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1991-11-22 第122回国会 参議院 科学技術特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十一月二十二日(金曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十一月六日     辞任         補欠選任      谷川 寛三君     倉田 寛之君  十一月十二日     辞任         補欠選任      新坂 一雄君     星川 保松君  十一月二十一日     辞任         補欠選任      松前 達郎君     翫  正敏君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         及川 順郎君     理 事                 岡部 三郎君                 藤田 雄山君                 三上 隆雄君                 太田 淳夫君     委員                 鹿熊 安正君                 後藤 正夫君                 永野 茂門君                 前島英三郎君                 穐山  篤君                 翫  正敏君                 稲村 稔夫君                 櫻井 規順君                 竹村 泰子君                 吉川 春子君                 星川 保松君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長  谷川 寛三君        官)    政府委員        科学技術政務次  二木 秀夫君        官        科学技術庁長官  林  昭彦君        官房長        科学技術庁科学  須田 忠義君        技術政策局長        科学技術庁科学  長田 英機君        技術振興課長        科学技術庁研究  井田 勝久君        開発局長        科学技術庁原子  石田 寛人君        力局長        科学技術庁原子  坂内富士男君        力安全局長        科学技術庁原子  谷   弘君        力安全局次長    事務局側        第三特別調査室  大平 芳弘君        長    説明員        原子力安全委員  内田 秀雄君        会委員長        防衛庁教育訓練  河尻  融君        局訓練課長        外務省北米局地  原田 親仁君        位協定課長        文部省高等教育  工藤 智規君        局大学課長        文部省高等教育  若林  元君        局専門教育課長        文部省学術国際  雨宮  忠君        局学術課長        農林水産技術会        議事務局企画調  関口 洋一君        査課長        通商産業省機械        情報産業局電子  三宅 信弘君        機器課長        工業技術院総務  佐藤 久容君        部研究開発官        資源エネルギー        庁公益事業部発  佐々木宜彦君        電課長        資源エネルギー        庁公益事業部原  森  信昭君        子力発電安全審        査課長        資源エネルギー        庁公益事業部原  荒井 行雄君        子力発電安全管        理課長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (我が国創造的基礎研究強化充実方策に  関する件)  (科学技術分野における国際貢献に関する件)  (我が国エネルギー研究開発推進方策に関  する件)  (関西電力株式会社美浜発電所号炉事故原  因に関する件)  (原子力施設立地選定に関する件)  (プルトニウムの返還輸送に関する件)  (六ケ所村核燃料サイクル施設安全性に関す  る件)  (農業分野における科学技術振興に関する件  )     —————————————
  2. 及川順郎

    委員長及川順郎君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月六日、谷川寛三君が委員辞任され、その補欠として倉田寛之君が選任されました。  また、去る十一月十二日、新坂一雄君が委員辞任され、その補欠として星川保松君が選任されました。  また、昨日、松前達郎君が委員辞任され、その補欠として翫正敏君が選任されました。     —————————————
  3. 及川順郎

    委員長及川順郎君) この際、谷川科学技術庁長官及び二木科学技術政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。谷川科学技術庁長官
  4. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) このたび科学技術庁長官を拝命いたしました谷川寛三でございます。  申し上げるまでもございませんが、科学技術は私ども生活に深くかかわっておりまして、科学技術振興を図ることは、二十一世紀に向けて我が国及び世界発展を遂げ、平和で豊かな社会を築いてまいりますために不可欠な課題一つでございます。  特に、近年、我が国は、科学技術を通じまして世界貢献していくことが求められておりまして、創造的な基礎的研究強化や国際強力を通じまして人類全体のための共通的な知的資産を生み出すことにより、これにこたえることが我が国の責務となっております。  また、原子力宇宙海洋ライフサイエンスなど、先導的な研究開発につきましても積極的に推進していくことが重要でございます。  このような政府に課せられた重大な使命を果たすべく、科学技術行政責任者として、微力ではございますが、全力を尽くしてまいりますので、委員長初め各委員の皆様におかれましては、よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げまして、簡単でございますが、ごあいさつといたします。(拍手
  5. 及川順郎

  6. 二木秀夫

    政府委員二木秀夫君) このたび科学技術政務次官に再任されました二木秀夫でございます。  ただいまの大臣のごあいさつにありましたとおり、我が国にとって科学技術振興を図ることは極めて重要な課題であります。  委員長さんを初め委員先生方の御指導を賜りまして、政務次官として引き続き科学技術振興に努めてまいる所存でありますので、何とぞよろしく御指導のほどお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)     —————————————
  7. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 次に、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 前島英三郎

    前島英三郎君 谷川長官、御就任おめでとうございます。どうぞひとつ頑張ってください。  我が国は、国土が狭く、資源も少ないながら歴史上世界に例を見ない速さで成長いたしまして、現在ではGNP世界第二位の経済規模を占めるに至っておるわけでございます。これを支えてまいりましたのは技術革新でありまして、技術革新への国民のたゆまぬ努力であったと考えます。  私は昭和六十年の年末から科学技術政務次官の職にありましたが、当時既に日本技術水準は相当向上しておりまして、貿易摩擦が問題となるなど、社会の成熟とともに産業構造の変革が求められた時代でもございました。そのような時代の要請に呼応しまして、科学技術政策も転換を迫られておりまして、政策のあり方について多くの議論が闘わされたのを記憶しております。  そして、一つ創造性豊かな科学技術振興をしなければならない、二つ目として科学技術人間社会との調和を図っていかなければならない、三つ目として国際社会への貢献、こういう三本柱から成る基本方策を打ち出しまして、これが国の科学技術政策の根幹となる科学技術政策大綱として実を結びまして、昭和六十一年の三月でしたか、閣議決定されたのでございますけれども、この科学技術政策大綱の根底に流れる考え方というのは、まさに我が国科学技術立国を目指して、そのために推進体制推進条件整備強化しよう、そういうねらいがあったと思うのであります。  しかるに、最近この科学技術立国存立基盤を揺さぶりかねないような指摘がいろんな方面からなされていると聞いております。それは特に大学国立試験研究機関の窮状についてでありまして、ここに一冊の本があるんですけれども、これは雑誌なんですが、この見出しに「頭脳棺桶国立大学」なんというような、これごらんになったかどうかわかりませんですけれども、まさに「頭脳棺桶」とまで書いているわけですね。  我が党の科学技術部会でも何回かそうした実情を専門家先生方からお伺いしたこともございます。きょうは科学技術部会長も理事としておられますけれども、このような大学研究施設の荒廃といった状況基礎研究推進障害となりまして、また、優秀な人材の育成とか確保にも深刻な影響を与えているということが指摘されております。このままでは科学技術立国による我が国の将来に危機感を持たざるを得ないというふうに私は思うわけであります。  そこで、就任早々でございます科学技術庁長官に、我が国が今後とも科学技術により立国していくための基本方針というようなものを冒頭伺っておきたいと思います。
  9. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) お答えいたします。  人間知的創造力生存基盤を求めていかなければならない我が国充実した二十一世紀を築いてまいりますためには、諸外国以上に科学技術振興に力を注ぎ、科学技術立国を目指すことが必要であると考えております。このために、政府といたしましては、今、委員からお話がありました科学技術政策大綱に基づきまして、創造性豊かな科学技術振興を図ってまいったところでございます。  近年、御指摘がありましたように、大学国立試験研究機関等における研究費が伸び悩みまして、また、施設設備も老朽化していっておるといったような問題がございます。科学技術立国基盤となります基礎研究推進にも悪影響がこのまま行きますと出てくるんじゃないかと心配をしておるところでございます。  科学技術会議におきましては、二十一世紀を展望いたしました科学技術の総合的な基本方策に関する審議をただいま進めておりまして、近くこうした問題を克服するための方策を含めまして新たな答申として取りまとめる予定になっております。これから後、そういった答申内容の実現に向かいまして最大限の努力をしてまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
  10. 前島英三郎

    前島英三郎君 決意などを伺いましたが、次にもう少し具体的に科学技術立国基礎となる創造的な基礎研究推進方策について政府の姿勢を伺いたいと思うんですが、創造的な研究成果世界に提供していくことは国際貢献の面からも極めて重要だと思うんですね。このための基礎研究拡充というのが不可欠だと思うんですが、我が国研究費は合計で約十二兆円に達しようとしております。総額ではアメリカに次いで世界第二位。このような位置にあるわけでありますが、内容を見ますと、八割強に当たるおよそ十兆円を民間が占めているわけです。十二兆円のうちの十兆円を民間が占めて、政府が出しているのは残りの二割弱である。こういうような状況であるわけですけれども、諸外国状況と比較しましてもいかにもバランスを欠いておると思うんですね。これは是正していく必要があると考えるわけでありますが、官民の比率の問題ばかりじゃありませんで、基礎研究応用研究開発研究といった研究種類別比率でも諸外国に比べて基礎研究費比率が大幅に低いというような問題があるわけであります。研究費の問題ばかりではなくて、研究者交流のしやすさ、競争的な雰囲気など、研究環境の面でも日本は欧米に比べて創造性をはぐくむ研究環境に乏しいんじゃないかというような指摘内外から耳にするわけであります。  そこで、研究環境整備を含めた創造的な基礎研究推進方策につきまして、今後の科学技術庁考え方を伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  11. 長田英機

    政府委員長田英機君) 創造的基礎研究推進に当たりまして、実は政府の果たす役割は非常に大きいと考えております。その際に、特に我が国のいろいろな研究をしている場所がございますが、そういう長所を生かしながら柔軟で競争的な研究環境をつくっていく必要があると思います。  こういうことのために、科学技術庁といたしましては、これまでにも新技術事業団で、例えば創造科学技術推進制度というのがございまして、各界から有能な方を集めて研究をやっております。また、理化学研究所におけるフロンティア研究システムというのがございまして、そこでも同様に内外の優秀な研究者を集めております。そのほか、国研におきます共同研究等、いろいろなやり方でこの創造的基礎研究推進努力しているところでございます。  それから、先生指摘の特に研究交流面の問題でございますけれども、これにつきましては、現在、研究交流促進法という法律がございまして、六十一年、五年ほど前にできた法律でございますが、これを改正いたしましてもっとその交流強化できないかということで検討しているわけでございます。  そのほかにも、いろいろ異分野の方が集まって新しい知恵を発揮していくような制度を創設するとか、そういうようなことを通じまして今後とも一層の努力を重ねていきたいと思っております。
  12. 前島英三郎

    前島英三郎君 そこで、きょうは文部省にもおいでいただきました。今盛んに指摘されているのは、大学中心とした研究環境の問題も取り上げられていると思うんですね。で、当然文部省としても事態は深刻に受けとめていると思うんです。どう改善していくのか真剣に考えていると思うんですけれども、その辺は文部省はどういう取り組みなんでしょうね。
  13. 雨宮忠

    説明員雨宮忠君) 国全体の研究体制の中で、大学それから国研、それから民間研究機能があるわけでございます。民間は主として応用開発をやっているわけでございます。大学基礎研究中心でございます。したがいまして、国全体の基礎研究振興する上でぜひとも大学研究基盤をしっかりとしたものにしなければならないというのはまことに御指摘のとおりでございます。  ただ、先ほど来御指摘もございましたけれども、国全体の財政事情が厳しいという影響を受けまして、例えば国立大学施設関係、それから設備、それから研究費、例えば科学技術研究費補助金のようにかなり順調に予算額を伸ばしているものも一部ございますけれども、全体としてはやはり横ばいあるいは、例えば施設のようにピーク時から比べますと半分程度予算額しかとれないというような状況もございまして、非常に厳しい状況にあることは全く御指摘のとおりでございます。これは何とかしなければならないということでございます。  これは、施設につきましても、設備につきましても、研究費につきましても、どの費目についても努力目標になるわけでございますので、来年度の概算要求につきましても、科学技術研究費補助金につきましては、従来三十億円程度増要求をしてまいったわけでございますけれども、来年度につきましてはその倍ほど要求をいたしておりますし、また、基礎研究の担い手であります後継者育成というような観点から、若手研究者のためのフェローシップというものの拡充もあわせて要求しているわけでございます。また、国立大学施設整備につきましても、特に老巧化の目立っているところを中心にしてできる限りの予算措置を講じようということで努力しているところでございます。
  14. 前島英三郎

    前島英三郎君 予算的な面の八対二、官低民高と言うのかな、そういう状況が、基礎研究に携わる人たち大学で学んでも国立機関にはとどまらないでそのまま民間に流れていってしまう。したがって、基礎研究の部分でも国立研究機関なんかでも乏しい。民間がだめならば外国へ行っちゃう。アメリカなんかへ行っちゃう。日本の国内で研究したその成果ノーベル賞とかいろんなものに値するなんというのはなかなかないわけですね。外国機関で育てられた日本人がそういうところでノーベル賞を得ているというような、これも一つはやっぱり国の取り組みの貧弱さを物語っているような気がするんですね。ぜひともその辺は文部省中心としてこれから、まあ努力とか一生懸命やっているとか乏しいとかというようなことはもうそろそろ棚上げしてもらって、積極的な取り組みを心から期待したいと思うんです。  さて、今日に至るまでのわが国の歩みを振り返りますと、主として技術革新を通じた経済成長への貢献という観点から、期待も大きく、また、経済成長の原動力としてその役割を果たしてきたと思うんです。しかしながら、現在、高齢化の進展や女性の社会進出に見られるように、我が国における社会状況は大きく変化もいたしております。また、国民意識につきましても、経済的繁栄に加えて個性に合ったゆとりある豊かな生活を志向する生活質重視型となってきたと思います。同時にまた、地球環境問題への関心が高まってまいりまして、環境への優しさを重視する傾向が大変強くなってきたと思います。  これからの科学技術政策推進するに当たりまして、こうした社会構造国民意識ニーズ変化に対応しつつ、生活の質の豊かさとか環境への優しさ等を目指した新たな取り組みも必要になってきたと思うんですけれども、こうした点について長官はどのようにお考えなのか承りたいと思います。
  15. 井田勝久

    政府委員井田勝久君) 今、委員指摘のとおり、我が国におきます社会構造国民意識変化に伴いまして、科学技術振興に当たりましても生活に根差したものにこれまで以上に重点を置いていかなきゃいかぬ、このような状況があるわけでございまして、こうした動きに対応いたしまして、科学技術庁といたしましても、二十一世紀に向けまして、生活のゆとりでございますとか、人間への優しさ、環境への快適さ、こういったものを実現するため、生活に密着した科学技術の積極的な推進を図っているところでございます。  具体的に申し上げますと、重粒子線によるがん治療体制整備を初めといたしますがん対策等ライフサイエンス、あるいは平成四年度から、がんでございますとか筋ジストロフィー、アルツハイマー等各種遺伝子疾患等の診断・治療や老化のメカニズム等の人の生命現象解明飛躍的発展をもたらしますヒトゲノム解析、こういったものを進めておりますし、また、国民生活に大変大きな影響を持ちます地震に対しまして、首都圏直下型地震予知体制抜本的強化を初めと小たします地震予知研究推進、さらには、中央ばかりではなくて、地方、地域、こういった生活ニーズを踏まえまして、生活の質の向上を図る生活地域流動研究、こういったものも始めようとしているところでございます。  また、環境問題でございますが、この問題は大変大きな問題でございます。科学技術庁は、宇宙あるいは海洋、そういったところからの大きな観測体制を持っておりますので、こういったものを使いましての地球観測充実、あるいは雲とかそういった地球環境に大変大きな影響を持つものがございます。あるいは砂漠化といったものがございます。こういった地球環境影響を与える諸現象解明のための研究、こういったものも進めますとともに、対策技術といたしまして、温暖化の原因と言われます炭酸ガス等を発生しない原子力開発利用、こういったものも進めているわけでございます。  こういったことで、今後ともより豊かな生活ということを目指しましてさまざまの科学技術を積極的に推進してまいりたい、このように考えているところでございます。
  16. 前島英三郎

    前島英三郎君 新総理宮澤総理生活大国ということを主眼に置いているということを述べておられますが、その生活の質的な豊かさというものも当然求められていると思うんですが、そういう点では、これは健常者のみならず、あらゆる障害を持つ人々にとっても十分に実感できるようにならなければ真の意味での生活大国とは言えないんじゃないかというふうに思うのであります。  我が国では、総理府に障害者対策推進本部が設置されまして、各省庁がそれぞれにまた協力し合って障害者対策というのを進めておるわけでありますが、障害者が他の一般市民と同様に社会の一員として積極的に活動してひとしく生活を営むためには、実は科学技術の果たすべき役割というのは極めて大きいというふうに思うんですね。私の持論ですけれども、真の科学技術は不便さを便利に変えるものである、それを基本に置かなければいけない、こう思っているんです。また、近年、社会参加の一環としてパソコンとかワープロといった電子機器が急激に普及しまして、また、改良され、改善されまして、障害者によるこれらの機器の活用も大変大きな期待課題となってきております。  そこで、科学技術庁ライフサイエンスというようなことも大変大きなテーマとしてやっていただいておりますけれども障害者対策に関する取り組みについて伺っておきたいと思います。いかがでしょうか。
  17. 井田勝久

    政府委員井田勝久君) お答えいたします。  我が国生活大国となったわけでございますが、こういった中におきまして、障害者方々にも本当に真の生活の豊かさ、こういったものが実感できるように科学技術の面でも進めていくことが大事だと思っております。そういう意味で、私どもといたしましては、福祉機器でございますとか、医療機器でございますとか、こういったものの研究開発を進めているところでございまして、新技術開発事業団委託制度によりまして、手を動かすことのできない方々にも、電気信号によりまして筋肉に日常生活に最低限必要な動作を行わせることを可能といたします多チャンネル電気刺激による生体機能再建装置、あるいは電子義手製造技術、あるいは仮名文字点字同時印字タイプライター等開発を進めておりますし、また、科学技術振興調整費を使いまして生体機能解明など障害者対策研究開発を進めているところでございます。  今後とも、関係省庁にいろいろ研究機関がございます、そういったものとも連携を図りまして、御指摘のございました障害者方々利用し活用できるパソコンワープロ開発など、福祉機器医療機器開発推進のために努力してまいりたい、このように考えております。
  18. 前島英三郎

    前島英三郎君 実は、四年前の当委員会で質問いたしました際に、障害者等電子機器利用可能性を確保するためのアメリカ取り組み、NASAとかいろんなところでも、宇宙開発と同時に、それと並行して障害者科学技術ということをリンクしながら政策推進しているんですね。  例えば、宇宙へ行くと無重力になる。これは障害を持った四肢麻痺の人と同じ状況なんだから、四肢麻痺の人の生活をそのまま宇宙の中でやるということは、やっぱり連係したプレーが必要であるみたいなことを私も学んだことがあったわけなんですけれども、そういうことで、そのときも通産省にもおいでいただいて、その取り組みについていろいろただしたことがございますけれども、その後、我が国においても電子機器アクセシビリティ指針がつくられまして、現在その普及に努めていると伺いました。きょうはいい機会ですから、その後の経過並びに現状について、通産省の方から御説明いただければと思います。
  19. 三宅信弘

    説明員三宅信弘君) 社会情報化が急速に進展する中で、障害者等でも健常者と同様に容易に利用可能な情報処理機器開発普及は重要な課題と認識しております。  こうした認識のもとに、当省では平成二年六月二十日に身体障害者等にも操作が容易な情報処理機器のあるべき姿を示した情報処理機器アクセシビリティ指針を作成いたしました。指針公表後、当省では指針の一層の普及に努めるとともに、昨年から社団法人日本電子工業振興協会が主催するデータショーにおいて、同協会が情報処理機器アクセシビリティ指針に準拠した機器の展示、実演のための特別コーナーを設置することにあわせ、当省からも主要情報処理機器メーカー及び主要関連団体に対し出展要請を行いました。また、同協会が行う情報処理機器アクセシビリティーの普及シンポジウムにも当省から講師を派遣するなど、積極的に対応してきたところでございます。  当省では、今後とも指針の一層の普及及び機器普及のため、必要に応じ関係省庁とも連携を取りつつ積極的に努力してまいる所存でございます。
  20. 前島英三郎

    前島英三郎君 頑張ってください。  さて、これまで我が国は高目の経済成長による国民生活の向上を図ってまいりましたが、この過程で、我が国のエネルギー需要の伸びというのは経済成長の伸びを上回って増大してまいりました。この委員会ではエネルギー問題がかなり中心的な議論の場にもなっておりますけれども、石油ショック以降の企業や家庭での省エネルギーが実ったことによりまして一時逆に下回ったこともありましたが、最近ではまた石油価格の値下がり等によるエネルギー需要の伸びが経済成長の伸びを超えるというエネルギー多消費型の状況になっていると聞いております。加えて、今後は物質的な豊かさのみならず、ゆとりや快適さの追求、あるいはライフスタイルの多様化等によりまして今まで以上にエネルギーの需要が増大していくと思うんですね。  一面ではエネルギーの節約も大切とは思いますが、このような生活の向上を今後も持続していくためには、それを支える十分なエネルギーの供給というものも、いろんな議論があると思うんですが、それを確保するということが科学技術庁の責任でもあろう、このようにも思います。海外依存型の我が国のエネルギー事情を考えますと、新しいエネルギーやあるいは石油にかわるエネルギーの開発、こういうものも積極的に取り組む必要があると思うのでありますけれども、エネルギーの研究開発に対する大臣のひとつ御所見などを例えればと思うんですが、いかがでしょうか。
  21. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) ただいま委員から御指摘がありましたように、エネルギーの安定供給を確保いたしますことは我が国の最重要課題一つでございます。このため、政府といたしましては従来から積極的にエネルギーの研究開発推進してまいったことは御承知のとおりでございます。  近年、地球温暖化問題の顕在化等によりましてエネルギーをめぐる状況が大きく変化いたしましたことから、政府におきましては、ことしの七月、新たなエネルギー研究開発基本計画を決定いたしました。これは、エネルギーの安定供給の確保、省エネルギー型社会の構築、地球環境問題への対応、それから国際社会への貢献といった要請に対応した研究開発課題等を提示しているところでございます。今後ともこの新たなエルネギー研究開発基本計画に基づきまして、関係省庁とも緊密な連携をとりつつエネルギーの研究開発を一層強力に推進していく、こういう所存でございます。
  22. 前島英三郎

