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1991-12-11 第122回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月十一日(水曜日)     午後一時三十分開議 出席委員   委員長 太田 誠一君    理事 井奥 貞雄君 理事 中川 昭一君    理事 村上誠一郎君 理事 持永 和見君    理事 柳本 貞治君 理事 小野 信一君    理事 中村 正男君 理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    石原 伸晃君       岩村卯一郎君    江口 一雄君       衛藤征士郎君    狩野  勝君       亀井 善之君    河村 建夫君       久野統一郎君    小林 興起君       左藤  恵君    関谷 勝嗣君       戸塚進 也君    林  大幹君       前田  正君    山下 元利君       大木 正吾君    佐藤 恒晴君       沢田  広君    土肥 隆一君       富塚 三夫君    早川  勝君       細谷 治通君    堀  昌雄君       松本  龍君    渡辺 嘉藏君       東  祥三君    宮地 正介君       藤田 スミ君    正森 成二君       中井  洽君    菅  直人君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 羽田  孜君  出席政府委員         大蔵政務次官  村井  仁君         大蔵大臣官房総         務審議官    日高 壮平君         大蔵大臣官房審         議官      小川  是君         大蔵大臣官房審         議官      石坂 匡身君         大蔵省主計局次         長       涌井 洋治君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省関税局長 吉田 道弘君         大蔵省理財局長 寺村 信行君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         大蔵省国際金融         局長      江沢 雄一君         農林水産省経済         局長      川合 淳二君  委員外出席者         農林水産省農蚕         園芸局企画課長 須賀田菊仁君         大蔵委員会調査         室長      兵藤 廣治君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月三日  辞任        補欠選任   中井  洽君    塚本 三郎君 同日  辞任        補欠選任   塚本 三郎君    中井  洽君 同月十一日  辞任        補欠選任   仙谷 由人君    松本  龍君   筒井 信隆君    土肥 隆一君   正森 成二君    藤田 スミ君 同日  辞任        補欠選任   土肥 隆一君    筒井 信隆君   松本  龍君    仙谷 由人君   藤田 スミ君    正森 成二君     ――――――――――――― 十二月六日  平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理の  特例に関する法律案内閣提出第二号)  農業共済保険特別会計における農作物共済、  果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金の支  払財源不足に充てるための一般会計からする  繰入金等に関する法律案内閣提出第三号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第四号) 十一月二十五日  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(上  原康助紹介)(第三号)  同(伊東秀子紹介)(第九号)  同(常松裕志紹介)(第一〇号)  同(長谷百合子紹介)(第一一号)  同(菅直人紹介)(第四三号)  同(常松裕志紹介)(第四四号)  同(楢崎弥之助紹介)(第九三号)  同(阿部昭吾紹介)(第一三九号)  同(岡崎宏美紹介)(第一四〇号)  同(加藤万吉紹介)(第一四一号)  同(常松裕志紹介)(第一四二号)  消費税廃止国民本位税制改革に関する請願  (加藤繁秋紹介)(第八号)  同(小沢和秋紹介)(第四五号)  同(金子満広紹介)(第四六号)  同(木島日出夫紹介)(第四七号)  同(児玉健次紹介)(第四八号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四九号)  同(菅野悦子紹介)(第五〇号)  同(辻第一君紹介)(第五一号)  同(寺前巖紹介)(第五二号)  同(東中光雄紹介)(第五三号)  同(不破哲三紹介)(第五四号)  同(藤田スミ紹介)(第五五号)  同(古堅実吉紹介)(第五六号)  同(正森成二君紹介)(第五七号)  同(三浦久紹介)(第五八号)  同(山原健二郎紹介)(第五九号)  同(吉井英勝紹介)(第六〇号)  同(正森成二君紹介)(第九四号)  同(寺前巖紹介)(第一四三号)  青色事業主勤労所得控除創設に関する請願外  一件(愛野興一郎紹介)(第二一号)  同(伊東正義紹介)(第二二号)  同(石橋一弥紹介)(第二三号)  同(小沢一郎紹介)(第一四号)  同(尾身幸次紹介)(第一五号)  同(梶山静六紹介)(第一六号)  同(川崎二郎紹介)(第一七号)  同(齋藤邦吉紹介)(第一八号)  同(塩崎潤紹介)(第二九号)  同(杉浦正健紹介)(第三〇号)  同(田邊國男紹介)(第三一号)  同外一件(塚原俊平紹介)(第三二号)  同(穂積良行紹介)(第三三号)  同外二件(山口敏夫紹介)(第三四号)  課税最低限度額大幅引き上げ等に関する請願  (木島日出夫紹介)(第三五号)  同(児玉健次紹介)(第三六号)  同(辻第一君紹介)(第三七号)  同(不破哲三紹介)(第三八号)  同(吉井英勝紹介)(第三九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第九七号)  同(寺前巖紹介)(第九八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第九九号)  同(正森成二君紹介)(第一〇〇号)  同(山原健二郎紹介)(第一〇一号)  消費税廃止に関する請願古堅実吉紹介)  (第四〇号)  同(寺前巖紹介)(第一四四号)  同外二件(山元勉紹介)(第一四五号)  消費税廃止国民本位税制改革に関する請  願(木島日出夫紹介)(第四一号)  同(藤田スミ紹介)(第四二号)  同(佐藤祐弘紹介)(第九五号)  同(正森成二君紹介)(第九六号)  同(寺前巖紹介)(第一四六号) 同月二十九日  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(常  松裕志紹介)(第一六八号)  同(菅直人紹介)(第一九〇号)  同外一件(渋谷修紹介)(第一九一号)  同(常松裕志紹介)(第一九二号)  同(常松裕志紹介)(第二五六号)  同外四件(外口玉子紹介)(第二五七号)  同外一件(土井たか子紹介)(第二五八号)  同(秋葉忠利紹介)(第三六〇号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四一六号)  同(秋葉忠利紹介)(第四五八号)  同(渋谷修紹介)(第四五九号)  同(秋葉忠利紹介)(第五二三号)  同(渋谷修紹介)(第五二四号)  青色事業主勤労所得控除創設に関する請願  (中井洽紹介)(第一六九号)  同(伊藤公介紹介)(第一九三号)  同(浦野烋興君紹介)(第一九四号)  同(尾身幸次紹介)(第一九五号)  同(大原一三紹介)(第一九六号)  同(岡田克也紹介)(第一九七号)  同外一件(鹿野道彦紹介)(第一九八号)  同(梶山静六紹介)(第一九九号)  同(片岡武司紹介)(第二〇〇号)  同(熊谷弘紹介)(第二〇一号)  同(河野洋平紹介)(第二〇二号)  同(笹川堯君紹介)(第二〇三号)  同(藤井裕久紹介)(第二〇四号)  同(船田元紹介)(第二〇五号)  同(三塚博紹介)(第二〇六号)  同(宮里松正紹介)(第二〇七号)  同(山村治郎紹介)(第二〇八号)  同(尾身幸次紹介)(第二五九号)  同(河野洋平紹介)(第一六〇号)  同(笹川堯君紹介)(第二六一号)  同(藤井裕久紹介)(第一八一号)  同(宮里松正紹介)(第一ハニ号)  同(山村治郎紹介)(第一八四号)  同(河野洋平紹介)(第二九九号)  同外三件(藤井裕久紹介)(第三〇〇号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第三〇一号)  同(宮里松正紹介)(第三〇二号)  同(河野洋平紹介)(第三六一号)  同外六件(長谷川峻紹介)(第三六二号)  同(三塚博紹介)(第三六三号)  同(宮里松正紹介)(第三六四号)  同外四件(伊藤宗一郎紹介)(第四六〇号)  同外十三件(小宮山重四郎紹介)(第四六一  号)  同(河野洋平紹介)(第四六二号)  同(高村正彦紹介)(第四六三号)  同(宮里松正紹介)(第四六四号)  同外一件(自見庄三郎紹介)(第四六五号)  同外二件(福田康夫紹介)(第五二五号)  同(宮里松正紹介)(第五二六号)  課税最低限度額大幅引き上げ等に関する請願  (石田祝稔紹介)(第三〇三号)  同(鍛冶清紹介)(第三〇四号)  同(権藤恒夫紹介)(第三〇五号)  同(竹内勝彦紹介)(第三〇六号)  同(東順治紹介)(第三〇七号)  同(伊藤忠治紹介)(第二八五号)  同(上原康助紹介)(第二八六号)  同(加藤繁秋紹介)(第二八七号)  同(新村勝雄紹介)(第二八八号)  同(田口健二紹介)(第二八九号)  同(竹村幸雄紹介)(第二七〇号)  同(谷村啓介紹介)(第二七一号)  同(土井たか子紹介)(第三七二号)  同(堀昌雄紹介)(第三七三号)  同(松浦利尚君紹介)(第三七四号)  同(松本龍紹介)(第三七五号)  同(小川信紹介)(第四六六号)  同(小澤克介紹介)(第五二七号)  同(菅野悦子紹介)(第五二八号)  同(細谷治通紹介)(第五二九号)  共済年金改善に関する請願萩山教嚴君紹介  )(第三五九号)  消費税廃止国民本位税制改革に関する請  願(松浦利尚君紹介)(第三七六号)  共済年金改善に関する請願前田武志紹介)  (第四五七号) 十二月二日  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(秋  葉忠利紹介)(第六二二号)  同(金子満広紹介)(第六二三号)  同(渋谷修紹介)(第六二四号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第六二五号)  同(渡部行雄紹介)(第六二六号)  同(秋葉忠利紹介)(第六八〇号)  同(伊東秀子紹介)(第八八一号)  同(上原康助紹介)(第八八二号)  同(鈴木喜久子紹介)(第六八三号)  同(不破哲三紹介)(第六八四号)  青色事業主勤労所得控除創設に関する請願  (浜田卓二郎紹介)(第六二七号)  同(原田義昭紹介)(第六二八号)  同外十件(原健三郎紹介)(第六八五号)  同(松田岩夫紹介)(第六八六号)  課税最低限度額大幅引き上げ等に関する請願  (加藤繁秋紹介)(第六二九号) 同月三日  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(江  田五月君紹介)(第八一九号)  同外四件(沖田正人紹介)(第八二〇号)  同(金子満広紹介)(第八二一号)  同(渋谷修紹介)(第八二一号)  同(外口玉子紹介)(第八二三号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第八一四号)  同外一件(平田米男紹介)(第八二五号)  同(三浦久紹介)(第八二六号)  同外一件(薮仲義彦紹介)(第八二七号)  同(和田静夫紹介)(第八二八号)  同外十四件(仙谷由人紹介)(第九四〇号)  同(長谷百合子紹介)(第九四一号)  青色事業主勤労所得控除創設に関する請願外  三件(相沢英之紹介)(第八二九号)  同外一件(近岡理一郎紹介)(第九四二号)  同(原田昇左右紹介)(第九四三号)  同(山口俊一紹介)(第九四四号)  課税最低限度額大幅引き上げ等に関する請願  (江田五月紹介)(第八三〇号)  同(江田五月紹介)(第九四五号)  共済年金改善に関する請願奥野誠亮紹介)  (第九四六号) 同月四日  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願外四  件(秋葉忠利紹介)(第一一二八号)  同外五件(大野由利子紹介)(第一二一九号  )  同(川崎寛治紹介)(第一一三〇号)  同外十件(渋谷修紹介)(第一一三一号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第一一三二号)  同(古堅実吉紹介)(第一一三三号)  同(薮仲義彦紹介)(第一一三四号)  消費税廃止国民本位税制改革に関する請願  (春田重昭紹介)(第一一三五号)  青色事業主勤労所得控除創設に関する請願  (後藤田正晴紹介)(第一一三六号)  同外一件(杉山憲夫紹介)(第一一三七号)  同(近岡理一郎紹介)(第一一三八号)  同(古屋圭司紹介)(第一一三九号)  同(松岡利勝紹介)(第一一四〇号)  同(山田英介紹介)(第一一四一号)  課税最低限度額大幅引き上げ等に関する請願  (秋葉忠利紹介)(第一一四二号)  同(中西績介紹介)(第一一四三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月五日  公共用地取得に係る租税特別措置法優遇措置  の拡大に関する陳情書  (第一五号)  軍備拡大をはかり国民生活を破壊する公約違反  の消費税廃止に関する陳情書  (第一六号)  事業承継円滑化のための税制等に関する陳情書  (第一  七号)  銀行証券等の不祥事の究明と公正な金融・証  券市場の確立に関する陳情書外五件  (第一八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理の  特例に関する法律案内閣提出第二号)  農業共済保険特別会計における農作物共済、  果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金の支  私財源不足に充てるための一般会計からする  繰入金等に関する法律案内閣提出第三号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第四号)      ――――◇―――――
  2. 太田誠一

