○菅野久光君 とにかく、こういうように
生産者の価格は下げられても
消費者の手元に行くときには前から見るとやっぱり上がった価格で行くわけです。そして
日本の農産物は高い高いという批判を受けるわけです。そういうことを受けさせないように
農林水産省としてどのように国民に対してPRをしていくのか、そういうことなどにおいてもまだ欠けているのではないかというふうに私は指摘せざるを得ないんです。
今例として申し上げましたが、そういった
生産性の向上分を上回る価格の引き下げが行われていることから、もう
農家の所得というものは本当に減少をして、借入金の返済だとか、あるいは規模拡大に対する
投資資金の確保が困難となってきております。経営が不安定となって、経営意欲の減退から多くの
生産者が離農しているという
実態がある。
特に、最近北海道なんかで私が聞いたのは、四十歳代の
農家の人たちの離農がふえてきているということなんです。それは何かというと、大体四十歳代ぐらいになりますと子供が中学あるいは高校に入るぐらいでしょうか。結局そういう
農家の
実態を見て子供自体も
農家を継ぎたがらない、継ごうとしない。親もこんな先行き見通しのないことではとても農業をやらせられない。そういうことから、もうここで見切りをつけてほかの仕事に行こうか、こういうことが四十歳代で何か際立って最近ふえてきているという話を聞くわけです。中堅の担い手の
農家を育成するとかなんとかといっても、現実的には今の価格政策がそういう形でいっているということでこういう事態を招いている。
ちなみに、北海道の畑作専業
農家と勤労者世帯の
平成元年における比較を申し上げますと、一五人から二十九人までの製造業世帯、ここの人の租税公課とか負債利子を控除した後の所得、それを一〇〇として見ますと、畑作専業
農家は四三・五ということになっているんです。三十人以上の製造業の世帯では一六六・二、勤労者平均世帯で二二五・五ということになっております。製造業世帯の五人から二十九人のところから見ると、実に半分以下というのが畑作専業
農家の所得ということになっているわけです。こんな
状態をいつまで
一体続けさせるのか。こういうことで本当にいいのかということになってくると思います。
農業基本法の国の農業に関する政策の目標は、国の農業に関する政策の目標は、農業及び農業従事者が産業、経済及び社会において果たすべき重要な使命にかんがみて、国民経済の成長発展及び社会
生活の進歩向上に即応し、農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、他産業との
生産性の格差が是正されるように農業の
生産性が向上すること及び農業従事者が所得を増大して他産業従事者と均衡する
生活を営むことを期することができることを目途として、農業の発展と農業従事者の地位の向上を図ることにあるこういうふうに農業基本法にきちっと書かれていることはもう
皆様方も御承知のとおりです。それが現実的にはこのような
実態になっている。
そして、国の農業予算についても大変な
状況です。
日本では一九八〇年を一〇〇とした場合に一九九〇年で八一です。うち価格とか所得の支持費は一九八〇年を一〇〇として一九九〇年は四〇に下げられております。一方アメリカはどうか。一九八〇年を一〇〇とした場合に一九九〇年農務省の予算
総額は一三二・二、うち価格・所得支持費は二三三・三という増になっております。ECはどうか。一九八〇年を同じく一〇〇とした場合に農業予算
総額は二八六・五、うち価格・所得支持費は二三四・五と、このようになっているわけです。全くアメリカやECと、
日本の国家予算の中に占める農業予算、特に
農家の所得に
関係ある価格・所得支持費については大変な差がある。そこに今日のこの問題が出てくるわけであります。
きのうの夕刊でしたか、
農家の人口が三分の二になるというような予測を立てておるわけであります。こういったような
実態などを見ながら、これからの
日本の農業を
一体どうするんだということで新しい政策を策定するいろんな作業に当たっているようでありますが、その価格政策や所得政策をどうするか、そこのところの基本的な
考え方をこの
機会にぜひお聞かせいただきたい、このように思います。