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1991-11-25 第122回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十一月二十五日(月曜日)     午後一時七分開議 出席委員   委員長 草野  威君    理事 北川 石松君 理事 萩山 教嚴君    理事 藤井 裕久君 理事 森  英介君    理事 時崎 雄司君 理事 長谷百合子君    理事 宮地 正介君       伊藤宗一郎君    加藤 六月君       粕谷  茂君    佐藤謙一郎君       高橋 一郎君    長谷川 峻君       水野  清君    村上誠一郎君       阿部喜男君    上田 卓三君       後藤  茂君    新村 勝雄君       新盛 辰雄君    寺前  巖君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         建 設 大 臣 山崎  拓君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣 荒田  建君         官房会計課長         経済企画庁調整 谷  弘一君         局審議官         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省経済局次 須藤 隆也君         長         大蔵大臣官房長 篠沢 恭助君         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵大臣官房審 小川  是君         議官         大蔵大臣官房審 石坂 匡身君         議官         大蔵省主計局次 涌井 洋治君         長         大蔵省理財局長 寺村 信行君         大蔵省理財局次 吉本 修二君         長         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         大蔵省国際金融 中平 幸典君         局次長         厚生大臣官房総 大西 孝夫君         務審議官         厚生大臣官房老 岡光 序治君         人保健福祉部長         厚生省社会局長 末次  彬君         農林水産大臣官 馬場久萬男君         房長         農林水産省経済 川合 淳二君         局長         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君  委員外出席者         大蔵省主計局司 設楽 岩久君         計課長         会計検査院長  中村  清君         会計検査院事務 山本  正君         総局次長         会計検査院事務 安部  彪君         総局第一局長         決算委員会調査 小島  敞君         室長     ————————————— 委員の異動 十一月二十五日  辞任         補欠選任   藤尾 正行君     佐藤謙一郎君   渡辺 栄一君     高橋 一郎君   渡辺 省一君     村上誠一郎君   阿部喜男君     新盛 辰雄君   小川 国彦君     新村 勝雄君 同日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     藤尾 正行君   高橋 一郎君     渡辺 栄一君   村上誠一郎君     渡辺 省一君   新村 勝雄君     小川 国彦君   新盛 辰雄君     阿部喜男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求め  るの件)(第百十八回国会内閣提出)  昭和六十三年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書一その2)(承諾を求め  るの件)(第百十八回国会内閣提出)  昭和六十三年度特別会計予算総則第十二条に基  づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額  調書承諾を求めるの件)(第百十八回国会、  内閣提出)  昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条に基  づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額  調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百十  八回国会内閣提出)  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの  件)(第百十八回国会内閣提出)  平成年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの  件)(第百十八回国会内閣提出)  平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その1)(承諾を求めるの件)(第百十八回  国会内閣提出)  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの  件)(第百二十回国会内閣提出)  平成年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの  件)(第百二十回国会内閣提出)  平成年度特別会計予算総則第十一条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (承諾を求めるの件)(第百二十回国会内閣  提出)  平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その2)(承諾を求めるの件)(第百二十回  国会内閣提出)  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの  件)(第百二十回国会内閣提出)  平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その1)(承諾を求めるの件)(第百二十回  国会内閣提出)  昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調  書  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書      ————◇—————
  2. 草野威

    草野委員長 これより会議を開きます。  昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)外十二件及び昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書、右各件を一括して議題といたします。  この際、大蔵大臣から各件について趣旨の説明を求めます。羽田大蔵大臣
  3. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいま議題となりました昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外十二件の事後承諾を求める件並びに昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書の報告に関する件につきまして、その大要を御説明申し上げます。  初めに、予備費使用調書等につきまして御説明申し上げます総  まず、昭和六十三年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、平成元年一月十日から同年三月三十一日までの間において使用を決定いたしました金額は、七百六十二億円余であります。  昭和六十三年度特別会計予備費予算総額二兆一千六百七十億円余のうち、平成元年三月二十四日がち同年三月三十日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千六百八十九億円余であります。  昭和六十三年度特別会計予算総則第十二条及び第十三条の規定により、平成元年三月二十七日から同年三月三十一日までの間において経費増額を決定いたしました金額は、六百三十三億円余であります。  第二に、平成年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、平成元年四月十八日から平成二年三月三十日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千四百二十七億円余であります。  平成元年度各特別会計予備費予算総額二兆三千七百七十二億円余のうち、平成元年十月三日から平成二年三月三十日までの間において使用を決定いたしました金額は、二千五百九十三億円余であります。  平成年度特別会計予算総則第十一条及び第十二条の規定により、平成元年九月十二日から平成二年三月三十日までの間において経費増額を決定いたしました金額は、二千二百八十三億円余であります。  第三に、平成年度一般会計予備費予算額三千二百五十億円のうち、平成二年四月二十七日から同年十二月七日までの間において使用を決定いたしました金額は、二千五百六十七億円余であります。  平成年度特別会計予算総則第十二条の規定により、平成二年九月十八日から同年十一月二十七日までの間において経費増額を決定いたしました金額は、百十五億円余であります。  以上が、予備費使用調書等についての大要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。  次に、国庫債務負担行為調書につきまして御報告申し上げます。  昭和六十三年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、国が債務負担する行為をすることができる限度額一千億円のうち、平成元年一月十日の閣議の決定を経て、総額二十六億円余を限度として債務負担行為をすることといたしました。  以上が、国庫債務負担行為調書についての大要であります。  以上であります。
  4. 草野威

    草野委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  5. 草野威

    草野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
  6. 北川石松

    北川(石)委員 質問の時間を限られておりながら、できることを感謝いたします。  ただいま羽田大蔵大臣から、六十三年度一般会計予備費使用調書その他に関しての御説明を承ったのでありますが、時間が限られておるので、ずっと聞かせていただいて、これ、初めて私聞いたのですね、大臣。今初めて聞いたのです。今初めてこれを出されたので。  例えばこの中で、予備費使用を決定した額は七百六十二億円余であります、こういうふうに一番最初に冒頭述べておられる。内容についてはわからない。決算でございますので、今ここで時間をとることは、みずからもまた時間がないのはわかっておるので、これの明細について提出を願いたい。  委員長、このことの御了解を得たいと思いますが、いかがでしょうか。——後でいいんだから持ってきてくれ。時間がもったいないから、十五分しかないんだから、部屋へ持ってきてくれ。
  7. 涌井洋治

    涌井政府委員 予備費支出の明細につきましては、既に国会の方へ提出しているところでございます。
  8. 北川石松

    北川(石)委員 では、それで了といたします。  次に、大蔵大臣、最近世界の情勢もまた日本情勢も、十年一昔と言いますが、すっと戦後、年月をけみしまして大変変わってきておるが、そういう中で私は、国民血税というものが、国民のとうとい汗とあぶらのその税金によって政府予算編成をなし、これが各省に割り当てられて、国民負託にこたえるためのかく形づけをなしていくのが日本のとうとい政治の形であり、それが安定をし、膨張をし、そして発展をしてきたということは、まことに慶賀にたえない。  ところが、きょう、朝、相続税が高いですよ、こう言われたんですね。相続税が高い。私たちが祖先代々のものを守ろうどしてもこれじゃ守れないじゃないですかというような強い御指摘を受けたときに、ああそうだなと。敗れた日本の戦後の税制というものは、シャウプ税制勧告等によりまして、日本独自の税体制じゃなしに、アメリカの強い要望と指導と指示の中においていろんな税体制をつくられたことは否めないと思います。そういう点から、今後の税制というものもまた改めなくちゃならぬと思っております。  たまたま私が自民党であるがために、決算委員会質問することについて云々する人もあると思いますが、私は国会というものは、与党も野党も派閥も便宜上あるだけであって、国民負託にこたえることがまず国会議員の職員であると考えております。そういう点を思いまして、大蔵大臣がこれから平成年度予算編成をやらなくちゃならぬが、新しく時代に対応する予算編成というものが私は必要であろうと思います。そのために決算において審議され、認定されたものもまたこれを重要視しなくちゃいかぬと思いますが、大臣の御所見はいかがでございますか。
  9. 羽田孜

    羽田国務大臣 今、石川議員の方から……(北川(石)委員「間違えたらいかぬ。石川じゃない、北川ですよ」と呼ぶ)失礼しました。北川議員の方から御指摘のございました、もうまさに、国が使おうとする予算、これは国民血税であるということでございまして、この血税をいかにして使っていくかということ、これはもうまさに、最も、国を運営して。いくあるいは国民から信頼を受ける、この基本であろうというふうに考えております。その意味で、私ども予算編成に取り組むのにも、そういった基本的な考え方を腹の中に置きながら、本当に必要なものに対応する、そういう姿勢で臨んでいかなければいけないであろう。その意味で、使った後の決算というものも非常に重要なものであろうというふうに私ども認識しながら対応していきたいというふうに考えております。  どうも失礼いたしました。
  10. 北川石松

    北川(石)委員 大臣が本当に必要なものに予算編成をするということ、また、決算委員会審議皆さんの御意思もこれを大変重要視しなければいかない、このような御答弁をちょうだいしたことはまことに欣快にたえない。そういう形の中で国民負託にこたえなくちゃならぬという思いをいたしますが、私は、それならば、この間の十月三日の総括においての本委員会における質問内容について、会計検査院検査院として各省庁に対してどのように、より高め、より真実の中に、よりよいものを生むために、どういう報告指導をなさろうとしましたか。
  11. 中村清

    中村会計検査院長 決算を重視するということは、会計検査院にとりまして常に念願しているところでございます。会計検査院としましては、検査結果の所見に基づきまして、速やかに是正措置あるいは再発防止措置がとられますように、また、予算編成に反映されて検査の効果が発揮されるということを強く期待しているところでございます。
  12. 北川石松

    北川(石)委員 会計検査院としては、執行された予算が本当にどうだかということについて今後とも慎重に御指導なり御指摘なり、または厳しい御鞭撻、指導在していただきたい。私はこのことをお願いしておさたいと思います。  そういう思いの中で、今国債が百六十八兆円と聞いております。これはもうゆゆしきことだ。時によっては大蔵省は、孫の代まで何ぼの負担がかかるわといって、非常に、パンフレットまで配ったこともまた私たちの記憶によみがえっできます。バブル経済というときに忘れられたように国債の赤字というものはなされていったように感ずるのであります。これじゃいかない。やはり、厳しい厳しいところの姿勢というものが、政治の中に、常に常にそういうものが、一つのものをつくっていくところの姿勢というものが必要であろうと思います。  そういう意味で私は、昨年だったかな、一昨年かな、ジョークで、バルブじゃろう、こう言ったのですね。バルブ違いますよ、バブルでっせ。はあ、適当に締めないかぬと思って言うたんだがなあと言って、一笑に付されたことも思い起こしておるのでありますが、やはり経済というものは、時に引き締めると同時に時に緩め、緩急自在の中に一つ経済の形づけをしていかなきゃならぬ、私はこんな思いをいたします。大臣、どうでございましょう。
  13. 羽田孜

    羽田国務大臣 もう今御指摘のありましたとおりでありまして、今の財政状況というものを私ども振り返ってもう一度見詰めてみますと、今御指摘のとおりの公債残高があるということでありまして、このために、およそ二割を超える公債の利息ですとかあるいは元本の支払いを毎年毎年予算の中に組み込んでいかなければいけないというのが現状であります。ただ、景気が多少低調になってくるということになりますと、すぐ財政支出をしなさいよということになると、どうしてもやはりそれを刺激するためにはまた公債をということで、私たちはそれを累増させてしまうことに動いてしまうということが、私も議員の一人として振り返ってみたときにそういったことがあるわけですね。  しかし、今御指摘があったとおり、間違いなく高齢化社会にこれから移っていくということになる。ということになったときに、私どもはそのことを踏まえて、やはり高齢化社会にきちんと対応できるような健全な財政体質というものをつくり上げておく必要があるのじゃないのかというふうに考えておりまして、不要不急という言い方は、私自身が今までの議員立場であったときに、いやこのやつこそ大事だぞとかと言うわけなんですけれども、そういう意味でやはり将来というものをよく見きわめながら、本当に国民の生活といいますか、その質が高まるような、そういう方向で、やはりめり張りをつけた財政運営というものをしていかなければいけないのかなということを私どもよく腹の中に置きながらこれから対応していきたいというふうに考えております。  しかし、御指摘がございましたとおり、こういったものにつきましても常に機動的でなければならないという今御指摘もあったわけでありますけれども、そういったところを注意深く見詰めながら私たちは適時適切な対応をするように、これからも、今度大臣になった立場でございますので、そういう立場を踏まえながら対応していきたいということを申し上げる次第でございます。
  14. 北川石松

    北川(石)委員 私が一年生代議士のとき、自民党政策論議のときに、大蔵省が、その政策実現は無理ですよ、何でやと聞いたら、予算がありません。この一言が大きく日本政策実現のための、あるいはよいことの形づけのための大きな一つのウエートになり、それが各省大蔵省に対して、何といいますか、あるときには非常に萎縮し、そして大蔵省様々の形の中で行われると私は思っております。これは危惧しておるのですよ。それであってはいけない。私は、各省がいろいろな予算要求をするときにも、あるいは決算において出すときにも、前向きで常に情熱と正義と英知を傾けなければいけない、こんな思いをしているのですよ。だから、そういう大蔵省オンリーの政治というものがゆがめられた日本の形づけをしてはならぬ、私はこんな心配をするのですよ。昨年はバルブバブルか、何か予算があふれているというのです。あふれておるや、じゃぶじゃぶ洪水予算というようなことを今までの歴史の中で時たま政府は行っていますよ、もっと使え、もっと使えと。しかし、使い切れない場合もある。このようなむだなことはしてはいけない。  そんな思いをいたしますと、私は政策の大転換をやる必要もあるときにはあると思うのです。マンネリとその政策の中で、これはやらなければいけないという圧力になり、いろいろな中で政策遂行のときに、大蔵省が冷静な、国民血税であるということにおいて反論しなくてはいかぬときがあるのじゃないか、こんな思いがしますよ。そういう思いをいたしますと、泥沼に足を突っ込んでしまって、これは悪い悪いと思いながら足を突っ込んでいった盧溝橋以来の日本の大東亜戦争、これは足が抜けられない。そのためにあの悲惨な、そして陛下の五内裂くという詔勅によって平和が来た。  昭和天皇のことを今申し上げたために申し上げますが、敗れた日本占領政策を持って厚木におり立ったマッカーサー元帥日本植民地政策をひっ提げてきた。そのときに、陛下マッカーサー訪問によって、陛下の御徳と慈悲と御稜威によって、マッカーサーはまた再び陛下を宮中に訪問し、そしてあの占領政策を大転換した。そのために今日の日本の繁栄があると言っても過言でない、このような思いを私はいたします。  私は、陛下がお亡くなりになりましたときに、   天地も崩御に濡れし大人洲昭和の御代に祈り   深さもまた、御苑のときの大喪には、   天皇の大喪拝す内外の御苑の祈り氷雨悲しむと、昭和天皇のお亡くなりに限りない感謝の思いと哀悼の意をみずからの心の中にいたしました。そんな思いの中に、国会の開会に当たってはいつも最高議決機関として国民負託にこたえよと言われたことを私は思い出しております。  これは、先ほどの総理答弁に、いや大蔵大臣の御答弁の中にありましたように——あなたを将来総理と思ってしもうておったのかな、総理答弁と言ってしまったが、そういう御答弁の中にありましたように、時代に即応する政治をやるためには時に大蔵省予算編成に大転換をする必要があると私は思う、このことを申し上げ、大蔵大臣答弁を聞いて、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  15. 羽田孜

    羽田国務大臣 北川委員から今御指摘があったのはまさに国会運営基本にかかわる問題であろうと思うし、今お話があったことはまさに国会運営の筋道であろうというふうに心得ております。  急激な転換というのは確かにこれだけ大きな国になると難しいということは承知しておりますけれども、皆様のいろいろな意味での御支援をいただきながら、私どもといたしましても、次の時代にきちんとこたえられるようなものを、こういったものをつくり上げるために、予算等にあってもそのような姿勢で臨んでいかなければならない。特に血税というものは本当に国民皆さんのまさに汗水の一つの結晶でありますから、それを使わしていただくということですから、その皆さん方にきちんと将来とも報いられるような、そういったものを基本にして物を考えていく必要があろうというふうに考えておりますので、またよろしく御指導いただきたいと思います。
  16. 北川石松

    北川(石)委員 終わります。ありがとうございました。
  17. 草野威

  18. 長谷百合子

    長谷委員 きょうは予備費承諾ということで、この十三本の中に第一次の湾岸戦争協力基金の十億ドルが含まれておりますので、これと関連いたしまして御質問させていただきたいと思います。  これまでに、きょうの案件になっておりますこの十億ドルをと目減り分だと言われております最後の五億ドルも含めまして、総額百十四億ドル日本円にいたしまして一兆四千九百二十八億八千万円を支出したというふうに了解しておりますけれども、この全体の使途についてお伺いしたいと思います。
  19. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 今先生が言及されました日本中東貢献策、なかんずく多国籍軍への支援でございますが、実は全体で四本立てになっております。ドルで申し上げますと、最初が十億ドル、二度目が十億ドル、それから九十億ドル最後が五億ドルということでございまして、全部を足しますと百十五億ドルになりますが、これは、私ども便宜上ドルで申し上げておりますけれども、実際は円建てでコミットをし、円建て支出をしております。  今のうちの大半が湾岸平和基金に払い込まれておりますけれども、この湾岸平和基金の具体的な使途でございますが、今までのところ、今私が申し上げておりますこの百十五億ドル相当の円貨、これは具体的に円で申し上げますと一兆五千七十億円になりますけれども、約九八%が支出済みないし契約済みで、対象国アメリカを中心といたしまして十六カ国でございます。  具体的な使途は、湾岸平和基金に関しましては資金協力、それから物資協力ということになりますが、この資金協力と申しますのは、最初段階では輸送関連経費、それから次の段階では六分野を対象にしております。それから、細かいことですけれども日本が直轄で行いました、小規模でございますけれども輸送協力医療協力というものがございます。
  20. 長谷百合子