    太田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案農業共済保険特別会計における農作物共済果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。     —————————————  趣旨説明を求めます。羽田大蔵大臣。  平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理の   特例に関する法律案  農業共済保険特別会計における農作物共済、   果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金の   支払財源不足に充てるための一般会計から   する繰入金等に関する法律案  日本開発銀行法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕
  3. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいま議題となりました平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案農業共済保険特別会計における農作物共済果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。  平成年度におきましては、租税及び印紙収入が最近までの収入実績等を勘案すると、当初予算に対し、大幅な減収となることが避けられない見通しとなりました/このため、政府は、補正予算編成に当たり、既定経費節減等に最大限の努力を払うとともに、追加財政需要につきましても極力圧縮し、災害関係経費給与改善費等時に緊要となった事項について措置を講ずることとしたところであります。さらに、大幅な税収減に対応するためのやむを得ざる措置として、災害関係経費追加等に対応するものを含め、建設公債追加発行を行うことといたしております。  しかしながら、これらをもってしても、なお財源不足することから、本法律案は、臨時異例措置として、平成年度歳入歳出決算上の剰余金の全額を補正予算不足財源に充当することができるよう、財政法特例を定めるものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明を申し上げます。  財政法第六条第一項においては、各年度歳入歳出決算上の剰余金の二分の一を下らない金額翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないこととされておりますが、平成年度剰余金につきましては、この規定は適用しないこととしております。  次に、農業共済保険特別会計における農作物共済果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案につきまして、御説明を申し上げます。  平成年度におきまして、暴風雨、低温等による水稲、リンゴ、園芸施設等被害が異常に発生したことに伴い、農業共済保険特別会計農業勘定果樹勘定及び園芸施設勘定の再保険金支払いが著しく増大するため、これらの勘定の再保険金支払い財源不足が生ずる見込みであります。  本法律案は、これらの勘定の再保険金支払い財源不足に充てるため、平成年度において、一般会計から、二十五億六千六百二十七万五千円を限り、農業共済保険特別会計果樹勘定に繰り入れることができることとするとともに、同特別会計農業勘定及び園芸施設勘定積立金をそれぞれこれらの勘定歳入に繰り入れることができることとしようとするものであります。  なお、この一般会計から同特別会計果樹勘定への繰入金につきましては、後日、同勘定におきまして、決算上の剰余が生じ、この剰余から同特別会計の再保険金支払基金勘定へ繰り入れるべき金額を控除して、なお残余がある場合には、この繰入金に相当する金額に達するまでの金額一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。  最後に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして、御説明を申し上げます。  日本開発銀行業務につきましては、毎年度財政投融資計画編戒に際して、融資分野の厳しい見直しを行い適正な出融資規模となるよう努めておりますが、平成年度におきましては、社会資本の整備の推進等のための日本開発銀行に対する旺盛な資金需要が、当初の計画見込みを大幅に上回る状況にあります。  政府といたしましては、このような資金需要に的確に対応すべく、年内にも日本開発銀行出融資規模拡大を図るため、弾力条項の発動により所要の財政投融資計画追加を行うことを予定しておりますが、これにより同行出融資の額が現在の限度額を超える見通しとなることから、本法律案は、同行業務の円滑な運営に資するため、貸し付け等限度額引き上げを行おうとするものであります。  以下、この法律案内容について御説明申し上げます。  日本開発銀行法第十八条の二においては、日本開発銀行借り入れ等限度額自己資本の額の十一倍とされ、また、貸し付け等限度額自己資本の額及び借り入れ等限度額合計額、すなわち自己資本の額の十二倍と定められておりますが、借り入れ等限度額を従来の自己資本の額の十一倍から十二倍に引き上げることによって、貸し付け等限度額自己資本の額の十三倍とすることとしております。  以上が、平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案農業共済保険特別会計における農作物共済果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容でございます。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  4. 太田誠一

    太田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 太田誠一

    太田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤恒晴君。
  6. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 まず最初に、農業共済保険関係につきまして、若干お尋ねをしたいと思います。  今度の共済支払い見込み額はトータル約一千三百九十億円ということで、膨大な金額になっておるわけでありまして、もちろんこれが損害のすべてをあらわしているわけではないということは申し上げるまでもないわけであります。例えば青森県の例を見ますと、水稲関係では例年のいわゆる粗生産額の約一四%、また果樹につきましては例年の粗生産額の約一〇%という共済額が見込まれているわけでありますが、もちろん損害はこれよりも大きいわけであります。したがって、農家経済はもとより、地域の経済に与える影響というのは極めて大きいものがある、こんなように思うわけであります。一般家庭におきましても、野菜の急騰というようなこともございまして、急遽輸入を拡大するといったような問題があったわけでして、災害にかかわる国民経済に与えた影響は極めて甚大であったと思っております。  本日は、共済制度内容そのものには立ち入ってお尋ねをするといういとまはございませんので、ごく一、二の点をお尋ねしておきたいと思います。  御案内のとおりに、農業基本法スタート三十年ということでございまして、強い農業をつくっていこうということでありましたけれども、結局のところは、米の自由化問題を含めまして、極めて農業を取り巻く情勢は厳しい状況にございます。加えて今回の災害ということでありますから、農家皆さんにとっては踏んだりけったりというような状況にあるわけであります。  そこでお尋ねをしたいのでありますが、稲作に対する災害によりまして、これを作付面積に換算をいたしますと約十三万ヘクタールの減反圧縮をやらなければ来年度在庫米の適正な繰り越しに他ならない、こういうことが出まして、来年度の、後期対策最終年度減反については圧縮をする、約六十五万トン分に相当する面積、こういうことになるわけであります。もとより、この減反対策は三カ年のサイクルを置いておりますが、これは農家作付の安定、生産の安定、あるいはまた不安に対する問題解消のためにいわば三カ年という一つの期間を決めてやっておるわけでありますが、そういう点からいたしますと、災害が起きて繰越米が足りなくなるからさあ減反圧縮だ一ということでは、農家にとっては極めて不満な状況ではないか、こんなふうに思うわけでありますが、今後生産農家皆さんにどのように対応していくお考えか、見解をお尋ねしたいと思います。
  7. 須賀田菊仁

    須賀田説明員 来年度転作等目標面積についてでございますけれども、御案内のように、平成年産米作況が、累次にわたります台風被害等によりまして全国的にやや不良、十月十五日現在で作況が九五というふうになったということに伴いまして、平成四米穀年度、来年の十月末現在の在庫が三十万トンから四十斤トンというふうに適正在庫水準をかなり下回るということが見込まれるために、緊急に米の円滑な需給操作に資するために転作等目標面積を十三万ヘクタール緩和、軽減することとしたところでございます。  確かに農家の中からは、農家の中期的な営農に支障を生じさせないように、今回におきましてもある程度期間見通し転作面積の変動がないようにしてもらいたいという強い要望があったことは承知をしておるところでございますが、今回やはり現実に生じました米不足という懸念への対応ということが何にも増して重要であるということで、米を国内産で自給するという基本方針を貫きまして、国民食糧安定供給に必要な米を確保するということを第一義にして対応をさせていただいたということでございますのできる限り安定的な転作営農の確保にも配慮するということで、緩和の面積といいますか、それは必要最小限度にとどめるということで、再来年以降の変動をできる限り小さくするというふうにしたものでございます。  今回のこの転作等目標面積の緩和の決定に当たりましては、農業団体でございますとか都道府県、市町村の代表者、こういうところの意見を十分聞きまして理解を得たところでございまして、農家の皆様方に対しましても、これら団体と協力をいたしまして今回の措置趣旨を十分伝えていきたい、理解を求めていきたいというふうに考えているところでございます。  水田農業確立後期対策、来年度まで、平成年度まででございます。それ以降のあり方につきましては、来年におきます在庫でございますとか需要の動向でございますとか、この後期対策の推進状況でございますとか、こういうものを踏まえながら、関係者の意見も聞きまして慎重に検討していきたい、このように考えているところでございます。
  8. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 基幹食糧の国内自給ということ、それから生産農家の意欲を減退させないという立場からの今後の対応を求めておきたいと思います。  次に、現在自主流通米対策について六十キロ当たり六百円から千四百円程度の補助があるわけでありますが、大蔵省ではこれを削減したい、こういうような方針のようでありますが、一方では災害に見舞われて容易ではないという状況のもとで、今度は自主流通米対策費の削減ということでは、農家にとりましては極めて不満な状態だ、こう思うわけであります。加えて、学校給食等に対する負担の削減であるとかということになってまいりますと、税収不足対策としての財源対策を食糧の問題に求めていくということでは極めて問題があるのではないか、こんなふうに実は思うところでありまして、これらについての来年度予算編成に当たっての見解を改めて確認をしておきたいと思います。そういうことはやるべきではない、私はこういう立場でお尋ねをしておきたいと思います。  さらに、米の自由化問題が大変重大な段階を迎えているわけでありますが、ことしの自主流通米の入札第一回が九月四日に行われた。これは三万五千トンの入札が行われたわけでありますけれども、昨年の平均取引を上回ったということであります。米の作柄状況が明らかになった十一月段階の第二回の入札では、これは十万トンすべてにわたって昨年の平均を大幅に上回るという値段で入札がされているということを考えてまいりますと、米も流通業者といいますか流通段階において価格が決定されていくのは当たり前でありますけれども、それにしましても、米が足りなければ値段が上がる、こういうことに実はなるわけでありまして、消費者の段階から見ますと将来に極めて問題を残している、こう思うわけであります。  そういう意味で、米に造詣の深い大蔵大臣の米の自由化に対する今後の対応などについての御見解があれば、あわせてお尋ねをしておきたいと思います。
  9. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘のございました、いわゆる自主流通米、こういったものに対する対応について、予算の中でこういった問題を議論しているんじゃないのかというような御指摘もあったと思うのでございますけれども、この点につきましては、自主流通米制度をつくり、そして自主流通米を一体どの辺まで持っていこうかという議論を実は私どもずっと今日までやってきております。そういう中で、自主流通米は現在七割を超えるくらいにまで美点徹底してきたということ、そしてその中で良質米というものは確保されるようになってさておるということ、こういったことから、一つの目的を達したのではないのか、そういう議論というのは実は数年前からあったわけでございます。そういう中で今度、財政も厳しいということだけでなくてそういう基本的な考え方なんかも持ちながら、今農林水産省当局と私どもの事務方の方で、全体のものを見る中にあって、こういう一つの目的を達したものについては削減はできないだろうかということについて話し合いをしているというふうに私ども承知をいたしておるところでございます。  それから、学校給食の問題についても同じことが言えると思います。  それからもう一つは、今自由化の問題についてのお話があったわけでありますけれども、この問題につきましては、まさにガット・ウルグアイ・ラウンド、毎日の報道にありますように、割合と早くといいますか非常に積極的な話し合いが進められておる、そしてこれは当事者間といいますか二国間ですとかあるいは数カ国間の中で話し合いが進められておるというふうに聞いております。ただ、私たち、これは外務省もあるいは農林水産省も、これに対する対応といたしましては、基本的に国会の決議、これをやはり尊重していきたいということ、そして米についてはやはり自給を旨としながらこれを進めていくんだ、この基本的なスタンスに立ちまして、各国の理解を求めるために今大変な努力をされておるというふうに私ども承知しておることを申し上げておきたいと思います。
  10. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 もっと積極的な見解を伺いたかったのでありますが、次に移りたいと思います。  次は、国債、いわゆる昨年の剰余金の繰り入れ問題につきまして若干お尋ねをしたいと思います。  先ほども提案説明の中でありましたから繰り返す必要はないわけでありますが、私は、財政法六条の特例化についてはやはり基本的に問題があるというふうに思っております。しかも、言うまでもなくこの財政法の四条ではあえて本文の中で、公債または借入金以外で歳出を賄いなさい、こういうふうになっておるわけでありますから、公債は金がなければいつでもやっていいんだよというふうに最初から書いてあるわけではございませんので、問題があると思っております。しかも、こういう措置は、いわゆる減債制度の一角を崩すものだというふうに基本的に認識をするわけであります。しかも、公債費あるいはまたこれからの発行による依存度、こういうものがどんどん上昇をしていくということを考えてまいりますと、当然にして財政の硬直化ということに実はなってくるわけであります。  きょうの新聞でも報道されておりますが、いわゆる中期展望の達成の二、三年の先送り、こういうようなことが実は報道されておるわけであります。こうした状況を見ますと、来年度見込みにつきましても、税収約六十二兆円あるいは国債の発行か七兆二千億程度というようなことを見込んだ上でのこういう新聞の報道ということに実はなっておるわけでありまして、この剰余金の繰り入れ等についての財政措置の基本的なあり方並びに今後の財政再建路線の転換を図るということに実はなるのだろうと思います。二、三年先ということであれば、こういうことだから二、三年先には達成できるであろうという現在段階における根拠があろうかと思いますけれども、お伺いをしたいと思います。
  11. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  まず、剰余金の全額一般会計繰り入れでございますけれども、この点につきましては先生おっしゃるとおり、やはり減債制度の中で減債の原資として剰余金というのは大きな柱の一つでございまして、この原則はやはり守らなくてはいけないことはおっしゃるとおりかと考えております。  ただ、御承知のとおり二兆八千億に上る減収がある。節約等あるいは建設国債の目いっぱいの発行をいたしましても、災害とか公務員給与の追加財政需要もぎりぎりに抑えて、その上でなお財源不足があるものですから、今回は臨時特別の措置として剰余金一般会計全額繰り入れをお願いしておるところでございます。  なお、次の、いわゆる新中期目標、公債依存度を大体この五年ぐらいをめどに五%ぐらいに下げるという目標、これは財政制度審議会等からも答申いただいております。この目標を変えるのではないかという御質問がと思いますけれども、今回の補正で二兆八千億円、三年度の税収が落ちる、それを土台といたします四年度の税収も極めて厳しい状況になることは避けられないわけでございますが、やはり今後の中期的な財政運営につきましては、急速に進展する人口の高齢化など今後の社会経済情勢に財政が弾力的に対応していくためには、二度と特例公債を発行しないということを基本として、建設国債についてもできるだけ抑制して、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが重要と考えております。  そういうことで、極めて厳しい財政事情でございますけれども、公債発行額をできるだけ抑制していく。そのためには制度、施策の見直しを行うなど引き続き財政改革を推進していかなくてはいけないと考えておりまして、その現在進めておる中期的財政運営の目標を変えることは、我々は考えておりません。
  12. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 目標を変えることは考えていないけれども、なぜ二、三年先がということについては余りはっきりしないわけであります。  国の予算編成の財源対策のために地方交付税の削減等にも踏み込んで検討しているような報道が連日あるわけでありますが、地方財政といえどもそんなにゆとりのある状況ではない、つまり、むしろ先行き不透明という状況であろう、こう私は思います。そういう意味で、こういうことについては問題があると思います。さらにはまた、政府の方あるいは自民党税調等でも、今後の、来年度の税制をどうするかということで、さまざまな税目について、あるいは湾岸の九十億ドル支出の際の税等についてどうするかということが連日報道されておるわけてありますが、私は、言われるところの優遇税制とかあるいは不公平税制といったものについてこの際抜本的な見直しを行いながら、大衆増税をやらない方向で財源の確保を図るべきではないかというふうに基本的には思っているところであります。  ところで、消費税についてお尋ねをいたしたいと思いますが、自民党税調の武藤会長が日経新聞のインタビューに答えまして、平成四年の税制改正作業が終わり次第中長期の作業に着手をする、それは消費税率と地方交付税率の見直しを主要な対象とするというふうに表明をされている記事がございました。これは消費税率の改正を示唆したものではないかというふうに実は思えるわけであります。また、大蔵大臣も朝日のインタビューに答えまして、消費税の税率引き上げは今その時期ではないということを述べながら、税収不足の見積もりが確定してから精力的に検討してもらう、必要なら国民に説明をするという趣旨の発言をしているわけであります。この武藤会長の発言と大蔵大臣の発言というのはある意味では微妙な一致点がある、こう私は思うわけでありますが、しかし、大蔵大臣の今国会でのこの消費税問題の答弁はもう一つ真意をつかみかねる答弁に終始をしておられる、こんなふうに実は受け取っておるわけであります。  そこでお尋ねをしたいのは、税収見積もりが確定してからというのは、いかなる状況あるいはいかなる時期を指してこの確定の意味を使われたのか、そこのところをひとつお尋ねしたいと思います。
  13. 羽田孜

