配慮をいろいろとられつつあります。  環境庁といたしましても、援助機関がそういうふうにしていただけますよう引き続き働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。
  261. 山田勇

    ○山田勇君 ちょっと次に、自動車環境問題の視点から質問いたしますが、先ほど真島委員の方から自動車税について六%、これを環境目的税的なものにしていったらどうかということですが、的確に大臣はそれはそれ、これはこれというふうに御答弁いただいたんでほっとしておるんですが、これはやっぱり政府間の湾岸政策に対する六%ですから、これはこれで一遍は切り離していただいて、それから改めて自動車業界全体に対してこういう環境何とか目的税的なものは課していくというのが自動車産業界も御理解をいただけるんではないか。その点だけ、これをずっと引きずったまま、うやむやのまま目的税、環境税的なものは決してつくらないように大臣に特にお願いをしておきます。  御承知のように、自動車の排出ガスによる大気汚染地球温暖化の問題がクローズアップされ、排ガスの総量規制やナンバープレートによる乗り入れ規制などが検討されております。一方、炭酸ガスや窒素酸化物を排出しない低公害車の普及導入が求められていますが、行政としてはどのような対策を立てておられますか、お聞かせ願いたいと思います。
  262. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 先ほどからいろいろ御論議が出ていますように、大都市中心とした窒素酸化物の問題、この大気汚染解決するためには自動車対策が必要なわけでありますけれども、そうした中で低公害車の普及ということ、それから自動車排ガス、先ほど私申し上げました単体の排出の規制の強化、それから排ガスの総量抑制の、これは大気保全局長が答弁しておりましたが、そうした三つの柱の中の一つが低公害車普及だと思うんです。  この電気自動車について私勉強させていただきましたら、総合的なエネルギー効率でも非常にすぐれておる、走るところでは全く公害を出さないということで、こういったものの導入というのは積極的に進めていかなければならないのではないかと思います。また、メタノールとかいろいろな問題もございますけれども、こうしたものについては環境庁としても積極的に取り組んでまいりたい。  地球温暖化防止行動計画にも積極的な導入をということで昨年の十月に決定を見ているわけでありまして、こういった認識に立ちまして、関係省庁ともいろいろ相計らいまして導入の助成措置や税制優遇措置などの普及促進施策の充実に努めているところでございます。
  263. 山田勇

    ○山田勇君 低公害車としての電気自動車の普及について次はお伺いするわけですが、補助金や優遇税制など経済的な支援については具体的にどうするのか、もしお考えがあったらお聞かせをいただきたいと思います。
  264. 入山文郎

    政府委員(入山文郎君) 先ほど来議論がなされているわけでございますけれども、この電気自動車等の低公害車につきましては、近年の技術開発によりまして性能を見ましても十分に実用にたえるようなものとなっているわけでございます。ただ、少量注文生産といったことでございまして、価格が高いということが普及のネックになっております。このために、従来から公害健康被害補償予防協会の基金によります低公害車の導入に対する助成、それから税制上の優遇措置等による普及促進を図ってきているわけでございますが、さらに平成三年度から、自治体におきまして公害パトロール車に電気自動車を導入する場合の補助制度を設けております。  そういったことで助成措置の大幅な拡充を図ってまいってきておりますが、その結果といたしまして、新たに本年度は電気自動車が百五十台余り地方自治体に導入されるというようなことになります。また、自動車メーカーによる生産の面を見ましても、昨年までは年間数十台といった規模でございましたが、今年度は三百台を超えるというようなことになります。こういったことでございまして、これからも助成制度あるいは優遇税制の充実強化にさらに努めてまいりたい、また自動車メーカーにおける生産体制の整備を促して価格の低減にも結びつけてまいりたいということで、この低公害車の一層の普及拡大を図ってまいりたい、このように思っておるわけでございます。
  265. 山田勇