    長谷委員 今外務省北米局長からお答えをいただきました。そうしますと、各国に振り分けたということだと思うのですけれどもアメリカに向けては一兆三千五百二十五億円、こういうのが契約済みであるというふうに伺っております。全体の予算の中でアメリカ向け支出したものは九二%というふうに了解しておりますけれども、それはそのとおりでございましょうか。
  21. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、四回にわたってコミットされ、支出されておりますいわゆる百十五億ドルの中でのアメリカのシェアは、先生御指摘のように約九二%でございます。
  22. 長谷百合子

    長谷委員 大変大きいパーセンテージを占めておりますので、そのアメリカ向けの内訳ということについて少し説明していただきたいと思います。
  23. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 アメリカ向けに関しましては、今の四段階にわたる湾岸平和基金の払い込みはそれぞれ支出されておりまして、これは、全体の数字を今先生がまさに引用されましたように、円で申し上げますと一兆三千六百三十五・七億円でございます。これはどういうふうに支出されたかということでございますが、私ども最初の十九億ドルと呼んでおりますけれども最初の二段階のものを合わせますと二千三十九億円でございます。ちょっと細かくなって恐縮でございますが、御質問でございますのでお答えいたしますと、そのうちいわゆる資金協力、これは先ほど申し上げましたように輸送関連経費でございますが、輸送関連経費が千四百三十三億円、それから物資協力ということで防署機材、水関連機材、車両、宿舎建設資機材、コンピューター、コピー機、通信機材、医療関連機材等を合わせて六百六億円でございます。  それから次のいわゆる九十億ドルの関係でございますけれども、これはアメリカ向けに一兆七百九十億円でございます。これに関しましては、私、先ほど六分野ということで具体的な分野を申し上げませんでしたが、これは国会で繰り返し申し上げている六分野でございまして、今申し上げた輸送関連に加えて医療関連、食糧・生活関連、事務関連、通信関連、建設関連、以上の六分野に充当されるということになっております。  それから四段階目の追加の五億ドルでございますが、これに関しましては六百九十六・五億円が払われておりますが、これは以上の六分野が対象になっております。
  24. 長谷百合子

    長谷委員 大まかな支出に関しては今御説明いただきました。きょうは決算でございまして、最初の十億ドルに関しましては使い道がかなり明らかになりまして、私の承知しているものでも今のような大分野、医療、輸送、食品、通信、事務、建設、こういった分け方だけではなくて、例えば輸送ですと具体的に四輪駆動とか給水車、冷凍車とか、それから事務機だとパソコン、ファックス、コピーというような細かいものが出てきておると思うのですけれども、こういった収支、使い道についてはきちっと明らかにする、細目を出して何に幾ら使ったのかということが決算をする場合にはぜひ必要かと私は思うのです。  それで、いろいろ外務省の方、それから大蔵省の方にも問い合わせましたところ、やはりその資料というものがまだないのか、いや報告はあるのだけれども出すことはできないというようなことを私は言われておるのですけれども、その辺はやはり資料という形で、何に幾らということを国民が見て、だれが見てもわかるという形でぜひ提示していただきたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  25. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 全体のメカニズムがかなり複雑になっておりますので、細かい話になって申しわけございませんが、先ほど来申し上げておりますように、この湾岸平和基金を通じます多国籍軍支援資金協力物資協力に分かれておりまして、物資協力に関しましては平和基金の運営委員会みずからが関与しておるものですから、先ほど来アメリカに関しましては防署機材以下具体的な品目を申し上げた次第でございます。  他方、資金協力に関しましてはどういう具体的な分野に充てるかということになっておりまして、最初段階では、先ほど申し上げましたように輸送関連ということでアメリカとの間で了解ができておりまして、それに従ってアメリカ最初の十九億ドルの中の先ほど申し上げました一千四百三十三億円について輸送関連に使いつつあるというふうに了解しております。  まだ全体に関しては報告湾岸平和基金の方に出していないと聞いておりますが、恐らく先生が一番関心をお持ちなのは次の九十億ドル使途だと思います。これに関しましては、先ほども申し上げましたように、これは資金協力対象になっておりまして物資協力ではございません。したがいまして、その資金協力の、ただ最初段階は輸送関連でございましたけれども、先ほど申し上げました五つの新たな分野が追加になっているわけでございますが、この分野に充てるということが湾岸平和基金アメリカの間の了解事項になっておりまして、それがいわゆる具体的な使途でございます。それに基づきましてアメリカ使用しておりますが、具体的にそれをどういうふうに使用したということに関しましては、まだアメリカから湾岸平和基金の方に報告がないと私は了解しておりますので、私ども湾岸平和基金の方から報告は受けておりません。  しかしながら、これは国会の場で累次申し上げておりますけれども、この全体の湾岸平和基金支出が終了いたしました段階で、湾岸平和基金では関係国、当然アメリカも入りますけれども、関係国と協議の上、財務報告をまとめることになっております。その財務報告に関しましては、私ども湾岸平和基金から受領すれば適切な形で国会報告させでいただきたい、こう考えております。
  26. 長谷百合子

    長谷委員 「適切な方法で」とかいうことは海部前総理大臣がまず繰り返し言っておられたと思いますけれども、全体のことについて、今のお話ですとまだ湾岸平和基金の方から報告がないということですか。それともあるのだけれども出せないということなのでしょうか。政府の方では知っていらっしゃるのかどうか。そこのところはどうでしょうか。
  27. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先ほど申し上げましたように、この九十億ドルに関しましては資金協力といたしましてアメリカ向けに全体といたしまして一兆七百九十億円を六分野を対象アメリカに支払ったという報告は受けておりますけれどもアメリカからその一兆七百九十億円をどのように具体的に使ったかということに関しましては、まだ湾岸平和基金報告がないと了解しております。したがいまして、私どもも現段階ではまだ報告を受けておりません。
  28. 長谷百合子

    長谷委員 そうしますと、きょうの承諾案件になっております一番最初の第一次の十億ドルに関しては明らかにされているわけですね。昨年の参議院の予算委員会でもある程度議論がされたと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  29. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 最初の十億ドルと次の十億ドル、正確に申し上げますと、最初の十億ドルは一億ドル相当が日本政府の直轄で輸送協力医療協力が行われておりますので、湾岸平和基金に払い込まれましたのはそのうちの九億ドル相当でございますけれども、二度目の十億ドルと合わせまして十九億ドルで、これに関しましては現在までのところ約九五%が支出ないし契約済みであると承知しております。  実はこの中で、先ほどちょっと触れました輸送関連は資金協力ということで行われるわけですけれども物資協力は具体的な品目ごとに行われておりまして、かなりこちらは時間がかかっている次第でございます。したがいまして、まだ五%支出ないし契約が行われていないものがございます。したがいまして、私ども湾岸平和基金に対しましては、この支出が完了次第ぜひしかるべき形で財務報告を関係国と相談の上まとめてほしいということを平和基金の方に申し入れ済みでございます。現段階ではまだ完了しておりませんので、財務報告がまだまとめられないというふうな連絡を受けております。
  30. 長谷百合子

    長谷委員 私が伺いましたところ、今のお答えですとさきの十億ドル、九億ドルですか、目減りしたというかレートが違うので九億ドルかと思うのですけれども、これのうちの九五%は明らかになっていて五%がまだ明らかになっていないというお答えだったと思うのですけれども、全体の百十四億ドルの中の九八%までは既に契約済みないしはもう使途がはっきりしているというふうに伺っております。  そうしますと、どうですか、この最初の第一次分に関して非常にまだ難しい部分があるといいますか、わかっていないという部分があるということでしょうか。
  31. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先ほどから申し上げておりますように、この最初の十九億ドルに関しましては、資金協力物資協力の二本立てで行っております。九十億ドルに関しましては、資金協力一本でございます。したがいまして、九十億ドルだけを見ますと支出済みは九九%ということで、もうほとんど全額を使っているわけでございますが、ただこれに関しましては、先ほど申し上げましたように、まだ各国から最終的にどういう形で使ったかという報告が来ていないということを申し上げました。  他方、最初のと二度目の両方を足しました十九億ドルに関しましては、資金協力は順調に支払いが行われておりますけれども物資協力というのは運営委員会の直轄で一つ一つ物資を契約し、そして調達し、提供しておりますものですから、どうしても時間がかかります。したがいまして、まだ五%支出済みではないあるいは契約済みではないものが残っているということで、後から約束しました九十億ドルの方がいわば足が早い協力でございまして、最初の方は足の遅い物資協力を含んでいるがゆえにまだ全額が支出済みないし契約済みになっていないということでございます。そのかわり、にもかかわらず、先ほど具体的に品目を申し上げましたけれども、私どもはこの内容に関しましてはそれなりに掌握できているという面がございます。
  32. 長谷百合子

    長谷委員 そうしますと、それなりに把握はされているということだと思うのですけれども、そういうものを、ここのきょうの承諾案件の中にその第一次の協力費というものを入れるのはどうかと思うのですけれども、この辺はいかがでしょうか。これは、では大臣にちょっとお伺いしたいと思いますけれども
  33. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先ほど来私が先生の御質問にお答えして申し上げておりますのは、湾岸平和基金からの支出の点でございまして、日本政府といたしましては、湾岸平和基金との間に交換公文を結びまして、日本政府行為としてはもう支出が終わっているということで今回決算をお願いしている次第でございます。
  34. 長谷百合子

    長谷委員 いや、ですから、予算委員会であれば何に使うか、大体こういうものですということでいいかと思うのですけれども決算の場合はむしろそれをどういうふうに使われたのか、では当初の目的どおりだったのかどうか、こういうことを明らかにした上でなければ、やはりそれは審議するというのも大変難しいのではないか、私はそのように申し上げているのですけれども
  35. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生の言及されております十億ドルに関して申し上げれば、これは一億ドルと九億ドルというふうに分かれるということは繰り返し申し上げておりますけれども、この九億ドル湾岸平和基金に関しましては、湾岸平和基金と交換公文を結びまして、湾岸の平和回復活動に支出するということで湾岸平和基金支出いたしまして、それはそういう目的にまさに湾岸平和基金支出されたわけでございますので、今回決算をお願いしている次第でございます。
  36. 長谷百合子

    長谷委員 今の北米局長からのお答えをお聞きになって、大蔵大臣、こういうやり方自身についてどのように考えられるのか、ちょっとお答えいただけたらと私は思うわけですけれども
  37. 涌井洋治

    涌井政府委員 予備費使用調書あるいは決算につきましては、国として支出したものについて御報告申し上げているところでございます。
  38. 長谷百合子

    長谷委員 私が申し上げているのは、やはり決算予算の違いということで、決算だったらどういうふうに、目的どおりだったかどうか、ここが審議の一番の中心になるということを申し上げているのでありまして、そこのところのお答えをいただいたとは思いませんので、もう一度とうでしょうか。
  39. 涌井洋治

    涌井政府委員 ただいまの答弁でちょっと直させていただきたいのですけれども予備費使用調書ですから、予備費使用を決定したものについて御報告しているところでございまして、決算についてはこれはまた追って決算が終了した段階で御報告申し上げます。
  40. 長谷百合子

    長谷委員 いやいや、ちょっと何か難しい答え方ですけれども、これは予備費で十億ドルを出しました、出しましたに当たっては、出したのだから中身はこうだったのです、こういうふうに使いましたとおっしゃっているのだというふうに了解するわけですね。それをお伺いすると、それについてはまだちょっと不明なものがあるということであれはこれはやはりそれが明確になるときに承諾案件として出すのが適当ではないでしょうかということを申し上げているのですけれども
  41. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 私が了解しておりますのは、従来も国際機関に対します分担金、拠出金につきましては、まさに日本政府として、こういう目的でその国際機関にお金を出します、そういうことでお願いしておりまして、問題はその先の国際機関がそれをどう使うかということは、その国際機関がまさに支払いを終了した段階報告をしてくるわけでございまして、今回も従来と同じように私ども考えているわけでございまして、まさに先ほど来申し上げているように、湾岸平和基金支出が完了すればそれはそれとして報告を受けますけれども、今回お願いしていますのは、まず日本政府として湾岸平和基金にこういう目的でこういうふうに支払ったということで、予備費支出としてお願いしているというふうに御了解いただきたいと思います。
  42. 長谷百合子

    長谷委員 ですから、これは何回も同じことのあれになるのですけれども、全体ではあと二%でしたかしら、残っているのは二%、あるいはこの最初の十億ドルに関しては五%がまだ不明だ、これをはっきりさせた段階承諾ということが基本ではないか、そうされる必要があるのではないか、目的どおりに使われたかどうかということを、これを審議するのが決算委員会の役割ではないか、このように申し上げておるわけでございます。
  43. 涌井洋治

    涌井政府委員 予備費使用調書におきましては、これは予備費使用、つまり予期しない経費に充てるために予備費支出を、これは国会であらかじめ議決をいただいている金額の範囲内で政府が決定するわけでございます。その支出予備費使用決定につきまして国会の御審議をいただいているわけでございます。
  44. 長谷百合子

    長谷委員 何かこう、何に使ったかわからないけれども出しましたというような形でやられては、私は、決算委員会の役割ということの大事な部分を欠落させてしまうのではないかということを非常に危惧するものでございますので、今後このようなことはきちっとした段階国民にわかりやすく説明ができる形になった段階国会委員会にかけるというようなことをしていただきたいと思っております。  それから、海部首相が三月一日ですか参議院の本会議で、使途については報告が参りましたところで「適切な方法で」公表する、このようにお約束をされておりますが、このことはもちろん今も変わっていないということでよろしいんでしょうか。そして「適切な方法」という、この適切な方法についてちょっと説明していただきたいということと、例えばこの決算委員会に出すとか本会議場に出すとか、そこのところはどうでしょうか。大臣にぜひお答えを願いたいと思います。
  45. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 私が先ほど来申し上げておりますのは、湾岸平和基金より累次の日本の拠出に関しまして財務報告提出を受けましたら、適切な形で国会報告をさせていただきたいということでございます。  今先生が申されましたように、具体的にどこの場にどういう形でということはこれから検討させていただきたいと思いますけれども国会の場にしっかり報告させていただきたいと思っていることだけは申し上げたいと思います。
  46. 長谷百合子

    長谷委員 何もお答えいただけなかったというふうに思うのですけれども、ですから「適切な方法で」というこの中身を私はお伺いいたしまして、では、どうもきょうは大臣のお答えもいただけないようでございますが、この問題に関しましては、つまり細かく、国民が見て一目瞭然、これは約束どおりと縛りをつけたわけですね。日本はこういうものにしか使ってはいけないという縛りをつけたわけですから、そのことがきちっと履行されていることが国民にわかるような形で、これは本会議決算委員会がそういう形で、細かく何とか支出、例の六項目のように輸送費幾らということだけではなくて、その中の輸送費では例えばこういう飛行機を借りるのに幾らでしたという形でぜひ出していただきたい、このことを私はお約束していただきたいと思うわけでございます。  せっかくきょうは大臣がおいでで、私は何とか大臣にお答えをと思いますので、もう一つ重ねて、その問題ともう一つの問題、これと関連があるのですけれども、今PKOの審議やっておりますね、そのPKO活動にかかわる経費につきまして、これは自衛隊の部隊参加でするもの、これの経費に関しては全部防衛庁の予算の方で賄うんだという御説明をいただいております。そういたしますと、また、防衛庁の一方のお話ではどうも輸送機が、今ある飛行機では九十五人ぐらいしか乗れない飛行機しか日本は持っておりませんので、大型の輸送機が必要じゃないか、こういう議論があるというふうに伺っております。  そういたしますと、掃海艇が出たときは十三億程度ですから防衛庁内の予算のやりくりでうまくいくかと思うのですけれども、この先大型の輸送機、そういうものを調達するということになったときにやはり防衛庁の今の枠内では決しておさまらないんじゃないか、そういうことが考えられるわけですけれども、大型の輸送機を買うというようなことで防衛庁の関係の方から予算の要求が来た場合どのように対応されるのか、あるいは国会との関係も含めてお答えいただけたらと思います。二つの問題があります。どうぞよろしく。
  47. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生が言及されました九十億ドルの具体的な分野に関しましては、ことし繰り返し国会で議論をされていた点でございますので、私から御説明したいと思いますが、先生まさに御指摘のように、私どももできるだけ国民の方々に理解していただけるような形で報告はしたいと思っておりますけれども、何分にも湾岸平和基金アメリカとよく相談して——相談するものでございますが、現段階で私がどういう形にそれがなるかということはちょっと申し上げにくいと思っております。  しかしながら、先ほど来繰り返し申し上げております輸送関連以下の六分野にしっかり充てられたということはわかるような報告にしたいと思いますが、先生が御指摘のような具体的に何々というようなことに関しましては、私は現段階ではちょっとコメントすることができませんが、繰り返しですけれども、この六分野に充てられたということはしっかりわかるような報告は得たい、こう考えております。
  48. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答えいたします。  先ほど来の御質問等につきましては、いずれにしましても、運営委員会が関係各国と協議いたしまして財務報告を作成の上で我が国の方に報告する予定というふうに聞いておりまして、これを受けまして外務省の方から適切な形で国会の方の場で明らかにするというふうに私どもは承知をいたしております。  それから今、これから起こるPKOの問題についてでございますけれども、この問題につきましては、法案の成立後に、いわゆる情勢を踏まえまして必要があったときに実施計画を定めまして海外派遣等を行うことになっておるということでございます。そういう意味で、今飛行機が何人乗りになるとそれを今度購入しなければならないという仮定のあれについて今ちょっとお答えするということは慎みたいと思いますけれども、一般論で申し上げられますのは、今委員の方から御指摘がございましたように、自衛隊にかかわる経費につきましては、既定の予算の枠内で対応できるよう可能な限りの努力をしていき、そしてその時点でやはり適切な対応というものが望まれるのであろうというふうに考えております。
  49. 長谷百合子

