○
三重野参考人 お答えします。
今
委員の御
質問の第二点の方から先にお答えしたいというふうに思いますが、確かに現在、マネーサプライの
伸び率が非常に落ちてきている、ということは、ひょっとしたら金の出方が非常に。厳しいのではないかというふうに受け取られがちでございますが、実際に
金融機関の貸し出しを見ておりますと、確かに
伸び率は落ちてきております。しかしこれは、
一つは
資金需要が落ちてきたこと。もう
一つは、
金利がもう少し下がるのではないか、下がってから借りようという借り控えがあります。それから、ごく最近は
社債等による
資本調達がかなり進んでおります。そういったことで落ちておりますが、
金融機関自身は健全な
企業に対しては積極的な
融資態度を持っておりますので、
企業金融自身が非常に逼迫しているというふうには思いません。
と申しますのは、昨日発表いたしました短観によりまして
中小企業も含めた
企業金融というのを見ておりますと、ここのところ若干
金融緩和が後退してきたのがここで足踏みしてきた。非常に、何といいますか、
企業金融はゆったりしてきたという、それは
中小企業を含めてでございますが出ておりまして、かつ
企業の流動性というのも減りつつありますけれども、過去に比べるとまだかなり高い
水準、これは
中小企業も含めまして。したがいまして、現在
企業金融が非常に金詰まりで、それが
経済の安定的発展を妨げでいっている、そういった状態にはない、こういうふうに判断いたしております。
そこで、第一問の方の
公定歩合でございますが、これにはやはり現状判断ということを申し上げなければならないと思いますが、今
総理と企画庁
長官がおっしゃられましたのと多少重複しますが、ごく簡単に現在の
経済に対する私どもの判断を申し上げますと、これは
委員も御
指摘のとおり
減速は続いております。しかも、物の需給は一時に比べれば緩んでまいりました。
企業の
先行き観も慎重感を加えてきております。これはきのうの発表しました短観にも明らかなとおりでございます。
しかしこれは、
委員もちょっと御
指摘になりましたけれども、現在のこの
減速というのは、過去の行き過ぎた
経済活動からよりバランスのとれた成長への調整
過程であるというふうに思います。というのは、この過去四年間五%という高い成長が続きましたので、その間には、
委員もさっき御
指摘になりましたけれども、バブルの発生、
人手不足の深刻化、物価上昇圧力の高まり、そういった行き過ぎたものが出てきておりまして、これを調整する
過程でございまして、この調整する
過程を通らなければその先の持続的、安定的な
日本経済の発展はないというふうに思っております。
それで、これから当面の
先行きでございますが、キーポイントはやはり
設備投資だと思います。
設備投資は、きのう発表いたしました短観で、過去三年間非常に高い
設備投資が続きましたのでもちろん落ちてきてはおりますけれども、技術革新あるいは
人手不足対策というようなもので、むしろ若干ではございますけれども、全体としては
設備投資は上方修正をしているぐらいでございまして、まだ比較的底がたい展開を保つと思われます。
加えて
個人消費でございますが、こういう調整期には極めて珍しいことでございますけれども、
雇用が非常に高
水準に維持されております。
雇用が高
水準にあると同時に、それはある程度ベースアップもあるわけでございますので、個人所得というものの環境はいまだにまだ良好なわけでありまして、それをバックにして
個人消費も比較的底がたい。さらに、七月
公定歩合を下げて以来、市場
金利の低下を容認し、準備卒を下げ、またもう一度
公定歩合を下げた。この
金利低下
傾向というのはこれから本格的に効いてくるわけでございますので、そういう点を考えますと、引き続きまだ
減速は続くと思いますけれども、ここでその
減速が急に加速したりあるいは落ち込んだりすることはないというふうに判断をしております。
もちろん、変わり方の激しいときでございますゆえ、思い込みを起こすことなく冷静に見ていきたいと思いますが、そういうことでございますので、現在は、これまで行いました
公定歩合の引き下げ効果を見守って、それでこれからの
景気情勢をそのまま引き続き冷静に見守っていきたい、こういうふうに考えております。