    前島英三郎君 各種エネルギーの研究開発を進めて、将来にわたるエネルギーの安定供給を確保していくのは当然だと思いますし、ぜひその方面で努力をしていただきたいと思うんですけれども、特に原子力は供給の安定性あるいは経済性、環境への影響の少なさなど、すぐれた特性を備えていると思いますし、重要なエネルギー源の一つであると思うのであります。  しかし一方、原子力発電の安全性につきましては、国民の間に懸念があることもこれまた事実でございます。開発利用にマイナスの要因となっているという部分もあると思うんですけれども、これは一層国民への啓発、御理解を賜るような努力科学技術庁にひたむきにやっていただきたいと思うのでありますが、こうした中で、我が国としては原子力安全性の確保に一層努めるとともに、原子力に関する国民の理解を増進する必要、これはもう大変重要だと思うんです。この点につきましてもきょうは伺っておきたいのでございますが、科学技術庁取り組みをぜひとも今後の考え方も含めてお聞きしたいと思います。  私の質問はこれで終わりますが、この後永野委員にバトンタッチをいたしますので、最後の質問とさせていただきます。
  23. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  原子力開発利用を進めるに当たりまして、国民の皆様の御理解、御協力をいただきますことの重要性につきましては御指摘のとおりでございます。  つきましては、科学技術庁におきましては、原子力施設の立地地域だけではなくて、全国を対象といたしまして直接対話により草の根的に広報活動を行う、さらに主婦の方々あるいは若い方々を対象にいたしまして、わかりやすくするように努力をするということを基本的な考え方といたしまして広報活動を行っておるところでございます。  具体的には、一般的なパンフレットの配布等の活動に加えまして、各地で開催されます勉強会等に専門家を派遣し、国民の皆様の疑問に直接お答えする対話を重視した事業を行うこととか、あるいは身の回りの放射線を実際にはかっていただくような簡易な測定器をお貸しするような、そういうこと、あるいはパソコン通信を利用して情報提供あるいは質問の受付等を行うようなこと、といいますような具体的あるいは体験型の広報活動を行っておるところでございます。  今後とも、御指摘のように、安全の確保に最大限の努力を払いますとともに、適時的確で懇切丁寧な広報活動を実施いたしまして、国民の皆様の原子力に対する御理解と御協力の増進に努めてまいりたいと存ずるところであります。
  24. 永野茂門

    ○永野茂門君 まずもって谷川長官就任をお祝いいたします。そして御健闘をお祈りいたします。  さて、世界のGNPの約一五%を占めるまでに至りました我が国は、国際社会の主要な一員としてさまざまな分野において国力に見合った国際貢献が、これは単にPKOだけではありませんが、強く求められています。特に、世界有数の科学技術を有するに至りました我が国にとりましては、その実績を生かした科学技術協力こそが日本国際貢献を図る有効な手段であると考えられております。  近年、温暖化でありますとかあるいはオゾン層破壊など、地球環境問題等の人類の共通の課題が顕在化しております。また同時に、宇宙ステーションや国際熱核融合実験炉計画、ITER、ヒトゲノム解析など、科学技術の大規模化、広範化が進んでおり、国際的に共同して計画を推進することが必要かつ有効な課題が増大していると思います。したがって、我が国にとりまして国際科学技術協力がますます重要になってきているものと認識しております。  さきに調整いたしました問一と問二の順番をかえますけれども、臨時行革審におきましても地球環境保全、科学技術等についての国際貢献方策が議論されているようでありますが、重要な日本国際貢献分野の中で、繰り返しますが、やはり科学技術こそが我が国の今後拡大すべき、そしてまた、我が国に最も適する貢献の重要な分野であると思います。その点をぜひ強調しておきたいと思います。  そこで、科学技術庁長官我が国科学技術分野における国際貢献基本考え方についてお伺いいたします。
  25. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) 委員から重要な御指摘をいただきました。  この問題は、数年前に出されました前川レポート、この中でも指摘されておりまして、また、今お話がありましたように、行革審の稲盛委員会でも審議中と伺っておりますが、豊かな経済力と科学技術力を有するに至りました我が国といたしましては、先進国の主要な一員といたしまして科学技術によって国際社会に積極的に貢献していかなければならぬ。これは絶対必要だと考えております。  このためには、グローバルな視野に立ちまして、今もお話がありましたが、地球環境問題、エネルギー問題等の人類共通の問題の解決のための研究開発に取り組んでいくとか、それから人類全体の知的な財産を生み出す基礎研究推進する、こういうことなどによりまして科学技術のグローバル化をみずから率先して推進していくことが重要な課題であると考えております。  今後とも国際的な科学技術活動を積極的に推進いたしまして、科学技術による国際貢献に努めてまいる所存でございます。
  26. 永野茂門

    ○永野茂門君 ぜひ積極的に推進していただきたいと思います。  さて、我が国が国際科学技術協力活動を進める際の最大の協力相手国は、言うまでもなく、米国であります。例えば米国との研究者の往来の状況を見ますと、我が国世界全体との研究者往来のうち米国は実に三〇%プラスを占めております。日米関係は、残念ながら最近各種分野で摩擦が生じてきておりますけれども、依然として我が国の外交の基軸であり、最も協力し合うべき相手でありますが、科学技術分野においてもその良好な協力関係を維持することが重要であります。  日米科学技術協力協定のもとに設置されています合同高級委員会等の場における日米間の協議において、重要な政策課題の討議、それから協力課題の設定などが行われているものと承っております。先月、この委員会が持たれたようでございますが、合同高級委員会においてどういうことが論議され、どういう結果であったかということを科学技術庁にお伺いいたします。
  27. 長田英機

    政府委員長田英機君) ただいまお話しございましたように、先月、十月の十七日と十八日に東京におきましてこの科学技術協力協定に基づきます合同の高級委員会が、これは第三回目でございますが、行われました。アメリカ側の議長はブロムレーさんとおっしゃる大統領補佐官でございまして、日本側は山東前科学技術庁長官が出席をいたしました。  今回の合同委員会におきましては、フェローシップの制度とかあるいは夏に行われましたサマーインスティチュートという制度、そういうことを通じまして、先生、今、御指摘ございました研究者交流を改善していくこと、あるいは科学技術情報分野の流通を改善していくこと、さらに共同の協力テーマといたしまして、従来十七テーマあったわけでございますが、これに三十三テーマを加えまして、合計で五十テーマにするというようなことの合意があったということで、両国間の協力が着実に増大していっているということでございました。  また、このほかビッグサイエンスの問題あるいは地球環境問題、今、御指摘ございましたが、そういう案件についても幅広い議論が行われまして、非常に意義あるものであったというふうに考えております。これからも、両国は非常に重要な関係にございますので、より密接で実り多い科学技術協力を進めていく必要があるということを痛感したわけでございます。
  28. 永野茂門

    ○永野茂門君 今申し述べられた中に、日米合同高級委員会において大きな話題としてビッグサイエンス、大型プロジェクトの国際協力についてお話があったようでありますが、ビッグサイエンスは、我々人類に大きな夢を与えるものであるとともに、人類の発展に大きく寄与するものであると考えます。このような視点からビッグサイエンスをぜひとも着実に推進していかなければなりません。ビッグサイエンスを進めるに当たりましては、多大な資金、多くの人材等を必要とするなど、克服すべき問題も多々あると思います。  ビッグサイエンスに関する具体的な協力としては、現在、宇宙ステーション、ITER、ヒトゲノム解析等の協力が進められているようでありますが、例えば宇宙ステーションは、長期の有人宇宙活動の実施や材料実験等、宇宙環境の本格的な利用を可能とすみものとして大きな成果期待され、また、ITERは人類の恒久的なエネルギー源の確保等のために不可欠であります。さらに、人類の遺伝子の基本構造をすべて解析するヒトゲノム解析は、がんなどの疾患の克服につながるものでありまして、日米を含む国際協力が不可欠と思います。これらの協力を円滑に進めていくことが我が国の責務ではないかと考えます。  そこで、この種の大型国際協力に対する対応の考え方について科学技術庁のお考えを承りたいと思います。
  29. 須田忠義

    政府委員(須田忠義君) 大型国際協力に対する考え方、意義、全く先生指摘のとおりで、我々全く同じ意見でございます。  ただ、我が国の対応を検討するに当たっては、個々のプロジェクトの目的、内容等に十分留意しつつ広く研究者の意見交換を行うということが非常に大事だということ、並びに先進国としてふさわしい役割国際社会において果たしつつ、しかも他の研究開発活動を圧迫することのないよう資金確保のあり方を含め計画的な取り組みについて検討していくことが必要と認識してございます。  国際的には、来年三月開催予定のOECDの各国の科学技術大臣会合等においても、このメガサイエンス、大型国際協力プロジェクトというのは一つの重要課題と今なっております。その予定にしております。科学技術庁としては、こうした国際的な考えを踏まえて、今後、大型国際協力の課題に適切に対応してまいりたい、そういうふうに考えております。
  30. 永野茂門

    ○永野茂門君 ビッグサイエンスのような国際協力を継続的に推進していくためには、ちょうど開発途上国の発展を支援するために、政府開発援助、つまりODAが設けられ、特別な予算項目が設定されておりますが、臨時行革審においても既に討論がなされており、答申案の中に述べられておりますけれども、対先進国協力のために科学技術国際協力の特別費目を立てることが有効であり、かつ必要ではないかと考えます。財政当局との関係もありましょうが、ぜひ努力をしていただきたいと思います。  さらにまた、最近、米国の方から大変に大型なプロジェクトでありますSSC、超電導大型加速器について協力が求められておりますけれども、今、科学技術庁の方で御説明がありましたように、いろいろと考慮すべき要素があることは十分了解できますが、可能なレベルの協力が必要であると考えます。その付近を勘案しながら適切に判断をしていただきたい、こう思います。  さて、次に基礎研究についてお伺いしたいと思います。  基礎研究について我が国自身がすぐれた研究成果を上げ、世界に提供することは、国際貢献の面からも極めで重要なことでありまして、特に基礎研究は、大臣のお話の中にもありましたように、人類共通の知的資産を生み出すものでありまして、我が国基礎研究充実強化に一層努める必要があるということは多言を要しません。  しかしながら、残念ながら我が国では研究費全体の九割近くを民間中心といたしました実用化・商業化志向の研究で占め、基礎研究を対象としたものはわずかでしかありません。政府が投資する研究開発費も低いものとなっておりまして、我が国のGNP比で〇・五%程度であり、経団連などからはこれを一%まで引き上げるように強い要望が出されております。  これらのことは米国科学技術アカデミー会長のフランク・プレス博士などが広く我が国に対する基礎研究ただ乗りの批判を行っており、その根拠となっておりますが、さらにはまた、ノーベル賞受賞者の面でも、我が国は五人、米国は百五十九人、イギリスは六十五人、ドイツ五十八人、フランス二十二人と、常に我が国基礎研究の低さについて例示としてこの数字が出されておりますが、極めて少数の結果をもたらしています。  さて、人類共通の知的資産を生み出す基礎研究強化策について具体的な方策をお伺いいたします。
  31. 長田英機

    政府委員長田英機君) ただいまお話しございましたように、まさに人類共通の知的資産になります基礎研究というものをこれから一層推進していくことは非常に重要なことだと思っております。そういう考えのもとに、科学技術庁といたしましては、理化学研究所あるいは新技術事業団という組織を通じましていろいろな制度をつくってきておりますし、さらに科学技術振興調整費によりまして国立の試験研究機関基礎研究充実してきたわけでございます。  これからもいろいろこういう制度充実を図っていく必要があると思いますが、当面、私どもが取り組んでおりますのは、基礎研究を非常に効率的あらしめるために研究交流を活発にしようじゃないかということで、研究交流促進法の改正を今各省と検討しております。そのほか、研究者がさらに知的な触発を受けて研究成果を上げるような制度、私どもは知的触発促進事業と言っておりますが、これを来年度要求して何とか実現したいと考えております。  このようにいろいろな努力をしてきておりますが、これからもなお一層努力をしてまいりたいと思います。
  32. 永野茂門

    ○永野茂門君 基礎研究を進めるためには、異なる発想あるいは考え方を有する内外研究者が自由に交流することが不可欠でありまして、この点について研究交流を拡大すると今おっしゃいましたが、極めて適切なことだと思います。また、我が国として国際貢献推進するという立場からも積極的な国際研究交流は重要であると思います。  近年、欧米先進諸国からは研究者交流の不均衡が指摘されております。例えば、欧米先進諸国から我が国に来る研究者の数は我が国から欧米先進諸国に行く研究者のおよそ十分の一であります。その原因としては、我が国研究機関研究環境等の点で魅力が薄いということのほかに、言語の違い等の文化面での障害、あるいは我が国の困難な住宅事情等に起因する問題による外国研究者及びその家族の生活する上で困難を感じるというようなことに原因があると考えられます。  我が国研究機関へのアクセスを容易にするための受け入れ制度整備あるいは生活環境整備が大事であると思われますが、この大事な内外研究交流を促進するために具体的にはどういう方策を考えておりますか、科学技術庁考え方を承ります。
  33. 長田英機

    政府委員長田英機君) 科学技術分野における国際貢献あるいは基礎研究充実という点から考えますと、何と申しましても研究者の国際交流は非常に重要なことだと思います。この点につきましては、昭和六十三年度に科学技術庁のフェローシップ制度というのをつくりまして、外国人の受け入れを大いに促進していこうという制度を始めました。受け入れ数も最初は百人でございましたけれども平成三年度には百八十人というふうに拡大しておりまして、この制度は非常に外国からも評価されている制度でございます。  また、先生指摘ありました生活面の問題も実はございます。そういう点につきましては、平成元年に新技術事業団に国際研究交流促進事業という新しい事業を発足させまして、これによりまして、フェローシップの制度、これは旅費等を支給しているわけでございますが、このほかに外国研究者や家族のための宿舎を整備しましたり、あるいは日本語の研修をしたり生活相談をしたりするような制度をつくりましてきめ細かな体制を整えているということでございます。今後ともこういうような面の研究交流の促進に積極的に一生懸命取り組んでまいりたいと思います。
  34. 永野茂門

    ○永野茂門君 最近、大学国立試験研究機関研究施設の荒廃の問題は、基礎研究推進障害となり、また、優秀な人材の育成確保にも深刻な影響を与えているとの指摘がなされています。先ほどの質問にもありましたが、この状況が続くならば創造性豊かな科学技術成果を生むことが困難になり、さらにまた、したがって国際に貢献することも難しくなると考えられます。  我が国全体の科学技術関係費に占める政府負担の割合は二割以下であり、さきに述べましたように、政府負担研究開発のGNP比は〇・五%で、先進国の半分程度と格段に低い状況であります。これらのことは先般出されました平成三年版の科学技術白書においても強調して指摘されているところでありますが、政府研究開発費を少なくも倍増するぐらいの勢いで諸施策を進めていただきたいと考えるところでありますが、我が国政府科学技術関係予算の抜本的拡充方策について、長官並びに補足することがあるならば関係者の御意見を承りたいと思います。
  35. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) 政府科学技術関係予算につきましては、従来から大変厳しい財政事情の中ではございますが、その充実に努めてまいったところでございます。しかしながら、大学国立試験研究機関等研究費につきましては、今御指摘がありましたように、必ずしも理想的にはまいっておりませんし、施設設備につきましても、これは私ついこの間就任したばかりで現場を視察しておりませんけれども、老朽化等の問題があるという報告を受けておるところでございます。  今後、基礎研究強化科学技術による国際社会への貢献に重点を置くことが、今お話がありましたように、必要でございまして、政府が果たすべき役割が従来以上に大きいと考えております。そうして、近く科学技術会議が二十一世紀を展望いたしました科学技術の総合的基本方策答申を取りまとめる予定にもなっております。その中で、基礎研究強化国際貢献のための施策についても取りまとめてまいる方針でございます。この方針も踏まえつつ、今後とも科学技術関係予算の拡充努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  36. 永野茂門

    ○永野茂門君 長官並びに科学技術庁全体の力強い科学技術関係予算の拡充努力をお願いいたします。また、私どもも十分御協力を申し上げたいと思います。  さらに、もう一度繰り返しますけれども、ODAと同様な考え方に基づきますところの先進国に対する科学技術協力費の設定につきましてはぜひ御考慮をお願いしたいと思います。  若干の時間を余しましたけれども、以上をもって私の質問を終わります。
  37. 翫正敏

    ○翫正敏君 翫正敏です。  原子方発電はやめていただきたいという基本的な立場で二、三質問をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、美浜原発の二号機の事故のことについてでございますが、御案内のように、ことしの二月九日に福井県の美浜原発の二号機で細管が破断するという事故が起こりまして、緊急炉心冷却装置が働き、寸前のところで命綱一本で重大事故は免れるという、このような事故が発生をいたしました。  その後、調査を進めていきましたところ、二月十五日には、この事故が蒸気発生器の細管が真っ二つに横に切れるという、破断という、ちぎれると言った方がいいんでしょうか、そういう形の最悪の事故であったということが明らかになったわけですけれども、この事故の担当者の方から美浜原発二号機の事故の原因について御説明願いたいと思います。
  38. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) お答えいたします。  事故の原因ということでございますが、通産省としては、今回の事象につきまして調査特別委員会を設置し、その審議を踏まえつつ調査を進めてきたところでございますが、六月六日に原因の推定、再発防止策と方法等にかかわるそれまでの調査状況を取りまとめて公表したところでございます。  原因につきましては、振れどめ金具が設計どおりの範囲まで挿入しておらず、大幅に挿入不足であったということから流力弾性振動が発生し、振れどめ金具により支持されていなかったため伝熱管が破断したものと推定しております。  振れどめ金具が設計どおりの範囲まで挿入され、伝熱管が支持されていれば、流力弾性振動の発生による伝熱管破断を生じないものと考えております。
  39. 翫正敏

    ○翫正敏君 その事故原因のことをもう少し詰める前に、ちょっと大臣にお伺いしておきたいんですが、この事故は、電力会社の方からは事故であるという公表がされておりまして、印刷物等にもそういうふうに書いて配られておるところなんですけれども政府関係者は、私どもが申し入れや住民団体の抗議行動やさまざまなことをしましたときに、一貫して事象という非常にあいまいな意味不明な言葉を使っておるんですけれども、やはりこれだけの、福井県の人はもちろんのこと日本じゅうの多くの人たちに間一髪という危険、不安を与えたようなこの細管の破断事故については、事故ということを明確に表明すべきだと思うんですけれども政府としてもお考えいかがですか。政治的判断でひとつ。
  40. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) お答えいたします。  これにつきましては、環境影響を与えることはなく、また、原子炉の健全性にも影響がなかったと評価されておりますが、事故は事故でございましょうね。
  41. 翫正敏

    ○翫正敏君 じゃ、今後は政府関係の事故対策の、また原因究明のいろいろな職に当たる人も、今、大臣がおっしゃったとおり、この美浜原発の事故については事故と、こういう説明を関西電力と同じようにしていただきたい、こう思います。事故担当者、それでよろしいですね。
  42. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) 一般的に事故、故障、トラブルなどにさまざまた言葉が用いられておるところでございますが、これらの言葉の定義は必ずしも明確なわけではございませんので、当省としては包括して事象という言葉を使っておるわけでございますが、決して今回の美浜事象について軽く見せるという意味で事象というふうに言っているわけではございません。当省としては慣用として事象という表現を用いておるわけでございます。したがって、これを事故だというふうに受けとめる側として表現されることに特に異を唱えるものではございません〔
  43. 翫正敏

    ○翫正敏君 何を言っておるんですか。  事故ということであなた方も受けとめてください、そういう表現を使ってくださいということを言っているんですから、簡単に答えてください。  今までるる説明されてきたことはへここ半年ぐらいの間にもう何十回も耳にたこができるほど聞きましたけれども、きょう以後は事故という表現を使ってくださいということを言っているわけです。簡単に答えてください。
  44. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) 当省として、既に申し上げましたように、事象という表現で慣用的に使っており、その言葉自身がまだ必ずしも定着していないということでこのような言葉を今後とも使わせていただくということでございます。
  45. 翫正敏

    ○翫正敏君 何か事象というのは意味が不明なので本当に困るんですけれども、今後とも事故という表現、概念といいますか表現、そういうのは使わない、使わずに押し通すということですか。  さっき科学技術庁長官の方からは事故だと簡単にお答えがありましたよ。それでいいんじゃないですか、そこは別に。通産省の立場からいくとそう言えないんですか。電力会社も事故という印刷物をもう配ってますよ、事故で御心配をかけましてと。こんなことぐらいは……。時間が詰んで、私もまだいっぱい質問したいことがあるのになくなるじゃないですか。ちょっと早く言ってください。
  46. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) 繰り返しになりますが、事象という表現を用いておりますのは、別に意図的に事故という表現を避けているわけではございませんで、広い概念として全体をとらえるという意味で用いているわけでございます。
  47. 翫正敏

    ○翫正敏君 大臣の答弁がありましたので、以後、国会におきましては、この美浜原発二号機のことについては、この二月九日のことは事故と、こういうふうに取り扱いをさせていただきたいということでございます。  それで、事故の原因でありますけれども、先ほど振れどめ金具のきちっと入っていなかったことが原因であるという、こういうことでありましたが、最近になりまして、さびによって細管が固定化して首が絞まるというような状態になっていたのが原因であるということが公表されているんですが、その点いかがですか。
  48. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) 中間取りまとめ以降、さらに原因究明等をやっているわけですが、その過程で今回の美浜二号機においての伝熱管を支えております管支持板部等を調査しましところ、その破断管につきましては、いわゆる固定支持状態、それはさび等がその管支持板と伝熱管の間に詰まりまして固定支持状態であるということを把握しております。
  49. 翫正敏

