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山口(敏)
委員 ブッシュさんもそういうふうに言っていましたからということでなく、これ以上
保守派でありますとか軍部が過激な
行動をして
流血の
惨事ということになりますと、相手は
ソ連ですから、また対ソ関係の改善にも、西側のみならずこれは東欧の問題もあるわけですし、非常に
世界が苦慮するわけでありますから、そういう最悪の
事態を避けるための環境づくりというものの中で、必要な場合は、二国間である場合もあるでしょうし、あるいは緊急
サミット的な性格の場合もあるかもしれませんが、少なくとも
世界が
ソ連の
国内の暴発を牽制するという決意、気構えの
政治的な環境、
外交的な
状況というものをやはり整備していくということが非常に大事なことだ。そういう
意味において、ひとつ
総理もアジア諸国との
情報交換、と同時に
サミット諸国の
首脳ともひとつ緊密な
連絡を、
情報をさらにとり合っていただいて、必要に応じては
ソ連の
国内の合法的な認知された指導者に対しても、やはり支援の
メッセージも送るというようなことも含めていろいろ積極的なリーダーシップを発揮していただいて、まさに
サミットその他で大きな成果を上げたわけでありますから、ひとつ
世界においても
日本の
首相として踏ん張っていただきたいということを御要望しておきたいと思います。
私は、今
ソ連がこういう
状況になってしまったものですから、今さら対ソの関係改善のための幾つかの具体的な提案というのをここで取り上げるのもいかがかと思いますが、四月に
ゴルバチョフさんが来たときは、確かに
ソ連の
国内政局からすると最悪の状態であった。したがって、五六年の二島返還、二島継続の問題も確認、追認されないまま終わってしまった。しかし、
総理が
外務省にまとめさせた
海部・
ゴルバチョフ会談の成果というものからしますと、大変な成果があった、共同
声明の中にも国後、択捉、歯舞、色丹の四島が明記されたということで評価されているわけです。これは自画自賛なのか、本当に実体を伴った評価なのかという問題があると思うのです。私は実体を伴った評価だというふうに受けとめたいわけですよ。しかし、その後の
政府の対ソ政策というものを
考えておりますと、
サミットに
ゴルバチョフが
出席するかどうかというときも、
海部首相はカナダの
首相やアメリカの
大統領との会談の席においても反対の
立場を表明しておった、結果としては
ゴルバチョフが
出席することになったわけですけれ
どもね。この辺の
外交的な
見解、やはり
国民は、
ゴルバチョフさんと
海部さんが指切りして共同
声明に調印してノートを
交換している場面を、これで
世界で一番おくれた二国間関係の日ソが大きく改善、発展していくんじゃないか、
外務省がまとめた
海部・
ゴルバチョフ会談の評価も相まって、これは何らかの前進がスタートを切られるんじゃないかという思いを持つわけですよね。しかし、その後
サミットでの
出席に消極的あるいは賛成でない、まあ結果的に出ていましたけれ
どもね。私は、そういう点は一貫性といいますか、
首相がやはりきちっとした
指導力を発揮していただいて、あなたが一番
日本人として
ゴルバチョフ・
ソ連の当時の最高
首脳と渡り合ったわけですから、その中で肌で感じた信頼関係とかあるいは不信感とかいうものの中で日ソ関係というものが方向づけられるわけですから、その辺が非常に私はわかりにくい。
特に、対ソ金融支援なんかの問題でも非常に
世界との、これは大蔵
大臣の御
見解もあるのかもしれませんが、私はやはり四億ドルから五億ドル、今
ソ連というのはそれこそ何百億ドル援助してもまさに焼け石に水であることはそのとおりなんですよね。これはもう我々も、今の
ソ連というのはちょうど終戦直後の
日本と同じように、こういう公の席で適当かどうかわかりませんが、本当にやみ屋とかブローカーとかあるいは暴力とか売春とか、社会が非常に疲弊して混迷の極致にあることは事実ですよ。しかし、なぜそれにもかかわらず四億ドルか五億ドルの金融支援というものが、
海部・
ゴルバチョフ会談、その成果をまとめた論文、指切りというものから見ると、なんで四億ドルから五億ドルの金融支援ができないんだろうか。
四億ドルか五億ドルの金融支援というのはどういう
意味があるかというと、これは通産
大臣の所管でもありますが、日ソの通商関係が大体六十億ドル今まであったわけですね。ところが、まさに日ソの歴史上初めて
ソ連の元首が
日本に来たその年に
ソ連の焦げつき債権の問題が出て、このままほうっておくと日ソ関係の貿易は四十億ドルから場合によっちゃ三十億ドルにも減ってしまうんじゃないか、こういう状態になるわけですね。これは、商社といえ
どもボランティアじゃありませんからね、当然ビジネスですから。そうすると、やはり
ゴルバチョフがせっかく来た年によりによって今まで六十億ドル近く曲がりなりにも、それでも
日本の貿易量からすればわずか〇・九%、一%にも満たないわけですよね。サハリンには膨大なエネルギーがあるけれ
ども領土問題があるからこれは当然のこととは言いながら、それにしてもやはり
政治というものがないんじゃないか。とすると、四億ドルから五億ドルの金融支援というものが、六十億ドルの日ソ関係の通商ベースを横ばいにする、現状維持の
状況に持ち込むための政策的なてこにもこれがなる場合もあるわけですね。そういうことも、私はやはり
首脳会談をした人としては
指導力を発揮してやっていただくべきなのではないか。
今非常に
総理は、きのうの
記者会見でも、
ペレストロイカは
支持するんだ、
冷戦構造に大きな役割を果たしたのは
ゴルバチョフなんだと。これは今評価したって、もういなくなっちゃってから評価したってこれはだめなんで、五億ドルがあったから別に
ゴルバチョフが助かったかどうかはわかりませんけれ
ども、そういう、日ソ関係についてもせっかく
首脳会談が行われたにもかかわらず、何か
政府部内でもちぐはぐなんじゃないかという印象を私は一議員としても
与党議員としても受けるわけでありますけれ
ども、
総理として今の私の
発言に対してどういう御
見解を持たれるか、ひとつ御答弁を伺いたいと思います。