    長谷委員 時間がありませんけれども、今のお答えですと、結局どのようなこともあるというふうにしか聞こえなくて、では、そのときに予算を膨らますのか膨らまさないかも今のところわからない、このように大臣はおっしゃったというふうに思うのですが、そういうことで、これは大変重要な法案なわけですね。そうしましたら、当然、二千人のところまでは出す可能性がある、こういうふうに法案でも言っているわけですから、そうしたら、二千人行くとなったらどの程度の飛行機が要ってどの程度のお金が、それを輸送するためには、今どうでしたっけ、C130ですね、それですと十機しかないとか、そうすると動けるのか、何時間で動けるとか、そういうことは当然計算されていると私たち思うわけです。それでこそ法律が出てくるということかと思うのですね。  そのときに、単なる仮定ではなくて、やはりこれは現実的に防衛庁の方でもそういうお話が出ているわけですよ。つまり、大型の輸送機が必要になるかもしれない、それをやらないとどうも効率が悪いというお話があるわけです。だから単純に私が思いついたような仮定ではなくて、当然考えられる範囲の仮定、そういうときにどうするのかというときに、大蔵大臣として、当然要求が来るわけですね、この部分を膨らませということが来たときに、今防衛費が日本は大変高いというふうな批判もございますでしょう。そういったことを勘案したときに、それから、国家予算が大体今ちょっと全体の枠が落ちてきている、非常に財政が苦しいというようなこともあるのですが、こういうことを勘案したときに、大蔵大臣はやはり決裁をしなければならないお立場にあると思うのですけれども、そういうときに、例えばこれが一千億とかいうような形で来たときにどういうふうにされるのかというその大臣のお考え、どうされるのか、そういうことを私はぜひお伺いしたいと思っているのです。
  50. 羽田孜

    羽田国務大臣 仮定でということで、大変恐縮なのですけれども、まだPKOが、この法案がもし成立したという暁、一体どういうことが国連の方から要請があるのか、これをちょっと今想定していろいろなふうに組みなさいと言われましても、考えなさいと言われましても、これは実際に私どもとしても考えるのは非常に難しいと思う。ですから、要するに日本の国力ですとか日本がやり得ることということがあるわけでございますから、その辺のところを踏まえながら私どもとしてはやはり対応をしていくと申し上げざるを得ないんだというふうに考えます。
  51. 長谷百合子

    長谷委員 大変私も驚いたのですけれども、法案というのは大体そういうものでしょうか。法案というのはある程度シミュレーションしでいろいろなことを想定してこうなるべきだということを私はやるんだとばかり思っていたのですけれども、今の御答弁ですと、そのときどきに、悪く言えばすごく場当たり的というか、そういうふうにも今とれたのですけれども、そこのところどうでしょうか、そんなものでしょうか。
  52. 涌井洋治

    涌井政府委員 大臣答弁申し上げましたように、基本的には予算編成過程でいろいろ議論する問題であるわけですけれども、一般論として申し上げれば、先ほど申し上げましたように既定予算の枠内で対応できるよう可能な限り努力するということでございます。  それから、人件費は当然これはもう防衛庁の、PKOがあろうとなかろうとこれは既に計上してあるものでやっていくわけでございますし、また装備につきましても、基本的にはPKOの参加の有無にかかわらずそれを保持し、また運用していかなければいけないものでございますので、そういった意味で我々はこれが防衛費の増高を招くとは考えておりません。
  53. 長谷百合子

    長谷委員 時間が終わりましたのでこれでやめますけれども、要するに国民にわかりやすい形で決算もする、それから法案を出すのであればその先行きですね、こうなったらどうなるということも含めて、わかりやすく提案をしていただきまして、それでもって国民の議論を盛り上げるという形をぜひとっていただきたいことを重ねてお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  54. 草野威

    草野委員長 次に、阿部喜男君。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まず最初に、大臣使用調書内容質問に入る前に、内閣国会に対する責任のあり方についてお伺いをしたいと思います。  本来ならば、これは内閣房長官がすぐれて所管をする事項と思いますけれども、きょうはその官房長官も委員会に出席をしていない、大蔵大臣がすべて責任を持って答弁をする、こういうことでございましたが、この使用調書昭和六十三年の下期、いわゆる(その2)から平成二年の上期に至る二カ年間にわたる予備費使用内容のものであり、各省庁それぞれその予備費使用した、いわゆる執行に当たっておる。  そこで、私がお伺いしたいのは、憲法の第六十六条「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」となっておりますが、これだけの予算の執行の責めにある大臣決算委員会に出席できないという理由はどういうことなのか。
  56. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答えを申し上げます。  まさに憲法あるいは国会法を前提にされてのお話でありますけれども国会における決算審議は極めて重要なものであること、これは内閣としては十分認識をいたしているはずであります。また、各大臣の出席につきましては、委員会から御要求があればできる限り応ずるという姿勢で対応しているところでありますけれでも、一応その決算委員会大蔵大臣が総括的に対応するということで、各所管の決算につきましては各所管大臣が対応しているのが従来のあれであろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今後の対応につきましては、最終的には理事会等の御判断によりまして、私たちはそれに従ってまいらなければいけないというふうに考えております。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 理屈を言えば大臣、確かにおっしゃるように委員会が議長を通じて大臣の出席を求めることになっております。しかし、慣行では大体委員会で決める。委員会から要求があればというのが法文上の規定です。しかし、私は決算委員ですけれども委員会でそういうことを決めた覚えはございません。いつの委員会でそういうことを決めたのか、これは委員長が知っておれば委員長からでも答弁してもらいたい。
  58. 草野威

    草野委員長 ただいまの阿部君の御質問でございますが、過日の理事懇におきまして、各党協議の上、そのように決しましたので、御了承いただきたいと思います。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きょう私はあなたと論争する気はありませんけれども、法文を盾にとって物を言うならば、理事懇でしょう。大体法規上、理事会だって存在しないのですけれども、慣行上あることは私も知っております。しかしそれは、理事懇があったならばそれぞれの理事が持ち帰って質問者にその意見を聞いた上でどういう大臣を要求するかは決められるべきものであって、そういう正規の機関でもないところで勝手に決めてこうだああだと言うことは、これは極めて僕は不謹慎だと思いますから、委員長においても自後十分注意をしておいてもらいたいと思います。  さてそこで、大臣にお伺いいたしますけれども各省大臣が出られない理由について、これは政府委員をもって対応させる、こういうことになっておったようでございますが、国会に対する政府委員とは一体どういうものか、説明をいただきたいのです。
  60. 羽田孜

    羽田国務大臣 ちょっと法律的にあれされると恐縮でございますけれども、それぞれのその都度の国会におきまして、内閣の方から、この人を政府委員として届けますということを申し上げて御答弁をさせていただいておるというふうに承知をいたしております。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 おっしゃるとおり国会法の第六十九条には、「内閣は、国会において国務大臣を補佐するため、両議院の議長の承認を得て政府委員を任命することができる。」政府委員はこういう手続によって任命されることを承知をしております。しかし、政府委員大臣にかわれるという規定はどこにもないのでございます。  行政組織法をごらんいただきたいと思います。行政組織法第十七条第三項「政務次官は、その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長たる大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」大臣の職務の代行かできるのは政務次官しかいないはずです。政府委員が対応するなんということは、これはどういうことですか。
  62. 羽田孜

    羽田国務大臣 きょうはまさに私しか出ておらないということでありますけれども政府委員皆さんには、それぞれ専門的な技術的な分野につきましてはやはりお答えをいただくということになっておろうというふうに思っております。しかし、阿部委員からこういった問題につきまして特に強い御指摘があったことを、これは官房の方に対しても私の方から報告をしておきたいと存じます。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはかねて、今の総理の宮澤さんが官房長官のときに、私は同じことを質問したことがございます。まさに私の言う意見のとおりである、内閣は連帯して国会に責任を負い、その執行について責任を負うのもまたそれぞれの国務大臣である、したがって、国会には御要請があればできる限り大臣が出席するように努力をしたい。私も申し上げました。例えば自分の所管する委員会が開かれておるとか、あるいは外交上非常に重要な会議等がある、そういう場合はやむを得ないが、それ以外は極力大臣が責任を持ってその執行に対する責めを果たさなければならない、こう申し上げてきた経緯がございますので、きょうは、あなたと私の間ですからこれ以上は言いませんが、特に閣議においてそのことを十分徹底しておいていただくことをお願いをして、この問題は終わります。  さて、次に参りたいと思いますが、大臣、本当は大臣が就任されたならば本会議において財政運用の所信をお述べになる、これが大体事の起こりでなければならないと思いますが、今回はこういう事態での大臣就任でございますから、所信すべてを聞こうなどとは思いませんけれども大臣の所信の一端を伺いたいと思います。  そこで、具体的に問題を提起いたします。  大臣は、かねてから議院運営委員会あるいは議会制度協議会等において一緒にいろいろな国会改革について話し合いをされてまいりましたが、その中で特に大臣は、国権の最高機関である国会の権威を高めなければならない、そういう強い信念をお持ちになって国会改革に当たってこられました。そのことを私もよく承知をしております。そういう大臣と議論をしてきた経過を踏まえて、幾つかの国会改革が行われました。  例えば、議会の十二月召集を一月召集に改めるとか、あるいは社会労働委員会をそれぞれの所掌に分けて、厚生委員会、労働委員会に改めるとか、あるいは議案の審議をしないというまさに変則的な安全保障特別委員会を議案の審議等も行う常任委員会に切りかえるとか、さらにはまた、自民党だけがかねて独占してきた常任委員長のポストを野党の方にも配分するとか、国会改革は大きく進んでまいりましたし、私は、その意味大臣の功績は非常に大きいと評価をいたしております。  さて、その中で特に国会の一月召集につきましては、従来、これはもう大臣も御承知のように、財政法の二十七条によりまして「内閣は、毎会計年度予算を、前年度の十二月中に、国会提出するのを常例とする。」十二月中に予算は次の年度のものを国会提出することが常例になっておる。これとあわせて、国会法の第二条には「常会は、毎年十二月中に召集するのを常例とする。」これは二つ相関連している。いわゆる予算が前年の十二月に出される、それを受けて国会も十二月中に召集する、いずれも、これを「常例とする。」と定められておりますけれども、これは政府の怠慢が、国会が悪いのか、国会は十二月には召集されておりますけれども、私が二十数年間知る限りでは、政府予算がこの財政法に基づいて十二月中に提案されたことはない。これは法令と現実が乖離し過ぎておる。  あなたも主張されました。これは一月召集に切りかえて、十二月は政府予算編成に専念できるように少しでも時間があった方がいい。そして、各党話し合いの上、一月召集に切りかえました。しかし、そのときには、一月にはなるべく早い時期に国会予算を出していただいて十分な予算審議の時間をとり、暫定予算が恒例的になっておる今日のいびつな状態を改めて、期間内に審議ができるようにやろうではないか、これは特に書記長・幹事長会談等において申し合わせをされたことですけれども、そう取り決めました。  したがって、ことしは年内に通常会が召集されることはありませんから、大蔵省としても、この十二月を使って鋭意予算の編成に努力をし、具体的に私どもは、できるならば十二月の二十日ごろまでに閣議決定が行われるならば一月提出予算はもっと早くなるだろう、そういうことを期待し、申し合わせて一月召集を決めました。したがって、来年度予算は従来に比較をしてどのくらい早く国会提出できるかを、これは大蔵大臣の責任において答弁しておいてもらいたいと思います。
  64. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  今御指摘がございましたとおり、政治改革の一環としてやっぱり国会の改革もしようということでありました。そして、そこで私たちが一番考えましたことは、今御指摘のとおりの財政法あるいは国会法というものがあるわけでありますけれども、しかし現実には十二月の二十八、九日とか、あるときには三十日ごろに国会が召集されて、そしてそのまま自然休会に入ってしまって、そして国会が再召集と。いますか再開されるのが一月の二十七、八日、九日ごろまであるということであります。ですから、これは、一般の国民から見たときには、まさに国会は何か一カ月間休んでしまっておるというふうにしか実は受け取られない。やっぱりこれは異常だよということから、皆さんと御議論の中で、国会というものは一月召集にした方がいいだろうということで実は国会法の改正というのをお願いしたわけであります。  ただ、そういう中にありまして、ということになりますと、私たちは一月のなるべく早い段階国会を召集するというのが本来であろうというふうに思っておるわけでありますけれども、御案内のとおり、膨大な予算というものを、一応でき上がったものを精査し、そしてそれを印刷に回し、そして皆様のお手元にお届けして審議をしていただくということになりますと、確かに物理的な詰めが難しい点があるということでございましょうけれども、それは、やっぱり新しいいろんな機器なんかも入った時代でございますから、そういうものを駆使しながらこれを一日でも早くしてもらいたいということを実は要請しておったところであります。  また、それと同時に、予算編成につきましても、今まではもう少し遅かったわけでありますけれども、これが何とかならぬかということだったのですが、ことしのことしということになりますと、これは本当にきついということである。まあしかし、実は私が大臣に就任したときに訓示の中で申し上げたことは、やっぱり一日でも短くしていくことが大事なんじゃないのかということで、その後与党の皆さんあるいは議運の皆様方ともいろいろと話し合いをする中で、今度は大蔵原案の閣議提出、これはいわゆる内示と言われるものでありますけれども、これを十二月の二十二日に提出させていただきまして、政府案の閣議決定を十二月の二十八日にしようということになりました。そして予算書の提出時期につきましては、できるだけ早目などということを言っておったわけですけれども、それでも今まで二十七日とか八日あるいはそれよりちょっと遅かったというものを来年の一月二十四日、ここまで前に縮めることができたというふうに考えております。  なお、このいわゆる内示をもっと早くできないのかという議論が実はあり、また、そのころまで、二十二日ごろまでに終わらせることもできないのかという御指摘があったことも実は事実であります。  ただ、御案内のとおり、やはり予算というものを編成するということになりますと、一体、来年の経済というのはどうなるのだろうかというのは、少なくもやっぱりいわゆる当年度の上半期までの速報値、これをきちんと踏まえなければいけないということであり、しかもまだ、前年、一体どのようになっているのかという状況なんかも見きわめて、その後、経済見通しというものを立てる、これを土台にするということが現状でありますし、また、当年度のいわゆる税収状況、こういったものもやっぱり把握してからでないと、より正確な予算というものを組むことができないというようなことが、そういう実務的な問題等がございましたために、そんなに早くすることはできなかった。  しかし、二十二日に内示を出すことができ、そして二十八日に政府で閣議決定をすることができるというふうになったということでありまして、今後についても、さらにでき得る限りそういった作業というものを短縮する努力をしてほしいということを今役所の皆さんにもお願いし、また、党あるいは議会の方からもそういう御要請があるというふうに承っております。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今大臣は、例年、予算提出が従来二十七、八日ごろというお話でしたけれども、二十五日というのもないわけではありませんで、私が調べたところ、一月二十五日に国会予算を提案した例もかなりあります。  そこで私どもは、今大臣がおっしゃったようなことを踏まえて、歳入見通し、財政見通しをつくれば十一月の中旬までかかる、それから政府の内示案をつくっていくわけですから、したがって、何とか内示を早めて閣議決定を、まあ妙な例ですが、天皇誕生日の前ぐらいまでにやれたならば、印刷の期間を含めて一月の二十日ごろには国会への予算提案ができるのではないか、そういうことをいろいろ議論した末、一月召集を決め、それを期待しておったわけですが、今のお話では、従来よ力せいぜい一日か二日早くなる程度でございますけれども、閣議決定が三十日というのもたくさんあるのですよ。閣議決定が三十日でも二十五日に予算が出せておったとするならば、印刷期間が非常に大変だというのは承知しておりますけれども、三日や四日は僕は早くなるだろうと、せめて一月の二十日、二十一日ごろには提出ができぬものだろうかということを期待しておったのですが、これは無理ですか、どうしても。
  66. 羽田孜

    羽田国務大臣 今作業の状況からいきまして、平成年度予算に今の御要求をそのままやるようにということは、ちょっと私もこれは無理であろうというふうに認識をいたしております。  ただ、党の方からもあるいは議会の皆さんの方からもいろいろな御要請があることは私どもも承知しておりまして、今後とも検討、研究しようということで担当の諸君もそのために努力をしてくれておるというふうに思っております。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは大臣、申し上げるまでもありませんが、ひとり社会党が申しておるのじゃなくて、与党の自民党政調の方からもそういう強い要請があっておるはずでございますから、ひとつ鋭意努力をして、今後なるべく早く国会への予算書の提出ができるように努力を願いたいと思います。  それでは次に入ります。  同じく国会改革の一つとして大臣も強く主張されたことに、秘書増員の問題がございました。もう大臣も御承知のとおり、今公設の秘書は二名でございます。この公設秘書の二名の通常一名は東京の議員会館、いわゆる会館事務室の方に配置をし、あとの一名は大体郷里の事務所の方に配置をする、これが通常の例のようでございます。  しかし、秘書が院内のボックスに書類をとりに行く、地元からのいろいろな要請にこたえて各省庁に陳情、連絡に行く、そうすると会館事務室は空になりまして、地方から陳情に出てくる方々あるいはいろいろな用件があって見えた方々が来てみても、会館事務室は留守であった、そこでやむを得ず議員が留守番をしたりいろいろな仕事をしなければならない。地方の事務所もほぼ同じ状況でございます。  しかし、これでは議員としての仕事ができませんので、勢い、特に与党の場合にはたくさんの私設秘書をお持ちになっております。多い人は十数人、少なくとも七、八人の私設秘書を持っておる。その私設秘書に対する給与、生活の保障、これは当然議員が負わなければなりません。そのためにたくさんのお金を必要とする。それがロッキード事件のようなお金集め、リクルート事件のようなお金集め、最近では証券・金融のいろいろな疑惑に絡んでも政治家の名前がちらほらしておる、こういう事態を改むることが国会改革の一つであろうということで、秘書増員の問題が議会制度協議会あるいは議院運営委員会において議論をされ、増員をすべきものであるという結論に達したけれども、なお慎重に議会制度協議会は、議員問題の調査会を第三者機関としてつくっていただいて、学識経験者等の意見も聞いてまいりました。  その結果、秘書問題調査会の方の答申は、確かに国の財政も非常に厳しい状態ではあるけれども議員活動を活性化し議員の活動を保障するためには政策を担当する秘書を増員する必要があろう、こういうふうな答申を得ております。  そこで各党間申し合わせをいたしました。与野党幹事長・書記長会談において秘書の増員を図るということが決定をされました。これは全党、全会一致で決められた書記長・幹事長会談の決定でございます。これを受けて、来年度は、遅くとも来年度は秘書の増員を図らなければならないと考えておりますが、当然これには予算措置が伴います。今まで強くその必要性を主張してこられた大蔵大臣、全面的な御賛同をいただけると思いますが、いかがでしょうか。
  68. 羽田孜