    ○翫正敏君 振れどめ金具の不備という当初の事故原因と、それから後でわかったさびによる細管の固定という事故原因と、この関係はどういうふうに認識しておられますか。
  50. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) 今回の事象の原因につきましては、伝熱管において振れどめ金具が一部不挿入の、設計どおり入っていないところがございまして、それによって流力弾性振動が発生したということで、これが原因として伝熱管が破断したというふうに推定しております。  先ほどの固定化ということにつきましては、固定化ということがそのメカニズムの中でどういうふうな役割をしているかというのは現在検討をしているわけでございますが、基本的な原因のもとはそもそも振動によるものでございます。そういう意味において振動、いわば事象の原因のもとを断つという意味においては、振れどめ金具をきちっとするということをすればそもそも振動が防止されるということでありますので、固定化があるなしにかかわらず破断に至るようなことはないであろうというふうに思っております。
  51. 翫正敏

    ○翫正敏君 要するに、振れどめ金具が入っていなくて細管が振動したことが主たる事故の原因であって、そしてさびによって首絞め状態になっていたということは副次的原因である、こういうように説明しておられるんだと一応受けとめますが、昭和六十二年にアメリカでノースアンナ原発事故がありましたが、それは振れどめ金具は別に不備ではなかったんですけれども、さびによって細管が固定され、こういう首を絞めるような状態になっていたために破断事故が起きた、こういうことなんですけれども、その事実は把握しておられますか。
  52. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) ノースアンナ事象につきまして、これにつきましても当省としてもできる限りの情報を収集しております。今御説明のあったような状況によりましてその事故が起こったということのようでございます。
  53. 翫正敏

    ○翫正敏君 アメリカのノースアンナ原発事故において細管が破断した事故の原因は、振れどめ金具が不備であったのではなくて、さびによって細管が固定されていたことによっているということは明らかになっているわけなのでありますけれども、そこで、この美浜原発二号機の事故の最終的な事故に至るメカニズム、今ほど言いましたように、振れどめ金具が不備であったということはもう明確になったわけですけれども、つまり副次的な原因というように現在認識しておられるのかもしれませんそのさびによる固定化というものがどれくらい大きな事故のメカニズムの上で位置を占めているのかというようなことについては、今後やはり原因究明して明確にされるおつもりであるとは思いますが、そこのところをちょっとお示し願えますか。
  54. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) ちょっと先ほどのノースアンナにも関係しますが、ノースアンナの場合は固定化という状況からさらに事態は進行しておりまして、いろんな事情によりいわゆる首絞まり現象というのが起こっている。それによって高い応力が発生し、加えてさらに流力弾性振動によって破断したということでございました。それで、美浜においては固定化の状況はあります。ただ、いずれにせよ、これはノースアンナのようなデンティング現象、あるいは美浜のような固定現象が管支持板と伝熱管の間にあろうとも、振動を防止すればそもそももとを断つわけでございますから、流力弾性振動によって急速に破断するという事態はないものと判断しております。
  55. 翫正敏

    ○翫正敏君 谷川科学技術庁長官に、科学技術を担当する大臣のお立場から、この美浜原発二号機の蒸気発生器細管破断事故についてどのような御見解を持っておいでになるか、お示しください。
  56. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) この出来事によりまして地元それから国民の皆さんに大変御心配をおかけいたしましたことにつきましては、まことに遺憾なことであったと思っております。  事故の原因につきましては今通産省の答弁のようでありますが、今後こんな出来事が再発しないように万全の対策がとられなければならぬ、こう思っております。ですから、原子力安全委員会それから通産省におきまする十分な調査審議を期待しているところでございます。  原子力開発利用に当たりましては何と申しましても安全の確保が第一でございます。国民の理解と協力を得つつ進めていかなきゃならぬと、私はいつも原子力につきましてはこう思っておるところでございまして、今後とも最大限の努力を払っていく、こういう考えでございます。
  57. 翫正敏

    ○翫正敏君 次にといいますか、関連をして、高浜原発二号機も同じく加圧水型でございますが、この蒸気発生器に不備が見つかりまして、ことし三月から運転が停止されておりましたが、最近、試運転に入って、十一月末には営業運転に入ると、こういうことでありますけれども、振れどめ金具の不備は取りかえをいたしましても、さびによる細管の固定というものは一切処置されていないわけでありますので、アメリカのノースアンナにおける事故原因から考えますと同じような細管破断事故が起こる可能性が高いのではないかと思います。特に、四十一本の細管を調べたところ、そのすべてがさびによる固定状態だったという、こういうことが報道されておりますけれども、この報道が正しいのかどうかを含めてちょっとお示し願いたいと思います。
  58. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) 高浜二号機につきましてでございますが、本年三月、これは高浜二号機を含めて全PWRプラントについて振れどめ金具の挿入状況について調査を行ったところ、当該高浜二号機につきましては九本の振れどめ金具が設計どおりの範囲まで挿入されていなかったことが判明しております。挿入不足は、美浜二号機につきましては十二段という大幅な挿入不足がありましたけれども、高浜につきましては一段のみの挿入不足であったということから、これによる伝熱管の健全性への影響はなかったものと考えられますが、是正措置として振れどめ金具を全数取りかえ、設計どおりの範囲まで挿入するとともに、さらに念のため振れどめ金具が挿入されていなかった伝熱管十八本を施栓するという措置を講じたところでございます。これらの是正措置によりまして、美浜二号機事象のような流力弾性振動により伝熱管が破断するというようなことはないと判断しております。
  59. 翫正敏

    ○翫正敏君 さびによって固定されている状態だったものはすべて栓をしたんですか。高浜原発二号機に関して言いますが、すべて栓をしたんですか。簡単に言ってください、時間がもう私ちょっとしかないので。
  60. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) 施栓したのは、その振れどめ金具が一部設計どおり入っていなかったところの両側の伝熱管について施栓措置をしておりまして、さびの問題は全くこれは別物でございます。
  61. 翫正敏

    ○翫正敏君 このさびによる危険については先ほどの美浜原発二号機の事故の問題についても全く無視しているような現状の政府の態度でありまして、まことに不当であると思います。強く抗議をしたいと思いますが、高浜原発二号機につきましても細管のさびによる固定化というものを全く無視して営業運転を始めようとしていると、こういうふうに今ほどの答弁を聞く限り断定せざるを得ないので、ぜひそういう危険な運転再開はやめてほしいということを強く要望したいと思います。  石川県の志賀原発の沸騰水型の危険性につきましてもお聞きをしようと思いましたが、もう時間がないのでこれはちょっとやめまして、また別の機会にすることにしまして、原発を使わなくても電力需要を賄うことができるということについてちょっとあと残りの時間お尋ねしておきたいと思うんです。  電力は昼間非常に使用量が高くて夜間は少ないわけでありまして、発電力の方はこの昼間のピーク時にさらに若干の余裕を見て発電というものをし、そのために原発をつくらなければならないという事態になっていると、こういうことになるんですけれども、この山を崩して夜間の谷の方を埋めることができれば、現在よりも少ない発電所の容量、発電力の容量で賄うことができるわけでありますので、そのためには、一つは、もう既に行われておりますのは揚水発電所でありますが、これは山の中につくらなければならないし、ダムをつくらなければならないし、非常に経費も高くつくし、場所的にも電力需要が非常に大きい都会につくるということはまあできないと思います。  それにかわって新しい型の電池へ新型の電池というものを開発しますとこの問題が解決できるというふうに思うわけでありまして、もちろんどんどん電気を使うというようなことではいけないわけで、省エネルギーの技術なりそういう国民意識なりというものの広がり、これが大切であることは言うまでもありませんけれども、この電池というものが開発をされ、実用化されるならば、需要地に直接設置ができるということや、さらに効率のよい電力の貯蔵が可能であるということ、建設費も安い、また建設の期間も短く済むなど、さまざまな経済性の特徴があると思います。  さらに、このシステムを導入することができれば、ピーク発電設備の節減を図ることができるだけではなくて、太陽光発電などのソフトエネルギーというものの実用化へ向けて国民意識や国会の先生方意識を変えていくという、そういう波及効果というものも期待できると思います。さらに電気自動車というようなものに応用することも可能であると思うんですけれども、電力を貯蔵して、今ほど申しましたように、ピーク時の発電量というものを大幅に減らすという、こういうことについてどういう考え方政府は持っておられるか、そして現状この電池の開発についてはどの程度実用化のめどが立っているか、御説明いただきたいと思います。それで質問を終わります。
  62. 佐藤久容

    説明員(佐藤久容君) ただいまの御質問ですけれども、御指摘のとおり、電力需要の少ない夜間に電気を貯蔵しまして需要の多い昼間に電気を供給することによりまして、電力負荷の平準化を行って、効率的な発電設備の運用を可能とすることを目的としまして、工業技術院のムーンライト計画におきまして昭和五十五年から新型電池電力貯蔵システムの開発を実施しております。電池といたしましては、従来の鉛電池の倍以上の蓄電能力を有しますナトリウム・硫黄電池あるいは亜鉛・臭素電池を用いまして開発を行ってきておりまして、現在、千キロワット級のパイロットプラントの運転研究を実施中でございます。  近年、電力需要の急増に伴いまして、電力負荷平準化はエネルギーの有効利用観点から重要な課題となっておりまして、新型電池電力貯蔵システムにつきましても、その対策として重要な技術と考えており、今後も着実に技術開発推進していくと考えております。  以上でございます。
  63. 翫正敏

    ○翫正敏君 終わります。
  64. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 まず、谷川長官科学技術庁長官に御就任おめでとうございます。  私、時間も余りありませんので、本来でございますと科学技術全般にわたっていろいろと新長官の抱負などもお聞きをしたいところでございましたが、時間が何せきょうはちょっと不足をしているということもございまして、原発等の原子力施設の設置を認可する、そのことにかかわってのところに、しかもその中のごく一部のところに限定をした形で御質問申し上げます。  そこで、長官にお願いなのでありますが、かなり細かいことのやりとりなども出てくると思うのでありますが、科学技術は特にそうでありますけれども長官も私どもと一緒にこの委員会でも一生懸命御活躍をいただいたという御経験などもお持ちになっているわけでありますから、御理解いただけると思いますが、そうしたやりとり等を十分お聞きいただきまして、できるならばお答えが長官の判断を求めるようなお答えでなければ最後のところで長官基本的なお考えを伺うと、こんなことにさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。政府の皆さん方も長官が途中で御答弁に立たないでもいいような御答弁をひとつよろしくお願いいたします。  そこで、最初に、原子力発電あるいはそのほかの原子力施設の設置の認可について、特にその立地に当たっての地質と地盤の関係について御質問を申し上げたいと思います。  最初にその立地を決めるときに、認可をするに当たってはいかなることをチェックされるのか。地質、地盤、そういうものについて、これはもう非常に大事な問題でありますから、これは下北の三点セットでもそれぞれ施設ごとにまた条件も違ってきましょうが、今いろいろ大きな問題をお出しになっているわけであります。私の後にまた三上委員も御質問になるわけでありますから、三上委員に御質問をさせないようなうまい御答弁をいただければ大変ありがたいと思います。それぐらい明快な御答弁をいただきたいと思います。  それから、そのほかにそれぞれ原発の立地、日本は火山国でありますだけにこうした地質、地盤の問題というのは大変関心の高い問題でございます。そこで、それぞれについて全部お聞きしたいと言っても無理なんでありましょうから、少なくともその代表的な施設として下北の三点セットの場合にどういうふうに取り組んでおられるのか。それから、私は自分の地元でもありますから、柏崎刈羽の原発の増設が今進められているわけでありますから、その柏崎刈羽の場合ということで御説明をいただきたいと思います。  ここのところは基本的なことでありますから、本来でありますと通産省政府委員の方に伺いたいのでありますが、私はこんなときにいつも確認して申しわけないんですけれども、本来であれば政府委員の方に来てもらって御説明をいただかなきゃならぬということでありますが、きょうは衆議院の商工委員会も開かれているそういう事情もありますし、これから私の伺いたい以下の小さい方の問題はむしろ専門的によく御存じの説明員の方から聞いた方がいい、こういう判断もありますので、こんな形にさせていただきました。  ちょっと前置きが長くなりましたけれども、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  65. 森信昭

    説明員(森信昭君) 御説明申し上げます。  ちょっと順序が逆になったかと思いますが、まず柏崎刈羽の発電所についての地質、地盤に関する私ども考え方でございます。  先生指摘のように、原子力発電所を立地する場合にこの地質、地盤にかかわる問題というのを私ども大変重要視しておりまして、これによります原子炉施設への影響というのを安全審査でやっておるところでございます。基本的な考え方といたしましては、原子力安全委員会の方で決定されております耐震設計審査指針というものがございまして、ここに「基本方針」というのが書いてあるわけでございます。「原子炉施設は想定されるいかなる地震力に対してもこれが大きな事故の誘因とならないよう十分な耐震性を有していなければならない。また、建物・構築物は原則として剛構造にするとともに、重要な建物・構築物は岩盤に支持させなければならない。」、こういう基本方針のもとにいろいろな地質調査あるいはボーリング等によります地盤調査等を行いまして、その結果から出てまいります想定される地震動、こういったものを考慮いたしまして、それに耐え得るような耐震設計を行っていく、こういう基本方針でチェックすることにいたしております。
  66. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) この安全審査、特に地質、地盤につきましての原子力安全委員会のダブルチェックのことについて御説明申し上げます。  原子力発電所の安全審査の例をとりたいと思いますが、設置場所の過去の地震歴であるとか周辺の活断層の分布状況、こういったものを調べ、地盤についても十分調査した上で敷地として適当か否かを評価する。それからまた、原子炉建屋など重要な建物・構築物、こういったものは原則として強固な岩盤上に支持させるということとし、これを確認する。それからさらに、安全面から見た重要度の高い施設につきましては、建築基準法で要求されるレベルを十分上回る静的地震力に耐え得るように設計するとともに、設計用に想定した大きな地震動を与えて詳細な動的解析を行って安全性を確認する、こういうことでございます。
  67. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 柏崎刈羽の方は後の方でまた伺いますが、それじゃ、下北の三点セットの場合はどういうふうに考えておられますか。
  68. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 六ケ所の核燃料サイクル施設でございますが、行政庁における核燃料サイクル施設の地質、地盤に関する安全審査についてですが、これは中試者が行った地質、地盤に関する各種の調査、試験の妥当性、信頼性を検討した上で、みずからも現地調査を行うなどして敷地の地質、地盤が施設安全性影響を与えないということを確認するということでございます。  少し具体的になりますが、各施設の特性に応じましてボーリング調査、トレンチ調査、岩石試験等から得られる地質構造や基礎地盤の力学特性等を把握しまして、支持力、滑り、抵抗等の項目について、各施設の建物・構築物に対し安全上の問題のないことを確認するということでございます。  さらに、敷地内に認められた断層については、その断層の活動性のないことを確認し、地震時においても十分な安定性を有しているということを確認しております。  以上でございます。
  69. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、これは安全委員会での指針ということでいけば、活断層があったらもちろんそこは建設ができない、こういうことに理解をしてよろしゅうございますか。
  70. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 活断層につきましてはちょっと複雑でございまして、つまり活断層とはという定義になってしまうんですけれども、ちょっとそこから申し上げなきゃいかぬわけです。いろいろな考え方があるようでございますが、結論的に言いますと、おおむね第四紀の後期に反復して活動した断層、こんなふうなことが大体の学説だろうと思います。  それで、年代的には約百八十万年前から今日までの間と、こんなふうな年代という形になろうかと思いますが、私どもの安全審査に当たりましては、地震設計等の考慮におきまして、後ほど細かく御説明しようと思いますが、大ざっぱに言いますと五万年前以降の断層ということについて特に安全審査を実施する、こういうことでございます。
  71. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ちょっと数字が大き過ぎてわけがわからなくなりましたね。百八十万年前と五万年で、どうしてすぐ簡単に百八十万年前というところから五万年に飛んでいっちゃうのか、これが一つはわかりません。  それから、従来の説明のときには大体十万年くらいのことを言っておられたことが随分あったと思いますが、その辺はどうなったんですか。
  72. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) ちょっと繰り返してもう一度あれですが、先ほど百八十ないし二百万年前から現在と申しましたのは、いわゆる第四紀という年代でございます。それから、私どもが特に安全審査上注目しなきゃいけないというものは、その第四紀の中の後期の部分に活動が十分といいますか、活動性が高い断層に着目しておりまして、それの地震動、いろいろ設計用の最強地震であるとか設計用の限界地震といったものを想定しますが、その場合において五万年前以降、一応その辺のところが目安になるということでございます。
  73. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 あなたは途中の判断の基準について話をしてないからわけがわからなくなるんですよ。そうでしょう。だって、百八十万年前から現在まで、随分長いですよね。その中で何で五万年という線を引いたんですか、それでは。そこの説明が全然ないとわからないですよ。
  74. 谷弘

    政府委員(谷弘君) かなり技術的なことでございますので、補足して説明させていただきたいと思います。  先ほど通産省の方からも御説明がありましたけれども、我々が地震を検討します場合には、施設の重要度に応じましてA、B、Cという三つの種類に分けて検討いたします。さらに、そのAの中にも特に重要なものについてはAsという特別に重要なものという、したがいまして結果的に言いますと四つの分類に分けて考えております。  この中で、一番下のCクラスでも普通の建築基準法よりも十分安全度をとるわけでございますが、Bについては三倍ぐらいの強度をとります。特に今申し上げました重要なもののAと地については、まずAの重要なものについては過去に起こりました地震全部をカバーいたしまして、歴史地震と言っておりますが、歴史的に考えられる地震を全部カバーします。それから今のAsについては、過去に歴史的に地震が起こっていなくても、地質構造上例えば我々が理論的に考えなければならないものをすべてカバーするというような考え方地震の審査をやるわけでございます。  それで、今、局長から御説明申し上げました活断層という定義につきましては、いろんな学者の先生方で理論が違っておりまして、いろんな説明をしておられます。その中で活断層という定義を御説明すれば、その百八十万年前のものを活断層と言っている方がたくさんいらっしゃるという説明をしたわけでございますが、実際の審査をします場合には、非常に活動の必然性の高いものということで、例えば今のS1震動というのをAクラスのものに仮定するわけでございますが、このものの場合には、さらに活断層の中でA、B、C、活動度が高いかどうかという、さらに断層を分類しまして、それについて、特にAの活動度を持っているものについてS1の震動、すなわちAのプラスのものをする場合には五万年の期間について検討する。そこに過去に断層の動きがあったかどうかということを調べて判定をする。もっと高いS2については例えば一万年を使うとかいろんな細かい規定がございますけれども、断層の活動度と施設の重要度を組み合わせましてその判定をしていくということでございます。  先ほど先生、そういう基準とは別に十万年という話が過去にたびたびあったじゃないかというお話がございましたが、例えばそういう五万年で判定しておりますので、私どもの審査書をごらんいただきますと、これは十万年以降は動いてないので今言いました五万年の基準の中に入れております、というような説明を何回かしておりますので、先生の方ではその十万年という御記憶が多分あるんではないかというように類推いたしております。
  75. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 今の御説明については、さらに具体的に柏崎の問題についてまたいろいろと伺いたいというふうに思いますが、その前に、それじゃ、先ほどの下北の六ケ所の場合には、今の御説明があった施設のどういうランクにしてどういう調査をしておられるのか。それから柏崎の原発、これは原発みんな共通なのかもしれませんが、原発施設といったときにはどういうランクでどういうチェックをされるのか。これを具体的に聞きたいというのを最初に僕は申し上げているんですから、その辺のところを最初から御説明があればもうちょっと時間簡単で済んだんです。
  76. 谷弘

    政府委員(谷弘君) 六ケ所の例えば再処理工場を例にとって御説明申し上げますと、再処理工場についても同じような、発電所の耐震設計と同じ規則が準用されておりますので、同じ考え方でやっております。まず、重要なものにつきましては、青森県地方で起こりました重要な過去の歴史地震を、例えば東京大学地震研究所でございますとか気象庁等で調べましたすべての地震を調べまして、それをすべてカバーするものをA型の、Aのランクの重要度のものに対して適用する。それから、その中でも特に重要な施設、例えば使用済み燃料のプールでございますとか、そういう重要な施設につきましては、あの東北地方の地体構造を調べまして、過去には起こっていないけれども理論的に考えなければならない、具体的に言いますと、ちょっと今正確な数字を覚えておりませんが、マグニチュードの八・幾らだと思いますけれども、そういう地震を仮定して計算をするということをやっております。
  77. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 それに基づいて通産省はどういうふうなことをやっていますか。
  78. 森信昭

    説明員(森信昭君) 御説明申し上げます。  耐震設計上の分類でございますが、先ほども科学技術庁の方から説明されました重要度分類というのがございまして、原子力発電所におきましてもA、B、Cの三つのランクに設備を分けております。  Aクラスと申しますのは、基本的な考え方といたしましては、みずから放射性物質を内蔵しているというような施設、これをAランクと称しておりまして、具体的には一次冷却材、これがぐるぐる回っております。その圧力がかかっています設備、通称原子炉冷却材圧力バウンダリー、バウンダリーというのは境界をなすという意味でございますが、そういったもの。それから使用済み燃料を貯蔵する施設とか、あるいは崩壊熱を除去する設備とか、そういったものをAクラスということにしております。  Bクラスにつきましては、先ほど申しましたAクラスに直接接続される、まあ付随的なものという感じでございますが、そういったものをBクラス。  さらにCクラスはその他ということで三つに分けておりまして、先ほど来説明がございますS1地震動あるいはS2地震動といったものを考慮いたしまして耐震設計を行っていくこととしております。
  79. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 敷地面積はかなり広いことになるわけですが、これはまた原発と今の三点セットではかなり違いがいろいろと、広さだってかなり違いがあると思います。  それで、今の原則的な判断の基準は伺いましたけれども、具体的にそれをどの施設にどういうふうに当てはめていくんですか。例えば、CならCというのは、想像はつきますけれども、Aというのはどの施設とどの施設で、Bはどの施設とどの施設、Cはどの施設とどの施設、これを明らかにしてください。
  80. 谷弘

