○中野
委員 了解をいたしました。
次に質問を進めたいと思いますが、我が国を取り巻く東南
アジアまた東北
アジアといいましょうか、この地域において冷戦構造の残滓が残っているとされるものに今の北方領土、そして韓国と北朝鮮との関係、そしてもう
一つはカンボジアの問題があるわけであります。
きょう、小さな記事を見つけました。シアヌーク殿下が、タイ南東部のパタヤで二十六日から開かれるカンボジア最高
国民評議会、SNC会合に
出席するため、二十一日、北京からバンコク入りした。同殿下は到着後、
声明を発表し、無期限停戦と外国からの武器援助受け入れ停止を監視するために、包括和平の合意前であっても、国連が二百人程度の人員を派遣するように改めて要請した。こういう記事でございました。
七月の十日にカンボジアを訪れたときのことを思い起こしながら、タイのバンコクでこのシアヌーク殿下の御子息、ラナリット殿下にお会いをいたしました。ちょうど同じことを言っておられました。何としてもしかし、その中に、いわゆる多国籍軍のような大きな部隊でどんとカンボジアを占領されることも嫌だし、むしろ東南
アジアの仲間である
日本が積極的にカンボジア和平のために大きな貢献をしてほしい、そしてそのためには、経済協力はもとよりでありますが、その前にまず和平がならないと何事もできません、まず和平であるということを言っておられたわけであります。しかし、国連が二百人程度の人員を派遣するようにしたとしても、我が国にそれに対応する今システムもなければ、制度もないわけであります。相手は
日本に対して大変大きな
期待をいたしておるわけであります。
先般、ロンドン・
サミットを契機にいたしまして、
世界は東西の枠を超えた国際秩序の構築、政治宣言に言う、国連が中核となる国際体制の強化を目指すという新たな課題を背負うことになりました。この国連
中心の国際体制を各国の
指導者に呼びかけたその呼びかけ人のお一人が
海部総理でもあると言って過言ではないと思います。
さて、この国連
中心の国際体制に対して我が国は積極的にむしろ呼びかけ人としての
役割をも果たす決意を持たなければなりません。今、PKO法案が間もなく上程をされるであろうと思いますが、我々としてはこれらの問題について、
国際社会が望んでいるタイミング、内容、そういうものをしっかりと踏まえて、しっかりとした基準、明確な方策を打ち立てなければなりません。
先般、その法案についての
政府の五原則なるものを拝見いたしました。一、停戦の合意。二、紛争当事国が我が国の参加に同意していること。三、中立的な立場を厳守すること。そして四番目に、原則のいずれかが満たされない
状況が生じた場合、我が国の部隊は撤収することができること。五番目に、武器の使用は要員の生命等を守るための必要最小限度のもの、こうなっております。
ポイントはこの一、二、三でありましょう。しかし、この一、二、三というのは国連のPKO部隊の原則そのものではないのでしょうか。
日本の独特の原則ではないはずである。また四番目に、その原則のいずれかが満たされない場合には我が国から参加した部隊は撤収するとあるが、しかし、これは我が国ならずとも、どの国から出たPKOの部隊であっても、それは撤収するものなのではないのでしょうか。殊さらにここに書くことがむしろおかしいのではないのでしょうか。
そして、これは先ほども同僚
委員からも質問が出ておりましたけれども、言うならば、国権の発動たる自衛権の行使でもありません。ましてや侵略戦争などではありません。戦うための組織ではない。敵はいない。したがって勝利も敗北もない。戦争とは違うものとむしろ性格づけるべきでありましょう。そうすると、
憲法に抵触するか否かと考えること自体が本来はおかしいのではないのでしょうか。問題は、そこに自衛隊を参加させるとした場合、例えばさっきのシアヌーク殿下の言葉にもありますが、無期限停戦と外国からの武器援助受け入れ停止を監視するために、これらのことについては軍事専門家でなければできないと向こうがおっしゃっている。
例えばヘン・サムリン
政権は、我々はしっかりした専門家がポル・ポト派を監視してくれる、検証してくれなければ信用できない。また一万の
国民三派は、ヘン・サムリン
政権の方のそういう武器の問題について武装解除ができるかどうかを
確認しなければ信用できない、それができるのはやはり専門家でなければできない、ゆえに
日本の場合も自衛隊をとおっしゃる、こういう要求が一方である。もちろんカンボジアの場合には国連のUNTACの提案もあります。行政面、軍事面、選挙面、いろいろあります。いろいろな仕事があります。そういう中の
一つとして自衛隊の派遣がどうなるかという問題が今大きくクローズアップされているのではないかと思うのであります。これらのことについて、何か我が国が特別の、諸外国とは違う部隊を派遣するような印象を持たせることではなくて、むしろ国連のPKO部隊の性格そのものを明確に原則として御説明なさるのがいいのではないだろうか、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。