    ○山田勇君 ちょっと時間ないんで、メタノールの燃焼によって発生するホルムアルデヒドとか難しい名前のものがたくさん出てきまして、それがまた公害になるんではないかというふうにも思うんですが、今回の東京モーターショーはEC型としてはいわゆるリサイクル自動車日本型としては省エネという形で、二つの大きなテーマを持って東京モーターショーが開催をされた。そういう中で、松下電器の技術部とこの間お話をしていますと、単一で十分間何とか走らす研究に今入っているんで、間もなくこれが成功すればかなり電気自動車の普及というのはテンポが早まるだろうというような技術者の心強いそういうお話を伺っているわけですが、それはそれでまたこの電池をどうするのか、バッテリーの重さだとかそういう問題が出てくるんだそうですが、電気自動車になって大気汚染というものがなくなる日はもう夢ではないというふうに、我々もそういう希望を抱いております。  次に、ちょっともう時間がないので飛ばしまして、水産庁に来ていただいておりますので、流し網漁についてでありますが、公海上における日本の流し網漁は全面禁止が求められ、ゼーリック米国国務次官と鶴岡水産庁長官との話し合いの中でも強く主張されていますが、海洋生物保護という立場からどう対処されますか、これが一点。  米国では既に公海での大規模流し網漁を来年六月末で全面禁止する決議案を国連に提出済みです。十二月中旬にも採決されるような状況と聞いておりますが、政府としてはどう対応されるつもりでしょうか。  ついでにもう一点。最近では、この流し網に限らずマグロの捕獲禁止、先ほど中村議員も申し上げましたとおり、鯨を食べることについての批判など日本の食文化に対する干渉が科学的な根拠ではなく感情論によって高まっている面があると思います。急進的な環境保護を唱えている保護団体などに対しては、政府としても科学的な根拠を明らかにして、主張すべきところは世界に大いにアピールしていくべきではないかと考えますが、この三点をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
  266. 澁川弘

    説明員(澁川弘君) 流し網に関しての二点についてお答えを申し上げます。  まず第一点につきまして、私ども水産庁といたしましては、流し網につきまして対象生物以外にもさまざまな生物がかかるというところについて非難を浴びておるわけであります。ただ御案内のとおり、漁業につきましては、その操業活動のさなかに対象生物以外の生物が混獲されるというケースはたくさんございまして、これが一律に混獲を否定されますれば、漁業の存立そのものが否定されかね。ないという点につきまして、それでは困ると。したがって、混獲対象生物がそもそもその生物の種の存続に影響ありやなしやという話をしっかりデータを集めて、そして科学的に分析した上で検討すべきであるというふうにまず考えておるわけであります。  それから二番目に、お申し越しのとおり大変苦しい状況であります。米国が国連に来年六月三十日をもって流し網を禁止すべしという決議案を提示いたしました。私どもは、先ほど申しました考え方に立ちまして、ちょっと待ってくださいと。私どもは、科学的にデータ分析して十分管理すれば環境と両立することは可能だという視点のもとに、我が国独自の決議案を出し、今両案が出ているという状況であります。私どもの漁業についての根幹にかかわる、その理念のもとに、関係国の合意を取りつけるべく今鋭意努力をしている最中というところでございます。  以上であります。
  267. 森本稔

    説明員(森本稔君) 三番目の先生の御質問でございますが、御指摘のとおり、最近、地球的規模の環境保護運動の高まりの中で、我が国が伝統的に利用してまいりました鯨その他の水産物利用につきまして、国際的に厳しい見方があるということは承知をいたしておりますが、各国の食習慣の違いは長い歴史的、地理的な条件の中ではぐくまれてきたものでありまして、いずれの国の伝統的食文化もお互いに尊重し合うことが重要ではないかと考えているところでございます。  我が国の食生活が伝統的に多くの水産資源に依存してきていることに関しまして、各国の一層の理解を求めますとともに、科学的根拠に基づいた冷静な議論によりまして、これら水産資源を保護管理しつつ適切な利用が図られますよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  268. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  269. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こしてください。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会      ―――――・―――――