    羽田国務大臣 今の御指摘の点につきまして、私もその新聞の記事というのをよく承知しておらないのですけれども、私自身がこの問題について御質問に対しお答えしたのは、たしか参議院の大蔵委員会で御質問があったときにお答えをいたしました。そうしましたら、午後の方から、午前中のあなたの答弁について今NHKでこんなことを言っていだけれどもということで、実はお答えをしたことがあるわけでありますけれども、私の基本的なあれは、いわゆるしゃくし定規でどうこう言うというのはおかしいのじゃないのかということをお話ししながら、消費税というのはこの秋にともかく議員立法によりまして一つの方向が出されたところでありますから、こういったものをきちんと定着させることに今私たちは努めなければいけないんだということでありまして、私として今消費税の税率についてどうこうするなんということについては一切念頭にありません。それと、税というものは直接かあるいは間接税がどちらがいいのか、こういったことを国民の皆様方に御判断をいただける問題であろうと思っておりますから、やはりそういう御意見というものをそんたくしていかなければいけない、尊重していかなければいけないということを実はずっと申し上げてきておりまして、たしかあなたはだれのときはこう言った、あなたもこう言いなさいよというような、そういうしゃくし定規のものではないのじゃないですかという意味で申し上げたのが、何か変なふうに伝わったのではなかろうかと思っております。
  14. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 この武藤会長の発言というのは十一月二十日の日経新聞のインタビューなんですね。それから大蔵大臣の発言、私が引用したのは十一月二十二日に報道された朝日新聞のインタビューの記事なんですよ。だから国会答弁のやりとりの話ではないのです。  それから、私がお尋ねをしておるのは、消費税の問題については、税収不足の見積もりが確定してから精力的に検討してもらう、必要があれば国民の皆さん説明する、こう言っておられますので、税収見積もりが確定してからというのは、今年度は約二兆七、八千億減収だとか、来年は六十二兆円程度きり税収が見込めないとか、こういう算定が行われて、来年度予算編成ももうそろそろ成案が確定をされていこうという段階でありますけれども、それじゃ、税収見積もりが確定をしてから精力的にという、この確定をしてからという確定とはどういう状況、どういう時期を指してお答えになっておられるのか、インタビューに答えておられるのかお伺いをしたい、こういうことです。
  15. 羽田孜

    羽田国務大臣 これは私が話したということであれしておりましたか。それたとすれば、消費税のことじゃなくて何かほかのことと勘違いされたのじゃなかろうかと思っております。  私が今まであれしましたことは、ともかく今度の税制については、今、党のあるいは政府の方の税調で御論議いただいておりますから、そういったものを踏まえて私どもは対応していきたいということを申し上げたことはございます。一 ですから、一般論でも、今のあれについてこういう話というのは実はしておらないということを申し上げておきたいと思います。
  16. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 私は新聞を見てそのまま申し上げているわけでありまして、そうすると、新聞の記事の読み方が悪い、こういうことになるのでありましょうが、そのまま引用したわけでございます。  そういうことでございますから、先に行きたいと思います。  私は、消費税の問題につきましては、これは税制協議会の中でも、食料品の小売段階における非課税ということについて話し合いがされておるわけでありまして、自民党としても、過去のある時期にはそういうことをやりたいということまで公約をしてきた時期があるわけでありますから、消費税の税率問題については、私は消費税そのものについて問題がありますけれども、税率については引き上げる等の検討はされているようにも報道されておりますけれども、これは大蔵省だけじゃなくて税調等においても、これはぜひともひとつ回避をしてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、地方交付税を減額といいますか削減をするという過程の中で、地方財政をこのままどんどんと地方の歳出をふやしていくということは国民負担率にも影響を及ぼすので慎重にやりたいという、つまり削減の方向でやりたいということなのでありますが、そういうような記事もかつて拝見をしたことがあるわけでありますが、政府等は今日まで、国民負担率については四〇%台の後半ぐらいのところでおさめたいというような意向が今日まで大体表明されてきたトータルなところではないか、こんなふうに実は思っているところであります。  高齢化社会に向かって財源確保のために実は消費税の導入ということをうたわれたわけでありますけれども、今日考えてまいりますと、消費税ならずとも、いわゆる収入のない方、あるいはまた収入の非常に少ない方についても、いわば一律的にというかあるいは総体的にといいますか、負担が増大していくような状況にあることは間違いないわけでありますけれども、説あるいはまた社会保障費等の負担等について、つまり国民負担率等の問題について大臣は今後どうあるべきだとお考えか、お尋ねをしておきたいと思います。
  17. 羽田孜

    羽田国務大臣 租税負担と社会保障負担と合わせた国民負担の今後のあり方につきましては、究極的には国民が必要とする公共支出の水準と表裏をなすものでございまして、受益と負担のバランスを眺めつつ、そのときどきの情勢のもとで国民的な選択が行われるべき事項であろうというふうに基本的には考えます。今後、高齢社会の進展等に伴いまして国民負担率は長期的にある程度上昇するものであろうと考えられますけれども、第二次行革審の最終答申におきましては、今ちょっとお触れになりましたように、「二十一世紀初頭の時点においては、国民負担率は四〇%台半ばをめどにその上昇を抑制すべきである。」と提言されております。また、「高齢化のピーク時」、二〇二〇年ごろでございますけれども、「においても五〇%を下回ることを目標とする。」と提言されておるというふうに承知しております。  私どもといたしましては、この第二次行革審の最終答申の趣旨等を踏まえまして、国及び地方の歳出のあり方を常に見直してその規模の伸びを極力抑制することと、公債残高の累増を抑制して将来の国債費の減少を図ること、また、社会保障について受益と負担の公平を十分勘案しつつ絶えず制度、施策の見直しを行うこと等によりまして、本格的な高齢化社会の到来における国民負担率の上昇を極力抑制すべく、今後とも最大限の努力を払っていきたいというふうに考えております。
  18. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 先ほどの消費税の朝日のインタビューに答えた記事の問題につきましては、今その新聞を私手元に持ってきておりませんからかぎ括弧の全文をちょっと読み上げることはできないのでありますが、改めて機会を見てはっきりさせていきたいと思います。  次に、開発銀行の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  簡単に申し上げますが、電力、都市開発あるいは情報等の分野で当初の見込みよりも大幅に資金需要が見込まれる、こういうふうに説明ではなっておるわけでありますが、どういう資金需要なのかということをもう少し、多少内容に触れて御説明をいただきたい、こう思います。  特に私はこの際、開発銀行の経営の状況といいますか、そこまで立ち入ることはできませんが、内容に入ることはできませんが、状況を見ますと、例えば昭和六十年を基準とした貸し付けの増加率は年々と増加の一途をたどっておりまして、これは結構だと思います。しかし当期の利益は、六十年を基準といたしますと年々減少であります。平成年度決算においては〇・四ポイント低下であります、昭和六十年を一としてというふうに理解していただいていいと思うのですが。ということは、毎年利益が下がっているというのは一体どういうことなのかということになるわけであります。これは、連続貸借対照表等に示された数字を見て申し上げているわけでありますが、六十年以来一貫して減益、単年度の収益が減少しているというこの理由は何なのかということについてお尋ねをしたい。  それから、借入金利息につきましても、昭和六十年を基準として見てまいりますと年々増大はしているということでございますから、負担が伸びているということになるわけであります。これは原資を、融資をするための財源を調達するということでいろいろ大変御苦労も多いのだろうと思いますけれども、こういうことでは問題があろうと思いますので、その辺の経営のあり方についての所感があればお尋ねをしておきたいと思います。  それから続いて、時間も余りありませんから申し上げたいと思いますが、開銀の貸付残の上位五十社という資料をいただきました。百社までいただきたかったのでありますが、五十社きり間に合わないということで五十社いただいたのであります。その五十社のうち、一九九〇年から過去五年間に社債あるいは転換社債の発行で市場から資金を調達をして、そのうちどのくらい設備投資に回したかという統計が、ある新聞に載っておったわけでありますが、しかもそのうち、申し上げたいのは、かつて問題になりましたバブルの補てん問題でありますが、対象になった上場企業約百七十社のうち八十数社が一〇〇%投資していない、市場から資金を調達して、それを全額設備投資に回しておらないという状況がございます。  若干例を申し上げますと、開発銀行の融資残高が第十一位の、仮にA社としておきましょう。A社の場合は開発銀行の借入残高が九百七十一億円であります。これが市場から資金を調達して設備投資に回した率は七二%であります。残りの二八%は設備投資に回しておらない。そしてその実額はどのくらいかというと、四百八十三億円であります。こういうことで見てまいりますと、上位五十社の中にそういう特徴的な会社が約四社見ることができます。融資をするに当たって、こういう市場から資金を調達しながら設備投資には全額回しておらない、あるいは相当額回しておらないというような状況の企業に対しての融資姿勢、そういうことを一々審査の際に見ることができないと言えばそれまででありますが、こういう結果が現にあるということについての所感があればお尋ねをしたいと思います。  引き続いてちょっと恐縮でありますが、それから、このバブル経済がはじけて企業の資金調達についていろいろと問題がにぎやかになっておりますけれども、例えば九〇年の六月から九一年の五月までの間の一年間の製造業あるいは非製造業の有利子負債額、いわゆる金融負担のかかる負債ですね、これの上位十社というような統計が見られたわけてありますが、これを参考に一つ申し上げますと、例えば製造業の、仮にE社としておきますが、E社はこれは製造業で第一位でありますが、有利子の負債額が、金融負担のある負債額が一兆五千六十一億円、開発銀行の残高が二百億円、こういうことでありまして、これを製造業それから非製造業を見ていきますと、そういう会社が五社ございます。例えば非製造業の場合には、開銀から二千八百六十九億円の借り入れをしておって、有利子負債額が三兆一千四百四十八億円。  こういうことを見てまいりますと、こういう経済状況のもとでいわゆる金利引き下げを含めたいわゆる金融政策というもの、あるいはまたそういう政府の裏打ちというようなものに大変目が向いてぎているんではないか、こんなふうに実は思いまして、いろいろ資料を拝見しますと、大蔵省は、財投は大幅追加やるけれどもこれは景気対策ではないんだ、予算編成はまあいわば景気に対しては中立型でいくんだとかいろいろと説明をされておりますけれども、なかなか理解に苦しむ説明が連日のように新聞で報道されておるわけであります。こういう状況なども加え、さらに過般の七月期から九月期までの経済成長率の問題、あるいはこれからの民間機関等における経済成長率の動向等の分析などを参考にしながら、政府は、今後の経済見通し、特に成長率等の問題につきまして、あるいはまた来年にも、来春にも第三次の金利引き下げというようなことがいろいろ言われておるわけでありますが、そういう問題を含めて、今後の経済見通し及び来春早々金利の引き下げというような方向に踏み込んでいくような、そういう状況にまでなっているとお考えなのかどうかお尋ねをしたいと思います。
  19. 土田正顕

    ○土田政府委員 まず、私の方から御説明を申し上げます。  最初のお尋ねは、開銀に対する資金需要内容についての説明を求めるということでございます。今回お願いしておりますようなことで、旺盛な資金需要にこたえるべく開発銀行法の改正をお願いしておるわけであります。その資金需要も全般的に今は強いとも申せますが、なかんずく電力、これにつきましては、九電力会社による電源多様化工事など、それから都市開発、これは東京湾や大阪湾の臨海部開発プロジェクトとか私鉄輸送力増強など、それから情報通信、これは第二電電などの設備投資というようなもののほか、輸入関連施設、これは輸入倉庫などであろうと思いますが、そういうものが目立っておると聞いておるわけでございます。  次に、この利益についてのお尋ねでございますが、確かに御指摘のように利益金は、これまでの傾向を申しますと、五十八年度の六百十五億円をピークにいたしまして、その後、近年ではだんだん減少しておるという状況でございます。  これの背景でありますが、これは一つは金融緩和の局面での金利が低下いたしましたために、自己資本、これはいわば無コスト資金と考えられますが、その自己資本の利回りの低下がございましたこと、それからさらに、金利低下の段階におきまして、過去の相対的に高利な借入金につきまして多額の繰り上げ返済が発生したというようなことがあり、これが利ざやの縮小につながりましたため、利益金が減少傾向をたどったわけでございます。今後の見通しは、もちろんこれは金融情勢いかんにもよることでございますが、このような繰り上げ返済というような事情はいわば金利低下時にのみ起こるような問題でございますので、このような多額の繰り上げ返済の新たな発生というものがございませんければ、それは利ざやの改善等も期待できると思います。そこで利益額は相応の水準を維持し得るものと思うわけでございます。  もちろん開銀の利益につきましては、これは一般の金融機関と同様でございますが、金利動向その他金融全般の情勢の影響を受けることのほか、金利の設定方針のいかんによって変動することは避けられないわけでございますが、やはりこの適切な水準の利益ないし国庫納付金を生み出す財務基盤を維持するということは大事なことであろうと思いますので、今後ともそのような観点も含めて適切な金利水準の設定に努めたいと考えております。  それからその次に、この市場から社債、転換社債その他の資金を集め、それからまたさらには開発銀行からの資金も合わせまして設備投資に回しておる、それについての資金の使途をフォローするお尋ねがございまして、これについて私ども全部チェックしているというようなことはございませんが、この開発銀行の融資に関しまする限りにつきましては、これは一つのプロジェクトの中の一定割合について融資をするということでその使途や金額を決定しております。当然この融資を実行した後におきましても、資金が使途どおり用いられるように、融資プロジェクトを随時フォローしておるわけでございます。  ただ、この市場を含めまして全体に集めました資金がそのまま新規設備投資に向けられるかということになりますと、これはやはり資金繰りの都合もございまして、返済資金とか運転資金の調達もあわせ行うというようなこともございますので、必ずしもこの開銀融資及び市場から集めた資金そのものが新規設備投資にそのまま回るということにはなっておらないというようなことは考えられると思うわけでございます。  それから最後に、開銀借り入れと有利子負債全体との関係、殊に今後の金利動向で有利子負債の姿が変わっていく、その中で開銀借り入れはどのような役割を担うかというお話もございましたが、このお尋ねにつきまして直接お答えになりますかどうかでございますが、開発銀行の融資は、一つのプロジェクトを取り上げまして、それに対しまして長期間、固定金利によって資金を供給いたします。したがいまして、市中全般の金利水準が上下に変動いたしましても、必ずしも開銀からの貸し出しにつきましては金利が途中で変わるというふうにはなっておらない、むしろそういう状態は一般的には想定しておらないところでございます。長期、固定ではございますが、やはり巨額の、かなり相対的にリスクの大きな、民間ベースには乗りにくいようなものにつきまして、長期、安定的な資金を供給するというところに政策金融としての意義があるものと考えております。  それで、その他の、経済見通しその他につきましては、別の者から御説明をさせていただきます。
  20. 日高壮平