    羽田国務大臣 まさに阿部議員ともこの問題を一緒に議論したり、また海外においても一緒にそういったものの調査をした経験を私も有しております。確かに、議員活動をより内容を高いものにしていくというときに、それを補佐してくれる秘書というものは必要であろうということ、そして今御指摘のございました国会議員の秘書に関する調査会、この中でも議論する中で、政策秘書の創設を柱とするということで答申をされたということについても伺っておるところであります。  ただ、私どもここで考えなければいけませんのは、議員活動に対する公的助成について内閣としても国会と十分調整して今日までも対応してきたところでございますけれども、ともかく御案内のとおりの財政状況に今なってきておるということでございまして、行政府の方ては一般職の国家公務員、これを計画的に実は厳しい削減を行っておるという現状であるということでございまして、こういうものを十分我々も考慮に入れながら対応していかなければいけないのかなということを今思っておるということ。これはもう今言われたように、一緒になってあれしておったのだからやってしまいましょうと簡単に言ってしまえば一番簡単なのでしょうけれども、しかし、実際問題、今私ども検討しておるときに、今本当に厳しい情勢の中で、先ほどからもお答えしておりますように、予算についてもめり張りをつけていかなければいけないということで、これはどうしても必要なのだということであれをつけるということもあるいは大事なのかもしれないけれども、しかし、今少しでもひとつ削減しなければならぬというときに、すっきりとした御答弁を申し上げることができないことをひとつお許しをいただきたいというふうに思っております。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣日本政治は幸か不幸か政党政治でございます。あなた方には与党がおありになるはずでございますが、その政党が与野党を通じてこうあるべきであると出された結論が行政府で簡単に否定をさるるというようなことが私はあってはならない、あなたのおっしゃった国権の最高の機関である国会の権威を失うものであると私は思うのですが、どうでしょうか。
  70. 羽田孜

    羽田国務大臣 まさに私も議運にあった人間として、この国会の権威を守らなければいけない、また本当の審議ができるような場にしていかなければいけないということで自分でも努めてきたつもりでございますけれども、しかし、ただ、一方で、財政が厳しいという中でみんなやはり必要だと言われる職員の方々についても少し減員してほしいというようなことも実はお願いを今しているというような現下の財政状況であるということ、この点についてもぜひ御理解をいただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣も一緒にあちこちの国会の様子も見てまいりました。アメリカなどを見ますと、実に二十人前後から三十人といったくさんのスタッフを抱えて議員が立法活動等を行っております。本当言うと、私は今日でも最低五、六名の秘書がいなければ議員の立法活動はできないと思っておるのです。しかし、国の財政を思うからこそ残念ながら一名だけでとりあえず処理をしてもらいたい、この切なる各党の意思の結集を金がないからといって使わないならば、一体大蔵省というところは、貯金を集むるところか、それとも必要な金を使うところか、どっちかということになってまいります。これは大臣、ひとつしっかり決意をして取り組んでもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  72. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お話がありましたように、確かにアメリカに行きましたときに、下院と上院、あるいは州の大きさ小ささ、それによって多少違うということ、しかし、まさに大統領府と議会という立場で大変なスタッフを抱えておる、まあ私どももうらやましく思った面があります。それとまた逆に今度は、阿部議員と一緒に行きましたドイツなんかの場合には、二人で一人の職員しか持たないというような状況なんかもあったことも私ども知らざるを得なかったということでありますけれども、しかし私どもといたしましても、立法府の皆さんが存分な活動をするための体制を整えるという意味で、いろいろな角度からやはり研究していくということについてはやぶさかでないことだけは申し上げておきたいと思います。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣も強く主張されてきた経緯もありますし、恐らく趣旨としては十分理解はしておると思いますので、もうこれ以上申しませんが、努力をしてもらうように篤と要望をしておきます。  次の質問に移ります。  次の質問ですけれども、これは大体はやはり官房長官に来ておってもらわないとぐあいが悪かったのですけれども平成年度の補正予算についてお伺いをいたします。  第百二十二回の臨時国会を召集するに当たって、内閣房長官が議院運営委員会にお見えになって、十一月の五日に臨時会を召集をしたい、そして継続審議になっておるPKO法案の審議等について推進をしていただきたい、こういう御要望がありました。  そこで私の方からも申し上げたのですけれども、臨時会における議案はそれだけではないでしょう。既に人事院が勧告をし、各党間でもその実施をすべきであるという意見の強い人事院勧告の完全実施にかかわる法案の提出、そして育児休業法、これも大体各党意見の一致を見ておりますが、この法案の提出もあるのではないでしょうか、さらに、雲仙・普賢岳の火砕流による大変な災害、数次にわたる台風の被害、これは恐らく補正予算を組まなければ間に合わないのではないでしょうか、国会としてはそれらの法案の審議の日程も含めて会期を決めなければならない、そういう趣旨から法案の提出はかなり早い時期に行われますかということを官房長官にお伺いをいたしました。できるだけ努力をいたしますということで、我々は、会期三十六日間、十二月十日までというものを設定をいたしました。  したがって、特に大きい公務員給与あるいは週休二日制の問題、そして育児休業、さらに補正予算について値、これは与党と政府との間の緊密な連携のもとに会期を組んだわけですから、その会期いっぱいに審議ができるように関係法案の提出は行われるものと私は理解をしておりますが、特に大臣の所管に係る補正予算についてはいつごろ御提出てきますか。
  74. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘ございましたように、先般、人事院の勧告、これを実施するということが決定をいたしました。それから、今お話がございました災害復旧、これは本当にたび重なる大きな災害があったということで、補正について私どもも検討しなければならないであろうというふうに認識をいたしますけれども、御案内のとおり税収の動向というのは非常に厳しいものがございまして、本年度二兆八千億円程度減収が生ずるというふうに見込みをいたしております。  ただ、これにつきましても、さらに精査をしなければいけないであろうということでございまして、私ども国会の日程というものはよく承知をいたしておるわけでございますけれども、やはり追加財政需要が何かほかにはどうなのかということ、こういった問題についてもやはりぎりぎり我々は見きわめていかなければならないということでございまして、今この日程等につきまして申し上げることについて、ひとつお許しをいただきたいというふうにお願いしたいと思います。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ちょっと質問の順番を変えて伺いますが、それでは、予備費というものは必要があれば使用するという前提に立って計上されておるものと私は理解をいたしますけれども、その予備費が、これは決算で見ておる限りですけれども、例えば特別会計においては年間二兆円余っておる。一般会計はまあまあ常識的な運用だと思いますけれども、六割程度で四割程度残っておる。予備費というものは、必要があれば支出ができるということを前提に組んであるものではないのですか。
  76. 涌井洋治

    涌井政府委員 予備費でございますけれども、これは、予見しがたい事情により過不足が生じた場合に、あらかじめ国会の議決を経た金額の範囲内で内閣においてこれを支出することができるというものでございます。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そんなことは聞かぬでもわかっておる、予備費がそうであるということは。  だから、不測の事態が生じた、雲仙・普賢岳の火砕流は、あれは不測の事態ではなかったのですか、あの台風は、あれは不測の事態ではなかったのですか、いずれも不測の事態でしょう。  私が聞きたいのは、そこに組んである予算、年間未使用になる分、不用の分が特別会計では二兆円を超える、一般会計ではもう五百億から六百億という不用額が出ておる。これは、必要があれば使えるものが予備費であるという性格からするならば何か考える方法がないのかどうか、そのことを大蔵大臣に聞いておるのです。——あなたじゃないんだ、大蔵大臣だよ。あなたの事務的な答弁ぐらいならわかっているよ。
  78. 涌井洋治

    涌井政府委員 一般会計予備費につきましては、御案内のとおり、例えば雲仙関係につきましても、緊急に要するものは、これはもう既に支出しているところでございます。  なお、特別会計の予備費でございますけれども、これはただいま、保険会計のように不測の保険事故に対処するものであるとか、あるいは外国為替資金特別会計の予備費のように、国庫収支の状況とかあるいは国庫の状況等により不測の事態による歳出追加に対処するために設けている予備費等でございまして、これを一般会計予備費と同じように使うというわけにはまいらないわけでございます。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、予算の組み方等を知らぬわけではありません。実に七十項目にわたる特別会計のそれぞれの予備費が付されております。しかし、その中で使用しておるのは一年にせいぜい六件か七件ですよ。七十項目あって、六件か七件しか予備費は使われていないのです。  ただ、私が言いたいのは、予備費というものは本来不測の事態があれば使うための金である、それが特別会計を全部集めてみれば二兆円ある、一般会計でも五、六百億の金はある、不測の事態に使えるために組んであるのが予備費であるならば、政府として、国の責任において何らかの措置が講ぜられないものかどうか、これを聞いておるのです。
  80. 涌井洋治

    涌井政府委員 先生御指摘のとおり、確かに各特別会計、一会計を除いて予備費を組んであるわけでございますけれども、その特別会計の予備費は、それぞれの特別会計の目的の範囲内でしか使用できないわけでございます。そういった意味で、その特別会計の金をそれぞれ合わせて他の一般会計の目的に流用するというわけにはまいらないわけでございます。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 事務当局が事務的な処理をするのを聞いておるんじゃないのですよ、私は。政府全体として、まかり違えば不測の事態に使わなければならないという予備費がこれだけあるではないか、それをひっくるめて処理はできないのか。それとも、予備費というものは単なる飾りもので、毎年二兆数千億特別会計で予備費を組みながら、わずかに一千億かそこら、一割程度しか使わなくて、そうすれば、これは飾りものであって使えないということにしかならないじゃないですか。各項目ごとに予備費が組まれておるというようなことは先刻承知しておるのです。私は、政治として、不測のときには使うために組んである予備費が何とかならぬのかと聞いておるのですよ。
  82. 羽田孜

    羽田国務大臣 今涌井次長の方からお答えを申し上げましたように、まさに使えるもの、その一般会計の中で使用できる、例えばこの間の雲仙岳・普賢岳のような弔慰金の場合なんかにも支出させていただいておるというように。ただ、それぞれの特別会計はやはり、今答弁がありましたように、目的を持っているということ、これはよく阿部議員も御承知のとおりでありまして、そういう中で適切に対応しているということは御理解をいただきたいというふうに思います。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵大臣、言いたくはないけれども、必要であれば十億ドルもどこからか探してきてPKOに出す世の中ですよ。ましてや予算にある金が二兆円もあるのに、項目がそれぞれついておりますからどうだこうだというのは、政治家の言うことじゃないでしょう。政治家のあなたとしては、必要があれば国際貢献のために十億ドルもの金を見つけてきて出したでしょう。それから考えて、既に予算に計上してある予備費、確かに項目がついておる、七十項目に特別会計では分かれておる、それも承知しておるけれども、それを何とか寄せ集めて、まさかのときに使う金だから政治としてこれを何とか今回の台風や普賢岳の被災について使えないものかどうか検討もできないか、こう聞いておるのです。僕は役人の事務的な手続のことを聞いておるのじゃないのです。
  84. 羽田孜

    羽田国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、弔慰金という一つだけの項目を取り上げて申し上げたわけでありますけれども、実際に国として、やはりこれは直ちに対応しなければならないというときにはこれは活用しておるというふうに御理解をいただいてよろしいのじゃないかというふうに思います。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、やはりそれは項目別に何とかしようという気持ちが先にあるからですよ。国として考えてみてくださいよ。国家として考えれば、寄せ集めればそれだけの不時のときに扱える予備費予算上あるわけでしょう。項目がついておるから使えないのだ、たまたま普賢岳の見舞い金は災害のあれに入っておったから使えるのだというふうな解釈ならば私はこんなこと聞きません。そうでしょう。必要であると政府が認めれば十億ドルの金を調達してくるじゃないですか。ましてや予算にあるものを、この際本当に被災民の救済とか台風で苦しんでおる皆さんのために使うのが政治じゃありませんかと聞いておるのですよ。どうなんですか。
  86. 羽田孜

    羽田国務大臣 いや、先ほどから申し上げているように、やはり私どもとしても国民から理解をされるもの、そしてこれは今やらなければならないというもの、こういったものについては、私は今までも対応してきているのじゃないかというふうに理解をいたしております。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 普賢岳や台風によるこの被害、被災について国民は国が金を出してはいけぬと言うでしょうか。少なくともあなた方はあの十億ドル国民の理解を得たものとしてやったわけでしょう。何でこっちができないのか。項目があるからできないのか。これは明らかに政府全体として、国家として考えるべき問題であって、しかも私が言うのは、まさかのときには使うということで予算に計上してある。項目があるから使えないというのならば、何でこんなに項目いっぱいつくって計上して、毎年七十項目のうちの五項目か六項目しか使わない、あとは全部使用はゼロで不用額に計上されていく。そういう予算をここでなぜ使えないのかと僕は言うのですよ。
  88. 涌井洋治

    涌井政府委員 台風による災害等ごとしは大変多いわけでございますけれども、その中で国の直轄事業で早急に回復しなければいかぬようなものにつきましては、これは歳出権がないとできませんので、予備費等でもう既にこれは使用して、できるものについては実施しているところでございます。  それから、台風等による災害復旧で補助事業でやるものについては、緊急を要するものについては各公共団体の方でも早急に事業が行われていると承知しております。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先ほど来聞いておるのだが、あなたのはまるで答弁になっていないね。しかし、あなたと議論する気も毛頭ないからだけれども、僕が言うのは、大蔵大臣、それは私は無理に言わぬけれども、しかしこれだけの予備費がありながら、これは常識で考えてもそうでしょう、国の財政としてまさかのときにはこれを充当しましょう、たまたまそれがそれぞれの項目別に計上されておる、したがってその項目に該当しなければ使えません、これは事務当局の考えです。私はそう思います。  国家としては、ともあれ財政全体でそれだけの予備費があって、しかもこれが不用額として計上されていくわけですよ、次の年に。特別会計においては二兆円、一般会計の場合いませんよ、というのはまたいつ何があるか、これはわかりませんから。特別会計の場合には、例年ほとんど二兆円という額が不用額になっておるのですよ。それを国家としてこれだけの予算があるのだから、来年は苦しいでしょう、来年は苦しいでしょうけれども、使えない金ではないはずです、予備費として計上しておる以上。使えない金ならば初めから計上すべきではないでしょう。計上しておるということは不時の場合には使うのですよ。  たまたまそれが項目別に計上してあるということになっておるけれども、それを政治としてまとめて何とかならないのだろうか、予備費というものは本来そういう性格のものではないのだろうか。その限りでは、一般会計の方はその都度閣議を開いて決定をし、あるいは大蔵大臣の専権事項として決定をしていっていますね。不時の場合にはそういう運用ができないものだろうか。私、予備費というものをそういうふうに理解したいと思うのですが、どうですか。
  90. 涌井洋治

    涌井政府委員 例えば特別会計の中で、厚生保険特別会計のような保険関係の特別会計におきましては、仮に予備費使用しない場合にはこれは剰余金が発生するわけでございます。これは将来の保険給付の財源として積み立てておるわけでございます。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういう経理の仕方についてはほかにもあるのですよ。予算総則十一条、十二条、十三条、これらはほとんど必要な額を増額してそれを予備費と同じ扱いにしていっておる。そうでしょう。これは初めから計上してないのです。必要な額が生じたときにそれを増額してそれを予備費として使用しておるのでしょう。したがって、あなたの言うように、それはこれ以外にはできませんということならば、今おっしゃった保険会計等の場合は予算総則の十一、十二、十三、今度は位置を入れかえましたけれども、繰り下がったのか繰り上がったのかしましたけれども、あの予算総則の十一、十二、十三条の中でそれは処理をするように改めて、そうでない実に毎年六十項目を超す不用額についてはもっと機動的に流用ができる、それが予備費というものではないのか、こう言っているのです。
  92. 涌井洋治

    涌井政府委員 特別会計は、先生御承知のとおり特定の歳入をもって特定の歳出に充てるということで、その歳入は保険料であるとかもろもろのものがあるわけでございますけれども、この予備費を設けておりますのは、その事業の弾力的な運用を行うために設けられているわけでございます。  確かに先生御指摘のとおり、予備費使用実績は通常の年はそれほど多くないということは事実でございますけれども、そういう特別会計の事業の弾力的な運用のために予備費を設けているということで、結果的にはこのような毎年大きな不用が出ているということでございます。
  93. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 事務当局は決められた規則に従って項目ごとにとかしかそれは言えぬでしょう。しかし、大臣、将来の課題として、毎年二兆円というような予備費が不用になっていっておる。もちろんそれは来年、不用額として次の年度へ繰り越されますよ。しかし、こういう何かがあったときに使えるからこそ予備費であって、項目別にしか使えなくて、七十項目のうちの六十数項目が毎年不用額になるというような特別会計の予備費というものは問題がある。これは政府の方で、国として予備費というものについてもう一遍検討しておいてもらうように大臣に要請しておきます。もうあとの質問ができなくなりますから。  それでは、次にまいります。  次の質問ですけれども大臣、私はこの決算委員会に対する認識というのは政府においても少しおかしいのではないか。ちなみに私はこの二、三年間の予算決算についてどれだけの審議日数があったか調べてみました。予算審議の方では大体二百二十時間から二百六十時間くらい時間をとって十分、十分とは言えないが、審議を尽くしております。ところが、決算は六十五時間あるいはこの前やったときには二年分一緒にして六十一時間ですよ。決算というものは、予算と並んで国民にどう使用したかということを理解してもらうために非常に重要な決算委員会だと私は思っておりますしかるに、この数字が示すように決算委員会は極めて回数も少ないし軽視されておると申し上げても過言でない。  これはたしか大臣、議会制度協議会でも決算委員会をもっと開くべきだという議論をした経緯がありましたね。私はそう思うのですけれども、これは一つはすぐれて国会の側の責任があります。決算委員会を開かない国会の側に私は責任があると思います。しかし同時に、みずからが執行した予算について、責任を持って委員会を開いて決算の状況を見てくださいという熱意が行政府にもあっていいのではないかと思うのですが、どうでしょう。
  94. 羽田孜