    政府委員(谷弘君) それでは、再処理についてまず例を御説明申し上げたいと思いますが、先ほど四つに分けたという御説明をしました。上から参りましてAsのクラスでございますと、燃料の例えば貯蔵プール、それから溶解槽でございます。それから高レベルの廃液の濃縮缶、それから高レベルのガラス固化いたしますけれども、そういうガラスの溶解炉、それから非常用の所内電源系統でございます。それからAクラスでございますと清浄器、それから剪断処理、主排気筒。それからBクラス剪断機ですとかウランの濃縮缶でございます。それからCクラスになりますと、これは一般設備でございまして、受電の開閉設備とか給水処理設備ということで、放射能といいますか、放射性物質と直接関係ないものということでやっております。
  81. 森信昭

    説明員(森信昭君) 原子力発電設備につきましても考え方が同じでございますので、具体的機器というのはちょっとここの場に持ち合わせておりませんが、例えて申しますと、原子炉冷却材圧力バウンダリーと申しますのは、原子炉圧力容器、それにつながる配管、こういったことを主に思い浮かべていただけばよろしいかと考えます。
  82. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 こんなところで余りうろうろしていたので時間が足りなくなってきました。  課題としては随分いろいろと私どもこれから検討しなきゃならない課題が今示されたと思います。それらの点について、やはり地元との中では十分に話し合って、疑問になる点はみんな明らかにしていくということが非常に重要だと思いますので、その点では今後の積極的な資料等の公開を要望していきたいと思います。  そこで、柏崎における地盤、断層の問題について伺いたいと思います。  ちょっと確認になりますけれども、従来は、柏崎の場合には、支持基盤、つまり西山層と言われている一番固い層ですね、古い層です、この西山層に断層があることは、これは認めておりますですね。それで、しかしその断層は古いので再活動しない、先ほど五万年の話がありましたけれども、そういう話であります。現実に調査の結果は、今までの確認は、十二万年前以降にできた安田層については、これは上部ではなくて下部の方に断層がある。しかし、その安田層の上にまたある番神層、いわゆる古砂丘と言っている番神層、これを切っているものはない。だから再活動はしない。こういう確認になっていたと思います。  それで、古砂丘にあるいろいろな亀裂などというのはすべて地すべりである。だから、今後のマンメイド何とかという、片仮名になると何か権威のありそうな感じがする工法でもって固めるから、なお念を入れて固めるから安全だと、こういう御説明だったように思いますけれども、それは変わりありませんか。
  83. 森信昭

    説明員(森信昭君) 御説明いたします。  ただいま先生指摘のように、西山層中に幾つかの断層というものが存在はしておりますが、これらの断層は少なくとも安田層の上層部とそれから番神層に変位を与えていない。すなわち、その断層そのものはお互いの地層の間に関連がなくなっているということによりまして、活性化していない、活断層ではないというふうに考えておりまして、私ども、安全審査に当たっては安全上支障のないものというふうに考えておるわけでございます。
  84. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 じゃ、その考え方を確認させていただいて、次にもう一つ確認をさせていただきたい。  これも従来からの御説明を私どもなりに理解をしていきますと、そういう中で直下断層は活動しないから、だから安全なんだと、こんなふうに言っておられるというふうに私どもは判断をしておりました。しかし、ここのところをもう一度はっきりとさせておきたいと思うんですね。  これは、直下断層が活動しても安全、こういうことなのか、直下断層が活動しないと判断しているから安全ということなのか。これは非常に大事なポイントになりますので、そこのところを伺いたいんです。これはチェックをされる科学技術庁もその辺をどう考えておられるか、これを伺っておきたいと思います。
  85. 森信昭

    説明員(森信昭君) 御説明いたします。  直下断層につきましては、今、先生おっしゃいましたように、活断層そのものの定義が随分古くからのものもございますので、それが活動していないということが条件でございます。
  86. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 活動していない、これからも活動しない、——しないということだね。——しないということとあれとは違いますよ。ちょっと厳密に使ってください。
  87. 森信昭

    説明員(森信昭君) 少なくともこれまでの知見、調査によりまして活動していないというふうに判断される場合に、これは問題ないということでございます。
  88. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ちょっと困るよ、それではね。活動していないというのと活動しないと判断しているのとでは、これは大事なんですよ、今後のことなんですから。原発は、もう過去のものじゃないんですよ、今後もあるんですから。
  89. 森信昭

    説明員(森信昭君) 御説明いたします。ちょっと説明不足で……。  これまでも、先ほど申しましたような、大ざっぱに言えば五万年以前それ以降について活動していないし、そういうことの知見を踏まえて、今後も活動しないというふうに判断される場合でございます。
  90. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 先ほどの通産省からの説明と同じになるかと思いますが、直下断層、これにつきましては、先ほどいわゆる第四紀層である安田層上部層に変位を与えておらぬという説明がございましたが、それと同じことからこれらの断層は安全評価上支障がないというふうに判断をしたということがございます。
  91. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ちょっと私はその断定的な判断には問題があるというふうに思うんです。といいますのは、過去に活動していない、確かに統計的にはそういうものをいろいろと検討されるということは科学的な根拠として非常に大事なことなんですから、それを私はあらゆる努力をしていただいているということについて評価をしないわけではありません。  だが、例えばこれから先のこと、五万年前以降のものであればというお話がありましたけれども、断層というのは一度陥没が起こったら五万年も何も全部巻き込んでいってしまうわけです。それで、確率的な物の言い方だけでは考えられない、それだけで判断をしては間違いなんではないか。極端な物の言い方をして、素人の物の言い方をして恐縮ですけれども、ことしかその百八十万年目であったらということだってそれはあり得るわけでありますので、これは非常に粗っぽいですからいろいろ問題があると思いますけれども、反論があると思いますけれども、要は将来について一定程度の推測はできるけれども断定はできない、そういう性格のものではないかというふうに私は科学の観点からいえばあるんではないかというふうに思います。これは今私のあれを申し上げましたけれども、これは今後の論争のやっぱり大事なポイントの一つになっていくんじゃないかと思うんです。  そこで、柏崎についてさらに現地の新聞等が報じているところによりますと、反対派の皆さんが調査をした結果、基盤とそれから古砂丘・番神層の両方を切っている断層が見つかったという話が伝わっているんです。私もそのことをいろいろと現地の人からも確かめましたけれども、この点まず情報として聞いておられるのか、もし聞いておられるとすればその情報についてどう対応をされたのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  92. 森信昭

    説明員(森信昭君) 御説明いたします。  ただいま先生の御指摘の点、確かに地元の一部の報道機関におきまして柏崎六、七号周辺の地質に関しまして御指摘のような報道がなされておることは承知いたしております。私どもとしましても、電気事業者等を通じてその事実の確認等を行って、情報収集しているわけでございますけれども、少なくとも私どものこれまでの段階ではこれは地すべり性のものであろうというふうに今考えているわけでございます。  こういった報道内容については、先ほど冒頭申しましたように、地盤、地質の問題が原子力発電所にかかわる重要な問題であるという認識でございますので、その情報収集等に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  93. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 地すべりというふうに簡単に言われたけれども、私も現地の皆さんから写真をいただいたんですよ。(写真を示す)それで、これははっきりとわかるんですね。これは基盤です。そしてこっち側が番神層ですね。ここをずっと亀裂が走っていまして、断層の跡がはっきりとしている。それで、簡単な地すべりなどというふうに言えないであろうということが、これはちょっと写真が小さいから見たって、そこからじゃ幾ら目がよくたってわからないと思いますけれども、これはポールを立ててずっと追っていっているんですよ。そして図面などをかいたやつを私もいただいたんです。(図面を示す)こんなふうにですね。  そうすると、これはもう明らかに断層であろうというふうに、私は地質学は全く素人ですから、私が見てそうだというふうにはなかなかいきませんので、いろいろ専門家に見てもらいまして、それから地元の人が調べたというデータなども見てもらいましたら、やはり断層であるという可能性が非常に強い。古砂丘を切るということはないと言っていたんです、断層は。切っているということはないということだった、番神層は。でも、基盤層と番神層の両方を切っている断層があるという事実、これは場所も特定をされているわけであります。これは地元の皆さんが東電の方とも交渉をいたしましたときに、東電側も急遽調査をしておられるようであります。  そのことがありますので、私は、今簡単に課長がこれは地すべりであろうというふうに判断をされたのではちょっと問題があるのではないかと思いますので、再度実際に御自分で調査をされるかどうか、そこの辺のところも含めて御検討をいただきたいと思います。
  94. 森信昭

    説明員(森信昭君) ちょっとここからでは写真は見づらいわけでございますけれども、私ども恐らく同じ情報について入手していると思っております。  その断層とおっしゃる場所につきまして、もっと掘り下げたといいますか、下部層の方を見たところ、これは一部写真もあるというふうに私は聞いておりまして、その際にもっと下部の方まで掘削してみますと、これもちょっと専門用語的で私の分野ではございませんが、専門用語で申しますと下部の方が後方回転している、すなわち地すべりが生じるときに順次丸くなっている断層の形状をしている。こういうのが地すべり断層と言われるところの特徴を示しておるということでございますので、現段階ではこれは地すべりではないか。まあ、断定ということではございません、言い方が間違ったら申しわけございません。そういうふうに考えているわけでございますけれども、いずれにしましても、この柏崎六、七号に限らず、柏崎地点につきましての地質、地盤の問題につきましては以前からいろいろ各方面からの御指摘がございまして、指摘がある都度私どもも情報収集して、これに適切に対応しようというふうな努力をしているところでございますので、今後ともこういう情報につきましては最大限の努力をいたしまして収集にこれ努めてまいりたいというふうに考えております。
  95. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 通産省資源エネルギー庁としてみずからの調査をされるかどうかということが大事なんだと思うんですよ。  背斜軸という言葉を御存じでしょう。石油関係の皆さんがよく使っておられます、地質関係のあれで。その背斜軸に基づいていくと、それと向斜軸との——背斜軸、向斜軸という言葉を使いますよね。今メモしておられるのでよくわからないのかな。  いずれにしても、反対派の皆さんが調査をしたのとそれから東電が調査をされたのとではどうも背面が違うような感じもいたします。いろいろとあると思うんです。それは自分で確かめなければ判断の資料にはならない、このことを強く私は指摘して、御答弁いただきたい。
  96. 森信昭

    説明員(森信昭君) 御説明いたします。  私ども、これまで耐震関係につきましていろいろ安全審査をやる際に、顧問会等あるいは職員も含めまして現地調査等を行っているわけでございますけれども、必要に応じまして適宜現地調査等も含めまして情報の収集等に努めてまいりたいというふうに考えております。
  97. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 どうもはっきりしないんであれですが、私のもう時間が来てしまいました。本当はきょう私はまだもう少し準備をしておりまして、いろいろと伺いたい、大臣にも特に過酷事故、漢字的に言えば過酷事故についての問題の考え方政策のあり方などについても伺いたい、こんなふうに思っていたんですけれども、その時間がなくなりました。シビアアクシデントというのは起こってからでは遅いと、こういうことでありますので、起こらないための措置を講じなきゃならないということがあるので、そのこともいろいろと伺いたいと思いましたけれども、それはもう時間がなくなりました。  私は、今の通産側の御答弁を聞いていて、本当にいらいらしているんですよ。政府がみずから調査をして、そしてその調査に基づいてきちんとした通産としての判断を出してもらいたい、これが私の願いなんです。そして、それによって判断をすべきものであるというふうに考えているんですが、その辺のところは情報収集でというふうに言われるということにちょっと不満はありますけれども、いずれにしても、大臣も安全第一ということを先ほども言われましたし、原発行政についての問題はこのようにまだいろいろと問題がいっぱいある。そういうことを踏まえて、大臣としてこれから原子力行政に対してどういうふうに臨んでいこうとしておられるのか、そこのところをお伺いいたしまして、私、終わりたいと思います。
  98. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) 原子力発電につきましては、長期供給の安定性、それから経済性、特に最近は環境影響等の問題もあります。そういう点からいたしまして、我が国としましては今後とも着実に推進していきたい、こう考えておりますが、先ほど来御質問がありましたように、とにかく安全第一でございますから、安全性の実施等、厳正に安全につきましては配慮しながら進めていく所存でございます。
  99. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時開会
  100. 及川順郎

    委員長及川順郎君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  101. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 それでは私から、通告では十一件という質問項目で通告いたしましたけれども、余りにも大き過ぎる、あるいは同僚委員方々がそれぞれ質問されてお答えをいただきましたので、私なりにはしょって順序不同のままで質問させていただきたいと思います。  まずもって、谷川長官、御就任大変おめでとうございます。御苦労な職務で大変でありましょうけれども、どうぞひとつ、日本の今後の科学技術行政発展と、そしてまた科学技術そのものが日本の、そしてまた人類の過ちのないような、そういう政策を続けていただきますことを心からまずもってお願い。とお祝いを申し上げる次第であります。  それでは、早速質問に入りたいと思います。  実は、きのう衆議院の科学技術委員会がございまして、うちの方の関代議士から、さきの十一月八日午前十時、米軍の三沢基地所属のF16戦闘機が実弾を積んで青森県の三沢沖に投棄した事件があったわけでありますけれども、関さんの質問でそれなりのお答えがありましたけれども、若干確認しながらまた質問を申し上げていきたいと、こう思います。  そこで、今までは核燃施設の問題等々で、あそこにある米軍基地、そしてまた自衛隊基地等々との並立の問題について、隣接に核燃施設ができるという問題について、いろいろ議論の中で、米軍機も自衛隊機も実弾は積んで飛行しないということを常に申してきているわけでありますけれども、さきの二千ポンドの実弾二本を投棄した事件の事実について、まずお答えをいただきたいと思います。  これは外務省になりますかね。後ほど防衛庁にもお願いしたいと思います。
  102. 原田親仁

    説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。  今回の事故の事実関係について御説明申し上げます。  今回の事故は、十一月八日、米空軍三沢基地の米軍機F16が鳥島の射爆撃場に向けて三沢飛行場を離陸した直後、発電機が不調となったため、パイロットは安全確保のため沖合に向けて飛行し、付近海上に漁船等、船舶の航行がないことを確認した後、実弾の二千ポンド爆弾二個を天ケ森対地射爆撃場の同水域に投下したものと承知しております。米側によれば、投棄された爆弾は起爆装置が作動されないようになっており、爆発するおそれはないと申しております。  外務省といたしましては、八日、事故通報に接し、直ちに米側に対し遺憾の意を表明するとともに、事故原因の究明、再発防止措置をとるよう申し入れるとともに、さらに十一月二十日、日米合同委員会においても、米側に対し遺憾の意を表明するとともに、事故原因の究明、再発防止措置、さらに投棄された実弾の捜査及び回収を要請しまして、従来からも申し入れていたところではありますが、さらには、米軍機の飛行に当たって、六ケ所村核燃料サイクル施設の付近を飛行しないように改めて申し入れた次第でございます。
  103. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 二千ポンドというと、約一トンの爆弾を二発投棄したということになるわけでありまして、大変重大なことだと思うわけであります。事故というのは、想定して起きるものを事故と称するものではないと私は思います。思いがけないことが起きるのが事故だと思います。そういう意味で、わずか十キロ−二十キロ範囲内の三沢基地と六ケ所の核燃施設の建設される場所等とは共存しない、両立しないという立場から私は申し上げたいわけであります。  ところで、非爆装置を施しておったから、それは投下されても爆発しないという今お答えがありましたけれども、その実験はされていますか。その実弾を投下した場合に非爆装置をやっていれば絶対に爆発しないという実証がございますか。
  104. 原田親仁

    説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。  米側からの説明によりますと、実弾の爆弾には安全線と呼ばれる安全装置が取りつけられておりまして、この安全線がついている限り、爆弾に取りつけられているプロペラつき信管が回転せず、信管は起爆する状態にならないとのことでございます。
  105. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 ただいま外務省の原田課長から、どんな衝撃があっても爆発しないという解釈でよろしゅうございますか。
  106. 原田親仁

    説明員(原田親仁君) 爆発するおそれはないと申しております。
  107. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 だとすれば、防衛庁にお伺いいたします。  防衛庁も日本の国防を担当して、その専門家でございます。日本の防衛庁として今のお答えが正しい認識だと思いますか。
  108. 河尻融

    説明員河尻融君) 私は、この問題の専門あるいは所掌しておりませんが、今外務省の方から御答弁のあったとおりではないかと思っております。
  109. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 今何と言ったんですか。外務省で言った答弁で間違いないと思うと言ったんですか。
  110. 河尻融

    説明員河尻融君) 私は防衛庁でこの問題を所掌いたしておりませんけれども、外務省の方から御答弁のあったとおりではないかと思っております。
  111. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 日本の防衛を担当する防衛庁の代表でこの問題を議論する席に来て、そういう無責任な答弁でいいんですか。日本の国防を守り得ますか、それで。  内閣の一員として科技庁長官、こんなさまでいいと思いますか。今率直なあなたの見解をお聞かせください。
  112. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) もっと自信を持ったお答えをしなきゃならぬかなと思っております。
  113. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 今何と言いましたか。もう一度。
  114. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) 自信を持った説明をしなきゃなるまいかと思っております。
  115. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 そのことについては、今防衛庁の担当官が責任ある立場で確答はできないというわけですから、そのことについては後ほどはっきりとした責任ある御答弁をお待ちしております。私の質問が終わってもいいですから、できたらきょうの委員会内に私に報告してください。  そこで、科技庁にお聞きをしたいわけであります。けれども、私どもは、軍事基地と核燃サイクル一基地との両立は不可能だ、危険である、そういう認識で一貫して反対をしてきた立場で申し上げるわけでありますけれども、六ケ所に今建設されている三点セットが五点なり六点セットになるわけでありますから、その施設が実弾を積んだ飛行機が飛来するその間近にあるということの認識に立ては、どちらかを私はとめなきゃだめだと思うんです。  日本の国防を日米安全保障の中で守ろうとすれば、今ある施設を変えることはできないとするならば、私は核燃施設を別なところへ移していただきたい。日本のエネルギー政策の中であの施設がなけりゃならないというんであれば別のところへ移していただきたい。それに対する長官のお考えはいかがですか。
  116. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) この施設は、原子力発電をこれからも、けさほども御説明申し上げましたが、進めますためにはどうしても大変必要な施設である。だから、私どもは建設に当たりましては、近くに訓練場があることも、それからそれに伴いますいろんな要因を考えまして、法律の規定によりまして行政庁と原子力安全委員会の両方でダブルチェックしまして、大丈夫だということで建設を進めておるものでございまして、移すつもりはございません。  今度の事件も、私はあの地域の皆さんに大変御心配をおかけしましたことはまことに遺憾なことだと思っておりますが、訓練場へ向かうんじゃなくて、全く方角も別でございまして、大体鳥島か何かで訓練をするために行く途中であった。かつ今までももうすぐ飛行場から海へ出るように指示をされておりまして、今度も機体に故障が起こりましたから、わざわざ米軍の安全規程によりまして、そういう場合に爆弾を投棄すべきと指定された地域までやってきて落としておりますので、今後とも間違ってもこういうことは二度と起こらぬ、このように考えているところでございます。  それから、投棄いたしました 自信のないような答弁しておりますが、これは回答によりますと絶対に心配はないと。それで、場合によっては引き揚げることも考えると言っておりますから、御信頼を賜りたいと思います。
  117. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 新長官からこんなことは今後絶対あり得ないというお答えがありましたけれども、今まで五年間で二十二回ものトラブルがあるんですよ。墜落が三回、緊急着陸が九回、模擬弾の誤投下が八回、機体異常で二回墜落に近い状況をしているんです。五年間で二十二回もこういう危険な事故が起きているその真下に地球上で一番恐ろしい施設を今つくっているんですよ。  そして、じゃ、安全審査の基準、その実弾が投下されても絶対安全だという保証がありますか。その基準は、実弾が投下されても壊れないという前提のもとの基準ですか。その点を確認したいと思います。
  118. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 今の御質問に対してお答えするのには、燃料サイクルの全体の安全施設のやり方といいますか、特に航空機の問題ということについて御説明しなければいけないと思います。  核燃料サイクル施設周辺の航空機につきましては、核燃料サイクル施設の南方に三沢空港、それから三沢基地があるということ。同じ南方に三沢対地訓練区域、俗に天ケ森射爆場と言っておりますが、それがあること。そして、そこで米軍及び航空自衛隊の航空機が訓練を行っているという事実がございます。  それで、まず、三沢空港それから三沢基地に関してでございますが、核燃料サイクル施設から距離が二十八キロと離れているということと、航空機は原則として原子力施設上空を飛行しないというふうに規制されるということから、その影響核燃料サイクル施設に及ぶとは考えられない。  また、天ケ森射爆場につきましては、サイクル施設の南方約十キロメートルのところでございますが、そこで訓練している航空機が施設に墜落する可能性は極めて小さいと考えられますが、多数回訓練が行われているということを配慮しまして、再処理施設及び廃棄物管理施設では、仮にエンジン故障を起こした航空機が衝突したとしても壊れないよう安全上重要な建屋の屋根や外壁を設計することとしております。審査においては、この天ケ森射爆場の訓練機については実弾の搭載を想定しておりませんが、これは訓練で使用するのは模擬弾であることについて関係機関から確認しているところによるものでございます。  以上のことから、核燃料サイクル施設の安全審査においては、航空機に関して安全上問題ないと判断しております。  また、今回のF16の実弾投棄と燃料サイクル施設の航空機に関する安全審査との関係につきましては次のとおりでございます。  まず、今回の事態は、先ほどございましたように、天ケ森射爆場における訓練ではなく、南西諸島の鳥島にかかわる訓練であるということ。それから、天ケ森射爆場の沖合に実弾が投棄されたことに関しては、米軍の発表、外務省からの情報等を総合いたしますと、鳥島での訓練に向かっために離陸した航空機がトラブルを起こしたために、米軍の安全規程に従って投棄したというものであること。また、実弾を使用した訓練は年に六回程度であること。さらに、航空機は離陸後速やかに洋上に出て目的地に向かうということでございます。  このようなことから、今回のような事態が起こる可能性は低いと考えられまして、また、仮に起こっても、今回のように投棄場所の安全を確認した上で投棄することになると考えられますので、実弾が施設に到達する可能性は無視できると考えられます。したがって、現状の安全審査で十分であると考えております。
  119. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 絶対にないと言える状況の中でやるんでないと、この施設と軍事施設は両立しないんですよ、させない方が賢明なんですよ。  そこで、今はっきり言ったのは、実弾は搭載されないことを想定して安全基準を設けていると言いましたね。じゃ、絶対にあり得ないんですか。そして、飛行機は年に六回実弾を搭載していると言いましたけれども、それは確認できますか。外務省が確認できますか、防衛庁が確認できますか。  それからもう一つ、防衛庁、実弾は絶対有事の場合でもだめなんですよ。戦争があったってあの施設を爆弾やられちゃ困るんだよ。人類として困るんだ、日本人だけじゃないんだ。ですから、その点の確認をしたいと思います。
  120. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) ただいまの後質問に対しまして、科学技術庁関係します部分についてお答えいたします。  まず、模擬弾と爆弾との関係でございますが、先ほども申しましたとおり、天ケ森射爆場の訓練機については実弾の搭載は想定しておりませんけれども、これは訓練で使用するのは模擬弾であることについて私ども関係機関から確認しているため。にこういう想定をいたしております。  それから二番目に、六回の話でございますが、これは外務省等からの情報によりまして年に六回程度であるということを私ども聞いております。
  121. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 防衛庁も用が足りない、まあそう言っちゃ失礼だけれどもね。  訓練のときに実弾を搭載してないとすれば、有事のときに、一たん緩急あるときに機敏に、それから搭載してすべての飛行機が飛ぶんですか。どういう状態で実弾は置くんですか。
  122. 河尻融

