○
国務大臣(
橋本龍太郎君) 近藤
議員からの御
指摘が九点ございました。
まず第一点、
日本の
証券市場は既に不公正な
市場と化していたという御
指摘であります。
大蔵省といたしましては、これまでも、内部者
取引規制、株券等の大量保有の
状況に関する開示制度など、
市場の
透明性、
公正性確保のため各般の
措置を講じてまいりました。今般の
証券会社に係る
一連の
不祥事態の
再発防止の
観点からも、現在
損失補てんの
禁止等を
内容とする
証取法改正案を
国会に御提案申し上げておるわけであります。これにとどまらず、
証券会社、
証券市場につきまして私は五つの問題点を列挙いたして。まいりましたが、その一つ一つを謙虚に受けとめながら、今後とも
努力をしてまいりたいと
考えております。
また、簿価分離の
通達のお話が出てまいりました。
御
指摘の
通達は、金銭の信託
一般に係る
有価証券の評価に関する取り扱いを定めたものでありまして、金銭の信託をした場合、その信託金の運用として取得した
有価証券につきまして、手持ちの
有価証券と区分して評価することができるとするものであります。その
趣旨は、同一銘柄の
有価証券のすべてについて、手持ちの
有価証券と金銭の信託に係るものを簿価通算することは実務的に大変であり実際的でないということから、信託制度と
法人税上の取り扱いの調和を図り適正な課税の実現を図ることを
目的として、中立的な立場から
昭和五十五年に定められたものであります。
その簿価分離が認められております特金、ファントラなどの残高が大幅な伸びを示しましたのは、信託銀行などの運用ノーハウを利用し、かつ
投資家の事務負担が軽減できる特金、ファントラの特徴が当時の
企業ニーズに合致したものと
考えられます。さらに、
平成元年末までの株価上昇局面につきましては、
金融緩和と景気の着実な拡大などを背景に、
法人部門はすべて買い越しとなっておりまして、
法人が全員参加した形で株価が上昇しておりました。したがいまして、御
指摘のような問題とは違う、そのように私は理解をいたしております。
また、
大蔵省は
補てんを是認していたという御
指摘がございましたが、そのような事実はございません。
また、営業特金の残高の問題について
お触れになりました。
確かに、顧問なし営業特金の残高はそれほど減少しておりませんが、元年十二月の
通達、事務連絡は、顧問なし特金が
売買一任的に運用されていることが
損失補てんなどの温床となるおそれがあると
考えまして、顧問なし特金の適正化を図る見地から、顧問つき特金に切りかえること及び顧問なし特金の場合には
顧客との間で確認書を取り交わすことを指導したものでありまして、必ずしも顧問なし特金口座
自体の解消を求めたものではないことは
議員御
承知のとおりであります。
大蔵省としては、顧問なし特金につきましてはこの確認書の受付入れを強く指導してまいりましたが、事務連絡において適正化の期限とした二年十二月末現在におきまして、九九・七%の口座について確認書の受け入れを完了いたしております。
また、顧問つき特金についての御
意見もございました。
投資顧問会社に対しましては、私
どもは
独立性の維持確保に努めてまいりましたし、このような
努力を踏まえ、
平成元年十二月の
通達におきまして、いわゆる営業特金について、資産運用の専門
機関たる投資顧問会社との契約に移管するよう指導をいたしました。しかし、今回、
顧客との関係等を考慮した親
証券会社により多量の投資顧問づき口座に
損失補てんが行われましたことは、資産運用の専門
機関たる投資顧問会社の
独立性の維持確保に向けての取り組みが必ずしも十分でなかったということはそのとおりであります。このような認識のもとに、投資顧問会社の親会社からの
独立性をさらに一層確保するため、投資顧問会社が
顧客の文書による事前の了解を得ずして親会社と
証券取引を行うことを
禁止するとともに、人的、資本的な面における親会社からの
影響を極力薄めるよう一層指導を
強化してまいりたいと
考えます。
また、野村の
暴力団とのかかわりの問題についての御
指摘がございました。
お尋ねの点につきましては、
大蔵省としても
特別検査において調査を行ってまいったところでありますが、現在までのところ、
暴力団関係者による大量の東急電鉄株式の取得と、その後の同株式の株価急騰とを結びつける証拠が得られておりません。野村
証券による同株式の
売買が、
暴力団関係者のためにその株価を高騰させることを意図して行われたとの確証も得られておりません。この問題につきましては、今後とも引き続き調査してまいりたいと
考えております。
また、
補てんの
ルールについてのお尋ねがございました。
先刻来御
答弁をいたしておりますので、長々と繰り返すつもりはございませんけれ
ども、
損失補てんの
定義はこれ
自体法的に明確なものでありますし、同様のものは他の
立法例にもございます。
損失補てんの
定義と
自主ルールは直接的には関係のないものと、そのように思考いたしております。
また、本
改正案におきまして、要求とは相手側に一定の
行為を求めることでありまして、文書によるか口頭によるかは問いません。また、要求の有無の立証は司法当局においてなされるところでありますが、客観的な証拠等を踏まえ立証されるものと
承知をいたしております。
証券会社の
顧客につきましては、
市場仲介者としての
公正性に係る義務を負っておられないこと、
市場の正常な
価格形成機能の保持についても
証券会社と同等の
責任を有してはおられないこと、こうしたことから、
再発防止策の
実効性を確保するという
観点からは、要求して受け取るといった
証券会社に
違法行為を行うよう求める
行為を行った場合に
刑事罰を科すということで必要かつ十分と
考えております。
また、
罰金額の問題につきましては、先刻来
お答えを申し上げてまいりましたように、
法制審の御
結論を得次第、
大蔵省としては改めてその
引き上げを御
審議いただきたいと
考えております。(
拍手)
〔
国務大臣左藤恵君
登壇、
拍手〕