    羽田国務大臣 先ほど北川委員の御質問に対してもお答え申し上げましたように、要するに国民血税であります予算というものを執行したその決算というものは重要であり、またその決算というものを私どもは参考にしながら予算というものをまたこれから編成していかなければならないということで、御指摘のように決算というものは重要視していく必要があろうという認識は持っております。
  95. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは決算委員会というものについて、行政府としても積極的に決算の経過について委員会報告をするように努力をしてもらう。今回のように大蔵大臣が出るからあとは出らぬでいいとか、これは分掌してそれぞれ執行した予算の責任をとらないというのと一緒ですよ。しかも政府委員をもって対応させるなどというばかなことはこれから言わぬようにしておいてくださいよ。きょうはあなたが責任を持って答弁することになっているから、こっち見えましたから、もう一つくどいですけれども、閣僚一緒に、全部一緒になってもらって話をしておきたい、僕はそう思っておったのですが、何でも政府委員が対応してくるそうで、閣僚なかなか出ていただけません。  そこで厚生大臣——厚生大臣じゃない、もう一つ先に行かないと。  最近、国際的ないろいろな催しか多くて、総理があちこちの国々に出張されますが、総理が外国に出張されたときの経費総理によって非常に差がある。ある人は一億二千万も使い、ある人は八千万程度使っておるというふうに差があるのですが、この積算の根拠はどういうことになっておるのですか。
  96. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  総理が外国へ行かれる場合につきまして、私どもとしてはその行く先の国、それから日程、それから随員の数等々を勘案いたしまして予算をお願いしておるわけでございまして、それから、当然特別機を出して参りますので、航空機の借り上げ料、こういったものが行く地域、行く国の数、そういったものによってその都度まちまちになっておるのが実情でございますが、必要額をお願いしてお認めいただいている、こういう経緯でございます。
  97. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは、外国旅費とか庁費とか報償費とかいろいろありますが、その性格をちょっと説明しておいてください。
  98. 荒田建

    ○荒田政府委員 まず庁費でございますけれども、これはほとんど、七割が八割方、行くときにチャーターいたします、JALですとかANAですとか民航のエアラインを使って行くわけですが、それの借り上げ料が大体七、八割で、その他現地におきますところの自動車の借り上げですとかあるいは会議室の借り上げですとか、そういったもので庁費を使っております。  報償費の方につきましては、外国に総理が訪問する場合にはその訪問地においていろいろ接宴等の関係がございますので、そういったお金に充てているというような状況でございます。
  99. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 総理が同じアメリカを訪問された場合にでも随分経費め差があるようですが、それはどこで生ずるのですか。
  100. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  アメリカで、例えば去年ですとヒューストン・サミットがたしかあったかと思いますが、その他にも、御承知のように緊急な用事がありますとアメリカに三泊四日くらいで行ってくる、あるいは滞在期間もサミットがあれば十日くらい滞在するというようなことがございますので、滞在期間、あるいは会議の時間、それからいろんな関係国がサミットの場合ですとたくさん出席しますが、そういった方々との会合、打ち合わせ、こういったもので同じアメリカといいましても期間がいろいろ違いますので、そのときそのときに必要な予算額を計上してお願いしている、こういう経緯でございます。
  101. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 重箱の隅をつつくことだから余り言いたくないのですけれども、しかし外国旅費というのがありますね。滞在が長くなるとかいうような場合は外国旅費で支弁すべきものだと思うのですが、人によって何回も宴会をやるとかお土産が多いとか変わるわけですか。
  102. 荒田建

    ○荒田政府委員 外国旅費は、当然、行かれる方々の日当ですとか宿泊費、そういったものになります。今、接宴の関係でございますが、当然、行かれる総理によってそんなに大幅に違う性格のものではございません。あくまで必要額をお願いしているというわけでございます。
  103. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まあ違ったらおかしいのですけれども、私が数字を見た限りでは、余り違わない日程でも一億二千万もあれば八千万もあることは間違いがないのですよ。内容が、その中で外国旅費に差があるならば期間が長かったからとか理屈が成り立つけれども、やはり人によって持っていくものも違えば宴会の接宴の仕方も違うんだろう、だから差が出るんだと私は思っておるのですが、総理がおいでになることですから細かな点まで一々つつき上げてあれするつもりはありませんけれども、ちょっと差があり過ぎるという気がする。これだけは申し上げておきますよ。四千万くらいの差がありますからね、これは。  それでは次の質問に移りますけれども、厚生大臣、御出席いただきまして、大変忙しい中を恐縮でございます。  まず一つは、最近国保等の地方自治体の負担が非常に大きいということで地方自治体から嘆きの声を聞くのですが、あの負担割合というのは決まっているのは私も大体承知しておるのですけれども、しかし、例えば地域によっては非常に老人がたくさん集まるとか病人がたくさん集まってきて地方自治体が勢い負担が多くなって保険税を高く取らなければならない、地域によって安くて済む、そういうところ等がありますが、何とかこの地方の自治体の負担というものがもう少し軽くなり、均一化されるという方向について検討いただけないものかどうか。
  104. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 医療費の負担等につきましては、先生御案内のとおり、一応法で基準等定めてございます。あるいは制度的に一応形ができ上がっておりますが、今御指摘のように、極端に足りないときにこれはまた別途予備費を使ったり、あるいはまた補正予算を組んだり、地方交付税等において措置をしたりするようにできております。
  105. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 厚生大臣、これはすぐれて大蔵省にもかかわるのですが、地方交付税等でいわゆる傾斜配分とかいろいろな方法で費用の負担の比重の大きい自治体については配慮しておるんじゃないかと思うのですが、それは事務当局でもいい。
  106. 岡光序治

    岡光政府委員 事務的なことでございますので、私から答弁させていただきますが、国民健康保険の上での制度でございますが、昨年、国民健康保険法改正をいたしまして、保険者によって低所得者が多いところと少ないとこうと、そういうふうな内容の構成の違いがございます。そういう意味で、低所得者の多いところの保険者にはたくさん補助金が行くように保険基盤安定制度というものをつくって先生おっしゃいましたような傾斜配分の方式を取り入れているところでございます。
  107. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 では厚生大臣、極力地方自治体の実態を眺めながら、いわゆる傾斜配分等によって特別の地方自治体が特に大きい負担にならぬような配慮をお願いしたいと思います。  時間がなくなりまして、山崎建設大臣御出席いただいておりますが、実は予備費使用について、特に建設省の場合、何があっても建設省と農林省が災害に対しては大きな責任を負わなければならないのですが、その建設省、予備費も特別会計でもかなりあるようでございますし、さっき私と大蔵大臣との間のやりとりをお聞きになって、何とかこの方法について検討すべきではないかというお気持ちはございませんか。
  108. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  先生の御意見は傾聴しておりましたが、これは、先生の御意見について大蔵大臣ほか承っておったのでございますから、政府部内で検討することだと思いますが、建設省といたしましては、今回の例えば普賢岳災害につきまして、被災地域が非常に立ち入りにくい禁止区域になっているという実情を先生よく御案内と存じますので、予備費による対応は行っておりません。立ち入りが可能となりまして、復旧工事の実施が可能となりました場合に、関係機関と調整を図りながら適切な予算措置を講じてまいりたい、そういう考えでございます。
  109. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 時間がなくなりましたので、最後にもう一つ建設大臣にお願いしておきたいのですが、私も国幹審の委員をいたしております。北は北海道から九州まで、たくさんの地域からいわゆる道路網の整備について、特に幹線道路について私どものところにまで陳情が参っております。ただ、私はその陳情を見ながら感ずるのは、辺陬の地域、東北とか北海道、九州、こういうところが非常に多い。そして、東京あるいは大阪、そういう近郊は割合に少ないように感じます。  ということは、地方における道路網、とりわけ幹線が非常におくれておるのではないか。その点についてはひとつぜひ地方を重点的に幹線道路網等の整備について配慮を願いたいと思いますが、大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  110. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 大変貴重な御意見を承りましたが、建設省といたしましては、国土の均衡ある発展という見地から道路網の整備を進めてまいりたいと考えております。
  111. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 認識として、私が申し上げたように辺陬の地域の方が道路網の整備が不備になっておる、やはり大都市の周辺の道路網というのは整備されておるというように感じたのですが、そういうことを感じておりませんかということをお伺いしたのです。
  112. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 道路整備につきましては、それぞれの地域、それぞれの自治体等から切実な陳情をいただいておるところでございまして、その御要望にできるだけおこたえすべく今まで建設行政を取り進めてまいったわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、国土の均衡ある発展という見地から考えますと、地方分散政策を進めるというもう一つの観点もございまして、先生御指摘の大都市周辺ではない地域における道路整備は急務であると考えておりますので、先生の御意見を十分体しましてこれから建設行政を取り進めてまいります。
  113. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今大臣もおっしゃった均衡あるということ、私は少し均衡を失しておるのではないかという気もしますので、今の御答弁で満足をいたしました。あとはぜひ実行に移していただくように切望をいたしまして、質問を終わります。皆さん、御苦労さんでした。
  114. 草野威

    草野委員長 次に、宮地正介君。
  115. 宮地正介

    ○宮地委員 最初大蔵大臣にお伺いしておきたいと思いますが、この予備費の審査に当たりましては、御存じのように憲法八十七条に基づきまして行われているわけであります。憲法の第八十七条は、「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。」「すべて予備費支出については、内閣は、事後に国会承諾を得なければならない。」これに基づいてきょうの審査が行われているわけであります。  私は、所管が大蔵大臣であるということにつきましては理解できますが、内閣の責任で予備費使用して、そして本日国会においてその結果の審査をしているわけですから、せめて内閣房長官が出席をするのが当然である、こういうふうに私は考えております。各省庁の予備費についてはそれなりの大臣が出席するのもこれは至極当然であります。しかし、一歩譲ったとしても、内閣房長官が大蔵大臣ともども同席をして、この決算委員会において審査を進めるというのはこの憲法第八十七条の精神からしても当然である、こう思っておりますが、今後そうした方向に考えていくことを内閣に具申する考えがあるかどうか、大蔵大臣の決意を伺っておきたいと思います。
  116. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど阿部議員の方にもちょうどお話ししましたように、やはり決算というのは非常に重要であるということを私どもも認識しなければいけないということでありますし、また、御要請のあります各大臣につきまして出席する、そういったことにつきまして私どもの方から内閣官房の方に対しても皆さんの御意見がありましたことを報告しておきたいと存じます。
  117. 宮地正介

    ○宮地委員 次の機会からの予備費の審査につきましては、ぜひ官房長官が同席することを強く要請しておきたいと思います。  さて、今回の予備費検査につきまして、会計検査院長から報告をいただきたいと思います。  今回の平成元年度の決算検査報告に関する概要説明が本日提出をされました。その中身をいろいろ精査してまいりますと、今回の検査結果につきましては、実地検査検査対象機関の官署、事務所等の三万八千九百余カ所のうち、その九・二%に当たる三千六百余カ所について実施いたしました。いわゆる実調率が九・二%ということであります。会計検査院の今の職員の体制、機能、こういうことから見ましてこの九・二%という数字はやむを得ないかなという感じをしますが、率直に国民立場から見ますと、この実調率は非常に低いのではないか、そういう感じをいたします。  会計検査院長としては努力をされたことは多といたしますが、率直に現在の機能、体制、職員の数、こういうものを見まして、年々増大する予算の規模、また最近の事件の内容を見ておりましても非常に巧妙になっております、そういう点から考えて、今の体制、機能は実態に即しているのかどうか。率直に申し上げて実調率が低いのではないか、今後高めるためにはそれなりの職員の増員の確保も必要ではないのか、こんな感じをしますが、この点についての見解を伺っておきたいと思います。
  118. 中村清

    中村会計検査院長 実地検査につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように八%から九%台で推移しているわけでございますが、しかし、一万八千余カ所ばかりに上ります特定郵便局であるとかJRの駅であるとかということが含まれておりまして、本省とか本庁あるいは本社、またこれに準ずるような主要な地方支分部局、支社といったものにつきましては、四〇%余りの施行率になっているわけでございます。  それと、検査対象の選定につきましては、私ども決して無作為にやっているわけではございませんで、計画に基づいて行う、あるいは各種の方法をもちまして効率的な執行に努めているところでございます。  ただ、先生おっしゃいましたように、施行率の引き上げということにつきましては、従事人員の増ということが必要でございますし、また効率的な執行ということができないわけでございますので、私どもとしましては毎年その努力をしているところでございますが、やはり人員とか旅費というものにつきましてはおのずから限度がございますので、その分、私どもとしては研修とか効率的な検査の実施ということでもって対処していく、こういう状況でございます。
  119. 宮地正介

    ○宮地委員 特に、「法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項」、こういう中で、支出に関するもの百五十七件、七十六億六百七十四万余円、こうありますが、特にその中で顕著なのが「補助金に関するものとして、補助事業の実施及び経理が適切でなかったものが(文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、建設省、日本私学振興財団)七十八件 六十三億七千四十五万余円」、非常に際立って補助事業に関する問題が指摘をされているわけでございます。この傾向は、今後とも続くと見られるのか、このところを重点的に検査をしたのか、この辺の問題についてはどうなんでしょう。
  120. 中村清

    中村会計検査院長 補助金につきましては、毎年相当程度の件数、金額に上っているということはおっしゃるとおりでございますが、しかしその内容につきましては毎年、計画とか設計とか積算とか施工というものにつきまして、新しい手法であるとか新しい観点であるとか、そういうふうなものを加えて新しい問題点の発見ということをやっているわけでございます。そうしたことにつきましては、今後とも私どもとしては十分に努力していきたい、こう考えております。
  121. 宮地正介

    ○宮地委員 会計検査院も、国の予算に対してのお日付役としては非常に重要な独立機関になっているわけでございますから、ぜひその使命と誇りを持って今後とも努力をしていただきたい、きょうのところは強く要請をしておきたいと思います。  そこで、少し限られた時間の中で、当面する重要な政治課題について御質問をさせていただきたいと思います。  きょうは大蔵大臣が御出席でございますので、最初に、来年度予算編成の問題について、今後の基本的な考え方等について少しお伺いをしてまいりたいと思います。  既に、九月十日の閣議報告におきまして、平成年度一般会計予算の概算要求が出てまいりました。七十六兆一千七百七十九億円であります。対前年度比八・三%の増加になっておりまして、増加額が約五兆八千四百五億円でございます。そうした問題を見てまいりましたときに、特にその内容的にも、一般の歳出が三十八兆九千五百六十億で、前年度比約一兆九千億プラスになっておる。地方交付税交付金が、約十八兆三千七百五十七億円で、前年度比二兆五千億プラスになっております。国債費におきましても、十七兆五千四百六十二億円、前年度比プラス約一兆五千億円。  問題は、一つ大蔵省財政運営の中期展望を出しておりますが、まずこの平成年度から六年度の「財政の中期展望」と比較をいたしますと、約四兆五千四百億円、今回の概算要求との差に、歳入不足になっております。さらに、概算要求後の人事院勧告の経費四千億円等、別途に検討しますと、概算要求と中期展望の間には相当な開きが出ておる。  その上に、既に皆さん御存じのとおり、現在の平成年度においても、税収が法人税初め有価証券取引税など相当落ち込んでおります。来年も、今の景気の状態等見てまいりますと、相当な財源不足が見込まれるわけでございますが、まず、こうした状況から見て、来年度予算編成に当たりまして、大蔵大臣、この中期展望と概算要求との差額である四兆五千四百億円のこの差の問題をどういうような基本的な方針で対応されようとしているのか、新大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  122. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘がございましたように、確かに中期展望で組んでおるもの、これに対して新しい事態といいますか、税収がこのところ思わしくないという現状がございますし、また、そのほか新しい人勧等追加財政需要といいますか、そういったものが生まれてきておる、こういう現実があることは現状であろうと思っております。  そういう中で、私どもが対応していくのは、これはなかなか選択をするということは非常に難しいわけでありますけれども、何といっても、財政出動といいますか、歳出を私たちとしては相当抑えていかなければならないというのが第一の対応であろうというふうに考えております。そういう中で、非常に厳しい財政運営というものをしていかなければいけない、これを私ども基本に考えながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  123. 宮地正介

    ○宮地委員 もう一点、四年度の概算要求額の七十六兆一千七百七十九億円、これと中期展望の差については今申し上げたとおりであります。そういう中で、当然今までの予算編成の傾向の中で、例えば日米構造協議による公共投資の拡大問題とか、あるいは国際公約であるODAの実施の問題とか、その他各種政策の実行か迫られていることは我々も理解することはできるわけでございますが、ここ数年続いた異常な税収、いわゆるバブルによる異常な税収、これを当然のこととして今回の概算要求を各省庁に見積もらしたのではないか。そうなりますと、そこに非常に甘さが出てきているのではないか。むしろ、大蔵省のそうした概算要求の各省庁に対する見積もりの甘さというものがここに一挙に出てきているのではないか。  今度は、それを予算編成段階で、今大臣は、これから歳出削減をするということを言われましたけれども、果たしてそれだけで対応できるのかどうか、この辺があるわけですが、まずこの概算要求の取り組みに財政当局の甘さがあったのではないか、こう思いますが、この点については大臣は率直にどういう理解をされておりますか。
  124. 涌井洋治

    涌井政府委員 お答えいたします。  平成年度の概算要求基準の設定に当たりましても、決して緩めることなく、従来と同様、引き続き厳しい基準で設定したつもりでございます。
  125. 宮地正介