    説明員河尻融君) 訓練につきましては、防衛庁は三沢対地射爆撃場におきましては爆弾、ロケット弾、機関砲の空対地射爆撃訓練を実施しておりますけれども、これは訓練弾を使用いたしておりまして、実弾は使用しないことといたしております。
  123. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 じゃ、有事のときにはどうして積みかえるんですか。何秒間で積みかえることができるんですか。
  124. 河尻融

    説明員河尻融君) 有事の際に何秒間で積みかえるかといったことについて私は資料等を持ち合わせておりません。
  125. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 じゃ、それも後ほど報告してください。  じゃ、科技庁にもう一度お尋ねしますけれども、実弾は想定していないという設計であれば、日本国の人類の安全を期すために、実弾が落ちても完璧な施設でなければならない、私はこう思います。これからその設備の設計変更をする考えがありますか。これは長官から、政治的な判断ですから。
  126. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 先ほどからの答弁の繰り返しになりますが、天ケ森射爆場で実弾を使った訓練をやっておりませんものですから、模擬弾で訓練をやっておるものですから、その模擬弾を使っているという事実に基づいての安全審査をやっておるということでございます。
  127. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 正直に言ってくださいよ。三沢に配属されている飛行機が沖縄の鳥島へ飛んでいくときは実弾を積んでいくんでしょう。その近海を飛んでいくんでしょう。事故というのは方角だって違い得る場合もあるんだよ。どのくらいの速度で飛んでいると思いますか。何秒もたたないうちにその施設に——何秒という秒数じゃないよ、瞬間的に六ケ所には飛んでいくんだよ、もし誤って飛んでいったら、あるいは逆戻りしてきたときでも。ですから、その近辺にそういう危険な施設は持つべきじゃないというのが賢明な判断なんだよ。長官の判断を聞きたいと思います。
  128. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 実弾、つまり鳥島方向に実弾を持って訓練に向かうという航空機につきましては、先ほど申しましたが、航空機は離陸後速やかにに洋上に出るということを私ども聞いておりまして、かつまた、年に六回程度ということもございまして、先ほどの御説明の繰り返しですけれども、そしてなおかつ、仮に何か起こったとしても、今回のように投棄場所の安全を確認した上で投棄することになると考えられますので、実弾が施設に到達する可能性は無視できるというふうに考えております。
  129. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 事務当局は同じ答弁の繰り返しですから、やはりこうなったら長官の考えをここで聞いて、この問題はおきたいと思います。誠意ある答弁をお願いしますよ。
  130. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) 極めて誠意のある答弁をいたします。  今いろいろお答えしておりますように、この施設の建設につきましては、とにかく近くに訓練場がありますけれども、そこでは絶対に実弾を使ってない、模擬弾だけだということでございますから、実弾のことはこれはもう絶対あり得ないことですから、施設をつくる際の安全審査では考慮をしておりません。  今度の飛行機も全く北へ向かったんじゃなく、西へ同かって、もう飛行場からすぐ飛び出していって、それから故障が起こったからわざわざ落としていいというところまで下がってきて落としておるのでありますから、こういうことは、今申しましたように、絶対起こり得ない。まあ、何か操縦を誤ってこっちへ来ることがあるかもしれませんが、そんなことは方々ありませんですから、私が申しましたように、今の審査で大丈夫であると、こう思っております。
  131. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 じゃ、外務省にもう一回確認しておきますけれども、米軍に対しては厳重な申し入れをしていただくということと、その確認として、絶対に実弾を搭載してあの周辺を飛んではならないという、周辺というのは相当な範囲を、私は専門家ではございませんけれども、実弾を搭載して飛来するときは必ず日本政府に通告して飛んでくださいということを申し入れてください。そのことを確認して、私にその結果を御報告いただきたいと思います。それについてのお考えをお聞かせください。
  132. 原田親仁

    説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。  我が国は、現在、航空機による原子力施設に対する災害を防止するため、約七十カ所の原子力施設付近の上空の飛行はできる限り避けるとの飛行規制を行い、これを航空情報として公示しているところでありますけれども、米軍も右公示を十分尊重して飛行を行っており、この点につきましては当方から累次の機会に米側に対し確認をしているところであります。  六カ所村の核燃料サイクルの施設につきましても、ウラン濃縮施設が航空路誌に公示された本年三月でございますが、公示されたのに伴い、本年三月の日米合同委員会で、同施設を含め原子力施設付近の上空の飛行規制についての一層の徹底を図るべき旨改めて米側に対し申し入れを行っておりますので、先ほど申し上げましたとおり、十一月二十日、今回の事故に関する申し入れに際しましても同様の申し入れを改めて行ったことは先ほど申し上げたとおりであります。  米側よりは、原子力施設付近の上空の飛行について、在日米軍は従来より日本側の規制を尊重してきており、六カ所村についてでございますが、核燃料サイクル施設の南にある鷹架沼より南の空域を飛行している、今後とも在日米軍内で右を徹底させる旨述べているところでございます。
  133. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 さっき言ったことを外務省が遵守してくださいよ。  それでは、時間がないようですから全面的に私の質問の方法を組みかえます。  そこで、防衛庁、外務省がいる段階で質問したいと思いますけれども、ウラン、プルトニウムの輸送についてお尋ねしたいと思います。  これは、外務省、防衛庁それから海上保安庁、三つが関連する、もちろん科技庁も関連しますけれども、返還プルトニウムは専用船で来るんですか。専用船で来るとすれば、その専用船がいつどこでどういう仕様で建造されて、その進捗状況、それについてお尋ねをします。
  134. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  イギリス及びフランスからのプルトニウムの返還輸送に際しましては、英仏から我が国まで無寄港で帰港できる十分な航続距離を持ちました専用輸送船が用いられることになります。  その具体的な仕様、日時等々につきましては、決まっておるところもありそうでないところもありますので、今申し上げることは差し控えさせていただきます。
  135. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 決まってないこともあるし決まっていることもあるから報告できない。ということはどうなんですか、今現実にその建造に当たっているんですか。誠意を持って答えてください。
  136. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  輸送の専用船につきましては、現在、検討中でございます。  ちなみに、この船を護衛する船につきましては、御承知のとおりに、護衛船が進水して艤装中という、そういう状態であるわけでございます。——今護衛船と申し上げましたのは巡視船のことでございます。訂正させていただきます。
  137. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 今巡視船というお答えが出ましたけれども、ただいま本百二十二臨時国会でPKO法案が議論されておりますけれども、もしもこの法案が成立されて自衛隊が海外派遣が可能になるという、平和憲法を拡大解釈してそうなった場合に、今想定されているそのプルトニウム輸送船の護衛艦は海上保安庁の巡視船がそのことに当たるということになっていますけれども、その点についてはPKO法案の絡みでどうなりますか。
  138. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  プルトニウムの海上輸送の護衛の問題につきましては、護衛の船といたしまして海上保安庁の巡視船を派遣する方向で関係省庁協力いたしまして現在諸準備を進めておるところでございます。  それから、プルトニウムの海上輸送に当たりましては、護衛船の同行に加えまして、輸送船におきます種々の核物質の防護措置を講じまして、また、広範な通信の体制を確立いたしまして、輸送に関係いたします防護体制は万全なものになると考えておるところでございます。したがいまして、自衛艦を護衛に充てることは検討していないところでございます。
  139. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 ただいま自衛艦は護衛する検討はしていないという答弁でありましたけれども、検討ではなくして自衛艦は護衛しないと断言できますか。
  140. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 重ねてお答え申し上げますが、現在、海上保安庁の巡視船で護衛するということで全体計画を進めておるところでございます。
  141. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 そのことはわかっているんですよ。既存の方法で予定どおりそれは輸送するというわけですから。ですから、これから想定されるPKO法案が通った場合に自衛隊が海外派遣ができるという段階になったときに、海上保安庁の巡視船は護衛するけれども、海上自衛隊のそれも護衛するのかどうか。しないと断言できますかとお聞きしているんです。
  142. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  PKOの法案は国連の活動に対します我が国貢献方策に関するものと承知しております。他方、プルトニウムの返還輸送はそのための護衛も含めまして我が国原子力開発利用の一環として実施するものでございまして、両者は全く別の事柄と認識いたしております。
  143. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 別のことじゃない。しないと言えますかということを聞いているんだよ、政府として。
  144. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 重ねてお答え申し上げます。  したがいまして、私どもの現在の計画では自衛艦による護衛を行うことは考えておりません。
  145. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 それではもう一点、先ほど同僚の稲村委員も質問いたしましたけれども原子力関連施設の地層の問題で先ほど質問いたしましたけれども、先ほど局長、五万年前以降、青森県の下北、あの地帯に地震がないから、ないものと想定して、地震があることは考えないで建設をしているというお答えをいただきましたけれども、きのう関代議士も質問しましたように、一九七八年にはっきりと地震があの東海岸で起きているわけでありますが、その事実をどう思いますか。
  146. 谷弘

    政府委員(谷弘君) 先ほど稲村先生の方へ御説明申し上げました五万年というのは、ちょっと誤解をお持ちかと思いますが、まず重要な施設につきましてはすべて過去の地震は調べまして、Aというグレードについて申し上げましたけれども、それについては過去の地震の中で大きなものをすべて拾って、それに耐えられるように設計したというのが一番目でございます。  さらに、そのAのクラスの中でも特別に重要なASクラス、Sというのはスペシャルということでございますが、そういうものについてはそれに加えて理論的に考えられる地震の震動数でもう一度要件を加えるという御説明をしたわけでございまして、その中には先ほど言いました第四紀の後期に当たります五万年以上の期間動いていないという要件が入っておりますということを御説明したところでございます。
  147. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 きのうの衆議院のやりとりと同じような格好になりますけれども、一九七八年のいわゆる三沢沖の地震、これはマグニチュードに計算し直すと八・幾らになるという計算だし、その地震はASに該当しますか、Aのランクに該当しますか。
  148. 谷弘

    政府委員(谷弘君) ちょっとお配りしてなくて恐縮でございますが、先般青森県で実施をいたしました公開ヒアリングの席上で、再処理の審査についてはこういう青い私どもの審査結果を示しました資料を青森県の方々にお配りしてございます。(資料を示す)これの四十ページに青森県、東北地方及び北海道周辺におきまして起こりました過去の地震の一覧表が書いてございます。この中でどれがシビアか我々がこの中の最大値を使ったという説明がついてございまして、これはASより一つ下のAクラスの地震の際に既に考慮をいたしております。
  149. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 じゃ、そのことについてはその後また、専門の関先生もここで待機していますが、衆議院の方でやられると思いますから、以上で終わりたいと思います。  それでは、ほとんど時間がなくなりましたから、そこで最後になりますけれども谷川長官にお願いします。  いつも原子力開発は安全第一で、そしてまた、国民の理解と協力を得て安全裏のうちに進めるということをどなたも申し上げるわけでありますけれども、今までのやりとりを聞いていましても、さっきは美浜の振れどめ金具が設計どおり入っていない、そういうこと。いろんな事故が、福島の第二原発しかりで、いろんなところに想定しない事故が起きているわけでしょう。ですから、私は安全第一ということが、果たして安全が確保される技術がこの世界にあるのかないのか。その意味日本の技術が世界で最大量高の技術であって、日本の操作する人間が、世界原子力産業の先進国はいっぱいありますけれども、現時点の日本の技術とその建設技術というか、また操作する人間世界一であるかということを断言できますか。
  150. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 大臣の御答弁に先駆けまして事実関係のみ答えさせていただきたいと存じます。  我が国はこれまで原子力安全性、信頼性の確立のために全力を挙げてやってまいったところでございまして、技術開発にも不断の努力を重ねてきたことは先生方御承知のとおりでございます。  近年の原子力発電所の運転でございますが、これはさまざまな事故、事象等が発生いたしまして御心配をかけたりはしておりますけれども、年度ごとの設備利用率について見ますと、一九八三年度に初めて七〇%を超えまして、以来ずっとこれまで七〇%以上の水準を維持してきておりまして、稼働状況世界的に見ましてトップレベルにあると言うことができると存じます。  また、我が国原子力発電所の一九八九及び九〇年度のそれぞれの一年間の計画外の停止回数を比較いたしますと、諸外国よりずっと少ない状況にございまして、基数当たり両年とも約〇・三回という、そういう数字になっておるところでございます。これは、今も申しましたように、国際原子力機関によります他国の新しいデータと比較い、たしましても非常にその頻度は低いと言うことができると思うわけでございます。  それで、このような稼働状況あるいは計画外停止の状態、あるいはその他全体、これは原子力発電所にかかわることでございますけれども、それ以外の核燃料サイクル局りの技術全体を概観いたしました場合、我が国原子力の技術は、国内にも確固たる技術基盤を有しておりまして、世界のトップレベルにあると申し上げてよろしいかと存ずる次第でございます。
  151. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 それでは、時間がなくなりましたから、私の意見を若干申し上げ、そして要望を申し上げて、最後に長官の決意を伺いたいと思います。  私は、おかげさまで先般、六月でしたか、ヨーロッパ四カ国のエネルギー事情調査団の一員として行かせていただきました。私は、世界の趨勢はエネルギー政策からエネルギー開発縮小の方向に行っていると、こう思っています。日本とフランスだけは拡大の方向に行っている。そのフランスヘ行ったときに、フランスの与党のあるエネルギー関係の議員が、やはり私と同じような立場の人でありました。女性の議員でありました。その議員がいわく、私も三上さん、青森県と同じような選出母体ですと。世界原子力発電から出る廃棄物が完全に安全に処理することのできないままで、フランスでもこの政策という事業というものを発してしまった。ですから、私は地元で選挙を戦えないから、やっぱり最終的には原子力というものは人類が見直さなきゃならないエネルギーであると切々と言ってくれました。私もそう思うんです。  そこで、国民の合意を得るとすれば私はいろんな形で、先ほどどなたかの質問で若い人、女性を中心にして理解を求めると言いましたけれども、私はそれよりも、反対を唱えている、慎重を唱えている学者を反論できないような論理で皆さんが理解させることだと思うんですよ。それがないままに、無知の者を——無知と言っては失礼ですけれども、子供だましのようなことばっかりやっているから、ある程度常識にたけた人たちが反論する、不信も抱くんですよ。ですから、世界の学者を集めて、世界の反論する学者に理解を求める。悲しいかな、この間フランスでは、その説明に当たった人が、残念ながら反対の論理を私は否定する論理を持っていないと、スーパーフェニックスでの答弁者がはっきりとそう言っているんです。政府の代表の方も言っていますよ。そういう状態なんですよ。  ですから、確かに安上がりなエネルギーであり、クリーンなエネルギーであり、安定したエネルギーであると言いますけれども、しかし、将来的に幅広い環境の問題、その毒性の問題、そういうことを広い意味で考えた場合に、果たしてこれは今人類最大のエネルギーではないと、私はこう思うんです。ですから、別なエネルギーの開発にもっと力を入れていただきたい。  科技庁の予算の中で六〇%まで原子力にだけ投資している。これで、先ほど自民党の先生方も質問していますけれども基礎研究にもっと力を入れると言っていますけれども、実態がそうじゃないですか。別なものにもっと投資をしなさいよ。我々、施設を回っているときに、どの関係者からもそんなことを聞かれますよ。それは自民党の先生だって野党の先生だってみんな同じことを聞かれている。なぜそれをやらないんですか。そのことを申し上げて、そのシンポジウムを、世界の反論する学者と推進するあんた方が選ぶ学者と公正公平な公用ヒアリングをやっていただきたいということを含め要望して、最後に長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  152. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) 委員のお話はよく承りました。  原子力以外にいろんなエネルギー源を研究すべきではないか、また、異論のある方ともよく意見の調整をすべきではないかというお話でございますが、とにかくエネルギー資源の約八割を海外から輸入しております我が国におきましては、その安定供給を確保するのが重要だということは委員もこれは御賛同賜っておると思います。このために、原子力開発利用を進めますとともに、今お話もありましたが、太陽とか地熱とか海洋とか風力等の新エネルギーに関する研究開発も進めておるところでございます。  例えば、大陽エネルギーにつきましては太陽電池の研究開発、地熱エネルギーにつきましてはその掘削とか採取技術の研究開発海洋エネルギーにつきましては火力発電の研究開発等、各省庁とも緊密な連絡をとりましてやっておりますし、今後とも進めていきたいと思っております。  しかし、原子力がただいま基礎発電電力量の約三割を賄っておりまして、供給の安定性はさっき申し上げました。経済性、それが最近では重要になっております環境影響面等に非常にすぐれておりますから、これが一番重要なエネルギー源だと思って、安全性を重視しながらこれからも進めていこうと思っておるところでございます。  今の意見の違った方々を集めて国際シンポジウムという御意見でございますが、大変……
  153. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 一緒に一緒に。一緒にやってもらう。
  154. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) ええ、そうでしょう。議論を交換したらと、大変有益なサゼスチョンでございますが、まあ、なかなか反対の関係方々は自説を曲げませんで、そういうシンポジウムをやりまして果たして効果的なあれができるかどうか私も判断がつきませんから、ちょっとこれは一つ研究課題ということにさせていただきたいと思います。
  155. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣、就任おめでとうございます。科学技術、先ほどからいろいろと幅広い分野でのこれは事業でございますので、また活躍をお願いしたいと思います。  最初に、最初というよりも、きょうは就任されました大臣に最初でございますので、基本的なことをお尋ねあるいは要望しておきたいと思っておりります。  最初に、我が国研究開発の主たる担い手につきましては、先ほども同僚委員からもお話しございましたけれども大学あるいは国立試験研究機関などの公的研究機関あるいは民間企業等でそれぞれが担って、それぞれのまた機能を行っているわけでございます。大学は、個人の自由な発想に基づく基礎研究を行うとともに人材を養成する使命があります。あるいは国立の試験研究機関というのは、行政ニーズに対応して組織的な研究開発を行っていく。民間企業は、製品開発に関連する研究開発を行っていく。それぞれがそれぞれの特色を担って日本では行っていると思うんです。  その我が国研究開発の規模を見てみますと、民間企業の活発な研究開発投資などを反映して急速に拡大いたしておりますけれども研究開発費が十一兆円弱と世界のトップクラスとなっていると聞いております。ところが一方、大学とかあるいは国立試験研究機関、これは以前から改善の必要性が指摘されてきました。それにもかかわらず、この十年間というのは、国の厳しい財政事情もありましたんでしょうけれども、予算にシーリング枠が適用されまして、両者の財源でありますところの科学技術関係予算あるいは高等教育予算の伸びというのはわずかなものにとどまってまいりまして、総じて環境は著しい悪化が進んでいるわけでございます。  そのシーリング枠が適用されてからの予算の年平均伸びは、科学技術関係予算が三・七%、高等教育予算は三・五%にすぎない。しかも、この限られた予算の中で新しい研究所やあるいは大学大学の設立など、新たなニーズにも対応せざるを得なかったために、既存の大学とかあるいは機関にも大きなしわ寄せが来ているのが現状であります。  私どもの党におきましても、文教部会等で国立大学のいろんな研究機関の実情も調査いたしました。あるいはせんだって報道されたように、大阪大学研究室ではガス爆発の事故もございました。そのように既存の国立大学では施設に対する投資が言うなれば過去のピークの半分に落ち込んでいる結果、建物が老朽化しておりますし、研究スペースも限界を超えた狭さになっております。その中で、積算校費と言われるところの一般的な研究費もほとんど伸びていない。実験装置も古いのが多い。教官、研究者の待遇もよくない。研究支援者も減らされている。このように劣悪化する環境というのは、単に大学教育及び基礎研究の足を引っ張るだけじゃなくて、博士課程に残って研究しようという学生の意欲も喪失させているのが現状です。こういった現状の中で、文部省としましてはどういうような方針で今後この事態を打開しようとされているのか、御答弁願いたいと思います。
  156. 若林元

