○
高桑栄松君 新聞論調にも出ておりますが、私も一つはそう思うんですが、安全宣言、いわゆると、
厚生省もそうおっしゃると思うので私もいわゆると思って言っているんですが、安全宣言というのが出たその意味は何であったのかということなんです。
一つは、一般のボランティア活動の中でせっかく有害物を分別して回収して、しかもそれを再利用するという一石二鳥のような
考え方でボランティア活動が高まってきたのに一挙に水を差すような表現ではなかったかということがございました。そして、それについて今お話しの生活環境保全上に問題がなかったということについて、私は疫学者の立場で私のコメントを申し上げたいと思います。
皆さんはガイドラインとか恕限度とか許容量とかという言葉を御承知だと思いますが、私は昔、大気汚染問題のところで、北海道でのことでありますが、理工系の人と話をしてびっくりしたことがある。これは大気汚染、亜硫酸ガス〇・一ppmとかというのが出てきます。理工系の人はそこまで出してもいいと思うんだな。びっくり仰天いたしました、いかに我々医学系、健康を
考える人間との理解の度合いが違うのかと。あれは、とりあえず直接の健康障害を起こすワンステップとして、ここまでは何とかしろということでありまして、中毒学とか健康の勉強をしている我々は有害物はゼロに持っていくというのが目標でございますから、お間違えのないように。したがって、安全ということはあり得ない。有害物であれば安全ということはあり得ないんです。
その事件はラブキャナル事件でおわかりだと思うんです。安全だと思って埋め立てをして、そこに家が一千戸ぐらいも建った。三十数年たって有害であることがはっきりして全員を移住させた。日本では移住させる場所がないからどうしようもないですけれ
ども、そういうことがあるんです。したがって、この埋立地問題というのは、私は前から言っているのはそこなんですが、台帳をつくれと。ようやくこれは土地台帳らしいものができるようになったのでありますけれ
ども、したがって、お間違えになっていただきたくないのは、恕限度というのは、許されるんだから出してもいいのではなくて、これはとりあえずのワンステップである。そこまでは何としてでも守れ、その下はゼロですよ、これが有害物に対する我々の
考え方でございます。
それから、放置をした場合にどうなるのか。あれはごみはそのままほっておけという話でございますが、どうも
質問時間がなくなってレクチャーみたいになって申しわけありませんけれ
ども、ちょっと聞いていただきたいと思います。
焼却炉の排気、排ガス中にどれくらい出ているのか。WHOのガイドラインは十五マイクログラムパー立米でありますけれ
ども、
厚生省調査のデータの平均値でその十倍は出ている。平均値であります。したがって、そのもっと十倍、つまり百倍も多いのもあるはずであります。そういうので、局地的には排ガス中には
厚生省調査でもガイドラインの十倍であります、そのガイドラインというのは焼却炉のことを言っているわけじゃありませんから。
そして、東京都の環境科学研究所が調査をした結果が出ておりましたのは、一九八五年の十月のデータでありますけれ
ども、東京都の市街地の地表の土から自然環境の六ないし七倍の水銀があることがわかったというのです。その理由はこう書いてあるんです。それは、焼却炉で一緒に水銀乾電池が焼却された、どんどん大気にガスが出ますね。水銀ですから常温でもベイパー、蒸気になりますから、それが東京じゅうを覆って、そしてそれが雨だとか雪だとかそういうもので下へ落ちてきて、そしてそこへたまったものであろうという推測が書いてあります。六ないし七倍であります。これは確かにデータを読みますと、そういうふうになります。
そして、埋立地ではどれぐらいになるかというと、三ppm程度になるのではないかというのであります。
厚生省の調査で埋立地の表土からはそんなのはないと、〇・三ppmぐらいになっておったかと思うんですが、これは表土を取ったってだめなわけです。埋立地というのは、表土というのはノーマルの土を持ってきて埋めちゃうんですから、そこを取ったってだめなんで、やはり二十センチとか三十センチとか、埋め立てしたそのものの土を掘り起こさなきゃだめだ。
それから、これは本当かうそかわかりませんが、反論があるかもしれませんが、三・八ppmというデータが出たのを異常値であると言ってネグったというのが出ておるんですね。
厚生省はそんなことはなさらなかったと思いますが、出ている。三・八ppmというのがネグられたというんですから、上の方をネグれば下の方だけになっちゃいますからね。これは多分そんなことは
厚生省が意図してやったことじゃないと私は思いますけれ
ども、しかし科学的なデータとしては困るわけであります。ですから、恐らく現在では今までの埋立地は地中には三ppmくらいはもうたまっているのではないか。そういたしますと、土の中にはバクテリアが幾らでもあります。今の水銀は無機水銀でありますから、それは有機化することはこれも実験的にも確かめられていますから、だから土の中でほっておきますと有機水銀ができる。そうすると、それがもし入っていきますと水俣病になるわけですね。ですから、これはやっぱりほっておけない問題であるというのが私が今主張しようとしたことでございます。
しかも、せっかくのボランティア活動を有効利用し、有害物であることは間違いないですから、有害物を取り除いて、そしてそれを再利用するといううれしい気持ちでやっておられる市民活動に水を差した。ばかばかしいんじゃないか。安全だからもうほっておいてもいいのかと。そんなら紙はどうするんだ、紙なんかほっておいたって、燃やしたって炭酸ガスになるだけじゃないか、ほっておいてもいいのにどうして回収するんだというへ理屈みたいな理屈がありますよね。いや、へ理屈じゃないな、これは僕が
考えた理屈なんです。そういう反論があってもいいと、こう思ったからです。有害物もほっておけと言うぐらいだから、無害であれば何ぼでもほっておいてもいいじゃないか、こういうことが言えるのではないか。
まだいっぱい言いたいんですが、レクチャーの時間が減ってまいりましたので、町田の何とかというのがあったんですが、全部飛ばしまして、まず一つ
大臣に伺いたいのは、
処理困難物に指定をするというときに、所管
大臣の意見を聞いて厚生
大臣が指定すると書いてありました。私の日本語の解釈は、聞いて指定するんだから、聞かなければ指定できない、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。もしそうであるとしたら、私は厚生
大臣が直接指定ができるようにしてもらいたいということでございます。