    ○宮地委員 そんな抽象論言ってもだめなんですよ。現実に、今申し上げたような七十六兆一千七百七十九億円というのは前年度比八・三なんですから、これはあなたが厳しくやったと言っても、数字の上に出ている。昨年度予算編成と、ことしの概算要求にそれではどこを切り込んで、今日のようなこういう税収の不足、景気の後退、こういうものを本当に意識してこの夏に切り込んだのかどうかおす。我々が見る限りにおいてはそこまでの努力は見られない。そこを指摘しているわけで、そんな答弁じゃ答弁じゃない。もう時間がないから私から言いますが、その点をもう少し、涌井さんも専門家なんだからよく研究して、ここだけで答弁すればいいんじゃないんだから。  そこで、具体的に歳出の削減というふうに大臣言われました。今いろいろと言われておることに、それではどこを切るんだ、これがこれからの具体的な問題。  一つ言われているのは地方交付税の交付金を切るんじゃないか、これが一つ言われておる。現在の地方交付税の三二%、この税率を変えるのか、あるいは地方に回している消費税の二四%の税率を変えるのか。この辺についてはどういう考えを持っているのか。  もう一つは、やはり防衛費の削減問題。御存じのように、概算要求の伸び率は五・三八%で、今年度の伸び率の五・四五%は下回っております。現在の国際情勢の変化、仮想敵国であったソビエトがあのような状態になった。まさに今世界は軍縮に向かっています。そういう中で日本の防衛予算思い切って五%台から四%で切り込めるのか、またその切り込む意思が大蔵当局にあるのかないのか。  あるいは今ウルグアイ・ラウンドの問題等が言われておりますが、農林省の予算の中の自主流通対策費の問題、これをどういうふうに取り扱うのか。我々非常に今危惧しておりますのは、今までも毎年言われてまいりましたが、義務教育費の無償化の問題など、私学助成の問題について切り込むということも言われています。我々はこの小中学校の義務教育費の教科書無償化については、これは断固切り込むことは反対です。そういうところまで切り込もうということがいろいろ言われている。あるいは国債引受手数料の引き下げの問題等も言われておる。こういうことをいろいろ歳出削減の中でも言われております。  当然切り込んでいかなきゃならないものはあります。しかし、切り込んではならないところもあります。その辺の価値判断をどういうふうに、財政当局は基本方針を持っておられてやられようとしているのか、その基本的なスタンス、姿勢、哲学、ここをきょうは大臣に伺っておきたいと思います。
  126. 羽田孜

    羽田国務大臣 今委員の方から子細にわたって実は御指摘があったわけでございますけれども、確かにいろいろな補助金等につきましてやはり一つの補助金を、長いこと続いたものを削るということは非常に難しいことであり、またそれぞれの立場の人にとってみますと、これはどうしても必要だというものもあろうかと思っております。  ただ問題は、一つの目的をある程度達したもの、こういったものについてはお考えをいただくというようなこともしなければならないであろうし、あるときには、こういった分野については個人の方に御負担をいただくこともお許しをいただけるんじゃないか、国民の御理解をいただけるんじゃないかというものについては、これはやはり率直に申し上げていく必要があるんじゃなかろうかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、確かに今までの非常に高い成長で伸びてき、また税収も非常に大きなものがあったという時代とやはり変わってきておる、いわゆる経済の基調というものが少し変わってきておるという現状でございますので、そういった中で私たちは再び国債を、特にいわゆる特例公債を発行するということは、これはもう許されることじゃないだろうというふうに認識をいたしておるわけでございまして、そういう意味で、先ほどから申し上げておりますようにめり張りをつけなければいけない。このめり張りにつきましては今一部申し上げたわけですけれども、こういった問題について私どもとしては、財政当局としては徹底してまた議論をしていきたいというふうに思っております。
  127. 宮地正介

    ○宮地委員 赤字国債の発行はしない、これが今大臣から初めて出されました。もう一つ考えられるのは、歳出の削減と、もう一方で増税の問題です。これが国民から見て非常に今関心が強いわけでありますし、この増税問題にどういうふうに大蔵当局が来年度予算編成で取り組むのか、これが非常にまた大きな国民の関心の的であります。  まず大臣基本的に、来年の歳入不足については歳出削減でいく、特例公債は発行しない、ここまでわかりました。増税についてはどういう考えを持っていますか。
  128. 羽田孜

    羽田国務大臣 税につきましては、これはまさに国民の理解をいただかなければできないということ、あるいは税につきましてこれをあれするときにはやはり国会の議決をいただかなければいけないということであろうと思っております。その意味で、安易に増税というものを考えることは許されないことである、このことは私どもも本当に腹に置きながら対応しなければいけないであろうと思っております。  いずれにしましても、内容の具体的な問題につきましてどれがどうかというような物の考え方、あるいは増税するのかとかそういった問題につきましては、これから税制調査会の方で御審議をいただきながら、そういう中で私どもも判断をしていかなければならない問題であろうというふうに考えております。
  129. 宮地正介

    ○宮地委員 これから自民党税調や政府税調で具体的な税制改正について検討するのは十分にわかっています。大臣は、来年の予算編成に当たりましては増税なき財政運営という基本方針を貫く、こういう姿勢である、こう理解してよろしいですか。
  130. 羽田孜

    羽田国務大臣 いわゆる皆様からの、何というのですか、予算に対する強い要請というものを一方でやらなければならないものがあるということでありますし、そして歳入の方は厳しくなってきておるという現状がございます。しかし、先ほどから申し上げておりますように、私どもとしては何とか歳出を縮減していくんだということ、それから特例公債は何とか発行しないで済ますようにしなければいけないんだということ、そして税についても理解をされなきゃいけないという基本的な考え方は持っておるということであります。  ただ、何というのですか、やはりその辺を私たちぎりぎりと検討した結果を、その中で判断しなければいけないのと同時に、税についてはどうするのかということについては、これはやはり税調の審議というものを私たちは率直に見守る必要があろうというふうに思っております。
  131. 宮地正介

    ○宮地委員 非常にそこのところ歯切れが悪いのですね。宮澤総理も増税については余り積極的な発言していません。  では大蔵大臣、具体的に、消費税の税率についてはあなたの大臣期間中は税率アップはしませんか。その基本的方針をまず伺っておきたいと思います。
  132. 羽田孜

    羽田国務大臣 この点につきましては、従来からもお答えをしてまいったわけでありますけれども、御案内のとおり、この十月ですか、新しい税にこの間国会で修正していただいたということがございますから、それを私たちは着実に定着させていくということがまず第一であるということ、そしてそういうことをやったところで直ちにどうこうするというようなことは申し上げられるものでないのであって、私どもは、いずれにしましても、この税については国民の意思あるいはお気持ちというものをそんたくしながらやっていくということであろうというふうに思っております。  ただ、先ほどから歯切れが悪いと実はおしかりを受けるわけでありますけれども、要するに今税収が一体どんなふうになってくるのか、そして財政支出がどうあるのかということをきちんとあれした上で率直なところを国民に訴えるべきでございまして、いや私の間はやりませんよとかなんとかということについては、私は申し上げるべきじゃないんじゃないのかというふうに思っております。ただ、そう簡単に、安易に税に頼るということだけは厳に慎まなきゃならぬことであろうというふうに思っております。
  133. 宮地正介

    ○宮地委員 あなたのお師匠さんである竹下総理は、消費税の三%は自分の内閣の間は上げないと国会で言明したじゃないですか。あなただってお弟子さんの一人として今回初めて大蔵の財政当局を握ったんだから、一つの信念と哲学ぐらい持ってこの財政運営はやるべきですよ。消費税については大体今の感触ではやらない感じをいたしました。しかし、その他の増税についてはいろいろなことを今大蔵当局でも研究しているようです。そういう中で、そういう感じのものについていろいろ議論されているのか。  これから党税調や政府税調で検討されると思いますが、今言われているのが、いわゆる九十億ドルのときに臨時的措置として来年の三月末までやろうということで臨時措置としてやられた石油と法人税の臨時増税、これを三年度で切らないで来年度も延長しようじゃないか、これをやりますと大体約七千億、また自動車の暫定税率六%、これも来年三月で切れますが、これも延長しようじゃないか、こうなりますと約二千億、地価税が来年一月一日から実施されまして、大体今まで三千億から四千億、こう言われておりました。これは地価税が創設されたころは目的税的に使おうという動きでありましたが、どうも最近は一般財源に向けよう、また、あの九十億ドル予算の修正で、特に公明党が五千億の予算修正の中でとめたたばこの増税、これを何か引っ張り出してきて、また一本一円の引き上げで三千六百億ぐらいの税収をなんて、こんなことがいろいろちらちら大蔵省当局の内部やあちこちから聞こえてまいります。  そうした増税などについてもいろいろ今研究しているようでありますが、どうか大蔵大臣、この具体的な細かな増税内容については党税調や政府税調で議論され、検討されることは我々は十分承知しています。しかし大臣として、これからの財源対策の問題として、歳出をカットするかあるいは増税をするか、あるいは赤字国債を出さなければ建設国債でいくか、方法はもうそんなにないんですよ。  問題は、大臣がどういう基本的な哲学、基本的な考え方で来年の予算編成を組もうとされているのか、ここなんですよ。ここを前の橋本大臣と同じように行くのか、羽田大臣の個性豊かな新しい時代財政運営に挑戦できるのか。ここなんですよ。ここを国民はじっと注目しているわけです。そこを私は、きょうは大臣にその基本的なところを伺いたいのです。  細かいことをどうしろこうしろということは私は手続上承知していますから、そんなことを聞いているわけじゃない。大臣基本的な哲学、来年のそうした歳入不足という新たな事態にどう対処されようとしているのか、ここのところをお聞かせいただきたいのであります。御見解を伺いたい。
  134. 羽田孜

    羽田国務大臣 私としましても、基本的に考えなければいけないということは、やはり新しい経済の状況というものが生まれてきてあるということ、それから、先ほど来御指摘がございますような新しい財政の需要というものもやはり生まれてきているということ、こういったものもやはり見きわめなければいけないということで、基本的には、いわゆる縮減すべきものはやはりするということ、そしてもう一つは、特例公債等を発行することはやはり私たちとしては慎んでいかなければいけないということ、それと税については、今幾つが御指摘がございましたけれども、これはそれぞれよって立つ、あるいはあのときの状況の中で国民皆さんの御理解あるいは企業の御理解、こういったものを得ながら私たちはやってきたわけでありますから、そういった皆さん方の信頼というものを裏切るということは、これから今後の全体の運営にやはり不信を招くということになろうと思っております。  そういったことを前提にしながら、今申し上げたようなものに対してどうこたえていくのかということを私たちは徹底して議論し、そして率直に実情を訴えながら対応していくということが今望まれることであろうというふうに思っております。
  135. 宮地正介

    ○宮地委員 時間もありませんから、私から大臣に御要望しておきたいことは、やはり行政改革、ここをしっかりやって、歳出の削減についても今までの単なる歳出削減という手法でなくて、本当に小さな政府、そして効率のある政府、こういうものをつくっていくためにどう行政改革をしていくか、そういう中から歳出というものを見直していけばおのずから私が今申し上げたような四兆五千億くらいの財源というものは歳出カットの中からも出てくる。ただ、今までの積み上げ方式によってそうした予算編成をやっていれはこれはいつになっても出てまいりません。どうかそこのところを新大蔵大臣の勇断をもってこの歳出カットについても対応していただきたい。そして国民の理解を得る立派な平成年度予算編成をしてもらいたい。このことを強く要請しておきたいと思います。  時間もありませんので、もう一つ重要なウルグアイ・ラウンドの問題について、きょうは農林水産省来ていると思いますので、伺っておきたいと思います。  この二十一日の日にドンケル・ガット事務局長が、いわゆるたたき台と言われておりますが、作業用ぺーパーの草稿を今回提示をされました。内容的には包括的関税化という言葉になっておりますけれども、事実上これは例外なき関税化の明記ではなかろうか、我々こう見ておりますが、農林水産省、このペーパーの位置づけとその内容についてどういうふうに理解をし、政府として今後どういう対応をしていこうとされているか、この点について御報告いただきたいと思います。
  136. 川合淳二

    ○川合政府委員 今お話がございましたように、先週来非公式でございますが、農業会合が開かれております。今御指摘がございました作業用のペーパーはその会合におきまして論議の素材として配られたものでございます。その内容につきましては、国際的な約束の中で部外秘とされておりますので、詳細につきましては差し控えさしていただきたいと思いますが、今御指摘のような包括的と申しますか、コンプリヘンシブ・タリフィケーションということにつきまして基本的な項目の一つとして取り上げられているわけでございます。  この会合は、今お話がございましたように、各国から意見を聞くというような性格の会合でございますので、私どもは従来からの立場に立ちまして、基本的な方針を踏まえてこの交渉に臨んでいるところでございます。私どもは現在のそうした状況の中でいろいろな意見が各国にあることは承知しておりますが、日本立場を踏まえて基本的に対応していくということでございます。
  137. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは外務省も来ていると思いますので、農林水産省の場合はまあ例外なき関税化、米を例外として対応しよう、こういう基本的なスタンスが変わらない。しかし、この問題、非常に我が国にとっても重要な問題であり、外務省としてはこの米の例外なき関税化の問題については今回のドンケル提案といいますか、このたたき台についてどういうふうに見ているのか、今後の見通しはどういうふうに展開していくと見ているのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  138. 須藤隆也

    ○須藤政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のドンケル・ペーパーにつきましては、ただいま川合局長から御説明ありましたように、八カ国非公式会合における議論の素材という性格で出されてきたものでございまして、それをもとに非公式会合が先週来行われているわけでございますが、その中におきまして包括的関税化という考え方が示されていることは事実でございます。  外務省といたしましても、交渉の大きな流れが関税化という方向に流れているという認識に立ちまして、ただいま農水省の方から説明がございましたように、我が国の基本的方針のもとに、米のような基礎的食糧については関税化は受け入れがたいという方針で強く交渉してまいる所存でございます。  なお、見通してございますが、引き続き今週から来週以降にかけまして八カ国の非公式会合、これは次官級の非公式会合、それから三十六カ国非公式会合、あるいは農業交渉の全体の公式会合というような一連の協議が行われる予定になっておりますが、いずれにいたしましても、本年末の実質的終結に向けて各国で最大の努力をしようということになっておりますので、今後、今月から来月の上中旬にかけて大きな山場を迎えるものと考えております。
  139. 宮地正介

    ○宮地委員 時間がないので、これは農林水産省に伺っておきたいのですが、問題は、例外なき関税化、この問題といわゆる食管法の改正、これは切っても切れない関係にあるのか、食管法の改正をしないで接点が求められるのかどうか、ここのところが我々は今後の対応として非常に関心を持っているわけです。  御存じのように、公明党は昨年の八月にいわゆる部分自由化論というものを提案しました。今後十年かけて三%なり五%の自由化、約三十万トンから五十万トン、これを開放していこう。これはまさに農家を守るための、アメリカなどから提案されている関税化というものを何とか食いとめる策として、一つの案として昨年の八月、公明党は提案させていただきました。今、こうした例外なき関税化というものがだんだんECとアメリカの中で一つ合意になってきておる。これに対して政府としても二段階論などがいろいろ言われております。当面はミニマムアクセスで五十万トンぐらいの輸入枠を入れて、しかし高関税率で、事実上食管法は改正しないで、食管法維持の中でこの例外なき関税化というものをテーブルにのせていく、こういうこともいろいろ言われています。  農林水産省としては、こうした突っ込んだ議論というものを今政府部内でやっているのか。今までどおり、ただ例外なき関税化は反対なんだ反対なんだ、例外を認めろ、こういうスタンスで何ら変わってないのか。この辺の接点を求めて今苦労しているのかしていないのか。この辺について御説明いただきたいと思います。
  140. 川合淳二

    ○川合政府委員 農業交渉につきましては三つの分野で議論がなされているわけでございます。一つは国内支持の問題、もう一つは輸出補助金の問題、そして今御指摘の国境措置の問題でございます。このうちの国境措置につきまして、関税化という主張がアメリカあるいはケアンズ・グループから出ているということでございます。  特に米ということの御指摘でございますので、それに沿ってお答えいたしますけれども、我が国の米生産、稲作生産は、その構造の特質から、生産性向上による内外価格差の縮小ということには非常に困難があります。これについての努力をこれまでも続けてきていることは御承知のとおりでございますが、また、水田の三割に及ぶ生産調整を実施しているというような状況もございます。こうしたことから、米の需給につきましては量的管理が必要と考えておりますので、関税化については受け入れられないという考え方を持っておりまして、この考え方に基づいて今後の交渉にも臨んでまいりたいと考えております。  また、食管との関係についてお触れになりましたが、今の関税化の要求あるいは提案というものは必ずしもつまびらかにされているわけではございません。したがいまして、仮定の問題でございますので、お答えしにくいわけでございますが、あえて申し上げれば、現行の食管制度とは関税化は両立しないものというのが私ども立場でございます。
  141. 宮地正介

    ○宮地委員 時間が参りましたので、今の問題はまたタイミングを見て御質問させていただきたいと思います。  きょうは、証券局長初め、SECの問題等についても御質問したかったのですが、時間切れでございますので、その点、御了承いただきたい。  大変ありがとうございました。
  142. 草野威

    草野委員長 次に、寺前巖君。
  143. 寺前巖

    ○寺前委員 前国会は、証券業界あるいはまた銀行の問題をめぐってその構造的な腐敗が大問題になりました。大蔵省もまたそれに結びついているということで批判の対象になりました。今国会内閣がかわったので、当然のことながら国会に引き続き証券特が設けられるかなと期待を持っていたところでありますが、残念ながらそうならなかった。そうならないけれども、事は引き続きメスを入れなければならない重大問題になっています。  今私はここに十月の末から十一月にかけて出ている新聞をずっと開いてみた。「リスト外補てんの会社社長から大蔵省職員ら“接待攻勢”」、こういう見出しかあります。「大蔵省出入り業者に補てん」とか、いろいろ新聞に出ています。ですから、この問題は中途半端にさせておくわけにはいかない。  最近、大蔵省に出入りしている業者が損失補てんを受けていたにもかかわらず、九一年三月期の補てん先企業リストから除外されていたことがマスコミで報道されている。私はここにこの業者の商業登記簿を持っています。この業者は中央区日本橋に事務所を構え、目的欄を見ると、「注文服の受託加工及び製造販売」となっています。この業者が大和証券の営業マンとの間に株取引についてトラブルが生じたと言われている。  そこで、大蔵省の担当官に聞きたいと思います。この業者が大蔵省に正式に相談をした年月日はいつなのか、また相談はどんな内容だったのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  144. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘の件でございますが、私どもの方に、昨年の十一月三十日に投資家から苦情の申し立てが証券局の業務課に参りました。苦情の内容は、証券会社による無断売買によって多額の損害を受けたという内容でございまして、その内容を私どもが、苦情を受けました担当官から当該証券会社の苦情相談窓口に対して苦情の内容を伝えたということでございます。
  145. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、この業者の相談を受けて大和証券監査部に話をつないだというふうに私は聞いておるのですが、それは間違いございませんか。
  146. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 ただいま申し上げました苦情相談窓口というのが監査部でございます。
  147. 寺前巖