    ○日高政府委員 まず最初に、現在の景気に対する私どもの見方でございますが、当委員会でも既に大臣から御答弁いただい。たことがあるかと思いますけれども、御承知のように、住宅投資とかあるいは自動車の販売台数とか、そういったある程度調整局面に差しかかっている、そういった統計も一部にはございますけれども、そうしたことによって拡大のテンポが緩やかに減速しているということは御指摘のとおりでございますが、その他、労働需給の問題あるいは企業収益も売上高に比較した数値で見る限りではまだかなり高い水準にある。そういう状況から考えますと、現在私どもの景気に対する見方としては、拡大のテンポは緩やかに減速してはおりますが、なお総じて底がたいという感じで受けとめているわけでございます。  したがいまして、先ほどお話がございました財政投融資の今回の追加につきましても、今のような景気情勢から考えまして、景気刺激的な経済運営を必要とする状況にはない。ただ、先ほど御指摘がございましたけれども、政府関係金融機関等に対する資金需要が非常に増加している。そうした資金需要の増加に適切に対応することによりまして、それが民間投資の円滑な実施、ひいては我が国経済が内需中心の持続的な成長、そういった成長をたどっていくことに資するだろうということで、そういった効果も期待をしているということで今回財政投融資の大幅な追加に踏み切ったということでございます。  それからなお、具体的な経済見通しのお話について御質問がございましたけれども、来年度の成長率等の経済見通しにつきましては、経済企画庁を中心といたしまして現在政府部内で作業を進めているところでございます。具体的にどのくらいの成長率その他につきまして、具体的にどの程度のものになるかという点については、現段階で確たることを申し上げるわけにはまいらないということを御理解いただきたいと思います。
  21. 太田誠一

    太田委員長 質疑の時間が超過しておりますので、簡潔に答弁をお願いします。
  22. 日高壮平

    ○日高政府委員 それから最後に、公定歩合の件についてお話がございました。  先般、十一月中旬に公定歩合が引き下げられましたけれども、これはいわば今申し上げたような経済情勢に加えまして、それまで市場金利が低下してきている、そういった状況を踏まえて、企業家心理に及ぼす影響にも留意しながら日本銀行か引き下げに踏み切ったということでございますけれども、現在私どもとしては、こうした公定歩合引き下げの効果が実際どういった形で市場金利にも影響を及ぼしていくか、そういったところを注意深く見守っているというところでございます。
  23. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 時間が参りましたので質問を終わらしていただきますが、税収不足という花火が打ち上がって、第三次金利引き下げの圧力が強まる、土地の融資の総量規制の枠を外すあるいは大型の国債を発行する、さらにはまた財投を追加する、こういうことでありますから、極めて心配な状況でありますので、大衆増税なり大衆負担にならないという方向で慎重な経済財政運営を望んで、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  24. 太田誠一

    太田委員長 小野信一君。
  25. 小野信一

    ○小野委員 大臣、大臣就任おめでとうございます。遅まきながらお祝いを申し上げます。しかし、経済金融、財政、大変厳しい環境にありますので、間違いのない、誤りのないかじ取りを心から御祈念を申し上げます。  部下に少し質問いたしますので、しばらく聞いておっていただきたいと思います。  最初に、バブル経済についてです。バブル経済の誕生、成長のメカニズムはどのように把握をしておりますか。バブル経済とはどんな特徴を持っているものなのか、まず御意見をお聞きいたします。     〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
  26. 日高壮平

    ○日高政府委員 大変広範な御質問で、どのようにお答え申し上げていいのか、ちょっと戸惑っているところでございますが、いわゆるバブル経済と言われているその中で端的に示されているのが資産価格の上昇、特に地価の上昇ということが御指摘の中心にあるのかなというふうに考えますと、今回のいわゆるバブル経済の発生、成長のメカニズムという点を考えます場合には、過去にも二回ございましたけれども、やはり地価の急騰というのが一つの大きなポイントでなかったのかというふうに考えております。
  27. 小野信一

    ○小野委員 私もストックインフレであると思います。資産の高騰がバブル経済の最も特徴点だろうと思います。したがって、その対象は極めて少数、限定的にならざるを得ません。もしこの指摘が正しいとするならば、私は、ストックインフレとフローインフレの違いはどこなんだろうか、もし分析してあったらお聞かせ願いたいと思います。
  28. 日高壮平

    ○日高政府委員 例えば今回のいわゆる地価の急騰、そういった状況にどう対応したかという点は、ストックインフレという言葉が適切かどうかちょっと私も自信がございませんけれども、やはりいろいろな形での適切な、金融政策を中心としましてそうした手段が講じられていかなければならないというふうに考えております。  ただ、ストックインフレとそうでないインフレという区分けがなかなか難しいわけでございますが、インフレに的確に対応するための政策としては、そのときどきに時宜に応じた手段を誤りなく発揮していかなければならないというふうに考えております。
  29. 小野信一

    ○小野委員 先ほど答弁の中に、昭和三十九年度ころの、日本列島改造論のインフレ、昭和五十年前後の狂乱物価のインフレ、これを挙げましたけれども、これらは同じようにバブル経済と呼ぶことができますか。
  30. 日高壮平

    ○日高政府委員 先ほど申し上げましたように、過去二回の地価の急騰というのは、最初は昭和三十年代、いわゆる高度経済成長時代ではなかったかと思います。それから二回目が御指摘のように昭和四十年代後半、特にいわゆる列島改造ブームで沸いた時代のころではなかろうかというふうに思います。  ただ、そのときどきの地価の上昇経路、つまりどういうものが中心となり、あるいは市街地から、都区部から、首都圏からあるいはそうでない地域へどのように地価の上昇が広がっていったか、そういう地価の上昇のメカニズムにつきましては、少しずつニュアンスが、それぞれの三回の地価急騰の状況から見ますと変わっている。そういう状況から考えますと、一概に当時がバブルと言えたのかどうかというのは、少なくともそういう御議論は出なかったということは言えるかと思いますけれども、先ほど申し上げたように、現在バブル経済と言われているものを端的に示すものとして地価の急騰というものをとらえるとすれば、今振り返ってみた場合に、当時もそういう状況であったというふうに見ても差し支えはないのかなというふうに考えております。
  31. 小野信一

    ○小野委員 私は、フローインフレでは、インフレ期待が抑えられて賃金と物価のスパイラルな上昇がとまった段階でインフレが収束したと言えると思います。それは、物価の上昇に対して、それを補うための賃金が上昇することによって新たな均衡点に達するからでございます。ところが、ストックインフレは、実体経済における賃金の上昇を伴いません。そのためにストックインフレは、価格の上昇がとまっただけでは均衡点に達しないということになります。賃金水準と資産格差のギャップが埋められることなく残ることがストック経済の特徴だろうと私は思います。したがって、現在我が国のインフレは、バブル経済はまだ終わっていないと判断すべきだと思いますけれども、いかがですか。
  32. 日高壮平

    ○日高政府委員 今回の地価の急騰という状況のもとにおきまして、私どもとしてもいろいろな形での施策をとってまいりました。六十一年以降、公定歩合の引き上げもございましたし、あるいは昨年四月からいわゆる総量規制というものも実施してきているわけでございます。そうした経過をたどりまして、現在私どもの、政府内でいろいろな地価の動向が公表されてございますけれども、  一部の地域を除きまして、かなり鎮静化してきているということは言えるのではないかと思います。  バブルが終わったかどうかというのは、何をもってそういったバブルが完全に終わったのかということになりますと、これは人によりまして、完全に地価がとまらない限りは終わっていないという見方もございましょうし、あるいは私が先ほど申し上げましたように、地価の上昇がとまっている、あるいは鎮静化しているということをもづて政策の一応の目的は達したというような見方もあろうかと思います。それは人によって、一概にこれで終わりだというふうに断定するのは難しいのではないかというふうに思います。
  33. 小野信一

    ○小野委員 今回のバブル経済を大きくいたしまして、国民生活に、財政金融政策に、あるいは行政に甚大な悪影響を与えました。この過程でどんな政策が不十分だったために、あるいはどんな政策を行い得なかったためにこのバブル経済が大きくなった、こういう反省はいたしておりますか。
  34. 日高壮平

    ○日高政府委員 今回の地価の高騰の原因と申しますか、地価の高騰は首都圏から始まり、それが地方圏に波及していったということでございますけれども、その原因を分析いたしてみますと、幾つかの点が挙げられるかと思います。一つは、経済の情報化、国際化を反映いたしまして、都市部等におけるいわゆる市街地のビル需要が急激に増加した。あるいは二点目としては、周辺住宅地域における買いかえ需要の増大が図られる。三番目に、それらを見込んで投機的な取引が活発化した。それから四番目に、金融緩和局面におきまして潤沢な資金供給が図られた。幾つかの原因が挙げられるかと思いますが、私どもとしてはそういった点が挙げられるのではないかというふうに考えております。そうした状況で地価が高騰した。その過程におきまして、私どもとしては、金融面につきましては先ほど申し上げたような施策をとり、あるいは昨年来、先ほど御指摘にございました資産所得の格差是正という観点も含めまして、地価税の導入を図ったということでございます。  ただ、先ほど申し上げた第一点目の事務所のビル需要が急増したという背景には、例えば首都圏への一極集中の是正の問題が十分ではなかったのかというようなことも当然の問題として指摘されるのではないだろうかというふうに考えております。
  35. 小野信一

    ○小野委員 戦後最低の二・五%の金利水準を二年三カ月という長期にわたって維持をいたしました。金融当局が公定歩合の水準をどういう分析によってなされたのかと見ますと、資産価格が含まれていない物価指数を見てインフレ懸念はないと判断して、この二・五%という公定歩合の水準を長期にわたって維持したのだろうと私は思います。したがって、バブル経済の場合に、物価指数に土地、資産のウエートが全然入っておらない。入っているとすれば家賃が少々、低いウエートで入っているくらいですけれども、その分析、資料のとり方に大きな過ちがあったのではないだろうか、こう思います。要するに、フローのインフレの指数を重要視し続けたために、過剰流動性の悪影響に気がつかなかった、あるいは軽視したのではないか、こう考えるのですけれども、いかがですか。     〔柳本委員長代理退席、井奥委員長代理     着席〕
  36. 日高壮平

    ○日高政府委員 確かに六十二年の二月に公定歩合が二・五に引き下げられまして、それからしばらくの間低金利の時代が続いているということでございますが、なぜそういう低金利政策がとられたかという背景を考えますと、当時はいわゆるプラザ合意の後、円高不況というものが官民挙げて非常に大きく問題視され、それに対して、何とかしてその不況を克服していかなければならないということが大きな政策課題として取り上げられていたという状況であったかと思います。したがいまして、当時の状況におきましては、私どもとしては金融政策にとどまらず、六十一年の秋に三兆円、六十二年の春には六兆円に及ぶ総合経済対策も実施をしている。そういうことを通じまして、つまり財政金融政策を通じまして、当時問題視されておりました円高不況を何とかして克服していかなければならないという政策運営を行ってきたところでございます。  その過程におきまして、金融緩和のもとにおいて資金が潤沢に供給され、なおかつ、先ほどちょっと申し上げました、そうしたいわゆる投機的な取引も大きく助長することによって地価が急騰してしまったということは甚だ遺憾なことであろうかと思いますけれども、当時の状況から見て、あのような低金利政策が適切ではなかったということは言い切れないというふうに思うわけでございます。
  37. 小野信一

    ○小野委員 バブル経済はやはり最盛期を過ぎまして、終えん、収束に向かいつつあることは間違いないだろうと私は思います。残されたバブルをどのように解消するかが今皆さんに課せられている問題ではないかと思います。要するに実体経済に対する悪影響を最小限に食いとめる必要があるからであります。  私は、バブル経済というのは、最終的にはそれをもたらした、バブルに参加した人々が支払うべきものだと思います。そのためには、ストックインフレという、小人数の中にあるこの特徴を維持しながら、責任の所在を明確にする必要があると思っております。すべて金融を緩和して、責任の所在を不明確にしてこれを救済するというやり方は、私は今後に悪例を残すのではないか、こう考えます。したがって、安易な金融緩和や融資規制解除によってのバブル経済の解消はやるべきではない、こういう意見を持っております。  しかし他方、バブル解消に伴うデフレ効果の実体経済への影響については十分な配慮が必要であることは申すまでもありません。そのためには安定した金融システムの維持が必要であることは当然であります。したがって、バブル経済からのソフトランディングのシナリオがもし描かれているとするならば、あるいは政府案が少なくともシナリオとしてでき上がっているならばお聞かせ願いたいと思います。
  38. 日高壮平

    ○日高政府委員 総合的に土地の問題を最終的にいかに解決していくかということになりますと、私どもが所管しております税制あるいは金融だけで十分な対策が打ち立てられるかというのは甚だ疑問でございます。やはり最終的には都市計画、国土利用計画に従った総合的な土地対策というものが樹立されていかなければならないと思いますし、あるいは基本的には、先般制定されました土地基本法の最終目標でありますいわゆる国土の効率的な利用あるいは一極集中の是正、そういった大きな観点からの政策運営も必要であろうかと思います。  ただ、その点は横に置きまして、金融の問題について御指摘がございました。御承知のように、もちろんバブルがはじけたというだけではないにしても、現在我が国の経済が減速過程にあることは御指摘のとおりでございます。私どもがこれから気をつけなければならない点は、そうした減速過程において企業の経営者なり消費者なりのいわば心理、マインドが冷え込み過ぎないように十分注意していかなければいけない、そのための目配りはしていかなければならないだろうというふうに考えているわけでございます。先月中旬に行われました公定歩合の引き下げもそのような観点から行われたものというふうに考えておりますし、それによってこれからどのように市場金利に対して影響を与えていくか、その辺をもう少し見きわめてまいらなければならないというふうに考えているわけでございます。
  39. 小野信一