    説明員(若林元君) 御説明申し上げます。  先生指摘のように、近年、国の財政状況は大変厳しいわけでございますが、そういう中で国立大学施設設備の老朽化が進みましたり、また、大学の教育研究条件が悪化しておるというふうなこと、各界から御指摘を受けておるところでございまして、この点について私どもも憂慮いたしておるところでございます。  繰り返しになりますが、我が国を取り巻きます財政状況は依然として厳しゅうございますが、学術研究推進とそれから有為な人材養成の担い手である大学教育研究条件の改善充実ということは、我が国の将来にとりましても大変大事なことであるというふうに認識いたしまして、平成四年度概算要求におきましても、このような状況の改善に資するため、特に国立大学につきましては、施設費や教育研究経費の重点的な増額などを要求いたしておるところでございます。今後とも国立大学整備関係のほか、科学研究費も含めまして必要な予算の確保について最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  157. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大学だけじゃなくて、国立の試験研究機関研究環境が劣悪化していると言えると思いますね。せんだっても当委員会でも視察に参りました。研究者高齢化若手研究者不足ということで非常に深刻な状況になっておりますね。これは、二十年ほど前から始まりました公務員の定員削減、それによって研究支援者あるいは研究者の新規採用が難しくなってきておりますし、その研究支援者の不足はもとより、研究者の平均年齢はかなり高くなっているということが言えると思うんです。現在、国立試験研究機関研究者の平均年齢は四十歳を上回りまして、これは民間企業に比べましても著しく高くなっているのが現状ですね。  さらに最近では、やはり若い人たちの理工系離れと申しますか、国民科学技術離れが進んでいるという状況です。そういうことを考えてまいりますと、今後の我が国科学技術研究開発研究者あるいは技術者の質と量の両面から大きな制約を受けかねない、こういうふうに思うわけでございますが、こうした研究開発体制のままでは、今後、我が国が引き続き科学技術の面で発展していくかどうか、あるいは国際的に応分の貢献というものが求められているときにそれにこたえられるかどうか、もう甚だ疑問と言わざるを得ないと思うんですが、その点どうでしょうか。
  158. 須田忠義

    政府委員(須田忠義君) 二十一世紀を展望した今後十年間の科学技術政策、これを今科学技術会議答申作成中でございますが、その中で非常に重要問題ということで二点を挙げればまさしく先生のおっしゃった研究開発投資の問題と人材の問題であります。したがって、科学技術会議においてその二つについては特別の小委員会を設けまして、産官学、各界の専門家を結集いたしまして審議をしております。したがって、そこで出てきた施策について我々は一生懸命に努力していこうというふうに考えております。  御指摘のとおり、研究開発経費、人材、これは非常にゆゆしき状況に立ち至っているということはまさしく同感でございます。
  159. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど同僚委員から基礎研究強化の必要性ということでもお話がございました。欧米先進国ではこういった基礎的研究強化を図ることが国家の将来の競争力を確保する重要な投資であるという、こういう位置づけをして各種の施策がいろいろ講ぜられていると聞いているわけでございますけれども、中でもアメリカでは基礎的研究の財政的支援機関として世界最大の国立科学財団、NSFが研究者あるいは技術者の研究開発の援助あるいは科学教育、人材資源の支援、基礎研究予算の増額などをいろいろと図っておりますし、西ドイツでも国の研究費のうち基礎研究費の占める比率を高めようと努力しておりますし、フランスでも国立科学研究センター、これを強化する予算あるいは研究者の増加をいろいろと図っております。あるいはイギリスでも研究契約とかあるいは人材交流促進とか、民間資金の活用など、新たな基礎的研究強化策がいろいろと図られているわけでございますが、こういった点で比べますと、どうしても我が国では非常なおくれと申しますか、力の弱さを感ずるわけですが、その点はどのようにされようとされていますか。
  160. 須田忠義

    政府委員(須田忠義君) 公明党さんから過去も含めまして基礎研究の支援機関、いわゆる日本版NSF、そういう概念の機関の設置、そこを通じて基礎研究強化を図るという提言がずっとなされてきていることは十分承知しております。  今、我々、科学技術会議において非常に多方面からの施策を検討してございます。したがって、先生、今御指摘のことも一つ頭に描きながら、総合的な政策の中でどうしていくのかというのをもう少し議論し、検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  161. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今いろいろと検討されているようでございますが、これからいろんなそういう支援策ができましても、研究者不足、先ほど申しました量と質の問題でございますが、やはり研究開発というのは研究者によって支えられているわけですから、我が国のその研究者状況を見ますと全体で今四十八万人に上ると、こう言われているわけです。その内訳を見ますと、民間企業に三十一万人、大学に十三万人、国立試験研究機関など公的研究機関に三万人などということで、全体で四十八万人と聞いております。民間企業に関して経団連で一昨年実施しました調査によりますと、七割の企業が技術・研究開発職が不足している、今後採用をふやしていくと回答した企業が全体の過半数を占めていた。特に、電気、電子、通信、情報・コンピューター、制御、計測などの分野で新卒需要がかなり逼迫すると予想されていますね。  一方、十八歳人口が来年度をピークに今後十五年間で四割も減少して、進学率の大幅な上昇が見込めないとしますと、大学あるいは大学院入学者数は大きく減少するんじゃないかと思いますね。これに、先ほど申し上げました若い人が理工系離れをしていく、あるいは国民科学技術離れが加わりますと、研究者あるいは技術者がますます不足していくことになります。この問題に対しましてやはり多面的な対応というのが必要となってくるんじゃないかと思うんですね。最も重要なことは、中学、高校における理科教育及び大学あるいは大学院の理工系教育を魅力あるものにしていく、少しでも多くの優秀な研究者、技術者を養成できるようにすること、これが大事じゃないかと思うんですが、それに対する対応としてはどのように科学技術庁は考えておられますか。
  162. 須田忠義

    政府委員(須田忠義君) 先生指摘のとおり、最近、高校卒業生、いわゆる大学進学の統計なんかをとりましても、文科系が圧倒的な比重になって理工系が非常に少なくなっているという問題、それから二十歳代の青少年のアンケートをとったら科学技術関係のニュースにほとんど関心がない、そういう関係、それからせっかく理工系大学を出ても製造業に行かない、研究者にもなりたくない、いろいろ先生がおっしゃる研究人材についての育成については問題点が存在しております。これについては、二十一世紀を踏まえた我が国科学技術政策を考えれば大変な問題で、我々も相当危機感を持っているところであります。  それで、じゃ、その原因はどこにあるのか、対策をどうしたらいいかという前にまず原因はどこなのかという分析をいろいろしているわけですけれども一つは、やはり青年期において自然やいわゆる物に触れる機会がほとんどなくなってきている、こういうような今育ち方をしておるというのが統計上出ています。しかし、これも今受験が激しいときに物に触れている暇があったら勉強やれという、そういういろいろな多面的な要因によってそうなっているということが言えるかと思います。したがって、そういう理由とか、科学者や研究者環境、処遇が非常に劣悪だという感じの喧伝、そういう話が行き渡っちゃっている。これがかなり誤解も含むんですけれども、そういうイメージ、そういうのも払拭しなきゃいかぬと思っているんですが、そういう問題。それから、小学校から実験、実習、これが非常に重要な時期にかなりやられていない。そういう非常に複雑な、多面的な問題が指摘されていまして、そういうことに起因してあと二、三十年後には五十万足りないとか二十万足りないとか、絶対数の問題と質の問題、これが指摘されております。  したがって、我々、科学技術会議の先ほど申しました二十一世紀の中の展望においては、普及啓発、これも非常に大事だということ、それから実体験といいますか、青少年のうちにおける物、科学技術に対する実体験をもっともっと体験させるということで、総合的な施策を今検討してございます。その中には、どうしてもやはり小中学校の理科教育の問題、それから大学における大学院、学部、そういういろいろな教育制度、こちらの方にも及ぶような非常に広範な対策を今議論しているところでございます。そういうものに沿って、これは一朝一夕にすぐわっとこっちに返ってくるという感じは非常に難しい議論ですけれども、最大限努力してまいりたいというふうに考えております。
  163. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは通告してなかったんですが、文部省はどう思いますか。
  164. 若林元

    説明員(若林元君) 御説明申し上げます。  理工系学部への入学者数そのものは現在も増加しているわけでございますが、理工系の学部を志します生徒の比率、いわゆる志願率でございますが、これは確かに減少傾向にございます。その原因については、今もお話しございましたが、いろいろあろうかと存じますが、まず第一に、一番大事なことは、先生も御指摘のように、理工系学部それから大学院の教育研究環境整備して魅力あるものにするということではないかと考えております。  このため文部省では、一つは、いわゆる先端科学技術分野の学科の新設など、教育体制を充実するというふうなこと。それから二つ目は、大学の理工系学部におきます社会的に要請の強い、そういうふうな学科への改組転換、それから入学定員の増。さらには、さきに先端科学技術大学大学というふうなものを創設いたしましたけれども、こういうふうな大学院の修士課程それから博士課程の研究科の整備充実。さらには、今も御指摘ございましたけれども、今後十八歳人口が御案内のように減少してまいりますので、大学におきます社会人技術者、これも大変必要になろうかと思いますので、この社会人技術者に対する再教育の実施。こういうふうなものを通じて、先ほど申し上げましたように、理工系学部、大学院の研究環境整備しまして優秀な学生を集めてまいりたいと思っております。  さらには、高校生の志望大学の選定に当たって、もちろんこれは本人の興味、関心というのは大変大事でございますが、その本人の興味、関心、それから能力、適性等を十分に勘案して適切に指導をしてまいりたい。このような政策を通じまして、大学における理工系人材の養成に努めてまいりたい、このように考えております。
  165. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは大臣に、今、予算の時期を控えていろいろと交渉されているようですけれども科学技術予算の拡充の必要性についてお尋ねしておきたいと思うんです。  今いろいろと話がありましたように、今後いろんな面の日本の国の発展というのはあろうと思いますけれども、その基礎をしっかりと固めて、あるいは国際社会のリーダーとしてその役割を果たしていくためには、科学技術予算あるいは高等教育予算、これは文部省関係だと思いますが、シーリングの枠を見直すなど、早急に我が国研究開発体制を立て直していかなきゃならないいろんな課題があろうかと思います。  我が国研究開発の規模について見ますと、確かにアメリカに次いで世界では第二位というふうになっております。ところが、先ほども話にありましたように、大学研究環境の劣悪化、特に国立大学はひどいんです。大臣の母校も研究開発環境としては余りいい方ではないんじゃないかと思いますね。あるいは欧米からの批判などによっていろんなものをつくったと思いますけれども政府の負担が余りにも少ないところにあるんじゃないかと思うんです。その予算のシーリング枠がある限り必ずどこかにしわ寄せがされていく。財政再建中ということでございますけれども、事態の緊急性、あるいはこの際やはり思い切った措置を講じていかないとこれは改善されてこないんじゃないか。  例えば政府研究開発費は、現在、GNP比で約〇・五%でありますけれども、これを五年間で倍増してGNPの一%まで引き上げるとか、そういう明確な目標を設定してその実現を図るべきじゃないかと思うんですが、大臣としてどのようにこれからの予算の拡充に取り組まれる御所見でしょうか。
  166. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) お話がありましたように、大変科学技術庁は一生懸命頑張っておりますが、今まではシーリングで大分抑えられておりましたけれども、このシーリングも来年度の予算の概算要求につきましては六・二%、一般よりは大分優遇された枠をつくってもらっておりまして、若干財政当局も理解を示してくれていると思っております。これでもちろん足りません。太田委員のおっしゃるように一遍に倍というわけにもいきませんが、足りません。でありますが、来年度また非常に税収も減っておりますし、バブルが消えまして大変厳しい財政事情でございますので、これは従来以上に頑張ってやらなきゃならぬと思っておるところでございます。またいろいろと御支援を賜りたいと思います。
  167. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、文部省にお尋ねします。  大学はこういうことも言われているわけですが、それを悪く言えば競争のない、画一的で悪平等に運営されている、無風無批判のなれ合い社会である、こういうことも聞いておるんです。あるいはまた、教官、研究者の流動性がない。あるいは翻訳文化から脱却していない。各方面からいろいろと批判されているわけですが、大学の教育面あるいは研究面を通じまして内部からの改革が強く望まれている。特に大学制度並びにマネジメント全般の抜本的見直しが必要でありますし、また、ポストドクターの問題にも対応する必要がある。しかし、現行の少ない予算を前提にする限り、これはいろんな議論されたって、それは繰り返すだけでなかなか前へ進むことができない。そればかりか、本来国が負担すべき資金をなし崩し的に民間企業に期待するという非常にゆがんだ姿になってくると思われます。  先年決定されました公共投資基本計画におきましては、「教育、研究の高度化等に対応した設備整備を着実に推進する。」という研究インフラの重要性が指摘されていることを踏まえましても、国としては思い切った予算を大学強化のために投入するということを決定すべきじゃないかと私たちは思うんです。そしてその上で大学に改善を迫る、こうすべきじゃないかと思いますが、文部省としてはどのようにお考えでしょうか。
  168. 工藤智規

    説明員(工藤智規君) 大学、特に国立大学の教育研究体制につきまして、今し方御指摘がありましたように、いろいろ批判があるのは私ども承知しておりますし、全く現在そういう批判は当たらないといいましょうか、問題がないと言うつもりもございませんが、ただ、私ども意を尽くしておりますのは、確かにいろんな先生方もいらっしゃいますし、いろんな教育研究をしていらっしゃるわけでございますが、我が国大学というのが、その役割を考えますと、一つには有為な人材養成という機能がございますし、もう一つには我が国における基礎研究推進中心的な担い手であるということがあるわけでございます。  その研究内容といいますのも、すぐ世の中に成果が還元されるような内容のものもございますけれども、そうではなくて、全く経済的にはどういうものになるかわからないけれども、自然あるいは科学に対する新しい知見として大事なこともあるわけでございますので、なかなか一概には評価しにくい面もあるということを私ども常々認識しているところでございます。  それとともに、やはり一番大事なのは、だめな部分の改善というものも必要なわけでございますが、その努力を否定するわけじゃございませんけれども、それ以上にむしろアクティビティーの高い先生方、すばらしい研究を行っている方々にできるだけ研究条件をサポートして教育研究をしやすいようにする、それを引き上げていくという施策の方に重点が必要ではないかと私どもは考えているわけでございまして、今後の高等教育のあり方としまして大学審議会でも貴重な御意見をいただいておりますが、一つには高等教育の個性化、もう一つには大学院を中心とする教育研究の高度化という方向性が示されているわけでございます。  したがいまして、私ども、力が足りない面はございますが、大学の管理運営等の面での改善を他方で行いながらも、そのようなアクティビティーの高い研究者に対する重点的な教育研究費の配分、予算措置ということに来年度概算要求の上でも、先ほども申し上げたかと思いますが、施設設備研究費あるいは大学院生に対する処遇なども含めまして微力ながら努力を傾けているところでございます。その上でも必ずしもまだ十分ではございませんので、先生指摘のように、またさらに特別の措置ができないかどうか、目下科学技術庁通産省などとも御一緒に我が国全体の基礎研究のあり方につきまして連絡などをしながら知恵を絞っているところでございますので、今後ともまた御指導いただきたいと思います。
  169. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国立試験研究機関につきましても、この活性化をするためには科学技術会議十三号答申、「国立試験研究機関の中長期的あり方について」が昭和六十二年に出されましたが、これに沿ってその役割を抜本的に見直す必要があろうかと思いますけれども、当面、第一には、予算を確保して研究環境を改善すること。二番目は、研究者のライフステージに応じた処遇を行うこと。第三点は、研究交流促進法を改正して研究者の流動性を高めることが必要ではないかと思います。あるいは第四点としましては、これはやはり研究機関整備とあわせまして異なる分野、異なる機関研究者が新たな発想の転換を図るために、省庁等の組織の枠組みや国籍等を越えて交流できる機会とか場を整備することも研究の活性化を促進する上で必要だろうと思います。第五点には、従来から科学技術に対する啓蒙活動を続けてきている学術団体などを国で支援してその活動を大いに活用すべきである。こう考えますけれども科学技術庁としてはどうお考えでしょうか。
  170. 長田英機

    政府委員長田英機君) 先生から今お話しございました科学技術会議の十三号答申でございまして、ここで国立試験研究機関の中長期的なあり方につきまして六十二年八月に報告がございます。  その中で、研究環境の改善につきまして、研究施設設備整備、あるいは研究支援機能の充実、あるいは研究条件の弾力化、こういうことが指摘されております。これにつきましては、先生から今五点ほど御指摘がございましたが、逐次申し上げさせていただきますと、研究施設整備につきましては、何といいましても設備充実に努めるということは非常に重要なことでございます。言うまでもないことでございますが、特に昭和六十二年度には補正予算を組みまして、ここでかなり施設整備が行われたわけでございます。もちろんこれで十分だということではございませんので、これからも努力していかなければならない、そう考えているわけでございます。  また、国研の職員の処遇問題につきましては、先生から先ほど御指摘がありました非常に高齢化しているとか、いろいろな国研の抱えた人間面の問題がございます。これにつきましては、私どもから人事院の方に対しましていろいろな処遇面の改善をお願いしたいということで、例年大臣御自身で人事院総裁のところまで行っていただきまして要望をしているということで努力をしてきております。  また、研究交流の問題でございますが、これにつきましては六十一年に法律ができまして、それの運用に当たってきておりますが、必ずしもまだ十分なものじゃございませんので、その研究交流をますます促進するための法改正を今行うべく各省庁と調整を進めております。  さらに、発想の転換といいますか、啓発といいますか、そういう面の御指摘が四点目としてございまして、これもそのとおりでございまして、研究者はやはりいろいろな分野研究者が集まっていろんなことをお互いに啓発し合うというようなことが非常に重要と思いますので、そんなような相互啓発を行うための場を提供するような予算、これを来年度要求しているところでございます。  それから、いろいろな科学技術の啓蒙関係の団体のお話がございました。この啓蒙につきましては、私どもは各省庁と協力しながら四月の十八日を含む一週間を科学技術週間と決めまして、いろいろな催しを集中的にやって、国民の間で科学技術が認識、普及されるように努めておるわけでございますが、先生が今御指摘の団体に対する助成といたしましては、日本科学技術振興財団とか、あるいは各地区にある科学技術センター、こういうところに委託費を出したりいたしまして、各種の広報活動をやっているところでございます仁
  171. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国際貢献ということが最近ますます要望されてまいりました。研究交流を見てみますと、近年における経済活動のグローバリゼーションは急激に進展をして、世界においては相互依存関係がますます深まっているわけでございます。これに伴いまして国際交流も拡大しているわけでございますが、我が国研究技術者の国際交流、これを見てみますと、入国は途上国から、出国は先進国へというのが多いわけでございまして、出国、入国ともに一九八六年ごろから急激に増加しているわけですけれども、出国の伸びが大きく、両者の差は拡大しているわけです。  我が国国立試験研究機関国立大学におきますところの日米間の研究者交流を見ますと、総数では日本からの派遣が米国からの受け入れの五倍になっているわけですね。  こういうようなことを見ますと、これからやはり日本の国としても受け入れということをふやしていかなきゃならないと思うんですが、それに対する対応はどんなふうに考えておりますか。
  172. 長田英機

    政府委員長田英機君) 研究者外国との交流の問題でございますけれども、これにつきましては、先生からお話しございましたように、いろいろ数字があるのでございますが、五倍とか十倍とかいろいろ数字ございますけれども、いずれにせよ非常なアンバランスがございまして、これにつきまして外国の方から何とか是正できないかという声が非常に強く寄せられているわけでございます。  そういうような状況にかんがみまして、私ども昭和六十三年度から科学技術庁のフェローシップ制度という新しい制度をつくりまして、例えば受け入れ人数では百人から出発いたしましたけれども平成三年度は百八十人になっております。そのほか、本年は米国の大学院の学生を日本に招きまして、そして日本生活をして、語学の練習もして、そして研究にも携わるというようなことを、四十九人ほど受け入れまして、非常に好評を博したわけでございます。  また、いわゆる研究者を受け入れるに当たりましては、旅費の支給とかそういう問題だけでは不十分でございまして、いろいろな生活面、住居初め生活面の問題、生活相談、そういう生活環境整備をしなきゃいけないということで、平成元年から新技術事業団がそのような業務を行うように体制を整備いたしました。まだ必ずしも今やっていることで十分だということはもちろんございませんけれども、これからまたこういう面の施策の充実等に一生懸命努めてまいりたいと思います。
  173. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に、主要国の科学技術活動の特徴を見てみますと、日本は、民間負担研究費、ハイテク製品輸出額という民間企業の技術開発に関する事項が他の諸国より活発でありますね。また、政府負担研究費、海外からの論文被引用回数、国際共著論文数、ノーベル賞受賞者数という基礎研究面が弱いことが目立っているわけでございますが、このような状態が続きますと、我が国世界の中で分相応の役割を果たしていないではないかという認識が広まりかねないと思います。我が国としては、基礎的な分野での研究開発機能の向上を図り、海外への情報の発信に努めていくとともに、地球規模での国際協力に主体的に取り組んでいく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点のお考えを大臣からお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  174. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) 我が国は豊かな経済力と科学技術力を持つことになりました。こういった面を生かしまして、科学技術によりまして国際社会と人類全体に貢献していかなきゃならぬ、これは御説のとおりでございます。これは数年前に出されました前川レポートでも強く指摘されておるところでございます。  このために、先ほどからいろいろ御議論が行われておりますが、まず大学国立試験研究機関等研究環境を改善していって、その研究開発能力を強化するなどによりまして我が国基礎研究充実強化していく。その成果世界に向けて発信し、人類全体の知的な財産の蓄積に貢献していくことが重要なことであると考えております。  また、各国と協力しながら、人類の生存を脅かしかねない地球環境問題、それからエネルギー問題、食糧問題等の解決に科学技術の面から積極的に取り組んでいかなければならぬと思っております。  こういうような考え方に立うまして、今後とも科学技術政策を積極的に、かつ総合的に展開していきたい、こういう決心でございます。
  175. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  176. 吉川春子