    ○寺前委員 大蔵省、その結果、大和証券はいつ、幾らこの業者に補てんをしたのか、聞いていますか。
  148. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 大和証券からは、これは営業員の不正行為によるトラブルということで証券事故だという報告を受けております。  この取引の具体的な内容あるいは損害額につきましては、顧客のプライバシーにも関することでございますし、特に顧客が法令違反ということでもございませんので、お答えを差し控えさせていただければと思います。
  149. 寺前巖

    ○寺前委員 私の調べたところでは、九一年三月末三億円弱ということで補てんをしたというふうに聞いております。  それではさらに聞きますが、この業者を担当していた大和証券の営業マンはイニシアルがO氏という人で、O氏は大和証券赤羽支店長当時この客との間でトラブルがあり、その後新宿センタービル営業部長を経て、ことしの七月、本店証券貯蓄部配属になっている。これは間違いございませんか。
  150. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 間違いございません。
  151. 寺前巖

    ○寺前委員 この業者は九一年三月に三億円弱の補てんを受けているにもかかわらず、大和証券が九月二十四日に公表した九一年三月期の損失補てん先顧客リストにこの業者の名前が載っていない。このリストは、ことしの七月十八日から始まった大手四社に対する大蔵省の特別検査の中で、大蔵省が損失補てんかどうかを認定し、四大証券が公表したものであります。  大蔵省、なぜこの業者について大和証券のリストから除外をするという結果になっているのですか、御説明をいただきたいと思います。
  152. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 先ほど申し上げましたように、本件は、大和証券からの報告では営業マンの無断売買という不正行為により顧客が損害を受けたということでございます。こういう場合にはいわゆる証券事故ということになりまして、協会に届け出をし、正規の証券事故としての取り扱いをするわけでございまして、四社、特にこの証券会社にも特別検査に入ったわけでございますが、その特別検査の過程におきまして、私どもの証券検査官も証券事故ということで、それは損失補てんに該当しないということで損失補てんのリストには入れなかったということでございます。
  153. 寺前巖

    ○寺前委員 そういうことになるんですかな。大和証券の同前社長は、九一年三月期のリスト公表を行ったときの記者会見でこう言っています。今回の補てんは顧客とのトラブル処理が大半だ、これは従来からあるものだが、現在の特別検査では大蔵省から補てんと認定されたと述べているわけです。ですから、トラブル処理が大半だということはあえて言っているわけです。まさにこの業者のケースは、同前社長が言うトラブル処理に基づくことにならないか。何で名前が出てこないということになっているのか私は理解できないが、いかがですか。
  154. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 問題になりました損失補てんの中には確かにいろいろな態様のものがございます。その中には売買一任的な行為になってトラブルになったというケースもあるわけでございますが、私どもの考え方は、現在の証取法でも証券事故という概念が認められております。証券事故というのは、営業マンの違法あるいは不当な行為で証券会社がその損失を補てんする責任を負うという場合につきまして、証券事故の一定の手続を行いまして証券業協会に事故届け出を提出し、いわゆる証券取引責任準備金というものを協会に積んでおりますが、それを取り崩して補てんをするという手続が決められたものが証券事故でございまして、この証券事故に従った手続を行うものにつきましては私どもは損失補てんではないというふうに認定をしているわけでございます。
  155. 寺前巖

    ○寺前委員 大蔵省が言う事故扱いということであるならば、日本証券業協会の証券従業員に関する規則の第十条、事故顛末報告に基づき、事故顛末報告書を協会に出すことになっているはずです。ところが、日本証券業協会の東京地区協会に確認したところ、十一月二十一日現在大和証券から報告がされていない。事故顛末報告書も出ていない。リストからも除外されている。一体これは何だったんだ。どういうことになると思いますか。私には理解できません。
  156. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 いわゆる証券事故届け出、事故顛末報告書ということになっておりますが、これは通常、事故が発生いたしましてお客との間で話し合いが進み、一応お客との間で話がついた段階提出されるということになっております。具体的には、本件の場合には事故顛末報告書は本年の十月になって協会に提出をされております。
  157. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、それはさっぱりわからぬ。何できちっと顛末を出せないのだろう。  また、この業者に支払った損害賠償額の三億円弱は、証券取引責任準備金の積立て、預託等に関する規則第七条に基づいて、その年度末までに大和証券が協会に預託金返還請求を行うことになっている。しかし、その手続も行われているように見えません。大和証券は〇氏を赤羽支店在職中に処分することなく、新宿センタービル営業部長という営業畑に転任させ、その後、本社へ送っています。協会には事故顛末報告も出さず、また預託金返還請求も行われていない。この経緯は、大和証券がこのケースについて事故扱いをしていないという証拠にはならないのでしょうか。  これらの一連の不可思議な背景には、大蔵省がこの業者の損失補てんについて何らかの圧力をかけたのではないかというふうに広く言われているし、マスコミの間でも話題になっています。そういうことはないのでしょうか。
  158. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 お答え申し上げましたように、この事故届け出書は本年の十月に提出をされておりまして、証券取引責任準備金の取り崩しは来年の三月末に終了する事業年度において行われる。したがいまして、通常の場合には三月末近くになって協会からの取り崩しを行うということになります。  なお、この件につきまして今御指摘がございました点でございますが、私どもの証券局の処理といたしましては、通常の顧客の苦情を受け、それを証券会社に伝え、証券会社とよく話し合うようにという指導をしたわけでございまして、特段のこちらからの圧力というようなことではなくて、通常の苦情処理の一環としてこういうものを行ったということでございます。
  159. 寺前巖

    ○寺前委員 あなたそういうふうに言うけれども、そこからが世間の話題になっているところです。あなたは否定するけれども、大和証券社内ではこういうふうに言われている。すべてお客さんの洋服屋さんの了解を得て売り買いをした、何で今ごろになって請求してくるのかと対応していた。そうしたら大蔵省から圧力がかかり、仕方なく一部補てんすることにした。ところが洋服屋さんは、補てん額が少ないというので別の大蔵省の人に頼んで三億円弱の補てんをしてもらった、こういう話が出ているのです。  その大蔵省の担当官の名前ももう既にいろいろ書かれているところがありますよ。そういうふうに疑惑がずっと広がっているわけです。真相はむしろ言われているところにあるのではないでしょうか。私は率直にメスを入れる必要があると思いますが、証券局長、どうなんです。
  160. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 今申し上げましたように、私どもの方に投資家からいろいろな苦情が寄せられます。これは、もともとその証券会社の営業行為に行き過ぎがあるという場合が多いわけでございまして、そういう証券会社の営業行為の行き過ぎというものを是正するというのも、私どもの行政の一つの役割でございます。いろいろな苦情が参りまして、その苦情の内容については、私ども、率直に申し上げて判断ができないわけでございまして、証券会社に対して適正に誠実に対応するようにというようなことを伝え、その苦情処理については本人、投資家と証券会社の話し合いに任せるというのが通常の処理の仕方でございます。  本件の場合も、私どもの証券局としてはそういう処理をし、先ほど申し上げましたようなことで、大和証券側は証券事故だという認定をして顧客の補てんに応じたということでございます。
  161. 寺前巖

    ○寺前委員 この補てんは、約三年も前にさかのぼって購入契約そのものを取り消すという極めて異例の方法で行われている。しかも、大蔵省の証券局や主計局の職員が、もう具体的に名前まで広く言われているが、この業者の社屋内の大蔵省専用サロンと言われる場所でたびたび酒食のもてなしを受けていた。それだけにとどまらず、港区麻布台にある高級会員制クラブや銀座のバー、クラブで接待を受けていた。そういうことがもう広く言われているわけでしょう。  私がそこを具体的に名前を挙げたりするまでもなく、もう書かれているんだから、当然のことながらあなたたち見ておらなかったらうそだと思いますよ。それを本人たちで処理をさせてしまいます、そんなことで済むんでしょうか。私が先ほどから指摘している、この業者が損失補てんを受けた経緯や、また、補てんリストから除外するなどの背景は、この業者からの酒食のもてなしなどを通じて、この業者と大蔵省職員の癒着の中で形成されてきているんだと広く指摘がされているところです。そういうふうに広く指摘がされている問題を、大蔵省の責任においてこれに対するメスを入れる、当たり前のことじゃありませんか。もう時間が来ましたから、直接大蔵大臣に聞きますよ。  私は、率直に問題を提起しているけれども、しかし、名前その他についてはあえてここで出さなかったのです。後から教えてくれというのだったら教えましょう。このように大蔵省の人の名前までが挙がってきているような、そうして、ふだんから買収が始まっておったという事実まで出て、大蔵省出入りの業者の問題、名前まで出てきておって、そうしてこういう補てんが行われたんだ、そうして一切のリストから消えているんだ、こうなったら、大蔵省として処置して当然じゃありませんか。  だから、私は大蔵大臣に率直に言います。事実関係を調査し、正すべき点があれば正すべきではないでしょうか。率直に大蔵大臣の御見解をお聞きしたいと思うのです。
  162. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 大臣のお答えの前に、若干事実関係として、私どもに自発的に本人から報告がございました点がございますので、御報告させていただきます。  まず、報道されました審議官というものがございますが、これは当該の衣料会社の社長と以前からの知り合いで、年一、二回会うことはございましたが、それ以上のつき合いではない、そして、本件に関しまして、確かに社長から証券会社とのトラブルについて相談の電話を受けた、これは事実のようでございます。しかしながら、当該審議官の判断として、それは御自分で法律的に解決をすべきであるということで、証券局あるいは証券会社に伝えるといった関与は一切行っていないということでございます。  また、この業者は、大蔵省の庁舎内で大変長い商売店を開いておりますものでありますから、職員の中に顔見知りとなっている者もおりまして、知人として私的に食事をともにするというようなことがあったようでございますが、その場合でございましても、社会通念で言う知人としてのつき合いを逸脱をしておるというところまでのつき合いではなかったという報告を受けております。「接待攻勢」というような先ほど先生がお読みになりました新聞の見出しかございますが、そういうような実態というものをこの職員たちは私ども報告をしておりません。  いずれにしても、このような状況でございますので、私どもとしましてはそのように理解をしておるわけでございますけれども、この種の問題におきまして、日常生活でも、仮にプライベートと申しましても、日常生活において社会常識を逸脱することのないように、引き続き綱紀の厳正な保持について職員に注意を喚起し、徹底を図ってまいりたい、こう思っております。
  163. 羽田孜

    羽田国務大臣 事実関係につきましては、今官房長の方から申し上げたとおりでありまして、私どもといたしましても、いわゆる公務員として国民の不信を招くことのないよう、綱紀を厳正に保持するように、これからも指導してまいりたいと考えております。
  164. 寺前巖

    ○寺前委員 お約束の時間が来たのでこれでやめますけれども、この間、二十四日付で朝日新聞が主要企業百社にアンケートをやっております。それを見ると、「民間ばかりに責任を押し付け、大蔵省大臣が辞めただけ」「営業特金を認めてきた大蔵省は責任を感じてもらいたい」といった批判を背景に、「大蔵省は責任をとるべきなのに、とっていない」という意見が二十九社から出ているという事実は、私はやはり重要な指摘であるというふうに見なければならないと思います。したがって、大蔵大臣に、本人の報告だけではなくして、みずから省として調査をされることを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
  165. 草野威

    草野委員長 これにて各件の質疑は終了いたしました。     —————————————
  166. 草野威

    草野委員長 昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)外十二件について、一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。萩山教嚴君
  167. 萩山教嚴

    ○萩山委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外十二件の承諾を求めるの件について、承諾を与えることに賛成の意を表明するもめであります。  予備費は、憲法で規定されているように、予見しがたい予算の不足に充てるため、内閣の責任において支出されるものであります。その使用について国会事後承諾を求めるため提出されたものであります。  昭和六十三年度一般会計予備費昭和天皇昭和六十四年一月七日に崩御され、その大喪の儀及び陵の営建に要する経費、老人医療費の増加に伴い、老人医療給付費負担金の予算の不足を補うために必要な経費、消費税の導入に伴い生活安定のため老齢福祉年金等受給者及び低所得世帯の在宅寝たきり老人に対する臨時福祉特別給付金の支給に要する経費等に使用決定されたものであります。  また、平成年度一般会計予備費は、平成元年に発生した豪雨等によって災害を受けた施設等の復旧事業に要する経費平成二年一月二十四日に衆議院が解散され、第三十九回衆議院議員総選挙が執行されることに伴う経費等に使用決定されたものであります。  また、平成年度一般会計予備費平成二年八月に発生したイラクによるクウエートへの侵攻及び併合に対し、湾岸地域の平和と安定の回復を支援するため湾岸アラブ諸国協力理事会への拠出金及びイラクに抑留されている邦人救出に要する経費平成二年に発生した豪雨等によって災害を受けた施設等の復旧事業等に要する経費等について使用決定されたものであります。  これらの予備費使用決定は、憲法、財政法規定に基づく予見しがたい予算の不足に充てるために支出されたものであり、承諾を与えることに賛成するものであります。  また、特別会計予備費使用決定、特別会計予算総則に基づく経費増額の決定については、妥当なものであり、承諾を与えることに賛成するものであります。  なお、政府は、今後とも予備費支出に際しては、憲法の規定に基づいて厳正に行うことを要請して、賛成討論を終わります。(拍手)
  168. 草野威

    草野委員長 時崎雄司君。
  169. 時崎雄司

    ○時崎委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、議題となっております昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)外十二件のうち、一般会計予備費使用について承諾を求める四件について反対、残余の九件について賛成することを表明し、以下その理由を述べさせていただきます。  一般会計予備費使用状況を見ますと、その多くは災害復旧費、医療給付費の不足充当経費、国政選挙の執行経費等であり、予備費の目的にもかない、適切に使用されていると評価するものであります。しかしながら、政策的見地及び予備費本来の目的からして到底承諾することのできない使途が含まれております。  第一に、中東湾岸戦争に際し多国籍軍に対する協力費を支出したことであります。これは平和憲法の精神に反したものであり、また、その使途についてもいまだ完全につまびらかにされておりません。こうした形での戦争協力には強く反対するものです。  第二に、消費税導入の環境整備のため、老齢福祉年金受給者等に対し一時金を支給するという小手先の手段をとったことであります。消費税は政府の宣伝にもかかわらず収入の少ない高齢者、年金生活者らを苦しめており、政府自民党はせめて食料品を非課税にしてほしいという訴えには耳をかそうとはしていません。こうしたこそくな手段ではなく、真に実効性のある負担軽減策をとるべきであります。  第三に、総理大臣の外遊費の問題があります。世界が一体化し、首脳外交が極めて活発になっている今日、総理の外遊費がすべて予備費から支出されるというのは健全な姿とは言えません。  最後に、昭和天皇の陵の営建に伴う政教分離問題について指摘しておきます。大喪の礼の際には、葬場殿の儀に使用された鳥居の建設費は皇室の私的な経費である内廷費から支出され、国家行事である大喪の礼の開始前に撤去されました。しかし、陵の営建に際しては、鳥居の建設費も公的な経費から支出されており、政教分離の原則からして問題が残ったと言わなければなりません。  こうした問題点を多く含む一般会計予備費の四件は承諾できないことを表明し、討論を終わります。(拍手)
  170. 草野威

    草野委員長 宮地正介君。
  171. 宮地正介

    ○宮地委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外十二件の事後承諾を求めるの件について、賛成の意を表明するものであります。  我が党は、予備費使用について憲法第八十三条に定められた財政の国会議決主義の原則に基づき、予備費使用基本原則が遵守されるよう主張してきました。予備費使用は、憲法及び財政法にも明記されているように、「予見し難い予算の不足」に限定されるべきものであることは言うまでもありません。その使途目的及び個々の支出金額は未定のまま国会審議を経ている事前議決の原則の例外であります。したがって、可能な限り当初予算により国会審議を得るようにすべきであります。  そのような観点から、昭和六十三年度予備費事項の主たるものにつきましては、十勝岳噴火に係る緊急観測監視体制の強化に必要な経費、療養給付費等負担金等の不足を補うための必要な経費昭和天皇の崩御に伴う大喪関係の経費、老人医療給付費負担金の不足を補うために必要な経費など、緊急やむを得ないものであります。  また、平成元年度の予備費事項の主たるものにつきましては、河川等災害復旧事業、山林施設災害復旧事業等に必要な経費、航空機接触事故に係る損害賠償に必要な経費国民年金国庫負担金の不足を補うために必要な経費、難民一時庇護センターの運営等に必要な経費、衆議院議員選挙等に必要な経費など、やむを得ないものであります。  さらに、平成年度予備費の主たるものにつきましては、中東における平和回復活動に対する協力に必要な経費、イラク共和国における邦人救出に必要な経費、河川等災害復旧事業等に必要な経費、サケ・マス漁業の減船に伴う漁業者の救済に必要な経費など、緊急やむを得ないものであります。  しかしながら、一般会計予備費使用状況を見ても従来補正で減額されており、計上金額に特別の決定基準は存在しておりません。そのため巨額の予備費を計上するのは決して好ましいものではありません。恒常的な予備費の補正による財源化は、当初予算編成時にできる限りの正確な見積もりを行うべきであることを要望いたします。  また、予備費をほとんど使用しない特別会計勘定にあえて予備費を計上し続けることは極力避けるべきであります。予算をめぐる環境の変化に伴って予備費についても不断の見直しは不可欠であり、予備費計上の必要性、計上金額の相当性を十分吟味する必要があることを強調し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  172. 草野威