    ○小野委員 大臣にお尋ねをいたします。  前の橋本大蔵大臣は、国会で何度もこう言いました。外国では法律で禁止されていなくても損失補てんは行われません。しかし日本では、通達とはいえ損失補てんは禁止されているにもかかわらず行われました。まことに残念なことです。これにつけ加えまして、株取引の損失を補てんすることを法律で禁止することは情けない。「情けない」と何度も言いました。  大臣、損失補てんについて、大臣は橋本大蔵大臣と同じような認識をお持ちですか。
  40. 羽田孜

    羽田国務大臣 橋本大蔵大臣がどういうあれでお話しになったかということをよく承知しておりませんけれども、今お話がありました問題につきまして、ちょうど八〇年代というのは世界的な金融緩和基調であったというようなこと、そういう中で世界経済の長期的拡大、これがやはり全体の傾向であつたろうと思っております。そういう中で企業の余裕資金を効率的に運用を図ろうということで財テクが大変盛んになっておったというふうに思っておりまして、株式市場というものは非常に活況を呈しておったというふうに思っております。  こうした中で証券会社の業務拡大をいたしましたけれども、一方で証券会社の営業姿勢、いわゆるできるだけ多く売りましょうということで、あおったという言い方はどうかと思いますけれども(そういった一面があった。それと同時に、今度は反面、企業の側の方でも自己責任原則、こういうものの認識というものは非常に不十分であったろうというふうに思いまして、こういう中で損失補てんというものの背景というものが生まれてきたのではないのかなというふうに思っております。  いずれにいたしましても、この損失補てんといつものは、公といいますか、みんなに公平なものであるということでしたら理解されるものなんでしょうけれども、これを一部のところにそういったことがなされたということについては、これは厳に慎まなければならないことでありますし、我が方としては規定があったわけでありますから、やはりこれほどこがどうというよりは、日本の国の中で業をする者としてこの規定をやはり守ってもらわなければならなかったろうと思っております。   いずれにしましても、私ども国会の方からもいろいろな御指摘があったことでありますし、またボーダーレスの時代、こういう時代の中にあって、やはり証券市場というものは本当に信頼というものを皆さんから持っていただかなければいけないということで、これから私どもこういったものに対して信頼を取り戻すための対応というものを的確に行っていきたいということを申し上げておきたいと思います。
  41. 小野信一

    ○小野委員 私は、橋本大蔵大臣の発言を聞いて、この発言は我が国の経済界、財界あるいは経済人の皆さんへの痛烈な批判だったと思います。外国では、たとえ法律で禁止されていなくても、経済の自由競争を阻害したり市場の価格形成機能をゆがめたり、市場仲介者としての公正性に反する場合には社会人としてこれを行わない。要するに、いつも最大の利益を追求する経済団体の責任者であってもこのような場合は行わないという良識を持っている、こういうことを言外に言っているんだろうというふうに思います。残念ながら我が国の財界、経済人にはその要素が欠けておった、こういうことを言外に鋭く指摘したのだろうと私は思います。特に「情けない」という言葉には、私はその万感が込められているのではないか、こう思います。  大臣、もし御感想があったらお聞かせ願いたいと思います。
  42. 羽田孜

    羽田国務大臣 今背景を御指摘されたわけでございますけれども、やはり日本の国が世界の中でここまで大きく成長してきたということ、そして世界の中で尊敬される行動をしていかなければいけないといったときに、私たち、これは経済人というだけでなくて日本全体の人たちがこういったことに対してきちんとした対応をする、また対応できる姿勢を常に持ち続けなければならないものであろうというふうに思っております。
  43. 小野信一

    ○小野委員 ただ、私は国と国との比較というのは大変難しいと考えております。要するに国が異。なれば民族が異なります。民族が異なりますと言語が違い、生活慣習が違ってまいりますから、同じ結論だとしてもそれは異なった内容であったり、異質であってもこれは同じだったり、大変難しい内容を含んでおることを承知しております。したがって、国と国との比較というのは慎重に取り扱わなければならないものだとも私は承知をいたしております。この困難性を十分承知の上で、橋本大蔵大臣は我が国の財界人、経済人を批判したのだろうと私は思います。  それで、私も慎重に吟味しながら質問をしてみたいと思います。もちろん、私は証券界の皆さん経済界の皆さんを弁護するつもりはありませんけれども、自由主義経済システムを中心としたこの経済体制のもとでの企業の目的は、設立の目的は、運営の動機は、利益であります。道徳ではございません。したがって、企業に完全な道徳観念を求めることは私は不自然だと思います。合理的であるとかいいとかということじゃなくて、不自然だと考えるものでございます。  九〇年の十二月までは営業特金の適正化に伴うトラブル処理のために損失補てんは黙認されてきたと私は認識をいたしております。その結果大規模な損失補てんが起こり、それが九一年三月の決算と税務処理で表面化し、六月に新聞報道になりました。これが一連の不祥事の経過であります。  そこで、局長、損失補てんの本質は何だったとお考えになりますか。
  44. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 先ほども大臣からお答え申し上げましたように、今回明らかになりました損失補てん、これは主として企業の財テクを受けまして証券会社がその資金を運用したわけでございますが、株式市場の状況の中でそこに損失が発生し、証券会社はその企業との将来の取引関係を維持するというような観点からその補てんを行ったということでございまして、損失補てんそのものは、証券市場の価格形成に非常に悪影響を与えるということでございますが、本質はというお尋ねでございましたら、やはり証券会社の営業の行き過ぎ、あるいは将来の企業との取引関係を維持して行った、生じた損失に対する補てんであるというふうにお答えを申し上げるわけでございます。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 小野信一

    ○小野委員 市場経済を通して利潤を追求するシステムを政治的にコントロールできない場合に、社会的公平と公正を欠きます。したがって、私は、その経済行為は反社会的行為として指弾されるものだろうと思います。そのため。に政治の責任が存在するのだ、こう考えます。  証券業界を監督するのは大蔵省の証券局でございます。そこで、なぜ証券局が、大蔵省が大手証券の寡占体制を容認してきたかが私は問題だろうと思います。大手四社による寡占体制に、その弊害について、この不祥事が発生する以前に、露見する以前に、問題だという認識はなかったのですか。
  46. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘の証券大手四社の寡占的状況、これは特に発行市場において顕著に見られるわけでございます。株式の流通市場におきましては四社の市場シェアも下がってまいっておりますが、発行市場におきましては依然としてほとんど四社ですべてのシェアを占めているという状況にあるわけでございまして、この点につきましては、私どもこの不祥事が発生するはるか前から、証券取引審議会などの議論におきましても、この寡占的状況を打破するにはどういうふうな方策が必要かという点を中心にして議論をしていただいてまいったもわけでございまして、いわゆる銀行、証券の相互参入というような問題あるいは広く証券市場への参入、新規免許の付与というような問題についても議論を進めてまいったわけでございます。その中で、私どもとして、あるいは証券取引審議会の議論を通しまして、特に四社寡占が顕著な発行市場における競争促進の必要性というようなことが指摘をされておりまして、私ども現在その点も含めて、より証券市場に対する新規参入を促進するという観点から必要な法的整備を検討しているわけでございます。
  47. 小野信一

    ○小野委員 私は、不祥事の最大の要因は一任勘定の存在であると思っております。二つ目は、この大がかりな利回り保証や損失補てんを可能にするほどの利益を証券会社が得ておったということであります。しかも、これは免許制の会社であります。要するに、一任勘定が制度として許されていないとすれば、当然株式売買の自己責任は完遂するはずであります。もちろん客の方から損失補てんを要求しても会社の方はこれを許さないだけの理論的なものが制度として保証されておるからであります。したがって、一任勘定とそれを保証するだけの利益を免許会社である証券会社に与えておったことがこの損失補てんの本質ではないか、私はこう考えますけれども、いかがですか。
  48. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘のように、確かに企業の財テク資金の運用の方法といたしまして、いわゆる営業特金というものが利用されたケースが多いわけでございますが、その運用において証券会社による一任的な運用が行われたというのが損失補てんの大きな要因になっているというふうに私どもも把握をしているわけでございます。その観点から、前国会におきまして売買一任勘定を法律で禁止をするということをお願いを申し上げました。その点についての法的手当てをし一でいただいたわけでございます。  また、利潤の問題でございます。これはいろいろな原因がございます。例えば、エクイティーファイナンスが行われ、引受手数料が非常に大量に収入として入ってきたという問題、あるいは株式の売買手数料について固定制のもとで大口の取引について超過利潤が大手証券会社に発生したのではないかというような御指摘もございます。私ども、そういう諸手数料、売買手数料あるいは引受手数料等含めまして、免許制のもとで超過利潤が発生しないような適正な水準に決められていくということが望ましい。もちろん引受手数料などは全く自由に決められるべき手数料でございます。一万の売買手数料の方は証券取引所の規則で決めておりまして、独禁法の適用除外になっているわけでございますけれども、これについても超過利潤が発生しないような手数料のあり方、固定手数料制が正しいのか、それでやっていけるのか、あるいは手数料の自由化というようなものを考えなきゃいけないのかという点も含めて現在証券取引審議会において検討していただいているわけでございます。
  49. 小野信一

    ○小野委員 二分しかございませんので、長い質問はできません。  今回の損失補てんについて、一般国民から強い拒絶反応がありました。大きな社会問題となりました。これはなぜだとお考えになりますか。
  50. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 一つには、やはり証券市場における公平性といいますか、不公平なことが行われたという問題がございます。特に株式市場は平成元年まではごらんのような活況を呈したわけでございますが、平成二年以降非常に低迷を続けております。その中におきまして、特に小口の大多数の投資家はかなりの損失をこうむっているというふうに考えられるわけでございまして、そういう中において特定の大口顧客の損失だけを補てんするというような証券市場の仲介業者としての公正性あるいは公平性に反するような行為が行われたということが証券市場に対する批判を非常に強く招いたというふうに考えられますし、また、私どもは、証券会社が証券市場における自己責任原則をゆがめるような行為を仲介業者として行ったという点についても非常に問題視をしているわけでございます。先ほど御指摘がございましたように、証券会社は免許制でございます。免許行政のもとで私どもが監督をしているわけでございまして、そういった意味では監督上の、監督行政が不十分だったという点についての私どもの反省ももちろんございます。いずれにいたしましても、そういう証券市場において非常に不公平なことが行われたという点が一番大きな一般の投資家の方々の批判の原因ではないかというふうに把握をしております。
  51. 小野信一

    ○小野委員 終わります。
  52. 太田誠一

    太田委員長 東祥三君。
  53. 東祥三

    ○東(祥)委員 公明党の東祥三でございます。  本日は、補正予算関連三法案について質問させていただきます。  初めに、補正における税収不足について質問させていただきますが、今回の補正では税収不足約二兆八千億円もありますけれども、これは当初予算において税収見積もりに大きな誤りがあったのではないかと思うのですが、この点についてまず御答弁願いたいと思います。
  54. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 二兆八千億円の税収の修正につきましてのお尋ねでございますけれども、毎年度の税収の見積もりにつきましては、その時点時点におきます課税実績あるいは経済見通し、そういったもの、あるいは利用可能な資料を最大限に活用いたしまして推計をしておるわけでございます。特に株とか不動産とか、そういったものにつきましては経済成長率等とは別途の動きもいたしますものですから、そういうものにつきましては関係業界からのヒアリング等も通じまして補正をしっつその見積もりを行っておるところでございます。  お尋ねは、二兆八千億という不足を生ずるについて三年度当初予算に見積もりに問題があったのではないかというお尋ねでございますけれども、今回補正をお願いしております項目は、有価証券取引税、申告所得税、印紙収入というこの三つでございますけれども、こうした三つにつきましては実は三年度当初予算編成に際しましてもかなり慎重な見方をしたところでございます。全体といたしましても、この前年度補正後予算額に対しますところの伸びでいいますと、平成年度予算は四・五%の伸びでございます。これを同じレベルでいいますと、平成年度は七%、平成年度は六%というふうなことでございました。トータルといたしましてもかなり慎重に見たつもりでございますが、さらに中身について申し上げますと、申告所得税につきましては、平成年度の補正後予算に対しまして約七%、四千億円強を減額をいたしまして三年度当初予算を計上してございます。また、有価証券取引税におきましても、平成年度補正予算におきまして対元年度決算対比で一七%程度減額いたしました。その金額と横ばいでこの三年度予算を編成したわけでございます。そういういろいろな情報を集めつつかなり慎重に見たところでございまして、実は三年度当初予算の国会の御審議におきましても、見積もりがやや慎重過ぎるのではないかというふうな御指摘もいただいていたというふうなことでございます。
  55. 東祥三

    ○東(祥)委員 今の御答弁である程度わかるのですが、申告所得税並びに有価証券取引税そしてまた印紙税の見通しを極めて控え目にやった。ただ、控え目に見通すに当たっての根拠は何に基づいてそのような見通しを立てたのか。
  56. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 ただいま申し上げましたものにつきまして申し上げますと、申告所得税の中で非常に大きなウエートを占めております土地の譲渡、これが非常に大きな振れがございます。これにつきましては、昨年の状況を見ますと年の前半は取引が大変好調でございました。後半になりましてその取引の状況が落ちてきておりました。そうした状況を見まして三年度予算におきましては減額をするということに踏み切っておりますし、また、先ほど申し上げました有価証券取引税につきましても、やはりかなり好調な推移を示してきたものが障ってきておりました。そうした状況を見ながら、先ほど申し上げましたように補正予算で一七・三%の減額補正をいたしましていそれの横ばいという形で三年度予算を見込んだところでございます。
  57. 東祥三

    ○東(祥)委員 ということは、バブルという言葉が先ほどから飛び交っているわけですけれども、この定義、なかなか難しい定義を下さなくちゃいけないのだろうと思いますが、英語ではユーフォリア、陶酔的熱病というふうに言っておりますけれども、ただ単にストックのみならず、ある意味で集団的な心理が経済の中にビルトインされていくんだろう。そういう意味では、今の御説明の中にありましたとおり、それはある意味で茫漠としておりますけれども、平成年度の当初見通しを立てるに当たって、バブルがある程度衰退していく、こういうことを見込んだ上で見通しを立てたというふうに理解してよろしいですか。
  58. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 バブルが崩壊する過程にあったと見ていたかどうかということは、どういう事態をもってそう考えるかということもございますものですから、ちょっと明確な御答弁がしにくいのでございますけれども、ただ、ただいま申し上げましたように株価の動きでございますとか土地取引の動き、それから地価の状況、そういったものがそれまでとはちょっと状況が変わってきているということを踏まえつつ見通しをしたことは事実でございます。ただ、それだけの要素ではございませんで、平成年度経済見通しというものが、平成年度予算を編成していく場合当然。その前提になるわけでございます。その指標を見ながら平成年度税収もはじいてまいるわけでございまして、御存じのとおりでございますけれども、実質で三・八%、名目で五・五%の成長というのが平成年度経済見通してございました。そうしたことでございますとか、三年度見通しにございましたところの、例えば鉱工業生産指数が四・一%伸びるという見通してございましたが、そういったものを勘案しながら税収をはじいていったということでございます。
  59. 東祥三

