○
対馬孝且君 ただいま
議題となりました積雪又は寒冷の度が特に高い地域における指定
業種関係労働者の年間を通じた
雇用の
確保等に関する
法律案につきまして、その
提案理由及び
内容の概要を御
説明申し上げます。
北海道を初めとする北国の冬は、温暖な地方に住んでいる人々の想像を超えるほど長くて厳しいものであります。このため、これらの地域におきましては、冬期に積雪、寒冷などの厳しい気象
条件に阻害をされて建設業等の
事業活動が著しく低下し、その結果、地域経済活動の停滞、大量の季節的失業者の
発生、出稼ぎの増加等さまざまな経済的、社会的問題が生じているところであります。
例えば北海道を例にとりますと、冬期における建設
工事量は夏期の十分の一近くまで落ち込みます。この冬期における建設活動の低下の影響は建設
労働者の
雇用状況に最もよくあらわれており、建設業における夏期と冬期の
雇用者数の差は約十五万人にも及んでおります。この建設業における季節
労働者を初め、北海道には約二十三万人の季節
労働者が存在をしております。北海道の
雇用労働者数が約百九十四万人といわれておりますから、北海道の
雇用労働者のおよそ八人に一人が季節
労働者ということになるわけであります。
そして、これらの季節
労働者は、その大半が通年
雇用を
希望しているにもかかわらず、冬期に失業を余儀なくされているのであって、その間、これらの人々は、
雇用保険法の特例一時金の受給や預貯金の取り崩しなどによって、かろうじて生計を立てているというのが実情なのであります。なお、この特例一時金の支給額は、北海道の建設業の季節
労働者に支払われているものに限ってみましても年度合計で四百億円余にも上っております。
北海道等におけるこのような問題を解決するためには、通年
雇用の確保、通年施工の
促進が不可欠であります。この通年
雇用、通年施工の問題は古くて新しい問題であり、これまで、
雇用促進事業団法による通年
雇用設備
設置資金融資
制度、
雇用保険法による通年
雇用奨励金制度、暫定
措置としての冬期
雇用安定
奨励金、冬期技能講習助成給付金
制度等の種々の
対応策が講じられてきたところではありますが、残念ながら十分な効果を上げているとは申せません。そこで、この際、季節
労働者の職業及び生活の安定と地域経済の健全な発展を図るためには、
新規立法により、通年
雇用の確保、通年施工の
促進のための諸施策を積極的かつ強力に推進していく必要があると
考えられ、ここに本
法律案を
提出した次第であります。
次に、本
法律案の
内容についてその概要を御
説明申し上げます。
まず第一に、この
法律で対象とする地域は、通年
雇用対策地域及び特別通年
雇用対策地域の二つの地域としております。
通年
雇用対策地域は、積雪または寒冷の度が特に高いため、季節的にその地域内に所在する相当数の
事業所の
事業活動に支障が生ずる地域を、特別通年
雇用対策地域は、通年
雇用対策地域のうち、積雪または寒冷の度が著しく高いため、季節的にその地域内に所在する相当数の
事業所の
事業活動に著しい支障が生じ、かつ、
雇用に関する状況が著しく悪化する地域を指定することとしております。
第二に、これらの地域における建設業等の指定業種に係る
事業所に
雇用されている
労働者等の年間を通じた
雇用の
確保等のため、
労働大臣は通年
雇用対策指針を策定することとしております。
第三に、通年
雇用対策地域においては、指定業種に係る
事業所に
雇用されている
労働者に関し、年間を通じた
雇用の
確保等の
措置を講ずる
事業主に対して必要な助成及び
援助を行うほか、
雇用促進事業団の行う資金の貸し付け、
雇用促進事業団の行う施設の
設置に関する特別の配慮、積雪または寒冷の度が特に高いために必要となる設備の
設置または整備に要する費用等の助成等の施策を
実施することとしております。
第四に、特別通年
雇用対策地域においては、通年
雇用対策地域に係る施策のほか、季節的な
離職を余儀なくされる
労働者の再
雇用の
促進等のための助成及び
援助の
措置を講ずるとともに、これらの
労働者の年間を通じた
雇用を
促進するための職業訓練、職業紹介等の施策を
実施することとしております。
第五に、国、地方公共団体等は、公共
事業の
計画実施に当たって、指定業種に係る
事業所において通年施工ができるように配慮するとともに、通年施工のために必要な事項に関する研究等を行うこととしております。
なお、この
法律は、公布の日から起算をして六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、特別通年
雇用対策地域に関する施策については、この
法律の施行の日から十年間を限り
実施されるものとし、この期間の経過に際し、特別指定業種に係る
事業所における
事業活動の状況等を考慮して検討を加え、その結果に
基づき必要な
措置が講ぜられるべきものとしております。
以上が、この
法律案の
提案理由及びその
内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。