    ○吉川春子君 美浜原発の二号炉蒸気発生器細管のいわゆるギロチン破断の事故原因を伺います。  通産省資源エネルギー庁が六月六日に発表した関西電力美浜原発二号炉の「蒸気発生器伝熱管損傷事象の調査状況について」、いわゆる中間報告では「破断原因の推定」として、「異常は設計どおりに振止め金具に支持されていなかったもののみに認められた。」として、「以上のことから、破断管は、設計どおりに振止め金具に支持されていなかったことによる限界流遠の低下、振止め金具挿入深さが浅かったことによる局所流速の増加等により、流速が限界流速を超えたため流力弾性振動が発生し、第六管支持板部で疲労破断したものと推定される。」としています。  それでは、Aループ三千二百六十本のうちX45−Y14に位置する一本のみが、二十年近くも破断せずに活躍しながら、なぜ破断を始めてから一、二時間で完全破断に至ったんでしょうか。これは、いきなり破断事故は起きないとの従来の政府の説明が繰り返し行われていたわけですが、これを覆すものではありませんか。そして、振れどめ金具が届いていないほかの管、例えばX15−Y15が破断していない理由をどう説明するんでしょう。通産省に伺います。
  177. 荒井行雄

    ○説明委員(荒井行雄君) お答えいたします。  美浜二号機の事象につきましては、通産省といたしましては、原子力発電技術顧問会に調査特別委員会を設置いたしまして、鋭意調査を行っているところでございます。  今御指摘のように、今回の事象における破断管一の破断の原因は、振れどめ金具が設計どおりの範囲まで挿入されていなかったということ、これによりまして流力弾性振動が発生して、振れどめ金具によって支持されていなかった伝熱管が破断したというふうに推定しておるわけでございます。  それで、X451Y14という伝熱管一本だけが、なぜそれだけが破断したかということをも含めまして、亀裂発生から破断に至るまでの詳細なメカニズム等については、現在、鋭意検討中でございまして、通産省として最終的な報告書の取りまとめを行っている段階でございます。まとまり次第公表していきたいと考えております。  いずれにいたしましても、振れどめ金具が設計どおりの範囲にまで挿入され、伝熱管が支持されておれば、先ほど申しました流力弾性振動が発生しないということによりまして、伝熱管破断が生じることはないものと考えております。
  178. 吉川春子

    ○吉川春子君 内田安全委員長にお伺いいたします。  最近の報道によりますと、最終報告案には、細管周辺と支持板のすき間〇・ニミリのところにさび、水あかが付着し、締めつけ状態になっていることも原因の一つとされているそうですけれども、なぜ特定の場所に付着しているんでしょうか。従来の答弁とも矛盾していると思うんです。  そして、この際、科技庁もこういう文書をお出しになっていますけれどもアメリカのノースアンナ原発の事故ともさらに詳しく比較検討する必要があるんじゃないか、このように考えられますが、委員長はいかがお考えですか。
  179. 内田秀雄

    説明員(内田秀雄君) 美浜事故の蒸気発生器細管破断事故に関します詳細な原因の追求に対しましては、安全委員会としては、御存じのように、原子炉安全専門審査会の中の発電用炉部会にワーキンググループを設けまして、鋭意検討中でございます。今通産省からの御説明にもありましたように、破断の事故の詳細な検討等通産の報告書はまだ出ておりませんので、それを受けましてからまたワーキンググループで詳細に検討したいと思っております。
  180. 吉川春子

    ○吉川春子君 今お二人から答弁ありましたが、今後の調査検討方針として亀裂発生メカニズムの解明、それから亀裂発生から破断に至るまでの時間的な経緯、こういうものの検討を進めるということですから、事故原因の特定は今の段階ではできないはずなんですね。にもかかわらず、事故原因を蒸気発生器細管の振れどめ金具の工事ミスに限定しようとしているわけなんです。これはほかの原発に事が波及しないようにとの非常に政治的な意図がうかがえるわけなんです。美浜二号機の蒸気発生器を取りかえてまた使おうとしていますけれども委員長に伺いますが、この老朽化している二号機は廃炉にして、そして徹底した調査検討を行うことが事故の再発防止の上で必要ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  181. 内田秀雄

    説明員(内田秀雄君) 振れどめ金具が十分に挿入されなかったために流力弾性振動が起こったんであろうということはわかるわけでありますけれども、破断の原因はそれだけというわけではありませんで、流力弾性振動によって破断に至る何かの原因があるわけでありまして、それを今調査しているんだろうと思っております。それには今お話しのように、細管の支持方法のところに何か影響があったということも考えられるわけであります。  いずれにしましても、美浜二号炉の蒸気発生器は交換するということは言われておりますし、今回の事故によりましても圧力容器等その蒸気発生器以外の部分に対する影響はございませんので、蒸気発生器だけを取りかえれば十分に原子力発電炉としての役目を果たすことができると思っております。
  182. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう二十年も使った原子炉と新しい蒸気発生器とのいろいろ力関係とか複雑な問題もまた生ずるわけですし、こういう重大な事故を起こしたわけですから、徹底的に検査するという点からもやっぱりこれは廃炉にすべきだと、私たちはそういうふうに考えるわけです。  ところで、通産省に伺いますけれども、先ほどの中間報告によりますと、振れどめ金具の取り出し調査の結果、X44とX45の間、X45とX46の間、上部振れどめ金具の長さはいずれも設計値より四十センチから五十センチほど短くなっていた。そして、その「端面にはいずれも設計とは異なる切断加工跡が認められた。」というふうにあります。つまり、その振れどめ金具が設計どおりの範囲まで挿入できなかった、長さが余ったので切断してしまった。全く驚くべきことをやっているわけですけれども、設計どおり行うということはもう常識じゃないですか。こんないいかげんなことを許していいんですか。
  183. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) お答えいたします。  今御説明のとおり、振れどめ金具につきましては、取り出して調査を行いましたところ、下部振れどめ金具については設計の範囲内でございましたが、上部振れどめ金具につきましては、今お話しのとおり、設計値より四、五十センチ短くなっておりました。ということでございますが、このことにつきまして、なぜこのようなことになったか、その原因及び背景について推定いたしますと、まず、原因につきましては、振れどめ金具を挿入する際、正確に伝熱管と伝熱管の間に挿入されなかったため、当該振れどめ金具が伝熱管によって挿入が妨げられ、設計どおりの範囲まで挿入されなかったものと推定されます。  それでまた、振れどめ金具に設計とは異なる施工をして、振れどめ金具を挿入した背景といたしましては、当時の振れどめ金具に対する設計上の重要性の認識が不十分であったこと、品質管理部門による挿入深さの検査も行われていなかったこと等から施工管理、品質管理について十分な注意が払われていなかったと考えるわけでございます。  このような事情にかんがみまして、原子力発電の安全確保に当たりましては、設計から運転に至るまで各段階における品質保証活動等を通じて自主保安の強化を図っていくことが重要であると考えております。
  184. 吉川春子

    ○吉川春子君 通産省は、少なくともこの振れどめ金具がちゃんと入っていなかったから今度のような重大事故が起きたんだと、こういうふうに原因を特定しているわけでしょう。それで、こういういいかげんな工事をした三菱重工、こういう工事に対して随分理解を示していますね。客観的に今評論しただけで、けしからぬということもなければ、企業のこういう問題に対しての非難の言葉も一言もないわけですね。まあ、原発推進通産省ですからそういう立場かもしれませんけれども、とんでもないと忌んですよ。  ところで、大臣にお伺いいたしますが、今マンションの手抜き工事が社会問題になっていて、テレビでも大分報道されていますが、住宅の設計の問題で言ったら、柱が設計どおりに入らなかったから切っちゃったとしたら家は傾いちゃうじゃないですか。ましてや原発は住宅に比べたらもう比べものにならないくらい社会的被害も大きいわけですけれども、こういうような手抜き工事を二十年も放置してきた行政の責任というものについてどうお考えですか。あるいは企業の責任についてどうお考えですか。——これは大臣です。事務局じゃないです、大臣です。
  185. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 大臣の答弁の前に事務的に御説明申し上げます。  安全委員会といたしましても、通産省のこの美浜の事故に対する中間報告を受けまして鋭意検討を行っております。  それで、この原因等の問題のほかに、今後の検討課題としまして、振れどめ金具設計の信頼性向上策、事業者における品質保証等の徹底といったものを指摘しております。そしてまた、それらの課題につきましては通産省の方にも連絡をしたところであります。  こういったことを通産省側あるいはまた事業者側が今後検討していくべきことだろうというふうに思います。
  186. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣、いかがでしょうか。
  187. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) さっきもお答えしましたが、直接的な被害はなかったようでございますけれども、住民の皆さんに大変な御心配をかけましたことを大変遺憾に思っております。  今後こういうことが起こりませんように万全の対策をとらなきゃならぬ。そのためには、原子力安全委員会、それから通産省におきまして十分調査審議をしていただくように望んでおるところでございます。  今後とも安全の上にも安全、私の信念でございますが、配慮しながらこの原子力開発利用を進めていきたいと思います。
  188. 吉川春子

    ○吉川春子君 さらに中間報告では、美浜二号機の蒸気発生器は、三菱重工が米国ウェスチングハウス社の指導を受けて製作したが、「振止め金具に関して残存する製造記録は組み立て図のみであった。」、また三菱重工の日根野常務によりますと、AVBの作業記録なども残っていない。こういう驚くべき無責任きわまりない態度ですね。これはなぜ残ってないんですか。捨てたんですか、あるいは紛失したんですか。通産省どうですか。
  189. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) お答えいたします。  三菱重工におきましては、設計図面等については永久保存しておるわけでございますが、その他の資料については期限を定めて保存しているということでございまして、その設計図面、当該振れどめ金具に関しましては組み立て図を除きまして永久保存すべき資料が残されていないため、残っていないというふうに聞いております。
  190. 吉川春子

    ○吉川春子君 現に運転中の原発の必要な書類を計画的にもう廃棄処分にしちゃったわけですね、なくしちゃったわけじゃなくて。そういうことですか。
  191. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) なくしたということではなくて、計画的に処分したものと思われます。
  192. 吉川春子

    ○吉川春子君 私たち、電気製品を買ったって、冷蔵庫でも掃除機でも使っている間はいろんなものをとっておくわけですよ。そういう無責任なことを許していいんですか。これどうですか、大臣。
  193. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 先駆けてお答え申し上げますと、原子力は全体極めて高度の安全性要求される分野でございますから、設計あるいは施工にかかわりましては慎重の上にも慎重を期すべきものと考えておるところでございます。
  194. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういうことを聞いているんじゃないんですよ。それだったら必要なそういう記録は余計残しておかなきゃいけないんじゃないですか。今後ともそういうのを捨てるのを黙っているんですか。
  195. 荒井行雄

    説明員(荒井行雄君) 今回も組み立て図、すなわちこれは設計図面でございますが、設計図面は残しておるわけでございます。  じゃ、具体的にどのように設計図面を含めて資料管理をするかということにつきましては、これは個々の企業の問題ではございますが、一般論としましては、原子力発電の安全確保に当たっては、設計から運転に至る各段階における品質保証活動等を通じて自主保安の強化を図っていくということが重要であると考えております。
  196. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう一つ伺います。  北海道の泊原発、これも三菱重工の手に成るんですけれども、一号機でことしの四月の定期点検で低圧タービンの静翼三百九枚の溶接部など六百十七カ所に亀裂が入っていることが発見されました。もし運転中にタービンが破損してミサイルのように飛び散るなら大きな危険もあるし、それにとどまらず、二次冷却水のストップによる炉心部の冷却失敗から緊急炉心冷却装置、ECCSの作動や、ひいては炉心溶融にまでつながるおそれがあるんですね。しかも、私は見に行ったんですけれども、二号機でもこういう亀裂が入っているということは会社は予測していました。ところが、それを二号機の方はとめずに八月まで運転させた。それを通産省は容認したんですね。どうしてこういう危険なことを容認したんですか。すぐストップすべきじゃないですか。
  197. 佐々木宜彦

    説明員(佐々木宜彦君) ただいま御指摘ございましたように、泊発電所一号機の低圧タービンの静翼亀裂発生については慎重かつ徹底的に原因究明を行ったところでございます。  原因究明については、既に今お話がございましたが、この原因究明の結果から、二号機のタービンの健全性について私どもも十分検討したわけでございます。この結果、一〇〇%の定格出力の運転状態では亀裂の発生原因となりました蒸気の乱れによります振動が発生しないため、高い変動応力が作用することはなく、新たな亀裂は発生しない、あるいは亀裂が発生した状態であっても、この定格の出力運転を継続しましても亀裂は進展することがないということで、私どもはタービンの健全性を損なうことはないと確認、判断をさせていただきました。  タービンの運転に際しましては、従来より厳しく振動管理を行っております。念のため、タービンの静翼最終段階の近傍に振動計を設置する等の監視を強化することとしまして、二号機の運転継続を認めたものでございます。二号機は、当初、この秋に中間点検を予定しておりましたが、念のため繰り上げて八月に中間点検を実施したわけでございます。
  198. 吉川春子

    ○吉川春子君 企業のもうけ優先の姿勢、それを通産省は容認しているんですよ。しかも、もともと六十ヘルツ地域で用いられてきた加圧水型原発を北海道へ持っていったんでしょう、五十ヘルツ地域へ持ってきた。技術的にもそもそも無理があったわけですよ。関係者は私にこういうふうに言いました。二次系統なのでいささか冒険をした、一次系統ではそういうことは行わなかった、こういうことまで言っているんですよ。一次系と二次系とは密接につながっているのはもう当然のことです。そういうもうけ第一主義の姿勢、それを通産省が容認しているということが物すごい大きな問題点だというふうに思うわけです。  それで、まず安全委員長に伺います。  美浜の今回の事故のような欠陥を見逃すような。検査体制を許しておいたことの責任は重大なんですが、今後の問題として、要員を増加したりロボット化を進めるなど、密度の濃い検査を行うべきだと思うんです。さらに、蒸気発生器の振れどめ金具装置については、工事中の点検項目に入れるべきだと思いますけれども、どうですか。
  199. 内田秀雄

    説明員(内田秀雄君) 美浜二号炉の蒸気発生器の細管破断の事故に関連しまして、今後の蒸気発生器の健全性を確保する意味で、定検のときにどのような検査をするべきであるかということにつきまして、今通産省でも検討していると思いますし、また私たちの方でつくりましたワーキンググループでも検討の課題に入っております。その報告を受けましてから安全委員会としての見解をあらわしたいと思っております。
  200. 吉川春子

    ○吉川春子君 この問題の最後に科学技術庁長官に伺います。  大体原発という大変なものを扱っているという認識が足りない三菱重工なんですよね。その姿勢を問題にしてきたわけですけれども、この美浜二号機の事故の原因の調査をこの三菱重工にゆだねているわけですね。そして、その実験のデータもここから得て原因究明しようとしているわけですけれども、私はこれは第三者機関がきちんと行うべきだと思うんです。こういうふうに言っている人もいるんですよ、泥棒が泥棒を裁けないと。そういう事故を起こした本人じゃなくて、やっぱり第三者機関がきちんと調査もして、こういう事故を二度と起こさないようにすべきじゃないですか。大臣の御見解を伺います。
  201. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 第三者機関という形では原子力安全委員会がございまして、先ほどちょっと御説明いたしましたが、原子力安全委員会の下の原子炉安全専門審査会発電用炉部会にワーキンググループを設けまして鋭意検討を行っております。それで、その結果によりまして今回の事故の直接の原因は伝熱管の疲労破壊であるといったようなことも言っております。  こういったことでもって、先ほど御説明しましたように、事業者における品質管理、そういったことにつきましても通産省等にも連絡をしたところでございまして、第三者としての原子力安全委員会での検討といったものは行われているということを御説明したいと思います。
  202. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣、お願いします。
  203. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) 今御質問の件につきましては、安全委員会調査をいたしました結果、通産省の方にもう一遍調べるように指示をしてございます。  そういうことでございまして、なお慎重に委員会の方でこの問題を検討してもらいまして、再発しないように防止につきましていろいろ検討していく、こういうことでございます。
  204. 吉川春子

    ○吉川春子君 政府が起きないと言った事故が起きたわけですから、本当に政府の言うこともなかなか信用できないわけですけれども、原発の事故というのは絶対あってはならないわけなんです。  時間の関係で、次の青森の核燃サイクル施設と米軍基地の問題についてお伺いいたします。  先ほども同僚議員から質問がありましたけれども、今月八日に三沢のF16戦闘機が二千ポンド爆弾を海の中に投棄したと。一歩間違えば大きな惨事になっていたこととあわせて、訓練機が実弾を積んでいたということが明らかになって、県民に大きなショックを与えています。十月三十日の公開ヒアリングでも、航空機による重大事故の危険性が指摘されていたわけですけれども、科技庁側の答弁は、米軍機の積んでいるのは模擬弾だから問題ないということだったわけですね。私は、きょうは最初に言っておきますけれども、天ケ森射爆場の問題じゃないですよ、三沢基地との関係で聞いていますから、これが実弾ということになると安全性に疑問が出てくるんじゃないですか。実弾の問題については安全審査指針の中に入っていないわけだから、これは検討し直すべきじゃないですか。
  205. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 公開ヒアリングの話が出ましたが、十月三十日の公開ヒアリングで説明した内容につきましては、天ケ森の爆弾訓練につきましては模擬弾のみを使用することになっておる、そして実弾を搭載していることはあり得ないというふうに御説明を申し上げております。  それから、天ケ森以外のことにつきましては、私ども核燃料サイクル施設の南方約二十八キロ離れましたところの三沢空港及び三沢基地での航空機の離着陸の事故といったものを想定して、これが隔離距離が十分にあるということから、その影響核燃料サイクル施設に及ぶことは考えられないということを審査しておるところでございます。
  206. 吉川春子

    ○吉川春子君 二十八キロ離れていると言っても、マッハニ・ニで飛ぶF16は十数秒で打っちゃうんですよ。なぜ二十八キロが十分離れているなんということをおっしゃれるんですか。  外務省に伺いますけれども、核燃サイクル施設の上空は米軍機も飛行制限されているという理由が安全性の根拠とされているわけですけれども、そして外務省は六ケ所村付近を航行しないようにということを申し入れたという答弁がさっきありましたけれども、米軍機の飛行について実弾射撃等を行う訓練は米軍の施設、区域の領域に限定されていますけれども、通常の飛行訓練は施設、区域の領空外も行えるということは日米安保条約に基づく地位協定上認められているんじゃありませんか。
  207. 原田親仁

    説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。  安保条約が日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和と安全の維持に寄与するため、米軍の我が国への駐留を認めているということは、特段の定めがある場合を除くほか、米軍が同条約の目的の達成のため、実弾射撃等を伴わない飛行訓練を含め、軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としております。それで、施設、区域外において合衆国軍隊が行う個々の活動の地理的範囲については地位協定上明示されているわけではございませんが、しかしながら、米軍が軍としての活動を行うに際して我が国の公共の安全に妥当な考慮を払うことは  一般国際法上当然のことであります。  先ほども御説明いたしましたように、原子力施設付近の上空の飛行につきましては、我が国がとっております飛行規制を航空情報として公示しているところでありますけれども、米軍も右公示を十分尊重して飛行を行っておりまして、この点については、先ほど申しました。ように、当国は累次の機会に米側に対し確認しているところであります。  六ケ所村の核燃料サイクルの施設につきましても、ウラン濃縮施設が航空路誌に公示されたのに伴いまして、本年三月の日米合同委員会で同施設を含め原子力施設付近の上空の飛行規制について  一層の徹底を図るべき旨改めて米側に申し入れを行っており、今回の事故に際しましても改めて申し入れた次第でございますけれども、米側よりは、原子力施設付近の上空の飛行につき、在日米軍は従来より日本側の規制を尊重しており、核燃料サイクル施設の南にある鷹架沼の南の空域を飛行しているが、今後とも在日米軍内で右を徹底させる旨述べているところでございます。
  208. 吉川春子

    ○吉川春子君 米軍は、県や三沢市のたび重なる反対声明にもかかわらず、これを無視して夜間離一着陸訓練飛行や事故後の飛行再開などを強行してきたんです。米軍が法的規制のない核燃料サイクル施設上空の飛行規制だけを守るなんということはなかなか県民にとっては信じられないんですよ。  じゃ、守っていると言うんだったらばちょっと伺いますけれども日本原燃サービスの調査によりますと、八六年十二月一日から八七年十一月三十日の間、米軍機の飛来は、この核燃サイクルの予定地の上空の飛来回数は四万二千八百四十六回ということです。今、外務省が三月十四日に申し入れたと言いましたけれども、そうしますと、ことしの三月十四日以降米軍機はこの上空に一機も飛来してないということですか。これは科技庁どうですか、つかんでいますか。
  209. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) ただいまの数字、四万二千何がし回という数字につきましては、施設の上空ではなくて、先ほど外務省から鷹架沼の南方という説明がございましたが、その訓練区域でございます。それで上空には一機も入ってございません。
  210. 吉川春子