    ○東(祥)委員 一九八七年から八九年にかけていわゆるバブル経済がピークに達している、そういう見方もあるわけですけれども、バブルというのは永遠には続かないというのは世界の歴史が証明しているわけですから、いつかそれがとぎれるという前提に立たなければ、ある意味で翌年の当初予算の税収の見通したとかそういうことも多分立てられないのだろう。つまり、データ的な形で見れば八七年から八九年にかけてバブル経済がピークを迎えている、その後の経過によって昨年の十月の段階で平成年度予算見通しを立てたのではないのか、この点についてどのようにお答えになりますか。つまり、バブル崩壊のある程度の可能性というものは事前に織り込まれていたのじゃないのか。
  60. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 俗に税収の弾性値という数字がございます。これはGNPの伸び率に対しまして税収がどれくらい伸びるかということを比率で比べてみたものでございますけれども、今バブルというお話がございましたが、いわゆる三高二安というふうなことを反映いたしましたこの数年の間、税収のGNPに対する弾性値が大変高うございました。  ちなみに数字を申し上げますと、昭和六十一年が弾性値が二でございます。六十二年が三二一七でございます。六十三年が二・〇八、平成元年が一・四六ということでございます。よく私どもが申し上げておりますのは、大体十年ぐらい平均いたしますと弾性値が一とか一・一というのが平常の姿であるというふうに申し上げております。  平成年度予算は、先ほど申し上げました経済見通しの諸指標、それからそれまでの課税実績をもとにして計算をいたしてございますけれども、この平成年度予算の弾性値は一・〇二ということでございました。そういう意味では、いわばそうした特別な要素というものがなくなったような形といいましょうか、弾性値が二とか玉とかいうふうなことを織り込まない税収の見通しを当然立てたわけでございます。
  61. 東祥三

    ○東(祥)委員 ことしの四月にいわゆる総量規制枠の設定というのが行われておりますが、これはある意味でバブルの鎮静化が目的ではなかったのですか。
  62. 土田正顕

    ○土田政府委員 お答えを申し上げます。  地価の急上昇ということが非常に問題になりましたときに、それに関連いたしまして、土地融資が非常に高い伸びを占めておる、その中に投機的なものがあるのではないかということは、昭和六十一年ごろからつとにいろいろと問題になったところでございます。それで、私どもは昭和六十一年ころからいろいろ通達その他によって指導を続けてまいりました。その考え方は、やはり実需に結びつくような融資はとめる必要はない、しかし土地投機につながるような融資は抑えなければならない、こういうことでやってまいったわけでございます。それはいろいろ金融機関に浸透し、それなりの効果を上げたのでございますが、その後も地価上昇が続きまして、殊に地方都市に広く伝染し始めましたために、昨年の四月からでございますが、いわゆる総量規制と申しまして、不動産業向けの貸し出しの残高の伸び率を総貸出残高の伸び率以下に抑制するということで各金融機関、自主的に融資計画を調整してもらいたいという指導をいたしました。これが効果があったということはあろうかと思いますし、また経済動向全般からいきまして、いわばバブルのような現象が落ちついてきたということはあったかと思います。それからまた、その間にいろいろと税制それから国土利用法制その他につきまして、関連の地価抑制策が逐次整備されてまいったということも事実でございます。  私ども、いわば非常緊急の措置として総量規制を実施してまいったわけでございますが、その後構造的な対策、総合的な対策、それがだんだんとそろってきたかというような感じもございますので、今後の総量規制をどのように運用するかにつきましては、地価動向などをにらみながら、なおいろいろ検討し、適時適切に対処してまいりたいと考えております。
  63. 東祥三

    ○東(祥)委員 今の御指摘に見られましたとおり、総量規制枠を設定することによってある程度地価の高騰を防ぐのに役立った。ということは、この総量規制枠を設定する前には相当の時間がかかっていて、準備段階があって、そして四月の段階でこれを導入している。税収を見通す場合にでも、この総量枠設定後どのように経済にはね返っていくのか、また税収にはね返ってくるのかということを当然考えなければならない問題なんだろうと思うのですが、この点は税収を見通す上において織り込み済みの要素だったのですか、それとも外生変数として後から出てきたものなんですか。
  64. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 御答弁申し上げます。  私、先ほどちょっと御答弁申し上げた中で、補正項目を申告所得税と間違えて申し上げたかもしれませんが、補正したのは法人税でございます。そこだけちょっと修正させていただきます。  先ほど三年度の税収見積もりのお話を申し上げたわけでございますけれども、その中で土地につきましてはかなり慎重な見方をしているというふうに申し上げました。平成年度予算の見積もりの話でございます。これはそうしたさまざまな金融上の制約が加えられつつあるというふうなことも考えながら数字を置いたものでございます。
  65. 東祥三

    ○東(祥)委員 それでは、結論として、当初予算においては税収の見通しには大蔵省としては誤りはなかった、こういうことでございますか。
  66. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 この税収の見積もりといいますのは、今これだけ大きな補正をお願いしておしかりを受けるということであろうと存じますけれども、その時点その時点で私どもは最善を尽くしておるつもりでございます。つまり、それまでの課税実績というもの、これはどうしても一番大きなベースになります。それから経済見通し、これがやはり大きな要素になります。それから各、主な業界からヒアリングをしてまいります。それからいろいろな諸情勢、いろいろな情勢が一つ一つございますので、そういったものも織り込みながら最大限の努力をしてやっておるつもりでございます。  ただいま平成年度はどうだったんだというお話でございますが、その予算を見積もりました時点におきましては最大限正確を期してやったつもりでございますけれども、その後予想外の経済の変動が生じたというふうなことで、今回補正をお願いするようなことになってしまったということでございます。
  67. 東祥三

    ○東(祥)委員 それでは、税収の見積もりの適正誤差について御質問いたしますが、税収見積もりに対する補正での修正幅、どの程度まで適正だというふうにお考えになりますか。また、その根拠はどういうふうになりますか。前もって言っておきますが、僕はしかりつけるようなそのような資格を持っておりませんので、ただ純粋に質問させていただいております。
  68. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 税収は、実はことしは二兆八千億の補正をお願いしておるのでございますけれども、その前数年間はかなり大幅な増額補正をお願いしておりました。そういう意味で、この見積もり違いというのを絶えずここ数年国会においておしかりをいただいております。私どもも何とか、より正確な見通しができないものかということでいろいろその実情把握の方法とか努めておるところでございますけれども、やはり経済というものが生き物でございまして、さまざまな要素が動いていくものでございますから、どうしてもそこに誤差が生じてくるということは避けがたいところでございます。経済が非常に定常的に動いておる場合にはそんなに大きな誤差が生ずるということもないわけでございますけれども、いろいろな要素が激しく動くときといいますのはどうしてもその誤差の幅が大きくなってまいります。  どの辺の誤差までならお許しいただけるかというのは、ちょっと私の方から申し上げるという立場にもないわけでございますけれども、私どもといたしまして申し上げられる限界は、とにかく一生懸命努力して正確を期してまいりたいということであろうかと考えております。
  69. 東祥三

    ○東(祥)委員 要するに修正の幅、適正な幅は量的な形で言えないということなんでしょうけれども、それは考えてみても、一年半先のスパンですべてを見通すことはある意味で超人的だというのはよくわかります。しかし、それなりに一生懸命やられて、ありとあらゆるデータをベースにして、そして見通しを立てられる。また、立てられている人々にとってみても、果たして自分が見通したものが結果として適正なものであったのかどうなのかというやはりある基準がなければ、やられる方にとってもある意味で責任感、さらにまた論功行賞があるのかどうかわかりませんけれども、そういう問題にもかかわってくるんじゃないのか。  そういう意味で、大蔵省の皆さん方の間でこれぐらいは適正な幅と言えるんではないのか、過去の経験に基づいて言うとどういうふうになるんでしょうか。
  70. 石坂匡身

    ○石坂(匡)政府委員 定量的に申し上げる自信が全くないのでございますが、ただ、決算委員会等でもよくおしかりをいただいております。今おっしゃいましたのはどれくらいの補正幅がというこ一でございますが、実は補正後予算に対しましてまた決算が狂うというふうなことがございまして、それがプラスにもマイナスにも狂うことがございます。六十兆円という非常に大きな分母があるものでございますから、振れた金額自体をとりましても、どういうふうな振れ方をしてもかなりの金額になることは事実でございますけれども、なるべくそういうものを少なくしてまいりたいというふうに思っております。  ちなみに、今の直接のお答えになるかどうかあれでございますけれども、平成年度におきましては補正が一兆一千億の増額補正でございました。それから、平成年度は三兆二千億の補正をしております。その前が、補正の幅が三兆でございます。その前が、プラスの補正の幅が一兆八千億。ちょうど六十一年が一兆一千億のマイナス補正をいたしましたが、決算ではこれが大きくプラスに振れてしまったというふうな経験がございまして、この六十一年にマイナス補正をして決算がプラスに振れたというところからここ数年間の見積もり誤差が生じてきたというふうな経緯をたどっております。その前数年間は大体二千億とか四千億とかいうふうな補正をさせていただいておるところでございまして、なるべくこうした大きな補正がないように努力を重ねてまいりたいと考えております。
  71. 東祥三

    ○東(祥)委員 ほかにも質問があってこれだけやっていることができないのですが、ただ、どうしても興味がありますので……。  御指摘になりましたとおり、だれがおしかりになっているかよくわかりませんけれども、なぜこの見通しの誤りに関しておしかりを受けられるのかといえば、適正の幅が明確でないから突っ込まれるすきが出てくるわけでございまして、適正の幅がこうであるということを明確にしておけば、それ以下ならばその時点においては一切おしかりを受けることがなくなるということじゃないですか。そういう意味では、適正の幅というものを設ける必要があるんじゃないでしょうか。大蔵大臣、どうでしょうか。
  72. 羽田孜

    羽田国務大臣 これは、今御議論をずっとお聞きしておりまして、やはりこういうものの見積もりは非常に難しいなということを改めて思わされます。  いずれにしましても、今あちらの方で三%というような話もあったのですけれども、三%といいますと、ちょうど今度の減収の幅ぐらいになるということなんですけれども、いずれにしましても、これはいろいろなものを積み上げるのですけれども、やはり、何というのですか、株式なんかにつきましても、ちょっとよそ様の国の方でおかしければ、こっちの方にもマインドというのは何か移ってしまって、株に対する投機というのはなくなってしまう。それによって、日本では底がたいものがあったとしても下がってしまうというようなことがあって、なかなか経済は、今答弁の中で生き物という話があったのですけれども、しかし我々は、これからも誤差がないように、極力そういったものを精査できるような資料、こういったものを集めていく、そしてまたこれを正確に分析できるように努めていくことを申し上げておきたいと思います。
  73. 東祥三

    ○東(祥)委員 今回の補正で、もう二次補正がないのだろうと希望いたしますが、二次補正の可能性について一言。
  74. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  今回の補正予算の編成に当たりましては、歳入歳出面をぎりぎり見きわめた上で編成しているところであります。現時点において、そういう第二次補正予算については念頭にはございません。
  75. 東祥三

    ○東(祥)委員 ございませんということでございます。確かに聞きました。  開銀については、時間がございませんので飛ばします。  農業共済制度について質問させていただきますが、農業共済における各勘定一般会計からの繰り入れ残高を、それぞれの勘定に従って示していただけますか。
  76. 川合淳二

    ○川合政府委員 平成年度当初で見ますと、勘定は幾つかございますが、農業勘定、家畜勘定それから園芸施設勘定には繰り入れ残高はございませんが、果樹勘定に二百七十七億六千二百万円の繰り入れ残高がございます。
  77. 東祥三

    ○東(祥)委員 今この点についで質問させていただきますが、一連の台風とそして気象の変化によって大変な被害を受けられた被災民の方々に心よりお見舞い申し上げますが、あくまでも今回はこの農業共済制度のシステム上の問題点として質問させていただきますので、その点を理解していただきたいと思うのですが、今御答弁ありまして、果樹勘定には二百七十七億円入っている。今日まで繰り戻し金はなかったわけですか。
  78. 川合淳二

    ○川合政府委員 果樹勘定について申し上げますと、一般会計への繰り戻しは行うまでに至ってございません。
  79. 東祥三

    ○東(祥)委員 果樹勘定というのは開始されてからもう既に十八年がたっておると理解しておりますが、その間、一般会計からの繰り入れのみで二百七十七億円に達してしまっている。これは異常ではありませんか。
  80. 川合淳二

    ○川合政府委員 果樹につきます農業共済制度は四十八年に本格実施をいたしております。この開始以降、連年にわたりまして異常な災害が発生したということがございます。そうしたことで、開始直後にかなりの被害が連続したということもございまして、この間にかなりの繰り入れをちょうだいしたということがございます。  こうしたことを受けまして、昭和五十五年それから昭和六十年に改正をいたしまして、そうした改正の経過の中から、五十八年以降は収支が好転してきておりまして、若干ながらも剰余金を計上していたわけでございます。ただ、本年度災害は、今お話もございましたように、非常に未曾有の災害でございまして、そうしたことから、今回繰り入れをお願いするような状況が生じたということでございます。私どもといたしましては、過去の経緯にもかんがみまして、かなりの制度の見直しを行ってきているというふうに考えております。
  81. 東祥三

    ○東(祥)委員 農業勘定は、一般会計から繰り入れたとしても剰余が出た場合必ずそれを繰り戻している。そして、収支において基本的にバランスしている。共済の掛金というのは、その半分は国民の税金で負担しているわけですから、今回このような、ある意味では異常な災害が襲ってきたときに、各勘定においては賄うことができないので一般会計、国民の税金からまた負担していく、こういうふうになっているわけです。  それで、農業勘定においてはそれが、バランスがうまくいっていますから、これは問題ないのだろう。ところが果樹勘定においては、今御答弁がありましたとおり、十八年間二百七十七億円、これは一方的に国民が税金を負担している。この問題点は何なのか。時間がないから少し言いますけれども、農業勘定というのは基本的に当然加入になっている。ところが、果樹勘定というのはある意味で任意加入になっている。  果樹勘定の加入率をちょっと教えていただけますか。今年度と、過去数年にさかのぼって時系列で言っていただけますか。
  82. 川合淳二