    草野委員長 寺前巖君。
  173. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました予備費承諾案件のうち、昭和六十三年度一般会計予備費使用調書(その2)、平成年度一般会計予備費使用調書(その1)及び(その2)、同年度特別会計予備費使用調書(その1)、平成年度一般会計予備費使用調書(その1)の五件についての不承諾昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為調書について異議があることを表明いたします。  これらの予備費使用の主なものは、退職手当、災害経費、社会保障関係費、恩給費、国民年金経費、遺族年金経費、選挙経費等々であり、当初予算で十分措置しておくべきものなどの問題もありますが、いずれも必要な経費であり、予備費使用目的、理由はおおむね妥当なものであり、承諾できるものが多数あります。  しかし、同時に本予備費使用調書の中には、我が党が認めることのできないものが幾つか含まれています。  例えば、湾岸平和基金拠出金等への経費総理の一連の外国訪問に要した経費、大喪の礼や即位の礼に関係する経費、貿易保険の事故調査費等々であります。  湾岸平和基金拠出金等への経費は、米国を中心とする多国籍軍の戦費を負担するものであり、断じて認めるわけにはいきません。また、総理の一連の外国訪問は、大規模小売店舗法の廃止などの約束や、在日米軍駐留経費負担増など日米軍事協力の一層の推進を誓約した九〇年三月の日米首脳会談のための訪米費等々が含まれており、さらに、絶対主義的天皇制を権威づけることを目的として制定された旧皇室諸礼にのっとって行われた葬場殿の儀などを含む大喪の礼等々に関係する予備費支出は容認できません。貿易保険の事故調査費は、我が国の大企業が輸出や海外投資をふやし、多国籍企業に成長する上で大きな役割を果たしてきた貿易保険制度の一環をなすもので、内容的にも被保険者であるイラン化学開発株式会社からの保険金請求に伴うものであり、反対であります。  昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為は、本来、天皇家の私的なものであるはずの陵の建設が、公的行事に使用する宮廷費から支出されており、政教分離を規定した憲法にも違反するもので、異議があります。  以上のような不当な予備費使用を含むこれらの調書承諾することに、我が党は反対であります。  昭和六十三年度特別会計予備費使用調書(その2)外七件は、郵便貯金利子の支払い不足経費等々の支出であり、使用目的、予備費使用等の理由は特に問題がないと認められるので、承諾いたします。  以上で私の討論を終わります。(拍手)
  174. 草野威

    草野委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  175. 草野威

    草野委員長 これより採決に入ります。  まず、昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)及び平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、以上各件について採決いたします。  各件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  176. 草野威

    草野委員長 起立多数。よって、各件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。  次に、昭和六十三年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和六十三年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)及び平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その一)、以上各件について採決いたします。  各件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  177. 草野威

    草野委員長 起立総員。よって、各件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。  次に、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)について採決いたします。  本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  178. 草野威

    草野委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。  次に、昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書について討論に入るのでありますが、討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。  昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書について採決いたします。  本件は異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  179. 草野威

    草野委員長 起立多数。よって、本件は異議がないと決定いたしました。  なお、ただいま議決いたしました各件についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 草野威

    草野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  181. 草野威

  182. 羽田孜

    羽田国務大臣 平成元年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書を会計検査院検査報告とともに国会提出し、また、平成元年度の国の債権の現在額並びに物品の増減及び現在額につきましても国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして歳入の決算額は六十七兆二千四百七十八億二千二百五十八万円余、歳出の決算額は六十五兆八千五百八十九億三千八百七十五万円余でありまして、差し引き一兆三千八百八十八億八千三百八十二万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計平成年度の歳入に繰り入れ済みであります。  なお、平成元年度における財政法第六条の純剰余金は三千百二十一億千五百四万円余となります。  以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額六十六兆三千百十八億九千百四十一万円余に比べて九千三百五十九億三千百十六万円余の増加となりますが、この増加額には、前年度剰余金受入れが予算額に比べて増加した額七千四百五十七億二千百六十万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純増加額は千九百二億九百五十六万円余となります。その内訳は、租税及印紙収入等における増加額六千六百二十六億六千三百十三万円余、公債金における減少額四千七百二十四億五千三百五十六万円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額六十六兆三千百十八億九千百四十一万円余に、昭和六十三年度からの繰越額六千六百五十三億四千三百五十四万円余を加えました歳出予算現額六十六兆九千七百七十二億三千四百九十五万円余に対しまして、支出済歳出額は六十五兆八千五百八十九億三千八百七十五万円余でありまして、その差額一兆千百八十二億九千六百二十万円余のうち、平成年度に繰り越しました額は七千三百八十九億五千九百十六万円余となっており、不用となりました額は三千七百九十三億三千七百四万円余となっております。  次に、予備費でありますが、平成元年一般会計における予備費予算額は二千億円であり、その使用額は千四百二十七億四千三十六万円余であります。  次に、一般会計国庫債務負担行為につきまして申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務負担することができる金額は二兆五千四百十七億四千九百四十八万円でありますが、契約等による本年度債務負担額は二兆五千二百五十三億七千百五十六万円余であります。これに既往年度からの繰越債務額三兆四千二百五十七億四千八百八十五万円余を加え、平成元年度中の支出等による本年度債務消滅額二兆千六百七十一億千五百七十一万円余を差し引いた額三兆七千八百四十億四百六十九万円余が翌年度以降への繰越債務額となります。  財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務負担することができる金額は一千億円でありますが、契約等による本年度債務負担額はありません。  また、既往年度からの繰越債務額十六億千四百六万円は、平成元年度中の支出等によって全額消滅いたしましたので、翌年度以降への繰越債務額はありません。  次に、平成元年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十八でありまして、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、平成元年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済額は五十七兆七千六百六十七億八千二百三十二万円余でありまして、この資金からの一般会計等の歳入への組入額等は五十七兆七千五百七十億九千四百八十七万円余でありますので、差し引き九十六億八千七百四十四万円余が平成元年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、平成元年度の政府関係機関の決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額でありますが、平成元年度末における国の債権の総額は百七十三兆二千三百九十七億四千四百十二万円余でありまして、前年度末現在額百五十五兆千七百六十二億千八百七十三万円余に比べて十八兆六百三十五億二千五百三十九万円余の増加となります。  その内容の詳細につきましては、平成元年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  次に、物品の増減及び現在額でありますが、平成元年度中における純増加額は五千二百六十五億八千百七十四万円余であります。これに前年度末現在額六兆四千四十四億六千百二十八万円余を加えますと、平成元年度末における物品の総額は六兆九千三百十億四千三百三万円余となります。その内訳の詳細につきましては、平成元年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上が、平成元年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書等の概要であります。  なお、平成元年度の予算の執行につきましては、予算の効率的な使用、経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお金計検査院から、百九十二件の不当事項等について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  予算の執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。  次に、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに平成年度国有財産無償貸付状況計算書を、会計検査院検査報告とともに第百二十回国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要について御説明いたします。  平成元年度中に増加しました国有財産は、行政財産一兆八千四百八十一億四千七百三十八万円余、普通財産二兆千百八十五億九千八百八万円余、総額三兆九千六百六十七億四千五百四十六万円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産は、行政財産三千八百七十億二千五十九万円余、普通財産四千六百五十一億五千百九十七万円余、総額八千五百二十一億七千二百五十六万円余でありまして、差し引き三兆千百四十五億七千二百九十万円余の純増加となっております。これを昭和六十三年度末現在額五十二兆八千百二十九億八千三百九十二万円余に加算いたしますと、五十五兆九千二百七十五億五千六百八十三万円余となり、これが平成元年度末現在における国有財産の総額であります。  この総額の内訳を分類別に申し上げますと、行政財産三十兆六千七百三十三億六千四百七十一万円余、普通財産二十五兆二千五百四十一億九千二百十一万円余となっております。  なお、行政財産の内訳を種類別に申し上げますと、公用財産二十兆四千二百五十三億千六百三十七万円余、公共用財産五千六百三十五億八千三百七十八万円余、皇室用財産七千六十一億九百七十万円余、企業用財産八兆九千七百八十三億五千四百八十四万円余となっております。  また、国有財産の総額の内訳を区分別に申し上げますと、土地十四兆五百三十五億九千五万円余、立木竹五兆千五百八十一億九千三百四十五万円余、建物六兆二千四百四十六億百三十三万円余、工作物五兆三千八十三億八千百九十四万円余、機械器具八億三百十五万円余、船舶一兆五千五百億八千六百四十六万円余、航空機二兆二千五十八億八千四百十一万円余、地上権等十六億六千七百六十九万円余、特許権等四十二億七千三百三十二万円余、政府出資等二十一兆三千九百九十七億千七百二十八万円余、不動産の信託の受益権三億五千八百万円となっております。  次に、国有財産の増減の内容について、その概要を申し上げます。  まず、平成元年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は、三兆九千六百六十七億四千五百四十六万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって増加しました財産は、三兆三千九百八十億八百五十万円余、第二に、国の内部における異動によって増加しました財産は、五千六百八十七億三千六百九十六万円余であります。  次に、減少額について申し上げますと、その総額は、八千五百二十一億七千二百五十六万円余であります。  この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少しました財産は、四千百八十三億六千六百七万円余、第二に、国の内部における異動によって減少しました財産は、四千三百三十八億六百四十九万円余であります。  以上が平成年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要であります。  次に、平成年度国有財産無償貸付状況計算書の概要について御説明いたします。  平成元年度中に増加しました無償貸付財産の総額は、千二百三十五億三千二百四十八万円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産の総額は、千百五十二億三千百八十七万円余でありまして、差し引き八十三億六十一万円余の純増加となっております。これを昭和六十三年度末現在額八千四百六十八億四千四百九十五万円余に加算いたしますと、八千五百五十一億四千五百五十六万円余となり、これが平成元年度末現在において無償貸付をしている国有財産の総額であります。  以上が平成年度国有財産無償貸付状況計算書の概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。  何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。  以上であります。
  183. 草野威

    草野委員長 次に、会計検査院当局から各件の検査報告に関する概要説明を求めます。中村会計検査院長
  184. 中村清

    中村会計検査院長 平成元年決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。  会計検査院は、平成二年十月十二日、内閣から平成元年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、平成元年決算検査報告とともに、平成二年十二月十四日、内閣に回付いたしました。  平成元年度の一般会計決算額は、歳入六十七兆二千四百七十八億二千二百五十八万余円、歳出六十五兆八千五百八十九億三千八百七十五万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において二兆六千四百四億四千二百三万余円、歳出において四兆三千八百七十八億七千六百三十七万余円の増加になっており、各特別会計の決算額の合計額は、歳入百七十五兆三千三百九億九千九百三十四万余円、歳出百五十二兆八千十六億四千二百四十四万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において二兆八千二百九十四億六千七百五十一万余円、歳出において五兆三千九十四億一千四百六十三万余円の増加になっております。  また、国税収納金整理資金は、収納済額五十七兆七千六百六十七億八千二百三十二万余円、歳入組入額五十五兆四千九百二十四億八千九百六十三万余円であります。  政府関係機関の平成元年度の決算額の総計は、収入五兆九千四百五十九億二千二百四十二万余円、支出五兆四百二十二億二千四百二十三万余円でありまして、前年度に比べますと、収入において八千百七十二億四千九百九十六万余円の増加、支出において百九十九億九千二百四十一万余円の減少になっております。  平成元年度の歳入、歳出等に関し、会計検査院が、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について検査した実績を申し上げますと、書面検査は、計算書二十三万三千余冊及び証拠書類六千九百六十五万九千余枚について行い、また、実地検査は、検査対象機関の官署、事務所等三万八千九百余カ所のうち、その九・二%に当たる三千六百余カ所について実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して九百余事項の質問を発しております。  このようにして検査いたしました結果、検査報告に掲記した法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項等について、その概要を御説明いたします。  まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について申し上げます。  法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項として検査報告に掲記いたしましたものは、合計百九十二件であります。  このうち、収入に関するものは、五件、二十三億七千七百八十一万余円でありまして、その内訳は、租税の徴収額に過不足があったものが一件、十四億五千十五万余円、保険料の徴収額に過不足があったものが三件、九億七百五十三万余円、職員の不正行為により損害を生じたものが一件、二千十二万余円、また、支出に関するものは、百五十七件、七十六億六百七十四万余円でありまして、その内訳は、予算経理に関するものとして、架空の名目等により支払った旅費を別途に経理していたものが一件、四百九万余円、工事に関するものとして、予定価格の積算が適切でなかったり、設計が適切でなかったり、監督及び検査が適切でなかったものが四件、四千九百九万余円、物件に関するものとして、土地を不当に処分して利益を得ていたものが一件、二千百十七万余円、保険給付に関するものとして、保険給付金の支給が適正でなかったものが七件、四億四百十八万余円、補助金に関するものとして、補助事業の実施及び経理が適切でなかったものが七十八件、六十三億七千四十五万余円、貸付金に関するものとして、貸付金の経理が適切でなかったものが八件、三億九千百四十五万余円、職員の不正行為により損害を生じたものが一件、一千八百七十九万余円、その他、医療費の支払いが適正でなかったものが五十七件、三億四千七百四十九万余円であります。  以上の収入、支出に関するもののほか、レーダー等の部品から採取した銀くずや、郵便貯金の預入金、簡易生命保険の保険料等について、職員の不正行為による損害を生じたものが三十件、二億八千三百九十二万余円ありまして、これらの合計は、百九十二件、百二億六千八百四十八万余円となっております。これを前年度の百六十六件、四十八億四千百二十七万余円と比べますと、件数において二十六件の増加、金額において五十四億二千七百二十一万余円の増加となっております。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。  平成二年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求いたしましたものは七件、同法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求し及び同法第三十六条の規定により改善の意見を表示いたしましたものは一件、また、同法第三十六条の規定により改善の意見を表示いたしましたものは二件、改善の処置を要求いたしましたものは一件であります。  このうち、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求いたしましたものは、法務省の宅地建物取引業を営む者が現金で供託した営業保証金のうち時効完成したものを歳入として徴収するための処理に関するもの、文部省の医学部附属病院特殊救急部が行った救命救急医療に係る診療報酬の請求に関するもの、国立大学医学部附属病院等の診療棟、病棟等の建築工事における鉄筋の加工組立費の積算に関するもの、厚生省の医師看護婦等が標準人員に対して著しく不足している病院等の把握に関するもの、建設省の住宅新築資金等貸付事業における宅地取得資金の貸付けに関するもの、中小企業信用保険公庫の機械類信用保険の回収金の公庫納付に関するもの、東日本旅客鉄道株式会社の私鉄等の定期乗車券の委託販売に係る手数料の収受に関するものであります。  会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求し及び同法第三十六条の規定により改善の意見を表示いたしましたものは、厚生省の母子福祉資金及び寡婦福祉資金の貸付事業の運営に関するものであります。  また、会計検査院法第三十六条の規定により改善の意見を表示いたしましたものは、文部省の高等学校定時制課程に在学する生徒への教科書の給与事業及び夜食費の補助事業に関するもの、農林水産省の国営木曽岬干拓事業により造成された干拓地に関するものであり、会計検査院法第三十六条の規定により改善の処置を要求いたしましたものは、労働省の労働者災害補償保険の診療費の算定に関するものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、検査の過程におきまして、会計検査院法第三十四条又は第三十六条の規定により意見を表示し又は処置を要求すべく質問を発するなどして検討をしておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として直ちに改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは十七件であります。  すなわち、総理府の廃棄物処理設備の運転等の作業請負契約における労務費の積算に関するもの、農林水産省の輸入麦の買入経費に関するもの、素材生産請負事業における労務費の積算に関するもの、運輸省の岸壁築造工事等における揚土費の積算に関するもの、住宅騒音防止工事に用いるアルミサッシの仕様に関するもの、労働省の雇用保険の地域雇用特別奨励金の支給に関するもの、自治省の衛星通信用無線通信設備の電力増幅管の交換方法に関するもの、日本道路公団の橋りょう床版上の舗装の設計に関するもの、阪神高速道路公団の高架橋建設工事に使用する鉄筋の加工組立費の積算に関するもの、住宅・都市整備公団の住宅等建築工事における鉄筋の加工組立費の積算に関するもの、電源開発株式会社の定期点検工事等に係る現場従業員の人件費等の積算に関するもの、日本電信電話株式会社の交換機遠隔保守システムの機器構成に関するもの、パーソナルコンピュータ等のプリンタで使用するリボンカセットのリサイクルに関するもの、公衆電話委託手数料の支払いに関するもの、北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社の自動車線の委託駅における乗車券類の発売に関するものであります。  以上をもって概要の説明を終わります。  会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し上げましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。  次に、平成元年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。  会計検査院は、平成二年十月十九日、内閣から「平成年度国有財産増減及び現在額総計算書」及び「平成年度国有財産無償貸付状況計算書」の送付を受け、その検査を終えて、平成元年度国有財産検査報告とともに、平成二年十二月十四日、内閣に回付いたしました。  昭和六十三年度末の国有財産現在額は、五十二兆八千百二十九億八千三百九十二万余円でありましたが、元年度中の増が三兆九千六百六十七億四千五百四十六万余円、同年度中の減が八千五百二十一億七千二百五十六万余円ありましたので、差し引き元年度末の現在額は五十五兆九千二百七十五億五千六百八十三万余円になり、前年度に比べますと、三兆一千百四十五億七千二百九十万余円の増加になっております。  また、国有財産の無償貸付状況につきましては、六十三年度末には、八千四百六十八億四千四百九十五万余円でありましたが、元年度中の増が一千二百三十五億三千二百四十八万余円、同年度中の減が一千百五十二億三千百八十七万余円ありましたので、差し引き八十三億六十一万余円の増加を見まして、元年度末の無償貸付財産の総額は八千五百五十一億四千五百五十六万余円になっております。  検査の結果、「平成年度国有財産増減及び現在額総計算書」及び「平成年度国有財産無償貸付状況計算書」に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、平成元年決算検査報告に掲記いたしましたものは、「法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項」といたしましては、総理府の屋外燃料タンク補修工事の施行に当たり、鋼板の材料費、工場加工費等の積算が適切でなかったため、契約額が割高になっているものの一件であり、また、「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」といたしましては、総理府の廃棄物処理設備の運転等の作業の請負契約における労務費の積算を作業の実態に適合するよう改善させたものの一件でございます。  以上をもって概要の説明を終わります。
  185. 草野威

    草野委員長 これにて平成元年決算外二件の概要の説明を終わりました。     —————————————
  186. 草野威

    草野委員長 この際、資料要求の件についてお諮りいたします。  例年、大蔵省当局に対して提出を求めております決算検査報告に掲記されました会計検査院指摘事項に対する関係責任者の処分状況調べについて、平成元年決算につきましてもその提出を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 草野威

    草野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十四分散会