○井上哲夫君 私は、きょうは二十七分あるということなので、まず
大臣に米の
自由化の問題に関してお尋ねをしたいと思います。
きょうは午前中からお聞きをしておりまして、
大臣が
ダンケル事務局長の方まで出向いていかれて、
日本の米に関連しての
立場を強調されてみえたと、大変御苦労さんであったと私も敬意を表するところであります。
その中に、
大臣がおっしゃったのは、五
年間、六
年間やってきて
交渉というテーブルにはまだいっていないんだと。しかし、これが
交渉というテーブルに入った途端一気がせいに舞台は展開することも憂慮といいますか、考えなきゃならぬ。そういうことを考えると、これからもますます重大な関心を持って私
どもも見守らなければならないということがよくわかったわけであります。
この米の
自由化の問題について私は常々少し疑問に思っていたのは、
日本のマスコミはもうあたかも
交渉の最終
段階に来ているようなとらえ方をして、国民はそのとらえ方にさもありなんと、もうこれは外圧で最後はズドンと落ちるのじゃないかとか、やむを得ないとか、この辺が大きな誤解といいますか、国民の思っていることとこういうところで
議論をしているところの乖離にもなっていると思ったわけです。
そういうことを思い続けてきている中で、たまたま私は七月に
アメリカの方に、
情報自由法の
アメリカ制定二十五周年を迎えてその
実態調査ということで超党派で行ってまいりまして、ついでにというのはなんですが、カリフォルニア州とアーカンソー州のいわば米どころを回ってきまして、
アメリカの農家の率直な声というのを聞いてまいったわけです。そうしましたら
アメリカの農家の、もちろん米だけではありませんが、農家の声というのは、向こうは農家というより経営者でございますが、日米の
生産者が互いに敵対し合って会いるというようなことはばかげたことだし、そういうつもりはない、むしろ米問題は政治家の政治カードになっている、そういう感じがするというふうな率直な声も聞いてまいったわけであります。
そこで、たまたまこの九月の十九日付で
日本経済
新聞の夕刊のコラム記事で、以下ちょっと御紹介するような記事が出たことにあわせてお尋ねをしたいと思います。それは何かといいますと、伊藤忠総合ファイナンスの石田さんという社長さんの投稿でございますが、要するに
日本の今の米に対するとらえ方は
交渉の経過とその見通しに偏っている、実際に国民的な米の問題についての合意が必要ならば、本当ならば
交渉の経緯と見通してはなくて、その前提の問題そのものの置かれている客観的
事情、あるいはその問題が置かれている事実についての正し小
情報、こういうものを国民の前に開示して、そして大きな
議論をもって、
日本における
基礎的食糧である米については
アメリカや
EC諸国にこれだけのことはどうしても理解をしてもらわなければならないんだ、そういうふうにどうして持っていけないんだろうということをおっしゃってみえるわけです。
私自身きょうの午前中からの
お話を伺っていても、大変言いにくいことですが、どうも質問をする側のつかんでいる
数字と
農水省の答弁をいただく
数字が重大な点で食い違っている。どちらが正しいのかわからないにしても、例えば午前中に
大渕委員の質問に出ましたように、
やみ米と俗称されていますが自由流通米、これが
農水省の方の
お答えでは五十万トン、そしてそのことで
新潟コシヒカリは七%。一方質問者の方は二百万トンないし二百五十万トン出ているじゃないか、したがって
新潟コシヒカリは全体では三%にすぎないのじゃないか、そういう大きな
数字の違いがきょうの
委員会でも出てきておる。
さらに、例えば先ほど来出ておりますにせコシヒカリ
事件についても、食管法の違反をとがめる点はまあまあ今のところ司法捜査当局の
調査を待って考えますと。しかし、山形県の
事件を刈田
委員はおっしゃいましたが、あるいは大潟村の
事件でもそうですが、食管法が形骸化していることは国民も薄々といいますか感じておる。そういう中で、今回のにせコシヒカリ
事件について肝心の
食糧庁なり
農水省が司法捜査の行方を待ってみてそれからだというようなそういう姿勢が国民から見高とわかりにくいというか、あるいは食管法についてはもう行く行くはどうなっていくのだろうというふうな不安を与える面もないわけではない。
そういうふうなことを考えますと、国民の広い範囲の
議論を起こさせるとい、つためには、そこで今までのような姿勢といいますか、今までのようなスタンスを何とか変えていただけたらどうだろうか。ガット・
ウルグアイ・ラウンドの
交渉のさまやどうなっていくのかという展望についてジャーナリズムがどんどん書き込むけれ
ども、実際には
アメリカや
ECや
日本の
食糧事情はこういうふうに違っているんだとか、統計的にこういう問題あるんだと。後継者問題で言えば
アメリカだって後継者問題で悩んでいる。そういうふうなことの問題をもっと役所の方から正確な
情報を出していただいて、もちろん
農水省の方では正確な
情報、間違いない
情報ということでこれは出しておるとおっしゃると思いますが、そういう
情報をたくさん国民の前に与えて、米の
自由化についてはこういう
問題点があるんだという
議論が多くの人から沸き起こるようなそのような
方法はないんでしょうか。
と申しますのは、最近御
承知のようにフォーラムとかシンポジウムとかいろいろあります。何か昔は、また難しいことを言いますが、ギリシャのアテネでは、毎晩ソクラテスや哲学者が弟子を集めてシンポシオンとか言って食事と酒とで
議論を一して、それが現在のシンポジウムという言葉の起こりだそうですけれ
ども、やはり国民的な合意を得るための大きな
議論を起こす場を役所の方でも何か考えていただけないだろうか。そしてその中で、きょう私が御紹介した財界人には珍しい伊藤忠総合ファイナンスの石田さんの投稿では、やはり
日本は米の
自由化は待っただという結論をおっしゃってみえる。そういう形の結論が出れば、
ウルグアイ・ラウンドは
外国との
交渉の問題ですが、本格的
交渉に至ってもやはり腰が据わった形で私
どもも国民も
農水省の頑張りを評価できるんではないかと思うわけでございます。この点、
大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。