    ○川合政府委員 果樹につきます現在の加入率、平成年度でございますが、二二%でございます。
  83. 東祥三

    ○東(祥)委員 二二%というのは、時系列で教えていただけますか。
  84. 川合淳二

    ○川合政府委員 推移で申しますと、発足当初は一四%程度でございますが、その後若干加入率が伸びておりまして、五十五年が二六・六%、これが一番高い時期でございます。最近は二四%から二二%、その辺を推移している、そういう状況でございます。
  85. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、基本的に大半の方々はこの共済制度に入っていない、そして、なおかつこの果樹勘定に関しては、一般会計からの繰入金が年々異常な状況が発生するたびに繰り入れられている。これはいつバランスされるように見通されているのですか。また、そのためにどのように制度改革をされようとしているのか。
  86. 太田誠一

    太田委員長 予定時間を過ぎておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。
  87. 川合淳二

    ○川合政府委員 先ほども申しましたように、五十八年以降は、連年にわたります制度の改善によりまして好転して、私ども、基調としては制度改正の効果が発現して健全な収支の道を歩いてきたというふうに考えております。しかしながら本年の災害は、先ほども申しましたように未曾有の災害であるということで、このような異常な被害が出たわけでございますが、これから先かなりの努力を要するとは思いますが、今の努力を続けていくことをすれば、収支の改善に向かって適切に対処してまいることができるのではないかというふうに思っております。
  88. 東祥三

    ○東(祥)委員 どれくらいの期間で収支のバランスがとんとんになると見通されているんですか。
  89. 川合淳二

    ○川合政府委員 こうした制度があること自体、やはり自然災害あるいは豊凶というものが農業、農産物にはっきものでございますので、なかなかそうした年限を申し上げることは非常に難しいわけでございますが、私どもこうした保険制度を設計するに当たりましては、二十年というのを一つのタームにして計算をいたしておるところでございます。
  90. 東祥三

    ○東(祥)委員 時間が来ましたので、残念ですがこれでやめさせていただきます。
  91. 太田誠一

    太田委員長 日笠勝之君。
  92. 日笠勝之

    ○日笠委員 ことしも師走十二月が中旬ということで、いよいよ大詰めを迎えるわけでございます。来年はさる年で、何か反省というのが非常にはやっているそうでございますが、我々この大蔵委員会金融、財政を預かる委員会として反省をして、そして来年度からは健全な金融市場ということにしていかなければならないと思うのです。  そこで、証券局長、ことしの九月二十六日に証券及び金融問題に関する特別委員会、俗に証券特で、私は株価操縦の問題で本州製紙株と日本カーボンについて御質問いたしました。本州製紙についてはこの前質問いたしましたので、きょうは日本カーボンのことについてお伺いをしたいと思います。  この九月二十六日の日本カーボン、いわゆる株価操縦の疑いがあるのではないか、こういうふうな私の質問に対しまして、証券局長は、「本省の流通市場課、取引審査室の方で調査をしております。これは、この株価が非常に急騰をいたしまして、信用取引も非常にふえ、東証が注意銘柄に指定したりしたという経緯がございまして、八月の中旬以降、私どもが調査を開始しております。」同じく東証の長岡理事長も、「売買状況全般にわたって調査を開始しているところでございます。」  あれから二カ月余りがたちました。先ほど申し上げましたように、こういう問題はことしじゅうにきちっと決着をつけて新規巻き直し、きれいさっぱり来年度から健全な証券市場にするためには、もうそろそろこのことについての結論が出なければいけない。あと二十日ほどでことしか終わります。大蔵委員会も恐らくこれが最後だと思いますので、現状どういう調査をされ、そしてどういうふうに今なっておりますか、明確に御答弁をお願いいたします。
  93. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 お尋ねのありました日本カーボンの株式でございますが、これは本年の七月以降株価が急上昇を始めまして、九月十九日に二千五百七十円という高値までつけました。その後下がりましたが、九月末からまた上がりまして、十二月五日に三千百五十円というさらに高値をつけているわけでございます。  御指摘もございまして、私どもその間この株式の売買内容について、流通市場課の取引審査室が東京証券取引所と協力をいたしましてつぶさにその取引手口を調査したわけでございます。現在までの調査の段階では、確かに大口の注文もあるわけでございますが、多数の小口の注文が売買とも見られまして、特定の投資家による人為的な価格操作というように見られるような注文は見られないわけでございます。この間、この株につきましては信用取引が非常にふえたということもございまして、信用取引の規制なども行っておりますが、基本的には多数の注文による需給によって価格が急騰しておりますし、その中には買い占めというようなうわさもあったようでございますが、自然の注文による価格の急騰あるいは下落というものにつきましては、これは株価操作というふうに私どもは認定をできないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、人為的な株価のつり上げを図ったような特定投資家からの注文というのは現在まで見られないわけでございます。
  94. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうするとセーフということですね。東急電鉄株もセーフ、日本カーボンもセーフ、本州製紙株もセーフらしいですが、やはりこれは株価操縦というものの実態が、過去五件しか立件されていないということでございますが、やはりもう少し、せっかく調査をされたならば何かこの異常な急騰に対して大蔵省としてはコメントしてもいいんではないかと思うのです。  と申しますのも、いわゆる信用取引、空売りは日証金の方で禁止をしておる、空買いの方は禁止しておりませんので、早く言えば、ある人に言わすと、これは独禁法三条の不当な取引制限の禁止に反するんじゃないか。これは、片一方は手足を縛って片一方は自由だ、これは問題ではないか、こう言う人もおるわけですが、この空売りだけを禁止しておる、こういう状況の中で株価が異常に高騰しておる。日本カーボンという会社がどういう会社がということはここで申しませんが、そんなに株価が上がるような会社じゃないというふうに聞いておりますし、また仕手筋、それにちょうちん買い、それから空売りの禁止、こういうようなことが重視して副作用を起こして異常な高騰をしている、こういうふうに考えることもできるのですが、証券局長、この問題、空売りだけを禁止しているということについてはどのような御見解一をお持ちですか。
  95. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 信用取引制度と申しますのは、御存じのように、これはいわば仮需給を市場に導入することによりまして株価の円滑な形成というものを図っているわけでございますけれども、しかし、信用取引というものが余り過度に利用されるということになりますと、株価形成にも影響を与えますし、あるいは信用取引の、特に売りについて必要な株券の調達という問題が起こってまいるわけでございます。そういった観点から、余り過度な利用が見られるという場合には、取引所あるいはその信用取引に必要な株ないし資金の貸借の最後のしりを見ております日本証券金融株式会社において必要な規制を行っているわけでございます。  御指摘の信用の売り、空売りと言われました信用の売りの方は禁止をしていながら、買いの方は禁止されていない、片手落ちではないかという御指摘でございます。  これは、今申し上げましたような信用取引の現在の仕組みを前提といたしますと、信用の買いの方は資金を手当てすれば買えるわけでございますので、仮に信用買いを禁止いたしましても、その必要な資金をほかのところで調達をして株を買うということは可能なわけでございまして、そういった意味では、信用買いを停止するということについては、ほかからの資金調達の可能性を考えますと余り効果的ではない。他方、信用売りの方につきましては、先ほど申し上げましたように、これは必要な株を調達、借りてこなければいけないという問題がございます。それを現在は最後のところを日本証券金融株式会社が行っているわけでございますが、その株の調達が非常に困難になるというケースがあるわけでございます。そういったような事態を前もって防ぐために貸し株を停止するというような措置がとられるわけでございまして、確かに表面的、形式的には一万を禁止し、あるいは一方が事実上できなくなり、一方が自由にできているというのはおかしいというような考え方もあろうかと思いますが、現在の信用取引制度を前提といたしますと、今申し上げたようなことで信用買いを禁止するということに実効性が上がらないという問題がございます。  ただ、いずれにいたしましても、この信用取引制度そのものについて今のような問題があることは事実でございまして、私どももこの信用取引制度についてさらに見直しを進めて、そういったものが株価の形成をゆがめるということのないように引き続き見直しを続けてまいりたいというふうに思っております。
  96. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひ善良な投資家のためにも、また薄商いが続いておりますから、一般大衆投資家が帰ってくるためにも、そういうギャンブルのような乱高下になるようなのじゃなくて、健全な市場になるように、今言った点もう一度、あと二十日間ほど年末までございますから、さらに調査なり、お願いをして質問を終わります。
  97. 太田誠一

  98. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 大変貴重な時間をいただきました。  大臣は、農林水産委員、農林水産大臣の経験をお持ちですから、台風被害も、共済制度についても深い御理解をいただいていると思います。台風被災農家は、融資だけではやっていけないんだ、また今の農業経営の状態からしても貸してもくれない、そう言っているわけです。どうしても被害を現金で補てんする道が求められるわけですが、そういう中で農業共済の重要性が改めてクローズアップされました。  今回の台風被害で特に大きかった果樹共済で二十六億円の繰り入れということですけれども、これで合計百二十億円の再保険金支払いとなり、最終的に被害農家への支払い見込みは百七十四億円ぐらいだと聞いております。台風の被害の方は果樹で二千百十六億円ですから、二千百十六億円分の百七十四億円となると、被害全体のうちの補てんはこれでたった八%であります。もっと救済の範囲を広げることが急務ではないでしょうか。先ほどからも問題になっておりましたが、特にこの果樹共済は加入率が低過ぎる。全国で二二%、青森県では一五%を割っています。  そこでまず、きょうは経済局長がお見えになっておりますが、農水省は加入に関して青森県下で現地検討会を開かれましたが、そこで出た農家の要望はどういうものでしたでしょうか。また、その要望にどうこたえようとされているんでしょうか。
  99. 川合淳二

    ○川合政府委員 今回の被害にかんがみまして、一番甚大な被害を受けました青森県でこの共済制度につきまして検討会を開催いたしました。主な意見は、引き受けの際に設定されます基準収穫量の問題、あるいは品種区分をもう少し細分化できないかというような話、それから損害評価に対するある種の不信感、そのような意見が出されました。私どもこの段階で特に反省をいたしましたのは、どうも我々のやっておりますこの制度につきまして、具体的内容あるいはその他利点などについて理解が必ずしも十分でないということでございます。例えば今お話しいたしました基準収穫量などにつきましても、当然これを上げれば掛金は高くなるわけでございますが、こういう対応も可能な制度になっておりますし、品種区分につきましてもこれが可能になるような、特に具体的に品種も指定されておりますが、これも引き受け可能というようなこともございます。こうしたことで、やはり加入の率が低いということにつきまして、私ども現行制度をもう少しPRする必要を感じているところでございます。
  100. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 はっきり言って、基準収穫量の設定が少ない、掛金負担が重く、補償の水準が低い、そして損害評価が公平でない、こういうことだったんでしょう。しかもそれを農水省は、制度の内容、利点が理解されていない、だからPRに努められる、こういうことですが、農民に言わせたら、農業共済なんてよくわかっている、よくわかっているんだ、いざというとき役に立たない、そういう共済になっているということがよくわかっているから加入しないんだ、こういうふうに言っているんです。掛金が高い、それでいて二割、三割の足切りで災害があっても払われない、役に立たない、これが農民の声なんです。それにこたえていかなければならないと思うんです。こういう大災害の後ですから農家の加入機運は高まっていると思いますが、これまでの欠陥が正されない限り幾らかけ声をかけても加入促進は望めないんじゃないでしょうか。国の補助をふやし、農家の掛金負担を減らし、災害では納得のいく補償がされる、これを回避した解決はない、私はそう思うわけです。そもそもこの農業共済というのは農家だけを対象にしているから危険分散が非常に弱い、常に自然に左右される、だから共済保険だ、こういうことじゃありませんか。  ところがその農業共済制度が、臨調で補助金が高過ぎるということを言われて、八五年から事務費の負担金が据え置かれたままなんです。そして掛金の国庫負担は、八五年の引き下げ以来ごとしまでに二〇%もカットされているんです。もちろん農家負担はふえ、加入せずに済むならなるべくやめておこう、こういうことになるわけであります。  そこで、大臣にお答えをいただきたいわけです。私は、ぜひこの機会に国の補助金をもとに戻していただきたい、そして八%しか補てんされないというようなこの農家の実態を解決すべきだと思いますが、大臣のお答えを求めたい。
  101. 川合淳二

    ○川合政府委員 若干事務的な話に及びますので、私からまず答えさせていただきたいと思います。  加入率につきましては、樹種により、また地域によって非常に差がございます。私はこのことから、やはりもう少しPRをすることによってこの加入率は高められるのではないかということを申し上げたいと思います。こうした現行制度の中でなお私ども努力をすることによって加入率あるいはきめ細かい運用ということも可能でございますので、私どもはそういうことを通じましてまず努力すべきであるというふうに考えております。
  102. 羽田孜

    羽田国務大臣 今の御指摘の点につきまして、特に事務費の国庫負担につきましては、共済事業の円滑かつ安定的な運営を確保する見地で、今御指摘がございましたけれども、従来より所要の額を確保してきたというふうに考えております。  また共済掛金につきましても、やはり自然の農業といいますか、自然を相手にする農業ということで、農業共済のそういう趣旨に基づきまして、法令に基づいて全体として五割を超える水準の高率の国庫負担を今日まで行ってきているということであります。  いずれにいたしましても、これら農業共済の国庫負担につきましては今後とも農水省と十分に協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  103. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 農水省はPRが少なかったからこれからもっと力を入れるんだ。逆に言ったら、それほどPRが少なかったのか、それほどきめの粗い仕事をしていたのかということになりますよ。私はそこを大変心配するんです。  大臣はせっかく御答弁をいただきましたが、大臣、青森県でもこの際もっと加入率を高めなければいけない、それじゃどうするか、県が補助をふやそう、こういうことを新たに打ち出しているんです。やはり私は解決はそこにあるというふうに思います。  時間がありませんので最後に一問だけ聞きますが、今度の災害でキウイが非常に被害を受けました。福岡県などはミカンに次いでキウイの被害額がたしか大きかったと思います。いずれにしてもこのキウイを共済の対象にしてほしいという要望が非常に強くありますが、農水省の御答弁を求めて終わります。
  104. 川合淳二