    ○吉川春子君 委員長、ちょっと済みません。もうこれで終わります。  上空にはもう一機も飛来してないという数字をつかんでいるということですか。ちょっとそこだけ確認します。——ちょっと時間がないんですぐ答えてください。
  211. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 先ほどの四万二千回という数字につきましては、訓練区域での飛来回数であるというふうに訂正させていただきます。
  212. 吉川春子

    ○吉川春子君 いや、一機も来てないんですか、それ以降は、上空に。その質問に答えてください。  委員長、質問に答えてくれてないんです。  要するに、そういう申し入れをした後は尊重していると言うんだから飛んできてないんでしょうと言うんです。ゼロなんですねということです。
  213. 坂内富士男

    政府委員坂内富士男君) 上空というところがどういうことになるかちょっとよくわかりませんけれども、私どもとしては確認をする手段を持っておりませんということでございます。
  214. 吉川春子

    ○吉川春子君 委員長、時間ないのでこれで終わりますが、ちょっと最後に一言。  確認する手段がないと言っているんですよ。それなのに、米軍はその施設の上を飛ばないなんてそんなでたらめなことがありますか。  私は、時間がないので結論として、核燃サイクルの用地としてはふさわしくないし、米軍基地も撤去すべきだと、このことを申し上げて質問を終わります。
  215. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 答弁ありますか。
  216. 谷弘

    政府委員(谷弘君) 先ほど先生から御質問がございました四万二千回というのは、事業者が申請をします場合に、どのくらい訓練区域を進んでいるかということで観察をしたときの数字でございます。その時点ではまだ先ほど外務省から説明がありました飛行規制をなさっておりませんので、この時点での観察は必ずしも正確でないと思います。  その後は、今のところ明確なそういう詳細な観察はやっておりませんので具体的な数字は持ち合わせておりませんけれども、私どもの知る限りにおいてはそのような飛来の報告を受けておりません。
  217. 吉川春子

    ○吉川春子君 確認しないんだけれども飛んできてないって、こういう無責任な答弁ありますか。  ですから、じゃ、それ以降、申し入れた以降は米軍機がその上空に、四万二千が違うかどうかという問題じゃなくて、もう飛んできてないかどうかということを確認して、後で御答弁いただきたいと思います。  終わります。
  218. 星川保松

    星川保松君 私はこの科学技術特別委員会というところは全くきょうが初めてでございます。にわかにこの委員会に行くように命ぜられまして、準備する時間も余りありませんでした。それで、いただいた科学技術白書というのをさっと読んでみたわけでございますが、いきなり飛び込んできたのがグローバリゼーションというんですか、そういう言葉でございました。言うなれば科学技術についても随分大ぶろしきを広げているんだなあという感じがいたしました。先日は社会党さんから本物の大ぶろしきをいただきましたが、今大ぶろしきがちょっとはやっているようですね。そういう大きな問題について質問する用意もありませんので、私はごく足元の少し掘り下げた科学技術に関する質問をいたしたい、こう思っております。  まず、科学技術庁科学技術振興に大もどのような形でかかわっておるわけでありますけれども、実際は各省庁もそれぞれの分野において科学技術研究をやっておるわけであります。  そういうことで、このもらった資料によりますと、科学技術庁の任務というのは、「科学技術振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進する」と、こういうふうになっておるわけでありますが、いわゆる科学技術庁科学技術振興とそれから各省庁分野ごとの科学技術研究をやっておるその部門との関係はどのようになっておるのか、どのような関係に立っておるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  219. 長田英機

    政府委員長田英機君) 先生指摘のとおり、科学技術庁がございまして、各省庁国立研究機関を持っておりまして、科学技術庁国立研究機関を持っております。  それで、ほかの省との関係でございますけれども一つ科学技術庁に調整機能があるということで、いろいろな基本的方針について各省庁から伺ったりして調整をするという点がございます。また、共通的な事項、例えば試験研究費をふやそうではないかとか、あるいは研究者の処遇を改善しようじゃないかというようなそれぞれの研究機関に共通的なことにつきましては、私どもが取りまとめて関係の箇所と折衝するということもございます。そのほか、科学技術振興調整費という予算がございまして、それぞれ各研究機関との間の調整をしております。  このように科学技術庁は自分の機関研究もやっております。そのほか、各省庁に対しましてはそういうようなことを通じまして調整的な機能を持っておるということでございます。
  220. 星川保松

    星川保松君 そうしますと、各省庁でやっているいわゆる部門ごとの研究等にどこでもやってないようなことをやっておるとか、あるいは全体やっている中の基礎的なものを科学技術庁が取り上げてやっているとかということもあるんですか。
  221. 長田英機

    政府委員長田英機君) 各省庁研究機関それぞれ歴史的な経緯を持ってできておりますものですから、一概に位置づけをするというのは難しいかもしれませんが、私ども、そういう研究の調整ということを通じていろいろと全体としてうまくいくようにしております。強いて言いますと、科学技術庁の場合には非常に共通的、基盤的な分野が強いんではないかと、そういうふうに考えられます。
  222. 星川保松

    星川保松君 そうしますと、連絡協調するような調節機関のようなものをお持ちですか。
  223. 長田英機

    政府委員長田英機君) 各省庁関係につきましては、各省庁概算要求、仮に予算で例をとりますと、最初に基本方針を私どもが決めまして、それに沿って、その方針に従っていただいているように各省庁の予算要求を見ているわけでございます。
  224. 星川保松

    星川保松君 予算要求のときにはみんな一緒になって連絡をとっているけれども研究そのものについては余りそういう連絡というのはないものだと、こういうふうに受け取っておきます。  次に、科学技術庁科学技術研究はいわゆる産業の振興国民経済の発展に寄与するということでありますが、一番大きな影響があるのはやはり産業だと思うんですね、国民経済の中でも。その産業の振興とのかかわり、これについてはどのようなお考えであるか。また、どういう具体的な施策を行っておるかということをお尋ねいたします。
  225. 須田忠義

    政府委員(須田忠義君) お答えいたします。  我が国や欧米の先進諸国においては、産業における技術革新経済成長のための主要な原動力であると、これは間違いない事実だというふうに認識しております。  なお、エレクトロニクスの進歩や情報化の進展、新材料の開発、バイオテクノロジーの応用などによる技術革新社会産業構造を大きく変革させるとともに、新技術の実用化が新たな産業を興させた。そういう科学技術の進展が産業の発展と高度化に多大な影響を及ぼしてきたというふうに認識しております。  我が国も、二十一世紀に向けてより豊かな社会を実現して産業の一層の発展を図っていくためには、今後とも科学技術振興が非常に重要だという認識をしてございます。
  226. 星川保松

    星川保松君 大変結構なお考えだと、こう思いますけれども、ところが、我が国のいわゆる産業というものが極めて発展のバランスを失っておるということは大きな問題だと私は常に思っております。特に、科学技術振興によって日本の工業は世界的な発展を遂げだということは事実だと私も思っておりますが、その反面、特に農林業等は全くもう衰退の一途を今たどっておるような状況でございます。これは、やはり科学技術の農業の分野におけるレベルとそれから工業におけるそれとを比較してみた場合に歴然とした差が出ておると思います。  この問いただいた統計資料等を見ましても、農林業の方は学者も研究費も何もはるかに少ないんですね。それで、工業の方の電気工学等の研究者研究費というものはすばらしく大きなものになっておるわけですよ。ですから、今の日本の産業の発展の格差というものはそれぞれ日本科学技術の産業分野におけるそれのウエートを投影しているんじゃないかと、こういうふうに思っておりますが、科学技術庁はこの関係、このアンバランスについてどうお考えでしょうか。
  227. 須田忠義

    政府委員(須田忠義君) 日本は、製造業、産業技術、そういうことで戦後相当進歩した、それが引っ張ってきたということは事実だと思います。しかし、それも科学技術がその大きな原動力になったというふうには理解しております。なお、じゃ、農業において技術革新科学技術が応用されていないのかというと、そこは農業においても最近のバイオテクノロジーの技術進歩、先端技術の発展によって、その成果が、農業の育種、栽培、加工等、多くの分野でその技術も利用されておるというふうに考えておりますし、近年における機械化や情報化、それは農業においても全くそれが適用されておりますし、そういう意味では相当の活用をされてきたんじゃなかろうかという認識をしております。  なお、これからの農業というのは、そういう意味じゃ今までの技術の成果、今後の成果を踏まえて大きく変わっていく可能性一つは秘めているんじゃないか、そういうふうに認識してございます。  なお、私、農業の経営の方は専門でございませんので、農業問題については農水省の方からお答えをいただきたいと思います。
  228. 星川保松

    星川保松君 いや、それは農水省からは私は後でお聞きするので……。  いわゆる産業の発展のインバランスというものが科学技術振興のその分野における差異と同じように比例しておるんじゃないかということを、総合的な立場に立って科学技術振興を図る科学技術庁として、こういう差があっていいのか、この差を何とかしようとしているのか、科学技術庁の立場でどう考えておるか、こういうことをお尋ねしているんですよ。
  229. 須田忠義

    政府委員(須田忠義君) いわゆる科学技術会議というものは、これが科学技術政策の総元締め、基本問題を議論することになりますが、その中でも重要研究テーマ等をずっと科学技術会議政策大綱で指摘してございますが、農業に関する技術開発も重要事項、重要分野一つとして位置づけて、これを推進すべきだということで各省庁がその政策大綱に従って実施していくというふうに枠組みをつくってございます。したがって、農業の技術も農業の研究開発も相当重要な分野だというふうに認識しております。  なお、先生がおっしゃった科学技術日本全体で言えば、先ほどから議論が出ておりますが、八割が民間研究費を支出しております。そういう意味では日本民間は製造業、ここが相当の研究開発投資をしておる。ただし、国の研究所、それは研究人員も一番少ないけれども、農水省の附属研究機関の人員が私の記憶では今一番多い。我が国国立研究機関の中で農水省の附属研究機関の職員が一番多い、そういう状況でもあります。したがって、決して農業分野についてこれを軽視しておるとかなんとかじゃなく、重要事項だというふうに位置づけております。
  230. 星川保松

    星川保松君 白書を見た限りでは、農業のおくれを何とか取り戻そうというような科学技術庁の姿勢というものは私は読み取れなかったわけでございます。  それで、今おっしゃいましたように、科学技術研究はいわゆる民間の方が圧倒的にそのウエートが大きいということ、これは事実でございます。しかし、これは、民間というのはいわゆる企業ですね、企業はいわゆる自力で科学技術開発研究をやれるような、そこまで大きく成長しているわけですよ。で、どこでも大きい成功した企業というのは、もう製造よりも開発研究ですね、開発研究さえやれば、つくるのはいわゆる下請でも孫請でもこれはどんどんさせられるわけでありますから、もう一にかかって企業の発展というのは開発研究にあるという姿勢ですね。それで、すばらしい博士を何十人も抱えてどこでもやっているわけですよ。企業が企業経営の中で自力でそういう開発研究をやれるようになった。それを総括しますと、民間部門が極めて大きくなったということが言えるわけですよ。  それじゃ、農業経営者が開発研究をやれるかということですね。そうすると、農業経営を今やっているのは実際言って各農家のじいさん、ばあさんなわけですよ。これが開発研究なんかもうとても何もできたものじゃないという体制なわけですよ。そいう状態に置かれて、それでそれに対して、例えば県なら県でそれは研究開発施設はありますけれども、それは県で一カ所ぐらいしかないですね。それで、今度は各農家に開発研究したことを農業改良普及員等を通じて普及させていく。させていくとしても、その体制も極めて貧弱ですし、受ける方もそんな立派な技術を受けられるだけの体制にないわけです。じいさん、ばあさんが技術の高いものを受け入れるというわけにもいかないわけですよ。そういう状態に今農業が置かれておるんですね。そういう状態に置かれているところから、私は日本の農業がまた工業と違ってにっちもさっちもいかなくなっているということになっているんじゃないかと思うんですよ。ですから、やはり総まとめで日本国民経済を発展させるんだということになれば、国民経済の中に当然日本の農業が入っていなくちゃいけないと思うんですね。ですから、そういう日本の農業が技術の開発研究にとっては全くもうどうにもならないような状態になっているということをやはりきちんと見届けて、それでそれに対する手厚い方策を打ち出していかなければ、国全体の国民経済に対して高度な技術が浸透していくということにはならないんじゃないかと思うんです。ですから、その点について私は科学技術庁の方もひとつここで考え直していただきたいと思うんですよ。ただ重点にもしているよということじゃなくて、その実態に沿うような本当に有効な手段を考えていただきたいと思うんですが、これについては長官いかがでしょうか。
  231. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) 大変有益な御意見を承りました。御意見も十分体しながらこれから充実を図っていきたいと思います。  今お話がありましたように、農業につきましては、農家の方々研究というわけにいきませんから、やっぱり農水省の研究機関が非常に精力的にやっております。もちろん水産も林業もございますけれども、そういうことも御理解いただきたいと思います。
  232. 星川保松

    星川保松君 それで、今度は農水省の方にお尋ねをするわけでありますけれども、今、米の問題が出てきておるわけでありますけれども、これは米に典型的にあらわれておるということで、すべての作目について言えることでありますけれども日本の農業経営というのはいわゆる集約農業なわけで、これは国土の耕地面積が絶対面積が少ないというところから来ておるわけでありまして、規模拡大してコストを下げろということをよく言われるんですけれども、これはなかなか難しいわけでございます。  先日、NHKで米のことをやっておったんですけれども、二十町歩、二十ヘクタールぐらいまとめて米づくりをやっている人は、そうしますともう国際競争力もつくということを言っておりましたんですが、これは例えば二十ヘクタールに集めるとすれば、東北で言えば今大きい方で平均一町歩、一ヘクタールぐらいですから、十九戸の農家がやめなくちゃならないわけですよ。それで、十九戸の農家にやめて二戸に寄せると言ったって、そんなこと言ったってこれはやれませんです、飯米農家から何からいるわけですから。それから、じいさん、ばあさんでもやれるところだけやる。水管理や何かだけやって、あとは人に皆任せるとかいろんな方法をやっていますので、手放せと言ってもこれはなかなかやれるものではありません。そういうことを考えますと、国際価格に日本の農産物も引き合うような状態に持っていく方法としては、やはり農業におけるバイオテクノロジーの高度な技術、ハイテクをどんどん入れて、そうして生産コストを下げ、品質のいいものをつくって、そうして国際競争も何とか乗り切っていくようなことを考える以外には道はないと、こういうふうに私は思うわけですよ。そういうことについてはどう考えているんでしょうか。
  233. 関口洋一

    説明員(関口洋一君) 先生ただいま御指摘の農業でございますが、もともと気象あるいは地形、土、そういった自然条件に左右される産業でございまして、一方で生産コストの低減ということもあるわけでございますが、これらの環境的な条件、を十分活用した特色のある多様な農業の展開が一方で望まれているわけでございます。  そのようなことから、バイオテクノロジー等の先端技術、こういう技術が果たします役割というのは大変大きいというふうに考えている次第でございまして、農水省といたしましては、バイオテクノロジー技術開発に必要なジーンバンクの整備から始まりまして、平成二年に改定いたしました農林水産研究基本目標に基づきまして、農林水産省、さらには公立の研究機関大学民間等とも連携を図りつつ技術開発を強力に進めているところでございます。
  234. 星川保松

    星川保松君 それで、具体的にお尋ねをしたいのでありますが、まず米ですね、水田の方からお尋ねをしたいんですが、水田については技術的にかなりもう限度に来ているんじゃないかというふうにも思われますけれども、前によくマスコミ等に取り上げられましたいわゆるハイブリッドですね、これはその後どうなっているのか、その後余り報道もされておりませんので。  それからもう一つは、えさ米というのはえさに使う米ですね、この問題が前にも出ておったんですけれども日本の畜産というのはアメリカ等から飼料を全部買ってきて、それで農協がそれを配合して、農家に全部持ってきて、ただタンクに入れていくんですね。だから、日本の畜産農家というのは、その持ってきたえさをただ食わせる、言うなれば給餌係みたいなわけですよ。そんなことでは畜産のうまみがあるはずがないですね。というところからえさに使えるような米を開発してはどうかという話が前から出ておったわけでありますけれども、その後これもどうなったか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  235. 関口洋一

    説明員(関口洋一君) ハイブリッドライスの開発につきましては、これまでに農水省関係では四品種の試作用の系統を育成してきております。一つは北陸交一号、二号、それから中国農業試験場でございますが、中国交一号、奥羽交一号といった四つの系統ができておりますが、まだ試作用の品種というところでございまして、今後なお改善を要する点が多々ございます。特に採種、種をとるのが非常に難しいというふうなことがございまして、そういうものと品質の向上というものをあわせて考えていく必要があるということで、鋭意開発に取り組んでいるところでございます。  それから、もう一つのえさ米につきましては、やはりえさのコストということを考えますと、かなり多収品種でなければ役に立たないということもございまして、今プロジェクト研究におきまして従来の品種に比べて非常に収量の多い品種の育成を図るということで鋭意取り組んでいるところでございます。
  236. 星川保松

    星川保松君 ハイブリッドの方は、これは恥を使いますから、結局その種を確保すればもう栽培農家はその種を必ず買わなくちゃならないということで、アメリカではすばらしい熱を入れて研究していると。だから、いずれはアメリカからその種を買わないとハイブリッドは日本でつくれなくなるというような話があったが、アメリカ研究はどうなっていますか。
  237. 関口洋一

    説明員(関口洋一君) アメリカでも幾つかの民間がハイブリッドライスの研究はしているようでございますが、現時点でアメリカではほとんど普及していないというのが現状でございます。
  238. 星川保松

    星川保松君 日本でのその研究は、今の段階でいわゆる味と収量はどこまでいっていますか。
  239. 関口洋一

    説明員(関口洋一君) 味につきましては、先ほど申し上げましたように、試作用の品種ということで評価は余りよくないというふうに聞いておりますが、収量につきましてもまだ現在の二、三割増が限界というふうな状況でございます。
  240. 星川保松

    星川保松君 これはぜひ頑張っていただきたいし、科学技術庁もこういうところをひとつ手助けをしてやっていただきたいと思うわけです。  それからえさ米ですね、こっちの方は味は関係ないと思うんですね。どのくらいの収量まで今の段階でいっていますか。
  241. 関口洋一

    説明員(関口洋一君) 最近の育成された品種で申しますとハバタキとかオオチカラといった品種が育成されておりますが、これも現在では二、三割程度の増収の状況というふうなことでございます。
  242. 星川保松

    星川保松君 こっちの方は減反の田んぼも使えますし、それから一切水田と同じ農機具が使えるわけですから、だから非常につくりやすいわけですよ。でも、やっぱり倍以上の収量がないと合わないというようなことも聞いておりますので、ひとつ頑張ってやっていただきたい。これもこういうこともありますからひとつ応援してやっていただきたいと思います。一次に、畜産と養蚕について、まとめてひとつ今の研究段階を教えてください。
  243. 関口洋一

    説明員(関口洋一君) 畜産に関しましては、これはもうまさにバイオテクノロジーの一環でございまして、授精卵の体外授精とそれを使いました双子生産といったものがかなり行われてきております。既に授精卵移植によりまして年間五千頭程度の子供が生産されているというふうなことでございます。もちろん授精卵をさらに分割していく方法等の技術開発を現在進めているところでございます。  それから養蚕につきましては、現在の状況を申しますと、蚕は桑だけで育つというのがこれまでの常識でございましたが、桑以外のものを食べる蚕を既に作出しております。こういうものと人工飼料、さらには省力の飼育システムを組み合わせまして農家段階における労力の軽減に努めるというふうなことは、現在、実用化の段階に近くなってきております。蚕につきましては、これまでも二元交配あるいは四元交配といったいわゆるハイブリッド蚕の飼養が基本でございましたけれども、今後ともそのような意味での利用を進めていきたいというふうに考えております。
  244. 星川保松

    星川保松君 畜産の方も一遍で二頭ずつ子が生まれるというようなことになれば、もうそれだけでもコストが二分の一みたいなことになっていくわけでありますから、非常な生産性の向上になるわけでございますので、そっちの方ももう各畜産農家にどんどん普及するぐらいまでひとつ頑張っていただきたい。  それから養蚕の方も、今でもやはり化学繊維に比べまして絹織物というもののよさは失われておらないわけでありますから、ただ桑だけということでありますといわゆる桑のできる季節に限られるわけでありまして、桑以外のもの、それを確保してえさをやるというようなことになれば終年養蚕ができるというようなことにもなるわけでありますし、また、コストの引き下げにもそれがつながっていくわけでありますから、もっとやはり力を入れて急いで開発をしていって、それで国際競争力をぜひつけられるように頑張っていただきたいということをひとつ科学技術庁の方も、本当に日本の農業が国際競争力をつける、農水省もそれを目標に頑張っておるわけですから、それにぜひ力をつけてやっていただいて、それで日本の農業を科学技術の面でひとつ道を切り開いていけるように頑張っていただきたいということをお願いいたしまして、一言その気持ちをお聞きして終わりたいと思います。
  245. 谷川寛三

    国務大臣谷川寛三君) よくわかりました。  先ほど御説明しましたように、当庁には科学技術振興の調整費がございます。これを使いまして、農水省の研究所等でバイオテクノロジーなんかを農業の面に使っていただいて振興を図っていく、こういうことを検討していきたいと思います。
  246. 星川保松

    星川保松君 終わります。
  247. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十一分散会