    ○川合政府委員 キウイフルーツを共済対象にというお話でございますけれども、新しい果樹を対象にするには、こうした作物がどの程度普及しているか、あるいはその栽培などがどの程度普遍的な技術で裏打ちされているかというようなことを踏まえまして保険設計をしていかなければいけないところでございます。私どもは今調査を実施しているわけでございますが、御承知のようにキウイフルーツが普及といいますか取り入れられてから栽培経験がまだそれほど長いわけでもございませんので、栽培技術にややむらがあるとかなかなか難しい点がありますので、今後とも慎重に検討させていただきたいと思っております。
  105. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 終わります。
  106. 太田誠一

  107. 正森成二

    ○正森委員 時間が短うございますので、ほんの一問だけ聞かしていただきます。  今、一般会計の資金が不足していますので、財投資金の活用というのが非常に大事になっていることは御承知のとおりであります。そこで、来年度関係ですが、概算要求で有利運用のための資金運用事業は、総額で今年度のほぼ七兆七千億円に対して六五%もふえまして十二兆七千五百億円という大幅要求がなされております。一々申しませんが、例えばこの間の証券スキャンダルで名を上げました年金福祉事業団について見ますと、二兆五百億円の約三倍の六兆三千五百億円が年金財源強化事業ということで要求されております。また、自家運用の資金確保事業にらいては、これは一般財投ということになっていますが、今年度の一兆一千億円に対して来年度は二兆一千億円と九二%増の要求をしております。  しかし、この前の審議のときに参議院予算委員会で斎藤主計局長が、補てんを受けていない国共済の運用について、債券は満期まで待つのが最も有利で安全確実で、これが大蔵大臣の方針である、あるいは大蔵省の方針であるというように答弁したことは御承知のとおりであります。今、財投資金の活用が非常に重要になっているときに、幾つかの省庁に自主運用だと称して短期の債券の売買で利ざやを稼がせる、しかもそこでいろいろのスキャンダル的なものが起こるというようなことは抜本的に改めて、大蔵省が資金を一元化してもっと有用に庶民の生活に役立つような公共事業等に使うというように政策を変えていかなければ、一般会計には限度があるというように思いますが、この点について大蔵大臣の見解を承りたいと思います。
  108. 寺村信行

    ○寺村政府委員 資金運用事業の概算要求額は十二兆七千五百億円でございまして、前年に対しまして六五・六%の増額の要求になっております。  御承知のとおり資金運用事業、例えば郵便貯金につきましては金融自由化対策資金として位置づけられておりますけれども、金融自由化に適切に対応した健全な郵貯事業の経営の確保に資するためという目的でございます。それから、年金につきましては年金財源強化事業と位置づけられまして、高齢化社会に備え、国民の将来の貴重な年金財源の確保に資する、こういう目的で行われている事業でございます。したがいまして、こういった事業の趣旨を踏まえまして、一方、御指摘ございましたように財政投融資に対する各般の政策要請がございます。それに基づいた資金需要に適切に対応しなければいけませんし、一方、年金それから郵便貯金の原資事情もございますから、これらを総合的に勘案いたしまして、予算編成段階で妥当な結論を見出すよう検討してまいりたいと考えております。
  109. 正森成二

    ○正森委員 時間でございますが、私どもは、先ほど藤田議員が質問いたしました農業共済の再保険の法案では賛成でありますが、他の二法は反対ですので、理事会の申し合わせで討論がないということですので、簡単に見解を述べさせていただきます。  財政法六条の規定は、現在の減債制度においては減債基金の積み立ての補完的制度として機能しており、巨額の国債を抱えた今日ほど厳守し国債残高の減額に努めなければならないし、また、これは赤字国債の償還期間中は剰余金の全額を償還財源に充てるという昭和五十年当時の大平蔵相の約束を破るものであると言わなければなりません。政府は、災害等の補正予算財源としてやむを得ないと言っておりますが、きょうも質問がございましたが、税収不足は、政府みずからがつくり出したバブル経済、好況とそれを前提にした過大な税収見積もりが一挙に崩れたことを直接の原因としており、政府の責任は免れません。また、それは歳出について、米国の要求に応じた軍事費やODAあるいは日米構造協議に基づく大企業優遇の公共投資等々の抜本的見直しをしなかった理由によるものであります。したがって、我々はこういうのに賛成できません。  また、日本開発銀行法改正案については、今回の財投追加内容は、主として東京湾岸の開発や横浜みなとみらい等大企業本位のビッグプロジェクト開発が中心であり、これまで専ら大企業に融資してきた開銀の融資規模をさらに拡大し、一層大企業のための低利融資を拡大するものであります。  ほかにいろいろ申し上げたいことがございますが、時間でございますので、これらの理由を勘案して我々は賛成できないということを申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。
  110. 太田誠一

  111. 中井洽

    中井委員 最初に、大臣にお尋ねをいたします。  大臣、いわゆる建設国債と赤字国債、法的にはきちっとなされているわけでありますが、一般的な概念でいってどういう違いをお持ちか、お尋ねをいたします。
  112. 羽田孜

    羽田国務大臣 この考え方の基本につきましては、建設国債というのは例えば道路ですとか橋ですとか、後世に一つの社会資本を残すということがありましょう。そしてまた、そこから一つの富を生み出してくるということもあり得るというふうに考えております。赤字国債につきましては、経常経費といいますか、そういったものを充てるということでございまして、後にあれを残さないということがあろうかと思っております。そして、こういったものをふやしていくということになりますと、もう歯どめがなくなってしまうというようなことがございまして、私どもとしては万が一やむを得ないときには建設国債をという考え方がございますけれども、特例公債についてはでき得る限りやめたい。ただし、これは両方とも間違いなく、累積をしていきますとそれに対する元本あるいは利息、こういったものをお返ししていかなければいけな。いということでありますので、私たちはでき得る限り公債の発行というのは慎まなければいけないのだろうということを基本に置きながら対応していかなければいけないというふうに考えております。
  113. 中井洽

    中井委員 私どももそういう理解のもとに過去審議をし議論をしてきたわけでありますが、今回この補正予算、私ども賛成でありますし、別に注文をつけるわけじゃありませんが、限度いっぱい一兆三千八百七十億円のいわゆる建設国債が発行されます。しかし、支出等を考えますと、ほとんど一般経費の足りない部分を埋めていくのじゃないか。こういうふうに考えますと、必ずしも建設国債、赤字国債の概念というのが、発行のときにはいろいろあるけれども、きちっとして使われていないのじゃないか、こんな思いを抱いております。  同時に、国債整理基金への繰り入れ、いつか委員会で私も議論をしたことがありますが、実際は法的にこの制度を持って、しかもきちっとというか、余りきちっとでもありませんが、繰り入れが実際に行われておるのは日本だけだ。アメリカなどでは制度があってもほとんど繰り入れが行われていない、こんなふうに聞いております。そうすると、世界一経済的に信頼があり、また財政的にもきちっとしておる日本が、国債ということで二重三重歯どめをかけておる意味というのはどこらにあるんだろう。国の信用、そして同時に経済の動きの中での利率、こういったことが自動的に国債発行というものに枠をかけていくんじゃないか、そういう発想もあるんじゃないかというふうに私は時々自問自答しておるわけでありますが、大臣、率直に言ってどのようにお考えですか。
  114. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  やはり国債に対する国民の信頼というものは基本的に大事であろうということで現在の減債制度ができているものと考えております。御承知のとおり、減債制度は、定率繰り入れ、予算繰り入れ、それからもう一つは剰余金の二分の一以上の繰り入れというこの三つの制度は引き続き堅持すべきものではないかと考えております。
  115. 中井洽

    中井委員 質問より議論をしたかったわけでありますが、紋切り型の御答弁をいただきましてありがとうございました。そういったことを含めて、私どもは財政運用という面での国債発行問題について対応していきたい。  今回、この国債整理基金への繰り入れの停止、私どもは実は初めて賛成をいたします。定率繰り入れが停止という過去の例のようなことがあれば反対をせざるを得なかった。今回財政状況もあり、定率繰り入れも行われておる。同時に、私が今申し上げたような国全体としての信頼のもとに立つ国債発行、こんなことでこの今回の法律改正に賛成をするものであります。  同時に、ついでにお尋ねをいたしますが、この国債整理基金に繰り入れられたお金、このお金の運用というものはどういうふうになされておるのか。国債との関係で何か逆ざやになっているという話も聞かないわけではありません。これらの運用方法あるいは運用実績等についてお聞かせをいただきます。
  116. 寺村信行

    ○寺村政府委員 国債整理基金に繰り入れられました資金は、主として短期国債とかFBとかそういったものに運用しておる状況でございます。
  117. 中井洽

    中井委員 実績はどんなですか。——それじゃ、また後刻違う機会でお聞かせをいただきたい、また論議をさせていただきたい、こんなふうに考えます。  それから、この補正予算の中で既定経費の減という項目がございます。八千八百三十七億。このうち約五百億円は金利低下だ。そして給与改善予備費の減ということで一千三百五十億ぐらいになります。実際二千四百八十億ぐらいということであろうかと思いますが、九十億ドルの湾岸援助金のときにもこの既定経費の削減、節減というものが出てまいりました。これと合わせて今年度予算における既定経費の節減というのは幾らになりますか。
  118. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  平成年度既定経費の節減は各省一〇%、厳しい節約をお願いいたしまして、その結果として今回の補正で、既定経費の節減七千四百八十七億の中で節約分が七百三十億三千九百万でございます。その他に不用が六千七百五十六億六千五百万、以上合わせて七千四百八十七億四百万円ということでございます。
  119. 中井洽

    中井委員 その五百億円は金利低下でしょう。違うのですか。——五千億だ。五千億は金利低下でしょう。
  120. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 国債費の補正の内訳でございますが、金利の低下等に伴う国債利子等の不用の発生が五千五十二億でございます。それから、国債の追加発行に伴う事務費の増加が六十億円ということでございます。
  121. 中井洽

    中井委員 義務的経費の追加というのはこれはやむを得ないものでありますが、八百八億円あります。結局一般経費のいわゆる国民がふだん考えておるような節約、削減というのは七百三十億ですから、逆に要る方が多かったという予算執行であろうかと私は思います。  大体、七十兆円にも及ぶ予算を執行しながら、お金が足りないときにわずか〇・〇一%ぐらいしか節減できないというのは私は発想が違うと思うのであります。来年度予算も大変厳しい折であります。民間的手法の経費削減、こういったものをもっともっと政府みずからお取り入れになって、削れる部分、要らない部分、洗い出すべきだと私どもは思います。年度末になったら必ず工事がばかばかふえて交通渋滞する、あるいは出張旅費が余ってきてむやみやたらと出張するなんということを含めて、民間の国民は、お役所は幾らでも節約できると考えていると私は思います。国債の減まで経費節減ということで七千億なんて数字が出ていますが、実際には節減をしていないと考えざるを得ないのであります。  そういった意味で大臣、来年度予算に向かってもっと厳しい経費の削減、これらをおやりいただく、そしてその中で予算というものを見ていただく、こういったことをお約束いただきたいと思いますが、いかがですか。
  122. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘のとおり、私どもといたしましても、既定の経費あるいは制度、こういったものについても今御指摘のございましたような一つの方向を定めながら、節減すべきものはやはり思い切っで節減していく、そういったことでこれから各省とも話し合っていきたいというふうに考えております。
  123. 中井洽

    中井委員 最後に、農業共済財源の繰り入れのことについて一問だけお尋ねをいたします。  私どもは本当に今回の災害にかんがみてこれは必要なことと賛成をさしていただきます。しかし、先ほどから同僚議員から御質問がありましたように、三百億ぐらいに余る繰り入れがもう既に行われて繰り戻しの見通しは到底立たない、こういう制度の状況であります。これをお答えを聞いてみますと、二十年タームで考えておる、こう言われますが、十八年で、あと二年でこんな繰り戻しかできるわけはありません。実質上崩壊をしているのであります。それを各党が賛成だからという形で、大変失礼だけれども、しれしれとした答弁でやっていくというのは私どもは納得できない。やはり長期的にどうするんだ、これをきちっと検討していただくべきだ。来年から十五年、二十年と災害が起こらない、とんでもない、災害の方は、大体こういうのは毎年のように、一度起こったら続けざまに起こる、これが過去の例ではありませんか。そのときに、仕方がないから仕方がないからというような形で毎年やっていくということはいかがなものか。そういった意味で、農林省のお考えをきちっとお尋ねをして質問を終わります。
  124. 川合淳二

    ○川合政府委員 先ほど私申し上げましたのは、この制度が発足いたしましたのが四十八年でございますが、それから五十七年ぐらいまで御指摘のように赤字が続いてきたわけでございます。そうした中で、五十五年、六十年に私ども制度改革をいたしまして、五十八年以降黒字の傾向で推移してきているわけでございます。したがいまして、私どもはここの時点から制度の改善の効果が出、黒字基調と申しますか健全基調になってきているというふうに承知しているわけでございます。そうした中でことしの未曾有の災害を受けた、こういうことでございます。  それから、先ほど二十年と申しましたのは、保険設計の単位を二十年でやっているということでございまして、あと二年でという意味ではございません。もちろん、私どもこの運営につきましては、御指摘のように効率化あるいは合理化ということを図りますし、そういう意味ではこうした二十六億にも及ぶ繰り入れをいただくわけでございますので、そういう心構えで運営していかなけれはいけないということは御指摘のとおりでございます。今後ともそうした基本的な態度で臨んでまいりたいと思います。よろしく御理解をいただきたいと思います。
  125. 中井洽

    中井委員 よろしく御理解できませんで、三百億近い繰り入れのお金をどうするんだというところが抜けておる。何にも健全化していない。私どもは、この制度が悪いとかなくしてしまえとか言っておりません。しかし、どういうふうにやるんだということをやはりみんなで決めていって、明るい見通しを立てていかなければならないと思うのであります。この制度の中身だけ改正することで到底解決できないのはだれが考えても明らかであろう。十分幅広い御検討をいただきますよう要望して終わります。
  126. 太田誠一

    太田委員長 これにて各案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  127. 太田誠一

    太田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに各案について採決に入ります。  まず、平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  128. 太田誠一

    太田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、農業共済保険特別会計における農作物共済果樹共済及び園芸施設共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 太田誠一

    太田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  130. 太田誠一

    太田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 太田誠一

    太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  132. 太田誠一

    太田委員長 次回は、公報をもつてお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十四分散会      ————◇—————